時の魔王の歩む道・・・ (蛇廻)
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第一話

こんにちはハイパームテキです!

急に始まった最新作!主人公は(一応)オーマジオウです!

とりあえずまずは第一話、お楽しみください!


数ある世界の内の1つ、その世界にある街を見下ろせる高台に、突如灰色のオーロラが出現する。灰色のオーロラはゆっくりと移動し、その中から少年と少女が一人ずつ姿を見せる。

 

「・・・ここが、次の世界か・・・」

 

「ここはどんな世界なの?」

 

二人をこの世界に送ったオーロラが消えていく中、少年はその手に金色のウォッチを持ちながら答える。

 

「そうだな・・・・自分勝手な奴らが蔓延る世界・・・かな?」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

それから数日後、二人はこの世界にある駒王学園に通っていた。

 

「ふあああああ・・・・・眠・・」

 

とは言っても、時刻はすでに夕方を迎えていて、二人は帰宅している最中である。

 

「この世界に来てもう数日経ったけど・・・問題の転生者は?」

 

「すでに何人かは始末している。とは言っても、全体の数で考えたらまだまだだけどな」

 

そんな会話をする二人。さて、ここで二人がこの世界に来た理由、それを彼らの紹介もかねて話すとしよう。まずは少年の方から。彼の名は『(みなと)悠時(ゆうじ)』。こことは別の世界の人間であり、今ではある存在からの要望で様々な世界で悪事を働く転生者の魂を回収する仕事をしている。どうやって魂を回収するのかというと・・・・・それはまた後でにしよう。次に少女の紹介だ。彼女の名は『中村(なかむら)雪菜(ゆきな)』。彼女もまたこことは別の世界の人間であり、悠時とも別の世界の出身である。悠時がこの世界に来る前に訪れた世界の人間だが、そこでまぁ色々あり、今では悠時と共に転生者の魂を回収している。また、悠時が心を許せる数少ない人物の一人でもある。

 

「ま、あいつから仕事の依頼が来ない間はのんびりしていていいんだ。さっさと帰ってゆっくりと・・・・『ピリリリリ』・・・・」

 

「フラグ回収、仕事だね」

 

「ちっ・・・・・えぇと、何々?・・・・次の標的は『佐々木斗真』、こいつの転生特典は人を自由に操る能力、こいつはその力を使って自分が気に入った女性を無理やり・・・」

 

「わああああ!言わないで!!お願いだからそれ以上は言わないで!!!」

 

「・・・とにかく、もう何人も被害が出ているらしい。早急に対処をしろだとよ」

 

「その人はどこにいるか分かってるの?」

 

「あぁ、それももう特定済みだ。今から行くぞ」

 

「あ、待ってよ!」

 

雪菜を置いてさっさと歩き出す悠時。雪菜も急いでその後を追いかける。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

二人はさっきまでいた住宅街から移動し、街に隣接している森の中へと入っていく。

 

「ほんとにここにいるの?」

 

「あぁ、あいつによるとな」

 

雪菜は不思議に思いながらもどんどん奥に進んでいく悠時を追いかけていく。そのまま先に進んでいくと、急に森がひらけ一人の男の姿を見つける。その男の顔を見て、目的の人物だと核心した悠時はゆっくりと近づいていく。

 

「やれやれ、まさかこんなに奥にいるとはな。おかげで相当時間を使ってしまった」

 

「?・・・なんだお前?」

 

「佐々木斗真だな?」

 

「!お前・・なんで俺の名前を!?」

 

「お前はこの世界で自分勝手にしすぎてしまった。その魂・・・・回収させてもらう」

 

『王蛇!』

 

悠時はその手に紫色のウォッチを持ち、天板を回転させて起動する。すると、悠時の腰にベルトが出現し、ライドウォッチは紫のカードデッキに変化する。

 

「・・・変身」

 

悠時はカードデッキをベルトにスライドし、蛇を模したライダー『仮面ライダー王蛇』へと変身を遂げた。

 

「はぁぁぁ・・」

 

「・・なんだ?その姿は・・」

 

「教える必要は無い・・・今から死ぬ奴にな!」

 

王蛇は戸惑っている佐々木斗真をまるで気にせずに飛び蹴りを放つ。突然の事に佐々木斗真は反応できず、そのまま飛び蹴りを喰らってしまう。

 

「テメッ、何しやがんだ!」

 

「言っただろ、お前の魂を回収するってな」

 

『ソードベント』

 

王蛇はカードデッキから一枚のカードを抜き、左手に持った『ベノバイザー』に装填し、黄金の硬鞭『ベノサーベル』を装備する。

 

「はぁああ!」

 

「!くそが!!」

 

装備したベノサーベルを突くように前に押し出す王蛇。佐々木斗真はそれを躱すが、王蛇は逃さず追撃する。

 

「ちっ!ほんとはテメーみたいな野郎なんかに使いたくはなかったが、俺の力を見せてやるよ!」

 

佐々木斗真はそう叫ぶと、王蛇に向けて手を翳す。

 

「・・・・・で?」

 

「な!?なんで俺の能力が効かねぇんだよ!?」

 

「は!お前程度の奴の力が、俺に通用するわけねぇだろ!!」

 

「ぐあああああああ!!?」

 

自身の能力が王蛇に効かなかった事に動揺している佐々木斗真に、王蛇は容赦無くベノサーベルで叩き斬る。佐々木斗真の体には一直線に赤い線が入る。

 

「これで終わりだ」

 

『ファイナルベント』

 

再びカードを一枚抜き、ベノバイザーに装填する。すると、佐々木斗真の下に広がり始めていた血溜まりに波紋が浮かび、巨大な紫色の大蛇『ベノスネーカー』が姿を表した。

 

『キシャアアアア!!』

 

「ひっ!?」

 

突然姿を現した大蛇に佐々木斗真は驚き、腰を抜かしてしまう。その間にベノスネーカーは王蛇を巻くように回転し、王蛇は腰を低くする。

 

「ま、待ってくれ!もうしないから!だから、命だけは!!」

 

「・・・・・ふっ!」

 

佐々木斗真の言い分を完全に無視し、王蛇は飛び上がる。そこにベノスネーカーが毒液を吐き出し、王蛇の体に纏わりつく。王蛇はその勢いのまま佐々木斗真に迫っていき、思いっきり蹴り飛ばした。

 

「うわああああ!!!?」

 

王蛇のキックは佐々木斗真は吹き飛ばし、佐々木斗真の体は徐々に消滅していった。体が完全に消滅した後、その場には青く光る魂がその場に漂ったが、その魂は戦いを隠れて見守っていた雪菜の持っている紫色のパッド『ガシャコンバグヴァイザー』に吸収されていった。

 

「佐々木斗真の魂、回収完了!」

 

「・・・はぁ、無駄に疲れたな。さっさと帰るぞ」

 

「あっ!ちょっと待って!」

 

変身を解除してさっさと歩き出す悠時を急いで追いかける雪菜。彼らの事はしばらく経ち、『異能の力を持つものを襲う仮面の戦士』と噂されるようになっていく事は、まだ彼らは知らない。

 

 




気づいているとは思いますが、一応「ハイスクールD×D」の世界です。おそらく次回には悪魔などの人外が出ると思います。

それでは次回をお楽しみに!



あ、よろしければ感想、評価もお願いします。


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第二話

今回のライダーは牙の名を持つあいつです。

それでは第二話をどうぞ!


転生者『佐々木斗真』の魂を回収した翌日、悠時は雪菜と共に一週間最後の学校へと向かっていた。

 

「昨日回収した魂はもうあいつのところに送った」

 

「そういえばさ、回収した魂って送った後、どうなるの?」

 

雪菜は昨日回収した魂の事を思い浮かべながら悠時に問う。雪菜も途中から参加したため、まだ詳しい事に関しては分からない事の方が多いのだ。

 

「さぁな、それに関しては俺は何も知らねぇよ。俺たちの仕事はあくまで魂の回収。その先のことまでは知らされてないさ」

 

「ふぅ〜ん・・・・あれ?なんか騒がしいね」

 

話している間に学校に辿り着いた二人だが、人が集まり騒がしくなっていることに気が付く。

 

「あ、花ちゃん!」

 

「あぁ雪菜!相変わらずの夫婦登校?」

 

「夫婦じゃ無いよ!!」

 

人だかりの中に友達である『結城(ゆうき)(はな)』を見つけた雪菜は彼女に駆け寄る。花もそれに気づき、悠時の姿を視界に入れて早速雪菜を弄り出す。

 

「え〜?でも毎日一緒に登校してるじゃん?」

 

「だ、だってそれは、色々事情もあるし・・・」

 

「え?なんて?」

 

「な、なんでもない!!」

 

顔を真っ赤にしながら反論する雪菜を見て面白そうに笑う花。その間にも、周りの歓声は大きくなっていく。

 

「ところでさ、これは何の集まりなの?誰か有名人でも来てるの?」

 

「あ、そっか。雪菜は転校生だから知らなかったね。ほら、あそこ」

 

花が指差した先には、雪菜達が着ている制服と同じものを身に纏い歩いている1つの集団が。先頭を歩くのは長い紅髪が特徴的な女子が、その次に長い黒髪が特徴的な、大和撫子と表現するのが正しいと思われる女子が、さらに彼女達の後ろには金髪が特徴的で顔も整っている男子が一人と、他3人に比べると背が小さいがその分マスコットキャラのような容姿をしている女子が一人。

 

「一番を歩いているのが、三年生の『リアス・グレモリー』先輩で、その次に歩いている黒髪の人がグレモリー先輩と同じクラスで親友でもある『姫島朱乃』先輩、この集団の中で一人だけの男子が私たちの同級生の『木場裕斗』君で、最後の子が一年生の『塔城小猫』ちゃん!この学校じゃ、あの四人は超がつくほどの有名人で、知らない人は居ないぐらいだよ!」

 

「ヘ〜・・・そんな凄い人たちなんだ〜・・」

 

周りの生徒が歓声を上げる中、四人は全く身動ぎせず、けれども時々周りに笑顔で微笑んだり、手を振ったりしながら校舎へと歩いていく。雪菜はそれを周りの歓声に圧倒されながら見送る中、雪菜の後ろに待機していた悠時は四人の背中を睨んでいた。

 

(あいつらの気配・・・・なるほど、奴らが・・・)

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

「あんな凄い人達が学校にいたんだね〜・・・」

 

放課後、未だに朝の余韻が抜けきっていないのか、少しボーってしている雪菜を見て、あのことを伝えるべきか悩んでいる悠時。

 

(どうするか・・・今教えたら大声で叫んじまいそうだし・・・かと言って教えないわけにも・・・「うわぁああああああ!!」!)

 

「ねぇ悠時、今の・・」

 

「この廃工場からか・・・・雪菜は先に帰ってろ」

 

「え!?で、でも・・・今の悲鳴が転生者が原因だったら・・・」

 

「いや、おそらく今回は転生者じゃない・・・多分元々この世界にいる異形が原因だろうな」

 

「元々いる異形?」

 

「それについては後で教える。とにかく、俺は対処しにいくから帰ってろ。あぁ、間違っても追ってくんなよ!」

 

悠時は雪菜に念を押してから廃工場へと入っていく。中は思った以上に暗く、どのようになっているのかを把握するのにはしばらくの時間を有する必要があった。

 

「この匂い・・・・一足遅かったか・・」

 

視界は悪いが、悠時はその場に漂う匂いから何が起こったかを察する。そして、それはこの廃工場を住処とする相手も同様であった。

 

「おぉ・・?なんだぁ、今日はもう一人食えるのかぁ〜?」

 

足音が徐々に近づいていき、その姿を表す。上半身は人の体をしているが、下半身は人間とは全く違く、獣のような四本足をしていた。

 

「お前、はぐれ悪魔だな?」

 

「お?なんだお前、悪魔の事を知ってるのかぁ〜?まぁどうでもいいか、どうせ俺に食われるんだからなぁ!」

 

はぐれ悪魔はすぐにでも飛び掛かれる体勢に入ったが、悠時はそんな姿を鼻で笑い飛ばす。

 

「ふん・・・」

 

「あぁ?」

 

「生憎お前に食われる程、俺は安くないんでね・・・そもそも、喰うのはお前じゃ無い・・・この俺だ」

 

『牙王!』

 

悠時が牙王ウォッチを起動すると、腰にガオウベルトが出現し、待機音が鳴り響く。

 

「変身」

 

悠時は手に持った金色のライダーパスである『マスターパス』を空中に放り投げる。すると、マスターパスは宙を漂い、自動的にベルトにセタッチされる。

 

『ガオウフォーム!』

 

悠時の体がスーツに覆われ、そこから銅色のアーマーが形成されていく。最後にはワニの口を模したようなアーマーが顔に装着され、『仮面ライダー牙王』へと変身を遂げる。

 

「な、なんだその姿は!?お前まさか、神器(セイクリッドギア)持ちか!?」

 

「あ?神器?なんだそりゃ?」

 

聞き慣れない単語に牙王は首を傾げる。が、その間にも手は腰についていた4つのパーツを繋げていっている。それらは1つの武器『ガオウガッシャー』へと変形し、ギザギザの刃が長くなる。

 

「・・・まぁいい、さっさとお前を喰って終わりだ」

 

牙王は剣先をはぐれ悪魔へと向け、駆け出す。はぐれ悪魔をまっすぐ向かってきた牙王を踏み潰そうと、前足を思いっきり上げ、勢いよく振り下ろす。

 

「けけけ!この程度かぁ、一瞬でも怯えたの「ふん!」ぎゃぁああああああ!!!?」

 

完全に踏み潰したと思ったはぐれ悪魔だったが、次の瞬間にはその前足は斬り飛ばされ、血が吹き出していた。

 

「随分脆いな、そんなんじゃ喰いごたえがねぇぞ」

 

足を斬り飛ばした牙王はガオウガッシャーを肩に担ぎ、悠々と佇む。だが、その身体からは強烈な殺気が放たれ、はぐれ悪魔は目の前の相手の完全に間違えた事に気づく。

 

(な、なんなんだこいつは・・・ただの人間じゃねぇ!?このままじゃ俺は、殺されちまう!早く逃げないと・・・・!)

 

急いで牙王から逃げようとするはぐれ悪魔だが、足を斬られてしまっているため思いように動けなかった。

 

「この程度の殺気で逃げようとするか・・・・はぁ、お前の相手も飽きたな。これで終わりにしてやるよ」

 

『フルチャージ!』

 

牙王はマスターパスをベルトに翳し、放り投げる。ガオウガッシャーにはエネルギーが溜められていき、刀身が分離される。牙王がガオウガッシャーを振り回すと、それに合わせて刀身も振り回され、はぐれ悪魔を何度も斬りつける。はぐれ悪魔からどれだけの血が吹き出ようが、まるで気にせずに。

 

「ぎゃぁああああああ!!!・・・・・・・」

 

最初こそ叫び声を上げていたはぐれ悪魔だったが、やがて力尽きたのか声が聞こえなくなる。にも関わらず攻撃の手を緩めない牙王だったが、しばらくして相手が既に事切れているのに気づき、ようやく手を止めた。

 

「・・・・・・」

 

牙王はその場を離れようとするが、ある物が視界に入り、その足を止める。その先には、おそらくはぐれ悪魔に襲われてしまったであろう人の物である鞄や靴、服といった物が散乱していた。そのどれもが血で染まっている。牙王はゆっくりとその場所へと移動すると、それらを眺める。

 

(・・・俺はお前との約束を守れているか?・・・・・・・ゲイツ)

 




誰か出して欲しいキャラクター、能力、ライダーが居ましたら教えてください。募集します。因みにライダーは平成ライダーの中からお願いします。



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第三話

今回はいろんなライダーが出ますよ。どんなライダーが出るかは実際に読んでのお楽しみ!


それでは第三話、どうぞ♪


「さて、そろそろ帰るか・・・・ん?」

 

はぐれ悪魔を倒した後、その場から立ち去ろうとする牙王。だが、そんな牙王は赤く光る魔法陣が入り口に展開されている事に気付いた。

 

「ちっ・・・長居しすぎたか」

 

魔法陣を見て舌打ちをする牙王。その魔法陣からは四人の制服を着た学生が姿を現した。

 

「あら?はぐれ悪魔の気配が無いわね・・・」

 

「ですが部長、あそこに誰かいますよ」

 

「あらあら、どなたでしょうか?」

 

「あの人・・・血の匂いがします」

 

魔法陣から姿を現した四人、リアス・グレモリーと姫島朱乃、木場裕斗、搭城小猫達グレモリー眷属はすでにこの場にはぐれ悪魔が居ないことに気づき、その代わりに牙王がいる事に気づく。

 

「あなた、何者かしら?」

 

「・・・・悪魔、リアス・グレモリー率いるグレモリー眷属か」

 

「・・こっちの事は知っているようね・・それは神器?初めて見るわね」

 

「その神器ってのがなんなのか知らねぇが、こっちはお前の質問に答える必要なんてないんでね。さっさと帰らせてもらうぜ」

 

牙王はそう答えると、グレモリー眷属に背を向けこの場を去ろうとする。が、そんな牙王に向かって紅い魔力が放たれる。

 

「ふん!」

 

それに気付いた牙王は振り向きざまにガオウガッシャーで魔力を叩き切る。

 

「!滅びの魔力を・・!?」

 

「あらあら・・・・」

 

「ったく、せっかく穏便に済まそうと思ったのによ・・・ま、やるってんなら付き合ってやるぜ。なんせさっきの奴じゃ喰い足りなかったからな」

 

「!裕斗!」

 

「はい!」

 

牙王が殺気を放った瞬間、リアス・グレモリーは指示を出し、木場がどこからか剣を取り出して牙王に向かっていく。牙王はそれをガオウガッシャーで迎え撃とうとするが、次の瞬間に木場は牙王の目の前から姿を消す。

 

「!・・・そこか!」

 

一瞬慌てた牙王だが、すぐに平静を取り戻し、落ち着いて対処する。

 

「な、気づかれた!?」

 

「お前、速いな。だが、殺気がダダ漏れだ!」

 

受け止められた事が予想外だったのか木場は動きが止まり、そこを牙王に軽く蹴られる。

 

「グゥ!?」

 

「さて、その速さに剣ならば・・・・こっちの方が良さそうだ」

 

『サソード!』

 

新たなウォッチを取り出した牙王はそれを起動し、左手に紫の剣『サソードヤイバー』を、右手に紫色の蠍『サソードゼクター』を持ち、ゼクターをヤイバーに取り付ける。

 

「変身!」

 

『HENSHIN』

 

すると、牙王の体が六角形で覆われ、チューブ状の触手で覆われたようなアーマーを身に纏う『仮面ライダーサソード・マスクドフォーム』に変身を遂げる。

 

「姿が変わった・・!?」

 

「これで終わりじゃないぞ・・・・キャストオフ」

 

『CAST OFF』

 

サソードがゼクターの尾をヤイバーに押し込むと、チューブ状のアーマーが弾け飛び、紫の体に緑の巨大な複眼を持つ『仮面ライダーサソード・ライダーフォーム』へと姿を変える。

 

『CHANGE SCORPION』

 

「鎧を捨てた・・・」

 

「舐めてるのかしら・・・裕斗!」

 

「!」

 

リアス・グレモリーの声を合図に木場は再び高速で立ち向かう。が、高速で来る事を分かっていたサソードは慌てる事なくベルトを操作する。

 

「クロックアップ!」

 

『CLOCK UP』

 

次の瞬間、サソードがグレモリー眷属の前から姿を消す。いや、グレモリー眷属からは消えたように見える。実際はその身にタキオン粒子を駆け巡らせる事で時間流を自在に動く事ができるようになり、計測不可能な速さで動いているだけ。実際、サソードは今現在ゆっくりと歩きながら木場へと向かって行っている。

 

「どうせだ、一撃で終わらせてやるよ」

 

ゼクターの尾を再びヤイバーへと押し込む。

 

「ライダースラッシュ!」

 

『RIDER SLASH』

 

ヤイバーにエネルギーが溜まっていき、サソードは木場に斬り付ける。木場が持っていた剣は衝撃で破壊され、木場も吹き飛ばされる。

 

『CLOCK OVER』

 

「な!?」

 

「一体何が・・・」

 

グレモリー眷属は何が起こったのか分からず、ただ困惑している。だが、リアス・グレモリーはサソードを視界に移すとすぐに次の指示を出す。

 

「だったら・・・小猫!」

 

「ふっ!」

 

「ふん・・・」

 

小猫のストレートパンチをサソードは躱さずに受け止める。その際、サソードの手に強い衝撃が走る。

 

「!」

 

「はぁあああ!」

 

「・・・・・・」

 

再び小猫が殴りかかってくるが、今度はそれを避けるサソード。

 

(こいつの攻撃・・・見た目に反してだいぶ重い。まともに受け続けるのは流石にリスクがあるか・・・ならば)

 

「はっ!」

 

サソードはヤイバーを小猫に向かって放り投げ、小猫との距離を作る。小猫の方はヤイバーを避け、武器が無くなった今がチャンスと言わんばかりにサソードとの距離を詰めようとする。

 

『オーズ!』

 

再び新たなウォッチを起動するサソード。腰には3つの穴がある細長いベルト『オーズドライバー』が装着され、サソードは右から赤、黄色、緑のコアメダルを入れてベルトを傾ける。そして右腰に備え付けられている『オースキャナー』を起動させ、三枚のメダルをスキャンする。

 

『タカ!トラ!バッタ!』

 

「・・・・変身」

 

『タトバ!タトバ・タ・ト・バ!!』

 

再びサソードの姿が変わり、今度は三枚のコアメダルを使って変身する欲望の王『仮面ライダーオーズ』へと変身した。

 

「また姿が・・・」

 

「それよりも・・・今の歌は?」

 

「ふっ・・・歌は気にするな」

 

朱乃が真っ先に歌へのツッコミを入れるが、オーズはそれに大して答えずに次のウォッチを起動する。

 

『サゴーゾコンボ!』

 

新たに三枚の灰色のメダルを手にしたオーズはそれらのメダルをすでにベルトに装填されているメダルと入れ替え、オースキャナーでスキャンする。

 

『サイ!ゴリラ!ゾウ!サゴーゾ!サゴーゾ!!』

 

三色の体から灰色一色の体『仮面ライダーオーズ・サゴーゾコンボ』へと変わったオーズ。オーズはそこから一歩も動かず、指で小猫を挑発する。

 

「・・・どういうつもりかは知りませんけど・・!」

 

小猫はその挑発に乗り、オーズを思いっきり殴る。が、オーズのサゴーゾコンボはロケット砲を撃ち込まれてもびくともしない防御力を誇っている。当然小猫のパンチごときではびくともしない。

 

「っ・・・・・」

 

「・・・・・」

 

『スキャニングチャージ!』

 

オーズは再びオースキャナーで三枚のメダルをスキャンする。

 

「はっ!」

 

オーズはゾウレッグで思いっきり地面を踏みつけ、地震を起こす。そこにゴリラアームで胸を叩いて小猫に重力をかけて捕らえる。そしてそのまま小猫を引き寄せ、ゴリラアームとサイヘッドを同時に小猫に叩きつけた。

 

「きゃあぁああああああ!!」

 

「小猫!!」

 

小猫は簡単に吹き飛ばされ、壁に激突して気を失う。リアスが小猫の心配をしていると、その横にいた朱乃がオーズに向けて雷を放つ。

 

「よくも裕斗君と小猫ちゃんを・・・」

 

「今度は雷か、それなら・・・魔法の力を見せてやろう」

 

『ウィザード!』

 

また新たなウォッチを起動すると、オーズドライバーの代わりに手の形をしたドライバー『ウィザードライバー』が装着され、ベルトを操作する。

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

「・・・相変わらずうるさいな、このベルトは・・・・変身!」

 

ゴリラアームを取り外し、左手に赤い指輪を嵌めてバイザーを下ろし、その指輪『ウィザードリング』をドライバーにタッチする。

 

『フレイム!プリーズ!ヒー!ヒー!ヒー・ヒー・ヒー!』

 

オーズの横に赤い魔法陣が出現し、それを通るとオーズの体は赤い宝石でその身を包み、黒いローブを纏った魔法使い『仮面ライダーウィザード』へと変身を遂げる。

 

「さぁ、ショータイムだ」

 

『ハリケーンドラゴンスタイル!』

 

さらにウォッチを起動し、左手に嵌められていた赤い指輪が緑の指輪に変わる。ベルトを操作し、再び待機音を鳴らす。

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

「はっ!」

 

『ハリケーン!ドラゴン!ビュー!ビュー!ビュービュー・ビュービュー! 』

 

赤いと宝石と黒いローブの姿から、緑の宝石とローブを纏った姿『仮面ライダーウィザード・ハリケーンドラゴンスタイル』へと変わった。

 

「また姿が・・・一体なんの神器を・・・」

 

「さぁな・・・・」

 

『ルパッチマジックタッチゴー!ルパッチマジックタッチゴー!』

 

「せっかくだ、空中戦なんてどうだ?」

 

『チョイネ!スペシャル!サイコー!』

 

ウィザードの目の前に緑の魔法陣が現れ、それを通るとウィザードの背中に巨大な翼が出現する。ウィザードはその翼を羽ばたかせ、工場の天井を突き破って空へと飛び上がる。

 

「逃しません!」

 

朱乃も追うように悪魔の翼を出し、空へと飛び上がる。ウィザードはその前を飛び続けていたが、突如方向を変えると、朱乃に向かって飛んでいく。朱乃はそんなウィザードに対し雷を放つが、ウィザードは寸での所で回避し、そのまま円を描くように朱乃の周りを飛び回る。朱乃はウィザードに向けて雷を放ち続けるが、擦りもしないどころかウィザードと同じように朱乃の周りを飛び続ける。

 

「一体何を・・・っ!これは!?」

 

朱乃は何が起こってるかに気づき、雷を止めるが時すでに遅し。すでに雷は朱乃を取り囲むように周囲を飛び回っていた。

 

「即席で作った雷の檻だ。なかなかだろう?」

 

『チョイネ!サンダー!サイコー!』

 

「はぁ!」

 

ウィザードは上空、場所でいうと朱乃のほぼ真上の辺りから緑色の電撃を放つ。真上からの攻撃、竜巻によって周囲に避ける事ができずにいた朱乃はなす術なく直撃し、地面へと落ちて行った。

 

「嘘・・・私の眷属が、全員!?」

 

一部始終を見ていたリアス。だが、彼女は目の前で起こった事が信じられず、困惑するばかりだった。そこに、地上に降りてきたウィザードが話しかける。

 

「これで分かったろ、お前達では俺には勝てない。たとえどんな手を使ってもな。分かったら二度と俺に関わるな」

 

(ま、本音をいうとそろそろ帰らないと、あいつがうるさいからな)

 

「・・・・け・・で」

 

「あ?」

 

「ふざけないで!」

 

リアスは怒りで頭に血が上り、ウィザードの言葉を無視して特大の滅びの魔力を放つ。

 

「これが私の全力よ!いくらあなたでもこれを喰らったら・・・・!」

 

人一人は軽く飲み込めそうな大きさの滅びの魔力が迫ってくる中、ウィザードはというと・・。

 

「はぁ、馬鹿なのかねぇこいつは。もういいや、ほい」

 

そう呟いて手を翳す。すると、リアス、滅びの魔力、土煙、その全てが動きを止めた。いや、正しくいうならば時が止まった、だろう。

 

「大人しく引き返してくれりゃそいつらの傷も治してやろうと思ったんだが・・・・ま、悪魔だし人間とは違う方法でどうにかできんだろ。んじゃ、もう二度と会わない事を願うよ」

 

ウィザードはそう言い残すと、翼を羽ばたかせてその場を去っていく。それからしばらくし、ウィザードとの距離が離れると止まっていた時間が動き出した。

 

「いない・・・やった!あいつを倒したんだわ!!」

 

ウィザードはとっくに居なくなっていた事に気づかず、姿が無い事に自分の力で消滅させられたと思い込んで喜ぶ哀れな悪魔が一人、その場に残っていた。彼女が真実に気づくのには、まだ時間を有するのだった。

 

 

 

 




前回までに出たライダーは二人とも名前に王が付いてたな・・・。今気づいたわ。

出して欲しいキャラクター、能力、ライダーがいましたら教えてください、よろしくお願いします。

それではまた次回をお楽しみに!


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第四話

この作品の原作を『多重クロスオーバー』から『ハイスクールD×D』に変更しました。内容自体の変更はありませんので、引き続き『時の魔王の歩む道・・・』をお楽しみ下さい。


グレモリー眷属との戦闘を終えた悠時は自宅である『クジゴジ堂』へと帰ってきた。

 

「ただいま」

 

「あっ、おかえり悠時!」

 

中に入ると先に帰ってきていた雪菜が二階から出てくる。

 

「大丈夫だったの?凄い時間かかってたけど・・・」

 

「あぁ、ちょっと予定外の出来事があったからな・・・そうだ、あいつらの事は一応雪菜にも伝えておこう」

 

「?」

 

悠時は先に荷物を部屋に置きにいき、雪菜にはリビングで待ってもらう。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

しばらくしてリビングへと戻ってくる悠時。リビングに置かれているテーブルには雪菜が用意したらしいお茶が2つ置かれていた。

 

「準備がいいな」

 

「こっちの方が落ち着けるでしょ?」

 

「・・あぁ」

 

悠時は雪菜と向かい合う形で椅子に座り、早速お茶を口にする。

 

「はぁぁぁぁぁ・・・・・うまい」

 

「良かった」

 

そう言って雪菜もお茶を口にする。二人がお茶をテーブルに置いた後、悠時が話を切り出す。

 

「さて、忘れない内に話しておかないとな。先に言うと、リアス・グレモリー達には気を付けろ」

 

「えっ・・と、どういう事?」

 

「元々この世界には、転生者以外にも異能の力を持つ者・・・さらには人外が存在していた。その中で最も人間と関わっているのが、悪魔・天使・堕天使の三大勢力と呼ばれている陣営だ。かつてこの三大勢力は戦争を行なっていてな、その結果どの陣営も人口が減少、さらには戦争中に行われた二天龍と呼ばれてる奴らの喧嘩に巻き込まれて争ってる暇はなくなった。しかも悪魔はそれで自らのトップである魔王を失ったんだ。それで・・・・」

 

「ちょちょちょっと待って!!色々情報量が多すぎてついていけないよ!!」

 

「・・・お前それでも女王か?世界のトップならあらゆる情報もすぐに理解できるぐらいにならないと・・・」

 

「いやまだ女王じゃなかったから!あくまでも次の王の座に着くのが私だったってだけだからね!?」

 

「だとしても王家の血筋だったわけだし、それなりの教養はあるんだからさ」

 

「確かにそうだけど!私の世界には悪魔とか天使とかいなかったよ!!」

 

「転生者はいたけどな」

 

「・・・いたけど・・・・」

 

「しかも王家の者は特殊な力も持ってたけどな」

 

「持ってるけど・・・・でもそれは悠時だって持ってるじゃん」

 

「・・・さて、話を戻すか」

 

「急に!?急に戻さないでよ、まだ理解仕切れてな「えーと、どこまでいったっけ?」聞いてよもう!!」

 

途中から話が逸れたが、まだ話は終わってないので続きを話し始める悠時。雪菜は自分の言う事を聞かない悠時に頬を膨らます。

 

「後で聞いてやる。んで、人口の減少、二天龍の喧嘩が原因で戦争を終了させた三大勢力は今停戦状態でな。今後の事次第では再び戦争が起こる」

 

「え〜と・・・でも人口が減ってるんでしょ?それじゃあ戦争しても、戦力が低下している内は戦争なんて起きないんじゃ・・」

 

「確かに人口は減少した。それに加え悪魔は出生率が悪いからな、そうそうに人口は増えない。そこで奴らは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を開発した。悪魔以外の存在を悪魔へと転生させるアイテム・・・悪魔によっては相手の意見なんて関係無しにな。それによって悪魔は人口を増加させている」

 

「・・・・やっぱついていけない・・」

 

あまりの話の壮大さに、いくら教養がある雪菜でも頭から煙が上がりかけている。

 

「・・・・やっぱ続きはまた今度にするか、とにかく今言っておくべき事は1つ・・・・リアス・グレモリーとそれ取り巻きの3人は全員悪魔だと言う事だ。それじゃ、明日は休みだしゆっくり休め」

 

「うん・・・・・・・って、えぇ〜〜〜〜〜〜!?」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

それから二日、悠時と雪菜は街に出ていた。理由は単純、ただの退屈しのぎだ。まぁあくまでも、悠時にとってはだが。

 

(悠時と二人で街にお出かけ・・・これってデデデデ、デートって事!?どどどうしようどうしよう!!)

 

雪菜はそれどころではなく、一人で慌てていた。そんな雪菜の気持ちなんて露知らず、悠時はあてもなくブラブラと歩く。悠時からしたら普段から一緒に生活している雪菜と二人で出かける事に抵抗感も緊張も全くなく、雪菜の気持ちは全く気づいていなかった。

 

「出てきたは良いけど、どこに行くか何も考えてなかったな・・・・雪菜!どこか行きたい場所あるか?」

 

「ふぅえ!?な、何!?」

 

「いや、だからどっか行きたい場所は無いかって・・・・あぁ、時間も良いぐらいだし、何か食いたいものでも良いぜ?」

 

「あ、あぁ、そうだね・・・・そうだ!昨日花ちゃんから聞いたんだけど、最近新しく出来たカフェがあるんだって、そこに行ってみない?」

 

「カフェか・・・・・そうだな、そうしようか」

 

「それじゃあ決まり!え〜と場所は確か・・・」

 

(・・・・・ん?)

