全てを統べる緑谷出久のヒーローアカデミア (ハッタリピエロ)
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プロローグ

やりたいからまた書いちゃった!


世界総人口の8割が『個性』と呼ばれる力による何らかの特異体質になった超常社会。その不思議な力は当然悪に使うものも現れれば正義のために使うものも現れた。そして誰もが憧れたヒーローという夢が職業となったこの『個性』社会。誰もが夢見た世界であろう……

 

だが現実は時に弱者に残酷だ。

 

先程も言った通り全ての者が力を授かったわけではない。当然その力を授かれなかった者もいた。

 

そしてこの社会ではそういった弱者は侮蔑の対象にされやすくこの社会で圧倒的に不利な位置にたたされることになる。

 

彼、緑谷出久もその一人であった。

 

出久は屋上で絶望していた。

 

この日は幼馴染にバカにされ、自殺教唆までされた。

 

それだけならこうまではならなかった。

 

自身の憧れであったナンバーワンヒーローのオールマイトに偶然出会って彼に問いかけた。

 

『個性がなくても……!ヒーローになれますか!?』

 

だが返ってきた言葉は

 

『夢を見るのは悪い事ではない。だが現実も受け入れなくてはな』

 

と彼の夢と努力を否定するものであった。

 

彼自身も無個性だからとバカにされても努力を怠ることはしなかった。

 

それなりのチンピラ相手なら倒せるまでに強くなっていた。ただ自信のなさがそれを帳消しにしていただけで。

 

だがオールマイトの言葉は知らなかったとはいえその努力すらも否定したのだ。

 

オールマイトの言葉に絶望していた出久は本当に自殺しようかというところまで精神状態がきていたのだ。

 

『ハハハ……僕なんてどうせ……』

 

そして緑谷出久はビルから路地裏に飛び降りその命は潰えた。

 

だが

 

「はっ!?」

 

数秒後緑谷出久は再び目覚めた。

 

「なんで……一体……?うっ!?」

 

その時に緑谷出久の頭に様々な男の記憶と思い出が流れ込んできた。

 

その記憶はー

 

ある記憶では仲間と共に海賊王となった男

 

ある記憶では魔神の王となった男

 

ある記憶では忍びの英雄となって世界を救った男

 

ある記憶では百鬼夜行を率いて魑魅魍魎の主となった男

 

そのどれもが想像を絶するものであったが一つだけわかったことがあった。それはー

 

「これは……僕……?」

 

そのすべてが自分がまるで体験したかのような記憶だったのだ。

 

勿論すぐに信じられるはずもなかった

 

「はは……とうとう可笑しくなっちゃったのかな……」

 

緑谷出久はとうとう自分が信じられなくなった。

 

再び飛び降りようとビルの屋上に戻ってもう一度飛び降りた

 

がー

 

「なん……で?なんで死なないんだ!?」

 

不思議なことに飛び降りたがその身体には傷一つつかなかった

 

『それはおまえが飛び降りたぐらいじゃ死ななくなってるからだよ』

 

「誰だ!?」

 

出久は辺りを見回すがそこには誰もいなかったが

 

「まさか……!?」

 

そして自分の精神を集中させると目の前に

 

『おう!やっときたな!俺!』

 

『やっとお目覚めか!』

 

『待ってたんだってばよ!』

 

『ふん……ようやく来たか』

 

記憶で見た男たちが自分の前に立っていた。

 

「え、え~と……?貴方たちは?」

 

『俺たちは……お前だ!』

 

麦わら帽子の男が高らかにそう伝えたが

 

「へ……?」

 

『バカ!そんなんじゃ伝わらないだろ!ようするにだな。俺たちはお前の中の過去の記憶なんだ』

 

左の二の腕に龍の印がついてある金髪の少年がツッコミをいれた

 

「どういう……ことですか……?」

 

『つまりだな!おまえは死んだあと俺たちの記憶の通りに命が転生しながら異世界でその体験をしてたんだ。世界を渡る度に記憶を失っていただけでな』

 

金髪が跳ね上がっている男が補足した。

 

「そんなことが……」

 

『ありえないってのもわかる。だが俺たちはお前自身の記憶だ。信じられないが間違いではないはずだ』

 

