デート・ア・セブン (疾風海軍陸戦隊)
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十香デッドエンド
プロローグ


「(ここは・・・・・・どこだ・・・・・・)」

 

何一つ見えない暗い空間の中、一人の男が漂っていた。

 

「(そうか・・・俺は確かブラックスターの円盤生物に・・・・・・・ゲンは無事に脱出できただろうか)」

 

彼の名はモロボシ・ダン。宇宙パトロール隊MAC(マック)の隊長であり。元ウルトラ警備隊の隊員である。そして彼はかつてM78星雲の恒点観測員三四〇号という立場ながら、地球防衛軍のエリート、ウルトラ警備隊と協力しながら、多くの侵略者達と戦い、地球を守ってきた深紅の戦士、ウルトラセブンである。パンドンとの戦いの後、地球を去った彼だが、彼が去った後も数々の怪獣や侵略宇宙人たちは地球を襲った。だがその危機を、セブンと同じくM78星雲出身であり宇宙警備隊員であったウルトラマンジャック、ウルトラマンA、そしてウルトラマンタロウの活躍によって地球の平和を守り続けてきた

しかしセブンはタロウが去ったあと、単身で地球を守っていたが、マグマ星人と凶悪な宇宙の双子怪獣レッドギラス、ブラックギラスとの戦いで負傷し、セブンに変身できなくなってしまった。だが、そんな彼の前に一人の宇宙人が現れた。その名はウルトラマンレオ。獅子座L77星出身で彼の星はマグマ星人によって全滅させられたため地球を第二の故郷とし、おおとりゲンと名乗って地球に住んでいた。そこでダンは自らに代わって地球を守ることをゲンに託し、ゲン事レオも第二の故郷である地球を守るためダン(セブン)の特訓を受け。一人前の戦士となる。

しかし、突如運命の日が訪れる。彼の脳裏にはあの悲しい出来事が思い浮かんだ

 

 

 

それはババルウ星人による地球とウルトラの星の衝突が回避された直後のことだ。MACステーションでは松木隊員の誕生日パーティーが開かれ、隊員たちは和気藹々とした雰囲気で誕生日会を楽しんでいた。 すると、急に警報が鳴り響き隊員の一人がレーダーを見ると

 

「ステーション上空に何かが接近しています!」

 

「なにっ!?」

 

「あっ!だめです!ぶつかります!!」

 

ダンが驚いてそう言うとレーダーで探知した14秒後にその正体不明の飛行物体とMACステーションはぶつかり激しい揺れと爆音が聞こえる。そして窓の外には巨大なクラゲみたいな生物が覆いかぶさっていた。その生物は触手でステーションの窓を破り黄色い液体を流し込むが隊員たちの銃撃で触手の攻撃はいったんやむ。それを見たダンは

 

「全員マッキーで脱出しろ!急げ、早くするんだぁ!!!」

 

『は、はい!!』

 

そう言い隊員たちは急いでマッキーの置いてある発射場まで走る。そしてダンはゲンに

 

「ゲン!これはブラックスターの円盤生物の攻撃だ!」

 

「円盤生物!?隊長。どうすれば!?」

 

「お前はすぐに脱出しろ」

 

「し、しかし隊長はどうするんですか!?」

 

「ゲン!俺にかまうな!お前は生き続ければならん!ブラックスターの侵略から地球を守るんだ!!」

 

ダンは必死にゲンにそう言う。そんな中、基地の内部から崩れる音がし、ところどころ火花が飛び散っている。もはや基地がいつ崩壊しても・・・いや、いつ円盤生物シルバーブルーメに飲み込まれてもおかしくない状態であった

 

「ゲン。MACの最期は俺が見届ける。早く逃げるんだ!」

 

「隊長・・・・・隊長も早く!」

 

ゲンがそう言うとダンは彼の頬を叩き

 

「バカァ!言うことを聞け!!!」

 

そう言い杖でゲンを突き飛ばす。

 

「た、隊長!・・・隊長!?」

 

突き飛ばされた彼は基地が崩れる中、隊長であり、ここまで鍛えてくれた師匠であるダンを探すと基地の向こうでダンの姿を見つけた。するとダンはゲンの方へと振り向き

 

お前はレオだ!不滅の命を持ったウルトラマンレオだ!お前の命はお前ひとりの物でないことを忘れるな!!行けぇーーーー!!!!!

 

「隊長ーーーーー!!!」

 

ゲンの叫び声とともにダンは激しい爆音と閃光に包まれた。そして彼が最後に見たものはゲンがレオの姿に変身するところであったのだ・・・・・・

 

 

 

 

「(私は・・・・・・どうやら死んだのだな・・・・・もう少しゲンの成長ぶりを見られないのが残念だ・・・・・・)」

 

暗い空間を漂うダンは目を閉じ、暗い闇へとつつまれる。すると突然、周りが真っ白に光りだした。すると・・・・・

 

『いいえ・・・・あなたは死んではなりません。モロボシ・ダンさん・・・・・いいえ、ウルトラセブン』

 

「だれだ?私を呼んでいるのは?」

 

突如、聞こえた女性の言葉にダンは言うとまた声が聞こえる

 

『あなたには救ってほしい世界があるのです。あなたにしかできないことなのです』

 

「救ってほしい世界?どういう意味だ?」

 

『それはいずれ分かります。あの世界の平和を頼みます、ウルトラセブン』

 

その声が聞こえるとまたもまぶしい光がダンを包むのであった。

 

 

 

 

そしてダン(セブン)が目を覚ます時、自分の姿は人間の12歳ぐらいの少年の姿になっていたのであった・・・・・・

 



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セブン転生、その名は五河士道

MACが全滅し、私が別世界へ転生してから5年がたった。私は今、自分のベッドで寝ている私の腹の上で情熱的なサンバを踊っている少女の姿があった

 

「・・・・琴里・・・・私のかわいい妹よ」

 

「おおっ!?」

 

その声に腹の上で踊っている少女は元気よく振り返ってくる。その少女は炎のように真っ赤な赤いツインテールをしたかわいげな少女であった。彼女の名は五河琴里。私の妹に当たる

 

「なんだ?私のかっこいいお兄ちゃんよ」

 

ニッコリ笑顔でそういう彼女に私は顔を引きつらせ

 

「できればサンバを踊るのなら、私のお腹の上ではなく床でしてくれないか?と、いうより降りてくれ・・・・・痛いのだが?」

 

私は苦笑してそう頼むのだが、彼女はにっこり頷く。降りてくれるのかと思っていたら、彼女はジャンプするとそのまま私の腹へ向けて思いっきり踏んづける

 

「ぐふぅ!!!!」

 

「あははは、ぐふだって!陸戦型だー!」

 

レオのレオキックも真っ青な強烈なキックに私は腹を抑え、そして琴里は笑いながら無邪気に言う。私は軽くため息をつき起き上がる

 

「わかった琴里。お兄ちゃんの負けだ。起きるよ。起きて朝ごはん作ってあげるから」

 

「ほんとっ!?」

 

「ああ、いま着替えるから先に下に行って待てってくれ」

 

「うん!」

 

琴里は嬉しそうに返事をし部屋を出て階段を下りるのであった。私は軽く息をつき

 

「やれやれ、困った子だ」

 

と、そう言うと私服から学生服に着替えるとふと鏡に映った自分の姿を見る

 

「……これが転生というものなのだな」

 

そう呟く。私はかつてモロボシ・ダンでありM78星雲の宇宙人ウルトラセブンであった。だが今の姿を見ると私の姿は黒みを帯びた群青の短い髪の少年の姿であった。私があの事件の直後、死んだと思った私の耳に聞こえたあの女性の声が聞こえた後。気が付いたら私はモロボシダンでもなくましてや宇宙人ウルトラセブンでもないただの地球人である少年・・・・・五河士道という少年の姿になって生まれ変わっていた。

無論、地球人に生まれ変わっているため、元の姿であるセブンに戻るためのアイテム、ウルトラアイはもちろん無い。ただ、前世の名残なのであろうかウルトラ念力だけは使えた。それを除けば私はこの世界に転生してから5年間、地球人の少年。五河士道として生きていたのだ

 

「お兄ちゃ~ん!まだぁ~?」

 

と、下で私の今の家族であり妹である琴里の声が聞こえた

 

「すまない。すぐに行くよ」

 

そう言い私は制服の上着を着て部屋を出るのであった。そして下に降りると琴里はソファーに座ってテレビを見ていた。そして私は朝ご飯の支度をし始めた。するとテレビから

 

『今日未明、天宮市近郊で小規模な空間震の発生・・・・・』

 

「(・・・・・また空間震か・・・・)」

 

私は朝ご飯を作りながらそう思った。私が転生したこの世界ではウルトラマンが存在しない。また過去にウルトラマンがやってきたという記録もなく。代わりに空間震という災害がたびたび起こっている。空間震とは発生原因不明の爆発や焼失、その他諸々の現象の名だ。文字通り空間による揺れであたりを根こそぎ破壊する。不思議な災害だ

この現象が初めて確認されたのはおよそ30年前。ユーラシア大陸、ユーラシア大空災をはじめに半年間、世界各地で小さい規模ながら同じ現象が発生した。もちろんその災害の被害は日本にも及んだ。東京都南部から神奈川県北部一帯が円状にすべて吹き飛ばされ焦土と化した。これはのちに南関東大空災と呼ばれている。ちなみにだが、そこは今、私たちの住んでいる天宮市となっている。あの南関東大空災から25年間は何もなかったのだが5年前・・・・そう。私が五河士道として転生したときのことだ。それを皮切りに空間震は増加していた。しかもこの日本を中心としてだ。

最初、私は異星人の仕業と思っていたが、この現象は宇宙人の仕業とは何かが違う・・・・まるで

 

「何かが転送されたような現象だな・・・・・・」

 

「ん?お兄ちゃん何か言った?」

 

「え?いいや何でもないよ。なあ琴里。最近、この現象の数が増えていないか?」

 

「んーー、そうだね。ちょっと予定より早いかなー」

 

琴里の言葉に私は何かの違和感を覚えた

 

「予定より?どういう意味だ琴里?」

 

「え?あんでもあーい」

 

そう言い琴里はチュッパチャプスを咥え笑ってごまかす。気になることだが、そこは深く聞かない方がいいかもしれない。いやそれ以前に

 

「琴里。朝食前にチュッパチャプスは舐めるな。ごはん食べれなくなるぞ?」

 

「大丈夫だよお兄ちゃん。ちゃんとご飯も食べるよ。お兄ちゃんのごはん美味しいもん♪」

 

「そうか・・・・ただし舐めるのはそれ一本だけにしなさい。朝食ができたぞ」

 

「おー!愛してるぞ、お兄ちゃん!」

 

そう言い琴里は席に座り、私と一緒に食事をとる

 

「ところで琴里。今日も中学は始業式だよな?昼ごはん。何かリクエストとかあるか?」

 

私がそう訊くと琴里は首をかしげ考えるそぶりをすると

 

「デラックスキッズプレート!」

 

「それはファミレスのメニューだが、いいのか?何なら私が腕を振るうってご馳走を作るぞ?」

 

「お兄ちゃんのご馳走は夜!だからお願いお兄ちゃん!」

 

「はぁ・・・・わかった。なら昼食は外で食べようか」

 

「やったぁー!お兄ちゃん大好き!」

 

と、笑顔でそういうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

ファミレス前

 

「じゃあ、お兄ちゃん。学校が終わったらここに集合ね」

 

「わかったよ」

 

「絶対だからね!絶対約束だからね!地震が起きても火事が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても宇宙人が襲来してもだぞ!」

 

「テロリストに占拠されたら営業していないじゃないか?まあ、琴里これだけ言っておく」

 

そういうと私は琴里の頭をポンと手を置くと

 

「お前はどんなことがあっても絶対に守ってやるからな」

 

と笑顔でそういうと、琴里は笑顔で

 

「うん!お兄ちゃん待っているからね!・・・・・・・・ん?お兄ちゃんどうしたの?」

 

琴里は急に首をかしげる。私の目線は琴里ではなく、別の場所空を見上げていたのだ。一瞬・・・・ほんの一瞬だがこの空の上で何かの視線を感じ見上げると何かが浮かんでいるように見えた。何か見えない装置か何かで隠れているそんな感じがしたのだ。

 

「・・・・・・あ、いや。なんでもない。この上空に何かが浮かんでいるのが見えたような気がしたんだが・・・・どうやら気のせいのようだな」

 

「変なお兄ちゃん?」

 

「ま、とにかく。私は学校へ行くから、琴里も気を付けて行けよ」

 

「うん!」

 

そう言い私は学校へと向かった。そして残されたことさとは先ほどのにこやかな表情とは違い真顔になっっており、そして先ほど私が見上げていた空を見て

 

「・・・・・・まさか・・・・ね?」

 

そう言い彼女も学校へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 




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空間震

学校についた士道は授業を受けていた。士道のいる学校は南関東大空災後、様々な最新技術のテスト都市として再開発が行われてきて、士道の通う来禅高校も普通の都立高校とは違い充実した設備を誇るうえ、空間震が起きたときに避難できるよう最新の地下シェルターが配備されていた。

そして授業が終わった後、士道の教室である2年4組では

 

「しかし、まあ奇遇だな五河。この殿町宏人、何だか運命を感じるな」

 

「ははは。そうかもな。だが、俺はそっちの趣味は無いからな」

 

「安心しろ俺もだ」

 

「まあ、またよろしく頼むよ宏人」

 

士道に話しかけたのは彼のクラスメイトであり士道・・・・いやセブンがこの世界に転生して初めてできた友人である。二人がそう話していると宏人のポケットからスマートフォンの音が聞こえてくる。

 

「おっと・・・彼女から電話だ」

 

「彼女ができたのか?」

 

「まあな。紹介するよ士道」

 

そう言うと殿町がスマートフォンの画面を見せてくる。そこに写っていたのは人間の彼女の写真などではなくピンクの髪のアニメ風の少女と何らかのパラメーターらしき表示が出ていた。これは紛れもなく彼女の写真ではなく二次元の少女の画像しかもギャルゲーであった。それを見た士道は

 

「忘れていたよ。お前は確かギャルゲーが趣味だったな」

 

「おいおい、そんなおっさんみたいな大人口調で言うなよ士道。それに彼女には変わりない。それにギャルゲーはいいぞ。女の事との接し方やデートの仕方諸々全てを学べる優れモノなんだぞ。まさに恋愛の教科書だ!それにこの・・・・」

 

と殿町が熱心に自分のギャルゲーのことを話す中、士道は

 

「(趣味は人それぞれというが・・・・この星の人間たちのこの先の将来が心配だ・・・・・)」

 

と目を細めそう思っていると

 

「五河士道」

 

「ん?」

 

 不意に抑揚のない声で名前を呼ばれて士道が顔を向けるといつの間にか隣の席に一人の女子生徒がいた。その少女は白い髪で人形のように無表情であった。その少女はじーと士道を見ていた

 

「えっと・・・・・君は?どこかで会いましたか?」

 

「・・・・・覚えていないの?」

 

「すまない。君とは初対面だ」

 

「そう・・・・」

 

彼女はそう言うと無表情で席に座り本を読み始める

 

「・・・・殿町。あの子は誰だ?」

 

「士道、お前あの超天才少女、鳶一折紙を知らないのか?」

 

「鳶一折紙?」

 

「ああ、成績は常に学年主席でうちの高校の誇る大天才。しかも運動はお前同様、万能でしかもとびっきりの美人ときた。俺調べの恋人にしたい女子生徒ランキングでトップ3に入るぐらいの校内一の有名人だよ。知らないのか?」

 

「あいにくそう言うことには疎いんでね」

 

「まったくそれが体育で男子トップで学年二位の成績を残している。お前のセリフとは思えないな?」

 

「別に俺はただ死力を尽くして努力しているだけだ」

 

「そうかい。それよりもなぜ校内の有名人である鳶一がお前のことを知っているんだ?」

 

「わからない。俺も彼女とは初対面だ」

 

士道は何が何だかさっぱりという表情で殿町に言うと予鈴を知らせるチャイムが鳴り、皆は席に座る。その直後、教室の扉が開き、そこから眼鏡をかけ生徒たちと同様な外見の小柄な女性が入ってきて、教卓につく。

 

「おぉー!タマちゃんだぁ!!」

 

殿町がそう言うと、ほかの生徒たちが喜びの声を上げる

 

「みなさんおはようございます。これから一年、皆さんの担任を務めさせていただきます岡峰珠恵です」

 

と、笑顔でそういう教師。彼女の名は岡峰珠恵。社会科担当の先生で生徒と同年代ぐらいにしか見えない童顔と小柄な体躯、のんびりとした性格で生徒たちから『タマちゃん』と呼ばれ慕われている先生である。そしてタマチャンの授業が始まる中、士道のことをじっと見ている生徒がいた。先ほど士道に話しかけた鳶一であった。その視線に気付いていた士道は

 

「(・・・・・なぜ彼女は私のことをじっと見ているのだ?私の名前も知っていた・・・・一体何なのだ・・・・・それに)」

 

と、士道は窓の外を見る。

 

「(それにやはり…あの空に何かが浮いている・・・宇宙船か?だとしたら何の目的で姿を隠し、そこにずっと浮いているのだ?)」

 

セブンの能力で、セブンに変身できない士道に残された技の一つである透視能力で士道は先ほどから空に浮かんでいる。何か大きな飛行物体を捉えていた。上空にあるその飛行物体に気付いたのはほんの数週間前、だが、それが何なのか何が目的で浮いているのかはわからなかった。ただセブンに変身できない自分にできることはただあの飛行物体がおかしな行動をしないように見張ることしかできないということだ

そして時は経ち、正午になり始業式は終わって皆家に帰る支度をしていた

 

「五河。一緒に帰らないか?」

 

「すまない殿町。これから約束があってな」

 

「ほお~女子か?君にもとうとう彼女ができたのか?」

 

「いや、妹とこれから外食する約束があるんだよ」

 

「そうか。まあ、君と一緒に食事をする女性は妹しかいないからな」

 

「殿町。言葉とはよく考えてから口にした方がいいぞ?」

 

ジト目で殿町に言う士道。するとあたりからサイレン音が鳴る

 

「っ!?空間震警報!?」

 

「来るのか!?」

 

突然の空間震を知らせる警報に生徒たちは動揺し始める

 

「学校の地下のシェルターに避難すれば安心だ。とにかくそこに避難しよう」

 

士道がそう言うと、隣の席に座っていた鳶一が立ち上がりその場を離れる。しかも向かう先はせるたーとは違う方向だった。それを見た士道は

 

「待て鳶一、どこに行くんだそっちはシェルターの方角じゃないぞ?その先は危険しかない。罠に落ちるようなものだ」

 

「・・・・大丈夫。問題はない」

 

無表情でそういうと、彼女は急いで教室から出て行ってしまった。

 

「おい、五河。早くシェルターに急ごうぜ」

 

「あ、ああ・・・わかった」

 

そう言い士道はシェルターの方へと向かうのであった。そしてシェルターの前では教師達が生徒を誘導している。だた一人だけ

 

「み、みみみみなさん落ち着いてください!子いう時でも『おかしも』を忘れず!押さない、駆けない、しゃれこうべ!!」

 

とタマちゃん先生はパニック状態でそういうと殿町が

 

「先生が落ち着いてくださいよ」

 

「そそそs、そうですね!」

 

と、殿町に落ち着かされている。そして士道はスマホを取り琴里に電話をかけていた。だが通じない

 

「(琴里・・・・・ちゃんと避難できたのか?・・・・まさか!?)」

 

そう思い士道はスマホでGPSのアプリを起動し、琴里の居場所を検索する。するとGPSが表示していた場所は【五河琴里 ファミレス前】と書かれていた。その表示を見た士道は今朝のことさとの約束を思い出した

 

『絶対だからね!絶対約束だからね!地震が起きても火事が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても宇宙人が襲来してもだぞ!!』

 

「っ!?」

 

その言葉を思い出した瞬間。士道は走り出した

 

「おい、五河!!」

 

殿町が止めるがそれを聞かず、士道は学校を飛び出し、琴里との集合場所であるファミレスに向かっていた

 

「琴里…なぜ避難しない!約束は大切だが時と場合によるだろう!」

 

士道はそう言いながらファミレスの方へと走り出す。そして士道は先ほどことりと交わした約束を思い出す。

 

『お前はどんなことがあっても絶対に守ってやるからな』

 

「琴里・・・・」

 

そして走りながら懐に手を入れるが

 

「ウルトラアイがない・・・・・・そうだった。私はもうセブンじゃなかったんだな・・・・とにかく今は琴里のもとに行かなくては!」

 

そう言い士道は走り出すそしてファミレス近くまで付く

 

「よし、この先を曲がればすぐだ」

 

そういった瞬間。士道の第六感に何か危険なものを感じた

 

「っ!?」

 

士道はとっさに腕をⅩ字に組んだ瞬間、突如閃光が光ったと思ったら急に自分の前で大爆発が起きた。その爆発による爆風で士道は吹き飛ばされそうになったが、何とか耐え、爆風が治まり目を開けてみるとその先には何もなくあったのはまるで隕石でも降ってきたかのような大きなクレーターであった。そしてそのクレーターの真ん中に紫のドレスのような、騎士の鎧のような衣装を身に纏い、美しい黒の髪を靡かせ、両刃の大剣を左手に持った少女がいた

 

「(・・・・誰だ?人?・・・・・いや、違う。だが宇宙人でもない。一体・・・)」

 

士道がそう思う中、少女は士道に気付き、剣を振り上げ、こちら目掛けて振り下ろした。そしてその件から閃光が放たれ士道の横を通り過ぎたと思ったら士道の後ろにある建物が爆発し崩れ落ちた。士道はいきなりのことに驚く。すると先ほどの少女が士道の前に立ち剣を向け

 

「お前もか・・・・・?」

 

「なに?」

 

少女が話しかけ士道は彼女の顔を見ると少女は悲しげな顔をし

 

「お前も・・・・私を・・・・・殺しに来たのか?」

 

と、そう言うのであった

 



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ラタトスク

「お前も・・・・・私を・・・・・殺しに来たのか?ならば早めに始末させてもらう」

 

悲しそうな表情で少女は士道に剣を向けてそう訊く。その言葉に士道は

 

「殺しに来た?なぜそう言いきれる?私はただ妹を探しに来ただけだ」

 

「妹・・・・だと?」

 

「そうだ。まだこの辺にいると思うのだが見ていないか?赤いツインテールをした子なのだが?」

 

「・・・・いいや。あいにくお前の妹などという人間は見ていない」

 

「そうか・・・・・・それで君は一体何者だ?名前はなんていう?」

 

士道は落ち着いて彼女にそう訊く。すると彼女は少し動揺した目で士道を見ると

 

「名前・・・・・私の名前は・・・・・」

 

彼女が何か言いかけたとき

 

「「っ!?」」

 

とっさに二人は何かを感じ空を見ると空の向こうから近未来的なスーツと翼、そして大量の重火器を持った女性たちが飛んできてそして無数の小型ミサイルを放った。

 

「なっ!?」

 

士道が驚くと少女はミサイルに向けて手をかざす。すると彼女の周りにバリアが張り巡らされ、ミサイルはバリアにぶつかり爆発する

 

「こんな攻撃、通用しないことをなぜ学習しないんだ?」

 

悲しい顔でそういう彼女にアーマースーツを着た少女たちは彼女に向って攻撃をする。すると彼女は飛び上がり剣でミサイルを切り、切られたミサイルは爆発する。それを見た士道は

 

「(どういうことだ?この現状は?それに・・・・それになぜあの少女はこんなにも・・・・)」

 

士道の先には先ほどの少女が士道に振り返っていた。その表情は

 

「(なぜ。こんなにも彼女はあんな悲しい顔をするのだ?)」

 

そう、士道が見たのはその少女が今にも泣きそうな悲しい表情をしていたのだ。その表情に士道は不思議に思っていた。すると先頭にいたアーマースーツを着た少女が彼女に向かってくる。士道はその少女に見覚えがあった

 

「あの子は・・・・・・鳶一折紙?」

 

そういうと。その言葉が聞こえたのか鳶一は士道の方へ顔を向けると

 

「五河・・・・士道?」

 

と、はじめ困惑と同様の混ざった顔をするのだが直ぐに彼女は、例の少女の方へ顔を向けるとまるで氷のように冷たい表情へと変わりビームソードみたいな武器を取り出すと彼女に向けて攻撃し、彼女も大剣で対抗する。激しいぶつかり合いを目の前で見ている士道だが、とても割り込めるところがなかった。だが、そのままにしては置けない。なぜなら鳶一の方はわからないが例の少女の方は明らかに好きで戦っているようには見えなかった。すぐにでも止める必要があった

 

「(・・・・・仕方ない。あれを使うしかないな)」

 

士道は少し離れると腕をクロスさせる。それは変身できないセブンこと士道に残された最後の武器である『ウルトラ念力』であった。しかしこの技は神経を集中させエネルギーを消耗するうえ長時間続ければ自分の寿命をも著しく縮めてしまう危険な技であった。だが、この争いを止めるにはその方法しかなかったのだ。そして士道のウルトラ念力は戦う二人の動きを徐々に止めていく。

 

「な・・・なに?」

 

「か、体が・・・・・うご・・・かない」

 

突然、金縛りのような感覚に襲われる二人。そして、とうとう二人の動きが完全に止まる。その時ウルトラ念力を使い体力を消耗したうえ、前世の宇宙人としての体ではなくただの地球人であるの士道は限界をむかえそのまま倒れ、気を失ってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

「司令。座標FZ1820。ターゲット、プリンセスの姿がロストしました」

 

「周辺反映波、特定界限下.ロスト確認!」

 

と、とある場所で先ほどのモニターを確認している者たちがそう言うと司令と呼ばれたものが

 

「そう・・・それにしても急に精霊とASTの隊員が急に動きを止めたのはなぜかしら?」

 

「それは私も同じです。ただ、その戦闘地域に謎の怪電波らしきものが発生していたみたいです」

 

「怪電波ですって?」

 

「はい。何やら念力みたいなものが・・・・・」

 

「念力?」

 

司令らしき人物の横にいた金髪の、顔立ちの整った男性がそう答え司令は眉を顰め首をかしげる

 

「まあいいわ。とにかくやっと上から許可がおりたんだもの。早速作戦開始といきましょうか。そういえば、肝心の秘密兵器は今どこにいるの?」

 

司令がそう言うと女性の職員らしき女性がモニターを動かし

 

「彼なら・・・・・・あ、わかりました。あそこにいます」

 

そう言い前にある巨大なモニターから映像が映し出され。その映像には先ほどASTと呼んだアーマースーツを着た女性たちと例の少女が戦闘してあたり一面が瓦礫の山になっていた天宮市の街の中に倒れた少年の姿が映し出されていた。それを見た司令と呼ばれた人はにやっと笑い

 

「なんで外に出ているのかしら?・・・・・・まあちょうどいいわ。彼を回収しちゃって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲン。あの夕陽を見ろ・・・・』

 

士道の脳裏にはババルウ星人の戦いの後、ゲンと一緒に初めて出会ったあの島での海岸での出来事を思い出していた

 

「ゲン・・・・あの沈む夕日は私だ。そして明日上る太陽はゲン、お前だ」

 

「隊長・・・・」

 

「お前はこれからもさらに苦難に立ち向かわなければならない。そして最も大切な決断を迫られる時が来るだろう。もしかしたら自分が宇宙人であることを人間たちに知られてしまう時が来るかもしれない」

 

「俺の正体がいつか・・・・知られてしまう?」

 

「そうだ、お前が本当に試される時がいつか来る日がやって来る・・・・」

 

なぜ士道…いやセブンがこの話をしたのかは自分自身でもわからない。もしかしたらこのときセブンはゲンの元を離れることを予感していたのかもしれない。そしてその話をした数時間後にあのMACの悲しい事件が起きたのだ。

すると・・・・・

 

『久しぶり…』

 

突然、誰かの声が聞こえる。その声に士道は聞き覚えがあった

 

『やっと…やっと、会えたね。嬉しいよ』

 

優しく、何処か儚げに響くその声。この声は確か自分が転生するときに聞こえた女性の声だった

 

『でも、もう少し待って。あと少しだから・・・・・もう放さない。もう絶対間違わない。だから…』

 

「待ってくれ・・・・君は一体誰だ?」

 

そう言った時、士道の視界は光に包まれる

 

「っ!?」

 

「ようやく目が覚めたようだね?」

 

光に包まれた士道が目を覚ますと目の前にペンライトのような何かを持った女性がいた。年齢は二十歳前後で、ぼさぼさの髪を無造作に纏め、目の周りには濃い隈ができていた。軍服のような服を身に纏い胸ポケットにはつぎはぎだらけの熊のぬいぐるみを入れていた

 

「・・・・・君は?」

 

「私は、ここで解析官をやっている、村雨令音だ。免許は持っていないが簡単な介護くらいはできる」

 

「解析官?それにここはどこだ?学校の保健室でもましては病院でもないみたいだが?」

 

「ここは"フラクシナス"の医務室だ。勝手ながら、気絶していた君をここへ運ばせてもらった」

 

「フラクシナス・・・・・・・」

 

聞いたことがない言葉に士道は首を傾げ、

 

「(確か私は琴里を探しに警報が鳴っているにもかかわらず、外に出て彼女を探し、不思議な少女と出会った・・・・そしてその少女と突然現れた鳶一の戦闘を止めるためにウルトラ念力を使って・・・・・・・琴里!?)すまない!あの町の中で中学生くらいの女の子を見なかったか!?名は五河琴里。赤い髪のツインテールの女の子だが!」

 

「落ち着きたまえ・・・・・彼女なら大丈夫だ。いろいろと訊きたいことがあると思うがまずは司令に聞くといい。ついてきたまえ」

 

「・・・・わかった」

 

そう言い士道は彼女についていくと彼女はあくびをし眠たそうな顔をする

 

「大丈夫ですか?眠たそうですが?」

 

「この頃、不眠症でね・・・・・」

 

「それは大変ですね。どのくらい寝ていないんですか?」

 

士道がそう訊くと彼女は指を三本立てた

 

「三日も・・・・・それはつらいですね」

 

「いや、かれこれ三十年程だ」

 

「それはもはや人間の域を超えていますね?薬は飲んでいるのですか?」

 

「毎日飲んでいる。一瓶全部飲んでいるが全く効かない」

 

「それだと逆に体を壊しますよ?」

 

「まぁ、最後に寝た日を思い出せないのは事実だ。…着いたようだ、入りたまえ」

 

そう言い二人がついたのは大きな部屋で扉が開くとそこには近未来的・・・・ウルトラ警備隊やMACの基地みたいなハイテクな装置やモニターが置かれていた部屋であった。

 

「…連れてきた」

 

令音がそう言うと金髪の男性がやってきて

 

「ご苦労様です。初めまして。私はここの副司令官、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」

 

「あ、はい。初めまして。五河士道です」

 

自己紹介する神無月に士道も丁寧にあいさつし名を名乗る。

 

「それとあそこにいるのが私たちの司令です」

 

そう言い横にある艦長席らしきところを振り向き。士道はそこを見ると、士道は驚いた。その席に座っていたのは

 

「ようこそ五河士道。歓迎するわラタトスクへ」

 

「・・・・・琴里?」

 

その席にいたのは自分が探していた妹である琴里であった。

 



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空中艦フラクシナクス

突如、起きた空間震に士道は妹である五日琴里を探すため学校を飛び出す。そして琴里と待ち合わせをしたファミレス近くまで着た瞬間突如、空間震が発生し空間震が起きた後のクレーターから一人の女性が現れた。困惑する士道だが、突如アーマードスーツを着た鳶一が乱入し、その少女と交戦し始める。士道はその争いを止めるべく。前世の能力であったウルトラ念力を使い二人の動きを止める。しかし念力を使ったせいか体力を消耗し気を失ってしまう。目が覚めるとどこかの施設にいた士道。そして村雨令音と名乗る女性につれられた士道。そしてとある指令室に連れてこられるとそこには士道が必死に探していた妹、琴里がいたのであった

 

 

「・・・・・で、これがこれが精霊ってよばれてる怪物で、さっきロスト・・・・つまり消えちゃったわ。・・・・でこっちが」

 

と、琴里が説明していると

 

「話の途中ですまないが?一つ訊いてもいいか?」

 

「何よ。せっかく司令官直々に説明してあげてるのに。もっと光栄に思いなさいよ」

 

ぶっきらぼうに言う琴里に士道は

 

「君は本当に俺の妹の五河琴里なんだな?他人の空似ではなく?」

 

士道は前世・・・・そうウルトラセブンでありモロボシ・ダンであったころ。ウルトラ警備隊時代の同僚であったアンヌそっくりの女性と出会ったことがあった。しかも彼女がアンヌ本人であったかどうかわからないままその女性は去っていき。また今回も目の前にいる少女が琴里と似た少女なのか訊くと、琴里は目を細め

 

「はぁ、妹の顔を忘れたのかしら?士道。物覚え悪いとは思ってたけど、予想以上ね」

 

目を細めジト目で見る琴里に士道はジーとみる。そして士道は口調と態度は違うが彼女が妹である琴里であることが分かった

 

「いや。いきなり口調が変わっていたから。そっくりさんだと思った。だが本当に琴里なんだな」

 

と、士道は少し安心した表情でそういうと

 

「・・・・・で、士道。話を続けてもいいかしら?」

 

「まだ訊きたいことがあるが。かまわない続けてくれ」

 

と、そう言うと琴里は

 

「本当にあんたは調子狂うわね。普通なら慌てふためくところじゃない?『ここはどこだ!?なぜおまえがここにいる!?』って聞くところじゃない士道?」

 

「それも含めて後で説明してくれるんだろ?だったら今はお前の話を最後まで聞いてから訊くとしよう」

 

冷静な顔でそういう士道に琴里は困惑する表情を見せるが

 

「・・・・そう、まあいいわ。あなたがそう言うのなら話をつづけるわ」

 

そう言い琴里がそう言うと大スクリーンから先ほど士道が出会ったあの少女の姿が映し出される

 

「まず一つ。あのクレーターから現れた少女は精霊。はこの世界に存在しないモノであり、出現する際、自身の意思とは関係なしに辺り一辺を吹き飛ばすの」

 

「・・・・・なるほど。つまり空間震の正体は彼女がこの世界に転移したときに起こる衝撃波みたいなものか」

 

「へ~察しがいいじゃない。そうよ。空間震の正体は彼女みたいな精霊が現れるときに起こる余波なのよ」

 

琴里の言葉に士道はモニターを見る

 

「(やはり空間震は私の推測通りだったというわけか・・・・・と、すると30年前に起きたユーラシア大陸の大空災もその精霊の仕業ということか・・・・)それで?第二は?」

 

そういうと琴里はにやっと笑い

 

「第二に。あの精霊を攻撃した集団はAST。陸自の対精霊部隊よ」

 

「対精霊部隊・・・・・なるほど。ウルトラ警備隊やMACのような防衛組織のようなものか・・・・」

 

「ウルトラ警備隊?それにハンバーガーショップがどうかしたのよ士道?」

 

「いや。こっちの話だ。で、大体は想像できるが彼女たちの任務目的は?」

 

「精霊が現れたら、その場に飛んで行ってすかさず処理する。要はぶっ殺すってことね」

 

「・・・・・・」

 

その言葉に士道は先ほどの精霊の少女の言葉を思い出す

 

『お前も私を殺しに来たのか?』

 

悲しみに満ちたその少女の顔の理由を理解した士道は

 

「琴里。ASTは彼女らとコンタクトをとったことはないのか?彼女ら精霊は人と話ができる。彼女らが精霊と話をして解決した事例はないのか?」

 

「はっきり言ってないわ。あいつらにとって精霊は消えてほしい存在。それに空災被害は現界時の爆発だけじゃなく、そのあとのASTのドンパチも含まれているわ」

 

「そんなことをすれば精霊は自分の身を護るために相手を攻撃してしまうんじゃないか?」

 

「そうかもしれないけど、それはあくまでも推測でしょ?もしかしたらASTがなにもしなくても精霊は大喜びで破壊活動を始めるかもしれない」

 

「そうだとは言い切れないだろ琴里」

 

「根拠はあるの士道?」

 

士道の言葉に琴里は顔をしかめるとチュッパチャップスを口にくわえそう訊くと士道は真剣な顔をし

 

「人間にもいい人間と悪い人間がいるように精霊が皆悪い存在だとなぜ言い切れる?精霊たちも命あるものだ。話し合えばわかってくれる精霊もいる」

 

「甘いわね士道?それがあなたの意見?」

 

「そうだ。大切なのは相手を信頼し互いに話し合うことだ。そうでなければ人間は永遠に平和をつかみ取ることはできっこないんだ!!」

 

強い意志を込めた声でそういう士道に皆が驚く。士道は前世では人間とは違い違う星からやってきた宇宙人。しかしそんな彼を温かく迎えてくれた人たちがいた。それは元ウルトラ警備隊の仲間たちであった。パンドンの戦いの後地球を去った士道だが、たびたび地球に訪れていた。そしてタロウがバッジを返上して人間として生きていくこととなったため、交代で地球へ来訪した。そしてその時に士道ことダンはかつてのウルトラ警備隊の仲間たち(アンヌを除いて)と再会し、彼がセブン。宇宙人だと知っていても彼らは邪見せず、むしろ家族ぐるみの付き合いみたいになっていた。だからこそ士道は精霊たちがただ人間とは違いというだけで攻撃されるのを見て放っておくことができなかったのだ

すると琴里ニッと笑い。

 

「そう・・・・なら話し合ってみる?精霊と?」

 

「何?話せる方法があるのか琴里?」

 

「ええ。最後に三つ目。精霊との対処法はASTのやり方以外にも平和的に解決する方法がないわけではないわ。けど、それには士道。あなたの力が必要なのよ」

 

「俺の?どうすればいいんだ?」

 

「手続きもろもろは今夜、担当者にやらせるから。明日はさっそくそのための訓練をするから明日は普通に登校しなさい」

 

「特訓?話合いに特訓が必要なのか?」

 

「詳しい話は明日話すわ士道・・・・・それにしてもアホ兄は何であんな所にいたのよ?死にたかったの?」

 

琴里は小ばかにしたような表情でそういうと士道はため息をつくと琴里のおでこにデコピンをする

 

「痛っ!?何するのよ士道!」

 

「『何をするのよ』じゃない!!俺はお前を探しに外に出ていたんだ!電話にも出ないからGPSで確認したら昼食の集合場であるファミレスにお前がいたから、もしかしたら何か事故にあって動けなくなったと思って心配してきたんだぞ!!無事なら無事となぜ電話に出なかった!琴里。まずは私に言うことがあるんじゃないか?」

 

「うっ・・・・・・でもケータイの位置情報は盲点だったわね」

 

「琴里?」

 

「ごめんなさい・・・・・・」

 

普段怒らない士道が怒ってそう言うと、あまりの気迫に琴里は思わず謝る

 

「まあ、無事ならそれでいい。で、なぜおまえは動かなかった・・・・・いや、それより今いるここはどこなんだ?」

 

ため息をつきそう訊くと琴里は

 

「え、ええ…フィルター切って」

 

琴里が令音にそう言うと令音は何かのスイッチを切ると部屋が消え代わりに空とそして下に天宮市の街が見えた

 

「……これは?」

 

「ここは天宮市上空一万メートル。空中艦フラクシナクスの内部よ・・・・そう今朝、士道が見つめていた場所よ」

 

「数週間前に感じた飛行物体の正体はこれだったのか・・・・もしかして反重力エンジンを使用しているのか?」

 

「え、ええ・・・・そうよ。よく知っているわね。それよりも士道。なんであこの船のことが分かったのよ。この船は肉眼では見えないように特別な保護色システムを使用しているうえレーダーでも探知されない船なのに?しかも数週間前?あんた何者?」

 

と不思議そうにそう訊くと士道は下に見える天宮市を見つめていた

 

「ねえ士道ってば!なぜあんたはこの船のことが見えたの!答えなさい!」

 

「ん?御覧の通りただの学生さ。それに見えたというより感じたという方が正しいかな?まあ細かいことは気にするな」

 

「気にするわよ!それとその年齢と合わない大人口調やめなさい!なんか腹立つわ!」

 

さすがに透視能力で見たとは言えず士道はそう言い、琴里が指摘するが彼は笑ってごまかすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方別の場所、地球から少し離れたところでは

 

「アト、モウスグデ地球ニ到着スル!コノ宇宙デハ、宇宙警備隊ハオロカM78星雲モ存在シナイ!邪魔者ガイナケレバモハヤ地球ハ我々クール星人ノ物ダ」

 

と、無数の小型の宇宙船が近づいてくるのであった



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精霊の攻略法

士道が琴里と話している同時刻、陸上自衛隊天宮駐屯地

 

随意領域(テリトリー)解除」

 

折紙は基地の中でアーマースーツ、リアライザを解除し壁に背をかける。そして自販機からジュースを買い彼女は先ほどの戦闘のことを思い出していた

 

「(五河士道・・・・・・なぜあんな所に・・・・)」

 

空間震でシェルターに避難しているはずの指導がなぜあのところにいたのか疑問に思う折紙。五河士道。自分と同じ学校のクラスメイトであり、成績は自分に続いて二位。体育では男子トップクラス。そして年齢に似合わない大人びた雰囲気のある不思議な少年。もし彼が女子でASTに所属していたら折紙と並ぶトップエースになっていただろう。だが折紙が考えていたのはそうではない

 

「(彼は・・・・・私のこと覚えていないのかしら?あの5年前の・・・・・)」

 

彼女の脳裏には5年前のあの出来事が思い浮かんだ

 

「(もし覚えていないのなら仕方がない・・・・会ったのはあの一回だけだったから・・・・・)」

 

そう思っていると

 

「お疲れ鳶一」

 

と、そこへ缶コーヒーを片手に彼女の上司であり隊長である日下部燎子一尉が立っていた。

 

「今回もよく撃退してくれたわね」

 

「違う。撃退はしていない」

 

「…違うとしても、上にはそう報告しないと予算が下りないのよ」

 

「…」

 

「そう怖い顔をするんじゃないの。褒めているんだから。それよりも鳶一。あなた最近無茶しすぎ。…そんなに死にたいの?精霊は人の姿をした化物。いわば知能を持った災害なのよ?被害を最小限に抑えて出来るだけ早く消失させる。それが私達ASTの・・・・・・」

 

「違う、精霊を倒すのが"AST"の役目」

 

「………」

 

「私は、精霊を倒す」

 

強い意志を持った目でそういう鳶一に日下部はため息をつき 

 

「まあいいわ。でもね命令無視が続くようであればあなたを部隊から外さなくてはならなくなるわ。そのことを肝に銘じときなさい鳶一一曹?」

 

「了解しました日下部一尉」

 

そう言い立ち去ろうとする鳶一。すると日下部は

 

「そうそう。鳶一。あなたあの事聞いた?」

 

「何をですか?」

 

「先ほどお偉いさんと警察のお偉いさんが話しているのを聞いたんだけどね。この頃人間が突然行方不明になる事件が起きているのよ」

 

「・・・・それと私たち何の関係が?」

 

「なんでも目撃情報では目の前で突如人間が消えたりおかしな光が現れたりするのよ」

 

「・・・・・もしかして精霊の仕業?」

 

「そこはわからないわ」

 

「なら別にいい。私の目的は精霊を倒すことだから・・・・・・」

 

そう言い、鳶一はその場を離れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「・・・・・で、なぜ物理室がこんな研究所になっているのですか?それ以前になぜあなたがここにいるのですか村雨解析官」

 

今、士道は物理室にいるのだが、ここは物理室というにはあまりにも奇妙しすぎた。部屋の中にはコンピューター室のように部屋一面にパソコンが並んでいたのだから。それだけではないその部屋にはフラクシナクスにいるはずの解析官の令音がいたのだ

 

「今朝の朝礼で担任の岡峰先生が紹介したじゃないか。副担任の村雨令音だよ。新太郎君」

 

「違います。士道です」

 

「すまなかった。シン」

 

「それはウル・・・・ハヤタの名前ですよ?」

 

「誰よそれ?」

 

「いや、こっちの・・・・て、琴里。なぜお前がここにいるんだ?・・・・・ああ、そういえば先生から客人が来ているって聞いてたが」

 

「そっ、本当に察しがいいわねお兄ちゃん?」

 

頭を抱えて言う士道に琴里はにっと笑う。琴里の学校は今休みでありそれを利用して高校見学という理由で士道の所に来たのだ

 

「・・・・・それで琴里。精霊と話し合う訓練といっていたが、具体的にどうするんだ?それ以前に話し合いに訓練とか必要なのか?」

 

「大いに必要よ。士道。覚えているわね?精霊との対処法にはASTみたいに武力でやる以外の方法があるって」

 

「ああ、言っていたな。で、方法は?」

 

「それはね、精霊に恋させるの」

 

「・・・・・え?」

 

予想外の言葉に士道は唖然とする。そんな士道を無視して琴里は

 

「武力以外での解決策は精霊にこの世界を好きになってもらうのが一番。世界が素晴らしいものだとわかれば暴れたりしないでしょうから。そこで、ほら、恋をすると世界が美しく見えるって」

 

「なるほど、つまり私に精霊に恋をさせる相手を見つけて仲人をすればいいというわけだな?」

 

「そうそう。よくわかって・・・・・・・て、違うわよ!何そのお父さん的発想と発言は!?士道ってこう時だけは鈍いわね!」

 

「え?ちがうのか?」

 

「当り前よ!どこまで鈍いのよ!精霊のデートの相手は士道。あなたなのよ!そして精霊をデレさせるのがあなたの役目よ!」

 

「っ!?」

 

その言葉に士道。いやセブンは驚く。今まで数多の侵略宇宙人や凶暴な怪獣と戦ってきた彼にとって衝撃的な言葉であった。

 

「ちょっと待て琴里。精霊を武力じゃない方法で解決するのは賛成だ。だがデレさせるなど私には・・・・・」

 

「そう言うと思ったわ。士道って堅苦しいというか恋愛経験ないものね」

 

「余計なお世話だ(第一、私は(前世では)妻子持ちなんだが・・・・)」

 

「まあ、いいわ。そのための特訓なんだから。令音」

 

困った顔でそういう士道に琴里はいたずらポイ笑みを見せチュッパチャップスを咥えると令音に何か言い、彼女は頷くとパソコンを起動させる。するとパソコンの画面から様々な色の髪の美少女達が写った…何かのタイトル画面それは・・・・

 

「これは・・・・ギャルゲーというやつか・・・・・」

 

そう、士道が目にしたのは以前、殿町に魅せられたギャルゲーであった

 

「相手を。恋させるしかも女性が相手ならこういうゲームはうってつけだ。しかもこのゲームは君専用にアレンジしておいた。シンはこういうゲームはやったことあるだろ?」

 

「いいや。生まれてこの方テレビゲームをやったことはない」

 

「そう言えば士道って、本とか読んだりジョギングしたりでゲームとかしていなかったわね?」

 

「まあな(それ以前に前世の地球ではテレビゲームはまだ無かったからな・・・・)」

 

セブンが初めて地球に来たのは1967年。そしてレオと出会いこの世界に転生するまでは1974年。それに比べアーケードやゲームが流行り始めたのは1980年、ギャルゲーに至ってはその6年後の1986年である。当然士道ことセブンはテレビゲームをしたことは一度もなかった。転生後も彼はテレビは見るが、そのほかは読書をしたり身体を動かすためジョギングしたりとテレビゲームなどはやったことがなかった

 

「経験がないのなら尚更それはやったほうがいい。今後も精霊と出会うんだ。これで彼女たちとのコミュニケーションをとる勉強をしたまえ、シン」

 

「もはやシンは定着なんですね?はぁ…・・仕方がないこれで平和的に解決できるのなら……で、琴里。一つ訊いてもいいか?」

 

「何?まさかおパソコンの操作が分からないっていうわけじゃないよね?あんたいつの時代の人間?」

 

「いや、コンピューターの操作くらいわかる。ただ訊きたいことは・・・・・・」

 

「訊きたいことは?」

 

真顔で言う士道に小鳥は少し汗を流して聞き返すと

 

「このゲームの題名。明らかにどっかの企業のゲームをパクっているみたいだが、著作権とか向こうの企業の許可とかそういうのは大丈夫なのか?」

 

「そっちっ!?」

 

こうして士道(セブン)の特訓?が始まる。一区切りやった時の彼の感想は

 

『キングジョーやタイラントと戦った方がまだましだった・・・・・』

 

とやつれ顔でそう言っていたのだった・・・・・

 

 

 

 

 

 

放課後。夕日が輝く中、士道は屋上で鳶一と対面していた。理由は特訓一日目が終わったのち、廊下を歩いていると鳶一に出会い無理やり屋上へと引っ張られたのだった

 

「士道。昨日、何故あそこに居たの?」

 

「妹が逃げ遅れて、探しに来ていた」

 

「それで妹さんは見つかったの?」

 

「ああ、おかげさまでな。一つ訊いてもいいか?お前もなぜあそこにいた?」

 

理由は知っていたが彼女本人の口から知りたかった士道はそう訊くと

 

「それは秘密。昨日見たこと聞いたこと、全て忘れた方がいい」

 

「あの空間震に現れた少女のこともか?」

 

そう訊くと鳶一は頷く

 

「彼女は一体・・・・」

 

「あれは精霊。私が倒さねばならないもの」

 

「そんなに凶悪そうには見えないが?」

 

「精霊はみんな敵」

 

「なぜそう言いきれるんだ鳶一?」

 

鳶一は一拍おき、そして静かに、ただししっかりと答えた。

 

「私の両親は五年前、精霊のせいで死んだ・・・・・・・だから、私のような人間は、もう増やしたくない」

 

「・・・・・」

 

憎しみを含めた目でそういう鳶一に士道は

 

「そうか・・・・だがな鳶一」

 

と、そう言い士道は扉の方へ歩きそして彼女に振り向き

 

「精霊すべてが悪ではない。それに憎しみだけでは前にも進めないし解決もしない。それは・・・・血を吐きながら続ける悲しいマラソンだよ」

 

「え?」

 

鳶一が士道の言葉に呆けていると、士道は

 

「じゃあまた明日学校で」

 

と、そう言い屋上を後にするのであった

 

 



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士道(セブン)の試練

士道が精霊と平和的に話し合って解決するため、妹である琴里はある方法を教えた。それは精霊に恋をさせ士道にデレさせるという方法であった。そして琴里はその特訓をし始め、士道にギャルゲーをするように指示し、特訓からまる一日・・・・・

 

「はぁ…・・何とかクリア・・・できたな」

 

目には隈ができやつれ状態の士道が自室でそう呟く。家に戻ってから明朝まで彼はギャルゲーの特訓に励んだ。だが、ゲームをする中彼はヒロイン相手だけではなく心の中にいる自分とも戦っていた

 

「あはは・・・・とてもこの姿、ゲンやハヤタに見せられないな・・・・・特にゾフィーには絶対に見せられない」

 

乾いた笑みでそういう士道ことセブン。なれない恋愛ゲームにセブンは何度も心の奥底にある何かと戦いながらゲームを続けていた。たまに恥ずかしさのあまりアイスラッガーがあったら思わずパソコンごとぶった切りたいと思う気持ちも何度かあったが、士道はそれを乗り越えついにゲーム全ステージをクリアしたのだ。

 

「あはは・・・・・全部クリアしたのにこの虚しさは何だ・・・・」

 

セブンのその独り言に誰も答える者はいなかった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校、物理室

 

「へ~たったの1日でほかのステージをコンプリートして超難易度で誰もクリアしたこともないステージまでクリアしたの?さすがね士道」

 

「褒められているのに嬉しくないのだが琴里・・・・・」

 

「シン。顔色が悪いぞ?どこか具合でも悪いのかい?それとも寝不足なのならそこのベッドで仮眠でもするかい?」

 

「いや。大丈夫だ。睡眠は先ほどとった・・・・・・逆に胃薬が欲しいかな?」

 

「そういう冗談を言えるのなら大丈夫そうね。じゃあ第二段階に入るわよ士道」

 

「(冗談ではないのだが・・・・・)第二段階?何をする気だ?まさかまた難易度の高いのをやるつもりか?」

 

「そうね・・・・ある意味。正解だシン。それとシン。そのまま動かないでくれ・・・・・」

 

そう言うと令音は士道に近づき彼の耳にインカムをつける

 

「これは・・・・・?」

 

「第二段階の訓練は実戦よ士道」

 

「実戦・・・・・て、まさか・・・・・」

 

嫌な予感がする指導に琴里はいたずらな笑みを見せるのであった。

 

 

 

 

 

「あの~五河君。私に何か用ですか?」

 

「(やはり実戦ってこういうことか・・・・・)」

 

士道の前には担任の先生である岡峰先生であった。そう琴里の言った実戦とは、相手を口説くということであったった。するとインカムから琴里が話しかける

 

『何をボーと突っ立っているのよ士道。先生を口説きなさい!精霊をデレさせる訓練だといったでしょ?人間一人口説けないでどうするのよ?』

 

「だからと言って、無責任にに相手を口説くなんてそう言う事は俺はしたくない」

 

士道は先生に聞こえないように小声でそういうと

 

『あんたってばどこまで真面目なのよ!?ああもう、わかった!じゃあ百歩譲って相手を褒めなさい!それならいいでしょ!?』

 

「それなら・・・・」

 

「あの~五河さん?」

 

「え?ああ、大した用じゃないんだけど。先生。先生の来ている服。かわいらしいですね。何かいいことがありましたか?」

 

「え、そうですかぁ?これ実は新作で発売された人気の服なんですよ」

 

と、嬉しそうに言う先生。意外と好印象だった。

 

「そうなんですか。ではその髪飾りも?」

 

「いいえ、実はこれ。実家の母の手作りなんですよ。私の誕生日に送ってくれたんです。似合っていますか?」

 

「ええ。とても似合っていますよ先生」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

と、ニコッと笑う士道に先生は顔を赤くする。それをモニタリングしていた琴里と令音は

 

「これは・・・・予想外だ。シンは恋愛経験皆無だと思っていたが、これほどの褒め殺しができるとは・・・・」

 

「そうね。これは私たちのアドバイスはいらなさそうね。これなら一気に口説けそうね」

 

と二人は様子を見ていると

 

「先生。実は私一言先生にお礼が言いたいのです」

 

「お礼ですか?」

 

「はい。最近学校に来るのが楽しいんですよ。それも担任である先生の授業のおかげです。ほかのクラスの皆もそうです」

 

「そ、そんなぁ過大評価しすぎですよぉ」

 

士道の言葉に先生は嬉しそうに笑みをこぼす

 

「いいえ、先生ほど教え上手で生徒たちに明るい笑顔で接し皆から慕われる人はそう、いないです。そして・・・・・」

 

と士道は一呼吸入れると

 

「私自身も先生の授業が楽しくて大好きです」

 

「っ!?」

 

不適の笑みでそういうと、その言葉に先生は目を丸くする。士道の言葉に嘘はない。実際に士道は先生の授業が分かりやすくそして笑顔で教えるその姿に興味があり、そして士道は彼女のことを素直に思ったことを褒めたのだった。すると・・・・・

 

ガシッ!

 

「え?」

 

いきなり先生が士道の肩をつかむ。そして先生は

 

「五河君・・・いえ士道君!年上は嫌いですか!?もし嫌じゃなかったら。このまま私と結婚しちゃいます!?」

 

「は、はい?」

 

いきなりの告白に士道が驚く

 

「五河くんが結婚できる年齢になったら私30越えちゃいますけど卒業したら実家を継いでくれますか?婿養子とか大丈夫ですか?」

 

「・・・・・」

 

目を輝かせて興奮状態でいう先生に士道は唖然とし苦笑してしまう。するとインカムから

 

『あんた褒めすぎよ。逆に向こうから口説いて来てるじゃない』

 

『それに彼女は独身・女性・29才にとってああいう言葉は甘い毒だ。周りは次々と家庭を築き始め、両親に急かされ、自分に関係ないと思っていた三十路の壁を越える寸前という追い詰められた状況に君のああいう言葉をかけられたらそうはなる』

 

「いや、私はただ単に正直に先生を褒めただけなんだが・・・・・」

 

『いいから、これ以上絡まれると厄介だし、一応は目的も果たしたし、適当に理由付けて逃げなさい』

 

「わ、わかった・・・・それでは先生。また授業で!」

 

そう言い士道は逃げるようにその場を離れるのであった

 

「はぁ・・・・・驚いた。しかし、ただ褒めただけなのにああなるとは・・・・」

 

『あんたの場合は褒めすぎなのよ士道。あれで陥落しない女性はいないわよ』

 

「そう言うものか?(地球の女性の気持ちはよくわからない。こんなことになることを知っていれば、ウルトラ警備隊時代にアンヌにアドバイスとか聞くべきだったかな・・・・・)」

 

そう思いながら士道は廊下を歩き角を曲がろうとすると誰かにぶつかる

 

「す、すまない。大丈夫か?」

 

士道はぶつかった相手に謝る。ぶつかった相手は鳶一だった。おまけにぶつかった時に尻餅をついたようで、士道に向けてM字開脚していた。その姿に士道は驚くが、鳶一はすかさず起き上がり

 

「・・・・平気」

 

「そ、そうか…立てるか?」

 

そう言い士道は手を差し伸べると鳶一は彼の手を握り立ち上がるのだが・・・・・

 

「あ、あの……鳶一。いつまで私の手を握っているんだ?」

 

「・・・・一生」

 

一瞬、士道の首筋にゾクりと冷たい感覚が襲ったが

 

「冗談はよしてくれ。それにこのままだとほかの相手から恋人にみられてしまうぞ?」

 

笑ってそういう士道だが。鳶一は無表情で

 

「・・・・・構わない」

 

「え、何て?」

 

「恋人でも構わない、と言った」

 

「い、いや。鳶一。恋人っていうことわかっているか?それは男女交際的な・・・・」

 

「わかっている。無論そのつもり」

 

「い、いや・・・・その・・・」

 

まさかの返答に士道はどう答えればいいかわからなくなってしまう。すると・・・・

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

校舎内に警報音が鳴り響く。

 

「なっ…空間震警報…?」

 

「急用ができた、また。後、士道の手を握ったこの手、一生洗わないから」

 

「最後に聞こえたの何!?」

 

突然折紙は踵を返して立ち去ってしまう。最後に何か言ったような気がしたが気のせいであってほしい。するとインカムから焦ったように琴里の声が。

 

「士道。分かってるとは思うけど、空間震よ。一旦フラクシナスへ移動するわ」

 

「やっぱり、精霊か?」

 

「そうよプリンセスよ。そして、出現予測地点は、来禅高校・・・・ここよ」

 

「わかった。すぐに行く」

 

 

 

 

 

数時間後、夕暮れの中、空間震の起こった学校は半壊し、そしてその学校の近くの森にはASTの隊員たちが待機していた。そして士道は学校の校舎の中にいた。すると士道の耳に付けているインカムから

 

『士道。彼方かなりのラッキーね。ASTのCRユニットは屋内での戦闘を目的としていないわ。プリンセスが屋内に入ったことでASTもそう簡単に突入できないの。だから士道彼方にしかできないの精霊を助けたいんでしょ?」

 

「もちろんだ。もう、これ以上あの精霊に悲しい顔はさせたくない」

 

『あなたならそう言うと思ったわ士道。安心して士道、我がラタトスクのクルーには頼もしい人材がいっぱいよ。もしあなたが対話に詰まったら彼らがサポートするわ』

 

そう言うと指令室にいた5人の職員が立ち上がる

 

「一人目、五度もの結婚を経験した恋愛マスター・〈早すぎた倦怠期(バッドマリッジ)〉川越!二人目は夜のお店のフィリピーナに絶大な人気を誇る、〈社長(シャチョサン)〉幹本!三人目は恋のライバルに次々と不幸が。午前二時の女・〈藁人形(ネイルノッカー)〉椎崎!4人目は100人の嫁を持つ男・〈次元を越える者(ディメンション・ブレイカー)〉中津川!そして最後は、その愛の深さゆえに、今や法律で愛する彼の半径500メートルに近づけなくなった女・〈保護観察処分(ディープラヴ)〉箕輪!」

 

「・・・・・正直コメントに困るのだが琴里(本当に大丈夫か?この星の人類の将来は)」 

 

『大丈夫だシン。皆腕は確かだ』

 

『ほかにも見えない協力者がいるからあなたは自信を持っていきなさい。士道』

 

「わかっている。では行ってくる」

 

そう言い士道は精霊プリンセスのいる教室へと向かうのであった

 

 

 

 



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十香

士道は精霊と会話するため学校に入る。そしてその精霊プリンセスのいる教室へと足を踏み入れた。そして夕日が差し込む教室の中、以前士道が出会ったあの少女が立って窓の外と、言っても窓側は壁は丸々消しとんでおり、夕闇の空が広がっており、彼女は夕日を眺めていた。士道が一歩足を踏み入れると、彼女は気付いたのか振り向き

 

「何者だ!!」

 

と、彼女は手を振りかざすとそこから衝撃波が発生し士道にめがけて飛んでくる。その瞬間士道のいた場所はすごい爆風と煙が舞い上がる。そして煙が晴れるとそこに士道の姿はいなかった

 

「・・・・・・消えた?」

 

少女は首をかしげると、何かの気配がし、少女はそこを振り返ると

 

「ハッハッハッハッ!!」

 

「っ!?」

 

教卓の上で胡坐をかいて高笑いする士道がいた。その姿の少女が驚くと士道は教卓から降りて彼女に近づこうとすると

 

「とまれ・・・・・お前は何者だ?」

 

殺気を含めた目で警戒しながら言う少女。

 

「私は・・・・・『士道、待ちなさい』・・・ん?」

 

士道が答えようとすると琴里が待ったをかける。そしてラタトスクでは

 

「精霊の精神状態に変化があります!」

 

「解析用AIが反応」

 

「選択肢表示されます」

 

三人がそう言うと大スクリ-ンに三つの選択肢が表示される

 

『俺の名は五河士道。君を救いに来た』

 

『通りすがりの一般人です。お願い殺さないで~!!』

 

『人に名を訪ねる時はまず自分から名乗れ』

 

「出たわね・・・・各自選択」

 

琴里がそう言うと5人は選択する。結果は三番目が多かった

 

「なるほど・・・・私と同意見ね。ということで士道。聞こえたわね三番目に選択されたセリフを言いなさい」

 

琴里はインカムで士道にそう言うと

 

「琴里。それはあまりにも相手に対して失礼だ。下手をしたら喧嘩の原因にもなるぞ?」

 

士道はジト目で琴里にそう言うと、いつまでも答えない士道にしびれを切らせたのか少女が士道に向けて衝撃波を放つ。衝撃波は士道の間横をすり抜けた。

 

「もう一度訊く。貴様は一体何者だ?答える気がないなら敵とみなすぞ?」

 

殺気を含めた目で少女は士道の顔に向けて手をかざし光弾をためる。すると士道は慌てる様子もなく

 

「御覧の通りに私はここの学校に通う学生だ」

 

「・・・・・名前は?」

 

「名前?そう・・・・・モ・・・五河士道とでもしときましょう」

 

士道はかつての名モロボシ・ダンの名を名乗りそうになったが、今は五河士道として生きているためその名を名乗った

 

「五河士道だと・・・・・貴様。前にどこかで会った気がするが?」

 

「ああ、この前。町であった。覚えているか?」

 

「おお、この前、変な事を言っていたやつだな覚えているぞ!」

 

と、そう言うと少女は士道の頭をつかんだ。その眼はさっきと悲しさが入り混じっていた

 

「貴様・・・・・この前、私を殺す気はないといったが。見え透いた手を・・・・何が狙いだ?」

 

「何も狙っていない。私は君を殺すつもりなどない!」

 

「嘘だ!私と出会った人間は皆、私は死ぬべきだと言い殺しに来ていた!」

 

「そんなわけない!すべての人間がそんな冷酷な人ばかりではない。中には自分と異なる者がいても暖かく迎え入れてくれる人もいる!」

 

「では訊くが五河士道とやら。お前は私を殺す気はないと言ったが、何しに私の所に来た?」

 

少女がそう訊くと、士道は琴里から言われた選択肢を言う

 

「・・・・君に会うためだ」

 

「私に会う?・・・・・・・何のためにだ?」

 

「・・・・・・愛し合うため・・・かな?」

 

「冗談はいい!」

 

士道は琴里に言われた言葉を言うとい、少女は目を吊り上げてから光弾を放ち士道の後ろにあった壁を破壊する

 

「不快だ。真面目に答えろ。もしこたえなければ貴様を消す・・・・・」

 

悲しみに満ちた目でそういう少女に士道は

 

「琴里・・・・・あとは私に話させてくれ」

 

『え!?ちょっと士道!?』

 

琴里は驚くが士道は彼女の眼を見て

 

「先ほどの言葉は確かに不快だった。すまない。だが君に会いに来たというのは冗談ではない。私は君と話がしたい。話の内容は何でもいい。もし不快であるなら無視してもらっても構わない。だが、私はそんな悲しい顔をする君を放っては置けない!だからこれだけはわかってくれ!」

 

そう言い士道は一呼吸すると

 

私は君を否定しないっ!!!