 

雪菜が聞いた場所は思い出しながら歩き出したところで、悠時は人混みの中に1組の男女を見つける。

 

(あの男って確かあいつから聞いた・・・・・って事は原作が開始するって事か・・)

 

その男女、特に男の方を見ながらこれからの苦労を思い浮かべて思わず顔を歪める悠時だった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あ〜、楽しかった!」

 

「そりゃ良かった」

 

あの後、悠時と雪菜はカフェで昼を堪能し、その後も雪菜の買い物だったりと続けた。そんな事をしていると時間もかなり経ってしまい、時刻は夕方になってしまった。

 

「ごめんね?こんな時間まで・・・」

 

「気にすんな、俺のすきで付き合ったんだから」

 

申し訳なさそうに謝る雪菜だが、全く苦にも思ってないように返す悠時。因みに今回買った物はほとんどが雪菜の物だが、悠時が荷物を持っている。

 

「たまにはこうやって出掛けんのも良いな。また来ようか」

 

「あっ、それじゃあ私バイクに乗らせて欲しいな!」

 

「ツーリングか、それもありだな。それじゃあその内・・・・・・!」

 

公園の横を通りかかった瞬間、急に立ち止まる悠時。そんな悠時に雪菜も気付き、駆け寄ってくる。

 

「悠時?どうしたの?」

 

「これは・・・人払いの結界か。てことは堕天使か?」

 

「堕天使?・・・って、確か三大勢力の内の1つの・・・」

 

思い出すように呟く雪菜。その間悠時は結界が張られた公園内で何が起こっているのかを推測する。

 

「・・・雪菜、お前はこれ持って先に帰ってろ」

 

「・・・・・この中で何が?」

 

「多分、堕天使に人間が襲われてる。俺は今から中に行ってくるから「だったら私も行く!」・・・雪菜?」

 

突如自分も行くと言い出した雪菜。悠時は戸惑いながらも雪菜の目をしっかりと見る。

 

「・・中に入って、お前も無事でいられる保証は無い。それでも良いのか?」

 

「私だって自分の身を守るぐらいの力はあるよ。それに、いざとなったら悠時が守ってくれるって信じてる!」

 

変わらず雪菜の目を見据える悠時。瞬間、沈黙が訪れたがすぐに悠時がその沈黙を破る。

 

「・・分かった。だが、危ないと思ったらすぐに逃げろ、良いな?」

 

「うん」

 

「よし、行くぞ」

 

悠時がそう言うと、二人の目の前に灰色のオーロラが出現、二人を飲み込んでいき、すぐに消えていった。

 

 




次回から堕天使の登場!ライダーは何を出そうかな?



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第五話

今回のライダーはあの狂った悪党と言えるアイツです。後雪菜の能力も登場します、みんなどんな能力なのかもう分かってるかもしれないけど・・・・。

それではどうぞ!


灰色のオーロラを通って公園内へと進入する悠時と雪菜。先ほどまでは空はオレンジ色だったはずだが、中は紫色のような空になっていた。

 

「何?この空・・・」

 

「おそらく結界の中だからだ。結界を張られた場所は、外とはまた別の空間だと考えた方がいいかもな」

 

悠時はそう言うと、今までのとはまた別のウォッチを取り出しながら歩き出す。雪菜も共に歩き出し、やがて広場に出てくる。そこには背中から黒い翼を生やした女が一人、そして、彼女の足下には腹に穴が開いている一人の男が血を流して倒れていた。

 

「えっ!?あ、あれって・・!?」

 

「手遅れだったか・・・」

 

「あら?おかしいわね・・・人払いの結界を張っておいたはずなのだけれど」

 

堕天使の女も二人に気付き、首を傾げる。そんな堕天使相手にも悠時は堂々と言い返す。

 

「あぁ、確かに張られてたぜ?俺には無意味だがな」

 

「もしかして、何かしらの神器持ちかしら?まぁどちらにせよ・・・・ここで死んでもらうけどね!!」

 

堕天使は空中に光の槍を生成、それを二人に向けて投げる。

 

「っ!」

 

「きゃ!」

 

悠時は急ぎ雪菜を押し出し、自身も雪菜とは反対側に飛んで避ける。着地すると同時に、手に持っておいたウォッチを起動させ、ベルトを装着する。

 

『マッドローグ!』

 

紫のフルボトル『バットフルボトル』と赤いフルボトル『エンジンフルボトル』を両手に持って振り、やがて腰に装着された赤いベルト『エボルドライバー』に装填する。

 

『蝙蝠!発動機!エボルマッチ!』

 

二本のフルボトルが装填されたエボルドライバーの青いレバーを回し、交響曲第9番が流れ始める。ドライバーからは紫と赤のチューブが天狗巣状に形成される。

 

『Are you Ready?』

 

「変身!」

 

『バットエンジン!フッハハハハハハハ!』

 

チューブが悠時の体に巻きつき、その体にアーマーを形成する。チューブが消えると、そこには黒のスーツに紫と白のアーマーが装着された『仮面ライダーマッドローグ』が立っていた。

 

「な、何よその姿!?そんな神器、聞いたことが無いわよ!!」

 

「また神器ってやつか・・・・後であいつに聞いておかないとな」

 

マッドローグは指で眼鏡を上げるような仕草をしながら呟くが、すぐに顔を上げて右手に持った紫の銃『ネビュラスチームガン』で堕天使に向けて光弾を放つ。

 

「っ!?」

 

「はっ!」

 

堕天使は咄嗟に翼で体を守るが、それにより視界が奪われマッドローグの接近を許してしまう。マッドローグを左手に赤いバルブが付いている剣『スチームブレード』で堕天使の翼を斬り付ける。

 

「きゃ!?」

 

「ふっ!はぁ!」

 

翼が開いた瞬間、マッドローグはスチームブレードを下から上に斬り付ける事で胴体をがら空きにし、そこに容赦無くネビュラスチームガンで光弾を何発も放つ。堕天使はその衝撃に押され吹き飛び、噴水に衝突する。

 

「くっ・・・・貴様ぁ、人間の分際でぇ!!」

 

『Ready Go!』

 

「ふん!」

 

背中から巨大な翼を展開し、堕天使に向かって突っ込む。

 

「きゃぁああああああ!!?」

 

『エボルテックアタック!チャオ〜!』

 

堕天使の翼から黒い羽が何枚も飛び散り、堕天使も苦しそうに立ち上がる。

 

「くぅ・・・ドーナシーク!カラワーナ!ミッテルト!あいつを殺しなさい!!」

 

堕天使が叫ぶと、また新たに3人の堕天使が現れる。

 

「まだいたのか・・・」

 

「レイナーレ様をここまで追い詰めた相手・・・生かしてはおけん!」

 

「レイナーレ様は早くお逃げ下さい!」

 

「我々の計画の邪魔はさせないっす!」

 

「計画だと・・?」

 

ドーナシーク、カラワーナ、ミッテルトと呼ばれた3人は光の槍をマッドローグに向かって投げ、その間に堕天使・・・レイナーレは翼を広げて逃げようとする。

 

「逃すか!」

 

マッドローグはそれに気付き、ネビュラスチームガンから光弾を放つが、ドーナシークが展開した魔法陣に妨害される。

 

「貴様の相手は我々だ!!」

 

「ちっ、邪魔だな!」

 

『ライフルモード!』

 

ネビュラスチームガンとスチームブレードを合体させてライフルモードにし、上空を飛んでいるドーナシークに向けて狙い撃つマッドローグ。それをドーナシークは魔法陣で防御し、その間に地上からミッテルトとカラワーナがマッドローグを襲撃する。

 

「喰らえっす!」

 

「!」

 

ミッテルトが光の槍でマッドローグを貫こうとし、それをライフルモードの状態のスチームブレードで受け止め、後ろから迫ってくるカラワーナの光の槍は展開した翼で防御する。

 

「あまり時間もかけるわけにもいかないし・・・一掃するならあれか」

 

マッドローグは一気に殲滅するために、3人から距離を離そうとする。が、ミッテルトとカラワーナによって上手く離れる事ができず、その間にドーナシークも近づいてくる。が、次の瞬間にマッドローグ以外の3人の動き・・・・・いや、時が止まった。

 

「!・・・・雪菜か」

 

突如時を止めた3人に、マッドローグは離れた場所で戦いを見守っていた雪菜の方を見る。彼女はこちらに手を向け、3人の時を止めていた。

 

「今回はあいつを連れてきて正解だったか・・・・・ふっ!」

 

今の内にと、マッドローグは3人から離れ、二本のフルボトルを取り出す。1つはガトリングが描かれている『ガトリングフルボトル』、もう1つはフルボトルとは異なる形状をした『ライダーエボルボトル』。マッドローグはこの二本をエボルドライバーに装填する。

 

『機関砲!ライダーシステム!クリエーション!』

 

レバーを回すと、エボルドライバーからチューブが伸び、マッドローグに横にオレンジと黒の銃『ホークガトリンガー』が形成され、マッドローグはそれを手に取る。

 

『Ready Go!』

 

『10・20・30・40・50・60・70・80・90・100!!』

 

『機関砲!フィニッシュ!チャオ〜!!』

 

『フルバレット!!』

 

マッドローグはホークガトリンガーの中心にあるリボルマガジンを十回回転させ、3人の堕天使に100発の銃弾を高速連射する。時を止められていた3人は避ける事は愚か動く事も叶わず、為す術なく銃弾を喰らう。やがて煙が晴れるが、そこにはもう誰も居なかった。

 

「ふぅ・・・・さすがにアイツはもう逃げ切られたか」

 

「悠時!」

 

ひとまずの戦いが終わった事に安堵しながら上空を見上げるマッドローグ。そこに雪菜が駆け寄ってくる。

 

「雪菜、さっきはありがとうな。おかげで助かった」

 

「ううん、役に立てたなら良かった」

 

「あぁ・・・・・!雪菜!!」

 

「ふぅえ!?」

 

雪菜の言葉に返事をするマッドローグだが、あるものが視界に入った瞬間、マッドローグは突如雪菜を引き寄せ、肩アーマーから煙を噴出して転移する。急な事で何があったか理解しきれなかった雪菜だが、唯一分かったのは倒れている男のすぐ近くに、紅い魔法陣が展開された事だけだった。

 




未だに名前が出てない原作主人公・・・・しばらく出番無いかも。


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第六話

本編ではキャラ的に違うからここで・・・・宇宙キターーーーーーー!!


マッドローグの転移能力を使い、公園からクジゴジ堂へと戻ってきた二人。マッドローグは変身を解き、悠時の姿に戻る。

 

「悪いな、急に転移して・・・」

 

「う、うん、転移したのはいいんだけど・・・・さっき光ってたあの魔法陣は?」

 

「あの紋章・・・・ほぼ間違いなくリアス・グレモリーの物だ。俺は素顔が隠れていたからあの場にいてもどうにかなったが、お前はそうじゃ無い。奴に顔がバレてから転移したんじゃ奴は顔からお前を調べ上げる。そして接触してくるはずだ、同じ学校なら尚更」

 

悠時は口早に告げる。もし、あのまま公園に止まってリアスと接触してしまった場合、高確率で雪菜の顔は目撃される。そうすればリアスは持てる力全てを使って雪菜の素性を調べ上げ、連鎖的に悠時まで辿り着いてしまう。

 

「少なくとも奴と接触する前に離れたから、雪菜の事も見られてないはずだ。せいぜいあの場所で戦いがあったと分かるぐらいのはず・・・・・・ま、雪菜は心配する必要はないはずだ。気にするな」

 

「そうなんだ・・・よかったぁ〜・・」

 

「さて、俺は逃げた堕天使・・・あのレイナーレって呼ばれていた堕天使を捜索してくる。おそらくまだ近くにいるはずだからな」

 

「え?でも、もうそれなりに時間が経っちゃってるよ?もうこの街にはいないんじゃ・・・」

 

「いや、それは無い。さっき倒した堕天使は『計画の邪魔はさせない』って言っていた。つまり奴らはこの街で何かを企んでいた・・・ってことは、そう遠く無い場所に奴らが拠点としている場所があるはずだ」

 

「あ、そっか!」

 

「だが、奴らの計画ってのが何なのか分からない以上、のんびりしている暇は無い。なるべく早めに対処するべきだ。・・・これ以上誰かが犠牲にならない内にな」

 

悠時は静かに、だが確かな怒りを感じながら話す。そして懐から今までのウォッチとは異なった形状をしている赤いウォッチを取り出し、起動する。

 

『サーチホーク!』

 

「堕天使の拠点を探してほしい。頼むぞ」

 

ウォッチが変形したタカ、『タカウォッチロイド』は悠時の言葉に頷き、外に出ていく。そして、悠時も『バイク』と書かれているウォッチを取り出し、外に出ていこうとする。

 

「俺も行ってくる。雪菜は休んでいろ・・・・・あぁそうだ、もしも暇が出来たら、アイツに神器って奴について聞いてくれないか?」

 

「分かった」

 

「頼んだぞ、それじゃ行ってくる」

 

バイクウォッチを起動し、放り投げる。するとウォッチは空中で変形しながら巨大化し、『ライドストライカー』へと変形を果たす。

 

「さてと、タカからの連絡が来るまで俺もしらみ潰しに探してくるか」

 

悠時はライドストライカーを動かし、街に繰り出す。人に危害を及ぼす堕天使を駆除するために・・・・。

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

しばらく街中をバイクで走っていた悠時、そこにクジゴジ堂で放ったタカウォッチロイドが戻ってきた。

 

『サガシタカ・タカ〜♪』

 

「お、堕天使の居場所を見つけたのか?」

 

悠時の言葉に頷くタカウォッチロイド。

 

「よし、早速案内してくれ」

 

タカウォッチロイドは方向転換し、ある場所目掛けて飛行し始める。悠時は前を飛行するタカウォッチロイドを見失わない様に気をつけながらその後を追う。やがて小さな林の中を抜け、教会の裏側に辿り着く。

 

「これは教会か・・・・にしても随分寂れているな。もう使われなくなっていたのか?だとしたら人も来ないだろうし、悪魔も近づけない以上隠れ場所としては十分か・・・・ん?」

 

天使の所有物である教会には悪魔は容易には近づけない。すでに捨てられててもそれは変わらない。こそこそ隠れて何かを企んでいる堕天使からしたらこれ以上無い隠れ場所だ。悠時はその事を考えていると、タカウォッチロイドが地面の方を指す。

 

「・・・なるほど、地下があるのか。なら・・・」

 

『フォーゼ!』

 

ウォッチを起動し半透明で4つのアストロスイッチが嵌められているベルト『フォーゼドライバー』が装着され、ライドストライカーから降りた悠時はベルトに付いている4つの赤いボタンを右から順に押していく。

 

『3・2・1!』

 

「変身」

 

ベルトの右側に付いている大きなレバーを引き、周囲に白い煙が包まれ、悠時の真上から降り注ぐ様に光が出現し、白いアーマーが悠時を包む。煙が晴れると、そこには白い宇宙服を模したスーツに身を包んだ『仮面ライダーフォーゼ』が姿を現した。

 

「宇宙来た・・・てか?」

 

『ドリル・オン!』

 

ベルトに装填されている黄色いスイッチのオンにすると、フォーゼの左足にドリルが装着される。ドリルは回転し始め、地面に穴を開けながら地下へと進んでいった。進み続けたフォーゼはやがて、大きめな広い空間へと辿り着いた。

 

「な、何!?」

 

「よっと・・・おぉ、思ったよりも広いな」

 

突然現れたフォーゼに、地下空間にいたレイナーレと、沢山のはぐれ神父が驚きを隠せずに動揺する。フォーゼははぐれ神父には目もくれず、巨大な黒い装置に前にいたレイナーレの方を見る。

 

「ま、まさか・・・さっきの奴の仲間!?」

 

「残念だがハズレだ。苦労したんだぜ?堕天使3人を倒して逃げたお前を探すのは」

 

姿が違う事からマッドローグとは別人と考えたレイナーレだったが、その考えはフォーゼによって一瞬で壊される。先ほど自身を追い詰めた相手が仲間の堕天使を討ち倒し自分を追ってきた・・・・この事でレイナーレはフォーゼが自分をどうしようとしているのかは想像できてしまった。

 

「あ、あなた達!こいつを殺しなさい!!」

 

レイナーレはフォーゼの後ろにいたはぐれ神父達に命令を下す。命令を受けたはぐれ神父が光の剣や銃を取り出すが、次の瞬間には全員の時が止まる。

 

「俺がここに来たのはこいつらの相手をするためじゃ無い・・・お前の目的、計画とやらを聞きに来たんだよ」

 

「ヒッ!?」

 

フォーゼははぐれ神父達を時を止め、相手が気絶しない程度の殺気をレイナーレへとぶつける。殺気を受けたレイナーレは恐怖を感じて座り込み、ガタガタと震える。

 

「さぁ教えてくれよ、お前の計画って奴を」

 

「わ、分かった!教えるわ!!」

 

教えれば命が助かると思ったのか、レイナーレは自身の企みを何1つ隠さずに話していく。先ほど人間を一人殺したのは危険な神器をその身に秘めていると分かったから。自分の目的は神器『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を所有しているシスター、アーシア・アルジェントをこの教会に呼び出し、その神器を奪って自らの力にしようとした事。全てを聞き終えたフォーゼは満足したのか、レイナーレに背中を向ける。

 

(た、助かった・・?・・は・・・・ははは・・・あっははははは!やった、助かったわ!!命があればまだ計画を実行できる!力を手に入れられる!でもその前に・・・この人間を・!)

 

背中を向けている今なら簡単に殺せると思ったレイナーレは、その手に光の槍を出現させる。そしてそれをフォーゼの背中へと・・・・

 

『ドリル・オン!』

 

『ドリル・リミットブレイク!』

 

「はぁあああああああああ!!」

 

「きゃああああ!?」

 

突き刺す前にフォーゼによってドリルを突き刺されたレイナーレ。高速回転するドリルはレイナーレを巻き込み、辺りに血が飛び散る。いくら堕天使ともいえど、腹にドリルを突き刺され、さらに回転に巻き込まれれば体はもちろん内臓も只では済まず、すぐに力尽きる様に倒れ伏した。

 

「自分の都合で人間を殺そうとした事・・・・そんな奴を、俺は見逃すつもりはない」

 

『ロケット・オン!』

 

フォーゼはそう言い残すと、入った時に開けた穴を通って地上へと出て行った。フォーゼが離れた事により止まっていたはぐれ神父達が動き出したが、すでに彼らの雇い主に死に絶えており、何が起こったのかを理解する事はできなかった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

「かくして、我が魔王・湊悠時は堕天使レイナーレの野望を人知れずに阻止した。だが、彼女の野望は原作では重要なイベントの1つ・・・・もうこの世界は本来歩む時間から大きく外れてしまった。多くの転生者、そしてその転生者を狩る我が魔王の介入により、この世界の未来は誰にも分からなくなってしまった、当然この私も・・・・さて、そろそろ私も二人に合流するべきか・・」

 

『ウォズ!』

 

 

 




しばらく原作本編から離れると思います。

さて、次回のライダーは何かな?



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第七話

久しぶりに登場、転生者。何か転生者の特典として使えそうなものないかな?


「はぁ!」

 

「うわぁああ!?」

 

堕天使レイナーレの一件から約一ヶ月、悠時は雪菜と協力しながら転生者の魂を回収していた。

 

「はい、回収っと」

 

「今の魂で大体3分の1ぐらいの魂を回収できた」

 

「思ったよりも早いね。もう3分の1かぁ」

 

「あぁ・・・・・だが、俺達が回収したのはその内の大体半分だ」

 

「?・・・どういう事?」

 

「俺達以外にも、転生者の魂を回収している奴がいるって事だ」

 

疑問を感じる雪菜だが、悠時は至って冷静に考える。実際、悠時は既に誰の仕業なのか検討が付いていた。

 

「どこに行ってるのかと思ってたが、どうやらあいつもこの世界に来ていたらしい。その内、あっちから接触してくるさ」

 

よっぽどその相手を信頼しているのか、悠時は全く警戒する素振りをみせずに歩き出す。雪菜はその相手が誰なのか全く検討がつかず、首を傾げるばかりだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

丁度その頃、問題の人物はある空間にいた。厳密に言えば精神だけがある空間へと移動していた。その空間は周囲の全てが白い空間で出来ていて、空中には大量の本棚が浮かんでいる。

 

「ふむ・・・・これが本来であればこの世界に訪れるはずだった未来か・・」

 

その人物は大量の本の中から一冊を抜き取り、読みふける。その本は赤一色といったもので、表紙には『High School D×D』と書かれていた。

 

「転生者や我が魔王の介入でこの未来がどう変化するのか・・・・ん?」

 

何かに気づいたのか、持っていた本を閉じて意識を現実へと戻す。

 

「おや?あれは・・・・ふふ、丁度いい」

 

現実では彼はあるビルの屋上に立っていた。そこから地上を見下ろしていたが、ある人物を見つけた瞬間に笑みを溢す。彼は首に巻かれていたローブを動かすと、ローブは空中を自由自在に動き出し、彼を包み出す。やがてローブがそこから離れると、そこには誰もいなくなっていた。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「どういう事だ・・・なぜアーシアがグレモリー眷属にいない!!」

 

とある路地裏、そこでは転生者と思しき男が自分の知っている話と今現在起こっている事が食い違っている事に気づき、苛立っていた。辺りに置かれているゴミ箱やらパイプやらを手当たり次第に蹴り飛ばしている事から相当苛立っている様だ。

 

「まさかまだ原作が開始されてないからか?・・いや、もう6月になっているんだ、それは無い。・・・クソがっ!!」

 

この男は学生というわけでもなく、駒王学園内の事情を知れる立場にいるわけではないが、原作のスタートした時期から考えてその可能性は無いと考える。だが他の考えが浮かぶわけでもなく、自らの特典で入手した能力を使って辺りに炎を撒き散らす。

 

「やれやれ・・・随分野蛮だな」

 

「っ・・誰だ!?」

 

男が声をした方に振り向くと、そこには先ほど屋上から姿を消した彼が立っていた。

 

「・・?お前・・・どこかで」

 

「生憎だが、私と君は初対面だ。最も、君の事は知っているがな」

 

彼はそう言うと、懐から黒と緑のドライバーを取り出し、自らの腰に装着する。

 

『ビヨンドライバー!』

 

「・・・・!そうだ、思い出した!お前は!!」

 

『ウォズ!』

 

さらに悠時が持っている全てのウォッチと全く別の形状をした、縦に細長いウォッチ『ウォズミライドウォッチ』を起動した。そのミライドウォッチを腰に装着しているビヨンドライバーの右側のレバーにセットし、再びミライドウォッチの起動ボタンを押してカバーを開く。

 

『アクション!』

 

彼の後ろには緑のプロジェクターの様なものが出現し、周りを緑のライトが取り囲む。

 

「変身」

 

『投影!』

 

彼がミライドウォッチが装填されているレバーを倒すと、ドライバー内部にミライドウォッチに描かれていたライダーの顔が投影される。

 

『フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!!』

 

後ろのプロジェクターから青い『ライダー』の文字が飛び出し、彼の体に白いスーツが形成され、上から胸、肩、足にアーマーが装着される。最後に飛び出したライダーの文字が顔面にくっつく。彼は本来の未来とは異なった未来からやってきた『仮面ライダーウォズ』へと変身を遂げた。

 

「祝え!過去と未来を読み解き、正しき歴史を記す預言者。その名を仮面ライダーウォズ!新たなる歴史の一ページである!」

 

左手に『逢魔降臨歴』と書かれている本を持ちながら高らかに宣言する仮面ライダーウォズ。転生者の男はこの世界に仮面ライダーがいるとは思ってなかったのか、思わず後ずさってしまう。

 

「仮面ライダー・・!なんでこの世界に・・!?」

 

「君が知る必要はない」

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

ウォズは黒くヤリと書かれている武器『ジカンデスピア』のヤリモードを手に持つ。

 

「はぁ!」

 

「ちっ!?」

 

早速ジカンデスピアで突き始めるウォズ。最初こそ避けるのに専念していた転生者だったが、ジカンデスピアのリーチの長さに徐々に擦り始める。

 

「くそ!喰らえ!!」

 

転生者はウォズに手を向けて炎を出す。だが、ウォズはすでに知っていたため、全く動揺せずに紫のミライドウォッチ『シノビミライドウォッチ』を起動した。

 

『シノビ!』

 

「その程度の能力で、私を倒すのは不可能だ」

 

『アクション!投影!』

 

レバーを倒し、ウォズの顔にシノビと書かれているミライドウォッチをドライバー内部に投影させる。

 

『フューチャータイム!誰じゃ?俺じゃ?忍者!?フューチャリングシノビ!シノビ!!』

 

胸と肩に手裏剣のアーマーが追加され、紫の色が追加されたウォズの体に、複眼の『シノビ』の文字。『仮面ライダーウォズ・フューチャリングシノビ』へと姿を変えた。

 

「はっ!」

 

『カマシスギ!』

 

ジカンデスピアをカマモードへと変形させたウォズは自分を包むように煙を撒き散らし、相手から見えないようにする。

 

「煙幕か・・・だが無駄だ!俺はお前のその姿を知っている!どこから来ようが・・・」

 

「ふん!」

 

「なっ!?正面からだと!?」

 

前世の記憶からウォズのフューチャリングシノビを知っていた転生者は、煙幕の撒いた事でウォズが死角から攻撃してくると考えた。が、ウォズはその予想に反し、自分を覆った煙幕の中から突撃してきた。死角からの攻撃を予想していた転生者はとっさの事に対応できず、ウォズによって切り裂かれる。

 

「ぐぅああああああ!?」

 

「大方君は私が死角から攻撃するっと思ったんだろうが・・・・甘いな、すでにバレている正当な方法で攻撃する必要などどこにもないのだから」

 

『仮面ライダーウォズ!ウォズ!!』

 

再びウォズの姿に戻ると、レバーを一度起こす。

 

『ビヨンド・ザ・タイム!』

 

再びレバーを倒して、腰を低くして構える。転生者の背後にはキューブ状の時計型エネルギーが配置され、周りにはキックの文字が回転する。

 

『タイムエクスプロージョン!』

 

「はっ!」

 

ウォズが飛び上がると、転生者の周りを回転していたキックの文字が全てウォズの右足に吸収され、エネルギーが纏われる。ウォズはエネルギーが纏われている右足を後ろ回し蹴りで転生者にぶつけ、後ろに配置されているキューブに吸い込ませる。ウォズが地面に着地した瞬間、転生者を吸収しキューブは爆発を起こし、後には何も残らなかった。

 

「これで20人目・・・・先は長いな」

 

変身を解除し、転生者がいた場所を振り返って眺める。やがて興味を無くしたように、ローブを使ってその場から消えた。

 

 

 

彼の名は『ウォズ』。転生者狩りを行う一人であり、悠時の本来の力である『オーマジオウ』の忠実なる臣下である。

 

 




前回原作本編からしばらく離れると言ったな?あれは嘘だ。

・・・・ごめんなさい、書いてたら次回は原作に戻ってもいいじゃんって事になったので。次回は原作です。あぁ、とは言っても流石にライザー戦は省力します。悠時達とはなんも関係ないしね。



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第八話

今回は日常&説明回です。


「ふぅあああ・・・・・おはよう」

 

「おはよう、雪菜。ほら、朝ごはんは出来てるから早く席に着け」

 

「うん・・」

 

朝、雪菜はあくびをしながらリビングに姿を現す。リビングのテーブルの上には、すでに悠時が用意しておいた朝食が並んでいた。メニューは白米に焼鮭、味噌汁といった和風の料理となっている。雪菜は眠い目を擦りながら席に着く。

 

「いただきます・・・」

 

未だに眠そうだが、それでも手を動かして食べ始める雪菜。その雪菜に向かい合うようにして悠時も席に着き、一緒に朝食を食べ始める。

 

「そうそう、昨夜あいつから連絡があったんだがな、しばらく仕事を休めってよ」

 

「ん〜・・・・」

 

「なんでも、向こうで転生者を送っていた奴を捕獲できたらしくてな、今は情報を集めるからこっちに対応できないんだと。それでどうせならしばらく休めって」

 

「ん〜・・・・」

 

「・・・お前聞いてるか?」

 

昨夜悠時に転生者狩りの依頼を頼んでいる存在から悠時に連絡があったことを雪菜に説明するが、彼女は眠いらしくとても曖昧な返事をするだけだった。

 

「ったく・・ん?」

 

「よっす!!おはようさん!!」

 

その時、クジゴジ堂に誰かが入り、その人物はリビングに顔を出す。

 

「朝から騒がしいな、垣間(かいま)

 

「いいじゃねぇか!!むしろお前達は静かすぎないか?」

 

朝からここまでテンションが高いのもどうかと思うが、悠時はいつも通りのテンションで返す。彼は『垣間(かいま)光明(みつあき)』、悠時と雪菜のクラスメイトであり、最初に悠時に話しかけたのも彼だ。その縁からか、光明はこうしてクジゴジ堂に顔を出す事もしばしば。

 

「見ての通り、こっちはまだ朝食中でな。しばらく待ってくれないか?」

 

「待つのはいいけど、もうそこまで時間ないぜ?」

 

「は?・・・・え、もうこんな時間!?急がねぇと!!」

 

光明に言われて時計を見る悠時。そこで初めて時間がないことに気づき、悠時は急いで朝食を掻き込む。

 

「ほら、雪菜の急げ!もう時間が・・・・ん?」

 

「・・・す〜・・・・」

 

ほとんど動かない雪菜に悠時は急ぐように声をかけるが、違和感を感じ雪菜の顔を覗き込む。そこで、雪菜が眠っていることに気づいた。

 

「おい起きろ!!学校行くぞ!!」

 

「ふぇ・・・?」

 

寝ぼけながらも薄っすらと目を開く雪菜。まだ意識が覚醒し切ってなく、ぼんやりとしている。

 

「あぁもう、悪い垣間、ちょっと待ってろ」

 

「あ、あぁ・・・・いつもこんななのか?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

なんとか雪菜の目を覚まさせ、登校できるようにまでなる。

 

「あぁ、今日はやけに疲れたな・・・」

 

「ごめん・・」

 

「あれ?いつもはあんなんじゃないの?」

 

「特に今までは無かった。昨夜何かしてたのか?」

 

「う、うん・・・ちょっとね?」

 

悠時に問われ、雪菜は詳しい事は話さないが夜更かししていた事を認める。

 

「まぁいいけど・・・それで朝起きれないとかやめろよ」

 

「気をつけます・・・」

 

「・・・ほらほら!夫婦喧嘩はそこまでにしてさっさと行くぜ!!」

 

「「夫婦じゃねぇ(じゃない)!!」」

 

光明の言葉に悠時と雪菜は息ぴったりに叫ぶ。

 

「はいはい、分かった分かった」

 

「お前本当に分かってんのか?」

 

「いいからいいから、ほら遅刻すっぞ!」

 

「あ、テメェ待て!!」

 

「二人とも置いてかないでよ!!」

 

光明が走り出し、悠時も追いかけるように走り出す。一人置いてかれた雪菜だったが、急いで二人の後を追う。

 

 

 

・・・・・・・

 

 

「はぁ〜、なんとか間に合ったな」

 

「ギリギリだったけどな」

 

昼休み、教室にて寛ぐ悠時と光明。なんとか時間ギリギリに学校に着く事ができ、遅刻は免れた。

 

「ねぇ、悠時、お昼って・・・」

 

「あ、悪い悪い渡してなかったな。ほらこれ」

 

雪菜の言葉に、悠時は自分のカバンの中から1つの弁当箱を取り出し、雪菜に渡す。

 

「ありがとう!」

 

雪菜はお礼を言うと、花の元へと駆け寄っていく。

 

「・・・さて、俺達も食おうぜ?」

 

「悪いな、俺は弁当ねぇ」

 

「は?でも今渡してたじゃん」

 

「急いでたから家で雪菜のやつを渡すの忘れたんだよ。今渡したのは俺のだ」

 

「何やってんだよお前」

 

「雪菜に食わせられないんなら、俺が食うのを我慢するわ」

 

「・・・・俺じゃできねぇな」

 

悠時に考えに、自分じゃその考えに至らないと思った光明。そこで、悠時が席を立つ。

 

「どこ行くんだ?」

 

「ずっとここにいたら雪菜に気づかれるからな。屋上にでも行って時間を潰すよ」

 

そう言って悠時は教室を出ていく。しばらくすると屋上に着き、静かに腰を下ろす。

 

「ふぅ・・・・・で?なんだってこんな場所にいるんだ?」

 

悠時は座りながら後方へと声をかける。そこにはローブを首に羽織り、逢魔降臨歴を手に持ったウォズが立っていた。

 

「さすがは我が魔王、よく気づかれた」

 

「久しぶりだな、ウォズ。しばらく見ていなかったが、どこで何をしてた?」

 

久しく見てなかったウォズに、悠時は疑問を投げかける。ウォズは至って普通にその答えを返す。

 

「彼の元だ。私も君と同じ仕事をする事になってね、しばらく上から様子を見させてもらっていた」

 

「ってことは、やっぱ最近転生者の魂を回収しているのはお前か」

 

「左様」

 

「それじゃ、なんで今になってこの世界に降りてきた?」

 

「やることは今までと変わらない、私はただ君を支えるだけだ」

 

当たり前とでも言うように即答するウォズ。相変わらずに彼の返答に、悠時は少し呆れる。

 

「この世界は俺の世界じゃない。わざわざ別の世界でまで、俺を王として見る必要はないと思うが?」

 

「何を言う?どの世界だろうと我が魔王は我が魔王、その事に変わりはない」

 

「・・・そうか。それで?ウォズが俺の前に姿を現したってことは何かが起こるってことだろ?一体何が起こるんだ?

