【完結】我こそは武田高信である (どんぐりヒッター)
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第一話 巫女機関

第一話

 

◇◇◇戦国時代だ、主家を売れー♪◇◇◇

 

 

 俺の名は武田高信(たけだたかのぶ)。みんな大好き戦国武将だ。

庶流とはいえ、名門武田家の一族にして因幡(いなば)の有力国人衆である。

土地の守護大名である山名(やまな)家には客将として優遇されてきた。

 

 

歴史上で俺は毛利家とよしみを通じ、主家の山名家から鳥取城を奪って独立した。

その後、毛利が倒した尼子(あまご)残党に敗れ、毛利家から見放されて死んでしまったらしい。

一説には、織田家と織田家包囲網に参加した毛利家の板挟みにあい、非業の死を遂げたともいう。

 

 

面倒くさい事は苦手だが、勘と行動力には自信がある。

特技は暗殺だ。

 

 

俺は今、信長の野望天翔記の世界に居る。

なんでそんなところに居るのかって?

悔しい事に、信長の野望シリーズでは天翔記にしか武将として登場しないからだよ。

俺の現在の能力値はこうだ。

 

 

武田高信 33歳

政治:31/78、戦闘:60/138、智謀:65/148

魅力:40、野望:73

足軽D、騎馬D、鉄砲E、水軍E

特技:暗殺

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、主家を売れー♪◇◇◇

 

 

 

 今日も山名家の連中をからかってやろうと出かけたわけだが、

道中に雨に降られ付近の(ほこら)で雨宿りをすることにした。

薄暗い祠の中には先客が居たようだ。

 

 

「これは武田殿。貴殿も御屋形様にご相談かな?」

「垣屋の爺様か。俺は御屋形様に挨拶に来ただけだ、他意は無い」

 

 

この爺様は垣屋続成(かきやつぐなり)

山名家の最有力国人衆にしてトラブルメーカー。

山名家に問題が発生した時、必ずこの爺様が関わっている。

巧みな弁舌を駆使し流言飛語を飛ばしているからだ。

 

 

「貴殿も承知の通り、我が山名家には戦働きの指揮官が足りていない」

「うむ。日本海側は海上交易で豊かである故、民心は穏やかだからな」

「よそ者を引き抜いてくると言うのも問題であろうな」

「ああ、これ以上荒らしまわられてはかなわない」

「そこでだ、貴殿には戦の経験を積んでもらいたい」

「何を企んでやがる?」

「この地を良く知り、ゆかりのあるものに戦場の大将になってもらいたいと言う事だけだ」

「ふむ、一理あるか」

 

 

垣屋の爺様は祠の奥の部屋に俺を連れて行った。

中には様々な装置が置いてある。

 

 

「ここにSFC、PS、SS。それぞれの後継機などとソフトが沢山ある」

「携帯機もあるようだな」

「単にPCも有るぞ」

「ふむ」

「わしは信長の野望シリーズに武将風雲録以来ずっと出ておるからな」

「ちっ、自慢かよ」

「そうではない。ずっと出ているお陰様で横のつながりも多数出来てな」

「ふん」

「貴殿にはどの世界でもいい、何らかの軍略をもって帰ってきてほしいのだ」

「ふーむ」

「さすれば、鳥取城を奪ったのみの人生と違うものがおくれるであろう?」

「確かに、では早速」

「良いか、後半シナリオの大宝寺義氏などにデカい顔させたままではならぬぞ」

「くっ」

 

 

 

 さて、どこに行ってみようか。軍略といえばまずは三国志か?

諸葛孔明にでも会って、何かかっぱらってくるか。

 

 

 

◇◇◇三国演義だ、敵を切れー♪◇◇◇

 

 

 

「我こそは武田高信である。劉備殿に目通り願いたい!」

 

 

通された先には劉備玄徳と諸葛孔明が。

 

 

「劉備殿、この者には生来の反骨の相がございます。今のうちに切って捨てましょう」

「孔明殿が言われるのなら、者どもひっ捕らえよ!」

「何しやがる!」

 

 

さすが軍師。あっという間に義理の低さを見抜かれてしまった。

しかし、俺は暗殺技能持ち。敵の暗殺も避けやすいのさ。

敵の刃をひらりとかわして逃げ去った。

 

 

 

 危ない危ない。こんな古代の軍略など役に立つものでもないか。

もっと新しそうなのが良い。それにまた者から始めてみることにしよう。

家来の家来が、また者だ。それにはここが良いだろう。

 

 

「銀河英雄伝説、英雄とは大きく出たものだ。行ってみよう」

 

 

 

◇◇◇銀河の歴史だ、まためくれー♪◇◇◇

 

 

 

「我こそは武田高信である。ロイエンタール提督に目通り願いたい!」

 

 

通された先には若い男が二人で飯を食っていた。

 

 

「どう思う? ミッターマイヤー。俺は見所有りそうだと思うのだが」

「やめておけ、お前まで疑われることになってもしらんぞ」

「蛇の道は蛇。使いどころも有るというものさ」

「いーや、危険だ。今のうちに禍根を立っておこう。俺が撃ち殺しておいてやる」

「何しやがる!」

 

 

持ってて良かった暗殺技能。あんな若造に殺されてはたまらない。

それにこれは名高いクソゲー。敵にヤン・ウェンリーなるものが居るか、

味方にラインハルトが居るかだけで勝敗が決してしまうと言う。

軍略もくそも有ったものではない。

 

 

 

 次だ次。やはり日本だ。戦国物が良い。

 

 

「何々、戦国ランス。舞台は日本か、行ってみよう」

 

 

 

◇◇◇18禁だ、やりまくれー♪◇◇◇

 

 

 

今度は慎重に行こう。自分の能力値も見ないうちから仕官するのはまずいだろう。

どれどれ、どんな感じだ?

 

 

武田高信 体力232、LV26/31、職種:武士、兵種:武士

行動:5、攻5、防3、知6、速5、探索4、交渉2、建設1

スキル1:なし、スキル2:待機、スキル3:武士攻撃、スキル4:暗殺、スキル5:なし

 

 

よしよし、ちゃんと暗殺があるな。

今度も不慮の事態が有っても大丈夫だろう。

どれどれ、全国版? 山名家は無いのか。

ふむ、では憎き織田や毛利を攻め滅ぼしてくれようぞ。

仕官先はどこにしようか。

ん? 巫女機関? 飛騨にあるのか。

なかなか男心をくすぐる名前ではないか、行ってみよう。

 

 

「我こそは武田高信である。名取(なとり)殿に目通り願いたい!」

 

 

現れたのは水色の髪の美女。

 

 

「これはこれは、よくぞいらして下さいました」

「なに、俺は戦場の臭いを嗅ぎつけたまでだ。気にする必要はない」

「いえいえ、火急の折り。感謝しております。では、お世話係を。球磨(クマ)!」

「はい、名取様。おそばに」

「こちらの武田様のお世話をお願いします」

「かしこまりました。では、武田様こちらに」

 

 

名前に似合わず可愛らしい、しおらし気な子ではないか。

俺は案内された待機所の縁側で足を洗ってもらった。

 

 

「武田様はどちらからいらっしゃいましたのですか?」

「俺は因幡の国からだな」

「因幡?」

「京の都の北西にある但馬の先さ」

「まあ、そんなに遠くから」

「そちに逢えると思えば、如何ほどの距離ではない」

「では、わたくしの事はくまちゃんと呼んでくださいまし」

「俺の事も高信でよい」

「高信様」

「くまちゃん」

 

 

◇◇◇18禁だ、やりまくれー♪◇◇◇

 

 



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第二話 戦国ランスからV&Bへ

◇◇◇18禁だ、やりまくれー♪◇◇◇

 

 

 

 くまちゃんは素晴らしい。とても素晴らしい。

ここは頑張らねばなるまいな。

どれどれ、説明書をじっくり読んでみることにしよう。

 

 

戦闘はターンバトル。信長の野望と変わらないか。

何々? 各戦闘は六部隊までで前衛と後衛に分かれているのか。

俺は武士、軽快に動く前衛のアタッカーだな。

防御に足軽、陰陽。忍者も陣地が構築できるのか。

 

 

他に兵種は?

騎馬に弓兵、軍師、鉄砲、魔法、騎士、動物、他か。

ふむふむ。

 

 

読んでいるとくまちゃんが話しかけてきた。

 

 

「高信様、名取様がまとめ役に紹介したいそうです」

「では参ろう」

 

 

行った先には軽薄な男が居た。

 

 

「よお、おっさん。俺は相馬疾風(そうまはやて)。今度の戦のまとめ役だ」

「俺は武田高信。まずは手並みを拝見しよう」

「任せておけ。あんたは武士だな、なのに暗殺持ちかレアだな」

「ふっ」

「暗殺なら忍者のスペシャリストが居るが、多い方が良いに越したことは無い」

「ほう、スペシャリストか」

「まあ、みんなを紹介しよう」

 

 

 

 この国の手駒は武士の相馬疾風、幼年忍者のゴエモン、このゴエモンが暗殺のスペシャリスト。

そして、妖艶な美女は僧兵を指揮するという。

それに忘れちゃいけない名取殿の巫女軍団。

後で雑魚巫女や雑魚軍師、雑魚足軽も来ると言う。

 

 

妖艶な美女は卑弥呼と名乗った。単独防衛が専門らしい。

紹介中に急報が入る。

 

 

「相馬殿、武田が攻めてまいりました!」

「うわ、さっそくか。おっさん、なんとか説得できないか?」

「甲斐の武田とは疎遠でな」

「そうか、まあいい。全力で当たるぞ」

 

 

相馬、俺、雑魚足軽が前衛。

後衛は名取殿、ゴエモン、雑魚軍師の陣容で臨んだ。

辛くも勝利。

 

 

なんだ、あの騎馬。鳥に乗って飛んでくるぞ。

これでは後衛がたまらない。

 

 

「おい、後衛にも足軽配置した方が良いのではないか?」

「うーん、後衛こそがアタッカーだから枚数減るのはきついんだよな」

 

 

相馬と話している間に急報が入る。

 

 

「相馬様、足利が攻めてまいりました!」

「卑弥呼殿、単独防衛を」

「邪馬台国はどこに??」

 

 

負けてしまったようだ。

国の陣地を一つ取られた。

さらに急報。

 

 

「相馬様、テキサスが攻めてまいりました!」

「くっ、手駒が無い」

 

 

――Game Over――

 

 

 

 なんだ? 何が起こった? 終わってしまったぞ。

しかし、くまちゃんに逢いたい。行くしかない。

 

 

「我こそは武田高信である。名取殿に目通り願いたい!」

「これはこれは、武田殿。また来ていただけるとは、誠にありがたいです」

「なに、俺はくまちゃんに逢いたいだけさ」

「では、お世話係は球磨に」

 

 

「高信様。球磨はうれしゅうございます」

「くまちゃん」

「高信様」

 

 

◇◇◇18禁だ、やりまくれー♪◇◇◇

 

 

 

「よお、おっさん。また、よろしく頼むな」

「相馬か。お前、しっかりしろよ」

「今度は勝つぜ」

 

 

急報。

 

 

「上杉が攻めてまいりました」

「武田が攻めてまいりました」

「今度は足利です!」

「テキサスが!」

 

 

――Game Over――

 

 

 

「おい、相馬! お前は何を考えているんだ。ちゃんと方針と準備を用意してないのか!」

「周りに敵が多いんだよ! こっちは国力も少ないし」

 

 

 

 ちょっと、相馬の能力を確認してみるか。

 

 

相馬疾風 体力266、LV27/32、職種:武士、兵種:武士

行動:5、攻6、防6、知7、速6、探索0、交渉0、建設0

スキル1:なし、スキル2:待機、スキル3:武士攻撃、スキル4:武将突撃、スキル5:なし

 

 

なんだこいつ。絵にかいたような脳筋(バカ)ではないか。

探索0、交渉0、建設0。

これでまとめ役は務まるまい。

 

 

 

「名取殿名取殿!」

「はい、武田殿」

「相馬は役に立ちませぬぞ、まとめ役は他の者にした方がよろしかろう」

「卑弥呼殿は何を考えているのか分かりませんし、ゴエモンはまだ子供で」

 

 

そう、ゴエモンは行動回数が少なくすぐに寝てしまうのだ。

まるでご飯を食べながら寝てしまう、赤ちゃんのような奴だった。

 

 

「では、俺が代わりに取り仕切ろう」

「みな、相馬を慕っているのです。なにとぞ、相馬を助けてくださいまし」

 

 

 

 駄目だこれは。くまちゃんは惜しいが別の世界で軍略を探そう。

どれどれ? うーん、異国の文字は装飾が多いと読めないな。

まあいい、行ってみよう。

 

 

町に入り酒場の親父に情報を聞く事にした。

 

 

「おい、親父。この世界はなんて名前だ?」

「へい、おサムライ様。ヴィーナス&ブレイブスでございます」

「左様か、ふむ」

「おサムライ様は凄腕ですね。情報流しておきますよ」

「ほほう」

「騎士団が来ると思いますので、その時はよろしくたのんます」

「分かった」

 

 

 

◇◇◇ローテーションだ、回せ回せー♪◇◇◇

 

 

 

さて、能力の確認だな。

 

 

武田高信 33歳(34-44)

HP:18、攻撃力:18、素早さ:17.0、攻撃補助:10

 

 

ふむ、カッコの中身は全盛期か。その前が成長期と。

能力の成長は年明けに行われるのと、魔物にとどめを刺してレベルアップと二通り。

成長期には能力がぐんぐん伸びるらしい。

 

 

「あんたが噂の凄腕かい? 俺はブラッド・なんたら・ボアル」

「我こそは武田高信である」

「凄いじゃないか、声有りキャラ並みの全盛期だ。ぜひ仲間になってくれ」

「良いだろう」

 

 

移動は徒歩か、時間かかるな。

この時間を利用して説明書を読もう。

戦闘は四行三列で前後に回して行って戦っていくのか。

 

 

能力は職種に応じて色々あるらしいな。

HP、攻撃、素早さ、間接、攻撃補助、防御補助、自己回復、列回復。

ダメージを受けると疲労がたまる。

最前列が攻撃で、弓のアーチャーとヴァルキリーが二列目からでも攻撃できるのか。

敵の攻撃を受けるのも最前列だけなんだな。

 

 

戦闘中に前後左右に配置されると近くの者と惹きつけ合ったりするようだ。

友人になったり恋人になったり。

結婚して子供もできる。子供は能力をある程度受け継いでくれる。

そうして掛け合わせて、騎士団を強くしていくのが狙いか。

 

 

「団長、ヒュージラットです!」

「魔物か、みんな行くぞ!」

 

デンデン、ッデンデン♪

 

 

「回れ回れー」

「とどめだー!」

 

 

お、止めを決めてレベルが上がった。

 

 

 年が明け、俺は34歳になり全盛期になったようだ。

これからは、年明けの能力アップが緩やかになるらしい。

感じは分かったな、酒場で仲間と情報集めれば良いだけか。

戦闘に出せるのは7人までか。控えのメンツも同数にしておけばいいだろう。

よし、自分のサムライ団を作ってみよう。

 

 

「おい、ブラッド団長」

「どうしたんだい? 高信」

「俺も自分のサムライ団を立ち上げるぞ」

「それは、うちから出て行くって事か?」

「そうだ」

「仕方ない、分かったよ」

 

 

 

◇◇◇ローテーションだ、回せ回せー♪◇◇◇



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第三話 V&Bからロマサガ3へ

◇◇◇ローテーションだ、回れ回れー♪◇◇◇

 

 

 

さて、王都の酒場にやって来た。

早速仲間と情報を集めてみよう。

 

 

「おい親父。仲間と情報を頼む」

「よくきた、ここはクロニクルモードだ。情報は付近に若返りの泉があるって話だ」

「若返りの泉?」

「本当かどうか判らねえが、15歳になっちまうんだってよ」

「で、仲間は」

「そこらに居るの全部連れてっても良いぜ」

 

 

若そうなのから適当に12人連れて行くことにした。

成長期の者が5人、全盛期が4人、衰退期の者が3人。

中には若い巫女が一人。

 

 

「なに、巫女だと? くまちゃん」

「あたしはウシシ・ビスチャ15歳。よろしくね」

 

 

どれどれ、全盛期は25-33か良いではないか。

こいつは嫁候補だな。隣に配置しよう。

さて、噂の場所に行ってみるか。

 

 

 

 道中、盗賊団と接触。

いきなり高レベルの盗賊団の様だ。勝てそうにない。

衰退期一号がしゃしゃり出てきた。

 

 

「ここは俺に任せて、みんな逃げろ!」

「済まん一号、任せたぞ」

 

 

退却に成功。一号、犠牲になったお前の事は忘れない。

今回の暗殺は隠しスキルなんだろうか?

勝てない相手が出るたびに二号三号と衰退者がしゃしゃり出てくれた。

 

 

噂の泉は付近に来てもなかなか見つからなかった。

噂だから、場所もおおよそなんだろう。

一週間ほどかけて付近を探索したのち見つかった。

 

 

「これは」

 

 

本当に15歳になってしまった。

ここから34まで長い長い成長期だ。

 

 

 

 魔物との戦闘は楽しかった。

巫女とも結ばれ子供も出来た。さらに子孫は繁栄し、どんどん強くなっていった。

団員達も積極的に結んでいき、サムライ団はひとかどの戦力になっていった。

 

 

俺は若返りの泉を見つけては成長期を繰り返し、ついつい80年ほど過ごしてしまった。

こう言う没頭型の世界は危険かもしれない。

もはや、ローテーションなど不要。

 

 

しかし、ふと気づいた。ここには軍略がない事を。むむむ。

いや、有るには有るか。とはいえ、集団戦闘の物ではない。

一応、育成方針を立てて繋げていく事は学べたかもしれない。

 

 

 

 次だ、次の世界に行こう。

さて、箱の文字が読めないやつが良いな。

想像がつかないところに行くのが面白い。

これにしよう。

 

 

早速、町の人間に声を掛けた。

 

 

「そこな町人。この世界は何と言う名前だ?」

「へい、旅のお方。ロマンシング・サガ3でございます」

「ほほう。して、この町の名前は?」

「ミュルスの町にございます」

「手っ取り早く稼ぐ方法は無いか?」

「それならば、船でピドナに行って魔王殿を探索し、魔物を討伐なさってはいかがでしょう?」

「ふむ、時間をとらせてしまったな。かたじけない」

「いえいえ、手前どもはウィルソン水産の者にございます。ご入用の際はどうぞごひいきに」

「あい分かった」

 

 

 

◇◇◇マスコンやろうぜ、えいえいおー♪◇◇◇

 

 

 

さてさて、能力の確認。

 

 

武田高信 33歳、宿星:太白、武器:大剣

HP:180、LP:9、技:18、術:0

腕力17、器用さ:19、素早さ:18、体力:14、魔力:13、意志:21、魅力:9

武器レベル、剣:1、斧:5、槍:0、弓:0、体術:0

所有技:次元断

装備:大剣、革鎧、武道着、革のブーツ

 

 

技は次元断か、格好よさそうではないか。後で使ってみよう。

 

 

 

 俺は船でピドナに向かった。

 

 

「そこの小娘、魔王殿はどこだ」

「つかまえた」

「ん? 良いから、魔王殿はどこだと聞いておる」

「つかまえたって言ったでしょ」

「もうよい、あっちで友達と遊んでおれ」

「誰も友達になってくれないの」

「では、家に帰れ」

「それは嫌、ついていく」

「俺はこれから魔王殿に行くのだ、危険だぞ」

「平気」

「お前名前は?」

「名前? うーんと、あたしはキャンディー」

 

 

どれどれ能力は有るのか?

