戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです。 (銅英雄)
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パワポケキャラとオリキャラのイメージCV 怪奇ハタ人間編

「戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです」を閲覧していただきありがとうございます。

 

今回はこの小説に登場するオリキャラとパワポケキャラのイメージCVを私なりに考えたものになります。

 

一部本編にて出番と台詞がないキャラがいますが、そのキャラ達は本来ゲームで登場しているキャラなので、その辺りは御了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

声の出演

 

大宮鈴音 南條愛乃

 

響未来 井口裕香

 

小波十一郎 内山昂輝

 

落田太二 坂口大助

 

越後竜太郎 小野大輔

 

白木恵理 小清水亜美

 

青野柴夫 安元洋貴

 

大神博之 檜山修之

 

有田修吾(台詞無し)中村悠一

 

平山紀之(台詞無し)小林佑介

 

堤篤宏 日野聡

 

石田昭三 伊藤健太郎

 

村山はじめ(台詞無し) 蒼井翔太

 

榎本梨子 逢田梨香子

 

霧生夏菜 日傘陽子

 

神木唯 鬼頭明里

 

石川梨子 戸松遥

 

白瀬芙喜子 高垣彩陽

 

神条紫杏 ささきのぞみ

 

南雲瑠璃花 三森すずこ

 

光山平七 子安武人

 

小野映子(出番と台詞無し) 堀江由衣

 

アルベルト・安生・アズナブル 杉田智和

 

ドミオ・バンデラス(出番と台詞無し) 小西克幸

 

ウ・ホンフー 柚木涼香

 

椿兵馬 岡本信彦

 

唐沢博士 古川登志夫

 

高坂茜 諸星すみれ

 

田中深雪 遠藤綾

 

元田夢二(出番と台詞無し) 緒方賢一

 

小波母(主人公の母親) 寺内よりえ

 

小波父(主人公の父親 出番と台詞無し) 松本保典

 

村山ふみえ(出番と台詞無し) 小林さやか

 

ギャスビゴー星人 三木晋一郎

 

ギャスビゴー星人(埋め立て地基地のボス格) 千葉翔也

 

ギャスビゴー星人(倉庫のボス格) 木村昴

 

不良ハタ型人間 浅沼晋太郎

 

おばちゃん型ハタ人間 戸田恵子

 

宇宙ビースト(アンデットビースト) うえだゆうじ

 

ムゲンダイナ 山寺宏一

 

カメダ 坂口大助

 

救助兵 茶風林

 

唐沢ヒナコ(出番と台詞無し) 花澤香菜

 

 

 

 

 

という訳で本編の登場キャラクターのイメージCVでした。

 

 

~ここからはこの小説のこれからの予定~

 

この案件を思い付いた時点……去年の12月位かな?でパワポケ11裏サクセスの次の世界線はパワポケ13裏サクセスの世界を中心として、パワポケ12裏サクセスの世界と混合させるという某ニコニコ動画であった展開を採用しようと思います(動画を挙げた人はすみません……)。

 

ですのでこの設定が投稿されている5月1日時点から十数日前後に作成する海洋冒険編の次の章は海洋冒険編と秘密結社編を混合させた『海洋ファンタジー編』を投稿します。

 

そして更に登場キャラクターが増えます(捌けるか不安……)。具体的には秘密結社編のキャラクターに+して複数の他作品からキャラを出演させます。



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怪奇ハタ人間編
プロローグ 龍物語から得た経験値が活きる時?次行く世界はファンタジーチックな場所!?


能動的に衝動的に書きたくなった作者を許してくれぃ……!


私は大宮鈴音(おおみやすずね)!ちょっと前までは普通のJKだったんだけど、家に帰ってベッドでグッスリ寝ていたと思ったらあら不思議!なんとドラゴンボールの世界に女サイヤ人として転生していたのだ!!

 

なんとか生還しようと修行修行と繰り返しチートパワーを身に付けたは良いものの、これまた気が付いたら身体が透けていた!

 

このまま消えちゃうのか!?と思っていたら私の親友の響未来(ひびきみらい)が助けてくれた!なんと未来もドラゴンボールの世界に転生していたらしく、しかも私より何十倍も強いときたもんだ!しかも神様ポジションだって。インチキ効果もいい加減にしろ!!

 

……なんてすったもんだがあった後に私は異世界に行くことになり、未来がそのための準備をしているので、その間に私はモノローグを語れるだけ語っておくのだ!!

 

未来「……いつまでブツブツ言ってるのよ。もう準備が終わったわよ」

 

うそん、速すぎ。

 

鈴音「ありがとう。……それで次私達が行く世界はどんな世界なの?」

 

未来「次に行く世界は……」

 

どんな世界が待ってるのかな?なんせドラゴンボールという鬼畜仕様なバトル世界でトップクラスの実力を身に付けたからね。そんな私だからジョジョでもワンピースでもドンとこいって感じだよ!

 

未来「パワプロクンポケットの世界よ」

 

……………………。野球しろと?

 

未来「正確にはパワプロクンポケットの裏サクセスね」

 

鈴音「裏サクセス……?」

 

つまり勇者になって冒険したり、忍者になって大戦を生き延びたり、大正の世界で戦ったり、宇宙飛行士になったり、モグラ(戦車)に乗ったりすればいいの?

 

未来「私達が行くのは11~13の裏サクセスよ」

 

鈴音「しれっと私の心を読まないでほしいんだけど……。つまり私達は11~13の裏サクセスの世界を順番に行くってことだよね?」

 

未来「そういうことになるわね」

 

何それ怖い。別作品で麻雀頑張ってる私達ですら本編番外編茶番合わせて100話以上もやってるのに、3作品分も行ったら単純計算で300話を越えるじゃん!作者の気持ちもっと考えてよ!

 

未来「……何を下らない事を言ってるのよ」

 

鈴音「……はっ!今作者の悲鳴が聞こえたような」

 

未来「メタ発言はそこまでにしておきなさい。それよりも貴女に封印を施すわ」

 

えっ?なんかいきなりエクゾディアやドキンダムやドルマゲドン扱いされてるんだけど……。

 

未来「封印というよりは抑制ね。ゲーム風に言えば貴女のステータスを初期値に合わせるのよ」

 

鈴音「要するにその世界でレベル上げをしなきゃいけないみたいな感じ?」

 

未来「そう捉えてかまわないわ。それじゃあいくわよ」

 

封印……もとい抑制の呪文をかけるのね。

 

未来「アンニャアカタブラサッサ!」

 

ぼわわわ~ん!!

 

鈴音「……抑制の呪文をかけたんだよね?」

 

未来「そうよ」

 

鈴音「……なんか私には『今から行く世界で成果を出さなきゃ私が死ぬ』呪文に感じたんだけど?」

 

未来「気のせいよ」

 

本当に気のせいだよね!?なんか未来がランプの魔人に見えたんだけど!?

 

未来「そんなことより急ぐわよ。もうゲートは出ているわ」

 

あっ、本当だ。……色々気になる事はあるけど、今は今から行く世界の事を第1に考えるべきだよね。

 

鈴音「何時でも準備はできてるよ」

 

未来「それじゃあ行くわよ」

 

私達はゲートに入って異世界へと向かった。

 

 

~そして~

 

未来「着いたわ」

 

どうやら着いたらしい。

 

鈴音「此処は……ショッピングモール?」

 

未来「そうみたいね」

 

裏サクセスでショッピングモール?ということは……。

 

「ヒャッハー!彼処にハタを立ててねぇ奴等がいるぜぇ!」

 

「それはいけませんね。皆さん、彼女達にハタを立ててあげましょう!」

 

……いきなりゲームオーバー寸前のようです。




今回はここまでです。

次回からパワポケ11の裏サクセスの『怪奇ハタ人間』編に入ります。


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第1話 ショッピングモールで物品調達と避難場所の確保

今回もよろしくです。


オッス!オラ鈴音!異世界のショッピングモールに着いた途端頭にハタを立てた人達に追いかけられてえれぇてぇへんなんだ!

 

そんなわけで今も10人以上のハタ人間に追いかけられています。

 

鈴音「着くなりいきなりこれとは……」タタタッ

 

未来「しょうがないじゃない。細かい場所までは設定出来なかったのだから……」タタタッ

 

とりあえずは玩具売場へと走り続ける私達なのです。

 

 

~そして~

 

ハタ人間達の追跡を撒いてなんとかハタ人間の弱点を突ける水鉄砲……クリアワルザーを入手した。

 

鈴音「とりあえず向かってくるハタ人間はこれでなんとかなるね」

 

未来「予備にもう幾つか拝借しておきましょう。本来は万引きになるけれど、この非常時だから誰も文句は言えない筈よ」

 

なんだか釈然としないけど、仕方ないよね。

 

未来「次は食品売場へ向かいましょう」

 

鈴音「そうだね。生き抜くためには食料は必須だから……ん?」

 

未来「どうしたのかしら?」

 

鈴音「ねぇ未来、あれって……」

 

前方を見るとハタ人間に襲われている2人の男の子がいた。制服着てるし、片方は丸眼鏡をかけてるから多分主人公君と相方の眼鏡君だろう。

 

未来「……とりあえず助けた方が良さそうね」

 

鈴音「うん、あの2人にハタが立ってしまったら物語が終わっちゃいそうだしね」

 

2人を助けるという方向で私達は2人を襲っているハタ人間にそっと近付いて……。

 

 

バシャッ!

 

 

クリアワルザーを発射した。

 

???1「えっ……?何が起こったんだ?」

 

???2「な、何かよくわからないけど、助かったでやんす!」

 

2人は何が起こったかよくわかっていない様子だった。

 

鈴音「2人がハタを立てられそうだったから水鉄砲を浴びせた。それだけだよ」

 

???「……ということはハタ人間には水が有効なのか」

 

鈴音「みたいだね。だから……」

 

「ヒャッハー!ハタを立ててやるぜぇ!」

 

さっき追いかけてきた世紀末ハタ人間が私にハタを立てようとしているが……。

 

未来「」バシャッ!

 

それを未来が阻止してくれた。ありがとう未来。

 

鈴音「こんな風に反撃する事が出来るって訳」

 

未来「貴女ねぇ……。私がいなかったら頭にハタを立てられていたわよ?」

 

鈴音「うん、感謝してるよ親友」

 

???1「………」

 

???2「………」

 

この2人、ずっと唖然呆然としてるね。まぁこの状況を受け入れ切れてないからしょうがないか。

 

鈴音「……本来なら自己紹介とかするべきなんだろうけど、今は安全を確保できる場所まで避難するのが先だよ」

 

???1「そ、そうだな!」

 

???2「は、早く避難するでやんす!」

 

鈴音「その前に食料だけど……」

 

未来「それなら先程確保してきたわ。この篭に入っている物でざっと2日分はあるでしょう」

 

???1「ま、まさか盗んできたのか!?」

 

未来「言いたいことはわかるけれど、この非常時よ?形振り構ってられないわ」

 

鈴音「……本当は私達だって不本意なんだよ」

 

???2「……確かにこんな状況じゃあそんな事言ってられないでやんす」

 

???1「っ!……しょうがない。食料確保はこのモールでやることにしよう」

 

なんとか納得してくれたよ……。まぁ私もさっきまで反対だったしね。

 

???1「避難場所に関しては南西に廃ビルがあるからそこに避難しよう!」

 

???2「ああ、先週皆で遊んだ彼処でやんすね」

 

鈴音「じゃあとりあえずはこの4人で南西にある廃ビルを目指そうか」

 

こうして私達は南西に向かうことになった。




今回はここまでです。最後に鈴音のステータスだけ。


大宮鈴音

体力 6

力 8

器用さ 14

素早さ 12

精神 3


得意武器 格闘 ハンドガン

苦手武器 ライフル


特殊行動 フロントステップショット かばう


スキル 頑丈 暗視 体捌き


次回、基地に到着したら白髭がいた件!


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第2話 秘密基地には白髭が

今回もよろしくです。


南西に向かう途中に何人かのハタ人間と出会い戦ったが、私や未来は戦い慣れしてるおかげで特に苦戦する事なく倒すことが出来た。

 

???1「2人共戦い慣れしてるな……」

 

戦いの内容は私と未来がハタ人間の隙を突き2人がクリアワルザーをハタ人間に浴びせるといった内容で、その隙を突くために格闘術を御披露目するという感じ。

 

鈴音「まぁ小さい頃から喧嘩とか結構してたしね」

 

未来「私は格闘技を心得てるからこのくらいは余裕よ」

 

転生する前の私は結構喧嘩っ早かったし、未来は心身共に強くなるために様々な格闘技を習っていたらしいから嘘は吐いてない。

 

???2「見えてきたでやんす!」

 

丸眼鏡君が指差した方を見ると如何にもな廃ビルがあった。

 

???1「とりあえず中に入ろう。色々あって疲れたし……」

 

未来「そうね、とりあえず一息吐きたいわ」

 

主人公君と未来の意見に賛成してビルの中に入ることにした。

 

 

~そして~

 

鈴音「まずは自己紹介しようか。私は大宮鈴音だよ。よろしくね」

 

未来「響未来よ。よろしく」

 

???1「2人共俺達と同い年くらいに見えるけど、妙に大人びてるな……」

 

いやいや、前いた世界で40年生きてきたから嫌でも大人だよ!サイヤ人と神様補正で若く見えるだけだと思うんだけど……。

 

???2「子供らしからぬ魅力でやんす!何歳くらいでやんすか?」

 

未来「14歳よ。2人共ね」

 

えっ?ちょっ……!未来!?

 

未来(この世界での私達は14歳ということになってるわ。肉体年齢が若い方が動きやすいでしょう?)ヒソヒソ

 

鈴音(魔改造されすぎでしょ私達……。まぁそういうことならわかったよ。この世界では中学2年生でやっていけばいいんだね?)ヒソヒソ

 

未来(そういう事よ)ヒソヒソ

 

???1「……?2人共何ヒソヒソと話してるんだ?」

 

鈴音「大したことじゃないよ。それよりも次はそっちの名前を聞きたいな」

 

とりあえず話をそらさないと……!

 

???2「じゃあオイラからいくでやんす!オイラは落田太二(おちたたいじ)でやんす!マニアな14歳なので覚えておいてほしいでやんす!」

 

そういえばこの丸眼鏡君もとい落田君は9、10、11と3連続で裏サクセスに出演してるんだよね。

 

9はともかく、10と11にはそれぞれ相棒眼鏡のニュダっちとすてーきでやんすがいるのにも関わらず落田君が出てるんだからすごいよね。キャラ人気ってやつなのかな?

 

落田「それでこっちが……」

 

???1「小波十一郎(こなみじゅういちろう)だ。これからよろしく頼む」

 

十一郎って……。11の裏サクセスだから?親はどんな思いでそんな名前にしたんだろう……?

 

十一郎「とりあえず此処にはハタ人間がいないようでよかったよ……」

 

???「いや、天才のわしがいるぞ」

 

十一郎「わぁぁぁぁっ!」

 

落田「水!水をかけるでやんす!」

 

突然現れた白髭に2人はクリアワルザーを構えて戦闘態勢に入るが……。

 

未来「待ちなさい2人共」

 

鈴音「そうだよ。この人にハタの類いは見当たらないから少なくともハタ人間じゃないよ」

 

味方かと言われると微妙な感じだけど……。世界征服を企んでる訳だし。

 

十一郎「ほ、本当だ……」

 

落田「突然現れるからハタ人間だと思っても仕方ないでやんす」

 

まぁその気持ちはわかるけどね。

 

???「全く……。そこの嬢ちゃん達がいなかったら水をかけられるところじゃったわい!」

 

鈴音「貴方は何時から此処にいたんですか?」

 

???「うむ、1週間前からじゃ!そして今起こっている状況に対しての対策を此処で練っておったのじゃよ」

 

十一郎「1週間前って……。俺達が帰った後から住み着いていたのか!?」

 

未来「多分そうなるわね」

 

食料とかどうしてたんだろ……。

 

???「わしは唐沢(からさわ)じゃ。儂の事はこれから教授と呼ぶように」

 

十一郎「博士!それで今何が起こっているんですか?」

 

唐沢「教授」

 

十一郎「えっ?」

 

唐沢「わしのことは教授と呼びたまえ。博士なんて博士論文が受理されるだけでなれてしまう肩書きじゃろが。その点教授というのは評価と政治力どうしてたんだろ運が要求される高等な肩書きで……」

 

鈴音(唐沢さんに何があったのやら……)

 

未来(恐らくだけれど、彼の名前が博士(ひろし)だから過去に散々名前で揶揄れたのでしょうね)

 

鈴音(成程ね……)

 

名前で弄られるなんてよくあることだもんね。しょうがないね。

 

十一郎「わ、わかりました教授。それでこの町で何が起こってるんですか?」

 

唐沢「勿論宇宙人の侵略じゃ」

 

十一郎「えっ……?」

 

突然のカミングアウトで私達は目が点になるという現象に陥った。




今回はここまでです。

次回、方針を決めよう!


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第3話 これから……

今回もよろしくです。


宇宙人の侵略と突然、さも当たり前のように言われて私達は目が点になっている。未来に至っては米神に手を当ててるし……。というか未来のそういった動作はすごく様になるよね!

 

十一郎「宇宙人の侵略……?」

 

唐沢「あっ、貴様今心の中でわしを馬鹿にしたな!?」

 

十一郎「いやいや、そんな事ないです!……ハタ人間なんてものを見た後じゃどんなとんでもない意見でも納得してしまいますよ!」

 

まぁあんな奇妙な人間を見ちゃったら宇宙人くらい簡単に受け入れられるだろうしね……私もそうだったし、未来なんか神様だもんね。

 

唐沢「ふん、そうやって目の当たりにしないと信用しないのがおまえ達凡人の悪いところじゃ。わしは5年も前から警告を出しておったのに、変人扱いされて大学を追われたのじゃ!」

 

鈴音(まぁ普通はそうするだろうね……)

 

十一郎「……まぁそうでしょうね」

 

唐沢「ええい、貴様までそう言うか!」

 

小波君と唐沢教授が言い合ってると未来と落田君が2人を制する。

 

未来「喧嘩はそこまでにしておきなさい。これじゃあ何時まで経っても話が進まないわ」

 

落田「……そういえばこの島の外はどうなってるでやんすかね?」

 

唐沢「うむ、そこのテレビとラジオによると特に変化はないようじゃ」

 

十一郎「この島の中だけって事ですか?じゃあ外に助けを呼ばないと!」

 

確かハタ人間現象が起こっているのはこの町だけなんだっけ?でも私がやったゲームの記憶が正しかったら確か封鎖されてる筈だけど……。

 

唐沢「まぁちょっとテレビでも見てみい」

 

そう言って唐沢教授がテレビを着けるとパライソタウンが封鎖されていて、内部の状況がわからないと言われていた。

 

鈴音「もう既に騒ぎになってるみたいだね」

 

唐沢「当然じゃな。此処にはそれなりの数の人間が住んでいて、本土とも橋を通じて行き来がある」

 

落田「それなら橋を渡って逃げるでやんす!」

 

未来「恐らく無駄でしょうね。さっきのニュースを見る限りだと橋の此方側と向こう側で封鎖されている筈よ」

 

唐沢「その通りじゃの。ちなみに政府は対策を協議中じゃ」

 

鈴音「それってつまり何が起きてるか向こうでもわかってないって事ですか?」

 

唐沢「そうじゃ!わしが5年も前から言っておるのに!」

 

十一郎「はぁ……。とにかく今は何処かに隠れて救出を待つしかないのか」

 

そうなるだろうね。けど……。

 

唐沢「それには幾つか問題があるな。まずは食料じゃ」

 

未来「それなら此処にあるわ」ドサッ

 

唐沢教授が食料問題を指摘すると未来が食料が入っている袋を取り出した。

 

未来「とりあえず此処にある分で私達は5人……。ざっと2日前後ね」

 

唐沢「その間は嬢ちゃんが持ち帰った分で凌げるが、そこから先の分も何処かで手に入れて此処に持ち帰らないといかん」

 

鈴音「食料ならモールが1番量があるし、安全だろうね」

 

道端で落ちている食料とか怖くて食べれたものじゃないからね……。

 

唐沢「次に問題は武器じゃな」

 

十一郎「それならこの水鉄砲が……」

 

鈴音「それだとハタ人間は倒せても宇宙人相手は厳しいんじゃない?」

 

唐沢「その通り!だからわしが作った此方にしておけ」

 

十一郎「……?見たところ俺達の水鉄砲と変わらないみたいですけど」

 

小波君が唐沢教授から受け取った武器を触っているが……。

 

唐沢「わっ、此方に向けるな!」

 

鈴音「……ということはそれって」

 

 

ずびびびーっ!

 

 

十一郎「うわっ、光線銃!?」

 

唐沢「ククク、こいつは強力じゃぞ~」

 

これがハンドガンか……。なんか見てると色々改造したくなっちゃうなぁ!

 

未来「貴女今碌でもない顔をしてるわよ?」

 

やめて!見ないで!!

 

鈴音「こほんっ……!でもこれはハタ人間相手には使わない方がいいね」

 

落田「確かに……。これじゃあ強力過ぎて相手が怪我しちゃうでやんす」

 

果たして怪我で済むのかな……?

 

十一郎「でもこんな武器どうしたんです?」

 

確かに……。見た目は私達が使っているクリアワルザーと瓜二つだけど。

 

唐沢「ふふふ、わしが作ったのじゃ。なにしろわしは天才じゃから、材料さえあれば武器だけではなく色んな便利アイテムが作れるぞ!」

 

十一郎「そういえばモールで何か拾ったな……」

 

唐沢「その拾った材料によってはわしが『合成』によってアイテムが作ってやろう」

 

ふむ……。

 

鈴音「唐沢教授、1ついいですか?」

 

唐沢「なんじゃ?」

 

鈴音「さっきもらった銃とか小波君が拾った材料を少し見る限りだと私にも武器とか作れそうなので私も『合成』してもいいですか?」

 

唐沢「……ふむ、よかろう」

 

……?今なんか様子が変だったような。

 

落田「……なんだか色々ありすぎて疲れたでやんす」

 

十一郎「それになんだか眠くなってきたな……」

 

小波君と落田君は疲れてるみたいだ。私達はまだまだ余裕だけど、流石に休んだ方がいいかな。

 

鈴音「その前に方針を決めない?」

 

十一郎「方針?」

 

鈴音「折角4人もいるんだから役割分担しないとね」

 

落田「大宮さんも響さんも強いんだからオイラ達と行動してほしいでやんす……」

 

十一郎「まぁいてくれた方が心強いよな」

 

確かに小波君達に比べたら戦い慣れしている私達の存在はとても心強いだろうけど……。

 

鈴音「でも私達だって君達に付きっきりという訳にもいかないよ?」

 

未来「なら二手に別れましょうか。私は食料と『合成』に必要な素材を調達してくるわ」

 

鈴音「1人で行けそう?」

 

未来「問題はないわ。人手が必要なら1度そっちに戻ってその内容を伝えるようにすればいいもの」

 

落田「ならオイラも着いていくでやんす!」

 

十一郎「落田?」

 

落田「オイラ達のクラスメイトの救出もかなり大事でやんす。もしも響さんがクラスメイトに会った時に知ってる人がいれば幾分やりやすい筈でやんす」

 

確かに……。もしも小波君達のクラスメイトとばったり会った時に未来1人で行くよりも知り合いの落田君がいた方が救出もしやすいだろう。

 

未来「……そうね。落田君、頼めるかしら?」

 

落田「ガッテン承知でやんす!!」

 

鈴音「なら私と小波君で2人のクラスメイトを救出しつつ、宇宙人についての情報収集をしようか」

 

十一郎「わかった。頼めるか?」

 

鈴音「任せてよ」

 

とりあえず方針は決まったね。これからは二手に別れて頑張ろう!




今回はここまでです。

次回、クラスメイトを救出に向かう鈴音達、まずは小波の住居に向かうが……?


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第4話 自宅前の奮闘

今回もよろしくです。


未来達は先にモールへと向かった。私達も早いところ出発しないと……。

 

鈴音「それでこれからどうするの?」

 

十一郎「まずは一旦家に戻ろうと思う」

 

鈴音「戻るって……。家族はその、ハタ人間になってるんでしょ?戻ってもハタを立てられそうになるだけじゃ……」

 

でも小波君の幼馴染的存在が同じマンションに住んでるんだっけ?

 

十一郎「……でも俺が住んでいるマンションには瑠璃花……幼馴染が戻っているかもしれないから戻らなきゃいけないんだ!」

 

瑠璃花……。南雲瑠璃花(なぐもるりか)の事だね。表では小学生だけど、この世界では中学生なんだよね。そういえば11終了時点の時系列では大体19歳くらいなんだっけ。彼女も成長したもんだ。

 

鈴音「……わかったよ。じゃあそのマンションに案内してくれるかな?」

 

十一郎「ありがとう」

 

私達は小波君が住んでいるマンションのある東方面に進んでいった。

 

 

~そして~

 

それでそのマンションに着いた訳だけど……。

 

鈴音「いけそう?」

 

十一郎「ああ……。よし、いくぞ!」

 

「こら!こんな時間まで何処に行ってたの!?」

 

十一郎「しまった!母さんに見つかった!!」

 

行こうと思ったら出鼻を挫かれました……。台詞からは普通に子を心配する親だけど、ハタ立ってるから敵なんだよね……。

 

十一郎「く、くそっ!応戦するしか……!」

 

鈴音「ねぇ小波君、その幼馴染はマンションの中にいるの?」

 

十一郎「確証はない。でもこの目で見ておかないと不安なんだ……」

 

鈴音「なら私が足止めするから小波君は幼馴染が戻っていたらそのまま救出して!」

 

十一郎「でも……!」

 

鈴音「いいから早く!間に合わなくなっても知らないよ!?」

 

十一郎「わ、わかった!」タタタッ

 

「何処に行くの十一郎!?早くお母さんのところへ戻ってきなさい!」

 

鈴音「おっと、おばさんの相手は此方だよ。遊んであげる!」

 

「……生意気な小娘め。やっちまいな!!」

 

小波君がマンションの中に入ったのを確認してハタ人間達の相手をする。なんか急に性格変わったんだけど……。怖いよ。

 

鈴音「武器を使わなきゃ問題ないよね?手加減するから勘弁してね。超龍撃拳!」カッ!

 

私はハタ人間達にラッシュを浴びせた。殺してないよ!

 

 

~そして~

 

ふぅ、なんとか全員気絶させる事ができた……。汗をかいたので額を拭っていると、小波君が青髪の女の子を連れて出てきた。彼女が瑠璃花だね。改めて本物を見ると可愛ぇ……。ハタも立ってないみたいだしよかったよ。

 

十一郎「大宮さん、無事か……ってなんじゃこりゃ!?」

 

瑠璃花「十数人はいるハタ人間が全滅……。凄いですね」

 

鈴音「おかえり小波君。そしてそっちの子は初めましてだね。私は大宮鈴音だよ。これからよろしく」

 

瑠璃花「な、南雲瑠璃花です。よろしくお願いします」ペコッ

 

礼儀正しいな瑠璃花……。動作の1つ1つが美しい。

 

鈴音「南雲さんを救出する事が出来たところで早く此処を離れようか。ハタ人間達が目を覚ます前にね」

 

十一郎「そうだな……」

 

鈴音「南雲さんは何か忘れ物とかない?」

 

瑠璃花「それなら部屋に戻ってもいいでしょうか?この状況下で役に立つ物が仕舞ってあった筈ですので……」

 

鈴音「うん、いいよ。小波君は南雲さんに着いていってあげて」

 

十一郎「わかった。行こう瑠璃花」

 

瑠璃花「はい、ありがとうございます大宮さん」

 

2人は瑠璃花の部屋に戻っていった。

 

 

~そして~

 

瑠璃花が取ってきたのはクリアワルザーだった。確かにこの状況に役立つ物だね。

 

瑠璃花「よかった……。まだちゃんと使えます」

 

十一郎「よくそんなの持ってたな」

 

瑠璃花「……覚えてないんですね」

 

おお、幼馴染のラブコメが始まった……。

 

十一郎「……そういえば小学校低学年くらいの頃の縁日で取ってやったやつだな」

 

瑠璃花「はい、これは十一郎が取ってくれたので、ずっと大切に仕舞って……って何を言わせるんですか!?///」カァァァ

 

わーお、瑠璃花の顔真っ赤。林檎みたい。

 

十一郎「えっ……?何か不味いこと言ったか?」

 

瑠璃花「なんでもありません!///」

 

鈴音「2人共イチャイチャしてないで早く行くよ」

 

瑠璃花「い、イチャイチャなんてしてません!!」

 

いやいや、誰がどう見てもカップゥーですやん。イチャイチャしてましたやん。

 

まぁそんなこんなで無事に瑠璃花を救出する事が出来た。私のゲーム知識が正しければ次に行かないといけないのは学校。平山と青野夏菜コンビ……。前者はタイムリミットが早いし、後者は日中に動かないとハタ人間になってしまう……。

 

未来達がモールの方に行ってるからどうにか青野と夏菜を救出してくれないだろうか……。




今回はここまでです。

次回、公園に入る鈴音達。そこにはまさかの人物が……!?


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第5話 NorthParkのエリーチカと人食いゴキブリ

今回もよろしくです。


その後私達は学校に行き平山君を救出して、その帰りにハタ人間に襲われた。開口1番にさっきの2人には逃げられたと言っていたので、その2人が青野と夏菜だろう。出来ることなら未来達に2人を救ってほしいものだ。

 

1度基地に帰り今度は公園の方に行こうとなったが、余り大人数で行くのもあれだから私と小波君の他にあと3人くらいでいいだろう。かといって唐沢教授を1人にするのもあれなので、平山君に残ってもらう事にした。4裏でも平山は黒野魔王の相手をしてたし、対爺さん◯を持ってる彼なら教授の相手も多分勤まるでしょ。

 

そんな訳でまずは北公園に行くのだが、その道中で……。

 

瑠璃花「十一郎、薬を作っておきましたので持っていってください」

 

十一郎「ありがとう瑠璃花」

 

瑠璃花「……全く、貴方は私がいないと駄目なんですから」

 

……私はこのイチャイチャに慣れないといけないのか。

 

鈴音「北公園は病院の右側にある公園でよかったよね?」

 

瑠璃花「はい。公園は見通しも良いですし、隠れる場所もそれなりにありますので、もしかしたらクラスメイトがいるかもしれません」

 

十一郎「昔はよくかくれんぼとかしてたな……」

 

瑠璃花「そうですね。……昔を懐かしむのもいいですが、今はクラスメイトの救出を優先しましょう」

 

十一郎「そうだな。1人でも多く助けよう!」

 

瑠璃花「はい!」

 

……もう私いらないんじゃないかな?かな?未来のところに行こうかなぁ。

 

十一郎「着いた。此処が北公園だ」

 

鈴音「とりあえず入ろうか」

 

私達は北公園に足を踏み入れた。

 

 

~そして~

 

やっぱり公園内にもハタ人間がウロウロしてるな。奥の方まで行って漸く一息吐けるよ……。っていうかそこのベンチに誰かいるんだけど。

 

鈴音「彼処に誰か座ってるみたいだけど……」

 

あのシルエットは……そうそう、恵理だ。白木恵理(しらきえり)さんだ。ぅ絵里ちゃん!……じゃなくて恵理か。

 

十一郎「誰かいるのか……?俺にはよく見えないけど」

 

鈴音「うん、短めの黒髪に碧眼の可愛い感じの女の子」

 

瑠璃花「短めの黒髪に碧眼……。エリですね」

 

やっぱり恵理で合ってた。でもなんか違和感があるような……。

 

十一郎「生徒会長がいるのか!?」

 

生徒会長?それはぅ絵里ちゃん!のことであってここの恵理とは関係無い筈だけど……。それっぽい役職が思い浮かぶ人物といえば神条紫杏(しんじょうしあん)だけど、紫杏は委員長の筈だし。

 

瑠璃花「エリ!」

 

そんな事を考えてると瑠璃花が声をかけた。

 

恵理「……?あら、貴方達」

 

十一郎「生徒会長、無事だったのか!?」

 

恵理「ええ……。とは言ってもさっきまでハタを立てている人達に追いかけられて、やっと撒いたからこのベンチで休んでいたのよ」

 

いや誰これ?私が知っているハタ人間編の恵理はパニックに陥り安くて、泣き虫な女の子なのに、今いる恵理とか真逆なんだけど?しかも生徒会長って言ったよね?もう完全に恵理じゃなくて絵里だよ!

 

恵理「正直今見つかったらもう駄目だったから助かったわ。ありがとう」

 

瑠璃花「いえ、エリが無事でよかったです」

 

恵理「……ところでそっちの子は?服装からしてうちの中学じゃないわよね?」

 

あっ、此方に気付いた。

 

鈴音「えっと……。大宮鈴音です。訳ありでこの町で起こってる問題の解決を務めるためにいます」

 

な、なんか敬語になっちゃったよ!

 

恵理「そう……。白木恵理よ」

 

十一郎「大宮さんと此処にはいないけど、もう1人のおかげで俺達が無事でいれたんだ」

 

恵理「そうだったのね。ありがとう大宮さん。うちの生徒達を、私のクラスメイト達を救ってくれて……。後でそのもう1人にも御礼を言わないといけないわね」

 

鈴音「気にしなくてもいいよ。さっきも言ったけど、此方も訳ありなんだよね。だからなんとかしてこの騒動を解決しないと」

 

恵理「…………」

 

とりあえず恵理を救出できたし、次はどうしようか……。

 

十一郎「次はどうしようか?」

 

鈴音「もう少しこの辺りを彷徨いてみようか。もしかしたらまだ君達のクラスメイトがいるかもしれないし」

 

序でに此処の地形を把握しておきたいし。

 

瑠璃花「とはいえ此処から先は行き止まりですので、今度は南東の方にいってみましょうか」

 

十一郎「確か南東の方には事務所があったっけか……。でもそれくらいしかなくないか?」

 

ああ事務所ね。あの便利素材がいっぱいある場所ね。……なんで公園内に事務所があるんだろう。なんの事務所?

 

恵理「そうね。此処をよく知らない大宮さんが地形を把握するために行きましょうか」

 

そんな訳で南東へレッツゴー!

 

 

~そして~

 

南東に着きました!時間は午前5時か……。まだ暗いから見通しが悪いな。

 

瑠璃花「しかし暗いからかこの辺りは見通しが悪いですね」

 

十一郎「ああ、突然ハタ人間が襲ってきたら不意を突かれそうだ」

 

 

ガサガサ!

 

 

恵理「……!そこに何かいるわ。皆気を付けて!」

 

うん……?この方角にガサガサという物音。ということは……。

 

十一郎「な、なんだ!?」

 

瑠璃花「ご、ゴキブリ……!?」

 

恵理「それにしては大きくないかしら……?猫くらいの大きさよ?市販の殺虫剤が効かなさそうね」

 

やっぱり人食いゴキブリ!……っていうか女性陣なんか冷静だね。精神力の高さが伺えるよ。

 

鈴音「戦うよ小波君。さっき教授から貰った銃を構えて。南雲さんと白木さんはこの水鉄砲を受け取って。もしもゴキブリの相手している最中にハタ人間がいたらその相手を御願い。ハタ人間はその水鉄砲で倒せる筈だから。それまでは辺りを見ておいて」

 

瑠璃花「わかりました!」

 

恵理「了解よ!」

 

十一郎「わかったが、大宮さんはどうするんだ?」

 

鈴音「基地を出る前に木刀を作っておいたんだ。当面はこれと素手でハタ人間以外の相手をするよ。小波君は遠距離担当を御願いするよ」

 

十一郎「おう!」

 

さて、ハタ人間の次は人食いゴキブリだ。私特注の小太刀モデルの木刀の試し斬りといこうじゃないか!

 

 

~そして~

 

十一郎「これで最後だ!」バンッ!

 

鈴音「これで全滅だね。南雲さんに白木さん、そっちは誰も来なかった?」

 

一応戦いながら2人を見張っていたけど、特に何もなかった蓮。でも念のために確認しておかないとね。

 

恵理「ええ、問題ないわ」

 

瑠璃花「誰か来た……というのはありませんでした」

 

鈴音「ならよし。……この公園の地形も把握出来たし、一旦基地に戻ろうか」

 

十一郎「そうだな。生徒会長にも基地の場所を教えないといけないし」

 

恵理「基地……?そんなものがあるのね」

 

鈴音「この公園から南下したところに廃ビルがあるんだよ」

 

恵理「彼処ね……」

 

白木さんが怪訝な表情をしていた。……まぁ生徒会長やってるみたいだし、生徒が危なそうな所に行くのを見過ごせないということかな?

 

恵理「わかったわ。そこに食料とか準備してありそうだし、行きましょうか」

 

白木さんも納得したので私達は基地に戻ることにした。その道中に村山君を救出したけど、人が変わった恵理と人食いゴキブリのせいで他のクラスメイトを救った印象が飛んでいったよ……。




今回はここまでです。最後に人格が変わった恵理のステータスを紹介。( )内の数値は人格変化前……もとい本来の恵理のステータスです。


白木恵理

体力 8(2)

力 8(4)

器用さ 8(9)

巣早さ 8(7)

精神 9(5)


得意武器 格闘 ハンドガン (なし)

苦手武器 なし (格闘 刀剣 ハンドガン)


特殊行動 囮になる かばう がんばって! (泣く)


スキル 冷静 連打 先制 (警戒 逃げ足 治療)


次回、鈴音達が奮闘している頃の未来達は……。


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第6話 素材と食料と薬

今回もよろしくです。


未来side

 

落田「響さん、この後はどうするでやんすか?」

 

未来「そうね……」

 

鈴音と小波君はクラスメイトの救出を優先して動くと言っていた……。ならばそのサポートもしておくべきね。

 

そうなると救出期限が早くて短い人の救出に向かう筈。最優先は南雲瑠璃花と平山紀之(ひらやまのりゆき)ね。ならマンションに行った後に学校に行く筈だから……。

 

未来「まずはモールへ行きましょうか」

 

落田「食料の確保でやんすか?」

 

未来「それもあるけれど、その前に2階に行って『合成』に役立つ素材を集めるわよ」

 

落田「ガッテンでやんす!」

 

彼はサポートとしては優秀な人材だから上手く利用出来たらいいわね。

 

 

~そして~

 

私達の素材集めは思ったよりも捗っていた。

 

落田「此方にはガラクタがいっぱい落ちてたでやんす」

 

未来「ありがとう」

 

落田「こんなガラクタが本当に役に立つんでやんすか?」

 

未来「ええ、『合成』には欠かせない素材よ。だから見つけたらどんどん集めて頂戴」

 

落田「わかったでやんす」

 

ゲームだと特に合成レベルを上げるのに御世話になったものだわ。あのゲーム1章はともかく、2章の難易度がかなり高いものね。素材としてガラクタは終始必要なアイテムよ。

 

さて、私も負けないように素材を集めていきましょうか。

 

 

~そして~

 

あれから4時間半。集まった素材はガラクタが30個、ボロキレが25枚、堅い木が25本、木の実が35個、粘つく液体が20個、小さな歯車が18個、銅が9個。更に救急キットとクリアワルザーを数個。

 

……かなりの数が集まったわね。ゲームではまず集まることのない数だから驚いたわ。特に銅が見つかったのが大きい。日数を改めて来たら鉄や鋼も見つかるんじゃないかしら?

 

落田「め、滅茶苦茶集まったでやんすね……」

 

未来「そうね。次は食料を集めに行きましょうか」

 

落田「1階に降りるんでやんすね?了解でやんす」

 

未来「その前にこの素材達を1つに纏めてっと……」

 

私は収納袋に素材を全て仕舞いこんだ。

 

落田「……その袋はどうなってるんでやんす?」

 

未来「素材が無限に入るのよ。……これ以上は踏み込まないで。大人の事情よ」

 

落田「響さんはオイラとは同い年……わ、わかったでやんす!」

 

そう、これはゲームシステムの都合上各素材は99個まで入る袋なのよ。

 

 

~そして~

 

食料の確保もとりあえずは一段落ね。基地にある分と合わせて5日分……いえ、鈴音達がクラスメイトを救出する事を考えると3日分ってところかしら。……少し足りないわね。念のためもう少し確保しておきましょう。

 

落田「響さん、彼処で誰かがハタ人間に襲われているでやんす!」

 

なんですって……?ゲームにおいてモールで仲間に出来るのは石田昭三(いしだしょうぞう)と霧生夏菜(きりゅうかな)の2人。

 

前者を仲間にするためには特定の鍵が必要だし、後者は先に病院と倉庫に行かなければいけない筈だけれど……。もしかしたら鈴音達が動いたのかしら?いえ、何れにせよ……。

 

未来「助けるわよ」

 

落田「了解でやんす!」

 

私達はハタ人間達のもとへと走った。

 

「ああん?そこにもハタが立ってねぇ奴がいるぞ!」

 

「やっちまえ!」

 

……なんで私が相手をするハタ人間は皆ヤンキーみたいな人しかいないのかしら?4人中4人共ヤンキーって……。まぁいいわ。襲われている人から此方に標的を移せたもの。

 

未来「」バシャッ!

 

「」バタッ!

 

まずは1人。あと3人ね……。

 

 

~そして~

 

残り3人も難なく倒し、無事助け出す事が出来た。まだ序盤だからか敵が弱く感じるわね……。

 

???「助けて頂きありがとうございます」

 

声がしたので振り向く。……何故此処にいるのかしら?

 

落田「いやいや、当選の事をしたまで……ゲッ!坂柳でやんす!!」

 

有栖「ゲッ!とは酷いですね落田君。同じ学校の生徒じゃありませんか」

 

貴女は此処の住人ではないでしょう?坂柳有栖(さかやなぎありす)。……というか。

 

未来「知り合いかしら?」

 

落田「できればオイラは知りたくなかったでやんす……」

 

有栖「彼とはクラスは違いますが、立派な玩……御友達です」

 

ああ……。なんとなく2人の関係がわかってしまったわ。というか別クラスの生徒とかも仲間候補に入るのね。

 

落田「今玩具って言いそうになったでやんすね!?」

 

有栖「そんな事はありません。それよりそちらの方は?パライソ中学の生徒ではないようですが……」

 

未来「響未来よ。年は貴方達と同じね」

 

有栖「……では未来さん、改めて助けて頂きありがとうございます」

 

坂柳有栖は此方を向いて一礼した。……やはり良いところの令嬢という感じがするわね。動作が様になってるわ。

 

落田「……なんかドッと疲れたでやんす。それでこれからどうするんでやんすか?」

 

未来「食料の確保はとりあえずこれで良いとして、次は薬ね。だから病院に向かいたいところだけれど……。坂柳さん、このモール内でハタが立っていないパライソ中学の生徒を見なかったかしら?」

 

もしかしたら他にも此処に誰か仲間になりそうな人がいるかもしれないもの。

 

有栖「そうですね……。先程のハタ人間達に襲われる数分前に霧生さんと青野君を見掛けました」

 

やはり霧生夏菜は青野柴夫(あおのしばお)と一緒にいるのね。

 

未来「行き先とかわかるかしら?」

 

有栖「直接話してはいませんが、霧生さんが水鉄砲を持って西に行くと言っていました」

 

西……。ということはそのまま病院に向かってもよさそうね。

 

未来「なら西方面に2人を救出に行きましょうか」

 

落田「行くでやんす!」

 

有栖「でしたら私も着いていってもいいですか?」

 

未来「それは構わないけれど、貴女足は大丈夫なのかしら?」

 

坂柳有栖といえば先天性疾患の筈。現に今も杖をついて歩いているし……。

 

有栖「歩く分にはスピードを上げなければ問題ありません。ハタ人間達の目的とかを知っておきたいので……」

 

徒歩だと厳しいわね。基本私達は走るか早歩きで行動しているから彼女が着いていけるか……そういえば鈴音から薬を貰っていたわね。

 

 

~回想~

 

鈴音「未来、これを持っていってよ」

 

未来「これは……?」

 

鈴音「昨日基地に戻る前に拾った回復薬と栄養剤とやる気薬と幸せ草を合わせた薬」

 

未来「……その4つは混ぜて大丈夫かしら?この薬物凄い色をしているけれど」

 

鈴音「うん、特に問題なかったよ。効力は体力を全回復させて、状態以上と怪我も治るよ」

 

未来「それ只の回復の薬じゃない……」

 

鈴音「全部で4つ出来たから、未来に2つ渡しておくね。もしかしたら使う機会があるかもだし」

 

未来「……一応貰っておくわ」

 

 

~現在~

 

ということがあって貰ったけれど、本当に渡してもいい物なのかしら?……物は試しで渡しましょう。

 

未来「坂柳さん」

 

有栖「なんでしょうか?」

 

未来「これを渡しておくわ」

 

有栖「これは……薬?というか凄い色をしてますね……」

 

やっぱりそう思うわよね……。濁った紫色をしているもの。

 

未来「一応私の友人が怪我や病気に効く薬よ。もしかしたら貴女の足も治るかもしれないわ」

 

有栖「で、ですがこの足は先天性疾患なんですよ?生まれつきの病気のようなものが治るわけ……」

 

未来「確かに治ったとしても一時期な気休め程度かもしれないわね。でも私達に着いていくにはその足だと厳しくなるわよ?」

 

キツイ物言いだけれど、これも彼女の為ね。薬のせいで死んでも怨むのは鈴音にして頂戴。

 

有栖「……わかりました。私も覚悟を決めます」グイッ!

 

決意の瞳を宿して坂柳有栖は薬を飲んだ。果たして効果は……。

 

有栖「…………?」

 

未来「どうかしたのかしら?」

 

有栖「動く……。足が動きます!それどころか……」

 

足が動く事に驚いた坂柳有栖はその場を往復で走り始めた。

 

有栖「は、走ることもできます!治ることのないと言われていたのに……。仮に一時期なものだとしても嬉しいです!」

 

未来「……良かったわね」

 

私は驚き以外の言葉が出ないわ。隣の落田君も開いた口が塞がらない様子だし……。

 

有栖「これなら私も動けます。2人の救出に向かいましょう!」

 

未来「え、ええ……」

 

なんと坂柳有栖の先天性疾患を治してしまったわ。あの薬は色々とヤバいわね。

 

落田「あの坂柳の性格だけでもヤバいのに、あんなに動き回れるようになったらもう手を付けられないでやんす……」

 

未来「……あの手の人がハタ人間になれば下手すると宇宙人達よりも厄介な存在になりかねないわ」

 

落田「……否定できないでやんす」

 

こうして私達は2人を追うために病院へと向かうことになったわ。




今回はここまでです。最後に有栖のステータスをば。( )内の数値は薬を飲む前のものです。


坂柳有栖


体力 4(2)

力 2(2)

器用さ 10(9)

巣早さ 6(1)

精神 15(13)


得意武器 ハンドガン ライフル キャノン

苦手武器 格闘 刀剣


特殊行動 バックステップショット


スキル 冷静 解析 愛



次回、未来達は青野夏菜両名の救出に病院に向かう。そんな未来達に更なる出会いが……?


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第7話 病院で救い、出会い、また救い……

今回もよろしくです。


未来side

 

私達3人は早速病院付近まで来たのだけれど……。

 

夏菜「あははっ!なんかいっぱい来たぞ青野!」

 

青野「全く……。どうして考えなしで動くんだ」

 

夏菜「おい、早くしないと置いていくぞ!」タタタッ

 

青野「おい霧生!……はぁ、やれやれ」タタタッ

 

前にいるのは件の2人ね。霧生夏菜が暴走して青野柴夫がそれを止めるべく動いていると……。

 

落田「あの2人、物凄い数のハタ人間を引き連れていたでやんすね」

 

有栖「数は15人ですね。病院に入っていきましたが、どうしますか未来さん?」

 

未来「元々病院には行く予定だったし、行きましょう。ハタ人間は夜の方が活発に動くし、2人を救出するなら日中にしないと手遅れになってしまうわ」

 

時刻は14時45分。リミットまでは3時間以上はあるから薬の補充だけ十分に済ませましょう。

 

 

~そして~

 

あれから2時間。薬集めもある程度進んだので、2人の救出に向かう。確か2階中央左下辺りだったかしら?その辺りまで行ってみるとハタ人間達に追い詰められている2人を見つけた。……まだハタは立っていないようね。

 

未来「坂柳さん、準備は出来ているかしら?」

 

有栖「はい、問題ありません。病院に行く道中に水鉄砲の使い方を覚えておきました」

 

未来「そう……。いくわよ。落田君は私達がハタ人間を相手している間に2人を救出して」

 

落田「わかったでやんす!」

 

坂柳有栖の準備が終わったのを見て私達は不意を突いてハタ人間達を攻撃した。

 

落田「青野、霧生さん、此方でやんす!」

 

青野「落田!?すまん助かる」

 

夏菜「ありがとう。青野は怪我をしてるから眼鏡は青野に肩を貸してやってくれ」

 

落田「青野、大丈夫でやんすか!?」

 

青野「なんとかな……。ハタ人間との取っ組み合いで怪我した時は正直駄目かと思った」

 

落田「今そこにいる2人がハタ人間をやっつけているから安心するでやんす」

 

彼方は上手くいったようね。あとは此方がハタ人間を倒すだけ……!

 

未来「坂柳さん、フィニッシュは譲るわ。健康体になった貴女の初陣に終止符を打ちなさい」

 

有栖「はい!」

 

坂柳有栖によって最後のハタ人間を倒し、この場を切り抜けた。

 

 

~そして~

 

その後軽く自己紹介を済ませて、青野柴夫の怪我の応急措置をしておいた。2人は色々……主に坂柳有栖が杖をついていないことに驚いていたわね。無理もないわ。

 

未来「とりあえずはこれでいいわ。一応激しい動きをしても問題はない筈だけれど、今日のところはゆっくり休んでおきなさい」

 

青野「ああ、ありがとう響」

 

夏菜「それにしてもハタ人間ってあんなにいっぱいいたんだな。びっくりしたよ」

 

青野「俺は霧生の無謀な行動にもびっくりしたがな……」

 

夏菜「あはは……」

 

落田「それで響さん、この後はどうするんでやんす?」

 

未来「そうね……。私はもう少し此処を散策してみようと思うのだけれど、疲れているなら今日のところは引き返すわ。皆は大丈夫かしら?」

 

最悪私1人でも問題はないけれど、クラスメイトがいた時に坂柳有栖以外の3人が仲介に入った方がスムーズに事が進むからこのまま一緒に行動してくれた方がありがたいのだけれど……。

 

落田「少し疲れてきたけど、大丈夫でやんす」

 

有栖「私も問題ありません」

 

青野「俺も着いていく。響には恩返しをしたいしな」

 

夏菜「私はもう少しハタ人間について調べてみるよ。じゃっ!」タタタッ

 

霧生夏菜はそう言って駆け足で去っていった。フットワークが軽いわね。さっきあんなことがあったのにも関わらず……。あの切り替えの早さは見習うべきなのかもしれないわね。

 

未来「……とりあえず行きましょうか」

 

青野「ああ……」

 

目的はクラスメイトの救出ね。

 

 

~そして~

 

此処は……リハビリをする施設ね。かなり広いし、見通しも良いからハタ人間の接近もわかりやすいわ。

 

落田「あっ、でやんす」

 

???「あっ」

 

 

バキッ!

 

 

落田君が誰かを見つけたのと同時にその人が鋭い蹴りを落田君に浴びせた。良い蹴りね。何か格闘技とかやっていたのかしら?

 

落田「痛たた……。何をするでやんすか!?」

 

???「ごめんごめん、急所を外しちゃった。次はよーく狙って……!」

 

青野「一旦落ち着け神木。今おまえが蹴ったのは落田だ」

 

神木唯(かみきゆい)。確か野球部のマネージャーだったわね。彼女の殺人キックと石川梨子(いしかわりこ)の空き缶は11裏サクセスでは1、2を争う有名さを誇るわ。

 

唯「あっ、えへへ……」

 

落田「神木さんはもう少し周りを見ることから始めた方がいいでやんす……」

 

神木唯にとりあえずの事情を話し、私の自己紹介を軽く済ませた後、何時でもハタ人間と戦えるように水鉄砲を渡した。……あと何回私は自己紹介をすればいいのかしら?

 

 

~そして~

 

あとは3階の散策ね。

 

落田「……それにしても病院って不気味な雰囲気が漂ってるからちょっと怖いでやんす」

 

青野「それに今は夜だしな」

 

唯「怖さが増しちゃうって感じ?」

 

落田「オイラにキックをかました神木さんの台詞ではないでやんす!」

 

唯「それはごめんってばー!」

 

なんだか盛り上がってるわね。ピクニック気分で来てないかしら?

 

「ばあっ!」

 

落田「わーっ!」

 

唯「うわっ!ビックリした……」

 

有栖「ハタ人間ですね」

 

未来「迎撃の準備が終わったら戦うわよ」

 

落田「この2人の冷静さは一周回って怖いでやんす……」

 

若干不意を突かれてしまったけれど、すぐに立て直す。切り替えが早いのは良いことだと思うわよ。

 

 

~そして~

 

唯「なんとか倒したねー。水鉄砲でハタ人間を倒せるなんて知らなかったよ」

 

落田「……神木さんは今までハタ人間に出会った時はどうしてたんでやんすか?」

 

唯「家に帰ったらお父さんがハタを立ててて、此方に向かってくるもんだから思わず急所を蹴り上げちゃって……。それ以来ハタ人間に出会う度に急所を……」

 

青野「本当に苦労してたのはハタ人間の方だったのかもな……」

 

前で3人がそんな会話をしている中、私は1つ考えていた。

 

未来「…………」

 

有栖「未来さん、どうかしましたか?」

 

未来「いえ、そろそろ宇宙人迎撃用にパーティーを固めた方が良いのかと考えていたのよ」

 

有栖「……それはもう少し人数が集まってから考えても良いのでは?」

 

未来「普通ならそうかもしれないけれど、こういった事は慎重に考えるに越したことはないわ」

 

有栖(未来さんは葛城君みたいな慎重さですね。もしも私と同じクラスだったら彼女は葛城派に所属してそうですね。ですが……)

 

未来「まぁ幾つか案が頭の中で出来上がっているから、基地に帰ったら友人と話してみるわ」

 

有栖(未来さんと葛城君は比較するまでもありませんね。葛城君は未来さんに比べるとミジンコみたいな存在ですし、葛城君の下に未来さんがつくとは思いません。底知れなさが半端ないです)

 

坂柳有栖が何やら呟いていたけれど、私が気にする事ではないわね。それよりも……。

 

未来「此処で最後ね」

 

落田「この病院も隅から隅かまで調べたでやんす……」

 

青野「まぁそのおかげで俺達は救われた訳だが……」

 

唯「うんうん!」

 

有栖「此処は病室の様ですね……」

 

病室には誰もいないわね。この状況だから逃げたかハタ人間になったかの2択でしょうね。

 

落田「あっ、彼処に誰か寝てるでやんす!」

 

寝てる……?いえ、あれは倒れていると言った方が適切ね。

 

唯「嘘……。瑠璃花のお母さんじゃない!」

 

南雲瑠璃花の母親……南雲霊華(なぐもれいか)ね。出来ることなら南雲瑠璃花がいる状態で見つけたかったわ……。

 

落田「なんでやんすと!?」

 

未来「……ハタは立ってないわね。でも何かが原因で昏睡状態に陥ってるわ」

 

有栖「どうしましょうか?」

 

未来「基地まで運ぶわ。神木さんと落田君は担架でこの人を運んで。基地に着くまでの間青野君は後方を、私と坂柳さんで前方を見渡すわよ」

 

『了解!』

 

さて、今日最後の大仕事ね……。なんとしても無事に基地まで辿り着いてみせるわ。




今回はここまでです。

次回、基地で翌日の方針を決めます!


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第8話 1日目終了。そして楽しい『合成』タイム

今回もよろしくです。


あれから日が沈むまで行動したけど、特に何事もなかった。強いて言うなら……。

 

 

~回想~

 

恵理「そういえば北公園に寄る前に南公園の方に行ったんだけど、その時に越後君を見かけたわ」

 

十一郎「越後を?」

 

越後竜太郎(えちごりゅうたろう)。至る人から馬鹿だ馬鹿だと言われる人物。口癖が『やれやれだぜ』とかだったり、10表では『まだまだだぜ』とか言ってた事からフルネームを考察するに彼の元ネタはジョジョの空条条太郎だったり、テニプリの越前リョーマだったりするらしい。

 

私が何故そんな事を言うのかというと……。

 

恵理「彼相変わらず何を考えているかわからなくて、中央で仁王立ちしてたと思ったら『やれやれだぜ』って言って公園から出ていったのよ」

 

この恵理の発言から考察するにまた彼も恵理のように人格が変わっている可能性があるからだ。

 

十一郎「アイツは何を考えているか良くわからないからな……」

 

瑠璃花「ですが話によるとまだハタが立っていなくて良かったです」

 

十一郎「そうだな。また明日にでも南公園に行ってみるか」

 

鈴音「今日中じゃなくていいの?」

 

十一郎「アイツはかなり自由人だからな。今から行っても多分南公園にはいないだろう」

 

鈴音「……小波君が良いなら別に構わないよ」

 

 

~現在~

 

なんて事があったくらいだ。明日になったら倉庫とか病院とか埋め立て地とかも見ておかなくちゃね。

 

そんなこんなで基地に戻ってきた。

 

十一郎「響さんと眼鏡はまだ帰ってきてないみたいだな」

 

恵理「……それにしてもあの廃ビルがこんなに住みやすくなったのね」

 

十一郎「それは多分唐沢教授のおかげだな」

 

恵理「唐沢教授……?」

 

唐沢「わしじゃよ」ヌッ

 

恵理「きゃっ!」

 

うおっ……。神出鬼没だな唐沢教授。

 

十一郎「教授、いきなり現れないでくださいよ……」

 

唐沢「いやすまんすまん。それよりもこれをやろう」

 

鈴音「これは……?見たところ指輪のようですけど」

 

光る指輪だね。未来が素材を持って帰ってきたら私も『合成』してみよう。私の方でも幾つか素材を持って帰ったしね。

 

唐沢「防具の一種じゃ」

 

十一郎「これはどうやって使うんですか?」

 

唐沢「それはわしにもわから……ゲフンゲフン!」

 

いやいや、なんで自分で持ってきたのに使い方がわからないんだよ……。しょうがない、助け船を出しますか。

 

鈴音「多分だけど、それを身に付ければ戦いの役に立つんじゃないかな」

 

十一郎「そういうものなのか……?」

 

瑠璃花「考えるのは後にして、とりあえず今は休みましょう」

 

鈴音「そうだね。多分未来達も帰って来るだろうし……」

 

そんな事を思っていたら未来達が帰って来た。……大所帯だね。5人もいるし。

 

未来「戻ったわ」

 

鈴音「おかえり……って」

 

なんか担架が来たんだけど……担架?乗ってるのってもしかして。

 

未来「通してもらうわよ」

 

十一郎「担架?乗ってるのは……」

 

瑠璃花「か、母さん!?」

 

なんと担架に乗っていたのは瑠璃花ママだった!

 

未来「病院の3階で見つけたの。安全な場所に移すのが最優先だったから、基地に戻ってきたという訳よ」

 

瑠璃花「母さん!母さん!!……駄目、返事がありません」

 

未来「病院で見つけた時に少し見てみたけれど、昏睡状態になっているみたいよ」

 

唐沢「それが原因でハタを立てられずにすんだとも言えよう!」

 

ふむふむ……。ならば昨日作っておいた私の秘伝の薬を使う時が来たかも!

 

鈴音「私にも少し見せて……」

 

霊華「…………」

 

鈴音「う~ん……」

 

瑠璃花「ど、どうでしょうか……?」

 

鈴音「うん、これならなんとかなりそうかな」

 

瑠璃花「ほ、本当ですか!?」

 

鈴音「勿論、もしもの時に備えて昨日作っておいた薬で治せる筈だよ。確か未来にも2つ程渡したと思うけど……」

 

未来「や、やはりあの薬を使うのね……」

 

あれ?未来には不評?

 

十一郎「ど、どんな薬なんだ!?」

 

鈴音「ジャーン!大宮印の万能薬でーす!」

 

瑠璃花「す、凄い色をしてますね……」

 

鈴音「あれ?反応が悪い?」

 

未来「それが普通の反応よ。けれど……」

 

有栖(あの薬は……!)

 

未来「その薬が効力を発揮した瞬間を見てしまったのよね」

 

鈴音「ん?ということは未来はその薬を誰かに使ったの?」

 

未来「ええ、私の後ろにいるわ」

 

11裏で薬が必要な人間なんてそれこそ瑠璃花ママくらいじゃ……。

 

有栖「初めまして、坂柳有栖です。あの薬の製作者でいいのですか?」

 

鈴音「あっ、うん、そうだよ」

 

な、何故よう実の坂柳有栖が此処にいるだぁー!

 

未来(やはりそういう反応になるわよね……)

 

有栖「貴女のおかげで私の先天性疾患が治りました。本当にありがとうございます!」

 

えっ?マジで?あの病気みたいなの治るの?じゃあ瑠璃花ママが目を覚ます確率がグッと跳ね上がったよ!

 

鈴音「それは何よりだよ。良かったね坂柳さん。……この場には私達の事を知らない人が他にもいると思うから、先に自己紹介しておくね。私は大宮鈴音だよ。訳ありでこの町に起こっている問題を解決するために来たんだ」

 

未来「響未来よ。鈴音と同じく訳ありでこの町の問題解決に務めるわ」

 

その後改めてこの場にいる全員の自己紹介を済ませて、いよいよ瑠璃花ママに薬を飲ませます!

 

鈴音「じゃあ行くよ……?」

 

霊華「…………」

 

鈴音「…………!」

 

私は凄い汗を流しながら薬を飲ませていたとこの場にいた全員が供述していたそうだ。

 

 

~そして~

 

鈴音「ふぅ……。これで大丈夫だよ。もう暫くすると目を覚ますよ」

 

瑠璃花「ほ、本当ですか!?ありがとうございます……!本当にありがとうございます!」

 

鈴音「気にしないで。……今日は皆疲れただろうし、ゆっくりと休んでね!」

 

私の言葉に皆頷いた。

 

未来「鈴音、今日集めた素材達よ」ドサッ!

 

鈴音「こ、こんなに?これは……!」

 

楽しい『合成』タイムだ!ひゃっはー!

 

 

~そして~

 

ふぅ……。出来た出来た。武器がクリアワルザーが3つ、DQT2000が1つ、強化バンテージが1つ、銅のナイフが1つ。防具がヘルメットが3つ、光る指輪が3つ、プロテクターが2つ。素材としては炭が10個、鉄が2つ。

 

うむ、1日目にしては破格の物ばかりだね!

 

鈴音「う~ん……!私もそろそろ休もうかな」

 

未来「そうしておきなさい。他の皆もぐっすりと寝ているわ」

 

鈴音「うん。……未来はどうするの?」

 

未来「私はもう少し素材を集めてから休むとするわ」

 

鈴音「そっか……。無理しないでね」

 

未来「ありがとう。でも大丈夫よ」スタスタ

 

そう言って未来は闇夜に消えていった。心配だけど、未来なら大丈夫だよね。

 

こうして長い長い1日が終わった。




今回はここまでです。

次回、パーティーを組み直してそれぞれの役割を果たす……!


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第9話 食品売り場のみゆき先生

今回もよろしくです。


朝が来た。新しい朝が。

 

そんな訳でこの世界に来て3日目、私と小波君は再びクラスメイトを救出に向かう。

 

パーティーは私に一生着いていきますと言わんばかりの坂柳さん、そんな私に興味を持っているっぽい白木さん、霧生さんを助けるなら自分も行くとの事で青野君の計5人で行く事になった。

 

未来の方は落田君と神木さんの3人で行くみたいだ。村山君は足が生まれたての小鹿の如しだからパス、南雲さんは朝に目が覚めた霊華さんとの時間を取るために欠席、平山君は再び教授の相手をするという事で……。ほら、対爺さん◯だしね!

 

神木さんは白木さんが私に興味があるように未来に興味があるらしく、ゆっくりと話をしたいそうだ。

 

さあ、レッツゴー!

 

 

~そして~

 

まずは霧生さんを助けようと言うことで動いている。確か青野君を助けた2日以内に助けなきゃ霧生さんがハタ人間になると何かに書いてあったので、最優先に動く必要がある。

 

ここで霧生夏菜の救出に当たる注意事項を挙げてみる。

 

 

・まず日中に動かなければハタ人間になってしまうから注意

 

・青野君を連れていかないとハタ人間になってしまうから注意

 

・日を跨いでしまうとハタ人間になってしまうから注意

 

 

……改めて見ると超難易度高いよね。

 

鈴音「はぁ……」

 

十一郎「どうしたんだ?」

 

鈴音「いや、人生世知辛いなぁって」

 

十一郎「俺達と同い年だよな?」

 

鈴音「そうだよ……」

 

そうなんだけど!色々ありすぎて人生に到達してしまったんだよ!!あと……。

 

有栖「鈴音さん、大丈夫ですか?無理をしないで身体を休めてください」

 

なんか坂柳さんがめっちゃ懐いてるんだけど!

 

恵理「……まるで小学生ね」

 

青野「まぁ賑やかでいいじゃないか」

 

そこの達観組は呆れないで!

 

 

~そして~

 

所変わって倉庫。

 

十一郎「夏菜!」

 

夏菜「おっ、十一郎じゃないか」

 

奥に進んでいって漸く霧生さんを見つけたんだけど……。

 

夏菜「丁度良かった。これ重いからあげる」

 

十一郎「えっ?」

 

そう言って霧生さんが小波君に渡したのは『合成』に役立つ素材を沢山くれた。わーい、嬉しいな!

 

夏菜「それと早く此処から離れた方がいいよ。じゃっ!」タタタッ

 

十一郎「えっ?えっ?」

 

霧生さんがそそくさとこの場を去った後……。

 

恵理「大変よ!かなりの数のハタ人間が此方に来るわ!」

 

十一郎「嘘!?」

 

有栖「やるしかありませんね」

 

青野「まぁやられたらハタ人間になるだろうしなぁ」

 

坂柳さんと青野君は結構冷静だね。私多分この中で1番精神力低いからこの状況に対してガクブルだよ。

 

……まぁ一丁やりますかね。

 

 

~そして~

 

疲れたぁぁぁぁ!体力的には余裕あるけど、精神的に疲れた。昨日から驚きと厄介の連続だから脳の処理が追い付いてないよぅ!

 

青野「全く霧生の奴は……」

 

恵理「そこが夏菜の長所でもあるんだけどね……」

 

青野君と白木さんは霧生さんのああいった言動に振り回されている被害者の顔をしている。彼女も石川梨子に負けず劣らずのトラブルメーカーなのではないだろうか……?

 

十一郎「これからどうするんだ?」

 

鈴音「次はショッピングモールに行こうと思う。食料は未来達に任せても大丈夫だけど、私もモールの地形を把握しておきたいしね」

 

恵理「良いと思うわ。夏菜は中学になってから料理にはまっているって言っていたから、もしかしたら食品売り場にいるかもしれないし」

 

決まりだね。私達はショッピングモールに行くことになった。

 

 

~そして~

 

食品売り場に到着!あっ、食品売り場といえば……。

 

鈴音「昨日未来からモールの鍵を預かってたんだよね。モールに行くなら持っていた方が良いって」

 

有栖「これは……冷蔵庫の鍵ですね」

 

恵理「確かに冷蔵庫なら食料はあると思うわ」

 

青野「案外誰か隠れていたりしてな」

 

十一郎「冷蔵庫の中だぞ?寒くてハタ人間ですら隠れないよ」

 

鈴音「まぁ新鮮な食料を手にする為にも1回入ろうか」

 

そんな訳でオープンTHEドア!

 

鈴音「…………」

 

十一郎「…………」

 

有栖「…………」

 

恵理「…………」

 

青野「…………」

 

石田「ムホーッ!」ムシャムシャ

 

いたね。それはもうガッツリと食べてたね。食べてたっていうか貪ってたね。ハタ人間ですら隠れてない所に。

 

石田「あっ、十一郎達だ!」ムシャムシャ

 

十一郎「石田ァァァァァッ!」

 

有栖「白木さん、貴女達のクラスは大丈夫ですか?色々と」

 

恵理「頭が痛くなってきたわ……」

 

私の自己紹介を済ませて食品売り場の奥へと進む。

 

 

~そして~

 

道中にいたハタ人間を倒しつつ、石田君にクリアワルザーの使い方を説明する。奥には霧生さんがいたんだけど……。

 

夏菜「こっちかな?いや、こっちも捨てがたいな……」

 

十一郎「いた!夏菜だ!」

 

鈴音「買い物してるね」

 

そんな霧生さんに忍び寄る1つの影。

 

???「」ユラリ

 

恵理「あれは田中先生よ!ハタを立てているわ!」

 

十一郎「ゲッ!深雪先生か……」

 

田中深雪(たなかみゆき)。パライソ中学で小波君達のクラス担任を勤めている。大人しめで、生徒に舐められ気味の先生だが、ハタが立つとサイコパスで暴論を正当化しようとするようになる。ハタ人間の中で唯一無二の『痛そうな棒』の使い手である。ゲームにおいて1章の3大トラウマの1つ。

 

……さて、このままだと霧生さんがハタ人間になってしまうし、それを防がなくちゃね。

 

深雪「」ブンッ!

 

十一郎「夏菜、危ない!」

 

夏菜「えっ?」

 

私は小波君が叫ぶよりも速く先生の足元へと回り込んだ。

 

鈴音「そおい!」ゲシッ!

 

深雪「っ!」ガクン

 

十一郎「えっ?何が起こったんだ?」

 

有栖「鈴音さんが足払いで田中先生の足を引っ掻けましたね」

 

恵理「皆、大宮さんが作ってくれた隙に便乗して田中先生を無力化させるわよ!」

 

私の足払いの隙に皆が先生に水をかけるかける。ハタが立っているとはいえ、集団で先生に水をかける生徒の図。悪役が此方のような気がしてならない。

 

深雪「っ!」ブンッ!

 

しかし先生はそれに負けず『痛そうな棒』で皆を攻撃する。危ないっ!

 

 

ガンッ!

 

 

鈴音「……っ!」ビリビリ

 

これが『痛そうな棒』……。痛いよ!鍛えてなきゃ意識吹き飛ぶよこれ……。気絶効果が付いてるのも納得だね。

 

十一郎「大宮さん!」

 

鈴音「私は大丈夫……。今の内に皆一斉に攻撃して!」

 

私の掛け声に合わせて皆が先生にクリアワルザーを射撃する。流石にダメージを受けすぎたようで、先生は気絶した。

 

 

~そして~

 

霧生さんは一言御礼を言って何処に行ってしまった。多分基地にいると思うけど、どうやって基地に行くんだろうか?最悪未来達が拾ってくれる事を信じよう。

 

有栖「鈴音さん、大丈夫ですか!?」

 

鈴音「問題ないよ。……攻撃を受けた時にちょっと腕が痺れたけどね」

 

有栖「鈴音さんにもしもの事があったら私……」

 

もう前々から思ってたけど……。誰だ君!?キャラ崩壊激し過ぎでしょ!原作の面影皆無なんだけど!他の皆も唖然としてるじゃん!!

 

鈴音「……食料もある程度確保したし、次は2階に行ってみようか。もしかしたら武器とかあるかもだしね」

 

十一郎「わかった」

 

それから昼過ぎまでこのモールで過ごした。




今回はここまでです。

次回、南公園で鈴音達が見たのは……!


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第10話 南公園にいるやれやれな……スタンド使い!?

今回もよろしくです。


昼過ぎ。私達は食事を済ませて南公園にいる。

 

十一郎「生徒会長は昨日此処で越後を見たって言ってたな」

 

恵理「ええ、彼って案外縄張り意識が強いから多分今日も此処にいると思うわ」

 

越後ってそんな縄張り意識強かったっけ?確かにゲームでも至るところに自分の名前を書くくらいだから、縄張り意識は強いのかもしれないけど……。

 

青野「とは言ってもこの公園は結構広いぞ。具体的な場所とかはわかるか?」

 

恵理「恐らくだけど、左奥のベンチで座ってるんじゃないかしら?前に聞いたことがあるんだけど、彼が南公園奥のベンチで座ってる姿が一昔前の番長みたいでとても様になるってうちの生徒から評判が良いらしいわ」

 

……なんかやっぱり元の越後の面影が無くなりつつあるんだけど。対面するのが怖いんだけど!

 

十一郎「なんにせよ越後に会わないといけないな……ってどうしたんだ大宮さん?」

 

鈴音「……なんでもないよ」

 

有栖「鈴音さん、汗が凄いですよ。よろしければ此方のハンカチを使ってください」

 

あと坂柳さんが献身的過ぎて怖い。そのハンケチーフはありがたく使わせて頂く!

 

 

~そして~

 

そんな訳で奥まで来ました。目当ての越後君は……っと。

 

十一郎「いた!越後だ!!」

 

恵理「やはり今日もベンチに座ってるわね」

 

十一郎「ハタが立ってるんじゃないだろうな……」

 

鈴音「見える分だとハタは立ってないけどね」

 

恵理「貴女、此処から越後君が見えるの……?」

 

鈴音「私目が良いんだよね。暗闇でもバッチリだよ」

 

暗視スキルが付いてる自信があるくらいだしね。

 

十一郎「なら安心して越後に会えるな。越後ー!」

 

越後「…………」

 

十一郎「越後、無事だったか!?」

 

越後「……やれやれだぜ」

 

……現実逃避してたけど、流石にもう受け入れるしかないよね。このクソ暑い時期に黒い学ラン着ててやけに長身だし、彼の背後にスタンドっぽいのがいるし、もう名前と口癖くらいしか面影ないね。

 

越後「……ところでそこで放心しかけの女は誰だ?」

 

放心しかけっていうのは私の事だよね?そりゃゲーム知識とはいえ私の知ってる人間がキャラ変してんだもの。放心もしちゃうよ!

 

十一郎「彼女は大宮鈴音さんだ。彼女と此処にはいないが、もう1人のおかげで俺達はこうして活動できている」

 

越後「大宮鈴音か……」

 

えっ?なんか越後君が此方を見てるんですけど……。私なんかした?初対面だよね?

 

鈴音「よろしくね」

 

越後「……ああ」

 

十一郎「とりあえず越後が仲間になったし、次は埋め立て地の方を見に行ってみようか!」

 

越後「……ところでおまえ達には隠れ家のようなものはあるのか?」

 

隠れ家……?ああ、基地の事か。

 

十一郎「この公園から西に行ったところに廃ビルがあっただろ?そこだよ」

 

越後「……彼処か。確か先週に皆で行ったな。なら俺は一旦そこに行く」スタスタ

 

恵理「あっ、ちょっと越後君!」

 

越後君はスタスタと基地の方へと歩いていった。

 

十一郎「青野!越後に万が一の事があったら困るから越後の後を追ってくれ!!」

 

青野「ああ、わかった」タタタッ

 

いや、あの越後君なら心配いらないと思うんだけど……。

 

十一郎「越後の方は青野に見てもらうとして、俺達は先に埋め立て地に行ってみようか」

 

恵理「……そうね」

 

鈴音「いいのかな……?」

 

有栖「恐らく気にしたら負けでしょうね」

 

そうなんだけどさぁ……。まぁいいや。




今回はここまでです。

次回、埋め立て地の空き缶ガール登場!


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第11話 埋め立て地名物の空き缶Girl

今回もよろしくです。


現在私達は埋め立て地に来ております!

 

鈴音「そういえばこの埋め立て地は何をする所なの?」

 

十一郎「それが俺もよくわからないんだよ……」

 

確かこの埋め立て地のどっかに宇宙人の基地かなんかがあったような気がする。あれは特定の鍵がいるんだっけ?

 

恵理「この辺りは工事をしていた筈だけど……」

 

有栖「人1人いませんね」

 

鈴音「とりあえずこの辺りをそれぞれに別れて見渡してみよう。ハタ人間には注意してね」

 

十一郎「わかった」

 

それにしてもこの辺何もないな……。此処に宇宙人の基地があるのかが疑わしくなっちゃうくらい。

 

 

~そして~

 

私が入口に戻ってきたのとほぼ同時に皆が戻ってきた。

 

十一郎「う~ん、この埋め立て地は本当に何もないな……。そっちはどうだった?」

 

恵理「特に何もなかったわ。坂柳さんはどうかしら?」

 

有栖「此方も特に何もありませんでした。鈴音さんはどうですか?」

 

鈴音「私の方も何もなかったよ」

 

それにしても埋め立て地といえばな人がいたような気がするんだけど、気のせいだったのかな?

 

???「痛た……。もうなんなの!?変な奴はいるし、十一郎はいないし!……ん?」

 

十一郎「とりあえず1回外に出ないか?」

 

恵理「そうね。此処をまた散策するならもう少し時間がたってからにしましょう」

 

有栖「鈴音さんはそれで大丈夫ですか?」

 

鈴音「私はそれでいいと思うよ」

 

???「はぁぁぁ!?十一郎何やってんのよ!?」

 

???(ひょっとしてあたし苛められてる……?いや、そんなことよりも)

 

???「とにかく十一郎を追い掛けないと!」

 

「ああああっ!」

 

???「ちょっと!あたしは十一郎を追い掛けるんだから邪魔しないでよ!!」

 

「ああああっ!」

 

???「なんなのよーっ!」

 

十一郎「……?」

 

鈴音「どうしたの?」

 

十一郎「いや、誰かいたような……」

 

鈴音「また此処に来たら会えると思うよ」

 

十一郎「……そうだな」

 

十一郎(リコ……!)

 

~そして~

 

あの後白木さんが基地に戻って基地にいる人達の様子を見に行くと言っていたので、彼女がハタ人間に襲われないように全員で基地に戻り、再びこの埋め立て地に来た。ちなみにメンバーは白木さんを抜いた3人ね。

 

十一郎「再び埋め立て地に来たけど……」

 

 

ヒューン……ッ!

 

 

鈴音「……?今なんか音がしたような」

 

十一郎「えっ?」

 

 

カコンッ!

 

 

十一郎「ぐはっ!」バタッ!

 

えっ?なんか小波君が急に倒れたんだけど。そんな小波君の足元に何か転がっていた。これは……。

 

十一郎「痛て……。これは空き缶?」

 

空き缶って事はもしかして……。

 

十一郎「っていう事は……!」

 

???「やっほーーーっ!!」

 

十一郎「やっぱりおまえかリコ!?」

 

石川梨子。空き缶と埋め立て地とは切っても切れない縁がある緑髪伝説を大きくさせた少女。パワポケを知ってる人間で彼女を知らない人は極小しかいないと言われる少女。私結構好きなんだよね~。

 

梨子「やっと見つけたよ十一郎。さっき見た時もハタ立ててる奴に追い回されて……」

 

十一郎「……?どうした?」

 

梨子「ちょっと、なんで他の女といるの!?」

 

怖っ!梨子さん怖い。ヤンデレとかメンヘラなんじゃないかと思ってしまう程に怖い。

 

十一郎「ちょっ、落ち着けリコ!」

 

梨子「しかも……」

 

小波君が宥めるも彼女には逆効果。そして坂柳さんに視線を移す。

 

梨子「なんでよりにもよって坂柳なんかと一緒なの?」

 

有栖「これはこれは。御挨拶ですね石川さん」

 

梨子「あたし、アンタの事が嫌いだから。十一郎に近寄らないで」

 

有栖「御断りします。普段ならともかく、今は非常事態……。その解決の為に彼といるにすぎませんから。それに私は小波君の事を玩具としか思っていません」

 

梨子「十一郎を玩具にしていいのはあたしだけだから。なんか足が治ってるみたいだけど、あんまり調子に乗らないでよね」

 

……この2人に何があったんだろうね。2人の目に火花散ってるのが見えるし。

 

十一郎「おい、2人共。喧嘩は止めろ。そしてさりげなく俺を玩具扱いするんじゃない!」

 

鈴音「それにこのままだと話が進まないよ」

 

私と小波君で2人を止める。梨子を仲間にする時にその場にいる女性陣によってイベントが変化するんだけど、これは人選を誤ったっぽいね。

 

有栖「……鈴音さんがそう言うなら」

 

坂柳さんはこれで矛をおさめてくれるから、まだ理性的だね問題は……。

 

梨子「そもそもアンタ誰?」

 

この子だよねぇ……。凄い冷たい眼差しで此方見てるんだけど。まぁ未来程じゃないけどね!

 

鈴音「私は大宮鈴音。訳ありで今起こっている事件の解決を勤めているよ。小波君達はそれに協力してくれているんだ」

 

梨子「訳?」

 

鈴音「詳しくは話せないけど、今起こっている事について話しておくね」

 

私はハタ人間を作っている宇宙人について話した。

 

梨子「宇宙人……。良い響きだね!」

 

十一郎「この説明で目を輝かせられるのはおまえだけだぞ……」

 

梨子「まぁ事情はわかったよ。あたしは坂柳が余計な事をしないように見張ってればいいんだよね?」

 

十一郎「わかってないじゃないか!」

 

有栖「少なくとも石川さんにだけは言われたくありませんね。それに私が鈴音さんに迷惑がかかるような行為をするわけがありません」

 

なんか信用されてるのは嬉しいんだけど、私は坂柳さんにおくすり作っただけだよ?しかも坂柳さんの先天性疾患が治ったのは成り行きにすぎないし……。あと喧嘩止めて!せめてこの騒動が終わってからにして!

 

梨子「鈴音だっけ?あたしは十一郎に着いていくから。それだけはよろしくね。坂柳は帰ってもいいよ」

 

有栖「私は鈴音さんに着いていきますので。石川さんの都合は関係なく小波君が鈴音さんと行動する限りは私がいると思ってください」

 

また喧嘩始めてるし……。この2人本当に相性悪いなぁ……。

 

さて、次は橋とか港にも行ってみたいなぁ。もしかしたら未来達が行ってるかもしれないけど、場所だけでも覚えておきたいね。




今回はここまでです。

次回、大人が現れる。


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第12話 大人が初めて仲間になる。しかもその人は……

今回もよろしくです。


埋め立て地で石川さんを仲間にした私達は今港にいます。

 

鈴音「此処が港だね」

 

十一郎「ああ、本来なら此処にボートとかあるんだが……」

 

有栖「誰かがハタ人間から逃げるために乗っていったのか、ハタ人間が乗っていったのか……。1隻もありませんね」

 

十一郎「此処から逃げるという選択肢はなさそうだな……」

 

梨子「ねぇねぇ、それなら此処で釣りをしたらどうかな?」

 

釣りか。それなら食料確保にも繋がるけど……。

 

鈴音「釣竿とかはどうする?」

 

十一郎「釣竿なら俺の家にあるから……」

 

鈴音「小波君、家に帰れるの?」

 

家にはハタを立てた御両親がいるんだよね?無理じゃん。

 

十一郎「そうだった……。どうしよう?」

 

私なら最悪潜っていけばいいけど、他はそうもいかないだろう。特に坂柳さん。自由に動けるようになったとはいえ、彼女は身体が弱いから潜水は駄目だろうし。

 

鈴音「とりあえず1回他の場所に行こうか。何時までも此処で時間を浪費する訳にもいかないしね」

 

十一郎「そうだな」

 

とりあえず此処を移動しようとすると……。

 

 

カッ!

 

 

十一郎「な、なんだ!?」

 

突然1つの光が発生した。へぁぁぁぁっ!目がぁぁぁぁっ!!

 

有栖「これはなんの光でしょうか……?」

 

本当だよ。一体なんの光だよ全く……。あっ、光が止んだ。って……。

 

十一郎「なっ!」

 

有栖「これは……」

 

梨子「もしかして宇宙船!?だったら例の宇宙人が乗ってるかも!」

 

そう、これはどう見ても宇宙船。もしかして本当に宇宙人が乗ってるのだろうか……。

 

 

ギギィ……。

 

 

あっ、開いた。

 

???「はぁ、やっと出れた……」

 

出てきたのは宇宙人ではなく人間。しかも小波君にそっくりだ。

 

???「おっ、場所的には成功みたいだな。港に着くように設定してたって教授が言ってたし」

 

十一郎「あの、貴方は……?」

 

小波君が宇宙船から降りた人に尋ねる。するとその人は小波君を見ては溜め息を吐いた。

 

???「ああ、そこにいる少年は……。はぁ時間の流れって残酷だなぁ……」

 

話の内容から察するにこの人は恐らく……。

 

???「自己紹介がまだだったな。俺はそこにいる坊主の未来の姿さ。まぁ名前呼びだとそこにいる坊主と被るから俺の事は小波とでも呼んでくれ」

 

十一郎「えっ!?」

 

梨子「はっ!?」

 

有栖「へぇ……」

 

鈴音(やっぱりね……)

 

彼は小波君の未来の姿。よくよく見るとタイムマシンも前に私がいた世界の物に類似してるからもしかしてと思ったんだ。

 

小波「しかし期待してた反応をしたのは2人だけか。となると……」

 

小波さんが私達……というか私を見てはブツブツと何か呟いていた。

 

しかし未来から来た……か。宇宙人(ギャスビゴー星人)、未来人(小波さん)、異世界人(私と未来)……。あれ?この場に超能力者がいたらSOS団じゃね?

 

こうして私達が初めて仲間にした大人は未来から来た人でした。




今回はここまでです。

次回、倉庫に行った未来達はとある人物に出会う……。


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第13話 倉庫に潜む超能力者?

今回もよろしくです。


未来side

 

私達は準備を終えて一足速く基地を出た。今日は私と落田君と神木唯の3人で行動をする事に。

 

唯「いや~、突然私も行くって言ってごめんね。ちょっと響さんに興味があったから一緒に行きたくて」

 

未来「……それは構わないけれど、私に何か聞きたい事でもあるのかしら?」

 

唯「うん。……響さんって何か格闘技やってたよね?」

 

未来「……何故そう思ったのかしら?」

 

唯「響さんの歩幅とかハタ人間と戦う時の動きは素人じゃ出来ないもん」

 

落田「そういえばはじめて会った時に響さんがそんな事言ってたでやんすね」

 

唯「やっぱり!ねぇねぇ、何やってたの?」

 

落田君がネタばらしすると神木唯が此方に詰め寄ってくる。近いわ……。

 

未来「……私がやっていたのは空手、合気道、柔道、テコンドー、ジークンドーね」

 

唯「そんなに……?」

 

未来「柔道、テコンドー、ジークンドーは1年もしない内に辞めてしまったけれどね」

 

唯「続かなかったの?」

 

未来「……というよりはそのくらいの期間に師範代を越えてしまったのよ。免許皆伝という事で半ば追い出される形でね」

 

その3つに関しては通っていた道場の人間性に問題があったのよね。テコンドーとジークンドーは性格が悪い人ばかりだったし、柔道に至っては技を教えるという名目でセクハラ紛いの行為ばかりしてきたから3日で師範代を越えてやったけれどね。道場は私が日本でもかなり有名な場所だったから実力は身に付いたのが救いね。

 

唯「すごーい!」

 

落田「……響さんは絶対に怒らせないようにしないといけないでやんすね」

 

失礼ね。私は温厚よ。余程の事がない限り怒ることはないわ。

 

未来「空手と合気道……特に空手は今でも先生と手合わせする事があるわね」

 

唯「いいなぁ……。私も響さんみたいに格闘技が出来るようになりたいな~」

 

未来「病院で見たキックはかなり良いものだと思うわよ。精度を上げれば宇宙人相手でも使えるかもしれないわ」

 

唯「本当!?」

 

落田「あんなキックが強化されたらオイラや小波君の身が危なくなる一方でやんす。坂柳の足も治ってるみたいでやんすし……」

 

未来「今後の為に戦力が多いに越したことはないわ」

 

まぁその後の事は私は一切知らないけれど。

 

 

~そして~

 

私達は今倉庫にいる。

 

落田「倉庫に来たでやんすけど、どうするんでやんすか?」

 

未来「此処で素材収集をする序でに誰か救出するわ」

 

……とは言っても此処にいるのは小野映子(おのえいこ)とドミオ・バンデラスの大人組の2人。今日はその内の1人の小野映子が隠れているかもしれない場所の様子を見に来た。

 

落田「響さん、その鍵はどうしたんでやんすか?」

 

未来「鈴音から貰ったのよ。倉庫に行くことがあったら持っててほしいって」

 

唯「その鍵って入ってすぐ左の扉を開ける為の鍵だよね?」

 

未来「ええ」

 

そもそも鈴音達は霧生夏菜を救うために1度倉庫に入っている筈よ?何故その時に確認しなかったのかしら……。まぁとにかく鍵を開けましょう。私が扉を開けた瞬間……。

 

 

ブンッ!バシィッ!

 

 

唯「ええっ!いきなりキックするなんて非常識じゃない!?」

 

落田「……それは突っ込み待ちでやんすか?」

 

神木唯が言ったように扉を開けるなり鋭い蹴りが飛んできた。まぁ受け止めたけれどね。

 

???「おや、今のを受け止めましたか。もしも貴女がハタを立てていたら少し苦戦していたかもしれませんね」

 

未来「……それよりもいきなり蹴りをいれてきた理由を説明してもらってもいいかしら?」

 

???「……これは失礼。貴女達がハタを立てている人間の仲間だと思っていたのでつい。私はウ・ホンフーといいます。以後御見知り置きを」

 

そもそも貴方の出番は2作品先でしょう。本来小野映子がいる場所にはウ・ホンフーがいた。

 

 

~そして~

 

私はウ・ホンフーに今起こっている事件の理由の説明をした。

 

ホンフー「成程、宇宙人の侵略ですか……。この町は何やら面白い事になっていますね」

 

未来「……今の話を信じるのね?」

 

ホンフー「勿論です。理由は色々ありますが、1番は貴女の目ですね。嘘を吐いている目じゃなかった」

 

未来「まぁ嘘を吐く理由がないもの」

 

ホンフー「まぁそんな訳で微力ながら協力させてもらいますよ」

 

よく言うわ。貴方はパワポケの世界においてトップクラスの実力の持ち主じゃない……。もしもドラゴンボールの世界に彼がいたらどれくらいの力を持っているのかしらね。

 

ホンフー「……っとその前に1つ試させてください」

 

落田「試す?」

 

唯「何をですか?」

 

ホンフー「なに、ちょっとした抵抗力のテストですよ。なので皆さんはそのまま『呼吸を続けてください』ね」

 

落田「っ!」バタッ

 

唯「っ!」バタッ

 

ウ・ホンフーの超能力によって2人は倒れた。抵抗力というのは精神力のテストといったところね。……というか。

 

未来「……今それをやる必要はあったのかしら?」

 

ホンフー「やはり貴女には効きませんか。初見から察していましたが、物凄い精神力の持ち主ですね。何時か貴方と手合わせしてみたいものです。あっ、2人は続けて『息を止めてください』」

 

落田「ぷはっ!」

 

唯「はぁ、はぁ……。な、なんなの今のは?」

 

ホンフー「今のは超能力の一種ですよ」

 

落田「ちょ、超能力でやんすか!?ロマンでやんす!」

 

唯「その超能力で私達は息が出来なかったんですね……。何時の間に使ってたんですか?その超能力を」

 

ホンフー「今のはデス・マスという超能力者が使う能力です」

 

未来「正確には暗示催眠術ね。発言に従うことが出来なくなるというものよ」

 

ホンフー「!!」

 

落田「それってどういうことでやんすか?」

 

未来「先程貴方達も受けていたでしょう?呼吸困難になっていたじゃない」

 

唯「じゃあさっき息が出来なかったのは……」

 

未来「恐らく呼吸を続けろといった発言が原因でしょうね」

 

ホンフー(何故彼女がこの能力を詳しく知っている?デス・マスと会った事がある……?いや、そう結論するのは早計か)

 

考えているわね。大方私が何故貴方が使った超能力のタネをいとも簡単に見破れたのか……といったところかしら?

 

未来「それで貴方はこれからどうするのかしら?」

 

ホンフー「……迷惑でなければ私も着いていってもいいですか?もっと貴女と話をしてみたい」

 

未来「2人が良いなら構わないわ。話とやらは日が落ちてからゆっくりと話せる場所で話しましょう。私の親友を交えてね」

 

ホンフー「それは楽しみですね。貴女の親友という人物にも会ってみたいですし」

 

未来「好きにしなさい」

 

こうしてジャジメント最強の超能力者が仲間になった。それにしても宇宙人(ギャスビゴー星人)、超能力者(ウ・ホンフー)、異世界人(私と鈴音)といった並び……。もしも未来人が仲間になったらいよいよSOS団になってしまうわね……。

 

落田「それにしてもホンフーさんは物凄い美人さんでやんす……」

 

唯「本当、同じ女として羨ましいわ」

 

未来「……一応言っておくけれど、彼は男よ」

 

『ええっ!?』

 

……まぁ初見は勘違いしても仕方ないわね。私も初めてゲームで見た時は勘違いしたもの。




今回はここまでです。

次回、ホンフーを仲間に加えた未来一行は学校で……。


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第14話 学校での決戦。未来VSホンフー

今回もよろしくです。


未来side

 

倉庫を離れて次は学校へ。

 

落田「昼間の学校なのに静かなのは不気味でやんすね」

 

未来「人がいないからかしら?まぁこの状況なら仕方ないでしょうね」

 

落田「……なんだかこの状況は七不思議の1つを思い出すでやんす」

 

未来「七不思議……?」

 

ハタ人間編の大掛かりなイベントの1つね。私は然程興味ないけれど、鈴音がこのイベントが大好きだったのを今でも覚えているわ。落田君と同行しているのは私だから私が小波君の代わりにこのイベントを聞かなければいけないのね……。

 

落田「……丁度こんな風に静かな体育館でポン、ポンと何か跳ねている音がするのでやんす」

 

未来「体育館で……?」

 

……思い出したわ。七不思議の1つ目は神木唯が体育館でバスケットボールをしていたという話だった筈。その神木唯が今丁度席を外している……。こんなミラクルがあるかしら?

 

落田「しかもそれが生首だと言われているらしいでやんす……」

 

未来「……それが本当だとすると不気味な話ね」

 

落田「まだ1つ目でやんすよ……?」

 

もしかしなくても私はあと6つも話を聞かなければならないのかしら?そんな事を思っていると先程までいなかった神木唯とウ・ホンフーが戻ってきた。

 

唯「ふぃ~、疲れた~!」

 

未来「……何処に行っていたのかしら?」

 

唯「体育館!ホンフーさんとバスケしてたの!!」

 

ホンフー「偶にはスポーツというのも悪くないですね。バスケットボールなんて久々でしたよ」

 

唯「ホンフーさん凄いんだよ!レイアップも、3ポイントシュートも、ダンクシュートも見せてくれたんだ!!」

 

未来「そう……。良かったわね。というか貴方ダンクもするのね」

 

正直ウ・ホンフーからダンクのイメージが皆無だわ。

 

ホンフー「こういった泥臭い事も悪くないですね。神木さんには感謝です」

 

唯「えっへへ……。ちょっとジュース買ってくる!眼鏡君も一緒に来て!!」

 

落田「えっ?」

 

ホンフー「ハタ人間には気を付けて『早めに戻ってきてください』ね」

 

唯「はーい!積もる話もありそうだし、ゆっくりジュースを吟味してますね~!」

 

落田「ちょっ、首根っこを掴むのは止めてほしいでやんす~!」

 

神木唯は落田君と一緒にジュースを買いに行った。ウ・ホンフーが使ったデス・マスの能力にも上手く対応出来ているし、大したものだわ。さて……。

 

未来「……神木さんに能力を使って人払いをしてまでなんのつもりかしら?」

 

ホンフー「いえいえ、貴女とは話してみたかったと言ったじゃないですか。此処に来る道中に色々考えた結果、私は貴女の実力を見てみたい……。そう思ったんですよ」

 

この男はサイヤ人か何かなのかしら?別世界まで来て戦闘狂は鈴音だけにしてほしいわ……。

 

未来「はぁ……。嫌と言っても貴方は聞かないでしょうね。場所が場所だから余り派手にやるのは止めて頂戴」

 

特にストームレインとか、ワームホールの深海砲弾とか、バジリスクとかは勘弁ね。学校の備品が壊れるのは個人的に好ましくないもの。

 

ホンフー「安心してください。私は素手の殺し屋だった事もあるんですから」

 

未来「確か九百龍という組織に属していたんだったかしら?」

 

ホンフー「……先程の倉庫でのデス・マスの能力詳細と言い何故貴女がそこまで詳しいのかを見極める必要があります……ね!」ブンッ!

 

……っと、随分好戦的ね。この男の事はサイヤ人と評しておきましょう。そう思いながら飛んできた拳をかわす。

 

未来「私は知っている事しか知らないわ。貴方の事も、デス・マスの事も、九百龍の事も……偶々知っていたというだけよ」

 

ホンフー「……それを私が納得するとで……もっ!?」ブンッ!

 

それにしても彼はこんな性格だったかしら?もう少し冷静な人物だと思っていたのだけれど……。

 

未来「貴方はもう少し冷静だと思っていたわ……」

 

ホンフー(腕が……動かない!?あの華奢な外見からは想像出来ない物凄い力……!)

 

未来「とりあえず眠ってなさい」ブンッ!

 

 

ドカッ!ガスッ!ドゴッ!

 

 

ホンフー「ぐっ……!」ドサリッ

 

……気絶したわね。辺りを見渡すと机が多少バラバラになっているだけね。思ったよりも被害が少なくて助かったわ。早いところ元に戻しておきましょう。

 

 

~そして~

 

ホンフー「うっ……!そうか、私は……」

 

未来「起きたようね」

 

ホンフー「貴女でしたか。……いやはや完敗ですよ。あれ程の重い拳を受けたのは生涯初めてかもしれません」

 

未来「あれだけ全て決めるのは早計だわ。貴方の超能力はコピーでしょう?なら他にも手持ちを隠している筈よ」

 

ホンフー「……やはりそれも御存知でしたか。それも偶々知っていただけですか?」

 

未来「そうよ。偶々知っていただけ」

 

ホンフー「はぁ……。でしたらやっぱり私の完敗ですよ。それに貴女はまだ力を隠している……。拳を交えた私だからこそわかるんでしょうね」

 

未来「否定はしないわ」

 

ホンフー「そろそろ2人が戻ってくる頃合いでしょうし、迎えに行きましょうか」

 

未来「……やけにスッキリとした顔をしているわね」

 

ホンフー「恐らく負けを味わったからでしょうね。しかも完膚なきまでに叩きのめされたから」

 

完膚なきまでにって……。数発拳をぶつけただけじゃない……。

 

それにしても今がどの段階かわからないけれど、彼はもう負けを見る事はないと思ってよさそうね。これではまだ見ぬダークスピアにも勝ってしまうかもしれないわ。

 

そんなダークスピアには御愁傷様と言っておきましょう。




今回はここまでです。

次回、未来から来た小波(大)の目的とは……?