 

「さすがは我が魔王、常に私の予想を超えてくる!・・・この本によれば、近々この学校に教会からエクスカリバー使いが送られてくる」

 

ウォズは持っていた逢魔降臨歴を『High School D×D』と書かれている赤い本に変え、パラパラとページをめくる。

 

「エクスカリバー使い?なぜだ?」

 

ここは悪魔であるリアス・グレモリーが管理(笑)している街。そこに悪魔の敵対勢力の1つである天使に使える存在が来る事は本来ないだろう。悠時はそのことに気づき、ウォズに尋ねる。

 

「教会が管理していたエクスカリバーの内、三本が盗まれたんだ」

 

「三本?・・・・普通エクスカリバーってのは一本じゃねぇのか?」

 

「この世界でかつて、悪魔、天使、堕天使の戦争があったことは把握しているね?」

 

ウォズは確かめるように悠時に尋ねる。そのことは悠時も当然把握しており、頷く。

 

「この世界のエクスカリバーはその戦争にて折れたんだ。今は折れたエクスカリバーを七本に分け、カトリック、プロテスタント、正教会にそれぞれ二本ずつ保管されていたが・・・・それぞれの場所で一本ずつ、ある人物に奪われる」

 

七本に分けられたと言っておきながら保管されていたのは計六本、残る一本はどこに行ったのか。そのある人物とは誰なのか。なぜこの街の管理者の元にエクスカリバー使いが来るのか。聞きたいことは山ほどあったが、ひとまず悠時が思ったことは1つ。

 

「・・・ま〜ためんどくさい事が起こるな・・・」

 

近い未来、この街で起こるであろう事件に、悠時は嫌な予感を感じずにはいられなかった。

 

 

 




次回は戦闘できればいいなぁ〜。


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第九話

三話ぶりに主人公の変身!今回のライダーは・・・・『その命、神に返しなさい!』


悠時とウォズの会合から数日、ウォズの言うとおり駒王学園に二人のエクスカリバー使いがやってきた。彼女達は残りのエクスカリバーの内二本、『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』と『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を持っている。彼女達がこの街の管理者であるリアス・グレモリーに会いに来たのはこの街での活動を許可してもらうのと、手出しをしないように忠告しにきたらしい。リアスのこれを了承、話はそれで終わるかと思われたが、グレモリー眷属の一人である木場が『破壊の聖剣』を所有している『ゼノヴィア・クァルタ』と交戦、敗北する。ここまで説明口調で話したが、大体こんな感じのことが起こった。因みに言うと悠時はこの事をウィザードの力の1つ『スモール』を使って密かに盗み聞きをしていた。

 

(あの様子・・・何があったかは知らねぇが聖剣に対してとてつもない憎しみを抱いてたな、木場の奴・・・)

 

様子を見ていた悠時は一人でそんな事を考えていた。現に木場は敗北した後、姿を消した、おそらく他の人たちの迷惑になると考え一人での行動に移ったのか、ただ仲間の事はどうでもいいと思ったのか、少なくとも聖剣を持つ者を探しているのは間違い無いだろう。

 

(・・・復讐・・か)

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

次の日の夕方、悠時は一人クジゴジ堂にいた。今現在雪菜は花と出かけているため、帰ってくるのにはもう少しかかるらしい。一人残っている悠時は何をしているのかと言うと・・・

 

「え〜と、ここはこうして・・・んで、こうすれば・・よし、数学の宿題はこれで全部だな」

 

絶賛宿題中である。転生者の魂を回収しているとはいえ、悠時も雪菜もまだ学生の身、当然学校の課題はやらなければならない。しばらく宿題をやり続けて数十分、悠時はペンを置き顔を上げる。

 

「・・・あれ?もうこんな時間か・・・そろそろ夕飯でも作り始めるか・・」

 

席を立ってキッチンに向かう悠時。そこで雪菜の事を思い出す。

 

「雪菜の奴、遅くねぇか?連絡は・・・特に入ってないか。・・まぁ、あいつの能力の事を考えたらそう簡単に危険な目に遭ってるとは思ねぇし、大丈夫だろ」

 

口ではそう言うが、その視線は時計と携帯を何度も交互に見る。全くもって落ち着きがない。

 

「言葉と行動が合ってないよ、我が魔王」

 

「ウォズ・・・いつからいたんだ」

 

「数学の宿題はこれで全部・・・辺りからかな?」

 

「だいぶ前じゃねぇか!?」

 

悠時が気づかなかっただけでかなり前からクジゴジ堂にいたウォズ。一切物音がしていなかったのだが、何をしていたのだろうか?

 

「それよりもいいのかい?我が魔王・・・・今、彼女は大変な目に合っているんだが」

 

「・・は?大変な目?」

 

「雪菜君は数十分前からはぐれエクソシストの一人に追われている。しかもご丁寧にエクスカリバー使いだ。今もなお逃げているはずだよ?」

 

「・・・いや、だとしても雪菜は俺と同じ能力を持っている。逃げる事は容易いはず・・・」

 

「彼女は能力に覚醒してから日が浅い。まだ我が魔王の十分の一くらいだ。今の彼女は下級堕天使3人程度ならともかく、エクスカリバーの力を止める事はできない、当然・・・エクスカリバーを使っている者も」

 

ウォズが言い終わるや否や、悠時はクジゴジ堂から飛び出す。しばらくし、外からバイクのエンジン音が聞こえてきた。

 

「やれやれ、相変わらずだな我が魔王は・・・・」

 

一人残ったウォズはそう呟き、肩を竦める。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

雪菜は走り続けていた。数十分前に友人の花と別れクジゴジ堂を目指して歩いていた彼女だが、突然悲鳴が聞こえ、そちらに向かってしまったのが失敗だった。その先には、血塗れで倒れ伏している一人の人間と、血が滴り落ちる剣を片手に持った白髪の神父の姿が。その神父は雪菜に気づくと剣を振い、雪菜は急いで逃げ出した。だが、神父の方も目撃者を逃すつもりはないらしく、この数十分間追いかけっこを続けていた。

 

「ひゃはははは!!いつまで追いかけっこ続けるんですか〜、お嬢さん!?」

 

追いかけながら叫ぶはぐれ神父。その余裕な態度に、雪菜はより一掃焦りを感じる。雪菜自身は気づいていないと思われるが、はぐれ神父は雪菜に追いつかない程度の速度で追いかけていた。その理由は単純に遊びだ。

 

(どうしよう・・・・このままじゃ・・!)

 

すでに数十分走り続けていた雪菜の体力はどんどん限界に近づいている。むしろここまで走り続けていられただけ奇跡に等しい。

 

「きゃ!」

 

とうとう躓いて倒れてしまう雪菜。後ろからははぐれ神父が歩いてきている音がし、雪菜は恐怖を感じ後ろに後ずさる。

 

「おんや〜?もう追いかけっこはお終いかな〜?ひゃははは!」

 

口角を上げながらゆっくりと近づいてくるはぐれ神父。雪菜はせめてもの抵抗に、はぐれ神父の時を止めようとする。

 

「っ!!」

 

一瞬だけ動きが止まるはぐれ神父。だが、すぐに動き出す。

 

「そ、そんな・・なんで!?」

 

「ん〜?今何かしたのかなぁ〜?まいっか!」

 

等々目の前にまで迫ってきたはぐれ神父は、持っている剣を振りかざす。雪菜は目を閉じ、涙がこぼれ落ちる。

 

(助けて・・・悠時!!)

 

瞬間、はぐれ神父の体が何かの衝撃を受け、横に吹き飛ばされる。あまりにも突然な出来事に、はぐれ神父はもちろん目を開けた雪菜も理解ができなかった。

 

「間に合ったか・・」

 

「!」

 

すぐ近くから聞こえてくる声に雪菜は顔を上げる。そこには、雪菜が待ち望んでいた人物がいた。

 

「悪いな、怖い思いさせちまって・・・・」

 

「・・悠時ぃ・・!!!」

 

思わず泣き出してしまう雪菜。悠時は申し訳なさそうに顔を伏せるが、すぐに顔を上げてウォッチを取り出す。

 

「ちょっと待っててくれ、すぐに終わらせるから」

 

雪菜の頭を撫でた悠時は立ち上がり、先ほど自身の力で吹き飛ばしたはぐれ神父の方へと歩き出す。

 

「いっつつつ・・なんですかぁ!?一体何があったんですかぁ!?」

 

「フリード・セルゼンだな?」

 

「ん?誰だお前?」

 

はぐれ神父、もとい『フリード・セルゼン』は悠時に気づき、首を傾げる。

 

「今の俺はとてつもなく機嫌が悪くてなぁ・・・手加減できる自信はないが、別にいいよな?」

 

『イクサ!』

 

腰にイクサベルトが装着され、右手には『イクサナックル』が持たれる。悠時はイクサナックルを左手に押し付ける。

 

『R・E・A・D・Y』

 

「変身!!」

 

『F・I・S・T・O・N』

 

イクサナックルをイクサベルトに装填し、悠時の目の前にホログラムが出現。ホログラムは白いアーマーに変化し、悠時に装着され、顔の装甲が動き赤い複眼は露わになる。かつて人間が未知なる脅威を迎え撃つために開発した戦士『仮面ライダーイクサ・バーストモード』へと変身を遂げた。

 

「フリード・セルゼン・・・・その命、神に返しな・・!」

 

 

 




戦闘はまた次回ですね。コカビエル戦では何を出そうかな・・?


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第十話

イクサの必殺技発動時の音声ですが、英語表記だと長いし読みづらいしで日本語表記にしています。変身時の音声は英語表記のままなので。


仮面ライダーイクサへと変身を遂げた悠時、相対した相手の姿が突然変わった事に、フリードは驚愕を露わにする。

 

「なんだぁ?その姿?」

 

「はっ!」

 

イクサは右手に『イクサカリバー』を持ち、フリードに向けて発砲する。

 

「うぉっと!?」

 

フリードはエクスカリバーを盾代わりにして直撃は避け、高速での移動を開始する。

 

「ひゃははは!!どーよ、この『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』の力は!何者かは知らねぇが、この速度についていける訳がねぇんだよ!!」

 

天閃の聖剣の力はとてもシンプルな速さの向上。高速で動き出したフリードをイクサは落ち着いて感じる。

 

「・・そこか!」

 

ある一点に向けて集中的に発砲するイクサ。放たれた弾丸がその一点に到達した瞬間、まさにその場所を通ろうとしたフリードに直撃する。

 

「は!?」

 

「その程度の速度なら、十分対処可能だ」

 

イクサカリバーのマガジンを押し込み、赤い刀身を伸ばす。イクサはフリードに向けて駆け出し、容赦無くイクサカリバーを振り下ろす。

 

「ちょちょ!?それ剣にもなれんの!?ずっりぃ!!」

 

なんとかエクスカリバーで受け止めるフリード。だが、イクサはその体勢を崩さずにベルトについている『カリバーフェッスル』を取り出し、ベルトに装填する。

 

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』

 

刀身にエネルギーが溜まっていき、イクサはさらに力を込める。負けじと押し返そうとするフリードだが、徐々にエクスカリバーにヒビが入っていき、やがて耐えきれずに真っ二つの別れる。

 

「ウッソ!?エクスカリバーが壊れた!?」

 

「ふん!」

 

「うぉっと!!」

 

エクスカリバーが壊れた事に驚愕するフリードをそのまま叩き斬ろうとするイクサだが、寸前に転がって避けるフリード。イクサはすぐにフリードへと視線を移す。

 

「あっれ〜?これひょっとしなくとも俺っちヤバイんじゃね?」

 

エクスカリバーも破壊され、高速の移動も出来なくなったフリードには、もう取れる対応は数えられる程度だった。イクサからしても、フリードを仕留めるのはいつでも出来る、それまでどう痛ぶろうかを考えている状況だ。イクサ自身は気づいていないが、今現在彼は怒りで頭に血が昇り、視界がかなり狭まっていた。そのため、奴らの接近に気づく事ができなかった。

 

「ほう、エクスカリバーを破壊できる人間か・・・実に興味深い奴がいたものだ」

 

「!」

 

上空に聞こえてきた声に、イクサは顔を上げる。その先には漆黒の翼を十枚生やした男が浮かんでいた。

 

「お前は・・・」

 

「旦那ぁ!ナイスタイミング!!」

 

イクサの視線が移ったその瞬間を使い、堕天使の元へと駆け寄るフリード。

 

「そうか・・・お前が今回エクスカリバーを盗んだ堕天使、コカビエルか」

 

「ほう、そこまで把握していたか。如何にも、俺の名はコカビエル。一応は堕天使の幹部だ」

 

「何をするつもりだ?」

 

コカビエルの出現に、徐々に冷静になっていくイクサはコカビエルへと質問を繰り出す。

 

「簡単だ、この街で暴れ、サーゼクスを引っ張り出す。そして、再び戦争を起こすのだ」

 

「人間のことはお構いなしか」

 

「当然だ、一々下等な人間の事など構ってられるか。そもそもする必要もないがな」

 

当たり前だと言うかのごとく即答するコカビエル。イクサは静かに、拳を強く握る。

 

「今度駒王学園にてサーゼクスの妹とその眷属と戦う。どうだ?お前も来ないか?」

 

「なんだと・・?」

 

「そうだな・・・時刻は明日の夜中、サーゼクスの妹共に仕掛けよう。まぁ、来るかどうかはお前次第だがな」

 

コカビエルがそう呟いた瞬間、2つの足音が近づいてくる。全員がその方向に顔を向けると、そこには二人のエクスカリバー使い、ゼノヴィアと『紫藤イリナ』がいた。

 

「見つけたぞ、コカビエル!フリード・セルゼン!」

 

「イッセー君達にも連絡しなきゃ・・・ってあれ何?」

 

二人は目的であるコカビエルとフリード・セルゼンを発見した事で、今は諸事情で協力体制にあるこの街の悪魔に連絡しようとしたが、その前にイクサの姿を見て思わず動きを止めてしまう。

 

「ミカエルが寄越したエクスカリバー使いか、つまらん」

 

興が削がれたらしいコカビエルは足下に転移用の魔法陣を展開し、フリードと共にその姿を消していく。完全に消える直前、コカビエルはイクサを見る。

 

「それじゃあな、人間。貴様と戦える時を楽しみにしておこう」

 

そう言い残して姿を消したコカビエル。イクサもこの場を立ち去ろうと、雪菜の元に駆け寄ろうとする。

 

「待て!!」

 

だが、その簡単に行かせてもらえる訳がなく、ゼノヴィアとイリナがそれぞれのエクスカリバーを構えながらイクサを睨んでいた。

 

「貴様、何者だ?なぜ奴らと一緒にいた!」

 

「それは神器?初めて見るわね・・」

 

「・・・」

 

イクサは答えない。先ほどの二人の言葉からこの街の悪魔がもうしばらくしたら来るはずと考えているイクサは早めにこの場所を立ち去りたいのだが、二人がイクサに集中している今、そう簡単には抜け出せない。

 

「・・・その辺りにお前らが探しているエクスカリバーが落ちているはずだ。もう壊れてるがな」

 

「なんだと?」

 

その一瞬、二人の意識はイクサからエクスカリバーのことに移る。その一瞬の間にイクサは二人の足下に弾丸を放ち、二人の視界から消える。

 

「くっ・・待て!!」

 

ゼノヴィアが煙から出てくるが、その時にはイクサの姿はなくなっていた。

 

「逃げられたか・・・」

 

あとでグレモリー眷属の3人にも聞かなければな、と考えるゼノヴィアだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「大丈夫だったか、雪菜?」

 

煙幕に紛れて逃げることに成功した悠時と雪菜。二人はクジゴジ堂へと帰還し、今は雪菜の傷の手当てをしていた。

 

「うん・・ごめんね、悠時」

 

「気にするな、むしろ、ちゃんと注意できなかった俺の責任だ」

 

「違うよ・・・悲鳴が聞こえた時点で悠時に連絡しなかった私が・・」

 

「いつまでそうやって責任の取り合いをしているつもりだい?」

 

そこに、ウォズが姿を表す。

 

「誰?」

 

「君と会うのはこれが初めてだね。私の名はウォズ、我が魔王湊悠時の忠実なる家臣だ」

 

ウォズは雪菜に向かって頭を下げる。

 

「ウォズ・・・ありがとうな。雪菜の危機を教えてくれて」

 

「礼には及ばない、私は当然のことをしたまでだ」

 

「それでもだ・・・」

 

悠時はウォズに礼を言う。そして、すぐにコカビエルの事を思い返す。

 

「とにかく、今はコカビエルの方をどうにかしなきゃだな・・・あいつは戦争を起こすと言っていた。その戦争に人間が巻き込まれようと関係無くな」

 

「あんな人が暴れたりしたら、どんな被害が出るのか・・・」

 

「コカビエルは以前君が倒した堕天使四人とは比べものにならない力を秘めている。だが・・・・」

 

「俺が本来の力を使えば・・・ってか?」

 

そう呟く悠時の手の中には、今までのウォッチとは装飾が異なる金色のウォッチが握られていた。

 




次回・・・登場するかな?


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第十一話

今回のライダーは以前にも登場したライダーです。


次の日の夜、悠時は本来の力を自身の中に戻した後、一人駒王学園の向かおうとする。

 

「悠時・・・」

 

「大丈夫だ、雪菜。さっさと終わらせて帰ってくるから。・・・・ウォズ、雪菜を任せた」

 

「了解した」

 

悠時の頼みを了承するウォズ。それを聞き届けた悠時はライドストライカーを走らせる。

 

「悠時・・」

 

「心配かな?我が魔王が」

 

「ウォズは心配じゃないの?」

 

「全くね。なぜなら彼は究極の時の王者にして、我が魔王なのだから」

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

駒王学園に向けてライドストライカーを走らせる悠時。彼の視界に学園が目に入ると同時に、学園に結界が張られる。

 

「結界?・・・・どうやら、コカビエルの言う通りに事が進んでいるようだな」

 

ライドストライカーのスピードを上げる悠時。やがて見えてきた校門の前には、制服を男女が何人か屯っていた。

 

「会長!誰か来ます!!」

 

「そこのバイク、止まりなさい!」

 

その内の一人、眼鏡をかけた会長と呼ばれた少女が手を広げ、止まるように指示を出してくる。悠時はそれをガン無視し、灰色のオーロラを出現させてその中に入っていく。

 

「消えた・・?」

 

「会長!ご無事ですか!?」

 

「えぇ・・・・とにかく、リアスに連絡を」

 

彼女は悠時が消えた一点を見つめたが、そこには何も残ってなく念のために中で戦っているリアスへと連絡を入れようとする。だが、彼女が中に連絡を入れる時には、悠時は結界内への進入を果たしていた。

 

「結界内に侵入完了・・・便利だねぇ、このオーロラ」

 

灰色のオーロラを通過した悠時は何も問題無く結界内に侵入し、今は校舎裏から戦いが行われている校庭の方を確認する。宙にはコカビエルが、地上では怪しく光る魔法陣に何かをしている老人、先日逃したフリードと三つ首の獣、そしてそれらと戦うグレモリー眷属とゼノヴィアの姿。

 

(前に戦った時よりも人が増えているな・・・・とは言っても、あの三つ首程度に苦戦してんじゃコカビエルを相手になんてできねぇな)

 

『牙王!』

 

初めてグレモリー眷属と遭遇していた時に使用していた牙王ウォッチを起動し、マスターパスを放り投げる。

 

「変身」

 

『ガオウフォーム!』

 

仮面ライダー牙王へと変身を遂げた悠時は、再びマスターパスをベルトにセタッチし、グレモリー眷属達と戦っている三つ首の獣一体に向けて飛び上がる。

 

『フルチャージ!』

 

「はっ!」

 

エネルギーが溜まった右足は三つ首の獣一体を貫き、獣は血を吹き出して倒れ伏した。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「今のは・・・」

 

「まさか・・」

 

突然の事態に、グレモリー眷属全員が固まる。獣が倒れた事によって生じた砂煙が晴れていき、牙王の姿がはっきりと確認できる。

 

「なっ!?」

 

「あいつは・・・・」

 

「誰だ?」

 

グレモリー眷属のほとんどが驚愕し、新たに加わったメンバーは首を傾げる。特にリアスは存在しないはずの者を見ている目をしている。

 

「よぉ、コカビエル。昨日ぶりだな」

 

「貴様・・・あの人間か。姿が違うな」

 

「当たり前だ。すでにバレてる力で来ても意味がないだろう?・・・・・・あぁ、そういやあいつらには見せてたっけか?」

 

牙王は振り返り、グレモリー眷属を見渡す。その一言から、グレモリー眷属は牙王が以前戦った人物と同一人物である事を悟る。

 

「どういう・・・・事・・?」

 

「あ?なんか言ったか?」

 

「なんで生きてるのよ・・・・あの時、滅びの魔力であなたは消し飛んだはずじゃ・・・!!」

 

「は?・・・・・・・あ、あぁ、そういやお前そんな事してたな、忘れたわ」

 

リアスが言った事をあたかも今思い出したように言う牙王。本当に忘れていたわけではないが、牙王はわざと今まで忘れていたと装ってリアスを煽る。

 

(あん時から少しは成長したのかな?)

 

少しは管理人として以前よりも成長している事を祈ってわざと煽ったのだが、それはすぐに裏切られる。

 

「どこまでもふざけて・・・まさか、あなた堕天使の仲間ね?」

 

「・・・・は?」

 

「そうよ、そうだわ!あの時私達と戦ったのは事前に手の内を知っておくためね!」

 

(・・・・何言ってんだこいつ?)

 

突如理解不能な事を言い始めたリアスに、牙王・・・悠時はマスクの下で冷ややかな視線を送る。良くなってるどころか、むしろ酷くなっているのではないか。

 

「そういえば昨日、コカビエル達と会っていたらしいわね?つまりあなた達は共同関係にいるんでしょ!!」

 

「・・・・・」

 

開いた口が塞がらない悠時。コカビエルでさえも何言ってんだこいつみたいな顔をしていた。そこに、唯一事情を知らないであろう、左手に赤い籠手をつけた男・・・赤龍帝『兵藤一誠(ひょうどういっせい)』がリアスに声をかける。

 

「あ、あの部長・・あいつは一体・・・?」

 

「詳しい事は分からないわ。でも、私達の敵であるのは間違いないわよ!!」

 

「そうなんですか!?よ〜し、任せてください部長!この俺があいつを倒してやります!!」

 

「そうね、今代の赤龍帝であるあなたの力、思い知らせてやりなさい!!」

 

「はい!!」

 

『BOOST!』

 

神器『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の能力を使って自身の力を倍加するイッセー。そのまま牙王に向かって走り出し、殴りかかってくる。

 

「おりゃ!!」

 

「・・・・・」

 

牙王はそれを避けも防御もせずに受け止める。イッセーは自分相手に何もできなかったと思い込んで笑みを浮かべるが、実際は全く効いていなかった。イッセー自身がグレモリー眷属になったのもつい最近であり、赤龍帝と分かったのもほぼ同時期だった。まだそこまでの力が無い彼の力が倍加されても、牙王には全く効かない。効くはずが無い。

 

「・・・・・」

 

「うぉ!?」

 

牙王は無言のまま籠手を掴み、そのまま投げ飛ばす。そして興味が失ったかのようにコカビエルへと視線を戻した。

 

「はぁ・・・・なんであんな馬鹿なんだが」

 

「全くだ、しかも俺の楽しみを奪おうとするんだからな。だが俺が戦う前に・・・バルパー、できたか?」

 

コカビエルがそう言うと、地上で何かをしていた老人『バルパー・ガリレイ』が答える。その手元には一本の剣が浮かんでいた。

 

「あぁ、完成している・・・一本は壊されたが、盗んだ二本のエクスカリバーとあの女から奪ったエクスカリバー、計三本のエクスカリバーを一本に統合した。これで下の術式も完成、後二十分もしない内にこの街は崩壊するだろう」

 

「・・・なんだと?」

 

この街の崩壊、その言葉を聞いた瞬間、牙王が殺気を放つ。コカビエルはそれを愉快そうに笑う。

 

「くっくっく、最後の余興だな。フリード、その聖剣を使って戦ってみろ」

 

「アイアイサー!」

 

コカビエルに言われ、フリードは一本に統合されたエクスカリバーを掴む。牙王はそれを見てベルトについているガオウガッシャーを連結させるが、その前に木場が前に躍り出る。

 

「はぁ!!」

 

「おいおい、今は悪魔には興味ないんだよ!てめーよりもあの仮面野郎をチョンパしたくてさ〜!」

 

木場が持つ剣・・・魔剣はフリードの持つエクスカリバーに砕かれる。

 

「っ!」

 

「くっ・!」

 

「まぁまずは一人目ってね!!」

 

フリードの持つエクスカリバーが木場の首目掛けて振り下ろされる。だが、その前に牙王が木場を掴んで後ろに放り投げ、ガオウガッシャーでエクスカリバーを受け止める。

 

「うぉ!?まさかそっちから来てくれるとはねぇ!!リベンジさせて貰っちゃいますよ〜!」

 

「できるならな」

 

ガオウガッシャーでエクスカリバーを弾く。エクスカリバーで再び向かってくるのを受け止め、時には回避し、お互い斬りつけ合う。フリードはエクスカリバーの能力を使って幻影を見せたり、透明にして刀身を見えなくする。牙王はそれを気配で読み取り、受け止める。何度か繰り返していると、木場が割り込んでくる。

 

「どいてくれ!これは僕が・・!!」

 

「お前は邪魔だ、見てろ」

 

エクスカリバーを破壊しようとする木場だが、牙王からしたら邪魔でしか無く、蹴り飛ばされる。

 

「お前とエクスカリバー・・・いや、聖剣か・・・の間に何があったのかは知らねぇ。だがな、今はお前の個人的な理由に付き合う暇なんかねぇんだよ。大人しくしてろ」

 

「うるさい!!僕はなんとしてでもあの聖剣を破壊し、みんなの仇を取らなくちゃいけないんだ!!」

 

「・・・・仇、か・・・・」

 

牙王の脳裏にかつての記憶が蘇る。絶対の力を使い、親友の命を奪った存在を倒した時を。

 

「・・・・」

 

牙王はすぐにその記憶を心の奥底に仕舞い込み、マスターパスを取り出す。

 

「・・だったら、その仇ってやつを俺が食ってやるよ」

 

『フルチャージ!』

 

マスターパスを翳して放り投げ、エネルギーが溜まるガオウガッシャーを後ろから攻撃してきたフリードの持つエクスカリバーにぶつける。すぐにエクスカリバーの刀身にヒビが伝わっていき、最後には粉々に砕け散った。

 

「ぎょええぇぇぇえええ!?」

 

「そ、そんな・・・・・」

 

「え、エクスカリバーが・・・私の人生を捧げた研究が・・・・」

 

エクスカリバーが破壊された事に、フリードは驚愕し、木場とバルパーは落胆する。バルパーはそのまま放心状態となったが、木場は怒りを込めた視線を牙王にぶつける。

 

「よくも・・・よくも聖剣を・・!あれは、僕が破壊しなければいけないものだったのに!!」

 

「だから言っただろ、お前の個人的な理由に付き合う暇なんかねぇって」

 

「お前ぇ・・!!」

 

木場は立ち上がり、牙王の胸ぐらを掴む。次の瞬間、木場は牙王に蹴り飛ばされ、その場所に光の槍が突き刺さった。

 

「ふん、悪魔をかばったか。惜しいな、そんな奴を庇わなければまだ生きてられたものを・・・」

 

光の槍を投げた張本人、コカビエルはどこか憐むような視線を砂煙が舞っている場所へ送る。木場はもし自分が蹴り飛ばされていなかったらと想像し、ゾッとする。

 

「所詮は人間、この程度の存在だったか。ま、なかなかの余興にはなったな。おい、赤龍帝!貴様の力をリアス・グレモリーに譲渡しろ。それならば多少俺にも・・・・」

 

瞬間、空気が変わる。全てを飲み込むような圧倒的な力の気配。リアス達はともかく、聖書に名を刻まれるような存在であるコカビエルでさえも感じたことがないオーラ。先ほどまでこの場の頂点に君臨していたのはコカビエルだったが、その立場はすでに別の者に移された。

 

「な、なんだ・・この気配は・・・!」

 

コカビエルは急ぎ視線を移す。グレモリー眷属に向けていたその目を砂煙の方へと。そして、この圧倒的な気配の持ち主を見つける。

 

 

 

未だ晴れぬ砂煙の中、赤い『ライダー』の文字が光輝いていた。

 

 

 

 




ついに登場・・!(まだだけど)

次回は存分に力を奮ってもらいましょうね〜♪



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第十二話

みなさんお待ちかね!オーマジオウの活躍をどうぞ!!








ちゃんと活躍できたかな?


赤く光る『ライダー』の文字。徐々にそれを取り巻く砂煙が晴れていき、その全身が顕になる。黒いスーツに金色の外装、左肩から右腰に向けてかけられている金色のバンド、右肩には黒いウォッチのような形状をした物がいくつも嵌められていて、背中には巨大な時計の針。今までのどのライダーよりも異質なその姿は、ゆっくりと動き出す。

 

「この姿になるのも久しぶりだな。だが、やはり一番しっくりくる」

 

慣らすように手を握っては開き、握っては開きを繰り返す。だが、その身体から醸し出されるオーラは依然変わりなく、この場を支配する。

 

「な、なんなのだ貴様は!!この尋常ならざる気配は、人間が出していいものではないぞ!!」

 

「ん?あぁ、そうだな、折角だし教えてやる」

 

両手を横に広げ、堂々と名乗り始める。

 

「俺の名はオーマジオウ、全ての時空を支配する時の王者・・・最高最善の魔王だ」

 

「魔王・・だと!?」

 

魔王という言葉に反応するコカビエル。彼に限らず、この場にいる人物達にとって魔王とは悪魔のトップである四大魔王の事であり、オーマジオウでは無い。

 

「人間が魔王を名乗るですって・・・何様のつもりよ!!」

 

リアスがオーマジオウに向けて叫ぶ。だが、オーマジオウは聞いていないのか全く反応を示さない。

 

「っ!!」

 

「あ、待ってリアス!!」

 

仲間である朱乃の静止の声も全く聞かずに、リアスはオーマジオウに突撃してくる。オーマジオウは後ろから迫っているリアスの方へと振り向く事なく、足に少しだけエネルギーを溜め、校舎まで蹴り飛ばした。

 

「部長!!てめー、よくも!!うぉおおお!!」

 

「待つんだ、赤龍帝!!」

 

リアスがやられた事にイッセーが憤怒し、これまたオーマジオウに向けて突っ込んでいく。オーマジオウは全く慌てずにウォッチを起動する。

 

『龍騎!』

 

「ギャァアアアア!!」

 

「な、なんだこいつ!?あっち!あちち!あっち!!うわぁ!?」

 

「あ、赤い龍だと!?だがなんだこの龍は!!」

 

何処からか出現した赤い龍『ドラグレッダー』がオーマジオウに向かっていくイッセーに向けて火球を数発放ち、最後には弾き飛ばす。コカビエルは突如出現したドラグレッダー驚愕の表情を浮かべながら見る。

 

(なんだあの龍は・・・奴からはかつての二天龍以上の力を感じるぞ!!にも関わらず未だかつて見たことがない・・・しかもあの龍はオーマジオウとやらに従っている、つまりあいつはあの龍以上の強さを持っていると言うことか!!)

