純粋な愛が歪んだ (mimi@ロー推し)
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第1章
誰よりも愛してたの


 

 

 

 

 

 

 

ドンキホーテ・メイリア

それが私の名前。

お兄様が二人いて、どちらのお兄様も一番大好き。

お兄様達も私の事を大切にしてくれる。

毎日が楽しくてお兄様と居れるだけで満足だった。

それは今日、終わりを告げる。

 

「結婚...?」

 

お兄様であるドンキホーテ・ドフラミンゴに呼ばれて部屋に入れば、直ぐに言われる。

ソファーの上にはもう一人のお兄様、ドンキホーテ・ロシナンテも座っていて、頭を抱えているのが見える。

 

「ああ....結婚だ。」

「だ、誰が?」

 

いや、そんなことを聞かなくても何となく分かっている。

ここに呼ばれたのならば、きっと.....

 

「メイリア、お前のだ。」

 

ほら、やっぱり私だ。

お兄様達のどちらかの可能性は合ったけど、それならワザワザ私を呼ばないだろう。

 

「私の......」

 

それでもやっぱり直ぐには受け入れずに私は固まる。

結婚はいずれはしなければいけないものだと思っていた。

それでも何時までもお兄様達と楽しく誰も欠けることなく過ごせると思っていた。

 

「メイリア、嫌なら断っても.....」

 

ロシナンテお兄様が慌てて言ってくるけど、それを止めたのはドフラミンゴお兄様だった。

(以後ドフィお兄様とロシーお兄様と呼ばせて頂く。)

 

「駄目だ」

「ドフィ....!」

「ロシーだって分かっているだろ?」

 

分からない。

私には分からないけど、ドフィお兄様の言葉にロシーお兄様は泣きそうな顔をした。

 

「....お相手は?」

「ーーーービッグ・マム海賊団」

「っ」

 

ドフィお兄様の言葉を聞いて息が詰まった。

あまり海賊とか世間の事とか詳しくない私でも聞いたことがある海賊団だった。

四皇ビッグ・マムと言えば、政略結婚でも有名な海賊団なのも私でも知っている。

 

「....分かり、ました」

 

ビッグ・マムが相手ではいくら悪のカリスマと呼ばれるドフィお兄様でも断ることは難しいのだろう。

だったらせめて普段から役立つで何も出来ない私がドフィお兄様達の事を助けるために結婚をする。

ふんわりと微笑んでお兄様達の事を見ると既にロシーお兄様は泣いていて、ドフィお兄様も泣きそうな顔をしていた。

 

「....言って参ります、お兄様」

 

何時までも甘えているわけにはいかない。

仮面を被って私はお兄様達に別れを告げる。

 

「....愛してました」

 

 

■■■■

 

 

どうやらビッグ・マムの方はこのドレスローザまで迎えに来てくれるようで、港で待っているだけでいいと言われた私は一人荷物を持って佇む。

最後の最後までお兄様達は泣きそうな顔で私の事を見ていて、この年になったら絶対に無かった添い寝を三人でして過ごした。

愛してた。お兄様達が私の事を愛してくれただけ私もお兄様達の事を愛してた。

もしかしたらもう2度と会えないかもしれない。

だから最後に私は精一杯お兄様達が可愛いと言ってくれた笑顔でさよならをした。

 

「....あの船、ですね。」

 

お菓子が本当に船になったような見た目でまるで生きているかのように動いている帆。

全部が不思議だった。

深く帽子を被ってこちらにつくのを待っていれば、数分後に港に船がついた。

そしてそこから一人、降りてくる。

目の前で止まったのを確認して私は帽子を取り、淑女に見えるようにお辞儀をした。

 

「ドンキホーテ・メイリアと申します。」

 

ドキドキと心臓がうるさいくらいに鳴っている。

怖い。お兄様....怖いです。

そう思いながら相手の動きを待つ。

 

「大丈夫だ。そんな固くならなくていい。」

 

顔を上げれば、そこには背が高すぎて顔が見えない男の人が居た。

ファーを巻いているから余計に見えないが、身長差が有りすぎる。

 

「あ、あの....」

「どうした?」

「お、お顔がよく見えないのですが.....」

「これは取れない。」

「いえ、それを取って欲しいのではなく、あの...1度屈んで下さりませんか?」

「....ああ。」

 

そこまで言ってようやく男の人が私の言いたいことが分かってくれたみたいで地面に....あれ?

