鬼狩り抜刀斎 (チチオマコト)
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原作前
鬼狩り抜刀斎


衝動的に書いた
後悔も反省もしてる



 

 

 

 

いつどこから現れたのか不明

身体能力が高く傷などもたちどころに治る

切り落とした肉をつなげ手足も新たに生やすことが可能

体の形を変えたり異能の力を持つ鬼もおり、太陽の光か特別な刀で首を切り落とすことでのみ殺害可能

 

 

 

そんな鬼に対抗するための組織が鬼殺隊

 

その数はおよそ数百名

政府から正式に認められていない組織

 

だが古の時代より今日も鬼を狩る

 

そんな鬼殺隊の中でも最強と目される剣士がいる

 

誰よりも鬼を斬るその姿は鬼からは勿論同じ鬼殺隊の隊士からも恐れられるまさしく修羅そのもの

 

そして周囲から付けられた二つ名は

 

 

 

 

 鬼狩り抜刀斎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人が寝静まった月が綺麗な夜。

 二人の男が対峙していた。

 

 片方は頭から血を被ったような文様の髪に、洋風の着物を着た青年の鬼。

 

 もう片方は赤みがかった長髪に短身痩躯で、左頬にある大きな十字傷がある鬼殺隊の剣士。

 更に剣士の後ろには隊服を着た女性剣士が今にも意識を失いそうな状態で倒れ込んでいた。

 

「緋村、くん…逃げて…」

 

 薄れゆく意識の中で女性剣士は十字傷の剣士に語りかける。

 女性剣士の名は胡蝶カナエ

 鬼殺隊最高戦力である柱の一人で花柱の称号を与えられている剣士であり、並の鬼では彼女に傷一つつけることは叶わない。

 

 だが彼女は敗れた。

 血の文様の鬼、上弦の弍の鬼、名を童磨という鬼に

 まるで手も足も出ずに

 

 彼女が今まで退治してきた鬼すべてがあの童磨の前では赤子だ。

 更にこの鬼の血気術は呼吸の剣士にとって致命的に相性が悪い。

 そのことを伝えようとするもうまく声が出ない。

 だからせめて逃げるようにと

 今ここで鬼殺隊は貴方を失うわけにはいかないからという思いを込めて

 

「安心してくれ。あなたは俺が護る」

 

 そんなカナエの言葉に緋村と呼ばれた剣士は眼前の鬼からは目を逸らさず、だが彼女の願いを拒否する。

 

「君は誰かな? あと少しでそこの女の子を俺が救ってあげられるところだったのに邪魔をしないでほしいんだけど」

 

「黙れ悪鬼。この人に手を出すなら俺が貴様を殺す」

 

「やれやれ。怖いな〜君。さては君も嫌な事があったんだね! なら君も俺が救ってあげよう!」

 

 童磨は笑いながら剣士に話しかけるも剣士からは殺気と剣気が膨れ上がる。

 

 "龍の呼吸 壱の型 龍槌閃"

 

 童磨が殺気と剣気から剣士の力量を把握した時には既にその姿は視界から消えていた。

 

 マズイ

 咄嗟に童磨は手にある鉄扇を上に掲げる。

 すると上空から童磨の首を断たんと放たれた剣と鉄扇がぶつかった。

 

 すぐさま童磨は鉄扇で剣を弾き剣士は後方にさがる。

 

「すごいね! 今の攻撃! 剣線は疎か身のこなしすら見えなかった!!」

 

 軽口のように剣士に語りかけるが事実本当に童磨は彼の動きが見えなかった。

 攻撃を防げたのも長い年月で培った経験と勘によるものだ。

 油断していたとはいえ最強の鬼の称号に限りなく近づいた自分が全く見えなかった。信じられないことにこの小柄な剣士は今まで戦った鬼殺隊の柱達を遥かに凌ぐ実力を持っているということ。

 

「いやー、ホントに危なかった。でもこれでようやく君が誰なのかわかったよ!」

 

 先程首を斬られかけたにも関わらず、馴れ馴れしく剣士に話しかけるも先程とは違い一切の油断はない。

 

 この小柄な剣士は噂の人物なら自分を遥かに上回るあの鬼から生き残るほどの実力を有しているのだから。

 

「鬼狩り抜刀斎! 黒死牟殿から頬に傷のある剣士だって話は聞かされたけど、まさか君だったんだね!」

 

「だからなんだ」

 

 抜刀斎

 それは現鬼殺隊最強の者の称号。

 それがこの小柄な剣士だとは童磨も思わなかった。

 

「うん。そうと分かれば此処は引かせてもらうよ。もう日の出が近いし、それまでに君を殺すのは難しそうだ」

 

「逃がすと思っているのか」

 

 童磨の発言に剣士、抜刀斎は刀を構えながら次の技の構えを取る。

 

「いいのかい、このまま戦って? 俺と君は問題なくても後ろの子はただじゃ済まないよ?」

 

「…」

 

「俺もその子を救ってあげたいんだけど、君と本気で戦ったら巻き込んでグチャグチャに潰しかねない」

 

 だから今日はここまでにしないか? 

 と続く言葉に返答はなく、だが抜刀斎が刀を下ろしたのを見て童磨も大きく宙に飛ぶ。

 

「次会うときは本気で戦うとしよう! 俺も更に力をつけておくから君も修行頑張りなよ!」

 

 そしてそのまま童磨は夜の闇の中に消えるのを鬼狩り抜刀斎、緋村剣心は確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 もう二度と来るなサイコ野郎!! 

 

 

 俺の名は緋村剣心

 

 名前からわかるように転生者だ。

 何言ってんだって思うだろうが、これがマジなんだよなぁ〜

 何か交通事故で轢き殺されて気づいたらそのまま鬼滅の刃の世界に緋村剣心になって転生しちまった(笑)

 

 剣心と言ったら飛天御剣流だろと全集中の呼吸を習得して疑似再現出来るように頑張った! 

 そしたら出来た!! 

 剣心ボディのスペックハンパねぇー! 

 

 せっかく転生して剣心の体と飛天御剣流(疑似)修得したんだから原作鬼滅の刃でワニに殺された俺の推しキャラ達を守ってみせる!! 

 

 あと剣心の人斬り時代が好きだから抜刀斎ロールプレイも兼ねてな!! 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 鬼殺隊最強は頭も最強(にバカ)だった。

 

 

 

 

 




連載にするかどうかは未定


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胡蝶しのぶと抜刀斎~

いろんな方から続きを期待されてしまった。
そして出来上がった駄文・・・




 

 

 

 私、胡蝶しのぶは鬼の首が斬れない鬼殺隊隊士だ。

 そのような隊士は前線に出ず剣を置き、隠と呼ばれる鬼と剣士の戦いの後処理や隠蔽、負傷した剣士の救護を行う部隊に身を寄せるのが通例だ。

 実際に私は自身の育手にそうなるように勧められた。

 でも、私は何としても自分の手で鬼を倒したかった。

 両親を鬼に喰い殺されているからというのもあるが、それ以上に姉の存在が大きかったと思う。

 私の姉である胡蝶カナエは私とは異なり、隊士として優れた才を持っていた。

 私より高い背丈に長い手足、そして女の身でありながらいずれは鬼殺隊の柱にもなれるであろう剣才。

 育手曰く単純な剣才のみなら私も負けていないそうだが体が足りない。

 鬼殺の剣士にとってもっとも重要な鬼の首を斬る才能のみ欠けている。

 認めたくなかった。姉さんだけに鬼を狩らせて自分は安全圏で後方支援に留まるなど。

 そんなことは絶対に認められない!!

 

『鬼を倒そう。一体でも多く。二人で』

 

 かつて姉さんと誓った約束。

 それを果たせるようになるまで私は諦めれない!!

 

 そこから鍛錬を続けた私は育手の師範の反対を押し切り、最終選別に参加できることになった。

 未だに鬼を一人では殺せないが、最終選別は7日間鬼が住まう山を生き抜くことが合格条件。

 必ずしも鬼を殺す必要はないのだ。

 

 今思えば当時の私は焦っていたのだろう。

 姉さんが私より先に最終選別を受け、隊士として鬼と戦っている状況で、何一つ変わらない自身の状況に...

 

 実際に最終選別に参加して自身の認識の甘さを痛感した。

 最初のうちは私の動きの速さに鬼たちは恐れをなしたのか、積極的に私を襲ってくることはなかった。

 だが時がたち私が首を斬れない剣士だとわかると、鬼たちは何のためらいもなく私に襲い掛かってきた。

 当然私にできることは防戦と逃亡のみ。

 情けなかった。腹立たしかった。でも私には何もできない。

 だって鬼を殺せないから。

 

 ただ逃げ続けるにも限界があった。

 遂に鬼に追い詰められた私は無様にも地面に尻餅をついたまま、度重なる逃走による疲労と死への恐怖で立ち上がることもできず、

 

 

『ごめんなさい、姉さん・・・約束守れそうにない・・・』

 

 もう後は鬼に殺されるのを待つだけだった。

 

 

 

 あいつが来るまでは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・無事か?』

 

 

 小柄な男の剣士だった。

 緋色の髪を束ねた鋭い眼光の少年。

 歳は私と同じ13,4といったくらいだろう。

 男性は女性より体の成長が遅いため、当時のあいつは私とほとんど変わらない背丈しかなかった。

 

『ここら周辺の鬼は既に粗方狩りつくした。おそらく君が相手取っていた今の鬼が最後の一体だったんだろう』

 

 私と同じで剣士としては致命的なまでに恵まれていない体格。

 なのにこいつは私が求めてやまない才能をだれよりも持っていて

 

『救援に遅れてすまない。だがもう大丈夫だ。それも今殺した』

 

 こんなふざけた言葉を私に投げかける。

 

『・・っ!!誰も助けて欲しいだなんて頼んでないわよ!!』

 

 まぁさすがに助けられてこれはなかったと思う。

 ただ当時私は同じく体格に恵まれない剣士がこうまであっさり鬼の首を斬り、なおかつ他の選別参加者のことにまで気をくばってたのが気にくわなかったのだ。

 さらにそれが当たり前かのような振る舞いも癇に障った。

 まぁ要は嫉妬だ。

 