 

 

キャンディー 14歳 

HP:65、LP:10、技:0、術:0

腕力18、器用さ:16、素早さ:15、体力:19、魔力:17、意志:13、魅力:20

武器レベル、剣:0、斧:0、槍:0、弓:0、体術:0

所有技:なし

装備:フルーレ、クマちゃん

 

 

思いっきり足手まといではないか。

しかし、クマちゃんか。うーん。

これも何かの縁。

 

 

「連れて行くにしても強い仲間が必要だな」

「あたし知ってるよ、あっちの工房に強い女の人が居るんだって」

「ほう、では行ってみよう」

 

 

 

 寂れた工房にその女は居た。

 

 

「なんだい? あんたは」

「我こそは武田高信である」

「あたしは忙しいんだよ、親父が殺されちまってから職人たちが逃げちまってね」

「ほう」

「もう一度、職人になれるやつらを集めて育てて工房を立て直さなきゃならないのさ」

「では、職人集めを手伝おう」

「本当かい? なら集まるまでは一緒に行くよ」

 

 

能力はどんな感じだ?

 

ノーラ 23歳

HP:140、LP:14、技:28、術:0

腕力23、器用さ:24、素早さ:16、体力:12、魔力:14、意志:13、魅力:13

武器レベル、剣:0、斧:8、槍:4、弓:0、体術:0

所有技:ハードヒット、回転撃、二段突き

装備:バトルハンマー、ロングスピア、リジッドレザー、武道着、革のブーツ

 

 

中々頼りになりそうだ。

まずはこの町でもう少し仲間と職人候補でも探してみるか。

 

 

職人一号は食事処で飲んだくれていた。

 

 

「そいつはうちから出て行っちまった奴だから、どうせ駄目だよ」

「俺が話をしてみよう。ノーラ、キャンディーを頼む」

「そうかい、じゃおいでキャンディー」

 

 

「おい、職人一号」

「なんでぇ、あんたは」

「我こそは武田高信である」

「知らねーよ」

「お前、ノーラの工房に居たそうだな。戻る気はないか?」

「なんだぁ? ノーラの仲間か?」

「ああ、俺は武者修行の旅の途中でな。ついでに工房の復活を手伝う事になったのだ」

 

 

「ノーラの親父さんはすごい人だったんだけどな。ノーラは、ありゃあ駄目だ」

「どう駄目なのだ?」

「あいつは腕力と器用さが高いから、一見職人向きに見えるんだけどな」

「ふむ」

「一日中職人の仕事をやるだけの体力が足りない」

「ああ、体力は12だったな」

「新しいものを作り上げる意志も足りない」

「意志は13か」

「じゃあ、親方としてってなると魅力も足りないんだよ」

「うーん、魅力は13か」

「もうちょっと大人になってくれりゃあ良いんだが、親父さんが死んだばっかりってのも有ったしな」

「仕方なかろう」

 

 

「結局、あいつが居ると邪魔してるようになっちまったのさ」

「どう邪魔なんだ?」

「あたしは二人分頑張るよ、っとか言ってさ気持ちだけが空回りしてたな」

「なるほどな」

「あいつが居なけりゃ10回で出来るところを、居ると15回かかったりしてたんだぜ」

「では、駄目か。時間を取らせて悪かったな」

 

 

立ち上がって別れを告げると、職人一号が引き留めてきた。

 

 

「いや、待て。一つ手がある」

「どういうことだ?」

「あんたノーラの仲間なんだろう?」

「今はな」

「話はこうだ。あんたがノーラを連れまわしてくれればいいのさ」

「何時までだ?」

「工房の開発が落ち着くまでかな。それには元居た職人たちを戻さねーとな」

「落ち着いたら、ノーラが戻っても良いのか?」

「そりゃあ良いさ。職人たちみんなの娘みたいなもんだしな。しばらく外の世界を見てくれりゃ落ち着くだろう」

「まあ、そんなものかもな」

 

 

「あんた、町の名前を書いておくから連れてきてくれないか? 俺からも手紙出しておくけど」

「ふむ」

「それで、職人揃って工房再開できたら魔物倒して素材集めをしてくれないか?」

「良いだろう。しかし、仲間が必要だな」

「下の階に詩人が居るぜ、あいつは結構使えるってよ」

「交渉成立だな」

「おう、俺は町に残ってる見習いのケーン連れて工房始めておくよ」

 

 

 

◇◇◇マスコンまだかよ、はよさせろー♪◇◇◇



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第四話 誅

◇◇◇マスコンまだかよ、はよさせろー♪◇◇◇

 

 

 さて、下の階の詩人に声を掛けてみるか。

 

 

「我こそは武田高信である。そこの詩人、我が旅路についてまいれ」

「ふむ、それもまた一興。良いでしょう」

「まずは金だな。魔王殿に行こう、船旅の資金が必要だ」

「それなら傭兵の話があります。2000オーラムは貰えそうですが、どうしますか?」

「傭兵か、良いだろう」

「マスコンバットと言いまして、集団戦闘なのです」

「望むところだ」

 

 

詩人はゴドウィン男爵なる男の元へ、俺達を連れて行った。

 

 

「我こそは武田高信である。ゴドウィン男爵に目通り願いたい!」

「ふむ、詩人を連れておられると。これは期待できそうですな」

「任せておけ」

「では、前金で2000、勝てたらさらに2000オーラムでよろしいかな?」

「あい分かった」

「では、作戦はラドムに。おいラドム! この方に作戦を説明しろ」

 

 

「武田様でしたな、私がラドムです」

「うむ、よろしく」

「ロアーヌ候ミカエルと言う男が居ます。まだ家督相続のごたごた中で、そこを攻めると言う訳なのです」

「ありがちな話であるな。そこで負けるようなら継承する資格がなかったと言う事か」

「そう、ですね。はい」

「して、作戦とは」

「難しい話ではありません。前に二列の波状盾の陣を敷き、その二列が交代で攻めるのです」

「なるほど」

「武田様には二列目をお任せ致しましょう」

「任された」

 

 

 

 ミュルスの町の宿でキャンディーをノーラに預けた。

 

 

「俺と詩人は傭兵に行ってくるからな、キャンディーを頼むぞ」

「分かったよ」

「武田殿、時間ですぞ」

「ああ、行こうか」

 

 

 

 こうして戦いの火ぶたが切られるはずだったが、ゴドウィン男爵はもう一つの策を繰り出したようだ。

 

 

「なに? ミカエルの軍に魔物を当たらせただと?」

「そうなのです、それで怒ったラドム将軍が敵方に寝返ったらしいのです。ああ、ドンマイだ~♪」

「歌ってる場合か! で詩人よ、戦力の状況はどうなのだ?」

「敵に作戦を知られてしまったのは痛いですが、五分五分でしょう」

「ならば勝負だな」

 

 

 

 ミカエルとの対決の前、作戦会議で前列指揮官がゴドウィン男爵に怒っていた。

 

 

「ゴドウィン男爵! ラムド将軍に寝返りの口実を与えるとは、大失態ではないか!」

「分かっている。しかし、敵も消耗したのだ」

「作戦もバレてしまったと言うのだぞ、それだけで済むか!」

「元々、手の内は分かっているのだ、大差ない」

「武田殿、お主からもなんとか言ってくれぬか」

「今更、仲間割れしても敵に利するだけだ。五分の戦なら勝てばよい」

「それはそうだが」

「動揺しないことが肝心だ、しっかりせい」

「うむむ」

 

 

ミカエル軍と戦場にて対峙。両者二列縦隊で陣を組んでいた。

こちらはゴドウィン男爵が最後列に居るので、三列ともいえるか。

 

 

開戦と同時にミカエル軍の前列が飛び上がって、こちらの前列と後列の間に割り込んできた。

敵方から声が上がる。

 

 

「分断作戦!」

 

 

詩人が叫ぶ。

 

 

「武田殿、指示を!」

「分断しているのはこっちも同じだ、目の前の敵を倒せ!」

「倒せ!」「倒せ!」「倒せ!」

 

 

なんとか持ちこたえている間に伝令から悲報が飛んだ。

 

 

「ゴドウィン男爵が逃げています!」

「なんだと、前列指揮官に伝令。飛び込んできた連中を挟み撃ちにしてから合流して退却だ」

「良いのですか?」

「こ度の戦は生きて帰ることが勝利と心得よ。まずは挟み撃ちを」

「承知!」

 

 

敵の後方に土煙が舞った。前衛指揮官が頑張っているのだろう。

 

 

「全軍突撃!」

 

 

前衛指揮官と合流後、粛々と退却することになった。

こちらが合流したのでミカエル軍は手出しを控えたようだ。

 

 

「深追いはしてこないか、ミカエルと言う奴はなかなかの様だな」

「ああ、武田殿のおかげで生き残れた。しかし、ゴドウィン男爵は許せぬ」

「まあ、どんな顔して出迎えてくれるのか、楽しみにしておこう」

 

 

ゴドウィン男爵の館まで戻っても男爵は居なかった。

 

 

「解散だな」

「俺はミカエル候を裏切ってしまった。野に下るしかない」

「生きていれば何とかなるものだ、気に病むでない」

 

 

 

 宿に戻るとノーラとキャンディーが心配して待っていた。

 

 

「負けたって聞いたから心配したよ」

「したよー」

「ふん、小競り合いのようなものさ。死にはせん」

「わたしは英雄の登場を確信しましたぞ」

「英雄? ミカエルの事か?」

「ま、まさか。あの窮地からの退却劇、これは詩になる~♪」

「どうだか。それよりも職人集めを再開しないとな」

 

 

「武田殿、わたしはゴドウィン男爵の末路を見に行ってもよろしいかな?」

「む? 良いだろう。ではノーラとキャンディー、三人で行けるところに行くぞ」

「うん!」

「あ、武田殿。それならば、ミュルスから北に安全な船旅で北のツヴァイク方面に回っておくと良いですぞ」

「落ち合う場所はピドナの食事処でよいな?」

「ええ、工房と宿にも言付けしておきます」

 

 

 

◇◇◇職人集めを、はじめるぞー♪◇◇◇

 

 

 

 俺達三人は船でツヴァイクに向かった。

ツヴァイクの町では西の森の変な動物の話と、キドラントの町への地図を貰った。

そしてキドラントの町から船に乗り、北の大地ユーステルムへ。

さらにランスの町に立ち寄って、ピドナに帰るつもりだった。

だったのだが、ランスの武器屋で荷物運びの仕事を引き受けてヤーマスの町に向かう事にした。

 

 

しかし、道中。盗賊の襲撃を受けてしまった。

 

 

「ノーラ、キャンディーは後ろに隠して二人で戦うぞ!」

「分かったよ。あたしらが相手だ、さあ来やがれ」

「行くぞ! 次元断!」

 

 

――スカッ――

 

 

「あれ? 技が発動しないぞ!」

「それは斧の技だよ」

「なんで斧も無いのに斧の技が有るのだ」

「知らないわよ、その大剣で何とかしな!」

 

 

俺はみねうちの技を閃いた。

しかし残念、負けてしまった。

盗賊たちに捕らえられ、身ぐるみはがれて洞窟の中。

前の世界で鬼のように強くなっていたから油断してしまった。

ここではまだ強くなっていなかったのだ。

 

 

 

「あんた頼りになるんだかならないんだか、分かんない人だね」

「ここの少人数戦は初めてだったのだ」

「何だい、お偉いさんだったのかい」

「我こそは武田高信である」

「ここであたしに威張ってどうすんのさ」

「そう言う訳ではない、ほれ後ろ」

 

 

盗賊の若造が一人寄って来た。

 

 

 

「悪いな、あんた達。俺はポール」

「あたしはノーラだよ。この子はキャンディー」

「こんな小さな女の子を誘拐してくるなんて、夜になったら逃がしてやるから静かに待っててくれな」

「盗賊にしては殊勝な心がけだな」

「魔物が多くなってから、みんなおかしくなっちまってさ。もうついてけないから俺も逃げることにしたんだ」

「お前、そんなに簡単に逃げられるのか?」

「そこで、俺もそっちの仲間に入れてほしいんだよ」

「下心ありか」

「へへっ」

「良いだろう」

「ありがとよ。じゃ、夜に」

 

 

「信用できるのかい? あのポールってやつ」

「多分な」

「不安だよ」

「なに、悪さするようなら誅してやればいいのさ」

「あんたがチューするのかい、そいつは恐ろしいね。あっはっは」

「チューチュー」

「キャンディーのチューは親のほっぺにでもしておきな」

 

 

 

◇◇◇イタズラしたら、誅するぞー♪◇◇◇



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第五話 詩人

◇◇◇イタズラしたら、誅するぞー♪◇◇◇

 

 

 深夜、ポールが約束通りやって来た。装備も持ってきてくれていた。

 

 

「じゃ、出ようか。あんた達は結構地図持ってんだな。拠点はどこだい?」

「ピドナだな」

「じゃ、行こう」

 

 

ポールは地図をいじると一瞬でピドナに着いた。

 

 

「なんだそりゃ?」

「え? 地図が有れば一瞬で移動できるからしただけだよ」

 

 

なんだと、信長の野望天翔記では隣の城に移動するだけでも季節が代わると言うのに。

まあいい、詩人と落ち合うか。

ピドナで詩人と合流して、ポールを紹介した。

 

 

「盗賊に捕まったとは、その場面を逃したのは惜しかったですなー」

「で、ゴドウィン男爵の方はどうなったんだ?」

「処断されましたな。それから前列指揮官殿は復帰を許されたそうです」

「そうか、それは良かった」

 

 

五人で職人集めになった。五人になると戦闘の陣形が強化されるようだ。

俺達が持ってる陣形は、ノーラの虎穴陣とポールのハンターシフト。

ポールはハンターシフトが良いと主張した。

 

 

「ハンターシフトの前衛はスピードが上がって、後衛は器用さが上がるから隙が無いんだよ」

「ほほう」

「あたしは虎穴陣の方が安全だと思うけどね」

「まあ、魔王殿に行ったら両方試すか」

 

 

職人二号が居るリブロフに行こうとしたら、キャンディーがごね出した。

 

 

「そこは行きたくない」

「何故に?」

「なんでも!」

「じゃ、俺が職人二号を連れてくるよ」

 

 

ポールが引き受けてくれるようなので、ノーラと職人の関係をノーラに聞こえない様に話しておいた。

 

 

「分かった、じゃピドナで落ち合おう」

「俺達は残りを連れてくるからな」

 

 

無事に残りの職人を連れてきて、工房は活気が出てきた。

 

 

「ノーラ、素材集めも兼ねて魔王殿で修行だ」

「素材集めか、楽しみだね」

 

 

魔王殿で修行中、詩人が頻繁にマスコンの誘いをかけてきた。

 

 

「武田殿、にせ男爵がミカエル殿に金をせびっております。ぜひにせ男爵にご助力を」

「なぜ、にせ男爵に力を貸さねばならんのだ」

 

 

「武田殿、野盗がミカエル殿の領地を荒らしております。ぜひ野盗にご助力を」

「なぜ、野盗に力を貸さねばならんのだ」

 

 

「武田殿、弱い傭兵団がミカエル殿を挑発しています。ぜひ弱い傭兵団にご助力を」

「なぜ、弱い傭兵団に力を貸さねばならんのだ」

 

 

「武田殿、ミカエル殿が軍事演習をしております。ぜひ演習の邪魔を」

「なぜ、演習の邪魔をせねばならんのだ」

 

 

 

 やはり、この詩人はミカエルを育てたいのだろうか?