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第15話 未来から来た男の目的は……

今回もよろしくです。


十一郎「み、未来から来た俺!?」

 

小波「そうだな」

 

梨子「……よく見たら十一郎に似てる」

 

小波「ああ、過去の梨子か」

 

梨子「ねぇねぇ、未来のあたしってどうなってるの!?」

 

小波「……詳しくは答えられないが、まぁ梨子らしく元気にやってるよ」

 

……なんか私と坂柳さん置いてけぼりだよね。そりゃそうか。坂柳さんとはクラスが違うし、私に至っては本来会わない筈だもんね。

 

有栖「それにしても未来人ですか……。鈴音さんは気付いていたようですね」

 

鈴音「会話の流れや彼の雰囲気で大体察せる事が出来ると思うよ。そういう坂柳さんこそ驚かなかったみたいだけど?」

 

有栖「理由は鈴音さんと同じになりますね。……これは運命ですよ///」

 

あれ?なんで顔を赤らめてるの?そしてなんか既視感を感じるのは気のせいだよね?

 

小波「……なんか俺の知ってる坂柳じゃないな」

 

有栖「おや、私の事も御存知で?」

 

小波「ああ、心なしか表情豊かになってる」

 

有栖「それは鈴音さんのおかげです。彼女が作ってくれた薬で私の足は治りましたから」

 

いやね、別に私は坂柳さんの為に薬を作った訳じゃないんだよ?足が治ったのも完全に成り行きだからね?

 

小波「……そういえば杖を持ってないな」

 

有栖「はい、今の私は健康体そのものです」

 

小波「……それでそこにいる少女が鈴音とやらでいいのかな?」

 

あっ、今度は此方にきた。

 

鈴音「どうも、大宮鈴音です。多分貴方からしたら私の存在ってイレギュラーなんじゃないですか?」

 

小波「……そうだな。そうなる。なんで大宮さんが此処に来たかを聞いても大丈夫か?」

 

鈴音「別に隠すような事でもないけど、ここで話すような事でもないので、私の親友を交えてゆっくりと話せる場所で話しますよ」

 

小波「わかった」

 

とりあえず未来と要相談だね。彼の存在は後に大きくなると思うし。

 

十一郎「……あの、小波さんは何が目的でこの時代に来たんですか?」

 

小波「おっと、それを話さなきゃいけなかったな。俺が来たのはズバリこの町での宇宙人の侵略がかなり大規模なものになっているらしくて、それを食い止める為に未来から俺がエージェントとして来た訳だ」

 

エージェント……。響きがかっけー!

 

梨子「エージェント……。なんかいいね!」

 

十一郎「リコならそんな反応すると思ったよ」

 

有栖「そうですね。少しは鈴音さんのような落ち着きを見習ってほしいものです」

 

ごめん坂柳さん、私言う程落ち着いてないかも。

 

小波「さて、俺は船の方で準備がある。宇宙人の基地に攻め込む準備が出来たなら是非港に来て声をかけてくれ。力を貸そう」

 

十一郎「宇宙人の基地……?そんなのがあるんですか!?」

 

小波「あっ、そうか……。まだこの時点ではまだ知らないんだっけ」

 

梨子「ねぇねぇ、宇宙人の基地って何処にあるの!?」

 

十一郎「なんでそんなに楽しそうなんだよ……」

 

それが梨子だからだろうなぁ……。

 

小波「それは自分自身で見つけなければ意味がない。じゃあな」

 

そう言って小波さんは宇宙船に戻っていった。それにしても……。

 

鈴音「宇宙人の基地……か」

 

まだ2日目だけど、対宇宙人用にパーティーを考える必要があるね。




今回はここまでです。

次回、鈴音達は橋に行きそこである人物に出会う……。


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第16話 パライソ橋の委員長

今回もよろしくです。


時間は午後6時30分。今日は色々考えたい事もあるし、未来と話をしておかないといけないし、あと1ヶ所寄って基地に戻るとしよう。そんな私達からだが向かったのは……。

 

鈴音「橋?」

 

十一郎「ああ、パライソタウンから本土へ行くための橋に行こうと思う」

 

成程ね。テレビでは封鎖されてると言われてたけど、実際どんな風になっているのかをこの目で見ておく価値はある。まぁそんな事よりも……。

 

梨子「ねぇねぇ坂柳、あたしの半径3メートル以内に近付かないでね」

 

有栖「そんな事を言うなら私に話し掛けなければいいのでは?それに私は石川さんに構うほど暇ではありませんので」

 

この2人だよねぇ……。宇宙人の基地破壊に向けてのパーティー編成も検討しないとね。

 

十一郎「おい2人共、喧嘩は止めろ。これ以上揉めるなら基地に置いていくぞ」

 

梨子「……はーい」

 

有栖「私は何もしていませんがね。石川さんが私に絡むのを止めれば万事解決だと思いますよ?」

 

確かに坂柳さんからは石川さんに絡んでない訳だからね、石川さんと坂柳の間に何があったかは知らないけど、 石川さんの態度は明らかに問題ありだと思う。

 

鈴音「坂柳さん、石川さんもそうだけど、この状況下において喧嘩をしている場合じゃないよ。矛をおさめて」

 

有栖「……そうですね。申し訳ありません鈴音さん」

 

梨子「……ふんっ」

 

互いに何処か納得してないみたいだけど、とりあえずこの場はなんとかなった。明日行くパーティーも未来達と考えておこう……。

 

 

~そして~

 

十一郎「着いたな」

 

鈴音「此処が橋だね」

 

有栖「ニュースで聞いていた通り封鎖されているみたいですね」

 

鈴音「少なくとも此処から脱出するのは無理かな?」

 

十一郎「そうだな……。今は無理そうだ」

 

ならやはり宇宙人を倒すプランが丸そうだね……ん?

 

鈴音「ねぇ、彼処に誰かいるんだけど……」

 

十一郎「本当か!?」

 

鈴音「うん、茶髪をポニーテールにしてて眼鏡をかけてる女の子」

 

眼鏡も普通の眼鏡じゃなくてグルグル眼鏡だし、多分神条紫杏で間違いないだろう。

 

十一郎「委員長がいるのか!?だったら声をかけてくるけど、ハタは立ってないよな?」

 

鈴音「うん、見た限りでは立ってないよ」

 

十一郎「じゃあ行って来る!」タタタッ

 

梨子「あっ、あたしも行く!」タタタッ

 

小波君と石川さんは神条さんの元へと走っていった。そんなに急がなくてもハタ人間は周りにいないのに……。

 

有栖「全く……。彼等は元気ですね」

 

鈴音「そうだね。でもこの状況ではその元気こそ必要なのかもしれないね」

 

有栖「そうですね……」

 

私が前にいた世界でもそうだったけど、私の側には元気な人間がいた。それに救われている部分もあったからね。

 

有栖「……鈴音さんは、鈴音さんはこの騒動が終わったらどうするつもりですか?」

 

鈴音「そうだね……。まだ具体的な事は決まってないけど、未来とまた別の所に行って問題がそこで起こっていたら解決する……そんな感じになると思うよ」

 

有栖「そうですか……」

 

鈴音「うん……」

 

有栖「…………」

 

なんか空気が重いんじゃよ!早く戻ってきて小波君達!

 

数分後小波君は委員長こと神条さんを仲間にする事が出来た。そういえば彼女はハタが立っていなくてもハタ人間側の可能性があるような描写をゲームで見たような……。これも未来達と相談しておくかな。

 

そんな気持ちを抱えて基地へと歩を進めた。




今回はここまでです。

次回、基地に戻り鈴音達は話し合いをする……。


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第17話 2日目終了。そして話し合いへ……

今回もよろしくです。


さて、全員基地に戻ってきたので、自己紹介と食事を済ませて一部のメンバーを除いて就寝した。起きているのは私、未来、坂柳さん、ホンフーさん、白木さん、越後君の6人。この6人で話し合いをする事になった。

 

鈴音「さて、これで全員かな?」

 

未来「そのようね。では話し合いを始めましょうか」

 

ホンフー「話し合い……ですか」

 

越後「この面子で宇宙人対策の会議……と言ったどころか。やれやれだぜ」

 

有栖「少なくともこの6人なら話し合いが有意義なものになりそうですね」

 

恵理「そもそも何故この6人なのかしら?小波君や紫杏とかも参加してもらった方が……」

 

未来「神条さんを参加させていない理由もこの話し合いの内容の1つよ」

 

そう。今未来が言ったように神条紫杏を話し合いメンバーに入れていない理由、それは……。

 

未来「神条紫杏は宇宙人sideの人間である可能性が高いからよ」

 

越後「なに……?」

 

恵理「ど、どういうこと!?」

 

未来「昨日の夜中に私は宇宙人の事についての情報を幾つか入手していたのだけれど、この写真がその証拠になる物よ」

 

そう言って未来は1枚の写真を見せた。

 

恵理「これは……!」

 

有栖「家……話の流れから推察するに神条さんの家ですね。そこに宇宙人といえる生物が侵入していますね」

 

未来「それだけじゃないわ。そこでしていた会話を録音したのがこれよ」

 

更に未来は録音機を取り出して再生した。

 

『フフフ、コレデヤツモホンライのモクテキヲオモイダスダロウ。ワレワレノヤボウノタメニモヤツハヒツヨウフカケツダカラナ』

 

『デスガヤツハモドッテクルデショウカ?』

 

『ヤツハモドッテクルサ。アシタアタリニワレワレニサカラウレンチュウノモトニセッショクサセテヤツラ二ドウコウサセテ、コロアイヲミハカラッテコチラ二モドッテキテモラウノサ。ソノタメニワレワレガツクッタソンザイガカノジョナノダカラ』

 

ここで会話が途切れた。会話にあった明日辺りというのは今日というかさっき橋であった出来事の事だろう。道中で眼鏡をハタ人間に叩き割られていた。

 

恵理「そんな……」

 

越後「ちっ……!」

 

ホンフー「これはこれは、驚きですねぇ。まさか裏切り者内部にいたなんて」

 

鈴音「まぁ少なくとも小波君には見せられないよね」

 

この会話シーンはゲームではなかったイベントだ。未来が独自で取ってきた情報。昨日の夜中に出掛けていたのはこのためだったんだね。全く……。本当に無茶するんだから。

 

未来「厄介なのは神条紫杏にはまだその自覚がない事よ」

 

有栖「自覚がない……?では神条さんは自分の正体に気付いてないという事ですか?」

 

未来「そうなるわね。それとこの写真も見て」

 

新しい写真を未来が見せる。これはあの眼鏡だね。

 

未来「恐らく神条紫杏にこの眼鏡をかけさせて本来の目的を思い出させるという魂胆でしょうね」

 

越後「だがそれは神条が自宅に戻らなければ済む話なんじゃあないのか?」

 

未来「本来ならばそうなのだけれど、宇宙人側が神条紫杏を自宅に戻るように誘導している可能性があるわね。彼女の性格的に……例えば参考書を取りに帰る為に自宅に戻るとかね」

 

恵理「紫杏の性格上その可能性は高いわね。彼女、何かと勉強に執着しているところがあるから……」

 

そういえば白木さんと神条さんは仲が良さそうに見えた。互いに名前で呼んでたし。

 

未来「これ以上の情報は今のところないわ。これからも随時情報収集はするつもりだから、結果がわかり次第また知らせるわ」

 

恵理「…………」

 

白木さんはこの状況を未だに信じたくないという感じだけど、事実なんだからしょうがない。

 

未来「さて、2つ目の議題に行きましょうか。白木さん、越後君、貴方達の事よ」

 

恵理「えっ……?」

 

越後「…………」

 

話し合いの2つ目。それは白木恵理と越後竜太郎について。この2人の性格は変わってしまった。越後君に至ってはスタンド使いになってるし……。それが元からとは考えにくいし、何か切欠がある筈。

 

鈴音「越後君に白木さん。2人は『何時からその人格になっている』の?」

 

恵理「……っ!」

 

越後「……白木、これ以上隠し通すは無理だ。話すしかなさそうだぜ」

 

恵理「……そうね。覚悟を決めるわ」

 

白木さんは諦めたような表情で口を開く。どんな経緯で今の人格が出来上がったのか?その真相に続く!




今回はここまでです。

次回、恵理と越後に何があったのか……。その真相に迫る。


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第18話 話し合いその2。人格宿りし時世界は変わる

今回もよろしくです。


恵理「……私が今の私になったのは今から丁度1年前よ」

 

越後「俺もその時期に当たるな」

 

2人の異変は1年前に起こったらしい。私達が来た影響ではないのかな?あっ、回想入るらしいでーす。

 

 

~回想~

 

恵理side

 

朝起きて鏡を見ると私じゃない誰かが映っていたの。

 

恵理『……え?』

 

恵理《ど、どうなっているの……?鏡に映っているのは私じゃない。一体誰の体なの!?》

 

当時は凄く戸惑ったわ。しょうがないじゃない、こんな出来事普通起こりっこないもの。

 

恵理《……いえ、落ち着きなさい。まずは鏡に映っているこの子について情報を集める必要があるわ》

 

そう思った私は顔を洗って来た道を戻り、この子の部屋に行く。えっ、何故起きた時点でわからなかったって?不思議な事に部屋の間取りが元の私の部屋と一緒だったのよ。

 

 

~そして~

 

恵理《この子の名前は白木恵理……。漢字は違えど、名前は同じなのね。年は14歳、通っている中学はパライソ中学校……》

 

聞いた事のない学校ね……。少なくとも都内ではないわね。時期は……今日が終業式なのね。翌日から夏休みになってるわ。

 

恵理《とりあえず学校に行きましょう。今日を乗りきれば明日からは夏休み……。その期間中に問題の解決に勤めなきゃ!》

 

支度を済ませ、私は学校へと向かう。場所に関しては体が覚えているのか、すんなりと着いたわ。学校に入ろうとした時頭の中に声が響いた……。

 

自分と同じ境遇の人物に出会え……。

 

恵理《……っ!?何?今のは……?自分と同じ境遇の人物?私の他にもこの現象に陥っている人がいるの!?》

 

なら早く見つけないと……って思った矢先に向こうから接触してきたの。それが越後君よ。

 

越後『やれやれだぜ。……どうやらおまえに間違いなさそうだな』

 

恵理《いきなり答えに辿り着いたの……?でも確信出来ない以上は情報を聞き出す為に様子を見るべきね》

 

恵理『……なんの事かわからないけど、貴方は……?』

 

越後『今の俺は越後竜太郎……って事になってるぜ。おまえも白木恵理に乗り移った誰かなんだろう?』

 

恵理《どうやらビンゴのようね……。なら誤魔化す必要はないわ》

 

恵理『ええ、その通りよ。そう言う貴方が私と同じ境遇に陥っている人物で合ってるわよね?』

 

越後『ああ、正直こんなに早く見つかるとは思わなかったぜ』

 

恵理『ねぇ、越後君はなんでこんな事になったかわかる?』

 

越後『原因はわからないが、元に戻れるかもしれない方法を実行に移している』

 

やっぱり原因は謎のまま……えっ!?

 

恵理『えっ……?元に……戻れる!?そんな方法があるの!?』

 

越後『あくまでかもしれない……だ。可能性は極めて低いだろうがな』

 

極小の可能性しかないなんて……。でも少しでも戻れる可能性があるなら……!

 

恵理『その方法を教えてもらってもいいかしら?』

 

越後『なんて事はない。何時も通り過ごせばいい。但し前の人格での何時も通りだ』

 

恵理『……ということは前の私が過ごしていたようにこの子も過ごせばいいのね?』

 

越後『そういうことになるな。……とは言っても期待しては駄目だ。可能性の一部としてだからな』

 

彼の言うことは悪く言えば只の現実逃避だ。でも藁にもすがる思いで過ごさなければいけないのだろう。

 

恵理『わかったわ。越後君はこれからどうするの?』

 

越後『俺も只何時も通り過ごす。それだけだ』

 

という会話以降私と越後君は終業式を過ごした後の夏休みに頻繁に逢うようになって、他に元に戻れる方法やこうなった原因を探ってみたけど、元に戻ることはなかった……。

 

 

恵理sideout

 

 

 

~現在~

 

恵理「それからも元の私が辿ってきた学校生活のように生徒会長に立候補したりもした……。でも戻ることは一切なかったわ。勿論越後君もね……」

 

越後「…………」

 

……予想外に精神ダメージが大きそうだなぁ。恐らくこれも私達が解決した方が良さそうな問題だよね。とは言っても方法が全くわからない訳だけど……。

 

有栖「2人が去年の夏休みが明けてから人が変わったようだというのは夏休みデビューだと噂で聞いていましたが、そのような事態が起こっていたとは……」

 

恵理「これも宇宙人達のせいだと思いたくもなったわ。早く元に戻らないと元の白木恵理がどんな子だったのかも段々忘れてきてしまってるもの……」

 

今白木さんは元の白木さんがどんな人かを忘れつつあると言った。ならまだ戻る可能性はあるということになる。あとは方法だね。

 

未来「……ありがとう。話し辛い内容だったでしょう」

 

恵理「気にしないで」

 

越後「ああ、今は宇宙人達を倒さないといけないからな。俺達の事は後だ」

 

未来「そう言ってもらえると有難いわ。……では議題の3つ目にいくのだけれど」

 

未来が此方を見る。……そうか。この4人には話すんだね。私達の正体を。私は構わないよ。この4人なら話しても良いとわも思っているからね。

 

未来「議題の3つ目は私と鈴音についてよ」

 

そう言った瞬間全員が未来に注目する。特にホンフーさんと白木さんは気になっていただろうし、坂柳さんにも話しておこうかと思っていたくらいだから……。




今回はここまでです。

次回、遂に鈴音と未来は自身達の正体を明かす……。


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第19話 話し合いその3。私達の正体は……

今回もよろしくです。


未来「3つ目は私と鈴音についてよ」

 

遂に話す時が来たか……。

 

恵理「響さんと大宮さんについて……?」

 

鈴音「私と未来が何者なのかという事だね。ホンフーさんは特に興味あるでしょ?」

 

ホンフー「そうですねぇ。私に完勝した響さんもそれに近い力を持っている大宮さんにも興味があります。貴女達は普通じゃない……」

 

ふ、普通じゃないって……。ちょっと傷付くよ……。

 

鈴音「今から話す事はとても信じられない事。でも事実である事を頭に入れておいてほしい」

 

私がそう言うと4人は息を呑んだ。

 

未来「私と鈴音は此処とは違う世界から来たわ」

 

恵理「此処とは違う世界……?」

 

有栖「所謂平行世界という事でしょうか……?」

 

鈴音「その認識でいいよ。……そしてこのパライソタウンや4人の存在は私と未来にとっては一部例外を除いてゲームに出てくるキャラクターになる」

 

一部例外というのは坂柳さんがゲームではなく小説や漫画やアニメのキャラクターだったり、本来このゲームには出てこないホンフーさんがいたり、白木さんと越後君が私と未来が知ってる2人じゃなかったりする事だけど……。

 

未来「その一部例外というのが先程指摘した白木さんと越後君が本来とは違う人間だということよ。だから私と鈴音は2人に違和感を感じた……」

 

恵理「そうなのね……」

 

越後「成程な……」

 

白木さんと越後君が納得すると次にホンフーさんが未来に質問する。

 

ホンフー「では私の事を詳しく知っているのは……」

 

未来「そうね。貴方も私と鈴音がやっていたゲームの世界の住人ということ。但し本来貴方は此処にはいない筈だった」

 

これに関してはなんて説明すればいいかわからないから割愛。更にホンフーさんは質問する。

 

ホンフー「私の事についてはわかりました……。しかし貴女達のその異常な強さについての質問に答えてほしい。貴女は格闘技をやっていたと言っていましたが、それだけで私が遅れを取りませんし、私が感じた異常な強さは手に入らない筈……」

 

まぁその説明もいるよねぇ……。

 

未来「私と鈴音が此方に来る前に別の世界で過ごしていたの」

 

鈴音「その世界は過酷な戦いの世界。生き残る為にはとにかく強くならなくちゃいけなかった……」

 

勿論ドラゴンボールの世界の事ね。ちなみに薬の調合なんかもそこで覚えました!

 

未来「その世界もフィクションの世界だから異常な力を使う人物ばかりだったわ。私と鈴音はそこで力を手にしたのよ。まぁ私が格闘技をしていたのは紛れもない事実だし、鈴音も幼少期は血の気が多くて喧嘩ばかりだったもの」

 

ちょっと未来さん?捏造は止めてくれません?……まぁ御転婆っていうかやんちゃだったのは認めるけど、そんなに喧嘩してないよ!っていうか喧嘩だって全部向こうから仕掛けてきたものばっかりだし!

 

未来「そしてその世界で生きた後にこの世界に来たの。この世界で起こっている次元の歪みというのがあって、私達の肉体年齢14歳まで遡ってしまったわ」

 

有栖「では御二人は本来14歳じゃなくて……」

 

鈴音「本当の年は秘密ね。隠すつもりはないけど、言ったら不味そうだし……」

 

それからも私と未来は転生についてあれこれ話した。本当なら聞くに堪えない与太話だと思われても仕方がないのに、4人はちゃんと聞いてくれた……。




今回はここまでです。

次回、鈴音と未来の話を聞いた4人は……。


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第20話 話し合いは終わり……

今回もよろしくです。


未来「さて、私達の話はこれで終わりよ」

 

鈴音「ちゃんと聞いてくれてありがとね。他に何か質問はあるかな?」

 

私は質問がないかを聞くと坂柳さんが小さく手を挙げる。

 

有栖「あの……。鈴音さんと未来さんはこの騒動が終わった後どうするんですか?」

 

この質問は私よりも転生状況が詳しい未来に答えてもらおう。

 

未来「騒動が終わったら此処とは似て非なる世界に行くことになるわ。そうなると2度と会うこともないでしょうね」

 

有栖「そうですか……」

 

未来が質問に答えると坂柳さんは俯く。恩人と一緒にいれないのが寂しいんだろうか?原作の彼女からは考えられない感情だけど……。

 

ホンフー「質問いいですか?」

 

続けてホンフーさんが挙手する。

 

ホンフー「貴女達はこの町で起こっている事がゲームであったことだと仰いました……。ではこれから起こる事も全部わかるのではないですか?」

 

中々に鋭い質問だな。う~む、どう答えるのが正解かな……?

 

鈴音「確かに起こっている事が全部私達のやっていたゲーム通りならわかると思います。でもホンフーさんと坂柳さんは本来此処にはいない筈の存在だし、白木さんと越後君に至っては人格まで変わっているからこの後に起こる事が全部私達の知っている事とは限りません。此処にはいませんが、未来から来た小波十一郎も存在してますしね」

 

ホンフー「……つまりこの場にいるイレギュラーな存在達が貴女達の知っている結末とは違ってきているという事ですね?」

 

鈴音「その解釈でいいと思います」

 

未来は口にしなかったけど、此処にいる6人はゲームには出てこない人物や、ゲームとは違う性格の人間が集まっている。小波君や神条さんを連れてこなかったのもそれが理由だ。

 

未来「他に質問はあるかしら?」

 

質問の有無を確認すると聞きたいことは全部聞けたのか、誰も挙手をしなかった。

 

鈴音「なら今日の話し合いはこれで終わり。また何かあったらこの面子で話し合いをしようと思うから、それを覚えておいてね」

 

そう言って私と未来は2人で過ごしている部屋に戻っていった。

 

 

~そして~

 

未来「今日の成果はこれよ」

 

今日の成果……?ああ、素材収集の事か。どれどれ……?こ、これは!?

 

未来「2章終盤でしか手に入らない逆鱗、宇宙鉄、なぞの機械、なその筒……。2章中盤以降でしか手に入らない玉鋼にあとは三色の宝石に石、幻の合金、魔獣の皮が複数手に入ったわ。宇宙燃料だけは少量しか手に入らなかったのだけれど……」

 

鈴音「いやいや、これだけあれば2章の『あれ』戦でも十分に相手出来る武器や防具が造れるからね!?それにしてもどうしたのさこんな貴重な素材……?」

 

他にもガラクタ、銅、鉄、鋼等の貴重な素材もいっぱいあるし、今言った素材を『合成』するための素材も沢山あるよ……。

 

未来「拾ったのよ。一部は仲間にした人が持っていたりしたのだけれど……」

 

これだけあれば最強武器と最強防具を複数造れるよ!……あれ?今凄く気になる事が出来たんだけど。

 

鈴音「ねぇ、この世界で造った武器とか防具って次に行く世界でも使うことが出来るの?」

 

未来「ゲームでは無理だけれど、私達が行く世界の分には可能よ。それどころかパワポケの世界だけではなく、どの世界に行っても此処で造った物は使用出来るわ」

 

それなら安心!早速『合成』してやるぜ!

 

未来「合成するのは構わないけれど、唐沢教授に見つからないようにしておきなさい。私達は教授に目を付けられているわ」

 

まぁそうだろうね。瑠璃花ママこと霊華さんだって本来は教授が造った薬がなきゃずっと意識不明だったからね。

 

鈴音「わかってるよ」

 

『合成』の結果武器はフレアグローブ、プラズマグローブ、ドラゴンハート、雷神刀、ライトサーベル、ドラゴイーター、アポカリプス、キュウビ、マンティコア、ジャジメント、サンダーボルト、パニッシャー、これ等がなんと2つも出来た。どんだけ素材を持って帰ってきたのさ?まだ2日目なんですけど……。

 

防具、アクセサリーも凄まじい物が出来た。逆鱗スーツ、逆鱗メット、逆鱗ブーツ、逆鱗の指輪、機械の指輪、虹色の指輪が5つずつ……。あれ?今って2章終盤だっけ?

 

……とりあえずこれ等は未来から貰ったどんなアイテムや素材も99個まで入る四次元ポケット擬きにしまって……っと。

 

未来「『合成』は終わったようね。良い物は出来たかしら?」

 

鈴音「良い物どころじゃないよ。どれも最高の出来さ」

 

防具系統なんかはどれもパラメーター+が30とかばかりだし、武器も属性持ちとか貫通、気絶、負傷、ためる、狙うなんかの追加効果が複数ついてきたし……。ちなみに私が『合成』した物は本来属性が1つしか付かない筈が幾つも付いたり、パラメーター+も全て15以上とか言ってて何言ってるのかわからなくなるレベルの仕上がりだし……。

 

未来「それは恐らく貴女に補正が付いてるからね」

 

鈴音「私に?」

 

未来「貴女は現世でも機械弄りが得意だったでしょう?」

 

鈴音「確かによくやっていたけど……」

 

未来「その影響が強いわ」

 

私の趣味の機械弄りからこんなに訳がわからない化物性能の物が沢山出来たわけか……。これ等はこの騒動が終わった後に使うとしよう。

 

未来「さて……」

 

鈴音「今日も行くの?」

 

未来「勿論よ。素材はあるに越したことはないわ」スタスタ

 

そう言って未来は素材収集に行った。私はもう少し『合成』を続けようかな?1章で使う主力武器のレイガンとかビームナイフ、強化バンテージやDQT2000も追加で幾つか造っておこう。防具はテツゲタとかプロテクターかな?あとは赤いマフラーも数個造るとしますか。

 

2日目終了時の『合成』はありえないくらい良い結果で終わった。これでもう私が『合成』をする事もないかな。




今回はここまでです。最後に越後とホンフーのステータスを載せておきます。例によって( )内の数値は本来の越後のステータスです。


越後竜太郎

体力 9(8)

力 12(8)

器用さ 6(7)

素早さ 12(9)

精神 10(1)


得意武器 格闘(格闘 刀剣)

苦手武器 なし(ハンドガン ライフル キャノン)


特殊行動 やれやれだぜ……。(効果は不安な一言と一緒) 囮になる(越後ファントム! ばっちこーい!)


スキル 冷静 頑丈 体捌き(バカ 護衛 体捌き)



ウ・ホンフー

体力 9

力 12

器用さ 10

素早さ 15

精神 10


得意武器 格闘

苦手武器 なし


特殊行動 精神統一 不安な一言 超能力(各ターンランダムに発動。効果が7つある。《敵単体に特大ダメージ、敵全体に大ダメージ、敵全体に恐怖付与、機械型の敵全体に気絶効果、味方単体に不安な一言と同効果、味方全体に不安な一言と同効果、味方全体を全回復》のどれが発動するかはランダム)


スキル 先制 急所狙い 連打



次回、3日目突入!更なる出会いが……。


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第21話 武器の性能確認を兼ねての秘密特訓

今回もよろしくです。


3日目。クラスメイト達の救出だけど、まだ救出してないのが大神博之(おおがみひろゆき)、有田修吾(ありたしゅうご)、堤篤宏(つつみあつひろ)、白瀬芙喜子(しらせふきこ)の4人。

 

あと大人は光山さん、小野さん、ドミオさん、椿さんの4人なんだけど、その内の1人の小野さんがいた筈の倉庫にホンフーさんがいたという話を未来から聞いた。だから他の3人も別の人間に成り代わっている可能性があるし、既に未来の小波君が来ているから1人変わっている可能性もある。

 

そんな3日目だけど、私と小波君以外の面子は……。

 

有栖「鈴音さんが行くなら私も行きます。私と鈴音さんは一心同体ですので」

 

1人目は坂柳さん。足が治ってからの彼女は戦闘能力が高い。彼女にハンドガンを持たせていたが、まるで使い慣れているかのような精度なので彼女にハンドガン最強武器を持たせても良いかなと思うくらいの宇宙人基地襲撃メンバー候補の1人。発言についてはスルーさせて頂く。

 

恵理「……まだ色々整理出来ていない部分もあるけど、今は救出と敵の撃破優先よね。私で良ければ力を貸すわ」

 

2人目は白木さん。人格が変わった彼女の戦闘能力は高い。坂柳さんがハンドガンを使う遠距離型なら、白木さんは近距離の格闘型。本来の白木さんは苦手な筈の格闘を最早経験者の如くこなす宇宙人基地襲撃メンバー候補の1人。それに彼女がいると白瀬さんを救出する事が来るしね(白木さんの人格が変わった事で白瀬さんの救出にどう影響するかわからないけど……)。

 

とりあえずはこの4人で行くことにした。私達の最優先は救出なのでメンバーは最小限で済ませた方がいいので……。

 

未来達素材収集メインの方は未来と万が一クラスメイトに出会した時兼サポート役の落田君と、前列の格闘アタッカーである青野君、そんな青野君と行動をしていた霧生さん、キャノン系統が得意武器の石田君、大人枠のホンフーさんで行くことになった。

 

その他のメンバーは留守番と唐沢教授の相手……はもう対爺さん◯の平山君だけでなんとかなりそうなので、もしもこの基地が見つかってしまった時に備えての迎撃メンバーという事で。平山君は2章できっと活躍出来るよ!!私も未来もゲームにおいてはずっとスキル粘ってたし。

 

鈴音「それで今日は何処に行くの?」

 

十一郎「とりあえず学校に行こうと思う。もしかしたらクラスメイトがいるかもしれないしな」

 

有栖「…………」

 

……?なんか坂柳さんの元気がないような気がする。もしかしなくても昨日の話し合いのせい?それに何か私に言いたげな表情をしているっぽいし、それなら……!

 

鈴音「小波君、白木さん、悪いけど、先に行ってもらっていいかな?」

 

十一郎「どうしたんだ?」

 

鈴音「ちょっと昨日造った武器の性能を確認したくてね。もしも不備があったら困るし」

 

十一郎「それは構わないけど、坂柳は先に行かなくても大丈夫なのか?」

 

鈴音「うん、今回『合成』した武器は坂柳さんが得意とする武器だからね。彼女が適任なのさ」

 

嘘は吐いていない。実際昨日『合成』した武器の中でも私の苦手なライフル系統の試運転もやってもらおうかなと考えていたしね。

 

恵理「話はわかったわ。行きましょう小波君」スタスタ

 

十一郎「あ、ああ……。俺達は学校に行ってるから」スタスタ

 

さて、2人が行ったところで……。

 

鈴音「坂柳さん、私に何か話があるよね?」

 

有栖「……やはり御見通しでしたか。鈴音さんには敵いませんね」

 

まぁ何か考え込んでるっぽかったしなぁ……。私を見ては何か言いたそうにしてたし。

 

有栖「確認させてください。……鈴音さん、貴女と未来さんはこの騒動が終わったら此処とはまた別の世界に行ってしまうんですよね?」

 

鈴音「……そうだね。そうなるともう坂柳さん達には会うこともないと思うよ」

 

有栖「……その時に私も着いて行きたいです。駄目でしょうか?」

 

……そうきたか。とはいえ全く予想していなかった訳じゃない。

 

鈴音「……こればかりは私の一存では決められないよ。未来にも聞かないとね」

 

未来「私は構わないわよ」

 

鈴音「未来!出発したんじゃなかったの?」

 

未来「私達の出発はもう少し後ね。此方も準備があるもの」

 

準備って何をするんだろう……?

 

未来「話を戻すけれど、次行く世界で仲間を増やせる可能性は限りなく低いから此処で仲間を増やせるのは此方としても助かるわ」

 

鈴音「……という事なので、騒動が解決したら親御さんと話し合ってね。私達は坂柳さんを歓迎するから」

 

有栖「はい、ありがとうございます……!」

 

未来「では私は準備に戻るわ」スタスタ

 

そう言って未来は部屋に戻っていった。さて、じゃあ次の目的を……。

 

鈴音「坂柳さんには昨日私が『合成』した武器を試してもらうよ」

 

有栖「そういえば言っていましたね」

 

鈴音「丁度外には蝙蝠が飛び交ってるし、早速御願い。まずはこのドラゴイーターから……」

 

有栖「……名称と見た目の割には軽い銃ですね。私が昨日使っていたハンドガンと同じタイプでしょうか?」

 

鈴音「その中でも最高の素材を使って造ったからね。出来も最高だったよ」

 

効力を見てみたら器用さ+15とか、素早さ+10とか連携LV6とか、威力も135とかゲームではありえない性能だし、こんなぶっ壊れ性能の武器や防具やアクセサリーが幾つも出来上がったんだよね……。

 

有栖「……いきますよ!」バンッ!

 

蝙蝠に一発命中して蝙蝠は燃え尽きた。この子は本当に拳銃やライフルを使う才能があるな……。

 

有栖「……使い心地は最高ですね。他にも試す武器はありますか?」

 

鈴音「うん。じゃあ次は……」

 

他にも坂柳さんにはキュウビとパニッシャーを使ってもらい、両方ともドラゴイーターと同様に完璧な腕前を見せてくれた。

 

有栖「これはとても強力ですね。ですがこれだけ強力だと……」

 

鈴音「うん、他の人がその性能を妬む可能性があるね。現に唐沢教授も私達を警戒してるようにも見える」

 

有栖「ではこれ等は彼等の前で使わない方が良さそうですね。鈴音さんに御預けします」

 

鈴音「それがいいかもね」

 

坂柳さんから3つの武器を預り、彼女には1章において最強武器のレイガンを渡しておいた。白木さんには強化バンテージを渡してるしね。

 

鈴音「じゃあそろそろ行こうか」

 

有栖「そうですね。小波君と白木さんを待たせていますし」

 

鈴音「そうだね」

 

小波君達も待ちくたびれているだろうし、早いとこ追い付かないとね!




今回はここまでです。

次回、再び港に来た鈴音達は……。


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第22話 港の剣豪将軍

今回もよろしくです。


私達は学校に行った後港に向かっている。港に行く前に寄った学校で有田修吾を救出したんだけど……。これがまたすかした態度がねぇ……?突っ張った感じがしてるし、あれは未来が嫌いなタイプだね。

 

まぁイベント進めていると彼は彼女の為に行動している部分が見見れるから個人的には好感が持てるかな。ちなみに有田君は基地に行ってもらいました。港への通り道だから、1度基地に帰って有田君を基地にいる仲間達に会わせて彼はそのまま基地に残ることに。

 

 

~そして~

 

戻ってきたぜ港!小波さんの宇宙船もあるけど、今日のところはこの港を散策しようかな?

 

十一郎「あっ、大神!」

 

大神……?もしかして大神博之の事?ってなんか木刀構えてるんだけど……。

 

大神「むっ、見つかってしまったか。なら仕方ない。この大神博之、逃げも隠れもせん!」

 

十一郎「いや俺達敵じゃないんだけど……」

 

大神「問答無用!」

 

十一郎「話を聞けっ!!」

 

誤解しそうな場面だけど、大神君にハタは立ってないよ。錯乱気味の大神君に事情説明した。

 

 

~そして~

 

大神「成程。しかし最初からそうだと言っていれば……」

 

十一郎「おまえが人の話を聞こうとしなかったからだろ!」

 

有栖「問題児ばかりですね。貴方達のクラスは……」

 

恵理「……もしかしてうちのクラスってまともな人がいないのかしら?」

 

いや、私に聞かれても……。私クラスメイトじゃないし、言ってる白木さんも人格変わってる時点でまともとは程遠い存在だしね。

 

大神「しかし宇宙人の侵略か……」

 

十一郎「やっぱり信じられないか?」

 

大神「何を言う!この大神博之、血が騒いできたぞ!!」

 

……大神君ってこんな血気盛んだっけ?表では激情にかられる事はあっても基本冷静なのに、今の彼は若干厨二病っぽいし。

 

大神「この剣豪将軍と自称していた僕の力を発揮する時がきたんだ!」

 

十一郎「自称かよ!」

 

大神「まぁそうカッカするな。その怒りはハタ人間にぶつけたらいいじゃないか」

 

言ってる事は正しいんだけど、若干の厨二病のせいでそれを台無しにしてるっていうね。残念な人だよね。

 

まぁともあれ救出してないのクラスメイトは白瀬芙喜子と堤篤宏だけだね。上手くいけば今日中にクラスメイトの救出は終わりそうだから、そうなったら明日からパーティーを宇宙人基地襲撃メンバーに入れ替えて行動しよう。

 

大神「しかしこの木刀ではハタ人間を追い払う事は出来ても、宇宙人とかは厳しいな……」

 

ふむ、御困りの御様子……。

 

鈴音「そんな君にこれをあげよう。私が造った大宇宙人用の武器だよ」

 

大神「君は確か大宮だったな。それでこれは……?見たところ小型のナイフのようだが」

 

鈴音「その柄の部分にボタンがあるでしょ?押してみて」

 

大神「これか……うおっ!」

 

柄のボタンを押すと刀身が眩く光る。所謂ビームナイフだ。実際の仕組みはこんな感じなんだね。

 

鈴音「それなら宇宙人が攻めてきても太刀打ち出来ると思うよ」

 

大神「おおおお……!お、大宮!このナイフみたいに僕が持っていた木刀と同じ長さの光るやつを造れるか!?」

 

鈴音「出来るよ」

 

ビームナイフを造るくらいの素材は余ってるしね。長さの調整をするだけだからね簡単だよ。

 

大神「是非頼む!造ってくれ!!」

 

鈴音「了解。基地に帰ったらやっておくよ。完成は明日になるだろうから、今日のところはそれで我慢してね」

 

大神「ああ!ありがとう!!」

 

そんなに喜ぶとは……。造りがいがあるってもんだね。




今回はここまでです。

次回、病院に新たなる敵が出現!?


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第23話 ライムもりもりハタビトクエスト

今回もよろしくです。


大神君を連れて私達は病院に向かっている。理由としては薬や薬の材料の回収するためだ。なんせ今ある薬は私特性の万能薬1つと少数の回復薬しかないから数を増やしておきたい。備えあれば憂いなしだね。

 

十一郎「くそっ、相変わらず此処はハタ人間が多いな……」

 

そうだね。此処とモールは特にハタ人間多いよね。でもハタ人間の相手は不足しがちな素材を落としてくれるから、私からすればレベルUPも兼ねた素材回収タイムだよね。貴重な素材は未来が集めてくれるけど、基本的な素材の方は私の方でも集めておこう。

 

恵理「ねぇ、あれは何……?」

 

十一郎「緑色で丸っこい生き物……なのか?が歩いてるっていうか這ってるんだけど……」

 

有栖「所謂スライムというやつでしょうか……。鈴音さんはどう思いますか?」

 

鈴音「坂柳さんの解釈で間違いないと思うよ」

 

そっか。3日目からライムの解禁日だったね。此処やモールや倉庫ではライムが出るようになるし、公園ではハッパがいるだろうし、外や倉庫にはワークボットが今日から彷徨いてるんだよね。

 

鈴音「皆に渡した武器を使う時が来たようだね」

 

坂柳さんにはレイガン、白木さんには強化バンテージ(電気属性付き)、大神君にはビームナイフ、小波君にはヒートキャノンをそれぞれ渡している。

 

十一郎「これさっき試してみたら火を吹いてたんだけど……」

 

恵理「私のグローブなんか電気が走ったわよ……」

 

鈴音「小波君に渡したのはヒートキャノンといって敵全体に砲撃する所謂キャノン系武器だね。火に弱い敵には特に有効だよ。白木さんのは『合成』してたら偶然電気属性が付与された強化バンテージ。機械系の敵が出てきた時にそれは重宝するよ」

 

特に白木さんに渡したやつは仕上がった時に夜中にもかかわらず思わず歓喜の声をあげそうになったもんね。いやぁ、運が良かったよ。

 

大神「僕と坂柳の武器は光、白木の武器は雷、小波の武器は炎……。ふっふっふ、属性バラエティ豊かで頼もしいじゃないか。これなら宇宙人も倒せるぞ!」

 

十一郎「まぁ心強くはあるか……」

 

今持ってる武器だけで1章クリアは余裕だと思うよ。私がゲームでプレイした時なんて2章終盤武器は勿論、これ等の武器だって最短時期に『合成』する事が出来なかったからもっと苦しかったんだからね!

 

鈴音「じゃあいこうか。スライムを倒しに」

 

有栖「了解です」

 

恵理「わかったわ」

 

十一郎「おう!」

 

大神「ふっふっふ、この剣豪将軍大神博之の華麗なるナイフ捌きを見るがいい!」

 

なんか大神君だけ武将みたい……。

 

~そして~

 

十一郎「赤いスライムが出てきたぞ!」

 

恵理「スライムって1種類だけじゃかなかったのね」

 

赤色のライムを2体倒し……。

 

有栖「今度は黄色のスライムですね」

 

黄色のライムを3体倒し……。

 

大神「むっ、青いスライムだな?このナイフの餌食となれ!……あれ?手応えが悪い!?」

 

鈴音「青色のスライムは光属性に耐性があるから、此処は他の人に任せよう」

 

青色のライムを4体倒し……ってライム多いな!なんでこんなに沢山いるんだよ!?

 

鈴音「皆、ハタ人間が出てきたよ。水鉄砲に切り替えて」

 

時々出てくるハタ人間にはクリアワルザーで対応したりした。

 

 

~そして~

 

十一郎「ふぅ……。とりあえずこの辺りの敵は全部倒したな」

 

恵理「3階まで来たわね。此処にもクラスメイトが隠れているのかしら?」

 

そういえば病院の3階には堤篤宏が隠れているんだっけ。この扉を開けると……。

 

???「おや?」

 

十一郎「堤!」

 

恵理「無事だったのね!?」

 

件の堤君がいた。つつみん!

 

堤「ふむ、見たところ皆さんにはハタの類いは刺さっていませんね」

 

十一郎「あれって頭だけじゃないのか?」

 

堤「僕が開発者なら身体の至るところに刺さった時点でハタ人間になるよう設計しますね」

 

有栖「確かにその方がハタが刺さっていない人に不意を突けるでしょうね」

 

そういえばゲームでは霧生さんが無事に見せ掛けて実はハタ人間でしたってパターンがあるもんね。あのシステムを考えた人は凄いと思ったもんだ。

 

堤君も無事に救出出来たし、救出してないクラスメイトはあと1人。この調子で全員救出といこうじゃないか!




今回はここまでです。

次回、学校の階段の怪談を会談する……?


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第24話 階段の怪談

今回もよろしくです。


未来side

 

私達は今学校で食事をしている。

 

ホンフー「こんな風に学校で御弁当を食べていると学生時代を思い出しますねぇ」

 

落田「ホンフーさんの学生時代ってどんな感じだったんでやんすか?」

 

ホンフー「なんてことはありませんよ。只の学生です」

 

この男が只の学生というのはイマイチ想像出来ないわね……。

 

青野「しかしこの弁当は美味いな……。これならいくらでも食べられそうだ」

 

夏菜「それは良かったよ。私と未来で丹精込めて作ったからな!」

 

まぁ万人受けするようにそれぞれの好き嫌いを聞いて、栄養バランスを考えながら作っているから妥当な評価かしら。あとは味付けの好みとか別れそうね。

 

石田「おかわり~!」

 

落田「早っ!もう食べたんでやんすか!?」

 

彼は大食いだから普通の4倍の量を作ったのだけれど……。

 

 

~そして~

 

食事は終わり霧生夏菜、青野柴夫、石田昭三の3人は学校の散策に行き、この場に残っている私と落田君とウ・ホンフーの3人は彼等を追い掛けるべく廊下を歩いている。

 

未来「どうやら彼等は2階に上がっていったようね」

 

ホンフー「フットワークが軽いですねぇ」

 

落田「……多分それは霧生さんだけだと思うでやんす」

 

そうね。恐らく青野柴夫と石田昭三は霧生夏菜を追い掛けて行っただけだと思うわ。

 

階段を見つけると落田君が口を開いた。

 

落田「……この階段を上がっていくんでやんすか?」

 

未来「そうなるわね」

 

ホンフー「他に道はなさそうですしねぇ……」

 

未来「何か不都合でもあるのかしら?」

 

落田「この階段には怪奇現象が起こるのでやんす」

 

この流れはもしかして……。

 

未来「昨日話したこの学校の七不思議かしら?」

 

落田「その続き……2つ目になるでやんす。2つ目はこの階段でやんす」

 

ホンフー「おや、この学校にも七不思議はあったんですね」

 

そういえば昨日この男は神木唯とバスケットボールをしていたわね。

 

落田「この階段でやんすけど、本来12段しかない筈なのにたまに13段になる時があるんでやんす」

 

未来「……それって只の数え間違いなのではないかしら?」

 

ホンフー「その可能性は高いでしょうね。折角なので数えてみてはいかがですか?」

 

落田「お、オイラは怖いから響さんに御願いするでやんす!」

 

この男は……。普通こういうのは男子が率先するべきでしょう。まぁいいわ。1、2、3……。

 

 

~そして~

 

未来「9、10、11、12……」

 

特に何もないわね。やはり数え間違いだと思っていると……。

 

 

グニッ!

 

 

……?

 

未来「今何か踏んだわね」

 

落田「や、やっぱりこの階段はたまに13段目が現れる恐ろしい階段でやんす!」

 

ホンフー「おやおや、もしもそれが本当だったらとても面白かったんですがねぇ……」

 

落田「ど、どういう意味でやんすか?」

 

未来「……よく下を見てみなさい」

 

落田「下……?って石田は何をやってるんでやんすか!?」

 

石田「うぅ~ん……」

 

落田「なんでそんな所で寝てるんでやんすか!?」

 

石田「霧生さんを追い掛けている途中でおなか減っちゃって倒れてたんだよ……」

 

落田「さっき響さんが作った弁当を食べたばかりでやんすよ?」

 

石田「あれだと腹一分目だよぅ……」

 

彼はトリコか何かなのかしら?石田昭三がいると食料の減りが早いというのも納得ね。

 

夏菜「石田、良かったらこれを食べてくれ」

 

石田「霧生さん、これは……?」

 

夏菜「さっき家庭科室で作ったクッキーだ」

 

石田「ありがとう!」ガツガツ

 

落田「何時の間に家庭科室に行ってたでやんすか?」

 

夏菜「いやぁ。学校に着いた途端家庭科室に行きたくなって、昼飯を食べたら足が勝手に動いてたよ」

 

青野「急に走り出したと思ったらそういうことだったのか……」

 

パライソ中学校の七不思議はこれで2つ目……。という事はあと5つも聞かなければいけないのかしら?




今回はここまでです。

次回、素材収集の為に倉庫に行った未来達はある人物を見つける……。


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第25話 倉庫へ行こう!戦車は女でもロマンを感じる

今回もよろしくです。


未来side

 

学校を後にした私達は素材収集を目的に倉庫へと向かっている。逆鱗等の素材は殆んどあの倉庫で拾った物なので、今日も行こうと思う。人数は多いに越したことはないものね。

 

青野「おいおい、なんだあれは……?」

 

その道中に青野柴夫が前方を指差した。

 

落田「戦車!戦車でやんす!!」

 

夏菜「戦車……なのか?車両みたいなのは見えないが……」

 

皆が指摘しているのはワークボットね。ガラクタや銅を落としてくれるけれど、堅いのよね……。そういえば3日目からが解禁日だったかしら?他にもライムやハッパが倉庫、モール、公園に彷徨き始める筈……。

 

ホンフー「何やら変わった物体ですね。あれも宇宙人からの刺客なのでしょうか?」

 

未来「恐らくね。折角だから戦ってみるかしら?」

 

夏菜「面白そうだな!私は戦ってみたい」

 

落田「ええ!危険でやんすよ?」

 

夏菜「なんだよ。どうせ眼鏡は見てるだけじゃないか」

 

落田「もしも全滅したら皆ハタ人間になってしまうでやんす!それだけは絶対に避けたいでやんす!!」

 

夏菜「それなら意見を聞いてみよう。石田はどうだ?」

 

石田「ボクはどっちでもいいよ~」

 

落田「石田はマイペース過ぎて参考にならないでやんす!」

 

……なんか喧嘩が始まったわね。収拾が面倒だわ。

 

落田「青野もなんか言うでやんす!!」

 

青野「この面子のリーダーは響なんだから響に聞いてみたらどうだ?」

 

……は?私この面子のリーダーだったの?こういった役割は鈴音の領分でしょう?それに大人枠のウ・ホンフーがいるにも関わらず何故私がリーダーになるのかしら?

 

夏菜「それ良いな!」

 

落田「少なくとも無鉄砲な霧生さんが決めるよりはマシでやんす!」

 

石田「ぶぅ~。おなか減ったな~」

 

青野「そんな訳で頼む」

 

ホンフー「私よりも適任だと思いますよ?」

 

私がこの問題児共を纏めなきゃいけないのね……。

 

未来「はぁ……。わかったわ。とりあえず今は退きなさい。まずは倉庫に行くわよ」

 

夏菜「……まぁ倉庫に行くのが本来の目的だからしかたないか」

 

落田「……っていうかオイラ達の目的は響さんのサポートなんでやんすから、響さんの行動が第1なのは当たり前でやんす」

 

落田君がそう言うと、さっきまで騒がしかったのが大人しくなった。

 

ホンフー「皆纏まったようですし、倉庫に向かいましょうか」

 

未来「……私に纏め役を押し付けた時点で貴方に言われたくない発言ね」

 

ホンフー「まぁまぁ、細かい事は気にしたらいけませんよ♪」

 

この男は……。

 

ともあれ皆が指示を聞いてくれるようになったのでとても不服だけれど、私がリーダーとして倉庫を目指す事になったわ。




今回はここまでです。

次回、倉庫にて未来達が見つけたのは……?


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第26話 倉庫再び!逃げ惑う少女と倉庫内の敵達

今回もよろしくです。


未来side

 

倉庫前に着いた私達は早速中に入る。

 

???「」タタタッ

 

落田「……?今誰か通りすぎていかなかったでやんすか?」

 

青野「いや、俺は見てないが……」

 

石田「ボクも見てないよ~」

 

夏菜「私も見てないな」

 

ホンフー「私も見てませんが、人の足音が聞こえたから誰かいることは間違いないでしょう」

 

入るなりそんな会話が聞こえた。一瞬人影が此方に来たのはわかったけれど、誰かまでは確認していなかった。

 

未来(もしかしてまた原作外の人間かしら?)

 

これまで登場した原作外の人間から推測するにまだいるであろう人物は……。

 

未来(もしもそうだとすれば急いで追い掛ける必要があるわね)

 

落田「響さん、今誰かいたような気がするんでやんすけど……」

 

未来「わかったわ。追い掛けましょう」

 

夏菜「よっしゃ!私の銃が火を吹くぜ!!」

 

青野「霧生の銃は本当に火を吹くからな……」

 

ここでそれぞれに渡した武器を整理しておく。青野柴夫には強化バンテージ(光属性)を、霧生夏菜にはハンドブラスター(火属性)を、石田昭三にはサンダーキャノンを、ウ・ホンフーには強化バンテージを、落田君にはハタ人間と対峙した時に備えて水風船とそれ以外の敵に遭遇した時に使う手榴弾を渡しておいた。

 

……まだ3日目にも関わらず1章を余裕でクリア出来るレベルの武器達ね。

 

 

~そして~

 

???「はぁはぁ……。な、なんなの一体!?ハタを立てた奴に襲われるし、何処もかしこも連中だらけだし、逃げ込んだ倉庫にもいっぱいいるし……」

 

いたわね。原作外の人物が……。とはいえ彼女がいる以上このキャラクターがいるのは予測出来たけれどね。

 

???「はぁ!?なんなのあれ!?」

 

落田「あれはさっきの戦車でやんす!」

 

青野「倉庫にもいたんだな」

 

夏菜「おい、彼処で戦車に襲われているぞ!」

 

ホンフー「沢山いますねぇ。彼処にいる人はこのままだとやられてしまいます」

 

未来「いくわよ皆。準備はいいかしら?」

 

『おうっ!』

 

 

 

~そして~

 

 

バキッ!

 

 

???「ぐっ……!」ドサッ!

 

???(もう駄目。足が動かない……。誰か……!)

 

 

スパッ!

 

 

未来「どうやらギリギリだったみたいね」

 

ワークボットに襲われている人を間一髪で救出する事が出来た。……それにしても鈴音が造った雷神刀の威力は凄いわね。それに物凄く軽いし。

 

さて、今救出した人物は……これは想定内と言えば想定内ね。

 

???「…………」

 

当の本人は目の前の光景に対して唖然としている。まぁ到底受け入れられる事ではないから仕方がないのかしら。まぁそれは一旦置いておきましょう。

 

夏菜「未来!此方は終わったぞ!」

 

青野「しかし中々強かったな……」

 

石田「疲れた~」

 

ホンフー「あの敵ならグレムリンの力が使えそうですねぇ」

 

彼方も終わったみたいね。……というかウ・ホンフーが最初からグレムリンの力を使っていれば労力を抑えられたのではないかしら?

 

???「あ、あの……!」

 

未来「何かしら?」

 

???「危ないところを助けてくれてありがとうございました」

 

倉庫に入っていった人物は神室真澄(かむろますみ)だった。坂柳有栖がいるなら彼女がいる事も別段不思議ではないけれど、何故彼女は1人で行動していたのかしら?

 

真澄「わ、私は神室真澄っていいます。な、名前を聞いてもいいでしょうか?」

 

未来「響未来よ。敬語はいらないわ」

 

真澄「わ、わかった……。改めてありがとう響さん。それで聞いてもいい?」

 

未来「いいわよ」

 

真澄「今この町で何が起こっているのかを知りたいんだけど」

 

未来「わかったわ。……今から話す事は到底信じられない事なのだけれど、聞いて頂戴」

 

真澄「」コクッ

 

神室真澄が頷いたので、今起こっている事を大まかに話した。彼女は訝しげに聞いていたが、先程までの光景を見ると信じざるを得ないといった感じだった。

 

真澄「私も着いていく。救ってもらった恩を返したいから……」

 

という事で神室真澄が仲間になった。私の行動班には他作品キャラと縁がありすぎでしょう……。




今回はここまでです。

次回、最後のクラスメイトを目撃する……!


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第27話 最後のクラスメイト

今回もよろしくです。


病院を出た私達はエリア周辺をぐるっと回って特に宛のない歩き旅みたいにブラブラしている。ゲームだとエリア外の時間経過が超早いけど、今実際はどうなんだろう?体感速度的には特別速いという訳じゃないけど……。

 

???「あら?貴方達も無事だったのね」

 

十一郎「白瀬!?」

 

白瀬芙喜子。私達が救出する最後のクラスメイトで神木さんや白木さんからはフッキーって呼ばれているけど……。

 

恵理「あら、フッキーじゃない」

 

フッキー「アンタからそう呼ばれると違和感バリバリで寒気すら覚えるんだけど……」

 

確かに今の白木さんがフッキー呼びって違和感ヤバいよね。というか表記がフッキーになってるけど、いいのかな……?

 

十一郎「白瀬、俺達と一緒に行動しないか?白瀬の力が必要なんだ」

 

フッキー「嫌よ。私は1人で行動するのが好きなの」

 

恵理「とは言ってもそんな事を言ってられる状況じゃないわ。私は1人でも多い方がいいもの」

 

まぁそうだよね。私達救出班は1人でも多くの人を救うべく動いてるからね。

 

恵理「もし私達と一緒にきてくれないなら……!」

 

フッキー「な、何をするつもり?」

 

恵理「2学期以降の貴女の成績が悪くなるでしょうねぇ……」

 

フッキー「アンタ脅してるの!?」

 

恵理「脅してなんかないわよ。前々からフッキーの協調性のなさに先生方が手を焼いているって聞いた事があるから、それに響いて成績が悪くならない為にもここは協力した方が良いんじゃいかっていう話よ」

 

フッキー「それを脅しって言うんじゃない!……はぁ。もういいわ。アンタ達に着いていく。アジトは何処?」

 

そんなやりとりの末に白瀬さんは仲間になった。

 

 

~そして~

 

私の紹介も終わって白瀬さんに武器を渡すんだけど……。

 

鈴音「はい、これが白瀬さんの武器だよ」

 

フッキー「ふーん……。見たところ警察署にあった拳銃にそっくりね」

 

鈴音「使い心地をそこにいる敵で試してみて」

 

フッキー「敵……って何あれ?戦車?」

 

試運転の相手はワークポット。堅いから1発では倒せないだろうけど、練習相手としてはもってこいだ。

 

フッキー「如何にも手強そうだけど……っと!」

 

 

パンパンッ!!

 

 

十一郎「凄っ!!」

 

有栖「やりますね」

 

堤「頼もしいですね」

 

大神「ふっふっふ、流石は我がライバル!」

 

恵理「一体何故そこまで拳銃を使いこなせるの?」

 

フッキー「あー、感覚よ感覚。身体が覚えてたの」

 

射程は坂柳さんと互角、速度は圧倒的に白瀬さんが上、正確さは坂柳に軍配が上がる……。まぁ坂柳さんの場合はライフルやキャノンも使いこなせるから、ハンドガン系統は白瀬さんに巻かせて坂柳さんには他の武器を渡しておこうかな?




今回はここまでです。

次回、真夜中の素材集め!


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第28話 真夜中の素材収集

今回もよろしくです。


クラスメイトの救出を終えて私達は基地に戻ってきた……とほぼ同時のタイミングで未来達が帰ってくる。あれ?なんか見覚えのある人がいるんだけど……。

 

有栖「おや、真澄さんではありませんか」

 

真澄「坂柳!?あんたも無事だったんだ」

 

神室真澄……。坂柳さんがいるなら彼女がいてもまぁ不自然じゃないよね。っていうか未来は他作品キャラと縁があるよね。羨ましい。

 

真澄「あれ、あんた杖は?」

 

有栖「先天性疾患は見ての通り治りました。此方にいる鈴音さんのおかげです」

 

あっ、神室さんが私の方を向いた。

 

鈴音「どうも」

 

有栖「それと私は今後鈴音さんに着いていきますので」

 

真澄「あんたが?人の下に付くのが嫌いなあんたが?」

 

そうだよね。坂柳有栖といえば自分が女王だと言わんばかりのプライドがあって、誰かの下に付くのが嫌いなイメージあるよね。原作読んだ私もそんなイメージだし。

 

有栖「……そんな事を考えていた時期もありました。ですが鈴音さんになら私の全てを捧げていも良いと今では思っています。真澄さんにもいるでしょう?そんな人が」

 

真澄「……はぁ。やっぱり坂柳には御見通しって事か。まぁそこまで大袈裟でもないけど」

 

えっ?何々?なんか展開についていけないんだけど。あと坂柳さんはそんな恥ずかしい台詞を言わないで!

 

真澄「私は今日響さんに助けてもらった……。だから私は響さんに恩を返したい。響さんが困っていたら助けになりたい」

 

未来「……別に感謝されるような事はしてないのだけれど」プイッ

 

あれは照れてるな……。未来も可愛いとこあるじゃん。

 

未来「下らない事を考えてると殴るわよ?」

 

やだ!私の考えてる事筒抜け!?

 

 

~そして~

 

この基地も人が集まってきたなぁ。20人はいるんじゃないの?そんな事を考えていると未来が立ち上がる。

 

未来「さてと」

 

鈴音「今日も行くの?」

 

未来「勿論よ。素材は多いに越したことはないもの」

 

確かに。逆鱗シリーズのアクセサリーはなるべく多い方が敵の攻撃を上手く防ぎやすいからね。

 

鈴音「そういえば何処に素材を取りに行ってるの?」

 

未来「そうね……。説明するよりも来てもらった方が早いかもしれないわ」

 

鈴音「えっ?行ってもいいの?」

 

未来「ええ。随分変わった仕掛けもあったし、人数によって手に入る物が違ったりするかもしれないわ」

 

何それめっちゃ気になる。

 

鈴音「じゃあ行こうか」

 

有栖「何処にですか?」

 

……なんか物凄く自然に坂柳さんと神室さんがいるんだけど、何時からいたの?

 

未来「私が立ち上がる前から2人共いたわよ」

 

嘘!?全然気付かなかった!

 

未来「……貴女、此処に来てから相当鈍ってしまっているみたいね。素材収集の序でに鍛えてあげるわ」

 

鈴音「い、いや、気持ちだけで十分だよ」

 

未来「遠慮はいらないわ。その弛んだ根性を叩き直してあげる」

 

わーい畜生!

 

真澄「あの、私も行ってもいいかな?」

 

有栖「私も行きます」

 

2人も来るのん?しかも坂柳さんに至っては疑問系じゃなくて着いていく気満々だし……。

 

未来「構わないわ。時間が時間だけに危険が伴うわ」

 

真澄「私は構わない。響さんに恩返しをしたいから、どんなに雑用でも使ってほしい」

 

……なんか未来と神室さんが師弟の関係っぽくなってる。

 

有栖「鈴音さんのいるところに私ありです」

 

坂柳さんなんか私の事好きすぎない?最早ストーカー手前だよ?

 

未来「ではこの4人で行きましょうか」

 

鈴音「これ以上人数が増えるのは好ましくないもんね」

 

なんせ動きが大変な事になりそうだし、最大でも4人の方が良さそう。

 

時刻は22時30分。私達4人は真夜中の素材収集へと向かいます。




今回はここまでです。

次回、素材収集の途中で鈴音達が見たのは……。


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第29話 ギャスビゴー星人現る!

今回もよろしくです。


鈴音「それで私達はこれから何処に行くの?」

 

素材収集に着いていくのはいいんだけど、場所までは知らないからね。

 

未来「私達が行くのは倉庫よ」

 

鈴音「倉庫って今日行ってなかった?神室さん救いに」

 

未来「そうね。けれど今から行くのは本来私達が入ることがない場所になるわ」

 

何それ意味わかんない!

 

未来「……まぁその内わかるわ。それよりも彼女達に武器を」

 

鈴音「あっ、そうだね。まず坂柳さんにはこれを……」

 

坂柳さんに渡したのはキュウビ。電気属性のライフルなのだが、ハンドガン並の燃費の良さと使いやすさで更に本来の威力よりもかなり高い。

 

有栖「ありがとうございます。これで宇宙人達を撃退しましょう」

 

鈴音「次に神室さんにはこれ」

 

神室さんに渡したのはライトサーベル。光属性の剣で、長さを自由自在に変更出来るのが特徴。これも本来より使い勝手が良くて威力も高い。

 

神室「ありがとう……。これ、私が持ってた木刀とは比べ物にならないよね?発光してるし……」

 

鈴音「まぁそういう武器だからね。未来から聞いたけど、神室さんは剣術を嗜んでるって事だからきっと上手く使えるよ」

 

神室「うん、頑張ってみる」

 

鈴音「未来にはこれね」

 

未来に渡したのはドラゴンハート。この武器は本来連打系じゃないんだけど、『合成』の結果4連打までいくようになった。しかも未来自身のスキルによってなんと最大7連打に伸びた。

 

未来「これはとても良い武器ね。昼間は刀剣だったけれど、やはり私には格闘の方が性に合ってるわ」

 

まぁ未来は格闘技を一通りこなしてるからねぇ……。最後に私がドラゴイーターを持つ。これも本来よりもかなり高性能だ。なんせ威力が数値化するとなんと150にもなってしまったのだ。そこいらのライフルやキャノン武器なんかよりも全然強い。

 

未来「では改めて出発するわよ」

 

いよいよだ……。なんかワクワクするね!

 

 

~そして~

 

倉庫に着いた訳だけど……。

 

未来「まずは右に進むわよ」

 

右?2階に行くわけじゃないんだ?3日目(あと30分くらいで日を跨ぐ)だから大人枠のドミオ・バンデラスに会いにも行けるからてっきり2階かと思ってた。

 

それで奥まで来た。

 

有栖「此処で行き止まりのようですね」

 

鈴音「此処に何かあるのかな?」

 

そう思っていると未来は辺りを見渡した後に壁を3回叩く。すると……。

 

 

ギィィィ……!

 

 

真澄「これってもしかして隠し扉!?」

 

未来「ええ、昨日の夜に見つけたの」

 

そう言いながらまた辺りを見渡す。

 

「見ツケタゾ侵入者」

 

未来「あら、今回は早かったのね」

 

なんと出てきたのはギャスビゴー星人である。リアルで見たのは初めてだ。実際に見ると……うん、キモい。

 

「昨日貴様ガ奪ッタ物ヲ返シテ貰ウゾ」

 

未来「残念ながら此処にはないわ」

 

「ナラバ貴様ヲはた人間にシテ、場所ヲ吐カセテモラウトシヨウ」

 

未来「それは無理よ。昨日私1人に遅れをとっていたのに、此処には4人いる時点で貴方に勝ち目はないわ」

 

あとこのギャスビゴー星人は片言だけど漢字が使えるっぽい。もしかして幹部クラスだろうか?

 

「フン、意気ガッテイラレルノモ今ノ内ダ。此方ニハトッテオキノ切札ガアルンダ」

 

未来「それは楽しみね。皆いくわよ」

 

有栖「了解です」

 

真澄「……宇宙人って本当にいるんだ。まだ状況がわかってないけど、とりあえずコイツ等を倒せばいいんだよね?」

 

未来「何をボーッとしているの?鈴音も早く武器を構えなさい」

 

……もう未来が主人公でいいんじゃないかな?




今回はここまでです。

次回、VSギャスビゴー星人!


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第30話 宇宙人との戦い。倉庫編

今回もよろしくです。


遂に宇宙人との決戦。でも私は空気。わーい!

 

「アクマデ抵抗スルカ……。馬鹿ナ奴等ダ」パチンッ!

 

「」ゾロゾロ

 

ギャスビゴー星人が指パッチンすると、仲間がゾロゾロ出てきた。っていうか指パッチン出来るんだ……。

 

真澄「うわっ、数が増えると気持ち悪さが増すね……」

 

有栖「数は10程ですね。如何致しましょう?」

 

鈴音「まぁ私達に出来ることは迎え撃つ事だけだよね?」

 

未来「その通りよ。私達に歯向かった事を後悔するのね」

 

今度は未来が悪役に見える……。うん、割とピッタリな気がするよ。

 

未来「鈴音は後で私と話をしましょう?」ニッコリ

 

嫌だーっ!まだ死にたくなーい!

 

 

 

~そして~

 

真澄「はぁっ!」

 

 

ズバッ!ズバッ!

 

 

有栖「はっ!」

 

 

ダァンッ!

 

 

未来「ふっ……!」

 

 

バキッ!ドスッ!

 

 

神室さんがライトサーベル、坂柳さんがキュウビ、未来がドラゴンハートをそれぞれ完璧に使いこなしてギャスビゴー星人達を一網打尽にする。うん、この3人は埋め立て地の基地襲撃メンバー入りは確定としておこう。おっと、此方にも来た。

 

鈴音「はっ!」

 

 

パンッ!パンッ!

 

 

「……地球人ノ癖ニ中々ヤルデハナイカ」

 

鈴音「そりゃどうも。残りは君だけみたいだけど降参する?」

 

「言ッタダロウ?トッテオキガアルト。見ルガイイ!我々ノ最強ニ近イ戦艦ヲ!!」

 

 

ズズズズズ……!

 

 

この音は……?

 

真澄「見て!下から何か出てくる!!」

 

神室さんが指差した先に出てきたのはさっき言ってた戦艦?浮いてるから宇宙戦艦って事はヤマト的な名前のやつだよね。なんかワクワクする!

 

「コレガトッテオキノ戦艦……。ソノ名モヤミャト!」

 

……噛んだだけだよね?そうであってほしい。頼むからそうだって言って!

 

「驚キノ余リニ声モ出ナイヨウダナ……。ダガモウ遅イ!コノヤミャトノ力デオマエ達ヲ葬ッテクレル!!」

 

畜生!やっぱりパチもんじゃないか!いや、でも最強に近いって言ってたからきっと最強は本物に違いない筈……!

 

有栖「鈴音さんからとてつもない怒りを感じます。やはり宇宙人達に好き勝手されたからでしょうか?」

 

未来「いえ、あれはくだらない事を考えているわね」

 

真澄「響さんと大宮さんは付き合いが長いんだっけ?」

 

未来「ええ、幼馴染よ」

 

有栖「その関係……羨ましいです」

 

後ろの3人が私について何か言ってるけど……。

 

鈴音「3人共、準備は出来てる?」

 

有栖「勿論です」

 

真澄「大丈夫」

 

未来「問題ないわ」

 

それじゃあいきますか!

 

 

~そして~

 

鈴音「坂柳さん、砲撃がそっちにくるよ!」

 

有栖「了解です。此方も溜め撃ちの準備が整いました」

 

戦艦が放った砲撃と坂柳さんの溜め撃ちは互角で終わった。

 

鈴音「未来、神室さん、戦艦に大きな隙が出来たから御願い!」

 

未来「わかったわ」

 

真澄「了解」

 

未来と神室さんがそれぞれ拳と斬撃を叩き込む。すると戦艦がバチバチと悲鳴をあげだした。あと一撃といったところかな。

 

「グッ……!ソ、ソンナ馬鹿ナ。コノ最強に近イヤミャトが……!」

 

未来「止めは任せるわ」

 

有栖「決めてきてください」

 

真澄「あと一息だよ」

 

鈴音「うん。……じゃあね」

 

 

パァンッ!

 

 

「バ、馬鹿ナ……!」

 

 

ドカーンッ!!

 

 

戦艦は爆発してギャスビゴー星人の燃死体が出来上がった。

 

未来「邪魔者もいなくなった事だし、素材収集に戻りましょうか」

 

あっ、そういえば目的は素材収集だったね。宇宙人とドンパチしてたからすっかり忘れてたよ。

 

 

~そして~

 

未来「此処の最深部に色々落ちていたわね」

 

こ、これは!逆鱗になぞの機械になぞの筒等の2章終盤にしか手に入らない素材、幻の合金等の2章序盤素材、宝石系の2章中盤素材、ガラクタや銅、鉄、鋼、玉鋼等の基本的な素材もいっぱいある!此処は宝の山や!!

 

未来「昨日は邪魔が入ったから数個ずつしか持ち帰ることが出来なかったけれど、今日は此処にあるもの全て持ち帰れそうね」

 

真澄「……私にはよくわからない物ばかりだけど、そんなに凄いの?」

 

鈴音「凄いなんてものじゃないよ。今私達が持っている武器や身に付けているアクセサリーだってこれ等の素材がなかったら造れなかったんだからね」

 

有栖「そう考えると此処は宝の山という訳ですね」

 

鈴音「そういうこと!」

 

それぞれの素材が99個になるまで持ち帰った。

 

未来「明日のこの時間帯に恐らくこれ等がまた沢山落ちているようになっている可能性があるわ」

 

えっ?マジで?カンストするくらい素材を持って帰ったのに?

 

未来「昨日私が持って帰った素材があった場所に全く同じ素材が落ちていたもの。まぁ今回は数が数だから全く同じ宝の山とは限らないけれど、また夜中に訪れる価値はあるわ」

 

鈴音「それは凄いね。貴重な素材は集まるし、私達は戦いの経験値が入るし一石二鳥だよ」

 

真澄「確かに……。なんか強くなった感じがする」

 

有栖「それにしても結構時間を使いましたね」

 

時刻は夜中の4時45分。5時間近くも此処で戦ったり素材集めたりしたんだね。

 

未来「それじゃあ帰りましょうか」

 

鈴音「そうだね。基地に戻る頃には朝になりそう」

 

殆んどの素材をカンストまで集めた私達は倉庫を後にした。これ5日目以降の埋め立て地の基地襲撃は小波君達に任せて私達は倉庫で素材集めとまだ宇宙人達が抵抗してくるならその迎撃に専念した方が良いのかもしれない。

 

その事もじっくりと考える必要があるね。




今回はここまでです。

次回、仲間達とゆったりとトークタイム!


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第31話 のんびりまったりトークタイム。そして3日目終了……

今回もよろしくです。


う~ん、やっと基地に戻ってきた。もう日が登り始めてるね。

 

十一郎「……随分遅かったな?」

 

鈴音「うん、ちょっと未来達と素材収集に行っててね。小波君はこれから出るところ?」

 

十一郎「そうだな。疲れているようなら大宮さん達は休んでていいぞ」

 

小波君の提案に対して3人は私の判断に任せると言った。どうしようかな?体力的にはまだ余裕あるけど……。

 

鈴音「……じゃあ御言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

私と未来は余裕があっても、坂柳さんと神室さんはそうでもないだろう。2人は無理をしてでも着いてきそうだしね。

 

十一郎「わかった。ゆっくりと休んでくれ」スタスタ

 

そう言って小波君達は去っていった。行ったのは小波君、落田君、石川さん、霧生さん、青野君の5人だった。さて、私達も休むとしましょう!

 

 

~そして~

 

廃ビルの一室。そこには私達4人がいる。折角だからガールズトークといこう。

 

鈴音「そういえば坂柳さんの親はハタ人間になっているの?」

 

いや質問下手か私!もっと内容というかオブラートに包む事ぐらい出来たよね!?

 

有栖「……私の父は校長先生にハタを立てられそうになりましたが、上手く反撃に成功してそのまま外で仕事をしている母の元へと向かいました」

 

そういえば坂柳父は理事長だったっけ?ならこの世界ではパライソ中学校の理事長なのかもね。

 

有栖「その場面を一通り見た後は1度学校に荷物を置いてモールへ食料を求めに行きました」

 

真澄「……あんた、その間はハタ人間に会わなかったの?」

 

有栖「運が良いことにモールに向かうまでは1人も会うことはありませんでした」

 

そういえば未来がモールで坂柳さんがハタ人間達に襲われているって言ってたっけ?

 

有栖「モールに着いた私は2階に上がってハタ人間の弱点だと思われる水鉄砲を拝借して、どのような組み合わせが出来るか様々な商品を見付けては頭で反撃手段を考えました」

 

真澄「今しれっと万引き宣言したよね……?」

 

有栖「状況が状況だから仕方ありません」

 

真澄「そうなんだけど、納得いかない……」

 

ああ、神室さんって原作では万引きしようとして坂柳さんに見つかって弱味を握られたんだっけ?それなら腑に落ちないけど、しょうがないよね。

 

有栖「それで思い付いた方法を実戦しようと1階に降りたのですが……」

 

未来「そこでハタ人間達に囲まれて、その場面を私達が見付けたという訳ね」

 

有栖「はい。未来さん、あの時はありがとうございました」ペコッ

 

成程ね。坂柳さんを助けた背景にはそんな出来事があったのか。

 

真澄「……それで1番気になったのは坂柳が杖を持ってないようだけど、これはどういう事?」

 

有栖「それはですね!」スクッ

 

うわっ!急に立ち上がった。そして心なしか物凄く興奮しているように見える。

 

有栖「私がハタ人間の動向を知りたく未来さん達と行動しようとしたのですが、それには私の先天性疾患が足を引っ張っていました……。しかし」

 

 

~そして~

 

有栖「……という訳で鈴音さんが丹精込めて造ってくださった薬のおかげで私の先天性疾患は見事完治しました」

 

真澄「そ、そうなんだ……」

 

坂柳さんの演説は約15分に渡って終了した。長い。神室さんドン引きしてるし……。あと坂柳さんには申し訳ないけど、私そんなに丹精込めてない!

 

……まぁ嬉しそうだし、それは言わないでおこう。

 

真澄「……私は疲れたからもう休むね」

 

有栖「私も今日のところは休ませてもらいます」

 

鈴音「2人共ありがとう。ゆっくり休んでね」

 

さて、2人が休んだし、私も休むと……。

 

未来「2人が休んだことだし、これで貴女をしごく事が出来るわね」ニッコリ

 

あっ、忘れてた……。




今回はここまでです。

次回、遅まきながらも始まった4日目もガールズトークに花開く。


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第32話 遅めの4日目もトークタイム&武器のメンテナンス

今回もよろしくです。


ふぇぇ……。疲れたよぅ。未来がスパルタ過ぎる。……というか私が弛んでしまったのって未来から抑制の呪詛を受けたからじゃん!私悪くないよね!?なのに酷い扱いだよ全く!!

 

時間は……朝の9時か。未来も休んでるし、私も休むとしよう。

 

 

~そして~

 

起きると昼過ぎでした。5時間くらい寝たから元気いっぱいだぜ!

 

有栖「おはようございます、鈴音さん」

 

真澄「おはよう、大宮さん」

 

坂柳さんと神室さんが挨拶してくれた。

 

鈴音「おはよう2人共。未来は?」

 

有栖「未来さんなら今昼食を作っています。この基地にいる全員分」

 

そういえば未来と霧生さん、カレーなら村山君は料理担当だったね。白木さんも最低限は出来るらしいけど、この場は得意な人に任せる方が良いとの事で御手伝い担当だそうだ。ちなみに私と坂柳さん、神室さんも此方側ね。

 

ちなみに今日は霧生さんが出てるから未来と手伝いの白木さんだけである。

 

未来「そろそろ出来るわよ。鈴音も起きたなら此方を手伝いなさい」

 

エプロン姿で未来が出てきた。……エプロンめっちゃ似合う!将来結婚するなら未来みたいな家庭的な人が良いよね。

 

未来「ば、馬鹿な事を思ってないで手伝いなさい!///」

 

有栖「……私も手伝います」ムスッ

 

あれ?なんで顔赤いの?あと私の考えてる事はやっぱり筒抜けなの?でもそんな未来を見るのは新鮮な気がする。そして坂柳さんはなんでそんなに不機嫌なの?

 

真澄「……大宮さんって朴念仁って言われた事ない?」

 

神室さんは神室さんで理不尽だな……。そんな事言われないよ!鈍感系主人公じゃあるまいし!!

 

昼食はとても美味かったです。流石未来だね!

 

 

~そして~

 

食事の後は武器のメンテナンス。昨日の今日で悪くなってるとは思わないけど、手持ち無沙汰だから御手入れしないと落ち着かないの!未来は小波君達の所に行ったし。

 

有栖「真澄さんは私と別れた後はどうしてたんですか?」

 

メンテをしていると坂柳さんが神室さんに未来達に出会う前の話をしていた。うん、坂柳さんの機嫌が治っているようで良かった。

 

真澄「私は家に帰る前にショッピングモールで買い物をしようとしたんだけど、入った瞬間にハタ人間が私にハタが立ってないって指摘してきたんだ」

 

よくある展開だねぇ。

 

真澄「それでモールの何処もかしこもハタ人間だらけでさ……。囲まれた時は側に落ちてあった木刀を使ってその場を凌いだ」

 

有栖「やりますね」

 

神室さんって結構適応力高いよね。初のハタ人間以外の戦闘なのにも関わらず、ライトサーベルを上手く使いこなせてたし。

 

真澄「それでも数が多くて1度モールを出て色んな所を回ったんだけど、ハタ人間って何処にでもいるんだよね。公園にも、橋にも、港にも病院にも……」

 

有栖「とは言えモールに比べたら比較的ハタ人間は少ないと思いますよ」

 

真澄「まぁモールに比べたら少なかったんだけど、安全とまではいかなかったから最後に目を付けた倉庫に逃げ込んだんだ」

 

有栖「それでハタ人間から逃げ込んだのは良いものの、今度はワークボットが現れて木刀で対処しようも数が多くてやられる寸前になり……」

 

真澄「そこで響さん達が助けてくれたんだ。響さん達には命を救われた……。だから私はその恩返しがしたい。それが宇宙人の基地破壊だって言うならそれも協力するつもり」

 

有栖「成程……。真澄さんは経緯は違えど、私と同じ恩返しが目的という訳ですね?」

 

真澄「そうなる……かな?」

 

有栖「では御互いに頑張りましょう」

 

真澄「うん……!」

 

うんうん、2人が仲睦まじくて良い感じだね。武器のメンテも捗ってるし、この会話をBGMにして頑張りますかね!




今回はここまでです。

次回、未来は小波達との合流に向かう……!


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第33話 未来合流。学校へGO!

今回もよろしくです。


未来side

 

はぁ……。顔の熱がまだ治まらないわね。それも……。

 

将来結婚するなら未来みたいな家庭的な人が良いよね。

 

という鈴音が思っていた事を見抜いてしまったからよ。そのせいで顔が赤くなり、表情が緩んでしまう。……駄目ね。このままでは。

 

未来「っ!」パンッ!

 

私は頬を両手で叩き顔の緩みと熱を冷ます。……よし、これで問題ないわね。小波君達と合流しましょう。

 

 

 

未来sideout

 

 

~そして~

 

十一郎side

 

俺達は今響さんに変わって食料調達の為にモールの食品売り場に来ているが……。

 

十一郎「こ、こんなに食料を取るのか!?」

 

落田「ガタガタ言うなでやんす!響さんはなんの躊躇もなくホイホイと抱えていたでやんすよ!?」

 

十一郎「それはそれで問題な気がするが……」

 

夏菜「確かに未来ならこれくらい思い切りが良いよな。私も見習いたいぜ!」

 

青野「まぁ見習って良いのかは定かではないけどな」

 

梨子「ねぇねぇ十一郎、これなんか面白そうだよ!」

 

十一郎「何処から取ってきたんだそんなの!早く戻しに行け!」

 

梨子「ちぇっ!」

 

全く……。遊びに来てる訳じゃないぞ。

 

落田「小波君、危ないでやんす!」

 

十一郎「えっ?うわぁっ!」

 

背後のハタ人間に気付かなかった。しまった!ハタを立てられる!!

 

 

バシャッ!!

 

 

そう思った瞬間に水をかける音がしたので見てみると響さんがそこにいた。

 

 

十一郎sideout

 

 

 

未来side

 

……なんとか追い付いたけれど、ギリギリだったわね。もう少し遅かったら小波君がハタを立てられていたわ。

 

未来「間に合ったようね」

 

十一郎「ありがとう響さん。……でも休まなくても大丈夫なのか?ここ4日間不休だろう?」

 

未来「最低限の休息は取っているから問題ないわ。ここからは私も行動するけれど、大丈夫かしら?」

 

十一郎「ああ、響さんがいてくれると心強いからな。ここからはリーダーとして頼む」

 

未来「何を言ってるの?リーダーは小波君、貴方がやるのよ」

 

十一郎「お、俺が!?俺よりも響さんの方が良いだろ?実力もあるし……」

 

未来「私はどちらかと言えばサポート側よ。基本的にリーダーは貴方か鈴音がやってそれ以外の人間はそのサポートをするのよ」

 

十一郎「そ、そうか……」

 

未来「それで?食料はある程度集まったみたいだけれど、この後はどうするのかしら?」

 

十一郎「あ、ああ……。この後は学校で昼食予定だ」

 

未来「そう。なら学校に向かいましょうか」

 

十一郎(……やっぱり俺よりもリーダーに向いてる気がするんだよなぁ)

 

未来「そんな事ないわ。貴方は司令塔気質なのだから、この場においての適任者は小波君しかいないもの」

 

十一郎「……俺口に出してないのに、なんでわかったんだ?」

 

未来「わかりやすいのよ。貴方も鈴音も」

 

あの2人は似た者同士だから、考えてる事がわかりやすいのよね。……なんだかまた顔が熱くなってきたわ。

 

十一郎「ど、どうしたんだ響さん。顔が赤いぞ?」

 

未来「……なんでもないわ」

 

はぁ……。学校に着くまでにこの熱を冷まさなければいけないわね。




今回はここまでです。

次回、家庭科室に幽霊が!?


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第34話 家庭科室の幽霊!?

今回もよろしくです。


未来side

 

学校に着き昼食を食べた後に霧生夏菜は何処かに行ってしまい、小波君と石川梨子はそれを追いかけた。

 

落田「しかし霧生さんは毎回何処に行くんでやんすかねぇ?」

 

未来「……彼女のこれまでの傾向から察するに恐らく家庭科室に行った可能性が高いわね」

 

落田「家庭科室でやんすか……」

 

この流れはもしかしなくても……。

 

落田「七不思議の3つ目は鳴り響く包丁の音でやんす……」

 

未来「また七不思議の話なのね……」

 

そんなくだらない話を聞くくらいなら鈴音達と基地に残っていれば良かったわ。

 

家庭科室、鳴り響く包丁、エプロン……。

 

落田「響さん?顔を赤くしてどうしたでやんす?」

 

未来「な、なんでもないわ!///」

 

青野「いや、物凄く赤くなってるぞ?」

 

未来「んんっ……!私の事はいいから話を続けなさい」

 

忘れたと思ったのにどうしてさっき鈴音が思っていた事を思い出すのかしら……。

 

落田「……誰もいない筈の家庭科室から何かを切る音が聞こえてくるらしいでやんす。それは昔に生徒のミスで家庭科の授業中に亡くなった先生の幽霊がその恨みを果たす為に学生を切り刻もうとしているという話でやんす」

 

青野「……っていうかどんなミスをしたら授業中に先生が死ぬことになるんだ?」

 

確かに。そこがこの七不思議の1番の謎よね。

 

落田「もしその幽霊に廊下で出会ったら『先生の料理は最高です!』と言うと見逃してくれるらしいでやんすよ」

 

青野「なんかいきなり親近感がわいたな」

 

未来「まぁ切り刻むといった類いの話は怖いのかもしれないわね」

 

落田「実際に音は聞こえるらしいでやんすよ。でも家庭科室には鍵がかかっていて誰もいないらしいでやんす……」

 

未来「それで幽霊……という訳ね」

 

落田「そうでやんす。だから七不思議の1つになっているんでやんす」

 

青野「でも確かにそんな音は余り聞きたくないな」

 

落田「そうでやんすね。オイラも聞きたくないでやんす……。それにしても響さんはこういうのは平気なんでもないわやんすか?」

 

未来「全く怖くないという訳ではないわ。……けれど本当に怖いのは幽霊ではなく人だということね。少なくとも今は目に見えないものを怖がっていても仕方がないわ」

 

そんな話をしていると霧生夏菜達が戻ってきた。

 

夏菜「戻ってきたぞ~!」

 

青野「何処に行ってたんだ?」

 

夏菜「家庭科室。さっきクッキーを作ってきたんだ」

 

梨子「夏菜の作るクッキーは絶品だからね~。あたしもレシピ教えてほしいくらいだよ」

 

落田「ほほぅ、ちゃっかりと霧生さんの手作りクッキーを食べれた小波君は美味しい思いをしたという訳でやんすね?」

 

十一郎「いやいや、確かに味見としては食べたが、ちゃんと皆の分もあるぞ?」

 

夏菜「未来も食べてくれ。結構自信作なんだ」

 

未来「ええ、ありがとう」

 

霧生夏菜から貰ったクッキーを1つ食べてみる。これはかなり美味しいわね。

 

十一郎「そういえばなんで夏菜は家庭科室に行ったんだ?」

 

夏菜「家庭科室の鍵を持ってるから、学校に来たら必ず寄ってるんだ」

 

十一郎「そうだったのか」

 

……そういえば昨日も彼女は家庭科室に行っていたわね。

 

梨子「ねぇ夏菜、家庭科室の鍵って複製したら駄目?」

 

夏菜「駄目」

 

梨子「ケチ~!」

 

いや、普通に考えて学校の教室の鍵を複製してはいけないでしょう……。

 

 

ガラッ!

 

 

深雪「あら、見回りに来てみたら悪い子達が沢山いるわね」

 

十一郎「げっ!深雪先生!?」

 

田中深雪……。ハタ人間編1章の3強敵の1人ね。ハタ人間だから水鉄砲以外の武器は使えず、1ターンに4回行動、専用武器の『痛そうな棒』で相手を気絶させる事が出来、反撃してきて、尚且つかなり堅い……。面倒な敵だわ。

 

未来「夏休みの間も学校に来ている勤勉な生徒は寧ろ良い子なのではないかしら?」

 

深雪「いいえ、先生の言うことを聞かない子は皆悪い子よ」

 

落田「こ、これは話の通じる状況じゃないでやんす!」

 

未来「どうやらそのようね」

 

落田「先生の料理は最高でやんす!だから見逃してほしいでやんす!!」

 

未来「……それは家庭科室の先生の幽霊じゃないと通用しないんじゃないかしら?」

 

十一郎「な、なんの話をしてるんだ!?」

 

未来「気になるようだけれど、まずはこの状況を打破するわよ」

 

夏菜「……っていうかモールの時も思ったけど、深雪先生は豹変しすぎだよな」

 

梨子「そうだね~。先生も色々溜まってたんだろうね」

 

青野「まぁこの事件が終わって先生が元通りになったら真面目に先生に接した方が良いのかもな」

 

十一郎「なんで皆そんなに冷静なんだ!?」

 

こういうのは割り切った方が良いと思うわ。

 

それにしても七不思議も私が知っているのと少しオチが違ったわね。本来いない筈の私がいるからだとは思うけれど、もしも七不思議の災いが宇宙人をも凌ぐ存在に成り上がると考えられると厄介ね。

 

7つ目の話を聞く時は基地襲撃メンバーを呼んだ方が良さそうね。




今回はここまでです。

次回、外を出歩いた鈴音はある人物と出会う……!


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第35話 青い風来坊と侍女?

今回もよろしくです。


さて、武器のメンテも終わったし、外の空気でも吸いに行こうかな。身体も動かしたいしね。

 

有栖「おや、鈴音さん何処に行くんですか?」

 

さも当然のように坂柳さんに見つかりました。いや、別にコソコソしてる訳じゃないけどね?

 

鈴音「ちょっと外の空気を吸いに行こうかなと思ってね。その序でに身体を動かそうって訳」

 

有栖「では私も行きます。真澄さんはどうしますか?」

 

真澄「……迷惑じゃなかったら私も着いていってもいい?大宮さんや響さんの足手まといにならないように少しでも強くなりたいし」

 

鈴音「2人がそれで良いなら私は構わないよ」

 

時刻は17時15分。辺りの捜索にレッツゴー!

 

 

~そして~

 

基地全体をぐるっと回り、今は北東地点にいます。そこで私達が発見したのは……。

 

???「」ゴソゴソ

 

誰かがハタ人間の懐をゴソゴソと漁っている場面でした。

 

真澄「ねぇ、彼処にハタが立ってない人がいるんだけど」

 

有栖「何かしていますね」

 

???「……あん?何か用か?」

 

あっ、此方に気付いた。というかこの人椿(つばき)さんじゃん。

 

鈴音「いや、特に用という訳じゃないけど、何をしてるのかなって」

 

椿「見りゃわかるだろ?……おっ?これだな」

 

そう言って椿さんが取り出したのは……財布?

 

真澄「何やってるのかと思えば泥棒じゃん」

 

椿「なんとでも言えばいい。ハタ人間ってのは所謂RPGで言うところのモンスターだ。モンスターを倒せば金が手に入るだろ?それと同じだよ」

 

まぁ一理あるよね。私達も敵を倒す度に色々な素材を手にしてる訳だし、違いはお金か素材かというだけだしね。

 

???「椿さん、そちらはどうでしたか?」

 

椿「ああ、ボチボチだな。そっちは?」

 

???「此方もそこそこでした。戦利品を渡しますね」

 

後ろから現れたのはスーツを着たワインレッド色の髪を腰辺りまで伸ばしていて、金色の瞳をした……って完全にラブライブ!サンシャイン!!の桜内梨子(さくらうちりこ)じゃん!この世界では椿さんの侍女的存在って事!?

 

有栖「おや?榎本さんじゃないですか」

 

真澄「あっ、本当だ。なんでスーツ着てるの?」

 

えっ?榎本?どういう事?もしかして私の知っているキャラとは別人なのん?

 

榎本「えっ?坂柳さんに神室さん?なんで此処に?」

 

椿「……知り合いか?」

 

榎本「は、はい。同じ学校のクラスメイトです。後ろの黒髪の人は初対面ですけど……」

 

っていうか彼女中学生だったのね。見た目完全に高校生っぽかっからわからなかったよ。他にも色々疑問点があるけど、それはまぁ後でもいいや。

 

椿「……まぁいい。戦利品もある程度集まったし、この状況が続いている限りはブツを得るチャンスだ。行くぞ榎本」スタスタ

 

榎本「はい。……じゃあまたね坂柳さんと神室さん」スタスタ

 

あっ、行っちゃった。

 

有栖「彼女、学校にいる時とは雰囲気が違いましたね」

 

鈴音「そうなの?」

 

真澄「うん、学校の時にはなかった威圧感みたいなのがさっき会った時にあった」

 

それは私も感じてた。椿さんもそうだけど、彼女も相当強いね。もしも仲間にする事が出来たらトップクラスの戦力になるだろう。




今回はここまでです。

次回、鈴音達は再び椿一行と出会う。


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第36話 店長室の宝

今回もよろしくです。


椿さんと榎本?さんに会った後私達はモールに夕御飯用に御弁当を適当に探していた。

 

有栖「おや、榎本さん」

 

榎本「坂柳さん達……。また会ったね」

 

真澄「榎本はあの椿って人と行動してるの?」

 

榎本「そうよ。私学校外ではあの人と一緒にいる事が多いの」

 

なんかとんでもない事を聞いてしまった。椿さんの日常って戦争とかのイメージが多いから、彼女も一緒になってドンパチしてるのかな?

 

あとどうでもいいけど、2人の外見を比べると椿さんと榎本さんの関係が援助な交際をしているみたいに見える。決して口には出さないけど……。

 

有栖「榎本さんはあの椿という人とは援助交……」

 

真澄「ストップ坂柳。それ以上は流石に不味い」

 

どうやら坂柳さんも同じ事を思っていたらしく、口に出そうとしたところを神室さんが制した。ナイス神室さん!

 

榎本「えっ、ええっ!?つ、椿さんと援助交……///」

 

そして何故に彼女は満更でもない顔をしているのだろうか?

 

椿「……何やってるんだ榎本?」

 

榎本「つ、椿さん!?ま、まだ心の準備が……」

 

椿「……?さっきのガキ共もいるじゃねぇか。こんな所で何やってるんだ?」

 

鈴音「此方は食料調達ってとこかな。そっちは何を?」

 

椿「ちょいと店長室に用事があってな。丁度良い。榎本、ガキ共を連れて先に店長室に向かって御宝を回収しておけ。鍵は渡しておく」

 

おっ、店長室イベントか。本来は小波君達が椿さんに出会って店長室の鍵を拾う訳だけど、この場合は私達がその代わりって事だね。そもそも榎本さんは本来いない筈の人だけど……。

 

榎本「椿さんと……。椿さんと……///」

 

椿「……駄目だこりゃ。何が原因か知らんが、トリップしてやがる。おいガキ共、鍵はおまえらに預けておく。榎本が復活したら店長室に向かう様に言ってくれ」

 

鈴音「それはわかったけど、貴方はどうするつもりですか?」

 

椿「……ちょいと用事があるんだよ」スタスタ

 

そう言って椿さんは歩いていった。風来坊なだけあって自由人だね。

 

真澄「榎本?おーい……」

 

肝心の榎本さんは10分程トリップ状態になっていた。

 

 

~そして~

 

榎本「コホン……ッ!先程は大変見苦しい姿を見せてしまいました」

 

榎本さんが復活したので、私の自己紹介や何故坂柳さんが杖をついてないかを軽く済ませておく。その際の坂柳さんがする力説には榎本さんも軽く引いてたけど……。

 

有栖「榎本さんはあの椿という人の事が……」

 

榎本「えっ?な、なんの事かしら~?」

 

坂柳さんが榎本さんと椿との関係を聞いてきたら榎本さんが坂柳さんから目を反らしながら口笛を吹いていた。まぁ私も気になるところだけど、今は店長室に行くのを優先しておこう。

 

鈴音「坂柳さん、とりあえず今は店長室に向かうのが先だよ」

 

榎本「そっ、そうそう!合流する頃には店長室の物品を回収しておけって言われてるから急ぎましょう!」

 

捲し立てる様に榎本さんが言う。っていうかトリップしてても椿さんの話を聞いてたんだね……。

 

有栖「……それもそうですね」

 

榎本「た、助かった……」ホッ

 

有栖「では終わった後に洗いざらい吐いてもらいましょう」

 

榎本「た、助かってなかった……」ガクッ

 

真澄「ドンマイ、榎本……」ポンッ

 

榎本さんは項垂れ、神室さんが榎本さんを宥め、坂柳さんはそんな光景を見てはクスクスと笑っており、私は展開に置いてけぼり……。何このカオス?




今回はここまでです。

次回、店長室での決戦……!


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第37話 店長室一閃!

今回もよろしくです。


私達はハタ人間達やライムと戦いつつ、店長室を目指す。

 

真澄「それにしても相変わらず此処はハタ人間が多いね……」

 

鈴音「まぁ此方からすれば色々な素材を落としてくれるから向かってくる分には大歓迎だよ」

 

古今東西全ての素材は数あればある程得するもんね。

 

 

~そして~

 

それで榎本さんの案内で店長室の前に着いた。

 

真澄「それにしても榎本はよく此処が店長室ってわかったね」

 

榎本「まぁ地図を貰ってるからね。じゃあ早速鍵を……」カチャカチャ

 

店長室の鍵を開けて中に入る。

 

有栖「それでこれからどうするんですか?」

 

榎本「えっと……。椿さん曰く此処の何処かに金庫室の鍵があるからそれを探してほしいの」

 

やる事が段々ドラクエ染みてきたなぁ……うん?