 鬼を殺せず、見立ての甘さで我が身を危険にさらした自分との差を見せつけられた気分だったのだ。

 

 けれどもそんな私の言葉にあいつは

 

『そうか。余計なことをしたようだな、すまない』

 

 気を悪くした様子もなく、表情一つ変えずにそう返し、私の下から離れていった。

 

 

 その後最終選別最終日が終了して、私を含めた参加者が全員合格しているという過去に例のない結果となった。

 間違いなくあいつのおかげだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 それから私は正式に鬼殺隊の隊士となり、姉さんの継子となった。

 

 姉さんの任務に同行する中で、私はある研究に取り組んでいた。

 

 

 鬼を殺す毒の開発だ。

 これさえ完成すれば首を斬らずとも鬼を殺せる。

 鬼を殺せるなら私は姉さんと一緒に戦える。

 ようやく希望が見えてきた中、凶報が届いた。

 

『カァー!カァー!花柱、上弦の弐ト交戦ーー!付近ノ剣士ハ救援ニーー!!』

 

 

 

 私は急いで救援に向かった。

 ようやく姉さんの力になれると思っていたのに・・・

 

 

 

『姉さん!!・・・っ!!』

 

 現地に到着して見たのは以前より背丈が伸びたが変わらず鬼殺隊の中では小柄な、かつて嫉妬した緋色の髪の剣士。

 そしてその剣士に抱きかかえられて運ばれている姉さんの姿だった。

 

 それを見たら状況はすぐに察することが出来た。

 私はまたこの剣士に助けられたのだと。

 かつての嫉妬心が再び沸き上がり、あいつを睨みつけてしまったと思う。

 

『急いで蝶屋敷に』

 

 だけどあいつの一言ですぐさま正気に戻る。

 そうだ今はそんな場面じゃない!

 

『ええ!龍柱様はそのまま姉さんを抱えて蝶屋敷に向かってください!私も後を追いかけるので!』

 

 

 そこから全速力で屋敷に帰還して、姉さんの治療を行った。

 戦闘による外傷自体は大したことなく治療に問題はなかった。しかし、敵の血気術の影響で機能が大幅に低下してしまった肺だけはどうにもならなかった。それでも機能回復訓練後は日常生活を送る分には問題はない状態に持っていけるだろう。

 

 剣士としての命は尽きてしまったが・・・

 

 

 

 

 

 ただあいつが救援に駆けつけてくれなかったら、こんなものでは済まなかった筈だ。

 さすがに今度ばかりはお礼を言いに行かなければと思うも、あの最終選別以来私はあいつを避けてきた。

 あいつと会うとあの時の惨めな思いを思い出してしまいそうだから・・・

 

 そんな私でも噂だけはよく耳にしていた。

 それによるとあいつは、あの最終選別からわずか一ヵ月で当時の下弦の参を討伐して柱に就任。

 柱に就任してからも多くの鬼を斬り、更には十二鬼月最強である上弦の壱と遭遇、戦闘の末生き残り、現鬼殺隊最強の剣士と言われてるということ。

 

 未だに鬼を自分では一体も殺せない自分とは大違いである。

 

 噂だけでも自分と比較して嫉妬を抑えるので必死なのに、会ってしっかり会話するなんて出来るだろうか・・・

 

 だがここで礼の一つも出来ないようでは蝶屋敷の人間全員の人間性が疑われかねない。

 私は覚悟を決めてあいつの屋敷に訪れた。

 

 あいつの屋敷は屋敷というより小屋にしか見えないもので、一応名称が龍屋敷のため屋敷と呼んでいる。

 

 小屋の付近まで来るとあいつは私の気配を感じたのか、小屋から出てきた。

 

「龍柱様、此度は私の姉胡蝶カナエの窮地を救って戴いて誠にありがとうございます。貴方様のおかげで姉は命に別状はなく今は機能回復に努めています」

 

「そうか、それはよかった。胡蝶さんには無理をしないよう伝えておいてくれ」

 

 こいつはどうやら積極的に会話はしないが水柱の冨岡様と違って喋ること自体はしっかりできるようだ。

 

「わかりました。姉に伝えておきます」

 

「それと龍柱と呼ばれるのはあまり好きではない。緋村か抜刀斎でいい。様もいらん」

 

 こいつ、緋村抜刀斎はどうやら柱の敬称で呼ばれるのが嫌なようだ。

 ここで普通なら緋村さんと呼べばいいんだろうが、私はなぜかそうしたくなくて

 

「ならば貴方の本当の名を教えてください。姉の恩人の本名をしらないというのも恥知らずな話ですし、何より抜刀斎さんと呼ぶのは私自身抵抗があります」

 

 私のこの言葉にあいつは少し驚いた顔をして、少しばかり逡巡してから

 

「・・・剣心だ」

 

 と名を名乗った。

 

「緋村、剣心さん」

 

「ああ、御館様以外に本名は名乗っていないから、知らないものがほとんどだろうな」

 

「なぜ本名を名乗らないのですか?」

 

 最初はお礼を伝えたら早々に立ち去る予定だった。

 ただ思っていた以上にこいつがこちらの問いに返事をしてくれるから、そして私自身こいつのことをもっと知りたいと思ってしまったから

 私の知るこいつは最強の剣士であり、他者を気にかけることが出来るやつであるというくらいだから・・・

 

「・・・怖いからだ」

 

 だからこの問いには心底驚いた。

 

「怖い?貴方ほどの方が一体何に恐れているというのですか?」

 

「常に恐れてるさ。元々剣術は好きだが、殺し殺されるなんて状況は好きじゃない」

 

 むしろ何時も怯えてるくらいだ、そう言ってこいつは私の目をしっかり見つめながら、

 

「それでも俺は鬼殺隊の剣士で、俺が刀を振るうことで助かる命があるなら、俺はその恐れを心の奥底に封じ込める」

 

 そのための偽りの名なんだと、こいつは言った。

 抜刀斎は最強無敵の剣士を演じるための名。

 心の奥底にある剣心としての恐れを隠し通すための仮面。

 

「話し過ぎたな・・・幻滅したか?最強の鬼狩り抜刀斎なんて大層な呼び名がつけられているが、俺は本心では常に刀なんて握りたくないと思ってる小心者なんだ」

 

 私はその言葉を聞いて安堵してしまった。

 こいつも私と同じなんだと。

 

 それでいて、その怖さを隠し通してでも戦う本物の強さがあるやつなんだと。

 その生き方はひどく歪なのかもしれない。

 でも私はその生き方に憧れを抱いてしまった。

 でもあこがれるだけではダメだ。

 

 だから私は

 

「そうですね、幻滅しました。貴方はさん付けで呼ぶ必要はなさそうですね」

 

「・・・」

 

「今日から私はあなたのことを剣心と呼ばせてもらいます!あなたのことを今後最強の柱だなんて思いません!」

 

「・・・好きにするといい」

 

「ええ。そうするわ剣心」

 

 この時からこいつ、緋村剣心は私にとって嫉妬の対象から目標の人物になったのだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 何話してんの俺!!!!!!!!!!!!!!!!

 完全にしのぶちゃんに呆れられたじゃん!!!!!!!!!!!!

 バカ俺、あほ俺、抜刀斎はこんなこと言わんじゃろがぁ!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 童磨追っ払った時もカナエさん抱きかかえて移動しようとしたら、しのぶちゃんが丁度来て

 そん時のしのぶちゃんの目と言ったら(泣)

 完全に汚物見る目だったよ(号泣)

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 未来の蟲柱の憧れはスゲー(バカ)奴だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しのぶちゃんヒロインみたいな感じになっとるけど、ヒロインとかどうしよう・・・


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新たな柱候補

タイトル思いっきり間違えてた(汗)
修正させて頂きました!!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「糞糞糞クソォォォ!!」

 

 深夜の人通りのない道を疾走する男。

 常人とは比べ物にならない速度で何かから逃げるその男は人ではなく、人を食らう悪鬼。

 人間を食料としてしか見なさない化け物だ。

 にも関わらず先ほどから全力で何かから逃げ続けている。

 

「話が違うじゃねーかよ!なんでこんなところに柱が、しかもよりによって・・・」

 

 斬!

 

 悪態をつきながらも全力で逃げ続ける鬼の首が飛ぶ。

 

 そして鬼が最後に見たのは緋色の髪の優男。

 

「鬼、狩り・・抜刀斎!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の森にて少女と異形の者達が対峙している。

 いや、異形の者達が対峙していた。が正しい。

 何故なら異形の者である鬼達はたった一体を残して塵となり消え去ってしまったのだから。

 無論それを成したのは対峙していた少女にほかならない。

 

「群れをなしている鬼がいると聞いて警戒していましたが、貴方以外はただ寄せ集めの烏合の衆でしたね?まぁそんな烏合を率いていた貴方の程度もたかが知れていると思いますが」

 

 少女、胡蝶しのぶは自身の持つ切っ先と柄付近を残して刃の部分を大きく削ぎ落した特殊な日輪刀を構えながら、眼前の生き残った鬼に美しい微笑みを向けて毒を吐く。

 

「所詮十二鬼月といえど貴方は下弦の陸。しかも以前に発見され報告されていた鬼と違うことを考えれば最近加入したばかりの小物ということですね」

 

「小娘が!雑魚を狩った程度で粋がるなよ!!」

 

「あらあら。図星を指されて怒ったんですか?自覚していることを指摘してしまったのは申し訳ありません」

 

「き、貴様ァァァア!!」

 

 鬼である下弦の陸はしのぶの挑発に耐えきれず、彼女に自身の全力の疾走を持って飛びかかる。

 

「この程度の挑発も受け流せないなんて…」

 

 蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

「だから小物だと言われるのよ」

 

 まるで蝶のような独特の動きで鬼に動きを捉えさせず、数度の刺突を放つ。

 

「う、ぎがっ…!」

 

「貴方の一番の敗因は、私の体を見て鬼の頚を斬れないひ弱な隊士と舐めてかかり、配下と一緒に戦わなかったこと」

 

 そう言うとしのぶはしのぶの刀を鞘に戻し、

 

「私は確かに鬼の頚を斬れない隊士だけど、鬼に効く毒を開発した、ちょっと凄い剣士なのよ。…ってもう聞いてないか」

 

