シャーロットの20番目 (mimi@ロー推し)
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第1章
我等が20番目




シャーロット・ジェラティーナ

ビッグ・マムの20番目の息子。
年齢→33
身長→206
悪魔の実→エキエキの実
└液体になったり、防御、武器を造ったり液体を使ってゼリーを作れたり出来る。
ゼリー大臣
薄いピンクの色の髪の毛に薄いピンクと赤を混ぜた瞳。美少年。
身長が高いわりに小柄で顔が幼げ。
結構マイペースなところがあり、どちらかと言えば無口な方。あまり表情が動かない。甘いものが大好きでやっぱり自分のゼリーが好き。
兄や姉のことは「ーーにぃ」「ーーねぇ」と呼ぶ。
(心の中では「ーー兄さん」「ーー姉さん」)

ワンピース知識はありで結婚願望が強い元男子高校生


※※※サンプル※※※


「シャーロット・ジェラティーナ」
「ゼリーを作るのだけは右に出るものはいない。」
「汚い手で触れるな...!」






 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達には沢山の弟妹が居る。

その中でも私達が特に可愛がり、お気に入りの兄弟が居る。

 

まるでネコのような可愛い20番目の弟、シャーロット・ジェラティーナ。

それが私達の自慢で可愛くて仕方がない弟だ。

 

 

■■■■

 

 

「ペロスにぃ」

「ん?ジェラティーナじゃないか!どうしたんだ?」

 

遠征に行って帰って来た私はママに結果と土産を渡してきた所だった。

そろそろ帰ろうかと思い、城の入り口に向かって歩いていたときに話し掛けてきた。

20番目の弟であるジェラティーナは弟妹の中では何処か異質な雰囲気を纏っていた。

 

「これ」

「おおっ、ジェラティーナのゼリーか?」

「ん」

 

少し離れた場所に立っていたジェラティーナに近付けば、可愛らしい紙袋を渡された。

紙袋の中身を見てみれば、沢山のゼリーが入っている。

ゼリーと言えば、ジェラティーナの専売特許だ。

 

「ペロスにぃにあげようと思って」

「ありがとうな...ペロリン♪」

 

嗚呼、私の弟はこんなにも可愛い。

聞いてみたところ、私がそろそろ遠征から帰ってくると聞いたジェラティーナは態々自分の島から出て来てゼリーを持ってきてくれたらしい。

 

「ジェラティーナのゼリーは美味しいからな」

 

甘いゼリーは何回でも食べたくなるほど美味しくてケーキとかではないのによく弟たちと取り合いになるのも日常茶飯事だ。

私がジェラティーナにお礼を言うと少しだけ微笑んだのが分かった。

ジェラティーナは基本的に無表情だ。

笑うことすら中々しないため、弟妹の間ではレアだと言われている。

誰も彼もがジェラティーナの笑顔を見たくて色々試行錯誤しているのは周知の事実。

私もジェラティーナの為にキャンディーをあげたり、何かプレゼントしたりとしている。

 

「ペロスにぃ」

「ん?」

「あのね、お願いがあるんだ。」

 

少しだけ居心地が悪そうに視線をキョロキョロとさせながら言ってくる。

ジェラティーナのお願い事?

そんなの聞くに決まっている!

 

「なんだ?」

「ペロスにぃのキャンディーちょうだい」

「キャンディー?」

 

まさかのお願い事に目を見開く。

確かにジェラティーナと会う度にキャンディーをあげていたが。

 

「ダメ...?」

「ダメなわけあるか。ほら、キャンディーだ。」

 

しゅん....と悲しそうに目を伏せた弟に慌ててキャンディーを差し出す。

可愛い弟が私のキャンディーを欲しいと言ってくれているのにあげない兄が何処に居る。

 

「ありがとう...ペロスにぃ」

 

ふにゃあと笑ったジェラティーナに私の心臓がドクドクと忙しなく騒ぎ出した。

嗚呼、なんて可愛いのだろうか?

私は実の弟が欲しくて欲しくて堪らない。

いや、私だけではなくきっと弟妹全員がジェラティーナのことが欲しくてしょうがない。

 

「今度会いに行ってもいい....?」

「嗚呼、もちろんだ。何時でもおいで。」

 

可愛い可愛い20番目の弟。

例えママの命令でも誰にも目の前の可愛くてしょうがない弟を渡すつもりなどない。

 

私はどうしようもなく、

 

 

ジェラティーナのことを愛している。

 

 

 

 

 

 



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笑うネコ

 

 

 

 

 

 

 

さて、初めましてと言おうか。

俺の名前はシャーロット・ジェラティーナ。

聞けば分かるだろうがあのビッグ・マムの実の息子である。

前世の俺はしがない学生だったのが懐かしく感じてしまう。

説明すると俺はシャーロット・ジェラティーナとしてこの世界、"ワンピース"に転生した。

これを聞けば誰もがは?と思うかもしれないがこれは紛れもない真実である。

気が付いたら赤ん坊になっていて気が付いたら既に30を越えていた。

つまり俺が生まれたことによって、20番目の息子が下がり順番がずれていったことになる。

取り敢えずすまんと謝っておく。

 