白髪が後ろに跳び出ている男が確信を持って答えた。

 

「僕が……あれを経験してたっていうの……?」

 

驚きの情報がありすぎて出久は頭の整理がおいつかなかったがようやく落ち着くと

 

「じゃあ貴方たちは……?記憶を失った僕自身ってことですか?」

 

『まあそうなるな!だが俺たちはそろそろ消える』

 

「どういうことですか……?」

 

『いった通りだ。俺たちはおまえであってお前じゃない。本来のお前が復活した以上俺たちは存在できなくなる』

 

「そん……な……!」

 

『だから最後に置き土産をしようと思ってな!俺たちが、持ってた力を受け取ってくれ!』

 

「え……そんな無理ですよ!僕なんかが……」

 

『確かにこの世界のお前は無個性のデクだったかもしれないってばよ。でもな!俺だって元々落ちこぼれだったんだ!おまえならやれる!」

 

「……!!!」

 

『そうだ!お前ならやれる!』

 

『俺自身だもんな』

 

『自分を信じろ』

 

出久は嬉しさのあまり泣き出した。

 

『じゃあ一人一人の手の上に手を重ねてくれ。それで元々お前が持っていた記憶と力が完全に復活される』

 

そして出久が手を重ねると麦わら帽子の男は徐々にその存在を維持できなくなる

 

出久の中に記憶が再び流れ込むとともに今度はそれが自分自身だと認識して受け入れる。

 

その記憶は時にぶつかりあちながらも仲間と共に苦難を乗り越えた自分自身の記憶

 

「仲間って……いいですね」

 

『おう!仲間はなににも代えられないものだ!大事にしろよ!』

 

「最後に一つだけ……貴方の名前は……」

 

『俺か!?俺はルフィ!俺はお前自身で、海賊王になった男だ!』

 

そして存在が消えたルフィとともに出久はゴム人間の力と彼の経験である覇気を受け継いだ。

 

そして次に手を触れると流れてきた記憶は永劫の輪廻に苦しみながらも恋人を思い輪廻から解放され世界を救った自分自身の記憶

 

「エリザベスさんか……きれいな人だな……」

 

『だろ!?おまえになら渡してもいいって思ってるぜ!なんせ俺自身だからな!』

 

「セクハラばかりしてるじゃないっすか……」

 

『ハハハ!言っとくがおまえがやったことだからな!?』

 

「貴方は……?」

 

『俺か?俺はお前自身で、七つの大罪、ドラゴンシンのメリオダスだ!』

 

そして存在が消えるメリオダスとともに出久に全反射の魔力と魔神の力が譲渡される

 

次に流れてきた記憶は迫害されながらも仲間を信じて自分の忍道を曲げずに英雄となった自分自身の記憶

 

「よく耐えられましたね……」

 

『ハハハ……でも今では大事な仲間もいる!それにこれはお前が乗り越えたものだ!誇ったらいい!』

 

「そうですか……ところで貴方は?」

 

『俺はうずまきナルト!火影になったお前自身だ!』

 

そう言って消えるナルトとともに出久にチャクラと仙人の力と尾獣の力に六道の力が譲渡された。

 

そして次に手を触れると流れてきたのは妖怪になるのを拒みながらも仲間のために百鬼夜行を率いた自分自身の記憶

 

「妖怪か……すごいな……」

 

『ふん……あいにくと俺自身はそこまで強くなかった。でもそれでもあの戦いに勝てたのは仲間がいたからだ。人間もそうだが……真の畏れを持った者に誰もがついていくのさ』

 

「真の畏れ……か」

 

『最後に言っておこう。俺は関東任侠一家奴良組三代目奴良リクオ。もう一人のお前だ』

 

そして最後に手を触れると妖怪ぬらりひょんの力と畏れが出久に譲渡された。

 

そしてリクオも消えると出久は精神世界から戻ってきた

 

「はっ!……今でも夢を見てたみたいな出来事だったけど……あれは僕だったんだな……」

 

慌てて携帯を見てみたが時間は自分が飛び降りた後から少しもすぎていなかった。

 

それでもあれは自分がしてきたことだと確信できた。

 

と路地裏から通りに出てみると

 

「うん?なにかあったんですか?」

 

「ああ、良い個性の男の子がヴィランに身体を乗っ取られているんだとよ」

 

(え?ヒーローは?)

