ポケットモンスターノーブルバイオレット (ジャン=Pハブナレフ)
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第1話 冒険の始まり

今回からポケモンの新作です。ファイアレッドとサファイアを中古で買ってファイアレッドをクリアしてやりたい衝動に駆られた新作をお楽しみください


 ポケットモンスター、縮めてポケモン!この世界に存在し人と暮らしている。陸を駆け抜け、海を泳ぎ、空を飛び生きている。

 

 ここはカントー地方、セキチクシティ。

 

「こら、起きなさいユウト!」

 

「はぁーい」

 

 ベットから降りてきた少年ユウトは眠そうにトーストをかじる。

 

「全くもう、あんたは昨日もサファリパークに行ってたのね?500円のお小遣いも使い切っちゃって…」

 

「いいじゃーん、あそこにいるポケモンは面白いし、かっこいいしさ〜」

 

「ったく、あんたももうトレーナーになれる歳を3つも過ぎたのにこのままでいいわけ?」

 

「そりゃ、俺ももうその歳だけど…

 

 なんていうか我が家が恋しくてですねぇ〜」

 

 戯けた笑いをしていると母が無表情を浮かべる。

 

「ふぅーん、あんたはこのまま一生母さんや父さんに養ってもらうんだ〜」

 

「え?い、嫌だなぁ…そんなわけないじゃありませんか〜!」

 

 母の威圧感に負けたユウトは立ち上がる。

 

「だったら私ユウトは宣言いたします!明日から旅に出ると!!」

 

「言ったわね?じゃあなにを目指すのかしら?」

 

「キョウさんを倒す」「うーん、もっと欲しいな」

 

「じゃあジムバッチ3つ」「もう一声!」

 

「じゃあポケモンリーグに出てやりますともよ!」

 

「よくぞ言ったわ!あんたは才能がありそうなのに変な時に遠慮するから一回くらい思い切り上を行く経験をしてみなさい」

 

「はいはい、了解だぜ!早速サファリパークに行かないと!旅のポケモンを選んでくる!」

 

「はいはーい言ってらっしゃーい」

 

 

 サファリパーク、大自然を模した空間でポケモンの捕獲ゲームが行われているところである。

 

「さーて行くか!」

 

 500円を払ったユウトがゲートを潜り抜ける。

 

「そうだな…」

 

 考え事をしていると早速草むらからポケモンが飛び出してきた。

 

「出たなニドラン!お前が俺の最初の仲間だ!」

 

「二ドォ…!」

 

 睨み付けてくるニドラン♂に対してユウトはすかさずボールを投げる。

 

「こい!」

 

 するとボールが揺れた。人のものとなるゲット、その判定はボールが静止したことで分かる。

 

 音が聞こえるかそれともボールを突き破ってしまうか、緊迫した瞬間に包まれる。

 

「頼む!」

 

 祈るユウト、ボールの揺れは収まった。

 

「ふぅ〜まずは一匹!どんどん行くぜ!」

 

 続いて彼が目撃したのはサイホーンだった。大型のポケモンに彼は夢中だった。

 

「よし!次はお前だサイホーン!!」

 

 横からサイホーンを狙うも別の方向から投げられたボールにユウトの手が止まる。

 

「あちゃ〜とられちまうか。まあいいや!次だ次!」

 

 それからユウトは歩き回るも一向にポケモンに出会えずにいた。

 

「くそっ、結局ニドラン一匹のままか…もう一体欲しいな」

 

 すると近くの木々を飛んでいるストライクが見えた。

 

「よし!あいつだ!!」

 

 不意を突いてストライクにボールを投げたユウトは再び緊迫する。しかし、二度揺れてからストライクがボールから飛び出してしまった。

 

「失敗か!けど逃さねえ!!」

 

 すかさずもう一回投げたが、再びボールから出てしまった。

 

「俺は約束しちまったんだよ。めんどいかもしんねえけどやってやるんだ!頼む!俺と一緒に…!」

 

 諦めずボールを投げるユウトの方を見たストライクは逃げもせずにジッとしていた。

 

「そこだ!」

 

 ボールが投げられた。揺れ始めたボールを眺めるとすぐに音が鳴った。

 

「よっしゃ!ニドランとストライクをゲット!行くぜ!」

 

 しかし、その後一行にポケモンに遭遇しなかったり、逃げられてしまったりを繰り返し彼のチャレンジは終わってしまう。

 

「終わりか。まあでもこの二体が手に入っただけでもありがたいな」

 

 サファリパークを出たユウトは家へと帰ろうとする。

 

「ねえ、君」

 

 振り返ると青髪の少女が立っていた。

 

「なんでしょうーか?」

 

「ユウト君だよね?私はモナ、ポケモンリーグの構成員です。君に渡したいものがあって来ました」

 

「なんでしょうか?きれーなお姉さんのプレゼントなんて照れちゃいますね〜」

 

 茶化すユウトに対してモナは薄い手帳のようなものを渡した。

 

「君のトレーナーカードとポケモン図鑑よ、オーキド博士が作ったね」

 

「マジっすか?ありがとうございます!これで俺もトレーナーか〜」

 

 図鑑を受け取って有頂天になったユウトに対してモナは立ち去ろうとする。

 

「あっ!そうだ!お姉さん、俺とバトルしない?」

 

「え?バトルたって、君ポケモンはいるのかしら?」

 

「いますよ、います!ほれこの二体!」

 

ユウトが捕まえたばかりの2匹を見せる。

 

「ニドラン♂とストライクか…

 

 ふっ、いいわ!こう見えても私は強いのよ!さあ、ついてきて!」

 

 2人はポケモンセンターに入った。

 

「すみません、裏庭を使わせていただきます」

 

受付で手続きを取っていた。

 

「はい!ありがとうございます、ついてきて!」

 

「今のなにやったんですか?」

 

「ポケモンセンターではたまに裏庭とか敷地内でバトルができるの。普段回復やボックスとかで色々やってるだけの施設じゃないのよ」

 

 

 裏庭のグラウンドに出た2人は向かい合った。すると自動的に審判用のロボットが出てきた。

 

「さーてバトルは2対2、でいいかしら?」

 

「ええ、いいですよ!やってやりますよ!エリートを超えたスーパーエリート初心者の俺がお姉さんをギャフンと言わせてやります!」

 

「あらあら、じゃあその言葉をそっくり返そうかしら?お願いね、ガーディ!」

 

「さーて、ポケモン図鑑でっと…なるほどな!」

 

 ポケモン図鑑で技の構成を調べた彼はバトルに心を震わせていた。

 

「にどげりだ!」

 

「あまいわ、でんこうせっか!」

 

 ガーディがニドランよりも素早く走り出して突撃した。しかし攻撃を耐えたニドラン♂が小さな足でガーディを攻撃するもあまり通じていなかった。

 

「なに!?じゃあ、どくばり!」

 

「ふふ、ひのこ!」

 

 どくばりが発射されるもひのこに押しとどめられて無力化され、ニドラン♂も僅かにダメージを負った。

 

「にらみつける!」

 

「遅い!かえんぐるま!!」

 

 ガーディが火を纏って回転しながら突撃してきた。

 

「危ない、避けるんだ!」

 

「ニドおおおおおお!!」

 

 ニドラン♂は回避が間に合わず直撃してしまう。

 

「ニドラン、セントーフノウ!」

 

「くっ…!」

 

「まずは一体目、さあて戻ってねガーディ」

 

「いけ、ストライク!」

 

「じゃあ私はピカチュウにしようかしら!」

 

「頼むぞストライク」

 

 ユウトがストライクを見つめると軽くストライクがうなづいて両腕の剣を構える。

 

「ストライク、みねうち!」

 

「ピカチュウ、電気ショックよ!」

 

 攻撃を受けたピカチュウは吹っ飛ばされそうになる中ででんきショックを受けた。

 

「ストライク!?」

 

 すると、ストライクの動きが鈍くなった。

 

「これがマヒの状態、あなたは技を出しにくくなる!そしてストライクはむしとひこうタイプ、ピカチュウのでんきタイプとは相性が最悪…これで終わりよ!」

 

「まだだ!ストライク、でんこうせっか!」

 

 ストライクが痺れる体でなんとか攻撃を仕掛けるが全くに当たらずピカチュウのたいあたりで倒れてしまう。

 

「ストライク、セントーフノウ!

 

 ショーシャ、モナ!」

 

「ご苦労さま、ついてきて」

 

 負けたはずのユウトはポカンとしていた。

 

「これからバトルが終わったらポケモンセンターで回復してもらうといいわ。タダで回復できるしね」

 

 受付の人にポケモンを渡してベンチに2人が座った。

 

「どうだった?初めてのバトルは、悔しい?」

 

「いえ…めっちゃ楽しかったです!あんなにワクワクしたのは初めてだった、ありがとうございました!でも、次は俺が勝ちますよ!」

 

「ふふ、楽しみね。私はモナ、エリートトレーナーのモナ。またいつかどこかで会いましょう」

 

「はい!」

 

 

 その夜家に帰ったユウトは父と母に事の成り行きを話した。

 

「そっか、お前も旅に出るのか。風邪ひくなよ、まあお前なら大丈夫だろうがな」

 

「なんかあったら帰ってきなさい」

 

「うん、じゃあ俺明日の朝に行くよ!」

 

 夕食をとりベッドで睡眠を取ったユウト、日が昇り、彼は歩き出した。

 

 このカントー地方を___

 



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第2話 トレーナーバトル

セキチクシティから最初のジムへ向かうユウトくんですが彼は街の外に出たことがありません。さあどうなるといった感じです。

実際彼は今まで町にいて何をしてたかというと適当にその辺を散歩したり、ゲーム遊んだり、アニメ見てるなりしていました。そんな彼が旅に出て何か変われるような感じなストーリーにはしていけたらいいなと思います。

なお、ポケモンバトルに関しては一応ファイアレッドリーフグリーンを基にしているためわざは大体第3世代の頃のものとさせています。


 

セキチクシティを旅立ったユウト、しかし…

 

「まいったな、ジムの場所がわからん。セキチクシティはなんかお休みみたいだし、他のとこに行こうにもなぁ…」

 

タウンマップを睨みながら頭を抱えていた。

 

「ここを行くとシオンタウンか?それともクチバシティ?俺あんまり街とか知らないんだよ!標識くらい置いといてくれよ〜!」

 

「ねーね」

 

すると緑の服を着た少女がユウトに対して声をかけてきた。

 

「お兄さん、ポケモントレーナー?じゃあ私と勝負してよ!目があったら勝負だよ!」

 

「お?早速来たか。いいぜ!相手になってやるよ!」

 

懐に携帯していたモンスターボールを投げた。

 

「いっけえ、マダツボミ!」

 

「任せたストライク!」

 

ストライクとマダツボミが睨み合う。

 

「ストライク、でんこうせっか!」

 

「マダツボミ、からみつく!」

 

触手のようなものでマダツボミがストライクを拘束しようとするも、ストライクはそのままマダツボミを正面から攻撃する。吹っ飛ばされたもののストライクを巻きつけることには成功した。

 

「ヘドロばくだん!」「そうは行くか、つばさでうつ!」

 

マダツボミが口から毒液を吐こうとしたがそれよりも早いストライクの翼でマダツボミは撃破された。

 

「よし!ストライクの勝ちだな」

 

「マダツボミ、休んでて。

 

 お願い!ナゾノクサ!」

 

「戻れストライク!

 

 ならこっちはこれだ、行けニドラン!」

 

「ふぅーん、お兄さんはそうくるんだね。

 

 ナゾノクサ、しびれごな!」

 

「ニドラン、つつく!」

 

ニドランがナゾノクサに先制し、つので攻撃したが粉を吸ってしまい突如として痺れ出した。

 

「まひ状態か!

 

 ニドラン、動けるか?」

 

「二ドォ…!」

 

まひで動けなくなったニドランに対してナゾノクサがヘドロばくだんを仕掛ける。

 

「ニドラン、つつく!」

 

「甘いわ!すいとる!」

 

ニドランがもう一度攻撃しようとするもナゾノクサには当たらずそのまま体力を奪われてしまった。

 

「さーて、お兄さんももう終わりだよ!

 

 ナゾノクサ、たいあたり!」

 

「まだまだ!どくばり!!」

 

「え?」

 

ナゾノクサが突然どくばりを撃たれたことでニドラン♂は攻撃を回避するのに成功した。

 

「今だニドラン!つつく!!」

 

隙を見せたナゾノクサにニドランがつので再び攻撃し、命中する。

 

「くっ、どうやら私の負けみたいだね。

 

 ありがとうお兄さん!」

 

「おう、どういたしまして!

 

 あのさ、バトルに勝ったついででいいんだけどセキチク以外でここから近そうな街を教えてくんねえか?」

 

「うーん、シオンタウンだったかな〜?

 

 そこだと思うよ」

 

「シオンタウンか!ありがとうな!!」

 

「うん!お兄さんもがんばってね!」

 

キャンプガールのトレーナーと別れたユウトは傷ついたニドランやストライクを手持ちの道具で回復させてすぐさまシオンタウンへと向かった。

 

しかしユウトは一つ気がかりなことがあった。

 

「といいつつ、まだ三体目がいるんだよな…

 

 こいつの能力は俺が活かせるものなんだろうか?」

 

道中草むらで姿を見かけなんとなくモンスターボールを投げて1発でゲットしたそのポケモンのボールに手を触れながら、ユウトはシオンタウンを目指す。

 

「…今のが、セキチクシティの新人トレーナーですか。あたいも負けてられませんね。」

 

木陰から小柄な人影が歩いていく彼の姿を見てシオンタウンへ向かった。

 

「なんだ?さっきから、誰か俺を追いかけてきてるか?」

 

ユウトが何かを察知したがそこには誰もいなかった。まあいいかと呟いた彼は走り出す。

 

ユウトが目指す場所はシオンタウン。

 

シオンは紫、尊い色、尊さの滲む町




ユウトの手持ち(第2話現在)

ニドラン♂ Lv.19
つつく
にどげり
どくばり
にらみつける→かみつく

ストライク ♂ Lv.26
でんこうせっか
つばさでうつ
こうそくいどう
みねうち

??? Lv.25
 ??


じめん、ほのお、でんき、いわに弱そうですね。次回以降のパーティーも意外なメンバーが登場します。


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第3話 シオンタウンの幽霊ポケモン

今回はシオンタウンについたユウトが前回ちょこっと出てきたトレーナーと旅をし、今後登場するジムの攻略順も決定されます。

また、シオンタウンといえばゆうれいネタですがカットです。そのかわり、3匹目のユウトの手持ちが明らかになります。


 

シオンタウンに到着したユウトは何人ものトレーナーとのバトルを積んでいた。

 

「ここはシオンタウンだけど…ジムなんて見当たらないな〜」

 

ユウトがポケモンを回復させている間に街の看板を見ていた。

 

「当然でござるよ、シオンタウンはポケモンを弔う場所、なれば争うものなどは存在しない」

 

振り返ると忍者の格好をした少女が横で飲み物を飲んでいた。

 

「あんた…誰だ?」

 

「申し遅れた、あたいはアンズ!セキチクシティのジムリーダー候補のトレーナーである。以後お見知り置きを!」

 

「え!?セキチクシティのジムはお休みだったんじゃ…」

 

「否、父がジョウトの四天王として派遣されることになった今、あたいが父の後を継ぎポケモンリーグ本部の課題としてジムリーダーの顔合わせに励んでいる所存でござる!」

 

「そうだったのか…

 

 というかさっきのシオンタウンにジムがないっていうのはどういう意味なんだ?」

 

「お主はセキチクシティの出身ならば行く道は4つ、グレンタウンかタマムシシティ、クチバシティだったのでござる」

 

「ええ!?道間違えたってことか!!」

 

「心配は無用。グレンタウンに行くにはふたごじまを経由しなければならぬ上、タマムシシティには自転車がなければ通行は不可能でござる。

 

 別に今きた道を戻らずともあたいに良い考えがある」

 

アンズがタウンマップを広げた。

 

「まずジムリーダーがいるジムは全部で八つ。

 

セキチク、タマムシ、クチバ、ヤマブキ、グレン、ハナダ、トキワ、ニビ」

 

「うーん、シオンタウンで近いのはヤマブキシティか?」

 

「いいや、あたいは先日ナツメ女史の元に挨拶に向かったが、今はヤマブキシティ自体が慌ただしく検問が敷かれているため、挑戦者の数を減らして運営してるそうだ。今行っても挑戦してはもらえぬだろう。それよりも…」

 

アンズが指さしたのはヤマブキシティの北、ハナダシティだった。

 

「まずはこのハナダシティに挑戦してみてくれ。その上でニビジムを攻略する」

 

「で、トキワシティだな」

 

「いいや、あそこは最後だ。なんでもジムリーダーは私と同じくらいの新人だが最強にふさわしい実力を持っているのだ。いきなり経験もしに挑むのは無謀というものだ。

 

 それにあそこはポケモンリーグ本部最寄りのジム、大抵どんなトレーナーもあそこを最後にするという傾向になっているらしい。そこで!」

 

ニビシティの付近にアンズがバツ印をつけた。

 

「ニビシティにはどうやらクチバシティに繋がる道があるそうなんだ。そこを通ってクチバ、ヤマブキ、タマムシ、セキチク、グレンを目指すべきだ」

 

「そっか…じゃあ俺はまずハナダシティを目指してみるよ!」

 

「うむ!道中のジムならあたいも挨拶も兼ねて案内はできそうだ。君の旅に同行させていただく」

 

「うん!じゃあよろしくな」

 

「もちろんさ」

 

すると遠くから、呻き声が聞こえてきた。

 

「ヴァアアアアアアア…」

 

気味の悪い呻き声が耳に障る。2人は思わず辺りを見回すがその音源は見当たらなかった。

 

「なんだ?」

 

「おい、まただ…」「ああ…」

 

街の人の噂が耳に入った。

 

「すまない、いったい何が起こっているのだ?」

 

アンズが尋ねた。

 

「あんたら、この街は初めてか?」

 

「はい、そうですけど…」

 

「この街はな、ポケモンのお墓があるんだ。

 

 人により殺されてしまったポケモンや寿命で亡くなったポケモンのな」

 

「でも時々、ああやってデカイ亡霊が現れて人々を襲ってるんだ。理由はわからない…なんでもロケット団に殺されたポケモンによるものなんじゃないかって言われてるみたいなんだ」

 

「ロケット団!?」

 

2人の表情が変わる。

 

ロケット団___数年前くらいからしばしばメディアに取り上げられるほどの巨大組織である。

 

彼らはカントーの治安維持に影響を及ぼすだけでなくポケモンを利用したビジネスや強盗、野生ポケモンの乱獲と言ったさながらテロリストのような言動を取りつつも、その尻尾が未だ掴めていなかった。

 

中にはポケモン以外の事業を展開してカモフラージュしているのではとの噂も立っているほど謎もいくつか抱えている。

 

「…その話を聞かせていただきました。その場所はどこでしょうか?」

 

「おい!旅はいいのか?」

 

ユウトが横から割り込むもアンズは首を振った。

 

「否、あたいはジムリーダーである以上、見過ごすわけにはいかん。ナツメ殿が一番この街には近いが彼女は警戒中の身。

 

 調査を軽くすませて、この一件をポケモンリーグに報告させるつもりだ。

 

 それに、これはこの街にきたときに聞いた噂だが…その場所にはゴーストタイプのポケモンが何匹か確認されたそうだ」

 

「ゴーストタイプ?」

 

「もし君が興味を持っているのなら、あたいと同行を願おうか」

 

「…まあ、俺1人で旅って言っても何もできやしないわけだし、協力します」

 

成り行き上協力することになった2人がポケモンタワーに向かう。

 

「感謝する!では早速ポケモンタワーに向かおう」

 

 

________________________________________

 

ポケモンタワー自体は解放されており、ロビーにて2人は入場するためのお金を支払い二階に上がっていく。

 

「これは…」

 

そこにあった墓標には御供物としてモンスターボールや写真、飲み物などが置かれていた。

 

「寿命を迎えたポケモンたちはここで静かに眠っているのか…」

 

二回を見渡すものの特に怪しい気配も見られずに、2人は次の階へ上がった。

 

「私のガーディ…どうして死んでしまったの?」

 

ガーディの墓参りにきた女性の横を通り過ぎて2人はその階を見回るも特に怪しい影は見られなかった。

 

「うーん…全く幽霊の類が見当たらないな」

 

「街の人によると特に決められた階層に現れるわけではないそうだ。もっと上の階に行ってみよう」

 

さらに上の階に向かうと部屋自体は暗くなっており、そこに怪しい影があった。

 

「あーあー、墓まで来たのになーんの収穫もないとかしけてやがるよな〜」

 

「そういうな、ボス達の命令で俺たちもこんなところで資金繰りを…?

 

 誰だてめえら!」

 

「見つけたぞロケット団!貴様らを許すわけにはいかない!」

 

「黙りやがれ!」

 

「行け、ズバット!」

 

「行け、ストライク!」

 

ズバットとストライクが空中で戦う中もう1人のしたっぱはアンズとバトルしていた。

 

「ズバット、ちょうおんぱ!」

 

「かわすんだ!それからみねうち!」

 

ズバットの放つ音波をかわして頭上から刃で攻撃を仕掛けた。みねうちと言うだけあって、ダメージもそこまで入ってはいなかった。

 

「だったらかみつけ!」

 

「そうはいかない!ストライク、でんこうせっか!」

 

噛みつこうと正面を向いたズバットよりも速くストライクが正面からでんこうせっかを仕掛けて打ち落とした。

 

「しまった!」

 

ユウトがうろたえるものの、幸い墓石にダメージは入っておらず無事だった。

 

「よかった…お墓や下の階には問題ないな」

 

安堵した表情からすぐにしたっぱを向いた。

 

「くそったれが!行けコラッタ!」

 

コラッタを呼び出したしたっぱとのバトルの中ユウトは気付いていなかった。不気味な影がそれを見ているのを…

 

「でんこうせっか!」

 

「速い!だけど攻撃力ならこっちが上!ストライク、つばさでうつ!」

 

突撃してきたコラッタに対して反撃としてつばさで迎え撃ったストライクだったがすぐに戦いとは関係ない別の方向を睨んだ。

 

「どうしたんだストライク!?」

 

「隙あり!ドガース、やっちまえ!」

 

油断したストライクがスモッグに包まれたその瞬間、謎の幽霊がスモッグを吸収して両者の間に割って入った。

 

「なんだこいつは!?」

 

したっぱが驚く中ユウトはポケモン図鑑を開いた。

 

「ゴース…?ゴーストタイプか!」

 

するとゴースは怒りのままに幻を見せつけてドガースとストライクを攻撃した。

 

「やめろ、ゴース!俺はお前の場所を壊しにきたわけじゃないんだ!!」

 

聞く耳も持たないゴースは催眠術でドガースを眠らせてしまう。さらには再び放たれた謎の波動で倒れてしまった。

 

「ドガース!くそぉ…覚えてやがれ!」

 

したっぱがコラッタを引っ込めて逃げ出すともう1人の方もアンズに敗れたのか逃げ出していった

 

「どうやら向こうはやる気みたいだな、どうする?君が相手をするか?」

 

「ええ、もちろん!ストライクは休んでてくれ!」

 

ストライクを引っ込めたユウトは一か八か3体目のモンスターボールを手にした。

 

(相手がわからない以上、こいつの出番だ!)

 

「任せたぞメタモン!」

 

「メタモンだと!?」

 

「偶然ボール投げてたら捕まったこいつでやるしかない!頼んだぞ!!」

 

メタモンが無表情で怒るゴースを見つめているとすぐにゴースの姿へと変化した。

 

(あいつの技は、ナイトヘッドにさいみんじゅつ、あやしいひかり、それにしたでなめる…)

 

図鑑でメタモンのページに技構成が出現した。

 

「だったらあやしいひかりだ!」

 

変身したメタモンがゴースの技を使って混乱させることに成功した。

 

「メタモン、その調子でナイトヘッ…!やめだ!」

 

ユウトはすぐ近くに墓があるのを見て攻撃をやめさせた。その隙にゴースは墓とは別で壁を擦り抜け続けていた。

 

「メタモン、次に正面にあいつがきたときにもう一度ナイトヘッドだ」

 

ゴースの姿に化けたメタモンがうなづく。そして正面から混乱した本体が現れた。そしてナイトヘッドが放たれゴースは床に倒れた。

 

「頼んだぞモンスターボール!」

 

ボールが投げつけられ、ボールが揺れた。ユウトにメタモン、アンズが緊張した表情でボールを見つめる。そして揺れは治まった。

 

「よし!ゴースをゲットだ!!」

 

「ふっ、これで任務完了だな。どうやら幽霊騒ぎに関してはロケット団の仕業だったそうで問題はないな」

 

その後街の人たちに事情を話した。安堵した街の人に見守られながら、ユウトとアンズはハナダシティを目指す。

 

「さあ、まずはイワヤマトンネルを抜けよう。そこを抜けて仕舞えばハナダシティは近い」

 

「ああ、にしても…なんで俺にこんなヘッドライトを?」

 

「イワヤマトンネルは暗い。万一逸れた時にでも役には立つだろう?」

 

「なるほどね」

 

現在ジムバッチ0 残り8つ




3匹目のメタモンが参戦し新たにゴースが加入しました。

ゴース自体はポケモンタワーじゃ高確率でゲットできますね。今のところ彼の手持ちのタイプはどくに、むし+ひこう、ゴースト+どく、ノーマルって感じで弱点多めですね。とはいえまだ彼のエースと言うべきポケモンはいません。

とはいえちょこちょこ進化や新技等を入れて強くしていければいいなと考えています。


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第4話 イワヤマトンネルのビリリダマ

ゴースを仲間にしたユウトくん、その前にいないはずのポケモンが、果たして彼の決断とは?


