凶星物語 終幕のみ (蛇ヤミー)
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ラストチャプター

ロックピッカーの燃料を投下された当時、本編感想欄に書き込んだSS(ハーメルンとはユーザー名が別)が発掘されたので、加筆して投稿。

正直今更ロックピッカーもどうかと思ったけど、まあせっかくなので。




設定としては、未来からやってきた謎のヴィランと対峙するカースドプリズンたち……その戦いの終盤からラストに向けての部分を書いてます。


 ああ、むかつくぜ。

 本当に腹立たしい。

 

 未来からやってきたとかのたまうヴィラン……名前なんぞどうでもいい。

 俺様はこいつをぶっ潰したくてたまらねぇ。

 

「ミーティアスにカースドプリズン。この時代の双璧ともいえる者どもも、この程度か……」

 

「くっ……」

「チィ……」

 

 ミーティアスはともかくこの俺様を小馬鹿にするような目で見やがったな。

 

「……おいミーティアス……手を組めなんて寒ぃ事は言わねぇ……手を貸しな(、、、)

「はは……まさかあんたからそんな言葉が聞けるなんてな」

「るせぇ……てめぇは俺様の道具に徹してればいいんだよ」

「ほう。ヒーローとヴィランの共同戦線か。面白い……こい」

 

「ハァッ!!」

「集えゴミども! 凶星引力(フォビドゥン・グラビディ)!」

 ミーティアスは縦横無尽に跳ねまわり、俺様は力を使いゴミ(武器)を集める。

 俺様とミーティアスの猛攻が奴を肉薄する。

 

 だがそれでも奴は崩れない。

 

「これは……なかなか。だが……ッ!」

 ミーティアスの攻撃をよけ、俺様に一撃を与える。

 

 ――ドンッ!!

 

「ガァ……ッ!」

 ぐ……耐えきれないダメージじゃねぇ……が、ヒーローはそんなことを気にしねぇ。

 

「カースドプリズン!!」

 

「さすがヒーロー。余所見が得意だ」

「しま――――」

 

 ――――ズガァァァァァァン……ッ!!

 

 あのアホ、俺様に気を取られてデカい一撃を食らいやがった。

「ち……」

「ふむ、それなりに楽しめたが……まあこんなものだろう。スピード型のミーティアスに、パワー型のカースドプリズン。連携に隙が出来るのも当然。むしろ持った方だろう」

 

 ああ、奴の言うとおり、ただでさえ相性の悪い俺様たちが、出来もしねぇ即興連携をかましたにしては上出来だろうよ。

 

 超必殺(ウルト)を使えるほどのパワーは残ってねぇし……どうしたもんか。

 んなことを考えていると、後ろから最近付きまとってくる声が聞こえてきた。

 

「おじ様!!」

「……ガキンチョ」

 そいつは俺様の前に立ち、奴に手持ちの斧を向けていた。

 

 はっ……まさか闘うつもりか?

 

「……ロックピッカー……私の世界の新米ヒーロー風情が何をしに来た……場違いだ」

「そんなの関係ない! 私はおじ様を助けるために過去(ここ)にいる!」

「……おいガキンチョ、何度も言わせんじゃねぇ。俺様は助け何ぞ求めてねぇ。うせろ」

 

「いや! 私はおじ様を助けたい!」

 奴はだだをこねてるようにしか見えないガキンチョを一瞥し。

 

「目障り」

 

 そう吐き捨て、攻撃を放った。

 

「……うぅ……!」

 

 

 ――――ドゴォォォォォォォォォン――――ッ!!

 

 

「…………え」

「ほう」

 

 気が付けば俺様はガキンチョを後ろに、奴の攻撃を受け切っていた。

 

「おじ……様……あの時と……同じ……」

「はは、どうしたカースドプリズン。まるでヒーローの様じゃないか」

 

 

「るせぇな……俺様がどうしようと俺様の勝手だ。大体、俺様とミーティアスとの戦いの場にてめぇが割り込んできた時点で、もう世界が違ぇ……いや、ユニバースが違ぇんだよ。ヒーローだのヴィランだの、今は関係ねぇ……俺様は俺様のやりたいようにやる」

 

 

「ふん……威勢はいいな。だがどうだ? 今のお前はボロボロ、残っていたパワーも今の攻撃で吹き飛んだだろう。そんな状態で何が出来る」

 

 奴の言葉に、思わず笑みが浮かぶ。

 

「何度も言わせんなよ……ユニバースが違ぇって」

「何を……? ……ッ!?」

 

 奴も初めて俺様の後ろに気付いたらしい。

 そりゃそうだ、目障りなもんは見ねぇのが一番だからな。

 

「元の世界線、俺様とミーティアスのユニバースにいねぇはずの存在は、てめぇだけじゃねぇだろ」

 

 要するに、未来の世界のヴィラン(てめぇ)を倒すには、未来の世界のヒーロー(ガキンチョ)の力が必要って訳だ。

 

 

「おじ様…………今なら、出来ます……!! 私が……ヒーロー、ロックピッカーが開錠します!!」

 

 

「まさか……ッ!!」

 

 

「遅ぇよ。脱獄(プリズンブレイク)!!」

 

 

 ――ドンッ!!