 

と耳を澄ませると

 

『私二車線以上ないと無理~!』

 

『爆炎系は我の苦手とするところ……今回は他に譲ってやろう……!』

 

『良い個性の子が抵抗してて近づけねえ!』

 

その時出久は思った。『こんなのがヒーローなのかと』

 

出久はすぐにぬらりひょんの力を使って認識を消してチャクラを使って術を発動させる

 

「螺旋丸!」

 

螺旋丸をヘドロヴィランの目にぶつけた。すると

 

「ぐぎゃああああ!なんだあ!?」

 

ヘドロヴィランは痛さのあまり隙ができてしまいその隙を出久は逃さずに爆豪の手を引っ張って脱出させた。

 

観衆も爆豪もその場にいたトゥルーフォームのオールマイトもなにが起こったのかわからなかった

 

突然ヘドロヴィランが苦しみだしたようにしか見えなかったからだ

 

それもそのはず。出久はぬらりひょんの明鏡止水を発動してこの場にいる全員に畏れをかけて自分の認識を消していたのだ。

 

そして解放された爆豪はその場に誰かがいるのかはわかっていたがの存在のデカさのあまり認識できないことに苛立っていた。

 

そしてオールマイトがマッスルフォームになると

 

「情けない……!情けない……!少年に諭しておいて……己が実践しないなんて……プロはいつだって命がけ!Detroitsmash!」

 

オールマイトの一撃でヘドロヴィランは吹き飛んだ。

 

そして観衆に褒め称えられているオールマイトを一瞥して出久はその場を去った

 

これは一度は死んだ少年が自らの思いと共にもう一度ヒーローを目指す物語である。

 

 

 



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クラマとの邂逅そして……

本作での全反射は個性による攻撃を跳ね返すものとしています


あの後僕は家に戻り母さんに自分に個性でないが力が発現したと告げると目を丸くしていたが仙人化した姿を見せると

 

「よかった~!よかったよぉ~!出久ぅ~!」

 

「お母さん……」

 

ちなみに自分が死んだことや異世界を巡ったことは伝えていなかった。言ってしまえば今喜んでくれている母さんを傷つけるかもしれないと思ったからだ。

 

そんな偽りを持つ自分の言葉でも信じて涙を流してくれている母さんに僕も涙を流した。

 

母さんはその細い腕で僕を一晩中抱きしめてくれた。

 

・・・・

 

出久は今日も山で修行をしていた。

 

雄英入試までにチャクラや魔力のコントロール、ゴム人間の応用開発や畏れの纏いなどこの10か月でできる限りのことをやろうとした。

 

「神千切り!」

 

魔神の炎を纏った手を振るうとそれだけで木々が焼き切れた。

 

「全反射は……相手がいないと使えないよな……」

 

メリオダスのもう一つの能力を出久自身も把握していたが使う機会が未だになかった。

 

それと同時に

 

「エリザベスか……会いたいな……」

 

出久が力を受け継いでからとともに与えられた記憶も段々忘れた記憶が蘇るように自分の体験と認識できるようになりそれと同時にその時抱いていた思いも蘇ってきていた。

 

「ロビン……ヒナタ……氷麗……」

 

誰もが過去の出久の仲間であり想いつづけた最愛の相手であった。

 

記憶が戻るとともにその思いも日に日に増していくのであった。

 

「はぁ……」

 

『何を黄昏ておるのだ』

 

「っ!?誰だ!」

 

『ワシはお前の中にいるぞ』

 

僕は再び精神を集中させて自分の精神世界に飛び込んだ

 

『ようやく来たか』

 

「キミは……クラマ……」

 

『そうだ。ナルト……いや今は出久だったか』

 

僕の目の前にいたのは体毛がオレンジに近い赤で大きな九本の尾を持ったキツネだった。

 

「なんで僕をここに呼んだんだ……?」

 

『出久よ……ワシはナルトに助けられて……再び人間と向き合うことができるようになった……ナルトが認めたおまえ自身の力になりたいと思っておるが……』

 

「……?ッ!」

 

『お前の今の力を確かめねばならん。全力で来い』

 

これが……クラマの力……!

