神話の探究者 (『者』)
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~紐解き~ 仲間とポケモンとの出会い 船上~ヒューバシティ編 0 物語で言えば、これはプロローグ(導入)になるのだろうか

これは完全に作者の息抜きなので唐突に全力失踪するかもしれません。

それでも「少しくらいは楽しんでやるか」という広すぎてホエルオーもびっくりな心でご閲覧していただけると嬉しいです。

ちなみに作者はゲームは第七世代(USUM)、アニメは『XY&Z』を経験済みです。
スイッチ持っていなくてスイッチのポケモンができず、アニメはテレビがないので見られずという感じですかね。

テレビとゲームが欲しいです(泣)

それでは、本編どうぞ。


「なぁ相棒」

 

 シンオウから別の地方へと渡る船内で、俺は相棒であるポケモンに声をかける。潮風に当たりながら気持ちよさそうに目を細めていた相棒は、片目だけ開けながらこちらを見てきた。要件があるならとっとと言えという意思表示だろうか。その後頭部から生えている巨大な口がカチカチと音を鳴らしていた。

 

「こんなにワクワクしたのっていつぶりだろうな?」

 

 

 長いこと、シンオウにはいた。

 シンオウには興味深いものがありすぎて正直頭が[だいばくはつ]しそうだった。『世界創生期』の話や、『感情を司るポケモン』の話に、『時や空間を司るポケモンの話』などなど。今から思い返しても実に数時間以上は興奮しながら話せるほどのボリュームのある話だ。

 

 そんなシンオウを何故離れるのか。

 

 それは、とある書物にこんなことが書かれていたからだ。

 

 

『世界を作りし者、刻を動かし場所を定めん。

 やがて空が生まれ、大地が生まれ、大海が生まれ、大空が生まれん。

 さすれば生きるもの生まれ、それはやがて死なん。

 生きる者は目に見えるものと見えないものを求め動かん。

 

 そしてそれらは刻も空間も超え、『収束の地』に向かわん』

 

 

 図書館の本棚の、一番奥に眠っていた書物の最後のページに、このような記述が載っていた。この書物に書かれた『収束の地』がどこなのか、皆目見当もつかなかった。

 『収束の地』の情報はこの書物にしか記されておらず、探しようがなかったからである。

 

 

 だが、そんなある日、いつものように街を歩いていた時、それを見つけた。

 

 

 

『――――――――10年に一度の英雄祭、今年も滞りなく開催!!』

 

 

 

 この見出しを見ただけでは、俺は見向きもしなかっただろう。だが、俺はその『英雄祭』とやらの説明を見てその広告に飛びついた。

 

 

『Q.英雄祭とは? A.英雄祭とは、かつて『スレドンエ地方』に、各地方の神話でしか聞いたことがないようなレベルの天災が一度に襲ってきたとき、たった一人でそれらを食い止めた英雄、『フィロー』を称えるお祭りです』

 

 

 『各地方の神話でしか聞いたことのないレベルの天災が一度に』

 天災とは、そう簡単に起こっていいことではない。天災が一度に起これば、それこそ世界は破滅するであろうから。しかし、ポケモンの中にもそれらを操れるものたちがいる。俗にいう『伝説のポケモン』たちである。

 

 あの書物を読む前の俺であれば、「へー、そんなお祭りがあるんだ」くらいにしか思わないだろう。だけど、あれを読んだ後の俺はすぐにこれに食いついた。俺の心を支配していたのは「絶対行きたい」という好奇心のみ。

 

 

 さき程の説明の言い方を変えれば、『各地方の伝説のポケモンたちが一度に』にもなるだろう。あくまで個人の勝手な妄想だが。

 

 

 

 

 

 

 

 かくして俺は、チャンピオンであるシロナさんに懇願してシンオウから噂の『スレドンエ地方』に向かうチケットを用意してもらい、船に乗り込んだということである。

 

 

 だが、まだ分からない事が多い。

 そもそも伝説のポケモンが集まるのかというのもそれに入るが、それを否定してまうと俺がスレドンエに行く意味がなくなってしまうので、集まる前提で考えるが。

 

 まず一つに、何故集まる必要があるのかということである。

 

 書物には「集まる」としか記述されていなかった。伝説のポケモンが理由もなしに一つの地方に集まって「アローラ」をするわけがない。きっと何か明確な理由がなければ集まらない。それが今回の旅の目的の一つでもあるのだが。

 

 

 

 二つ目に、どこに集まるのかということである。

 

 スレドンエには、シンオウと同じく八つのジムがあり、リーグがあるのだが、いかんせんその広さがやばい。シンオウ地方が軽く四つは入ってしまう程広いのである。

 その中からどうやって集まる場所を探せというのか。

 

 アローラにある砂漠から遺跡を探すより大変かもしれない。

 

 

 そして三つ目、どんなポケモンが現れるのだろうかということである。

 

 これが一番重要である。

 現れるポケモンの種類が分からなければ、起こる災害の種類も分からない。災害は起きてからでは遅いのである。できるだけ早期に対応しなくてはいけない。

 

 

 まぁ、伝説のポケモンが出てくるのは十中八九あり得ない話だけど。

 

 

 

 俺がさっきまで考えていた話は千分の一…………否、万分の一…………否、憶分の一もない話が起こった時に対応しなければならない話である。

 

 

 あくまでも俺の目的は『何故集まる必要性があるのか』だけしれれば目標達成だ。シンオウの古文書にも詳細が記されていなかった『収束の地』の謎。それを解き明かしてこそのロマンである。

 

 

 

 

 まぁそもそもスレドンエに集まるとも書いてないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 え、何で俺がシンオウのチャンピオンと知り合いかって?

 何でってそりゃあ、俺がシンオウの新チャンピオンだから?

 

 なんてことはなくて、普通に歴史について紐解きまくってたらたまたまシロナさんと知り合ってたまたま仲良くなっただけです。はいすみませんなんの美しいエピソードもなくて。

 

 

 

 

 

 

 

『えー。この度は『大型観光客船ホエルオー』にご乗船いただきまして、誠に有難うございます。

 まもなく、スレドンエ地方に到着致します。お客様は自室にお荷物が残っていないかお確かめ下さい。まもなく――――――』

 

 

 

 船のスピーカーから、スレドンエにもうすぐ到着するという報告が流れる。相棒がくつろいでいる甲板の柵のその先を見てみれば、大きく聳え立つ灯台が見える。イッシュ地方のヒウンシティのように港町が栄えたタイプか、それとも全体的に栄えた都市かは到着すれば分かる。

 

 俺が分かることは、とりあえずこの船がスレドンエ地方の首都である『ヒューバシティ』に向かっているとうことだけである。冒険に下調べていらない。

 

 

 

 

 なんて格好いいこと言おうとしたけど実際は楽しみすぎて知り合いに自慢しまくってたら調べる時間がなくなってたんだけども。

 

 ディアルガさん助けてください。

 

 

 

「いてっ。なんだよ相棒」

 

 

 後頭部を叩かれ、叩いた犯人である相棒を見ると、「早く準備しないと出遅れるぞ」みたいな目つきで見られた。全く、うちの相棒はせっかちなんだからなぁ。

 

 相棒は()()()()()()()を頭にぶら下げながら、さっさと自室の方角に向けて歩いて行ってしまった。いくらポケモンの出歩きは自由だからって、そんなに歩き回らないでほしい。

 ただでさえ珍しい()()()なんだから、悪い奴らに捕まりでもしたら「おい、こいつ色違いのクチートだぞ!?」「捕まえれば高値で売れる…………!!」

 

 

 

 

 

 ほら、いわんこっちゃない。いや俺相棒に対して何も言ってなかったわ。ごめん相棒お前のせいにしちゃったわ。




「どうでもいいけど、とりあえず続けよ」という人は、コメント、お気に入り、評価、よろしくお願いします。

評価は下の方にありますので、そちらでしていただけると。

次回は未定ですけど近いうちに上がるかもしれないです。
別の小説のモチベが戻ったらこちらの投稿頻度落ちるかもしれませんが、よろしくお願いします。


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1 旅の同行者

すぐに投稿するといってこのざまですよはい。

とあるドラミドロさんの小説読んで熱気再発。
オリジナル地方作品読むとやっぱりモチベーション上がりますね。


 

 

 まるで狙ったかのように誰もいないところでやばい奴らに目を付けられてしまったうちの相棒。いや実際狙わなければこんなところでポケモンをモンスターボールではなくて網で捕獲しようとなんてしないか。

 

「さぁ、大人しくこの中に入れば痛い目を見なくて済むぞ」

「うちのドガースの毒ガスを浴びたくなければここに入るんだ、さぁ!」

 