俺の事を紹介したところで生まれてから今現在まで悩んでいることがある。

それは兄弟達の異常な愛情だ。

俺は何故かそこまで表情筋が動かず、何処か舌足らずなところがあり、幼げに見える。

それのせいなのか分からないが、上の兄弟からはそれはもう可愛いがられている。

怪我をしたと医者にかかれば、一時間もせずにそれは広まり、1日に全ての兄弟がお見舞いに来るほど俺は異常に愛されている。

 

別に不満はない。

愛されている方が嫌われるよりマシである。

だけど問題はここからだ。

邪魔をされているのか分からないが、俺は33歳になっても結婚が出来ていない。

兄達や姉達の中にもまだ結婚してない人達は居るが、何故俺が結婚出来ないのか謎である。

"エキエキの実"という悪魔の実を食べたがそこまで使える能力だとは思っていないし、寧ろ政略結婚で一番に出されると思っていた。

それなのに俺の弟や妹たちは結婚していくのに未だに結婚出来ない。

なんでだよっ....!前世でも結婚出来なかったし、俺は結婚出来ない運命でも背負っているのか!?

結婚がしたくてそれとなくママに立候補しているのに選ばれることがない。

 

「はぁ....」

 

いや、寂しいとか思ってるわけでもないからそこまで必要に駆られているわけでない。

それでも結婚は1度でもしてみたいと思ってるし、どうせなら可愛いお嫁さんが欲しい。

 

「ジェラティーナどうした?」

 

自分で作ったゼリーを食べながら落ち込んでいると後ろから声をかけられた。

声をかけてきたのはシャーロット家の次男であるシャーロット・カタクリだった。

 

「カタクリにぃ」

「何かあったのか?それとも誰かに何かされたか?」

 

どうなんだ?とこちらに近付いてきて怖い顔をするカタクリ兄さん。

ていうか心の中ならちゃんと"兄さん"って言えるのにいざ声に出すと"にぃ"になっちゃうわけ?

 

「何でもない。それよりカタクリにぃは何か用事?」

 

態々自分の島から出て来てここに来るなんて何かあったのか?

首を傾げるとカタクリ兄さんは口元を抑えて、そっぽ向いてしまう。

 

「いや、今日はジェラティーナが居ると聞いてな。」

「会いに来てくれたの?」

 

暇人か?まぁ、俺も暇人だから偉そうなことは言えないが。

 

「ああ」

「ん...俺も会いたかったよ」

 

カタクリ兄さんとは中々会えないしな。

そう思って言えば、カタクリ兄さんは真っ赤な顔をしていた。

まさか照れたのか?絶対にこれは照れているに違いない!

509㎝もあって根も葉もない噂で勝手なイメージを付けられているカタクリ兄さんは案外可愛い。

ただの弟の言葉に赤くなっているカタクリ兄さんが可愛くて可笑しくて思わず笑ってしまった。

 

俺が笑っているのを見てカタクリ兄さんは更に真っ赤になってしまった。

 

まだまだ結婚は出来ないけどこの生活は悪くはないなと俺はゼリーを頬張った。

 

 

 

 

 



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弟に欲情

 

 

 

 

 

 

 

 

兄弟は特別だ。

例え異母兄弟でも大好きなのは変わりない。

が、それは家族愛に過ぎない。

 

だがたった一人だけには家族愛では済まされない感情を抱いている。

20番目の弟、シャーロット・ジェラティーナに。

 

 

■■■

 

 

今でも覚えている。

初めてジェラティーナに出会った日のことを。

毎度のごとくママが出産を終えれば、夫は直ぐ様国内追放を言い渡され、出ていく。

ジェラティーナの時だってそれは変わらなかった。

朧気だが、ジェラティーナの父親は酷く儚い顔立ちをしており一見女にも見えなくはなかった。

きっとママも顔が綺麗だということで結婚したに過ぎない。

そして生まれてきたジェラティーナも赤ん坊ながらに儚い顔立ちをしていた。

まだ赤ん坊だというのに整っている顔を見て、俺は目が離せなかった。

それからどんどんジェラティーナは成長していき、更に儚い雰囲気を醸し出すようになった。

何処か他の兄弟とは違う異質な雰囲気に惹かれるものは少なくはない。

俺の唯一の兄であるペロス兄でさえ、ジェラティーナのことを特別に可愛がり、甘やかしているのがいい例だ。

そんなジェラティーナが無防備に寝ていたらどうする?