 

『どうした?怖気づいたか?はっきり言っておくがそれではナルト……かつてのお前には遠く及ばんぞ』

 

それと同時に僕の脳裏にクラマと初めて出会った時の記憶が蘇る

 

「……ッ!そうだな……()はこんなところでは諦めないんだったよな!なあ!クラマ!」

 

(ほぅ……ナルトの記憶が一時的に蘇ったのか気持ちが昂っているのか……ククク……まるであの時の生意気なナルトを見ているようだわ……)

 

クラマはニヤリと笑みを浮かべて臨戦態勢に入る

 

『行くぞ!』

 

クラマが九本の尾を振るわせたが俺はそれを間一髪で避けると

 

「風遁!螺旋手裏剣!」

 

自分が今できる最大級の技を放ったのだが……

 

『ヌゥン!』

 

クラマが一つの尾を振り払っただけで簡単に弾き飛ばされてしまった

 

「そんな……ぐっ!まだまだぁ!」

 

その後も何度も攻撃を仕掛けたが時には簡単に弾き飛ばされ、時には簡単に避けられて実力の差を思い知らされた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

『どうした?立てないのか?』

 

「まだだ……僕は……」

 

だがチャクラに魔力、覇気に体力の全てが切れてしまった

 

「負け……か……」

 

『……フッフッフ……ハッハッハ!よくやったぞ!ここまでとは!』

 

「え……?」

 

『これほどとは!お前にならワシの力使いこなせるだろう!主に相応しい!』

 

「え……でも僕負けたんですよ……過去の僕より弱いんじゃ……」

 

『それは仕方あるまい。体がついていけんのだからな。おまえは経験は受け取ったが体やチャクラ量、魔力に覇気などは本来の力を出し切れていないのだ』

 

「そうだったのか……でも……なんでですか?」

 

『敬語はいらんわい。だが質問には答えよう。初めの一撃でワシはおまえを認めていたのよ。分身やワシの力を使わずに初めてで螺旋手裏剣を完成させたその才にな……』

 

「ははっ……そうか……」

 

『おまえはナルト以上の才を持っておる……ワシが術の印などを教えればおまえはナルトを超える男になるだろう……』

 

「そりゃどうも……」

 

『ハハハハハハハ!!完全にバテテルようだな!!仕方ない。ワシのチャクラを分けてやろう』

 

クラマが僕に手を翳すと身体にチャクラが流れてくるのを感じた。

 

体力とチャクラがみるみるうちに回復していく。

 

ん?でもこれって

 

「ねえクラマ。魔力と覇気も分けてくれた?魔力と覇気も回復してるんだけど……」

 

『ワシは魔力に覇気なんぞ持っとらんぞ。恐らくお前のチャクラは魔力や覇気とリンクしているからチャクラと同時に回復したのだろう』

 

そういうことか……

 

「ねえクラマ?」

 

『んん?なんだ?』

 

「またここに来ていい?」

 

『いいぞ!ワシらはもう友達じゃねえか!』

 

友達……か……かつての僕にはなかったものだな……

 

『じゃあな。また会おう』

 

「うん!」

 

僕はクラマとコツっと拳を合わせて精神世界を後にした。

 

・・・・

 

あの後母さんに頼まれて買い物にでかけていた。

 

「あいよ!出久ちゃん!鶏肉100gお待ち!」

 

「ありがとうございます。おばさん」

 

「随分と元気いいじゃないか!なにか良い事でもあったのかい!」

 

「え~とですね……友達が出来ました!」

 

「そりゃめでたいこった!ちょっと待ちな……ほれ!記念にコロッケおまけしといてやるよ!」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「じゃあね!出久ちゃん!頑張ってね!」

 

僕が肉屋を後にすると

 

『ふっ……良い人間じゃないか……』

 

「あの人は僕の夢も昔から応援してくれていた数少ない人だからね……」

 

『なら体育祭とやらで見せてやれ。あの時とは違うのだということをな』

 

「クラマ……うん!」

 

そのままコロッケを口に入れながら帰ろうとした時

 