 

真澄「ちょっ、なんかハタ人間がゾロゾロと来たんだけど!?」

 

有栖「とても沢山いますね」

 

本当だよ。下手したらモール中のハタ人間が来る勢いだよ……。

 

鈴音「2人共水鉄砲の準備はいい?」

 

有栖「問題ありません」

 

真澄「何時でも良いよ」

 

鈴音「榎本さんは水鉄砲持ってる?」

 

榎本「うん、椿さんから貰っているから大丈夫」

 

それなら良かった。かなり数がいるけど、基本的に防衛優先で、数が少なくなったら一気に攻めていこう。

 

 

~そして~

 

……と思ったんだけど。

 

 

ゾロゾロ。

 

 

数が減るどころか増えていってるような気がするんですが……。なんで数減らないの?

 

真澄「これじゃあキリがなくない?」

 

榎本「このままだと押し切られそう……」

 

有栖「それはそうと何故十数人単位で襲ってくるのでしょうか……?」

 

本当にね。なんで多人数で襲わずに律儀に陣列組んで行動してるんだろうね。

 

 

ザーッ!

 

 

これは……店に雨が降っている!?

 

真澄「店内に雨!?」

 

有栖「これは……店内のスプリンクラー機能が起動していますね」

 

という事は……?

 

椿「よう」

 

榎本「椿さん!?」

 

青い風来坊こと椿さん登場!様になるねぇ……。

 

椿「店内のスプリンクラー機能がOFFになっていたからONにしておいたぜ。このハタを作った奴は相当な馬鹿だな」

 

なんか間接的に宇宙人を馬鹿にしてるよね。多分馬鹿な事には違いないと思うけどね。

 

榎本「……!?椿さん、後ろ!」

 

椿「あ?」

 

 

バキッ!

 

 

あっ、椿さんが突然出て来たワークボットに殴られた。

 

椿「ぐっ……!」

 

榎本「椿さん!椿さん!しっかりしてください!!」

 

なんか彼処だけドラマが出来てるんだけど……。

 

有栖「榎本さん、彼の安否を心配するのは後にしましょう」

 

鈴音「そうだね。今はこのワークボット達を殲滅させないと」

 

榎本「……そうね。覚悟しなさい」チャキッ

 

冷静になった榎本さんは木刀を取り出した。えっ?何処から取り出したの?

 

榎本「はぁぁぁぁっ!!」ダッ

 

そして駆け出した榎本さんが放った木刀の一閃によってワークボットを次々に殲滅していった。やだ、格好良い!

 

 

~そして~

 

椿「痛てて……。俺とした事が……」

 

鈴音「あっ、気が付いた」

 

榎本「椿さん!」ダッ

 

早っ!さっきのワークボット戦の時の木刀捌きと言い彼女の動きは今まで仲間にしてきた人の中でトップクラスだよ。まぁ何はともあれ……。

 

鈴音「これでさっき助けてもらった分はチャラって事で良いかな?」

 

椿「ガキが何を偉そうに。痛ててて……!」

 

榎本「椿さん、安静にしててください。……困ったわ。もっと広い場所で手当てしたいのに」

 

そういえばこの店長室は結構狭いね。ならば……!

 

鈴音「良かったら私達が今避難場所としている場所に来てよ。手当てはそこですればいいからさ」

 

榎本「良いの……?」

 

鈴音「困った時は御互い様だよ」

 

榎本「……そうね。その場所を案内してもらっても良いかしら?」

 

鈴音「ナビは任せてよ」

 

新たな仲間ゲット!2人共戦力的にはトップクラスだからありがたいね。

 

有栖「手当ての方を済ませたら榎本さんと椿さんの関係性を……」

 

榎本「お、覚えてた……」

 

……前途多難だけど、まぁいいか。




今回はここまでです。

次回、4日目終了と作戦会議!


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第38話 4日目終了と第2回作戦会議!

今回もよろしくです。


基地に戻った私達は椿さんの治療と夕食を済ませて関係者達を集めて作戦会議をする。

 

その作戦会議の内容は宇宙人の基地襲撃メンバーを決めておこうとの事。ちなみに会議メンバーは私達の正体を話したメンバーに+して小波君、落田君、神室さん、榎本さん、椿さん、堤君を加えた面子ね。

 

鈴音「さて、皆さんに集まってもらったのは埋め立て地にある宇宙人の基地を襲撃するための会議をするためです」

 

十一郎「宇宙人の基地だって!?」

 

落田「そ、そんなの本当にあるんでやんすか!?しかも埋め立て地に!」

 

鈴音「それについては……」

 

未来「本当よ。直接私が尋問したから」

 

宇宙人を尋問……もとい宇宙尋問したという事である。何時の間にそんな事したんだろうね?

 

ホンフー「今回の会議には私以外にも大人の人がいるんですねぇ」

 

椿「あん……?」

 

う~む、大人枠として椿さん(と榎本さん)に参加してもらったけど、ホンフーさんとは相性が悪かったかな?

 

十一郎「でも前に埋め立て地に行った時は全体を見渡しても何もなかったぞ?」

 

未来「宇宙人の基地に行くためには特定の鍵が必要なのよ。それがトリガーとなって基地が出現するというシステムになっているらしいわ」

 

落田「それってどういうメカニズムでやんすか……?」

 

本当にね。どんなメカニズムなんだろうね?

 

恵理「しかし前回の会議よりも人数が増えたわね……。倍になってるわ」

 

越後「……やれやれだぜ」

 

堤「基地の有無についてはわかりましたが、具体的にどうするんですか?」

 

鈴音「まずは先日私達が倉庫に行った時に発見した宇宙人の溜まり場に行くメンバーを発表するよ」

 

十一郎「溜まり場……?基地とは別なのか?」

 

鈴音「そうだね。さっきも言ったけど、本命は埋め立て地だからね」

 

私が軽く息を吸ってメンバーを発表する。

 

鈴音「倉庫班は未来、落田君、越後君、堤君、神室さん、ホンフーさんの6人だよ」

 

未来「倉庫班については先日に叩いたつもりだけれど、恐らく残党が倉庫に向かっていても可笑しくはないわ。倉庫には貴重な素材もあるからその回収も兼ねているの」

 

落田「サポートは任せるでやんす!」

 

越後「微力ながら俺も協力するぜ」

 

堤「念のために対宇宙人用に爆弾を作っておきましょう。その為の爆弾教本も所持していますので」

 

真澄「私は響さんに恩返し出来ればそれでいいかな。やるからには全力でいくよ」

 

ホンフー「私の力が宇宙人相手にどこまで通用するか……。楽しみですね」

 

未来のチームは近接戦闘に特化したチームで遠距離サポートは堤君だけだが、ホンフーさんは超能力で中遠距離にも対応が出来るし、未来も神様染みた力で起点を作る事も出来るからね。元より戦闘じゃなくてサポートがメインなので、非戦闘員でサポート要員の落田君も入れておいた。

 

鈴音「それで埋め立て地の基地襲撃班が私、小波君、坂柳さん、白木さん、椿さん、榎本さんの6人だね」

 

十一郎「……まだ状況を把握しきれてないけど、ハタ人間にされた皆の為にも頑張るぞ!」

 

有栖「鈴音さんいる所に私ありです」

 

恵理「色々気になる部分はあるけど、私の力が必要なら手を貸すわ!」

 

椿「宇宙人だかなんだか知らねぇが、やってやろうじゃねぇか。傷を手当てしてくれた借りもあるしな」

 

榎本「……はぁ。やるしかなさそうね。これも仕事だと思って頑張りましょう」

 

私達のチームは近距離と遠距離が3人ずつとバランスが取れていて、私と白木さんはその中間で戦う事も出来る。でもそうした場合は近距離で戦う人が榎本さんだけになるから、榎本さんのサポートを私達5人でやる事になる。

 

鈴音「それで私達が動くのは明後日からになるよ」

 

十一郎「明日は動かないのか?」

 

未来「宇宙人達が本格的に活動するのが明後日だとも言っていたわ」

 

これはゲームでもそうだったけど、なんで後半5日じゃないと駄目だったんだろうね?モールにいる巨大ロボットは姿を現さずに気配だけだしさ。

 

鈴音「だから明日はそれに備えて各自で準備する期間だよ。強くなるための特訓をするのもよし、丸1日休みに使うのもよし」

 

未来「私達は明日も行動に移すわよ。準備が出来次第倉庫に向かうわ」

 

鈴音「他に何か質問とかあるかな?」

 

私が聞くと特に意見はないようだ。

 

鈴音「じゃあ今日の会議は終了だよ。ゆっくり休んでね」

 

こうして4日目も終了……。私は明日どうしようかな?




今回はここまでです。

次回、5日目の行動を考えた結果……。


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第39話 襲撃班の修業。属性講座編

今回もよろしくです。


翌日、私達襲撃班は少しでも強くなる為のゲームで言うところのレベリングに向かっている。これについては満場一致で決まった事だ。

 

十一郎「それで俺達は何処に行くんだ?」

 

行き先なのだが、敵のレベルが通常よりも高い倉庫には未来達が行くから私達が行くのは公園か病院かモールになるだろう。それならば……!

 

鈴音「私達は病院に行こうか」

 

有栖「薬の採取ですか?」

 

鈴音「それもあるけど、彼処はハタ人間やライムが多くいるからね。それからモールで食料を取りつつも敵を倒していく。今日1日はそれの繰り返しだよ」

 

恵理「中々ハードスケジュールね……。そういえば大神君は連れてこなかったの?なんだか宇宙人退治に張り切っていたし、彼の剣捌きは中々のものだと思うけど……」

 

鈴音「う~ん……。彼は光る木刀を造ってあげたら滅茶苦茶嬉しそうに、満足そうにしてたから、そっとしておこうと思ってね」

 

実は榎本さんの方が剣術に長けていたとは口が割けても言えないよね……。

 

 

 

~そして~

 

所変わって病院。

 

有栖「今日もライムが沢山いますね」

 

榎本「なんでこんなに色とりどりなの……?」

 

椿「宇宙人ってのも中々ユニークな事してくれるじゃねぇか」

 

2階に上がると何処もかしこもライムだらけだった。このライム軍団でぷよぷよが出来そうなくらい多かった。

 

鈴音「ライムは知っている限りで緑、赤、黄、青の4種類いるけど、緑以外のライムはその色に合った耐性を持っているよ」

 

十一郎「色に合った耐性……?」

 

有栖「緑以外ですので赤、黄、青のライムはそれぞれ炎、雷、光に耐性がある……という事ですね」

 

十一郎「成程……」

 

鈴音「流石坂柳さんだね。理解が早い」

 

有栖「ありがとうございます」

 

何故そんなに嬉しそうにしてるんだろうね?

 

鈴音「坂柳さんが言ったように各色ライムはその色に合った耐性をしているけど、逆にそれ以外は弱点でもあるんだ」

 

恵理「つまり赤ライムだと雷と光で、黄ライムだと炎と光で、青ライムだと炎と雷で弱点を突けば良いわけね?」

 

鈴音「その通り。あと緑ライムは他の3色よりも少し属性耐久があるよ」

 

榎本「どういう事?」

 

鈴音「属性は大まかに分けて5つ。炎、雷、光……」

 

十一郎「さっき聞いた3つの属性だよな?他の属性は?」

 

鈴音「4つ目は無属性」

 

恵理「それは属性無しとは違うのかしら?」

 

鈴音「その認識も正しいよ。でもさっきも言ったように緑ライムの場合は誤差程度の耐久差だけど、これが敵によっては無属性じゃないと倒せないというケースもあるからそれを頭に入れておいてね」

 

実際2章後半は無属性武器も重宝する場面があったからね。

 

椿「無属性ってのはわかったが、5つ目の属性はなんだ?」

 

鈴音「5つ目の属性については皆既に知っている筈だよ。これまで何度も使っていたからね」

 

椿「……成程な。そういう事か」

 

いまので椿さんは察したみたい。坂柳さんも白木さんも榎本さんも反応は違えど、理解はしている様子。そして小波君が訪ねる。

 

十一郎「じゃあ5つ目の属性って……」

 

鈴音「そう、皆がこれまで相手にしてきたハタ人間に使っていた水属性だよ。逆に水属性はハタ人間相手以外だと大したダメージにならないから注意してね」

 

さて、軽く属性について説明したところで早速レベリング開始!




今回はここまでです。

次回、一方未来達は……。


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第40話 描写をカットした為即落ち2コマ

今回もよろしくです。


未来side

 

私達は現在倉庫に来ていて、前に素材収集に来た時と同じ道のりで歩いている。

 

堤「行き止まりまで来ましたが、一体どうするんですか?」

 

未来「そうね……」キョロキョロ

 

落田「何をキョロキョロしてるでやんすか?」

 

未来「周りに敵がいないか確認していたのよ」

 

越後「それくらいなら俺達でやるぜ?」

 

ホンフー「それに大丈夫ですよ。辺りには宇宙人どころか人っ子1人いませんから」

 

確かにその通りだけれど、此処に来る度にやっていた事だから癖になっているのよね……。そんな事をぼやきながら壁を3回叩く。

 

 

ギィィィ……!

 

 

堤「と、扉が……!」

 

落田「開いたでやんす!」

 

ホンフー「……これは驚きましたね」

 

未来「行くわよ」

 

今回は連中に出会わなければ良いのだけれど……。

 

 

~そして~

 

「イタゾ!侵入者共ダ!!」

 

「奪ッタ素材ヲ返シテ貰ウゾ!」

 

「ソノ後ニはたヲ立テテヤル!!」

 

はぁ……。またもや見つかってしまったわね。数が3人に増えているし……。倒すこと自体は簡単なのだけれど、相手にするのが面倒臭いのよね。まぁ今日は鍛えるべくメンバーを連れてきているので丁度良いわ。

 

堤「あれが宇宙人ですか……」

 

落田「ほ、本当にいたでやんす!」

 

ホンフー「想像以上に宇宙人ですねぇ」

 

真澄「いやそれってどういう事ですか……?」

 

恐らく想像していたよりもリアルな感じなんでしょうね。こういうのを言葉にするのは結構難しいわよね……。

 

未来「とりあえず迎撃するわよ。渡した武器の使い方は大丈夫かしら?」

 

越後「大丈夫だ」

 

真澄「問題ないよ」

 

堤「大丈夫です」

 

ホンフー「ええ。寧ろ使いやす過ぎて不安を覚えるくらいです」

 

越後竜太郎にはプラズマグローブ、神室真澄には昨日と同じライトサーベル、堤篤宏にはダズルキャノン、ウ・ホンフーにはフレアグローブを渡してある。ちなみに落田君には水風船と手榴弾と回復スプレーを複数個渡した。

 

落田「オイラはこのブツで皆を援護するでやんす!」

 

未来「じゃあさっさと終わらせましょう」

 

私はメンバーの殆んどが近距離担当なので、アポカリプスを装備している。

 

「フン、返リ討チニシテヤル。行クゾオマエラ!!」

 

 

~そして~

 

「ソ、ソンナ馬鹿ナ……!」ドサッ

 

「ナ、何故勝テナイ……!」ドサッ

 

「コ、コンナ事ガ……!」ドサッ

 

結論を言うと皆の武器の使い方はなんの問題もなく、それどころか完璧な結果だった。適正武器だからかしらね。

 

落田「やったでやんす!」

 

堤「ふむ、まずは第1関門突破ですね」

 

越後「やれやれだぜ……」

 

真澄「でも向こうも結構強かったね」

 

ホンフー「次は超能力を交えて戦ってみましょうか」

 

神室真澄が言うように宇宙人達はそこそこ強い筈だけれど、戦闘描写がなく終わったので即落ち2コマも同然ね……。

 

未来「では宇宙人達を倒した事だし、素材を回収しに行きましょうか」

 

『おうっ!!』

 

宇宙人達を倒し素材回収に向かった。今回も宝作だと良いわね。




今回はここまでです。

次回、鈴音達は弱点を突いて突いて突きまくり……?


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第41話 襲撃班の修業 追加効果講とスキル座編

今回もよろしくです。


レベリング開始……と思ったけど、もう1つ大切な事を忘れていたよ。

 

鈴音「次は追加効果についての説明だね」

 

十一郎「追加効果?」

 

恵理「同じ武器でも威力や性能が違ったりするのがあるわ。武器のステータス表示でわかると思うわよ」

 

白木さんが言うようにこの世界ってステータスウィンドウをスマホの如く見れるんだよね。だからこのあたりの説明をする手間が省けて助かる。

 

十一郎「何々……?ヒートキャノン、火属性、全体攻撃、威力55、命中95、速射LV2か……」

 

鈴音「先制っていうのはスキルの事だね。先制は敵が攻撃される前に攻撃出来るかもしれないというものだよ。LVが高ければ高い程可能性は上がる。スキルについては沢山種類があるから、そのスキルが出た時に説明させてもらうね」

 

だってスキルの種類かなりあるもん。それにもしかしたら私の知らないスキルがあるから、それについては推測で考えておこう。

 

恵理「大宮さん、良いかしら?」

 

鈴音「どうしたの?」

 

恵理「私が今装備しているグローブに『恵理◯』っていうのがあるんだけど、これは?」

 

鈴音「それは白木さんが使うと他の人が使うよりも敵にダメージが与えられたり、他の人よりも速く動けたりするよ。◯があるという事はその反対に×もあるんだけど、×の場合はさっき言った事とは逆になるから注意してね」

 

有栖「成程……。では私の持っている武器は『真澄×』とありますから、真澄さんが使うと思ったように攻撃出来ない……と考えれば良い訳ですね」

 

鈴音「……まぁそういう事だね」

 

なんで私そんな武器渡したんだろうね。まぁそのかわり『有栖◯』が付いてるから問題ないよね?あと本来いない筈のキャラにも◯×が付いたという点は収穫だったね。私の武器にも『鈴音◯』が付いてるし。

 

ちなみに小波君以外の武器はそれぞれ◯が付いてるから攻撃面は安心だね!

 

椿「この溜めるっていうのと狙うっていうのは?」

 

鈴音「それ等はコマンドと言って溜めるは一定時間使うことで本来の数倍の火力で相手にダメージを与えて、狙うは敵一体に狙いを定めて射程を上げる効果ですね」

 

ゲームだと数ターンって言えるけど、これは現実だから説明し辛いんだよねLVとかもだけどさ……。

 

榎本「この貫通って何かな?」

 

鈴音「貫通はどちらかと言えば無属性にあたるね。だから属性武器には付きにくいし、その逆もある。でも相手の頑丈スキルと回避スキルの効果を半減出来るからかなり優秀だよ。ちなみに頑丈と回避はその名の通りのスキルね」

 

榎本「成程……」

 

鈴音「他に何か質問はある?」

 

私が聞くと皆今の所はないとの事だ。じゃあ今度こそレベリング開始だね!




今回はここまでです。

次回、レベリングの成果は……?


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第42話 レベリング開始!狩って狩って狩りまくれ!!

今回もよろしくです。


粗方の設定を終えたので、私達はぷよぷよ状態のライム達を狩っていた。

 

鈴音「小波君、黄ライム、青ライムが2体ずつ……。君のヒートキャノンで片付けて!」

 

十一郎「了解。くらえっ!!」

 

赤ライム以外の相手は小波君が装備しているヒートキャノンの全体攻撃で一掃し……。

 

鈴音「坂柳さん、そっちに赤ライムと黄ライムが行ったよ!」

 

有栖「わかりました。……はぁっ!」

 

坂柳さん方面に行った赤ライムと黄ライムを坂柳さんが装備しているレイガンで始末。

 

鈴音「白木さんの方に青ライムが3体行ったから御願い!」

 

恵理「わかったわ。……はっ!」

 

青ライム3体を白木さんが装備しているスタングローブで感電させつつ倒し……。

 

鈴音「榎本さん、椿さん、そっちに赤ライムが10体行ったので御願いします!」

 

椿「了解だ。いくぞ榎本」

 

榎本「はい。はぁぁぁっ!」

 

椿「よっ……と」

 

10体もの赤ライムを榎本さんのビームナイフと椿さんの雷属性付きのスナイパーでそれぞれ近距離、遠距離を上手く処理した。なんか彼処だけフィーバー状態なんだけど……。

 

鈴音「おっと、此方にも来たか……。はっ!」

 

私の方にも緑ライムが何体か来たので、遠くの敵はハンドブラスターで、近くの敵は強化バンテージで倒した。私もフィーバー状態だぜ!

 

 

~そして~

 

あれからも何体ものライムを倒したのだが……。

 

十一郎「はぁっ、はぁっ……。よ、漸く一段落か……?」

 

鈴音「そうだね。とりあえずこの階には敵が見当たらないよ」

 

しかし皆小波君みたいに息切れしてるなぁ……。小波君、坂柳さん、白木さんの3人は大きく息を切らしてるし。特に坂柳さんは数日前まで先天性疾患だったから、身体が弱かっただろうし無理もない。ライムの数も多かったしね。

 

それに比べて戦闘慣れしてるのか椿さんと榎本さんの2人はまだ余裕がありそうだ。強いて言うなら榎本さんが肩で息をしてるくらいかな?

 

恵理「榎本さんは元気ね……」

 

榎本「そんな事ないわよ。少し疲れたもの……」

 

椿「まぁあれだけの敵を相手にするのは久し振りだったからな。俺も少し疲れたぜ。それよりも……」

 

椿さんが此方を見た。えっ?何?

 

椿「なんでおまえは息切れどころか疲労の気配が感じられないんだ?」

 

そんな事言われてもねぇ?前にいた世界での経験のおかげではあるだろうけど、未来によって全ての力を抑制されてるから体力も抑えられている筈なんだけど……。

 

鈴音「……鍛えているからとしか言い様がないですね」

 

だって他に言い方がわからないし。

 

有栖「さ、流石鈴音さんです……」

 

息を切らしながら私を称賛する坂柳さん。いや、先に息を整えようよ。

 

鈴音「とりあえずこの辺りで一休みして、それから2階に行こうか」

 

私がそう言うと皆は頷いて一休みする事にした。私はその間に次にどうするかを考えるとしようかな。




今回はここまでです。

次回、2階に行くとそこには……?


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第43話 レベリングは2階という舞台に移る

今回もよろしくです。


1階にいたライム達をフィーバーした私達は一休みした後2階に上がったんだけど……。

 

有栖「今度はハタ人間が沢山いますね」

 

恵理「ええ、1階にいたライムくらいいるわね……」

 

十一郎「い、一体何時から病院は魔物の巣窟になったんだ!?」

 

鈴音「……まぁ宇宙人の侵攻も進んでるって事じゃないかな?」

 

そう思わなきゃやってらんないよこの数のハタ人間はさ!

 

椿「それで?今度はどう対処するんだ?」

 

榎本「この数じゃ一人一殺は無理よね……?」

 

鈴音「とりあえず皆に水鉄砲を渡しておくね」

 

まずは小波君、白木さん、榎本さん、そして私はクリアワルザーを装備。そして……。

 

鈴音「坂柳さんと椿さんにはこれを……」

 

椿「コイツは……?」

 

鈴音「さっきの小波君のヒートキャノンのように複数相手に攻撃出来る水鉄砲です。扱いがとても難しいので、この面子の中で器用な椿さんと坂柳さんに」

 

有栖「ありがとうございます」

 

鈴音「ハタ人間相手だけど、さっきのライム達とは逆にバラバラで行動せずに1ヶ所で固まって迎え撃つよ」

 

十一郎「どうして?」

 

鈴音「それだけハタ人間のは大変だからね」

 

それにライム達とは違いハタを何時でも立てられるハタ人間を相手にする時は極力目を離さないようにしないとね!

 

「おい、彼処にハタが立ってねぇ連中がいやがるぞ!」

 

「それはいけませんね。皆でハタを立ててあげましょう」

 

十一郎「み、見つかったぞ!」

 

鈴音「陣形を組むよ。坂柳と椿さんは後ろに、それ以外は前に出てハタ人間を攻撃して!」

 

十一郎「ああ!」

 

有栖「了解です」

 

恵理「わかったわ!」

 

椿「了解。いくぞ榎本」

 

榎本「はい!」

 

うんうん、頼もしいね。榎本さんについては椿さんの命令で行動させた方が動きが良いこともわかったし、宇宙人の基地破壊までは榎本の事を椿さんに任せた方が良さそうだね。

 

 

~そして~

 

「」ゾロゾロ

 

いやー、キリがないね。十数単位でゾロゾロと来られたらね。今度はハタ人間でぷよぷよ状態だよ全く……。

 

十一郎「か、数が多すぎないか!?」

 

鈴音「まぁざっと見た感じ100人以上はいるからねぇ……」

 

十一郎「冷静に言ってる場合か!?」

 

冷静じゃないよ!多分この面子の中で1番精神力低いよ!

 

鈴音「とりあえず迎撃を続けるよ。皆まだ大丈夫?」

 

十一郎「……まぁまだ大丈夫かな」

 

有栖「少々疲れましたが、まだやれます」

 

恵理「ええ、まだいけるわ!」

 

椿「大丈夫だ。問題ない」

 

榎本「問題はないけど、少し疲れてきたかも……」

 

周りを見ると全体的に疲労困憊っぽいかな……?特に坂柳さんは。

 

鈴音「皆!疲れていると思うけど、此処でやられたらハタ人間になっちゃうからなんとか踏ん張ってね!」

 

『おうっ!』

 

私達はこの後ハタ人間相手に3時間奮闘した。滅茶苦茶疲れた。




今回はここまでです。

次回、3階に到達した鈴音達は……


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第44話 病院はぷよぷよ会場?

今回もよろしくです。


私達は少し休憩してから3階に登ったんだけど……。

 

十一郎「な、なんじゃこりゃー!?」

 

恵理「いくらなんでも異常事態過ぎるでしょ!?」

 

有栖「……外にいるハタ人間やライムは全てこの病院から出て来たという可能性がありますね」

 

椿「……何時からこの病院はこんな世紀末になったんだ?」

 

榎本「……これってこの騒動が解決したら仕事として残党狩りを此処でする事になるのかな?」

 

5人が驚くのも無理はない。3階にはなんと1階、2階とは比べ物にならない数のライムとハタ人間が彷徨いているんだから。

 

こうなるとハタ人間とライムが交互に、混合で襲ってくるのが1番最悪なパターンとなる。ならば……!

 

鈴音「ここからは3人ずつに別れようか。白木さん、椿さん、榎本さんはハタ人間達の相手を、私、小波君、坂柳さんはライム達の相手を担当という事で……。決してグループをバラけさせたら駄目だからそれに注意してね」

 

『了解!』

 

 

~そして~

 

鈴音「坂柳さん、そっちに何体か行ったよ!」

 

有栖「了解です」バンッ!バンッ!

 

相変わらず坂柳さんの銃捌きは凄い。この面子で1番ハンドガンの扱いが上手いだろう。

 

有栖「小波君、そちらに複数体のライムが向かいました」

 

十一郎「ああ、わかった!」ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

小波君はヒートキャノンの使い方に慣れてきたのか的確に使いこなしている。

 

十一郎「大宮さん、ライムが10体行ったぞ!」

 

なんで私だけ10体も来るの!?

 

鈴音「もう、しょうがないなぁ……」ドガガガッ!バンッ!バンッ!

 

私は近くのライムを格闘で、少し遠くのライムをハンドガンで往なしていく。

 

有栖「惚れ惚れするする戦い方ですね」

 

十一郎「本当に戦い慣れしてるなぁ……。的確に対処していってるし。何者なんだ?大宮さんって……」

 

2人からそんな会話が聞こえる。私格闘戦はともかく、銃を使うのはこの世界で初めてだからねぇ……。未来は何度か使った事があるらしいけど……。

 

あと小波君が訝しげに此方を見てるし……。彼にも私と未来の正体を話した方が良いのかなぁ?

 

恵理「このっ……!」バシャッ!バシャッ!

 

ハタ人間側を見てみると白木さんが丁寧にハタ人間を処理していってる。白木さんは格闘系統を得意としているけど、ハンドガン系統も得意のようだ。本当に元の白木さんと真逆だなぁ……。

 

恵理「榎本さん、そっちに何人か行ったわ!」

 

榎本「ありがとう、白木さん!はっ!」バシャッ!バシャッ!バシャッ!

 

榎本さんの得意武器は刀剣だけど、ハンドガン系の使い方も悪くない。器用さも決して低くはないだろう。

 

榎本「椿さん、御願いします!」

 

椿「ああ、わかった。よっ……と」バシャッ!バシャッ!バシャッ!バシャッ!

 

椿さんにはDQT2000を持たせているけど、相変わらず上手く使えてるね。この分だと向こうも問題無さそうで良かったよ。

 

このハタ人間とライムによるぷよぷよ状態が終わるまで実に5時間かかった。




今回はここまでです。

次回、鈴音達がレベリングしている間に未来はある人物と会話する。


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第45話 過去に戻る事は出来ますか?

今回もよろしくです。


未来side

 

今倉庫でニ手に別れて素材収集をしており、片方は落田君、越後竜太郎、神室真澄、堤篤宏の4人。そしてもう片方が……。

 

未来「はぁ……」

 

ホンフー「おや、溜め息なんて吐いてどうしたんですか?」

 

私とウ・ホンフーの2人なのよね……。この男と2人きりというシチュエーションは些か危険な気もするわ。以前学校で2人きりの時にいきなり格闘戦を仕掛けてきたのだから……。しかもこの組み合わせをウ・ホンフーが望んで他の皆が反対しなかったから、無し崩し的に従うしかなかったもの。

 

未来「なんでもないわ」

 

ホンフー「……えらく嫌われているようですねぇ」

 

未来「別に嫌う程ではないわ。信用していないだけよ。……それに貴方が意図的にこの組み合わせにしたのも何か私に何か用があるのではないかしら?」

 

ホンフー「……やはり鋭いですね貴女は。用事というよりは質問に答えてほしいだけですよ」

 

質問……ねぇ。パワポケ全作をくまなくやってきた私からすればどのような質問なのかは会話の入りから大体検討がつくわ。

 

ホンフー「……私は夢を見るんですよ。私自身が失敗したそのシーンを」

 

その入りで始まる質問という事は……。

 

ホンフー「相手の数は25人、私が1人、……そして私の恋人が1人」

 

未来「貴方にも恋人がいたのね。意外だわ」

 

ゲームで何度も見たシーンだけれど、聞けば聞く程意外に思ってしまうわ。ウ・ホンフーという人物がそういった相手は作らないというのが私のイメージだもの。

 

ホンフー「終わった時に立っていたのが1人なら、倒れている人の数は何人でしょう?」

 

未来「答えは26人。……間に合わなかったのね」

 

ホンフー「……はい、強さが足りませんでした。夢の中で何度もやり直しても、私がそこに辿り着く前にあの子は命を奪われてしまう……。毎晩毎晩その夢を見ました。その度に私はもっと強くなろうと一層努力したものです」

 

未来「…………」

 

ホンフー「失敗してからじゃ遅いんですよ。……ですが今なら超能力抜きで25人を一瞬で倒せます」

 

未来「……何が言いたいのかしら?」

 

もう予想は出来ているけれど、本人の口から聞きたいものね。

 

ホンフー「……超能力が目覚める薬が開発されて、服用した人間は一億人以上」

 

未来「……幸せ草を使った薬の事ね」

 

ホンフー「やはり御存知でしたか。……その内数万の人間が超能力に目覚め、数千人は強力な超能力を得た。ですが私の求める『時を超える力』を身に付けてくれませんでした」

 

未来「……本来超能力というのは攻撃系統と防御系統のものが大半。幸せ草エキスで作られた薬程度じゃ人智を越えた力なんて身に付く訳ないわ」

 

ホンフー「たった5分間の時を戻す力で良いんですよ。……其をコピーして何回も、何十回も、何百回も……それこそ何億回でも使ってやるんです!……そして私はあの時、あの場所でもう1度やり直す事が出来る。先程も言いましたが、今なら25人を一瞬で倒せるのに……」

 

未来「タイムマシンでは駄目なのは動けば未来の人間に知られてしまうからね?」

 

ホンフー「……はい、そうなればタイムマシンが作られる前から歴史が書き換えられる可能性が高い。そこで貴女に本当の質問をします。貴女は過去に戻る事が出来ますか?」

 

未来「……もう少し詳しくその質問の真意を聞きましょうか?」

 

ホンフー「貴女は以前基地で正体を明かした時に神様と過ごしていたと鈴音さんが言っていましたね?」

 

未来「正確には神様より上の存在ね。私が過ごしていた世界では神様にもランクがあるの。神様、界王様、界王神様と破壊神様、天使様、天使様を統べる大神官様、そしてその上をいく全王様」

 

ホンフー「天使のランクは神よりも上なのですね」

 

未来「まぁあの世界は神様が地上にいた世界だからなのかもしれないけれどね」

 

その辺りに関しては様々な考察が出ているけれど、どれが1番正しいのかしらね。今となっては確認のしようがないわ。

 

ホンフー「それで貴女の立ち位置はどのランクですか?」

 

未来「私はその中の天使様と大神官様の中間地点。言うなれば大天使様……と言ったところかしら」

 

……これ、自分で言うと相当恥ずかしいわね。

 

未来「貴方の求めるものに関しては出来なくはない……と言ったところね」

 

ホンフー「ほ、本当ですか!?」

 

未来「……けれどリスクはかなり高いわ。失敗すると2度とやり直す事は出来ないし、そもそもこれは超能力じゃないから貴方のコピーも使えない、仮に成功したとしてその場で貴方の恋人が助かったとしてもその場以上の困難……いえ、貴方の預り知らないところで殺されている結末が待っている……」

 

ホンフー「…………」

 

未来「もう1度言うけれど、失敗すると2度とやり直す事は出来ないわ。……それでもやるかしら?」

 

これは私の力不足ではあるけれど、本来やり直しなんて出来ないのだから私自身もそういった力には一切頼っていない。

 

……大神官様が出した試練の1つに時間や空間を操る力を独自で身に付けろというあの世界で過ごした中で1番きつい試練を思い出したわね。その結果最低限の力は身に付いたけれど、大神官様が設定した異世界を生き抜くという試練が可愛く思えてくる難易度だったわ。

 

ホンフー「……やります。やってやりますよ。今度こそ、あの子を救います!」

 

未来「……覚悟は出来ているようね」

 

ホンフー「勿論です。私はあの子の為なら死んでも良い。それくらい……いえ、それ以上の気持ちで今まで生きてきましたから」

 

未来「わかったわ。この騒動が終わってから貴方をタイムリープさせるから、その時に詳しい時間とその場のシーンを簡潔に教えなさい」

 

ホンフー「ええわかりました。……ありがとうございます未来さん」

 

未来「例を言う必要はないわ。成功するとは限らないもの」

 

この騒動が終った後に私はウ・ホンフーをタイムリープさせる事になった。




今回はここまでです。

次回、病院を出た鈴音達は……。


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第46話 公園に潜むコソ泥格闘家

今回もよろしくです。


病院での死闘を終えた私達は公園にいる。ちなみに南公園ね。

 

鈴音「今度は公園で戦うよ」

 

十一郎「公園?」

 

鈴音「うん。公園にしかいない敵がいるからね」

 

有栖「公園にしかいない敵……ですか」

 

恵理「ね、ねぇ、あれを見て!」

 

白木さんが見付けたのは先程私が言った公園にしかいない敵……ハッパである。

 

「」ノソノソ

 

十一郎「な、なんだあれは!?」

 

榎本「植物?でも動いているわよね……?」

 

椿「動物と植物の間って感じだな」

 

その印象でも間違ってはないんだよねぇ……。

 

鈴音「あれはハッパというモンスターだね。そこまでの強敵という訳じゃないよ。けど……」

 

十一郎「けど?」

 

鈴音「……実際戦った方が早いね。今から私がこのハッパと戦うからよく見ててね」

 

私はハンドブラスターをハッパに撃つ。撃たれたハッパは致命傷を負ったのかピクピクしている。

 

十一郎「なんだ。本当に弱いな」

 

鈴音「問題はこの後だよ。皆、耳を塞いで」

 

十一郎「えっ……?」

 

『ピギャァァァァァッ!!』

 

うるさっ!実際に聞くと鬱陶しいね全く……。

 

十一郎「い、今のは一体……?」

 

鈴音「ハッパは絶命寸前に大きな叫び声をあげるんだ。どういう仕組みかはよくわからないけど、精神力の低い者を恐怖させる事もあるから気を付けてね」

 

あと稀に致命的な一撃を受けるのがキツいよね。主人公が受けた直後に殺されたりするから人によってトラウマになる事もある。

 

恵理「じゃあどう倒しても叫び声をあげられるの?」

 

鈴音「そうでもないよ。ハッパにも弱点があるから、弱点を突けば叫び声をあげられずに済むよ」

 

恵理「成程……」

 

???「なにっ!?そうなのか!?」

 

恵理「きゃっ!」

 

白木さんにハッパの生態を教えていると背後から声がした。この人は光山(みつやま)さんだね。格闘攻撃面においては右に出る人物はいない格闘家だ。

 

光山「あのハッパの化物を倒す度にピーピー喚くから鬱陶しかったんだよ!なぁ、弱点ってなんなんだ!?」

 

十一郎「あの、貴方は……?」

 

光山「俺は光山!一流の格闘家だ!」

 

……相変わらずな自己紹介だね。しかし戦力としては申し分ないね!

 

有栖「本当に一流の格闘家なら自分の事を一流とは言わないのでは?」

 

光山「いやいや、俺はその上をいく超一流だから良いんだよ!」

 

椿「……なんか胡散臭い奴だな」

 

光山「少なくともおまえには言われた……っ!?」

 

 

ブンッ!バシィッ!

 

 

榎本「椿さんの侮辱は許しませんよ……?」ググググ

 

光山「なんだよ。本当の事を言っただけだろ!」ググググ

 

いや、ちょっと目を離している間に何やってるのこの2人は!?

 

鈴音「……何があったの?」

 

有栖「椿さんが光山さんの事を胡散臭いと言っていたので、同じような事を椿さんだけには言われたくないと言おうとしたところを榎本さんが木刀を光山さんにぶつけようとした結果、今の場面になっています」

 

説明ありがとう坂柳さん。さておき……。

 

鈴音「榎本さん、椿さんを……仲間を侮辱されたくないって気持ちはあるだろうけど、今やってる事は人として最低の行為だよ。光山さんも売り言葉に買い言葉じゃ一流とは程遠いですよ。椿さんも思った事かもしれませんけど、思考で留めておいてください」

 

榎本「……ごめんなさい」

 

光山「うぐっ……。わかったよ!」

 

椿「……ふん」

 

う~ん……。椿さんと榎本さんのペアに光山さん入れると危険だね。宇宙人の基地破壊のメンバー候補にしておきたいけど……。未来と相談した方が良いのかな?

 

光山「そ、それよりも!あの化物の弱点ってなんなんだ!?」

 

ああ、そういえばそんな話をしてたね。というか話の途中なんだよね……。

 

鈴音「じゃあ光山さんの為にもさっきの続きを説明するね。ハッパ弱点は火属性の攻撃を仕掛ける事。小波君が持っているヒートキャノンで攻撃すれば悲鳴をあげられなくて済むよ。とりあえず実戦するから見ててね。あっ、小波君はヒートキャノンをちょっと貸して」

 

十一郎「ああ……」

 

小波君からヒートキャノンを拝借して……っと。

 

鈴音「はぁっ!」ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

私がヒートキャノンを使うとハッパ達はそのまま燃え尽きた。

 

十一郎「ほ、本当に叫び声をあげてない……」

 

椿「……コイツは何処でそんな事を知るんだ?」

 

さてね。椿さんには私の正体を話してないからねぇ……。これは正体を話す相手を増やした方が良さそう。




今回はここまでです。

次回、基地に戻った鈴音達は……。


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第47話 基地に戻り……

今回もよろしくです。


基地に戻った私達はそれぞれの部屋でこれからどうするかを考えている。私の場合は坂柳さんと一緒な訳だけど……。

 

未来「あら、もう帰っていたのね」

 

鈴音「未来……」

 

未来「……浮かない顔をしてるわね。何かあったのかしら?」

 

……やっぱり未来に隠し事は出来ないよね。話すべきか考えていたけど、これからの事に大きく響くから話しておこう。

 

 

~そして~

 

未来「……成程ね」

 

鈴音「どうするべきだと思う?」

 

未来「実は先程戻った時に石川さんが自分も連れていけと喚いていたのよ」

 

有栖「想像出来ますね」

 

未来「でも彼女の戦いぶりは学校で見たことあるけれど、センスとしては素晴らしいものだったわ。石川さんだけじゃなく白瀬さん、青野君、大神君、神木さん、南雲さんとかも私が見る限り戦闘員として欲しいもの」

 

だよねぇ……。今挙げた面子は私も未来もゲームでは良く御世話になった人達だもん。あとは平山君もそうなんだけど、彼の場合は対爺さん◯……いや、もう対爺さん◎になってるよね?それがあるから活躍は2章だね。ガンバ!

 

未来「けれど余り基地破壊と素材収集の方に人員を割く訳にもいかないわ」

 

鈴音「そうだよね……」

 

とはいえ今日仲間になった?光山さんも基地破壊メンバー候補にしたいくらいだし、未来が言うように石川さんもその候補。まぁ2人共言動に問題あるけどね……。

 

有栖「未来さんの話によれば宇宙人側も明日から侵攻が強くなるんですよね?」

 

未来「そうよ」

 

明日はモールに行って、病院に行って、北公園に行って……。可能であれば倉庫や南公園まで行って埋め立て地の基地を出現させたいところだね。

 

未来「素材収集の方は最悪私1人でも問題ないわ。この事を踏まえて明日からの本番に誰を連れていくかを考える必要があるわね」

 

未来は1人でも良いと言ってるけど、あの現場は目の当たりにした私からしたら複数人で行った方が良い。未来が1人でも良いのは未来が神様みたいなチートキャラ的存在だからだ。

 

未来「……まぁ大事なのは基地に残るメンバーね。先程も言ったけれど、外出班に主力ばかりを入れてしまって残ったメンバー全員が御粗末な戦闘力しかなければ何の意味もないわ。基地メンバーがハタ人間になって宇宙人共の奴隷になるだけよ」

 

有栖「明日から宇宙人達が動くとなれば時間は余りありませんね……」

 

そうなんだよねぇ……。日が変わるまであと3時間くらいしかないもん。身体を休めて夜明けに仕掛けるとしてもあと8時間あるかないか……。今夏だから日の出も早いしね。……よし決めた!

 

鈴音「未来、今から言う人達を呼んできて」

 

未来「話し合いをするのね?」

 

鈴音「うん、早いところメンバー決めてゆっくり休みたいしね」

 

未来に呼んできてほしい人の名前を言うと未来はその人達を呼びに行った。さて、今の内に色々考えておきますか!




今回はここまでです。

次回、話し合いの末決まった基地破壊の面子は……?


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第48話 5日目終了。そして歯車は大きく動き始める

今回もよろしくです。


グループ分けは大きく分けて3つで基地破壊班、素材収集班、そして待機班。基地破壊班と素材収集班は多くても6人ずつにしておきたい。余り多くても行動しにくいと思うしね。

 

ここで重要なのは小波君を必ず基地破壊班に入れる事。これを踏まえて考えよう。

 

戦力を3グループ均等にするにあたって私と未来はまず別々にして、未来はサポーターだからほぼ確実に素材収集班に入れる事と大人が丁度3人いるので、各班1人ずつ配置しておこう。

 

……うん、考えが纏まってきた。

 

未来「おまたせ。連れてきたわよ」

 

鈴音「ありがとう未来」

 

未来が連れてきたのは昨日の面子に+して石川さん、青野君、光山さんを加えた面子。

 

鈴音「皆、集まってくれてありがとう。宇宙人達は明日以降侵攻を更に進めてくるから、改めてそれぞれの役割を決めておこうと思う」

 

私が説明すると辺りがざわつく。

 

鈴音「まずは待機班からね。この人達は宇宙人達が攻めてきた時の事を考えてここにいない人達と一緒にこの基地を守ってもらう。メンバーは榎本さん、越後君、堤君、椿さん」

 

主力を基地破壊班に固めておきたいけど、待機班の今いる人達以外は大半が戦闘未経験だから、此方にも戦闘能力が高い人物を置いておきたい。此処にはいないけど、白瀬さんもいるしね。

 

鈴音「素材収集班が未来、落田君、青野君、白木さん、光山さん」

 

素材収集班は未来とサポーターの落田君を中心に近接戦闘員を固めた。遠距離にいる敵は落田君の手榴弾や未来の攻撃だけでも事足りるだろう。

 

鈴音「最後に基地破壊班は小波君、私、坂柳さん、石川さん、神室さん、ホンフーさん」

 

この面子には坂柳さんと石川さんがいるから喧嘩は避けられないだろうけど、坂柳さんのストッパーには神室さんに、石川さんのストッパーには小波君に任せておけば問題ないだろう。というかそうしてもらわなきゃ私が胃痛で置物になりそうだし。

 

近接戦闘は石川さんと神室さん、遠距離戦闘は小波君と坂柳さん、そして中距離には私とホンフーさん。私は遠距離寄りに、ホンフーさんは近距離寄りに戦う事でバランスが良くなるしね。

 

鈴音「この配分に何か意見はあるかな?」

 

すると石川さんが手を挙げる。

 

梨子「あたし、坂柳と一緒は反対」

 

有栖「おやおや、相変わらず威勢が良いですね」

 

鈴音「理由を聞こうか?」

 

梨子「あたしが坂柳と組んでも上手くいかないよ。喧嘩ばっかりになるけど、それでも良いの?」

 

有栖「石川さんが私に噛みつかなければ良いのではないですか?」

 

まぁ想定内の理由だね。それなら反撃させてもらうとしよう。

 

鈴音「それだけが理由なら却下ね。それが嫌なら石川さんには待機班に回ってもらって代わりに越後君を入れる事になるよ」

 

梨子「……っ!」

 

おーおー、悔しそうな顔をしてるね。でもこれくらいは言わなきゃ彼女は一生我儘な人間になってしまう。

 

鈴音「これでも石川さんの『自分も基地破壊班に入りたい』というのと『小波君と同じが良い』という希望を通して今の班分けだからね。坂柳さんからは石川さんに絡んでいないし、これまで一緒に行動した時もそうだったよね?」

 

十一郎「……梨子、今回は梨子が悪い。あんまり大宮さん達に迷惑をかけるな」

 

梨子「……わかったわよ」

 

小波君が石川さんを宥めてこの空気は少しマシになった。うんうん、これからも石川さんを宥めるのは君の仕事だよ!

 

鈴音「他に何か意見はあるかな?」

 

私が尋ねると特に意見はないようだ。

 

鈴音「なら今回の会議はこれでおしまい。明日に備えて皆休んでね」

 

皆はそれぞれの部屋に戻った。勝負は明日だね!今日のところはゆっくり休んでおこう……。




今回はここまでです。

次回、基地破壊班の進撃!


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第49話 進撃開始!

今回もよろしくです。


朝がきた。新しい朝が……!とは言ってもまだ日が昇ったばかりの午前6時。私は皆が使う武器の最終メンテナンスを行っている。

 

有栖「おはようございます。鈴音さん」

 

鈴音「おはよう坂柳さん。気合入ってるね」

 

有栖「はい。今日から宇宙人の侵攻を食い止めるとの事ですので、足手纏いにならないよう精一杯頑張ります」

 

鈴音「坂柳さんなら心配ないよ。頼りにしてるね」

 

有栖「はいっ……!」

 

実際坂柳さんの銃の腕前は基地破壊班の中で随一だからね。まだ見ぬ坂柳さんの新スキルにも期待したい。

 

真澄「おはよう」

 

鈴音「おはよう神室さん。今日はよろしくね」

 

真澄「うん、私が役に立てるなら」

 

神室さんは謙遜しているようだけどとんでもない。あくまでも私目線だけど、彼女の刀剣の扱いはハッキリ言って石川さんや大神君よりも上だ。短剣なら榎本さんの方が上だけど、長剣なら神室さんに軍配が上がる。

 

ホンフー「おや、3人共早起きですね。おはようございます」

 

鈴音「おはようございますホンフーさん。今日はよろしく御願いします」

 

ホンフー「いえいえ此方こそ。未来さんも気に入ってますが、私は貴女も気に入ってますよ」

 

鈴音「それは光栄ですね」

 

昨日の基地破壊班でホンフーさんと光山さんのどちらを連れていくかかなり悩んだんだよね……。格闘家なだけあって拳の技は光山さんがホンフーさんに勝っているけど、ホンフーさんの場合は複数の超能力があるから宇宙人相手に効果的だと考えた結果、大人枠をホンフーさんにしたのだ。

 

本当は未来と相性良さそうだったから、素材収集班に入れようと思ったのは内緒の話。

 

 

~そして~

 

小波君と石川さんと合流して、今私達はモールにいます。

 

十一郎「なあ、宇宙人の基地探すのになんでモールに来たんだ?1番縁遠いような気がするんだが……」

 

小波君の意見も尤もだよね。初見だと私もわからなかったもん。

 

鈴音「そうでもないよ。あれを見て」

 

十一郎「……大きいロボットだな。けどあれって玩具じゃないのか?」

 

気持ちはわかるよ?わかるんだけど……。

 

鈴音「玩具なら此方に来ないと思うんだよね……」

 

真澄「ねぇ、もしかしてあれと戦わなきゃいけないの?」

 

有栖「そのようですね」

 

梨子「あれと戦うなんてワクワクするね!」

 

神室さんと石川さんがあれあれ言うけど、今いる世界が『パワポケ11の裏サクセス』の世界だから、あれって言われると2章地下100階の子供の神様を思い出すんだけど……?

 

鈴音「さて、準備が出来次第あのロボットを倒そうか。これが私達の宇宙人迎撃の1ページになるからね」

 

まぁ現に宇宙人倒しちゃった事あるんだけどね。




今回はここまでです。

次回、ロボットと戦い、宇宙人と戦い……?


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第50話 ギャスビゴー星人の反撃?

今回もよろしくです。


さて、今私達は大きいロボットことパワーボットと戦闘中でございます。

 

十一郎「うわっ!あのロボットの拳は火属性攻撃だぞ!」

 

鈴音「皆、火傷には気を付けてね。あと後列にいる小波君と坂柳さんはあのロボットが出す光属性攻撃である高出力レーザーにも注意する事。どういう原理か知らないけど、高出力レーザーは前列の私達では庇えないから!」

 

十一郎「わ、わかった!」

 

有栖「了解です」

 

鈴音「前列はなぎ払いで転倒しないようにね!」

 

ホンフー「踏ん張りが大切ですねぇ……」

 

梨子「余裕余裕!」

 

真澄「なんで石川はそんなに楽しそうなの……?」

 

等というやり取りの末にパワーボットを倒す事が出来た。入念に準備してれば、苦戦するような相手じゃないけどね。

 

十一郎「しかしこのロボットはなんだったんだ?」

 

有栖「宇宙人の手先と考えるのが妥当でしょう」

 

ホンフー「おや、何か落ちていますよ」

 

これは病院の鍵かな?ギャスビゴー星人が3匹潜んで何かしらの作業をする部屋の鍵なんだろうけど……。

 

十一郎「これからどうするんだ?」

 

鈴音「今持ってる鍵が病院の鍵だからね。次は病院に行くよ。皆は疲れとかない?」

 

十一郎「俺は大丈夫」

 

有栖「問題ありません」

 

真澄「私も大丈夫」

 

梨子「この梨子ちゃんはそうそう疲れないよっ!」

 

ホンフー「まぁ今回の敵は余り動かずとも余裕でしたから、全然余裕ですよ」

 

皆は問題ないとの事なので、病院に行くことに。それにしても坂柳さんは随分体力付いたなぁ……。

 

 

~そして~

 

病院に到着した私達は早速拾った鍵で部屋を開ける。すると……。

 

「」

 

十一郎「う、宇宙人!?ほ、本当にいたんだ……」

 

梨子「あれが宇宙人かぁ……。なんかワクワクしてきたかも!」

 

そういえばこの2人はギャスビゴー星人を見るのは初めてだったね。

 

「キ、貴様等ハ倉庫ノ宝ヲ奪イ続ケテイル連中……!」

 

このギャスビゴー星人も漢字使ってるっぽい?前見た時は幹部的な存在かと思ったけど、日数を重ねるにつれギャスビゴー星人は成長しているんじゃないかと今では思う。

 

鈴音「そうだったらどうするつもり?」

 

「決マッテイルダロウ!貴様等ヲはた人間二シテ宝ヲ返シテ貰ウンダ。幸イアノ阿修羅ハイナイミタイダカラナ!!」

 

阿修羅ってもしかして未来の事?まぁ確かに未来は阿修羅みたいだよね。私に対して滅茶苦茶厳しいもん。

 

 

 

~某所~

 

未来「…………」

 

恵理「どうしたの響さん?」

 

未来「なんでもないわ。早いところ倉庫に向かいましょう」

 

未来(帰ったらまた鈴音をしごいておこうかしら。私の事を阿修羅と思った罪は重いわよ?)

 

 

 

 

鈴音(……なんか嫌な予感がする)

 

具体的にはまた未来にしごかれる予感……。

 

「貴様等ヲ倒シテ我々ぎゃすびごー星人ノ反撃ノ第一歩トシヨウジャナイカ!!」

 

鈴音「……皆、準備は良い?」

 

有栖「勿論です。だらだらと会話してる内に皆の準備は完璧ですよ」

 

坂柳さんの言葉を聞いて皆を見ると臨戦態勢は整っているようだ。じゃあ早速倒させてもらいますか!




今回はここまでです。

次回、鈴音達は宇宙人の目的を知る……?


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第51話 ギャスビゴー星人の目的

今回もよろしくです。


結果を言えばそこまで苦戦する事なく勝てた。まぁぶっちゃけ倉庫で戦ったギャスビゴー星人1匹の方がまだ強かったし、倉庫とは違って未来がいないとはいえ此方は6人いるからね。

 

「バ、馬鹿ナ。我々ガ負ケルナンテ……」

 

鈴音「さて、君達は此処で何をしてたのかな?」

 

「教エラレルワケガナイダロウ!!」

 

鈴音「……そっか」チャキッ

 

本当は生け捕りにする為殺す必要はなかったけど、こうなってくると仕方ないね。

 

 

パンパンッ!

 

 

銃声と共に此処にいたギャスビゴー星人3匹は生き絶えた。この次は北公園かな?

 

十一郎「…………」

 

梨子「…………」

 

真澄「…………」

 

あれ?この3人はどうしたのかな?

 

ホンフー「3人共貴女の一面を見て戦慄してるんですよ」

 

鈴音「戦慄?」

 

ホンフー「普段は人畜無害で優しそうな性格をしていそうな貴女がとても冷酷な目で宇宙人を銃殺していましたから」

 

そんなに?私結構やんちゃな人間だと思うよ?まぁ元の世界ではおっとりしてるねって高校生になってから言われるようにはなったけどさ。あと石川さんのその表情はかなりレアだね!

 

有栖「鈴音さん、格好良いです……」

 

私からしたら坂柳さんがうっとりしている姿の方が吃驚だと思うけどね。原作の坂柳さんの面影皆無だし。

 

まぁそれは置いといて、ギャスビゴー星人から北公園の鍵を拝借して……っと。

 

鈴音「じゃあ次は北公園に行こうか」

 

十一郎「あ、ああ……」

 

 

~そして~

 

十一郎「……?」

 

鈴音「どうしたの?」

 

十一郎「……いや、こんな所に彫像なんかあったかなって思ってな」

 

有栖「確かにありませんでしたね。何時の間に出来たのでしょうか」

 

そういえばゲームでもそんな事言ってる描写があったね。

 

鈴音「……多分宇宙人達が侵攻しに来た時に出来たんじゃないかな?少なくとも白木さんを救出した時にはもうこの彫像はあったから」

 

ホンフー「……ふむ、でしたら病院で拾った鍵はもしかしたらこの彫像の鍵かも知れませんね」

 

十一郎「えっ?」

 

真澄「……確かにそれだったら辻褄が合うかもね」

 

ホンフーさんの言う通り今持ってる鍵はこの彫像の鍵である。早速開けましょう。カチャカチャっとね。

 

 

ガコンッ!

 

 

十一郎「ほ、本当に開いた……。一体どうなってるんだ?この彫像は」

 

梨子「ねぇねぇ、早く中に入ろうよ!」

 

十一郎「おいリコ引っ張るな!」

 

石川さんは元気だねぇ……。

 

ホンフー「私達も入りましょうか」

 

鈴音「そうですね」

 

石川さんと小波君に続いて私達は中に入る。

 

真澄「此処は……工場?」

 

鈴音「それっぽい感じの場所ではあるね」

 

十一郎「公園の彫像の中にこんな……ん?なんだこれ?」

 

有栖「大きなケースのようですね」

 

梨子「開けてみようよ!」

 

十一郎「お、おい!」

 

石川さんがケースの中を開けるとそこには大量のハタがありました。

 

十一郎「こ、これは……!」

 

鈴音「……大量のハタだね」

 

真澄「宇宙人達は此処でハタ人間にする為のハタを作ってたって事!?」

 

ホンフー「だとすればこのケースを壊して中のハタを処分すればこれ以上ハタ人間が増える心配は無さそうですね」

 

鈴音「今のところはそうですね」

 

「ソコマデダ」

 

あっ、見つかった……。

 

十一郎「おまえ達は此処でハタを作ってどうするつもりだ!?」

 

「決マッテイル。我々二従順ナはた人間を増ヤシテコノ世界ヲ征服スル為ダ!!」

 

世界征服……。ありがちな目的だよね。

 

鈴音「そんな事を私達がさせると思ってるの……?」

 

有栖(またあの冷酷な目……。思わずゾクゾクしてしまいます)

 

「フン、ヤハリ邪魔ヲスルカ。ナラバ我々ガ息ノ根ヲ止メテヤル」

 

そう言っては2匹のギャスビゴー星人が出て来た。病院にいた奴等と同じなら今回も大した事はなさそうだね。

 

「オマエ達ノヨウナ下等ナ生物ガ我々ぎゃすびごー星人二敵ウ訳ガ……」

 

 

パンッ!

 

 

鈴音「……言いたい事はそれだけかな?だったら死んで」

 

私は速攻で3匹のギャスビゴー星人を片付けてこの工場を爆破した。その時に小波君、石川さん、神室さんの3人は唖然としていて、ホンフーさんは何やら感心していて、坂柳さんは顔を赤くしてモジモジしていた。……最後はなんで?




今回はここまでです。

次回、倉庫にて……。


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第52話 倉庫のびぃすと

今回もよろしくです。


北公園で宇宙人の企みを知った私達は彫像ごと爆破して、今は倉庫にいる。

 

十一郎「なんで俺達は倉庫にいるんだ?」

 

鈴音「さっき北公園で倉庫の2階のある一室の扉を開ける鍵を拾ったから、それの真相を確かめるべく来たって訳」

 

有栖「この倉庫は見通しが良いですね」

 

鈴音「そうだね。だから敵の接近にも気付きやすい」

 

実際此処に来るまでハタ人間、ワーカーボット、3色ライム、人喰いゴキブリが複数いたけど、すぐに対処出来た。これも見通しが良い事による利点だね。

 

真澄「……ねぇ、なんか変な気配がしない?」

 

ホンフー「そうですね……。何処か獣のような気配がします」

 

獣の気配という事は宇宙びぃすと……じゃなくて宇宙ビーストがこの辺りにいるだろう。ホンフーさんが気付くのはともかく、神室さんが気付くのは意外かも。剣術者は気配に敏感だという話があったような気がするから、神室さんはそのケースにあたるかもね。

 

十一郎「……誰だ!?」

 

どうやら小波君も気配に気付いたようで、気配の方向を向く。すると……。

 

十一郎「うわっ!なんだあれは!?」

 

梨子「巨大な怪物だ!」

 

相変わらず石川さんは何処か嬉しそうだね。

 

鈴音「皆いくよ。準備は良い?」

 

有栖「勿論です」

 

真澄「問題ないよ」

 

ホンフー「まさか人外と戦う事になるとは……。人生何があるかわかりませんね」

 

人外って……。まぁギャスビゴー星人という名の宇宙人はまぁギリギリ人として見れなくもないけど、このびぃすとは完全に人のそれとはかけ離れてるもんね。

 

「グルルルル……!」

 

それにあのびぃすとは無茶苦茶好戦的なびぃすとだから、殺らなきゃ殺られるよ。

 

鈴音「あのビーストは鉤爪で攻撃してくるのとなぎ払い、そして火球がある。特に火球による火傷には気を付けて。あとたまに鉤爪で反撃してくるのと、回避スキルが高いからそれにも注意。パワーボットのように複数回行動する訳じゃないから、数で一気に叩こう」

 

十一郎「……相変わらず的確な指示だな」

 

鈴音「これって寧ろ小波君の仕事だと思うんだけどね」

 

有栖「そんな事はありません。鈴音さんがこの中で1番司令塔に向いています」

 

鈴音「坂柳さんの気持ちは有難いけど、それだと私がいなくなった後に誰が指示を出すのさ?未来も言ってたと思うけど、小波君の指示出しは誰よりも的確だと思うよ。小波君はリーダー気質なんだから」

 

十一郎「……そういえば響さんもそんな事を言ってたな」

 

鈴音「未来は人を見る目があるからね。未来がそうだと言えばきっとそうなるんだよ」

 

なんと言っても未来は神様だからね!……阿修羅だけど。

 

さて、辺りだけど見てみると戦闘準備は敵味方共に万端のようだね。それじゃあこのびぃすとを倒すとしますか!




今回はここまでです。

次回、南公園で鈴音達はあるものを目撃する……


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第53話 南公園の脳味噌

今回もよろしくです。


「うわぁぁぁっ!」

 

……なんかいきなり悲鳴をあげて逃げられたんだけど?しかもおっさんに。

 

有栖「先程の人はなんだったんでしょうか?」

 

真澄「さぁ?」

 

十一郎「どうせならあの人も助けたかったんだが……」

 

状況を説明すると、さっき倉庫でびぃすとを倒した後に真っ直ぐ進むと1階に降りられそう(飛び降りられそう)な場所から降りて何やらおどおどしているおっさんに声をかけようとしたら逃げられたという訳ですはい。

 

……私が何をしたって言うんだ!?

 

ホンフー「おや、何か落ちていますね」

 

鈴音「……これは北公園の事務所の鍵だね」

 

十一郎「前に大宮さんを案内した彼処か?」

 

鈴音「間違いなくそこの鍵だろうね」

 

というか鍵落ちすぎじゃない?それともドロップアイテムなの?びぃすと倒した時も南公園の鍵を拾ったし……。

 

十一郎「どうする?北公園に寄ってくか?」

 

鈴音「いや、その前に南公園に行くよ」

 

どうせ北公園に行っても素材を回収するだけだしね。

 

 

~そして~

 

南公園奥中央まで来ました!早速鍵をガチャッとな。

 

ホンフー「随分開けた場所に来ましたねぇ」

 

真澄「此処ってこんな風になってたんだ……」

 

まぁ知らない人は知らない場所だよね。普段は鍵がかかってるし。

 

 

ガサガサガサッ!

 

 

十一郎「っ!何かいるぞ!」

 

ガサガサという物音で出てきたのは……。

 

十一郎「の、脳味噌の化物!?」

 

有栖「これも宇宙人でしょうか……」

 

ホンフー「宇宙人の脳味噌……宇宙ブレインと名付けましょうか♪」

 

真澄「うわ……。気持ち悪い。しかも3匹もいるし……」

 

梨子「なんかワクワクしてきた!」

 

十一郎「なんでおまえはワクワクしてるんだ!?そしてなんで皆そんな冷静なの!?大宮さんに至ってはなんか達観してるし!」

 

ああ……。気持ち悪い。リアルで見ると吐き気を催す……。でも今からこれと戦わなきゃだしねぇ……。

 

鈴音「皆、この敵は主に触手で攻撃してくるよ。たまにしてくる吸魂……もといレベルダメージには気を付けてね!」

 

有栖「レベルダメージ……。察するに受けると私達が積み上げてきた制限値が奪われると考えて良いのですか?」

 

鈴音「その認識でOK。あと止めを刺すときは属性攻撃じゃないと破裂するから注意!」

 

1章だと吸魂するわ、破裂するわで只々厄介な相手だけど、2章終盤になるとスキルのレベリングの為にわざと吸魂をくらったりしてたのを思い出したよ。とはいえ今は1章だし、見ていて吐き気がするので、さっさと倒してしまおう!

 

鈴音「小波君は全体を満遍なく攻撃して!それ以外は一点集中で速攻倒すよ!」

 

『了解!』

 

皆が強いおかげで苦戦する事なく脳味噌を倒す事が出来た。次はいよいよ埋め立て地にある宇宙人の基地に侵入だ!




今回はここまでです。

次回、鈴音達が奮闘している一方で未来達は……。


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第54話 パワポケならではの外国人との出会い

今回もよろしくです。


未来side

 

恵理「響さん、あれって……」

 

鈴音「」

 

未来「鈴音達ね」

 

白木恵理が見つけたのは倉庫から出てくる鈴音達だった。

 

恵理「何か倉庫に用があったのかしら?」

 

未来「恐らくそうでしょうね」

 

倉庫から出て来たという事は宇宙ビーストを倒した後……。予想よりもペースが早いわね。まぁあのメンバーは主力の中でも腕自慢の人が多いから妥当と言えばそうなのかしらね。

 

落田「声をかけるでやんすか?」

 

未来「いえ、放っておきましょう。鈴音達は宇宙人の基地を破壊する為に行動しているから、私達は私達でやる事をやっておきましょう」

 

恵理「……そうね」

 

未来「心配かしら?」

 

恵理「あのグループには梨子と坂柳さんがいるから喧嘩してばかりなのが想像出来るけど、それも問題なさそうね」

 

未来「ええ、坂柳さんは鈴音が、石川さんには小波君がそれぞれ抑止力になっているから大丈夫の筈よ」

 

青野「それより俺達はどうするんだ?」

 

落田「また右奥に行くでやんすか?」

 

何時も通り右奥に行くのも良いけれど、折角鈴音達が2階の鍵を開けてくれている筈だから……。

 

未来「今回は2階に行きましょう」

 

私の指揮の下にそれぞれ1列になって進んでいく。

 

 

~そして~

 

2階に上がりそのまま奥へと進む。鈴音達が鍵を開けてくれたおかげで素材収集の対象場所が増えるわね。1階のような隠し場所になりそうなのは宇宙ビーストがいた場所ね。

 

未来「…………」キョロキョロ

 

落田「響さん、何をしているでやんすか?」

 

未来「敵がいないか確認してるのよ」

 

近くに1つ気配があるけれど、敵意があるなら既に襲っている筈だから、このまま行っても問題ないわね。隠し扉やそれに近いものがありそうな場所は……此処ね。

 

 

コンコンコン。ギィィィィ……!

 

 

恵理「と、扉が……」

 

落田「開いたでやんす!」

 

???「オウ!ワンダフルでーす!!」

 

この物言いは……。

 

恵理「えっ?」

 

落田「えっ?」

 

???「まさかニンジャみたいな仕掛けが見れるとは思いませんでしたー!」

 

落田「だ、誰でやんすか!?」

 

まさかの人間ね……。でもパワポケといえばというキャラクターなら当然なのかしら?

 

???「ワタシはアルベルト言いまーす!」

 

アルベルト・安生(あんじょう)・アズナブル。パワポケ表サクセスで只1人皆勤賞の人間で、裏サクセスでも10までは出続けていたものから満を持してこのサクセスでも登場したという事ね。

 

落田「外国人でやんす……」

 

恵理「何処の国の人なの?」

 

アルベルト「ワタシはアメリカからこの日本に来ました。ハタが頭にある人間……。日本は夏休みになると頭にハタを立てるイベントがあるのですね!」

 

落田「別にイベントじゃないでやんす!」

 

まぁある意味ではイベントと言えなくはないけれどね。

 

アルベルト「ワタシ、このイベントに参加したいです。どうすれば参加出来ますか?ワタシも頭にハタを立てれば良いですか?」

 

未来「……間違っても頭にハタを立てるような事はしない方が良いわよ」

 

私がアルベルト・安生・アズナブルに事の詳細を説明すると一応納得はしてくれた。

 

光山「胡散臭い奴だな……」

 

少なくとも貴方が言う台詞ではないと思うのだけれど……。

 

落田「あっ、いたんでやんすか?全然気付かなかったでやんす」

 

光山「あっ、ヒッデー!」

 

素材収集の前に仲間が1人増えたわね……。




今回はここまでです。

次回、遂に宇宙人の基地を見つけた鈴音達。殴り込みの前に……?


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第55話 殴り込みの最終準備

今回もよろしくです。


脳味噌を倒した私達は南公園を出て埋め立て地に来ている。

 

十一郎「そういえば響さんが此処に宇宙人の基地があるって言ってたが、見当たらないな……」

 

梨子「そうなの?」

 

真澄「へぇ……」

 

そういえば石川さんと神室さんにはこの話をしていなかったね。

 

鈴音「あの時に未来が言ってたでしょ?宇宙人の基地を出現させるには特定の鍵が必要だって」

 

そう言って私は懐から南公園で拾った鍵を取り出した。すると……。

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

 

十一郎「えっ?」

 

真澄「じ、地面から……」

 

ホンフー「何か出て来ましたね。これが宇宙人の基地でしょうか?」

 

梨子「凄い!地面から宇宙人の基地が出て来た!」

 

有栖「宇宙人のテクノロジーには驚きですね。宇宙人自体は余り頭が良いようには見えませんが……」

 

反応は五者五様である。まぁ辛辣だけど、私も坂柳さんと同意件かな?

 

梨子「早速基地に殴り込みだーっ!」

 

鈴音「待った。その前にある人を迎えに行くよ」

 

十一郎「ある人?」

 

鈴音「未来から来た小波さんだよ」

 

有栖「……そういえばあの人も来るって言ってましたね。という事は港に行くんですか?」

 

鈴音「そうなるね」

 

その時現場にいなかった神室さんとホンフーさんは頭に疑問符を浮かべていたが、この騒動のせいやホンフーさんの場合は超能力者なのもあって疑問はなくなった。

 

有栖「では私も行きます」

 

う~ん……。どうしようかな?

 

鈴音「……うん、坂柳さんにも来てもらおうかな。他の4人は此処で待機で」

 

梨子「え~!早く乗り込みたい!」

 

十一郎「梨子、我儘言うな」

 

梨子「ちぇっ……」

 

ホンフー「では私達は待機してますね」

 

石川さんが我儘を言っていたけど、それも小波君が止めてくれた。という事で坂柳さんと港に行く。

 

有栖「デートですね。鈴音さん///」

 

デートじゃないよ。というか私ノーマルだし、この状況下でデート出来る程肝が座ってないよ!人選間違ったかなぁ?それとも1人で行った方が良かったのかな?

 

 

~そして~

 

港に着いた。小波さんが乗っている宇宙船は健在のようだ。大神君を救出した時はなかったのに、今はあるという事は準備の為に未来に帰っていたか、私達が此処に来るのに合わせてこの港に着いたという事だろう。

 

小波「……来たという事は宇宙人の基地撃破の準備は出来たって事だな?」

 

鈴音「はい、準備は万端です。埋め立て地に4人の仲間が待機しています」

 

小波「わかった。……しかし俺の時は俺を含めて4人までだったのに、今回は俺を含めて7人か」

 

鈴音「小波さん以外の面子はそれぞれ近、中、遠距離とそれぞれ戦力は十分に揃っています」

 

小波「そうか。なら俺はその時の状況に応じて行動させてもらおう」

 

鈴音「では行きましょうか。宇宙人の基地がある埋め立て地へ」

 

有栖「はい」

 

小波「そうだな」

 

無事に小波さんも仲間に出来たし、今度こそ宇宙人の基地を破壊してやる!




今回はここまでです。

次回、宇宙人の基地に乗り込んだ鈴音達は新たなハタ人間を見つける……。


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第56話 殴り込み開始!新たなハタ人間登場

今回もよろしくです。


私と坂柳さんは小波さんを引き連れて埋め立て地に戻ってきた。

 

小波「……おいおい、まさかウ・ホンフーも殴り込みに参加してたのか?」

 

ホンフー「おや、私の事を知っているとは流石未来から来たというだけありますね」

 

小波「まぁな。あんたはこの騒動の後に有名な組織の一員になって世界を動かす存在になる。だから俺の耳にも入っているんだよ」

 

鈴音「……未来の事を喋って大丈夫なんですか?」

 

小波「問題ないよ。本来喋ってはいけない事を喋ろうとするとプロテクトが掛かって喋れなくなるシステムだからな。未来人ってのは。こうして喋る事が出来るという事は俺の知っている未来から何かしらの変化が起こっている」

 

成程ね……。小波さんの意見は正解で、ホンフーさんはこの騒動の後未来に過去へと送ってもらう手筈になっているから、ジャジメントに入る可能性が減り、もしもホンフーさんの思惑が上手く運んだなら今属している組織である九百龍も抜ける事になるだろう。上手くいく可能性は極小だと未来は言ってたけど……。

 

真澄「宇宙人に超能力者に未来人って……。もうなんでもありだね」

 

そうだよね。私も前にいた世界ではサイヤ人(宇宙人)だったし、異世界人でもあるから、もうこの集まりはSOS団だよね。

 

配役は……石川さんが涼宮ハルヒで、小波さんが朝比奈みくるで、ホンフーさんが古泉樹で、私が長門有希?で、坂柳さんが鶴屋さん?で、小波君と神室さんがキョンかな?

 

キョン役だけ何故か2人……。いや、それならギャスビゴー星人は朝倉涼子役に……って多いな朝倉涼子!何人いるんだよ。

 

小波「おーい、準備は出来てるか?」

 

鈴音「……えっ?ああ、問題ないですよ」

 

十一郎「どうしたんだ大宮さん?」

 

鈴音「なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ」

 

有栖「恐らく基地にいる宇宙人達を殲滅させる方法を考えていたのでしょう。流石鈴音さんです!」

 

ごめん坂柳さん、さっきの私は物凄く下らない事を考えてました!まぁ宇宙人達についても幾つかビジョンはあるけどさ……。

 

鈴音「……じゃあ行こうか。宇宙人達の基地を潰しにね」

 

小波(……この子は時々恐ろしい一面を見せてくるな。さっきの表情もとても冷酷だったぞ。警戒する必要があるか?)

 

なんか小波さんが考え事してるっぽいけど、私には関係ないよね!

 

 

~そして~

 

此処が宇宙人の基地……?ゲームのままの構造だとしたらとても歪な仕組みだよね。外見も公衆電話ボックスだったし……。

 

「おい、貴様等そこで何をしている!?此処は宇宙人様の神聖な場所だぞ!」

 

出た!ハタ人間兵隊バージョン。複数相手にすると厄介だよね。

 

十一郎「ハタ人間に見つかった!?」

 

真澄「しかも今までに見なかったハタ人間だね……」

 

ホンフー「宇宙人側もハタ人間の勢力を温存していたという事ですね」

 

まぁ私達が今まで見たハタ人間は子供、女性、店員、男性、不良、警察官の6種類と深雪先生だったもんね。あとは救助が間に合わずにハタ人間になってしまったクラスメイトと2章でやられてしまった仲間と高坂茜(こうさかあかね)くらいかな?後者2つは今のところ見てないけど……。

 

そういえばあの段ボール少女はどうしてるのかな?それとも代わりのキャラがいるのかな?何にせよこの基地を破壊してから彼女の捜索に行く事も視野に入れておこう。




今回はここまでです。

次回、地下に降りた鈴音達に敵の影が忍び寄る……!


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第57話 地下は深くなればなる程手強い敵ばかり

今回もよろしくです。


ダンジョンを進みつつ、私達はハタ人間の相手をしている。ちなみに此処で出てくるのは兵隊バージョンのみね。

 

十一郎「うわぁっ!あいつ等機関銃を使ってくるぞ!」

 

まぁしっかりと防御力をあげておけば大した脅威にはならないのがハタ人間だからね。油断しなければまず負ける相手じゃないよ。

 

今の私達は逆鱗シリーズの装備を整えており、前列のホンフーさんと神室さんと石川さんは逆鱗ブーツと逆鱗メットで防御力の他力や素早さを上げており、後列の坂柳さんと小波君は逆鱗の指輪で器用さと素早さを上げている。中列の小波さんは逆鱗スーツで全体のバランスを整える感じで。私は攻撃とサポートに尽力を注いでいるから、防具は一切着けていない。……本当1章時点じゃ破格も破格だなぁ。

 

梨子「こ~のまま~。何時間で~も~♪」

 

十一郎「歌ってる場合じゃないぞ梨子!」

 

っていうか凄く懐かしい歌だね。確かに相手は機関銃使ってるけどさ……。学生の君達はそもそも夏服だからセーラー服もへったくれもないよね?

 

真澄「皆、あっちに下に降りる階段があるよ!」

 

鈴音「よし、このハタ人間達を倒して下に降りようか」

 

皆で協力して倒しきりました。

 

 

~そして~

 

十一郎「しかし何処まで続いてるんだろうな?」

 

小波「俺の知っている通りなら地下10階までだな」

 

私が知っている限りでも10階だけど、イレギュラーがあるのかどうかって感じだね。……うん?

 

鈴音「皆、何か此方に来るよ」

 

十一郎「なんだって!?」

 

「グルルルル……!」

 

有栖「あれは……犬でしょうか?」

 

十一郎「いやいや、犬がグルルルルとか鳴かないし、なんかヤバい目付きしてるし、目が3つあるんだけど!?」

 

真澄「しかも普通の大型犬よりも大きいね……」

 

小波「宇宙怪物と呼ばれる敵だな。あの大きさで無茶苦茶素早いから気を付けろ」

 

この人いると解説の仕事をしなくて良いから楽だなぁ……。

 

ホンフー「私もスピードには自信がありますし、此処は一勝負といきましょう!」

 

早速ホンフーさんが宇宙怪物とスピード勝負をしていて、軍配はホンフーさんに上がる。本当に頼もしい味方だね!

 

「…………」

 

十一郎「……?誰だっ!?」

 

梨子「どうしたの?」

 

十一郎「今さっき誰かが此処にいたんだけど……」

 

真澄「……誰もいないみたいだけど?」

 

鈴音「さっきまで此処に誰かがいたのは間違いないね。私も気配は感じていたし」

 

それにしても気配を隠すのが上手い。宇宙人の仲間だろうか?

 

鈴音「とりあえず進もう。私達にはそれしかないんだから」

 

有栖「そうですね」

 

十一郎「わかった」

 

私の言葉に小波君と坂柳さんが頷き、他も同様に頷いた。さっきの気配の正体とも何れはやり合う事になると思うし、どんな事態が来ても上手く対処出来るように考えておこう。




今回はここまでです。

次回、さらなる刺客が鈴音達を襲う……!


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第58話 白いギャスビゴー星人?

今回もよろしくです。


あれからは特に何事もなく……強いて言えばハタ人間兵隊バージョンとドンパチしたり、宇宙怪物と戯れたり、人喰いゴキブリを退治したり、赤や青や黄や緑のライムをぷよぷよしたり、基地内にウヨウヨいるギャスビゴー星人を駆逐したりしたくらいかな?

 

そんな訳で現在地下8階まで来ました!

 

十一郎「何かそこにいるぞ!」

 

小波「あれは……小型UFOだな。あれから発射されるレーザー攻撃は後列を狙ってくる。少年と坂柳は十分に気を付けてくれ」

 

うむ、解説の仕事を小波さんがやってくれるから、私の仕事がないね。心置きなく小型UFOを倒させてもらうとしよう。

 

梨子「敵が攻撃する前にやっつければ良いんだよ!」

 

ホンフー「そうですね」

 

真澄「うん、賛成」

 

この前列組は頼もしいねぇ。私は前列組の援護をしながら後列組への攻撃を守りますかね。おっと、早速坂柳さんに攻撃が……。リフレクション!

 

 

バチィッ!

 

 

十一郎「凄っ!レーザーを素手で跳ね返した!」

 

鈴音「グローブしてるから素手って訳じゃないけどね」

 

グローブで弾いたレーザーは見事小型UFOに命中。手応えありありだね!

 

有栖「ありがとうございます。鈴音さん」

 

鈴音「気にしないで。仲間を守るのは当然なんだから」

 

有栖「///」

 

何故か顔を赤くしている坂柳は置いといて、この調子で倒していこう。

 

 

~そして~

 

小型UFOを全滅させた。ゲームだと厄介だけど、石川さん達の言うようにやられる前にやってしまえばどうってことはない相手だね。さてと……。

 

「…………」

 

十一郎「うわっ!な、なんだコイツは!?」

 

小波「コイツはパワードスーツか……?それにしてはなんか違和感があるような」

 

小波さんが言っていたパワードスーツは見た目が白いギャスビゴー星人の事である。しかし……。

 

「…………」

 

「…………」

 

真澄「後ろにも2体いるよ!」

 

小波さんが言うようにこのパワードスーツ、なんか違和感があるよね。なんだろうか……?

 

ホンフー「なんにせよやらなければやられるのは此方です」

 

有栖「そうですね。さっさと倒してしまいましょう」

 

ホンフーさんと坂柳さんの言葉で皆が臨戦態勢に入った。まぁ倒さないと此方がハタ人間にされる訳だし、やりますか。

 

 

~そして~

 

十一郎「これで止めだ!!」ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

「…………」ドサッ!

 

「…………」ドサッ!

 

「…………」ドサッ!

 

小波君のヒートキャノンでパワードスーツ3体を倒した。

 

小波「……それにしても違和感の正体はなんだったんだ?」

 

有栖「おや……?」

 

鈴音「坂柳さん、どうしたの?」

 

有栖「いえ、あのパワードスーツに何やらチャックのようなものが……」

 

坂柳さんの指摘通りこのパワードスーツはチャックが3体共着いている。何故だろう。このチャックを開けない方が良いような気がするのは……。

 

ホンフー「……怪しいですね。開けますか?」

 

小波「……正直開けるのには反対なんだが、宇宙人達の攻略に繋がるなら開けた方が良いんだろうな」

 

十一郎「なら俺は開けた方が良いと思います」

 

小波君の意見でパワードスーツのチャックを開ける事になった。

 

 

ジジジー……。

 

 

チャックを開けると……。

 

十一郎「えっ……?」

 

梨子「嘘でしょ……!?」

 

真澄「これ、本当なの!?」

 

有栖「……流石にこれは笑えませんね」

 

小波「おいおい、俺の時はこんなのなかったぞ」

 

チャックを開けパワードスーツの中に入っていたのはなんと人間だった。




今回はここまでです。

次回、衝撃の真実を目の当たりにした鈴音達。同時刻に未来達は……。


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第59話 3人のハタ人間とパワードスーツの実態

今回もよろしくです。


未来side

 

アルベルト・安生・アズナブルを救出した私達はそのまま奥へと進む。そこには3人のハタ人間がいた。……これは予想外過ぎるでしょう。

 

???1「む~ん。侵入者なんだなぁ~」

 

???2「む~~ん。本当なんだなぁ~」

 

???3「む~~~ん。宇宙人様に逆らう奴等は皆殺しなんだなぁ~」

 

落田「同じ顔が3つ……。3つ子のハタ人間でやんすか?」

 

???1「僕は荒井金男(あらいかねお)なんだなぁ~」

 

???2「僕は荒井銀次(あらいぎんじ)なんだなぁ~」

 

???3「僕は荒井晴夫(あらいぱるお)なんだなぁ~」

 

まさか荒井三兄弟が敵として出てくるとは思わなかったわ……。というか一歩遅かったらアルベルト・安生・アズナブルもハタ人間になっていたのかしら?

 

恵理「じ、自己紹介してる……」

 

アルベルト「あれもハタ人間ですね!」

 

光山「……この倉庫には変な奴しかいないのか?」

 

それも貴方には言われたくないでしょうね。

 

金男「む~ん。今この場でハタを立ててくれたら見逃すんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。そして宇宙人様の手足となって働くんだなぁ~」

 

落田「宇宙人の手足とか絶対にごめんでやんす!」

 

晴夫「む~~~ん。なら実力行使なんだなぁ~」

 

そう言って荒井三兄弟は戦闘体勢になった。

 

未来「……どうやらやるしかないようね。皆、水鉄砲を構えなさい」

 

落田「オイラは水風船で援護するでやんす!」

 

未来「ありがとう。御願いするわね」

 

水風船は消費アイテムなだけあって水鉄砲を使うよりも多くダメージを与えられるから便利ね。鈴音から水風船を複数個と水風船製作キットを貰って正解だったわ。

 

 

~そして~

 

水鉄砲と水風船で攻撃し続けて後一歩のところまで追い詰めた。それにしても堅いわね。防御力だけなら田中深雪よりも遥かに高いわ。

 

その代わり出鱈目な行動回数を持っていないし、攻撃手段もパンチとキックのみ。此方は救急キットを使って回復させつつ全力攻撃をしてるから、苦戦するような事はなかったわ。

 

金男「中々やるんだなぁ~」

 

銀次「流石にこれ以上水を浴びると此方がもたないんだなぁ~」

 

晴夫「だからまだ開発途中の取って置きを使うんだなぁ~」

 

開発途中の取って置き……?何やら嫌な予感がするわね。

 

金男「出てくるんだなぁ~」

 

荒井金男の号令で出てきたのは……。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

落田「う、宇宙人でやんす!」

 

恵理「あれがそうなのね……」

 

青野「グレイタイプの宇宙人なんだな」

 

光山「うわっ……。なんか気持ち悪ぃ」

 

宇宙人……?いえ、あれはパワードスーツねそれも3体も。本来は埋め立て地の基地にしかいない筈なのだけれど。

 

銀次「さぁ行くんだなぁ~」

 

晴夫「宇宙人様に逆らう奴等を一網打尽にするんだなぁ~」

 

……のんびりとした口調でとんでもない事を言ってるわね。とにかくさっさと倒してしまいましょう。

 

 

~そして~

 

「…………」ドサッ!

 

「…………」ドサッ!

 

「…………」ドサッ!

 

特に危なげもなく勝てた。4人共段々戦いに慣れてきていし、落田君のサポートもナイスだわ。

 

金男「む~ん。パワードスーツがやられたんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。このままだと僕達もやられてしまうんだなぁ~」

 

晴夫「む~~~ん。しょうがないからこの倉庫とパワードスーツは捨てるんだなぁ~」

 

そう言って荒井三兄弟は逃げていった。逃げ足が速いわね……。

 

恵理「あれ……?なんかこれ変じゃない?」

 

白木恵理が何かに気付いたようね。

 

落田「変……ってどういう事でやんすか?」

 

恵理「あれがもし本当に宇宙人なら背中の部分にチャックなんて着いてない筈よ」

 

チャックですって……?本来ならギャスビゴー星人がパワードスーツを装着している筈。けれどそのチャックとは関係なさそうね。

 

青野「どうするんだ?」

 

未来「……何故かそのチャックを開けない方が良さそうな気がするのよね」

 

落田「でも宇宙人達の弱点のヒントが隠れているかもしれないでやんす!」

 

恵理「なら開けた方が良いのかしら……?」

 

光山「だったらさっさと開けようぜ!」

 

アルベルト「なら私が開けてみまーす。宇宙人のテクノロジー、気になりますね!」

 

 

ジジジー……。

 

 

アルベルト・安生・アズナブルがチャックを開けるとそこには生身の人間が入っていた。しかも彼等は……。

 

恵理「う、嘘……」

 

青野「お、おい……。このスーツに入っていたのって……」

 

落田「須藤と池と山内でやんす!なんでオイラ達のクラスメイトが入っているんでやんすか!?」

 

アルベルト「見たところ彼等の頭にハタは立っていませんね」

 

須藤健(すどうけん)、池寛治(いけかんじ)、山内春樹(やまうちはるき)の3人がパワードスーツの中に入っているとはね……。

 

よう実のキャラが一部このパライソ中学の一員として参加していたのね。坂柳有栖と神室真澄のように……。だとすると本来の主人公である小波君達はDクラスなのかしら?

 

それにしても此処に来てパワードスーツの実態が明らかになったわね。鈴音達はこの事に気付いているのかしら?これは考える事が増えたわね。




今回はここまでです。

次回、鈴音達が見たパワードスーツに入っていた人物達は……。


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第60話 クラスメイトが次々と……

今回もよろしくです。


パワードスーツにはチャックが着いていて、開けるとそこには人がいた。しかも……。

 

十一郎「嘘だろ……?佐藤と松下と篠原じゃないか!」

 

梨子「確か恵とか平田とかと同じグループの女子だよね。この辺で見ないと思ったら……」

 

佐藤麻耶(さとうまや)、松下千秋(まつしたちあき)、篠原さつき(しのはらさつき)の3人共よう実に出ていたDクラスの人達だ。私はアニメしか見た事がないから、この3人はモブとしか思ってないけど……。

 

有栖「彼女達は3人共小波君や石川さん達と同じDクラスでしたね。まさか宇宙人の手先となっていたとは……」

 

未来と坂柳さんから聞いた話だけど、この世界のパライソ中学はA~Dの4クラスあってよう実のキャラがそれぞれよう実の原作通りのクラス配分をされているらしい。つまりよう実のキャラほぼ全員にパワポケ11の裏サクセスとコラボしているという事だ。ちなみにパワポケ11の裏サクセスに出てくるクラスメイト達は皆Dクラスらしい。

 

真澄「でも見たところハタは立ってないよね?」

 

小波「ハタ人間だけが宇宙人の仲間とは限らないという事だな。他にも巨大なドラゴンとか巨大なクリオネとかがいたりするからな。少なくとも今はいないようだが……」

 

ホンフー「それも何れは宇宙人の手先として出てくるという事ですか……」

 

宇宙人の侵攻について話していると……。

 

「…………」

 

「…………」

 

新手のパワードスーツが2体現れた。

 

十一郎「このパワードスーツもクラスメイトが入っていたりするのか?だとしたらやりにくいな……」

 

有栖「小波君の気持ちもわからなくはないですが、遠慮していると彼女達のようにパワードスーツに入れられるかハタ人間にされますよ」

 

十一郎「だよなぁ……」

 

そんな訳で2体のパワードスーツを相手取る事に……。

 

 

~そして~

 

「…………」ドサッ!

 

「…………」ドサッ!

 

抗戦して15分。なんとかパワードスーツを倒す事が出来た。小波君達のクラスメイトが入っているとわかった以上、致命傷にならないように攻撃したからちょっと手間取ったな……。

 

ホンフー「……それでこのパワードスーツにもチャックが着いていますね。開けますか?」

 

十一郎「……出来ればそのまま放置しておきたいが、放っておく訳にもいかないし」

 

梨子「開けるしかない……よね」

 

さっきみたいにクラスメイトだと開けるの躊躇するよね。でも救出する為には開けるしかない。さっきの3人は私とホンフーさんが運んでいる。

 

 

ジジジー……。

 

 

チャックを開けると男女1人ずつ入っていた……。

 

十一郎「平田!」

 

梨子「恵!」

 

今度はDクラスの平田洋介(ひらたようすけ)と軽井沢恵(かるいざわけい)の2人。この2人もさっきの3人と同じように意識を失っている。もしかして此処のパワードスーツには全員よう実キャラが入っているんじゃないよね?

 

有栖「もしかしたら次に入っているのは龍園君や一之瀬さんが入っている可能性がありますね」

 

真澄「Dクラスにちなんで堀北や櫛田が入っている可能性も捨てきれないね」

 

そこ!笑えないジョークはやめるんだ!!




今回はここまでです。

次回、地下10階に辿り着いた鈴音達はある人物達に出会う……。


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第61話 地下10階の生き残り

今回もよろしくです。


あれから地下8階と9階と散策したけど、特にこれといった相手はいなかった。あれ以降パワードスーツも見なくなったしね。

 

という訳で地下10階に到着!

 

十一郎「このフロアだけなんか違うな……」

 

真澄「うん、上手くは言えないけど……」

 

小波君と神室さんの言いたい事はわかる。1章の宇宙人基地10階と2章のダンジョン100階はこれまでのフロアとは違って異質なんだもん。共通点はそれぞれボスがいるという点だね。

 

小波「此方だ。ボスと戦う為にはまず4色の鍵がいる。その内の2つは敵が持っている」

 

その敵のいうのはライムと橙色の蝙蝠こと宇宙蝙蝠の事だろう。その他にもハタ人間とかパワードスーツとかもいるけど、この場合はどうなるのだろうか……って。なんか誰か此方に来るんだけど……。

 

ホンフー「っ!皆さん、誰かが此方に来ます」

 

どうやらホンフーさんも気付いたようだ。足音は1つと少し離れた場所で3つ……。一体誰が来るの?

 

十一郎「えっ?」

 

梨子「えっ?」

 

???「貴方達のおかげで宇宙人達を倒す事が出来るかもしれないわ。ありがとう」

 

小波君と石川さんが驚くのも無理はない。そこにいるのは小波君達と同じクラスの人間……。

 

有栖「おや、堀北さんではありませんか」

 

真澄「見たところ堀北は無事みたいだね」

 

堀北鈴音(ほりきたすずね)。よう実のメインヒロインの1人で私と同じ名前のキャラだからちょっと親近感湧く。性格は未来寄りだけど……。

 

堀北「小波君達は今から宇宙人達を倒すのよね?そちらさえ良かったら私も参加させてもらえないかしら?」

 

十一郎「……それよりも堀北は宇宙人の存在を信じるんだな」

 

堀北「最初は信用してなかったわ。でも見てしまったの……。宇宙人達の姿を、そして宇宙人の基地に入っていく貴方達を」

 

どうやら基地に入っていくのを見ていたようだ。誰かが見ているのは知っていたけど、まさか堀北さんだとは思わなかったけどね。

 

とりあえず軽く自己紹介をしておいた。私の名前に対して反応してたのと、小波さんの正体を明かすと若干信じられないようだったけど、宇宙人の存在を知ってしまった為にもう何でもありだと思ってしまったようだ。気持ちは凄くわかる。

じゃあ気を取り直して……。

 

金男「む~ん。基地に入り込んだ鼠を見付けたんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。倉庫にいた奴等とはまた別人なんだなぁ~」

 

晴夫「む~~~ん。なんにせよ此処にいる全員にハタを立てれば宇宙人様の野望に一歩近付くんだなぁ~」

 

なんかハタを立てた荒井三兄弟に見つかりました……。3つの足音は彼等だったのか。

 

十一郎「み、3つ子のハタ人間!?」

 

金男「荒井金男なんだなぁ~」

 

銀次「荒井銀次なんだなぁ~」

 

晴夫「荒井晴夫なんだなぁ~」

 

この場で自己紹介してる辺りマイペースな人達だよね。表サクセスでも4以外は全部出てるんだっけ?でも4の場合は裏サクセスで出演してるから実質皆勤賞なところはあるよね。

 

金男「む~ん。それにしてもパライソ中学の連中が多いんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。でもそのおかげで宇宙人様が言っていたパワードスーツの実験が捗ったんだなぁ~」

 

晴夫「む~~~ん。パワードスーツの実験なら一々ハタを立てなくても無理矢理戦闘不能にして押し込めば命令通りに動く駒になるんだなぁ~」

 

……っていうか淡々と無表情でとんでもない事を言ってるんだけど。

 

十一郎「おい!平田達をパワードスーツに入れ込んだのはおまえ達なのか!?」

 

金男「その通りなんだなぁ~」

 

銀次「これも宇宙人様の為なんだなぁ~」

 

晴夫「君達もハタを頭に立てるかパワードスーツの実験の為の駒になってもらうんだなぁ~」

 

堀北「……貴方達はクラスメイトを宇宙人の実験台にしたのね。許せないわ」

 

ふむ……。堀北さんは私が知っているよりも正義感あるかもね。

 

十一郎「ああ、こんな事は認められない。堀北、俺達に力を貸してくれ!」

 

堀北「先程も言ったけれど、私が役に立つのなら喜んで力を貸すわ」

 

なんと宇宙人基地の地下10階で堀北さんが仲間になった。しかも1人で此処まで来たという事は間違いなく即戦力だ。




今回はここまでです。

次回、地下10階の戦いは更に混沌に……?


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第62話 VS荒井三兄弟&基地のクイーン

今回もよろしくです。


さて、堀北さんを交えて荒井三兄弟と戦うんだけど……。

 

鈴音「ところで堀北さんはここに来るまでどうやって戦ってきたの?」

 

堀北「ハタ人間相手はショッピングモールにあった水鉄砲で、それ以外の化物とかはこれで戦ったわ」

 

そう言って堀北さんが取り出したのは『痛そうな棒』だった。なんで彼女が持ってるの?

 

十一郎「それって深雪先生が持っていた武器だよな?」

 

堀北「ええ、田中先生が持っていたのを拝借したのよ」

 

という事は堀北さんは単騎で深雪先生を倒したんだろうか……。その時のドロップ品なのかな?だとしたら超凄い。

 

金男「む~ん。話は終わったのかなぁ~?」

 

態々待ってたのか……。普通に考えれば律儀で済むかもだけど、此方に来る1つの気配が関係している可能性が高いから向こうはその気配が到着するのを待っていると考えれば待ち得なのかもしれないね。

 

堀北「ええ、今から貴方達を倒させてもらうわ」

 

銀次「む~~ん。倉庫の時は手加減したけど、今回は本気でいかせてもらうんだなぁ~」

 

いや、私達君等が倉庫にいたこと知らないからね?多分未来達が相手にしていたんだろうけど……。

 

晴夫「む~~~ん。僕達が本気になったらどうなるか思いしらせてやるんだなぁ~」

 

ホンフー「それは楽しみですねぇ。貴方達はどんな行動をするか読めない部分もあるから、手合わせしてみたいです」

 

確かにホンフーさんの言う通り荒井三兄弟は何処か読めない言動をするから、良くも悪くも未知数なんだよね……。

 

鈴音「皆、準備は良い?」

 

十一郎「勿論だ!」

 

梨子「こんな奴等なんてソッコーで倒しちゃおう!」

 

有栖「問題ありません」

 

真澄「何時でも良いよ」

 

ホンフー「大丈夫ですよ」

 

小波「此方もOKだ」

 

堀北「ええ、大丈夫よ」

 

私以外の6人も準備万端という事で……荒井三兄弟を倒させてもらおう!

