【完結】がっこうぐらしRTA_故意感染ルート (霞身)
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(スタート 〜 感染)

読んだら走りたくなったので初投稿です。


 はい、よーいスタート。(GO)

 

 原作キャラは(主人公が)氏んでも生かすRTAはーじまーるよー。

 計測開始、計測終了は先駆者兄貴に倣って行きます。

 本RTAでは先駆者兄貴とはルートをかぶらせないで全員生存を目指すために、主人公ちゃんには敢えて最初から感染者となってもらいます、ゴリラのようなパワーと敵に狙われないステルス性を持って皆を助けましょう、対価は皆の正気度です。

 キャラクリエイトは(ランダムでやるので)キャンセルだ。

 今回選択されたのは『本田萌香(ほんだもえか)』ちゃんですね、RTAに相応しい略称はホモちゃんです。

 初期所有スキルは《杖術》と《全力》となっています。

 杖術は読んで字の如く、杖や棒状の物を武器として存分に使うことができる上に、『突け♂ば槍、払えば薙刀、持たばタチ』という言葉の通り、通常のキャラが使用するより幅広い戦術が取れる素晴らしいスキルですが、レベルアップによるあとからの取得はできません。

 武術をそんな数日で修められるわけないだろ!いいかげんにしろ!

 もうひとつの《全力》に関しては使った武器やアイテムの損耗度が上がり壊れやすくなります、ちなみに威力は(上がら)ないです、完全にデメリットしかありません。

 ただ、杖術ではモップや鉄パイプなど比較的入手が容易な武器が豊富にあるので、いうほどデメリットにはなっていませんね、間違いなく当たりキャラです。

 

 続いて技能ポイトンを振っていきましょう。

 通常攻略やRTAの場合には、持久力全ツッパがオススメですが、今回は感染者ルートで身体能力ブーストをしていくので、ポイトンは体力に全て振り分けます。

 身体能力ブーストがかかるのに、何故体力を優先するのか?という点については後ほど、このステ振りが効果を発揮するタイミングで解説します。

 

 さて、ようやくゲームスタートです、開始位置はどうやら自分の教室のようですね、これは都合がいい。

 自分の教室では必ず一人掃除当番の子が居るので、その生徒に話しかけるとバイトがあるので掃除を変わってほしいと言われます。

 しょうがねぇなぁ(GKU)今日のところは代わってあげましょう。

 そうするとモブ子は喜んでバイトへと向かっていきます、代わりに私の手にはモップが手に入ります、君のことはこのモップが壊れるまで忘れないよ(薄情)。

 前述した通りモップは杖術で使用することができる武器で、その中でも最も入手難度が低いです。

 入手難度が低いので当然攻撃力は低く、また非札傷属性なのでこの武器では『かれら』を頃すには至りませんが、そもそも杖術カテゴリは非常に有能な武器です。

 

 では、ホモちゃんが掃除している姿をバックに杖術について詳しく説明しましょう。

 杖術では対応している武器の持ち方を変えて3つの使い方ができます、槍モード、薙刀モード、太刀モードです。

 リーチでは槍>薙刀>太刀。

 威力では太刀>薙刀>槍。

 攻撃範囲では薙刀>太刀>槍

 怯みは槍>太刀>薙刀

 となっており、様々な場面でモードを使い分けることで臨機応変な対応が可能な上級者向けスキルとなっています、序盤に最も使うのは槍、次点で薙刀の頻度が高くなりますが、出番が来たらまたそれぞれ解説しましょう。

 

 さて、教室の外が賑やかになってきましたね、お祭りでも始まったのかな?(すっとぼけ)俺も仲間に入れてくれよ〜(マジキチスマイル)

 教室から廊下に出ると早速『かれら』と出会ってしまうので、ここでセーブしましょう、この後めぐねえ捜索ガチャを行いますので、見つからなかったらリセしてここに戻ってきます。

 とは言え、めぐねぇの出現位置はパンデミック前は固定、発生後はランダムな5ヶ所なので、捜索はさほど難しくないです。

 ちなみにたまーに昇降口にいることがあるんですけど、そうなるともはや無傷での救出は不可能なので諦めてリセしましょう。

 なーんて言ってたら、早速一発目で発見です、同じ階にいるとか幸先いいゾ〜これ。

 

「ほ、本田さん!?無事ですか!?」

 

 今は無事ですよ、今はね(暗黒微笑)。

 とりあえずめぐねぇと合流出来たら一緒に屋上に逃げましょう、屋上ならほら、救助のヘリとか来れるかもしれないじゃん?(適当)

 というか、他の原作キャラ達は自力で屋上に避難してるのに、この要介護ヒロインは何してるんですかね?

 途中遭遇する『かれら』については槍モードで突くと怯んで道を開けてくれるので、めぐねぇの前で大虐札して正気度と好感度を減らさずに済みます、これもまた杖術スキルとモップの有効性ですね。

 屋上へと続く階段に到着したら、適当に言いくるめてめぐねぇは先に屋上へ向かわせましょう。

 やたらとゴネてきますが、お前戦えないだろって言うと大人しく屋上へ向かってくれます。

 ちなみに戦闘系のスキルを持っていない場合は、これを言っても引き下がってくれないので、戦闘スキル無しで大量の『かれら』に対応しながら根気強く説得しましょう。(28敗)

 めぐねぇが完全に屋上に消えたら、持ち方を薙刀に変更します。さっきまでは槍でちくちくつついて怯ませていただけですが、薙刀でしゃがみ薙ぎ払いをすると『かれら』はその場に転倒します。転倒状態の『かれら』に近付いて攻撃するとストンプを行うことができ、高確率で即氏してくれるのでこれを使って初日からレベリングを行います。この際振り分けられるポイトンは再び全て体力に割り振ります。

 今回は乱数の関係もあってやや多めなので、存分に経験値が稼げますね。

 幾度となく戦闘訓練を行った私に、精神的動揺による操作ミスはないものと思っていだこう!

 

 さて、ここからはただひたすらに10分ほど『かれら』を虐札し続ける退屈な映像が続きますので

 

 皆 さ ま の た め に 〜

 

 何故ステータス全て体力に振っているかの解説をしましょう。

 タイトルにもある通り、本RTAでは主人公のホモちゃんには感染してもらう必要があります。

 感染者は抗ウイルス剤を投与しない限り例外なく『かれら』になってしまうのですが、完全に『かれら』になるまでには当然わずかながら猶予があります、その猶予については体力の数値を参照して、完全に『かれら』になる確率が決定されるので、この後単独で抗ウイルス剤を入手するまでの時間を稼ぐために、体力を上げておく必要があったんですね。

 HPの減少に伴い『かれら』になってしまう確率は上昇していくので、可能な限りで構わないのでHPは高めを保ちましょう。

 抗ウイルス剤を入手するには二箇所立ち寄る必要があります、一つは職員室、もうひとつは地下室の二箇所です。

 職員室で避難マニュアルを入手していないと、一周目では地下室には入れないので当然といえば当然ですね。

 当然ゆっくり休んでいる暇はないので、途中で休憩を挟むことも許されません。

 体力と気合と根性でなんとか抗ウイルス剤を入手しましょう。(31敗)

 

 残りの彼らが数体になると、我らがシャベルゴリラことくるみちゃんが、先輩を背負ってここまでやって来ます。

 人一人背負って屋上まで逃げてくるってやっぱりお前ゴリラかなんかの血縁者だろ?

 ここで無視してもくるみちゃんは普通に屋上に避難してくれますが。今回はなんとなく屋上に何人か避難していることを伝えておきましょう。後々あのメンバーの中に入ろうと思うと、誰かしらの好感度が高い必要があるので、ついでにここで稼いでしまいましょう。保険ですよ保険。

 ちなみにここでくるみちゃんに話しかけると、くるみちゃんが襲われてしまうので、間に入ってくるみちゃんをかばいましょう。

 杖術持ちの場合、手持ちの武器を使って守るためのQTEの時間が伸びるので比較的簡単に……

 あああああああああ!!!

 武器が壊れた!武器が壊れたナンデ!?

 

 もうひとつの《全力》に関しては使った武器やアイテムの損耗度が上がり壊れやすくなります、ちなみに威力は(上がら)ないです、完全にデメリットしかありません。

 

 今回は乱数の関係もあってやや多めなので、存分に経験値が稼げますね。

 

 あっ、これかぁ!

 これは予想外ですね……いえ、どうせ最後の一体に噛まれる予定だったので大差ないですね、本当に誤差ですよ誤差!

 くるみちゃんの目の前で嚙まれてしまったので、くるみちゃんのトラウマをえぐり正気度が下がってしまいましたが、これもコラテラルダメージです。

 オラ!もうこっちは助からないからお前はさっさと屋上にいけ!お前が居るとこいつら頃せないだルルォ!

 くるみちゃんは割とあっさり引き下がってくれるので説得は容易です、さっさとその背負ってる覚醒くるみちゃん交換券をぶち頃して、ホモちゃんが再び合流するまで皆の戦力になってくれよな〜。

 くるみちゃんが居なくなったら残りの『かれら』を始末して、ちゃっちゃと職員室に行きましょう。あそこには救急キッ卜もあるのでわずかながらHPを回復できます。

 ちなみに階段においてある掃除用具入れのロッカーから簡単にモップが入手できるのでこれで始末しましょう。終わったらちゃっちゃか職員室にほら行くど〜。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 また、一人噛まれてしまった……

 それも、あたしのせいで。

 名前は知らないけど、何度か見たことある顔だから、多分同じ学年のやつだと思う。

 

「お、おい!大丈夫か!?」

「私はいいから早く屋上に行って!武器もないから長くは抑えられないの!」

 

 ずっとここで奴らを抑えていた彼女は、先輩を背負っていたあたしをかばって奴らに嚙まれてしまった。

 全身血に染めていたから、最初はあいつらかと思ったけど、どうやら屋上に行かせないためにここで戦っていてくれたようだ、そこに他の人もいるから、そいつらと合流しろと言いながら、彼女は素手のまま奴らを近づけさせない為に奮闘している。

 なんとか助けられないかとも思ったけど、あたしは既に先輩を背負ってしまっている、これ以上人を連れて行くことはとてもじゃないけど出来ない……

 

「ごめん……っ!本当にごめん……っ!」

 

 だから、彼女を私は切り捨てた。

 だから、あたしが彼女を殺した。

 この災害が始まって、初めてあたしが殺したのは、間違いなく彼女だった。

 屋上への階段を、少しでも早く駆け上がる。

 彼女の負担にならないために。

 

「頼む!ドアを開けてくれ!」

「っ……恵飛須沢さんですか?」

 

 屋上のドアの向こうから聞こえてきた声は、佐倉先生のものだった、あたしだと答えるとドアを開けてくれたので、急いで屋上に駆け込んだ。

 そして先輩を地面におろして、ドアを振り返る。

 あたしは……。

 

「恵飛須沢さん……階段の所で本田さんを見かけませんでしたか……?」

「本田さんって言うと……茶髪に髪がロングのあの人で合ってるか……?」

 

 そうか、あいつの名前は本田萌香って言うのか……。

 あたしは、名前も知らなかったあいつのおかげで、生き延びられた。

 でもあいつがやられてしまったら、誰がここを……佐倉先生達を守るんだ。

 ここにいる中で、戦えそうな奴は誰もいない。

 なら……その役目は……

 


 

 恵飛須沢さんから聞かされたのは、ある意味当たり前のことで、予想できていたことだった。

 本田さんが、あの暴徒と化した生徒達に嚙まれてしまったという事。

 こういったパニック物では、ゾンビみたいなものに噛まれた人は、おしなべて『かれら』の仲間になってしまう。

 きっと、彼女もそうなってしまう。

 私達を守るために、犠牲になってしまった。

 大人の私を守るために、子供の本田さんが……

 でも……それでも。

 私のせいではなく、恵飛須沢さんをかばって噛まれてしまったと聞いて、ホッとしてしまった私は、本当に悪い大人です。

 私のせいではないと、どこかで思ってしまった私は……

 本当に、自分で自分のことが、嫌いになります。

 でも、残された私はここで唯一の大人ですから、なんとか……気丈に振る舞わなくてはいけませんよね……

 ごめんなさい、本田さん……

 必ず、必ずあなたが守ってくれたこの景色は、私が引き継いで守ってみせますから……

 どうか、どうかあなただけは、安らかに眠れますように……




初期感染者ルートでした。
好評で続きが書けたら続きます。


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(職員室潜入 〜 食料調達)

特に言うこともないので初投稿です。


 あっという間に死に至る病を患ったまま一日中動きまわるRTAはーじまーるよー。

 

 前回は屋上に続く階段で『かれら』を殲滅したところで終わりましたので、これから早速職員室を目指していきます。

 職員室は保健室を除くと唯一確実に救急キットがおいてある部屋なので、通常プレイでも早めに行っておいて損はありません。

 ただ、初日から向かうのはオススメできません。

 と言うのも、パンデミック発生直後で未だ最終下校時刻も迎えていないので、校舎内には『かれら』がうじゃうじゃいて、戦闘回避がかなり難しいからです。

 大抵の場合、階段前の攻防が終わってから再度『かれら』に襲われて脂肪する事が多く、本RTA最大のリセットポイントとなっています。

 職員室に行くまでに1回、そこから地下室にたどり着くまでで更に2回乙った場合はリセットしましょう、当然屑運で同数『かれら』化した場合にもリセットしましょう。(31敗)

 嫌よ〜もう何度も繰り返したあのリセマラと大量の『かれら』との氏闘を繰り返すループに戻るのは嫌よ〜。(課長)

 そんなわけで、戦闘が終わったら即座にセーブする必要があります。

 その際、近くに『かれら』が残っていないかのクリアリングは忘れないようにしましょう。(1敗)

 ただ、今回に関してはホモちゃんが杖術持ちであり、槍モードでチクチクやれば間をすり抜けられるので、攻撃による致死率は大変低くなっています。

 更にさっきのガバを帳消しにするかのように『かれら』が出現しませんね、このまま一気に職員室に乗り込め〜^^

 

 さて、これを見ている皆様は、感染するつもりなら、より安全に職員室か地下室前で攻撃されればいいじゃんアゼルバイジャンって思っていると思います。

 ですがそうは問屋がおろしません、あの階段前の戦闘を嚙まれずに乗り切ってしまうと、めぐねぇが屋上から声をかけてきて強制的に屋上に召喚されてしまいます、お前はセンサーか何かか?普段からその索敵能力を活かしてくれよな〜。(2敗)

 ただ、ダメージを受けている場合は例外となり、その場から離れることが可能となります、だから、ここで噛まれておく必要があったんですね。(例の構文)

 ちなみに噛まれた状態で初日の屋上に行くと、めぐねぇかくるみちゃん(未覚醒)に介錯してもらえる特殊EDが見れるので、CG集めのために皆も二人の顔を曇らせようね!(3敗)

 

 職員室についたら、まずは救急キットを探しましょう、未だに出血のバッドステータスがついてしまっているのでもりもりHPが減ってしまっています、さっさと止血しなくては『かれら』になる確率が上がってしまう上に、最悪その前に氏んでしまいます。

 めぐねぇの机に確実に置かれているので、めぐねぇの机に行きましょう、ついでに食料のポテチも回収です、こんなもの食べてると太るぞ?(スゴイ=シツレイ)

 治療が済んだら、緊急時用のマニュアルを探します、と言ってもおいてある場所は固定なので一発で掘り当てましょう。

 見つけたらマニュアルは元の位置に戻しておきます。

 地図や文献なんかについては、今時のJKが板書するときのようにスマホで撮影してあるのでいつでも見返せるから、こんなスペースだけを無駄に取るアイテムはキャンセルだ。

 

 これでフラグが立ったので、地下室に入れるようになりました、早速目指していきましょう。

 『かれら』は階段を登るのが苦手なため、上層ほど数が少なく、下層ほど数が多くなっていきます。

 それが初日の放課後となればそれはもう大変なことになっています。

 こんなのいちいち相手にしてられないので、槍でつついて間をすり抜けて行きましょう。

 大量の『かれら』に囲まれているだけでもわずかながら経験値が手に入るので、そこそこうま味(うまテイスト)です、噛み付かない程度に近寄ってくれよな〜

 ちなみに武器の耐久度は一々メニューから調べないとわからないので、またいつ壊れるかは今のところわかりません、なので途中で入手したもう一本のモップはロープで背中に吊るしてあります。

 と言っても、そんな何十人と戦うわけでもないので、《全力》を加味してもおそらく壊れません。

 ちなみに、感染状態で戦闘を行うともりもり『かれら』になっちゃう確率が上がっていくので、倒すことはせず可能な限りすり抜けて行きましょうね。

 ここからはまた退屈な時間が続いていきますので

 

 皆 さ ま の た め に 〜

 こ の よ う な 映 像 を ご 用 意 し ま し た 〜(1.14倍速)

 


 

「ごめん、嚙まれちゃった……」

 

 階段から続く扉から現れたのは、全身を赤黒い血に染めた三浦さんだった。(SAN値マイナス)

 彼女は扉付近の壁に寄りかかって座り込んで息を整えている。

 屋上に、『かれら』が来ないためにずっと抑えていてくれたのだから、全身が赤黒い血を浴びてしまっているのはよくわかる、でも、彼女の左腕だけは違う。

 まだ赤々とした、酸素の含まれた血液が流れ出ている。

 それに、彼女の言葉から察するに、嚙まれてしまったのだろう。(SAN値マイナス)

 

「そんな……」

「いやーうん、流石に素人が抑えるのは難しかったみたい……だから、一応お別れを言いにさ、うん」

 

 お別れ、つまりそういう事だ。

 彼女はもう既に、自分が助からない事を察しているのだ、私達を、大人を守る為に、子供が。(SAN値大マイナス)

 そこで、恵飛須沢さんの手で葬られた先輩の姿を見て、確信したのだろう。

 

「とりあえず誰も怪我してないみたいでよかったや」

 

 彼女は弱々しく笑うと、ゆっくりと立ち上がり、扉に手をかける。

 だめだ、ここで彼女をいかせてはいけない。

 ここで彼女を行かせてしまったら、きっと後悔するし、後でまた彼女と出会ってしまったら、きっと私は彼女を殺してあげることができない……

 彼女を、ゆっくりと眠らせてあげるには、今、ここで……

 

「待って、三浦さん!」

「佐倉せんせ?」

 

 三浦さんの腕を掴んで、出て行くのを阻止する。

 そして、私に血がつくことも厭わずに、三浦さんを抱きしめる、ごめんなさい……本当に、ゴメンナサイ……

 

「せんせ、放して、血がついちゃうよ」

「いいんです、そんな事……」

 

 抱きしめたまま、三浦さんを押し倒し、この手を三浦さんの首に伸ばす。

 ゴメンナサイ……三浦さん、せめてあなたは私の手で……

 三浦さんは、抵抗してこない、もう、諦めてしまっているんだ。

 だから、サヨウナラ……三浦さん。

 


 

 はい、というわけで数少ないめぐねぇ介錯EDでした。

 え?乙ったのを早送りとCGでごまかすな?

 うるせぇ次は本当にクッキー☆流すぞ(脅迫)

 

 これがやや貴重なめぐねぇのハイライト消灯CGです、これを見るためだけに《空手》持ちのあたりキャラを一人失ってしまいました。(1敗)

 ここで介錯を行うめぐねぇ、くるみちゃんの二人のうちどちらが選ばれるかについては、何らかのフラグ管理があるとは思うのですが、調査していないのでよくわかりません、誰か調べて。(他力本願寺)

 ただ、多分終わったら二人共自札してると思うんですけど(名推理)

 

 まま、エアロ、それは置いといて到着しましたね、地下室まで辿り着いたら、まずは扉をしっかり閉めて中にいる『かれら』をすべて始末しましょう。

 そうすると一時的にセーフティエリア認定されます、ただし、室内から誰もいなくなると再び『かれら』がポップするので、ここで休む場合は必ず毎回掃除をしましょう。(1敗)

 ちなみに今の映像の通り、めぐねぇはクソザコメンタルなのであっさり発狂からの自札コンボをキメて来るのですが、本ルートでは未だにめぐねぇに遺体並びに噛まれる瞬間を見られていないので、残った生徒を守るためにかろうじて正気を保ってくれています。

 雨の日の前日にはみんなといっしょに動ける程度には回復してくれるので安心してくれよな〜。

 

 このコンテナの中に……あれ、これじゃない?

 

 ………………。(カンペガン見)

 

 あ、こっちですねこっちのコンテナの中に抗ウイルス剤が入っていますので、その場ですぐに注射しましょう。

 これで抗ウイルス剤を手に入れられたのでまず……高校脱出までは『かれら』にならずに済みます、脱出後?ゲームの管轄外だから知らんな(チャー研)

 ちなみに実はこれは別に抗ウイルス剤というわけではありません(矛盾)、ただの栄養剤と抗生物質です。

 そんなので治っちまうとかこいつ馬鹿じゃねえ?

 まぁ人心地ついた所さんで、ここまででまたレベルが上がったので、一度精神力を伸ばしておきましょう。

 今一度感染者になるメリットについて解説します。

 背景では購買部に行って食料の入手に向かっていて移動しかしないので倍速するぞ倍速するぞ倍速するぞ。

 

 『かれら』になった場合、まず筋力、体力、持久力の三点が上昇します、この時点で『かれら』を殲滅する速度が上昇するのでRTA的にもメリットだらけです。

 更に、『かれら』に対して攻撃をするまで『かれら』から攻撃されることはなくなります、大きな音を立てるとこちらによってきますが、あちらからは『かれら』として認識されているので、攻撃もされません。

 ついでに代謝が止まるので燃費が非常に良くなります、学園生活部の食糧事情を圧迫しないで済みます。

 イベント戦闘はさくっと片付けられ、移動や捜索では敵をスルーできるメリットだらけです。

 ではデメリットは何か?

 眠ったり気絶すると精神力の値を参照して一定確率で『かれら』として動いてしまうことです、とは言っても発生確率は高くありません、通しで行って2、3回発生すれば多い方でしょう。

 しかし当然ながら万が一生発症してしまえば生存者を襲おうとしてしまうので、ちゃんと準備ができるまで彼女たちと合流することができません。

 また、初日に階段で別行動をする以外で『かれら』に感染した場合、基本的には二人一組以上で動く関係上、捕獲されベッドに拘束されてしまい自分で抗ウイルス剤を取りに行くことができないので、タイムアップやそもそも入手できない可能性があるのでボツです。

 ちなみにくるみちゃんは原作メンバーさえいれば余計なことして足引っ張らない限り100%助かります、ずるいぞ。(ゴマすりクソバード)

 ついでに別行動している理由から好感度などをあとから纏めて上げなきゃいけないので、正直タァイムはさほど変わらない、下手すると伸びます。

 (なのでぶっちゃけ選ぶメリットは)ないです。

 このルートは趣味で選んだんだから当たり前だよなぁ?

 

 さて、とりあえず購買部に到着したらまず鞄を拾って食料と水を2日分用意します、更にノートと筆記用具も手に入れましょう。

 食事がほぼ必要ないのに食料と水が何故いるのかについては後ほど出番があります、回収しそこねるとリセとまでは言いませんが、中ロス案件なので忘れずに回収しましょう。

 また、風船も念の為拾っておきます、ホモちゃんがいない場合はゆきちゃんが購買部に行った時に拾ってきますが、ここで私も拾っておきましょう。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 階段方向から物音がしなくなった。

 戦いは終わったのだろうか。

 恵飛須沢さんは消耗していて、とてもではないが今何かあっても戦うことはおろか、まともに動けるような状態ではない、果たしていつ立ち直れるのかもわからない、もし何かあったら私が戦わないといけない。

 恐る恐る、極力音を立てないように、屋上の扉を開いて校舎の中を覗いてみる。

 そこにはもう、誰も居なかった。

 あるのは無数のヒトガタだけ。

 生者は誰もいない。

 音と血に呼び寄せられたのだろうか、『かれら』だけが、亡骸に躓きながら歩きまわっている。

 その中に、ぱっと見た限りは本田さんの姿は見えない。

 

 前々から、彼女は猫のようだと思っていた。

 気まぐれによってきたかと思えば、思いもよらないことをしたり、かと言って突然ふらっと消えてしばらく見かけなかったりもした、授業中にもよく寝ていた。

 そして、猫は死期を悟ると、姿を消すという。

 そんなところまで似なくても、とは思うけれど、彼女らしいとも思った。

 でも、それでは寂しいではないか。

 彼女は私の生徒で、子供なのに私を守るために戦ってくれた。

 それなのに、誰にも見られずに、知られずに最期の時を迎えるなんて、あまりにも寂しい、あまりにも報われない。

 だから、私は願ってしまう。

 何か奇跡が起こって、本田さんは生きていると。

 まだ死体も、彼女の変わり果てた姿も見ていない。

 それなら、生きている可能性だってあるはずだ。

 今は祈ることしかできないけれど……

 

「本田さん……必ず見つけます……どのような姿でも」

 

 あなたの無事を祈るくらいのことは、許してほしい。




些細な変化
なんかわからないけどめぐねえが強くなった(メリット)
くるみちゃんがやや原作より正気度減少気味(デメリット)

次回は数日開きます
書き溜めなんかしてないからな!


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(三階大掃除 〜 餌付け成功)

すまん、君がまさか書いてるうちにこんな動きをするとは思わなかったので初登校です。

ちなみに本小説には微塵も関わってきませんが私はクローン実験説を答えだと思っています。
将来の出来事を予測して常に先手を打つ走者は、記憶を持ち越したクローンだった……?


 原作キャラがまるで現れないRTAの続きはーじまーるよー。

 

 前回は無事抗ウイルス剤を手に入れて購買部から食料等を接収したところで終わりました。

 今回は、一旦そこら辺の教室で3時間ほどの仮眠を取って夜にしてから3階で自主的に居残りしている『かれら』の掃除からしていきます、代わり映えの無いホモちゃんがそのお御足でゾンビーズをグッチャグチャにする牧歌的映像はじゃ、流しますね……

 

 と言うのも、今回はホモちゃんという戦力を欠いた状態で、ガバによる原作以上の正気度減少を食らっているくるみちゃんが一人で、めぐねぇ+誰か一人というお守りをする必要がある為、最悪誰か一人落ちる可能性も危惧して事前にある程度の掃除が必要と判断したためです。

 レベリングにもなるから多少はね?

 

 ちなみに夜じゃないと騒音を聞きつけた学園生活部のメンバーに見つかってしまい、誰かしらの好感度が足りない場合ロープでぐるぐる巻にされてしまい行動が取れず、大幅なロスにつながってしまうので気を付けましょう。

 あとは最悪くるみちゃんに『かれら』だと思われて始末されます(無慈悲)

 『かれら』を頃してる最中なので血塗れでややこしいからね、仕方ないね(レ)

 まぁ夜ならばさほど数も居ないので、大して時間もかからず終わります、終わったらまた二階の空き教室で日が昇るまで眠りましょう。

 間違っても三階で眠らないようにします、そうすると最悪『かれら』のように徘徊しているところを見られて始末されるか、うっかり寝過ぎてめぐねぇあたりに見つかり捕獲、監禁されます。

 それから、寝る前には購買部から借りてきた(マイルドな表現)ノートと筆記用具を使って日記をつけるようにしましょう、その日行った内容や、キャラクターに設定された性格によって様々な日記が読めるうえに、日記を付けることで自らの置かれた状況を整理し、正気度を一定に保つ効果があります。

 後々学園生活部のメンバーと交換日記等を行うことで好感度稼ぎもできるので、さっさと皆に交換日記流行らせコラ!する為に毎日習慣付けておきましょう。

 

 ちなみに主人公のホモちゃんの正気度なんてものは(走者には関係)ないです、最低限0にならない程度を維持してくれれば問題ありません。

 と言っても、ホモちゃんの性格はゆきちゃんと同じ《のんき》なので、正気度の減少速度は緩やかなためそれほど心配していません、たとえ低くなって一時的に発狂しても妄想、幻覚程度で暴れたりはしません。

 ただ精神の初期値がうんちなので、もうすでに知らない子が見えていますが、邪魔になるわけでもないですしむしろ役に立つので放置しましょう。

 まだ0になるまで余裕がありますし、何より『かれら』虐札への耐性は遠からず取得できます、なのであとは日記書いたり食事とったりお昼寝してればそのうち回復します。

 それじゃあ日記も書き終わったしおやすみなさーい。

 

 

 

 おはようございまーーーーす!

 

 日が昇ったらまずは女子トイレに向かいましょう、そこには皆さんご存知だとは思いますが、チョーカーさんこと柚村さんが引きこもってるので、同じ校舎に住む住民としてご挨拶に行きましょう、引っ越しのアイサツは大事。

 できる限り刺激しないように、優しく扉をノックしてもしもお〜〜〜ししましょう。

 

 私の名前はホモ!近くの教室から来た!

 (多分)初対面でぶしつけだけどねェ〜〜〜

 購買部から食料と水を持ってきた!

 これを食いな!

 

 という感じに女子トイレの上から食料と水を一日分、あとめぐねぇのポテチを分け与えましょう。

 柚村さんは非常に警戒心が強く、初対面のホモにはホイホイついてきてくれません。

 じゃあ初対面じゃなくなればいいな!(暴論)

 ということで、毎日こうして餌付けを行うことで好感度を稼いでいくことにします。

 その為に購買部で2日分の食料と水を手に入れておく必要があったんですね。

 ちなみにチョーカーさんをどうにかアウトブレイクイベント中に捕獲できないか、くまなく捜索してみたのですが、どうやらイベント発生時点でこの個室に引きこもっているようで、アウトブレイクの真っ最中にはすでにこの個室は閉じられており、声をかけても反応しません。

 扉を壊そうにもめぐねぇも一緒にいる状況で大きな音を立ててまで後で救うことができるキャラを無理やり助けるというのはいささかリスキーだと思ったので、安定を取りやることがない雨の日までに懐柔する方針としました。

 ちなみに食料と水を与えてさえいれば、数日はこの狭い個室で生き延びてくれます、おそらく空腹に耐えられず個室から出たところを『かれら』にやられてしまったんでしょう。

 

 まあ餌付けもすんだら今日のところはチョーカーさんに用はありません、校外へと向かいましょう。

 本来校外とか二日目で行く場所では有りませんが、今回のホモちゃんは感染者なので『かれら』に襲われる心配はまずありません、校外で安全に物資を整えられるのでいざ鎌倉!

 

 さて、校外での今日の目的は二つあります。

 一つは警官の『かれら』を頃す事、もうひとつは新たな武器の入手です。

 警官はランダムで手錠をドロップすることがあります。

 ハイそうです、寝ている間の学園生活部の安全、さらに言えばくるみちゃんに始末されないための必須アイテムです。

 これさえあれば正気を失っている間も、動けなくなるので周りの安全が確保できます。

 予備……というより万が一くるみちゃんも感染した時のために、最低2つは手に入れておきましょう。

 武器については最低でも鉄パイプを手に入れます、どこにでもあるように感じますが、学校には案外無いものですからねアレ、ちなみに校舎内でも稀に見かけますが、学校にあるものなら基本的にはシャベルを使うほうが攻撃力自体は高いです、ただしシャベルは杖術では使えません、利便性を取るか攻撃力を取るかはお好みでどうぞ。

 ただ街では運が良ければ……ん?あ、あれは……

 で、出たぁ!あれは折れた標識柱ですね!

 耐久度こそ鉄パイプにほんの僅かに遅れを取りますが非常に長く重い、杖術使いにとってとても貴重な武器です!

