がっこうぐらしⅠ隠しモード~サブキャラ救出ルート~ (三郎丸)
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第1フェーズ『はじまり』
1-1『プロローグ上』
流行りに乗りたかった(迫真)
さあ始まりましたがっこうぐらしⅠ隠しルートにして最大の原作ファン歓喜ルートそしてそこに辿り着くまでの苦行という名のがっこうぐらしⅠのメインディッシュが。
そもそもこのルート解放自体が非常に面倒で『全主人公でそれぞれ主要キャラとの恋愛エンドを二人以上見る』というもの。
このゲーム主人公が男女3:3の計六名と無駄に多く更に女主人公での恋愛エンドが異様に難しい。
まず恋愛エンドは基本ハッピーエンドだしそりゃ同性だから当たり前と言われたらそれまでだがそれにしたって友情エンド率の高い事。
ちょっとくらい百合率高くても良いだろうが!とユリスキーなプレイヤーからは苦情が飛び交った程である。
そして男だから簡単かと言われると全くそうでもない。
女キャラの百倍は楽だがヤンキーキャラの真田龍我だと友情エンド率が高まり、デブ陰キャの漆原臨太郎だと一部キャラの不信感を高めやすく不和を生みやすい為恋愛以前のバッドエンドになりやすいといった難点がある。
これでも女主人公ルートより万倍やりやすいのだから頭がおかしい。
一番まともなのがナルシストで女好きの武智栄真という事態。
ただコイツ自体は正規ルートを行けばみーくん救出前には不信感が払拭出来る程度の積極的なコミュイベントが発生する為そこまで行けば後は選びたい放題だしハーレムルートの好感度調整のバランスも取りやすい。
大正義陽キャ、コミュはやっぱり大事なんやなって。
さてそんなこんなな前座はここまでにして本ルートの主人公な訳ですが。
なんと驚く事に『固定四人』という地獄の様な形式になってるんですね~これが。
四人中一人は絶対固定のキャラとなりますが他三人は男or女でまだ選択の余地が二択だけ残されてるのが救い。
ここまで聞いたら『あっ…(察し)』になってる方々もいると思いますがこの三人、今までやってきた男女主人公からの選択になります。
そして更に言えば本ルートだけはヒロイン固定(一部キャラ例外あり)となっておりそのヒロインキャラとの仲を深めておけば他のヒロインや主要五人と不仲になっても修正は可能(楽とは言ってない)。
あ、最後のポイントですがこのルートは各主人公とヒロインとの愛情度が主人公の強さと生存率に大きなバフを与えるのととある要素が女主人公だとかなりのデメリットになるのでユリスキー以外は必ず男を選択してからスタートしましょう……とある要素は始まってそこそこ初めの方にあるんでそこで合わせて説明します。
……っと、取り敢えずダウンロードが終わったので始めていきますか。
「っだー! また負けた! えーしんお前やっぱ強過ぎ」
「ふっ、君達とは年季が違うのだよ年季が!! リュウガ、君は単純すぎるんだよ!」
「あーあ今度は勝てると思ったんだけどなあ」
本編のかわいいOPと違いバトル系ギャルゲーさながらの熱いOPと共に開幕した本ルート、ここに辿り着いたものだけが視聴出来る貴重さながらかなりの高評価であり早くCDを出せと言われる始末。
さてそんなこんなで始まりましたが実は選んだ三人このルートだと男女問わず親友設定があるというとんでもない始まり方でして、初見だと趣味も性格も噛み合ってない為知り合いとすら思ってないので驚愕されたプレイヤーも多いかと思われ。
「つーかさ、俺昨日変な夢見たんだけどさ……ゾンビに追われる夢」
「ほう……」
「……んだよその意味深な溜め息は」
はいここフラグです、皆さん良く覚えておきましょう。パンデミックは『こ の 後 す ぐ』です。
というか話が急すぎやしないですかね。
「……ボクも同じ夢を見た、と言ったら信じるかな?」
「なっ!?」
「あ、あの……ぼ、僕も多分同じ夢見たんだけど……みんなもしかして学校で追われたりしなかった?」
「……どうやらボクとリンタローは同じ場所で同じものに追われたらしいが、リュウガ……君はどうなんだ?」
「俺もだ……急に学校で目が覚めると辺りがゾンビになってたんだ……こんな偶然あるかよ?」
三人が同時に同じ夢を見るなんて不可解だな~おかしいな~。
これで偶然と思うならこの人達主人公やれてないんで、はい。
謎に急展開ですがガンガン進んでいきます。
「取り敢えず警戒しておいて損は無いだろう、たかが夢と捉えるには余りに怪しい」
「そ、そうだよね! だから今日は三人一緒に――」
はい臨太郎くんの言葉を遮りここで悲鳴が入ります、甲高い女の。
そうですこの始まりの時点で既に『パンデミック当日の放課後』なのでした。
しかし慌てない慌てない。
この時間違っても本編正規ルートの屋上に行ってはならないのです、四人目の主人公を動かす事無くその四人目が死にゲームオーバーです。
ここで取れる選択肢は
1.学校を脱出し三人固まって行動する
2.校内にいる生徒教師に学校及び市内脱出を呼び掛ける
この二択だ。
前者は手堅く生存しルートに入る為のルートだが後者はハイリスクハイリターン。
リスクとして死亡率、つまりこの時点でのゲームオーバー率が跳ね上がる。
そしてその後もハードモードになるのだが……ここでは割愛。
リターンに関してはこの時点で屋上に到達していない恵飛須沢胡桃以外の主要生活部好感度の上昇、これが無いと闇討ちに遭ったり一度行動を共にしてしまうとでしゃばれなくなる(してしまうと不信感が高まり以下上文)といった苦しい事になるので出来れば後者を選んでおきたい。
あ、因みに生徒や教師が逃げようが難易度が上がるだけで本編には一切関係無いので説明しながら倍速作業してました(無慈悲)。
「ちぃっ……あっちからこっちから……」
「キ、キリが無いよ!」
「やはり三人共に、は少々目立ち過ぎるか」
さあシナリオが帰ってきました。
前者後者どちらを選ぼうとこのセリフになるので自分の手腕がどれだけ信じられるかで変えるのをおすすめします。
そしてストーリー進行ですが、前者だと三人で路地を闊歩するのが目立ち。
後者だと今の様に騒いだ為にゾンビが学校に押し寄せてきます。
「……えーしん、りん……こっからは一旦バラけて行動するぞ」
「……そ、そうするしか無いの?」
「リュウガにしては冷静な判断だ……リンタロー、我々はこの状況でいつまでも固まっていては共倒れるのが末路だ。ならば一人ずつ動き身を隠し再び合流するのが合理的だ」
「俺はお前らと……先輩を信じてるからな。必ず生きてまたこの学校で会おうぜ」
「二人が言うなら……やるっきゃないね。僕はどんくさいけど、絶対生きて戻ってくる。生きてまた四人で笑い合える日々を送る為に」
「君達が死んでは張り合う相手もいないからな……決して死ぬなよ」
三人は誓い合いそれぞれ分散して逃げて……ここまでが三人のプロローグになります。
今回はここいらがキリ良いので終了、第二回は『四人目の主人公』遂に登場!