屈んでくれるのかと思いきや、いきなり抱き上げられてしまった。

 

「あの?」

「これなら見えるだろ?」

「そうですけど.....、」

 

まさか抱き上げられるとは.....でも、これで良くお顔が見えるようになった。

 

「か、カッコいい....」

「は?」

「!申し訳ありませんっ....」

 

男の人が驚いたように少し目を見開いているのを見て、しまったと口を塞ぐ。

まさか口から出てるなんて思わなかった。

どうしよう....不愉快にさせちゃったかな?

これでもし、もしお兄様達の方に影響しちゃったどうしたらいいの?

 

「....怒ってない。だからそんな顔をするな。」

「....本当に申し訳ありません!」

 

謝れば、何故か頭を撫でられる。

 

「あの...?」

「お前は妹に似ている」

 

妹に似ている?

どこら辺がだろうか?

不思議に思いつつも、大人しく頭を撫でられていれば、そのまま目の前の男性は私を抱えたまま歩き始める。

 

「下ろしてください!」

「気にするな」

 

私が訴えかけるもそのまま船の中まで抱き抱えながら連れてかれてしまった。

連れてこられた部屋は海賊船では珍しいお姫様仕様の部屋だった。

 

「何日かかかる。ここで過ごせ」

「は、はい」

 

私を下ろした男の人は何事もなかったように部屋から出ていこうとするので慌てて呼び止める。

 

「あの!」

「なんだ?」

「お名前を教えて貰っても宜しいでしょうか?」

 

私の言葉にまた驚いたように目を少しだけ見開いたが、直ぐに元に戻る。

 

「シャーロット・カタクリだ。」

「カタクリ、様....」

 

そして今度こそ部屋から出ていってしまった。

カタクリ様....もしかして彼が私の結婚相手なのだろうか?

可愛いピンク色のソファーに座り、小さい窓の外を見つめる。

ドレスローザ....たった数年しか過ごして居ないけれど色んなことがあった。

私達は元から天竜人で貴族であったけど、いきなりドフィお兄様に連れこられてドレスローザの王になると聞かされた時は心底驚いた。

そしてドフィお兄様が王ならば、私は王女...お姫様になるということで。

楽しかった。

ファミリーの皆とご飯を食べてお茶会をしたり、恋ばなをしたり、悪戯して怒られたり.....本当に楽しかった。

もう2度と戻ってこれないかもしれない。

だからこそ、私はドレスローザを目に焼き付ける。

例え2度と戻ってこれなくても、国が見えなくても何時でも思い出せるように。

そして大好きで堪らなかったお兄様。

 

「......愛してたの、お兄様」

 

誰よりも、貴方の事を。

 

 

 

 

 

 



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手紙に映る愛





自分のサイトで書いているお話2話目になります。
完全なる自己満足です。




 

 

 

 

 

 

 

船に揺られている内に荷物の中から服を出しておこうと鞄に手を入れる。

 

ガサッ....