 

「っ!?」

 

士道の嘘偽りのない言葉に少女は雷に打たれたように驚く。そしてしばらく硬直していた彼女がだ、やがて自分の髪をなでると

 

「い、五河士道とか言ったな?本当に私を否定しないんだな?」

 

「ああ」

 

「本当か?っ本当に本当か?」

 

「本当だ。」

 

「本当にホントの本当だな!」

 

「ほんとに本当の本当だ!約束する。精霊と宇宙j・・・・いや精霊と人間との約束だ!」

 

士道は力強くそう言うと少女の頬は少し赤くなり

 

「ふ、ふん!誰がそんな言葉に騙されるか!バーカ!バーカァ!!」

 

「ん?」

 

先ほどの態度に比べ少し子供っぽくなる少女に士道は少し驚く。すると少女は腕を組み

 

「ま、まあ。あれだ。どんなことを企んでいるか知らないが。まともに会話する人間は初めてだ。この世界の情報を得るためにお前を利用してやる。うん。大事。情報超大事」

 

子供っぽい言動と態度に士道は苦笑すると士道は

 

「そうか・・・・それで君の名は?」

 

「名前?私に名などない。だが、会話をする相手には必要だな・・・・・」

 

少女は考えるそぶりを見せると士道に振り向き

 

「士道。お前は私を何と呼びたい?」

 

期待を込めた目でそういう少女。するとインカムから

 

『士道。今から彼女の名前を決めるから少し待ってなさい。・・・・て!川越。美佐子って別れた奥さんの名前でしょ!幹本!これなんて読むのよ!『麗鈴(クララベル)です!』却下!もっと古風なのはないの!?例えばトメとか!』

 

「(いや、トメも今どきダメだろう・・・・・全国のトメさんには悪いが・・・)」

 

インカムから聞こえる。言葉に士道は不安の顔をする。そして士道も彼女の名を考えていた

 

「(名前か・・・・・アンヌ・・・・いや。それだと後々面倒なことになる。何かいい名前を付けなくては・・・・・・・そうだ!)十香っというのはどうだ?」

 

「十香・・・・?」

 

「そうだ。君の名は十香だ」

 

そう言うと士道は黒板に十香の名前を書く

 

「これで、十香と読むのか?」

 

「そうだ。そして君の名だ」

 

そう言うと、十香は指先から小さなビームを出し黒板に自分の名である十香の名を書く

 

「十香・・・・・士道。これが私の名だ。素敵だろう?」

 

「ああ・・・・とても素敵な名だよ。十香(4月10日にあったから十香というのは安直のようだが、本人が気に入ってくれたのならまあいいか)」

 

士道がにっこり笑ってそういうと、十香も笑う。すると突然

 

『伏せなさい士道!』

 

「っ!?」

 

インカムから琴里の声がした瞬間。突然十香の頭上から銃弾の雨が降り注ぐ。しかし十香はバリアを張り、銃撃を防ぐ。士道は上空を見るとそこにはASTの隊員たちが十香に向けて発砲していたのだ

 

「隊長。本当にいいんですか?」

 

「燻りだしの許可は得たわ。後は復興部隊がやってくれるでしょ?」

 

そう言いながら向かって発砲する隊員たち。十香にそれを見た士道は

 

「やめろっ!彼女に敵意はない!撃つのをやめろ!!」

 

そう言うが銃声のせいなのか彼の言葉は彼女等には届かなかった

 

「(どうする・・・・・またウルトラ念力を使って動きを止めるか?だが、それだと今モニターで見ている琴里にみられる・・・・・怪獣ボールかカプセル怪獣があれば彼女らを遠くまで引き付けることができるのに・・・・」

 

士道は悔しい表情をする。怪獣ボールもなく。カプセル怪獣があったとしてもあれはウルトラアイのエネルギーを使って発動させるものであり、ウルトラアイがない今、士道に残された技はウルトラ念力だけであった。だがこの様子を琴里は見ている。今自分が元異星人であることを彼女に知られてはいけない。どうするべきか考えていると十香は

 

「士道。早く逃げろ。ここにいたら同胞に撃たれることになるぞ?」

 

少し悲しい顔をした十香がそう言うと士道は首を横に振り

 

「いや、私はここを離れない」

 

「な、なぜだ。早く逃げねば・・・・・」

 

「まだ君との会話をしていないだろ?せっかく話し合えるというのにここでお開きというのは私は納得ができない。彼女らのことは無視して今はゆっくり話し合わないか?君はこの世界のことが知りたいんだろ?」

 

「士道・・・・・」

 

冷静に言う士道。そして十香はその言葉にうなずくと士道は

 

「じゃあ、立ち話もなんだし座って話そうか。ちゃぶ台やお茶があればいいのだが、今はこの夕日の景色で我慢しよう・・・・・夕日か・・・・あいつとの会話を思い出すな」

 

「何を言っているんだ士道?」

 

「いや、こっちの話だ。それじゃあ、始めようか」

 

と、士道と十香は建物の影まで歩くと座り始め。そして会話をするのであった・・・・・

 

 

 



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元宇宙人(ウルトラセブン)精霊(十香)の会話

ASTが十香を銃撃する中、十香と士道は半壊した教室の中、互いのことを知るため話し合っていた。そんな中ASTが撃つ弾丸は十香の張るバリアで塞がれているうえ中では銃撃の音はせず、静かであった。その空間の中二人は話をしていたのだ

 

「ところで十香。君は一体何者だ?どこから来たんだ?」

 

「・・・・・・・・わからない」

 

「わからない?」

 

「ああ。どのくらい前だったか、私は急に芽生えた。それだけだ。記憶はいびつで曖昧。自分が何のために生まれ。どういう存在なのか知りもしない」

 

「そうなのか?」

 

「そうだ。急に目覚めたと思ったら、突如、空からメカメカ団が襲ってきた」

 

「メカメカ団?」

 

「あのうるさい連中のことだ」

 

「あはは!メカメカ団。面白い名前だね」

 

と、そう言うと十香はじっと見る

 

「ん?どうかしたのか十香?」

 

「いや、別になんでもないのだが。なぜか士道と話すとなぜか落ち着くというか・・・・自分と似たような存在のように感じたのだ」

 

「ほお?つまり?」

 

「上手く言えないのだが・・・・士道はなんだか私がいた場所よりもはるか遠くから来たような感じがしたんだ」

 

「そうか・・・・ある意味そうかもしれないな。もしかしたら私は遥か遠い星から来た宇宙人かもしれないな?」

 

「そうか。ならば私も士道と同じに遠い星から来た宇宙人かもしれないな?」

 

互いに冗談を言い笑いながらそう話しているとインカムから。

 

『士道。チャンスよ。いま彼女の期限メーターが70%を超えたわ。踏み込むなら今よ。彼女をデートに誘いなさい!』

 

「いきなりそれは早すぎるんじゃないか?」

 

『何お父さんみたいに言っているのよ!ここは一気にデートに誘っちゃえ!』

 

「まったく。困ったものだ・・・・・」

 

「ん?士道。何を言っているのだ?」

 

士道の言葉に反応したのか十香が振り向きそう訊く。

 

「ああ・・・・いや、その・・・・」

 

「さっきから何かぶつぶつ言っていたが・・・・・・はっ!まさか私を殺す算段をしてたのか!?」

 

十香は士道を怪しむように見てそして手から光弾を溜めて士道に向ける。

 

「ま、待ってくれ十香。別に君を殺す算段はしていない・・・・私はただ・・・」

 

「ただ?」

 

十香が士道を怪しむように見てそしてインカムからは琴里以下フラクシナクスのメンバーはデートコールをしていた。その現状に士道は

 

「(うっ・・・・・デートの誘いなんて妻と初めて会った時以来だが・・・・改めて誘うと思うとなんか恥ずかしい・・・・・だが、言わねばならないな)十香。実は今度、私とデートをしてほしいんだ」

 

「デート?」

 

勇気を出して十香をデートに誘う。しかし十香はデートという言葉を知らないのか首をかしげる。

 

「士道・・・・・デートとはなんだ?」

 

「デートとは・・・・・・っ!?」

 

十香の言葉に士道が説明しようとすると急に何かが迫ってくる気配を感じ、十香と士道は空を見上げると、一人のASTの隊員がビームサーベルを手に十香に襲い掛かってきたのだ。しかし十香はその一撃をシールドを張って防ぐと、ASTの隊員はくるりと回転し士道の前に立つ。

 

「と、鳶一?」

 

そう、十香を攻撃したのは鳶一折紙であった。そして鳶一は振り向き

 

「よかった・・・・・」

 

と、そう言うと十香を睨むと十香も彼女を睨む

 

「・・・・また貴様か」

 

「盾に取るなんて許せない」

 

と双方にらみ合う中、士道は

 

「待て鳶一。誤解だ。彼女は私と会話をしていただけだ。彼女に敵意はない!」

 

士道が止めるが二人には聞こえていないのか今にも衝突する危険性があった。すると十香が

 

鏖殺公(サンダルフォン)!!」

 

と、そう叫ぶと地面から大きな剣が現れ、十香はそれを持ち鳶一に向けて構える。するとインカムから

 

『士道。このままだと危険だわ。離脱して、フラクシナクスで回収するわ!!』

 

「待て、琴里。彼女らをこのまま・・・・」

 

『そんなのんきに言っている場合!急いで離脱しないと巻き添いを食らうわよ!』

 

と、琴里がそう言った瞬間、十香は大剣『鏖殺公』を振り払うとそこから強い衝撃波が発生するその衝撃ですさまじい爆風が起きるのであった。折紙は爆風で飛ばされそして士道は爆風を食らう直前にフラクシナクスのテレポートで保護され。そして爆風が消え去った後、十香の姿は消えていたのであった

 

 

 

 

 

 

 

翌日。士道は学校に来ていたが、校門には『臨時休校』と書かれていた

 

「まあ、こんな被害なら休校も当たり前か・・・・・・」

 

士道は瓦礫と化した校舎を歩く

 

「まるで夢のような感じであったが・・・・・」

 

すると士道はしゃがみ、ある破片を手に取る。それは昨日の夕方、十香が自分で黒板に刻んだ自分の名であった

 

「だが、夢ではない。確かに私と彼女は分かり合えた・・・・・・きっと彼女も人間と仲良くなれる。かつてM78星雲の宇宙人であった私が人間と仲良くできたように」

 

と、ぽつりとつぶやく。確かに昨日の夕方、士道は彼女と話ができた。そして精霊でも人と会話し分かり合えることに確信がついたことが分かったのだ。すると・・・・・・

 

「シドー」

 

「ん?」

 

急に誰かが自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと・・・・・

 

「やっと。私に気付いたか。ばぁーか。ばぁーか」

 

「と、十香・・・・?」

 

瓦礫の上には十香が立っていた

 

「君は・・・・・どうしてここに?空間震警報が鳴っていなかったはずだが?」

 

「ん?何をわけのわからないことを言っているのだ?それにお前の方から誘ったのではないかデートとやらに?」

 

そう言うと十香はにっこりと笑うと

 

「さっ!士道!デートに行こうではないか!デート!デート!デート!!」

 

と、子供みたいに無邪気にそういう十香に士道は微笑み

 

「ああ分かった。約束だからな。だがその格好だと人目に付く。何か違う格好をしなくてはな」

 

「着替えると言っても?どう着替えるのだ?」

 

「そうだな・・・・・そうだ。この格好に着替えられるか?」

 

そう言い士道は一枚の写真を出す。それはクラスの集合写真であった。そして士道は女子の制服の方を指をさしてそう言うと十香はそれを見て

 

「この服装になればいいんだな?」

 

と、そう言うと彼女の体は光に包まれ、光が治まると十香は学校の制服姿となって立っていた

 

「これでいいのかシドー?」

 

「ああ。完璧だ」

 

「では行くぞ。デートに」

 

そう言い、十香は士道の手を握り走りだすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別の場所では

 

「はあ・・・はあ・・・・・」

 

ASTの隊員が息を切らしながら暗い街中を走っていた

 

「な、何なのよ・・・・あれは。せ、精霊なの?い、いや。あれはどう見ても精霊じゃない。まるで・・・・・」

 

と、顔を青くし震えながらそう言うと、

 

「あなたどうしたの?所属と階級は?」

 

と、そこへ別のASTの隊員がやってくる。するとその隊員は敬礼をして

 

「わ、私はAST所属の野沢登美子・・・さ、三等陸曹です。実は精霊とかかわりのあるかもしれない事件を調査しいまして・・・・・」

 

「調査?ああ、何やらお偉いさんが話していた行方不明事件のことね。それで、何かわかったの?ほかの隊員は?あなた一人だけなの?」

 

と、首をかしげてそう訊くと彼女は震えながら

 

「い、一緒にいた隊員は・・・・・奴ら(・・)につかまりました!」

 

「捕まった?精霊に!?ちょっと詳しく話してくれる!?」

 

「い、いいえ違います!背、精霊ではありません。あれは・・・・う」

 

と彼女が言いかけたとき突如真上から何も無いはずの空から光線が発射され、その光線に当たった二人は突如姿を消すのであった・・・・・

 

 

 



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宇宙人と精霊のデート

地球人の高校生、五河士道の正体はウルトラ兄弟の一人ウルトラセブンであった。しかし彼はブラックスターからやってきた円盤生物シルバーブルーメの襲撃に会い、MACの基地諸共飲み込まれる。死んだと思ったセブンは転生し、地球人として転生し、平和に暮らしていたセブンは突如現れた精霊と呼ばれる少女と出会い。そして平和的に解決するため彼女とデートをすることになったのだった

 

 

「シドー!シドー!これは何だっ!?何だ?何だっ!?何だあぁー!?」

 

精霊である十香はパン屋の窓においてあるたくさんのパンを見て目をキラキラさせてそう言うと士道は笑って

 

「それはパンだよ・・・・・ほお…今日はきな粉パンの日か・・・・十香。食べたいのか?」

 

「い、いや…別にほしくは・・・・」

 

そうは言うが、十香はよだれをたらし物欲しそうに店内に置いてあるパンを見ていた。すると士道が

 

「十香。お腹が減っているなら、これを食べるか?」

 

そう言い士道は飴玉を出すと

 

「そ、そんな小さな者。ほしくない」

 

と、プイっとそっぽを向くと士道は

 

「ハハハハ!!じゃあ・・・・・・」

 

笑う士道はまるで手品のように上着の懐から、パン屋の新メニューであるフランスきな粉パンをひょいっと取り出すと

 

「ほいっ!これならどうだ?」

 

「おおっ!?」

 

十香は士道が取り出したきな粉パンの匂いを嗅ぐとよだれを垂らす

 

「わ、罠ではないな?シドー?」

 

「大丈夫だ。まあよだれを拭いて食べてみろ美味しいぞ」

 

と、そう言うと十香はきな粉パンにかぶりつく。すると十香は目をキラキラさせ

 

「う、うまあぁーい!!!これがデート!?」

 

「いや、それはきな粉パンだ。そうだ。喉乾いていないか?」

 

と、そう言うと士道はハンカチを取り出し自分の手に置く。そして士道はハンカチを挙げると士道の手から水の入ったペットボトルが現れる

 

「ほい」

 

士道は水を私と十香は受け取り水を飲むと

 

「この美味しいのがデートではない!?もしやこの程度のうまさではデートではないのか?」

 

「いや…デートは食べ物では・・・・・」

 

士道が苦笑してそう言うといつの間にやらフランクフルトや団子などの食べ物を口にくわえた十香が商店街にいる人たちを見て驚いていた

 

「シドー!なんなんだこの人間の数は!?総力戦か!?ならばメカメカ団がやってくる前に先手を・・・・」

 

そう言い十香は指先から紫の光弾を溜めると

 

「まて、十香」

 

「止めるなシドー」

 

「大丈夫だ。彼らは君を殺そうとはしないよ」

 

「本当か?」

 

「本当だ。私を信じてくれ」

 

「む・・・・シドーが言うのなら」

 

そう言うと十香は光弾を撃つのをやめる。すると彼女のそばにいた子供がごみをゴミ箱に入れて母親に頭をなでられ褒められているところを目にした

 

「・・・・・・・」

 

すると十香は自分の持っていたごみをゴミ箱に捨てると。士道に頭を差し出す。最初は何の真似かと思った士道だが、すぐに十香がしてほしいことを理解しそして微笑みながら頭をそっと優しくなでると十香は嬉しそうに目を細める。それを見た士道は

 

「(かわいい・・・・まるで子供みたいに純粋だな)」

 

と、微笑ましく十香を見ていた。そしてその後、士道と十香は商店街のありとあらゆる食べ物屋に立ち寄った。そしてレストランでは十香はモットクレロンやベムスターも真っ青なくらいにすべての食べ物を食べまくった。それを見た士道は

 

「(すごい食欲だ・・・・・ベムスターなんかの食いしん坊怪獣と互角に張り合えるんじゃないか?それに先ほどの出店もおかしい。祭りでもないのにあんなにたくさん・・・・しかもなぜか理由づけに無料とか言っていたが・・・・)」

 

と、苦笑していると

 

「はい。これ私たちからのサービスねカップルさん!」

 

と、そう言うと店員が特大パフェを二人に渡す

 

「ああ、すまない・・・・・て、琴里?」

 

店員に礼を言う士道だが、その店員は琴里であった

 

「お前何でここに?・・・・・もしかしてあの商店街の出店の人たちは・・・・」

 

十香に聞こえないように小声でそういうと、琴里はニッっと笑い

 

「察しがいいわね。さすが士道よ。そうよあの出店の人たちは皆ラタトスクの職員よ。いったでしょ?彼方を全力でサポートするって?」

 

「・・・・すまないな」

 

「いいわ。で、この後はどうするの?」

 

「とりあえずは十香が喜びそうなゲームセンターに行くつもりだ」

 

「へ~珍しいわね。士道がゲームセンターに行くなんて?」

 

「私も少しテレビゲームの楽しさを知ったということだ」

 

「そうなの?まあ、いいわ。それよりもここからが本番よ。これ」

 

と、そう言い琴里は二枚のチケットを渡す

 

「・・・・これは?」

 

「ドリームパークていう施設のチケットよ。最後にそこに行きなさい」

 

「(ドリームパーク?遊園地か?)わかった。ありがとな琴里」

 

「どういたしまして、士道。さあ。始めましょう私たちのデート(戦争)を」

 

そう言うと琴里は去っていき、会計・・・・といってもそこはラタトスクが関連する店。何百人目の客だからサービスで無料とベタな理由に無料で十香とともに店を出たのであった。そして街中を歩く中、士道は

 

「(・・・・・・誰かに監視されているな・・・・・ひとり…いや複数?感じからしてラタトスクの人じゃな)」

 

誰かの視線を感じながら士道はそう思う。その視線はラタトスクの者ではない何か別の者であった。そして士道はちらっと空を見上げる

 

「(街中だけではない・・・・・空にも何かいるフラクシナクスじゃない・・・・・あれはまさか・・・・なぜ、あいつらがこの世界に・・・・)」

 

士道はセブンの能力、透視能力でフラクシナクスとは別の何かを捉えていた。すると・・・・

 

「シドー。どうしたのだ?もしかして楽しくないのか?もしかして私ばかり楽しんでシドーの機嫌が悪くなってしまったのか?」

 

不安げに聞く十香。その顔に士道ははっとした顔になり

 

「いや、ごめん。ちょっと余計なこと考えていた。楽しいよ私も」

 

「本当か?」

 

「ああ。本当だ。さ、十香。デートを楽しもうじゃないか。まだまだ見せたいものはたくさんあるぞ」

 

「おおっ!」

 

士道がそう言うと十香は士道の手を握り、そして二人は楽しく天宮市の街を楽しむ。そしてゲームセンターにつくと

 

「シ、シドー!?何だこれは!?メカメカ団のアジトか!?」

 

「違うよ。ここはゲームセンター。私も始めて来るが、要するに皆でああいう機械を使って遊ぶ場所だ」

 

「そ、そうなのか・・・・・・・お!シドー、私はあれがやりたい!」

 

と、十香が指さしたのはUFOキャッチャーであった。しかも景品は十香が気に入ったきな粉パンのぬいぐるみであった。十香は興味津々な顔でUFOキャッチャーに挑戦するが、なかなか取れずにいた

 

「む~~!!なんで取れないのだ!!」

 

「そう言うもんだよ。あっちの方はどうだ?あれなら取りやすいと思うが?」

 

「私はこっちが欲しいのだ!」

 

「そうか・・・・じゃあこうしよう十香。これを二人で協力してとるんだ。私はこっちの左右に動かせるボタンを、十香は私が合図したら、その赤いボタンを押すんだ。チャンスは一度きりだ」

 

「わかった」

 

そう言うと士道がクレーンを動かす。そしてクレーンがきな粉パンの真上に来た時

 

「っ!?今だ十香!!」

 

「っ!」

 

士道の言葉に十香は赤いボタンを押す。そしてクレーンは降りて行き、きな粉パンをつかむ。そしてクレーンはきな粉パンをゲートまで運び、入り口に落とす

 

「やった!」

 

「おめでとう十香」

 

「うん!ありがとうシドー!」

 

士道の言葉に十香は入れしそうに笑うのであった。そしてその後、二人は公園へと向かい、日が暮れたころには一番高い展望のある所で街を眺めていた。

 

「きれい・・・・」

 

「そうだろ。ここは私の一番好きな場所なんだ」

 

ここは士道のお気に入りの場所でもあり、いつも夕方はここで夕日を眺めていたのだ。すると遠くから電車が通る。それを見た十香は

 

「シドー。あれはどう変形するのか?」

 

「電車は変形はしないよ。まあ、連結することはできるけどな」

 

「おおっ!合体タイプか!」

 

と、二人は展望から街を眺めていた十香の手には先ほど士道とともにUFOキャッチャーでとったきな粉パンのぬいぐるみを大切に持っていた

 

「士道。今日は楽しかったな」

 

「ああ、そういってもらうと助かる」

 

「ドリームパークとやらに行かなかったのは残念だったが・・・・」

 

「そ、それは・・・・・気にするな」

 

士道は苦笑してそう言う。琴里に渡されたドリームパークに向かった士道であったが、ついた場所は決して遊園地ではなく別の意味での遊園地であったため士道は『十香にはまだ早すぎる!』と赤面しその場を離れ代わりにこの場所に来たのだ

 

「そうか。士道がそう言うのなら……結局士道の言っていたデートとは一体何だったのだ?」

 

「ん?デートと言うのは。そうだな・・・・・男女が仲良く親睦を深めながら遊びに出かけるっということかな?」

 

「なんだそうか。なら私と士道は立派にデートをしたではないか・…いいものだなデートは」

 

「ああ」

 

そう言い二人は夕日を見る。その様子を遠くから見ている者がいた

 

「しかし、信じられないわね。精霊が空間震もなしに現れてしかも人間の男の子と一緒にいるなんてね・・・・・」

 

二人を見ていたものはASTの隊長。日下部が双眼鏡で二人を見ていた。そしてその隣では鳶一が対物ライフルを構えていた

 

「・・・・射撃許可は?」

 

「まだよ。おえら方が協議中。なにしろこんなイレギュラーな事だからね。避難もできていないし・・・それに行方不明事件の調査に行った隊員たちも所々行方不明になって人員不足だし。様子見で終わると思うけど・・・・・」

 

そう言い日下部隊長は無線で上に報告をすると・・・・・

 

「え!?出たの!?狙撃許可!?」

 

「っ!?」

 

日下部の言葉に鳶一はゆっくりと引き金に指を重ねるのであった。そして士道たちは

 

 

 

「人間たちは皆優しかったな・・・・・・」

 

「そうだろ?誰も君を殺そうとする人なんていなかっただろ?」

 

「うん。シドーの言う通りだ。世界がこんなに優しいなんて・・・・こんなに楽しくこんなに奇麗だなん思いもしなかった・・・・・・」

 

十香は夕焼けに輝く街を見ながらそう言う

 

「だからメカメカ団が私が現れるたびに攻撃する理由が分かった・・・・私が現れるたびに私はこの美しいものを壊していた・・・・・・士道。私はやはり存在してはならないものだったのかもしれない」

 

悲しい顔をしてそう言う十香に士道は

 

「違うっ!!十香。君は存在するべき者だ!君は今、空間震も起こしていない。ましてやこの町を破壊していない!」

 

「だが、次現れたとき・・・・・」

 

「なら、ここにいろ!君は試したのか?ここにいるということを!」

 

「でも、私は知らないことが多すぎるぞ?」

 

「それなら私が教えてやる」

 

「寝床や食べ物だって必要になる。それに予想外のことだって起こりうる・・・・」

 

「だったら私と一緒にこの地球に住もう!予想外の事が起きればともに対抗策を考えればいい!だから十香。この星で生きよう。この星で一緒に・・・・」

 

一見すればプロポーズに近い言葉を言う士道ことセブン。すると十香は

 

「本当に…いいのか?私は生きていてもいいのか?この世界にいてもいいのか?」

 

「もちろんだ」

 

「そ、そんなことを言ってくれるのはシドーだけだけだぞ。メカメカ団やほかの人間たちだって、こんな危険な存在がいたら嫌がられるに決まって・・・・・」

 

「そんなことはない十香!人間も精霊もいつか必ず共にに仲良く暮らせる!私は地球人を・・・・・同じ人間を信じている!それでも君を否定する者がいれば私はその数倍、

君を肯定する!」

 

「っ!!!!」

 

その言葉に十香は目を丸くし驚く。士道もかつて前世では、精霊である十香と同じ人間ではない者・・・・・宇宙人であったが、それでも彼は地球を第二の故郷であり、そこに住む人間を誰よりも信じ愛した。そして士道は十香に手を差し伸べ

 

「十香。手を握ってくれ。今はそれだけでいい・・・・私を信じてくれ」

 

士道がそう言うと十香は涙を浮かべ笑顔で士道の手を握ろうとする。そして士道も彼女の手を握ろうとしたその時

 

「っ!?」

 

急に何かの殺気を感じた士道は、そのさっきの方角を透視能力で見る。すると数キロ先にある林でASTのアーマースーツを着た鳶一が対物ライフルで十香を狙っているのが見えたのだ。それを見た士道は

 

「十香!」

 

「うわっ!?」

 

士道は十香を後ろの方へ引っ張り出し、彼女の盾になるように前に立ち

 

「撃つなあぁぁ!!!」

 

そう叫ぶと銃声が鳴り、そして赤い鮮血が舞うのであった。そして引っ張り出され尻餅をついた十香は

 

「な、何をするんだ士道!・・・・・・・・・っ!?」

 

そう叫ぶ十香だが、彼女が目にしたのは腹に大穴が開き血まみれで倒れた士道の姿であった・・・・・

 

「し・・・・・士道」

 

その瞬間、彼女の心の中で何かが崩れた

 

 

 

 

 



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覚醒

 

「あああ・・・・・・」

 

折紙は、対物ライフルのスコープレンズで、崩れ落ち血まみれで倒れる士道の姿を見ながら、自分の喉からそんな声が漏れるのを感じた。そしてその顔は青ざめ瞳孔が広がりガタガタと震えていた。そして彼女は手に持っていた対物ライフルを落とし力が抜けるように座り込んでいた

 

「わたしは・・・・・わたしは・・・・・」

 

震えながら言う折紙。士道を撃つ気はなかった。狙った相手は両親を殺した精霊と同じ精霊十香であった。狙いは完璧。完璧に狙いを定めてから引き金を引いた。外れる要素は微塵もなかった・・・・・彼が、士道は彼女の手を引き、盾にならなければ。

放たれた対精霊用弾丸は彼女に当たるはずが盾となった士道の腹を貫き彼の胴体の一部を抉り取った。そして折紙が彼を最後に見たものは彼が見えないはずなのに彼が自分の方を向いて手で制し、何かを叫んでいたということだ。距離があったため聞こえはしなかったが折紙にはこう聞こえた

 

《撃つなっ!!》

 

「わたしは・・・・・わたしは・・・・・」

 

「折紙!折紙しっかりしなさい!!」

 

上官である日下部がそう言い彼女を揺さぶるが彼女はただ今の現実を受け入れることができずにまるで人形のように固まってしまっていた。すると日下部は彼女の頬を数回たたくと、折紙は我に返る。すると日下部が

 

「悔いるのは後にしなさい! 後で死ぬほど責めるから! 今は生き延びることだけ、考えなさい・・・・ッ!」

 

そう言うと日下部は十香のいる方を見るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・シドー?」

 

十香は倒れた士道にそう呼びかけるが彼は返事をしなかった・・・いや返事をすることができないのだ。今の彼はもはや生きた人間ではない。先ほどまで笑顔で十香に手を差し伸べた彼は今腹に大穴が開けられ血まみれで倒れていたのだ。それを見た十香の目には涙が流れていた。そして十香は士道の体に自分の上着をかけると

 

「シドー……お前と一緒なら・・・・お前となら。本当に・・・・・」

 

『人間と精霊は必ず共に仲良く暮らせるよ十香。私はこの星に暮らす人間を信じている。同じ人間としてな』

 

「士道となら・・・・もしかしたらと・・・・すごく大変でどんなに難しくてもできるかもって・・・・・・」

 

『それでも君を否定する者がいれば私はその数倍、君を肯定する!十香。手を握ってくれ。今はそれだけでいい・・・・私を信じてくれ』

 

「でも士道・・・・だめだった。・・・・・やはり・・・・だめだった!!」

 

十香は涙を流し、そして士道を撃った場所へ睨むと

 

世界は私を否定したっ!!!

 

激しい怒りに十香は手を天に挙げると赤い夕焼け空だった空が一気に曇り雷鳴が鳴る。そしてその黒雲から白い光が降り注ぎ彼女を包む。

 

神威霊装・十番(アドナイ・メレク)!!!」

 

そう叫ぶと彼女の体は精霊の服装に変わる。そして彼女は強く地面を踏むとそこから巨大な剣が現れ。十香はそれを抜くと

 

鏖殺公(サンダルフォン)・・・・最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)!!》」

 

と、叫ぶと彼女の持つ大剣、鏖殺公は先ほどよりもさらに巨大化する。そして十香は

 

「よくも!よくも!よくも!よくも!よくもぉー!!!」

 

先ほどの士道を撃った人物のいる高台へ向けてその大剣を振り下ろすと、そこからとてつもない衝撃波が発生し、その高台を切り裂いた。そしてその場にいた日下部は飛び上がる

 

「な、なんて威力なの・・・・・折紙!すぐに離脱しなさい!」

 

本来ならば支援部隊がいるはずであったが、例の行方不明事件で調査に行ったきり皆帰ってこず行方不明になっているのだ。そのため、今いる隊員は日下部と折紙だけであったのだ。日下部は必死に折紙に呼びかけるが彼女は動くことができなかった。なぜなら彼女の目の前には・・・・・・・

 

「・・・・・貴様だな?」

 

そこには怒りのオーラをまとい、今にも折紙を殺さんとばかりの殺気を含めた目で折紙を睨んでいた

 

「・・・・・貴様だな?・・・・わが友を・・・・・我が親友を・・・・・士道を殺したのは・・・・・・貴様だなっ!!」

 

「私が・・・・・五河士道を・・・・」

 

十香の言葉に折紙は改めて、自分が士道を射殺してしまったことを実感してしまう。そして十香は

 

「殺して、殺して、殺して、殺し尽くす……死んで、死んで、死んで・・・・・死に尽くせぇっ!!!!」

 

自分から大切な人を奪った人物に憎悪の目で睨む十香に折紙はただ恐怖で立ち尽くすしかなかったのであった。

 

 

 

一方、ラタトスクでは・・・・・

 

「士道君。脈拍無反応です!」

 

「空間震警報が発令されました!」

 

「住民避難、まだ7%しか完了されていません!」

 

ラタトスクの職員がそう言う中、琴里は

 

「幸い、周囲に人家がないのが救いだけど。このままじゃいずれすべて破壊されるわね。まあ士道も騎士(ナイト)としては及第点ね。あそこで助けなかったらお姫様は目も当てられなかったわ・・・・・」

 

「あ、あの・・・・・司令?士道君は?」

 

兄が瀕死の状態だというのに冷静に言う琴里に職員は首をかしげると琴里は

 

「いいから仕事を続けなさい。皆災。士道があれぐらいで死ぬわけないでしょ?」

 

『えっ!?』

 

琴里の言葉に職員はスクリーンを見ると士道の傷に小さな炎が燃えているのが見えた

 

「どうやら始まったみたいだわね・・・・・・・・・あれ?」

 

「どうしました司令?」

 

「い、いいえ・・・・・なんでもないわ」

 

そう言う琴里。職員たちは気が付かなかったが琴里は一瞬・・・・ほんの一瞬だけだが士道の姿がほんの一瞬だけ、士道の姿が人間とは違う姿に見えた。その姿は真っ赤なボディに肩や胸にプロテクターをつけた人間とは全く違うものに見えたのだった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

『士道さん・・・・・士道さん?・・・セブン・・・・・ウルトラセブン・・・・・』

 

「(誰だ?私を呼んでいるのは?私は十香を助けるために撃たれたはずだ・・・・・?)」

 

暗い空間の中、士道は自分の耳に聞こえる声に訊く。その声は何度も聞こえたあの声だった

 

『5年前。あなたがこの世界に転生したとき私が預かっていたものを返す時が来ました・・・・・・』

 

「(預かっていたもの?)」

 

『この地球に精霊以外に、この星を狙う侵略者が現れます。その侵略者から救えるものはあなたしかいません・・・・・セブン。今こそ、その時が来たのです・・・・・この世界のことをお願いします』

 

その声が聞こえた瞬間、士道の視界は光る。そして士道は目を覚ますとそこは先ほどの公園だった

 

「ここは・・・・・・しかも傷がふさがっている」

 

そう言い士道は先ほどまで大穴が開いていた腹をさする。すると何やら胸ポケットに違和感を感じ士道はそこに触れる

 

「・・・・・・・・・」

 

触れた瞬間。士道は少し驚いた顔をするが、直ぐにあたりを見渡す

 

「そう言えば・・・・十香はどこに行った?」

 

そう思っているとインカムから

 

『士道。士道聞こえる?』

 

琴里の声が聞こえる

 

「ああ、聞こえる。琴里。十香は今どこにいる?」

 

『あんたね・・・・・・不思議に思わないの?あんた腹に大穴が開いて死にかけたのよ?よく平気な顔をしていられるわね?』

 

「今はそんなこと、どうでもいい。とにかく今は十香だ。あのとき私を撃ったのはASTの隊員だ。もしかしたら十香は彼女らと交戦している可能性がある。もし彼女を助ける方法があったら教えてくれ」

 

『そんなことって・・・・・いろいろ突っ込みたいところはあるけど、まあいいわ。今彼女はあなたが殺されたと思って激怒してASTの隊員を攻撃しているわ』

 

「それで、止める方法は?」

 

『簡単よ士道。デートのラスト。そして王子様がお姫様にすることは?」

 

「・・・・・まさかキスか?」

 

「ご名答。それをすれば彼女の力を封印できるわ。時間がないわできるわね士道?」

 

「・・・・・・わかった。十香を救うためだ。なんだってして見せる!」

 

『そういうお思ったわ。今からあなたをフラクシナクスに回収して十香のもとに送るから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、十香は、動けなくなった折紙にとどめを刺そうと剣を挙げて今にも振り下ろそうとした

 

「終わりだ・・・・・」

 

「(お父さん・・・・・お母さん)」

 

折紙は覚悟を決めて目をつぶる

 

「死ね・・・・・・士道の仇だ」

 

そう言い振り下ろそうとした瞬間。

 

「十香ぁぁーーーー!!!」

 

「っ!?」

 

聞き覚えのある声に十香は空を見上げる。そこには死んだと思っていた士道がこっちぬに向かって落ちてきたのだ

 

「士道!?」

 

十香は怒りを忘れ、落ちてくる士道に向かいそしてキャッチする

 

「し、士道?本物なのか?本物の士道なのだな?」

 

「ああ。心配をかけてすまない」

 

士道が微笑んで言うと十香は涙をため

 

「シドー!シドー!シドー!」

 

何ながら士道の胸に顔を埋める十香。士道は彼女の頭をそっとなでる

 

「すまないな心配をかけて・…けどもう大丈夫だ・・・・・それより十香。君のその大剣を何とかしないとな。今にも爆発しそうだ」

 

「ハルヴァンヘレヴの制御を誤った。どこかへ放出させるしか・・・・」

 

「それではほかの所に被害が出てしまう」

 

「ではどうすればいいのだ!?もう臨界状態なのだぞ?」

 

「方法がある。たった一つだけだ」

 

「なんだそれは?」

 

「(許せ。前世の妻よ・・・)キスをするしかない」

 

「キスとはなんだ?いいから教えろ!」

 

「キスとは互いの唇を合わせる・・・・」

 

士道がそう言いかけたとき、十香は士道とキスをする。すると十香の持っていた。大剣が消えるのと同時に、十香が身に纏っていたドレスのインナーやスカートを構成する光の膜が、弾けるように消失しいわば裸状態になっていた

 

「す、すまない。十香。君を救うとはいえ、まさか服が消えるとは・・・・」

 

顔を赤くしそう言う士道に十香は身を寄せて

 

「離れるなシドー・・・・見えてしまうではないか」

 

顔を赤くし恥ずかしそうに言う十香。そして十香は

 

「なあシドー・・・・またデートに連れてってくれるか?」

 

十香は目をウルウルさせてそう訊くと士道は微笑み

 

「ああ。またどこかに遊びに行こう十香」

 

そう言うと十香は嬉しそうに笑顔で頷くのであった。

その後、真夜中士道は自分の部屋で椅子に座っていた。

 

「・・・・・・・」

 

そして胸ポケットと懐にあるポケットから二つのものを取り出した。それは先ほど目を覚ました時にいつの間にか入っていたものだ。一つは小さな箱に4つのカプセル。そしてもう一つは赤いゴーグル状の物。そう士道が本来の姿,ウルトラセブンに戻るためのアイテム。

『ウルトラアイ』であった。

 

 




次回はクール星人を登場させたいと思います。


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ハイキングデート

OP「ウルトラセブンの歌」


陸自ASTの基地

 

「とうとう私たちだけになったわね・・・・・」

 

「うん。20名以上いたのに。今いるのは私と梓、それに鳶一と日下部隊長だけになっちゃったわね・・・・」

 

隊員控え室ではASTの隊員二名が話をしていた一人は黒い長髪の子ともう一人は短い茶髪の子であった

 

「そうだね・・・・・みんなあの行方不明事件の調査に行ったっきり行方不明になっているし・・・・・なんでだろう。あゆみ?」

 

「私にだってわからないよ。そもそもなんで行方不明事件にASTが出る必要があるわけ?そう言うのは警察とか普通科の連中がやればいいじゃない・・・・」

 

と、ため息をつく歩みと呼ばれた隊員がそう言うと・・・・

 

「それは、精霊の仕業の可能性が高いからよ。山郷一士。澤一士」

 

「く、日下部隊長。それに鳶一さん・・・・」

 

と、そこへ日下部と鳶一が入る。

 

「あ、あの精霊の仕業というのは・・・・?」

 

「簡単な事よ。ASTの隊員がことごとく行方不明になるなんてただの誘拐犯の仕業とは思えないわ。これは精霊の仕業よ。そこで上からまた調査に出るようにと命令が出たのよ指揮は私がとるわ・・・・と、言っても、もう残っているのは私たち4人だけなんだけどね・・・・」

 

と、深いため息をつく日下部。彼女とて行方不明になった隊員たちのことは確かに心配だが、本来の任務は精霊が現れたときに彼女らの殲滅が目的であるはずなのに上から下った命令はその行方不明事件の調査というのだ。今現在、人数が少ないうえもし精霊が現れたとき対処できなくなるのだ

 

「・・・・それで、調査する場所とは?」

 

澤隊員がそう訊くと鳶一は

 

「場所は最後に調査に出た隊員たちがいた場所・・・・・天宮山・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道の家

 

「・・・・・・・」

 

あれから翌日、士道は自分の部屋であるものを見ていた。それは赤いゴーグルのアイテム。そうウルトラアイであった。ウルトラアイは前世でマグマ星人と双子怪獣ブラックギラス、レッドギラスの戦いで負傷した後、無理に変身しようとして燃えてしまい。現在ウルトラアイは地球にやってきたジャックの手によって今M78星雲で修理をしているはずだった。

そのウルトラアイがなぜここに・・・・・

 

「・・・・・」

 

士道は何も言わずただ黙ってウルトラアイを見つめていた。すると・・・・

 

「おーいシドー。早くハイキングとやらに行くぞ!!」

 

下から十香の声が聞こえた。ちなみに彼女は士道の家に居候をしている。士道自身もそれを否定するつもりもないし、シェアハウスだと思えば別に何とも思わなかったのだ。

 

「ああ。分かったすぐに行く。ちょっと待ててくれ」

 

士道はウルトラアイを胸ポケットにしまうと下に降りる。今日は十香と一緒に近くの天宮山へハイキングに行くことになっている。いわゆるデートだ。なぜ出かけることになったかというと前の約束もそうだが、この前のデートが途中で散々担たためその埋め合わせとして、ハイキングに行くことになったのだ。

 

「お待たせ、十香。早速行こうか」

 

「うむ!行こうじゃないかハイキングとやらに!!」

 

士道がそう言うと、十香は嬉しそうに言う。ちなみに彼女の格好はハイキングにぴったりなラフな恰好であった。

 

「ど、どうだ?に、似合うかシドー?」

 

「ああ。とっても似合うよ十香」

 

としっ道がそう言うと十香はにっこり笑う。そして二人は山へハイキングに行くため出かけるのであった。そしてその様子を透明空中艦フラクシナクスでは琴里たちが見ていた

 

「いったわね・・・・士道たち」

 

「はい。しかも士道君。朝早く起きて十香ちゃんの分のお弁当を多めに作ってリュックに入れていました・・・・本当に用意周到ですね士道君」

 

「そう・・・・であの二人電車で山に行く気?」

 

「ああ、シンに車で送ろうか?と聞いたんだが、十香が電車に乗ったことがないからっと言ってな・・・・」

 

「そう。まあたまにはそういうシチュエーションもいいかもね・・・・・・それにしても士道の様子・・・・」

 

「士道君の様子がどうかしたんですか司令?」

 

「ええ、昨日家に帰ってから何か態度というか雰囲気が変わっちゃたのよ・・・・」

 

昨日琴里は士道の雰囲気が前のと違うことを感じた。違うと言っても姿や声などいつもの士道だったのだが、何かが違う。それが何だか言葉にするのは難しいが何となく琴里にはそう感じたのだ

 

「昨日はいろいろありましたからね。多分疲れてたんだと思いますよ」

 

「そうだといいんだけど・・・・・」

 

そう言い、琴里はモニターで初めて電車に乗ってはしゃぐ十香に士道はまるで父親のように落ち着かせる姿を見ていたのだった。

そして数十分後、電車は目的地である天宮山に到着する。そして十香と士道は山道を歩くと十香は初めて見る自然に興味津々。そして何かを見つけるたびに士道に質問をしていた。ちなみに士道は耳にインカムをしていた

 

「おおー!!シドー!あの木の上にいる小さい生き物は何だ?」

 

「ああ、あれはリスだよ」

 

「シドー!!あれはあの木についている木の実は食べれるのか!?」

 

「あれはすっぱくて食べれないぞ十香。もう少し登れば頂上だよ。そこでお弁当を食べよう」

 

「おおー!!そうなら早く登ろうではないか!あの山の上にシドーの作ったお弁当が待っている!!」

 

「あははは・・・・・(待っていると言っても弁当は俺のリュックにあるんだが・・・・)」

 

士道は苦笑して先に行く十香。士道は十香を追うべく前に進もうとしたとき・・・・・

 

「・・・・ん?」

 

その時、士道は何かを感じ空を見上げた。そして透視能力でそれを見る

 

「(・・・・・・・いる・・・・やはり気のせいじゃなかった。・・・・・そう言えばこの頃、天宮市で行方不明になっている事件が多発していたが。やはりあいつらか・・・ん?そう言えば行方不明者の多数は確かこの山で・・・・・となると十香が危ない!)十香待ってくれ!」

 

そう言い、士道は十香を追いかけるのであった。そして士道は道の分岐点である分かれ道につくとそこには十香が立っていた。

 

「も~シドー遅いではないか!どっちに行けばいいのだ!」

 

「十香。それなんだが、いったん戻ろう・・・・・」

 

「え!?なぜだ?もしかしてこの二つの道は頂上にはいかないのか?」

 

と、不思議そうに首をかしげる十香。すると耳のインカムから

 

『ちょっと士道!何を言っているのよ。十香の機嫌が少し下がったわよ!!』

 

「それは・・・・・・この先行くと危険なんだよ」

 

『危険?何がよ?』

 

「フラクシナクスのレーダーで写らないのか?」

 

『レーダー?・・・・どうなの?何か写っている?』

 

『いいえ、高感度のレーダーでやっていますが特に何も・・・・・・・』

 

『だ、そうよ士道』

 

「(レーダーに映らない・・・・・奴らの技術が上がったってことか?とにかくこの先行くのは危険・・・・・ん?)『シドー。シドー』・・・・ん?」

 

「シドー。どうしたのだ?この先はいかないのか?」

 

十香が不安そうにそう訊くと士道は彼女を安心させるため頭をなで

 

「ああ、ちょっとこの先は崖崩れが多いみたいで危険らしいんだ。お弁当は別の所で食べよう」

 

「そうか・・・・・私はてっきり、私とハイキングに行くのが嫌だと思ったぞ」

 

「そんなわけないじゃないか。私も十香と一緒に行く日を楽しみにしてたんだぞ?」

 

「本当か。ああ本当だ。すぐそこに車道に出る道があるから、そこを降りよう十香」

 

「う、うん。シドーが言うのなら・・・いいぞ」

 

「そうか・・・・ごめんな。代わりにきな粉パン好きなだけおごってあげるよ」

 

「本当か!?本当か!?」

 

「ああ。お腹いっぱいになるまでおごるよ」

 

「そうか!なら降りよう!!」

 

と、十香は士道の手を握り下の車道へ続く階段を下りるのであった。

 

 

 

フラクシナクス

 

「どうしたんでしょう士道君。いきなり頂上へ行かず下に降りるなんて?それに彼何やら空を見ていましたが・・・・何か見えたのでしょうか?」

 

「ですが高感度レーダーには何も映っていません」

 

「まったくどうしたというのよ士道のやつは・・・・・そう言えば今朝出るとき新聞の表紙を読んでいたけど」

 

「そう言えば新聞の表紙に例の行方不明事件が起きていましたね・・・・・もしかしてそれと関係が・・・・」

 

そう話し合う中、

 

「司令。士道君と十香ちゃんの向かう先に陸自の車が!」

 

「なんですって?」

 

琴里がモニターを見ると士道たちの向かう先に、陸自のパジェロが向かうのが見えたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 



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姿なき侵略者(前編)

「ちょっと梓。もうちょっとスピードでないの?」

 

「無茶言わないでよあゆみ。私、免許取ったばっかりなんだしそれに安全第一。調査だといっても交通法は守らないと」

 

パジェロの中で調査に向かったASTの隊員である。澤梓と山郷あゆみがいた

 

「でも隊長。なんで一緒に行かなかったのかな?指揮を執るって張り切っていたのに」

 

「仕方ないよ。警察と一緒にパトカーに乗って周辺を探索しろってう上の指示が出たんだから」

 

「ASTのアーマースーツ着て?」

 

「そんなわけないでしょ。私たちの格好もそうだけど、ちゃんとした普通科連中と同じ服装よ・・・・それよりも鳶一さん。なぜ隊長と同行しなかったんだろう?それに私たちとも同行しないで?」

 

「さあ、いきなり調べたい場所があるからって言ってどこかへ行っちゃたし・・・・」

 

 

不思議そうに首をかしげる二人。実はお折紙は調査の依頼を受ける前、鳶一は士道に、この前、撃ったことを謝りたいのとそのお詫びをしたいということでデートに誘おうと携帯で連絡をしたのだが・・・・・・

 

 

               数時間前、折紙

 

『すまない折紙。今日はちょっと用があってな・・・・『シドー起きたぞ!!早く天宮山に行ってハイキングとやらに行こう!!』ああ・・・・だからすまない。今度、埋め合わせするよ・・・・』

 

「天宮山・・・・わかった。こっちもちょうど用事ができた」

 

と、そういい電話を切ると彼女は捜査に出て山の入り口につくのと同時に、『調べたい場所があるから、先に行って』とそういい単独でどこかに行ってしまったのだ

 

 

 

 

「でも、天宮山か~今の季節。ハイキングにはもってこいだけど人が少ないわね」

 

「行方不明者が続出している場所だからね。警察が一部のハイキングコースを除いて立ち入り禁止にしているらしいわよ?」

 

「だから人がすくな・・・・・てちょと待って!?あそこに人がいるわよ!」

 

「「っ!?」」

 

運転をしていた澤がそういうと道の向こうに学生くらいの少年と少女がいた。

 

「なんで立ち入り禁止になっている場所に人がとにかく避難させないと」

 

そういい澤はパジェロのクラクションを鳴らす。そして二人の前に止まり、

 

「ちょっとあなたたち何をしているの!!ここは今立ち入り禁止よ!」

 

車から降りてそう言うのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

天宮山にハイキングに来た十香と士道だが、何者かの気配に気づいた士道は突然山を下

りようと言い出し、十香は疑問に持ちながら一緒に山を下りる

 

「シドー。一つ聞いてもいいか?」

 

「ん?なんだ十香?」

 

「山の頂上に上らない理由って、崖崩れが多いいだけなのか?私にはもっと別の理由の気がするんだが・・・・・」

 

十香がそういうと士道は

 

「実は十香・・・・その通りなんだ。私がこの先を上るのを中断したのはがけ崩れもそうだがもっと重要でそして危険だと判断したからなんだ」

 

「危険?」

 

士道の言葉に十香は首をかしげると士道は

 

「十香・・・・実はなこの先・・・そう、あの道の向こうには恐るべき宇宙人が・・・・・・」

 

と、そう言いかけたときいきなりクラクションが鳴る。二人が振り向くと一輌の車がやってきた。その車は陸上自衛隊の74式小型トラック。通称74式パジェロであった。するとパジェロは士道たちの前で止まり

 

「あなたたち何をしているの!」

 

と、茶髪の少女。しかもASTの隊員が車から降りてそう聞くのであった。すると十香は

 

「メカメカ団!?まさか私を・・・・・」

 

「待て、十香。あの様子から見て十香が精霊だと気づいていないみたいだ。ここは私に任せてくれ」

 

と、そういうと士道は彼女たちの前に出ると澤が

 

「あなたたちここで何をしているの?ここは、立ち入り禁止令が出ているのよ?」

 

「いや。すみませんハイキングコースを通っていたら迷ってしまって・・・・・ところであなたたちは自衛隊の人ですか?もしかしてこの先に何か用事があるんですか?」

 

「そうよ?」

 

と、そう答えると士道は真剣な顔つきで

 

「なら、そっちのほうへ入ってはいけません。命が大切だと思うのならこれ以上は進んではいけません」

 

と、そういうと山郷隊員は笑って

 

「あなた何を言っているの?この先に危険だなんて?」

 

「笑い事じゃありません。今あなた方が相手にしているのは恐るべき宇宙人です!そしてこの先には恐るべき宇宙人、クール星人が見張っています」

 

「宇宙人?シドー?なんだそれは?」

 

「あはは!あなた特撮かアニメの見過ぎじゃないの?そんなのいるわけないでしょ?」

 

とそう笑う山郷に対し澤は

 

「(精霊と戦っている私たちも人のこと言えないけど・・・・・)」

 

と、苦笑していた。そして澤は

 

「とにかく。私たちはこの先に行かなきゃいけないの。あなたたちは早く山を下りて街に行きなさい。ハイキングはまたくればいいから」

 

と優しくそう言い、二人はパジェロに戻ろうとすると士道が

 

「やめなさい。罠に落ちるようなものだ」

 

「そ、そうだ。何だかわからないけど。シドーの言うとおりにしたほうがいいぞ!」

 

そう警告するとパジェロの後ろからパトカーがやってくる。そのパトカーには警察官と日下部隊長が乗っていた。そして士道はパトカーに乗っている警官と日下部隊長に

 

「ここから先へは危険ですよ?」

 

と、そういうが彼女はその言葉を無視して澤たちのほうへ顔を向き

 

「あなたたち何をそこで油を売っているの!それにその民間人は!ちゃんと避難させなきゃダメでしょ?」

 

「は、はい。すみません日下部隊長・・・・それで日下部隊長たちは何でここに?」

 

山郷が聞くと運転をしていた警察官が

 

「この山周辺を巡回していますが今は以上ありません。これからこの先の道を行くつもりなんですよ」

 

「そう言うことよ。あなたたちもこの二人を町へ避難させたらさっさと任務に戻りなさい」

 

「は、はい・・・・・」

 

「わかりました」

 

と、そう言い彼女を乗せたパトカーは先の道へと向かってしまう

 

「危ない!行っちゃいかん!」

 

と、そういった瞬間。先へ行ったパトカーの上から突如光線が飛んできてパトカーに命中。そしてパトカーは姿を消すのだった。

 

「え!?」

 

「ちょっと嘘!?」

 

「シドー消えてしまったぞ!?」

 

と、驚く中、士道は上を見上げて

 

「まずい見つかったか、十香、今すぐここから直ぐに離れるんだ!」

 

「士道はどうするのだ!」

 

「ちょっと君たち言い合っていないで早く車に乗りなさい!」

 

「危ない!」

 

と、士道そういった瞬間、またもや何も無い空間から今度は次々光弾が発射される。4人はすかさず、岩の陰に隠れるとまたも何もない空から光弾が発射される。これでは車に近づくことができない。何か隙を作らなくてはいけない。すると士道は、光弾の攻撃を岩の陰で隠れている十香から少し離れて3人にバレないようこっそり岩の陰に隠れると懐から箱を取り出し、一個の黄色いカプセルを出す

 

「ウインダム。頼むぞ!」

 

そういいカプセルを放り投げると、そこから煙が上がり、そしてそこから銀色の巨大なロボットのような物が現れる。

 

「な、何あれロボット!?」

 

「メカメカ団の新兵器か!?」

 

十香は突然現れた巨大なロボットに驚く。そしてウィンダムは額のランプから光弾の降ってくる方向へ闇雲に白いビームを乱射する。当たってはいないがその攻撃のおかげで見えない攻撃はやむ

 

「よし、今のうちに早くパジェロに」

 

「了解。ほら、あんたも乗りなさい!」

 

「ま、待ってくれシドーはどこに?」

 

十香は士道の姿が見えないことに気づき探そうとすると澤が

 

「その子は私が探すから。あなたは先に車に乗って」

 

「ほら、早く!」

 

と、そういうと山郷は十香の手を取りパジェロへ、そして澤は士道を探しに行くのであった。そして士道はというとあたりを見渡し目を光らせる。それはセブンの透視能力であった。すると森の上空に浮遊する虫型の円盤を発見する

 

「ウインダム!あそこだ!あそこを撃て!!」

 

と、指をさしてその場所を教えると、ウインダムはその方向に向かってビームを放つ。ビームは円盤にそれたが、それに驚いたのか円盤は逃げるように素早く遠くのほうへ飛んでいくのであった・・・・・

 

「ウインダム。戻れ!!」

 

そういうとウインダムは光の粒となってカプセルの姿に戻り士道の手に飛んで戻ると士道はカプセルをキャッチして箱に戻す。すると

 

「あ、いたわ!!」

 

そこへ澤がやってくる

 

「ほら、何をしているの街まで送るから早く来なさい。あなたの友達も心配しているわよ」

 

「あ・・・・はい」

 

そう答え、士道は澤に連れられる。そして士道と十香は町の駅まで送られた

 

「じゃ、詳しい話を聞きたいところだけど。今は山のほうへ単独に言った仲間が心配だから、私たちはこれで・・・・」

 

と、そういうと澤たちはまた山のほうへ戻ってしまった。そして残された十香と士道は

 

「ごめん十香。せっかくのハイキングが台無しになって・・・・」

 

「ううん。別に気にしていないぞ?それよりシドー。私との約束忘れていないな?」

 

「ああ、さっそくパン屋に行ってきな粉パン買い占めてくるか」

 

「やったぁー!!」

 

と、十香は嬉しそうにそういうとインカムから

 

『士道。聞こえる?』

 

「な、なんだ?琴里?(しまった・・・・琴里のことすっかり忘れていた・・・・)」

 

『後でいろいろと聞きたいことがあるからフラクシナクスへきて・・・・・・』

 

「(もしかして・・・・ばれたか?)わかった・・・・・」

 

そういい士道はその後、パン屋で十香が満足するほどのきな粉パンを買い、十香とともにいったん家へと帰るのであった・・・・・

 




怪獣・宇宙人解説コーナー!!


カプセル怪獣ウインダム

身長:ミクロ~40m
体重:0~2万3000トン
出身地:M78星雲メタル星

セブン(士道)が何らかの理由で変身できないときに代わりに戦ってくれるカプセル怪獣の一匹。金属質の表皮と電子頭脳を有している機械生命体で額の発光部からビームを撃てるが、弱点でもあるという脆さがあるのが玉に瑕。今回は初陣と同じくクール星人の円盤を攻撃する(ただし内容は初陣の時と違い、十香たちが車に避難させる時間を稼ぐため)


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姿なき侵略者(中編)

OP「ウルトラセブンの歌」


「・・・・・で、士道。説明してくれるかしら?」

 

フラクシナスに戻った士道を待っていたのは怪訝そうな顔をした琴里だった

 

「説明って、何をだ?」

 

「とぼけないで頂戴。あなたさっき宇宙人だとかなんとかASTの隊員に言っていたじゃない。確かクール星人だったけ?インカムから聞こえていたわよ」

 

「ん?映像じゃなくてか?」

 

「映像はなんか、パトカーが変な光弾で消えた後、急に変な怪電波が出てノイズしか映らなかったのよ!悪い!!」

 

「い、いや…そこで私に怒っても・・・・」

 

てっきり士道は宇宙人のこと話した他、隠れてカプセル怪獣のウインダムを取り出したのをモニターで見られたかと思ったのだが、どうやら、クール星人の円盤が出した怪電波のせいでモニターにノイズが走り、士道がウインダムを出したところは見られていなかったようだ

 

「なに?もしかして映像が乱れて見れない時にあんた、なんかしたの?そういえば十香、銀色の大きなロボットを見たとか言っていたけどまさか・・・・・」

 

「いや、いや。違うって。円盤がこっちへ攻撃したとき、ASTの隊員たちが銃でけん制してそのすきに車で逃げ・・・・・・『円盤?』・・・・あ」

 

士道はしまったという顔をする

 

「士道。あの時、映像が乱れる前も映像が直った後も円盤らしきものはレーダーでも増しては映像にも映ってはいなかった・・・・・士道。これでもまだ惚けるつもり?あなたはいったい何者?なぜ、宇宙人だって言い切れるの?」

 

じっと自分を見る琴里に士道は

 

「(全部言う必要はないが必要なところだけ言うか・・・・)宇宙人は存在する。なぜなら俺は宇宙人と会ったことがあるからだ」

 

「・・・・なんですって?」

 

「琴里、俺が中学の時、山へ遠足に行った時のことは覚えているか?」

 

「え、ええ…その時、確か迷子になったんでしょ?……まさかその時に?」

 

「ああ、私はあの時、崖から落ちたんだ」

 

『っ!?』

 

その言葉に驚く琴里。だが士道は話を続ける

 

「だが、私は間一髪、彼に・・・・・宇宙人に助けられた。そして彼に地球の外には様々な宇宙や星がありそしてその星々にいろんな星人がいることを教えられた・・・・俺が言えることはそれだけだ」

 

士道はそう言う。今言ったことは半分本当であり半分嘘である。なぜなら先ほど言った体験はかつて前世の姿、モロボシ・ダンの姿と魂のモデルになった薩摩次郎の体験をもとに作った嘘話である。自分とて嘘を言うのは嫌だが、この場合自分が前世の記憶を持った元宇宙人であることは秘密にしておくべきだと思ったからだ。ちなみに中学の時の遠足で士道ことセブンが迷子になったのは嘘ではなく事実である

 

「・・・・・」

 

「だが、琴里。これだけは信じてくれ。私は五河士道。ただの学生であり、そして、琴里。お前の兄だ・・・・・」

 

真剣な目で力強くそういう士道に琴里はじーと士道の目を真剣に見つめ士道も真剣に琴里を見ていた。すると琴里は軽いため息をつき

 

「はぁ・・・・士道。あなた、ただのって言ってたけど精霊とデートしてそれで精霊の力を封印できる時点でもはやただの学生じゃないでしょ。おにいちゃん」

 

「琴里・・・・・」

 

「兄を疑うのは好きじゃないだけよ・・・・・・それにあの正体不明の攻撃のこと詳しく知っているのは都合がいいわ。士道。事情聴取はここまでにするから。早くあの攻撃とあなたが言っていたクール星人とかいう宇宙人のことを説明しなさい」

 

「あ・・ああ」

 

琴里の言葉に士道はコホント咳払いすると

 

「あいつらの名はクール星人。遠い宇宙からやってきた宇宙人で、最近巷で騒がせている行方不明者事件の犯人だ」

 

「行方不明って・・・・あの?その事件の犯人がそれだと?」

 

「そうだ神無月さん。奴らの星は資源に乏しいから、他の星の動物やら資源やらを集めて侵略計画を立てていたんだ」

 

「なるほど・・・・・敵を知るには敵を調べるってやつですか」

 

川越がそう言うと。令音が

 

「それでシン・・・・・対策とかは考えているのか?相手は見えないはずだ?」

 

「一つだけ方法がある。奴らの円盤は光学迷彩…つまりフラクシナスのように透明になって動いている。ならば、奴らの円盤に特殊色を吹きかければいい」

 

「なるほどね・・・・・それで見えない相手にどうやってその色を命中させるの?」

 

「そういえば・・・・」

 

「ん?どうしたの中津川?」

 

「先ほどその見えない円盤が光弾を発射するときにわずかながらレーダーに反応しました。その時に・・・・・」

 

「なるほど・・・・でもどうやってあいつらに光線を使わせるかということよあの円盤はレーダにも映らないでしょ?」

 

琴里がそう言うと士道は

 

「私に考えがある。まずは私をさっきの天宮山に戻してくれ。琴里たちはその間にやつらの円盤に色を付ける噴霧器を作ってくれ」

 

「それは構わなけど・・・・士道。あなた一人で大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ。後。十香には私は夕飯の買い物に出かけたと伝えてくれ。彼女を心配させたくないから」

 

「・・・・・・・わかったわ・・・・頼むわよ士道」

 

「ああ」

 

そういうと士道は指令室を出た。すると神無月は

 

「いいんですか司令?我々の任務は精霊の力を平和的に解決する事なのですが?」

 

「構わないわ。もしあの円盤を放っておけば、精霊の前に人類全員が誘拐されかねないもの。それに私たちは見えない飛行物体に色を付けるだけ。後はASTたちがやるでしょ?・・・・・それで士道に言われた噴霧装置どれくらいでできる?」

 

「は、はい多少時間はかかると思いますが、2時間くらいあればできます」

 

椎崎がそう答えると箕輪が

 

「それにしても士道君。なんで円盤のこと知っていたのでしょう?しかもその宇宙人の名前も知っていたし、それに宇宙人にも会ったというのも少し・・・・」

 

「・・・・・」

 

彼女の言葉に琴里は黙ってしまう

 

『琴里。これだけは信じてくれ。私は五河士道。ただの学生であり、そして、琴里。お前の兄だ』

 

「(そんなこと言われなくてもわかっているわよ・・・・・・)さて、十香に士道が買い物に行ったこと伝えなきゃね。下手したら心配して家を飛び出しかねないし・・・」

 

「それなら私も行こう」

 

そういい琴里と令音は後を任せてフラクシナクスを出るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、折紙はというと単独で山の中を歩いていた

 

「・・・・・二人はどこ?」

 

折紙が単独で山に入った理由は二つであった。一つは行方不明者の捜索と事件調査これは日下部隊長に命令さてたことなのだが本来、仲間である澤や山郷と一緒に行くはずであったのだが、彼女は二人と離れてハイキングコースを上り、そして澤たちはパジェロで捜索することになったのだ。なぜ彼女が一人でハイキングコースを歩き、しかもアーマースーツであるリアライザを着ている他、調査に関係ないヘッドホンや望遠カメラに三脚そしてボイスレコーダを持っていた。実はこれが二つ目の理由であり本命だ。彼女は士道は十香と天宮山へハイキングに行くという情報を手にした後、彼女は行方不明事件調査を理由に士道の後を追いかけようとしたのだ

 

「・・・・それにしても・・・・なんで士道は生きているの…あの大怪我で・・・」

 

ふっと、折紙はこの前のことを思い出す。自分が士道を撃ってしまったことを…あの時士道のけがはもはや死んでもおかしくない。いや死んだも同然の大けがを負った。だが、今朝こっそり彼の家の前の電信柱に隠れて覗き見ていると、士道が何事もなかったかのように普通に家から出て新聞を取っていたのを見たのだ。仮に生きていたとしてもあの大怪我で普通に新聞なんか取りにいけないはずなのに・・・・・

 

「士道・・・・あなたは何者?それになんで精霊を庇ったりするの・・・・精霊は人に害を成す存在してはいけないものなのに・・・・」

 

そう呟く折紙。そして折紙はハイキングコースの奥へと進みやがて人気のない日の当たらないもはやそこはハイキングコースというより森の中といってもいいくらいの道まで来ていた。そして折紙は定時連絡のため日下部隊長たちに連絡を取ろうとしたが、ノイズ音しか聞こえず、携帯を使おうとしたが圏外と表示されていた

 

「通信が使えない・・・・・磁場が強いの?いいやここは普通の山のはず、携帯ならまだしも最新式の無線が使えないのは・・・・・・え?」

 

無線が使えないことを不思議に思う折紙。すると彼女の目の前にある空間からドアらしきものが現れ、扉が開いた。

 

「これは…」

 

不審に思った折紙は連絡をしようとするが無線が使えないことを思い出し

 

「・・・・・・」

 

少し警戒した表情でその扉に近づく。そして中を少しだけ覗くと

 

「・・・・・もしかしたらこの中に士道が・・・・・」

 

そういい中へと入る。中へ侵入した折紙は歩きながらあたりを見渡す。そこには見た事もないような金属で作られた、よく分からない器具や装置が並んでいた。折紙は奥へと進むと、やがて広い制御室のような場所に出る

 

「ここは・・・・・・・っ!?」

 

そう呟くと何らかの気配がし銃を構え振り向くと

 

「ヤア、ヨクゾ来タ。ASTノ隊員ヨ!」

 

「っ!?」

 

折紙の目の前に現れたのはそこにはシラミを逆立てたような黒い風貌の、六本の鎌のような腕を持ち、明らかに精霊や人とは違う浮遊する生物がいた。そいつは腹部にある二つの目からこちらをじっと見ている。

 

「お前は…誰?」

 

「私ハクール星人ダ。コノ星ノ生物ヲ採集シニキタノダ」

 

「…採集?まさか誘拐事件の犯人はお前の仕業!?」

 

「ソウダ。コノ世界ノ地球ニ住ム生物ハ、人間以外ニモ精霊ト呼バレル未知ノ生命体が存在スル。私ハソノ珍シイ生キ物達ヲクール星ニ持チ帰リ、隅々マデ調ベタ後、全兵力ヲ持ッテコノ星ヲ頂くノダ!ダガソレニハコノ星ヲ守ル組織デアル君タチガ邪魔ダ。ソコデ手始メニオマエタチASTノ隊員タチニハ私ノ標本ニナッテモラウ」

 

「そうはさせない!!」

 

そういい折紙はクール星人に銃口を向け引き金を引こうとしたが・・・・

 

「っ!?(か、体が動か・・・ない!?)」

 

急に金縛りのような感覚に襲われ、折紙は銃を落としそのまま倒れる。そしてよく見るとクール星人は何かの装置を動かしていた

 

「無駄ダ。コノ重力ヲ重クサセル装置デ君ノ動キヲ封ジタ。貴様タチガ、対精霊用ニ作ッッタ兵器モ玩具ト同ジ。ソレレニ人間ナド我々レニトッテハ昆虫ノヨウナモンダ!ツイデニ言ッテオクガ、仲間ト連絡シヨウトシテモ無駄ナコトダ。我々ノ発シタ強イ怪電波デ、映像ハオロカ通信モデキナイ。コレデ君タチノ隠シテイル透明ナ飛行艦ニイル仲間ヲ呼ブコトハ不可能ダ」

 

「な・・・・なんの・・・・話?」

 

「惚ケルノカ?マア、イイ。トニカクオ前モ捕獲シタ仲間ノトコロヘ監禁スル!!」

 

そう言い、クール星人は動けない折紙を監禁室へと運ぶのであった

 

 

 

 

 

 

 




次回、深紅の戦士が現れます


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姿なき侵略者(後編)

OP「デート・ア・ライブ」


ED 「ウルトラセブンの歌」



ナレーター『ウルトラセブン・・・・・それは遥かな星から来た深紅の宇宙人。違う世界に飛ばされた彼は再び地球を守るため戦うのか・・・・・』


折紙がクール星人につかまっている時刻と同時刻、士道たちを駅で下した澤たちの乗るパジェロが再び、天宮山へと戻ろうとした。

 

「ちょっと!あゆみ!そんなに飛ばさないでよ!!」

 

「しょうがないでしょ。あんたの運転遅いんだから、ぐずぐずしてたら折紙さんもやられるわよ。通信で呼びかけても応答しないし何かあったのは明白なんだから!」

 

「でも、スピードを出しすぎたら交通ルール違反になるわよ!」

 

「どこまで優等生なのよ梓は!今はそんなこと言っている場合じゃないでしょ!?」

 

「わかっているけどさ。誤って人を轢いたら、元もこうもないでしょ!」

 

「シャラープ!!交通ルールめ!あんたなんか無視してやるわ!!」

 

「ちょっと!!???(もう!スピード狂のあゆみにハンドル握らせるんじゃなかった!!もうこうなっちゃた酒に酔った日下部一尉よりたちが悪いんだから)」

 

助手席で澤が涙目で苦笑する。するとあゆみ

 

「それよりも梓。あんたあの少年の言葉、信じるつもり?」

 

「え?」

 

「ほら、宇宙人とかそういう話よ。あの少年の話、信じる気?」

 

「私は・・・・・信じようと思ってる。あれは精霊とは違う。だって精霊用のレーダーでも映らなかったのよ?だったら宇宙人としか言いようがないじゃない」

 

「あんた、本当にお人好しなんだね・・・・まあそこか梓のいいところなんだけど。実は私もそうじゃないかと思っているわ。あれは精霊じゃない・・・・直感でわかるわよ」

 

「私もそう。私たちは精霊とかまじかで見たことないけど」

 

「確かに私たちは後方での支援が任務だから。直接見たことはないけどね・・・・何?澤はまた精霊はすべて悪い奴なのかっていう質問?」

 

「え、ええ・・・・私たちの任務って精霊退治だけど。すべての精霊が悪い奴かなって・・・・ほら、前にプリンセス意外に確認された精霊・・・・」

 

「ああ、ハーミットのことね。確かにあれは攻撃するのに心が少し痛いわね。梓なんか一発も撃たなかったし・・・・」

 

「うん。私は最初は地球を守りたいからって自衛官に志願してその後、ASTの隊員になったけど…ときどき思うのよ。彼女が引き起こす空間振は彼女の意思じゃない。そんな彼女を撃つなんて、そんな方法じゃなくてもっと平和的に解決する事ができるんじゃないか・・・・て思ってさ」

 

「本当に優しいわね梓は・・・・正直に言ってあんたASTじゃなくて精霊を平和的に説得し解決するネゴシエーターになったらいいんじゃない?」

 

「アハハ。そうかもね。もしあったらそこに転職しようかしら?でも今はここが好きだから・・・・・」

 

「わかっているって。まあもしその仕事がなくて、そういう部署を作るのなら手伝うわ。私は副隊長ということで」

 

「ありがと。あゆみ。そのときは手伝ってね」

 

「いいわよ。あなたとは幼稚園からの仲だしね・・・・・そういえば少年のことで思い出したんだけど」

 

「なに?」

 

「あの少年のそばにいた子。プリンセスに似ていたわよね?」

 

「そういえば・・・・・でも空間振も出てないし。たぶん顔が似ていただけなんじゃない?」

 

「ソッカ・・・・そうかもね」

 

と、そう言い山郷はパジェロのスピードを上げる

 

「だからスピード上げないでよ。人とか飛び出したらどうするの!?」

 

「大丈夫。大丈夫。もう山道だし誰も出ないわよ」

 

と、山道を走るパジェロを運転しながらそういう山郷。すると少し開けた場所で岩肌が見えるところまで行くと、その先にある岩に少年らしき人物が立っていて。少年がパジェロの前に立ちふさがる

 

「わっ!?」

 

「あゆみ!ブレーキ!!ブレーキ!!」

 

澤の言葉にあゆみはブレーキを踏むが少年の立つ位置を通り過ぎてしまいパジェロは止まる

 

「ま、まずい!人を轢いちゃった!!」

 

「だからスピードを出さないでって言ったのに!!」

 

と、二人は慌ててパジェロから降りてあたりを隅々まで見渡しパジェロの下を見たりするが少年の遺体どころか姿もなかった。そしてパジェロにも何かにぶつかったような跡はなかった

 

「・・・・・い、いない?」

 

「・・・・・も、もしかして蜃気楼?それとも幽霊でも見たのかな?」

 

「た、たぶんそうだろね・・・・きっと疲れて幻影でも見たんだよ・・・さあ。早く移行。折紙さんが心配だわ」

 

「そ、そうね」

 

二人は先ほど見た人は幻だと言い聞かせパジェロに乗る。そしてあゆみがアクセルを踏むがパジェロは進まない

 

「ちょっと!?なんで動かないの?」

 

「岩に挟まったのかな?私ちょっと見てみる」

 

そう言い、澤はパジェロから降りて後ろを見るが岩などは挟まっていなかった

 

「変ね・・・・・もう一度、エンジンふかしてみて?」

 

「わかった」

 

そう言いあゆみはエンジンを出しアクセルをめいいっぱい踏むがパジェロは一向に進まない

 

「おかしいわね~」

 

不思議に思い山郷も車から降りると・・・・

 

「ハッハッハッハッハッ!!!」

 

「「っ!?」」

 

急に笑い声がし二人がその声のするほうへ顔を向けるとパジェロのルーフに乗って笑う少年…しかも駅に送ったはずの士道がいたのだ

 

「え!?き、君はさっきの!?」

 

「ちょっと、車から降りなさいよ!というよりあんたなんでこんなところにいるのよ!!どうやって戻ってきたのよ。というより降りなさい。私たちの邪魔をすると公務執行妨害で警察に引き渡すよ!!!」

 

山郷は無理やり士道をルーフから降ろそうとすると士道は笑いながら車から降り

 

「邪魔?違います。あなたたちを手伝おうと思って私だけ戻ったんですよ」

 

「協力?あなたの協力はいりません。早く帰りなさい」

 

「・・・・・ちょっと待ってあゆみ。・・・・ねえ君。あなたさっきの宇宙人のことを知っているのよね?」

 

「はい。知っています。そのために私は戻ったんです」

 

「・・・・わかったわ。なら一緒に来て頂戴。でも危なくなったらすぐに逃げること約束できる?」

 

「ええ、わかりました。ではさっそく行きましょう。奴らはあの森の奥の岩場に潜んでいます」

 

「わかったわ。案内して頂戴。さ車に乗って」

 

「ちょちょちょ、いいの梓。そんなこと言って!?」

 

「鳶一一曹がいない今、残っているAST隊員はもう私とあゆみしかいない。それに彼は例の見えない敵のことを知っているみたいだし、ここは協力してもらいましょ」

 

「はぁ‥‥どうなっても知らないわよ?」

 

ため息をつくあゆみ。そして澤は士道を乗せて、クール星人のいる場へと案内させる。そして車の中で澤が

 

「実は君に聞きたいことがたくさんあるのよ。え・・・・と。そう言えば名前を聞いていなかったわね?」

 

「御覧の通りただの風来坊「そういうのはいいから、ちゃんと答えなさい」・・・・・五河士道です」

 

「そう…五河士道君ね・・・・それで聞きたいことわね。宇宙人のことなの」

 

「宇宙人?」

 

「ええ、みんなは笑うかもしれないけど。私小さいころから宇宙人とかそういうのはいると思っているの・・・・で、さっき君が言っていたクール星人だったけ?そのことを詳しく聞きたいのよ。お願いできる?ほらよくことわざにあるでしょ?『汝敵を知れ』って、敵を知らなければ対策もできないわ。だからクール星人のことを教えてくれる?」

 

「え、ええ・・・・」

 

澤の質問に士道はそういうと士道の耳につけたインカムから

 

『士道。噴霧器が完成したわ。後は連中が来ればフラクシナクスからそれを搭載した爆弾を落とすから、奴らの囮お願いね』

 

「わかった琴里」

 

「ちょっと士道君?誰と話しているの?」

 

「え・・・・えっと‥独り言ですよ」

 

と士道は笑ってごまかすと、突如上空から先ほどの光弾が降ってきた

 

「うわっ!?いきなり来たわね!!!ちょっと荒っぽく運転するわよ!!」

 

そう言いあゆみは凄まじい運転をして光弾をよけるのであった。そして見えない円盤はパジェロに向かって光弾を撃ち続けるとそのうちの一発がパジェロの後ろタイヤのすぐそばにあたり、

 

「「「うわっ!!!????」」」

 

その衝撃でパジェロはひっくり返るのだった。そしてその中にいた三人は気絶してしまうのであった。そしてその直後、黒い物体が上空から落ちてきて爆発。赤い煙が舞い上がるのであった

 

 

 

 

フラクシナクス

 

「司令!!レーダーに反応が出ました!!」

 

「と、なると士道は囮を成功したのね・・・・・よし、噴霧爆弾投下!場所はレーダーに映っているところ!!」

 

「了解。噴霧爆弾投下!!」

 

そういうと、椎崎がパソコンで投下装置を起動させると空中艦フラクシナクスの腹のところから爆弾が投下される。そして噴霧爆弾は光弾を発射したところへ落ちて爆発し、そこから赤い噴霧が舞い上がる。するとその赤い噴霧からその噴霧で赤く彩られた虫型の円盤が姿を現し、そして円盤はその爆弾で飛行装置が壊れたのか、ふらふらしながら地面へと降りる。フラクシナクスでは

 

「どうやら、命中した模様です。レーダーにはっきり移りました。あの噴霧器の塗装はレーダーに映りやすいよう改良しましたから・・・・」

 

「そう…なら、あとはASTや自衛隊に任せて士道を回収するだけね・・・・・士道。聞こえる?士道?」

 

と琴里はインカムで呼びかけるが応答がなくノイズ音しか聞こえない。そして琴里はスクリーンで状況を見ようとしたが同じくノイズが走り画面が見えない状態であった

 

「ちょっと一体どうなっているの!?」

 

「そ、それが謎の怪電波が発生して無線もスクリーン映像も使えません!」

 

「なんですって!?まさかあの円盤の仕業?士道応答して!応答しなさい!返事してお兄ちゃん!!」

 

と、琴里はそう言い続けるのであった

 

 

 

 

 

 

 

一方、士道たちは

 

「うっ・・・・・」

 

車内で気絶していた士道は目を覚ます。そして周りを見るとパジェロはひっくり返りそして士道のそばでは山郷と澤が目を回し気絶していた。士道は二人のシートベルトを外すと、安全な場所まで運び、インカムで

 

「琴里。聞こえるか?琴里?」

 

と、インカムでそう聞くがノイズ音しか聞こえない・・・・

 

「通信ができない・・・・・となると琴里が言っていた怪電波か?」

 

そう言い士道はあたりを見ると、赤く彩られたクール星人の円盤がいた

 

「琴里がやってくれたのか・・・・・通信ができないならおそらく映像も遮断されているな・・・・・なら」

 

そう言い士道は念のため岩陰に隠れ、そして胸ポケットから、変身アイテム『ウルトラアイ』を取り出し

 

デュワッ!!