シオンタウンを出発したユウトは成り行きからジムリーダー見習いのアンズと共にジムリーダーたちに挑戦するべくまずはハナダシティに向かう。

 

「くっ…結構暗いな」

 

「うむ、それにしてもフラッシュが欲しいものだな。アレさえあれば視界もだいぶ晴れるのだが…」

 

懐中電灯で狭いエリアは照らされていたが時折ポケモンが襲ってくることもあった。しかしその都度、手持ちのポケモンで撃退してある程度進んではいた。

 

「いわタイプにかくとうタイプか…でも次のジムじゃとてもじゃないけど戦えそうにはないな」

 

「左様、ハナダのカスミは激流のままに水を操る人魚のようなトレーナー。岩ではたちまち倒されてしまうだろうな。ただ…くさタイプやでんきタイプなら勝機はあるやもしれぬ」

 

「でんきタイプって言ってもな〜」

 

あたりを見渡すユウト、しかし…いるのは明らかにいわとかひこうタイプである。

 

「いるわけないよな…いるのはイシツブテだ、イワークだ、ワンリキーだし」

 

最初こそ何体かをゲットしようか意気込んでいたユウトだったが、集団で襲ってくるのを見て少し懲り懲りしていた。

 

「しかしここまでくればきっと出口も近いはず…だと思う」

 

「ちょ、アンズさん!思う、じゃあないでしょうが。迷ったらどうするのさ!」

 

「慌てずともこのイワヤマトンネルはシンプルに二階層になってるそうじゃないか。歩いていれば出口のフロアに上がれるさ」

 

2人が歩いていると突然前方が光った。

 

「そんな無責任な…!?おわっ!」

 

光が2人を襲った。なんとか攻撃を回避したが、すぐに当たりが暗くなってしまう。

 

「なんだこれは!?」

 

「でんきタイプの技か?しかし、どこから?」

 

懐中電灯で当たるを見回すが近くにはそれらしき影が見られなかった。

 

「目の前だってのはわかるけど…懐中電灯じゃそこまでわからないな」

 

「念のため…!モルフォンお願い!」

 

モルフォンを呼び出したアンズがあたりを警戒するも敵の姿は見当たらなかった。

 

「ビリァ!」

 

すると再び光がモルフォンを攻撃してきた。

 

「今のは…!」

 

アンズが目を細めるとそこには弱りきったビリリダマが震えながらこちらを睨み、電撃を放っていた。

 

「何故あんなところにビリリダマが?」

 

「そんなことよりこの場合俺はどうしたらいいんだ?」

 

「うむ…見たところ、負傷しているようだな。早くポケモンセンターに送らなくては!」

 

「待ってろよ…ええっと!」

 

困惑したユウトは図鑑を開いた。

 

「なるほどな…ビリリダマ!」

 

苦しそうなビリリダマをその手に抱えたユウトは出口目掛けて走り出した。途中の敵はアンズのモルフォンのちょうおんぱで混乱させながらやり過ごしていた。

 

「ん?あれだ!」

 

出口らしき場所を見つけた2人が駆け出すとビリリダマが目を覚ました。

 

「ビリィ!」

 

でんきショックでユウトを突然攻撃してきた。

 

「ユウト!」

 

「ぐわあああああああああ!」

 

攻撃を受けながらもユウトは歩き出した。

 

「待てよ…俺は、お前を傷つけたりなんかしねえよ…」

 

ユウトが震える声でビリリダマに訴える。

 

「お前が放って置けなかった。なんとなく、苦しそうだったから…!それじゃあダメか?」

 

警戒したビリリダマがなおも電撃をユウトに仕掛ける。

 

「ようこそポケモ…!?」

 

ポケモンセンターに入った瞬間周りのトレーナーったちが唖然とした表情でユウトを見つめた。

 

「そ、こ…のトンネルで苦しそうに、してた奴です。頼みま…ッ!」

 

電撃を受け続けてユウトが倒れてしまった。

 

__________________________________

 

それからユウトはベットの上で目を覚ました。

 

「あれ?ここは…」

 

「目覚めたのね!良かった…」

 

ポケモンセンターのスタッフが近くにいた。そしてユウトはゆっくりと起き上がった。

 

「そうだ!あのビリリダマは!?」

 

「今、治療中よ。けどあまりにもひどい傷だからもう少し時間がかかるかも」

 

「そうですか、けどなんだってあいつはあんな場所に…相性の悪いポケモンだらけだったってのに」

 

「それに関しては…どうやらこの近くの無人発電所にビリリダマたちは生息していたんだけど、何者かの手で無理やり連れてこられ、要らなくなったから捨てられた可能性が高いわ」

 

「そんな…!あいつ、死にそうだったんですよ?

 

 信じられねえ…」

 

「大変です!ジョーイさん、ビリリダマが飛び出して行っちゃいました!」

 

「なんだって!?」

 

ユウトが飛び出して行った。

 

「待ちなさい!」

 

ジョーイの生死を振り切ってポケモンセンターを出たユウトはそのままビリリダマの姿を見つけた。

 

「おい待てよ!お前…どこに行くんだよ!!」

 

ビリリダマが睨んできた。

 

「確かに人間は許せねえだろうよ…

 

 でもよ、俺はお前が放って置けなかった!

 

 だから…俺と旅しよう!お前の強さを証明しようぜ!!」

 

睨んできたビリリダマに対してユウトがモンスターボールを構える。

 

「行くぞ!ニドラン!!」

 

ニドラン♂とビリリダマのバトルが始まった。

 

「ニドラン、にどげり!」

 

小さな足で素早く蹴りを放つもビリリダマのボディに防がれてしまう。

 

「くっ…!」

 

するとビリリダマが音波らしきもので攻撃してきた。

 

「なんだこれは!?」

 

するとビリリダマが電撃を放った。

 

「ニドラン!」

 

ニドラン♂に電撃が命中してしまい、フラフラになっていた。

 

「くっ…!つつく!!」

 

ニドランがつつくを使って攻撃するもビリリダマには全くと言っていいほど通じてはいなかった。

 

ビリリダマもこの状況に剛を煮やしたのか動かなくなった。

 

「くっ!つつく!!」

 

何度もつつくを使うが意味はなくビリリダマはその隙にチャージを行なっていた。

 

「諦めるなニドラン!」

 

「二ドォ…!ニィイイイイイイイイドォオオオオオオオオオオ!!」

 

渾身の力を込めたつつくの軌道が逸れたが同時につのでビリリダマを突き飛ばすことに成功した。

 

「これは…!新しい技か!?」

 

新しい技を前に唖然としたユウトだったがビリリダマが吹き飛ばされたため気絶していた。

 

「行け、モンスターボール!」

 

モンスターボールがビリリダマに当たり、そのままボールが揺れた。数回、ゆっくりと揺れたのちにボールは動かなくなり音が鳴った。

 

「ビリリダマ、よろしくな。おまえの力をこれから俺に貸してくれ」

 

そういうとユウトはポケモンセンターに戻った。

 

 

__________________________________

 

「ビリリダマはどうしたの?」

 

「ゲットして手持ちにしました。幸い人のものではなかったようですね。一体何者の仕業なんでしょうか?」

 

「わからないわ、けれども今後そのビリリダマはあなたが大事にしてね」

 

「はい!」

 

「あっ、いたいた!急に飛び出さないでくれよ」

 

するとアンズがため息をついて戻ってきた。

 

「アンズさん、でもビリリダマはゲットしたぜ」

 

「おっ、早くも手持ちが5体になったか。では早速出発しよう!ハナダシティは目と鼻の先だ!」

 

「はいっ!」

 

新たにビリリダマを仲間にしたユウト、目指す街ハナダシティはすぐそこだ!

 

ハナダシティは水色、神秘の色、花咲く水の町

 




ビリリダマゲットです。いきなり5体揃ってしまいましたが6匹目以降はちょこちょこ増やしてくつもりです。

なぜイワヤマトンネルにビリリダマがいたのか、その謎は後々のお楽しみとしここでは負傷したところをユウトくんに助けられましたが無印のヒトカゲ回を参考に今回の話を書かせていただきました。

次回はいよいよハナダジム、ヒトカゲで挑んだ自分がナゾノクサとピカチュウでゴリ押したところですがユウトくんはどんなパーティーで挑むのかをご期待ください。その中でビリリダマの登板は決定していますので今回ゲットした彼がどう動くのかや前回ゲットしたばかりのゴースもどうバトルするのかも注目していただければ幸いです。


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第5話 対決ハナダジム! 激流を泳ぎきれ

初のジム戦、カスミとのバトルです!

前回ゲットしたばかりのビリリダマにゴースたちが戦います。しかし初のジム戦はゲームと違ってあっさり片付きませんと言っておきます。

そしてジム戦はバトルばかりかとお考えでしょうがこちらにもある程度ジムリーダーをどう処理するかはすでに全員考えてはいます。


 ハナダジムの前に立ったユウト、先にアンズが挨拶を済ませた中、彼は作戦を練っていた。

 

「現状ニドラン♂の技は にらみつける、かみつく、つのでつく、にどげりを覚えていてこのジムじゃあ別に相性が不利ってわけでも無いな」

 

 ニドラン♂のつつくはビリリダマとのバトルでつのでつくに上書きされていた。

 

「次にストライク、でんこうせっかにきりさく、みねうち、つばさでうつ…採用っと」

 

「メタモン、まあこいつは連れて行こう。いざという時に相手の技をトレースして後発に繋ぐんだ」

 

「で、ビリリダマは…いやなおとにじゅうでんに、ソニックブーム、スパークか。俺にはあんまりいい印象を持っていないからどの順番にするかは検討中だ」

 

「最後にゴース、したでなめるにあやしいひかり、ナイトヘッドにさいみんじゅつ…先発でも行けるか?」

 

 悩みに悩んだ結果こうなった。

 

 先鋒:ゴース

 次鋒:ストライク

 中堅ビリリダマ

 副将メタモン

 大将:ニドラン♂

 

「よし、行くか!」

 

 ユウトは扉を開けた。

 

「たのもー!」

 

「あら、チャレンジャーさん? よく来たわね!」

 

 目の前に立っていたのは、水着を着たユウトよりも年上な少女だった。

 

「私はこのジムのリーダーカスミ! 専門はみずタイプ、さっきの子から聞いたわ! あなた、初心者君なのね。私が戦う前に彼で腕試ししていかない?」

 

 するとカスミの近くのプールを泳いでいた海パンを履いた男がユウトに立ちはだかる。

 

「俺は海パン野郎、ヨウヘイだ! かかってきな!!」

 

「上等だ! 俺の力見せてやる、行けゴース!」

 

「ゴォオオオオオスゥウウウウ…!」

 

 ゴースが興奮したかのように息を吐いた。

 

「へっ、行け! シェルダー!!」

 

 舌を出した二枚貝のポケモンが対峙する。

 

「へぇ…ゴーストタイプか」

 

 カスミが興味深そうに笑みをこぼす。

 

「シェルダー、たいあたり!」

 

 シェルダーが体当たりを仕掛けるがゴースには当たらずすり抜けてしまう。

 

「あやしいひかり!」

 

 光に当たったシェルダーはそのまま混乱してしまった。

 

「シェルダー!」

 

 混乱するシェルダーはわけもわからず自分を攻撃してしまう。

 

「あまい! ゴース、ナイトヘッド!」

 

 しかしゴースは勝手にシェルダーに接近してしたでなめる攻撃をした。

 

「ゴース! 一体どうしたんだ?」

 

「どうやらそのゴースは君のいうことを時々でしか聞けないようね」

 

「なんだって!?」

 

「ポケモンをパートナーにするにはそれに見合ったポケモン特有な性格の理解とそれに見合ったトレーナーの実力が必要なの。ポケモンは必ずしも命令をすればいいってものじゃ無いわ」

 

「バカな…!」

 

「ふん、よそ見をしているようだが今の攻撃は不味かったな。

 

 シェルダーのこんらんが終わった! くらえ、シェルダーのつららばり!」

 

 シェルダーの口から氷の柱が発射されゴースに2発命中する。

 

「ゴース! さいみんじゅつだ!!」

 

 しかし今度はナイトヘッドでシェルダーを攻撃した。攻撃は命中するもつららばりがヒットしたため技が途中で解除されてしまう。

 

「言うことを聞かないことが分かったなら、こっちのもんだ! ちょうおんぱだ、シェルダー!」

 

 今度は逆にゴースが混乱してしまう。それによりゴースも戸惑いながら自分を攻撃してしまう。

 

「ケケケ、シェルダーやっちまえ! 

 

 命令が聞けない時点でこっちの勝機は間違いない!」

 

「ゴース! 俺の声を聞いてくれ! ゴース! 惑わされちゃダメだ! ゴース!」

 

 しかしゴースは答えない。

 

「へっ! 次で終わりだ!!」

 

「ゴース!」

 

「ユウト君だっけ? 闇雲に呼びかけるだけじゃダメよ。戦況を見てごらんなさい、今君がすべきことはただ命令するだけなのかしら?」

 

 カスミの一言でユウトが叫ぶのをやめた。

 

(この場合おれがどうしたらいいんだ? 混乱した上にいうことを聞いてくれない以上、どうすりゃ!)

 

 すると一本のつららばりがゴースを狙う。

 

「危ない! 目の前につららばりが!!」

 

 するとゴースがハッとして攻撃をかわした。

 

「なに!?」

 

 すると混乱が解けたゴースがナイトヘッドを命令なしで放った。命中したシェルダーは気絶してしまう。

 

「ゴース…!」

 

 ユウトが笑みを浮かべるとゴースがそのまま体当たりしてユウトの顔を下で舐めてきた。

 

「おっ、おお…お前も嬉しいのか?」

 

 ゴースも笑顔を浮かべてうなづく。

 

「やるようね! うちの海パン野郎を倒したあなたの実力は認めましょう。でも…ここからが本番よ!」

 

 ヨウヘイと入れ替わるようにカスミが現れた。

 

「君さ、ポケモンを育てる時にどんなポリシーがあるの?」

 

「え?」

 

 カスミの質問にユウトはたじろぐ。

 

「私は、お気に入りのみずタイプのポケモンたちで攻めて攻めて攻めまくることよ!」

 

 たじろぐ彼に反して躊躇無く答えたーカスミに対してユウトは威圧感のようなものを感じ一歩後ずさっていた。

 

(あれがジムリーダーだ、ユウト。さあどうする?)

 

 アンズが密かに観客席からのぞいていた。

 

 

 

「さあ始めましょうか。私はこの2体で十分」

 

「ハンデなんでしょうが、俺は負けませんよ! ゴース、そのまま行けるか?」

 

 するとゴースは意気揚々とバトルに出た。

 

「ヒトデマン、マイステェディ!」

 

 カスミが繰り出したのは星型のポケモンだった。

 

「ゴース、ナイトヘッド!」

 

「そうはいかないわ、みずのはどう!」

 

「ヒトォ…デマアアアアアアアア!!」

 

 ゴースの幻よりも速く、ヒトデマン本体の赤い結晶部から放たれた水のリング状光弾が命中して一撃で倒されてしまった。

 

「ゴース、ありがとうな。けど勝負はこれからだ! ストライク行け!」

 

 ストライクが登場しヒトデマンと睨み合う。

 

「むしタイプ…機動力で押すつもりかしら?」

 

「ストライク、つばさでうつ!」

 

「バブルこうせん!」

 

 飛行しながら攻撃するストライクにヒトデマンのが命中するもそこまで効いておらず、正面から攻撃を受けた。

 

「ふぅーん…じゃあこれならどうかしら? じこさいせい!」

 

 するとヒトデマンが動かなくなり念じ始めただけで傷が回復していった。

 

「なんの! でんこうせっか!」

 

 回復中を攻撃するものの大したダメージにもならずに回復を許してしまう。

 

「だったら…! みねうち!」

 

「闇雲に打ったってなにも変わらないわ、みずのはどう!」

 

 攻撃をかわして空中から攻撃を仕掛けるもヒトデマンは倒れなかった。

 

「くそっ、落ち着け…」

 

 焦るユウトだったが、ストライクもまだまだ粘れるほどの雰囲気だったためどうやって攻めるかを考えていた。

 

「ヒトデマン、体当たり!」

 

「かわすんだ!」

 

 ストライクが空を飛びながらヒトデマンを傍観する。

 

(何かいい方法は…正面が無理なら一気に背後に回るしかないが…試してみるか!)

 

「ストライク、地上に降りてつばさでうつ!」

 

「あまいわ、みずのはどう!」

 

 走り出したストライクに対してみずのはどうがせまる。

 

「いまだストライク! 飛べ!」

 

 ストライクがうなづいて軽くジャンプしたのちに羽を開いた。

 

「うそ!?」

 

「思った通りだ! そのまま止めだ!」

 

 ストライクが背後に回り込んでつばさでうつ攻撃を仕掛けた。対応の遅れたヒトデマンは無防備な背中を傷つけられそのまま壁に叩きつけられた。

 

 そしてプールに落ちてぷかぷかと浮かんできた。

 

「ヒトデマン戦闘不能!」

 

 会場の電子音声がそれを告げた。

 

「ふふ、まさか背後を突かれるなんてね。土壇場でみずのはどうを回避したのはさすがね。けど!」

 

 カスミはヒトデマンを戻して2つ目のボールを手に取った。

 

「この子はどうかしら? スターミー!」

 

 ボールから出てきたのは五芒星のような姿をしたヒトデマンと同じ外見のポケモンだった。

 

「はっ! そんなのさっきの戦法でオジャンだぜ! 

 

 つばさでうつ!」

 

 開始早々ストライクがスターミーの背後をとった。しかし…

 

「なに!? 背後が取れない!?」

 

「当たり前よ、このスターミーは防御においてはヒトデマン以上なのよ! 

 

 そして…その対策もバッチリなんだから!」

 

 スターミーの背中の星が回転を始めたのを見てユウトが目を丸くした。

 

「まずい、飛ぶんだ! 「遅い、こうそくスピン!!」」

 

 スターミーの回転に巻き込まれたストライクはヒトデマン同様プールに落ちていった。

 

「くそっ! 強いな…!」

 

 ユウトはビリリダマのボールに手を当てるが一瞬だけためらった。

 

(おそらくスターミーはみずタイプなんだろうが…

 

 少し探ってみるか)

 

「行け、メタモン!」

 

 なんとユウトは副将としていたはずのメタモンを呼び出した。

 

「メタモンですって!?」

 

「メタモン、へんしんだ!」

 

 するとメタモンのボディがスターミーになった。

 

「これであなたの技は俺のメタモンも使える、スターミー同士ならきっと!」

 

「ふふ、それはどうかしら!!」

 

「メタモン、みずのはどう!」

 

「スターミー、こうそくスピン!」

 

 スターミーMがスターミーに対してみずのはどうを放つが全く通用せずにこうそくスピンでかき消されてしまった。そしてスピンがメタモンを襲う。

 

「そんな…! どうして!?」

 

「経験の違いよ。あなたのメタモンは確かに技は真似た。でも私はあなたよりも多くのバトルを経験してる。甘かったわね!」

 

「諦めるなメタモン、じこさいせい!」

 

「ふぅーん…じゃあこっちもじこさいせい!」

 

 両者ともにある程度まで体力が回復したが、それでも劣勢と分かりユウトは追い込まれていた。

 

「技だけじゃ私には勝てない! ましてや他のジムリーダーにもね!!」

 

「…戻れメタモン!」

 

「え、引っ込めた?」

 

「行け! ビリリダマ!!」

 

「リィッ!」

 

 ボールからビリリダマが出てきた。

 

「でんきタイプ…けど負けないわ!」

 

「ビリリダマ、じゅうでん!」

 

 充電を始めたビリリダマ、しかしその間は無防備となる。当然それを逃すカスミでもなく、スターミーのみずのはどうで一気にダメージを与えさせるつもりでいた。

 

「スパーク!」

 

 ビリリダマが放った電撃はスターミーにぶつかったがわずかに耐えられてしまう。

 

「スターミー! じこさいせいよ!!」

 

「いまだ、ビリリダマ! もう一回スパーク!!」

 

 回復中のスターミーにビリリダマのスパークが放たれる。

 

「無駄よ! じこさいせいですぐに回復を…「甘い! と返します!!」」

 

 ビリリダマは回復中のスターミーに絶えず電撃を流し続けた。

 

「これは!」

 

「じこさいせいの時、スターミーはエネルギーを回復に専念して動かない。だったら回復が追い付かないほど相性の良い電撃を連続で受けさせて無理やりにでも戦闘不能にさせる!」

 

「そんな! そんな荒っぽいやり方なんて…!」

 

 カスミが唖然としたカスミだったがビリリダマの表情は高揚したようなものになっていた。

 

「ビリリダマ、つい最近仲間になりました。でも、こいつ頑固なんですよ。ゲットする時も敵視してたのか一苦労だったし、今もこうやって無謀なことをやろうとしてます。

 

 でもこんな自分でも一回ゲットしてから分かったことがあります。こいつは負けず嫌いなんだと。命令は聞くけど強い奴は俺が倒す、絶対ひかないって意志がある」

 

 ビリリダマは電撃を流し続ける。しかしスターミーはそのまま回復を繰り返していた。

 

「だから…信じます。俺自身の判断であいつが勝つことを」

 

「ユウトくん…!」

 

 それからバトルは回復されてとダメージを与えられての繰り返しだった。

 

 回復しきってスタミナ切れを待つスターミーと回復が間に合わないほどの連続攻撃で攻め続けるビリリダマ。両者は譲らず硬直状態が続いた。

 

「ビリャアアアアアアアアアアア!!」

 

 ビリリダマが叫ぶと電撃の威力が上がりスターミーが回復しなくなってその場に力尽きた。

 

「スターミー戦闘不能! 勝者、セキチクシティのユウト!!」

 

 バトルが終わりユウトがすぐにビリリダマに傷薬を使った。

 

「ビリリダマ、大丈夫か?」

 

 するとビリリダマが弱い電撃をユウトの体に放ってきた。

 

「は、はは…元気で何よりだ…!」

 

 苦笑いを浮かべるユウトに対してカスミが拍手を送った。

 

「負けたわ、まさかじこさいせいに対してあんな強引なやり方で攻めるなんてね。いいわ、ポケモンリーグ公認のブルーバッヂをあげます! おめでとう!!」

 

「ありがとうございます!!」

 

 バッヂを受け取ると今度はビリリダマがうれしくなって体当たりを仕掛けてきた。

 

「いってぇ〜お前少しは手加減をだな〜」

 

 それからジムを出たユウト、するとアンズが目の前に現れた。

 

「アンズさん、どうかしましたか?」

 

「いや、君のジム戦を見させてもらった。だが君自身の課題も見えてきたんじゃないか?」

 

「課題?」

 

「いや私の勘だ。気にするな」

 

 ユウトの戦いを危惧しながらもアンズは歩き出した。

 

 ジムバッヂ獲得! 残り7つ

 




無事ブルーバッジを獲得したユウトくん、次回はニビシティに向かいます。

しかしその前には恐らく避けて通れないであろう場所があります。オツキミ山ですね。ゲームでは一方通行でしたが…

次回はオツキミ山で軽くロケット団とバトルをして次次回でタケシ登場としています。

それにしても、ユウトくんの手持ちですがいわタイプに弱いポケモンはいますがストライクとか危ないですね。弱点4倍ですよ、危ない危ない


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第6話 お月見山の兆し

ニビジムへの道のり、お月見山ですが化石回収イベントはやりません。ただロケット団との戦闘は避けられないという形でロケット団とバトルです


 ハナダシティでのジム戦を終えたユウトは悩んでいた。

 

「次のジムはいわタイプ……」

 

 現状彼のパーティ5体にはいわタイプに対して不安があった。

 

 むしでひこうタイプのストライク、でんきタイプのビリリダマと不利なポケモンが2体もいた。ニドラン♂に関しても、にどげりを持っているもののゴースやメタモンと合わせてとなると、僅かに不安が残っていた。

 

「いわタイプのスペシャリストタケシには軟弱な攻撃は通用しない。

 

 かと言ってここに来ていきなり新ポケモンを持って勝てる保証はないわよ」 

 

 オツキミ山を不安のまま移動していたユウト、時折現れる野生のポケモンで手持ちを鍛えていたがわずかに技の構成やレベルが上がるだけでそこまでの成果が見込めずにいた。

 

「どうすりゃいいんだ……」

 

「焦らないことよ。じっくりと手持ちを育てていけば勝つ方法も見えて来るはず

 

 ひとまずこの先に分かれ道がある。二手に分かれましょう」

 

「ええ!?なんでだよ!!」

 

「この山にはトレーナーが通る、と言う事は鍛えるには持って来いの場所だとは思わない?」

 

 アンズが地図を投げ渡した。

 

「それを使って合流しましょう。それじゃあね!」

 

 アンズが先に進む。

 

___________________________________

 

 一方オツキミ山の最下層では……

 

「あーあ、化石は全然みあたんねえよ〜」

 

「確かにあるのは石ころだけみたいですね」

 

 黒い服を着た男女、ロケット団員が愚痴をこぼしていた。

 

「ちょっと前だったら私たちのものにできたかもしれないくらい化石があったのに……

 

 どうやらポケモンリーグがある程度の化石を管理してるようですね。忍び込まないと奪えないか……」

 

「うむ……」

 

 ぼやく2人が道を歩いているとたまたまユウトにぶつかってしまう。

 

「いてて……?お前らは!」

 

「なんだてめえは?ぶつかっておいてなんかようか?」

 

「お前たちロケット団だな!?どうしてここに!!」

 

「それは内緒だよ!生意気なガキめ、2人がかりでやってやる!」

 

「あいよ!」

 

「くそっ!」

 

 やむなくニドラン♂とストライクを呼び出してユウトが立ち向かう。

 

 対するしたっぱ2人はラッタとズバットを呼び出してきた。

 

「ストライク、つばさでうつ!」

 

 ストライクが先制し、空から攻撃を仕掛けてきた。

 

「ラッタ!たいあたり!」

 

「させるか、ニドラン にどげり!」

 

 ニドラン♂がラッタを横から攻撃した。そして追い討ちと言わんばかりにストライクの攻撃が炸裂する。

 

「チィッ!」

 

「けっ、舐めんな!ズバット、おどろかす!」

 

 するとストライクがズバットの攻撃に引っかかってしまい、動けなくなってしまう。

 

「まずい!ニドラン、ストライクを守るんだ!」

 

「そうは行くかい!ラッタ、ひっさつまえば!」

 

 ラッタの一撃がストライクに直撃してしまう。

 

「くっ……!ニドラン、つのでつく!」

 

 ラッタをなんとか倒したもののズバット自体は空を飛んでおり、ストライクは重症だった。

 

「戻れストライク!行け、ゴース!」

 

「ゴースだと?」

 

「ゴース、したでなめる!」

 

「おっとそうはいかんぞ!ちょうおんぱ!」

 

 ズバットがニドランを混乱させゴースに同士討ちするよう仕組んだ。

 

「そんな!ニドラン、かわせ!」

 

 ゴースの攻撃を回避したニドランだったが……

 

「チャンス!ズバット、かみつく!」

 

 ズバットのかみつくが急所にあたってしまった。

 

「そんな!」

 

「へへ!チャンスだ!」

 

 ズバットがニドランにとどめをさそうとした瞬間、突如としてニドランに異変が起こった。

 

「なんだ?ニドランから突然光が!?」

 

 すると小柄なニドランが大柄でいかつい表情をした姿へと変化した。

 

「なんだ、あの変わりようは!」

 

 ポケモン図鑑を開いた。ニドリーノが鼻息を荒立てる。

 

「そうか……ニドリーノか!」

 

「ええい、進化した程度で舐めるんじゃねえ!」

 

 ズバットが再びかみつく攻撃を仕掛けてきた。しかし、ニドリーノは動じずそのまま走り出した。

 

「よし、行け!つのでつく!」

 

「ニィイイドォオオオオオオオ!!」

 

 ズバットに噛まれながらも、つのでつく攻撃でニドリーノが一撃で仕留めた。

 

___________________________________

 

「ズバット!クソッタレ!」

 

「なにをしているのですか?」

 

 すると奥から男が現れた。その眼差しにしたっぱ2人はすぐに震えてしまっていた。

 

「ひぃいいい!ランスさん!!」

 

「お前もロケット団か!?」

 

「子供1人に油断しましたね。ですが私相手ならどうでしょう?」

 

「くっ、行けるか?」

 

 ニドリーノがうなづく。

 

「行け、ゴルバット!」

 

 ニドリーノとゴルバットが睨み合う。

 

「ゴルバット、つばさでうつ!」

 

「にどげり!」

 

 ゴルバットが正面から攻撃しかけてきたのに対して反撃しようとしたニドリーノが大きく吹っ飛ばされる。

 

「進化したばかりだからと言って侮らないことです!」

 

 ランスの合図でゴルバットがちょうおんぱを発した。

 

「かわしてどくばり攻撃!」

 

 口からどくばりと放つも相手もどくタイプ。簡単に切り開けるほど甘くなかった。

 

「おどろかす!」

 

 すると正面に突然現れたゴルバットの攻撃を受けニドリーノは怯んでしまった。

 

「ふぅ……もういいでしょう」

 

「なに!?」

 

「このバトルは始まって早々に飽きたんですよ!」

 

 すると突然呼び出されたドガースがその場で自爆しようとしていた。

 

「行きますよあなたたち!」

 

「はい!」

 

「ふっ、ご機嫌よう。そして良き旅の終わりを」

 

「くそっ!逃げないと!!」

 

 したっぱ2人もランスに連れられて逃走した。ユウトもその場を離れ、少しして爆発音が響いた。

 

「ふぅ……」

 

 ユウトがボールに入れていたニドリーノを繰り出した。

 

「ニドリーノ、お前……」

 

「ニィイイドォオオオオオオオ!!」

 

 雄叫びを上げたニドリーノに対してのユウトが抱き抱えた。

 

「一緒に戦ってくれるか!」

 

「ニィドォ!」

 

 ニヤッと笑うニドリーノ、しかし……

 

「うっ!ゲホッ、ゲホッ!」

 

 咳き込んだユウトは自分にどくけしを使った。

 

「お前の体の毒、前より強くなっちゃいないか?でも、そうこなくっちゃな。タケシ戦は任せたぜ、よしいくか!」

 

 ユウトが元来た道を引き返す。幸いロケット団は逃走しており遭遇する事はなかった。

 

「ここが出口みたいだな」

 

「おっ、来たのか」

 

 出口にはアンズがすでに立っていた。

 

「!?そうか、進化に成功したのか。おめでとう」

 

「はい、でも俺の元にロケット団が現れたんです。そっちは大丈夫なんですか?」

 

「問題ない、したっぱを軽く追い払っておいた。しかし奴らは何を企てていたのやら……」

 

「あのランスとかいうやつすげー冷たい感じがした。あんなやベーやつがいるんですね」

 

「うむ、だが今は旅を急ごう。奴らがもし近くにいたら危ない」

 

「そうですね……」

 

 アンズと合流したユウトはオツキミ山を出た。

 

 そしてニビシティへたどり着く。

 

 ニビは灰色、石の色、険しき山合いの町

 

 現在ジムバッジ1つ 残り7つ




ロケット団幹部ランスが登場し、バトル中断として洞窟で自爆っていう結構危なげな手段を取りました。今後彼の出番はちょくちょく増えて行きますがそれはまだだいぶ先。その頃にはユウトくんも手持ちが潤っていることでしょう。

まずニドリーノに進化したニドラン♂、次回はニビジム編ですが…

あらかじめ言っておきますが、ニビジムでのバトルはありません。

ジム=バトルっていうパターンが8回分あるのが単純にめんどいのでジムバッジが貰える展開は単純にポケモンバトルだけにせずロケット団と絡めながらジムリーダーに認められてな展開を入れていくつもりです


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第7話 ニビ、ハナダ、トキワのSOS

ニビジムイベントと見せかけてのサブイベントです、ここで主人公の友達になるサブのトレーナーを登場させます

彼らは今後終盤とか中盤あたりにでも再登場させますのでここで出会いをやります


 

「たのもー!」

 

ニビジムの扉を開いて早々、ジムリーダーのタケシは小難しい顔をしていた。

 

「チャレンジャーだね。実は少し困ったことがあってね。今大丈夫かい?」

 

「へ?いいですけど…」

 

「よし!