 

「え?」

 

手に当たったのは何かの紙で....それを掴み、持ち上げれば、それは手紙だった。

 

「いつの間にこんなものが.....」

 

手紙には宛先も何も書かれていないで綺麗に風だけが綺麗に閉じられている。

震える手でそれを開ければ、沢山の手紙が出てきた。

嗚呼、だから道理で分厚かったのね....。

 

「ドフィお兄様、ロシーお兄様、ベビー5様、ロー様.....」

 

幹部全員の手紙が入っていた。

紙の色はそれぞれを表すみたいに個性的で少しだけ寂しくなる。

もう会えない彼等にまた会いたいと思う。

 

「....ぐすっ、しっかりするのメイリア」

 

涙を拭い、ドフィお兄様の手紙から開ける。

ゆっくりと読み、次にロシーお兄様の手紙を開けて次にベビー5様、その次にロー様、またその次にーーーー

それを続けて最後の手紙を読み終える。

 

「ふっ...寂しい、ファミリーの皆に会いたいです」

 

悪かった。

本当は行かないで欲しかった。

幸せになってね。

何時でも帰ってこい。

何時までもお待ちしております。

恋しくなったらこれを見ろ。

貴方様はただ笑っているだけでいいのです。

俺達も、私達も貴方の事を誰よりも愛してます。

 

「私も!私も誰よりもファミリーの皆を愛してる!」

 

泣かないって決めたつもりだった。

あれで思い出すのは止めようって思っていたのにこんなの見てしまったら泣いてしまうじゃないか。

思い出しちゃうじゃないか.....ファミリーの皆の笑顔とかけがえのない思い出を。

 

「.....っ、」

 

嗚呼、願うことならばもう1度だけドフィお兄様にロシーお兄様に、ファミリーの皆に会いたい。

べそべそと泣いていれば、扉がノックされる。

 

「!」

「入っていいか?」

 

どうやら私を訪ねてきたのはさっき別れたばかりのカタクリ様だった。

 

「少々、少々お待ちくださいませ!」

 

涙を拭う。

目の回りがなるべく赤くならないように優しく。

 

「お待たせして申し訳ありません。」

 

扉を開ければ、そこにはやっぱりお顔があまり見えないカタクリ様が居た。

 

「....目元が赤いようだが、」

「その....」

 

正直に言ってもいいのかしら?

 

「もう家族が恋しくなってしまい....」

 

もしかしたら怒られるかしら?

そうなったらどうしたらいいのだろうか?

 

「....そうか。」

「申し訳ございません」

「何故謝る?」

「自分でも未練がましいと思っております」

 

それでもやっぱり思い出すだけで寂しくて会いたくて帰りたくなる。

女々しい、未練がましい。

これじゃあ、本当に何時までたってもお兄様達からは離れられない。

 

「家族を恋しく思うことは悪いことじゃない。」

「カタクリ様....」

「普通は寂しいと思うのが当たり前だ。」

 

カタクリ様の言葉にまた涙が出てくる。

それを見たカタクリ様は慌てている様子で、思わず笑ってしまった。

願わくば目の前の彼が、カタクリ様が私の旦那様でありますように。

 

 

■■■■

 

 

泣き止んだ私とカタクリ様は椅子に座る。

なんか大きな椅子があるなって思っていたらそれはなんとカタクリ様サイズだったらしい。

カタクリ様は紅茶を用意してくれて、ドーナツまで出してくれた。

カタクリ様に全てやらせてしまうなんてなんと無礼な事なのか。

今更ながらに怖くなって顔が青ざめる。

そんな私の様子に気が付いたのか、気にしなくていいと言ってくださったカタクリ様はお優しい。

 

「菓子は何が好きだ?」

「お菓子ですか?そうですね....よくお兄様達にはいちごのお菓子をねだっていました。」

「ほう...ショートケーキか?」

「いえ、ショートケーキではなくいちごのパイです。」

 

私は昔からいちごのパイが大好きだった。

それを知っているドフィお兄様は特注でいちごのパイを買ってくれていた。

 

「あまり食べませんけど、ドーナツも好きです。」

「当たり前だ。ドーナツは美味しい」

「ふふっ....」

「どうした?」

「いえ、余程ドーナツがお好きなんですね。」

 

まさかカタクリ様がそこまで言うほどドーナツが好きだなんて思いもしなかった。

そう思って顔を綻ばせるとカタクリ様はファーを手で上に引き上げ、そっぽ向いてしまった。

しまった!と慌ててカタクリ様を見れば、耳が赤くなっているのが分かった。

え....もしかして照れてらっしゃるの?