 相棒がちらっとこっちを見て、「何してるんだ早く助けろ」というような目で見てくるが、少し面白いのでちょっとだけ放置しようと思う。

 いや別に俺が最低とかそんなんじゃなくて、ただ単にうちの相棒が強いから安心して見てられるだけです。いつだかどっかの地方で俺が指示しなくてもジムリーダーからバッジをぶんどったのはいい思い出である。

 

「くちぃ…………」

 

 「あとで覚えとけよ」みたいな顔でこちらを睨んだ後、やべぇ奴らの網に近づいていく相棒。奴らはすんごいTHE・悪役みたいな笑みを浮かべて相棒が網の中に入るのを眺めている。

 そして、相棒が網に入った。と思った瞬間、

 

 

「ぶふぉっ!?」

「おげっ!?」

 

 技を使わなくても鋼のように硬い、頭についた巨大な口を左右に勢いよくぶん回し、正確に男の弱点である”アレ”を狙った相棒。思わずやられていないのに股間を抑えた俺の反応はおかしくはないはずだ。だって絶対痛いだろ、アレ。

 

 ちなみにうちの相棒はメスである。

 あぁ、俺の”アレ”が潰される日はそう遠くないのかもしれない。

 

 

「くちっ」

 

 思いっきり男の弱点を鋼のように硬いものでぶん殴られ、悶絶している奴らを尻目に、相棒はこっちに「早く来いよ」というような声をかけ、とっとと消えて行ってしまった。

 

 

 背筋が未だにゾワゾワするのを我慢して、俺も自室へと向かった。

 

 

 

 

 全く、面倒ごとは御免だぜ。と、部屋で相棒と共に荷物整理をしていた時、隣の部屋から轟音と大声が聞こえた。

 

「テメェには関係ないだろ! 死にてぇのか!」

 

「その子が死ぬくらいなら、私が死にます!」

 

 

 おいおい、面倒ごとは御免だと数秒前に言ったはずだろ。

 と、かつてシンオウの神話に残されていた”創造神様(アルセウス)”とやらに愚痴りながら音がした場所である隣の部屋へと向かう。そこには、スキンヘッドの男といかにも貧弱そうな女、そしてその女の後ろで今にも死にそうな、白い体毛に覆われ、赤い棘のようなものを背中に生やした虫ポケモン、『メラルバ』が転がっていた。

 

 

 どういう経緯でこうなったのかは知らないが、これは止めなければならないだろう。

 女は見たところモンスターボールを持っていないので生身であるのに対し、男は今にも女を噛み殺そうとしているヘルガーを前に青筋を立てているのだから。

 

 

「ヘル! やっちまえ!!」

 

「グルルァっ!!」

 

 

 ヘルガーがその凶悪な牙の並んだ口を開けて、女に襲い掛かる。それに女は逃げようともせず、ただただ目を閉じて自分の死を待っているといった感じだ。

 

 

 

「相棒、”アイアンヘッド”」

 

「クチッ!!」

 

 相棒は「任せとけ」と言った表情で、大口を開けたヘルガーの口を狙ってアイアンヘッドをぶち込む。鋼なんかいともたやすくぶち抜く相棒のアイアンヘッドを食らったヘルガーは痛みに悶え、キャンキャンと鳴いていた。

 

 

「――――――ッ!? テメェ誰だ!」

 

 

 俺たちの存在に気付いた男が怒鳴りつけるが、誰だと言われて名乗ると色々と面倒くさそうなので黙りこんでおく。トレーナーのルールとして、『トレーナーへの直接的な攻撃は禁止する』とあったが、こいつがルールを破ったのだから、俺がやっても一応大丈夫だろうという理論で、俺は相棒へと指示を出す。

 

 

「相棒、あいつの足元を狙って”れいとうビーム”」

 

「クッチィッ!」

 

 

 我ながら相棒の精密な攻撃はすごい。

 相棒の放った”れいとうビーム”は見事に男の足だけに着弾し、男を動けなくする。その隙に俺は震えている少女を相棒に託し、(相棒の特性は”力ずく”である)俺は今にも死にそうなメラルバを抱えながら治療をし、なるべく遠くへ逃げる。荷物が服とかだけで助かったぜ。

 

 その後は船員に報告したので、この件は一件落着。

 

 と、なるはずだったのだが。

 

 

 

「あ、あの、助けてくれてありがとうございました!!」

 

「めらぁ!」

 

 

 

 

 と、こんな風に人とポケモン一人ずつに見事に懐かれてしまい、

 

 

 

「よ、よければ旅にご同行させていただけないでしょうか!!

 私もスレドンエで旅をしたいと思っていたのですが、一人じゃ心許なくて…………。

 ご迷惑でなければご一緒させてください!!」

 

 

 俺の目的はスレドンエのリーグ制覇じゃなくて神話の探究なんだけどなぁ。

 と言おうとしたけど、まぁその時が来たら言えばいいかと考え、「あぁ、まぁ、うん」とそんな感じで了承した。

 

 

 

「めら、めらぁ!」

 

 

 そしてその直後、その女に助けられたメラルバが女の空きモンスターボールを見ながら必死に「ついて行きたい」と懇願(ポケモンの言葉は分からないが、そんな感じだろう)し、女も「ポケモンがいなかったから不安だったけど、貴方なら大丈夫ね」と笑顔でメラルバをボールに入れ、ゲットとなった。

 

 

 

 

 まぁ正直言うと、この時は「精々邪魔だけはしないでくれよ」と思っていたのだが、後から考えればこの時この女と出会っていなければ今頃俺は神話の真相に辿り着けなかっただろうなと思う。

 

 

 かくして、俺に旅の同行者ができたのであった。




ちなみに名前は次回明らかになります。

2000字程の読みやすい小説を目指してますが、もう少し長くてもいいでと言う方はコメントにて教えてください。(分かりやすいコメ稼ぎ)

お気に入り、コメント、評価、どしどしお願いします。
モチベーションと投稿頻度アップにつながりますので…………!!


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2 いざ、スレドンエ地方へ。

勢い余って連続投稿。
まだまだ余ってますぞ。


 

 

「あっ、私、ミラって言います!!

 これからよろしくお願いします!! えっと…………名前聞いてなかったですね…………」

 

「俺の名前はラルア。こっちが相棒のクチート、名前は一応『ちー』って言うのがあるけど、

 俺は普段から相棒って呼んでるから、お前はちーって呼んでやれ、。多分喜ぶから」

 

 私たちが乗っている客船が、間もなくスレドンエ地方の首都である『ヒューバシティ』に着くという頃、私はラルアさんとちーちゃん、そして今の私の手持ちである『ルバ』と出会いました。

 

 

 

 

 

 始まりは、私がトイレから帰り、部屋に戻ろうとしたときでした。

 廊下を歩いていた私は、間もなく着くであるスレドンエ地方で繰り広げられる、壮大な冒険に胸を膨らませていました。そんな時、いきなりドアから大きな音がしたと思うと、男性の声怒鳴り声が聞こえてきました。

 

 曰く、「お前は期待外れだ、何が大昔にポケモンを救ったたいようの化身の幼体だ。全く役に立たねぇどころか足手まといだ。お前なんかいらねぇ」だそうです。

 私は、これからスレドンエ地方でポケモンを貰う予定だったので、ポケモンは持っていませんでした。しかし、これから殺されてしまうかもしれないポケモンを、放置しておくわけにもいきませんでした。

 

 部屋の扉の鍵はかかっておらず、私は部屋に侵入しました。

 

 そこにいたのは、いかにもガラの悪そうなスキンヘッドの男性と、敵意をむき出しにして唸る犬のようなポケモンでした。「なんだお前」と男性に言われた時点で、私は腰が抜けそうでした。

 

 今まで両親に優しく育ててもらった私は、人から敵意を向けられることなんてありませんでした。

 

 

 ですが、それ以上に、今ボロボロで倒れている小さい虫ポケモンを放ってはおけませんでした。

 

 

 私は男性とポケモンの前に割って入り、その虫ポケモンを守るように両手を広げます。

 そして、「この子には手出しをさせません!!」と、今にも掠れそうな声で言います。

 

 男性はキレたのか、「テメェには関係ねぇだろ!! 殺されてぇのか!!」と怒鳴ります。それでも私は食い下がることなく、ポケモンを守るために「このポケモンが死ぬくらいなら、私が死にます!」と言いました。

 

 

 

 

 

「やっちまえ、ヘルガー」

 

 

 

 

 瞬間的に感じたのは、『死』でした。

 