はてさて一体誰なのか!
伏線散りばめ過ぎて分かりやす過ぎるな!
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1-2『プロローグ下』
さあ三人がそれぞれのルート初期地点に向かったので四人目の主人公の視点に移ります。
四人目は三人が直前だったし大丈夫やろという運営の慢心からパンデミック直後という日常を楽しむ暇すら与えない鬼畜仕様となっています。
「ふざっけんなよクソ!!」
『突然、下校直後の女生徒が苦しみ出したと思ったら隣の一緒に帰っていた女生徒に噛み付いた――まるで意味が分からない間に周りはパニックになっていた』
いやパニックになるのは初見プレイヤーもです。
視点が変わったと思ったら初っ端から戦闘フェーズとか頭が狂ってるとしか思えない。
幸いこの主人公は運動部でそれも陸上部、周りも運動部だった為に逃げ果せ一般モブがゾンビになりフィジカルで拮抗する様なゾンビがいないのが救いですかね。
取り敢えず一定まで倒せば画面が切り替わるのでその辺にある陸上部槍投げ部門が使ってた槍を拝借しまして……せぇい!!
と作業してる間にこの主人公の特徴をば。
三人と違いプロローグ終了時点で生活部と行動を共にするのが正規ルートになるのでヒロイン以外の好感度上げにもそこそこ敏感にならないといけないのが面倒な点。
しかしヒロインのファンにとってこの主人公と共にヒロインがそつぎょうを迎えるのは願ってもない大歓喜なルートである。
何故ならそのヒロインは……
「先輩!! 大丈夫ですか!?」
「くるみ……! 無事だったんだな!」
皆さんお馴染みシャベルゴリラこと恵飛須沢胡桃さん。
ええ、もうお分かりでしょう。
くるみがヒロイン、先輩呼びされると言ったらあの方しかいません……そう、原作、本編ではゾンビになりくるみの覚醒引換券としてお陀仏となるあの先輩です。
この先輩冷静に考えて三年生のくるみに先輩呼びされてる時点で大学生の可能性が高いんですがくるみや先程の三人と親交が深く良く遊びに来ている設定らしいです。
そしてこの主人公陣営唯一の名前決めタイムの時間だオラァ!!
先輩は一貫してその呼び方しか原作でも本編でもされなかった故にこのルートでのみお前らが決めろやって事らしいですはい。
何はともあれくるみの先輩生存ルートは原作から見ていたファンからしたら最高の救済ルートに他ならないのである。
取り敢えず悩みましたが名前は『倉田哲晶』で。
しかしこのゾンビ倒し作業、そこそこ難易度が高くくるみが来た後はまだ戦闘要員になってないこのヒロインを守りながらの戦闘になります。
「次から次へと……! くるみ! お前絶対俺の後ろから離れるなよ!」
「は、はい!」
この先輩フィジカルがあるとは言いましたが完全な俊敏性タイプで機動力と回避能力はあるんですがHP、攻撃、防御、知力、精神共にモブレベルしか無くエンカウント確率が高い癖に戦闘向きですら無い面倒なステータスなんですよね……まあ今までどのルートでも見せ場の一つも無くくるみに背負われてた上で脱落してたんでそれを思えば天と地の差ですが。
「(よし、隙が出来た!)くるみ、このまま校舎に逃げ込むぞ! 走れるよな!?」
「あたしの足を見くびらないでくださいよ!」
「っし! それでこそくるみだ!」
さて一定以上のゾンビを倒したので校舎に逃げます。
ただ校舎にも少なからずゾンビはいます、真田、漆原、武智が逃がした生徒の代わりに放たれてる強化ゾンビが大半で。
お分かりかと思いますがこの学校は黒幕ランダルコーポレーションと深い繋がりがあり元々ゾンビとして配置するはずの生徒達が逃げ出した事により予備で待機していた地下にいたのを『学校側が』放出しています。
本編ではどう足掻いても生徒の犠牲者は変わらないので地下施設に行った時のみその存在を確認出来る言わば隠し設定なんですよね、これ。
「中もゾンビだらけかよ!!」
「先輩! こうなったらあたしも戦います!」
「くるみ……」
ここで出てきます選択肢。
1.一緒に戦いながら逃げる
2.戦わずに屋上に逃げ込む
この二択な訳ですが1を選びたいでしょう?