軍略として天翔記の世界で使えないのが残念だが、マスコンは面白い。

信長の野望と違って俺の低い部隊適性が関係ないからだ。

前列指揮官も居ることだし、ミカエル軍の助力なら行きたいところだ。

しかし、当て馬にされるのはごめんだ。

 

 

「武田殿、リブロフ軍がミカエル殿と対戦するようです。ぜひリブロフ軍にご助力を」

「リブロフはキャンディーが嫌いな土地だろう、なぜ力を貸さねばならんのだ」

「おじさん、力を貸してお願い!」

「ん? どうしたんだキャンディー」

「な、なんでもないけど、どうしても!」

「ふーむ」

「リブロフの人たちの損害を抑えて、お願い!」

「キャンディーがこうまで言うなら良いだろう。ノーラ、キャンディーを頼む」

「分かったよ」

 

 

 

 詩人とポールの三人でリブロフに向かった。

 

 

「我こそは武田高信である。リブロフ防衛に助太刀に参った」

「わしはリブロフの守将バイヤールである。助太刀感謝する」

「バイヤール殿、詩人です。武田殿は頼りになりますぞ」

「ほう、詩人殿が言うならば期待できるのであろう。早速作戦会議に同行願おう」

 

 

作戦は三段構えの物だった。

まずは毒の沼地に誘い込み消耗させて、門の前で投石。

門を破られたら影武者と偽りの白旗と奇策の連打で行くという。

 

 

「それは敗北前提の作戦ではないのか?」

「なに! しかし、うーむ。確かに積極性に欠けるか」

「毒の沼地で奇策を仕掛けてはどうであろう」

「しかし、準備の時間が間に合わないかもしれん」

「兵は詭道、兵は拙速を尊ぶ。今からならば、敵の偵察もあざむけるかもしれん」

「よし、やろう」

 

 

 

 俺達は沼地の守将ヴラドに同行することになった。

毒の沼地の前に陣取り、偽りの白旗の準備が行われた。

ミカエル軍が速攻の疾風陣で毒の沼地に入り込んできた。

十分に誘い出したところで、偽りの白旗。

ミカエル軍が沼地に武器を放り出したところで全軍防衛。

 

 

ミカエルは情報の齟齬と状況の不利を悟り、すぐさま撤退していった。

無駄な消耗を避けたのだろう。

 

 

「お見事でしたな、武田殿」

「詩人よ。悔しさが顔に出ているぞ」

「そ、そんなことはありませぬぞ」

「まあいい、魔王殿に戻るか」

 

 

 

◇◇◇素材集めの、再開だー♪◇◇◇

 

 

 

 ポールおすすめの陣形ハンターシフトは弱かった。

なので、各地の猛者たちに陣形を教えて貰う事にした。

前衛に一人、的役を置くデザートランスをハリードと言う男に。

前衛三人で後衛を守るワールウインドをエレンと言う女に。

 

 

鳳天舞の陣と言う特別強い陣形は、

トーマスという弁当屋の伝手をたどらないといけないようだった。

トーマスに会いに行くと迷子の捜索に付き合う事に。

 

 

「いやー、すいませんね。手伝って貰っちゃって」

「なに、弁当屋。気にする事は無い」

「今度、おかずサービスしておきますよ」

 

 

迷子は魔王殿の中に居た。

 

 

「えーん、こわかったよー」

「よしよし、もう大丈夫だよ」

「よくもまあ、こんなところで無事だったものだ」

「下の方に開かずの扉があるって噂で来ちゃったんですかね」

「ほう、弁当屋。どのくらい下だ?」

 

 

詩人が俺の袖を引っ張った。

 

 

「た、武田殿!」

「なんだ詩人?」

「武田殿は腰を据えて世界を救うおつもりが有るのですか?」

「俺は旅人だ、旅の途中に寄ったまでだな。それなりに得るものが有れば帰るつもりだ。

そうだな、約束したノーラの工房が形になる位を目途にしていいだろう」

「ならば開かずの扉に行ってはなりません」

「お前はその役をミカエルにやらせたいと」

「はい、申し訳ありません」

「まあよい、今後は余計な動きは控えるように」

「はい。しかし、意外にも義理堅いんですな。ノーラの工房も形にするまでやるとは」

「俺は義理が3もあるんだぞ、義理1の晴信(しんげん)のとは違うのだよ」

「して義理の最大値はおいくつで?」

「じゅ、うー。5だ5。」

 

 

 

 迷子を返すと鳳天舞の陣形持ちのフルブライトなる商人との面識が出来た。

ただし、教える前に悪徳ドフォーレ商会とのトレード合戦に、協力してほしいという話になった。

 

 

 

◇◇◇トレード合戦、始めるぞー♪◇◇◇



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第六話 天翔記への帰還

◇◇◇トレード合戦、始めるぞー♪◇◇◇

 

 

 悪徳ドフォーレ商会はヤーマスの町にあるという。

そういえば、俺達が盗賊に捕まったのもヤーマスの町の近く。

盗賊たちとつながりも有るのだろうか。

 

 

トレード合戦は各地の商人を買収して味方を増やせば良いという。

資産一億オーラムを達成したら鳳天舞の陣を教えてくれる約束だ。

弁当屋は買収の初手に南国各地を回るのが良いと言う。

 

 

ジャングルのアケを制覇しながらグループ技なる資金調達法を閃き、グレートアーチへ。

グレートアーチを制覇した後は、砂漠にある神王の塔に向かいたいらしい。

 

 

「誰か砂漠の情報持ってませんか? 神王の塔は砂漠に行かないといけないので」

「弁当屋は知らんのか。どこで聞いたら良いのだ?」

「あ、それなら俺。職人探しのついでにリブロフで聞いてきたよ」

「よくやったぞ、ポール」

「じゃ、行きましょう」

 

 

 

 神王の塔で商人の買収中に総資産の目標は達した。

神王の塔の買い占めが終わった後にピドナに戻って褒美と陣形を貰った。

しかし、もう少しやりたい。弁当屋が必殺の駆け引き技があると言うのだ

フルブライトの商会があるウィルミンストンの町に向かって継続を申し出た。

 

 

各地を買収して回り、弁当屋の言う必殺のネマワシという駆け引き技を得た。

そこからはもう一本道。悪徳ドフォーレ商会をやっつけた。

 

 

「商人必殺のネマワシか、俺の世界でもあんな簡単に使えたらな」

「みなさん似たようなこと考えるもんですな」

「ああ、詩人か。聞かれてしまったな」

「旅立ちが近いと言う事ですかな?」

「ノーラの工房の件が片付いたら旅立ち、で良いだろう」

「ポールとトーマスが随分と熱心に素材収集の場所をチェックしてましたな」

 

 

 

 トレードの旅で地図に書き込まれた町が増えていた。

また、詩人が協力的になり行って良い所には積極的に案内してくれたことも有り、

素材集めはかなりはかどる様になった。

 

 

開発予定の品目が残り三分の一を切った頃。

職人たちからノーラを工房に返してほしいとの要望が出た。

 

 

ノーラは、俺と職人たちとの裏取引に感づいていたようだ。

しかし大げさに喜び、目に涙も浮かべていた。

ささやかながらピドナの食事処で復帰祝いの席が設けられた。

 

 

 

 食事処から宿への帰り道。

俺は一人、密かに天翔記の世界に戻った。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、主家を売れー♪◇◇◇

 

 

 

 祠の中でひと息つくと、後ろから話しかけられた。

 

 

「黙って行ってしまうとはひどいですぞ」

「おじさんは、あたしに捕まってるの」

「詩人、キャンディー! なぜ、ここに居る?」

「旅路に付いて来いと言ったのは武田殿ですぞ」

「それはそうだが」

「それでは、わたしとタチアナで商人のネマワシを担当しましょう」

「タチアナ? だれだ?」

「あれ? あたし名前がタチアナ姫になっちゃってる!」

「わたしは隠居の詩人ですな」

 

 

くそ、こっそり戦国ランスの巫女機関に寄ってから、

鳥取城の御屋形様に会いに行こうと思っていたのに。

キャンディー、じゃなかったタチアナ連れてじゃ18禁に行けないではないか。

 

 

俺は気持ちを整理するため、自分の能力を確認した。

 

 

武田高信 33歳

政治:35/78、戦闘:60/138、智謀:67/148

魅力:40、野望:73

部隊適性:足軽D、騎馬D、鉄砲E、水軍E

特技:暗殺、流言、弁舌

 

 

俺の能力は、ほぼ変わらず流言と弁舌の特技が付いていた。

 

 

政治・戦闘・智謀は現在値/最大値の表記で、個人個人の才能に合わせて決まっている。

最大値の限界は200だ。

ただし、家宝で能力が最大20まで上がるので理論上の最大値は220になる。

魅力・野望の最大値は100。

魅力は朝廷から官位を貰えば10まであがり、野望は家宝で10まで上がる。

 

 

能力の現在値は政治をすれば政治が合戦や訓練をすれば戦闘が、

と言った形で最大値に近づいていく。

ただし、やらなければ下がってもいく。

 

 

部隊適性はE→D→C→B→A→Sの順に強くなっていく。

適性が高い武将から教育を受けて上がることが有るのと、戦闘中に上がることも有る。

特技は、一喝、暗殺、流出、煽動、流言、弁舌、焼討、挑発の八種。

これも持ってる武将から教育で覚えることができる。

 

 

 

 ただし、人には相性と言うものが有る。

気の合う仲間同士なら部隊適性や特技も覚えやすいし教えやすい。

俺は山名家の連中と相性が悪い。

ここは手っ取り早く軍団長になって独立をした方が良いだろう。

気の合う仲間を集めて高め合いながら国盗りを天下を目指したい。

 

 

「お前たち、商人のネマワシを担当するって言ったな?」

「ええ、もちろん。後は贈り物を一つ」

「ほう」

「これは箱から出して触ってはいけません」

「何が入っているのだ?」

「ナッツのチョッキです」

「触るとどうなるのだ?」

「頭が悪くなります」

「恐ろしい物だな」

「いざと言う時に誰かに押し付けると良いでしょう」

 

 

「そういえば詩人。お前はミカエルの詩を作らなくて良いのか?」

「彼の詩は幾通りも作っておりますので。此度は武田殿の詩を作らせてもらいましょう」

「キャンディー、いやタチアナ姫か。お前はここに来て良いのか」

「つかまえたって言ったでしょ。リブロフの町を守ってくれたから、今度はわたしがおじさんを守ってあげるの」

「ふむ」

 

 

本人が良いならいいか。

 

 

「詩人よ、重ねて聞くが商人にネマワシは確実な効果が有るのか?」

「ええ、期待していただいて構いませんよ」

 

 

ならば商人には吹っ掛け放題の値切り放題か。

弁舌の特技があるわけだし、やりたい放題できるわけだ。

行こう、鳥取城に。

 

 

 

 では、ここで我が山名勢の面々を紹介しよう

当主:

山名豊定(やまなとよさだ)、政治:そこそこ、戦闘:そこそこ、智謀:無残、魅力:そこそこ、野望:残念

 

配下:

山名祐豊(やまなすけとよ)、政治:そこそこ、戦闘:そこそこ、智謀:無残

山名豊弘(やまなとよひろ)、政治:残念、戦闘:残念、智謀:無残

垣屋続成(かきやつぐなり)、政治:そこそこ、戦闘:無残、智謀:そこそこ、特技:流言、弁舌

垣屋光成(かきやみつなり)、政治:残念、戦闘:残念、智謀:そこそこ

武田高信(たけだたかのぶ)、政治:悲惨、戦闘:そこそこ、智謀:なかなか一歩手前、魅力:残念、野望:そこそこ

 

 

この連中と戦国乱世を乗り切るのは骨だろう。

やはり独立だ。その昔、山名宗全(やまなそうぜん)様が居たころ。

山名家と言えば全国66か国のうち11か国を領有する六分の一殿、

そう言われた時代も有ったようだ。

しかし、今は昔。時代の移り変わりは悲しい。

 

 

部隊適性は皆押しなべて

足軽:D、騎馬:D、鉄砲:E、水軍:E

馬鹿々々しいほどに低い。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、主家を討てー♪◇◇◇



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第七話 竹田城へ

◇◇◇戦国時代だ、主家を討てー♪◇◇◇

 

 

 何はともかく、三人で祠を出た。向かうは鳥取城。

祠を出ると季節が代わっていた。入った時は春だったのにもう秋だ。

ずいぶんと長い時間旅をしていたようだった。

 

 

鳥取城に着き、御屋形様の御前に通された。

見上げて見る御屋形様の顔は、もう独立した後に倒して得る経験値に見えている。

しかし、焦りは禁物。まずは独立するため軍団長に選ばれなければならない。

そのためには武勲を上げて身分をあげなくてはなるまい。

 

 

身分は下から、足軽頭、侍大将、部将、家老、宿老、大名の順だ。

今の俺は侍大将。最大40の兵を率いることができる。

身分が上がると、率いることができる兵の最大値が上がる。

 

 

大名は領地が増えて配下の武将が増えると軍団を組織する。

自分一人では行動力に限界があり、目が行き届かないからだ。

残念な能力の御屋形様ならすぐに軍団を作るだろう。

そして配下の武将は軍団長になると大名を裏切り独立することができる。

 

 

当然俺は軍団長になれば直ちに独立するつもりである。

いざと言う時に備えて、詩人から貰ったナッツのチョッキは常に持ち歩かなければならない。

 

 

 

「御屋形様、修行から戻ってまいりました」

「高信、垣屋の爺から聞いておるぞ。流言と弁舌を覚えてきたそうじゃの」

 

 

あれ? 流言と弁舌は垣屋の爺さんが持っている特技だ。

俺があれを得たのは垣屋の爺様からの教育って事になってるのか?

すると、詩人とタチアナが居なければ、

俺は他所の世界から何も持ってきていないことになってしまう訳だ。

危ない危ない。

 

 

「して高信。後ろの二人は何者じゃ」

「はっ、この者どもは商人との取引にネマワシと言う技をかけるものにござります」

「ネマワシとな?」

「これがあれば弁舌を用いて、商人に吹っ掛け放題に値切り放題となることは必定」

「なんと! それはまことか」

「金蔵に米蔵、巨万の富が満ち満ちていく事でしょう。

御屋形様が宗全様に成り代わり、天下統一も夢ではございませぬ」

「わしが? 宗全様に? ほへっほへっ」

 

 

「まずは皆で垣屋の爺様から弁舌を習いましょうぞ」

「そちも弁舌を持っているではないか」

「それがしは竹田(たけだ)の城から播磨(はりま)赤松(あかまつ)に攻め込んでまいりたい、なにとぞご裁可を」

「ふむふむ、播磨の赤松と言えば宗全様の頃からの当家の宿敵、存分にほふってまいれ」

「その間、家中で弁舌を鍛えておいてくだされ」

「うむうむ、任せておけ。ほふっほふっ」

 

 

山名家一同の武将が鳥取城に集められ、兵の再編成が行われた。

御屋形様は71、俺が40の兵を預かることとなった

 

 

 

 俺と詩人にタチアナは竹田城に向かった。

 

 

「武田殿これから向かう竹田城とはどの様なところで?」

「今出てきた鳥取城から東南にあってな、優美な山城で天空の城とも言われておる」

「ほほう」

「山城ではあるが守りの城ではない。四方八方の道に通じていて、

各地に攻め入るための城なのだ」

「すると早速、武田殿の英雄譚が見られるという訳ですな」

「なに、のんびりしてるとあっという間に滅ぼされてしまうからな。滅ぼされんがためだ」

 

 

俺は詩人とタチアナに、山名家の状況と周囲の状況を説明することにした。

 

 

 

 山名家は現在の鳥取県と兵庫県北部に三つの城を持っている。

東から羽衣石(うえし)城、鳥取城、竹田城の三つだ。

羽衣石城は因幡の豪族、南条(なんじょう)氏の本拠地だ。

南条氏は登場しないので羽衣石城は無人の城。

 

 

 

 羽衣石城の東には強豪尼子家が居る。

先代の尼子経久(あまごつねひさ)はすでに亡い者であるが、

配下の新宮党(しんぐうとう)尼子国久(あまごくにひさ)親子は武力の主柱として健在だ。

万が一勝てたとしても、その奥には毛利家が控えている。

 

 

尼子をつつくと隙をついて毛利が育つ。人材豊富な毛利は育つと更なる強敵となる。

その意味でも容易に尼子とは戦えない。

現在の位置づけでは羽衣石城は守りの城だ。

 

 

 

 中央の鳥取城からも山を越えて南に攻め込むことは出来るのだが、

羽衣石城と竹田城に兵の備えがあれば軍備はさほど必要ない。

攻めでも守りでもなく、内政の城。繁栄のための城で良いだろう。

 

 

 

 そして我らが向かう竹田城。

北西には一色(いっしき)家。この家の当主は大したことないが、

家臣に鉄砲名人の稲富祐秀(いなとみすけひで)が居る。

こいつが鉄砲部隊を率いて戦場に現れると敗北は必至。

 

 

南西には管領細川晴元(ほそかわはるもと)の家臣となっている波多野(はたの)家の面々が居る。

この波多野家の当主晴通(はるみち)も大したことは無い。

しかし、赤鬼と称される赤井直正(あかいなおまさ)と青鬼と称される籾井教業(もみいのりなり)が脅威だ。

部隊適性もさることながら才能の限界値が高く、

ほんのわずかな戦闘機会が与えられるとあっという間に育つだろう。

その上で、ここに手出しを仕掛けると大国細川家との敵対関係が生じてしまう。

 

 

南東には赤松家の姫路城がある。

城主は浦上政宗(うらがみまさむね)、能力は俺の強化版と言ったところ。

部隊適性が低い事も有り、戦場ではさほど脅威には育たない。

家臣の黒田(くろだ)親子も内政畑の武士で戦場の脅威とはならない。

ただし、この黒田と言う家は後に高名な軍師、黒田官兵衛(くろだかんべえ)を輩出する。

官兵衛引換券として重要だ。

 

 

 

「ふむ、それで武田殿は姫路の浦上殿と戦う訳ですな」

「違う、細川家の波多野の連中に戦を仕掛ける予定だ」

「なんと! それでは御屋形様なる方に告げた話と違うではありませんか」

「相手の城に攻め入ると言うのは、単純な話ではない。

仕掛けた城の周辺の城も巻き込んで戦が始まってしまうのだ」

「巻き込まれちゃった人たちは大変なのね」

「そうだな、タチアナ。しかし、戦端が開かれると言うのは領土拡張、

繁栄の願っても無い機会なのだ」

「ええー」

「武家の行動力は当主の能力と野望、つまりやる気に依存する。

季節季節の行動には限界があるのだ」

 

 

「すると、周囲の城を守る者たちは戦端が開かれる機会を待っていると?」

「そうだ、そのための備えを幾通りも考えて待っているのだ」

「このような時代を過ごした方を、まだ動乱初期のミカエル殿に当てようとしたのは失敗でしたな」

「なに、俺はまだまだ大したものではない。ミカエルとも勝ったり負けたりであったであろう」

「しかし、御屋形様にはなんと言い訳をなさるおつもりで?」

「どの道、小勢で仕掛けると向こうから敵対はするのだ。

始めにどっちに向かったなど報告する必要もあるまい」

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇



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第八話 初戦

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 竹田城に到着し、周囲の城に偵察を送る。

案の定、一色家の稲富祐秀は鉄砲隊を率いていた。

こちら方向にはまだ手出し不要だ。

 

 

波多野一家が支配する八上(やがみ)城を戦争対象に指定すると、

同じ細川家で無人の丹波(たんば)亀山(かめやま)城も戦闘地域に。

そして、赤松家の姫路城と三木(みき)城。

さらに、足利将軍家の二条城の計五つの城が戦闘地域になった。

 

 

ここでの強敵は別所(べっしょ)親子の領する三木城。

戦では、それぞれ家でそれぞれの城で一番身分が高いものが大将になる。

しかし、必ずしも大将が一番強い訳ではない。

この大将の部隊を壊滅させると、戦に参加した旗下の武将は捕らえられるか逃げ去ることになる。

 

 

八上城の大将は波多野晴通、二条城の大将は足利義晴(あしかがよしはる)、姫路城の大将は浦上政宗。

この三人は戦場で雑魚だ。俺でも十分勝機がある。

しかし、三木城の大将は別所就治(べっしょなりはる)

部隊適性も上手(うわて)で戦闘力が高いので対決は避けたい。

下手すると30日間戦場を逃げ回り、終局を待たなくてはならないかもしれない。

 