 

士道ががウルトラ・アイを目にかざすと、ウルトラアイが光り出し、そして士道の体がだんだんと赤と銀色のボディに変わっていく。その姿は士道の前世の姿であり本来の姿であるM78星雲の深紅の戦士、ウルトラセブンへと変身したのだ。そしてセブンは円盤へと走り出し、すでにしまっている円盤の扉に体当たりして強引になかへ侵入した。

円盤の中を進むセブン。 奥へ進むと、そこには怪しげな機械を操るクール星人がいた

 

「ウ、ウルトラセブン!?ナゼ貴様ガコノ世界ニイル!?」

 

「クール星人。侵略などあきらめて。さっさと自分の星に帰れ」

 

「ダマレ!コレデモクラエ!!」

 

突如現れたセブンに焦るクール星人は、手元の重力制御機械をいじってセブンを押さえつけようとする。少し苦しそうな表情になるセブンだが、咄嗟にセブンは額のビーム・ランプからエメリウム光線を発射し装置を破壊する。それを見たクール星人は勝てないと感じ、すぐさま逃げようとするがセブンは逃がさないとばかりに頭部にある宇宙ブーメラン。『アイスラッガー』をクール星人に向けて投げる。

 

「デュワ!!」

 

セブンのウルトラ念力によって操られたアイ・スラッガーはクール星人の頭を真横に真っ二つにする。 そしてそのままクール星人は動かなくなり絶命した。セブンはクール星人を倒した後円盤の奥へとつくととある部屋につく。セブンは小窓から覗いてみるとそこにはクール星人が今まで誘拐した人間たちが無重力状態で浮かんでいた 。そして拉致された人の中には多数のASTの隊員や、折紙の姿もあった。

セブンが部屋のドアの隣のスイッチを押すと、無重力が解除され、部屋の中の人達の浮いていた体が落下する。 そしてセブンは攫われた人たちが監禁されている部屋の扉を開けると、中にいた人たちは慌て飛び出す。すると、

 

「待ちなさい!あなたはいったい何者!!」

 

と、そこには日下部隊長や折紙も含めASTの隊員たちがセブンに向けて銃を構える。するとセブンは手を前に出し制止させ

 

「私はただの宇宙の風来坊だ。敵意はない。さ、早く!」

 

テレパシーでそういうセブンだがASTの隊員は怪訝そうな顔で見る。すると日下部が

 

「あなたを信用するわけではないけど・・・・今は一般人の非難の誘導が先ね・・・・・聞いたわねここを出るわよ」

 

「あなたは最後に出て。もし変なことをすれば、撃つ」

 

折紙が銃をセブンに向けてにらみながら言うと、セブンは頷くと、日下部達ASTは攫われた市民を円盤の外まで誘導し、そして最後に残ったセブンは円盤に残った人はいないか確認すると、先ほどの入り口とは違う場所から出て身長40メートルの大きさまで巨大化する。それを円盤から出てしばらく離れた位置にいる市民とASTの隊員たちがその姿を見て驚き、警官が

 

「あ、あれは何ですか!?なんですかあれは!!」

 

と、巨大化したセブンを指さし、しりもちをつきながらそう言いほかの人たちも驚いた表情をしていた。するとセブンはクール星人の円盤を持ち上げ飛び立つ。

一方フラクシナクスでは

 

「司令!怪電波が消えました!」

 

「じゃあ、さっそく士道と連絡を・・・・」

 

「司令!何か大型のも飛行物体がこちらに向かってきます!!」

 

「なんですって!?」

 

「モニター映ります!!」

 

椎崎がそう言いモニターを見るとそこには赤い巨人が円盤をもってこちらへ飛ぶ姿が映し出された

 

『っ!?』

 

いきなりの姿に令音以外のメンバーは目を見開き驚く。そして赤い巨人はフラクシナクスを通り過ぎそのまま上昇する。それを見た琴里は驚きのあまりチュッパチャップスを口から落とし

 

「な、なんなのよ・・・・・あれは?」

 

とほかの職員と同じく驚いていた。そして円盤を宇宙空間まで運んだセブンは宇宙船を前に投げ額からエメリウム光線を発射させ宇宙船を爆破。そしてセブンは地球へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

しばらくした後、ASTの基地ではブリーフィングルームで日下部以下ASTの隊員たちが今回の事件について話していた

 

「それにしてもあの巨人は何だったんでしょう日下部隊長?」

 

「わからないわ。ただ今回の事件、クール星人とかいう宇宙人の犯行だったっていうのね。澤一士?山郷一士?」

 

「は、はい。五河士道という謎の少年が言うには・・・・・そのようです」

 

「っ!?」

 

澤の言葉に折紙は一瞬ピクリと体を動かす。すると

 

「澤。あなた士道にあったの?」

 

「え?は、はい。でも気が付いた時にはもう姿を消してまして・・・・・」

 

「そう・・・・」

 

「それよりもそのクール星人といい、あの巨人といい。これはまた精霊より厄介なことになりそうね。一応、上のほうではその巨人は新種の精霊扱いになったけど・・・・」

 

「それで、コードネームは?」

 

「まだ審議中とのことよ・・・・」

 

日下部がそういう中折紙はボードに張られた先ほどの赤い巨人の写真をじっと見るのであった

 

 

 

 

同時刻、フラクシナクスでは

 

「で、士道はどこにいるか見つかったの?」

 

「それがですが・・・・・・まだ・・・」

 

神無月がそう言いかけたとき指令室の扉があき

 

「ああ、琴里。今帰ったよ」

 

「士道!?何でここに!?」

 

いきなり士道が現れて驚く琴里だが令音が

 

「報告するのを忘れていたが、彼は今先ほど私が回収した」

 

「そ、そう・・・・」

 

「それで琴里。クール星人の円盤はどうなった?」

 

「その円盤なら、さっき赤い巨人みたいなのが宇宙へ持ち去っていったよ」

 

「そうか・・・・彼が現れたか」

 

「彼?士道。その巨人のことを知っているの?」

 

「知っているも何も私が崖から落ちた時に助けてくれたのが彼なんだ。そうか彼が宇宙人を追っ払ってくれたのか」

 

「士道。彼、彼って気安く言っているけど。その巨人。名前はあるの?」

 

「名前?そう・・・・彼はM78星雲の宇宙人で名は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          「ウルトラセブンだ

 

 




怪獣・宇宙人解説コーナー!!


宇宙狩人クール星人


身長:2m
体重:75㎏
出身地:クール星

保護色で透明化した円盤に乗って地球に襲来し、円盤からの光線で地球人を採集した宇宙人。その一方自身の戦闘力は低いのだが重力装置で折紙の動きを封じ捕獲はしたもののセブンとの戦いで装置を破壊され逃げようとしたらあっさりセブンのアイスラッガーで倒された


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士道(セブン)の日常

今回は四糸乃が登場する数日前となります


ここはセブンの故郷であるM78星雲。別名「光の国」。そして光の国の中心にある一番巨大な建物。プラズマスパークタワーがあった。このタワーの室内には人工太陽プラズマスパーク・エネルギーコアがあり、光の国の中核をなす場所である。

そのプラズマスパークのエネルギーコアに近づこうとした青と赤の若いウルトラマンがいた。そして彼はそのコアに手を触れようとしたその時・・・・・

 

「待て!!」

 

そこへセブンが現れ、彼の手をつかみ引っ張り落とす。しりもちをついた若いウルトラマンは

 

「邪魔するな!!」

 

と、そういうがセブンは

 

「この光に近づくな・・・・・お前にはまだこの力は早すぎるんだ!!」

 

「はっ!なめるなよ・・・・・俺はこの力を使いこなしてみせる!!」

 

強気でセブンにそう言うと、そこへ・・・・

 

「そこを動くな!!」

 

ゾフィーとジャック、初代マン、エースがやってきてゾフィーが

 

「お前はM78宇宙警備法を破ったのだ!!」

 

「動くな一緒に来い!!」

 

「おとなしくしろ!!」

 

「くっ!!離せ!!離せよ!!!」

 

エースとジャックに連行される若きウルトラマン。そしてセブンは

 

「残念だが・・・・・・お前にはもう!ウルトラ戦士を名乗る資格はない!」

 

そう言うとセブンは悲しそうな表情をし顔をそむけるのであった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロッ!!!」

 

士道は目を見開き起き上がる。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・夢か」

 

士道は額に流れる汗をぬぐう。そして士道はベッドから起きて時計を見るとまだ朝の6時だった。そして士道は胸ポケットからウルトラアイを取り出し、じっと見る

 

「・・・・・・・」

 

しばらく、ウルトラアイを見た後、士道は窓のほうへ歩き窓を開けると空を見上げる

 

「・・・・・・・やはりここは私のいた世界と違うんだな」

 

透視能力で空を見つめても自分の故郷であるM78星雲は見えない。改めて自分には帰る(故郷)はないことを実感する。自分にとって地球も第二の故郷だと思っている。しかしやはり自分の生まれた星が恋しくなる時がたまにあるのだ。

 

「・・・・故郷の兄弟や・・・・・ゼロは・・・・大丈夫なのだろうか」

 

心配そうにそう言うと・・・・

 

「さて・・・・十香のお弁当でも作るとしようかな」

 

そう言うと士道は服に着替えて、下に降りるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

十香が現れてから数日後、空間振で破壊された校舎も復興部隊の手によって完璧に復元されていた。そして教室の中では・・・・

 

「シドー!くっきーというのを作ったぞ!」

 

と、十香がエプロン姿で箱いっぱいに焼いたクッキーを士道に渡す。なぜ十香がこの学校にいるかというと、ラタトスクのメンバーたちが十香の体にいある精霊の力がないことを検査し、異常がないことがわかると、転校生の夜刀神十香として士道の学校に通学することになったのだ。ちなみに戸籍はラタトクスがいろいろやりくりしてくれたらしい。そして彼女の苗字である夜刀神は令音がつけたものだ

 

「調理実習でみんなに教わって私が作ったのだ!!食べてみてくれ!!」

 

「そうか。じゃあ頂こうかな?」

 

十香が笑顔でそう言い士道も笑顔でそう言うと、そこへ折紙がやってきて士道の前に立つと十香は

 

「お前は何しに来たんだ!?また私とやる気か!?気をつけろシドー!!」

 

と、あたふたとそう言う十香。すると折紙は

 

「・・・・・・ごめんなさい。謝って済む問題ではないけれど」

 

と、頭を下げて謝る折紙。恐らく以前、折紙が士道を撃ったことについて謝っているのだろう

 

「いいや。気にする必要はないよ。こうして無事に学校に来ていることだし」

 

士道が首を横に振りきにしていないと言うと、折紙は存に姿勢を戻すと、次の瞬間、士道のネクタイを根元から引っ張り、無表情で

 

「でも・・・浮気はダメ」

 

「なんの話だ折紙?」

 

意味不明の言葉に士道は首をかしげると十香が

 

「こら!!シドーから離れろ!!シドーに触るな!!」

 

十香があたふたしながら言うと折紙は十香を見て

 

「報告は聞いていたけど‥…なんであなたがここにいるの?」

 

「貴様には関係ない!!さ、士道!!気にせず私のクッキーを食べてくれ!」

 

そう言い十香は士道にクッキーを渡そうとするが

 

「クッキーなら、私も焼いた」

 

そう言い折紙も箱いっぱいのクッキーを士道に渡す

 

「こら!真似をするな!」

 

「真似じゃない。私のほうが作り上げた時間が早い」

 

「う、うるさい!」

 

と、十香と折紙は言い争いを始める。それを見た士道は苦笑して

 

「(・・・・・なんだろうこの光景は・・・・以前、姉さんと妻も同じようなことで喧嘩をしていたような・・・・いいや、それよりもこの事態をうまく収集させなければ)」

 

士道はうなずき二人のクッキーをつかみ

 

「デュワ!」

 

「「っ!?」」

 

そう言うと二人のクッキーを同時に食べる士道。その姿に二人がじっと見ていると士道は

 

「うん。二人ともとても美味しいよ」

 

と、笑顔でそういう士道に二人はふふんと笑い

 

「どうだ?鳶一折紙。士道は私のクッキーのほうを早く食べてくれたぞ?」

 

「いいや、違う私のほうがあなたより0・01秒早かった。だから私が先・・・・」

 

とそう言うと二人は無言で見つめあう。しかもその二人の目線から火花が飛び散って見えた。それを見た士道は

 

「(どっちにしても・・・・・こうなってしまうのか・・・・女心はよくわからない)」

 

と、やれやれとした表情をしながら二人のクッキーを食べるのであった。

 

 

 

 

そして放課後、士道は廊下を歩いていると、いろんな部活の人たちが一年生たちや二年生の勧誘をしていた

 

「そうか・・・・もう部活勧誘のシーズンだったな・・・・」

 

と士道はそう呟くと、運動部の三年たちが士道のもとへ一斉にやってきて

 

「五河君!やはり君は野球部に入るべきだ!!今からでも遅くはない!!野球部に入部してともに甲子園に行こう!!」

 

「いいや!五河には是非ともサッカー部に!!」

 

「いいや剣道部だ!彼は侍の素質がある!!」

 

「いいや柔道部こそ彼にふさわしい場所だ!!!」

 

「え・・・いや・・・・その」

 

続々と群がる運動部の人たち、士道は運動神経抜群で体育の授業では常のトップクラスのため、彼らからしたら喉から手が出るほどの人材なのだ。そのため彼らはこの一年間、特に部活発表会時の勧誘の時は士道を入部させようと必死なのだ。大して士道はその勧誘を丁重にお断りしている。だが、今回はみな必死になっているので士道の言葉は耳に入らない。士道は軽くため息をすると素早い動きで運動部の人たちの間をすり抜け離脱する

 

「あ!逃げたぞ!」

 

「追え!!何としても入部させるんだ!!」

 

とそう言い運動部の人たちは士道を追いかける

 

「お、おい!?私ではなく、一年生を勧誘したらどうなんだ!?」

 

追いかけてくる運動部に士道はそう言うが

 

「「「一年よりきみだあ!!!!」」」」

 

と、目を血走らせながら追いかける運動部。士道は慌てて廊下を曲がる。そして士道は曲がってすぐの部屋に入る。そして運動部は士道が部屋に入ったのに気づかずそのまま通り過ぎる

 

「はぁ・・・・どうやら撒けたようだな・・・・・」

 

士道はそう言うと自分が入った部屋を見る。その部屋は薄暗くどこもかしこも変わったものが置いてあった。UFOの模型や宇宙ロケットに太陽系の星々、そしてタコ型宇宙人やSF映画に出てくる宇宙人のポスターが張られてあった

 

「ここは・・・・・」

 

「ここはね!宇宙人研究部だよ!、君、もしかして入部希望者?」

 

「っ!?」

 

後ろから声がし振り向くとそこにはいつの間にいたのか薄暗くて顔は見えないが女子生徒が立っていた

 

「え・・・・と・・・」

 

「あ、暗いよね?待っててすぐに電気つけるから」

 

そう言いその人は電気をスイッチをつけると部屋が明るくなる。そして

 

「ようこそ入部希望者さん。私は君が来るのを待っていたのさ」

 

「・・・・あれ・きみは・・・・」

 

「私はこの部活の部長よ。ま、立ち話もなんだし座りなよ。今お茶を出すから」

 

「い、いいえ。私は入部希望者じゃないのですが・・・・」

 

「あら?そうなの?てっきり入部希望者だと思ったわ。まあでもそれでもいいわ。ちょうど話し相手が欲しかったしね。ちょっと付き合ってくれるかしら?」

 

「え・・・・はい」

 

そう言いと士道は席に座り、彼女はバックからお茶の入った缶を出す

 

「ささ、飲んで飲んで」

 

「はあ・・・・・ところで先ほど宇宙人研究部といいましたが?この部活は・・・・」

 

「ああ、文字通り、宇宙人を研究する。まあ簡単に言えばオカルト部みたいなものよ~私はね。地球以外にも生命体の生息する星があるって信じているの。そこで立ち上げたのがこの部活・・・・といっても最近立ち上げたばかりだから部員は私だけなんだけどね~・・・・で、ところで君。君はこの部に入る気はないかい?今はいれば間違いなく副部長になれるよ?」

 

「お誘いは嬉しいんですが、私は今はどこの部にも入る気はないんです・・・・」

 

「そうか…まあ強制はしないわ。でもうちの部はいつでも君を歓迎するからまた遊びに来てね」

 

「は、はい。では失礼します」

 

そう言い士道は部室を出て部長はにっこり笑って手を振り彼を見送る。そして士道が部室を出ると部長は

 

「やっぱり・・・・・彼は・・・・・」

 

そう言いうと部長はお茶を飲むと

 

「いけない眼兎龍茶がなくなりそうね・・・・後で補充しに行かないと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「いったい何だったんだろう、あの人は……そういえば名前を聞くのを忘れたな」

 

そう呟き、士道は学校を出て空を見ると先ほどまで晴れだった空は黒い雲がかかって曇り空に変わっていた

 

「これは・・・・雨が降りそうだ。早く帰ったほうがいいな」

 

そう言い士道は家へと急ぐのであった




次回で四糸乃が登場します。
それと士道とセブンのイラスト書いてみました

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四糸乃パペット
雨の日に・・・・・


十香が士道とともに人間として住み、士道がセブンの力を取り戻してから早や一週間以上過ぎ平和的な日常が続いた。だがその日常は突如、失うこともある。

それはある雨の日であった。その雨の中、町の中で一人の少年がかばんを頭に乗せ走っていた。

 

「まさか、雨が降るとは・・・・・天気予報も外れることがあるんだな」

 

士道はずぶぬれになりながら家へと走っていった

 

「どこか雨宿りする場所を見つけないと・・・・」

 

そう言い士道は歩道橋を渡りどこか雨宿りできる場所はないか探すと、ちょうど神社に人一人が入れるぐらいの木があり、士道はそこへ駆け寄り木の下で雨宿りする

 

「ふぅ・・・・家までまだあるな・・・・弱まるといいのだが」

 

そう言い士道は空を見上げる。すると、士道は何かの気配と音を感じる。それは雨の雫が大地に落ちる音ではない。何者かが歩いている足音であった。士道は振り向くとそこには

 

「・・・・・女の子?」

 

士道が目にしたのは雨の中水たまりを走る少女であった。その少女は可愛らしい意匠が施された緑色の外套に身を包みウサギの耳のような飾りの付いた大きなフードをかぶっており、何より特徴的なのは左手にウサギのパペットをつけていたことだ。それを見た士道は、ただの少女ではないことに気づく

 

「(あの少女は・・・・)」

 

そう思った瞬間。少女は水たまりの水に滑り盛大に転んだ。そのさい左手にはめていたパペットも取れてしまう。それを見た士道は

 

「っ!?君!大丈夫か!?」

 

士道は慌てて彼女に近づき体を抱きかかえるように仰向けにした

 

「大丈夫かい?ケガはしていないか?」

 

そう言うと少女は士道の顔を見る。フードでわからなかったが少女の顔は年の頃は、琴理と同じくらい。ふわふわの髪は海のような青色の幼げな少女だった。すると少女は士道の顔を見るや否や顔を真っ青に染めて、目の焦点をぐらぐら揺らして、士道の手から逃れるようにピョンと跳び上がり、少し距離を取ってから、全身を小刻みにカタカタと震わせ、士道を怖がるような視線を送ってくる。

 

「大丈夫だ。私は何もしない」

 

安心させるようにそう言い近づこうとすると、少女は震えながら

 

「・・・・! こ、ない、で・・・・ください・・・・っ」

 

「え?」

 

「いたく、しないで・・・・ください・・・・」

 

震えた声でそういう少女、士道はその怯えた少女を見ると士道は地面に落ちていたパペットのもとへ行きしゃがんで疲労とハンカチで汚れた場所をきれいに拭き少女の前に来てしゃがむと

 

「私は君をいじめたりしないよ・・・・・ほら、これ君の大切なものだろ?」

 

そう言い士道は少女にパペットを渡すと少女は士道からパペットを取ると、一目散にどこかへと走り去っていったのだった

 

「・・・・・・・・なんだったんだ?あの少女は?」

 

走り去る少女に士道は首をかしげるのであった

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

家に帰ると士道は、風呂に入ろうと風呂所に行き、脱衣場の扉を開けようとしたが・・・・

 

「・・・待てよ。確か十香のやつ、私より先に帰ったな・・・・もしかしたら先に風呂に入っている可能性があるな」

 

そう言うと士道はドアをノックするが返事がない。そしてこっそりドアを開けて脱衣所に見ると脱衣かごの中には誰かの服があった。誰かのかはわからないがこの家にいるのは妹の琴里か居候をしている十香だけだ。俺はドアを閉めると

 

「仕方ない。風呂が空くまで待つか‥…確かタオルは」

 

そう言い士道は部屋からタオルを出し濡れた体や髪を拭き、リビングへ行くと琴里がソファーに座ってテレビを見ていた。しかも琴里はフラクシナクスのように黒リボンではなくいつもの白リボンであった

 

「おかえり、お兄ちゃん。お風呂空いているから入って」

 

「その手には乗らんぞ琴里。十香がお風呂を使っているんだろ?」

 

「あれ?何で知っているの~もしかして覗いた?」

 

「覗かん!普通に俺より先にこの雨の中帰った十香が風呂を使用するのはすぐにわかる」

 

「おおっ!さすがお兄ちゃん。すごい推理力!!」

 

「はぁ・・・・で、令音さん。なぜあなたがここに?」

 

キッチンを見るとそこにはフラクシナクスにいるはずの令音さんがいた。しかもコーヒーに大量の角砂糖を入れていた

 

「すまないシン・・・・砂糖を使いすぎたか?」

 

「いいや、砂糖を使うのは結構ですが。なぜここに?」

 

士道がそう言うと令音は十香のアフターケアとして来たのだという

 

「十香の霊力はシンの口づけにより、シンの体内に封印され、シンと十香の間には目に見えない経路・・・・パスが出来ているんだ、十香の精神状態が不安定になると霊力が逆流してしまい、彼女の霊力が暴走してしまう。彼女の特設住宅ができるまで五河家(ここ)に居候する事になった。シンと一緒のほうが十香の精神は安定するからね・・・・その話は前にシンにしたこと覚えているかい?」

 

「ええ、はっきり覚えています令音さん。そして精霊の力の封印方法も・・・・だが一つ気がかりなことがある。なぜ私がその精霊の力を封印できる力を持っているということだ」

 

「そこまではわからないわよ。ラタトスクの観測機で調べて分かったの・・・・」

 

「そうか・・・・・琴里。一つ聞いてもいいか?」

 

「何よ?」

 

「精霊は十香だけなのか?」

 

士道はそう聞くと琴里は首を横に振り

 

「いいえ、十香以外にも複数の精霊が目撃されるわ。だから十香と共に生活するのは精霊とのコミュニケーションの訓練も含まれているのよ」

 

「そうか・・・・なら、私の役目は引き続き、彼女らと・・・・」

 

「そう引き続きシンは、精霊とデートしてデレさせそしてキスして封印する。すまないがやってくれるな?」

 

「いろいろといいたいところですが、それで精霊が攻撃されず平和的に十香みたいに人として生活できるのなら私は協力するつもりだ・・・・・話はこれで終わりか?」

 

「ああ、私として伝えたいことは以上だ」

 

「そうですか・・・・それじゃあ、私は夕飯の支度をします。令音さんも食べますでしょ?」

 

「ええ、ちなみに今日の夕飯は?」

 

「私の得意料理のハヤシライスですよ。後でラタトスクの皆さんの分も用意しますから」

 

「すまないシン」

 

「いいですよ。こういう時に材料を多めに買いましたから」

 

そう言い士道は夕ご飯のハヤシライスを作る支度をするのであった。因みになのだが士道(セブン)の作ったハヤシライスは十香はもちろんラタトスクの人たちにも大好評であった。

 

その後、士道の特訓が続いた。ある時トイレの電球を変えるように琴里に言われてトイレに入ったら、そこには十香がいて彼女にドロップキックをお見舞いされたり、またある時は・・・・・

 

「士道。お風呂が沸いたわ。先に入って」

 

「いいや、まだ皿洗いが残っているから琴里は先に入りなさい。特別に琴里の大好きな入浴剤を使っていいから」

 

士道は琴里の言葉に裏があるということを見抜き、彼女の好きな入浴剤を見せそう言うと琴里はピクリと動き動揺した表情をする。こういう時の琴里は一番風呂を逃したことがない。5年も彼女の兄をしているセブンにはそれはわかっていた

 

「へ、へ~そうなの?じゃ、じゃあ士道が使えば?」

 

やせ我慢してそういう琴里、すると十香が入ってきた

 

「ん?十香。風呂はもう上がったのか?」

 

「ん?なんの話だシドー?」

 

不思議そうに首をかしげる十香。それを見た士道は

 

「(少し疑いすぎてしまったかな……まあいい。皿洗いもちょうど終わったところだしな)いや。なんでもない。じゃあ、琴里本当に私が最初に入っていいんだな?」

 

「ええ。いいわよお兄ちゃん♪」

 

琴里の言葉に士道は風呂へと向かい。そして風呂に入る前、念のため『風呂使用中』という看板をドアにかけ湯船に入る

 

「はあ・・・・・やはり地球の風呂はいいものだ・・・・心が癒される」

 

士道はそう呟き方まで浸かると、士道は先ほどのことを考えていた

 

「まさかと思ってはいたが、やはり十香以外にも精霊が・・・・・そのすべての精霊を私はなるべく多く助け出せることができるのだろうか・・・・・」

 

セブンは目を細めそう考える。ウルトラマンとて神ではない。時に強大な力をもってしても救えない命がある。それは親友である初代マンの言葉だ。セブンもその言葉を胸にして地球を守るため戦った。そして士道は

 

「それに精霊だけじゃない。あのクール星人のほかにほかの星からの侵略者も来る可能性がある・・・・だが、おかしい。この世界にいるはずのない彼らがなぜこの世界の宇宙に・・・・・」

 

と、考え事をしていると、突然扉が開き、何者かが風呂に飛び込んできた。それは十香であった。それを見た士道は驚き

 

「と、十香!?」

 

「シドー!?何でお前が!!」

 

「い、いや。先に私が入っていたんだが看板見なかったのか?」

 

「看板とはなんだ!そんなものかけてなかったぞ!後見るな!!!」

 

「うわぷ!!???」

 

驚く士道に十香が頭を掴み、湯船に沈めた

 

「(お、おのれ琴里。看板を外すとは卑怯だぞ!!!???」

 

と心の中で叫ぶ中、リビングにいる琴里は先ほど士道が掛けた看板を片手に持ちテレビを見ていた

 

「・・・・ふ、卑怯もラッキョウもあるもんですか」

 

と、そう言いチュッパチャップスを咥えるのであった

 

 

 



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狙われない天宮市

朝、まだ日の出てない頃、朝靄がかかる天宮市の街中、士道はいつものジョギングをしていた。これは士道が前世の人間、モロボシ・ダンだった時からの日課でもある。

士道は公園前につくと・・・・

 

「それ!それ!!そおぉーれ!!」

 

「ん?」

 

公園で何かの声がし士道は立ち止まり公園へ入っていくと広場にはオレンジ色の長い頭をアップの髪に準えた女性が両手にスティック棒をもってオタ芸をしていた。しかもその女性は士道の見知った顔であった。そして士道に気づいたのか女性は士道のほうへ顔を向き

 

「あら?君はあの時の少年ではないか」

 

「宇宙研究部の部長さん?」

 

先ほどオタ芸をしていた女性は数日前会った宇宙人研究部の部長であった

 

「え・・・・と部長さんはここで何をしていたんですか?」

 

「ん?ああ、これ?私あるアイドルのファンでね。次のライブに向けてこうやって応援の練習をしているのよ。えっと‥‥君の名は確か・・・」

 

「ああ、五河士道です」

 

「ああ、士道君ね。私は三年の丹波夢露(メロ)ていうのよ。さて君は・・・・見たところジョギングのようだね?どうだい体を動かすのが好きなら一緒にこれやってみないかい?」

 

ニコッと笑い、予備に持っていたのか部長こと夢露は士道にレーザースティックを渡し

 

「さあ、やってみよう!!」

 

「は・・・・・はぁ・・・」

 

 

数分後

 

「はぁ・・はぁ・・・意外と体力を使うんだな。この振り付けは」

 

「いや~君って飲み込み早いんだね~私の動きについてこれるなんて流石だよ。でさ、ついでになんだけど・・・・」

 

「すみませんが部活に入る気はないですよ?」

 

「あら?バレちゃった?」

 

「ええ、入部届の書類とペンを出している時点で気づかないわけないでしょ?」

 

「あはは!!そか~残念。まあ君は一筋縄じゃ行かないことは知っていたさ」

 

「ん?それはどういう・・・・・」

 

夢露の言葉に若干の違和感を感じそう聞く士道に夢露は

 

「おっと。そろそろ家に戻って学校に行く支度をする時間じゃないかな五河君?」

 

夢露にそう言われ士道は公園の時計を見るとそろそろ家に戻らないといけない時間であった

 

「それに君とはまた学校で会えるじゃないか。授業以外の時間の時は私はあの部室にいる。用があればそこに来た前、後輩の五河士道君・・・・・・いや、モロボシ・ダン君」

 

「っ!?」

 

士道は夢露の言葉に目を見開き再び彼女を見ると、すでに彼女の姿はいなかった。そしてあったのはベンチに置いてあった彼女が使用していたレーザースティックだけであった。士道はそのスティックを手に取り神妙そうな顔をするのであった

 

 

 

 

 

その後の学校の昼休み

 

「シドー!昼餉だ!」

 

と、十香は自分の机を士道の机にくっつける。すると隣にいる折紙も士道の机をくっつける

 

「・・・・ぬ、なんだ、貴様。邪魔だぞ」

 

「それはこちらの台詞」

 

二人はにらみ合いそういうそれを見た士道は軽くため息をつくと

 

「三人仲良く食べればいいだろ?」

 

士道が呆れるように言うと、十香と折紙は渋々といった様子で、大人しく席に着き、そして士道と十香は同時にお弁当箱を開けると折紙の目つきが鋭くなる。その眼を見た士道は自分のお弁当を見た瞬間

 

「(しまった!?俺のおかず、十香と一緒だったのを忘れていた!)」

 

セブン痛恨のミス。基本お弁当は士道が作っており、もちろん妹である琴里のほかに十香のも作っている。さすがに二人の弁当のおかずが全く同じなのは不自然すぎるのだ

 

「ぬ、な、なんだ? そんな目で見てもやらんぞ?」

 

十香は自分の弁当がとられると思ったのか怪訝そうにそう言うと折紙は

 

「・・・・・どういうこと?」

 

「えっと・・・・つまりこれは同じ弁当屋で買った・・・・」

 

「嘘」

 

そう言うと折紙は士道の弁当箱の蓋を取り

 

「これは今から154日前、あなたが駅前のディスカウントショップにて1580円で購入したのち、使用し続けているもの。弁当屋の物ではない。それにあなたはうそをつくのが下手なのも知っている」

 

「なぜ、そのことを知っているんだ?」

 

「それは今重要ではない」

 

「むう、さっきから二人で何を話しているのだ! 仲間外れにするな!」

 

折紙が士道に問い詰める中、話についていけない十香は頬を膨らませてそう言うと後ろから殿町がやってきて

 

「やあ、五河。俺の彼女にコーディネイトを頼まれたんだが、ナースと巫女とメイド。どっちが似合うと思う?選んでくれないか?」

 

「殿町。今はそういう問題じゃ……じゃあメイドでも何でも好きに選んではどうだ?」

 

「メイドだね?流石は五河。見る目があるね~」

 

士道が適当にそう言うと、そう言いすかさず消える殿町。そして折紙はじっと士道たちを見ていた。この雰囲気を何とかしてほしい。士道は正直に思った。すると教室から三年生の女子がやってきて

 

「ねえ、五河士道って子。ここにいる?」

 

「え?ああ、私ですけど?なんか用ですか?」

 

「ええ、丹波さんが君に部室にすぐに来てほしいって言ってたんだけど?」

 

「丹波さん?は、はい。わかりました。すまない十香、折紙。ちょっと席を外すよ。すぐに戻る」

 

「え?うむ。早く戻って来いシドー」

 

「ああ、折紙も悪い」

 

「・・・・・・」

 

そう言い士道は席を後にするが折紙はじっと彼のことを見るのであった

 

 

 

 

 

 

一方、士道はこの前来た宇宙人研究部の部室に来た。だが部屋の明かりはついてないらしく窓を見ても真っ暗だった

 

「・・・・・電気がついてない。来ていないのかな?」

 

首を傾げ頬を掻くと突然、扉が開きそこから手が出てきて士道の腕をつかみ引っ張りこむ

 

「うわっ!?」

 

驚いた士道。そして部屋に引っ張り込まれると明かりがつき彼の前には

 

「ようこそ、五河士道。いや、ウルトラセブン。私は君が来るのを待っていたのだ」

 

と、そこには丹波夢露が立っていた。しかも彼女の服装は学生服ではなく青と赤と黄色のカラフルな衣装でにこにこと笑っていた

 

「君は・・・・?」

 

「歓迎しよう。何なら君の友達で精霊である十香さんやASTの鳶一さんも呼んだらどうだい?」

 

そう言うと、彼女は部室に置いてある畳の上に座りそしてその真ん中にちゃぶ台を置くと

 

「まあ、まあ君も座りなよ。お茶も用意してあるし休み時間もたっぷりあるからさ」

 

そう言うと士道は警戒した表情で畳に座り、夢露は

 

「はい眼兎龍茶。毒は入っていないからググって飲んで」

 

そう進められ士道はお茶を飲む。味はウーロン茶と麦茶を足したような味であったが美味しかった。そして士道は

 

「お前はいったい何者だ?なぜ十香や折紙のことを知っているうえ私がモロボシ・ダンであり、ウルトラセブンだと知っている?」

 

「アハハ!知っているさ。まあ二人に関してはいろいろ調べて分かったことなんだけどね。君の場合会ってすぐに私と同族だと気づいたのさ」

 

「と、すると君は宇宙人」

 

「正解さ。まあ、正確には転生して人間として生まれ変わった宇宙人ってところかな?私のこと覚えていないかい?君とは戦ったことあるんだけど?」

 

「いや?覚えがない・・・・・・待てよ。この風景どこかで」

 

「も~つれないね~君とは昔今と同じようにボロアパートでちゃぶ台越しに話したうえに夕焼けの町で戦った挙句、君のアイスラッガーで私を裂いたではないか縦から真っ二つに」

 

その言葉に士道は彼女の正体に気づいた

 

「お前・・・・まさかメトロン星人か!?」

 

「ピンポーン!大正解さ。そうさ私は君と戦った元メトロン星人だよ。いや~何年ぶりだろうね~」

 

笑う丹波夢露。そう彼女の正体はかつて煙草に宇宙ケシの実を入れ人間を狂暴化させ人間同士の信頼関係を崩そうとした幻覚宇宙人メトロン星人であった。

 

「なぜ、お前が女になっている?君は男のはずだぞ?」

 

「まあ、これも転生っということかもね。私だって生まれ変わった時は驚いたさ。君に真っ二つにされエメリウム光線で爆死したと思ったら、人間の女の子に生まれ変わっていたんだからさ」

 

「それで・・・・お前はこれからどうするつもりだ?また地球侵略をするつもりか?」

 

「まあ、まあそんなに怖い顔で言わないでくれセブン。私はね地球侵略とかそういうのはない。もうこの星は狙わないよ。まあ狙おうにもたばこ喫煙者が減った今、昔のようなことやっても意味ないし、地球人。丹波夢露としての生活も気に入っているからね。こうしてお茶飲めるし・・・」

 

「・・・・・」

 

お茶を飲むメトロンに士道ことセブンは怪訝そうな顔をすると・・・・

 

「さて・・・・私からも質問だ。なぜ君がここにいるのかね?」

 

メトロンの質問にセブンはメトロンとの戦いの後どうなったか話した。そしてMacのことも。そして死んだと思ったラ五河士道となって生まれ変わったことも

 

「なるほど・・・・つまり君と私は同じ境遇ってところだね?いろいろと大変だっただろ?」

 

「まあ、そんな感じだな。それよりメトロン。お前は十香たちのことを知っていたみたいだが・・・・」

 

「ああ、精霊と空間振のことだね?いや~私もこの世界の地球人に生まれ変わって、驚いたさ、精霊と呼ばれる人と同じ姿をした謎の生命体にそれを対処する秘密部隊である防衛隊であるAST。そして今君が所属している平和的に解決しようとする組織ラタトスクのこともね」

 

「すべてお見通しってわけか・・・・」

 

「私だって、無駄に人生過ごしていないさ。空間振について調べたらいろいろ知っただけのこと。でもまさか君がこの世界に転生してセブンとして戦っていたなんて驚いたよ。後クール星人のことも」

 

「お前、クール星人のこと知っていたのか?」

 

「ああ、昆虫星人なのに相手を昆虫呼ばわりしている奴だろ?まあ、薄々知っていたさ。ただ気がかりなのは別宇宙。つまり我々がいた世界とは異なるこの世界になぜ彼らが出てきたのかってね」

 

「ん?メトロン。お前の仕業じゃないのか?」

 

「いや、地球人に転生した私にそんなことできるわけないじゃないか・・・・ただ」

 

「ただ?」

 

「君も知っている通り、宇宙にはたまにワームホールみたいな穴が発生することがある。もしかしたらクールはそれに巻き込まれたんじゃ?よくはわからないけどね」

 

「そうか・・・・・結局振り出しに戻ったか・・・・ところでお前のその恰好は?」

 

「ああ、この格好?まあ簡単に言えばこの世界の精霊のような霊装みたいなものかな?君が人間の姿の時に念力などの超能力が使えるように私も少しだけメトロン星人の力を使えるんだよ。この格好はその時のものさ。おかげでAST連中に精霊と勘違いされて追いかけられたものさ~それ以降この姿で歩き回るのはやめているしね」

 

「その時、お前はどうやって切り抜けた?」

 

「ん?宇宙ケシの実を使った煙幕で相手が混乱している最中に逃げてやったさ」

 

「オマエな・・・・・」

 

「安心したまえ、効力は一時的なものだ。誰も殺してないしけが人も出ていない。さてと・・・セブン。いや、ここはダン?いやそれとも士道君て呼んだほうがいいね。話は長くなってしまったが。簡潔に言おう。まずその一。私には地球侵略なんて野望はない。もう地球人に生まれ変わっているしね。そして第二におそらくこれからもクール星人みたいにこの星を狙う宇宙人がいると思うが私は君の味方だ。協力は惜しまないよ。もし宇宙人として悩むことがあるのならいつでも私に相談するといい。元宇宙人同士なら話しやすいこともあるだろう?」

 

「すまないなメトロン・・・・・いや夢露」

 

「なあに。同じ境遇の仲間だし、それにこの学校では私は君の先輩っということになるからね。後輩が困っているとき助けるのが先輩の務めだからね・・・・その代わり学校の先輩として君に頼みがあるんだよ」

 

「な、ナンダ?」

 

いやな予感がする士道。すると夢露はニタぁ~と笑い

 

「私をもう一度アイスラッガーで裂いて欲しいんだ!」

 

「はあっ!?」

 

「実はあの時、君に刻まれた痛みが忘れられないんだ。あの痛みが癖という奴になってしまってね。さあセブンに変身して私を切り刻んで罵ってくれ!!」

 

息を荒げてそういう夢露に士道はドン引きした表情になり

 

「メ、メトロン!いや夢露!お前はそんなキャラじゃなかったはずだぞ!あ、そうか!お前のそれは宇宙ジョークだな!?」

 

 

「・・・・・ち、バレたか」

 

「おい、なぜ舌打ち!?」

 

「アハハ!いや、君は本当にまじめだな~って思ってさ。まあ私としては面白いリアクションとか見たかったんだけどね~」

 

と、夢露がそう言った瞬間、町中にけたたましい警報が鳴り響いた

 

「っ!?空間振か・・・」

 

「どうやら精霊が現れるみたいだね・・・・・さてと私は避難しよう。君も早くあの十香という少女のもとに行きたまえ、君と話ができて楽しかったぞ士道」

 

「ああ、私もだ。ではまた」

 

と、いつの間に制服姿に戻ったメトロンこと夢露は立ち上がりそういうと士道もうなずき。夢露はどこかにそして士道は十香たちも元に急いで戻るのであった

 

 



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ハーミット

士道と同じ人間に転生したメトロン星人(初代)と出会った士道ことセブンは空間振警報の音を聞いて急いで自分の教室へと戻る。そして教室に戻ると・・・・・

 

「・・・・十香を置いていく?」

 

士道は令音に聞くと令音は頷き

 

「ああ、力を封印された今の十香は精霊ではなく、普通の人間と大差ない。それにASTと精霊が戦う様子を見て彼女のストレス値が上がっても困る。だから彼女はフラクシナクスには連れていけない」

 

令音の言葉に士道は黙る。確かに今の十香は精霊の力はなくただの人間。そんな彼女を危険な目に合わせたくない。それに自分と同じ精霊がASTの隊員たちに攻撃されているのを目撃したら、きっととてつもなく悲しむに違いない。そんな思いを士道は十香にさせたくなかった。すると

 

「ほら!五河君と夜刀神さん!それに村雨先生も!!早く非難しないと!!」

 

岡峰先生が慌ててそう言うと士道は彼女の手を取り十香の手を握らると

 

「先生。十香を安全な場所までお願いします」

 

「え?そ、それはもちろんですが・・・・」

 

岡峰先生は頷くと十香は

 

「シドー。シドーはどうするのだ?」

 

「十香。私は少し用事がある。君は先生と一緒に先に避難してくれ。用が終われば私も十香のもとに行く」

 

「しかし・・・・」

 

「大丈夫だ。私は必ず戻る。じゃあ行ってくる」

 

そう言うと士道は令音とともにどこかへと走り去ってしまう

 

「五河君!村雨先生まで!!」

 

岡峰先生はそういう中、十香は

 

「シドー・・・・」

 

十香は心配な表情で彼を見ているのであった

 

 

 

 

そして士道は空中透明艦フラクシナクスにいた。そして指令室に入ると

 

「来たわね士道。ちょうど空間振が発生したところよ」

 

「なに?」

 

琴里の言葉に士道はモニターを見ると町の通りにすり鉢状の穴が開いていた。そして穴の周りの建物はまるで台風が起きたかのように破壊されていた

 

「今回はだいぶ小規模ね・・・・」

 

「そのようですね。僥倖・・・・・と言いたいところですが、ハーミットならばこんなものでしょう」

 

琴里の言葉に福司令である神無月がそう言う

 

「ハーミット?今回現れた精霊の名か琴里?」

 

「ええ、気性の大人しい精霊として認識されているわ」

 

そう言い宇都モニター画面から精霊ハーミットの顔が映し出される。その精霊はウサギの耳のような飾りのついた緑色のフードを被った、青い髪の少女で片方の手にはパペットをつけていた。士道には見覚えがあった

 

「っ!?あの子は!?」

 

「士道。知っているの?」

 

「ああ。おとといの夕方。そう雨の日に神社で会った」

 

そう言うと神無月はタブレットで調べると

 

「ん~当該時刻にそれらしき例は数値の反応はありませんね」

 

「十香と同じってわけね・・・・・」

 

琴里はそう言うと椎崎から

 

「AST到着!ハーミットに攻撃を仕掛けます!!」

 

椎崎の言葉と同時にハーミットの上空からASTたちが急降下して銃撃すると、ハーミットはまるでウサギのようにぴょんと飛んだかと思うと反撃せずそのまま逃げていた。だが、AST隊員達は一斉に反応して追跡する。そしてそのまま、CR-ユニットに装着している武器から、夥しい弾薬やミサイルをハーミットに向けて放つ。それを見ていた士道は

 

「精霊といえどあんな小さい子まで・・・・・」

 

「姿かたちはASTには関係ないわ。彼女たちの目的は空間振を起こす精霊の排除よ。彼女が精霊である限り情けも同情もないわ」

 

「・・・・・・・」

 

琴里の言葉に士道は黙る。士道もかつて前世ではセブンとして凶悪な宇宙人や怪獣と戦い。そして人間の姿の時そう、モロボシ・ダンだった時、ウルトラ警備隊。そしてMacの隊員、そして隊長だった時。地球に襲来した怪獣や宇宙人を攻撃した。それは地球を守るため、だから同じ地球を守るASTの彼女ら精霊を撃つことは理解はできる。

しかし、やはり心の奥底では完全に納得はできなかった。もし許されるのであればすぐに飛び出しウルトラアイでセブンの姿に戻り彼女を助けたかった。しかし今はそうすることはできない。ほかに彼女を助ける方法といえば・・・・・

 

「・・・・・琴里」

 

「何よ士道」

 

「ハーミットの力を封印できれば彼女を救うことができるんだな?」

 

「ええ、そうよ」

 

「わかった・・・・私は彼女を助けたい。すぐに彼女のもとに送ってくれ」

 

と、真剣な表情でそう言うと琴里はニコッと笑い

 

「それでこそわたしのお兄ちゃんね。わかったわ。すぐに転送装置のところに行って」

 

「わかった」

 

そう言い士道は指令室を出ると琴里は

 

「総員、第1級攻略準備!」

 

『はッ!』

 

クルー達は一斉にコンソールを操作し始め、琴理はそんな光景を眺めながら

 

「さあ・・・・・私達の戦争(デート)を始めましょう」

 

 

 

 

 

雨の降る中、誰もいないデパートの中、士道は歩いていた

 

「琴里、ハーミットはこの中にいるのか?」

 

耳につけているインカムでそう聞くと

 

『ええ、解析から間違いないわ。ASTもさすがに建物内にいるハーミットに手が出せないはずだわ』

 

「そうか…分かった」

 

そう言いうと士道はデパートの中を歩く、中は電気が停電しているため暗く何も見えないが士道はセブンの能力である透視能力を使う。そして士道は上に何かの気配を感じ、上を見ると・・・・

 

「君もよしのんをいじめにきたのかなぁ~?」

 

「っ!?」

 

士道が見上げた場には先ほどの少女、ハーミットが重力に逆らうような逆さの状態で浮遊していた。そしてハーミットはぐるりと回転しゆっくりと地面に降りると

 

『おやぁ? 誰かと思ったら、よしのんの身体をハンカチで綺麗にしてくれた。ラッキースケベのおにーさんじゃない』

 

「・・・・・ん?」

 

パクパクとパペットの口を動かすその言葉に士道は違和感を感じた。士道はパペットを拾う際、そのパペットをハンカチで拭いてきれいにした覚えはあるが、彼女をハンカチで拭いた覚えはなかった。するとインカムから

 

『士道、待ちなさい』

 

と、琴里の言葉が聞こえる。どうやら次の発言の選択肢を出しているのだろう。そしてフラクシナクスのモニターのほうでは三つの選択肢が出された

 

①【ああ、久しぶり。元気だったかい?】素直に挨拶をする。

 

②【ラッキースケベってなんだラッキースケベって!】軽快なツッコミを入れる。

 

③【ふ・・・・っ、知らないね。私は、通りすがりの風来坊さ】ハードボイルドに決める。

 

「総員、選択開始!」 

 

琴里の言葉にクルーは選択する結果は同数であった。そして琴里が決めたのは

 

『士道3よ。3を言いなさい』

 

と、そう言うが士道は

 

「琴里・・・・私が仮に君に言ったらどうする?」

 

「何って‥‥大笑いして馬鹿じゃないよって言う・・・・・・・あ」

 

「・・・・・だろ?ここは3を少しアレンジして言ってもいいか?」

 

『ええ、別ん構わないわ』

 

琴里がそう言うと士道は

 

「君がそうだと思うならそうかもしれないし、違うと思えば違うかもしれない。私はただの風来坊さ、雨に降られたからたまたまこのデパートに寄っただけだよ」

 

と、笑顔でそう言うと彼女(パペット)は

 

「あははは!!お兄さんって面白い人だね~よしのんお兄さんのこと気に入ったわ~名前はなんていうの?」

 

「ああ、私の名前は五河士道というんだ。君の名は?」

 

「おお!ああっ、なんてみすていくっ! よしのんともあろう者が、自己紹介を忘れるだなんてっ! よしのんはよしのんのナ・マ・エ。可愛いっしょ? 可愛いっしょ?」

 

ハイテンションで言うよしのんに士道は

 

「そうか・・・・・君はよしのんっていうのか・・・・・それでこの子の名前は?」

 

「ん?士道君。何を言っているのかな?よしのんはさっき名前を名乗ったけど?」

 

「それは君の名前だろ?私が聞いているのは君の隣にいるそこの少女の名前なんだけど?」

 

士道はそう聞く。そう士道は最初は腹話術で話しているかと思っていたが様子を見ているうちに、そしておとといあった少女の雰囲気からして違うことがわかり恐らく、あのパペットの人格とそしてあの少女の人格は別のものだと感じた。そこで士道は少女の名をよしのんと名乗ったパペットから彼女の名を聞こうとしたのだ。するとインカムから

 

『ちょっと士道。あなた一体何を言っているの? 機嫌が下がるわよ!?』

 

と、そう言うとよしのんは

 

「えっと、士道くん、それってどういう意味なのかなぁ?」

 

「そのまんまの意味だ。君はよしのん。そして私は君の友達である少女の名前は知らないんだ・・・・・ああ、でも言いたくないのなら今は言わなくてもいい。名乗る名乗らないは君の自由だ」

 

「士道君って優しいんだね~でもごめんね。この子は人見知りが激しいからもう少し仲良くなってからでいい?」

 

「ああ、構わないよ」

 

士道は頷く。士道も厳密にいえば類意味二つの顔を持っている。一つは本来の姿であるM78星雲の深紅の戦士、ウルトラセブン。そしてモロボシ・ダンであり今の姿である五河士道の名を借りて生きている。するとインカムから

 

『士道、精霊の機嫌は下がっていないみたいだからこのままデートに誘いなさい」

 

と琴里の言葉を聞き士道は

 

「さて・・・・よしのんと君・・・・すまないがよしのん。私は彼女の名を知らないから君呼ばわりしてしまうが構わないか?」

 

「うん。いいよ。よしのんが許しちゃうから」

 

「そうか・・・・ではよしのんと君。ここは天宮市でも有名なデパートでね。せっかくここに来たんだし私と一緒にこの中を歩かないか?つまりデートに似たものだが」

 

「おおー!いいね~よしのんたちもこうして普通に会話できる人がいないか探していたんだよ。いつもよしのんたちを攻撃してくるからね~答えはもちろんオーケーだよ~」

 

「そうか。では行こうか」

 

と、士道とよしのんと少女は暗いデパートの中を歩くのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、シェルターでは十香は岡峰先生から空間振のことを聞いていた

 

「それでは外はそんなに危険なのか?」

 

「危険なんてもんじゃありません!なんたって空間振なんですから!」

 

と岡崎先生が話す中、すぐそばにいた士道のクラスの女子三人組である山吹、葉桜、藤袴はそれを見て

 

「夜刀神さん。空間振のこと知らないんだ~」

 

「もしかして超お嬢様とか?」

 

「まじ引くわ~」

 

と、そういう中、十香は

 

「タマちゃん先生。そんな危険なときシドーはどこに行ったのだ?シドーは大丈夫なのか?」

 

心配してそう言う十香に山吹たちは

 

「夜刀神さんってなんか健気・・・・」

 

「十香ちゃんて呼ぼうか?」

 

「まじ引くわ~」

 

「え、え・・・と・・・夜刀神さん・・・その」

 

三人がそう話し、岡峰先生はどう答えればわからなくなったとき

 

「まあまあ、夜刀神さん。落ち着きたまえ」

 

「あ、丹波さん」

 

そこへ十香たちの先輩である三年の丹波夢露(メトロン星人)がやってきて彼女の肩をポンっとたたく

 

「こういう時は落ち着くのが一番だ。冷静になれ」

 

「お前は・・・・」

 

「私は丹波夢露。この学校の三年生で君の先輩にあたるかな?まあ、君の心配する気持ちもわからなくはないけど。彼は大丈夫だ。だろ?岡峰先生?」

 

「丹波さんの言う通りですよ村雨先生もいることですし・・・」

 

と話す中、再び三人組は

 

「すごい…あの学園一の変わり者の丹波先輩が十香ちゃんを慰めている」

 

「すごいわね~」

 

「まじ引くわ~」

 

三人は感心したように見ている中、夢露はカバンをごそごそと探り

 

「おっ!あった、あった。はい。私のお気に入りの眼兎龍茶。先生の分もありますからどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます丹波さん」

 

そう言いカバンから眼兎龍茶の缶を出すと岡峰先生に私もう一本を取り出すと

 

「はい。これは夜刀神さんの・・・・・・・・あれ?」

 

夢露はお茶を持ち十香に渡そうとしたのだがそこには十香の姿はいなかった。それを見た夢露は

 

「・・・・・これはまずいことになった・・・・」

 

 

 



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氷の精霊と凍結怪獣

「もう2時間立つわね・・・・・」

 

一方、デパートの外ではASTの隊長である日下部とその隊員である折紙が外でじっと見張っていた

 

「攻撃許可は?」

 

「当分下りないわよ。相手は弱虫ハーミットでしょ?こんだけの建物をぶっ壊して、復興部隊を繰り出すほどの標的じゃないしプリンセスの時とは違うわよ」

 

「・・・・・」

 

日下部隊長はそう言うと折紙のほうへ向き

 

「不思議なものよね?どう見てもプリンセスに似た女の子があなたのクラスに転向してきて、しかも精霊反応が検出されないなんて、戸籍もおかしなところはないし、どうなっているのかしら?」

 

日下部はそう言う。折紙は十香のことを日下部に報告していた。そして日下部も十香のことを調べたのだが、彼女が精霊プリンセスである証拠の精霊反応はなく、しかも戸籍なんかも偽造ではなく本物であり、さすがに手が出せない状態であった。

 

「それだけじゃないわ。この前の行方不明事件・・・・そうあのへんな宇宙人だったけ?その事件の調査をしていた澤たちに協力した五河士道という少年。あの子、確かあなたが誤射して射殺しちゃったあの少年よね?」

 

「っ!?」

 

日下部の言葉に折紙はびくっと体を震わせる

 

「ごめん。気にしてたら謝るわ。その少年。調べたけどやっぱり同一人物だったわ。しかもあの少年は澤たちの話によれば宇宙人のことを知っていたし、何者かしら?あなたは何か知っている?」

 

「・・・・いいえ、知りません。日下部隊長…例の赤い巨人について何か?」

 

「ああ、あれ?あれ以来すっかり姿が現さないわ。あれも宇宙人なのかしら?それとも新たに出現した巨大な精霊かもしれないわね」

 

「…名前は決まったの?」

 

「いろいろ候補が上がっているわ『レッドマン』に『ビックレッド』など様々に出ているけど正式にこれだっというのは決まっていないらしいわ」

 

「そう・・・・・そう言えば澤と山郷の姿が見えないけど?」

 

「彼女たちなら、上のほうへ呼ばれたわよ。何でも星人退治に貢献した戦績で階級を一気に三曹に昇格させるのと、ASTの中で対宇宙人用の部署を作らせるって話らしいわよ。ま、でも彼女たちの任務は後方支援だし、ここにいても大差ないわ・・・・・それにしても雨のせいかしら。何だか寒いわね」

 

「現在の気温・・・・・マイナス7度・・・いや6度・・・・まだ下がっている。これは異常。恐らくハーミットの仕業・・・・」

 

「もしくは別の何かの仕業かもしれないわね・・・・・」

 

と二人はそう言いながらハーミットが出てくるのをひたすら待つのであった。そしてその間、二人を冷たい風が吹き荒れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

一方、デパートの中では・・・・・

 

「ははは~!!どう士道君?よしのんかっこいい?ねえ、かっこいい!?」

 

と、よしのんは子供のおもちゃ売り場ある子供用のジャングルジムの上に立ちはしゃぎながらそういうと士道は

 

「よしのん。暗い中そこに立ってはいけない。もし落ちたりしたらどうするんだ。降りなさい」

 

と、そう言い注意するがよしのんたちは降りる気配はなく

 

「んもうっ、カッコいいかどうかって訊いているのにぃー。っと、わ、わわ・・・・っ!?」

 

「なっ!?危ない!!」

 

よしのんが不満げに言うが、その瞬間、足を滑らせてバランスを崩し手ジャングルジムから落下する。それを見た士道は、あわてて彼女の元へ行きキャッチする。その体制はお姫様抱っこの状態だった。

 

「大丈夫か?」

 

士道は心配そうにそう訊くが少女は無表情であった。そして士道は彼女を下すと

 

「気をつけろ。よしのん。君だけではなく君の友達のその子も危うくケガさせるところだったぞ?」

 

「あったたたぁー・・・・ごめんごめん、士道くん不注意だったよ~」

 

ウサギパペットのよしのんがそう答えると、突然インカムから

 

『士道、緊急事態よ。まずいことになったわ』

 

「ん?どうした琴里?何がまずいことに・・・・」

 

士道がそう言いかけた瞬間。士道は何かの気配を察知し、振り向くとそこには・・・・・

 

「と、十香・・・・?」

 

そこにはシェルターにいるはずの十香がそこにいた。そして十香は赤いオーラをまとっいそしてその眼は完全に激怒した眼であった。そして十香は

 

「シドー・・・・・今、何をしていた?」

 

ゆかりの表情で十香はゆっくり士道に言うと士道は先ほどよしのんをお姫様抱っこしたことを思い出す。

すると十香は

 

「あれだけ・・・・あれだけ心配させといて・・・・」

 

と、ゆっくり士道のところへ近づき

 

「女とイチャコラするとはなに事かぁー!!!」

 

と、強く地面を踏むとその位置を中心に床が陥没し、周囲に放射状の亀裂が入った。それを見た士道は

 

「(まずい・・・・・私の妻(前世の)怒った時と同じ状況だ・・・・・)」

 

冷や汗を流す中、スクリーンで見ていた琴里がスクリーンで

 

『あちゃ~これはまずいわね。十香の精神状態が不安定になっているわね。精霊の力が逆流しちゃっているわよ?早く機嫌を直したほうがいいわよ』

 

「しかし、どうやって・・・・」

 

士道が小声で琴里と話す中、十香はよしのんを指さし

 

「シドー!お前の言っていた用とは、この娘と会うことだったのか?」

 

「十香これにはちゃんとしたわけが・・・・」

 

士道は十香にちゃんと説明しようとしたがよしのんが

 

「お姉さんはえっと・・・・・」

 

「十香だ!」

 

「十香ちゃん。悪いんだけど~士道君はもう君には飽きちゃったみたいんだけどね~」

 

「「っ!?」」

 

「話を聞いてると十香ちゃんの約束すっぽかして、よしのんのところに来ちゃったみたいじゃない?」

 

よしのんは調子づいて十香をからかい始める

 

「これでもう決まりだね~ごめんね~これもよしのんが魅力的すぎるからだね~別に十香ちゃんが悪いって言っているわけじゃないよ~ただ~十香ちゃんを捨ててよしのんのもとに行っちゃった士道君を責めることもできないっというか~」

 

「うが~~!!!うるさーい!黙れ!黙れ!!黙れぇ!!!!」

 

よしのんの言葉に十香は涙目になって声を上げると両手をぶんぶん降りそう言うが、よしのんはその様子を面白がり

 

「ほら士道君も言ってあげなよ十香ちゃんはもう要らない子だと・・・・」

 

よしのんがそう言いかけた瞬間

 

「よしのん!!!」

 

「「っ!?」」

 

急に士道の怒声が響く。そして二人が士道を見るとそこには腕を組み怒気を含んだ眼をしていた士道がいた

 

「よしのん・・・・相手を揶揄うにも限度があるぞ!十香は要らない子ではない。彼女は私の大切な家族だ。そして相手を揶揄うとしてもさっきも言ったように限度っていうものがある!時に言葉は相手をひどく傷つける凶器にもなる。そう言う言葉は慎め!!」

 

普段怒らない士道が十香が馬鹿にされた時、我慢できずよしのんを叱る。そして士道の怒った姿を見たよしのんは

 

「ご、ごめんね士道君。よしのんはただ揶揄うだけだったんだ・・・・悪気はなかったんだよ」

 

「よしのん。私に謝るのはいい。ただほかに謝る人がいるんじゃないか?」

 

「うっ・・・・ごめんなさい十香ちゃん。よしのん初めて人と話すことができてうれしかったからつい調子に乗って十香ちゃんを揶揄っちゃった。本当にごめんね」

 

「え?・・・ああ」

 

よしのんは素直に十香に謝り十香は少し戸惑う。すると十香は急に肩を震わせる

 

「そ、それにしても・・・・・なんかいきなり寒くなってきた」

 

「そう言えば確かに・・・・・・」

 

と士道は十香の言葉に頷く。そして周りを見ると棚や机を見ると氷柱ができていて三人の吐く息も白かった。

 

「よしのん・・・・・これって君の力か?」

 

「よしのんは何もしていないよ?」

 

と、彼女自身にもわからないのか首をかしげる。そして士道はすぐそばに売ってあった温度計のサンプルを見ると・・・・・

 

「氷点下100度だと!?」

 

そのメモリは明らかに氷点下の数字になっていた。春になったばかりでこの気温はさすがにおかしい。そう思った士道。すると急にデパートが揺れ始める

 

「な、なんだ!?」

 

「わわわっ!?地震!?」

 

十香とよしのんが驚いたその瞬間、士道たちのいる場から少し離れた場所が崩れ落ちそこから巨大な顔と体が出てきた。その顔はまるでカタツムリみたいな長い目をしていてハトのような鳴き声を出した

 

「うわっ!?シドーなんだあれは!?」

 

「カタツムリのお化けだ!?」

 

「っ!?(あれはガンダーか!?)」

 

急に現れた巨大な顔に十香たちは驚き、士道は現れた怪獣に見覚えがあった。それは凍結怪獣のガンダーであった。するとガンダーは三人に向けて冷凍ガスを吐く。そしてそのガスは氷の槍のような形になり三人に向けて飛んでくる。よしのんはすらりとかわすが十香はいきなりのことで反応が遅れた。それを見た士道は

 

「十香!」

 

「うわっ!」

 

すかさず士道は十香の手をつかみジャンプして氷の塊をよける。するとインカムから

 

『士道。予想外のことが起きたわ。すぐに十香を連れて戻りなさい!』

 

「だが、ハーミットのことはどうする!?」

 

士道が琴里と話す中。よしのんはというとガンダーの凍結ガスによって凍った床に足を滑らせ、転んでしまう。そしてその瞬間、手から『よしのん』がスッポリと外れてしまい、よしのんはガンダーの口元に落ちる

 

「・・・・・っ!?」

 

「・・・・・・・?」

 

それを見た少女ハーミットは驚き、一方、自分の目の前に落ちたよしのんを見ると不思議そうな表情をし手を出してつかもうとすると

 

「かえ、して・・・・っ、くださ・・・・っ」

 

ハーミットはガンダーに近づこうとするとガンダーは彼女に向けて再び凍結ガスを噴射しようとしたその時

 

「危ない!」

 

十香がハーミットを引っ張り、ガンダーの凍結ガスから守るがハーミットは十香に目もくれず、ただ、ガンダーのほうを見る。そして

 

「・・・・っ、氷結傀儡(ザドキエル)・・・・っ!」

 

ハーミットが右手をバッと上げたかと思うと、それを真下に振り下ろしたその瞬間、床を突き破るようにして氷のウサギのようなものが現れる

 

「こ、これは・・・・」

 

士道が驚く中、ハーミットは、自分の足の下から出現した人形の背にピタリと張り付くと、その背にあいていた二つの穴に両手を差し入れた。そして人形の赤い目が輝き、鈍重そうな体躯を震わせながら、低い咆哮を上げ、ガンダーと同じように強力な冷凍ガスが大きなウサギ人形の体から放たれ室内に充満する。

 

「十香!」

 

士道は十香に迫る冷気を見て急いで彼女の体を抱き寄せる。そしてその冷気は二人を包み込むのであった。

そしてその冷気にガンダーは驚き動きを止めるとハーミッの駆るザドキエルが動き、その鈍重そうなシルエットに似合わぬ俊敏な動きで地を蹴ると、そのまま窓を割り屋外に飛び出して行った。

その中、ASTたちが飛び出てきたハーミットに攻撃をするがハーミットに傷一つ、つける事ができず空間に溶け消えていった。

 

「ロストした?」

 

日下部は急に消えたハーミットに首をかしげる。すると

 

グオォォーーーー!!