 

今度の遠征の事でジェラティーナが納める島へとやって来た俺は直ぐ様ジェラティーナの元へと通された。

通された部屋に入れば、目に入ってきたのはソファーでネコの様に丸まって寝ているジェラティーナだった。

ジェラティーナが人前で無防備に寝ることなんてそうそうないと言っても過言ではない。

 

「.....ジェラティーナ」

 

気持ち良さそうに寝ているジェラティーナに近付いてきて、頭を撫でる。

 

「んっ....」

 

ドキッと心臓が飛び跳ねる。

俺は今ジェラティーナに欲情しているのが分かる。

小さく呻いたジェラティーナから凄い色気が出ていて、今すぐ抱きたいと思った。

ドクドクとうるさい心臓を無視してジェラティーナの顔にファーを避けて近付いていく。

後数㎝でキスをすると言うときにゆっくりとジェラティーナが目を開いた。

 

「あ、れ....カタクリにぃ?」

 

まだ眠いのかとろんとしている瞳にまた欲情してどうしようもなくなる。

それを振り払うようにジェラティーナから離れる。

意識が覚醒したのか、ジェラティーナはそれを不思議そうに見ながらも起き上がった。

 

「んん....少しだけのつもりだったんだけど、ごめんね、待たせちゃった」

「気にしなくていい」

 

頭を撫でるとジェラティーナは少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。

もうどうしようもない。

俺達は、俺は海賊だ。

だから欲しいと思ったものは力付くで奪えばいい。

 

目の前で微笑んでいる可愛い弟を。

 

 

 

 

 



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美味しそうだと笑った

 

 

 

 

 

 

 

俺達の可愛い弟。

俺より10個以上も年下に生まれた弟。

他にも沢山弟も妹も居るのに誰よりも特別なのはきっと何処か俺達とは異質な所があるからだろう。

そんな弟がおねだりをしてきたら断ることなんて有り得ないだろ?

 

■■■

 

 

「クラッカーにぃ」

 

自分の職務室で仕事をしていれば、コンコンと控えめなノックともに聞こえてきたのは可愛い弟の声だった。

 

「ジェラティーナ?...入れ」

 

何故、ここにジェラティーナが居るのか?と疑問に思いながら促すと恐る恐ると言ったように部屋の中へと入ってきた。

 

「珍しいな、ジェラティーナがここに来るなんて....」

 

20番目のジェラティーナはケーキアイランドと自分の島以外からは滅多に出てくることはない。

俺達が呼ぶか、仕事とかの用事があれば、ジェラティーナも来るが。

 

「....クラッカーにぃにお願いがあって、」

「なんだ?」

 

まさかのジェラティーナの言葉に即答したのはしょうがないだろう。

昔からジェラティーナに何かをねだられる事なんて片手で数えきれるぐらいしか聞いたことがない。

そんな可愛い弟のおねだりを聞かないなんてあり得るわけがないだろう。

 

「クラッカーにぃの作るジャムが欲しい」

「ジャム?」

 

思っていたおねだりとは違った内容に思わず呆然としてしまう。

いや、可愛い弟のおねだりなのだから絶対に叶えるが、なんでいきなりジャムなんだ....?

 

「この前、自分でビスケットを作ったんだ」

「ジェラティーナが?」

「....それでクラッカーにぃが作るビスケットみたいな味にならなかった。」

 

だからクラッカーにぃが作るジャムをつけたら同じ味になるかもしれないと思った。

その言葉に心を撃ち抜かれてしまったのはしょうがないだろう。

まさかそんなことを言われるなんて思いもしなかったのだから。

 

「もちろん、ジェラティーナのお願いだからな。」

 

そう言って仕舞ってあったジャム瓶を取りだし、ジェラティーナに渡す。

それを嬉しそうに顔を珍しく綻ばせたジェラティーナがジャム瓶を開ける。

 

「んっ....美味しい」

 

開けたジャム瓶の中に入っているジャムを指で掬って食べたジェラティーナに身体が熱くなる。

そして次の瞬間、更に身体が熱くなった。

 

「わっ!?」

 

ジャム瓶を閉めようとしたジェラティーナが足を滑らせ、転んだ。

駆け寄ろうとして俺は思わず立ち止まってしまった。

閉めていなかった瓶からジャムが飛び出し、ジェラティーナの身体にまんべんなく掛かっている。

 

「...ベトベト」

 

自分に掛かったジャムをペロリと舐めとるジェラティーナの口からは真っ赤な舌がちらりと見える。

まるでご褒美のようなジェラティーナに身体を熱くさせながら笑った。

 

「美味そうだな」

 

俺の言葉にキョトンとしているジェラティーナをまた欲しくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 



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結婚騒動 ①


全部で①~⑤になります。
ビッグ・マムの口調が行方不明





 

 

 

 

 

 

 

 

どうもシャーロット・ジェラティーナです。

もうすぐ34歳になる今日この頃、ついに....ついに俺にも結婚の話が来ましたーーー!!

 

 

■■■

 

 

「...どうしたの、ママ」

 

書類整理が終わり、ゼリーでも食べようかなと思っていたときにいきなりママに呼ばれた。

ママに呼ばれるなんてそうそうないことだから結構緊張するよね。

 

「よく来たねぇ....ジェラティーナ、結婚しねぇか?」

「え....」

 

まさか33歳にしてやっと俺は結婚出来る?

