夢見りあむは救われたい (桃音@まゆすきp)
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夢見りあむは推したい

はいどーも、ももねです。
お久しぶりです。元気です。


このサイトでの最後の投稿作品なので気合入れてとにもかくにも頑張りますっ!!!


「しあわせならてをたたこー

しあわせならてをたたこー

 

しあわせならたいどでしめそーよー

ほら、みんなでてをたたこー」

 

SNSを見ながらぽちぽちするするとスマホを操作する。

 

今のぼくが幸せなのか、どうなのか

ぼくにはわからない。

 

大好物の餃子を頬張りながら、またSNSの通知を見る。

 

あぁ。

今日も誰かに構ってもらえる。

 

 

誰かに注目してもらえる快感を知ったのは、いつだったっけ。

 

 

「やむ…。」

 

指先でスワイプして、新しい情報を更新する。

 

注目される為なら、炎上でもなんでもやる。

そしたら、ぼくを皆が見てくれるからさ。

 

それが今のぼくにとっての“シアワセ”なわけで。

 

真夜中の方がみんな見てくれるから、夜遅くまで起きてSNSを更新更新更新更新更新更新。

 

どうせ学校にも行ってないんだから、いつ寝たっていい。

何もかもが自由。

 

海外にいる親からは十分に仕送り貰えてるし、生きていける。

 

 

「誰でもいいからぼくをチヤホヤして可愛がってよぉー…」

 

そんな独り言を聞いてくれる人なんてこの狭いぼくの世界の中にはいない。

 

「あーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

 

でも、時折そんなんじゃ足りないって…物足りないんだって頭を無性に掻き毟りたくなるんだ。

 

 

 

 

もしも。

仮にもしもだよ。

 

ぼくが今死んじゃって、悲しむ人ってどれだけいるんだろうって考えてみてよ。

 

 

きっと誰一人としていない。

 

それはぼくが世界で一番よくわかってる。

 

わかっているからこそ、どうにもならない。

だってどうもなんないじゃん。

 

 

尊いアイドルを推して、ブログに載っけて、なぜか炎上して、でもアイドルは尊い存在だから推し続けて。

 

でも、きっとそんなぼくが居ても居なくても世界はちゃんと1日に1回ぐるっと一周するんだよ。

 

 

「やむ。」

 

こんな暗い事考えるのやめだ!やめ!

 

とりあえず今日はあんちゃんのライブなんだよ!ライブ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っっっっはぅっっぁっっっ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尊い。

 

推しが尊い。

今日は3回も目が合ってレス貰っちゃったよ。

 

尊い。

推しが生きてるだけで尊い。

ありがとう。ありがとう神サマ。

 

「ぼく、生きててよかった…。」

 

ブログに今日の感想、あんちゃんの尊さを込めて文章を打ち込む。

 

ほんっと尊い。

あんちゃんが尊くないオタクはみーんなエアプ!なに見て尊くないって言えるんだ!

 

ほんっっっとあんちゃんすこ!ずっと推す!推し変なんて絶対しない!!!

 

 

いや、ほんと推し変しちゃうオタクが信じらんないわ。

推しを増やす、ならわかるんだけどさ。

押しを変える、はわかんなくね?ぼくだけ?

いや、誰に言ってんだ。

 

とにもかくにも推しが尊い。

めちゃくちゃ尊い。

尊さを、もっと伝えたいけど…。

 

 

 

 

けど、その前にチェキ列並ぼう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りあむちゃん、今日も来てくれてありがとうっ!」

 

推しが尊い笑顔で尊いポーズで尊い声でぼくを呼んでいる…なにここ天国か?楽園なのか??

