【ナザリックに光回線が導入されたようです】 (abc)
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「ナザリック」【検索】
「ネットサーフィンがしたい……」
「……アインズ様、恐れながらネットサーフィンというのは一体?」
「ああ、すまない、声に出していたか」
この日アインズ・ウール・ゴウン魔導王もといモモンガは執務室で山積みの仕事を処理していた。傍らにはナザリック一の智謀に長けた守護者であるデミウルゴスを助手として付けている。
そんなアインズは手を動かしながらふと現実世界のことを思い出していた。というのもアインズがこの世界に来てから息抜きという物が出来ないでいた。異形種であるオーバーロードになったことで基本的な欲求がなくなってしまったため食事や睡眠と言った事でストレスの発散が出来ないのである。
そんなアインズが出来ることと言えば本を読んで気を紛らわせる位であった。
そして今アインズはふと考える。こんな時こそインターネットが出来ればどれほど気分転換になるのだろうかと。現実の世界に居た頃はインドア派のアインズはネットサーフィンが大好きであった。ただしネットサーフィンは時間を食う。だからこそオーバーロードとなり時間に猶予が出来た今であればゆっくりと楽しめるのではないかと考えていた。
しかし、ここは異世界のど真ん中。技術水準が大幅に下がり、化学よりも魔法が栄えている世界でインターネットはおろかパソコンすら作るのは難しいであろうことはアインズにも分かり切っていたことだった。無い物程欲しくなる。アインズは悶々とした日々を送っていたのである。
「インターネットとは情報の集合体でな。そこに接続することで世界のあらゆる情報を一瞬で見ることが出来るのだ。そして情報を見て楽しむことをネットサーフィンという。……あー、私が前にいた世界では広く普及したものであったんだが、こちらの世界にはないようなんでな……」
「なるほど……情報の集合体ですか。それには一体どのような種類があるのですか?」
「何でもあるぞ!それこそ料理のレシピから武器の製造方法までな!インターネットがあればナザリックの戦力増強や戦術、果ては普段の娯楽に至るまで全てが変わること間違いなしだと言えよう!」
「それは素晴らしいですね!……アインズ様!インターネットへの接続及びそれに必要な機材の開発を命じてはくれないでしょうか?」
「……ふむ。インターネットへの接続は難しくともコンピュータが導入出来ればこうした事務作業も簡略化出来るかもしれないな……良いだろう!デミウルゴスお前にナザリックコンピューター化の作戦を命じる」
元会社員のアインズにはコンピューターの有難さが痛い程分かるのである。
そしてその有用性も。
アインズは単純なワープロソフトを期待していた。
――――――――
――数か月後
「アインズ様出来ました!インターネットへの接続が成功しました!」
「え?マジ?」
「どうぞこちらに!」
デミウルゴスに連れられた一室にアインズが入ってみると確かにデスクトップ型のパソコンが一台机の上に設置されていた。確かにモニターやキーボード、マウスなども完備されている。
「本当にパソコンだ……」
「図書館にある書物を読み解き私が作成しました。少し時間は掛かりましたが基本的な機能は問題なく使えるかと。ちなみにOSは自作のデミウルドゥズ8を採用しております」
「お前はドラえもんか……だがインターネットに接続できたということは回線はどうなっているのだ?」
「はい!書物に合った光回線を再現しました。そして宝物庫に安置されておりましたいくつかの時間超越系のマジックアイテムを組み合わせることで2019年の日本という場所を通じてインターネットに接続できるようになりました」
2019年という時代に疑問を抱くアインズ。それもその筈であるアインズがいた時代はそれよりも遥か未来であり、2019年は過去の世界なのだから。
だが転移と言う何でもありの経験をしていることでそんなことは気にならなかった。むしろ平和な時代のインターネットを体験できるとウキウキするくらいである。
「それと現在はパソコンをいくつか複製し、一部の各階層守護者達と統括のアルベドに配布してテストを兼ねた実演をしております」
「ほう……さすがデミウルゴス抜け目がないな。よし!ではさっそく私も使ってみるとしよう!」
アインズは居ても立っても居られずに早速インターネットを始める。
とりあえず適当なワードを打って検索してみると本当に使えた。
「マジで使える……素晴らしい!素晴らしいぞ!デミウルゴス!」