 

「「っ!?」」

 

デパートから急に巨大な生物ガンダーが現れ驚く

 

「な、何あれ!?」

 

「・・・・っ!?」

 

日下部と折紙が驚く中ガンダーは次の標的を二人に定めたのか、凍結ガスを放つ。その瞬間、周りが一気に凍り付く。日下部達はガンダーに向けて銃を撃とうとするが

 

「っ!?銃が凍結して発射できない!?」

 

「こっちも撃てない・・・!?」

 

マイナス140度の冷却ガスのため銃が凍結して発射できない状態になった。そしてガンダーはあざ笑うかのような声を上げると、まるで煙のように消えるのであった

 

「・・・・消えた?それにあの巨大生物はいったい何なのよ・・・」

 

日下部は突然現れたガンダーに疑問を持つ中、折紙は先ほどガンダーがいたところをきょろきょろ見ると何か見つけたのか首を傾げ降りていくのであった。一方デパートの中では

 

「い、いったい何だったのだ?シドー?」

 

十香は先ほどのことを士道に聞こうとしたが、士道は十香を抱き寄せたまま何も言わない 

 

「っ!?シドー?………お、おいシドー!しっかりするのだ、シドー!!」

 

十香は自分を抱く士道の手を握るがその手は氷のように冷たかった。そしてその体は寒さのあまり霜がついていて真っ白になっていた。先ほどのハーミットやガンダーの冷却ガスから彼女を守るため自分の体を盾にし、そのあまりの冷たさに気絶したのだ

 

「シドー!おい!シドー!!」

 

十香は涙目になり士道を揺り起こす。そしてそれをモニターで見ていた琴里も、士道の状態が非常に悪いことを瞬時にわかり

 

「作戦は中止よ!すぐに二人を『フラクシナス』へ回収するわ!急いで!!!」

 

そう意思で明示、士道たちはすぐに回収されるのであった。そして残ったのはあたり一面、凍結した町と破壊されたデパートだけになったのだった

 

 

 

 



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雪の天宮市

ハーミットとコンタクトを取った士道だったが、いきなりの十香の乱入と突如現れた凍結怪獣ガンダーが現れ、たちまち現場は大パニックになり、その騒動の中、ハーミットは消え、そして士道はガンダーとハーミットの冷凍ガスから十香を守るため盾となり、体中氷漬けになり意識を失い『フラクシナス』の医務室へと強制送還されたのだった

 

「令音。士道の状態は?」

 

琴里は心配そうな表情で解析官であり一応は看護の担当をしている令音に聞くと

 

「心配ない。命に別状はない、軽い凍傷が残るだけだ。今は自宅の部屋でおとなしくしているよ」

 

「そう・・・・・よかった」

 

令音の言葉に琴里は安心した表情をしほっと息をつく

 

「それで十香のほうは?」

 

「この前のことでいろいろあったからね。部屋に引きこもっているよ・・・・」

 

「やっぱりハーミットや士道のことかしら?」

 

「それもあるかもしれないが、事実は彼女に聞いてみないとわからない。琴里。十香の件は私に任せてはもらえないだろうか?シンは見た通りだし、それに女性同士のほうが何かと話しやすいと思うが?」

 

「なるほどね・・・・じゃあ、お願い」

 

琴里がそう言うと令音は頷き、その場を後にするのであった。すると川越が

 

「それにしてもハーミットとのコンタクト中に現れたこの生物は何でしょうか?」

 

そう言うとモニターには先ほど現れたガンダーが映し出された

 

「観測で調べましたがハーミットの天使でもないようです。それに生体反応がありました」

 

「と、いうことは生き物ということだが・・・・こんな生き物見たことがないですね?まるでアニメに出てくる怪獣のようです・・・司令何か知っていますか?」

 

「知っているわけないじゃない・・・・・・・でも士道なら何か知っていそうね。前のクール星人の時もそうだったし・・・・・それにしても外の気温がマイナスって一体どうなっているのよ。映像を見る限り雪が降っているじゃない?もう春なのよ?」

 

「異常気象って言ってもこれはどういうことなんでしょう?」

 

琴里は考えるそぶりを見せそう言ううのであった。

 

 

 

 

一方、部屋で寝ている士道。部屋の外は雪が降っていた。すると寝ている士道の脳裏に、いきなり炎が現れる。すると・・・・

 

『まさか、この世界で君に会えるとは思わなかったよ。久しぶりだなウルトラセブン』

 

と、炎の中から小さい三角頭の宇宙人が現れる

 

『お前は、ポール星人!?』

 

士道の前に現れたのはかつて過去に地球を二度も氷漬けにして氷河時代を作った張本人であり、そして士道の前世の世界でガンダーを使い第三氷河時代を作り上げようとしたポール星人であった

 

「なぜおまえがこの世界に!?」

 

『我々は年に一度のバケーションの途中で突如、いきなり現れたワームホールに吸い込まれこの世界に来た。まあ、我々の科学力があればすぐに元の宇宙へと戻れるがな。だが、何もしないでここを去るのは何かとつまらない。それにこの世界でも同じ地球があるではないか。そこで我々は本来の目的である第三氷河時代をここで始めるつもりだ』

 

「なに!?」

 

『元居た宇宙の地球では君に邪魔され、そしてそこに住む人間たちの忍耐と使命感に負けた。だがここでは負けない。セブンこれはこの世界の地球人と君に対しての挑戦状だ!ハハハハハ!!ついでに言っておくが我々の連れてきたガンダーは君が戦った個体よりも強力だ。はたして寒さに弱い君に勝てるかな?アハハハハハ!!!!』

 

ポール星人はそう言うと士道の前から姿を消すのであった

 

「・・・・・・はっ!?」

 

士道はベッドから飛び起きる

 

「夢・・・・・・・いや。以前と同じ幻覚で現れたのか」

 

そう言うと士道は先ほどのことを思い出す

 

「そうだ・・・・・私はハーミットと会ってそれでそこへ十香が・・・・・そうだ十香!」

 

そう言い士道はベッドから降りて体が痛いのを我慢しながら十香の部屋に行きノックをする

 

「十香。いるのか?」

 

と、そう言うが返事がない。それ以前に部屋の中から十香の気配がない。もしかして外出中なのか?そう思い士道は今のほうへ行くと置手紙があった。その内容は

 

『シンへ、十香とともに出かけてくる。もし出かけるときは部屋の鍵を閉め忘れずに。令音より』

 

と、書かれていた。どうやら令音さんと一緒にどこかへ出かけたらしい。

 

「そうか・・・・私自身が十香と話がしたかったが・・・・女性と一緒なら話しやすいかもしれないな・・・」

 

士道は令音さんが十香を連れ出した理由に心当たりがあるのかそう呟く。そして冷蔵庫を見ると

 

「うむ・・・・・・少し買いだしたほうがいいかな?」

 

士道はそう呟き外を見ると、雨の代わりに雪が降っていたがそんなに激しくはなかった(ただし気温はマイナスである)

 

「・・・・厚着でいけば大丈夫か」

 

そう言い、士道はコートを着て外へ出かけるのであった

 

 

 

 

 

一方、ファミレスでは

 

「・・・・・さて、十香。単刀直入に言わせてもらおうか?君が先ほどいら立っている理由と原因を教えてくれないか?やはりシンがほかの女の子と会っていたのが許せないのかい?」

 

店内の中、令音が十香にそう質問をする。この店は今外の寒さと雪のせいだろうか客の数は少なかった。すると十香が

 

「な、なぜそこでシドーが出てくるのだ!?」

 

「おや?関係がなかったのか?」

 

十香はそう言うが令ねは首をかしげてそう言うと図星だったのか十香は頭をわしゃわしゃと掻き

 

「わからないのだ・・・・・自分がなぜ、こんな気分になっているのか・・・・・シドーがだれと会おうが私が咎めるはずがない。だが、それを見た瞬間。何というかとてつもなく嫌で寂しい気持ちになったんだ。それでシドーが私よりもあの娘が大事だとあのウサギが言うのを聞いて、もうどうしようもないくらい悲しくて怖くて・・・・・令音。私はどこかおかしいのだろうか?」

 

悲しい表情でそう言う十香。すると令音は砂糖をたっぷり入れたコーヒーを一口飲むと

 

「君はおかしくないよ十香。しかし誤解は解かなければいけない」

 

「誤解?」

 

「ああ。。シンが君よりもあの子を大事に思っている証拠もない。もし、シンが君のことを大事に思っていなかったらあの時、君のためにあの少女を叱ったり、君を文字通り命がけで君を守ったりはしないと思うが?」

 

「っ!?」

 

令音の言葉に十香は目を見開き八とした表情をする。確かに士道が助けてくれなければ十香はハーミットやガンダーの出した凍結ガスによって命を落としていたかもしれない

 

「・・・・・・・」

 

十香は令音の言葉を聞いて深く考えるのであった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、士道はというと買い物を終えて家に帰る途中であった

 

「・・・・気温がどんどん下がっていく・・・・それにこの雪もやはりポール星人の仕業だな。しかしなぜあいつらはこの前みたく一気にこの街を凍らせない・・・何か別の理由があるのか?」

 

小声でそう呟くと先ほどよしのんと少女が出会ったあのデパートを通る。すると半壊したデパートの隅で誰かが何かを探しているのが見えた。士道は不思議に思い近づくと

 

「・・・・・君は!」

 

「っ!?」

 

士道に声をかけられた少雨所は慌てて逃げようとするが

 

「待ってくれ。怖がらなくていい。私は君をいじめたりはしないよ」

 

そう言うと少女は立ち止まると士道はあることに気づく

 

「ん?君?友達のよしのんはどうしたんだ?一緒にいないのか?」

 

そう、いつも手に装着しているはずのウサギのパペットのよしのんが装着されていなかったのだ。それを聞いた少女は目を見開きすかさず士道のもとに駆け寄ると何かを伝えたいらしく士道の服を引っ張る

 

「・・・・もしかしてよしのんを探していたのか?」

 

「・・・・(コクコク)」

 

士道がそう聞くと少女は頷く。そしてその後、少女から詳しい事情を聴いた。どうやらあの騒ぎの後、よしのんを無くしてしまったらしくずっと探しているのだという。そして士道は耳につけているインカムで琴里に連絡する

 

「どうだ?琴里?」

 

『今映像を解析させているわ。彼女の関心を士道に向けさせたいから直接は応援は出せないけど捜索のサポートは最大限にするわ』

 

「わかった・・・・・・・」

 

士道は小声で返事をすると

 

「それじゃあ、一緒に探そうか・・・・えっと・・・?」

 

士道は少女の名前を知らないので少し困っていると少女は

 

「私は・・・・・四糸乃・・・・です」

 

「そうか。四糸乃か・・・・・それでは四糸乃。一緒によしのんを探そう」

 

「あ・・・・・ありがとう・・・・ござい・・・ます」

 

士道の言葉に四糸乃は嬉しそうにそして消えてしまいそうなほど小さな声で士道に礼を言う。そして四糸乃は歩こうとするが

 

「ああ、ちょっと待ってくれ四糸乃。その姿だと寒いだろう?」

 

そう言うと士道はコートを一枚脱ぎ四糸乃にかぶせた

 

「寒い日には温かくしないとな」

 

「で・・・でも・・・・」

 

「私は大丈夫だ。さ、早く君の友達を探しに行こう」

 

そう言い士道と四糸乃はパペットを探しに行く。そして一時間以上が警戒したのだろうか、しばらく残骸の中をかき分けてよしのんを探していると、急に四糸乃の腹が鳴り始め四糸乃は恥ずかしそうにお腹を押さえる

 

「四糸乃。お腹がすいたのか?」

 

士道がそう言うと四糸乃は顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振った。が、そのタイミングで、またも四糸乃のお腹がきゅるるるるるると鳴った。そして四糸乃はフードを引っ張って顔を完全に隠してしまう。それを見た士道は

 

「少し休憩でもしようか。そうだ私の家に来ると良い。何か作るよ」

 

士道はそう言うと四糸乃は、無言のまま、小さく頷き、そして士道とともに士道のうちへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある場所では

 

『おい!いつになったら天宮市を凍らせるんだ!ガンダーだけでは力が足りぬぞ!』

 

『無茶を言うな。我々はもともとバケーションの途中だったんだ。前みたいに準備とかはできていない!あと3時間ほど待て!そうすれば天宮市は氷点下の世界になりそしてそこから地球中に広がり再びこの地球に氷河時代が訪れるだろう!!」

 

とポール星人たちが話していたのであった

 

 



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心優しき精霊、四糸乃

四糸乃を家に連れてきた士道は

 

「まあ、自分の家のように寛いでくれ。今料理を作るからな」

 

そう言い士道はエプロンをつけて料理を始める。そして料理をする中士道は

 

「そう言えば四糸乃。君にとってよしのんは友達だということはわかった。だが君の口からよしのんはどう言う存在かは知らない。四糸乃、君にとってどういう存在なんだ?」

 

問うと、四糸乃は恐る恐る、たどたどしく唇を開いた。

 

「よしのん、は・・・・友達・・・・です。そして・・・・ヒーロー、です」

 

「ヒーロー?」

 

四糸乃はウンウンと頷いた。

 

「よしのんは・・・・私の、理想・・・・憧れの、自分・・・・です。私、みたいに・・・・弱くなくて、私・・・・みたいに、ウジウジしない・・・・強くて、格好いい・・・・」

 

「“理想の自分”・・・・か。私は今の四糸乃も十分魅力的だと思うぞ?」

 

「はう///!?」

 

士道の言葉に四糸乃は顔を赤くし背を丸めフードをたぐって顔を覆い隠した。

 

「よ、四糸乃・・・・? どうした?」

 

「・・・・そ、そんなこと、言われた・・・・初め・・・・った、から・・・・」

 

「そうなのか?」

 

士道が首をかしげるとインカムから

 

『相変わらずの褒め殺しね。計算でやっているって疑っちゃうわ』

 

「別に計算とかはしていないが?」

 

『知っているわ。「司令映像の解析が終わりました」わかった。士道。引き続きお願いね』

 

「ああ。わかった……さて四糸乃。食事ができた。簡単な料理だが美味しいはずだ」

 

そう言い士道はテーブルに親子丼と食べやすいように蓮華を四糸乃の前に置く

 

「はいお待たせ。熱いからフーフー拭いて食べてね」

 

士道がそう言うと四糸乃は恐る恐る親子丼を蓮華で掬うと一口食べる

 

「っ!?」

 

一口食べた瞬間、、四糸乃はカッと目を見開いて、テーブルを可愛らしくペシペシと叩くと目をキラキラ輝かせ、グッ、と士道に親指を立てる。どうやら口に合ったみたいだ。それを見た士道は嬉しそうに笑顔で

 

「そうか。私も作った甲斐があった。どんどん食べてくれ」

 

そう言うと四糸乃は小さな口を目一杯広げ、すぐに平らげてしまった。そして四糸乃の食事が終わるのを見て士道は

 

「なあ・・・・四糸乃。ちょっと訊きたい事があるんだが・・・・幾つか質問してもいいかな?君はASTに襲われても、ほとんど反撃しないらしいじゃないか。何か理由があるのか?」」

 

士道がそう質問をすると四糸乃は少し悲しそうな顔をし

 

「・・・・わ、たしは・・・・いたいのが、きらいです。こわいのも・・・・きらいです。きっと、あの人たちも・・・・痛いのや、怖いのは、いやだと・・・・思います。だから、私、は・・・・」

 

「四糸乃・・・・君は」

 

「でも・・・・私、は・・・・弱くて、怖がり・・・・だから。1人だと・・・・ダメ、です。痛くて・・・・怖くて、どうしようも、なくなると・・・・頭の中が、グチャグチャに・・・・なって・・・・きっと、みんなに・・・・ひどい、ことを、しちゃい、ます・・・だ、から・・・・よしのんは・・・・私の、ヒーロー・・・・なんです。よしのんは・・・・私が、こわく、なっても・・・・大丈夫って、言って・・・・くれます。そした、ら・・・・本当に、大丈夫に・・・・なるんです。だから・・・・だ、から・・・・」

 

悲しそうな表情でそう言う四糸乃。そしてそれを見ていた士道は四糸乃の頭に手をポンっと手を置きなでる

 

「四糸乃・・・・よく頑張ったな」

 

「あ・・・あの・・・」

 

「四糸乃。君は弱くない・・・・君は強いよ」

 

「私が・・・・強いですか?」

 

「ああ、君は人がなかなか持っていない強さを持っている。それは優しさだ」

 

「優しさ・・・・ですか?」

 

「ああ。君は痛みや怖さを知っている。だから自分がされて嫌なことを相手にすることはできない。それは優しい心を持つ証拠だ。無くしてはならない大切な心だ。君は・・・四糸乃はその大切な心を持っている。だから君は弱くないよ」

 

士道はそう言い彼女の頭をなでる。士道にはわかっていた彼女の強さを。そして誰よりも優しい心を持っていることを。精霊も人も宇宙人も関係ない。そんな子が悲しい思いをし続けることに士道は放っておくことができなかった。

 

「だから、四糸乃。私は君に約束する。必ず君の友達であるよしのんを見つけ。そして君たち二人がもうこれから怖い思いをしないように私が君たちの盾になろう」

 

士道の言葉に四糸乃は驚き目を見開きしばらく黙っていたが数十秒の後、小さく唇を開いた。

 

「・・・・あ、りがとう、ございま・・・・す」

 

「ああ。どういたしまして」

 

四糸乃は嬉しそうにそう言うと士道は頷く。そして士道は

 

「さて・・・・それじゃあ探しに行こうか」

 

士道がそう言うと四糸乃は頷くと・・・・

 

「シドー!さっきはすまなかった!!!」

 

と、そこへ十香が入ってきたのだが・・・・

 

「シ、シドー・・・・・その子は」

 

銃かは士道が四糸乃の頭をなでている姿を見て固まってしまう。そして四糸乃は人見知りなのかはたまた他人に頭をなでられる姿を見られて恥ずかしかったのか、瞬間移動で消えてしまう。そして今にいるのは十香と士道だけとなった 

 

「十香・・・・・」

 

「シドー・・・・やはりお前は私よりも・・・・・・・っ!!」

 

「待ってくれ十香!!」

 

十香は涙目になり走り去り自分の部屋に閉じこもってしまう。

 

「十香・・・・」

 

士道は十香のもとに行こうとすると、突然携帯が鳴る

 

「ん?誰からだ?」

 

そう言い携帯を見るとそれは知らない番号であった。士道は電話に出ると

 

『いや~やっと出たねセブン・・・・いや士道君』

 

「君はメト・・・・いや夢露」

 

電話の相手はメトロン星人こと夢露であった

 

「どうして私の電話番号を知っている?」

 

『あははは!私に知らないことはないさ・・・・・と、言いたいことろだが事実のところ君の電話番号を知っている後輩に教えてもらった』

 

「なるほど・・・・・で、何の用だ?」

 

『いや。君もこの状況を見て分かると思うけどポール星人が来ているみたいだね~大丈夫?君たちM78星雲人は寒さに弱いけど?』

 

「大丈夫だ。いつまでも寒さに弱いという弱点を克服するため日々鍛錬している・・・・・」

 

『ソッカ・・・・・それで士道。君。何か悩んでないかい?よければ相談に乗るよ?』

 

「・・・・・・・実はだな」

 

そう言い士道は夢露に今までのことを話すと夢露は

 

『う~ん。それは確かに難しい問題だね・・・・・人間・・・・いやこの場合精霊か。まあ生きる者にとって感情は様々だ。今は無理に解決しないといいと私は思うぞ。こういう時はゆっくり時間をかけて誤解を解けばいい。はじめは伝わらないと思うけどいつかはその十香っていう子もわかってくれると思うぞ?』

 

「そうか・・・・確かにそうかもしれないな。すまない相談に乗ってくれて」

 

『いいって、いいって。君と私は前世の仲ではないか。また何かあったらいつでも相談してくれ』

 

「ありがとう」

 

そう言うと電話が切れる。するとインカムから

 

『士道。士道、聞こえる?』

 

琴里の声が聞こえる

 

「ああ、聞こえている」

 

『ちょっと大丈夫?十香が出て行ったあと変な妨害電波が出ていたけど?』

 

「(妨害電波?きっとメトロンがやったんだな?)いや。大丈夫だ何も問題はない・・・・・ところでよしのんは見つかったのか?」

 

『ああ、そうだったわね。ええ見つかったわ。けど・・・・』

 

「けど?」

 

『何というか・・・・とても厄介な場所にあるわ・・・・・』

 

気まずそうに言う琴里に士道は嫌な予感を感じるのであった。

 

 

 

 

 

一方、天宮市AST基地では

 

「・・・・これで良し!梓。看板の設置終わったよ」

 

「ありがとうあゆみ・・・・・さてこれでできたね。ASTの新設部署が」

 

と、ASTの隊員である澤梓と山郷あゆみは看板のかかった部屋を見てそう言う。そしてその看板にはAATと書かれていた。その意味は『Anti Alien、Team』つまり宇宙人攻撃隊と書かれていた

 

「まさか、上が対宇宙人用の部署を作ってくれるなんてね・・・・梓が望んでいた精霊を保護する部署じゃないのが残念だけど」

 

「そうだね・・・できればそっちのほうがいいけど、上の人が『この前の宇宙人みたいな事件に対応できるように、またASTの装備で宇宙人に対抗できるか試験するため』という理由で実験的に設立した部隊だからね・・・・責任重大ね」

 

「ま、でも宇宙人が現れなければその部隊の意味もないけどね。それがなければ私たちはいつもと同じように精霊退治しなきゃいけないけどね~それに隊員っといっても・・・・」

 

「私とあゆみの二人だけだしね・・・・・・ほかの子を勧誘しても無視されるし、鳶一一曹は精霊しか興味示さないし・・・・」

 

「仕方ないよ。鳶一さんはASTのエースだしね・・・・・・あ!そうだ澤。あの子を誘ってみたら?」

 

「あの子?」

 

「ほら、あのクール星人の時に私たちに協力してくれたあの五河士道くん!彼って宇宙人に詳しそうだったじゃない。きっといい戦力になるよ」

 

「ああ、あの子ね・・・・あの後、急にいなくなっちゃったけど・・・・・でも一般人をASTに入れても大丈夫かな?」

 

「まあ、上の人は『表向きには陸自の臨時隊員にしてもいい』って言っているし。ほら鳶一さんの例もあるし」

 

「ああ・・・・なるほどね。でも彼てどこにいるんだろう?」

 

そう二人が話していると

 

「なかなか、かっこいいじゃない二人とも」

 

「あ、日下部隊長!?」

 

そこへ日下部がやってくると日下部は

 

「ところでさっそくで悪いんだけど二人には私たちと一緒に出動してもらうわ」

 

「え!?また精霊ですか?確かあの気弱なハーミットですよね?私たちみたいな後方支援も出す必要が?」

 

「普通なら、実動隊だけでこ事足りるけど、今回はそうはいかなくなったのよ」

 

「どういうことですか?」

 

「澤一士・・・・いいえ三曹。今回あなたたちに出てもらうのはこれを迎撃してほしいのよ」

 

そう言い日下部は手に持っていたタブレットを動かすとそこにはデパートに現れたガンダーの姿が写っていた。それを見た山郷が

 

「な、なんですかこのカタツムリというか…蝙蝠みたいな生き物?」

 

「わからないわ。ただこれはハーミットの天使とも増しては精霊とも違う生物。そして今この天宮市の異常気象を引き起こしている原因かもしれない生物よ」

 

「こんな生物・・・・・地球上では見たことがありません・・・・・はっ!もしかして宇宙人の!?」

 

「その可能性はあるわ。だからこそ、対宇宙人チームのあなたたちにも出動してもらいたのよ。お願いできる?」

 

「わかりましたAATの澤梓三曹と山郷あゆみ三曹。ASTとともにその生物の迎撃をして見せます!」

 

と、敬礼をしてそう言うのであった。そして天宮市の外ではどんどんと気温が下がり始めそして雪も激しく降り始めるのであった・・・・・・

 

 

 

 

 




早く士道をセブンに変身させたい・・・・・


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それぞれの正義

「十香?」

 

士道は十香の部屋をノックするが部屋からドンと響き

 

「私にかまうな!!もう私のことなんかほっといてくれ!!」

 

と、怒鳴り声が聞こえそれを聞いた士道は今は話すときじゃないと悟り、そしてドアの奥から彼女のすすり泣く声が聞こえた

 

「・・・・・十香。私はこれから少し出かける。ただこれだけはわかってくれ。私は君のことを大切な家族だと思っている。それだけはわかってくれ・・・・では行ってくる」

 

そう言うと士道は十香の部屋を去るのであった。そして部屋の中にいる十香は前に士道とともにUFOキャッチャーで取ったきな粉パンのクッションを抱き涙を少しだし

 

「(まただ・・・・またあの感情だ・・・・私はどうすればいいんだ・・・・)」

 

と複雑な思いを抱きながらそう思うのであった

 

 

 

 

 

 

一方、士道はあるマンションの前にいた

 

「うう・・・・先ほどよりも寒くなっているな」

 

『それは今の気温はマイナス70度を超えているわ。あんた何か知っている?』

 

「まあ、多少はな・・・・・それでここによしのんがいるのか?」

 

『間違いないわ。解析映像で確かめたわ』

 

琴里の言葉に士道はマンションの外にあるインターホンを鳴らすと

 

「・・・・誰?」

 

と、折紙の声が聞こえる。そうここは折紙の住むマンションだった

 

「私だ。五河士道・・・・・」

 

と、名乗る途中で自動ドアが開く。それを見た士道は少しため息をつき中へ入る。そしてマンションの中をあちらこちらを見る

 

「有無・・・・私のいた時代に比べてハイテクな機械や防犯グッツが出てきている。そして何よりテレビゲームや携帯・・・・時代は変わったな・・・・・・・なに年寄り臭いことを言っているんだ私は・・・・・はぁ」

 

と軽くため息をつくとエレベーターに乗る。そしてインカムで

 

「それで琴里。本当に彼女がよしのんを?」

 

『ええ、映像を見た後、あの怪物が姿を消した後、瓦礫に落ちていたのを鳶一折紙が回収したのを確認しているわ。だからあなたは彼女の部屋に行ってよしのんを回収しなさい』

 

「泥棒をするようで、気が進まない・・・・・まだガンダーが持ち去っていたほうがましだった。そうすればアイスラッガーで・・・・」

 

『何をわけのわからないことを言っているの士道?それにガンダー?やっぱりあなたあの怪物・・・・の・・・こと・・・・』

 

と、急にインカムからノイズ音が鳴る

 

「おい、琴里。どうした?琴里!?……妨害電波か?」

 

そう言い士道はインカムのスイッチを切ると折紙の部屋にたどり着く。士道は部屋の前に立ちインターホンを鳴らす。するとボタンを押したのと同時にドアが開く。そして玄関に現れたのはメイド服姿の折紙が立っていた

 

「と‥‥鳶一?」

 

「なに?」

 

少し動揺する士道だが折紙は無表情で答える。そして士道は折紙の部屋へと入るのであった。そして部屋へとまぬかれた士道は・・・・

 

「すまないな。鳶一。急に君の家を訪ねたいて言って」

 

「問題ない・・・・」

 

無表情で言う折紙。そして急須からお茶を入れ

 

「どうぞ」

 

「ああ・・・・ありがとう・・・・・っ!?」

 

そう言い士道に渡すのだが、そのお茶は、紫色でゴボゴボトと沸騰していたまるで魔女の薬みたいな感じであった。それを見た士道は

 

「(これは・・・・・お茶・・・なのか?バードンやガブラから採った毒とかじゃないよな!?)」

 

顔を引きつらせそう思う士道。彼の第6感でこのお茶は飲むのは危険だと警告が頭の中で響いていた

 

「どうしたの?」

 

「ど、どうしたって・・・・これ、一体何だ?!」

 

「お茶。外国の」

 

「いや・・・・外国のお茶にしては・・・・・少しおかしいと思うのだが」

 

「どうぞ」

 

「いや、どうぞじゃなくて・・・・」

 

「どうぞ」

 

「あの、だな」

 

「どうぞ」

 

「・・・・・・・・いただきます(こういう時になぜセブン上司が来ないんだ・・・・はぁ。飲むしかないな)」

 

セブン・・・・・士道は覚悟を決めてそのお茶を飲む。その瞬間士道はカっうと目を見開き

 

「ぐはぁ!!!!ふ、古傷!古傷に響く!!!」

 

あまりのお茶の味に体中に激痛が走り(特に前世でブラックギラスに折られた足に)士道は倒れるともがき始める

 

「(ウ・・・・・な、なんだこの味は!?もし初代マンたちが飲んでいたら間違いなく三分もたたずにカラータイマーの光が消えるぞ!?」

 

士道が苦しんでいると、その隙をついて折紙が彼の頭の横に手をつき、腹の辺りに跨がり、マウントポジションを取るような格好で覆い被さる。

 

「と、鳶一?」

 

「・・・・だめ?」

 

「それはさすがにダメだ」

 

そう言うと折紙は

 

「ならば交換条件。私がそこを退く代わりに士道は私の条件を無条件で飲むこと」

 

「・・・・・それでその条件とは?」

 

「貴方は、夜刀神十香の事を『十香』と呼ぶ。けど私には鳶一と呼ぶ。これは非常に不平等。だから私のことを鳶一ではなく折紙と呼んでほしい・・・・・だめ?」

 

かわいらしく首をかしげる折紙に士道は

 

「いや。そのくらいなら構わないよ・・・・・・折紙」

 

士道が折紙の名を呼ぶと、折紙は無言で士道の腹から腰を浮かせ、その場に立ち上がり、そしてその場で無表情のまま、ドアのほうへと行く

 

「どこに行くんだ折紙?」

 

「・・・・・・・シャワー」

 

そう言うと折紙は部屋から出ていく

 

「・・・・なんでまた急に・・・・・とにかく今はよしのんを探さねば」

 

そう言い士道は折紙がシャワーを浴びている隙に士道はリビングの棚の中身を探るが、よしのんは見つからず

 

「・・・・もしかしたら彼女の部屋に」

 

パペットならきっと自室に飾っていると推理した士道は彼女の部屋へと行く、普段なら不謹慎だと思うが今は状況が状況なので心の中で折紙に謝り士道は中へ入ると、案の定彼女の寝室のベッドの棚の上にたくさんの人形が置かれておりそしてその人形の一つに眼帯をしたウサギのパペット、よしのんがあった

 

「よし、見つけた」

 

そう言い士道はよしのんを回収すると先ほどの居間へと戻り正座して待つ

 

「それにしても…なぜか体が熱いな・・・・もしかして外の寒さのせいで体が熱を上げて温めようとしているのか?」

 

地震の体に不思議に思っているとそこへ折紙がシャワーを終えて戻ってきた。しかもタオル一枚の姿で・・・・

 

「お、折紙!?その恰好は!」

 

「なに?」

 

「何ではない!この寒い時期にその恰好では風邪をひく」

 

「大丈夫。暖房を利かせているから」

 

「そ、そうか・・・・・」

 

と、士道は苦笑すると折紙はじーと士道を見る。しかもゼロ距離まで近づいて

 

「あ…あの・・・折紙。近いのだが?」

 

「士道。二つ質問がある・・・・・・まず一つ。あなたは何者?」

 

「え?」

 

突然の問いに士道は戸惑う。

 

「私は数日前あの展望台での任務遂行中、誤ってあなたを・・・・・なのにあなたは無事だった。あなたは何者?それだけじゃない。あなたは行方不明事件の時、私の同僚である澤たちとともに事件の調査に協力してその仕業を宇宙人の仕業だと言っていた。なぜ宇宙人のことを知っているの?」

 

「・・・・・・・それは」

 

士道は言うべきか悩んだ。先の質問はなかなか答えられないものだ。すると折紙は一枚の写真を出し

 

「離せないなら、質問を変える・・・・・士道。あなたが宇宙人のことを詳しいのなら、この巨人のことは知っている?」

 

そう言うと士道はその写真を見るその写真はウルトラセブンの写真であった

 

「・・・・・セブン」

 

「セブン?」

 

「彼の名だウルトラセブン。それがこの巨人の名で地球の平和のために戦ってくれる遠い星からやってきた宇宙人だ」

 

「・・・・・ウルトラ・・・・・セブン」

 

折紙は写真に写るセブンの写真を見てそう復唱する。そして士道は

 

「折紙・・・・・私からも質問いいか?」

 

「構わない」

 

「君は精霊と話したことがあるか?」

 

「必要のないこと」

 

「私にはある。私は十香だけではない。四糸乃・・・・君たちがハーミットっと呼んでいる精霊とも話した」

 

「非常に危険。やめるべき」

 

「折紙・・・・彼女たちは危険じゃない。一言で言い、一度でもいいから彼女たち精霊と話し合ってみてくれ。確かに君の言う通り悪い精霊もいるだろう。しかしだ話し合いもせずに攻撃をするのはほんの少しだけでいい待ってくれ。それに四糸乃や十香たちは悪い心を持っていない。とても心優しい子たちなんだ。人間と精霊は必ず互いに共存できると私は信じているんだ」

 

「それは難しい。精霊は精霊・・・・」

 

「折紙、君が精霊を恨み疑う気持ちはわからなくはない。だが大切なのはまず・・・・相手を信じることだ。そうでなければ人間は永遠に平和を掴むことなんてできっこないんだ!だから私は四糸乃を助けたい。十香のことを人間に認めてもらいたい。それに折紙君もだ。君は十香と同じくらいに優しい心を持っている。そんな君にあの子たちを殺してほしくはないんだ。私が言えたことではないが、亡き君の両親も君が精霊に復讐する事よりも普通の少女として幸せに暮らしていることを望んでいるんじゃないか?」

 

「・・・・・・・」

 

士道の言葉に折紙は少し驚いたような顔をする。彼女はしばらく黙る。だが、彼女の出た言葉は・・・・

 

「・・・・・精霊を退治する。それは仕方のないこと・・・・・」

 

「折紙・・・・」

 

「確かに仮にあなたの言う通り、精霊にもいい人がいるかもしれない。だが彼女らが霊である以上、空間震発生の危険性は、必ず残る。彼女達の為に、何人もの、何十人もの人間の命を危険に晒すことは、私達にはできない」

 

確かに折紙の言うことも一理ある。仮に精霊たちの中に十香たちのように優しい心を持った精霊もいるはず。だが、彼女たちがこの世界に転移するときに発生する空間振の威力は町を破壊するほどのもの。その空間振から市民を守るために彼女らは戦っている。どちらが正義でどちらが悪とは言えない状況。つまり士道と折紙の言葉にはどちらとも正しいのだ。どちらもそれぞれの正義を持っているのだ。

それを聞いた士道は

 

「では折紙。一つ確認させてくれ。もし十香みたいに、精霊の力が確認できなくなったら・・・・もうその精霊に、攻撃することはないんだな?」

 

真剣な表情でそう訊くと、折紙は

 

「私としては本意ではない。反応が消えてからと言って、精霊を放置するのは危険過ぎる・・・・・・・しかし。上層部の方針として、精霊の反応が確認できない限り、それは人間と認めざるを得ない。私の独断で攻撃をすることはできない」

 

「そうか・・・・それだけわかれば十分だ」

 

士道は頷くと外から空間震警報が鳴り響いた。

 

「け、警報・・・・空間振か?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

折紙はその警報を聞くとその場を立ち上がった。

 

「・・・・・・出動。貴方は早くシェルターへ」

 

それだけ言って、折紙は廊下を出ていった。残された士道は、折紙が家を出ていった事を確認すると。士道はパペットのよしのんを手に

 

「・・・・・さて、私も行かなければな。約束を果たすために・・・・・」

 

そう言い士道はよしのんを懐のポケットに入れ、折紙の部屋を出るのであった。そしてその時の天宮市の天気は猛吹雪でであった

 

 



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氷河時代再び

『目標ハーミット確認!総員攻撃を開始せよ!!』

 

猛吹雪の中、町の中で日下部隊長率いるASTの隊員たちは、空間振とともに現れたハーミット言四糸乃を攻撃していた。しかし四志乃は反撃せずただひたすら逃げ回っていたが隊員たちは容赦なく彼女に銃弾を浴びせる。そして四糸乃は小さな小道に入り銃弾をよけようとするが・・・・・

 

「覚悟しなさい!ハーミット!!」

 

「っ!?」

 

出口の前で日下部がガトリング砲を構えて待ち構えていた。そして日下部は四糸乃に向けて発砲し、四糸乃はギリギリのところで銃弾を躱すがその瞬間、バランスを崩し倒れてしまう

 

「今よ!澤!とどめを刺して!!」

 

日下部の言葉に澤は対物ライフルを構え四糸乃の頭に照準を合わせる。しかし澤がスコープレンズで四糸乃の顔を見た時彼女の動きがわずかに止まった。その時彼女は見たのだ。四糸乃が泣いている姿を

 

「っ(ダメ、やっぱり撃てない)!?」

 

「澤、どうしたの!?あなたが撃てないなら私がやるわ!!」

 

同僚の一人が撃たない澤をどかして撃とうとすると、急に強風が起きる

 

「「うわっ!!!!???」」」

 

あまりの激しい強風に隊員たちはバランスを崩す。すると隊員たちの体か白く凍り始める

 

「ちょっと。どんだけ寒いのよ全く!」

 

日下部が不満そうにそう言うと隊員の一人が

 

「た、隊長!?今の気温零下140度ですよ!?」」

 

「なんですって!?北海道よりも寒いじゃないの!」

 

「それどころか南極の寒さを超えています!リアナイザーがなければ私たちは今頃凍死していますよ!?」

 

「これもハーミットの仕業なの!?・・・・・それより澤。なんであの時撃たなかったの!!」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「まあ、いいわ。詳しい話は基地で聞くから。今は任務に集中しなさい!撃つのが嫌ならあなたは後ろに下がっていなさい!」

 

そう言うと日下部はインカムで

 

「総員、ハーミットの動きがまだ止まっているわ。総員、集中攻撃!早く倒して基地で温かいコーヒーを飲むわよ!」

 

『了解!!』

 

日下部の言葉に部下がそう返事をする中、澤は

 

『本当にこれで‥…いいのだろうか・・・・』

 

と複雑な疑問がわいてくるのであった。そんな中、日下部や折紙たちはいっせいに四糸乃に向けて発砲する。そして放たれた無数の銃弾が彼女に向けて飛んでくる。そして四糸乃は向かってくる弾丸に怯える。今いる場所は自分だけ、自分を励まし勇気をくれ助けてくれる親友は今はここにはいない。不安が彼女を襲いそして、今飛んでくる無数の弾丸が彼女の不安と恐怖を限界にまで達したのであった

 

氷結傀儡(ザドキエル)!!!」

 

四糸乃が手のひらを地面に叩きつけたその時、地面から白い巨大なウサギが現界した。しかも今度現れたのはデパートの時よりでかい40メートル級の巨大なウサギであった

 

「こ、ここで天使を!?」

 

日下部が驚く中、そのウサギから放たれる冷気で先ほどので大寒波で凍り漬けになっていた建物がさらに凍結し、そして崩壊する。そして天使氷結傀儡はASTの隊員に向け冷凍光線を発射する。ASTの隊員はあまりの寒さに動きが鈍り、冷凍光線を防ごうとテリトリーの出力を上げることで防御するが、空中に大きな雪玉を作り地上へ落下していった

 

「テリトリーごと!?」

 

「・・・・・・くっ!」

 

日下部隊長の言葉に折紙は苦虫を噛み潰したような顔をするのであった。そして四糸乃は怯えながら逃げていると

 

「四糸乃ー!!!」

 

「はっ!?」

 

急に自分を呼ぶ声が聞こえ、あたりを見渡すと建物の屋上に厚いコートを着た士道がいた

 

「し・・・・・しど・・・う・・・さん?」

 

四糸乃は士道の顔を見てそう言うと、屋上にいる士道はコートのポケットをさぐり

 

「四糸乃!君の約束を果たし・・・・・」

 

そう言った瞬間、突如地面が揺れ始め、そして四糸乃の巨大ウサギの足元の地面が割れて巨大生物が飛び出し四糸乃ごと大ウサギを突き飛ばし咆哮する

 

「あれはガンダー!!」

 

士道は突如現れたガンダーに驚く。それはASTの隊員たちも同じであった。

 

「例の巨大生物出現!私と折紙と菊池はハーミットを!澤、山郷達残り4名はあの生物を攻撃!」

 

「了解!」

 

そしてガンダーは四糸乃の乗る大ウサギに向かって体当たりして攻撃をする。その衝撃に四糸乃はあまりの怖さに泣き出し、そして左右からASTの隊員たちが一人と一匹に対し攻撃をする。それを見た士道は四糸乃を助けるため胸ポケットからウルトラアイを出そうとしたが・・・・・

 

「そこの少年!ここは危険です!すぐに避難して!」

 

と、そこへASTの隊員がやってきてそう言うと・・・・その隊員は士道の顔を見た途端

 

「っ!?あなたは・・・・・・士道君!?」

 

「あなたは・・・・・あの時の」

 

士道に声をかけたのは澤だった。そして澤は士道の前に降り立ち

 

「士道君。あなたにはいろいろ聞きたいことがあるけど。まずは避難してここは危険よ。私が安全な場所まで連れて行くから」

 

「その前にあの怪獣に襲われている少女を助けるのが先決です。たとえ彼女が精霊であってもです!」

 

「あなた・・・なんで精霊のことを・・・・・士道君。君が言いたいことはわかるでも、それはできないわあの怪物と一緒に彼女も退治しないと・・・・・・」

 

「あなたは彼女が泣いている姿が見えなかったんですか!たとえ精霊でも何でも泣いている人を私は見て見ぬふりをすることは私にはできない。確かに任務を遂行するためにはたとえつらい命令でも実行しなければならない。しかしだ。たとえ命令であっても一度立ち止まり、振り返る勇気も必要なんです!」

 

「・・・・・・」

 

士道の言葉に澤は黙ってしまう。そして彼女は士道の目に宿る強い信念を感じた。そして一方、ガンダーは反撃しないことをいいことに四糸乃の大ウサギを何度も踏みつけ面白そうに吠えていた

 

「よしのん・・・・よしのん・・・・・」

 

泣きながら親友を呼ぶ四糸乃はついに氷結傀儡(ザドキエル)の最後の手段を実行する。その瞬間、大ウサギから強烈な猛吹雪と強風が吹き荒れガンダーは弾き飛ばされ、そしてすぐそばにいた士道たちもその猛吹雪に巻き込まれた

 

「うわっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

そして二人のいた建物が崩れ、澤はリアナイザーで何とか空中に飛べたが士道はそのまま落ちてしまう。だが、士道が瓦礫に埋もれることはなかった。なぜなら・・・・・・

 

「シドー。大丈夫か?」

 

「と、十香?」

 

そこに、いつのまに現れたのか十香が士道を地面にたたきつけられる寸前でキャッチしたのだ。しかも彼女の姿は厚いコートの上に来禅高校の制服に、まばらな精霊プリンセスの霊装を纏った姿だった。そして十香は少し離れた建物の屋上に士道を下す

 

「十香・・・・助けてくれたのか?」

 

「そ、その・・・・・シドーのことが心配で・・・・それに悪かった…いろいろとよくわからにことでイラついてしまったり・・・・だからずっと謝りたかったのだ」

 

申し訳なさそうに言う十香に士道は首を横に振り

 

「いいや。私のほうが悪かった。ちゃんと説明もしないで・・・・・・十香。頼みがある。彼女・・・・四糸乃を助けるのに力を貸してくれ」

 

と、そう言うと十香は悲しい表情をし

 

「シドーはやはり私よりもあの娘のことが大事・・・・・・」

 

「違う!」

 

悲しく言う十香に士道は強く否定する

 

「四糸乃は・・・・十香。君と同じ精霊なんだ。君にとって妹のような子なんだ。私は彼女を救いたい。だが私の力で気では救うことができない。だから十香力を貸してくれ!」

 

そう言い頭を下げる士道。それを見た十香は少し微笑み

 

「(・・・・・そうか。そうだった・・・・なぜ私は忘れていったんだろう・・・・私を救ってくれたのはこういう男だったのに・・・・)」

 

と、そう言い士道の前を横切ると・・・・・

 

「・・・・鏖殺公!!」

 

とタンっと足踏みするとそこから十香の天使、大剣鏖殺公が現れる。そして十香は鏖殺公を倒し、まっ平にさせると・・・・・

 

「士道、乗れ時間がない」

 

「…ああ。わかった」

 

そう言い士道は十香とともに鏖殺公に乗るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ASTたちは四糸乃が作り出した猛吹雪のスノードームの前に立ち往生していた。そしてその現状を見た日下部隊長は

 

「厄介なことになったわ・・・・あのドーム。リアライザで出力した魔力を感知して防御力を高めているわ」

 

「しかし隊長。テリトリーを解除して突っ込めば氷の弾丸を全身に喰らいます………このCRユニットのワイヤリングスーツの防弾性だと氷の弾丸を防ぎきる事は不可能です」

 

と、話し合っていると、折紙が何かを思いつき、テリトリーを強化して建物の一角を破壊し、その破壊した部分をテリトリーで持ち上げる。

 

「ちょ、ちょっと折紙!?あなた一体何をするつもりなの!!」

 

「………物量で押し潰せばいいまでのこと。まずはこれで小手調べ」

 

折紙は飛び上がり、破壊した建物の一部を上空から吹雪のドームへと投げつけたが何者かの斬撃によって全て切り刻まれ、地面へと落ちた。折紙は自分の攻撃が塞がれたことを不思議に思い、辺りを見渡すと・・・・・

 

「ふう・・・・防いだか」

 

「・・・・・・夜刀神十香!?」

 

と建物の屋上に剣を持った十香がいた。それを見た折紙は腕のアーマーからレザーブレイドを出し彼女に向かい、そして二人は激しい斬り合いをする。

 

「………貴様らに士道の邪魔はさせんぞ!」

 

「っ!?」

 

十香の言葉に折紙は一瞬、戸惑う。そしてそれを見た日下部達は

 

「総員。目標をプリンセスに変更!ただし澤と山郷と丸山はさっきの巨大生物に警戒するためこの地域に待機!」

 

「了解!」

 

そう言い日下部は澤を残し十香に向かう。それを見た十香は折紙たちから逃げるように空を飛んだ。そして彼女はわずかながらに微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

一方、士道は

 

「よし・・・・・行くか」

 

そう言い、一歩踏み出そうとしたとき、

 

グオオォーーー!

 

先ほど猛吹雪に吹き飛ばされたガンダーが現れ士道の行く手を邪魔しようとする。

 

「くっ・・・・これでは先に行けない」

 

そう言うと士道は路地裏のガンダーやそしてモニターで見ている琴里たちの死角になるところに潜むと懐のポケットから小さな箱を取り出しそこから赤いカプセルを出すと

 

「頼むぞ、アギラ!」

 

そう言い士道はカプセルを投げるとそこから恐竜みたいな一本角とエリマキが特徴のカプセル怪獣アギラが現れる。そしてアギラは気高い声を上げて素早い動きでガンダーに体当たりする。そしてそのままガンダーと交戦するのであった

 

「アギラ。少しの間、頼むぞ!」

 

士道はそう小声でそう言うと

 

「・・・・よし、行くぞ」

 

そう言いスノードームへ入りろうとしたときインカムから

 

『士道、待ちなさい!生身で結界に入るつもり? 回復力頼りで? 無謀過ぎるわ、やめなさい』

 

琴里がそう言うと士道は

 

「琴里。令音さんから聞いたが、君は私が銃撃されたとき動揺しなかったと聞いたが?それに今ガンダーをASTや別の怪獣が気をそらしてくれている。今ここを逃せばもうチャンスはない」

 

『あの時とは状況が違うわ。一発の弾丸じゃない。弾銃に撃たれながら進むようなものよ。霊力を感知されたら凍らされるわ。受けた傷を治すこともできないのよ!」

 

「・・・・・・・」

 

士道は琴里の言葉に何かを感じそして・・・・

 

「霊力・・・・・なるほど合点がいった。私のあの時傷が治った力は精霊のものなのか琴里?」

 

『っく・・・・・』

 

「とにかく、私は行くよ。四糸乃との約束を守らなきゃいけない・・・・あの子を守らなきゃいけないんだ」

 

そう言うと士道はそのまま四糸乃のいる結界へと進む

 

『士道止まりなさい!! 士道!!止まりなさい!・・・・・・止まってお兄ちゃんっ!!!!』

 

琴里が必死にそう叫ぶ中、士道は猛吹雪の中を進むのであった

 




今回のカプセル怪獣はミクラスではなくアギラを出しました。アギラの鳴き声は2パターンあるのですがこのアギラの鳴き声は初登場の鳴き声にしています


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氷点下140℃の戦い

「何なの・・・・あれは!!」

 

「わからない!とにかく撃ち続け!」

 

「くっそ!あいつ冷凍ガスなんか吐いてやがる!」

 

「もしかして、この大寒波の原因はあいつか!?」

 

吹雪が吹き荒れる天宮市の街の中、澤たちは今の現状を見て驚いていた。ハーミットが結界を作った直後に現れた謎の巨大生物。あの姿はよくテレビアニメに出てくる怪獣のようなものだった。澤たちはもともとのAATの任務である巨大生物に向けて小型ロケットや隊精霊用弾を放つが、あの生物には聞いてはいるみたいだが致命傷となるようなダメージを与えることはできなかった。そしてこの大寒波のせいなのかASTの同僚やそして澤と同じAATの山郷も体を震わせながらガンダーを攻撃していた。

 

「(まずいわ・・・・いくらリアナイザーを装備しているとはいえ。今の気温は零下140℃・・・・・これ以上戦えばみんな凍死しちゃう)」

 

澤は焦りながらガンダーに対物ライフルを撃つ。その瞬間ガンダーのすぐそばにあった建物の陰から突如、光の渦が発生した。そして光が収まるとそこから別の巨大生物アギラが現れた。それを見た隊員たちは

 

「今度は何!?」

 

「ちょっとあれって恐竜!?」

 

「なんかちょっとかわいい」

 

そう驚く中、アギラは素早い動きでガンダーに体当たりをし、ガンダーは倒れる。しかしガンダーはすぐに立ちあがりアギラに向かって凍結ガスを吐くとアギラはあまりの寒さに驚き、あわててバックする。そして何か悩むように頭を抱えるが、すぐに咆哮を上げガンダーに向かうのであった。そしてその姿は空中艦フラクシナクスでも目撃されていた

 

「何よあれ・・・・・」

 

「まるで、特撮映画の怪獣映画を見ているようだ・・・・そう言えば子供時はよく映画館で見たな・・・・」

 

「ああ・・・・あの時は胸が躍ったよしかもカラー!!」

 

「川越さん。幹根さん。今はそう言う場合じゃないでしょ?」

 

吹雪の中、二体の怪獣が戦っている姿を見てフラクシナクスの職員たち、すると琴里が

 

「今は巨大生物のことなんてどうでもいいわ!今は士道よ!士道はどうなっているの!!」

 

と、いつもとは違い、少し取り乱した表情でそう言うと神無月が

 

「あのスノードームに入って以来、映像はおろか通信もできません司令」

 

「くっ・・・!!」

 

神無月の言葉に琴里は悔しそうな表情をする。すると令音がポンッとと肩に手を置き

 

「落ち着きため琴里。今はシンを信じようではないか」

 

「けど!」

 

「心配ない・・・・・もしもの時はきっと来てくれる」

 

「・・・・・来てくれるって・・・なにがよ?」

 

怪訝そうな顔でそう言う琴里に令音は無表情で

 

「正義のヒーローさ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スノードームの中心部

 

「よしのん・・・・・・よしのん・・・・・・」

 

暗い空間の中、四糸乃は巨大ウサギに乗ってそして今はいない親友の名を泣きながら読んでいた・・・・すると・・・・

 

「はあ~い!」

 

「え?」

 

突如、誰かが返事をする。四糸乃はその声のするほうへ顔を向けると、暗い空間の中いないはずのよしのんの姿があった

 

「よ・・・よしのん」

 

だがよしのんは一人で来たわけではない。よしのんはある少年の腕にはまっていた。それは体中ぼろぼろになって歩いてきた士道であった。そして士道はバタリと倒れると

四糸乃は士道の元へと走り寄る。そして体中の傷を見ると、突然彼の傷ついた部分から淡い炎が出て、彼の傷を癒す

 

「し、士道さん・・・・・」

 

「よかった・・・・・どうやら間に合ったみたいだな」

 

士道は体を少し乾いた笑みをすると

 

「あはは・・・・やはり鍛えているとはいえやはりこの寒さは堪えるな・・・・」

 

そう言うと士道は四糸乃によしのんを渡す

 

「ほら、四糸乃。約束通り、君の親友を見つけたよ・・・・」

 

そういうと、四糸乃は泣き始める

 

「大丈夫か四糸乃。もしかしてどこか怪我をしたのか?」

 

士道は心配してそう言うと四糸乃は首を横に振り

 

「違うんです・・・・・嬉しいんです・・・・ありがとう…ございます」

 

四糸乃は涙を流しながら士道にお礼を言うと士道は少し笑うと

 

「・・・・・さて、四糸乃。今度は君を助ける番だ」

 

「・・・・え?」

 

四糸乃は士道の言葉に首をかしげると士道は少し顔を赤くし気まずそうに顔を背け

 

「その前に一つやらなければならないことがあるのだが・・・・・・・四糸乃。君はキスというのを知っているか?」

 

そう言うと、四糸乃は頬を赤く染め頷く。そして士道は

 

「やましい気持ちはない。ただ君を助けるためにはこれしか・・・・・・」

 

そう言いかけると、四糸乃は士道にキスをする。それに士道は驚き

 

「え・・・と、四糸乃?」

 

「あの・・・・これで合っていますよね?もしかして・・・・違いますか?」

 

「っ、い、いや・・・・違わない・・・・けど」

 

士道が言うと、四糸乃はこくりと首肯した。

 

「士道、さんの・・・・言うことなら、信じます」

 

四糸乃は顔を赤くしそう言うと四糸乃が纏っていたインナーが、光の粒になって空気に溶けて消えていく。

 

四糸乃の肩が、驚いたようにビクッと震える。

 

「・・・・・・・・っ、し、士道さ・・・・、これ」

 

「ああ、すまない。四糸乃。これを着てくれ」

 

そう言い士道は自身の着ていた厚いコートを四糸乃に着させる。すると霊力が消えたせいかスノードームの結界が消える。するとあたりは先ほどの猛吹雪へと変わる。そして士道はインカムで

 

「琴里!琴里聞こえるか?」

 

『士道!あんた無事なの!?」

 

「ああ、この通り私は無事だ。それよりも四糸乃の霊力は封印した。早く彼女をフラクシナクスに回収してくれ。このままだと彼女が凍死してしまう」

 

『わかったわ。あなたや十香もすぐに回収するわ』

 

「いいや。俺はいい。十香や四糸乃を優先にしてくれ。私には少しここでやることがある」

 

『はぁ?何を言っているのよ士道!このままだとあんたも凍死しちゃうのよ!』

 

「大丈夫だ。じゃあ、頼む」

 

『・・・・・・わかったわ。どんな用事かわからないけど、でもすぐに戻ってきなさいよ!!』

 

「ああ。わかっている」

 

そう言い士道はインカムを切ると四糸乃の身体が、不思議な浮遊感に包まれる

 

「あ、あの・・・・士道さん」

 

「四糸乃。大丈夫だ。君は安全な場所へ行く。だから先に言って待っててくれ」

 

「わ・・・・わかり・・・・ました。私は士道さんを信じます」

 

四糸乃は頷くと士道は頷き、猛吹雪の中を走りだし、四糸乃はそのままフラクシナクスへと回収されるのであった。そして吹雪の中を士道は走り、そしてガンダーと戦っているアギラを見る。最初は素早い動きで善戦していたアギラだったがやはり生き物。寒さでだんだんと体力が落ちていて現在ガンダーに踏みつけられ悲鳴に近い声を上げていた。

それを見た士道は

 

「アギラ!戻れ!!」

 

そう言うとアギラは光となって消えそして赤いカプセルとなり士道の手に戻る。そして士道はアギラを回収すると胸ポケットからウルトラアイを取り出し

 

デュワッ!!!!