はいこれ罠です。
1を選ぶと未覚醒で攻撃がちょっと高い程度の回避が先輩未満、紙耐久のくるみがでしゃばってきてゲームオーバー一直線です。
速攻2を選んで生活部と合流しましょう。
「いや、ここで戦うのは得策じゃない。奴らは段差に尽く躓いてたから階段に弱い……このまま突っ切って屋上に行くぞ!」
「た、確かに相手が多過ぎる……分かりました! 倉田先輩とならどこまでも突っ走ります!」
このセリフが入るとそのまま屋上まで話が飛びます。
ここに来て漸くくるみ以外の生活部が出てきます、まあ大体この時点ではサブキャラなんで出番はある条件を満たさない限りこれ以降そこまでありませんが。
「おい開けてくれ! あたし達は人間だ! 噛まれてもいない!」
「生存者!? い、今開けます!」
生活部待望の二人目はみんなの癒しめぐねえ。
戦闘には絶対立たせてはいけない貧弱ステータスだが貴重な全体正気度、体力回復スキル持ちなので有能です。
なお当人の正気度は豆腐のもよう。
「さあ早く中へ……ひっ!?」
この通りちょっと顔と服に返り血を浴びてる倉田を見ただけでビビるくらいなんで笑えすらしねえや。
「悪いがこっちも生きるので精一杯だったんだ、汚いのは許してくれ」
「ご、ごめんなさい私血を見るの苦手で……その、くるみさんを守ってくれてありがとう。えっと……」
「倉田哲晶です」
「哲晶くんね、話はくるみさんから良く聞いてるわ」
「……くるみ?」
「ちょ、めぐねぇ!?」
屋上を封鎖して暫しの雑談タイム。
いやー話の調子だけならありがちな学園物なんですがねえ、倉田くん血塗れだから雰囲気ぶち壊しだよ。
「あはは、その話はまた今度じっくり聞かせてもらうとして……佐倉先生と俺達以外に後何人ここにいますか?」
「今は……後二人です」
その二人というのがゆきちゃんとりーさんなのは十中八九承知してます。
まあ生活部初期メン+倉田くんという面子だけならそこまで差は無い感じでこの生活部はスタートするんですが、何せくるみちゃんが未覚醒なもんで手数は増えても戦力的には本編より大分苦しい。
これが最初の苦行なんですよ、何とかショッピングモールに行くフェーズまでこれで凌がないとならないのはただのギャルゲー感覚で始めたプレイヤーを尽く地獄逝きにしていったのをTwitterやまとめサイトで犠牲者の声として見ています。
早く覚醒しねえかなこのゴリラ……
「そう……ですか」
因みにこの人が落胆してるのは同じ主人公組且つ面倒見てた後輩三人がいるかもと聞いたからなんですが見事に四人バラけた上に合流はまだまだ先のフェーズになるんですよねえ。
「貴方達も無事だったのね……」
「ああ……えっと、あっちの子は……」
「……この光景が余りにショックで気絶してしまったの」
「そうか……確かにこの光景は信じたくないかもな……」
りーさんこと若狭悠里に関してはこの時点だと頼れるお姉さん、焦燥感はありつつもパンデミックでグロな光景に疲れたプレイヤーの癒しにもなります。
対してゆきちゃんこと丈槍由紀は初日の接触が不可能、次の日には幼児退行して頭アッパラパーになってるのでそこからがスタートです。
そんなこんなで一通りキャラの現状把握を終えると5時の鐘が鳴りゾンビは生前の習慣に倣って『下校』していきます。
「た、助かったのか……?」
「よ、良かったぁ……」
『何故かは分からないが奴らは鐘が鳴ると学校から立ち去っていった。理屈は分からないが助かったのは理解した……そして落ち着いてみてやはりこれが夢じゃない、現実なんだと知り思わず拳を握り締める。なんでこんな残酷な事が起きねばならなかったのか、龍我、栄真、臨太郎は無事なのか……確かめないといけない。全てを知らなければならない。だから俺は生きていく、このクソッタレみたいな地獄を――』
半泣きでへたり込むめぐねえやっぱかわいいっすね……というのはさておき倉田くんの独白が挟まりこれでプロローグは終わりです、お疲れ様でした。
次回からは原作のみーくん救出フェーズに当たるえんそくまでのそれぞれ個々の物語を1フェーズ一人でやっていく事になります。
くるみと戦った場合のメリット
ドロップしたアイテムがそのまま初期装備に加わる
くるみとの愛情度上昇
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第2フェーズ『漆原臨太郎ととある妹』
2-1『深夜の学校』
真田龍我(サナダ リュウガ)
武智栄真(タケチ エイシン)
漆原臨太郎(ウルシハラ リンタロウ)
くるみの想い人こと先輩/倉田哲晶(クラタ テッショウ)
さあ今回からようやく個別フェーズが始まります。
最初に始まるチャートは……漆原臨太郎くんですね。
大雑把に特徴を話せば『超高耐久、クソ雑魚攻撃力、機動力』です。
見た目通り太ってるビビりなんてそんなもんです(偏見)。
知力はそこそこあるのでめちゃくちゃ慎重に進めばエンカウントも少なくなります。
こんな我慢と逃走のフェーズに楽しみなんかあるのかと思ってるそこの皆さん、甘いですよ。イチゴミルクより甘いです。
この漆原臨太郎のヒロインの存在は原作でとあるメインキャラの精神をぶっ壊してしまうくらい大きな存在且つ救済が出来れば原作ファンは泣いて喜ぶんですから。
「はぁ、はぁ……何とか逃げ切ったぁ……」
おっと画面がダンジョン風から切り替わりましたね。
膝に手を付いて大きな建物を見る漆原くんの後ろ姿一枚絵カットが入ってきます、そこ誰得とか言わない。
話を戻しますがこここそが漆原臨太郎フェーズの舞台になります。
ここがどこかって?