「喜んでいただき恐縮です。それとアインズ様、このインターネットを調べていてどうしてもお耳に入れていただきたいことを発見しました」
「……?なんだ?」
「どうやら2019年の日本では我々ナザリックの活躍が書物になっているようなのです」
「ん?……はぁああああ!?」
アインズは急いで「ナザリック」【検索】をする。
するとオーバーロード (小説)Wikipediaというものがあった。アインズはそれを開き全文をじっくりと時間を掛けて読み込んでいく。本当に自分たちに起きた出来事が異世界で書籍となっている……。
しかも自分の現実世界での出来事とかも書いてある。これ守護者達に見られたらまずいんじゃないかと思わず畏怖する。
「確かにある……デミウルゴスこれらの情報についてお前はどう思う?」
「はい、確かに転移した後に起きた出来事については詳しく書かれておりますが、その前のアインズ様……モモンガ様のことや一部の情報に関してはあくまでフィクションの可能性が高いですね。書籍の元となったweb版の設定は現在の我々の状況とはことなりますから」
「他の守護者達も同じ意見か?」
「はい」
「ふむ……まあ、それならいいか」
だがアインズだけは気づいていた。書かれていることがすべて真実であることに。それからアインズはwikiを熱心に読んでいく。
「なるほど……シャルティアを洗脳したのは法国であったか……後で潰しておこう……何!アルベドはそんなことを考えていたのか……後でフォローしておいてやるとしよう……」
どれくらいの時間見ていただろうか気づけば長い間ネットサーフィンを楽しんでいた。
「ふぅ……久々のネットサーフィン楽しかったぞデミウルゴス」
「喜んでいただき光栄です」
「他の守護者達もインターネットをテストしていると言ったな」
「はい、それぞれが各々好きなことを調べていると思います」
「よし!……実際に何を調べているのか見にいってみるか」
そう言ってモモンガは指輪を使い転移を開始したのであった。
【アルベドの場合】
「アルベドは何を見ているのだ?」
「はっ!私はニコニコ動画というサイトでMMDという物を調べておりました」
「MMD?何だそれは……」
「はい、MMDではモモンガ様やウルベルト様がお踊りになっておられます」
「私が踊りを?何故?」
「申し訳ありません……何故踊っているのかまでは……」
【アウラとマーレの場合】
「アウラとマーレは何を見ているのだ?」
「モモンガ様!あたし達はアニメを見ています」
「僕やお姉ちゃんも出ているんですよ」
「……確かにアニメになっているな。ほう……オープニングの私はかっこいいな」
「「はい!」」
【コキュートスの場合】
「コキュートスは何を調べているのだ?」
「ハイ、私ハアニメノ声優ニツイテ調ベテオリマス」
「声優?ああ、私達の声を担当している者たちか……」
「アインズ様ノ声優ハ『鬼滅の刃』ナルアニメニモ出テイルラシイノデス」
「なるほど後で見てみるとしよう」
【シャルティアの場合】
「シャルティアは何を……あっ」
「これはこれはアインズ様!わたしは自分が出ている同人誌といものを調べてたでありんす!」
「そうか……(子は親に似るという訳か)」
「ただ何故かナーベラルの同人誌が多いのですが……何故でしょう?」
「う、うーん」
【パンドラとデミウルゴスの場合】
「どうだい?パソコンの調子は?」
「これはデミウルゴス様!このパソコンというものは実に素晴らしい!」
デミウルゴスはその役職上宝物殿で一人きりのパンドラにもテストとしてパソコンを贈っていたのである。
「今は何を見ているのかな?」
「実は『Pixiv』というサイトにて我々のファンがイラストを公開しあっていることを調べ上げました!そこで実際に自分の名前を入れて見て検索することにしたのです!」
「ほう?それは素晴らしいね。是非私も見てみたいよ」
「それでは早速……」
「「パンアイ……デミアイ……?」」
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「アニメ」【検索】
「ふう、この「Re:ゼロから始める異世界生活」というアニメは割と面白かったな。そうは思わないかアウラ、マーレ」
「はい!つい見てるうちに朝になってしまいましたね!」
「ぼ、僕も面白いと思います」
最近デミウルゴスが作り出したインターネットを活用し、三人は夜通しでアニメを見ていた。最初は自分達が出ている「オーバーロード」一期から三期を、次に他作品とのクロスオーバー作品である「異世界かるてっと」を見た。ちなみにモモンガは異世界かるてっとの世界はいずれ自分達も経験するのでは警戒している。