 

 

~そして~

 

人数差を生かしたおかげで此方が優勢を取っている。それにしても堅いなぁ。防御力だけなら深雪先生よりもあるよね。まぁ大した攻撃はないから、一気に攻めていけばいける。

 

有栖「はぁっ!」バンッ!

 

真澄「はっ!」バンッ!

 

鈴音「よっ……と」バンッ!

 

私達3人が三兄弟に止めを刺す。

 

金男「む~ん。中々やるんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。このままだと宇宙人様に処されるんだなぁ~」

 

晴夫「む~~~ん。絶体絶命なんだな~」

 

十一郎「よし……!これで止めだ!」

 

小波君が止めを刺そうとした瞬間、後方から誰かが銃で攻撃してきた。

 

鈴音「小波君危ない!」

 

十一郎「えっ?」

 

 

バンッ!

 

 

鈴音「ぐっ……!」

 

十一郎「大宮さん!」

 

やっば……。まともに被弾した。腹部から血が止まらないんだけど。意識も朦朧としてきたし……。本来なら銃弾程度なら跳ね返せる鋼の身体なんだけど、未来の抑制の影響か並の人間くらいの耐久力まで落ちてしまっているようだ……。

 

有栖「鈴音さん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!鈴音さん!!」

 

鈴音「急所には……当たってないから、大丈夫……!」

 

???「ふふふ~ん。何を手間取ってますか弟達」

 

し、しかもこの喋り方は……。

 

金男「む~ん。面目ないんだなぁ~」

 

銀次「む~~ん。姉さんが来てくれて助かったんだなぁ~」

 

荒井三兄弟の姉の1人の荒井紀香(あらいのりか)。存在が害悪でしかない。なんならパワプロの彼女候補で最悪と言われている姫野(ひめの)カレンが絶世の美女に見えるレベル。

 

紀香「ふふふ~ん。でも連中の司令官的存在に一撃入れる事が出来ました。このまま止めを刺すです」

 

やばいやばいやばい!このままだと荒井紀香に止め刺される!なんか屈辱だから勘弁してください!!

 

紀香「ふふふ~ん」

 

金男&銀次&晴夫「む~~~~~ん」

 

どうなっちゃうの私達!?




今回はここまでです。

次回、鈴音の運命は如何に……?


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第63話 冷酷な怒りと無慈悲な殺人

今回もよろしくです。


有栖side

 

鈴音さんが後方から小波君を狙った銃弾を庇って致命傷を受けてしまった……。

 

有栖「鈴音さん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!鈴音さん!!」

 

鈴音「急所には……当たってないから、大丈夫……!」

 

心配かけないように鈴音さんは言ってくれていますが、腹部から流れる血は止まらず、どんどんと流れている。このままだと……。

 

紀香「ふふふ~ん。このまま止めを刺すです」

 

止め……。鈴音さんが死んでしまう……?そんなの……そんなの許される訳が……!そう思った次の瞬間、私は鈴音さんから貰ったドラゴイーターを取り出していた。

 

 

バンッ!

 

 

紀香「え……」ドサッ!

 

金男&銀次&晴夫「むむ~ん!?」

 

紀香「な、なんですかこれは……?か、身体が熱い……!」

 

私が撃った害虫は蹲ってのたうち回っている。良い気味ですね。このまま殺してしまいましょう。

 

十一郎「やめろ坂柳!」

 

有栖「離してください小波君。鈴音さんを傷付ける害虫は生かしておく訳にはいきません」

 

真澄「こんな事をしても大宮さんは喜ばないし、寧ろ気を病んでしまうよ!」

 

小波君と真澄さんに止められるけど、私は、私は……!ふと頭に手を置かれる感触が私に伝わった……。

 

 

 

有栖sideout

 

 

 

 

 

有栖「す、鈴音さん……?」

 

鈴音「もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね坂柳さん。あと小波君と神室さんも坂柳さんを止めてくれてありがとう」

 

真澄「い、いや、結局坂柳を止められてないし……」

 

十一郎「そ、それよりも大宮さんは大丈夫なのか!?さっきまで血がドクドク出てたけど……」

 

鈴音「問題ないよ。回腹薬を飲んで、止血も済ませたからね」

 

私は意識が朦朧とする中鞄から回復薬を取り出してダメージを回復させた後に、ボロキレを取り出して腹部を抑え、包帯を巻いておいた。腹部を抑えているボロキレには回復薬を染み込ませてあるから血が止まるのも早かった。

 

有栖「鈴音さん、私は……」

 

鈴音「坂柳さん、ここからは私も戦いに参加させてもらうね」

 

とはいえ坂柳さんがドラゴイーターで撃った荒井紀香はもう死ぬのも時間の問題だろう。そんな事になって、荒井三兄弟を見逃せば坂柳さんは警察の御世話になる可能性があるかもしれない。まぁそうなったら坂柳さんを私達の旅に同行させれば良い話だけどね。

 

鈴音「さて、君達のお姉さんが死ぬのは時間の問題だね。坂柳さんが撃ったドラゴイーターは急所に当たっちゃっているから」

 

金男&銀次&晴夫「む~ん……」

 

鈴音「安心しなよ。君達もお姉さんの元に送ってあげるからさ」

 

私はハンドブラスターを構えて荒井三兄弟を撃った。

 

 

バンッ!バンッ!バンッ!

 

 

金男「む~ん。僕達もこれでおしまいなんだなぁ~……」

 

銀次「む~~ん。これまでやってきた事のツケが帰ってきてしまったんだなぁ~……」

 

晴夫「む~~~ん。でもこれも1つのハッピーエンドなんだなぁ~……」

 

金男&銀次&晴夫「む~ん」

 

 

ドサッ!

 

 

遺言を残して荒井三兄弟は倒れた。

 

十一郎「こ、殺してしまった……」

 

梨子「まぁコイツ等のやってきた事を考えればしょうがないんじゃない?」

 

ホンフー「未来さんに負けず劣らずの冷酷さですねぇ」

 

小波(やっぱり彼女は敵に回すと不味いな……)

 

私が人を殺した事に対して様々な反応を見せていた。っていうか石川さんが思ったよりドライだった。まぁなんだかんだ彼等はしぶとそうだし、復活しそうだけど……。




今回はここまでです。

次回、地下10階のボス登場!


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第64話 食品サンプル?

今回もよろしくです。


荒井三兄弟と荒井紀香という最悪カルテットをぬっ殺した後に私達は橙色蝙蝠と4色ライムを倒して鍵を貰い、奥へ進む。

 

十一郎「此処は一体どういった場所なんだ?」

 

真澄「ここだけなんか異質だよね。このフロアの中でも……」

 

数話前でも聞いたような会話だけど、それだけこの空間が混沌なんだもん。

 

梨子「ねぇねぇ、彼処になんか本があるよ!」

 

小波「……これは人間の標本って書いているな」

 

ホンフー「中身は……人間のシルエットに色々書いていますね。佃煮、干物、ジュース……」

 

有栖「どれも飲食物の名前しかありませんね」

 

十一郎「ま、まさか宇宙人達は人間を食べるつもりなのか!?」

 

堀北「あの宇宙人達にそのような風習があるのかしら……?」

 

えっ?そんな内容だったっけ?もう10年以上前のゲームだからあんまり覚えてないけど、確かこれって宇宙人の食事じゃなくて人間達の食事だと思うけど……。

 

小波「……俺も過去にそんな反応したっけな。これは宇宙人達の食事じゃなくて、人間が食べるらしいぞ」

 

十一郎「えっ?人間達が?」

 

「その通りだ。侵入者共」

 

出た!ギャスビゴー星人!っていうかこの宇宙人滅茶苦茶流暢な日本語なんだけど……。

 

十一郎「おまえが宇宙人のボスか!?」

 

「正確には違うな。まぁボスの1人と思ってもらって間違いではないがな」

 

真澄「どういう意味……?」

 

「我々ギャスビゴー星人はまだまだ沢山いる。それこそ故郷であるギャスビゴー星や他の星々、勿論地球にだって仲間は沢山いるんだよ。まぁこのように言葉を流暢に話せる仲間に限りはあるけど」

 

成程ね。だとしたらちんたらとやっていくと本当に宇宙人に侵略されてしまう。

 

「ではそろそろ侵入者の排除をするとしようか。……いけ、おまえ達!」パチンッ!

 

司令塔の宇宙人が指パッチンすると3匹のギャスビゴー星人が襲ってきた。

 

十一郎「行くぞ皆!」

 

有栖「そうですね。1体でも多くの宇宙人を倒しておきたいです」

 

後列組も段々頼もしくなったね。特に坂柳さんは仲間の為に行動出来るようになっているし。もうここから先は2人に司令塔を任せようかな。小波さんもいるし、私は空気に徹しようかな?未来に怒られそうだけど……。

 

 

~そして~

 

「中々やるようだな侵入者共」

 

十一郎「俺達は負ける訳にはいかないんだよ!」

 

有栖「次は貴方が相手ですか?」

 

「良いだろう。なら取って置きの戦艦でおまえ達の相手をしてやろう」パチンッ!

 

司令塔宇宙人が再び指パッチンで倉庫で見たような戦艦が出てきた。今度こそ本物だよね?パチモンじゃないよね?

 

十一郎「戦艦!?」

 

有栖「倉庫で見た物と同じ物でしょうか?」

 

「ほう?見覚えがあるのか?如何にも、これは我々の最先端技術で造られた戦艦……その名も戦艦ニャガトだ!!」

 

またパチモンかよ!!




今回はここまでです。

次回、基地破壊なるか!?


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第65話 宇宙人の基地破壊!チームワークの大勝利!

今回もよろしくです。


「いくぞ侵入者共!」

 

パチモン戦艦を相手取る事になった私達。……どうせなら本物と戦いたかったよ……。

 

十一郎「……大宮さんはどうしたんだ?」

 

有栖「鈴音さんの事ですから、今回の相手だけでは物足りないと思ったのでしょう」

 

……相変わらず坂柳さんの過大評価が凄い。まぁ物足りないと言えばそうなのかもしれないけど。

 

「ほう?言うじゃないか……。なら本気にさせてやろう」

 

ボスの宇宙人は戦艦の砲台を構えては乱射する。

 

「くらえっ!」

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

十一郎「うわっ!」

 

真澄「これ、まともにくらえばやばくない?」

 

荒井紀香が持っていた普通の拳銃ですらまともにくらったら致命傷だから、間違いなく即死だろうね。まぁあれは私が何も防具を付けてないからあんなダメージ受けた訳だけど……。これからはちゃんと防具を装備しよう。これ教訓。

 

有栖「鈴音さんは休んでいてください。回復したとはいえ無理は禁物です」

 

坂柳さん頼もしすぎ!じゃあ好意に甘えさせてもらおう。

 

有栖「皆さん、鈴音さんは先程の戦いでかなり疲弊しています。今まで鈴音さんに頼りきりでしたので、この戦いくらいは私達だけで戦いましょう!」

 

梨子「坂柳に指図されるのは癪だけど、鈴音には色々御世話になってるからね。さっさと宇宙人達を倒すよ!」

 

ホンフー「これまでの鈴音さんは頑張りすぎでしたからねぇ。この戦いに限らずもう少し休めるように何か決めなくてはいけませんね」

 

真澄「大宮さんにも響さんと同じくらい助けてもらってるからね。恩返しになるなら安いもんだよ」

 

小波「まぁ付き合いの短い俺ですら嬢ちゃんが頑張ってきた事が伝わるもんな。大人の1人として子供を助けなきゃな」

 

十一郎「勿論だ。大宮さんには色々教えてもらったし、大宮さんがいなかったら俺はハタ人間になっていたかもしれないんだ。だから今度は此方が大宮さんを助ける番だ!」

 

何これ最終回?アニメとかで良くあるやーつじゃん!

 

「ふん、美しき地球人の友情というやつか……。いいか?地球人が何をしようと無駄だ。例えこの戦艦ニャガトに勝ててもが来ても我々ギャスビゴー星人の侵略を止める事は出来ないからな」

 

十一郎「どういう意味だ!?」

 

「そもそもおまえ達がやってきたのは只の時間浪費だ。今こうして俺の相手をしている間にも仲間の侵略は進んでいる。この基地が破壊されても拠点は他にある」

 

有栖「……それがもしも真実ならば早いところ貴方を倒す必要がありますね」

 

「やってみろ。出来損ないの地球人共め!」

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

宇宙人が戦艦によって砲撃を続けて、私以外の皆はそれを避けては反撃の機会を伺っている。

 

真澄「はぁっ!」

 

梨子「はっ!」

 

 

ズバッ!ズバッ!

 

 

刀剣担当の2人が戦艦に切り刻み……。

 

小波「いくぞ少年!」

 

十一郎「はいっ!」

 

 

ドンッ!ドンッ!

 

 

小波ブラザーズが遠距離でキャノン砲を発射して……。

 

有栖「そこっ!」

 

 

パンッ!パンッ!

 

 

坂柳さんが銃撃で死角を突く。それぞれで少しずつダメージを与えているが、決定打にはならない。

 

ホンフー「…………」

 

そしてホンフーさんはさっきから何かを試みている。そこから伝わるのはとにかく凄い集中力だということ。

 

「足掻きは済んだか……?ならばくらえ!!」

 

十一郎「砲撃がくるぞっ!」

 

小波君の合図で全員が距離を取って防御態勢を整える。

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

砲撃の威力こそは凄まじいけど、速度が余りないのでホンフーさんくらいの実力者なら避けきれる。

 

「しぶとい奴等め……。なら此方も少し本気を出すとしよう」

 

十一郎「何!?まだ本気じゃないのか!?」

 

「当たり前だ。地球人如きに戦艦の本気を出す訳がないだろう」

 

でも戦艦側はまだまだ本気じゃないらしい。この場にいる殆んどの面子が絶望に顔を歪ませている。

 

「ふはは!その表情が見たくて加減していたのだ。だが貴様達は一思いに殺さずにペットにしてやる!」

 

宇宙人のペットとか嫌だなぁ。

 

十一郎「くっ!万事休すか……!」

 

ところでアニメとか漫画なら万事休すという言葉の後には大概状況を打破する手段があるんだよね。

 

「……?どういう事だ。何故戦艦が起動しない!?」

 

この場合は敵の戦艦トラブルだね。

 

ホンフー「ふぅ……。漸く出来ました」

 

「き、貴様!何をした!?」

 

ホンフー「敵に手段を明かすほどこの手品のタネは安くありませんよ。只……物凄く時間を要したとだけ言っておきましょう」

 

有栖「チャンスです。全員であの戦艦諸とも攻撃してください!」

 

坂柳さんの合図で全員が戦艦に全力を叩き込み、遂には戦艦を破壊する事が出来た。

 

「ば、馬鹿な。地球人如きにこの俺が……!」

 

 

ドカーン!

 

 

この爆音で基地全体を破壊した。

 

途中で会ったパワードスーツにされた人達は小波さんの未来の技術によって守られている。それがどんな仕組みなのかは禁則事項なんだそうだ。何それ滅茶苦茶気になる……。

 

ちなみに戦艦はホンフーさんの超能力によって機能停止していたようだ。時間がかかったのはあれ程の戦艦に能力を使うのは初めてだからだそうだ。やっぱりホンフーさんを連れてきて正解でした!

 

あとは坂柳さんと小波君の頼もしさが事態に好転を呼んだのもあるよね。もう私がいなくても十分戦っていけるだろう。

 

さて……。宇宙人の基地も破壊出来たし、今日の事を未来に報告する為に私達の基地に帰るとしよう!




今回はここまでです。

次回、基地待機班は襲撃班が戦っている同時刻に……?


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第66話 基地の場所がバレた!?

今回もよろしくです。


榎本side

 

私達基地待機班は基本的に基地内の安全を確保する事と、それぞれに渡した武器のメンテナンスだ。私は大宮さんから貰ったビームナイフの手入れをしている。ふと外から物音が聞こえる。

 

 

ドーン!ドーン!!ドーン!!!

 

 

榎本「な、何の音!?」

 

堤「今の音は外に仕掛けておいたトラップの音ですね」

 

突然外から鳴り出した音に戸惑っていると堤君が私に教えてくれた。

 

榎本「えっ?トラップ!?」

 

堤「はい、大宮さんに言われて敵の……宇宙人の手先に反応するトラップを作って基地前に設置しておきました。外で聞こえる音の正体はそれでしょう」

 

い、何時の間にそんな物を……?

 

榎本「トラップって何時からあったの?」

 

堤「僕達が話し合いをした日の晩ですね。話し合いの直後に前々から作っていたトラップを味方が引っ掛からないように仕掛けてほしいと言われたので、少し改良して敵のみ引っ掛かるように仕込みました」

 

榎本「一体どんなトラップなの?」

 

堤「簡単な相手……所謂雑魚敵は即死します。それ以外の敵には弱体化を施します」

 

榎本「そうなんだ……」

 

堤「ですので榎本さんはこの基地内にいる主戦力メンバーを呼んできてください。外に残っている敵を殲滅させますので。なるべく唐沢教授に悟られないように」

 

榎本「わ、わかったわ!」

 

堤君の科学力はこういった時は頼りになるわね。この基地にいる主力メンバーといえば越後君、椿さん、白瀬さん、大神君あたりかしら……?

 

あとのメンバーは平山君を筆頭に唐沢教授の相手をしてもらいましょう。大宮さんが言うには平山君は対爺さん◎らしいから。……何を言ってるかよくわからないけど。

 

 

~そして~

 

「ちっ……!トラップとはやってくれるじゃないか地球人」

 

4人を連れて外に出ると複数の宇宙人が横たわっていて、少数のうちが立ちはだかっている。今流暢な日本語を喋っているのは宇宙人のボスみたいなものかしら?

 

堤「此処になんの用ですか?」

 

「用だと?決まっているだろう。有力な地球人が此処にいるとタレコミがあったからな。そいつ等を全員ハタ人間にして俺達ギャスビゴー星人の支配下にするんだよ」

 

誰かが情報を洩らしたのかしら?それともハタ人間がこの場所を知っていた?何れにせよこのままだと他の仲間が攻め込んできても可笑しくないわね。

 

榎本「貴方は流暢に話しているけど、言語は誰に教わったの?」

 

「答える必要があるか?……と言いたいところだが教えてやろう。今話している言語は地球人共が喋っているのを覚えたんだ。限られたギャスビゴー星人のみがこのように流暢に話せるが、それでもほぼ全てのギャスビゴー星人はまともに話すことすら出来ない。まぁそれも地球の侵略が終わればある程度改善出来るだろう」

 

今の話から察するに流暢に話せる宇宙人はごく少数で、そいつ等が宇宙人達を統率していると考えて良さそうね。

 

「無駄話はここまでだ。貴様等を排除する!」

 

宇宙人が合図をするとまだ倒れていない宇宙人達を連れて囲んできた。

 

榎本「皆、来るわよ!」

 

堤「さて……。トラップで先制攻撃出来ましたが、ここからは大宮さんに貰ったキャノンで追撃ですね」

 

越後「やれやれだぜ……」

 

フッキー「なんだか面倒な事になってきたわね。まぁ状況が状況だから、手伝うわよ」

 

大神「ふっふっふっ……!成長した大神博之の力を特と見るが良い!!」

 

椿「ふっ……。頼もしくなってきたじゃねぇか。部下の成長に協力してやるか」

 

全員が武器を構えて宇宙人達に立ち向かう。なんだかゲームの主人公になったみたいだわ。




今回はここまでです。

次回、更に同時刻に素材収集班は……。


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第67話 復活のびぃすと!

今回もよろしくです。


未来side

 

荒井三兄弟を追っ払った後、私達は倉庫の2階へと上がる。

 

落田「なんだかここは獣臭いでやんす……」

 

恵理「本当ね。あと血の臭いもするわ。なんでかしら……?」

 

獣臭という事は鈴音達が宇宙ビーストを倒したけれど、完全に止めを刺さなかったようね。血の臭いはその死骸かしら?

 

青野「おい!彼処に誰かいるぞ!」

 

落田「えっ!?」

 

青野柴夫が指差した前方にはギャスビゴー星人がいた。

 

「……おまえは倉庫の宝をぶん取っていった女じゃないか」

 

どうやら宇宙人側には完全に私の顔を覚えられているようね。

 

未来「そうね。流暢な言葉を話す貴方は宇宙人のボス格と見て間違いないかしら?」

 

「だとしたらどうするんだ?」

 

未来「決まっているでしょう。貴方達ギャスビゴー星人を殲滅させるのよ。ボス格の貴方がいなくなれば統率が取れる仲間はいなくなるのではないかしら?」

 

これだけ流暢に話せる宇宙人はそう多くはない筈……。なら司令塔であるあの宇宙人を潰せばこの倉庫はこれ以上侵略されないでしょう。

 

「……ふっ、大方俺を倒せばギャスビゴー星人はまともに機能しなくなるとでも思っているのか?」

 

未来「……だとしたらなんなのかしら?」

 

「甘い……。教えてやるよ!俺の他にも司令塔は複数に別れて様々な箇所で仲間を従えてハタ人間を増やして町を侵略していくんだよ!」

 

恵理「そ、そんな……!」

 

落田「埋め立て地だけじゃなくて他にもそんな所があるんでやんすか!?」

 

「何故おまえ達が埋め立て地の基地の事を知っているかは知らないが、此処で始末すればそんなのは気にならない。やれ、おまえ達!」パチンッ!

 

指パッチンと同時に3体のギャスビゴー星人がゾロゾロと出てきた。ギャスビゴー星人の指はどのような仕組みになっているか少し気になるわね……。

 

未来「皆、準備は出来ているかしら?」

 

恵理「ええ、大丈夫よ!」

 

青野「此処に来る途中に倒してきた相手で準備運動もバッチリだ」

 

光山「小森寺で身に付けた拳法の相手にはうってつけだな」

 

アルベルト「私が隠し持っていたトムプソンが火を吹きまーす!」

 

落田「オイラも手榴弾で援護するでやんす!」

 

未来「準備は出来ているようね。……いくわよ!」

 

『おうっ!』

 

 

~そして~

 

「ふん、中々やるじゃないか?」

 

結論から言えば苦戦する事なく3体のギャスビゴー星人を倒す事が出来た。

 

落田「ふふん!余りオイラ達を舐めない方が良いでやんすよ?」

 

「……そのようだな。ならば此方も切札を出させてもらうとしよう」

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

 

落田「な、なんでやんすか!?この地鳴りは……」

 

「紹介しよう。我が死霊術を駆使して蘇ったアンデットビーストだ!」

 

地鳴りと共に出てきたのは鈴音達が倒した宇宙ビーストだった。

 

「さあ、楽しみはこれからだ!」

 

……唐突な打ち切り宣言ね。




今回はここまでです。

次回、死霊術によって蘇った宇宙ビーストと戦う未来達に更なる敵が……?


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第68話 死霊獣の誘い

今回もよろしくです。


未来side

 

「グオォォォォッ!!」

 

恵理「な、なんなの!?あの怪物、片目が垂れ落ちているわ!」

 

青野「それだけじゃなくて全身ボサボサだぞ……」

 

蘇った宇宙ビーストはよくあるアンデットよろしく片目が垂れ落ちていて、体は所々ボサボサだった。……まるでB級のゾンビ映画みたいね。

 

「さあいけ!蘇ったアンデットビーストの力を見せてやれ!」

 

「グオォォォォッ!!」

 

宇宙ビースト改めアンデットビーストは高速で此方に攻撃してくる。

 

落田「は、速いでやんす!」

 

光山「俺に任せろ!ふんっ!!」

 

「グオォォォォッ!」

 

光山さんとアンデットビーストの格闘術はほぼ互角。向こうが鉤爪で光山さんが拳な分若干不利かしら……?

 

光山「ぐっ……!」

 

「ほう?このアンデットビーストの攻撃と渡り合えるとは相当のパワーとスピードを持っているようだな。だがアンデットビーストの鉤爪は相手をじわじわ削る毒の爪……。まともに打ち合えば消耗するのはそっちだ!」

 

毒の爪……。本来は鉤爪に負傷効果があるけれど、この場合は毒によるダメージが蓄積する感じなのね。負傷は暫くすれば治るけれど、この場合は薬で治すしかなさそうね……。

 

アルベルト「自慢のトムプソンを喰らうでーす!」ドガガガッ!

 

「グオォォォォッ!」

 

トムプソンの弾を軽々と避けるアンデットビースト。本来のスピードは健在な訳ね。

 

恵理「あの巨体で凄いスピードね……。死角からの拳銃も軽々と避けているわ」

 

死霊術によって蘇った影響でパワーとスピードは元々よりも数段上がってそうね。だとすると……。

 

未来「此処は私がいくわ。皆はあっちの宇宙人の相手を御願い」

 

落田「ひ、1人でいくんでやんすか!?無茶でやんす!!」

 

未来「そう思うなら早いところあの宇宙人を倒しなさい。それから私を援護するのよ」

 

恵理「……ええ、此処は任せるわ。皆!響さんがあの怪物を抑えている間に私達はあの宇宙人を速攻で片付けるわよ!」

 

白木恵理の一言で皆はアンデットビーストを操っている宇宙人の方に向かった。

 

「……此方に来たか。だがそれも想定内。アンデットビーストがやられた時の為にもう1つ準備していたのさ。いでよ!」

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

 

落田「また地中から何かが出てくるでやんす!」

 

出てきたのは紫色の……龍かしら?少なくともパワポケの世界では御目にかかれないわね。

 

「こいつはこの倉庫に眠っている古来から伝わる伝説の龍……。無限大の力で敵を圧倒する!そいつを死霊術の応用で完全ではないにしても復活を遂げた。その名もムゲンダイナ!!」

 

「ガアァァァァッ!!」

 

光山「おいおい……。さっきの怪物より何倍もでかいぞ……!」

 

アルベルト「これが日本……。素晴らしいでーす!!」

 

恵理「だとしても私達だけであの化物を倒すしかないわね。響さんは1人であの怪物と戦っているのよ。今更弱音を吐くなんて出来ないわ!」

 

青野「そうだな……。出来るかはわからないけど、このまま犬死にする訳にもいかないしな」

 

落田「こうなったらやってやるでやんす!!」

 

皆の相手はあのムゲンダイナとかいう龍がするみたいね。数いるとはいえ未知数の相手だし、早いところあのアンデットビーストを倒して皆の援護をした方が良さそうかしら?




今回はここまでです。

次回、ムゲンダイナ相手に苦戦する恵理達。逆転の芽はあるのか……?


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第69話 ムゲンダイナユメノアトノ

今回もよろしくです。


恵理side

 

「ガアァァァァッ!」

 

光山「うわっ!こいつ火を吐いたぞ!」

 

落田「今度は毒を飛ばしてきたでやんす!しかも地面が溶けてるでやんす……」

 

あの宇宙人が呼び出したムゲンダイナと呼ばれる化物はとんでもないわね。

 

青野「白木、来るぞ!」

 

「ガアァァァァッ!」

 

 

ビビビーッ!

 

 

 

……っ!今度はビーム砲!?青野君が声を掛けてくれなかったら直撃してたわね。あれをまともに受ける訳にもいかないわ。

 

アルベルト「またビームがきまーす!」

 

「ガアァァァァッ!」

 

 

ビビビーッ!

 

 

それにしても中々隙が見つからないわね……。避けるので精一杯よ。

 

「どうした?さっきから防戦一方じゃないか地球人共」

 

せめてあの化物を操っている宇宙人さえなんとか出来れば良いんだけど……。

 

「グオォォォォッ!」

 

未来「ふっ……!」ドゴッ!

 

響さんは1人でもあの怪物と渡り合っている。それなのに私達が音をあげる訳にもいかないわ!

 

恵理「皆!化物があのビーム砲を打つために時間を要するわ。その隙に一斉に攻撃よ!」

 

青野「了解!」

 

アルベルト「了解でーす!」

 

光山「ああ、わかったぜ!」

 

落田「オイラは救急キットでダメージを受けた皆を回復させるでやんす!」

 

恵理「御願いね!」

 

あとはタイミングを見計らって……!ここね!

 

恵理「今よ!皆、一斉攻撃!!」

 

『おうっ!!』

 

化物のビーム砲の溜めの時間を利用して私も含めて一斉に攻撃する。私達の全力をぶつけたから、これで決まってくれなきゃ困るんだけど……。

 

「ガアァァァァッ!」

 

「中々の攻撃だったが、その程度じゃムゲンダイナは倒せない」

 

そんな……。攻撃も強くて、素早くて、打たれ強いなんて……!

 

「……必殺技の準備が整ったようだな。ムゲンダイナ!地球人共を消し炭にしろ!!」

 

「ガアァァァァッ!」

 

化物のビーム砲が来る……。私達はここまでなの?響さんの足を引っ張ってるだけじゃない!

 

 

ビビビーッ!

 

 

もう駄目だと思い目を瞑る。ビーム砲が此方にくる気配はない。

 

未来「リフレクション」

 

目を開けると響さんがビーム砲を化物に跳ね返していた。

 

「ば、馬鹿な!ビーム砲を跳ね返しただと!?貴様!何者なんだ!?」

 

「……只の地球人よ」

 

いやいや、只の地球人がビーム砲を跳ね返せる訳がないじゃない!……でも以前響さんが自身は神様的な存在だと言っていたわね。これを知っているのはこの中では私だけだけど……。

 

「嘘を吐くな!只の地球人がムゲンダイナのビーム砲を跳ね返せるものか!!」

 

その通りよ宇宙人……。でも響さんは只の人間じゃない。見誤ったわね!!……私もだけど。




今回はここまでです。

次回、未来の反撃……!


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第70話 倉庫の基地壊滅!

今回もよろしくです。


未来side

 

 

強化された宇宙ビーストを早めに倒して龍の方を見てみると当たると危険そうなビームが白木恵理達に襲いそうだったので、龍の方向に跳ね返しておいた。……やりすぎたかしら?

 

「そもそも貴様の相手はアンデットビーストがしていた筈だ!」

 

未来「それならきちんと殺しておいたわよ。灰も塵も残さずにね」

 

私は鈴音程甘くはないものね。

 

「ば、馬鹿な……。あのアンデットビーストは俺の自信作なんだぞ!」

 

未来「知らないわよそんな事。まぁ多少鬱陶しくは思ったけれど、それだけね」

 

そもそも大神官様が与えた試練の内容に比べれば可愛いものよ。幾つもの異世界に行って小規模とはいえ歴史改変という本来ならば重罪ものにも関わらず私が本来の主人公だった筈の人物の代わりとか、その主人公のサポーターに回ったりと俗に言う『異世界チート』というのは楽とは正反対の位置にあるわね。

 

「く、くそっ!いけムゲンダイナ!」

 

「ガアァァァァッ!」

 

ムゲンダイナと呼ばれる龍が此方に向かってくる。どう対処しようかと考えた私は懐から1つの瓶を取り出した。そして……。

 

未来「はぁっ!」

 

ムゲンダイナに封印の儀を始めた。これはドラゴンボールで言うところの魔封波にあたる。

 

魔封波は本来なら使用後に副作用があって、使用者の身体に負担を与えて最悪命すら落としてしまうという技。

 

しかしそれは使用者の実力や対象相手の状態にも依存して、ムゲンダイナの場合は皆がある程度ダメージを与えてくれた事と自惚れるつもりはないけれど、私の実力が高い事によって使用後の負担はあってないものとなる。

 

「ガアァァァァッ!」

 

未来「はっ!」

 

 

スポンッ!

 

 

ムゲンダイナが瓶に封印された事を確認した私は瓶に蓋をして、再び懐にしまった。

 

「ムゲンダイナが……。き、貴様何をした!?」

 

未来「封印したのよ。この町で暴れられても困るからね」

 

「なんだと……!?認めない。認めないぞ俺は!」

 

ムゲンダイナが封印されたという現実を認めなくないのか、宇宙人が怒りのあまり叫びながら此方に突進してくる。それに対して私は拳銃を取り出して片手で構えた。

 

 

バンッ!

 

 

「くそ……!」ドサッ!

 

宇宙人は志半ばといった感じの武将の如く倒れた。あとはこれを始末するだけね。

 

恵理「お、終わったの……?」

 

未来「ええ、とりあえずはね」

 

私は宇宙人の死骸を跡形もなく処分した。

 

一見宇宙人側が全滅したと言ってもそれはあくまでも一時的にという事。こうして戦いに勝利しても鈴音達が宇宙人達の基地を破壊しなければ意味がないし、そもそも私達が隠れている基地の方に宇宙人達が殴り込みに来ないという保証もない。

 

だからこれは始まり……いえ、始まりにすらなっていないプロローグね。




今回はここまでです。

次回、基地に戻ったら……。


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第71話 基地に帰ると……

今回もよろしくです。


埋め立て地にある宇宙人の基地を破壊して、南西にある私達の基地に戻ってきた。小波さんは来るべき最終決戦に向けての準備があるらしく1度自分の所に戻った。

 

堀北「あの廃ビルにクラスの皆がいるのね……」

 

十一郎「ああ。Dクラスの殆んどがそこを基地にして避難している」

 

ちなみに堀北さんは皆が戦っているなか私と一緒に休んでいたよ。彼女1人で地下10階まで来たからね。私の指示で休んでもらった。他の皆も納得してくれたしね。

 

有栖「おや?基地の前に大勢いますね」

 

ホンフー「私達出迎えている……といった感じでもなさそうですね」

 

坂柳さんとホンフーさんが言うように基地の前に大勢いるのだが、どう見ても出迎えの雰囲気じゃないよね。3匹の宇宙人がいるし……。

 

堀北「宇宙人達と戦っているのはAクラスの榎本さんを筆頭にして……あとはDクラスの人達と1人の大人ね。クラスメイトは堤君、越後君、大神君、白瀬さん。大人の人は誰かの知り合いかしら……?」

 

梨子「ねぇねぇ!あたし達も混ざろうよ。このパーティーに!」

 

十一郎「なんでおまえはそんなに楽しそうなんだ!?」

 

真澄「とは言え石川の言う通り私達も加勢した方が良くない?」

 

有栖「そうですね。鈴音さんはどう思いますか?」

 

鈴音「そうだね。此処は多勢に無勢を利用して素早く終わらせようか」

 

実は私のこの発言は第63話以来の台詞である。現実では数十分ぶりだけど、体感時間では7話ぶりだよ。ずっとモノローグばっかりだった。未来は台詞多めなのに……!私は主人公なのに空気の時間がかなり続いていた怒りを基地前の宇宙人にぶつける事にする。

 

 

バキッ!

 

 

「だ、誰だ!?」

 

鈴音「通りすがりの地球人だよ」

 

まぁ君達が屯しているその廃ビルは私達の基地だから早めに退いてもらえると有難いけどね。

 

大神「余所見している暇があるのか宇宙人め!!」

 

「ちっ……!」

 

凄いなあの宇宙人。大神君と榎本さんの斬撃、白瀬さんと椿さんの銃弾、堤君のトラップ、越後君の格闘術を全て捌いている。

 

榎本「あとは貴方だけよ」

 

あっ、よく見たら他の宇宙人が横たわっている。

 

「くそっ!これで勝ったと思うなよ!!」

 

 

ボンッ!

 

 

宇宙人は煙を出して目を眩ませた。

 

十一郎「げほっ!げほっ!」

 

有栖「煙幕のつもりでしょうか?」

 

鈴音「みたいだね」

 

煙が晴れると案の定宇宙人は姿を消していた。不思議な事に横たわっていた宇宙人数匹もいなくなっている。あの宇宙人達とは数日の内にまた戦い合う事になるかもね。

 

唐沢「おい!何かあったのか?」

 

基地の中から唐沢教授が出てきた。

 

鈴音「特に何もありません。それぞれ分担で鍛練をしてた帰りです」

 

唐沢「そうか……」

 

……そういえば唐沢教授は第8話以来で64話ぶりの登場だったね。私が出番どうこう言うのは甘えかもしれない。

 

未来「……何をくだらない事を思っているのよ」

 

等と思っていたら丁度未来達も帰って来た。

 

鈴音「おかえり」

 

未来「ええ、只今」

 

よく見ると未来以外の人達は無茶苦茶疲弊している。私達の所も結構大変だったけど、未来達の所はまた別で大変だったんだろうね。

 

未来「鈴音は元気そうね」

 

鈴音「まぁ体力にはそこそこ自身があるよ」

 

装備品の効果込みだけど。

 

未来「ではこれからたっぷりとしごいてあげるわ」

 

鈴音「ゑ?」

 

未来「私の事を阿修羅だと思っていたものね。なら私は阿修羅らしく貴女を鍛えて成長させるべきだと思うのよ」

 

待って待って。そもそもその場に未来いなかったのになんでわかるの?

 

未来「言い訳は無用よ。どうせ基地でも死にかけたのでしょう?」

 

ごもっともです……。私は未来にドナドナされる形で倉庫へと連行された。

 

堀北「クラスメイトが全員いると思ったのに、櫛田さんがいないわね。平田君達のグループや須藤君達の事は小波君や落田君に聞いたのだけれど……」

 

この時の私は堀北さんの呟きが耳に入る事はなかった。堀北さんの発言が更なる事件を生む事を知らずに……。




今回はここまでです。では久し振りにステータスを載せます。今回載せるのは神室真澄、榎本梨子、堀北鈴音のステータスです!アルベルトのステータスは次回以降になります……。


神室真澄

体力 7

力 8

器用さ 6

素早さ 9

精神 7


得意武器 刀剣

苦手武器 キャノン


特殊行動 なし


スキル 反撃 警戒 暗視


榎本梨子

体力 6

力 7

器用さ 7

素早さ 8

精神 11


得意武器 刀剣

苦手武器 なし


特殊行動 思考(1ターン目に発動。5ターンの間素早さダウン。攻撃力、防御力アップ。恐怖状態にならず、気絶耐性と転倒耐性が付く。敵に狙われやすくなる)


スキル 警戒 反撃 底力


堀北鈴音

体力 5

力 7

器用さ 7

素早さ 10

精神 9


得意武器 刀剣 格闘 ハンドガン

苦手武器 なし


特殊行動 思考 フロントステップショット


スキル 反撃 逆手 警戒



次回、仲間達とのトークタイム!


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第72話 どんな大企業も当初は小さい会社である。

今回もよろしくです。


私達は現在モールにて食料調達をしている。面子は小波君、坂柳さん、神室さん、榎本さん、椿さんである。

 

十一郎「椿さんってどんな仕事をしているんですか?」

 

椿「あん?……一応小さい会社の社長をしている」

 

確かそれはフェイクで本当はスパイなんだっけ?

 

有栖「一応……という事は別に本職があるという訳ですね」

 

椿「……目敏いガキだな」

 

本当にね。坂柳さんは察しが良いから、右腕ポジションとして優秀だよ。まぁ未来程ではないけどね。

 

十一郎「じゃあ本当はどんな仕事を?」

 

椿「スパイだよ」

 

あっけらかんと正体を話す椿さん。隠す必要性がないからかな?

 

真澄「……冗談でしょ?」

 

榎本「本当よ。椿さんは……」

 

椿「榎本、話すなら俺のいないところでしてくれ」スタスタ

 

榎本「す、すみません!」

 

続きを話したくないのかな?それとも他の人に話されるのが嫌なんだろうか?椿さんは席を外す。

 

十一郎「ど、何処に行くんですか!?」

 

椿「雉を撃ちに行くだけだ。心配しなくても余計な事はしねぇよ」

 

そう言って椿さんは歩いていった。

 

十一郎「雉を撃ちに……って椿さんは一体何処に行ったんだ?」

 

ちなみに雉を撃ちに行くというのは女性で言うところの花摘みに行くのと同じ意味だから覚えておくと便利だよ!

 

有栖「それよりも榎本さん、続きを聞いても良いですか?」

 

榎本「……椿さんは様々な組織のスパイとして活動しているわ。小さい会社というのは活動が安定して出来るように造られた所謂活動拠点ね」

 

真澄「安定して……?」

 

榎本「ええ、私はその御手伝いをしてるの」

 

中学生の榎本さんがスパイの手伝いか……。なんか二次元の主人公とかにありがちな展開だね。

 

榎本「……でもこの町ではもうこれ以上活動を続けられそうにないわ」

 

十一郎「どういう事だ?」

 

榎本「私が失敗したのが原因なんだけど、その失敗のせいで信頼を失ってしまったの。椿さんは私を責めなかったわ。でも私はそういう訳にはいかない……。次こそは失敗を取り戻してみせる」

 

中々壮大なストーリーだねぇ……。ん?なんか気になる事が出来たんだけど。

 

有栖「この町では活動を続けられそうにないと言いましたが、榎本さんはこの町から離れるつもりですか?」

 

榎本「そうね。その事に椿さんは反対しなかったわ。次は任せるとも言ってくれた。それで2人で次のプランニングを考えていたら……」

 

真澄「今の状況に遭遇した……と」

 

榎本「うん……」

 

それにしても凡そ中学生が送る人生じゃないよね。多分榎本さんにも何か闇があると思うんだよね。

 

十一郎「そういえば榎本は男に対する警戒心が強いよな。今の俺にもそうだし……」

 

有栖「榎本さんはクラスでも男子生徒を寄せ付けませんからね。恐らくですが、過去に男性関係で何かあったのでしょう」

 

多分榎本さんは男性不信なんだろう。今も小波君には一定以上の距離を取っているしね。でも……。

 

真澄「でもその割には椿さんには偉く信頼を寄せているよね」

 

神室さんの言う通り榎本さんは椿さんをかなり信頼している。それはもう援助交……げふんげふん!椿さんに仕える侍女の如し。

 

榎本「まぁね……」

 

哀愁を漂わす榎本さん。……これは相当根が深い話だね。




今回はここまでです。

次回、榎本梨子は語る。自身や椿の事を……。


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第73話 少女は話し、決意する

今回もよろしくです。


悲しそうな顔をした榎本さんは何かを決意した表情で語り始めた。

 

榎本「……私は2年程前に襲われそうになったの。数人の成人男性に」

 

十一郎「えっ……?」

 

2年前という事は小学6年生か。榎本さんを襲ったのは何かしら理由があるのか、はたまたロリコ……げふん!なのか……。

 

有栖「どうしてそんな事になったのですか?」

 

榎本「わからないわ。どうして私が襲われそうになったのか。それは2年経った今でも……」

 

真澄「襲われそうになったって事は未遂で済んだんでしょ?それを助けてくれたのが椿さんって訳?」

 

ああ……。そういうあれか。それなら榎本さんが椿さんに心を許しているのも理解出来る。

 

榎本「違うわ。その時に助けてくれたのは青色の変身ヒーローなの」

 

違うのかよ!……あれ?でも青色の変身ヒーロー……もといブルーの正体って確か椿さんだという説があるよね?後半からジオットにヒーロースーツをパクられていたけど。

 

十一郎「どういう事だ?椿さんと何か関係あるのか?」

 

榎本「……私と椿さんが出会ったのは事件の3日後で、私は男性に不信を抱いていたんだけど、何故か椿さんからはあの青色の変身ヒーローと雰囲気が類似してたの」

 

という事は少なくともこの世界ではブルー=椿さんという方程式が成り立つね。

 

榎本「そして小学6年生だった私はもうあんな事にならないように強さを求めた……。それで椿さんに頼み込んだの。自分の身を守れるようにもっと強くなりたいって……。そうしたら椿さんは何も言わずに私に身を守る術を教えてくれた。スパイとしてのいろはもね」

 

鈴音「それで今の榎本さんがいる……って訳だね」

 

榎本「そうなるね。でも椿さんは違う……」

 

一呼吸置いた榎本さんは次に椿さんの話をする。

 

榎本「椿さんは組織に全てを注いだわ。理想も青春も自分の全てを……。でもある日組織は壊滅したの。それ以来帰る故郷がない椿さんはずっと戦い続けているのよ」

 

十一郎「……椿さんは戦い終える事は出来ないのか?」

 

榎本「止める気がないのよ。……そして私はそれに着いていく。ずっとずっと……」

 

真澄「でも普通子供が危険に晒されるんじゃ親は止めるよね?」

 

確かに神室さんの言う通り実の娘が危険な目に遭うのなら何が何でも止めなければならない。でも……。

 

有栖「それは心配ないでしょう」

 

真澄「どういう事?」

 

有栖「もう既に榎本さんは親が反対意見を出すのをわかっている筈です。そうでなければ榎本さんは今こうしていない。そうですよね?」

 

榎本「うん……。坂柳さんの言う通りその心配はないわ。親との縁を切って椿さんと一緒にいるの。金銭面も自分で工夫してやり取りしているし」

 

坂柳さんが言うようにとっくの昔に親元を離れて椿さんと共に行動しているのだろう。

 

榎本「……この騒動が終わったら椿さんはこの町を離れるわ。それに着いていく形で私もね」

 

決意の瞳は揺らぐ事はないだろう。椿さんと榎本さんに安らぎが来るのを祈るばかりである。アーメン。




今回はここまでです。

次回、同時刻に未来達は学校に訪れる……。


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第74話 学舎の近道は危険なり

今回もよろしくです。


未来side

 

ある時間帯、私は落田君、石川梨子、青野柴夫、霧生夏菜の5人で素材収集の休憩として学校にて昼食を食べている。

 

夏菜「いや~!今日も未来が作った昼飯は美味いな!」

 

青野「確かにな……。これで商売が出来るんじゃないか?」

 

未来「大袈裟よ」

 

まぁ料理の腕には多少自信はあるけれど……。

 

梨子「ちょっとジュース買いに行って来るね!」

 

夏菜「私も行こうかな」

 

青野「俺も喉が渇いたし、行くか響と落田はどうするんだ?」

 

未来「私は待っているわ。大勢で行くものでもないでしょう」

 

落田「オイラも待っているでやんす」

 

梨子「じゃあ行って来るねー!」

 

石川梨子が先頭になってあとの2人がそれに着いていく。そして私は落田君と2人になった。

 

落田「それにしても女子2人は元気でやんすね。青野も大変でやんす」

 

未来「そうね。でも嫌がっている様子もないみたいだし、良いのではないかしら?」

 

落田「そういうものでやんすかね?」

 

それにしても石川梨子が小波君と別行動というのも珍しいわね。

 

……ん?石川梨子、落田君と2人、学校。何故か嫌な予感がするのは私だけかしらね。

 

落田「じゃあ七不思議の続きを話していくでやんす」

 

未来「何を持ってしてじゃあなのかしら……」

 

またこの展開なのね……。40話も間が空いたから、てっきり打ち切りだと思ったのだけれど……。もう学校に寄るのは止めようかしら?

 

落田「……この学校には秘密裏にされている道があるらしいでやんす」

 

秘密裏の道……。恐らく今石川梨子達が飲み物を買いに行くのに使っている道の事ね。

 

落田「その道を通った者は酷い目に遭うと言われているのでやんす……」

 

未来「酷い目とは何なのかしら?」

 

落田「わからないでやんす」

 

未来「えっ……?」

 

落田「この七不思議は目撃情報が皆無で、見た人は存在を消されるんじゃないかと言われているくらいでやんす。だから皆この不思議には近付こうとは思わないんでやんすよ」

 

……それは単に利用者がいないだけでは?

 

梨子「何々?何の話!?」

 

落田「わっ!随分と早いでやんすね……」

 

確かに……。出ていって3分も経ってないわよ?

 

夏菜「梨子が秘密の近道を使ったからすぐだったよ」

 

青野「ああ。だが……」

 

落田「だが……?」

 

 

ゾロゾロ。

 

 

梨子「沢山ハタ人間に見つかっちゃった♪」

 

落田「そんな笑顔で言う事じゃないでやんす!」

 

……今回のオチは石川梨子達が秘密裏の道を通ったから、その代償としてハタ人間がハタを立てに……もとい本来の自分という存在が消される訳ね。

 

前回のオチは田中深雪が攻めて来て、今回は大量のハタ人間に見つかる……。本格的に七不思議のオチが変わり始めているわね。これは本格的に7つ目の災い対策も考えておくべきね。




今回はここまでです。

次回、アメリカから来た男は目的を語る……。


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第75話 野球大好きなアメリカ人は己の目的を語る

今回もよろしくです。


私達は今公園で野球の練習をしている。……何故?

 

唯「ほらほら!手が止まってるよ大宮さん!」

 

私女子だよね?

 

十一郎「なぁ唯、なんで俺達は公園で素振りをしてるんだ?」

 

唯「なんでって……?こんな事態でも野球の練習は休んだら駄目でしょ?小波君達が練習すれば他の皆もそれに触発されて野球をやりたくなるかもしれないじゃない!」

 

うんうん、こんな事態でも一生懸命練習をすれば皆も野球をやりたくなるかもしれないよね。……だからなんで私まで?

 

こんな事になったのは今から30分前の事……。

 

 

~回想~

 

今回は私と小波君、坂柳さん、神木さん、そして未来が仲間にしてきたアルベルトさんの5人で行動している。

 

十一郎「そういえばアルベルトさんはアメリカから来たんですよね?」

 

アルベルト「そうでーす!」

 

唯「日本に来たのは何か目的があるんですか?」

 

アルベルト「イエス!私は野球を全国に広めるために色々な国回ってます」

 

なんともアルベルトさんらしい……。

 

十一郎「でも日本って野球はメジャースポーツだよな?」

 

アルベルト「確かに日本の野球は独自のやり方があって面白いです。でもまだ足りません」

 

有栖「足りないと言いますと?」

 

アルベルト「野球はもっともっとメジャースポーツになるべきスポーツです。アメリカでは皆野球やりたいという程の人気になりました」

 

それヤバくない?アメリカ人洗脳されてないよね?

 

アルベルト「ですので、日本もメジャースポーツといえばサッカーより野球だという事を知らしめまーす!老若男女皆野球をするべきです!それが私がアメリカから日本に来た理由です」

 

この発言に神木さんの火が点いた。

 

唯「良いですね!じゃあ早速私達も野球をしましょう!」

 

鈴音「ゑ?」

 

十一郎「ゑ?」

 

アルベルト「オウ!素晴らしいでーす!」

 

唯「早速公園へレッツゴー!!」

 

という訳で私と小波君は神木さんにドナドナされていったのである。坂柳さんは暖かい目で見守っていました。

 

 

~現在~

 

しかも私の場合はこの騒動終わったらいなくなるのに、なんで練習しなくちゃいけないの?

 

鈴音「999、1000……っと」

 

十一郎「やっと素振りが終わった……」

 

回想シーンに入っている間に素振り1000回が終わった。しかも……。

 

有栖「皆さん、ハタ人間が此方に来ます」

 

十一郎「またか……」

 

素振りの最中に何回もハタ人間が来たもんね。そりゃこんな公園のど真ん中で素振りしてたらハタ人間に見つかるよね。

 

唯「じゃああのハタ人間達を倒したら次はシャドウピッチングね」

 

十一郎「まだやるのか!?」

 

唯「当然!!」

 

この数時間の間私達は神木マネージャー(鬼)の元でハタ人間と戦いながら野球の練習をした。

 

 




今回はここまでです。

次回、憑依した少女は……。


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第76話 転生豚女郎は憑依少女の夢を見ない

今回もよろしくです。


今回は私、未来、坂柳さん、白木さんの4人。今何をしてるのかと言うと……。

 

鈴音「ちょっ!待っ……!」

 

未来「はぁっ!」ドゴッ!

 

鈴音「ぐふっ……!」

 

未来にしごかれています……。しかも今無茶苦茶痛い腹パンを喰らいました。

 

恵理「ひ、響さんの鍛練って思いの外ハードなのね……」

 

有栖「これくらいやらなければ宇宙人達には勝てないという事でしょうか?」

 

2人共見てないで止めて!!

 

 

~そして~

 

未来「一先ず休憩にしましょうか」

 

鈴音「し、死ぬかと思った……」

 

さっきもらった腹パンがまだ痛む……。

 

有栖「鈴音さん、大丈夫ですか?」

 

鈴音「……まぁ少し疲れてるけど、休めば問題ないかな」

 

未来「それなら休憩はもう終わりでいいかしら?」

 

鈴音「嘘ですごめんなさいもっと沢山休みたいです」

 

そもそも休めば問題ないとは言ったけど、少しは休ませてよ!

 

恵理「…………」

 

有栖「どうかしましたか?」

 

恵理「……少し大宮さんと響さんに聞きたい事があるのよ」

 

鈴音「どうしたの?」

 

未来「私にもかしら?」

 

白木さんが私と未来に質問とは珍しい。……とはいえ私と未来が同時に行動してる事って滅多にないもんね。なら聞けるのは今の内って訳か……。

 

恵理「2人はその……2人が元いた世界から気が付いたら別の世界に飛ばされていたって言ってたわよね?」

 

鈴音「そうだね」

 

ああ、そういう質問ね。まぁ白木さんと坂柳さんは私と未来の境遇を知ってるし、白木さん自身も人格だけが『白木恵理に乗り移った』所謂憑依状態だから似た境遇の私達の話を聞きたいのだろう。

 

恵理「……2人は元いた世界に帰りたいって思った事はあるかしら?」

 

鈴音「まぁね。今でも元の世界に帰る為にこの世界でやらなきゃいけない事をやってるよ」

 

恵理「それが元の世界に帰る為の条件って事かしら?」

 

未来「概ねその認識で間違ってはいないけれど、私と鈴音ではその条件が違うのよ」

 

そういえば未来は大神官の元で育てられたんだよね。だから大神官が与える試練をクリアしていくのが恐らく元の世界に帰る為の条件だろう。

 

私の場合はほぼ行き当たりばったりで行動していたから、とにかく生きるというのがのが強いて言うとその条件なのかもしれないね。

 

恵理「そう……。凄いわね貴女達は。私はそんな風には考えられないわ。私という存在が私のいた世界から消えるのが、本来の白木恵理の存在が消えるのが怖いの……!」

 

涙を浮かべて声を震わせて白木さんは語る。

 

未来「落ち着きなさい」

 

恵理「でも……でも!」

 

未来「そうやって泣いていても何も始まらないわ。そもそも私達と貴女では似てはいてもそれは全く違うものよ」

 

恵理「……でも越後君はもう今の境遇を受け入れている……いえ、あれは諦めていると言っても過言じゃないわ」

 

……この世界の越後君は本格的に条太郎と共に生きるらしい。その事も含めて彼とも何れ話しておいた方が良いのかな?

 

鈴音「……それは多分越後君の精神って言えば良いのかな?それの帰る場所が失くなっているかもしれないよ」

 

恵理「それって……」

 

鈴音「本来の人格が死んでいるのかもわからない……。もしかしたら彼の世界で生きるのが嫌になった可能性もある」

 

恵理「…………」

 

鈴音「でもそれと白木さんが諦めるのは何も関係ないよ。白木さんは白木さんだからね」

 

恵理「私は私……。そうね。もう少し足掻いてみるわ」

 

うん、なんとか納得してくれたみたいだ。そう思っていると未来が私に呟いた。

 

未来「流石鈴音。豚女郎ね」

 

何故か豚女郎呼ばわりされた。解せぬ……。




今回はここまでです。

次回、トイレにはそれはそれは……。


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第77話 トイレの越後君

今回もよろしくです。


未来side

 

先程の道の話を聞いた直後に越後竜太郎が学校に来た。

 

落田「え、越後!?どうして此処にいるでやんすか!?」

 

越後「俺がいちゃいけないのか?少し学校に用があるだけだ。それよりも青野達はどうした?確かおまえ達と行動してたよな?」

 

未来「彼等は家庭科室へ行ったわ。恐らく霧生さんの付き合いでしょうね」

 

越後「成程な……」スタスタ

 

落田「何処に行くんでやんすか!?」

 

越後「……雉を撃ちに行くんだよ」

 

そう言って越後竜太郎は歩いていった。

 

落田「雉を撃つって……。あいつは何をしに何処へ行ったんでやんすか?」

 

未来「雉を撃ちに行く……というのは男性が御手洗いに行く時に使われる表現ね」

 

御手洗いに行く時に男性は雉を撃つ、女性は花を摘むと言うらしいわね。

 

落田「トイレならそうと言ってほしいでやんす……」

 

未来「デリカシーに欠ける言葉は慎んだのでしょう。大人になったらそういった気を遣う表現を用いる事があるから覚えた方が良いわよ」

 

落田「そういうもんでやんすか?」

 

未来「そうね」

 

……そういえば私と落田君の2人切りじゃない。このままだとまた七不思議を語られてしまうわ。確か次は5つ目だから……!成程ね。だから越後竜太郎は学校に来たのね。恨むわよ。

 

※違います。

 

落田「……トイレと言えば七不思議の5つ目がトイレに纏わるものでやんす」

 

……始まってしまったわ。4つ目を聞いてからまだ1時間も経っていないじゃない!

 

落田「この学校の3階奥の男子トイレから何やら呻き声が聞こえるらしいでやんす」

 

未来「呻き声?」

 

確かその声の正体は越後竜太郎の『バッチコイ』だったわね。本来ならその通りに進むけれど、今の越後竜太郎は人格が変わってしまっているから……いえ、先程越後竜太郎が何処かに行った事を考えると元はやはり彼で合っているかもしれないわ。

 

落田「そうでやんす。なんでも『……だぜ』とそれは呟きにも近い呻き声なのでやんす」

 

……それは単に彼が『やれやれだぜ』と言っているだけでしょうね。

 

落田「だからその正体が寡黙で学ランを来た渋い男の幽霊だと言われているらしいでやんす……」

 

未来「何故そんなに具体的なのかしら……」

 

その条件は完全に空条条太郎が当てはまるわね。今の越後竜太郎の人格はそれそのものだけれど……。

 

越後「……戻ったぞ」

 

未来「何処まで行っていたのかしら?」

 

越後「詳しくは秘密だが、俺しか使われていない場所だ」

 

落田「越後しか使われていないってどういう事でやんすか?」

 

越後「何故俺しか使われていないのかはわからん。だが、そこは何か不気味なものを感じたぜ」

 

……もしかしたら今の越後竜太郎には近寄りにくい感じがするからなのかもしれないわね。

 

以前白木恵理が彼は一部の人達を除いた皆が彼から一定距離以上は近付かないと聞いた事があるから、そのトイレも彼しか使わないのでしょう。謂わば『越後竜太郎専用トイレ』と言ったところね。




今回はここまでです。

次回、鈴音達はピコピコ動く少女を発見する……!


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第78話 段ボールの妖精

今回もよろしくです。


埋め立て地にある宇宙人の基地を破壊した私達はメンバーを何人か入れ換えて北公園の入口まで来ている。

 

ホンフーさん、堀北さん、小波さんが離脱して代わりに白木さんが加入している。

 

今誰か走っていったね。誰かマデハわからなかったけど……。

 

???「」タタタッ!

 

十一郎「あれ……?」

 

恵理「どうしたの?」

 

十一郎「今誰か走っていったような……」

 

真澄「見間違いって事はないの?」

 

一瞬の擦れ違いだから見間違いの可能性だってあるかもだけど……。

 

鈴音「それはないと思うよ。私も誰かが走っていったのを見たからね」

 

十一郎「……でも誰がいるんだろうか?」

 

鈴音「それは行ってみたらわかるんじゃない?」

 

ちなみに先程走っていったのは恐らく高坂茜(こうさかあかね)だろうね。彼女は緑髪で、パワポケ彼女バッドエンドランキング2位(パワポケ12時点)の幼女である。

 

彼女は幼いながらも段ボールハウスを建築するという凄腕でもある。何気にハイスペックだよね……。

 

十一郎「……そうだな。誰が走っていったのかは知らないけど、俺達は1人でも多くの人達を救出するんだ!」

 

恵理「でもどっち方面に行ったのかしら……?」

 

鈴音「真っ直ぐに走っていったから、右奥か左奥か中央奥だね。何れにせよこの公園をぐるっと回って行ったら見つかるよ」

 

十一郎「よし、俺達も奥へと進もう!」

 

小波君の掛け声によって私達は奥へと進んでいった。

 

 

~そして~

 

私達は右奥にて擦れ違った少女、高坂茜を見付けた。

 

十一郎「あれ?彼処にいるのは茜か……?」

 

梨子「ん~?あっ、本当だ」

 

真澄「知り合いなの?」

 

十一郎「ああ、俺と梨子と夏菜と白瀬は茜と交流があるんだよ」

 

梨子「でもあの子何故かあたしを敵視してるんだよね~。なんでなんだろ?」

 

トラブルメーカーの石川さんは敵を作りやすいけど、他にも理由がありそうだよね。高坂さんの場合は……。

 

十一郎「お~い!茜!」

 

茜「っ!」ビクッ!

 

うん?なんか怯えてない?気のせい?

 

茜「こ、この声は十一郎お兄ちゃんの声です!でも茜は騙されません……。きっと十一郎お兄ちゃんも他の人達と同じように茜にハタを立ててきます!!」タタタッ!

 

そう言って高坂さんは逃げ出した。

 

十一郎「えっ……?なんで逃げられたんだ?」

 

鈴音「小波君、彼女に何かしたの?」

 

十一郎「……いや、身に覚えはないぞ?」

 

でもなんで高坂さんは逃げたんだろう?ハタを立てられると思ったから?

 

有栖「先程の子は小学校低学年くらいでしたね。成程……。小波君はロリータコンプレックスかペドフィリアの疑いがありますね」

 

十一郎「何を言ってるんだ坂柳!?」

 

梨子「へぇ~!」

 

十一郎「な、なんで梨子は目を光らせているんだ!?」

 

この後の小波は石川さんによって悲惨な目に遭ったとだけ言っておこう……。




今回はここまでです。

次回、鈴音達は茜が所有しているあるものを見付ける……。


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第79話 コレイエジャナーイ!

今回もよろしくです。


私達は突然逃げ出した高坂さんを追う為に、彼女が行きそうな場所を歩いていた。

 

十一郎「茜は公園が好きだからな。逃げ込んだ先は南公園だったって事もある」

 

小波君が先頭になって南公園前まで着いた。そして見覚えがあるアホ毛ピコピコ少女を見付けた。

 

茜「」タタタッ!

 

十一郎「いたっ!茜だ!」

 

鈴音「早いところ救出しないとハタ人間にされてしまうから急がなきゃね」

 

十一郎「勿論だ!」

 

有栖「この執着……。やはり小波君はロリ……」

 

十一郎「違う!!」

 

この漫才みたいなやり取り毎回やるのかな……?

 

 

~そして~

 

私達は南公園を1周してきたんだけど……。

 

鈴音「誰もいないね」

 

十一郎「可笑しいなぁ……。確かに見たんだが」

 

真澄「そもそも本当にその子を見たの?小波と大宮さん以外は誰も見てないんでしょ?」

 

神室さんの言う事は尤もだ。さっき北公園で見た時もそうだったけど、実際に高坂さんを見たのは私と小波君だけで、しかも殆んど一瞬だったから見間違いの可能性だって……。

 

梨子「ねぇねぇ!彼処になんかあるよ」

 

石川さんが指差した先に何やら家のようなものがあった。

 

十一郎「な、なんだこれ……?」

 

有栖「……段ボールで造られた家ですね」

 

いやいや、コレイエジャナーイ!っていうシーンでしょ?私知ってるよ?有名だったもん。

 

真澄「それにしても結構しっかり造られているわね……」

 

恵理「そうね。小波君が言っていたような子供なら、その時点にしては物凄い技術者よ」

 

確かに……。

 

梨子「ん?なんだろ……」グイッ!

 

 

ガラガラガラッ!

 

 

突如段ボールハウスが音を立てて崩れた。えっ?何があったの?

 

十一郎「お、おい!何やったんだ!?」

 

梨子「なんか糸みたいなのが出てたから引っ張っただけだよ」

 

どうやら石川さんが段ボールハウスに付いてた糸を引っ張った事によって崩れたようだ。あの糸は所謂支柱的存在だったんだろうね。

 

梨子「まぁ良いや。ねぇ、これって素材になるんじゃない?」

 

鈴音「……そうだね。この状態の瓦礫を必要とはしないと思うし、貰っておこうか」

 

恵理「……良いのかしら?」

 

白木さんが本当に良いのかと思っているけど、仕方ない。だって私達以外にとっては只のガラクタだもんね。

 

鈴音「とりあえず此処にはいないみたいだし、また後で北公園の方にも行こうか」

 

十一郎「……そうだな」

 

私達は一旦此処に出る事にした。

 

 

~そして~

 

茜「やっと食料を調達出来まし……ってええ!?どうして茜の家が無惨な姿をしているんですか!?泥棒さんでしょうか……?でも茜の家には何も盗る物はありませんよ?」




今回はここまでです。

次回、鈴音達は遂にピコピコ少女を保護する……!


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第80話 アホ毛は都市伝説ではなくきちんと実在する

今回もよろしくです。


その後私達は北公園に戻り、高坂さんを見掛けては追い掛けて、奥に辿り着いたと思ったらまたまた段ボールハウスを見付けた。

 

十一郎「こ、此処にもあるのか。茜ハウス……」

 

恵理「さっきの家と負けず劣らずの出来映えね……」

 

まさに職人芸といえる仕上がりの段ボールハウスがそこにはあった。

 

梨子「ねぇねぇ!此処にもなんか色々落ちてるよ」

 

石川さんがそう言うので、見てみるとガラクタや鉄、銅等が色々あった。

 

鈴音「よし、全部回収しておこう」

 

梨子「了解!」

 

十一郎「お、おいおい!勝手に持って行ったら駄目なんじゃないか!?」

 

鈴音「問題ないよ。多分高坂さんも使用方法がわからない物ばかりだと思うし、寧ろごちゃごちゃと散らかった物を私達が片付けてあげようという優しさだよ」

 

よく親がやるよね。自分で片付けないから無理矢理処分する事によって部屋の片付けを済ますの。まぁ私は自己責任って事で自由気ままにやったけどね……。

 

有栖「流石鈴音さんですね。部屋の整頓と素材の回収を同時に実行するとは」

 

はっはっはっ。そうだろう?……うん、ごめん高坂さん。とりあえず心の中で謝っておくね。

 

鈴音「じゃあ回収が終わったら1度此処を出ようか」

 

そんな訳で私達は北公園を1度出た。

 

 

~そして~

 

再び帰って参りました北公園!……まぁ1度出てから15分くらいしか経ってないけどね。

 

茜「」タタタッ!

 

十一郎「いた!」

 

真澄「うん、今度は私達も見た」

 

有栖「元気そうな女の子ですね」

 

恵理「私も見たわ」

 

梨子「間違いなく茜だったね」

 

どうやら今回は全員高坂さんを見たようだ。私もちゃんと目撃しました!

 

鈴音「じゃあ今度こそ高坂さんを保護しようか。ハタ人間にならない内にね」

 

十一郎「ああ!」

 

有栖「このやる気。やはり小波君はロ……」

 

十一郎「言わせないぞ!!」

 

……この漫才も3度目にして恒例だよね。

 

 

~そして~

 

北公園奥へと到着!

 

茜「や、止めてください!」

 

着くなりいきなり不味い状況と遭遇しました……。

 

「へっへっへ……。お嬢ちゃんもハタを立てて一緒に気持ち良くなろうぜ!」

 

茜「嫌です!茜はそんなものを立てられたくありません!!」

 

……しかもあのハタ人間ヤバい事口走ってるんだけど?

 

有栖「どうやらあのハタ人間も小波君と同じ性癖を御持ちのようですね」

 

十一郎「……何時になったら俺の疑惑は解消されるんだ?」

 

鈴音「はいはい、漫才は後にして今は彼女を助けるよ」

 

十一郎「そ、そうだな……」

 

という事でハタ人間に立ち向かいます。

 

 

~そして~

 

ハタ人間を倒すと、小波君がいの一番に高坂さんの元へと走り出した。

 

十一郎「茜っ!」

 

茜「じ、十一郎お兄ちゃん!」

 

十一郎「無事で良かった……」

 

茜「茜、とても怖かったです。さっきもあの人に変なものを立てられそうになりましたし……」

 

えっ?あの人ハタを立てようとしてたんじゃないの?

 

十一郎「もう大丈夫だ。俺達と一緒に安全な場所に避難しよう!」

 

茜「はいっ!」

 

高坂さんは嬉しそうに頭のてっぺんにあるアホ毛をピコピコ動かしていた。

 

……アホ毛って都市伝説かと思った。




今回はここまでです。

次回、茜は意外な人と交流があった……。


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第81話 高坂茜の人脈は意外なものである

今回もよろしくです。


高坂さんを連れて基地に戻った私達は一先ず休む事にした。

 

茜「此処がお兄ちゃん達の秘密基地ですか!?」

 

十一郎「あ、ああ……」

 

茜「凄いです!」

 

高坂さんは基地を見るなり興奮してるのかアホ毛がピコピコ動いている。……本当にあれってどんなメカニズムなんだろうね?

 

未来「帰ったわ」

 

アホ毛ピコピコ少女を観察していると未来が帰って来た。 そういえば未来はパライソ中学七不思議を静聴してるんだっけ?

 

鈴音「おかえり」

 

未来「次出る時は貴女にも来てもらうわよ」

 

鈴音「えっ?」

 

もしかして前に未来が言っていた7つ目の災いが関係してるのかな?あれは1日1つの話を聞く流れだから今頃だと6つ目……いや、下手したら次が7つ目かもしれないね。

 

茜「あっ!未来お姉ちゃんです!!」

 

十一郎「えっ?」

 

鈴音「えっ?」

 

未来「あら、茜じゃない」

 

なんで未来が高坂さんと知り合いなの……?

 

茜「未来お姉ちゃんも十一郎お兄ちゃん達と一緒だったんですね!」

 

未来「ええ。とは言っても私は殆んど別行動だけれど」

 

それよりも未来は何時高坂さんと知り合ったの?

 

十一郎「響さんは何時から茜と知り合いだったんだ!?」

 

小波君も同じ事を思っているようで、未来に訪ねる。

 

未来「私が度々1人で行動していた時があったでしょう?その際に時々茜と会っていたのよ」

 

十一郎「それなら茜を保護しても良かったんじゃないか?」

 

未来「それは……」

 

茜「茜が自分で、1人で行動したかったからそうしたんです!」

 

十一郎「茜!?」

 

未来が理由を話そうとすると、高坂さんが遮って大きな声で叫ぶ。

 

茜「……未来お姉ちゃんも最初は茜を保護しようとしていました。でもその時は初対面でしたし、お姉ちゃん自身が信用出来ないだろうからって茜に選択権をくれました。その時の茜は状況に怯えて初対面の人にハタを立てられるって思ってしまって、1人で大丈夫だと言ったんです」

 

十一郎「そ、そうなのか……?」

 

案外逞しいな高坂さん……。

 

茜「それでも未来お姉ちゃんは茜に親身になってくれました。その姿は宛らリンお姉ちゃんみたいでした……」

 

リンさんか……。私の好きなキャラの1人じゃないか。あの人に今後会う事はあるのだろうか?

 

未来「……別に大した事はしてないわ」

 

鈴音「そういえば何かしたんだっけ?」

 

茜「はい!未来お姉ちゃんには茜1人でやっていけるように護身術や、段ボールで造れるお家の造り方を教えてもらいました!」

 

鈴音「……そんな事したの?」

 

未来「……一応ね。自衛手段としてこの騒動が終わるまでは安全な段ボールハウスを北公園に設置しておいたと思うのだけれど」

 

……うん?

 

鈴音「北公園にあった段ボールハウスって未来が造ったの?」

 

未来「ええ、その後茜に段ボールハウスを造った素材が欲しいと言っていたので、一式渡しておいたわ」

 

茜「そして南公園で茜はお家を造りました!……でも泥棒さんに荒らされて滅茶苦茶になっていました」

 

未来「恐らく補強が足りなかったのでしょう。解れた糸が出ないように組み立てなければ誰かが引っ張った瞬間に崩れるわよ」

 

茜「はい……。泥棒さんにしてやられました」

 

ちなみに犯人は石川さん。

 

茜「それに比べてお姉ちゃんの造ったお家は流石です!あんな丈夫なお家を茜は何時か造りたいです!!」

 

……未来が造った段ボールハウスの素材、全部回収しちゃったけど、問題ないよね?

 

未来「……一応彼処にある素材は茜が余らせた素材だから好きなだけ持ち帰っても大丈夫な筈よ」

 

うん、そういう事なのです頂き申した!

 

その後高坂さんは交流のあった人達と和気藹々と話していた。




今回はここまでです。

次回、学校の屋上に……。


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第82話 屋上は何かのスポットになりやすい

今回もよろしくです。


未来side

 

私は学校の屋上にて黄昏ている。なんとなく、そんな気分だったから……。少しナーバスになっていると落田君が屋上まで来た。

 

落田「響さん、此処にいたでやんすか?」

 

未来「……どうかしたの?」

 

落田「他の皆がそろそろ教室に合流するから響さんも来てほしいと言っていたでやんす」

 

他の皆……。確か今学校にいるのは青野柴夫、霧生夏菜、石川梨子、白瀬芙喜子だったわね。……面子から察するにこの後七不思議の6つ目を聞く事になるのでしょう?出来れば私はこのまま帰りたいわ。けれど……。

 

未来「……今行くわ」

 

行かなければいけない雰囲気には逆らえないのよね……。

 

 

~そして~

 

教室に戻った私達はそれぞれ昼食を取り、その後は各々行く場所があるとの事で今教室にいるのは私と落田君の2人になった。どうせ別行動を取るなら私を呼びに来た意味がないじゃない……。

 

落田「……じゃあ七不思議の6つ目にいくでやんす」

 

未来「だから何を持ってしてじゃあなのよ……」

 

4つ目の話でもこの切り返しだったわよ……。

 

落田「6つ目はさっき響さんがいた屋上の話でやんす。丁度今響さんが座っている席からは突然女性の顔が飛び出すらしいのでやんす……」

 

それって確か白瀬芙喜子が屋上へロープを使って登り降りしているという話だったわよね?4つ目の話も似たような内容だったのは何か意味があるのかしら……?

 

未来「その女性の顔がどうかしたのかしら?」

 

落田「……その女性は屋上から飛び降りた女生徒の幽霊だと言われているらしいのでやんす」

 

……そういえば3つ目は家庭科室の幽霊だったわね。それに1つ目は生首、5つ目は男子生徒の幽霊、形式は違えど2つ目も霊的現象だった……。存外七不思議というのは非科学的に面白可笑しく仕上げているのかもしれないわね。

 

フッキー「あんた達何をしてるの?」

 

等と考えていると白瀬芙喜子が窓から顔を出した。

 

落田「うわっ!何処から出てきたんでやんすか!?」

 

フッキー「そこの窓からよ……っと」

 

白瀬芙喜子はそのまま窓から教室に入る。……性格の割にやる事がアグレッシブね。

 

落田「そこの窓って……。一体何処に行っていたんでやんすか?」

 

フッキー「屋上よ。さっき響さんが行ってた」

 

落田「此処は2階でやんすよ?どうやって教室に……?」

 

フッキー「このロープを使って私は屋上に行き来してるのよ」

 

……この辺りも概ね同じね。この七不思議は私が小波君の立場になって聞いているのよね。次に学校に行く時はその前に基地に帰って鈴音にも来てもらいましょう。

 

鈴音がいれば坂柳有栖も共に行動するでしょうし、戦力としても申し分ないわ。

 

梨子「ねぇねぇ、フッキー!あたしにも屋上に行く近道教えてよ!」

 

フッキー「嫌よ。あんた絶対悪用するでしょう」

 

梨子「ちぇー!」

 

……そもそも貴女はショートカットの道を他にも知っているでしょう。




今回はここまでです。

次回、鈴音達は新たな仲間候補を見付ける……?


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第83話 最後のクラスメイト(真)

今回もよろしくです。


さてと……。来るべき最終日(ガンダーロボ戦)に向けて身体を鍛えておこうかな?

 

有栖「鈴音さん、どちらに行かれるんですか?」

 

鈴音「宇宙人達の次の進撃に備えて鍛えておこうかなと思ってね」

 

有栖「でしたら私も着いて行きます」

 

ですよね~。坂柳さんはそうだと思った。

 

有栖「他にも何人か集めておきましょう。強くなりたいと思っている人はまだいると思いますし」

 

ふむ……。確かに一理ある。

 

鈴音「……そうだね。連れて行く面子は坂柳さんに任せるよ」

 

有栖「わかりました」

 

坂柳さんは基地の方へと戻る。さて、どんな面子が来るかな?

 

 

~そして~

 

坂柳さんが連れて来たのは神室さん、堀北さん、榎本さんだった。ものの見事に原作(パワポケ11の裏サクセス)のキャラがいない上に、全員近接戦闘タイプ、しかも全員刀剣使いという。どうしてこうなったの?

 

有栖「基地に戻って確認したらこの3人が鍛練に好意的でしたので、連れてきました。この3人は奇しくも近接戦闘担当ですから、遠距離攻撃は私と鈴音さんの2人でやっていきましょう」

 

それはわかった。わかったんだけど、本当に好意的?なんか3人共微妙な顔をしてるけど?特に堀北さん。

 

有栖「あと堀北さんに関しては少し気になる内容を呟いていましたので、それを聞き出す為というのもあります」

 

堀北「……一体何を聞くつもり?」

 

気になる内容……?なんか言っていたっけ?

 

有栖「鈴音さんは既に気付いていると思いますが、堀北さんはこう言っていました。一部を覗いたDクラスの生徒がいるけど、櫛田さんがいない……と」

 

堀北「……聞いていたのね」

 

有栖「はい。ですので鍛練をしながら櫛田さんの行方を追って行きつつ、宇宙人達の情報を集めていこうと思いますがどうでしょうか?」

 

……ヤバい。そんな事を言ってたとか私聞いてない。多分その時は未来にドナドナされてたから、堀北さんの呟きは聞けてなかったんだ。櫛田桔梗(くしだききょう)はよう実のキャラでも私が知っている限りでは重要なポジションだから、助けられるのなら助けた方が良いよね?

 

……とは言え坂柳さんは私がこの話を知っている事を前提で話しているので、今更「私は知りませ~ん」とか言えないからね。私の為にも、私を何故か持ち上げてくれる坂柳さんの為にも……。

 

鈴音「……わかった。坂柳さんの案を採用しよう。他の3人も良いよね?」

 

堀北「……私はそれでも良いわ。1人でも助けられるならそれに越した事はないもの」

 

真澄「私と榎本は元々坂柳に引き摺られる形だったけど……。まぁ大宮さんには助けられているし良いよ」

 

榎本「うん、私も同じ」

 

どうやら坂柳さんの案は受け入れられたようだ。

 

真澄「ねぇ、あれって櫛田じゃない?」

 

神室さんが櫛田さんを発見した。回収早いな~。




今回はここまでです。

次回、櫛田を見付けた鈴音達。だが……?


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第84話 クラスメイトは裏切り者

今回もよろしくです。


神室さんが櫛田さんを見付けた。見た感じハタは立っていないけど……。

 

櫛田「…………」

 

なんか物思いに耽ってるので、物陰に隠れながら私達は様子見をしている。すると櫛田さんの表情が鋭く、険しくなった。

 

櫛田「はぁ……。どいつもこいつもまるで役に立たない」

 

……これ、ハタ立ってないよね?本性剥き出しているんだけど?

 

有栖「誰もいないのを良い事に本性を晒け出していますね」

 

堀北「あれが櫛田さんの本来の姿よ」

 

榎本「櫛田さんが何か抱えているのは察していたけど……」

 

真澄「あいつ闇が深すぎでしょ……」

 

言いたい放題だね君達……。彼女も好きでああなった訳じゃないと思うよ?私アニメしか見てないから詳しくは知らないけどさ。……その内原作を未来に貸して貰おうかなぁ?

 

櫛田「あの宇宙人達もこんな世界をぶっ壊すみたいだから協力したのに、殆んどの奴等はやられているし、埋め立て地と倉庫にある基地も壊滅してるし……」

 

しれっととんでもない事をカミングアウトしたね。彼女が宇宙人と結託してる話を聞いちゃったんだけど……。

 

櫛田「神条紫杏を味方に付ける話も失敗してるし、本当にあの塵共は使えない……!」

 

うわぁ……。毒を吐くにしろ宇宙人を使えない奴等とか塵とか言ってるよ。確かに頭は良くないけど、技術力は私達よりもあるからね。やり方を間違えなかったら3日も経たない内に世界征服されてると思うよ?

 

堀北「……神条さんが宇宙人達に?どういう事かしら?」

 

あっ、そういえば堀北さんにはこの事を言ってなかったね。神室さんと榎本さんには時期を見て説明しておいたけど……。

 

有栖「神条さんは何時も掛けている眼鏡のスペアに洗脳を施してハタ人間のリーダーだと思わせるらしいです。原理はわかりませんが……」

 

私が説明しようと思った事を坂柳さんが説明してくれる。ちなみに神条さんは貴重で保護しているよ。彼女を表舞台に出すと宇宙人達が五月蝿そうだしね。

 

有栖「しかしハタが立っていないところを見ると彼女は自ら宇宙人達に協力をしているようですが……」

 

榎本「坂柳さんも気付いた?どうにも腑に落ちないのよね」

 

この2人は何かに気付いたようだ。私も何か違和感を感じているんだよね。それが何かはわからないけど……。

 

そんな時にガサガサと物音がした。私達じゃないよ?

 

櫛田「っ!……誰!?」

 

「グルルルル……!」

 

出てきたのは真っ白なボデーに赤い目が3つ。宇宙怪物だ……。

 

櫛田「ちっ……!鬱陶しい」

 

悪態を吐く櫛田さんは懐から拳銃を取り出した。

 

 

バンッ!バンッ!バンッ!

 

 

櫛田さんが拳銃を撃つと宇宙怪物の3つの目に命中した。精度は坂柳さんと白瀬さんを足して2で割った感じかな?

 

「ガァァァァッ!」

 

真澄「ねぇ!あの怪物が此方に来るよ!」

 

嘘っ!?




今回はここまでです。

次回、鈴音達は櫛田桔梗と対峙する……!


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第85話 すずねメデューサ前編

今回もよろしくです。


3つの目を撃ち抜かれた宇宙怪物は右も左もわからずに暴走して此方に向かって来た。

 

「ガァァァァッ!」

 

 

バンッ!

 

 

襲われそうになったから銃で反撃したけど、今の銃声で櫛田さんにバレちまいました……。

 

櫛田「……そこにいるのは誰!?」

 

こりゃ誤魔化すのは難しいかなぁ……。そう思っていると堀北さんを皮切りに次々と櫛田さんの前に姿を現し、私もそれに続く。

 

堀北「終業式ぶりね。櫛田さん」

 

櫛田「堀北……!」

 

本性剥き出しモードなのか櫛田さんは堀北さんを呼び捨てに。本当にハタ立ってないんだよね……?

 

櫛田「……はぁ。何時からいたかは知らないけど、そこにいたって事は私の独り言を聞いてたって事で良いんだよね?」

 

堀北「ええ、貴女が宇宙人達と結託している事も聞かせてもらったわ」

 

櫛田「最悪……。でも此処で始末してしまえば問題ないよね」

 

有栖「堕ちるところまで堕ちましたね」

 

真澄「あんたも宇宙人達と何ら変わりないよね」

 

榎本「正直見過ごす訳にもいかないわ」

 

櫛田「わらわらと鬱陶しい……!」

 

なんかボス戦みたいな雰囲気出てるけど、本来救出するべき人物なんだよね?

 

堀北「そちらは1人、此方は5人……。観念しなさい!」

 

絵的に私達が悪役で、櫛田さんがピンチに晒されてるヒロインみたいになってるけど、逆だからね?

 

櫛田「……余り舐めないでくれない?私が多人数相手の戦いに弱いと思ったら大間違いだから」チャキッ!

 

櫛田さんが拳銃を構える。あれ?さっき使っていたやつとは違うよね?

 

櫛田「私が今持っているのは特殊な光線銃でこの銃から発する光を浴びた者は……!」

 

説明しつつも堀北さんに銃を構えて撃ちだした。危ないっ!

 

 

ズビビーッ!

 

 

櫛田「……ふぅん?堀北なんかを庇うんだ」

 

有栖「鈴音さん!?」

 

私は撃たれそうになった堀北さんを庇い、光線銃を受けた。なんか私の扱い最近こんなのばっかりだよ……。

 

堀北「大宮さん、何故……?」

 

鈴音「仲間がピンチの時は助け合うのは当然だよ……!?」

 

な、なんか私の身体が下から石になり始めてるんだけど!?

 

櫛田「この銃の光を浴びた者は下半身から石になるの。あの宇宙人達の技術力で造られた石化銃……ってところかな?向かってくる敵の殆んどはこれで石にしてきたの……」

 

ヤバい!もう胸元まで石化している……!完全に石になってしまう前に坂柳さんに伝えなきゃ!

 

鈴音「さ、坂柳……さん。私……が前……に渡し……たあれ……をタイ……ミン……グを見計……らっ……て……!」

 

口まで石化した私はそれ以上言葉を発する事はなく、完全に石化してしまった。

 

有栖「鈴音さん!鈴音さん!!」

 

櫛田「へぇ。今堀北を庇った奴も鈴音って名前なんだ……。その名前ウザかったし、始末出来て良かった」

 

堀北「大宮さん……!」

 

石になってしまった私。果たして元に戻る事は出来るのか!?




今回はここまでです。

次回、石になった鈴音を元に戻す事は出来るのか……?


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第86話 すずねメデューサ後編

今回もよろしくです。


有栖side

 

鈴音さんが堀北さんを庇って櫛田さんの銃撃を受けた。櫛田さんの持っている銃は浴びせると石化してしまう物らしく、光線を受けた鈴音さんは石化してしまった……。

 

櫛田「まずは1人……。あと4人だね。言っておくけど、私拳銃の腕前には自信があるから」

 

真澄「あの銃を被弾したら一貫の終わりね……」

 

榎本「坂柳さん、何か作戦はある?」

 

真澄さんと榎本さんは鈴音さんが石化してしまったので、私の指示待ちとなっている……。でも私は……!

 

堀北「坂柳さん、しっかりして。大宮さんの事が大切なのは貴女を見たらわかるわ。……私が不意を突かれたせいでこうなってしまったもの。けれど今はこの状況をなんとかするのが先ではないかしら?」

 

堀北さんの言葉で私は気を取り直す。……そういえば鈴音さんが言っていた私に渡したあれ……っ!成程、そういう事でしたか。

 

だとしたら鈴音さんが仰るように使うタイミングが重要ですね。

 

有栖「3人共、まずは櫛田さんの持っている石光線銃を破壊するのを先決に動いてください」

 

真澄「わかった」

 

榎本「了解!」

 

堀北「ええ」

 

櫛田「ちっ……!」

 

真澄さん達は櫛田さんの周辺を掻き乱す。その隙に私は銃を取り出して、櫛田さんの持っている石化光線銃を目掛けて撃った。

 

 

バンッ!

 

 

櫛田「っ!しまった……」

 

有栖「今です。破壊を!」

 

堀北「はぁっ!」

 

 

ガシャンッ!

 

 

櫛田「くっ……!」

 

真澄「追い詰めたよ。観念しな」

 

榎本「序でに宇宙人達の事も吐いてもらおうかな」

 

真澄さんと榎本さんが櫛田さんを壁際まで追いやり、万一突破された時の事を考えて私と堀北さんで櫛田さんの前方に立つ。

 

有栖「これでチェックメイトですね」

 

櫛田「……まだ終わってない。銃を破壊したからって勝った気にならないでよね!」

 

櫛田さんは懐から何かを取り出して下に投げ付けた。

 

 

ボンッ!

 

 

辺りが煙で覆われた。これは……。

 

榎本「けほっ!けほっ!」

 

真澄「な、何これ!?」

 

有栖「……どうやら煙幕の類いですね」

 

暫くして煙が晴れると、櫛田さんは既にいなくなっていた。

 

堀北「逃がしたわね……」

 

有栖「……今は鈴音さんを元に戻すのが先です」

 

真澄「……戻せるの?」

 

有栖「大丈夫です。こんな事もあろうかと対策はバッチリですから」

 

私はポーチから1つのペットボトルを取り出した。

 

榎本「ペットボトル……?」

 

有栖「このペットボトルには石化を解除する液体が入っています」

 

真澄「……そんなの何時の間に造っていた訳?」

 

有栖「宇宙人の基地破壊に向かう前に鈴音さんが造っていました」

 

始めはなんの為にあるのかと思いましたが、まさか敵の攻撃を予め対策していたとは……。流石鈴音さんですね。




今回はここまでです。

次回、石化解除の液体の秘密に迫る……!


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第87話 石化復活液は石の世界じゃなくても実在する

今回もよろしくです。


有栖side

 

鈴音さんが石化解除の液体を作成していたのは宇宙人の基地を破壊に行く少し前の事でした……。

 

 

~回想~

 

有栖『鈴音さん、何をしているんですか?』

 

鈴音『ちょっとね……。ねぇ坂柳さん』

 

有栖『なんでしょうか?』

 

鈴音『これ、何かわかる?』

 

そう言って鈴音さんが見せてきたのは……。

 

有栖『これは……石?蝙蝠の形をしていますね』

 

鈴音『その解釈で間違ってはないと思うよ。でも私はこれを見て違和感を感じたんだよね。これは宇宙人側の攻撃によって石化した蝙蝠なんじゃないか……と』

 

有栖『……でも蝙蝠も宇宙人側の刺客なのですよね?』

 

鈴音『うん、これを見た時最初は宇宙人の怪光線で石化してしまったのかと思ったけど、もしかしたら宇宙人がハタ人間に持たせる予定の武器を試運転したんじゃないかって思ったんだ』

 

……もしもハタ人間が本当に石化させるような武器を持っていたなら少々不味い事になるかもしれませんね。

 

鈴音『もしもそうなった場合は全滅も覚悟しなきゃいけないかもしれない……。そうならない為にも石化しても元に戻れる可能性を模索してるって訳』

 

有栖『それでその複数の液体なんですね』

 

鈴音さんが用意した液体の数々……。その中には臭いが強烈な物も混じっている。

 

鈴音『私の予想が正しければこれ等を複合させる事で石化を解除できる物が完成すると思う。……此処にいるとちょっと危険だから離れた方が良いよ。臭いもキツいだろうし』

 

鈴音さんは側にあったガスマスクを装着し始めた。

 

有栖『あの……』

 

鈴音『さっ、離れて離れて』

 

私にも何か出来る事はないかと聞こうとしたら鈴音さんに部屋の外に出されました。それから約1時間後……。

 

 

ガチャッ!

 

 

鈴音『あ~、漸く出来た……』

 

有栖『す、鈴音さん、大丈夫ですか!?』

 

鈴音『……今の私は様々な薬品の臭いがしてるから近付かない方が良いよ。あと換気してるけど、私が合成している部屋にもね。ちょっと御風呂入ってくる……』

 

有栖『は、はい……』

 

鈴音さんはふらふらとした足取りで御風呂場に向かっていった。

 

 

~現在~

 

有栖「……という過程で造られたのがこの液体です。効果はその時に話した蝙蝠で実証済みと鈴音さんが言っていましたので、保障出来るでしょう」

 

真澄「それであの部屋からなんか変な臭いがしてたんだ……」

 

榎本「その時間から結構経ってるのにまだ少し臭うもんね……」

 

そういえば基地を出る前に鈴音さんが必死で換気してましたね。場所が廃ビルでしたから、念入りにやっていました。

 

有栖「それではこれを……」

 

私は液体を石化した鈴音さんにかけた。身体全体にまんべんなく。すると……。

 

 

パキパキパキッ……!

 

 

堀北「石にヒビが……?」

 

 

パキーンッ!!

 

 

榎本「嘘……。本当に石化が治った!?」

 

鈴音「ふぅ……」

 

石化が解け、鈴音さんが身体を解していた。

 

鈴音「皆、心配かけてごめんね」

 

優しい微笑みが帰って来た……。私はそれが堪らなく嬉しかった。




今回はここまでです。

次回、七不思議もいよいよ最後の……。


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第88話 恐怖!7つ目の災い

今回もよろしくです。


未来side

 

学校に着いてしまったわ……。

 

落田「最早オイラ達の安息の地はこの学校でやんすね……」

 

有栖「まぁそれでもハタ人間が時々此処に来ますけどね」

 

真澄「……まさか夏休みになっても学校に出入りする事になるとはね」

 

ちなみに面子は私、落田君、坂柳有栖、神室真澄、そして……。

 

鈴音「」

 

今私が首根っこを掴んでいる鈴音の5人。最初鈴音は面倒臭がっていたが、私が鈴音に安眠してもらう為に寝てもらったわ。

 

落田「……何処から見ても大宮さんは気絶しているでやんす。やっぱり響さんを怒らせたら駄目でやんすね」

 

有栖「ですが鈴音さんは安らかな表情をしています」

 

真澄「……あんた、あれが安らかな表情をしてると思ってるなら1度病院で診てもらった方が良いよ?」

 

そんな会話をしている時刻は午後12時30分。

 

落田「……そういえば響さんに話す七不思議もこれで最後になるでやんすね」

 

来たわね……!この話で漸く学校に行く事もなくなるわ。

 

真澄「へぇ……。この学校にも七不思議ってあったんだ」

 

有栖「非科学的な法螺話ばかりのような気もしますけどね」

 

落田「何を言うでやんすか!?この学校の七不思議は普通の七不思議よりも信憑性が高い事で有名でやんす!」

 

未来「それなのだけれど、落田君が今まで話していた七不思議は全てこの2年Dクラスの生徒が原因を作っていると思うのよ」

 

落田「えっ?どういう事でやんすか!?」

 

疑問符を浮かべている落田君と興味深そうに此方の話を聞く坂柳有栖と神室真澄。

 

未来「まずは体育館の七不思議だったかしら?ポン、ポンと何かが跳ねている……。それは神木さんが体育館でバスケットボールをしていたからよ」

 

落田「そ、そんな訳……」

 

未来「前に彼女に聞いたのだけれど、放課後にバスケットボールをしているのはバスケットボール部を除いては彼女だけだったわ」

 

有栖「……成程。静かな体育館で何かが跳ねる音の正体は神木さんがバスケットボールをしている時の音という事ですね」

 

未来「そういう事よ。2つ目の13段目の階段は石田君が御腹を空かせて寝ていたのではないかしら?」

 

落田「そ、そんな……。いくらなんでもそれは……」

 

真澄「……私時々誰かが階段で寝てる……っていうか倒れているのを見たんだけど、それってもしかして……」

 

未来「恐らく石田君でしょうね。……3つ目の家庭科室の幽霊だったかしら?家庭科室の鍵を借りているという霧生さんの話によるとそのようなものは見た事がないと言っていたわ」

 

有栖「話の流れからすると霧生さんがその幽霊の正体……という事になりますね」

 

……まぁあの後に田中深雪が来たから、田中深雪がその正体だったという説の方が恐怖を与えられるかもしれないわね。

 

未来「4つ目の秘密裏の道も多分石川さんしか使われていないでしょうね」

 

有栖「なら秘密裏の道を通ったら石川さんに何かされるかもしれませんね」

 

現に石川梨子は大量のハタ人間を引き連れて戻ってきたものね。そう考えると坂柳有栖の説も間違いではないわ。

 

落田「……オイラあの道を通るのは止めておくでやんす」

 

未来「5つ目の3階の男子トイレも越後君以外使ってはいないでしょうね。本人もそう言っていたわ。声の正体は彼が「やれやれだぜ」と言っていたと考えるのが正解ね」

 

真澄「……男子トイレという事は私達には縁がない七不思議だね」

 

落田「トイレの何にやれやれと感じるんでやんすか!?」

 

未来「6つ目の屋上の女性というのは白瀬さんの事ね。彼女が屋上から前みたいに突然顔を出したのでしょう」

 

有栖「生徒はその姿を目撃した……と」

 

落田「ま、まさかうちの学校の七不思議をクラスメイトが起こしているとは思いもしなかったでやんす」

 

真澄「……じゃあ7つ目もDクラスの生徒が引き起こしている訳なの?」

 

落田「いや、それはないでやんす。というかそうなると7つ目は存在しないかもしれないでやんす」

 

有栖「何故そう言い切れるんですか?」

 

落田「7つ目の不思議は七不思議全てを知った者死んでしまうらしいのでやんす……」

 

未来「そう……」

 

落田「余り驚かないんでやんすね」

 

そういったのは慣れているのよ。慣れたくはないけれど……。

 

未来「……なら今この場で私達は七不思議の全てを知ってしまった訳だけれど」

 

落田「はっ!」

 

有栖「確かに今のが七不思議の1つならそうなってしまいますね」

 

真澄「なら私達は死んでしまうって事ね」

 

落田「な、なんでそんなに冷静なんでやんすか!?」

 

 

ガタッ!

 

 

落田「な、何の音でやんすか!?」

 

未来「貴方こそ落ち着きなさい。今までの七不思議は全て貴方のクラスメイトの仕業なのだから、これもそうだと考える方が賢明よ」

 

落田「そ、そうでやんすね!きっとこの音も……」

 

 

ガタガタッ!

 

 

落田「く、クラスメイトの……」

 

 

ガタガタガタッ!

 

 

落田「仕業……」

 

真澄「何か此方に来るよ!」

 

落田「な、7つ目の災いでやんす!七不思議を全て知ってしまったオイラ達を葬りに来たんでやんす!!」

 

はぁ……。やはり戦わないといけないのね。さっさと鈴音を起こして皆で速攻で始末しましょう。

 

鈴音「きゅう……」

 

有栖「目を回している鈴音さん、可愛いですね」

 

貴女はその異常なまでの鈴音LOVEを抑えなさい。




今回はここまでです

次回、最終準備に取り掛かります!


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第89話 決戦準備

今回もよろしくです。


私と未来がこの世界に来て8日が過ぎた。ゲーム通りならあと2日で宇宙人達がガンダーロボと巨大UFOを引っ提げて攻め込んで来る筈なので、最終準備に取り掛かる私なんだけど……。

 

鈴音「……ここ2、3時間くらいの記憶がないんだけど」

 

未来「気のせいでしょう」

 

本当に気のせいなのかな……?でも未来がそう言ってるし、そうなのかも……。未来が落田君達と学校に行こうとしているところまでは覚えてるんだけどなぁ……?