それは――
「『鞣河小学校』……もう真っ暗だし、偶々見てた光景が確かなら多分学校にゾンビはいないはず。一か八かここに立て篭もるしか無いかな……」
原作ファンなら一瞬でピンと来ただろう単語、そして連想されるヒロイン。
そうですそれで正解です、そのキャラこそがヒロインなのです。
興奮して長文オタクになりそうなので暫くストーリーをお楽しみください。
「……うっ」
『見渡す限りそこまで血に塗れてる訳でも無い、が所々に死体があるのが分かる。
大人だけならまだしもまだ小学校に入って間もない様な小さい子どもの死体は物理的というより精神的に吐き気を覚える。逃げ遅れた子どもなのだろうけど、見捨ててしまった存在がいるという事実にどうしても精神が拒絶反応を起こしてしまっていた』
「……分かってるよ、自分の命が、大多数の命が最優先な事くらい。でも。だからこそ。どうしようも無かったって事にはしたくないんだよ……」
『どうしようも無かったから見殺すしか無かった、そんな事で命が無くなって良いものか、そんな事で絶望のまま死んで良いものか。綺麗事なのが事実でもそんな現実受け入れたくなかった』
「……仇は絶対に取るから。だから安らかに」
『せめてもの供養として、苦しみと絶望に見開いたまま絶命していた小さな亡骸の目と口をそっと閉じてから空き教室のカーテンに包む。それが何の供養になるかなんて分からなかった、自己満足と言われたらそれまでだろう。それでも僕の精一杯だった。無力感に苛まれながら包んだ亡骸を教室の隅に横たわらせ、後にする』
「……まだ生存者がいるかもしれない。今生きている人がいるとして、助けられるチャンスは多分今だけ。夜が明ければまた放課後までチャンスは無い。そうなったら生存確率も一気に下がっちゃうし何とかして探さなきゃ。……いるかどうかも分かんないけど」
はい戻ってきました。
こっから時間は数時間後まで飛んで最後の教室を開ける事になります。
そこでようやくヒロインとの初接触! いやー長かったですね全く。
「……ここが最後、か」
『さっきの教室にあったのは大人だろう亡骸一つ。
中年の男教師と思われるモノがそこかしこを齧られた姿で亡くなっていた。
多分、子ども達を逃がす為にわざと空き教室にゾンビを誘導して死んだのだろう。
『みんなの成長を見られないのが残念ですが、どうか健やかに。あなた達の先生でいられて良かった』と横に落ちていたメモ帳に走り書きされていたからほぼ確信している』
『カーテンをそっと被せて後にしたけど相当疲れて来たし、うっすら見えた時計の針は午前一時を指していた。
そろそろ寝床を見つけてバリケードも作らないといけないのに……いや、焦っちゃいけない。
最後の教室に誰かいないならそこを寝床にしちゃえば良い、丁度三階というのもあって攻められにくいし』
『ふぅ、と息を吐きそっとドアに耳を当てる――』
「ひっく……りーねえ……」
「だいじょうぶ、私がついてるから……」
な、何ですとー!?
ああ、急に大声を出してしまって申し訳ございません。
何せ予定では全く進行フェーズから除外していた事が起きてしまったもので、ええ。
それが何かと言いますと、本来ここで遭遇するのは一人だけのはずだったんです。
いや確かに出現情報はありましたが……いやはや何と男主人公を選んだ時超低確率で鞣河小学校編にゲームオリジナルキャラ……もとい女主人公の一人である『新藤アリア』ちゃんが出てくるんですが本当に出てきちゃいましたよ。
情報だと最初に出てきてから検証班総勢二十人で1万回ここまでやって最初に出たのを含め二回、つまり0.02%ですよ……?