 

 実はだ、今ニビシティ自体に謎の地震が次々と発生しているんだ。クチバのマチスが先日俺に救援を求めてきててな。その原因がディグダのあなにあることが分かったんだ。」

 

「なるほど…」

 

「ただ、俺もマサラタウンやトキワシティの方面から見たら一番最初に挑戦されるジムのジムリーダーということもあってな。

 

 けどこの調査はポケモンリーグを通じてのもの。断るわけにはいかないんだ。

 

そこで、調査に協力してくれるトレーナーを募集していたんだ。この問題を解決してくれる強いトレーナーなら君の力を貸してくれ!」

 

「うーん、でも俺には手持ちが…」

 

「話は最後まで聞くんだ。今回はあくまで自然調査も兼ねたアシスタントを君らトレーナーにお願いしたい。報酬はこのグレーバッジだ」

 

「ええ!?いいんですか!!」

 

「ああ、ポケモンリーグの運営の理念みたいなのものにこんな一文があった。

 

 ポケモンはバトルするだけじゃない。人と彼らが歩み寄って信頼することで初めて力を発揮する、ってね。

 

それに、貢献してくれたトレーナーだから渡すんだ。ポケモンたちの住処を知って大事にする心はトレーナーにとっても重要なことなんだよ。さて、君はどうする?」

 

「受けます!バッジは欲しいし、俺もクチバシティには行きたいですから。ここからクチバに向かう人みんなの問題なら、俺も付き合いますよ」

 

「よく行った!明日にでも出発するから準備は整えていってくれ!ポケモンセンターにもこのことは伝えてある。安心して止まっていってくれ」

 

「はい!」

 

ニビジムを後にしたユウトはアンズを残してポケモンセンターに向かっていた。

 

「さてと、アンズくんだったかな?俺に挨拶に来たようだが、なぜ彼と同行してるんだい?」

 

「あた…いえ、私はただあなた方先輩方への挨拶回りを兼ねて初心のトレーナーを導く体験がしたかったのです。ジムバトル以外ではそんなものは滅多にありませんから」

 

「そうか…一応ディグダの穴の調査を明日に行うことになってはいるが、ロケット団の動きにも警戒してくれ。奴らの組織力は恐ろしいものがある」

 

「そうですね、現に私や彼も何度か交戦しています」

 

「…カスミにはすでに連絡はしている。彼女も相性の良いみずタイプポケモンで援護してくれるくらいだ。あとはトキワのアイツも来てくれるそうだ」

 

「彼ですか?長らく閉鎖されたポケモンジムを復興してジムリーダーになったという…」

 

「ああ、彼も今この辺りでトレーナーをスカウトしている筈だ」

 

_________________________________________

 

一方ポケモンセンターには多くのトレーナーが集まっていた。

 

「これ…みんな挑戦する奴らなのか?」

 

ユウトがトレーナーを見回していた。

 

「およよ〜?君もスカウトされちゃった的なトレーナーかい?」

 

すると小太りなトレーナーが声をかけてきた。

 

「君は?」

 

「自分はコガネシティのマサだぜー!」

 

「コガネシティ?聞いたことないな」

 

「おいおいおい、ジョウト地方だよ!セキエイ高原より西の地方があんのよ!テレビとかでよくエンジュシティの観光もの番組とかあるのよ〜!」

 

「えっ…そうだったのか。なんかごめん…」

 

「いいってことよ!

 

 にしても…ここのトレーナーたちはみーんな調査に向かう予定の連中らしいぜ」

 

「ん?ねえねえ!もしかしてあなたも一緒に協力するトレーナーさんなの?」

 

すると金髪の少女と黒縁メガネの少女が駆け寄った。

 

「ああ、セキチクシティのユウトだ。よろしくな!」

 

「トキワシティのアミ!こっちの眼鏡っ娘はヒサ!」

 

「あなたたちも来たのね。まっ、あたしたちの足は引っ張んないでよね」

 

「さてさて皆様方〜!トレーナーと言ったらやることは一つじゃないかな〜」

 

「うん!ポケモンを見せ合いっこしよう!」

 

するとアミが手持ちを見せてきた。

 

「ジャジャーン、手持ちのピカチュウに、バタフリーにラッタ!私は可愛い子が好きなんだ〜!」

 

「次は私、カモン!」

 

続いてヒサが手持ち4体を繰り出した。

 

「ニドリーナ、ピジョン、スピアー、ピッピ。みんななかなかの能力よ。小柄と思って甘く見ないことね」

 

「ではでは三番手はこの俺が!」

 

そしてマサが手持ちを繰り出した。

 

「ジョウトのポケモンだぜ〜!ヨルノズクにアリアドス、マリルリ、ノコッチ!どうだ〜?珍しいだろう〜」

 

「なにこれ!すっごい可愛い!!

 

 こののんびりとしたお顔、癒されるなぁ〜」

 

アミはノコッチの顔を見てニコニコしていた。

 

「だろだろう?で、ユウトはどんな手持ちなんだ?」

 

「俺はこれだ!」

 

ユウトの手持ちを5体繰り出した。

 

「色々揃ってるわね。でんき、ゴースト、どく、むし、ひこう、ノーマルタイプか…」

 

ヒサが分析を続ける。

 

「でも、今回のポケモンたちは大体じめんタイプが生息していると聞くわ。

 

きっと、あなたのビリリダマやニドリーノ、私のニドリーナにスピアー、マサのアリアドスにアミのピカチュウは厳しいかもしれないわね。」

 

「集まってくれみんな!」

 

するとポケモンセンターの表にタケシとアンズ、そして長髪でニヒルそうな笑みを浮かべた男が立っていた。

 

「アンズとタケシさんの間にいるトレーナーは誰だ?」

 

「グリーンさん!?トキワジムの新人ジムリーダー、グリーンさんか!!」

 

「トキワジム?あの人がか!」

 

グリーンが集まったトレーナーたちに一礼するとマイクを手に取った。

 

「目的は話したとおりディグダのあなの調査だ!みんなの力を貸してくれ!」

 

「おおおお!!」

 

タケシを先頭にディグダのあなへ向かうトレーナーたちだった。

 

「まず洞窟には3つに分かれる。俺とカスミ 、そしてグリーンの3人を先頭に洞穴に入るぞ!」

 

「よし、お前らは俺だけ!」

 

ユウトはヒサにアミ、マサと共に一番最初にグリーンと共に潜って行った。

 

 

_________________________________________

 

「さて、このディグダの穴はそこまで広いとこじゃねえんだ。俺たちはクチバの方まで行こうぜ。一番異変が起こりやすい場所から探し出すんだよ」

 

「はい!」

 

(ねえねえ!グリーンさんって超カッコいいよね!クールだし、トレーナーとしても強いし!)

 

(なあ、グルーンさんのトキワジムってやっぱタイプは決まってんのか?)

 

ひそひそ話してる3人に対してグリーンは苦笑いを浮かべた。

 

「おいおい!そんなに緊張すんなよな!

 

 俺に決まったタイプはねえ、ただどういったコンビネーションで戦えば勝てるかを考えてんだ」

 

「コンビネーション?」

 

「そうそう、たまにつええ奴がいるとだ、そいつはこっちの弱点を遠慮なくついてくる。

 

 じゃあトレーナーがするべきことはなんだ?ポケモンの技だよ!それで不利な相手を逆に牽制するんだ。そうすりゃ自ずと流れが相手に持ってかれなくなる」

 

グリーンが地面や天井を眺め不審な点がないかを調査しながらユウトたちに話していた。

 

「それにしても、結構明るいんですね。最初暗いとばかり思ってたのに…」

 

「どうも誰かがいるみたいだな。あんまし離れないようにな。もし敵や野生のディグダやダグトリオが襲ってきた時のために対処するんだ」

 

「はい!」

 

全員手持ちのポケモンを呼び出した。アミはラッタを、ヒサはピッピ、マサはマリルリ、ユウトはゴースを呼び出した。

 

「来たか!」

 

するとディグダの大群が襲ってきた。

 

「ひとまず迎え撃つんだ!」

 

「はい!」

 

「ピッピ、おうふくビンタ!」

 

「マリルリ、みずでっぽう!」

 

「ラッタ、ひっさつまえば!」

 

「ゴース、ナイトヘッド!」

 

ひとどころに留まらずに4人が戦う間にグリーンが周辺を見回していた。

 

「いないか。行けっ、ナッシー!」

 

グリーンの手持ちであるナッシーがタネマシンガンで他の4体の援護に回る。

 

「ナッシー、さいみんじゅつ!」

 

攻撃してきたディグダがさいみんじゅつに倒れたがまだ敵は多かった。

 

「ゴース、こっちもさいみんじゅつだ!」

 

「だったらピッピ、こっちはうたう攻撃よ!」

 

ゴースとピッピが残った敵を眠らせる。

 

「だったら私たちはみんなを守るよ!」

 

「任せなアミ!マリルリ、バブルこうせん!」

 

「ん?」

 

乱戦の最中グリーンは何かを感じ取った。

 

「ラッタ、でんこうせっか!」

 

マリルリとラッタが多数を牽制するうちにゴースとピッピがナッシーと共にディグダの大群を眠らせることに成功した。

 

全員休息を取っていた。しかし先程倒したディグダの大群も襲ってくる可能性がありあまりのんびりとしてはいられない。

 

「上出来だぜ!」

 

「ありがとうございます。

 

 それにしてもどうしてこんなにディグダたちが私たちを襲ったのでしょうか?」

 

「見たところこいつらの目は正気じゃなかった。

 

 どこかにロケット団のやつらがいるな。奴らのことだ、きっとポケモンを捕獲するなり実験するなりでこの場所を占拠してるんだろう」

 

「よし!私たちでやってやりましょう!!」

 

アミが乗り気になる中ユウトは図鑑を開いていた。

 

「どうした、ユウト?」

 

「マサ、本当にここはディグダにダグトリオがいるんだな?」

 

「おいおい!どうしたってんだよ急に」

 

「いや、あいつらのデータを図鑑で確認しよっかなと思って試しに見てみたんだが、こいつら、じしんとかを引き起こす技を使うみたいなんだ。

 

 けど…どうしてさっき攻撃してきたときに何匹も同時に打ってこなかったのか、ちょっと気になってな」

 

「うーん…俺たちを倒すために自分たちの住処を壊させないためじゃないか?」

 

「ん〜?なになに?」

 

図鑑の画面をアミがのぞいてきた。

 

「ポケモン図鑑を見てるようだけど彼らが覚えているのはマグニチュードよ?」

 

「マグニチュード?」

 

ヒサも自分のポケモン図鑑を開いた。

 

「そう、1から9まであって各段階によって威力も全く異なるじめんタイプの技よ。ちなみにその段階は毎回ほぼランダムみたい。」

 

「ランダムか…」

 

「行くぞ!もうすぐクチバシティだ!!」

 

グリーンの呼びかけで4人はついていく。

 

「あれがクチバシティの入り口?」

 

「戻るぞ」

 

出口から脱出しようとした4人をグリーンが止める。

 

「ここにはディグダはいない。だったら戻ってロケット団の連中を探すんだ」

 

「戻るったってグリーンさん…もうこんなとこに行く場所なんてありませんよお〜」

 

「いいやあるぜ、一箇所だけな」

 

そういう時全員先程戦闘した場所に呼び出された。

 

「少し離れてな、行けカメックス!」

 

カメックスがボールから飛び出してきた。

 

「カメックス、壁に向かってハイドロポンプ!」

 

背中の砲台から放たれた激流が壁を狙う。

 

「あれ?なんか割れてきてないか?」

 

「グリーン!」

 

すると他のトレーナーを引き連れたカスミがヒトデマンを呼び出して援護してきた。

 

「すいません、助かります」

 

「いいのよ!みずタイプならあなたのカメックスには負けないもの!!」

 

スターミーのみずでっぽうも加わり中から鉄製の扉が現れた。

 

「これは!」

 

トレーナーたちが息を呑むとドアを突き破ってロケット団のしたっぱたちが襲いかかってきた。

 

「こうなったらやけだ!やっちまえ!!」

 

「そうは行くか!みんな行くぞ!」

 

「おう!!」

 

したっぱたちと探索隊で乱戦が繰り広げられているが旗色は完全に探索隊優勢だった。ロケット団のポケモンは次々と撃破されていく。

 

「こうなったら!ドガース、じばく!!」

 

他のしたっぱたちも手持ちのドガースをじばくさせてあっさり逃亡した。

 

「待て!」

 

ユウトが1人のしたっぱを見かけたが、ドガースのじばく攻撃に怯んで前に進めなかった。

 

 

_________________________________________

 

 

じばくが止んだ頃、したっぱたちはみな逃走し傷ついた岩肌と地面だけが残った。

 

「…」

 

トレーナーたちが荒れ果ててしまったディグダたちの住処を見て胸を痛めるがタケシが懐から何か小さなケースを取り出した。

 

「みんな、後は俺たちジムリーダーやポケモンリーグに任せてくれ!」

 

「この施設は天然のトンネル、人にとってもポケモンにとっても無くてはならないものだから、私たちに任せて!」

 

タケシとカスミがトレーナーたちを励ます。

 

「もう間も無くポケモンリーグからも人員が派遣されて調査が開始されるはずだ」

 

「君たちにはお礼をさせてくれ!グレーバッジだ。人とポケモンの生きていく未来を守ってくれた君たちに感謝を込めて、俺に渡させてくれ」

 

トレーナーたちもグレーバッジを受け取った。それからトレーナーたちが解散したがユウトたちはその場に残っていた。

 

「さーて、俺たちはどうする?」

 

ユウトたちはディグダのあなを出た。

 

「そうだなぁ…ひとまずクチバシティには出たいかも。噂によると、パーティがあるそうだぜ!」

 

「私もそうしよっかな。ちょっと立ちよりたいところがあるんだよね〜

 

 ヒサもそうでしょう?」

 

「ええ、そうね。っていうかあなた、アンズさんは?」

 

「ああ、さっきから姿が見えねえんだ。どこ言ったんだ?」

 

「おい、ユウト。お前、なんか帽子に紙が留められてるぞ」

 

「え!?」

 

「拝啓 ユウト

 

  あたいはポケモンリーグからの司令を終えましたので正式にセキチクジムの運営を始めます。

 

いずれあなたとも相対する時がやってくるであろう。

 

ジムリーダーとして、君はチャレンジャーとしてあたいに挑戦することになる。

 

しばしの別れだ!」

 

「彼女、あなたの故郷の街のジムリーダーだったのね」

 

「ああ、でも…ポケモンリーグ出場には避けて通れない道だったんだ。

 

 その前に他のジムでパワーアップだ!」

 

「いいねいいね!そういうのカッコいいよ!

 

 ライバルに勝つために全力で強くなるってすっごいことだよ!」

 

アミがふふっと笑った。それからユウトは知り合った3人と共にクチバシティに入った。

 

 

ジムバッジ 2つ 残り6つ

 

クチバはオレンジ 夕焼けの色

夕焼け色の みなとまち

 

 

 

 

 

_________________________________________

 

一方___

 

「たった今、占領した無人発電所でコードネーム___サンダーの確保に成功したとのことです」

 

「そうか、伝説のポケモンも2体…残るポケモンを調査せよ!」

 

「はっ!」

 

男はパソコンを見つめながらニヤリと笑みをこぼす。

 

「ロケット団の大いなる野望は成就する。その日は近い。このサカキの元にな!!」

 




友達でもある新キャラクターたち

ここではその手持ちを改めて紹介します

アミ
 ピカチュウ
 バタフリー
 ラッタ

ヒサ
 二ドリーナ
 ピジョン
 スピアー
 ピッピ

マサ
 ヨルノズク
 アリアドス
 マリルリ
 ノコッチ


彼らは次回までユウトくんと一緒にクチバシティに向かいます。最近アニメでめっちゃすげえ街並みになったであろうクチバシティ、サントアンヌ号やマチスとのイベントが待ってますね。

ここでお知らせ!来週の投稿はお休みします、新年は恐らく1月の8日くらいになると思います。とはいえ話が完成したら今週とかにもう一本出しても良いんですがね、それでは良いお年を!


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第8話 サントアンヌ雷撃戦 エレクトリック軍曹の底力

新年明けましておめでとうございます

2020年もよろしくお願いします! 新年1発目はマチスとのバトルです

エレクトリック軍曹の彼に因んだバトルになってますがポケモン持の軍人って今のシリーズじゃいませんね。多分出そうにも出せない事情とかありそうですが…


 

 クチバシティに着いたユウトはヒサやアミ、マサと共にクチバジムに向かっていた。

 

「大丈夫なの?」

 

「なにが?」

 

「何がではないわ。マチスさんはでんきタイプ使いの海向こうのミリタリーよ? あなたの手持ちじゃ少し厳しいんじゃないの?」

 

「たしかにヒサのいうとおりだね。ユウトくんのストライクやビリリダマじゃちょっぴり厳しいんじゃないかな?」

 

「でも、ニドリーノやメタモン、ゴースがいるよ。それにもう着いちゃったんだしさ。今いる仲間たちでやってみるよ」

 

 クチバジムに入ったユウトはフィールドに進んだ。

 

「oh,こんな時にチャレンジャーデスか! ミーはマチスっていいマース!」

 

「お、おう……俺はセキチクシティのユウトって言います。俺とバトルしてください!」

 

「イイデショー、受け立ちましょう! 

 

 と、言いたいのですがちょっとストップデース」

 

「え?」

 

「実は私、急遽サントアンヌ号って船に呼ばれてマス。ですから今はバトルできませーん!」

 

「そんな!」

 

「けれどもノープロブレム! サントアンヌ号ではスポーツの一環としてポケモンバトルがアリマス。今日のイベントでは私の握手会に子供たちとの本物のバトルをシマース」

 

「サントアンヌ号……」

 

「Mr.ユウト! 君の挑戦は海原で引き受けマス!」

 

 それから全員サントアンヌ号に乗った。

 

「はぁはぁ……」

 

「おいおいマサ! 大丈夫か?」

 

「お、俺は船がどうも苦手なんでな……悪りぃけど部屋で寝かせてもらうわ」

 

 マサが部屋に戻る中、ユウトは頭を悩ますトレーナーに出会った。

 

「あの、どうかしたんですか?」

 

「……まあいいか、実はな。このゼニガメがな? どうも俺のことを認めてくれないんだ。それで今日のバトルにも出ようか迷ってるんだ」

 

「今日のって……マチスさんとのバトルですか?」

 

「ああ、だって言うのに不安でな」

 

「あの、だったら俺で練習しますか?」

 

「ええ!? いいのかい?」

 

「俺もマチスさんに挑戦しようとは思ってたんです」

 

「よし! じゃあいっちょ行くか! あっ、部屋は壊さない程度にな」

 

「よろしくお願いします!」

 

___________________________________

 

「行け! ゼニガメ!」

 

「ゴース、頼んだぞ!」

 

 ゴースがゼニガメと睨み合う。

 

「ゴース、したでなめる!」

 

「させるか、みずでっぽう!」

 

 みずでっぽうを回避したゴースは背後からゼニガメの体をその舌で舐めた。

 

「ゼニガメ、たいあたりだ!」

 

 ゼニガメも嫌そうな表情を浮かべながらたいあたりを仕掛けるもゴースには通じず壁にぶつかってしまう。

 

「トドメだ! ナイトヘッド!!」

 

 背後に回り込んで放たれた一撃はゼニガメを制止させる。

 

「まいった、強いねキミは」

 

「でも、ゼニガメのみずでっぽうはすごかったです。回避してなかったらゴースも危なかったかも!」

 

 すると館内放送が流れた。

 

「もう間も無くジムリーダーマチスのチャレンジバトルinサントアンヌ が始まります! 我こそは挑戦するトレーナーは奮って参加してください!」

 

「行きましょう!」

 

「そうだな、やれるだけやってみるよ俺もね」

 

 そして2人はサントアンヌ号に特設されたバトルフィールドに来ていた。普段は大金持ちのトレーナーたちが遊戯としてバトルを行う場所だが今日はマチスが会場の予約を行なっていた。

 

「ああ、ユウトくん!」

 

「来たのね、あら? そちらの方は誰かしら?」

 

「ああ、さっき知り合ったふなのりさん」

 

「よろしくな! それにしても20人はいるんだな」

 

「ヘーイミナサーン! 今日は私のために来てくれてありがとうゴザイマース!」

 

 マチスが陽気に声をかける。

 

「ルール説明いたしますと、今回は皆さんも楽しんでいただけるようにバトルロイヤル形式デース!」

 

「バトルロイヤルだって!?」

 

「皆さんも友達でありライバル! 時にぶつかり共に戦う素晴らしきトレーナーライフの一環を体験しようじゃありませんか! 私が使うのは……! 

 

 ビリビリに行け! ライチュウ!!」

 

 ボールから出てきたライチュウは余裕の笑みを浮かべる。

 

「私のライチュウであなたたちを全員倒しちゃいまーす! でも誰か1人が私を倒したなら検討をたたえ全員にバッジをプレゼンでーす!」

 

「えええ!?」

 

 トレーナーたちは驚く。

 

「エレクトリック軍曹の電撃は戦場じゃアンビリーバボー、ユーたちソルジャーは私とライチュウを囲む敵です。私たちの強さを見せてあげます!」

 

「よし行くぜ!」

 

 ユウトはニドリーノ、アミはラッタ、ヒサはピッピを繰り出した。

 

「俺たちで一緒に戦うか?」

 

「いいねそれ! そうしようよ!!」

 

「……私は少し様子を見させてもらおうかしら」

 

 他のトレーナーたちとマチスとの変則バトルが始まる。

 

___________________________________

 

「やれ、イシツブテ! 相性でズタズタだ!!」

 

 開始早々、スキンヘッドのトレーナーがいわなだれで他のトレーナーたちもろともライチュウを攻撃する。しかし……

 

「ナンセンス! ライチュウ、メガトンパンチ!!」

 

 岩を次々破壊したライチュウがイシツブテの懐に強力なパンチを叩き込んで吹っ飛ばしてしまう。

 

「イシツブテェ!」

 

 相性のいいイシツブテが倒れたことで他のトレーナーたちも一体ずつではなく集団でライチュウに挑むことにした。

 

「コラッタ、ひっさつまえば!」

 

「ナゾノクサ、タネマシンガン!」

 

「マンキー、にどげり!」

 

 たんぱんこぞう、キャンプボーイ、ミニスカートのポケモンが一斉攻撃を放つもライチュウは倒れない。

 

「私のライチュウはタフガーイ、そんな攻撃じゃ……タオセマセーン!」

 

 ライチュウが放つ100000ボルト、その一撃で三体が一掃される。

 

「残るはユーたち4人デスか〜」

 

 ニドリーノ、ピッピ、ゼニガメ、ラッタがライチュウに立ちはだかるがライチュウから放たれる威圧感に気圧されるばかりだった。

 

「こうなったら……! やるしかない!!」

 

「ヒサちゃん何かいい方法があるの?」

 

「ピッピにはゆびをふるっていう技がある。

 

 何が起こるわからない技だけど、こうなってしまった以上やるしかないわ!」

 

「よし、囮は任せろ」

 

 ふなのりが買って出た。

 

「じゃあ俺も行くぜ、みんなであいつに勝つ!」

 

 ふなのり、ヒサ、アミそしてユウトに立ちはだかるライチュウが挑発を仕掛けてきた。

 

「ボーイズたちも作戦立ててるみたいですね、グッジョブ! 