 鬼はしのぶの言葉を聞くことなく意識を失い絶命していた。

 そして物陰から様子を伺っていた者が一人。

 

「貴方もいつまでもそんな所に居ないで出てきたらどう?逃げ出した鬼の始末なんか速攻で終わらせて戻って来たんでしょうから」

 

「気づいてたのか…流石だな」

 

 しのぶの指摘を受け物陰から様子を伺っていた緋色髪の剣士 緋村剣心が姿を現す。

 

「よく言うわ。本気で隠れる気なんてなかった癖に」

 

「まぁその必要は感じなかったからな」

 

「あっそ。それにしても幾ら一番下っ端とはいえ十二鬼月の一角がこの程度なんて正直拍子抜けだったわ」

 

「それだけお前の実力が上がっている証拠だ。それにあの気味の悪い敬語の挑発も効いたのかもな」

 

「気味の悪いは余計よ!…まぁ何にせよ此れで私も柱に昇格出来そうね。ようやく他の隊士の前でも貴方に敬語を使わなくて済むわ」

 

 まるで清々するかのような言い分に、しかし剣心は気を悪くした様子はなく

 

「ああ、俺も此れでお前との会話に鳥肌を立てずに済む」

 

 だが皮肉を返す。

 

「なっ!それは悪かったわね!」

 

 その皮肉にしのぶは顔を赤く染めて剣心を睨む。

 何か言い返してやろうかと考えるも

 

 −こいつに口喧嘩で勝てた試しがないわね−

 

「はぁ…そう言えば貴方この後も別の任務残ってるんじゃなかった?」

 

 口喧嘩での敗北を認めたしのぶからの一言に、剣心は顔を初めて歪めながら首を縦に振り

 

「奴と合流して向かえとの指令だ」

 

「あぁ。彼と…それはご愁傷さま」

 

 奴と呼ばれるその人物に余程の苦手意識があるのか、剣心は顔をしかめたまましのぶと共に森を抜けるべく歩き出す。

 

「そう言えばそろそろ柱合会議の時期ね。姉さんも柱の引退を正式に告げるために参加するみたいだけど、貴方は今回の任務終わらせてからで参加できるの?」

 

「かなりギリギリだな。まぁ何とかするさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 鬼を斬っては捨て、斬っては捨ての毎日の中で美少女との会話は癒やしだわ〜〜

 

 ただ剣心の抜刀斎時代って女の子と話してる描写が巴さん位しかないもんだから、どう話せばいいのか。

 

 カナエさんには剣心が最初の方に巴さんと接してた感じで話せるけど、しのぶちゃん相手にそれは違和感あるしなぁー。

 

 てかそれ以上にこれからアイツと任務じゃん!

 嫌だー!!

 なんでアイツが鬼滅の世界にいるんだよ!!

 しかもお館様の意向で頻繁にコンビ組まされるし…

 

 マジでいつか背中から斬りつけられそう…

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 剣心(偽)の頭の中は今日も平常運転のようだ。

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柱合会議

 

 それは、鬼殺隊最高位の剣士である柱たちと鬼殺隊の当主によって、半年に一度行われる会議のことである。

 原則として柱以外の剣士はこの会議に参加することは認められず、逆に柱はよほどの理由がない限り会議を欠席することは認められない。

 

 今回その柱合会議の場所に指定されている屋敷に6名の剣士が集まっていた。

 

 水柱・冨岡義勇

 音柱・宇髄天元

 岩柱・悲鳴嶼行冥

 蛇柱・伊黒小芭内

 風柱・不死川実弥

 そして元花柱・胡蝶カナエ

 

 いずれも鬼殺隊の頂点に相応しい実力を有する、または有していた剣士たちである。

 

「やぁ、よく来たね私の可愛い剣士たち」

 

 そして現鬼殺隊当主産屋敷耀哉。

 彼の登場と共に剣士たちは皆一斉に膝をつき頭を垂れる。

 

「早速今回の柱合会議を執り行いたいところだけど、少し遅れてる2人がいるみたいだから、もう少しだけ待とうか」

 

 すでに柱合会議の指定時間を過ぎているが、会議に呼ばれているものが2名足りていない。

 そのために開始時間をずらそうと提案する耀哉。

 その時

 

「龍柱 緋村抜刀斎様入られます!」

 

 新たな剣士が会議の場に現れる。

 その際に数名の剣士から鋭い視線が送られるが、当の剣士 剣心はそれらを全く意に介さずに剣士たちの列に加わり、膝をつく。

 

「やぁ剣心。よく来てくれたね」

 

「はい、お久しぶりですお館様。到着が遅れてしまい申し訳ございません」

 

「構わないよ。君が忙しいのはよくわかっている。それから彼と一緒ではないのかい?てっきり彼と君は共に到着するとばかり思っていたんのだけれど?」

 

「奴とは道中までともに行動していましたが、気付いた時には俺と離れて何処かに行ってしまいました」

 

「そうか、彼も変わらずということだね。仕方がない。これ以上待っても彼は来そうにないし、そろそろ柱合会議を始めようか」

 

 耀哉がそう言い会議が始まろうとした時。

 

「お館様。恐れながらよろしいでしょうか?」

 

 一人の剣士 風柱・不死川実弥が耀哉に語り掛ける。

 

「なんだい実弥」

 

「奴のことです。奴のここ最近での勝手な行動は些か以上に目に余ります。これ以上は他の隊士にも示しがつかない。厳正な処罰を願います」

 

「私も不死川に同意です。そして奴もそうだが抜刀斎、貴様もそうだ。柱合会議に遅刻し更に道中まで一緒に居たにも拘らずなぜ奴を連れてこなかった?一体何を考えている?貴様なら奴を引きずってでも連れてこれただろう」

 

 不死川の意見に賛同する形で蛇柱・伊黒小芭内も会話に加わる。更には会話の矛先を剣心に向けて。

 

「流石にそれは緋村君の責任ではないんじゃないかしら伊黒君?彼がまともに柱合会議に今まで出たことのほうが稀なのだし」

 

「そうだね。彼のことに関しては剣心に責任はないと思っているよ。遅れてきたことに関しても、剣心は他の柱と比べても多忙だから仕方のないことだ」

 

 そこで元花柱胡蝶カナエが剣心を擁護し、それに耀哉も同意し同じく擁護する。

 

「それに今ここにいない彼に関しても罰を下すのは厳しい」

 

「それは何故でしょうか?」

 

「簡単なことさ。彼は上弦の肆を単独で討伐している。上弦の鬼の討伐はここ百年以上どの柱も成し遂げれていない偉業だ。それを成した彼を会議に出席していない程度で罰するわけにはいかないからね」

 

「それはっ!・・・・っ!!」

 

 耀哉の言葉に伊黒は押し黙る。

 単独での上弦の撃破は確かにそれだけの偉業だ。

 多くの柱が今まで討伐せんとし、返り討ちにあってきたのだから。

 

「彼の件はここまでにして、ここからは会議の本題に移ろうか」

 

 耀哉が話を切り上げ

 

「鬼殺隊の新たな柱についてだ」

 

「「・・・・・」」

 

「わかっている通り今鬼殺隊は度重なる戦闘で多くの柱が殉職し、更につい二ヶ月程前にカナエも上弦の弐との戦闘で受けた傷が原因で戦線への復帰が困難となり、剣を置くこととなった」

 

「柱の入れ替わりが多いのは鬼殺隊にとって悲しいことだが常、だが今回はその中でもかなりの速度で柱がいなくなっているということか・・・南無」

 

「申し訳ありません。ですが、私の穴を埋める人材はすでに育っています」

 

 耀哉と岩柱・悲鳴嶼行冥の言葉に申し訳なさをにじませながらも、カナエは新たな柱について話す。

 

「そうだね。既に彼女の毒は十二鬼月の下弦が相手ならば通用することは実証されている。柱となるには十分な実績だろう」

 

「となるとそいつを含めて柱は八人か・・・九人目の当ては誰かあんのか?」

 

「知らん。人に尋ねる前に貴様のほうはどうなんだ不死川。そんな事だから・・・」

 

「あ"ぁ"!!なんだてめぇ!喧嘩売ってんのか!?」

 

「静かにしろお前たち。してお館様、他に現状の柱候補はいるのでしょうか?」

 

「そうだね。現状三人ほどいるよ」

 

 三人その言葉に剣心と水柱・冨岡義勇以外の者たちは驚きを隠せずにいる。

 柱とは他の隊士と隔絶した力をもつ剣士であり、それ程の力を持つ剣士が候補の段階とはいえ三人まだ存在することは中々に珍しい。

 

「一人は義勇の継子の子だよ。もう一人は煉獄家の長男の子だね。二人とも実力と実績ともに柱に昇格しても何ら問題はないのだけど」

 

「柱の重複ということですね・・・」

 

「そうだね。水柱と炎柱は既に席が埋まっている。そのために未だに二人の階級は甲のままなんだ」

 

「なるほど。ではもう一人のほうは?」

 

「彼に関しては現状まだ若すぎると彼の育手に反対されててね。なんせまだ歳は十二だから」

 

「なっ!・・・それは将来が楽しみな剣士ですね」

 

「は!まるでどこぞの誰かさんみたいなガキだな!なぁ抜刀斎?」

 

「・・・そうですね」

 

 三人目の候補者の歳を聞きカナエはその才覚に驚愕し、不死川はその才覚を剣心に照らし合わせる。

 

「まぁそう言うわけで現状九人目の柱は空席として、相応しい剣士が育つまで君達には誰一人欠けて欲しくない。だからどうか今度の柱合会議でも君達の無事な姿を私に見せてくれ」

 

 会議を締め括るかのような耀哉の言葉。

 それに対して剣士たちは

 

「「御意!」」

 

 全員が一斉に頭を垂れ言葉を合わせた。

 




剣心の戦闘シーンがない。
おかしい。
俺は誰が主人公の小説を書いてるんだ…



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黒死牟と抜刀斎と耀哉様

剣心の戦闘をようやく書けたはいいが、如何せん短い。

クソ!
これも作者の文才の無さ故か…!