 

なにを話したか覚えてはないけど、最高な笑顔の推しとにやけた面のぼくのツーショットチェキが一枚手に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへ…うへへへへ……」

 

帰り道、手に入れたチェキを眺めながらにまにま歩いていたら

 

 

その時は急に来た。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、貴女。

 

アイドルに興味はない?」

 

 

 

 

「へ?」








はいっ!この作品は夢見りあむ×女性Pのお話でございます。

続きの投稿はまた完成してからです。
それではっ!


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夢見りあむはスライディング土下座で逃げ出したい

 

「へ?」

「どうかしら……。

私は346プロダクションの者なのだけれど。」

 

は?

346プロダクションって大手じゃん。

765プロダクションに並ぶ大手事務所じゃん。

 

「え、なに一世一代のバカなの?」

「いきなり暴言吐かれるととてもショックを受けるわね」

「あ、ごめん」

 

いや、待ってよ。

ぼくじゃないだろ。

 

「その…スカウトさん…。

ぼくじゃなくてあんちゃんをもっと輝かせてよ…。あんちゃんあんなに頑張ってるんだぞ。」

「あんちゃんさんは今は地下アイドルとして頑張って、いつか自分の力で上に上がりたいって言ってたわ。」

「はぁ!?!?あんちゃんと話したの!?いつ!?」

「あなたの後ろに並んでいたわよ…」

 

は?いつだよ。チェキか?チェキなのか??

 

「さぁ、聞かせて頂戴。

あなたにとってアイドルとは?」

 

ぼくにとってのアイドル?

 

「そりゃ勿論尊い。アイドルは尊いんだ!よ!!アイドルがぼくたちを見てくれるからぼくたちはすこすこのすこになっちゃうんだ!

努力して、汗水流して一生懸命がんばるアイドルが大好きなんだ。」

「じゃあその大好きなアイドルにさらに近付きたくない?」

「お近付きになりたい!あわよくばちやほやしたい!されたい!」

 

はっ、つい欲望がだだ漏れに。

 

「ただぼくなんかがアイドルになって炎上しない?」

「多少なら炎上してもいいわよ。」

 

大丈夫なのか?このスカウトさん。

 

「…ただし、ネットの利用はある程度制限するわ。」

「やっぱ炎上するって思ってんじゃん!!!!」

「ほら炎上商法でライブ中止になった例もあるし…ね?困るじゃない?」

「生々しいからやめろし!」

 

大丈夫じゃない。こいつまともじゃない。ぼくもか!あははは〜。

 

 

…じゃなくて。

 

「ほんとに…ぼくでいいの?」

 

ぼくには何もない。

中途半端で放り投げるばかりで何もない。

 

 

「貴女がいいの。

 

ね、私の事務所にいらっしゃい。」

 

 

待って。

 

ちょっとなんか引っかかった。

 

「…あ、あれ、スカウトさんじゃないの??」

「私はプロデューサーよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカウトさんだと思っていたことをスライディング土下座で30分近く謝り倒しました。

 

 

「じゃ、夢見りあむさん。

明日説明とアイドル達と顔合わせしてもらうからよろしくね。

書類も書いてもらうから印鑑と身分証は忘れないで頂戴ね。」

 

 

うーん、これガチでぼくアイドルになっちゃう系ですか?大丈夫?怒られない?燃えない?やばくない???

 

「ち、ちなみに誰がいますのでしょうか?」

 

 

恐る恐る聴いた質問には

佐久間まゆちゃん…森久保乃々ちゃん…橘ありすちゃん…棟方愛海ちゃん…喜多日菜子ちゃん…遊佐こずえちゃん…佐城雪美ちゃん…。

 

 

名だたるアイドル。

やばい、もうぼく今日が命日でもいいや……。

 

 



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あんちゃんだって救われたい

これはたった1人の地下アイドルの話。














 

ある日、

 

本当に突然だった。

 

「チェキ券見せていただきますねー」

「その前にちょっといい?