 おおよそ手に入れられる杖術カテゴリ武器の中で最長のリーチ、刺突攻撃力、打撃攻撃力共に最強クラスと文句なし、耐久性が鉄パイプ程ではないとはいえ、これ一本で最後まで戦えます、ただし相応の筋力を求められますが。

 こればっかりはランダム生成なので、最悪エンディングまで見つからないことはザラにあります、これは貴重なデータだぁ……(恍惚)

 ちなみに長過ぎるし、標識もついたままなのでこのままではまともに使えません、後で身長よりやや高いほどの長さに加工しなければいけませんが、高校に電動のカッターがあるので学校まで持って帰ります、普通は重くて持てたもんじゃありませんが、今は感染前のゴリラよりパワーがあるので問題ありません。

 とりあえず適当に振り回すだけでも火力が出るのでしばらくはこれで警官狩りをしましょう。

 

 それでは親父狩り(物理)を行っている間に街で入手すべきアイテムを紹介していきましょう。

 まずおすすめは自販機を破壊すると大量に手に入る飲み物類です。

 重いしスペースは取りますが、水や白湯以外の飲み物は僅かに正気度を回復する効果を持っています。

 ただ、一人では持てる量も限られてくるので、そのうち遠足の際などに手に入れましょう。

 水分とくれば当然食料もですね、校舎内では限られたリソースをりーさんとめぐねぇが必死こいて管理してくれているので、食品を持って帰るととても喜んでくれます、かわいい。(小並感)

 獲物を捕まえてきたことを自慢する猫のように誇らしげに持ち帰ると褒めてくれます、ただし冷凍されていたものでも肉類はあまり喜ばれないのでやめましょう、人肉も騙して食わせることはできますが。

 工具類なんかも貴重品です、バリケードの修理や補強から、武器の改造なんかまでこなせるので、余裕があれば家電量販店、DIY用品を取り扱っているホームセンター、ショッピングモール等でこまめに拾っておきましょう。

 地味に役立つのは発電機とガソリンです。

 使える電力にも限りがあるので、遠足時など車で移動する際には工事現場等から発電機を、ガソスタからはガソリンをお借りしておくといいでしょう、シャワーを使って清潔になると正気度がかなり回復します、女の子だからね。

 

 無事手錠も2つ手に入ったところでそろそろ学校に帰りましょう。

 『かれら』から距離をとってヘイトを散らせばまた安全に学校まで歩いて帰ることができます、おまけで道中のコンビニでパンやお菓子を持って帰りましょう、チョーカーさんへのお土産です。

 学校につく頃にはいい具合に夕方になっているはずなので、そしたらまた仮眠をとったら三階の制圧をこっそり行います、今日中には放送室に住居を移しているはずなので、昨日以上に注意が必要になります。

 流石に室外には居ませんが、めぐねぇかくるみちゃんが見張りを行っているはずなので、あまり大きな物音を立てると見つかってしまいます、めぐねぇなら見つかっても逃げるのは容易なので良いのですが、くるみちゃんに捕まると最悪始末されちゃうので気をつけましょう、特に今は先輩をコロコロして精神不安定なはずですから、NPC同士のイベントや自然回復した正気度次第では疑わしきは抹札されます。

 とは言っても、よっぽどのことがなければそんな大音量が響くことはないので大丈夫でしょう。

 こんな風にぶっ叩いた『かれら』がバリケードに衝突しなければ(白目)

 なんで!今クリティカルなんか出るんだ!

 このようにクリティカルが出ると武器にもよりますが大きく吹っ飛んだり即氏したりするので普段なら嬉しいんですが、今は嬉しくないです……

 あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

 しかも今回の見張りはくるみちゃんじゃないですか!逃げなきゃ(使命感)

 ゾンビパゥワーに物言わせてダッシュで逃げます、幸いにして今ふっ飛ばした奴は即死してくれたので彼女達に危険はないでしょう。

 危ない所でした、あと一歩遅れていたら完全に発見されていました。

 ひとまずこれ以上行動するのは流石に危険なので、今日は住処を保健室に移して日の出を待ちましょう。

 日記を書いて、早速腕をベッドに固定して手錠の使い心地を確かめたら朝まで寝ましょう。

 

 

 

 おはよーございまーーーーーー!!!!三日目の朝です!!!

 

 さて、日も出た所でまたチョーカーさんに会いに行きましょう、お菓子を差し入れすると発生する好感度のランダム上昇が高乱数を引いていれば、今日早くも出てきてくれるので念の為身だしなみは整えておきます。

 長袖のシャツとバッティンググローブ(野球部から拝借)をつけておきましょう、噛まれた傷を見られるわけにはいきませんし、出てくるということは好感度イベント発生でおててに触れるかもしれませんから、これは大切です。

 

 おはようチョーカーさん、今朝は冷えるな、ええ?

 いや、そうでもない?そう……

 やっぱり少し涼しいかもしれない?そう!

 

 とりあえず今日の食料と水、ついでにコンビニで拾ったお菓子を差し入れしましょう。

 昼間は特に急いでやることもないので、チョーカーさんと雑談しながらスキル割り振りを行います。

 ひとまず取るべきは《製造》です。

 このスキルを持っていると、たとえ知力がチンパンジーでもバリケードを作ったり、直したり強化したりできます、これさえあれば標識柱を加工して杖術カテゴリに移せます。

 一緒に行動したり、何らかの作業を一緒に行うと好感度が爆上がりするので、バリケード作業の為にこれは持っといて損はありません。

 あと、好感度を手早く上げるために《話上手》も取っておきます、会話による好感度の上がり幅を大きくしてくれるので、持っておくと後で楽ちんちんできます。

 他にも《料理》《家庭菜園》《帳簿》辺りはりーさんと会話をして正気度を一定に保つために余裕があったら取っててもいいでしょう。

 ただ、以降は基本的にゴリラスペックを活かすために戦闘系スキルを多めに取るので、おそらく取ることはありません。

 

 スキル割り振りをしていたらチョーカーさん、今日はご機嫌みたいですね、どうやら出てきてくれるようです、やったぜ。

 まあどちらにしても明日には出てきてくれるので大差ないんですが、やることが減るのはスッキリします。

 なにやら標識柱にドン引きしているみたいですが、久々に奴らの跋扈する外に出るのが怖いから手を握って欲しいそうです。

 柚村さんも……なかなか可愛いところがあるんやなって……こんなパンクな格好してんのに。

 とりあえずおてて繋いで信頼度上昇です!

 その後は階段まで誘導したら、バリケードの先には一人で向かってもらいましょう。

 不安そうにこちらを見てきますが、放送室にめぐねぇがいることと、バリケードの先は既に安全だと伝えればわかってくれます。

 私はまだやることがあるからそっちにはいけないので、一人で行っておくれ。

 何はともあれこれにてチョーカーさんを救出できたので、これから昼間は雨の日の前まで適当に『かれら』を狩ってレベリング三昧です。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 突然、外で大きな物音がした。

 夜間の見張りをしていたあたしとめぐねえはもちろん、寝ていたゆきやりーさんなんかも起き出して何事かと不安がっている。

 あたしはシャベルを握りしめて、可能な限り音を立てないように放送室から外に出てライトで周囲を照らした。

 どうやらバリケードに『奴ら』がぶつかったのが音の正体らしいが、どうにもおかしい、バリケードに背中からぶつかっていて、さらにもう動く気配もない、こんなことがありえるのか?

 廊下の奥からは軽快な走る足音が聞こえてくる、慌ててそちらにライトを向けるが、廊下に数体倒れている『奴ら』と、階段の下へ駆けていく後ろ姿……と言うより固まった血のように赤黒い髪の毛だけが見えた……ような気がした。

 今まで『奴ら』が走っている姿は見たことがない、それにあれだけ長い髪と、倒されてる『奴ら』……そんなまさか。

 

「恵飛須沢さん、どうですか?」

「あいつらがバリケードにぶつかった音だったみたい、もうやっつけたよ」

 

 生きていた?

 まるでゲームのように抗体でも持っていたとでも言うのだろうか、わずか数時間もかからずに人を死に至らしめ、生ける屍にするような物に?

 でももし、生きていてくれたのなら、嬉しい……が、複雑な心境なのも事実だった。

 あたしをかばってくれた人が生きていたなら当然嬉しい、でもなぜ、先輩は助からなかったんだとも思ってしまう。

 生きていたならどうして会いに来てくれないんだ、とも。

 会いに来られない理由は何だ。

 あいつは、何を知っているんだ。

 いや、そんな事今はどうでもいいか、同じ校舎内にいるなら、そのうちばったり遭遇するかもしれない、その時にとっ捕まえてやればいいんだ。

 


 

 どうしてこんなことになってしまったんだ。

 この狭い個室に、何時間も篭ったまま同じことを考え続ける。

 どうして、なんで。

 なんてことない日常に、ほんの数時間前まで居たはずなのに。

 いや、数時間だろうか?それとも一日たった?それともまだ数分しか経っていないのだろうか?

 恐怖と、異常なまでに自分の心を蝕む狂気で、もはや時間の感覚なんか無くなっていた。

 そんな時だった、突然にトイレのドアがノックされる。

 

「ひっ!」

「もしも〜し、生存者ですか?」

 

 外から聞こえてきたのは、女の子の声だった、当たり前に喋ることができる、人間の言葉だった。

 

「あ、あんたは……」

「あ、私三年生の本田萌香です」

 

 違う、そうじゃない。

 名前じゃなくて″無事な″生存者なのか聞いたんだ。

 でも本田萌香の名前は少し聞いたことがある。

 

 気まぐれな奴。

 運動は得意なくせに運動部には入ってない奴。

 なんか棒術みたいな武術の大会に出てるらしい。

 ゆきと並んで補習常習犯。

 

 ぱっと思い出せる範囲でこんなものだろうか。

 確かに、本田なら生き残ってても不思議ではないような気もする……

 しかし、生存者を探して何をしてるんだ……?

 

「何人か屋上に避難してるんだけど、あなたも来ない?」

「屋上……」

 

 そこには一体誰がいる、何がある、そこでは生き延びられる?救助はあり得る?

 色々考えたが、まだここから出る勇気は出ない……

 ここにいれば、誰も入れない。

 音を出さなければ、誰も来ない。

 屋上に逃げたって、この危機的状況で仲良く生きられるかもわからないんだ。

 

「んー……まあ無理にとは言わないよ、とりあえずこれあげる」

 

 そう言うと本田は、トイレの上にある隙間から乾パンと水、そしてポテトチップスを入れてきた。

 非常に助かるが……

 

「良いのかい?貴重な食べ物なんじゃ……」

「いーよいーよ、購買部で拾ったものと佐倉先生の机から取ってきたやつだし」

 

 なんとも気の抜ける話だった。

 でも一応なにか混入してないか、未開封かだけ確かめて美味しく頂いた。

 

 本田は、次の日もまた食料と水を持ってきてくれた。

 理由を聞いてみたが、生存者はできるだけ助けたいから、らしい。

 逃げた生存者の中には佐倉先生も居ると聞いた、あの人が居るなら、行ってみるのもいいかもしれない。

 しかし、こいつは本当によくわからないやつだ。

 いっそ、この出来事で狂っちまったんじゃないかと思うくらい陽気に、普通の雑談をした。

 その瞬間だけは、あの日常に戻れたような、そんな気分だった。

 こいつになら……

 

 

 

 

 

 

 いや、やっぱりこいつ頭おかしいんじゃないか?なんで道路標識なんか武器にしてるんだ、ゴリラか何かかよ。

 外に出た瞬間明らかに重そうなやばい棒を持ってて、しかもそれが道路標識と聞いて、本当に頭がおかしくなるかと思ったわ。

 ドアを開けて早々に、外に出たことを後悔しそうになったけど、逆に考えればとても頼もしい……はずだ、確かにこんなもん振り回せるなら生き残るのにも納得できる……いやそもそも振り回せることに納得できないんだが……

 でも、こいつが守ってくれるなら……

 

「なぁ、萌香」

「んー?あいつらなら居ないよ、さっき片付けたばっかりだし」

「それでも怖いもんは怖いんだよ……というかあっさり言うお前の方が怖いわ……んんっ、手……握ってもらってもいいか?」

 

 本田萌香は意味わかんないし、頭おかしいとも思うが……少なくとも、悪い奴じゃない……かもしれないとは思えたやつだった。

 

「んー……まいっか、そうだよね、うん……そんぐらいお安い御用だよ」

 

 たった一つの懸念は、当たり前のように片手で道路標識なんかを持っているこのゴリラに、私の手が潰されないかだけだった。




チョーカーさんは、このメンバーの中では常識人でツッコミ役だと思う。
モール組が早く来ないとこの人過労死しそう。

あと、今更ですが 睡眠や気絶に伴い『かれら』化→正気を取り戻す に関しては感染者ルートをやる上であまりにもメリットに対してデメリットが無さ過ぎて誰でもこれやるだろと思って付け足したデメリットです。
原作やアニメには無いゾ♡


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(調査兵団(単独) 〜 少女拉致事件)

主人公にイマジナリーフレンドかもしくは側に立つものが見えるようになっているので初投稿です。

前話の感想でピンポイントに展開予測されてたのあって笑ったゾ〜
書くことに変わりはないから気にせず感想書いてIKEA

それと主人公について記載する機会がいつあるかわからなくなったので、こちらに主人公についての生態系を纏めました、質問があれば追記していきます。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=226468&uid=93212


 後々のための備蓄を忘れてはいけない(戒め)なゲームのRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回はチョーカーさんを学園生活部の所まで送り届けたところで終わったので、今回はその続きからです。

 とは言っても、雨の日の直前までは一人で行動することしかできないので、特にやることはありません。

 あえて言うならば外出して外で物資調達することでしょうか。

 校舎内……と言うより購買部で物資調達しようとするとまず間違いなく鉢合わせるので、今のうちに物資を集めたい場合は学校の外で集めてきましょう。

 食料類はもちろんのこと木材や釘、ロープは後でバリケードを作ったり補強するのに使うので多く持ってきておいて損はありません。

 とりあえずみんなと出会ってしまう前に校外に避難して物資調達に行きましょう、ただしショッピングモールにはまだ行きません。

 単独でJK二人とわんこ一匹を守って徒歩のまま学校まで連れて行くとかとてもじゃないですができません。

 そんなわけで今日も工事現場やホームセンターから物資を頂戴いたしましょう。

 あと、出掛ける前に忘れず工作室で標識柱を加工していきましょう、今のままでも使えますが、加工したほうがより使いやすくなります。

 ちなみにイマジナリーフレンドが見えていると、物の下にあるアイテムやレアアイテム、『かれら』の接近といった無意識に気付いているはずのものに反応してくれるのでかなり便利です。

 逆に言うと知力不足等で気づけないものには反応してくれないんですけど。

 なお一人で会話している姿を他人が見ると正気度が減るので気をつけましょう。

 見所さんもないので倍速だ。

 

 その間に本レギュレーションでの救助対象についてお話します。

 まずはKちゃんとみーくんを助けないといけないので、Kちゃんからの熱烈ラブコールは聞き逃さないためにラジオは常に持ち歩きましょう。

 ただしまだ当分は来ないので今は心配ありません、学園生活部のメンバーに合流出来たら定期的にラジオを76.1MHzで聞いてましょう、そのうちノイズ以外が聞こえます。

 太郎丸については漫画版ではなくアニメ準拠でみーくん達と一緒にいるので、今は手出ししなくても問題ありません、というか手出しできません。

 後はすでに救助済みの状態なので、Kちゃんの行動待ち以外はひたすらに校内のバリケード制作、食料備蓄、みんなの正気度管理をこなしていくことになります。

 なので危険を犯すことなく単独で外を探索できる感染者ルートは、正気度管理以外ではかーなーり有利になります、正気度?別に発狂しなけりゃええやろ。

 

 おっ、あれはスーツケースですね、持ってる間は片手が塞がる代わりに、リュックサックよりも断然収納能力が高いので物資調達の必需品ですね。

 お店に行くか、もしくは旅行者の遺品として発見可能です、後者の場合は他の遺品として衣服類や食料品もあるので更にお得です。

 衣服類も、別にゆきちゃんが学校で生活している、という妄想に囚われていなければ制服である必要性はないので、清潔な服だったりお洒落できる方が精神衛生にいいので集めておきましょう。

 

 さて、物資も持ちきれないほど集まったし、レベルも上がったのでそろそろ戻りましょうか。

 そろそろ移動に使える自転車か原付あたり欲しいんですけど、使えそうなのが落ちてないですね……また明日外出したら探しましょう。

 今日もまた適当に仮眠を取って夜になったら行動開始です。

 まずは今日取ってきた物資を適当なカバンに入れて、放送室の前に置いていきます。

 主人公は一緒に活動できないのに生存者ばかりが多くなってくので消費も増えていますから、このように差し入れをしていかないと空腹等から正気度が減ってしまうことがあります、なので基本は食料品を多めにしましょう。

 『かれら』と違い、チンパンレベルとはいえ知能があるので簡易的なバリケードくらい避けて行けるので、放送室前に差し入れしにいきましょう。

 昨日若干ゃ勘付かれかけたので、外で見回りしてる事もあるんですけど、今日はいつも通り室内で過ごしているようですね。

 見つかると面倒なのでおおタスカルタスカル。

 できる限り物音立てずに物資の配達を終えたら、今度はバリケードの補強作業に入ります、その前に《製造》スキルをレベル2に上げておきましょう。

 より強固に作って雨の日に◆備えよう◆

 ちなみになぜ交流しないのにこんな支援をしているのかというと、後で合流した時に白状することで好感度を一気に稼いで、拘束されるのを回避するためです。

 めぐねぇ以外ろくに面識もないのに、いきなり噛まれてる人間が現れて自由に行動させてもらえるわけないよなぁ?

 そんなわけで影でコソコソみんなの手助けをします。

 普通は『かれら』を警戒しなきゃいけないのに、そんな心配もなく作業できるのは本当に楽ちんちんです。

 現状用意出来ているバリケード一通りの補強が済んだらまた保健室にて日記と手錠をつけてお休みしましょう。

 これから雨の日まではこうして合流後のための資材集めが中心になるのでほぼ倍速になります、クッキー☆用意しなきゃ(使命感)

 それではおやすみなさーい!

 

 

 

 おや?起床前に視界が赤く染まっているという事は、どうやら睡眠中に一時『かれら』化していたみたいですね。

 『かれら』化した場合、本来の睡眠時間より長く寝てしまう事も多々あり、予定が狂ってしまうことがあるので、こういう暇な日に発生してくれたのは嬉しいですね。

 まぁ手錠のおかげで暴れたりはしていないはずなので平気でしょう。

 

 で、なんでここにくるみちゃんとめぐねぇが居るんですか?

 

 そしてなぜくるみちゃんは私にスコップを向けているんですか?

 

 最後にセーブしたのいつでしたっけ……?

 

 ………………。

 

 あああああ!もう嫌だあああああああ!

 ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!アアアアアアアア!(発狂)

 


 

 やっぱり、昨夜見かけたのは本田さんだと思う。

 不確定な事だし、下手に言うべきではないと思ったけど、それでもやっぱりめぐねえには伝えたほうがいいかもしれない。

 めぐねえも、あの日からかなり張り詰めている、本田さんが生きている可能性があるなら、伝えてあげたほうがきっとあの人も休めるようになる。

 あたしもゆきのおかげで立ち直れたし、戦う以外にもあたしも誰かの役に立ちたい。

 

「ねえめぐねえ──」

 

 めぐねえに声をかけようと思ったところで、放送室の扉が叩かれる。

 まさか、バリケードを越えられた……?それとも本田さんか?

 一応スコップを握り、ゆっくりと扉に近付いていく。

 

「あ、あの……ここに逃げてきた人達がいるって萌香に言われてきたんだけど……」

「……!今開けるよ」

 

 やっぱり、あいつは生きてる、少なくとも会話ができる程度には理性が残ってる。

 それに、生存者を助ける良識がまだある。

 扉を開けると、そこに立ってるのは首にチョーカーをつけた女生徒だった。

 

「えっと……あたしは恵飛須沢胡桃」

「私は……柚村貴依、三年生」

 

 話を聞くと、どうやら柚村は本田さんに毎日食料を持ってきてもらって生き延びていたらしい、それで信じることに決めたらしく、ここに合流したそうだ。

 柚村とゆきは友達だったらしく、柚村に抱きついたまましばらく離れようとしなかったので、そのまま話を聞かせてもらったけど、やっぱり本田さんはどこかおかしい。

 道路標識なんかあれ一本で15kg近くあるはずだ、それを当たり前のように振っていることもそうだが、校舎内にあんなものがあるはずもない、つまりあいつは一人で学校の外に出ている。

 ゾンビを倒せるのは間違いない、でも校舎内ですらあんなに大変なのに、たった一人で街中を歩き回れるものだろうか?

 ダメだ、わからないことが多すぎる……

 

「なあめぐねえ、ちょっと確かめてみたいことがあるんだ」

「あ……はい、なんですか恵飛須沢さん」

 

 めぐねえの方を見ると、めぐねえは静かに泣いていた。

 当たり前だ、ずっと死んでしまったと思っていた、大切な生徒(ダメな子ほど可愛いとは言うけど、ゆきもそうだが補習常習犯はどうかと思う)が実は生きてるかもしれないということがわかったんだ。

 

「もしあいつが生きてるなら、まだ校舎内にいるかもしれない、なんで合流してこないのかわかんないけど……だからあれを仕掛けてみようと思うんだ」

 

 この放送室には、多分放送部が使っていたのであろうビデオカメラが置いてあった。

 

 

 

 その日の昼間の内にバリケードや観葉植物の影にカメラを隠しておいた、昼間ならともかく夜中なら見つけるのは難しいだろう。

 翌朝、そのカメラを回収してみると、やっぱり本田さんの姿が映っていた。

 部屋の前に食料を置いていってくれている姿や、バリケードの補強を行っている姿、そして一階へと降りていく後ろ姿だった。

 だが、よくわからない。

 バリケードの補強作業中に近くを『奴ら』が通ったが、本田さんには一切反応を示していなかった。

 本田さんには、何か秘密があるはずだ。

 あたし達の情報じゃ何もわからない、本人に聞くのが一番だ。

 

 

 

 本田さんが使っていた階段から一階に降りると、やっぱり『奴ら』が多い。

 めぐねえもどうしてもついていくと言うので、一応護身用にモップを持ってもらっている。

 どこにいるかはわからないが、階段に近いところから探してみよう。

 事務室──『奴ら』しかいなかった、入りはせずにドアを閉める。

 保健室──何かが暴れるような音がする……

 一箇所だけ不自然にカーテンが閉じられており、そこから金属の擦れる音が聞こえてくる。

 何があるかわからない……でも、確かめなきゃいけない。

 一体だけなら、難しくない、広さ的にも複数体は居ないだろう。

 

 意を決してカーテンを開くと……手錠でベッドに腕を固定された本田さんが、まるで『奴ら』のようにこちらに手を伸ばしていた。

 今まさに噛みつかんと、腕を伸ばし、口を大きく開いて精気のない瞳でこっちを見ていた。

 間に合わなかった……?いや、でもこれなら遅かれ早かれ……

 あたしのせいだ。

 あの日、あたしがぐずぐずしていなければ。

 本田さんは、こうならなかったはずなのに……あたしのワガママのせいだ。

 シャベルを構えて、本田さんに向ける。

 あたしのせいだと言うなら……

 せめて、あたしの手で……

 シャベルを振り上げる、後は……

 

「ん……お、おぉ!?ちょ、ちょっと待って!?見てないで助けて!?えっ!?説明して!?」

 

 正気に戻った……?

 でもやっぱり、本田さんは……どうしようもなく感染しているのだろう。

 さっきまでの、理性を失った姿は何よりの証拠だった。

 でも、それでも……

 

 

 

 あたしは、あたしを助けてくれた彼女を信じてみたい。

 


 

 おれは しょうきに もどった!

 生きてるぅ〜!(ONDISK)

 かろうじて好感度上昇が足りていたようです……本当に危なかった……なんで好感度上がってるのかよくわかんないし、そもそも既にめぐねぇが立ち直ってることが意味わからないですね……

 ま、いいか。(楽天的)

 よくわかんないけど、予定していたチャートより早く合流できるならそれに越したことは無いな!

 とりあえずこの場で一旦捕獲されてしまいましょう、ロープで胴体をグルグル巻きにされ、手には手錠をかけた状態で放送室に拉致されて行きましょう。

 こんなタイミングで合流できるとは思っていなかったので、行動は全く考えていませんでしたが、短縮は短縮なのでこのまま続行します。

 とりあえず暴れたり抵抗したりはせずに、おとなしく付いて行きましょう。

 ただ、標識だけは重すぎるので、私が自分で持って行くことになります。

 その他の集めていた資材類はめぐねぇとくるみちゃんが手分けして持って行ってくれます、日記もそうですね。

 地下室の存在とか色々書かれていると思うので、正直めぐねぇが見るのはお勧めできないんですけど……まあええか。

 とりあえずこの短期発狂も周りの正気度が削れてしまう前にさっさと治したいですし、学園生活部の人と触れ合って正気度を回復していきましょう。

 あれば便利なんですけど、周りの精神の安全とは変えられませんからね。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 生きていた。

 生きていてくれた。

 確かに感染してしまっている、正気を失うこともあるのかもしれない。

 でも、理性を取り戻すことができている。

 人と同じように考え、会話することができ、人を気遣うことができる。

 これを、生きていると言わずになんと言えばいいだろう。

 それがただ、嬉しかった。

 

 彼女の荷物をまとめて放送室へと向かう。

 噛まれてしまった人を、そのまま連れて行くのは皆が不安がるだろうということで、心苦しいが彼女をロープで縛り、腕は彼女が拾ってきていた手錠で自由を奪わせてもらいました。

 彼女の荷物の中に、日記帳があった。

 一体、彼女はこの日々の中で何を見て、何をしてきたのだろうか。

 

一日目

 たいへんな目にあった、いきなりパニック映画が始まるし、かまれるし、学校はなんか変なきぎょうがこうウイルスざい?とかいうの用意してたりするし。

 映画かなにかかっての。

 とりあえず生きのびられたのでよしとしよう。

 

二日目

 もうかまれちゃったし、さくら先生たちの所にもどるのはやめた方が良いかなぁと思う、いつあいつらになっちゃうかわかんないし。

 かまれてからなんか前より力出るし、おなかもすかないし、一体何が起きてるんだか。

 なんかトイレにだれか居たからご飯あげた、こわいから出てきたくないんだって、まぁわかんなくもないかも、私達はなんかあいつらからねらわれないからあんまりこわくないんだけどさ。

 あと、うっかりみんなに見つかりそうになった、いつの間にか放送室にうつったみたい、早く力のちょうせつができるようにならないと。

 

三日目

 トイレにいたのはゆずむらさんっていう人だった、ごはんあげたらついてきてくれたから、みんなが居る放送室にあんないしてあげた、私達はほら、こんな感じだからさ。

 それはともかく校外でもやっぱりねらわれない、楽にモノを集められるのはいいかも。

 みんなは食べ物とかだいじょうぶなのかな。

 しんぱいだから夜にみんなの所にご飯おいてきた、あんまりお腹すかないし、彼女も何も食べないし。

 あと、バリケードもちょっとだけなおしておいた、これでだいじょうぶでしょ。

 

 ……時間に余裕ができたら、また丈槍さんにやっているみたいに勉強をつけてあげましょう、国語教師としてはもう少し漢字を使えるようになって欲しいです。

 でも、気になる事もある、抗ウイルス剤とは一体なんのことだろう。

 もしかすると、職員室にあった、あの校外秘に指定されている緊急時マニュアルのことだろうか。

 あれには一体……何が……

 いや、今はそんなことどうでもいい、彼女が生きていてくれたことを喜ぼう、でも……

 

「これは……どういうこと?」

 

 彼女は……

 危ういバランスで立っている。

 きっと本人は自覚できていない。

 本田さんの書いている日記に、あまりにも自然に出てくる『彼女』とは一体誰のことなんだろう。

 少なくとも、私は見かけたこともない。

 名前も出てこない、ここにある荷物は一人分、柚村さんも本田さんとしか話をしたことがないと言っていたし、気配や足音は一人分だったと言っている。

 

 つまり……『彼女』と言うのは本田さんにしか見えていない、誰かということだった。

 きっと、どうにか正気を保つ為に、自分と同じ境遇の人間を生み出したんだ。

 狂っている、他人が見れば誰もがそう思うだろう、でもそれを生み出さねば、もっと狂っていたかもしれない。

 だってそうだろう、こんな荒廃した世界で、自分と同じ境遇の人はおらず、誰にも頼れず、いつ死ぬかもわからない状態でたった一人で生きて行くことを決めていたんだ。

 外から見れば、いつもどおりに見えるけど、内面はどうしようもなく脆い彼女を、私が守らなければいけない。

 戦うことはまだ難しいけど、彼女を支えるくらいなら出来るはずだ、精神を守るくらいなら、こんな私にだって出来るはずだ。

 大人()が、萌香さんを……

 

 守護らなくてはいけない。

 


 

めぐねぇ「丈槍さんも……若狭さんも……柚村さんも……恵飛須沢さんも──否、あのキチホモでさえも……私が守護らねばならぬ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 おまけ♡

 〜もし正気を取り戻すのがほんの僅かに間に合わなかったら〜

 

 シャベルを、突き立てた。

 シャベルの剣先が本田さんの腹に突き刺さり、引っこ抜いた穴からどろりと、妖しく彩られた内蔵が溢れ出す。

 人ならとっくに死んでるだろうけど、こいつらはこれじゃ死なない。

 

「ゴメン……ゴメン……っ!」

 

 動きが鈍った所で、あとは首を一突きで……

 

 あとは……それだけで……

 

 それだけなのに……

 

 なんで……

 

「なんで……なんで涙なんか流してるんだよ……それじゃあまるで……」

「…………」

 

 今まで襲いかかってきたあいつらは、あたしを喰うために常に顔を向けて襲ってきていた、さっきまでの本田さんだってそうだった。

 なのに今は、顔すらこっちに向けない。

 

「おい、どういう……事だよ……なぁ……」

「ば、バレちゃった……?」

 

 言葉を発した、たった一度しか聞いたことはなかったけど、間違いない。

 痛みを食いしばるように吐き出されたその声は間違いなく、あの時助けてくれた本田さんだった。

 その口から、赤黒い血が大量に吐き出されて、床をびちゃびちゃと染めていく、今まで気にしたこともなかったのに、鉄臭い臭いが部屋に充満していく。

 

「痛くないから……平気だよ、ゾンビ化してから、痛くないんだ」

「……あ、あぁ……そんな……」

「しょうがないよ、たぶん、さっきまでおかしかったんでしょ……?」

 

 泣いているのに、痛くないはずなんてない。

 しょうがないなんて、あるはずがない。

 昨日だって、普通に動けていたんだ、正気に戻る可能性を考えるべきだった。

 彼女を殺したのは、あたしだ。

 あたしが、殺した。

 あたしが……

 終わらせた。

 先輩も、本田さんも。

 助かる可能性を、押し潰して。

 

「ありがとう……殺して(助けて)くれて」

「─ぁぁぁああああああ…………うああぁぁぁ!!!」

 

 彼女の首に、スコップを叩きつける。

 もう一度。

 

 もう一度、もう一度、もう一度、もう一度、もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度、腕も、脚も、腹も、念入りに何度も、それが彼女を殺す(救う)事だから。

 原型を失うほどに、何度も、丁寧に。

 

 

 最期に、もう一度……




当然その光景をめぐねぇ(故人)は見ていたのでした。

かーなーりマイルドに書いた、本当はもっとグッチャグチャな方が好き
ただ、自分で書いといてなんていうか……その……下品なんですが……フフッ……勃○……しちゃいましてね……


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★(逆転裁判 〜 査問ナイト)

マンネリ化が進行しているので初投稿です。

愉悦部員多すぎぃ!