 

 でも勝ち目はありますか〜?」

 

「行くぞ!」

 

「ニドリーノ、どくばり こうげき!」

 

 ニドリーノが毒針を発射しながらライチュウと距離を取る。

 

「ラッタ、しっぽをふる!」

 

 ラッタがしっぽをふりライチュウが苛ついたような表情を見せる。

 

「ゼニガメ、みずでっぽう!」

 

 ゼニガメが正面からみずでっぽうを放つ。

 

「回避!」

 

 マチスの指令でライチュウはジャンプした。

 

「いまよピッピ、ゆびをふる!」

 

 ピッピが指を振った。ゆびをふる___奇妙な技である。指を振っただけで使えないはずの技が使えてしまうのだ、しかし今はその奇妙にかけるしかない。

 

「ピッ、ピッ、ピッピィイイイイイイイ!!」

 

 ピッピからオーラが発せられた。

 

「ピィイイイイウウウウウ!!」

 

 するとピッピから強力な真空波が発生した。

 

「これはまさか……! エアロブラスト!!」

 

「エアロブラスト!?」

 

「ジョウトの伝説のポケモン、ルギアが放つとされた技デスか! しかし!」

 

 その威力が大きすぎたのかピッピは途中で倒れてしまった。

 

「くっ……! あとは任せたわ。これ以上はピッピにとって負担がかかりすぎる」

 

 ヒサがピッピを引っ込める。

 

「いっけぇ! ラッタ、でんこうせっか!!」

 

「ニドリーノ、どくばり!」

 

 ラッタが弱ったライチュウに攻撃を当てるがまだ倒れずライチュウがニヤリと微笑んだ。

 

「チュウ!」

 

 メガトンパンチでラッタが倒れてしまう。

 

「ゼニガメ! みずでっぽう!」

 

「Oh,ナンセンスな戦略でーす」

 

 ライチュウは当たる前に電撃を放ち、逆にゼニガメを追い込んでしまう。

 

「ゼニガメ、たいあたり!」

 

 ゼニガメが正面からたいあたりを仕掛けるが突然ニドリーノがゼニガメを踏み台にした。

 

「つのでつく!」

 

「まずいライチュウ!受け止めろ!!」

 

 ニドリーノの同時攻撃とゼニガメの同時攻撃が防御の遅れたライチュウにヒットした。

 

 そして目を回してライチュウが倒れる。

 

「よっし!」

 

 勝利を喜ぶユウトたち、マチスはそれを見てふふと笑った。

 

「ブラボー! 見事に生き残りましたね!!」

 

 マチスが懐に手を伸ばす。

 

「あなた達は、過酷な戦場を知恵と技で勝ち残りました。参加者8人にはこのオレンジバッジを渡しマース!」

 

「ありがとうございます!」

 

「過酷なバトルも、知識と技で乗り越えられる。相性に頼るのではなくポケモンとトレーナーそれぞれの能力を活かしましょう!」

 

 観客達は拍手を送りバトルイベントは終わった。

 

 そのあとはマチスやトレーナー、様々な乗客たちが旅の話をしたりポケモン自慢をしていた。

 

___________________________________

 

 

 時間はあっという間に過ぎ、夜も更けて翌朝にクチバ港にて船を降りたユウトたち4人は別々の道に向かおうとしていた。

 

「マサはどうするんだ?」

 

「俺か? 俺も適当にジム巡りしてくるよ。んでもってカントーのポケモンリーグに出場してみせるさ」

 

「私はヒサちゃんと一緒だよね〜!」

 

「ええそうね、私とアミはグレン島に一足先に向かうとするわ。カツラっていうジムリーダーさんに挑戦して私たちもポケモンリーグに出場するから」

 

「じゃあみんな約束だ! ポケモンリーグで会おう!」

 

 4人はハイタッチを交わして別々の道を歩くのだった。

 

 

 現在

 ジムバッジ 3つ 残り5つ




3つ目のバッジをゲット!しかしまだ8つのうちの3つで3割ほどしか手にしていません。

それでは今後の予定を少しだけ発表します。
 まずヤマブキシティに関しては赤緑じゃトキワジムの前にサカキとバトルできるシルフカンパニー本社があるので少なくとも後回しです。次に向かう場所はタマムシシティ、くさタイプのエリカさんですね。ユウトの手持ちがくさタイプに対して有利な手持ちが多いですがそう簡単に攻略はさせないつもりです。

セキチクシティでのアンズ戦も迫っています。いっとき旅に同行させましたが、如何でしたでしょうか?

さて次回!タマムシシティに向かうためにはやはりクチバからシオンに向かう必要があります。よってシオンタウンにもう一度寄ります。何もないだろとも思う方がいるかもですがそこは心配なく


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第9話 シオンタウンの再会!ユウトとモナ

二回目のシオンタウン編です。もうタイトルで明らかになってますが…




ユウトはクチバシテイから見知った道路を歩いていた。

 

「まさかここにもう一回来ることになるなんてな」

 

待ちて通った街、シオンタウンが目の前に見えてきた。

 

一度ユウトはクチバからヤマブキにつながるゲートを通ろうと試みたが、警備員により通行止めを喰らい止む無く迂回することになったのだ。

 

(ヤマブキ経由が一番近いと聞いていたが迂回するなんてな…

 

 とはいえ、この2体がその道中で手に入ったのは思わぬ収穫だ)

 

その途中、彼は新たにアーボにサンドを手持ちに加えていた。

 

「アーボとサンドが手に入ったのはよかったが6体しかもってけないからな〜」

 

ユウトがグチをこぼしていた。そうこうしているうちにシオンタウンは眼前に迫っていた。街並みはさほど変わっておらず人々の様子も相変わらずだった。

 

「まあそうだよな、数日経ったくらいで街の雰囲気は変わんないか」

 

シオンタウンにはポケモンを愛するフジ老人がいる。ユウトは旅先で初めてその噂を聞いていたがさほど興味もなく街を素通りしようとしていた。

 

「どうすっかな〜ひとまず今日はポケモンセンターに泊まろうかな」

 

ユウトがポケモンセンターに向かい入り口に入ると向かい側から見知った人物を見かけた。

 

「あら、ユウトくん!お久しぶりね」

 

「モナさん!」

 

「君もすっかりトレーナーが板についたって感じね、後輩トレーナーが増えるのは嬉しい限りだわ!」

 

「はは、そんなことないですよ。今のところまぐれで3つ持ってるだけですし…」

 

「ふぅーん、そうなの」

 

モナがニコニコしながら話を聞いていた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「ううん、なんだか旅を楽しんでるんだなぁって思っただけだから」

 

「そうですか…というかあなたはどうしてここに?」

 

「ちょっと気になることがあってね。ここの近くのむじんはつでんしょで異常な爆発事故が発生したの。それの調査なんだけど…」

 

モナが立ち上がて笑みを浮かべた。

 

「久々にバトルしてみない?」

 

「え…?」

 

「バッジを手にしたあなたと3対3のバトルがしたいの。いいかしら?」

 

「はい!俺もあなたに実力を見せたいんです!」

 

2人はポケモンセンターの奥のバトルフィールドに向かった。

 

__________________________________________

 

「さーて行くわよ!お願いね、タッツー!」

 

「行けビリリダマ!」

 

タッツーとビリリダマが睨み合う。

 

「タッツー、えんまく!」

 

「ビリリダマ、いやなおと!」

 

煙幕を張ろうとするタッツーよりも早くビリリダマが嫌な音を放って動揺させた。

 

「そのままスピードスター!」

 

「こうそくいどう!」

 

高速で回避するもビリリダマのスピードスターが命中してしまう。

 

「やるわね、でもこれならどうかしら!」

 

タッツーが高速移動しながら水鉄砲をあらゆる方向から同時に噴射した。

 

「くっ!スパークだビリリダマ!」

 

ビリリダマのスパークが放たれるも絶えず動き続けるタッツーには電撃が命中しなかった。

 

「だったら…じゅうでんだ!」

 

「ふぅーん…充電して一気に行くつもりね。そうはいかないわ!タッツー、たつまき!!」

 

たつまきを発生させビリリダマが吹っ飛ばされてしまい地面に落下する。

 

「ビリリダマ、戻れ!」

 

戦闘不能にはなっていなかったものの、一旦ビリリダマを引っ込めたユウトは身構える。

 

「行けゴース!」

 

「ふぅーん…君はそう来るのね!」

 

「さいみんじゅつ!」

 

背後に回り込んだゴースがすかさずタッツーを狙う。

 

「ナイトヘッドからのゆめくいだ!」

 

ゴースが至近距離からナイトヘッドを浴びせ、倒れたタッツーの体力が吸い取られた。

 

「タッツー戦闘不能!」

 

「なるほどねゴーストタイプなんてキクコさんみたいな戦術だけど勝負はここからよ!」

 

モナが続いて呼び出したのはガーディだった。

 

「行けゴース、あやしいひかり!」

 

「ガーディ、かみつく攻撃!」

 

ガーディがかみつくとゴースは動きが鈍くなった。

 

「あくタイプはゴーストタイプには有利なの。まだまだ行くわよ!ひのこ!!」

 

ガーディも口からひのこを放ってゴースを追い込む。

 

「ナイトヘッド!」

 

攻撃を仕掛けるゴースだったがガーディはびくともしない。

 

「かえんぐるま!」

 

「よけろゴース!」

 

回避するゴースだがガーディの炎を浴びてしまった。

 

「まずい!」

 

「ガーディそのままひのこ!」

 

ひのこを正面から受けてしまったゴースはそのまま倒れた。

 

「だったら!ニドリーノ!」

 

「ふぅーん…だったらお願いね、ヘルガー!」

 

ガーディを引っ込めて繰り出したのは黒い犬の姿をしたポケモンだった。

 

「ヘルガー!?」

 

「ジョウトのほうに出張してたときにゲットしたのよ」

 

「行け!どくばり!」

 

「かみつく!」

 

どくばりを撃ち出すもヘルガーには大した効果が見られなかった。

 

「だけどニドリーノには!」

 

「そう、どくのトゲがある。だけど私のヘルガーは倒せない。かえんほうしゃ!!」

 

ヘルガーが毒を浴びてなおかえんほうしゃを余裕で繰り出す。

 

「だったら!にどげり!!」

 

ニドリーノもヘルガーに連続で蹴りを浴びせる。

 

するとヘルガーが体制を崩した。

 

「効いてる!よし、もう一度にどげり!」

 

「させないわ!かえんほうしゃ!!」

 

もう一度かえんほうしゃを放つもニドリーノが執念でヘルガーに飛びかかってにどげりを仕掛けた。

 

 しかしニドリーノの攻撃は届かずそのまま力尽きて倒れてしまう。

 

____________________________________________

 

 

「やるわね、ヘルガー相手に引き分けるなんて」

 

「でも今のバトルは完全に押されていました。参りました、俺の負けです」

 

「あら?いいの?」

 

「ええ、いくら負けず嫌いのビリリダマとは言えガーディのスピードやタッツーには勝てません」

 

ユウトが俯く。

 

「でもずいぶん強くなったわね!ポケモンの特性を生かして相打ちにもつれ込む、初見のポケモンに対してあそこまで立ち回れるのは流石ね!」

 

「ありがとうございます」

 

「それで君はこれからどうするの?」

 

「タマムシシティに向かいます」

 

「そう、ジムリーダーのエリカさんね。彼女はくさタイプの使い手、相性だけで押せるかもしれないけれど手強い草タイプがいるわ。油断しないことね」

 

「はい!ありがとうございました!!」

 

それからポケモンを回復させたユウトはタマムシシティへ向かった。

 

「さてと…行きますか、アズマオウ!」

 

モナがアズマオウの背に乗ってむじんはつでんしょへと向かった。

 

「タマムシシティには地下道を行くらしいな。でもその前にトレーナーたちで腕試しだ!」

 

ユウトはさらなる強さを手にするため、トレーナーたちとバトルを仕掛ける。そしてタマムシシティが目の前に迫っていた。

 

タマムシは虹色 夢の色

 

虹色の大きな町

 




ジョウトからヘルガーを登場させましたが今後モナの切り札として登場させます。彼女のイメージとしてはポケモンリーグ前に主人公に頑張れっていうエリートトレーナーのモブです。プレイ中にこれは使えると思い使わせていただきました

さて次回はタマムシシティ、ですがタマムシシティで有名なのといえばゲームコーナーにデパートですね?次回はそこを取り上げていきます


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第10話 スロットの誘惑?タマムシシティの罠!

今回はタマムシシティに到着です。

タマムシシティには大都会のイメージがあるのと少しだけタマムシシティに関する小ネタも交じらせました。

スロットの誘惑は実際わざマシンとかミニリュウが欲しいとかで味わった経験のある日値は居るんじゃないかなと思います。


 タマムシシティについたユウトはその光景に唖然としていた。

 

「なんだここは?」

 

 町には高層ビルが多く建っており、集合住宅と思わしき建物があちこちにあった。しかもビルからはタマムシデパートのセール情報が流れていた。

 

「でっけぇ〜! 大都会ってやつかよ」

 

 あたりを見回していたユウトは目を丸くした。

 

「とりあえず、ジムを探すか」

 

 ジムを探す中ユウトが目にしたのはポケモンと歩く子供やサラリーマンたちで彼の住んでいたところや今までの街とは明らかに違っていた。

 

「どこからどこまでビル……これじゃ首が痛くなりそうだ」

 

 タマムシシティにはオーキド博士の学んだ大学がある。そこからポケモンジムやシルフカンパニーと呼ばれるカントー地方最大の企業の拠点も次次と建てられ今やカントー最大の大都会という声も少なくなかった。

 

 そんな街並みを歩くユウト、しかし一行にジムは見つからなかった。

 

「くそっ、どこだ? どこにあるんだよ!!」

 

 ジムが見当たらず、ヤケを起こしたユウトは目の前の建物に入った。

 

「おめでとうございまーす!」

 

 薬玉が割れた。

 

「なんだこりゃ?」

 

 糸目の青年が現れて諂ったような動作をとった。

 

「お客様は1000人目のお客様です! このタマムシゲームセンターは皆様の生活を支える娯楽の象徴となっています!」

 

「はぁ……」

 

 店員の雰囲気にユウトが目を丸くした。

 

「はいこれプレゼント! 今なら1000枚メダル付きでレッツスロット!!」

 

「まぁ……ちょっと遊んでみようかな?」

 

 椅子に座ったユウトはメダルをスロットに入れた。すると勢い良くレーンが回った。

 

「このボタンで止めるのか……えい!」

 

 すると止まったのはきのみ2つと赤い7でメダルが4枚排出された。

 

「え? これだけ? もっと欲しいんですけど!」

 

「でしたらメダルを3枚入れてみてください

 

 チャンスが広がりますよ」

 

「え? は、はい!」

 

 言われた通り3枚を一度にスロットに入れるとレーンが回転し始めた。

 

「……ここだ!」

 

 一つ目 シェルダー コイル 7

 二つ目 コイル シェルダー きのみ

 三つ目 コイル きのみ シェルダー

 

「よし当たった!」

 

「お見事です! ではこの調子でどうぞ

 

 そうそう! メダルが欲しかったらあそこの店員さんに言ってくださいね

 

 それから、メダルが貯まれば豪華な報酬が貰えるかも知れませんよ?」

 

 そういうと店員が去っていった。不気味な笑みを浮かべているとは知らずに……

 

__________________________________

 タマムシジム

 

「エリカさん、やはり間違いありません! このゲームコーナーができてから怪しい特殊車両がこの街を出入りしています」

 

「……なるほど、その中身は何か検討はつきますか?」

 

「はい、どうやらジョウトやホウエンから密輸されてきた道具にわざマシン、現地のポケモンたちです」

 

「……ありがとうございます。今ゲームコーナーでは何人か私のトレーナーを向かわせましたが無事に戻ってくるのを祈る以外ありませんね」

 

 着物を着た少女が欠伸をした後に眠りについた。

 

「エリカさま? エーリーカーさーまー! 

 

 ダメだ、寝ちゃったよ」

 

 ユウトの知らないところでタマムシジムのエリカも動き出そうとしていた。

 

 一方、ゲームコーナーではスタッフが飲み物をサービスする中キャップを被り短パンを履いた少年がレーンを回しながら周囲に目配せをしていた。

 

「……」

 

 店員が通り過ぎるのを横目に眺め、メダルをスロットに入れる。

 

(店員で確認される人はこの人たち……

 

 でもあからさまに怪しいところがある、特に店長)

 

 少年は店長の画像が載った書類に目を通す。

 

「彼はタマムシシティのおもちゃ屋さんの店長で3年前に事業が倒産したはず……エリカさまをはじめとした人たちの調査で分かったけどなぜ今ゲームコーナーに?」

 

 彼女が何を考えているのか、そしてユウトはこのゲームコーナーに何があるのか分かってはいない

 

_________________________________________

 

 地下室___

 

「オーナー、報酬のストック完了です」

 

「ああ、ご苦労様……っと、ここじゃオーナーでなくて良いんだぜ?」

 

 初老の男性が顔を擦るとピンク髪でニヒルな顔に変わる。

 

「はい、ラムダさん。それにしても連中は思いもしないでしょうね、ゲームコーナーの金がロケット団の資金源だったなんて」

 

「ああ、この辺はポケモンの種類も豊富だ。適当に捕獲して売り捌くのには格好の場所だぜ」

 

 ラムダがモニターをニヤニヤしながら見つめていた。

 

「それじゃあ監視を続けてくれ」

 

 そういうと顔をシャッフルして再び初老の男性の顔になった。

 

 別室ではモンスターボールに入れられたポケモンたちが静かに並んでいた。

 

 そして隣の部屋では何名かの人々が捕らえられていた。

 

「開けろ! ワシの夢をこんな扱いにしおって!!」

 

「私のポケモンも返して!」「俺のも返せ!」

 

 抗議するがその声は誰にも届かない。しかし、その揺れが一個のモンスターボールを落とした。

 

「……ケエエエエエエ!」

 

 叫び声が部屋にこだました。

 

 上の階ではユウトがスロットに明け暮れていた。

 

「だああ! なかなか777にならねえ!!」

 

<ケテ……>

 

「くそっ!」

 

 苛立ちながらコインをスロットに入れようとしたユウトだったがもうすでに使い切ってしまっていたため、やむなく席を立った。

 

<スケテ……>

 

「ん? なんだ?」

 

 その場から聞こえないはずの声が聞こえてきたのに対して彼が辺りをキョロキョロ見回す。

 

「今の声は……幻聴か?」

 

 まあいいやと呟いた彼はコインの交換所に向かう。

 

<タスケテ!! >

 

 一際大きな声が響いた。

 

「やっぱりおかしい……さっきからなんだこの声は? ううっ……」

 

 頭を痛めたユウトの足がふらつく。

 

「お客様?」

 

 店員が尋ねるため立ち上がるも制止される。

 

「大丈夫です、少し……外の風をッ!」

 

 頭の声が強く響いてきたポスターを破ったユウトが目の前にあったスイッチを押した。

 

「お客様? お客様!!」

 

 その後騒ぎと共に地下室のドアが開いた。

 

「なんだこれは!?」

 

「まさか……!」

 

 群衆の中に短パンの少年がいた。

 

「エリカさまビンゴです! 間違いなく怪しい案件です!」

 

「分かりました、あなたはそこを動かないで!」

 

 電話越しにエリカの声は緊迫していた。

 

「おいおい……なんだよこれ? 説明しろ!」

 

「いえ、我々も店長からは何も……聞かされておりません!!」

 

「だったら店長を出せ!」

 

 ユウトが気絶している中店員と客が揉めている中、表にパトカーがやって来てた。

 

「動かないで! ただちにこの場で捜査を行います!」

 

(な……ん……だ?)

 

 ユウトの意識が飛んだ。

 

________________________________________

 

 目を覚ましたユウトのそばに着物を着た少女が看病していた。

 

「おや、目を覚ましましたか」

 

「? あなたは誰ですか」

 

「申し遅れました、わたくしタマムシジムのリーダーを務めるエリカです」

 

「あなたが!?」

 

「ええ

 

 まずはその……お礼を言わせてください」

 

「お礼?」

 

「貴方のおかげでロケット団をタマムシから追い出せました」

 

「なんだって?」

 

「シメジさん、こちらに」

 

 エリカの言葉でゲームセンターにいた短パンを履いた少年らしき人物が現れた。

 

「よう、トレーナー」

 

「どうも……」

 

「では説明いたします」

 

 その後告げられたのはあのゲームコーナーはロケット団が運営しているものであるということだった。

 

 しかも景品のポケモンたちは皆どこぞから無理やり捕獲してきたものでトレーナーたちは知らないうちにそのポケモンを使わされていたのだ。

 

 ユウトが気絶してから警官たちが介入したが既に団員たちは逃走しており、騙されていた店長と真相を知るべく嗅ぎ回っていたトレーナーたちは皆解放されたそうだ。

 

「貴方のおかげで多くのポケモンが救えましたわ」

 

「いえ、そんなの偶然ですよ

 

 俺はただ助けて、っていう声が聞こえて頭痛くなっただけですから」

 

「なるほど、この子が入れ込むのもわかりますわね」

 

「え?」

 

 エリカがモンスターボールを手渡した。

 

「この子___ケーシィが貴方にテレパシーで呼びかけていたそうです

 

 どうやら無理やり捕獲されたところを偶然ボールから出られたそうで、貴方のことを探してたそうですの」

 

「そうなのか……」

 

「ユウトさん、明日タマムシジムでバトルいたしませんか? その時のそのケーシィを連れて一緒にバトルしてあげてください」

 

「え? どうしてですか?」

 

「ポケモンからトレーナーを選ぶなんてことは滅多にない事例です。

 

 あなたはこの子に選ばれた___その力を評価されたということですわ

 

 それをわたくしに見せていただけないでしょうか?」

 

「……分かりました、では明日タマムシジムに伺いますね」

 

「ええ、待っています」

 

 エリカが一礼して病室を去った。

 

________________________________________

 タマムシシティ外れでは___

 

「くそったれ、我々のビジネスの邪魔をしてくれたお礼はたっぷりとしてやるぞ」

 

 ラムダが下っ端を引き連れて草むらを歩いていた

 

「そうかラムダがしくじったか」

 

「はい、如何なさいますか? 我らの資金源は絶たれてしまいました」

 

「案ずるな、タマムシの資金がなくなろうとも既にこちらの手元にはサンダーがある

 

 フリーザーとファイアーを捕らえればその失敗など大したことにならん」

 

 高層ビルの一室からサカキが笑みを浮かべグラスを揺する。水面は揺らいでいたがやがて一気に飲み干した

 

「強大な揺らぎもこのわたしの手で飲み込んでみせるためにはやはり……

 

 アポロ、計画は進めておけ」

 

「ハッ! すでに例の人物と接触は図っております」

 

「ああ」

 

 戻ってタマムシ郊外、ラムダは暗闇の中目の前にあった存在を見てニヤリと微笑む

 

「こいつでぶっ壊してやるか

 

 働いてもらうぞカビゴン!」

 

 眠りし巨大な影がタマムシシティを襲う時が密かに迫っていた

 




まさかのケーシィゲットです。思えばアニメでユンゲラーが出てなかったって事でケーシィからユンゲラー、あわよくばフーディンまでユウトの手持ちとして活かせていきたいなと思ってます。

次回はエリカ戦、草タイプのエキスパートとの対決…ですが彼女の場合どくタイプも使ってくるから実質草と毒の混合ジムっぽい印象ですねあそこに関しては

前回ゲットして出番のなかったアーボは次回参戦させ、サンドはセキチクジムでの参戦を予定してます。ただ、手持ちのポケモンもこれ以上増やすかそのままにするか少し悩みどころではありますのでアンケート置いときます



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第11話 決闘タマムシジム 狂い咲きのエリカ嬢

エリカ戦です。今回は前回ゲットしたケーシィを加えていざ挑戦!

サンドは今回出番はありません。アーボに出番は来ますが


 

 タマムシのゲームコーナーにおけるロケット団の癒着が発覚し店長はまた1からゲームコーナーの運営を始めるべく動いていた。

 

 警察の方もロケット団の構成員の捜索を続けていたがそんなことはユウトには関係なかった。

 

「いよいよタマムシジム、しかも久々の全力でのバトルだ……気合を入れていくぜ!」

 

 出発前彼はポケモンセンターで作戦を立てていた。

 

「タマムシジムのエリカはくさタイプやどくタイプの使い手と聞く。

 

 くさだったらまずストライクにニドリーノ、アーボは欠かせないな! 

 

 どくタイプのポケモン対策にはケーシィだが……」

 

 ボックスを見て今回のメンバーを選んだユウトはジムに向かう。

 

「たのもー!」

 

 門を開けると、そこには植物園のように木々が生い茂り花が咲き乱れた自然の楽園が広がっていた

 

「待っていましたわチャレンジャーさん

 

 わたくしは負けませんわよ? 強いですから」

 

「これよりバトルを始めます!」

 

 審判には昨日病室に来たシメジが就いていた

 

「始め!」

 

 合図と共に両者がボールを握る

 

「いけ アーボ!」

 

「ウツボット 咲き乱れなさい!」

 

 最初の一体が現れた。

 

「アーボ どくばり!」

 

「ウツボット はっぱカッターで撃ち落として」

 

 アーボがはっぱカッターでどくばりを一本撃ち落として無力化させた。しかも本体にはダメージは全くなかった。

 

「くっ…… だったらへびにらみ!」

 

 アーボが鋭く睨むとウツボットの動きが鈍くなる

 

「まひを狙いますか!」

 

 エリカはふふと余裕の表情を浮かべた。

 

「かみつく!」

 

 アーボが至近距離まで接近して噛み付きその攻撃は命中する。しかし……

 

「甘いですね ツルのむち」

 

 まひ状態で噛みつかれながらもツルで殴打して攻撃を払い除けた。

 

(接近しても並の攻撃じゃ意味がない! だったら……!!)

 

「どくばりを撃ちながら接近するんだ!」

 

 アーボがどくばりを発射してウツボットに接近したがはっぱカッターが同様に放たれ、アーボにも命中してしまい目を丸くしてしまう。

 

「アーボ 戦闘不能!」

 

「勝利を焦りましたね? さあ次をどうぞ」

 

(接近して戦うやつじゃないなら、こいつはどうだ?)