呆然としながら見ていれば、それに気が付いたカタクリ様に軽く睨まれてしまい、慌てて顔を逸らす。

そこで気が付いた。

さっきまでお兄様達の事を思い出しては悲しんでいたのに、今はカタクリ様とのお話で忘れていたことに。

じんわりと胸に何かが沁みる。

 

「メイリア?」

 

急に黙り込んだ私にカタクリ様が不思議そうにこちらを見やる。

お兄様達が綺麗だと言ってくれた笑みを浮かべて、首を振る。

 

「いえ、楽しいなと思いましたの。」

 

その言葉にカタクリ様は少しだけ驚いたように目を見開いた。

だけど次の瞬間には口元が隠れてしまい、よく見えないけど微笑んでいるように見えた。

それがあまりにも綺麗に見えてしまい、それを隠すように私はドーナツを頬張った。

 

 

 

 

 








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愛を知る


自己満足です。
第2話のカタクリさん目線


 

 

 

 

 

 

 

カタクリside

 

 

ママの命により、あのドンキホーテ・ドフラミンゴの妹を迎えに行くことになった。

それにあまり気乗りがせずに、嫌々ながら迎えに向かった。

そして俺はそこで出会った彼女に恋をする。

ドンキホーテ・メイリアと名乗った彼女は今までに見たことがないほど綺麗だった。

ゴクリと喉がなる。

目の前の彼女を食べたいと本能が叫ぶ。

それほどまでに俺は彼女に魅了されてしまった。

彼女に名前を尋ねられ、答えた俺の声は震えてなかっただろうか?

彼女をじっくり見ていると不思議そうにしているので大丈夫だった判断し、彼女を抱き抱えた。

それに彼女は驚いたようだったが、俺は別の意味で驚いていた。

外見が綺麗な彼女は声すらも綺麗だった。

気乗りしなかったのが嘘だと思えるほど、今は歓喜に震えている。

彼女が欲しい。

まだ決まっていない彼女の夫になりたいと思った。

 

 

■■■

 

 

彼女の為にと用意された部屋に案内すれば、丁寧すぎるほど頭を下げる。

彼女は本当に天竜人だったのだと思えるほど洗礼された動きだった。

ゆっくりしろと俺は彼女を残してその場を離れる。

船の中の自分の部屋に戻って直ぐ、彼女の事が気になって仕方がなかった。

ホーミズが持ってきたドーナツを眺めながら思い出すのはやっぱり彼女の事で、俺はドーナツが入った籠を抱えて彼女が居る部屋へと向かった。

 

「!」

「入っていいか?」

「少々、少々お待ちくださいませ!」

 

ノックをして数分もしない内に開いた扉からは会いたかった彼女が出てきたが、その目元を見て固まった。

 

「お待たせして申し訳ありません。」

「....目元が赤いようだが、」

「その....」

 

彼女が言いづらそうに顔を逸らして、ポツリと言葉を溢した。

 

 

「もう家族が恋しくなってしまい....」

「....そうか。」

「申し訳ございません」

「何故謝る?」

「自分でも未練がましいと思っております」

 

謝ることではない。....むしろ、

 

「家族を恋しく思うことは悪いことじゃない。」

「カタクリ様....」

「普通は寂しいと思うのが当たり前だ。」

 

好ましいとさえ思えてしまった。

その後、彼女の部屋に入り、ドーナツが入った籠を置けば彼女は不思議そうな顔をしていた。

ドーナツを籠から取り出せば、何故か驚いていたが、紅茶を用意して食べるように催促した。

 

「菓子は何が好きだ?」

「お菓子ですか?そうですね....よくお兄様達にはいちごのお菓子をねだっていました。」

 

いちご...彼女はいちごが一番好きなのだろうか?