私、346プロダクションの者なのだけれど。

この後時間をもらえるかしら?」

 

チャンスが突然舞い降りてきた。

私はそう思った。

だって、346プロダクション。

あの、しゅがみんが所属しているプロダクションなんだよ。

 

地下アイドルを続けて、何年も夢見た世界。

 

「はいっ。」

 

このチャンスを掴まなきゃいけない。

そう私は思ったんだ。

 

 

 

 

 

「346プロダクションの……と申します。

単刀直入に言うわ。

 

 

あなた、うちの事務所のアイドルにならない?」

 

正直、やったぁって小躍りしたくなった。

でも私だって立派な大人。

ちゃんと聞くべき事は聞かなきゃ。

 

「346プロダクションの所属アイドルになれる、という事でよろしいんですか?」

「そうよ。

私のグループは佐久間まゆ、森久保乃々、橘ありす、棟方愛海、喜多日菜子、遊佐こずえ、佐城雪美など…まだまだ多数のアイドルをプロデュースしているわ。」

 

具体的なアイドルの名前を聞いて、この人がすごい事だけはわかった。

 

「え、あなたはただのスカウトではないんですね?」

「スカウトではなくアイドルのプロデューサー、ね。」

 

プロデューサー直々に声をかけて貰ったという事なのか。

 

「そんな硬い顔しないで。

今日あなたともう1人声をかけたい子がいるんだけど。

 

さっき私の前に並んでいた子。」

 

不意に自分のファンの女の子の顔を思い浮かべた。

いや、多分違うよね。

 

「りあむですか…?」

 

恐る恐る彼女の名を呼ぶ。

 

「えぇ。あなたの大ファンりあむちゃんよ。」

「うげ。まじですか。」

 

悪い子じゃない。むしろアイドル的にはとてもいい子。

 

単推し客はとてもありがたい存在だし、CDもチェキも握手券も買ってくれるいいファン。

 

ただ…

 

「あの子炎上しやすいです……よ……?」

「そうね。知ってるわ。

 

あの子を見たときにね、とても輝く才能を感じたの。」

 

は?

 

口に出さなかった。

 

色々な気持ちが混ぜこぜになって気持ち悪い。

待って、私をスカウトしにきただけじゃないの???

 

「私を見つけたんじゃなくて…りあむなんですか……?」

「…正直に言うとそうね。」

 

悔しい。

素直に悔しい。

 

チャンスが舞い降りてきた!なんて浮かれていた私がバカだ。

そんな美味しい話なんて最初からなかったんだ。

最初からりあむに舞い降りてきたチャンスだったんだ。

 

夢見りあむが憎い。

 

 

憎いはずなのに全く憎めない。

 

 

とりあえずこの話は受けない。

 

私のプライドの為にも。

 

それに、もっと地下アイドルで……。

 

「ごめんなさい。

 

この話はお断りします。

 

私、ちゃんと地下アイドルやってがんばります。

 

それで、もっと上に上がります。

 

346プロダクションのアイドル達よりも、ものすんごいアイドルになるんですから

 

覚悟してくださいよね!」

 

 

あーぁ、私ってばもったいなーい。

でもこれでよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下のライブハウスに来る馴染み客が1人減った。

 

 

と、思ったけれどたまにチェキを撮りにくる。

 

 

 

そしてたくさんお客さんが入るようになった。

 

 

多分、この前のテレビであの子が「あんちゃん尊い!フォーエバー!!!!」なーんていつも通り言い放ったからじゃないかな。

 

 

 

鏡を見て、衣装チェック。

 

私はあの子がいう尊いアイドルなんかじゃない。

 

だから、私は尊いアイドルになりたい。

 

 

 

今度、便箋を買ってみよう。

 

 

 

 

 

りあむがきっと驚いてしまうようなファンレターを描いてしまおう。

 

 

 

きっと私が夢見りあむのファン第一号なのだから。

私を救ってくれたアイドルだから。





2話更新くるとは思わなかっただろ!
ぼくだって本気出せば書けるんだからな!!!()


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