 

「ビリリダマ 任せた!」

 

 ビリリダマがウツボットを睨む。

 

「いやなおと!」

 

 音を聞いてしまったウツボットは攻撃をやめてしまった。

 

「今だビリリダマ! ソニックブーム!!」

 

 怯んだウツボットに空気の矢が突き刺さり、その場に倒れた。

 

「おやおや、随分と荒い技ですのね

 

 では2番手を咲かせましょうか モンジャラ!」

 

 エリカが続いて呼び出したのはツタだらけのポケモンだった。

 

「モンジャラ ねをはる!」

 

「ムッ……だったらこっちはじゅうでんだ」

 

 根を張ったモンジャラと同時にビリリダマは電力を貯め次の一撃を放とうとした。

 

「モンジャラ どくのこな!」

 

 紫の粉を吹き付ける。

 

「ビリリダマ スパーク!」

 

 しかしビリリダマは粉を物ともせず電気を発射しモンジャラに命中させた。

 

「よし、そのままソニックブームだ!」

 

 ビリリダマがすかさずソニックブームで攻撃しようとした瞬間、地面からつたが現れた。

 

「なに!?」

 

「かかりましたね、ねをはるはすでにあなたの足元にまで伸びてます

 

 そしてギガドレインの連携であなたのビリリダマは戦闘不能となる!」

 

 エリカの宣告通りビリリダマが倒れた。

 

「くっ……」

 

「回復させるだけがねをはるではありません

 

 植物の根はどこまでも広がる性質を利用したのがくさタイプ!」

 

「ビリリダマ 戦闘不能!」

 

「だったら宙に浮いたポケモンなら勝てるはず、ゴース行け!」

 

 ゴースを繰り出しユウトはゴースに距離を置くよう命令した。

 

「なるほど……陸でなければ有効と考えますか

 

 ですが攻められないという保証はありません!」

 

 モンジャラがツルのむちで攻撃を繰り返す。

 

「ゴース さいみんじゅつ!」

 

 回避して無防備になった本体目掛けてさいみんじゅつを仕掛けた。

 

 命中したモンジャラはそのまま眠りについた。

 

「やりますね

 

 しかしモンジャラは根を張っている! それをなんとかしない限りは無意味です!!」

 

「だったら……これならどうだ!?」

 

 ゴースが目を光らせるとモンジャラが苦しみ出した。

 

「それはまさか……ゆめくい!?」

 

「その通り! ゴースのゆめくいならモンジャラの体力をある程度は削れる

 

 そして!」

 

 ゴースの身体が輝いた。

 

「図鑑で見た時、お前の進化のタイミングは分かってたんだ。ただこの時のバトルにとっておいたんだよ」

 

 するとゴースは腕二本と頭部だけの姿へ変化した。

 

「行けゴースト!」

 

 するとゴーストがうなづいて一気に懐へ迫る。

 

「ゴォスゥ……トォッ!!」

 

 すると両腕でモンジャラの腹部に強烈なパンチを浴びせた。

 

「これは……?」

 

「なるほどシャドーパンチですか」

 

「進化するのは読めてたけどまさか新技も覚えてるなんてすげえぞゴースト!」

 

 するとゴーストがニコニコしていた。

 

「ほう……余裕ですね。しかし!」

 

 なんとモンジャラは立ち上がる。

 

「なに!?」

 

「わたくしのモンジャラはタフなんですよ」

 

「……戻れゴースト!」

 

「おや? 誰で行くのですか?」

 

「行け! ケーシィ!!」

 

 モンスターボールから飛び出してきたのは先日ゲットしたばかりのケーシィだった。

 

「おやおや呼び出してきましたか……ケーシィを!」

 

「ケーシィ テレポート!」

 

 モンジャラが攻撃を仕掛けてくるのをテレポートで回避する。

 

「ケーシィの技はテレポートだけ。そんな状況で勝てますか?」

 

「大丈夫です。ケーシィもある程度は鍛えさせて来ましたから

 

 さあひっかくんだ!」

 

 ケーシィが背後からモンジャラを引っ掻いた。

 

「どくのこな!」

 

「テレポート!」

 

 モンジャラの背後に回り込んでケーシィがひっかくを決めた。

 

「なるほど、特訓の中で無理やり覚えてたと言うわけですか。しかし!」

 

 モンジャラが根を張っていた。みるみる傷が塞がっていく。

 

「そうくるのは読めていた! こっちもそろそろ……!」

 

 するとケーシィが光だした。

 

「2匹目の進化!?」

 

「頼むぞユンゲラー!」

 

「ユンゲラァッ!」

 

 眠ってた姿から凛々しくもミステリアスな姿となってユンゲラーが降り立つ。

 

「ユンゲラーの技は……」

 

 ポケモン図鑑に目を通すと新しい技が確認された。

 

「サイケこうせん!」

 

 七色の光線がモンジャラを吹っ飛ばす。

 

「モンジャラ戦闘不能!」

 

「ほう……やりますね

 

 ラフレシア、最後に咲き乱れよ!!」

 

「戻れユンゲラー、行けストライク!」

 

 ストライクを呼び出したユウトと最後の一隊を呼び出したエリカが睨み合う。

 

「ストライク、つばさでうつ!」

 

「ラフレシア、ねをはる!」

 

「またその戦法か! けどストライクはむしひこうの混合タイプだ。あなたのラフレシアには致命傷だ!」

 

「果たしてそうでしょうか? メガドレイン!」

 

 ストライクの攻撃がヒットしたがラフレシアの傷は一気に塞がっていった。

 

「だったらこうそくいどうしながらつばさでうつ!」

 

「しびれごな!」

 

 速度を上げて接近するストライクに放たれた粉が盾代わりにならずそのまま分散した。

 

「スットォ……!」

 

 それでも粉を吸ってしまったストライクが攻撃をやめてしまう。

 

「しまった!」

 

「ようかいえき!」

 

 避けられずようかいえきを受けストライクは動けなくなってしまった。

 

「ストライク戦闘不能!」

 

「ストライクが一撃で……!」

 

「さあどうしますか? あなたの場合、残った3体のうち2体はある程度は消耗している」

 

「そうかな? ニドリーノ!」

 

 ニドリーノが鼻息を荒くして突撃する。

 

「命令もなしとは強引ですね!」

 

「にどげり!」

 

 ラフレシアの脚部を狙うと体勢が崩れた。

 

「つのでつく!」

 

 技を撃たせる前に攻められたことで思わずラフレシアは根を張るをやめた。

 

「いまだ! もう一度にどげり!」

 

「しびれごな!」

 

「粉にビビるな、攻め続けろ!」

 

 ニドリーノが粉を吸ってもなお、攻め続ける。

 

「はなびらのまい!」

 

「させるか! どくばり!」

 

 ラフレシアが技を仕掛けるも連続で放たれたどくばりを回避して隙が生じてしまう。

 

「つのでつく!」

 

 避ける途中だったラフレシアも正面からニドリーノが突き飛ばした。

 

「ラフレシア戦闘不能! 勝者 セキチクシティ ユウト!!」

 

「ふふ……負けましたわ

 

 お強いのですね。ふわぁっ……」

 

 エリカがユウトを称えるも欠伸をしてすぐに眠ってしまう。

 

「お見事だよチャレンジャー、エリカ様はバトルが終わるとお昼寝に入っちまうんだ」

 

「お昼寝……」

 

「ってことであんたにやるよ。レインボーバッジをな」

 

「え、ありがとうございます!」

 

「おう頑張れよ〜」

 

 シメジがエリカを運んで行った。

 

「うっし! これでバッジは4つ、半分だ!!」

 

 レインボーバッジをゲットしたユウト、残るはあと4つ

 




タマムシジムを下し、いよいよセキチクシティです。次回はサイクリングロードでの一悶着を片付けてその次の回でアンズ戦とさせて頂きます。

そして今回戦闘中に2匹まとめて進化させるっていう荒技を使いましたが正直なところ今回だけにしといたほうがいいかもなとは思うくらいにはやらせていただきました。


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第12話 ただいまセキチクシティ!

なんとか13話を終えた直後の投稿です。短いです


タマムシシティで一夜を明かしたユウトはセキチクシティへと向かおうとした。

 

「すみません、サイクリングロードを超えたいのですが…」

 

「ああ、別にいいけどここ最近とりポケモンがやたらと飛び交ってるから気をつけてくれよ。

 

 あと、暴走族みたいなのもいるがくれぐれもトラブルを起こさないでくれよ。彼らもマナーは一応守ってはいるからね。」

 

「はい」

 

サイクリングロードで借りた自転車で駆け抜けるユウト、暴走族の姿が見えるとギアを変化させて一気に坂を駆け下りる。

 

「気持ちいなあ、まさかセキチクシティの近くにこんないいとこがあったなんて思いもしなかったぜ!」

 

あははと笑いながらユウトが坂を下り終えた。

 

「ふぅ…さーて、少し休憩するか。自転車にずっと乗ってたから尻が痛えよ…」

 

マップを開いたユウトは休憩所の飲み物を飲んでいた。自転車は既に返却しており、セキチクシティは目と鼻の先だった。

 

「やっぱりな、セキチクシティから行けるのは今のところはグレンタウンだな。けどあそこへ行く船は1日に4本しかねえから、戻るとしたらクチバになるな。でもってヤマブキを制して、トキワだな」

 

マップに目印をつけたユウトは次にポケモン図鑑を開いた。

 

「あれから随分と色んなポケモンに出会ったが…そろそろ移動手段も増やしておきたいな。鳥ポケモンか水系のポケモンが欲しいな。

 

 トレーナーの中には乗り物を使わないで移動するっていう奴がいるっていう噂だ。」

 

「きゃああああ!」

 

すると客が悲鳴を上げた。

 

「なんだ!?」

 

外に出てみるとピジョンの大群がオニドリルの群れに襲われていた。

 

 

___________________________________

 

「またあいつらだ!」

 

「皆さん落ち着いて避難してください!」

 

スタッフに誘導されるまま他の客が避難を始めた。

 

「やれやれ、ここは避難して時間が立つのを待つしかないな」

 

建物の中に避難した人々だったが、外では暴走族たちが御構い無しに走っていた。

 

「なんだぁ〜?鳥こうが俺たちの邪魔すんじゃねえ!」

 

「やっちまえドガース!」

 

「ベトベター!」

 

ポケモンを呼び出した暴走族が群れのバトルに乱入する。

 

「どくばり!」 「ヘドロばくだん!」

 

不意打ちでピジョンたちが一方的に攻撃されてしまうが内一体がピジョンかたピジョットへとすぐに進化した。

 

「なっ!進化した!?」

 

進化したピジョットが風起こしでドガースとベトベターを同士討ちにさせていた。

 

「クソが!ドガース、派手にじばくしろ!」

 

ドガースが突撃しながら空中で自爆する。それにピジョンやオニドリルが巻き込まれて地面にドサっと落ちる。

 

「ひでえやり方だな」

 

しかしそれでもピジョットやオニドリルの大将は激突をやめず熾烈を極めていた。

 

「冗談じゃねえよ、ずらかるぞ!」

 

「へ、へい!」

 

暴走族は撤退するもピジョンのかぜおこしで道路から吹っ飛ばされ海上に叩きつけられてしまう。

 

すると怒り狂った一体が避難している場所を襲うべく接近してきた。

 

「くっ!」

 

ビリリダマを呼び出したユウトはソニックブームで攻撃するよう命令したがひらりと空中で回避され、正面からの攻撃を受けてしまった。

 

「でんこうせっかか!」

 

再び上空に舞い上がったピジョンがかぜおこしを発生させてきた。

 

「くっ…スパーク!」

 

充電させたビリリダマに対してピジョンが再び突撃してきた。

 

「こうなったら新技、ころがる!」

 

電気をある程度纏ったビリリダマの回転攻撃を回避できず背中で喰らったピジョンは敵わないとみるやあっさり逃走する。

 

「やったぜ、背中からでかいダメージを与えれば基本的には撃ち落としてダメージを倍にすることはできるみたいだな。今後も活かせればいいんだが…」

 

ちょうどオニドリルとピジョットの対決も両者で決着がつかないのが分かったのか何処かへと飛び去っていった。

 

「危なかったぜ…でもまあ、なんとかなったな。

 

 とっさに相性の良いビリリダマでバトルしたから良かったもののビリリダマ自体そんなに素早くないからその間にダメージは受けちまうな」

 

ため息をつくユウトの肩に手をポンと誰かが置いてきた。

 

「君!さっきはありがとうございました」

 

「いえいえ、トレーナーとしてポケモンを出してバトルしなきゃ危ないなって思っただけですから」

 

「ふふそうか、私から君にプレゼントだ。受け取りたまえ」

 

謎の青年は金属製のパーツのような物と丸い石を渡した。

 

「メタルコートというものだ。ポケモンに持たせておくといい。それじゃあね」

 

「ありがとうございました!」

 

「ふふ…いいってことだよ」

 

青年はそのまま立ち去っていった。

 

「何にしてもまずセキチクシティについたら…」

 

ユウトは歩き出した。

 

「ただいま!」

 

家である。彼はセキチクシティに帰ってきた。

 

セキチクはピンク 華やかな色

 

賑わい 移りゆく町



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第13話 激突セキチクジム ユウトVSアンズ

アニポケのカスミ戦みたいな感じです。これでジムも5つ!そして話もとうとう26話の予定のうち半分となってしまいました。12話が短かったのは本当はこの会とつなげようか迷いましたが一応サイクリングロードを通る会はやっておこうということで入れましたが結構短くなってしまいました…しかし、ここからは少しは長めにできたらいいなとは考えていますので伸び伸びとお待ちください


 

 家族に今までの旅の報告をしたユウトは次の日の朝家族に見送られながらジムへと歩いていた。

 

「……ここか」

 

 扉を開けた。中から芳香が漂う。

 

「来たか。エリカ先輩を下したと言う情報はこちらに入ってきてるよ」

 

「アンズさ〜ん、どこですか?」

 

「ここだ」

 

 真っ暗だった周囲に突然蝋燭の炎が見える。

 

「毒使いのエキスパートの父キョウはまだ見ぬ強者との戦いを望み旅だった。しかし、その血は絶えぬ! 私がいる限りな」

 

 アンズが煙幕と共に姿を見せた。

 

「いざ勝負!」

 

「ええ、いいですよ!」

 

 2人がボールを投げた。

 

 アンズはモルフォン、ユウトは初手にメタモンを繰り出す。

 

「ほう……久しぶりに見る」

 

「メタモン、へんしんだ!」

 

 メタモンがモルフォンに化けた。

 

「モルフォン どくどく!」

 

「無駄だ、かげぶんしんの術!」

 

 モルフォンが分裂した。

 

「みやぶる!」

 

 モルフォンになったメタモンの目が輝き、辺りを見回す。

 

「サイコキネシスだ!」

 

 メタモンの放った一撃により、アンズのモルフォンが地面に叩きつけられた。

 

「よしトドメだ!」

 

 ユウトが追い討ちを仕掛けて接近してきたが……

 

「どくどく」

 

「なに!?」

 

 避けられずに奇襲を受けたメタモンはそのまま毒を浴びてしまう。

 

「くっ! かげぶんしんだ!!」

 

「油断したな、みやぶる!」

 

「ッ! どくど……「遅い、サイコキネシス」」

 

 アンズのモルフォンが素早さでは上だったため反撃で放たれたサイコキネシスによりメタモンは倒れてしまった。

 

「メタモン!」

 

「ふっ、先鋒にしてはやるな。なかなかの判断力だったよ。しかし接近したのが仇となったな」

 

___________________________________

 

「まだだ! サンド行け!」

 

「んドォ!」

 

 サンドが現れて早々に砂かけを仕掛けるがモルフォンには当たらない。

 

「そんなものは無意味だ!」

 

「どうかな? どくばり!」

 

 飛びかかって顔面にどくばり攻撃をすることでモルフォンが怯んだ。

 

「きりさく!」

 

 攻撃を受けたモルフォンが倒れた。

 

「ほう……流石だ」

 

 アンズは冷静だった。

 

「行けアリアドス!」

 

「アリアドスだと!?」

 

「作用、鍛錬の場にいた我が友なり____さあどうする!?」

 

「……行け、ストライク!」

 

 サンドを引っ込めてストライクが現れ、早々にアリアドスを腕の鎌で攻撃してきた。

 

「血の気が多いようだな!」

 

 アリアドスがストライクを弾いて糸を吐いてきた。

 

「アリアドス、ナイトヘッド!」

 

 アリアドスが自らの顔の幻を撃ち出す。

 

「かわしてつばさでうつ!」

 

 攻撃を回避し、一気に距離を詰めて接近するが……

 

「こわいかお」

 

 アリアドスが怖い顔を浮かべたことでストライクの動きが鈍くなってしまう。

 

「ッ! しまった!」

 

「ギガドレイン!」

 

 動きの鈍いストライクを捉えて、牙を体に突き刺し体力を吸収していく。

 

「ストライク、諦めるな! きりさく!」

 

 弱りながらも切り裂く攻撃を仕掛けなんとか拘束を解いたが、すかさず反撃を受けてしまった。

 

「ストライクッ!?」

 

___________________________________

 

「これで半分だな。君の手持ちは残り3体、私はまだ2体……実に甘いな」

 

「なに?」

 

「君の弱点は知り尽くしている。力押しでギリギリの逆転に賭けようとしている。ポケモンの強みはうっすらと分かっていてどう動かすか判断できているのは褒めておくよ。

 

 けれども父の技を継いだ私には届かない! それだけじゃない。君にこの先の3人に勝てるヴィジョンはない!」

 

「なんだって?」

 

「例えばグレンジム、クリムゾンバッジのカツラ! 情け容赦ない豊富な知識を燃料とした業火に焼き尽くされるトレーナーは数知れず……

 

 ヤマブキジム、ゴールドバッジのナツメ! 生まれながらの超能力者で摩訶不思議の天才トレーナーでその力はとても計り知れない……

 

 そしてトキワジム……グリーンバッジのグリーンは得意とするタイプを持たないトレーナーだがポケモンへの愛情や知識は全てのジムリーダーが認める四天王に最も近い男だ」

 

「……」

 

 アンズによりユウトが息を飲む。

 

「さあどうした? あなたのポケモンを出せ。バトルしてこの先に進んでみなさい!」

 

「やってやるよ! 俺は最後までとことんやってやる、行け サンド!」

 

 サンドがアリアドスにすなかけを仕掛け目潰しを測る。

 

「アリアドス、いとをはく!」

 

「すなかけ!」

 

 口から吐かれた糸が砂を包み込み込んで無力化された。

 

「こわいかお!」

 

「すなかけ!」

 

「なに!」

 

 アリアドスの目に砂が入り込んでしまうのを見逃さなかったサンドは乱れひっかきで執拗に攻撃する。

 

「攻撃の手を緩めるな!」

 

 サンドが何度も全身を引っ掻くがそれでもアリアドスは倒れない。

 

「サンド、きりさく!」

 

 攻撃の手を緩めて一瞬の隙を逃さなかったアリアドスがギガドレインを仕掛けようとしたが、攻撃外れアリアドスが倒れた。

 

「ほう……面白い! ならば行けマタドガス!!」

 

「ふゆうか……」

 

 そう呟くとサンドを引っ込める。

 

「ユンゲラー行け!」

 

 ユンゲラーがスプーンを構える。

 

「エスパータイプか……面白い!」

 

 マタドガスが口からヘドロを吐くがユンゲラーは冷静に回避してなおも吐き続けるヘドロを壁のようなものを形成してガードする。

 

「リフレクターは物理を半減するがヘドロばくだんを止めることはできない!」

 

 アンズの言葉通りにヘドロばくだんはリフレクターを覆い始め次第にユンゲラー本体へと流れようとしていた。

 

「ユンゲラー、ねんりきだ!」

 

 リフレクターでヘドロばくだんを抑えながら片手で念を唱えるとリフレクターがマタドガス目掛けてとんできた。

 

「リフレクターを強引に念力で動かした!?」

 

「まずい!」

 

 マタドガスがヘドロばくだんをやめるが回避が間に合わず正面からリフレクターを受けてしまう。

 

「なんだと!」

 

「サイケこうせん!」

 

 追い討ちで仕掛けられたサイケこうせんによりマタドガスはあっさり倒されたのだった。

 

 

 

「……ふっ、面白い! ならば切り札で迎え撃つ!!」

 

「来るか! なら俺も切り札を見せてやる!」

 

 ニドリーノである。

 

「面白い……行けクロバット!」

 

「クロバットだと!?」

 

「ゴルバットとの信頼を築いた先に待つのがこのクロバットだ! 君のニドリーノで勝てるかな?」

 

「ニドリーノ、にどげりだ!」

 

 ニドリーノがジャンプしてにどげりを仕掛けるも当たらない。空中で身軽に動けるクロバットはすぐさま反撃を仕掛けてきた。

 

「つばさでうつ!」

 

 正面から突撃してきたためニドリーノが吹っ飛ばされた。

 

「まだだ、つのでつく!」

 

 再び飛び上がって攻撃するも、かすり傷を受けた程度でクロバットは健在だった。

 

「あやしいひかり!」

 

「避けるんだ!」

 

 クロバットの攻撃を回避したニドリーノだったが先程同様に攻撃を当てられない。

 

「クロバットには空がある。君のニドリーノはどうやって立ち向かう?」

 

「そうだ……!」

 

 ちょうおんぱを発生させてきてニドリーノが怯んで動けなくなってしまう。しかもユウトは命令しない。

 

「話にならないな……もういい! つばさでうつ!!」

 

「……今だァッ!!」

 

 ユウトの合図でニドリーノが正面からつばさでうつ攻撃を受ける。

 

「なにを考えているかと思えば……?」

 

(待てよ……なぜ正面から攻撃を?)

 

 アンズが勝利を確信したがすぐに首を傾げる。その間にクロバットが上空へと舞い上がるが背中にはニドリーノが張り付いていた。

 

「なっ……!? 無防備な背中を狙うなんて……」

 

 唖然とするアンズの目に見えるのはクロバットを背中から小突くニドリーノだった。

 

「クロバット! 振り落とせ!」

 

「ニドリーノ、そのままつのでつくんだ!」

 

 振り下ろすべく飛び回るクロバットにしがみつくニドリーノはつので攻撃しやがて両者は建物の壁に激突し、二体とも倒れてしまう。

 

「両者相打ちか……だが形式上は君の勝ちか」

 

「飛んでいるなら背中からの攻撃は弱いんじゃないか、そう思っていたんです」

 

「ふふ……そうか」

 

「あの、どうしてクロバットにだけはどくどくを覚えさせてはいなかったのですか?」

 

「……どくどくは父の技だからだ。何から何までを真似るのは違う。私のクロバットはズバットの時から共にいた相棒だった。その相棒くらい、自分の手で育てて自分だけの毒で勝負させたかったんだよ」

 

 アンズが懐からバッジを取り出してユウトに渡した。

 

「君の技をどこまで届かせられるのか、見せてもらおうか。私はこれからここでチャレンジャーを待つ。いずれまた再戦するのを楽しみにしているよ」

 

「はい!」

 

 ユウトは一礼してジムを出た。

 

「これで残るバッジはあと3つ! 次はグレンジムだ!」

 

____________________________________

 

 意気揚々でジムを出て港で船に乗ろうとしたユウトだったが……

 

「あれ? あの!」

 

 窓口の受付スタッフに尋ねる。

 

「なんでしょうか?」

 

「どうして、グレンタウンの直航便がないんですか?」

 

「ああ、グレンタウンは現在原因不明の噴火で人が避難してるんですよ。それで現在はふたごじままでしか行けなくなっているんです」

 

「え!?」

 

 唖然とするユウト___グレンタウンはもうない

 

 現在

 ジムバッジ 5つ 残り3つ

 




さてバッジも5つですが…

残り3人のジムリーダーでナツメが残ってしまった理由はまだ話す時ではありませんがカツラに関してはもうジム戦どころじゃないほどの災害に見舞われてます。金銀ネタでしょうがグレンタウンはポケモン屋敷っていうスポットがあるけれども今後の話の展開的に噴火させといたほうが魅力じゃね?ということからポケモン屋敷は没としました。ミュウツーに関する文書はこの作品では出てきません。ジムバッジもある程度集めたら先にやっつけないといけない奴らがいるのであと数回くらいはそいつらとの戦いになると思います。


更新がだんだん週1どころじゃなくなると思いますが夏頃までには完結させますのでよろしくお願いします


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第14話 ふたごじまのカツラとフリーザー

お久しぶりです。投稿ペースがクッソ下がってますがこうして14話上げました。

今回はグレンタウンはなくなりふたごじまへと移ります。



グレンタウンが噴火した。火山を有する小島に人々がいた。そこにはグレンジムがある。そこにいるのは熱血オヤジのカツラ、だった。

 

「ひとまずふたごじまには来れたけど……寒いな」

 

 ふたごじまは異常な寒さを誇るため夏は避暑地として観光に来る人々がいた。なお、島の生態的にみずやこおりのポケモンが多く生息しているため、ジムリーダーのカスミや他の地方のこおりタイプ使いのトレーナーがしばしば特訓しているといった噂が飛び交うほどである。

 

 ユウトもセキチクシティからひとまずふたごじまにやって来たが所々にテントなどが用意されていた。ホテルも急遽住民の受け入れを決定するなどでざわついていた。

 

「なぜこんなことになったんだ?」

 

 ホテルを出てため息をつくユウトが街で白衣の男とぶつかる。

 

「ああ、すみません」

 

「そちらこそ大丈夫かね? 少年」

 

「はい、問題ありません!」

 

「そうかな? この現状で君は泊まれるとこがないって思ってるんじゃないか? まあ、幸いテントは問題ないから今日はそこで泊まりなさい」

 

 白衣の男性は後ろ手を振りながら歩き去った。

 

「あの人……なんで俺のことが分かったんだ?」

 

 疑問が生じるもすぐにテントで配給が始まった。

 

「ワシたちはどうすりゃええんじゃ……故郷は失われてしまったのに」

 

 避難所では嘆く人々が多く、とても平常心を保てそうな空気ではない。

 

「寝よ……」

 

 そういう時ユウトは配給された食糧を平らげ、横になった。

 

____________________________________

 

 次の日、目を覚ましたユウトはジムリーダーカツラを探してジム戦を頼むかどうか悩んでいた。

 

「グレンタウンがあんな有様じゃあ、とても受けさせてもらえないよなぁ……」

 

 ジムバッジを眺めながらユウトは1人、腕を組んでいた。

 

「確かグレンジムはほのおタイプの使い手と聞く。だったら今のうちに水や地面、岩のポケモンを確保してくるか」

 

 ふたごじまの洞窟には特に立ち入り禁止制限はされていなかった。そのため服装はすぐに確保して洞窟に入れた。

 

「さて、今のところ俺がカツラのポケモンに対抗できるのは……サンドだけか。せめてここで1匹でも多くのポケモンを確保したいな。レベルが上がって多少は強くなってるけど……」

 

 すでにユウトの手持ちは全員レベル35を超えていた。その中でアーボはアーボックへと進化を遂げていた。しかしそれでもカツラには相性で有利に立てないと言う現状に変わりなかった。

 

「まあいい、ひとまず地下に降りよう」

 

 歩き始めたユウト、ふたごじまの洞窟は冷気が漂っていた。しかも床も凍結しており迂闊に走れずにいた。

 

「くそッ!」

 

 苛立ちながらも、洞窟を彷徨うユウト。そんな中水面から巻貝のポケモンが襲ってきた。

 

「あいつは……!」

 

 ポケモン図鑑を開く。名はシェルダー、水と氷の二つの技を使えるポケモンだった。

 

「あたりか。行け、ユンゲラー!」

 

 ユンゲラーが現れ、シェルダーがつららばりを放つ。

 

「ハナダのトレーナーが使ってたやつか! しかし!」

 

 ユンゲラーがリフレクターで押さえつける。

 

「サイケこうせん!」

 

 正面から一気にサイケこうせんを放ちシェルダーを吹っ飛ばす。

 

「すかさずさいみんじゅつだ!」

 

 さいみんじゅつでシェルダーを眠らせた。

 

「モンスターボール!」

 

 ボールを投げ、数回揺れ動かなくなった。

 

「よし、まずはシェルダーっと。後二体は欲しいな」

 

 さらに地下に降りていき、仲間を増やす。しかし洞窟には灯りもなくビリリダマを呼び出しながら、先をいく。

 

「暗いな。群れにでも襲われたら大変だが……ここは水辺が多いから水辺から飛び出してくるやつがいなければ、ひとまず安心か」

 

 そう呟きながら辺りを見回す。

 

「ん?」

 

 先を進むと下へと続く梯子を発見した。

 

「これは……?」

 

 耳を済ませると言い争うような声が聞こえてきた。

 

「このジジイが! いい気になってんじゃないよ!!」

 

「き、貴様ら……」

 

 声のした方向に向かうと、先日の白衣の老男性が数名の男女に囲まれていた。

 

「ッ!」

 

(ロケット団!? どうしてこんなところに!!)