 

目にかざすとそこからスパークが発生し士道の体は赤い戦士ウルトラセブンへと姿が変わり、そして腕をクロスさせるとぐんぐんと巨大化させ身長40メートルの大きさになる。そしてそれを見たAST隊員たちは

 

「あれって、この前の巨人!?」

 

と、驚く中。同じくフラクシナクスの中では

 

「士道がどこに向かったか、わかる?」

 

「司令。それがこの猛吹雪のせいで確認できません」

 

「司令!モニターを!!」

 

「え?」

 

椎崎の言葉に琴里はモニターを見るとガンダーがセブンと戦っている姿が映し出されていた

 

「あれは・・・・この前の巨人だわ」

 

「確か士道君が言うにはウルトラセブンでしたっけ?」

 

と、そう言う中、町ではセブンがガンダーと戦っていた。普段ならこの寒さでエネルギーを消耗しているはずのセブンだが・・・・・・・

 

「(なんだ?体がやけに暖かい・・・・あのお茶のせいか?)」   

 

なぜか先ほどから体中が熱かった。そのためわざわざ太陽のところまで飛ぶ必要はなかった。そしてガンダーはセブンへと向かおうとするがセブンはウルトラ念力でガンダーをひっくり返して倒す。だがガンダーはすぐ起き上がりセブンに向かって凍結ガスと目から怪光線を発射させるが、セブンはすかさずウルトラバリアーで防ぎ、そして頭頂部の宇宙ブーメラン『アイスラッガー』をガンダーに向けて投げるとアイスラッガーはガンダーの首と両腕を切断し、ガンダーは倒れて絶命する。倒れたガンダーを見ているセブン。すると・・・・・

 

『ウルトラセブン・・・・・どうやらまたしても我々ポール星人の負けのようだ。この世界の地球での第三氷河時代は諦めることにしよう』

 

と、ポール星人がテレパシーでセブンに話しかける

 

『だが、今回我々はバカンスの途中だったし、本格的な準備もできなかったから君に負けたのだ。次こそは必ず君に勝って見せよう。・・・・・それとだセブン。こんなことは普通に言わないのだが、君とは同じ宇宙のよしみだ。今なら君も一緒に元の宇宙に連れていくが一緒に来るか?』

 

『いいや、ポール星人。私はここでやるべきことがある。すまないが私は残るよ』

 

『そうか。ではさらばだウルトラセブン。アハハハハハッ!!!!』

 

そう言うとポール星人の声は聞こえなくなるのと同時に吹雪はやみそして黒い雲がどんどん消え始めそこからまぶしい太陽が現れ虹が現れる。

セブンはこの景色に頷き、飛び立とうとすると

 

「待ちなさい!!」

 

と、日下部と折紙、そして澤たちASTの隊員たちが武器を構えセブンを見ると澤が

 

「あなたはいったい何者!何しに現れたの!!」

 

と、そう言うとセブンはテレパシーで

 

『・・・・私の名はウルトラセブン。ただの宇宙の風来坊だ。縁があればまた会おう』

 

そう言うと、セブンは飛び立ち空の彼方へと消えていった。それを見た日下部達は・・・・

 

「ウルトラセブン・・・・・これは精霊と同じ詳しく調べる必要があるわね。そうでしょ澤?」

 

「はい・・・・」

 

日下部にそう言われ澤は頷き、そして折紙が

 

「(ウルトラ・・・・・セブン。でもあの声・・・どこかで聞いたような)」

 

と、ASTの隊員たちは不思議そうな顔をしていたのであった。

 

 

 

 

数時間後、一方、とある家ではある中年の男性が椅子に座っていた

 

「やれやれ・・・空間振が発生するたびに避難しなきゃいけないのはいろいろと大変だな。ま、家が無事ならそれでいいが・・・・・」

 

と、テレビをつけると、先ほどの空間振のことのほか

 

『数日前、突如行方不明になっていた人たちが見つかり皆、家族の元へ帰ることができました。攫われた人の話によると、赤い巨人を見たっという発言があり・・・・・』

 

「ん?」

 

アナウンサーの言葉に男性は怪訝な顔をしテレビを見ると、

 

『本当に見たんですよ本官は!』

 

『私も見ました本当に巨大で!ほらスマホにもとってあります!!』

 

と、インタビューを受けている女性がカメラマンにその写真を見せる。そしてそのスマホに映し出されたウルトラセブンの写真を見て男性は

 

「・・・・・・・・ダン?」

 

と、そう言うのであった。そして彼の背後から黒い靄みたいなのが現れるのであった

 

 



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澤の葛藤

天宮市、陸上自衛隊駐屯地

 

「次にこの写真です・・・・・」

 

自衛隊の幹部自衛官や防衛省から来た官僚たちが集まる部屋の中、日下部と澤は映写機で精霊であるプリンセス子と十香のほかに赤い円盤を映し出した。そして日下部は

 

「数日前の行方不明事件で現れた円盤。そしてこれがその円盤に乗っていた生物で行方不明事件の犯人のクール星人と名乗る宇宙人です」

 

と、次に映し出されたのはASTの隊員がひそかにとったクール星人の写真であった。それを見た幹部たちや官僚は驚き、動揺の声を出していた

 

「そして次にこれは昨日、天宮市で精霊ハーミットと一緒に現れた巨大生物です」

 

と、次に映し出されたのはこの前のハーミットとの戦闘記録映像だった。吹雪の中、ASTたちがハーミットを攻撃する際中に突如現れたガンダー。そのガンダーの映像を見て上の幹部たちはまた動揺し始める。

 

「この巨大生物は突如、天宮市に現れ、口からマイナス140度の凍結ガスを吐いていました。今回天宮市で起きた異常な大寒波の原因はハーミットではなく恐らくこの生物の可能性が高いです。理由としては、ハーミットの精霊反応が消えても異常寒波は消えずむしろこの生物の吐く凍結ガスのせいでどんどん気温が下がっているのを見て間違いなくこの生物が犯人だということがわかりました」

 

と、日下部がそう言うと、官僚の一人が

 

「日下部一尉。それで例の巨人のことだが・・・・・?」

 

「はい。これです」

 

と、日下部が映し出したのは赤い巨人ウルトラセブンであった

 

「これが先日の行方不明事件。そして今回の天宮市異常寒波事件に現れた赤い巨人。コードネームは『ウルトラセブン』です」

 

「ウルトラセブン?それは君が名付けたのかね?」

 

「いいえ、その赤い巨人本人がそう名乗りました」

 

「名乗ったて、喋ったのかね?するとその巨人は人の言葉を話せるというのかね?」

 

「いえ、口は動かさず。何と言いますかテレパシーで会話をしてきました」

 

「それで日下部一尉。澤三曹。そのウルトラセブンといったか?その巨人は我々人類の敵なのかね?」

 

「今のところは敵か味方かは断言できません。まだ調査中でして」

 

「なるべく早くした前、精霊だけではなく宇宙人というわけのわからないものまで現れたんだ。今後、ASTは精霊だけではなく宇宙人とも戦わなくてはならん。そのためにASTの派生部隊のAATを設立させたんだ。澤三曹。因みにAATの隊員は今何人だ?」

 

「えっと・・・・私含めて二人です」

 

「たったの二人って・・・・君はいったい何をしていたんだ!」

 

気まずそうに言う澤に幹部の一人が怒鳴ると

 

「まあまあ、落ち着きなさい」

 

と、中年の男性が止める。その男の名は平賀。防衛省のなかで参謀職を務める人物であり、ASTの司令の一人である

 

「しかしですね平賀参謀!」

 

「AATは設立したばかりだ。人数が少ないのも仕方がない。まあ、澤三曹。大変だと思うが、最低でも7人くらいは集められるように頑張りなさい」

 

「は、はい!!」

 

「それでは今日の報告会はこれで終わる。日下部一尉は少し残りなさい。以上・・・・解散!」

 

 

 

 

「はぁ・・・・・」

 

会議をお終えた後、澤は自販機の近くのベンチに腰を掛け自販機で買ったコーヒーを飲みため息をつくと

 

「何か悩み事かな?」

 

「あっ!平賀参謀!?」

 

澤の隣に先ほど会議に出席していた防衛省の平賀参謀がそこにいた。それを見た澤は慌てて敬礼しようとすると

 

「いや、そのままでいいよ。確か君は・・・・・」

 

「は、はい!陸上自衛隊天宮駐屯地、AST、およびAAT所属の澤梓三等陸曹です!」

 

「いや、そうかしこまらなくてもいい。隣に座ってもいいかな?」

 

「は・・・はい」

 

澤がそう言うと平賀参謀は彼女の隣に座る

 

「さて・・・・君は何を悩んでいるのかな?よければ相談に乗るよ?」

 

「じ・・・実は参謀」

 

平賀参謀に促され、澤は自分が精霊に対し攻撃を戸惑っているのと、そして本当に武力でしか地球を救えないか、そして精霊も人間と同じなんじゃないかと、今まで疑問に思っていたことを話した。そしてその話を平賀参謀は黙って聞いていた

 

「私たちの任務が精霊退治なのは知っています・・・・・ですがハーミットとの戦いで私は見てしまいました。彼女が・・・・ハーミットが泣いているのを。私にはわからなくなってしまいました。そして今度は宇宙人とも戦わなくてはなりません。ですが宇宙人も良い宇宙人がいるはずです。もし、今度のハーミットのように銃を向けることになってしまったら・・・・参謀。私はどうすればいいでしょうか?」

 

そう訊くと平賀さん部は腕を組み

 

「う~ん・・・・それは難しい問題だ。確かに我々は地球を守るため空間振を起こす精霊を退治しなければならない。無論、防衛省でも武力を使わず平和的に解決する策を考えてはいるが、時間がかかりそう簡単にはいかない・・・・・・だが、一つだけ方法がある」

 

「なんでしょうか?」

 

「簡単な話さ。話し合えばいい」

 

「話し合い・・・・・ですか?」

 

「そうだ。一対一でお茶を飲みながら話し合う。そして互いを知り、そして互いに解決方法を探す…というものだ。宇宙人だってそうさ」

 

「ですが私は宇宙語なんて知りません」

 

「大丈夫さ。我々のいる宇宙には一千億の太陽を抱えた銀河系のような島宇宙に一千七百六十二億、四千三百二十一万八百六十六もあるんだよ。そのなかには地球の文明を超えた星があって全宇宙の言葉を翻訳した装置だってあるかもしれない。だから大丈夫。皆宇宙に住む仲間たちだ。もちろん我々の星も一緒さ」

 

「い、一千・・・・・・参謀。どこからその数を・・・・・」

 

「え?・・・・あ、ええっと・・・・前に防衛省の宇宙観測班が計算した数を言っただけさ」

 

「防衛省にそんな部署ありましたっけ・・・・・」

 

「秘密なんだ。だから誰にも言わないでくれよ澤三曹」

 

「あ、は、はい。参謀…ありがとうございます相談に乗ってくれて」

 

「気にする必要はない。ただ少し、私の娘に雰囲気が似ていたからな」

 

「娘さんがいるんですか?」

 

「ああ、『さつき』といってなもう高校一年だ。澤三曹。君は・・・・」

 

「私は去年高校を出たばかりです」

 

「そうか・・・・・・ところでだが、澤三曹。私も少し聞きたいことがあるんだ」

 

「はい。なんでしょう?」

 

「先ほどのガ・・・・・巨大生物の映像の時、君と話をしていた少年のことだが・・・・」

 

「五河士道さんのことですか?」

 

「五河?モロボシとかそう言う名前じゃないのかね?」

 

「いいえ、五河士道という少年で、前の行方不明事件の時クール星人の情報提供および捜査を協力してくれたなんか普通とは違う不思議な子なんです。できれば彼をAATに入隊させたいのですが・・・・あの事件や巨大生物の後、姿を消していて・・・・そう言えば彼が現れた時に、ウルトラセブンという巨人が現れましたっけ・・・・」

 

「うむ・・・・・・ダンじゃないのか・・・」

 

「え?」

 

「いいや。何でもない。そうか私も一度その少年に会って話してみたいものだ。では私はそろそろ行くよ。澤三曹。これからいろいろと大変だと思うが自分の信念を曲げずに頑張りなさい。私は応援しているよ」

 

「は、はい!ありがとうございます!!」

 

澤は嬉しそうにそう言うと、平賀参謀はその場を去っていった。すると入れ違いに日下部隊長がやってきて

 

「澤。待たせたわね。戻るわよ」

 

「は、はい!」

 

そう言うと二人は部署に戻りそして廊下を歩いていると

 

「あ…あの隊長。それで私の処罰は・・・・・」

 

「ないわ。今回あなたの任務は精霊討伐じゃなくあの巨大生物の討伐。今回は厳しい処罰はないわ。ただ三日間休暇を取りなさい」

 

「それって‥‥謹慎ということですか?」

 

「休暇よ。あなたはこのところ寝ずに宇宙人について調べまくっていたでしょ?そんな状態ではASTの任務はこなせないわ。だからこれを機に休みなさい。その三日間、精霊も宇宙人のことも少し忘れてね」

 

「す、すみません・・・・あの時、私がハーミットを撃たなかったから・・・・」

 

「あなたは優しすぎるからね・・・・私も初めての時はそうだったわ。でも次はないわ。私たちは地球を守るために精霊を倒しているのよ。たとえ精霊の一部が善良でも空間振を起こすからには退治しなければいけないわ。平和的な方法がない今、辛いかもしれないけどやって頂戴」

 

「わ・・・分かりました。それで隊長は先ほどおえら方と何を話していたのですか?」

 

「ええ、近々、DEMという大企業からある精霊を討伐するために人を送るらしいわ・・・・」

 

「一般企業が?」

 

「ええ、そのせいで上の連中に散々嫌味を・・・・・・」

 

と、日下部は先ほど上司に嫌味を言われたのを思い出し、戻るまでに澤に愚痴を言い、澤は苦笑しながらその愚痴を聞くのであった

 

 

 

 

 

一方、平賀参謀は

 

「間違いない・・・・・やはりセブン・・・・いやダンがこの世界にいる・・・・それにあの五河士道という少年のことも気になる。もしかしたらその少年はダンのことを知っているのかもしれないな・・・・」

 

 

と、つぶやきながら廊下を歩くのであった

 

 

 

 

 

 

 




次回、オリジナル章に入ります


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さつきダークゾーン
下校時の再会?


四糸乃の事件から2日後。士道の家に変化があった。それは・・・・・

 

「たった2日でこんなマンションが・・・・」

 

士道は自分の家の隣に2日前までは空き地だったスペースに突如現れた高級マンションを見てそう呟く、すると琴里は

 

「精霊用の特設住宅よ。見た目は普通のマンションだけれど、物理的強度は通常の数百倍、顕現装置(リアライザ)も働いているから、霊力耐性もバッチリよ。多少暴れても外には異常が漏れないわ。前に話したでしょ?」

 

「ああ、だがたったの二日でここまでできるとはすごいな・・・・これも顕現装置(リアライザ)とか言う装置のおかげか?」

 

「ええ。そうよ陸自の災害復興部隊だって、破壊されたビルを一晩で直しちゃうのもその装置のおかげよ」

 

「なるほど・・・・(この世界の地球は私のいた世界の地球よりもはるかに文明が進んできているんだな)」

 

士道は感心した表情でそう言うと

 

「今日から十香はここで暮らしてもらうわ。それともう一人・・・・」

 

琴里がそう言うと、可愛らしいワンピースを纏い、頭に顔を覆い隠すようなキャスケットを被った少女が、飛び跳ねるように走ってきた。

 

「し、士道さん・・・・・」

 

『やっはー、士道くん』

 

「おお、四糸乃によしのん。もうフラクシナクスの検査は終わったのか?」

 

士道に声をかけたのは四糸乃と彼女の手に装着されているウサギのよしのんであった。彼女は琴里に保護された後、フラクシナクスの中で魔力が残っていないか後遺症はないか検査をしていたのだ

 

『んー、第一検査だけはね。まだあるらしいんだけど、士道くんにお礼が言いたくてさ。特別に少しだけ外に出してもらったんだー』

 

「そうか。それはよかったな」

 

よしのんがそう言うと士道は頷いて言う。すると四糸乃は

 

「あ・・・あの士道さん。これからもよろしくお願いします」

 

恐る恐るといった様子で士道の方に視線を送って、四糸乃が言った

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。四糸乃、よしのん」

 

「はい!」

 

と笑顔で答えるのであった。そしてその言葉に四糸乃は嬉しそうに頷く。そして琴里が

 

「士道。そろそろ学校に行かないと遅刻するわよ。十香はもう先に行っているしね」

 

「ああ、そうだった。じゃあ行ってくる」

 

そう言い、士道は急いで学校へと行くのであった

 

 

 

 

 

 

放課後・・・・・

 

「それじゃあ、シドー私は先に戻っているぞ!!」

 

「ああ、十香。気をつけて帰れよ」

 

教室で十香は士道にそう言い先に帰った。何でも商店街で特大きな粉パンが半額セールで売られるということで急いで階に行くということで先に学校を出たのだ。因みに折紙はというと急に誰かから電話で呼び出されたらしくここにいない。電話の相手は間違いなくAST関係のことだろう。士道はカバンに持ち物を淹れ教室を出ると・・・・

 

「やあ・・・・セブン。もうお帰りかい?」

 

と誰かが士道の肩を軽くたたき、士道が振り向くとそのにはメトロン星人こと夢露が立っていた

 

「夢露か・・・・・それとここでセブンはやめてくれ」

 

「アハハh!悪かったよ。それとここでは私は君よりも一年上だ。夢露じゃなくて先輩とつけなさい。それが地球もとい学校での礼儀でしょ?」

 

「君の口からそれを聞くとは思わなかったよ。すまないな丹波先輩」

 

「よろしい・・・まあ、私はそう言うのにこだわらないから別に夢露と呼び捨てでも構わないからね。ところでセ・・・・士道君。今から帰りかい?」

 

「ああ。そうだが?」

 

「それじゃあ、一緒に帰らないかい?同じ宇宙の仲間同士、話したいこともあるし」

 

「まあ、別にいいが?」

 

「では決まりだね」

 

そう言い士道は夢露と一緒に帰るのであった。そして帰り途中、士道は夢露と会話をしながら街を歩いていた

 

「そう・・・・君の家の隣にマンションが建って、保護した精霊もそこに住むことになったの」

 

「ああ。まあな・・・ところで夢露。君は今どこに住んでいる?」

 

「天宮市のとあるボロアパートで一人住んでいるわよ。見た目は君と出会ったあのアパートを想像してくれると助かる」

 

「ああ、あんな感じか・・・・・今思うと少し懐かしい気がするな。君はあの時、煙草に宇宙ケシの実を入れて・・・・・」

 

「ああ、人間を狂暴化させ、人間同士の信頼関係を完璧に崩して自滅させる・・・・時間がかかるが完璧な計画だった。君にアイスラッガーで真っ二つにされるまではね。君って意外と敵には容赦ないわよね?」

 

「あの時は仕方がない」

 

「ま、仕事だったんだから、恨みはしないわ。代わりにまた私の体をアイスラッガーで・・・・」

 

「それは断る」

 

「うむ、残念だ。せっかく切られる喜びを知ったのに~」

 

「私はそう言うのはできれば知りたくないな・・・・・」

 

夢露が目をキラキラさせてそう言う中士道は若干引いたような顔で苦笑しながら言っていた。すると夢露は

 

「ま、私の性癖は置いといて・・・・・この世界の地球人は我々が手を下さなくとも勝手に滅びるわよ」

 

「・・・・どう意味だ夢露」

 

「私はこの世界の地球人に転生して18年間、見守ってきたけどこの世界の地球人たちは便利なツールを手に入れ脳が退化し始めているわ。言い方は悪いけど町中、猿だらけ。しかも宇宙人の侵略がないから平和かと思いきや各国では核兵器なんかの超兵器を作り続ける国もあるわ。あいつら勝手に自分の作りだした兵器で殺し合って勝手に滅びるわよ。君もこの世界のことは見てきたんでしょ?」

 

少し吐き捨てるようにそう言う夢露。士道は夢露の言葉に

 

「確かに・・・・宇宙間戦争もなく、地球も平和だと思っていたが、この世界の人間たちもまた血を吐きながら続ける悲しいマラソンを続けているみたいだな・・・・・だがな夢露。私は地球人を信じているんだ。今は無理でもいつかは武器を捨てほかの宇宙の人と仲良く暮らせる日が来ると私は信じているんだ」

 

「相変わらずのお人よしだね~まったくM78星雲人はこれだから・・・・・ま、そこがあんたらのいいところではあるけどね」

 

少し呆れたように言う夢露だがその表情はがっかりというか少しうれしそうな表情であった

 

「しかし、前の大寒波の騒動の原因はポール星人の連中だったとはね・・・・あの悪戯どもが・・・・で、士道。君はなぜ戻らなかったんだい?」

 

「私は半分はこの世界の人間だからな。それに精霊をほおっておくこともできない。それを言うなら君だってそうじゃないか夢露?」

 

「ハハハ!冗談はよしたまえ。私は君とは違い完璧に地球人として生きているんだ。それにここの暮らしも気に入っているし今更メトロン星に帰りたいとは思わんさ。それにポール星人が私を連れてってくれるわけないでしょ?」

 

「ポール星人と何かあったのか?」

 

「まあ、昔、一悶着あってね~まあ昔の話だ。余計な詮索はしないでくれよ?」

 

「ああ・・・・・わかった・・・・・・・・・・ん?」

 

「どうしたんだい士道?」

 

急に士道がある方向を見て夢露が不思議そうに首をかしげると士道が

 

「あそこ・・・誰かが複数の人間に絡まれている」

 

「なんだって?」

 

士道の言葉に夢露は士道の見ているところを見る。二人の視力は宇宙人時代から引き継がれているためかよく見えていた。二人が見たのは少し先の道の角に学校の女子生徒が一人の女子生徒を囲んで何か言い争っていた。

 

「・・・あれはうちの学校の生徒だね?何を言い争っているのかしら?もしかしてカツアゲ?」

 

「とにかく止めよう」

 

そう言い士道はその集団のほうへと向かう。

 

「あ、ちょっと!もう仕方ないわね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ~さつき。あんたちょっと調子に乗ってない?」

 

「え?な、なんのことですか?」

 

道で集団のガラの悪い女性生徒が小柄な少女を囲って脅していた

 

「とぼけるなよ。あんたの親父が国防省のお偉いさんだからって威張っているんじゃないわよ!」

 

「そんな私は威張っていません!」

 

「嘘を言いなさいよ。あんた、教室で私らに説教をしてたわよね?」

 

「そ、それは・・・・あなたたちが掃除当番なのにさぼってほかの人に押し付けようとしたり、カツアゲしていたから注意したけで・・・・・」

 

「うるっさいわね!あんたのそれが余計だっていうのよ!学級委員だか知らねえけどなあんたみたいないい子ちゃんが一番むかつくのよ!!」

 

「そうよ!慰謝料として持ってる金を全部出しな!!」

 

「そ、そんな・・・・困ります」

 

「いいからよこせって言ってんだよ!!」

 

と、そう言いさつきと呼ばれた少女につかみかかろうとする。そして少女は怯えたように目をつむる。すると彼女の背後から小さな黒い渦のようなものが現れたが・・・・

 

「君たち何をしている!!」

 

そこへ士道が現れ止める

 

「ああ!!あんたには関係ないだろ!!」

 

「私は困っている人を見たら放っておけない性格でね。君たちを見る限りそこの子のお金を巻き上げようとしているみたいだが?」

 

「うるさい!引っ込んでろ!」

 

「おい、面倒だ。相手はひ弱そうだし集団でやっちまえ!」

 

そう言って女子生徒たちは士道を取り囲み襲い掛かろうとするが・・・・・

 

「お巡りさん!こっちです!こっちでカツアゲしようとしている人がいますよ!!」

 

『っ!?』

 

急に女性の声が聞こえ、女子生徒たちはぎょっとした表情をするとその一人が

 

「おい、まずいわよ!」

 

「ちっ!おい行くぞ!!」

 

「警察だけはごめんよ!!」

 

「覚えておけよ!!」

 

そう吐き捨てて逃げて行った。そして女子生徒たちが逃げた後入れ替わるように・・・・

 

「やれやれ・・・・去っていったか」

 

「夢露・・・・もしかしてさっきの声は?」

 

「そ、わたし。君は女の子に暴力を触れないのは知っているからね。はったりかましてみたわ」

 

「そうか・・・・助かったよ・・・・・で、君。大丈夫かい?」

 

「は、はい。ありがとうございます!」

 

「あれ?君の服装から見ると一年生?」

 

「は、はい!一年の平賀さつきといいます!あ、あの・・・・もしかして二年の五河士道先輩と三年の丹波夢露先輩ですか?」

 

「ああ。そうだけど。知っているのか?」

 

「はい。いろいろと学校内で噂になっていて・・・・・・」

 

と、目を背けてそう言う平賀に

 

「「(噂ってどんな噂だ?)」」

 

二人は不思議そうに首をかしげる。

 

「まあ、いいわ。それじゃあ私たちはこれで・・・・・」

 

「帰り道気をつけてな」

 

そう言い二人は去ろうとするとさつきは

 

「あ、あの先輩!家に来てもらえませんか?まだお礼もしていませんし」

 

「いや。お礼をされるほどのことはしていないよ私はただ放っておけなかったから・・・・」

 

「それでもです。せめてお茶だけでもごちそうさせてください」

 

「律儀な子ね・・・・・・どうする?」

 

「う~ん・・・・このまま断るのも失礼だしな・・・・・わかった。じゃあお言葉に甘えようかな?」

 

「ありがとうございます!父もきっと喜ぶと思います!!」

 

と嬉しそうに言うさつきに士道と夢露は彼女の家に招待されることになったのだった。さつきに連れられた士道と夢露はしばらくあると一軒の家に着く。すると玄関で花に水をやっていた男性がいた

 

「あ!お父さん!!」

 

「おお、さつき!!」

 

どうやらさつきの父親らしい。さつきは父親に近づいて何かを話していた。それを見た夢露が

 

「なかなかいい家ね・・・・・・士道。どうしたの?」

 

夢露は隣にいる士道を見ると、士道は驚いた表情でさつきの父を見ていた

 

「(・・・・・・・フルハシさん!?)」

 

士道が見たのはさつきと話しているさつきの父親であった。そのさつきの父親はかつて士道がモロボシ・ダンでありウルトラ警備隊の隊員でウルトラセブンとして活躍していたころの同僚であったフルハシ隊員に瓜二つであったのだ

 

「(フルハシさんがなぜこの世界に・・・・・・いや、違う。フルハシさんの姿をしているが・・・・・・)」

 

「士道・・・・もしかして気づいた?」

 

夢露もわかったのか、そう訊くと士道は静かに頷く。そしてさつきの父親がさつきから事情を聞いたのかさつきの言葉にうなずき、士道たちを見ると、一瞬少し驚いた顔をするがすぐににっこりと笑い二人の元へ行き

 

「事情は娘から聞きました。さ、どうぞ上がってください」

 

「わかりました」

 

「お邪魔します」

 

そう言い二人は家へと入るのであった

 



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士道(ダン)平賀(ペガッサ)

お久しぶりです疾風海軍陸戦隊です。去年の大晦日までに書こうと思っていましたが、仕事やらプラモやらに夢中になってすっかり遅くなってしまいました。

では本編をどうぞ!!


「お茶が入ったよお父さん。丹波先輩。五河先輩」

 

「ありがとうな。さつき」

 

「「ありがとう」」

 

士道と夢露は下校中、不良に絡まれていた一年生の平賀さつきという少女を助ける。そしてさつきは助けてくれた二人を家に招れた。そして彼女の家で士道と夢露はソファーに座り、そして正面にはさつきの父が座ってさつきは三人にお茶を入れる。そしてさつきの父はお茶を一杯飲むと

 

「さて私はさつきの父の平賀茂だ・・・・事情はさっき、さつきから聞いたよ娘を助けてくれてありがとう」

 

と頭を深々と下げ士道に礼を言うと士道は

 

「いいえ、お礼を言われることはしていませんよ。私はただ見て見ぬ振りができなかっただけです」

 

「私もだ。寄ってたかっていじめるやつが嫌いでね見て、放っておけなかっただけさ」

 

士道と夢露がそう言うと茂はフフッと笑い

 

「謙遜なんだね?でも、それでも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。ところで君たちは・・・・・」

 

「ああ、わたしは五河士道です。でこっちが」

 

「丹波夢露といいます。お見知りおきを」

 

と士道はあいさつすると茂は

 

「さてと・・・士道君といったかな?ちょっと二人で話したいことがあるのだがいいかね?」

 

「え?は、はい・・・・」

 

茂がそう言うと士道は返事をする。すると夢露は何かを察したのか

 

「そうだ。さつきさん。君の部屋を見せてくれるかな?どうやら私たちはお邪魔のようだし君の部屋に行って女子会でもしよう」

 

「え?あああ・・・・はい」

 

さつきは首をかしげ頷き、夢露を自分の部屋へと案内するのであった。そして今では士道と茂だけになり互いに黙ったままとなっていた。そして最初の沈黙を破ったのは茂であった

 

「さて・・・・まず君に聞きたいことがあるんだ」

 

「・・・・ええ。私もですよ平賀さん」

 

茂の言葉に士道が頷くと茂は

 

「君は・・・・・・ウルトラセブン・・・・いやダンなのか?」

 

「・・・・・・」

 

「五河士道という少年の姿になっているが私の目は誤魔化されないよ。君はセブンであり。そしてモロボシ・ダンなんだろ?」

 

「私がセブンでありそして前世の仮の姿である、モロボシ・ダンだということを知っているということは・・・」

 

「やはり君は・・・・ダンなんだな?」

 

「ああ、そうだ。私からも聞きたい・・・・あなたはフルハシさん・・・・・いいや、地球人の姿をしているが君は宇宙人だろ?」

 

と士道がそう訊くと茂は頷き

 

「その通りだよダン。この姿は私と君のいた世界の地球人であり、君が所属していたウルトラ警備隊のフルハシ隊員の姿を借りたものだ。」

 

「君はいったい誰だ?」

 

「そんなに警戒しないでくれ。君とは一度会ってアンヌ隊員の部屋で談笑した仲じゃないか。まあ、あの時はダークゾーンの中に入って会話をしていたんだけどね」

 

笑って言う茂に士道は彼の正体がわかった

 

「君は・・・・・ペガッサか!?」

 

驚いた表情でそう言うと茂はフフッと笑い。そして彼の体が光に包まれそして光が収まると黒い姿そしてT字に左右離れたに目が特徴の宇宙人、ペガッサ星人の姿になった。そしてまた光に包まれるとまた人間、平賀茂の姿に戻る

 

「その通り。私はペガッサ星人さ。何年ぶりだろダン・・・・いや、今は五河士道君だったかな?」

 

「ペガッサ…いいや平賀さん。なぜ君はこの世界に?」

 

「それは私のセリフだ。ダンこそなぜこの世界でさらに五河士道という少年の姿になっているんだ?」

 

「話せば長くなるんだが・・・・・」

 

「構わないさ。時間はたっぷりある」

 

そして士道は自分がこれまで経験したことを話し、ペガッサも自分のことを話した

 

「なるほど・・・・・ダンも私と同じというわけか」

 

「ああ、違うのは私が転生でペガッサが転移というところだな。ペガッサ。君はいつからこの世界に?」

 

「この世界に来たのは30年前だ。元の世界の時はちょうど、タロウがやってきたばかりのころに私はこの世界に転移していた。だが、ダンはあの悪名高きブラックスターの円盤生物にやられていたのか・・・・」

 

「ああ、いきなりの奇襲だった・・・・・そして当時の防衛隊の基地とともに死んだと思ったがなぜかこの世界の少年。五河士道という少年に生まれ変わっていた」

 

「そうか…大変だったなダン」

 

「ああ・・・・・」

 

そう言い士道はお茶を一口飲むと神妙そうな顔をし

 

「ペガッサ・・・・・・ペガッサ市のことなんだが・・・・」

 

そう、士道は前世の時、彼と初めて会ったとき彼の住む浮遊都市ペガッサ市が地球に衝突しそうになりペガッサはもし地球が軌道を帰れなかったとき地球を爆破するため地球に来た工作員だが、不慮の事故で怪我をしてしまい、アンヌの部屋で潜んでいたところ、そこに居合わせたダンとアンヌと出会い談笑するまでの仲になる。しかし当時の防衛軍は地球に近づくペガッサ市を破壊してしまう。そして同じころペガッサも地球を爆破するため爆弾をセットするがそこへダンが現れたのだ

 

『何をしているペガッサ!』

 

『たった今、地球を爆破するための爆弾をセットしたのだ』

 

『なぜだ!』

 

『私の愛するペガッサ市を守るためだ!』

 

『ペガッサ市は・・・・・・・破壊したよ』

 

『嘘だ!地球人の科学力であの巨大な都市を破壊できるはずがない!うそだ!!』

 

『本当だ。現に地球は無事じゃないか!』

 

『我々の計算では地球がペガッサ市に衝突するまでまだ十分時間がある!』

 

『でも僕は見たんだペガッサの最期を!』

 

『っ!?なんてことをするんだ!!ペガッサは宇宙が生んだ最高の科学なんだ!私は地球を爆破する準備はすでに終わっていたアンヌの部屋でも爆弾をセットする事だってできた。それをしなかったのは私たちの科学が最後の最後までこの事態を何とかできると信じて・・・・・・復讐してやる!!』

 

と、ペガッサがそう言いダンはセブンへと変身し戦うが、ペガッサはセブンには勝てずそのまま暗闇の中を走り去ってしまうのだった

 

そしてだ士道の言葉に茂は首を横に振り

 

 

「・・・・・・ダン。私はもうあのことは怒っていないし、復讐しようとは思わない。あれは不幸な事故だ」

 

「ペガッサ・・・・」

 

「確かに故郷を仲間を失ってしまったのは悲しいことだ。確かに君に敗れ闇夜に紛れながら復讐しようとは思った。だが後後調べたら君たちウルトラ警備隊はペガッサに避難勧告を呼びかけ、さらに新たなペガッサ市ができるまで地球に住んでいいと言ってくれたそうじゃないか。もし、君の言葉を信じ皆地球に移れば・・・・・あんなことにはならなかっただろう。私たちは感情を殺し機械や科学だけに頼り切ってしまった。あの事件もそれが原因さ」

 

「・・・・・すまない」

 

「君が謝ることじゃないさ。それに今私は地球人としてさつきという娘とともに幸せに暮らしている」

 

「そのことなんだが、そのさつきも宇宙人もといペガッサ星人なのか?」

 

「半分はそうだ。だが半分は地球人だ」

 

「何?では母親は・・・・」

 

「ああ、さつきの母は地球人だよ」

 

「奥さんは君が宇宙人だということは・・・・・」

 

「知っている。お付き合いをして初めて私が宇宙人だということを彼女に告白が彼女は私が宇宙人だとしてもあなたはあなただと言ってくれた」

 

「そうか…それで奥さんは今・・・・」

 

「3年前に病気でな・・・・・」

 

「そうか・・・・」

 

そう言い二人は静かにお茶を飲む。そして茂は

 

「ダン。一つ訊きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「君は精霊のことは知っているだろ?」

 

「ああ・・・ペガッサ。なぜそれを?」

 

「わたしはこう見えて自衛隊のしかも精霊対策部隊つまりASTの司令役をしている。その時の映像で君を見た。君はあそこで何をしていた?」

 

「・・・・・ペガッサ。君がASTの司令をしているのなら平和的に解決しようとは考えなかったか?」

 

「もちろん考えた。だが、空間振の破壊力は絶大だ。あれを無くすにはそれ以上の破壊力をぶつけなければいけない。ただこの地球の科学力ではそれができない。仮にできたとしても空間振の発生場は予測不能だ。それをいちいちぶつけるのは徒労でしかない。また精霊とコンタクトをしようにも向こうが警戒して話し合いもできない、以前話し合いをして接触しようとした隊員がいたが精霊に殺され殉職したという事件があった。残念ながら私の力ではどうしようもできない。私にできるのは過激にやろうとするやつらを何とか説得することしかできないんだ…本当に情けないことだ」

 

と、少し悲しそうに言う茂。そして士道は

 

「ペガッサ・・・いいや平賀さん。先ほどあなたは私が何をしていたって聞いたね?」

 

「ああ。そうだ」

 

「なら、話すべきだな・・・・」

 

そう言い士道はフラクシナクスや平和的に精霊との問題を解決しようとする組織ラタトスクについて話し。そして自分自身がなぜか精霊の力を封印できる能力を持っていることを告げると、彼は驚き

 

「驚いた・・・・まさかそんな組織があったとは…しかし精霊を惚れさせそしてキスをして霊力を封印し「普通の地球人として生活させる・・・・・君は嘘をつかないから信じるが、なんか複雑な気分だ。なあダン?」

 

「私もだ。だが、仕方がない彼女たちが殺されずに平和に人として暮らせるのなら・・・・な」

 

「う~ん・・・・・もし君の言うことが本当ならASTは解散させるのがいいと思うが、そうはいかないしな。万が一っということがある。ただ無暗に精霊を攻撃させないように呼び掛けてみよう」

 

「すまない平賀さん」

 

「いや、いいさ。私もそう言う方法があれば君たちに任せられる」

 

と茂は頷いてそう言うと、平賀は

 

「ところでだがダン。二つ相談したいことがあるんだ」

 

「なんですか?」

 

「まず一つ、自衛隊は前に現れた宇宙人。つまりクール星人やポール星人の襲撃の件で対宇宙人対策部隊をASTの中で設立されたんだ。名はAAT。君はその部隊に入る気は・・・・・」

 

「残念上がらないよ。私はただの学生だ。それにラタトスクのこともある」

 

「やはりな。まあ君が断ることはわかっていたよ。でもいつでもAATの臨時隊員として自衛隊の天宮駐屯地に入れるぐらいのことはするよ。もし宇宙人で彼らに忠告したいときはその権限を使って中に入っていい…さて第二に、実はこれが本題なんだがね・・・・・実は私の娘。さつきのことなんだ」

 

「さつきさんが?彼女がどうしたんだ?」

 

「うん。実はな・・・・彼女はペガッサの力をうまくコントロールする事ができないんだよ。しかも彼女の力は下手をすればこの世界を消し去るくらいのね・・・・」

 

「っ!?」

 

その言葉に士道は驚くのであった。

 

 



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ダークゾーンの謎

「さつきさんがペガッサの力をコントロールできない?どういうことだ平賀さん?」

 

平賀の言葉に士道は聞くと、平賀は

 

「ダン。私たちペガッサ星人にはダークゾーンという異空間を作る能力があることは知っているな?」

 

「ああ。もちろんだ」

 

「我々ペガッサの持つ能力、ダークゾーンは実はとてつもない力を持つブラックホールの一種なんだ。それゆえコントロールは極めて難しく。我々ペガッサ星人は幼いころからその能力のコントロールできるように修業し、そして自由自在にダークゾーンをコントロールができてこそ初めて大人の仲間入りを果たす。無論私も幼いころは苦労してダークゾーンをコントロールできるようになったんだよ」

 

「それでさつきさんはダークゾーンを?」

 

「うん。さつきはペガッサの力を持っていることは持っている。しかし半分は地球人だ。ああいいや、別に地球人を馬鹿にしているわけじゃないよダン」

 

「わかっている。それで?」

 

「ああ。さつきは半分は地球人の血を引いている。だからペガッサの力も通常の半分しか出せない。だから……」

 

「ダークゾーンをコントロールすることができないというわけか」

 

士道の言葉に平賀は頷く

 

「ああ、昔はよく頻繁にダークゾーン。小型のブラックホールを出していたが高校生ぐらいに成長したらだんだんとおさまって来たんだが、感情が高ぶったり不安が極限に達すると大型のダークゾーンが出てしまうんだ。その時は私が何とか落ち着かせているんだが……」

 

「そうか……」

 

その言葉に二人は沈黙すると平賀が

 

「なあダン。勝手な頼みかもしれないが、もし……もし娘のさつきになにかあっったら助けてほしい。あの子に何かあったら私は耐えられない。それだけじゃない。私たちの放つダークゾーンは精霊発生の空間振とよく似ている。その時さつきが精霊と間違われてASTの隊員に攻撃されると思うと……」

 

「平賀さん……」

 

そう言い平賀は頭を下げて士道に言うと士道は

 

「少し待ってくれ。さっきダークゾーンは空間振とよく似ているとおっしゃいましたが、それはどういう意味だ?」

 

士道の問いに平賀は

 

「実は少し興味深いことに我々の発するダークゾーンは精霊たちの出現するときに発生する空間振ととても良く似ているんだ。無論ダークゾーンが大きければ大きいほど空間振と非常によく似て警報が鳴るんだよ」

 

「それじゃあ、もしさつきさんが巨大なダークゾーンを発生したら……」

 

「ああ、察しの通りだ。さっきも言ったようにASTが出動し、その原因を処理する。もし、あの子に何かあったら私は耐えられない」

 

「平賀さん……わかりました。私も協力は惜しみません。絶対にあの子を守って見せます」

 

「ダン……すまない。ありがとう」

 

平賀は嬉しい顔で士道の手を握り礼を言う。すると平賀は

 

「……で、ダン。少し聞きたいことがある」

 

「なんですか?」

 

「君がウルトラセブンだと知っている人物はいるのか?今いる家族は君の正体を知っているのか?」

 

「いいや。誰も私の正体を知らない……あ、いや。一人だけいるな。さっきさつきさんと一緒に上の部屋に行った丹波夢露っていう人だ」

 

「あの子が?」

 

「ああ、平賀さん。実は彼女はメトロン星人なんだ」

 

「っ!?ほんとかね!?あの子があのメトロン星人なのかね!?」

 

「ああ、彼女曰く転生して今は地球人として生きているとのことだ」

 

「なんと・・・・・・いや、確かに人間にしては何か違和感を感じたがまさかあのメトロン星人だったとは。ダン。その人は危害を加えたりとかは……」

 

「大丈夫だ。夢露が言うには人間として生きると言っていた。だから侵略とかの野望はないよ」

 

「そうか……君がそう言うのなら安心だ」

 

平賀が安心してそう言う。すると

 

「さて、二人のお話は終わりましたかな?」

 

「「っ!?」」

 

気が付けば二人の間に夢露がお茶を飲んでいた

 

「夢露!?お前いつの間に!?」

 

「つい先ほど下に降りたわ。それにしてもただの人間じゃないと思ってはいたけどまさかペガッサ星人だったとはね」

 

「私もダンから君がメトロン星人だと聞いたときは驚いたよ。ところでさつきは?」

 

「ああ、彼女なら疲れたのか。なんか寝ちゃったわ」

 

「そうか・・・・」

 

平賀がそう言うと夢露が時計を見る

 

「あ、いけない。もうすぐお惣菜のタイムセールが始まるな。すまないが私はこれで」

 

「ああ、そう言えば私もそろそろ家に帰らないと、十香たちがお腹を空かせている。平賀さんすまないが私たちはこれで帰るよ」

 

「ああ。またいつでも家に来てくれ」

 

そう言い、今回はお開きになり、士道たちは平賀の家を後にした。そして帰りの途中、

 

「で、夢露。君はさつきさんと何を話していたんだ?」

 

「男子が女子会トークを聞くのはタブーだぞ士道。まあ、大した話じゃないわ。強いて言えば互いに共通するアイドルがいてその話に盛り上がったってところよ」

 

「アイドル?」

 

「ほら、士道も聞いたことがあるでしょ宵待 月乃ていうアイドルのことを」

 

「ああ、あの人か。私の二、三枚彼女のcdを持ってるよ。あれはいい歌だ。なんか元気づけられるというか本当に歌うことが好きだと思う気持ちが伝わるからね」

 

「CDって・・・・・まあいいわ。確かに私もあの人の歌う歌は大好きよ。あの歌を訊くと思わずオタ芸をしてしまうほどよ」

 

「オタ芸って・・・・あれはそう言うことだったのか」

 

「私が意味もなく踊っているわけないでしょ?さて、私はこれからスーパーに行かないと今日は唐揚げが半額セールだからね」

 

「すっかり地球人の生活に溶け込んでいるな」

 

「18年も地球人として生きればそれはそれで馴染むものよセブン。そう言う君だってそうだろ?モロボシ・ダンと五河士道。二人の地球人として生きた君ならなおさらわかるんじゃないかな?」

 

と夢露がそう言うと士道は少し夢露の顔を見ると微笑み

 

「ふ・・・・そうかもしれないな」

 

と、そう言うのであった。そして夢露もすーおあーでの買い物があるため士道と別れるのであった

 

「……さて、俺の家に帰るかな」

 

そう呟いた瞬間、携帯が鳴る。士道は携帯を取ると

 

「もしもし?」

 

「士道!あなたどこに行っているのよ!」

 

と、琴里の怒鳴り声が聞こえ士道は驚く

 

「ああ、すまんすまん。ちょっと野暮用でな。今から帰る所だよ」

 

「そう。でも急いで戻って頂戴。早くしないと十香が餓死するわ」

 

「餓死ってそんな大げさな・・・・」

 

「それが現に『シドーはまだかシドーはまだか』って言いながら机をかじっているのよ。機嫌メーターも下がり始めているわ」

 

「わかった。すぐに戻るよ」

 

そう言い士道は慌てて家へと戻るのであった

 

 

 

 

 

同時刻、某所

 

「ふふふ・・・・・・まさかあのペガッサ星人にあんな力があるとはな」

 

「あの力を我々が使えば地球侵略もあっさりと終わる。あの力はあの非力な宇宙人が持つべきではないな。あの力は我々が使ってこそ価値のあるものだ」

 

「その通りだ。あの力は我々にこそふさわしいものなのだ」

 

「では、その力を得るためにどうするか?」

 

「簡単だ。まずはあの平賀さつきという娘を誘拐せねばならない」

 

「いや、待て。それなら純潔種であるあの男を監禁し、その力を我々に貸すか交渉せねばならん。あの男はその力の秘密を知っている」

 

「ならば、話は決まりだ。しかし、噂によればこの世界の地球にはウルトラセブンと思しき宇宙人がいると聞く」

 

「何、心配ない。宇宙の帝王である我々が負けるはずがない!」

 

「その通りだ。よし!さっそく作戦実行だ!!」

 

と、とある場所で何者かが怪しい計画を立てているのであった。

 

 

 



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嵐の前触れ

オリジナルストーリーを書くのって意外と大変でした


あれから翌日、今日は学校は休みで士道は朝、十香や四糸乃の朝ご飯を作っていた。因みに琴里は学校があるため二人より早く起きて士道の作った朝食を食べて登校しに行っている

 

「士道さん。お皿を持ってきました」

 

「シドー!みんなの分のお箸や水も用意したぞ!!

 

「ありがとう四糸乃、十香。こっちももうすぐできるぞ」

 

士道はそう言いうと四糸乃が用意してくれたお皿に料理を盛り、十香たちのいるテーブルへと置く。今日の朝食は目玉焼きにベーコンといたってシンプルな朝食であった

 

「「「いただきます!」」」

 

そう言い、三人は朝食を食べ始めた。すると十香は

 

「シドー!ご飯を食べたら!!」

 

「ああ。わかっている。四糸乃と一緒に街を歩くんだろ?」

 

十香の言葉に士道は頷く。昨日の夕食、四糸乃が天宮市の街を歩いたことがないと聞いた十香が街を案内すると言い士道もその付き添いとしていくことになったのだ。あの一件以来、十香は四糸乃のお姉さん代わりとして接している

 

「十香さん・・・・・士道さん。ありがとう…ございます」

 

四糸乃は嬉しそうにそう言うのであった。そして朝食を終え、皿を洗い片づけた後三人は出かける支度をし、天宮市の街へと向かうのであった

 

 

 

 

一方、フラクシナクスでは

 

「どうやら出かけたようね士道たちは」

 

「はい。先ほど十香ちゃんや四糸乃ちゃんと一緒に出掛けるのを確認しました・・・・・・それよりも司令。いいんですか学校を途中で抜け出して?」

 

「ちゃんと許可は取ってあるわよ。それに成績もちゃんと、とっているんだし問題ないわ」

 

「ですが士道君が知ったら怒られますよ?」

 

「うっ・・・・・とにかく今はあの三人の監視よ!」

 

「「「(あ、誤魔化した)」」」」

 

琴里の言葉にフラクシナクスの職員たちは苦笑するのであった

 

 

 

その頃、士道たちは四糸乃と十香とともに天宮市の商店街を歩いていた。初めて街を歩く四糸乃とよしのんは嬉しそうに街を歩き、そして十香もそんな四糸乃と一緒にはしゃぎながら街を歩いていた。そんな三人の姿を士道は微笑ましく見ていた。すると四糸乃とよしのんそして十香はある店の窓をのぞかせてじっと見ていたそれは・・・・

 

「ケーキだ」

 

「キーキです」

 

「ケーキだね?」

 

そうそれはケーキであった。三人はケーキを物欲しそうに見る。そしてたまに士道の顔をちらっといると士道は

 

「そうだな。じゃあ、おやつに買っておくか」

 

そう言うと3人(うち一匹)は嬉しそうな笑みを浮かべると士道は

 

「少し待っててくれ。今買ってくるから」

 

そう言い店に入り列に並ぶ。そんな中、士道は

 

「(十香たちが楽しんでくれてよかった・・・・・・そう言えばまだ十香や四糸乃の歓迎会もまだだったな。よし。後で琴里にも相談して今夜にでも歓迎パーティーでもするか)」

 

そう考えていた。この世界に転生してからもう数年、士道ことセブンはすっかり地球人としての暮らしになれていた

 

「(それにしてもこうして普通の地球人として暮らせる日が訪れるとはな・・・・)」

 

と、士道の脳裏にあることが映し出された。それは士道が転生する前、モロボシ・ダンであった時のことだ。タロウが地球人として生きることになってしまったため、急遽セブンが地球の防衛の任務を受けて地球にやって来たばかりのことだ。この時ダンは、かつてのウルトラ警備隊の同僚たちに会っていた。そしてダンを歓迎するためパーティーをしていた時のことだ。夜のバルコニーで夜風に当っていたダン。すると・・・・

 

「やあ、ダン。楽しんでいるか?」

 

「フルハシさん」

 

そこへ同僚であるフルハシ・シゲルがやってくる

 

「ええ、楽しんでいますよ。キリヤマ隊長やソガさん、アマギさんの方は?」

 

「ああ、楽しそうに酒に酔って歌っているよ」

 

とそう言うと家の方から楽しげな歌が聞こえた

 

「それよりもアンヌは残念だったな・・・俺たちもあっちこっち声をかけてみたんだが誰もその後の彼女のことはわからないらしい」

 

「うん・・・・・だがきっと元気でいると思います」

 

「そうだな・・・・・それよりもダン。君はセブンとしてこの地球を守るのと同時に新しい防衛隊のMacの隊長になるんだってな」

 

「はい。タケナカ参謀から頼まれまして・・・・」

 

「そうか・・・・・セブンとして・・・そして防衛隊の隊長として地球を守るのか‥…大変だなダン」

 

「いいや。私、一人だけではありませんよ。防衛隊の仲間たちとともに戦うんですから。そう。かつてフルハシさんたちと一緒に戦ったようにね」

 

「そうか・・・・そうだったな」

 

そう言い二人は星空を見上げていた

 

「なあ、ダン。お前にとってあの時はちょっとした寄り道だったんだろうな?」

 

「え?」

 

「いやいや、地球にいた時間さ・・・・・実はさダン。俺、娘がいるんだ」

 

「そうなんですか」

 

「ああ、もう大きくなっていてな。いつかは結婚をして子供を産む。そのとき俺はおじいちゃんだな。そしてその孫が子供を産んだらひいおじいちゃんだ。その孫が大きくなったときには・・・もう俺はこの世にはいないだろうな。ダン。お前は生きているんだろうな・・・俺の孫の孫のそのまた孫の代まで・・・・お前は生きているんだろうな」

 

フルハシがそう言いダンはワインを一口飲むと

 

「地球人に生まれたかった時があります。そしてずっとこの星で暮らしたいと思っていました」

 

「ははは・・・任務を終えたら君は帰ってしまうかもしれないが、またいつでも帰ってきてくれ。人間はお前たちを心から歓迎するよ。それがどんなに遠い未来でも、またこの星に寄り道に来てくれダン」

 

「ありがとうフルハシさん。私にとってもこの星は第二の故郷ですから。またお互いに会うのが楽しみですね。人間は受け継ぎ繰り返すことで成長する生き物じゃないですか」

 

「うん。その通りだな。ダン」

 

と、その後ダンとフルハシは星空を見上げて昔の思い出話をするのであった

 

 

 

 

「(まさかこうして地球人に転生するとは、あの時思わなかっただろうな・・・・・)」

 

「お客様?どうかされたんですか?お客様の番ですよ?」

 

士道が物思いにふけっている中、店員が声をかける。その言葉に士道は前を見るといつの間にか順番は士道のところまで来ていた

 

「え?・・・・ああ。すみません」

 

士道はカウンターへ行き、ケーキを注文するのであった。

 

 

 

一方、その頃、

 

「いや・・・・・今日は意外にも早く終わったな」

 

ペガッサ星人でありASTの司令参謀である平賀は仕事が予定よりも早く終わり家に帰宅しようとしていた。そして家に着く

 

「ただいま。帰ったぞ。さつき」

 

平賀は家へと入るが誰もいなかった。

 

「あれ?おかしいな今日はさつきの学校は休みのはずだ・・・・・ん?」

 

リビングに入ると机の上にいちまいの手紙が置いてあった。そこには

 

『お夕飯の材料を買ってきます。さつきより』

 

と書かれていた

 

「そうか…夕飯の買い物に出かけたのか・・・・今日は私が作ろうと思ったのにな」

 

そう言い、椅子に座る。その瞬間、テーブルが急に宙に浮くのだった

 

「うわっ!?なんだ?」

 

驚いた平賀は後ずさる。するとテーブルの下から謎の地下通路らしきものが現れる

 

「なんだ?こんなもの家にはなかったはずだ」

 

そう言いいらがは地下通路を覗き込むとその先は階段が続いており先はあまりよく見えなかった

 

「おかしい・・・・わがペガッサの技術でもましては地球のものではない・・・・・一応調べてみるか」

 

そう言い平賀は自室にいったん戻り戸棚の奥からさつきに秘密に隠していたペガッサガンを取り出しリビングへと戻る。そして謎の地下通路へと入る。そして中段辺りまで下りた瞬間、突然入った場所のゲートが閉じてしまうのだった

 

「なっ!?」

 

平賀は急いで出口のところに行きもち上げようとするが扉はびくともしない。そして離れてペガッサガンを撃つがそれでも扉はびくともしなかった

 

「ただの地球金属じゃない・・・・・宇宙金属だな」

 

そう呟いた瞬間。周辺から白い煙みたいなのが出てくる

 

「な、なんだ。この煙は!?」

 

平賀は煙に包まれると、急に意識が遠のくのであった。そして目が覚めるとそこは見知らぬ場所であり平賀は拘束されていた

 

「なんだ?ここはどこだ?」

 

平賀がそう言うと、急にどこからか声が響いてくる

 

『目が覚めたかね平賀参謀?いや、ペガッサ星人よ』

 

「誰だ?お前は誰なんだ!」

 

「君も宇宙人なら私のことは知っていよう。我々の名はバド星人だ」

 

「何!?バド星人!あの宇宙の低脳の!?」

 

『違う!宇宙の帝王だ!!宇宙一の哲学者ともいわれるペガッサ星人も大したほどはないな』

 

「それより、バド星人一体何しに来た!なぜこの世界にいる!」

 

『そんなこと答える義理はない。まあ強いて言えば地球を征服するためだ。だが過去の反省を生かし、強力な力が必要だ。そこで目を付けたのが君たちペガッサ星人の力だ』

 

「何!?どういうことだ!」

 

『ハハハハッ!とぼけても無駄だ。君たちの持つウ能力であるダークゾーンはブラックホールの一つだということはすでに知っている。もしあの力が我々に備えることができれば強力な兵器に変えることが可能だ。どうだね我々と手を組まないかね?』

 

「断るっ!君たちのような悪党に協力すれば地球・・・いや全宇宙を不幸に陥れる。お前らたちの協力なんかするものか!」

 

『ハハハ!!無駄な足掻きだ。どんな手を使ってでも君に協力してもらう。それができないのなら君たちペガッサ星人からダークゾーンの能力を奪えばいいだけの話だ。それに君は私たちに協力するためなら我々はどんな手を使って見せるぞ、アハハハハッ!!!!』

 

と、バド星人の笑い声が響くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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宇宙帝王?の罠

バド星人に捕らえられた平賀は、自白電波で拷問を受けていた。しかし平賀は決してバド星人の協力を拒み続けた

 

「だめだ。あの男。どんな手を使ってもうんともすんとも言わない」

 

「う~ん。協力がだめならっダークゾーンの力の秘密をしゃべってもらうために自白電波を使用したが、流石はペガッサ星人。一筋縄ではいかないな」

 

別室でバド星人と部下が話していた

 

「ならば作戦変更だ。奴の娘に協力してもらうしかないな」

 

と、そう言いモニターを見ると、ちょうど平賀の娘であるさつきが帰宅していたのだった。

 

 

 

 

「ただいま!!」

 

さつきは買い物かごを手に家に入ると誰もいない。

 

「さて、今日は何を作ろうかな?あ、そうだ今日はお父さんの大好きなのにしよう」

 

さつきはそう言い台所へ入り夕ご飯の支度を始める。すると・・・・

 

プルルル

 

突然電話が鳴る

 

「は~い」

 

さつきは返事をし電話に出る

 

「もしもし?」

 

『あ、もしもし?平賀さんのお宅ですか?』

 

さつきが電話に出ると電話から男の声が聞こえた

 

「はい。そうですが?」

 

『すみません。私は防衛省の者ですが、平賀さつきさんはいらっしゃいますか?』

 

「はい、さつきなら私です」

 

『そうですか。実はあなたのお父さん。平賀参謀について伝言がありまして』

 

「・・・・伝言?」

 

『はい。参謀は急に出張の仕事が入っため二、三日は帰ってきません』

 

「え?出張?」

 

『では・・・・』

 

「あっ!ちょっと待ってください!!」

 

さつきはそう言うが電話は切られてしまう。

 

「出張・・・・でもお父さん。どんな忙しい時でも連絡してくれるはずなのに・・・・・」

 

急に父親が出張で帰ってこないと言われさつきは困惑するのであった。そしてさつきは夕食の支度を終え、しばらく父の帰りを待ったが9時を回っても父である茂は帰ってこずさつきは父親の分を残し、自室へと上がる

 

「お父さん・・・・・本当にどうしちゃったんだろう」

 

さつきはポツリと呟く、平賀はさつきの母が亡くなって以来、彼女を心配させないように遅くなる時は必ず自分から連絡をするはずだった。そしてさつきは父のことが心配になり電話をかけても繋がらない。

 

「お父さん・・・・・・」

 

不安を抱くさつき。すると頭の上から小さい黒い渦が現れる

 

「あわっ!?いけない!いけない!!」

 

と慌てて手をぶんぶんと振り黒い渦ダークゾーンを打ち消す

 

「落ち着いて…落ち着いて・・・・・プロテペガペロリンガ・・・プロテペガペロリンガ」

 

さつきは必死に自分にそう言い聞かせる。そしてさつきは幼いころ不安になった時のおまじないを唱える。そして渦はだんだんと消えさつきは落ち着くのであった

 

「落ち着かないと・・・・もう寝ようかな」

 

そう言いさつきは不安な気持ちを押さえつけるため布団に入り眠るのであった。そしてどのくらい時間がたったのであろうか、さつきは変な夢を見た。それは人間じゃない不気味なものに追いかけられる夢であった。

 

「う・・・う~ん・・・・」

 

汗を流しさつきは悪夢にうなされる。そしてさつきは目を開けるとそこには見たこともないような不気味な宇宙人らしき人物がさつきの顔を覗き込んでいた

 

「っ!?きゃあぁぁぁー!!!」

 

その顔を見たさつきは悲鳴を上げて飛び起きる。そして明かりをつけ辺りを見渡すが何もいない。時刻はすでに5時ぐらいだった

 

「・・・・・・夢?」

 

さつきは汗をぬぐう。その瞬間、スマホの着信音が響く

 

「え?誰だろうこんな時間に・・・・・」

 

さつきはそう言いスマホを手に取り誰からの電話か確認するが知らない番号であった。

 

「・・・・・・もしもし?」

 

さつきは耳に当てそう訊くと・・・・・

 

『ヌハハハハッ!!!』

 

「っ!?」

 

不気味な笑い声にさつきは驚き思わずスマホを落とす。その瞬間、電気が消える

 

「え!?停電!!」

 

突然の停電にさつきは驚くが

 

「落ち着いて…落ち着いて・・・私。きっとブレーカーが落ちただけだわ。ブレーカーを戻せばきっとつくはず」

 

そう自分に言い聞かせ、さつきは懐中電灯をつけて部屋を出る。そしてその様子をバド星人たちは見ていたそして拘束している平賀に

 

「ペガッサよ。お前にいいものをお見せしよう」

 

そう言いバド星人は平賀にスクリーンを見せるそこには階段を降りるさつきの姿であった

 

「さ、さつき!!」

 

「君の娘が大事なら。我々にダークゾーンの秘密を教えろ!それとも彼女の上にある電灯を娘さんの上に落として見せようかな?それともいま彼女がつかんでいる手すりを圧し折って落として見せようか?どちらでもお好きなように選択するといいフハハハ・・・」

 

「さつき・・・・」

 

平賀はモニターでさつきを心配してみるとバド星人は

 

「よぉ~し・・・・・あれだっ!!」

 

バド星人がそう言った瞬間さつきの頭上にある電灯が彼女の頭めがけて落ちてきた

 

『きゃあっ!!』

 

電灯に気づいたさつきは悲鳴を上げてよけようとし階段から落ちてしまう。そして電灯はさつきがいたところへ落ち粉々に砕かれ、階段から落ちたさつきは床に倒れるのであった

 

「さつき!!さつき!!」

 

「アハハハ!君の声はおろかテレパシーもここでは届かん。それに君は遠くに出張に行っていることになっている。我々が君の娘に言った電話でな。さぁ・・・て今のはわざと外したのだ。次はこうはいかん・・・・・そろそろ仕上げと行くか」

 

「何!?さつきをどうするつもりだ!!」

 

「さあね?フハハハハ!!!!」

 

バド星人が高笑いをするとモニターが消える

 

「さつき!さつき!!(クソ・・・・ダン。さつきを・・・・さつきを助けてくれ)」

 

 

 

 

 

「うぅ・・・・・・」

 

階段から落ちたさつきは目を覚ます。

 

「確か停電がしてブレーカーのある場所に行こうとしたら電灯が落ちてきて……階段から落ちたんだ」

 

さつきは先ほどのことを思い出し、立ち上がる。外を見れば少し明るくなっていた。すると・・・・・

 

『フフフッフフ』

 

先ほどの不気味な笑い声が聞こえる。その笑い声を聞いた瞬間、さつきは顔を青くし両手で耳をふさぐ

 

「いやぁ!!!」

 

あまりの恐怖にさつきの不安や恐怖心は膨れ上がる。そしてあまりの怖さに家を飛び出そうとしたその瞬間、彼女の目も前にあるものが待ち伏せていたのかさつきの前に立っていた。

それはさつきの夢に現れ、そして彼女の顔を覗き込んでいたあのバド星人であった

 

「フハハハハッァ!!!」

 

「っ!?」

 

バド星人は高笑いをしさつきに迫ってくる。

 

「キャ・・・・キャアァァァ-!!!!」

 

その恐怖にさつきは悲鳴を上げ、その瞬間彼女の恐怖心が極限に達した。その瞬間彼女の体は紫色のオーラに包まれると、その瞬間、巨大な黒いブラックホールみたいなのが出現するのであった。

 

「う、うわっ!?」

 

そのブラックホールにバド星人は吸い込まれ姿が見えなくなるがワームホールは消えるはずもなくさつき自身もそのブラックホームに吸い込まれてしまうのであった

 

 

 

一方その頃、士道は日課の早朝ランニングしていた。

 

「ふう・・・・・・さて。そろそろ。戻ろうかな」

 

そう言い家に戻ろうと公園に差し掛かると

 

「は~るかな星が~故郷~だぁ~」

 

「ん?」

 

誰かが歌っているのを聞いて士道は声のする方へ顔を向けるとそこにはメトロンこと夢露が歌いながらオタ芸をしていた。すると夢露は士道に気づいたのか歌うのをやめて

 

「やあ、セブン・・・・いや士道君。おはよう今日もランニングかい?」

 

「ああ、おはよう夢露。それとセブンは止めてくれ」

 

「ははは。いいじゃないか。今は私と君だけさ。どうだい?君も一緒に踊るかい?」

 

「いや、せっかくのところ悪いけど。今日は遠慮するよ」

 

「そうかい?まあ強制はしないさ」

 

と二人がそう話していると・・・・・・

 

ウウゥゥゥーーーー!!!

 

急に町全体に警報が鳴り響く

 

「空間振・・・・・」

 

「そうみたいだね。どうやら君の出番が来たみたいだ」

 

「そうだな。じゃあ夢露。また」

 

「ああ、頑張りな」

 

そう言い士道は夢露と別れ自宅へと急行する。この時、士道は

 

「(なんだろう……ただの空間振じゃない気がする。私の第六感がそう言う・・・・もしかしてさつきさんに何かあったのか?)」

 

嫌な予感を感じながら士道は自宅へと急ぐのであった

 

 

 

 

 




この頃スランプ気味で今回の話はあまり自信がありません。次回は士道やラタトスク、AST。そして澤隊員を出して頑張って本格的にやりたいと思います


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ダーク・サイド

空間振の警報に市民が地下シェルターへ避難し、天宮市も町は誰もいなくなった。その瞬間、大きな黒い渦が現れ、町の建物を吸い込んだりまたはそれに起きる暴風で倒れたりする。そしてしばらくしてそこから一人の少女が飛び出てきた。そう先ほどバド星人に襲われていたさつきだった

 

「あ・・・れ?ここは・・・・・」

 

さつきは辺りを見渡す。

 

「え・・・・と。私、さっきまで家にいて・・・・・」

 

さつきは先ほどまで、自分が何をしていたのかを思い出す

 

「はっ!そうだ、私。変なのに襲われて・・・・・・て、あれ!?何この姿!!」

 

さつきは自分の姿を見て驚く。さつきの姿はパジャマではなく、白黒のゴスロリの服を着ていた。そして自分の姿を建物にあるガラスで見ると髪型も変わっていた

 

「なんで・・・・・それになんで私街の中にいるの?もしかして夢かな?」

 

そう言いさつきは自分の頬を抓る

 

「痛っ!やっぱり夢じゃない・・・・・・」

 

夢じゃないことを認識したさつき。すると上空から何かがやってくる。それはASTの隊員たちであった

 

「え?・・・・・なに?人が空を飛んでいる!?」

 

空からやって来たASTの隊員たちに驚くさつき。それはそうだろうASTは自衛隊の中でもトップシークレットの部隊であり空間振の原因である精霊を倒すための攻撃隊。精霊やASTの存在を知らないさつきが驚くのも無理はない

 

「やっぱり夢?・・・・でもあの変なお化けじゃなくて人なら助けてくれるかも・・・・お~い!!」

 

さつきは両手を振って呼びかける。しかしASTの隊員たちはさつきに銃口を向け

 

「新たな精霊発見!これより攻撃する!!」

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

空中艦フラクシナクス

 

「来たわね。士道・・・・・」

 

士道が来るとそこには琴里たちがいた

 

「琴里。また精霊か?」

 

「ええ・・・・でも今回は少しおかしいのよ」

 

「おかしい?」

 

琴里の言葉に士道がそう訊くと令音が

 

「空間振警報は出ている。だが、空間振が発生していないんだ」

 

「・・・・どういうことだ?」

 

「普通なら警報が鳴り空間振が発生し、精霊が出るのだが、その空間振の前兆が見えない」

 

「え?」

 

士道はモニターを見る。すると突如ブラックホールみたいなのが発生し、あたりを吸い込む

 

「ブラックホール・・・・・今まで空間振のとは違いますね?」

 

「(あのワームホール・・・・・・まさか!?)」

 

神無月の言葉とは裏腹に士道はそのワームホールを見て何か気づく。するとわワームホールから精霊みたいな少女が出現する

 

「っ!?」

 

その精霊を見た士道は驚愕する。そんな中、琴里は

 

「今まで見たこともない精霊ね?」

 

「いろんなデータを調べて見ますが未確認の精霊です」

 

「新種ってわけね・・・・・・・ん?士道どうしたの?」

 

椎崎の言葉に小鳥は頷く。だが士道はじっとモニターを見ていたそれを変に思った琴里は声をかけると

 

「・・・・・・やっぱり・・・間違いない。さつきさんだ」

 

「さつき?士道。あの精霊のことを知っているの?」

 

「彼女は精霊じゃない!私の知り合いの人の子で、うちの学校の後輩だ!」

 

「なんですって!?」

 

士道の言葉に琴里は驚くと中津川は

 

「確かに、彼女には精霊反応がありませんが・・・・それに似た別の反応があります」

 

中津川の言葉に琴里は士道を見て

 

「士道・・・・彼女のことについて何か知っている?もしかして彼女はあなたが言っていた宇宙人というものなのかしら?」

 

「・・・・・・」

 

琴里の言葉に士道は言うべきか迷った。だが・・・・

 

「いいや。()の彼女は地球人だ。それは私が保証する」

 

「・・・・・・そう」

 

士道の言葉に琴里はそう一言いっただけで何も言わなかった。すると

 

「AST!来ます!!」

 

川越がそう言うとモニターからはASTの隊員たちが現れる。するとさつきは彼女らに向けて両手を大きく振った

 

「何をしているのでしょうか?彼女は?」

 

「おそらく呼んでいるのでは?」

 

椎崎たちがそう言い。士道は

 

「まずい!」

 

士道がそう言った瞬間、ASTの隊員たちはさつきに向かって攻撃をしそれを見たさつきは慌てて逃げだす。それを見た士道は

 

「琴里!すぐに私を彼女のもとに転送してくれ!」

 

「え?」

 

「すぐにでも彼女を助けなければいけない!私は彼の父親にそう約束をしたんだ!それに下手をしたら彼女の能力であるダークゾーンが暴走する可能性がある」

 

「ダークゾーン?」

 

「いいから、早く!」

 

「わ、わかったわ」

 

士道の剣幕に琴里は頷き、士道をさつきのいる町の近くに転移させるのであった。そして琴里は

 

「・・・・・(士道は・・・・お兄ちゃんは十香とのデートの時以来、何か変わっている。それにやけに宇宙人に詳しすぎるし。あのウルトラセブンとかいう宇宙人に教えてもらったにしては不自然なところが多いわ。それにさっきの精霊に似た霊力を持つさつきという少女に対しての言い方も気になる。士道・・・・何を隠しているの?あなたは本当に私の知っているお兄ちゃんなの?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天宮市の街

 

「えっ!!?なんで!なんで攻撃するの!!?それに精霊って何!?」

 

さつきは今街の中を走ってASTの銃撃を必死に避けて逃げていた。声をかけただけなのになんで自分が攻撃されないのかとさつきは思っていた。そんな彼女にASTの隊員たちは

 

「追い込むわよ!集中攻撃!!」

 

「「了解!!」」

 

日下部の言葉に隊員たちはさつきに向かってミサイルや銃弾を発射する。それを見たさつきは

 

「ミ、ミサイル!?・・・・て、わっ」

 

ミサイル攻撃にさつきは思わずつまずき倒れる、そして振り向けば無数のミサイルがさつきの方へと向かう。それを見たさつきは

 

「(私・・・・死んじゃうんだ・・・・・いやだ…そんなの嫌だ!!)」

 

死にたくないそう思ったさつき。すると彼女の目の前に無数のカーブミラーぐらいのブラックホール・・・・ダークゾーンが現れてミサイルを吸い込み、ミサイルはさつきに一発も当たらなかった

 

「「なっ!?」」

 

放ったミサイルがさつきの出した(※正確にはさつきの恐怖心と不安感によって発生した)ダークゾーンに吸い込まれるのを見て日下部達は驚く

 

「ミサイルが仕込まれたですって・・・・・・」

 

日下部がそう言う中折紙は

 

「ならば・・・・当るまで撃つ!今なら仕留められる」

 

そう言い折紙は頬けているさつきに向けて対物ライフルを向けた。そして引き金を引こうとした瞬間、

 

ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!

 

突如彼女らの前に銀色のボールが三つほど飛んできた。そして・・・・

 

ボムッ!!