そしてツイッターにて真綿@様より支援絵を頂きました!

【挿絵表示】

真綿様のツイッターアカウントはこちら、ただし肌色成分多めのイラストを多数投稿されていますのでウシロニキヲツケテネ!
https://twitter.com/vorpal_cotton

更に1㍑様からも支援絵いただきました!前回のおまけシーン

【挿絵表示】



 教師とJK達に拉致監禁されるゲームのRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回はなんかよくわからないけど想定よりだいぶ早く立ち直っためぐねぇとくるみちゃんに捕獲されたところで終わりました。

 ……チャート壊るるゥ〜。

 いや本当に何があったんだろうか、こんなに早く立ち直ったのは初めてですね(通し初日越え二回目)。

 ままええわ、とりあえずこのあとは放送室に拉致され、自分がいかに無害なのかを訴える逆転裁判〜一転攻勢の裏技〜が始まります。

 めぐねぇとくるみちゃんの好感度は十分に稼げている状況っぽいので、あとはゆきちゃん、りーさん、チョーカーさんのうち誰か一人を賛成にすることができれば多数決に則り無罪放免、学園生活部のメンバーとして仲間に入れてもらえます。

 ちなみに周り全員賛成とかじゃないとりーさんはまず味方になってくれません、不安材料を身内に入れる事を極端に恐れるためです。

 そら既に噛まれた人を仲間にするとか誰だって怖いわな。

 

 法廷……じゃなくて放送室に連行されてきた被告人兼証人兼弁護人として、ホモちゃんを助けましょう。

 とは言え、めぐねぇとくるみちゃんも一緒に弁護してくれるから大丈夫だって安心しろよ〜、チョーカーさんの好感度もそこそこ稼いでありますし。

 質問には基本的には全て素直に答えましょう。

 

「本田さん、嚙まれてるって本当ですか……?」

 

 そうだよ(肯定)。

 最初に質問してきたのはりーさんでした、まぁ予想されてた質問ですね。

 制服の袖を捲り、腕に巻いてた包帯を外して噛まれた傷跡を見せます。

 この瞬間全員のSAN値が僅かに減少しますが、見せないわけにも行かないので仕方ありません。

 

「えっと、萌香が昨日とかに食べ物用意してくれたんだよな?」

 

 おっそうだな(肯定)。

 次の質問はチョーカーさんですね。

 だって皆人数が多いから食料は一番必要な物なので、外部からも手伝わないと足りなくなるでしょ。

 ホモちゃんは食事ほとんどいらないですし、見つけた奴はみんなこっちに持ってきてます。

 

「なんで、今まで合流してなかったんだよ」

 

 かなり挑戦的じゃないそれぇ〜?

 次はくるみちゃんですね。

 噛まれた状態で行っても信用してもらえないから、本来は雨の日に、颯爽と助けに入るヒーローになる予定でした。

 これは適当に「言っても信じてもらえないと思ったから」とでも答えておきましょう。

 

「どうやって、その……理性を保っているんですか?」

 

 んまぁそう……よくわからないです……

 これはめぐねぇの質問です。

 これについてはホモちゃんの知力がチンパンなので、なんか企業が用意してた抗ウイルス剤が地下にあってそれのおかげで助かった、程度しかよくわかってないです。

 難しいことで正気度減らないのは良いんですけど、難しいことを理解することもできないので、知力も余裕があれば上げておきたいですね。

 正直に答えましょう。

 

「貴方は、私達を襲いませんか?」

 

 りーさん、冗談はよしてくれ(タメ口)。

 なんで理性があるのにみんなを襲う必要があるんですか(正論)。

 いざという時のために、こうして手錠まで用意してるんだから信じてもらうしかないですね。

 

「でもりーさん、萌香ちゃんはとってもいい人だよ!」

 

 ゆきちゃんも知力は似たようなものなので(ゆきちゃん>>>チンパン)、難しい事で物事を判断することができません。

 お話ができて、自分たちを助けてくれたから、この人はいい人!くらいに思ってくれています。

 ついでに直感力が高いので、悪意ある回答などをすると怪しまれてしまうのですが、今回は素直に答えているので信じてくれています。

 後で飴ちゃんをあげよう。

 

「ほんと!?わーい!」

 

 かわいい(確信)。

 とりあえず信じられなかったら数日くらい縛っといたり、寝るときは廊下とかでも良いから、頃すのだけは勘弁してくださいオナシャス!何でもしますから!(本当に何でもする)

 

「べ、別にそこまでは言ってないじゃない……ただ、心配だっただけよ……」

 

 とりあえず味方が三人いる時点で生き残れるのは確定なので、そんな心配はないけど人間アピールは大事です、あとで好感度を稼ぐのに重要になるので。

 その後も質疑応答をしたり、単独行動の禁止、寝るときには手錠を付けて動けなくすること、以上の条件を飲みました。

 結果賛成4人、保留一人で私の自由は勝ち取られました。

 これで常に監視つきという条件で校内なら自由に動くことが許されます、皆で食料調達や安全圏拡張をがんばりましょう。

 

 早速この昼からくるみちゃん、チョーカーさんと一緒に購買部まで食料調達に行きます。

 ホモちゃんの差し入れの甲斐あって余裕があるとはいえ、常に備蓄は多いに越したことはありません。

 食費のかからない労働力として八面六臂の大活躍を見せてやりましょう。

 この標識柱にかかれば太刀モードのひと振りで『かれら』の頭も木っ端微塵です。

 くるみちゃんもチョーカーさんもどん引きしてるけど、必要なことだから仕方ないね(レ)

 一人だけ無双ゲーみたいなことしながら購買部に到着したら、ホモちゃんは見張り、くるみちゃんとチョーカーさんの二人で必要そうな物をまとめてくれています、この隙にレジからラジオをパクりましょう。

 ん〜?なんだこれは〜(サボりの)証拠物件として押収するからな〜?

 

 これでいつでもKちゃんの熱烈ラブコールを聴くことができます。

 Kちゃんは救助要請から1日以内に急行できなかった場合、即救助不可能になってしまいます、更に救助後数日は捻挫のため動けません、めぐねぇよりたち悪いように感じるかもしれませんが戦闘能力はくるみちゃんに一歩劣る程度と、回復さえすればかなり強大な戦力になります、全員生存を目指さない場合でも、救助しておくとかなり楽ができるので救助に挑戦してみるといいかもしれません。

 では早速周波数帯を76.1MHzに合わせまして……よし、ノイズしか聞こえないな!

 将来的に片耳用のイヤンホホで常にこのノイズ音を聞きながら過ごすのがライフワークになります、いつ要請が来ても聞き取れるようにしておきましょう。

 

 物資調達も終わったので、さくさく放送室に戻りましょう、先ほど掃除したおかげもあって帰りはほとんど『かれら』が存在しないので楽ちんちんですね。

 原作では引っ張りだこだったくるみちゃんを休ませることもできれば、ホモちゃんが大荷物を運んだりできるので、原作以上の効率で物資調達、バリケード建設が出来ます、今回はホモちゃんが戦う分くるみちゃんが大荷物を持ってくれてますね、これぞ感染ルート並びに筋肉ゴリラルートの醍醐味です。

 食料を持って帰ってきたら、放送室の端っこで大人しく体育座りでもしていましょう、無害アッピルをしつつ食事はまだお腹空いていないからと辞退します、節約は大事。

 

 みんながご飯食べてる間にスキルを取ります。

 まずは先天以外では『かれら』化が習得条件の《夜目》です、これは夜間等暗闇で通常以上に視界が明るくなります、地下の探索や夜間の見張り等は積極的に行うので取っておくと不意の敵襲に対応できます。

 続いて《杖術》をレベル2に、威力上昇以外にも攻撃の隙とスタミナ消費が減るので取っておくと後々助かります。

 更に《渾身》を習得しましょう、攻撃力の上昇の他クリティカル率の上昇効果があります、もうクリティカルが出て困る場面なんか無いので躊躇いはありません。

 

 ちなみにスキルの習得中や、やることがなくて長時間ぼーっとしてると、イマジナリーフレンドとの会話が始まります(強制)。

 ただ、やることがなければ出来ることもないので、ホモちゃんのひとりごとを眺めていましょう。

 ごく稀にこのイベントでスキルやレベルが上昇することもあるそうですが、私は未だに一度もそのイベントを見たことがありません。

 ちなみに会話内容はクッソしょうもない日常会話が殆どです、一応会話は会話なので僅かに正気度回復効果があります、ただし狂気は深まります。

 

「あの、萌香ちゃん」

 

 おっゆきちゃん、タイミング悪いねぇ!

 バッチリイマジナリーフレンドとの会話を聞かれてしまいましたが……一体何用でしょうかね?

 

「萌香ちゃんは……ご飯いらないの?」

 

 お腹空いてないからね、ま多少はね?

 実際お腹空いてないのに食事をして無駄に食料を消費する必要はありません、食事を抜く場合正気度回復が遅くなったりはしますがそれだけです、『側に立つ者』と会話しちゃうサイコホモよりも生きてる人を優先してどうぞ、流石に全く空腹にならないわけではないので、ある程度満腹度が減ったら食べましょう。

 食事も好感度の稼ぎ所なんですが、合流初日はギクシャクしてしまうので、誘われない限りはこのようにして過ごします。

 

「でも、ご飯はみんなで食べたほうが美味しいよ!」

 

 天使かな?

 流石に誘われたら受けないと好感度が下がってしまうので、ホモちゃんに伸ばされた手を取りましょう。

 ゆきちゃんに手を引かれて、学園生活部のみんなと同じテーブルに着くと、めぐねぇがご飯を出してくれました。

 実に4日ぶりの食事だぁ。

 

「お前、四日間も食べてなかったのかよ……」

 

 感染者になると代謝がほぼ停止する関係上、満腹度の変動が少ないんですよね、数日くらいなら食べなくても余裕で生き残れます。

 正気度回復目的や、何らかのバフを付けたいとき、好感度をあげたい時は積極的に食べるようにしましょう。

 ちなみに別に満腹状態でも食事は可能です、バフを付けたい時や友好度を稼ぎたいときは積極的に食べましょう、女の子の胃は異次元につながってるんだゾ。

 後は適当に振られた話題に応えながらご飯を食べます、食事が終わったら『かれら』を掃除しながらバリケード作成作業が待っています。

 

 戦働きの時間は倍速じゃ!

 今回バリケードを作るのは三階中程にある階段から、各教室等があるブロック全面を抑え、階段に作ることになります。

 こうすることで三階全域をセーフティゾーンとして自由に行動することができるようになるので、通常プレイでも早めの確保をおすすめします。

 この場合雨の日などのラッシュでの防衛地点は三箇所の階段になりますが、下手に狭い領土のままにしておくと、一箇所辺りに攻めてくる『かれら』の物量の増加に伴いバリケードの耐久力が夏に降り注ぐ暑い日差しに晒された氷の如き速さで溶けていきます。

 それに比べ各階段を防衛線とした場合、非力なゆきちゃんですらモップで『かれら』を突き落とすだけで敵を減らすことができるため、非常に効率的な防衛を行えます。

 結果的に各階段に人員を配置、その上で数が多いところにくるみちゃんか主人公と言った戦力を集中運用する内戦戦略を取る事でこれと言った危機を迎えることなくやり過ごすことができるため、可能な限り防衛陣地は階段前に設定しましょう。

 また、各教室に住む『かれら』についてはみんながバリケードを作ってる最中にくるみちゃんとひと部屋ずつ回って倒していきます、モンスターハウス引こうがくるみちゃんと感染主人公の二人がかりならそうそう落ちることはありません、むしろ経験値がうま(テイスト)です、一撃で倒せる相手など恐れるに足らない。

 バリケード制作側についても、三階に生息してる『かれら』さえ倒してしまえば、なんか『覚悟して来てる』めぐねぇとなんだかんだ戦えるチョーカーさんの二人がいれば問題ないでしょう、階段からくるのは前述した通りカモでしかありません。

 

 経験値の稼ぎ所なのに全然『かれら』が出なかった。(小並感)

 ままええわ、安全に確保できたしそれはそれで良しとしましょう。

 今まで散々集めてきた資材類のおかげで強固な防衛線が完成しました、やっぱり外で資材補充するのが一番だな!

 終わったら屋上で体に付いた血や肉片を落とし、制服も丁寧丁寧丁寧に洗いましょう、清潔な服を着てるほうが正気度にプラス補正が入ります。

 ここで役立つのが外で拾ってきている服や購買部に置かれている予備の制服です、制服については既製品なので僅かにサイズが合わなかったりしますが、血に汚れた服を着てるより遥かにマシです。

 

 着替え終わったら少し仮眠をして夜間の見回りに立候補しましょう、現状りーさんの好感度が足りないので行動で信頼を勝ち取ります、おらっ、好感度よこせ!

 なお夜間についてはまず『かれら』は現れないのでただ廊下に座っているだけです、室内にいると誰にスタンド(破壊力- スピード- 射程距離E 持続力A 精密動作- 成長性-)との会話を聞かれてしまうかわからないので、可能な限り一人きりで過ごしましょう。

 ちなみに単独行動しないためにチョーカーさんから鈴付きの首輪をいただきました、猫か何かか?

 ちなみにロープが装備されています。外飼いの犬か何かか?

 

「ねぇ、萌香ちゃん」

 

 あら、なんか知らんけどゆきちゃんが来ましたね。

 夜間の見回りは基本的に主人公、くるみちゃん、チョーカーさんが、合流後はKちゃんとみーくんも行うことが多く、他のメンバーはあまり参加しません、特に今日は私が立候補しましたしとっくに寝てると思ったんですけどね。

 

「ちょっとお話してみたくて、ダメかな?」

 

 天使だな!(再認識)

 ここで断る理由も特にありません、ちょろいとは言っても仲良くなれるならなっておく方が緊急時などにいう事を聞いてくれて生存率がダンチです。

 なおよっぽどじゃなければゆきちゃんに怖がられることはあっても嫌われることはありません、それこそ目の前で学園生活部のメンバーを襲うくらいのことをしないと。

 それにしたって、今回のゆきちゃんはぐいぐい来ますね、好感度の伸びいいゾ〜これ。

 

「あのね、萌香ちゃんはなんでそんなに頑張ってくれるのかなって思って……ごはん集めてくれたり、戦ってくれたり」

 

 そういうRTAだからじゃないですかね(他人事)

 という冗談は置いといて、ここでの回答は『皆を守りたいから』にしておきましょう。

 全員生存を願う平和の使者です、ラブ・アンド・ピース!みんな平和が一番!

 実際感染した主人公が動くのが一番安全で最も戦果が出ますからね。

 

「そっか……でもね、一人で頑張りすぎるのは良くないよ!くるみちゃんもすっごく強いし、めぐねぇは優しいし頭もいいし、りーさんも難しいこと一杯やってくれるし、たかえちゃんもみんなのお手伝いしてくれるし……あれ、私何もしてない!?」

 

 ゆきちゃんは突拍子もないことを突然やったりしますが、基本的に自分で言っていたようにことサバイバルに関してはあまり役には立ちません。

 その代わり会話による正気度回復の効果が非常に高く、また積極的に正気度の低い人と会話をしてくれるので、通常プレイの際にも絶対に欠かしてはいけない人材です、守護らねば(使命感)

 だからゆきちゃんは居るだけでいいんです、相当追い詰められなければ無理もしない有能ですから、というかゆきちゃんが無理をし始めるのはかなり追い詰められている証拠です、必ずケアしましょう。

 というか、さては今このメンバーの中で一番正気度が低いのは私だな?

 

「居るだけで、良いのかな……」

 

 むしろ無理はしないで……出来ないことは無理にやらず、出来ることをちゃんとやるのが一番の貢献ってそれ一番言われてるから。

 

「そっか……わかった!その代わり萌香ちゃんも無理しないでね!約束!」

 

 おう考えてやるよ。

 可愛らしく右手の小指を差し出すゆきちゃんと指切りをしたところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 あの日、たかえちゃんが放送室に来てくれた時、すごく嬉しかった。

 だって、学校のみんながこんな事になっちゃって、もうたかえちゃんもダメだと思ったのに、こうやってまた元気な姿を見ることができたから。

 それも全部本田萌香ちゃんのおかげらしい。

 萌香ちゃんは、よく一緒にめぐねぇの補習を受けてたこともあったし、最初の日には階段でずっと戦ってくれてた、でもくるみちゃんをかばって噛まれちゃったって聞いて、すごく悲しかった。

 私とりーさんが生きてるのも、めぐねぇがここに来れたのも、くるみちゃんを守ってくれたのも、全部萌香ちゃんのおかげだった、せめてありがとうって伝えたかった。

 だから、たかえちゃんが萌香ちゃんに助けられてここまで来たって、つまり萌香ちゃんは生きているんだってわかった時もすっごく嬉しかった!

 私は戦えないから行けなかったけど、くるみちゃんとめぐねぇが萌香ちゃんを連れてきてくれたおかげで、やっとお礼を言えた。

 来て早速萌香ちゃんはご飯を集めに出かけちゃったけど、その間にめぐねぇが萌香ちゃんについて本人が話していいって言ったことをいろいろ教えてくれた。

 今はとても力が強いこと、あんまりお腹が空かないこと、眠るとたまに制御が利かなくなること。

 あと、萌香ちゃん本人には言わないようにと言われた誰かの幻覚が見えているかもしれない、という事。

 そんな状態なのに、萌香ちゃんは私達のために頑張ってくれてる。

 確かに、見えない誰かとお話している姿っていうのは、少し怖い、でもなんとなくわかる気がする。

 どうしょうもなくなった時、一人ぼっちだっていうのはとても寂しいことだし、怖いことだと思う。

 でも、もう萌香ちゃんはひとりぼっちなんかじゃない、私達が一緒にいる。

 ご飯もお腹はすかないから皆だけ食べてなんて、萌香ちゃんも皆の内なのに。

 萌香ちゃんは、自分を『皆』の中に入れてない。

 もっと自分を大事にしてほしい。

 だから、皆を守るって言うなら、自分のこともちゃんと守ってほしい。

 萌香ちゃんはすごく優しいし、強い。

 でも、だからって、全部できるってわけじゃないと思う。

 だから約束。

 萌香ちゃんが私達を守ってくれるみたいに、私も萌香ちゃんを守るっていう約束。

 無理をしたら、お互いに止める約束。

 もう、一人で頑張らせたりはしたくないから。




今までなんとか生きこられたのも全部本田さんがいたからじゃないか。
めぐねぇが精神崩壊してないのも、チョーカーさんを助けられたのも、押し寄せる『かれら』を押し返せたのも、全部つk本田さんのおかげじゃないか。

ゆきちゃんは根本的に強い子だと思ってます。
だからさっさと自己防衛のための妄想を始めたり、他人を気遣える優しい子なんだと思う。
ゆきちゃん目立たないファインプレーが多いんですよね。


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(大人気食堂見学 〜 クッキングガバ)

ネタが思いつかないので初投稿です。


 よくわからんが短縮につながったのでとにかくヨシ!なRTAの続き、はーじまーるよー

 

 前回はゆきちゃんと守るつもりもない約束をしたところで終わりましたのでその続きからです、無理してでも全員生存させるに決まってるよなぁ?

 適当にお話してるとゆきちゃんはお眠になってしまうので、膝を貸してあげましょう、ついでに上着をかけて差し上げろ。

 そのついでにさっきの約束で信頼度が上がってレベルも上昇したので、スキル《徒手空拳》を習得します。

 このスキルは別名喧嘩札法、規定の筋力値を持った状態で一定数『かれら』を始末するか、キャラクリ時点でのみ習得可能となります。

 ヤクザキックや素手での殴り等の攻撃力が上昇、他にもある程度の組み付き技が可能となります、中には即氏攻撃もあり、大部分が無音攻撃のためかなり使い勝手がいいです。

 特に蹴り技は腕がふさがってても使えるので、武器を持ちながら隙を減らせるので持っておくと便利でしょう。

 スキルも取り終えたら特にやることはありません、そのまま朝までゆきちゃんを眺めて過ごします。

 ちなみにこのあと使い所さんがあるので、必ずスキルポイントは1ポイント残しておきましょう。

 朝になるとゆきちゃんが行方不明になってて大慌てでくるみちゃんが部屋から出てきますので静かにさせましょう、お姫様が起きてしまわれるぞ。

 

「なんだよ……そこに居たのか」

 

 私にもなぜこんなことになったのかは分からないけど、好感度は稼げたので良しとします。

 しばらくすればゆきちゃんも自然と目を覚ますので、そうしたらホモちゃんはしばらく廊下に佇んでいましょう、朝食はお腹が空いてないからと断ります。

 

「今日はどう行動するか」

 

 朝食も終わると私も招集されて本日のミーティングが始まります、本日の議長はくるみちゃん。

 と言ってもやることは大して無いです、今日も食品を集めつつバリケード拡張くらいなんですけど、これ以上防衛範囲を広げたところでラッシュを乗り切るのが面倒になるのでセーフティエリアは広げません。

 なので今日はフラグ管理のために食堂に向かいましょう。

 

「確かに、電力が生きてるからまだ生鮮食品もあるだろうし、保存食にも飽きてきたしな」

 

 そのうち生鮮食品はすぐ無くなるからさっさと慣れてどうぞ。

 というわけで、本日の行動は以下のように決めました。

 説明しながら倍速じゃ。

 

 食料調達:ホモちゃん、めぐねぇ、チョーカーさん

 バリケード強化:くるみちゃん、りーさん、ゆきちゃん

 

 不意の遭遇戦に備えて戦力は両方に割り振ります、りーさんと一緒の班になろうかとも思いましたが、まだあまり仲良くないので安全を考慮して別の班にしました。

 この時間ではまだ学食は空いているので、一旦先にいつも通り購買部に残された食べ物を回収して適当に時間を潰したら、次こそ食堂に向かうと大量の『かれら』で溢れているはずですので、まずはそこから片付けていきましょう。

 この購買部もやたらと備蓄は多いですが、そう遠からず物資は尽きてしまうので、そうなるとさっさと脱出するか外へと足を伸ばす必要に迫られます、というかそもそもそんな数日たてこもれるだけの備蓄がある事のほうが驚きますけど。

 

 とりあえずそんなことを話している間に、本日の購買部からの回収は完了です。

 一旦これらの荷物を放送室に置いたら、次こそ食堂へと向かいましょう。

 お昼ともなると、学食はやっぱり人が多いですね、感染してなかったらとてもではないですがこの中に入っていくのは骨が折れます、なんにしてもこれを目撃すればフラグには十分です。

 流石に攻撃されないとはいえ、みんなの前でこの中に突っ込んで無駄に心配かける必要もないので、厨房の方を覗いてみましょうか。

 こっちは数人の調理師しかいませんね……こっちなら大丈夫かな?

 

「お、おい、あっちやばいけどこっちで音出して平気か?」

 

 チョーカーさんがめっちゃ心配してくれてますが、なんの為のゴリラパワーだと思っているんですか、大丈夫だから安心して見ててください。

 調理師の後ろから近付いて、一定以上の筋力があると使える徒手空拳スキルの暗札技で首をへし折りましょう!

 血も出ないのでSAN値の減少がほぼない上に、無音攻撃なので目撃されない限り気付かれない、まさにRTAのためにあるような技です、ただしRTAで使おうと思ったら感染でもしないと要求される筋力値、更に隠密系スキルが必要と他のスキルをまともに取れなくなるので、あまり使い道はないです。

 残った調理師二人もパパパッとやって、終わり!

 無事食堂の人混みも確認できましたし、冷蔵庫から生鮮食品を頂いたら帰りましょう、今日のご飯は豪華になりますね!ホモちゃんは食べませんけど。

 ちなみに直接口に入れる食品類を手に取るときは必ず手袋を付けるか、戦闘に参加していないキャラに回収してもらいましょう。

 では今日の収穫を持って帰りましょ。

 

「あの、萌香さん、私に戦い方を教えてくれませんか?」

 

 帰り道で珍しいイベントが挟まりましたね……

 極稀にキャラクター達から持ってるスキルについて教えて欲しいと請われるイベントが発生することがあります。

 キャラ毎にスキルによる発生率に違いがあり、めぐねぇはどちらかというと技術系のスキルを求めてくる割合が高いはずなんですけど、本当に珍しいことがあったものです。

 ただ、戦力になってくれるなら願ってもない機会ですね、正気度体力共に低いので長時間の戦闘に耐えうるタイプではありませんが、筋力値はくるみちゃんに次ぐので戦闘スキル有無の差はかなり大きいです。

 今回要求されているのは杖術の方ですね、流石に徒手空拳は筋力値が足りません。

 しかし、主人公は後から取れないのにキャラクター達はあとから武道系スキル取得できるのずるい……ずるくない?

 まあええわ、後で屋上で訓練を付けてあげましょう。

 ちなみに収録後に調べてみたのですが、有志の方の調査の結果めぐねぇの戦闘系スキル伝授イベント発生率は、条件である『戦闘に参加、目撃する』の発生後に0.2%前後だそうです、そんなところに豪運を使う屑運を許すな。

 

 食料を部屋に置いたら屋上に出てスキル伝授を始めましょう、訓練風景は倍速だ。

 スキル伝授については時間がかかりますが、希望してきたキャラクターとマンツーマンで数日教えると習得してくれます。

 つまりめぐねぇはわずか数日で杖術を習得できる隠れ戦闘民族だった……?

 一日あたり数時間は必要となるので、毎日食料の回収をしたらめぐねぇと個人レッスンをして、終わったら適当なキャラ達と親睦を深めていくのが基本的な動き方になっていきます。

 何も予定されてなかった所でこうして自ら戦力強化を申し出てくれるとか、まるで聖人みたいだぁ……

 とりあえず今日から早速訓練をつけていきます、どんなに早くても習得は雨の日は過ぎてしまいますが、その後も防衛戦の機会は多々あるのでさっさと覚えてもらいましょう。

 手取り足取り教えてやるからな〜?

 


 

 萌香さんに、戦い方を教えて欲しいとお願いしたら、喜んで快諾してくれた。

 戦える人は多いに越したことはないからと、普段からモップなんかを使っていた杖術について教えてくれるらしい。

 これで、私も萌香さんの力になれる。

 これでもう二度と、彼女を一人で置き去りになんてさせないで済む。

 やはり戦うことは恐ろしいし、出来る事なら生徒だった『かれら』に武器を向けたくなんかない、でもそれ以上に、今ここに居る皆を失うことの方がもっと恐ろしい。

 当然、その皆の中には萌香さんだって含まれる。

 萌香さんは自分を人として数えていない、皆を守るという目的の副次的な結果として自身の身を守っているような状態だった。

 自分が一番戦えるから、自分は『かれら』に襲われないから、自分が動くのが最も安全だから。

 だから彼女はすぐに無理をする。

 私は、そんな彼女の力になりたい、守りたいのだ。

 

「えっとね、握りはこうで……こうやって、こう……ズバーン! て感じで振ると……」

 

 とても一生懸命教えてくれているのはわかるけれど、まずは彼女が何を言っているのか理解するところから始めなくてはいけない。

 相互理解というのは、こんなにも難しいものだっただろうか……

 


 

 

LEVEL UP

 

 スキル伝授してたらレベル上がりましたね、せっかくですし好感度稼ぎに使えるスキル取っておきましょうか。

 その名も《料理》です、これでりーさんと一緒にお料理して好感度稼ぎができます。

 これがない状態で料理すると、手を切って血が混入する恐れがあるためやめましょう。(1敗)

 とりあえず今日の訓練はここまでにしてご飯にしましょ、お料理は出来る(ように今なった)から見とけよ見とけよ〜。

 ようりーさん!いっちょ一緒に飯でも作るっペ。

 

「えっ……本田さんお料理できるの……?」

 

 何だその心底意外そうな顔は、わざわざそんなに目を見開きやがって。

 いくらアホの子でもスキルを持ってれば料理ができるってところを見たけりゃ見せてやるよ。(王者の風格)

 

「ところで何を作るつもりなのかしら」

 

 さっき厨房から野菜とお肉も持ってきたし、野菜炒めとかで良いんじゃないですかね(適当)。

 美味しく食えりゃなんだって良いんだよ!

 というかスキルが低いので作れる料理がまだろくにありません。

 

「まぁ妥当な所かしら……」

 

 とりあえず自分は先にお米炊く準備をしてから、野菜炒め作りに参加しましょう。

 冷蔵庫やコンロは何故か生徒会室に置かれているので、そこをお借りして調理していきます。

 りーさんと並んで野菜を切ったり、味付けの濃さで若干ゃもめたりしながら楽しくお料理していると、いつの間にやら学園生活部の面々が集合してますね、匂いにでも釣られたか?

 とは言え久々の保存食じゃない料理だから、まぁ仕方ないね(レ)

 お料理の用意が完了したら皆の分をお皿によそって並べましょうかね。

 ところで一人分多くなぁい?

 

「多くないわよ、せっかく一緒に作ったんですもの、本田さんも一緒に食べましょう」

 

 おっ、デレてきましたかね?

 りーさんがこうなってくると、いよいよ誘っても応えてくれなかったり、不信感を抱いているキャラが居なくなるので、好感度を上げるのが簡単になります。

 やっぱりりーさん特攻の《料理》スキルで一緒にお料理は強力だぁ……

 

「ただし、一人でお料理はしない事、手つきがまだ危なっかしいから私か佐倉先生と一緒にやるのよ?」

 

 まだスキルレベル1だから仕方ないね(レ)

 取り敢えず食える飯作れれば良いんだよ!

 野菜のサイズはめちゃくちゃかもしれんが、愛情はちゃんとこもってるんだぞ!だから好感度よこせ!

 

「料理自体久々だけどさ、やっぱり人が作った料理は美味しいな」

 

 ずっと保存食でしたからね、こういう料理は普通の食事とは比にならないくらい正気度回復、更に料理に成功していると製作者への好感度が上がるので、自分で料理できると料理だけにうま味です。(激旨ギャグ)

 料理スキルは数少ない繰り返しスキルを使うだけでレベルが上がっていくスキルです、スキルレベルが上がると得られる好感度も増えていきます、じゃけんこれからも積極的に料理をしてぽこじゃか好感度上げていきましょうね〜。

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 私は、本田さんのことが恐ろしかった。

 この異常な事態になってすぐに、戦うことを決意して、たった一人で無数に現れる『かれら』と戦うことができる彼女が。

 噛まれたと聞いたのに、まだ生きているかもしれないと言われ、くるみと佐倉先生が彼女を探しに行った時、そんな馬鹿なと思った。

 だって、今まで噛まれても平気だった人は見たことがない、全員が正気を失いまるでゾンビのように生きた人間を襲い、食い散らかしている姿しか見ていない。

 こんな異常な環境で、3日も外で過ごして無事であるだなんてとてもでは無いが思えなかった。

 だからこそ、抵抗もせずに縛られて放送室に彼女が来た時は、本当に恐ろしかった。

 一体彼女が何を考えているのか、全くわからなかったからだ。

 彼女が昨夜持ってきたという食料類も、いったい何が入っているのかわからないから全て捨てようかとすら思った。

 確かに『かれら』に噛まれた傷跡はあって、その上で正気を保っているかもしれない。

 でもそれはどうして?

 どうして学校にそんな都合よく抗ウイルス剤なんてものがあるの?

 何故彼女はそれを知っていたの?

 それがわからない。

 私には、彼女のすべてがわからない。

 何故?どうしてそんなに怪しいのに私達の為に体を張ってくれる?

 一体彼女は何がしたいの?

 わからない、何も……

 一緒に料理をしている間も、彼女が何かをしないか、ずっとヒヤヒヤしていた。

 もし彼女が指を切ったら、その血が料理に入っていたら?