 

「言わなくていいの? でないと、この島はめちゃくちゃになるわよ?」

 

「黙れ! 貴様らがファイアーをさらい島を荒らしたのは周知の事実。その邪魔をするのはジムリーダーとしてこのカツラの責務だ!」

 

(なんだって!?)

 

 ユウトが目を丸くする。そして辺りを見回しそっとボールを構える。

 

(ひとまず注意はカツラさんに向いている。助けなければ!)

 

 ゴーストを呼び出したユウトはそのまま辺りを見回す。幸いしたっぱはおらずカツラを尋問しているトレーナーが数名いた程度だった。

 

(頼むぞ!)

 

 ゴーストが姿を消し、ロケット団たちに接近したのを確認すると、ユウトが近くに石を投げた。

 

「誰だ!」

 

(よし今だ!)

 

「ビリリダマ、スパーク!」

 

 飛び出したユウトとビリリダマが天井を狙う。

 

「くっ! 邪魔をしおって!!」

 

 赤髪の幹部がボールを構えようとした瞬間、眠りについた。

 

「アテナ様!」

 

 さらには不意打ちでしたっぱたちの何人かもゴーストのさいみんじゅつで眠らせることに成功した。

 

「ビリリダマ、ゴースト! 頼むぜ!」

 

 命令なしでロケット団のポケモンを抑えている中、ユウトはカツラを助け起こした。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ああ、すまないが次の曲がり角を右に曲がってくれ!」

 

「はい!」

 

 ユウトがポケモンたちと共に後退する。

 

「逃すな! 追うんだ!!」

 

「確かここに……!」

 

 カツラが壁を触れるとスイッチのようなものは押され、壁に穴が空いた。

 

「ここじゃ!」

 

「ッ、はい!」

 

 ポケモンを引っ込めたユウトはカツラと共にその場から逃走に成功した。

 

____________________________________

 

「あなたがカツラさんだったんですね?」

 

「ああ、君は昨日の子だね。すまないな、この有様じゃあジムバトルは当分中止だ。しかしせっかく来てくれたからな。受け取りなさい」

 

 カツラがジムバッジを渡す。

 

「……どうして、こんなことになったんですか?」

 

「まだ報道機関やポケモンリーグには報告が行ってないだろうが……ファイアーが解き放たれてしまったのだ」

 

「ファイアー?」

 

「カントー地方に眠るすごいポケモン、とでも言えば良いじゃろうな。確かシオンタウン付近にサンダーがいたはずじゃ。そしてこのふたごじまにはフリーザーがな」

 

「何ですって!?」

 

「そこにロケット団が目をつけたのじゃ。サンダーが彼らに荒らされたのは先日の調査で判明したばかりでどうやらサンダーの住処に近くに生息していたポケモンたちも近くの野山に無理やり放逐されてしまったそうだ」

 

「まさか……このビリリダマも!?」

 

「……かもしれぬ。そしてグレンタウンを奴らは襲ってきたのだ」

 

 ____________________________________

 

「行け、かえんほうしゃ!」

 

 カツラのウェンディが敵を焼き払う。

 

「クソが! ジムリーダーは伊達じゃねえってことか」

 

「貴様らの好きにはさせん!」

 

 火山地帯にてカツラが何名ものトレーナーを率いてロケット団と争っていた。しかし……

 

「な、なんだ!?」

 

 突如として火山が噴火を始めたのだ。カツラはすぐに街の方を向いた。

 

「いかん! 早く街の避難させるんだ!!」

 

「しかし!」

 

「ワシらには街の人やポケモンを守る責務がある。急ぐぞ!」

 

 カツラが唇を噛みしめながら、引き返した。

 

 __________(回想終わり)

 

「そんなことが……」

 

「結果、街の人たちは無事だったがファイアーは守れなかった。そして今度はこのふたごじまで奴らはフリーザーを奪わんと暗躍している」

 

 岩場で休憩している2人をロケット団が懸命に捜索しているものの、見つからずにやり過ごせていた。

 

「俺も手伝いますよ。すでにロケット団には何回か喧嘩をうっちまったんですし、こうなったら最後まで戦います」

 

「……すまない。さっそくですまないが君にはフリーザーのもとに向かってもらえないだろうか?」

 

「ええ!?」

 

「ジムバッジをいくつか集めているというのはポケモンに自分の強さやトレーナーとしての資質をハッキリさせる効果があるのではないかと最近学会で話題なんだ」

 

「学会?」

 

「私はこう見えてもオーキド博士とは古い付き合いでね。それに、ポケモンリーグにもこのことを通信で連絡すれば、応援を呼べるかもしれないからこの秘密基地を離れようにも離れられなくてね」

 

「分かりました、俺が役に立てるかは分かりませんが……任せてください!」

 

「頼むよ」

 

 ____________________________________

 

 カツラと別れたユウトはそのままフリーザーの生息する地下へと降りていった。

 

「ひとまず……パウワウ! 頼むぞ!」

 

 パウワウを確保したユウトはその背にまたがり、フリーザーの捜索にあたる。

 

「無事でいてくれよ……フリーザー!」

 

 すると凄まじい冷気が辺りを覆った。

 

「なんだ!? 突然あたりに……」

 

 見回した次の瞬間ユウトは気づいた。その冷たい眼差しを___

 

「フリーザーか……なんて美しい瞳とシルエットなんだ」

 

 思わず目を奪われる彼だったがフリーザーはなおも睨みつけてくる。

 

「な、なあ! あんた……ロケット団に狙われてるんだってな。俺があんたを守るぜ!」

 

 パウワウごとユウトが逆転して辺りを見回すもフリーザーが背後からいきなり攻撃を仕掛けてきた。

 

「おいやめてくれ! 俺が戦うつもりはない!」

 

 フリーザーはなおも威嚇してきた。

 

「くそっ! ビリリダマ!」

 

 ビリリダマのスパークが命中するもフリーザーにはなんのダメージもない。

 

「バカな! だったら……ユンゲラー!」

 

 ユンゲラーを呼び出して応戦するもフリーザーの氷攻撃をリフレクターでなんとか防いだと言ったところだった。

 

「くっ……サイコキネシスだ!」

 

 ユンゲラーがサイコキネシスにかけようとするも難なく解放したフリーザーの冷気により自分が壁に叩きつけられた。

 

「強引にねじ伏せた!?」

 

 ユンゲラーを引っ込めたユウトはそのままビリリダマを呼び出した。

 

「こおりタイプに敵わなくてもでんきタイプなら!」

 

 スパークを放つもビリリダマの電撃はフリーザーにはびくともしない。それどころかれいとうビームを直撃されてしまった。

 

「強すぎる! 伝説のポケモンはここまで桁違いなのか!? 

 

 ジムリーダーなんて次元は軽く超えてるんじゃないか?」

 

 フリーザーの攻撃に慄くユウトだったが諦めずにビリリダマでスパーク攻撃を仕掛ける。

 

「こうなったら……!」

 

 さらに呼び出したのはメタモンだった。

 

「単純な強さをいただくならお前しかいない。頼むぞ!」

 

 メタモンがフリーザーへと化ける。

 

「よし、れいとうビーム!」

 

 フリーザー同士の戦いだが真似たのは単純な強さだけ。メタモンの場合は技はユウトの命令で仕掛けるものとなっており、野生の方が圧倒的に有利である。

 

「しろいきり!」

 

 メタモンが撹乱用に霧を発生させるが、フリーザーはそれを軽々とかき消した。

 

 瞬間、フリーザーは上空から一斉攻撃を受けた。

 

 倒れたはずのユンゲラーのサイケ光線、ニドリーノのどくばり、アーボックのヘドロばくだん、メタモンのれいとうビームの不意打ちがフリーザーを襲う。

 

 しかし、命中こそしたものの大ダメージにはならずすぐに体勢を立て直し涼しげなオーラを放つようになった。

 

「ダメか……」

 

 するとなにを思ったのかフリーザーがユウトたちを突風で吹っ飛ばし気絶させてしまう。

 

「があっ!」

 

 頭を打ったユウトはそのまま気絶してしまい視界が暗転してしまう。

 

「フリーザー……」

 

 何か音が聞こえたようだがそんなことはもう彼の耳に入ってこなかった。

 

 

「な、なんてことだ……! フリーザーが拐われてしまった! それにあの少年も……」

 

 秘密基地で応援の連絡を済ませていたカツラが奥地に向かうと洞窟に巨大な穴が開いてるのがわかった。

 

「連絡が間に合いさえすればこんなことには!」

 

 カツラが拳を握りしめて急ぎ洞窟を脱出する。

 

「どこだ? ユウトくん!」

 

 カツラが周囲を捜索するもユウトの姿はどこにもなかった。

 

_______________________________________

 

 一方、ロケット団の飛行艇では____

 

「新兵器 SurFayは成功ね」

 

「ええ! フリーザーのやつおったまげてましたね〜」

 

 先ほどカツラを襲った一派が飛行艇にフリーザーを載せたまま上空を飛んでいた。

 

「あとはボスのいるヤマブキまで飛ぶだけね」

 

「そういやあのガキはどうします? 我らの邪魔をしたトレーナーのようですが……」

 

「放っておきなさい。到着次第に牢にでもぶち込んでおきなさい」

 

「そうですね〜」

 

 フリーザーの横には気絶したユウトがいた。奪われたフリーザーと共にユウトが攫われたのは、ヤマブキシティ_____ヤマブキは金色 輝きの色

 光り輝く大都会

 




さて今後の予定についてですがすいません、これ以上話を進める都合上トキワジムとヤマブキジムのバトルはカットします。

話を練って書いて投稿のペースがここ最近忙しくなってきて低下してますので恐らく今後はさらに低下する可能性があります。そのため話の展開を崩してでも完結させることを採りました。


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第15話 集結 ジムリーダー

タイトルにもある通りヤマブキシティに全ジムリーダーが集結します。対する相手はロケット団たち、一応今回でロケット団とは決着といった形です。


 

「ん……ん?」

 

 囚われの身となったユウトは牢屋に放り込まれていた。

 

「目が覚めたのね」

 

 幼さの残るような声が牢に響く。

 

「誰?」

 

「ヤマブキシティのジムリーダー ナツメよ」

 

「ナツメさん!?」

 

「あなた、私のチャレンジャーなのよね? でも私はロケット団に先手を打たれてここに幽閉されてしまったの」

 

「そうだったんですか……でも奴らはどうしてあなたを?」

 

「それはここにシルフカンパニーの本社があるからよ」

 

「シルフカンパニー……」

 

「ええ、カントーの産業にはだいたい絡んでる大企業ね。

 

 私もしばしば本部の方に顔を出しているのだけれどある日突然ロケット団がこの街を封鎖し、うちの事務のトレーナーやポケモンを拐ってしまったの」

 

「そうなんですか。しかし、奴らの目的は一体?」

 

「わからないわ。いずれにせよ、私やあなたの手持ちはここにはない。なんとか脱獄して反撃する機会を待つしかないわ」

 

 

 ヤマブキシティの外ではすでにジムリーダーたちが向かいつつあったが……

 

「はぁ……はぁ……まさかこのような事態になるなんて!」

 

 タマムシシティを守るエリカが息を切らしていた。

 

「エリカさま! カビゴンの大群がどんどん迫ってます。このままでは!」

 

「くっ……私たちが勘づいたから狙ったとしか思えないカビゴンの襲撃、応援には行けませんね」

 

「エリカ殿!」

 

 するとアンズがエリカの元にやってきた。

 

「私も協力します!」

 

「ありがとうアンズさん!」

 

 一方グリーンやタケシ、マチス、カスミも各々でヤマブキシティに向かっていた。

 

「待ってろよみんな!」

 

「カツラさんもきっとヤマブキシティに向かってるはずだし、エリカたちが西から攻めて俺たちがそれぞれ南と北で攻めればうまいところ一網打尽、ロケット団は今日で終わりだ!」

 

「無事でいて……ナツメ!」

 

 そしてシルフカンパニー屋上ではサカキがモニターでカントーの街を眺めていた。

 

「もういいか……」

 

「撤退しますか?」

 

「ああ、マスターボールの制作には成功した。あとは究極のポケモンをこいつで制御し我々にとっての新たなカントーを生み出すのだ!」

 

 サカキが秘書のアポロを連れ屋上へと避難した。

 

「団員たちよ! あとは任せたぞ」

 

「「はっ!」」

 

 団員に見守られながらサカキとアポロはどこぞへと飛び去っていった。

 

_______________________________

 

 一方、牢に閉じ込められてしまったユウトはナツメと共に脱出を図ろうと瞑想していた。

 

「こ、これでいいんですか?」

 

「……」

 

「あ、あの……!」

 

 すでに瞑想を始めて5分、ユウトは早々にダウンしてしまう。しかしナツメには何も聞こえていないかのように瞑想を継続していた。

 

「ッ! 来た」

 

 するとひとりでにモンスターボールが2つやってきた。

 

「はい、これ」

 

 片方のボールを投げて中が出てきた。

 

「ごめんなさい、あなたや私のポケモンを超能力で引き寄せたけど中身の保証はできないわ」

 

「そう、だったんですね」

 

 ユウトが足を痺れさせて壁に寄りかかっていた。

 

「断食しながらも念力を働かせたけど……今はこれが精一杯……」

 

「いえ、幸い監視カメラはないようなのでポケモンを出して中を確認しましょう」

 

「ええ」

 

 2人がポケモンを呼び出した。中身はそれぞれ、モルフォンとゴースだった。

 

「ゴース! 良かった……なんとかこっちに戻ってきたみたいだ」

 

 するとゴースの姿が変化していった。

 

「なっ、なんだ!?」

 

「交換進化のようね」

 

「交換進化?」

 

「一部のポケモンの中にはトレーナーが変わることで進化できるポケモンがいるのよ。ひょっとしたら、ゴーストは今は私が持ってるっていう判定なのかも」

 

「そうなんですね……知らなかった」

 

「あなたのゲンガーよ。受け取って」

 

「はい! こっちもモルフォンを返しますね」

 

 2人は元の手持ちを交換していた。

 

「さーて! 囚人ども〜! チェックするぞ〜」

 

 やってきたしたっぱだったがユウトのタックルで頭を打って気絶してしまう。

 

「とりあえず、俺が取り戻します。ナツメさんもいきましょう!」

 

「ええ、頼むわ。今の私は疲労でいつもの半分しか動けないからあなたに任せるわ」

 

 牢屋を出たユウトたちはしたっぱや監視カメラを振り切って休憩場所のようなところを発見した。

 

「ここは……休憩室か」

 

「でさ〜!」

 

 したっぱの声が聞こえ2人はとっさにロッカーに篭る。

 

「すみません」

 

「静かに。気付かれるわよ」

 

 ナツメと共に狭いロッカーに閉じこもりなんとかやり過ごす。

 

______________________________

 

 一方地上ではロケット団のしたっぱがポケモンたちを使って街を荒らしていた。

 

「イワーク! 行け!」

 

 イワークでポケモンたちを攻撃するもギャラドスが立ちはだかる。

 

 ミスタータケシ! 任せてください!」

 

 マチスがギャラドスを抑える横でカツラとカスミが避難所で人々やポケモンセンターのスタッフの手伝いをしていた。

 

「一応ジムのトレーナーたちも向かわせてるけど、明らかにおかしいわ! いるのはしたっぱばっかりよ!」

 

「うろたえるな! ここが終われば儂等もあの2人と合流してナツメくんを助けに行くんだ!」

 

「はい!」

 

 エリカとアンズは今もタマムシシティで足止めされていたためヤマブキにはとても急行できずにいた。グリーンも向かっていたが駆けつけるのにはまだ時間がかかっていた。

 

「ふん、いい気になるなよ!」

 

 ロケット団幹部ランスがタケシとマチスに立ちはだかる。

 

「きっさま! よくもナツメを!!」

 

「ふん! 行けフリーザー!」

 

「何ですって!?」

 

 すると上空からフリーザーが現れた。しかし頭部には怪しい装置が取り付けられており、咆哮をあげる。

 

「くっ! よりにもよってフリーザーを操ったのか!」

 

「ライチュウ! 10まんボルト!」

 

 電撃を仕掛けフリーザーが怯むもれいとうビームを受け一撃でライチュウとイワークが凍結してしまう。

 

「相性が良くても勝てるはずがなかろう!」

 

「くっ! 行け、イワーク!」

 

 二体目のイワークを呼び出してフリーザーに突撃するもしろいきりで攻撃が外れてしまう。

 

「エレブー!」

 

 マチスもイワークの背をよじ登りながらフリーザーに攻撃するよう命令するも全く通用しなかった。

 

 

 同じ頃、ヤマブキシティ地下ではユウトとナツメが無事ポケモンを全て取り返すのに成功した。

 

「みんなと合流しましょう!」

 

「ええ!」

 

「おっと待ちな!」

 

 そこにはアテナとラムダが立っていた。

 

「よくもフリーザーを!」

 

「ふん! かかってきなさい」

 

「やりましょうナツメさん!」

 

「ええ!」

 

_______________________________

 

 一方外では、グリーンが遅れて駆けつける。

 

「きたか!」

 

「待たせたな!」

 

 彼の手持ちを全て呼び出してフリーザーを押さえつける。

 

「サイドン、カイリキー ストーンエッジ! 

 

 ウィンディ かえんほうしゃ!」

 

「俺たちも! イワーク いわなだれ! カブトプスギガドレイン!」

 

「ライチュウ かみなり! エレブーかみなりパンチ!」

 

 ジムリーダーの連携プレイによりフリーザーは攻撃を正面から受けてしまう。

 

(あれか!)

 

「ピジョット、つばめがえし!」

 

 ピジョットが油断したフリーザーの装置を破壊する。悲鳴を上げるフリーザーだったがすぐに正気に戻る。

 

「くそっ! しかしまだファイアーにサンダーがいる!」

 

 休むまもなくファイアーにサンダーが襲いかかる。

 

「待たせたの!」

 

「遅れてごめんね!」

 

 するとその場にカスミとカツラがやってきた。

 

「私たちもいますわ!」

 

 さらにはエリカとアンズも駆けつけた。

 

「よし! ジムリーダーの力を見せてやろうぜ!」

 

「「おう!」」

 

______________________________

 

 一方、アポロはラムダと、ユウトはアテナと交戦していた。

 

「ヤミカラス! ナイトヘッド!」

 

「かわすんだ! ゲンガー シャドーパンチ!」

 

 シャドーパンチを直撃するもヤミカラスは受け身をとってダメージを軽減していた。

 

「アーボック、どくばり!」

 

 援護で放つどくばりもストライクの羽で叩き落とし、正面から攻撃し合うのだった。

 

「ストライク、つばさでうつ!」

 

「だったら……ラフレシア、あまいかおり!」

 

 アテナも手持ちを全て繰り出して勝負を仕掛けてきた。対するユウトはストライクとビリリダマを繰り出して応戦する。

 

「ビリリダマ、妨害にソニックウェーブ!」

 

 ビリリダマのソニックウェーブが敵全体を狙う。

 

「このトリプルバトルは本来ここではイレギュラーな代物……あなたに勝てるかしら?」

 

「うるさい、お前のような悪党に俺が負けるか! フリーザーを助けるって約束したんだ!」

 

 進化したばかりのゲンガーでアテナのヤミカラスを迎え撃つ横では、ラムダが卑劣にもフーディン相手にラッタとズバット、ドガースの三体で袋叩きにしようとしていた。

 

「俺様はバトルに関しちゃこだわりはねえ! かちゃあいいんだよ、勝ちぁなあ!」

 

「下劣……」

 

 吐き捨てたナツメの指示でフーディンは瞑想に入る。

 

「バカが! そんなくっだらねえ技で俺の手持ちが負けるか!」

 

 ヘドロばくだんに、ちょうおんぱ、ひっさつまえばがフーディンを襲うが……

 

 突如としてラッタがズバットを攻撃した。

 

「なんだ!?」

 

「サイコキネシス……」

 

 フーディンに操られたラッタはそのまま動きを封じられていたドガースと正面激突されてしまう。

 

「まとめて終わりよ……」

 

 容赦ない追い討ちに三体はあっという間に倒されてしまう。

 

「なんだと!?」

 

 そしてユウトは硬直状態となっていた。

 

「ビリリダマ、ころがる!」

 

 ビリリダマがラフレシアを狙うが進路上にねむりごなを吐かれる。

 

「チャンスね! ヤミカラス、おどろかす!」

 

 ねむりごなで動きの鈍るビリリダマをヤミカラスがお攻撃する。

 

「ストライクは!?」

 

 ストライクはアーボックに狙われそれどころではなかった。

 

「ゲンガー行け!」

 

 ゲンガーがカバーしようとするとビリリダマが目を覚ましたかのように、激しく転がり出した。

 

「なんだと!? 眠ったはずだ!!」

 

 するとビリリダマから光が溢れた。

 

「進化した!?」

 

「マルマインか……所詮地雷のような捨て駒など総攻撃で捻り潰す! 行けお前たち!」

 

 アテナが一瞬狼狽えながらも総攻撃を命じる。

 

「マルマイン、パワーアップしたお前のスパークを見せてくれ!」

 

 マルマインがニヤリと笑い全力のスパークを放ち三体をまとめて撃破するのだった。

 

「マルマイン、ごめんな。お前は故郷をロケット団に荒らされて頭にきてたんだよな?」

 

 ユウトが尋ねるとマルマインはにっこり笑った。

 

「終わったようね」

 

 ナツメが声をかける。

 

「さて、あなたたちは……」

 

「チィッ!」

 

 ラムダが煙玉を投げる。

 

「あばよ!」

 

 ラムダとアテナは逃走してしまう。

 

「逃げられた!」

 

「……いきましょう。私たちの目的はみんなと合流することにある」

 

「はい……」

 

_____________________________

 表に出るとジムリーダーたちがなんとかファイアーとサンダーを抑えていた。

 

「みんな!」

 

 ナツメがジムリーダーたちに駆け寄る。

 

「無事でしたか!」

 

「ええ、あなたたちが噂してた彼に偶然ね」

 

「どうも……」

 

 カツラがユウトの前に現れ頭を下げる。

 

「ユウトくん、すまなかった! 君のような若者を苦しめ、年長者のワシが不甲斐なくて……」

 

「いいですよ。奴らになにされるかわからなかった中でこうなったのはチャンスでしたし!」

 

「そうか……」

 

「みんな! 行くぜ!」

 

「おう!」

 

 グリーンたちの後ろからトレーナーたちが飛び出してきた。

 

「あちこちに強いポケモンと戦えるぞってメール流したらカントー中のトレーナーが集まったよ。

 

 みんなで止めるぞ!」

 

 ジムリーダーや多数のトレーナーたちがポケモンを呼び出してファイアーとサンダーに立ち向かう。

 

「行け!」「そこ!」「ヒャハハハ!」

 

 トレーナーたちがポケモンに命令するもファイアーやサンダーは伝説の存在___決定打にもならずに薙ぎ払われる。

 

「イワーク、たいあたり!」

 

「ヒトデマン、バブルこうせん!」

 

「ラフレシア、ギガドレイン!」

 

「クロバット、どくどくのキバ!」

 

 4体の同時攻撃を受けてもなおサンダーはびくともしない。

 

「ユンゲラー、サイケこうせん

 

 サンド、みだれひっかき

 

 マルマイン、スパーク!」

 

 ユウトはカツラと共にファイアーの相手をしていた。他にはみずやでんき、いわのポケモンたちで攻撃していた。その中には明らかにカントー以外の地方のポケモンがいた。

 

「怯むな! わしたちが二体を救うんだ!!」

 

 カツラの号令でなおも攻撃をやめないポケモンたち、そんな中多数のポケモンの間をすり抜けてフリーザーがファイアーに突撃した。

 

「フリーザー!?」

 

 ユウトを一瞥したのち、サンダーにも突撃し二体の装置は外れ、あっという間に正気を取り戻すのだった。

 

「やったのか?」

 

 トレーナーたちが歓声を上げる。そんな中ユウトは軽く笑い飛ばしてその場に尻餅をつく。

 

「ユウトくん! やったな!!」

 

「い、いえ……けどビックリしましたよ。自分が伝説のポケモンと戦うなんて」

 

「そうだ! 君にお礼をしなければな。ほら、クリムゾンバッジだ。当分ジム戦はできないからもらっておくと良い」

 

「おい! 俺からもやるよ! ナツメ先輩を助けてくれてありがとうな」

 

「ええ! いいんですか?」

 

「いいんだよ、お前に無茶させちまったわけだし後で欲しいやつにグリーンバッジを渡しとくしな」

 

「ありがとうございます!」

 

(これであとはゴールドバッジを……?)

 

「頑張りなさいユウトくん」

 

 ナツメはすでに街の避難所に向かっていた。

 

 戦いの中ユウトはついに3つのバッジを集めるのだった。これでバッジは8つ、ポケモンリーグへのパスポートをゲットした! 