 

「「「っ!?」」」

 

銀色のボールから突如赤い煙がASTたちを包み込む

 

「な、何この煙!?」

 

「ゲホゲホゲホッ!!」

 

と、せき込むASTたち、そして折紙は

 

「煙幕のつもりなら無駄・・・・・・この程度の煙幕なら私には見えている」

 

そう言いフィ-ルドスコープを覗きさつきを捉え、また引き金を引こうとした瞬間

 

「「ぎえぇぇぇーーー!!」」

 

「「っ!??」」」

 

突如、煙を吸った5,6名の隊員たちが奇声を上げて、日下部や折紙、そしてほかの隊員へ襲い掛かった

 

「ちょっ!?あんたたちどうしたのよ!!」

 

「おいっ!髪の毛引っ張るな!・・・て、誰!どさくさに紛れてお尻触っているの!!」

 

「邪魔しないで!奴を撃てない!!」

 

発狂した隊員たちのせいで折紙は撃てない状態であり、他の隊員も発狂した隊員を押さえつけるのに精いっぱいであった。そして少し離れた建物でその様子を見ていたのは

 

「やれやれ・・・・貴重な宇宙ケシの実煙幕弾なのに三つも使っちゃたね。まあ、これで少しは時間が稼げるでしょう」

 

先ほどの煙幕弾を投げたのはメトロン星人こと夢露であった。そして夢露は

 

「さてと・・・・・じゃあ、後は頼むよセブン・・・・・いや士道君」

 

そう言い彼女は姿を消すのであった

 

 

 

 

 

 

 

「え?何?何が起きたの?」

 

さつきが混乱していると

 

「さつき君!!」

 

と、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた。そして彼女の目の前に一人の少年が立っていた

 

「い・・・・五河・・・・先輩?」

 

「大丈夫か?ケガはないか?」

 

「は・・・はい。せ、先輩・・・なんでここに?それにあの空を飛んでいる人たちは・・・・・」

 

「説明は後だ!とにかくここを離れよう」

 

士道がそう言うとさつきは頷き、とともに逃げる。そして人気のない路地裏当たりのところまでつく

 

「もう、ここいら辺までくれば大丈夫だ」

 

「先輩・・・・・ありがとうぎいざいます。あ、あの・・・・・」

 

さつきは何で士道がここにいるか訊こうとした瞬間、

 

『へへっ!捕まえたぞ!!』

 

「きゃあっ!?」

 

「っ!?」

 

突如ごみ箱からさつきのダークゾーンに吸い込まれたはずのバド星人(部下)が飛び出し、さつきを捕まえる。

 

「さつき君!!」

 

「おっと、地球人の少年。ありきたりなことを言おう。動くな動けば彼女の命はないぞ?」

 

そう言い光線銃をさつきの頬につけそう言うバド星人

 

「お前はバド星人!!」

 

「・・・・・ほう?この宇宙でも我々の名が知れ渡っているとはな。アハハ!やはり帝王の名は全宇宙に広がっているのだな!!」

 

と悪党のごとく高笑いするバド星人。そして士道は

 

「バド星人!彼女に何をさせるつもりだ!」

 

「そんなことお前が知る必要はない!さて、地球人の少年よ我々の姿を見られたからにはお前には消えてもらうぞ」

 

「五河先輩逃げてください!!」

 

さつきがそう叫びバド星人は光線銃を士道に向け士道は構える。すると、突然銃声が鳴る

 

「ぐわっ!!」

 

「「っ!?」」

 

銃声が止み、バド星人は倒れる。そして炎に包まれ消えるのであった。すると・・・

 

「あなたたち!大丈夫!!」

 

と、そこへ一人の女性が拳銃を片手に立っていた。そして女性は士道を見て目を見開き・・・・・

 

「あなたは・・・・・五河士道君!?」

 

「あなたは・・・・あの時の?」

 

士道も驚いた表情をしていた。なぜなら、士道を助けた女性は以前のハイキングでともにクール星人と戦い。そしてAATの隊員であり、そして現在休暇を取っているはずの澤梓隊員だったのだった。

 




次回でセブンに変身させたいと思います


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澤の疑念、精霊と宇宙人の謎

「あなた・・・・・五河士道君?」

 

バド星人に襲られた二人を救ったのは、AATの隊員である澤であった。彼女はCRユニットを着て彼らの前に立つと、士道が

 

「あなたは・・・・・ASTの・・・」

 

「ASTを知っている?・・・・まあ、いいわ。士道君。なんであなたがここにいるの?それにこの子は・・・・」

 

梓は士道の後ろに隠れわなわなと震えているさつきを見る

 

「(恰好からして普通の子じゃない…だとすると精霊?いや。リアナイザーに搭載されているレーダからして精霊反応がない・・・・だとすると宇宙人かしら?)」

 

と、さつきをじっと見ていると・・・・

 

「こっちに行ったはずよ!」

 

「探せ!!」

 

「「「っ!?」」」

 

突如後ろから声が聞こえ、梓は

 

「まずい。士道君。悪いけどここにその子と一緒に隠れて」

 

「え?」

 

「いいから早く!!」

 

と梓は先ほどバド星人が隠れていた大きな空のポリバケツの中に士道たちを隠す。そして二を閉めた瞬間。澤の同僚二人がやってくる

 

「あれ!?澤三曹!?何であんたがここにいるのよ。謹慎中だったでしょ?」

 

「休暇よ。空間振が起きたらたとえ休暇でも出動するのはASTもといAATの仕事じゃない」

 

「全く、あなたって昔から真面目ね~」

 

「・・・で、あなたたちは何を探しているの?宇宙人?」

 

「それはあんたの管轄でしょ?あたしたちのは決まっているでしょ?精霊よ。せ・い・れ・い!!」

 

「まあ、細かに言えば精霊みたいのかな?」

 

「精霊みたい?どういうこと?」

 

と、澤が隊員二人と話している中、彼女の真後ろにあるバケツの中では

 

「(はわわ!!い、五河先輩////!?)

 

密着状態でさつきは顔を赤くし慌てる。そして士道は

 

「(さつき君。すまないがじっとしてくれ)」

 

「(で、ですが、近いです先輩。それにあの人たちは何ですか?それにあの変なお化けも・・・・・)」

 

先ほどのことを思い、足さつきは不安そうな表情をし震えると士道が

 

「(大丈夫だ・・・・大丈夫。私がついている。だから怖がることはないよ)」

 

「(せ、先輩・・・・・・)」

 

士道の言葉にさつきは安心したのか、気を失い。そして姿も元の服装に戻るのだった

 

「・・・・で、澤。あんた精霊を見なかった?こういうやつなんだけど?」

 

その一方で澤は士道とさつきの隠れているバケツを庇いながら同僚と話していた。そして隊員の一人がスマホの写真で取ったさつきを澤に見せるが・・・・・

 

「いいえ。見てないわ」

 

「そう・・・・それじゃあ私たちは戻るけど、三曹も行く?」

 

「いいえ。遠慮するわ」

 

「そっか、梓。今は謹慎中だもんね~~」

 

「日下部隊長にバレたら怒られるもんね~」

 

「もう!だから休暇だって!」

 

「アハハ!そう言うことにしとくわ」

 

「じゃあ、梓。私たちはこれで・・・・」

 

と、そう言い二人は去っていき澤はほっと溜息をつくと、バケツの蓋を開けて

 

「士道君。もう大丈夫だよ」

 

澤がそう言うと士道はバケツから出てきてそして、士道はバケツの中にいるさつきを抱き起す。そして彼女を背負うと

 

「あ、ありがとうございます。助けていただいて」

 

「いいのよ・・・・・それとその子は・・・・」

 

士道が礼を言うと梓は士道の背負われているさつきを見る。先ほどのゴスロリの服装ではなく普通のワンピース姿のさつきが気を失っていた

 

「あれ?服装が変わっている・・・・・士道君。この子は一体・・・・」

 

「説明は後です。とにかくこの子を安全な場所に移さないといけません。ちょうど私の家がすぐ近くにありますので・・・・・」

 

「わかったわ。私も一緒に行くわ」

 

「え?しかし・・・・」

 

「さっきの変なの。あれも宇宙人でしょ?見たところあの宇宙人はこの子を狙っているみたいだし、自衛官として放っておけないわ。それにあなたにも訊きたいことがあるの」

 

真剣な目で士道を見る澤。そのまなざしを見た士道は

 

「・・・・・・・わかりました。ではついてきてください。こっちです」

 

「わかったわ」

 

そう言い士道はさつきを背負いそして澤とともに自分の家へと向かうのであった

 

 

一方、フラクシナクスで様子を見ていた琴里達は頭を抱えていた

 

「司令。まずいことになりましたね・・・・・」

 

「ええ、このままフラクシナクスに回収できればと思ったけど。まさかASTの隊員が一緒だなんて、しかも前のハイキングで士道と一緒にいたやつじゃないの・・・・なんか勘がよさそうだから下手にこちらからはうかつに手が出せないわね・・・・・というよりなんで家についてくるのよ最悪だわ・・・・・・」

 

琴里がため息をついてそう言うと令音が

 

「ここはシンを信じて見守ろう琴里。彼ならうまくごまかしてくれるさ」

 

「だと、いいんだけどね・・・・・」

 

令音の言葉にに琴里は複雑そうな表情を浮かべてモニターに映る士道を見るのであった。その映像はちょうど士道たちが家に着いたことであった

 

「さ、上がってください」

 

「失礼します」

 

士道が家に上がるとそれと同時に澤も一礼して家に上がる

 

「あ、シドー帰ったのか?」

 

「おかえりなさい士道さん」

 

そこへ十香と四糸乃がやって来た

 

「ああ、今帰ったよ二人とも」

 

「朝早くにどこに行っていたんだ?それにシドーその背中にしょっている女とそこの女は?」

 

十香が首をかしげてそう訊く中、澤は玄関で出迎えた二人を見て驚いていた

 

「(え!?何でプリンセスとハーミットがここにいるの!?)」

 

精霊で二人に瓜二つというか同一人物を見て澤は口を開けて驚きながらそう思うと士道は

 

「ああ、彼女は澤梓さん。ほら、この前のハイキングで駅まで送ってくれた」

 

「ああ、あの時のか?それで?そいつは?」

 

十香がさつきを見てそう言うと士道は十香や四糸乃のそばまで来て小声で

 

「(十香、四糸乃。実はこの子・・・・・・・・は君たちと似た境遇の子なんだ。でも後ろにいる人は知らないから話を合わせてくれ)」

 

「(わ、わかった)」」

 

「(わ、わかりました士道さん)」

 

士道の言葉に二人は小さくうなずくと

 

「実はこの子は十香と俺の学校の後輩だよ。さっき起きた空間振で倒れているのを俺と澤さんが見つけたんだ・・・・・そうでしょ澤さん?」

 

「え?・・・・・ええ、そうなのよ」

 

「「へ~そうなのか?」」

 

士道の言葉に澤は空気を読んだのか頷き同じく十香たちもうなずいた

 

「それでこのままにしておけないから家に運んだんだ」

 

「そうか。ならシドー。私たちにできることはないか?」

 

「わ、私も何か手伝うことがありますか士道さん?」

 

「ああ、じゃあ十香と四糸乃は彼女を運んでくれ。頼む」

 

そう言うと二人は頷き、十香はさつきを背負って、自分の部屋のベッドにそして四糸乃は彼女が風邪をひかないように毛布を持ってきて彼女にかけていた、。そして士道と澤はリビングにいた。そして士道は彼女にコーヒーを入れていた。

 

「シドー。彼女をベッドに運んだぞ?私たちはあの子が少し心配だからそばにいるぞ?」

 

「わ、私も一緒にいます」

 

「ああ、ありがとう十香。四糸乃。もし彼女が目を覚ましたら教えてくれ」

 

「「わかった(りました)」」

 

そう言い二人はさつきのところに行く。見ず知らずとは言え、やはり心配なのであろう。士道は彼女らの優しさに嬉しさを感じながら、コーヒーカップにコーヒーを入れると澤のところに持っていく

 

「さ、どうぞ。砂糖やミルクは必要ですか?」

 

「ありがとう。後ブラックで大丈夫よ」

 

そう言うと澤は士道に礼を言いコーヒーを飲むと士道は

 

「澤さん。先ほどは助けていただいてありがとうございました」

 

「礼を言われるほどじゃないわ。士道君・・・・・それでなんだけど」

 

そう言い澤はコーヒーカップを置き、真剣な顔をする

 

「あなたはいったい何者?」

 

「何者って言うと?」

 

「とぼけないで士道君。あなたは前のハーミットで精霊のことを知っていた。それに私たちASTのことも。ただの一般人ではないことは目に見えてるわ」

 

「・・・・・・」

 

澤の言葉に士道は黙る。自分が精霊を保護するラタトスクに所属していることは彼女には言うことができない。どう説明すべきか迷っていると澤はクスリと笑い

 

「なんてね。実はそのことについては大体見当がついているのよ」

 

「え?」

 

澤の言葉に士道は少し驚くと澤は

 

「あなた。鳶一折紙一曹の友達でしょ?前に彼女があなたの写真を見てにこにこしているのを見たし、よく彼女があなたのことを言っていたわ。だからこの組織も精霊も彼女から聞いて知っていた。そうでしょ?」

 

「え・・・ええ。まあそうです(全部言う必要はないな。ここは彼女に誤解されたままにしよう・・・・)」

 

さすがに違うとは言えない士道は、精霊やASTのことを折紙に聞いたことという事にした

 

「全く鳶一さん。いくら友達でも精霊やASTのことは他人には他言無用だと日下部隊長に言われているのに・・・・・」

 

軽くため息をすると澤は

 

「(ハーミットやプリンセスがここにいるのは気になるけど・・・・まあそれは置いといていいわね)士道君。実は私が訊きたかったのは精霊のことだけじゃないの。宇宙人のことについてなのよ」

 

「宇宙人のこと?」

 

「ええ、士道君。あなたは宇宙人に詳しいみたいだから。詳しく教えてほしいのよ」

 

澤はメモとペンを出して士道に質問に士道はコーヒーを一口呑むと

 

「そうですね・・・・・・宇宙人といってもその種類と性質は多種多様です。以前のクール星人のような種族もいれば、種族を持たない個体も存在します。はっきり言って言葉ですべてを説明するのは難しいです」

 

「なるほど・・・・」

 

「それに一部の星人にはエネルギーの消費を避けるために普段は人間くらいの大きさになるが、自身に危険を感じるか徹底的に相手を倒そうとするときには巨大化する」

 

「なるほど一部の宇宙人は巨大化する・・・・・・・ではあの巨人。ウルトラセブンも普段は人間の大きさになっているの?」

 

「ああ…たぶんそうだと思う」

 

さすがに自分だと言えない士道はそう返事をすると

 

「それで士道君。そのウルトラセブンとは何者なの?」

 

「セブンは・・・・・・地球からはるか遠く離れたM78星雲という星からやってきた宇宙人で地球の平和のために戦ってくれる宇宙人だ」

 

「なるほど・・・・悪い宇宙人にそれを倒す正義の宇宙人。まるで特撮やアニメのヒーローね」

 

澤はふんふんと頷きながらメモを取ると士道は

 

「澤さん。だが一つ忘れないでくれ。セブン以外の宇宙人が皆、悪い奴ばかりじゃない。いい宇宙人もいる。それの区別もしないで宇宙から来ただけで差別をしないでくれ。かつてそれで悲劇的なことが起きたことがある」

 

「なるほど。人間と同じなのね。わかったわ」

 

と澤は頷くと

 

「それで士道君。さっきあの子を襲っていたのは・・・・・」

 

「バド星人だ」

 

「バド星人?それはどんな宇宙人なの?」

 

「宇宙の帝王を自称する宇宙人で、今来ているのはどういう目的は知らないが、前来た個体は地球を爆破するためにやってきた宇宙人だ」

 

「宇宙の帝王・・・・・それって強いの?」

 

「いや、おそらく澤さんでも簡単に勝てると思います」

 

「え?宇宙の帝王なのに?」

 

「彼らが自称しているだけで本当かどうかは知りません。ただ格闘戦は弱いとだけ言っておきましょう」

 

「そ、そう・・・・それでそのバド星人が襲っていたその子は・・・・・」

 

「あの子は私の学校の後輩だ。名前は平賀さつき」

 

「平賀・・・それにさつきって・・・」

 

「ご存じなのですか?」

 

「え・・ええ。少し心当たりが、もしかしてその子のお父さん自衛隊の参謀職をしている平賀茂さん?」

 

「はい。その通りです」

 

「やっぱり・・・・・・前に参謀が写真を見せてくれたからもしやと思ったけど・・・・・でも、同僚から聞いてもあの子の能力は・・・・・・士道君彼女には精霊の反応はなかった。あの子は宇宙人なの?」

 

「いいや。彼女はれっきとした地球人だ。それに宇宙人だったら茂さんも宇宙人になってしまうぞ?」

 

「ああ。そうねそうよね・・・・・」

 

と、澤が苦笑してそう言うと澤は

 

「じゃあ、なんで精霊反応に似た反応があったかのかしら?同僚の話によればブラックホールを作り出したって言っていたけど・・・・・」

 

「それは・・・・・・・・私にはわからない。ただ、中には不思議な能力を持った人がいると聞いたことがある。たとえば未来を予知できたりね」

 

士道はふっとウルトラ警備隊時代に出会った未来を予知する能力を持った安井という男を思い出した。その人はその後はキリヤマ隊長と親しい仲になり、今はたくさんのお孫さんに囲まれ隠居生活を送っているという・・・・・

 

「なるほどね。つまりさつきちゃんもその一人だと?」

 

「ええ、おそらくは・・・・・」

 

士道と澤がそう話していると

 

「シドー!あの子が目を覚ましたぞ?」

 

十香がやってきてさつきが目を覚ましたことを知らせる

 

「わかった。ありがとう十香」

 

十香に礼を言い、部屋に向かうと、そこにはさつきがベッドに座っていた

 

「あ・・・・先輩」

 

「さつきさん。よかった目を覚まして。具合の悪いところはないかい?」

 

「はい。大丈夫です。夜刀神先輩や四糸乃ちゃんのおかげでなんともありません」

 

「ん?私のことを知っているのか?」

 

十香はさつきが自分のことを知っているのに疑問を抱くが

 

「はい。夜刀神十香先輩。一年の間では鳶一先輩と同じくらい有名なので・・・・・」

 

「そうなのか?」

 

「はい。いろいろと・・・・・」

 

さつきは苦笑してそう言う。それを見た士道と澤は

 

「「(プリンセス(十香)。学校の一年たちにどんな風に言われているんだ?)」」

 

と不思議に思っていた。そしてその後、士道と澤は、さつきになぜ街の中で倒れていたのかを訊くと・・・・・

 

「あ・・・・あの実はわたし、家にいたんです。ですけど変な現象が起きて・・・・」

 

「変な現象?」

 

「はい。突然電気が消えたり、突然照明が落ちてきたり・・・・・それで電話が突然鳴って、出たら不気味な笑い声がして…私怖くなって家を飛び出そうとしたら、さっき街で出たあのお化けが襲ってきて・・・・・」

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

「落ち着いてください・・・・・」

 

十香と四糸乃が震えるさつきを落ち着かせると士道は

 

「間違いない・・・・・・バド星人の仕業だ」

 

「それにしても宇宙の帝王を名乗るにしてはやり方が幼稚ね・・・・・・・ねえ、さつきちゃん。あなたお父さんはどうしたの?一緒じゃなかったの?」

 

澤がそう質問すると

 

「お父さんは・・・・昨日から帰ってきていません・・・・・電話では出張だと・・・・」

 

「出張?おかしいわね・・・・・・今日の参謀には出張の予定はなかったはずよ。それに私は参謀が自宅に帰るのを見送ったはずだし・・・・・」

 

「あ・・・・あの。あなたは?」

 

「ああ、私は澤梓。あなたのお父さんの部下に当る人よ」

 

「じゃあ、彼方は自衛隊の人?」

 

「ええ。そうよ・・・・士道君。これはもしかしたら参謀に何かあったのかもしれない。一度参謀の家に行ってくる」

 

「では私も行こう。もしかしたらバド星人がその家に潜んでいる可能性がある」

 

そう言うと二人は頷いて立ち上がると

 

「十香、四糸乃。私は少し出かけてくる。二人はどうやら怪しい宇宙人に狙われているんだ。だからここに残ってこの子を守ってくれないか?」

 

「わ、わかった。後輩を守るのも先輩の役目だからな。シドー任せてくれ」

 

「士道さんお気をつけて・・・・・」

 

十香と四糸乃が頷く中

 

「せ、先輩・・・・・・」

 

さつきが不安そうに言うと士道は少し微笑み

 

「大丈夫だ、さつきさん。君も。君のお父さんもきっと助ける。だからここで十香たちと待っててくれ」

 

力強くそして安心できるような声で士道がそう言いいい、士道は十香や四糸乃にさつきを任せて

澤とともにさつきの家へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

「ふふふ・・・・・邪魔が入ったが、あの少女のダークゾーンの威力は凄まじい・・・・是非ともその力を我々のものにしたい」

 

「やめろ!さつきに手を出すな!!」

 

「ならばペガッサ星人。我々にダークゾーンの秘密を教えろ。貴様らの科学力のことだ。その力を武器にできる兵器を作り出すことができるはずだ」

 

「そ・・・それは教えることはできない!あれは与えることのできない能力だ」

 

「そうか、ならいい!どうせ君は拘束されて動くこともできまい。あの子娘を利用し地球を滅亡させる!」

 

「ふっ!そんなことウルトラセブンが許すはずがない!」

 

「アハハハ!!何を世迷言を!この宇宙の世界には奴らの故郷M78星雲が存在しないことはすでに調査済みだ。それにセブンはマグマ星人との戦いで変身能力も失い、さらにあのブラックスターの円盤生物の奇襲によって命を落としていることはすでに知っている!!まあ、万が一にもセブンや宇宙警備隊の連中がこの世界に来たとしても我々には切り札がある」

 

「切り札だと?」

 

「そうだ。メタルニア星から連れてきた心強い切り札がな・・・・・・・おっと。どうやら客人のようだな・・・・」

 

バド星人がモニターで見ると玄関前に士道と澤がやってきていた

 

「(ダン・・・・澤三曹・・・・)」

 

「ふふふ・・・・飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。これは歓迎しないとな・・・・」

 

バド星人はそう言い不気味に笑うのであった。

 




更新が遅くなってすみません。あと前回の時、士道をセブンに変身させると書きましたが。すみません次の話で必ず変身させます。



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バド星人の奥の手、恐怖のブーメラン怪獣

さつきの家にバド星人たちが潜伏し、そして平賀参謀がバド星人に捕らえられている可能性があると見た。士道と澤はさつきの家に向かっていた。

街はいまだに空間振警報が解除されていないのか、誰もいなかった。そしてさつきの家に向かい最中、澤は

 

「士道君…あなたはただの学生よね?戦えるの?今なら引き返せるわよ?」

 

「大丈夫です。自分の身は自分で守れます。それを言うなら澤さんの方は大丈夫なのですか?」

 

「自衛隊員をなめないで頂戴。これでも私は幼いころから少林拳法を習っていたから大丈夫よ」

 

澤がそう言うと士道は

 

「(少林寺拳法・・・・・ゲンを思い出すな・・・・・ゲンは今頃何をしているのだろうか・・・・・)」

 

士道は自分の弟子であるゲンのことを思い出していた。自分が・・・MACがいなくなった今、一人で戦うことになっているだろうが、一人で大丈夫だろうか・・・・そう彼のことを心配していた

 

「士道君。大丈夫?」

 

「え・・・・・ああ、大丈夫です」

 

心配そうに言う澤に士道はそう言い、二人はさつきの家に到着する

 

「ここがそうね?」

 

「はい・・・・・」

 

二人がそう言い念のためにインターホンを押すが無論返事はない。そして二人は家のドアの前に立ちノックをするがそれも返事がなかった

 

「いないわね・・・・・・」

 

「とにかく入りましょう。もしかしたら監禁されている可能性があります」

 

「いや、入るってどうやって入るのよ?見たところ鍵もかかっているし・・・・はぁ・・・こんなことならさつきさんから鍵を借りてくればよかった」

 

と、ため息をつく澤だったが

 

「あ、それなら、問題ないですよ?」

 

「え?」

 

そう言い士道は懐からケースを取り出し、そこから4つのカプセル・・・・・・ではなく一本の鍵を取り出し、ドアのカギ穴に差しドアを開ける

 

「さ、入りましょう」

 

「え・・・ええ・・・・・・・て、ちょっと待て!?何であなたがこの家のカギを持っているの!?」

 

「え?ああ、これは以前、ペガ・・・・・茂さんから預かったものだよ。もし何かあったらこれで入ってくれって」

 

「参謀が?・・・というより士道君と参謀てどんな関係なのよ?参謀の娘さんの先輩だけじゃ鍵なんて渡さないわよ?」

 

「まあ・・・・彼とは古い知り合い・・・・・かな?」

 

「古い知り合いって、士道君一体いくつなのよ・・・・」

 

いろいろと突っ込みたいところだが、これ以上は面倒だと、軽いため息をつき澤はこれ以上士道には何も言わなかった。そして家の中に入るが中には誰もいなかった。

 

「誰も・・・・・居ないわね?」

 

澤がそう言い一歩前へ踏み出した瞬間

 

「危ない!」

 

そう言い士道が澤を押し倒すと、壁にかかっている鏡から光線が放たれる。そして澤はすぐに体勢を立て直し拳銃で光線が飛んできた方へ撃つと、そこからh名が聞こえたかと思った瞬間二人の前にバド星人が現れ,先ほど澤に撃たれたのか胸を押さえ倒れると青白い炎とともに消えてしまい、残ったのは黒い灰とバド星人の持っていた光線銃だけだった

 

「やっぱり、バド星人はここに潜伏していたみたいですね?」

 

「そうね。ありがとう士道君。助かったわ」

 

澤は士道に礼を言いうと、先ほどのバド星人の光線銃を拾い

 

「参謀が危ないわね。もしかしたらこの部屋のどこかに監禁されているかもしれないわ。士道君。私は上の階を調べてみるから、士道君は下をお願い」

 

「わかりました」

 

「ああ、あとこれ」

 

澤は士道にもう一丁、予備として持っていた拳銃を渡す

 

「本当は一般市民にこういうことしちゃいけないんだけど。万が一はこれで身を守ってね」

 

「は・・・はい」

 

 

そう言い士道は拳銃を受け取り、梓は上の階段へと上がる、

 

「・・・・・・・よし」

 

士道は梓が見えなくなったことを確認し、胸ポケットからウルトラアイを取り出し、装着しようとした瞬間

 

『士道!士道聞こえる?』

 

急にインカムから琴里の声が聞こえた。その声に士道は少し驚いたが、すぐにインカムを取り

 

「琴里か?どうした?もしかしてさつきさんに何かあったのか?」

 

『いいえ。彼女は今あんたの家で十香たちと打ち解けているみたいで楽しくおしゃべりしているわ。まあ若干不安そうな所見せているけど、そこは十香が励ましたりしているわ』

 

「そうか・・・・」

 

『それで士道。あんた本気?宇宙人から彼女の父親助けるなんて?』

 

「彼女と約束したからな。必ず助けるとね。あのバド星人のことだきっと何か悪いことを企んでいる。早く彼女の父親を助けなくてはいけない」

 

『そう・・・・』

 

「ん?どうしたんだ琴里?」

 

『士道・・・あんた本当に何者なの?』

 

「え?」

 

『あんた、十香と出会ってから・・・・いやあのハイキングの時、セブンという宇宙人が現れてからおかしいわよ。ただの高校生にしては宇宙人について詳しすぎよ』

 

「それを言うなら、中学生で精霊を保護する組織の司令官をしている琴里もそうじゃないか?」

 

『それはそうだけど・・・・・・』

 

「琴里。安心しろ。俺はお前のお兄ちゃんだよ。お前が不安になる気持ちもわからなくはない。だが、俺を信じてくれ」

 

士道がインカムでそう言い琴里はしばらく黙っていたが

 

『・・・・分かった。でも無理だけはしないでよね』

 

「ああ、約束する」

 

そう言い士道はインカムのスイッチを切り、そして・・・・

 

『デュワっ!!』

 

ウルトラアイを目にかざし、士道はウルトラセブンへと変身する。そしてセブンは辺りをきょろきょろと見渡し、そして大きな鏡の前に立つ

 

「(やはり・・・・・以前と同じようにこの中に潜んでいるな)」

 

セブンはそう思い鏡に手をそっと触れる。そしてセブンの手は鏡に吸い込まれていき、そしてセブンは鏡の内部へと入るのだった

 

 

 

 

一方、バド星人の宇宙船内では警報が鳴っていた

 

「ん!?どうしたんだ!」

 

「ボ、ボス!大変です!!侵入者です!!」

 

「なに!?あの地球人か?」

 

「い、いえ!ウルトラセブンです!!奴は次々と仲間を倒してこちらにやってきています!」

 

「なっ!?そ、そんな馬鹿な!奴め生きていたというのか!?それになぜこの世界に!?」

 

部下の言葉にリーダーのバド星人は驚くと平賀は

 

「バド星人。もう諦めろ。侵略なんて諦めてこの星を去れ」

 

「黙れペガッサ星人!!ええい!仕方がない。もうこうなった以上、お前からダークゾーンについて聞くのは諦めよう。しかしこの地球は破壊させてもらう」

 

「そんなことセブンが許さないぞ!」

 

「アハハ!今にセブンも我々の連れてきた奴の餌食になるだろう。なんだって奴はウルトラマンを一度倒したことのある怪獣だからな!!」

 

「まさか・・・・・ゼットンか?」

 

「さあぁね?」

 

とそう言いバド星人は高笑いすると彼の背後にあったドアがものすごい勢いで倒れる

 

「ぐわっ!!」

 

倒れたドアに押しつぶされバド星人が倒れる。そして倒れたドアからセブンが入ってくるのだった

 

「茂さん・・・いやペガ。大丈夫か?」

 

「ダン!すまない助かった」

 

セブンは平賀を拘束している金具を外す

 

「ダン。さつきは?」

 

「大丈夫だ。さつきさんは今私の家に保護している。それよりバド星人は?」

 

「バド星人なら・・・・・・・」

 

そう言い平賀はバド星人のいるところに指をさすと・・・・

 

「・・・・・・」チーン

 

ドアの下敷きになり口から泡を吹いて絶命しているバド星人の姿があった

 

「「・・・・・・」」

 

その姿に二人は一瞬、黙るが平賀は

 

「ダン!奴らは怪獣を隠し持っている。すぐにでも止めないと天宮市は大変なことになる」

 

「怪獣だと?]

 

そう言った瞬間、地面が揺れ始めた。

 

「な、なんだ!?]

 

平賀がそう言うとモニターから一つの映像が映し出された。そこは天宮市の街であった。そしてその道路が光ったかと思うとそこから大きな罅が割れ。そして地面がむくれあがったかと思うとそこから頭にブーメランをつけた巨大生物が叫び声とともに現れる

 

「なっ!?あいつは」

 

セブンはその怪獣に見覚えがあった。

そう、バド星人が言っていた奥の手というのは、かつてウルトラマンレオを倒し、自分と同じ頭部のブーメランを自在に操る怪獣、凶剣怪獣カネドラスだったのだ。



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セブンvsカネドラス。天宮市ブーメラン対決!!

フラクシナクスの中では

 

「士道君は無事にあの子の父親を見つけ出したのでしょうか?」

 

椎崎がそう訊くと中津川が

 

「大丈夫だとは思いますよ。一応ASTの隊員もそばにいますから・・・・」

 

「でも驚きましたね。まさかASTの隊員が一緒だなんて」

 

箕輪がそう言うと神崎も先ほど調べたさつきのことについて書かれたファイルを見て

 

「それもそうですが、まさか今回現れた精霊のような能力を持った少女が自衛隊の官僚でありASTの参謀、平賀茂准将のお子さんだったとは」

 

「ええ。それに士道が学校の後輩であるさつきではなくその参謀と知り合いだったということもね・・・・本当に士道は謎が多いわ」

 

深くため息をつく琴里。

 

「それで琴里。今後、あの自衛官はどうする?彼女、感がすごくよさそうだが?」

 

「そうね・・・あのASTの隊員、一目で十香と四糸乃の正体に気づいているみたいだし・・・・・・いっそ、こっちに引き込んだ方がいいかしら?いいや。でもあの隊員。士道に付きまとっているし・・・いっそのこと消したほうが・・・・・」

 

「「「ひっ!?」」」」

 

琴里の体から黒いオーラが現れ、それを見た職員たちは震えだす。それを見た令音はため息をつき

 

「琴里。落ち着きたまえ。それについては今後考えるとして。今はシンのことだろ?」

 

「ああ、そうだったわね・・・・・そう言えば十香たちの方はどう?」

 

「はい。モニターで確認する限り、今はさつきって言う子と打ち解けて楽しくお話ししているみたいです」

 

「そっ・・・・それはよかったわ。それで先ほど彼女が出したブラックホールみたいなのは解析できたの?」

 

「はい。調べてはみたんですが、あれは精霊の天使でもましては精霊の能力でもないみたいです。何というか生まれついての能力と言いますか・・・・」

 

川越がそう言いかけた時、急に警報が鳴る

 

「っ!?どうしたの!!」

 

「地下から巨大な反応が出ました!!」

 

「なんですって!」

 

琴里がモニターを見ると道路がひび割れ大きく裂ける。そしてそこから巨大なブーメランを頭につけた怪獣カネドラスが現れるのであった

 

「あれは・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「平賀参謀!何処ですか!?」

 

同時刻、二回を捜索する澤は平賀参謀を探していた。すると・・・・

 

「おーい!こっちだ!」

 

下から平賀参謀の声が聞こえ、澤は慌てて下に行くと、そこには平賀参謀がいた

 

「参謀!!ご無事ですか!」

 

「ああ、すまない澤三曹。でも大丈夫だ」

 

「参謀!宇宙人は!?」

 

「大丈夫だ。セブンがやってきて倒してくれた。私も彼に助けてもらった」

 

「セブン・・・ウルトラセブンのことですか?」

 

「そうだ。それよりも澤三曹。私の娘は・・・さつきは!?」

 

「大丈夫です。私の知り合いの家に避難させています」

 

「そうか・・・良かった・・・・」

 

さつきが無事なことを知った平賀は安心すると、澤は

 

「それより参謀、私の他に人は見ませんでしたか?五河士道という少年なのですが?」

 

「あの少年なら大丈夫だ。先ほどセブンが安全なところへと避難させた。それよりも大変なことになった」

 

「大変なこと?」

 

平賀の言葉に澤が首を傾げた瞬間。無線から

 

『澤三曹!澤三曹応答して!!』

 

同僚のAST隊員でありAATの副隊長の山郷あゆみの声がする。澤は無線を取り

 

「こちら澤。どうしたの!?」

 

『天宮市に巨大生物が現れたわ。今空自が向かっているけど・・・・』

 

「わかった。すぐに行くわ」

 

そう言い無線を切ると

 

「参謀、私はいかなければいけません。参謀は早くシェルターの方へ」

 

「わかった。だがさつきは・・・・」

 

「大丈夫です。私の知り合いと一緒なのできっとシェルターの方にいます。ですから早く非難してください。参謀に何かあったら私はさつきさんに顔向けできません」

 

「澤君・・・・・分かった。では頼む」

 

「はい!」

 

そう言い、澤は平賀に敬礼し家を出るのであった。そして平賀は

 

「頼むよ。澤三曹・・・・・そしてダン。いやセブン」

 

 

 

 

 

 

 

バド星人が連れてきた怪獣カネドラスは今、天宮市の町を破壊していた。

凶剣怪獣カネドラス。それはメタルニア星出身の宇宙怪獣でありかつてまだ未熟とはいえウルトラマンレオを苦戦させた怪獣であった

 

「くそっ!なんなのあの巨大生物は!!これも宇宙人の仕業!?」

 

「わからないわよ!とにかく撃ちなさい!!」

 

先に到着していた日下部隊長率いるASTの隊員たちはカネドラスに向けてガトリング砲や対戦車ロケットを打ち込むが、聞いてはいるものの倒すまでには足らず

カネドラスは雄たけびを上げて隊員に向けて目から怪光線を放つ

 

「きゃぁ!!」

 

「二曹!!」

 

怪光線が一人の隊員に放たれ、隊員はシールドを張るが、力が強すぎてシールドが爆発。真っ逆さまに落ちていく

 

「くっ!よくも!!」

 

あゆみはカネドラスに向けてガトリング砲を放つ。その時、甲高い音とともに数機のジェット機がやってくる

 

「空自が来たわ!!」

 

誰かがそう言う。そしてやって来た空自の戦闘機F15がやってくる。

そしてカネドラスに向けてミサイル攻撃をする。しかし致命傷に放っておらず、カネドラスはf15を睨みつけ、そして頭部に装着している巨大ブーメラン。『ドラスカッター』をF15に向けて投げる。ドラスカッターは素早い動きであっという間に5機のF15を真っ二つにして破壊する

 

「ブ、ブーメラン!?」

 

「一撃で戦闘機が!?」

 

日下部たちが驚くと、最後に残ったF15戦闘機は仲間の仇討とばかりに残った機関法やミサイルで攻撃をする

 

「私たちも援護するわよ!」

 

「「「「はい!!」」」

 

日下部の言葉に皆は頷きカネドラスに向けて放つが、カネドラスはそんなことを構いもせず再びドラスカッターをF15に向けて放ち最後に残ったF15の翼に命中する。F15のパイロットは脱出装置を作動させるが、先ほどの衝撃のせいで故障したのかキャノピーが外れない

 

「く、くそっ!!」

 

パイロットは脱出できないことを悟り、死を覚悟した。しかしF15は地面に落ちることはなかった。

 

「え・・・?」

 

不思議に思ったパイロットはよく見ると、戦闘機は何者かによって持ち上げられていた。そしてその持ち上げたものの正体をパイロットは見た

 

「赤い・・・・巨人?」

 

そう、それはウルトラセブンであった。ウルトラセブンは間一髪のところで戦闘機のパイロットを救ったのだ。セブンはパイロットにうなずくとそっとF15を地面に置いた。

 

「あれは!あの時の!!」

 

「ウルトラ・・・・・セブン!」

 

日下部と折紙がそう言う中セブンはカネドラスに向かって構える。そしてカネドラスは雄たけびを上げてセブンに向かうセブンはカネドラスの体当たりを受け止め角を掴む、だが、カネドラスは力いっぱいに頭を振り回しセブンを投げ飛ばす。

そしてカネドラスは得意のドラスカッターを投げる。それを見たセブンも頭部の宇宙ブーメラン。アイスラッガーを投げる。そして両者のの放ったブーメランは激しくぶつかり火花が散り、そしてまた両者の頭部に戻る

 

「す・・・・すごい」

 

「・・・・・」

 

隊員がセブンの戦いを見て驚く中、折紙はじっと戦いを見ていた

一方のカネドラスは得意自慢の技であるドラスカッターが通じないとわかり焦っていた。するとカネドラスの目にあるものがうつった。それは先ほど撃墜したパイロットと、そしてキャノピーをこじ開けようとしているASTの隊員の姿があったのだ。

それを見たカネドラスはにやりと笑うような表情をし、パイロットと救助隊員に向けて火炎を放った

 

「っ!?」

 

それを見たセブンは急いで彼女らの盾になるように防御姿勢に回り彼女らに覆いかぶさる。そしてカネドラスの放った火炎はセブンの背中に直撃する。セブンは苦しそうな声を出しながらも必死で隊員たちを庇う。それを見た隊員たちが

 

「巨人が私たちを・・・・・」

 

セブンに守られている隊員たちとパイロットがそう言う中、カネドラスはセブンが攻撃できないことをいいことに今度は背中を踏みつけたり頭部にあるブーメランの刃先をセブンに突き刺す。

それを見た山郷はガトリング銃をカネドラスに向けると

 

「待て・・・・何をするつもり?」

 

「決まっているでしょ!あの巨人を助けるのよ!」

 

「無意味。止めるべき」

 

「鳶一一曹!彼は私たちの仲間を助けようとしているのよ!!それを無意味てどういうことよ。あなたは仲間を見捨てる気!?」

 

「演技かもしれない。まだあの巨人が味方とは言い切れない。それに今撃って隊員に当ったらどうする?」

 

「しかし!」

 

折紙の言葉に山郷がそう言う中、カネドラスは両手を頭部のブーメランに当てる。ドラスカッターでセブンを真っ二つにしようと考えたのだ。

 

「危ない!」

 

あゆみがそう言った瞬間上空から一発の銃弾が降ってきてカネドラスの目の近くに当り爆発する。カネドラスはいきなりの攻撃に驚き倒れる

 

「今の攻撃は・・・・」

 

日下部がそう言った瞬間

 

「隊長!遅れてすみません!澤梓三等陸曹、ただいま到着しました!!」

 

CR- ユニットを履き、対物ライフルを持った澤が駆け付けた

 

「おおっ!梓!来たのね!もう謹慎は・・・・」

 

「もうそのネタはいいでしょ!今はあの怪獣を何とかするわよ!あゆみ。セブンの援護の協力をお願い!」

 

「わかった!」

 

「隊長!すみませんが、隊長たちはセブンが守っている隊員たちを速く非難させてください!彼が守っているうちに!」

 

「わ、わかったわ・・・・・(どうしちゃったのこのこ?急に依然と態度が変わったわ?もしかしてAATの班長になったから責任感が出たのかしら?)鳶一、ついてきて!今は救助が優先よ」

 

「・・・・了解」

 

澤の言葉に日下部は頷き折紙にともに来るように言う、折紙はまだセブンを疑っていたが、日下部の言葉に頷き、セブンの真下に潜り込み、パイロットを救出しようとする隊員たちの手伝いに行くのだった

 

「よし!じゃあ梓!行くよ!」

 

「うん!AAT(二人だけだけど)、出撃!目標、巨大生物!攻撃してセブンを援護するわよ!」

 

「了解!!」

 

挿入曲「ウルトラ警備隊のテーマ」

 

澤の言葉にあゆみは頷き、二人はセブンを踏みつけているカネドラスのを狙って攻撃を開始した。攻撃されたカネドラスは慌てて後ずさり口からか円を履いて澤たちを攻撃するが、澤たちは火炎攻撃をかわし、見事なコンビネーションでカネドラスを攻撃する

そして、日下部達もやっとF15のコックピットからパイロットを救出するとパイロットを安全な場所へ避難するべくその場を離れた、セブンはそれを見届けると頷き、そしてカネドラスの方を見るとカネドラスはドラスカッターを放ち澤たちを攻撃していた

 

「デュワッ!!」

 

セブンはドラスカッターに向けてエメリウム光線を放ち澤たちに当る前にドラスカッターを粉砕した

 

「っ!?」

 

ドラスカッターを破壊され動揺するカネドラス。そしてカネドラスが動揺する中、セブンはカネドラスに向けてアイスラッガーを放った…しかしカネドラスは待っていたとばかりにセブンのアイスラッガーをキャッチする。それはかつて同族のドラスカッターをウルトラマンレオが真剣白刃取りで受け止めたのとまったく同じであった

 

「っ!?」

 

アイスラッガーを受け止められセブンが驚く。そしてカネドラスがセブンの放ったアイスラッガーを投げ返そうとしたとき

 

「させない!!」

 

澤が対物ライフルを撃ち、ドラスの腕に当てる。その攻撃に慌てるドラスに対し、セブンは片手を頭に添えて構える。

そしてカネドラスは再び、体勢を立て直しセブンに向けてアイスラッガーを投げた

 

「危ない!」

 

澤がそう言った瞬間、セブンは頭に添えていた手をぐるりと回しカネドラスに向けるとセブンに向かっていたアイスラッガーはクルリと反転し、カネドラスの首を切断した。

そしてカネドラスは小さな悲鳴を上げるとその首が地面へと落ち、体が二散歩歩いた瞬間、体も倒れ絶命した

 

「カウンター攻撃・・・・」

 

「す・・・すごい」

 

他のAST隊員たちが驚く中。セブンは澤たちに方へ顔を向け頷く。そして澤はセブンの言いたいことが分かったのか敬礼する。

そしてセブンは空高く飛び立ち去るのであった。セブンを見送った澤に山郷は

 

「ねえ、梓。あなたさっきのセブンのしぐさ・・・・分かったの?」

 

「ええ、あゆみ。たぶんだけど。彼はお礼を言ったような・・・・そんな感じがしたの。だから私も仲間を助けてくれたことにお礼の意味として敬礼したの」

 

「そうなんだ・・・・・・」

 

そう言うと山郷はセブンが去った空を見上げるのであった。

そんな中、折紙は

 

「(あの巨人・・・・セブンの目・・・・・士道によく似ている・・・・一体あいつは何者?)」

 

と、いまだにセブンに対し疑念を持つ折紙であった

 




次回でさつきダークゾーン完結です。
AATのマークロゴの挿絵募集してます


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さつきダークゾーン

バド星人の襲撃から、数日後・・・・

 

「五河先輩、夜刀神先輩!おはようございます!!」

 

「おはよう。さつきさん」

 

「おおー!さつき!おはよう!!」

 

わたしと十香はあることともに学校に登校していた。その子はさつきだった。

あの事件の後、さつきは無事に父親であるペガッサ星人・・・・・いや、茂さんと再会することができた。

それからというものその後、さつきは十香や四糸乃と仲良くなり、今ではよく十香と一緒人学校に登校する仲となっていた。

そしてさつきさんのダークゾーンもあれから十香と仲良くなって明るくなってからか、ダークゾーンを出すことは少なくなっていた。

 

「さつきさん。あれから異常はないか?」

 

「はい!おかげさまで、あれからおかしなことは起きていません」

 

「そうか。それはよかった」

 

私が安心してそう言うと、十香は

 

「そうだ、さつき。今日の放課後、空いているか?」

 

「放課後ですか?はい。空いてますよ?どうかしたんですか?」

 

「実は今日、きな粉パンのセールがるんだけど、四糸のとよしのんと一緒に行くか!?」

 

「あはは・・・先輩って本当にきな粉パンが好きですね。はい。いいですよ。私もきな粉パン大好きですから」

 

「じゃあ、決まりだな!」

 

さつきさんが一緒に行くと言って嬉しそうに言う十香。十香も十香で後輩、もとい人間の友達ができてうれしいんだろう。私はその風景を微笑ましく見ていたのだった。すると・・・・

 

「楽しそうね・・・士道君?」

 

「うわっ!?め、夢露!?」

 

急に後ろから夢露が現れ驚くと彼女はふふと笑い

 

「先輩とつけなさい。じゃないと君の正体ばらしちゃうぞ♪」

 

「ん・・・・め、夢露先輩。おはようございます」

 

「よろしい。おはよう士道君・・・・・それであの子のようすはどうなの?」

 

「ああ、彼女の方はあの事件の後、何もないそうだ。茂さんからの電話でもこの頃明るくなっていると聞いている」

 

「そう…たぶんさつきちゃんが明るくなったのは精霊・・・・十香ちゃんたちのおかげかもしれないわね」

 

「ああ。それに十香もさつきさんとあんなに楽しそうに話している」

 

「これで一件落着・・・・・だといいんだけどね」

 

そう不安そうに言う夢露に私は不思議に思った。

 

「ん?どういうことだ夢露?」

 

「今回バド星人はクール星人やポール星人とは違い偶然この世界に来たわけじゃなく意図的にやって来た。それが何を意味するか解らない君じゃないだろ?」

 

「つまり、侵略宇宙人や怪獣が現れやすいと?」

 

「正解。あくまで私の憶測なんだけどね。恐らくだけど私たちが元々いた世界の宇宙で何らかの空間の乱れが生じている可能性があるわ」

 

「なるほど・・・・その乱れを知り、他の宇宙人たちがその空間に入る・・・・あり得る話だ」

 

「私が転生して17年間は何もなかったんだけど、あの十香という子が現れてからおかしなことが起きている」

 

「つまり十香のせいだと?」

 

「そんな怖い目で見ないでくれ。誰も十香ちゃんのせいだと入っていないよ。ただ・・・恐らく何か大きな力が関与している可能性がある。あの異次元の悪魔や暗黒の皇帝のような大きな力が何等か意図的に空間を歪まし侵略者をここに呼び寄せている・・・・そんな感じさ」

 

「つまりはわからないと?」

 

「ええ、ただわかるのは今後、精霊だけじゃなく、侵略宇宙人や怪獣が現れる可能性があるってことよ・・・・・士道君。いやセブン。あなたは一人で戦うことになるけどどうする?」

 

「決まっている夢露・・・いやメトロン。私はこの地球を守るため戦うよ。それが私のするべきことだ」

 

「だが、君には他にもやることがある。精霊に宇宙人に怪獣、そして人間としての生活。あまりにもハードだ。たとえていうなら、教師をやりつつ地球防衛軍の隊員をやりウルトラマンとして戦うようなものさ」

 

「なぜ、そこで教師という言葉が出る?」

 

「たとえだって言ったでしょ?それで?あなたはたった一人で地球人を守れるのかい?」

 

夢露がそう言うと士道は

 

「夢露・・・・君はひとつ勘違いをしている」

 

「勘違い?」

 

士道の言葉に夢露は首をかしげると士道は頷き

 

「ああ。我々ウルトラマンが地球人を守っていたのではない。地球人と力を合わせて戦ってきたんだ。そしてこれからもだ」

 

そう言うと夢露は納得した表情をし

 

「そうだね・・・・今思えば、他の宇宙人たちが地球を落せなかったのは君たちだけじゃない。人間たちの力で負けていたのかもしれないね・・・・」

 

と、そう言うのであった。そして士道は

 

「(そうだ・・・・ここは私の知る世界でもましては故郷M78星雲のない宇宙にある地球だ。だが、私は守って見せる。十香や琴里たちが安心して暮らせるように・・・そして地球の人たちがいつか私たちの力を必要としないほど自分の星を守れるくらいまで…ともに宇宙の星々を駆け巡るその日まで)」

 

そう士道は決意するのだった

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、十香との買い物を終えたさつきは家に帰りリビングへ行くとそこには茂がソファーに座って新聞を読んでいた

 

「お父さんただいま!」

 

「ああ、さつきお帰り、今日は少し遅かったね?」

 

「うん。今日は夜刀神先輩と一緒に買い物に行ったの。はいお見上げのきな粉パン」

 

「そうか。そうか。楽しそうでよかったよ」

 

さつきがそう言いきな粉パンを茂に渡すと茂は嬉しそうに言う。すると茂は少し真剣な顔をする。その顔を見たさつきは

 

「お父さん?どうしたの?」

 

「・・・・・・・さつき」

 

「うん」

 

「実はな・・・・・・お父さん。さつきに黙っていたことがあるんだ」

 

「黙っていたこと?」

 

茂の言葉にさつきは首をかしげる。

 

「今回、さつきが宇宙人に襲われた原因は私にある・・・・・」

 

「それって、お父さんが防衛省の偉い人・・・・・」

 

「いいや、違うんだ」

 

さつきに背を向けてそう言う茂。

 

「お父さん?」

 

さつきがそう言うと茂は振り返り

 

「さつき・・・・・お父さんは・・・・・お父さんはね。人間じゃないんだよ。ペガッサ星という星から来たペガッサ星人という宇宙人なんだ」

 

「っ!?」

 

さつきは突然の父親の告白に驚き思わずクラシック音楽が流れてきそうな雰囲気になる。すると茂は寂しそうに笑いそして姿を人間の姿から元のペガッサ星人へと変わる

 

「・・・・お父さん・・・・」

 

「びっくりしただろ?でもこれが私の本当の正体なんだ。だからさつきが不安になった時のあの力も実は私の星の能力なんだ・・・・さつき。今まで黙っていて本当にすまない。ダメな父親だ…いやこんなのが父親だなんて思いたくはないだろうが・・・・・」

 

茂がそう言うとさつきは首を横に振り

 

「ううん・・・・人間でもそうじゃなくてもお父さんはお父さんだよ・・・たとえ宇宙人でも私にとっては大切なお父さんだもん」

 

「ありがとう。さつき・・・・・」

 

茂は娘であるさつきの言葉に涙ぐむ。そして茂は自分が他の宇宙の宇宙人であること、さつきの母が自分が宇宙人であったこと、そしてさつきの能力であるダークゾーンのことをすべて話した

しかし、さつきはそれをすべて受け入れた。それには理由があった

 

「ねえ、お父さん・・・そのダークゾーンて私、上手くコントロールできるようになるかな?」

 

「それはさつきの努力次第だな・・・・・だけどコントロールできるようになってどうするつもりなんだい?」

 

「わたし・・・・前に宇宙人に襲われたとき、五河先輩たちに助けてもらったのだから今度はわたし五河先輩を助けたいんです。今度は先輩を助けることができるように・・・・ダークゾーンて力を大切な人を守るために使いたいの」

 

「そうか・・・・でも、扱えるようになるのは大変だぞ?それでも頑張るか?」

 

「うん!頑張るお父さん」

 

「そうか…分かった」

 

さつきの強い意志に茂は頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、天宮市自衛隊駐屯地では

 

「・・・・え?転属・・・・・ですか?」

 

澤は隊長である日下部に呼ばれ、隊長室に来てみれば言われたのが転属命令であった

 

「ええ・・・・・だから本日をもって澤梓三等陸曹。あなたはASTをやめて別の部署に行くことに決まったわ」

 

「つまり・・・・・AATも解散ということなんですか?」

 

「そう言うことになるわね」

 

「そ・・・・・そんな・・・・・」

 

日下部隊長の言葉に澤はショックを受ける。長くASTを務め、そして新しく設立された派生部隊AATの班長になれたと思ったら、突然の左遷。そしてAATが解散され、そしてASTをやめるように言われ衝撃を受けていた

 

「そ・・・・それで。日下部隊長・・・・私の転属先は…どこなんですか?」

 

気力が抜けながらそう言う澤に日下部は

 

「転属先は・・・・・・・天宮市。つまりここよ。そして所属する部隊は対侵略宇宙人対策チームAATよ。そして澤三曹。あなたはその部隊の隊長とし、隊長としての階級にふさわしくするため階級を一気に一尉に昇進することに決定したわ」

 

「・・・・え?・・・・・・ええええっ!!!?」

 

日下部の言葉に澤は今度は驚きの大声を発する。その大声に日下部は耳をふさぐが、続けてこう言った

 

「あなたが平賀参謀を救出したこと、そして宇宙人や巨大生物との戦いでの功績が認められ、上も本格的に宇宙人や巨大生物・・・コードネーム怪獣と戦う部隊を設立することが決まり、宇宙人について詳しいあなたに部隊を任せることになったのよ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!本格的に宇宙人対策チームを任されるのはなんとなくわかりますが、私、下士官ですよ?それを一気に士官。ましてや一尉なんて、飛躍しすぎてませんか!?」

 

確かに澤の言うことは当たり前だ。一気に下士官から、士官しかも今いる日下部隊長と同じ階級になるなんて普通じゃありえないことだ。それを聞いた日下部は一枚の書類を見て

 

「澤三曹・・・・あなたASTに入る前は、防衛大学を受験して不合格になっているけど、あれは解答欄を一個ずらして回答していることを除けば全問正解している。そしてASTでの射撃、接近戦での腕も折紙を除けばトップクラス・・・・・そしてあなた、以前、防衛省から普通科の幹部自衛官にならないかという勧誘も断っているみたいじゃない」

 

「それは・・・・ここが好きでしたので」

 

「実力も学も十分士官になる資格はあるわ。それにその部隊の隊長が下士官というのも他の部署から何か言われる可能性があるから、士官として昇進することになったのよ。でも普通の士官よりは少し下に見られるけどね」

 

「つまり・・・・旧軍の特務士官みたいなものですか?」

 

「そう言うことね・・・・・・まあ、そう言うことだから。これからはAATの隊長としてそしてともに平和を守るために戦う仲間としてお互いに頑張りましょう。よろしくね澤一尉…いえ澤隊長」

 

「日下部隊長・・・・・・・ありがとうございます。」

 

澤は涙ぐみながら日下部にそう言い部屋を出るのであった。そして残された日下部は

 

「あなたと別れるのはあなたよりつらいわ・・・・澤。でもあなたならできるわ。だから頑張りなさい」

 

誰もいない部屋で日下部は一筋の涙を流しそう言うのであった。だがすぐに袖で涙をぬぐい

 

「さてと・・・確か来週から例のところから補充員が来ることになっているわね・・・・・それと・・・・ああ、あの人が天宮市に帰ってくるのね。確か前はアフリカに行くって言って音沙汰なかったけど。それにしてもあの人の経歴っておかしいわね・・・・以前は防衛隊にいたって言ってたけど。チーム名からしてどっかのハンバーガー屋さんみたいね。それ以前にそんなチーム。世界のどこにもないのだけれど・・・・」

 

と軽くため息をつくのであった。彼女が言った人物二人のうち一人のっ書類には以前所属していたというチームが手書きで書かれていた。

そのチームの名は

 

 

 

    『MAC』と書かれていたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 



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狂三キラー
アフリカから来た冒険少女と孤独な戦い


この話は時崎狂三がやってくる前日の話になります。


とある明け方、天宮自衛隊駐屯地に一機の輸送機が到着した。そしてそこからアフリカの民族衣装を着た茶髪の女性が下りてきたのだ

 

「いや~日本に帰るのは久しぶりやさかい」

 

「お待ちしておりました。西沢二尉」

 

「出迎えおおきに。でもわざわざ陸自の輸送機で運ばないでも、普通に旅客機使いましたわ」

 

「すみません。なにせ急用だったもので・・・・」

 

「まあそらぁ、いいさかい。でもまあ、精霊関連なら、私…いや自分じゃのうても日下部一尉で十分じゃないですか?」

 

「それが・・・その。今回は精霊じゃないんですよ。何でも」

 

「精霊じゃない?まさか宇宙人や怪獣じゃないだろうね?」

 

「私にはわかりません。たぶん、その件についてはお偉いさんが説明してくれるかと・・・・」

 

「そうか…まあ、それはそれでいいさかい」

 

少女は無邪気に笑うと、出迎えた自衛官が彼女の服装を見て

 

「あの・・・・その服なんですか二尉?それにその手に持っているのも?」

 

「これか?これはなアフリカの民族のサイマー族の民族衣装じゃ。それにこの手に持っているのはライオンの尻尾じゃ!これで頭をなでられると男の子は強く、女の子は別嬪さんになるんやで」

 

「は・・・はぁ・・・」

 

ライオンの尻尾らしきものを見せてそう言う彼女に自衛官は困惑した表情を見せる

 

「ほな。わいは到着報告をしてくるさかい」

 

そう言い、彼女は駐屯基地へと入っていくのであった

 

「先輩・・・・夕べのあの企業から派遣された少女と言い、彼女一体何者なんですか?」

 

後輩らしき自衛官が先輩自衛官に訊くと

 

「西沢義子二等陸尉。AST所属のエースであの日下部一尉の同期だとか・・・・まあ、さっき見たように変わり者でも有名だけどな」

 

「変わり者?」

 

「ああ。何でも自衛隊に入る前はMACとかいう防衛チームに入っていたとかなんとか・・・・」

 

「MAC?聞いたことないですね?もしかしてふざけて行っているんでしょうか?」

 

「おそらくな。きっと学生時代にハンバーガー屋でバイトしていたのを防衛チームというジョークで言ったんだろうよ」

 

「アハハ。確かに変わり者だ。それで腕の方は?」

 

「それがな。変わり者と言われている裏腹に腕は凄腕でよ。射撃訓練も全部ど真ん中に命中させてたらしいし、ASTの隊員としても折紙一曹や澤三曹・・・・ああ、今は特務一尉になっているけど、その二人が入隊するまではトップクラスだったみたいだ。なによりあの日下部一尉が敬語で話すくらいだ」

 

「あの男まさりの日下部一尉が・・・・・でもなんでそんな凄腕の人がアフリカなんかに?」

 

「それがな・・・私も先輩から聞いた話によると、なんでもライオンと戦うためとか何とかで突如アフリカに行ったらしいぞ?それより前はヒマラヤで雪男と戦ったとか・・・・・」

 

「なんですか?それ・・・・」

 

先輩の言葉に後輩はさらに困惑した表情を見せるのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、新たに設立された、対宇宙人対策チームAATでは。澤が隊長となり、そして同じくASTを辞め同期であり親友であり、副隊長となった山郷あゆみたちは今。ASTの指令であり、新しく設立されたAATの参謀となった平賀茂と新しく入った新入隊員と挨拶をしていた。

 

「新部隊、AATの隊長、副隊長就任。おめでとう澤梓一尉、山郷あゆみ二尉」

 

「「ありがとうございます平賀参謀」」

 

平賀の言葉に二人は嬉しそうに言う。そして

 

「それで、澤隊長。彼女たちが新しく入ったAATの隊員かね?」

 

平賀は新しく入るAATの隊員たちを見る。彼女たちは元ASTの隊員であり志願して入った子たちなのだ

 

「はい!坂口桂里奈一士です!」

 

「大野あや士長です!」

 

「宇津木優季士長です」

 

「・・・・・丸山・・・・沙希‥‥三等陸曹です」

 

と、新たに入ったAAT隊員6名はそう言い敬礼し、澤たちも改めて平賀に敬礼すると

 

「副隊長を務める。山郷あゆみ特務二等陸尉です」

 

「私を含め6名。澤梓特務一尉が指揮を執ります」

 

澤が敬礼し、そう言うと平賀はうんうんと頷く

 

「うん。君たち。新しい部署や任務で大変だと思うがやることは以前のASTのと変わらない。ただ違うのは相手が侵略宇宙人というだけだ。地球の平和を・・・いや宇宙の平和のために頑張ってくれ」

 

「はい!頑張ります!!」

 

桂里奈が元気いっぱいにそう返事をすると、

 

「はい!参謀。質問があります!」

 

「何かね?大野士長?」

 

「あの。ここに配属されたのはいいん尾ですけど。私たちもうCRユニットを没収されて使いません。聞けば精霊とは別の巨大生物はASTの装備で何とか戦えると聞いたのですが、今後我々AATは普通科と同じ武器を使うのですか?」

 

大野がそう言う。そう実はこのAATには以前ASTに提供されていたリアナイザーつまり、CRユニットが装備されていないのだ。理由としては自衛隊にCRユニットを提供している大企業DEM社蛾「精霊以外の目的なら提供しない」という理由でこの部隊にはCRユニットがないのだ。

それを聞いた平賀参謀は

 

「心配ない。実はある企業がパワードスーツを提供してくれることになったんだ」

 

「ある企業?どこですか?」

 

「ああ、ペダンカンパニーという企業だそうだ・・・・・・はぁ~~明らかにペダン星人が絡んでいるな・・・」

 

「え?参謀。何か言いましたか?」

 

「ああ、いいや。何でもない」

 

澤の言葉に平賀は誤魔化す。そんな中他の隊員たちはその企業を聞いて驚いていた

 

「ペダンカンパニーって・・・・DEM社と肩を並ぶほどの世界的に有名な大企業じゃない!」

 

「そうそう。確かパワードスーツとかロボットとかに力を入れている会社だよね?」

 

「参謀。その企業から提供されるんですか?」

 

「ああ。その会社の会長が是非にということだ。後でパワードスーツとその説明を書いた資料を送ってくれるそうだ」

 

平賀がそう言うとほかの隊員たちは嬉しそうに喜ぶのであった。そして平賀はその様子を見て

 

「(以前から気になってたが・・・・・後でダンに相談するか・・・・・そうだ。彼女らを見て気が付いた。今の彼女たちで6名・・・・・・7人目は、今どうしているかな?)」

 

そう、平賀は地球を守る彼女以外の戦士のことを考えるのであった

 

 

 

 

 

 

夜・・・・・平賀の言っていた七人目は皆が寝静まったころ自宅を出て、見晴らしのいい丘のところに急行していた。そう士道だった

そして陸の展望台へにたどり着き、士道は空を見上げると、何やら不吉な気配を感じていた。そして士道は胸ポケットからウルトラアイを取り出し・・・・・

 

「デュワッ!!」

 

ウルトラアイを装着して、ウルトラセブンへと変身し、空へと飛び立つ。そして大気圏を抜け地球の外に出たセブンは

とある小惑星で怪獣と戦っていた

そう士道ははるか遠くの宇宙で地球を狙って接近する宇宙恐竜ヤナカーギーが迫ってくるのを感じ取り、セブンに変身し地球に行かせないために先制攻撃を仕掛けたのだ。

 

ヤナカーギーは咆哮を上げてセブンに迫りセブンはヤナカーギーの攻撃を躱し、ヤナカーギーを一本背負いをして投げ飛ばす

投げ飛ばされたヤナカーギーはクルクルと転げまわるとその瞬間姿を消した

 

「っ!?」

 

突然ヤナカーギーが消えたことに驚くセブン。その瞬間突如、ヤナカーギーはセブンの真後ろから現れセブンを掴みかかる。このセブンと戦うヤナカーギーはタロウが以前戦ったゴルゴザウルスⅡ世と同じテレポーテーション能力を持った怪獣なのだ。そしてヤナカーギーはセブンの右足を掴みセブンをひっくり返すとその足めがけて何度も蹴り、そして踏みつけたりした

 

「グワアァーー!!」

 

セブンは思わず声を上げる。そしてヤナカーギーがもういとど思いっきり踏みつぶそうとした瞬間、セブンは左足でヤナカーギーの顔面を蹴り上げ、ヤナカーギーは倒れる。右足を押さえつつセブンは立ち上がりヤナカーギーに構えるが、ヤナカーギーはまたテレポーテーションで姿を消す。セブン以外何もない空間でセブンは足の痛みに耐えつつヤナカーギーを探す。そしてセブンは透視能力で姿を消していたヤナカーギーを発見し、すかさず頭部のアイスラッガーをヤナカーギーに投げた。そして白熱したアイスラッガーはやなかーぎの首を切断しヤナカーギーの首は宙を飛び体はバタリと倒れ動くことはなかった。

 

敵を倒したセブンはヤナカーギーによって痛めつけられたけがを負った右足を押さえ、地球を見る。また新たな危機の予感がしたのだ

セブンはまた新たな侵略宇宙人。そして精霊が現れた時に五河士道として活動しなければならない。

セブンは地球へと戻るため飛び立つ。宇宙での戦いは孤独だ。誰も見ていない。誰にも知らない孤独な戦いなのだ。そして今のセブンには元居た違う宇宙にいる。そのため帰るべきM78星雲もない。今のセブンにとって帰る場所はこの世界の地球だけなのだ。

 

セブンは先ほどの天宮市の丘にたどり着き腕を下にクロスさせるとセブンの体は光に包まれ人の大きさまで縮んでいく。

そして光が収まると、そこには地球人としての姿、五河士道の姿に戻る

 

「うぐっ!!」

 

士道は顔を歪め右足を押さえる。いくら精霊の治癒の力があったとはいえ完全には直しきれず、激しい激痛が彼の右足を襲う。

 

「・・・・戻らなければ…家に。明日もまた学校があるからな・・・・」

 

士道は足を引きずり痛みに耐えながら自宅へと戻っていくのであった。

 

 

同じころ、深夜の天宮の町の中、一つの建物の屋上に満月の光が照らすその場には1人の少女がいた。

赤と黒のゴシック系のドレスを着て、その両の手には、古式の歩兵銃と短銃が握られていた

 

「ここが、天宮市ですのね・・・・・・」

 

そう彼女は天宮市の街並みを見ながらそう呟くのであった

 

 




アンケートの結果。AATのテーマ曲は『ウルトラ警備隊マーチ』に決まりました


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謎の少女と謎の転校生

陸自ASTの訓練場では多数にいるASTの隊員たちが瓦礫に倒れていた。

そしてその瓦礫の上に折紙達の装備しているCR-ユニットよりも1世代新しい試作機を装着した少女が折紙と対峙していた。そして折紙はビームソードを取り少女に構えると少女は

 

「潔し。嫌いじゃねーです、そういうの」

 

少女は唇の端を上げると、肩のユニットを可変させ、両腕に装着した。

 

「ムラクモ・・・・・ソードスタイル!」

 

すると次の瞬間、盾の先端部から巨大な光の刃が姿を現すが、折紙は止まらず、少女に果敢に挑んだ。しかし結果は優れた随意領域<テリトリー>の精度を持った少女の勝利に終わった。

そしてそれを画面で見ていた日下部隊長は

 

「1対10でこのざまとわね・・・・・澤や山郷がいれば、少しは違ったかもしれないけど・・・・流石は精霊を殺した少女ってところかしら?」

 

日下部は期待を込めた目で画面に映る少女を見るのだった。すると・・・・

 

「いや~すんまへん。遅れてもうたわ。アハハハwww」

 

とそこへ、自衛隊の服装をした西沢が入ってきた

 

「西沢さん・・・・・どこに行っていたんですか?1時間の遅刻ですよ?」

 

「いやあ。すんまへん隊長。先ほどまでアフリカにおったでしょ?時差ボケでつい・・・・」

 

「はぁ・・・・あなたって本当に変わりませんね。はあ…まあいいです。すぐに会議がありますので遅刻しないようにしてください」

 

「了解しましたこのさと・・・・いいえ西沢。決して会議に遅刻は致しません!では遅れないために先に行ってまいります!」

 

と、そう言い西沢は部屋を出ると日下部は深いため息をつく

 

「はぁ・・・・・本当に義子さんは変わらないわ・・・・・あの人、先代の隊長と同じ苦手なんだよね・・・・・面白い人なんだけど」

 

日下部はため息をつきそして、しばらくして会議室に行くと。そこにはASTの隊員の他にAATの隊長となった澤も出席していた。今回はASTとAATの合同会議があったからだ。そして今回派遣された少女の自己紹介が始まる

 

「それでは改めて自己紹介を・・・・」

 

「はい。嵩宮真那三尉であります。以後お見知りおきを」

 

とASTの隊員に挨拶する

 

「はいよくできました」

 

というのと同時に日下部隊長は手に持っていたファイルで真那と折紙の頭を叩く

 