 

決して口には出さないが、冷静に分析して焦るコカビエル。事実、ドラグレッダーは神器に封印される前の二天龍より強大な力を保有している。

 

「ドラグレッダー、もういいぞ」

 

オーマジオウにそう言われたドラグレッダーは頷き、何処かへと去っていく。

 

「・・・なぜあの龍を帰した?あいつがいればもっと楽に俺を始末できただろうに」

 

「何、貴様程度、俺一人で充分なだけだ。だが・・・」

 

オーマジオウはそう言うと、腰の装着されている金色のベルト『オーマジオウドライバー』についている二つのスイッチの内の片方だけを押す。

 

『ディケイドの刻!』

 

「まずはその術式からだ」

 

『ファイナルアタックライド!!』

 

オーマジオウの目の前に巨大なカードが幾つも重なって出現し、術式に向かって真っ直ぐ伸びる。オーマジオウは飛び上がると、そのカードを通って術式へとライダーキックを繰り出す。オーマジオウの攻撃が当たると、術式は最も容易く砕け散った。

 

「な。なんだと!?」

 

「ディケイドは破壊者の力・・・その程度の術式を破壊するなど容易い」

 

術式を破壊したオーマジオウは立ち上がり、コカビエルの方へと体を向ける。今この瞬間、二人は力だけでなく精神にも大きな差が生まれた。術式が破壊されたため時間を全く気にしないですみ、大方の相手の能力も把握しているオーマジオウと、それとは対象に作り上げた術式を破壊され、相手の能力も力も何もかもが全く未知の存在と相対しているコカビエル。

 

「次はお前だ。人間を巻き込もうとした罪、今ここで裁いてやろう」

 

「っ・・・ケルベロス!!」

 

コカビエルは魔法陣を出現させ、三つ首の獣・・・ケルベロスを二匹出現させる。おそらく、敵わなくとも多少は体力を減らせるだろうと考えての行動だろう。

 

「行け!!」

 

コカビエルが指示を出すと、ケルベロス二匹はオーマジオウに真っ直ぐ向かっていく。すぐに一匹がオーマジオウの元に辿り着き、そのまま空中に吹き飛ばされた。オーマジオウはただ掌を向けているだけであり、一歩も動いていない。その間にもう一匹が両足で踏み潰そうとするが、オーマジオウはそれを片手で受け止め、もう片方の手を握って黄金のエネルギーを纏う。そこに一匹目が落ちてくるが、オーマジオウはそのまま二匹共殴りつけて胴体を貫いた。

 

「・・・な、に?」

 

コカビエルは何が起こったのか理解できなかった。多少でも体力を減らすために放った二匹のケルベロス、グレモリー眷属やゼノヴィア相手に時間を十分稼いでいたそれらは一瞬で葬られた。それもエネルギーを纏っているとはいえ、ただのパンチに。

 

「・・どうやら侮っていたようだな、俺の力を・・・・・ライダーの歴史を」

 

「っ・・うぉおおおお!!」

 

コカビエルは手元に光の槍を出現させ、オーマジオウに向けて投擲する。オーマジオウはそれを右手で軽々と弾く。

 

「一本で駄目なら、これでどうだ!!」

 

コカビエルが叫ぶと、校庭中に大量の光の槍が出現する。それらは全てオーマジオウに向けられており、コカビエルの意思でいつでも同時に放てる状態にある。

 

「ほう、さすがは聖書の名を刻まれる堕天使。やはり下級堕天使ごときとはレベルが違うな。だが・・・・」

 

「!!」

 

オーマジオウがゆっくりと見回していると、光の槍が一斉に動き始める。その全てが迫ってきているオーマジオウは全く慌てず、腕を横に軽く振るった。

 

「無意味だ」

 

次の瞬間、オーマジオウに向かっていた全ての光の槍が消失した。

 

「そ、そんな・・・・」

 

コカビエルは後ずさる。躱すことなど不可能だと思っていた大量の光の槍が、たった一回、腕を振るっただけで消失してしまった事に驚愕、そして恐怖を覚える。

 

(お、俺が恐怖を感じている・・!?こんな事、今までで一度もなかったのだぞ!それも・・人間に!!)

 

「今ので最後か?それなら、これで終わりだ」

 

『終焉の刻!!』

 

オーマジオウの全身に金と黒のオーラが纏われ、飛び上がる。コカビエルの周りには金色の『キック』の文字が囲むように出現、オーマジオウの背中にある巨大な針は左右に展開される。

 

『逢魔時王必殺撃!!』

 

「はぁああああああああ!!」

 

キックの文字が一つの集約し、突き出したオーマジオウに右足はコカビエルを貫く。コカビエルは力無く倒れ、やがて消滅した。

 

 

 




オーマジオウってやっぱチートだね。


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第十三話

その内誰かとコラボしてみたいなぁ。


「・・・・・」

 

コカビエルを葬ったオーマジオウはゆっくりと立ち上がる。既にコカビエルは消滅し、残ったのはグレモリー眷属とゼノヴィア、後は呆然としているバルパーと倒れているフリードだけ。コカビエルを倒し、術式も破壊した今、この街の危機はひとまず去った。オーマジオウはそう考え、帰ろうと動き出す。が、すぐにその足を止め、上空を見上げる。

 

「まさかコカビエルがやられるなんてな、これは想定外だ」

 

上空からゆっくりと降りてくる白い鎧。その身から溢れ出るオーラは、彼が只者では無い事を語っていた。

 

「・・お前は?」

 

「俺はアルビオン、二天龍の一角だ」

 

「・・今代の白龍皇か」

 

「あぁ、全く、コカビエルの回収など何故俺がと思っていたのだが・・・前言撤回だな。まさかコカビエルを打ち倒す者と出会えるとは!!」

 

「・・・お前もコカビエルの後を追いたいのか?」

 

「・・・いや、辞めておこう。君と戦いたいのは山々だが、生憎こちらは任務で来ていてね、コカビエルの回収は出来なくなってしまったが、あいつに協力したその二人を回収するだけで充分だろう」

 

白龍皇はそう言ってフリードとバルパーを回収する。その際、パルバーの懐から結晶が転がり落ちる。オーマジオウはその結晶を拾う。

 

「それではな、君と戦う日を楽しみにしてるよ」

 

白龍皇はそう言い残すと、空へと飛び上がって去っていく。オーマジオウは手元に残った結晶をしばらく眺め、それを木場へと投げ渡した。

 

「な、何を!?」

 

「そいつは俺には必要の無いものだ、お前が好きに使え。もしかしたら、お前を更なる高みへと導くかもな」

 

「待ってくれ、オーマジオウ。君は一体何者なんだ?」

 

破壊されたエクスカリバーの核を回収したゼノヴィアがオーマジオウへと問う。

 

「何者か?それは先ほど言った通り・・・最高最善の魔王だ」

 

「魔王・・・悪魔と何かしらの関係があるのか?」

 

「だとしたらどうする?」

 

「・・・真実が分からない以上、下手の行動は出来ない。だが、答えによっては私が神の名の元に断罪するさ」

 

「神、か・・・・」

 

「何かおかしいか?」

 

「いや、今は亡き神によくそこまで忠誠を誓えるものだなと思ってな」

 

「・・・は?」

 

オーマジオウの呟きに、ゼノヴィアは驚愕を露わにする。

 

「どうした?・・・あぁ、そういえば神の死は御法度だったな」

 

「一体でどういう事だ!?説明しろ!!」

 

「それは、俺よりも君の上司の方が詳しいんじゃないか?」

 

オーマジオウはそう言うと、全員に背を向ける。

 

「・・・そうだな、一つ君達に教えておこう。今回の出来事はただの始まりだ。近い未来、君達に共通の敵が現れるだろう。その時にどう動き、どうするのか・・・・楽しみにしておくぞ、君達の選択を」

 

そう言い残すと、オーマジオウは灰色のオーロラを通りぬけ結界から出て行った。残ったメンバーはオーマジオウの言葉に首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ふぅ・・・無事に終わったな」

 

灰色のオーロラを通ってクジゴジ堂へと帰還したオーマジオウは変身を解き、悠時の姿に戻る。

 

「うわ、もうこんな時間か・・・あの神父野郎に思った以上に時間をかけちまったな」

 

既に深夜の一時を過ぎている時間。幸い翌日の学校は休みなのでゆっくりと休む事ができる。

 

「ん?」

 

リビングの方を見ると、こんな時間なのにも関わらずに明かりがついているのが見える。悠時は不思議に思ってリビングに入ると、そこには雪菜がテーブルに腕を置いて眠っていた。

 

「雪菜・・・」

 

「彼女はずっと待っていたのさ。心配する必要はないと言ったんだけでね」

 

「ウォズ」

 

これを、とウォズは悠時に毛布を渡す。悠時は受け取った毛布を起こさないように、雪菜へとかける。

 

「数分前まで起きてたんだがね・・・ちょっと無理があったらしい」

 

「・・・・」

 

「それで?どうだった?」

 

「どうだった・・って?」

 

「久しぶりに使ったんだろう、オーマジオウの力を」

 

「あぁ、やっぱどのライダーの力よりもしっくり来るし、何より扱いやすい。ま、おかげで目をつけられたけど」

 

「今代の白龍皇『ヴァーリ・ルシファー』にかい?」

 

「・・ルシファー?あいつがか?」

 

悠時が問うと、ウォズは本を開く。

 

「ヴァーリ・ルシファー。今代の白龍皇であり、同時に旧魔王ルシファーの血を継ぐもの。そのため彼は膨大な魔力をその身に秘めながらも、人間の母親を持ったために神器も宿す事ができた」

 

「それが『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』だったってわけか・・・ったく、とんでもない化物だな」

 

「問題無いよ、我が魔王。たとえ歴代最強と称される白龍皇と言えど、オーマジオウの力に勝つ事はできないさ」

 

「どっから出てくるんだその自信・・それも戦うのは俺なんだぞ」

 

「私は我が魔王の忠実なる従者・・・オーマジオウの力は全て把握済みだ」

 

「ん・・・・」

 

そこで雪菜の寝息が二人の耳に届き、二人は瞬時に静かにする。雪菜を見ると、どうやら起きたわけではないらしい。

 

「・・・とにかく、俺のする事は変わらないさ。転生者共の魂を回収しながら、降りかかる火の粉は払うだけ・・・」

 

悠時は雪菜を見ながら、静かに語るのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

悠時がクジゴジ堂にてウォズと話しているのと同じ時間、同じ世界の別の場所にて。灰色のオーロラが出現し、中から赤紫のパーカーを着た悠時と同年代の青年が姿を現した。

 

「ここにあいつがいるのか・・・」

 

青年の手の中には一つのウォッチが握られていた。だが、そのウォッチは悠時が所有しているどのウォッチとも違い、描かれている顔が異形な姿をした紫のウォッチだった。

 

「湊悠時・・・お前は必ず俺が倒す・・!!」

 

『ジオウII・・・』

 

青年の腰に黒いベルトが出現し、右スロットにウォッチを装填する。青年の体は金のバンドが周囲を回転し、その身を異形の姿に変える。金のバンドが消えると、そこには白の体に金の装飾を施した、顔にZi-O、胸に2019、背中にIIと書かれているライダー・・・本来の歴史とは別の歴史へと変えるアナザーライダーの王『アナザージオウII』が佇んでいた。

 

 

 




最後に登場した人・・一体何川なんだ(すっとぼけ)。

次回は久しぶりに転生者狩りでもするかな。


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第十四話

「え〜と、何で俺はこんな場所に呼ばれたんだ?」

とりあえずこれでも読んで。

「あ?・・・・第一回『レジェンドライダー紹介』?何だこれ?」

名前の通りだよ?今回から前書き、後書きのどちらかを使って、お前がこの話中で変身するレジェンドライダーの紹介を行うことにしたんだ。今までの前書きはすごいさっぱりしてたからねぇ。

「ふ〜ん・・・それって前書きよりも後書きでやった方が良くねぇか?そっちの方が読者の人たちもワクワクしながら読めると思うんだが」

あ、やっぱり?前書きじゃなくて後書きに統一した方がいいかな?

「ま、それはとりあえずやってみてから、読者の人達の反応を確認すればいいんじゃね?最初は何とも言えないぞ」

う〜ん・・・・とりあえず今回の紹介でもしようか!

「あ、話逸らしやがったこいつ。はぁ、とりあえず今回俺が変身したライダーは『仮面ライダー王蛇』だ」

仮面ライダー王蛇、紫色のスーツでコブラをモチーフにしているライダーだね。本来の変身者は凶悪な殺人犯で、仮面ライダー史上最凶のライダーとも言われているよ。

「契約モンスターとして巨大な紫のコブラ『ベノスネーカー』ってモンスターと契約しているな。他にも二体ほど契約しているが・・・ま、それはまた別の機会に紹介しようか」

それでは最新話、どうぞ!!

「・・・そう言えば今回ライダーってほとんど出てきてねぇけど?」

・・・・・どうぞ!!

「聞け!!」





「ふん!!」

 

「ぐぅあああああ!!」

 

「はっ!!」

 

「うわぁああ!!」

 

コカビエルとの戦いから数日、悠時とウォズは協力して転生者の魂を回収していた。

 

『ファイナルベント』

 

『ビヨンド・ザ・タイム!タイムエクスプロージョン!!』

 

悠時は変身したライダー、王蛇の必殺技を、ウォズは仮面ライダーウォズに変身しこちらも必殺技を発動する。

 

「「はぁ!!」」

 

「ぎゃあああああ!!?」

 

二人のキックが決まり、転生者は肉体が崩壊して魂だけになる。その魂を近くで待機していた雪菜がバグヴァイザーに吸収し、回収する。

 

「回収完了!!これでどのくらい回収したの?」

 

「今現在いる転生者の内、その半分くらいの魂が完了した。おそらく、そう遠くない内に全ての魂の回収ができるだろう」

 

「そう簡単に済めばいいんだがな・・・」

 

「何か気になる事でもあるのかい、我が魔王?」

 

「・・・・いや、なんでも無い。帰るか」

 

悠時の言葉を合図に、3人はクジゴジ堂に向けて歩き出した。

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

歩く事数十分、3人はクジゴジ堂に到着したのだが、その手前で足を止める。クジゴジ堂の扉の前で金髪のシスター服を着た少女が立ち往生し、何やらオロオロとしている。

 

「・・・なんだ?」

 

「彼女は確か・・」

 

「あの〜、どうしたんですか?」

 

「ひゃう!!」

 

雪菜が声をかけると、彼女は驚きの声をあげてゆっくりと振り返る。長い金髪の髪に緑の瞳、彼女の顔を見た瞬間、ウォズは納得したように顔を頷かせた。

 

「やはり君だったか」

 

「あっ、ウォズさん!お久しぶりです!!」

 

「ウォズ、知り合いか?」

 

「あぁ、彼女の名は『アーシア・アルジェント』。回復系神器『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の所有者にして、過去には聖女と呼ばれていた少女だ」

 

ウォズが少女の紹介をすると、少女は頭を下げる。悠時はウォズの紹介を聞き、前に聞いた事を思い出した。

 

「アーシア・アルジェントに聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)・・・って、確かあの下級堕天使に狙われていた・・」

 

「そう、彼女はある事件をきっかけに教会を追い出されてしまい、そこを神器を狙っていた堕天使レイナーレに目をつけられたんだ。幸にも我が魔王が対処したため彼女が巻き込まれる事もなく、事件は解決したのだが・・」

 

「ねぇねぇ、とりあえず中に入らない?家の前にいるのにずっと外で話すのも」

 

「それもそうだな、とりあえず中に入ろうか」

 

雪菜の提案に賛同し、一同はクジゴジ堂へと入る。ひとまずリビングに行き、他の3人にはテーブルに座ってもらって悠時は人数分のお茶を用意する。

 

「・・っと、アーシアさん、緑茶よりも紅茶の方がいいかな?」

 

「あ、だ、大丈夫です!!お気遣いなく!!」

 

「そうか?それじゃお言葉に甘えて・・・」

 

アーシアの返事を聞き、悠時はそのまま緑茶の四人分淹れる。それをテーブルまで運び、みんなの前に置いていく。

 

「さて、どこまで話したっけ?」

 

「えぇ〜と、確かウォズがアーシアさんについて説明をしている最中じゃなかった?」

 

「あぁ、そうか。それじゃあウォズ、続きを」

 

「・・・続きをと言われても、大体は話終えたのだが」

 

「あれ?そうだった?」

 

ウォズは持っていた本をテーブルに置き、アーシアを見る。

 

「それでは、彼女がどうしてここに来ているかを聞こうじゃ無いか」

 

「その前にさ、ウォズとアーシアさんはどうやって知り合ったの?」

 

ウォズの話を遮って、雪菜はある疑問を口にする。

 

「そういえばそれはまだ聞いてなかったな」

 

「そうだね・・・知り合った理由といえば、我が魔王なのだがな」

 

「え?」

 

予想外の言葉に、悠時は首を傾げる。少なくとも悠時はアーシアと会ったのはさっきが初めてであり、名前と神器に関しては以前戦った堕天使レイナーレの口から聞いたぐらいだ。

 

「我が魔王は堕天使レイナーレとの戦い後、彼女の口から聞いたアーシア・アルジェントの保護を考え上へと連絡しただろう?」

 

「・・・そういやそんな事してたな」

 

「我が魔王からの報告を受け取った彼は、丁度降りてきていた私に彼女の保護をするように指示を出したんだ。我が魔王の考えだと言われれば、私が断る理由は無いからね」

 

「それでウォズが彼女を保護、上に連れて行ったのか?」

 

「あぁ、彼女と会ったのはその時が最初で最後だ」

 

ウォズの説明を聞き、納得したように頷く悠時と雪菜。そこまでの話を終え、ウォズは再びアーシアへと視線を移す。

 

「それでアーシア君、君はどうしてここに来たんだい?」

 

「え、えぇとですね、フォリオさんからの伝言です!!『数日前にこの世界に時空の歪みが観測された』・・とのことです。何のことでしょう?」

 

「時空の歪み・・?」

 

アーシアは言いながら首を傾げるが、悠時とウォズは伝言の内容を理解し、すぐさま思考する。

 

「時空の歪みということは・・・我が魔王」

 

「あぁ、俺達以外の何者かがこの世界に侵入した・・・ということだろう。だが誰だ?転生者というわけじゃなく時空の移動ができる奴なんてそう多くは無い・・・」

 

「とにかく、警戒はしておくべきだね」

 

「そうだな、ありがとうアーシアさん。伝えに来てくれて」

 

「い、いえ!!これぐらいは全然!!そ、それでは頼まれたことはこれだけですので、失礼します!!」

 

アーシアは椅子から勢いよく立ち上がり、頭を下げた後にクジゴジ堂から出ていこうとする。が、すぐに何かを思い出したのか立ち尽くす。

 

「どうした?」

 

「・・・あ・・あの〜・・・どうやったら帰れるんでしょう・・・?」

 

「「「・・・・は?」」」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ふぅ・・・連絡がついたよ」

 

携帯を置き、届いた内容を伝えようとする悠時。アーシアは一度ウォズに保護された後はある場所で過ごしていたのだが、アーシア自身にその場所に行く力は無い。悠時やウォズにしても、その場所は滅多に行くこともなく、行く時は向こうから迎えが来るために行き方を完全に把握しているわけではなかった。

 

「それで、あの人はなんて?」

 

「元々アーシアさんはこの世界の人間だ。それだったら、あっちにいるよりも人間界で暮らしていた方がいいだろうから、クジゴジ堂に住まわせろだとよ」

 

「え、えぇ・・?」

 

「幸いまだ空き部屋はあるが・・・・いや、あいつもそれを分かってて言っているか」

 

「えぇと・・私はどうすれば・・」

 

「・・・向こうが勝手に決めたことだから別に従う必要もないけど、正直な所居てくれるとありがたい。俺たちの中には回復系の能力や力を持っている奴はいないからな。ま、アーシアさんの好きにしたらいいさ。ここに残って暮らすのもよし、別の場所で暮らすのもよし。全て君の自由だ」

 

悠時は強制することなく、アーシアへと問う。どこへ行こうにも、何をしようにも、それは全てアーシアの自由なのだ。

 

「・・・ここに、いてもいいんですか?」

 

「あぁ、君がそれを望むなら」

 

「それでしたら、ここに居させてもらえませんか?」

 

「歓迎するよ、アーシア」

 

ここに居させてもらおうと、頭を下げるアーシアに悠時は微笑みながら名前を呼ぶ。敬語ではなく、同じ立場にいる事を表現しているようにタメ口で。

 

「はい!!よろしくお願いします!!」

 

「やった〜!!これからよろしくね、アーシアちゃん!!」

 

「は、はい!!」

 

「良かったのかい、我が魔王?」

 

「あぁ、これが彼女の選択なんだからな。それに・・・・・」

 

「どうかしたのかい?」

 

「・・・いや、なんでもない」

 

一度アーシアの方を見た悠時はその後ウォズを見たが、何も言わずに話し合ってる二人の方へと移動する。

 

「よし、アーシアの歓迎会でもしよう!今日はすき焼きだ!!」

 

「え!?すき焼き!?やった!!」

 

「それじゃあ俺は材料を買いに行くから、その間に雪菜はアーシアを部屋に案内してやってくれ。空き部屋ならどこでもいいから」

 

「わかった!」

 

頼んだぞと、悠時は雪菜に頼んだ後支度をし、すき焼きの材料を買いに出かけた。こうして、クジゴジ堂に新たな仲間が加わった。

 

 




前書きのレジェンドライダー紹介、どうでしたか?ライダーが出て来る回は絶対に紹介しますが、ライダーが出ない回はどうするか分かりません。(多分紹介するかな?)



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第十五話

それじゃ今回のレジェンドライダー紹介は・・・・『仮面ライダー牙王』にしようか!

「仮面ライダー牙王・・・時の列車デンライナーをジャックした強盗団の首領が変身する仮面ライダー。スペック自体は他のライダーとたいして変わらないんだが、変身者の戦闘能力が高いために仮面ライダー電王四人と仮面ライダーゼロノスを同時に相手取り無双できる強さを持っていた」

変身者である牙王の目的は全ての時間を支配できると言われていた太古の王が作り出した伝説の神の列車『ガオウライナー』を手に入れる事だった。この作品でもガオウライナー出す?

「出したところでいつ使うんだよ・・・・タイムマジーンだってあるんだぜ?」

時間越えも巨大生物の相手もタイムマジーンでつとまんじゃん。それじゃあ出す機会がないな・・・。

「無理に出さなくてもいいじゃね?そもそも時間越えはオーマジオウの力で出来るしな」

あぁ、そういえばそうだったね。

「ほら、今回はこのあたりで終わりにして・・・・最新話、どうぞ!」

どうぞ!!


「くそっ!!一体なんなんだよあいつらは!!」

 

この世界に生き残っている転生者。彼らは今ある廃工場に集まり、話し合いを行っていた。とは言っても話し合いとは名ばかりであり、やってることはただの愚痴の言い合いである。

 

「折角転生することができたのに・・・」

 

「このままじゃ俺達がやられるのも時間の問題だぞ」

 

近頃、転生者の間で語られている噂・・・仮面の戦士が転生者を殺して回っている・・・との話を聞き、普段はありえない彼らの集団ができたのだ。

 

「しかも聞いたか?今までは一人だったのに、今じゃ二人になってるらしいぜ」

 

「後、レイナーレとコカビエル、あの二人を倒してのも仮面の戦士らしい」

 

様々は情報が飛び交うその様子を一人の少女がじっと見ていた。やがて、この場にいる全員の意識が自分に向いていないと考えると、少女はこそこそとそこから出て行こうとする。

 

「おい」

 

「!」

 

「何勝手に出てこうとしてんだ、あぁ!?」

 

「きゃ!!」

 

転生者の内の一人が少女の動きに気づき、頬を殴り飛ばす。

 

「一体誰のおかげでお前が生きていけてると思ってんだ?家族を悪魔に殺されて一人ぼっちになっていたお前が!!」

 

「っ!!」

 

少女の髪の先から一筋の電撃が放たれる。だが、その電撃は勢いがほとんど無く、彼女を殴り飛ばした転生者に届く前に消えてしまう。

 

「たく、俺に逆らうなっていつも言ってんだろ?」

 

転生者はポケットから一つのスイッチを取り出し、それを押す。すると、突如少女が苦しみだして倒れる。

 

「くぅ!?・・はぁ・・はぁ・・・」

 

「おいおい、程々にしておけよ。死んじまったら後片付けが面倒だぞ」

 

「へっ!こいつだって転生者だ、そう簡単には死なねぇさ!!」

 

そう言って、転生者は少女を踏みつける。

 

「あぐぅ!?」

 

「全く・・・ん?」

 

その時、一人の転生者が入り口に一つの人影があることに気づく。その人影は真っ直ぐに転生者達の方へと歩み寄って来る。

 

「誰だ、君は?僕達と同類・・・かい?」

 

「生憎だが俺はお前達とは違う・・・だが、見方によっては同類だな」

 

「あ?何意味わかんねぇ事言ってやがる?」

 

「俺の目的はお前達を狙う仮面の戦士・・・ただ一人だ」

 

彼は胸元から一つのウォッチを取り出す。

 

「俺ならお前達に、今以上の力を与えられる。もし、俺と手を組むというのなら・・・」

 

「その力とやらを僕達に与える・・・ということですね?」

 

「察しがいいな」

 

転生者達は迷う。今までの事から、今の自分達の実力では仮面の戦士に敵わないだろう。だが、彼のいう力が全くの謎に包まれている。そもそもこの話を持ちかけた彼自体が謎に包まれている状況では、なかなか答えは出せるはずがない。ただし、それはしっかりと考える人物に限った話である。

 

「つまりお前と組めば、俺は今以上に強くなれるってことか?」

 

「あぁ」

 

「へへ、じゃあ答えは簡単じゃねぇか。その話乗ったぜ!!」

 

「お、おい待て!!」

 

「まぁまぁ落ち着け、力をもらった後であいつを殺っちまえばいい話じゃねぇか」

 

声を潜めながら話す転生者の一人。あまりにも簡単に考えすぎである。

 

「答えは決まったな」

 

転生者達の答えを聞き、青年は彼らに力を与えていく。その様子を、少女は苦しみながらも見続けていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「それじゃあ二人とも、学校行って来るから留守番頼むわ」

 

「行ってきます!!」

 

アーシアがクジゴジ堂に入居してから数日。悠時と雪菜は二人で学校へと向かっていた。因みにアーシアはまだ学校には通ってないが、本人の意思もあり数日後に編入試験がある。今はクジゴジ堂にてウォズに日本の勉強を教えてもらっている。

 

「アーシアもだいぶここでの生活に慣れたみたいだな」

 

「良かったね」

 

「ま、学校に入ったらまた慣れるまでの日々が続くけどな」

 

「でも私達もいるし、しっかりサポートしなきゃね」

 

「あとはあの変態三人衆から守らないとな」

 

これから起こるであろう事、悠時と雪菜は予測可能な事柄を述べては対策をすでに考え始める。だが、それはあくまで人間として行動できる範囲でのことである。

 

「もし・・・グレモリー先輩達が接触してきたらどうする?」

 

「・・・」

 

悠時は答えない。アーシアは神器を持っているため、それ狙いでリアスがアーシアに接触して来る可能性は存在する。

 

「・・・・・アーシアが学校で神器を使わなければそう簡単にはバレないはずだ。それにアーシアは過去に教会にいたんだ。悪魔のあいつらではそこまでの情報を持てるはずがないさ」

 

ウォズに保護される前、アーシアは教会にて聖女と呼ばれていた。悪魔であり、この街から・・・というよりもこの国から出ていないリアス達ではアーシアの情報は何も持っていないはずだと悠時は考え、それを雪菜に伝える。雪菜は悠時の考えを聞いて、少し安心する。

 

「そうだよね、悪魔のグレモリー先輩達にはアーシアちゃんの事を知っているなんてこと・・・」

 

「教会の人間でもいない限りは気づかれないさ、その教会の奴らはコカビエルとの戦いの後に帰ったはずだしな」

 

「それ、フラグじゃないよね?」

 

「まさか!」

 

雪菜の言葉を悠時は笑い飛ばす。それが現実になるとは知らずに。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「今日からこの学校に通う事になったゼノヴィア・クァルタだ。よろしく頼む」

 

「・・・・」

 

「やっぱりフラグだった・・・」

 

朝礼の際に悠時達の教室にて挨拶をする元エクスカリバー使いのゼノヴィア。本来いるはずのない彼女の姿を見て、悠時は開いた口が塞がらなかった。

 

「でも、一体どうして?」

 

雪菜は彼女が元々教会にいた人間だというのは悠時から聞いていたから知っていたのだが、その彼女が今ここに、しかも自分と同じ制服に身を包んでいることに疑問を感じ、小声で呟く。当然ゼノヴィア本人がその事について触れるはずがなく、結局悠時がリアス達グレモリー眷属がいる旧校舎に潜入することになった。

 

「はあ・・・何でこんな事に・・・」

 

『ウィザード!』

 

「んで、スモールのリングをっと」

 

『スモール!プリーズ!』

 

悠時の体を魔法陣が通り抜け、悠時は小さくなる。以前もこの方法で旧校舎に侵入した事があったのだが、実はかなり大変なために悠時としてはそこまで使いたくなかったのだ。

 

「え〜と、確かグレモリー眷属がいるのはオカルト研究部だったよな・・・・お、あったあった」

 

悠時は扉に近づき、盗み聞きする。どうやら中にはリアスと朱乃、イッセーにゼノヴィアがいるらしく、リアスがイッセーにゼノヴィアの事を説明している最中だった。その内容によると、どうやら神の死について上司に問い詰めたところ、異端者として教会を追放されてしまい、破れかぶれで悪魔に転生したらしい。因みにゼノヴィアの本来の得物はエクスカリバーではなく聖剣デュランダルなんだとか。

 

「神の死について問い詰めて追放って・・・・・あれ?もしかして俺のせい?」

 

もしかしなくとも悠時が原因である。

 

「ヤッベ・・・・雪菜怒りそうだなぁ〜・・・・ん?」

 

雪菜に伝えた場合どんな事が起こるのか。それを考えていると入り口の方から足音がし、どんどん近づいて来る。今は放課後、オカルト研究部にはまだ全員揃ってなく、誰かが来ても全く不思議は無い。

 

「まっず・・・・とにかくどっかに隠れないと・・・って隠れられる場所がねぇ!!」

 

今悠時がいるのはオカルト研究部の部室の扉前、つまり廊下である。しかもここは旧校舎であるため、廊下に小人となっている悠時が隠れられそうな場所は何もなかった。

 

「くそ・・・こうなったら!!」

 

『テレポート!プリーズ!』

 

悠時の体を魔法陣が通り抜け、その場から消える。その直後、曲がり角から小猫が姿を現した。

 

「今誰かの声が聞こえた気が・・・気のせい?」

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

咄嗟にテレポートリングを使って転移した悠時。転移した先は暗闇に包まれたどこかの部屋だった。因みにスモールリングは外したため、悠時の体は元の大きさに戻っていた。

 

「ふぅ、寿命縮むところだった・・・・で、どこだここ?」

 

「ぴゃああああああああ!!?」

 

「うぉ!?」

 

突如暗闇の中から聞こえて来る叫び声。まさかこんな暗い場所に自分以外に誰かがいるとは思っていなかった悠時は驚き、後ろに振り返る。後ろも同じように暗かったが、よく見ると背が低い、女子用の制服の着ている子が涙目を浮かべながら縮こまっていた。

 

「だ、誰ですかあなたぁ!?いつからそこにいたんですかぁ!?」

 

「あ、いや、どっかから説明するばいいのか・・・・とりあえず、俺は悪いやつじゃないからさ、泣き止んでくれないか?」

 

このままだといずれ誰かが来てしまう。そう考えた悠時はとにかく目の前にいる子を泣き止ませようと近く。次の瞬間、どこか覚えのある感覚が悠時を襲った。

 

「ん?今のは・・・」

 

「な、何で動けるんですぅ!?」

 

その子は悠時が動けている事に驚愕し、余計に怯える。悠時はその言動、自分を襲った感覚からその子に落ち着いた声で問う。

 

「君・・・もしかして時を止める能力を持っているのか?」

 

「うぅ・・・」

 

答えは返ってこない。だが、悠時はほぼ確信していたため、特に返事がなくとも構わなかった。とにかくこの子が落ち着くまで待とうと思い、そこでようやく自分がいる場所が結界の中にいる事に気づいた。

 

「結界・・・・しかもこれはリアス・グレモリーのものじゃないな。あいつの実力じゃここまでの結界は張ることができないはずだ」

 

「う、ぶ、部長を知ってるんですか?」

 

「部長?・・・もしかして、君もグレモリー眷属の一人なのか?」

 

悠時の質問に今度は頷いて答える。

 

「で、でも、僕は神器を上手く扱う事が出来なくて・・・・それでここに・・」

 

「この結界は封印みたいなものか・・・君、名前は?」

 

「ギャスパー・・・ギャスパー・ヴラディですぅ」

 

 




まさかの登場ギャスパー・ヴラディ。ギャスパーは色々と共通点があるからね、悠時と接点持たせて置きたかったんだよねぇ。


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第十六話

さぁ、今回のレジェンドライダー紹介だぁ!!

「テンション高ぇな、何かあったのか?」

ふっふっふ・・・・よくぞ聞いてくれた!!実は・・

「よし、それじゃあ今回は『仮面ライダーインペラー』でも紹介するか」

聞けよ!!しかもそのライダーかよ!!まだこの作品に登場してないし!

「今のお前とは真逆の運命を辿ってしまった奴だよ。仮面ライダーインペラーは以前紹介した王蛇と同様にカードデッキを使って変身する。契約モンスターは『ギガゼール』、レイヨウ・・・・ガゼル型のミラーモンスターだ」

この人の願いは単純だったんだけどねぇ〜・・・結局、みんなにトラウマを植えつけて終わったよね。

「ま、こいつの場合は自業自独だろ。楽に夢や願いを叶えることなんて、出来ないんだよ」

それって経験からいってる?

「・・・・」

『インペラー!』

え?あれ?ちょっと・・?

「変身・・・」

な、何で変身してんの!?あ、待ってカード引かないで!

『ファイナルベント』

「行け」

ごめん!謝るから!謝るからどうかぁああああああ!!

「ふぅ・・・・さて、こいつは放っておいて最新話、どうぞ」





「『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』・・・・・それがお前の神器なのか?」

 

「は、はい・・・・」

 

旧校舎の中にある結界が張られた一室、そこで悠時はグレモリー眷属の一人であるギャスパー・ヴラディと話していた。

 

「視界に映した全ての物体の時間を停止させる・・・・なるほど、通りで覚えのある感覚だったわけだ」

 

「せ、先輩はどうして停まらなかったんですか?」

 

「・・・・さぁ?俺が時の王者だからじゃないか?」

 

「時の王者・・?」

 

「冗談だよ」

 

決して冗談では無いが、知っている人以外が聞けば厨二病でも発症しているのかと疑いたくなるものだ。悠時はすぐに冗談だと自分で笑い飛ばす。

 

「それで?何でギャスパーはここで封印されてんだ?」

 

「・・・じ、実は・・」

 

ギャスパーは話し出す。自分が元々は吸血鬼と人間のハーフだった事、そのために神器を手に入れた事、だがその神器を上手く扱うことが出来ない事、それゆえに今は封印されている事。ざっくりと説明するとこんな感じだ。

 

「なるほどね・・・・・」

 

悠時は考える。自分はギャスパーと同じ時を停める能力を持っている。それだったら何かしら教えられることがあるのでは無いか?