 あぁ、私はスレドンエにもつけないで、死んでしまうのか、ポケモン一匹も守れないで死んでしまうのか。

 私は、目を瞑りました。せめて自分の体から自分の体の一部が切り離されるところは見ないようにと。私はこれから襲ってくるであろう痛みに備えて、更に目の力を強めました。

 

 

 しかし、痛みの代わりに聞こえたのは凛とした男性の声でした。

 

 

 

「相棒、”アイアンヘッド”」

 

 

 

 その声が聞こえた瞬間、先ほどのポケモンがいたであろう場所から、キャンキャンと痛がるような声が響きました。恐る恐る目を開けると、そこには私とは正反対の青色の髪をした男の人と、紫色のキレイで巨大な口を持ったポケモンがいました。

 

 

 男の人は続けざまに『相棒』と呼んだポケモンに「れいとうビーム」を指示すると、スキンヘッドの男性は足を凍らされてしまい、動けなくなっていました。

 

 

 ポケモンの精密な攻撃もすごいけど、指示するトレーナーの技量もすごい。

 

 

 

 ただただ震えながらその様子を見ていた私は、「とにかく、ここから逃げることが最優先だ」と言われて、歩こうとしましたが、足が言うことを聞きません。それを見た男の人は「相棒」とポケモンに指示をすると、私はそのポケモンにいともたやすく抱えられてしまいました。

 

 私が守った虫ポケモンは、男の人が優しく抱えて手当を受けていました。

 

 

 

 

 

 そのあと、私たちは人が沢山いる場所まで逃げ、船員に先ほどの事を伝えてました。

 

 そして、私は一世一代の賭けに出ました。

 

 

 

 この男の人についていきたい。

 

 

 

 

 この男の人の元で冒険ができれば、私は強くなれると、直観で感じました。昔、父親に「トレーナーの直観ってやつは、よく当たるんだ」と言われたのを思い出して、私は思い切って男の人に旅に同行させてもらえないかと頼みました。

 

 男の人は多少困惑した様子を見せながらも、OKしてもらいました。

 

 

 

 私が心の中でガッツポーズをしていると、足元から何かつつくような感覚がしたので、目を向けると、そこには先ほどまでひん死だった虫ポケモンがいました。

 

 

 

 そのポケモンは私の腰についている空きモンスターボールを必死に見ながら鳴いています。それを見た男の人が、「きっと一緒に行きたいんだろう」と言ったので、私もそのポケモンに「そうなの?」と尋ねると、「めらぁ!」と元気な返事が返ってきました。

 

 

 

「ポケモンがいなかったから不安だったけど、貴方なら大丈夫ね」

 

 

 と、私がモンスターボール差し出すと、ポケモンの方からボールに入っていき、ゲットとなりました。

 こうして、私はスレドンエに着く前に”相棒”となるポケモンを入手したのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから、ご迷惑をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いします!!」

 

「あぁ、よろしく」

 

「くち」

 

「めらぁ!」

 

 

 

 

『えー、この船はただいま、スレドンエ地方ヒューバシティに到着いたしました。

 お降りの際はお忘れ物に注意してください』

 

 

 挨拶も終わり、互いに握手も済ませたところで、到着を告げるアナウンスが流れる。私とラルアさんは、ともに相棒を連れて『ヒューバシティ』へと降り立つのでした。




ちょっと勢い良すぎたかも。

普段は4000字くらいの作品を書いているからか、ペースが良すぎて若干焦ってます。

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作者のモチベと投稿頻度のアップにつながりますので、お願いします!!


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~紐解き~ 仲間とポケモンとの出会い アンズタウン~モモノシティ編 3 突きつけられた現実。目指すはリーグ

勢い、止まんねぇからよォ…………

キボウノハナー


 

 

『ヒューバシティ』

 

 シンオウ地方の四倍近くの面積を誇るスレドンエ地方の首都ということもあり、それはそれは大きな都市だった。他の地方では滅多に見ることのない”自動車”というものが次々に行きかい、ポケモンに運搬の仕事をさせている他の地方とは全然違かった。

 

 それでも歩道にはポケモンと一緒に歩く人に姿がかなりあり、一応ポケモンと共存できているのだと再確認する。

 

 旅に同行することとなったミラも、余りの発展具合に目を輝かせながら立ち並ぶビル群を眺めていた。ここまでビルが立ち並ぶ姿をみたのはカロスとイッシュ以来だと思うので、相当珍しい光景であるのは確かだ。

 

 

「じゃあ、俺は行きたい場所があるからそこに行きたいんだけど、

 ミラたちはどうするんだ?」

 

「えーっと、私たちはこれからこのヒューバシティを暫く東に行ったところにある『アンズタウン』という場所にある研究所まで行かなくてはならないのですけど…………やはり一人では心細いのでラルアさんについて行きます」

 

 『アンズタウン』か。なんだかおいしそうな名前だな。なんて考えつつ、やはりこの地方にも研究所があるのだと考えながらお目当ての場所である『ヒューバ大図書館』へと足を進める。

 途中でジムらしきものを見かけたが、あれはミラが行く場所であって俺が行く場所ではない。

 

 ジムのデザインを見る限り、恐らくひこうタイプのジムだろう。

 

 

 まだ手持ちがメラルバのルバ一匹のミラには厳しいかもな。などと考えているうちに、ひときわ大きい建物である図書館に着く。

 

 

 

 入館料はタダなので、お目当ての『古文書』があるところに向かおうとすると、『古文書』と書かれた場所には厳重なロックがかかっており、並大抵の攻撃では壊れないような扉の構造をしていた。

 俺はどうしたものかと扉の前で考えていると、後ろから職員であろう女性が、「お客様」と声をかけてくる。

 

 

 

「あの、どうかされましたか?」

 

「この中にある古文書をみたいのだが…………」

 

「申し訳ありません。その中にある古文書は国の最高機密ですので、

 今は四天王以上の実力が確認されている方しか通しておりません」

 

 

 

 絶句した。

 

 

 

 

 まさかの、この国にある古文書を見るためにはチャンピオンくらいになる実力がなければダメらしい。なんという実力主義な地方であるか。

 

 

 

 

 こうして、俺の冒険の目的の一つに、『ジム巡り』が追加されたのであった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「なんだかずっと浮かない顔をしてますね…………」

 

「今はそっとしておいてくれ…………」

 

 

 図書館で現実を突きつけられた俺は、とぼとぼとミラの目的地である『アンズタウン』を目指していた。この地方にある”かもしれない”神話を解き明かしに来たと思えば、とんだ足止めを食らったものである。

 

 

「まぁ、そうなってしまったものは仕方ないですし、こうなったら心機一転、

 一から冒険を楽しむって言うのもありじゃないですか?」

 

 

 ミラからすれば、何気ない励ましの一言だったのだろう。

 

 しかし、その言葉は、俺の心に残っていた『子供の時のワクワク』を再燃させるには十分すぎるものだった。

 

 

 

 

 かつてカロスにて生を受け、相棒クチートや仲間と共にジムを巡っていったあの時のワクワク。あの時の仲間は元気にしているだろうか。地方を渡るときには必ず心機一転したいため、連れていた仲間は必ず信用している博士の元に送るのが俺の流儀である。

 

 ならばこうして、再びジム巡りをすることとなった今なら、新しい仲間と出会うチャンスなのではないか?

 

 

 そう考えると、すんごいワクワクしてきた。

 

 

 

 スレドンエ地方では一体どんな仲間と出会えるのか。完全に元気を取り戻した俺は、先ほどの暗い気分から一転、一気に明るい気分となった。

 その変化のしように、ミラから「なんだかすんごい変わり身の早い人ですね…………」と引かれたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 なんやかんやのうちに、ヒューバシティから伸びている何本かの道のうちの一本である『3番どうろ』を抜け、中継地点の町である『モモノシティ』についた。一応『モモノシティ』にもジムはあるのだが、できる限りジム戦では相棒を使いたくない。

 

 なぜなら、この相棒は単騎で、しかも俺の指示なしにジムを突破できる実力を持つのだ。そんな相棒で無双なんて面白くない。やるのならば、一から育てた、これから出会う仲間で突破したい。

 

 

 ちなみに、ここのジムリーダーが使うポケモンのタイプはくさタイプらしい。

 なおさら”れいとうビーム”を持っている相棒を出せなくなった。

 

 

 

 

 このまま目的地である『アンズタウン』まで行こうと思ったが、日も暮れてきたためにポケモンセンターで一泊していく。

 

 

 が、そこで事件は起きる。

 

 

 

 

 事件と言っても、船の上のようなポケモンバトル的な(あれをポケモンバトルと呼ぶのかは置いておいて)事件ではなく、俺個人の中の事件だった。

 