因みに設定としては金髪でゴスロリチックな服を身に纏った彼女は隣町から一人で買い物に来た良いとこのちょっと無愛想なお嬢様JC。
元々身体が弱かったものの今は健康体、ただ運動してなかった弊害で体力が異様に低いのが難点。
但し上手く使えばかなりの戦力補強になる為今回予想外とはいえアドバンテージに繋がります、しかもロリでかわいい。やったぜ。
『二人いる……! 誰もいないと思ってたけど希望を捨てなくて良かった……取り敢えず声を掛けてみよう』
「だ、大丈夫ですか?」
「……っ!? 誰……?」
「め、巡ケ丘高校二年の漆原臨太郎と言います! その、君達は無事ですか?」
「……私ともう一人、ぶじ」
「アリアおねえちゃん……」
「るーちゃん……心配しないで……襲わないって約束してくれるなら入れてもいい」
「お、襲っ!? お、おおお女の子がそんな事言っちゃダメだよ!?」
「ん……この反応ならだいじょうぶそう。入って」
『何なんだ……と戸惑いつつも何か知らない間に大丈夫と判定されて教室に入る。そこには教室の隅で縮こまりながら抱き合う二人の少女が見えた』
うわ凄い……このスチル見えます?(BAN警告によりモザイク処理済み)
一般的に画像検索でも当たり前に出る若狭悠里の妹、るーちゃんこと若狭瑠璃の単独絵は何回も見てますしプレイした兄貴達が狂喜乱舞で感涙していたのを見掛けてるので見慣れたものですが、新藤アリアと若狭瑠璃が抱き合うこのスチルは0.02%の選ばれし者しか見れない上にネットに上げると五秒以内に消されるとか何とか。
いやすげえですよほんと……
「お、おにーちゃんはこわくない人……?」
「こ、怖くないよ……逃げてたら偶々ここに来て、誰か生きてる人がいないか探してたんだ……朝になる前に助けたかったから」
「……自分の命だけかんがえてにげる人達が多いのに、とんだお人好しね……この子なんて、担任に真っ先ににげられて、置いていかれたのに」
「ッ……!?」
『多分、この子から話を聞いたのだろう。泣いていた女の子は静かに頷く』
「あのね、わたしもにげなきゃ、にげなきゃ、って。思ってたんだけどね。先生が……ひっく……ちょっとおくれたわたしを見て……」
『女の子は必死に言葉を紡いでいた。が、置いていかれた場面を思い出してしまったのかまた泣き出してしまった。僕は許せなかった。そこまで言って泣いてしまう、それ以上言葉が続かない事で察してしまい、握り拳に力が入る。そんな事を軽々しく出来てしまう大人がいるのが許せなかった』
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「るーちゃん……」
「あっ……」
『どうして良いか分からず、るーちゃんと呼ばれた女の子を見つめる金髪の女の子と、泣きじゃくる『るーちゃん』を見て拳の力が弱まる。違う、僕は今怒りに呑まれちゃいけない。ここで僕が出来るのは――』
いやはや帰ってきました。
ここで無言で抱き締めると好感度大アップか大ダウンのギャンブルなんで安定択の『るーちゃんの頭を優しく撫でる』を選択しましょう。
「えっ……?」
「……僕は、見捨てないから。なんて……初めて会った僕に言われても信じる事は出来ないと思うけど。覚えていて、少しずつでも信用してもらえる様に頑張るから……だから謝らないで。今は、今だけは……我慢しなくて良いから。泣いて、良いから……」
『どうしようもなく不器用な僕は、わんわんと我慢していたものが切れた『るーちゃん』の頭をただ撫でるしか出来なかった……ただ一つ、絶対にもう誰も失わない、失わせないと心に誓って』
と、キリが良いので今回はここまでです。
因みにこの新藤アリアちゃん、主人公に女の子を選択しても若狭瑠璃ルートなんですが例のスチルは無いんですよね……って感激に浸るのは良いですがこれから二人をキャリーしながらストーリー進めないといけなく難易度地味に上がってるんですよね……さてどうしたものか。
次回は女の子二人の回想から始まります、お楽しみに~
因みにるーちゃんは本名が分からないのでそれっぽく付けました
違和感は無いはず…
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2-2『若狭瑠璃回想・絶望と光』
『「るーちゃんは本当にかわいいわね! 将来結婚したらるーちゃんみたいな女の子が良いわね~!」』
『いつも先生はわらっていた』
『みんなの人気者で、あかるくて、ずっとずっとおねえさんなのに、そんなのかんけいないみたいにいっしょに遊んでくれたり』
『いっしょにお勉強したり』
『分からないところがあったら分かりやすく教えてくれたり』
『みんなに話しかけるのがニガテだった私をおうえんしてくれて、お話もきいてもらって、お友達もたくさんできた』
『みんな先生のおかげだった』
『「本当に……良かったわね、るーちゃん」』
『「ありがとう……ありがとう先生!」』
『こんなしあわせな日がずっとつづくと思っていた』
『でも、こわれた』
『全部こわれた』
『教室も、学校も』
『「ふざけないで! 何で私が死んでまで助ける必要があるのよ!!」』
『そして、先生も』
『「あ、貴方は教え子達を見捨てると言うのかッ!!」』
『「うるさいわねぇ!! あたしはねえ、出世して金を稼ぐ為に教師やって、良い面見せて印象良くする道具にしてただけなの。だからここが終わりなら必要無いのよ!」』
『「くっ……貴方には失望しましたよ……みんな、慌てるな! 先生に着いてくるんだ!」』
『こわれた先生を見て、こわいと思ってしまった。やさしかった先生はどこにもいなかった』