三番目に見たのはかるてっとメンバーの作品「この素晴らしい世界に祝福を!」通称このすばである。このすばではギャグがメインの作品であり異世界初心者向けの作品ということもあり三人は笑いながら見てた。特にアウラは主人公であるカズマのことを気に入っていた。
四作品目は「幼女戦記」これには実は隠れドイツ好きであり軍服や戦争物が大好きなアインズは嬉々として見ていた。
そして今見終わったのは「Re:ゼロから始める異世界生活」通称リゼロである。
「気付いたことがあるのだがこのパックと言うキャラとマーレの声は似ているな」
「そ、そうでしょうか……」
「あたしもすごい似てると思います!後で声優?についても調べてみましょう」
「そうだな。異世界かるてっとの作品はすべて見てしまったか。次は何をみようか?何か気になる作品はあるか?」
「……!、それなら見たいアニメを調べて発表しあうというのはどうでしょう」
「それは面白そうだ。私は少し休憩するので二人で見たいアニメを決めると良い」
「「はい!」」
異形種であるモモンガとリング・オブ・サステナンスを装備しているアウラとマーレには時間に縛られることはない。それ故、アニメを見たいだけ見放題なのである。至高の41人が知れば羨ましがること間違いなしの環境だろう。
アインズとアウラとマーレはそれぞれ自分が見たい作品を調べていく。
アウラは「アウラ 声優」で【検索】
マーレは「エルフ アニメ」で【検索】
「まずはあたしから紹介しますね!紹介する作品は「魔法少女まどか☆マギカ」です。これはアニメのあたし役の声優がマスコットキャラの声を当てているらしいんです。そのマスコットも調べてみると可愛い外見をしていたので少し見てみたいと思いました!」
「魔法少女ものか。一般的には女性向けの作品が多いとは聞いたことがあるな。タイトルから少女が魔法使いに変身して戦うというのはわかる。多分バトル系か日常系の作品であろう」
「さすがアインズ様です。マーレはどう?」
「ぼ、僕はあんまり怖いアニメでないなら大丈夫かな」
次にマーレが紹介を始める。
「僕はこの「ゴブリンスレイヤー」が良いと思います。これには僕達の種族であるエルフも登場するらしいです、そして知っている種族であるゴブリンも登場するらしいので分かりやすいのではと、お、思います」
「なるほどこれもタイトル推測すると正義のゴブリンが悪党を退治するといった内容なのかもしれん。ゴブリンについてはカルネ村での運用もある。見ていて損はないだろうな」
「マーレはカルネ村のことも考えて選んだのね!」
「うん、アインズ様の参考になればと思って」
最後にアインズが得意げに話を締める。
「よし!今回はこの二作品を視聴して終わりとしよう!」
~一同視聴中~
(((あれ、アインズ様(私)の言ってたこととまるで違うような)))
【デミウルゴスとパンドラとアルベドの場合】
「「パンアイ……デミアイ……」」
「これは私達とアインズ様のその……ファンアートということなのでしょうか」
「んん!どうやらその様ですね!」
「私達が至高の御方とそういうことをする訳ないというのに……」
「まったくです!」
((後で保存しよ))
「どうしてアルアイがないのよ!」
次回「人気投票」【検索】
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「人気投票」【検索】
「なるほど……我々の人気投票が行われたことがあるのか」
「人気投票ですか」
「ああ、アルベドが調査していたニコニコ動画のサイトのニコ静画でオーバーロード人気投票が開催されたらしい。私達の今後出会うであろう者たちもランクインしているらしくてな、暇つぶしに眺めていたのだ」
最近デミウルゴスが作り出したインターネットを活用し、アインズは今日もネットサーフィンに勤しんでいた。パソコンの導入によりナザリックは現在ハイテク化の一途を辿っている。そのため事務作業などの効率も各段に上がっていおり、アインズ自身の生活にも余裕が生まれているのであった。
デミウルゴスは今回アインズの補助として横で書類整理などをしていたのだが、休憩時間に入ったことでアインズと一緒に遊び始めた。
「ふふ、デミウルゴスよ、少しクイズをしよう。人気投票一位は誰だと思う?」
(なるほど……アインズ様はこの問いを通して私が守護者として相応しいか試そうという訳ですね。さすがはアインズ様……ここは何としても当てなくては……一位は無論!)