 

 

 なんと、今日は宿泊客が多く、一人用の部屋しか空いていないと言われたのである。

 そこまでならまだいい。だが、断りを入れようとした俺を遮ってミラが「全然大丈夫ですよ」と言ってしまったのである。

 

 

 そして、通された部屋は案の定シングルベッドの一人部屋。

 そこに男女が二人きり。

 

 

 

 年頃の俺はきついものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを気にもせず、ミラは「一緒に寝ましょう?」とベッドに誘っているが、ここで入ってしまえば俺は相棒に大事なところを潰されかねないので、丁重にお断りして、ソファで一晩明かした。

 なぜか翌日、ミラが若干拗ねていたのは気のせいだと思いたい。

 

 いやだって、会って一日で男に気を許すような女性には見えないし。




こういうのは勢いが大事だと改めて知った今日この頃。

次辺りで何かイベントを入れたい。


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4 道中にて…………

ちょっと燃え尽きたからまた明日投稿ということで。


 

 

 朝、目が覚めると相棒から「よく耐えた」みたいな目つきで見られた。俺はそこまで外道じゃない。

 ミラとミラの相棒であるルバはまだすやすやと寝息を立てて寝ており、ベッドの快適さが伺える。俺もベッドで寝たかったが、それをしてしまえば俺は夜考えた通り、相棒に大事なところを潰されてしまうだろう。

 

 船上で思いっきりフルスイングされたあの二人組は敵ながら同情してしまった。南無。

 

 

 一通り準備を済ませ、相棒はいつも通り一人訓練に励んでいた。

 今では200kgはあるであろうおもりを軽々と持ち上げて走っている。本当に化け物である。

 

 相棒の訓練も終わり、ポケモンフーズを食べさせようとしていたところで、ミラとルバが起きてきた。ミラの特徴である深紅に燃える髪の毛はボサボサになっており、目もまだ眠たそうである。

 

「顔を洗って、髪をとかしてこい」

 

 と言えば、ミラは「ふぁい」と眠そうな声と同時洗面所へと向かった。が、なんか色々ぶつかった音や落とした音が聞こえたけど、大丈夫であろうか。

 

 

 ミラはまぁ大丈夫だと考え、俺はルバの毛並みを整える。

 ブラシで毛を整えると、ルバはそれは気持ちよさそうに目を瞑っている。

 

 

「よし、これでOK」

 

 ミラに抱えられて、ボサボサになっていた毛並みをそろえると、そこには毛玉から生まれ変わったルバの姿。「めら!」とお礼をしたあとに、用意していたフーズにかぶり付く。よほど美味いのだろう、勢いよくガツガツと食っていた。

 

 否、本当はあんなに旨いものは食ったことがないのかもしれない。なにせ、あんなトレーナーの元にいたのだから。もしかすると、ろくな食事も食べさせてもらえなかったのかもしれない。

 

 

 

 

「ラルアさん、おはようございます!」

 

 

 と、丁度その時、髪を整え終わったミラが洗面所から出てきた。着替えも既に済んでおり、いつでも出発できる、むしろ今から出発したいと顔で物語っていた。

 

 

「はいはい、行きたいのは分かるけど、まずは俺たちも飯を食わなきゃね」

 

 

 「くぎゅ~」とミラの腹が鳴ったのを俺は聞き逃さず、ポケセンの中にある食堂を利用して朝食を済ませる。そしてポケモンセンターから出て、「いざアンズタウンへ!!」と思った矢先、大声が聞こえる。

 

 

 

 

「我々が目指すのは理想郷!!」

 

 

 朝から演説か? と思い、耳を傾ける。

 

 

「ポケモンと人間がのびのびと暮らし、生きていく環境こそ、我々の求める理想なのです!!」

 

 

 

 確か、イッシュ地方にもこんな演説してる集団がいたな。なんて考えつつ、その場を後にする。

 

 

 

 そして『モモノシティ』を抜けて、『2番どうろ』に入った時、不思議な物音が聞こえた。その方に目を向けると、よく目を凝らさなければ見えないような位置に、謎の二人組とポケモンを抱えて必死に抵抗する少年の姿が目に入った。

 

 

 どうやら、二対一で攻められているらしい。ただのポケモンバトルならいいのだが、様子を見るに、どうも違うらしい。

 

 

「ミラ、用事ができた。少し寄り道する」

 

 

 とミラに言って茂みの中に入っていく。

 近づけば近づくほど、話の内容が理解できていく。どうやら少年は自分のポケモンを守ろうとしていて、男たちはそれを奪おうとしているらしい。下劣で卑怯なクソ野郎たちである。

 

 

 

 

「誰がお前らみたいなやつに俺の大事なポケモンをやるか!!」

 

「生意気な口を利くガキだな。どうやら痛い目をみなければ分からないらしい」

「おいおい、もう痛い目に遭ってるじゃないか! 更にボコボコにするってことか?」

 

「そういうことだ。ゆけっ、ニドラン♂!!」

「へへっ。俺たちに逆らうとどうなるか教えてやる。ゆけっ、ニドラン♀!!」

 

「ひっ…………!!」

 

 

 ニドラン♂とニドラン♀の”とっしん”が、少年と、少年の抱えるポケモンを襲う。抵抗もできない人とポケモンを攻撃する時点で、こいつらが普通のトレーナーではないことが分かった。

 ならば、介入して助けるのみ。

 

 

 

「相棒、”シャドーボール”だ」

 

「クッチィィッ…………イッッ!!」

 

 

 紫の口で溜められたどす黒い球体が、二体のポケモンに直撃する。当然桁違いな威力の攻撃に二体は吹っ飛び、目を回している。いわゆる『ひん死状態』である。

 

「だっ、誰だ!?」

「バトル中に介入は違法行為だぞ!」

 

 

 あくまで普通のバトルを装うらしい。つくづく外道なやつらである。

 

 

「ほう、戦闘の意志のない人間をポケモンに襲わせることがバトルだと?

 バトルの基本すら知らないゴミ共がトレーナー名乗ってんじゃねぇぞ?」

 

 

 極めて威圧的にそういう。奴らはぐうの音も出ないのか、「覚えてろよー!!」とポケモンを回収した後に逃げていった。全く、どこの地方に行ってもあんなやつらはいるらしい。ジュンサーさん過労死してもいいから仕事してと思う程いるのである。こういう奴らは。

 

 

 

 

「あ、ありがちっ…………ありがとう兄ちゃん!!」

 

 

 途中で噛みながらもお礼を言ってくれたこの少年こそ、トレーナーとしてふさわしいと思う。

 

 

「兄ちゃんのポケモン強いな!!

 俺もそんな風に強くなりたい!! 俺が強くなったら、兄ちゃんバトルしてくれる!?」

 

 

 おうおう、なんだかすごい勢いで迫られたので、断りずらい。しかも後ろでミラも見てるし、断ったら流石にダメだろうと思い、「あぁ、バトルしてやるぞ」と言うと、少年は「やったぁ! 約束だぞ、兄ちゃん!」と言ってモモノシティのポケモンセンターへと走って行ってしまった。

 

 

 しかし、あの少年が抱えていたポケモン、進化すると狂暴なことで知られる『サザンドラ』の子供である『モノズ』だったよな…………なんだかあの少年とはまた会いそうな予感がする。

 

 

 

 

 

「大丈夫でしたか?」

 

「あぁ、問題なく解決したよ。じゃあ行こうか」

 

 

 

 少年と別れた後、後ろで見ていたミラと合流して、再び歩き出す。

 

 目的地の『アンズタウン』は、近い。




やはりテンポが速すぎるかな?
と思っておりますが、今後もこのくらいで行ってもいいか(集まらないと思うけど)アンケートやります。

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5 研究所に博士は…?

今日はもう投稿しないと言ったな?