今回は前話までより過去の話です。
剣心が柱になって一年たってない位ですね。


 

 

 

 

 

 

 一人の男が夜の山を一人歩く。

 その男は長い黒髪を後ろで縛り、六つ眼を持った異形の者。

 さらに額や首元から頰にかけて揺らめく炎のような黒い痣がある。

 

 そう。男は人ではなく鬼。

 しかしただの鬼に非ず。

 

 名を黒死牟。

 

 全ての鬼の祖である鬼舞辻無惨によって選別された最強の十二体の鬼、十二鬼月。

 

 その中で更に頂点にして最強の“上弦の壱”である。

 

 他の十二鬼月とは隔絶した力を有するこの鬼は正しく無惨にとっての切り札であり、その男が単独で何処かへと向かっている。

 それは無惨からの指令が下されたに他ならない。

 

 そして黒死牟は山を歩き続けること数分、遂に足を止め目的の地に辿り着く。

 

「…お前が…鬼狩り抜刀斎か…」

 

 目的の地には緋色の髪の鬼殺隊剣士が一人。

 その者こそ黒死牟が主である無惨より始末するよう言い付けられた標的。

 緋村剣心。

 またの名を鬼狩り抜刀斎。

 

(…なるほど…その若さで…まさか…これ程の剣士が…)

 

 主が自身に直接抹殺の指令を出す程の剣士。

 どれ程の者かと期待し、実際に目にすれば想像以上。

 歳のほどは現在14といったところか。

 だが身に纏う空気は歴戦のそれであり。

 剣気、闘気共に今まで自身が見てきた鬼殺隊の剣士の中で二、三番を争う程の逸材。

 

 確かにこれは今のうちに対処せねば、いずれ我らの大きな障害となり得る。

 

「…そういう貴様は上弦の壱か」

 

「…その通りだ…名を黒死牟…と言う」

 

「黒死牟…何故こんな所に貴様のような鬼がいる」

 

「…決まっている…お前を…始末するため…」

 

 その言葉と共に黒死牟の姿は剣心の視界から消えていた。

 

「くっ…!!」

 

 自身の視界から黒死牟が消えた刹那。

 剣心は体を半回転させる。

 そうすることで一瞬で自身の背後に廻り込んだ黒死牟の上段からの斬撃を回避し、そのまま刀を回転の勢いをつけながら抜刀。

 

「…な、に…」

 

 自身の攻撃を避けたこと、更にそこから攻撃に転じようとする動き。

 そして抜刀され刀身を顕にした刃の色に黒死牟は驚く。

 

 

 "龍の呼吸 肆ノ型 龍巻閃(凩)"

 

 そして抜刀された刀はそんな事はお構いなしに神速の速さにて黒死牟の頚に向かう。

 

 だがそれでやられるほど上弦の壱は甘くはない。

 

 "月の呼吸 伍ノ型 月魄災禍"

 

 黒死牟の周りに無数の月輪状の斬撃が出現し、剣心を襲う。

 

 "龍の呼吸 参ノ型 龍巣閃"

 

「う、おぉぉぉお!!」

 

 その無数の斬撃を前に型を切り替え瞬時に自身の持つ連撃技を繰り出す。

 龍巣閃による連撃で黒死牟が生み出した斬撃を剣心は体を後方に下げられながらも全て相殺する。

 だが敵がそれをただ黙って見過ごす訳もなく。 

 

 "月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映え"

 

 当然放たれる次の攻撃。

 地面を這うように放たれた複数の斬撃。

 

「おおお!」

 

 "龍の呼吸 陸ノ型 土龍閃"

 

 地を這う攻撃に対して剣心は刀を地面に叩きつけることで衝撃を与え、土砂とその衝撃波によってまたしても黒死牟の攻撃を相殺してみせた。

 

「馬鹿な…」

 

 これにはさしもの黒死牟も驚愕を隠しきれない様であり、次の攻撃を放つことなく剣心を鋭い六ッ目で凝視する。

 

 ー気に入らないー

 

 それが黒死牟が剣心に抱いた感情。

 

 普段の黒死牟なら自身の攻撃をこれ程防いだ敵が居れば惜しみない称賛を送っていたであろう。

 よくぞ人の身でそこまで練り上げた、お前も鬼になれ、と言い。

 だが今の黒死牟にはそのような敵を褒め称える考えなど微塵もない。

 有るのは眼前の敵への怒り。

 

 そして嫉妬である。

 

 剣心の持つ才気、その緋色に光る(・・・・・・・)刀、そして何より眼が、

 

 かつて黒死牟が最も憎んだ男と重なる。

 

「忌々しい…!!」

 

「何?」

 

「数百年の時を経てもお前は俺の記憶から消えぬのか…!」

 

「貴様一体何を言っている」

 

 突然の敵から発せられる理解不能な言葉。

 剣心は警戒を怠らせず、ただ顔は黒死牟を訝しむ表情が浮かぶ。

 

「…もういい…早々に貴様を始末する…そうすれば奴の顔も浮かんでこまい…」

 

「ほざけ。貴様が何を言っているか知らんが、早々に始末するのは俺の方だ」

 

 そう言うと剣心は刀を正眼に構える。

 対する黒死牟は上段の構えを取り、両者から今まで以上の剣気が迸る。

 

「…来い…抜刀斎…」

 

「…行くぞ」

 

 "龍の呼吸 玖ノ型 九頭龍閃"

 

 "月の呼吸 玖ノ型  降り月・連面"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 悲報 俺氏上弦の壱に狙われている。

 

 マジでヤベーって!! 

 何あいつ! メチャクチャつえーんだけど!! 

 飛天御剣流(なんちゃって)の技が全然当たんねーの! 

 しかも幾つ技の型あんだよ!!!! 

 多すぎて対処出来んわボケ!!!!!!! 

 

 何とか日の出まで時間稼ぎ出来たから助かっけど、次戦う時はこうもいかんし…

 

 あぁ本気で腹いてぇ(泣)

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで黒死牟。貴様は結局柱の一人を始末する事も出来ずに戻って来たというわけか?」

 

「…申し訳‥ありません…」

 

 鬼の首魁 鬼舞辻無惨の拠点である無限城にて、黒死牟は頭を垂れ平伏しながら自らの主と対面していた。

 

「無様なものだな。上弦の壱はいつからそこまで墜ちたのだ? 私は貴様を信用して確実に奴を仕留めるために指令を出したというのに」

 

 主である無惨から黒死牟に注がれる視線には怒りはない。

 ただ有るのは心の底からの呆れと軽蔑。

 

「まぁいい。貴様を信用し過ぎた私の間違いだった。柱一人の始末も貴様には荷が重かったのだろう」

 

「…ッ!!」

 

「何だ? 何か言いたい事が有るのなら言ってみせろ? 貴様は上弦の壱でありながら一人の柱の始末をしくじった。これに何か間違いでもあるのか?」

 

「…いえ…何も間違ってはおりません…」

 

 黒死牟は歯を食い縛りながらも、無惨の言葉に平伏し続ける。

 

「…もういい。失せろ黒死牟。今貴様を見ていると虫唾が奔る」

 

「…は…申し訳ありません…」

 

 黒死牟は無惨にもう一度謝罪すると立ち上がり、姿を晦ます。

 

「抜刀斎…!!」

 

 その心中に煮えたぎった怒りを隠しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって産屋敷亭にて剣心は鬼殺隊当主である耀哉に今回の黒死牟との戦闘の詳細を語っていた。

 

「そうか。ご苦労だったね剣心。君のお陰で今まで全く情報の無かった上弦の、それも壱のものが掴めた。これは無惨に打ち勝つための大きな一歩だ。本当に良くやってくれた」

 

「いえ、そこ迄言って頂くことではありません。俺は結局奴を仕留める事が出来なかった…」

 

「そんな事は言うものじゃないよ剣心。今まで多くの柱が上弦と戦い敗れてきた。生きて帰ってきただけでも素晴らしい功績だ」

 

 自らを卑下する剣心に耀哉は優しく否定する。

 

 耀哉は思う。

 責任感の強い子だ、と。

 

(誰よりも平和を愛していながら、その平和を護るために自らを修羅に変えてしまった。故に誰よりも鬼を狩ることに責任を持とうとする)

 

 それが悪しきものだとは言うまい。

 鬼殺隊の隊士であれば、誰もが少なからず持たねばならない責任感。

 

(だが剣心のそれは常軌を逸している。このままではその責任に全てを押し潰されてしまう程に…)

 

 だが耀哉に剣心を止めることは出来ない。

 何故なら彼は鬼殺隊の当主であり、剣心を修羅の道に誘った要因の一つなのだから。

 

(今更私がこの子を止めることは出来ない。だからせめてこの子に心安らげる居場所を作ってくれる誰かが居れば…)

 

 剣心がそのような存在を欲していない事はわかっている。

 いつ自分が死ぬかわからない状態で彼が自身にとって特別な人を作るわけがないと…

 そう分かっていても願わずにはいられないのだ…

 そこに彼を修羅の道へと誘った要因である事など、関係はなく。

 ただ子の幸せを願う親の気持ちのみがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして耀哉の願いはそう遠くない未来に叶うこととなる。

 未来の蟲柱によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




取り敢えず前までの話に書いてる通り黒死牟とは決着つけれてません。
ただ標的としてロックオンされてしまってます。


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狐面と手鬼と緋色

この作品では真菰はしのぶと剣心の同期という設定です。


 

 

 

 

 

 

『安心しろ真菰。俺も義勇も必ず生きて帰る』

 

 

―それが彼の最後の言葉だった。

 

 

 私には二人の兄弟子がいる。

 正確に言えば二人いた、と言うべきか・・・

 一人は今も無事に生きて鬼殺隊の剣士として活動している冨岡義勇。

 そしてもう一人。

 義勇と一緒に鬼殺隊最終選別へ赴き帰らぬ人となった錆兎。

 話に聞く限りどうやら錆兎は他の最終選別参加者を護って死んだらしい。

 私はすぐにその話を信じることが出来なかった。

 だって錆兎は私たち三人の中で一番強くて、何より約束を守る人だったから。

 でも一人最終選別から帰ってきた義勇の状態を見て、それが真実なんだって理解させられて・・・

 

 私は泣いた。

 嘘つき! そう叫びながら・・・

 