 

「うん・・・そうだな・・・よし!ギャスパー!」

 

「ふぇ?」

 

「これから特訓でもしようか!!」

 

「・・・・・え?」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

夜中、悠時は雪菜を起こし、二人で駒王学園の旧校舎へと来ていた。理由はただ一つ、ギャスパーが神器を上手く扱えるようにするための特訓だ。

 

「ふぁあああ・・・・ねぇ悠時、何でこんな時間に学校?」

 

「とりあえずついて来い。理由は後で説明するから」

 

雪菜は眠たそうに目を擦りながら悠時について行く。ギャスパー曰く、深夜であれば結界が解かれ、旧校舎内であれば自由に行動できるとの事だった。

 

「これからある人物に会いに行く。そいつは神器を持っていてな、どうやら俺達が持っている能力と似た能力を使えるようなんだ」

 

「ヘ〜・・・・という事は時間停止能力って事?」

 

「そうだ・・・・っと、着いたぞ。この中だ」

 

「ここ?」

 

たどり着いた場所は旧校舎内の二階にある部屋。扉には『KEEP OUT』と書かれた黄色いテープが貼られている。

 

「・・これ、入っていいの?」

 

「あいつの話だと深夜は大丈夫らしいが・・・・一応ノックしとくか」

 

悠時は扉に近づき、三回ほど扉を叩く。

 

「おーい、ギャスパー。俺だ、悠時だ。入っていいか?」

 

声をかけて数秒後、ゆっくりと扉が開かれる。中からギャスパーがひょっこりと顔を覗かせた。

 

「この子が?」

 

「あぁ、ギャスパー・ヴラディ。人間と吸血鬼のハーフで、今はグレモリー眷属の一人らしい。訳あって封印されてるみたいだけど」

 

「ふ〜ん・・・・はじめまして、ギャスパーちゃん!私は中村雪菜、よろしくね!」

 

「え、あ、えぇっと・・・」

 

「安心しろギャスパー、こいつは俺が信頼できる相手なんだ。お前の能力が暴走しようと雪菜は怖がらないだろうさ。まぁ、そもそも効かない可能性があるが・・・」

 

「「?」」

 

後半の方、悠時は小声で呟いたために二人の耳には届かず、雪菜とギャスパーは揃って首を傾げる。

 

「それにしても同じ学校にこんな娘がいたんだねぇ〜、アーシアちゃんと同じ金髪だし!」

 

「あ〜・・・・・えっと雪菜?確かに女子用の制服を着ているが・・そいつ、男だぞ」

 

「・・・・・へ?」

 

「う、うぅ・・・」

 

雪菜は口をぽかんと開け、悠時とギャスパーを交互に見る。それを数回繰り返した後・・・・

 

「えぇ〜〜〜〜〜〜〜!?」

 

大声で叫んだ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ったく、いくら誰もいないだろうからって大声あげやがって・・・一応深夜なんだぞ?」

 

「ご、ごめん・・・すごいビックリしちゃって・・」

 

「まぁ気持ちは分からなくもないが・・・」

 

何とか雪菜を落ち着かせる事に成功した悠時達は、ギャスパーが封印されている部屋の中へと入る。悠時的はせめて校庭に出られればよかったのだが、生憎旧校舎の中だけしか動く事が出来ないので、とりあえずは普段ギャスパーが生活しているこの部屋で特訓を行う事にした。

 

「さて、早速特訓を始めようか!まずはギャスパー、もう一度神器発動させてくれね?」

 

「は、はい!!え〜と・・・」

 

悠時の指示を受け、ギャスパーは多少の時間は掛かったが神器を発動させる。それにより、悠時、雪菜以外の部屋の中の時間が止まる。とは言っても、特に何かが動いているわけでは無いのでこれといった変化は無いが。

 

「今の感覚・・・」

 

「覚えがあるだろ?俺たちが時を止めた時の感覚と少し似ているんだよ。あ、もういいぞ」

 

「ハァ〜・・・・」

 

疲れたのか、神器の発動を止めたギャスパーは大きく息を吐く。

 

「それで悠時、特訓とどうするの?私の場合は練度によって停められる対象の人数とか大きさとか関係なくなるけど、ギャスパーちゃ・・・・君は違うかもしれないよ?」

 

「ん〜・・・ま、どうにかなるだろ。ってかどうにかなる気がすんだ」

 

「え〜?そんな感じでいいの?」

 

イマイチ不安は残るが、とりあえず時間は無限には無いため特訓を開始する。悠時は用意したボールを取り出し、それを掲げる。

 

「それじゃあギャスパー、次はこのボールだけを停めてくれ」

 

「は、はい!」

 

再び神器を発動させるギャスパー。悠時が空中でボールを離すと、ボールは落下する。

 

「あれ?停まってない」

 

「今のはボールにじゃなくて、俺の手を停めていたな。俺には効かなかっただけだ」

 

悠時は冷静に分析し、雪菜に伝える。それに納得し、今度は雪菜がボールだけの時を停めようとする。

 

「はっ!」

 

「・・・上手く停められたな」

 

「よし!!」

 

悠時がボールを離しても宙に浮かんだまま。無事にボールを停めることには成功したようだ。

 

「ただし」

 

「?」

 

「停まったのはボールだけじゃないようだがな」

 

「へ?」

 

悠時が視線を向ける方向を雪菜も見る。そこではギャスパーが時を停められて動けずにいた。

 

「わぁあああ!!ごめんギャスパー君!!」

 

「ほら、早く動かせ」

 

どうやら雪菜もまだまだだったらしい。今後は雪菜の特訓を行い必要があるのかと、悠時は頭を抱えた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「それで?結局どうなったんだい、その特訓は?」

 

クジゴジ堂、ウォズに質問される悠時。

 

「どうやら雪菜の方の特訓も考えなきゃいけないらしい。あいつ曰く、昔からそんな使う機会もなかったようだし、それに一時期は能力そのものを奪われてたからな。いくら一族が受け継ぐ力とはいっても、最初っから上手く扱えるというものでは無いらしい」

 

「時を停められる王家の力・・・か」

 

「あぁ・・・・・・さて、本来の歴史ではこの後は何が起こるんだ?」

 

「この本によれば、コカビエルとの戦い後には駒王学園にて三大勢力の会談が行われる予定だ。おそらく、これはこの世界でも起こるだろう」

 

「何でそう言えるんだ?」

 

「実際にコカビエルとの戦いは起こっている。それに加え、彼らはオーマジオウの存在を知ったからだ」

 

堕天使の一人コカビエルが魔王の妹の領地で事件を起こす。そのコカビエルをたやすく葬った、自らを魔王と称するオーマジオウ。本来の歴史とは違った時間を辿っているが、三大勢力が放置するわけにはいかない案件が幾つも発生している。

 

「三大勢力が会談を行なう理由がなくなるどころか、むしろ増えたのか」

 

「そう、だから彼らは会談を行うはずだ。必ず」

 

ウォズは確信を持って言い切り、開いていた本を閉じる。

 

「さて、我が魔王・・・・近々学校で授業参観があるのでは?」

 

「ん?・・・あぁ、そういやそんな話あったな。俺達は親がいないから関係無いと思って聞き流してたが・・・・それがどうかしたか?」

 

「ふふ、安心したまえ我が魔王。その授業参観・・・この私が参加しよう」

 

「・・・・は?」

 

思わず口を開けてしまう悠時だった。

 

 



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第十七話

さぁ久しぶりにやっていこうレジェンドライダー紹介!!

「ちょっと待て、その前になぜこんなに時間がかかった」

いや〜、しょうがないじゃん?こっちだって色々あってさぁ〜。

「だからって何日かかってんだ?しかもそれでこの内容かよ」

まぁまぁ、とりあえず今回の紹介に行こうじゃないか!

「はぁ・・・・今回紹介するライダーは『仮面ライダー龍玄』だ」

仮面ライダー鎧武に登場した3号ライダーだね。基本形態はブドウロックシードを使ったブドウアームズで、武器はブドウ龍砲。遠距離攻撃が得意だ。

「だが、龍玄は遠距離攻撃だけじゃない。アームズチェンジしてキウイアームズになれば近距離攻撃も可能になる。それに劇中では鎧武から無双セイバーや大橙丸を借りてブドウアームズのまま近距離戦を行なっている」

劇中では途中から出なくなっちゃったけどね、それでも最終回でのあの活躍は『ヒーロー』以外の何でも無いと思うよ。

「それは確かに・・・俺はそんなふうにはなれねぇけどな」

・・・なんか暗くなったな。とりあえず、最新話どうぞ!!




ギャスパーとの特訓が開始してから数日。この日は休日の日曜日だったのだが、悠時と雪菜の二人は制服に身を包んでいた。それともう一人・・・アーシアも制服では無いがなるべく近い格好になって二人と一緒にいる。

 

「それじゃあこれから学校に向かうが・・・自信はどうだ、アーシア?」

 

「だ、大丈夫です!!」

 

悠時に聞かれたアーシアはそう答える。そう、今日はアーシアの編入試験日なのだ。

 

「アーシアちゃんなら大丈夫!!あんなに頑張ってたんだもん!!」

 

「あぁ、それに昨日俺とウォズが出した確認問題・・・・満点とはいっていないが、それでも充分な点数を取っている。よっぽどの事が無い限りは大丈夫のはずだ」

 

昨日は悠時とウォズが作った確認問題を解くといった事をやっていた。その結果は悪くなく、駒王学園の編入試験程度であれば充分と言えるほどの点数だったのだ。

 

「ウォズ、お前も何か言ってやれよ」

 

「なぜ私が・・・」

 

「いいからいいから」

 

「・・・・・頑張ってね」

 

「・・え?それだけ?」

 

相変わらず不器用だよな・・・・と思いながら、悠時はクジゴジ堂の扉を開ける。

 

「ま、いっか。それじゃあ行こう」

 

悠時の言葉を合図に、ウォズを抜いた3人は学校へと向かい始めた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

「はい・・・はい・・・わかりました、それじゃあお願いします」

 

学校にて。雪菜とアーシアの二人を待合室に待機してもらい、悠時は受付にて必要な種類の提出や注意事項等を聞いていた。

 

「たく、何で俺が・・・」

 

「ん?」

 

「あ?何見てんだよ?」

 

「あ、いえ・・」

 

似たような事をしていた男がすぐにいたが、何やら不満を呟いていたのが聞こえそっちを見る悠時だったが、すぐに咎められたために目を逸らす。今待合室には雪菜とアーシア以外にも一人だけ少女がいた。おそらくその子を保護者だろう。普通ならそれで済む話なのだが、悠時は思考を停めずにいた。

 

(この男の顔・・・・前にどっかで・・・・)

 

「あ、悠時!終わった?」

 

「あ、あぁ、アーシアはこれをかけてくれ」

 

雪菜の声が耳に入り、悠時は思考を一旦停めてアーシアに名札を渡す。

 

「ありがとうございます!!ユージさん!!」

 

「ここからはアーシア一人だけになるが、大丈夫だろう。今までの事をしっかりと思い出せよ?」

 

「頑張ってね!」

 

「はい!行ってきます!!」

 

アーシアは笑顔で手を振りながら、やってきた担当の教員についていく。

 

「ほらよ」

 

「・・・・・」

 

一方、悠時達の近くにいた男は少女に向かって名札を乱暴に突きつける。少女はそれを無言で受け取り、そのまま教員について行った。男はそれを見届けると、出入り口へと歩いていく。

 

「・・・なぁ雪菜、ちょっとここで待っててくれないか?」

 

「え?て、ちょっと悠時!?どこに行くの?」

 

「すぐ戻る!」

 

男が待合室から姿を消して数秒後、悠時も彼を追いかけるように待合室から出ていく。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あ〜、終わった終わった。俺の役目はここまでだったよな」

 

「その役目ってのは一体何なのか、教えてくれないか?」

 

学校からさほど離れていない路地裏、男が歩きながら呟いていると後ろかそんな声が聞こえてきた。足を止め振り返ると、そこには悠時がこちらを見ながら立っている。

 

「てめーは・・・」

 

「あんたの顔、どっかで見た事があると思ってたが思い出したぜ。・・・・転生者の一人だな」

 

「!何でそれを!!」

 

「その反応、ビンゴだな。お前の魂を回収する」

 

『龍玄!』

 

悠時の腰に刀がついた黒いバックル『戦極ドライバー』が巻かれ、横のフェイスパーツには緑色の横顔がプリントされている。

 

「そうか・・・お前が例の仮面の戦士とやらか・・・・ククク・・」

 

「?何がおかしい?」

 

「いや何・・・・俺は運がいいと思ってな。せっかくもらったこの力を・・・真っ先にてめーに試せるんだからなぁ!!」

 

男が叫ぶと、体から幾つもの蔦が出現し、男の体を巻き始める。やがて蔦が消えると、そこには体に青いラインが入っている大きな角を持った怪物『シカインベス』が立っていた。

 

「インベス・・!?どういう事だ!?」

 

『へへ!!見せてやるよ、俺の新しい力をな!!』

 

シカインベスは驚きで固まっている悠時に向かって頭突きをかましてくる。悠時はそれを避け、ブドウの南京錠『ブドウロックシード』を解錠する。

 

『ブドウ!』

 

「変身!」

 

『ロックオン!ハイ〜!!ブドウアームズ!龍・砲!ハッハッハッ!!』

 

頭上にファスナーが出現し、円を描くように回転して異世界への扉『クラック』が開く。そこからブドウの形をしたアーマーが降りてきて悠時に被さり緑色のスーツが形成、アーマーが前後左右に開き、かつて道を踏み間違いながらも正しい道へと戻ってこれた青年が変身していたライダー『仮面ライダー龍玄』へと変身を遂げる。

 

「はっ!!」

 

龍玄は右手に持ったブドウを模した銃『ブドウ龍砲』を使い、シカインベスに向かって発砲する。シカインベスは一瞬だけたじろぐが、すぐに突進してくる。

 

「お前、その力をどこで手に入れた!!」

 

『はっ!!誰がそんな事教えるか!!オラァ!!』

 

頭を横になぎ払い、龍玄を吹き飛ばす。

 

「くっ!ブドウアームズじゃキツイか・・・だったら!」

 

『キウイ!』

 

ブドウアームズは遠距離に特化している。それに対してシカインベスは近距離特化型のインベス。ブドウアームズのままでは部が悪いのだ。そのため、龍玄は新たなロックシードを取り出し、解錠する。すると龍玄の上空にクラックが出現し、そこからキウイの形をしたアーマーが降りてくる。それと同時に、元々装着していたブドウアームズの方が消滅する。

 

『ロックオン!ハイ〜!!キウイアームズ!撃・輪!セイヤッハ!!』

 

キウイアームズが頭に被さり、展開する。龍玄の両腕にはキウイを模した巨大な武器『キウイ撃輪』が出現する。

 

『飾りを変えただけか?そんなんじゃ俺は止められねぇぞ!!』

 

再三突進をしてくるシカインベス。龍玄はキウイ撃輪を前に突き出す事でその動きを止める。

 

「さっきから突進突進、それしかできないのか、お前は!!」

 

『ぐぉ!?』

 

キウイ撃輪を上に払い、体ごと回転させてシカインベスを斬り付ける。斬り付けられたシカインベスの体から火花が迸る。

 

「もういっちょ!!」

 

『ぬぁ!』

 

さらに回転してシカインベスを斬り付ける。シカインベスは吹き飛ばされ、よろけながら立ち上がる。

 

「どうだ?さっきのよりも効いてんじゃねぇか?」

 

『なめんなぁ!!』

 

「はっ!」

 

キウイ撃輪を投げ、シカインベスの足をなぎ払う。投げられたキウイ撃輪は回転しながらブーメランのように龍玄の元に戻ってくる。

 

「さぁ、教えてもらうおうか。その力、一体どうやって手に入れた?」

 

『ぐ、ぬぅ・・・』

 

龍玄はキウイ撃輪をシカインベスに突き付けながら問う。だが、シカインベスは中々口を破らない。その瞬間、シカインベスの背後に等身大サイズのクラックが開き、中から巨大な剣が現れたと思った瞬間、その大剣はシカインベスを真っ二つに切り裂いた。

 

『ぐぉおおおおおおお!!?』

 

「何!?くっ!」

 

シカインベスは爆発を起こし、龍玄は後ろに飛ぶ事で何とか回避。しばらくして爆発が収まるが、すでにクラックは閉められており火が燃え盛るだけだった。

 

「今の大剣・・・・まさか・・」

 

シカインベスが爆発する寸前に見えた大剣。龍玄は変身を解きながら思い出し、かつての敵の姿を思い返すのだった。

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

「あ、やっと帰ってきた!遅いよ」

 

「悪ぃ、思ったより手間取ってな」

 

シカインベスとの戦い後、悠時は学校へと戻ってきた。どうやら大分時間が経っていたらしく、時計を見るともう少しで試験も終わるぐらいの時間だった。丁度そのタイミングで、チャイムが鳴り響く。

 

「お、どうやら終わったようだな。ギリギリだったか」

 

「もう、一体何してたの?」

 

「まぁ、その事はまた後で・・・ほら、戻ってきたぞ」

 

「・・・後で説明してもらうからね」

 

雪菜はそう言い残すと、アーシアの方へと駆けていく。その後ろ姿を見ながら、悠時もゆっくりと動き出す。その脳裏には、ある男の姿がチラついて消えなかった。

 

 

 

 



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第十八話

さぁ、第5回目のレジェンドライダー紹介!今回は『仮面ライダーイクサ』を紹介していこう!

「仮面ライダーイクサか・・・俺があのクソ神父野郎相手の時に使ってたな」

あれ九話の話だから約十話ぐらい前だよ。

「もうそんなに経ってたのか・・・・仮面ライダーイクサは人類が開発したパワードスーツをさらに改造されて誕生している、対ファンガイア用のパワードスーツだ。22年もファンガイアと戦い続けているためどんどん強くなっている」

それに伴って目が隠れているセーブモードから赤い目が露出しているバーストモードになったり、武器にイクサナックル以外にイクサカリバーも追加されているよ。

「このライダーは変身者が限定されていないんだよな。人間じゃなくても使用できる。だから敵に奪われるなんて事もあったが・・・」

そういや悠時、お前がウォッチを他人に渡すとどうなるんだ?

「どういう事だ?」

だから、例えばお前が雪菜にウォッチを渡すだろう?そのウォッチを起動したら雪菜も変身ができるようになるのか?

「・・・・さぁ、最新の十八話、どうぞ」

あ、はぐらかしやがった。



「インベスが・・?」

 

アーシアの編入試験も無事終わり、時刻は深夜。クジゴジ堂のリビングでは悠時とウォズが話し合いを繰り広げていた。

 

「あぁ、間違いない。あの力は確かにインベスだ。しかも自我を保っているな。・・・だが、転生者の中にインベスになる力を特典として受け取った奴の情報など俺は持っていない。ウォズ、お前はどうだ?」

 

「・・いや、そのような情報は私の持ち合わせていない。その者はなんて言ってたんだい?」

 

「それが、話を聞く前に倒されちまったよ。突然現れた大剣によってな」

 

まるで口封じのように・・・・と悠時が言うと、二人は深く考え込む。少し時間が経った後、悠時は意を決したかのように顔を上げ、口を開く。

 

「なぁウォズ・・・・あいつはさ、まだ、俺の事を恨んでいるのかな・・」

 

「あいつ・・・とは?」

 

「・・・・いや、何でも無い」

 

忘れてくれ、そう悠時は言い残してリビングから出ていく。残ったウォズは、ひとまず情報を整理しようと地球の本棚へとアクセスした。

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

それから数日、授業参観の日がやって来た。そうそう、まだ言ってなかったな、アーシアの試験がどうなったのかを。結果は当然合格、アーシアは無事に駒王学園へと通う始めたのだ。今の所はゼノヴィアが接触してくるような事もなく、平穏な日々を過ごせている(変態三人衆はアーシアに手を出す前に悠時の手によって潰されているが)。因みに同じ日に試験を受けていた少女も受かったらしい、彼女の学年は一個下らしいために悠時達も詳しい事は知らないが、時々学校内でその姿を見かける。さて、話を戻そう。今日の授業参観で行われるのは英会話らしく、多くの生徒がソワソワしているのが伺える。悠時はともかく雪菜、アーシアの二人は他の生徒程ではないが、やはり緊張しているか異様にキョロキョロしている。

 

(そういやウォズが今日来るとか言ってたな・・・・変な事をしなければいいが)

 

いやな予感がしているが変に何かをするわけにもいかないために、悠時はただ席に座るだけだった。そんなこんなで時間は過ぎ、問題の英会話の時間がやってくる。生徒達の机の上には、一塊の粘土が置かれる。

 

「・・・・・・え?」

 

教室中の誰もが思う、なぜ粘土?と。

 

「今渡した粘土で好きなものを作ってみて下さい。自分が今脳に思い描いたものを形作る。そんな英会話もあります」

 

(いや、ねぇよ!)

 

悠時のこの気持ちは教室内の誰もが思った事だろう。だが教師に逆らうわけにもいかず、生徒達は一人、また一人と徐々に粘土に手をつけていく。

 

(んな事急に言われたって・・・一体何を作ればいいんだよ・・)

 

ふと、悠時に脳裏にある光景が浮かぶ。かつて自分が魔王として支配していた時間に存在していた巨大な像。オーマジオウドライバーとよく似たドライバーを腰に巻いてポーズを取っている悠時の像と、その周囲に立ち並ぶ十九のライダーの像。次の瞬間には悠時の手は勝手に動き出していた。

 

「・・・ん?」

 

気がついた時にはすでに机の上に完成状態で置かれていた、あの時間軸に存在していた像と瓜二つの模型。幸いにもクラス中では同じクラスであったイッセーが作ったらしいリアスの像をかけたオークションが開催されていたために誰もそれに気づくことはなかった。

 

(オーマジオウが取った覇道・・・・もしあの世界に帰ったら、俺はオーマジオウと同じ道を辿ってしまうのだろうか)

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「いや、中々面白い授業だったよ。英会話だと聞いていたが、まさか粘土を使った工作の授業とは」

 

「俺達だって予想外だったよ」

 

無事にオークション・・・・ゲフンゲフン、授業も終了し、悠時達3人はウォズと合流して校舎内を歩いていた。

 

「にしても我が魔王、よく粘土であれを作れたね。ひどく懐かしく感じたよ」

 

「あぁ、自分でも驚いてるよ。何でこれを作ったのかね・・」

 

そう言って悠時は自分の鞄の中を覗く。今回の英会話(?)の授業で作られた作品はそれぞれで持ち帰る事になったため、そこには先ほど作った作品が入っていた。

 

「あれ?なんか騒がしいね?」

 

雪菜がそう呟いたのが聞こえる。確かにすぐ近くから年齢層はバレバレな男の声が聞こえてくる。それと同時に何やら写真を撮っているような音も。

 

「行ってみよ!」

 

そう言って、雪菜はアーシアの手を引いて駆け出す。悠時とウォズは特に慌てる事はなく、ゆっくりとその後を追いかけていった。しばらくして大階段の前に人だかりでできているのを発見する。そして彼らが注目する先には、一人の魔法少女(?)がポーズを取っていた。

 

「・・誰だ?あれは?」

 

「見たことない顔だけど・・・誰かのお母さんかな?」

 

「あの格好でか?いくら何でもそれは無いと思うんだが・・」

 

どうやらこの人だかりの目当ては学校にて似つかわしくない格好でいるこの女性らしい。だが同じく騒ぎを聞きつけたらしい生徒の中には明らかに引いている者もいる。

 

「・・・我が魔王、こちらへ」

 

「ん?どうした?」

 

ウォズに呼ばれ、悠時は騒ぎが起こっている場所から少しだけ離れる。普段は人通りがもっとある場所だったが、今は全員魔法少女のコスプレの方へと行っているのかそこまで人の姿は見えない。

 

「我が魔王、先ほど注目を浴びていた彼女だが、あれは現悪魔のトップである四大魔王の一人、レヴィアタンの名を襲名した『セラフォルー・レビアタン』だ」

 

「魔王?・・・あれが?」

 

「信じられないかもしれないが事実だ。因みにすぐ近くにルシファーの名を襲名した『サーゼクス・ルシファー』もいる」

 

「・・・そういやリアス・グレモリーの兄が魔王なんだっけか?すっかり忘れてたぜ」

 

騒ぎが起こっている方を見ると、そこでは生徒会役員によって解散させられている集団が確認できる。その中、見覚えのある紅い髪を持つ男の姿も。

 

「にしたって、何でこんなに魔王が集まってんだこの学校に?」

 

「表向きの理由では仕事のための視察、本来の目的では妹の授業風景を見に来ているらしい」

 

ウォズが本を開きながらその一文を読む。本来の目的よりも表向きの理由の方が重要な気もするが。

 

「ちょっと待て、仕事だと?一体何の?」

 

「近い未来、この学校にて三大勢力の会談が行われる。そのための視察だ」

 

「何でこうもめんどくさい事が身近で起こるんだよ・・・」

 

「そんな心配することでも無いだろう。わざわざ君が出向く必要はないのだから」

 

「・・・・・それもそうだな。よし、雪菜達と合流しよう」

 

ウォズの言葉に悠時は脳裏に思い浮かんでしまった光景を捨て、雪菜達と合流しようと歩き出す。自分がしてしまった事に気づかずに。

 

 

 

 



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第十九話

「また随分と期間が空いたな・・・生きてたのか?」

失礼な!ちゃんと生きてたさ、この通り!!

「むしろ死んどけよ・・・」

いや〜、最近オーマジオウドライバーやメモリアルライドウォッチが手に入ってね〜、ちょっと楽しくて。

「お前の前回の投稿は確か・・・・元旦だったな。お前の言ってる奴は大体一月後半に届く奴だから・・・・半月くらいは暇があったはずだが?」

・・・・・さぁ今回のレジェンドライダー紹介!

「誤魔化すな!!」

『ドロップ・ファイア・バーニングスマッシュ』

ぎゃぁああ!?


無事(?)に授業参観も終了し、時刻は次の日の深夜。今日も悠時と雪菜は二人で旧校舎に封印されているギャスパーの元へと訪れていた。

 

「ヘ〜・・・それじゃあギャスパー君はもう封印されてないの?」

 

「は、はい」

 

雪菜が聞き返すとギャスパーは頷く。何でも、ギャスパーの主であるリアスの功績が認められ、もうギャスパーの暴走も抑えられるだろうという見解になったらしく、ギャスパーの封印がめでたく解かれる事になったらしい。

 

「・・・因みにその功績って?」

 

「さ、さぁ・・・・僕も詳しい事までは・・」

 

どうやらギャスパーも詳しい事は知らないらしく、その功績がどんなものなのかは把握していなかった。

 

「まぁそれはいいか。それにしても・・・・」

 

悠時はギャスパーの方を見る。見られたギャスパーはキョトンと首を傾げる。

 

「ギャスパーの封印が解かれるってことは、これからはそう簡単には会えないってことだな」

 

「え?何で?」

 

「今まではここは封印された場所だった。だから他の奴らはこの場所だけは不干渉だっただろう。だが、これからはそうは行かない」

 

「いつ誰が訪れるか分からない・・・ってこと?」

 

「そうだ。こんな風にな」

 

悠時が立ち上がって扉を開けると、そこには一匹の蝙蝠が空中に浮かんでいた。すでに時を止められているのか、羽を動かすことも地面に落ちることもない。

 

「それ・・・・部長の使い魔ですぅ」

 

「使い魔?」

 

「僕たち悪魔が契約している動物のようなものです。人によっては猫だったり、鳥だったりします」

 

「それでこいつは、リアス・グレモリーの使い魔である蝙蝠ってことか?」

 

「は、はい・・・でも、どうして?」

 

ここにリアスの使い魔がいることを疑問に感じ首を傾げるギャスパー。悠時は声に出さずに思考する。

 

(大方、監視が目的だろうな。いくら許可が降りたからとは言っても封印を解いた直後だ、いつ神器が暴走するのか分からないしな)

 

「とにかく、こうして何処かから見られている可能性がある以上、下手に接触することが出来ないんだ」

 

「そ、そうですね・・・・」

 

ギャスパーは見るからに残念がる。それを見た悠時はギャスパーの元へと歩み寄り、頭にポンと手を置く。

 

「心配すんな、一生会えないわけじゃない。いずれお前が神器を扱えるようになれば、いつでも会えるようになるだろうさ」

 

そう言ってポケットから一つの紙を取り出し、それをギャスパーへと渡す。

 

「その時は、そこに書かれている場所に来い。いつでも歓迎するさ」

 

さぁ行こう、と悠時は雪菜に声をかけて立ち上がり、扉へと歩み寄っていく。

 

「あ、ま、待ってください!」

 

「?」

 

「も、もしも僕が神器をうまく扱えるようになって、今よりも強くなったら・・・・その時には、僕と戦ってくれませんか?」

 

「戦う?俺と?」

 

「は、はい・・・」

 

決して長くはない時間。それでもギャスパーは同じような力を持っている悠時を見続け、一つの憧れを抱き始めていた。だからこそ、今よりも成長した時にはそれを見てもらいたいと考えたのだ。

 

「ん〜・・・・そうだな、今よりもお前が力をつけ、神器を扱えるようになったその時には・・・かな?」

 

「・・は、はい!!」

 

悠時の答えを聞き、ギャスパーは笑顔になる。こうして、決しては長くはない悠時によるギャスパーの特訓は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「にしても、まさかギャスパーがあんなことを言い出すなんてな」

 

旧校舎を出て帰路についていた悠時たち。先ほどのギャスパーのことを思い返しながら話を展開していた。

 

「悠時と戦うか・・・・ねぇ悠時、その時は本気で相手してあげるの?」

 

「どうだろうなぁ・・・・その時のギャスパーの力量次第では考えるが・・・・っ!?」

 

「きゃ!?」

 

突如として走らせていたバイクの急ブレーキをかける悠時。いきなりのことで雪菜は悠時の背中に顔を思いっきりぶつけてしまう。

 

「いたたた・・・悠時?」

 

「・・・悪い、どうやら客人のようだ」

 

その言う悠時たちの前に立っているのは一人の男。

 

「・・・・一体俺に何のようだ?」

 

「いや、ちょっとお前さん達と話がしたいんだけだよ。別にそこまで時間を取るつもりはない」

 

「生憎様、不審者を見かけたらすぐに逃げるように学校で教わったんだけどな」

 

「不審者ねぇ・・・酷い言い様だな」

 

「今のあんたはどっからどう見ても不審者だよ。それで・・・・何が目的だ?ご丁寧に人払いの結界まで張ってな!」

 

懐からファイズフォンXを取り出して銃モードに変形、それを容赦無く男に向けて撃つ。

 

「うぉ!?いきなり危ねぇなおい!!」

 

男は瞬時に防御用魔法陣を張り、攻撃を防ぐ。

 

「ゆ、悠時、あの人って・・・」

 

「・・・・この間ウォズから聞いた、堕天使の総督と何もかもが合致する。確か名前は・・・・アザゼル、だったか?」

 

「おぉ、よく知ってんな。やっぱただの人間じゃないってことか。そのウォズって奴も、お前自身も」

 

「そうだな」

 

『ギャレン!』

 

「変身!」

 

『TURN UP』

 

起動したギャレンウォッチによって腰にダイヤのAのラウズカードが装填されているギャレンバックルが装着され、悠時はバックルのレバーを引く。それによってバックルから光のゲート・オリハルコンエレメントが放出され、それはゆっくりと悠時を通り過ぎていく。オリハルコンエレメントが消滅すると、悠時はクワガタを模したライダー『仮面ライダーギャレン』へと変身を遂げる。

 

「雪菜、下がってろ」

 

「う、うん・・」

 

ギャレンへと変身を遂げた悠時は雪菜を後ろに下がらせ、ギャレンラウザーを構える。

 

「それがオーマジオウってやつか?いや、それにしては報告とは違う外見だが・・」

 

「考えている暇があると思っているのか?」

 

手を顎に当てて思考し始めるアザゼルだったが、それをギャレンが許さない。ギャレンラウザーから光弾を放ち、邪魔をする。

 

「っと、確かに・・・考えながらじゃいくら俺でも危険そうだな」

 

考えるのをやめたアザゼルは背中から黒い羽を幾つも生やし、手には光の槍を持つ。

 

「堕天使特有の光の槍か・・・いいだろう」

 

『ジャックフォーム!』

 

新たなウォッチを起動し、左腕に『ラウズアブゾーバー』が出現する。そこから二枚のカードを取り出し、一枚をラウズアブゾーバーにセットする。

 

『アブソーブクイーン』

 

そしてもう一枚のカードをスラッシュする。

 

『フュージョンジャック』

 

アーマーが金色に変化し、背中にはクジャクを思わせるオリハルコンウィングが出現する。

 

「これで条件は対等・・・かな?」

 

 

 

 




久しぶりの投稿が短くてすいません!

次回はなるべく早めに投稿できるように頑張ります!


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第二十話 

さ〜て今回もレジェンドライダー紹介と行こうか!

「もうつっこむのもめんどくせぇな・・・今回はこいつだな」

『ギャレン!』

仮面ライダーギャレン、仮面ライダー(ブレイド)に登場する二号ライダー(?)だね。

「ラウズカードを使うことで多種多様な攻撃が使用でき、コンボすればさらに強力な攻撃も可能だ」

さらに、JとQのラウズカードを使えば飛行可能なジャックフォームにもなれる!まぁ、色々な問題でネタキャラ扱いされる事もあるけど・・・・。

「それはどうでもいいだろう。さ、紹介も終わった事だし本編をどうぞ」

え、もう終わり?あちょっと帰んないで!お〜い!!