あれは嘘だ。

何かもう堪えきれなくなったのでもう一話投稿。
なんだか全力失踪……こほん、疾走しそうな勢いですが、勢いあるのは本当に何もない休日だけなんで。平日にこれやったら流石に過労死します。


 

 モモノシティを出発してから歩き続けること数時間、漸く目的地である『アンズタウン』へと到着した。道中、野生のポケモンや勝負を仕掛けてきたトレーナーとバトルしたミラとルバは、それなりに強くなったと言えよう。まだジムリーダーにはかなわないとは思うが。

 

 アンズタウンの第一印象は、『田舎』である。

 道も少し整備されたような簡素な造りで、立ち並ぶ家々も、流石は大都市の近くとあってか、シンオウに比べれば頑丈な造りをしているが、それでもヒューバシティから比べれば随分グレードダウンしたものだ。

 挨拶をしてくれる人々にも若い人はおらず、過疎化が進んでいるのも伺える。

 

 町の人曰く、「若いモンは皆街へ出稼ぎに行くか、ポケモンと一緒にジム巡りをするかしているから、残っている若者はいないに等しい」らしい。

 

 「いないに等しい」というのは、完全にいなくなったわけではなく、研究所には色々若い人がいるらしい。そりゃあ研究所までジジババだらけだったら研究もクソもないだろうからな。

 

 

 そのあと町民に研究所の場所を聞き、そこまで向かう。

 

 町から少しだけ外れた位置にあったのは、町の印象とは裏腹に、随分と現代化が進んだ造りをしているポケモン研究所。

 看板には『オルビア研究所』と書いてあり、博士の名前がオルビアという人なのだと瞬時に理解する。だいたい研究所の名前は博士の名前からとられていることが殆どなので、研究所の名前を見れば博士の名前が一目瞭然なのだ。

 俺が旅をしてきた中でも、全部の研究所がこの法則に当てはまった。

 

 自己主張が激しいのか、それともすぐにわかってもらえるようにかは分からないが。

 

 

 まぁ扉の前でうろうろしている暇はないので、手っ取り早く研究所内に入る。

 

「すみません、オルビア博士はいらっしゃいますか?」

 

 ミラが職員とみられる男性に尋ねると、職員からは、

 

「あぁ、博士なら「ポケモンの生態を見てくる」と言って飛び出していきましたよ。

 まったく、女性なのに何でこうも野性的なんだか。そういう一面さえなければ完璧な女性なのに。

 あぁ、ごめんごめん。博士は確かこの先にいった場所にある『1番どうろ』にいるはずだよ」

 

 

 とりあえず、職員が苦労しているということと、博士の居場所が分かったので、指示された通り研究所の先にある『1番どうろ』を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

「博士、一体どこでしょうか?」

 

「さぁ? 職員の人の言動から察するに、ポケモンの生態を見てるから、同じ場所から動かないと踏んでるけど…………」

 

 

 

 1番どうろをキョロキョロしながら進んでいると、急に茂みの中からポケモンが飛び出してきた。

 確かこのポケモンは、『キノココ』だったっけ?

 

 キノコの先端のような形をしたポケモン、キノココは、俺らに敵意むき出しで威嚇してくる。これは戦闘は避けられないかもしれないな。と身構える。

 

 

「ラルアさん、私が行きます」

 

 

 俺が身構えていると、ミラがルバをキノココの前に出しながら、俺を制した。

 

 

 

 

「私も、あの男の子のように、ラルアさんと戦えるようなトレーナーになりたいんです。

 だから、そのためには、強くならなきゃいけないんです!

 

 ルバ、”ひのこ”!!」

 

「めらっ!!」

 

 

 ミラは力強い目で俺にそう言い、ルバに指示を出す。

 これが一日前に俺が助けた貧弱そうな女には見えないな…。どうやったら一日でこんなに変わるのか…………。

 

 

「キノッ!!」

 

 ルバが放った”ひのこ”は、呆気なくキノココに躱されてしまう。それどころか、キノココが躱しながら放った”タネマシンガン”を食らってしまうという始末。

 しかしタイプ不一致ということもあってか、ルバはまだピンピンしている。

 

 キノココは続けざまに”メガドレイン”を放つ。当たればたちまち体力を吸い取られてしまうだろう。

 

 

「ルバ、避けて!」

 

 だが、そんな攻撃も当たらなければ意味はない。

 

 

 ミラの指示通りに避けたルバは、更にミラの指示を待つ。

 

 

 

「ルバ、”むしのていこう”」

 

 

「ルゥゥバッ!!」

 

 

 

 ギガドレインを放つためにルバに近づくも、ルバに躱されてしまい少し焦ったキノココ。

 それが命取りとなった。

 

 

「キノッ!!」

 

 

 突如横から放たれたタイプ一致技によってキキノコは目を回す。ミラの勝利である。

 

 

「やったねルバ!!」

 

「めらぁ!!」

 

 

 

 目を回したキノココを道の端に避けてあげようと持ち上げようとした、その瞬間、さきほどまで目を回していたキノココが急に暴れだし、俺たちの行く手にまた立ちふさがった。

 

 だが、ルバとのバトル影響でもう満身創痍であるはずのキノココに、当然バトルなんてできる訳ない。そのまま今度こそ気を失って倒れてしまった。

 

 

 何がキノココにここまで無茶をさせるのだろう。

 キノココが守りたいものとは一体何なのだろう。

 

 

 

 何はともあれ、この先にはきっと何かがある。

 

 

 

 倒れてしまったキノココをそのままにするのは忍びないと考え、抱えて歩き出す。そして、辿り着いたのは一つの洞穴。

 

 

 俺がそこを覗こうとした瞬間、

 

 

 

「キノォッ!」「キノ!!」「キノッ!!キノッ!!」

 

 

 総勢10匹以上はいるであろうキノココの群れが飛び出してきた。

 流石にこの数相手では、特訓中のミラ一人では厳しい。

 

 

「相棒、少し頼めるか?」

 

「くち」

 

「ルバ、まだまだいけるよね!」

 

「めら!!」

 

 

 きっとさっきのキノココはここを守りたかっのだろう。この洞窟には何かがある。そのためにはこのキノココたちをどうにかしなければいけない。

 

 

 

「キノッ!!」「キノーッ!!」「キノキノッ!!」

 

 

 10匹近いキノココたちの一斉攻撃が、相棒とルバに襲い掛かる。

 こうして、キノココ軍団とのバトルが始まったのである。




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6 キノココの軍団と洞窟の中から。

日曜日に部活はキツイって…………。


 

 

「キノッ!!」「キノキノッ!!」「キノォッ!」

 

 大勢のキノココが一斉にほうしをまく姿は、もはや時期になると飛び始める花粉のように凄まじい光景だった。ただ、それを見ているだけでは勿論喰らってしまうので、

 

「相棒、”れいとうビーム”で凍らせろ!」

 

「クチィッ!!」

 

 キノココが一斉にまいたほうしは、相棒の放つ極めて冷たいビームによって本来の働きを失って凍り、地面にポトポトと落ちる。まるで雪が降っているかのようだ。

 

「相棒、塊を”のみこむ”、そして”はきだす”、からの”なげつける”だ!」

 

 相棒は俺の指示通りに、その雪のように舞うほうしを飲み込み始める。そして数秒後、そのほうしは巨大な氷塊となって相棒の口からはきだされた。

 そして、それをキノココの軍団に文字通り”なげつける”。

 

 草タイプのキノココには、氷によって作られた塊でも弱点と判断されるのか、氷塊が当たったキノココは目を回してしまった。いや、ただ単純に俺の相棒のポテンシャルが高いのか…………?

 それでも、一応避けた個体はいたようで、氷塊を投げた相棒めがけて”ずつき”を食らわそうとしてくる。

 

 しかし、トレーナーの指示なしで動く野生のキノココなど相棒の敵ではないのか、まるでみきったようにキノココの”ずつき”を捌いている。断じて技の”みきり”を使っているわけではない。

 これは相棒の素の実力である。全く恐ろしいったりゃありゃしない。

 

 

「キノォォォォッッ!!」

 

 

 しかし、一つだけ誤算があるとすれば、このキノココの存在である。

 このキノココだけ覚えている技や技の出し方、躱し方や受け方などが周りのキノココと比べるとずば抜けて高い。今も相棒相手に”ドレインパンチ”や”きあいパンチ”など、普通ではなかなかお目にかかれないレアな技を使いこなし、相棒に応戦している。

 

 

 辺りを見れば、既に立って戦っているキノココはこのキノココだけとなっていた。

 

 ミラの方も片が付いたのか、ルバと一緒にこちらに走ってきている。いや、走るほど距離ないと思うのだけど…………?