 錆兎は私にとって友達であり、兄の様な存在だった。

 人は自身にとって大事な人はいなくならないという間違った思い込みをしてしまう。

 だけどその時私は思い出した。

 そんなものは幻想であると。

 私の両親もそうだ。何気ない日常の中を鬼によって破壊されて殺されてしまっていたではないか。

 

 

 

 義勇は最終選別から帰ってきてから人が変わった。

 まるで何かに取り憑かれてしまったかのように鍛錬に取り組み、自分の体のことなんてお構いなしに鬼を狩りに行くようになってしまった。

 

 そして私も最終選別に向けて更に厳しい鍛錬を己に課した。

 全ては錆兎の敵を討つため。

 

 などというのは単なる建前だ。

 実際の所常に何かをしていないと錆兎のことを思い出してしまって、辛くなるから・・・

 辛いことから逃げ出すために無茶をしていただけ。

 私は錆兎のように強くないから・・・

 

 そうやって月日が経ち、遂に私も最終選別に参加する時がやってきた。

 錆兎が居なくなった寂しさからも立ち直れ始めたことで、私たちの育手であり、親でもある鱗滝さんから最終選別に参加することを許可されたのだ。

 

「いいか真菰。決して無理をするな。他人の身を案ずるよりもまずは自分の身を護れ」

 

 最終選別に向かう日鱗滝さんから厄除の面と私の身を案じた言葉を貰った。

 鱗滝さんが不安になるのもわかる。

 だって鱗滝さんの今までの子供たちの中で一番強かったという錆兎ですら最終選別で命を落としているのだから。

 でも

 

「大丈夫だよ鱗滝さん。私は絶対に生きて帰ってくるから!」

 

 この言葉が嘗ての錆兎の最後の言葉と重なることを理解しながらも、私は大好きな鱗滝さんにそう伝えることしか出来なくて。

 

「・・・そうか。ならば必ず生きて帰ってこい」

 

「はい!」

 

 鱗滝さんの言葉に頷きながら返事をして

 

「それじゃあ行ってきます!」

 

 私は山を下り最終選別の地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終選別の地、藤襲山。

 季節を問わず藤の花が咲き乱れ、鬼殺隊の隊士達が選別試験のために生け捕りにした鬼が閉じ込められている。

 この山で一週間生き残ることこそが試験の内容。

 

 言葉にすると簡単だが実戦の経験のない者たちが、一週間もの間鬼に囲まれながら生き残らなければならない。

 それは日に日に気力と体力を消耗して、いずれ鬼に喰われる事になる者が殆どだろう。

 錆兎もきっとこの試験の厳しさを理解して、だからこそ多くのほかの参加者を庇いながら戦った。

 でも私はそうする気はない。

 だって私は鱗滝さんの下に帰らないといけないから。

 何よりも優先するのは自分が最終選別に生きて帰ること。

 

 そんなことを考えている私の目に他の二人の参加者が映った。

 

 一人は私と同じかそれ以下の歳の位の蝶の形をした髪飾りを付けた女の子で、まるで何か使命の様なものに駆られているのか、凄く思い詰めた顔をしながら試験の開始を待っていた。

 私がその子を気になった理由は体の小ささだろう。

 私も体は鬼殺の剣士としては小さい。だけれどその女の子はそんな私よりも背丈が低かったのだ。

 あれだけ剣士としての体格に恵まれていないとなると鬼殺の要である鬼の頸を斬ることは難しいのではないかと思ったから。

 まぁ体格に恵まれていないにも関わらず選別に参加しているのだから、何かしらの対策を用意しているのだろうと思うが。

 

 そしてもう一人の参加者はまた私と同じかそれ以下の歳の今度は男の子だった。

 緋色の珍しい髪色をしている少年で、この子も背丈が低く私と殆ど変わらないか少し低いくらい。

 だけどそんな事が気になったのではない。

 この少年は他のどの参加者とも匂い(・・・)が違ったのだ。

 

 私は生まれつき鼻が利いた。

 それは鱗滝さんも同じで、鱗滝さんの下で修練を重ねるうちにいろいろな物の匂いを嗅ぎ分けれるようになった。

 

 そして緋色の髪の少年から発せられる匂いは紛れもなく強者の匂い。

 既に鬼殺隊の一員として多くの鬼を狩っている義勇でも彼ほどの匂いをさせていない。

 

 この選別の参加者の中で彼は酷く異質な存在だった。

 

「皆様今宵は最終選別にお集まりくださって、ありがとうございます」

 

 私が少年に気を取られている隙に、いつの間にか集合場所に一人の女性が現れていた。

 

「私の名前は産屋敷あまね。これより皆様が参加する最終選別についての説明をさせて頂きます」

 

 あまねと名乗った女性はどうやらこの最終選別における進行役のようであり、選別内容を参加者全員に説明していく。

 

「この山には鬼殺の隊士の皆様が捕獲した鬼が数多く捕えられており、最終選別はこの藤襲山にて一週間生き残ることになります」

 

 説明の内容は私が知っていた通りであり、特に今回の選別において変更点などはないようだ。

 

「それでは皆さんどうか御気を付けて行ってらっしゃいませ」

 

 その言葉と共に私たちは皆一斉に動き出す。

 

 最終選別が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終選別に参加して二日経過した日私は困惑してしまった。

 確かに多くの鬼がおり、少しずつだが体力が低下してきている。

 でも本当にそれだけなのだ。

 体力の低下もこのペースなら十分一週間持つであろうし、何より鬼の強さが全くもって大したことなかったのだ。

 

「おかしい・・・」

 

 そうおかしい。

 何体かの鬼を狩ったが、総じて実力が低い。

 この程度の鬼なら例え誰かを庇いながら戦っても負けることはないだろう。

 

 

 ―ではなぜ錆兎は死んだ? 

 

 

 わからない。

 この程度の鬼たちにあの錆兎が敗れたのか? 

 いや、やはり考えられない。

 例え人を庇いながら此処の鬼に複数で襲われても彼ならどうとでも対処できた筈・・・

 

「・・・うっ!! 何この匂い!」

 

 錆兎の死因について考えていた時、突如強烈な異臭が襲い掛かってきた。

 

「匂いがこっちに近づいてきている?」

 

 どうもこの匂いは一つの場所で発生してるものではなく、移動できる何かが放っているもののようだ。

 そうなるとこんな大量の肉が腐ったかのような匂いをさせる存在は一つしかない。

 

「見つけたぁ。俺の可愛い可愛い狐ちゃん」

 

 そこに現れた鬼は巨大な体躯に何本もの太い腕がまとわりついていて、それまでの鬼とは一際異なる異形の姿をしていた。

 

「嘘・・・何で最終選別にこんな大型の異形の鬼が・・・」

 

 鬼の強さとは原則的に喰らった人間の数に依存する。

 より多くの人間を喰らった鬼は肉体を変化させ、更に特異な術 血気術を使用できるようになる。

 だがこの藤襲山には人間を2,3人喰べた程度の鬼しかいない筈であり、こんな大型の異形に肉体を変化させれる鬼などいる筈がないのだ。

 

「狐娘。今の年号はなんだ?」

 

「年号? 今は明治だけど・・・」

 

 突然の鬼からの問いに私は戸惑いながらも返事を返す。

 

「そうか。まだ明治か・・・」

 

 鬼は私の返答にそう呟くと、

 

 

「なら死ねぇぇぇぇえ!!!!!」

 

 体に巻き付いている無数の腕を私にめがけて放ってきた。

 

「いや、意味が分からないんだけど!?」

 

 突然の鬼の攻撃と言動に私はつい声を荒げながらも、その攻撃を回避する。

 だが鬼は私が回避した方向に目掛けて更に腕を放ってきた。

 

 "水の呼吸 参ノ型 流流舞い"

 

 それを私は水流のごとく流れるような足運びによって回避と攻撃を同時に行い対処するが、

 

(か、硬い!)

 

 腕を切断するために放った攻撃の殆どは鬼に僅かな傷を負わせる程度で切断には至らず、結果回避に専念せざる得なくなってしまった。

 

「ほぉ・・・今度の狐は随分すばしっこいな」

 

 辛うじて攻撃をすべて回避した私に鬼は感心したような声を漏らす。

 だが、私はそれ以上に気になることがあった。

 

「・・・さっきもアナタ言っていたけど・・・その狐って何のことを言ってるの?」

 

 この鬼が言っている狐。

 最初は人間のことをこいつがそう呼称してるだけかとも思った。

 だけど違う。

 こいつは私が鱗滝さんから貰った厄除の面を見ながら狐と言っているのだ。

 

 一つの考えが脳裏を掠める。

 当たっていて欲しいようで、当たっていて欲しくない考え。

 

「ああ? 狐が何のことだって?」

 

 だけど現実はそんな私の葛藤なんてまるで考慮してくれない。

 

「決まってるだろ!! お前たち鱗滝の弟子のことだよ!!」

 

 ああ、やっぱり。

 

「俺はあいつに捕まえられて此処にいるんだ! 忘れもしない! 今からもう四十年以上も前のことだ!!」

 

 四十年・・・

 なるほど此奴はそれだけの期間この山で生き残ってきたのか・・・

 

「その狐の面は目印なんだよ。鱗滝が彫った面の木目は俺はよく覚えてるからな」

 

「もういい・・・黙って」

 

「厄除の面って言ったか? それを付けてるせいでアイツの弟子は皆俺が喰ったんだよ」

 

「うるさい・・・」

 

「最近で言えば珍しい髪色をした口元に傷のあるガキを喰ったな。今までで一番強い奴だった」

 

 その言葉が致命打となってしまった。

 

「お前がぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!」

 

 私は今までの人生で発したことの無いであろう声を振り絞りながら鬼に向かって突貫する。

 

 "水の呼吸 拾ノ型 生生流転"

 

 この技は刃を回転させながらの放つ連撃技。

 一撃目より二撃目の、二撃目より三撃目の威力が上がっていく性質を持っている。

 これならばアイツの体がどれだけ硬かろうと切り裂ける! 