嬉しすぎて話し半分でママの話を聞いたところ、何処かのお姫様が嫁入りするらしい。

そして今回白旗がたったのが俺だった。

もちろん、大賛成で頷いた俺にママはそりゃあもうご機嫌でした。

 

「それで、何でペロスにぃ達が居るの?」

 

ママのところから帰っている途中、腕を痛いぐらいに引っ張られ、何処かの部屋に入れられた。

誰だこんなことをするのは!とイラつきながら顔をあげるとそこには兄弟の殆どが居た。

いや、普段お茶会じゃない限りそこまで集まらないだろうというぐらい集まっていた。

 

「ジェラティーナ」

「....カタクリにぃ?」

 

俺の問い掛けには誰も応えなかった。

が、デカイ図体で俺の前まで出てきたのは無表情のカタクリ兄さんだった。

 

「お前は結婚をしたいのか?」

 

カタクリ兄さんの言葉に目を見開く。

何故、カタクリ兄さんがそんなことを気にするのだろうか?

そりゃあ、異常だと感じる程愛されているのは何となく分かっていたがまさか結婚の話まで首を突っ込んでくるか?

大事な弟がいきなり結婚することになったからか、それともまたそれとは違う感情なのかは分からないが、明らかに兄弟達は不機嫌そうである。

....ただのシスコンだと思っていたけどそれは違うかもしれない。

 

「.....したい」

「!」

 

俺が素直に言えば、皆が皆ショックを受けたように目を見開いて固まった。

....俺ってそんなに、愛される要素ある?

33歳になって舌足らずで童顔で無表情で無口で.....ヤバイ、自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「にぃ達は反対?」

 

出来れば賛成して欲しいんですけどね!

頼むから頷いてくれと思っているとペロス兄さんがカタクリ兄さんを押し退けて前に出てくる。

 

「ジェラティーナ、本当は結婚なんてしたくないんだろ?」

 

いや、さっきの聞いてた?

俺は結婚したいって言ってたよね?え?

 

「ジェラティーナ何も心配しなくていいのだ。私達が守ってあげよう。」

「スムージーねぇ...」

 

兄だけではなく姉であるスムージー姉さんまでもがシスコンだったとは。

 

「でも、本当に俺は.....」

「ママに逆らえなかったのだろう?」

 

結婚がしたいんだけど。そう言おうと思ったのにクラッカー兄さんのせいで言えなかった。

クラッカー兄さんが大丈夫だと笑いながら頭を撫でてくるが本当に大丈夫な要素はない。

 

「ママの所に行ってくる。」

 

そして終いにはカタクリ兄さんがママの元へと行くと言い出した。

いや、あの.....お姫様と結婚出来るなんて最高だし、あの....

 

お願いだから結婚させてください!!

 

 

 

 

 

 

 



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結婚騒動 ②

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後必死にカタクリ兄さんを引き止め、ママの元に行かせることは阻止できた。

が、俺の結婚のことを聞いた兄弟が殺気だっているのは俺でもどうしようもない。

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

カタクリ兄さんは「何故止める?」「大丈夫だ。上手いことママを説得する。」とか色々言っていたが決して首を縦には振らなかったし、カタクリ兄さんの服を離さなかった。

俺が必死に止めたお陰かカタクリ兄さんは取り敢えず諦めてくれたのでよしとする。

最後まで俺の事を見ながら帰っていった兄弟達に俺はため息を吐いた。

 

ここでまさかただのシスコンではないことが浮上してきてしまったのだ。

これこそ俺にはどうしようもないこと。

でもそのせいでこれから先も結婚出来ないなんて嫌だ。絶対に。

 

そして今日はついにお姫様との対面の日だ。

朝からなかなか兄弟と会わないことに疑問を感じたが、それならそれで邪魔されないからいいやと俺はルンルンでママの所へと行った。

ドアが勝手に開いて中に入れば、ご機嫌なママがそこに居て、見たことがない男達が数人居た。

それが今回嫁いでくるお姫様の国の王様達だと俺は直ぐに気が付いた。

 

「マッママママ!よく来たねぇ~ジェラティーナ」

「そちらが?」

「ああ、そうだ!花嫁は直ぐに来る。」

 

新婦側の親族は恐怖なのか分からないが、かなり顔が強張っている。

そりゃあそうか....只でさえ、ビック・マム海賊団に恐怖があるのに大事な娘を海賊なんかに渡すのだからそんな顔にもなるか。

 

「お、遅れてしまってすみませんっ....!」

 

そんな事を思っているとやっと新婦のお姫様がやって来た。その顔は若干青ざめている。

 

「マッマママハーハハハハ!まぁまぁじゃないか」

「ママ.....」

 

失礼だよ、ママ。

確かに絶世の美人とかじゃないけど、こんだけ可愛いのだから充分じゃないか。

むしろ俺が結婚相手で申し訳ない。

 

「...初めまして」

「は、初めまして!ユーンと申します!」

「ジェラティーナです」

 