「こんな感じでしょうか?」
デミウルゴスの考えるオーバーロード人気投票結果発表!
第一位!アインズ・ウール・ゴウン「みんな、ありがとう」
第二位!モモンガ「ふん……」
第三位!漆黒の英雄モモン「神に感謝」
第四位!魔導王アインズ「くっアインズに負けた!」
第五位!鈴木悟「妥当な順位ですね」
「いや!?どうみても全員私になってるではないか!」
「アインズ様であれば五冠を達成なされても問題はないかと」
「大ありだ!はぁ……これが正解だ」
ニコニコ静画オーバーロード人気投票結果発表!
第一位!アインズ・ウール・ゴウン
第二位!アルベド
第三位!ナーベラル
第四位!イビルアイ
第五位!シャルティア
「なるほど……このイビルアイというのは一体何者なのでしょう?」
「そいつはこれから私達が合う予定の吸血鬼でな。どうやら私が冒険者として活動する時に共闘?することがわかっている。一応予定ではエントマと闘って勝ちかけるらしいぞ。アニメで見た」
「なるほど……それではこれからの作戦展開ではその部分を踏まえた戦略が必要になってまいりますね」
「ああ、それと一応だが殺さないでおいてやろう。アニメでちょっと可愛かったしな」
「かしこまりました」
デミウルゴスはまだ何か気になるところがあるようであり、アインズに質問を続ける。
「ナーベラルが三位ですか……意外ですね」
「お前も後でアニメを見ておくと良い。アニメではナーベラルは私が冒険者をするときにナーベというマジックキャスターに扮して一緒に仕事をするのだ。うーん、まあ、多少ポンコツな所もあるがそれがかえって人気の理由なのかもな」
「ポンコツ……」
「今の言葉はナーベラルに言うなよ。たぶん落ち込むから」
「はっ!」
アインズは続くようにして人気投票の結果を見ていく。
「デミウルゴスよ……喜べ!お前は六位に入っているぞ!」
「身に余る光栄です」
「お前はアニメでも小説でも大活躍だからな!入っていてもおかしくはないだろう!」
「アインズ様、ちなみにセバスは?」
「……十九位だが」
「なるほど…………ふふ」
アインズはデミウルゴスがちょっとだけ笑ったところを見逃してはいなかったが触れるのはやめた。
「後は……この通りだな」
第七位!ルプスレギナ
第八位!シズ
第九位!パンドラ
第十位!クレマンティーヌ
「このクレマンティーヌという奴もこれから会う予定のやつだ。こいつは普通に殺してもいいが、実は中の声優がこの前アウラとマーレと見たアニメで二つも主役を務めていたのだ。だからちょっと殺すか迷っている」
「それならナザリックの情報源兼戦力として取り込むという手もあるかと」
「うーん、まあ、そのうち考え付くだろ。よし!そろそろ仕事に戻るか」
「はい」
【アルベドとシャルティアの場合】
「どうしてアルアイがないのよ!」
仕方ないことである。アインズ攻めアルベド受けならともかくアインズ受けのアルベド攻めは数が少ないのだ。
「ないなら……ないなら!自分で書けばいいでありんす!」
「シャルティア!?それは一体?」
「デミウルゴスに作ってもらったペンタブとペイントソフト!さあ、これからアインズ様女体化シャルティア男体化のR-18を書くでありんす!」
「その手があったか……さすがシャルティアね!」
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