 

 超必殺(ウルト)発動と同時に一撃を加える。

 さぁて、さっきの借りを返させてもらおうか。

 

「く……おのれカースドプリズン……いや、プリズンブレイカーッ!!」

 

「さっきまでの威勢はどうした! なぁ……あぁわりぃ、てめぇの名前、覚えてねぇわ」

「……おのれ…………ふん、だが……それは制限時間がある技……数分さえ耐えればそれで勝ちだ!!」

「そうかい」

 

 ――ドン!

 ――ドン!

 ――ドン!

 ――ドンッ!!

 

 幾度かの衝突の後、若干の距離を取る。

 奴の焦りが見て取れる。

 

「馬鹿な……もう制限時間は過ぎているはず……何故ッ!?」

 

「知るかよ。……つーか……オォイッ!! ミィィィィィティアァァァァスッ!! いつまで寝てやがる!! さっさと起きろォッ!!」

 

 ――ガゴンッ――

 

 俺様の声にへらへらと笑いながらヒーロー(あのアホ)が立ち上がる。

 

「やれやれ、先輩(、、)はおっかないな。おちおち昼寝も出来ないや」

 

 そう言って、ミーティアスは即座にトップスピードに乗る。

 

 再び俺様とミーティアスの猛攻が奴を肉薄する。

 だが今回はさっきとは違う。

 隙なんぞできねぇ。

 

 俺様とミーティアスのスピードが奴の全てを凌駕する。

 

 

「終わりにしよう……超必殺(ウルト)

「サービスだミーティアス! ……合せてやるよ」

 

 

 ミーティアスの足に眩い蒼き光が宿り、俺様の足には荒ぶる緋き光が宿る。

 

 

「馬鹿な……流星と凶星が交わる……だと……!!」

 

 

「ミーティア・ストライク!!」

「くたばりやがれェェェッ!!」

 

 

 

 ――――スドォォォォォォォン…………ッ!!――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

「おじ様、約束を果たしに来ました!」

「ふん、俺様がそんな約束を守ってやる義理はねぇ……が、ちょうど昼寝の気分だ。……その間お前がどうしようと俺様の知ったことじゃねぇ」

 

 あの戦いの後、当然と言わんばかりに、俺様にまとわりついた牢獄。

 それを見たガキンチョが、また自分に鍵を開けさせろとしつこく言ってきた。

 聞いてやる必要はねぇが、あまりにしつこいので一度だけチャンスをやる事にした。

 

 横になる俺様を満面の笑みで見てくるガキンチョに、少々居心地は悪いが、気にしないことにした。

 そして恐らく、ガキンチョは自分の持てる未来の技術を終結させ、牢獄の鍵穴に挑んでいるのだろう。

 

 ――だが。

 

「開か、ない……何で……だって、あの時は……!」

「さあな……まあ、イレギュラーなんてもんは頻繁に起きるもんだ」

 そして俺様は立ち上がる。

 

 そんな俺様を、唇を噛みながら今にも泣きだしそうな情けない顔で見て――。

 

「……うぅ……えい!!」

 ――取り出したマスターキーを振りかぶった。

 

「どぅおぁ危ねぇッ!! おいこらガキンチョ何しやがる!!」

 反射的によけることが出来た俺様は、ガキンチョを睨みつける。

 

「だって……この鍵が開かないとおじ様は……」

 目に涙を浮かべて口ごもる、ガキンチョを俺様は鼻で笑う。

 

「ハッ、ガキンチョ、お前わかってねぇな」

「え……?」

 

「確かにこの牢獄はあのクソッタレに装着された物、邪魔くさくて仕方ねぇ。だが俺様は俺様の力でこいつを脱ぎ捨てるんだよ。ミーティアスの野郎と決着をつけてな。それとも何か? お前は俺様の邪魔をしようってのか?」

「ち、違います!」

 

 

「ふん、いいか覚えておけ。俺様は俺様のやりたいようにやるだけ……俺様のやる事にいちいち文句を出すな」

 

 

「! ……はい!」

 返事を聞いた後、俺様はさっさとその場を去る。

 そんな中後ろから声がかかる。

 

 

「でも! 私も私の意思で、おじ様の鍵を開けたいと思ってるんです! だから……おじ様も私のやる事にいちいち文句を出しちゃダメですから!!」

 

 

 その言葉を聞いても俺様は足を止めることなく歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 だがまあ……面白いこと言うじゃねぇか。

 

 

 

 俺様も思わず口元が緩んじまった。

 

 




ユニバースが違うシャンフロの方に投稿しなかったのは、出来ればむこうを恋愛メインにしたいので……。

元々感想欄に投下したのは戦い後の部分だけです。
それも三人称だったやつを一人称に変えてます。
戦闘描写は苦手なので……お見苦しかったかもしれませんが。


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