国に帰ったら姉からいちごを仕入れ、シェフ達に何かを作らせて渡せば、喜ぶだろうか?

 

「ほう...ショートケーキか?」

「いえ、ショートケーキではなくいちごのパイです。」

「あまり食べませんけど、ドーナツも好きです。」

「当たり前だ。ドーナツは美味しい」

「ふふっ....」

「どうした?」

「いえ、余程ドーナツがお好きなんですね。」

 

その言葉に何故か恥ずかしく感じて、思わず顔を背ける。

クスクスと笑い声が微かに聞こえてきて、そちらを見合えば、彼女が笑っていた。

 

「メイリア?」

「いえ、楽しいなと思いましたの。」

 

何か笑えることでもあったか?と思いながら名前を呼べば、彼女はまた楽しそうに笑った。

もっと笑ってほしい、一緒に居たいと願うこの気持ちは一体何なのか分からなかった。

 

 

 

 

 



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誰よりも可愛い妹

 

 

 

 

 

 

 

ロシナンテside

 

 

俺達の可愛い可愛い妹。

何処にも嫁に出さずにずっと傍に居るつもりだった可愛い妹。

それなのに、ビッグ・マム海賊団に目をつけられて、嫁ぐことになってしまった。

それを聞いたとき、俺は猛烈に反対し、ドフィを責め立てた。

だけどドフィもドフィで泣きそうな顔で笑いながら俺に向かって感情を露にした時は何も言えなかった。

ドフィだって俺と同じぐらいメイリアの事を可愛がって愛してた。

他のファミリーだってそうだ。

あの無愛想なローだってメイリアのことを心底可愛がり、愛してた。(メイリアが年上)

皆が皆、メイリアが居なくなることを哀しみ、嫁ぐまでの間よっぽどのことがない限り離れることはなかった。

そして俺達もメイリアの傍をなるべく離れないように過ごした。

 

 

「あれ、ドフィお兄様お仕事は?」

「終わらせた。ほら、さっさと寝るぞ」

 

 

嘘つけ。

本当は終わっていない癖に。

そう思っても俺は口に出さなかった。

だって俺もそうだったから。

 

 

「ふふっ、じゃあ私が真ん中ね!」

「「当たり前だ」」

 

 

なんでドフィの隣に寝なくちゃいけないんだ。

ドフィもドフィで同じ事を思ったのか、同時に言葉を発してた。

それにメイリアが楽しそうに笑う。

 

 

「....お兄様、愛してるわ。」

「「ああ、俺達もだ。」」

 

 

誰よりも可愛い可愛い俺のメイリア。

最後に笑ってメイリアは居なくなった。

 

俺もファミリーにもその日は泣き続けた。

ビッグ・マムの船が見えなくなるまで。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

《聞こえてますか》

 

 

部屋に帰った時、見覚えないモノが置いてあり、怪訝に思いながらも触ったら声が聞こえた。

それは愛しい妹の声だった。

 

 

《ロシーお兄様がこれを聞いているときには私はもうドレスローザには居ないのでしょう。...誰よりも正義感の強かったロシーお兄様。》

「メイリアっ....!」

《どうか私がここで弱音をはくことをお許しください。》

 

 

ポタポタと涙が溢れて止まらなくなる。

嗚咽を抑えながらメイリアの言葉を聞き逃さないように耳を傾けた。

 

 

《何時までもお兄様達と笑って過ごせるのだと思っておりました。3人で、ファミリーの皆と何時までも....でもそれは叶いません。本当は今すぐ帰りたいと思うほど私はお兄様達を、ドレスローザを愛していました。出来ることならば結婚なんてっ....!私はしたくはありませんっ!》

「メイリア...」

《それでも私はお兄様達の為にビッグ・マム海賊団へと嫁ぎます。どうか何時までもお兄様達を思い続けることをお許しください。》

 

 

ジジ...と音をたてて何も喋らなくなった。

俺はメイリアの言葉に何時までも泣いた。

 