 

 そして私は襲い掛かる無数の腕を斬り飛ばしながら奴に向かって一直線に進む。

 

「馬鹿め!」

 

 鬼から発せられた言葉と土の中から生じてる匂いに気づいたのは殆ど同時。

 だけどそれはすでに遅く。

 

「ぐっ・・・」

 

 土から出てきた腕によって私は吹き飛ばされ、山に生えている大木に背中をぶつける。

 

「がっ!」

 

 背中を強打したことで口から体中の酸素が抜け落ちたかのような状態になる。

 

 全集中の呼吸を操る剣士にとって体内の酸素はそれだけでも武器に等しい。

 私はなんとか体に酸素を取り込もうとするも痛みで上手く集中できない。

 

「ここまでだな。安心しろすぐには殺さない。お前は手足を引きちぎってから、ゆっくり味わって喰ってやるからなぁ」

 

 

 

 鱗滝さん・・・

 義勇・・・

 

 ごめんなさい。

 どうやら私はここまでみたい・・・

 

 いまだに体は痛みで立ち上がることが出来ず、刀も気づいたら手から失われていた。

 

 ああ・・・私・・・死んだら錆兎に会えるのかな? 

 

 鱗滝さんや義勇とお別れするのは寂しいけど、また錆兎に会えるなら、それもいいかな・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めるな真菰! どれだけ苦しくても最後まで足掻いて見せろ!』

 

 それは嘗て私が鍛錬に挫折しそうになった時に、錆兎から掛けられた言葉。

 

 他でもない錆兎の仇に殺されそうになって、錆兎の事を思い出しながら抗う事を諦めたら思い出した過去の記憶。

 

 でも・・・

 それだけの事なのに・・・

 

「う、あぁ、ぁぁぁぁあ!!」

 

「なっ?!」

 

 たったそれだけの事が私に立ち上がる力をくれた。

 

「チッ! 立ち上がったからって何だって言うんだ! もうお前に戦う力がないのは明白だ!」

 

 こいつの言うとおりだ。

 未だに体中の痛みは収まらず、足もまともに動かない。

 立ち上がった所で今の私に何かが出来る訳じゃない。

 

 けれども惨めに倒れ伏しながら殺されるのだけは御免だ! 

 

 私はせめてもの意地で鬼を睨みつける。

 

「何なんだその眼は・・・気に入らない、気に入らん! もういい!! お前は早々に死ね!!」

 

 そう言って鬼は自身の腕の一つを私に向かって放った。

 

 駄目だ。

 避けられない。

 

 もう此れで本当にお終い・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・そうなる筈だった。

 

 

 "龍の呼吸 壱ノ型 龍槌閃"

 

「・・・えっ?」

 

 鬼の腕は突如上空から現れた剣士の一撃によって切断された。

 そして腕を斬った剣士は私と鬼の間に立つ。

 

 この剣士は知っている。

 最終選別の集合場所にて最も異質だった緋色の髪の少年。

 

 だけど鬼から私を護るように立つその背中はあの人と重なって・・・

 

「錆兎・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 最終選別初日に鬼を見的必殺! 

 見敵必殺(サーチアンドデストロイ)! ってしてたら二日目から一切遭遇しなくなりました・・・

 

 マジで暇だなーって思ってたら草むらからゴソゴソと音がした。

 

「・・・鬼か?」

 

 ヒャッハー!! 

 もしそうなら暇つぶしに新しく修得した飛天御剣流(偽)の実験台だー!!!! 

 

 

 

 出てきたのは可愛いウサギさんでした。

 

 え? なぜに? 

 この山ウサギなんているの? 

 

 呆然とウサギを見つめてしまう。

 マジかー、こんな殺伐とした山にウサギがいるとは

 まぁ鬼って基本人以外喰わないみたいだしウサギが居てもおかしくはないのか? 

 

 ああ。

 でもなんかこのキュートな小動物を見てると心が癒やされるなぁ〜

 

 やっぱり鬼ばっかり狩ってても心荒んじゃうし、たまには何かで癒やされないとな! 

 

 そう思ってると俺の癒やしのウサギちゃんは急に何処かへと跳んでった。

 

 えー!! 

 ちょっと待ってよ!! 

 今から君で心の回復しようとしてたのに!! 

 

 逃さぬ! 

 絶対にとっ捕まえてモフってやるからな!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かウサギ追っかけてたら腕だらけの気持ち悪い鬼見つけた。

 ちなみにウサギは完全に見失った・・・

 

 許さん・・・

 俺の癒やしを邪魔した悪鬼は我が愛刀の錆としてくれるわ!! (完全な八つ当たりです)

 

 "龍の呼吸 壱ノ型 龍槌閃"

 

 まずはそのキモい腕から切り飛ばしてくれるわぁ! 

 

 そうやって龍槌閃でキモい腕ぶった切って鬼の正面に立ったら、俺の後ろに狐のお面を着けた女の子がいた。

 

 あっ先客いたのね。

 

 ・・・これって俺思いっきり邪魔した? 

 間違いなく邪魔したよね!! 

 絶対今からこの子が腕だらけのキモ鬼ぶち殺そうとしてたとこだよね! 

 

 やっちまったぁ・・・

 抜刀斎ロールプレイしている身でありながら、この空気をまるで読んでない行動。

 

 

 

 よし! 此処は開き直って、いっちょカッコよく鬼ぶち殺そう! 

 

「錆兎・・・」

 

 どうやって鬼を料理してやろうか考えてると後ろの女の子が急に誰かの名前を読んだ。

 

 サビト? 

 さびと、さび、錆、錆兎? 

 

 もしかしてあの原作開始前に死んだ義勇さんの親友の錆兎か? 

 

 え、待ってよ。

 そうなるとこの子は真菰?! 

 マジか! もしかして原作キャラに初のエンカウント!? 

 

 となると目の前の鬼は手鬼?! 

 

 

 よっしゃぁーー!! 

 それなら何の遠慮もいらないな! 

 まずは真菰ちゃんに適当に安心させる為の言葉をかけてと。

 

 

 さぁ見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ! 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく俺が来るまで持ちこたえてくれた。後は任せろ」

 

 緋色の髪の少年は私に向かって表情を変えずに放った言葉。

 その言葉は彼の表情とは異なりとても暖かくって優しい匂いがした。

 

「おいお前。何を邪魔してくれてるんだ? 今から俺がその狐娘を喰ってやろうとしてたのに!」

 

「黙れ」

 

 瞬間辺りの気温が一気に下がったかのような感覚に陥る。

 

「貴様の御託に付き合う気はないんだ。殺してやるからかかって来い」

 

 原因は彼から発せられた殺気。

 先程まであった優しい匂いは既に消え失せて、まるで全てを凍てつかせる氷結のような匂いが辺りを充満させる。

 

「ふっ、な、舐めるなぁ!!」

 

 そして激怒した鬼は彼に無数の腕を放つ。

 その速度は私に放ったとき以上であり、少なくとも私では避けきることは出来ない。

 

 "龍の呼吸 参ノ型 龍巣閃"

 

 だけど彼にとって何ら脅威になり得ず、鬼の腕は瞬く間に全て切伏せられた。

 

「そ、そんな馬鹿な!!」

 

 鬼は一瞬にして自分の腕が全て切り伏せられた事に動揺した。

 かくいう私も彼の技を見て呆然としてしまう。

 剣の速さの次元が違い過ぎる。

 そしてその速さによって生じる破壊力もまた桁違いだった。

 

「・・・これで終わりだ」

 

 私と鬼が驚愕している隙に彼はいつの間にか鬼のすぐ近くの間合いまで移動していた。

 

 "龍の呼吸 弍ノ型 龍翔閃"

 

 そして繰り出された技は下から鬼の頸目掛けて放たれる斬撃。

 鬼の頸をまるで豆腐でも斬るかのようにアッサリと切断した。

 

 強すぎる・・・! 

 最初に見た時から私達とは違うことは理解していたけど、まさかここまで別次元の強さだったなんて・・・

 

 私は少年の後ろ姿と鬼が塵になって消えていく様をただただ見つめていると、彼は私の方を振り返り

 

「体の状態はどうだ?」

 

 既に彼から殺気は発せられておらず、そこには先程と同じ優しい匂いがあった。

 

「う、うん。まだ体は少し痛むけど、多分問題ないと思う」

 

「そうか・・・それなら此処から離れて南の方へ向かえ。そこならば既に俺が殆ど鬼を片付けたから比較的安全だ。体が完全に回復するまではそこで休息を取るのがいい」

 

 そう言って彼は私にまた背中を向けると何処かへと行こうとする。

 恐らく私と同じように鬼に襲われて劣勢になっている人がいないか探しに行くのだろう。

 

「ま、待って!」

 

 ただこのまま彼と離れたら次はいつ会えるかわからない。

 

「助けてくれてありがとう!」

 

 だからせめてお礼を伝えると、彼は少し立ち止まり

 

「・・・気にするな」

 

 振り返ることなく返事をし、この場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後私は特にこれといった危機もなく最終選別を突破して鬼殺隊の隊士となり、更にそれから二年後あの緋色の髪の剣士と再会するのだった。

 

 

 

 

 




いやー、真菰の性格って正直分かりづらいんですよね。
原作でもそれ程登場シーンがある訳ではないので・・・


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原作開始
日輪と龍柱と呼吸


もう少し原作前の話を書こうと思ってたんですけど上手くいかず、いきなり原作スタートします(汗)

後今回の剣心(偽)の内心は結構シリアスな感じです。
最初はいつも通りバカキャラでいこうと思ってたんですけど、そうするとこれまた上手くいかず・・・


 

 

 世界は何時だって、こんな筈じゃ無かった事ばかりだ。

 

「頑張れ!・・・禰豆子」

 

 なんでこんな事に・・・

 

 俺が村まで炭を売りに行き、その次の日に帰ってきたら家にいた家族は皆血を流しながら何者かの手によって殺されてしまっていた。

 その中で唯一息があった妹を村の医者に診せるべく山を降りている最中・・・

 

 妹、禰豆子は人喰いの鬼になってしまった。

 

 そして今まさに俺は鬼と化した禰豆子によって喰われようとしている。

 

「頼む禰豆子・・・正気に戻ってくれ・・・鬼になんかになるな!」

 

 俺は押さえつけられながらも、必死に禰豆子に語りかける。

 家族を護れず、たった一人生き残った妹は鬼になった。

 ならば鬼になった妹を救う。

 それこそが今自分に出来る唯一のこと。

 

「・・・ウッ、ウウッ・・・」

 

 すると禰豆子の瞳から雫が流れ落ちる。

 

 禰豆子は泣いている。

 まだ心まで鬼に染まりきっていないんだ!