 

 

 みっともない戦い方と言われるかもしれないが、俺はやる。

俺達は弱者なのだ、戦い方などに格好つけている場合ではない。

勝って勝ち続けて強者になっていけば良いのである。

 

 

配下の兵たちの顔を見ると、皆一様にジャガイモのような顔で青くなり、震えているものもいる。

ジャガイモは茎だ。地下茎なので日にあたると光合成して青くなる。

そうだ、この者たちは怖くて青くなっているのではない。

震えているのも武者震いと言う奴だ。訓練などやっていないが問題ない。

 

 

「向かうは八上城、野戦にて敵の大将のみを相手とする。いざ出陣!」

「お、おぉー」

「みんな、がんばるよー!」

「おー!」

 

 

むむ、俺の声では反応が薄い兵たち。しかし、タチアナの声にはしっかりと答える。

そうだった、俺は魅力が低いのだ。タチアナはロマサガ3の世界でも魅力が高い方。

これは利用させてもらおう。

詩人は見たもの聞いたものを紙に書き記すのに夢中だ。

 

 

 

 現実が戦闘に代わると、偵察で聞いた情報とは全然違っていた。

八上城は兵を増やして暗愚な波多野晴通から兵をはがし、

勇猛な武将たちに兵をまとめて出陣してきた。

空き城だったはずの丹波亀山城には三好長慶(みよしながよし)と三好義賢(よしかた)兄弟が詰めていて、

三好義賢が兵30を率いて出陣。

こことは戦えない。当たれば即、我が方は蒸発するかのように消え去ってしまうだろう。

 

 

他の城から出てきた軍は姫路城の浦上軍、三木城の別所軍、二条城の足利軍。

戦って勝てるのは浦上軍と足利軍だ。

それでも慎重に兵の消耗を抑えなければならない。

 

 

兵の消耗を抑えたいのはどの軍も同じ。

俺は竹田城を出て姫路方面の山に潜み、兵たちの士気を鼓舞することにした。

 

 

「我こそは武田高信である。皆の命は預かった。存分に戦え!」

 

 

しかし、誰も聞いてない。兵は周囲の軍勢に臆して顔を下げている。

そばに居たタチアナが声を上げた。

 

 

「みんな! ちゃんと生きて帰るのよー!」

「おおー!」

 

 

まったく女の声で元気が出るとは現金な奴らめ。

それから俺が掛け声を伝えてタチアナが叫ぶ、兵の士気が上がる。

これを繰り返して兵の士気は満ちて行った。

 

 

 

 山道を歩いて姫路の城に近づくと浦上軍が気づいて戦闘を仕掛けてきた。

大将に浦上政宗、黒田親子が前衛に居る。

俺は兵を前に上にと動かし、黒田親子を避けて浦上政宗とだけ戦うようにした。

二合三合、叩き合ううちに互いの兵が消耗していく。

俺の40居た兵が22になるころ、ようやく浦上政宗の兵が尽き大将の捕獲と相成った。

 

 

「浦上政宗捕らえたり!」

「敵の大将、捕らえたよー!」

 

 

タチアナも声を上げる。戦場で女性の甲高い声は良く通る。

敵方にも聞こえていたようだ。敵軍が混乱する中、黒田親子も捕まえることが出来た。

 

 

捕まえた武将と兵を竹田城に送り、俺は22の兵を連れて竹田城付近の山に潜んだ。

まだだ、まだ勝てる相手が居る。足利軍だ。

足利軍は波多野軍と三好軍と並んで八上城付近に展開していた。

 

 

浦上軍との戦いで疲労し落ちた士気は、タチアナを使って回復させた。

野戦は30日しか行われない。

30日も外の陣地に居ると厭戦(えんせん)気分が蔓延(まんえん)し、戦を続行できなくなってしまうからだ。

 

 

その30日目の最終日。俺は足利軍に襲い掛かった。

足利軍は大将が足利義晴、はっきりと愚者。

配下に文官肌の三淵晴員(みつぶちはるかず)和田惟政(わだこれまさ)

三淵は知勇兼備の細川藤孝(ほそかわふじたか)の親なので引換券として重要だ。

和田惟正はなかなかの武将なので、これと戦ってはいけない。

大将の足利義晴だけと戦った。

 

 

足利義晴は凡将とはいえ30の兵を有していた。

俺の兵が22から9にまで消耗した時、ようやく捕らえることが出来た。

配下の武将も捕獲。

戦が終わり竹田城でとらえた者たちを見分した。

引換券の黒田親子と三淵は無事に山名家の家臣になる事を選んだ。

 

 

 

 問題なのは浦上政宗と足利義晴。

 

 

俺は三国志の世界と銀河英雄伝説の世界で、義理の低いものは切り捨てよと学んだ。

あれほど時代や文化や環境が違えども戦乱の世では何が起こるか分からない。

未然の処置は大切だ。

 

 

浦上政宗は義理が低めの野心家だ。そこそこ政治能力もある。

切り捨てるべきか、内政要員にするべきか。

悩んだ末に家臣にすることにした。理由は義理が俺ほど低くないからだ。

御屋形様が嫌えば追放されることだろう。

そこはこいつが御屋形様に取りいれば良い事。俺の知ったことではない。

 

 

そして足利義晴。名ばかりとは言え室町幕府の将軍だ。

義理とは関係なしに、生かして返しては将来の禍根となる。

ここは誅することにした。誅してみると義晴は所持していた家宝を落とした。

一級品が二つと十級品が一つ。

家宝は俺がその場で持つことはできない。

御屋形様に送らなければならないのだ。

 

 

ここに室町幕府は足利家の消滅と同時に終焉(しゅうえん)となった。

 

 

今後、俺は御屋形様の顔が家宝に見えることだろう。

独立して御屋形様に戦を仕掛け、誅して家宝を手に入れるつもりだからだ。

 

 

 

 竹田城にて兵の再編成を行った。

黒田親子や足利配下の武将の兵を俺の兵としたのだ。

3ほど余った兵は、山名家と相性が悪くないのか忠誠度が高い和田惟政に預けた。

 

 

俺は御屋形様に今後の方針についての献策を手紙にしたためた。

内容はこうだ。

 

 

『山名一門と垣屋一家は羽衣石城にて尼子への防衛、そこに腕利きの和田惟政を派遣。

鳥取城は黒田親子を軍団長にして、三淵と浦上を補佐に内政に当たらせたい。

俺は竹田城にて周囲の状況を見ながら敵武将を捕らえて集める。

場合によっては敵の城も攻めとる』

 

 

 

 黒田親子に手紙を渡して鳥取城に向かわせることにした。

 

 

「それがしどもを軍団長に推薦ですか?」

「ああ、御屋形様次第だが引き受けてくれるか?」

「はっ、以後は武田殿の意に沿うよう全力で事に当たりまする」

「三淵殿、黒田親子をよろしく頼む」

「わかったでおじゃる」

「浦上殿、鳥取城の防備は頼んだ」

「ふん」

 

 

浦上はやはり切るべきだったのだろうか?

 

 

「和田殿、羽衣石城にて我が御屋形様の警護を頼む」

「承知」

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇



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第九話 対戦、一色家

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 季節が代わり冬になった。御屋形様は俺の献策を用いて羽衣石城に移ったようだ。

黒田親子を第二軍団の軍団長にもしてくれた。

俺の手紙の返事も届いていた。

手紙の内容はこうだ。

 

 

『足利将軍家を滅ぼすなど、お主は何と言う事をしてくれたのだ。キエー!

しかも管領の細川家と事を構えるとは。

こうなっては山名家はおしまいだ。ウワー!

周囲の大名たちから総すかんで滅ばされてしまう。

貴様は命がけで戦い、敵なるものを徹底的に滅ぼしてまいれ。

危機が去るまで我が前には現れるな! シャー!』

 

 

御屋形様はご立腹。なにも手紙に奇声を書き込まなくても。

手紙は垣屋の爺様からも来ていた。

 

 

『御屋形様は家宝を得られて凛々しくなられた。

政治に軍事に明るくなられて、わしが教育をしたら早速弁舌を習得なされた。

今後の山名家の未来は明るい。

武田殿、よくやった。

くれぐれもむやみに戦を仕掛けて命を落とすでないぞ』

 

 

こちらは喜んでいるようだ。

しかし、垣屋の爺様の事。手紙の言葉を額面通りに受け取ってはいけない。

心配されずとも、軍団を作ったことにより山名家の行動力は残り少なく、

俺は戦を仕掛けることが出来なかった。

この季節は兵の訓練でもするしかない。

やる気の乏しい殿を担ぐと苦労する。

早く軍団長になって独立したいものだ。

 

 

 

 早く軍団長に成りたいのは確かだが、俺の山名家への忠誠度は低い。

低いままで軍団長に自薦などしたら、目的をあっという間に見抜かれてしまう。

たとえ平凡たる御屋形様であったにしてもだ。

 

 

黒田親子にはその時のための布石となってもらった。

先に誰かを推薦しておいたのだ。

これが成功すれば、自薦で軍団長にもなりやすいだろう。

軍団長に成るには武勲を稼いで身分を上げて、仮初めの忠誠度を上げていくと良い。

 

 

俺は焦る気持ちを抑えて御屋形様に手紙を書いた。

 

 

『足利将軍家の滅亡など気にする必要はない。

人のうわさも七十五日。もはや季節が過ぎ3か月が過ぎたのだ。

誰も将軍家のことなど覚えていない。

聞かれれば、あーそんな家もあったなー。位の話でしかない。

細川家の内実は崩壊寸前。内部で三好家の者どもがうごめいている。

心配ご無用。敵との戦はお任せあれ』

 

 

 

 兵たちの訓練を終えて俺は自分の能力を確認した。

 

 

政治29/78、戦闘91/138、智謀61/148

 

 

合戦と訓練で戦闘が大分上がって来た。政治と智謀は戦をすると下がっていく。

野戦中に流言を使って敵を混乱させられれば智謀が上がるが、今は必死の時。

余計な事をして、敵に付け込むすきを与える余裕はない。

まだ、山名家に財は無く。将兵の手駒も不足している。

敵から兵を奪ってやりくりしていくしかない。

戦の機会に俺の部隊適性が早く上昇してほしい。

 

 

部隊適性の上昇は、教育と戦場での戦闘で確率的に上昇する。

また、城攻めを行う際に本丸の扉を叩くことでも上昇する場合がある。

さらに一軍の大将であれば、野戦で勝利し敵武将の捕獲時にも上昇する可能性が有る。

意外と機会は多いのだが、それも豊かになってから。

 

 

敵の城に攻め込むときに、野戦場に敵兵が残っていると一気に危機におちいる可能性もある。

我慢は我慢で必要だ。

周囲の城に偵察を出し、事態の推移を見ながら季節の代わりを待った。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 年が明け春が訪れ、俺は34歳になった。

第二軍団では細川藤孝が元服した。

やや野心家であるが義理堅く素晴らしい才能に恵まれている。

なんとか手元に置いておきたい男だが、今は第二軍団に隠して置いて良いだろう。

 

 

垣屋の爺様から手紙が届き、御屋形様に12歳の姫が産まれたとの報告が来た。

そう、27歳以上の大名には12歳の姫が産まれることが有るのだ。

場合によっては、その姫を武将として用いることも出来るらしい。

垣屋の爺様の手紙の他の内容はこうだ。

 

 

『御屋形様は益々さえわたり、弟の祐豊殿に弁舌をお教えになられた。

次は豊弘殿に教えるのだと、それはまあ楽しそうにしておられる。

わしも息子の光成に弁舌を教えて成功した。

次は和田殿に教えてみようと思う。

かの和田殿は武門の腕利きと言う話であったが、政治の方もなかなかであるのでな。

武田殿は命を大事にし、無謀な戦はするでないぞ。

山名は栄えるのだ。その時まで、大事に大事に』

 

 

なにやら本気の文面に見えてくる。文章だと表情が見れないから疑いがかけにくい。

しかしだ、偵察による周囲の状況が報告され、絶好の機会が訪れた。

 

 

北西の一色家の兵が再編成されたというのだ。

天翔記では一色家の大名、一色義幸(いっしきよしゆき)は暗愚。

子の義道(よしみち)は猪武者。

兵は義幸が無し。義道が17で稲富祐秀が40の足軽。

鉄砲を持ってこその稲富祐秀に足軽部隊を率いさせては宝の持ち腐れも良い所だ。

 

 

俺は確認の偵察を放ってから垣屋の爺様の手紙の返事を書いた。

 

 

『垣屋殿、毎度の手紙感謝する。

御屋形様の喜ぶ様子は目に浮かぶようだ。

俺も御屋形様の勘気(かんき)が解けたら、ぜひご機嫌を伺いたい。

和田殿は有用な様子。こちらも嬉しく思う。

戦の事は垣屋殿の言う通り、慎重に事を進める。

しかし、好機は絶対に逃さないつもりだ』

 

 

 

 数日後、偵察が帰って来た。詩人が報告してくれた。

 

 

「武田殿、また戦ですな。活躍を期待してますよ」

「ああ、任せろ」

 

 

率いる兵は40。一色家の城は建部山(たけべやま)城、京の北の舞鶴にある。

戦争対象にすると若狭(わかさ)武田氏の城が巻き込まれた様だ。

若狭の武田に強敵は居ない。どちらも大将を捕縛し兵を吸収させてもらうぞ。

 

 

「者ども建部山城に出陣だ!」

 

 

野戦を始めてみると、若狭の武田家が110もの兵を率いて味方の攻め手側に回ってしまった。

それを見た一色家の部隊が城にこもって籠城体制。

城攻めはかなわん、とばかりに若狭の武田家は城内に退却。

俺の放った偵察にこんな情報は無かった。

 

 

なんてことだ、野戦で兵の吸収が出来なくなってしまった。

山名家の行動力では、退却して別の攻撃対象を選ぶなどと言う事は出来ない。

少しでも得るものが無ければ、帰るに帰れない。

城攻めだ。行こう。

 

 

「一色の城など我らの前には物の数ではない!」

「みんな、張り切ってー!」

「おおー!」

 

 

タチアナの鼓舞はすごい。

 

 

 

 三の丸、二の丸の門をこじ開け本城の門も開けた。

本丸には義道、その前に稲富祐秀が陣取る。

俺は稲富祐秀に流言をかけるが通らない。

敵は攻撃を仕掛けてきて、互いに消耗していった。

敵軍が目に見えて減った時、俺は流言をあきらめて突撃に踏み切った。

部隊適性を上げたかったのもある。しかし、突撃してみるとこちらが混乱状態になってしまった。

 

 

幸い、混乱状態はすぐに解けて稲富祐秀を捕獲することが出来た。

40居た兵が20になってしまっている。

稲富祐秀を配下にする事が出来ればそれでも儲けものだが、今は兵の損害も痛い。

 

 

本丸の一色義道は暗殺で誅することにした。

義道は猪武者、育っていない猪武者だ。

誅にはもってこい。

 

 

数度繰り返すと、ぐわっと鳴いて亡き者になった。

タチアナに鼓舞してもらい兵の士気を回復させた。

兵の損耗が痛い。俺は肩を落としながらも本丸の城門を叩くよう兵に指示した。

 

 

一回、二回では叩いても開かない。三度目に叩いた時、それは起こった。

俺の部隊適性が足軽Dから足軽Cになったのだ。

稲富祐秀次第ではおつりがくるかもしれない。

 

 

俺は本丸に侵入し建部山城を落とした。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇



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第十話 不穏の知らせ

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 俺は建部山城を落とした、戦後処理だ。

始めに大名の一色義道。こいつは建部山城を使ってこの地域を治めるならば配下として必要だ。

しかし、俺は建部山城を空城として使いたい。

建部山城の東には若狭武田家の後瀬山(のちせやま)城。

建部山城に攻め込める城は、俺の竹田城と後瀬山城だけ。

 

 

豊かな小浜の地にある後瀬山城は、若狭武田家の繁栄の象徴である。

若狭武田家はさらに東の大国朝倉家に逆らうことが出来ずにいたので、

天翔記では一族みな凡将あつかいだ。

 

 

俺は一色の建部山城を空城にして釣り餌とし、若狭武田家の面々を誘い出し兵を奪いたいのだ。

詩人が話しかけてくる。考えをまとめるのに都合がいいので、ずっと俺から話していたのだ。

 

 

「すると、この一色義幸殿はどうなされますので?」

「誅する」

「なるほど、時代でございますなぁ」

「どこかの大国を頼って、俺達に都合が悪い所を攻めかかられては有害だからな」

 

 

一色義幸は誅されて消えた。こういう場面はタチアナには見せられない。

 

 

 

 次は稲富祐秀。この鉄砲名人は俺と相性が悪い。

むしろ御屋形様たち、山名家の連中と相性がいい。

絶対に、あちら側に取られてはいけない人材だ。

誅するには惜しすぎる能力、加えて敵にしたら怖い能力。

 

 

味方となるなら是非にも抱え込みたい。

駄目な場合は誅しなければならない。

説得を試みると素直に配下になったので即、竹田城に派遣した。

 

 

 

 俺は武勲を稼いで身分が部将になった。兵は55まで率いることが出来る。

御屋形様には事後承認を得る形だが、ご機嫌であることだし問題ないであろう。

この季節に俺は戦争を仕掛けたが、まだ行動はしていない。

兵も減ってしまったので、建部山城で限界まで徴兵した。

 

 

詩人とタチアナは役に立つ。

役に立つのだが、彼らが居ると偵察の情報と現実に起こることに大きな齟齬が生じるようだ。

若狭の武田家など兵を増やしているとは聞いていなかったのに、

出陣してみたら110もの兵を出陣させてきたのだ。

それで一色家は籠城に踏み切ることとなった。

俺は詩人に状況の変化にどう対応するのかを試されているのだろうか?