 

未来「そんな事よりも準備の方はどうかしら?」

 

鈴音「順調だよ」

 

今私がやっているのは最終決戦に向けた武器と防具の『合成』。2章中盤、終盤でしか手に入れたり、『合成』する事でしか手に入らない素材は次に行く世界の為に全部温存しておくとして、これから『合成』するのはビームナイフとレイガン、あとは対物ライフルとかかな?防具はテツゲタと3色の石を使った指輪、あとは防弾チョッキ、防刃ベスト、黒服、長ラン、迷彩服、赤いマフラーを『合成』しておこう。

 

未来「私の方も問題ないわ。戦闘員としてのセンスがある人ばかりだもの」

 

ちなみに未来には最終決戦に向けて公園で何人かを鍛えてもらっている。

 

面子は坂柳さん、神室さん、榎本さん、白木さん、石川さん、霧生さん、白瀬さん、神木さん、堀北さん、越後君、青野君、大神君、堤君、光山さん、アルベルトさん、ホンフーさん、椿さん、そして小波君である。……何人かは自力でなんとかなる気がするけど、それでも未来に鍛えてもらうと経験値が滅茶苦茶上がるからなぁ。

 

未来「そろそろ私は作業に戻るわ。鈴音も頑張りなさい」

 

鈴音「ありがとう」

 

未来は再び皆を鍛える為に公園へと戻った。さて、私も『合成』の続きをしないとね。

 

 

~そして~

 

一通り『合成』が終わったので、次は皆が使う武器と防具のメンテナンスだ。

 

ゲームではSPある限り武器をバンバン使用して、SPが回復したらまたバンバン使用して……を繰り返している。

 

本来武器や防具は使用すれば何れは壊れてしまったり、ボロボロになったりするのだが、パワポケ11の裏サクセスの場合はSPがあれば無限に武器が使えるし、防具も壊れる事はないのだ。寧ろパワポケ7の裏サクセスや、パワポケダッシュの裏サクセスみたいに使用制限が設けられてパワポケダッシュの裏サクセスは武器や防具にそれぞれ数字があり、それが0になると駄目になる。

 

だがパワポケ11の裏サクセスの場合それがないので、防具に関しては損害する事のない不思議な仕組みになっている。これはパワポケ12、13の裏サクセスにも共通する事だけど……。

 

鈴音「さて、パパっと終わらせますかね」

 

もう最終決戦はすぐそこまで来ているのだから……!




今回はここまでです。

次回、最終決戦まであと僅か。そんな中鈴音は……。


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第90話 準備は続くよ何処までも

今回もよろしくです。


武器のメンテナンスも全員分終わったし、次は復活液の作成だね。臭い滅茶苦茶キツいから、前に復活液を作成した時の為に『合成』したジャージを着て、ガスマスクを装着……っと。

 

唐沢「おい、ちょっといいか?」

 

鈴音「どうかしましたか?」

 

唐沢教授が入ってくるのは珍しいな。御付きの平山君はどうしたんだろうか?

 

唐沢「……どうかしているのは嬢ちゃんじゃろうが。まぁ良い。それよりも作業中じゃったか?」

 

鈴音「これからそのつもりですが、それは別に後でも良いですよ。教授は私に何か用ですか?」

 

唐沢「……それなんじゃが、可笑しいんじゃよ。宇宙人の姿が全く見えん」

 

鈴音「えっ……?」

 

宇宙人達は今でも私達とドンパチしている筈なんだけど……。

 

唐沢「平山に外の様子を見させているが、宇宙人達が活動をしているのを見ておらんと言うのじゃ。怪しいと思いこっそりと外を見ていた事もあったのじゃが、外はハタ人間と蝙蝠がウロウロしてるだけでそれらしきものがおらん!」

 

鈴音「はぁ……」

 

鈴音(ここ数日私達はその宇宙人達と戦い続けているんだけどね。なんなら基地前にも攻め込んで来た事もあるのに……。教授に櫛田さんのようなケースについて確認しようと思ったけど、この様子だと黙っておいた方が良さそうだね)

 

唐沢「なので最近では宇宙人事態がわしの見間違いじゃないかと思ってしまっておる……。だがそんな事はない!宇宙人はおるんじゃ!必ず見付けてみせる!!」

 

そう言って教授は自身の部屋に戻っていった。……どうやら私が思っているよりも平山君は有能だったみたい。これは対爺さん◎じゃ収まらないかな?◎から花丸にランクアップしておくずら。

 

それはさておき私は私で復活液の作成をやっておこう。どれくらいの被害が出るかわからないけど、とりあえず30はあれば足りるかな……?

 

 

~そして~

 

よし!復活液の方も最低限の必要数は出来た。……一旦換気しよう。窓を開けて、消臭スプレーを辺りに振り撒いた。

 

勿論私が今着ているジャージとガスマスクにもね。そしてある程度風が通ったらガスマスクを外してジャージを脱ぐ。この解放感ぱないの!

 

 

ガチャッ!

 

 

十一郎「ふぅ……。響さんが取り仕切る鍛練はハードだったなっと」

 

……なんか小波君が入ってきたんだけど。見られて困る訳じゃないけど、今の私の格好が格好だから早く出ていってほしい。

 

十一郎「……って大宮さん!?部屋を間違えたか!?」

 

鈴音「……そうだね」

 

十一郎「わ、悪い!うっかり……」

 

鈴音「とりあえず出ていこうか」

 

十一郎「わ、わかった!」

 

 

バタンッ!

 

 

まさか誰かが入ってくるとは……。油断してたかな?とにかく今の私は半裸なので、さっさと着替えてしまおう……。




今回はここまでです。

次回、いよいよ最終決戦!?


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第91話 ギャスビゴー星人侵略!パライソタウンが大ピンチ!?

今回もよろしくです。


準備の方も粗方終わったし、少し仮眠を取ろうかな……。

 

 

ガチャッ!

 

 

有栖「御疲れ様です。鈴音さん」

 

鈴音「坂柳さんこそ御疲れ。未来の鍛練キツかったんじゃない?」

 

有栖「……確かに私は先天性疾患が治ったばかりですので体力は余りありませんでしたが、そんな事を言ってはいられません。未来さんは基地で休めと言いましたが、すぐに出て鍛練に戻ろうと思います」

 

この子立派だなぁ……。私もこの立派さを見習わなければならないね。とはいえ……。

 

鈴音「未来は休めって言ってたんでしょ?なら休んで。オーバーワークで坂柳さんの身体が壊れてしまったら取り返しがつかないし、私も丁度仮眠を取ろうかと思っていたから一緒に休もう?」

 

有栖「……はい。鈴音さんがそう言うなら」

 

うん、納得してくれて良かった。

 

鈴音「他の人達はまだ未来の鍛練?」

 

有栖「はい、未来さんはあの大人数をそれぞれの長所を伸ばしたり、短所を克服させたりと頑張っています」

 

それ最早凄いとかの話じゃないよね?坂柳さんを抜いた人数だと17人でしょ?その人数を1度に相手するとか……。やっぱり神様って凄い。凄いというよりはやばい。

 

鈴音「…………?」

 

有栖「……鈴音さん?」

 

何か来る。しかもかなりの数だ。未来達とは違う……。でも何処かで感じた事のある気配。

 

鈴音「坂柳さん、戦闘準備」

 

有栖「……宇宙人達が攻めて来たんですね?」

 

鈴音「うん、本当は坂柳さんには休んでてもらいたいけど……」

 

有栖「私なら問題ありません。行きましょう」

 

坂柳さんも問題なさそうなので、慎重に外へと向かう。唐沢教授の方は……平山君が相手しているし、多少物音がしても問題なさそうだね。

 

そう思い外へ出た。

 

有栖「これは……物凄い数ですね」

 

鈴音「そうだね……。この数を私達だけはちょっと骨が折れそうだ」

 

外に出るとギャスビゴー星人が大量にいた。何故か知らないけど、5列に並んで陣形を取っていたので、5体ずつ処理すればいけそうだ。

 

鈴音「いくよ坂柳さん」

 

有栖「はい」

 

私と坂柳さんは5体ずつギャスビゴー星人を倒していく。

 

 

~そして~

 

有栖「はぁ……!はぁ……!」

 

これで50は倒したけど、ギャスビゴー星人はまだまだいる。不味いなぁ。坂柳さんはかなり疲弊しているし、かといって基地内には戦闘員がいない。早く未来達が戻ってきてくれたら良いんだけど……。

 

鈴音「ありがとう坂柳さん。少し休んでて」

 

有栖「鈴音さんはどうするのですか?」

 

鈴音「……私はまだまだいる宇宙人達を少しでも減らしておくからさ」

 

という事で私は大量のギャスビゴー星人を相手取る。早く未来達が戻って来ないかな……。




今回はここまでです。

次回、鈴音が奮闘するなか新たな助っ人と敵の増援が……?


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第92話 加勢

今回もよろしくです。


坂柳さんが少し休憩している間に私は大量のギャスビゴー星人を1匹でも減らそうと頑張っているんだけど……。

 

鈴音(多すぎない……?あれからも30は倒したよ?)

 

戦い方は至って単純で囲まれないようにレイガンを使ったり、ビームナイフを使ったり、超龍撃拳を放ったりとそれ等を繰り返している。

 

ザザッ!

 

やばっ!囲まれた!?

 

鈴音(ちょっと不味いかも……。前の世界で得た力が抑制されてなかったらこの状況くらいは容易いんだけど、今の私だとやられそうかもね)

 

まぁ足掻くけどさぁ!

 

 

ジャキィンッ!

 

 

私を囲んでいたギャスビゴー星人が倒れた……。援軍が来てくれたのか。有難や。

 

大神「ふっふっふっ……。剣豪将軍大神博之見参!響の命を受けて大宮の助太刀に参った!!」

 

光山「ふはは!ニュー光山参上!地獄の鍛練で一層パワーアップした俺の実力を見るが良い!!」

 

……有難いけど、なんでこの2人なの?さっきの攻撃を見る限りだとかなり強くなったのは伝わるけど、それでももっとマシな人選出来たでしょ?

 

大神「僕達が来たからにはもう大丈夫だぞ」

 

光山「すげぇ数いるみたいだが、俺達3人が揃えばこの程度障害ですらないぞ!」

 

止めて!同類にするのは勘弁して!!なんか超龍撃拳とかやってた私が恥ずかしくなるから!!

 

有栖「……3人ではなく4人です」

 

さっきまで休んでいた坂柳さんが復帰した。大丈夫なのかな?

 

大神「ふっふっふっ……。もっと休んでいても良いんだぞ坂柳」

 

有栖「私は鈴音さんの右腕……。こんな所で遅れを取る訳にはいきません!」

 

光山「ふっ、それなら俺達4人で宇宙人共を一掃するぞ!!」

 

良い話だなー。なんか私までこの変態集団の一員にされてる気がするけど……。いやいや、私はイロモノじゃないイロモノじゃない……!

 

坂柳さんが彼等に染まらないように見守る必要があるからね。うん、きっとそうだ!

 

鈴音「……加勢ありがとう。じゃあ私達でこの宇宙人達を殲滅させようか」

 

 

ピリッ……!

 

 

大神(なんという凄まじい迫力だ……!響のも凄いものだったが、大宮のはまた別格だな)

 

光山(くっ……!この俺をも上回る気迫を持つ小娘がまさか2人もいるとはな。悔しいが、認めるしかあるまい)

 

有栖(……流石鈴音さんですね。私も何れはこのようになれるでしょうか?)

 

なんか3人が私を見ているけど、気にしない。

 

 

~そして~

 

あれから更に100匹は倒したけど、まだまだギャスビゴー星人はいる。総数で言えば漸く10分の1を倒したくらいだろうか?

 

櫛田「はぁ……。情けない。これだけいるのに、たったの4人に苦戦するなんてね。所詮は雑魚の中の雑魚って事ね」

 

そんな中櫛田さんが現れた。石化光線の銃を持っているとちょっと厄介だけど……。

 

大神「貴様は……櫛田桔梗!!」

 

光山「知り合いか!?」

 

櫛田「……煩いのが2人。暑苦しい。今は真夏だっての!」

 

うん、それには激しく同意。




今回はここまでです。

次回、それぞれに援軍が現れて場は更に混沌に……!


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第93話 混戦

今回もよろしくです。


ギャスビゴー星人の群れを片っ端から片付けていると大神君と光山さんが加勢に来てくれて、向こうからは櫛田さんが増援に来た。また石化光線の銃とか持ってるとちょっと厄介だけど……。

 

櫛田「……廃ビルに主力が集まっていない今が制圧の時だと思って1000を越える宇宙人を行かせたのに、この様とはね」

 

……?櫛田さんがなんで未来達主力が此処にいない事を知ってるの?

 

櫛田「……まぁ良いわ。どうせこの数を相手は捌き切れないでしょ?諦めて降伏してくれるんだったら、ハタを立てるくらいにしてあげるけど?」

 

櫛田さんが降伏すれば被害を軽くするみたいに言うけど、私達にとってはそれが1番嫌なんだよなぁ……。

 

大神「降伏……?我々がそのような馬鹿な真似をする訳がなかろう!」

 

光山「その通り!寧ろそっちが降伏して逃げ出した方が良いんじゃないのか?」

 

大神君と光山さんが櫛田さんを煽る煽る。そんな挑発に櫛田さんが乗るとは思えないけどね。

 

櫛田「……うっさいなぁ。黙って宇宙人に手を貸してりゃ良いんだよ!本当にイライラさせてくれる!!」

 

うっわぁ……。挑発に乗っちゃったよ。

 

櫛田「どうやら宇宙人達に始末されるのが御望みのようね。早くこの愚か者達を片付けて」

 

「」ゾロゾロ

 

さっきまで5列態勢だったギャスビゴー星人は一気に10列になって攻めてきた。……なんで律儀に列を組んでるんだろ?

 

鈴音「皆、絶対に後ろを取られないで!それぞれがカバーし合うのも忘れないように!」

 

有栖「了解です」

 

大神「承知した!」

 

光山「任せておけ!」

 

うんうん。暑苦しいけど、頼もしい限りだね。

 

櫛田「ちっ……!一々列を組まないと戦えない訳?」

 

どうやら櫛田さんからしてもあのギャスビゴー星人達の陣列は制御出来ないようだ。

 

櫛田「……左の5体は怪光線!右5体は毒電波で連中を恐怖に陥れろ!!」

 

だがそれでも櫛田さんはあのギャスビゴー星人達の命令権を持っている。それなら櫛田さんを無力化出来れば少しは戦いが楽になるんだけど……。

 

鈴音(この整った配列のギャスビゴー星人が複数あるから、迂闊に近付けないよね。そもそも後ろ取られたらハタ立てられて終わりだし……)

 

仕方がないので、このまま列になっているギャスビゴー星人達と戦う事に……。

 

 

~そして~

 

光山「おいおい……。終わりが全く見えないじゃないか」

 

大神「ふっふっふっ。我々が立っている限り宇宙人達の猛攻は終わらないという事か……。面白い!」

 

有栖「ですがキリがないのもまた事実……。鈴音さん、如何いたしますか?」

 

鈴音「……状況を打開しようにも此方の人数が少なすぎるのが問題だね」

 

せめて未来が戻って来てくれるか、あと数人が加勢に来てくれるとこの状況をなんとか出来るかもだけど……!




今回はここまでです

次回、鈴音達はギャスビゴー星人を一網打尽にする事に……!


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第94話 無双乱舞!

今回もよろしくです。


大量のギャスビゴー星人をこのまま律儀な陣列を相手取ってもキリがない。なら動くしかないか……!

 

鈴音「今から前に出るから後ろは御願いね?」

 

光山「それはわかったが、どうするつもりなんだ?」

 

鈴音「ちょっと攻勢に出るだけです」

 

正直10列ずつ相手してもジリ貧なだけ……。だったら誰かが思いっ切り前に出て片付けるしかないよね?

 

鈴音(今の私に出せる全力を……出させてもらうよ!)

 

鈴音「」タンッ!

 

櫛田「っ!1人が前に出た。そいつを倒せば向こうは無力化する筈!一斉に怪光線を放て!」

 

 

ズビビーッ!

 

 

四方八方から飛んでくる怪光線をなるべく無駄がないように避ける。

 

鈴音「はぁっ!」

 

怪光線を放った後のギャスビゴー星人達を片っ端から一撃で倒していく。極力隙は見せないようにしているけど、それでも後ろを取られる事もある。そんな時は……。

 

 

バンッ!

 

 

有栖「鈴音さんに手出しはさせません」

 

 

ドガッ!

 

 

光山「あいつ1人であんだけ頑張ってるんだ……。俺達だってやってみせるさ!」

 

 

ズバッ!

 

 

大神「ふっふっふっ……。後ろは僕達に任せて先に行け!!」

 

このように頼りになる仲間達が私の後ろをバックアップしてくれる。本当にありがとう!

 

鈴音「はぁぁぁぁっ!」

 

だから私は前列のギャスビゴー星人達をどんどんと倒す。

 

櫛田「ちっ……!これは不味いわね。こうなったら……!」

 

私を見て流石に不味いと思った櫛田さんはギャスビゴー星人が造ったと思われる連絡機器で何処かに連絡していた。

 

櫛田「……今廃ビル前が面倒な事になってる。急いで来て!」

 

仲間を呼ぶ気……?だったらその前に幾千いるギャスビゴー星人達を始末してやる!

 

 

~そして~

 

鈴音「これで……最後!!」

 

 

ドガッ!

 

 

はぁはぁ……。滅茶苦茶疲れたけど、なんとか千数百のギャスビゴー星人達を倒す事が出来た……。

 

光山「……俺達3人で200も倒せていない宇宙人を」

 

大神「大宮は1人で残りの全てを倒したという訳か……」

 

有栖「流石鈴音さんです!」

 

とはいえもう私はフラフラなんだけどね。某ゲームで言うところの無双ゲージを使いきった上に何発か怪光線を貰っちゃったから体力ゲージも赤色だよ……。

 

 

ズズン……!

 

 

こ、このタイミングで新手!?しかも地鳴りがするって事は……。

 

光山「き、巨大ロボットだと!?」

 

まさか此処でガンダーロボが出てくるとは……。

 

???「フハハ!ハタを立てられてオイラは絶好調でやんす!」

 

大神「この口調……。まさか落田がハタを立てられたのか!?」

 

有栖「……いえ、よく似ていますが別人です」

 

???「オイラはカメダ。様々時空を渡る男でやんす!おまえ達も宇宙人様の為にこのガンダーロボで始末するでやんす!!」

 

此処で1章ラスボスか。私を含めて全員満身創痍……。どうしたものかな……?




今回はここまでです。

次回、VSガンダーロボ!


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第95話 ガンダー

今回もよろしくです。


漸く大量のギャスビゴー星人達を倒せたと思ったのに、今度は1章ラスボスのガンダーロボ(とカメダ)!?勘弁してよ全く……。

 

カメダ「フハハハ!オイラが来たからにはこの連中を全員ぶっ倒すでやんす!」

 

櫛田「……だよ」

 

カメダ「えっ?」

 

櫛田「遅いんだよ!クソ眼鏡!もっと速く来いよ!!」

 

カメダ「い、いやでも……。連絡もらってから最速で飛ばして来たでやんすよ……?」

 

櫛田「そのロボットが図体デカイせいで到着が遅れたんじゃないの?」

 

カメダ「ぐぬぬ……!それはこの世界にも原因があるでやんす!この世界がもっと戦闘が盛んな所だったら……!」

 

櫛田「意味わからない事言ってないでさっさとコイツ等の相手をして。私はその間に他の増援を呼んでおくから」

 

カメダ「わ、わかったでやんす……」

 

……な、なんかカメダって悪の親玉ポジション的な存在だと思ったけど、ハタ人間の世界だと悪事を働く前にハタを立てられた被害者だったんだね。

 

カメダ「……ともかく今のオイラはハタが立ったおかげで絶好調でやんす!たかが4人程度、瞬殺してやるでやんす!!」

 

未来達は今から此方に向かっているみたいだけど、その間にハタ人間達とかも相手をしなくちゃいけないと思うからもう少し時間がかかる筈……。

 

鈴音「……皆。もう少しすれば未来達が加勢に来てくれると思うから、それまでの間は私達だけで戦うよ」

 

光山「……ああ。他の奴等が来る前に終わらせる勢いで行くぞ!」

 

大神「無論!この剣豪将軍の実力を見せてくれるわ!!」

 

有栖「……私は鈴音さんに全てを尽くすと誓いました。戦わない訳にはいきません」

 

うん、皆の戦意はまだあるみたいだね。なら皆に回復薬と栄養剤を渡して……っと。

 

鈴音「それじゃあいこうか……!」

 

私達4人で何処まで持ち堪えられるかわからないけど、町全体に被害が及ぶ前に……ってあれ?そういえば政府の人達が来ると思われる時間帯だけど、なんで誰も来ないんだろ……?

 

 

~そして~

 

カメダ「いくでやんす!ガンダービーム!!」

 

 

ズビビーッ!!

 

 

光山「うわっ!」

 

大神「なんのっ!」

 

有栖「くっ……!」

 

鈴音「危なっ!」

 

ガンダーロボから放たれるガンダービームをなんとか避ける。あんなの当たったら間違いなく致命傷だよね……。

 

カメダ「ちっ!それならミサイルを喰らうでやんす!」

 

 

ドドドドドッ!

 

 

今度は小型ミサイルか……ってなんで全弾私の方に来るの!?

 

鈴音「よっ、ほっ、っと!」

 

な、なんとか全弾かわせた……。

 

カメダ「今でやんす!ガンダーパンチ!!」

 

うおっ!死角からパンチが飛んできた!!よ、避けきれない!!

 

 

ガキンッ!

 

 

え……?

 

ガンダーロボが放ったパンチは誰かによって受け止められる。

 

未来「待たせたわね」

 

そこには未来と未来によって鍛えられた人達がいた。




今回はここまでです。

次回、新勢力とまさかの……?


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第96話 唐突、突然、藪から棒に

今回もよろしくです。


未来「待たせたわね」

 

き、貴様は我が相棒の響未来じゃないか!

 

未来「……貴女が貴様という二人称を使うのは似合わないわね」

 

あっ、そういえば未来は心の中で余計な事を考えるとそれを察知出来るんだった。テヘペロ。

 

未来「……無性に貴女を殴りたくなったから、殴っても良いかしら?」ニッコリ

 

鈴音「そ、そんな事を笑顔で言わないでよ……」

 

そんな事よりも私は未来が連れて来た小波君達見る。

 

十一郎「巨大ロボットか……。皆!準備は出来てるか!?」

 

梨子「ロボだ!ロボだ!巨大ロボだー!!こんなの見ちゃったら戦うしかないよね。やっぱり十一郎と一緒にいると飽きないなぁ」

 

青野「デカイな……。だが戦いがいがある」

 

大神「ふっふっふっ……。先程の戦いで少し消耗しているが、皆でかかれば問題なし!」

 

堤「このロボットこそ科学の結晶……!倒したあかつきには是非この僕に解析を!」

 

夏菜「な、なんか映画の登場人物になった気分だな……。でもそれも今更か。よし、私も協力するぞ!」

 

唯「ええ~!?こんな大きいのと戦うの?でも小波君達は戦艦とも戦ったって言うし……。仕方ないな~!」

 

フッキー「はいはい、やれば良いんでしょやれば。流石にこんな状況で協力しないとか言ったら只のKYじゃない」

 

アルベルト「これが日本の文化……。素晴らしいでーす!」

 

光山「……正直さっきの戦いのダメージが残っているが、俺よりもキツイ奴もいるもんな。それに比べたらどうって事ないぜ!」

 

ホンフー「おやおや。戦艦の次は巨大ロボットですか……。こういうのを見ると私も昂ってきますねぇ」

 

榎本「大きいわね……。でもやらなきゃこの町どころか世界が終わるかもしれないからやらなきゃ!」

 

椿「ふん……。やってやろうじゃねぇか」

 

堀北「この戦いが山場となりそうね……。響さんに教わった事を忘れないように戦うわ」

 

恵理「……やるしかなさそうね。まだまだ不安要素はあるけど、皆で力を合わせましょう!」

 

越後「……やれやれだぜ」

 

……顔付きが良くなってる。頼もしい限りだね。これならもう私達がいなくなっても問題なさそうかな?

 

未来「そうね。だから私達も次の世界に行く準備をするわよ」

 

……確かに私達がいなくなってもって話はしたけど、いくらなんでも急すぎない?

 

未来「ちなみに坂柳さんと神室さんも私達といっしょに来てくれるそうよ」

 

鈴音「坂柳さんは前に聞いたけど、神室さんもなんだ?」

 

未来「ええ、彼女も協力してくれる事になったわ」

 

鈴音「それは有り難いんだけど、親御さんに言わなくても良いのかな……?」

 

未来「その辺りは私がなんとかしておくわ」

 

そっか……。それなら大丈夫……なのかな?




今回はここまでです。

次回、ハタ人間編最終回!


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第97話 さらばパライソタウン!また来る日まで!!

今回もよろしくです。


鈴音「それにしても本当に急だね。未来らしくもないよ」

 

未来「それについてはこの世界を出てから話すわ。それに……薄々は気付いていたのでしょう?私達がこの世界から去らないといけないタイミングは……」

 

鈴音「……まぁね」

 

未来が小波君達を鍛える……。それはこの先私達がいなくてもなんとか戦えるようにしたという事だ。

 

有栖「御待たせしました。鈴音さん」

 

真澄「ごめん。待たせたね」

 

鈴音「気にしなくて良いよ。小波君達にバレないように来てもらった訳だから」

 

真澄「それにしてもかなり急だよね。大宮さんと響さんが次に行かなきゃいけない世界に行くのって」

 

私もそう思っている。未来なら入念な準備をするタイプだ。何処ぞの慎重勇者までとはいかないにしても、二手三手先を常に見ている未来にとってこの事態は想定外だったのだろう。

 

未来「私はまだやる事があるから、先にこれに入っていて頂戴」

 

そう言って未来はワームホールを出した。この世界に来る時も御世話になりました!

 

真澄「こんなのフィクションでしか見られないと思ってた……」

 

有栖「この穴の先に私達が次に行く世界がある訳ですね」

 

鈴音「そう。此処とは似て非なる世界がね……」

 

さて、未来が戻ってくるまで何をするか……おや?なんかモニターがある。

 

真澄「彼処にモニターがあるんだけど……」

 

有栖「本当ですね。何のモニターでしょうか?」

 

鈴音「う~ん……。多分だけど……」カチャカチャ

 

私はモニターの電源を付けてボタンを弄る。

 

真澄「写った……」

 

有栖「写っているのは基地の様子ですね。小波君達が巨大ロボット相手に奮闘しています」

 

鈴音「未来が用意してくれた物っぽいし、戻ってくるまでこの映像を見てようか」

 

鈴音(頑張ってね小波君。君達ならきっとガンダーロボとその次に出てくる巨大UFO、そして2章で待ち受ける強敵も倒せるから……!)

 

映像を見ながら私達は小波君達を応援した。

 

 

~そして~

 

小波君達はガンダーロボを倒し、その後に出てきた巨大UFOも無事に破壊したところでモニターの映像は終わった。

 

有栖「宇宙人達の技術には驚きましたね。埋め立て地にあった巨大戦艦と言い、あの技術力は侮れません」

 

真澄「それよりも私は20人以上の人達があのロボットに乗ってUFOと戦った事に驚いたんだけど……」

 

坂柳さんと神室さんの言う事も尤もだ。まさかこれまで一言も喋らなかった有田君と村山君、そして教授の相手をしていた平山君までもがガンダーロボに乗っていたからね……。

 

未来「戻ったわ」

 

鈴音「お帰り。……漸くこの世界でやる事が全部終わったんだね」

 

未来「ええ、私も最後に一仕事出来て良かったわ」

 

そういえば未来はホンフーさんを過去に送ったんだっけ。あの戦いの直後でホンフーさんもよく対応出来たね……。

 

未来「では次の世界に行きましょうか」

 

鈴音「そうだね。2人共準備は良い?」

 

真澄「うん、大丈夫」

 

有栖「私も大丈夫です」

 

未来「では行くわよ」

 

全員の準備が整ったところで、未来が次の世界のゲートを開き、坂柳さんと神室さんが中に入る。早いところ私も行こう。

 

鈴音(バイバイ。パライソタウン!基地で私が使った部屋には色々な装備があるから、それは小波君達への選別だよ)

 

また……会えたら会おうね!




今回はここまでです。

次回、エピローグ!


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エピローグ それぞれの結末

今回もよろしくです。


こうして私達はパワポケ11の裏サクセスの怪奇ハタ人間編の世界を去った。ここからは私達が関わった一部の人達のエピローグである……。

 

 

『憑依コンビの日常』

 

白木さんと越後君はあの事件の後2人でコンビを組んで様々な場所で問題を解決している。巷では2人の事を冒険探偵と呼んでいるらしい。

 

日々依頼人が殺到して中々暇のない毎日を過ごしている……。

 

『今から行く依頼は長期間船で過ごすから、それなりの準備が必要よ』

 

『……わかってる』

 

『本当にわかってるの?前の依頼は準備不足で私達死ぬところだったのよ!?響さんみたいに慎重に入念に準備しなきゃいけないわ!』

 

『……やれやれだぜ』

 

……こんな感じのやり取りを毎日のようにしている。凸凹コンビかと思いきや案外名コンビなのかもね。

 

 

『野球の伝道師!?』

 

アルベルトさんはあの10日間が終わると色々な国で野球について熱く語っている。時には海の上で、時には空で、時には紛争地帯で……。多くの人達に聞こえるように大声で野球の魅力を伝えている。

 

日本のある所でも野球を語るのだが、その時は神木さんも一緒になって伝えているのだとか……。

 

『皆さん!野球は最高のスポーツでーす!やればきっと笑顔になれるでしょう!まずは体力作りのランニングから始めませんか!?』

 

このように語っては毎日骨を物理的に折っているらしい……。

 

 

『時を駆ける青年』

 

男はやり直す。かつて成し遂げる事が出来なかった1シーンを。

 

神様に御願いして1度だけチャンスを貰いそのシーンへと戻る。

 

恋人と2人で歩いているとある連中が彼等の前に現れる。人数は25人……。

 

男は恋人を守る為に一瞬で25人を無力化させて、恋人の元に舞い戻る。何が起こったかわからない恋人に対して男は一言……。

 

『……彼等は運が悪かったんですよ』

 

その一言だけを恋人に伝えて、また歩く。こうして男が乗り越えたかった過去を時を遡る事で無事に乗り切った。だがこの先により大きな困難複数が彼等に立ち向かうが、それを男はまだ知らない……。

 

 

『新組織設立』

 

あの事件が終わった後椿さんはパライソタウンを去った。榎本さんも転校という形で椿さんに着いていった。

 

榎本さんは転校先の学校によってあの事件の首謀者の1人である櫛田さんと再開したらしい。

 

他にも転校先の学校には才気溢れる人材が揃っており、榎本さんはその人達と共に行動するようになった。

 

そして彼女達を中心に椿さんがやっていた子会社は大きな株式会社となり、戦いの為の組織も設立された。株式会社と混合して誕生した組織に名前を付けられた。

 

組織の名前は『Oddball』。意味は変わり者達だそうだ……。

 

 

……これが私達が深く関わってきた人達の結末。次の世界ではどんな人達と関わるのか……。それはまだわからない……。




怪奇ハタ人間編は完結!!次章に続く!

とりあえず連日投稿してたのを暫く休んで他の作品に集中するとです……。


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海洋冒険編
プロローグ 船に乗って宝を探す世界へ!(ONE PIECEとは関係ない……筈)


今回もよろしくです。


私達4人は次に行く世界へ行く為にワームホールの中を歩いている。

 

鈴音(そういえば次に行くのはパワポケの……)

 

未来(次に行くのはパワポケ13の裏サクセスである『海洋冒険編』の世界になるわね)

 

直接脳内に!?……っていうか13裏?次は12裏なんじゃなかったっけ?

 

未来(この会話は私達だけの秘密にするから貴女の脳内に思念を送り込むわ。聞かれて困るという訳ではないけれど、坂柳さんと神室さんは聞いていても仕方のない内容だもの)

 

鈴音(……そういうこと。わかったよ。それでなんで次は13裏の世界なの?12裏の世界は行かなくても良いの?)

 

未来(それが少し面倒な事になっているのよ)

 

鈴音(面倒な事……?)

 

未来(私達が今から行くパワポケ13の裏サクセスの世界が近い内にパワポケ12の裏サクセスの世界と繋がる事がわかったわ)

 

えっ?それってとんでもない事になるんじゃ……。それを事前に未然に防ぐのが私達の仕事って事?

 

未来(……あの御方は面白そうだから放っておいて様子を見てほしいと言っていたわね)

 

うわ……。未来が溜め息吐いて米神を抑えているよ。苦労してるんだね……。

 

鈴音(じゃあ私達はそれに関しては何もしなくても良いの?)

 

未来(そうね。その件に関しては無干渉で構わないわ。パライソタウンにいた時と同じ様に鈴音達は自由に行動しても問題はない筈よ)

 

鈴音(……未来はどうするの?)

 

未来(私は私のやるべき事をやらせてもらうわ。それについては現地に着いてから決める事にするつもりよ)

 

パライソタウンでは未来に素材収集をしてもらったからなぁ……。次は何をするんだろ?余り無茶はしないでほしい。

 

未来(それと話の続きだけれど、2つの世界が繋がる影響か他作品のキャラがかなりの種類、かなりの数、かなりの実力を身に付けている状態だからそれも頭に入れておきなさい)

 

何それ怖い。11裏ではよう実のキャラが多数いたけど、13裏では12裏と世界が繋がる影響で1作品なのが複数の作品にキャラが蔓延る事になるんでしょ?何それカオス過ぎない?

 

未来(……話は終わりよ。そろそろワームホールの出口が見えて来たわ)

 

鈴音(本当だ)

 

ワームホールを歩き続けた私達は遂に出口と思われる穴を発見した。

 

真澄「……出口なんだよね?」

 

有栖「そうだと思いますが……」

 

未来「では早速行きましょう。時間は有限よ」

 

私達は未来に続いてワームホールから脱出する。そこに見えるのは……。

 

有栖「海……ですね」

 

真澄「凄く青い……。それに私達の世界と比べて滅茶苦茶綺麗」

 

有栖「此処で私達は生活するんですね」

 

鈴音「そうだね。具体的な拠点は……」

 

未来「それについては私の方で確保しておいたわ。着いて来て」

 

どうやら拠点は未来が事前に見付けてくれているらしい。流石未来!準備の良さは宇宙一!!

 

こうして私達はパワポケ13の裏サクセスの世界に来た。




今回はここまでです。

次回、鈴音達の拠点は……。


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第1話 私達は海賊です

今回もよろしくです。


私達は未来の紹介である場所で活動している。

 

「おい、さっさと運べ!」

 

「モタモタするな!ボスにバレると殺されるぞ!!」

 

このようにモブ海賊達が民家を襲っては強盗の如く奪って殺しての繰り返し。一見酷い事をしているけど、これは海賊として生きる人達の使命でもあるよね。こうでもしなきゃ皆が生きていけないし……。

 

「姐さん!此方は終わりました!!」

 

「姐さん!次は何処に行きましょうか!?」

 

このように私を慕ってくれる人も出来てしまったしね。未来の紹介とはいえ、まさか私達が海賊組織に属する事になるとはね……。あと私を姐さんと呼ぶのは止めてほしい。

 

今回は主人公君達とは敵対する事になるよね?今のところは出会ってないけど対峙した時がちょっと面倒だなぁ……。

 

???「御疲れ様です。ベルさん」

 

私達の前に1人の少女が来た。彼女が今呼んだ様に私はこの世界では『大宮鈴音』としてではなく、ドラゴンボールの世界で名乗った『ベル』として過ごしている。

 

ベル「アリスも御疲れ。ヒガキさんに教わった航海術は覚えられそう?」

 

アリス「はい。あれくらいなら全て覚えました。ヒガキさんも私の覚えが早いと凄く上機嫌だったのは見ていて面白いですね」

 

彼女はアリス。私達とパライソタウンから一緒に来てくれた坂柳有栖の事で、この世界はアリスと呼ぶ様になった。その時にアリスが滅茶苦茶嬉しそうな顔をしていたのは今でも鮮明に覚えている。アリスはこの世界で航海術と砲術、そして陸戦になった時に備えて狙撃術を磨いている。

 

ベル「マスミは今どうしてる?」

 

マスミこと神室真澄はアリスと同じ様に私達に着いてきてくれた子で、この世界においては剣術をひたすら鍛えている。

 

アリス「マスミさんは剣術を鍛えています。ただひたすらに、黙々と……」

 

ベル「彼女は良くも悪くも真面目だからね……」

 

アリス「パライソタウンで万引きしようとしていた人とは思えませんね。彼女も変わりました」

 

あっ、その設定ってそっちでも活きてたんだっけ?

 

アリス「それよりもベルさん、ボスが御呼びでしたよ」

 

ボスが?何の用事だろうか?

 

アリス「……それにしても何故私がベルさんとミライさん以外の人に従わなくてはいけないんでしょうか?あんな民度が低い人達に着いていっても何も良い事がありません」

 

ベル「まぁまぁ……。アリスにとっては窮屈かもしれないけど、もう少ししたら私達も自由に行動出来るようになるし、それまでは辛抱してくれると助かるよ」

 

アリス「私はまだしも、ベルさんに対してあの横暴な態度は許せません。ベルさんが止めていなければ私は彼等を蜂の巣にしていたところです」

 

……やっぱり私はアリスが1番変わったと思うよ。

 

 

~そして~

 

???「来たでやんすね」

 

ベル「ボス、私に何か御用でしょうか?」

 

???「おまえ達にある仕事をしてもらうでやんす」

 

ベル「仕事……?」

 

ボスの言うおまえ達というのは私とアリスとマスミの事。未来……もといミライは別行動で色々と動いているらしい。

 

???「おまえ達にはウンガルフにある島で穴を掘ってもらうでやんす」

 

穴掘り?某アイドルみたいに穴掘って埋まってろってか?

 

???「あの島にはオイラが探しているオーブが埋まっているんでやんす!先にグントラム達を行かせているでやんすから、おまえ達もすぐに行くでやんす!!」

 

うげっ……!あの狼頭と一緒にいるの嫌なんだけど……。

 

???「この仕事が上手くいったらおまえ達を独立させるつもりでやんすから頑張るでやんす」

 

ベル「わかりました。その言葉、忘れないでくださいよ」

 

ひゃっほう!良い事聞いた!!アリスも言ってたけど、正直私も窮屈だったんだよね。だから独立目指して御仕事頑張ります!!

 

私達は現在カメダ海賊団で活動しています。早く独立して私達の組織を作りたいです。




今回はここまでです。

次回、穴掘って出会います……?


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第2話 穴掘りで一山当てます

今回もよろしくです。


はい。私達はウンガルフのとある島にて穴を掘っています。ボス達が一般人を酷使していて、それはもう死にそうな表情をしていた。

 

マスミ「はぁ……。なんで私達がこんな事を……」ザックザック

 

アリス「全くです。大した実力もないのに、横柄な態度が腹立たしいですね」ザックザック

 

マスミもアリスも不満たらたらで穴を掘っている。私も不満しかないけどね。でも……。

 

ベル「この仕事が上手くいったら私達は組織から独立出来るかもだからね。それまでの辛抱だよ」

 

早く自由になりたいです!

 

ベル「そういえばアリスはデスポート号にいなくても良かったの?」

 

アリス「余りあの空間にはいたくありませんので……。それにヒガキさんがいれば何も問題はないでしょう」

 

アリスの言う事は尤もだけど、今私達がやっているのってゲームで言うところの『カメダ海賊団』っていうウンガルフの依頼だとするならばデスポート号はコンキスタ号にやられるんだよね……。

 

まぁまだ沈められる事はなさそうだから、向こうはヒガキさんに任せても問題なさそうかな?

 

グントラム「おい!グズグズすんな!!さっさと玉を見付け出せ!!」

 

あの狼頭の人使いが荒い荒い……。コンキスタ号が此方に来る頃にはデスポート号はやられてるだろうし、さっさと玉を掘り起こしたい……。

 

グントラム「ん……?おい、今何か光ったぞ」

 

「隊長!やりました!なんとかのオーブを見付けました!!」

 

……どうやらグントラム達が見付けたみたい。

 

「じゃあこれで俺達の仕事は終わりか……」

 

「やっと家に帰れる……」

 

グントラム「待て。まだおまえ達の仕事は残ってるぞ。全員さっさと掘った穴に埋まれ」

 

掘った穴に埋まれって……。

 

アリス「口封じする気ですね」

 

マスミ「どうするの?あのまま協力者が口封じされるとなんか目覚めが悪いんだけど……」

 

ベル「……放っておいても問題はないよ」

 

話を聞くにグントラムは暑い中穴掘りをやらせれて不機嫌だから、その鬱憤を晴らす為に協力者達を生き埋めにしようとしているようだ。

 

本来なら止めるべきだろうけど、そんな事をしたらグントラム達に悪印象を与えて面倒臭い事になるからやりたくない。まぁ態々私達が止めに入らなくても……。

 

???「そこまでだ!悪党共め!!」

 

「な、なんだなんだ?」

 

「何処にいる!?」

 

???「罪のない人々を使って強制労働とは酷い事をする……。此処で天の裁きを受けるがいい!」

 

何このクサイ台詞……。

 

アリス「クサイですね」

 

マスミ「クサイね」

 

どうやら2人も同じ事を思っていたらしい。協力者達は彼の事をヒーローと崇めているけど……。

 

グントラム「ガハハハハ!また会ったなクソガキ!!」

 

???「グントラム!俺の名前はキャプテンカイトだ!!」

 

ああ。あれがパワポケ13の主人公君か……。名前はカイトというらしい。

 

グントラム「はっ!どのみち此処でくたばるんだからどっちでも同じだろうが!!」

 

そう言ってキャプテンカイトと愉快な仲間達とグントラム達がドンパチし始めた。じゃあ私達は今の内に……。

 

ベル「皆、この場はヒーローに任せて今の内に此処から離れて」

 

「えっ?で、でも……」

 

ベル「……此処で死にたいなら残ってても良いよ。それが嫌ならさっさと消えて」

 

「は、はい~!!」

 

協力者達は私に怯えて逃げていった。……よしよし、グントラム達は戦いに夢中で気付いてないね。

 

ベル「よし、じゃあ私達も帰ろうか」

 

アリス「はい」

 

マスミ「それよりもそこに隠れている奴等は無視しても良いの?」

 

あー……。やっぱりマスミも気付いているよねぇ……。私達の目的は達成しているからさっさと帰りたいところだけど……。

 

アリス「マスミさんも気付いていましたか。ちょっとちょっかいをかけてみましょうか」

 

アリスは好戦的な性格なので、隠れている人物達を見逃す筈もなく、そこの物陰に向かって銃を構えて……。

 

 

バンッ!

 

 

???「わーっ!!」

 

???「す、スメラ様ーっ!」

 

隠れている人物の正体はスメラとトードのようだ。機会を伺って私達の持ってる玉を奪いに来たんだろうね。

 

ベル「君達は私達に何か用事があるのかな?」

 

スメラ「えっ?い、いや……」

 

ベル「用事がないならとっとと消えて」

 

トード「す、スメラ様!此処は帰るでゴワス」

 

スメラ「そ、そうだな!この場は見逃してあげようじゃないか。うん!」

 

そう言ってスメラとトードはそそくさと走っていった。

 

ベル「……さて、今度こそ帰ろうか」

 

目的を果たした私達はデスポート号に戻った。

 

 

 

カイトside

 

俺達はカメダ海賊団が住民を酷使して強制労働をさせているのを阻止する為にグントラム達と戦っている。

 

グントラム「おっとっと!ほお?腕を上げたじゃねぇか。デスポート号に見付からずにこの島に上陸しているとは驚いたぜ」

 

カイト「おまえ達の船ならやっつけたぞ」

 

グントラム「何……?」

 

カイト「沈んではいないが、痛め付けてやった」

 

何故か知らないが、なんかよたついていたから痛め付けた。

 

グントラム「ちっ!どうやら様子を見てきた方がいいみてぇだな!」

 

グントラム(そもそもヒガキやアリスが指揮を取ってるならコンキスタ号程度に遅れを取るとは思えん……。ボスが余計な事をしたのか?)

 

グントラム「あのクソメガネ……!」

 

なんか様子が可笑しいな……?

 

グントラム「じゃあなクソガキ。またその内に会おうぜ!」

 

そう言ってグントラムは去っていった。

 

カイト「……おいスメラ」

 

スメラ「ギクッ!……何かな?」

 

カイト「おまえは俺達とグントラムが戦っている間に玉を持ち逃げしようとしていただろう?」

 

スメラ「そ、そんな訳ないじゃないか!」

 

怪しいな……。

 

スメラ「それに玉は他の奴に持っていかれたぞ!」

 

カイト「な、なんだって!?一体誰に!?」

 

スメラ「わ、わからないが、多分海賊達に……」

 

まさかグントラム達は囮だったのか!?まさか他にも仲間がいたなんて……。

 

カイト「くそっ!」

 

早くカリムーの玉を取り返さないと……!

 

 

カイトsideout

 

 

 

 

戻ってきた私達はボスに玉を献上する。

 

カメダ「おおっ!これはまさしく技のオーブ!!」

 

ベル「目当ての物はそれで良かったかな?」

 

カメダ「間違いないでやんす。ではおまえ達はこれによってカメダ海賊団から独立でやんす!」

 

やったぜ!

 

カメダ「でもたまにはオイラ達を手伝うでやんすよ?」

 

ベル「まぁそれくらいなら……」

 

まぁそう遠くない内にグントラムから追放されるだろうし、コンキスタ号の人達によってカメダ海賊団は完全に瓦解するから、そうなったら今度こそ自由になるからそれまで我慢しよう。

 

カメダ「あと技のオーブはおまえ達に預けるでやんす。今回の仕事の報酬でやんす」

 

なんで……?




今回はここまでです。

次回、ヘブン……!


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第3話 天国にちょっと行ってきます

今回もよろしくです。


私達はカメダ海賊団から独立する事に成功したので、船を造り、試運転として適当な島までニューホープから少し北にある島まで辿り着いた。

 

マスミ「しかしまさかこの大航海時代とも言える世界で現代の船が造れるとは……」

 

ベル「まぁ材料はパライソタウンで調達しているからね」

 

アリス「ベルさんの技術に感服しますね。ですが私がカメダ海賊団で勉強した航海術等が無駄になってしまいました……」

 

ベル「そうでもないよ。この船以外にも乗るかもしれないから、これまで学んだ事は全くの無駄って訳でもない」

 

実は私も航海術の勉強をしっかりとしているし……。

 

 

ガサガサガサッ!

 

 

等と話していると、私達の前を何かが横切った。

 

マスミ「な、何今の……?」

 

ベル「パッと見る感じ蝶々だったね」

 

アリス「それにしては人並の大きさでしたが……」

 

うん。この世界の蝶々って無茶苦茶大きいよね。しかも黄色い羽の……って。

 

アリス「……今のはもしかして以前ヒガキさんが言っていた天国蝶ではないでしょうか?」

 

だよね。あれは間違いなく天国蝶だった。

 

マスミ「何……?その天国蝶って」

 

アリス「私も話半分でしか聞いていませんでしたから、詳しくは知りませんが……。ベルさんは何か知っていますか?」

 

ベル「天国蝶は貴族達の間では珍味として扱われていて、特定の場所にしか生息しておらず、絶滅危惧種とも言われているらしいよ」

 

そんな天国蝶が生息している島に偶然いるとはなんとも嬉しい誤算だね!

 

マスミ「じゃあその天国蝶を捕まえるの……?」

 

ベル「う~ん……。島を適当に散策して終わりっていうのもなんだし、折角だから捕獲しておこうか」

 

アリス「了解です」

 

さて、とりあえず天国蝶が飛んで行った方向まで行ってみますかね。

 

 

~そして~

 

マスミ「ところで天国蝶に特徴とかってあるの?」

 

ベル「……私も余り詳しく知らないけど、追い詰められると牙を向くって話は前に聞いた事があるかな。あと割と肉食って噂もあるらしいよ」

 

アリス「蝶なのに牙がある……。それはなんとも面妖ですね」

 

マスミ「本当だよ……。しかも肉食って……」

 

 

ガサガサガサッ!

 

 

またもや物音がしたので、その方向を振り替えると……。

 

マスミ「こ、今度は紫色の蝶々!?」

 

ベル「あー……。あれは地獄蝶だね」

 

アリス「見たところ天国蝶の亜種でしょうか……?」

 

ベル「そう思って構わないよ」

 

マスミ「……私早くこの島から出たいんだけど」

 

まぁマスミの気持ちはわかる。だって地獄蝶が滅茶苦茶いるもん。それも人間の大人並の大きさの蝶々が辺りに沢山いるからね……。

 

早く天国蝶を捕まえて帰ろう……。

 

 

 

~そして~

 

島の最深部まで来た私達は天国蝶を速攻で追い詰める。

 

マスミ「……はぁ。やっと追い詰めた」

 

アリス「マスミさん、本番はこれからですよ」

 

ベル「そうだね。なんせ……」

 

 

バサバサッ!

 

 

ベル「天国蝶は牙を向くからね」

 

マスミ「そうだった……」

 

アリス「しかも2羽いますね」

 

マスミ「……こんな化物は寧ろ2匹って数えても問題なさそうだけどね」

 

ベル「じゃあ早いところ終わらせようか」

 

私達は武器を構えて天国蝶と戦う。

 

 

~そして~

 

パライソタウンでの様々な死闘の経験のおかげで大して苦戦する事がなく天国蝶を倒した。

 

マスミ「やっと終わった……」

 

アリス「では持って帰りましょうか。どの様に調理するのが美味しいんでしょうか?」

 

ベル「聞いたところによると唐揚げが美味しいらしいね」

 

等と私達が会話をしていると……。

 

カイト「しまった!誰かに先を越されたぞ!」

 

???「そんな……!」

 

コンキスタ号のキャプテンカイトと愉快な仲間達と出会った。




今回はここまでです。

次回、キャプテンカイトと交渉、そして新たなる仲間と出会う……。


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第4話 交渉と新しい出会い

今回もよろしくです。


天国蝶を捕縛した私達は船に戻ろうとすると、コンキスタ号のキャプテンカイトとその仲間達に出会った。

 

カイト「しまった!誰かに先を越されたぞ!」

 

???「そんな……!イオリ様に持って帰る予定だったのに……」

 

カイト「ジュン……」

 

アリス(彼等は確かウンガルフの島で見た方達ですね。向こうは私達を認識していなかったようですが……)

 

マスミ(コイツ等も天国蝶に用があったの……?)

 

ベル(会話の流れから察するに多分そういう事だろうね)

 

彼等の内の1人は腹黒メイドことジュンか……。こんな場所でもメイド服というプロぶりだ。

 

さて。この状況はどうしたものか……。私達は別に天国蝶がいなくても問題ないし、彼等が困っているなら力になってもいいけど……。

 

ベル「ねぇ」

 

カイト「な、なんだ……?」

 

何処か警戒しているキャプテンカイトに対して私は背負っていた天国蝶の死体を差し出す。

 

ベル「それ、あげるよ」

 

ジュン「えっ!?」

 

アリス「ベルさん……?」

 

カイト「良いのか?貰っても……?」

 

ベル「まぁ私達はどっちでもって感じだしね。それなら天国蝶を必要としている人達にあげた方が良いでしょ」

 

まぁ天国蝶の唐揚げには少し興味あったけど珍味感が半端ないから、他の人に押し付けておこう。

 

するとジュンが私に話し掛けてきた。

 

ジュン「あ、あの!ありがとうございます。謝礼を渡したいのですが……」

 

ベル「気にしなくても良いよ」

 

カイト「でも何か礼をさせてくれ。あんた達が先に天国蝶を手に入れた訳だし……」

 

ベル「さっきも言ったけど、私達は天国蝶を捕まえにこの島に来た訳じゃないからどっちでも良いんだよ。でもそうだね……。何か礼をしたいと言うなら……」

 

私はどういった礼を彼等に求めているのかを考える為に一呼吸置いてから……。

 

ベル「……もしも私達が困っていたらその時は助けてね」

 

カイト「……ああ。わかった」

 

ジュン「その時は私にも手伝わせてください」

 

……何故かジュンも食い付いてきたか。ならその貸しを覚えておこう。

 

ベル「……うん。期待してる」

 

カイト「じゃあ俺達は行くけど、あんた達は……?」

 

ベル「私達はもう少しこの島に残るよ」

 

カイト「そうか……。また会えたらいいな」

 

ベル「そうだね。でもそう遠くない内に嫌でも会う事になると思うよ」

 

カイト「それってどういう……」

 

ベル「気にしなくても良いよ。これは私の勘みたいなものだから」

 

キャプテンカイト達は疑問符を頭に浮かべながら島を去った。

 

マスミ「……ねぇ、本当に天国蝶を譲っても良かったの?」

 

ベル「私達にとってあれはオマケみたいなものだよ。それを代償に未来の英雄に貸しを作った事の方が大きな収穫と言えるしね」

 

アリス「先々の事を見据えての行動……。流石ベルさんですね」

 

なんかアリスが滅茶苦茶褒めてくる……。まぁゲームの知識があるからこれくらいの予測なら出来るよ。なんならアリスにも出来るんじゃないかなぁ……。

 

マスミ「それにしても結局奴等には最後まで気付かれなかったね」

 

アリス「ボスの話によるとキャプテンカイト達はオーブを探知出来る機械を持っているとの事ですが、ベルさんが造ったケースに仕舞ってあるだけで探知を掻い潜れるとは……」

 

うん、それについては私も上手くいくとは思わなかった。ドラゴンボールでピラフ達がドラゴンレーダーの電波を遮断させるケースをイメージして造ったけど、成功して良かったよ。

 

ベル「まぁ今回はケースの性能を試したかったから態々オーブを入れた……。ケースの強度も問題ないし、もう少し大きく造って大切な物を収納出来るようにしたいね」

 

私はケースからオーブを取り出して懐に仕舞う。

 

ベル(さて、次に会う時はこのオーブを使って取引をしてみようかな?)

 

そう思いながら辺りを見渡す。

 

ベル「よし……。辺りに船はないし、私達もそろそろ行こうか」

 

アリス「はい」

 

ベル「マスミには申し訳ないけど、あともうちょっとだけこの船の試運転に付き合ってもらうよ」

 

マスミ「わかった。船の乗り心地は良いし、中の設備もかなり整っているから、疲れる事もないし……」

 

アリス「本当に凄いですよね。見た目は中型くらいの船ですのに、中には食堂やトレーニングルーム、それに数十人の部屋まで完備されていますから……。デスポート号とは違って鼠1匹の侵入すらありません」

 

アリスの言う通りこの船は見た目に反して中がとてつもなく広い。これをカメダ達にバレないように造るの滅茶苦茶大変だったけど、その甲斐あって船内はとても快適です!鼠等の害虫なんかも一切入らないようにもしてるしね。

 

マスミ「オマケに船同士で戦う事になっても負けないように超強力な大砲もあるし、エンジンもかなり良いのを使ってるからスピードもあるし……」

 

ベル「そのあたりはミライがパライソタウンで拾った素材が大きいね。おかげで良い船が造れたよ」

 

そんな話をしながら私達は隣の島に上陸した。

 

 

~そして~

 

さて、この島には何があるのか……!?

 

ベル「何か此方に来る……」

 

アリス「敵ですか……?」

 

マスミ「今は3人しかいないから、ちょっと面倒だね……!」

 

アリスとマスミはそれぞれ銃と剣を構える。

 

 

ガサガサガサッ!

 

 

???「はぁっ……!はぁっ……!」タタタッ

 

私達の前を横切る様に走っていったのは白と銀が混じったような綺麗な髪の少女だった。しかし凄くボロボロだけど、訳ありなのかな……?

 

マスミ「ちょっと待ちなって」

 

???「す、すみません!」

 

マスミが逃げようとした少女の腕を掴み、少女は何かに怯えている感じだけど……。

 

 

ドドドドドッ!

 

 

アリス「ベルさん、此方に大量のマストドンが来ます!」

 

えっ!?嘘っ!?

 

マスミ「はぁ……。この子はマストドンの群れから逃げていたっていうの?」

 

ベル「どうやらそれだけでもなさそうだけどね……。ねぇ」

 

???「は、はいっ!」

 

ベル「名前は……?」

 

???「し、シロです……」

 

ベル「そう……。悪いけど、手伝ってもらうよシロ」

 

シロ「わ、わかりました……」チャキッ

 

何がなんだかわからない感じでシロと名乗る少女は短剣を構える。へぇ……。結構様になる構え方じゃん。

 

ベル「アリス、マスミ、彼女も手伝ってくれるようだから、早めに終わらせるよ」

 

アリス「わかりました」

 

マスミ「はいはい……」

 

私達をシロを含めた4人で30近い数のマストドンを順番に倒していった……。

 

 

~そして~

 

マスミ「はぁ……。やっと終わった」

 

アリス「少し苦戦しましたね……」

 

ベル「仕方ないよ。どういう訳かあのマストドンの群れは普通のマストドンよりも遥かに強いからね」

 

なんでそんな生物が群れで過ごしてるんだろうね全く……。

 

マスミ「見た感じは普通のマストドンなのに……?」

 

ベル「本来のマストドンならいくら群れを作って此方に来てもシロ1人で倒せると思うよ」

 

シロ「えっ?わ、私がそんな……」

 

アリス「確かにあの短剣の捌きは並ではありませんでしたね」

 

マスミ「少なくとも私じゃああの様に短剣は扱えないね。見習いたいくらいだったよ」

 

ベル(まぁ彼女の場合はそれだけじゃないけどね……。その内彼女と話をした方が良いかな?)

 

まぁその辺は夜になったら考えるとして……。

 

ベル「シロ」

 

シロ「は、はい!」

 

ベル「今後の予定とかはあるかな?」

 

シロ「いえ、私は捨てられた身……。マストドンの群れがいなくなった今、この島でゆっくりと過ごそうと思っています……」

 

ベル「行く宛がないなら私達と一緒に来ない?私達は仲間を探しているんだけど、シロの実力なら申し分ないからね」

 

シロ「い、いいんですか?私なんかが……」

 

ベル「勿論。寧ろ此方から御願いしたいくらいだよ」

 

アリス「あれ程の腕前には興味ありますし、私達も人材が不足していますので、シロさんの加入は大歓迎です。それにベルさんが決めていますから反対なんてある筈もありません」

 

マスミ「私も同意見」

 

シロ「あ、ありがとうございます!皆さんの足を引っ張らないように頑張ります!」

 

ベル「期待してるよ」

 

シロ「はいっ!」

 

船の試運転をするつもりだけだったのに、試運転で辿り着いた島で強力な仲間が加入してくれた。有難や……。




今回はここまでです。

次回、ベル達はクインシティに訪れて……。


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第5話 貴族の町は優雅で甘美なイメージ

今回もよろしくです。


私達はクインシティの中でも貴族達が沢山住んでいると言われているグレートクインにいる。

 

シロ「こ、此処があのグレートクイン……!」

 

マスミ「……私達って別に貴族って訳じゃないから、場違い感が半端ないんだけど」

 

アリス「とはいえ私達はボス達と違って別に犯罪を犯している訳ではありませんので、堂々としていれば良いのです」

 

一応私達はカメダ海賊団の一員だけど、今は独立してるし、独立前もほぼ別行動だったから顔を覚えられていないだろうしコソコソする必要ないよね。

 

ベル「アリスの言う通り堂々としていれば案外普通だと思うよ。この貴族の町と言われるグレートクインもね」

 

しかし辺りは結構ざわついてるね。何かあったんだろうか?気になったので、近くにいる人に話を聞く事に……。

 

「ああ。最近王女様がツンドランドの皇帝と結婚したんだよ」

 

ツンドランドの皇帝って確かジオットだよね?王女様っていうのも木村冴花(きむらさえか)ことブサイの事だと思うけど……。

 

ベル(成程ね……。シロを仲間にした島から数十日かけてこのクインシティに来たからその間に結婚騒動があったと考えるのが妥当かな)

 

この世界では時間の流れがとにかく速い。ミライの話によるとゲームでのリミットの9900日が経過しても別世界から来た私達は年を取る事がないので、この海の旅をゆっくりとするのも悪くないだろう。

 

……とりあえず仲間をもっと集めておきたい。

 

マスミ「そういえば天国蝶がいた島で出会ったメイド服の人が言っていた『イオリ』っていう人はこの辺りでも有名なレヴィン家の令嬢らしいね」

 

ベル「レヴィン家はグレートクインでもかなりの上流家庭って話だよ。ウンガルフの島で見たスメラと呼ばれた人もこのグレートクインでは有名なミカード家の住人らしいけど、レヴィンに比べるとかなり家柄のランクは数段落ちるだろうね」

 

アリス「貴族の間にも色々とありますからね……」

 

そういえばアリスは前の世界……もといパライソタウンでは有名な家柄なんだっけ。だったら貴族間での気苦労も身に染みているんだろうね。名家で生まれて育つのも必ずしも良いって訳じゃないみたい。

 

アリス「ところでベルさん、この町にはどういった用事で来たんですか?」

 

ベル「用事という用事はないよ。船の試運転も終わったし、一休みがてら観光に来ただけ」

 

シロ「あの船凄かったですね……。何かボタンを押したと思ったら突然カプセルになってしまうんですから……」

 

アリス「…………」

 

マスミ「…………」

 

シロ「あ、あれ?私何か変な事を言いましたか?」

 

ベル「……いや、何も言ってないよ。私達からしたら不自然な発言はなかったよ」

 

シロ「良かった……」ホッ

 

ベル(そう……。私達からしたら……だけどね)

 

当然だけど、この世界にはボタン1つで船がカプセルになるシステムなんて存在しない。アリスとマスミには前に見せた事があるから、大して驚いてないだけでシロからしたら驚きの対象なのは当たり前だ。

 

ちなみにシロが言っていた現象は私がいたドラゴンボールの世界で御世話になったホイポイカプセルと私が造った船を連結させて、カプセルの先端部分を押すと船が出現して、船にあるボタンを押すとカプセルに戻るというシステムの事である。

 

なのでこれで確信した。シロは私達とは別の世界からこの世界に来た人間だと……。

 

安堵しているシロを見てゆっくりと話せる場所を探して今日は休もうと思った。数十日の航海は疲れたからね……。




今回はここまでです。

次回、ベルはシロと話をする……。


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第6話 こうしてまた1つの世界を知る

今回もよろしくです。


夜になり、宿泊施設に部屋を2つ取って私はシロと2人で話をする事に……。

 

シロ「あの、話って……?」

 

ベル「単刀直入に聞くよ。……シロ、君はこの世界の人間じゃないよね?」

 

私が聞いた瞬間にシロは身体を強張らせた。

 

シロ「ど、どうして……」

 

ベル「理由が知りたい?」

 

シロ「は、はい……」

 

ベル「順番に挙げていこうか。まずは私達が出会った時。シロが着ていた服は少し汚れていたけど、この世界ではまず見掛けない服だから。次に昼間の発言ね。この世界にはあんなに便利なカプセルは存在しない。出来たとしたら少なくとも数世紀後になるだろうね。そもそもカプセルという言葉が今の時代にあるかすらも怪しいし」

 

寧ろ数世紀後でもあんなの出来ないよ。ドラゴンボールの世界って原始的なのか近未来的なのかわからない節があるよね……。

 

ベル「それなのにシロはあれがカプセルだと一目でわかった……」

 

シロ「…………」

 

反論出来ないのかシロはすっかりと黙り混んでしまった。

 

ベル「最後は私にしかわからない理由だけど、シロの気配そのものだよ」

 

シロ「け、気配ですか……?」

 

先程までの理由はアリスとマスミでも不自然に思えるものだったけど、最後の理由に関しては私とミライの様にドラゴンボールの世界で生き抜いた人間にしかわからない理由になる。……まぁドラゴンボールに限らず戦いの世界で過ごしてきた人ならわかるかもしれないけど。

 

ベル「シロから感じられる気配、歩き方、立ち振舞い、言葉のイントネーション等々……。挙げればまだまだ出てくるけど、特に目立つのはこのくらいかな?これ等がこの世界の人達のどれにも当てはまらないものだった」

 

シロ「……そこまでわかってたんですね」

 

ベル「別にそれがわかったからといってシロを追い出そうとはしないよ。寧ろ本当に仲間になったからこそ違和感を解決しようとしたんだ」

 

シロ「…………」

 

ベル「それにシロだけだと不公平だから、私達についても話すね」

 

シロ「ベルさん達について……?」

 

ベル「私達もシロと同じ別の世界からこの世界に来た人間だよ」

 

シロ「私と同じ……?」

 

ベル「正確に言うと私達はシロがいた世界ではないけどね。もっと言うとアリスとマスミは同じ世界だけど、私と此処にはいないミライという人物はまた別の世界から来たんだよ」

 

シロ「な、なんだかこんがらがりそうですね……」

 

ベル「難しく考えなくても良いよ。要するに私達はシロと同じ境遇だっていう事」

 

シロ「そうだったんですね……」

 

はぁ……。実際に説明すると訳がわからなくなってくる……。私こういった説明は余り得意じゃないんだよね。ミライならもっとわかりやすく、丁寧に説明するんだろうけど……。

 

シロ「……私、今の話を聞いて少し安心しました」

 

ベル「安心?」

 

シロ「私は此処の前にも別の世界にいたんですけど、その世界でも全く状況に着いていけず……。路頭に迷っていた私を助けてくれた人に戦い方を教えて貰って、その時に貰った短剣が今持っている物なんですけど……」

 

シロは途切れ途切れに、声を震わせて、涙を流しながら続きを話す。

 

シロ「そ、それでっ!私に優しくしてくれた人達が1人、また1人と死んでいってっ……!」

 

ベル「…………」

 

シロ「最終的には私1人になっちゃって、私に関わる人が不幸になるならずっと1人で生きようと思った矢先にこの世界に飛ばされて……!」

 

泣きながらもシロは続きを話す。

 

シロ「いきなり化物……マストドンの群れに襲われて、その途中にベルさん達に会って……!」

 

捨てられた身っていうのはいきなり異世界に放り込まれて、1人になった上にこの世界に捨てられたって事なんだろうか……。だとしたら酷すぎる話だ。

 

シロ「だから、だからベルさんが誘ってくれた時は嬉しくてっ!でも私といたらベルさん達が死んでしまうんじゃないかって怖くなってっ……!」

 

ベル「……ありがとう。話してくれて。辛かったでしょ?」

 

シロ「」コクンッ

 

ベル「心配しなくても良いよ。私は死なないように出来ているからね。シロは勿論、アリスもマスミも死なせない。でも私が危なくなった時は力を貸してね。初めて会った日も言ったけど、期待してるから」

 

シロ「はいっ……。はいっ!」

 

ベル「よしよし」ナデナデ

 

私は泣きじゃくるシロに胸を貸して頭を撫でる。シロも辛かったんだろうね。私のケースが比較的ラッキーだった訳だ。

 

ドラゴンボールの世界で家族同然に接していたあの子達は元気にしているだろうか……?

 

 

~そして~

 

シロ「……服を濡らしてしまってすみません」

 

ベル「気にしなくても良いよ。それよりも改めて自己紹介をしないとね」

 

シロ「自己紹介……?」

 

アリス「ベルさん、御呼びですか?」

 

マスミ「……状況を察するにシロに私達の事を話したんだね」

 

ベル「うん。だから改めて自己紹介をしようと思ってね」

 

アリス「成程……」

 

マスミ「じゃあ私から……。神室真澄。この世界ではマスミって名乗ってる。改めてよろしく」

 

アリス「坂柳有栖です。この世界ではアリスと名乗っています」

 

ベル「私だね。大宮鈴音だよ。この世界ではベルで通ってるよ」

 

私達の紹介の後シロは泣き止み、笑顔で自己紹介をする。

 

シロ「私はシロ……。元の世界では倉田ましろという名前です。改めてこれからもよろしく御願いします!」

 

ベル「うん。此方こそよろしくね」

 

シロ「はい!」

 

良い笑顔だ。また私達の絆が深まった気がするぜ!




今回はここまでです。

次回、ベル達はデジーマを訪れる……。


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第7話 ヒノモトは良い所1度はおいで

今回もよろしくです。


シロとの話し合いが終わった私達は数日の時を船内で過ごし、デジーマに着いた。

 

マスミ「デジーマって本当に日本の江戸時代みたいな雰囲気の国だね」

 

シロ「そうですね。なんだか少し懐かしい気持ちにもなります」

 

そういえばシロはともかくマスミもデジーマは初めてだったね。私とアリスはダイガザラ島の下見の為に1度デジーマをしてるけど。そしてデジーマ上陸の為に30000ペラを分取ったニンゲツは絶対許さない。

 

アリス「それでベルさん、デジーマにはどのような用事で来たんですか?」

 

ベル「ミライから連絡があってね。向こうで仲間にした人と合流してほしいんだって」

 

ミライは別行動で仲間を集めている。今のところカメダ海賊団から独立してからの私達の戦力はこの4人と私の事を姐さんと呼ぶ人達だけ。総人数は20人もいないから、まだまだ人員募集中です!何れカメダはグントラムに追い出されるし、グントラムについてもミライが手を打っているらしいけど……。

 

???「あっ、いたいた。君達がミライさんが言っていた人達かな?」

 

私達に声をかけてきたのがミライの言っていた……って。

 

アリス「そうですね。そういう貴女がミライさんが仲間にしたという人ですね」

 

シロ「わぁ……。綺麗な人……」

 

な、なんで……?

 

???「私はシルヴィア・リューネハイムだよ。よろしくね♪」

 

世界の歌姫ことシルヴィア・リューネハイムがこの世界に!?学戦都市アスタリスクの世界とも関係あるのかな……?

 

アリス「アリスです。よろしく御願いします」

 

マスミ「私はマスミ。よろしく」

 

シロ「し、シロです。よろしく御願いします!」

 

ベル「最後は私だね。ベルだよ。この中ではリーダーって事で良いのかな……?よろしくね」

 

アリス「何を言っているんですか。私達のリーダーはベルさん以外有り得ません。カメダなんかとは格が違います」

 

コラコラ。まだカメダ達はいるんだから、本人がいる内は呼び捨ては止めなさい。

 

シルヴィア「あはは……。皆は本当にカメダ海賊団の一員なんだね」

 

ベル「まぁ一応独立しているけど、たまに一緒に仕事をする事もあるからね」

 

そういえばこの世界に来て間もない頃……もといカメダ海賊団に入ったばっかりの頃に王女を誘拐したんだっけ……。その時は王女を誘拐した後の事はグントラム達に任せて私達は他の仕事をしたから、キャプテンカイトとは会ってなかったけど……。

 

軽い自己紹介も終わったので、シルヴィアの能力を確認……って戦力的にはなんの疑いもないけどね。

 

マスミ「シルヴィアさんの戦闘での得意分野って何?」

 

シルヴィア「そうだね~。メインは格闘戦でちょっと変わってるんだけど、歌いながら戦うんだよ」

 

それなんてシンフォギア……。

 

アリス「中々に個性的ですね。海戦では何か得意な事は?」

 

シルヴィア「一応船大工としてある程度経験はあるけど、ベルさん達の船を見ると余り役には立たなそうかなぁ……」

 

まぁうちの船は超火力の大砲でも傷が1つもつかないくらい頑丈だし、海戦すら殆んどしないからねぇ……。もしもの時は役に立つけどね。

 

シルヴィア「こんな私だけど、役に立てそうかな……?」

 

ベル「勿論。これからもよろしくねシルヴィア」

 

シルヴィア「うん♪」

 

アリス「では御互いの自己紹介も終わりましたので、食事にしましょうか。近くの料亭で予約を取っています」

 

流石アリス。用意周到だね……。

 

その後私達はシルヴィアとの親睦を深めながら刺身を食べた。久し振りに食べる刺身は美味しかったです!




今回はここまでです。

次回、ベル達はある海賊達と出会う……。


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第8話 遭遇!?RS海賊団!!

今回もよろしくです。


大きく広い海を私達の船でのんびりと航海。なんとも穏やかな気分だねぇ……。

 

マスミとシロとシルヴィアは個別で鍛練中だし、アリスは船の書庫で読み物を読んでいるし、今日は久し振りに私1人。

 

ベル(こんな穏やかな日々が何時までも続けば良いのに……)

 

まぁ海賊が蔓延るこの時代じゃそれも難しいか……。

 

 

ドーン!ドーン!!

 

 

ほら、なんか大砲の音がするし……。

 

???「敵襲ですね」

 

ベル「相手は何処の海賊かわかるユキコ?」

 

今ぬっと私の隣に来たのはユキコ。うちの情報収集担当でこの世界において様々な海賊やモンスターについての情報を集めては私達に報告する係。

 

彼女もミライが連れてきた仲間の内の1人で、あと滅茶苦茶神出鬼没。マジで気配がわからなかったんだけど……。

 

ユキコ「……あの旗のマークはRS海賊団のデイトネート号ですね。如何致しましょうか?」

 

……RS海賊団って確かあの死神海賊団だよね?出来る事なら関わりたくない。そういうのはキャプテンカイトに任せるべきでしょ?彼の担当だよね?

 

ベル「……態々相手をする必要もない。このまま直進で御願い」

 

ユキコ「わかりました。操縦担当の方に伝えておきます」スタスタ

 

ちなみにこの船の操縦担当は日毎に交代しており、私もたまに操縦をする。でも今日の操縦担当は確か……。

 

ベル「私も操縦席の方に行くよ」

 

ユキコ「……そういえば今日の操縦担当は彼女でしたね。でしたらベルさんが付き添った方が良いかもしれません」

 

ユキコの言う通り今日の操縦担当は腕前はあるんだけど……。

 

 

~そして~

 

???「ふぇぇ……。敵の船がどんどん此方に近付いて来るよ~!どうしたら良いの~!?」

 

ベル「落ち着いて。このスピードはどんな船にも負けないから。まだ上手く操縦が出来ないなら自動操縦モードに切り替えるんだよ」

 

???「う、うん……。わかったよ」ポチッ

 

彼女がボタンを押すと船は自動操縦に切り替わり、高スピードでデイトネート号を振り切る。

 

ベル「……とりあえず一安心だね。御疲れ様」

 

ユキコ「相変わらずですね。ナナさんは……」

 

ナナ「ご、ごめんね……。私が不甲斐ないばっかりに……」

 

この操縦席でふぇぇと嘆いていたのはナナ。陸戦ではかなりの実力を誇るし、海戦でも航海士として申し分ないんだけど、いかんせん本番やアドリブに弱いタイプの人間だからなぁ……。落ち着けば戦力としてトップクラスなんだけどね。

 

ベル「まぁ今回は逃げ切れだから問題ないよ。ただ……」

 

ユキコ「向こうに目をつけられているのが問題ですね。RS海賊団のリーダーは好奇心旺盛で、面白いと思ったものは徹底的に遊び尽くすみたいですので……」

 

ナナ「ふぇぇ!?」

 

はぁ……。面倒な事になってきたよ……。これ以上関わりたくないけど、そうはいかないんだろうなぁ……。

 

 

RS海賊団side

 

???「逃げられた……」

 

「すいません姫!見失ってしまいました……」

 

???(あの船……。誰も乗ってないから難破船かと思ったけど、その割にはちゃんと動いていた……。気になってちょっかいかけて大砲で攻めてみたけど、かなりのスピードで逃げられた。帆も張ってない船があんなにスピードが出るとはね)

 

???「色々気になるし、カイトにも声をかけておこうかな。序でにカイトにもちょっかいかけよっと!」

 

「姫のあの顔……」

 

「ああ……。あの船がなんだか知らないけど、あの船は終わったな。跡形もなく消されるぞ」

 

???「……あんた達、後でマストの上に張り付けね」

 

とにかく今はこの話をカイトの元に持って行くのが先決だね!

 

 

RS海賊団sideout




今回はここまでです。

次回、主……!


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第9話 鬼ノ島の怪物

今回もよろしくです。


私達は今デジーマから北に数十キロ行った鬼ノ島という場所にいる。

 

面子は私、アリス、ユキコ、シルヴィアの4人。船はカプセル化しているので、他の人達はデジーマで待機となった。

 

シルヴィア「鬼ノ島か~。一体どういう所なの?」

 

ユキコ「私の聞いた話によりますと……。この島はかつて鬼達が生活していた場所であり、その鬼達に人々は恐怖を抱いて付けられた島だと言われています」

 

そんな裏話があったとは……。ゲームプレイだけだとまず耳にしない話だよね。ユキコの情報収集能力は流石と言わざるを得ないよ。

 

ユキコ「更に鬼ノ島は世界で初めて恐竜やドラゴンが出現した島とも言われており、別名『ドラゴンアイランド』と呼ばれているらしいですね」

 

シルヴィア「ド、ドラコン……!?」

 

アリス「成程……。よく見てみるとあちこちに恐竜らしき生き物が歩いていたり、ドラゴンみたいな生き物が飛んでいたりしますね」

 

確かにそれらしき生物が滅茶苦茶いる。歩いているのは恐竜とラプターだし、飛んでいるのはビードラゴンやらパワポケ13ではいない筈のドラコまでいるし……。

 

その他にもロック鳥や人喰い虎、地獄蝶もうようよしている。ハッキリ言って超カオス。

 

ベル「私達のパワーアップには最適の場所だね。また全員でこの島を訪れてみようか」

 

アリス「そうですね。それで今日のところはどうしますか?」

 

ベル「そうだね……。今日はこの島の下見に来たつもりだったけど、折角だから軽く運動して帰ろうか。3人共準備は大丈夫?」

 

シルヴィア「ドラゴンとか言われてちょっと萎縮しちゃったけど、全然いけるよ!」

 

ユキコ「鬼ノ島に行くという時点で入念な準備をしていました。なので此方も大丈夫です」

 

アリス「勿論問題ありません。オールグリーンです」

 

3人は近辺を彷徨いている敵に対してそれぞれの武器を構える。頼もしい。

 

ベル「じゃあ行こうか。この島を隅々まで回りにね……!」

 

さて、軽くレベルアップといこうじゃないか!

 

 

~そして~

 

アリス「辺りの敵は大方倒しましたね」

 

ユキコ「あとは最深部にいる敵だけですね」

 

シルヴィア「いや~、思ったよりも上手く戦えて良かったよ」

 

この3人とても強い。アリスについてはある程度知っていたけど、ユキコは近接、遠距離と打ち分けて闘えていたし、シルヴィアは近接戦闘に関しては3人の中で群を抜いていた。

 

私も負けじと近接戦闘で敵を倒していったよ。

 

シルヴィア「それにしてもベルさん凄いよね。まさに疾風怒濤って感じ!」

 

アリス「ベルさんの本気はまだまだあんなものではありませんよ」

 

ユキコ「私達も遅れを取る訳にいきませんね。最深部の敵も今まで以上に張り切って倒していきましょう」

 

な、なんかこそばゆい……!

 

ベル「そろそろ休憩は終わりにしようか。身体は休まった?」

 

アリス「はい。充分に」

 

他の2人も問題なさそうにしている。それでは行動再開!

 

 

~そして~

 

「グォォォォッ!!」

 

デ、デカっ!

 

アリス「あれはビードラゴンですね……」

 

シルヴィア「さっきまで戦っていた奴よりも一回り大きいよ~!」

 

ユキコ「最深部の主ですね。この島の最深部の主は日毎に変わると言われています。今日はビードラゴンのようですが……」

 

何それ怖い。

 

ユキコ「最深部のモンスターはそれぞれで殺し合い、喰い千切りを繰り返して成長していっていますので、今までに比べると段違いの強さです」

 

通りで辺りが血生臭いと思ったよ……。

 

ユキコ「ちなみに極稀に主が2体いる事があります」

 

シルヴィア「……私の見間違いじゃなかったらあの大きいビードラゴンが2体いるんだけど」

 

うん。それは私も思った。

 

アリス「これは倒し甲斐がありますね」

 

ベル「じゃあそれぞれ陣形を整えていこうか。焦らずに処理していこう」

 

私達は対ボス敵用の陣形で通常よりも倍近くの大きさのビードラゴンに向かい討つ。




今回はここまでです。

次回、再会……?


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第10話 再会?それとも初対面?

今回もよろしくです。


ユキコ「主を倒しましたが、少し手間取りましたね……」

 

シルヴィア「疲れた~!」

 

アリス「そろそろ帰りますか?」

 

ベル「そうだね。戦利品も手に入ったし、1度デジーマに戻ろうか」

 

無事に主を倒す事が出来たので、私達が帰る準備をしようとすると……。

 

???「あっれ~?モンスターいなくない?」

 

カイト「可笑しいな。確か此処は様々な怪物が出るって話だったんだけど……」

 

なんか声が聞こえた。片方はキャプテンカイトだけど、もう片方って……。

 

アリス(ベルさん、彼方にいるのはもしかして石川さんでは……?)

 

ああ。アリスは前の世界で彼女と出会っているから、その指摘はあって当然なんだっけ?とりあえず捕捉しておく必要があるかな?

 

ベル(向こうにいるのはその石川さんで間違いではないけど、この世界は前いた世界とは似て非なるから彼処にいるのは顔がそっくりで同名の完全な別人って事になるね)

 

アリス(成程……。了解しました)

 

さて。向こうはまだ此方に気付いてないから、今の内に退散にしようか……。

 

???「あっ、彼処に人がいる!なんか知ってるかもよ!」

 

カイト「あっ、おい!」

 

キャプテンカイトの静止を聞かずにRS海賊団のトップである破壊神リコが此方に来た。

 

リコ「ねぇねぇ、この島にはモンスターがうじゃうじゃいる筈なのに、それらしいのが1匹もいないんだよね~。何か知ってる?」

 

ベル「そうなんだ。でも私達も何も知らないんだよね。私達は偶然この島に立ち寄っただけだから」

 

……結構苦しい言い訳だけど、誤魔化せるだろうか?

 

リコ「ふーん……。あれ?」

 

シルヴィア「…………」

 

リコはシルヴィアの方を訝しげに見ていた。この世界でもシルヴィア・リューネハイムは有名人なのかな?今も変装用の髪型をしてるし……。

 

ちなみにこの変装技術は本来この世界にはなかった物なんだけど、私が造ってみたらシルヴィアが思いの外食い付いたんだよね。

 

リコ「どっかで見た事があるような……」

 

シルヴィア「気のせいじゃないかなぁ?」

 

リコ「……そうだよね。ゴメンゴメン」

 

……どうやらシルヴィア・リューネハイム本人だとバレずに済んだみたい。ちゃんと原作を忠実に再現して造っているから普通はバレない筈なんだけど、リコは勘が鋭いところがあるから要注意だね。

 

カイト「リコ、余り他人に迷惑をかけるなよ」

 

リコ「え~?」

 

なんか仲良いよね君達……。もう結婚しちゃいなよ。

 

カイト「……ってあんたは!」

 

あっ、キャプテンカイトが私に気付いた。

 

リコ「何々?カイトの知り合い?」

 

カイト「彼女達の中で知ってるのは2人だけだ」

 

ベル「そういえば名乗ってなかったね。私はベル。よろしくね」

 

まぁこれからよろしくする事が余りない事を切に願う……。特に破壊神の方。

 

ベル「それで此方にいるのが私の仲間の……」

 

アリス「アリスです。ベルさんの露払いをしています」

 

ユキコ「私はユキコといいます。以後御見知り置きを」

 

……で、最後のシルヴィアの事はなんて言えばいいのかと思っているなかシルヴィアが先に口を開く。

 

シルヴィア「……私はシグルド。よろしくね♪」

 

……シルヴィアもといシグルドは偽名考えるの下手だと思うんだよね。案の定ユキコに詰め寄られているし……。

 

ユキコ(貴女は馬鹿ですか?あんなバレバレの偽名は最早偽っている意味がありませんよ)

 

シルヴィア(だ、だって咄嗟に出てきたのがそれだったんだもん!)

 

ユキコ(貴女は戦律の歌姫と一部で呼ばれているのに、捻り出した偽名がよりによってシグルド(戦律)とは……。コンキスタ号のキャプテンはともかく、RS海賊団のトップにはほぼ間違いなくバレています)

 

シルヴィア(うぅ~!!)

 

リコ「……まぁいいや。ベル達は面白そうな感じがするし、また会えると良いね!」

 

止めて。私をロックオンしないで!

 

リコ「じゃあ私達はそろそろ帰るね。バイバイ!」

 

そう言ってリコ達は鬼ノ島から出て行った。

 

カイト「……俺達もそろそろ帰るか。改めてあの時はありがとう。俺達は暫くパラポルトにいるから、そっちさえ良かったら寄ってくれ。礼がしたい」

 

ベル「……うん。覚えておくね」

 

まぁ私達は色々忙しいから、寄る暇ないと思うけどね!




今回はここまでです。

次回、新たな仲間と遭遇……?


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第11話 始まりの国は戻ってみると新たな発見をする事もある

今回もよろしくです。


鬼ノ島から出た私達はパラポルトに来ている。

 

パラボルトはゲームでいうところのスタート地点で、コンキスタ号のキャプテンカイトを始めとする複数人がこの国の出身である。

 

アリス「パラポルトに来るのは初めてですが、中々良い所ですね」

 

ベル「うん。町役場も雰囲気が良い感じ」

 

ちなみに私とアリスとユキコ以外は近場の宿で待機している。ユキコは周辺に情報を集めているので、この場にはアリスと2人きり。

 

アリス「今日はベルさんとデートですね///」

 

ベル「いやいや……」

 

別にデートじゃないからね?私はノーマルだからね?

 

???「だから嫌だって言ってるんです!」

 

「良いじゃねぇか。姉ちゃん、俺達と遊ぼうぜ~?」

 

「そうそう。悪いようにはしないからさ!」

 

???「本当に止めてください!!」

 

……なーんか面倒な場面に遭遇したなぁ。

 

アリス「……破落戸が女性に絡んでいますね。如何致しましょうかベルさん?」

 

ベル「はぁ……。見てしまった以上は無視出来ないし、あの女性を助けるよ」

 

アリス「わかりました」

 

とはいえどうしたものか……。私はラノベ主人公みたいなスムーズに人助けをするスキルは持ち合わせていないから、タイミングを伺うべきなんだけど……。

 

アリス「醜いですね」

 

「ああん!?」

 

「なんだてめぇら!?」

 

はい、あれこれ考えている途中でアリスが踏み込みました。あと私にも焦点あったね。

 

アリス「女性が嫌がっている時点で貴方達の行為は悪質なものです。さっさと立ち去りなさい」

 

……滅茶苦茶格好良いっすねアリスさん。もう君が私の代わりに皆を纏めてくれない?原作でもクラスのリーダーでしょ?

 

「なんだと!?」

 

「待て……。良く見ると2人共中々可愛いじゃねぇか」

 

やっぱり私にもロックオンしてた……。只の破落戸かと思ったけど、もう片方は結構冷静だね。相方を諌めている。

 

「てめぇらも俺達と一緒に来いよ。俺達と一緒に気持ち良い事しようぜ?」

 

「気持ち良すぎてもう俺達なしじゃ生きて行けなくなるかもな!!」

 

うわっ。気持ち悪っ……。鳥肌が立ったよ。ゾワゾワってした。こんな奴等さっさと始末したい。

 

アリス「……気持ち悪いですね。聞いていて不愉快です」

 

隣にいるアリスも同じ事を考えているようで、銃を構えていた。

 

「なんだ?俺達とやろうってのか?」

 

「俺達はこの辺りで恐れられている海賊団だぜ!」

 

へぇ……。キャプテンカイトの故郷でもこんなチンピラ海賊が蔓延ってるんだね。パラポルトでも治安が悪い場所もあるもんだ。

 

アリス「へぇ……。パラポルトで有名な海賊団ですか」ポロッ

 

冷笑しながらアリスは手元からある物を落とした。

 

アリス「……失礼。落とし物してしまいました」

 

「ああ……?なんだ?」

 

「こ、これは……!?」

 

「ど、どうした!?」

 

「こ、この女共はカメダ海賊団だ!!」

 

「カ、カメダ海賊団だと!?」

 

「ああ……。あの銀髪の女が落としたのは世界で有名な最悪の海賊団……カメダ海賊団の旗印だ。本物だった」

 

アリスが落としたのはカメダ海賊団の旗印。なんでそんな物を持っているのやら。

 

アリス「ウンガルフでボスから貰った旗印がまさかこのような場面で役に立つとは思いませんでしたね。まぁこのような破落戸海賊に対する威嚇にはもってこいだというのがわかりました」

 

ベル「じゃあこれからは他の海賊団が絡んで来た時に使えるかもね」

 

まぁRS海賊団とかには通用しないと思うけどね……。

 

ベル「それで……?君達は私達と一戦交えるつもり?私達は別に構わないけど」

 

「し、失礼しました~!!」

 

「ま、待ってくれ~!!」

 

私達がカメダ海賊団の一員だとわかった途端に破落戸は逃げ出した。絡まれた女性はちょっと震えている。どうしたものか?とりあえず……。

 

ベル「私はユキコに連絡しておくから、アリスはその人を保護しておいて」

 

アリス「わかりました」

 

じゃあこの場から少し離れてユキコに連絡……っと。

 

ユキコ『ベルさん?どうかしましたか?』

 

ベル「さっきパラポルトで有名だと吹聴している破落戸に絡まれてね。ユキコはそれがなんだかわかる?」

 

ユキコ『……恐らくはこのパラポルトの一部で悪事を働く連中ですね。彼等に何人もの女性が被害にあったと聞いた事があります』

 

流石ユキコ……。一体彼女の情報は何処から仕入れてくるんだろうか?

 

ユキコ『ですが実力は大したものではありませんので、気になるなら此方で始末しておきます』

 

ベル「……そうだね。被害がこれ以上出ない為にも御願いしておこうかな。頼める?」

 

ユキコ『わかりました』ブツッ

 

そう言ってユキコとの連絡は途絶えた。さて、私も戻ろうかな。

 

ベル「連絡終わったよ。そっちはどう?」

 

アリス「丁度彼女が落ち着いたところです。私達の事情を少し話しましたが……」

 

ベル「それがアリスにとって必要な事なら止めるような真似はしないよ。気にしないで」

 

アリス「ありがとうございます」

 

絡まれていた女性の方を改めて見てみる。ほうほう、水色の髪をツーサイドアップにしている綺麗系の女性……ってあれ?何処かで見た事あるんだけど……?

 

???「あ、あの……!改めて先程はありがとうございます!」

 

アリス「彼女はルナというそうです」

 

思い出した……。十六夜瑠菜(いざよいるな)。パワプロの登場人物じゃん!パワポケとパワプロのコラボってありなの!?

 

ベル「気にしなくて良いよ。同じ女としてあの光景は見過ごせなかったし」

 

ルナ「で、でも貴女達はあのカメダ海賊団なんですよね……?何か見返りとかあるんじゃ……」

 

ベル「確かに私達はカメダ海賊団の一員だけど、別にそういうのは求めてないかなぁ……。それにさっきも言ったけど、ああいうのは許せないんだよね」

 

ルナ「な、何か御礼をさせてください!なんでもしますから!!」

 

ん?今なんでもって言ったよね……?

 

ベル「そうだね……。ルナは何か出来る事や得意分野はあるかな?」

 

ルナ「えっと……。実はデジーマで剣術を習っていた事があって、道場の先生に褒められるくらいには……」

 

ふむふむ。本来なら野球選手だった訳だから、彼女が剣術を嗜んでいてもある程度は違和感ないのかな……?

 

ベル「それじゃあ私達と一緒に来ない?カメダ海賊団から独立したばっかりで、まだまだ人員不足なんだよね」

 

ルナ「わ、私で役に立てるなら是非御願いします!!」

 

ベル「決まりだね。これからよろしくねルナ」

 

アリス「良かったですね。ベルさんが認める程なら貴女の実力も保証出来るでしょう」

 

そ、そんなに持ち上げないで……。

 

そんな訳で新しい仲間が増えました!……今のところ近接戦闘担当が殆んどだけどね。




今回はここまでです。

次回、ベル達は北の国から……?


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第12話 白くまアイスって偶に食べると美味しいよね

今回もよろしくです。


ルナを仲間にした私達は騒ぎにならない内にパラボルトを離れてツンドランドのトカラフ島に来ている。

 

トカラフ島といえばゲームでは主人公達が政府に依頼されて島の調査の為に度々訪れる所謂繰り返しクエストにあたる。

 

ルナ「寒~い!」

 

シルヴィア「ツンドランドの中でもこの島は特に寒いよね」

 

アリス「トカラフ島の寒さはベルさんの防寒対策に造られた服がなかったら凍死する位ですからね」

 

面子はアリス、シルヴィア、そして今回のメインのルナ。この島には彼女の実力を確かめる為に来たようなものだからね。それにしても此処は滅茶苦茶寒い……。

 

「ガァァァァッ!!」

 

シルヴィア「大きいね~!」

 

ルナ「白熊……なんだよね?」

 

アリス「あの白熊こそがトカラフ島名物の凶暴な白熊ですね」

 

凶暴であり、狂暴な白熊というのが個人の感想である。それにしてもマジで大きいな……。しかも周りには餓えた狼数匹が連れとしているし……。

 

ベル「じゃあルナを中心に戦ってね」

 

ルナ「私!?」

 

ベル「アリスとシルヴィア、そして私はそのサポートだね。狼の方は私達で片付けるから、白熊は任せたよ」

 

ルナ「わ、わかった!」

 

さてと……。じゃあまずは狼を倒しますか。とは言っても……。

 

シルヴィア「アリスちゃん、そっち御願い!」

 

アリス「了解しました」

 

 

バンバンッ!

 

 

シルヴィア「おっと。アリスちゃんに手出しはさせないよ!」

 

 

ドゴッ!

 

 

この2人が強すぎて私が戦う前に狼が全滅して出番がないんだよね……。

 

アリス「ベルさんはどっしりと構えていてください」

 

シルヴィア「そうそう!今回の敵は私達3人で充分だよ♪」

 

頼もしいなぁ……。じゃあ私は辺りに敵がいないか確認しつつ、蟻の観察でもしてよっと。

 

 

~そして~

 

蟻が人喰いゴキブリの死骸を運んでいるのをボーッと眺めていたらルナが白熊を倒した音がした。

 

ルナ「はぁ……。はぁ……。や、やっと終わった……」

 

ベル「御疲れ様。良い動きだったよ」

 

アリス「ですがまだまだ拙い動きが目立ちますね」

 

シルヴィア「でも綺麗な戦い方だよね。確かデジーマの道場で剣術を習ってたんだっけ?」

 

ルナ「うん、これでも道場では上から3強の強さだったんだからね!」

 

自慢気にルナは胸を張る。デジーマの道場って確か二階堂真琴(にかいどうまこと)ことマコトが通っていて、先生なんだったっけ?

 

ベル「ルナは船に戻ったらマスミとシロと剣術鍛練だね」

 

ルナ「了解~!」

 

アリス「私も久し振りに射撃訓練でもしましょうか」

 

シルヴィア「じゃあ私は歌の練習しよっと!」

 

ルナが鍛練をするのに対してアリスは射撃の訓練を、シルヴィアは歌の練習をする事に。シルヴィアは歌姫で通っているから、ほぼ毎日船の防音部屋で歌っている。

 

……私は次の進路をユキコとナナと一緒に考えておくかな。




今回はここまでです。

次回、貴族の町再び……?


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第13話 レヴィン家の御令嬢!?

今回もよろしくです。


私達は貴族の町グレートクインに再び訪れている訳だけど……。

 

ベル「なんで私がドレスを着る羽目に……」

 

ユキコ「良いじゃないですか。似合ってますよ」

 

ナナ「わぁ……。ベルちゃん綺麗……」

 

アリス「当然です。ベルさんに相応しいドレスを私が一生懸命吟味していますから」

 

一緒に来た仲間は私のドレス姿に三者三様の反応を見せる。それとアリスの話は初耳なんですけど?

 

アリス「今回私達はグレートクインでも上位貴族のレヴィン家から御招待してもらった身ですので、失礼な格好ではいけません」

 

ユキコ「何時もの衣装だと会場には余りにも不釣り合い過ぎて追い出されるかもしれません」

 

ナナ「私達が海賊だってバレる様な格好は控えなきゃいけないという事で私達もドレスに着替えてレヴィン家主催のパーティーに参加しようとっていう事になって」

 

そうなんだよね……。今回私達はレヴィン家主催のパーティーに招待された。というのもクインシティ出身のユキコが4人分の招待券を貰ったので、私、アリス、ナナの3人がこの場に招待された訳。

 

マスミとシロは貴族身分のパーティーは場違いだって断って、シルヴィアとルナはその時丁度別のクエストを受けていたのでパス、ミライは今何処にいるかわからないからそもそも無理という事で私達4人となった……。

 

まぁ3人の言いたい事はわかるけど、あの面倒臭がりなイオリ・レヴィンがそこまで堅苦しい真似をするとは思えないんだけどねぇ……?

 

 

~そして~

 

パーティーの挨拶がそれぞれ終わって私達は各場所へ散り散りになったので、今私は1人。

 

???「ねぇ……」

 

ベル「ん……?」

 

そんな時に声を掛けたのはイオリ・レヴィンだった。なんの用事だろうか?

 

イオリ「貴女達には御礼を言わないといけない……」

 

ベル「御礼……?私達初対面だよね?」

 

敢えて敬語は使わない。だって私達海賊なんだもん!

 

イオリ「ジュンが言ってた。ヘヴンを此処へ持って帰れたのも貴女達のおかげだって……」

 

ベル「は、はぁ……」

 

でもそれだけだと私だってわからない筈……。

 

イオリ「だからといってレヴィン家の力を使って貴女達の事を調べた……」

 

ベル「えっ……?」

 

それ不味くない?私達がカメダ海賊団の一員ってバレるんじゃ……っていうかもうバレてるよね?

 

イオリ「とにかく御礼をしなくちゃいけない。しなければレヴィン家の名折れ……」

 

ベル「……話はわかったけど、私達は別に何も求めていないよ?」

 

強いて言うならまだまだ人員不足じゃけえ新しい仲間が欲しい!

 

イオリ「貴女達が財産目的ではない事はわかるし、欲しいのは人手だって事も把握している……」

 

何それ怖い。レヴィン家恐い。

 

イオリ「という事でこの子を貴女達に預ける」

 

???「何がという事で……なんですか?イオリ様?」

 

イオリ・レヴィンは1人の少女を私に紹介した。この頃って確か川田由良里(かわたゆらり)だよね?野崎維織(のざきいおり)の腹違いの妹の……。

 

ユラリ「いきなり呼び出しておいて見知らぬ人に差し出すとか何を考えているんですか?」

 

イオリ「それよりも自己紹介……」

 

ユラリ「はぁ……。ユラリ・レヴィンです」ペコッ

 

ベル「あっ、御丁寧にどうも……」

 

ユラリ「それよりもイオリ様、状況を説明してください」

 

イオリ「ユラリ……。怖い」

 

ユラリ「誰のせいでこうなってると思いますか?」

 

あっ、私そっちのけで姉妹喧嘩が始まった。とりあえず御飯食べてよう……。

 

 

~そして~

 

ユラリ「すみません、御待たせしましたベル様」

 

ベル「あっ、うん」

 

イオリ「ユラリ……。酷い」

 

ユラリ「イオリ様は暫く正座で反省してください」

 

せ、正座してるよ……。今パーティーの真っ最中だよね?