 

 

 

「ラルアさん、加勢します!」

 

「いや、大丈夫だ。このキノココ、かなり見どころがある…………!!」

 

 

 ミラが加勢しようとルバに指示しようとするのを、俺が止める。

 いくら本気を出してはいないからとはいえ、相棒と3分以上こうして戦っているのだ。かなり見どころがある。

 

 事実、普通の個体では手を抜いた相棒の前では1分も立ってはいられない。

 

 

 

「キノッ!! キノッ、キノッ、キノォォォッ!!」

 

 

 

 何がこのキノココを奮い立たせているのか、キノココは既に何度か相棒の反撃を喰らってもなお、立ち上がって攻撃してくる。

 

 

 

 このまま決着がつくまで見ていたいけど、ここで時間を使ってはいけない。この洞窟の奥で何かが起こっているのだ。急いでいかないと終わってしまうかもしれない。

 ただただ俺の好奇心からなのだが、どうやらこの先から人の気配がする。恐らく博士のものだろう。好奇心半分、博士の安否の心配半分といったところなので、あまりここで長居するわけにもいかないのだ。

 

 

 

「キノォォォッ!!」

 

 

 

 まだまだ諦めないキノココが、”ドレインパンチ”を放ってくる。しかし、その攻撃は野生のポケモンの攻撃とあってか、かなり単調で読みやすい攻撃だ。しかも、度重なる相棒の反撃によって疲弊しているため、更にそれに拍車をかけていた。

 

 

 

「相棒、横から回り込んで”げんしのちから”」

 

「クッチ!」

 

 

 

 いきなりの指示にも相棒はすぐに反応してくれ、”ドレインパンチ”を放ったキノココの横に回り込んで、素早く”げんしのちから”を放つ。

 先ほどまでの軽い反撃ではなく、終わらせるための反撃。キノココは今までとは全然速い相棒の回避についていけず、思わず隙を見せてしまう。

 

 

 そこにすかさず”げんしのちから”が―――――――――

 

 

 

 

 

「待つんだっ!!」

 

 

 

 

―――――――――直撃する直前、洞窟の中から女性の声が響いた。

 

 

「そのキノココたちは親を守ろうとしているだけだ。

 これ以上手出しはしないでくれ!」

 

 

 そして、洞窟から出てきたのは、ケガをした『キノガッサ』に肩を貸しながら歩いてくるまだ若そうな白衣を着た女性。恐らくこの人が『オリビア博士』だろう。

 

 

「ガッサ…………! ガッサガサ!」

 

 

 そして、相棒の反撃がこないので、再び相棒に攻撃を仕掛けようとしたキノココを、今度はキノガッサが止める。

 

 

 

「キノ!! キノキノ!!」

 

「ガサ! ガッサ…………」

 

「キノ…………」

 

 キノココがキノガッサを見ながら抗議の声を上げ、キノガッサがそれに首を振る。何の話かはポケモンではないのでわからないが、キノガッサの反応を見たキノココは仕方なさそうに引き下がった。

 

 

 

「すまないね。どうやらこのキノガッサが人間にやられたそうなんだ。

 それで、今は人間を警戒しているらしいんだ」

 

 

 人間にやられた。

 

 先ほど『2番どうろ』でそれをやったであろう奴らを撃退したが、それと関係があるのだろうか。もしそうだとしたら、許せないな。

 

 

 

 

「おっと、自己紹介してなかったね。私は『オリビア』だ。

 アンズタウンの研究所で一応所長を務めている。

 それと…………、君が聞いていたミラさんで会っているかな?」

 

「あ、はい! そうです!」

 

「そうか、じゃあこんなところで立ち話もなんだ。キノガッサのしっかりとした治療も兼ねて、

 私の研究所に行こうか」

 

 

 

 博士はそういうと、キノガッサを抱えて歩き出した。確かキノガッサって40kgくらいあったような…………? まぁ、変わった人んだろうと片付けて、俺たちも後をついて行った。

 その後ろから、キノガッサの声を聞いて目を覚ましたキノココたちがついてきたのは言うまでもない。

 

 

 かくして、キノココ大騒動は”一旦”、幕を閉じた。

 

 

 

 だけど、この時の俺は、まさかこの事をきっかけにあんなことに巻き込まれるなんて、思ってもみなかった。




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7 新しい仲間”キノミ”

今日は疲れたのでここまで。


 

「2番どうろでそれらしい二人組を見た?」

 

「はい。その二人組が、モノズを抱えた少年を襲っていました。

 恐らく略奪するつもりだったのでしょう」

 

「キノガッサ、君を襲ったのは二人組かい?」

 

「ガッサ」

 

 研究所に着くと、応急処置だけ済んでいたキノガッサの手当が始まった。幸い、傷口は深くなかったものの、足に着いた傷が少々厄介なものらしく、しばらくは自立できないだろうとのことだった。

 そしてその合間に、俺は2番どうろでの出来事を話した。

 

 黒いローブを巻いた謎の二人組が少年を襲っていたこと、その二人組がこのキノガッサを傷つけた犯人と関わりがあるのではないかということ。

 

 キノガッサは、「二人組なのか」という質問に対し、首を縦に振った。

 しかし、『ニドラン♂』と『ニドラン♀』を使っていたという点には首を縦には振らなかった。

 

 

「どうやら違うみたいだけど、警戒しておくに越したことはないね。

 そいつらが必ずしも”二人だけ”っていう保証はどこにもないんだから」

 

 各地方を見てきた俺には分かる。だいたいこういうことをするやつは組織を作って動いている。何らかの目的のために。このスレドンエ地方にもそれが当てはまるとするならば、今後もこのような事案が次々に発生していくだろう。

 

「分かりました。十分気を付けておきます」

 

「うん。じゃあ私は一旦ミラさんとお話してくるから」

 

「はい」

 

 博士がミラと話すために扉をくぐると、すれ違いで部屋に入ってきたのは恐らく相棒に善戦していたであろうキノココ。相棒と戦っている最中には気付かなかったが、頭のてっぺんにある傷からして、ほぼそうだろう。

 

 

 

「キノ…………?」

 

 

 キノココは、心配そうに台に寝転がる親であるキノガッサを見る。

 それにキノガッサは大丈夫だと言わんばかりに「ガサ」と少し元気に答える。

 

 

 

「キノ…………」

 

「ガサ、ガサ、ガサガサ…………」

 

「キノ!! キノキノ!!」

 

 

 何を言っているのかはさっぱりだが、どうやらキノココがキノガッサのいうことを全力で否定しているようだ。こんな場所で親子喧嘩か?

 と、考えていると、「くちぃ…………」と呆れたような顔をした相棒が、俺に向かってジェスチャーしてくる。なにこれめっちゃ可愛いんだけど。

 

 とか考えていたら何かすごく冷たい視線を向けられたので真面目に考えようと思う。

 

 

 

「くち、くっち、くちくち、くちぃ!」

 

 

 拳を突き出し、上腕二頭筋を見せびらかすようなポーズをとり、歩くジェスチャーを見せる。

 強い…………? 歩く…………?

 

 うーん。分からん。これだったらまだ文献に書いてある古代文字を解読する方が簡単かもしれない。そう思って相棒を見ると、今度はキノココを指さして、筋肉モリモリのポーズ、キノガッサを指さしてシッシとやるジェスチャー。

 

 

 キノココが、強い、キノガッサ、どっかやりたい。

 

 

 

「あぁ、なるほど!!」

 

 

 ようやく相棒が言いたいことが理解できた。

 

 

「つまり、この子は強いけど怪我をした親から離れたくなくて、それでもキノガッサは旅に出たいキノココを巣立たせようとしてるってこと?」

 

「くち」

 

 相棒がサムズアップする。どうやら正解だったようだ。これで間違ってたら恥ずかしい。

 なるほど、それでキノキノガサガサ言いながら口論してるわけか。なら、ここは俺が。

 

 

「キノガッサ、一つ、提案がある」

 

「ガサ…………?」

 

 

 キノガッサは突然割り込んできた俺に「?」の表情を浮かべる。だが、その顔はこれから俺が言うことを分かっているかのように期待に満ちている。

 

 

「俺はこれからこのスレドンエ地方にあるジムと、リーグを巡る。

 そのためには、心強い仲間が必要だ。この子を巣立たせたいんだろ?

 なら、俺がこの子の強さを十分に引き出して、更にもっと立派にしてやろう。

 

 だから、こいつを連れて行っていいか?」

 

 

 この言葉に嘘はない。

 これから旅を続けるにあたり、必ず相棒だけではどうにかできない困難にもぶち当たるだろう。その時にフォローできる仲間がいれば、とても心強い。

 そして、このキノココにはそれができる程の実力がある。

 

 

「キノ、キノガッサ!」

 

「キノ…………」

 

 

 キノガッサが、険しい顔つきでキノココを見る。

 キノココはそれにたじろぐが、

 

 

「ガサ、ガサガッサ!!」

 

「キノ…………!!」

 

 

 キノガッサに何かを言われ、一気に明るい表情になった。何が起こったのか相棒に説明してくれと頼むが、相棒は首を横に振った。きっとこの家族にしかわからない事情なんだろうとここは割り切っておく。

 

 

「キノォ!!」

 

 

 すると、先ほどまでキノガッサと向き合っていたキノココが、俺の方に向いた。

 そして、その力強い眼差しでこちらを見つめた後、俺の腰に下がっていたモンスターボールをジャンプして奪い、自らボタンを押して入っていった。

 

 

 1回…………2回…………3回…………カチッ!!