 




ロケット団はここで物語からフェードアウトです。そもそもトキワジムをグリーンにしたからただの悪役っていう扱い止まりなのは最初から予定していました。

今回一気に3つとバッジを獲得しましたが、理由としてはこのままのペースじゃ最悪未完のまま放置になるんじゃないかという判断です。そのお詫びとして次回でちょっとだけポケモンリーグの前に軽い腕試しみたいな展開を用意してます。



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第16話 ポケモンリーグへの道のり

はいどうも久しぶりです

軽く3週間経過ですね。後のエピソードはすでに書いてて区切りがいいので投稿です。今回は残念ながらカットしたグリーンとのバトルを入れました。


 ロケット団との戦いでついにバッジを8つ集めたユウトはさっそくポケモンリーグに向かう。

 

「よし、登録完了っと!」

 

 試合開始は1ヶ月後、一般のトレーナー以外にも四天王やジムリーダーの推薦を受けたトレーナーが凌ぎを削りプロリーグへと進出するのがポケモンリーグである。

 

「あら、久しぶりね!」

 

「モナさん!」

 

 偶然声をかけられ、ユウトが一礼する。

 

「そっか、君もようやくここまで来たんだね」

 

「はい!」

 

「じゃあ私は決勝トーナメントで待ってるから」

 

「え?」

 

「実はね、四天王の推薦を受けたトレーナーは原則決勝トーナメントのシード枠として出場することができるの」

 

「そうなんですか!?」

 

「そういうこと。おっと、そろそろ行くわね」

 

「はい! 気をつけて!!」

 

「今まで俺はモナさんに勝てた試しはないけど出場すれば勝負は避けられない……」

 

 ユウトの手持ちは現状以下の通りである。

 

 

 ニドリーノ  どく

 

 ストライク  むし ひこう

 

 メタモン  ノーマル

 

 ゲンガー   どく ゴースト

 

 マルマイン       でんき

 

 サンド→サンドパン   じめん

 

 アーボック        どく

 

 ユンゲラー       エスパー

 

 パウワウ→ジュゴン   みず

 

 シェルダー→パルシェン みず 

 

 

「どくタイプが3体か、気づけばかなり偏ってたんだな。

 

 くさタイプにはとことん有利だがエスパーやじめんには弱いな。あとはがねタイプとかいうやつもだがそれはサンドパンでどうにかできるな」

 

 戦略をじっくり練る中で彼が導き出した結論は一つ、他のトレーナーに頼ることである。

 

______________________________

 

トキワジム___

 

「なるほどね、それで俺のもとにか」

 

「はい!」

 

「いいぜ、特別にお前の相手をしてやる。バッジは渡したが今一度俺がコーチしてやるよ」

 

「お願いします!」

 

 2人のバトルが始まった。しかしユウトは最初の1匹目サイドンにパーティの大半が撃破されてしまう。

 

「行けジュゴン、オーロラビーム!」

 

「サイドン、いわなだれ!」

 

 オーロラビームが突如落ちてきた岩に阻まれてしまう。

 

「とっしん!」

 

「無駄だ! じしん!!」

 

 正面から岩を砕きにかかったジュゴンだったが地面に着地したことで呆気なく倒されてしまう。

 

「嘘だ! 相性はこっちが有利なはず!」

 

「どうした? それだけか?」

 

「だったら……ストライク行け!」

 

「へぇ、機動力勝負か。相性をかなぐり捨ててのいい発想だ」

 

「れんぞくぎり!」

 

 ストライクが飛行しながらサイドンを攻撃するもびくともしない。

 

「まだだ! つばさでうつ!」

 

「発想はいいが技が弱すぎるな! きあいパンチ!」

 

 攻撃するストライクを強力なパンチで打ち落とした。

 

「そんな……! 俺の6体がサイドンだけに全滅した?」

 

 すでにフーディンやゲンガー、パルシェンもサイドンに敗れていた。

 

「さてバトルは終わったが、いまのやつで掴めたか?」

 

「……」

 

 ユウトは唖然としてしまう。

 

「なんだ言い出せないのか。

 

 分かっているはずだぞ、お前のポケモンの育て方にも問題があるってな。

 

 例えばさっきのジュゴン!お前のジュゴンは差し詰めこおり技しか使えないんだろう?」

 

「ッ!」

 

ユウトはハッとするとグリーンがため息をつきやれやれと言葉を漏らした。

 

「やっぱりな。だからサイドンに負けちまうんだよ。

 

 こおりタイプは確かにドラゴンを含めおおよその奴には優勢だ。しかし、ほのお以外にもいわ、はがね、かくとう、はがねによわい。だから今のバトルではいわなだれでオーロラビームを減衰させられたんだ。

 

 相性だけで見るなら確かにそっちに分があるが技の構成を見直すんだ。中にはくさタイプでほのおタイプに勝つトレーナーもいるんだ」

 

「え? 技構成で変わるものなんですか?」

 

「ああ、くさタイプ同士で戦った場合だって、相手がどくタイプをもつ場合ならじめんタイプの技でと言った具合に対策は立てられる。中には複数を組み合わせたタイプも存在しているが、片方のタイプの技ばかり覚えるタイプがいるのも忘れるな」

 

「はい!」

 

 ユウトがポケモンを回復させ一体ずつ技の見直しにかかる。

 

_____________________________

 

数週間後___

 

 ユウトは修行の成果を試すべくグリーンと模擬戦に挑む。

 

「行きます! ジュゴン!!」

 

「行けナッシー!」

 

 両者睨み合う。

 

「ジュゴン、つららばり!」

 

「タマゴばくだん!」

 

 ナッシーがジュゴンのつららばりを破壊してジュゴンを攻撃する。

 

「しろいきり!」

 

「へえ、ならこっちはにほんばれだ!」

 

 ナッシーが周囲を明るくさせる。光により霧があまり意味をなさなかった。

 

「そうはいかない、れいとうビーム!」

 

 ナッシーの頭部に光線を放つと当たった頭部が凍結する。

 

「今だ! とっしん!!」

 

 ナッシーにすかさず突進攻撃を仕掛け突き飛ばした。

 

「やるな。なら次のやつを見せてみろ!」

 

「はい! 行け、ユンゲラー!」

 

 グリーンはフーディンを、ユウトはユンゲラーを繰り出す。

 

「メガトンパンチ!」

 

「ゆびをふる!」

 

 ユンゲラーが指を振るう。すると上空から雨が降り出した。

 

「あまごいか!」

 

「ユンゲラー、サイケ光線!」

 

 フーディンは二本のスプーンで軽々とかき消す。

 

「やるな! 次!!」

 

「ゲンガー、どくどく! からのシャドーパンチ!」

 

「次!」

 

「マルマイン、ミラーコートで硬くしてころがる!」

 

「次!」

 

「ストライク! こうそくいどうで旋回してれんぞくぎり!」

 

_________________________________

 

 一通りは自分のポケモンの戦術を披露したユウトとそれに付き合ったグリーンはポケモンセンターで食事をしていた。

 

「お前なかなかセンスあるな」

 

「え、そうですか?」

 

「ああ、形を掴んでどう活かすかを考えてポケモンの立ち回りを工夫できてたと思うぜ。

 

 ただ、安心するなよ。ポケモンリーグじゃまずは予選を3つ勝たなきゃ行けない。しかも同じ3体を連続して出すことはできないんだ。

 

 今のお前は控えを入れても10体、残る10日のうちにポケモンを新しく捕まえておくんだな」

 

「はい!」

 

 翌朝トキワシティを飛び出したユウトはカントーの様々な場所でポケモンを捕まえに行くのだった。

 

 そして____

 

「ポケモンリーグセキエイ大会! ここに開催を宣言します!」

 

 ポケモンリーグが始まる。



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第17話 ポケモンリーグ開幕

今回からポケモンリーグ出場です。まずは予選と決勝トーナメントに軽く触れてから準々決勝に進みます。ここから他の地方のポケモンに触れていきますよ。


 ポケモンリーグ___ポケモントレーナーがバッジを8つ集めバトルに挑みさらなる栄光を手にする場である。四天王やジムリーダーたちも観戦に来ており優秀なトレーナーはここで引き抜かれたり師事を受けることができるのである。

 

 まずは予選、参加したトレーナー124名のうち決勝にたどり着けるのは半数の62名。内、決勝トーナメントから出場するトレーナーは2名。しのぎを削りあうバトルが幕を開けた。

 

「行け、ピジョット かぜおこし!」

 

「怯むなサンドパン、すなかけ!」

 

 ピジョットのかぜおこしに砂を巻き込みピジョットの視界を鈍らせる。

 

「なに!」

 

「サンドパン、きりさく!」

 

 目の前にジャンプしたサンドパンがピジョットの正面を攻撃し撃ち落とす。

 

「ピジョット戦闘不能! 勝者、セキチクシティのユウト!」

 

「よし! まずは一つ!」

 

 128名は半分に分かれて2つの会場で順次行う。

 

 ここに来るまでにユウトはサントアンヌ号で別れたアミにヒサそしてマサと再開し本戦へ勝ち進むことを約束していた。

 

_____________________________

 

 すでにユウトの第1会場ではこおりつかいのフローゼ、格闘やろうのケンタをはじめとした29人がすでに本戦へのチケットを手に入れていた。ルールは1VS1のバトル、負けられない勝負であると同時に手の内を見せる可能性もあるため他のトレーナーたちもライバルに目を光らせていた。

 

「さーて次だ!」

 

「ぼくのむしタイプを見せてやるよ!」

 

 黒い肌の短パン小僧が現れた。バトルフィールドは氷の床だった。

 

「むしにはいわで対抗してやる。行けサイドン!」

 

「へっ、そう言ってじめんタイプじゃないか。

 

 いけガーメイル!」

 

 サイドンと対峙したポケモンはカントーにはいないシンオウのポケモンだった。

 

「シンオウのポケモンだけど勝てるかな? 俺も少しは自信あるんだぜ?」

 

「もちろん! ガーメイル、サイケこうせん!」

 

「ロックブラスト!」

 

 サイケこうせんに対して岩をはくことで相殺を試みるも、すぐさまガーメイルは懐に忍び込んでいた。

 

「エアスラッシュ!」

 

「なに!?」

 

 ガーメイルのエアスラッシュが命中し膝を突くサイドンだったが、咄嗟にガーメイルを掴むことに成功した。しかし氷の床により滑り出していた。

 

「いいぞ!そのまま ふみつけだ!」

 

 氷の床に叩きつけられガーメイルは追い打ちを受ける。しかし片方の羽が踏まれただけで胴体は無事であった。

 

「こんなのでぼくのガーメイルがやられるわけ……「やられるさ!」」

 

 何かを察した短パン小僧は冷や汗を掻き出した。

 

「まずい! ぎんいろのかぜを使うんだ!」

 

「無駄だ、じしん!」

 

 ふみつけられながら放たれたサイドンの地震攻撃でガーメイルは飛び立てなくなったまま、その場に倒れる。

 

「ガーメイル戦闘不能! 勝者 セキチクシティのユウト!」

 

「くっ、まさかあんな荒技で勝つなんて……」

 

 ユウトはあと一つ試合に勝利すれば決勝トーナメントに進めるのだ。

 

「ユウト!」

 

 振り返るとマサが立っていた。

 

「マサ!?」

 

「次の相手は俺だ。全力でやろうや!」

 

「ああ、そのつもりだよ」

 

2人がフィールドを挟んで向かい合う。

 

「セキチクシティのユウト、エンジュシティのマサ! 両者バトルスタート!」

 

 刺々しい岩石が生えたフィールドに互いの手持ちが放たれる。

 

「行け、ミルタンク!」

 

「頼むぞ アーボック!」

 

 両者睨み合う。

 

「行けミルタンク、ふみつけ!」

 

「アーボック、まきつく!」

 

 ミルタンクの踏み付けをかわして腕や胴体に巻きつく。

 

「ようかいえき攻撃!」

 

 至近距離からようかいえきを浴びせるがミルタンクは怯まないどころか無理やり引き剥がそうとしていた。

 

「なに!? ミルタンクはノーマルタイプなはず、ようかいえきはある程度通用するはずだ!」

 

「残念、必殺のミルクのみやで」

 

「チッ、もっと大技で攻めなきゃダメってことか?」

 

「甘いぜ! ころがる!」

 

「よけろアーボック!」

 

 なんとか攻撃を回避したもののミルタンクにダメージは見られない。それどころか怪力で締め付けてきた。

 

「パワーと回復、ジョウトのジムリーダーアカネさんには及ばないが俺のミルタンクで勝ちは決まりや!」

 

「まだまだ! どくどくだ!」

 

 口から毒を吐きあたりの岩山に毒の罠を敷く。

 

「そないな技で倒せるか!」

 

 再びころがるを仕掛けてきた。

 

「今だアーボック! まきつく!」

 

「アホか! 巻き付けたところで巻き込まれるだけや!」

 

「いいやこれでいいんだ」

 

 アーボックがミルタンクに巻き付かれると案の定巻き込まれた。

 

 そのままステージ上の岩肌に激突しながらも石を巻き込みながら、先ほど毒を巻いた岩に激突する。

 

「なに!?」

 

 するとミルタンクが動きを止めた。

 

「よし、ようかいえき!」

 

 怯んだミルタンクだったが倒れずにずしんと構えていた。

 

「だったらミルクのみ!」

 

「させるか! まきつく!」

 

 ミルタンクがミルクを飲んでしまうも再びアーボックは巻きついた。

 

「そないなもんかいりきで……!? どうしたミルタンク!!」

 

 ミルタンクが突然動きが鈍くなったのだ。

 

「へへ、奥の手のへびにらみだよ」

 

「そうか、巻きつかせて同時に仕掛けたのか!」

 

「そうだよ! そのままようかいえきだ! ミルクのみは封じさせてもらうぜ!」

 

 ようかいえきの連続攻撃でミルタンクはその場にどしんと音を立てて倒れる。

 

「ミルタンク戦闘不能! 勝者 セキチクシティのユウト!」

 

 互いのポケモンをしまったユウトとマサが握手を交わした。

 

「あんな右斜め上な勝利、すげーなお前は」

 

「ありがとう、ミルタンクのパワーと回復のチートっぷりには危なかったよ」

 

「はは、そうか! 頑張れよ!!」

 

「もちろんさ!」

 

 ユウトを含んだトレーナーたち62名が決勝トーナメントに駒を進めるのだった

 

__________________________________

 

決勝トーナメント第1回戦

 

 ユウトはジョウト地方出身の祈祷師、キヨシと戦っていた。

 

  ユウト    VS   キヨシ

 

  ストライク     スリーパー

  メタモン      モルフォン

  ゲンガー      デルビル

 

 決勝トーナメントでは勝ち抜け戦の3対3のバトルとなっている。

 

「きえぇええええええ!」

 

 先鋒に現れたデルビル、対するはメタモンだった。

 

「メタモンへんしん!」

 

 メタモンがデルビルに化け、たいあたりをしかける。試合ではポケモン図鑑は使えない。ある程度憶測で戦うしかないのだ」

 

「かえんほうしゃです!」

 

「ならこっちはほえる攻撃!」

 

 吠えられたデルビルはかえんほうしゃを打つことなく、モルフォンが呼び出された。

 

「なに!?」

 

「かえんほうしゃ!」

 

 命令もできずにメタモンの化けた出るビルのかえんほうしゃであっけなくモルフォンは倒れるのだった。

 

「おのれええええ! 星の巡り合わせよ我に力を!」

 

 デルビルを呼び出す。

 

「ストライク、れんぞくぎり!」

 

 メタモンと入れ違いで出場したストライクがデルビルに素早い斬撃を放つ。

 

「かみつく!」

 

「あまい! こうそくいどう!」

 

 ストライクが飛びかかるデルビルより早く攻撃を仕掛けた。

 

「かわされた!?」

 

「きりさく!」

 

 背後に回り込んだストライクの華麗な斬撃によりデルビルが倒れた。

 

「ならば行け! スリーパー!」

 

「だったらこっちも大将だ。行けゲンガー!」

 

 ボールから現れたゲンガーがクスクス笑い出した。

 

「スリーパー! かなしばり!」

 

 スリーパーが振り子から超能力を発動しゲンガーを麻痺させた。

 

「そう来たか!」

 

「そぉらサイコキネシス!」

 

 ゲンガーがスリーパーにより浮かされる。

 

「それ!」

 

 地面にゲンガーが叩きつけられる。そして再びサイコキネシスで持ち上げられた。

 

「散々コケにしてくれた分をここで返してやるぞ! もっとサイコキネシスだ!」

 

 スリーパーがニヤリと笑っていたがそれでもゲンガーは笑みを浮かべる。

 

「残念だったな、お前のかなしばりは意味がないんだよ!」

 

 するとゲンガーが拳を突き出して来た。

 

「シャドーパンチか!?」

 

 正面から攻撃を受けスリーパーが吹っ飛ばされ会場の壁に激突してしまう。

 

「スリーパー戦闘不能! 勝者 セキチクシティのユウト!」

 

「よし!」

 

「へぇ〜ユウトくん勝ったんだぁ〜!」

 

 観客席ではアミナとヒサ、それにマサが試合を観戦していた。

 

「にしてもゲンガーのかなしばりされた技ってなんやろな?」

 

「大方、変化技かもしれないわね。物理系の技ならなにかしら動きはあるはずだし、先攻で何か仕込んでたのかも」

 

「あーあー! 私だけ予選落ちだったからな〜!」

 

「いいのよ、アミはがんばったわ」

 

「ヒサちゃん! 次の試合も頑張って!」

 

「ええ、もちろんよ」

 

___________________________

 

 1回戦第10試合、ヒサは草使いの詩人レイトが対戦相手になっていた。

 

「行け! ラフレシア!」

 

「スピアー!」

 

 1匹目が現れる。

 

「おおここか!」

 

 観客席にもユウトがやって来た。

 

「さてと、ヒサの試合を見せてもらうぜ」

 

「まずは有利で素早さも高いスピアーを繰り出して来たな」

 

「ヒサちゃん、スピードに関してはスピアーもピジョットには負けてないんだよ!」

 

「スピアー、ダブルニードル!」

 

 その後試合自体はヒサが辛くも勝利を収め、1回戦のすべての試合は終わったのであった。

 

「あら、ユウトくんじゃない!」

 

 モナが夕食を食べているユウトたちのもとにやってきた。

 

「あっ、どうも……」

 

 ユウトたちが礼をする。

 

「隣、いいかしら?」

 

「全然大丈夫ですよ!」

 

「みんないいバトルしてたわね。流石よ」

 

「もしかして全部の試合を見てはったんですか?」

 

「まぁ……大会が終わってから予選のもう片方の方を見ることになるかな? 私も調整とかしなきゃ行けないからね」

 

「あら、こんなとこにいたのね」

 

「ん?」

 

 振り返ると銀髪で目つきの鋭い少女が立っていた。

 

「モナ、あんたも調子に乗らないことね。いくら準決勝まで暇だからっていつまでもあんたにあぐらなんか描かせないから」

 

「そっちこそ浮かれないでよ? あなたは私のライバルでもある。決勝で会いましょう」

 

「ふん!」

 

 少女が立ち去る。

 

「今の人知り合いですか?」

 

「サブリナ、私の同期でライバルでもあるトレーナーなの」

 

「そうだったんですね」

 

「それじゃあまた明日! 多分ユウトくんと彼女が当たることになるかもしれないわ。気をつけてね」

 

「はい!」

 

 モナがさっていった。

 

「うっわ〜! 貫禄凄かったね〜!」

 

「かなりの経験を誇るベテラントレーナーなだけのことはあるわね」

 

「まぁ俺とアミの目的は一緒や! 2人の応援をしてるぜ!!」

 

「ありがとうな! よっし! じゃあ俺も明日の調整に行くぜ!!」

 

 1回戦終了、戦いは第2章へ……

 

 残るトレーナーはあと16人



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第18話 準決勝フルバトル!白熱の駆け引き

今回は準決勝となります。初期では前回からこの辺まで軽く3、4話は稼ぐつもりでしたがさすがに毎回トレーナーの組み合わせを考えるのは困難であると判断したためカットし今回を準決勝としました。初期構想よりも5、6話程削りましたがようやくここまで来ました。次回が決勝戦です。


 

 

 2回戦、準々決勝を終えた事でトレーナーたちの数も軒並み減り、バトルが白熱しいくつものベストバウトもここから見られるのだ。

 

「決まった〜! ポケモンリーグ推薦トレーナーのサブリナが準々決勝に進出だ!」

 

「他愛無いわね」

 

 せっせとフィールドを出たサブリナ、6対6のフルバトルで3体まで出して相手を降していたのだ。

 

「マジかよ……」

 

「モナさんと同期なだけあって彼女、相当の達人ね。同じブロックじゃなくてよかったわ」

 

「でも、ヒサちゃんもモナさんと当っていたかもよ?」

 

「……それは言わないでちょうだい」

 

ヒサはすでに準々決勝で敗退していた。

 

______________________________

 

 

 そして試合は進みいよいよ準決勝へと対戦カードは進む。勝てば決勝、負ければベスト4である。

 

 ユウトはサブリナと対戦することになっていた。

 

「あんたモナのお気に入りだからって調子に乗らないで!」

 

「……いい試合にしましょう」

 

 あたりの強いサブリナに対して手を差し出すがプイとそっぽを向かれた。ステージは岩山ステージ、試合が始まる。

 

「それでは両者構えて!」

 

 2人がボールを構える。

 

「行け、ストライク!」

 

「レディアン!」

 

 一体目はむし同士、カマキリとテントウムシの一騎討ちとなった。

 

「こうそくいどうだ、ストライク!」

 

「レディアン、バトンタッチ!」

 

 レディアンがストライクに激突したかと思いきや急にサブリナの元にターンした。

 

「お願いね、バリヤード」

 

「ストライク、きりさく攻撃!」

 

 バトンタッチにより現れたバリヤードへ先制攻撃を仕掛けるも、耐えられてしまう。

 

「バリヤード しんぴのまもり!」

 

 突如として特殊なベールがバリヤードを包み込んだ。

 

「ストライク、つばさでうつ攻撃!」

 

「バリヤード、バトンタッチ!」

 

 今度はバリヤードの方が早くストライクに攻撃を仕掛けバトンタッチを仕掛けた。

 

「二度目のバトンタッチをどうして?」

 

「なるほどね、ああやってトレーナーの手持ちを探りながら消耗させたり味方にバトンを繋いだりして6体全員で連携を取ろうとしているのかもしれないわ」

 

「せやな、現にさっきのバリヤードは状態異常を引き起こすユウトのパーティの対策になるわ」

 

「じゃあいくわよ、キュウコン!」

 

 白い狐のポケモンが現れた。

 

(ほのおタイプだが…スピードならこっちが優勢だ!)

 

「ストライク、こうそくいどうして距離を詰めるんだ!」

 

「無駄よ、ほのおのうず!」

 

 自分の周りに炎を敷くことでストライクが拘束されてしまう。

 

「かえんほうしゃ!」

 

 直撃したストライクは戦闘不能になってしまう。

 

「ッ! エビワラー行け!」

 

 ボクサーのポケモンが素振りでキュウコンを睨む。

 

「エビワラー、れんぞくパンチ!」

 

 接近してパンチを何発も浴びせるエビワラーだったがキュウコンは涼しげな表情だった。

 

「あやしいひかり!」

 

 光を放ち、エビワラーが混乱してしまった。

 

「マズいな、こんらんした状態では相手にダメージを入れられるかどうか……」

 

「けど、そろそろしんぴのまもりが切れるわね」

 

「エビワラー、マッハパンチ!」

 

 エビワラーは混乱しつつも、目の前にキュウコンの姿があったため先制攻撃を仕掛ける。

 

「急所に当たったぞ!」

 

 キュウコンが先制を受けて怯んだのを見てエビワラーが正気を取り戻す。

 

「行け!」

 

 エビワラーが構えを解かず一気に接近する。

 

「キュウコン、かえんほうしゃ!」

 

 キュウコンのかえんほうしゃは紙一重で回避される。

 

「今だ! メガトンパンチ!」

 

 懐に鋭いパンチが入りキュウコンはその場に倒れた。

 

(今のは……なるほどね)

 

 サブリナは6体のうち1体目が倒され、2体が姿を見せていた。ユウトもまだ2体だけしか見せてはいないがストライクが倒されているためサブリナが優勢なのは変わりなかった。

 

「レディアン!」

 

「そう来るか……!」

 

 エビワラーのままにしたユウトはまず出方を見るべく、先制を仕掛けるも相性が悪くなかなか攻められずにいた。

 

「こうなったら……! 連続パンチ!」

 

 地面に連続パンチを行う。

 

「なに考えてんだ! 地面なんか殴っても無駄だぜ!?」

 

観客が困惑の声を上げる。

 

「レディアン、スピードスター!」

 

 地面を殴るのに集中したエビワラーを正面からスピードスターで攻撃するも、とっさに回避したためかノーダメージに終わった。

 

「やはりそういうことね。そのエビワラー、みきりを習得してるわね」

 

「そうですよ! みきりなら連続でない限りは攻撃を受けない! さらに!」

 

 命中したスターにより砂埃が発生する。

 

「エビワラーのパンチは並のかくとうタイプよりも頼もしい! だから連続パンチでフィールドを凹ませてスピードスターを撃たせて砂埃さえ起こせば!」

 

 砂埃を自分から通過するレディアンの目の前には構えるエビワラーがいた。

 

「れんぞくパンチ!」

 

「そっちもこういうの持ってんのよ! れんぞくパンチ!」

 

 両者パンチの応酬の末、最後の一発が放たれ両者ダウンしてしまう。

 

「両者ダウン!?」

 

 アミがハッと驚くもすぐにレディアンが立ち上がる。が、すぐに立ったまま目を回してしまう。

 

「引き分けか……!」

 

「でもこれで両者4体ずつ。今後の立ち回りで試合全体の流れをつかめるわ」

 

 

 

_______________________________

 

現在ユウトはストライクとエビワラーの二体を失い、サブリナもレディアンとキュウコンを失うもまだバリヤードが残っていた。

 

「ここから勝負よ。行けトロピウス!」

 

 サブリナが飛び出したのは首にバナナのついたポケモンだった。

 

「へぇ、トロピウスね」

 

 モナが観客席に来た。

 

「ホウエン地方の、ポケモンですか?」

 

「そうよ。トロピウスはツリーハウスのまちヒワマキシティの近くで生息してるポケモンなの。ああ見えて結構タフなのよ」

 

「マグカルゴ!」

 

 対するユウトが呼び出したのは溶岩でできたカタツムリ型のポケモンだった。

 

「たまたまジョウトのトレーナーから聞いた話でゲットして鍛えたんだ。行くぜ!」

 

「悪いけどそうはいかない!トロピウス、ふきとばし!」

 

 開始早々、トロピウスが不利なマグカルゴを吹き飛ばしてしまう。

 

「くっ、行け!」

 

 交代してできたのはウツボットだった。

 

「あー惜しい! マグカルゴだったらトロピウスの弱点はつけたのに!」

 

 アミが落胆した表情を浮かべる。

 

「どうかしら? まだトロピウスにはウツボットでも食らいつけはすると思うわ」

 

「せやな、トロピウスはひこうタイプを持ってるけどもウツボットにはどくタイプがある。瞬殺にはならんやろ」

 

(くそッ、マグカルゴじゃスピードがあきらかに遅かったか。こうしてウツボットに代っちまったが、技はリーフストームにようかいえき、つるのムチそしてやどりぎのたねだけだ……)

 

(あなたの戦術は読めるわよ。きっと毒で攻めてくるはずでしょうけどこっちのトロピウスはかぜおこしに、はっぱカッター、にほんばれそしてソーラービーム! つまりは距離をとって戦えるということよ)

 

「まずはようかいえきだ!」

 

 ウツボットがようかいえきを放つもかぜおこしで逆流し岩肌にこびりついてしまう。

 

「ならつるのムチだ!」

 

「あまい!」

 

 トロピウスが上空を飛び回り、難なく回避する。

 

「トロピウス、ソーラービーム!」

 