「あんた達ね。なに模擬戦で貴重な装備をつぶしてくれてるの?」

 

「「す・・・すみません」」

 

二人が謝る中、他の隊員たちは・・・・

 

「ねえ、あの子があの企業から来た子なの?」

 

「まだ子供じゃない」

 

と小声で話す中、日下部は

 

「ああ、それともう一人紹介する人がいたわ。西沢二尉」

 

日下部がそう言うと

 

「はいどうも!自分はアフリカから来ました西沢義子二尉です!よろしく頼んまっせ先輩方!」

 

とニコニコした表情で、あいさつすると日下部が説明する

 

「西沢さんは。私の古い同僚でかつてはASTのトップエースだった人よ。今回はわざわざアフリカから戻ってきてくれたのよ。そして今回彼女はAATのアドバイザーとして澤一尉の所属するAATに仮配属になることが決まったわ」

 

「え?じゃあ、私たちの大先輩ってことじゃないですか?」

 

隊員の一人がそう言うと西沢は

 

「いやいや。わいはここでは新参者。新参者は先輩を敬うのが当然やで~。あ、そうだ。いいものがありますのや」

 

そう言い西沢は服に下げているカバンからあるものを取り出す。それは

 

「ほれ見てみ~これはアフリカにいた時に手に入れたライオンの尻尾じゃ!アフリカのサイマ族ではなこのライオンの尻尾に頭をなでられると女の子は別嬪さんになれるんやで?」

 

「美、美人になれるって、ほ、ほんとですか!」

 

「私の頭なでてもらっていいですか!?仕事の後、合コンがあるんです!」

 

「あ、私も!!」

 

「よっしゃ、構わへんで~」

 

他の隊員が美人になるという言葉に反応しそう言うと・・・・・

 

「に、西沢二尉!!今は会議の途中です!」

 

「あ、そうやったな。すんまへん」

 

日下部の注意に西沢は誤る

 

「こほん!これからハーミットの戦いの映像を流しますので席に座ってください」

 

「了解でやがります」

 

「ほな了解しました!」

 

そう言い二人は席に座ると折紙の隣に座った真那が

 

「あの西沢って人。面白い人でやがります」

 

「同感・・・・・後であの尻尾で頭なでてもらおう。そうすれば・・・・」

 

「ん?どうしたでやがりますか?」

 

「別に・・・・」

 

「それよりも隊長もみみっちいでやがりますな。そんなんだから精霊や宇宙人にふり回された挙句に宇宙人の件はほかの部署に手柄取られるんですよ」

 

「同感」 

 

折紙が頷くと、真那は嬉しそうに唇の端を上げた。

 

「あなたとは気が合いそうです」

 

「それより三尉。あなたは精霊を殺した事があると聞いた。詳しい話を聞きたい」

 

「精霊を・・・・殺した、ですか。まあ、言葉の上では間違っちゃねーですが・・・・」

 

小さく肩をすくめながら歯切れの悪い真那の返事に、折紙は小さく首を傾げた。

 

「どういう事?」

 

「んん・・・・ちょっと“アレ”に関しては、他の精霊と同列に扱わねー方がいいというか・・・・まぁ、そう遠くないうちに直接見る機会が巡って来やがると思いますよ。私が配属されたのも、それが“目的”でもある訳ですし・・・・」

 

そう言い真那は画面を見るとそこ画面には士道の姿が映し出された

 

「え・・・・?」

 

その瞬間彼女は目を丸くし

 

「・・・・・・兄さま?」

 

「え?」

 

真那の言葉に折紙が驚く中、映像はハーミットの戦いの途中に突如現れたガンダーの場面に代わり、そこからウルトラセブンが現れガンダーと戦っている映像が流れると

 

「おおっ!ウルトラセブン!この世界にいたったのか~」

 

「・・・・え?」

 

西沢の言葉に隣に座っていたAATの隊長、澤が反応するのだった

 

 

 

 

 

会議が終わり、皆がそれぞれ部屋を出る中・・・・・

 

「どういうこと?」

 

「え?」

 

折紙が真那に話しかける。

 

「士道にこんな妹がいるとは聞いていない」

 

「え?兄さまと知り合いなのですか?」

 

「知り合い?・・・・・・違う恋人よ(違います)」

 

「・・・え?」

 

折紙の言葉に真那は驚いた表情をするのだった。

 

一方、澤の方も・・・・

 

「あ、あの西沢さん!」

 

「あ、澤隊長。どうも。どうかされたんですか?」

 

AATに配属になった西沢に澤は呼び止めると澤は

 

「あ、あの!西沢さんはウルトラセブンのこと知っているんですか?」

 

「セブンのこと?もちろん知ってるで。なんせ地球を守ってきたウルトラ兄弟の一人や」

 

「ウルトラ・・・・兄弟?」

 

西沢の言葉に澤は驚くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、肝心のセブンとはというと・・・・・

 

「これで大体の治療は終わったよシン」

 

「いてて・・・・・」

 

「シドー大丈夫か?」

 

「もう、士道って本当にドジね。朝のランニング中に階段から落ちて足を怪我するなんて」

 

「あはは・・・・・」

 

インカムから琴里の言葉に士道は苦笑する。そして士道、十香に連れられ学校の保健室で怪我した右足を令音さんに包帯で巻いてもらっていた

 

「精霊の治癒能力があったとはいえ。少し骨にひびが入っている。全治一週間てところだ。足が直るまでの間しばらくはこの杖を使うといい」

 

「ありがとうございます令音さん」

 

令音から杖(ロフストランドクラッチ杖)をもらいそう、礼を言うと令音は

 

「それにしてもこの怪我、階段から落ちたというより何者かにやられた感じがするな…治癒能力がなかったら骨をへし折られていたところだ」

 

「すみません」

 

士道は令音の言葉に図星だったがそれを悟られずに笑ってごまかすのだった。するとチャイムが鳴る

 

「あ、そろそろ教室に戻らないと」

 

「シドー?大丈夫か?ほら掴まれ」

 

「ああ。ありがとう十香でも大丈夫だ」

 

そう言い、士道は十香とともに教室へと戻るのだった

 

 

 

 

 

 

 

そして教室に戻ると、担任であるタマちゃん先生が教室に入り

 

「はい、みなさんおはよぉごさいます。あ、いけない。今日はみんなにお知らせがあるんでした」

 

いつものごとくホワホワした挨拶をしてからタマちゃんがそう言って、教室がざわめく。

 

「ふふ、なんとねえ、このクラスに、転校生が来るのです!」

 

「(ん?転校生?この前十香が転校したばかりだが・・・・・・」

 

士道はそう思う中、タマちゃんが扉の方に顔を向けと、

 

「さ、入ってきてー」 

 

そう言うのと同時にゆっくりと扉が開き、転校生が教室に入ってくる。その瞬間ざわめいていた教室がシーンと静まり返った。

入ってきた転校生はこの暑い中で冬服のブレザーをきっちりと着込み、足には黒のタイツを穿いていた。影と形容がよく似合う、漆黒の髪色。長い前髪は顔の左半分を覆い隠しており、右目しか見とれない奇麗な少女であった。

その姿を見た士道は

 

「(・・・・この子はもしや・・・・・)」

 

士道は彼女が何者であるかわかったのか少し警戒した眼で見ていた

 

「さ、じゃあ自己紹介をお願いしますね」

 

「ええ」

 

タマちゃん先生が促すと、少女は優美な仕草で頷き、チョークを手に取った。そして黒板に、美しい字で『時崎狂三』の名を書く

 

「時崎狂三と申しますわ」

 

そして、そのよく響く声で、その少女、狂三はこう続けた。

 

「わたくし、『精霊』ですのよ」

 

「「・・・・ッ!?」」

 

その言葉に十香と折紙が驚く中、士道は

 

「(やはり・・・・地球人と少し違う気配を感じたがやはり精霊だったか・・・・)」

 

士道はそう思う中、これ以上挨拶がないとわかったタマちゃん先生は

 

「え・・・えっと‥はい!とっても個性的な自己紹介でしたね。それじゃあ時崎さん、空いている席に座ってくれますか?」

 

「ええ。でも、その前に、1つよろしいでしょうか?」

 

「なんですか?」

 

「わたくし、転校してきたばかりでこの学校のことがよくわかりませんの。放課後にでも構いませんから、誰かに校舎を案内していただきたいのですけれど・・・・」

 

「あ、なら僕が・・・」

 

「結構ですわ」

 

狂三の言葉に宏人が名乗り出るがあっさりと断られてしまう。そして狂三は士道の元へと歩みより

 

「お願いできませんこと? 士道さん」

 

「私ですか?・・・・こんな怪我人でよければ構いませんが?」

 

士道がそう言うと狂三は妖艶な笑みを見せるのであった

 

 



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学校案内

狂三と士道が話す中、天宮駐屯地の南関東圏全域の霊波情報を統括する観測室では、隠しカメラで狂三の様子を見ていた日下部隊長がいた

 

「ねえ、間違いないの?」

 

「はい。確かです」

 

「高校に精霊が転入?笑えない話ね・・・・・・」

 

観測員の言葉に日下部はそう言うと

 

「ただの精霊じゃねーですよ」

 

「え?」

 

いつの間にか日下部の隣に真那がいて真那がそう言う。そしてこう続けた

 

「こいつは。空間振とは別にその手で一万人以上の人間を殺した最悪の精霊ナイトメアです」

 

「なんですって?」

 

彼女の言葉に日下部が驚く。それはそうだ空間振でも被害が出ているのにその精霊の手で直接殺された人間は今までなかったのだ。そして一万人以上の犠牲と聞いて日下部は尚更、驚きを隠せないでいた。

すると真那は

 

「そう言えば知っていますか?」

 

「何を?」

 

「この頃、夜間に人が殺される事件を・・・・・」

 

「え?ええ・・・・確かに新聞でも出てるわね。人が真っ二つになって殺される事件・・・・・て、まさか!?」

 

「いいや。奴じゃねーです。奴なら遺体を残すなんてへまはしません。きっと別のやつの犯行です・・・・・」

 

「じゃあ、何のためにその話題を・・・・・」

 

「決まってるじゃねーですか・・・・・もしかしたらその犯行は最近話題になっている宇宙人の可能性が高いからですよ」

 

「・・・・嵩宮・・・・それは澤一尉の・・・・AATの管轄よ。宇宙人を倒したいのなら彼女に報告しなさい」

 

「あんなお人よしで女学生の集まりみたいな隊に宇宙人を倒せるとでも?」

 

「澤は見た目はああだけど。腕は確かよ。それに西沢さんもいるから問題ないわ。それに彼女には宇宙人について彼女より詳しいアドバイザーがいるみたいだしね」

 

「アドバイザー?」

 

日下部の言葉に真那は怪訝そうな顔をするのであった。

 

 

 

 

 

一方、学校では・・・・・

 

『士道。こっちでも確認したわ・・・まさか本当に精霊だなんてね・・・・』

 

琴里がフラクシナクスで調べた結果、狂三が本当の精霊であることが判明し士道に報告する

 

『まあでも好都合だわ。ASTがちょっかい出す前に好感度上げてデレさせてあげなさい』

 

と、琴里がそう言うのと同時に

 

「士道さん・・・・今日はよろしくお願いしますわ」

 

後ろに狂三がやってきて士道に声をかける

 

「ああ。狂三か。ああ。任せてくれ」

 

学校の案内を頼まれた士道は頷き杖をつきながら狂三とともに教室を出る。そしてその二人を十香と折紙が心配そうに見ているのだった。

 

そして廊下を歩く二人

 

「士道さん?足は大丈夫なのですか?」

 

「ああ。問題ない。心配しなくていいよ狂三」

 

「そうですか・・・・それで最初は何処を案内してくれるんですの?」

 

「そうだな・・・・・」

 

狂三に言われ士道が考える中それをモニターで見ていた琴里。そしてモニターに三つの選択肢が出される。一つは『屋上』二つは『保健室』そして三つめは『食堂・購買部』であった

 

「各自、選択。5秒以内」

 

琴里がそう言うと。五秒後に洗濯される。結果は一の屋上が多かった

 

「屋上が一番人気か・・・・この3は誰が選んだの?」

 

チュッパチャプスを咥えながらそう訊くと

 

「私が入れた」

 

「令音?何でか聞かせてくれる?」

 

3を選んだのは令音だった。その理由を聞くと令音は

 

「単なる消去法だ・・・・・保健室には養護教員がいる。そして屋上でなら夕方の方がロマンティックじゃないか」

 

「なるほどね・・・・・・士道、3よ。3の購買部に行きなさい」

 

令音の言葉に納得した琴里は士道に購買部に行くように指示を出す。

 

「・・・・分かった」

 

士道は小声で頷き

 

「では狂三。最初に購買にでも見てみようか。あそこはいろんな食べ物が売ってあってどれも美味しいぞ?」

 

「まあ、それは楽しみですわ」

 

と、そう言い二人が購買部へ向かう中それを監視する者がいた。十香と折紙だ

 

「ぐぬぬ・・・なんなのだあいつは?」

 

「これ以上、悪い虫がつくのは勘弁」

 

と二人がそう言い見ていると・・・・・

 

「あれ?先輩。なにをしているんですか?」

 

「「っ!?」」

 

後ろから誰かが声をかけびっくりして振り向くとそこにはさつきがいた

 

「さつき!ちょうどよかった!士道にまとわりつくあの女を見張るのを手伝ってくれ」

 

「あなたも士道を監視するのに協力をするべき」

 

「・・・・・・・・え?」

 

二人の言葉にさつきはポカーンとするのだった。そして購買部では・・・・

 

「ここの人気メニューはやきそばパン。まあ定番だな」

 

「そうですの?」

 

「だが私が一番おすすめなのが、このカレーパンだ。外はさっくりとして中はふんわりと美味しいんだよ」

 

と、士道は狂三に購買でのおすすめメニューを紹介する中・・・・

 

「(この狂三という少女・・・・・精霊ということもあるが、この雰囲気からしてツルク星人やカーリー星人並みの危険な気配がする・・・・しかし彼女を目を見る限り。邪悪な心は見当たらない・・・・それになぜ彼女は自分が精霊といい私に接触した?)」

 

士道は狂三について考えていた。士道は彼女の気配から、危険な存在だというのを感じていたがそれと同時に邪悪なものを感じなかったことに違和感を感じていた。すると、狂三がじっと士道の横顔を見ていた

 

「ん?狂三。なにか私の顔についているのか?」

 

「いいえ。ただ・・・士道さんの横顔に見惚れてしまっただけですわ」

 

「・・・そ、そうですか」

 

妖艶な笑みでそう言う狂三に少し照れる士道。するとインカムから

 

『あなたが口説かれてどうするのよ・・・・・』

 

「す、すまない・・・・・・つい」

 

琴里の呆れた言葉に士道は小声で謝る。その後、二人はところどころあんないをしていた。その中で琴里がいろいろと指示を出そうとしたがその中で神無月が空気を読まずまた変態的な提案をして黒服の機関員に連行され理と様々なことがあったが結局、狂三に好感度を上げることはできなかった。

そして出発地点の教室に近い廊下で士道は

 

「さて・・・・だいたいの案内はこのくらいかな?」

 

「士道さん。案内ありがとうございましたわ。おかげで助かりました」

と狂三がそう言うと士道は

 

「狂三・・・・少し聞いてもいいか?」

 

「あら、なんですの士道さん?」

 

「君は今朝。自分のことを精霊(・・)と名乗ったがあれはどういうことだ?」

 

士道は真剣な表情で狂三に訊くと狂三は微笑んで

 

「あら?士道さんは知っているのでしょ?精霊のことも・・・・・宇宙人のことも」

 

「どうしてそれを?」

 

士道は少し警戒した眼で見ると狂三は士道に近づき

 

「それはお答えできませんわ。ただ言えるのは一つだけ、私、士道さんのことを知ってからずっと焦がれていましたわ…だから学校の案内にもあなたに頼んだのです。だから一緒に居られて私は幸せなのですわ・・・・」

 

そう言い狂三は士道の手を握りそう言う。そして

 

「それに士道さん・・・・私のことを精霊というのであれば・・・・あなたはどうなのですか?」

 

「なに?」

 

「あなたも何か隠してはいませんか?とぉーても大切な秘密を・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

狂三の言葉に士道は何も答えることはできなかった。士道は狂三に自分の正体に気づかれたのかと思って何も言えなかったのだ。すると狂三は妖艶な笑みを出し

 

「まあ、それはいいですの・・・・それよりわたくし士道さんにお願いがありますの・・・聞いてくれますか?」

 

「私にできることなら・・・・それでお願いとは一体何ですか?」

 

士道がそう言うと、狂三は二っと笑い何か言いかけると・・・・・

 

「おやおや。楽しそうで何よりだね~」

 

「「っ!?」」

 

階段の上の方で声がし二人がそこを見るとそこには階段に座りお茶を飲む夢露の姿があった

 

「夢露・・・・いや、丹波先輩」

 

「(気配を感じなかった?この方・・・・いつの間に?)」

 

夢露が現れて士道がそう言う中狂三は目を細めて夢露を見る。すると夢露は立ち上がり

 

「いやね後輩さんたち。私たちはそろそろ下校しようとしたけど。あなたたちがなんかいい雰囲気だったからつい見てしまったよ~」

 

そう言い階段を下りてくる夢露。

 

「いつからいたんだ?それに私たちというのは?」

 

「いつからかね~まあそれはいいのよ。さて観客は私だけじゃないよ士道君」

 

と、そう言い夢露は士道の横を通り過ぎ、ロッカーの扉を開けると・・・・

 

「「「うわっ!?」」」

 

そこから三人の生徒が倒れる

 

「十香!?折紙!?それにさつきさんも!?」

 

ロッカーの中に潜んでいたのは十香と折紙とさつきだった。それを見た狂三は

 

「あらあら‥‥三人とも何をしていらっしゃるの?」

 

と、訊くと十香は立ち上がり

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

「学校内で手を繋ぐ必要はないはず・・・・・話すべき」

 

「えっと・・・すみません五河先輩。なんか先輩たちにつられていつの間にか一緒で見てました・・あはは・・・」

 

さつきが申し訳なさそうに言い、そして折紙と十香が士道の手を握っている狂三に指摘すると。狂三はさらに士道の手を握り

 

「実は、わたくし酷い貧血持ちですの・・・・そこで優しい士道さんが足を怪我しているにも拘らずに手を差し伸べてくれたので。ねえ士道さん?」

 

「え?ああ・・・」

 

狂三に言葉に士道は頷くと、突然折紙がしゃがみ込む

 

「お、折紙どうしたんだ?」

 

士道がそう訊くと折紙が

 

「私も貧血・・・・・士道。お願い」

 

「せ・・・先輩。何なら私が運びましょうか?」

 

「あなたじゃない・・・・・」

 

折紙の芝居に本気になったさつきは心配そうに言うが折紙に拒否される

 

「さつきは優しいな・・・それに比べなんだ二人とも情けないな・・・・・・あ」

 

そう言う十香だったが何かを察したのか急にもじもじしながらお尻を振る

 

「ん?十香。どうしたんだ?」

 

急に態度が変わった十香に士道が訊くと十香は

 

「し、士道・・・実は私も貧血なのだ」

 

「そうなのか?それになぜ腰を振っている?」

 

「それはその…実は最近お尻の肉付きがよくないのだ」

 

「十香ちゃん。貧血ってそういう意味じゃないよ?」

 

十香の言葉に夢露がそう突っ込む。そして夢露はテレパシーで

 

「(君も大変だね・・・・セブン)」

 

「(まあな・・・・・ある意味。宇宙警備隊よりもしんどいと思うことがある)」

 

「(まあ、女との付き合いは大変なものさ・・・・・それよりも君も苦労が絶えないね・・・・その怪我、どこかで怪獣と戦って負ったのだろ?しっかり者の君が転倒だけでそんな怪我はしないよ)」

 

「(まあな・・・・・まさか再び杖を持つことになるとは思わなかったよ)」

 

「(以前にも足に怪我を負ったのかい?)」

 

「(まあ、あまり思い出したくはないがそれのおかげでレオに出会えたといういい思い出もあるからな)」

 

「(そうかい?まあ、それよりもセブン。あの狂三には気を付けた方がいいよ?ある意味強敵だ。若き頃の君みたいにウルトラアイを盗まれないようにね)」

 

「(あれは若気の至りだ・・・・だが忠告ありがとう。夢露・・・いやメトロン)」

 

「士道さん?どうしたのですか?」

 

「え?いいや。何でもない・・・・・」

 

そう話しているうちに時は達すっかり空は夕焼けとなった。そして夕焼けで赤く染まった校門では士道と十香とさつきが狂三を見送っていた

 

「いろいろと案内してくれてありがとうございましたわ士道さん。おかげで本当に感謝していますわ」

 

と、そう言うと狂三は士道の耳元に近づき

 

「本当は二人っきりで話したかったのですが・・・・・」

 

と感情のない冷たい言葉でそう言う。その時、士道は何かの寒気を感じた。そして狂三は士道から離れ

 

「それでは私はここで失礼しますわ」

 

そう言い、狂三はスキップをして帰るのだった。そして士道は

 

「(今回は十香たちがいて助かった・・・・もし私だけではどうなっていたことか・・・・)ん?そう言えば十香。折紙と夢露・・・丹波先輩の姿が見えないが?」

 

「ん?よくわからないが途中からいなくなっていたぞ?」

 

首をかしげて言う十香。するとさつきが

 

「あ、あの鳶一先輩は急用があるとかで・・・・丹波先輩はオタ芸の特訓をすると言って帰っちゃいました」

 

「そうなのか・・・・・」

 

「では五河先輩。夜刀神先輩。私も失礼します」

 

「うん。また明日なさつき」

 

「はい!・・・・あ、それと先輩たち。あまり夜は出歩かない方がいいですよ?」

 

「ん?さつきさん。それはどう言うことだ?」

 

さつきの心配そうな言葉に士道が訊くと

 

「はい。この頃、夜を出歩く通行人を襲う通り魔が出るようになったんです」

 

「通り魔?」

 

「はい。襲われた人はみんなまるで刀で真っ二つにされた夜王な殺され方をしているんです。ニュースや新聞でやっていました」

 

「(刀のようなもので真っ二つ・・・・・・)わかった。夜はあまりで歩かないようにしよう。さつき君もあまり人気のない場や暗いところを一人で出ないようにしてくれ」

 

「わかりました。じゃあ、先輩また明日」

 

そう言いさつきは帰っていくのであった。一方、士道はというと

 

「(夜に相手を襲う通り魔、そして刀みたいな刃物で相手を襲う・・・・・まさか・・・・)」

 

士道は何か嫌な予感を感じながら、十香と一緒に家へと帰るのであった

 



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妹対決!!義妹と実妹。

士道と別れた狂三はスキップをしながら夕焼けの町の中を歩いていた。

 

「ああ、ああ。いけませんわね。・・・・・少し我慢しないと、せっかくですもの。もう少し学校生活を楽しみたいですわ」

 

自分に言い聞かせるように呟き、ステップを踏むようにクルリと身体を回転させる。

 

「・・・・うふふ、お楽しみは、最後にとっておきませんと」

 

と、踊るように道を歩いていた狂三は突如、何故か人目を避けるように路地裏にコッソリと入っていった。

 

「そこにいらっしゃるのはわかってますわよ?」

 

と、そう言うと狂三の目の前に前の戦いで生き残っていたバド星人が現れる

 

「貴様!なぜ俺の姿が見えた!!」

 

「あらあら?あなたが最近噂の宇宙人さんね~ほんと・・・面白い姿をしてますわね・・・・」

 

狂三はふふと笑うとバド星人は光線銃を構え

 

「ふっ!見つかりはしたがまあいい。俺の姿を見られた以上生きて返すわけにはいかないな・・・悪く思うなよ地球人」

 

そう狂三にそう言うのだが、狂三はバド星人に臆せずふふと笑う

 

「何が可笑しい!この俺は宇宙の帝王バド星人だ!今お前は殺されようとしているのだぞ!」

 

バド星人が怒ってそう言うが狂三はふふと笑い

 

「いえ・・・・ただ。今自分の状況を理解していないことが可笑しくて」

 

「な、なに!?」

 

その瞬間、バド星人の足元から影が広がり、そこから現れた白い手が無数に生え、バド星人の身体を影に引きずり込んでいく。

 

「お・・・お前・・・地球人じゃないなっ!!?」

 

バド星人がそう言うが、もう時すでに遅し

 

「うふふ、ふふ」

 

狂三が唇を笑みの形に歪めるとバド星人は悲鳴を上げて影の中に引きずり込まれた。そして狂三はニヤッと笑い

 

「ご馳走様・・・・なかなかの珍味でしたわ」

 

舌なめずりをしてそう言うと

 

「変な奴だとずっと思ってやがりましたが。まさかそんなゲテモノまで食べるとは思えねーでした」

 

と、そこへ狂三の前にある人物が立つ。それを見た狂三は

 

「あらあら・・・・・またあなたですの?」

 

「それはこっちのセリフです・・・・・・ナイトメア」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、士道は家に帰る前に商店街で買い物を済ませ、そしてバスに乗り家の近くのバス停で降りていた

 

「シドー。荷物を持ってやるぞ」

 

「いや。大丈夫だよ」

 

「大丈夫なもんか。シドーは足を怪我してるんだから、私に運ばせてくれ」

 

「そうか・・・すまないな十香」

 

そう言い十香は士道に買い物袋を受け取り、そして士道は十香の頭をなでると十香は嬉しそうに笑みをこぼす。

 

「シドー。夕餉はどんなのだ?ハヤシライスか?」

 

『あ、私もそれに一票』

 

十香のリクエストにインカムから琴里がそう言う。士道・・・セブンの作るハヤシライスはとても美味しく十香たちの好物になっているのだ

 

「アハハ・・・・それは時間がかかるからな。今日はハンバーグかな?」

 

士道と十香が楽しそうに話しながら家へと向かうと二人の目の前にポニーテールに泣き黒子が特徴的な、琴里と同年代くらいの女の子が、驚愕に目を見開きながら立っていた。

 

「(ん?誰だろうこの子は?私の顔をジーと見ているようだが?)」

 

「鳶一・・・・・いいえ。姉さまの言う通りでした」

 

「(鳶一?折紙の知り合いか?)」

 

少女の言葉に士道は首をかしげる中、少女は士道に近づき

 

「に・・・・・・」

 

『「に?」』

 

彼女の言葉に士道とフラクシナクスで見ている小鳥がは持ってそう言った瞬間・・・・

 

「兄様・・・・ッ!!」

 

そう言い、士道の胸に飛び込みそう言うのだった

 

「「《「は・・・・はぁっ!?」》

 

その瞬間、路上と〈フラクシナス〉艦橋で、五河兄妹の声が見事なまでにシンクロした。

 

「(に・・・兄さまとはいったいどういうことだ!?)」

 

いきなりのことに士道ことセブンは驚くのであった

 

 

 

 

 

 

彼女の名前は嵩宮真那というらしく。その後士道は詳しい事情を聴くため家まで案内した。琴里もそれには賛成しむしろ、ぜひ真那を家に連れ帰って事情を聴きたいとのことであった

 

「おお、ここが兄様の今のお家でいやがりますかっ!」

 

五河家の前に辿り着くなり真那が短いポニーテールをブンブンと振りながら、敬語になっているんだかいないんだかよく分からない言葉を弾ませた。

そして士道と一緒に家に入ると先に家に戻った琴里がいて、彼女が琴里の手を握り挨拶をした。

 

「初めまして。お家の方でいやがりますか?うちの兄さまが世話になっていやがります!」

 

いきなり士道の妹を名乗る少女に琴里は苦笑しながら彼女尾を見ていて、士道は買い物袋から荷物を降ろしていた

 

「しかし驚いたぞ。シドーにもう1人妹がいるとは・・・・」

 

と、十香がマジマジと見つめながら言ってくる。そして十香の隣にいる四糸乃とよしのんがいてよしのんが

 

「隠し子ならぬ隠し妹!やるねー士道君!」

 

「人聞きの悪いことを言わないでくれ。よしのん」

 

士道が苦笑しながらよしのんに言うと士道は

 

「それよりもすまないな四糸乃。夕飯まで少しかかってしまうが構わないか?」

 

「い・・・いえ。こちらこそお夕飯に呼んでくれてありがとうございます士道さん」

 

「いや。お礼を言う必要はないよ。みんなで食べたほうが美味しいからな」

 

士道がそう言う中、よしのんは士道と真那を見比べると

 

「でも、確かにそっくりだよね~」

 

「当り前でやがります。妹でいやがりますから」

 

よしのんの言葉に真那がそう答えると

 

「そ言えば自己紹介がまだだったわね?私は五河琴里。私も士道の妹なんだけど?」

 

「え?」

 

琴里の言葉に真那は一瞬首を傾げ・・・・

 

「・・・・はっ!もしかして姉さま!?」

 

「違うわっ!!」

 

「ああそうでしたか・・・・・コホンッ。ごめんね琴里。お姉ちゃん、うっかりしてたわ♪」

 

「妹でもないわよ!そうじゃなくて士道はずっと前から五河家に養子に来ているの!私は義理の妹よ!」

 

「あ、なるほどそう言うご関係で・・・・・」

 

琴里の説明に真那は納得をする。すると士道が

 

「えっ…と。それで、真那だったけ?失礼なことを聞くようで悪いが、私は君のことを覚えていないのだが?」

 

士道が真名に質問をする。士道・・・・セブンが転生しセブンとしての意識が覚醒したのが5年前。それ以前の体の主である五河士道のことは全く覚えていない。すると真那は

 

「無理もねーです。実は私も実は昔の記憶がスパッとねーんです」

 

「なに?」

 

「どういうことよ!?」

 

真那の言葉に士道と琴里が驚くと、琴里は軽く姿勢を直して真那に向かい、再び口を開く。

 

「昔のって、一体どれくらい?」

 

「そうですね、ここ2、3年の事は覚えてやがるんですが、それ以前はちょっと」

 

「では、両親のことも?」

 

「あはは・・・・面目ねーです」

 

「・・・・じゃあなんで士道が自分の兄だなんてわかるのよ」

 

琴里がそう言いと、真那は胸元から銀色のロケットを取り出して、中に収められている、“幼い士道と真那の姿が写った”、やたらと色あせた写真を見せた。

 

「これは・・・・・私か?」

 

「他人の空似じゃない?」

 

「違います!兄さまは兄さまです!ぼんやりとですが、兄さまがどこか遠くに行ってしまったことだけはわかるのです。寂しかったですが、それ以上に兄さまのことが心配でした。だからこうして・・・・」

 

そう言い真那は立ち上がり

 

「こうして兄さまの元気な姿を見られて・・・私は・・・私は!!」

 

涙ぐみながら士道の元へ向かう真那。そして・・・・

 

「兄さまーっ!!!」

 

そう言い再び士道に抱き着くと、それを見た琴里は

 

「離れなさい!!」

 

「ぐわっ!?あ、足が!!」

 

琴里が士道の右の太ももに蹴りを入れ士道は倒れる

 

「な、何をするんでやがりますか!しかも兄さまは足を怪我をしているのですよ!」

 

「こ・・・琴里。い、いったい何を!?」

 

「うっ・・・それは悪かったわ。でもね!士道はもう、うちの家族なの!!それを今さら連れて行こうだなんて・・・」

 

「そんつもりはねーですよ?」

 

「え?」

 

真那があっけらかんと答えると、以外だったのか琴里は目を丸くする。

 

「兄様を家族として受け入れてくれやがったこの家の方々には、感謝の言葉もねーです。兄様が幸せに暮らしているのなら、それだけで真那は満足です」

 

そうにこやかに言う真那に琴里はバツそうな顔をする

 

「ふん・・・・何よ、一応わかっているみたいじゃない」

 

そう言うのだが真那は次に琴里に対しとんでもないことを言う

 

「もちろん“実の妹”! には敵わねーですけども」

 

「・・・・・・・・」

 

真那の言葉に空気は一変に凍り付いた。そして琴里は真那をじろりと見て

 

「へえ・・・・そうかしら?」

 

「いや、そりゃそーでしょう。血に勝る縁はねーですから」

 

「でも、遠い親戚より近くの他人とも言うわよね」

 

琴里が反撃のようにそう言った瞬間、今度は終始ニコヤカだった真那のコメカミがピクリと動いた。

 

「いえいえ。所詮、義妹は他人ですし、その点、実妹は血を分けていやがりますし」

 

そう言い真那は麦茶を一杯飲む。すると琴里も負けじと言い返す

 

「何わざわざ強調しているのよ!!」

 

そう言い実妹と義妹の言い争いが始まる。その中二人の会話を聞いていた十香と四糸乃は会話についていけず首をかしげる

 

「ギマイ…ジツマイ?何のことだ?」

 

「お米・・・・ですか?」

 

十香が首をかしげ、四糸のはよしのんに訊くと

 

「ピンポン。ピンポーン!因みにどんぶりにすると、それはそれは禁断の果実のような味がするとか?」

 

「おおっー!それは食べてみたいぞ!シドー作ってくれ!!」

 

よしのんの間違った知識に十香は本気にしてしまい士道に作ってくれという中・・・・

 

「血縁血縁って血縁がそんなに大事なの!?他にも――――!!」

 

「笑止千万でやがります!だいたい義妹は―――!!」

 

琴里と真那は言い争いを続け士道は困った顔をしていた

 

「血縁がなんぼの物よ!実妹じゃ結婚だってできないじゃない!!」

 

『え!?』

 

「―――ハッ!?」

 

琴里の放った言葉に一同の視線が琴里へと集中する。琴里は自分が何を言ったか分かると顔を真っ赤に染め、机を強く叩きつける!

 

「と、とにかく!今は私が士道の妹よッ!分かった!?」

 

「うるせーです!実妹最強伝説を知らねえでやがりますか!!」

 

そう言い二人の争いがヒートアップする。すると・・・・

 

「二人ともいい加減にしろ!!」

 

カツゥーン!!

 

「「っ!?」」

 

士道が杖を強く床に叩き、大声で言うと言い争いをしていた二人はびくっと肩を震わせ士道を見る

 

「二人とも冷静になれ!血縁だ義理だとか兄妹や家族の価値観はそんなので決まるものではない!大切なのは互いを思う絆と心だ!私はそう思うのだが?」

 

士道にも兄弟・・・・そうウルトラセブンにもウルトラ兄弟という兄弟がいる。しかしそれは実の兄弟ではない。「ウルトラ兄弟」という言葉は、「まるで兄弟のように仲間を大切にする者」という意味でもあり、かつて地球に滞在したあるウルトラマンと地球人の少年が「兄弟」の約束を交わして以来、ウルトラ一族にとって「兄弟」が特別な意味を持つ言葉にもなっている。

そのため士道ことセブンは二人が兄弟関係で言い争いをしているのを見て黙っていることができなかったのだ

 

「ご・・・ごめんなさい」

 

「すまねえです・・・兄さま」

 

士道の言葉に二人は謝る

 

「わかってくれればそれでいい・・・・・ところで真那。お前は今どこに住んでいるんだ?」

 

「・・・え?」

 

「お世話になっている人がいるのなら、私も挨拶しにいかないといけないのだが?」

 

士道が言うと、真那は返答に苦しむかのように言葉を濁した。

 

「それはその・・・・・・」

 

「人に言えない場所なわけ?」

 

真那の態度に琴里が訊くと

 

「そ・・・その・・・・特殊な全寮制の職場といいますか・・・」

 

「職場?真那。君はどこか働いているのか?」

 

「そういうわけでは・・・・・・」

 

士道の問いに真那は最初に士道と話していた時とは違い、動揺し困惑した態度になる、そして真那は玄関へ行くドアに向かい

 

「あ・・・あのすみません。またお邪魔します」

 

そう言い帰ろうとすると

 

「真那。今日は遅いし、最近夜道に通り魔殺人が起きていると聞く。今外を歩くのは危ない。今日は泊っていきなさい。夕飯も一緒にどうだ?」

 

士道はそう言うが真那は首を横に振り

 

「だ、大丈夫です兄さま。私は一人で大丈夫ですので・・・それじゃ!!」

 

そう言い逃げるように家を出るのであった。

 

「(あの慌てよう・・・・・一体何なんだ?)」

 

士道は真那の行動に疑問を持つのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。とある道中、若い男性が財布を見ながら歩いていた

 

「ちっ!せっかくいいカモを見つけてボコボコに殴って財布を分捕ってやったのに、これっぽっちかよ」

 

財布の中身を見て悪態をつく男。すると・・・・・

 

キキイィーーー!!

 

「え?・・・・うわあぁぁ!!!」

 

突如真夜中の夜に上がった甲高い声。その声に男が振り向いた瞬間男の悲鳴とともに赤い鮮血が舞う。そして男は胴体を真っ二つにされて絶命するのであった。そして男を襲った犯人はまた奇声を上げてどこかへと飛んで消えるのであった・・・・・



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AAT出動!

一方、天宮市陸上自衛隊駐屯地のAATの部署で澤を含めた隊員たちは一枚の資料を見ていた

 

「へ~これがぺダンカンパニーが提供してくれる。アーマードスーツか」

 

「デザインはCRユニットに似ているけど露出度が少ないからいいね」

 

「あ~確かに、今までのっていろいろ見えちゃって、ちょっと恥ずかしかったもんね」

 

「しかもこれ、色がグレーじゃなくて赤と銀だよ。」

 

「あ、ほんとだ。まるで前の映像で見た巨人みたいだね?」

 

と、資料ファイルを見てみんなワイワイと話し始める。そして澤と山郷は

 

「え・・・と。 ALL ROUND INTERCEPT & ESCORT LADY・・・・全領域要撃/支援レディ・・・・なんか長い名前ね梓」

 

「うん・・・略しましょうか?」

 

「そうね。頭文字をとってARIEL…エリアル。エリアルって名前にしましょう」

 

「えっと…武装は。すごい!アサルトやガトリング以外にレーザーガンがついてる!えっと‥‥ペダニウムランチャーって言う名前らしいわ」

 

「武装もすごいけど、CRユニットみたいに頭部に直接、脳波増幅器を埋め込む必要がないし、あれすごく痛いんだよね・・・・・・」

 

「そうだね。その点を考えればこのユニットはいいね。スペックもCRユニットに比べて結構いいし」

 

「でも、何でぺダンカンパニーはASTにこのスーツ提供しなかったのかな?あの企業も政令について知ってたはずだよね?」

 

「さぁ?上の事情なんじゃない。まあとにかくこれで巨大生物や宇宙人が来ても大丈夫だね梓」

 

山郷はそういうと梓はうなずく。すると他の隊員が

 

「でも隊長。巨大生物が現れたら私たちじゃなくてもあの巨人。ウルトラセブンが戦ってくれるんじゃないですか?」

 

「え?」

 

あやの言葉に他の隊員も

 

「ああ、確かに今までの巨大生物もあのセブンとかいう巨大精霊?なのが戦って倒してくれたんでしょ?私たちが出る幕ないんじゃない?」

 

「それにこの前の巨大生物。ミサイルでも効かなかったんでしょ?新装備だからって、通じるかどうか・・・・」

 

「そうそう。困ったときはあの巨人に任せればいいんだよ」

 

と、皆はそういう。みんなセブンのを見て、自分たちがいなくても最終的にはセブンが何とかしてくれると思っているらしい

 

「あなたたちね!」

 

澤がそう言おうとした瞬間

 

「あんたら、何言うとんねん!」

 

「「「っ!?」」」

 

急に怒声が聞こえて皆が振り返るとそこには新聞を片手に持った西沢がいた

 

「西沢二尉?」

 

「あんたらな!ウルトラセブンばかりに頼ってちゃあかんよ」

 

「え?なんでですか。西沢さん?」

 

「当たり前やろ。ここはワイらの星だぞ?自分の故郷は自分自身の手で守ってこそ価値があるものや。確かに自分たちが敵わない強敵が現れて大変な時あってある。誰かが最後まであきらめず戦い抜いた時に初めてセブンは手を貸してくれるんやで」

 

西沢は力強くみんなに言うと澤も

 

「西沢さんの言う通りよ。はじめから戦わずに相手を頼りにしちゃいけないわ。私たちはAAT・・・・・侵略者からこの星を守るための部隊よ。地球は私たち人類、自らの手で守らなきゃいけないのよ。セブンだってきっとそう思っているわ」

 

澤の言葉にみんなは・・・

 

「確かに、隊長や西沢さんの言うとおりね・・・・」

 

「私よくわからなかったけど感動しました。隊長!」

 

「そうね~何もしないで相手頼りにしたらだめだもんね~」

 

と、皆はどうやら納得してくれたみたいだ。そして副隊長である山郷は

 

「それで西沢さん。その手に持っている新聞は・・・・」

 

「ああ、これかいな」

 

そう言い、西沢は机に新聞を広げる

 

「隊長。これ見てみ?」

 

「え?」

 

西沢の言葉に澤は新聞を見ると

 

『これで13名。謎の通り魔殺人事件。被害者は真っ二つになって死亡‼』

 

「これって、最近ニュースになっている殺人事件じゃない?それがどうしたの?」

 

「どうしたのやない。この事件の被害者の死に方おかしいと思わへんか?」

 

「え?」

 

「みな真っ二つになって死んでる」

 

「それはたぶん犯人は日本刀とか鋭利な刃物で斬ったんじゃない?」

 

「そうやあらへん。被害者の現場の近くに被害者の車があたんやけどなそこのドアもきれいに真っ二つになっているんや。普通に電ノコや刀なんかでは出来へんで。これは宇宙人の仕業の可能性がありまっせ」

 

「え?宇宙人?」

 

「そや、以前に夜中に人を襲い人を真っ二つにして斬殺する宇宙人がいるって聞いたことがありますのや。以前いた職場でもそいつの手にかかって死んだ仲間もおったし」

 

「え?ほんとですか西沢さん?」

 

「確かツルク星人とかいう宇宙人やったはずや」

 

「ツルク星人・・・・・・五河君なら何か知っているのかな・」

 

「ん?どうかしましたか隊長?」

 

「え?いいえ。なんでもないわ。とにかくその通り魔事件が宇宙人の可能性が万に一つでもあるなら調べる必要があるわ」

 

「おおっ!と、言うことは新型ユニットで!?」

 

「いいえ。今回は普通科の服装で捜査します。まだ世間にはAATはおろかASTの存在は秘密になっているからね」

 

「あ、そっか」

 

「それじゃあ、班を二つに分けます!山郷二等陸尉は山野、坂口、は天宮市の西を。私と西沢さん。そして丸山は東を調査します!宇宙人とあっても無理に交戦しないように自身の安全を大事にしてください」

 

「「了解!」」

 

「では、AAT出動!!」

 

そう言い澤達AATは通り魔殺人事件を調査するため出動するのであった

 

 

 

 

 

 

 

一方、士道ことセブンの通う学校では、朝のチャイムが鳴りみんなが席に座っているとタマちゃん教諭が入ってきて、朝のホームルームが始まり、タマちゃん教諭が出席を確認するために生徒の名前を読み上げていき。

 

「時崎さーん」

 

狂三の苗字を呼ぶが、返事はない。いやそれもそのはずだこの教室にはまだ狂三は来ていないのだ

 

「・・・・ん?」

 

士道も狂三の姿が無かったことに、士道は小さく首を傾げ十香も同じ事を思ったのか、キョロキョロと辺り一面見回している。

 

「むう、狂三のヤツ、転校2日目で遅刻とは」

 

「・・・・来ない」

 

十香がそう言うと、士道の左隣にいる折紙が静かな声でそう言う

 

「え?」

 

「時崎狂三は、もう、学校には来ない」

 

「それは・・・・」

 

士道が言いかけたところで、

 

「あれ、時崎さんお休みですか? もうっ、欠席するときにはちゃんと連絡を入れてくださいって言っておいたのに」

 

そう言いタマちゃん先生が頬を膨らせながら、出席簿にペンを走らせようとした、その瞬間。

 

「・・・・はい」

 

教室の後方から、透き通るようなきれいな声が響いた。皆が後ろを振り向くと、そこには狂三がいた

 

「もう、時崎さん。遅刻ですよ」

 

「申し訳ありませんわ。登校中に少し気分が悪くなってしまいましたの」

 

「え? だ、大丈夫ですか? 保健室行きます・・・・?」

 

「いえ、今はもう大丈夫ですわ。ご心配お掛けしてすみません」

 

狂三がペコリと頭を下げると、軽やかな足取りで自分の席に歩いていった。その中、士道は狂三の顔を見て

 

「(おかしい‥‥確かに彼女だが、昨日とは少し雰囲気が違っている。まるで誰かが入れ替わったかのようだな・・・・・)」

 

士道は狂三の雰囲気が機能と少し違うことに違和感を覚える。そんな中、折紙微かに眉根を寄せ、狂三の事を凝視していた。

 

すると士道のポケットにある携帯からメールの着信が鳴り士道は先生にばれないようにこっそりとみると、それは琴里からだった。

そしてメールの内容は

 

『昼休みになったら、物理準備室に来なさい。見せたいものがあるわ』

 

と、書かれていた。

 

 

 

 

 

そして午後の12時20分。四限目の授業の終了を告げるチャイムが鳴ると、生徒達は昼食の準備を始めていった。

本来なら十香は士道と一緒に食べる所ったんだが、士道が先にどこかへ行ってしまい。代わりに今は仲良くなった、さつきと一緒に学校の庭でご飯を食べていた。

そして士道は理科準備室に来ていた

 

「それで令音さん。見せたいものとは?」

 

「ああ、これだ・・・・」

 

そう言い令音が手元のマウスを操作すると、画面にとある映像が映し出された。

 

なぜか『恋してマイ・リトル・シドー2 ~愛、恐れていますか~』なんてギャルゲーが表示されていた

 

「続編!?」

 

さすがの士道も驚いて声を上げてしまう。

 

「ああ・・・すまないシン。間違えた。こっちだ」

 

そう言い令音は画面を切り替えると狭い路地裏に、なぜか狂三と真那が立っていた。

 

「昨日の映像だ」

 

「ん? これって・・・・狂三と真那‥‥それに折紙にASTか・・・・・」

 

何の変哲もない一角に、機械の鎧、CR-ユニットを纏ったAST隊員達がいた。画面の端には、折紙の姿を士道は黙ってみていた。その瞬間、真那が光に包まれ青いCRユニットを装着した姿になった。そして狂三も学生服から精霊の姿である赤黒いドレス姿となる。

そして狂三が、右手を頭上に掲げる。すると再び影が彼女の身体を這い上がり、右手に収束していった。その瞬間、真那の持つレーザーが彼女の腹を打ち抜いた。腹を撃ち抜かれた狂三は再び起き上がろうとしたが、再び真那の放つレーザーによって腹を撃ち抜かれ倒れる。

完全に動かなくなった狂三の首に、真那は知和樹、レーザーサーベルで彼女の首を切断した

 

「これは・・・・・」

 

士道は映像を見て驚きそう呟くと

 

「・・・・見ての通りだ。昨日、時崎狂三はAST・崇宮真那に殺害された。重傷とか、瀕死とかではなく、完全に、完璧に、一分の疑いを抱く余地もなく、その存在は消し潰された」

 

「しかし彼女は今日、普通に学校に通っていた・・・・」

 

士道が言うと、琴里と令音はまったく同じタイミングで腕組みした。

 

「・・・・そう。我々もそこがわからないんだ」

 

令音の言葉に士道は再び、モニターを見るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ時刻、屋上の階段では折紙と狂三がいた

 

「え~と…何か御用ですの?わたくし、まだお昼を食べていないのですけど?」

 

「とぼけないで…あなたは昨日死んだはず」

 

「・・・・・」

 

折紙の言葉に狂三はわずかに微笑み

 

「あ~あなた。昨日真那さんと一緒にいらっしゃった方ですの?」

 

「・・・・!」

 

今までとは違う雰囲気の口調に折紙は驚きその場から飛び退いた。その時彼女の足元から白く細い手が二本、生えていた。

しかもじわじわと影が面積を増すと、壁をも這い上がっていき、そしてそこからも無数の手が生え、後方から折紙の腕と首をガッチリと拘束した。

 

「きひひ、ひひ、駄ァ目ですわよぅ。そんな事をしても無駄ですわ」

 

狂三が、数刻前では想像もできない歪んだ笑みを張り付け、聞いているだけで腹の底が冷たくなるが広がるような声を発した。

 

「昨日はお世話になりましたわね。キチンと片付けてくださいまして? わたくしのカ・ラ・ダ」

 

そう言い狂三は折紙の首をつかむ。折紙は

 

「あなたは・・・・・何が・・・・目的?」

 

喉を締め付けながらも、折紙が声を発すると、狂三はニィィ、と唇の端を上げた。

 

「うふふ、一度学校というものに通ってみたかった、と言うのも嘘ではございませんのよ?」

 

髪をかき上げる狂三。その時一瞬、前髪に隠れていた左目が見えた気がした。無機的な金色。およそ生物の器官とは思えない形状をした瞳に見えるのは、12の文字と2本の針、そう、それはまるで“時計”のように見えた。

そして狂三は、息がかかるくらいの距離にまで顔を近づけてくる。

 

「でも、そうですわね、一番となるとやはり・・・・・士道さん、ですわね」

 

「ッ!!」

 

「あなたも彼に焦がれているのでしょ?でも残念わたくしのほうがずっと…ずぅーっと!彼のことを想っていますわ」

 

士道の名が出され、折紙は声を詰まらせた。そんな反応を見てか、狂三はいたく楽しそうに笑みを濃くし折紙の耳元で

 

「彼は素敵ですわ・彼は最高ですわ!彼らは本当に・・・・美味しそうですわ」

 

舌なめずりをしてそういう狂三は続けてこういう

 

「ああ、ああ、焦がれますわ。焦がれますわ。わたくしは彼が欲しい!彼の力の全てが欲しい。彼を手に入れるために・・・・人の姿を借りている(・・・・・・・・・)彼と一つになるために!!この学校に来たのですわ」

 

士道を狙っているという狂三の言葉に折紙は冷や汗をかき恐怖を抱くのと同時に一つの疑問を感じた。そう。狂三の言った『士道の力』と『人の姿を借りている』という言葉だ。

 

しかし狂三はその答えを言わずただ黙って不気味に笑い。そして彼女の陰からまた無数の白い手は這い上がってくるのであった・・・・・・・



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三つの苦難

そして時間が経ち、帰りのホームルームが終わると、学校の廊下の下駄箱で狂三が靴をしまっていた。

するとそこへ士道が杖を突きながら狂三のもとへと赴いた。

 

「狂三、すまないが、少しいいか?」

 

「あら士道さん。なんですの?」

 

「あ、ああ。突然で悪いんだが・・・・狂三、明日暇か?」

 

「? ええ、大丈夫ですけれど」

 

「その、もしよかったら、この町のことを案内しようと思ってね?」

 

「え? それって・・・・」

 

「ああ、今時で言うなら、デートと言う奴かな?」

 

士道が少し照れながらそう言うと、狂三の表情は明るくなり、

 

「本当ですの!?」

 

「あ、ああ・・・・それで、どうかな?」

 

「もちろん。光栄ですわ」

 

「そっか、じゃあ・・・・明日10時半に、天宮駅の改札前で待ち合わせといことで」

 

「ええ、楽しみにしておりますわ!」

 

「じゃあ、また明日」

 

狂三が満面の笑みで言い、士道は軽く手を上げると教室に戻っていった。そして士道は先ほどの昼休みでのことさとの会話を思い出す

 

『令音の言う通り、崇宮真那に殺されたはずの狂三がなぜ生きているかわからない・・・・でもまあ、何にせよ。狂三が生きている以上、作戦は続行よ。確か明日って士道の学校、開校記念日で休みだったわよね? 今日中に、狂三をデートに誘いなさい。かなりグイグイ来てるし、運が良ければこの1回で力を封印できるかもしれないわ。それに狂三が生きている情報はすでに鳶一折紙がこの目で見てるしまた同じことが起きる可能性があるわ』

 

『・・・・わかった琴里』

 

 

「(必ず彼女を説得しなければならない・・・・)」

 

士道は必ず狂三の霊力を封印し彼女を助けると心に誓う。すると・・・・

 

「・・・・彼女と何を話していたの士道?」

 

「うわっ!?(い、いつのまに!?)」

 

急に背後から折紙が静かで抑揚のない声で指導に話しかけ士道は驚く

 

「もう一度訊く・・・・・時崎狂三と何を話していたの?」

 

「い、いや、何でもないよ」

 

「答えて。これは非常に重要なこと」

 

そう言い折紙は士道に詰め寄るが士道は

 

「大丈夫だ折紙。君が心配するようなことはない・・・・・すまないが十香を待たせているんだ。失礼するよ」

 

と、軽く笑い、士道は杖を突いてその場を逃げように去っていく。その様子を折紙が心配そうな目で見る。

あの後、狂三になにもされずに解放された折紙だったが、狂三が士道を狙っていることに不安を感じずにはいられなかったのだ

 

「士道・・・・・」

 

 

 

 

その放課後、士道は十香とともに買い物をし、家へと帰る途中だった。そして士道は

 

「昼のときはすまないな十香。一緒に食べると約束したのに・・・・さつきさんと一緒で大丈夫だったか?」

 

「うん・・・・・・」

 

士道の言葉に十香はどことなく元気な下げに返事をする。

事は数時間前の昼休みに遡る。

十香がバド星人の一件で仲良くなった後輩であるさつきと一緒にお弁当を食べていた時である。

 

「・・・・むぅ」

 

「どうしたんですか十香さん?」

 

十香のため息にさつきが心配そうに訊くと

 

「し…シドー・・・」

 

「うわっ!せ、先輩!大丈夫ですか!?体の具合でも悪いんですか?」

 

急に涙を流す十香にさつきは驚き、心配してそう言うと十香は首を横に振り

 

「実は今日は、あまりシドーと話せていないなあと思ってしまって、そうしたら、なぜか、こう・・・・」

 

それを口に出すと、目からポロポロと大粒の涙がこぼれる。

 

「せ、先輩。泣かないでください!ハンカチ貸しますからこれで涙を」

 

そう言いさつきはハンカチを出し、十香はそのハンカチで涙をふく。すると・・・・

 

「おやおや?こんないい天気に可憐な美少女が何を泣いているんだい?」

 

「あ、丹波先輩」

 

十香が泣いているところをメトロン星人こと、丹波夢露がやってくる。そして十香を見ると

 

「ふむふむ・・・・・まあ、これでも飲んで落ち着きなよ。はい眼兎龍茶。さつき君の分もあるよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

そう言い夢露は二人に眼兎龍茶を渡し、二人はそのお茶を飲む

 

「「(あ、普通においしい)」」

 

そう思いながらお茶を飲み終えると、夢露は

 

「さて…後輩の十香ちゃんが泣いているところを見ると恐らく原因はセ・・・士道君だね?まったくあの男は、こんなかわいい子を泣かせるなんてちゃぶ台をひっくり返して思いっきりビンタをしてやりたいもんだよ」

 

あきれ顔でそういう夢露に十香は再びアワアワと制止した。

 

「し、シドーは悪くないのだ! ただ、私が・・・・」

 

十香は乏しい語彙の中から言葉を拾い集めて、士道に非がない事と、士道がいることに慣れてしまった自分が原因なのだと説明したが、それを聞いたさつきは

 

「つまり十香先輩は士道先輩とお話したり、一緒に出掛けたりとそういうことがいいんですよね?」

 

さつきの言葉に十香は頷く。それを聞いた夢露は

 

「アハハ!なんだそんなことかい?そう言う理由ならお姉さん一肌脱ぐわよ」※元男です

 

夢露がそう言うと胸ポケットから二枚のチケットを出す

 

「丹波先輩それは?」

 

「天宮クインテットの水族館のチケットよ。十香ちゃん。明日は開校記念日で休みでしょ? だからお姉さん。これをあなたにあげるから、明日にでも彼を誘って遊びに・・・・デートに行きなさいな」※元男です

 

「・・・・!」

 

十香は目を見開いた。デート。士道と一緒に。思えばここ最近ずっと、士道と初めてデートやハイキングの日以来、士道とデートに行っていない気がする。久しぶりのデート。それはーーー。

 

「・・・・・嗚呼、それはとてもいい。とっても素敵な事だと思う)」

 

十香は幸せな気持ちになるが、1つの問題があった。

 

「わ、私が、誘う・・・・のか」

 

緊張に汗を垂らしながら十香は言った。

 

「ええ。たまには女子から誘うのもいいものよ。ここで誘わなきゃ女が廃るってモンよ」

 

「だ、だが・・・・もし断られたら・・・・」

 

「大丈夫です先輩!士道先輩ならきっと先輩とのデートを喜びますよ!私も応援します!!」

 

「しかし・・・・」

 

さつきが励ます中、十香は不安そうにするとそれを見かねた夢露は

 

「も~仕方ないわね。それじゃあ、いいことを教えてあげる。彼って女に弱い質だからそこを利用してね・・・・・・」

 

と夢露は十香に何か助言をするのであった

 

 

 

 

 

 

「(・・・よし!)」

 

十香は力強く頷く。そして二人は家に着くと家には誰もいなく士道と十香だけであった。

すると十香は家の鍵を閉め、カーテンを閉じる

 

「ん?十香。どうしたんだ?夕飯まで時間があるけどマンションに戻らないのか?」

 

士道がそう聞くと十香は黙ったままだ

 

「十香?どうしたんだ?」

 

士道がそう訊くと、十香は制服のリボンを緩め、ブラウスのボタンを上から順番に外し、第四ボタンまで開き、ブラウスの隙間から十香の白い胸元が覗き、士道は思わず目を逸らす。

 

「と、十香!?な、何をやっているんだ!?」

 

士道が驚く中、十香は口に紙切れを咥え、四つん這いになって士道に近づく

 

「(ど、どうしたんだ十香は!?)」

 

いきなりの十香の行動に士道は後ずさり、そしてソファーに倒れると、十香はソファーに倒れた士道を押し倒し

 

「十香・・・・?」

 

「シドー・・・・あ、明日・・・・デェトに行かない・・・・か?」

 

「は・・・・? で、デート・・・・?」

 

「う、うむ・・・・!」

 

十香は顔を赤く染めそう言うと、士道は彼女が口に咥えているものを見てそれをとると、それは水族館のペアチケットだった

 

「お、おお!メロ先輩の言うとおりだ!!」

 

「め、夢露?」

 

士道がチケットを受け取ると十香の顔がパァっと明るくし、姿勢と服装を元に戻し、鞄を手にとった

 

「明日! 朝10時に駅のパチ公前で待ち合わせだ! で、では着替えてくる!」

 

そうとだけ言うと、十香は目にも留まらぬ速さでリビングを出て、廊下を走り、玄関の鍵を開けて外を駆けていく。

そして残された士道は・・・・・

 

「夢露。いやメトロンめ・・・・十香に何を吹き込んだんだ・・・・・・」

 

少し不機嫌そうに眼を細めてそう言う士道。十香に少し破廉恥なことをさせた夢露に対し、士道はもし彼女がその場にいたら彼女の望み通りにもう一度、アイスラッガーで真っ二つに斬ってやろうかと少し考えた。

だが、今思えばこの頃、十香のそばにいてやれなかったこともあったのでこれはこれでよかったんじゃないかとも思っていた。

だが一つ問題があった。明日は狂三とデートに行く約束をしていたのだ。

 

「どうしたものか・・・・・・」

 

そう困っていると、急に着信音が鳴る。士道が確認するとそれは折紙であった。士道は電話に出る

 

「もしもし、折紙か?どうした?」

 

そう訊くと電話の向こうから折紙の静かな声が聞こえた

 

『貴方は、1人になってはいけない』

 

「え・・・・?」

 

『午前11時。天宮駅前広場の噴水前で待っている・・・・絶対に来て』

 

「あ、ちょっとまっ・・・・」

 

士道が明日は予定があることを折紙に言おうとしたとき電話は切られてしまう

 

「これは……非常にまずいことになってしまった。どうすれば」

 

士道・・・・セブンも経験のないこの状況にどうするべきか困ってしまう。そこで、士道は電話で琴里に相談すると、、十香とのデートを断ればただでさえ朝から寂しさメーターが上昇しているので、琴理から十香と狂三と折紙でなんとかトリプルデートを熟しなさいと言われた。

士道は仕方なくその案を受け入れるのであった。

 

すると・・・・・

 

ピンポーン

 

急にチャイム音が鳴る

 

「ん?十香が忘れ物でもしたのか?」

 

そう思い士道は、杖を突き、ドアを開けると、門の前で

 

「ごめんね士道君。こんな時間に少し聞きたいことがあるの。いいかしら?」

 

「・・・・え?澤・・・・さん?」

 

ドアを開けて士道が見た人物は元AST隊員でバド星人の一件で共に戦った澤隊員と、その後ろに短い髪をした女性が立っていたのだった。

 

 



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謎の女性、西沢義子

澤たちが、士道の家にやってくる少し前。謎の通り魔事件を調査するため澤ら、AATは二班に分かれて調査することになった。

そして澤はパジェロの助手席に乗るのだが、

 

「ん?どうしたんですか西沢さん?」

 

「ああ、すんまへん隊長。実は私運転できないんですよ」

 

「え?しょうがないわね・・・・ごめん丸山さん。代わりに運転してくれる?」

 

澤は少し呆れながらそう言い同じパトロールに出る丸山紗季に運転をお願いすると彼女は無表情で頷き、運転席に乗り澤が助手席に、そして西沢が後ろに乗る。そしてパジェロはゆっくりと走り出し、彼女たちの乗る車は異状がないかどうか?そして近くの警察署なんかで自分たちの職場を知っている一部の警察官から事件の聞き込みなどをしていた。

 

「う~ん・・・・・あんまり手掛かりがないわね」

 

ほとんどの街を見回り、澤は頭を悩ませる。あれだけの殺人事件。なんも手掛かりがない。あるとすれば犯人言いよって切り裂かれた遺体と同じく真っ二つになった車のドアだとかガードレールとかであり、それを除けばまったく証拠がないのと同じだった

 

「困ったわね・・・・」

 

「・・・・」コクコク

 

澤の言葉に車を運転している丸山は無言で頷く。

 

「それで?他の班たちからは?」

 

「・・・・・」

 

「そう・・・私たちの班と同じ、手掛かりなしなのね」

 

どうやら丸山という隊員は無口な子なようだが、なぜか澤隊長に入っていることがわかるらしい

 

「ふわぁ~~結局、なんも手掛かりなしですな隊長さん。ま、でも夜になれば連中、動くはずですやろ?」

 

そんな中、西沢は大あくびをしていた。そんな西沢に呆れながら澤は

 

「西沢さん。今はパトロール中ですよ?もう少しまじめにやってください…まあ、いいわ。それより西沢さん。レーダーの反応ちゃんと見ててくださいね。このレーダーは精霊の他に宇宙人のも反応するようにしましたので」

 

「ああ、大丈夫や。うちは先ほどまで防衛隊に所属してて鼻が利くんですよ。だから怪獣や宇宙人が現れたらレーダーより先にこの鼻が嗅ぎつけますよ」

 

「防衛隊?」

 

「そうや、MACというんや。まあここじゃあまり知られてないようですが?」

 

「ええ、知らないわ。その組織、どんなことしてたの?」

 

「まあ、一言で言うには宇宙船の航行の安全確保と、怪獣や宇宙人の襲来をいち早く察知・撃退するのが任務やさかい。基地も宇宙ステーションなんやで?」

 

「はぁ・・・・そ、そうですか?(日下部隊長には聞いていたけど、本当に変わった人だな・・・・でも嘘言っているようには聞こえないけど?)」

 

澤は西沢が言っていることに疑問を抱いていた。自分の知らない組織の名前。他の人から聞けば変な妄想だと思うかもしれないが、なぜか澤には彼女がふざけて行っているようには聞こえなかった。なぜそうなのかは澤自身にもわからない

 

「ああ、丸山三曹。そこを右に回って」

 

「・・・・・」コクコク

 

「隊長、どこに行くんや?」

 

基地とは真逆の方向を走るように指示すると西沢が訊くと

 

「ちょっと、用事があってね。これから宇宙人に詳しい人に会いに行って宇宙人について聞きたいの」

 

「ああ、前に話していた少年のことでっしゃろ?確か五河士道くんやったけ?」

 

「ええ。ウルトラセブンのことも彼が教えてくれたの」

 

「ほえ~セブンのこと知ってる人おるんや~どんな人か楽しみや」

 

そう言い西沢は少し嬉しそうな顔をする。そしてしばらく車を走らせると

 

「あ、ここで止めて」

 

と、澤がそう指示し、パジェロは止まる。そこは一軒の家であった

 

「ここがその宇宙人に詳しい人の家ですか隊長?」

 

「ええ。西沢さん。一緒に来てください。丸山三曹はここで待機して」

 

「了解」

 

「・・・・」コクコク

 

澤の言葉に二人は頷き西沢は澤と同行し。丸山はパジェロで待機することになった。

そして澤は家のインターホンを鳴らすと、ドアが開き、そこから杖を突き黒みを帯びた群青の短い髪の少年が出てきた

 

「・・・・え?澤・・・・さん?」

 

少年が驚くと澤は

 

「ごめんね士道君。こんな時間に少し聞きたいことがあるの。いいかしら?」

 

「また宇宙人についてですか?」

 

「ええ」

 

「わかりました。どうぞ入ってください」

 

と、そう言い少年事士道は二人を家に招くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お茶です」

 

「どうもありがとう士道君」

 

士道は二人にお茶を入れると澤は礼を言う。そして澤は杖を突いている士道を見て

 

「士道君。足を怪我したの?」

 

「ええ、少し転んで、数日すれば治るそうです」

 

「そうですか・・・」

 

と、そぷ言う中、西沢は

 

「なんか杖ついていると、MACのモロボシ隊長を思い出しますな~」

 

「・・・・」

 

西沢は小声でそう言うと、若干ながら士道は少し驚いた顔をする。

 

「澤さん・・・・この人は?」

 

「ああ。この人は宇宙人対策チームに加わってくれた西沢義子さん。私の先輩よ」

 

「どうも、わて・・・ああいや自分は陸上自衛隊、宇宙人対策チームの西沢義子二尉ですわい。どうもよろしくたのんまっせ」

 

大阪弁で元気よく挨拶をする西沢のその姿を見て士道は

 

「(この西沢という人…どこかで会ったような・・・・以前どこかで・・・)」

 

士道は西沢の雰囲気からどこかで会ったような?そんな不思議な感覚を感じた。だが、今はなぜ澤が国庫に来た理由を尋ねることが先であったため士道は

 

「・・・・それで澤さん。今日来たのは夜現れる通り魔・・・・宇宙人についてですね?」

 

「ええ、そうよ」

 

士道は澤が来た目的は最近巷を騒がせる夜間に人を襲う通り魔が宇宙人じゃないか聞きに来たのではないかと推測していたのだ。

そして、その問いに澤は頷く

 

「ええ。最近起きている通り魔は西沢さんが言うにはツルク星人という宇宙人が起こしているって言っていたんです」

 

「・・・・なに?」

 

澤の言葉に士道はちらっと西沢を見る。西沢は軽くあくびをしていた

 

「あくまで私の仮定ですたい。ですが人間を真っ二つにできる通り魔なんてツルク星人しかいないと思いましたわ。同僚もそいつにやられたと聞きましたたい」

 

「・・・・鈴木隊員か・・・」

 

「・・・・っ!?」

 

ぽつりと士道が言うと今度は西沢が少し驚いた顔をする。そんな二人の行動に気づかない澤は

 

「それで私は士道君がツルク星人について何か知っていないか、それを聞きに来たのよ」

 

澤がそう言うと士道は少し考え

 

「ツルク星人のことは知っている。宇宙の通り魔の異名を持つ宇宙人だ」

 

「宇宙の通り魔・・・・・やり方してそのまんまね。それでその宇宙人の目的は何か知っている?」

 

「はっきり言って、奴に目的はない。あいつはただ殺戮を好む宇宙人だ。そして奴は夜動き相手の背後を襲う宇宙人だ。」

「それで対抗策は?」

 

「今のところは民間人に夜間での出歩きをしないよう呼びかけた方がいい。夜間で歩けば殺してくれと言っているようなものだ」

 