微笑めば、青ざめた顔から少しだけ顔が赤く染まった彼女は可愛かった。

それから淡々と話は進んでいき、数日後には結婚式をすることが決まった。

ママはそれはもうご機嫌で始終笑いっぱなしだったのが印象に残っている。

取り敢えず、結婚式まで何もなければいいのだけど...。

殺気だっていた兄弟達を思い出して無事に結婚式が終わりますように....。

その願いがぐしゃぐしゃに壊されたのは言うまでも無いことに俺は気付くことなかった。

 

 

 

 

 



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結婚騒動 ③



視点はシャーロット・ペロスペローになります。
結婚騒動 ①のお話。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェラティーナが結婚をする。

そう聞いた瞬間、居ても経っても居られなくて直ぐ様ジェラティーナに会いに行った。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

私が着いた頃には既にカタクリや数人の弟妹達が居て、数分もしないうちには殆どの弟妹が集まっていた。

全員が不機嫌で、ジェラティーナの結婚話の真相を知りたがっているのが分かる。

誰よりも大切な弟が結婚をするなんて許さない。

それにきっとママに言われてしょうがなくジェラティーナは承諾したに違いない。

弟妹は誰もがそう思っている。

暫くするとコツコツと靴音が聞こえてきた。

何回も聞いたから分かっているが、これはきっとジェラティーナのブーツの音だ。

部屋の前を通るときに私は部屋のドアを開けて思いっきりジェラティーナの腕を掴み、引っ張った。

ドテッと可愛い音をたてて入ってきたジェラティーナは何が起こったのか分からないと言いたげにこちらをキョトンと見上げてきた。

 

可愛い。

全員が思ったことだ。

ジェラティーナは20番目にして33歳だ。

なのにまるで少年のように幼く、可愛い。

だからこそなのか私達はジェラティーナに惹かれる。

 

「ジェラティーナ」

 

カタクリが1番前で出て来てジェラティーナに話し掛ける。

ジェラティーナはカタクリを見上げて首を傾げる。

それを見た何人かの弟妹はかなりキたようで、胸を抑えて悶えていた。

 

「お前は結婚をしたいのか?」

 

きっとカタクリもジェラティーナの仕草に悶えていたみたいだが、顔色を変えずに話を続けた。

それは誰もが聞きたかったこと。

ゴクリと息を呑んで皆がジェラティーナの言葉を待つ。

 

「.....したい」

「!」

 

ジェラティーナは私達が望む言葉を返してくれなかった。

したい?それはママが恐ろしいからだろ?

じゃなきゃあのジェラティーナが結婚を望むなんて有り得ねぇ...有り得るわけがない。

 

「にぃ達は反対?」

「ジェラティーナ、本当は結婚なんてしたくないんだろ?」

 

反対さ。反対に決まっている。

誰が何処の誰か分からない女に可愛い弟を、ジェラティーナを渡したいと思う。

ジェラティーナと結婚する女の事を思い浮かべるだけで殺したくて堪らなくなる。

 

「ジェラティーナ何も心配しなくていいのだ。私達が守ってあげよう。」

「スムージーねぇ...」

 

スムージーもそう思ったのかジェラティーナに笑いかけ、必死に止めようとする。

 

「でも、本当に俺は.....」

「ママに逆らえなかったのだろう?」

 

早く、頷いてくれと思ってもジェラティーナは首を縦に振ることはない。

それに痺れを切らしたカタクリがついに口にした。

 

「ママの所に行ってくる。」

 

そうだ。

ジェラティーナが首を縦に振らないのなら、直接ママに交渉して無理矢理でも無くしてしまえばいい。

きっと弟妹はジェラティーナが居なくならないなら自分達が結婚するとも言うだろう。

それでいい。ジェラティーナが居なくなるぐらいなら自分達の身体を差し出すぐらいどうってことはない。

 

結局カタクリは必死にジェラティーナに止められ、ママの所に行くことはなかった。

が、カタクリが諦めることはない。

さて、ジェラティーナが頷かないなら私達でこの結婚を壊すことにしよう。

カタクリ以外の弟妹もまるで分かっていると言いたげに頷いたのを見て、それぞれの島へと帰っていった。

 

「誰にも渡しはしないさ」

 

だってジェラティーナは私達のモノなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 



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結婚騒動 ④


顔合わせ当日のシャーロット・カタクリ目線





 

 

 

 

 

 

ついに今日、ジェラティーナと結婚する女が顔合わせをする日になった。

ジェラティーナの嫁になる女を一目見ようと兄弟達はそれぞれの島からホールケーキアイランドにやって来た。

格言う俺もそうだ。

 

「クラッカー」

「あ、カタクリの兄貴」

 

ホールケーキアイランドにつき、城に入れば直ぐにクラッカーが居た。

クラッカーもこちらに気が付き、近寄ってくる。

 

「どんな女なんだろうな、ジェラティーナの嫁は」

「さぁな。...だが、どんな女だろうとジェラティーナと結婚することは許さない。」

「もちろんだ。ジェラティーナから離れるなんて有り得ないからな。」

 

二人で会話をしながら歩いていけば、今度はペロス兄が居た。

 

「ペロス兄」

「嗚呼、お前たち....全くなんて日だ。」

 