「ふっ!」

 

ギャレンは背中の翼を羽ばたかせ、空へと飛び上がる。それを見たアザゼルは同じように空へと向かう。

 

「わざわざ空中で戦おうとするとはな。あの少女を安全圏に移すためか?」

 

「勝手に言っておけ」

 

「まぁまぁそうツンツンすんな。こっちだってちょっと危険な橋渡ってるようなもんなんだからな」

 

「お前の事情など、俺が知るか!」

 

ギャレンは急旋回し、アザゼルに向かって光弾を発射する。

 

「うお!?問答無用かよ!?」

 

「まだまだ!」

 

『バレット・ファイア・ラピッド』

 

ギャレンラウザーから三枚のカードを取り出し、スキャンする。

 

『バーニングショット』

 

「はっ!」

 

ギャレンラウザーから放たれるのは火炎の砲弾。アザゼルは翼を前で重ねる。

 

「たく、ちっとは話を聞けっての!!」

 

対抗するようにアザゼルは光の槍を投げる。

 

「どうせコカビエル戦の事だろ、あの白龍皇から俺の話を聞いて接触してきた。あいつの仇でも取るつもりか?」

 

「仇?」

 

アザゼルは首を傾げる。

 

「んなことしてどうすんだ?仇なんかとったってしょうがねぇし、むしろ感謝してんだぜ?」

 

「は?」

 

「おそらく知ってるだろうが、俺たち堕天使と悪魔、天使といった三大戦力は昔戦争をしていた。結局、その戦争は二天龍の喧嘩が理由で終わったわけだが、コカビエルはそれを良しとしなかった。戦闘狂・・・いや、もはや戦争狂だな、あいつは再び戦争を起こそうと何度も俺に進言してきた。『再び戦争を起こせば、今度こそ我々堕天使が勝利する』ってな」

 

アザゼルはかつての記憶を思い起こしながら語る。

 

「生憎、俺は戦争よりも研究の方が好きだからな。放っておいたらあの様だ。さすがに動かないと後が面倒だとヴァーリ・・・白龍皇を向かわせたんだが、すでにお前の手で事件は収束していたってわけだ」

 

「・・・・要は、堕天使の使えねぇ頭が趣味に時間を費やすから部下の勝手な行動に目が届いてなかったということだな」

 

「なんだいきなり悪口か?」

 

「はぁ・・・・ひとまず、一回蹴らせろ」

 

「え?」

 

『ドロップ・ファイア』

 

ギャレンは二枚のカードをスキャンし、右足にエネルギーをためる。

 

「あ、ちょっと待って、何するつもりだ?」

 

「はぁああ・・・・」

 

「おい聞け、止まれ!」

 

『バーニングスマッシュ』

 

「はぁああああああ!」

 

「うぉおお!?」

 

寸前で魔法陣を張ったアザゼルはなんとか直撃を避けることができた。が、そのまま地上へと落とされる。ギャレンは空中で回転すると、そのまま地上に降り立つ。

 

「悠時!」

 

降りてきたギャレンに駆け寄る雪菜。ギャレンは無言のまま変身を解き、地上に叩き落としたアザゼルの方を見る。当の本人は立ち上がりながら服についた埃をポンポンと払っている。

 

「たく、話を聞いたと思ったらこれかよ・・・・」

 

「無責任そうだったから」

 

「え、理由それ?」

 

「むしろそれで済ませてやるんだ、感謝しろ。それに威力は抑えた」

 

最悪この街が滅びかねない事態だったわけだから、威力を抑えたライダーキック一発で済まないとは思うが。

 

「ま、話もろくに聞かずに攻撃したのは俺だし・・・・・用件を聞こう」

 

「お、マジで?」

 

「内容によってはまぁ・・・言うことを聞こう」

 

悠時にも非があることを自覚しているのか、大人しくアザゼルの話を聞く。

 

「たいしたことではないさ。今度、駒王学園で三大戦力のトップが集まって会議を行うんだが・・・・・そこに、人間代表として参加しねぇか?」

 

「「・・・・・は?」」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

アザゼル曰く、この間のコカビエルの行動を全体で把握し、今後の動きをどうするのかを話し合うらしい。場合によっては再び戦争が起こるとか。

 

「人間代表ね・・・」

 

そんな会議に、悠時は人間代表で参加することになった。どうも、人外を認知していてコカビエルを超える力を有しているからこそ、どう考えているのかを教えてほしいらしい。

 

「コカビエルの事も話すってことは・・・・絶対あいつらも参加するよな」

 

「あいつらって、グレモリー先輩達のこと?」

 

「あぁ」

 

彼女がどのような報告を上にしているのかは知る由も無いが、少なくともグレモリー眷属・・・・特にリアスと一誠の二人は突っかかってくるだろう。三大勢力のトップ陣が集まる手前、あまり手荒なことをするわけにはいかないのだが・・・。

 

「・・・まぁ、魔王の前ではさすがにそこまでしないか。馬鹿じゃないだろうし」

 

「でも、なんでだろうね?」

 

「何がだ?」

 

「なんでグレモリー先輩は悠時の事をそんなに警戒してるんだろうなって」

 

「んー・・・・大方怪しいからじゃないか?」

 

「それだけ?」

 

「雪菜だって怪しいと思った人物には警戒するだろ?それと同じさ。それに、人間にもかかわらず人外に対抗できるだけの力を持っているだけでも、あいつらからしたら警戒するには十分すぎる理由なんだろうな」

 

それでも少しは話を聞いてもいいと思うけどと悠時は言うが、雪菜は内心で悠時が言えたことじゃ無いと思ったとか。

 

「それにしても、まさか堕天使の総督に正体がバレたとは。珍しく何かミスでもしたのかい、我が魔王」

 

「ウォズ、いたのか。・・・いや、特に目立ったミスはしてないさ」

 

「ふむ・・・まぁいい。それで?会議にはどうするんだい?」

 

「どうするも何も・・・出るしか無いだろう。色々言いたいこともあるし、むしろ好都合だ」

 

不適な笑みを浮かべる悠時。それを見て、雪菜は思わずゾッとしたと後々語った。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

悠時がアザゼルと遭遇していた時間、旧校舎の一室。封印が解かれたはずのギャスパーは部屋に閉じこもっていた。どうやらリアスの指示でイッセーの依頼についていったようだが、その依頼主がどうも男の娘好きだったようで、まるで変質者に襲われているようで怖くなったギャスパーは思わず能力を使って時間を停めてしまったらしい。どうにか神器を使いこなそうとしてもそれができずに迷惑をかけてしまった、その事実がギャスパーを苦しめる。

 

「やっぱり、僕が強くなんて・・・・この力を使いこなすなんて、できないんだ・・・」

 

一人閉じこもる部屋の中で、小声で呟くギャスパー。本人以外聞き取れないはずであろうその声に、声が返ってきた。

 

「力が欲しいか・・・」

 

「え?・・・だ、誰ですか?」

 

慌てて辺りを見回すギャスパー。だが、部屋の中には自分以外の姿は見えない。

 

「気のせい・・・?」

 

「気のせいではない。俺はここにいる」

 

「ひっ!?」

 

再び聞こえてくる声。同時に、ギャスパーに耳鳴りが起こる。

 

「ここだ、窓を見ろ」

 

「ま、窓・・?」

 

恐る恐る窓ガラスへと近づくギャスパー。一見すると、ただ外の風景が写っているだけだ。

 

「そうだ・・・もっと近くに来い」

 

一歩、また一歩窓ガラスへと近づいていくギャスパー。そして。窓ガラスに写っているのが自分だけじゃないことに気づく。

 

「!?」

 

慌てて後ろを見るギャスパー。だが、当然そこには誰もいない。

 

「怖がる必要はない。俺はお前に力を与える者だ」

 

「ち、力を・・・?」

 

「そうだ。力があれば、お前は神器を制御することができる。強くなれるんだ」

 

窓ガラスから出てくるそいつは、ギャスパーに声をかける。まるで、悪魔のささやきのように。

 

「強くなれば、お前は復讐することができる。お前を虐めた奴ら、捨てた親や故郷、自分達の都合で悪魔にしておいて扱いきれないと分かればすぐに封印した悪魔共・・・その全てにな」

 

「復讐なんて、僕は、そんなこと・・・?」

 

「どうかな?心の奥底に持っているはずだ。恨みの心を」

 

「僕は・・・僕は・・・」

 

「さぁ、曝け出せ。お前の願いを。そして叶えるんだ、自分自身の手で」

 

そいつは一つのウォッチを差し出す。ギャスパーはそれを見つめた後、ゆっくりと手をーーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キバ・・・・』

 

 

 



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第二十一話

さぁ今回もレジェンドライダー紹介!!・・・・と行こうと思ったんだけど、今回はおやすみねぇ〜。

「あ?なんでだよ、しっかりライダー出てんだろ」

そうだけど、今回何もしてないじゃん?次の戦闘回の時に紹介しようかな〜って。

「ん〜、まぁいいか。それじゃ、今回はこのまま本編だ」

楽しんでってねぇ〜。


「それじゃあ皆、行くわよ」

 

会談の日、グレモリー眷属の一同は旧校舎に集まっていた。

 

「小猫、ギャスパーをよろしくね」

 

「はい、部長」

 

「部屋に俺の携帯ゲーム機やお菓子を置いとくから、好きに使っていいぞギャスパー」

 

「はい・・・・・」

 

イッセーに返事をするギャスパー。だが、その目はどこか虚で視点が定まっていないようにも思える。

 

「?」

 

「イッセー、行くわよ」

 

「あ、はい」

 

ギャスパーと小猫の二人を旧校舎に残し、他のメンバーは会談が開かれる本校舎へと向かう。すでに他の参加メンバーは集まっており、後はグレモリー眷属を残すのみである。

 

「失礼します」

 

最初にリアスが部屋へと入り、その後に眷属が続く。それと同時に視線が幾つも向けられる。のだが、リアス達は一瞬の内にそれらの視線が気にならなくなった。三大勢力のトップ陣と同じ様に椅子に座ってテーブルを囲む人物。その人物は緑色の装甲を身に纏っているが、リアス達はその人物が誰なのかはすぐに分かった。それと同時に疑問も持つ。何故ここにいるのかを。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

会談に参加することになった悠時。まだ他のメンバー・・・特にグレモリー眷属には正体を知られるわけにはいかないので今回も変身しての参加をしている。ちなみに変身しているライダーはゾルダだ。

 

「妹とその眷属だ。先日のコカビエル襲撃で彼女達が活躍してくれた」

 

入ってきたグレモリー眷属一同を魔王サーゼクス・ルシファーが紹介する。

 

「テメェ、なんでここにいやがる!!」

 

案の定、まだ悪魔になったから日も長くないイッセーはゾルダへと詰めかかってくる。

 

「イッセーやめなさい!」

 

「でも部長!!」

 

「そいつを呼んだのは俺だよ、赤龍帝」

 

今にも殴りかかる様な勢いのイッセーに声をかけたのは、テーブルに足をかけながら座っているアザゼルだった。

 

「そいつもお前達と同じコカビエル襲撃の際の立役者だから、今回は人間代表として参加してもらってんだ」

 

言っとくけどサーゼクスやミカエルは承知の上だぜ?と、続けて言うと、イッセーは嫌々ながらも拳を抑える。

 

「悪いね、妹の眷属が・・・・」

 

「・・かまわん、もう慣れた」

 

「そう言ってもらえると助かる。さて・・・・今ここにいるメンバーは『聖書の神の不在を認知している者である』という前提のもと、話を進めよう」

 

重苦しい空気に包まれる中、三大勢力+αによる会談が始まった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・以上が、私、リアス・グレモリーとその眷属悪魔が関与した事件の報告です」

 

報告を終えたリアスはサーゼクスに促されて席に座る。会談が始まって数十分が経過していたが、今のところ順調そのものといった進み具合。悠時も傍観を徹底している。

 

「さて、アザゼル。この報告を受けて堕天使総督の意見を聞きたい」

 

この言葉に、部屋中の視線がアザゼルへと集中する。

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルが単独で起こしたものだ。奴の処理に関してはそこのオーマジオウが行った。消滅した以上、俺たちにできる事はもう何も無い。この間転送した資料にも書いてあっただろう?それが全てだ」

 

「説明としては最低の部類ですが・・・・あなた個人が我々と大きな事を起こしたくないという話は知っています。それは本当なのでしょう?」

 

「あぁ、俺は戦争に興味なんてない。コカビエルも俺のことをこき下ろしていたと、そちらの報告でもあったじゃないか」

 

(ふぁ〜・・・眠)

 

「アザゼル、一つ聞きたい。ここ数十年神器持ちの人間を集めていると聞いたが何故だい?最初は戦力増強を図っていると思っていたのだが・・・」

 

白い龍(バニシング・ドラゴン)を手に入れたと聞いた時は強い警戒心を抱いたものです」

 

「ただの研究さ。なんなら、資料の一部をお前らに送ろうか?それに、研究はしても戦争まではしねぇよ。・・・ったく、俺への信頼は三すくみの中でも最低かよ」

 

「そうだね」

 

「そうだな」

 

「そうね」

 

サーゼクスとミカエル、セラフォルー・レヴィアタンの3人がほぼ同時に頷く。

 

(どんだけ信用されてねぇんだ、この総督・・・)

 

「ちっ、神や先代ルシファーよりはマシかと思ったが、お前らはお前らで面倒臭い奴らだ。こそこそ研究するのもこれ以上性にあわねぇ。あー、わかったよ。なら、和平を結ぼうぜ。元々そのつもりだったんだろう?」

 

部屋中から驚きの声が上がる。サーゼクスやミカエルも和平のこと自体は考えていた。だが、まさかそれが堕天使総督であるアザゼルから持ちかけられるとは思っていなかったのだ。とはいえ、断る必要は全く無いわけで。

 

「私も悪魔側も、確かに和平を持ちかける予定でした。このままこれ以上三すくみの関係を続けていても今の世界の害になる。天使の長である私が言うのもなんですが・・・戦争の大本である神と魔王は消滅したのですから」

 

「はっ!あの堅物ミカエル様が言う様になったね。あれほど神、神、神さまだったのにな」

 

「・・・失ったものは大きい。けれど、いない者をいつまでも求めても仕方がありません。人間達を導くのが我らの使命。神の子らをこれからも見守り、先導していくのが一番大切だと、セラフのメンバーの意見も一致してます」

 

「おいおい、今の発言は堕ちるぜ?・・・って、『システム』はお前が受け継いだんだっけか」

 

「我らも同じだ。魔王がなくとも種を存続するために、悪魔」も先に進まねばならない。戦争は我らも望むべき者では無い。次の戦争をすれば、悪魔は滅ぶ」

 

サーゼクスのその言葉にアザゼルも頷く。

 

「そう、次の戦争をすれば三すくみは今度こそ共倒れだ。そして、人間界にも大きく影響を及ぼし、世界は終わる。俺らは戦争をもう起こせない」

 

「神がいない世界は間違いだと思うか?神がいない世界は衰退すると思うか?残念ながらそうじゃなかった。俺もお前たちも今こうやって元気に生きている。・・・・・神がいなくとも世界は回るのさ」

 

(zzz・・・・・)

 

それから先は現存の兵力やら各陣営での対応等の話に移った。先ほどよりも緊張感が弱まったようで、張り詰めていた空気も軽くなっている。

 

「と、こんなところだろうか?」

 

サーゼクスの一言に、色々なところから息を吐く音が聞こえる。一通りの重要事項は話終わったらしい。

 

「あぁ、これで俺たち三大勢力の方はある程度終わったし・・・・・次はお前の番だぜ」

 

アザゼルがそう言うと、部屋中の視線がゾルダに集中する。それでもゾルダは微動だにしない。

 

「人間代表として参加してほしい・・・・・とはいったが、正直それはこの場に来てもらうための建前だ。実際はお前個人に聞きたいことが山ほどあってな。例えば・・・・・・お前が持つその力や、お前自身のことだ」

 

アザゼルの鋭い視線がゾルダに向けられる。だが、ゾルダは一向に喋らない。

 

「どうした?せめて話せるかどうかぐらいは教えて欲しいものなんだが・・・・・ん?」

 

「zzz・・・」

 

「って寝てる!?」

 

部屋中でずっこけた音が鳴る。まさかこの様な重大な会談の最中に寝るような者がいるとは誰も思ってなかったのである。

 

「おいこら起きろ!お前の話の番だ!!」

 

「ん・・んぁ?なんだ、終わったのか?」

 

「お前なんでこの空気の中で寝られるんだよ。ほら、お前の話だ」

 

「ん〜、何から話すか・・・・」

 

色々と言いたいことはあるが、どこから話すべきなのか。

 

「・・・・かつて、ある組織に拐われ、その身を改造された人間がいた」

 

何の話なのか。誰もが疑問に思ったが、決してそれを口にする者はいなかった。

 

「そいつは本来ならばその組織の目的のために悪事を働く存在になるはずだったが、一人の研究者によって正義の心を持った改造人間になった。そして、そいつは人を守るために戦う戦士となった。これが、『仮面ライダー』の始まり」

 

仮面ライダー・・・・三大勢力の面々は初めて聞く単語だった。ゾルダはそのまま話を続ける。

 

「その後も仮面ライダーは多く誕生していったが、平成の始まりと共にしばらく新たなライダーは誕生しなくなった・・・・・。そして2000年、再び新たなライダーが誕生した。それから2018年までのライダーを総称して『平成ライダー』と呼ばれるようになった」

 

「平成ライダー・・・?」

 

「そう・・・・俺が持つ力は全平成ライダーの力、それを受け継ぎし王の力だ」

 

 

 

 




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第二十二話

それじゃあ今回はレジェンドライダー紹介をしようか!

「もう登場はしているからみんな分かっているとは思うが、こいつの紹介だ」

『ゾルダ』

仮面ライダーゾルダ、仮面ライダー龍騎に登場したライダーの一人だね。龍騎やナイト、王蛇が剣を使うのに対し、ゾルダは銃を使うライダーだ。

「契約モンスターはバッファロー型のミラーモンスター、マグナギガだ。装甲が厚いため、盾にされる事もしばしばだ」

ゾルダといえばやっぱ必殺技の『エンドオブワールド』だね!

「マグナギガの中にあるミサイルや両手から放たれるレーザーを一斉に放射する技だ。かなり広範囲まで攻撃する事ができるが、下手したら味方も巻き込むから使うタイミングには気を付けろ」

誰に言ってるの?

「もしかしたらいるかもだろ?エンドオブワールドが使える奴が」

いやいたら怖いよ!!

「それじゃ、本編をどうぞ」



「全平成ライダーの力・・・・ねぇ・・」

 

ゾルダの口から彼が持つ力について教えてもらった三大勢力だったが、特に大きな反応があったわけではない。そもそもの話、彼らは平成ライダーは愚か仮面ライダーのことすら知らないのだから。

 

「この間お前が見せたのも、その平成ライダーの力なのか?」

 

「あぁ、あれは2004年に誕生したライダーの力だ」

 

「その姿も?」

 

「そうだ。ま、これらの姿は借りてるような感じだけどな。俺自身のライダーの力は別にある」

 

その言葉に一部の人物が戦慄する。彼が使っているのは本来の力ではなく借り物の力。それでも以前のとはいえグレモリー眷属を一方的に負かすことができたのかと。

 

「俺の持つ力はそんなものか。俺の出自に関しては・・・・秘密だ」

 

流石に並行世界や転生者ハンターの件については話すわけにはいかないのでそこで話を終わりにする。

 

「これから言うことはまぁ、俺の頼みみたいなものだ。・・・・・無闇矢鱈に罪の無い人間を巻き込むな」

 

部屋中の空気が冷たくなる。中には鳥肌が立っている者もいるほどに。

 

「はぐれ悪魔やはぐれ神父、あとは堕天使の神器持ちの排除とかか?他にもこの間のバルパー・ガリレイが行なっていた聖剣計画など・・・・・・罪の無い人間に被害が被るようなことが無いようにしてもらいたいんだよ」

 

「・・・・・」

 

「不可能とは言わせないぜ。下の者が取り返しのつかないことをする前に止める、それは上に立つ者の役目だろう」

 

「・・確かに君の言うとおりだ」

 

ゾルダの話を静かに聞いていたサーゼクスが頷きながら肯定する。

 

「君はコカビエルの襲撃の際に自らを魔王と名乗ったそうだが、なるほど・・・・君はその素質がある人間だ。・・・・・君の願い、すぐには叶えられないだろう。それでも、その願いを叶えられるよう努力する。今はこれぐらいしか言えないかな」

 

「俺たち堕天使の中では神器所有者の不思議なことではなかったが、その結果俺の部下が黙ってそこの赤龍帝を殺したらしいな。その報告は受けてる。・・・・悪かったな」

 

生憎そいつらとは連絡も取れないんだがなと、アザゼルは続ける。それもそのはず、イッセーを殺した堕天使四人はすでに悠時の手で抹殺されている。

 

「あの計画は我々の中でもご法度です。だからこそ、これ以上あの計画の被験者のような人間・・・そこの少年のような者が出ないように尽力はします」

 

ミカエルはリアスの後ろに控えている木場を見ながら言う。木場は聖剣計画の元被験者で唯一の生き残りでもある。彼がコカビエルの時に発した復讐という言葉はこの聖剣計画から来る思いだった。

 

「ま、今はそれでいいだろう」

 

「そうか・・・・さて、それじゃあ後は俺たち以外に世界に影響を与えそうな二人の話を聞くとするか。ヴァーリ、お前は世界をどうしたい?」

 

「俺は強い奴と戦えればいいさ」

 

ヴァーリがゾルダを見ながら言う。

 

「じゃあ赤龍帝、お前はどうだ?」

 

「お、俺は・・・・」

 

そうイッセーが呟いた直後、時間が停まった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「やはり、始まったか・・・・この感覚、俺が接触しても特に変化は無いってことか」

 

「やっぱりお前は動けるんだな」

 

「そういうお前もな」

 

ゾルダに話しかけるのはアザゼル。他にもサーゼクスやミカエル、セラフォルーなど何人かは動いているのが確認できる。

 

「思ったよりも冷静だな。少なからず驚きはあると思っていたんだが」

 

「すでに知っている事を驚くか?」

 

「・・待て、それはどういう・・」

 

「・・・・あら?」

 

イッセーが動き出す。

 

「お、赤龍帝の復活だ」

 

「な、何かあったんすか?」

 

「お前も知ってるだろう、この感覚は。・・・・・端的に言うと、テロだよ」

 

ゾルダは言いながら外を見る。そこでは魔術師らしき人かげが何人も新校舎へ向けて攻撃を放っているのが確認できる。

 

「いわゆる魔法使いって連中だ。威力から察するに、一人一人が中級悪魔クラスの魔力を持ってやがる」

 

「そ、それじゃあこの状態は・・・」

 

周りを見渡すイッセー。グレモリー眷属で動けているのはイッセーの他にはリアスとゼノヴィアの二人だけだった。

 

「力を譲渡できる神器か魔術でハーフヴァンパイアの小僧の神器を強制的に禁手(バランス・ブレイカー)状態にしたんだろう。俺たち首脳陣やオーマジオウを停めるには出力不足だったようだが」

 

「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている・・・・どこで私の下僕の情報を得たのかしら・・」

 

「ちなみにこの校舎を外で取り囲んでいた堕天使、天使、悪魔の軍勢も全部停止させられているようだ」

 

アザゼルは手を窓に向ける。すると、外の空に無数の光の槍が出現し雨のようになって魔術師達に降り注ぐ。魔術師は防護障壁を展開するが、それを難なく貫く。校庭は魔術師の死体が転がる凄惨なものとなった。だが、すぐに新たな魔術師が次々に出現する。

 

「さっきからこれの繰り返しだ。倒しても倒しても現れる。・・・しかし、タイミングといい、テロの方法といい、こちらの内情に詳しい奴がいるのか、もしくは・・・この中に裏切り者がいるのか」

 

「ここから逃げないんですか?」

 

「逃げないさ。学園全体を覆う結界を解かないと出られないし、そもそも結界を解いたら人間界に被害が及ぶ。さっきの話のすぐ後にするわけねぇだろ」

 

「我々首脳陣は下調べでここを動けない。だが、旧校舎にいるギャスパーくんを奪い返さないといけない」

 

「お兄様、私が行きます」

 

「言うと思っていたよ・・・・しかし、どうやって旧校舎まで行く?普通の転移魔法では・・・・」

 

「旧校舎の部室に未使用の『戦車(ルーク)』の駒を保管しています」

 

「なるほどキャスリングか」

 

キャスリング・・・・『(キング)』と『戦車(ルーク)』の位置を入れ替わらせる技。それを使い、リアスは旧校舎へ向かおうとする。

 

「だが、一人で行くのは無謀だ。グレイフィア、キャスリングを私の魔力方式で複数人転移可能にできるか?」

 

「ここでは簡易術式でしか展開できませんが、お嬢様ともう一人なら転移可能かと」

 

「サーゼクスさま、俺が行きます!」

 

手を上げて進言するイッセー。サーゼクスも異論は無いらしく、何も言わない。

 

「赤龍帝、これを持ってけ」

 

アザゼルがイッセーに二つのリングを投げ渡す。

 

「それは神器をある程度抑える力を持つ腕輪だ。例のハーフヴァンパイアを見つけたらそいつをつけてやれ。多少なりとも力の制御に役立つだろう。もう一つはお前用だ」

 

「俺用?」

 

「短時間なら代価を支払わなくても禁手状態になるのも可能だ。それが代価の代わりになる。ただし、使うのは最後の手段にしておけ。体力の消費までは調整できんからな」

 

それを聞いて、イッセーは笑みを浮かべる。何を考えているのかは分からないが、下手な事をしなければいいがと悠時は思う。

 

「ヴァーリ、お前は外で敵の目を引け。白龍皇が前に出れば、奴らの作戦も多少は乱せるかもしれん」

 

「俺がいるのは向こうも承知なんじゃないか?」

 

「注意を引きつけるだけでもいいさ」

 

「旧校舎のテロリストごと、問題になっているハーフヴァンパイアを吹き飛ばした方が早いんじゃないか?」

 

「和平を結ぼうってときにそれはやめろ」

 

「了解」

 

アザゼルの意見に息を吐きながらも同意し、背中に光に翼を展開させる。

 

「・・・禁手化(バランス・ブレイク)

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!』

 

音声が鳴り、次の瞬間ヴァーリの体が白い輝きを放つ鎧に包まれた。ヴァーリは一度イッセーを一瞥した後、窓から外に飛び出し魔術師を一方的に蹂躙し出す。

 

「さて、そろそろ俺も動くとしよう。奴らを好きにさせるのも釈だからな」

 

『シュートベント』

 

カードデッキから一枚のカードを抜き取り、右手に持ったマグナバイザーに装填する。すると、ゾルダに両肩に巨大な大砲が装着される。ゾルダはそれを空中に向けると、宙に浮いている魔術師に向かって一斉に掃射する。

 

「おいおい、なんつー威力だよ・・・」

 

ゾルダはその呟きに何も答えないまま外に出て行った。その先にも大量の魔術師が。

 

『シュートベント』

 

「今度はこいつだ」

 

ゾルダの全長よりも長い大砲を両手で持ち、砲撃する。それにより多くの魔術師を葬る事ができたが、また新たな魔術師が出現する。

 

「はぁ、キリがないなこれ・・・・・一気にぶっ飛ばすか」

 

『ファイナルベント』

 

デッキから一枚抜き取り、マグナバイザーに装填する。するとゾルダの目の前に契約モンスターである『マグナギガ』が出現する。魔術師がゾルダやマグナギガに向けて攻撃するが、マグナギガの装甲には傷一つつけられない。そうしている内にも、ゾルダはマグナギガの背中にマグナバイザーをセットし、その引き金を引く。

 

「死にたくなきゃ避けるんだな。ま、避けれるならだが」

 

マグナギガの装甲が開き、そこからミサイルやら砲弾やらレーザーが一気に大量に放射される。それらは広範囲に渡って敵を吹き飛ばした。

 

「うん、やっぱりゾルダのファイナルベントは楽でいい」

 

 

 



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第二十三話

今回のレジェンドライダー紹介、悠時一枚引いて。

「なんでくじ?」

今回は新しいライダーが登場していないから、これで出た奴を紹介しようかと。

「ふ〜ん・・・・・よっと、え〜と何々・・・・」

『ビースト!』

仮面ライダービースト、仮面ライダーウィザードに登場したライダーだね。

「通称『古の魔法使い』。ウィザードと同様体内にファントムを飼っているが、定期的に魔力を吸収しないと死んでしまうんだ」

ハイパーリングを使えば強化形態のビーストハイパーにもなれるぞ!

「必殺技にはライダーキックの『ストライクビースト』や、武器のダイスサーベルを使った『セイバーストライク』がある。まぁ、運によって威力が変わる技なんだがな・・・」

今回はここまで!それじゃあ本編をどうぞ!!