 

 

 ボールが3回揺れ、音が鳴る。ゲットの合図である。

 

 

 

「これから、よろしくな、キノココ…………いや、”キノミ”」

 

 

 これから冒険を共にする仲間にニックネームをつけるのが、俺の流儀である。

 その方が親近感が湧き、一緒にいて心地が良いからだ。

 

 俺がそう呼べば、ボールがコロンと少し揺れた。中から返事を返してくれているのだろう。

 

 

 

「キノガッサ、いつかこのキノココを強くして、ここに戻ってくる。

 だから精々、このキノココ…………キノミに負けないように頑張っててくれよ」

 

「ガサ…………!!」

 

 

 「望むところだ!!」と、キノガッサがそう返したように聞こえた。そして丁度その時、話を終えた博士とミラが入ってきた。ミラの手には、まだ使われていないモンスターボールが、いくつか握られていた。

 

 

 

「ミラさんには、とっても心強い”相棒”がいるから、どうやら私たちの助けはいらなかったようね」

 

 

「私たちなら何でもできる! そうだよね、ルバ」

「めら!」

 

 

 元気よく返事をしたルバに、ミラと博士は微笑んだ。

 

 

 

 

 こうして、俺に新しい旅の仲間が加わったのであった。




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8 行き先を決めよう

いやマジで他の方のポケモン小説面白すぎでしょ…………。
私にも文才が欲しいです(切実)

それと、投稿ペースアンケート、本日で締め切らせていただきます。

どちらも人数がいるのですが、だからといって「間をとって…………」なんてやってると「じゃあなんでアンケやったんだ」ってなるので、どちらか一方しか選びません。

そのままが多ければそのままだし、遅くが多ければ表現を多くしたりと色々工夫させてもらいます。中間はなしで。

それでは本編どうぞ。


 

「キノミ、”やどりぎのタネ”で足を絡めてから”ドレインパンチ”だ!」

 

「キノッ!!」

 

「ヨっ、ヨーテリー! 避けろっ!」

 

 

 トレーナーの指示で、子犬のような見た目をしたポケモン、ヨーテリーが避けようとするが時すでに遅し。

 キノミがまいた”やどりぎのタネ”がヨーテリーの足に絡まり付く。そして体力をどんどんと吸い取っていく。さらにそこに止めの”ドレインパンチ”。

 

 ヨーテリーは吸い取られる体力をなくし、ひん死状態となった。

 

 

「いやー、お前強いな!

 俺とヨーテリーのコンビを崩したのはお前が初めてだ!」

 

「こちらこそ、対戦ありがとう。いい経験になった」

 

 バトルしてくれた少年にお礼を言い、キノミをボールの中に戻して後ろで見ていたミラと合流し、歩く。普通のバトルなら負けた相手は賞金を支払うのだが、相手は未成年。法律で未成年から金をとるのは禁止されているので、このスレドンエ地方ではできない。

 

 いや、そもそも未成年から金をぶんどれるほかの地方が凄いのだ。

 

「キノミさん、まだラルアさんの手持ちになったばかりなのに、すごいコンビネーションですね。

 思わず「おーっ」って声が出ましたよ」

 

 

「俺も驚いたよ。今までの奴らは最初は俺の指示についていけなかったからな。

 やることをしっかり理解して、勝ちのビジョンが浮かんでいるからこそできる芸当だ。

 やっぱりキノミを仲間にして正解だったな」

 

 

 ほかの地方を冒険した時、殆どのゲットした仲間が最初は俺の指示が通らなかった。いやなんか自分の頭がいいみたいな自慢になりそうだけど。実際そうだったのだから何も言えない。

 殆どが俺がやろうとしている事が理解できず、行動が少し遅れ、その隙に接近を許してしまう。

 

 それが仲間をゲットしたときに最初に立ちはだかる試練のようなものだったが…………

 

 

 

 

 キノミはそれを感じさせないほど、俺の指示通りに動き、そして俺が想像した通りの動きを見せてくれる。流石に長年付き添っている相棒には遠く及ばないが、これだけでもかなりのポテンシャルを秘めていると言えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とミラが2番どうろで経験を積みながら恐らく一番最初のジム挑戦になるだろう、一日ほど前に通った『モモノシティ』に向かって進む。

 モモノシティの手前にあるこの2番どうろは、交通網が理由で発展した『ヒューバシティ』とは違い、炭鉱業で栄えた『タルトーンシティ』があるためか、トレーナーが多い。

 そのため、経験を積ませるにはもってこいの道であり、『アンズタウン』から出発する俺たちにとっては『草』に挑むか『鋼』に挑むかを選択できるのである。

 

 どちらにせよ、結局全部のジムを制覇するからこちらに戻ってくるため、どちらでもいいのだが。

 

 

「ここが確か『タルトーンシティ』に通じる森、『タルトーンの森』ですね。

 そういえば、この地方にもジムが8つあるのですが、確か密集してるのはここら辺だけなんですよね。

 残りの5つは結構遠くの場所にあったりもして、少々大変なんですよね…………」

 

 

 

 そりゃそうか。シンオウの四倍くらい広い地方だもんな…………。

 これはかなりしんどい旅になりそうだ…………。

 

 

 

 

「どうします? ここの森を抜けて『タルトーンシティ』に行くか、

 このまま『モモノシティ』へ行ってそのあと『ヒューバシティ』のジムに行くか」

 

「そうだな…………。

 個人的にはこの森も強敵がいそうで魅力的だが…………、ここはあまり時間もかけてられないし、

 このままモモノシティに向かおうか」

 

 

 二つの進路のうち、モモノシティに通じる道を選び、歩き出す。

 

 

 

 

 

 俺は後に、この判断が正解だったと本気で思った。

 なにせ、あんな()()()()()があの森に居座ってるなんて思ってもいなかったのだから。

 

 

 

 しかし、伝説じゃなかったことに若干落胆したこともここに記しておこう。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「博士、また暴走してます!!」

 

「またかッ!! クソッ!! 今すぐ稼働を停止! 動ける者は消火活動を行え!!」

 

 

 ここは、スレドンエ地方のどこかにある地下施設。

 

 煙を上げて今にも爆発しそうな機械の奥に、見たこともないような神秘的な光を放つ巨大な宝石が輝いていた。

 

「チクショウ…………! 一体何がダメだというのだ…………!?

 この実験が成功すればこの『()()()』も真価を発揮するというのに…………!」

 

 博士と呼ばれた男は、タッチパネルに映された『error!!』の文字と、既に水がぶっかけられ、使い物にならなくなった機械を睨みつけながら悪態をつく。

 

 

 

「クソッ!! 者ども! 一時撤退だ! 処理が終わるまで各々好きにしろ!」

 

 

 煙が充満して実験もクソもないと悟った男は、部下に撤退を命じて自分も部屋を出る。

 男の心の中を満たすのは、ある一つの野望のみ。

 

 

 

 

―――――――『このスレドンエを、全てが揃った完璧なものにする』

 

 

 彼にとって、このスレドンエはかけがえのない大切なものであり、大事な()()()()でもある。

 矛盾しているようにも聞こえるが、この実験はこのスレドンエを守るためと彼は考えており、その実験によってもたらされる結末を、まだ知らない。

 

 

 

「太陽に月、破壊に再生、理想と真実、時間に空間に亜空間に創造、感情に地形、大地に大海原、大空。それぞれが散らばったこの世界は全て不十分である…………!