 彼女は、ここまで頑なに食事をしようとしない、たった一度一緒に食事をしたのはゆきちゃんが誘った時だけだった。

 だから、私は彼女が恐ろしい。

 私は、彼女が人なのかすら理解できない。

 みんなは彼女を仲間だと思っているけれど、私は……

 

 

 

 彼女を、信じることはできない。




一体いつから──好感度調整がうまく行っていると錯覚していた?

あと予測される感想に先に返答しておきます。
どこでもいいだろw言語学者なのかよw


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(めぐねぇ説得 〜 決戦前夜)

هذا هو أول وظيفة لي


 順調に好感度が稼げてきているRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回はりーさんと一緒にお料理してだいぶ打ち解けていたところでしたね、今回は夕食後の空いた時間からスタートです。

 正直この時間は何をしても自由ですが、可能であれば何かしらの行動は取りましょう。

 以前のパートで説明した通り、何もしていないと『あの子』が話しかけてきて勝手に会話を始めてしまい正気度を削る上に、せっかく上げた好感度も台無しになってしまいます。

 そんな訳で、今回は料理スキルを使ってあるものを作りましょう。

 用意する素材は 薄力粉 砂糖 ベーキングパウダー 塩 の四種類です。

 これらをいい感じに混ぜると、手作りホットケーキミックスが作れます、これは料理レベル1で唯一作ることができる甘味で、これを使って簡単にホットケーキが作れるようになります。

 甘いものは女性キャラの好感度と正気度を大きく回復させることができるので、とてもうま(طعم)です。

 

 おや、ホットケーキミックスを作ってたらようやっとめぐねぇが動き出しましたね。

 大方職員室に行って、例のマニュアルでも確認しに行くんでしょう。

 ホットケーキミックスも完成したので、めぐねぇにこっそりついて行きましょう。

 ところで職員室が3階って珍しい気がするのは私だけですかね?

 

 案の定めぐねぇの目的地は職員室でしたね、中に入っていったのを確認したら外から聞き耳を立てます。

 しばらくするとパラパラとページを捲る音が聞こえてくるので、そしたら職員室に乗り込みましょう。

 よう先生!何読んでんだい!

 

「っ……萌香さんですか」

 

 まあ例のマニュアルなんですけどね、初見さん。

 生徒を守る立場にあるはずだった先生に配られるマニュアルに、15人程度しか守れないと、命の取捨選択をしろと書かれていた事に多大なショックを受けてしまっているので、必ずフォローしましょう。

 そのマニュアルと抗ウイルス剤があったからホモちゃんはこうして生きてるんだから気にすんなって!

 それにそもそも生存者はここにいるメンバーしか見たことないんだから、15人分もあれば十分すぎるくらいだってそれ一番言われてるから。

 というか、パンデミック発生まで中身見れないんだからそもそも救うとか無茶だと思うんですけど。(正論)

 

「萌香さん、でも……」

 

 うっさいんじゃい!さっきからぶつぶつぶつぶつよぉ!

 そもそもそれを用意したのは先生じゃなくてもっと上の人なんだから先生は悪くないだルルォ!

 それとも、それが無かったらホモちゃん死んでたけどそれはいいんですかねぇ?

 

「そ、それはダメです!」

 

 はい、これでめぐねぇの正気度の減少は最低限に留まります。

 相手に思考させないように話題を振って、とにかく思考をそらします、あってよかったことと、先生に責任がない事だけに焦点を合わせて会話をすれば、イマイチ思考が回ってないめぐねぇは、このマニュアルのおかげでホモちゃんが助かったと思ってくれます。

 こうなれば、めぐねぇ正気度ダウンの危機はもう生徒が死亡する以外は細かいものしかありません、ここからはもうただの有能ユニットです、しかも今回は後ほど戦闘ができるようになるので神的にいい人です。

 こうしてマニュアルの有用性を訴えられる、内容を先に知っておくことができるビキビキビキニ123、これは初日に感染しなければ得られないアドバンテージです。

 感染者は有能、はっきり分かんだね。

 という訳でみんなのとこに戻りましょうや。

 

「そうですね……戻りましょうか」

 

 じゃけん今夜はゆっくりお休みしましょうね〜

 明日からまた極限サバイバルが始まるので頑張りましょう。

 よっぽどじゃなければ発狂しなくなるとはいえ、今夜はまだ不安定なので一緒に過ごしましょう、夜の見回りはくるみちゃんが行ってくれます。

 ある程度好感度が高いキャラクターは一緒に寝ると正気度が上昇するのですが、流石に感染状態では出来ないので諦めましょう。

 この後適当にめぐねぇとお話して夜が更けたらまた日記を書いてお休みしましょう。

 

「もえちゃん、何やってるの?」

 

 およ、本当にゆきちゃんよく来ますね。

 これはね、日記を書いてるんだよ、これを書くだけで正気度が少し回復するので皆も書こうね!

 

「日記?私も書いてみようかな〜」

 

 ゆきちゃんはこういう楽しそう、面白そうなものにすぐ反応して学園生活部のメンバーに流行らせてくれるので、本当に助かりますね。

 良ければ交換日記でもやるかい?

 

「交換日記?面白そう!」

 

 早速乗ってきてくれましたね、ゆきちゃんと交換日記を始めると、ルートによっては二人して幻覚まみれの正気度ゴリゴリ削るやべー日記とかもできるんですが、今回はそんな心配もありません、私の日記の減少分より交換日記自体の回復量のほうが上回るので、好感度が上昇するのも含めてやらない手はないくらいお得です。

 そして私は一方的に回復していくのでやがて狂気もおさまります、完璧なアイテムだぁ……

 とりあえず明日にでも新しいノート取ってくるので、そしたら始めましょうか。

 

「わかった!楽しみにしてるね」

 

 おう!まかせてくんな!

 とりあえず今日のところはやる事ないのでそのまま手錠つけておやすみなさーい。

 

 

 

 おはよーござーまーーーー!!!

 

 ついに六日目となり、明日には大雨が降り『かれら』のラッシュが始まってしまいます、今日も英気を養うためにまずは食料を回収しに行きましょう。

 その際昨日ゆきちゃんと約束した新しい日記帳を拾ってくるのを忘れないようにしましょう。

 ゆきちゃんは優しいので忘れても好感度ダウンはありませんが、キャラと約束内容によってはガッツリ好感度が下がったりします。

 回収も終わったら本日も引き続きめぐねぇには杖術の特訓をつけて行きましょう。

 しっかし、やけに経験点の上昇が遅いですね……以前試走中に発生した時はもっと速かったと思うんですけど、やはり戦闘スキルというのが習得しにくいんでしょうか?

 ここらへんは要検証ですね、誰かこのルート走るときの参考のために検証してどうぞ。(他人任せ)

 

 さて、ここまでやると本当にやることが無いです、明日までゆっくり休むくらいしかすることはないので、おやつにホットケーキでも焼きましょうか。

 甘味には好感度が上昇する以外にも結構バカにならないバフが有りまして、ホットケーキの場合は正気度回復効果が通常の食事の倍以上有ります。

 流石にそろそろ私のスタンドも消したいので、治療を始めましょうか。

 ホットケーキを作る気配にでも釣られたのかゆきちゃん、チョーカーさん、くるみちゃんがやって来ましたね、りーさんとめぐねぇの二人はどうやら屋上で家庭菜園中みたいです。

 

「なんか久々にこういう甘いの食べる気がするなぁ」

「確かに、にしてもあんた意外と器用だよな」

 

 意外ととは失敬ですね、いつも戦闘ばっかりの戦闘民族とは違うんですよ、結果的に戦う方が楽で早い時はそうしてるだけで。

 とりあえず焼き上がったぶんを並べて、ラジオは例のクラシックが流れるチャンネルに合わせておきましょう、これでグングン正気度が回復していきます。

 

「これ、誰かが流してくれてるって事だよな……」

 

 そうッスね、まだまだ人類は終わってないってことです、そういう部分も正気度の回復につながっているので、様々な人類の痕跡を探して旅するプレイもなかなか楽しいですね。

 ワンワンワン放送局の人の住処みたいな、要塞化された拠点もちらほらあったりするので、ぜひ街を隅々まで探してみてくださいね。

 

 さて、飯も食べたらクラシックを聴きながらお昼寝でもしましょう。

 正気度回復にはとにかく食べることと休むこと、ストレスフリーな日々を過ごします、現実でも疲れたらちゃんとご飯食べてゆっくりお風呂でも入ってよく寝るとだいたいの事は割とどーでも良くなります。

 天気もいいことですし、屋上で家庭菜園でもいいんですけど、スキルがないので穴を掘るくらいしかできず、りーさんがあまり良い顔をしないので今回はスルーで。

 それじゃ、おやすみなさーい。

 


 

 若狭さんから相談したいことがあると言われて、私は若狭さんと二人で畑の手入れをしていました。

 

「若狭さん、相談って何ですか?」

「佐倉先生、私は……私は、本田さんが怖いんです」

 

 そう言って、こっちを向いた若狭さんの顔は、本当に怯えを孕んだもので、自分でもどうしようもない状態なのだとすぐに理解できた。

 確かに本田さんは、『かれら』に嚙まれてしまっていて、その前からも私に見せないようにはしていたけれど、何人も『かれら』を殺していたのだろう。

 それは常人では考えられないことだ。

 恵飛須沢さんのように何か吹っ切れるような事があるか、あるいは私のように生徒達を守りたいという気持ちを固めないとなかなか出来る事ではないし、それでもいくらかのためらいを覚えるのが普通だ。

 それを、萌香さんはこの事態に陥って直ぐに、当たり前のように行い、『かれら』の跋扈するこの世界で生活し、あまつさえ他人を気遣うだなんて、それこそ物語の主人公でもなければきっと出来ない事だろうとは思う。

 

「確かに、萌香さんは普通の人より力も、精神力も強いかもしれないですけど─」

「違うんです……そうではないんです」

 

 私の言葉を遮って、若狭さんから言われたのは、ワクチンについて知っていた事が、この事件に何か関わりがあるのではないかという事が、恐ろしいという内容でした。

 それは……それは、全て私達大人が悪い事でした。

 昨日見たマニュアルに書かれていたことは、とても子供を守る立場の大人がやっていいことではありませんでした。

 ほんの15人程度、クラスの半分程度の人数しか想定していないシェルター。

 緊急時用のワクチンや応急処置キット。

 まるで初めからこの事態を想定していたかのような用意と、あまりにも無慈悲な命の選択、そしてそれが開示されていなかったという事。

 これは、大人が背負うべき罪だった。

 

「若狭さん……これから、少しショックな話をします、落ち着いて聞いてくださいね」

 

 だから私は、被害者である彼女たちに説明をしなくてはいけない。

 確かに用意したのは私ではないとしても、この事件が発生するまで対策を取ることすら許されなかったとしても、それでも子供を守るのは大人の役目だから。

 だから、これは私達大人が担うべき責任だった。

 この罪を償うことは、きっと生涯をかけて責任を負い続けても不可能だけれど、せめて手の届く範囲にいる子供たちを守りたい。

 もし仮にすべてが終わり地獄に堕ちるのだとしても、私は彼女たちを守りたい。

 その思いを改めて認識させてくれた萌香さんの事も。

 

「なので、全て悪いのは私達大人です」

「そんな、先生は悪くなんか……」

 

『そのマニュアルのおかげで生きてるんだしいーじゃん』

『先生は悪くないじゃん、別に先生が用意したんじゃないんだし』

『それが無かったら私死んでたんだよ?それでいいの?──なら感謝しかないじゃん』

 

 やっぱり、ここの生徒達はみんないい子ばっかりだ。

 だから、できることならみんな笑顔のまま、過ごして欲しい。

 私のわがままだとしても、みんなには仲良く、平和に暮らして欲しいんだ。

 

「なので、本田さんもただの犠牲者なんです、少しずつでいいので、仲良くしていってあげてください」

「わかりました……先生がそう言うなら、頑張ってみます」

 


 

 おはよーござーまーーーー!!!

 まぁもう夜になるんですけどね。

 起きたらゆきちゃんとくるみちゃんが添い寝してて心臓止まるかと思いました。

 これもしうっかり『かれら』化して襲いかかってたらくるみちゃんに返り討ちにされて最悪死んでましたね……手錠つけてるとはいえもう少し他人を疑って、どうぞ。

 起きたらりーさんがお料理用意してくれているので、一緒に食べたら夜間の見回りに立候補しましょう。

 あと日記帳はゆきちゃんに渡しておいて先に始めてもらいます、一撃目で正気度を削る前に先に回復してもらいます。

 今夜はくるみちゃんも一緒にお昼寝してしまっているので二人で過ごすことになりますね。

 みんな程よく好感度上がっていいゾ〜これ。

 できる限りみんなの迷惑にならないように、小さな音でクラシックを流しながらのんびり夜を過ごしましょう。

 

「なんかこうやってゆっくり過ごしてると、まるで世界が本当に終わっちゃったみたいだよなぁ」

 

 窓の外の景色を眺めながらくるみちゃんがなんか言ってますね。

 みたいというか、ほぼ終末そのものなんだよなぁ……外は『かれら』だらけで、安息の地もさして多くありません、ここに籠城するのも果たしていつまで持つんですかね。

 

「確かに、今は何とでもなるけど購買部とか食堂の備蓄もそのうちなくなっちまうしなぁ……」

 

 家庭菜園が有るから割とどうにかならなくもないですけど、そのためにはタンパク質なんかも取れる大豆も育てたりしなきゃいけなくなりますし、どちらにしてもいつかは外に出ないといけませんね。

 校舎で脱出せずにただひたすらに耐久しようとすると、やはり問題は食料になります。

 これがなかなか曲者で、同じものばかり食べていると正気度が低下してしまうのである程度のバリエーションが必要になるんですよね、この状況で何わがまま言ってるんだしばくぞ。

 やはり耐久で遊ぶなら適度に遠足に行って物資調達が必要になってきます。

 

「外かぁ……やっぱりどこまで行っても『あいつら』しか居なかったのか?」

 

 そらそうよ。

 極稀に生存者を見かけることもありますけど、北斗の拳のモヒカン族みたいな奴らなので、返り討ちにして物資を奪うくらいにしか役立ちません。

 他人に迷惑かけて生きてるんだから、ま多少はね?

 

「いやまぁ確かに自業自得だけどさ」

 

 なんにしたってここだけで生きていくには無茶があるので、いつかは脱出が必要になるから、とりあえず今は生きてその後どこに行くか何をするか考えましょうや、終末旅行ってのも楽しそうじゃろ?

 多分そう遠からずホモちゃんはいなくなると思いますけど。

 

「楽しいかどうかはともかく、そうだなぁ……皆で旅をするってのも良いかもなぁ」

 

 じゃけん今を生きましょうね〜

 とりあえず考えるべきは次の襲撃をどう生き延びるかです。

 明日より今日なんじゃ!というところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。




特別他者視点のネタも思いつかなかったので責任を取って失踪します。

好感度ガバを好感度ガバで取り返す完璧なリカバリー策を見せてしまった……


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雨の日の死闘

やっと……ここまで辿り着けたんやなって……と思ったので初投稿です。


 ついに決戦の朝を迎えるRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 夜の見張りを終え、今日はついに運命の7日目となりました。

 初日以来の山場に若干私の手も汗ばんできてます。

 多分フラグ立て自体は問題ないとは思うんですけど、なんだかんだ事故率が高いので激戦が予想されます。

 ちなみにもし仮にフラグ立てが足りてない場合何が起こるかというと、学園生活部のメンバーのうち誰かが『かれら』を追い払う方法(校内放送で下校を促す)を自力で思いつく必要があります。

 これはフラグが足りてない数だけ成功率が下がっていき、その時間を誰かしらが外で稼がねば放送室の扉を破られて全滅の憂き目が待っています。

 ホモちゃんなら耐えること自体はおそらく不可能ではないですが、それでも分は悪いしかなりのロスなので出来る事ならそんなことにならないように準備しましょう。

 みんなが起き出してきたら念の為チキンセーブしておきましょう、フラグとか関係なく普通に誰かしら落ちる可能性は十分にあるので。(3敗)

 外は当然のように大雨です、ついに決戦が始まります、事前に飯を食べて全力を出せるように備えましょう。

 

「あら、今日は雨なんですね、なんだか外に『かれら』の姿が少ないような……」

 

 お料理してたらめぐねぇが真っ先に気が付きましたね。

 そうっすね、雨宿りでもしてるんじゃないですかね。(すっとぼけ)

 

「でも助かりますね、これで水の補給ができます、浄水機能は生きてるのに水が通ってませんでしたからね……」

 

 そういえばそうっすね……発電機があるから浄水機能は動かせるのに、そこに水を供給する上水が動いてないので宝の持ち腐れでしたね……

 とりあえずご飯も出来ましたし皆で朝ごはんにしましょう、今日の朝食はトーストとスクランブルエッグ、焼いたベーコン、あと缶詰だけどコーンスープよ〜

 これから戦闘で正気度がモリモリ減るので少しでも正気度にブーストをかけておきましょう。

 食事も終わりりーさんが食器を洗っていると、ゆきちゃんとくるみちゃんが何かに反応しましたね、ついに始まります。

 

「なあ、なんか外から音がしないか?」

「私も……なんか悪い予感がする」

 

 雨漏りでもしてるんですかね?(すっとぼけ)

 ちょっと心配だしついでに畑に大雨の影響出てないか様子でも見てくっぺ。

 いつもの標識を片手に外に出ましょう、先駆者兄貴も言っていましたが、ここでは別に『かれら』の群れを目視する必要性は全くありません、廊下に出るというそれだけで『かれら』のラッシュを感知できます。

 

「そんな変なフラグ立てんなって……あたしもいくよ」

 

 くるみちゃんも覚悟決めとけよ〜?

 まあそんなこと言わなくてもこの戦闘民族は既に戦闘の気配を感じ取って戦闘態勢に入っているので、不意打ち完全無効状態なんですけどね、お前チートか?

 とりあえず外に一歩出たら即放送室に戻りましょう。

 

「お、おいどうしたんだよ畑見に行くんじゃなかったのか?」

 

 そんなこと言っとる場合とちゃうぞ、『かれら』が大挙をなしてやってきています、さあ戦闘準備だ!

 ゆきちゃん、りーさん、チョーカーさんにモップを、めぐねぇには外で拾ってた鉄パイプを持たせて臨戦態勢に入ります。

 可能な限り戦力が偏らないようにゆきちゃんめぐねぇペア、チョーカーさんくるみちゃんペア、そしてりーさんとホモちゃんのペアでそれぞれの階段の防衛に入りましょう。

 階段の上を取って戦えるのでちょっと押すだけでゆきちゃんですら敵を倒せるので早々危機に陥ることはない筈です。

 ただしたまに乱数のいたずらで、一箇所にやたらと押し寄せてくることがあるので、常に周りの状況の把握を忘れてはいけません。(2敗)

 最も戦力が低いゆきちゃん達ペアを中央階段に置いて、ホモちゃんかくるみちゃんが直ぐ援護に駆けつけられるようにします。

 くるみちゃん達のペアは放送室側を、ホモちゃん達は教室側の階段を防衛しましょう。

 さて、戦闘が始まったは良いんですけど……

 

「なんだか、思ったより多くないわね……」

 

 そうなんですよね、へたしたらりーさん一人でも抑えられそうなほど数が少ないです。

 これは他の場所に数が偏ってそうですね……ちょっと他の二箇所の様子確認しましょうか。

 大声で呼びかければ誰かしら答えてくれます。

 

「こっちはなんとかなると思うけど、ゆきの方がやべぇ!」

 

 よりにもよってそこですか……とりあえず一旦ゆきちゃんの所手伝ってくるんでここお願いしてもいいすか?

 

「わかったわ……皆をお願い」

 

 大丈夫だって安心しろよ〜

 ぱぱっと片付けて戻ってきましょう、いくら『かれら』の数が少ないとはいえりーさん一人ではいつまで持つか不安なのも事実です。

 中央階段に行くとゆきちゃんとめぐねぇがかなり顔色悪くしてなんとか『かれら』と奮闘してくれてますね。

 いくらめぐねぇがお覚悟を決めてきていると言っても、まだ戦闘能力自体は以前よりちょっとマシ程度ですからね……

 拙者ハッピーエンド大好き侍という者、義によって助太刀いたす!

 

 その後もりーさんの所に戻ったり、またゆきちゃんのヘルプに行ったりと動き回っていた所でめぐねぇ(時報)がイベント進行を告げました。

 さっさとりーさん拾って放送室に戻りましょ。

 顔色悪いけど大丈夫かりーさん。

 

「大丈夫よ……大丈夫、それより皆は……」

 

 声をかけるとかなり警戒した様子で黙々と『かれら』を突き落としてますね……なんか思ったより正気度低くなぁい?

 とりあえず正気失ってるわけじゃないしいっか。

 痩せ我慢は良くないってそれ一番言われてるから。

 もうバリケードが持たないからさっさと放送室に撤退しますわよ!

 全員無事だからりーさんもホラホラ、ホモちゃんが殿務めるから引くんだよ!

 撤退してイベント進めるとバリケードこそ破壊されてしまいますが、最低限の簡易バリケードと違い撤退しきるまでは持ちこたえるところまで強化出来てるので安全に撤退できます、やっぱり感染者ルートが最強じゃないか。

 放送室に逃げ込んでさえしまえばこっちのもんです。

 これでイベントが……

 

「くそっ、このままじゃまずいぞ!」

 

 イベントが……

 

「なんとか……何とかする方法を考えないと……!」

 

 どうしてイベントが進まないんですか?(電話猫)

 そんな馬鹿な……フラグはちゃんと……

 


 

元生徒の『かれら』を確認する

教室に集まる『かれら』を確認する

混雑時(昼)の食堂を確認する

非混雑時の食堂を確認する

夜間には『かれら』が減ることを確認する

朝から増えてくることを確認する

 


 

 あああああぁぁぁぁぁ!!!!!!ふーざーけーるーな!

 ふざけるな……!ふざけるなッ!!バカヤロー!!!アアアアアア!!!

 なんてことだ……フラグをひとつ回収し忘れていました……

 ちなみにこの放送のフラグなんですが、主人公が学園生活部にかかわらない場合、学園生活部の面々は自分達で勝手に回収して勝手に助かってくれます。

 更に言うと、プレイヤーが知っていてもキャラクターが知らないことはフラグとして使えません、あくまでもできるのは『プレイヤーの知識でフラグを回収する』事だけです、つまり知力も直感力も低いホモちゃんは今現在盾以外の役目はありません。

 さてはこの主人公疫病神だな?

 だからこの日まで合流したくなかったんだ!

 この状況に陥ると解決方法は、誰かが時間稼ぎをしている間に知力か直感力で放送で追い返すことに気付くか、めぐねぇを生贄に差し出して原作と同じ流れに持っていくかの二択となります。

 後者は選べるわけないだルルォ!?

 

 なお収録中の私は原因もわからずオタオタしていますが、とりあえずこのままでは全滅すると気が付き行動を開始しました。

 本当はできればとっておきたかったんですけど、そうも言ってられなくなったので、残していたスキルポイントを《挑発》と《死力》に割り振り、誰にも止められないように放送室から最速で脱出します、幸いにも最後に放送室に入ったので最も出口に近いです。

 イベント発生までにある程度『かれら』を倒せばレベルアップしてスキルポイントは取り戻せるという判断ですね。

 今リセットしても戻るのは今朝、もはや取り返しはつかないのでここからはこのイベントでのロスを最低限にするために一発でここの突破を目指すことになります。

 一度感染しているキャラについては彼らに嚙まれることで再感染の危険はありません、ただしHPが0になり氏亡した場合は確実に『かれら』化してしまいます。

 逆に言えば氏ななければいつまでも戦えるな!

 今の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!この程度越えてくれるわ!

 

「っ!待って萌香さん!」

 

 この状況で待てと言われて待つ奴があるか!

 助けたかったらさっさと何とかする方法を考えろ!間に合わなくなっても知らんぞーーーっっっ!!!

 《挑発》は読んで字のごとく、『かれら』や敵対者のヘイトを一身に集める通常プレイでは確実に腐るゴミスキルですが、感染者ルートでのこういう時には役立ちます、放送室の扉が破られると一発アウトですからね……

 《死力》についてはスタミナのかわりにHPを消費して攻撃、回避、QTEを行うことができるようになります、また死力の効果によってHPが1より減ることはありません。

 よし、一撃も食らわなければいいだけの話だな!(白目)

 バジリスクチャンスみたいにバッタバッタとなぎ倒してくれるわ!かかってこいやゾンビども!

 ガンガン壁を叩きながら挑発スキルを発動して『かれら』を引きつけましょう。

 


 

 止めようと伸ばした私の手は届くことなく、萌香さんは『かれら』であふれる外へと出て行ってしまった。

 確かにここの扉を破られるのは時間の問題だったかもしれない、でも……それでも!

 

「こっちだ!こっちに来いゾンビども!」

 

 壁を叩くような音を響かせながら、萌香さんの声が遠ざかっていく。

 違う、今はそれよりも萌香さんを助ける方法を考えなくてはいけない。

 間に合わなかったら、次こそ本当に彼女を失ってしまう、間違いなく彼女は私達の中で最強だが、それでも一体どれだけ持ちこたえられる。

 彼女が正しく命をかけて私達を助けるために時間を稼いでくれているのだから、一秒だって無駄にしてはいけない。

 部屋の中を見渡して、なにか役に立つものはないだろうかと考える。

 だけど、この部屋に置かれているものは大体が消耗品だった、食品であったりバリケードの補強に使っていた資材類ばかりで、とてもではないけれどあんなにたくさんの『かれら』を追い返せそうなものは置かれていない……

 

 物でダメなら状況はどうだろうか?

 今までこんなことはなかったのに、どうして今日に限って突然こんなに校舎内に現れた?

 いつもと違うのは……雨?

 でも、雨だからって……

 

『『かれら』も雨宿りでもしてるんじゃないすか?』

 

 まさか、本当に?

 でも、だとしたところで私には雨を止ませる方法なんてない、これは役に立たない……

 

「……なんでみんな制服着てるのかな?」

 

 唐突に丈槍さんがそうつぶやきました。

 そういえば確かに、ここで見かける『かれら』は全員制服を着用していました、つまりここにいる『かれら』は皆元生徒だったということ……

 

「なんでって、そりゃ元々ここの生徒だったんだから……」

「でも、夜にはみんなどこか行っちゃうのに、また次の日来るなんてなんか変だなって……」

 

 丈槍さんも、萌香さんを助けるために必死に考えている。

 彼女も萌香さんにとても懐いていたようだったし、もし萌香さんが戻らなかったら、一体どうなってしまうのだろうか……

 私だけの為じゃない、みんなの為にも考えろ……考えなさい。

 確かに夜になると『かれら』の数は減る、一体なぜなのか今まで考えもしてこなかった。

 そして翌朝また増えているのだ。

 しかもそれは殆どが制服を纏った元生徒達と、僅かなスーツ姿の『かれら』ばかり。

 

「まるで登校してきているみたいですね……」

 

 でも、一体なぜ?

 『かれら』になってまでなぜ彼らは学校へと向かってくる?思考が動いている?

 

 『かれら』についてはどうだっただろうか。

 人とは比べ物にならないくらい力が強くて、萌香さん曰く全然お腹が空かなくなると言っていた。

 それじゃあどうして人を襲うのだろうか、食事のためではない?

 そう言えば、お昼ごろに見た食堂は生徒達で一杯だった、お腹は空かないのにどうして……

 

「まさか……」

 

 私は、一つの可能性に行き会った。

 『かれら』は何故夜には居なくなり、再び朝やってくるのか。

 学校に現れる『かれら』は何故生徒ばかりなのか。

 何故『かれら』は食堂に集まっていたのか。

 それは、今の私に思い浮かぶたった一つの可能性。

 地獄に垂らされた一本のか細い糸。

 

「めぐねぇ、なにか思いついたの?」

 

 もしかしたら、これなら救えるかも知れない。

 萌香さんは、『かれら』化していた時はいまいち思考が回らないと言っていた、それならこの時間でも、もしかしたら。

 放送室の設備を起動して、校舎内に放送を開始する。

 どうかこの方法で……

 

「下校の時刻になりました。まだ校舎内に残っている生徒は、速やかに下校してください。繰り返します──」

 

 私に思いつく手は打った、あとは祈ることしかできない。

 どうか、これが間違いではありませんようにと、ロザリオを握りしめてただ時が過ぎるのを待つ。

 …………。

 

 ……。

 

 扉を殴る音が止まる。

 足音が、遠ざかっていく。

 窓から外を見ると、『かれら』がぞろぞろと出て行く姿が見える。

 よかった……うまく行った……

 『かれら』が去って行ったことを確認して、放送室の扉を開く。

 出てすぐの場所に萌香さんは居なかった、その代わり廊下には動かなくなった『かれら』が点々と倒れている。

 放送室から離れて行くように続く『かれら』を辿り、萌香さんを探していく。

 その先に……

 

「ありがとう、先生……助かったよ」

 

 生きていた、確かに生きている。

 全身くまなく血だらけだし、どうやら怪我もしているみたいだけど生きている。

 あぁ……よかった、私は彼女を助けることができたのだ……

 


 

 生きているぅ〜!(ONDISK)

 いや本当に一時はどうなるかと思いましたが、なんとか乗り切れましたね。

 最初想定していたよりだいぶ多く釣れた時は、流石に死ぬのではと思いましたが無事生き残れましたね……初日の階段を生き延びるための戦闘訓練は無駄じゃなかったんやなって……

 想定通りレベルも上がってスキルポイントの確保も出来ましたし、めでたしめでたし。

 

 とは行きません、HPは残りミリ、スタミナは消費し切っているのでもういつ気絶してもおかしくありません。

 気絶する場合睡眠以上に『かれら』化の確率がクッソ激烈に上昇します、もし今のめぐねぇしかいない状況でそうなれば、おそらくめぐねぇが死んでしまうので放送室を目指しましょう、そこまで持つことを祈る他ありません。

 放送室にさえ辿り着ければ、くるみちゃんが居るのでうまいこと取り押さえてくれるはずです、殺されなければ。

 たどり着くまではめぐねぇの話でも聞いてましょう、めぐねぇにもだいぶ正気度ダメージ入ってるはずなので、会話で少しでも回復させます。

 聞くところによると今回は、ゆきちゃんの直感とめぐねぇの知力でフラグ回収を行ったみたいですね。

 やっぱりすげぇよゆきは……

 なんとか放送室の近くまでたどり着くと、くるみちゃんが外で待ってました、これで本当にめでたしめでたしです。

 やっと……雨の日のラッシュが……終わるんやなって……

 

 気絶したところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 慌てて萌香を探しに飛び出しためぐねぇを探しに行こうと、あたしも放送室を出た所で、奥から二人の会話が聞こえてきた。

 どうやらめぐねぇは無事に萌香と合流できたみたいで安心した、いくら最近少しは戦えるようになったとはいえ、一人で校舎内を動きまわるのは心配だったしな。

 戻ってきた萌香の姿は、血がついていない場所を探すほうが苦労するような有り様だったけど、自分で歩けていた、だからあたしは安心してしまっていた。

 ふらふらと、どうにか一歩ずつ進む萌香は、あたしの顔を見るとやっと安心したような表情をした。

 

「ごめんくるみちゃん、迷惑かけるかも……」

 

 それだけ言うと、萌香はその場にうつ伏せに倒れ込んだ。

 『あいつら』のだけじゃない、萌香からもあふれだす血が、その場に血で出来た水溜りを作り出していた。

 急いで駆け寄って仰向けにすれば、顔色は真っ青だが確かに呼吸はしているし、脈も弱いが動いている、気絶しただけかよ。

 なんとか生きている状態に、安堵のため息がでた……

 

「まったく……心配かけさせんなよ」

 

 背負って放送室に運ぼうとした所で、萌香の指が動く。

 強烈な嫌な予感に襲われて後ろに飛び退く。

 

「恵飛須沢さん?どう──」

「めぐねぇさがれ!まただ!」

 

 萌香が起き上がり、さっきとは違うフラフラとした足取りで歩き始める。

 幸いさっき倒れた時に標識を取り落としていたので、武器は持ってないから、取り押さえるのはさして難しくないはずだ。

 でも、かなり傷付いてるはず、できる限りダメージ与えないようにしないといけない。

 

「恵飛須沢、なんかあったのか?」

「萌香が正気飛ばしちまった!手錠とロープを持ってきてくれ!」

「わ、わかった!」

 

 伸ばされる手はシャベルの柄で押さえてさえいれば、そうそう攻撃されることは無いだろう。

 幸いあたし以外を攻撃することは無さそうだし、安心して迎撃できる。

 柚村が手錠さえ持ってきてくれれば、後は壁なり床なんかに押さえつけて拘束さえしてしまえば、暫くすればまた正気に戻るかもしれない。

 もし戻らないなら……その時はあたしがケリをつける、こうなったのも全部あたしのせいだから。

 でもひとまず、今は彼女を信じるしかない。

 ……いや、まあこいつなら普通に元に戻る気もするけど。

 


 

 おま○け♡

 もしめぐねぇのフォローがなくりーさんの正気度も足りなかったら。

 

「りーさん、これ以上は持たなそうだから撤収するよ!りーさん?りーさん!」

 

 バリケードの向こうにいる『かれら』を突き落とす。

 突き落とせば簡単に『かれら』は動かなくなる。

 私が戦わないと。

 『かれら』に肩を掴まれる、どうしてこっち側にいるのかわからないけど、倒さないと。

 モップを喉に向かって突き出す。

 避けられた。

 今までのやつとは違う?