 

ユラリ「ベル様達が人手が足りないという事ですので、微力ながら私が力になります」

 

ベル「そっか……。ユラリが何を得意としているのかはわからないけど、それは追々考えていこう。これからもよろしくね」

 

ユラリ「はい、よろしく御願い致します」

 

貴族のパーティーからユラリが仲間になったよ!……誰がこんな事を想定するだろうか?




今回はここまでです。

次回、スネイク……?


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第14話 ホンフーとヘビヘビ団

今回もよろしくです。


どんぶらこっこ、どんぶらこ。私達はデジーマにある島に向かっております。鬼ノ島じゃないよ?

 

今回の面子はアリス、マスミ、ナナと私の4人。

 

アリス「今回はヘビヘビ団の様子を見に行くんですよね?」

 

ベル「そうだね。彼等が私試作の武器を上手く使えてるかを確認しておきたい」

 

ヘビヘビ団とは密輸組織で、奴隷やら怪しい薬やらを売買している危険な組織。

 

ナナ「それにしてもベルちゃん達がヘビヘビ団と繋がりがあったなんて知らなかったなぁ……」

 

ベル「ヘビヘビ団には知り合いがいるんだよ」

 

マスミ「まぁあの人はヘビヘビ団に所属しているって訳じゃないけどね……」

 

マスミの言う通りその知り合いは直接ヘビヘビ団に所属している訳じゃなく、私達みたいな手伝いでヘビヘビ団を援助しているだけだ。

 

アリス「あの人はどうしていますかね?」

 

マスミ「私達じゃあ予測出来ない動向を見せるからね」

 

ベル「まぁあの人の仕事は確かだし、問題ないと思うよ。一通りのゴタゴタが終わったら彼の力を貸して欲しいね」

 

ナナ「そ、そんなに凄い人なの?」

 

アリス「あの人は私達の中でもトップクラスの強さを持っていますからね」

 

まぁナナもその人と強さは変わらないと思うけどね。

 

 

~そして~

 

私達は島に上陸したんだけど……。

 

アリス「誰か倒れてますね。それも1人や2人ではありません」

 

マスミ「……ってこの人達ヘビヘビ団じゃん」

 

ナナ「ふぇぇ!?」

 

ベル「これは……」

 

そうか……。恐らくコンキスタ号の人達が関係してるだろうね。

 

ベル(こんな形での再会は望んでないんだけどなぁ……)

 

アリス「如何致しましょうか?」

 

ベル「とりあえず彼等が持っている武器は此方で回収しておこう。マスミ、御願い」

 

マスミ「了解」

 

ベル「ナナはユキコを呼んでおいて。彼等自身の回収は彼女に任せる」

 

私は連絡機器をナナに渡しておく。

 

ナナ「う、うん……。ユキコちゃんは水面を走れるもんね。此処にいない子達の中で動けるのはユキコちゃんだけだから……」

 

マスミ「っていうかあの子人間辞めてるでしょ……」

 

それな。ユキコってマジで何者なんだろうね?年は私達と同じくらいだし、身長に至ってはアリスよりも小さいのに……。まぁそれよりも……。

 

ベル「アリスは私と着いてきて」

 

アリス「わかりました。あの人と合流するんですね?」

 

ベル「そのつもり。マスミとナナは仕事が終わったら此処で見張りを御願いね」

 

ナナ「わ、わかった……」

 

マスミ「ん」

 

さてと、行きますかね……!

 

 

~そして~

 

数キロ離れた場所まで走ってきた私達。そこには私達が合流しようと思っていた人がいた。

 

???「おや?貴女達でしたか」

 

アリス「御久し振りです」

 

ベル「そっちはどうですか?」

 

???「う~ん。途中までは順調だったんですけどねぇ……。これに関してはコンキスタ号の彼等が予想以上に強いようで、ヘビヘビ団は残念ながら壊滅でしょう」

 

はぁ……。もうそこまで追い込まれていたとはね。やるじゃんコンキスタ号。

 

ベル「とりあえずヘビヘビ団の方はもう捨てましょう。それで申し訳ないんですけど、もう一仕事御願いして良いですか?」

 

???「構いませんよ。貴女達には色々御世話になっていますから」

 

ベル「じゃあこれを預けます」

 

私は彼にあるものを渡した。それは……。

 

???「……これはカリムーの玉と呼ばれる物ですね。これを渡して私にどうしろと?」

 

ベル「それをどう使うかは貴方次第ですよ。きっと役に立てるように使えると思いますので」

 

???「うふふ、やはり貴女は最高ですね。……良いでしょう。一仕事やっておきますよ」

 

ベル「ありがとうございます。じゃあ後は任せますねホンフーさん」

 

ホンフー「ええ、後は此方で上手くやっておきます」

 

その言葉を聞いて私達は急いで此処を離れた。

 

 

~そして~

 

翌日、デジーマを彷徨いていると辺りからヘビヘビ団が壊滅したという話を聞いた。コンキスタ号の人達が成敗したみたいだ。

 

そして私はユキコに連絡を入れる。

 

ベル「私達の事はバレてないよね?」

 

ユキコ『問題ありません。逃げ出したヘビヘビ団の残党が吐きそうになりましたが、此方で始末しておきました』

 

相変わらず仕事が早い。必殺仕事人って感じ!

 

ベル「ありがとう。武器の方は……」

 

ユキコ『それも大丈夫です。シルヴィアさんとユラリさんと一緒に新しい組織に売っています』

 

うんうん。問題点は排除出来たね。

 

ベル「ユラリの方はどう?レヴィン家はコンキスタ号と繋がっているらしいけど、彼女は何か不審な事はしてない?」

 

ユキコ『はい。彼女が私達の正体を知ったところでバラすような真似はしないでしょう」

 

まぁそうだよね。ユラリは私達の仲間になる時点である程度察しているみたいだからね……。その辺りは追々なんとかしておこうかな?

 

ベル「聞きたい事はもうないかな。引き続き頼むよ」

 

ユキコ『了解しました』ブツッ

 

ホンフーさんの方は上手くやっているだろうし、ユキコ達の方も大丈夫だろうから、私もそろそろ次のステップに進んでおこうかねぇ……。




今回はここまでです。

次回、急展開……!?


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第15話 急展開!?ダイガザラ島の決戦前の緊急会議

今回もよろしくです。


ヘビヘビ団の壊滅から数十日。カメダからコンキスタ号がカリムーの玉を3つ揃えたからダイガザラ島に向かったとの通達があった。

 

早いよ……。ホンフーさんに私が持ってるカリムーの玉を渡したのがついこの間の出来事だと思っているのに。

 

アリス「誰が行きますか?腕利きの面子を連れて来いと言っていましたが……」

 

ちなみにミライからも同じ連絡があった。

 

マスミ「とはいえ只強い奴ばっかりを出すという訳にもいかないでしょ」

 

マスミの言う通り只実力者を連れて行けば良いという訳でもない。色々と必要な事もあるしね。

 

シルヴィア「単純な実力で決めるならベルさん、ユキコちゃん、ナナちゃん、シロちゃんは確定になるよね~」

 

まぁ確かにユキコ、ナナ、シロは私達の中でも5本指に入る強さがあるよね。私も腕には自信ある方なんだけどなぁ……。

 

ルナ「後はシルヴィアさんかアリスちゃん、マスミちゃんの中の誰かになるけど……」

 

ナナ「……で、でも最近仲間になった人達を連れて行く訳にもいかないもんね。どうするのベルちゃん?」

 

ベル「……一応ミライが一足先にダイガザラ島に着いているみたいだから、大まかな事はミライに任せておく」

 

ミライ本人も了承してくれたしね。

 

ベル「それで連れて行く面子は……」

 

今回の仕事は何時も通りサポートなんだけど、イベントがイベントだから念入りに考えた。問題は何人連れて行くかだけど……。

 

ベル「まずはユキコ。ユキコにはダイガザラ島でのモンスターについての情報が知りたいからそれを頼みたい。頼りにしてるよ」

 

ユキコ「わかりました。任せてください」

 

普段無表情で何を考えているかよくわからない部分があるのに、彼女の功績はうちではトップ争いをする位だ。本来なら待機班に回してこれからの情報を集めてほしいけど、ダイガザラ島はかなり危険な場所(ユキコ調べ)だから彼女の情報力は必須だ。

 

さてと……。あとは戦力のバランスを整えるだけだね。

 

ベル「次はこの場にはいないけど、シロ」

 

シルヴィア「まぁ納得の人選だね~」

 

マスミ「うん。シロには頑張ってほしいね」

 

そういえばこの2人はシロと仲が良かったね。そういった意味でもシロは3人の代表として行ってもらって、シルヴィアとマスミは待機に回しておこう。

 

そしてあと1人……。これはもう決まっている。

 

ベル「最後はアリスだね」

 

アリス「はい」

 

本来なら待機班に回って皆を纏めてもらおうと思ったんだけど、アリスには何時も一緒に来てるからね。ゲームでは最終決戦になる訳だし、アリスはミライに次いでの相棒だから今回も力を貸してもらいましょう!

 

ベル「今回も私の背中を預けたよ」

 

アリス「御任せください。必ずや貴女を守ってみせます」

 

うん。頼もしいし、格好良い。そこに痺れる憧れる。

 

ベル「マスミとシルヴィアには私とアリスの代わりとして纏め役を御願い」

 

シルヴィア「任せてよ♪」

 

マスミ「大将の代わり、努めさせてもらうね」

 

うんうん。此方も頼もしいね。そう思っているとシロが此方に到着した。

 

シロ「すみません!御待たせしました!!事情はユキコちゃんに聞きました」

 

何時の間に……。ユキコ、恐ろしい子!

 

シロ「私の力なんかが役に立てるなら御一緒させてください!」

 

ベル「勿論。シロはこの面子でもトップクラスの強さなんだから自信持って良いよ」

 

シロ「は、はい!」

 

さぁ、行こうじゃないか。ダイガザラ島へ!




今回はここまでです。

次回、一足先にダイガザラ島に着いたミライは……。


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第16話 宝チェック

今回もよろしくです。


ミライside

 

私は一足先にダイガザラ島にあると言われているカリムーの宝の在処を見付けて来ている。

 

ミライ「此処がカリムーの宝がある部屋ね……」

 

カリムーの宝と呼ばれる物の正体は大きな地球儀だった。現代日本の地球儀とは少し違った感じの構造で、パワポケならではの記載がされている。

 

ミライ(パワポケ13裏サクセスの舞台全体を大まかではあるけれど、書かれているとは……。これが船乗りにとっては最高の宝物……という訳ね。そういえばカリムーの宝には『世界最高の宝』、『どんな願いも叶える宝』、『終わりをもたらすもの』という言い伝えがあった。世界最高というのは先程言ったとして、どんな場所にも行ける願い、そして終わりをもたらすのは……冒険の終わりだったかしらね)

 

地球儀のある場所から少し前に出てみるとカメダが使用する御馴染みのガンダーロボらしき物まで設置されている。

 

ゲームでカメダが言っていた様に武器の類いは一切見当たらないけれど、これが暴れると面倒な事になりそうね。

 

ミライ(……まぁその辺りはキャプテンカイト率いるコンキスタ号の連中に任せておきましょうか)

 

そう考えていると1つの気配とそれに続く複数の気配を感じたので、私は気配を消して物陰に隠れる……必要もなさそうね。

 

カメダ「やったでやんす!遂に3つのオーブがオイラの元に!」

 

ミライ「随分と御機嫌ねボス」

 

最初に来たのは今の私達のボスであるカメダだった。という事は今此方に向かっているのはグントラム達ね。

 

カメダ「ミライでやんすか。先に来てたんでやんすね」

 

ミライ「この島の調査の為にね」

 

カメダ「それにしてもどうやって此処に来たんでやんすか?此処に来るには3つのオーブが必要でやんすよ……?」

 

訝しげに見ているわね。確かに本来ならば此処には来れないけれど、私の力にかかればこの程度の仕組みは造作もないわ。

 

ミライ(まぁこの様に抜け道を使って此処に来れるのは私と私が技術を叩き込んだあの2人だけ……。私が師事したとはいえよくあれ程の力を身に付けたものね。ベルですら出来なかった事なのに……)

 

ミライ「世界には様々な抜け道があるのよ。並行世界の支配者と名乗っている割にはそれを把握してないのね」

 

カメダ「うっ……!煩いでやんす!」

 

……図星なのね。あら。

 

ミライ「どうやら客人が来たみたいね」

 

カメダ「えっ?……ああ、おまえ達でやんすか。来ちゃったんでやんすね」

 

来たのはグントラム達だった。という事は……。

 

グントラム「ボス!悪い知らせだ。デスポート号がやられちまった!!」

 

ミライ「あら、ヒガキ達が海戦で負けたのね。相手はコンキスタ号かしら?」

 

グントラム「……ミライもいたのか」

 

ミライ「ええ、一足先にこの場所まで辿り着いたのよ」

 

グントラム「俺達ともベル達とも行動していなかったおまえがどうやって此処まで来た!?」

 

やはりそこに食い付くのね。まぁある程度はぐらかしておけば良いかしら。

 

ミライ「ボスにも言ったけれど、世界には抜け道があるのよ。私はそれを利用しただけ」

 

グントラム「ちっ……!」

 

苛ついているようね。出し抜かれたのかと思っているのかしら?

 

ミライ「それよりもデスポート号が沈んでしまったのは不味いのではないかしら?」

 

カメダ「ああ、気にしなくても良いでやんす。あれはもう用済みでやんすから」

 

グントラム「用済み……?」

 

カメダ「それよりもこれを見るでやんす!これはガンダーロボといってどの世界にも必ず存在する究極の兵器でやんす!!」

 

やはりあれはガンダーロボの石像だったのね。

 

グントラム「……只の石像にしか見えないな」

 

確かに只の石像にしか見えないけれど、古来から伝わる遺産だとしたら新たな発見に繋がるのではないかしら?

 

カメダ「これは古代文明の遺産なのでやんす。もう既に3つのオーブの働きで起動させたでやんすよ」

 

グントラム「ああ、成程ね」

 

カメダ「感動がないでやんすね」

 

ミライ「もう動いていたのね」

 

カメダ「……おまえもなんでそんな反応が淡白なんでやんすか?それならガンダーロボの破壊力を2人に見せてやるでやんす!」

 

ガンダーロボの破壊力を見せようとするカメダだったが、武器がないのに気が付いたのか硬直している。

 

カメダ「な、なんでやんすとぉ!?」

 

グントラム「どうしたんだよ?」

 

カメダ「武器が!武器が付いてないでやんす!まさかこの世界の人間は非暴力主義!?」

 

非暴力主義……ね。流石にそれはないでしょう。いえ、今はそうでもなくても、大昔……それこそカリムーが生まれる前の時代なら有り得ていたのかしらね。

 

グントラム「……よくわからねぇが、とにかくこれは役に立たねぇって事か」

 

カメダ「これじゃあ世界征服が出来ないでやんす!別の世界に行く為の装置はガンダーロボとセットでちゃんとあるんでやんすけど……」

 

グントラム「へぇ……。別の世界ねぇ……」

 

別の世界と聞いた瞬間グントラムが装置を弄りだした。

 

カメダ「こ、こら!勝手に弄っちゃ駄目でやんす!そこは何処の世界に行くかを決めている部分でやんす!!」

 

へぇ……。近くで見ると中々面白そうな装置ね。ベルがいたら興味深そうに弄りそうだわ。

 

グントラム「なぁボス、俺は機械の事はよくわからねぇ。しかしこれがスイッチだって事はなんとなくわかるぜ」

 

続けざまにグントラムはスイッチを押す。

 

カメダ「な、なんて事をするんでやんす!ガンダーロボが別の世界に移動してしまうでやんす!!」

 

グントラム「ほお……。そりゃ大変だ。心配ならあんたも一緒に行けよ」

 

カメダ「えっ?」

 

 

ドカッ!

 

 

カメダ「うーわーっ!!」

 

叫び声と共にカメダは次の世界……札侍編の世界へと行ってしまった。生で現場を見るとこんな感じなのね。

 

グントラム「あばよクソメガネ。もう2度とこの世界に帰って来るな」

 

「ぜ、全部消えてしまった!?……隊長、あれがカリムーの宝だったんでしょうか?」

 

グントラム「違うだろ。あれがまともな人間ならあれが動くなんて考えもしねぇよ」

 

確かにあの石像が急に動き出すなんて普通なら考える事はないわね。カメダだからこそ出来た考えだったのかしら。

 

グントラム「カリムーの宝はこの奥にある。そうだろミライ?」

 

ミライ「ええ。私は一足先に見てきたわ」

 

グントラム「そうか……」

 

私が質問に答えるとグントラムは斧を構え始めた。はぁ……。これも予想通りね。

 

グントラム「ならもうテメェも必要ねぇな。此処で死んでくれや」

 

ミライ「嫌よ。何故私が死なないといけないのかしら?」

 

グントラム「前々からテメェは気に食わなかった……。いや、テメェだけじゃねぇ。ベル達もだ。テメェ等は女のくせに生意気なんだよ。俺の思い通りに動かねぇ奴等は皆殺しだ!」

 

ミライ「私と戦うつもりかしら?」

 

グントラム「テメェこそ抗うつもりか?此方は十数人いるんだぜ?」

 

余り無駄な体力消耗は好まないけれど、こうなった以上は仕方ないわね。

 

ミライ(とりあえずベル達に連絡をしておこうかしら。念の為に強戦力で来てもらう手筈だったのだけれど、その必要もなくなってしまったかもしれないわね)

 

グントラム「死ね……!」

 

この後の事が少し面倒だけれど、それはそれで面白そうだし、やってみるのも悪くないかもしれないわね。




今回はここまでです。

次回、カリムーの宝の前に現れたカイト達と……!


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第17話 地球は青くて丸い

今回もよろしくです。


ミライside

 

グントラム達を倒した私は一休みする為に地球儀の上に座った。

 

ミライ(中々に楽しめたわね。取り巻きは大した事はなかったけれど、グントラムは今まで戦ってきた相手の中でも相当の強さだった。まぁそれでも私にダメージを負わせるには実力不足だったけれど)

 

そんな事を考えているとキャプテンカイト達が地球儀の前に来た。思ったよりも速かったわね。

 

カイト「此処で間違いなさそうだな」

 

スメラ「じゃあこの先にあるんだな。あらゆる願いを叶える宝が……!」

 

カイト「……どうだろうな。本当にどんな願いも叶うのならカリムーは苦労しなかったと思う。恐らくあれは例えだ」

 

スメラ「ええ!?それじゃあ宝ってなんだよ?この世の果ての『世界最高の宝』、『どんな願いも叶える宝』、そして『終わりをもたらすもの』……」

 

……そういえば私とベルが以前いた世界には『どんな願いも叶える宝』が存在していたわね。それもある意味では『世界最高の宝』だったり、『終わりをもたらすもの』だったりもするけれど。

 

カイト「そしてカリムーはその宝を持ち帰れず、ヒントは出しても具体的な内容までは形についてさえ語らなかった……」

 

スメラ「……そういえば可笑しな話だよな。願い事を叶える彫像や古代の超兵器だったら外見ぐらいは言いそうなものなのに」

 

確かに地球儀だからこそあやふやなヒントしか出せなかったのかもしれないわね。こういう謎解きもこの世界の醍醐味と考えた方がロマンがあるとベルなら言いそうね。

 

カイト「つまり形を言うと宝が何かわかってしまうからだよ。まぁ中に入ればわかるさ」

 

そう言ってキャプテンカイトが歩を進めようとすると、彼のパーティーの1人が呟いた。

 

???「あっ、そうか……。わかっちゃった……」

 

カイト「エンゼル……?」

 

エンゼル……。広川武美(ひろかわたけみ)の事ね。ゲームにおいてはほぼ必須の仲間だから、此処にいるのは当然かしら。あとパーティーにいるのはコックのジュンこと夏目准(なつめじゅん)と航海士であるレンこと浅井蓮(あさいれん)……。

 

ゲームを円滑に進める為には妥当な面子だけれど(特にエンゼルから貰える装甲+90はとても魅力的だから)、こうして見るとキャプテンカイトのハーレムパーティーに見えるわね……。

 

エンゼル「ボイラーは宝が何かを知ったから進むのを止めたんだ。……天使っていうのはこの遺跡の管理人だったんだよ」

 

カイト「いきなり訳のわからない事を言い出すなよ」

 

エンゼル「……ごめん。そんな気がしただけ。変な事を言っちゃったね」

 

彼女は宝の正体に気が付いたのね。天使云々はともかく、船乗りにとっての『最高の宝』は少し考えるだけで答えに導かれる事もあるもの。

 

うちの仲間で言えばアリスとユキコが正解を言っていたわね。アリスは私達と同じ異世界出身だからその回答まで容易に辿り着いていたし、ユキコは持ち前の情報力を駆使して正解まで辿り着いた……。まぁどちらもかなり切れ者だから、そこまで考えずとも宝が何かわかっていたでしょうね。

 

スメラ「こ、これは……!」

 

カイト「……巨大な地球儀か!」

 

スメラ「おまえは此を予想していたのか?」

 

カイト「地図だろうというのは予想していた。東から来たカリムー達がこの島から北に進路を変えたのは不自然だからな」

 

成程……。彼は彼なりに謎解きをしていたのね。その結論に至ったのもこの島に来る前でしょう。

 

スメラ「どうしてこんなものが最高の……いやいや、ちょっと待てよ。まさか……!」

 

カイト「そうだ。今の世界にある地球儀は世界の殆んどの部分を想像で描いているけど、これは恐らく正確な世界の地図なんだ」

 

ミライ(一応この世界にも地球儀は存在しているけれど、どれも曖昧なものだった……。それに対してこの地球儀は後の世界地図になるものとして出来上がった地球儀という訳ね。観点が違うとこういった推理も出来るのね。興味深いし、もう少し聞いておこうかしら)

 

スメラ「驚いたな……。海流も海の深さもちゃんと書き込まれている。これなら何処へだって安全に行けるぞ。この地球儀は固定されているから持ち帰るのは無理にしても、この地図を書き写して持ち帰るだけで世界は大騒ぎになるな!」

 

カイト「まさに船乗りにとっては『最高の宝』だよ。どんな場所に行く願いも叶えられる。そういう意味では『どんな願いも叶える宝』にもなる」

 

スメラ「でもコレが『終わりをもたらすもの』っていうのはどういう意味なんだ……?」

 

カイト「それは……」

 

言葉が詰まったところを見ると、まだそこまでの答えは出ていないようね。なら……!

 

ミライ「『終わりをもたらすもの』……。それは冒険の終わりを指しているのよ」

 

カイト「だ、誰だ!?何処にいる!?」

 

ジュン「キャプテン!上!!」

 

カイト「上だって!?」

 

私は地球儀から飛び降りて姿を現す。

 

ミライ「初めましてと言うべきかしらね?キャプテンカイト」

 

レン「わぁ……。綺麗な人……」

 

エンゼル「いやいやレンちゃん?そんな事言ってる場合じゃないよ?」

 

カイト「あんたは……?」

 

ミライ「私はミライ。元カメダ海賊団の一員よ」

 

ちなみに言えばもうグントラム海賊団ですらないわね。

 

カイト「なんだって!?……元?」

 

ミライ「私達のボスであるカメダはグントラムによって追い出されたわ」

 

カイト「じゃあグントラムが……いや待て。グントラムは何処に行った!?」

 

ミライ「さてね。私を殺そうとしたから、軽く抵抗したら尻尾を撒いて逃げて行ったわ」

 

まぁグントラムを逃がす気は更々ないけれどね。その為にベル達に連絡を入れたのだから……!

 

スメラ「よく見たらあちこちに海賊達が倒れているな……」

 

カイト「これもあんたが?」

 

ミライ「ええ。しっかりと息の根も止めているわ」

 

私がそう言うと全員が後退りする。

 

スメラ「そ、それよりも冒険の終わりっていうのはどういう意味なんだ!?」

 

ミライ「そのままの意味よ。未知の大陸の大きさから海岸線や大陸から離れた小島の存在ですら全てわかってしまう……。答えがわかってしまうとそれは冒険とは言わず、只の旅行になるわね」

 

カイト「それでも行ってみなくちゃどんな島かはわからないんじゃないか?」

 

ミライ「そうかもしれないわね。……では例え話をしましょうか」

 

私が口を開くと全員が息を呑む。

 

ミライ「あの時は世界の広さは誰にもわからなかった……。何もわからないのに冒険に出たから彼は偉大な冒険者なんでしょうね。そこに何かがあるとわかって行くのとは難易度が全然ちがうわ」

 

カイト「だから宝がある事を口にしても、宝が何なのかという事に関して秘密にしていた。ここまで辿り着く後の時代の冒険者への贈り物にする為……という訳か」

 

ミライ「その結論も悪くないわね。ロマンのある考え方だわ。……けれどそれはこうとも取れるわ。自分達が命懸けで証明しようとしてきた『地球は丸い』という仮説に対する解答をこのような形で見付けてしまった……。そこからカリムーが感じたのは『無念』という想いではないかしら?」

 

私は更に考察を語る。

 

ミライ「それにこれを持ち帰っても自分達の苦労を理解してくれる人がいなくなる。世間からすればカリムーという人物は『地球儀を見付けた運の良い男』と評価されるわ。命懸けの旅を続けてきた人間からするとそのような結末が耐えられなかったのかもしれないわね」

 

カイト「……!」

 

長々と考察を語ると彼等はなんとも言えない様な表情をしていた。

 

ミライ「さて……。これを聞いて貴方達はこの地球儀を書き写すつもりかしら?」

 

スメラ「それは……」

 

ミライ「揺らいでいるわね。まぁこれを書き写してしまえば冒険者として大切なものを失う事になるから、仕方のない事だけれど。……まぁあと200年程すれば正確な世界地図が完成するでしょうね。それこそ様々な冒険者達が繰り広げた冒険と一緒にね」

 

さぁ、仕上げに入りましょう。

 

ミライ「そうなるとこの地球儀はいらなくなるわね。私達で壊してしまいましょう」

 

スメラ「待て!壊す事はないんじゃないか?これは人類の宝だぞ!」

 

ミライ「……ならどうするつもりかしら?」

 

カイト「……この地球儀は後の時代の冒険者達にも見てほしいと思っている。もしもあんたがこれを壊すと言うなら俺達は実力行使で止めるつもりだ」

 

ミライ「そう……。それなら全員でかかって来なさい」

 

私がそう言うとキャプテンカイト達はそれぞれ武器を構えた。バトル開始……ってね。




今回はここまでです。

次回、決戦……!


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第18話 混戦!カイト連合VSミライ

今回もよろしくです。


ミライside

 

私はキャプテンカイトを始めとするスメラ、エンゼル、レン、ジュンの5人と戦う事になった。先程グントラム達と戦った時は大した運動にもならなかったけれど、今回はどうかしら?

 

ミライ(さて……)

 

私はそれぞれ陣形取っている5人を観察する。

 

ミライ(まずは5人の装備武器を見てみましょうか。キャプテンカイトはイクリプス、スメラはエストック、レンはクイックシルバージュンはカネサダ、エンゼルは抱え大筒……。スメラ以外は最高クラスの武器ね。良い装備だわ)

 

レン「はぁっ!」パンパンッ!

 

ミライ(彼女の射撃の腕前は悪くないけれど、アリスに劣るわね。ベルと同じ位かしら?鍛えれば伸びる才能ね)

 

スメラ「そこだっ!!」ブンッ!

 

ミライ(スメラは武器の性能こそは低けれどそれを補う腕前ね。うちの刀剣担当と競わせてみたいわ)

 

ジュン「はっ!」ヒュッ!ブンッ!

 

ミライ(ジュンが短剣を投げつつ、別の短剣で攻撃をする。良い動きね。相手の隙を狙って踏み込みの大きさも最小限。もしもキャプテンカイトよりも先に出会ったら私達の仲間にしていたわね)

 

そういえばベル達はレヴィン家の人間を仲間にしていたわね。ユキコと良いコンビを組んでいると聞いているわ。

 

エンゼル「えいっ!」パンパンッ!

 

ミライ(エンゼルが大筒を放つ。大筒は隙が大きく連弾出来ないけれど、代償として威力は凄まじい……。まぁ私からしたらかわしてくださいと言っている様なものね)

 

カイト「くそっ!彼女の隙が見当たらない……!」

 

ミライ(キャプテンカイトの指揮力は大したものだわ。相手が私じゃなくてグントラムだったら攻撃を当てるのも容易かったでしょうね)

 

ジュン「全く攻撃が当たらないね……」

 

スメラ「彼女の動きは一体どうなってるんだ?」

 

レン「大きな動きもなく、私達の攻撃も最小限に捌いていますね」

 

カイト「あの動きはホンフーを連想させるな」

 

ホンフーといえばスメラを除く彼等は彼が援助していたヘビヘビ団を壊滅させた実績もあったわね。ヘビヘビ団にはベル達も援助していた筈だけれど、鉢合わせしなかったのかしら?

 

エンゼル「それも問題だけど、あの子まだ1回も攻撃していないよね?」

 

カイト「そうだな。どうしたものか……」

 

私からは別に攻撃する理由がないもの。グントラム達は私達が自由に動ける様になる為に潰しておいたけれど、彼等はこれからの事を考えると中心に立ってもらわなくては困るから、迂闊に攻撃する訳にもいかないわ。

 

そう思っているとベル達がダイガザラ島に来た気配を感じた。それならもう私は此処に用はないわね。

 

ミライ(丁度近くにガンダーロボがあるものね)

 

私は此処から離れる為に1度地球儀の上に飛んだ。

 

ミライ「私はそろそろ御暇させてもらうわね」

 

カイト「逃げるつもりか!?」

 

ミライ「どう捉えてもらっても構わないわ。私はやらなければいけない事があるの。だから帰らせて頂戴」

 

カイト「逃がすか!」

 

やはり食い止めて来るわね。それなら……!

 

ミライ「貴方達の相手はこれがするわ」

 

私は念力の要領でガンダーロボを起動させる。

 

カイト「な、なんだあれは!?」

 

ミライ「貴方達にこのガンダーロボが倒せるかしら?」

 

カイト「くっ……!」

 

ミライ「生きて帰れたらまた会えるわよ。この世界はそういう風に仕組まれているのだから」

 

カイト「どういう意味だ!?」

 

ミライ「その内嫌でもわかるわ」

 

私はガンダーロボと戦っているキャプテンカイト達の横を通り過ぎる。阻止をしようとしていたが、ガンダーロボを上手く操ってそれを食い止めた。

 

カイト「待てっ!!」

 

待たないわよ。

 

貴方達は近い内に開くゲートによってこの世界は混沌と化す。その時に彼等の存在は必須となるでしょうね。だからこの程度の障害は乗り越えてもらうわよ。

 

 

ミライsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイガザラ島に来た私達はデスポート号にいた人達を全員潰した後にどう動くか考えていると……。

 

ミライ(聞こえるかしら?)

 

突然脳内にミライの声が聞こえた。直接脳内に!

 

ベル(どうしたの?)

 

ミライ(カメダ海賊団の連中はグントラムを除いて排除しておいたわ。そちらにグントラムが向かっているので、処理して頂戴)

 

ベル(了解)

 

グントラムが此方に向かっているのか……。

 

ミライ(デスポート号が沈んでいるけれど、何人か生き残っているからそっちの処理も御願い)

 

ベル(そっちは今終わったところだよ)

 

デスポート号の人達は私達の船の仕組みを見たから口封じの為に1人残らず殺しておいた。

 

ミライ(そう……。ではグントラムの方は頼んだわ)ブツッ!

 

そう言ってミライとの脳内に響く通信は途絶えた。

 

ユキコ「ダイガザラ島に着いて間もなくカメダ海賊団が乗っているデスポート号の処理ですか……」

 

アリス「主力メンバーは軒並み島へと進んでいるので、倒すのが楽でしたね」

 

シロ「あれ……?誰か此方に向かって来るよ?」

 

走ってきたのはグントラムだった。他の海賊達はミライによって処されたんだっけ?

 

グントラム「どけぇっ!!」

 

うわぁ……。滅茶苦茶怒ってる。しかも斧を振り回しているし。

 

アリス「」パンパンッ!

 

グントラム「ぐっ……!」

 

アリスがグントラムの足を撃ってグントラムは倒れ込んだ。ミライとの戦いで相当疲弊してるのか簡単に当たった。

 

アリス「おやおや。無様ですねグントラムさん」

 

グントラム「くそっ!もう少しで俺様の天下だったのに!何故テメェ等は俺様の邪魔しやがる!?」

 

ユキコ「貴方の天下は始まる事はありませんよ。カメダがいなくなった今、我々のトップはベルさんとなります」

 

私がトップになるんだ……。

 

ベル「まぁそういう事だから、此処でくたばっちゃってよ」

 

私は銃を構えて……。

 

ベル「じゃあね」パンパンッ!

 

グントラムを撃った。頭と背中を撃った事でグントラムは完全に事切れた。

 

シロ「……今日の晩御飯は狼鍋だね!」

 

……なんかシロが逞しくなってるんだけど。こんな子だったっけ?滅茶苦茶嬉しそうじゃん。

 

ユキコ「嬉しそうにしているところを悪いですが、グントラムは狼の頭を縫い付けた人間です。食べられたとしても頭だけですよ」

 

シロ「残念……」

 

アリス「しかし漸く終わりましたね。これで私達は自由に活動出来ます」

 

ベル「そうだね。ミライと合流したら帰ろうか」

 

こうしてダイガザラ島の冒険はカメダ海賊団の連中を皆殺しにするだけで終わった。ミライが写真を撮っているらしいから、それで我慢しておこう。

 

シロ「結局カリムーの宝ってなんだったんだろう?」

 

アリス「恐らくこの世界を詳しく記載されている地球儀でしょうね。どんな場所をも記載しているので、かなり巨大な地球儀だと思います」

 

ユキコ「ですが船乗りでもない人達にとっては余り価値のあるものではなさそうですね。200年程したらその地図も完成しそうですし」

 

それにしてもミライはこの世界のガンダーロボも間近で見たんだよね。パライソタウンで見たやつとは違うから、メカニズムとか気になるんだよね……。

 

そんな話をしているとミライが戻ってきた。

 

ミライ「上手くやれたようね」

 

ベル「まぁね」

 

ミライ「では帰りましょうか」

 

私達はダイガザラ島を出た。そういえばキャプテンカイト達とは遭遇しなかったな。まぁ彼等は彼等で上手くやっているだろう。




今回はここまでです。

次回、ベル達仲間の短編集……。


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第19話 ユキコの冒険談

今回もよろしくです。


ユキコside

 

こんにちは。ユキコです。私はクインシティに住んでいたのですが、ある日を境に人生が変わりました。

 

それは私がカメダ海賊団に所属する前の出来事……。私は家族と団欒していました。穏やかな日常……。こんな日がずっと続けば良いと思っていましたが、それが崩れるのはとても呆気なかったです。

 

「金目の物を出しやがれ!」

 

「逆らう奴等は皆殺しだ!!」

 

家に賊が侵入してきました。必死の抵抗をしていた両親でしたが、それも虚しくあっさりと殺されてしまいました。

 

「あとはこのガキだけだな!」

 

この時の私は泣き叫ぶ事もなく、震える事もなく、至って冷静沈着でした。恐怖心が一切ありません。

 

ユキコ(それは半分は諦めから、そしてもう半分は……)

 

 

ザンッ!

 

 

私は此処で死んでしまうのだろうかと思っていたら、賊の首が跳ねられていました。

 

「な、なんだ!?」

 

「い、何時から此処にいやがった!?」

 

ユキコ(もう半分はこの様に誰かが助けてくれる事を期待していたのかもしれませんね)

 

賊の首を跳ねたのは……。

 

ミライ「貴方達がその子の両親を殺した直後からかしらね」

 

これが私とミライさんとの出会いでした。

 

ミライさんは気配を消して賊の隙を伺っていたそうです。私も存在感の薄さには定評がありますが、ミライさんの気配遮断は見事なものです。

 

その後もミライさんは10人いた賊を全員首跳ねで殺していました。潜血を浴びながらも華麗な戦いを繰り広げるミライさんの姿を見て私はミライさんに弟子入りを志願したのでした。

 

ミライさんからは私の存在感の薄さを活かした情報収集能力や遠距離戦闘を中心に教えてもらいました。近接戦闘については私が忍の者だと教えるともっと忍らしくなる歩き方等を教わりました。

 

その後ミライさんは更に1人の弟子を獲得しますが、それはまた別のところで話しましょう。それから数十日が経過した頃にミライさんの紹介で出会ったのがベルさんでした。

 

ベルさん達はあの有悪名高く有名なカメダ海賊団に所属していました。ミライさんもその一員だと聞いた時はとても驚きました。

 

ユキコ(ベルさん達と出会ってからは色々な御仕事をしましたね)

 

例えば……。

 

 

~回想~

 

ユキコ(これが黒い瞳の果実と呼ばれるフルーツですか……)

 

それは数年に1度しか実らないと言われている幻の果実。カメダ海賊団のボスであるカメダが食べたいと我儘を言っていたので、修行がてら1人で行く事に……。

 

果実に集った虫や獣は1人で戦うにはかなりキツかったですが、ミライさんに教わった事を実践すると不思議な事に苦戦せずに倒して果実を持ち帰りました。

 

 

~現在~

 

ユキコ(最近だとこんな事がありましたね)

 

最近あった事を振り替える。

 

 

~回想~

 

パラボルトに寄った私は情報を集めているとベルさんから連絡が来た。

 

ユキコ「ベルさん?どうかしましたか?」

 

ベル『さっきパラボルトで有名だと吹聴している破落戸に絡まれてね。ユキコはそれがなんだかわかる?』

 

パラボルトで有名と吹聴している破落戸ですか……。確か悪質な人達が女性に性的暴行を働いている集団がいると耳にした事がありますが、それでしょうか?

 

ユキコ「……恐らくはこのパラボルトの一部で悪事を働く連中ですね。彼等に何人もの女性が被害にあったと聞いた事があります」

 

同じ女性として許せませんね。処してしまいましょう。

 

ユキコ「ですが実力は大したものではありませんので、気になるなら此方で始末しておきます」

 

ベル『……そうだね。被害がこれ以上出ない為にも御願いしておこうかな。頼める?』

 

ベルさんはベルさんで人の痛みがわかる人ですね。ミライさんの様なクールビューティーも良いですが、ベルさんの様に優しさが目に見える人も良い感じですね。

 

ユキコ「わかりました」

 

そう言って通話を切りました。では仕事をしましょうか。

 

「はぁっ……!はぁっ……!」

 

「さ、さっきの奴等はヤバかったぜ。まさかカメダ海賊団に入ってるとは……!」

 

見付けましたね。此処は丁度路地裏ですし、騒ぎにはならなさそうですね。

 

ユキコ「」タンッ

 

瞬歩で2人の前に立ち……。

 

 

ザンッ!ザンッ!

 

 

2人を切り付けました。叫び声をあげるまでもなく2人は絶命しました。

 

ユキコ「討伐完了です」

 

その呟きは誰にも聞こえる事はありませんでした。まぁ誰かが聞いていたら少し恥ずかしいですし、騒ぎになりますからね。

 

 

~現在~

 

あとはヘビヘビ団の残党を始末したり、ダイガザラ島でカメダ海賊団の人達を壊滅したりと大概人殺しですが、私にとっては必要な殺生ですし、賊やそれに準ずる人達は殺しても罪悪感は感じませんね。寧ろスッキリします。

 

ユキコ(まぁ向こうから仕掛けて来ない限りは何もしませんけどね)

 

今の私はユラリさんとシルヴィアさんと仕事をする事が多くなりました。こんな風景も悪くないですね。




今回はここまでです。

次回、カメダ海賊団から完全独立したベル達に新たなる出会いが……!


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第20話 新たな仲間は元奴隷?

今回もよろしくです。


今日の仕事はデジーマで月1で開催されている奴隷市場を潰す事と……。

 

ベル(奴隷達の中でも光る素材がいれば是非とも仲間にしたいと思って来た訳だけど……)

 

 

ザワザワ……!

 

 

滅茶苦茶賑わってるなぁ……。

 

アリス「此処が噂の奴隷市場ですか……。見ていて不快な気分になりますし、早速潰してしまいましょう」

 

ベル「気持ちはわかるけど、潰すのは私達の仕事じゃないよ」

 

アリス「……それもそうですね。彼等の活躍に期待するとしましょう」

 

よかった……。なんとか抑えてくれて。正直私も正面から叩き潰したい気持ちに駆られてるんだよ?でもそれをグッと堪えて、これからの為に戦力増強するのが私達の真の目的なんだから。

 

『さぁさぁ始まりました。月に1度の奴隷販売!本日も上玉を取り揃えています!!』

 

司会の人が次よ次よと奴隷の女の子を紹介する。まぁ言うだけあって確かに可愛い女の子か美人の女性ばかりだね。

 

ベル(そんな彼女達も今日限りで自由だよ……)

 

そう思いながら紹介を次々と見ていった。

 

 

~そして~

 

『それでは本日の目玉商品です!2人1組で、今回の中では最高傑作ですよ!!』

 

???1「…………」

 

???2「…………」

 

ベル(っ!へぇ……)

 

見付けた。光る素材の新しい仲間が……!

 

『さぁ彼女達のオークションを開始します。まずは1000万ペラから!』

 

この彼女達のオークションは今までの子達とは違ってかなりの高額からスタートしている。それも今まで買われていった奴隷達よりも……。最高傑作と言うだけあって高値で裁きたいのだろう。

 

それにしてもあの2人は顔が似てるな……。姉妹かな?

 

「1500万ペラ!」

 

「3000万ペラ出すぞ!」

 

「なんの!此方は5000万ペラ出すぞ!」

 

彼女達を買いたいと言う貴族達が挙って高額で買う事を宣言している。彼女達を他に取られるのは悪手だ。だからこれ等を凌駕する金額で彼女達を手に入れなければならない。

 

『5000万ペラで決定でしょうか!?』

 

今のところは5000万ペラが最高。それなら私が出すのは1億?それとも2億?いや、それだと上乗せしてくる可能性は十二分にある。それなら……!

 

ベル「10億ペラ出すよ」

 

私がそう言うと辺りが騒がしくなった。貴族達は驚愕の視線で此方を見ている。

 

『き、決まりました!10億ペラで2人の買い取りは決定です!』

 

どうやら私が出したら額で決まったようだ。ホッとしつつも私はアタッシュケースを奴隷商人に渡す。

 

ベル「はい、確認して」

 

「確かに受け取りました。では2人が付けている首輪の使い方について……」

 

ベル「ああ、それは結構だよ。なんとなくわかるから」

 

「ですが……」

 

ベル「いらないって言ったよね?お金はちゃんと払ったんだからどうしようと私の勝手だよね……?」ゴッ

 

「……っ!」

 

???1「っ!」

 

???2「っ!」

 

私が睨むと奴隷商人と姉妹らしき2人は震え上がった。そんなに怖いかな私?

 

アリス「そこまでにしましょう。此方の目的は既に達成している訳ですし……」

 

ベル「……そうだね。行こうか2人共」

 

???1「はい……」

 

???「は、はい……」

 

とりあえずこの2人を私達が泊まっている宿まで案内して……っと。

 

 

~そして~

 

ベル「私はベルだよ。まずは2人の名前を聞こうかな?」

 

???1「……私はユリと言います。この子は妹の」

 

???2「り、リミです……」

 

ユリとリミか……。フィジカル面だけで見たら姉のユリが戦闘で妹のリミがサポートで考えたいけど、本質はそれだけでもなさそうだし、その辺はゆっくり考えていこう。

 

ベル「ユリとリミだね。今後ともよろしく。じゃあ次は……」

 

私は2人に近付いて2人に付いている首輪を外した。

 

ベル「とりあえずこんなものはいらないね」ポイッ

 

私が首輪を捨てると2人は驚愕の視線で此方を見ている。

 

リミ「あ、あのっ!」

 

ベル「どうしたの?」

 

ユリ「私達は貴女の奴隷として買われたんです。なのに奴隷の首輪を外してどういうつもりなんですか?」

 

ああ、そういう事か。別に私達は奴隷を買ったつもりだはないからね。

 

ベル「私は奴隷なんて別にいらないからね。あと別に敬語じゃなくても良いよ。話しやすい様にして」

 

ユリ「じゃあなんの為に私達を……?」

 

ベル「私達はこれから起こる事に備えて仲間が欲しいんだよ。10億ペラを払ったのは2人の将来性に賭けての投資かな」

 

まぁあの10億ペラはそれだけじゃないけどね。

 

リミ「私達の将来性……?」

 

ベル「2人には戦いのセンスがある。それを見込んで私達に力を貸してほしい」

 

私は頭を下げる。いやマジで10億ペラも払ってるから2人に断られると心が折れるからね。

 

リミ「あ、頭を上げてください!」

 

ユリ「そうですよ!私達を奴隷じゃなくて1人の人間として見てくれる事に感謝しているんです!私とリミが役に立つのなら是非仲間に加えさせてください!」

 

リミ「わ、私もお姉ちゃんと同じ気持ちです!」

 

よかった……。とりあえず一安心だね。

 

ベル「じゃあこれからもよろしくね2人共」

 

ユリ「うん!」

 

リミ「はい!」

 

2人は返事をすると私の方を向いて……。

 

ユリ&リミ「私達を奴隷から解放してくださってありがとうございます!!」

 

礼を言った。なんか照れる……。

 

こうして新しい戦力が加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜に私は外に出て市場まで来た。。此処でミライと待ち合わせをしている

 

そこは荒れ果てていて、市場の関係者は全員死んでいた。私はこの奴隷市場を潰すのをミライに頼んでいた。

 

昼間にコンキスタ号の人達が奴隷市場で囚われている人達を解放する仕事をしているという情報をユキコから聞いて、その止めをミライがやる事になった。

 

ベル「そっちは上手くいったみたいだね」

 

ミライ「ええ。けれど私はキャプテンカイト達と敵対しているから、私の印象は最悪ね」

 

そういえばミライはダイガザラ島で彼等と戦ったんだっけ?

 

ミライ「新しい戦力はどうかしら?」

 

ベル「実力は見てないからまだわからないけど、潜在能力はかなり高いかな。将来性に期待したいね」

 

ミライ「そう……。それは良かったわ」

 

本当にね。ユリとリミはナナ以来の逸材だよ。

 

ミライ「それとこれも返しておくわ」

 

ベル「ありがとう」

 

ミライが渡したのは昼間に奴隷商人に渡した10億ペラ。これも良かったよ。あのまま渡りっぱなしだったら私達まで路頭に迷うところだったしね。

 

ベル「この調子で御互いに仲間集めを頑張ろう」

 

ミライ「ええ」

 

私とミライは別行動。これはパライソタウンにいた頃からそうしている。

 

今は御互い仲間を集めているけど、私は表向きの仕事でミライは裏方……暗躍の仕事を担当している。これに関してはドラゴンボールの世界でも私が表舞台で頑張ってミライは暗躍だったもんね。

 

闇夜に消えていくミライを見て心配に思いながらも私は応援する。

 

ベル(頑張ってね……!)

 

この想いがミライに届きますように……!




今回はここまでです。

次回、ベル達は宝探しに出かける……?


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第21話 幻の新宝島

今回もよろしくです。


ユキコ「……見えません」

 

ベル「何をしているの?」

 

ある日の事。常時陸地で情報収集をしているユキコがここ数日は船内の窓から外を眺めている。それを皆が気にしており、代表で私が聞く事になった。まぁ私もそんなユキコが気になっていたし丁度良かったのかもね。

 

ユキコ「幻の島の話を聞いた事がありますが?」

 

ベル「幻の島……?」

 

ポケモンであった都市伝説みたいなやつ?あれって確か専用のカートリッジが必要なんじゃなかったっけ?

 

ユキコ「様々な海域で現れたり消えたりする不思議な島の事ですね。色々と言われていますが、その島にはあのカリムーの宝をも越える宝が眠っているだとか、島が幽霊的な存在なんじゃないかとか、その島そのものが宝なんじゃないかとか……」

 

ベル「そ、そうなんだ……」

 

め、滅茶苦茶饒舌……。

 

ユキコ「更にはその島が空間を破り新たな世界を開拓するんじゃないかと噂になっています」

 

ベル「……!」

 

空間を破る……?もしかしてこの世界に来る前にミライが言っていたゲートが開くってやつかな?

 

それからもユキコの演説は1時間にわたった……。

 

ユキコ「……とこの様に沢山の説がありますが、1番有力なのはカリムーの宝よりも凄い宝が眠っているという事からその島は『新宝島』とも呼ばれています』

 

『新宝島』……?あの音ハメ動画で社会的現象とまで言われた音楽の事?

 

ベル「……しかし意外だよね。ユキコはそういった根も葉もない噂は信じないタイプだと思っていたけど」

 

ユキコ「確かに根も葉もない風評等は信じませんが、ロマンがあるものは常に追い求めています。カリムーの宝も然りです。様々な噂が飛び交って、その真相を推理する事にロマンを感じます。今回の幻の島もそうです。私なりに色々と考えていましたが、中々思った解答は出ませんでした」

 

再びユキコの演説は1時間にわたる……。ユキコが情報収集好きなのもその先にあるロマンを探し続けていたからなのかもしれないね。

 

ユキコ「……だから今の私は陸地では色々な人から話を聞き、船に乗っている今は幻の島が出現しないかと目を光らせています」

 

ベル「じゃあ次の町でもその幻の島について聞いて回るつもり?」

 

ユキコ「勿論です。情報が、真相が、そしてロマンが私を待っていますから!」フンスッ

 

こんなに興奮しているユキコを見るのは初めてかも……。

 

ベル(しかし幻の島……新宝島か。ミライにも何かないか聞いておこうかな?話によるとユキコは独自で調べているみたいだし)

 

町に着いた瞬間にユキコは今まで見た事のないダッシュで船を降りた。

 

シロ「い、今ユキコちゃんが凄いダッシュで船を降りたけど、何かあったのかな……?」

 

ベル「……そうだね。とりあえず切欠を話すよ」

 

折角だからミライに聞いた後で私も調べてみようかな?




今回はここまでです。

次回、出現……!


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第22話 前人未到の島の出現

今回もよろしくです。


う~ん……。ミライは連絡がつかないし、町の人達に話を聞いてみるもユキコが言っていた曖昧なものばかり……。ここまでくると本当に幻の島があるのか不安になってくるよ。

 

ユキコ「むむむ……!」

 

今日もユキコは船内の窓から外を眺めている。

 

シロ「噂の島はまだ見付からないんだ……」

 

アリス「やはりデマなのではないですか?」

 

マスミ「あれからもう1ヶ月経つのに、同じ事の繰り返し……」

 

シルヴィア「あんなユキコちゃんは初めて見るよ」

 

ルナ「何か私達に出来る事はないのかな?」

 

リミ「何時も頼りになるユキコちゃんがあんなに苦悶しているなんて……」

 

ユリ「なんか私達まで不安になっちゃうよ」

 

この場にいる主力達は皆ユキコの心配をしていた。勿論私も心配している。ちなみにこの場にいないユラリは実家で療養しています。

 

ナナ「み、皆!大変だよ!」

 

どうしたらユキコが安心出来るかを考えているとナナが操縦室から出て来た。どうしたんだろう?なんか慌てているけど……。

 

ベル「どうしたのナナ?」

 

ナナ「な、なんて言えば良いのかな……?島が急に現れたの!」

 

ユキコ「!!」タタタッ

 

島が現れたという発言を聞くなりユキコは猛スピードで操縦室まで走った。

 

 

~そして~

 

ユキコに続いて私とアリス、そして操縦担当のナナが操縦室まで追って入る。

 

ユキコ「それでナナさん、急に現れた島というのはどの辺りですか?」

 

ナナ「え、えっとね……」

 

無表情なユキコだけど、目が血走っている様な雰囲気でナナに問い詰める。落ち着いて!

 

ナナ「……此処から北東に距離30の所なんだけど、そこは本来何もなかったの」

 

アリス「つまりそこに噂されている幻の島が出現したという事ですか?」

 

ナナ「噂通りなら可能性はあると思うけど……」

 

行くにしてもリスクが高い。もしも噂が真実だとしたら私達が島を散策している間に島そのものが消失してしまうと海の藻屑になりかねないからね。

 

ユキコ「……私は幻の島の真相を確かめたいです。これは私の我儘です。ですので反対意見が出たら諦めようと思います。他の冒険者が幻の島を訪れた、攻略したという情報が来るのを待ちますので」

 

ユキコは淡々と述べるが、本当は私達の反対を押し切ってでも島に行きたいんだろう。それでも彼女は私達の意思を尊重する。

 

ユキコは何時も自分の意見は二の次だ。仲間になった当初にミライが情報収集担当に任命した時も、単独行動が中心になった時も、ヘビヘビ団の人達の回収の時も、ダイガザラ島に行く時もユキコは自分の意見を言わずに私達に判断を委ねていた。

 

……船員の我儘を聞くのも船長の仕事だと私は思っている。

 

ベル「……ナナ、その島に向かって。責任は全部私が取るから」

 

ユキコ「!!」

 

ナナ「う、うん!」

 

アリス「よろしいのですか?」

 

ベル「勿論。今までユキコは我儘を言わなかった……。そんなユキコの御願いを聞くのもこの船の船長の努めだよ」

 

ユキコ「……ありがとうございます!」

 

ベル「気にしないで。アリス、皆に入念な準備をするように伝えて」

 

アリス「了解しました」

 

見付かったんなら行くしかないよね。あんな事を言ったけど、実は私も楽しみなんだよね。その島に行くのが……。

 

幻の島……別名新宝島。どんな島なんだろうか?




今回はここまでです。

次回、島に上陸したベル達は……!


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第23話 幻の島に蔓延る未知の生物

今回もよろしくです。


北東に距離30に進み遂に上陸しました。幻の島!

 

ナナ、シルヴィア、ルナにはもしもの事を想定して船で待機してもらっている。本人達も島が見たいと言っていたので、暫くしたらアリス、マスミ、ユリと交代で彼女達も上陸してもらう予定。

 

さて、噂の島は見た感じ普通の島だけど……。

 

ユキコ「あれはピラニアバード……?でも本来のものとは微妙に違います。彼処にいるのは人喰いゴキブリでしょうか?あのような形状は初めて見ますね……。彼処には茸の形をしたモンスターも……!まさに未知の島、未知の生物です。ではこの島の地形や現れたり消えたりすると言われているのは……!」

 

上陸するなりユキコが目を輝かせて島について考察していた。こんなハイテンションなユキコは初めて見たよ……。

 

シロ「す、凄いイキイキしてるねユキコちゃん……」

 

ベル「この島に来るのを余程楽しみにしていたんだろうね。しかしこの島には変わったモンスターがいるしね」

 

アリス「……と言いますと?」

 

ベル「さっきユキコが言っていた様に今までに見た事のない生物がこの島にうろうろしているよ」

 

マスミ「……確かにあの茸みたいなやつは私も見た事ないかも。あの人喰いゴキブリとかはパライソタウンで見たやつとは色が違って紫色だし」

 

ちなみにユキコが挙げたモンスターにはピラニアバードの亜種を始めとしたパワポケ11の裏サクセスに出てくる宇宙ゴキブリ、パワポケ7の裏サクセスに出てくる茸人間、パワポケ4の裏サクセスに出てくるゴブリンボーイ、パワポケ5の裏サクセスに出てくるかまイタチ、パワポケ9の裏サクセスに出てくる人喰い花等々……。

 

ユキコ「彼方にいるのは球体……?赤、青、黒とありますが、どういう仕組みで動いているのでしょうか?」

 

そしてあの球体がパワポケ10の裏サクセスに出てくる玉だね。ドラコは鬼ノ島で見た事あるけど、なんでこんなに他の世界のモンスターが出現しているのだろうか?

 

???1「スゲー!見た事ない生き物がいっぱいいるぜ!持ち帰って研究したいなぁ……」

 

???2「よくそんな得体の知れない生き物に興味持てるなぁ……」

 

エンゼル「やっぱり幻の島と称される島は実在したんだよキャプテン!」

 

カイト「そうみたいだな……。ハーシバルがイキイキしてるし」

 

ジュン「あの動く茸は食べられるのかな……?見た感じ毒茸っぽいけど」

 

……?なんか聞き覚えのある声がしたんだけど?

 

アリス「おや?コンキスタ号の皆さんではありませんか」

 

あっ、やっぱり?

 

カイト「……あんた達もこの島の調査に来たのか?」

 

ベル「まぁそんな感じ。久し振りだねキャプテンカイト。君達の躍進は耳にしてるよ」

 

カイト「躍進って程でも……」

 

彼等の活躍を口にしようとした瞬間……。

 

リミ「ええっ!?コンキスタ号の人達!?本物だ……!本物だよシロちゃん!」

 

シロ「は、はい!あのカリムーの宝を見付け出したコンキスタ号のキャプテンカイトさんに腕利き船大工のエンゼルさん、レヴィン家の料理長にしてコンキスタ号のコックであるジュンさん、未知の生物への探求心は学者の中でも随一で剣術にも長けているハーシバルさん、海軍でも5本の指に入ると言われている砲台使いのカンドリーさん、冷静沈着な航海士のレンさん、コンキスタ号では主に諜報担当のアンドウさん……。生で会えるなんて夢みたい……」

 

待って待って待って。シロはなんでそんな彼等に詳しいの?下手したらゲーム知識がある私以上の知識なんだけど?

 

カイト「えっと……。君達は俺達の事を知っているのか?」

 

リミ「勿論ですっ!」

 

シロ「こ、コンキスタ号の船員を知らない船乗りはいないと言われる程の有名人ですから……」

 

まぁ確かに今や彼等は有名人だよね。シロの言うように彼等を知らない船乗りはいないんだけど……。

 

マスミ「へぇ……。そこまで有名なんだあの人達」

 

アリス「興味がないので知りませんでした」

 

この様に興味を示さない人もいる。

 

ユリ「あんなにテンションが高いリミは久々に見るなぁ……」

 

ベル「どういう時に見るの?」

 

ユリ「好物を食べる時なんかは凄く幸せそうだよ。後は有名人に会った時とかも」

 

じゃあリミのあの反応は後者の反応なんだね。

 

エンゼル「私達もすっかり有名人だね~」

 

ハーシバル「やっぱりカリムーの宝を見付け出した事が大きいんだろうな」

 

カンドリー「へへん!僕程の腕前になればこれくらいは当然さ」

 

ジュン「はいはい。鬱陶しいからそこまでね」

 

コンキスタ号の人達は様々な反応を見せている。来ているのは全体の3分の1位だろうか?そんな中でも私が気になるのは……。

 

アンドウ「……久し振りでござるな。ユキコ殿」

 

ユキコ「そうですね。私が里を出て以来でしょうか?」

 

この2人の関係性だよねぇ。ユキコが忍者って事はミライから聞いていたけど、まさかアンドウさんと同じ里の出身だったとは。




今回はここまでです。

次回、ユキコとアンドウの関係性は……。


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第24話 ユキコとアンドウ

今回もよろしくです。


ユキコside

 

噂で聞くだけで、到達出来ないとまで言われていた幻の島にいるなんて夢みたいです。見た事のない生物が沢山です。この島はどういう仕組みなんでしょうか?現れたり消えたりしている島……それは浮いたり沈んだりという意味ならこの島の正体は……!

 

等と考えているとコンキスタ号の人達もこの島に来ているようで、それぞれ会話をしていた。そして……。

 

アンドウ「……久し振りでござるな。ユキコ殿」

 

ユキコ「そうですね。私が里を出て以来でしょうか?」

 

コンキスタ号の人達にアンドウさんが着いて行ったという話は耳にしていました。なので何れはこの様に遭遇する事もあるとは思っていましたが……。

 

アンドウ「そうでござるな。まさか幻の島と言われている場所で再会する事になろうとは……」

 

ユキコ「……里の皆さんはどうしていますか?」

 

アンドウ「それを拙者に聞くのは野暮でござろう。拙者は既に抜け忍の身……。もしも里の者に見付かったら追われてしまうでござるよ」

 

まぁそうでしょうね。私も見付かってしまったら追われる身となってしまうでしょう。

 

ユキコ「コンキスタ号の人達はカリムーの宝を見付けたようですね」

 

アンドウ「うむ、まさかあのような物が宝と呼ばれるとは……。世の中何があるかわからないものでござる」

 

ユキコ「そうですね」

 

全くおめでたいですね。カリムーの宝は既にミライさんが目撃しているのに……。ですがこの段階では知らない体を貫いておきましょう。

 

アンドウ「それにしても流石、情報が早いでござるな。我々がカリムーの宝を見付けたというのはまだ極一部しか知らない情報……。里の広報部隊でも随一の情報力を持つユキコ殿でござる」

 

ユキコ「私はそんな大層なものではありませんよ。只知りたいから情報を集めているんです。知らないと不安だから真相を求めているんです。それは里にいた時も、そして今でも……。この島についてもそうなんです」

 

そこから導き出される答えを求めてこの島の正体を探っているだけに過ぎません。ベルさんは恐らく気付いているでしょうね。この島の正体、実態を……。何故この島が浮いたり沈んだりを繰り返しているのかを……!

 

アンドウ「……そちらは元気でやっている様で良かったでござる」

 

ユキコ「そうですね。アンドウさんも元気で何よりです。私は里を出て間もない頃に両親が賊に殺されてしまいました」

 

アンドウ「……!」

 

ユキコ「そして同時に出会いもありました。今はこの場にいませんが、私はその人に着いて行こうと決意したその日から私は皆の役に立てるよう情報収集を担当しています。私にとっては今が最高です」

 

アンドウ「……それが聞けて何よりでござる」

 

ユキコ「願わくば貴方達とは敵対せずにやっていきたいですね」

 

アンドウ「そうでござるな……」

 

ですがそれは難しいでしょうね。ミライさん曰く近い内に開かれる異界ゲートの存在……。それはもしかするとこの島が関係している可能性があると言われています。

 

そして我々がカメダ海賊団の残党である事がバレた時。その時が来たら彼等と戦う必要があるでしょう。それも時間の問題ですね。

 

その時が来るまではこうして仲良しごっこをしていましょう。

 

 

ユキコsideout

 

 

 

 

 

カイト「あの2人にも色々あるんだな……」

 

うんうん。ユキコもアンドウさんに伝えたい事は伝えたみたいだし、私が知りたかった事も知れた。ありがとうユキコ。

 

ベル「そうだね。積もる話もこの機会にしか出来なかったのかもね。それよりも準備しておいた方が良いと思うよ?」

 

カイト「……?どういう意味だ?」

 

ベル「この島はそろそろ姿を消す頃だと思うからね。もうちょっと島を見ていたかったけど、そうも言ってられないみたい」

 

カイト「なんだって!?」

 

ベル「だからまたね。次に会う時も友好的でいられると良いね」

 

そう言って私達は船へと戻った。勿論彼等に悟られない様に急いでね。なんとか私達の船も見られずに済んだしね。

 

 

~そして~

 

船に戻り暫くすると島は沈んでいった……。

 

マスミ「まさかあの島自体が生き物だったとは……」

 

アリス「ですが現れたり消えたりしていた理由がわかりましたね」

 

シルヴィア「あ~あ、もっと見たかったなぁ~。あの島には見た事のない生物がいるんでしょ?」

 

ナナ「島っていうかなんていうか……」

 

ユキコ「そう言う人もいるだろうと思っていたので、持ち帰ってみました」

 

ユリ「持ち帰った……?」

 

ユキコ「これです」

 

そう言ってユキコが見せてきたのは……。

 

ルナ「これは……玉?人1人分位の大きさはあるんだけど……」

 

ユキコ「赤、青、黒とありましたので、それぞれ持ち帰りました」

 

リミ「こ、これを1人で持ち帰ってきたの……?」

 

ユキコ「無理を言ってベルさんにも手伝ってもらいました。本当にありがとうございます」

 

ベル「私は気にしてないよ」

 

ユキコ「これ等を部屋に持って帰って研究してみます」

 

本当に幸せそうだねユキコ……。




今回はここまでです。

次回、残党……。


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第25話 カメダ海賊団の残党

今回もよろしくです。


カイトside

 

俺達はデジーマで一休みをしている。するとこんな話を耳にした。

 

「おいおい聞いたか?カメダ海賊団の残党が活動しているらしいぞ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、なんでも今は鬼ノ島って所を拠点にしているらしい」

 

「鬼ノ島って此処からそう遠くないよな?だとしたらまたカメダ海賊団の連中に好き勝手されるのか?」

 

「わからん。だがそうなるとヤバイな……。その前に何処かに逃げた方が良いかもな」

 

話をしていた男達はそう言いながら去って行った。

 

ハーシバル「……今のを聞いたかカイト?」

 

カイト「……ああ。今の話が本当ならなんとかしないといけないな」

 

カンドリー「奴等の拠点は鬼ノ島って言ってたよな?」

 

カイト「……前に俺達がリコと行ってた所だな」

 

レン「カメダ海賊団って事はミライって人にまた会うんでしょうか……?」

 

カイト「そうなるだろう」

 

エンゼル「あの人恐ろしく強かったよね。しかもあっちからは一切攻撃してこなかったし……」

 

確かに彼女は俺達の攻撃を捌くだけで、彼女からは攻撃をしていない。もしもあの時彼女が攻めに転じていたら俺達は……。

 

カイト(そういえば彼女はこう言っていたな)

 

ミライ『この世界はそういう風に仕組まれているのだから』

 

カイト(あの時はガンダーロボっていう兵器と戦うだけで手一杯で考えてなかったが、あれは一体どういう意味だ……?)

 

ハーシバル「カイト……?」

 

カイト「……いや、なんでもない。鬼ノ島はかなり危険な場所だから、入念な準備をしてから行こう」

 

カメダ海賊団の残党という事は彼女がいる筈……。その時にあの言葉の意味を聞かなきゃな。

 

???「…………」

 

俺達は潜んでいた人影に気付く事なく話し合いを進めていた。

 

 

カイトsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミライ「そう……。わかったわ。態々デジーマからありがとうユキコ」

 

ユキコ『気にしないでください。丁度デジーマに用事がありましたので』

 

ミライ「用事が済んだら新しい拠点に一足先に向かってなさい。ベル達も後で行かせるわ」

 

ユキコ『了解しました』ブツッ

 

鬼ノ島の整備をしているとミライが連絡機器で何やら話していた。ユキコからかな?

 

ベル「ユキコから?」

 

ミライ「ええ。この場所が私達の拠点の1つだという事がコンキスタ号の連中にバレたようね」

 

コンキスタ号の人達か……。まだミライ以外の人達は私も含めてカメダ海賊団の残党だという事に気付いていないけど、どうやってバレたのかな?

 

ミライ「デジーマ周辺でカメダ海賊団の残党がこの鬼ノ島で活動をしていると噂になっているようね」

 

ベル「……誰かに見られたの?」

 

ミライ「恐らくね。カメダ海賊団は悪い意味で有名な組織……。私達の内の誰かがカメダ海賊団の一員と認識されている可能性は高いわ」

 

その可能性はあるね。とはいえミライ以外の主力で私達の存在を知っているのは……!

 

ベル(……ウンガルフでカリムーの宝を探してい時か。じゃあ私とアリスとマスミの3人はコンキスタ号の人達にはバレてないにしてもその時に穴を掘っていた一般人には私達3人がカメダ海賊団だとわかっているって事かな……)

 

あとは私の事を姐さんと呼んでいる連中位だね。

 

ミライ「数十日以内には此処にコンキスタ号の連中が来るからそれまでの間に新しい拠点に移動する必要があるわ」

 

そうなるよね。鬼ノ島は修行場所としてかなり気に入っていたのに勿体無いなぁ……。

 

ミライ「彼等に顔が割れている私が此処に残るわ。念の為に整備要因として何人か一緒に残ってもらうけれど……」

 

ベル「そうだね。誰に残ってもらおうかな……」

 

ミライ「主力が残る必要はないわ。貴女を姐さんと慕っている人達で充分でしょう」

 

ベル「ミライがそれでも良いなら構わないけど……」

 

ミライ「私なら大丈夫よ。問題ないわ」

 

ミライ(それに丁度試してみたい事もあったしね)

 

ベル「じゃあ此処の事は任せるよ」

 

ミライ「ええ。貴女達は早く次の拠点に行った方が良いわ」

 

ベル「うん。でもその前に……」

 

ミライ「……?どうしたのかしら?」

 

いやいや、何時言うか迷ったよ?それが気になり過ぎて島の整備が身に入らなかったもん。

 

ベル「じゃあ言わせてもらうね?」

 

私は深呼吸して疑問をぶつけた。

 

ベル「ミライは遂に影分身を習得したの?」

 

???「?」

 

ミライの横にいるミライに瓜二つの女の子を見ながらミライに尋ねた。




今回はここまでです。

次回、ミライの分身の正体は……。


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第26話 ミライの分身?

今回もよろしくです。


私はミライの横にいるミライに瓜二つの女の子を見てミライに尋ねる。

 

ベル「ミライは遂に影分身を習得したの?」

 

???「?」

 

ミライに瓜二つの女の子はきょとんとしている。何の事かわかっていないんだろう。

 

ミライ「何をくだらない事を言っているのかしら?」

 

当の本人が呆れた目で私を見ている。いやいや、なんで私が呆れられなきゃいけないのさ?

 

ミライ「影分身位ならやろうと思えば出来るわ」

 

やろうと思えば出来るんだ……。じゃなくて!

 

ベル「じゃあそのミライと瓜二つの子は一体……?」

 

ミライ「……ああ、この子の事ね。彼女に対する仕込みが終わったから、貴女達と合流してもらおうと思って連れて来たのよ」

 

???「初めまして、ミクと言います。これからよろしく御願いします」

 

彼女はミクと言うらしい。ミライと瓜二つという事はシンフォギアに出てくる小日向未来(こひなたみく)の事であり、前川でも、初音でもない井口裕香ボイスの可愛い女の子だ。

 

それにしても本当にミライと瓜二つだなぁ……。服装、顔立ち、髪型、声、スタイル、そして後頭部に付けているリボンまでもが全く同じ。それはまるで間違い探しの如し。

 

違いといえばミクに比べてミライがツリ目なのと、ミライがクールなのに対してミクはキュート寄りのパッションな感じの性格な位かな?

 

ミライ「ミクにはユキコ以上に手解きしてあるわ」

 

ベル「という事は主力戦力として考えても良いのかな?」

 

ミライ「ええ。実力としては貴女の次になるわね」

 

私の次って……。それ相当じゃん。戦闘力としてはミライ、私、ユキコ、ナナ、シロ、シルヴィア……って感じの順番なんだけど……。

 

ミライ「それもユキコよりも数段上になるわ」

 

ベル「ユキコの時点で人間離れした力を持ってるんだけど……」

 

ミライ「ミクの場合はあの力が大きな理由でしょうね」

 

ベル「あの力……?」

 

な、なんか嫌な予感がするんだけど……。

 

ミライ「見て貰った方が早いわね。ミク」

 

ミク「はい。……Rei shen shou jing rei zizzl」

 

ん……?なんか聞いた事のある歌?呪文?のような……。そう思っているとミクが突然光りだした。これってあれだよね?魔法少女とかである変身シーンだよね?

 

光りが止むとそこにいたのは……。

 

ミク「この格好も久し振りだなぁ」

 

ミライ「普段は使う事も余りないものね」

 

神獣鏡(シェンショウジン)を纏ったミクでした。この子はなんでシンフォギア使えるの?

 

ミライ「ミクの潜在能力を解放した結果よ。試しに詠唱して貰ったら神獣鏡を纏ったのよ」

 

ミク「初めてこの状態になった時は驚きました」

 

そりゃそうだろうね。私も驚いてるもん。

 

ミライ「更にミクは『シェム・ハ』の力も使えるわよ」

 

ベル「それって最早ミライと同じ神様の領域なんじゃ……」

 

それだと私よりも強いんじゃないの?

 

ミライ「今のところはまだベルが勝ってるわ。けれど実力に大差はないから、うかうかしていると抜かされるわよ」

 

ミク「ベルさんを越えられるよう頑張ります」

 

ドラゴンボールの世界では超サイヤ人ブルーをも越えた私と大差ないって……。もう彼女だけで地球滅ぼせるよ?

 

ミライ「それよりもミクも連れて此処を離れなさい」

 

ベル「……色々整理出来てないけど、わかったよ」

 

気になる事が多過ぎて混乱してるけど、コンキスタ号の人達が来る前に船に乗ろう……。

 

船に乗った後にミクを紹介するべく皆を呼んだけど、ユキコ以外は皆ミクをミライと勘違いをしていたから説明すると皆は驚いていた。そしてユキコはというと……。

 

ユキコ「確かにミライさんとミクさんは瓜二つですが、気配が全然違います。それにミライさんはミクさんに比べてツリ目ですし、性格もミライさんがクールタイプなのに対してミクさんはキュート寄りのパッションタイプです」

 

と言っていた。それに加えて……。

 

ユキコ「ですがミクさんと初めて会った時にミライさんと全く同じリボンを付けていたのは驚きました。これに関してはミクさんも驚いていました」

 

とも言っていた。まぁミライが付けているリボンは昔私がミライにあげた物なんだよね。あれは一応小日向未来が付けていたリボンを模している物なんだけど、まさかこんな事になるとは……。そりゃミクも驚く訳だよ。




今回はここまで。

次回、鬼ノ島にて……。


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第27話 鬼ノ島の決戦

今回もよろしくです。


カイトside

 

「鬼ノ島が見えてきました!」

 

カイト「よし……!上陸だ!」

 

俺達は鬼ノ島へと上陸した。

 

 

~そして~

 

エンゼル「わっ!何これ!?」

 

レン「島がきっちりと整備されてますね……」

 

カイト「どういう事だ?前に来た時は荒れ果てていたのに……」

 

ハーシバル「生き物が全然見当たらないな。街が出来そうな位整備されているな」

 

確かに……。カメダ海賊団の連中は此処に土地を開拓しようとしていたのか?何の為に?

 

「あっ、おまえ達はコンキスタ号の……!」

 

「姐さん達の情報通りだ!」

 

「待ち伏せて正解だったな!」

 

なんだと!?俺達が来るのがバレていたのか!?何処から情報が漏れていたんだ……?

 

カイト「皆行くぞ!」

 

『おうっ!』

 

考えても仕方ない。今は迎え撃たないとな。

 

 

~そして~

 

「くそっ……!」ドサッ

 

「こんな所で……!」ドサッ

 

「俺達はここまでだというのか……!」ドサッ

 

したっぱなのに随分強かったな……。まるでグントラムと戦っているみたいだった。

 

カンドリー「たった3人だけなのに無茶苦茶強かったな……」

 

ハーシバル「奥にはもっと強い奴等がいるんだよな?」

 

カイト「多分な……」

 

カメダ海賊団の残党……。一体何を企んでいるんだ?

 

 

カイトsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミライside

 

「コンキスタ号の奴等がどんどん此方に向かってきます」

 

ミライ「そう……。残った貴方達も歓迎してあげなさい」

 

『はっ!!』

 

私の命令に従いしたっぱ達は進んでいった。

 

ミライ(彼等はグントラム以上の実力があるけれど、この程度の連中に苦戦しているようでは私達やこの先の……ゲートの向こうの存在には到底勝てないわよ?さて……。今の内に此方の準備も進めておきましょうか)

 

私はしたっぱ達がコンキスタ号の連中と戦っている間に『仕込み』を進めていく。

 

 

~そして~

 

ミライ(まぁこんなところかしら。これでデジーマの人達が自由に行き来出来る様になるわね。けれど……)

 

私が試そうとしている事によってこの島が更地になる可能性がかなり高いから、今までやってきた事が全て無駄になってしまうわね。

 

ミライ(……その辺りはコンキスタ号の連中に任せておこうかしらね)

 

そう思っているとしたっぱ達を倒してきたコンキスタ号の連中が此方に来た。

 

カイト「はぁっ……!はぁっ……!」

 

ミライ「……随分と疲弊しているようね?」

 

全員疲れきっているじゃない……。この先やっていけるのかしら?

 

ミライ「それでなんの用かしら?」

 

まぁ大体予測出来るけれど。

 

カイト「……カメダ海賊団の残党はあんた以外は全員捕まえたぞ」

 

ミライ「そう……。本当にそう思っているのなら甘いわね」

 

カイト「どういう意味だ?」

 

ミライ「知りたいなら教えてあげましょうか。まずカメダ海賊団は他にも沢山いるわ」

 

ハーシバル「それって……」

 

ミライ「貴方達の想像通りよ。私だけじゃなく各国にそれぞれ散り散りになっているわね」

 

まぁ散り散りになっているのはしたっぱ達だけで、主力戦力はユキコを除いて大体が1つに固まっているわね。稀にユキコが数人連れて仕事に行く位かしら?

 

ミライ「次にカメダ海賊団に入りたいと言う輩はまだまだ沢山いるわね。だからこれからもどんどん増えていくわ」

 

レン「そんな……!」

 

これに関しては私達が次々と人選しているから、入れる人間はその中でも100分の1もいないでしょうね。私達が認める人間じゃないといけないから、一定以上の実力がなかったり、許容範囲外の悪人は不採用にするので更に入れる人数は削れるわね。

 

ミライ「最後に私は捕まる気なんて更々ないわ。今回も御暇させてもらうわね」

 

カイト「逃がすかっ!」

 

ミライ「今回はこれが貴方達の相手をするわ」

 

私は懐から瓶を取り出して蓋を開けた。すると……。

 

カイト「な、なんだ!?」

 

エンゼル「キャプテン!上に何かが集まってるよ!」

 

魔封波の封印を解くと上に集まるのね。魔人ブウの封印が解除された時と類似しているわ。

 

そして上空で固まっていた物は段々と形になってやがて元の形に戻った。

 

カンドリー「ば、化物だ!瓶から化物が出てきた!」

 

ミライ「以前私が封印した生物よ。確か名前はムゲンダイナ……だったかしらね」

 

カイト「ムゲンダイナ……!?」

 

「ガアァァァァッ!」

 

ミライ「では私は失礼するわ。精々頑張る事ね」

 

カイト「ま、待てっ!」

 

「ガアァァァァッ!」

 

レン「キャプテン!化物が攻撃してきます!!」

 

カイト「くそっ!!」

 

キャプテンカイト達はムゲンダイナを相手にするのに必死になっている間に私はこの島を出た。




今回はここまでです。

次回、仲間の日常編……。


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第28話 歌は人の心に響くものであり人の命を絶つものでもある

今回もよろしくです。


うちの主力メンバーにミクを紹介し終わったので、今度はミクに船内の案内をしている。

 

ミク「凄いですね。こんなに内装が豪華な船……。初めて乗りました」

 

ベル「そう言って貰えると設計した甲斐があったよ」

 

ミク「この船ってベルさんが造ったんですか?」

 

ベル「うん。外観も内装も一応私が考えたよ」

 

ミク「本当に凄い……。部屋もとても綺麗です。正直海賊船ってもっと汚いものを想像してました」

 

ベル「まぁ紹介した仲間も皆女の子だしね。快適に過ごしたいと思うから、掃除には特に気を付けてるよ」

 

デスポート号にも何回か乗った事あるけど、滅茶苦茶汚かったもん。鼠やゴキブリが出るのは当たり前。しかもビスケットはカビてるし、本当に不潔だったよ。その辺りに気を遣っていたのはヒガキさん位だったし……。

 

ベル「……でこの部屋が自分達を鍛える為の所謂鍛練室だね」

 

ミク「これからは此処で鍛練をすれば良いんですか?」

 

ベル「そうだね。鍛練用の部屋は幾つかあるからそれぞれがそれぞれの鍛練をしているよ」

 

近距離戦闘や遠距離戦闘の訓練や私とミライ専用の修行場所とか……。これからはミクも私とミライが使っている方になるのかな?

 

ベル「そしてこの部屋が今日から船で仕事に行く時にミクが休む為の自室ね」

 

ミク「わぁ……。広い……!」

 

ベル「基本的にはミクの部屋だから、ミクの好きな物を置いても良いからね」

 

ミク「はいっ!ありがとうございます!」

 

凄く嬉しそう。喜んで貰えて何よりだよ。

 

ベル「さて……。案内はこれで一通りかな?」

 

他に案内してない所はあったかな……。

 

ミク「そうですね。調理場も御風呂場も御手洗いも全部確認しました」

 

じゃあ基本的な所は全部案内し終わったかな?あとは娯楽等々を行う部屋だけど、これはまた後日に時間がある時に案内するとしよう。

 

ミク「あれ……?」

 

ベル「どうしたの?」

 

ミク「この部屋……外観が他の部屋よりも強固ですね。なんの部屋なんだろう……」

 

ミクが見付けた部屋はシルヴィアが1日数時間は利用しているカラオケルームだった。私もストレス発散させる事を目的でたまに利用してる。

 

ミク「此処ってなんの部屋ですか?」

 

ベル「そこは歌を歌う為に設けた部屋だよ。外観が強固なのは防音だからかな。よくシルヴィアが使ってるね」

 

ミク「あの歌姫が使っている部屋……!」

 

なんか凄いうっとりしてる……。ミクの一挙手一投足を全部ミライで想像してしまう私からするとミライのキャラ崩壊が超ヤバいと思っちゃうね。

 

ベル(そういえばシルヴィアは世界的に有名な歌姫で通ってるんだっけ?)

 

ミクもシルヴィアのファンの1人なんだろうね。シンフォギアでも翼さんのファンだったと思うし。

 

ベル「良かったら覗いてく?今日はシルヴィアの他にも何人かで歌いに来てる筈だよ」

 

なんならあのアリスも参加してる程だからね。アリスはカラオケの類いは興味ないのかと思ってたよ。

 

ミク「はいっ!」

 

折角だから私も今日はこのままカラオケタイムと洒落込もうとしようか!ミクの親睦会も兼ねてミクにも参加して貰おう。

 

そう思ってノックをして扉を開けると……。

 

アリス「」

 

シルヴィア「」

 

マスミ「」

 

シロ「」

 

ユリ「」

 

リミ「」

 

ベル&ミク「何事!?」

 

アリス達が倒れていた。なんで?

 

ベル「ちょっ、一体何が……!?」

 

この状況に困惑しているとシルヴィアがいち早く意識を取り戻す。

 

シルヴィア「ベル…さん……」

 

ベル「シルヴィア、これはどういう状況?」

 

シルヴィア「犯…人は……!」

 

ぷるぷると震えたシルヴィアの指先には……。

 

ルナ「皆一体どうしたの?」

 

この状況が飲み込めていないルナがいた。じゃあこの惨状を生み出したのはルナって事!?

 

ユキコ「ルナさんが防音部屋で皆と歌うとナナさんから聞いて急いで来てみましたが……。遅かったようですね」

 

ベル「ユキコ……」

 

ユキコ「ルナさんの歌はとても酷いものです。彼女が初めてこの部屋で歌った時は被害が私だけでしたので、これ以上被害者を増やさない為にも目を光らせていました。手遅れでしたが……」

 

ルナ「失礼だよユキコちゃん!私はちょっと歌が苦手だから、今回はその克服も兼ねて皆に私の歌を聞いて貰おうと……」

 

ユキコ「何がちょっと苦手ですか?その結果がこの惨状でしょう。ルナさんの歌は最早音痴とかそういう次元ではありません。例えるなら海鼠の内臓が突然耳に入り込むレベルです」

 

ルナ「酷い!?」

 

何それ気になる。

 

ベル「ちょ、ちょっと聞いてみたいかもね……。怖いもの見たさっていうか……」

 

ユキコ「……好奇心は猫を殺すという言葉があります。自殺願望でもない限りは止めておいた方が良いかと」

 

そ、そんなに酷かったんだ……。ミクの親睦会はカラオケにしようと思ったけど、こんな光景見ちゃったら考え直す必要があるね。




今回はここまでです。

次回、開けゴマ……?


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第29話 ゲート出現!?

今回もよろしくです。


ミライからゲートが開きそうだと連絡があり、私達はデジーマにある獄炎島に来ている。

 

面子は私、ナナ、ルナ、ミクの4人。ユキコは突如海鼠の内臓が耳に入り込んだ(ルナの歌を聞いた全員が供述している比喩表現)皆の治療の為に不参加で、残りの人達は療養の為にデジーマの宿で待機(アリスは身体を引きずってでも行こうとしていたが、ユキコに止められる)して貰っている。

 

ミク「恐竜が沢山いますね……」

 

ベル「ユキコの話によると隣にある鬼ノ島から移住してきたらしいよ」

 

ルナ「どうやって来たの?この島の恐竜ってもしかして泳げるの!?」

 

ナナ「ど、どうなんだろう……」

 

ちなみに恐竜達はミライの力によって移動したとユキコが言っていた。まぁミライの能力を知っているのは私以外だとアリス、マスミ、シロ、ユキコ、ミクの5人だけで、前者3人は私とミライで事情を話した後に証拠を見せて、後者の2人はミライの弟子なのでミライが直接説明している。

 

ベル(さて、ミライの話によるとこの辺りからゲートを開く気配を感じたとの事だけど……)

 

今のところは特に何も感じない。ミライはこんな嘘を吐く人間じゃないし、焦らず待ってみようかな。

 

 

~そして~

 

あれから5時間が経過したけど、恐竜達が沢山此方を襲ってきた位で特に何もない。本当にゲートが開くか不安になってきた……。

 

ルナ「恐竜にも慣れてきたね」

 

ナナ「そうだね……。寧ろ一周回ってラプターが可愛く見えてきたよ」

 

恐竜に慣れる、ラプターが可愛いとかいうパワーワードを耳にした私は本格的に末期だと思った。私も慣れてきたけど……。

 

ミク「……?」

 

どうしようかと悩んでいると、ミクが何かを感じたようだ。

 

ベル「ミク?どうしたの?」

 

ミク「いえ、今何か聞こえたような……」

 

ルナ「えっ?私は特に何も聞こえないよ?ナナさんは?」

 

ナナ「私も聞こえないかな……」

 

私も何か聞こえたという感じはしなかった。もしかしたら神の領域に到達している人間しか聞こえないのかな?だとしたら超サイヤ人ゴッドになれる私も聞こえてないと可笑しいのでは?

 

 

ピシッ……!

 

 

!?……今のは私でも聞こえた。何かがひび割れた音。これがゲートが開く音?

 

ミク「音が大きくなってきた……!」

 

 

ピシピシッ……!

 

 

さっきよりも大きな音……!

 

ルナ「ミクちゃんもベルさんもどうしたの?」

 

ナナ「さぁ……?何か見付けたのかな?」

 

ベル「ナナとルナは何か聞こえない?近辺に耳を澄ましてみて」

 

私が言うと2人は耳を澄ませる。

 

ナナ「う~ん……。わからないかなぁ。ルナちゃんは?」

 

ルナ「私もわかりません……」

 

2人はまだ音に気付かない。もしかして私とミクが耳鳴りを起こしているだけ?それなら杞憂で済むけど……。

 

 

カッ!

 

 

突然辺りが光りだした。へぁぁぁぁっ!目がぁぁぁぁっ!!なんか前にもこんな事があったような……。

 

光が止むとそこには……。

 

ルナ「な、何あれ……!?」

 

ナナ「ふぇぇ!なんか怖くなってきた……!」

 

ミク「不気味……。あれは一体なんだろう」

 

ミライが出したワームホールとはまた別の次元の穴が出現してきた。

 

あれが件のゲートなんだろうか……?




今回はここまでです。

次回、出現したゲートから……!


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第30話 ゲートの敵は未知の存在

今回もよろしくです。


突如現れたゲートを見てそれぞれが萎縮している。

 

ベル「……皆、何時でも戦える様に準備しておいて」

 

『は、はいっ!』

 

ゲートからはまだ何も出て来てないけど、感じられる気配は相当なものだ。心して戦わないと死んでしまう可能性は高い。

 

ベル(少なくとも前の世界……パライソタウンでは感じる事のなかった強敵の気配……。このまま戦ったらルナに関しては確実にその敵に殺される。ルナのサポートをミクに頼んで、私とナナで前に出て戦うのが妥当か……)

 

ミク「来ますっ!」

 

戦術を考えているとゲートから何かが出現した。それは……。

 

???「メッチー!」

 

ナナ&ルナ「か、可愛いぃ~っ!!」

 

メッチーだった。確か女神転生シリーズで出て来たデビルの一種だったっけか……。

 

ルナ「滅茶苦茶可愛いよこの子!」

 

ナナ「そうだね。あの不気味な空間からこんな可愛い生き物が出るなんて信じられないよ……」

 

2人はメッチーを愛でようと近付く。ちょっ!危ないって!

 

ミク「っ!2人共近付いたら危ないです!」

 

ナナ&ルナ「えっ?」

 

ミクが2人を止めようとするけど、少し遅くメッチーは……。

 

メッチー「メッチー!」ビビビッ!

 

電撃を放った。不味い……!2人を庇おうとしているミクに当たる!そう思った私は……。

 

ベル「リフレクション!」

 

メッチーが放った電撃を上空に弾き、メッチーと対峙する。

 

ミク「ありがとうございます」

 

ベル「気にしなくて良いよ。ナナとルナはもう少し警戒心を持とうか。可愛いのはわかるけど、流石に無警戒が過ぎるからね」

 

ナナ「う、うん……」

 

ルナ「すみません……」

 

メッチー「メッチー……!」

 

私が電撃を弾いたのかメッチーは私から距離を取る。本当に見た目は超絶可愛いのに、なんでこんなに強い力を感じるんだろうね?

 

ベル(どうする……?ゲートがまだ開いている以上新手が来る可能性が高い。今のところはメッチー以外の気配は感じないけど……)

 

悩みつつもメッチーと一定の距離を取っている私達。するとメッチーは敵意を引っ込めて私に擦り寄った。

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

ナナ「わぁ……。ベルちゃんにスリスリしてる!可愛い~!」

 

ルナ「良いなぁ~!ベルさん羨ましい~!」

 

ベル「いや、そんなこんな事を言われてもねぇ……」

 

ミク「刷り込み効果でしょうか……?」

 

ベル「だとしたら最初に見たのはナナかルナになるよね?」

 

未だに私にスリスリしているメッチーを撫でながらメッチーが私に懐いている理由について考えてみる。

 

もしかして私が電撃を弾いたから……?それならミライ、ミク、ユキコ辺りもメッチーに懐きそうだけど……。まぁこれは戻ってから検証してみようかな?

 

ミク「でもこれからどうしましょうか?」

 

ベル「とりあえずこの島から出てデジーマに戻ろうか。皆の事も気掛かりだし……」

 

主に海鼠の内臓が耳に入り込んでいるという皆の体調が心配だしね……。

 

ベル(ゲートは閉じているみたいだし、ミライにメッチーの事を連絡しておこう……)

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

この出来事が切欠で世界が滅ぶイベントが発生する事になるんだけど、今の私達はまだそれを知らない……。




今回はここまでです。

次回、デジーマで待機している人達は……。


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第31話 その頃療養組は……

今回もよろしくです。


ユキコside

 

ベルさん達が獄炎島は向かったのを見送り、私は宿で死にかけている皆さんの治療に専念する。

 

アリス「うぅ……。ベルさん……!」

 

ユキコ「いい加減諦めてください。ベルさんはアリスさんの事を想って今回は留守番をしてもらっています」

 

アリスさんはベルさんに依存しきっていますね。同姓なのに、恋愛感情を抱いているようにも見えます。

 

アリス「……それでも私は…ベルさんの…右腕…です。行かなければ……!」

 

ユキコ「ベルさん達を信じましょう。留守番をしている私達の仕事はそれだけです」

 

今回の仕事は色々と不確定要素が多い……。それに対しての面子は万全の態勢で行った方が良いでしょう。そう考えると完全にルナさん達の歌う時間が足を引っ張ってしまっています。

 

シルヴィア「それにしてもルナちゃんがまさか……だったとは」

 

ユキコ「シルヴィアさん、ハッキリと音痴と言っても構いませんよ。本人には私から厳しく言っておきますので」

 

マスミ「いや、あれは最早音痴とかそういう次元じゃないような気がする……」

 

ユリ「そ、そうだね。あれは例えるなら海鼠の内臓の様な……」

 

意識が完全に回復したシルヴィアさん、マスミさん、ユリさんがルナさんの歌にそれぞれ同じ評価を下す。やはりルナさんの歌声は海鼠の内臓ですね。ハッキリわかります。シルヴィアさんはルナさんに気を遣っていますが、あそこまで下手だと気遣いなんて必要ありません。

 

アリス「うぅ……!」

 

リミ「」スゥスゥ

 

シロ「うっ……!」

 

一方でまだ回復しきっていないアリスさん、リミさん、シロさんは寝入るように疲弊している。リミさんは普通に寝ていますが。

 

ユリ「今回の仕事はなんか変わっているよね。獄炎島の調査って……」

 

マスミ「前に行った感じだと特に何もなかったと思うけどね」

 

ユキコ「ミライさんが言うには何やら空間を破る扉が出現する可能性があるとの事ですが……」

 

いまいち信憑性に欠ける話です。ミライさんが嘘を吐くとは思えませんが、空間を破る扉は些かオカルト染みています。

 

シルヴィア「空間を破る……?」

 

ユリ「比喩表現とか?」

 

ユキコ「いえ、そのままの意味です」

 

マスミ(空間……。ゲートの事?私とアリスがベルさんとミライさんにパライソタウンから連れてって貰う時に利用したあれに近いものと考えるのが妥当か……。もしかしてシロがこの世界に来た時も誰かによってゲートが使われていたのか?)

 

ユキコ「マスミさん?」

 

マスミ「……なんでもない」

 

マスミ(ミライさんなら既に知ってると思うけど、念の為に報告しておこう……)

 

とにかく考えても纏まらない以上宿を出て情報を集める必要がありますね。

 

 

ガチャッ!

 

 

ベル「戻ったよ」

 

ユキコ「御疲れ様です」

 

アリス「ベルさ……!」

 

ベルさん達が戻ってきたようです。アリスさんが嬉しそうにした後に顔を引きつっていますね。原因は恐らく……。

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

ベルさんの胸に顔を埋めてスリスリしている謎の生物でしょうね。




今回はここまでです。

次回、報告……。


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第32話 未知の生物は仲間に序列を付けている

今回もよろしくです。


突然現れて、突然私達に攻撃してきて、突然私に懐いたメッチーを連れて宿に戻る。

 

ベル「戻ったよ」

 

ユキコ「御疲れ様です」

 

アリス「ベルさ……!」

 

あれ?なんかアリスが固まってるんだけど……。どったの?

 

アリス「ベ、ベルさん、その胸元にいるのは一体……」

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

ああ。私の胸に顔を埋めているメッチーについてかな?今も胸にスリスリしている。滅茶苦茶くすぐったい。

 

ベル「この子はメッチーといって獄炎島に突如現れた生き物なんだよ」

 

マスミ「ミライさんが言ってたやつ?」

 

ベル「う~ん……。どうだろう?難しいところだね。ミライが言うには怪しい気配が複数あるらしいんだよね。その1つがこのメッチー」

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

アリス「……ところでそのメッチーとやらは何故ベルさんの胸に顔を埋めてスリスリしてるんですか?羨ましい」

 

あの、アリスさん?最後なんかポロっと何か出たよ?

 

ベル「なんかよくわからないけど、滅茶苦茶懐いてるんだよね。なんでだろう」

 

考えてもいまいちわからなかったんだよね。

 

メッチー「!!」

 

ユキコ「?」

 

メッチー「メッチー!」ピョンッ

 

あれ?今度はユキコの方に飛び移ったよ?

 

ユキコ「わっ……!」

 

メッチー「メッチ~!」スリスリ

 

そしてユキコの胸に顔を埋めている。

 

ルナ「さっきまでのベルさんよりも食い付いているような……」

 

シルヴィア「何が基準で懐いてるんだろうね」

 

アリス「まさか……!」

 

ベル「アリス?何か分かったの?」

 

アリス「ええ、誠に遺憾ながら……。ベルさん、少し耳を貸して貰っても良いですか?」

 

ベル「うん」

 

メッチーが私やユキコに懐いている理由をアリスに聞いてみる。

 

アリス(あのメッチーという生物はベルさんやユキコさんのむ、胸が大きいから懐いていると思うんです……)

 

ベル(へ……?嘘でしょ?)

 

アリス(流石にそれが理由だとは思いたくありませんが……)

 

ちらりとメッチーの方向を見るアリスにつられて私もメッチーの方を見てみる。

 

メッチー「メッチ~!」ピョンッ

 

マスミ「うわっ……!」

 

今度はマスミの方に飛び乗って胸に顔を埋めてスリスリして、その次にシロ、ユリ、シルヴィア、ナナ、ミク、リミ、ルナと順番に飛び乗った。まさか本当に?そして……。

 

メッチー「…………」ジー

 

アリス「な、なんですか……?」

 

メッチー「…………」フッ

 

最後にアリスを見ては鼻で笑った。なんで?

 

アリス「」チャキッ

 

無言で銃をメッチーに構えた。

 

ベル「ちょっ、アリス落ち着いて!」

 

アリス「あの生き物には序列というものを教えてあげないといけません」

 

青筋を額に幾つも浮かべながら引き金を引こうとするも私は制止する。あとなんでマスミは口元を抑えてぷるぷる震えてるの?そんなにこの光景が面白いの?

 

ベル(それにしても本当に胸で判断してるとは……。いや嘘だよね?)

 

確かにユキコはうちの中で1番胸が大きい。身長はアリスよりも低いのに……。

 

とりあえずミライにこの傾向を伝えておこう……。




今回はここまでです。

次回、仲間の日常を更に見せます……。


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第33話 数少ない男主力は良くも悪くも個性的

今回もよろしくです。


メッチーの御世話をユキコに任せて私はこれからどうするかを考えている。とりあえず計画表を作っておこうかな……?

 

???「リーダーじゃないか。1人なのは珍しいな」

 

そんな私に声をかけてきたのは主力の中でも数少ない男性のアベさん。某ホモな人と風貌が同じの別人である。ちなみに彼は結婚しています。

 

ベル「まぁ色々ありまして……」

 

アベ「獄炎島の調査で何かあったのか?」

 

ベル「まぁそんなところですね。アベさんは私に何か用が?」

 

アベ「ああ、リーダーに聞きたい事があってな」

 

聞きたい事?なんだろうか……?