 

 そう分かると俺は更に語りかけようとした、がその時誰かが禰豆子に向かって刀を振り降ろそうとしているのが見えた。

 俺は必死になって禰豆子を抱え込む。

 そして雪の上を転がり、その刀から何とか禰豆子を護る事に成功すると俺はたった今禰豆子を斬ろうとした男を見る。

 男は赤髪の長髪に短身痩躯な体つきをし、左頬に刻まれた大きな十字傷が特徴的な酷く冷たい眼をしている人だった。

 

「・・・何故邪魔をする」

 

 禰豆子を斬り殺そうとした十字傷の男は、その眼と同じく冷たい声音で俺に話しかける。

 俺はその眼と声に畏縮しそうになるのを必死に耐えて声を張り上げた。

 

「妹だ!禰豆子は妹なんだ!」

 

「・・・なるほど。身内を鬼にされたか」

 

「そうだ!それに禰豆子は誰も殺してないんだ!」

 

 俺は男から禰豆子を護るべく言葉の限りを尽くそうとした。

 

「俺の家には一つ嗅いだことのない何者かの匂いがしたんだ!多分そいつが俺の家族を殺したんだ!」

 

「・・・そうか」

 

 男はそう言うと刀を下ろした。

 

 理解してくれた!

 そう思ってつい油断した次の瞬間、男は俺の視界から消えた。

 それと一緒に抱きかかえていた筈の禰豆子も消えていた。

 

「なっ・・・禰豆子!」

 

 俺は禰豆子を探すために必死になって辺りを見回す。

 すると背後にて禰豆子は男によって地面に押さえつけられながら刀を頚元に突きつけられていた。 

 

「・・・悪いが俺は鬼殺隊の剣士だ。鬼を狩る事を生業としている。ここでこの子を見過ごす気はない」

 

「まっ、待ってくれ!本当に禰豆子は人を殺してなんていないんだ!」

 

「確かにお前の妹からは人を喰った鬼の放つ独特の匂いはしない。だが、それならば尚の事今ここで人として殺してやるべきだ」

 

 男は俺を鋭い眼で見ながら

 

「お前は妹を人喰いの化け物にしたいのか」

 

 と言い放つ。

 

「禰豆子は人を喰ったりなんてしない!・・・俺が決してさせない!」

 

「不可能だ。お前は食事をせずに生きられるのか?鬼にとって人を喰うのは生きていくための本能だ。それを抑える事など出来はしない」

 

 だから俺達は鬼を狩らなければならない。

 男はそう続けながら刀を振り上げようとする。

 

 駄目だ。

 この人は絶対に鬼になった禰豆子を殺そうとする。

 なら、どうすればいい?

 戦う?

 不可能だ。

 さっきどうやったか分からないが俺の視界から一瞬で消えて禰豆子まで奪った事を考えると、この人は鬼を殺すための特別な力がある・・・

 ただの炭売りの俺がどうこうできる人じゃない・・・

 

「お、お願いします・・・禰豆子を、妹を殺さないで下さい・・・俺がきっと妹をもとに戻して、家族を殺した犯人も見つけてみせます・・・だから、どうかっ・・!」

 

 だから俺に出来ることは惨めったらしく頭を垂れながら懇願することのみだった。

 

 それでも俺は、もうこれ以上失う訳にはいかない。

 

 だって禰豆子は今俺に残された、たった一人の家族なんだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 今俺の眼前には必死に鬼になった妹の命を救うべく、雪に頭を擦りつける少年がいる。

 

 俺はこの少年を知っている。

 原作主人公の竈門炭治郎だ。

 

 俺はこの少年が無惨によって家族を殺され、妹を鬼に変えられる事を知っていた。

 だからこそ少年の家族を救い、かつ無惨を討伐するために竈門家の情報を調べていた。

 

 だが流石は最後の日の呼吸を継承する一族と言うべきか、彼ら一家の情報は中々手に入らなかった。

 

 ようやく居場所を突き止めたと思えば全ては遅く、原作通り彼の家族は殺され、妹も鬼とされていた・・・

 

 唯一原作と異なる点と言えば、鬼となった禰豆子ちゃんを殺そうとしているのが冨岡さんではなく俺ということ。

 

 この少年が何も悪くない事は分かっている。

 悪いのは全ての元凶である鬼舞辻無惨、そしてこの事件が起こる事を知っていながら、それを阻止できなかった俺自身だ。

 

 それでも目の前でうずくまりながら懇願する少年に俺は心を鬼にし抜刀斎を演じる事も辞めて声を張り上げる。

 

「ふざけるな!お前如きにいったい何が出来る!」

 

 俺の怒声に炭治郎は体を強張らせる。

 それを見て罪悪感に苛まれるも、俺は更に追い打ちをかける。

 

「先程のあの程度の俺の動きにまるで反応できず無様に妹を奪われ、更にはその相手に頭を垂れて懇願する以外何もできないお前が!」

 

 この子の行動は何一つ間違ってない。

 普通に考えて今の炭治郎が俺に適うわけがなく、下手に特攻紛いの行動に出ても、彼が俺の下に辿り着く前に俺が禰豆子ちゃんの頚を斬る方が明らかに早いだろう。

 

「今この時に何も出来ない人間が今後何かを成せるわけがない!」

 

 だけども彼には今ここで厳しい現実に立ち向かって貰わなければならない。

 

 別に俺は炭治郎を鬼殺隊に必ず入隊させたい訳じゃない。

 この少年が鬼殺隊に入らずとも俺は全く問題ないのだ。

 

 ・・・いや、まぁ物語的に問題ありかもしれないが、彼の人生を俺が縛りつける権利などないわけだし・・・

 

 まぁどのみち今ここで炭治郎が立ち上がる事が出来なければ、彼は一生この事件に苛まれ続けて、何れは生きる気力を失ってしまうだろう。

 

「・・・恨みたければ俺を恨め。だがお前の妹を人喰いにせぬためにも俺は躊躇しない!」

 

 炭治郎の方を見れば、彼は既に心身ともに疲弊している状態にも関わらず俺の心無い言葉によって頬を濡らしていた。

 それを見て一瞬決意が揺らぎかけるも、意を決して刀を振り上げた。

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 やめろ・・・

 やめてくれ!

 

 俺は必死に禰豆子を殺さないでくれと頼んだ。

 しかし男からの返答は全く容赦なく、それでいて完全な正論だった。

 男の言葉を聞きながら自分の認識の甘さと無力さを痛感して、涙が溢れた。

 

 そして男は再び刀を振り上げる。

 

「うっ、うぁぁぁぁあ!!」

 

 それを見た俺に出来た最後の行動はただ我武者羅に手元の斧を持って男に突撃することだけ・・・

 

 だけれど、こんな考え無しの突撃がこの人に通用するわけがない。

 どうする・・・

 どうすればいい・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

『呼吸だ炭治郎。息を整えてヒノカミサマになりきるんだ』

 

 

 

 

 それは嘗ての父の言葉

 

 その言葉を思い出したと同時に俺の体は加速した。

 

「な、に・・・ッ!?」

 

 男は俺の動きの変化に驚きの声を上げるが、そんな事に構うことなく斧を振り上げ大上段からの一撃を放とうとする。

 例え此れで俺が人殺しとなろうとも禰豆子だけは護ってみせると覚悟を決めて!

 

「あぁァァァあ!!」

 

 必殺の覚悟で放った一撃。

 

 だけども男の姿は禰豆子と共に再び消えていて

 

 "龍の呼吸 肆ノ型 龍巻閃"

 

 またいつの間にか背後に回っていた男の刀の峰打ちを頚に食らってしまい、俺は意識を手放した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 やり過ぎたぁぁぁぁぁあ!

 

 最後の炭治郎の動き!

 あれ明らかに全集中の呼吸を使ってたよなぁ・・・

 

 まさか俺が追い込み過ぎて原作の段階飛び越えて覚醒するとは・・・

 

 ヒノカミカグラェ・・・

 

 

 まぁ起こっちまったもんは仕方ない!

 今はこの二人をどうするかだな。

 

 今俺の目の前には炭治郎だけじゃなく禰豆子ちゃんも一緒に転がっている。

 まぁ原作通り炭治郎失神させたら今度は禰豆子ちゃんが兄を護るため俺に襲いかかってきたわけだ。

 

 んでもって俺は禰豆子ちゃんの頚を鞘でド突いて本日二人目の昏倒者誕生!といった感じた。

 

 まぁこれ以上俺が何かしてやれる事もないし、後はこちらの事をさっきからずっと観察してる人にぶん投げよ。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 最後の最後でこの男は締まらない・・・

 

 

 




何故こうなったのか・・・

Answer 作者に文才が無いから


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水と日輪の兄妹

キメツ一巻読み直したら炭治郎が母やのことを母ちゃんと呼んでることが判明。

完全に母さんだと思ってたのだが・・・


 

 

 

 

 

 

 

「置き去りにしてごめんね炭治郎・・・」

 

 俺は暗闇の中、確かに母ちゃんの声を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ・・・」

 

 俺は意識を失ってたのか?

 一体どうして?