 

 

事の詳細を垣屋の爺様に手紙で出し、御屋形様への取次ぎを頼んだ。

新たに加わった兵たちと言葉を交わしていると季節が一つ過ぎて行った。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 夏になった。俺は今いる建部山城を空城にするため竹田城に向かうつもりだった。

しかし、釣りだすための若狭武田家は滅んでいた。

滅ぼしたのは尾張(おわり)斯波(しば)家。

尾張名古屋の守護大名だが、お飾りで絵にかいたような傀儡政権。

当主は非常に残念な能力を持っている。

 

 

であるのに急速に勢力を拡大し、岐阜の一部と琵琶湖の周りをぐるっと一周領有していた。

斯波家の拡大により北近江の浅井(あざい)と南近江の六角(ろっかく)も滅んでしまった。

 

 

俺の能力は、

 

 

政治27/78、戦闘106/138、智謀64/148

足軽適正D→C

 

 

足軽適正が上がり、戦闘能力も育って一端の武将と言っていい状態になっている。

東の後瀬山城は空城になっているが、むやみに付け込んで攻め入ると斯波家からどんな猛者が出てくるか分からない。

俺は兵を引き連れ竹田城に戻った。

 

 

 

 竹田城には浪人が流れてきていた。

能島武吉(のしまたけよし)15歳。

この男は村上水軍を率いて活躍するので村上武吉とも呼ばれる。

非常に水軍適性が高いが、陸に上がるとカッパになる。

政治能力は低く武辺一辺倒のこわっぱだ。いや、こカッパか。

 

 

こいつにはもう一つ重要な特徴がある。

俺と相性が良いのだ。山名家の行動力でやれることがない時に、

こいつから水軍の教育を受けても良いかもしれない。

俺も足軽適正が上がったので、こいつをカッパから人にしても良いだろう。

そして独立の際には可能な限り働いて貰おう。

 

 

俺は先に来ていた稲富祐秀を派遣して勧誘することにした。

かなり難色を示したそうだが、最終的には仕官してくれた。

この辺の成功率は詩人のネマワシが有るのかもしれない。

羽衣石城の御屋形様たちの弁舌特訓も異様な成功率だ。

 

 

 

 竹田城には例によって垣屋の爺様から手紙も届いていた。

 

 

『一色家の仕置きの件、建部山城の空城の件、武田殿の身分の件。

全て承認された。こちらの事は気にせず動いてよいとのことだ。

御屋形様の豊弘殿に対する教育は失敗したので、

御屋形様はもう豊弘には教えてやらんとご立腹だ。

ご立腹ではあるが、ご機嫌でもあるので、次は自ら商人と取引をしたいと申されておる。

わしの和田殿への教育は成功したので、豊弘殿へはわしから教育をする予定だ。

今季は祐豊殿と、我が子光成によって商人との取引に成功した。

小さな一歩だが山名家繁栄のための偉大な一歩だ。

くれぐれも無謀を控えるがよろしかろう。

取り急ぎに付き、乱文ご容赦』

 

 

「なにか向こうで有ったのですかな?」

「かもしれんな。詩人は教育や勧誘にもネマワシを入れているのか?」

「さて、何のことでしょう。ふふふふ~♪」

「ふむ。御屋形様は失敗なされた事だし、過度な期待はやめておこう」

「それがよろしいかと」

 

 

 

 俺の居る竹田城の周囲の環境は変わりなく、八上城の波多野は動かず。

丹後亀山の三好も静観。三木城の別所も健在。

姫路城の武将は全員捕まえてしまったので空城。

俺の部隊適性が上がったので、行動力さえ残っていれば戦を仕掛けたい所。

ただし、御屋形様たちが商人と取引を始めたので、戦の為の行動力は残っていなかった。

 

 

俺は俺と相性の良い、

つまり御屋形様たちと相性の悪い能島武吉に金をつかませて忠誠度を上げた。

偵察からの報告を受け、周囲の状況を確認しているうちに季節が変わった。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武勲を稼げー♪◇◇◇

 

 

 

 秋になっても竹田城の周りに変化はなかった。

心配した斯波氏の動向も変化なしだ。

情報を集めても、斯波家の当主が大活躍した。などと明らかな誤報のみしか伝わってこない。

 

 

垣屋の爺様からいつもの手紙が届いた。

 

 

『羽衣石城の状況は好調である。

御屋形様は商人との取引に成功されて大層ご満悦だ。

わしも豊弘殿への弁舌教育に成功した。

此度は米の売り買いを四件成功して金蔵に金が増えだしている。

そちらは適切に使って身の安全を確保するよう、御屋形様からのお達しだ。

これはわしも同じ意見だ。重々注意するよう。

何かの時には羽衣石城に戻る準備もしておいてほしい』

 

 

「この手紙の内容は」

「明らかに何かありましたな」

「一旦、羽衣石城に戻らねばならぬかもしれぬ」

「では、タチアナと準備だけはしておきましょう」

「頼む。どの道、商人との取引が始まったのだ。行動力が不足しては戦も出来ぬからな」

 

 

 

身の回りを整理し兵に訓練を与えて、部下の稲富と能島に治安対策をさせた。

竹田城を空にして羽衣石城に戻るかもしれない。

しかし、再び竹田城にも戻ってくる可能性も高いだろう。

僅かでも治安を上げておけば後で徴兵可能な人数が増えている事になる。

念のためだ。

 

 

 

◇◇◇火中の栗なら、拾え拾えー♪◇◇◇

 



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第十一話 謀将宇喜多直家

◇◇◇火中の栗なら、拾え拾えー♪◇◇◇

 

 

 季節が代わり、冬の季節が訪れた。

琵琶湖の周囲では情勢が動いていた。

越前(えちぜん)の大国朝倉(あさくら)家がうごいて琵琶湖の周囲を斯波家から奪い取った。

朝倉家には重鎮朝倉宗滴(そうてき)が居る。当たるべからざる大物だ。

他にも剛勇無双真柄(まがら)兄弟、炎の歌人山崎吉家(やまさきよしいえ)辺りも強敵だ。

 

 

他の周囲の情勢に変化はない。

しかし、空城とは言え朝倉家と境界を接してしまった。

俺はとにかく兵を訓練した。

 

 

 兵の訓練を終えて一息ついていると、垣屋の爺様からの手紙が届いた。

 

 

美作(みまさか)林野(はやしの)城の赤松家本城が備前(びぜん)の浦上に攻め込まれた。

合戦に巻き込まれた当家は御屋形様が出陣。

攻め手には備中(びっちゅう)三村(みむら)家も参戦。

御屋形様は何故か宿敵赤松に加勢し、浦上と三村を退けた。

御屋形様は浦上家との戦で捕らえた宇喜多直家(うきたなおいえ)を気に入り重用しだした。

宇喜多に言われるがままに武田殿が献上した家宝を売ってしまい、

元のぼんやりとした御屋形様に戻ってしまわれた。

しばし前から西の尼子と毛利が兵を増やして開戦寸前だ。

火急存亡の折り、竹田城の仕置きを済ませて戻ってくだされ』

 

 

何と言う事だ、宇喜多直家を家臣にしてしまうとは。

まだ育っていないかもしれないが、やつは政治軍事智謀とも驚異の才能を持った暗殺の特技持ち。

こんな奴が立てこもる城内に攻め込むことはできない。

一瞬でぐわっとなってしまう。

 

 

領土を接するのも危険だ。日常風景の中でぐわっぐわっと仲間たちがアヒルになってしまう。

一応、味方に対しては暗殺の特技を使うことが出来ないのは安心だが。

内部でうごめかれては何が起こるか分からない。

 

 

俺が軍団長に成り仲間と独立するとして、

御屋形様の籠る城に攻め入ることも難しくなってしまった。

まさか、これが冴えていた時の御屋形様の策なのか?

独立するなら、領土を隔てた地での独立が必要か。

条件が厳しくなってしまった。

 

 

 

 家臣となったからには、御屋形様をそそのかして切腹処分に持ち込むことも出来ない。

追放はもっての外だ。他家に仕官しこちらに暗殺を仕掛けられてはたまらない。

仕官したところで暗殺すれば良いじゃないか、と思うのは甘ちゃん甘すぎ甘にけりである。

暗殺持ちに暗殺は通りにくい。防がれているうちに成長され、こちらがぐわっとなる事は必定。

 

 

こいつは第二軍団に送り込んで飼い殺しにもできない。

何かの拍子に軍団長が交代し、直家が軍団長に成れば即座に独立することだろう。

大名になった暗殺持ちは危険だ。

大名になれば暗殺がさらに通りにくくなる。

 

 

そうなると唯一の希望は野戦になるが、直家は戦場で勇猛な戦を好む人物ではない。

少数で仕掛けて勝てる相手ではないし、同数以上で仕掛ければ必ず城に籠る。

厄介だ。

 

 

小人閑居して不全をなす。俺の事だ。

直家などは降伏して仕えた途端に、御屋形様に取り入り気に入られている。

俺が苦労して布石を築いている時に、

割り込んできて一手で布石の急所を幾つも突かれているようだ。

大物の予感がすごい。すでに大物に育っているのかも。

 

 

 

 では、今の第一軍団の同僚のままだとどうなるだろう?

直家が成長し頭角を現したとき、俺を見るやつの視線に耐えられるであろうか?

細かい所をどんどん御屋形様に報告されて困った事態になりそうだ。

直家に比べたら垣屋の爺様など好々爺と言っていい。

 

 

いっそ、仲間に引き入れて独立も有りだろうが、

その先はずっと弱みを握られているように動かれるのは確実。

ゆすりたかりの連続だろう。いやそれも甘々か。

それ位で済むならマシなのかもしれない。

 

 

 

「こちらもあちらも風雲急を告げていますな」

「ああ、俺は訓練で動いてしまって失敗した。なにしろ向こうが商人との取引を始めているから、

先に行動しておかないと何もできない季節が出来てしまうと思ってな」

「では、来季には戻ると」

「垣屋の爺様に報告しないとな」

 

 

俺は筆を取り返事の手紙を書いた。

 

 

『御屋形様の活躍まことに見事で臣下として頼もしい限りだ。

当方の竹田城周囲では琵琶湖周りを朝倉家が制圧し兵の訓練を急いだので今季は動けない。

しかし、来季には必ず羽衣石城に参るので安心してほしい。

状況次第では竹田城も捨てるつもりだ。

家宝の事は何の問題も無い。だが、宇喜多は謀将。気を付けられたし。

可能ならば遠ざけて、不可能ならば思いっきり近づけさせても良いと思う。

宇喜多は恐ろしい男だ。近づけば近づくほど恐怖を感じる機会も増えよう。

尼子と毛利の件、くれぐれも注意されたし。

戦に巻き込まれた場合には羽衣石城からの撤退も視野に入れてほしい』

 

 

 

 伝令に手紙を託し、頭を整理しようと城内の庭を歩いているとタチアナに会った。

 

 

「おじさん大丈夫?」

「ああ、タチアナか。すっかり世話になってしまっているな」

「言ったでしょ、今度はあたしがおじさんを守ってあげるって」

 

 

ふむ、詩人とタチアナはこの世に変な事を起こす存在だ。

もしかしたら、タチアナを嫁にすると天翔記には登場しない俺の息子たちが出てきたり。

可能性が無くは無い。

 

 

「なあ、タチアナ」

「なに?」

「お前、大きくなったら俺の嫁になるか?」

「あはは、あたしは大きくなんかならないよ。ずーっと14歳なんだから」

「は?」

「ロマサガ3の人物は歳を取りませんからな」

「詩人、居たのか」

「ついつい、お邪魔してしまいました。これも詩のため~♪」

「残念だけど、ごめんね」

「いや、良い。忘れてくれ」

 

 

これは振られたわけではない。違う。

結婚自体は12歳から出来る。しかし、内実は婚約だ。

家と家が繋がったとの約束事だけ。

本当に結ばれるのは身も心も大人になってから。

18歳だ。タチアナは18歳にならない。

だから不可能なだけだ。

 

 

そして俺はタチアナに惚れているわけでもない。違う。

もちろんタチアナに欲情などしていない。

だから振られてはいない。

ただ、討たれてしまって登場しない上の二人の息子。

生き残るが、山名の家の一家臣に成り下がってしまった三番目の子。

息子たちと一緒に天下を目指してみたかったのだ。

 

 

そう、それだけだ。

だから振られたわけではない。

こうなっては本気で姫武将プレイを考えなくてはならないだろうか?

姫武将プレイと聞いて不埒(ふらち)な事を想像してはいけない。

 

 

大名になれば12歳の姫が産まれる。

その姫を武将として起用し家を継がせるだけの事だ。

姫の才能は親の才能に影響される。

家宝をもって強化された才能にも影響されるので、

まるでヴィーナス&ブレイブスのように才能を強化していく事も可能だ。

 

 

 それも大名になってから。今はまだまだ皮算用。

 

 

 

◇◇◇殿が拾って、火傷したー♪◇◇◇



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第十二話 武田高信35歳、大名だ

◇◇◇火急存亡、羽衣石に急げー♪◇◇◇

 

 

 年が明け、俺は35歳になった。

鉄砲名人稲富祐秀と俺の右腕予定の能島武吉は、

御屋形様たちと合わせたく無かったのだが、今は緊急事態。

垣屋の爺様も泣きついている。御屋形様の勘気も解けているのだろう。

 

 

俺は竹田城を空にし、皆を連れて羽衣石城に移った。

城に着くと御屋形様まで出迎えてくれた。

御屋形様の能力は戦で成長したようだ。

 

 

山名豊定、37歳

政治59、戦闘83、智謀29

 

 

 

「高信、高信!」

 

 

いい年をして人前でおいおいと泣いている。

 

 

「御屋形様、まずは城内へ」

「うむうむ」

 

 

垣屋の爺様と三人で城内の一室に移動した。

 

 

「高信、わしは怖い」

「何かございましたか?」

「戦に巻き込まれたであろう?」

「大活躍をしたそうで」

「あの時、攻め手の浦上は大将が兵無しで攻めてきていたのだ」

「なるほど、それなら良いカモですな」

「わしは兵71を連れていたからな。お前の活躍の仕方も聞いていたし、

わしもやって見たかったのだ」

「大成功でしたな」

「三村の兵も小勢でな。簡単に蹴散らせた」

「では、何が怖いのです?」

「まずは尼子と毛利よ。双方とも200を超えんとする兵を召し抱えておる!」

「巻き込まれてはたまりませんな」

 

 

「そして、浦上の戦で両方の当主を捕らえたのだがな」

「ふむふむ」

「庭で謁見した二人の顔も怖かった。尼子と毛利に巻き込まれては、

次はわしが庭に座らされてしまう。お主のように果断に当主を切ることなど出来なかったわ」

「座らされない様にしないと、いけませんな」

「無理だ。家宝を持って少しく冴えて分かってしまったのだ。

わしでは宗全様に成れんことを」

「気をしっかりお持ちください。我らが付いておりますので」

「無理なのだ。高信、お主は宇喜多を見たか?」

「いえ、まだにござります」

「やつが尼子と毛利が怖いなら家宝を売って鉄砲をそろえると良い。

そう言うので、わしもなるほどと思ったのだ」

「理が有りますな」

 

 

「しかし、売って冴えた頭が元に戻ってから宇喜多の顔を見たのだ」

「何かされたのですか?」

「いや何も。ただ、家宝を売る前は上から見ていたつもりであったのに、

売ってからは下から見ているような気がしたのだ」

「ふーむ」

「家宝を売って金を得た。得た金で鉄砲を買った。まだまだ金は余っておる」

「良き事ですな」

「怖いのだ! 戦が怖い。金が怖い。武器が怖い。あれらが有ると狙われる」

 

 

勝って兜の緒を締めよ。勝利し気持ちが大きくなることへの戒めとして、決まり文句だ。

しかし、この御屋形様はどうだ。

戦に勝利し戦を怖がり、取引で成功し金を得て金を怖がり、武器をそろえて武器を怖がる。

こうも惰弱では戦国の世は渡り切れない。

速やかに独立しなくては。

 

 

「わしには去年、娘が出来た」

「おめでとうございます」

「お主、娶れ」

「え?」

「お主が娶って我が後を継げ。継いで因幡の地を守るのだ」

「それでは祐豊殿や豊弘殿が納得しますまい」

「あれらも宇喜多におびえておる。それにあれらに継がせては、

いずれわしも庭に座らされてしまう」

「困りましたな」

「確かにわしとお主は相性が悪い。しかしお前だ、お前しかおらんのだ!

因幡の地を思い民を思い、この世を乗り切れるのは!」

 

 

それで重用されていた宇喜多は脱落と。地元意識を見落としたのか。

まだ若さが残っているのだろう。

 

 

「山名のお家が領民の誇りなのですぞ」

「家紋だ、家紋を継げばよい。頼む頼む」

 

 

この方は平和な世なら良き領主として領民に慕われたのかもしれない。

しかし今は戦国の世。だからこそ誅したかったのだ。

時代の方が悪いのかもしれないが、俺にとってこれを逃す手はない。

迷う振りももう良いだろう。

垣屋の爺様は疲れた顔をして座っているだけだ。

この場の証人で、俺が跡継ぎになったら後見人になるつもりなんだろう。

 

 

本来、俺は山名家の連中と相性が悪い。

こんな展開になろうはずがない。

それを宇喜多が来て、ここまで追い込んだようだ。

 

 

「では、謹んでお受けいたします」

「そうか、やってくれるか」

「はい、この地の氏神様に懸けて誓いまする」

 

 

 

 善は急げと婚儀が執り行われ、当主の継承がなされた。

姫は渚姫と言う名前だ。

羽衣石城などと雅な名前の城に御屋形様を置いていたから、この名前なんだろうか。

姫君は、もはやご隠居となった豊定殿と似ても似つかぬ美形の姫だった。

まさに羽衣伝説の天女かと思わんばかりの美形っぷりだ。

まだ13歳というのに嫌な顔もせず、三つ指をついて頭を下げてきた。

これからしばらくは礼儀作法など侍女と習っていくらしい。

 

 

朝廷による官位の継承は行われなかった。

そこまで気が回らなかったようだ。

官位が無いので俺の魅力は低いままだ。

それは良い。もう大名なのが大事だ。

自分で好きなようにやれる。

 

 

御屋形様は鳥取城の城下町に庵を作り、山名のご隠居様と付近の民に呼ばれてご満悦の様だ。

 

 

 

◇◇◇大名なったぞ、好きにやろー♪◇◇◇

 

 

 

取り急ぎ、家臣に祝儀の褒美を与えて回った。

表面上の忠誠度は上がったようだ。

 

 

 

 宇喜多直家にも会った。

 

 

宇喜多直家、20歳

政治64、戦闘51、智謀68

特技:暗殺、流出、流言、弁舌

 

 

これはまだまだ伸びるのだろう。

この状態でここまで振り回してくるとは。

いや、ご隠居様の方が勝手に振り回されていただけか。

 

 

特技の多さが際立つ。

暗殺は平時に刺客を送れる。

流出は面白い技で、平時には他の城から領民を呼び寄せられる。

戦場では、足軽部隊に限り一戦に一回だけ兵を補充可能になる。

流言は敵国の家臣を疑心暗鬼に、戦では敵を混乱させる。

弁舌は商人との取引、外交に有用だ。

 

 