 

アベ「最近コンキスタ号の連中が俺達を嗅ぎ回っているんだが、何か知らないか?」

 

コンキスタ号が?鬼ノ島の件以来特に大きな動きは見られないってユキコが言ってたけど……。

 

ベル「特に心当たりはないと思いますが……」

 

アベ「そうか……。俺達は元々カメダ海賊団の一員であり、今もその残党として活動している。主力メンバーは尻尾を掴まれる様なヘマはしてないが、したっぱ連中がどうもコンキスタ号にちょっかいをかけているとユキコから聞いた」

 

何してるのさしたっぱ達……。まぁ今はミライがしたっぱ達の面倒を見ているから、そこまで心配してないんだけどね……。

 

ベル「まぁ私達……というよりカメダ海賊団は海軍にも目を付けられていますから、余り派手に動けません」

 

アベ「海軍か……。海軍といえばオニザメは俺の同士だから、海軍とは敵対したくないな」

 

ホモ仲間は争わないという。オニザメはともかくアベさんは結婚しているでしょうに。余りホモホモしい事ばっかりしてると奥さん泣くよ?まぁあの人はアベさんのコントロールはバッチリだから、大して問題にもならないか……。

 

アベ「コンキスタ号で思い出したが、カンドリーというオニザメの1番弟子がいてだな。これがまた良い感じなんだ」

 

カンドリーは既にオニザメの毒牙に掛かっていたか……。そしてカンドリーはマウスへとホモを受け継ぐ仲間が増えていくという。

 

アベ「更にオニザメは最近カガヤキという弟子を獲得してな。俺も負けていられん」

 

やばい。アベさんがヒートアップしてる。誰かこのホモを止めてくれ!

 

???「はいはい。そこまでにしてね貴方」

 

アベ「そうもいかん。俺のライフワークなんだからな」

 

???「余りおいたが過ぎるとまた拘束するよ?」

 

アベ「それは勘弁。……仕方ない。今日のところは控えるか」

 

???「よろしい!本当は常に控えてほしいんだけどね」

 

アベ「俺はホモだが、同時におまえを愛している」

 

???「もう……///」

 

あれ?私は何を見せられているのかな?なんで私は夫婦のイチャイチャを見なきゃいけないの?

 

この女性こそがアベさんの奥さんであるアヤさん。アベとアヤで名前が似ているからという切欠で仲良くなって、そのまま結婚までいったそうだ。これもユキコ情報ね。

 

ベル「アヤさん、アベさんと一緒にパラボルトにある島に行ってほしいんですが……」

 

アヤ「行ってほしい島……?」

 

ベル「オオカミの島と呼ばれる島なんですが……」

 

アベ「最近パラポルトに突然現れたといわれる島だな。その島の調査をしろという事で良いのか?」

 

ベル「はい。それで御願いします」

 

アヤ「うん」

 

アベ「行くぞアヤ。今回は2人きりだ」

 

アヤ「貴方……///」

 

2人は腕を組みながら部屋に戻っていった。ナニをするんだろうね?私は頭を抱えながらも作業を進めていった……。




今回はここまでです。

次回、パラポルトにて……。


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第34話 遺跡に行こう!

今回もよろしくです。


パラポルトに着いた。アベさんとアヤさんの2人はボートを使ってオオカミの島まで行くと行っていたので、船をカプセルに戻して私達はグループで分かれてパラポルトを観光する事に。

 

ちなみに私のグループはアリス、ユキコ、シルヴィアを連れている。

 

シルヴィア「皆観光に行っちゃったね~」

 

アリス「私達はこれからどうしましょうか?」

 

ベル「そうだね……。ユキコの案内の下にパラポルトを色々見て回ろうかな」

 

ユキコ「案内なら任せてください」

 

こういう時にユキコの情報網は本当に助かる。ゲームではない知識を彼女は持っているから、ゲームでは感じる事の出来ないパラポルトの魅力とかありそう。

 

カイト「あれ?おーい!」

 

後ろからキャプテンカイトが声をかけてきた。何か用だろうか?

 

カイト「やっぱりベルさん達か。久し振りだな」

 

ベル「そうだね。幻の島で会って以来かな」

 

カイト「そうだな。ベルさん達はパラポルトで何を?」

 

ベル「私達は久し振りに羽を伸ばそうと思って観光にね。そっちは?」

 

カイト「俺達はこれから南西に距離45にあると言われている遺跡に行こうとしていて、その為の準備さ」

 

遺跡?パラポルトにそんなのあったっけ?

 

ユキコ「パラポルトにある遺跡……?南西に距離45といえばインカの遺跡の事ですね」

 

カイト「知っているのか!?」

 

ユキコ「インカの遺跡は世界最古の遺跡と言われている有名な遺跡です。そこには宝が眠っているとも聞いた事があります。更にインカの遺跡には志半ばで宝を手に入れる事が出来なかった海賊の亡霊達がうようよと発生しているらしいですね」

 

レン「ぼ、亡霊ですか……?」

 

ユキコ「なんでもその亡霊に取り憑かれて仲間を殺したとかなんとか……。しかも亡霊は恐ろしい程に強く、頑丈なので、遺跡の攻略に挑む冒険者はいなくなってしまったと言い伝えがあるそうです」

 

カイト「そ、そんなに恐ろしい遺跡だったのか……」

 

流石ユキコ。凄い情報力だよね。でも……。

 

ベル「インカの遺跡の話って結構有名だよね。少なくとも私達のクルーは全員その話を知っているけど」

 

カイト「そんなに有名なのか?シズヤはそんな事行ってなかったぞ?」

 

シズヤといえばパワポケ11の彼女候補で魔人と同じ具現化の存在だったね。この世界では遺跡攻略に関係している人だったような……。

 

ベル「まぁ有名とは言っても結構昔の話だから、知らない人は知らないと思うよ」

 

私達は文献とかで知ったけどね。殆んどはユキコが力説してたけど……。

 

ユキコ「遺跡の話をしていると行きたくなってきました」

 

あっ、ユキコの魂に火が点いた感じがする。

 

ユキコは浪漫があるものが大好きなんだよね。情報収集の片手間で様々な遺跡を見て回った位だし……。

 

カイト「……なぁ、そっちさえ良かったら俺達と一緒に遺跡に行かないか?」

 

ユキコ「是非御願いします!」

 

……私が答える前にユキコが返事をした。おーい、リーダーは一応私なんだよ?

 

ベル「……まぁそういう事みたいだから、御願いしようかな」

 

カイト「任せてくれ」

 

ベル「とはいえどうしようかな?私達今船は修理に出しているんだよね……」

 

今はカプセルに仕舞ってあるだけだけど……。

 

カイト「それなら俺達の船に乗らないか?」

 

ベル「……良いの?」

 

カイト「勿論だ。ベルさん達には天国蝶の件で借りがあるしな」

 

そういえばそんなのあったね。すっかり忘れてた。

 

ベル「……それなら御言葉に甘えようかな」

 

カイト「任せておけ!」

 

こうして私達4人はコンキスタ号と共にインカの遺跡に行く事となった。




今回はここまでです。

次回、コンキスタ号の人々と様々な会話をする……。


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第35話 コンキスタ号のクルーも個性豊かである

今回もよろしくです。


翌日、私達はひととおりの準備を終えてコンキスタ号の御世話になる事に。

 

ちなみに皆には事情を説明済みです。

 

ベル(おお……。これがコンキスタ号か。正直綺麗とは言えないけど、趣があるね)

 

とりあえず今回遺跡に行くメンバーと顔合わせタイム!

 

ベル「今日はよろしくね」

 

アリス「よろしく御願いします」

 

シルヴィア「よろしく~♪」

 

ユキコ「遺跡探索頑張りましょう」

 

私達から挨拶。アリス、ユキコ、シルヴィア。ユキコは特に気合い入ってるね。

 

カイト「ああ。此方こそよろしく」

 

ジュン「よろしく御願いします」

 

エンゼル「よろしくね~!」

 

レン「今日はよろしく御願いします!」

 

コンキスタ号からはキャプテンカイトを中心にジュン、エンゼル、レン。ジュン以外は初対面かな?レンとは昨日会話らしきものをした気がするけど。

 

 

~そして~

 

自己紹介を済ませてコンキスタ号に乗った私達は早速甲板に出た。

 

シルヴィア「う~ん。潮騒が気持ち良いね~!」

 

ベル「そうだね。今日は絶好の航海日和だよ」

 

そんな日に私達の船はカプセルに仕舞ってある訳だけど……。

 

カイト「ベルさん達は冒険者なのか?」

 

ベル「まぁそうなるかな。特にこれと言った目的はないけどね」

 

カメダ海賊団が完全に失くなった今の私達はそれなりに航海を楽しんでるよ。今回は一緒だけど、ユキコとシルヴィアは別行動する事の方が多いし。

 

ベル「これでも昔はカリムーの宝を目指していた時期もあったんだよ」

 

カイト「……それは止めてしまったのか?」

 

ベル「そうじゃないよ。必要なくなっただけ。カリムーの宝の正体を突き止めた君達ならわかるよね?冒険は浪漫なんだよ。今の私達は様々な浪漫を求めているんだよ」

 

今回の遺跡だってそう。高難易度の遺跡だからこそワクワクするもの。

 

カイト「じゃあベルさん達はカリムーの宝が何なのかがわかっていた……と?」

 

ベル「凡その察しは付くけどね。まぁそれでも私の仲間でカリムーの宝の正解まで辿り着いたのはアリスとユキコだけだよ」

 

私とミライはゲームの知識があるから、謎解きもへったくれもなかったけど……。

 

ちなみに惜しい解答だったのはマスミとナナ。検討違いではあるけど、浪漫のある解答を出したのはシロ。浪漫はあるけど、どちらかといえば現実主義な解答がシルヴィアとルナだった。

 

マスミとナナは地球儀ではなく世界地図が記されたノートみたいなもの、シルヴィアとルナは船のパーツ……大砲や帆といったアイテム、シロは生涯遊んで暮らせる程の財宝やら巨大なロボットやらを連想していた。あれ?ガンダーロボをカリムーの宝に分類しても良いならシロの答えも正解なんじゃ……。

 

ベル「……まぁ色々言いたい事はあるだろうけど、コンキスタ号の皆とは良い付き合いをしたいね」

 

カイト「……そうだな」

 

私とカイトはそれぞれの仲間達が会話しているシーンを眺めながら呟いた。




今回はここまでです。

次回、船大工同士の会話……。


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第36話 船大工達の日常

今回もよろしくです。


シルヴィアside

 

私達は今日コンキスタ号に乗ってインカの遺跡に行く事になりました。面子は私とベルさん、アリスちゃん、ユキコちゃんの4人。奇しくもこの面子は以前鬼ノ島でモンスター達と戦い、その後コンキスタ号の人達に出会ったんだよね。

 

 

トンテンカンテン!

 

 

シルヴィア「あれ?何の音だろう?」

 

音の正体を確かめているとそこではコンキスタ号の船大工の1人のエンゼルちゃんが船の修理に勤しんでいました。

 

シルヴィア「何してるの?」

 

エンゼル「あっ、シグルドちゃん!」

 

ちなみに私がシグルドと呼ばれているのは彼等の前で私がそう名乗っているから。あと今日は変装スタイルで来てるよ!

 

エンゼル「コンキスタ号も色々ガタが来てるから、少し改善してたんだよ」

 

確かにコンキスタ号は歴戦の船って感じがするよね。船大工の仕事もやり甲斐があるだろうなぁ……。うちの船は綺麗だし、大砲位じゃ傷1つ付かないから、私自身が船大工だって事を忘れちゃうよ。最近は歌の練習しかしてないかも……。

 

シルヴィア「そうなんだ。エンゼルちゃんは休日とかは何をやってるの?」

 

エンゼル「うーん……。あんまり人には話してないけど、シグルドちゃんなら良いかな?私はね、休みの日は小説を書いてるんだ!」

 

小説……ってあの小説?

 

シルヴィア「どんな話を書いてるの?」

 

エンゼル「具体的にこれっていうのはないんだけど、コンキスタ号での日常を脚色付けて書いたりとかしてるよ。シグルドちゃんは?」

 

シルヴィア「私は歌を歌ったりとかかなぁ」

 

一応本職だしね!

 

エンゼル「へぇ~!でも最近はシルヴィア・リューネハイムさんの歌とかが滅茶苦茶流行ってるみたいだからそれに釣られたって感じなのかな?」

 

シルヴィア「まぁそんなとこ」

 

本人です。まぁ私がシルヴィア・リューネハイムだってバレない様に釘を刺されています。特にユキコちゃんから……。

 

シルヴィア「あと最近は色々な本を読んでるんだ。もし良かったらエンゼルちゃんが書いてるやつも読ませてよ!」

 

エンゼル「ええ~!なんか恥ずかしいなぁ……」

 

シルヴィア「大丈夫だよ。自分が好きで書いてるのならもっと自信持って良いんだって!」

 

エンゼル「ありがとー!そう言って貰えると嬉しいよ。でもまぁその話はまた今度ね!今は遺跡調査もあるし……」

 

そうだった。今はインカの遺跡の調査だったね。彼処は強い敵がいっぱいいるらしいから、心していかないとね!あのユキコちゃんが入念な準備をした方が良いって言う位だもんね。

 

シルヴィア「今日は御互いに頑張ろうね!」

 

エンゼル「うん!」

 

遺跡調査は大変かもだけど、そこから出来た縁に感謝しないとね!エンゼルちゃんの小説、楽しみだな~!




今回はここまでです。

次回、情報好きな少女は……。


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第37話 戦いにおいて1番重要なのは情報である

今回もよろしくです。


ユキコside

 

今日からインカ遺跡に行く為にコンキスタ号の人達と一緒です。

 

レン「ユキコちゃ~ん!」

 

エンゼル「あたし達と話そうよ!」

 

ジュン「色々気になる事もあるしね」

 

そして私はコンキスタ号のレンさん、エンゼルさん、ジュンさんによく絡まれます。

 

ユキコ「構いませんよ。それで気になる事とは……?」

 

私は気になる事は調べ尽くさなければ気がすまない人間です。戦いにおいて1番重要なのは情報です。情報戦を制する者が戦いを制します。なのでコンキスタ号の人達の新しい情報を得る為にこうして会話に参加しています。

 

エンゼル「ユキコちゃんって胸が大きいよね~!」

 

いきなりド直球のセクハラですか……。知っていますか?女性同士でもセクハラで訴える事が出来るんですよ?

 

……とはいえ女性同士なら私は別段気にする事もありませんね。

 

ユキコ「そうですか?」

 

エンゼル「いやいや、超大きいよ。何を食べたらそんなに大きくなるのさ?」

 

レン「本当だよね。羨ましい……」

 

ユキコ「そんなに良いものでもありませんけどね。身体を動かし辛いですし、肩が凝りますし……」

 

まぁ運動に関してはベルさんから貰った戦闘用の服でかなり改善出来ました。あれはどの国でも販売されていないベルさんの手作りですから、大切にしています。

 

ジュン「これが持つ者の余裕……!」

 

ユキコ「なんでそんな目で見るんですか……。私は身長がもう少し欲しかったですね」

 

エンゼル「ああ~、カズーイちゃん位?」

 

カズーイさんはコンキスタ号のクルーで、冒険者の中でも数少ない槍使いですね。あれ程身長が高ければ槍との相性も抜群です。

 

ユキコ「そうですね……。そこまでとは言いませんね。レンさん位あれば充分ですよ」

 

ジュン「レンの身長でユキコさんの胸……。まさにボンッキュッボンのスタイルね」

 

エンゼル「あたしも結構背が低いからね~。レンちゃん位あればキャプテンも……」

 

レン「私はユキコちゃんみたいに胸を大きくしたいな~」

 

何時の間にかガールズトークになっていますね。

 

ジュン「何か秘訣とかあるの?」

 

ユキコ「秘訣という程のものはないですね。規則正しい生活とキチンとした栄養を取る事位でしょう」

 

ジュン「でも冒険者って規則正しい生活とは対極じゃない?」

 

ユキコ「そうですね……。私も忍の里を抜けてから自由気ままに生きていましたし、里にいた時も兵糧丸が食生活の中心でした」

 

エンゼル「兵糧丸か~。今度アンドウさんに貰おうかな?」

 

兵糧丸の話をすると3人共アンドウさんから兵糧丸を貰う事を決意したそうです。

 

……余り有意義な情報は得られませんでしたね。




今回はここまでです。

次回、遂に遺跡に到着……!


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第38話 最古の遺跡

今回もよろしくです。


「インカの遺跡が見えてきました!」

 

パラポルトを出て十数日。その間私達はコンキスタ号の人達とコミュニケーションを取りつつも、冒険者としての心得を互いに聞いていた。

 

カイトの話は私達にとってとても参考になるものだった。御返しとして私達が戦闘の時の戦い方なんかも彼等に教えた。これが後に私達が彼等と敵対した時の面倒事になるのだが、それはまた別の話……。

 

カイト「いよいよだな……」

 

ベル「緊張してる?」

 

カイト「……そうだな。ベルさん達の話を聞いてから武者震いする位にはな」

 

武者震いって……。まぁ今回の敵は見えない亡霊……。しかも冒険者達に乗り移って相討ちを誘うタイプの相手だ。私達の方は事前に対策しているけど、彼等は出来ているのだろうか?

 

カイト「それじゃあインカの遺跡に出発!」

 

その掛け声を皮切りに私達は進んでいった。

 

 

~そして~

 

インカの遺跡に着いた訳だけど……。

 

ベル(な、なんだこれは!?この遺跡の至る箇所に亡霊が……っていうか亡霊しかいない!)

 

これじゃあまるでこの遺跡自体が亡霊で出来ている様なものだよ!

 

カイト「……亡霊らしきものはいないな」

 

エンゼル「情報がガセだったのかな……?」

 

ユキコ「そんな事はありません。目に見えないだけで、もう既に私達に接触している可能性は高いでしょう」

 

レン「ちょっ、ちょっと!怖い事を言わないでくださいよ~!」

 

ユキコの指摘は概ね正解だ。違う事といえばもうこの遺跡は亡霊まみれだという事。な、なんか寒くなってきた……。

 

アリス「ベルさん、大丈夫ですか?震えている様ですが……」

 

ベル「あ、ああ……。うん、大丈夫だよちょっとびっくりしただけだから……」

 

私はドラゴンボールの世界で霊感が身に付いたけど、それがこんな事になるなんて誰が予測したのか?私こういった耐性は余りないから、顔色も悪くなるよ!

 

ユキコ「……気配は至る場所にありますから、亡霊自体はもう既にいるでしょう。乗り移られない様に警戒する必要があります」

 

ジュン「そうなの?見えないから不安になるんだけど……」

 

ベル「……正直見えるからと言って安心出来るとは限らないよ。今回ばかりは見えない方が良かったのかもしれないね」

 

もっと言うならこの場所に来ない方が良かったと思うよ。本当にね。

 

カイト「そんな訳にもいかないだろう。亡霊がさ迷っているなんて危険だ。それが悪霊なら尚更……」

 

言ったね?言っちゃったね?それなら見て貰おうじゃん!

 

ベル「……そこまで言うなら見て貰った方が良いね。そうしたら私の言いたい事が伝わるだろうから」

 

シルヴィア「見るって言ったってどうやって……」

 

私は鞄から人数分のアイテムを取り出した。私以外ね。

 

ベル「これを装着すれば幽霊の類いを見る事が出来るよ。私は見えているから、皆で使ってよ」

 

カイト「ベルさんは亡霊達が見えているのか?」

 

ベル「うん、だからこれを使う必要がない。でも覚悟しておいてね?」

 

カイト「な、何を……?」

 

ベル「これを装着したらもう後戻り出来ないから。……色々な意味でね。引き返すなら今の内だよ」

 

私の発言を聞いて皆の息が呑まれる音がした。今回の仕事はそれ程のものだからなんだと困惑しているからだろう。

 

カイト「……それでも引き返す訳にはいかない。俺達はこれを付けて亡霊達が何処にいるのかを確認しておきたい」

 

カイトの意見に満場一致だった。それなら見て貰った方が早いだろうね。私が顔を青くした理由がわかると思う。

 

皆がアイテムを装着した瞬間、硬直した。




今回はここまでです。

次回、亡霊を見た皆は……。


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第39話 ドキッ!亡霊だらけの遺跡探索

今回もよろしくです。


カイト「な、なんじゃこりゃ~っ!?」

 

太陽に吠えろかな?そういえば一時期餡パンと牛乳が大ブレイクしたよね。私餡子食べると胸焼けするから食べないけど……。

 

ベル(なんて馬鹿な事を言ってる場合じゃないねこれは……)

 

霊感ゴーグル……命名シルフスコープを装着した皆はカイトと同じ様に叫ぶなり、声が出なくなるなりと様々な反応を見せていた。アリスでさえ冷や汗をかいている。

 

ベル(まぁ無理もないか。カイト以外は全員女性だからね)

 

レン「」

 

エンゼル「た、大変!レンちゃんが泡吹いて気絶してるよ!!」

 

ユキコ「まさかこれ程までとは……。これではまるで……」

 

アリス「この遺跡そのものが亡霊……!」

 

恐らくその推測は間違っていないと思う。私達が聞いた話からもう何年も経過しているからね。話題に挙がった数年前から怨霊が増えに増えた結果がこれという訳だ。しかも何が厄介かって……。

 

ジュン「キャプテン!攻撃が当たらない!!」

 

カイト「何だって!?」

 

この通り霊に攻撃が効いていないのだ。その上にこの馬鹿みたいな数だから現状此方が出来るのは亡霊達を刺激しない事だ。下手に刺激すれば霊は冒険者に乗り移り、味方を攻撃する……。こうして数々の冒険者が死んでしまったのが此処の亡霊達のやり方だ。

 

ベル(はぁ……。こんな事もあろうかと準備しておいて良かったよ)

 

私鞄から亡霊達に有効な武器を人数分用意した。

 

ベル「皆、今私が用意したのは霊体にも攻撃出来る武器だよ。剣が4つと銃が4つ。好きに取っていって!」

 

カイト「ほ、本当か!?」

 

ベル「効果は実証済みだから大丈夫」

 

ちなみに私が取り出したのはオニキリと魔弾ルガァである。どっちもパワポケ7の裏サクセスに出てくる武器だね。こういった事態を想定して造ったのが役に立った。

 

ユキコ「ふむ……。凄く軽いですね。それでいて……」

 

 

ズバッ!

 

 

ユキコ「よく効いています。威力も抜群だという事ですね」

 

アリス「流石ベルさんです。この銃は見た目に反してとても軽いです」

 

 

バンッ!

 

 

アリス「此方も威力は問題ありませんね」

 

ベル「予備の弾は此方で用意しているから心配ないよ」

 

アリスとユキコの戦いぶりを見て呆気に取られていた面子もそれぞれ武器を取った。

 

シルヴィア、ジュン、エンゼルは魔弾ルガァを、カイトはオニキリを使うようだ。そして私はというと……。

 

ベル「亡霊に乗り移られない様にレンを移動させるから、皆はそのまま攻撃を続けておいて!」

 

『了解!』

 

私はというと気絶したレンを安全な場所まで移動させるとはいえこの遺跡は亡霊まみれなので……。

 

ベル「結界発動!かの者を包み守れ!」

 

亡霊対策に習得した結果をレンの周りに発動させておいた。

 

ベル(さて、とりあえずこれで一安心……。でも長くは持たないから……!)

 

短期決戦であの亡霊達をぶち殺す(徐霊する)!




今回はここまでです。

次回、追い詰められた亡霊達は……。


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第40話 スライム達が沢山集まって合体するとキングスライムになるのと同じで亡霊達も沢山集まり合体して亡霊王となる

今回もよろしくです。


レンを安全な場所まで避難させた後は私も戦い合流するも……。

 

アリス「ベルさん、申し訳ありませんが、弾が切れました」

 

エンゼル「ごめん!此方も弾切れだ~!」

 

ジュン「此方も弾切れです!」

 

シルヴィア「私も弾切れだよ!」

 

えぇ……。4人同時に……?

 

ベル「とりあえず1人ずつ弾が入っている袋を投げるから、それまで頑張って!特にカイト」

 

カイト「な、なんで俺だけ!?」

 

ベル「仕方ないでしょ?君以外銃を使っているんだから、弾切れが起こるのは……」

 

それでも4人同時は予想外だったけどね!

 

カイト「仕方ない……。うぉぉぉっ!」

 

おお……。まるで悪鬼羅刹の如し……。持っている武器がオニキリなだけに。

 

ベル(さて、私も負けてられないね。本来は格闘戦の方が特異なんだけど、この場にあるのはオニキリだけだし、しかも2本余っているし……)

 

まぁ考えても仕方ない。この場にあるオニキリ全てを私は両手と口で持つ。所謂三刀流だね。

 

ベル(さて、この亡霊達を此方に引き寄せて、その間に皆には休んで貰わないとね)

 

その為に私は降霊術の要領で亡霊達を全て自分の元に引き寄せた。

 

「オオオオオッ……!」

 

ベル「鬼……」

 

「オオオオオッ……!」

 

カイト「亡霊達が皆ベルさんの所に!?」

 

エンゼル「あのままじゃ取り憑かれちゃうよ!?」

 

シルヴィア「その心配はないと思うよ」

 

ジュン「えっ?」

 

ユキコ「ベルさんはこういった事態を想定して今回持参している武器や私達が装着している眼鏡を前々から準備していたのです。そして今回も……。ですよねアリスさん?」

 

アリス「当然です。ベルさんは私達3人は勿論、コンキスタ号の皆さんの分も対策の道具を一生懸命造っていました。そしてあの人は私達では遠く及ばない実力を持っています」

 

ベル「斬りっ!!」

 

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

 

カイト「す、凄い……。亡霊達が次々と消えていく……」

 

アリス「ベルさんの力はまだまだあんなものではありません。もしも敵対するのなら、それを頭に入れておいてください」

 

カイト「それってどういう……?」

 

アリス「さて?それは何れわかる事でしょう。ベルさんが1人で頑張ってくれているのはその間に私達が休める様にです。しっかりと休んでおきましょう」

 

ふと向こうを見るとアリスが皆を休ませてくれていた。流石アリス。私の意思を汲み取ってくれている。

 

ベル(じゃあもう一頑張りしようかな……!)

 

ベル「虎……」

 

「オオオオオッ……!」

 

ベル「狩りっ!!」

 

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

 

よし!この調子でどんどんいこう!!

 

 

~そして~

 

これであと3分の1位かな?それでも無茶苦茶いるけど……。そもそもこの遺跡の亡霊が可笑しいだけだからね!?

 

「オオオオオッ……!」

 

カイト「……ん?なんだ?亡霊達が集まっていくぞ?」

 

アリス「何をするつもりでしょうか?」

 

カイトが言う様に残った亡霊達が全て一ヶ所に集まっていく。あれ?この現象何処かで……。

 

エンゼル「え、あれって合体してない!?」

 

ベル(あ~、思い出した。ドラクエでスライムがキングスライムになる方法であんな感じに複数のスライムが合体するってやり方があったっけ?)

 

っていう事はあの亡霊達は……!?

 

「オオオオオッ……!」

 

ジュン「亡霊達が合体して、人の形に……!?」

 

ユキコ「まるであれがあの亡霊達の本来の姿……!」

 

人の形になった亡霊達は……!

 

「立チ去レ……!此処から立チ去レ……!」

 

自我を持ち、私達に立ち去る様に脅してきた。しかも……。

 

ベル(あれはヤバい……。あの亡霊滅茶苦茶強い。少なくとも1対1で勝てるのは私とユキコだけ……。いや、ユキコだと相性次第ではかなり劣勢になる位の実力だ……!)

 

それでもキチンと作戦を練って、陣形を整えれば勝てない相手じゃない。だけど普通の武器じゃ攻撃が当たらないときたもんだ。

 

さて……。どうするべきかな?




今回はここまでです。

次回、手強い亡霊に対してベル達は……!


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第41話 怨念はおんねん

今回もよろしくです。


あの……亡霊王って名付けようか。亡霊王をなんとか徐霊しないといけないね。こんな時にミライかミクがいてくれたら一瞬で解決出来るんだけど、いない以上は仕方ない。

 

ベル(最悪1つだけ持ってきた鬼乃手で戦う事も視野に入れているから、オニキリや魔弾ルガァが破壊された時は私1人でなんとかするかな……?でも……!)

 

カイト「皆行くぞ!あの亡霊を倒すんだ!ジュンは俺と接近戦を頼む!」

 

ジュン「わかったよ。キャプテン!」

 

カイト「エンゼルは後方で俺達を援護してくれ!」

 

エンゼル「了解!」

 

カイト「絶対にこの亡霊を倒して生き残るぞ!!」

 

『おうっ!』

 

ベル(カイト達が思ったよりもチームワークを発揮してくれている。カイトが指示する事によって本来の実力以上の力を出している……。これは私も負けてられないね!)

 

ベル「ユキコはカイトとジュンをサポートする形で御願い」

 

ユキコ「わかりました」

 

ベル「シグルドは戦歌で全体の支援を」

 

シルヴィア「はーい♪」

 

コンキスタ号の人達にはシルヴィアの事はバレない様にしているので、この場ではシグルドと呼んでいる。さて……。

 

ベル「じゃあ私も前に出ようかな。アリス、何時も通りに御願いね」

 

アリス「勿論です。任せてください」

 

じゃあ私もカイト達と接近戦に専念しようか……!

 

ベル「極……!」

 

さっきよりも力を溜めて……!

 

ベル「虎狩りっ!!」

 

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

 

カイト「俺達もベルさんに続くぞ!」

 

『了解!』

 

それからも接近戦担当の私、カイト、ジュンが大胆に亡霊王に攻撃をして、ユキコがそのサポートをする。っていうかジュンに渡したのって魔弾ルガァだよね?なんで接近戦が出来てるの?

 

ベル(ジュンのセンスの良さはうちに欲しい位だね。ミライがそう言っていたのも頷ける……)

 

私達を援護するのがアリスとエンゼル。2人は魔弾ルガァで接近戦での攻撃が休まる度に銃撃する。エンゼルは散弾系統の銃じゃないから若干使い辛そうだけど、それを補う腕前を持っている。

 

そして最後に全体を支援するシルヴィアは戦歌で私達の攻撃力と防御力を上げて戦いやすい様にしてくれている。これだけゲームでも思ったんだけど、戦歌とかでパラメーターが上がるシステムってどういうメカニズムなんだろうね?

 

「オンネン……!ワレハ……!!」

 

なんか苦しみだしてる……?このままいけば徐霊出来るとは思うんだけど……。

 

ベル「皆、あと一息だよ!キツいだろうけど、なんとか踏ん張って!!」

 

私の声で皆の士気は高まっている。私にはリーダーの気質があるとかミライが言ってたけど、本当なのかな……?

 

「オンネンハ……オンネン……ッ!!」

 

……なんか駄洒落言ってきたんだけど?




今回はここまでです。

次回、決着……!


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第42話 徐霊完了

今回もよろしくです。


突如駄洒落を言い出した。しかも……。

 

「フトンガフットンダ……!ネコガネコロンダ……!」

 

しかも他にも駄洒落を連発しているし……。正直つまんね。

 

アリス「これはあの亡霊が成仏しかけている……と見ても良いのでしょうか?」

 

ユキコ「わかりませんが、苦しみだしている事から察するにその手前まできていると判断して間違いないでしょう」

 

アリスとユキコの言う様にあれは成仏の兆しだとは思うけど……。

 

「クッ……!」

 

亡霊王は私達に勝てないと践んだのか、私達を割り込んで走って行った。ちなみに亡霊王は足あるよ。

 

ベル(確か外にはレンがいた筈……。これまでの傾向から察するにレンに乗り移って私達と戦う可能性が高い)

 

ベル「とにかくあの亡霊の跡を追おうか」

 

カイト「……そうだな。あのまま外に出す訳にもいかないしな」

 

私達は陣形を崩さない様に亡霊王を追った。

 

 

~そして~

 

「ククク……。丁度良イ身体が落チテイル。コイツニ乗リ移ッテアイツ等ヲ殺シテヤル……!」

 

亡霊王は未だに気絶しているレンに乗り移ろうとしていた。まぁ意識のない人間に憑依するのはとても容易らしいね。前にミライから聞いた事があるけど……。

 

カイト「ああっ!亡霊がレンに乗り移ろうとしている!」

 

エンゼル「その場合あたし達がレンちゃんと戦う事になるの!?」

 

ベル(やっぱりね。でも……!)

 

「……?何故ダ?何故コノ娘ニ乗リ移ル事ガ出来ナイ!?」

 

カイト「えっ……?」

 

ジュン「どういう事……?」

 

「何ヲシタ……!?」

 

ベル「君が他者に乗り移り、冒険者達を殺し続けていた事は事前に調べていてね……。私達と戦った時にレンがその場にいない事を確認して、もしもの時は乗り移って同士討ちさせようとした……。でも生憎此方で先手を打たせて貰ったよ」

 

「クッ……!?」

 

ベル「じゃあそろそろ止めといこうか。皆、一斉に攻撃してこの亡霊を成仏させよう!」

 

カイト「ああ!」

 

アリス「はい」

 

ユキコ「わかりました」

 

シルヴィア「了解!」

 

エンゼル「うん!」

 

ジュン「はい!」

 

「チクショウ……!」スゥゥ

 

カイト「消えた……って事は終わったんだよな……?」

 

ベル「うん、そうだね」

 

エンゼル「見て!遺跡が……!」

 

カイト「えっ!?」

 

エンゼルの言葉に振り向くと遺跡は失くなっていた。

 

カイト「どういう事だ……?」

 

ベル「さてね。考えられるのはインカの遺跡そのものが亡霊で成り立っていた……って事だろうね」

 

しかし怨霊によって造られた遺跡か……。一体どれ程の無念が遺跡を形成していたのか……?謎は深まるばかりだね。

 

ジュン「見て!彼処に何かあるよ!」

 

カイト「なんだって!?」

 

ベル「あれは……宝箱だね」

 

本来は遺跡があった場所の奥だったんだろうね。

 

シルヴィア「何が入っているんだろう……?」

 

アリス「形状からすると刀剣の類いでしょうね」

 

ベル「とりあえず開けてみようか」

 

カイト「だ、大丈夫なのか!?」

 

まぁ問題ないでしょ。本当に危険ならその場で破壊してるし。

 

 

ギギギィ……!

 

 

開けるとそこにはアリスの指摘通り剣が入っていた。随分禍々しいな……。

 

ユキコ「これは……!」

 

シルヴィア「ユキコちゃん、何か知ってるの?」

 

どうやらユキコはこれが何か知っているようだ。

 

ユキコ「間違いありません。これはあらゆる生物を全て斬り、その代償として生気を吸いとっていると言われている……。魔剣村正……!まさか本物が見れるとは思いませんでした感動です」

 

凄く嬉しそう。そういえばユキコは趣味として様々な刀剣を集めているんだっけ?あの魔剣村正とやらはこの世界で販売されているムラマサとは別の物だ。パワポケ7の裏サクセスに出てきたムラマサともまた別のようだ。

 

ユキコがコレクションしている刀剣は今ジュンが装備しているカネサダ、他にはイクリプス、ヴァーミリオン、ナガミツ、マゴロク、ムラマサ、カネサダと同じ短刀であるニクハミ、サモンジ……。

 

私が『合成』した宇宙ムラマサ、コスモミキサー、ライトサーベル、プラズマブレード、ビーストエッジ、雷神剣、風神剣、グロンドクロス、カデンツァ、ギフトシュランゲ、ジャマダハル、クヴァール、ハートシーカー、ヴェンデッタ、そして今回私が渡したオニキリもコレクションとして加えるようだ。

 

私が『合成』した剣の性能を見たユキコは驚きの後に興奮した様子でコレクションにしたいと言っていたっけ?そこからユキコが刀剣をコレクションし始めた様な気がする……。

 

……話が逸れて、今はユキコが魔剣村正を握っている。

 

ユキコ「…………!」

 

カイト「だ、大丈夫なのか!?生気が吸われているんじゃ……」

 

ユキコ「……ふぅ。どうやらこれは乱用するのは不味そうですね」

 

……あの刀はミライに見て貰った方が良さそうかも。

 

カイト「……良ければその刀はそっちで貰ってくれ」

 

ベル「……良いの?」

 

カイト「ああ、今回はベルさん達がいなかったら俺達は死んでいたかもしれない。俺達が生きているのはベルさん達の協力があってこそだ。だからこれは貰ってほしい」

 

ベル「……そういう事なら頂くよ。そしてこれはユキコにあげるね」

 

ユキコ「オニキリに続いて魔剣村正まで……。ありがとうございます」

 

本当に嬉しそうだね。




今回はここまでです。

次回、コレクション整備……。


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第43話 ユキコのコレクション

今回もよろしくです。


時は少し遡り、今回はユキコを仲間にしたばかりの頃の話……。

 

私は船の見回りをしている。

 

ベル(この部屋で最後かな?確か最近仲間にしたユキコの部屋だけど……)

 

さっさと終わらせて今日はのんびりしようかな。

 

 

コンコンコン

 

 

ユキコ「どうぞ」

 

許可を得たので、ユキコの部屋に入る。そこには数々の刀剣類が飾ってあった……。

 

ユキコ「どうかしましたかベルさん?」

 

ベル「ああうん、ちょっと見回りにね。この船にはもう慣れた?」

 

ユキコ「はい、海賊船は窮屈で汚いのを想像してましたが、この船は綺麗で広くて居心地が良いです。御陰で私のコレクションを堂々と置けます」

 

ベル「……それ等がユキコのコレクション?」

 

ユキコ「はい。私は情報収集を趣味にしておりますが、それともう1つ……様々な剣を集めています」

 

ユキコの部屋に飾ってあるのは刀剣の中でも最高峰の物ばかり。

 

ベル「どれも国宝級の代物ばかりだね。よくもまぁこんなに集めたね?」

 

ユキコ「幾つかは元々所持している物ですが、それ以外だと高値で購入したり、仕事の謝礼とかで譲って貰ったりしています」

 

ベル「へぇ……。まぁどれも業物ばかりだもんね。私も武器を造ったりするけど、これ等からは職人の魂を感じるよ」

 

ユキコ「……今なんと?」

 

えっ?なんか怒らせた?

 

ベル「これ等からは職人の……」

 

ユキコ「その前の発言です」

 

その前って確か……。

 

ベル「私も武器を造ったりするけど……」

 

ユキコ「その武器、見せて貰っても良いですか?」

 

食い付き凄っ!

 

ベル「構わないよ。私の部屋に来る?」

 

ユキコ「是非」

 

心なしかユキコが興奮している様に見える。パッと見た感じは何時もの無表情だけど……。

 

 

~そして~

 

とりあえず私の部屋に案内して、ユキコが興味ありそうな刀剣類を一通り出してみた。

 

ユキコ「ほわぁ……!」

 

何今の声?

 

ユキコ「此処が天国でしたか……」

 

ベル「私の部屋だよ?」

 

無茶苦茶幸せそう……。

 

ユキコ「此方は全てベルさんが造った物ですか?」

 

ベル「そうだね。普通の職人さん達とは違って素材と素材で『合成』した物だけど……」

 

ユキコ「『合成』……?それに素材とはどのような……」

 

ベル「例えば今私が腕に付けている装飾品はマストドンの牙とピラニアバードの羽を使ってるよ」

 

その他にも色々あるけどね……。

 

ユキコ「……という事はベルさんの腕に付けている物は非売品ですか?」

 

ベル「多分そうだと思うよ。少なくともどの国でも見た事ないしね」

 

ユキコ「ほわぁ……!」

 

また出たその奇声。何?感無量だとその声が出るの?

 

ベル「……良かったらそれ全部あげようか?」

 

ユキコ「良いのですか?」

 

ベル「まぁまた造れば良いしね。ユキコが欲しいなら構わないよ」

 

ユキコ「貴女が女神ですか……」

 

ベル「海賊だよ?」

 

……といった感じで常時無表情のユキコが嬉しそうに刀を抱えている話でした。




今回はここまでです。

次回、ナナの実力……。


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第44話 ナナの素顔

今回もよろしくです。


今日も今日とて訓練に勤しんでいる。

 

ナナ「」シュッ!シュッ!

 

 

カカカッ!

 

 

ルナ「凄い……。今日も精度完璧だよナナさん!」

 

ナナ「えへへ……。ありがとう」

 

訓練室を利用しているのは私とナナ、ルナの3人。

 

ベル「じゃあ今日はここまでにしようか。ルナもナナを見習って精進するように」

 

ルナ「はーい」

 

ナナ「頑張ってねルナちゃん」

 

訓練が終わり、ルナと別れたら私とナナは私の部屋で話をする。

 

ベル(これもう3日に1度は必ずやってるよね……)

 

ナナ「ふぅ……。今日も疲れたぁ……」

 

ベル「確実に成長していってるよ。あとは土壇場での戦闘で上手く進化を発揮出来れば……」

 

ナナ「う、うん、頑張るね!」

 

ベル「期待してるよ」

 

今日の訓練の反省点を話し合い、そして……。

 

ベル「……そろそろ良いよ」

 

私が合図する。

 

ナナ「……はい、ありがとうございます『ベルさん』」

 

するとナナは何時ものドジっ娘キャラの仮面を外して、私達が初めて出会った頃の冷徹なナナに戻った。

 

ベル「もうすぐナナが私達と共にして1年が過ぎるけど、どんな感じ?」

 

ナナ「……大分慣れてきました。あの仮面にもそこそこの愛着はあるかと」

 

ベル「まぁ素のナナとは真逆だもんね……」

 

ちなみにナナの本性を知っているのは私、ミライ、シロ、ユキコの4人。アリスは勘づいてる位で、ナナを問い詰める真似はしない。

 

ナナ「ですがあの仮面を被る事で色々と学びました」

 

ベル「みたいだね。これからも大変だろうけど、頑張ってね」

 

ナナ「はい」

 

ベル「じゃあ私はちょっと出てくるけど、もう少し此処にいる?」

 

ナナ「……いえ、私も出ようかと思います。アリスとかに鉢合わせすると面倒なので」

 

ベル「了解、気を付けてね」

 

私達は部屋前で別れた。

 

 

 

ナナside

 

私はナナ。今はベルさん達と共に元カメダ海賊団を仕切っている幹部の1人。……だが私はベルさん達に拾われなければあの時に死んでいただろう。

 

 

~回想~

 

私の家は決して裕福とは言えなかったが、それでも幸せな人生を過ごしていた。しかしある日の事……。私の両親は海賊に殺されてしまった。

 

身寄りのいない私は施設に預けられて、そこで暮らした。

 

施設では生活に不自由こそないものの、来るべき海賊達との戦闘に向けて海軍の指揮の元で戦闘訓練を行っている。

 

戦闘訓練は厳しいものばかりだったが、私は両親を殺した海賊達に復讐したい一心で死にもの狂いで訓練に励んだ。もっと強くなる為に……!

 

 

~そして~

 

それから数年が過ぎて、今日の訓練が終わり村に戻ると……。

 

「海賊が攻めてきたぞーっ!」

 

施設のある町に海賊が攻め込んで来た。

 

ナナ(良い機会だ。海賊は1人残らず駆逐してやる……!)

 

私のその考えがどれ程甘かったか、この後痛感する事になる。

 

 

~そして~

 

攻め込んで来ているのは世界一極悪非道な海賊と言われているカメダ海賊団。

 

「はぁっ!」

 

海賊の何人かが此方に来ているので、私は護身用に持っている短刀で海賊達を迎え撃つ。

 

ナナ「はっ!」

 

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

 

ナナ(ふぅ……。これで此処に来た海賊達は片付けた。このまま進めば向こうの頭に会えるだろうか?)

 

そう思い私は海賊達が来た方向まで走って行った。

 

ナナ(船は見当たらない。偶々此処に住み込んでいるだけ……?いや、それはない。もしも住み込んでいるのなら、この町はとっくの昔に海賊達の縄張りになっている筈……)

 

だが船は一隻もない。一体どうなっているんだ!?

 

???「そこまでです」

 

この時に私の前に現れたのがカメダ海賊団の情報収集担当のユキコだった。

 

ナナ(こいつ、一体何処から出てきた!?全く気配を感じなかった……)

 

ユキコ「貴女が私達に逆らっている人間ですね?」

 

ナナ「……だったらどうする?」

 

ユキコ「それなら貴女が私達に仇なす存在かを見極める必要がありますね」

 

彼女がそう言った瞬間、私の前に踏み込んできた。

 

ナナ(なっ!速っ!?)

 

 

ガキンッ!

 

 

ユキコ「今のを防ぐとは……。中々やりますね」

 

ナナ(こいつ……。恐ろしく強い。油断したら一瞬で殺される!)

 

 

カンカンッ!キィンッ!カンカンッ!キィンッ!

 

 

ナナ「はぁっ!」

 

 

ズバッ!

 

 

ユキコ「っ!」

 

ナナ(よしっ!一撃入れれた!このまま一気に畳み掛ける……!)

 

???1「へぇ……。ユキコに一撃を入れるとはね」

 

???2「うちの中でも上位の強さを持つユキコを相手に悪くない戦いぶりね」

 

ナナ(っ!敵の援軍か!?不味い……。敵の数が増えるとこいつを倒すのがより困難になる……!)

 

私達の所に来たのがベルさんとミライさん。この時はユキコとの戦いに集中していた為に彼女達の強さがわからなかった。

 

ユキコ「ベルさん、ミライさん……」

 

ミライ「良い動きをするわね。彼女」

 

ベル「そうだね。ユキコと戦っている時も一瞬の油断をしていない」

 

2人がそう言うとユキコは戦うのを止めて2人のところへ行く。

 

ユキコ「そちらは終わったようですね」

 

ミライ「ええ。あとはボスに報告するだけね」

 

ベル「それよりも彼女と戦わなくて良かったの?」

 

ユキコ「元より2人か戻ってきたら中断するつもりでした。2人の教えの通り無益な殺生はしませんので……」

 

私を殺す気がなかっただと……!?

 

ナナ「舐めるなっ!!」

 

私は3人の前に思い切り踏み込んだが……。

 

ユキコ「2人には近付けさせません」

 

ナナ「くっ……!」

 

ユキコが私の喉元に短剣を突き付けてきたので、私は足を止める。

 

ベル「あちゃ~。別に止めなくても良かったのに……。ユキコと互角に戦っている彼女の力を感じたかったから」

 

ミライ「そうね。折角だからこの目で確かめておきたかったわ」

 

この2人の闘気と殺気が私に伝わった。その時に私が感じたのは……。

 

ナナ(こ、この2人は桁が違う……!)

 

恐怖だった。ベルさんとミライさんは次元が違う。ユキコもかなり強く、下手すれば私は負けていた。しかも2人はそのユキコよりも圧倒的に強く、しかも底が知れない……。

 

ナナ「」ヘタリ

 

私は足が震えて座り込んでしまった。

 

ユキコ「……抵抗を諦めたみたいですが、如何致しましょう?」

 

ベル「そうだね……。ねぇ」

 

ナナ「」ビクッ!

 

ベル「そ、そんなに怯えなくても……」

 

あんな闘気と殺気を振り撒いておいて怯えるな等と無理を言うな!

 

ベル「私達と一緒に来ない?待遇は保証するから」

 

ナナ「……私にカメダ海賊団に入れと?」

 

ベル「ユキコとの戦いを見た時にピンときたんだよ。私達はまだまだ人員不足でね……。何れ起こる混沌に抗う為の戦力が欲しいんだよ」

 

何れ起こる混沌だと……?訳のわからない事を。しかしここで逆らえば間違いなく私は殺される……。そう思った私はその提案を受け入れる事に……。

 

ナナ「……わかりました。私で役に立つのなら、是非」

 

彼女達が攻め込んで来た時には施設の人間は皆殺しにされた。恐らく彼女達以外の人間によってだろうけど……。

 

ベル「決まりだね。ユキコ」

 

ユキコ「はい」

 

ベル「ユキコには今日からナナに付き添って面倒を見てあげて。ナナが慣れてきたら報告を御願い」

 

ユキコ「わかりました」

 

ベル「じゃあ私達と共に来てもらうよ。船に戻ったら仲間を紹介するから。ミライ、今日の戦死者は?」

 

ミライ「したっぱが30人。何れもナナが殺ったわ」

 

ベル「そっか……」

 

このベルさんは闘気と殺気こそは凄まじいが、とても優しい心の持ち主である事もこの時にわかった。ベルさんはそれぞれ仮面を付けて本性をわからなくする為に様々な表情を見せているのだろう。

 

ナナ(私はこの人達と共にして、もっともっと強くなってみせる……!)

 

その想いを胸にベルさん達に着いて行く事を決意した。

 

 

 

~現在~

 

ナナ(あの出会いは私にとって最悪なものだったが、最高なものでもあった。御陰で私は更に強くなった)

 

とりあえずの目標はユキコを越える事だが、未だに水面を走るという離れ業が出来ん……。

 

ルナ「あっ、ナナさ~ん!」

 

甲板で黄昏ているとルナが声をかけてきた。彼女の訓練が終わったところだろうか?

 

ナナ(……外していた仮面を着け直す。そして手鏡で表情を確認して、大丈夫とわかった私は彼女の方を振り向く)

 

ナナ「どうしたのルナちゃん?」

 

ルナ「御飯ですよ!御飯!今日は久し振りに戻ってきているミライさんの手作りだから、早く行かないと無くなっちゃいますよ!」

 

ナナ「わかった。今行くね」

 

今日も私は仮面を着けてもう1人の私を演じる。一部の人間はこの仮面を知っていたり、勘づいていたりしているけど、大半は私の事を気弱な人間だと思っている。

 

ナナ(何れはどんな相手も欺ける仮面を手に入れる……!)

 

その為にも私は私を押し殺して、もう1人の私が前に出る。それがナナ・ヒイラギの日常だ。




今回はここまでです。

次回、のんびりとした日常の一時……。


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第45話 日常

今回もよろしくです。


インカの遺跡から帰って来て数日が経過した。あれからは特に何もなく、平和な日々を過ごしている。

 

私達は元カメダ海賊団であり、今も海賊として生きているけど、特にこれといった悪行はしていない。端的に言うなら私達は麦わらの海賊団みたいなポジションなのだ。

 

まぁそれはそれとして……。

 

ベル(部屋の見回りは終わったし、武器のメンテも一通り済ませてあるし、最近は海賊の数も減ってきたしなぁ……)

 

私達は海賊……特に悪行が目立つ連中を壊滅させている事を仕事にしているが、今残っている海賊達はRS海賊団みたいな人様(一部を除く)に迷惑をかけない人達ばかりなので、その仕事も最近はやっていない。

 

ベル(新しい武器を造るにもアイデアがないしなぁ……)

 

パワポケ裏サクセスに出てくる武器と防具、アクセサリは一通り『合成』したし、アイデアが出てきたら即時『合成』しているから暇は潰せる。最近ではユキコに白楼剣と楼観剣を『合成』したのが最後だったか……。ちなみにその2つは元ネタ通りの性能を発揮している。

 

ベル(この暇をどう潰そうかなぁ……?船の書庫にある本は全部読んだし、本を買うにも今は船の上だし、なんか今は身体を動かす気分でもないし……)

 

しかも私以外は全員仕事に行ったり、船から出て遊びに行ったり、身体を動かしたり、趣味に勤しんでいたり、メッチーの御守りをしたりしている。私だけハブ!?

 

ベル(はぁ……。とりあえず甲板に出るかな)

 

そうしたら何か良い暇潰しのアイデアが浮かぶかもしれないからね。

 

 

~そして~

 

ベル(風が気持ち良い……。船での行動は殆んど室内だから、外の風がこんなに爽やかとは思わなかったよ。これは絶好の航海日和だ……)

 

外は快晴、波風が涼しく、潮の香りが航海に出ている事を表している。

 

船は風向きや帆がなくても目的地まで自動で進んでいるからトラブルの心配はないし、もしもあったとしてもこの船のスピードなら余裕で逃げ切れるし、追い掛けてきたとしても目的地の島で迎え撃てば問題なし。

 

ベル(こうやってぼんやりと空を眺めるのも悪くないねぇ……。願わくばこんな毎日が続けば良いんだけど……)

 

現実はそんなに甘くない。海賊の数はかなり減ったけど、それでも船乗りや冒険者を脅かす存在はまだまだいるのだ。

 

それにミライの話によれば近日にゲートが開くとの事。何処にゲートが開くのかはまだ未確定らしく、他の幹部格達はゲートが開きそうな場所をミライが指定して調査している。

 

私も行こうとしたんだけど、アリスを始めとする幹部格全員がリーダーはどっしりと構えていてくださいどのように事なので、私はこうしてぼんやりしている。

 

本当にこれで良いのかなぁ……。




今回はここまでです。

次回、日常が突然終わりを告げる……。


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エピローグ 日常は突如終わりを告げて混沌が幕を開ける。

今回もよろしくです。


突然ですが、空が真っ黒です。真っ暗じゃなくて真っ黒です。これとても重要。

 

マスミ「これどう考えても異常気象でしょ……」

 

シロ「この世界に来て2年近くになりますけど、こんな天候見た事がないです……」

 

アリス「ミライさんの話によりますと、今日辺りに上空からゲートが出現する……らしいですね」

 

ベル「それは殆んど確定だろうね。そうでもなければこんな空が黒いなんて状況はありえないし」

 

私はアリス、マスミ、シロの3人とゲートが開く中央地点でミライを待っている。この面子は別世界からこの世界に来た人物というのは共通点を持つ。

 

ミライ「待たせたわね」

 

ベル「気にしてないよ。それでどうだった?」

 

ミライ「全国に渡って上空が真っ黒になっているわ。そしてその原因がこの場所になっている……」

 

マスミ「この場所にゲートが開くんだっけ?」

 

ミライ「最初に開くのがこの場所という事でしょうね。それを防ぐ事が出来れば、他の場所でもゲートが開かなくなる筈だけれど……」

 

他の場所……ミライが示した他の4ヶ所の島にそれぞれ幹部格1人以上を中心にゲートが開いた時に出現する敵の迎撃をする。

 

1つの場所ではシルヴィアとルナが中心に、また2つ目の場所ではユリとリミが中心に、3つ目の場所ではミクとアベさんとアヤさんが中心に、4つ目の場所ではユキコとナナとメッチーが中心にそれぞれ部下を数十人連れて待機している。

 

そして私達がいるこの島は他の場所に比べて上空の黒さがヤバい。ブラックというかダークだ。黒じゃなくて闇だよこれは。

 

ミライ「それとこの島に他の冒険者達が来るわよ」

 

えっ?一体誰が……?

 

ミライ「コンキスタ号……といえばわかるかしら?」

 

なんで……?というかミライがそれを言うって事は……。

 

ベル「私達がカメダ海賊団の残党だって事をバラすんだね」

 

ミライ「……ええ。教えておくならこのタイミングしかないでしょう」

 

まぁ私達も別に隠していた訳じゃないしね。言う必要がなかっただけで……。

 

ミライ「もうすぐ彼等は此方に来るわ。折角だから彼等にもゲート先の敵を倒すのを手伝ってもらいましょう」

 

ベル「……それはゲート先の敵は私達だけじゃ勝てないって事なの?」

 

どんだけゲート先の敵が強いんだって話だよ。それだと戦力を分散させたのは不味かったんじゃ……。

 

ミライ「その心配はないわ。この島に開くゲートが強烈なだけで、他の4ヶ所はその余波の様なもの……。ベルが分散させた戦力だけでも充分よ」

 

ベル「……それなら良いけど。まぁこの場にいるのは私達5人だけだもんね。コンキスタ号の人達が来てくれるなら戦力の数も丁度良いバランスが保てる訳だし」

 

そんな事を話しているとカイトを中心閉じたコンキスタ号の人達がこの島に上陸し、私達の前まで来た。

 

カイト「おまえは……!?」

 

ミライ「あら、久し振り。この島に来たという事はムゲンダイナを無事に倒したという事ね」

 

カイト「……正直あの化物に殺されそうになったが、仲間達のサポートもあって倒す事が出来た。今度こそおまえを海軍に突き出してやる!」

 

ミライ「その必要はないわ。何れ私達は此処からいなくなる……。今日はその為の布石よ」

 

カイト「まだ仲間がいるのか……ってあんた達は!?」

 

あっ、カイトが此方に気付いた。

 

ベル「やっほー」

 

カイト「なんでベルさん達が此処に……!?」

 

まぁそうなるよね。私達がミライと一緒にいるのに戸惑っているみたい。

 

ベル「……私達がカメダ海賊団の残党だから……かな」

 

カイト「なんだって!?」

 

マスミ「……っていうか気付くの遅すぎでしょ」

 

アリス「私達がカメダ海賊団として仕事をしている時も何度か貴方達と接触している筈ですしね」

 

シロ「幻の島で会った時には戦う事になるって思いましたけど……」

 

仲間達がカイトに辛辣なコメントをぶつける。

 

カイト「……一体何時からベルさん達はカメダ海賊団にいたんだ」

 

ベル「君達に初めて会った時には既にカメダ海賊団の一員だったよ」

 

カイト「そんな……」

 

ベル「もっと言うならウンガルフの島でグントラムと戦っているのを目撃したけど、正直よく気付かれなかったと思う位だったよ」

 

カイト「……スメラ達が言っていたのはベルさん達だったのか?」

 

ベル「そうなるね。私はてっきり彼等に聞いていたものだと思っていたけど」

 

それを全く知らないってなってるんだもの。海の英雄が拍子抜けだよね。

 

カイト「……それならあんた達を海軍に引き渡す。これまでやってきた罪を償ってくれ!」

 

ベル「別に私達は何も悪い事はしてないよ?」

 

カイト「カメダ海賊団の悪事に加担している時点で同罪だ。あんた達もカメダ海賊団の悪行を知らない訳じゃないだろう!?」

 

まぁね。見てて気分悪くなる事柄多々あった。だから私達は彼等から独立した。自由を手にした。そこから様々な冒険をした。どれもカメダ海賊団から独立しなければ出来なかった事をばかりだ。

 

ベル「……言っておくけど、私達がいなかったらもっと酷い事になっていたからね?」

 

カイト「どういう事だ!?」

 

ベル「ウンガルフの時は穴を掘っていた人達は間違いなくグントラム達に殺されていた。それを私達が逃がしたの。あとはスメラとその御付きも私達が見逃さなかったら殺されていたかもしれないよ?」

 

カイト「くっ……!」

 

ベル「それにカリムーの宝の件でもミライがその気になれば君達を皆殺しにしていた……。君達もなんでミライが反撃しなかったか疑問に思ったんじゃない?」

 

カイト「そ、それは……」

 

ベル「……まぁその辺りはミライ……というよりは私達にも事情があるから手を出さなかっただけ」

 

カイト「……あんた達の事情って一体なんなんだ?」

 

ベル「私も詳しい事は知らないよ。全ての真相を知っているのはミライだけだろうしね。ミライも言っていたんじゃないかな?『この世界はそういう風に仕組まれている』……ってね」

 

カイト「!?……ベルさんはその言葉の意味を理解してるのか?」

 

ベル「さてね。まぁこの島にいる……っていうのがその答えの1つって事かな」

 

カイト「この島に……?」

 

ベル「君達もこの島……というよりここ最近全国の上空が黒く染まっている原因を調べにきたんだよね?」

 

カイト「……確かに俺達はこの島が空に異変が起こっている原因の場所っていうのをシズヤから聞いた」

 

シズヤのこの世界における知識はミライ並だね。もしかしたらシズヤはミライの様に神の使いかもしれない。

 

 

ジジジ……!

 

 

ミライ「雑談はそこまでよ。ゲートが開くわ」

 

カイト「ゲート?」

 

エンゼル「キャプテン!空が何か可笑しいよ!」

 

カイト「な、なんだあれは!?空から穴が出現したぞ!」

 

ベル「あれがゲートの正体……。この場所を中心にあと4ヶ所の島からも同じゲートが開いているよ」

 

ミライ「来るわよ」

 

空間が裂け、穴が出現し、中から様々な生物が出てきた。物凄い数だね……。

 

カイト「な、なんだあれは!?見た事のない化物ばっかりだ!」

 

ベル「君達が相手をしたっていうムゲンダイナ?と同等かそれ以上の化物しかこの場にはいない……。覚悟は出来ている?」

 

カイト「……勿論だ。冒険者はどんな時でも死と隣り合わせなんだからな!」

 

ベル「良い気迫だね。その力を貸してもらうよ。何時かの借りを此処で返させてもらおうかな?」

 

カイト「……わかった」

 

うんうん。良い目をしてる。流石カリムーの宝を見つけた英雄だ。私達も負けてられないね。

 

ベル「私達も行くよ。準備は出来てる?」

 

マスミ「はぁ……。凄い数ね。でも問題ないよ」

 

シロ「わ、わ!一瞬で囲まれた……。鍛練の成果を発揮する良い機会だよね……!」

 

アリス「勿論です。私は何時でもベルさんの右腕として戦っていくのですから」

 

3人共問題なさそう。初対面の頃とは違い、それぞれが1人の戦士として成長してきたね。

 

ミライ「頼もしいわね」

 

ベル「……本当にね。じゃあ私達も行こうか」

 

穏やかだった航海はこの日を境に幕を閉じた。日常は非日常として動き始める。

 

そしてコンキスタ号と銀の盾が交差する物語のプロローグが今日から始まる……!




これで海洋冒険編は終了となります。

次回から海洋ファンタジー編になります。プロットを練る為に暫く投稿をお休みして、書けたら他の小説を書きます。

新章は6月か7月になると思います。流石に8月までかかるとは思いませんが……。


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海洋ファンタジー編
プロローグ 大航海時代に魔法が蔓延るようになった世界線


今回もよろしくです。


コンキスタ号の人達とゲート先の敵を伐って早半年。あの日にゲートが出現するのを防いだので、ゲートが開く事はなくなったのだが……。

 

ミライ「この世界とパワポケ12の裏サクセスの世界が繋がったわ」

 

ベル「遂に……!それで私達は何をすれば良いの?」

 

ミライ「そうね……。細かいあれこれは私達の方でやっておくから、引き続き自由に動いても良いわ。必要な事があればまた通達するから」

 

ベル「了解」

 

それにしても『私達』……か。恐らくこの世界で言うならばミライと同等の立場であろうシズヤとパワポケ12の裏サクセスにもいたシズヤと何かしらするのだろう。

 

ミライ「それから貴女が以前言っていた『適性がある人達』の方も調べておいたわ」

 

ベル「本当に?ありがとう」

 

ゲートが開く前……というよりは私達がこの世界に来た時から仲間にする予定の人達に魔法が使えるようになる人をミライに調べてもらっていたのだ。それこそアリスとマスミに関しては即日に……。

 

ミライ「今いる仲間だとアリス、マスミ、シロ……」

 

この3人は異世界出身組だ。なのでその適性があっても別段不思議ではない。

 

ミライ「ミク、ユキコ、ナナ、シルヴィア……」

 

次の4人は戦闘のスペックが幹部格の中でも群を抜いている人達。特にシルヴィアはアスタリスク原作では元々魔女だから適性があって然るべき。でも他の3人は戦闘技術だけでも充分なのに、まさか魔法適性まであるとはね。嬉しい誤算だ。

 

ミライ「あとは兆候が見えているリミね」

 

そして最後にリミ。奴隷市場で見付けた時にユリには身体能力の高さを感じていたが、リミには戦闘技術こそは低めなものの、サポーターとしての腕前は幹部格でもトップクラスだ。仲間に脳味噌筋肉って位の攻撃的な人が多すぎるせいでその存在がとても希少に、有り難く感じる……。

 

ミライ「他にも世界が繋がった事でその適性がある者がちらほらと出始めているから、私の方で優秀な人材を見繕っておくわ」

 

ベル「うん、御願いね」

 

ミライは仲間を見る目が凄いからなぁ……。ミクもユキコもシルヴィアも戦闘センスの塊だもん。それにパライソタウンでアリスとマスミを見付けたのもミライだしね。

 

ベル(じゃあ私はアリス達に魔法を教えておこうかな?)

 

ドラゴンボールの世界で魔法的なものと言うと気功波なるものと私が使ったベホマ位。あとは触れると石になる唾とか、触れると人参になる身体とか、5分の間変身できる技術とか……。

 

ベル(私が見る限りだとユキコとマスミとナナは身体能力強化系、アリスとリミは後方支援系、シロは攻撃魔法系、ミクとシルヴィアはオールラウンドって感じかな?)

 

当面はこれ等を目標にして動いてみるかな。あとは幹部格全員に霊力を付けさせたいけど……。その辺りはミライと要相談かな?




今回はここまでです。

次回、新たな出会い……。


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第1話 蛙を探しているとハンターに出会う

今回もよろしくです。


ベル「黄金蛙?」

 

ユラリ「はい。とある遺跡に生息しているらしく、しかも数が少ないみたいです」

 

私はユラリから黄金蛙の話を聞いている。それにしてもユラリと話すの久し振りな気がする。描写にない部分では頑張ってくれているのに……。貢献度で言えばユキコクラスだよ。

 

ベル「それを私達がイオリに献上すれば良いのかな?」

 

ユラリ「そうですね。イオリ様も気になっています。ですがジュン様もコンキスタ号の面々を連れて行って捜索していますので、イオリ様の取り分はジュン様達に任せておけば良いかと」

 

どうやら既にコンキスタ号の人達が捜索に行っているみたいだ。それなら確かに私達が無理に動く必要はないかな?

 

ベル「わかった。情報提供ありがとうユラリ」

 

ユラリ「いえ……。ベル様達に着いて行ける機会が少ないので、その分現在敵対しているコンキスタ号の人達の動向を伝えたまでです」

 

ベル「それだけでもかなり助かるよ」

 

実際かなり助かっている。敵対している訳じゃないけど、私達がこの世界で目的を果たす為にはコンキスタ号の邪魔立てが入ると少し面倒臭いから、彼等の行動を事前に知っておく必要がある。

 

ユラリ「それでは私はこれで……」

 

ベル「うん。イオリにもよろしく言っといてよ」

 

ユラリ「はい」

 

一礼してユラリは去って行った。

 

 

~そして~

 

ベル「……という話をユラリから聞いたけど、どうする?」

 

この話をすると1番最初に食い付いたのはやっぱりというかユキコだった。

 

ユキコ「黄金蛙が生息している遺跡は宝が眠っていると聞いた事があります。行くとしたら黄金蛙の捜索はコンキスタ号の人達に任せて私達はその宝を見付けに行く……というプランでいきましょう」

 

ナナ「宝……ってどんな物なの?」

 

ユキコ「噂で聞いた話によりますと色々ありますが、中でも有力なのは『黄金に光る宝』だそうです。これに関しては具体的な情報もありますので、ほぼ確定でしょう」

 

ベル「成程……。どうせならその『黄金に光る宝』とやらを探しに行ってみようか」

 

私達は宝探しに行く事に……。面子はアリス、マスミ、シロの3人で良いかな?序でに3人には魔法を教えていこう。

 

 

~そして~

 

道中は特に何もなく、無事にユキコから聞いた『黄金に光る宝』の在処まで辿り着いた。敵が出たら3人に魔法を教えていこうと思ったのに……。

 

マスミ「ここまで特に何もなかったね」

 

アリス「刺激が足りませんね……」

 

シロ「ま、まぁ何事もないに越した事はありませんよ。ユキコちゃんが言っていた宝を手に入れられましたし」

 

ベル「そうだね。でも思ったよりも早く見付かったし、折角だから黄金蛙の方も探してみようか」

 

アリス「ですが今から探して見付かるでしょうか?既にコンキスタ号の人達が先に見付けている可能性は高いかと思いますが……」

 

ベル「まぁ見付けたらラッキー程度に思っておけば良いよ。蛙の方はあくまでも序でになんだから」

 

じゃあ蛙探しにレッツゴー!

 

 

~そして~

 

捜索中にそこそこ敵が出て来たので、3人に魔法の使い方を軽く教えた。私の想像通り3人の魔法適性は凄く高く、マスミが身体強化、シロが火、水、風、地、光、闇といった6属性の攻撃魔法、アリスが私達のサポート……主に攻撃力、防御力、素早さの強化を中心に覚えてくれた。

 

特にシロの攻撃魔法はとても応用が効いて水属性を氷に変えたり、闇属性から毒属性を導きだしたり、光属性を利用して雷魔法と回復魔法を産み出したりとやりたい放題である。接近戦では短刀を、中距離戦、遠距離戦では魔法で上手く遣り繰りしている。

 

ベル(実はシロって魔法使いなんじゃ……)

 

私の中で皆の強さの格付けが変わった瞬間だった。

 

「ゲコゲコッ!」

 

シロ「あっ、蛙!」

 

アリス「眩く光っていますね。もしかしてあれが噂の黄金蛙なのでは?」

 

えっ?マジで?なんか運良く見付かったんだけど。

 

マスミ「どうする?折角だから捕まえておく?」

 

ベル「そうだね。序でに私達の方からイオリに献上しておこうか」

 

そうすれば謝礼も貰えて今回の冒険は『黄金に光る宝』も含めて大儲け出来るからね。

 

アリス「それではあの蛙に先程覚えた能力下降の魔法をかけてみましょうか」

 

アリスが蛙にデバフをかけようとすると……。

 

カイト「待てっ!黄金蛙をどうするつもりだ!?」

 

なんかコンキスタ号の人達に絡まれた。

 

アリス「どうするつもりも何も……。折角見付けたので、生け捕りにしようと思っただけです」

 

ハーシバル「その蛙を先に見付けたのは俺達だぞ!」

 

マスミ「そんなの知らないね。蛙は私達の方に来たんだから、私達が捕まえてもそっちには関係ないでしょ」

 

するとあの黄金蛙は彼等から逃げて来たのか……。

 

???「あっ、あっちに金色の蛙がいっぱいおる!」

 

ハーシバル「本当かカズーイ!?」

 

カズーイ「うん!それもかなりの数や!」

 

ジュン「本当だ!これならイオリ様の分だけじゃなくて、私達の食料としても使えそう……。皆手分けして捕獲するよ!」

 

コンキスタ号の面々はカイト、ハーシバル、ジュン、カズーイのようだ。ハーシバルが学者として黄金蛙の整体の調べる為に、ジュンが黄金蛙を食材として扱う為に着いてきたって感じだね。カズーイはハーシバルの付き添いだろうか?

 

???1「待った待った!捕っちゃダメだワーン!!」

 

えっ?犬!?いや、この語尾は……。

 

カイト「うわっ!なんだ!?」

 

あっ、カイトと一緒に落ちていった……。

 

カイト「痛……!今度はなんなんだ!?」

 

???2「触れるな!その蛙には毒がある!」

 

続いて現れたのは……まさかのパワポケ12の裏サクセス主人公君だ。風貌からして間違いない。という事はさっきカイトに絡んだのはメモリーで、連れのバナナ頭はフランシスか。それにしても……。

 

ベル(まさかこんなに早く銀の盾メンバーと遭遇するとは思わなかったな……。この事はとりあえずミライに報告しておこう)

 

???2「手荒な事をして悪かった。俺はヴァン。学者だよ」

 

フランシス「私はフランシス。此方の元気な子はメモリーちゃんです」

 

カイト「はぁ……。俺はカイト。コンキスタ号の船長で黄金蛙を狩りに来たんだが、これは捕っちゃ不味いのか?」

 

彼等が此方に出向いてくるという事はもしかして……。そういえばユキコが黄金蛙には猛毒があるって言っていた。っていうかヴァンも毒があるって言ってたしね。

 

ベル「……もしかしてその蛙、毒……というよりは呪いの類いがあるんじゃない?」

 

カイト「何っ!?」

 

ヴァン「……ああ。態々遠くから来ているみたいだが、諦めてくれると有難い」

 

本来ならこの言葉通りに諦めて帰るところだろう。私達は既に目的の物を手に入れているし、蛙はあくまでおまけだから、そのまま帰っても問題ない。けど……。

 

ベル(遺跡の奥に大きい気配が3つ……。恐らくこの蛙達の親玉的な存在だね。それなら……!)

 

ベル「その蛙がとても危険な生き物だって事はわかったよ。それでも私達はその蛙に用事が出来てしまってね……」

 

私は黄金蛙に触れる。

 

ヴァン「おい!アンタ何をやって……!」

 

蛙に触れた瞬間、私の腕に黄金蛙が寄生し始めた。うわぁ……。超グロテスク。

 

カイト「なんだ!?ベルさんの腕に蛙が!?」

 

アリス「ベルさん、大丈夫ですか!?」

 

ベル「私は心配ないよ。ちょっと腕に寄生した蛙が鬱陶しい位だよ」

 

フランシス「この人凄い精神力をしてますねぇ……」

 

なんか感心されちゃったよ……。でもこれで……!

 

「みー!」

 

ベル(来たね……!数は1匹か。奥に残りの2匹がいるのかな?)

 

それなら私はこのまま化物に拐われて行って、向こうで残りの2匹を始末した方が良さそうだね。

 

「みー!」

 

化物はそのまま私を連れて遺跡に入り込んだ。

 

ベル「アリス、マスミ、シロ!私を掴んでいるこの化物の跡を追って!」

 

『了解!!』

 

私は化物に連れ拐われ、3人はその跡を追い、他の人達はその光景を唖然と見ていた。

 

カイト「…………」

 

ヴァン「…………」

 

ハーシバル「…………」

 

フランシス「…………」

 

ジュン「…………」

 

メモリー「…………」

 

カズーイ「…………」

 

ヴァン「はっ!?何をしてる。俺達も急いで彼女達を追うぞ!」

 

カイト「あ、ああ……」

 

フランシス「あの状況下でもベルという人は冷静でしたね。仲間への指示も完璧でした。普通はもっと泣き叫ぶものでしょうに。特に女性なら尚更」

 

ヴァン「ああ、それだけでもかなりの修羅場を潜ってきたのが伝わるな」

 

 

~そして~

 

さて、遺跡の最深部まで連れてこられたんだけど……。

 

「みー!」

 

 

ブチッ!

 

 

「ゲコゲコッ!」

 

「ゲコゲコッ!」

 

「ゲコゲコッ!」

 

この様に私に寄生した黄金蛙を契っては放して蛙を養殖させている。見てて気色悪い……。

 

ベル(成程ね。希少価値があると聞いていた黄金蛙が沢山生息していたのはこれが理由だったか……)

 

恐らくこの化物が私の様に蛙に触った人間を連れ去り、黄金蛙を無限に養殖させて、死んだらそこに転がっている骨みたいになるという仕組みなんだろう。

 

アリス「ベルさん!」

 

漸くアリス達が追い付いた。コンキスタ号の人達と銀の盾の人達も此方に向かっているから、全員で化物達と戦うべきなんだろうけど……。

 

ベル「私は大丈夫。良い機会だから、この化物を相手にそれぞれさっき教えた魔法を使って戦ってみようか」

 

私がそう言うと3人は了承して、それぞれ陣形を取って化物に挑む。

 

マスミ「身体強化……!はぁっ!」

 

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

まずはマスミが身体強化をして化物に斬りかかり……。

 

シロ「蛙の仲間ならあの化物の属性は系統的に水か地。それならこの魔法が有効の筈……!竜乃吐息(ドラゴンブロウ)!!」

 

 

ブァァァァッ!!

 

 

次にシロが風の魔法で化物を攻撃する。その威力が滅茶苦茶高いのが伝わってくる。

 

アリス「2人共流石ですね。それなら私は……!」

 

 

パァァァァッ!

 

 

そしてアリスが2人の支援をする……。うん、私が思っていたよりも3人の連携が取れているね。3人はその調子で化物と戦っていき……。

 

「みー……!」

 

 

ドサッ!

 

 

私を捕まえていた化物は3人の攻撃を受け続けて倒れた。

 

ベル「3人共御疲れ様」

 

マスミ「思ったよりも難しいね。魔法って……」

 

シロ「でも覚えれば戦いの幅が広がって楽しいです!」

 

アリス「そうですね。魔法と普段使っている武器での戦いを併用して戦術を考えるのも悪くないです」

 

それぞれの戦いの総評をしていると……。

 

カイト「や、やっと着いた……」

 

ジュン「見て!化物が倒れている!!」

 

ヴァン「まさか彼女達だけで蛙姫を倒したのか……?」

 

フランシス「その様ですね」

 

あの化物は蛙姫っていうのか……。蛙達のボスだから?

 

「みみみみみ!」

 

「みみみみみ!」

 

ヴァン「おいおい……。3体は聞いてないぞリン」

 

ベル(やっと残りの2匹も出て来たね。さっきの戦いでアリス達は消耗している……。それならここは彼等に任せるべき?それなら蛙姫達を倒すのも苦じゃないだろう。でもこの毒がどれ程のものかわからない以上長期戦は不味いかもね。それなら……!)

 

私は蛙姫2匹の前に出て魔法を放つ事に。これに関しては気功波の応用でどうにでもなるからね。まぁものにもよるけど……。

 

ベル「……火炎地獄(かえんじごく)!!」

 

 

ボウッ!!

 

 

私は炎の魔法を放ち、蛙姫を燃やす。これでもう大丈夫だね。

 

フランシス「凄い威力ですねぇ」

 

ヴァン「ああ……。あれは間違いなく俺達以上の魔力を持っているぞ。彼女が敵じゃなくて良かったよ」

 

……銀の盾はともかく、コンキスタ号とは敵対関係にあるんだよね?もしかして今後彼等とも戦う事になるの?ちょっと面倒臭いんだけど。

 

 

~そして~

 

遺跡の外に出た私達。しかし問題は解決しておらず……。

 

マスミ「問題はベルさんの腕に寄生している蛙達をどうするかだね……」

 

ヴァン「こういうのは簡単に解けるぞ。姫様にかかった呪いは王子様がキスをすれば治る」

 

それなんて白雪姫……。

 

アリス「それは素敵な治療法ですね。是非私が……」

 

シロ「そ、それなら私が……。ベルさんには数え切れない程の恩がありますし……」

 

待って待って。なんでこんなに食い付くの?しかもアリスだけならまだしもシロまで……。

 

マスミ「……やっぱりベルさんって朴念仁だね」

 

呆れた様にマスミが言う。誰が朴念仁か!?あとやっぱりって何さ!?

 

しかも2人のヒートアップが止まらない。どうしよう……。あれ?そういえば……。

 

 

ガサゴソ……!

 

 

私は鞄の中を漁ると1つの薬を取り出した。

 

ベル「あったあった。多分これで治ると思うよ」

 

マスミ「何……?その禍々しい色した薬は……」

 

アリス「……それは私の先天性疾患を治した薬ですね」

 

マスミ「あんたが足を治したのってあの薬なんだ……」

 

シロ「でもそれならベルさんの呪いも治りそうですね!」

 

フランシス「おや、それはとても興味深いですね」

 

そんな訳でグイッとな!

 

カイト「ほ、本当に……!」

 

ハーシバル「蛙だらけの腕が……!」

 

メモリー「治ったワン!」

 

うん。上手くいって何より!

 

ヴァン「凄い薬だな……。レシピはあるのか?」

 

ベル「あるよ。薬を造る素材もあるから、良かったらそっちにあげるよ」

 

ヴァン「本当か!?」

 

うおぅ……。凄い食い付き。

 

ベル「まぁ素材の方は集めるのも難しくないし、君達とはこれからの事を考えて敵対している場合じゃないからね」

 

カイト「……前から思っていたんだが、ベルさん達の目的ってなんなんだ?」

 

ベル「……それについては今は言えない。まだ互いの境遇に気付いていないだろうしね」

 

カイト「互いの……?」

 

ベル「これに関してはカイト達とヴァン達の境遇になるね。どうして君達は出会ったのか……。まずはその状況を理解しない事には説明のしようがないよ」

 

ヴァン「俺達の境遇……か」

 

ベル「どうやらヴァンの方はある程度見当が付いてるみたいだね。それならあとは答えを出すだけだよ」

 

カイト「……?」

 

どうやらカイトの方はまだわかっていないみたい。

 

ベル「それならヒントをあげる。これから君達はそれぞれ自分の住居に戻るよね?それなら自分達の倉庫をくまなく調べてみて。そうすれば回答が見えてくると思うよ」

 

カイト「俺達の……?」

 

ヴァン「倉庫ねぇ……?」

 

これはミライから聞いた話だけど、コンキスタ号の倉庫と銀の盾の倉庫はそれぞれ繋がっているらしい。これは件のゲートの影響らしく、本来相容れない2つの世界が一時的に1つになったのだ。

 

ベル(だからミライはあの時あんな事を……)

 

私は今日あった事を踏まえてこれからの方針を再構築しながら帰路についた。




今回はここまでです。

次回、魔物の世界にて……。


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第2話 新しい世界で出会った新しい仲間

今回もよろしくです。


パワポケ13裏とパワポケ12裏の世界が繋がってから幾時の日々が経過した。

 

私達は魔法の適正がある人を優先的に鍛えて、この12裏の世界にいる魔物達を相手に実戦。ここ数日はそれの繰り返しである。

 

そんな中で私達に新しい仲間が沢山出来た。1人ずつ紹介していくと時間が掛かるので、主力メンバーになる人達を代表で紹介するとしよう。

 

まずはうちで切り込み隊長としての役割を担っているヨウ。魔法の腕は勿論、剣術もかなりのもので、戦闘面で隙がなく(強いて言うなら遠距離がやや苦手)とても頼りになる。更に彼女は私達と同じ異世界出身である。まぁその話はまた別の機会という事で……。

 

次に紹介するのはキンジョウさん。彼はサポーターとしてとても優秀で、戦闘面だけではなく精神面でも皆のケアをしてくれる温和な人だ。でも彼は怒るととても凶暴なライカンに変身する。因みに銀の盾に所属しているメモリーとはとても良好な仲を築いているそうだ。

 

3人目はフミカ。彼女は将来ある人物の秘書になりたいとの事でアリスから秘書の在り方を学んでいる。当然実力は折り紙付きで特に中距離での攻撃を得意としていて、回復の魔法も唱えられる。私もベホマ使えるけど、他に回復要員がいないから、彼女の存在にはとても助かっている。これからは私のグループと彼女のグループで分けていった方が良いのかもね。

 

最後はイツキ。男みたいな名前だけど、立派な女の子。真面目なんだけど、凄く不器用で誰かとマンツーマンで仕事に行ったりする事が多い。まぁ実力は申し分ないけどね……。そして彼女は凄く食欲旺盛である。実はサイヤ人なんじゃないの?……それはともかくイツキはこの世界では珍しく拳を武器に戦っている。因みに彼女は地元ではフードファイターと呼ばれているらしい……。

 

そんな訳で私はキンジョウさんを除いた3人の主力と食事に来ているけど……。

 

イツキ「おかわりください!」

 

フミカ「ま、まだ食べるんですか……?」

 

ヨウ「物凄い食欲……」

 

そういえばこの2人はイツキと食事行くのは初めてだっけ?

 

「申し訳御座いません御客様、店の材料が……」

 

ああ、またか……。私が知っているだけでも5回目だねこの光景は……。

 

私自身もサイヤ人だから食欲は旺盛だけど、流石にセーブはしてるよ?しかも質の悪い事にイツキに悪気は全くないんだよね……。

 

ベル「ごめんね。会計はこれで御願い」

 

私はカード(現実で言うところのブラックカードでミライから貰った)を出して会計を済ませる。

 

「ありがとうございました」

 

さて、明日はどうしようかな?




今回はここまでです。

次回、冒険先で……。


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第3話 ベル一行と銀の盾

今回もよろしくです。


今回はパワポケ12裏の世界で魔法の訓練も兼ねて一帯に蔓延っている魔物を狩りに来た。ヨウの案内の元に魔物が大量発生している場所まで来ているんだけど……。

 

ユキコ「ほわぁ……!」

 

この様にユキコが目を輝かせていた。2年振りに聞いたよユキコのその奇声……。

 

ユキコ「見た事のない怪物が沢山……。これが魔物と呼ばれる生き物ですか……」

 

ヨウ「……本当にこの子で大丈夫なの?」

 

ベル「実力は私達の中でも5本の指に入る強さだから心配ないよ」

 

まぁ普段は無表情で無感情だから、無茶苦茶ギャップがあるよねっていう……。でもヨウもユキコに実力では負けてないから、組織の実力のランキング(ミライが判断しているらしい)が変わるかもね。

 

ベル「……今日は付き合って貰って悪いね」

 

ヨウ「気にしないで。ベル達は私に道を教えてくれた……。きっとそうやって私と同じ境遇のアリス、マスミ、シロにも同じ様にしてたんだろうね」

 

ベル「そうかな……?」

 

ヨウ「……うん。ベルはきっと元いた世界でもそういう事をする人間だったんだよ」

 

……私そこまで大層な事をしたおぼえはないんだけどなぁ?

 

ユキコ「2人共、早く行きましょう」

 

ヨウ「……一応言っておくけど、私が案内人だからね?」

 

ユキコ「勿論です。私とベルさんは何処までもヨウさんに着いて行きます。それが例え地獄の底だとしても……」

 

ごめん。それは私が普通に嫌。

 

 

~そして~

 

ヨウ「ふぅ……。これで一段落かな?」

 

ベル「……その様だね。2人共御疲れ様。ヨウも案内ありがとう」

 

ユキコ「……私、暫くこの世界に住みます」

 

ヨウ「何を言ってるの……?」

 

本当に何を言ってるのか……。そう思っていると前方から数人が歩いてきた。あれは……!

 

???「ヨウ!?どうして此処に!?」

 

ヨウ「……私は連れ2人にこの場所の案内に来ただけ。それよりも銀の盾が私に何か用?」

 

今ヨウに声をかけたのは銀の盾メンバーの1人であるノエル。知り合いだろうか?よく見たらヴァンもいるし……。あとはイーベルとアマルダか。ヴァンのハーレムを見ている気分だよ全く……。

 

ヴァン「久し振りだな」

 

ベル「そうだね。黄金蛙の時以来かな?」

 

ヴァン「……あんたとはそうだが、そこにいるヨウとも俺達はそれなりの因縁があってな」

 

ベル「そうなの?」

 

ヨウ「……私はもうあの組織とは関わってない。そもそも私は彼処には極力いたくなかった」

 

あの組織……ザム団の事だね。ザム団自体は恐らくヴァン達がなんとかしていた筈……。ヨウはその残党としてコキ使われていたのを目撃して私達が勧誘したんだっけ?

 

ベル(その時にヨウに固執するザム団の連中を全滅させたのを思い出すね……)

 

確かあれは2つの世界が繋がってすぐの出来事だっけ……。

 

 

~回想~

 

私達がパワポケ12裏の世界で散策していると1人の女性(私達と同い年位かな?)がガラの悪そうな男達に絡まれていた。彼女の気を察知してみたら物凄く強い事がわかった。複数種類の気を感じるし、彼女はもしかして私達と同じ……!

 

ベル「…………」

 

アリス「ベルさん、どうしましたか?」

 

ベル「いや、彼処にいる子なんだけど……」

 

「おい、ヨウ!さっさとこれを運べ!!」

 

絡まれている子はヨウというのか……。実力的にもかなり強いし、彼女が敵に回ると面倒だから、是非とも仲間にしたいところだけど……。

 

ヨウ「……!」

 

「……なんだ?その反抗的な目は!?」

 

マスミ「……なんかカメダ海賊団にいた頃の私達を思い出すね」

 

シロ「ど、どうしよう……。助けた方が良いのかな?」

 

ベル「……そうだね。少し様子を見ようか」

 

この時の私達はとりあえず様子見する事に……。

 

「ザム団復活にはおまえの力が必要なんだ!さっさとしろ!!」

 

ヨウ「……っ!!」

 

……なんか一触即発の空気だね。ザム団って確か銀の盾と敵対している組織だったね。今は壊滅しているみたいなだけど……。会話の流れから察するに彼女もその一員だったのかな?とりあえず止めようか。私達も彼女に用事があるし。

 

ベル「はいはい、そこまでにしようか。彼女も困ってるみたいだし」

 

「なんだ?おまえ達は!?おまえ達には関係ないだろう!」

 

ベル「それがあるんだよね。私達は彼女……ヨウさんに御願いがあるんだよ」

 

「ふざけるな!やっちまえ!!」

 

沸点低っ!まだ一言二言しか話してないのに……。仕方ない。

 

ベル「マスミ」

 

マスミ「了解」

 

私が指示するとマスミは高速で敵に斬りかかった。またスピードを上げたね。

 

ヨウ(!!……速い。目で追うのがやっとだ)

 

敵はあっという間に全滅した。

 

マスミ「ふぅ……」

 

ベル「御疲れ様」

 

アリス「また速くなりましたね」

 

シロ「もう接近戦ではマスミさんに勝てないかもですね……」

 

マスミ「2人には2人の戦い方があるんだし、深く考えなくても良いんじゃない?」

 

ベル「その通り。逆にマスミは遠距離を若干苦手としているから、そこをアリスやシロがカバーすれば良いんだよ」

 

アリス「……そうですね」

 

シロ「わかりました」

 

さて、2人が納得したところで、彼女に声をかけようか。

 

ベル「もしもーし。今大丈夫かな?」

 

ヨウ「…………っ!私に何か用?」

 

ベル「勿論。……その前になんで君は絡まれていたのかな?」

 

ヨウ「……貴女達には関係ない」

 

まぁそうなんだけどさ……。でも私達は彼女の……ヨウの力を貸してほしいからね。

 

ベル「わかった。じゃあなんで絡まれていたか聞かない。単刀直入に言うね。私達のところに来てほしい」

 

ヨウ「……理由は?」

 

理由ねぇ……?まぁ正直に話しておこうかな。

 

ベル「……この世界でもうすぐ大事が起こる。詳しい内容は知らないけど、それに備えて私達は1人でも多くの戦力が欲しいんだ。だから一緒に来てくれないかな?」

 

ヨウ「…………」

 

どうやら悩んでいるっぽい。即決で断られないって事は脈はあるって事で良いんだよね?

 

ヨウ(……さっきの長身の女性の腕前は見事なものだった。彼女達の雰囲気から察するに今話している人が彼女達の親玉……。他の2人からも底知れなさを感じるし、この人は更にその上をいく。彼女達がどういった目的で元ザム団である私と接触したのかはわからないけど、どうせ私に行く所なんてない。それならこの人達の役に立っておいた方が生存率はある……!)

 

ヨウ「……わかった。私の力が役に立つのなら、それに従う」

 

ベル「本当に?助かるよ。私はベル。これからはよろしくね」

 

アリス「ベルさんの露払いをしていますアリスです。よろしく御願いします」

 

マスミ「私はマスミ。……まぁよろしく」

 

シロ「し、シロです。よろしく御願いします……」

 

ヨウ「……私はヨウ。よろしく」

 

こうして私達はヨウを仲間にしたのだった……。

 

 

~現在~

 

あれからもザム団の残党がヨウを目当てに襲ってくるから、次々と返り討ちにしたんだよね。

 

ヨウ「……さっきも言ったけど、私はもうザム団とは何の関わりもない。今の私はベル達と一緒だから」

 

……嬉しい事を言ってくれるね。思わず涙を流しそうになった。

 

ノエル「……そんな事を私達が信用するとでも?」

 

ヴァン「待て、ノエル。……ベル、ヨウに何があった?」

 

ベル「ヨウにも色々事情があるからそれは言えない。でもこれだけは言えるよ。彼女はザム団にいた頃の様には絶対にさせない」

 

ヴァン「……そうか」

 

何か納得した様な顔をしてヴァンは私達の前を通り去った。

 

イーベル「ヴァン、良いのか?」

 

ヴァン「ベル達と一緒ならヨウが悪事を働く事はないだろう。それに彼女自身ザム団にいるのに嫌悪していたみたいだしな」

 

アマルダ「……念の為に彼女達に見張りを付けておきましょうか?」

 

ヴァン「その心配もないだろう。態々彼女達が悪事を働く必要はない訳だしな」

 

何やら話し合っているみたいだけど、私達もう行っても良いんだよね?

 

ユキコ「早く行きましょう。魔物が私達を待っています」

 

ヨウ「ちょっ……!」

 

ユキコがヨウの腕を掴んで行ってしまった。とりあえず私も後を追おうかな……。

 

アマルダ「……本当に大丈夫でしょうか?」

 

ヴァン「……多分な」

 

なんか呆れられている気がする……。




今回はここまでです。

次回、魔物の世界で出会う忍……!


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第4話 とある拳士は五等分?

今回もよろしくです。


これはイツキが仲間になる日の話……。

 

私はユキコ、ルナ、ヨウの3人を連れてパワポケ12裏の世界で魔法の訓練をしていた。

 

ユキコ「ファイヤーキャノン!」ボウッ

 

ルナ「レインボウレイズ!」カッ

 

2人の魔法適正はユキコが火、水、風でルナが光と闇だった。今は3段階の内の真ん中の魔法レベルを使ってもらっている。

 

ベル「よし、2人共少し休憩しようか」

 

ユキコ「はい」

 

ルナ「了解でーす!」

 

ヨウ「……驚いた。ベルの仲間は魔法とは無縁の世界から来たって聞いていたけど……」

 

ベル「この2人はその中でも適正が高いからね」

 

此処にはいないけど、アリス、マスミ、シロの異世界出身組とミク、シルヴィアは特に高い。及第点なのがユリとリミの姉妹とナナかな……?

 

ユキコ「……!何か此方に来ます」

 

ヨウ「……わかるの?」

 

ユキコ「忍は気配に敏感ですから」

 

ヨウ「忍……?」

 

そういえばユキコは忍者だったね。私は忍者じゃないけど、気配には敏感だよ。

 

 

ヒュンッ!

 

 

何か飛んできた……。これは短剣?とりあえず貰っておこう。そう思って回収する。

 

ルナ「凄っ!後ろに飛んできた短剣をキャッチした!?」

 

ヨウ(……やはりベルは只者じゃない。もしかしてベルも私と同じ……?)

 

???「……今のを受け止めるとは中々やりますね」

 

ルナ「誰!?」

 

???「悪人に名乗る名前はありませんが、名乗っておきましょう」

 

名乗るんだ……。

 

???「私はイツキ……。悪を断つ正義のファイターです!」

 

君は何処のドラゴン使いかな?後にベッドの上で悶えまくるやつだよきっと……。

 

イツキ「そこの3人から怪しい気配がします。ですので、捕まえさせて頂きます!」

 

彼女が言う3人は私とユキコとルナだ。イツキからすると私達3人がこの世界の人間じゃない事を見抜いているのだろう。

 

ユキコ「そうはさせません。私達には事情があるので、捕縛される訳にはいかないのです」

 

イツキ「あくまでも抵抗するつもりですか……!」

 

ユキコ「はい、そこにいるルナさんが貴女と戦います」

 

ルナ「私なの!?流れからしてユキコちゃんが戦う展開だよね!?」

 

確かに……。如何にもユキコが戦う感じだったし。

 

ユキコ「敵の戦法をルナさんが戦う事で把握してほしいのです」

 

ルナ「え~……」

 

ベル「まぁまぁ、この場は御願いしても良い?この場で彼女と相性が良いのは私やユキコよりもルナが適任だと思うし」

 

ヨウ「……正直彼女の戦い方は私とは相性が悪い」

 

ルナ「私が適任……。わかりました。やってみます!」

 

納得しちゃったよ……。私が言うのもなんだけど、チョロいな。

 

ユキコ(チョロいですね)

 

イツキ「……覚悟は良いですか?」

 

この子はこの子で待っていたのか……。律儀だね。ヨウが言っている事も気になるけど、この場はルナに任せよう。

 

ルナ「態々待っててくれるって余裕なんだね?」

 

イツキ「構いませんよ。……此方にも準備が必要でしたから」

 

準備……?なんの事だろうか?

 

イツキ「では行きますよ!」ブンッ

 

ルナ「へっ?」

 

おお……。中々速いな。でも……!

 

イツキ「はぁっ!」

 

ルナ「ぼ、防壁展開!!」

 

 

ブゥン……!

 

 

ルナが防壁を展開して、イツキの攻撃を防ぐ。

 

イツキ「なっ……!?」

 

ルナ「危ない危ない……。一瞬反応が遅れちゃったよ……」

 

イツキ「やりますね……!ですがまだまだいきますよ!!」ドンッ

 

先程よりも速くイツキは攻め込み、それをギリギリでルナがイツキの拳を防ぐ。……っていうか魔法が蔓延っている世界で拳っていうのも珍しい

 

ヨウ「彼女の戦法は相手の実力を計りつつ、不利な相手には奥義を使う……」

 

ユキコ「奥義ですか?」

 

ヨウ「そう。現状を見てわかる様に少しずつルナが持ち直している。このままいくとイツキは奥義を使わざるをえない」

 

ベル「そういえば彼女とは知り合いなの?」

 

ヨウ「直接関わった事はないけど、彼女の戦法は辺りに知れ渡っているから……」

 

ユキコ「ですがそれだと彼女は不利なのでは?」

 

ヨウ「そうでもない。彼女の奥義は日々変化と成長を繰り返しているから……」

 

成程……。具体化な戦法はまだ見えてないけど、彼女の実力的にも仲間にしたいね。

 

 

~そして~

 

その後10分位の攻防(イツキが一方的にルナを攻撃して、ルナがそれを防ぐだけ)が続き、イツキの拳が止まった。

 

イツキ「……中々にやりますね。このままだと此方が消耗する一方です」

 

実際はそうでもないんだよね。ルナが防壁を展開出来るのもあと数回が限度……。ルナが早いところ彼女の攻略方法を見付けなければいけない。

 

ルナ「そ、そう思うなら攻撃を諦めて降参しても良いんだよ?」

 

イツキ「……いえ、そういう訳にはいきません。本来ならもう少し後に使う予定でしたが……」

 

そう言ってイツキが取り出したのは小さめの球体だった。

 

イツキ「取って置きを使わせて頂きます!」

 

球体を地面にぶつけると辺りが光り始めた。閃光弾!?

 

ルナ「わっ……!眩しっ!」

 

イツキの周辺が眩く光り、丁度イツキの人影が見えなくなっている。

 

ルナ「に、逃げるつもり!?」

 

いや、彼女の性格的にそれはないだろう。恐らくこれがヨウの言っていた奥義だと思う。果たしてどんな技なのか……。

 

イツキ「御待たせしました」

 

光りが晴れるとそこには……。

 

ルナ「ええっ!?」

 

ユキコ「これは驚きましたね……」

 

ヨウ「これがイツキの奥義……」

 

なんとイツキが5人もいた。

 

イツキ1?「5人になった私達は絶対無敵……!」

 

イツキ2?「この奥義を破った者は1人もいない……!」

 

イツキ3?「これで貴女達は御仕舞いです!」

 

イツキ4?「貴女達を役員に引き渡して尋問させて頂きます!」

 

イツキ5?「さぁ、此処からは……!」

 

イツキ1~5?『私達が相手をします!!』

 

なんとも面妖な。しかもこれは……!