 

 俺は頭が回らない中、辺りを見回した。

 すると俺のすぐ横に禰豆子も意識を失った状態で横たわっていた。

 

「ね、禰豆子!」

 

 俺はそれを見て全てを思い出した。

 急いで禰豆子を抱きかかえて様子を見る。

 

「い、生きている・・・」

 

 口に竹製の枷を噛まされている以外に特に変わった様子はない。

 どうやらあの十字傷の剣士は禰豆子を殺さないでくれたみたいだ。

 

「あ!起きたんだ。大丈夫?」

 

「うわぁ!?」

 

 禰豆子の無事を確認してすっかり気が抜けてしまい、背後にいた誰かの声に驚きの声を上げる。

 

「ああ、ごめんね。驚かせちゃったね」

 

「え、い、いえ!俺の方こそ変な声を上げてしまって、すみません・・・」

 

 俺は背後の人物の方に向き直り謝罪して、その人を見る。

 その人は俺より年上だろうけど、とても可愛らしい女の人だった。

 服は十字傷の剣士と同じものを着ていて、更に頭には狐の面がつけられている。

 

「私の名前は鱗滝真菰。緋村さんから君たち二人のことは一通り聞かせてもらったよ」

 

「緋村さん?」

 

「ああ、彼名乗ってないんだ・・・十字傷のある緋色の髪の人のことだよ」

 

 俺は真菰さんから色んなことを教えてもらった。

 鬼のことや鬼殺隊のこと、更に緋村さんのことも。

 

 鬼というのは鬼舞辻無惨という鬼たちの始祖に血を与えられることでのみ増え、そして人を襲い喰らうということ。

 鬼殺隊はそんな鬼を退治することを生業とする剣士の集まり。

 そして緋村さんはそんな鬼殺隊の中でも当主を除けば一番位の高い”柱”と言われる階級の剣士なのだということ。

 

「鬼殺隊には幾つか隊律があって、鬼を庇ったり見逃したりすることは絶対の禁忌とされてるんだ」

 

「っ!なら緋村さんはどうして・・・」

 

「君の妹、禰豆子ちゃんは君が緋村さんに気絶させられた後必死で君を守ろうとしたんだ。自分が重度の飢餓状態であるにも関わらず」

 

「えっ・・・」

 

 俺はそれを聞いて禰豆子の方を見る。

 本当は長男の俺が皆を守らないといけないのに、俺は誰も守れず更には守られていたなんて・・・

 俺は悔しさに胸を締め付けられる。

 だがそれと同時に禰豆子がやはり心まで鬼に染まっていなかったことに、安堵し喜びを覚えた。

 

「それを見た緋村さんが禰豆子ちゃんは普通の鬼とは違うと思ったんだと思う。だから殺さずに私に事情を話して保護してくれないかって頼んだんだ」

 

「そうなんですね・・・」

 

 緋村さんが・・・

 俺の中でのあの人の印象が変わった。

 

「そして今君には二つの選択肢がある」

 

 そう言って真菰さんは真剣な表情で俺に語り掛ける。

 

「一つは君たち二人とも私と私の師匠の監視下で生活すること。禰豆子ちゃんの方は常に私たちの目の届くところにいてもらうから当然自由な時間なんてない」

 

 当然だろう。

 いくら禰豆子が心まで鬼になってないと言っても、今後もそうだとは言いきれない。

 そして鬼を殺すことを生業とする真菰さんたちが、自分たちが殺さずにいた鬼で誰かが傷つくなんて事態を起こすわけにはいかない。

 

「そして二つ目は君が鬼狩りの剣士となって禰豆子ちゃんと一緒に鬼を人に戻す方法を探すこと」

 

「俺が剣士に!?でも俺刀なんて握ったこともないですよ!」

 

「もちろん直ぐに剣士になれるわけじゃないよ。相応の鍛錬と試練を乗り越えないといけないから、命を落とす可能性だって十分にあるしね」

 

 真菰さんは、でもと続け

 

「強くなれば自分の手で今度こそ誰かを護れるかもしれない」

 

 そうだ。

 俺は・・・俺が禰豆子を護らないと駄目なんだ。

 最初の選択肢の方が確かに安全かもしれない・・・だけれども俺はこれ以上誰かに頼るだけなんて出来ない。

 

「・・・その表情、覚悟は決まってるみたいだね」

 

「・・・はい」

 

 今度こそ護ってみせる。

 禰豆子を護りながら人に戻して、家族の仇をとる。

 そのために

 

「俺は鬼狩りの剣士になります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は鬼狩りの剣士になります!」

 

 そう目の前の少年、炭治郎は力強く宣言する。

 

 緋村君・・・

 貴方の言う通りこの子は剣士の道を選んだよ。

 

 私がこの少年の下に来たのは緋村君に少し遅れてのこと、二人目の師であり直属の上官である義勇の命によってこの山近辺の調査を行っている最中に鬼に惨殺された一家を発見したのが始まりだ。

 私は急いで辺りを駆け回り、首謀者の鬼が居ないか探した。

 そして見つけたのが鬼の少女に刀を突き付けている緋村君と、その緋村君に向かって土下座しながら少女の助命を乞う少年、炭治郎の姿だった。

 状況は炭治郎の言葉から大体は理解できた。

 鬼の少女は少年の家族であり人をまだ殺してないこと、そして少年は少女以外の家族を殺されてしまったこと・・・

 

 私はすぐにその場に出ていくことが出来なかった。

 今まで多くの鬼によって家族や恋人などの大切な人を失ってきた人たちは見てきたけれど、家族を鬼にされた人を見たのは初めてだったから・・・

 本当なら少年をすぐに気絶させ緋村君と一緒に鬼になってしまった少女を退治するべきなのに・・・

 私は彼から家族を奪いたくないと思ってしまったのだ。

 

『ふざけるな!お前如きにいったい何が出来る!』

 

 でも緋村君はそんな炭治郎に向って容赦の無い言葉を発する。

 普段の彼からは考えられない怒声の叱責は炭治郎を追い詰め、そして鬼の少女に向けて刀を振り上げた。

 

『・・・恨みたければ俺を恨め。だがお前の妹を人喰いにせぬためにも俺は躊躇しない!』

 

 彼のこの言葉に私は息を呑む。

 私は此処から出ていけなかったのは覚悟が足りなかったから、例え恨まれても少年の家族を人喰いの化け物としてではなく人として殺す覚悟が・・・

 

 私はおそらく自分の家族、そして錆兎を失った時の自分と炭治郎を重ねてしまっていた。

 だからこそ殺したくないなどという鬼殺の剣士として恥ずべき感情を優先してしまった。

 

『うっ、うぁぁぁぁあ!!』

 

 そうして私が自分の甘さを恥じていた時、炭治郎は斧を持ち妹を護るべく緋村君に向かって駆け出した。

 

 無謀。

 そう断ずるしか他にない彼の行動だが、責めることは出来ない。

 私と違って度胸があり、何が何でも妹を護ろうとする覚悟があったから。

 

 だけども傍目から見て間違いなく戦闘の素人である彼に緋村君が万に一つも後れを取るわけがない。

 恐らく適当にあしらわれて気絶させられるだけ・・・

 

 そう考えていた私の目に次の瞬間驚きの出来事が映った。

 

『あぁァァァあ!!』

 

『う、嘘・・・っ!』

 

 明らかな身体能力の強化。

 それは間違いなく全集中の呼吸によってのみ引き出される力。

 

 

 "龍の呼吸 肆ノ型 龍巻閃"

 

 でも緋村君はそんな彼の強化に何ら関係なく、あっさりと返し技での峰打ちで彼を気絶させた。

 

 多少の驚きはあったが結果的に予想通り少年は気絶させられて後は鬼の少女のみとなった時、少女は緋村君が技を放ったことで緩めてしまった拘束から無理やり抜け出してしまった。

 そのまま炭治郎の下に駆けた少女を見て私も飛び出しそうになる。

 だが今から私が飛び出しても間に合わない。

 少女の鬼は鬼化して恐らく間がない、更には傷も負っていることから見てまず間違いなく重度の飢餓状態にあるはずだ。

 故に少年が彼自身の妹の手によって殺され喰われてしまう未来を想像して目を背けそうになるが、そこには今日二度目の驚愕の事態が起きていた。

 

 少女は兄を喰らうのでなく、まるで庇うかのように緋村君との間に立塞がっているのだ。

 そして少女は威嚇を交えながら緋村君に跳びかかった。

 

 鬼に変化したばかりの者は総じて知能が低下してる場合が殆どだ。

 しかし人であった時以上に本能や直感などは研ぎ澄まされる。

 彼女は緋村君が自分よりも遥かに強いことを理解している筈。

 

 にも関わらず彼女は緋村君と戦おうとする。

 自分の兄を護るために・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後緋村君によって鬼の少女禰豆子ちゃんも気絶させられ、兄妹揃って雪の上で意識を失っている状態となってから私は彼の下に近づいて行った。

 

『・・・随分と長い様子見だな』

 

『やっぱり気づいてたんだ』

 

 彼は兄妹から視線を逸らすことなく私に語りかける。

 

『まぁいい。それより頼みがある』

 

『・・・一応聞くけど、何かな?』

 

『この兄妹の面倒を見てやってくれ』

 

 やはり私の想像通りの言葉が彼の口から出てきた。

 

『いいの?鬼を見逃す、わかってると思うけどこれは重大な隊律違反だよ』

 

『ああ、わかってる。責任はすべて俺が取る』

 

 彼はそう言って私の方に振り返り

 

『本来はこんな事お前に頼むべきことではない、だが俺が面倒を見ようにも任務でそうもいかない』

 

 だから頼む。そう言って緋村君は私に頭を下げた。

 

『・・・わかった。この二人は私の方で何とかするから、緋村君はお館様に報告しておいて』

 

『・・・助かる』

 

 緋村君はどこか安心した顔をしながら顔を上げる。

 

『でもこの子が鬼殺の剣士になるかどうかは保証しないからね。私もそこは無理強いする気はないし』

 

『ああ、俺もそこは本人の意思を尊重したい』

 

 彼はどこか悲痛そうな顔をしながら、だがと続け

 

『この少年は刀を握るだろう・・・そう思えてならない』

 

 彼はそういうと二人が目を覚ます前に山を下りた。

 

 炭治郎と直接対峙した彼は理解したんだと思う。

 少年の真っ直ぐさに。

 そして意志の強さに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 いやー覗いてたのが真菰ちゃんでよかったぁ~~

 これが冨岡さんだったらコミュ力の低い俺じゃ上手く話しが纏まんないもんなぁ!

 

 真菰ちゃんには申し訳ないけど、あの兄妹のことは丸投げして俺はとっとと下山!

 

 

 なんか最近抜刀斎感なくなってきてる気がするから、街行って飯食ったら鬼狩ってカッチョよく抜刀斎ロールプレイを決め込むべ!!

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 本当に残念極まりない男である・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




真菰ちゃんのキャラがわかんねー

でも冨岡さんのキャラもよくわかんねー
天然ドジっ子とか難易度高すぎ


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