ペロス兄は窓から見える空を見て言う。

憎たらしいことに今日は晴天で、弟の晴れ舞台を祝うならば絶好の日だ。

が、そんな気持ちがない俺達にとっては最低最悪な天気である。

 

「さっき、花嫁の家族御一行が来た。もうじき花嫁も来るらしい。」

「そうか。」

 

遅れてくるなんて良いご身分だな。

用意されている部屋に行けば、既に他の兄弟達も全員揃っていて、俺達が最後だった。

 

「兄さん!」

 

この中でスムージーが駆け寄ってくる。

 

「どうした、スムージー」

「いや、落ち着かなくてな....本当にジェラティーナは結婚するつもりなのか?」

「分からん。が、させるわけがないだろ。」

「そうだ。ジェラティーナは結婚なんてしない。」

 

俺達の言葉にスムージーは安心したのかほっと息を吐いてまた妹達の中へと入っていった。

俺達も弟たちが集まっている場所へと行って気持ちを落ち着かせようと会話を始めた。

 

 

■■■■

 

 

ホーミズに持たせた映像電伝虫により、ジェラティーナと花嫁が一緒に居る姿が映される。

花嫁の女はまぁ、可愛いと言うのが兄弟の言葉だった。

だが、どう考えてもジェラティーナには到底相応しくないと俺達は思う。

顔が可愛いぐらいで特に何てことのない女が何故、ジェラティーナの嫁になれる?

誰にもやるつもりはないが、ジェラティーナの嫁になるならば完璧じゃないと有り得ない。

 

「なんか....ジェラティーナ楽しそうだな。」

 

モンドールがぽつりと呟いた。

それを聞いてジェラティーナに視線を向ければ、無表情には変わりがないが、何時もよりも柔らかい顔をしているのが分かった。

それにズキッと胸が痛んだ。

それは周りも一緒で、全員が苦しそうな顔をしつつ、女を睨み付けた。

 

「どうやったら結婚が無くなる?」

「.....カタクリ」

「ペロス兄、どうやったら、」

「私にいい策が思い付いた。」

 

その言葉にペロス兄を見るとペロス兄は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「これから作戦会議を行う。全員座ってくれ。」

 

ペロス兄の言葉に俺達はそれぞれ椅子に座った。

それを見たペロス兄は口を開き、思い付いた策を俺達に説明する。

俺達は目を見開いた後、笑みを浮かべた。

そうか、そうすればジェラティーナの結婚が無くなるのか。

 

「分かったな?」

「ああ、直ぐに動こう。」

 

もし上手くいけば、これ程いいことはない。

ちらりとジェラティーナと楽し気にしている女を見て、俺は嘲笑った。

今のうちだ。今だけジェラティーナと居ることを許してやる。

最後にはその笑顔が絶望に染まる。

 

俺は笑みを堪えることが出来なかった。

そしてそれは他の兄弟も一緒で、笑みを浮かべてジェラティーナの事を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 



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結婚騒動 ⑤




これにて結婚騒動は終わりです。
次からは通常に戻ります。


 

 

 

 

 

 

 

なにこれ....どういう状況なの?

結婚することは決まったので後は式をするだけである。

それなのに目の前の光景はなに?

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

仲良くなれたお姫様及び俺の婚約者、ユーン様は大層可愛らしい方だった。

手がたまたま触れ合えば、顔を真っ赤にし、慌てふためく。

名前で呼んで欲しいと伝えば、「なら、ジェラティーナ、様も....」と顔を真っ赤にする。

心の中ではユーン様と呼んでいるが、呼び掛けるときとかは全てユーンと呼び捨てにしている。

それをたまたま聞いたペロスペロー兄さんが酷く傷付いた顔をしていた。

それに胸がズキリと痛んだが、俺は自分が結婚し、幸せになることを選んだ。

そしてついに結婚式をする日、事件が起きる。

 

 

 

 

「入ってもいい?」

「ジェラティーナ様!?...えと、どうぞ...」

 

コンコンとノックと共に話し掛ければ、中から驚く声と共に許可を出す言葉。

それを聞いて中へ入れば、真っ白なウェディングドレスを着て恥ずかしそうにしているユーン様の姿があった。

純白なウェディングドレスを着ているユーン様はまるで天使のようで....

 

「凄く綺麗」

「!あ、ありがとうございますっ....」

 

ポツリと声を漏らせば、嬉しそうにしながらも俺に微笑みかける。

俺はこれからの人生、ユーン様と生きていく。

まるで子供のように笑う笑顔をみて、俺は守っていくことを決意した。

 

「そろそろだね」

「はいっ!」

 

そろそろ結婚式が始まる時間だ。

ゼウスが来て俺とユーン様を乗せてくれるだろう。

そう思っているとゼウスがタイミングよく来たのでユーン様の手を掴み、支えながらゼウスの上に乗る。

ゼウスは俺達がちゃんと乗ったことを確認し、勢いよく動き出した。

この分なら直ぐに式場へつくだろう。

嗚呼、そう言えば何故か今回は来賓が来ないらしい。

ユーン様とユーン様の家族と俺達シャーロット家の者しか居ないと聞いた。

それを聞いてユーン様は嫁ぐと言えど、一国のお姫様なのにそれでいいのか?と思ってしまったが、ママの決めたことだからと何も言わずに頷いた。

そう思っている間に式場につき、結婚式が始まる。

 

「ジェラティーナ」

「どうしたの、ママ」

 

始まる。そう思っていたのにママにいきなり話し掛けられてビックリする。

何時もだったらママはケーキの時間になるまで新郎や新婦に話し掛けないのに。

 

「結婚式は終わりだ!」

「は?」

 

いやいや、何を言ってんの!?