「あいつ、無茶苦茶しやがるな」

 

アザゼルは外に出て行ったゾルダの放ったエンドオブワールドを見ながら呟く。ファイナルベントの衝撃は新校舎にもしっかりと伝わっており、何事かと外を確認する人もいる。

 

「ありゃこの間全く本気出してなかったな、あいつ」

 

「あれが仮面ライダーの力か・・・」

 

アザゼルの隣にサーゼクスが来る。その目はしっかりとゾルダの方を見ており、とても興味深そうにしている。

 

「もし彼が我々に牙を向いたら・・・勝てると思うかい?」

 

「どうかな・・・あいつの実力は本物だ。俺達が束になってやっと・・てところか?それでも無傷では済まないだろうが」

 

「君は、どうして神器所有者を集めていたんだい?研究と言っていたが、本当にそれだけかい?」

 

「・・・備えさ」

 

「備え?」

 

「以前からシャムハザが不審な行為をする集団に目をつけていてな、つい最近組織名と背景が判明した。奴らは三大勢力の危険分子だったり、神器持ちの人間だったりを集めているようだ。中には『神滅具(ロンギヌス)』持ちもいるようだ」

 

「その者たちの名は?」

 

禍の団(カオス・ブリゲード)

 

聞き覚えの無い単語に、サーゼクスは眉を潜める。

 

「目的は単純、破壊と混乱だ。世界の平和が気に入らないらしい。そしてその(トップ)が、『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の他に強大で凶悪なドラゴンだ」

 

さらに続けられたその言葉で、イッセー以外のほとんどのメンバーが絶句する。

 

「『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス・・・神が恐れたドラゴンにして、この世界が出来上がった時から最強の座に君臨し続けている者・・・・。そうか、彼が・・・・」

 

その瞬間、室内の床に魔法陣が浮かび上がり、そこから声が聞こえてくる。

 

『そう、オーフィスが禍の団(カオス・ブリゲード)のトップです』

 

「グレイフィア、リアスとイッセー君を早く飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

グレイフィアは急いで二人分の魔法陣を展開し、急いで二人を旧校舎へと飛ばす。だが、アザゼル達はそちらを気にしている暇が無く、目前に存在する魔法陣に警戒を露わにする。

 

「・・・レヴィアタンの魔法陣」

 

そして、魔法陣から一人の女性が姿を現した。

 

「ごきげんよう。現魔王に天界、堕天使の皆様方」

 

「先代の魔王レヴィアタンの血を引く者、カテレア・レヴィアタン。これはどういうつもりだ?」

 

「もちろん・・・・・あなた方を滅ぼすため」

 

その瞬間、カテレアから巨大な魔力弾が放たれた。光が部屋中を覆い、部屋を吹き飛ばしたけど中にいるメンバーは無事だった。

 

「三勢力のトップが共同で防御結界ですか。なんと見苦しい」

 

見下すように笑うカテレア。彼女が放った魔力弾はサーゼクス、ミカエル、アザゼルの三人が張った結界が防いだ。この三人が防いでいなければ、停止させられているメンバーはもちろん、動けているメンバーも危険だっただろう。サーゼクス様がカテレアに問いかける。

 

「カテレア、なぜこのようなことを?」

 

「先程も言ったはずです。あなた方を滅ぼすため、と。我々はこの会談の反対の考えに至りました。神と魔王がいないのならばこの世界を変革すべきだと」

 

神の不在、三大勢力の和平、それを全て知った上でのクーデターということ。しかし、その考えはここにいるメンバーとは全くの逆。

 

「カテレアちゃん、止めて! どうして、こんな・・・・・」

 

セラフォルーの悲痛な叫びにカテレアは憎々しげな睨みを見せる。

 

「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと!」

 

「わ、私は・・・・」

 

「ふん、安心なさい。今日、この場であなたを殺して私が魔王レヴィアタンを名乗ります」

 

カテレアの言葉に表情を陰らせるセラフォルー。

 

「やれやれ、悪魔のとんだクーデターに巻き込まれたと思ったが、おまえらの狙いはこの世界そのものってことか」

 

「ええ、アザゼル。神と魔王の死を取り繕うだけの世界。この腐敗した世界を私たちの手で再構築し、変革するのです」

 

両手を広げてそう答えるカテレア。しかし、その答えを聞いてアザゼルはおかしそうに笑う。

 

「アザゼル、何がおかしいのです?」

 

カテレアの声には明らかに怒りが含まれている。

 

「腐敗? 変革? 陳腐だな、おい。そういうセリフは一番最初に死ぬ敵役の言うことだぜ?」

 

「あなたは私を愚弄するつもりですか!」

 

激怒するカテレアの全身から魔力のオーラが発せられる。

 

「サーゼクス、ミカエル、俺がやる。いいな?」

 

アザゼル・・・堕天使総督が戦場に立つ。

 

その身からは薄暗いオーラを放っている。本気ではないというのにすごい重圧を感じる。

 

「カテレア、下るつもりはないのか?」

 

「ええ、サーゼクス。あなたは良い魔王でしたが、残念ながら最高の魔王ではなかった」

 

カテレアはサーゼクス様の最後通告を断る。

 

「そうか・・・残念だ」

 

アザゼルとカテレアは上空へと場所を変える。

 

「旧魔王レヴィアタンの末裔。『終末の怪物』の一匹。相手としては悪くない。ハルマゲドンとシャレこもうか?」

 

「堕天使の総督ごときが!」

 

その瞬間、堕天使総督と旧魔王の末裔の戦いが始まった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

カテレアとアザゼルの戦いが始まるまでの間も、ゾルダはとにかく魔術師を殲滅しまくっていた。ファイナルベントで一気に数を減らすことには成功したが、その後も際限無く溢れるかのように出てくる魔術師に嫌気が差してきている。

 

「こいつら・・・ゾンビじゃねぇんだから、さっさと消えろ!!」

 

そろそろ銃撃では限界が見え始めており、別のライダーに変身しようと考えているところだったが、彼の後ろにローブが靡く。そして、中からウォズが姿を現した。

 

「我が魔王!」

 

「ウォズ、お前どうして?」

 

「実は・・・・・」

 

ウォズは迫りくる魔術師の魔法弾をローブで打ち返すと、ゾルダの耳元で囁く。

 

「・・それは本当か?」

 

「えぇ、この間のインベスもその一人でしょう」

 

「なるほど・・・・どうやらだいぶ時空が歪み出してるようだな」

 

「三大勢力には奴らに対抗する手段はない。つまり・・・」

 

「俺達がやるしかないってことか・・・・・ま、やることは対して変わりはしないか。・・・・・来たぞ」

 

今まで魔術師が出現していた魔法陣だったが、その魔法陣の形が変わった。三大勢力は知らない、悠時やウォズは知っている魔法陣。そこから、一体の怪人が現れた。

 

「あいつは・・・・」

 

「ファントムだね。仮面ライダーウィザードの敵、ゲートと呼ばれる人間が絶望した時に変貌する姿」

 

『ふん!俺は絶望なんてしてねぇ!!』

 

二本の角を持つファントム、ミノタウロスファントムはゾルダにそう言い放つ。

 

『俺は望んでこの力を手に入れたんだ、この力を使えば、俺は全てを手に入れることができるんだよ!』

 

するとファントムは球を取り出して辺りはばら撒く。それらは肥大化して人型の怪人へと変わる。

 

『行け!グール共!!』

 

「とにかく、あいつが誰なのかは後で確認する。まずはグール共を倒す。ウォズ、手伝え!」

 

「御意」

 

『シノビ!』

 

腰にビヨンドライバーを装着し、起動したシノビミライドウォッチをセットする。

 

『アクション!』

 

「変身」

 

『投影!フューチャータイム!誰じゃ?俺じゃ?忍者!フューチャリングシノビ!シノビ!』

 

「「はぁああああああ!!」」

 

ウォズはジカンデスピアの鎌モードを手に取り、ゾルダは新たに一枚のカードを使用する。

 

『ストライクベント』

 

ゾルダに右手にマグナギガの二本の角を思わせる装備が装着され、光弾を放ちながらグールに向かっていく。

 

「おら!こいつらは終わりが見えている分、魔術師共よりもずっと楽だ!はっ!」

 

目の前に来たグールを撃ち抜くゾルダ。グールの持つ武器は槍だが、ゾルダはそれが自分の体に到達する前にグールを撃ち抜くか、横に薙ぎ払って吹き飛ばす。さらに左手にマグナバイザーを持ち、後ろから攻撃してくるグールを撃ち飛ばす。

 

「後、二体!!」

 

ゾルダは一体を右手で殴り飛ばし、残り一体を蹴り付けて地面に倒し、踏み潰しながらマグナバイザーで撃ち抜いた。

 

 

 

 



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第二十四話

さて、今回のレジェンドライダー紹介なんだけど・・・・

「なんだ?また休みとか言うのか?」

残念不正解〜!正解は、今回のレジェンドライダー紹介の前にゲストの紹介をしようと思ってね。

「ゲスト?」

「祝え!私が前書きに初登場した瞬間を!!」

「ウォズ、お前か。てか久しぶりに聞いたな、それ」

と、言うわけで今回のゲストとしてウォズを呼びました〜。

「やぁ我が魔王、ここで話すのは初めてだね」

「あぁそうだな・・・てかなんで急にゲスト?」

いや、今まで悠時と二人だけだったじゃん?さすがにそろそろつまんなくなってきたから、ゲストで誰か呼べばもうちょっと賑やかになるかな〜って。

「あっそう・・・・まぁいいや。それで?今回はどいつを紹介すんだ?」

今回はこのライダーだ!ウォズ!

「はいはい」

『クイズ!』

仮面ライダークイズ、オーマジオウが倒された世界線で2040年に誕生した仮面ライダーだよ。

「能力も今までのライダーにはない力を持っていて、それが○×クイズだ。クイズが出す問題に間違えると、強力な電撃攻撃を食らうことになるぞ」

「そして、そのクイズの力が宿っているのがこのクイズミライドウォッチだ。これが私が使えば、仮面ライダーウォズ・フューチャリングクイズになれる」

フューチャリングクイズもクイズ同様、○×クイズを出してくるぞ!

「今回はここまで、それじゃあ本編に進んでくれ!」



ゾルダがグールと戦っている間、ウォズもまたグールと戦っていた。

 

「ふっ!はっ!」

 

ウォズはジカンデスピア鎌モードを巧みに使い、グールの槍を受け止めては弾き飛ばし、丸腰のところを横に一閃したり、時にはグールの影に入り込んで下から攻撃を加えたりする。

 

「ふぅ・・ぐぅ!?」

 

影から出てくるウォズ。その瞬間を狙われ、グールの槍の一突きをまともにくらってしまう。そのまま倒れ臥すウォズ。その光景を見てグールは両手を上げて喜んだりしながら倒れるウォズに近づく。そして、その内の一体が異変に気づいた。確かにウォズを貫いたはずだが、槍が刺さっているのはフューチャリングシノビのアーマーをつけている藁人形だった。慌てふためくグール達。そんなグール達の背後に、どこに隠れていたのかウォズが姿を現す。

 

『ビヨンドザタイム!』

 

「はっ!」

 

『忍法分け身の術!』

 

ウォズの分身がグールを取り囲むように出現し、同時にジカンデスピアを振り下ろして斬撃を飛ばし、グールを一掃した。

 

「これでグールは終わりか・・・」

 

「ウォズ!」

 

「我が魔王、そちらも?」

 

「あぁ、あとは・・・・あいつだけだ」

 

合流したゾルダとウォズはファントムの方に顔を向ける。一方ファントムはグールを一掃されていても特に慌てる様子はない。

 

『やっぱりグール共じゃこの程度か。ならば、俺がお前達を葬ってやる』

 

「できると思っているのか?」

 

『当然だ!!』

 

ミノタウロスファントムは巨大な斧を持ち、それをゾルダとウォズへと向ける。それを迎え打とうとするゾルダだったが、その瞬間体に一瞬の違和感を感じる。

 

「今のは・・・」

 

「時間の停止・・・だが、なぜ今?」

 

「まさか・・」

 

ゾルダが向ける視線の先にはリアスとイッセーが向かったはずの旧校舎が存在する。ゾルダを数秒の沈黙ののち、旧校舎へと足を向ける。

 

「悪いウォズ、あいつは任せていいか?」

 

「は?」

 

「行かなきゃ行けないとこができた」

 

決してウォズの方は見ていない。だが、その口調から真剣になっているだろうことが、ウォズには想像できた。

 

『はっ!逃すと思ったか!?お前の相手はこの俺だ!!』

 

ミノタウロスファントムが逃さんとばかりにゾルダに詰め寄ってくる。しかし、その間にウォズが割り込む。

 

「外道が・・・貴様ごときの相手など我が魔王がする必要なんてない。この私で十分だ」

 

そのままミノタウロスファントムと交戦を開始するウォズ。それを確認したゾルダは旧校舎に向かって駆け出す。

 

『ちっ!・・・・まぁいい、テメェをやったあとであいつも殺るだけだ!!』

 

「残念だが、それが叶う未来は永遠に来ない」

 

『あ?』

 

ウォズは左手に装着されているホルダーからオレンジのウォッチ『クイズミライドウォッチ』を手に取り、起動する。

 

『クイズ!』

 

そして、ビヨンドライバーに装填しているシノビミライドウォッチと入れ替え、カバーを開く。

 

『アクション!』

 

「これを使うのは久しぶりだ」

 

『投影!フューチャータイム!ファッション!パッション!クエスチョン!フューチャリングクイズ!クイズ!』

 

頭部にはクエスチョンマーク、両肩には赤と青の四角いパーツがついており、そこにもクエスチョンマークが記されている。そして、複眼には『クイズ』の文字が。

 

「問題、君は私を倒し、我が魔王に追いつく。○か×か?」

 

『あっ?ふざけてんのかテメェ!!』

 

「正解は・・×」

 

左肩の青いパーツが開き、×のマークを見せる。その瞬間、ミノタウロスファントムの上空に暗雲が立ち込め、落雷が発生する。

 

『ぐぉおおおお!?』

 

『ツエスギ!』

 

ジカンデスピアを鎌モーどから杖モードに変え、そのままミノタウロスファントムを薙ぎ払い、叩き、殴る。

 

「さらに問題、君が持つ力は最強の力である、○か×か?」

 

『んなの、○に、決まって・・・!』

 

「答えは、×だ」

 

再び左肩のパーツが開き、ミノタウロスファントムを落雷が襲う。

 

『ぬあぁああああああ!!』

 

「これが最後の問題だ」

 

『フィニッシュタイム!』

 

ジカンデスピアのタッチパネルにあるカメラアイコンをタップし、タッチパネル全体をスワイプする。すると、ツエの先からクエスチョンマークが飛びかり、ミノタウロスファントムを囲む。

 

「君は手に入れた力を全く使いこなせないまま私によって倒される、○か×か?」

 

『ば、×!×だ!!』

 

「答えは、○だ」

 

ウォズがジカンデスピアを振り回すと、クエスチョンマークはミノタウロスファントムの周りに回り出し、徐々に狭まっていきやがて拘束する。

 

「はぁ!!」

 

『不可思議マジック!』

 

『ぐぁああああああ!!!!』

 

ミノタウロスファントムは爆発を起こし、後には一つの魂だけが残った。

 

「む?あれは・・・」

 

ウォズはすぐさまそれを回収し、逃げられないようにする。

 

「情報は確かだったか・・・。さて、我が魔王と合流するとしよう」

 

役目を終えたウォズは旧校舎に向かって歩き出した。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

キャスリングを利用して旧校舎へと気づかれずに侵入することに成功したリアスとイッセー。二人はなるべく慎重に、けれでも急いでギャスパーがいるはずの部屋へと向かっていた。

 

「妙ね・・・」

 

「どうしたんですか、部長?」

 

「静かすぎるのよ。まぁ、確かにあの子の場合対抗なんてできるとは思えないけど、魔術師も一人で来てるわけがないわ。複数人いるはずよ。でも・・・ここまで来ても声一つ聞こえない」

 

今二人がいるのは件の部屋がある階の階段。部屋まではほぼ一直線な場所で様子を窺っている。

 

(それに魔術師の気配も感じない・・・けどこの気配は何?魔術師のものではないし、私が知らない気配なんて・・・・)

 

「部長、さっさと行きましょう!早く助け出せればあいつらの計画も阻止できるんですから!!」

 

「イッセー・・・そうね、行きましょう!!」

 

慎重になんてかけらも無く、二人は颯爽と部屋の前まで行きドアを開く。

 

「ギャスパー!小猫!」

 

「二人とも、大丈夫か!・・・・って、え?」

 

中に突入した二人だったが、眼前では予想外の光景が広がっていた。予想では複数人の魔術師が屯していると考えていたのだが、そこにいたのは動かなくなっている小猫と、不気味な気配を漂わせているギャスパーだけだった。

 

「どういうこと?なんで魔術師がいないの?」

 

「まぁいいじゃないですか!おいギャスパー、早く時間を動かしてくれ!!」

 

「・・・・・」

 

しかし、ギャスパーは何かをブツブツ呟いており、イッセーの言葉は耳に入っていないようだ。そもそも下に俯いているため、二人が来ていることにすら気付いていないのかも知れない。

 

「?おいギャスパー、聞いてんのか?」

 

イッセーがギャスパーに近づこうとした瞬間、どこからか青い狼、緑の半魚人、紫のフランケンが姿を現し、イッセーに対して攻撃を開始した。

 

『ふん!』

 

「うぉ!?な、なんだお前ら!!」

 

咄嗟に籠手を出し、防御したイッセーは少し後退し、彼らに問う。

 

『我らはキバをサポートする者』

 

「キバ?何よそれ!その子は私の眷属よ!!返してもらうわ!!」

 

リアスはそう叫ぶと、滅びの魔力を纏わせた魔法弾を放つ。しかし、その魔法弾は紫のフランケン・・・ドッガによって簡単に防がれる。

 

『ムン』

 

「なっ、なんでよ!なんで滅びの魔力が通じないのよ!!」

 

『ふふふ』

 

緑の半魚人・・・バッシャーは口から水は膨らませた弾丸を放つ。それは二人の視界を一瞬だけ逸らすことができた。

 

『はぁ!』

 

その一瞬の隙をつき、青の狼・・・・ガルルが詰め寄り、二人を壁を壊して旧校舎の外へと蹴り飛ばす。

 

「うぉ!?」

 

「きゃ!!」

 

外に出されたリアスとイッセーだったが、そんな二人ののあとを追うようにギャスパーがゆっくりと歩き出す。

 

「ギャ、ギャスパー?」

 

「すごい・・・・自由に時間を停められる・・・・僕の意思で神器を扱える・・・!今の僕なら、あの人も戦ってくれるはず!」

 

『キバ・・・・』

 

次の瞬間、ギャスパーは黒い蝙蝠に身を包まれる。その蝙蝠が消えると、そこにはギャスパーでは無くステンドグラスのような顔を持つ一体の怪人・・・アナザーキバが立っていた。

 

『はっ!!』

 

アナザーキバが手を前に翳すと、リアスとイッセーの首元に爪のようなものが出現し、二人の首に・・・・・・・。

 

 

 

 

 



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第二十五話

「よっ、久しぶりだな駄作者」

うん久しぶり、でも再開早々ディスらないでくれる!?

「何言ってんだ?俺はディスってなんかいないさ、『次は早く投稿できるよう頑張ります!』とか言っておきながら四ヶ月のサボった作者のことなんて。なぁ、雪菜?」

「うんそうだね、ここからってタイミングで行方晦まして別の作品に浮気していた作者のことなんて、全然ディスってないよ!」

二人揃ってなんだよ!俺だって色々大変だったんだよ!!

「そんじゃ雪菜、今回のレジェンドライダー紹介でもしようぜ」

あれ?無視?ちょっと?

「今回の紹介するライダーは、『仮面ライダーキバ』だよ!」

ちょっと、雪菜も?お〜い!

「仮面ライダーキバ、ファンガイアの王に与えられるはずだったキバの鎧であり、基本形態のキバフォームは力を制御している姿だ。ただ普通の人間が変身すると・・・・」

「すると?」

「死」

「・・・・え?」

「なんてな、半分冗談だ。とは言っても、死の可能性があるということは変わらない」

「そ、そんな危険なライダーなんだ・・・」

「まぁ、元々はファンガイアが使う予定のものだったからな」

ねぇ二人共〜・・・無視しないでよ〜・・。

「はぁ・・・ま、紹介も終わったし、最新話の第二十五話」

「どうぞ!!」

ねぇ〜え〜。


ギャスパーが変身したアナザーキバがリアスとイッセーの首元に爪のようなものを出現させ突き刺そうとしたが、その爪は二人の後方から放たれた光弾によって破壊された。

 

「ふぅ・・・間に合ったか」

 

駆けつけたのは悠時が変身しているゾルダだ。ゾルダが前に構えているマグナバイザーの銃口からは煙が出ている。

 

「あ、あなた・・何をしに・・!!」

 

「あ?何をしにって・・・お前達を助けに来てやったんだろうが。感謝されるならともかく、睨まれることをした覚えは無いぞ?」

 

リアスに理由も分からず睨まれるが、気にするほどのものでも無い。軽く受け流しながら、前方にいるアナザーキバへ意識を向ける。

 

「アナザーキバ・・・・・」

 

『アナザーライダー』ーーーーー有史の仮面ライダーとは違い、変身者の資格を持たない人間が変身することが出来る怪人。アナザーキバはその内の一体であり、仮面ライダーキバの力を宿したアナザーライダーである。

 

かつて(・・・)数度に渡って倒した怪人の復活に、その厄介さを理解している悠時を息を飲む。

 

「来てくれたんですか、先輩」

 

「・・・その声、ギャスパーか?なぜお前が・・・・いや、キバということを踏まえるとむしろ自然か」

 

「おい、なんでお前がギャスパーのこと知ってんだよ!」

 

「うるさい、黙れ」

 

ギャスパーの名前を呟いただけで突っかかってくるイッセーに構っている暇なんか微塵も無い。悠時は容赦のかけらも無くイッセー・・・・とついでにリアスの時を停める。

 

「さすがですね、完璧な時止め・・・・だけど、それぐらいは今の僕だって・・!!」

 

アナザーキバの目が怪しく光り、瞬間、体を襲う違和感。悠時には通用しないものだが、今ので敵味方関係なく時を止められたものが増えただろう。

 

「なるほど・・・確かに前よりも神器を扱えるようになったようだ」

 

「わかりますか?僕は前よりも強くなった!神器を制御出来るようになったし、部長やイッセー先輩をも超えた!この力で「だからこそ!」・・?」

 

「残念でならないよ、ギャスパー。それはお前の力じゃない、他人から貰った・・・・仮初の力だ」

 

ゾルダへの変身を解く悠時。そして、新たにキバのウォッチを取り出す。

 

アナザーライダーを倒すには、特殊な事例を除いてそのアナザーライダーと同じライダーの力を有する必要がある。そうしなければ、アナザーライダーは幾度となく復活する。

 

『キバ!』

 

ウォッチを起動すると、闇夜から奇怪な蝙蝠が出現し、悠時の周りを羽ばたき始める。

 

「よー!久しぶりだな、悠時!お前が俺様を呼ぶなんて、随分と珍しいじゃねぇか!」

 

「今回は相手が相手だからな。・・・力を貸せ、キバット」

 

「うぉ!?ありゃキバか!?にしても随分と怪物っぽい見た目をしてやがる」

 

「実際に怪人だからな、いくぞ」

 

「いいのか?ファンガイアじゃないお前がキバの鎧を使うのは、いくらお前だろうと危険だぜ?」

 

「・・・構わないさ、あいつを止めるためだ」

 

「よっしゃ!キバって行くぜ!!」

 

悠時の顔の周りを優雅に飛び回っていたキバットは、悠時が掲げた右手に収まる。悠時はキバットを左手に近づけて噛ませ、体内に魔皇力を注入する。

 

「っ・・・・変身」

 

魔皇力を注入したことで腰に出現した『キバットベルト』にキバットを掴まらせる。すると、キバットを中心に波紋が広がり、悠時の体がステンドグラスのように変化し、割れるように破裂する。すると、そこには体の至るところを(カテナ)で拘束されている、目が蝙蝠のような形につり上がっているライダーが立っていた。

 

『仮面ライダーキバ・キバフォーム』ーーーー本来であればファンガイアと呼ばれる怪人の王が所有し、行使することが可能なキバの鎧の一つである。

 

「あれは・・・・・祝え!平成という時代を駆け抜けたライダーの一人!運命(さだめ)の鎖を解き放つ、王の力!その名も仮面ライダーキバ!まさに降臨せし瞬間である!」

 

グール達を片付け悠時のもとへ駆けつけたウォズは、悠時がキバに変身しているのを見た瞬間に高らかに叫ぶ。この場に他の誰かがいればこう言ってくれただろう・・・・・『急にどうした!?』ーーーと。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

一触即発の雰囲気を醸し出しながら睨み合う二人のキバ。どちらが先に動き出すか、お互いが相手の動きを注視し、なかなか動かない。

 

そんな空気を変えるかのように、すぐ近くに一つの光弾が落ちてきた。ただの流れ弾だったようで、その後も攻撃が続くことはなかったが、二人のキバはそれを合図に、同時に動き出す。

 

「ふん!」

 

「はぁ!」

 

お互いの腕が交差するように相手の顔を捉える。そのまま流れるようにキバの左足がアナザーキバの胴体を捉えるが、アナザーキバはマントを翻して後退する。

 

それと同時に、アナザーキバを守るように三体の怪人が姿を現す。狼、人魚、フランケン・・・・本来であればキバットに使役される『アームズモンスター』だが、歴史の歪みにより今はアナザーキバに仕えている。

 

「あぁ!お前ら、なんでそっちについてんだよ!!」

 

キバットベルトにぶら下がっているキバットが、3人のアームズモンスターを見て声を荒げる。しかし、返事は無い。

 

「こんのバカ狼共が!!」

 

「歴史が歪んでいるんだ、仕方ないさ。それに、大した問題じゃないさ」

 

「はぁ?」

 

戦闘中にも関わらず呑気に会話する悠時とキバット。そんな彼らの目前では、アナザーキバが狼のアームズモンスター『ガルル』に手を向けている。すると、ガルルの体は彫像に変化し、そこからさらに剣状のへと変化する。

 

「今だ、キバット!」

 

「おう!『ガルルセイバー』!!」

 

その瞬間を見計らい、キバットは所有している『フェッスル』のうち、青いフェッスルを吹き鳴らす。それに反応するように、アナザーキバの手に収まりかけていたガルルセイバーは急に動きを変え、キバの左手へと収まった。その瞬間、キバの左腕の(カテナ)が解放され、狼男の毛皮と腕を模した姿へと変化する。胸と巨大な複眼もそれらに合わせるように青へ変化。

 

「祝え!平成という時代を駆け抜けたライダーの一人!運命(さだめ)の鎖を解き放つ、王の力!その名も仮面ライダーキバ・ガルルフォーム!まさに降臨せし瞬間である!」

 

「なっ!?」

 

アナザーキバが驚愕の声を上げる。無論、ウォズにではなくガルルセイバーを奪われたことに対してである。

 

「グゥゥ・・・ウォオオ!!」

 

キバは自分とアナザーキバの間にいる二体のアームズモンスターをガン無視し、ひとっ飛びでアナザーキバに飛びかかりガルルセイバーを突き立てる。

 

「っ!」

 

右腕でそれを受け止めるアナザーキバ。キバはその勢いのまま、型の無い荒々しい動きで斬撃を繰り返す。それらの斬撃をマントを翻して回避し、そこから無数の蝙蝠を模ったエネルギーが無数に出現する。

 

キバはガルルセイバーを放り捨てると、腰のホルダーから緑のフェッスルをキバットに噛ませる。

 

「『バッシャーマグナム』!!」

 

先ほどのガルルと同じように、今度は人魚のアームズモンスター『バッシャー』が彫像へと姿を変え、さらに銃形状へと変化してキバの右手へと収まった。すると、左腕は再び(カテナ)に封印され、右腕の(カテナ)が解かれる。それにより右腕は魚人の鰭と腕を模した形状に変化、胸と複眼も青から緑へと変わる。

 

「祝え!平成という時代を駆け抜けたライダーの一人!運命(さだめ)の鎖を解き放つ、王の力!その名も仮面ライダーキバ・バッシャーフォーム!まさに・・・・・」

 

「いい加減諄い!!」

 

意気揚々と祝っていたら自分の魔王から叱られた従者。心なしかしょんぼりしているように見える。

 

「ふぅ・・・・」

 

心を落ち着かせるように一息つく。そして、空中を飛び交う無数の蝙蝠を見据え、バッシャーマグナムから水の弾丸を放つ。

 

「うあ!?」

 

その弾丸が直撃したのは蝙蝠ではなく、その奥にいたアナザーキバだった。

 

「おぉ!すげぇな、あの穴を通して弾丸を当てるなんてよ!」

 

「このフォームだからこそ可能なことだ。他のフォームじゃそう簡単に出来る芸当じゃない」

 

キバが行ったことは単純、飛び交う蝙蝠の隙間を縫って奥にいるアナザーキバに攻撃しただけだ。先ほどのガルルフォームが速力に特化している形態なら、このバッシャーフォームは視力に特化している。この形態だからこそ成功せしめた攻撃なのだ。

 

「さて、あとはこいつだ」

 

本体を攻撃されたことで消失していく蝙蝠の間を悠々と歩きながら紫のフェッスルを取り出す。

 

「『ドッガハンマー』!!」

 

バッシャーマグナムを放り投げ、残った最後のアームズモンスター『ドッガ』が姿を変えた彫像がさらに変化したドッガハンマーを両腕で掴む。それに合わせ両腕、胸は紫の鎧を纏っているような姿へと変化し、複眼も緑から紫へと変わる。

 

「う・・つゥ・・ぁあ!!」

 

ドッガハンマーを引きずりながら近づいてくるキバに恐怖しつつも、なんとか体を動かしてキバを殴りつける。しかし、キバは全く微動だにしない。

 

「そんな・・!?」

 

「ふっ!」

 

両腕でドッガハンマーを持ち上げ、勢いのまま叩きつける。ドッガハンマーが叩きつけられた箇所は大きく凹み、ただの人間であったならば簡単に潰されて終わっていただろう。幸いにもアナザーキバは肉体を蝙蝠に変えてその場を離れたために無事ではあったが、もしも今の攻撃が直撃していたら・・・・・。

 

ーーーーーー戦ってはいけなかった。相手が誰だろうと関係ない、この人は容赦無く叩き潰してくる。せっかく手に入れた(アナザーライダー)も、元々持っていた(神器)も、全く通用しない、冗談のような存在・・・・それがこの人なんだーーーーー

 

もはや戦う意志は残っていない。一刻も早くこの場から逃げたかった。いつものように、いつもの部屋で、いつもの段ボール箱の中に・・・・・・・そう思っても、体が動かない。まるで時を止められてかのように、自分の意志に反して体が動かないのだ。

 

「っ・・・どうして・・どうして・・!?」

 

「いくら逃げようとしても無駄だ。お前の時を止めてるからな」

 

いつの間にか最初のキバフォームへと戻っていた悠時がアナザーキバの・・・・否、ギャスパーの様子を見て語りかける。

 

「心の弱き者が強大な力を手に入れると、その人物は大きく歪んでしまう。今のお前はまさにそれだ・・・・ギャスパー、その力はお前が持ってはいけないものなんだ」

 

先ほど使った三本のフェッスルが入れられているホルダーとは逆側にあるホルダーに入れられている赤いフェッスルを取り出し、キバットに噛ませる。

 

「『ウェイク・アップ』!!」

 

キバは(カテナ)で封印されている右足を上げると、ベルトから離れたキバットが(カテナ)を解除していく。すると、赤い翼と緑の魔皇石『ヘルズゲート』が展開され、右足を上げたまま空高く飛び上がる。

 

「はぁあああ・・・・・はぁああああああ!!」

 

空中で回転し、動けないアナザーキバに飛び蹴りを放つ。その瞬間にギャスパーの時間を動かし、背後にあった旧校舎の壁へとぶつける。

 

「はぁあ!!」

 

「ウァアアアああああああ!!?」

 

壁にキバの紋章が刻まれた瞬間、アナザーキバは爆発を起こした。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ふぅ・・・・っ!」

 

アナザーキバを撃破し、変身を解除した瞬間に膝を着く悠時。キバへ変身したことによる負担が襲ってきたのだ。

 

「おぉい、大丈夫か?だから言っただろう」

 

「っつ・・あぁ、このぐらい、覚悟の上だ・・・ん?」

 

そんな彼の足元へと、一つのウォッチが転がってくる。悠時が所有しているウォッチとは形状が違い、普段はライダーの顔が描かれている場所にはアナザーキバの顔が描かれている。

 

「こいつは・・・・!」

 

「我が魔王!!」

 

刹那、背後から感じた殺気に振り向き、迫りくる光弾に気づく。ウォズの手によって悠時は回収されたためにその光弾は不発に終わったが、感じる殺気が消えることは無い。

 

「はは・・・・こんなタイミングで裏切りかよ・・・・なぁ、白龍皇」

 

月の光を受け、一際光り輝く白銀の鎧を身に纏いし男が、彼らの前に降り立った。

 

 

 



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第二十六話

今回のレジェンドライダー紹介!

「こいつだな」

『エターナル!』

仮面ライダーエターナル!劇場版仮面ライダーWに登場したダークライダーだ!

「エターナルが使うガイアメモリは『永遠』の記憶を内包している”エターナルメモリ”。このメモリには、一定の範囲内のメモリを起動不能にすることができる。これをうまく応用できれば、神器相手にも通用したりするのか?いやでも・・・・」

お〜い、悠時?・・・・・・あぁ〜、完全に自分の世界に入っちゃった。しょうがない、今回の紹介はここまで!それじゃあ、最新話どうぞ!


悠時の前に降り立つ白銀の鎧。月の光を受け、まるで神秘的存在のようにも思えてくる。

 

世界最強と称される生物であるドラゴン、その中での『二天竜』と呼ばれる力を持ったものの片割れが封印されし神器。その能力は”半減”と”吸収”、通常なら触れた相手の力を10秒ごとに半減、自らの力として吸収することができる。

 

禁手(バランス・ブレイカー)である|白龍皇の鎧《ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル》を身に纏っている今の彼は、時間関係なく相手の力を半減・吸収可能になっている。

 

「なんのようだ?俺はもうクタクタで帰りたいんだが・・・」

 

「釣れないなぁ、せっかくそんな力を持っているというのに」

 

わざとらしく肩を竦めるヴァーリ。そのすぐ近くを通って、片腕を失ったアザゼルが悠時の横に降り立った。

 

「アザゼル、片腕はどうした?」

 

「ちょいっとカテレアとやりあってな、それよりも・・・・ヴァーリ、いつからだ?」

 

「コカビエル回収の任務を請け負った際に、カテレア達からオファーを受けてね」

 

「その時に禍の団に入ったってわけか」

 

「アースガルドと戦ってみないか?』ーーーなんて言われたら、自分の力を試してみたい俺には断れない・・・・・だが今一番興味を持っているのは、君だよ、仮面ライダー」

 

会話をしている最中も、ヴァーリの視線は悠時に注がれ続けている。

 

「今代の赤龍帝が過去最弱ということでがっかりしてたんだが・・・・まさか、君のような実力者がいたとはね!コカビエルをいとも簡単に葬ったその実力・・・是非とも手合わせ願いたいんだ」

 

「さっきも言ったが俺はもう帰りたいんだ・・・・・」

 

「だったら、戦わざるおえなくしよう。君の家族を、俺がこの手で殺す」

 

瞬間、その場の空気が一気に重くなる。殺す(・・)という単語が発せられた瞬間、悠時の怒りが隠されることなく発せられたからだ。

 

「・・・いいだろう。相手をしてやる」

 

「ふふ、その気になってくれたようで何よりだ」

 

見るもの全てを凍てつかせるような視線をヴァーリに浴びせながら、悠時は一つのウォッチへと手を伸ばす。

 

(・・・・いや、ここはこいつにしよう)

 

『エターナル!』

 

悠時の腰に片側のスロットが無い赤いドライバー『ロストドライバー』が出現。”永遠”の記憶を内包している『エターナルメモリ』を起動し、スロットに装填する。

 

「変身」

 

『エターナル!』

 

スロットを斜めに倒すことで白い外装が悠時の体に施されていき、体が完全に隠されると青い波動が辺りに広がる。背中には黒いマントがが装備され、風に靡いている。

 

「仮面ライダー・・・エターナル」

 

「おぉ、また新しい姿か」

 

「さぁ、地獄を楽しみな!」

 

右手にコンバットナイフ型の武器『エターナルエッジ』を持ち、ヴァーリに向かって駆け出す。

 

「真正面から来るか・・面白い!」

 

避ける素振りなど全く見せず、真正面からそれを受け止めるヴァーリ。その瞬間、体が触れたことにより半減を発動する。

 

『Divide!』

 

「ふん!」

 

エターナルエッジを鎧の胸元にある水晶体へと突き立てる。その様子は、全く半減された素振りなど見せていない。

 

『ユニコーン!マキシマムドライブ!』

 

エターナルエッジのスロットにユニコーンメモリを装填し、マキシマムドライブを発動。エターナルエッジは右手ごとドリル状のエネルギーを纏い、水晶体を貫かんとする。

 

「これほどのエネルギー・・・だが」

 

『Divide!Divide!Divide!Divide!』

 

今度は四回連続での半減を行う。しかし、そこでヴァーリは違和感を覚える。

 

「妙だな・・・・力の吸収ができていない?」

 

『それはおかしい。吸収は半減した相手の力を自らの力にする力・・・・吸収ができていないということはつまり、半減ができていないのと同義だ。それこそ、相手が神格でも持っていれば話は別だが・・・』

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!』

 

「どこを見ている?」

 

「何!?ぐっ!」

 

先ほどまで目の前にいたはずのエターナルがいつの間にか背後に移動しており、背中を蹴られ叩き落とされる。

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

「ライダーキック・・」

 

右足にエネルギーを貯め、その足をヴァーリに向ける。

 

『ヴァーリ、あれは不味いぞ!』

 

「分かっている!」

 

『Divide!Divide!Divide!Divide!Divide!』

 

連続半減を行うが、その足に貯まるエネルギーが減る様子はない。咄嗟に回避行動を取ることで避けることはできたが、代わりに地面にクレーターが生成される。

 

「やはり、半減が効いていない」

 

「当然だ。お前は永遠と呼ばれるものを半減できるのか?」

 

「永遠、か・・・・・半減が通用しない相手、面白い!」

 

半減が効かないという今までに無い相手に、ヴァーリは心躍られる。

 

『ヴァーリ、気を付けろよ。半減が効かない以上、この勝負は純粋な実力がモノをいう。奴がどれほどの力を隠し持っているか・・・』

 

「誰に言ってる、アルビオン」

 

白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の光の翼を展開して再び空中へと飛ぶヴァーリ。それをエターナルは地上から見上げる。

 

「俺はヴァーリ・ルシファー。死んだ先代魔王ルシファーの孫である父と人間の母の間に生まれた混血児だぞ」

 

ヴァーリの背中に、光の翼とは別に悪魔の翼が幾重にも生え出した。

 

「・・・ルシファー?」

 

「そいつは魔王の血を引きながら人間の血を引いているが故に白龍皇を宿すことができた冗談のような存在だ。こいつは過去現在未来において、最強の白龍皇になるだろう」

 

「最強の白龍皇ね・・・・・くだらん」

 

アザゼルの言葉に集まり始めていたグレモリー眷属等の他のメンバーが戦慄する中、悠時はただ一人、鼻で笑い飛ばした。

 

「・・何?」

 

「歴代最強だろうがなんだろうが、所詮は井の中の蛙だということを教えてやる」

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!』

 

再び発動するゾーンメモリのマキシマムドライブ。しかし、今度はエターナルが転移するのではなく、エターナルの周囲に計24本ものメモリが出現し、一斉にエターナルの全身にあるマキシマムスロットに全て装填される。

 

『アクセル!バード!サイクロン!ダミー!エターナル!ファング!ジーン!ヒート!アイスエイジ!ジョーカー!キー!ルナ!メタル!ナスカ!オーシャン!パペティアー!クイーン!ロケット!スカル!トリガー!ユニコーン!バイオレンス!ウェザー!エクストリーム!イエスタディ!ゾーン!マキシマムドライブ!!』

 

全てのメモリのマキシマムドライブを発動し、発生した膨大なエネルギー”ガイアウェーブ”を緑色のオーラ”エターナルウェーブ”へと変換し、エターナルエッジに纏わせる。

 

「これで終わりだ」

 

エターナルエッジを振るい、”エターナルウェーブ”をヴァーリに向けて飛ばす。

 

『あれはまずいぞ、ヴァーリ!』

 

「分かってる!」

 

『Half Dimension!』

 

向かってくる”エターナルウェーブ”を半分にしようとする。が、その領域はいとも簡単に破壊される。

 

「何!?」

 

『領域を破壊しただと!?』

 

驚くヴァーリとアルビオン。そんな彼らの前にはすでに”エターナルウェーブ”が避けられるない距離まで迫っており、防御用の魔法陣を展開するも、抵抗虚しく魔法陣は砕け散り、鎧をも破壊してヴァーリを吹き飛ばした。

 

 

 

 

 



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第二十七話

今回の〜レジェンドライダー紹介〜♪

「今回は、え〜と・・・・・・・ちょっと待ってな。くじ引くから」

あ、今から引くの?