 でも関係ない、殺さないと殺される。

 

「りーさん!何やってんだ、そいつは萌香だぞ!」

 

 いつの間にかくるみが近くに来ていた。

 でも何を言っているのか意味が分からない。

 こいつは噛まれてるんだから、間違いなく『かれら』だ。

 殺さないとくるみも噛まれてしまうかもしれない。

 殺さないと、殺さないと殺さないと……

 モップを振りかぶって目の前の『かれら』に振り下ろすと、手に持っていた標識で押さえられる。

 そして、人とは思えない力でくるみの方へ突き飛ばされる。

 それから間もなく階段のバリケードが突破された。

 私は何かを喚いているくるみに腕を引かれて放送室に戻っていく。

 その最中に目にしたのは、何故か大量の『かれら』に囲まれて応戦している『かれら』の姿だった。




今回のお話まとめ

めぐねぇ「今日は雨みたいですね。外にも『かれら』は居ませんし、昨日までとはえらい違いです」
ホモ「ええ、雨宿りでもしてるんじゃないですか」
めぐねぇ「まあ、これで心配事もなくなりますね!」
ホモ「上機嫌ですね」
めぐねぇ「そりゃそうですよ!これで水も補給できますし、タカキも頑張ってたし、私も頑張らないと!」
ホモ「ええ。(そうだ、私達が今まで頑張ってきたことは全部無駄じゃなかった。これからも私達が立ち止まらない限りRTAは続く……)」

めぐねぇ「萌香さん?何やってるんですか!萌香さん!?」
ホモ「ぐっ……うおおおお!」ガンガン

ホモ「はぁ……はぁ……なんだよ……結構釣れるじゃん……」
めぐねぇ「も、萌香さん……あっ……あぁ……」
ホモ「なんて声……出してるんですか……めぐねぇ」
めぐねぇ「だって……だって……!」
ホモ「私は感染者ですよ、これくらい……なんてことないです」
めぐねぇ「そんな……私達なんかのために……」
ホモ「皆を守るのは私の仕事です」
めぐねぇ「でも!」
ホモ「いいから行きましょう、みんなが……待ってます。それに……(ゆきちゃん、やっとわかったんだ。私達にタイムなんか要らない。ただ走り続けるだけでいい。止まらない限り、RTAは続く……)」

ゆきちゃん『自分を大切にしなきゃ許さない』
ホモ『うん、わかってる(わかってない)』

ホモ「私は止まらないから、皆が走り続けた先に私は居るよ!」

ホモ「だからよ……止まるんじゃねぇぞ……」

 だいたいこんなん。

 なおおまけの方のホモちゃんは《死力》スキルを持っていないので無残にも喰い殺され、その残骸を見た学園生活部の面々は絶望の果てに全滅した。
 りーさんはあのあとすぐ正気を取り戻してまっさきに精神崩壊した。

 次回についてはまだ一文字も書いてないので未定です♡


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今日はなんにもないすばらしい一日だった。

今回他者視点ネタがない代わりにとあるおまけを入れたので初投稿です。


 峠を越えた後に待っていた峠も無事に越えたRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回は雨の日の襲撃を乗り越え死闘の果てに最後にはくるみちゃんに捕まったところで終わりました。

 YOU DEADの表示が出ないということは無事頃されずに済んだみたいですね……良かった良かった。

 目を覚ますと手足は手錠で止められ、胴体にはロープがぐるぐる巻ということは、間違い無く『かれら』化していましたね……

 あまり『かれら』化してしまうと衰弱も早まるので、これからはより素早いプレイが求められます。

 

 とりあえず現状確認、教室内の影の様子からして正午ごろですかね、大声出して誰かに拘束を解いてもらいましょう。

 おーい、めぐねぇでもくるみちゃんでもりーさんでも誰でもいいからこのロープと手錠を外してくんろ。

 口にも猿轡よろしくロープかまされてるのでろくに声出てないですけど、誰かしら近くにいるでしょ。

 なんて言ってたらゆきちゃんが来ましたね。

 ささ、この拘束具を外しておくれ。

 とりあえずロープを解いてもらって、その場に正座させられます。

 ん?これは一体……

 

 パァン!(ガチビンタ)

 

 えぇ……(困惑)

 いえ、まぁ平野店長みたいなガチビンタではなく、かなーり手加減されたもの、というかホモちゃんからすればほっぺた撫でられた程度のものではあるんですけど、まさかゆきちゃんから暴力を食らう日が来るとは思いませんでした……ダメージは一ミリも入ってないんで別に問題ないんですけど。

 ゆきちゃんのハイライト表示がかなり薄くなっていることから、ゆきちゃんが割とキレ気味であるということを意味していますよね。(総当りの裏ワザ)

 

「約束……覚えてないの?」

 

 約束……?

 ゆきちゃんと約束なんかしましたっけ……

 


 

「そっか……わかった!その代わり萌香ちゃんも無理しないでね!約束!」

 

 可愛らしく右手の小指を差し出すゆきちゃんと指切りをしたところで今回はここまで

 


 

 あっ、これかぁ!

 いやすっかり忘れてましたねくぉれは……

 めったに怒らないゆきちゃんがかんかんでいらっしゃるよ、謝罪して差し上げろ。

 いやほんますませへぇぇ〜〜ん……でもこうでもしないとですね……

 

「私、すっごい心配したんだよ、もしもえちゃんが居なくなったらって思うと……すっごく怖くて……」

 

 いやほんま、私にしか出来ないことだったんで……

 あそこでああでもしないと全滅の危機だったんです、許してください何でもしますから!

 ゆきちゃんに泣かれると流石に修羅にその身を落とした私でも心が痛むから泣き止んで(懇願)

 

「じゃあ、次無理するときは連れて行って」

 

 えっそれは……

 多分次無理するのはKちゃん救出から、そのまま流れるようにみーくん救出に行く時ですかね……

 その時はどっちにしろショッピングモールの物資回収も行うので、荷物持ちは欲しいところでしたけど……うーん、それならチャート変更しましょうか、めぐねぇも戦えるようになってますし。

 次無茶をするときは連れて行くという約束を交わしたので、ゆきちゃんは許してくれました、優しい。

 

「つぎは忘れちゃ……イヤだよ?」

 

 大丈夫だって安心しろよ〜、手元のチャートにもちゃーんと書き込んで予定変更してあるから。

 とりあえず拘束がなくなって動けるようになったので、廊下に出ると皆バリケードの修復作業をしてますね、私も仲間に入れてくれよ〜。

 と思ってましたが、つぎはめぐねぇに摑まってしまいました。

 え、なに?もしかしてみんなからお説教っていうロスが待ってたりするんですか?

 

「まだ怪我の治療が済んでないんですから、先に治療からです」

 

 あっそういう事。

 確かに『かれら』化していたら治療できないですもんね、そしたら《応急手当》持ちのめぐねぇオッスお願いしまーす!

 この《応急手当》技能は別に持っていなくても治療自体は可能なんですが、同じ道具を使っても回復量が二割くらい変わってきます、かなりでかい差なので単独行動を取るつもりのプレイなら取得は必須です。

 ただし、学園生活部と行動をともにする場合はめぐねぇ、りーさん、くるみちゃんの三名が取得しているので、よっぽどじゃなければ自分で取る必要は、無いです。

 

「萌香さん、私も心配したんですからね」

 

 結局説教じゃないか(憤慨)

 許してくださいよ〜ホモちゃんにしかできないことだったんですって。

 

「それは、わかっています……悔しいですけど、戦うことは萌香さんや恵飛須沢さんに任せるのが一番で、あの場面では貴方が出るのが一番助かる確率が高かったって」

 

 そうだよ(肯定)

 それにしたって、なんかわからないですけど……このめぐねぇやけに心強くない?なんかよく知らないフラグ踏んだ?大丈夫?死なない?

 

「はい、これで治療は終わりです……今度から無茶する前はひと声かけてください、いきなりやられると心臓に悪いですから……」

 

 あっはい……それはすんません。

 いや、この強くてかっこいい大人の女性は誰だよ(ピ)

 俺の知ってるめぐねぇはもっと要介護ですぐあわあわしちゃう弱々しくて可愛い生物だったダルルォ?

 さてはしらない人と入れ替わったな!?

 

「ひ、酷い!?私だって皆の先生なんですから、しっかりしなきゃって思ったんですよ!あと佐倉先生か慈先生って呼びなさいっていつも言ってるじゃないですか」

 

 …………。

 戦力強化につながったしヨシ!

 なんか当初想定していたよりだいぶ強くなってますが、単純に頼りになるのは助かりますし別にいっか。

 とりあえず今からバリケードの強化に参加するくらいなら、先に昼食の用意をしてしまいましょう、簡易バリケードの設置くらいならもう終わってるでしょうし。

 

 生徒会室に行ったらもう既にりーさんがお料理してましたね。

 ようりーさん!何作ってんだい?

 

「あ、本田さん……カレーを……作ろうと思って」

 

 カレーか……それならレベル1の料理スキルでもなんとか手伝えるし手伝っちゃいましょうか。

 とりあえず何から手伝いやしょうかりーさん!

 

「あなたはどうして、こんなに貴方を疑っていた……いえ、今も疑ってる私を信じられるの?私は貴方を信じられないのに……」

 

 へぇ!?私疑われてたんですか!?

 てっきりもう完全に打ち解けて多少エッチなことしても許される仲だと思ってたのに!

 というかまだ信用されてないとか想定外過ぎてちょっとチャート壊れる。

 参考までにどこら辺疑ってたんすか。

 

「いや、どこら辺って……貴方自分を客観的に見れないの?」

 

 客観的にと言われても……ただ初日に噛まれて職員室でマニュアルを見つけて地下に自分でワクチン取りに行ってちょっと標識を振り回してるだけの……ちょっとやべーやつじゃないかな?

 (RTA走者的には)普通の子じゃないか!

 

「それをちょっととか、普通と評価できるのは貴方くらいだと思うのだけど……ふふっ」

 

 えぇ……こんなのアニメとかゲームとか映画じゃよくいるでしょ(適当)

 そんな笑われるほどですかね?

 

「ううん、ただ本田さんって面白い人だなって思っただけ」

 

 ほんとぉ?

 まあ結果的に仲良くなれたならいっか!

 しっかし、表面上は仲良くしながらも、内面では疑っているとかそんなん考慮できるわけ無いだろ!いい加減にしろ!

 というのは置いといて、とりあえず料理しましょうか。

 ホモちゃんが楽しくお料理できるのも、衰弱して味覚嗅覚が急激に衰える関係からあと数日と無いですし、楽しむなら今のうちですぜ。

 それじゃあ料理風景はべぇそくだ。

 

 今のうちに今後の予定についてご説明します。

 明日にはゆきちゃんがお手紙を出そうと言ってくるので、風船をちゃんと持ってることを確認しましょう、無ければ後で回収しに行きます。

 お手紙を出すことで、高校を卒業する決心がつくイベントである『ヘリの墜落』イベントのフラグが成立します。

 フラグ達成にはゲームでは3世になっている鳩錦を捕獲するか、『かれら』に住所を括りつけるかの選択肢もありますが、鳩錦捕獲は時間がかかりますし、『かれら』に手紙を付けるのは感染者なら楽ちんちんですがヘリの到着が一番遅いです。

 よって風船で送ることになります。

 そして9日目にはKちゃんから救助要請が届くのでどうにか説得してめぐねぇとくるみちゃん、ゆきちゃんを連れて出動します。

 と言うのもこの日にみー君回収まで済ませてしまおうというのが狙いだからです。

 めぐねぇとくるみちゃんにはめぐねぇの車でKちゃんを連れて先に高校に戻ってもらい、ゆきちゃんには一緒にショッピングモールでみー君を回収して、ついでにいくらかの物資を補充してから戻る予定です。

 ではめぐねぇの車もないのにどうやって戻るのかというと、他の先生の車を適当に拝借します。

 《運転(自動車)》スキルさえあればレベル1でもオートマに限り安全運転ならば問題なく運転可能となっております、この為にスキルポイントを残しておく必要があったんですね。(例の構文)

 ちなみにりーさん、チョーカーさんについてはお留守番です、流石に誰もいないとなると、畑やバリケードの修理が心配になってしまうので。

 

 ご飯を食べ終えたら再びめぐねぇに杖術の特訓をつけます。

 おそらくあと一日二日あれば習得可能でしょう、いくら日数に限りがあるゲームだからとはいえ、めぐねぇが天才すぎるってはっきりわかんだね。

 それも終わったら今日はちょちょいとバリケード強化をしたあとは、めぐねぇから安静を言い渡されちゃうので自主的にのんびりラジオでも聞いて過ごしていましょう。

 ちなみに、ラジオの中には自分で好きなジャンルの楽曲を流せるチャンネルもあり、私はよく洋楽のロックを流しています。

 

「よ、萌香は今日は休憩か」

 

 今日はやけにコミュニケーションが多発しますねぇ、こっちとしても助かるので嬉しいですけど。

 そう言えばなんだかんだ忙しくてチョーカーさんとはあんまり触れ合ってませんでしたね。

 正直この人は最初に救助さえしてしまえば、あとはこっちからは何もしなくても勝手にゆきちゃんから正気度の補給を受け、更に戦闘もスキルこそ無いもののそつなくこなし、周りの正気度管理もやってくれるという全く手のかからない有能なので、あまり絡むことはないんですよね。

 とりあえずめぐねぇから休養を言い渡されたのでのんびりしてるだけっすよとでも答えておきましょう。

 

「まあ確かに、傷だらけだったもんな……」

 

 死んでないからセーフセーフ。

 むしろ《死力》等の戦闘スキルをゴリゴリに積んだポジ持ちのホモちゃんでアレなんだから、他のキャラじゃ絶対生き残れないですぞ。

 こういうのはホモちゃんの仕事、他の内務関係なんもできないからそこら辺はヨロシクぅ!

 

「んまぁそうだな……役割分担は大事だよな」

 

 そうそう、だからホモちゃんが戦ってることは気にしないでどうぞ。

 そのうち衰弱して迷惑かけることになるからそうなったらすべて任せるからなぁ〜?

 

 一通り会話してたらやること無くなりましたね……

 仕方ないので夕飯の準備でも手伝いましょうか。

 

「萌香さんはゆっくり休んでてください、あれだけ働いたあとなんですから休むのも仕事ですよ」

 

 どうして止められる必要があるんですか。(半ギレ)

 ちょっと過保護すぎる……過保護すぎない?

 やることなくて暇だっつってんだYO!

 でも別に無理やり手伝わなきゃいけない理由もないんですよね……仕方がないのでまた放送室でラジオでも流しながら体育座りでもしてましょう。

 

「あ、もえちゃん」

 

 ぼけっとしてたらゆきちゃんが渡した日記を持って駆け寄ってきましたね。

 目のハイライト確認……ヨシ!だいぶ機嫌も取り戻したようですね。

 そう言えばこれ渡してましたね、今日は私が書く番ですか。

 

「ねぇもえちゃん、良かったら他のみんなともこれやろうよ!」

 

 あぁ〜いいっすねぇ!

 とりあえず私はここで今日の振り返りでもしてるんで、ゆきちゃんに参加希望者をまとめてきてもらいましょう。

 この手のイベント提案は、主人公に《人望》や《カリスマ》《人懐っこい》と言ったようなスキルや性格がない限りは、ゆきちゃんかめぐねぇに提案してもらうのが一番効率がいいです。

 人数も多くなってくると思うので、一人ひとりに回すというより、その日書きたい人が一言二言ずつ書いていくような日誌にしていくほうがいいかもしれませんね。

 その方が効率よくSAN回復や友好度アップにつながります。

 

「わかった!みんなにも伝えてくるね!」

 

 ハイ、ヨロシクゥ!

 そんなわけで今日の日記を書きましょうか。

 今日あったことといえば……

 …………。

 


 

 だ 一 す な な き

 っ 日 ば い ん ょ

 た   ら   に う

     し   も は

     い

 


 

 いや……あのですね……

 ほんと特筆することなく過ごした日だったので……

 書くことない日で、知能も低いとこういう日記になっちゃうんですよね。

 だって、今日やったことといえばりーさんと料理した以外は基本的に放送室でボケっと過ごした位のものですし。

 

 書き終えたところでゆきちゃんがご飯に呼んでくれたので、食事にしましょうか、正気度的にもそろそろイマジナリーフレンドが消滅する頃ですし、キリもいいので今回はここまで。

 

 ご視聴ありがとうございました。

 


 

 おまけ

 〜くるみちゃんの倒し方〜

 

 全国1億人のRTA走者が苦慮するくるみちゃんの倒し方ですが、故意的に感染した場合に限りわりとあっさり頃す方法があります。

 そのための前提条件から記載いたします。

 

 ①キャラクリ時点で《組み付き》スキルを習得する。

 ②《組み付き》派生の技系スキルを習得する。

 ③一定以上までくるみちゃんの好感度を上げる。

 ④レベルアップと感染で筋力を上げる

 

 以上四点です。

 個人的なおすすめは《プロレス技》ですね、殺傷力抜群です。

 なおこの組技系スキルは対『かれら』として見るとうんちです、どれくらい役立たないかというと、第二次世界大戦に中世の鎧甲冑とバスターソードを担いでいく位役立たないです、感染すれば話は別ですが。

 というのも、『かれら』は基本的にレベルを上げて筋力を伸ばさない限り主人公より遥かに筋力値が高いため取り押さえられない、仮に組み付いても振りほどかれて噛まれる、どうにか取り押さえたところで頃すのに時間がかかりすぎる、その上多数を相手取れない、といいとこなしだからですね。

 何故そんな組技系のスキルでくるみちゃんに勝てるのかと言うと、それは至ってシンプルです。

 組技系のスキルは組技系のスキルを所持していない限り、筋力値のみで振りほどくのが至難の技だからですね。

 その上で『かれら』化した超人パワーでジャンピングパイルドライバーなり直下式ブレーンバスターをアスファルトや廊下の上で繰り出せば、くるみちゃんを即氏〜瀕氏まで一撃で追い込むことができます。

 また組み付き状態にすることでくるみちゃんお得意のシャベル攻撃も使えないため、たやすく始末することができます。

 くるみちゃんの好感度が高い場合、じゃれついてるところから奇襲的にこのスキルを発動することによって回避不可状態で繰り出すことができるので、より確実性を求めるなら上げておきましょう。

 なお、この戦闘スキルを使用する前提条件として理性を保つ必要があるため、抗ウイルス剤の取得は絶対です。

 私はくるみちゃんと真っ向勝負で勝つ方法を探し求めましたが、真正面から勝とうと思うと、組技以外に活路は見いだせませんでした。

 それも感染しない場合、くるみちゃんに自力で組み付きを振りほどかれないところまで筋力を上げるために、《合気道》と違い対『かれら』用のカウンター技が存在しない《プロレス》によって一切のミスなくレベリングが必要とかいう頭おかしい修練が必要で諦めました。

 

 くるみちゃんに勝とうと思ったら、くるみちゃんのレンジ外から一方的に攻撃出来るだけのリーチを持った武器を使った上で、一切のミスなくくるみちゃんの体力を削り切るか、0距離から油断を誘い一撃必札で決めるかの二択という結論にいたり、私は後者が最も簡単であると結論づけました。

 これが一番楽だと思います。

 

 結論

 くるみちゃんは人では勝てない。

 Q.E.D(かく示された)

 

 こんなクソ長いおまけにお付き合いいただきありがとうございました。




くるみちゃん(無辜の怪物)が強すぎる。
あらゆるRTA風小説で無敵のゴリラとして描かれてしまったがゆえの悲劇。
でも別に倒せないわけではない。


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(おてがみ 〜 第一次遠征)

久々の投稿なので初投稿です(矛盾)


 彼女はいつも自由を愛していました。

 彼女自身も自由に愛されていました。

 

 自由とはつまり誰の責任も負わなくていいから。

 自由とはつまり責任は全て自ら負うことだから。

 自由とはつまり、誰の責任を負ってもいいから。

 

 彼女には責任を負える(自由になれる)だけの力がありました。

 彼女には人に頼られる(自由にする)だけの力がありました。

 

 あぁ、だからどうか……

 彼女の進む先にどうかありったけの幸福が待っていますように。

 

《FILE: 佐倉慈の日記》

 


 

 段々とラストが近づいて来ているRTAの続きはーじまーるよー。

 

 前回は交換日誌を書いて夕食を摂ったところで終わりましたので、今回は夜からです。

 ちなみに今晩は絶対安静が言い渡されていますので、見回りには参加せずぐっすり眠ります。

 先ほどの戦闘の結果病の進行が加速しているので、必ず手錠の装備と自身の隔離を忘れないようにしましょう。

 手錠してても噛み付くこと自体は不可能ではないので、可能であれば別室で眠りたいところですが、現在の好感度を鑑みるにおそらく許可は出ないので寝てる間は近寄らないようにだけ告げておきましょう。

 それではおやすみなさーい!

 

 

 おはよーござーまーーー!!!

 

 起きてりーさんが用意してくれた朝ごはんを食べていると、ゆきちゃんがお手紙で救助を呼ぼうと提案してきます。

 正気じゃない頃と違い、明確に救助を呼ぼうという目的を考えられているゆきちゃんは賢いなぁ。

 当然ちゃんと風船は用意してあるので、こいつでお空に飛ばしましょう。

 

「よくそんなもん拾ってたな」

 

 何故と聞かれると答えにくいんですけど、あえて言うなら必要になるかもしれないって私のゴーストが囁いたからっすかね。(義体並感)

 実際役立ったし細かいことは置いといて、理科準備室にほらいくどー!

 

 雨の翌日は昨日外で活動できなかったうっぷんを晴らすかのごとく、『かれら』は外で活動しているので、今日は大した心配もなくくるみちゃんと一緒にヘリウムガスの入ったボンベを運びましょう。

 おそらくボンベのサイズ的に3000リットル前後のものなので30kg程度だと思われるので、ホモちゃん一人で担いで移動できますね。

 

「それ……重くないか?」

 

 重いに決まってるダルルォ!?

 標識と合わせて50kg弱のもの担いで歩いてるんやぞ、戦闘になったらなんもできないから守ってね。

 まあくるみちゃんについては最序盤に一緒に戦うときのパパスくらい信用していいので、心配の必要は皆無なんですけどね。

 

「いやほんと、頼りになるな萌香」

 

 戦働きと肉体労働以外は役立たないっすからね、仕方ないね♂(レ)

 私が戦えなくなる時はくるみちゃん一番信用してますからね?

 しっかし、1mちょっとあって30kgするボンベを背負って屋上まで登るってやべーなと思ったけど、くるみちゃん初日にもっと重いもの背負ってグラウンドから逃げてきてましたね……やっぱりこいつただもんじゃねーな。

 屋上には運んでおくだけで、先にお手紙作成イベントをこなす必要があります、紙やペンはゆきちゃん達がすでに用意してくれているので私達も生徒会室に向かいましょ。

 

 生徒会室に戻ると既にゆきちゃんはお手紙を書き始めていたので、ホモちゃんもさっさと書いちゃいましょう。

 書くのは要救助者の人数と住所だけです。

 知力がアレ様なので絵は書きません(断固とした意思)

 ちなみに人数は7人(内訳はめぐねぇ、ゆきちゃん、くるみちゃん、りーさん、チョーカーさん、Kちゃん、みーくん)と記載しておきます。

 多分周りからはめぐねぇ、ゆきちゃん、くるみちゃん、りーさん、チョーカーさん、ホモちゃん、幻覚の7人だと思われてるとは思いますけど問題なしですね!

 

「なんと言うか、実用性一辺倒だな……」

 

 絵はかけないし、他に伝えること思いつかないからね、仕方ないね。

 とりあえず全員が完成させたら風船に括りつけて後は飛ばすだけです、それが終わったら夜まではまた自由行動になりますね。

 昼間のうちに誰か連れてバリケード用資材でも集めに行きたいところです、最終日の地獄を乗り越えるにはまだまだバリケード足りないですし、皆も先日の襲撃で危機感を持ってますから否の声は出ません。

 とりあえずチョーカーさんでも連れてグラウンドにある体育用倉庫まで回収に行きましょう。

 あそこにはハードルが置かれており、バリケードとして使うには実に優秀な素材です、台車に載せて大量に運搬しましょう。

 ついでに余裕があればカゴにでも入れてバレーボールやソフトボールなんかも運んでおきましょう。

 これはラッシュ時に階段にばらまくことで、多量の『かれら』がそれを踏みつけて階下に落ちてくれるのでラッシュの難易度が劇的に低下します。

 

 そして空いた時間はバリケード強化より新規敷設に注力しましょう。

 バリケードの数が増えればそれだけラッシュ時に耐えられる時間が増えるということですからね。

 その敷設も今日は一旦二階までで構いません、今夜活動することになるのでできるだけ多くの人に体力には余裕を持っていて欲しいですから。

 

 それに先駆者様との違いとして、私はKちゃんみーくんの救出を同時に行うので、活動に余裕があります、そこは更にみーくんも手伝ってくれるので効率は格段に上昇します。

 車の運転ができるとこれがあるので楽ちんちんです、正直残す山場は後輩救出を残すのみと言っても過言ではないな(慢心)

 二階まで再びセーフティエリアにすることが出来たら、あとは思い思いゆったり過ごしましょう。

 ホモちゃんも特別やる必要があることはないので、夕方まで屋上で携帯ラジオでも聞いててもらいましょう。

 正気度は充分回復したのでボケっとしててももはや幻覚は見えないので何もしてなくて大丈夫です。

 

「そんなとこでなにしてんだ?」

 

 ぼけーっとだんだん暮れゆく空を眺めてるとくるみちゃんが現れました。

 ホモちゃんと同じく脳筋で内政系はまるでできないタイプなのでやることがなくなったんですかね?

 

「めぐねぇの補習から逃げてきたお前に言われたかねぇよ……」

 

 いやほら……それはアレだよ、頭使うことはめぐねぇとかりーさんがやってくれるから……(目反らし

 それにホモちゃんは料理できますし!

 何より今はラジオ聞いていたいですし、正気度は多いに越したことは無いですからね。

 

「お前ほんとラジオ好きだな、今日はロックか?」

 

 そうだよ(肯定)。

 ここのチャンネルが最も76.1MHzに近い周波数帯なので、Kちゃんによる熱烈ラブコールが始まったらすぐに察知することができます。

 個人的にもよく聴くチャンネルですね。

 

「まああたしも分かるよ、前にも話したけど、やっぱり誰かが生きてそれを流してくれてるって思うと、あたしも頑張らないと!て思えるからさ」

 

 ほんと、この世界観はよく作りこまれていると思います、多くの人間が、まだ人類は終わってないんだぞー!と主張する様々なサインが多数あり、おそらくまだ見つかっていないイースターエッグなんかもあるのではないでしょうか。

 なんて思考にふけっているとラジオにノイズが入りました、ついに来たわね。

 少しずつ76.1MHzにチャンネルを合わせて行きましょう。

 

『私は……K……巡ヵ丘……』

 

 放送の内容にくるみちゃんと顔を見合わせました。

 要約すると『私は今巡ヵ丘駅の室長室にいるよ。食料も水もないけど足を怪我しててろくに動けないよ。噛まれてはいないよ』です。

 この情報を持って生徒会室に向かいましょう。

 

 これらの情報を学園生活部の面々に説明し、救出に向かうことを主張しましょう。

 賛成派はホモちゃん、ゆきちゃん、くるみちゃん。

 反対派はめぐねぇ、りーさん。

 中立にチョーカーさん。

 という陣容で会議が始まるので、最低でもめぐねぇ、くるみちゃん、ゆきちゃんを連れて行動できるようにしましょう。

 

「確かに、生存者がいるなら救助に向かうべきだとは思いますけど……何も今すぐではなくてもいいんじゃないでしょうか、これから日が暮れて視界も悪くなりますし」

 

 めぐねぇの言うことにも一理ありますけど、日が暮れたら『かれら』が居なくなるのもまた事実、昼間の混雑する駅に行くより安全です。

 

「そうだよ!助けられるなら助けてあげたほうが賑やかになるし、一人はかわいそうだよ!」

「足も怪我してるみたいだし、もし手遅れになったら悔やんでも悔やみきれないし……あたしも助けに行きたい」

 

 そうだよ(便乗)

 最悪ホモちゃん一人なら安全に動けるから、馬鹿野郎お前俺は救出活動に行くぞお前!

 

「……わかりました、ただし移動は車で行います、運転は私がします」

 

 やったぜ。

 それじゃあ早速鍵と車を取りに行きましょうや。

 最終下校時刻も過ぎて校内に『かれら』はほぼ居ないので移動時間は倍速だ。

 

 感染者倍速中……

 

 で、なんでりーさんとチョーカーさんもこ↑こ↓(教員用玄関)にいるんですかねぇ?

 話的には二人共来ないと思ったんですけど……ままええわ、それはそれで資材回収効率上がりますし。

 

「というか、萌香はなんで当たり前のように運転してきてんだよ……」

 

 それはねチョーカーさん、ついでに街の資材を拾って帰れば一石二鳥だからです。

 移動時間は大差なく資材集積量は増える、完璧な効率だぁ……(うっとり)

 まあ建前なんですけどね、初見さん。

 ちゃーんと《運転》スキルも習得してあるから、ホモちゃんの華麗なるドラテク見とけよ見とけよ〜?

 

「一応……ちゃんと運転できてましたから……」

 

 そうだよ(肯定ペンギン)

 ゴネる先生を説得するのは苦労しましたが、効率のために犠牲となってもらいましょう。

 なんだかんだ柔軟な先生嫌いじゃないし好きだよ。

 それじゃあ適当に乗り分けて移動開始しましょうか。

 めぐねぇ号:めぐねぇ(ドライバー)、りーさん、くるみちゃん。

 ホモ号:ホモちゃん(ドライバー)、チョーカーさん、ゆきちゃん。

 戦闘力の観点から以上の振り分けで、イクゾー!(カーンカーンカカカカーンデーン)

 道中はめぐねぇ号が先導して駅を目指していきます、こっちにはゆきちゃんという天才カーナビが居ますが、大人として流石に車で前を走らせることはさせてくれません。まぁどうせ誤差だよ誤差!