 ならば私が…………! この私が全てをこのスレドンエに揃え、完璧なものを創り上げようではないかッ!! 今回も失敗こそしたが、最初の頃と比べれば進展してきている…………。

 

 私の願いが叶うまで、あと少しだろう…………」

 

 

 

 太陽も光も届かない、深い深い地下に建設された廊下を、一人歩く男。

 

 

 

 彼の願いがかなった時、起こるのは希望か、絶望か。

 

 

 それは、まだ、誰も知らない。例え超能力者であろうと、それが世界を創った者だとしても。




台詞で言われなかった伝ポケたち「解せぬ」

安心しろ、出番はあるから。確実に。
というより出さなかったらタイトル詐欺だし。


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9 『獣道会』の騒動①

ジム戦前にイベントはつきもの。はっきりわかんだね。
ジム戦を楽しみにしていてくれた方(そもそも見てくれている人が少ないので何とも言えないが)、本当に申し訳ないですが、

アンケートの結果通り、『このままのペース』に決まりましたので、恐らく5話くらいで終わると予想されるので、どうか少しだけお待ちください。

それと、アンケートで『このままのペース』と決まった直後の投稿にも関わらず、少しいつもより文字数が多いです。


それでは本編どうぞ。


 

 

「二日ぶりか? モモノシティは?」

「正確には一日と半分ですが、もう面倒くさいのでいいです」

 

 何かミラから変な目で見られた。そんなに時間を間違えるのがいけないのだろうか。まぁ昔から経過した時間とかはよく間違えるし、これが俺なので仕方ないと言えば仕方ないのだが、そんな目で見られると少しばかり傷つく。

 

 落ち込みながらもジムのある方向に向かって歩く、ふと目に入ったのは、人気のなさそうな路地に入っていく二人の巨漢と、ミラと同い年くらいの少年。一瞬、「あの時の少年か?」と思ったけど、どうやら背丈的にそれもないようだ。

 

 まだあの少年は「旅に出たばっかり!!」と胸を張って言えるような年齢の少年だったのだから。

 

 今路地に入っていったのは、「少し前から旅をしていました」と落ち着いて言えるような感じの少年だ。歩き方や立ち振る舞いからなんとなくそのくらいは予想はできた。

 

 

 しかし気になったのは両サイドにいる巨漢。

 筋肉がゴリゴリマッチョメンで、まるでゴーリキーが人間になってしまったのではないかと疑うレベルの筋肉量である。

 

 

 これは、よからぬことを企んでいる。

 

 

 

 

 すぐに見切りをつけた俺は、またもミラに「用事ができた」と告げて少年たちが入っていった路地に向かっていく。しかしミラに腕をつかまれ、「今度は理由を明確にしてください」と何か不貞腐れたような表情で言われ、「少年が大柄の男二人と一緒に路地に入っていった。多分、カツアゲとかそんな感じだが、一応」というと、「なら私も行きます!」と言って俺の後ろに隠れた。

 

 俺から話聞いただけで怯えるのならついてこなくていいんだぞ?

 

 とは言えなかった。

 なんか言ったらやばそうだったから。

 

 

 

 そして今度こそ、路地に入ろうとした、その時。

 

 

 

 また腕を掴まれた。

 またミラかと思ったが、違う。掴んだのは、知らない男性だった。どうやらこの町の住人らしい。

 

 

 

「あんた、旅の人だろ?

 ならやめとけ。あの少年は可哀そうだが、そうするしかないんだ。あの男二人はこの町を支配している『獣道会』の部下だ。

 あの組の連中に手を出したやつらはみんな歩けないほどボロボロになって帰ってきたんだ。

 

 だから、悪いことは言わねぇ、あいつらを追いかけるのはやめとけ。

 自分と、その嬢ちゃんの命が惜しければな」

 

 

 どうやら、あの巨漢たちはやばいところのやつらしい。

 だからと言って、見過ごすわけにもいかない。しかも、さっきの人の話によって、あの少年がひどい目に遭うことが確定された。

 

 尚更立ち止まれないだろう。

 

 

 

「忠告ありがとうございます。

 でも、だったら尚更行かなくてはいけません」

 

「そうか…………。じゃあ誰かは知らないが、その勇気に免じて骨は拾ってやろう…………」

 

「ありがとう」

 

 

 知らない人だが、実に親切な人だ。

 拾わせる骨を残さないようにしなきゃな。

 

 

「ミラ、覚悟はできてるか?」

「はい。ジム戦前のストレッチにしては、上出来です!」

 

 ほんと、ミラの適応力は凄まじい。

 先ほどまで俺の後ろでビクビクしていたのに、人を救うと分かった瞬間スイッチが入ったかのように俺から離れて気合を入れ始めた。

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「いよっし! 今のはキレイだったぞコリンク!」

「ルクァ!」

 

 

 ぼくが故郷の『タキツボタウン』を出発して、数か月がたったころ、ぼくは漸く一つ目の()()()()()()()がある『モモノシティ』の前にある2番どうろに来ていた。

 

 

 その時も、2番どうろでしかできない環境を使って、少しでもコンテスト前にコリンクに経験を積ませようと、色々技の構成や組み合わせを工夫した。

 

 

 ”いかに多くの技を扱い、それらをどう組み合わせるかによって、観客の心は大きく惹きつけられる”

 ぼくの自慢のお父さんの言葉だ。ぼくのお父さんはスレドンエでも有名な『コンテストスター』であり、『スレドンエ一美しい男性』として雑誌の一面を飾ったこともあるほどだ。

 

 そんなお父さんの息子であるぼくは、当然ながら『期待の星』として注目を集めた。

 けれど、どんなにコリンクと練習しても、お父さんのコンテストの時みたいな美しさは出せなかった。そして、それで悩んでいるとき、お父さんから言われた。

 

 

「お父さんも、昔はこうして悩んださ。だから、旅をすることにしたんだ。スレドンエの景色をたくさん見て、それを参考にして技を組み合わせて、そしてお父さんは今のこの座まで上り詰めた。

 だから、色んな景色を見て、色んな事を知れば、お前もいつかお父さんみたいになれるさ」

 

 

 それを聞いて、ぼくの旅立ちを決意した。

 

 

 これが、ぼくの数か月前の話。

 そして今は最初に言った通り、2番どうろで色んな技の組み合わせにチャレンジしていた。

 

 

 そして、その時だった。

 

 

「コリンク、”スピードスター”と”スパーク”を組み合わせて!

 いけぇ! その名も『ボルトスター』!!」

 

 

 

 技名は、ぼくのお父さんが一番得意としている『アイススター』からとった。

 お父さんの相棒は『ユキメノコ』であり、そのユキメノコもまた、『スレドンエ一美しいポケモン』と称される程美しいユキメノコだった。二位の人のミロカロスは、血涙を流していたとか。

 

 

 

 コリンクが放った『ボルトスター』は、空に舞い、バチバチと電撃を鳴らしながら散っていく。

 しかし、たまたま上に打ちあがらなかった『ボルトスター』が、たまたま通りかかった金髪の男性にぶつかってしまい…………。

 

 

 

 

 

「スワンさん! 大丈夫ですか!?」

「このクソガキ! よくもスワンさんを! いけっ、ヤミラミ!」

 

 

 その金髪の男性についていた大きな男の人たちが、ポケモンを繰り出してバトルを仕掛けてきた。

 

 ぼくはその時、「『タキツボタウン』でお父さん以外に無敗を誇ったコリンクの力、見せてやる!」と、随分勝気だった。

 

 しかし、ぼくの予想は呆気なく砕かれた。

 

 

 

 

「ヤミラミ、シャドークロー!!」

 

「ミラッ!!」

 

「こっ、コリンク! スピードスター!!」

 

「ルクァッ!!」

 

 

 コリンクが出したスピードスターは、相手のヤミラミの体をすり抜け、後ろの木にぶつかる。

 動揺したぼくとコリンクは、ヤミラミの攻撃の回避に遅れ、シャドークローが直撃してしまった。

 

 

 

「ルクァ…………」

 

「コリンク!」

 

「けっ。スワンさんを傷つけた者はこうなるんだ。

 連れてけ。ボスにどうするか聞こう。まぁ、死ぬか飢えたポケモンの餌だろうがな」

 

「や、やめっ…………」

 

「はははっ! そりゃ両方『死』じゃねぇかよ!」

 

「あ、そうだった」

 

 

 コリンクがやられ、放心状態となったぼくは、すぐに捕まった。

 

 

 

 

「ほら、さっさと歩け」

 

 手錠をかけられ、町を歩かされるぼく。

 道行く人々は、ぼくを見ても哀れみの表情を見せるだけで助けようとはしてくれない。「助けて」と声を出しても、誰も来てくれない。そんなぼくに、男の人たちは言った。

 

 

「俺たちに逆らうやつなんかいねぇんだよ。

 お前みたいなガキが助けを求めてきたって、誰も助けてくれない。これがこの町に『ルール』だからな」

 

 

 初めて、『絶望』を知った。

 ぼくは、このままコンテストにすら出られないで死んでしまうのだろうか。そんなことが安易に浮かんでしまう程、絶望的な表情だった。

 

 

 

 気づけばぼくは路地に入り、ボロボロの廃屋の中に入れられた。

 

 

 

 

 

 

 涙が止まらなかった。怖い、悲しい、情けない。色々な感情が渦を巻き、ぼくの心を支配していった。だけど次の瞬間、ぼくの心を満たしたのは、これ以上ない『希望』だった。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫? ケガはない?」

 

 

 青い髪の男の人と、赤い髪の女の人。

 傍らには、その人たちのポケモンであろう大きな口を持ったポケモンと、赤い棘の生えた虫ポケモンがいた。




次回から主人公視点に戻ります。

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