 

「俺も愛してるっ!」

 

 

愛しくて愛しくて堪らない俺達の、

俺だけの可愛い妹。

 

 

 

 

 



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狂って堕ちていく

 

 

 

 

 

 

 

ドフラミンゴside

 

昔から誰よりも可愛かった妹のメイリアがビッグ・マムに目をつけられるのは必然だったのかもしれない。

だが、それを容易く受け入れる事が出来ないほど俺は妹のメイリアの事を愛してた。

何処にもやるつもりはなくて、ずっと一生手離す気なんて無かった。

それなのにビッグ・マムに目をつけられただけで手離さなくていけない事に俺が一番悔しかった。

 

「ねぇ、お兄様」

「なんだ?」

「私ね、将来はお兄様のお嫁さんになるの!」

 

幼い頃のメイリアは無邪気で何も知らない無垢な存在だった。

甘えたがりで構わないと直ぐに泣いてしまうほどだった。

 

「約束!ほら、お兄様!」

「フフッ...ああ、約束だ。」

 

指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!

無邪気にメイリアが笑った。

 

「フッフッフッ....ああ、そうだ。お前は俺の妻になるんだ。」

 

誰よりも可愛い可愛い俺だけの妹を易々と渡すつもりなんてない。

隙を見て、連れ戻す。

 

 

■■■

 

 

 

仕事が一段落したので幹部のグラディウスに言って部屋へと戻ってきた。

 

「...なんだ、あれは」

 

部屋に戻ってきて最初に目についたのは見覚えがないモノ。...いや、あれは。

直ぐに何かが分かって俺は慌ててそれに近付いた。

カチッと音とともに部屋に声が響く。

 

《聞こえていますか》

 

ここ最近頭を占めている可愛い妹の声だった。

そう認識した俺はメイリアの声を逃さないように耳を澄ました。

誰も居ない部屋にメイリアの言葉だけが聞こえる。

 

《ドフィお兄様がこれを聞いているときには私はもうドレスローザには居ないのでしょう。...誰よりも私のことを大切にしてくれたドフィお兄様。》

《ふふっ....昔、私はドフィお兄様のお嫁さんになるのだと馬鹿みたいに思ってましたの。懐かしいと思いませんか?》

《.....何時までもお兄様達と笑って過ごせるのだと思っておりました。3人で、ファミリーの皆と何時までも居れたなら良かったのです。私はお兄様達を、ドレスローザを愛していました。》

《それでも私はお兄様達の為にビッグ・マム海賊団へと嫁ぎます。どうか何時までもお兄様達を思い続けることをお許しください。》

 

ジジ...と音をたてて何も喋らなくなった。

嗚呼、やっぱり俺はメイリアを手離したくない。

 

「フフフフフッ....!」

 

笑いが止まらない。

そうだ、メイリアを手離すことなんて有り得ないことで、メイリアが居るべき場所は俺の隣だ。

現ドレスローザ国王のドンキホーテ・ドフラミンゴの隣である"正妃"になるのはメイリアだけだ。

 

「待ってろ、メイリア」

 

直ぐにお前を迎えに行くから、な。

 

 

 

 

 



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愛が溢れた

 

 

 

 

 

彼女の事が誰よりも好きだった。

ドンキホーテ・ドフラミンゴとドンキホーテ・ロシナンテの実の妹である彼女、ドンキホーテ・メイリアは誰よりも綺麗だった。

ドフラミンゴの様に悪に染まっている訳でもなく、ロシナンテの様に正義を掲げている訳でもない。

ただ、貴族の娘としては素晴らしいと誰もが褒められるぐらいだった。

それなのに彼女を見た瞬間に身体に電撃が走る感覚をしたのが今でも忘れられない。

今まで感じたことがないこの感情は恋だと直ぐに分かった。

欲しいと思ったが、彼女を手に入れるためにはドフラミンゴとロシナンテを退けなければならない。

それに加えてほとんどの幹部どもも彼女の事を愛し、大切に守っていた。

それぐらい溺愛されていた。

それでも諦めきれなくて何回も彼女に話し掛けては色んな会話をした。

その度に彼女は楽しそうに笑ってくれた。

彼女が作ってくれたお菓子だけは甘くても食べれた。

むしろ、他の奴に渡したくなくて沢山食べた。

 