 

「ところで萌香、お前免許なんか持ってたんだな、よくテスト合格できたよ」

 

 え、なんでいきなり知力煽りされてるんですかね(メンバー中ぶっちぎり最低値)。

 免許なんか必要ねーんだよ!運転できればそれで十分!

 

「……ちょっと待て、お前無免許で運転してるのか?」

 

 無免許どころか今日初めてハンドル握ったゾ。

 大丈夫だってヘーキヘーキ、平気だから。

 マリカーも相当やりこんでるから安心!

 

「降ろせぇ!今すぐ私をこの車から降ろせ!」

 

 え、イニシャルDのほうが良かった?良ければスマホにユーロビート入ってるしかけようか?(すっとぼけ)

 そんな馬鹿騒ぎをしながらしばらく進むと巡ヶ丘駅が見えてきました。

 ここがあの女のセーフハウスね……

 駅のロータリーに車を停め、それぞれ武器を片手に降車します。

 人通りはまばらとはいえ、この街唯一の駅でそれなりに『かれら』が居まして、エンジンの音に誘われてわらわらと寄ってきます。

 とりあえずホモちゃんとくるみちゃんの二人が最初に降りて引きつけましょう。

 その隙に他のメンバーに降りてもらったら、戦闘力の低いゆきちゃんりーさんを中心に、両脇をめぐねぇとチョーカーさん、先頭はホモちゃん後方にくるみちゃんという配置でインペリアルクロスを組み、駅長室を目指して進撃開始です。

 両脇の二名は中央二人よりはマシ程度なので倒そうとはせず押し返す程度にしてもらいます、今はとにかく進軍速度を大事に行くのだ。

 ちなみにこの中心二人いらなくね?と思うかもしれませんがそうでもありません。

 ゆきちゃんは早期警戒レーダーとして有能ですし、りーさんも緊急時に音爆弾(防犯ブザーなど)の使用等でかなり役立ちます。

 外を探検するときは可能な限り全員連れて行くといいでしょう。

 なお改札付近以外はたいして『かれら』がいるわけでもないのでかなり余裕を持って行動できます。

 駅長室にたどり着いたらドアをノックしてもしも〜〜〜ししましょう。

 すいませぇ〜ん、木下(大嘘)ですけども〜。(開けるの)まーだ時間かかりそうですかね〜?

 巡ヶ丘高校の生徒で、放送を聞いて助けに来たといえば信じてくれるのでちゃっちゃと中に入りましょう。

 そしたらこのルートの要救助者の一人、祠堂圭ちゃんの救出はほぼ完了です。

 

「本当に助けに来てくれるなんて……」

 

 (そういう趣旨のRTAなんだから)あたりまえだよなぁ?

 という冗談は置いといて、とりあえず持ってきた医療品で(めぐねぇが)治療するから脚見せろ。

 その間は扉の前で彼らが入ってきてもいいように構えていましょう。

 ごく稀に大乱闘が始まることがありますが、今回は発生しませんでした、まあ発生しても余裕ですけどね!(強がり)

 

「ありがとうございました……あの!助けてもらっていきなりで申し訳ないんですけど──」

 

 Kちゃんの申し出は簡単にまとめると『ショッピングモールに友達が残ってるから助けてほしい』ということです。

 あ、いいっすよ。(安請け合い)

 ここまで来たら一人助けようが二人助けようが変わらないっすからね(建前)

 

「その、聞きにくいんですけど、ショッピングモールは立て篭もるには充分なんですか?女の子一人となると……」

「あ、はいそれは大丈夫だと思います、抜け出してきたのも本当につい最近で、バリケードや日持ちのする食品類もちゃんと用意できてましたから」

 

 したらばもうちょっと待って、ショッピングモールの閉店時間を迎えたらふた手に分かれてみーくんの回収に向かいましょう。

 めぐねぇ号にKちゃんを乗せてみーくんをホモちゃん号に、そして食料や資材類なんかを搭載したら迅速に撤退でどうしょう?

 閉店時間にさえなってしまえば『かれら』の数は激減しますし、比較的安全に救出できると思います。

 

「そうですね……そうしましょうか」

 

 よし、そういうことに決まったらりーさんが用意してくれたお夜食のおにぎりで休憩だ!

 

 といったところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 あぁ、こんなことになるなら、やっぱり美紀のところに残ったほうが良かったかな……

 でもたとえあそこに残ったところで、訪れるのは緩やかな死でしかない、私はまだ諦めたくない、きっとまだどこかに頑張っている人がいるはずなんだ。

 私は諦めない、諦めたくない。

 救えなかった、見捨ててしまった人たちの分も、私は生きなくてはいけないんだ!

 でも、この怪我じゃもう遠くへ移動はできない、この部屋には食料が殆ど無いから長居することもできない。

 ないないづくしの中で、唯一あったのは放送用設備だけで、私はそれに一縷の望みをかけて放送をした。

 段々と日が暮れていく窓の外を眺めながら、これからどうしようか考える。

 いや、考えるまでもないか……生きるならばどうにか食料を手に入れないといけない、でもこの足じゃあ……

 そんな堂々巡りの思考をしていると、ついに運命の時を迎えてしまったのか駅長室の扉が叩かれる。

 いつ破られてもいいように、覚悟だけは決めてここまで逃げる間使っていた鉄パイプを持ってそっと構える。

 もしかしたらまだ、気付かれたわけではなくてたまたまぶつかっただけかもしれない……

 

「すいませーん、救助要請聞いてきた巡ヶ丘高校の者ですけども〜」

 

 一瞬、聞き間違いかと思ってしまった。

 久々に聞いた美紀以外の人の声、それも所属は私がいた高校の人だという。

 まさか本当に救助が来るだなんて……

 

「あれ、ここじゃないのかな……」

「でも室長室ってここだろ?」

「あ、い、今開けます!」

 

 扉を開けて入ってきたのは全部で6人でした。

 制服を見るに巡ヶ丘の生徒が5人、多分全員先輩とあとは佐倉先生という確かに巡ヶ丘高校の人達でした。

 あれだけたくさん人が集まる場所でこんなにたくさん生存者がいたなんて……なんだか凄い。

 あとなんか一人だけ、何故か道路標識を片手で当たり前のように持ってる人が居ました、それはそれですごい……

 

「まさか、本当に助けに来てくれるなんて……」

「同じ学校の生徒だしね、当たり前だよ」

「治療用の道具を持ってきたので、足の様子を見せてください」

 

 救急キットを持ってきていた佐倉先生の言うとおり、捻挫していた足を見せて治療してもらっている間に、助けに来てくださった皆の事を見ていた。

 見た感じ戦い慣れてそうなのは道路標識を片手に持ってる人と、シャベルを持ってる人、返り血も浴びてるからここに来るまでにも戦ってきていたんだとうかがえる。

 真ん中で守られてた一番小さい子─多分先輩だけど─は、私が気付いていなかった食品なんかを目ざとく見つけていた。

 なんと言うか、みんなすごく手馴れているように思えて、もしかしたらこの人達となら生き残れるんじゃないだろうか、そんな根拠の薄い思いがあふれてくる。

 この人たちならもしかしたら……

 

「あ、あの!助けてもらっていきなりで申し訳ないんですけど……」

 

 私は、すぐに頭を下げてお願いしていた。

 どうか私の親友を助けてほしいって。

 それが難しいことだっていうのはわかっている、あれだけ備蓄の豊富なショッピングモールであんな惨事だったんだ、学校ではいろいろと不足してしまうかもしれない。

 

「お願いします!私にできることならなんでも「うん、いいよ」だから!……え?」

 

 一瞬聞き間違いかと思ってしまった。

 だって、そんなにあっさり……

 周りの人も、この人の言動にやれやれまたか、というような反応をしながらも、否定的な意見は出てこない。

 そんな……まさか夢でも見ているんだろうか。

 

「一人助けるのも二人助けるのもたいして変わらないから、それにもともと資材集めにショッピングモール行くつもりだったし」

「はぁ……また家計簿つけるのが大変になるわね」

「いやー、ほら、その分わたし頑張るからさ」

 

 みんな苦笑しながら、それでも次の計画を決めていく、私も聞かれたことには素直に答えて、協力を惜しまない。

 怪我をしたり、美紀には心配をかけさせちゃったけど、でもやっぱり外に出てみて良かった。

 

 だって、こんな世界になってしまったけれど、それでも私の前にこんなに凄い救世主が現れてくれたんだから。

 

「とりあえずりーさんのおにぎりで腹ごしらえして、備えよう」

「その前にくるみと萌香は手を洗ってくるように」

「ちょ、ちょっと待て、あたしまで巻き込むなよ!?」

 

 これが私と、ちょっと間抜けでカッコイイヒーロー達との出会いでした。




何も言うことはない(殿下)


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みーくん救出

書いててみーくんが毒舌すぎるし一番コントロールが効かないので初投稿です。


 要人救出のためのタスクフォースチーム、コードネーム学園生活部が結成されたRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回はKちゃんの救出を済ませたので、今回はみーくんの救出に乗り出します。

 移動は再びクルルァを使いますが、めぐねぇ号には一足先に学校に帰ってもらいます。

 怪我人一人連れた状態では素早く『かれら』の中を切り抜けることは叶いません、いくらくるみちゃんとホモちゃんのダブルアタッカー構成でも速度が出ない以上囲まれてしまいます。

 かと言って、移動時点で音が出てしまい『かれら』をおびき寄せてしまうクルルァを使う以上、車の中にKちゃんを残して護衛するというのも下策です。

 ではどうするのが最も安全か、その答えは簡単です。

 

 感染者であるホモちゃんを除いた中で筋力2位(めぐねぇ)3位(りーさん)の二人でKちゃんを担ぎ、くるみちゃんが『かれら』を蹴散らしながら学校内部のセーフティゾーン、現状で言うと二階以上を目指す、です。

 

 学園周辺は初期マップということもあり、特に夜間の『かれら』の数はかなり少ない方です、おそらく遭遇したとしても合計して両手の指で数えきれる程度まで、それならばたとえ追いつかれたとしてもくるみちゃん一人で十分対処可能な量です。

 対するショッピングモール組はどうかと言いますと、それなりの数の『かれら』が居るには居るのですが、別に倒す必要はないのでゆきちゃんセンサーを頼りに可能な限り戦闘は避けて目的地まで駆け抜けていきます、そのための機動力重点メンバーです。

 モールはそもそも雨の日を突破していること、あるいは感染者であり単独行動を前提とされたバランスになっているようで、昼間は目も当てられない量の、夜間でもそこそこの数の『かれら』がいます、そこに人を担いで速度が落ちている状態で護衛はしんどいので、こっちは足かせなしにしたいんですよね。

 最悪遭遇戦になったとしても同時に相手取るのは数人程度、ホモちゃんなら容易くひとひねりにできるのでさしたるロスもありません。

 以上の理由から先にめぐねぇ達には帰還してもらいます、これが一番安全な方法だから納得してくれよな〜

 

「確かに、その通りですね……でも校外で別行動というのは……」

 

 まあまあそう言わずに、それに後日再度向かうにしてもガソリンもったいないし一度で終わらせましょうや。

 ホモちゃんも今更一人二人にやられるほど弱くもないし、早く二人を再会させてあげたいダルルォ?

 

「わかりました……気を付けてくださいね」

 

 大丈夫だって安心しろよ〜、二人と要救助者には傷ひとつつけさせないから、それにまだめぐねぇにホモちゃん一族相伝(大嘘)の杖♂術を継承できてないから必ず戻るゾ。

 これも今まで積み上げてきた信頼関係のなせる技ですね、信じろ(ゴリ押し)でなんとかできるようになってきました。

 諦められてるだけとも言います。

 とりあえずメンバーの同意も得られましたし、ショッピングモールへ倍速でほらいくどー。

 


 

 私が呆然としている間に、先輩たちはさっさと班分けを決めて行動を開始していました。

 どうやら私は、佐倉先生の車で一足先に学校へと戻るようです。

 

「あ、あの、向こう戦えそうなの本田……?先輩一人だけで本当に大丈夫ですか?何なら私一人でまだここで……」

「あぁ……まあ心配なのはわかるけどアイツなら一人でなんとかなるだろうし、安心しときな」

 

 私の疑問に答えてくれたのは、シャベルを持った恵飛須沢先輩だった。

 大丈夫って言うけれど、ショッピングモールはここより断然多くの『かれら』が居て、私一人で隠れて逃げるのも一苦労な有り様だったのに二人も守りながら……いや、戻るときには三人を守りながら動けるものだろうか。

 確かに車に戻るときに見た本田先輩はすごく強かったけれど……

 

「どうするめぐねぇ、説明しといた方がいいかな」

「そう……ですね……萌香さんには悪い気もしますけど、いつかはお話しないといけないことですし……」

 

 それから私は、学校でも発生した惨事について聞いた。

 突如発生したパンデミックから、まずは屋上へ避難したことや、校舎内を制圧していったことなどだ。

 そして、本田先輩がすでに噛まれている事も。

 未だに本田先輩以外は確認していないそうだが、学校の地下にシェルターが用意されていて、そこにあった抗ウイルス剤を使って今は症状を抑えている状態らしい。

 しかもその抗ウイルス剤、職員室に置かれていた、先生すら中身を知らない緊急時マニュアルをたまたま見つけて、そこから傷を負った状態で単独地下まで赴き入手して迷わず投与したそうだ。

 そしてその副作用というか、後遺症として異常な怪力や無尽蔵の体力なんていったものがあり、現状学校メンバーの最大戦力らしい。

 んなアホな……そんな映画みたいな物が学校にあったなんて想像したこともなかった。

 

「信じられないのもわかるわ、私もつい最近までずっと疑っていたから」

 

 少し悲しそうに若狭先輩が苦笑していた。

 信じられないというか……現実がまるで物語のようになっているから、もはやこのツッコミが意味をなすのかわからないけれど是非叫ばせてほしい。

 

「あの人本当に人間!?出来の悪い小説か何かの主人公じゃなくて!?」

「それはあたしも思うわ」

「あの……萌香さんは本当に優しい人ですから……たまに突拍子もないことをしたりしますけど」

「まあ……そうねぇ……」

 

 みんな信頼しているのに誰も否定してくれないところに、なんと言うか、その……さっきまで見てた本田先輩らしさを感じた。

 


 

 ショッピングモールに到着ッ!(KZNAKR)

 『かれら』も入り口のバーもシカトして駐車場に突っ込みます。

 わざわざこんな夜中に立体駐車場に居るのはヤンキーとか暴走族だった『かれら』位のもので、人数は居ませんので無視だ無視。

 

「お、お前なぁ!突っ込むなら声かけろ!寿命縮むわ!」

 

 つっこむぞつかまれッ!ウォンッ

 というジョークは置いといて、駐車場に入ったら入口付近に車を停めて、ちゃっちゃとみーくん救助に向かいましょう。

 すでにKちゃんから住処にしている部屋の場所は聞いているので、そこまで一直線に向かいます、入り組んだ場所ではゆきちゃんセンサーで角待ち野郎を察知するか、そうじゃなくてもホモちゃんなら出会い頭に一瞬で抹☆札できるので問題ありません。

 ちなみに物資収集は後回しです、何故なら人出が多いほうが効率いいからですね。

 そのためのキャリーバッグ、あとそのための筋力?

 画面では無事目的地であるみーくんが立てこもる部屋までたどり着きましたね。

 部屋の前に彼らが居座っていますが、邪魔なので掃除しちゃいましょう。

 開けろ!デトロイト市警だ!

 すると慌てた様子でみーくんが部屋から飛び出してきます、この時扉の正面に立っているとドアで攻撃されるので扉から離れておきましょう。

 

「ひとっ!?救助が来たんですか!」

 

 部屋の中からたった今まで寝てたみーくんがドスケベランジェリー姿で現れます、あら^〜いいですわゾ〜これ。

 とりあえずKちゃんとかいう自称君の友人から教えてもらってここにきたんだけど、付いてきてもらってもいいかな?

 

「圭……!よかった……生きてたんだ……」

 

 一階に車停めてあるから、物資回収しながら戻りましょ。

 君も服着て持ち物まとめたら出発するから、準備ヨロシクぅ!

 

「すみません、ここに来るまでの間に犬を見かけませんでしたか?太郎丸って名前の……これくらいの大きさなんですけど」

 

 はい、ここで先駆者兄貴と同じく太郎丸捜索イベントが始まります。

 時間が経ってピアノに現れるまではどこをどう探したって発見は不可能なので、とりあえずは「犬ならどんくさい『かれら』に捕まりはしないだろうし、とりあえず物資集めながら探そう」と言って主目的である物資調達を行っていきましょう。

 ここで手に入れるべきは何より食料です。

 あと数日で脱出前のラッシュが始まってしまうので、それまでに可能な限り全員の正気度を高く保つ必要があります。

 なにせラッシュの日には『救助に来た(救助とは言っていない)ヘリが墜落する』『『かれら』の大量発生』『学校が火事になる』と言った正気度メガトンコインが大量に用意されています。

 特にりーさんの正気度は常時気を付けておく必要が出てくるので、最も手軽な回復手段たる食事に必要となる食材は最優先回収目標です。

 次点ではバリケード強化用の資材類や工具類となりますが、今日はそこまで優先して拾う必要はありません、後日暇なときにでも外に回収に行けばいいだけです、そのための言い訳もちゃんと用意してあります、もちろん集めておくことに越したことはありませんので、可能なら拾い集めておきます。

 みーくんもそれで一応納得してくれるので、これから一階に向かって移動しつつ回収を済ませてしまいましょう。

 途中現れる『かれら』は美味しく経験値として頂きつつ、所定の時間を潰しますと、ピアノのところに太郎丸が現れるので、入り口のホールに向かいます。

 おーおーおーおー、どこ行ってたんだお前よぉ、逃げやがってよーおい。(HND△)

 

「太郎丸……!あんなところに……」

 

 みーくんもバレるとまずいと思ったのか、ちゃんと小声で情報共有してくれます。

 本来であれば拾ってきたブザーなんかを使って『かれら』をまとめてしまうのが楽なんですが、今回はもっと楽な方法が用意されています。

 もうみなさんおわかりだと思いますが……

 

「そんな、いくら先輩が強くてもあんな中に入って行くなんて自殺行為ですよ!」

 

 そう、ホモちゃんなら誰にも気付かれずにピアノまで行って太郎丸を回収して帰ってこれるのです。

 『かれら』に誤認されてるからこそ取れる方法ですが、一番楽で確実で安全な方法です。

 音についてもピアノの鍵盤叩いてエレクトリカルコミュニケーション(YYUT)している『かれら』がいる限り気にする必要もないので超余裕です。

 まあ見ていたまえよ(余裕)。

 

「私としても大丈夫だとわかってたって心配だから、ちゃんと安全策使おうぜ?」

「そうだよ、せっかくこれ拾ったんだから無茶しちゃダメだよ!」

 

 えぇ……できればブザー類は極力使いたくなかったんですけど……流石に反対派三人は押しきれませんね……大人のくせにちょろいの(めぐねぇ)とか脳筋だからちょろいの(くるみちゃん)とかちょろいの(Kちゃん)いないし。

 しぶしぶ了承して、ブザーを鳴らして遠くに放りましょう、そうすれば『かれら』は音源に誘導されて離れていくので、より安全に回収にいけます。

 流石にそうすれば一人で近づくのを許してくれるので回収に行きましょ。

 ほーら太郎丸〜お迎えに来ましたよ〜

 おい、なぜホモちゃんを無視して真っ先にゆきちゃんに向かって走っていった。

 いくらブザーに惹かれて数が減ったとはいえ、わざわざホモちゃんを避ける意味無かったダルルォ!?

 

 ま、まぁええわ、目標は達成したし許したる。

 とりあえず後は車に乗って学校に帰るゾ〜。

 車までの道中に居る『かれら』は、すでに防犯ブザーに吸い寄せられて減っているのでさっさと乗り込んで脱出しますよ。

 

「くれぐれも安全運転で頼むからな……」

 

 ここまで事故は一度もしてないんだから大丈夫だって安心しろよ〜

 それじゃあ早速入った時と同じで……つっこむぞつかまれッ!ウォンッ

 今度は出口側のバーをふっ飛ばして道路に出たら学校までは安全運転で帰りましょう、ちょこちょこ『かれら』を挽いてハンバーグにちょうど良さそうなひき肉にしてたりしてフロントやバンパーが凹んだりしてますが、どうせ私の車じゃないしどうでもええわ(レ)。

 ちなみに今壊したバーですが、無意味に破壊したわけではありません、次回以降出入りするときに一々壊してない方から入るようにするよりも、今のうちに両方壊してしまっておくほうが楽だから破壊したまでです、決してガバではありません、それだけは真実を伝えたかった。

 

「わざわざそっちのバー壊す意味あったか!?お前もう替われよ!私のほうがマシに運転できる気がするわ!」

「……ゆき先輩、この人(頭)大丈夫ですか?」

「……もえちゃんはね、すごく頼りになるんだよ!」

 

 うるせぇよ!お前ら誰も運転スキル持ってないんだからまともに運転できないだろ!いい加減にしろ!

 私が一番うまくこの車を運転できるんだ!(天パ並感)

 そのまま車内でギャーギャー騒ぎながら学校へと帰っていきます。

 ちなみに主人公を除いて運転スキル持ちは主要メンバー内ではめぐねぇとくるみちゃんの二名のみとなります。

 そしてくるみちゃんはホモちゃんと同じくゲーム内で運転覚えた人です、同じ条件なのになんでくるみちゃんが運転の時は文句でないんですかね〜、不思議ですね〜。

 その後は宣言通りちょっとした『かれら』との人身事故こそありましたが、『かれら』は人ではないので無事故で学校に辿りつけました。

 校舎内にはほとんど『かれら』も居ないので素早く生徒会室に戻りましょう。

 居たよ!みーくんが!

 

「圭!」

「美紀!」

 

 感動の再会に涙して抱擁する美少女、あぁ^〜たまりませんわ!

 この光景を見られただけでも助けた価値があったというものです。

 他のみんなも、こんな世界になっても変わらぬ友情と、そして再び巡り会えた奇跡に直面して正気度を大きく回復しています。

 戦力補強、人手の獲得、更に正気度の回復といたれりつくせりな神イベントの消化も終わったところで、夜も更けていますしホモちゃんの睡眠欲も無視できないところまで来ているので寝ましょうか。

 症状が進行するに連れてだんだん活動できる時間も減っていくので、マスクデータになっている進行度の指標として、こういった睡眠欲は割と有効です。

 最終イベントまでは余裕で持ちそうですかね。

 とりあえず今宵はここまでに致しとうございます。

 

 手錠もしっかりはめておやすみなさーい!と言ったところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 突然扉が叩かれた音で、私は急速に目を覚ました。

 それは今までのように体ごとぶつかったような重たい音ではなく、客人を訪れた時にするような、拳で叩くノックのような音。

 もしかして、圭が戻ってきた……?

 一瞬そう思ったけれど、次にかけられた言葉で私はそれ以上の驚きを感じた。

 

「開けろ!デトロイト市警だ!」

「意味わかんないこと言って威圧してんじゃねえよ!普通に助けに来たって言えよ!というかデトロイトってイミフだわ!」

 

 なんとも気の抜けるようなやり取りだが、それ以上に驚いた事があった、今この人たちは助けに来たって……

 

「ひとっ!?救助が来たんですか!」

 

 慌てて扉を開くと、三人の女の子が立っていた。

 救助と言うには、少し頼りないようにも感じてしまったけれど、よくよく考えると驚きを隠せない。

 こんな終わってしまった世界で当たり前のように生存し、あまつさえ女の子がたったの三人で外を歩き回れるだけの力を持っているという事に。

 というか、チョーカーをつけている子や、猫耳のような帽子を被った子はわかるのだが、道路標識を片手に血まみれというのはいささかショッキングな光景にすぎるし、まさか私は夢でも見ているんじゃないだろうか。

 こっそり後ろ手に体をつまんでしまった私を、いったい誰が責められるだろう。

 あと通行禁止の標識なのは彼女なりのジョークだろうか?

 この先死者通行禁止。

 

「君の友達らしい圭ちゃん?って子から君を助けて欲しいって言われてきたんだけど、ついてきてもらっていいかな?」

「圭……!よかった、生きてたんだ……」

 

 私の準備を待っている間、何故先輩達─どうやら全員私と同じ巡ヶ丘高校の先輩らしい─がここにやってきたのかを聞いた。

 圭はここを抜けだしたあと、足を怪我するも駅までたどり着き、そこからラジオを使って救助を呼びかけて、それをたまたま聞いた先輩達が圭を助けて、そこからさらに私の情報を得て助けに来てくれたらしい。

 巡り巡って、圭は私を助けてくれた。

 ここで迎える緩やかな死に抗って、この荒廃した世界に飛び出した圭のおかげで、私の熱を失い始めていた希望に新たな(たきぎ)()べられた。

 話を聞く限りなら、確かにここに居るよりよっぽど学校にいたほうが良いだろう。

 食料は貯蔵があり、電気も水も(なんとシャワーまで!)使えて、そして何より多くの人が集まっている。

 ほんの少しの間だけだが、一人と一匹で過ごしてわかったことがあった。

 人は、孤独に耐えられる生き物ではない。

 私も合流することで物資面で迷惑をかけてしまうことは心苦しいが、それでもまた人の輪の中に入ることができるというのはとても嬉しいことだった。

 誰とも会話ができない、触れ合えないというものは思いの外精神に来る、そう学べた時間だった。

 そう言えば、太郎丸はどうしたんだろう?

 さっきまで一緒にいたはずなのに、気づいたらどこにも……っ!

 私は急いで先輩達に、太郎丸という犬を見かけなかったか聞いてみたけれど、誰も見かけていないらしい。

 一直線にここに向かってきたため見ていないところも多く、犬なら逃げ切るのも容易いだろうからとりあえず探してみようと提案してくれた。

 元々物資集めも兼ねて来ているから、捜索するのは問題ないそうで、確かに犬が、それも太郎丸のような小型犬が『かれら』に摑まるというのは想像しにくい。

 私もこれから世話になることから、資材集めのついでというのも賛成できた。

 それにしてもわざわざキャリーバッグまで持ってくるというのは本当に準備がいい。

 その後ショッピングモールを下って物資を集めていったが、ついぞ太郎丸は見かけなかった。

 どうにかもう一度探させてもらえないか声をかけようとしたところで、先輩がホールの方に目を向けました。

 

「もしかして太郎丸ってあれ?」

 

 わたしもそっちを見ると、ピアノの上でぐるぐると降りる隙を伺っている太郎丸の姿がありました。

 最悪なことに、そのピアノの鍵盤にぶつかり音を立て続けている『かれら』が居るせいで、多くの『かれら』がそこに集まってしまっていてとてもではないが簡単に助けられる状態ではない。

 どうすれば太郎丸を……

 

「んー、まあ私が行けば拾ってこれるよ、ちょいと行ってくるね」

 

 あっさりと、まるで『ちょっとコンビニまで買い物行ってくる』とでも言うような、あまりにも軽すぎる言い方に一瞬私は呆然としてしまったけれど、すぐに止めに入る。

 一体この人は何を言ってるんですか!

 確かに本田先輩はここまでも正直引くくらいサクッとその手に持った道路標識で『かれら』を文字通りの意味合いで粉砕してきていました、それでもあの数の中に入ると言うのはただの自殺にしか思えない!

 一緒にいた丈槍先輩や柚村先輩も宥めて、どういうわけかわからないけど本田先輩は不服そうにしながら、防犯ブザーを使っての救助を行うことになりました。

 そうして無事太郎丸と合流出来た私達は、本田先輩達が乗ってきた車で学校に帰ることになりました。

 躊躇なく『かれら』を轢くこととか、意味もなく──先輩的には次来るときのために──駐車場のバーを破壊したりとか、やっぱりこの人頭おかしいんじゃないか、あるいはこんな世界になっておかしくなってしまったんじゃないかと思ってしまう。

 ただ、こんな状況になっても笑い合える人がいるというのは、とても心強いことだと、改めて思えるちょっとした旅路になりました。

 


 

「本田先輩が、噛まれている……それって平気なんですか?」

 

 学校に到着してその日のうちに、佐倉先生から現状などについて話を聞いた。

 パンデミックが起こった直後のこと、雨の事、何よりあの事件の初日に本田先輩が噛まれているという事。

 

「そんな都合のいいこと有りますか?噛まれて直ぐにたまたま抗ウイルス剤の場所がわかって取りに行くなんて……むしろ本田先輩は最初からこの事──」

「美紀、それはダメだよ……私も思わなくもなかったけどさ」

「……すいません、ちょっと色々ありすぎて」

「いえ……まあ……そう思ってしまうのも仕方ないことだとは思いますから」

「深く考えない方が気が楽だぞ、萌香だからな」

 

 どうにもよろしくない。

 昔から圭にはよく言われていたけれど、私は論理的に考えすぎるし思ったことをすぐ口にしてしまう。

 しかし、こればっかりは私は悪くないと言いたい。

 あの人が規格外すぎるのが何よりいけないと思うのだ。

 何よりあの人の行動全てがおかしいと言える。

 初日に大人の佐倉先生を選んで助けて屋上に連れて行き、噛まれたら抗ウイルス剤を入手しに隠されていた地下へ。

 症状が安定したら校内の残された生徒を助けながら物資を集めて生存者へ贈る?

 どんな存在がそんなことを可能にすると言うんだろうか。

 よほど慈愛の精神があふれた怪物か、あるいは何か裏のある怪物にしか思えない。

 私や圭を助けてくれたことには感謝しているし、実際彼女のおかげでこれだけ多くの人が助かっているから、信用してもいいのかもしれないけれど、私はとてもではないけれど信頼するというのは難しいかもしれない。

 それだけだったら、の話だが。

 まだこれから、実際に接していかないとわからないけれど、少なくとも悪い怪物ではない……ような気はしている。

 何せその怪物は、今まさに私達の前で身動きが取れないように体を拘束してアホづr……幸せそうな顔をして寝ているのだから。




みーくんの懸念はそらそうだなと書いてて思いました(小並感)


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日常回

ネタがないので初投稿です。


 ついに全ての要救助者を保護したRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 というわけでおはよーございまーーーー!!!

 いや〜、ついに最優先でやるべきことを終わらせたとあって気分がいいですねぇ!

 スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ〜〜〜ッ!

 さてと、こうなるとやることは多くありません、残された時間を有効に使い、バリケードの新造と補強、あとはイベントを駆使して正気度の上昇をはかります。

 あと忘れてはいけないのはめぐねぇへの杖術指南ですね、戦える人は増やしておくに越したこたぁありません。

 自由とはいえやれることが多すぎて、とりあえず何しましょうかね……

 

「あ、先輩おはようございます!」

 

 おっ圭ちゃんオッハー!(激寒)

 話しかけてくれたついでなので、本RTAにおけるKちゃんの役割についてお話します。

 まず最も重要な点は、ホモちゃんとみーくんとのクッションの役割です。

 論理的思考力のスキルを持つみーくんは、大して仲良くもない状態で主人公が感染していると、大抵の場合敵対的な状態になります。

 特に主人公が自分で抗ウイルス剤を入手している場合、常に主人公を疑っている状態になってしまうため、かなり効率が悪いです。

 その点間にKちゃんが挟まってくれると、ある程度疑いを晴らしてくれたり、好感度上昇させてくれたりするので、感染者スタイルでプレイするなら可能な限り救助しておきたい人材です。

 あとは先駆者兄貴も活用していましたが最終ラッシュでも最後の切り札になってくれます。

 RTA中はこんなもんですが、通常プレイでは足の怪我さえ治ってしまえば既に『かれら』討伐処女は失っているのでかなりの戦力になるでしょう。

 

「でも先輩すごいですよね、物語の主人公っていうか……ヒーローみたいで!」

 

 照れるぜ。

 この子の何がいいって、よっぽどじゃなければ助けたら勝手に好感度もりもり上がってくれる事ですよね。

 メンタルもクソツヨなのでホント世話かかりません。

 とりあえず朝ごはん用意しに行きましょうか、多分りーさんも始めてる頃でしょうし。

 

「えっ、先輩料理できるんですか……?」

 

 あぁん、なんで?(半ギレ)

 どいつもこいつもホモちゃんを見くびり過ぎだってそれ一番言われてるから。

 女の子やぞ。

 

「あ、あはは……いやーなんというか、すごく意外で」

 

 めっちゃ美味しいご飯作ってやるから見とけよ見とけよ〜?