「わかったわ。でもそのツルク星人は夜しか現れないのよね?その時間帯に私たちが倒せば・・・・」

 

「この前のバド星人とは違い、連中はそんなに簡単に勝てる相手じゃない。生半可なやり方では死ぬことになります」

 

「では、放っておけというんですか!?」

 

「そうはいっていません。ただ今は迂闊な攻撃はするな・・・・そう言いたいだけだ」

 

士道の真剣な目に澤は黙ってしまう。すると

 

「ま、澤隊長。ここは専門家の意見を聞きましょう。それにまだツルク星人だとわかったわけじゃありませんし、まずは情報を探さないと」

 

「そうね・・・・わかったわ」

 

澤は納得しない表情であった。そして澤は

 

「じゃあ、私たちはそろそろ戻るわ。士道君。教えてくれてありがとうね」

 

「ええ、澤さんたちも頑張ってください」

 

「ほな、わてらわこれで」

 

そう言い、二人は帰っていった。そして士道は

 

「・・・・それにしてもあの西沢という隊員・・・・ん?」

 

士道は先ほどの西沢について考えていると玄関に白い紙が置かれていた

 

「なんだろ?」

 

そう思い士道は紙を取り開くと

 

『xx公園にて待つ。西沢より』

 

と、書かれていた

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方、澤たちはパジェロで駐屯地へと向かっていると

 

「ああ、隊長。わてはここで降りますたい」

 

「え?どうして?」

 

「いや~あの公園。わてが小さい頃に遊んだ思い出の公園なのですわ。少し子供時代を思い出したくて、ついでに近所も回ってみます」

 

「後じゃダメなの?」

 

「すんまへん。わがまま言って。でもこの後忙しくなると思いますし・・・・」

 

「はぁ・・・・わかったわ。でも門限までには戻ってきて頂戴。士道君にも忠告されたでしょ?夜は・・・・」

 

「わかってます。わかってます」

 

そう言い、西沢はパジェロから降りて、公園に向かい、澤たちはそのまま戻るのであった。

そして西沢はブランコに腰掛け

 

「そろそろでんな・・・・」

 

そう言うと

 

カツーン カツーン カツーン

 

夕焼けに染まった天宮の街に杖の付く音が響く。そして公園の入り口に一人の少年が杖を突いてやってきた

 

「・・・・・」

 

少年の顔を見て西沢はニコッと笑い

 

「まってましたわ。五河さん」

 

「ええ、手紙にここに来るように書いてありましたからね」

 

そう言うと西沢はブランコを降り、士道のそばまで歩む

 

「そんで、わてがここに呼んだ理由・・・・・わかりますよね?」

 

「ええ・・・・私もちょうどあなたに訊きたいことがありましたので」

 

「そうですか。そんならお先にどうぞ」

 

「……君はさっきMACと言っていたが・・・・?」

 

「あ、聞こえてはりましたか?あれは・・・・・」

 

「宇宙パトロール隊。Monster Attacking Crew…通称MAC。母体である地球防衛軍の下、最高司令部であるアジア本部のMACステーション、各エリアを司る4つの宇宙ステーション。アジア支部、アフリカ支部、ヨーロッパ支部、アメリカ支部があり、そして各支部の下に東京支部等の地方支部や関連施設がある。防衛チームだ」

 

「やはり、あんさん。ツルク星人にいついて詳しいから妙だと思いましたが・・・・・あんさん。何者や?」

 

「私もかつてそこに勤めていた。そして私は君に似た人物を知っている」

 

「其れは奇遇やな・・・・・それはわても同じや。わても杖を突いた人物をよう知っておりますたい。それにその口ぶりといい雰囲気と言い・・・」

 

「ああ・・・・君はもしかして・・・・」

 

そう言い二人は指をさし

 

「モロボシ隊長でっか?」

 

「佐藤隊員か?」

 

そう二人の言葉がハモるのであった

 

 



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二人の宇宙パトロール隊

xx公園

 

「なんだ・・・・・モロボシ隊長もわてと同じ境遇だったんでっか・・・・」

 

「ああ、だが、驚いたよ。まさか君が佐藤隊員だったなんてな」

 

公園のブランコで二人はそう話し合う。あの後、二人は話し合ってわかったことがあった。それは二人とも前世で同じ世界の人間であり、そして士道・・・いや、ダンがかつて所属していた宇宙パトロール隊MACの隊員であることが分かったのだ。

そして西沢義子の前世の名はMACアフリカ支部諸族の佐藤三郎隊員だというのが分かったのだ

佐藤はMACが設立する前の防衛軍の所属であり、かつてウルトラ警備隊時代のダンとも面識があり、当時は佐藤が先輩。ダンが後輩といった立場だった。そしてMAC設立のとき、アフリカ支部にいた佐藤は一時的に日本に戻り、ウルトラマンレオことおおとりゲンとともに怪獣を撃破し、そして雪男を探しにヒマラヤへと旅立ったはずだった

 

「それにしてもわからん。あなたは確か雪男を探しにヒマラヤへ向かったはずだが・・・・・・」

 

「そうでっせ。まあ長い話になるんやけど・・・・・・」

 

そう言い西沢こと佐藤は前世のこと話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

MAC全滅の同日、ヒマラヤ山脈・・・・

 

「か~!!どこにおるんや雪男!絶対におるはずやのにな~!!』

 

雪の山脈の中、髭を生やした男性・・・・佐藤三郎は雪男を探しながらそう言う。すると彼の腕につけている。マックレシーバーから通信が入る

 

「ん?なんや?MACが今のワイに用があるんか?・・・・・はっ!こちら佐藤!!」

 

佐藤は通信に出る。通信の内容は、ブラックスターからやってきた円盤生物、シルバーブルーメによってMAC宇宙ステーションが全滅したとの報だった・・・・・

 

「な、なんやて!!!!!?????」

 

その方に驚く佐藤。そして脳裏には共に戦ったおおとり隊員や隊長であるモロボシ・ダンの姿が浮かんだ

 

「こうしちゃおれん!雪男何てどうでもいいわ!!」

 

そう叫び、急いで山を下り始める佐藤。すると彼の目の前に白い何かが立ち塞がる

 

「っ!?」

 

それは白い毛むくじゃらで鋭い牙をした巨大なゴリラのような生物だった

 

「なんでや・・・・なんで!こんな時に雪男が出るんや!!!今それどころじゃないんやで!!!」

 

佐藤は歯を強く噛み締めながらMACガンを手に持った

 

「急いどるんや!邪魔するんやない!!!」

 

そう言い、雪男に向かって発砲する。すると雪男は雄たけびを上げるのと同時に何かつぶれる音が聞こえそしてそばにあった雪は真っ赤に染まるのであった。

 

 

 

 

現在

 

「その先のことは覚えないんや。ただ気が付いたら、この姿として生まれてきたんです」

 

「そうか・・・・あなたも大変だったんですね」

 

「そや・・・・隊長は男として生まれ変わったからよかったですが、ワテなんか女の子ですよ?ホンマに苦労しましたわ…特に風呂とか・・・・」

 

「・・・・本当に苦労したんだな佐藤さん」

 

と、乾いた声でそう言う佐藤・・・・いや西沢に士道は改めて彼・・・いや彼女が苦労したか理解するのであった。

 

「それで隊長・・・・隊長がこの世界で別の人間の姿でいるってことはやはり、ステーションと・・・・」

 

「ああ。俺も死んだ・・・・・MACステーションと運命を共にしたよ。ただ・・・ゲンはおそらく無事に脱出できたと思う」

 

「そうですか・・・・おおとり先輩が無事なら大丈夫でんな?」

 

「ああ、あいつも初めに比べ成長したからな・・・・」

 

そう言い士道は空を見上げてそう言ったのだった。そして二人はしばらく昔話をしていた。そして

 

「ほな。モロボシ隊長。ワテはそろそろ戻ります」

 

「ああ。久しぶりに君と話せてよかったよ。佐藤隊員」

 

「あはは、今は自衛官であり、対宇宙人チームの西沢義子ですたい」

 

「そうか・・・では私も今は五河士道だ。宇宙人のこと頼むよ」

 

「任せといてください!でも万が一ワテらの力が及ばなかったときは力を貸してください」

 

「ああ、もちろんだ」

 

西沢が笑ってそう言うと士道も笑って返事をした。士道は…ダンは嬉しかった。元の世界での住人には会ってはいたが、MACという組織を知っていてそして共に戦った仲間に出会えたことに・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある場所では・・・・

 

「・・・・」

 

狂三が霊装を纏い学校の屋上で夕日を眺めていた

 

「あ~いよいよ明日ですわ。明日は士道さんと楽しい、楽しいデートですわ。そしてその時こそあの人の力を・・・・・」

 

そう笑いながらそう言う狂三・・・すると狂三はくるりと振り返り

 

「そろそろ出てきたらどうなんですの?丹波先輩?」

 

そう言うと、屋上のドアが開き

 

「アハハ・・・・まさかばれていたとはね~」

 

そう言い現れたのは夢露だった

 

「それにしても狂三ちゃんだったかな?随分とかわいらしい格好をしているね~それが精霊の姿?」

 

「あら?あなた私が精霊だと知っていると?」

 

「ええ、人並み程度にはね~」

 

「そうですの・・・・・・なら」

 

そう言うと夢露の足元にある陰から無数の手が伸び彼女を捕らえるが夢露は動じない表情だった

 

「私の子の姿を見られたからには・・・・言いたいことわかっていますわよね?」

 

「ええ・・・・でもうまくいくかな?」

 

「なんですって?」

 

平然と言う夢露に狂三は疑問を感じると夢露は手から小さな赤い球を落とし、球は足元にある影に吸い込まれ少し赤い煙が漏れ出す。すると・・・・・

 

《ギヤァァーーー!!!》

 

「っ!?」

 

急に影から無数の悲鳴が聞こえ、そして無数の白い腕は、夢露を話し代わりに自分の腕などをつねったり引っ掻いたりし始める。そして最後にはまるで糸が切れたかのように影の中に沈んでいくのだった

 

「こ・・これはどういうことなんですの!?」

 

急な出来事に狂三は動揺すると

 

「ほぉ・・・・これ、精霊にも聞くのね~これはいい情報を得た」

 

「あなた・・・・何をしましたの?」

 

キッと夢露をにらむ狂三に夢露は先ほどの赤い球を見せる

 

「宇宙ケシの実を使用した煙幕弾。この煙を吸うとね。周囲が全て敵に見え、見境なしに襲い掛かる作用があるのよ。ま、しばらくすれば正気に戻るんだけどね」

 

「宇宙・・・ケシの実?あなた・・・・いったい何者なんですの?」

 

怪しむように夢露を見る狂三に夢露は

 

「さぁ?私は誰でしょうね・・・・それよりあなた。なんで士道君の力を欲しがっているのかしら?それにさっきあなたは彼を人の姿を借りているとか言っていたけど?」

 

「聞いていましたの折紙さんの話を・・・・・」

 

「ええ。全部・・・・・」

 

「私が答えるとでも?」

 

「別にあなたが答えようと答えないのはそれは君の自由さ」

 

「食えないお人ですね?」

 

「よく言われるよ。それで?答えは」

 

夢露がいたずらっぽい笑みでそう言うと狂三は少しため息をつき

 

「確証はありません。ただ彼は人とは何か違う何か別のものが人間の姿になっている。そう感じただけですわ。あなたは何かご存じで?」

 

「さあ?どんな人物であれ彼は彼さ・・・・ほいっ!」

 

そう言い夢露は狂三に缶を投げて狂三はそれをキャッチする。

 

「これは・・・・・」

 

「私のソウルティー。眼兎龍茶。さっきのお詫びにしるしと質問に答えてくれた礼さ。さて私はそろそろ帰るわ。明日のデート楽しみなさいな」

 

そう言い夢露はまるで煙のように消えるのであった。それを見た狂三は

 

「あの人はいったい・・・・・これは長い付き合いになりそうですわね・・・・・」

 

ため息交じりにそう言い夢露のもらったお茶を飲むのであった・・・・・

 

 

 

 




佐藤隊員の設定は私のオリジナル設定です。
因みに佐藤三郎隊員はレオで怪獣バンゴのときに登場した。私の個人的にMACの隊員キャラでも印象深い隊員です。


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天宮市を突っ走れ!その1

天宮市の街の中、杖を突き黄色のジャンパーにジーンズをはいた士道が立っていた。そして耳に装着してあるインカムから・・・・・

 

『あ~テステス。聞こえている?大事なデートの日に三股をかけた、このミラクルスケベ野郎』

 

と、琴里の声が聞こえ、その言葉を聞いた士道は

 

「できればその後に断ろうとしたが、止めたのはお前だろ琴里?」

 

『家でも話し合ったでしょ?断ったら十香の好感度が下がっちゃうし、鳶一折紙については余計に怪しまれるでしょ?安心してこうなった以上は全力でサポートするから、士道はちゃんとタイムテーブル通りに動くのよ?』

 

「わ、わかった・・・・」

 

士道が少しため息をつくと、作戦が開始されタイマーがカウントダウンされる。そして士道は

 

「さて…最初は水族館か・・・・」

 

そう呟くとインカムから

 

『士道さん。頑張ってください・・・・』

 

『刺されないようにね~士道君』

 

「ああ・・・・気を付けよう(それにツルク星人のことについても気を付けなければな)」

 

士道はトリプルデートの他に澤や西沢から聞いたツルク星人のことについても気を付けようと決心した。普段夜に動くツルク星人だが、いつ巨大化して町を破壊するかわからなかったからだ。そのため士道は人一倍警戒心を抱くのだった

 

『さ、そろそろ時間よ。ーーー私たちの戦争<デート>を始めましょう』

 

琴里の言葉に士道は頷き、杖を突きながら水族館へと向かうのであった。すると士道の背後にあった建物のテレビモニターではニュースが流れていた

 

『ええ・・・DEM社とぺダンカンパニーの神戸港に沈んだ物体の所有権を争う裁判の結果。所有権はDEM社の勝利となり……』

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は天宮駅東口に行き、『パチ公』と呼ばれる犬の銅像前についた。

 

「シドー!」

 

声の方向に振り向いて、目をやるとそこには、もう太陽よりも眩しいと言っても良いと思えるほどの満面の笑みを浮かべた十香が立っていた。

装いをバッチリお洒落にした格好だった。 

 

「こ、これは・・・・」

 

『・・・・ああ、十香から、何を着ていけばいいのかと訊ねられたんだ。悪くないだろう?』

 

インカムから令音がそう言い、そしてモニターを見ている四糸乃とよしのんは目をキラキラさせ頷き、琴里はグッジョブというハンドサインをしていた。

そして士道も、彼女の可愛さに見惚れていた

 

「シドー?」

 

「え・ああすまない。あまりにも可愛らしくて、ついぼーとしてしまったよ

 

「・・・・・・・なっ!?///」

 

士道の言葉に最初は頬ける十香であったがその言葉を理解した十香は赤信号のように真っ赤になり顔から湯気が出た

 

「い、いいから行くぞ! ほら、早く!」

 

「ああ、わかったよ」

 

そう言い、二人は水族館へと向かうのであった。

 

「まずは順調の滑り出しのようね?」

 

「司令これを!?」

 

モニターを見ていた。すると椎崎が何かを発見しモニターをアップする。するとそこには階段を上がる鳶一の姿であった

 

「鳶一折紙?待ち合わせは11時のはずよ?一時間も早いじゃない?」

 

「気の早いことだね?」

 

と、二人がモニター越しにそう言う中、士道と十香は目的場所である天宮クインテットの水族館に着く。すると十香は

 

「そう言えばシドー。水族館とはなんだ?」

 

「ん?十香は水族館が初めてなのか?」

 

士道がそう言うと十香は頷く

 

「水族館とはそうだな・・・・世界各地にいる地球の魚を見物する場所だな。あ、言っておくが魚を食べる場所じゃないからな」

 

「おお~食べられないのは残念だが、世界中の魚を見られるのか!!」

 

と、十香は嬉しそうに言う。そして二人が水族館の中に入る。そして・・・

 

「司令!ターゲットが来ました」

 

「きっちり十分前ね」

 

別モニターの天宮駅の改札前に狂三が写される。そして別モニターでは士道と十香が水族館の中の水槽で泳いでいる魚を見ていた

 

「おおーシドー!すごいぞ!!こんなにいっぱい魚がいるぞ!!」

 

「十香。水族館では静かに他のお客さんもいるからな」

 

「す、すまん・・・・でも本当にすごいぞ。これがすべて魚なのか!?」

 

「ああ、奇麗だろ?」

 

「うん!とても奇麗だ!!」

 

と嬉しそうに言う十香に士道も思わず笑みがこぼれる

 

「なあ!シドー!!もっと奥まで見よう!!」

 

はしゃいで言う十香。すると士道のインカムから

 

『士道。聞こえる?そろそろ狂三との待ち合わせ時間よ』

 

「もうそんな時間か・・・・・」

 

『ええ、フラクシナスで運んであげるから、外の人気のない場所に行きなさい』

 

「あ・・・ああ」

 

そう言うと士道は十香を見る。せっかく十香が誘ってくれたデートをもっと楽しみたかったが、狂三の攻略という仕事があったためここで抜けなければならない

 

「ん?シドーどうしたんだ?いかないのか?」

 

動きを止めた士道に十香は振り返り心配そうに彼に訊くと、士道は急に腹を抑え

 

「痛っ!痛ったたたた!!!!」

 

「ど、どうしたんだ士道。大丈夫なのか!?」

 

十香は慌てて士道に近づくと士道は

 

「す、すまない十香。急に腹の調子が悪くなったようだ。私は少しトイレに行ってくるから、先に言って魚を見てきてくれ。すまない!!」

 

「あっ!シドー!!」

 

そう言い、杖を突く音を出し走り去る指導に十香の表情は心配さと寂しさの入り混じった顔をして走り去る士道を見るのであった

 

 

 

 

 

 

 

「(十香。すまない後でちゃんと埋め合わせをする)」

 

外へと向かう士道は心の中で十香に謝っていた。走り去る際に見た十香の表情に士道は罪悪感を抱いていたのだ

 

「さて、人目のないところは・・・・」

 

そう言い士道はトイレの裏側に入ると、体が光に包まれ、気が付くとフラクシナスの中にいた

 

『すぐに天宮駅改札付近に転送!!』

 

「えっ!?」

 

琴里の言葉が聞こえたかと思った瞬間再び指導の体が光に包まれ、気が付けば駅のすぐ近くまで来ていた。そして士道は杖を突き駅の方へ向かうと駅の噴水で高級そうなブラウスとロングスカートという出で立ちで、まるで深窓の令嬢のような雰囲気がだが、それらの全てが黒で統一されており、まるで喪服でも来ているかのような衣装で狂三は待っていた

 

「すまない狂三。待たせたな」

 

「いいえ、わたくしも今来たところですわ」

 

そう言って狂三がニコリと微笑むのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ところ変わって陸上自衛隊天宮市駐屯地では・・・・・・

 

「一般市民だけじゃなく、とうとうASTの隊員にも被害者が出ただなんて・・・・・」

 

とある部屋でAAT隊長である澤は書類を見てそう言うとAST隊長日下部遼子が

 

「ええ、例の精霊。ナイトメアを追っていた鈴木という隊員が、夕暮れ近く人気のないところで捜索していてね。それでその隊員が応答しなくなったから見に来たら・・・・・」

 

「全身真っ二つに殺されてた・・・・・と?」

 

「ええ。奇麗にね。出血の跡もなかったわ」

 

「ナイトメアがこれをやったというんですか日下部隊長?」

 

「いいえ、崇宮が言うにはナイトメアは遺体を残さないと言っていたわ。それよりなにより彼女のCR-ユニットに搭載されたカメラにこいつが写っていたのよ」

 

そう言い、日下部は一枚の写真を澤に見せる。その写真には全身タイツのスリムな体形で顔は銀色の仮面みたいな顔で目が赤く、そして両手には剣

のような形をしていた

 

「(これが士道君の言っていたツルク星人・・・・・)」

 

「これはどう見ても精霊じゃないわ。恐らくこれはあなたの管轄・・・・・宇宙人対策チームであるあなたたちの出番よ澤一尉」

 

「わかりました。直ちに調査します。それでこの写真が撮られたのはどこですか?」

 

澤がそう言うと日下部は

 

「天宮市にある森のある大きな公園よ」

 

 

 

 

 




士道の服装はウルトラセブン第一話でモロボシダンが風来坊時に来ていた服装にしています


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天宮市を突っ走れ!その2

「すまない狂三。待たせてしまって」

 

「いいえ。士道さん。わたくしも今来たところですわ」

 

狂三との待合場所に着いた士道は、遅れたことを謝るが狂三は首を横に振ってそう言う

 

「それで士道さん。これからどこに行きますの?」

 

狂三が指導にそう質問をする中、様子を見ているフラクシナクス内の画面から三つの選択表示が出される

その選択肢には

 

1ショッピングモールでラブラブのお買い物

2二人で甘い恋愛映画を

3ランジェリーショップで彼女の試着を鑑賞

 

と出されていた

 

「総員選択!」

 

琴里の言葉にディスプレイに集計結果が表示された。

 

「ふむ・・・・」

 

琴理が唸っていると、艦橋下段からクルーの声が響くが、琴理は③の選択肢を見る。

 

「③って、さすがにちょっと引かれない・・・・?」

 

琴理もこの選択肢には辟易した調子で言うと、神無月が

 

「確かにそうですが、ショッピングモールも映画館も天宮クインテットにあります。鉢合わせする可能性は低いですが、わざわざ危険な道を選ぶ必要はないかと・・・・」

 

神無月がそう言う中、令音は

 

「いや、以前の様子から見て。ランジェリーショップくらいは受け入れる可能性がある」

 

「ふ~ん・・・・・」

 

琴里はチュッパチャプスを咥え少し考えるとやがてニッと笑い

 

「いいわね・・・・士道!!」

 

琴里はインカムで指導に狂三をランジェリーショップに連れて行くように指示したのだが、それを聞いた士道は

 

「琴里・・・・私を性犯罪者にするつもりか?」

 

『ご…ごめん士道。ちょっと冗談が過ぎたわ』

 

目を細め静かに言う士道に琴里は彼が内心怒っていると気づき素直に謝る。士道はなかなか怒らないが静かにそして感情のない言葉のときは内心怒っていることを彼女は知っている。そして怒ったときの士道がどれだけ怖いかも彼女は知っていた

 

「つまり。十香や折紙に鉢合わせないような場所に連れて行くということでいいんだな?ならそこよりもいい場所がある」

 

『どこよ?』

 

「士道さん?」

 

「ああ。すまない。じゃあ。行こうか」

 

「どこに行きますの?」

 

「それは言ってからのお楽しみだ」

 

「まあ、楽しみですわ」

 

そう言い士道が連れて行った場所は・・・・

 

「ペットショップですか?」

 

士道は連れて行った場所はランジェリーショップのすぐ隣にあるペットショップだった。その店には子犬や子猫がいっぱいいた

 

「あらあら~」

 

動物を見た狂三は目をキラキラ輝かせ和んだ表情で子犬たちを見ていた

 

「やっぱり正解だったな・・・・」

 

『士道。これはどういうこと?』

 

琴里はインカムでそう訊くと士道は小声で

 

「ああ、彼女は動物が好きそうだったから。気にいると思ってな。それに店の場所も十香や折紙から離れているからちょうどいいと思ったんんだ」

 

『へ~あんたも考えるじゃない』

 

「まあな」

 

士道は子犬を見つめて和んでいる狂三を見ながら琴里と連絡をしておいた。すると

 

「司令。そろそろ鳶一折紙とのデートの時間です」

 

「そう。士道。聞いていたわよね?時間よ」

 

「分かった」

 

そう言うと士道は狂三に近づき

 

「すまない狂三。すまないが少し席を外してもいいか?すぐに戻るから」

 

「構いませんわよ。わたくしはもう少しだけこの子たちを見ていますので」

 

「そうか。すまない。すぐに戻る」

 

そう言い士道は子犬を見ている狂三にそう言いその場を離れ、折紙の元へと向かったのだった

そしてその後、士道はまたフラクシナクスに回収され、そして折紙のいる噴水近くまで転送された

士道は急いで杖を突きながら噴水に着くとそこには折紙がいたしかもムウ数のハトが彼女の方や頭に乗っかった状態で待っていた

 

「すまない折紙。待たせた」

 

「平気・・・・・・今来たところ」

 

無表情で言う彼女に士道はどう見てもさっき来たばかりじゃないことに気づいた。そして折紙は

 

「足の怪我・・・・大丈夫?それに少し疲れている?」

 

少し心配そうに言う折紙に士道は首を横に振り

 

「いいや。大丈夫だ。それよりどこに行くんだ?」

 

「映画・・・・今日。私の好きなジャンルの映画がやっている」

 

「その映画館とは天宮クインテットの方か?」

 

「そう・・・・席の予約も済ませてある」

 

そう言い折紙は士道を連れて映画館へと向かう。それを見ていた琴里では

 

「まずいですね?このままでは鉢合わせをしてしまう可能性があります」

 

「こっちもじゃない~?」

 

神無月の言葉によしのんがあるモニターを見てそう言う。そのモニターには水族館で魚を見ている十香が写っていたがその表情は寂しげであった

 

 

 

 

 

 

「それで・・・・・何でレストランなんだ?」

 

確か士道と折紙は映画館に行くはずだったのだが、今二人がいるのはレストランだった

 

「上映までまだ時間がある。だからその間に軽く昼食を取っていく」

 

「そ、そうなのか・・・・・・それで折紙。なぜ今日私をデートに誘ったんだ?」

 

士道がそう訊くと折紙は

 

「一人にならないでほしかった」

 

「え?」

 

「映画が終わったらそのまま家に来てほしい」

 

「それはどういう意味だ?」

 

「そしてそのまま私のうちにしばらく泊まってほしい・・・・」

 

「え?」

 

突然の言葉に流石のセブン・・・・いや士道も面食らう。すると窓の外からあまりにも士道が戻ってくるのが遅くて心配したのか水族館から出た十香が士道を探している姿が見えた。それを見た士道は驚き、お思わず、咽そうになるが必死にこらえ

 

「す、すまない折紙。少しトイレに行ってくる」

 

そう言い慌てて席を外す。そして折紙は少し首をかしげるのであった。

 

 

 

 

そしてその後の士道・・・・いやセブンは今まで戦ってきた怪獣や宇宙人よりも激しい戦いを始めることになった。

まず十香と合流した後、十香と食事に寿司を食べにその後またトイレを装い、狂三と合流し、しばらく町を見て回り、その後もまたトイレを装い折紙と合流。彼女に大人のホテルに連れて行きそうになったが難なくかわし、またも離脱し十香と合流を繰り返すのだった。

途中で士道の学校のクラスメイトの三人組がやってきたのだったがそこは四糸乃とよしのんのフォローで回避することができた

 

 

そして現在は狂三と天宮公園にいた

 

「はぁ・・・・・」

 

「大丈夫ですの士道さん?」

 

「い、いや大丈夫だ(さすがに体力が持たないな・・・・・それにしてもいちいちトイレと言って離脱するとはさすがに情けないな・・・・兄弟たちが見たらきっと笑われるだろうな。特にゾフィーにはそれをネタにからかわれるんだろうな)」

 

軽いため息をする。すると・・・・

 

「ん?」

 

急に士道は顔を上げる。士道の耳にある声が聞こえた。ウルトラセブンの聴力は一万メートル先にある針の落ちる音も聞き取れる

それは人間の姿になった士道の耳にも必要に応じて聞こえた

その音はまるで獣のような金切り声だった

 

「(まさか…ツルク星人がこの公園に潜んでいるのか?この公園は森みたいなところがある。もしかしてそこに・・・・・調べてみるか)」

 

「士道さん?」

 

「すまない狂三。少しだけ待ててくれ」

 

「またトイレですの?」

 

「いや・・・・・まあそんなところだ。すぐに戻る」

 

そう言い士道は杖を突いて狂三を置いて行き、ツルク星人が森に潜んでいないか調べに行くのだった。

それを知らない狂三は軽くため息をつき

 

「はぁ・・・・士道さんったらせっかくのデートですのに・・・・」

 

少し呆れながら彼女はそう言うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、天宮公園の反対側の入り口では

 

「ここね・・・・・レーダーにも少し反応があるわね。まだいるってことかしら?」

 

作業服を着た梓が腕時計型の宇宙人レーダーの反応を見てそう言う。彼女は最近騒がせている通り魔事件の犯人であるツルク星人を探しこの公園に来ていた

 

「暗いところを襲うって士道君が言っていたからきっとこの公園の森の中にいるわね。調べてみないと」

 

そう言い彼女は公園に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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闇に潜む狂気

「士道さん・・・・まだでしょうか」

 

公園のベンチに腰掛けて士道を待っている狂三はそう呟く

 

「・・・・まあ、でも、良いですわ…どうせ最後はわたくしの者になるんですもの」

 

そう言いふふと微笑む狂三。彼を初めて知ったときから彼女は故意に近いものを感じていた。見た目は普通の少年なのにどこか普通の人とは違う。まるで別の何かが人間の姿を借りているようなそんな感じがした

 

「はぁ・・・・彼のことを思いますと胸がどきどきしてますわ・・・・本当になおさら彼のことが欲しくてたまりませんわね」

 

と、狂三はさらに笑みを濃くし、立ち上がると、不意に子猫の鳴く声が聞こえた

 

「あら?子猫?どこで鳴いているのかしら?」

 

動物好きの狂三は子猫の鳴いている方へ向かう。そこは少し薄暗い森の奥であり、子猫の鳴き声の他に複数の男性の声と何かがはじける音が聞こえた。するとそこには四人の男性が、いずれも銃器、おそらくモデルガンで、生まれて間もない仔猫を、おそらく改造モデルガンの試射か、低レベルなストレス発散か、まあそんな所だろうと、狂三はスッと目を細め、その四人の男をゴミを見るような目で見る。

 

「・・・・あらあら、ずいぶんと面白いことをやっていますのね?」

 

「ん?あんた誰だよ?」

 

「まあ、そんなに身構えないでください。わたくしも仲間に入れてほしいんです。こう見えて銃の扱いには慣れていますのよ」

 

「おい?どうする?」

 

「まあ、いいんじゃねえの?」

 

狂三の言葉に男性たちは困惑するが、狂三が美人なこともあってか仲間に入ってもいいというと狂三はニヤッと笑い

 

「あら、ありがとうございます。それでなんですが一つご提案があります。何簡単な話ですわ。ただ少し的を変える・・・・・だけですわ」

 

と、狂った笑みをするのであった。その瞬間狂三を監視していた琴里質のモニターが一気にシャットアウトした

 

「なっ!?どうしたの!?」

 

「故障か?復旧を急げ!!」

 

フラクシナクス内では慌ただしくなっていた。

 

 

 

 

 

 

一方、十香は士道を探していた

 

「むう・・・・シドーはどこへ消えたのだ・・・・」

 

十香は眉をひそめながら、首を左右に振って辺りを見回した。辺りにはたくさんの人に溢れており、士道の姿は見受けられない。あの後すぐに戻ると言いながらなかなか戻ってこない士道に十香は彼を探す。

すると誰かとぶつかり倒れてしまう

 

「むぉ・・・・っ!」

 

その場で尻餅を突いてしまった十香は、お尻をさすりながら立ち上がった。

 

「す、すまん。急いでいたのだ」

 

「大丈夫。こちらも不注意だった」

 

十香が謝意を述べると、ぶつかった相手も抑揚のない声で返してきた。だがその人物は十香がよく知る相手だった

 

「と・・・・、鳶一折紙!?」

 

「・・・・っ、夜刀神十香っ」

 

相手は折紙だった。そして折紙も相手が十香と知って驚く

 

「なぜおまえがいる鳶一折紙!」

 

「あなたの質問に答える義理はない。夜刀神十香」

 

「な、なんだとっ!!」

 

言い返そうとするが、今は折紙に構っている場合ではないので、思い直した。

 

「・・・・まあいい。私は今忙しい。貴様を相手にしている暇は無いのだ」

 

「そう。私も今忙しい」

 

「ふん、何をしているのか知らんが・・・・」

 

「「士道を探しているのだ!・・・・え?」」

 

二人の言葉がはもり、そして二人とも指導を探していることに驚く二人、そして

 

「「待て。シドーは私とデェトしている。なぜ貴様がちょっかいを出してくるのだ?」

 

「そんな筈はない。彼は今日、私とデートしている」

 

「な・・・・っ、なんだと!? 嘘をつくな!」

 

「嘘ではない!!士道は私とデートしている!!」

 

と、二人は睨みあいになる。すると折紙が

 

「はっ!(まさか他にも?もしそうなら・・・・・)」

 

何かに気づいた折紙は十香を置いて走り出す

 

「ちょ、ちょっと待て! 話は終わってないぞ! どういう事だ!」

 

十香は、折紙の後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

一方士道は公園の森の中でツルク星人を探していたが一向に見つけられないでいた

 

「(おかしい・・・・・気配はするが現れない。一体どこに)・・・・ん?」

 

ツルク星人を探し森を歩く中、士道はツルク星人とは別の何かの気配を感じた。するとインカムから

 

『士道。士道聞こえる?』

 

「ああ、聞こえる。どうした?」

 

『狂三を見失ったわ。でもあなたの近くに狂三と同じ精霊反応があったから向かってくれる?』

 

「わかった」

 

そう言うと士道はツルク星人の捜索を中断し、狂三のいる場所へと向かった。そしてその地点に向かうと、そこは信じられない光景があった。

 

「・・・・これは」

 

士道が目にしたものは真っ赤な血だまりだった。しかも一つだけじゃない無数にありそのたまりのところに赤い肉片があった

その光景に士道はおろかモニターで見ていた琴里も驚愕していた

 

「あら?」

 

すると聞きなれた声がし士道は顔を向けると、その、赤い海の上に、黒い少女が立っていた。

 

「・・・・士道さん。もう来てしまいましたの?」

 

赤と黒の霊装を纏い、細緻な装飾が施された古式の短銃を握っていた時崎狂三が、振り返りながら士道に向かって言ってきた。

そこで士道はもう一つの事柄に気づく。

狂三の前に、男が1人、全身をガタガタと震わせながらへたり込んでいたのだ。

若い男である。なぜか腹部に、血で同心円が三つ描かれており、まるで的当てのようだった。

 

 

「ひーーーッ、ひーーーッ。た・・・・ッ、助け・・・・く、れ・・・・ッ! なん・・・・、こいつ・・・・、化物・・・・ッ!!」

 

男は今にも死んでしまいそうな呼吸をしながら、士道に懇願するように目を向ける。 

 

「あらあら」

 

狂三は顔を男の方に戻すと、手に握った銃を向けた。

 

「狂三!やめろ!」

 

士道は狂三を止めるが

 

「あら、なぜですの士道さん?何かを殺そうと言うのに、自分は殺される覚悟が無いだなんて、おかしいと思いませんこと? 命に銃や剣を向けると言うのは、こういうことですのよ?」

 

そう言うと士道は狂三のそばにいる木津着いた子猫を見て何かを悟った。そして狂三が引き金を引こうとしたその時・・・・

 

「っ!?(ゆ、指が動かない!?)」

 

急に狂三は金縛りの状態に襲われる。そしてちらっと士道を見ると士道が両腕をクロスさせていた。士道は人間の姿でできる技ウルトラ念力で狂三の動きを封じていた。そして士道は男性を厳しい目つきで見て

 

「お前もこれに懲りて二度と命を痛めつけるようなことはするな!いいな!!」

 

「ひ・・・・ひぃぃぃーーーー!!!」

 

その男性は震えながら頷き泣きべそをかきながら、森の奥へと逃げて行った。そして士道はしばらくして念力を取り狂三を見ると狂三は

 

「なぜ助けたのですか?あんな平気で生き物をいじめ用とするようなゴミを?」

 

「確かに彼がやったことは許されない行為だ。だが、だからと言って君のやることを見過ごすこともできない」

 

「そうですの・・・・それより士道さん。あなた先ほどの金縛りと言い・・・・本当に人間ですの?それとも最近噂になっている宇宙人ですの?」

 

「・・・・・」

 

狂三の言葉に士道は何もしゃべらない。それおみた狂三は何を聞いてもしゃべらないと思い軽くため息をつくと

 

「まあ、いいですわ。あなたが人間であれ宇宙人であれそのどちらでもなくてもわたくしのやることは同じですわ」

 

そう言い狂三はニンマリと口角を上げてそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ‥はぁ…なんなんだよあの化け物共は・・・・」

 

先ほどの男は暗い森の中で息を切らしてそう言う。すると風もないのに草木が揺れた

 

「な、なんだ?」

 

怯える男はそう言った瞬間。金切り声のような声が響くのと同時に

 

「ギャアァァァァーーーーーー!!!」

 

先ほどの男が悲鳴を上げるのと同時に彼の上半身と下半身が何者かによって真っ二つにされ別々に宙を舞い血が飛び散る。

そしてその男の亡骸に一体の不気味な宇宙人が立つその宇宙人は両腕が鋭利な刃物になっていた

 

「・・・・・・」

 

そしてその宇宙人。宇宙の通り魔の異名を持つ宇宙人。ツルク星人は先ほど男性が逃げてきた方をじっと見て、そしてその場へと走るのであった

 



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狂気の精霊と宇宙の通り魔

皆さんお久しぶりです。やっとかけました!


精霊としての姿を現した狂三に士道は動かなかった。

 

《士道!何しているの!逃げなさい!!》

 

インカムから琴里の言葉が聞こえるが士道は動かない。だが、それは怖くて動けないというわけではなかった

 

「あ~失敗いたしましたわ!こんなところで私の本当の姿を見られてしまって。もう少しの間だけ士道さんとのデートを楽しみたかったのですが。仕方がないですわね?」

 

狂気の笑みでそう言う狂三だが士道は無表情だった。それを見た狂三は

 

「士道さん。お逃げにならないのですの?」

 

と、そう言うのだが士道は

 

「君は悪役には向いていない」

 

「え?」

 

急な士道の言葉に狂三は少し驚いた表情をする

 

「私が悪役には向かない?士道さんどういった根拠で?」

 

「その子猫を見ればわかる」

 

そう言い士道が視線を向けた先は狂三の足元で頬ずりをする子猫の姿があった

 

「動物というのは人一倍に相手の本能や素顔を察知する。君が本当に残虐なのであればその子猫は近づかないし懐いたりはしない」

 

「面白いことを言いますわね?あなたさっきこの現場でのことをお忘れになったのではないのですか?私はさっきまで人を殺しましたわ。士道さんも見ていたことでしょ?」

 

「それはこの子猫を救おうとしただけだ。間違ったやり方だがな。かくいう私も似たようなことをしていた」

 

士道・・・セブンも地球を宇宙を守るためとはいえ、いろんな怪獣や宇宙人を倒してきた。それは仕方がないと思うこともあったが、他にも方法があったんじゃないか。そう思う自分もいた。だが、命を救うためには倒さねばならない犠牲もある。

そうウルトラマンとて神様ではない。強い力があるのに守れない命もあれば果たせない約束もあった

だが、立ち止まってはいけない倒してしまった敵の分も自分は生きて平和な世界を守らなければならない。それが少しの償いになるのであれば

士道はそう思っていた

そんな士道の言葉に狂三は

 

「ふふふ・・・・・そうですか。士道さんも私と同じですか・・・・ですが私のやることは何も変わりませんわ。あなたの力をいただく。それだけですわ」

 

「私の君が言おう力を使って君は一体何をするつもりだ狂三?」

 

「それを話すと思いますの?」

 

『言いたくなければそれでいい。ただこれだけは言っておく。『正義のない力を手に入れても意味がない』」

 

「正義のない力?」

 

「そうだ。ただ強力な力を手にしてもその力を制御できなければ、待っているのは身の破滅と暴走だ。かつて最も力の強い宇宙人がいた。その宇宙人は力の誘惑に負け強大な力を手に入れようとし、最終的には闇に染まった悪の宇宙人になってしまった・・・・・」

 

「・・・・」

 

「私は君にそのようにはなってほしくはない。君も本当はかつては普通の人間と同じだったんじゃないか?」

 

「っ!?」

 

士道の言葉に驚く狂三。それが何を意味するかは誰も知らない

 

「士道さん・・・・あなたって本当にお人よしですね?」

 

「よく言われる・・・・それで狂三。まだここでやるつもりか?」

 

静かに言う士道に狂三はふぅと小さくため息をつき

 

「興が冷めましたわ。今日のところは引き上げてあげましょう。続きはまた明日・・・・」

 

と、言いかけた瞬間、彼女の背後から何かが飛び出てきて両手の剣で狂三の体を引き裂こうとした

 

「狂三!!」

 

「っ!?」

 

士道はその場にあった太い木の棒を狂三の後ろにいるやつに投げる。そいつはその丸太を斬り裂いたがそれと同時に狂三の腹を切った。幸いにも指導の投げた丸太のおかげで真っ二つにはならなかった物のかなりの深手を受け倒れた

 

「狂三!」

 

士道は狂三を庇う形でそのものの前に立つ。士道はそいつを見て

 

「やはり、件の通り魔事件はお前か。ツルク星人!」

 

そう言う士道の前に現れたツルク星人は両手を上げ声を上げる。その姿は琴里たちにもモニターで確認できた

 

「あれが・・・宇宙人」

 

琴里は初めて見る宇宙人に少し驚く。その瞬間ツルク星人は士道に襲い掛かる

 

「っ!?士道!逃げなさい!!」

 

そう、インカムでそう言うが士道には聞こえていなかったらしい、それどころか士道は片足が不自由なのに対し杖で攻撃を防ぎ、善戦していた。

ツルク星人は士道をただの人間ではないと思ったのか、さらに早く攻撃を仕掛ける。その攻撃にさすがに片足が不自由なのと狂三を守って戦っている士道はだんだん押されてくる

 

「(さすがにこの姿で戦うのは難しい・・・・しかしここで変身すれば)」

 

士道はあの時とは違って変身できる。だが今変身すればこの場にいる狂三やモニターで見ている琴里たちにもばれてしまう。ではどうすればいいか?士道はそう思った瞬間

 

「はあぁぁーーー!!」

 

「「「っ!?」」」

 

突如、誰かが声を上げツルク星人に飛び蹴りをくらわした。ツルク星人が驚いて二、三歩下がると、士道たちの前に一人の女性が立つ

 

「大丈夫ですか!!」

 

「君は・・・・・澤さん?」

 

士道の前に現れたのはアーマーを装着した澤だった。ツルク星人は澤に襲い掛かる

 

「(確か士道君によればあの宇宙人は両手の剣による二段攻撃をするはず!そこを躱せば!!)」

 

士道から敵の動きを教えてもらった澤は勝てると思った。そしてツルク星人は最初の一撃目を放ち澤はそれを腕のアーマーで受け止めた。しかし

 

ピキッ!

 

「っ!?」

 

アーマーの装甲にヒビが入った。それを見た澤は驚いた。送られたアーマーはロケット弾やASTの使う特殊の弾丸でも傷つかないほど頑丈のはずだったからだ。その装甲にヒビが入り澤は驚いたためツルク星人の二段目の攻撃に反応が遅れてしまう

 

「しまっ!?」

 

澤がそう思った瞬間。彼女の背後から強烈な打撃がが与えられ澤は倒れ気絶してしまう。それは士道が杖で彼女の頭を殴り気絶させたからだ。

そして士道は杖をツルク星人に向け投げ、杖はツルク星人の額に命中、ツルク星人は怯み逃走したのだった。

 

「何とか、退いたか・・・・」

 

士道はそう言い澤を見ると目を回して気絶し、そして狂三を見ると狂三はいき絶え絶えだった

 

「狂三・・・大丈夫か?安心しろすぐに運んで治療してやる」

 

「・・・・ふ、ふ・・・・やっぱ、り、士道さん、は、優しい・・・・お方ですわね」

 

と、そう言うと・・・・

 

「無さケネーですね。ナイトメア。そんな無様にやられて」

 

と、そこへ青いアーマーを着た真那が立っていた

 

「真、那・・・・?」

 

「無事みたいですね兄さま・・・・」

 

「ああ…その格好は?」

 

「・・・・ああ・・・・そりゃ驚きやがりますよね。何と言うか、ちょっとワケありでして」

 

呆然と声を発する士道に真那はどう受け取ったのか、気まずそうに後頭部をかく。

 

「まあ、ともかく・・・・」

 

そう言い真那は息絶え絶えの狂三に近づき、装備していた剣で狂三の喉を貫こうとしたが

 

「待て、真那」

 

「兄さま・・・・」

 

士道が杖で剣を押さえる

 

「兄様。邪魔はしないでほしいです」

 

「お前のやることは見過ごせない」

 

士道が言うと、真那は不思議そうに首を傾げるが、すぐに首を振った。

 

「・・・・そう言えばこの女、兄様のクラスに人間として転校してきやがったのでしたね。・・・・兄様。詳しい事は言えねーですが、この女の事は忘れやがってください。この女は人間ではありません。生きていてはいけねー存在なのです」

 

「君たちASTの事情は分かっている。だからって私はお前がやることを見逃せない」

 

「・・・・精霊の事を知っている? 兄様は、どこで精霊の事を?と、言うよりそこに倒れているのは澤一尉ですね?そうですか彼女から何か聞いたのでやがりますね?まったく精霊にやられるなんて・・・・・」

 

「やったのは彼女じゃない。ツルク星人だ」

 

「兄様・・・・精霊だけじゃなく宇宙人まで…なんで?」

 

「・・・・・」

 

真那の言葉に士道は黙ると真那は

 

「まあ、それはどうでもいいです。それなら話がはえーです。どこまで知っているかは存じねーですが、つまり、そういうことです」

 

真那が何の感慨も持たずに言ってくる。

そんな真那の様子に、士道は怒りよりも先に、戦慄を感じてしまった

 

「士道さん・・・・またお会いしましょう」

 

すると狂三の影が大きくなり狂三は姿を消した

 

「狂三・・・・・」

 

「ちっ…逃げやがりましたか…だが次こそは・・・・」

 

そう言いかけた時、士道は

 

「真那。どうして君はそう編然としていられる?今君は人を殺そうとしていたんだぞ?」

 

「人ではねーです。精霊です」

 

「それでもだ・・・・! なんで、そんなにあっさりとーーーー」

 

「慣れていやがりますから」

 

「・・・・っ」

 

そう言った真那の言葉があまりに冷たくて。士道は、息を詰まらせた。

 

「〈ナイトメア〉ーーー時崎狂三は、精霊の中でも特別です」

 

「特別・・・・?」

 

「ええ。“死なね”ーんですよ。何度殺しても、どんな方法で何度も殺しても。あの女は、何も無かったかのように、必ずまたどこかに出現して、何度も人を殺しやがるんです。だから。私は殺し続けてるんです。あの女を。ナイトメアを。時崎狂三を。それだけが、私の存在理由。それが、私の生きる目的」

 

疲れたように、真那が続ける。士道は顔を歪めた。

 

「それは違うっ!!!」

 

「っ!?」

 

大きな声で真那を否定する士道に真那は驚いた

 

「それは、慣れてるって言うんじゃない。心が、磨り減ってるだけだッ!」

 

「何を・・・・言ってやがるんですか、兄様?」

 

「真那。これは兄としての警告だ。君もずっとそうしているとお前の言う人を殺し続けた狂三と同じになる。いや、それ以前に人としての心を…大事なものを永遠に失ってしまうぞ。そうなってしまったらもう後戻りはできない。真那。今からでも引き返せる。人としての優しさを決して失うな・・・・・いいな」

 

そう言うと士道は倒れた澤を抱き起こし方を持ちその場から去った。

 

「兄様・・・・・・」

 

その場にいた真那はあっけにとられた顔をする

 

「っ!」

 

不意に頭に鋭い痛みが走り顔をしかめる。記憶が曖昧で、よく思い出せない。軽く頭を振って頭痛を追い払うようにした。

 

「ん・・・・?」

 

真那は、士道が狂三に襲われていたあたりの地面の下に、小さな機械のようななもの落ちているのを見つけ、拾い上げて眺める。

 

「これは、インカム・・・・ですかね?何でこんなものが・・・・?」

 

真那は首を捻ると、何とはなしにそれを右耳に近づけてみた。するとーーー。

 

《ーーー士道!応答しなさい、士道! 一旦〈フラクシナス〉で拾うわ! 移動して!》

 

「・・・・・・・・っ?」

 

どこかで聞いたような声が、真那の兄の名を呼んでいるのが聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、士道は公園の森を出て澤をベンチに寝転がせると

 

「あっ!モロボシ隊長!!」

 

「・・・・・・佐藤隊員か」

 

そこに自衛隊服を着た西沢義子がいた。彼女は前世では男性であり、士道と同じ世界の人間であり宇宙パトロール隊MACの隊員であった佐藤三郎だ

そして士道の正体を知る数少ない人物である

 

「君はどうしてここに?」

 

「ここら辺パトロールしていたら宇宙人の反応があってさかい・・・・・てそこのベンチで寝てるの澤隊長やないか!?どうしたんでっか?」

 

「ああ、ツルク星人が現れてな」

 

「やはりツルク星人が!どこか怪我でもしたんですか!?」

 

「大丈夫だ。怪我をする前に叩きのめしておいた」※澤とツルク星人を

 

「そうですか…ほんまによかったわ~」

 

「安心するのはまだ早い。まだ奴を撃退しただけで倒してはいないからな。奴が巨大化する前に倒す必要がある」

 

「分かりました!パトロールを厳重にし夜の外出はしないように警察にも掛け合いまっせ」

 

「すまない佐藤隊員」

 

「いいんでっせ。それより澤隊長のことですから、起きたらまた奴と戦うため一人で行きそうですな」

 

「そのことについてなら俺に任せろ。彼女が目が覚めたら俺の家に来るように言ってくれ」

 

「何か勝算でも?」

 

「ああ・・・・・この星はセブンだけじゃない。彼女たちAATも守らなければならない。セブンはあくまで助っ人に過ぎない。セブンだけの力だけでは今後、強敵が現れた時、被害が増える。だからこそ防衛チームが必要だ」

 

「かつてのMACのようにでっか?」

 

「そうだ・・・だからまずは」

 

そう言い澤をちらっと見る士道。その姿に佐藤こと西沢は何かを察し

 

「分かりました!部下や副隊長には私から説明します堺。どうかよろしくお願いします隊長」

 

「うん・・・・・じゃあ、俺はそろそろ。連れを待たせているんだ」

 

そう西沢と話すと士道は杖を突き十香のいる場所へと帰っていくのであった

 

 






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使命

ツルク星人の襲撃の後、士道はいったんラタトスクに回収されていた。そして・・・・

 

「狂三が悪者じゃないって?」

 

「ああ」

 

琴里の言葉に士道は頷く。話の内容は狂三についてのことだった

 

「あんた。さっきまで襲われそうだったのもう忘れたの?」

 

「ああ。確かに狂三は十香や四糸乃とは違うかもしれない・・・空間震は事故で会って彼女たちは傷付ける気はない。だが狂三は違う多くの命を手に賭けていた…だがそれは彼女が望んでいることじゃないと俺は信じている」

 

「何を根拠に?」

 

「もし彼女が殺しを楽しむような精霊であるのなら、今頃天宮市は死体の山だ。だが彼女はそれをしなかった。俺が見た限り彼女が手に賭けたのは理由があってのことだ。これまでの殺人も恐らくは誰にも言えない何か理由があるのかもしれない」

 

「そう・・・・」

 

そのことに琴里は何も言わなかった。もし彼が弱音を吐こうとしたら平手打ちをしようと思ったが、その心配はなくいつもの兄であることに安心していた

 

「それで士道・・・あなたは狂三を止めるつもりなんでしょ・それが危険とわかっていても」

 

「ああ・・・それしか彼女たちを救う方法がないのなら。わたしは続けるよ」

 

このまま放っておけば狂三はずっと人を殺し続ける。そして彼女を殺し続ける真那も彼女を殺し続けていくうちに自身の心を壊してしまう

それこそ血を吐きながら続ける悲しいマラソンのごとく終わりのない日々だ。

霊力を封印できる力を持つ士道・・・いやセブンだからこそ止めなければいけない。彼は始めからそう決意していた

もう二度と人間が精霊を殺さないようにそして精霊も悲しい思いをしないように

終わりのないマラソンを終わらせるために地球を守るセブンにできる唯一の使命だ

だが今回は狂三だけじゃない

 

「琴里。問題は狂三だけじゃない。もっと深刻な問題がある」

 

「分かっているわ。ツルク星人って言う宇宙人でしょ?モニターで見たわ」

 

士道の言葉に琴里は頷く

 

「確かにあれは危険ね・・・・・」

 

「ああ。狂三とは違って奴は無差別に人を襲う。それが女でも子供でもお構いなしにだ・・・・・」

 

狂三が人を襲うのは何か目的がありそれを阻害する者もしくは彼女自身が外道と判断したものだけ。だがツルク星人は違う。奴は何も目的もなく人を殺すことを楽しむ凶悪な宇宙人であり、殺す理由は何もない。ただ殺しに喜びを感じるだけの宇宙人だ。

士道は狂三の件もそうだがツルク星人の件も放ってはおけないと思っている

 

「新しく設立されたAATが排除してくれればと思ったけどまさかあそこまでとはね正直精霊よりも厄介だわ」

 

「ああ。琴里。恐らく近いうちに澤さんが家に尋ねに来る。その時には」

 

「宇宙人の倒し方を教える・・・・でしょ?」

 

「ああ・・・・」

 

琴里の言葉に士道は頷くと琴里は

 

「でもわからないわね・・・・確かにあの宇宙人に勝てそうな人間なんていないかもしれない。まあ士道は運よく撃退できたけど・・・・でも宇宙人相手なら。前に士道が言っていたウルトラセブンて言う宇宙人に全部任せればいいんじゃないの?士道言っていたじゃない。セブンは地球の平和のために戦ってくれる宇宙人だって」

 

そう言うと士道は首を横に振り

 

「琴里・・・・それではダメなんだ」

 

「どういうことよ?」

 

「確かにセブンはまた現れて戦うだろう。それは彼が地球やその星に住む人間たちを愛しているからだ。でもいつまでセブンの力に頼っていちゃいけない。自分たちの星の平和は人類自らの手で守り抜く。それでも敵が強大で難しい時だってある。誰かが最期まで諦めず戦い抜いた時に彼は手を貸してくれるんだ。それを忘れちゃいけないよ」

 

「士道・・・やけにセブンのことを知っているわね?まるで自分のことみたいに?」

 

琴里が少し怪しむように目を細めると士道は

 

「いや。もし自分がセブンだったらそう思う・・・・それだけのことだよ」

 

「そう・・・・・」

 

その言葉に琴里は怪しみながらも、それ以上は訊かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。士道はリビングのソファで横になり、グルグルと思考を巡らせる。

 

琴理は今日は仕事で〈フラクシナス〉に泊まると言っていた。

 

「・・・・・・・・」

 

士道が考えていたこととは二つあった。一つはツルク星人のこと。恐らくさ我が倒し方を尋ねに来るかもしれない。その時は彼女に助言をする。もしツルク星人が巨大化して町を破壊しようとするのであれば、セブンとして戦うだけ。足に怪我を負っているが令音が言うには自分の持つ精霊の治癒の力で予定よりも完治が速くなり。明日か明後日あたりにでも直るという。

だが士道が一番に考えていたのは狂三のことだった

なぜ彼女が人を殺すのか。そしてなぜ彼女が自分の精霊を封印する力を欲しるのかそれが知りたかった。彼女の素振りから見て何らかの目的があっての行動だというのはすぐにわかったがそれが何なのか疑問だった

 

「シドー?」

 

すると十香が士道の顔を覗き込んでいた。士道は体を起こし

 

「ああ・・・十香か。今日はごめんなあんなことになってしまって」

 

「ううん。私は気にしていないぞ?それよりも大丈夫か?なんか顔が引きつっていたぞ?」

 

「そうか?」

 

「そうだぞ?少し怖いくらい:

 

「そうか・・・ごめんな」

 

「シドーが謝ることじゃないぞ?それよりもちょっといいか?」

 

「?」

 

十香の言葉に士道は首をかしげると十香は士道の後ろに立ち、士道の身体に手を回し、後方からぎゅうー、と抱きしめてきた。

 

「十香?」

 

いきなりの彼女の行動に士道は少し驚くと

 

「テレビで寂しい時や怖い時は、こうするのがいいと言っていた‥・・・落ち着くか?」

 

と心配そうに言う十香。どうやら彼女なりに士道のことを気にかけていたみたいだ。そのことに士道は

 

「・・・・ああ。ありがとう十香」

 

優しい笑みで十香に言うと十香は

 

「令音から聞いたぞ」

 

「え?」

 

「狂三と真那の話だ。それに宇宙人のことも・・・・・士道のことが気になって令音に訊いたら話してくれた」

 

「そうか・・・・十香。私は・・・・」

 

士道がそう言いかけた時十香は

 

「大丈夫だ。シドーならできる。シドーは私を信じてくれた。私には、シドーがいてくれた。シドーが、私をデートに誘てこの世界の温かいところを教えてくれた、そして暴走しそうになった私を救ってくれた。もし、シドーがいなかったら私は、狂三のようになっていたかもしれない」

 

「十香・・・・・ありがとう。おかげで少し楽になったよ」

 

「怖くないのか?」

 

「怖くないと言えばうそになってしまうな…今まで怖くないなんて思ったことは一度もないよ」

 

士道はそう言う。士道はセブンの時・・・そう遥か昔自分がセブンの姿になったばかりの時は自分自身の持つ力に恐怖を抱いた時があった

力を使い間違えれば取り返しのつかない事をしてしまうのではないかと・・・だがセブンは諦めなかった。前へ進むのを止めずに今に至る。

居間でも少し怖いという時があるが、そんな時でも前に進まなくてはいけないという自分もいたのだ

 

「そうか・・・・大丈夫だシドー。その時は私はシドーを守る」

 

「それは心強いな」

 

「だろ?」

 

と、二人は笑い合った。その時士道子とセブンは思い出した。自分は常に一人で戦ってきたわけじゃないと・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・・・」

 

「おっ!気付きなはったんでっか?」

 

「澤。大丈夫?」

 

「ここは?」

 

澤が目を覚めるとそこには西沢と山郷がいた。気がつけば医務室のベットで寝かされていたのだ

 

「私・・・・確か公園で宇宙人と戦って・・・・・あっ!そうだツルク星人は!?それに士道君は!!」

 

「落ち着きなはれ。宇宙人はモロ・・・五河はんがなんとか追っ払ってくれたんやで?」

 

「それで西沢さんが気絶して倒れていた貴女を運んで、基地に連れ戻ったのよ」

 

「士道君が・・・・」

 

澤は先ほどの戦闘を思い出した。そして彼女はベットから降りようとすると

 

「ちょっと澤!どこに行くつもりなのよ!?」

 

「決まっているでしょあゆみ!奴を…ツルク星人を探さすのよ。戦ってみてわかったわ。あれはかなり危険よ。放っておけばますます被害者が出るわ!」

 

「馬鹿言わないでよ!今の貴女じゃ倒せないわよ!」

 

「それでも行くしかないわ地球を守るのが私たちの仕事でしょ!?」

 

「それはわかるけど、何か必勝法でもあるの!?聞けば装備にヒビを着け、格闘戦が得意なあなたでも苦戦したというのに!」

 

「それは・・・・」

 

山郷の言葉に澤は立ち止まる。確かに今もういとど奴と戦ってもさっきと同じようにやられるだけ、何か必勝法を見つけ出さないといけなかった

すると

 

「それだったら、さっき五河はんが隊長さんが目を覚ましたら家に来るよう言っておりましたわ」

 

「士道君が?」

 

「恐らくツルク星人の倒し方を教えてくれるんとちゃいますか?」

 

「・・・・・・」

 

西沢の言葉に澤は少し考えると

 

「ごめん・・・ちょっと行ってくる」

 

とそう言い、部屋を出るのであった



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士道(セブン)と澤、地球を守る者たち

皆さん!お久しぶりです!何とか書き終えることができました!!


ツルク星人の襲撃から数時間。外はすっかり日が落ち始め夜になっていた。

 

「遅いな・・・・そろそろ訪ねてきてもおかしくないと思ったんだが・・・・・」

 

ソファーの上に座り士道はそう考えていた時刻はもうすぐ9時を回ろうとしていた。だが、一向に澤さんが訪ねることはなかった

 

「(まさかとは思うけど・・・・・)」

 

士道は嫌な予感を感じた。士道はロフストランド杖を取り、外へ出るのだった

 

 

 

 

 

 

 

「(どこだ・・・・・奴は何処にいる)」

 

人のいない夜の街の中を澤は歩いていた。目的は士道の家に行くことではない。ツルク星人を倒すためであった

 

「(これ以上。士道君に頼って入られない…私自身で何とかしないと・・・)」

 

そう思う澤。彼はまだ学生それに対して自分は成人し、しかも国を守る自衛隊員であり、エイリアン対策チーム「AAT」の隊長だ。

いつまでも学生である彼を巻き込むためにはいかない。なら自分自身で何とかするしかないと思った澤は一人でツルク星人を倒すため、先ほどツルク星人が現れた天宮公園の森の中を歩いていた

森の中は誰もいない。ただ真っ暗な空間に月あかりがうっすらと木々を照らす。そして風によってざわめく葉の音が一層不気味に感じた

 

キキイィーーー!!

 

「っ!?」

 

するとい突如、金切り声が森の中、響き渡り、彼女の周りの草むらがざわざわと動き回る

 

「どこだ!!出て来い!!」

 

澤は身構え防御態勢を取る。銃などの武器では隙が生まれるため澤は得意の格闘戦に持ち込もうという考えだった

その間にもツルク星人は彼女を囲い込むように周りをぐるぐると回っているのか彼女の周りの草むらが激しく動く

 

「(来るなら来てみなさい!あなたが背後から襲ってくるのはわかっているのよ!!)」

 

身構える澤。そしてツルク星人が姿を現し澤の背後を取る

 

「そこっ!!」

 

澤は回し蹴りをするが、ツルク星人はまるで木の葉のごとくひらりと宙返りし、澤の前に降り立った

 

「なっ!?」

 

急での出来事に澤は驚き動きが止まる。だがツルク星人はその隙を見逃さず、両手の刃で澤を真っ二つにしようと振りかざした

 

「っ!?」

 

その時。澤の背後からまた強烈な衝撃が走り、澤が倒れるそして誰かがツルク星人の一撃を受け止めた

 

「くっ!!」

 

その相手は士道だった。彼の持つ杖でツルク星人の一撃を受け止めた士道は怪我していない方の足で思いっきりツルク星人を蹴り飛ばし、その強烈な一撃を喰らったツルク星人は相手がただ者ではないとわかり、逃走したのだった

そして士道は

 

「追いかけたいところだけど・・・・まずは」

 

士道はそう言い澤を見ると

 

「士道君!いきなり何をするの!?それになんでこんな夜中に!!」

 

頭をさすりながら士道に迫る澤だが

 

「それはこっちのセリフです澤さん。なぜあなたがここに?ツルク星人の恐ろしさは昼間身をもって知ったはずですが?」

 

「そ・・・それは・・・・」

 

士道の鋭い視線に澤は口ごもる中士道は再び澤に訊いた

 

「・・・・勝てると思ったんですか?あいつに…ツルク星人に?なぜ勝てると思ったのですか?ASTのアーマースーツで勝てると思ったのですか?」

 

「・・・・・」

 

図星だった。昼間では最新式のアーマースーツで、そして士道から奴の戦法を聞いていたため、勝てると思った。だが実際はそうではなかった。

ツルク星人は自身が思っていた以上に素早く動き、そして何より最新鋭のアーマーにヒビを付けた。そして澤は何も対策を取らずまたも一人でツルク星人に勝負を挑もうとした。だが結果は士道が助けなければ死んでいた

そして彼女の沈黙を見た士道は

 

「馬鹿っ!!付け焼刃程度の技で倒せるほど星人は甘くはない!!」

 

「っ!?」

 

士道の怒声に澤は固まる中、士道は

 

「なぜ、私があなたを攻撃したかわかりますか!?奴の両手剣があん当たの首を確実に狙っていたからだ!!それ何にあなたは一段目を防ぐことしか考えてなかった!」

 

「っ!?」

 

「言ったはずです!ツルク星人の必殺技は両手の手刀から繰り出す二段攻撃だと!もし私が昼もそして今も倒さなければ確実に首をはねられていたんですよ!」

 

言い返せなかった・・・・確かに指導に言われ奴が二段攻撃をすることは知っていた。だがそれを防ぐごとができなかった

悔しい思いがいっぱいだった澤に士道は

 

「・・・・自分の実力もわからずに相手に挑むなんて・・・・これでは自衛隊。もとい、宇宙人から地球を守る部隊の隊長が・・・よくそれで務まりますね?」

 

「な・・・なんですって!」

 

「またツルク星人が現れ、天宮市が襲撃されれば、澤さん。あなたはまた負けるだろう・・・・それならば防衛隊の意味はない。そう言うことです」

 

「黙りなさい・・・・」

 

「外敵から地球を守れないようなら防衛隊などいてもいなくても同じですよ・・・違いますか?」

 

「黙りなさい!!」

 

そう言い澤は士道につかみかかろうとしたが士道は杖で彼女の足を払いのけ、瞬く間に倒されそして士道は彼女に杖を突き付ける

 

「あ・・・ああ・・・」

 

「見てください・・・・星人にも負け、そして同じ人間であり片足を怪我している私にまで負けた・・・・それが何を意味するか分かりますか?」

 

威圧を込めた声でそう言う士道に対し澤は何も言えなかった

 

「・・・・」

 

「どうしたんですか?」

 

士道が澤に訊くと澤の目から何だが流れ

 

「どうしたら・・・・どうしたらいいのよ・・・・」

 

「・・・・・」

 

「私はただ悔しかったんです。奴に殺された人の中にはかつてASTにいたころの同僚もいました。ですから仇を取るため奴に挑みました。最初は奇襲でした!だから二度目は心の用意をすれば勝てると思いました。でも!負けました!!」

 

涙を流しながら士道に言う澤

 

「士道君の言う通りです!今の私は弱い!宇宙人対策チームの隊長であるのに弱いんです!じゃあどうすればいいんですか!!奴がまた現れたら今度こそ私は殺されます!そして私の仲間も大切な街の人も多くが殺されてしまいます!じゃあどうすればいいんですか!教えてよ!士道君!!」

 

そう言う澤に士道は

 

「以前言ったように、理屈で言うなら簡単です。奴の手刀を防ぎつつ、奴に攻撃を加える。奴委が二段攻撃なら。こっちはそれを上回る三段攻撃で対向する」

 

「三段・・・攻撃」

 

「私は奴の攻撃を防ぎつつ、杖や足で攻撃をした。それが答えです。もちろんただの三段攻撃ではダメです。奴の攻撃を防ぎつつ、奴が二段目の攻撃繰り出すまでの一瞬の間に三段目の攻撃をする必要があります。だが奴の攻撃を上回る攻撃を会得すれば・・・・・」

 

「奴に勝てるかもしれないということね?」

 

澤の言葉に士道は頷く

 

「そうです。だが忘れてはいけません澤さん。あなたは地球を外敵から守防衛部隊の隊長です。ですのであなたは必ず勝たなきゃいけません!!」

 

「ええ…分かったているわ・・・・でも」

 

自信なさげに言う澤に対し士道は手を差し出す

 

「そのために強くなるんです。私も協力します」

 

「ええ…よろしくお願い。士道君」

 

そう言い澤は士道の手を取ったその時・・・・

 

「とあっ!!!」

 

士道は澤を投げ飛ばし、澤は一回転すると

 

「な、何をするの士道君!?」

 

身構え士道に訊くと

 

「どんなことがあっても油断は禁物です。相手は精霊より手強い宇宙人です……分かりましたね?」

 

その言葉に澤はきょとんとした表情をするが

 

「・・・・・ええ!!」

 

そう元気にそう言う。こうして士道は精霊の他、宇宙人を相手にする澤とともに宇宙人を相手に戦う日々が始まるのだった

 



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