ちらりとトーンダイヤルを見る。

そこには愛しい彼女の声だけが残っている。

 

《ねぇ、ーーー。私ね、本当は結婚したくなかったの。ううん、正確には結婚する日が来るとは思っても見なかったわ。

だって私の居るべき場所はこのドレスローザでお兄様達の隣だったのだから。

お兄様達は私に伝えた後、泣きそうになりながらも何度も謝ってきました。

確かに、なんで私がとか嫌だとか何回だって思いもしました....それでも私はお兄様達の為だったらこの身を差し出すことぐらいどうってことないのです。

貴方との毎日は刺激的でお兄様達とは違った景色を見れてとても幸せでした。

だけど最後にこれだけは言わせてください。

私の一番はお兄様でしたけれど、きっとこのまま過ごしていたのならば、私は貴方に恋をしていたのでしょう。だって貴方はお兄様を除いて今まで会ってきた人の中で誰よりも素敵な人だったもの。

それでも私は結婚します。だから貴方は私のことを忘れて違う誰かと幸せになってください。》

 

ビック・マムが憎い。きっとこの結婚の話が無かったら彼女が言った通り、俺と彼女が結婚していた筈だったのだから。

それを引き裂いたビック・マムが憎くて堪らない。

 

「......大丈夫だ、メイリア」

 

薄暗い部屋に眩しい光が射し込む。

唯一カーテンが開いている窓から街を見下ろせば、楽しげに笑いあっている人達が目に映る。

俺はその光景を見ながら近い将来彼女と同じように笑いあっているのだと恍惚に笑った。

 

「直ぐに迎えに行くから、な」

 

誰にも譲りはしない。

俺の、俺だけのメイリアをーーー。

 

 

 

 

 



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激情


前話ぐらいから加筆中
本当にビッグ・マムの口調が分からない。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペロスペローside

 

 

彼女を見たとき、年甲斐もなく見惚れてしまった。

ドンキホーテ海賊団の船長、ドンキホーテ・ドフラミンゴの実妹であるドンキホーテ・メイリアが同盟の証に嫁ぐことになって話が纏まり次第、直ぐ様迎えに行くことになった。

が、ドレスローザはドフラミンゴが納める国であるため、警戒するに越したことがないということでカタクリが迎えに行くことになった。

それにフランペ辺りが騒いでいたが、ママの命令なので拒否権はない。

同盟の話が纏まり、カタクリがドンキホーテ・メイリアを迎えに出て、1週間。

カタクリが乗っていった船が港に戻ってきた。

それを聞き付けた弟妹達が一目見ようと飛び出していったのを呆れながらも追い掛けた。

そしてついた時、カタクリに抱えられて彼女はこの国に降りて来た。

またフランペ辺りがうるさかったが、私は何にも言えなかった。

それほどまでに彼女は美しかった。

太陽の光でキラキラと輝く綺麗な金色の髪の毛、グラデーションがかかった赤色と水色のオッドアイ、まるでお人形みたいに真っ白な肌と食べてしまいたいと思ってしまう赤色の唇。

全てが綺麗で欲しくて堪らなかった。

それに加えて彼女は恐ろしいほどスタイルがいい。

流石ドンキホーテ・ドフラミンゴの血筋とでも言えようか。

ふと我に返り、周りを見渡せば男女問わず弟妹達も彼女に釘付けだった。

あのフランペでさえ、顔を赤くしている。

それを横目で見ながらも私は、ゆっくりとカタクリの前まで行く。

 

「カタクリ」

「嗚呼、ペロス兄」

 