『それでも、今はにげなきゃとはしった。それで全部ゆめだったって思いたかった。なのに……』
『「いたっ……あっ、先生……」』
『「…………いっつもあんた見てると鬱陶しかったのよ」』
『「誰かに話す事も出来ない、分からないと一々聞いてくる、いっつも話しかけてくる!! 全部全部鬱陶しかったのよ!! ただの道具の分際でぇ!!」』
『「せ……せぇ……」』
『クビをギュッとしめられながらそう言われて、まっくらになった』
『このまましんじゃうんだって。大好きだった人に全部ひていされて』
『全部、まっくらになって』
『「ごぼっ!?」』
『気がついたら先生が血をはいていて、先生のうしろにいた牛田先生が、先生をさしていた』
『「…………クソッ」』
『手がはなれて、ゆかにたおれた私は必死にいきをすってはいて、そしたら牛田先生に手を引かれて』
『その時見た、うしろにたおれた先生にむらがるゾンビの姿を、私はわすれない』
『「はぁ、はぁ……だ、大丈夫かね若狭くん」』
『「あ……りがとうございます……」』
『まだゾンビがきてない空き教室にはいったところで見た牛田先生は、なきそうな顔をしていた』
『「ごめんね……ごめんね……」』
『たぶん、牛田先生はわたしの先生をころしちゃったことをあやまってたんだとおもう、そうあの時わたしはおもっていた。わたしは、まっくらになった時手を引かれて、それだけでうれしかったから。いっしょうけんめいになって、わらった』
『「ありがとう、先生」』
『でもそれはちがった』
『「僕はもう……ダメみたいなんだ……」』
『牛田先生のうでから落ちる血をみて、さっしてしまった』
『かまれたんだと。ゾンビにかまれた人は、友達も、先生も、かんけいなくみんなゾンビになった』
『だからやっとほんのちょっとだけまっくらなのが無くなってたわたしは、またまっくらになった』
『「……君を最後まで守れなくて、申し訳ないッ……!!」』
『「あ……ぁ……」』
『「ここに隠れて、絶対動かないで。先生は最期までアイツらの囮になって、遠くに引き付ける。絶対助けが来るから、それまで辛抱するんだ」』
『わたしはただうなずくしかできなかった。なきそうな先生をみたら、そうするしかできなかった』
『先生はわたしのあたまをなでて、アメとチョコをわたしに持たせてからろうかに出て、ゾンビに大声をあげて気づかせて、そのままどっかにいってしまった』
『それからずっと一人でないていた』
『いろんなことがありすぎて、こえを出さずになくしかできなかった』
『でも』
『「……生存者?」』
『アリアお姉ちゃんが来てくれた』
『「貴方、一人なのね……私も一緒にいるわ」』
『まっくらになったわたしは、また光をもらった。アリアお姉ちゃんはやさしくあたまをなでてくれた』
『それでもやっぱり夜はこわかった。いろんなことを、一日をおもいだして、こわかった』
『そんな時に』
『「お、襲っ!? お、おおお女の子がそんな事言っちゃダメだよ!?」』
『りんたろーお兄ちゃんが来た』
『「……僕は、見捨てないから。なんて……初めて会った僕に言われても信じる事は出来ないと思うけど。覚えていて、少しずつでも信用してもらえる様に頑張るから……だから謝らないで。今は、今だけは……我慢しなくて良いから。泣いて、良いから……」』
『はじめは大きな男の人でこわかったけど、牛田先生やアリアお姉ちゃんみたいに、そっとあたまをなでてくれた』
『その時に、この人はだいじょうぶだってわかって。ことばをきいて今までがまんしてたこわかったこと、かなしかったこと全部がまんできなくて、ないちゃって』
『それがあったかくかんじて』
『わたしは、そのままねてしまっていた』
「すぅ……すぅ……」
「寝ちゃったか」
「……ありがとう」
「え?」
「……るーちゃん、ずっと我慢してた。でも私じゃどうしようも出来なかったから」
「……そっか、ありがとう。でも君だって、瑠璃ちゃんの側にいてくれた。それだって大きな事だよ」
「…………そう」
「だからこっちこそ、経緯がどうあれ二人で生きててくれてありがとう……」
「……そんな事で泣かないでよ。それよりあなた、寝ないの?」
「いや……僕はここにある机とか椅子でバリケードを作るよ。今はいないゾンビも多分朝になったらまた来るだろうし」
「……疲れてて気付けなかった。ごめんなさい」
「女の子二人だし僕みたいな男より体力も精神も疲れちゃうよね……大丈夫、謝らなくて良いから寝なよ」
「でも、あなたに任せっきりは負担が……」
「二人に比べたら全然平気だから。だから寝られる時に寝ないといざって時に力出ないよ」
「……優しいのね、あなた。そう言われたらことわれないし寝るわ。……おやすみなさい」
「……おやすみ」
はい今回全くもって喋る隙がありませんでしたがしっかり生きております。
しかしるーちゃんの初日の重たい事重たい事……信頼してた担任に裏切られ、担任の死を目の当たりにし、助けてくれた先生までも死んだって普通発狂してもおかしくないですが精神強過ぎですね……
と、こんな風に話していますが画面はバリケード作業パートに入っています。
これがかなり重要で正気度、精神推移や物理的な攻められにくさ向上に繋がります。
漆原は攻撃力が地の底レベルなのでバリケードからチクチク攻撃しながら持久戦に持ち込むのが正攻法でもあるので突破されるとまず二人が死にます。
スキルを駆使してオリハルコンより堅い城を築かなきゃ(使命感)
あ、そんなこんなしてる内に終わりましたね。
本編でも組んでましたがスキルのお陰と慣れかかなり強固なものが作れたみたいです、AAAランクです。
因みにこれより上は人外が辿り着く境地のSしか無いので常人内最高峰! 完璧じゃないですか!