「ソーラービーム……!岩山に隠れるんだウツボット!!」

 

 ウツボットが岩肌に身を隠す。

 

「今は少し威力は低いけれど……ソーラービーム!」

 

 トロピウスの口から発射されたビームがフィールドの岩肌を吹っ飛ばす。

 

「チィッ、本当はフィールドごと吹っ飛ばせるんだけども仕方がない。

 

 トロピウス にほんばれ!」

 

 トロピウスの天候操作で当たりの天候が変化する。

 

「さぁ隠れてないで出てきなさい!」

 

 その時、トロピウスをつるのムチが襲う。

 

「チャンスだ! ようかいえき!!」

 

 岩肌から奇襲を仕掛けたウツボットの攻撃でトロピウスに毒が回る。

 

「ふぅーん、運に任せて攻めてきたのね。その度胸は認めてあげるわ。けど私のトロピウスを甘く見ないことね! ソーラービーム!!」

 

「なに!?」

 

 ユウトが困惑する。

 

「あかん! にほんばれは日射しが強い状態、そうなったらソーラービームの力は圧倒的に跳ね上がってまうわ!!」

 

「しかもチャージ時間はわずか! どうするの!?」

 

「こうなったら一か八かだ! リーフストーム!!」

 

「くっだらないのよ!」

 

 トロピウスには間に合わない!ソーラービームが近距離で放たれ、ウツボットは倒れてしまった。

 

「ウツボットの最後の賭けも及ばずだったわね」

 

「リーフストームはとくこうをさげてしまうからああやって最後に打つかしかできなかったのね。トロピウスが相手だったから……」

 

「戻れウツボット!」

 

(これで俺はあと2体手持ちににいるってことになるが……おかげでトロピウスに毒を入れられたんだ)

 

「お前の働きは無駄になんかしない! 行けマグカルゴ!!」

 

「さっきのやつね。いいわよ、相手してやろうじゃない。かぜおこし!」

 

「ドわすれ!」

 

 マグカルゴがとぼけた表情でかぜおこしを喰らう。

 

「マグカルゴ、かえんほうしゃ!」

 

 しかしマグカルゴはなおもとぼけた表情でいわなだれを繰り出す。

 

「ドわすれでかえんほうしゃを忘れさせて、いわなだれを打たせたのね……!」

 

 サブリナが困惑する中トロピウスがいわなだれに撃ち落とされ、さらにウツボットによる毒が回ってしまい力尽きる。

 

「ちょこまかと小細工をしてくれるじゃない。

 

 なら見せてあげる! ハンテール、行きなさい!」

 

「だったらこっちも! 戻れマグカルゴ! 行けマルマイン!」

 

「出た! ユウトのマルマイン!!」

 

「ハンテール、バトンタッチ!」

 

「なんだって!?」

 

 ハンテールがバリヤードと交代する。

 

「構うなマルマイン、ころがる!」

 

 現れて早々バリヤードを正面から攻撃する。

 

「リフレクター!」

 

 減衰させても、マルマインはびくともしない。

 

「まだまだ!」

 

 再びマルマインが激突する。

 

「サイケこうせん!」

 

「マルマインにはその程度は通用しない! このまま一気に押してくぜ!!」

 

 マルマインが回りながらニヤリを笑みを浮かべ3回目の激突を果たす。

 

「追い打ちだ!」

 

「ねんりき!」

 

 4度目をなんとか防いだバリヤードは岩山にマルマインを叩きつける。

 

「しぶといわね……けれども、バトンタッチさせてもらうわよ。私の切り札で勝負よ!」

 

 バリヤードがバトンタッチした。

 

「行け、ボスゴドラ!」

 

「またホウエンのやつね!」

 

「そりゃそうよ、だって彼女はホウエン出身のトレーナーなんだもん」

 

「そうだったんですか!?」

 

「ホウエン出身でここカントーに引っ越してきてポケモンバトルを極めてたのよ。ここじゃそんなに生息しない、いわとはがねの混合タイプでいっときはかなりチヤホヤされてたのよ。私だって彼女に負けたことはあるくらいよ」

 

「モナさんがですか? そんなイメージ全くないな〜」

 

「彼女は変わって強くなったの。四天王のシバさんとの出会いでね。彼のかくとうタイプにはボスゴドラも倒されてしまったのよ」

 

「シバ!? あの四天王の中でもスーパーパワーを誇るあのシバですか!?」

 

「ええ! この戦い、ここからが勝負よ!!」

 

「ボスゴドラ! がんせきふうじ!!」

 

 岩石が次々とマルマインを拘束する。

 

「これじゃあ転がれないわね! はかいこうせん!!」

 

 動けなくなったマルマインをがんせきごと吹き飛ばす。

 

「勝負有りね!」

 

「まだだ!」

 

 マルマインははかいこうせんを受けてもなお、目を丸くせずに立っていた。

 

「マルマイン、行けるか?」

 

 マルマインがニヤリと笑うと正面からボスゴドラにころがるを仕掛けた。

 

「くどい! ふみつけ!!」

 

 ボスゴドラが攻撃を避けその場に叩きつける。

 

「マルマイン、だいばくはつ!」

 

「え!?」

 

 叩きつけられたと同時にボスゴドラが爆発のダメージを受ける。

 

「マルマイン、すまねえな……」

 

「ボスゴドラは一旦戻って! ここはバリヤードでつなぐ!」

 

「だったら……行け、ゲンガー!」

 

 現れたゲンガーがニヤニヤ笑っていた。

 

「シャドーパンチ!」

 

 リフレクターを張らせる間も無く、バリヤードが一撃で撃破される。

 

「……まだよ! ハンテール!!」

 

「ゲンガー さいみんじゅつ!」

 

「みずのはどう!」

 

 ゲンガーが攻撃を受け吹っ飛ばされてしまうも、さいみんじゅつが命中しハンテールが眠りにつく。

 

「ゲンガー、ゆめくい!」

 

 ハンテールから体力が奪われる。

 

「……こおりのきば!」

 

 目を覚ましたハンテールが必死に食らいついてゲンガーを凍結させた。

 

「もう一度みずのはどうよ!」

 

 みずのはどうを受け、ゲンガーの氷は砕ける。

 

「もう一度シャドーパンチだ!」

 

 ハンテールは回避できずに、パンチを受け倒れた。

 

「やるじゃないの……けど最後のボスゴドラを沈める手段はない! この勝負は私の勝ちよ!!」

 

「どうかな? マグカルゴ行け!」

 

「無茶だ! マグカルゴの炎や岩じゃボスゴドラには届かない!!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

「がんせきふうじ!」

 

 マグカルゴの炎を岩山で防いだボスゴドラはそのままとっしん攻撃を仕掛けてきた。

 

「今だ! 最後の賭けを見せてやる、だいちのちから!!」

 

「だいちのちからですって!?」

 

 驚愕するサブリナ、ボスゴドラは足元から大地のエネルギーを受け倒れる。

 

「ボスゴドラ戦闘不能! 勝者 セキチクシティのユウト!」

 

 歓声が響く。

 

「負けた……」

 

「サブリナさん!」

 

 ユウトが手を差し伸べてきた。

 

「ありがとうございました!」

 

 丁寧に礼をするとサブリナはそっぽを向く。

 

「……負けんじゃないわよ」

 

 そう言い残してフィールドを出た。

 

「これで決勝か……」

 

「へぇ……あの子もずいぶん成長したみたいね。でも私も全力で相手をするわ。私の最高のパーティーでね!」

 

 いよいよポケモンリーグ最後のバトルが始まる。

 





準決勝フルバトル 使用ポケモン

 ユウト  VS サブリナ

 ストライク  レディアン
  
 エビワラー  バリヤード

 ウツボット  キュウコン

 マグカルゴ  トロピウス

 マルマイン  ハンテール

 ゲンガー   ボスゴドラ


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第19話 決勝開幕 ユウトとモナ

ポケモンリーグは今回が最終回です。




 

 

 ポケモンリーグ決勝戦! 全ての出場者たちが結果を見守るバトル!! 

 

 セキチクシティのユウトとカントーポケモンリーグ四天王推薦枠、モナの二人の最後の戦いが始まる。

 

「行け! ケンタロス!」

 

「お願いね、ヘルガー!」

 

 先鋒が現れる。

 

「ケンタロス たいあたりだ!」

 

「ヘルガー かえんほうしゃ!」

 

 駆け出して来るケンタロスにかえんほうしゃはほぼ通用せず正面からヘルガーを突き飛ばす。

 

「かみつく!」

 

「つのでつく!」

 

 ケンタロスが正面から食らいつこうとしたヘルガーを突き飛ばす。

 

「やるわね、けどこれはどう? スモッグ!」

 

 煙を吸い込んだケンタロスの動きが鈍くなった。

 

「まずい、もう一度たいあたり!」

 

 煙を潜り抜けようとしたがヘルガーがすでに待ち伏せていた。

 

「一気に行くわよ! だいもんじ!!」

 

 大の文字となった炎がケンタロスを焼き尽くす。かろうじて立っていたケンタロスだったが息をかなり切らしていた。

 

「くっ、戻ってくれケンタロス! 頼んだエビワラー!」

 

「みきりを得意としたエビワラーね、いい選択だわ」

 

「エビワラー、マッハパンチ!」

 

 先制でヘルガーに素早い突きを当てられたエビワラー、ヘルガーも怯んで動けなくなった。

 

「ならこっちも交代ね。エアームド!」

 

 銀色の鳥ポケモンが現れる。

 

「エアームド、だいたいジョウトの腕利きが使っとるやつやな」

 

「エアームド、はがねのつばさ!」

 

 羽ばたきにより鋼鉄製の羽がエビワラーを襲う。

 

「撃ち落とすんだ!」

 

 れんぞくパンチで羽を1発ずつ叩き落とすもエビワラーには飛行したままのエアームドに自慢の拳で攻撃する方法がなかった。

 

「エビワラー、マッハパンチ!」

 

 エビワラーが勢いをつけてジャンプしマッハパンチを放つも、大きなダメージにはならない。しかも空中から落下し態勢を崩してしまう。

 

「エアームド、エアスラッシュ!」

 

 エアームドの一撃は動けないエビワラーが正面から攻撃を受ける。

 

「まだだ! れんぞくパンチだ!!」

 

 ダメージを受けたエビワラーは怯んでしまい動けない。

 

「エアスラッシュの効果ね! このまま止めよ!!」

 

 再びエアスラッシュを仕掛けようとしたエアームドの攻撃だったがエビワラーはなんとか攻撃を回避する。

 

「みきりをやはり使ってきたわね!」

 

 攻撃を回避したエビワラーは立ち上がって素早くエアームドの背に跨る。

 

「フリ落としなさい!」

 

「いいぞ、このままれんぞくパンチ!」

 

 エアームドに跨りながら無我夢中でパンチを仕掛ける。

 

「エアームド! こうそくいどう!」

 

 エアームドが高速で振り落とそうとするもエビワラーは離れない。

 

「エビワラー! メガトンパンチだ!」

 

 エアームドの頭部にメガトンパンチを仕掛けエビワラーはエアームドごとフィールドに落下する。

 

 両者が激突したものの、エビワラーは辛くも立ち上がるのだった。

 

「エアームド 戦闘不能!」

 

「よし!」

 

「やるわね。でも次はこうはいかないわよ。バンギラス!」

 

 緑色の凶悪な目つきをしたポケモンが現れる。

 

「エビワラー戻れ!」

 

(やつは見たところあくタイプだが……ここは温存するしかない)

 

「ケンタロス頼む!」

 

 ケンタロスが息を切らしつつもバンギラスを睨む。

 

「ケンタロス、たいあたり!」

 

 ケンタロスが正面からたいあたりを仕掛けるもバンギラスはびくともしない。

 

「強い!」

 

「バンギラス、すなあらし!」

 

 フィールド中に砂あらしを発生させ、ケンタロスの視界を奪う。

 

「くそっ! これじゃどこにいるのかわかったモンじゃないな」

 

 すなあらしとともにバンギラスが現れる。

 

「あばれる!」

 

 ケンタロスを一方的に殴るもなんとか耐えられていた。

 

「さあどうする? 暴れたバンギラスは強いわよ!」

 

「まもる!」

 

 ケンタロスは守りの体制を敷いてバンギラスの攻撃を受け止める。そしてバンギラスは突然動きを止めおちゃらけた表情を浮かべる。

 

「今だ! 奴は混乱している! たいあたり!」

 

 ケンタロスがたいあたりするもまたもや受け止められてしまう。

 

「これで終わりね!」

 

「いいや! まだだ!!」

 

「ッ! たたきつけちゃって!!」

 

 バンギラスも混乱状態が解除され一気に叩きつけようと試みる。しかし……

 

「この距離ならどうだ! ケンタロス、はかいこうせん!!」

 

 口から発射された光線が至近距離からバンギラスに放たれる。土煙が生じるも次第に晴れてきた。

 

「すまない、ケンタロス……けどお前の活躍は無駄じゃないぜ」

 

「バンギラスはまだ無事のようね。さあ! リードするわよ!」

 

「ケンタロス 戦闘不能!」

 

 

 

 

 

ケンタロスを戻したユウトはすかさず次のポケモンの入ったボールを手に取る。

 

「頼むぞストライク!」

 

「ストライクはむしだけど……」

 

 観客席のアミとヒサが緊迫した表情を浮かべる。

 

「火力が低すぎるよ〜!」

 

「こうそくいどう!」

 

「やはり初手はそうよね! でもすなあらしには勝てるかしら? いわなだれ!」

 

 視界が防がれる中で岩山が次々とストライクを狙う。

 

「ストライク!」

 

 砂あらしが岩山により遮られた。

 

「バンギラス? どこ?」

 

 モナが声をかけるもバンギラスが膝をついていた。

 

「くっ! 今のはまさか、シザークロス? ちょっと厄介ね」

 

 ストライクの技に対して相性が不利と悟り、バンギラスを引っ込める。

 

「ウインディ!」

 

 ガーディの進化系ポケモンが現れる。

 

「ならこっちはマルマインで勝負だ!」

 

「ウインデイ、しんそく!」

 

 超スピードであっと言う間にマルマインが攻撃を受ける。

 

「なんだ、いきなりマルマインが攻撃された?」

 

「ウインディの自慢のスピードにあなたは勝てるかしら?」

 

「マルマイン、充電して反撃のチャンスを待つんだ!」

 

 マルマインが充電しながらも敵の攻撃を受ける。ウインディはスピードに任せて連続でマルマインを攻撃する。

 

「ウインディ、かえんほうしゃ!」

 

 マルマインが炎に包まれるも充電をやめない。

 

「マルマイン、フルパワーでスパークだ!」

 

「ウインディ、しんそく!」

 

 かえんほうしゃを止めしんそくで再び接近しマルマインを突き飛ばす。しかし、四方にスパークが飛び散り、その余波がウインディに命中する。

 

「マルマイン、ウインディ 両者戦闘不能!」

 

 

 

 

 

「マルマイン、ご苦労様。ニドキング行け!」

 

「ふーん、あのニドランがここまで大きくなるなんてね。けど負けはしない! ライチュウお願い!!」

 

 ライチュウがでんこうせっかを放つ。

 

「俺のニドキングを舐めないでください! じしん!!」

 

 背後を取ったライチュウがダメージを与えるまもなく一撃で倒された。

 

「ライチュウ 戦闘不能!」

 

「嘘……戻って!」

 

 瞬殺されたライチュウを戻したモナはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「すごいね、あっという間にここまでなんて。でもその進撃はここまでだよ」

 

「そうはさせない! 俺が勝ちます!!」

 

「ヘルガー、だましうち!」

 

 ヘルガーが飛び出しニドキングに喰らいつく。

 

「さらにかえんほうしゃ! 相性はこちらが不利、だけど私にはそれをひっくり返す方法がある!」

 

 噛みつきながらかえんほうしゃを放つことでニドキングにやけどを負わせる。

 

「とどめよ! だいもんじ!!」

 

 大の字の炎を正面から受けてしまうニドキング、しかし逆の腕がその炎をかき消す。

 

「これは……!」

 

「なみのりだ!!」

 

 ニドキングの水を込めた拳がヘルガーを一蹴する。

 

「すげえ、ニドキングがあっという間にやってのけたわ!」

 

「けどまだバンギラス意外にも一体いることを忘れちゃダメだよ、マサくん!」

 

「おっとっと、そうやったわ!」

 

 モナがポカンとしつつも笑みを浮かべる。

 

「ここまで私を熱くするなんて本当に久しぶりね。いいわ、私の最高の相棒 カメックスの力を見せてあげる!」

 

「ニドキング、じしん攻撃!」

 

「カメックス、ハイドロポンプ!」

 

 ニドキングが地面を攻撃してカメックスを追い込むもハイドロポンプを足下に放ってダメージを軽減させる。

 

「れいとうビーム!」

 

「なんだと!?」

 

 唖然とする中で地面が凍結してしまう。

 

「くそっ! これじゃじしんをまともに打てない!!」

 

(しかも今のニドキングの状態異常はやけど……こうなったら状態異常に関係のないあの技で!)

 

「こうそくスピン!」

 

 甲羅に篭りながらニドキングに突撃したものの受け止めることに成功した。

 

「そう簡単にやられるか! ちきゅうなげだ!」

 

 甲羅を投げ飛ばし凍結した地面に一気に叩きつける。しかし、カメックスはなおも起き上がる。

 

「及ばずか!」

 

「見せてあげる! 勝利への激流を____ハイドロカノン!!」

 

 カメックスから放たれた水の球体がニドキングをフィールドの外まで吹っ飛ばす。

 

「バカな! なんて技だ!!」

 

「さてと、戻ってカメックス。温存するわよ」

 

「ニドキング戦闘不能!」

 

 バンギラスを呼び出したモナに対してユウトはエビワラーを放つも、体力を消耗した状態で勝てる道理もなくじしん攻撃を受けて戦闘不能になってしまう。

 

「頼むぞストライク!」

 

「そうはいかない! がんせきふうじ!」

 

 飛んでくるストライクを岩山で叩き潰そうと試みるバンギラスだったがシザークロスのダメージが残っていたため100%の状態ではなかった。

 

「れんぞくぎり!」

 

 一発目が当たる。

 

「すなあらし!」

 

「もう一発だ!」

 

 二発目_____

 

「いわなだれ!」

 

「行けええええええ!!」

 

 いわなだれと同時にバンギラスに攻撃が命中し両者が倒れる。

 

「また引き分けだ!」

 

「バンギラス、ストライク 両者戦闘不能!」

 

「これでお互い最後の一体になったわね!」

 

「頼むぞ、ゲンガー!」

 

「カメックス!」

 

「ゲンガー、さいみんじゅつ!」

 

 開始早々にカメックスを眠らせたゲンガーはシャドーパンチを放つ。しかし、全くと言っていいほどダメージが入らず、カメックスが目を覚ましてしまう。

 

「カメックス、ハイドロポンプ!」

 

 ゲンガーが吹っ飛ばされるものの、持ち堪える。

 

「ゲンガー、シャドーパンチ!」

 

 反撃を仕掛けるも通用しない。

 

「さいみんじゅつ! ゆめくい!」

 

 絶対にあたるシャドーパンチ、それに生じた隙を見逃さないゲンガーはゆめくい攻撃で体力を回復する。

 

「れいとうビーム!」

 

 すかさず放たれたビームを避けようとするもフィールド全体を凍結させられ転倒してしまう。

 

「今よ!」

 

 れいとうビームにより、ゲンガーの全身を固められてしまう。身動きも取れない。

 

「まずい! このまま一気にハイドロカノンを決めるつもりだ!!」

 

「よく頑張ったわね。けどこれで私の勝ち! 

 

 ハイドロカノンッ!!」

 

 激流がゲンガーに命中しゲンガーが目を回す。審判が様子を見ようとしたその時、突然ゲンガーから紫の光が溢れる。

 

「綺麗な光……」

 

 思わず目を奪われるもカメックスが突然倒れてしまう。

 

「カメックス、ゲンガー 戦闘不能!」

 

 その判定に会場がざわつき数分が経過した。

 

 

 

 

 

 

 

 大会が終わった。

 

「ユウトくん!」

 

 ヒサたちが会場を出たユウトの出迎えに来た。

 

「ほんま、ええバトルだったわ!」

 

「ああ、ありがとう。

 

 ああいう結果になったけどなぜだろう、不思議とスッキリした気持ちなんだ。自分もこんな大舞台でバトルして興奮するなんてちょっと数ヶ月くらい前じゃ思いつかなかった。

 

 それくらい楽しかったんだ」

 

 ユウトが空を見上げて笑みをこぼす。

 

「いいねそういうの!」

 

「これからどうするの?」

 

「どうするかか……たぶんポケモンリーグからお知らせが来るはずなんだ。それを待ってみるよ。みんなは?」

 

「私たちも元々、ジョウトの大会が終わってからだったしジョウトの大会に行こっかな〜って思ってたんだ!」

 

「そっか、じゃあまたいつか! その時はみんなで旅とかしてみる?」

 

「いいわね、この4人なら楽しくなりそうだわ」

 

 笑いながら宿に戻る4人を木陰からモナが見ていた。

 

「いいの? あんたはいかなくて」

 

「いいのよサブリナ、私もようやくチャンピオンや四天王たちのいるステージに登れるわ。私の小さい頃の夢、ポケモンマスターに近づいたけど彼はまだまだ夢を探してる旅人、私とは違うわ」

 

「ふーん……あの子のこと気にかけてるかと思ったらそういうことね。鈍いのね」

 

「?」

 

 サブリナがクスクス笑いながら歩き出し、モナは首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 翌日、新聞やニュースにこんな一報が届く。

 

 カントー地方ポケモンリーグ大会

 

 優勝 モナ

 

 準優勝 ユウト

 




最後のゲンガーの技はみちづれです。しかしバトル的にみちづれで死んでもバトルには負けてしまうためユウトは準優勝です。

次回最終回です


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エピローグ 終わらない物語

ポケモンノーブルバイオレット 如何でしたでしょうか?ほぼ半年の連載でしたが、これにて完走です。

ポケモン関連に関する新作は未定ですが気が向いたら投稿しようかなとは考えてます。やるとしたら次回作はどこの地方がいいかは完結記念アンケートでも作っておきますので最後まで応援していた方は是非どうぞ。それではまたいずれお会いいたしましょう!それでは!!


 

 

ポケモンリーグが終わった。それから数ヶ月、ユウトは____

 

「それじゃあ行くか!」

 

「行くのね、ちょっと前じゃあ外にもでたがらずに小遣い無駄に使う息子だけどちょっと旅に出たら変わるものね」

 

「そこはあんまし言わないでおいてよ!いってきまーす!!」

 

ユウトがセキチクシティを飛び出す。

 

「ユウト!」

 

街の出口に差し掛かった頃後ろから声が届いた。

 

「アンズさん!」

 

「行くのか…」

 

「ええ、なんかポケモンを育ててバトルするってのが楽しくなっちゃったんです。だからちょっと他所の地方で腕試しに行って来ようかなって」

 

「いいじゃないか、気をつけてな。

 

 またいつかこの街で会おう!私もさらに強くなって、もう一度尋ねて見てくれ!!」

 

「はい!その時はぜひ!!」

 

アンズに手を振って分かれたユウトは歩き出した。

 

 

カントー地方 マサラタウン

 

「ここがグリーンさんの故郷か」

 

以前から立ち入ったことのないマサラタウン、のどかな街並みに思わず伸びをして近くのベンチに座り込んでいたユウトだったが目の前で初老の男性が書類を落とすのを見かける。

 

「おおっ!危ない危ない」

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああありがとう!」

 

書類を拾ってる中ユウトは既視感から首を傾げている。

 

「おお!ユウトくんか!!」

 

「俺のこと知ってるんですか?」

 

「ああ!グリーンの話していたトレーナーは君だったようだね」

 

「え、グリーンさんのお知り合いですか?」

 

「おいおい、わしはオーキド博士だよ。知らないかね?」

 

「え!?あのポケモンに関する有名人のオーキド博士!?」

 

「そうじゃそうじゃ、どれ少しお茶でもいかがかね?」

 

「はい、いただきます」

 

研究室に入ったユウトは多くの資料に目を丸くする。

 

「すげえ…」

 

「さてユウトくん、なぜマサラタウンに来たのかね?」

 

「いえ、特にポケモンリーグが終わって何もないのが退屈で旅をしてたんです」

 

「そうか…なら、君にお得な話だ!」

 

疑問の声を溢すユウトにオーキド博士がパンフレットを見せる。

 

「これは?」

 

「シンオウ地方というところがあってね。そこでは私の先輩のナナカマド博士が、ポケモンの神秘に関する研究を行ってるんだ」

 

「シンオウ地方…確か予選のむしとりつかいのとレーナーがシンオウのポケモンを繰り出してましたね」

 

「ポケモンリーグは何もカントーだけではない。ジョウトやシンオウ、ホウエンにもその可能性はあるんじゃ。海の向こうのイッシュやアローラ、カロス、ガラルでもポケモンリーグはある。君の可能性を試してみてはいかがかな?」

 

「可能性、か…」

 

 

 

オーキド博士の研究所を出たユウトはトキワシティ周辺で野宿をとっていた。

 

「あいつらを預けちまったけど…ストライクにニドキング、お前たちは最初の相棒だ。俺たちで他所に行ってみるか」

 

星空を眺めながら眠りについた。

 

トキワシティからクチバシティへの通り道は修復していた。

 

「確か船はこっから出てるんだよな」

 

クチバシティの港でユウトはチケット売り場を眺めていた。

 

「よし!行くか!!」

 

 

「カンシン号に乗船していただきありがとう御座いました。当船はキッサキシティを目的地といたします。」

 

船に乗り込んだユウトは笑みを浮かべ海の向こうを眺める。

 

「あれ?ユウトはん!!」

 

振り返るとそこにいたのはマサだった。

 

「マサ!?なんでこの船に!!」

 

「いや地元帰ったらな?シンオウ地方にはジョウトよりも若手で手強いトレーナーがいるって教えてもらったんや」

 

「そうだったのか、ってあれは!」

 

船の展望デッキにいた人物に2人が目を丸くする。

 

「サブリナさん!?」

 

「ああ?なんだ、ユウトか…それに観客席にいたマサくんね。ご機嫌よう」

 

「サブリナさんもシンオウに?」

 

「まーね、リッシ湖のリゾートに遊びに行くつもりよ」

 

「なんやなんや!こんなとこで色々会えるなんて運がええわ!!」

 

「それはこっちのセリフだよ〜!」

 

さらに現れたのはヒサとアミだった。

 

「えええ!?」

 

驚くユウト、2人はニコッと笑みを浮かべた。

 

「サブリナさんと一緒にポケモン修行しようってことになって乗船したけど…まさかこのメンバーが集まるなんてね」

 

「そっか…そうか!」

 

「せやったらこの男女5人でシンオウでも旅でもしましょか?」

 

「ったく…こっちはオフだっての」

 

サブリナがため息をつく。

 

「いいね!俺たちで旅をしよう!!」

 

ユウトたちの載せた船はシンオウへ向かう。さらなる旅の始まりまで____あと4時間!

 



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