話してみると非常に柔和な若者であるが、やはりまだまだ若い。

顔に書いてある、嫌いの文字が消せてない。

引き抜きが来たらすぐに応じそうだ。

こいつに戦闘と智謀が育つ仕事をさせてはならない。

どちらか選べと言われたら智謀が育つ方を選ぶのが良いかもしれない。

 

 

俺にはまだ、相性ばっちりの手下が居ない。

それをどこからか引き抜いてくる必要がある。

諸国に偵察を送る必要があるな。

 

 

 

 大名になったからには最初が肝心。

大いに武田の名を山名の家紋を示してやろう。

すると相手は尼子と毛利。

幸い、兵と武器があるのだ、派手にやる。

毛利は一発で仕留めないといけない。

 

 

毛利家の当主は毛利元就(もとなり)

知勇兼備の名将で暗殺持ち。

背後は大国大内(おおうち)に守られ飛躍の時を今や遅しと待ち構えている。

下手に兵力優勢で城に籠られても攻め入るのは自殺行為だ。

野戦で決めないといけない。

今は鉄砲がある。行けるはずだ。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、旗を振れー♪◇◇◇



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第十三話 尼子討伐

◇◇◇戦国時代だ、武を示せー♪◇◇◇

 

 

 季節が代わり、春から夏へ。

すでに、兵を持った部隊は全員鉄砲隊にしてある。

訓練は実戦だ。手っ取り早い。

尼子攻めだ。早速、戦争。尼子の武威の象徴たる新宮党支配下の尾高(おだか)城を戦争対象に指定。

巻き込まれる二つの城はいずれも尼子の城。

月山富田(がっさんとだ)城と瀬戸山(せとやま)城。

尾高城には新宮党の兵が45、月山富田城には尼子本隊の兵が174、瀬戸山城は無人。

 

 

こちらが足軽なら強敵も多いが今は鉄砲。雨だけが敵だ。

 

 

我が方の軍勢は俺が兵55、稲富祐秀が30、

和田惟政が30、能島武吉が30、沼本房家(ぬもとふさいえ)が28。

稲富は鉄砲適性A、他は皆E。

沼本房家はご隠居殿が浦上から捕らえた武将だ。義理は人並み、有能そうなので連れてきた。

もちろん俺との相性は悪い。

 

 

山伝いに尾高城に近づく。

尼子勢は尾高城前に展開。確実に晴れの日を選んで近づくと尼子本隊が攻撃してきた。

敵は五部隊、衡軛(こうやく)の陣形で攻めてきた。

迎えるは鶴翼の陣。前衛に稲富祐秀が居るので敵は容易に近づけない。

敵方が一部隊二部隊と消えていくうちに沼本房家の鉄砲適性がEからDに上がった。

 

 

ついに大将で当主の尼子晴久(はるひさ)と誰かの二部隊になった。

尼子晴久は騎馬部隊、足が速いので前衛が多少の攻撃を受けた。

しかし、もう一人の誰かの部隊を置き去りにして先に捕らえられた。

敵が混乱して逃げる中、俺は誰かを捕らえて鉄砲適性がEからDに上がった。

 

 

この上がりっぷりは、さすが遠距離攻撃。

被害少なく戦闘経験と適正上昇が見込めるのは美味しい。

また、皆適性が低いから上がりやすいものあるのだろう。

 

 

余計な事を考えるより、今は天候が変わらないうちに残る新宮党を倒したい。

新宮党はあっという間に消えて行った。

そして、尾高城場内に進入。本丸を叩いて本丸占拠。

本丸の占拠は配下の武将にやらせても良かったのだが、最初の一つの城は自分で落としたかった。

本丸を占拠して、天下統一への新たな力が湧き上がって来た。

 

 

特技、一喝を覚えた。

一喝、面白い技だ。

平時は外交などが有利になる事がある。

戦では周囲の敵や味方を吹き飛ばせる。

味方武将に周囲を取り囲んでもらって一喝!

戻ってもらってまた一喝!

ぶりばり智謀が上がるはずだ。

 

 

いや、今はそんなことは良い。もう一つの城を落とそう。

狙いは毛利の隣の城。瀬戸山城を落とそう。

部隊適性が低い連中が多いので空き城の中の移動も速やかにはいかない。

さらに壁越えなども失敗した。ここで一喝!

横に吹き飛んでどうする、壁を上がって吹き飛んでくれよ。

 

 

とにかく、ぎりぎりで瀬戸山城を落とした。

新宮党の尼子国久は俺への登用を断った。

まだ尼子の城は残っている。尼子に金があるなら兵を雇って経験値になってくれと釈放した。

次は佐世清宗(させきよむね)、文官タイプだ。誘うと了解してくれた。

そして新宮党の息子の方、尼子誠久(まさひさ)。こいつも誘ってみたが断って来た。はい、経験値。

さらに宇山久兼(うやまひさかね)、文官。誘いを偉そうに承諾した。

まだ居た、三刀屋久祐(みとやひさすけ)、こいつが誰かだったか?

誘うとこころよく了解してきた。

忘れちゃいけない剛勇の本城常光(ほんじょうつねみつ)も居た。

誘うとしぶしぶ了解してきた。

 

 

うわ、まだ居る。立原久綱(たちはらひさつな)、ん? 立原久綱?

こいつは尼子再興に暴れまわった山中鹿之助(やまなかしかのすけ)の叔父だ。なんで忘れていたんだ?

そもそも山名家は内部闘争に尼子再興を持ち込まれて苦労させられたというのに。

そうだ、尼子は全部取り込むか全部誅するかの二択だった。

いくら俺の政治力がひどいからと言ってこんな事になるとは。

うーん、立原久綱。どうしたものか。

 

 

現在の尼子家は当主晴久と新宮党国久の間でぎくしゃくしている。

それを嫌って、俺への仕官をこころよく望んだものも居たのだ。

新宮党は武力が高いが傲慢な振る舞いで有名だ。

 

 

尼子再興を阻むためには誰か一人だけ取り込んで、後は誅するのが良いか。

すると傲慢な奴らは要らない。

当主を何とか配下にしよう。

今は、尼子配下のこちらに付くやつは仲間にしてしまおう。

立原久綱は誘うと断った。誅。

 

 

最後に当主、尼子晴久を解放した。

 

 

戦後に周囲を確認すると、尼子の城が一つ邪魔で補給線が切れてしまっていた。

いや、良い。もう尼子は倒してしまおう、残り二城だ。

部隊を再編成し、兵の残り数が2になっていた和田惟政の兵を稲富祐秀の兵に吸収させた。

しかし、大名になって俺も浮足立っていたようだ。気を引き締めないと。

 

 

瀬戸山城から月山富田城に戦争を指定すると、

尼子勢残りの山吹(やまぶき)城の二つの城のみが戦争領域に指定された。

どちらも将のみ、兵はいない。無人の城だ。

本丸の扉を叩くだけの簡単なお仕事。俺は配下の武将に一喝をくれてやるだけだ。

 

 

月山富田城は能島武吉が本丸を制した。

山吹城は稲富祐秀が制した。

尼子晴久は解放。

尼子国久は誅。

尼子誠久は逃げられてしまった。

 

 

城下で浪人中の尼子晴久に勧誘をかける。

勧誘するのは悩んだ末に宇喜多直家に。

そろそろ、全国に送った偵察の報告を聞いた後の事も考えないといけない。

すると直家の智謀が必要だ。

怖いが、便利な出来る奴。俺に使い切れるのだろうか。

直家が誘うと尼子晴久は

 

 

「わたしの事をご存じとは」

 

 

と言ったそうだ。そりゃあ知ってるに決まっている。わざとらしい。

今、倒したばっかりなのだ。

 

 

 

 戦が終わり、新しく配下となった武将の忠誠度を確認。

尼子晴久、本城常光、宇山久兼が低い。

三刀屋久祐、佐世清宗が高い。

今季はもう行動力がない。出来るのは移動だけ。

俺は悩んだ末に瀬戸山城を拠点とした。

 

 

毛利の城と一番近い。今の兵力はこちらが119、毛利が202。

仕掛けてくれれば望むところだ。

尼子を倒したことで周防(すおう)長門(ながと)を制している大国大内と領土を接してしまった。

大内は九州方面に力を入れているのか、近くに兵は多くない。

しかし、突然移動してくる可能性もある。

毛利とまとめて相手しても良い。

そのための瀬戸山城だ。

 

 

俺は自分の能力を確認した。

 

 

政治26、戦闘118、智謀76

 

 

政治がひどい。そして戦闘は合戦の影響でたっぷりと上がった。

さらに一喝を覚えて城攻め中、家臣に一喝で智謀が上がった。

うるさい当主で済まんな。智謀が伸びきるまで我慢してくれ。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武を示せー♪◇◇◇



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第十四話 毛利家

◇◇◇戦国時代だ、武を示せー♪◇◇◇ 

 

 

 

 配下の武将たちも適宜(てきぎ)移動させておいた。領地の横に伸び広がっている。

山名家の因幡と伯耆だけでも横に長いのに、尼子の出雲と石見。山陰道を横一直線だ。

同盟国は無い。どこでも切られてしまう可能性が有る。安全地帯はまだない。

どこかで塊を作りたい。

 

 

一番東から一色の居た建部山城は空城のまま。

竹田城も空にして誰も置いていない。

戻って来た偵察から、畿内の管領細川家が四国攻略に専念していると有ったからだ。

 

 

鳥取城は黒田親子と浦上が守備している。三淵と細川の親子は別の所に移動させたい。

後は要らないやつを鳥取城に置いている。

 

 

羽衣石城には尼子配下の忠誠度が低いのを固めている。

直家は勧誘で動けないので、移動先はまた後で考えることにしよう。

 

 

そして、塊を作る拠点を尾高城とし、山名家の連中を配置した。垣屋の爺様もそこに居る。

尾高城の南には宿敵赤松と三村家の両方が居る。そして東には羽衣石城と鳥取城。

尾高城より東は退却戦術を使っても良い。内政など何もしていないに等しい。

撤退しても問題ないのだ。

逃げてくるものを受け入れつつ、それ以上は侵入不可能な城も作っておきたい。

毛利や大内を平らげてからまた、各地の配置分析をしたい。

 

 

その隣の月山富田城には三淵と細川親子を。

俺が瀬戸山城で、山吹城は空城。

 

 

 

ご隠居様に勧めた鳥取城の第二軍団だが、

まだ資金が少なかったころに作ったことも有り、身動きが取れていない。

内政軍団自体は作りたいので、一旦合流して軍団の再編成が必要だ。

 

 

 各員に移動の指示を入れ、完了の報告が来た頃、季節が変わった。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武を示せー♪◇◇◇

 

 

 

 秋になった。戦のない季節は極力少なくしたいのだがそうもいかない。

毛利も大内も動かなかった。

これは第二軍団吸収の機会。商人との売り買いを一度だけ行い、軍団を吸収した。

そして垣屋の爺様から手紙が届いた。

 

 

『林野城の宿敵赤松が兵を集めている。

わしらの尾高城でも徴兵した。今は治安回復に努めている。

行動力を奪って悪いが、ここは我慢してくれ。

何かあればまた報告する』

 

 

尾高城に兵が増えたのは朗報だ。

しかし、残りの行動力では戦争が出来ない。

前季に二回も戦をしたせいで垣屋の爺様が困っていたようだ。

 

 

僅かばかりの行動力で俺は瀬戸山城の商業を育てた。

俺の政治力ではたいして商業など育たないだろうが、商業を育てると智謀が伸びるのだ。

一喝で伸びた智謀をさらに伸ばしたくなった。

毛利元就と領土を接しているというのにこの成長への誘惑。

いかんともしがたい。

 

 

町を見つめながら来季は毛利を倒すと心に決めた。

 

 

 

 しかし、季節が変わる前に毛利が攻めてきた。

大将は吉川元春(きっかわもとはる)、他の部隊は毛利隆元(もうりたかもと)熊谷信直(くまがいのぶなお)能見宗勝(のみむねかつ)

毛利元就が居ない。城内に残ったのか? ここで毛利の戦力を削って良いのだろうか?

いや、倒して城内に入ってみよう。

 

 

彼我の陣形は鶴翼の陣。能島武吉が捕らえられ、前衛兵力は消耗してしまった。

毛利はやはり強かった。しかし、なんとか全滅させた。

そして、城内へ。本丸に元就の姿はない。

本丸に居たのは福原貞俊(ふくばらさだとし)。文官肌だ。

これは攻め取るしかない。福原を倒すまでに沼本房家が捕まってしまった。

最後は俺が福原を捕まえて、稲富祐秀が本丸を占拠。

 

 

毛利家は倒れた。

毛利の将たちが続々と勧誘に応じる。顔に好きって書いてある。

直家ほどの男でも消せなかった文字だ。

好きか嫌いかは大体顔を見ればわかる。能島武吉もすぐに分かった。

これは毛利元就とも相性が良いかもしれない。

危険だが元就は解放した。

 

 

家がつぶれて解放された当主は野に下る。

浪人になるので城下に居れば勧誘が出来る。

勧誘してみることにしたのだ。

 

 

 

◇◇◇戦国時代だ、武を示せー♪◇◇◇

 

 

 

 そして冬を迎えた。元就は城下に居た。

取り逃がした毛利家の家臣たちも、ほぼ移動していなかった。

全員、簡単に勧誘に応じ、配下となっても忠誠度が高かった。

配下となった元就と話した。

 

 

「毛利は困窮していたのだ」

「ほほう」

「人材が多く。尼子対策に兵を増やしたのが失敗であった」

「金は無いとどうにもならんもんですからな」

「武田殿が上手い事やっているらしいと噂が来ててな、うらやましく思っていたものだ」

「俺を倒せば窮地から脱せると仕掛けてきたわけか」

「しかし、武田勢は鉄砲部隊のみであったろう? 見かけの兵の差だけ見てるようでは無理さ」

「いや、暗殺で」

 

 

元就は少し目を細めた。俺の能力を確認しているのだ。

毛利との戦でまた少し伸びた。

変な話、前衛の能島武吉と沼本房家が捕らえられたことで、

俺の戦中の戦闘回数が増えて戦闘は伸び切っていた。

俺も元就の能力を確認した。

 

 

武田高信、政治31、戦闘138、智謀85

毛利元就、政治101、戦闘89、智謀104

 

 

「無理だな、暗殺などそうそう決まるものではない」

「しかし、総合力の違いはすごいものだな。それでまだまだ伸びるのであろう?」

「なに、貧すれば鈍する。その通りであったわい」

「戦に出てこなかったのもそれか?」

「忠誠度が下がりつつあったからな、

息子たちは仲良う育てたが結託して戦に出ると言って聞かなくなってしまったのだ」

「なるほどな」

「金の事は武田殿に聞こう、子供の事はわしに聞いてくれ。良い子に育つぞ」

 

 

毛利元就、この暗殺持ちの有能な親父さんは、

話してみると優しく暖かく包まれているような気さえする。

直家とは違った種類だが、暗殺持ちが直家のように柔和であったり、

元就のように暖かくあったりするのは何故だろう?

 

 

直家は悪意を隠すためだけか。俺は正直ぞんざいで乱暴者の域を出ないだろう。

今後の方針を考えるとき一番戦が出来るのはどれが良いか? とか考えているのだ。

しかし、この毛利元就。宇喜多直家の家中での抑えに最適ではないだろうか。

三人の息子たちも頼もしい限り。

 

 

 

 俺は自室に戻り、詩人とタチアナを呼んだ。

地図を見ながら今後の方針を考えるため、一番余計な思惑が入らないのがこの二人だからだ。

 

 

「なるほど、方針ですね」

「わたし分かんないよ」

「ここに地図が有るだろう? 聞いてみて思ったことを言ってくれれば良いだけさ」

「子ども扱いしてる気がする」

 

 

三人で夜分遅くまで話し込んでしまった。

 

 

 

 今季は元毛利家人員の勧誘と多少の治安対策で行動が尽きた。

 

 

 

◇◇◇会議会議か、居眠りするなー♪◇◇◇



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第十五話 方針会議

◇◇◇方針会議か、居眠りするなー♪◇◇◇

 

 

 

 年が明け俺は36歳になった。

嫁の渚姫は14歳、タチアナと同い年になり二人で姫の部屋で遊んでいたりする。

微笑ましいので眺めていたいが、俺は主要な仲間を集めて方針会議を行った。

呼んだのは、山名家一同、毛利家一家、黒田親子、三淵親子、宇喜多直家、尼子晴久、能島武吉。

そして筆記役の詩人。

 

 

一つ目の方針。今は山陰道を横に抑えているので折り返し、山陽道を抑えて畿内に攻め込む。

二つ目の方針。このまま九州を制しに行き後顧の憂いを立つ。

三つ目の方針。逆転して、北陸に向かい日本海側の北の限界まで進み折り返して関東を目指す。

 

 

俺は九州に向かいたい。山名家の連中と黒田親子に宇喜多直家は山陽道に向かいたい。

毛利家と三淵親子は九州侵攻に賛成。日本海側一本棒侵攻は能島武吉が熱いと叫んだ。

尼子晴久はどれも無関心。

 

 

山名家の連中は九州侵攻を嫌がった。地元を危険なまま放置するのが嫌だからだ。

それは予想がついていた。なのであえて北陸に向かう三つ目の方針を話したのだ。

連中は絶句した。それならば九州侵攻の方がマシと考えてくれた。

 

 

宇喜多直家も九州侵攻を嫌がった。山陽道に行けば、自分の地元の仲間を集められるからだ。

俺は宇喜多直家の顔を見るためにここに呼んだ。

やつが喜ぶ策は俺が後で苦労する。やつが嫌がる策は俺が後で楽になる。

そう思ったからだ。

 

 

能島武吉は今後、俺がちゃんと育てるぞと伝えるために呼んだのだが、海だ海だと大騒ぎ。

誰を育てるか考え直した方が良いかもしれない。

 

 

黒田親子は、安全地帯をつくれたら第二軍団を再び立ち上げて任せると言うと、九州侵攻に同意した。

 

 

 

 方針会議はなんとか九州侵攻に傾いた。毛利元就の助けが大きかったのは事実だ。

毛利家は大内と同盟していて、九州方面の戦の厳しさを語った。

そして九州を丸々残して畿内に行くなど危ないと主張してくれたのだ。

 

 

九州に侵攻するとして、抑えが尾高城なのは変わりない。

尾高城に和田惟政を派遣すると垣屋の爺様がよろこんだ。

それより東の羽衣石、鳥取城は捨て石作戦だ。

ただし、捨て石なのを山名家の連中には伝えられない。

そこで、第三軍団を創設することにした。

 

 

捨て石、捨て城なので軍団長は不用な人物の中からそれなりの能力があり、

山名家の連中が納得する者を選ばなければならない。

一人いる。尼子晴久だ。

毛利家の人材を取り込んだことで、こいつの必要性は無くなった。

なんなら裏切ってくれても構わない。不要な人材を預けてやることにした。

 

 

 

 軍団作成の前に鉄砲の売り払って金を作った。

第三軍団に鉄砲を渡さず、金だけを分けるためだ。

そして、第三軍団の創設。軍団に指示は何もしていない。

 

 

大内が攻めて来ようと山吹城の西の三本松(さんぼんまつ)城に兵を集めていた。

蹴散らしてくることにした。

俺は毛利家から奪ったばかりの吉田郡山(よしだこおりやま)城に居たので、その西の高峰(こうのみね)城を戦争対象とした。

すると、三本松城の兵も蹴散らせるのだ。

さらに奥の城も巻き込むが、今は相手の兵を削れればいいだけ。

部隊編成で、60の兵を俺と吉川元春に分けて出陣した。

三本松城の兵は145。野戦は必定。

 

 

 

 三本松城からは115の兵が出陣。他の城からは少数の兵が出てきた。

出てきた連中は数を頼んで高峰城の周りに集まった。

近づいても隣り合っても攻撃してこない。

雨をやり過ごし、晴れ間を待って兵の少ない部隊から殲滅していった。

誰かと誰かを捕らえて、三本松本体と衝突。

本隊は当主大内義隆(よしたか)城井長房(きいながふさ)

城井長房の方が100の兵を率いて当主の義隆は15。

両方削るつもりが先に当主の兵が消えて、逃げようとした城井を捕らえた。

 

 

城井を捕らえたときに俺の鉄砲適性がDからCに上昇。

収穫だ。敵の城は放置して吉田郡山城に戻った。

 

 

さて、敵将の勧誘。

誰かが勧誘を断ったので解放、もう一人の誰かは勧誘に応じたので配下に。

城井も勧誘に応じた。こいつは兵を56持っていた。

当主の大内義隆は家宝を持っていたので誅した。

大内家の当主が大内義長(よしなが)になったらしい。

 

 

早速、城井の兵を奪い勧誘した誰かと二人で第三軍団に送った。

家宝を奪ったので俺の政治の才能限界値は18上がって96になる。

 

 

 

 才能の限界値が上がったのは正直嬉しい。

ここは少しだけ落ち着いて金を増やして家宝を買いそろえようか?