これからでしょ?結婚式が始まるのは!

隣に居るユーン様も呆然としており、ユーン様の家族も目を見開いて驚いているのが分かる。

 

ピチャッ!

 

「....は?」

 

ユーン様と同じように呆然としていれば、何かが顔に飛んできて、それを恐る恐る震える手で触れば、掌が真っ赤に染まった。

飛んできたのは血だった。

誰の?これは一体誰の.....俺は信じたくない気持ちで横を見た。

そこには首から上がないユーン様が居た。

首はその足下にコロンと転がっている。

 

「ユーン!」

「ビッグ・マムめっ....!」

 

ユーン様の家族たちが怒りの声をあげる。

 

「ジェラティーナ」

「....カタクリにぃ?」

 

何をすることも喋ることも出来ずに居れば、いつの間にか近くまでカタクリ兄さんが来ていた。

なんでこんなこと....と聞こうとした所で、身体が動かないことに気が付いた。

目線をカタクリ兄さんから自分の下半身に移した俺は絶句した。

白いモチモチとしたモノが俺の下半身に絡み付いていた。

白いモチモチなんて答えは1つしかない。

 

「カタクリにぃ...!」

「アイツはお前を誑かした女だ。」

「何を言って、」

「大丈夫だ、ジェラティーナ」

 

優しい手で俺の頭を撫でるカタクリ兄さん。

本当だったら怒鳴り付けたいのに、頭を撫でられるだけで怒りが和らいでいくのが分かって、唖然とした。

そして気付く。否、気付いてしまった。

この状況で兄さん達に刃を剥こうとしない俺はきっと.....兄さん達と同じように異常なのだと。

まさか異常だと思っていた兄さん達と同じで俺自体も異常だった。

それに絶望して全てがどうでも良くなってしまう。

大切にしようと思った彼女も、彼女を殺されて怒る親族も、彼女を殺した兄さん達も、俺の事を優しく撫でるカタクリ兄さんのことも。

 

「ははっ....」

「ジェラティーナ?」

 

俺はきっと兄さん達からは逃げられない。

それを悟って涙を流した。

 

 

 

 

 

 



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ヒロインは俺

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、綺麗な顔してるな」

 

目の前には見たことがある男がニヤリと笑みを浮かべて俺の事を見ていた。

 

なんでここに居るんだよ!トラファルガー・ロー!

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

ママに言われ、万国には近い場所に遠征に行くことになった俺。

周りの兄弟達は必死に引き止めて来たが、大丈夫だからと言って出てきた。

全く皆過保護なんだよ....。

 

順調に島へついた俺は速く仕事を終わらせるために早速動き始めた。

そして粗方終わり、そろそろ船に戻るかと思っていた時に出会ったのがトラファルガー・ローだった。

 

「なにか?」

「全然表情変わらねぇな」

 

いや、本当に何のようで話しかけてきたの!?

しかもさ、今気が付いたけどこれって壁ドンだよね!?

 

「お前がシャーロット・ジェラティーナだろ?」

「だったら?」

「噂通りだな...」

 

待って。待ってって!噂通りって何ですか?

俺どんなこと言われてるの!?

目の前のトラファルガーよりもそっちの方が気になり始めたんですけど!!

 

「なァ、ジェラティーナ」

「気安く呼ぶなよ」

「クックッ...そう言うなよ。」

 

怖いんです。

今目の前の男が怖くて仕方がないんです。

ここで素直にそんなこと言ったらママの顔に泥を塗るのも当然である。

だから口を閉じてトラファルガーの顔をマジマジと見てみることにした。

漫画で見た通りに酷い隈だな。

でもそんなの気にならないぐらいに整った顔をしているから女が沢山寄ってくるのかな?

 

って、あれ?

なんかいつの間にか抱き上げられてるんですけど?

 

「ちょっ....!」

「ジェラティーナ、俺の元に来い。」

「は?」

 

俺の事を抱き上げながらトラファルガーはまるで世間話をするように軽く言った。

何をいっているんだこの隈野郎は。

 

「お前...」

「まぁ、拒否権なんてないけどな。海賊は欲しいものを奪うからな。」

「テメェ....」

 

だったら最初から聞くんじゃねぇーよ!

ていうか分かってるのか?