「ん〜・・・・・よし、これだ!え〜と何々?」

何だった?

「・・・・よし、こいつだな」

『メイジ!』

お、仮面ライダーメイジか!指輪の魔法使いの一人だね!

「変身者が一人じゃなく、三色ぐらい種類がある。ある世界では、住民全員がこの仮面ライダーメイジってところもある」

でも、量産ライダーではないんだよね〜。

「特徴的なのは巨大な左腕の鉤爪。これは武器にもなるし、他にもウィザーソードガンを使うことも出来る。実力は変身者によって異なるから何も言えないな」

それじゃあ今回はここまで!最新話をどうぞ〜!

「あ、おい、まだ説明のとちゅーーーーーー」


沈黙が場を支配する。先代魔王ルシファーの正統な血筋であると同時に、堕天使総督から歴代最強と称された白龍皇ヴァーリ・ルシファー。圧倒的な魔力と戦闘センスを持ち、今代の二天龍の対決は勝敗が見えたと誰もが思っていたことだろう。

 

それがどうしたことだろうか。ヴァーリ・ルシファーはその身に纏っていた鎧が砕け散り、血反吐を吐いてうずくまっている。それを成したのは白龍皇のライバルである赤龍帝ーーーーーーーーではなく、一人の人間。自らを魔王と名乗る、謎の力を持つ人間だった。

 

「マジかよ・・・」

 

アザゼルの呟きが耳に入る。それは、全員の気持ちを代弁する呟きだった。この人間があのコカビエルを滅したことは、今ここにいるメンバーは周知の事実ではあったが、実際に彼の戦いを見たのはほとんどのメンバーが初めてなのだ。まさか白龍皇する超えている力を有しているとは誰も思っていなかった。

 

唯一彼の戦闘を間近で見て、かつ実際に戦闘を交わしたグレモリー眷属は、そのほとんどが顔を青ざめていた。体は小刻みに震え、自分たちがどれほどの存在を相手していたのかを初めて理解し、恐怖する。とはいえ、中にはそれを正しく理解できずにいる者が二人ほどいるのだが・・・・・。

 

「ふっ・・・・・はははははは!!」

 

いきなり高笑いを始めるヴァーリ。気でも狂ったかと悠時がヴァーリに視線を向けるが、まさにそのような表情をヴァーリは浮かべていた。

 

「さすがの強さだ!面白い!ーーーーー覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使うぞ、アルビオン」

 

『待て、今の状態で使うのは危険すぎる。自重しろ、ヴァーリ!』

 

「ここで使わずしていつ使う!ーーーーー『我、目覚めるは、覇の理にーーーーー』」

 

『ヴァーリ!』

 

呪文を唱え出した瞬間、ヴァーリの魔力が膨大に増幅する。『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』ーーーーー神器に宿しアルビオンの力を強制的に引き出す能力。過去の二天龍の対決では、先に覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発現させた方が勝利するとまで言わしめるほどの、強力な能力だ。しかし、使ってしまえば命の保証はできない。

 

「・・・・」

 

魔力を増幅させていくヴァーリを見ていた悠時だったが、興味を失ったのか視線を外し、おもむろに手を伸ばす。ーーーー刹那、魔力の増幅が停止する。

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)は謂わば二天龍の奥の手。力が手に入る代わりに、使用者の命が尽きるまで暴走する可能性が危険の能力だ。・・・・さすが我が魔王、私が説明する間もなく時を停めるとは」

 

「・・・・」

 

称賛するウォズに何の返事もせず、ロストドライバーからエターナルメモリを引き抜く。変身が解け、露わになる悠時の素顔。ウォズとアザゼル以外初めて目撃する顔に、一部のメンバー・・・・駒王学園の生徒が驚愕する。

 

「彼は・・!?」

 

「あいつ、湊!?」

 

「彼が、仮面ライダー・・・」

 

「あらあら・・」

 

イッセー達変態三人衆やリアス達よりは低いが、悠時の知名度はそこそこ高い。それには雪菜の影響もあるのだが・・・・そこは割愛しよう。とにかく、ただの人間だと思っていた同級生や後輩が自分たちを凌駕する力を有していた事実に、彼らは息を飲む。

 

「・・隠れてるやつ、出てこいよ」

 

「ありゃ、ばれてたか」

 

突如虚空に向かって話し始めた悠時。本来あるはずのない虚空からの返事がし、空中に一人の男が姿を現す。まるで武将が着ているような鎧を身に纏っている。

 

「お前は?」

 

「俺っちは美猴、ヴァーリの相方さ」

 

「そいつは闘戦勝仏の末裔。お前にも分かりやすく言えば、西遊記で有名な孫悟空だ」

 

「ええぇえええ!?孫悟空!?めっちゃ有名じゃん!!」

 

アザゼルの補足を聞き、大声を上げて驚くイッセー。それとは対照的に冷静なままの悠時は一切慌てることなく美猴を睨み付ける。

 

「それで、用件は何だ?」

 

「まぁそう睨まさんな。俺っちはただ、相方を迎えに来ただけだよ。まさか、こんなボロボロになってるとは思ってもいなかったが・・・・てかなんか停まってね?ヴァーリ?」

 

「なるほどな。お前まで『禍の団』に入ってたとは、世も末だ。・・・・いや、白い龍と孫悟空、ある意味お似合いでもあるか」

 

「俺っちは初代とは違って自由気ままに生きるんだぜぃ。よろしくな、仮面ライダー」

 

「別にお前がどう生きようとどうでもいい。迎えってんならさっさとそいつ引き取って帰れ」

 

手を横に薙ぎ払うことで、停まっていたヴァーリが動き出す。ついでと言わんばかりに吹き飛ばされるが。

 

「っ!・・・・美猴、何しに来た」

 

「おいおい、その言い方は酷いんだぜぃ?相方を迎えに来たってのによぉ」

 

二人の足元が黒い闇が広がり、その中にずぶずぶと沈んでいく。逃げるつもりだというのは明白だが、追求する理由が特にないため悠時は見逃す。もしろさっさと居なくなれ。

 

「しょうがないか・・・・今日の戦いは楽しかったよ、次に会う時は勝たせてもらう、仮面ライダー」

 

「嫌だね、俺は二度と会いたくない」

 

「釣れないな」

 

肩を竦めながら闇へと消えていくヴァーリ。二人の姿が完全に見えなくなると、辺りを静寂が支配した。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

ヴァーリ達が駒王学園を去ってから数時間、三大勢力は戦闘の後処理に追われていた。倒して校庭に散らばる魔法使いの遺体を運んだり、一部倒壊してしまっている建物の修復作業だったり。いくらトップ陣が結界を張っていたとは言え、被害は甚大なものになっていた。結界の外には一切の被害がなかったことが唯一の救いか。

 

校庭の中央ではサーゼクス、セラフォルー、ミカエル、アザゼルの四人が部下に指示を出しながら話し合いをしていた。

 

「彼女、カテレアの件は我々悪魔側の責任だ。本当にすまなかった」

 

「俺も、ヴァーリが迷惑をかけた。未然に防げなかったのは俺の過失だ」

 

一概にどの陣営が悪いとは言えない。それぞれに何かしらの過失があった。

 

「さて、私は一度天界に戻り、和平の件を伝えてきます。『禍の団』についての対策も講じなければなりませんしね」

 

「ミカエル殿、今回はこのようなことになってしまい、申し訳ない」

 

「サーゼクス、気になさらないでください。私としても、三大勢力の和平が結ばれることに満足しているのですよ」

 

「ま、納得出来ない奴も出てくるだろうがな」

 

「長年憎しみあってきたのです、仕方がありません。しかし、これからは少しずつ互いを認め合えばいいでしょう。・・・問題は、それを否定する『禍の団』ですが・・・・」

 

「それについては今後連携を取って話し合うことにしましょう。それと彼も・・・」

 

サーゼクスが視線を移した先には、電話で誰かと話している悠時の姿が。内容までは聞こえないが、何やら深刻そうな顔をしている。

 

「あいつには俺から話そう。色々と考えもあるしな」

 

「それでは、彼のことはアザゼルに任せましょう。私はそろそろ天界に戻ります。すぐに戻ってきますので、その時に正式な和平協定を結びましょう」

 

「待ってくれ」

 

ミカエルがその場を去ろうとした時、それを引き止める者が一人。

 

「君は・・」

 

「私の名はウォズ。我が魔王の従者であり、預言者だ。今回の一件である存在が見えてきた。その事について、君達に教えておくよう我が魔王から言われてね」

 

「ある存在?」

 

「あぁ、歴史の歪みとも言える存在、”アナザーライダー”について」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

それから数日、修復された旧校舎にあるオカルト研究部の部室にて、本来はそこにいないはずの人影が三つほどあった。

 

「てなわけで、今日からこのオカルト研究部の顧問になることになった」

 

「俺は仕方なく」

 

「私は悠時が入るから」

 

着崩したスーツ姿のアザゼルと、どこか不満げな悠時、そんな彼に苦笑いを浮かべている雪菜だ。

 

「・・・どうしてあなた達がここに?」

 

訝しげに・・・・むしろ睨むぐらいの勢いで悠時を見ているリアス。

 

「何、セラフォルーの妹に頼んだらこの役職になったのさ」

 

部屋中の視線が会長へと集中する。必死に視線を逸らしながら、会長はゴニョゴニョと話し始めた。

 

「出なければ姉を代わりに連れてくると脅され・・・・せがまれまして・・・」

 

「要するにオカ研を売ったわけね」

 

なんとまぁ正直なことか。完全に脅されたって言ったね。

 

「あれ、アザゼルさん、その左手は?」

 

イッセーが先の会談の際に自分で斬ったはずの左手がくっついていることに気づいた。待ってましたと言わんばかりに自分で製作した万能アームの解説をし出すアザゼル。

 

「まぁあなたはいいとしても・・・・何であんたもいるのよ」

 

「さっき言っただろ、仕方なくだ」

 

「仕方なく?どういうことだい?」

 

「そいつを連れてきたのは俺だ」

 

イッセーに解説をしていたアザゼルがこちらに気づき、話に介入してくる。

 

「元々俺たちと敵対していた奴らが『禍の団』に関わっていることが分かった。ただの人間として暮らしてるよりも、ここにいた方が俺としては都合がいいんだ」

 

イッセーの視界に雪菜が入らないよう立ち位置を変えながら話す悠時。イッセーが憎々しげに睨み始めた。あ、小猫に殴られてる。

 

今にも殴り合いそうな一触即発の雰囲気を醸し出しながら睨み合う二人だったが、そんな二人の間に一つの人影が割り込む。

 

「あ、あの・・・」

 

「あ、ギャスパーくん!久しぶり!」

 

アナザーキバの力を所有していた時とは違う、元々の性格が前面に出ているようだ。ビクビクしながらも何とか勇気を出して悠時と雪菜に話しかける。

 

「ギャスパー、体に何か異常はあったりしたか?」

 

「い、いえ、特にはないですけど・・・」

 

「そうか、なら良かった」

 

てっきり怒られると思っていたギャスパーは、まるで真逆の態度を取る悠時に驚く。

 

「どうしたの?」

 

「て、てっきり、怒られると思ってたので・・・」

 

「何で?」

 

「だ、だって、僕、みんなに迷惑をかけちゃって・・・・」

 

「でも、もう終わったことでしょ?悠時はそんなこと気にしないよ。ね!」

 

「何でお前が説明してんだよ・・・まぁそうだけど」

 

「ちょっと、何であんた達がギャスパーを知ってるのよ」

 

ギャスパーは会談のちょっと前まで封印されていた。そんなギャスパーのことを悠時達が知っていることに疑念以上の感情を抱いて食ってかかる。

 

「お前に教える必要があるか?」

 

「何様のつもり?都合のいいとか何とか知らないけど、私は部長よ?この部活に所属する以上、私の方が立場が上だということを忘れないように」

 

「はっ、よく言うぜ。ギャスパーの面倒も見切れずに投げ出したやつが」

 

「何ですって・・・!?」

 

「お前ら、そうすぐに喧嘩すんな!これからは一緒に鍛え上げていく仲なんだからよ」

 

「「は?」」

 

そんな話は聞いてないと、リアスだけでなく悠時も額に皺を寄せてアザゼルの方を見る。そのまま視線で説明するよう訴える。

 

「言ってなかったか?グレモリー眷属の実力の底上げをするって話。正確に言うと、俺と仮面ライダーのお前でこいつらの指導をするって事だ」

 

「何でこんな奴の指導なんて受けなくちゃいけないのよ」

 

「言っとくが、これはサーゼクスの命でもある。まぁ、どうするのかは仮面ライダーに一任するとのことだが・・・」

 

「その割には俺に話は通ってないのはどう言うことだ?」

 

「あ〜・・・・・悪りぃ、忘れてた!」

 

拳を握る悠時。慌てて悠時を抑える雪菜。雪菜がいなければアザゼルは今頃コカビエルの二の舞になってしまってただろう。

 

「まぁ悪かったって。でもほら、聞いた話じゃもうギャスパー・ヴラディには特訓してんだろ」

 

「ちょっと前の話だ・・・・・・・はぁ、しょうがねぇ。望む奴だけはしてやるよ。他の奴は知らん」

 

「ま、そう言うことだ。こいつら共々よろしく頼むぜ、リアス・グレモリー」

 

「・・・・はぁ」

 

リアスがまだ納得しきれないが、実の兄であり魔王でもありサーゼクスの命と言われたら諦めるしかない。顔を苦々しく歪めながらため息を吐くと同時に、会長が部屋から逃げ出した。完全に丸逃げするつもりである。

 

「つーわけで、これからは俺のことを『アザゼル先生』と呼べよ」

 

「そう言うお前も俺のことを仮面ライダーなんて呼ぶんじゃねぇ」

 

「んじゃ悠時な」

 

「・・・まぁそれでいいか」

 

とまぁこんな感じで、双方嫌々ではあるが、悠時と雪菜の二人は無事(?)オカルト研究部へと入部を果たした。これからどうなるのか分からないが、少なくともしばらくの間、イッセー以外の他の部員や雪菜の苦労が絶えることはないだろうことだけは確実だった。

 

 

 



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第二十八話

今回の、レジェンドライダー紹介!

「今回は、え〜と・・・・・これじゃなくて、これでもなくて、これだ」

『ゲンム!』

「当初は黒いエグゼイドとも呼ばれていたライダー、仮面ライダーゲンム。時には自転車を背負い、時にはゾンビになったライダーだ」

最初の頃のキャラはどこへ行ったのか、途中から色々と凄いキャラになってたね。どんなにシリアスでも、彼のおかげでそんな空気はどっか行くから。

「途中からゲームではお馴染みの『コンティニュー機能』も手に入れて、合計99個のライフを持って戦い始めたからな。あのコンティニュー土管は正直一度使ってみたい」

まぁ・・・・・・今回の話とは全く関係ないんだけどね!

「ねぇのかよ!!」



三大勢力の和平から数日が経ち、世間は夏休みを迎えた。多くの学生が休みを満喫している中、悠時と雪菜の二人は携帯で誰かと話しながらある場所へと向っていた。悠時の手には二つの大きな荷物が抱えられている。

 

「つーわけで、悪いが夏休み中に暇がなくてな。海とかそういうところに行けそうにない」

 

『あ〜、じゃあしょうがねぇか。にしても驚いたな、まさかお前達が部活・・・・それもあのオカルト研究部に入るなんてな』

 

「俺たちだって不本意だ」

 

『まぁそうだろうな、あんな断り続けたくせに今頃入るんだから、それ相応の理由があんだろ?』

 

「まぁな。悪いがーーーー」

 

『おーっと皆まで言うなって!無理に話さなくて良いさ、前にも言ったろ?』

 

「・・・・サンキュー、垣間」

 

『良いってことよ、それじゃあまた今度な!』

 

「あぁ、その内連絡する」

 

話もひと段落つき、携帯をしまって駅の中へと入っていく。まだ朝早く、夏休みということもあってか人の数も少ない。

 

「あれ・・・・二人とも、早いですね」

 

「あ、小猫ちゃん」

 

二人と同じように駅の改札口へとやって来た小猫は、荷物を置いて待っている二人に気づき声をかける。

 

「・・・すいません。お二人は人間なのに・・・・」

 

「塔城が謝ることじゃないだろ。お前は基本、あいつ(リアス)には逆らえないだろうし」

 

今回に駅へとやってきたのは部活動の一環だ。夏休み中はオカルト研究部の恒例となっているらしいリアスの実家、つまり冥界へと眷属一同で行くことになっている。部員であっても眷属でない二人が行くことになったのは、冥界で特訓を行うとのことだからだ。とはいえ、いつもの二人が突っかかってくることは変わらないだろう。せめてもの救いは、他のグレモリー眷属はそうではなく、むしろ友好的な態度をとってくれてることだろう。

 

入部した直後、木場が彼らの前に立ち塞がったことがあった。おそらくコカビエルの時にエクスカリバーを容赦無く破壊したことで文句を言いにきたのだろうと思っていたところ、彼がとった行動はその逆だった。冷静になってから、悠時が自分の命を救ってくれたことに気づいたとのことだ。

 

そんな木場の態度、それに加えギャスパーの懐き具合から悪い人ではないという考えに他のグレモリー眷属は至ったのだ。しかし、そんな彼らの話を聞いても一向に考えを変えようとしない困った(リアス)がいるのだが。

 

 

 

 

 

それから数分経ち、オカルト研究部がアザゼル含め全員駅に到着した。会って早々睨みかかってくる一誠のことはスルーしながら、リアスの案内のもとホームに入っていく。

 

「それじゃあまずは、イッセーとゼノヴィア、後二人もね。ついてきなさい。私と先に降りるわよ」

 

「降りる?ここより下はないはずだが」

 

「普通は入れないわよ。朱乃、残りのメンバーは任せたわ」

 

「了解ですわ」

 

頭に?を浮かべながら、言われた通りにエレベーターへと乗り込む。扉が閉まると、リアスはスカートポケットからカードらしきものを取り出し、電子パネルへと当てる。

 

ピッと言う電子音が鳴ると同時に、本来ありえないはずの地下へとエレベーターが向かい始めた。

 

「なるほど、魔法を使った特殊空間か・・・」

 

「えぇ、人間を乗せるのは初めてだけど」

 

しばらくしてエレベーターが停止し、扉が開く。目の前に広がるのはかなり広い人工的な空間。とても普段過ごしている街の地下にこんな広大な空間が広がっていたとは思いもせず、雪菜は口を大きく開けて惚けてしまう。

 

エレベーターの前で待機していると、しばらくして残りのメンバーが同じようにエレベーターに乗ってやってくる。

 

「全員揃ったことだし、3番ホームまで行くわよ」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

汽笛を鳴り響かせ、列車は動き出す。

 

リアスがいるのは列車の一番前の車両、眷属であるメンバー+αは中央から後ろの車両に乗っている。そのあたりは色々と仕様があるらしい。イッセーは残念がっていたが。

 

中は列車の割には広く、とても豪華な仕様になっている。各々が好きな席に座り、優雅な一時を味わっていた。

 

「わぁああ!」

 

年甲斐もなく隣ではしゃぐ雪菜を見て思わず微笑んでしまう。が、そのよそ見が命取りになってしまった。

 

『GAME OVER』

 

「あっ!?」

 

「悠時先輩、僕よりできてませんよ」

 

「・・・もう一回、もう一回だ」

 

手元にあるゲーム機が死亡を告げる。冥界までは一時間ほど掛かるとのことなので、悠時はギャスパーがやっていたゲームを借りたのだが、如何せんヘタなのだ。すでに三回もGAME OVERを迎えている。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。こうなりゃチートでも何でも使ってクリアしてやるぜ!と意気込み始める。

 

「ははは・・・」

 

炎が幻視できそうなほど燃えている悠時に苦笑いを浮かべる雪菜の視界の端に、小猫が映る。心此処にあらずと言った様子で外を眺めていた。そんな小猫の様子が少し気になり、雪菜は席を立って小猫の隣へと移動する。

 

「小猫ちゃん、どうかしたの?」

 

「中村先輩・・・・いえ、何でもありません」

 

一瞬だけ雪菜を見るが、すぐにそっぽを向いて窓の外へと視線を移す。ただ、その雰囲気は明らかに何かがあると物語っている。とはいえ、その原因が何なのかを知るすべは、今のところ雪菜にはない。せめてこの空気を変えられないか・・・・・・。

 

「小猫ちゃんってさ、兄弟とかいる?」

 

「っ・・・・・・なんで、ですか?」

 

「ちょっと気になって・・・・私、まだ小猫ちゃんのこと何も知らないから」

 

「・・・・姉が、一人・・・・」

 

「じゃあ小猫ちゃんも妹なんだ!」

 

「も?」

 

「うん、私はお兄ちゃんがいたんだ」

 

兄のことを思い出したのか、少し寂しそうな表情を浮かべる雪菜。しかし、すぐにそれを振り払う。

 

「小猫ちゃんのお姉さんって、どんな人?」

 

「・・・・・あの人は・・」

 

徐々に騒がしくなっていく列車の中で、二人の会話は続いていった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

『まもなく、グレモリー領に到着します。お荷物の忘れ物のないようご注意ください』

 

しばらくしてアナウンスが流れ、外の景色が晴れる。普段とは違う紫の空以外は地上とは大して変わらない大自然。すぐ近くには山があり、その奥の方には町が見える。

 

どこかで見たような光景に、悠時は目の細める。

 

「なんか・・・・・私の世界みたい」

 

「・・・気になるか?あの世界の人々のこと」

 

「・・・・ううん、あの世界にはお母さんやお父さんもいる。きっと大丈夫」

 

「そっか」

 

もう二度と帰ることがないはずの世界に残した家族のことを信じながら、列車は目的地に到着したことを告げた。

 

 

 

 



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番外編
特別編 〜正月の悠時〜


「・・・・ん・・・・・じ・・ん・・・」

 

「ん、ん〜・・・」

 

「悠時さん!!」

 

「んぁ!?」

 

クジゴジ堂のリビングに置かれている一つのソファー、そこで眠っていた悠時はアーシアの声によって起こされる。

 

「いつまで寝てるんですか?せっかくのお正月ですのに」

 

「んん〜?・・・あぁ、もう正月なのか」

 

すでにテーブルの上には様々な料理が並んでおり、アーシアは窓側の席につこうとしている。

 

「ふぁああ・・・・あれ?雪菜とウォズは?」

 

「二人でしたら、やる事があるとかで数分前に出ていきましたよ」

 

「ふ〜ん・・・・・あ、そうだ、まだ新年の挨拶をしてなかったな」

 

「あ、そうでした!」

 

二人は持ちかけていた箸を一旦置き、両手を腰に置いて新年の挨拶をする。

 

「「明けましておめでとうございます!!」」

 

「今年もよろしくな、アーシア」

 

「はい!2021年もよろしくお願いします!」

 

「・・・・ん?2021年?」

 

「はい、そこのカレンダーにも」

 

そう言って指差す先にはカレンダーが。そこには確かに2021年と書かれていた。

 

「え?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

「本当に2021年なのか・・・」

 

外へと出た悠時は真っ先に周囲を確認する。街中には色々な所にポスターが貼られているが、確かにそこには2021の文字が記されている。

 

「俺の記憶だと次の年って2020年だった気がするんだが・・・・あれ?これなんか前にもあった気がする」

 

過去の記憶を思い返そうとする悠時だったが、それは背後に現れた集団によって中断される。

 

『グルルル・・』

 

「なっ!?ワームだと!?・・・と、後あれはなんだ?」

 

緑色の体をした虫のような怪物と、それとともに現れた顔部分を銀色のマスクで覆われている人型のロボットと思われる集団。それらは悠時を視界に収めると、一斉に襲いかかってくる。

 

「うぉっと!!ったく、危ねぇな!」

 

悠時はポケットから一つのウォッチを取り出し、起動しようとする。が、それは見覚えが無いウォッチだった。

 

「ん?何だこのウォッチ?・・・・2019?」

 

2019と書かれているそのウォッチは悠時が今まで見たことのないライトイエローのウォッチ。

 

「ん〜・・まぁいいや!」

 

『ゼロワン!』

 

少し迷った末にウォッチを起動させる。すると、腰に黒いベルトが巻かれ、右手には電子キーを模したクリアイエローのアイテムが握られる。

 

「ん?うぉ!?」

 

瞬間、悠時の精神は周囲に青い文字が羅列している白い空間へと飛ばされる。戸惑う悠時だったが、目の前にデータが出現してそれを読む。

 

「なるほど・・・これらはそう使うのか」

 

全てを読み終えた悠時は元の空間へと帰還する。時は進んでおらず、ワームや人型ロボットが襲いかかってきている。

 

「ふっ・・・ラーニング完了」

 

『JUMP!』

 

『オーソライズ!』

 

右手で持った電子キー『ライジングホッパープログライズキー』を起動し、腰に巻かれた『飛電ゼロワンドライバー』にスキャン、認証を完了させる。すると待機音が鳴り響き、どこからか機械仕掛けの体のバッタが出現し、悠時の周囲をピョンピョンと飛び回る。その間にも悠時はプログライズキーを展開させ、顔の横まで持ってくる。

 

「変身!」

 

『プログライズ!』

 

展開したプログライズキーをドライバーの横から挿入する。

 

『飛び上がライズ!ライジングホッパー!』

 

バッタが空中で分解され、様々なパーツに別れ悠時を包んだ黒いスーツの上に装着されていく。

 

『A jump to the sky turns to a rider kick』

 

黒いスーツにライトイエローのパーツが装着されたライダー『仮面ライダーゼロワン』へと変身を遂げた。

 

「ヘ〜、これが仮面ライダーゼロワンか。よし!なんかいける気がする!」

 

ゼロワンは向かってくるワームをすれ違いざまに蹴り飛ばし、人型ロボットは変身が完了した際に出現したアイテム『アタッシュカリバー』を剣に変形させて迎え撃つ。相手も武器を持っているが、それは短くリーチの長さではゼロワンが有利だったため、相手の攻撃が届く前にアタッシュカリバーで切り伏せていく。

 

「ヘ〜、中々使いやすいな、これ。ほっ!」

 

アタッシュカリバーの使いやすさに感心しながらワームを切り捨てる。

 

「よっし!そろそろ終わりとしますか!!」

 

『ライジングインパクト!』

 

ドライバーに挿入してるプログライズキーを再度押し込みジャンプするゼロワン。右足にはエネルギーが溜まり、そのままワームや人型ロボットを貫いていった。

 

「ふぃ〜、一体何だったんだ?あいつら?」

 

変身を解除した悠時は、突如現れた未知の敵や手の中にあるゼロワンウォッチの事を考えるのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「っていう夢を見た」

 

「「「・・・・え?今の全部夢の話?」」」

 

「うん」

 

至極当たり前というように頷く悠時。長々と話を聞いていた雪菜、ウォズ、アーシアは結局のオチが夢だった事にガックリときている。

 

「こんなに長々と話して、結局ただの夢って・・・」

 

「まぁ見ちまったもんはしょうがないだろ?さて、俺の話は置いておいて・・・・・せーの!」

 

「「「「新年開けまして、おめでとうございます!!」」」」

 

「今年も俺たち共々『時の魔王の歩む道・・・』をよろしくな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今回は長々と我が魔王が見た夢の話だったわけだが・・・・これを読んでいる君はすでに気付いているんじゃないか?彼が見たものがただの夢ではないという事を。オーマジオウの力は時空を創造できる力・・・・さて、彼が見た夢は今後この世界にどのような影響を与えるのか・・・・お楽しみに」

 




開けましておめでとうございます!

今年も『時の魔王の歩む道・・・』をよろしくお願い申し上げます!!


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オリ主設定

 

湊悠時(みなとゆうじ)

 

年齢ー17歳

 

性別ー男

 

ある世界にて最低最悪の魔王であるオーマジオウになる運命を知り、仮面ライダージオウの力を手にした少年。二人の仲間と時に競い、時に協力しながら平成ライダーの力を集めていったが、それが敵であるタイムジャッカーのリーダーである男の策略であったことを後に知る。仮面ライダージオウの最強形態『グランドジオウ』になって二人の仲間と協力して立ち向かったが、その戦いの最中に仲間の一人が彼を庇って命を落としてしまう。敵は自らの世界へと逃亡を図り、もう一人の仲間はそれを追うが行方不明に。残された悠時は死んだ仲間の思いを一心に受け、オーマジオウへと覚醒を果たす。

 

その後は復讐を果たすために敵を追おうとするが、その際にある存在によって平成ライダーが存在しない並行世界や転生者の存在を知る。悠時は敵が逃げた世界の事を教えてもらう代わりにその存在の頼みを承諾。転生者を狩る存在になる。

 

 

全平成ライダーの力を秘めているオーマジオウの力を使い、様々な平成ライダーへと変身する事ができる。しかし、当初は慣れない力に振り回されることも多々あり、そのため鍛錬は怠らないようにしている。

 

仮面ライダーのアイテムを多数所持。生身の状態ではバグヴァイザーやスチームブレード等を駆使する事もあるが、基本的には時を停めたり見えない波動を出して対抗する。

 

 

 

中村雪菜(なかむらゆきな)

 

年齢ー17

 

性別ー女

 

悠時とは異なる世界で王家の子供として生まれる。兄が一人いたが、王家が受け継ぐ力が雪菜の方が優れていたため、彼女が王の跡取りに選ばれる。それにより兄は行方を晦ませたが、数年の時を経て彼女の前に突如姿を現す。その際に雪菜は力を奪われてしまう。しばらく幽閉されていたが、両親共々見せしめの処刑へと駆り立たされてしまう。しかし、間一髪のところでこの世界へと辿り着いた悠時に助けられ、目の前でオーマジオウの圧倒的な力を目の当たりにする。その後は悠時についていくことに決め、世界を両親に任せて自分は悠時と同様転生者を狩る存在へとなる。

 

 

自身を助けた悠時に好意を持っている模様。しかし悠時がそれに気づいているかは不明であり、なかなか発展する様子がない。

 

所有している力は王家代々受け継がれる時停めの力。しかし、他の王家よりも優れているためか完全に扱いきれずにいる。他にも仮面ライダーのアイテムを複数所持している。

 

基本的には表立って戦うことはないが・・・・・

 

 

 



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