 おうりーさん!オッハー!(激寒)

 料理手伝いますぜ。

 

「あら、おはよう萌香」

 

 なんかよくわからんけど疑われてたりーさんとも、最終的にちゃんと仲良く出来てるし順風満帆だぁ(恍惚)

 とりあえずお料理の手伝いを……あら?

 コンロを選択しても『料理を手伝う』しか出ませんね、これはまさか。

 とりあえず手伝うを選択してからメニューを開くと……やっぱりな♂

 料理スキルのレベルが上げられなくなっています。

 これは感染の進行により嗅覚と味覚の2つが鈍ったことで、料理の味付けができなくなったことに起因しています、なおこの時点で料理スキルが2以上の場合強制的に1に落とされるので経験値ロスに気を付けましょう。

 しかしついにこの時が来ましたか……まあ手伝うだけなら支障が出ないんで問題ないのですが、最大の問題は味覚の消失により『食事による正気度回復』の効果が失われたことですね。

 味のしないものを無理やり噛んで呑み込んだところで満腹感を得られるだけで正気度は回復しません、これからは本格的に食事は控えましょう、食べたところで無駄にしかなりませんから。

 ただまあまだ失われたのはその程度のものなので問題ありません、体は今までどおり動きますし、ついでに皮膚感覚が失われたとしても火事の中も動き回れるようになるだけです。

 とりあえずパパパッと準備してご飯にしましょう!朝食は用意してしまったので食べますがお昼からは抜きます。

 

 お食事が終わると続いて本日の予定を決めることになりますが……戦力さえちゃんと割り振れば正直誰をどこに配置しても問題ありません。

 あえて言うならば正気度の低い人とゆきちゃんを組ませて、自分とは好感度が低い人で組み合わせる感じですかね。

 というわけで本日の班分けはこちら!

 

 屋上菜園:りーさん、Kちゃん

 バリケード補強:めぐねぇ、くるみちゃん、チョーカーさん

 資材回収:ホモちゃん、みーくん、ゆきちゃん

 おさんぽ:太郎丸

 

 以上!みんな散開!

 ちなみに太郎丸はお仕事ができない代わりにみんなの下を回って正気度を振りまいてくれる天使です。

 改めて思うと一番正気度ヤバイのホモちゃんだし、回復手段が減っていくので早いとこ回復しないといけない状態でした……

 ちなみにKちゃんは極力動かなくてもなんとかなるように、屋上でのんびり過ごしてもらいます、無理しない程度に手伝ってくれればいいです。

 とりあえず資材回収イクゾー!(デッデッデデデデッ)

 

「おー!」

「お、おー」(カーン)

 

 と言っても校内にはあまり資材がありません。

 なので正直やることはバリケード班と変わらず、もっぱら基本は机や椅子の運搬です。

 ほいめぐねぇ、この持ってきた机有効活用してくんな!

 

「お、重いよ〜」

「ゆき先輩、頑張ってください」

 

 後ろでJK達が机を一つ一つ運んでるのを尻目に、机の天板を合わせて二つ一気に運んでる奴がいるらしいっすよ?

 恵飛須沢くるみって言うんですけど……

 

「お前もやってるだろうが!まるであたしだけが怪力みたいな言いがかりはやめろォ!」

 

 お前それ感染者パワー溢れるホモちゃんと同じこと出来てるって事ダルルォ!?

 


 

 つい先日まで圭と一緒に悲壮感に溢れていた日常がまるで噓のように、突然賑やかな日々になった。

 外は相変わらず『かれら』で溢れているけれど、それでもこの校舎の中は明るい活気で満ちているように感じた。

 本田先輩がボケて、くるみさんがツッコんだり、あるいはゆき先輩がさらにボケたり、騒がしくとも懐かしいような学校の風景だった。

 

 観察していて思ったのだが本田先輩は、自分が感染していることを隠したりはしていない、ある種一つの持ちネタのように振舞っているフシすらある。

 なんというか、アホな人だなと思った。

 もちろん悪い意味ではない、とても素直で正直で、誰かのために頑張れる人なんだと感じた、損な役回りの人だ。

 そうでなくてはきっと、こんなに沢山の人を助けられて、そして助けてもらえる人にはなれないだろう。

 だからだろうか、不思議と周りに人が集まってきて、図らずとも人の中心にいる、そんな人。

 自分の命すら惜しまずに差し出せる、素敵な人。

 まるで童話の幸福な王子のようだ。

 

「うーん、なんか違うんだよね……もっとこうズバッと踏み込んでオリャーッ!て感じで……」

「えっと……こうですか……?」

「んー、そうじゃなくてね──あ、そうそうそんな感じ!そうやってズバーンて」

 

 ただ間違いなく頭は良くないなと思う。

 それをカバーできる人がいるなら決して悪い欠点ではないけれど、この人本当に先輩なんだろうか、とは疑問に思う一幕だった。

 


 

 午前の仕事も終わってめぐねぇに杖術の指南をしてたら、ついにめぐねぇが習得してくれました!

 これで最終日も戦闘面は安泰ですね、一人技能を持っているだけでだいぶ変わりますよ。

 こうなると本当に……やることがないですね、ええ。

 一階にも簡易バリケードが設置できてしまいましたし、まる一日余暇ができてしまいました。

 なんならショッピングモールまで食品やら何やら拾いに行きましょうか、寝具があれば正気度回復にも役立ちますし。

 

「昨日行ったばっかりですし、資材面もしばらく余裕ありそうですし、私はやめたほうがいいと思います、無理するほど困窮してるわけでもないですし」

「先生もそう思います、余裕にかまけるのはいけませんが、無理するのもよくありませんからね」

 

 そう……(落胆)

 まあそういうことなら仕方ありませんね、適当にみんなとふれあいましょうか。

 と言ってもやること……あぁ、そういえば交換日誌がありましたね、久々にのぞきましょうか。

 

『きょうはなにもない(ry』

『↑もえちゃんそれ日誌になってないよ!』(ゆき)

『↑まあ一日中大人しくしてたしな』(くるみ)

『↑それにしたって小学生の夏休みの日記かよ』(たかえ)

 

 ひどい言われざまに涙がで、出ますよ……

 適当に『平和な日常って素晴らしいだルルォ!?』とでも返しておきましょう。

 他の人が書いた日記を読んだり適当に返信したりしながら時間を潰しましょう。

 あぁ^〜正気度回復の音ォ^〜

 しかしみんなちゃんと使ってくれててよきよき、地味ですが正気度管理が楽になるので皆様にもおすすめです。

 

 一通り読み終わったらそうですね……今のうちにKちゃん達と親睦でも深めましょうか。

 合流から日が浅い状態で最終日を迎えるため、ラッシュ中に言う事聞いてもらうためにも仲良くなっておく必要があります。

 ようKちゃんとみーくん!ここには馴染めたかい!

 

「あ、本田先輩!はい、みんないい人ばっかりで助かってます」

「そうですね、皆さんによくしていただいてて」

 

 まあみんないい子たちばっかりだからね、困ったらとりあえずめぐねぇに振ればなんとかしてくれるよ、多分。

 ホモちゃんにできるのは戦いと荷物持ちくらいのもんだから、外に出たいとかなにか運びたいとかあったらいつでも声をかけてくれたまへ。

 そのまま他愛もない日常会話をしながら時を過ごしましょう。

 お夕食はキャンセルだ、適当に食欲がないとか言っておきましょう。

 

「食料のことを気にしてるの?それなら昨日回収してきてくれたおかげで余裕ならあるけど……」

 

 いや、そういう訳じゃないから気にしないでどうぞ。

 味がしないもの食べたって仕方ないからね、そういう意味では空腹感じないのは素晴らしいですねぇ、ゾンビボディ様々です。

 あ、作るならお手伝いするけどいる?

 

「ううん、もうカレーが出来上がるから平気よ」

 

 あ、そっすか……

 おいやべえよどうするよ……やること無いとかチャートに無いよ……

 本来なら合流が遅い関係でここまでバリケード補強が進んでるはずもなかったので、こんなに自由な時間ができるなんて思ってもなかったですね……

 ただ時の流れる速さは変わりはしないのでまあロスじゃないしいっか(適当)

 みんなが食事中は一人だけ食べてないと気まずい雰囲気になってしまうので、適当に屋上で空でも眺めていましょう。

 街の灯がないことで、やたらと星空が綺麗です。

 

「先輩、こんなところで何してるんですか」

 

 おや、みーくんがここに来たということは、星空イベントですかね?

 星空イベントというのは、みーくんの好感度イベントの一つで、一緒に星空を眺めてみーくんに星座や星の名前を教えてもらえるイベントです、とてもロマンチック。

 とりあえず特に何もしてないです、ただ空を見上げて時間つぶしてただけでとでも答えておきましょう。

 

「食欲がないって本当ですか?」

 

 そうだよ(肯定)

 味がしないとわかってるものなんて、食欲わかないですからね。

 まあそこまでは答えませんが。

 

「先輩さっき食事を要らないって言いに行った時、ついでに手伝おうか声かけてましたけど……」

 

 君もホモちゃんが料理できないと思ってるのか、たまげたなぁ……

 女の子だし料理くらい出そうと思えば(王者の風格)

 

「いやまあそれもあるんですけど、そこじゃなくて……あの時、もう部屋にはだいぶカレーの匂い充満してましたよね?」

 

 え、そこですか?

 と思いましたけどあ、そっかぁ……

 

「本田先輩……来たばかりの私が言うのもなんですけど、隠し事は良くないと思います、とくに体に関わることで」

 

 君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

 という冗談は置いといて、まさかそんなところからバレるとは思いませんでしたね……

 ただこの口振りだと別に全員にバレてるわけじゃなければ大丈夫ですかね、誰にも言わないようにお願いしましょう。

 

「どうして、先輩は……!皆さん心配していましたよ」

 

 余計に心配かけちゃうし正気度減っちゃうからダメです。

 そんな事より夜空でも眺めましょうや、今日は星がきれいですぞ。

 

「すいません、そういう気分では……」

 

 クゥーン……好感度は稼げませんでした……

 まあバレてしまったことは仕方ありません、出来る事なら高校脱出まで隠し通せればよかったんですが、まあそれはそれ、みーくんはそうそうこういった内容を無闇に口にしたりはしないタイプなので大丈夫でしょう。

 しかしこれでおそらくみーくんの正気度が減ってしまったのは痛いですね、明日もみーくんとゆきちゃんが可能な限りともに動けるようにしなくては。

 

 と言ったところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

「どうだった?萌香の様子……」

「やっぱりりーさんの言った通りみたいです、でも誰にも話すなって言ってました、余計な心配かけたくないから、と……」

「あのバカ……」

 

 やっぱり、萌香の体に異常が出始めているのは間違いないみたい。

 昨日辺りから異常には気づいてはいた。

 昨日一緒に作った時に、やたらと味付けが濃かったことだったりとか、鍋に触れて熱いはずなのに気付いていなかったりとか。

 特に今日は、朝食を作るときには味付けに加わらなかったり、お昼も夕食も抜いたり、とっくに完成してあとは染みこませるだけのカレーの匂いに気付かなかったり。

 もしやと思っても、私は聞くことができなかった。

 だって怖いじゃない……

 せっかく仲良くなれたのに、誤解も無くなって、やっと本当に友達になれたのに、その人が壊れていくさまを見ていかなくちゃいけないなんて、信じたくないじゃない!

 でもそれは、本当だった。

 もしかしたら一過性のもので、元に戻るかもしれないし、これ以上悪化することはないかもしれない。

 それでも、最悪を考えてしまう。

 もしかしたら萌香は……

 

「きっと大丈夫だよ!」

「ゆき?」

「いつだってもえちゃんはすぐ無茶して、私達のことを引っ張ってくれて……ハラハラしちゃうけど、でも大丈夫だよ!だってもえちゃんはいつも、どんなピンチだって乗り越えてくれたから!」

 

 確かに、そうだ。

 萌香はいつだって無茶ばっかりして心配させて、それでもちゃっかり帰ってきて。

 今まで何度無理をしてきたことか……

 それに、一番萌香になついているゆきちゃんがこうして気丈に振舞っているのだから、私ももっと前向きにならないと。

 

「そうね、その通りよね、またきっといつもみたいに乗り越えてくれるわ」

「確かに、バカは風邪ひかないって言うしな、アイツなら何とかするだろ」

 

 そしたらまずは、いつも通りに振る舞えるようにしないといけないわね。

 私達が心配してると、萌香に心配をかけさせないために。




ネタがないのにあと一日あるとかどうすりゃいいんだ……状態なので失踪します。


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日常回その2

また日常回なので2日連続初投稿です。


 最終日が刻一刻と近づいてくるのにやることがないRTAの続きはーじまーるよー。

 

 今回は屋上でみーくんに振られたところから再開です。

 一体何がいけなかったんでしょうかね〜不思議ですね〜

 まあどう考えても好感度不足と直前のカミングアウトのせいなんですけども。

 とりあえずみーくんが来たってことはご飯も終わってるでしょうし、そろそろ戻りましょうか。

 

 とりあえずみーくんもですけど、それ以上に自分の正気度回復手段を考えないといけませんね……

 とりあえず日誌開始時点で一時中断していた個人用の日記を再度つけ始めましょうか、わずかとはいえ回復できるのでやらないよかマシですね。

 これはたぶん遺書だ。(大嘘)

 とりあえず日記も書き終えたらそうですね……適当にゆきちゃんにでもからみに行きましょうか。

 あの子はそばにいるだけで正気度回復効果をもたらす広域回復ユニットです、神かな?神だな!

 ヘイゆきちゃーん!何の話ししてんの?

 

「あ、もえちゃん!えっとね……秘密!」

 

 くぉれは何か隠し事ですね間違いない。

 明日とかに何かサプライズでイベントでも開くつもりかな?

 ゆきちゃんはこういったイベントなどを自主開催して、普段の作業が中止になる代わりに大幅な正気度回復イベント等を開催することがあります。

 RTA的には本来歓迎するものではないのですが、今回ばっかりは歓迎しますよーするする……ヌッ!

 私にも教えてくださいよ〜何ならお手伝いしますぜ旦那!

 

「ダーメ、内緒は内緒だよ!」

 

 うーん、そう言われてしまうと突っ込めない。

 仕方ないので他愛もない雑談をして時間つぶしたら寝ちゃいましょうか。

 ちゃんと手錠もかけておやすみなさーい!

 


 

 みんなが寝静まった、深夜の2時を回った頃だろうか。

 (美紀)はとある物音で目が覚めた。

 金属同士がぶつかり合い擦れるような、少し耳障りな音。

 それにかき消されるように、低く唸るような声も混じっている。

 ここ最近よく聞き、耳にこびりつくような不快な声。

 『かれら』の唸り声だった、それが近くから聞こえてくる、確かにバリケードも作られてるのに……

 周りを警戒しながら布団を抜けだして見回してみると、生徒会室に置かれた椅子に、くるみさんが腰掛けて月の明かりを頼りにシャベルの手入れをしていた。

 

「よっ、起きちゃったんだな」

「くるみさん、この音って……」

 

 なんとなく予想は付いている。

 『かれら』が派手な物音一つさせず、一階から三階まで張り巡らされているバリケードを越えてこられるわけもない。

 この音の発生源は……

 

「ああ、萌香が……ちょっとな」

 

 やはりそうだった。

 昨日もそうだが手錠をつけて寝ている時点で察していた。

 本田先輩は『かれら』として動いてしまうことがある、という事だ。

 だからわざわざ頑丈な手錠まで用意して、寝にくいだろうに体を固定して寝ているんだろう。

 

「あの、本田先輩はいつも……?」

「いや、いつもってわけじゃないんだ、ただ……前より間隔が狭くなってると思う」

 

 つまりきっと病状が悪化している、という事だろう。

 ただくるみさんはどうにも慣れた様子……というよりも信頼しているような様子で落ち着いていた。

 くるみさんは立ち上がるとコーヒーメイカーから一杯のコーヒーを注いで私の前に置いた。

 

「たぶんどっちにしろ寝れないだろ?こんな状態じゃ」

「まあ、そうですね……本田先輩は、戻るんでしょうか」

「今までだって何度もああなって戻って来たんだ、今回だってきっと……でも安心しなよ、ダメならちゃんと……あたしがケリをつける」

 

 怯えるような様子もなく、しっかりと覚悟の決まった顔をしていた。

 怖くはないのだろうか、ついさっきまで笑い合ってともに過ごしていた人を傷付け、殺めるという行為が。

 もし圭が『かれら』になったら、私は……

 

「萌香が嚙まれちまったのもさ、あたしのせいなんだ」

「え?」

「あたしがさ、もう噛まれてた先輩を担いで逃げてて、それで屋上に逃げこむって時に萌香はあたしを庇って嚙まれたんだよ」

 

 くるみさんは、膝を抱えてポツポツとそれからのことを喋り始めた。

 もう聞いた内容も含めて、くるみさんの主観で見たこと、思ったこと、いろいろな話を聞いた。

 ところどころコミカルに、それでも鮮明に思い浮かべられるような臨場感を持った話に、私はすっかり聞き入っていた。

 

「で、あいつったら酷いんだぞ、寝ぼけてたとはいえあたしの事ゴリラ呼ばわりしやがって……お前のほうがよっぽどゴリラだろうが」

「ふふっ、本田先輩らしいですね」

「萌香はさ……普段ふざけまくってるけど、めちゃくちゃお人好しの、優しいやつなんだよ」

「……はい、皆さんから聞いて、こんな人本当にいるのかって思いました」

「自分のほうがよっぽど大変なのに、貴依を助けたり、あたしらの為に物資をこそこそ集めて置いてったり……ごん狐かっての」

「……」

「だからさ、あたしはあいつに人を襲わせたくないんだよ……そんなの、あいつが一番悲しむに決まってるじゃねぇか」

 

 確かに、あの人はお人好し……というよりも人が好きな人だ。

 誰でも困ってたら助けて、困ってなくても困ってないか声をかけてきて。

 そんな人が、自分の意志ではないとはいえ人を殺めて悲しまないわけがない。

 

「だから、もしも本当にあいつがダメそうならあたしが止めてやるんだ、それがあたしにできる一番の恩返しだから」

「強いんですね、くるみさんは」

「あたしなんかあいつの足元にも及ばないよ、力も心も」

 

 そう言ってくるみさんは恥ずかしそうに笑うけれど、私にはとても強い人に見えた。

 友達のために、友達に武器を向ける勇気を持つというのは、きっと私が想像できないほど難しいことで。

 それを覚悟させられる程、萌香先輩は優しくて好かれる人なんだろうなと思えた。

 段々と東の空が白んでくる。

 まだ付き合いはないに等しいけれど、どうかあの太陽のように、あの人が今日も変わらずにこの学校での生活が送れますように。

 


 

 赤い視界からおはよーございまーーーー!!!

 最終日目前での『かれら』化は痛いですね……これは痛い。

 時間も既に午前11時とかなりのお寝坊で、この様子だとかなり症状が進行してそうですね……

 とりあえず手錠を外してみんなを探しに行きましょうか……

 と、思ったところでしたがちょうどよくくるみちゃんが来ましたね。

 くるみちゃんオッハー!

 

「萌香!良かった……元に戻れたんだな……」

 

 おう、すっかり寝坊してしまったけれど元に戻りやしたぜ。

 いやー、しかしここまで寝坊しても始末されなかったのでやっぱり好感度上げって大事なんですわ。

 まれに諦められて始末されることがあるので、ゴリラの好感度には気をつけよう!(2敗)

 

「もえちゃん!」

 

 おおう、続いてゆきちゃん渾身のタックルですね。

 今までは食らってもびくともしなかったのに、今日に限ってはベッドに尻餅をついてしまいました。

 

 なんで?なんで?なんで?なんで?(レ)

 ステータスを見てみましたが、特別下がってる様子もないので衰弱が始まったわけでも無さそうですけど……あっ、これかぁ!

 バッドステータスの《めまい》が付加されてますね。

 これは衰弱が始まる前兆となっているバッドステータスとなっておりまして……つまりピンチだな!ガハハ!

 

 おかしい、よほど乱数に嫌われない限りここまで進行しているはずが無いのに、何者かによる陰謀か?

 一番進行度が伸びていた可能性があるのは雨の日のスマブラで気絶した時の乱数ですかね……

 これはまずい……まずいですね。

 何がまずいって、最悪今夜再び『かれら』になってしまった場合明日のラッシュ時にお荷物になってしまう可能性があることなんですよね。

 そうなると洒落になりません。

 めまいだけなら打たれ弱くなるだけでダメージを喰らわなければ問題ないんですけど、完全に弱体化してしまった場合元の生身だった頃のステータスを下回ってしまうんです。

 これは想定していませんでしたからね……

 

 仕方がありません、ここでトラップカードオリチャーを発動!

 そこそこ溜まった経験値を生贄に捧げて、感染者プレイの救世主スキル《抗体》を習得します!

 本来であれば準備状況に合わせて各種戦闘技能のレベル上げや新規取得に使うつもりだったんですけど、諦めてこっちのスキルにしましょう。

 なーに、明日のラッシュの難易度が上がるだけさ(白目)

 この《抗体》スキルですが、習得の翌日に進行度が急激に下がり、また再進行が遅くなるので通常プレイの感染者ルートでは必須のスキルとなります。

 ではなぜ安定のために習得するのが今回のチャートに入ってなかったかと言いますと、実はこのスキルはLv1を習得するのに3レベル分のポインヨを求められる激重スキルなのです、そんなのRTAで取ってる余裕あるわけ無いんだよなぁ。

 幸いにして駅、ショッピングモールでの戦闘、めぐねぇへの杖術指南の達成、更に良くわかんないけど複数の好感度イベらしき経験値でレベルアップしたのでポインヨは足りています。

 さらば杖術スキルレベル3……

 

「おい萌香、平気か?」

 

 おっと、スキル習得に気を取られすぎて心配かけちゃいましたね。

 ちょっと寝過ぎて目眩しただけだから大丈夫だって安心しろよ〜

 さてと、今日は何して過ごしましょうか。

 お腹にぐりぐりと頭をこすりつけてくるゆきちゃんを宥めながら校舎内を歩きまわりましょう。

 おや、音楽室からピアノの音が聞こえてくるということはKちゃんのイベントチャーンスですね。

 さあ行きますわよ!

 

「ピアノ?誰が弾いてるんだろう」

 

 とりあえず行けばわかるし行ってみましょうや。

 音楽室の扉を開くと、まあ案の定Kちゃんがピアノを弾いてました。

 弾き終わったらちゃんと拍手してあげましょう。

 へぇ、ピアノ弾いてるんだ、モーツァルト?(無知)

 

「あ、本田先輩……おはようございます」

 

 何やら気まずいような雰囲気。

 そらついさっきまであんな状態だったからね、仕方ないね。

 でもめげずに会話は続けます。

 

「先輩は……怖くないんですか?だんだん病気が進行していくのって」

 

 (チャート通りなので怖くは)ないです。(王者の風格)

 それよりも、みんなの力になれなくなる方が怖いですね、まさかここまで弱ってるとは想定外でしたからね。

 

「本田先輩は、強いんですね」

 

 (先輩が強いのは)当たり前だよなぁ?

 後輩を守るために先輩はいるんだからもっと頼ってどうぞ。

 くるみちゃんとかもおすすめですよ、感染してるホモちゃんには劣るもののとんでもない怪力ゴリラですからね。

 

「あはは、覚えておきます」

 

 あ、でも目の前でゴリラって言うと怒るから、程々にしておくんだゾ。

 その後またしばらく談笑したら、いつも通りの雰囲気に戻ったんでケアは大丈夫そうですかね。

 うーん、この感じはめぐねぇとかりーさんのケアも必要そうですかね……

 と思って二人のところを回ったんですが、特別変わった様子もなく過ごしていたのでその風景は倍速です。

 

「ねぇ、もえちゃん屋上行こう」

 

 ゆきちゃんから屋上へのお誘いですか、もう日は沈んでるけど日焼けでもするのかな?(すっとぼけ)

 たぶんこれは昨日内緒のお話で進めてたイベントの開催かな?

 とりあえず行きますねぇ!(食い気味)

 ゆきちゃんとお手手つなぎながら屋上への階段を登っていきます、屋上に出るともう既にホモちゃん以外は全員集合していました。

 さて、夜となるとイベントは限られてきますけどどれですかね?

 

「じゃーん、今日はこれで遊びます!私が昨日購買部で見つけたんだよ!」

 

 花火を持って胸を張るゆきちゃんかわいい、食べちゃいたい。(ノンケ)

 そして花火イベントは当たりですねぇ!

 花火イベントは文字通り屋上で花火をするイベントなのですが、参加した全員の正気度回復効果と、更に全員との好感度がアップする神イベントです。

 一応デメリットに花火の音と光で『かれら』が寄ってくるというものはありますが、校内は既に要塞化が進んでいるため心配は微塵もありません。

 花火を楽しむゾ〜!

 

 と言っても特別なにかあるわけではないので早送りしながら今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

「あいつ、いくら何でもはしゃぎすぎだろ」

 

 恵飛須沢さんが苦笑しながら眺める先にいるのは、手持ち花火を片手にぐるぐると振り回している萌香さんの姿でした。

 危ないからと注意しようにも、不用意に近づくとこっちも危ないのでしかれませんね……後で終わったらちゃんとお説教しなきゃいけません!

 でも良かった、こうやって楽しそうに遊んでいる姿を見られると、とても安心できる。

 こんなおかしな世の中になってしまったけれど、それでも彼女たちはまだまだ子供で、遊べるときにはちゃんと遊ぶべき年齢だった。

 そんな彼女たちが命をかけて戦って、一人は治せるかもわからない病を患って……私ももっと頑張らないといけませんね。

 

「めぐねぇもこっちおいでよ〜」

 

 萌香さんと丈槍さんが花火を片手に持って私のことを呼んでいる。

 二人共とっても素直で優しくて、ちょっと手はかかるけれど素敵な生徒。

 守るはずが守られて、戦う方法を教えてもらい、真実を知った時には諭されまでしてしまったダメな大人ですけれど、これから先は絶対にみんなの事を守ってみせますから。

 

「もう、危なかったから注意できませんでしたけど、花火は振り回しちゃいけませんよ!」

 

 だからもう少しだけ甘えてください、萌香さん。




次回は書き上がり次第なので未定です。


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最終日ラッシュ

最終日に辿り着いたので初投稿です。


 やっと最終日を迎えるRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 前回は花火が終わったところで終わりましたのでその続きから。

 と言ってもやることはないので日記をつけて寝て翌朝を迎えるだけです。

 ここまで来たらもう何も言うことはありません、覚悟決めろ。

 抗体の地味に嬉しい副次的効果として、睡眠中の『かれら』化が発生しなくなります。

 よって他キャラの睡眠不足によるバッドステータスが発生しないので、より万全の状態で最終日ラッシュを迎え撃つことが可能になり、突破も安定します。

 ……これ今回無事突破できれば最初から取るようにチャートに入れてもいいかもしれませんね。

 ここ更新ポイントです、チャートに書いておきましょう。

 ちなみにくるみちゃんは感染した瞬間自動的に習得します、だからくるみちゃんは最後まで持ったんすねぇ。

 それではおやすみなさい、運命に抗うのだ。

 

 

 

 おはよーございまーーーー!!!

 窓を叩く雨の音と雷鳴……ラッシュ開始です!

 とりあえず室内が暗いので明かりつけましょうね〜(停電対策)

 

「雨……か」

 

 くるみちゃんがシャベルを握りしめて窓の外を見つめていますね。

 まあ間違いなくまた『かれら』が来ますわよ。

 とりあえず武器を持って外の確認に向かいましょう。

 その前にしっかりセーブだけはしておいて……と。

 それじゃあ見まわりほらいくどー。

 

「あたしも行くよ」

 

 そんなわけでくるみちゃんと二人で生徒会室を出て秒で戻ります。

 前回の比じゃないエグい量の『かれら』が来てますぞ!

 というところで落雷により室内の明かりが消えて停電も発覚します、だから電気をつけておく必要があったんですね。

 ちなみに停電に気付かないと校内放送して追い返そうとするロスが発生するので気を付けましょう。

 さて、それはさておいて迎撃戦の開始じゃ!

 あ、りーさんかゆきちゃんは太郎丸抱えておいてね、逃げられたら探すとかできないので。

 

「わかったわ、任せておいて」

 

 聞き分けいいりーさんいいゾ〜。

 まずはバリケードを避けながら一階へ、と言っても一階はラッシュの時間を多少稼ぐ目的しかありません。

 窓とかまでは数が多く塞ぐことができませんでした、なので本当にそこら中から入ってきます、その状態を確認したら非戦闘員は各自二階へ避難!ここはホモちゃん、くるみちゃん、めぐねぇの三人で守りましょう。

 中央階段一階部分を上記三名で守り、残り2つの階段は避難したメンバーで階段上部からはたき落とすことで守ってもらいます。

 ちなみに、なら一緒に二階に逃げたほうが安全では?と思うかもしれませんが、これはあくまでも時間稼ぎ目的の遅延行為です。

 けいちゃん保険や屋上へ続く唯一の階段で武蔵坊弁慶のごとく一人で時間稼いでもいいんですが、より安全確実な方法としてここで戦闘力トップスリーを集中投入して時間稼ぎをしています。

 とはいえ、数分もすれば限界が訪れます、いくら戦闘力が増えたとはいえめぐねぇは元々非戦闘員、亀仙人の下でちょっと修行したヤムチャみたいなもんです。

 

「萌香、そろそろ限界じゃないか!?」

 

 早速来ましたね、現時点を持って一階部分は破棄、二階に避難しましょう!

 ホモちゃんで殿を務めつつ、めぐねぇとくるみちゃんを避難させます。

 ホモちゃんはそのまま中央階段でバリケード越しの防衛を、めぐねぇとくるみちゃんをそれぞれの階段に派遣させて代わりの人員をよこしてもらいましょう。

 代わりに来たのは……みーくんですね。

 みーくんは特別強くはないですが、別に弱くもないです、オールラウンダーなので誰と組んでもそこそこ活躍してくれます。

 とりあえず直接倒す必要はないので、階段の下に突き落としてくれてればいいです。

 

「わ、わかりました」

 

 二階になれば『かれら』の進行ルートは3つの階段に絞られるため防衛はかなり楽になります、ここからは以前のラッシュと同じ行動をひたすら繰り返すのみです。

 今回は一定時間経過するだけで必ずイベント進行が発生するので何も心配することはありません、バリケードもトラップも準備万端です。

 時間経過だけなのでイベントフラグのとりそこねなんかも発生の余地はありません、感染者的には脳筋プレイできるこっちの方が楽とさえ言えますね。

 とはいえ、数は前回の比ではありません、バリケードの耐久値がゴリゴリ削れていきます。

 少しでも時間を稼ぐために全力で『かれら』を突き落としていきましょう。

 ホラホラホラホラ、標識のリーチがあればバリケードに触れさせずに突き落とすことも容易です。

 まあここだけが耐えたところでって話なんですけどね。

 どうやら今回はめぐねぇを派遣した階段が一番『かれら』の数が多いみたいですね、やっぱりみんなめぐねぇの事が好きだったんすねぇ、生徒に好かれる教師の鑑。

 

「ごめんなさい、もうバリケードが……!」

 

 気にしないで3階に上がってどうぞ!