行動力の足しになる訳だし、早めにやれば後々まで効いてきそうだ。

 

 

各城も治安と商業が低いので徴兵可能な数が足りない。

現在の当家で他家に攻め込みそこで徴兵すればよい、

と伝えても熱いと喜ぶのは能島武吉くらいだろう。

流出も使ってみたいところだ。

 

 

 

◇◇◇九州向かうぞ、準備しろー♪◇◇◇

 

 

 

 夏になった、台風が来て治安が悪化。

吉田郡山城、瀬戸山城、月山富田城が直撃を受けた。

元就が復旧復旧と叫ぶので治安と商業と商人との売買を少しして行動力が尽きる。

地元の災害だ、そりゃあ騒ぐ。

 

 

元就は商人との売買で増えた金を見て驚いた。

売買の弁舌が必ず成功する秘密は旧山名家の家臣のみが知る。

すこしだ、すこし我慢。

 

 

 

◇◇◇九州向かうぞ、準備しろー♪◇◇◇

 

 

 

 季節が少し過ぎ年が明けて、俺は37歳になった。渚姫は15歳。

まだ名前を呼び合うようになるのは先の話だ。

鳥取城の祠が恋しい。ちょっとだけ戦国ランスの世界に行ってこようか?

いや、これは浮気ではない。あそこの巫女のくまちゃんと名前を呼び合ってくるだけだ。

そうだ、問題ない。しかし、惚けている時間がない。

 

 

 台風の痛手はようやく回復したばかり、毎年こんなのが来られてはたまらない。

第三軍団の尼子は順調で、誰かが裏切り竹田城を管領細川家に奪われていた。

代わりに赤井直正を捕らえていたので、尾高城の山名家一同の元に移動させた。

 

 

第一軍団の周囲は穏やかなもの。

徴兵して一度だけ訓練し大内家へと出陣する予定だ。

元就は山陽道の抑えは吉田郡山城で十分と言ったが、

早く安全地帯が欲しいのでその南の安芸(あき)古高山(ふるたかやま)城を山陽道の抑えにすることにした。

ここなら、四国からの抑えにもなる。

出陣したのは俺、元就、毛利隆元、吉川元春、小早川隆景(こばやかわたかかげ)、能島武吉。

しばらくはこの布陣で戦闘と言う事になるだろう。

 

 

敵兵は5、こちらは270。過剰戦力だ。

あっという間に落城。

続けて、高峰城に出陣。三本松城、そして本州最西端の且山(かつやま)城、さらに九州の城井谷(きいだに)城が巻き込まれている。

可能な限り落としたい。

 

 

 且山城を攻略している最中に時間切れ。

誰かを四人ほど登用したので、古高山城の抑えに派遣した。

兵は無しなので、流出持ちの黒田の子と宇喜多直家も派遣して、

来季は流出からの徴兵を行う事にした。

 

 

 

◇◇◇誰か誰か、って誰だー♪◇◇◇



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第十六話 地震

◇◇◇誰かが守る、古高山城ー♪◇◇◇

 

 

 

 夏になり、大友家でお家騒動が有ったと報告が来た。

予定通り、古高山城で流出をしてみたが思ったほど効果が出なかった。

やった二人が育っていなかっただろうか。

 

 

全国に出した偵察から、俺と相性ばっちりの武将の連絡が来た。

長尾家の北条高広(きたじょうたかひろ)34歳。俺と元就と垣屋の爺様で流言を仕掛けてみた。

俺と元就は成功。垣屋の爺様は失敗。結構行動力が食われてしまう。

小早川隆景で内応を試みるも、笑止な、などと笑われたらしい。

 

 

今季は戦争が出来なかった。

余計な事をしてしまった気がするが、試せるものは試しておきたかったのだ。

 

 

 

 詩人はご隠居扱いだ。山名のご隠居様とは家が隣同士らしい。

たまに様子をしえてくれる。

 

 

「町の者たちに、にこやかに声を掛けておられて優し気なお人ですなぁ」

「ご隠居様は楽しそうにしているようだな」

「ええ、それはもう」

「俺とは相性が悪かったが、こう人が増えてくると相性の良し悪しとは別の物も感じるな」

「ほう、どんな感じですかな?」

「単に郷里の人ってだけさ。苦手でも嫌いだったりしても、何故か許せる。

それに、山名の家は後で息子を登用してくれたわけだしな」

「元就さんたちとは上手くやれているようですが、それは?」

「元就たちとは相性良いんだが、それとはちょっと違うな」

 

 

 

 来季は北条高広の勧誘をもう一度試してみるか。

 

 

 

◇◇◇調略登用、なんでもこーい♪◇◇◇

 

 

 

 秋になり、自分で内応を試してみたら北条高広が来てくれた。

そしてもう一人の情報が入る。九戸政実(くのへまさざね)16歳、奥州最北端の南部(なんぶ)家の武将だ。

毛利親子の仲の良さを見せつけられてうらやましかったので、この九戸も調略を試みた。

直家と垣屋の爺様で流言、直家が成功で元就に内応役。即、来てくれた。

 

 

戦争時の出陣上限は一つの城から六部隊。全員鉄砲部隊に再編制した。

最近、毛利親子に取り込まれている能島武吉と、

体が弱いからと心配されている毛利隆元を古高山城の守備に送った。

 

 

来てもらった北条高広と九戸政実は、毛利家の者どもよりは見劣りした。

しかし、能島武吉よりは良い。能島武吉も水軍なら抜群なので使い方次第か。

 

 

 

 相性ばっちりとはどんな感じか。早く戦の場でも試してみたい。

 

 

 

◇◇◇九州上陸、さあ行こうー♪◇◇◇

 

 

 

 冬に且山城に出陣。大内家の兵は全然居ない。

いや、立花山(たちばなやま)城に36。俺は北条高広と九戸政実の三部隊で出陣することにした。

なにやら、もう山場を越えてしまった気がする。

 

 

「折角来てもらったのに、始めから楽な戦ですまんな」

「なに、それも役目よ。なあ、へどん」

「おいやっさ」

 

 

九戸は北条にあだ名をつけられていた。

且山城に侵入すると立花山城の敵援軍が遅れて入って来た。

迎え撃とうと立ちふさがる。しかし、相手は隣り合っても攻撃してこない。

本丸に壁越えで上がろうとしているらしい。一喝連打で吹き飛ばしながら邪魔をした。

 

 

城を落としてから野戦で勝利。続いて、城井谷城に侵入。

冗談を交わしながら鼻歌気分で本丸の門をたたいた。

 

 

ちょっと、緩みすぎていて時間が掛かってしまった。

その前に北条と九戸の鉄砲部隊適性が低いままだったから、移動に時間が掛かってしまったのか。

城に入って捕虜の武将を登用した。

 

 

 

 毛利元就との能力差が大きくなってきたので、この三部隊で出陣したかった。

しかし、もう伸びしろが少ない。残りの行動力で家宝を買いそろえることにした。

購入後の、俺の能力はこうだ。

 

 

武田高信、37歳

政治57/96、戦闘155/158、智謀168/168

魅力40、野望82

足軽C、騎馬D、鉄砲C、水軍E

 

 

いつも元就が内政内政、うるさいのである程度指示した後に城井谷城の周囲も確認。

南の大友の城には241の兵が。そうだった、ここには立花道雪が居るんだった。

西側に残る大内の兵は無い。

この城井谷城は毛利一家で抑えて貰って俺はぐるっと西回りで九州征伐と行くことにした。

 

 

 

◇◇◇九州上陸、さあ行こうー♪◇◇◇

 

 

 

 夏に台風と長雨が領内を襲った。本州西部と九州地方は水害が多い。

秋までかかって災害復旧。冬は立花山城に攻め込むことにした。

立花山城と巻き込まれた勢福寺(せいふくじ)城を攻め落とした。

 

 

 春になりもう一人の抜群の相性の仲間の情報が入った。

長尾家の沼田祐光(ぬまたすけみつ)16歳。もちろん調略登用した。

北条高広は沼やん沼やんと可愛がり出した。わしづかみにして、ぐりぐり頭をなでている。

何をするにしても、まだ出会って時間がたたないと言うのに相性ばっちりとはすばらしいものだ。

目線を向けるだけで会話が出来ている。

北条の可愛がりのお陰でそれが早まっているような感じだ。

 

 

かねてより、約束していた第二軍団を再始動させて、領地と資金を分配した。

そして、目減りした資金を商人取引で回復しようとしたところ失敗したとの報告が来た。

もう一度試したら、やはり失敗して普通の値段での売買になったという。

 

 

 

 隠居所の詩人を覗いて話しかけてみたら、しばらく戻ると言う。

 

 

「いやー、すみませんねー。突然連絡が入りまして」

「しばらく、と言う事は戻ってくるのだな?」

「タチアナを迎えに来てやらないといけませんからね」

「そうか」

 

 

そういえば、抜群の相性の仲間が出来てのぼせていた。

それにもう山を越えたと見られたのかもしれない。

 

 

「道中、無事でな」

「はい、武田殿も」

 

 

タチアナを迎えに来ると言う事は、その時にだけここに来る。

そう言う事なんだろう。

 

 

 一度、足を止めて内政に励むか。

夏に内政に励むと、結構資金が減ってしまった。

そして、秋が来るとき鳥取城と羽衣石城で大地震が起こった。

 

 

「高信! 高信! 因幡の危機じゃ! 尼子じゃ駄目じゃ!

お主が自分でなんとかせい!」

 

 

撤退戦術も可と考えて放置していたが、地震と聞いては捨て置けない。

第三軍団を吸収して、復旧に当たることにした。

復旧には優秀な内政屋が必要だ。宇喜多直家が良いだろう。

第三軍を吸収すると宇喜多直家の弟の忠家(ただいえ)が城下に浪人として居たので登用し、

一緒に事に当たってもらう事にした。

 

 

 

◇◇◇災害復旧はちゃんとやろう◇◇◇

 

 



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第十七話 災害復旧

◇◇◇災害復旧、急げ急げ◇◇◇

 

 

 

 冬になった。寒い季節にひもじい思いはさせたくないと町の復旧と炊き出しを急がせた。

各地の城も援助を送ったり、自分たちも備えをと動いていた。

 

 春になった。俺は40になったが感慨にふけっている場合ではない。

宇喜多から手紙が来た。

 

 

『鳥取城より羽衣石城の方が被害がひどい。

さらに敵の細川領内の竹田城の状況がひどい。

酷いにもかかわらず、細川方は手を打てていない。

兵だけは多いので気を付けたいが、いっそ取り返した方が良い』

 

 

元、俺が居た竹田城。第三軍が奪われたのにへらへらしてたのがまずかった。

しかし、鳥取、羽衣石の災害を聞いて、各地の城も動いていたので行動力が足りない。

その上、火事場泥棒の様で攻め込むのは後味が悪い。

この辺りが直家ならではの感覚なのか。

 

 

『直家は流出を使って被害を受けた地域領民の受け入れをせよ。

炊き出し、町の復旧、農業回復も忘れずに』

 

 

先送り感が否めない。直家があの能力で義理堅かったら。

そうだ、細川藤孝が居た。本当は九州が安全地帯になったら任せたかったのだが仕方ない。

とにかく細川藤孝を鳥取城に派遣。

 

 

今いる九州の勢福寺城の周りは有馬(ありま)家と秋月(あきづき)家が合わせて260ほどの兵力。

北条、九戸、沼田に任せておいても大丈夫だろう。

来季は鳥取城に行って状況次第で考えよう。

春から夏の台風の前の備えをして季節が過ぎた。

 

 

 

◇◇◇災害復旧、急げ急げ◇◇◇

 

 

 

 夏になった。

今年の台風は領内に来なかったとホッとしていたら鳥取城に細川家が侵攻してきた。

当家からは和田惟政、赤井直正、尼子晴久、本城常光、城井鎮房が出陣したという。

細川家の部隊は140、ついでに赤松家が敵方に回った。

赤松家の兵は327、この数の部隊を出陣した全員で全滅させた。

鉄砲を持たせておいてよかった。

 

 

直家は名代として捕獲した将を勧誘し、応じなかったものは切った。

赤松家の当主も切られて別所家の者が後を継いだ。

急報を聞いて余計に早足で駆けつけてみると直家は落ち着いてそう報告してきた。

 

 

「今は少しでも人手が欲しいですからね」

「誰か一人でも離反していたら状況はそっくり逆転していたな」

「その辺りは鼻が利きますので」

 

 

さて、細川家の竹田城に侵攻すべきか。

直家は避難してきた民たちを用意していた。

顔も覚えている女房どももいる。泣きながら竹田城下の民を救ってほしいと言う。

直家の準備していたものだろうが、この女房達の涙が偽物なわけではない。

隠居殿も女房達の隣でキエーヒエーと騒いでいた。

 

 

隠居殿の庵は鳥取城下にある。城下の民の声を聴いて一緒に泣いていたらしい。

隠居殿は政治に軍事に手出しが出来ない。

庵の場所が分かれば会いに行けるのだが、調略などは効かない。

暗殺もされない。流言も受けない。

俺の所には直接飛び出してこれるのだが、直家が会いに行ってなだめていたようだ。

 

 

庵は特別な場所だ。姫たちの部屋もそうなっている。

 

 

「お主が九州征伐などと遊んでいるからこうなるのだ! シャー」

 

 

 

 散々叱られた後、兵を再編成して細川藤孝に武勲を稼がせるようにした。

出陣するのは俺と細川藤孝。多すぎても敵に城内に逃げられて厄介だからだ。

 

 

敵方は、別所就治(べっしょなりはる)の兵41、岩成友通(いわなりともみち)岩成友通の兵33、

波多野家の三人の兵100が出陣してきた。

赤松一部隊と細川勢二部隊。

俺と細川藤孝では戦闘が違い過ぎて敵将を捕らえるのは俺の方ばかり、

なんとか一人を捕らえてくれた。

竹田城の本丸は細川藤孝に落とさせた。

 

 

竹田城に入り、捕らえた敵将の登用と解放。

少しだけ炊き出しが出来た。竹田城に武将を呼び寄せて復旧対応準備。

細川藤孝と城下町を久々に回り、知った顔、知らない顔から挨拶を受けた。

 

 

 

◇◇◇災害復旧、急げ急げ◇◇◇

 

 

 

 秋になった。細川家領内では農民一揆と一向一揆が多発していた。

そして隣の八上城で起った一向一揆は竹田城にも広がってきたりしてくる。

治安回復の炊き出し用の武将を魅力の高い順に並べたら、俺がびりだった。

代わりにタチアナが炊き出しの武将の手伝いをしてくれた。

まあいい、あとで細川藤孝を軍団長で軍団作って守らせるわけだから、そこは譲っておこう。

俺は商業を少しやって、後は残りの城に指示を出した。

もう少しここに居ることにしよう。

 

 

縁側で一息ついていると渚姫がやって来た。

 

 

「あの、わたくしは18歳になりましたので」

「ん? あ、ああ。もう名前を呼び合ってくれるのか?」

「はい、でも実は」

「うん?」

「お許しください、年齢を一つごまかしておりました」

「では、来年か? 呼び合うのは」

「いえ、本当は19歳なのです」

「呼び合うてくれるならいくつでもよい」

「高信様」

「渚姫」

 

 

 

◇◇◇災害復旧、急げ急げ◇◇◇

 

 

 

 春が過ぎて夏が来た。

地域の復興が大体終わり、むしろ栄えだした。

細川藤孝も部将に昇格できたので第三軍団を創設した。

軍団を創設して因幡を守ることになったので、隠居殿も落ち着いてくれた。

そこそこ相性もいいので気に入ってくれているようだ。

 

 

山名家一同の面々には釣り餌として、放置していた建部山城に内政に向かってもらった。

一応、領内なので治安と少しばかりの開発はしておきたかったのだ。

 

 

詩人も居なくなったことだし丁度いい。普通にやろう。

大友や島津などの強敵もいる。気を付けないと。

 

 

 手始めに、秋月家の古処山(こしょさん)城にちょっかい出してやろうとした。

すると、九州西部の大友の城まで巻き込んでしまうようだった。

有馬の蒲池城に目標を変えた。

有馬と秋月は同盟していたので、秋月の城も攻めることが出来るようだ。

 