 

ルナ「これは分身の術!?それなら本体は1つだけだよね」

 

そう言ってルナは中央にいるイツキに攻撃を仕掛ける。

 

イツキ2?「させません!」シュッ

 

ルナ「わっ!」

 

それに対して短剣を投げてルナの侵攻を防ぐ。対面する前に短剣を投げてきたのは彼女だね。だとするとこれはやっぱり……。

 

ヨウ「もう気付いていると思うけど、あれは分身なんかじゃない」

 

ベル「……つまり1人1人が本体って事だよね?」

 

ユキコ「分身ならすぐにわかりますからね。まぁルナさんは気付いていない様ですが……」

 

ヨウ「彼女達は元々5人で戦うのが基本だから、一対一で戦う事が多い私とは相性が悪い」

 

でもヨウは一対一で戦うなら殆んどの相手に負けないだろう。勝てそうなのは一対一が得意なナナとかだろうか……?

 

ルナ「ど、どうなっているの!?まるで全員本物みたい……!」

 

イツキ「そうですよ。この場には分身等と言うオカルトは存在しません。私達は5つ子なのです!!」

 

ルナ「な、なんだって!?」

 

……いや、私からしたら5つ子もオカルトみたいなものだからね?そもそも魔法自体がオカルトそのものなのに……。




今回はここまでです。

次回、イツキが仲間に……!


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第5話 5姉妹のチームワーク

今回もよろしくです。


イツキが5つ子の1人だとわかり、ルナは距離を取って戦いを挑むが……。

 

イツキ1「ファイアアロー!」ボウッ

 

ルナ「くっ……!」

 

イツキ3「カースストライク!」ブゥンッ

 

ルナ「わっ!」

 

イツキ4「ブレードネット!」ブンッ

 

ルナ「ひぇっ!」

 

イツキ2「アイスブラスト!」カッ

 

ルナ「危なっ!」

 

イツキ5「ポイズンミスト!」ボボボッ

 

ルナ「うわわっ……!」

 

一対一で戦っていた時よりも防戦一方でルナはそれぞれの攻撃をかわすので精一杯。そして……。

 

イツキ5「今です!アーマーブレイク!!」

 

 

ドスッ!

 

 

ルナ「がはっ……!」

 

遂にイツキの攻撃がルナを捉えた。魔法は囮で、拳が本命なのが彼女か……。これは欲しいな。他の4人の実力もかなりのものだし。

 

ルナ「うぐぐっ……!」

 

ベル「まだいけそう?」

 

ルナ「勿論……って言いたいんですが、今の一撃を貰ってしまって戦うには厳しいかもです」

 

ベル「わかった。あとは私に任せてよ」

 

ルナ「御願いします……」

 

ベル「了解。ユキコ、ルナを御願い」

 

ユキコ「わかりました」

 

ルナをユキコに任せて私は5人と対峙する。

 

イツキ1「次は貴女ですか……」

 

ベル「よろしくね」

 

イツキ2「アイスブラスト!!」カッ

 

ベル「リフレクション!」

 

私は飛んできた氷魔法をそのまま跳ね返した。

 

イツキ2「しまっ……!」

 

氷魔法は彼女に直撃して凍りついた。

 

ベル「これであと4人だね」

 

ヨウ(強い……。イツキ達では間違いなくベルには勝てない。イツキ達もかなり強いけど、ベルはそれ以上。今のやり取りでそれがわかる)

 

ユキコ(ベルさんのスペックに気付いた今白旗を上げるか、抗うか……。どう転んでも彼女達ではベルさんに勝つ事は不可能でしょう)

 

イツキ5「……降参します」

 

イツキ1「ちょっ!イツキちゃん!?」

 

……なんか降参してくれた。折角だから、5人の実力を肌で感じたかったのに……。

 

ベル「そう……?」

 

イツキ5「はい……。今の動きで私達では貴女に勝てない事がわかってしまいましたので。悔しいですが……!」

 

ベル「……わかった。ヨウ、ユキコ」

 

ヨウ「……どうしたの?」

 

ユキコ「なんでしょうか?」

 

ベル「2人は近くの宿でルナの治療を」

 

ユキコ「ベルさんはどうしますか?」

 

ベル「私はこの5人と少し話がしたい」

 

ヨウ「……そういう事ならわかった。ベルなら大丈夫だと思うけど、気を付けて……」

 

ベル「ありがとう」

 

ヨウとユキコは負傷したルナを連れて近くの宿まで歩いていった。

 

ベル「さて……」

 

イツキ5「……私達をどうするつもりですか?」

 

ベル「ちょっと話をしたいのと、御願いがあるから、それを聞いてほしい。近くの食事処で御飯でも食べながらゆっくりとね。勿論無理にとは言わないよ」

 

イツキ5「……わかりました。皆はどうしますか?」

 

イツキ1「イツキちゃんが良いなら大丈夫だよ」

 

イツキ3「……私も。個人的に興味もあるし」

 

イツキ4「勿論私も大丈夫!」

 

イツキ2「……皆が良いなら、私が反対する理由はないわ。ベルとか言ったっけ……?」

 

ベル「どうしたの?」

 

イツキ2「食事処を選んだ事を後悔するのね」

 

えっ?何か不味かった?

 

 

~そして~

 

私達は食事処に来ており、それぞれの自己紹介をする事にしたんだけど……。

 

イツキ5「おかわりください!」

 

この子滅茶苦茶食べるなぁ……。私も食べる方だけど、この子は更に凄い。

 

ベル「……まぁ言いたい事は色々あるけど、とりあえず自己紹介でもしようか。私はベル。よろしくね」

 

私の紹介が終わると、左の子から順番に紹介を始めた。

 

イツキ1「まずは私からだね~。イチカだよ。よろしく~」

 

紹介を終わるとウィッグを外した。イツキ1改めイチカの髪型は薄い桃色のショートカットだった。もしかしてイツキ以外はウィッグを付けてる……?

 

イツキ2「次は私ね。ニノよ」

 

続いてウィッグを外したのは氷魔法を放ったイツキ2改めニノ。ツンケンしているのは私が氷魔法を跳ね返したからだろうか?髪型は明るい桃色を長く伸ばしている。

 

イツキ3「私はミク……。よろしく」

 

3番目はイツキ3改めミクと名乗るウィッグを外すと茶髪を長めに伸ばして、前髪が目にかかっている少女。うちにもミクがいるから、2人が対面した時が色々とややこしくなりそう……。

 

イツキ4「はいはーい!次は私ですね!ヨツバです!これからよろしく御願いしまーす!」

 

その次にウィッグを外すと黄色寄りの橙色の髪型をしたイツキ4改めヨツバ。元気いっぱいなのが見ていて伝わる。こういった元気少女はうちにはいなかったから、ちょっと新鮮……。

 

イツキ「最後は私ですね。1度名乗っていますが、改めて……。私はイツキと言います。先程は無礼な真似をしてしまい申し訳ありませんでした。後で連れの方にも謝っておきます」

 

最後に紹介したのが本物のイツキ。前の4人がしていたウィッグのオリジナルで、赤に近い橙色の髪型を長く伸ばしている。そして先程から食べる手を止める事なく、おかわりをしてモグモグと食べていた。

 

ベル「紹介が終わったところで本題に入るね。……君達の力を貸してほしい」

 

イツキ「……詳しく教えてください」

 

シリアスな空気を感じ取ったイツキは食べる手を止めて、私の方に顔を向ける。

 

ベル「そう遠くない内にこの世界に大事が起こる……。私はそれに備えて仲間を集めているんだ」

 

イチカ「成程ね~」

 

ニノ「それでなんで私達なの?」

 

ベル「先程ルナと戦っている時に5人に見せた連携は事が起こった時の対処がスムーズにいくと思ったからね。そこから出てくる敵ともそれだけの実力があれば充分に戦っていける」

 

ミク「私達が……」

 

ヨツバ「そんな事が出来ますかね……?」

 

ベル「勿論無理にとは言わない。とても危険な事だし、命の保証も出来ない。私が今日連れていた3人もその覚悟は既に済ませているけどね」

 

私がそう言うと5人は息を呑む。まぁ命に関わる問題だから簡単に首を縦に振る事は出来ないよね……。

 

イツキ「……私は、ベルさん達に協力しようと思います」

 

ニノ「イツキ!?」

 

ベル「……理由は?」

 

イツキ「今日ベルさんと戦ってわかりました。私はまだまだ弱いと……。私は強くなりたいんです。皆を守れるくらいに……!」

 

イツキの目に闘志の炎が宿る。……良い気迫だね。これなら合格かな。

 

ベル「……私としては合格かな。でもこれからは命懸けの日々が続くよ?撤回するなら今しかないけど……」

 

イツキ「……決めました。私は貴女達と強くなって、大事をも迎撃出来る様になりたいです!」

 

どうやら本人の意思は固い。イツキ程の腕の持ち主だとカタストロフを迎えても抗う事が出来るだろう。

 

ベル「イツキは行くみたいだけど、残りの4人はどうするの?」

 

私が訪ねると少し考える素振りを見せて、4人全員が顔を上げた。

 

ミク「……私達の意見は全員同じ」

 

ニノ「正直不安要素が山盛りだけど……」

 

ヨツバ「可愛い妹の為にも私達は!」

 

イチカ「5人で1つだからね。だから貴女と共にある事を……」

 

『誓います!!』

 

ベル「……そこまで言うなら、私は何も言わない。5人共、これからよろしく」

 

『はい!!』

 

さて、これからは5人分の鍛練メニューを考えなくちゃね。

 

ニノ「……本音を言うとイツキが食べ過ぎたせいで食費がヤバいのよね」

 

イチカ「だから貧困脱出の為にも仕事とかで稼がなくちゃね」

 

ヨツバ「ししし!これからイツキの食費はベルさん達に払って貰いましょう!」

 

ミク「それだけで貧困脱出に大きく近付く」

 

イツキ「なっ……!」

 

君達?もしかしてそれが本音じゃないの?良い話が台無しだよ?今回の御飯代も安めの店なのに、10000ペラも減ったんだけど……。通貨が12裏と13裏が一緒で良かった……。




今回はここまでです。

次回、新たな依頼は……?


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第6話 新たな依頼はまさかの……?

今回もよろしくです。


今日は私達に依頼人が来ている。私達別に何でも屋をやっている訳じゃないんだけどなぁ……。

 

ベル「……それで、依頼というのは?」

 

「は、はい。まずはこれを見てほしいのですが……」

 

依頼人は私達に1枚の紙を見せる。内容は……。

 

ベル「……野球大会?」

 

「はい。この野球大会で優勝すると賞金の100万ペラが貰えるのと、副賞として『幸福のボール』というのアイテムが貰えるんです」

 

ベル「それであなたが欲しいのがその副賞だと……」

 

「そうですね。私は野球が大好きなので、副賞が是非とも欲しいんです。もしも優勝出来れば依頼金として賞金の100万ペラはそのまま皆さんに、もし負けてしまっても半額の50万ペラを支払います」

 

マジか……。パワポケの世界とはいえ裏サクセスだから、精々野球人形を作るだけだと思ったのに、本当に野球をする事になるなんて!しかも依頼が失敗しても50万ペラが貰えるのか……。

 

ベル「わかりました。その依頼を受けましょう」

 

「ありがとうございます!……本当は私達が野球人形を見繕って参加したかったんですが、ある者の陰謀で野球人形を破壊されてしまって……」

 

酷い事をする人がいるものだね……。しかし何処かで聞いた設定の様な……

 

ベル「……しかし参加チームは殆んど野球人形なんでしょう?一応人間も参加出来るとはいえ」

 

「はい。本来なら野球人形オンリーの大会だったんですが、かの有名なコンキスタ号の人達が野球人形と試合をしていたのを見て今回の企画から人間も参加出来る様になりました」

 

ベル「まぁ何にせよ任せてください。優勝して幸福のボールをあなたに献上しますよ」

 

「頼もしいですね。……私も当日は皆さんのサポートをします」

 

こうして私達は野球をする事になった。

 

 

~そして~

 

早速私は皆に野球大会の事を話す。

 

『野球大会?』

 

ベル「そう。先程依頼人が私の所に来てね。これがその大会のチラシ」

 

チラシを見せると様々な反応が見受けられた。

 

アリス「人間も参加出来るみたいですが、本来は野球人形を参加させる大会のようですね」

 

ベル「うん。だから自分の野球人形を作っているって言う人は挙手して」

 

私の発言の後に手を挙げたのはシロ、リミ、ユキコ、ヨウの4人だった。

 

ベル「OK。じゃあそれぞれ明日野球人形を持ってきて……」

 

最後まで言葉が出る事はなかった。まだ1人手を挙げていたからだ。

 

ベル「ルナ、何か意見があるの?」

 

ルナ「あ、あの……。折角だから私は野球人形じゃない方が良いかな……」

 

ベル「……それは私達が生身で参加するって事で良いのかな?」

 

ルナ「は、はい……」

 

……そういえばルナはパワプロでも投手だったね。この世界でも野球の練習位はしているのだろうか?するともう1つ手が挙がる。

 

ヨウ「……私もルナに賛成。私は野球人形も作っているけど、野球もやっているから。それに野球は自身で体験した方が絶対に楽しい」

 

ヨウの意見に成程と言う人間がこの場の過半数を越えた。何なんだろうね。パワポケの世界だから有り得る事なのかな?

 

ベル(……とはいえ皆がこれだけやる気を見せるのも珍しい。私も身体を動かすのは嫌いじゃないし、これも強くなる為の鍛練の一種なのかもね)

 

ベル「わかった。じゃあ依頼人には私達自身が出るって伝えておくから、大会に参加する人はこの紙に名前を書いていって」

 

こうして私達はひょんな事から野球をする事になった。




今回はここまでです。

次回、大会に出たベル達は……。


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第7話 野球しようぜ!

今回もよろしくです。


翌日、私達は依頼人も交えて早速野球の練習をする事に……。

 

ベル「練習の前に紹介するね。今回の依頼人であるヨシノさん」

 

ヨシノ「ヨシノです!今回はよろしく御願いします!」

 

ベル「改めて依頼を説明すると2週間後の野球大会に私達が参加をする。そして優勝してその副賞である『幸福のボール』を手に入れる事」

 

アリス「そして依頼金として100万ペラ、もしも途中で敗退してしまっても半額の50万ペラが貰える訳ですか……」

 

マスミ「随分気前が良いんだね?」

 

ヨシノ「私達は野球が大好きなんです。なのでこうして大会に参加出来るだけでも嬉しいんです……」

 

ユキコ「それで今回も参加しようと思ったら、何者かに野球人形を破壊されてしまったと……」

 

ヨシノ「はい……。ですが皆さんが大会に参加してくださってとても嬉しいです!しかも生身で……!」

 

な、なんかヨシノさんの目がギラギラしてるんだけど?しかもなんか興奮してるし……。

 

ベル「大まかな説明が終わったから早速練習に入ろうか」

 

『はい!!』

 

 

~そして~

 

私達は練習に入り、それぞれのポジションの適正を見ていってる。

 

ヨシノ「いきますよー!」

 

 

カキィン!バシッ!カキィン!バシッ!

 

 

ヨシノさんがノッカーをやって、私達は守備に付いてノックを受ける。私から見て良い動きをしているのは……。

 

ユキコ「かなり良い動きをしていますね」

 

ヨウ「そう言うユキコだってかなり上手い……」

 

マスミ「よっ……と!」

 

シロ「ナイスキャッチです。マスミさん!」

 

この4人かな?特にヨウは野球経験者だからレベルの高さは中でも群を抜いている。

 

あとは人間離れな動きをするユキコ、異世界出身組のシロとマスミ、その他ではナナやフミカも無駄な動きが少ない。この2人は少し練習すれば即戦力になるだろう。そんな一方で……。

 

リミ「あうっ……!」ポロッ

 

シルヴィア「わっ……!」ポロッ

 

この様にミスを多発する人もいる。しかしシルヴィアがミスをする場面はなんか貴重な気がする……。

 

ベル「少し休憩にしようか」

 

アリス「皆さん御疲れ様です」

 

今回アリスはサポートに回ってもらっている。主に皆の精神面でのケアだね。

 

 

~そして~

 

少しの休憩の後に練習を再開するけど、新たな問題が……。

 

ルナ「」ビシュッ

 

ユリ「うっ……!」ポロッ

 

この様にルナの球……主に変化球を取れる人間がいない。ヨウやユキコならもしかしたらと思うけど、彼女達は出来れば外野とか二遊間に回ってほしいから他の人が良いけど……。あと試していないのは私だけ……。

 

ルナ「」ビシュッ

 

ベル「」バシィッ

 

マスミ「取った……」

 

アリス「これで捕手は決まりですね」

 

なんかキャッチャーになっちゃったよ……。

 

こうして2週間の間私達は自力の底上げを徹底した。そして大会の日を迎える……!




今回はここまでです。

次回、ダイジェスト……。


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第8話 決勝まではダイジェスト

今回もよろしくです。


野球大会当日。私達はユニフォームを装着してスタジアムに来ている。

 

ルナ「わぁ……!こんなに広い所でやるの?」

 

マスミ「こんなドームがよくあったね……」

 

確かに……。此所はパワポケ13裏の世界だけど、大航海時代にこんなに立派なスタジアムがあるなんて思いもよらなかったよ。

 

アリス「しかし参加者の9割以上が野球人形でチームを組んでいますね」

 

ユキコ「というか私達以外のチームは野球人形ばかりなのでは?」

 

ベル「そうでもないよ。少なくともそこのチームは生身で参加するみたいだし」

 

私が示したのはコンキスタ号と銀の盾の混合チーム。向こうはまだ気付いていないみたいだけど……。

 

シロ「コンキスタ号の人達だ……」

 

ヨウ「銀の盾メンバーもいる……」

 

アリス「声をかけますか?」

 

ベル「……いや、放っておこう。その内当たるだろうし、その時にで良いよ」

 

銀の盾はともかく、コンキスタ号の人達との仲は決して良好とは言えないし、銀の盾も元々敵対していたヨウが此方にいる以上友好的に話し掛けるのは無理だと思うし……。

 

ベル「さぁ、そんな事よりも私達の試合がすぐ始まるし、準備するよ」

 

『はい!!』

 

アリス「私とヨシノさんで精一杯サポートしますので、頑張りましょう」

 

ヨシノ「ドリンクとかの用意もバッチリです!」

 

それぞれの準備が完了したところでいざ出陣!

 

 

~そして~

 

出場チームは全部で128チームなので、7回勝てば私達の優勝である。

 

まずは1回戦。皆のやり方を確認するべく私からはノーサイン(ちなみに私は選手兼監督のようだ……)。すると上位打線のヨウ、ユキコ、マスミが打つわ打つわでこの3人だけで12打点を獲得。守備の方も相手チームのバッティングが粗末なせいかルナの完封で終わった。

 

ルナ「やったー!完封勝利!」

 

ベル「味方が打ちまくった御陰もあって気楽に投げられたね。次も期待してるよ」

 

ルナ「はいっ!」

 

2回戦。ここからは私がサインを出すので、打順は9番(1回戦では5番を打ってました)に。1回戦よりかは強い相手だったが、それでも自陣の打者の打つ手が止まらず、累計15打点。ルナの方もまたもや完封。

 

ルナ「私ってもしかして凄い……?」

 

マスミ「慢心してると足元掬われるよ……?」

 

ベル「まぁその時は私達で点を取り返せば良いよ」

 

3回戦はルナの登板を休みにして、別の人が投手を。誰が投げたかは決勝戦の時に言おう。まぁその人の相手が悪く互いに乱打線の二桁得点。そのひと自身は決して悪くないのにね……。それでも最後まで投げ切って勝利。

 

???「うう……!」

 

ベル「気にしなくても良いよ。最後まで投げ切ったんだから、胸を張って」

 

ユキコ「あれは相手が打ち過ぎたと思います」

 

4、5開戦は再びルナがマウンドに。流石に完封とまではいかなかったが、守備の慣れも相まって好投。攻撃の方は……言うまでもないかな?

 

ルナ「ぐぬぬ……!連続完封記録が……」

 

アリス「流石にそこまで甘くないですよ」

 

ベル「でもチームとしての力はどんどん良くなってきてる。この調子で優勝まで駆け抜けよう」

 

6回戦……もとい準決勝はルナをも凌ぐ秘密兵器の登板。準決勝まで勝ち上がってきた相手にどれだけ通用するか試したかったからね。その結果は9イニング全て三振で終わらせて完全試合。ルナがちょっと泣きそうになっていた……。ドンマイ。

 

ルナ「なんで!?」

 

???「そ、そんな事を言われても……」

 

ベル「……とにかくあと1つ勝てば優勝。ヨシノさんの為にも頑張ろうか」

 

『はいっ!!』

 

そして迎えた決勝戦。相手は予想通りと言えばそうなんだけどねぇ……。

 

シロ「コンキスタ号……」

 

ヨウ「銀の盾メンバーも……」

 

ベル「泣いても笑ってもこの試合が最後。私達の野球しよう」

 

向こうの実力は未知数だけど、絶対に勝ってみせる!




今回はここまでです。

次回、決勝戦の幕開け……。


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第9話 VSコンキスタ号&銀の盾連合のプレイボール

今回もよろしくです。


決勝戦。相手はコンキスタ号の人達と銀の盾の人達の混合チームで私達と同じ生身で参加している。無効も此方に気付いて近付いてくる。

 

カイト「……決勝戦の相手はベルさん達か」

 

ベル「みたいだね」

 

この大会では対戦相手のデータが収集が全く出来ないから、相手がどのような野球をしたのか全くわからないんだよね……。でもそれは向こうも同じ。

 

ベル「……まぁ互いに正々堂々と野球をしよう」

 

カイト「……そうだな。だが俺達は依頼人の為にも負ける訳にはいかない!」

 

……向こうもヨシノさんの様な依頼人がいるのかな?その辺りは試合が終わればわかるかな?

 

 

~そして~

 

決勝戦の打順は色々と考えた結果、この様に組む事にした。

 

 

1 ヨウ 中

 

2 ナナ 三

 

3 ユキコ 遊

 

4 マスミ 一

 

5 フミカ 二

 

6 シロ 右

 

7 ユリ 左

 

8 ルナ 投

 

9 ベル 捕

 

 

1、3、4番は言うまでもなく、2番は繋ぐのが得意なナナを、5番には当たりが多いフミカを、6番には時たまビッグプレーをするシロを置いた。この采配がどう活きるか……。

 

そして向こうのオーダーも此方にきたので、見てみる。

 

 

1 ハーシバル 一

 

2 ナツミ 二

 

3 ミズキ 中

 

4 カイト 遊

 

5 ユウキ 捕

 

6 コウ 三

 

7 アッシュ 右

 

8 ハガネ 投

 

9 メモリー 左

 

 

成程……。原作で見当たらない名前がいるのはともかく、海軍のナツミまで混ざってるんだけど?私達捕まらないよね?というかよく来れたな……。それならカンドリーとかもいそうだけど、彼はベンチなのかな?

 

さて……。シートノックの時間だし、私達の守備力を見せておこうかな?

 

 

カキィン!バシッ!カキィン!バシッ!

 

 

ヴァン「……良い動きだな」

 

カイト「……向こうも実力で勝ち上がってきたチームって事ですね」

 

ハーシバル「だが俺達だって負けてねぇ!」

 

カイト「そうだな……。ハガネ、先発は頼んだぞ!」

 

ハガネ「承知した!」

 

エンゼル「それにしても向こうのチームは女の子ばっかりだね」

 

カズーイ「それであれだけ動けるって相当練習してきたみたいやな……」

 

カイト「……何にせよ俺達は勝つしかない。依頼人の為にも」

 

向こうから闘志が伝わる……。なんで?

 

ベル「さて、そろそろプレイボールだね。皆、準備は出来てる?」

 

ヨウ「……勿論」

 

ナナ「だ、大丈夫だよ!」

 

ユキコ「問題ありません」

 

マスミ「何時でもいけるよ」

 

フミカ「今日も万全の態勢です!」

 

シロ「い、いけます!」

 

ユリ「私も大丈夫……!」

 

ルナ「任せて!バシッと抑えてみせるから!」

 

8人共問題なさそうだね。ナナとシロが緊張してそうな位かな?

 

アリス「私達はサポートです」

 

シルヴィア「ケアは任せてよ!」

 

ヨシノ「無理をせず、頑張ってくださいね!」

 

サポーターの3人も大丈夫そう。あとシルヴィアは一応メンバー登録してるからね?あとはまだ来ていない彼女達だけど……。それも多分大丈夫でしょ。

 

『プレイボール!』

 

さて、決勝戦開始だね。




今回はここまでです。

次回、ベル達の攻撃……!


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第10話 1回表

今回もよろしくです。


決勝戦開始。私達は先攻である。

 

1番のヨウが左打席に立ち、私の方を見ている。……ああ、サイン出さなきゃね。

 

ベル(とりあえずこの打席は極力見ていって、相手の球筋を覚えて。出来れば10球位費やしてくれると有り難いかな)サッサッ

 

ヨウ(……了解)

 

向こう先発はハガネ。ゲームではいなかったキャラの1人だね。そういえばハガネはパワプロでも出てたね。その時のデータはカーブとシンカーだけだったけど……。

 

私のデータ(うろ覚え)によると150前後の直球にカーブ、シンカー、チェンジアップを投げるピッチャー。コントロールはそこまでないと思うから、上手く粘って四球を狙っていきたいけど、その辺は2打席目以降でも良いかな?

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ヨウ「」カキィン!

 

おっ、打った。当たりはセンターの頭を越えてヨウの足の速さを活かし三塁打にした。

 

ベル(しかも球数も理想以上の13球……。打った球も相手側からしたら決して悪いコースじゃない。これが経験者の力か……)

 

そんなヨウの実力に感心している中、次のナナが右打席に。

 

ベル(これまでのナナの成績を考えると無論スクイズ……。まぁそれは向こうも警戒している筈だから、プッシュでいこう。勿論球数をある程度使ってね)サッサッ

 

ナナ「」コクッ

 

ヴァン「いきなり三塁打か……。向こうは恐らくスクイズを仕掛けてくるだろうな」

 

カイト「ええ。でもそう簡単にはさせません」

 

ベル(……とか思ってそうだけど、それはナナを甘く見すぎだね)

 

ハガネ「」ビシュッ

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ナナ「」カッ

 

カイト「プッシュバント!?」

 

ベル(ナナはこういった小技が上手い。選球眼も相まって2番にしたのは正解だったね。ミートならヨウにも負けてないし、この2人は不動だったのかもね……)

 

打球は前進していたセカンドの頭を越して安打に繋がった。

 

アリス「思ったよりも簡単に得点が入りましたね」

 

ベル「これに関してはヨウの三塁打が大きかった。その御蔭でスクイズ警戒の守備の頭を越す事が出来たんだから」

 

それにハガネの球は本来女子が打てる様な球じゃないにも関わらず、2人は上手く打つ事が出来た。ヨウにその原因を聞いてみると……。

 

ヨウ「……野球をやっていたって言うのもあるけど、あれよりも速い動きをする魔物とかの相手もしていたし、何よりベルが組んでくれた修行メニューがこの結果をもたらしてくれた」

 

等と言っていた。私そんなにキツいメニューを組んだ覚えはないんだけど……。

 

その後もユキコ、マスミ、フミカと続いてヒットを打ち、追加で1点を取ってくれたが、後続はしっかりと抑えられて初回は2点で止まった。




今回はここまでです。

次回、ルナの投球……。


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第11話 1回裏

今回もよろしくです。


1回の表は上手く2点取る事が出来た。でもこれからも点が取れるとは限らないから、この2点で逃げ切るつもりで相手を抑えないとね。

 

ベル「ルナ、準備は出来てる?」

 

ルナ「はい!何時でも万全です!相手を完封……いえ、完全試合を目指す勢いで頑張ります!!」

 

ベル「それは頼もしいね」

 

ここでルナの性能を紹介。彼女の持ち球は直球とシュート、そして縦に割れるドロップカーブの3種類。これ等を使い分けてこれまで好成績を残してきたのだ。

 

ベル(それが彼等にどれだけ通用するか……。状況によっては秘密兵器を早い段階で投入せざるを得ないからね。ルナには5イニング3失点以内に抑えてほしいところだ)

 

そう思いながら左打席に立つハーシバルを見た。

 

ベル(ハーシバル……もとい羽柴はダッシュのゲーム内で最強のバッターとも呼ばれている選手……。不用意に投げると持っていかれる可能性が高いから、慎重に……低めのストレートで)スッ

 

ルナ(了解です)コクッ

 

それに彼等の後続は危険な選手ばっかりだし、なるべく少ない人数で切っておきたい。

 

ルナ「」ビシュッ

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

ヴァン「速いな……。ハガネ程とはいかなくても、130の後半は出ている」

 

カイト「コースも良いですし、迂闊に手を出すと凡打になるから注意しないといけませんね」

 

 

ガキッ!

 

 

ヴァン「……言ったそばから手を出したな。案の定セカンド正面だ」

 

カイト「だーっ!何やってるんだハーシバル!?」

 

ハーシバル「すまん……。打てそうだったからつい」

 

フランシス「ですがハーシバルさんを責める訳にもいきません。先発の彼女、凄く良い球を投げますから……」

 

ベル「ワンアウトー!このまま抑えて行くよー!」

 

『おうっ!!』

 

エンゼル「表の攻撃と言い、完全に向こうのペースだね……」

 

カイト「くそっ!このままじゃ……!」

 

 

~そして~

 

1番を抑えたのは良いものの、2番のナツミに四球で出塁されてしまった。

 

ルナ「ぐぬぬ……!私の完全試合が……!」

 

ベル「ちょっと慎重になりすぎたね。私も勝負を急ぎ過ぎた」

 

ルナ「そんな事ありませんよ。ベルさんはこれまでキャッチャーとして凄く頑張ってくれています!私もとても投げやすかったですよ!」

 

ベル「そう言って貰えると有り難いね」

 

実際これまでキャッチャーをやってきたけど、このポジション、超難しいよ!配球のあれこれや、ちょっとした動作、ピッチャーへの掛け声等々……。やる事が多すぎる!

 

ベル(とにかく、落ち着いて対処するとしよう……)

 

その後満塁のピンチを迎えたが、ルナの好投によってなんとか無失点で切り抜けた。

 

ルナ「あ、危なかった……」

 

ベル「ナイスピッチ」

 

2回の攻撃は向こう7番からで、此方は……私からか。勢いをそのまま継続させていきたいね。




今回はここまでです。

次回、3イニング目……。


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第12話 3回表

今回もよろしくです。


2回の表裏は互いにヒットを許すものの、得点には至らなかった。私達は併殺も取ったしね。私の打席?まぁ塁に出たとだけ言っておこう。

 

そして3回の攻撃……。打席はフミカからだ。

 

ベル(フミカの第1打席は綺麗なタイムリーヒットだった。本来フミカのバッティングはチャンスメイクの時が多い。そう、この打席みたいにね……)サッサッ

 

フミカ「」コクッ

 

ハガネ「」ビシュッ

 

フミカ「」カンッ

 

初球打ち。結果はライト前に落ちてシングルヒット。この回あと1点は欲しいけど……。

 

フランシス「あの5番バッターはかなりのやり手ですね」

 

ヴァン「ああ……。1打席目も綺麗に打っていったからな」

 

ユウキ「ドンマイ。切り替えて次にいこう」

 

ハガネ「ああ……」

 

カイト「無理せずに打たせていこう。向こうはどうにかして球数を稼いできてるからな」

 

カイト(とはいえ甘く入ったら間違いなくホームランになりそうだ。際どいコースはカットするかそもそも振らないし、1、2番には多く投げさせられている……。ベルさんの時も結構投げさせられたし、下手をするとこのイニングで50球を越えそうだ……)

 

次はシロだね。ここは初球からいこう。

 

ハガネ「」ビシュッ

 

シロ「」コンッ

 

よし。上手く送れた。これでワンアウト二塁……。どうにかして点を取っていこう。

 

ベル(エンドランで御願い。最悪進塁打でも良いよ)サッサッ

 

ユリ「」コクッ

 

ユリ(この場面で1点取れたら大きく試合が動きそう……。ベルさんの期待には応えたい……!)

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ユリ(このバットで!!)カキーンッ

 

ハガネ「しまった!」

 

良い当たり……!入れ入れ!

 

『ファール!!』

 

カイト「危な……。ポールすれすれじゃないか」

 

ユリ(決められなかった……。それなら私は……!)

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ピッチャーが投げた瞬間、二塁にいたフミカが走り出す。そんな中ユリが取った行動は……。

 

ユリ「」コンッ

 

『バント!?』

 

三塁線へのバント……。これは上手く決めたね。さっきのファールで内野、外野共に深く守っていたからね。三塁は確定でセーフだから、最低限の目的は果たした。

 

コウ「ちっ……!」ビシュッ

 

ハーシバル「」バシッ

 

『セーフ!!』

 

そして一塁もセーフ。これはチャンス!

 

ルナ「よーし!ホームラン打っちゃうぞ~!!」

 

ベル(ワンアウトだし、スクイズか犠牲フライでいこう。それか四死球でも可)サッサッ

 

ルナ(ですよね~……)

 

ごめんね……。確実に点が欲しいの。この場面で最悪なのは併殺を取る事。それだけはなんとしても避けたい。

 

ルナ(内野はスクイズ警戒……。それなら私の行動は……!)

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ルナ「」カッ

 

カイト「打ち上げた!?」

 

ユウキ「センター!!」

 

ルナ(しまった!ちょっと浅かった……)

 

ふらふらと浅いフライ。本来なら犠打になるは厳しいだろう。だけど……。

 

ミズキ「」バシッ

 

『アウト!!』

 

フミカ「」ダッ

 

ヴァン「走った!?」

 

カイト「滅茶苦茶浅いフライだぞ!?」

 

私達ならそれでも走る……!

 

ミズキ「流石にそれは無茶だ……ぜっ!!」ビシュッ

 

うおっ!ミズキさん滅茶苦茶肩が良いな……。まるでレーザービームみたいだよ。間に合うかな……?

 

 

ズザザッ!バシッ!

 

 

『…………』

 

際どい……。どっちだ……?

 

『セーフ!!』

 

フミカ「よし……!」

 

ベル(良かった……。上手く打てたね。いや、この場合はフミカのスタートも最高だった。もし1秒でも遅れていたらアウトだっただろうからね)

 

その後満塁のチャンスが出来たけど、追加点は得られなかった……。まだ向こうの勢いも死んでないね。




今回はここまでです。

次回、コンキスタ号&銀の盾の反撃……?


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第13話 3回裏

今回もよろしくです。


3回の裏。前の回は上手く併殺も取れたので、きっちりと3人で抑える事が出来た。そして向こうの攻撃は次は1番から。

 

ハーシバル「とりあえず塁に出てみるか」

 

……やばい。何がやばいかと言うとゲーム内でこの発言をした彼のホームラン率は異常に高いという事。仕方ない。余りこういう事はしたくないけど……。

 

カイト「えっ……?」

 

エンゼル「立ち上がった?あれってどういう事なの?」

 

フランシス「あれは敬遠をするみたいですね。ハーシバルさんとの勝負を避けようとしてるんでしょう」

 

ヴァン「しかし先頭からいきなり敬遠するか……?」

 

フランシス「彼女にも何か意図があると思いますが……」

 

ホームランじゃなきゃ安い安い。正直次の打席でも同じ発言をされたらどうしようと思ってしまう。まぁその時はその時で考えよう。

 

ルナ(先頭バッターでいきなり敬遠……。彼の前打席はセカンド正面。打ち焦っていたみたいだし、それに合わせてまた打ち取れば良いと思うんだけど……)

 

ベル(なんかこの打席は嫌な予感がするからね。勝負を避けよう)

 

ルナ(……わかりました)

 

『ボール!フォアボール!!』

 

正直この出塁で流れが向こうにいくと不味い。

 

ルナ「」ビシュッ

 

ナツミ「」カンッ

 

ベル(初球打ち!?上手くタイミングを合わせられたか……?)

 

ナツミが打った打球は一二塁間を破り、ノーアウト一塁、二塁のピンチを迎える。

 

ルナ「」ビシュッ

 

ミズキ「」カンッ

 

ベル(これも初球打ち……。もしかして狙い球を絞られてる?)

 

これでノーアウト満塁。1回の裏と同じ展開になってしまった。

 

ベル「タイム御願いします」

 

次のバッターはカイト。ここで満塁ホームランとか打たれたら洒落にならないから、1度クールダウンを入れる為にタイムを取った。

 

内野陣が挙ってルナの元に。

 

ユキコ「捕まってしまいましたね」

 

ベル「……あの敬遠で勢いを掴まれてしまったのかな?だとしたら私の判断ミスだ」

 

ルナ「そ、そんな事ありませんよ!ベルさんはあの時何か考えがあって敬遠を選んだんだと思いますし……」

 

確かにそうだけどさぁ……。ゲームと現実を混同したらいけないっていう戒めなのかな?それなら勝負したら良かったよ……。

 

マスミ「……とにかく打たせていこう」

 

フミカ「そうですね。バックには私達が着いています」

 

ナナ「そ、そうだよ!ルナちゃんは安心して投げてよ!」

 

ルナ「わかりました!」

 

ベル「……とりあえず1人ずつ切っていこう。リードは3点あるんだし、落ち着いて投げさえすれば1回の様に無失点で切り抜けられるかもしれないからね」

 

ルナ「はい!!」

 

うん、良い表情。秘密兵器の到着まではまだ時間がかかるし、3回戦で投げて貰った子は裏でアリスと肩を作っている。とはいえあと2イニング位はルナで引っ張りたいけど……。

 

ベル「すいません。大丈夫です」

 

ルナを宥めてプレイを再開させる。

 

カイト「…………」

 

ベル(改めて見ると凄い気迫だね……。実際に彼の特殊能力に闘気でもあるのかな……?)

 

何にせよ油断は禁物……。内野陣を前進させて、外野を定位置に。

 

ルナ「」ビシュッ

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

ヴァン「あの投手、球の勢いが増してきたな……」

 

フランシス「ですねぇ……」

 

この球ならそう簡単には打たれない筈……。

 

ベル(次は低めに……)スッ

 

ルナ「」コクッ

 

2球目にはシュートを要求している。詰まらせて併殺を狙う!

 

ルナ「」ビシュッ

 

カイト(シュート!)

 

カイト「」カンッ

 

打たれた!?打球は……センター前。1点返されたか……。

 

ナツミ「」ピタッ

 

三塁ランナーは自重したか……。まぁあのままだとヨウがホームに投げてアウトだったからね。良い判断だよ。それよりも……。

 

ユウキ「」ザッ

 

ベル(どちらかと言うと警戒するのは此方なんだよね……。満塁だから敬遠する訳にもいかないし、かといって甘いコースに投げると間違いなくスタンドに運ばれる……。とりあえず慎重に直球を投げて)スッ

 

ルナ「」コクッ

 

この後もコウ、アッシュ、ハガネと厄介なバッターが続くから、安心出来ないよね。というか9人全員ガチなんだけど……。

 

ルナ「」ビシュッ

 

ベル「あっ」

 

ルナ「あっ」

 

ユウキ「えっ?」

 

ルナが投げた球はなんと……。

 

ヴァン「ど真ん中……失投だ!」

 

カイト「いけっ!ユウキ!」

 

ユウキ「悪いけど、打たせて貰うよ」

 

 

カキーン!!

 

 

ユウキが打った打球は上空の彼方へと消えていった……。

 

エンゼル「やったやった!逆転満塁ホームランだ!!」

 

ジュン「やるじゃない!」

 

あらら……。こりゃ不味いかな?

 

ルナ「す、すみません……」

 

ベル「気にしない気にしない。今のは不慮の事故だからね。それよりも後続を抑えるよ」

 

満塁弾を打たれたものの、しっかりと後続を切って、3回終了。点数は3対5となった。ヨシノさんの為にも絶対に逆転しないとね……!




今回はここまでです。

次回、5イニング目……。


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第14話 5回表

今回もよろしくです。


4回は2回と同じく点を取る事はなかった。3対5で未だにうちが負けている。ヒットの数は此方が多いのになぁ……。そして打順は……。

 

ルナ「ベルさんファイト~!」

 

アリス「ベルさんなら必ず逆転の一手を導いてくれます」

 

私からなんだよね……。

 

カイト(この回はベルさんからか……)

 

ヴァン「1打席目も2打席目ものらりくらりと塁に出ているからな……。かといって迂闊に踏み込めばホームランを打たれそうだ」

 

フランシス「相手チームで1番警戒するべきバッターは彼女ですからねぇ。打順は9番なのも恐らく監督業に徹する為でしょう」

 

さてさて、向こうはどう出てくるかな?

 

カイト「ハガネ、まだいけそうか?」

 

ハガネ「うむ。多少疲労しているが、この程度なら問題ない」

 

カイト「……わかった。けど無理はするなよ。エドやトレロも控えてるんだ。安心して投げてこい!」

 

2点ビハインドだし、確実に出塁したい……。

 

ベル(内野はやや深め、外野は定位置か。この状況で私が打つ場所は2ヶ所……。全体の守備を見る限り、内野は堅いけど、ファーストが若干守備難、外野はライトは少し動きが遅く、レフトは足は速いけど、守備は苦手に見える。それなら……!)

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ベル(狙いは一塁線!)

 

 

カキーン!

 

 

カイト「一塁線を破った!?」

 

よし、上手くいった!二塁は……間に合うか怪しいな。だったら一塁で止まっておこう。

 

ベル(それに次のバッターはヨウだ。この試合も2安打と調子が良いし、これまでも殆んど安打を打っていて、打率も8割を越えている……。この場面だと1点は確実だ……!)

 

その後は私の目論見通りこの回は1点取る事が出来た。まだまだ続くよ!私達の攻撃は……!

 

さてさて、無事に帰塁もしたし、私は監督業に戻りますかね。

 

ベル(ヨウがタイムリーツーベースを打ってくれて1点差のノーアウト二塁。次のバッターはナナだから、まずはワンアウト三塁の状況を作る)サッサッ

 

ナナ「」コクッ

 

ハガネ「」ビシュッ

 

ナナ「」コンッ

 

バントは成功!予定通りワンアウト三塁!

 

ベル(そしてクリーンアップ。3番のユキコはチーム随一の選球眼とヨウとナナにも負けていない広角打法者(スプレーヒッター)で出塁率ならあのヨウも越える……。この場面は点が取れなくても塁に出てくれたらそれで良い。ユキコを信じてノーサインでいくよ)

 

ユキコ(ノーサインですか……。私を信用してくれていますね。ワンアウト三塁のこの状況、ヒット1本、或いは犠打1つで同点に持ち込めます。それがこの回の最低ライン。ルナさんは次のイニングで交代する確率が高いので、勝ち越しまでいきたいです)

 

ハガネ(流石……。決勝戦まで来ただけあって相手チームはかなり強い……。でも俺とて負ける訳にもいかん!)ビシュッ

 

ユキコ(ストレート……!)

 

 

カキーン!

 

 

ユキコの当たりは外野の奥まで飛んでいった。これなら逆転のプランも視野に入れていける……んだけど……。

 

 

バシィッ!

 

 

マスミ「嘘……!あれを取ったの!?」

 

アリス「相手チームも一筋縄ではいきませんね」

 

ベル「アリス、あの子のアップは終わったの?」

 

アリス「はい、何時でも準備は大丈夫です」

 

それなら状況次第で裏の攻撃で緊急登坂になった時も大丈夫だね。あの打球を取った時は驚いたけど、犠牲フライにはなったので同点にはなった。

 

裏の守備も頑張るぞい!




今回はここまでです。

次回、激戦……!


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第15話 5回裏

今回もよろしくです。


5回裏。向こうの攻撃は2番からか……。ナツミはこれまでの打席も出塁はキチンとしている。

 

ベル(6回の攻撃の打順は7番から……。丁度彼女達が合流するのもこの回が終わってからのハーフタイムだし、球数を考えてもルナはこの回までかな……?)

 

その為にも次の回で逆転まで持っていきたいけど、今は守備に専念するとしよう。

 

ベル(ルナ、この回で全部出し切るよ)スッ

 

ルナ(……わかりました。全力で投げて、あとは皆に任せます!)

 

そう言ってルナはワインドアップで投球する事に……。

 

カイト「ワインドアップ……?」

 

フランシス「彼女の本領発揮でしょうか?」

 

ルナ「」ビシュッ

 

 

ズバンッ!

 

 

カイト「な、なんだあのストレートは!?」

 

ヴァン「球が螺旋回転してるな……?魔術の類いか?」

 

フランシス「まぁある意味間違ってはいませんが、あれはジャイロボールと呼ばれるファストボールですね。ストレートの空気抵抗を少なくして、螺旋回転させる事によって普通のストレートよりもノビやキレが段違いになります」

 

ミーナ「あれを打つのは難しそうですね。しかしよく知っていますね?」

 

フランシス「以前も言いましたが、野球人形が好きな貴族との付き合いもありますからね。とは言え私もジャイロボールを見るのは初めてです。これは良い土産話が出来ました」

 

ベル「ナイスボール!」

 

これまでの試合でもジャイロボールは殆んど投げてこなかった。でも彼等はジャイロボールを温存出来る程甘い相手じゃなかった……。だからこの回限定でジャイロボールをフル回転で投げさせる!

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

よし、まずは先頭バッターを三振!

 

ルナ「」ビシュッ

 

ミズキ「くっ……!」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

続けて3番のミズキも三振!良いよ良いよ!通用してるよ!

 

ベル(ここで4番のカイト……。この3人で切りたいところだけど……)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!フォアボール!!』

 

ベル(流石に際どいところは振らなかったか……。仕方ない。次のユウキを打ち取ろうか)

 

ユウキには満塁ホームランの借りもあるしね。

 

カイト(……て、手が出なかった。フォアボールで助かった)

 

ルナ「」ビシュッ

 

ユウキ「うっ……!」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

この回3三振!でもルナは次の回に投げられるかどうか……。よしんば投げられたとしてもこの回程の球威は出ない。

 

ベル(いくらハーフタイムの時間があるからといってもこの回投げた全力のジャイロボールが3人に投げられるとは限らない。やっぱり代打になるかな?)

 

『これより10分の休憩に入ります。水分の補給はしっかりとしましょう』

 

このアナウンスは本来なかった筈のもの。だって決勝戦はどちらも生身でやっているからね。

 

さて、このハーフタイムで後半の作戦も考えないとね!




今回はここまでです。

次回、ハーフタイム……。


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第16話 新たな助っ人!

今回もよろしくです。


5回の攻守が終わってハーフタイム。10分間の休憩の時間。この間に連携の確認や相手投手の攻略、次の投手の準備等々をこなしていく。

 

私達の場合は中継ぎの準備は終わっているので、抑えの準備位かな?

 

???「せーんぱい!!」

 

 

ムギュッ!

 

 

ベル「おぅっ……!」

 

今私に後ろから勢い良く抱き付いて、尚且つせんぱい呼びをする子なんて1人しかいない。それにしても凄い勢い……。

 

アリス「……何をやっているんですか?」

 

シロ「そ、そうだよ!破廉恥だよ!!」

 

いや、シロさんはどこの風紀委員なのかな?

 

???「え~?こういうのは早い者勝ちなんだよ?」

 

ベル「……今日も来てくれて助かったよ」

 

???「先輩の為なら火の中水の中ですよ!」

 

シロ「むむむ……!」

 

アリス「……と、とりあえず肩を作りましょうか?貴女は今日のうちの抑えなんですから。そうですよねベルさん?」

 

あ、アリスの額に青筋が沢山……。早くこの場を納めないと!

 

ベル「……そうだね。アリスと一緒に肩を作ってきてよ」

 

???「……先輩の御願いなら仕方ありません」

 

ベル「頼んだよ。アンズ」

 

アンズ「了解です!」

 

助っ人の1人であるアンズ。準決勝で先発を努めて完全試合を叩き込んだチーター。

 

彼女は私達と同じ異世界出身なんだけど、彼女の場合はヨウ以上に複雑な事情があってこの世界にいる。その辺りの事は何れ話すとしよう。あとミライの事も師匠と呼んでいるどこか雰囲気の掴めない子だ。

 

イツキ「御待たせしました」

 

イチカ「遅くなってごめんね~」

 

ベル「気にしないで。アンズ達もさっき着いたばっかりだし」

 

ヨツバ「残りのイニングは私達も頑張りますよ!」

 

ベル「頼もしいね。期待してるよ」

 

ニノ「私とミクはサポートに回るわ」

 

ミク「本当は選手として出たかったけど……」

 

ベル「サポーターも少なかったし、それはそれで有り難いよ。御願いね」

 

次に来たのはイツキ達5姉妹。3人は選手として、2人はアリスやヨシノさんと同じサポーターとして出場している。

 

ベル(6回は6番から……。少し早いけど、代打攻勢をかけていこう。代えるとしたら6番のシロ、7番のユリ、8番のルナ、9番の私辺りになるかな……?上位打線は代え辛いし。でもアンズの球は私以外結局捕れなかったし、私以外の3人、或いは代走で誰かを起用するのもありかな?)

 

しかしその後の守備を考えると迂闊な変更も出来ない。誰か1人は自身の活躍に期待するのも考えの1つ。どうしたものか……。

 

『間もなく休憩の時間が終了します。両チーム準備を早めに済ませてください』

 

おっと、もうそんな時間か……。アンズのアップはもう暫くさせておいて大丈夫かな?その辺りの事はアリスに任せよう。

 

ベル「皆。現在は同点だから、確実な得点を目標に。守備の方は極力点を取られないように頑張ろう!」

 

『はいっ!!』

 

気合充分!この大会の優勝チームは私達だ!




今回はここまでです。

次回、後半開始……!


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第17話 6回表

今回もよろしくです。


この回は6番からか……。出来ればこのイニングで勝ち越したいな。

 

ベル「シロ、必ず出塁してね。此処で勢いを掴みたいから」

 

シロ「はいっ!」

 

気合を入れてシロは右打席に入る。

 

マスミ「向こうはピッチャーを代えてきたね」

 

ベル「球数もかなり費やしたし、仕方ないかもね」

 

向こうのはエドを投入した。厄介な投手ではあるけど、ハガネに比べたらまだやりようはあるかな?

 

 

ビシュッ!ズバンッ!

 

 

ヨウ「……先発よりも速い」

 

フミカ「でも見た感じ球が荒れているから、付け入る隙はありそうですね」

 

ベル(その通り。だからシロには待球作戦でいく……)サッサッ

 

シロ「」コクッ

 

その後目論見通りにシロはファールとボールで粘りフォアボールで出塁した。

 

そして7番のユリに代打。この局面だと……。

 

イチカ「よーし、お姉さん頑張っちゃおっかな~!」

 

バットコントロールが抜群のイチカかな?

 

ベル「最低でも進塁打で御願いね」

 

イチカ「任せてよ。でも基本的には待球で良いんでしょ?」

 

ベル「今カイトが相手ピッチャーを宥めているみたいだけど、待球で問題ないよ」

 

そもそもゲームだとコントロールEだしね。慎重に投げても四死球になる可能性はそれなりに高い。

 

『ボール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ボール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ファール!』

 

『ボール!』

 

凄っ!もう15球も投げさせてる……。

 

エド「このっ……!」ビシュッ

 

イチカ「よっ……と」カッ

 

『ファール!』

 

際どいコースを全てカットしてるから、大したものだよ。粘り打ちにおいてはイチカ以上のバッターはこの場にいないんじゃないかな?

 

イチカ(う~ん……。もうそろそろ良いかな?)

 

『ボール!フォアボール!!』

 

続けてフォアボール。2人で30近く球数を費やしたね。儲け儲け!

 

エド「くそっ……!」

 

カイト「いけそうか?」

 

エド「……ああ、大丈夫だ!」

 

そろそろ立ち直りそうだけど、この辺りで一発決めさせて貰おうかな?

 

ベル「ヨツバ、あとは任せたよ。決めてきてね」

 

ヨツバ「りょーかいです!」

 

ルナの代打で元気いっぱいに左打席に立つヨツバ。豪快なスイングをして相手を萎縮させる。

 

ヴァン「凄いスイングだな……。此方にまで風切り音が聞こえるぞ」

 

フランシス「一塁は空いていませんが、歩かせるのも手段の1つかもしれませんねぇ」

 

どちらかといえばこの風切り音で萎縮して勝負を避けてくるというのが狙いでもある。

 

カイト「勝負するのは危険だけど、此処で歩かせると満塁でベルさんに回る……。出来ればそれは阻止したいな」

 

エド「最初から全員捩じ伏せるつもりだっての!」

 

向こうの相談は終わったようだ。どうやらヨツバとは勝負する形になったみたい。

 

ベル(球数については気にしなくても良いよ。なんなら初球で決めちゃって)サッサッ

 

ヨツバ(わっかりました!)

 

エド「」ビシュッ

 

ヨツバ「貰った!!」

 

 

カキーン!!

 

 

当たりはフェンスに激突。ホームランにはならなかったけど、走者一掃のタイムリーツーベース。これでうちが2点リードだね。

 

その後再びチャンスが出来たけど、エドの球はそう簡単には打てず、コースもストライクゾーンによく投げられていたのもあり得点には至らなかった。でもこの2点のリードは大きい。このまま逃げ切らせてもらうよ!




今回はここまでです。

次回、中継ぎ登坂……。


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第18話 6回裏

今回もよろしくです。


6回の裏。私達は守備に付く前に円陣を組んでいる。

 

ベル「さて、残り4イニング……。どんな場面でも決して油断出来ない。1人1人全力で打ち取ろう!」

 

『はいっ!!』

 

決意を新たにしたところで皆は守備に付いて、私はピッチャーの元に駆け寄る。

 

ベル「調子はどう?」

 

???「こ、こんな大舞台でマウンドに上がると緊張してきます……。それで3回戦みたいに打たれたらどうしようって」

 

ベル「自信を持っても良いよ。あの時とは違って2、3イニングだけの登板だし、相手も馬鹿みたいなスイングをする訳じゃない。しっかりと投げればそう簡単には打たれないよ」

 

???「…………」

 

ベル「だから頼んだよ……シロ!」

 

シロ「はい!」

 

うちの守備はピッチャーにシロ、ファーストにイチカ、ショートにヨツバ、ファーストにいたマスミがレフト、ショートにいたユキコがライトとなっている。

 

シロ(慎重に、慎重に……!)ビシュッ

 

 

ククッ!ズバンッ!

 

 

ヴァン「向こうの次のピッチャーはライトを守っていた奴だな。厄介な変化球使いという訳だ」

 

フランシス「先発の人よりも球は遅いですが、変化球が豊富な様ですね。これはこれで簡単に打ち崩せる相手ではなさそうです」

 

 

ガキッ……!

 

 

ヴァン「……言ったそばから先頭のコウが打ち取られたな」

 

カイト「……此処は代打を出しましょう。アッシュ。君の打席だけど、アイツを出す」

 

アッシュ「おお!アイツか!?アイツは凄い力だから、俺が代わる理由には丁度良い!」

 

……向こうは代打を出すみたい。一体誰を?

 

カイト「頼んだぞ……ネロ!」

 

ネロ「うー、ネロ、頑張る……」

 

えっ?ネロ!?

 

ベル(ここでユウキ以上のパワーの持ち主か……。3回戦の相手が皆ネロみたいに振り回すパワータイプのバッターしかいなかったから、見てしまうとシロのトラウマが再発してしまいそうだ。とりあえず様子見も兼ねて、高めのカーブを御願い……)スッ

 

シロ「」コクッ

 

シロ(慎重に……!)ビシュッ

 

ネロ「うー!」

 

 

カキーン!!

 

 

ベル(ファールでしょ?ファールだよね!?)

 

『ファール!』

 

こ、コースが良い分助かった……。

 

ベル「タイム御願いします」

 

タイムを取って内野陣がシロに駆け寄る。

 

フミカ「大丈夫ですか?」

 

シロ「えっ、えっと……」

 

ヨツバ「女は度胸!全力で勝負すればきっと勝てます!!」

 

ナナ「シロちゃんのピッチングなら大丈夫だよ。自信持って!」

 

イチカ「ホームラン以外ならどんどん打たせていっていいから、頑張っていこう?」

 

ベル「皆の言う通り、今のシロの球なら大丈夫。そうだね……。あのバッターには前に教えたピッチングで攻めてみようか」

 

シロ「前に……」

 

ベル「それだけでいけると思うよ。あとはバックを信じていこう」

 

シロ「……はい」

 

そんな訳で試合再開。

 

シロ(ベルさんがあの時教えてくれたピッチング。確かホームベース2個分のストライクゾーン……!)ビシュッ

 

ネロ「うー!」ブンッ

 

『ストライク!』

 

シロ(いける……!)ビシュッ

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

ヴァン「変化球のキレが上がってきたな……。これは不味いんじゃないか?」

 

カイト「くっ……!」

 

次のバッターも三振に取る事に成功して、この回は無失点となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

???1「……試合はコンキスタ号と銀の盾連合が負けているみたいですね」

 

???2「ええ。まぁどちらが勝っても私達のやる事は変わらないわ」

 

???1「そうですね」

 

???2「では行きましょうか」

 

???1「はい」

 

観客席の上の方では何者かが暗躍の為に動いていた……。




今回はここまでです。

次回、更に点差を広げにいく……。


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第19話 7回表

今回もよろしくです。


更なる追加点を求めてこの回も頑張っていこう!

 

ベル「さて、頼んだよユキコ」

 

ユキコ「はい」

 

それにこの回はクリーンアップから。最も得点に繋げやすいから期待値も高い。

 

そして向こうは守備が何人か代わっている。サードにカイトが、ショートにカンドリーが、レフトにマルチナが、ライトには代打に入ったネロが入っている。それと……。

 

アリス「向こうはまたピッチャーを代えてきたみたいですね」

 

ベル「そのようだね」

 

今投げているのはトレロ。彼も投手としての実力はそれなりのもの……。とはいえハガネとエドに比べたら多少劣る。

 

ユキコ「」カンッ

 

マスミ「」カンッ

 

この様に簡単にチャンスを作る事が出来る。この回更にリードを広げていきたいね。

 

ベル(……?向こうの様子が可笑しい。どうしたんだろう)

 

すると向こうのベンチからこんな声が聞こえた。

 

???「トレロのお兄ちゃ~ん。頑張って~!大好き~!!」

 

えっと……。何今の?応援?

 

トレロ「うおおおっ!!」

 

『バッターアウト!!』

 

嘘っ!?あっという間にツーアウト取られたんだけど!

 

シロ「す、すみません……」

 

フミカ「……向こうのピッチャー、急に良い球を投げる様になりました。要注意です」

 

ベル「そ、そうなんだ……」

 

一体向こうに何があったんだろうか……?

 

イチカ「」カンッ

 

次のイチカの打った打球は一二塁間を破る当たり。これは二塁までいけるかな……?

 

イチカ(二塁行けるかな~?)ダッ

 

おっ、回った。行けると踏んだのかな?

 

ネロ「うー……!」ビシュッ

 

うわっ!思ったよりも強肩だ。これは刺されたかな……?

 

その時1羽の蝶がグラウンドにヒラヒラと飛んできた。

 

ハーシバル「あっ、蝶々だ」

 

カイト「ハーシバル、後ろ!」

 

ハーシバル「えっ?」

 

 

ゴチーン!!

 

 

カイト「何やってるんだアイツは!?」

 

カンドリー「……前にもこんな事がなかったか?」

 

なんか前にも同じ事があったらしい……。

 

状況を確認するとネロの送球がハーシバルの後頭部に当たり、その球が丁度ナツミのグラブに収まり、イチカをタッチしてタッチアウトになったと……。

 

イチカ「ごめんねー」

 

ベル「気にしなくても良いよ。あれは御互いにとって事故みたいなものだし」

 

しかしチャンスで点が取れなかったのは痛いな……。ある意味ハーシバルが身体を張ったプレイをしたという訳だね。

 

シロ「む、向こうは大丈夫でしょうか……?」

 

ベル「大丈夫である事を祈るしかないね。……それに私達は人の心配をしている余裕はないよ」

 

あのチーム相手に2点差では心元がない。それ故にこの回無得点なのはキツイ。……切り替えて守るしかないか。




今回はここまでです。

次回、相手チームにチャンスが再び?


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第20話 7回裏

今回もよろしくです。


7回裏。先頭バッターも三振に取ってワンアウト。この調子でいきたいね。

 

カズーイ「よっしゃ、来ーい!」

 

ハーシバルの代わりにカズーイが出て来たか……。まぁあの状態でプレイ続行は厳しいもんね。

 

ベル(カズーイは身体能力が高い。加えて背も高いから、下手にアウトコースへと投げれば簡単に打たれてしまう……。それならインコースに……で御願いね)スッ

 

シロ「」コクッ

 

 

ビシュッ!

 

 

カズーイ「おりゃあ!!」

 

えっ?あの構えはまさか……!?

 

 

カッ!!

 

 

カズーイの打球はそのまま三遊間を破っていった。ま、まさかバットを槍みたいに操るなんて……!

 

ベル(槍を扱うならどんなにコースも自由自在って事か……。これは不用意にいきすぎたね)

 

カズーイ「」ダッ

 

ベル(一塁を回った……?行けると思ったのかな?だとしたらうちの外野を甘く見すぎだよ!)

 

マスミ「」ビシュッ

 

カズーイ「なっ!?」

 

マスミの送球がそのままフミカへと渡り、タッチアウト。うちの外野じゃなかったら二塁もセーフだったかもね。

 

 

~そして~

 

……で、ツーアウト三塁。なんでこうなったんだろうね?というか……。

 

シロ「あ、あれ?なんでこんなに疲れてるんだろ……?そんなに球数投げてだっけ?」

 

フミカ「ランナーも気付けば三塁に……。何時の間にピンチを迎えていたのでしょうか?」

 

ナナ「気が付いたら目の前にランナーがいてびっくりしたよ」

 

ヨツバ「イチカ、さっきまでの光景は見えてた?」

 

イチカ「いや、一塁にランナーがいた事すらわからなかったよ。私達も一応忍なのに、気付けなかったのは恥ずかしいなぁ~」

 

……という感じで今は三塁にアンドウさんがいます。彼はシロの球に対して30球も粘り、即座に三塁まで盗塁していた。ステルスアンドウ……恐るべし!私も反応が少し遅れたしね。投げる前に塁に到達してたし……。

 

ユキコ(流石アンドウさんですね。私もあの様に気配を消す事が出来ません)

 

ベル「とにかくツーアウトだから、落ち着いて投げていこう。球数的にシロはこの回までになりそうだけど……いけそう?」

 

シロ「はい、全力で投げ切ります!」

 

ベル「よし、頼りにしてるよ」

 

次のバッターはミズキ。パワーはそこまでだけど、安定したバッティングをしていて今日も3安打。油断してると逆転のピンチというか状況に陥ってしまう。

 

ベル(……奥の手を使うか。あれ、いくよ)スッ

 

シロ(……!わかりました)コクッ

 

 

ビシュッ!

 

 

ミズキ「なっ!?」

 

 

ズバンッ!

 

 

カイト「なっ!なんだあのカーブは!?」

 

ある漫画を元にした対左用のカーブ。まだまだ練習途中の段階だけど、1人位ならいけそうかな?

 

 

ビシュッ!

 

 

ミズキ「くっ……!」

 

 

ズバンッ!

 

 

ヴァン「2球目もあのコースか……」

 

フランシス「コースがスレスレのストライクゾーンなのが厄介ですね。ミズキは左打ちですし、あのカーブを打つのは厳しいでしょう」

 

カイト「でも何球もあのコースを決めるのは無理な筈……。上手くいけばフォアボールでランナーが溜まるかも……!」

 

 

ビシュッ!

 

 

ミズキ「……!」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

ヴァン「……3球連続で同じコースを決められたか。あの球を何時でも投げられるとなったら点を取るどころかバットに当てるのすら厳しくなってくるぞ」

 

カイト「い、一体どうしたら……」

 

よし……!なんとか凌いだ。あとの2イニングはアンズに任せればいける。……とは言え油断は出来ない。何が起こるかはまだまだわからないんだから。




今回はここまでです。

次回、追加点を求めて……!


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第21話 8回表

今回もよろしくです。


シルヴィア「シロちゃん、ナイスピッチング!」

 

マスミ「本当、あのチーム相手に好投出来てたよ」

 

シロ「ありがとう、2人共」

 

ベル「実際に良いピッチングだったよ。この回の攻撃次第ではもう1イニング投げてもらう事になるけど、いけそう?」

 

シロ「……正直わかりません。私の変化球は未完成ですので、次の回も上手くいく可能性は低いと思います……」

 

やっぱりそうだよね……。あの3球は綺麗に決まりすぎてたから、もう1イニングってなると出来るか微妙だし。

 

ベル「……って事だから、次の回からは頼んだよアンズ」

 

アンズ「勿論です。皆がゆっくり時間を描けてくれた御蔭で身体は暖まっています!」

 

暖まっているって別の意味に聞こえるのは多分気のせいだよね?

 

ベル「じゃあ残り2イニング、攻撃も守備も全力でやっていこうか」

 

『はい!!』

 

この回はヨツバからだけど……。

 

アリス「また向こうはピッチャーを代えてきていますね」

 

ヨツバ「どんなピッチャーでも私がスタンドまでぶちこみますよ!」

 

……で、相手のピッチャーは……アマルダか。他に投げられそうな人はいないのかな?

 

アマルダ「」ビシュッ

 

 

フワッ……パスッ。

 

 

『ストライク!』

 

ヨツバ「うぅ~!」

 

アリス「先程までの人達とは真逆で、遅い球を主軸に投げてきますね」

 

ベル「あれだけ遅いとタイミングが取りにくいだろうね。しかもヨツバとは相性最悪と来たもんだ」

 

ベル(単純にそれだけでもなさそうだけどね。アマルダは魔術師としてかなりの実力を持っているから、投球の時にそれを使っている可能性は高い……)

 

だから上手い具合に見ていけばフォアボールを狙えると思うんだけど……。

 

 

~そして~

 

あっさりとツーアウトを取られてしまった……。ヨツバはまだしも、ヨウまでも翻弄するとは恐るべし……!だけど……。

 

ベル(ナナの代打として出したシルヴィアがフォアボールを取ってくれた。あの球威しか投げられないのなら、盗み放題だよ)

 

同じ事をシルヴィアも考えていたのか、リードをやや大きく取っている。

 

シルヴィア(よーし、じゃあ走っちゃいますか♪)

 

アマルダ「…………」

 

ピッチャーの沈黙が長い……。焦らし戦法って訳でも……まさか!?

 

アマルダ「カズさん、一塁ランナーをタッチして!その後に塁審にグローブを見せて!!」

 

ベル「シルヴィア、急いで一塁に戻って!!」

 

ほぼ同じタイミングだった。という事はやっぱり……。

 

シルヴィア「へ?」

 

カズーイ「あっ……」

 

シルヴィアの方は呆気に取られて反応出来ず、カズーイの方はアマルダが何をするかをわかっていたみたいで、シルヴィアをタッチしてグローブを審判に見せる。

 

『アウト!』

 

シロ「い、今何が起こったの……?」

 

ベル「多分向こうが魔法を利用して、隠し球を使ったんだよ。魔法自体反則みたいなものだけど、ルールに則った行為ならそれも例外……。やられたね」

 

シルヴィア「ごめんなさい……」

 

ベル「あれは向こうが上手かったよ。切り替えていこう」

 

だけど同じ手は2度も喰わないよ……。




今回はここまでです。

次回、秘密兵器登板……!


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第22話 8回裏

今回もよろしくです。


8回の守備。サードにはシロが入り、ピッチャーは私達の秘密兵器ことアンズ。

 

ベル「準決勝の時みたいに完璧に相手を捩じ伏せてきてね」

 

アンズ「任せてください!」

 

この子は本当に野球能力だけなら私達の中でも群を抜いている。私達と同じ異世界を渡って来たって本人は言ってたけど、野球が盛んな世界にも行った事があるんだろうか……?

 

カイト「えっ……?アンズさん!?」

 

カイト「久し振りだねキャプテンカイト率いるコンキスタ号。それとヴァン率いる銀の盾の人達も」

 

ん?カイト達と知り合いだったんだ?

 

ベル「その様子だとカイト達はアンズを知っているみたいだね?」

 

カイト「あ、ああ……。アンズさんは一時期俺達の船に乗っていたんだ。彼女の御蔭で学べた事も多い。でもまさかベルさん達と繋がっていたとは……」

 

ベル「多分君達の方が早くアンズと知り合っていたと思うよ。私達がアンズと会ったのはつい最近だし」

 

それこそ今回の依頼がきたのはアンズと会った直後位だし……。

 

ベル「まぁ何にせよ私達の秘密兵器の力を見ていってよ。6人で終わらない様にね……」

 

カイト「どういう意味だ!?」

 

私はマスクを被り、グラブを構える。準決勝と同様でも小細工はなし、ど真ん中に全力のストレート!

 

アンズ「」ビシュッ

 

 

ズドォンッ!!

 

 

『……っ!?す、ストライク!』

 

ああ……。準決勝の審判もこんな感じで呆気に取られていたね。

 

ヴァン「な、なんだ今の球は……!」

 

フランシス「……これは不味いですね。アンズさんの球は今まで相手してきた誰よりも速いです」

 

エンゼル「ええっ!?先発のルナちゃんもその次のシロちゃんも凄い球を投げていたのに……!?」

 

ヴァン「アンズのあの球を見るとそれすらも霞んでしまう。ベル達は完全にこの試合を決めにきたな……」

 

ふふふ、驚いてるね。私も初めて見た時は驚いたもん。それに加えて……っとこの話はもしもこのストレートが打たれた時用にとっておこう。

 

アンズ「」ビシュッ

 

カイト「くっ……!」ブンッ

 

 

ズドォンッ!!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

よし先頭バッター打ち取ったり!

 

カイト「ど、ど真ん中にしか投げてないのに、掠りすらしないなんて……!」

 

ベル(これがうちの秘密兵器の実力だよ。さて、これを見て向こうの勢いを削いでいけたら良いんだけど……)

 

その後のユウキとカンドリーもアンズの球に当てる事が出来ず、この回の守備は終了した。

 

ベル「ナイスピッチ」

 

アンズ「ありがとうございます!」

 

ユキコ「アンズさんが投げていると私達は暇になりますね。ここからは準決勝と同じ展開でしょうか?」

 

ユキコの言う通り準決勝の守備陣はずっと立ちっぱなしで退屈そうだった。この決勝はあと1イニングだけど、少しは抵抗してくれるよね?




今回はここまでです。

次回、最終イニング……。


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第23話 ラストイニング

今回もよろしくです。


9回……つまり最終回。表は満塁のチャンスになったけど、向こうの粘りも流石と言うべきか得点するに至らなかった。よって私達の2点リードのまま。

 

ベル「さぁ、最後の守りだよ。1人ずつ切っていこう」

 

アンズ「任せてください!」

 

……で、相手は7番から。

 

アンズ「」ビシュッ

 

 

ズドォンッ!!

 

 

ど真ん中のストレートで先頭のネロ、次のアマルダの代打で出て来たモッチーと続けて三振。

 

モッチー「やられたでやんす……。ところでこれがオイラの初台詞って本当でやんすか?」

 

カイト「…………」

 

モッチー「何か言うでやんす!!」

 

……もしかしたら延長戦になった時にモッチーをピッチャーとして投入するつもりだったのかもしれないね。ともかくこれであと1人……!

 

ベル(最後はマルチナの代打でハイバラが出て来たか……。こんな伏兵をよくもギリギリまでとっておいたものだね)

 

カイト「頼むハイバラ、ここで打って繋げていってくれ!」

 

ハイバラ「……承知した」

 

ベル(本来ならここで歩かせて次のカズーイで勝負を決めにいきたいところなんだけど……)スッ

 

アンズ「」フルフルッ

 

ベル(やっぱ首を横に振るよね……。それがアンズ自身のプライドなのかは知らないけど、私個人としてもこの勝負は気になるからね。思いっきり殺ってきてよ)スッ

 

アンズ(……ありがとうございます)

 

ヴァン「……互いに凄い集中力だな」

 

カイト「ええ、俺達の勝利はハイバラにかかっていると言っても過言ではないでしょう」

 

アンズ「」ビシュッ

 

 

ズドォンッ!!

 

 

『ストライク!』

 

ベル(スイングすらなしか……。まぁそう簡単には手を出さないだろうね)

 

アンズ「」ビシュッ

 

 

ズドォンッ!!

 

 

『ストライク!』

 

ベル(これもノースイング……。これで追い込んだ筈なんだけど、そんな気がしないのは何故なんだろうね)

 

とにかく、これで決める……!

 

アンズ「」ビシュッ

 

ハイバラ「っ!」

 

 

カッ……!

 

 

ベル(当てられた!?)

 

アンズ(成程ね……!ならもう1球!)ビシュッ

 

ハイバラ「……!」

 

 

カッ!

 

 

ベル(また当てられた……)

 

アンズ(やっぱりマグレなんかじゃない。私のストレートもまだまだだな……。それがわかっただけでもこの大会に参加した甲斐があった。先輩、これで終わりにします)

 

ベル(良いの……?)

 

アンズ(はい。私が気になっていた事も、これからどうするべきなのかも定まりました)

 

ベル(それなら決めちゃって)

 

カイト「当たる!当たるぞ!!」

 

ハーシバル「食らい付いていけ!」

 

カンドリー「おまえなら出来る!」

 

……こういうのって普通カイトかヴァンのポジションじゃないのかな?

 

アンズ(勝負、楽しかったよ。でもこれで終わり……。私達は負ける訳にはいかないから)ビシュッ

 

カイト「コースはど真ん中!打てる!」

 

ハイバラ「」ブンッ

 

ベル(それがストレートなら恐らくタイミングバッチリだっただろうね。でも……!)

 

 

ズドォンッ!!

 

 

ハイバラ「!?」

 

カイト「なっ……!?」

 

ヴァン「フォーク……ボール……!」

 

ベル(アンズはストレート1本のピッチャーじゃないんだよね。まぁあれだけの球速だからそれしかないと錯覚していたのかもしれない。残念だったね……)

 

『ストライク!バッターアウト!ゲームセット!!』

 

こうして決勝戦も私達が勝利して優勝する事が出来た。




今回はここまでです。

次回、もう1つの……。


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第24話 決勝戦の裏側

今回もよろしくです。


ミライside

 

『プレイボール!』

 

ミク「……始まりましたね。決勝戦が」

 

ミライ「そうね。まだ暫くは向こうもアクションは起こさないでしょうから、貴女も試合を見ておきなさい」

 

ミク「はい」

 

今日はベル達が参加する野球大会の決勝戦。私とミク(未)はこの試合が終わった後に起こるであろう出来事を未然に防ぐ為に動いている。

 

ミクには試合の経過を私に伝えてもらって、私は事件を起こそうとしている人間を観察している。

 

(ぐぬぬ……!あんな小娘共に私が造った最高傑作達が負けるなんて……。認めん。私は絶対に認めんぞ!この試合が終わったら大会を滅茶苦茶にしてやる!)

 

ミライ(……憎悪の心が漏れ出ているわね。放っておいてもベル達がどうにでもするでしょうけれど、折角だからあの子達には野球を楽しんでもらいたいわね)

 

それなら私達でこの事件を終わらせてしまいましょうか。

 

ミク「あっ、先制した!」

 

……この子もこの子で野球を楽しんでいるわね。

 

 

~そして~

 

ミク「手に汗握る試合ですね……。どっちも激しい攻防を繰り返しています」

 

この子こんなに野球が好きだったかしら?それとも此処がパワポケの世界だからなのかしら?

 

ミライ「3回が終わって3対5……。うちが負けているわね」

 

ミク「あの満塁弾がキツかったですね」

 

ミライ「それでも後続を抑えているから、ルナもまだ死んでいないわ」

 

ミク「それに3回戦の試合でも大量に点を取り合っていた事を思い出しますね」

 

ミライ「その状況と違うのは決勝戦の相手が3回戦の時とはくらべものにならない位高いレベルだという訳ね」

 

私は現実世界でも野球観戦をそれなりにするから、この決勝戦がどれ程レベルが高いのかもわかる。出来れば何時までも見ていたいけれど……。

 

 

~そして~

 

時は進み6回の表が終わり、ベル達が逆転した。これで勝負は決したかしらね?

 

ミライ「名残惜しいけれど、そろそろ行くわよ」

 

ミク「はい」

 

私達は事件を沈静化させる準備を行う。……とは言っても事件を起こそうとしている人間に頃合いを見て接触させて『消すだけ』だけれどね……。

 

 

~そして~

 

『ゲームセット!!』

 

「あの小娘共が勝ったか……。まぁどちらが勝とうが同じ事。見てろよ……!」

 

ミライ「悪いけれど、それはさせないわ」

 

「誰だっ!?」

 

ミライ「誰と言われて名乗る程気を許していないわ。どうせもう会う事はないのだから。ミク、やってしまいなさい」

 

ミク「はーい。では失礼しますね」

 

「なっ!?な、何をする!や、止めろ!!」

 

 

ミョンミョンミョンミョン。

 

 

「…………」

 

 

ドサッ!

 

 

ミク「終わりました」

 

ミライ「ありがとう。後は此方でやっておくから、貴女はベル達と合流してきなさい」

 

ミク「はい」

 

さて、これで此方の仕事は終わったわね。後処理をしっかりこなして私もタイミングを見計らってベル達と合流しましょうか。




今回はここまでです。

次回、優勝後の……。


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第25話 依頼の真相

今回もよろしくです。


勝った……。勝ったんだ。優勝したんだ私達!

 

辺りを見てみるとイチカとヨツバが抱き合って、フミカ、ユキコ、マスミがそれぞれハイタッチ、その他も同様に抱き合ったりハイタッチしたりと盛り上がっていた。まぁ正直私もそこに混ざりたいけど……。

 

ベル「皆、整列と挨拶が終わるまでが試合だよ。最後までしっかりしよう!」

 

私の一声で皆はハッとして整列し始める。

 

『ありがとうございました!!』

 

 

~そして~

 

「おめでとうございます。此方が優勝商品です」

 

ヨシノ「ありがとうございます!」

 

商品は依頼人であるヨシノさんに。これで依頼の方は終了したね。

 

 

 

~そして~

 

試合が終わり、祝勝会もそこそこに私とミライはバルコニーにて話している。

 

ミライ「御疲れ様」

 

ベル「本当に疲れた……」

 

キャッチャーって滅茶苦茶頭使うんだよね。更に監督の仕事と兼業しながらだし……。

 

ベル「そもそも今回の依頼はヨシノさんからというよりは殆んど国からの依頼だったんだよね?」

 

ミライ「ええ、彼女はその代表の御息女だったみたい」

 

今回の依頼を持ってきたのはヨシノさんで、実は彼女の姉である人物がコンキスタ号達に依頼していた……というのが事の真相である。

 

ベル「……つまり決勝戦まで勝ち進んだ時点で依頼は達成していたって事?」

 

ミライ「一応そうなるわね。けれど貴女達が準決勝で相手にしていたチームが今回の騒動を引き起こした張本人だったみたいで、彼女達のチームが不戦敗になって自分達の優勝は揺るぎないと思っていた矢先に……」

 

ベル「私達みたいに生身で参加するチームが現れた……と」

 

ミライ「輩の方は此方で始末しておいたわ」

 

始末って……。殺してないよね?

 

ミライ「……とは言ってもミクが記憶操作をして、大会そのものが本人にとってはなかった事になっているわ。勿論その周辺もね」

 

記憶操作まで出来るんだ……。流石神様級の実力の持ち主。

 

ミライ「それで?」

 

ベル「えっ?」

 

ミライ「どうだったかしら?久し振りに野球をしたでしょう?」

 

ベル「そうだね……」

 

疲れたのとは別に楽しかった。決勝戦以外の相手は野球人形ばかりだったけど、人形の動きとか見ていて感心したし。ヨウの言った通り自分達でプレイした方がずっとずっと良い!でも……。

 

ベル「ミライがキャッチャーとして入ってくれたらもっと楽に勝てたのに……」

 

ミライは私よりも断然頭が切れるし、中学の頃に草野球をそこそこしていた時もミライはキャッチャーとして大活躍していたからね。

 

ミライ「私は私の用があったのよ。だから貴女以外に適任はいなかったわ」

 

ベル「そう……」

 

まぁ何でも良いけどさ。とにもかくにも野球騒動はこれにて閉幕という事で!




今回はここまでです。

次回、魔物の世界で……。


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第26話 ライカンワールド

今回もよろしくです。


今日はパワポケ12裏の世界に新たな戦力を求めて徘徊している。

 

シロ「な、なんかジャングルみたいな所に出たね……」

 

ベル「此処にはどんな人がいるの?」

 

ヨウ「此処には人っていうか魔物なんだけど、ベル達が必要としている戦力がきっといる」

 

魔物か……。そういった仲間も集めた方が良いのかな?銀の盾もライカン仲間にしてるし。あっ、そういえば私達もメッチーがいたんだっけ?メッチーってそもそも魔物?

 

ルナ「うぅ……!暗い、視界が悪い、何か出そうで怖い……」

 

先程からルナが生まれたての小鹿の如くプルプルと震えている。そんなに怖いかな?

 

ヨウ「もうすぐ村に着くから、それまでは我慢して」

 

というヨウの言葉にルナの震えは止まって、私にしがみつきながら歩いている。暑苦しい……。

 

 

~そして~

 

ルナ「着いたー!」

 

着いた途端急に元気になったね。何か良い事があったのかと思っちゃう位に。それにしても……。

 

ベル「此処は……人里なのかな?」

 

シロ「凄く賑わっていますね」

 

ヨウ「……正確には人里じゃない。人間も住んでいるけどね」

 

???「おや?この村に何か御用ですか?」

 

私達に話し掛けてきたのは如何にもな優男というイメージの青年だった。

 

ベル「はい。私達に力を貸してくれる人材を求めて訪れた次第です」

 

……しかしこの人凄い力が隠されているな。この村の中でも1番なんじゃないだろうか?

 

ベル「……御名前を伺っても?」

 

???「自分はキンジョウと申します。一応この村の村長をしております」

 

キンジョウさんか……。他の6割位の人達もそうだけど、もしかして……。

 

ベル「……ではキンジョウさん、私達に力を伺っても貸して貰えないでしょうか?」

 

キンジョウ「……何故自分に?」

 

ベル「そう遠くない内にこの世界に厄災が訪れます。それに対抗する為に強力な人材が1人でも多く欲しいんです。そしてキンジョウさんはこの中でも実力が飛び抜けて高い『ライカン』と見受けしてその力を貸して欲しい……」

 

キンジョウ「ほう……!」ピリッ

 

っ!?今キンジョウさんから闘志が感じられた。もしかして一戦交えないといけないやーつ?他のライカン達もピリッとしてるし。

 

ルナ「ライカンって?」

 

ヨウ「普段は人の姿をしていて、力を発揮する時に獣に変身する半人半獣の事。この村の7割近くはライカンが生活してる」

 

シロ「そうなんだ……」

 

あっちで3人が何か話している。一応臨戦態勢を取ってくれると有り難いかな!

 

ベル「……出来れば事を収めたい。無益な戦闘は互いに好ましくないと思うしね」

 

キンジョウ「ふむ……」

 

思案している……。これは和平出来るか?

 

キンジョウ「……成程。わかりました。微力ながら力添えしましょう。自分は戦闘は余り好ましくないので、精神面でのサポートという事でよろしければ村全体で協力します」

 

戦闘が好ましくないとか絶対嘘でしょ!……という言葉を飲み込んで。

 

ベル「ありがとうございます」

 

キンジョウ「……それでは厄災の方を詳しく聞きたいのですが」

 

ベル「それについても私の知る限りの事を話します」

 

これで新たな仲間ゲットだぜ!しかも大量のライカン付き!




今回はここまでです。

次回、世界の真実……。


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第27話 ヨウの正体

今回もよろしくです。


これはまだヨウを仲間にしたばかりの頃の話……。

 

ヨウ「……ちょっと良い?」

 

ベル「どうしたの?」

 

ヨウ「私の事について、話しておこうと思って……」

 

ベル「ヨウの?」

 

私が確認するとヨウはアリス達をチラリと見てから頷いた。もしかして誰かに聞かれると不味い?

 

ベル「……わかった。アリス」

 

アリス「なんでしょうか?」

 

ベル「私はちょっとヨウと話をしてくるから、3人で魔物を倒していって。魔法についてわからない事があったら連絡してね」

 

アリス「……了解しました」

 

何かを察したアリスはマスミとシロを連れて行って、私とヨウの2人切りとなった。

 

ベル「人払いした方が良かったでしょ?」

 

ヨウ「……うん」

 

ヨウ(やっぱり彼女は侮れないな……)

 

ベル「それで話って?」

 

人払いまでしてする話といえば何か秘密があるという事なんだろうか?例えば……。

 

ヨウ「……信じられないかもしれないけど、聞いてほしい。私は、この世界の人間じゃない」

 

実はヨウが異世界出身でした~っていう。って本当に異世界出身なんか~い!……まぁこれに関しては出会った時から多分そうだろうと踏んでいたからね。

 

ベル「……続けて?どうしてこの世界に来たのか」

 

ヨウ「驚かないんだ?」

 

ベル「まぁその話は後で」

 

ヨウ「……私は元々キングダム王国という世界の剣士だった」

 

キングダム王国って確かパワポケ4の裏サクセスの舞台になっていて、その幾年の時間が経過したのが、パワポケ10の裏サクセスの世界で、それ等がパワポケ14の表サクセスのカタストロフが起ききって安定してしまったもしもの世界だとかなんとか……。

 

ヨウ「……元の世界では伝説の勇者に匹敵する最強の剣士とも呼ばれた事もあって王様の護衛を任されていたんだけど、悪魔と戦っている最中に相手の術中に嵌まってしまって気付いたら……」

 

ベル「この世界にいた……と」

 

ヨウ「」コクッ

 

それにしても伝説の勇者に匹敵する最強の剣士かぁ……。あの剣捌きはそういう事だと思うと納得だね。

 

ヨウ「この世界に来たばかりの頃は何がなんだかわからず、迷っていたところにザム団の1人が私を見付けて拠点を与えた……」

 

ベル「そしてザム団の悪行はヨウにとっては看過出来ないものでも追い出されて路頭に迷った時の事を考えると何も言えず、逆らえずって事か……」

 

ヨウ「……ベルは何でもわかるんだね。その通りだよ」

 

ベル「何でもはわからないよ。わかる事だけ」

 

某猫の台詞をかまして私はヨウに話す。

 

ベル「ヨウが異世界から来たというのがわかったのかという理由は私もヨウと同じだから……かな」

 

ヨウ「私と同じ……?じゃあベルは……!」

 

ベル「私だけじゃないよ。アリス、マスミ、シロの3人もそれぞれ別の世界から来たのさ」

 

ヨウ「あの3人も……。道理で他の人達とは雰囲気が違うと思ってた」

 

あっ、やっぱりそういうのってわかる人にはわかるんだね?

 

ベル「じゃあ改めて自己紹介するね。私はベル。元の世界での名前は大宮鈴音だよ。よろしく」

 

ヨウ「……私はヨウ。キングダム王国ではヨウ・シュウゲツという名前だった。此方こそ改めてよろしく」

 

ヨウ・シュウゲツ……。名前を漢字で予測値すると陽秋月かな?なんか格好良い!

 

その後3人と合流した私達は改めてそれぞれの紹介をした。




今回はここまでです。

次回、霊感を求めて……。


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第28話 霊感を身に付けよう!

今回もよろしくです。


私達はとある山までハイキングがてら鍛練を行っていた。

 

 

キィンッ!キィンッ!

 

 

ベル「マスミ、ヨウの低い踏み込みにも対応していって!ヨウは斜め方面からの攻撃に反応がやや遅れてるよ!」

 

ヨウ「くっ……!」

 

マスミ「了解……!」

 

この様に2人の剣術を見ていっている。2人共呑み込みが早くて凄いなぁ……。

 

ベル「じゃあ一旦休憩。それぞれ水分の補給を忘れないでね」

 

2人が頷いているのを見て私は歩き出す。

 

マスミ「何処か行くの?」

 

ベル「ちょっと散歩にね。鍛練の再開は2人のタイミングに任せるよ。でも無理だけはしないでね」

 

ヨウ「わかった。ありがとう」

 

礼を言われると何かむず痒い……。早いところ退散してよっと!

 

 

~そして~

 

暫く歩いていると寺が見えたら。寺の名前を見ると『頑張寺』とあった。

 

ベル(こんな所に寺があったとは……。折角だからちょっと見ていこうかな?)

 

中をチラッと覗くと……。

 

???「集中力が乱れているでござるよ!」

 

 

バシーン!バシーン!

 

 

カイト「うっ!すみません……」

 

……なんかカイト達が叩かれていた。あれは座禅?何の為に?そう思っていると声を掛けられた。

 

???「おや?修行の方ですかな?」

 

ベル「いえ、私は偶々通りすがっただけで……。寺があるのは珍しく思い、見ていた次第です」

 

この人は確か小野君だ。ダッシュに出ていた坊さん見習い的な人物……。この世界では本当の坊さんって訳だ。

 

カイト「あっ!ベルさん!?」

 

 

バシーン!

 

 

カイト「うっ……!」

 

オノ「修行中でござるよ」

 

カイト「すみません……」

 

ベル「あらら……。なんか大変そうだね。どうしてそうなったの?」

 

ハーシバル「あ……。実はだな……」

 

カイト「ハーシバル、恥ずかしいから言うな!」

 

恥ずかしい?何でだろう?カイトの制止を無視してハーシバルは私に耳打ちした。

 

ベル「霊感を身に付けたい?」

 

カイト「……ああ。今俺達はヴァンさん達と仕事をしているが、俺達には見えない霊とかの敵に遭遇した時に見えないと足を引っ張りかねないと思ってな」

 

ベル「私が造ったゴーグルをあげようか?」

 

前にインカの遺跡に行った時にカイト達に貸した代物だ。

 

カイト「……それじゃあ駄目なんだ。確かにあると助かるだろう。あの時も世話になったし……。でもそれだと破損した時にまた見えなくなるから、道具なしでも霊感を身に付けたいんだよ」

 

ベル「……成程ね」

 

確かにカイトの指摘は尤もだ。私が造ったゴーグル……命名シルフスコープはちょっとやそっとの衝撃じゃ壊れないけど、造るのに鉄等の金属を多用してるから酸攻撃には弱い。強力な酸をぶつけられたら一瞬でゴーグルが溶けるだろう。

 

カイト「……そういえばベルさんは霊感があるんだったな」

 

オノ「なんと……!どの様な修行をしたら霊感が身に付いたのか気になるところでござるな」

 

あっ、そういえばカイト達には私に霊感がある事を話したんだったね。パワポケ12の世界で仲間にしたヨウやキンジョウさん、フミカにイツキ達にも私に霊感がある事をその内教えておこう。

 

ベル「そっちのやり方とそう変わらないよ。ひたすら精神統一をしていただけ」

 

因みにパワポケ7の裏サクセスで詩乃ちゃんがやっていたやつね。私もドラゴンボールの世界ではよくやっていたよ。落ち着く為にね。まぁ霊感は気付いたら勝手に付いていたけどね……。

 

ベル(そういえばあの子は今頃どうしているだろうか……)

 

あんな別れ方をしたから、ちょっと不安なんだよね……。

 

ベル「……まぁ大切名のは日々の積み重ね。ちょっとずつ、ちょっとずつ繰り返しやっていけば自ずと身に付くよ」

 

私がそうだった様にね。

 

オノ「その通りでござる」

 

カイト「日々の積み重ね……」

 

ベル「じゃあ私は仲間を待たせているからそろそろ行くよ。修行、頑張ってね」

 

ウィンクをかまして私は寺を出る。まぁ良い気分転換になったね。




今回はここまでです。

次回、銀の盾と……。


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第29話 銀の盾と協力?

今回もよろしくです。


現在私達はパワポケ12裏サクセスの世界に来ている訳ですが……。

 

ヴァン「おっ、丁度良いところに。俺達に力を貸してくれないか?」

 

唐突な協力要請で草すら生えない。

 

ベル「……突然どうしたの?」

 

ヴァン「実はな……」

 

話によると魔王が復活したらしい。魔王ってあの魔王だよね?それは流石に銀の盾の専門なんじゃ……。

 

ヨウ「行く」

 

と思っているとヨウが速攻で要請を受けた。

 

ヨウ「魔王を放っておく訳にはいかないから。それに私達と銀の盾が合わされば鬼に金棒」

 

そ、そんなになのかな……?ちなみに私達は金棒側だと思うの。

 

ヴァン「ありがとう。俺達も準備をする。パーティーは自身を含めた4人ずつで行く事にしよう」

 

なんか急にゲームの解説みたいになった……。そして私の参加が確定してしまった瞬間であった……。

 

 

~そして~

 

ベル「はーい。じゃあ緊急会議を始めまーす……」

 

この時の私の声は死人の如くだとユキコが言っていた。そして内容を全て話し終えて……。

 

ユキコ「魔王ですか……。にわかには信じがたい話ですが……」

 

マスミ「話の重さからして確定事項なんだろうね」

 

フミカ「それでは誰が行きましょうか?」

 

アリス「当然ですが、ベルさんは確定でしょう」

 

私が行くのはやっぱり当然らしい。なんでだなんでだろう~?

 

シルヴィア「純粋な実力ならミライさん、ミク(未)ちゃん、アンズちゃんで決まりなんだけど……」

 

ベル「その3人は事情があって今回の件には干渉出来ないみたいだからね……」

 

もういっそのことミライ達でなんとかしてほしい……。そんな風に悩んでいると……。

 

ヨウ「私は行く。あんなの世界に安定させたら駄目。この世の終わり」

 

……まずは1人。

 

ベル「じゃあ御願いね」

 

ヨウ「任せて」

 

残りは……。

 

ベル「……アリス、マスミ、御願い出来ないかな?」

 

マスミ「なんで私達……?」

 

ベル「……強いて言うなら私の直感。何故かわからないけど、2人を選ばなきゃいけない気がするから」

 

アリス「……マスミさん、どうやら私達が行くべきみたいですね」

 

マスミ「……みたいだね。わかった。私達が役に立つなら連れて行って」

 

ベル「2人共ありがとね」

 

こうして魔王退治のパーティーは私、アリス、マスミ、ヨウの4人となった。

 

 

~そして~

 

ベル「……という事になったよ」

 

ミライ『そう……。やはりこの世界ではそういう運命にあるのね』

 

口振りからしてミライは真相を全て知ってそうだ。でも……。

 

ミライ『ごめんなさいね。私はこの件に噛む訳にはいかないの』

 

ベル「……そっちにも事情があるもんね。わかった。今回は私達に任せてよ」

 

ミライ『頼りにしているわ。貴女達と銀の盾の面子の行動次第でこの世界の運命が変わるわ』

 

そんな意味深な言葉を残してミライとの通信は切れた。ちょっ!そんな大事っぽい台詞を残して終わらないで!




今回はここまでです。

次回、出発……。


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第30話 いざ!魔王退治へ!!

今回もよろしくです。


ミライの台詞にモヤモヤしながらアリス、マスミ、ヨウの3人を引き連れて銀の盾の人達が泊まっている宿屋の前に来ている。

 

ベル(ヴァンの話によるとこの宿屋の筈だけど……)

 

ヴァン「待たせたな」

 

おでましみたい。ヴァンが連れてきたのはイーベル、アマルダ、ノエルの3人。前にヨウといる時に会った3人だね。

 

ベル「今日はよろしくね」

 

ヴァン「ああ、此方こそ」

 

アリス「御互いに頑張りましょう」

 

アマルダ「魔王退治は骨が折れそうですけどね……」

 

マスミ「でも実際に魔王なんているんだね」

 

イーベル「この世界だと複数の魔王がいるからな。今回復活した魔王がその一体だ」

 

待って待って。魔王ってそんな複数もいるの!?この世界大丈夫なの?

 

ノエル「……まさか貴女と共闘する事になるなんてね」

 

ヨウ「……私はもうあの頃の私じゃない。魔王を倒す為に、そしてベルの役に立つ為に此処にいる」

 

私としては魔王連中が早いところ全滅してくれれば言う事なしなんだけどね!

 

ヴァン「じゃあ行くか」

 

銀の盾達の案内の元数キロ歩く事に……。

 

 

~そして~

 

道中敵やら何やらに絡まれて、囲まれてで疲れた……。精神的に。

 

ヴァン「此処が魔王城だ」

 

おお、これが……。なんか建物なのに威圧感がヤバい。

 

ベル「此処にはどんな魔王が潜んでいるの?」

 

イーベル「この城にいるのは魔王クレブスクルム。数いる魔王の中でも1番の敏捷能力がある」

 

クレブスクルム?なんかで聞いた事があるような、ないような……。それにしても敏捷能力が優れている魔王っていうのも珍しいな。

 

ヴァン「静かに。……魔物に囲まれている」

 

アリス「またですか……」

 

マスミ「これで何度目だろうね……」

 

本当だよ。道中で何回今と同じ展開になった事か……!

 

ベル「じゃあこの場は私が……」

 

私は地面の状態を確かめて、その後集中力を高める。

 

ベル「……惑星直列!!」ゴッ

 

私が放った地面タイプの魔法で地上にいる魔物は全滅。あとは飛んでいる魔物だけど……。

 

アリス「流石ですね」

 

マスミ「じゃあ飛んでいるのは任せてよ」

 

そう言ってマスミは高く跳んで、空を飛んでいる数匹の魔物に素早く剣術を御見舞いした。

 

マスミ「ふぅ……」

 

ベル「御疲れ」

 

ヨウ「流石私の好敵手……」

 

そういえばヨミはマスミの事を剣術においてはライバル的なものだと思っているようだ。まぁマスミの剣術凄いもんね。あのミライからも少し手解きされている位だしね。

 

ヴァン「……頼もしいな」

 

アマルダ「これなら無事に魔物を倒せそうですね」

 

しかし油断できないのもじじつ。私達はまだ入口にすら入っていないんだから……!




今回はここまでです。

次回、激突……!





















8月は色々忙しくなりそうな上に、他作品も投稿する為に次の投稿は9月以降になります。


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