 突破されたら反対側へなだれ込もうとする『かれら』を抑えつつ、みーくんにはくるみちゃんたちに3階に上がってもらうように伝言を任せましょう。

 適当に時間を稼いだら3階からみーくんが避難完了を教えてくれるので、それを聞いたら3階へ自分も避難……よし、完璧に予定通りだな!

 後はここで適当に時間を潰せばヘリが落ちてくるのでそうなれば我々の勝利です!

 今回は一階から三階まで全てにバリケードの設置が完了していたので、けいちゃん保険は使わずに済みそうですね、良かったよかった。

 あ、りーさんとゆきちゃん、あとけいちゃんは生徒会室で適当に食料類でもかばんに詰めといてください、後ついでに太郎丸も詰めといて、逃がさないように。

 そして三階に用意してあったトラップ発動、いつぞやに回収してきた大量のボール!

 再度説明しますと、このボールを階段の上から落とすとそれにぶつかったり踏んづけた『かれら』が階下に落ち、更にそれにぶつかったりと時間稼ぎに使えます。

 足元が悪くなるので『かれら』の進行も遅くなり時間稼ぎにぴったりなアイテムです。

 なお入手のためには体育館に行くかグラウンドまで行く必要があるので、ある程度の戦闘ができないといけないのが少々ネックですね。

 それでも数体は突破してくるので油断せずに行きましょう。

 階数が上がれば上がるほど、更に下の階で減らしておけばそれだけ三階へとやってくる『かれら』は減るのでかなりやりやすくなります。

 その証拠にめぐねぇの方もくるみちゃんの方もそこまで切羽詰まってる様子は有りませんね。

 

「な、なんとかなりそうですね……」

 

 おっそうだな(適当)。

 そんなみーくんの発言がフラグになったのか校舎の外で爆発音がします、ニコ動本社でも吹っ飛んだのかな?(すっとぼけ)

 そのままそこで戦闘をしていると、もくもくと煙が上がってくるのと火災報知機がけたたましく鳴り響くため火災になっていることにも気付けます。

 そうしたら『かれら』も一部が火災報知機に夢中となりますので、今のうちに生徒会室のメンバーと合流しましょう。

 こうなってしまえばそうそう三階のバリケードを抜かれることはありません、安心して作戦会議へと参りましょう。

 


 

 どうやら謎の爆発が外で起こってすぐに校舎の中に火が移ったようで、校舎内には火災報知機の音が響いていました。

 その後すぐに萌香さん達と合流して、一度生徒会室に集まることに。

 誰かしら爆発の原因がわかる人がいると、この後の動きが決められそうなんですけど……

 

「ヘリコプターが……落ちてきたんです」

 

 そう声を出したのはゆうりさんでした。

 ヘリコプター……ということはもしかして救助か何かをしていたんでしょうか。

 そのヘリコプターが落下して爆発、校舎内に飛び火したということでしょうか。

 もし今日のような嵐でなければ、あるいは『かれら』がこうも溢れていない日ならもしかしたら私たちは今頃そのヘリで……

 

「くそっ、スプリンクラーが動かないしこのままじゃあたしら煙で息もできやしないぞ」

「でも逃げ出したところで行くべき場所なんて……」

 

 そうだ、今はそんなことを気にしてる時じゃないですね、まずは火災をどうにかするか、あるいは脱出しないと私達ごと……

 だが逃げ出したところでどこへ行く?

 これほど施設が揃っている場所なんて……

 

「ならとりあえず地下シェルター行けばいいんじゃないかな、あそこシャッターあったし」

 

 地下のシェルターと言うと、萌香さんがワクチンを見つけた場所、確か機械室の隣から入れたはずですね。

 確かにあそこなら元々の目的からしてシェルターは備えていて然るべきですし、そこで一度事態が落ち着くのを待つというのは名案です。

 ひとまず地下シェルターを目指して移動を開始しましょう。

 幸い食料類はまとめていてくれたので、最悪数日くらいならこもることも可能です。

 閉めきっていた生徒会室から外に出ると、既に廊下は煙が充満し始めていました。

 ハンカチや布などを口元に巻いて、私達は階段を下っていく。

 皮肉なことだが、この火災のおかげで『かれら』の大部分は火に焼かれて動かないか、あるいは火災報知機に釣られていて私達に気付く様子は無い。

 このまま地下まで一気に……

 

「ゆきちゃん危ない!」

 

 萌香さんの声にハッと後ろを振り返ると、廊下に設置してあった脆くなったバリケードを突き破り、燃え盛る『かれら』がゆきさんに襲いかかる瞬間でした。

 私では反応することは叶いませんでしたが、幸い萌香さんがゆきさんを引っ張り『かれら』から守ってくれました。

 しかし私達の間にその崩れたバリケードが横たわる。

 

「萌香さん!そっちは無事ですか!」

「とりあえず二人共平気!別のルートで向かうよ!」

 

 確かにこうも燃えている机などを動かすのは容易なことではありませんし、別れて進むしかないでしょう。

 向こうには萌香さんがいて、守るのもゆきさん一人ならなんとかなるでしょうか。

 今は、彼女を信じることしかできない……

 後ろ髪引かれる思いですが、私達もいつまでもここにいた所で事態が好転するわけでもないので、先に進むことにしました。

 神様、ここまで一緒に頑張ってきたんです、どうか二人が無事に合流できますように。

 首から提げたロザリオにそう祈らずには居られなかった。

 


 

 危機感知QTE出た時は何事かと思った(小並感)。

 ふぇぇ……バリケード突き破って『かれら』が現れるとか予習してないよぉ……(1敗目)

 というかそんなことまで考慮できるかバーカバーカ!

 ここまで進めて朝まで戻れるか!このまま続行だ続行!

 いくら皮膚感覚鈍くなっているとはいえ、燃え盛る瓦礫を撤去しようとするとダメージ自体は食らってしまうのでこれは動かせないですね。

 ですがこうなってしまったものは仕方がありません、回り道になりますけど別の階段から地下を目指しましょう。

 今更この状況の『かれら』など恐れるに足らないので問題ありません。

 これでもう一人、特に動きが遅いけいちゃんとかも居たら厳しかったかもしれませんが、ゆきちゃんだけなら絶対に守りきってみせます、だから大丈夫だって安心しろよ〜

 

「もえちゃんも一緒じゃなきゃやだよ……」

 

 あったりまえだろぉ?

 ここまで来てリセットとかたまったもんじゃないんですから、死んでも生きて地下まで行きます。

 だからとりあえず動きやすいように服離してもらっていすか。

 よし、これで思う存分動けるのでさっさと地下に行きましょう。

 現在の校舎内は煙が充満しており、このままここにいてもジリジリと体力が削れてしまうので、特に体力が低いゆきちゃんを早急に安全な地下に送る必要があります。

 ちょっと走るけどついてきてね。

 

「うん、わたしも頑張る!」

 

 よーし、いい子だ。

 まあ殆どの『かれら』はこっちに見向きもしないか、あるいは小突けば倒れるような奴しか残ってないので超余裕です。

 そのはずだったんですけどねぇ……

 どうやらくるみちゃん達が一度延焼を抑える為にシャッターを下ろしたようで、その音で『かれら』がかなり集まってきているみたいですね、階段の前にわんさか『かれら』が居ます、しかもシャッターは匍匐前進でもしないと通れない程度しか開いてません。

 なんてことだ、もう助からないゾ♡

 ふざけるな……ふざけるな!バカヤロー!

 

ヌゥン!ヘッ!ヘッ!

ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛

ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!

ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!

フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!

フ ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥン!!!!(音量注意)

 

 フー、スッとしたぜ。

 おれは紅白饅頭や白黒饅頭に比べるとチと荒っぽい性格でな~、激昂してトチ狂いそうになると泣きわめいて頭を冷静にすることにしてるのさ。

 とりあえず、やるしかないですね……

 こんな単独でのガチバトル初日の階段くらいしか想定してなかったのに、今回はさらにゆきちゃんを守りながら、最後の最後で披露してる状況……へへっ、オラワクワクしてくっぞ(発狂)

 

 じゃあオラオラ来いよオラァ!

 今はとにかく数を減らすしかないです、一撃で一体倒すより薙ぎ払って複数体をふっ飛ばしつつ倒れてくれることをお祈りしましょう、祈祷力が試されます。

 こんな時に《渾身》スキルを上げられていれば……無い物ねだり仕方ないので頑張るしかないですね、はい。

 ええい多い!こいつらさえいなければすぐエンディングなのに!

 

 あっ、ちょっと防衛手段のないゆきちゃんを襲うのは……

 届けこの想い(標識柱)牙突零式(ガトチュ・エロスタイム)

 よっしゃ届いた!頭から血は被っちゃったけどそれは我慢してねゆきちゃん。

 で、その体が伸びきってる状態で襲いかかるのはやめろぉ(建前)ヤメロォ!(本音)

 

 あっ、ちょ……

 どうか行かないで……(懇願)

 落としたァ!標識柱階段の下に落としちゃったァ!

 

 まずいですね……別に素手でも『かれら』を血祭りにあげられない訳じゃないですけど、効率は悪いし人を守ってる余裕はありません。

 ええい、こうなればゆきちゃん!

 今すぐゴ……いやくるみちゃんを呼んでくるんだ!

 泣いてないでほら早く、ゴリ……ゴリラ呼んできて!武器もないホモちゃん一人じゃどうしょうもないからホラホラホラ!

 

「誰がゴリラだバカ!」

 

 まて、この頼もしい声は……?




やめて!武器もない状態で、ゆきちゃんを守りながらスマブラが始まったら、愉悦部の思う通り絶望のエンディングをむかえちゃう!

お願い、死なないで萌香ちゃん!
あんたが今ここで倒れたら、ゆきちゃんは一体どうなるの?
まだHPは残ってる、ここを耐えればみんなで脱出できるんだから!

次回、「本田萌香死す」。
デュエルスタンバイ!

嘘です。


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エンディング

最終日ラッシュから6時間ぶりの初投稿です。(一行矛盾)
前の話を読んだか確認、しよう!


 さっき萌香達と離されてから、あたしたちは一足先に地下のシェルターにたどり着いていた。

 中にはそこそこの数の『かれら』がいたけど、問題になるほどの数ではなかった、あたしとめぐねぇの二人で充分処理できる程度の量だ。

 ここは本当に学校だったのかってくらい、地上と地下で雰囲気が変わる。

 校舎内に比べて地下シェルターは無機質というか……薄ら寒い雰囲気があった。

 ここは、どこかの誰かが実験だか研究のために用意した施設で、つまりその誰かはこうなる事を想定できていたということで、そんなものの研究さえ無ければ先輩も萌香も……

 シェルターの中でうずくまり、萌香達の到着を待つ。

 本当は迎えに行きたいけど、ここから離れるわけにも行かない。

 心配に思ってるのはあたしだけじゃない、ここであたしが出て行ったらみんな余計に心配する。

 特にめぐねぇは、最近の萌香の様子もあってかなり憔悴している。

 ついこの前まであんなにピンピンしてたのに、昨日はゆきのタックルだけでふらついて尻餅をついていた。

 力が元に戻ったりしていない時点でわかってた、あいつは別にウイルスを克服したわけでも、治ったわけでもない。

 あくまでも抗ウイルス剤で症状を抑えていただけだったんだ。

 それも限界が近づきつつある、だから体調が良くなかったり感覚が失われたりしてんだ。

 あと、どれだけ持つ?

 ここを抜け出せたところであいつはいつまで……

 そんな暗い未来ばかり考えていたところで、小さな笑い声が聞こえてきた。

 こんな状況でなんで。

 そう思って顔を上げると、りーさんとけいが一冊のノートを読んでいた。

 

「何読んでんだ?」

「ああ、これ?萌香の日記よ」

「なんでそんなもん持ってきてんだよ……」

 

 途中で食料をカバンに詰めた時にでも一緒に持ってきちまったのかな。

 そう言えば書いてるところを見たことはあるけど、内容は読んだことなかったな。

 ……ちょっとくらい、見てもバレないか。

 こんなに心配させて戻ってこないアイツが悪い、恥ずかしかったらさっさと戻ってこいよ、萌香。

 

「ははっ、そりゃ確かに笑うわ」

 

 見せてもらった内容は、小学生が書いたのかと思うような感じだった。

 ほとんど平仮名だし、言葉の選び方も子供みたいだ。

 そのくせに人の心配ばっかりしやがって、自分のことには全然触れない。

 あいつ、本当にいい奴だよ。

 あんなに人のために頑張れる奴が報われないなんて、そんなの許せるわけ無いだろ。

 

 こんな惨事の中を生きてるとは思えない、気の抜けるような日記がしばらく続いて、ある時ぱたっと止まる。

 日付的に雨の日か?

 確かにあそこからはなんだかんだ忙しい日々が続いてたしな、書く余裕はなかったか。

 そして一昨日からまた日記がつき始めていた。

 


 

○月△日

 

けいちゃんとみーくんの二人をぶじ助けられた。

けいちゃんはケガしちゃってたけど、学校にいれば多分だいじょうぶだよね

ところでなんでみんな私が料理するって言うと驚くんだろう、げせない

私だって女の子なんだから料理くらいれん習するのに

たしかに、においとか味がよくわからなくなってきて、こまかい味つけとかはできないけどさ

 

あとくるみちゃん!ふつーのJKはつくえ2つをかるがる運んだりできないからね!

 

あとはそうだなぁ、そうだ、めぐねぇがついに私の杖術をしゅうとくできたんだよ

すごくわかりにくそうにしてたけど、おぼえてもらえてよかった

私もししょーからああやって教わったから他の方法わかんないんだよね

でもこれで、私がいなくなっても平気だよね

 

さいきん体の調子がよくない

動くんだけど、キレが悪い

においとか味、あとは物をさわったかんかくもにぶい

もしかしたら長く保たないかもしれない

そうなったらくるみちゃん、めぐねぇ、みんなのことよろしくね

だいじょうぶ、みんなで力を合わせればなんだってできるよ、私もおうえんしてる

ああ、でも……やっぱり死にたくないなぁ

今のやっぱりなし!

もっともっとみんなとがんばりたいからがんばる!

ゆきちゃんも、めぐねぇも、くるみちゃんも、りーさんも、たかえちゃんも、けいちゃんもみーくんも

みんなみんな、私がまもるから

だから、これからもよろしくね

 


 

「ばーか、言われなくたって、ずっといっしょにいるつもりだっての」

「ほんとよね、もう離すつもりないもの」

 

 あいつもあいつなりにずっと考えてたんだろうな。

 だから積極的に『かれら』を倒しに行ったり、学校の外にも資材を集めに行こうとする。

 全部が全部あたし達のために。

 いつ自分がいなくなってもいいように準備を進めようとしていた。

 資材が多ければ余裕が生まれる。

 ひとり戦えるようになれば、『かれら』に対抗できるようになる。

 動ける人が増えれば作業も効率が良くなる。

 あんなに明るく毎日を過ごしてたのに、その裏ではこんなことを考えてやがったんだあいつ。

 

「戻ってきたらお説教だな」

「そうね、ちゃんといろいろ相談しなさいって」

 

 あいつならきっとなんだかんだ戻ってくる。

 あたしよりよっぽど強くて、頼りになるスゲーやつなんだ。

 ゆきだって連れてここまで来てくれるに決まってる。

 特に理由のないそんな信頼ができるんだ。

 その為にも、こんなしけた面してられないな。

 気合を入れなおすために両手で頬を叩く。

 しおらしくしてたら、あたしらしくないしな、よしこれで……

 

「……ここ、何か消し『ゆきちゃんに手を出すなぁぁあ!!!』」

「萌香の声!入り口の階段か!」

 

 シャベルを手に取って駆け出す。

 声の感じからしてかなり切羽詰まってるだろう。

 急いで駆けつけないとやばいかもしれない!

 階段の上から重いものが落ちてくる音がする。

 あれは……あいつが使ってた標識か!急いで拾い上げて階段を駆け上がる。

 あいつ、こんな重いもん振り回してよく戦えるよな……

 シャッターの隙間から素手で『かれら』と戦う萌香と泣きじゃくるゆきの姿が見えた。

 急がないと……!間に合わせなきゃ今まで助けてもらった恩に吊り合わないだろ!

 

「早く逃げてゴ……ゴリラちゃん呼んできて!一人じゃお辛い!」

 

 あ、あいつこの期に及んでゴリラ呼ばわりとは……!

 しかもわざわざ言い直しやがって……

 

「誰がゴリラだバカ!」

 

 シャッターをスライディングでくぐり抜ける。

 そして立ち上がってあいつの得物を投げる、あいつならこれでキャッチできるだろ。

 

「あ、くるみちゃ……あっぶえ!え、なに!?殺す気だった!?」

「うるせぇ!しれっと人のことゴリラ呼ばわりしやがって!あたしだってなあ、女の子なんだぞ!」

 


 

 あっぶえ!

 なんで今日こんなに予想できないQTEが連発するんですか?

 まあ反応できたからいいんですけど、くるみちゃんのパワーで投げつけられた標識とか当たったら氏はああ逃れられない!

 くるみちゃんと二人で肩を並べて武器を構える。

 この頼もしさたるや、まさに鬼に金棒、ガンダムDXに月ですよ。

 

「敵は多いな萌香……いや、大したことないか……あたしとお前で二人がかりだもんな」

 

 突然のダブルライダーですかぁ?

 私のツボを抑えてくるとはやりますねぇ!

 とりあえず二人がかりで片っ端から『かれら』を倒していきましょう。

 さっきまでの一幕でだいぶ体力削られちゃってますがそれでも5割もあれば充分です。

 さっさと片付けちゃいましょうか!

 ホモちゃんでは倒せない相手もくるみちゃんが倒してくれる、その逆も然り。

 まさに無敵の布陣です、もはや敵なし!

 もはや『かれら』に活躍の場はありません、ちゃっちゃと殲滅してしまいます。

 それが終わったらゆきちゃんも連れて一緒にシェルターへ移動しましょう。

 

「よかった……よかったよぉ……わた、私のせいで……」

 

 泣き止んでゆきちゃん、ちゃんと生きてるしもうエンディングだから……

 そう、これでもうエンディングなんです。

 あとは地下の氏体から鍵を借りたら『かれら』の居ない学校から車で脱出するだけでエンディング突入なんです。

 くぅ疲w

 とりあえずみんなに合流すると揉みくちゃにされました、心配かけさせやがってって事ですけど、それは私じゃなくてシステムに言ってもらっていいですか(半ギレ)

 最近やたらと出番が多くて熟練度によってスキルレベルが上がっためぐねぇの治療を受けながら、お説教されています。

 もっといっぱい相談しろとか、どこにも行かせないだとか、ずっといっしょだとか……

 みんな優しすぎて涙がで、出ますよ……

 あ、やっと……みんなを救えたんやなって……

 

「馬鹿言え、もともとちゃんと救われてたよ」

 

 そう言ってくるみちゃんに頭を小突かれます。

 ホモちゃんの防御力ならこの程度1%のダメージにしかならんわ。

 さて、治療と一休みが済んだら改めて地下室の探索を開始しましょう。

 と言っても例の首吊氏体から鍵を拝借するだけなんですけども。

 先駆者兄貴が鍵を回収した時にもこぼれ落ちてましたが、この氏体謎の写真を持っています。

 この写真なんですが、おそらく巡ヶ丘の女生徒と思われるキャラクターの家族写真なのですが、顔の部分が血で汚れてしまっていてキャラクターの判別ができないんですよね。

 体格的にはかなり小柄なキャラだと思うんですけど……何らかのイベントフラグなんでしょうかね?

 まあ嵩張るものでもないですし供養ついでに持って行ってあげましょう。

 

「なんかあったか?」

 

 あ、くるみちゃん、この氏体車の鍵持ってやがりましたぜ、脱出の足しにしましょうや。

 とりあえず取るもん取りましたしこれくらいで寝ときましょう、ホモちゃんも疲労困憊です。

 適当なところで毛布被っておやすみなさーい!

 

 

 

 おはよーございまーーー!!!

 真の最終日の朝でございます!

 もう学校の敷地内に限り『かれら』は全て燃え尽きたため居ません、安全にハイエースに向かうゾ〜

 なんとこのハイエース、11人乗りの上に不思議なことに防災用品まで搭載されているすぐれものです。

 用意のいい人もいたもんだなぁ……

 誰のだか知らんがありがたく使わせてもらうぜ!

 鍵を使って扉を開けたらムービースタートです。

 コントローラーを置いて後はムービーを眺めていましょう。

 


 

 どうやらあの火災から逃れることができた『かれら』は居ないようで、静かな校舎内を歩きまわって使えそうな物を集めていく。

 私達はまたこれから新しい拠点を探して旅に出る。

 それがどこになるかはわからないけれど、きっと楽な旅でもなければ山も谷もありふれた波乱万丈な冒険活劇となるだろう事は想像に難くない。

 必要な物を詰め込んだ車は、佐倉先生の運転で道を進んでいく。

 拠点になるかどうかはともかく、とりあえずの目的地は決まった。

 ここから近く、そして先生に配布されていた緊急時マニュアルと、墜落してきた例のヘリに乗っていたジュラルミンケースから見つけた地図両方に記載があった事から、まずは近くの大学に向かうらしい。

 マニュアルによれば、ここと似たような設備が整っている場所で、ある程度の生存者がいる可能性もあるみたいだ。

 そこならば、またみんなと一緒に暮らすことができるだろうか。

 騒がしくて、馬鹿らしくて、底抜けに明るい先輩たちと、それ(匿名二名)の面倒を押し付けられる不憫で可愛い先生と、私の親友と一匹の犬。

 きっと、こんな終わってしまった世界には似つかわしくない、とても楽しい日々になる。

 論理的に言えば、そんな余裕も生まれるわけがないとわかっているのに、どうしてかこの人達ならそんな事も乗り越えてくれるような、不可能を可能に変えてしまう不思議な力くらい持っているような、そんな期待が胸に灯る。

 それに、大学ということはそれなりの研究設備があるかもしれない、そうしたら萌香先輩の治療も可能かも。

 ああどうしてだろうか、あのひとりぼっちだったモールにいた頃では考えられない、明るい空想が終末そのものの街を眺めながらでも溢れ出してくる。

 きっと、未来は美しく明るい希望で満ちている。

 

「あぁ、これで一安心だ……ちょっと疲れちゃったな」

 

 昨日の立役者、萌香先輩が一番後ろの席で一度伸びをすると、隣のくるみさんに寄りかかる。

 本当に眠そうだ、今にもぐっすり眠ってしまいそう。

 

「おいおい萌香、まだ出発したばっかりだぞ、しっかりしろよ」

「そうは言うがねくるみちゃん、私は元々頑張り屋さんではないんだよ〜、それがこの二週間足らずでちょっと頑張り過ぎちゃった……かなぁ……ふぁ……」

 

 本当に、幸せそうにまどろみながらも話しつづける。

 

「こんなにも幸せで、ねむるなってうそでしょ……」

「萌香……」

 

 そうして萌香先輩は、目を閉じて眠りに入った。

 本当にぐっすりと、幸せそうな顔をして、満足そうに眠っている。

 

「萌香……おい」

 

 くるみさんが、萌香先輩の肩に手をかけて揺する。

 まるで起きる様子もない。

 静かに静かに、眠り続ける。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつ、本気で寝てやがった……途中から気持ちよさそうにいびきまでかきやがって……枕にされたこっちの身にもなれってんだ」

「いやー、メンゴメンゴ、本当に眠くってさ」

 

 それから大学まで行く途中で一度休憩をとったところで普通に目覚めた。

 あのまま二度と目覚めなければ、まるで本当に幸福の王子のようだったのに、嬉しいけれどやっぱり間抜けな人だ。

 でもそんな人だから、私も圭も、そして先輩達も先生も。

 みんなを助けることができた人だ。

 だから私達はきっと、彼女に惹かれるのだろう、こんな終わった世界で、明日も明るく笑うために。

 

【つづく】




ここでタイマーストップです!

みーくんほんとモノローグが似合うよね。

あとがきは次回(10分後)


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あとがき

本日三度目の初投稿です。

実はこれ元々完成してました。


 はい、ここでタイマーストップです!

 いやはや、最後はどうなることかと思いましたが無事脱出成功です……

 肝心のタイムは……4:14:28.76でした。

 途中で早期合流もあり早まるかなぁと思ったんですがそんなに甘くなかったですね……

 

 それでは早速完走した感想ですが──

 やはり、未だ調査不足だったかな、というのは否めません。

 好感度が想定より高い、低いはもちろんのこと、意図しないバックグラウンドで発生していたであろうイベント、様々な要因に助けられここまで完走出来たかな、と思います。

 というか表面上の様子と中身が違うとか読めるわけ無いだろいい加減にしろ!

 あと未だに発見されていないイベントがまだまだありそうで、みんなも調査や走ってくれよな〜俺もやったんだしさ(同調圧力)

 元々は伸びてきたRTAに便乗して始めた本作でしたが、やっているうちに個↑々↓のキャラクターに愛着が湧いたり、なんとか救ってあげたいと思ってしまうような、そんな話になってくれたのはとても嬉しく思います。

 あとは最後に《抗体》のスキル取ったのは仕方なくとか言ってましたが、正直言うと萌香ちゃんを救いたくて取りました……本来最終ラッシュで安定を取るならセーブして翌日の朝の結果次第でリセするようにして、習得するのは戦闘技能一択の場面でリスクを取るチルドレンにあるまじき姿を晒しちゃったけど、みんなもハッピーエンド大好きだしええやろ、な?(威圧)

 

 プレイ内容といたしましては、最初に引けたのが本田萌香ちゃんだったのも非常に大きいですね。

 素の筋力値が高かったおかげもあり、杖術を用いての戦闘でかなり楽をさせてもらいました。

 リーチが長いというのは戦闘において安全であるという事以上に、素早く仲間を助けることができるという、何者にも代えがたいメリットを持っていたことで乗り越えられたのが、最後のラッシュだったと思います。

 

 先駆者兄貴も感想で述べておりましたが、本作ではイベントを端折れば端折るだけ、仲間が増えれば増えたぶんだけ難易度が上昇していきます。

 何故ならイベントの大半は物資の補給や正気度の回復、何より友好度の上昇や確認に役立つためですね。

 そして人が増えればそれだけ必要な物資も増えていく。

 その全員を救いたいと傲慢にも願うならば、本来であればこんな駆け足はするべきではないとは思うのですが、わかっていてもどうしても駆け抜けてしまうのが走者の性ですね。

 

 ですが今回のルートではある意味正解だったのかもしれません。

 いつ死に至るともわからぬ病を抱えて、それでもと希望に手を伸ばした少女が、考えうる限り最も素晴らしい未来をつかむことができたのは間違いないことでしょう。

 もう萌香ちゃんは長くは持たないかもしれませんが、それでも助けた多くの仲間とともに、残された僅かな時間を幸せに過ごしてくれることを祈りましょう。

 きっとそれを誰もが望んでいます。

 もしかしたら誰かが彼女を救うかもしれませんし、救われないかもしれません。

 しかしそれはここでは語られない物語であり、まだ確定しない未来のお話です。

 

 それでは無駄話を長々としても仕方がないので、感動のエンディングを垂れ流しにしながら、私めはここで退場いたしましょう。

 拙い語り手でございましたがここまでご愛読いただきありがとうございました。

 またどこかでお会いしましょう。

 


 

 クリア後フレーバーテキスト

 

 本田萌香

 

 本田萌香は自由気ままな少女であった。

 親に薦められて始めた杖術を未だに続けていたのも、特別理由があったわけではない、ただやめる理由もなかったまでだった。

 だがそれに意味はあった。

 彼女の振るう杖は敵を倒し、出会えた多くの仲間を守ることにつながった。

 突いた槍は道を指し示し、振るう薙刀は闇を払い、持った太刀は絶望を切り裂いた。

 その身に病を纏おうとも彼女は彼女で在り続けた。

 

 彼女は一つ、困った性質を持っていた。

 お人好し、人好き、人たらし、彼女は常に誰かのそばにあり続ける人で、誰かが困っていたら助けずにはいられない。

 だからこそ彼女は、常に誰かに助けられて生きた。

 人に助けられたからまた誰かを助ける、そんな繰り返しの果てに彼女の人の輪は広がっていった。

 

 彼女に足りないものは多く有れども運はあった。

 それは薬を見つけたことなんかではなく、彼女の代わりとなる人を見つけたこと。

 

 無い知恵は絞れない、だから頼りになる大人は知恵を絞った。

 

 彼女に人の心は癒せない、だけど小さな友達は常に皆に寄り添った。

 

 家計簿の付け方なんて知らなかった、でも側には家庭的な姉がいた。

 

 いつか動けなくなる時が来る、だが背中を預ける友がいた。

 

 いつも誰かに迷惑をかけた、それをフォローする友達がいた。

 

 何かと勘違いされやすかった、怖気づかずに話しかける後輩がいた。

 

 彼女に深い考えはない、それに論理的な理由をつける人がいた。

 

 多くの人に救われて、助けられて、彼女はここまで生き延びた。

 残された時はどれ程か、それは誰にもわからない。

 だがきっと、残された時間を彼女は謳歌するのだろう。

 助けてくれた皆への恩返し。

 助けた皆からの恩返し。

 それは間違いなく、彼女にとって一番の宝物になる時間だろう。

 

 

○がつ△にち

 

 わたしはあとどれだけいきられるだろう

 みんなにまだなにもかえせていないのに

 

 それでもいいとみんなはわらってくれる

 ただえがおでいてくれればいいって

 それはとってもうれしいけれど

 おんをかえすにはどれだけかかるだろう

 

 たくさんたすけてもらった

 だからわたしもがんばってみようとおもう

 あとどれだけいきられるかわからないけれど

 そのあいだはちからのかぎりわらってすごそう

 

 そしてさいごには

 みんなにありがとうってつたえたいな

 

 

 獲得実績

 

『バーサーカー』

 感染状態で『かれら』を100体以上倒した。

 

『小さなおともだち』

 ゆきと仲良くなった。

 

『このシャベルに誓って』

 くるみと戦友になった。

 

『仰げば尊し』

 めぐみと友達になった。

 

『頼れる大人』

 めぐみが戦闘技能を覚えた。

 

『家庭料理』

 ゆうりと一緒に料理をした

 

『出前の配達』

 たかえを助けた。

 

『頼れる先輩』

 けいとみきを救出した。

 

『見えない友だち』

 幻覚を見た。

 

『師匠』

 誰かに戦闘系技能を教えた。

 

『安全不確認』

 車の運転をして『かれら』と事故を起こした。

 

『感染者』

 ウイルスに感染した。

 

『感染ヒロイン』

 女性キャラクターで感染状態でエンディングを迎えた。

 

『Life』

 人としてエンディングを迎えた。

 

『わたしたちは元気です』

 5人以上生存している状態でエンディングを迎えた。

 

『ぎゅうぎゅうのパンパン』

 全生存者を連れて車で脱出した。

 

『突けば槍 振らば薙刀 持たば太刀 我が守りし 友とをりけり』

 本田萌香でシナリオをクリアした。




くぅ疲w
これにて完結です!
気が向いたらおまけ書いてくる。


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