「これで後はこうして通り道のギミックを作って……よし!」
「……ん」
「あれ、まだ寝られなかった?」
「……やっぱり、わたしもこわいみたい」
『そう言ったアリアちゃんの声は、少しだけ震えていた。どれだけ気丈に振舞ってもこんな現実に正気でいられる方が難しい。僕だって二人がいなかったらここまでしっかり出来なかった。だから何とかしてあげたかった』
「そっか……じゃあ僕が二人の側にいるから……なんちゃって。こんな見知らぬ男が側は流石にダメだよね、ごめん」
「……ダメじゃない。いっしょにいて。いっしょに寝て」
「……え……あ、はい……」
『ダメ元で無い知恵を振り絞って言った言葉は、まさかの方向に転がってしまった。言った身でアレだけど僕女の子と長時間一緒にいた事すら無いんだけど……大丈夫なのかな……』
「おや……すみ……」
「……あはは」
『るーちゃんを抱き寄せながら僕の隣で寝袋に包まるアリアちゃん。正直なんで寝袋があるのかは分からないけど……あるだけ良いかと思いつつ僕も何故か手渡された寝袋に入って二人の隣で寝るのだった……』
ここまでが漆原の初日という事でキリが良いので今回はこれにて終了で。
漆原は本編じゃりーさんやくるみからの不信感貯めやすいキャラな為にこのルートかなりプレイヤーの精神的ストレスは少なく出来てます、ロリは天使。
しかしアリアちゃんからも信頼を得られるとは意外でしたね……
さて次回はどうなるか、お楽しみに~
オリキャラ説明書
るーちゃんの担任
鞣河小学校に勤務していた若い女性教師
表向きは子ども達に好かれる明るく快活で親身、授業の教え方にも定評のある将来を有望視されていた有能な教師
だが裏では男遊びにホストクラブ、パチンコにタバコをやり金の為なら何でもする様な屑
ホストに言われるがまま詐欺に遭い借金を背負い、窃盗や小さな詐欺を繰り返していた
最期は、逃げ出した先で若狭瑠璃(るーちゃん)がぶつかってきた事に激昂し首を締め上げた隙に牛田の持っていた調理用ナイフで腹部を刺され、よろめいたところをゾンビに捕食され絶命した
牛田先生
鞣河小学校に勤務していた影の薄い中年男性教師
子煩悩で正義感の強い性格だったが教鞭を握る能力としては平々凡々、出世とは程遠かった
が、勇気ある正義感でゾンビに逃げ惑う教師を呼びかけ何とか子ども達を逃がす事に成功する
最期は若狭瑠璃と遭遇する少し前にゾンビから受けた噛み傷に死を悟り、若狭瑠璃を(その時点では)安全な空き教室に隠しゾンビを誘導、別棟で力尽き捕食されゾンビ化するも僅かに残っていた理性でギリギリ若狭瑠璃の近くにある別の教室で自殺した
服の中には生前予め書いたであろう遺書を遺して
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2-3『新藤アリア回想と物騒な目覚まし』
多分次回はまた一ヶ月開きそう…ファッキュー!・
『――私は小さい頃、助けられてばかりだった。
重い病気でロクに外で遊んだ事も無くて、友達なんていもしなかった。
さみしくないのか、と家の使用人に尋ねられた事があった。
私は分からなかった。
ずっとこの環境にいて、外の世界を知りもしなかったから、友達というものも分からなくて、他の子と境遇を比べる事すらしなかった。
それが私の当たり前だったから。
でも、ある日それは変わった』
『「ここで待っててね」』
『「はい、おかあさま」』
『検査が終わったあといつもある、おかあさまと主治医さんのお話。私はつまらないからと診察室の外に出て本を読んでいた。
そんな時だった』
『「また君か……全く、君は良く風邪を引く子だな」』
『「何から何まですいません……ぶぇくし!!」』
『「……良いから受け付けしてきなさい」』
『「ア、ハイ」』
『妙に羨ましく感じた。ただの風邪だと笑える環境が、とてつもなく羨ましかった』
『そう思う事なんて無かったのに』
『「あれ、君一人?」』
『そう思った事が私を変えるなんて、思いもしなかった』
と、アリアちゃんの回想が終わったところで精神若干弱いとは何だったのかな漆原ルートの二日目です。
アリアちゃんの回想は残念ながらここまでみたいですが情報を流しているルート経験者曰く不自然に終わってそのまま次も無いそうなのでこれが全部なんでしょうけど追加コンテンツだとしたらもっと確率を上げるべきでは……というかタレコミによると隠しキャラの癖に扱いが良くないとか言われてますが嫌な予感しかしませんね……
まあそれはさておきあったらしい朝がきたーきぼーの朝がーとはならずゾンビにバリケードがガタガタと揺らされてる音で目が覚めます。
日付が変わった瞬間強制ムービーとそこからの防衛戦という名の強制戦闘突入、相変わらず初見殺しに余念が無い。
私としても大まかな進行は事前に知っていましたがこんな鬼畜ムーブはつゆ知らずでこう見えて結構焦ってるんですよ!?
まあ幸い小学校のゾンビともあり中高生の強靭な肉体がゾンビになってるものが少ないのが救い。
それでも漆原くんだと苦戦しますがね!
何せ平均が50として漆原くんのパワーは驚愕の15(攻略本から引用)、男子どころか今作全キャラ含めても下から三番目(条件解放で下二人の一人がある程度ステータスが上がる為最終的には下から二番目)とか頭おかしくなりますよ!
兎にも角にも二人はまだ気付かず寝てるので正気度、愛情度が下がらない今のうちに掃除用具入れに何故かある鉄パイプを取りまして……突いてよろめかせて殴打!アンド殴打!
幸い一体なので距離感さえ守れば長期戦にはなりますが問題無いはず!
「そ、そんな……」
ってなんで二体追加で現れてるんですか!?
こちとら貧弱パワーの漆原くんで今まで回避と防御しながら撒く戦法だったんですよ!?