俺を仲間にするってことはママに喧嘩を売ることと同義であることに。

そして俺が頷いてしまえば、それはママを、兄弟を裏切ることだってことを。

そんな勇気俺にはない。

そりゃあ、ママに喧嘩を売るなんて自殺行為事態に恐怖があるが何より彼処まで可愛がってくれている兄弟を裏切るなんて俺には出来ない。

 

「が、ビッグ・マムを敵に回すなんてごめんだからな。」

 

そう言って下ろされる。

いや、今の時間は何だったのか?

 

「......」

 

惜しいなみたいな顔をされても困るんですけど....けど、トラファルガーは嫌いじゃない。

正確には前世で見たときから好きなキャラだった。

だからここで会ったのも何かの縁だ。

 

「....友人なら、」

「!ああ、それでいい。」

 

取り敢えずは、な。

何か小声で聞こえた気がしたけど、気のせい。

 

「よろしく、トラファルガー」

「友人なんだからそこはローだろ。」

 

呆れたように笑ったトラファルガー....ローに俺も思わず笑った。

前世で見たことがない驚いたような顔も良いなとか思ってしまった。

 

 

 

 

 



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死の外科医の恋情


ヒロインは俺のローside


 

 

 

 

 

 

 

 

 

一目見たときから目が離せなかった。

とある日の新聞を何気無く開き、何時ものように手配書を見た俺は思わず固まった。

ペンギンが不思議そうにこちらを見やるが、そんなこと気にならないぐらい俺は夢中だった。

 

ビッグ・マム海賊団 冷酷殺人鬼

シャーロット・ジェラティーナ 5億7000万B

 

かの有名なビッグ・マムの息子だと簡単に分かってしまうほど大きく取り上げられ、男にしては綺麗すぎる顔立ちの手配書は誰もが欲しくなるほどの色気があった。

 

「それは....ビッグ・マムの、」

 

ペンギンが俺の見ている手配書に気が付き、ビッグ・マムの文字を見て驚く。

 

「......ペンギン」

 

俺は手配書を机の上に置き、立ち上がる。

名前を呼ばれたペンギンは怪訝そうに俺の事を見てくるが、何かを言う気配はない。

 

「コイツを仲間にする。」

「え、は...ハァァァ!?」

 

俺の言葉に驚いたペンギンの絶叫が船中に響いたことにより、クルー全員が集まると言う異例の状態を起こした。

 

■■■

 

 

自棄にザワザワとしている。

島について数分、俺達が来る前から何故かざわついていた。

それを怪訝に思い、村人に尋ねてみるとどうやらここにビッグ・マム海賊団が来ているらしい。

もしかしてと淡い期待を込めて誰かが来ているのかを更に問い詰めると"千手のクラッカー"が来ているらしい。

チッ....期待外れかと思い、その場を離れた。

ビッグ・マム海賊団といざこざを起こすなよとクルーに伝え、俺は船に戻るために適当に島を見ながら帰っていた。

 

「!」

 

その時、見付けた。

ビッグ・マム海賊団 冷酷殺人鬼のシャーロット・ジェラティーナを。

まさか居るとは思いもしなかったが、遠目から見ても綺麗な顔立ちをしていた。

 

「へぇ、綺麗な顔してるな」

 

ジェラティーナに近付いてがニヤリと笑みを浮かべれば、ジェラティーナは少しだけ驚いたように俺の事を見た。

 

「なにか?」

「全然表情変わらねぇな」

 

だけど次の瞬間にはもう既に無表情になっていた。

 

「お前がシャーロット・ジェラティーナだろ?」

「だったら?」

「噂通りだな...」

 

無表情で極端に言葉が少ない。それに加えて綺麗すぎる為に誰もが容易く近寄ることを躊躇する。

 

「なァ、ジェラティーナ」

「気安く呼ぶなよ」

「クックッ...そう言うなよ。」

 

普段だったら苛つくような冷たい生意気な言葉もジェラティーナの言葉だと思ったら欲情する。

ジェラティーナに手を伸ばして抱き上げる。

 

「ちょっ....!」

「ジェラティーナ、俺の元に来い。」

「は?」

 

ジェラティーナの事を抱き上げながら俺はまるで世間話をするように軽く言った。

 

「お前...」

「まぁ、拒否権なんてないけどな。海賊は欲しいものを奪うからな。」

「テメェ....」

「が、ビッグ・マムを敵に回すなんてごめんだからな。」

 

まだその時ではない。

別にジェラティーナを手にいれる為ならば、ビッグ・マムを敵に回すぐらいどうってことない。

まぁ、クルーには迷惑をかけるだろうが。

 

 

「......」

 

多分ジェラティーナは無表情だが、俺の事を嫌いでは無いのだろう。

それにここで会えたのも何かの縁だ。

 

「....友人なら、」

「!ああ、それでいい。」

 

取り敢えずは、な。

絶対に逃がしはしない。

 

「よろしく、トラファルガー」

「友人なんだからそこはローだろ。」

 

呆れたように笑った俺にジェラティーナも笑った。

船に帰ったらペンギンにビッグ・マムの船があったのに単独行動をするなと怒られたが、これからの事を思い浮かべたらそれすらも気になりはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 



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