声をかければ、カタクリがこちらを見て、ゆっくりと抱えた彼女を私の目の前に下ろした。

ふわり、まるで天使が降りてきたみたいに綺麗な髪が揺れる。

 

「初めまして。ドンキホーテ・メイリアです。」

 

ドレスの裾を持って一歩足を引き、ふんわりと頭を下げる様は正しく淑女と言えるほど美しい。

 

「....初めまして、長男のシャーロット・ペロスペローだ。」

 

動揺する気持ちを抑え、いつもみたいに愛想良く笑いかければ、彼女も笑った。

嗚呼、本当に彼女が欲しくて欲しくて堪らない。

 

「歩けそうか?」

「ええ、何とか....」

 

カタクリが彼女に問いかける言葉に首を傾げる。

彼女はもしかして何処か....足が悪いのだろうか?

 

「何かあったのか?」

「いや....あまり船に乗ったことがないらしく、足下がふらついてるみたいだ。」

「は....」

 

あまり船に乗ったことがない?

ドフラミンゴの元に居て、そんな事有り得るのか?

いや、待て。ドフラミンゴは大層彼女を溺愛していたに違いない。

きっと彼女はそれ故にドレスローザがあまり出たことがないのだろう。

 

「みっともない所をお見せして申し訳ありません...ですが、もう大丈夫ですので。」

「気にしなくていい。それよりペロス兄、ママは?」

「ママならもう謁見の間の所に居る。」

「そうか。」

 

カタクリは頷くとまた彼女を抱え直す。

 

「カ、カタクリ様っ....!」

 

それに対して彼女は顔を真っ赤に下ろしてほしいと言うが、カタクリは気にせずそのまま歩き始めた。

....カタクリも俺と同じように彼女に惹かれたのかもしれない。

いや、彼女を見てしまえば欲しいと思うのは当たり前のことだ。

このドロドロとした感情をカタクリにぶつけてしまいたいくらいには可笑しくなっている。

この激情を抑え込んで私は彼女のことを何時までも見つめていた。

 

■■■

 

 

「ハーハッハハハ!よく来たねぇ!」

 

謁見の間に入れば、ご機嫌なママがそこに居た。

カタクリは彼女を下ろし、壁の方向へと向かうので私も同じように向かう。

何故か男ばかり集まっている。

ママの目の前には小柄な彼女だけ。

 

「お目にかかります、ドンキホーテ・ドフラミンゴの妹、ドンキホーテ・メイリアです。」

 

私の時のようにドレスの裾を持って一歩足を後ろに引き、お辞儀をする彼女を見て、ママは先程よりもっと機嫌が良さそうに笑った。

 

「歓迎するさ...といってもまだ相手は決まってないがな!」

「....決まってないのですか?」

 

きょとんとする彼女にママは笑う。

 

「ここまでだとは思いもしなかったが....そうだな、好きなのを選ばしてやろう!」

「え、」

「結婚式は1か月後だ!」

 

ママの言葉に呆然とする彼女は大層可愛らしい。

....しかし、まさかママが結婚相手を選ばすなんて思いもしなかったな。

 

「もう下がっていい!」

「....失礼します。」

 

ママに言われるまま、彼女は謁見の間から出ていった。

それをカタクリが追い掛けようとしてママに止められる。

 

「ハーハッハハハ!さて、ここになんで集めたか分かるかぁ?」

「まさか、」

 

ここに息子だけが集められている事実....そう言うことだったのか。

 

「1か月後までに落としな」

 

ママは彼女が選んだ息子と結婚させる。

だから選択肢を増やすために息子だけ呼んで彼女と会わせた。

あの容姿を欲しいと全員が思うから。

実際にママの言葉に目を光らせる者や楽しそうにしている者が居る。

だが、それは私も同じ。

ここに居る全員にチャンスを与えられた。

 

抑え込んだ激情を思い出して私も他の兄弟と同じように笑った。

絶対に彼女を手に入れて見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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