ぐぬぬ……どうしたら良いやら……ワンチャンこれが通常ルートならリセ視野に入れておけるんですがこんな時に激レアルートにいる自分を呪いたいです、全く……
まともにやり合ったらスタミナはさておきバリケードの耐久がかなり削られる……やっと一体を半分削ったってのに……
「……一人でむりしないで」
「し、新藤さん!?」
あやっべ焦って音出しながら戦ってるの気付かなかったですね……これ詰み……ですね。
いやね、ちょっと中断しますがこれ新藤アリア出現ルートの二人の内一人がアリアちゃんに見つかるやらかしをやらかしてたって報告聞いたんですがこの後死んだって……バカな、こんなハズでは……
まあ折角の激レアルートなんでリセットはしませんが、非常に勿体ない事を……ぐぬぬ。
「私もやる」
「だ、ダメだよ!!」
「……でもこのままじゃジリ貧」
「……大丈夫さ、僕の作ったバリケードはたかが数体相手に壊れるもんじゃない。それより……君はるーちゃんの側にいてあげて。ジリ貧だけど倒せなくは無いよ」
『何故か分からない。嫌な予感がした』
『でもこのまま任せたら新藤さん……アリアちゃんは危ない目に遭っていたとカンが告げていた。武術の心得があるとは言ってたから本当は手伝ってもらえたらありがたかったけど……これで胸騒ぎが収まるなら安いもんだと気合を入れる』
「……あぶなくなったら呼んで。行くから」
「その時は情けないけど頼むよ」
…………あるぇー?
このまま詰むと思ったんですがね……何か大丈夫そう? なんですが……こっから落とすのは考えにくいですが万が一他分岐だった場合何が引っかかってそうなったのか全く分からない……それはそれでモヤりますが考えても先には進めないんで何としてでも倒しきりましょう。
「……た、倒しきったぁ」
「お疲れ様……水飲んで」
「あはは、ありがとう」
『アレから結局20分くらいジリ貧したらしいけど傷らしい傷は無しに勝てた。ただ非力な僕だと数体倒すのもかなり苦労した。結局情けない姿を晒しちゃったけど二人を守れたならそれでも良いかなと思ったり。相変わらず表情を変えずに接してくるアリアちゃんだけど、僕にとってはその表情が何よりの安心になった』
……本当に何事も無く終わりましたよ?
これ罠じゃないですよね?
どこでどう分岐したのかは皆目見当もつかない現状ですが最早ここからの新藤アリアルートは未知の世界の中でも更に未知の領域に足を突っ込んでいるも同然。
一応運営に許可貰って新藤アリアルート配信していた訳ですがこれ大丈夫なんですかね……/え? この前みたく思いっきりスチル載せずさえぼかせば大丈夫? や、やだなあ流石にそんなヘマ二度もしませんよ……/(/は後付け実況部分)
はいそれより続きですよ続き、ここで気を抜いて好感度下がったら笑えませんからね。
「瑠璃ちゃんは?」
「……あの子ならまだ寝てる。というかまだ朝日ものぼりきってない」
「うわっほんとだ……」
『倒す事に夢中でどうやら僕は周りが一切見えていなかったらしい。まだまだ薄暗い外を眺めて苦笑いするしか無かった。しかし朝日が昇っていないとなるとまだやれる事がある事に気が付いた。今後の生命線にもなる重要な事だ』
「どうしたの?」
「あ、ごめんね。まだ朝になりきってないなら食料調達出来る場所があるから行ってみようって思ってね」
「……ここには購買も無い。どこ?」
「職員室の冷蔵庫……あそこだけ僕が来たパンデミックからかなり時間帯が経った時でもしっかり冷蔵されてるのが見えたんだよね。ただあの時は生存者探索が最優先だったから手が付けられなかったんだけどね」
「りんたろーって案外目敏いのね」
「あ、案外って……いやまあそんな見た目してるけども……」
「ふふ、嘘よ。ごめんなさい、つい懐かしくなっちゃって」
「ん? 懐かしい?」
『懐かしい、という違和感のある言葉にアリアちゃんとどこかで会っていただろうかと思考を巡らせる。……思い当たる節がある様な無い様な……何だかモヤが掛かった何かが見える気もするのに微妙に分からなくてもどかしい気持ちになる』
「……な、なんでもないわ。それより食料調達の探索、行くんでしょ?私も着いていくわ」
『まあ本人が聞いてほしく無さそうだし僕も分からないんじゃ言及しても良い事は無いだろうし控えておこう……と思考をリセットするとアリアちゃんの爆弾発言に遅れてリアクションを取る羽目になった』
「えぇっ!? いや確かに人手が増えるのは素直に嬉しいけどアリアちゃんも瑠璃ちゃんも危ないんじゃ……」
「じゃあわたしもいく!」
「る、瑠璃ちゃん!?」
『そもそも寝てる瑠璃ちゃんを一人には……っていい掛けた瞬間に瑠璃ちゃんが起きている事に気が付いた。というかアリアちゃんもどことなくしてやったりな顔してるし』
「……これで2対1」
「わ、分かったよ。日が昇る前に行こうか。でも無理はしないでね」
「わーい! おにーちゃんの足ひっぱらないようにがんばる!」
「……ありがとう」
「え?」
「何でもない……」
『今何か聞こえた気が……いや気のせい? どちらにせよ今は早く食料調達に向かわなきゃな』
「とにかく無闇矢鱈に戦わない事と無茶しない事だけ約束してよ、みんな無事が一番なんだから」
「分かってる」
「はーい」
『二人とも何だかニコニコしてて、僕はそんな二人を見ながら苦笑いする他無かった。でもこんな二人だからこそ弱い僕でも、一番の最年長の僕が守っていかなきゃ……』
はい、今回はここまでになります。
……何かるーちゃんの出番が少ない様な……きっと気のせいでしょう。
アリアちゃんは果たして噂通りの不憫なルートになるのかどうか……ある意味期待してます。
ではまた次回お会いしましょう。
閉店ガラガラ~
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