 

早速出陣。出てきた有馬の兵と秋月の兵を倒して、古処山城を落とした。

打ち出の小づちが使えないので兵と鉄砲の消耗を抑えたい。

それも今回は上手くいった。

ついでに鍋島(なべしま)親子と龍造寺隆信(りゅうぞうじたかのぶ)も家臣に出来た。

龍造寺家は有馬家に滅ぼされていたようだ。有馬は四つの城を支配していた。

合戦中に阿蘇(あそ)家が加勢してきて有馬の城を一つ奪い、有馬の城は三つになった。

 

 

この戦いでは九戸の鉄砲がCに上がった。

まだ、Eの北条とDの沼田と差がついてきたので教育で伸ばしてみたくなった。

そして、九戸が来年弟が元服するから引き抜いてほしいと言った。

来季の予定に書きこんだ。

 

 

 

◇◇◇適性教育、やってみよう♪◇◇◇

 

 

 

 秋と冬にやって見た。

結果は沼田祐光が鉄砲Cに、北条がDに。

それぞれ一度づつ失敗してしまった。

教育のおかげで九戸弟を引き抜く行動力の余裕も出てきたようだ。

 

 

 

 年が明けて引き抜きをかけてみたら、直家で駄目だったのに俺で来てくれた。

ばっちりの効果は高いようだ。

 

 

実は年明けは毎年緊張していた。俺は大名になっているので12歳の姫が産まれる可能性が有る。

渚姫と名前を呼び合うようになる前に産まれてしまうと浮気を疑われるからだ。

でも、これからは大丈夫。問題ない。誰も計算などしないはず。

 

 

まあ良い、今は九州統一。

 

 

 

◇◇◇九州統一、えいえいおー♪◇◇◇



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第十八話 北進

◇◇◇九州統一、えいえいおー♪◇◇◇

 

 

 

 季節が変わって九戸弟を一回鉄砲教育、成功だったが適性は上がらなかった。

とりあえず、部隊編成して出陣。有馬の二つの城を奪って残りは一つ。

 

 

翌季に有馬を倒してついでに阿蘇が持ってる二つの城のうち一つを頂いた。

もう、作業感覚だと思って次の島津の城を覗いたら兵568。鉄砲四部隊。

一人に龍造寺隆信で暗殺を仕掛けて成功した。が、鉄砲部隊数は変わらず。

島津は三つの城を支配している。

 

 

一度仕掛けてみたが、場外に出てきたのは鉄砲以外。とりあえず倒して奥の城を一個落して帰還。

 

 

翌季、覚悟を決めて城内戦へ。敵は280、鉄砲四部隊。味方は350。

何とか城を落としたものの味方兵力は150に減ってしまった。

島津で残ったのは種子島(たねがしま)城。そのまま突撃。

城の兵数は90だったが場内に進入してみると本丸に鉄砲の兵数1の部隊だけが出陣してきた。

それでも落とすまでにこちらは30の兵を失う。

鉄砲部隊の恐ろしさを味合わされてしまった。

 

 

残る九州の強敵は大友だけ。

 

 

 次の季節に毛利の守る城井谷城に行って兵を回復。

元就たちは暇そうにしながらもしっかり内政をやってくれていたので城下は平穏だった。

二つの城を支配する大友攻めは趣向を変えて毛利勢と行ってみることにした。

毛利隆元と能島武吉も安芸の古高山城から呼び寄せて編成し直し。

 

 

翌季に一旦訓練をはさんでから、元就、隆元、元春、隆景、武吉と俺で出陣。

大友勢に鉄砲はいなかったので今回は気楽だった。

両方の城を落としてみると、吉川元春の鉄砲適性がSにまで見る見るうちに上がってしまった。

 

 

そう言う事ならと、ご祝儀に九州統一は吉川元春に任せてしまう事にした。

元就に軍団長をやらせるのは危険だが吉川元春なら大丈夫。

九州と四国の境を第一軍団で抑えておけば目標設定など余計な事はいらないだろう。

 

 

 

◇◇◇がんばれ元春、えいえいおー♪◇◇◇

 

 

 

 さて、任せるとして次はどこに攻めようと考えていると詩人が帰って来た。

ああ、タチアナともお別れか。最近は出番がないので渚姫に遊んで貰っていることが多い。

 

 

「聞きましたぞ、島津なるものとなかなかの戦をされたようですな」

「大変だったが、詩人の残してくれた資金で何とかなったな」

「そう言うのが見たかったんですよ、そう言うのが」

「簡単に言ってくれるわ」

「で、で、前に話してた北の限界まで攻めて行くって言うの見せてほしいのですけど」

「なに、うーん。安定地域は結構ありそうだから出来なくもないかな」

 

 

ちょっと作業感が出始めたからな。やってみるか。

前までは腹心と言える家臣が居なかったが、今なら居る。

行けるかもしれない。

 

 

「ぜひぜひ」

「商売の方の協力は貰えるのか?」

「それをやると簡単になり過ぎるようなので、ネマワシの技はきっぱりと忘れて来ました」

「本願寺の一向一揆がなぁ。いや、手が有るか」

「ならばならば」

 

 

久々に帰って来た詩人につい乗せられて建部山城に向かう事にした。

九州と四国の境は山名家の一堂に戻ってきてもらった。

 

 

 

 琵琶湖近くの建部山城に入ると琵琶湖の周りは本願寺(ほんがんじ)勢が支配している。

当主も息子も戦闘が育っていなかったので、

まずは暗殺でまだ配下の本願寺顕如(けんにょ)にぐわっとなってもらった。

来季は当主の証如(しょうにょ)殿に鳴いてもらう。すまぬ、一向一揆はきついのだ。

 

 

そして、証如が鳴いた後、本願寺家は羽柴秀吉が後を継いだ。

これはこれで、強敵に育つかもしれない。

 

 

 

◇◇◇一路北へ、えいえいおー♪◇◇◇

 

 

 

 それはともかく北の先には長尾景虎(うえすぎけんしん)が居る。

鉄砲の残数が減ったので、仲間全員騎馬部隊にして琵琶湖北の後瀬山(のちせやま)城に出陣。

 

 

羽柴勢の巻き込まれた城は一杯あったが、兵が居たのは一乗谷城だけ。

鉄砲巧者の鈴木佐太夫(すずきさだゆう)滝川一益(たきがわかずます)が出陣してきた、兵は130。

鉄砲部隊は一つ。近寄れば籠城するので一回後瀬山城に攻め込む。

鉄砲適性Dの滝川一益の方が鉄砲隊だったので、それほど怖くはないかもしれないが念のため。

 

 

後瀬山城に引き付けてから野戦を挑むと、

大将の鈴木佐太夫を捕らえた九戸兄の騎馬がAに上がった。

ちょっと俺の騎馬も教育で上げたい。Dなままなわけだし。

とにかく、一乗谷城を支配した。

 

 

翌季に教育してみたら、戦闘の兼ね合いで北条から教えてもらうのが良さそうだった。

なんとか成功Cになる。気を良くして九戸兄弟でもやってみたら九戸弟がCからBになった。

兵を回復して治安に訓練。

 

 

 

 東側には北ノ庄(きたのしょう)城、長尾家の城だ。

しかし兵は9。その向こうには何故か飛騨(ひだ)三木(みつき)家が勢力を持っていた。

北ノ庄城に攻め込むと攻め込むと三木家は不戦の構え。

 

 

三木家は本拠地の松倉(まつくら)城と、西は尾山御坊(かなざわじょう)まで占拠。東は魚津(うおづ)城まで支配していた。

間の七尾(ななお)城と富山城も支配している。魚津城の先が長尾景虎の城、春日山(かすがやま)城。

北ノ庄城から出陣し、戦闘地域となった無人の尾山御坊、七尾、富山城と攻め落とした。

 

 

 

 

 次は、魚津城。三木家の兵は136。春日山城長尾家の兵は560。

こちらは富山城に360の騎兵。三木を攻めると長尾が巻き込まれるが、

三木と長尾は険悪なので一応、三木を攻めても大丈夫なはず。

 

 

 

 出陣してみると長尾が同じ攻め手に回った。三木は籠城。

魚津城の城内に入ると後から追ってきた景虎の足が速い。さすが騎馬適正S。

戦闘は育ち切っていて兵の訓練度も高い。

本丸の攻防では景虎に正面に陣取られ、魚津城は長尾に取られてしまった。

 

 

しかし、本丸への突撃で景虎の直属兵は60まで減っていた。

三木家は捕まった当主が切られ、松倉城では蜂須賀正勝(はちすかまさかつ)が当主になった。

とうとう長尾家と隣り合った。

長尾の兵は魚津に260、春日山に260。

北条に聞いてみた。

 

 

「どうする? 一回当たってみるか? このまま騎馬部隊で」

「今、三木の当主が切られてたの見たろ」

「初犯なら大丈夫じゃないか?」

「あいつ強えーぞ。俺達が捕まったらどうする?」

「調略登用しなおすから来てくれるか?」

「ふーむ。分かった」

「では、一度。このまま行こう」

 

 

景虎の騎馬部隊は強いが、長尾家の全員が景虎なわけではないので対戦してみた。

魚津城に出陣してみると景虎が速攻で攻めてきて野戦になった。

敵前衛に微妙な武将が居たのでそれをみんなで倒した後、残った景虎は九戸兄が捕らえた。

前に偶然、騎馬Aになっていたので戦えたんだろうか。

 

 

春日山城の敵部隊も調子に乗って野戦をしたら、

九戸弟が捕らえられて春日山城に送られてしまった。

とりあえず、魚津城を攻略。

攻略中に北条と九戸兄が捕らえられるも、城の攻略で解放され二人は富山城へ帰還。

春日山城攻略に向かったのは俺の60の兵と沼田の42の兵。

春日山城攻略が終わった時には、俺57、沼田9の兵になっていた。

九戸兄は無事に解放された。

 

 

 

 まさか倒せるとは思っていなかったが、倒せるならばもう一回やって見たいと景虎は解放した。

登用お断りさん達も開放しておいた。

 

 

 

◇◇◇謙信倒した、一回目ー♪◇◇◇



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最終話 笠碁

◇◇◇謙信倒した、次は誰だ!◇◇◇

 

 

 

 季節を待ち捕らえられて富山城に戻っていた北条と九戸兄弟を、

他の者に徴兵させてから春日山城に呼んだ。

北条は九戸兄の頭を撫でまわしながら近づいてきた。

 

 

「へどんのやつ、やりやがったぜ」

「おー、見た見た」

「へへっ」

「で、景虎のやつ逃がしたんだって?」

「まだ、あいつ城二個あるけど、佐渡に追い込んでからまた戦おうかと思ってな」

「島に封鎖されたら、いくらあいつでも立ち上がれないんじゃないか?」

「必要なら金を送っても良いぞ」

「終わったら、武田晴信(しんげん)にも手を出して見ようぜ」

 

 

詩人がしゃしゃり出てきた。

 

 

「敵に金を送るんですか?」

「あの景虎ってやつは敵に塩を送ったって有名だからな」

「ほほう、英雄っぽいですな」

「金送るんなら、少し貯めておかないとな」

 

 

景虎を島送りにする合戦には南側に居た上杉憲正(うえすぎのりまさ)の城が巻き込まれるようだった。

上杉の兵は多かったので、今回は消化試合として少数でも鉄砲隊にて出陣。

俺の鉄砲適性がBになった。

 

 

とりあえず、金を貯めるためと、

今のメンツの騎馬適性を全員Aにするための教育期間を作ることにした。

五人でやっていたので、手すきの間に稲富祐秀から鉄砲適性のAをとったり、

三木家の後釜になっていた蜂須賀正勝をぐわっしたりしていた。

それに一人で姫を四人も産んでいた最上の当主もぐわっした。

 

 

 

 数年がかりで教育をやっていたので、途中北条の息子が元服してきた。

北条が息子を育てたい息子を育てたいと言うので、

息子の方も騎馬Aまで育てていたら余計に時間が掛かってしまった。

こういう没頭型の事をすると夢中になるのが悪い癖だ。

 

 

途中、吉川元春が九州を統一していたので、四国への蓋にしていた城を明け渡した。

山名家一同は蜂須賀をぐわっした地を奇麗にしてもらいに飛騨へと送る。

あの連中、俺の直属でいつも一緒に事に当たらせて居ると、

気にかけているのを分かってくれて助かったりしている。

 

 

 

 準備が整ったので景虎に金を送った後、晴信にちょっかいを出しに行った。

誰か一人は春日山で留守居役にしようとしたら、

北条の親父の方が息子を鍛えてほしいと言うので、留守居役を頼んだ。

 

 

武田家の方はさほど強くなかった。長尾家より実戦経験が不足していたような感じだ。

武田晴信は、いつの間にか偉そうに武田信玄と名前を変えていた。

格好つけて弱くなったのか? いや、俺達が騎馬適正上げたのが原因か。

それに、そもそも何故か信玄自体が兵を持っていなかったので拍子抜けも良い所だ。

 

 

武田は甲信地方を支配していたが、甲斐(かい)躑躅ケ崎館(つつじがさきやかた)まで落とし、

さっぱり開発をしていない木曽福島(きそふくしま)城の一城に押し込めた。

甲斐の武田家中には俺と相性の良い奴が沢山いたが、

兵糧攻めならぬ俸禄攻めをやって見ようと思い、捕らえた武将を全員解放してやった。

すまんな、信玄。30名ほどの家臣に徐々に嫌われていってくれ。

折角の武田対決、袖にした罰だ。

 

 

同じ季節に九州の吉川元春が四国に攻め入って負けて捕らえられてしまっていた。

元就までついでに捕らえられてしまったようだ。

後を継いだ軍団長は毛利隆元。すぐに四国に攻め入り元就と元春を捕り返してきた。

部隊適性が高すぎる軍団長は突出して出て行くので、捕まってしまうことが有るらしい。

 

 

 

 翌年、姫が産まれた。12歳の娘だ。

そして、また奥州の南部家に相性の良い武将が居るとの連絡が来た。

津軽為信(つがるためのぶ)15歳。

 

 

北条が息子を息子を育てたい、と言うのにつられてだろうか、

少し前から誰かに後釜になってほしいと思い始めていた。

九戸兄弟や沼田や北条の息子の誰かに頼んでみようかと思っていたが、物足りない。

姫は大名家が潰れても、大名だった者が生きていれば生き残る。

しかし、隠居は大名家が潰れたら消えてしまうのだ。確かなものに後を継がせたい。

そして出来れば政治が高いものが良い。

俺では統一したのちの世を治められまい。

 

 

考えていた矢先に来たのが津軽為信。

経験はまだだが、俺にも九戸達にも色々足りないものを、全部持っている。

そういう気にさせる奴だった。

少し鍛えてからこいつを跡取りにして隠居しようと思った。

ちょうど良く、景虎を閉じ込めていたのもある。

 

 

しかし、隠居の豊定殿が倒れたと一報が来た。

隠居所は当主の俺なら何時でもすぐに行けるのに、様子を見にも行ってなかったとは。

我がことながら薄情なものだ。

 

 

 

 行ってみると、布団から起き上がって見せてくれた。

 

 

「なに、少しふらついただけさ。もう元気なもんじゃ」

 

 

笑って言ってくれたが、やはり辛いようだ。

何故だか急に望郷の念に駆られた。

その後、隠居殿は少し良くなったようだ。

しかし、決めた。安定攻略路線に戻ろう。

山陽道を制覇して畿内に入ろう。そして家督を譲って隠居しよう。

 

 

 

 津軽為信はびっくりした事だろう。

調略登用に応じたと思ったら突然、婿になれ。

人間五十年。俺もすでに五十になっていた。

長尾景虎や武田信玄をやり込めてしまい気が抜けてしまったのも有る。

 

 

詩人を呼んで方針変更を詫びたら、笑って許してくれた。

 

 

「すまんな、渚姫の親父さんだ。安心させてやりたくてな」

「いえいえ、ご隠居殿はお隣さんですので。

わたしたちは帰りますが、あの祠からいつでも遊びに来てくださいね」

「待ってるからね」

「ああ、必ず行くさ」

 

 

 

 山陽道を制し、京を支配し琵琶湖周りを制覇したところで隠居することにした。

さして時間は掛からなかった。その間もちょくちょく隠居殿の様子を見に行っていた。

隠居殿は下手くそながら将棋や碁が好きで、俺も習って相手をしに行っていたのだ。

 

 

俺は隠居所を竹田城の城下に作った。

しかし、隠居所とは不思議なもので、

鳥取城の城下に作った先代の隠居所と、家は隣同士で並んでいるのだ。

毎日、将棋や碁を打っている。

下手くそ同士だから駒の取り合い石の取り合いだけのひどいものだ。

 

 

先代と俺はもう隠居同士、遠慮なく勝負した。

先代は城下の町人たちと打つより楽しいらしい。

町人たちは、ご隠居様ご隠居様と愛想を使って勝負をしてこないからだ。

 

 

そんな事をしていると先代の隠居の健康状態が大分回復してきた。

本来、気の合わない同士が毎日将棋や碁を打っているのだ、喧嘩にならないはずがない。

つまらない口喧嘩をしているうちに、気力と体力が回復してきたのだろう。

詩人に貰ったナッツのチョッキを使って誅しなくて良かった。

 

 

 

◇◇◇ぐわっぐわっは、もう無い! うぇーい♪◇◇◇

 

 

 

 先代の隠居所から鳥取城下に出ることも出来るので、祠にもたまに遊びに行くようになった。

いや、負けたときの憂さ晴らしではない。違う。

 

 

こんなことが出来るのも垣屋の爺様のお陰か。

色んな世界で戦闘力や銭闘力が付いたわけだ。

あいつまだ爺様のまま生きてやがる。せいぜい長生きしやがれ。

 

 

戦国ランスの世界に行けば、今でも俺は33歳。

ロマサガ3でもそうだ。

行くと詩人はイタズラっぽく笑い、何か企んでいるようだ。

 

 

「武田殿には他の役とか、やって見て欲しいんですけどね」

「ふん」

「あたしは何に化けても絶対捕まえるからね」

 

 

タチアナにはまた捕まるようだ。

 

 

 

 我こそは武田高信。我と思わんものは掛かって来い。

手出し無用の隠居所で、先代と共に高笑いを決めてくれようぞ。

 

 

 

――完――

 

 

 

 

 その後、山名家の家紋は津軽為信から徳川家康に受け継がれ、

その息子秀忠(ひでただ)の世代で天下統一がなされることが多かったようである。



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