『ドォン!』

 

「なんだ!?」

 

『出久あの曲がり角の右だ!』

 

クラマに指示された方向に僕が向かうとそこではサラマンダーのような異形型の男が炎を吹き散らしながら暴れまわっているのが見えた。

 

「ひゃーっハッハ!こんなもんかあ!?」

 

とヴィランが吐いた炎が近くにいた子供に襲い掛かろうとした時

 

「危ない!」

 

僕の足は咄嗟に動いて少年の前に立つと

 

全反射(フルカウンター)!」

 

右腕を振りかぶって全反射を発動させ、男に炎を跳ね返した。

 

「ぐぎゃあ……!テッテメェ!」

 

男はこちらに気づくと僕を殺すかの如く睨んだ

 

「怖いよ……」

 

僕の後ろでは子供が震えながら近くで焼かれた両親に縋りついていた。

 

「……これをやったのはおまえか?」

 

「ああ!?だったらなんだってんだよ!」

 

「……許さないに決まってんだろ!」

 

僕は怒りとともに魔神化を発動させた。

 

闇が僕を包んでいき力が昂るのが感じられる。

 

「なっ、なんだよそりゃあ……!」

 

ヴィランが炎が効かないなら物理攻撃とばかりに爪を振るってきたが闇で受け止める

 

「な、なにっ!?」

 

「地獄で懺悔しろ」

 

そして思いっきり拳を振りかざしてヴィランを吹き飛ばした。ヴィランは10メートル先のビルまで跳んで行った。勿論だが殺してはいない

 

「お母さん!お父さん!」

 

子供が泣きながら両親に縋りついている

 

僕の力で治せないのか?と思ったその時

 

「健やかなれ」

 

誰かがそう呟くと周りにいたヒーローや市民の火傷がみるみるうちに治っていった。

 

これは!?

 

と後ろを振り向くとそこには銀髪の美少女がいた。

 

「エリザベス……なのか……」

 

と同時にその美少女が僕に抱き着いてきた

 

「やっぱり……!メリオダスなのね!やっと……やっと会えた!」

 

「エリザベス!?エリザベスなのか!」

 

「はい!メリオダス……いや、今は出久だったわね?出久!久しぶり!」

 

こうして俺は恋人の一人、エリザベスと再会した。

 




・クラマ

ナルトの世界に出てくる尾獣の一角で今は出久の中にいる。出久の感じた五感を共有できることから時々好物のきつね揚げを食べさせてもらっている

好きなもの
・ナルトにその家族や友人
・出久
・きつね揚げ

嫌いなもの
・出久を絶望させたオールマイト
・マダラのような人間
・出久をバカにしたやつら(特に爆豪)

エリザベス

七つの大罪の世界で出久(メリオダス)と出会って自らの魔力で世界の扉を開いてきた。出久のことが好き

好きなもの
・出久
・出久の料理
・出久とイチャイチャすること

嫌いなもの
・出久をバカにしていた奴等(特に爆豪)
・命をなんとも思わないような奴等


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雄英入試直前!

回った世界の順番はこうです

七つの大罪→ぬらりひょんの孫→NARUTO→ONE PIECE


あの後僕とエリザベスは現場から去るように近くの公園に移動した

 

そして聞きたいこともあった

 

「エリザベス、どうして僕が元居た世界のことを知ってるの?」

 

「それはね……貴方は覚えていないかもしれないけどあの戦いの後、病気で死ぬ直前の貴方が世界を渡る前に貴方の記憶が目覚めたのよ。その時に聞いたの。『俺はいずれ元の世界に戻るだろーな。でもエリザベス。俺は最後にはしたくない。異世界でもついてきてくれるか?』って。だから私は必死に異世界を渡る術を身に着けたわ。苦労したけど……こうやって出久に会えたのだから……嬉しぃっ!」

 

エリザベスが満面の笑みで抱きついてくると

 

「ああ……俺もだよ……」

 

その笑顔を胸で受け止めて俺はエリザベスの頬にキスをする

 

「もおっ……出久ったら……」

 

「アハハ……ごめんごめん……でもあの時以来だな……こうしてイチャイチャするのは……」

 

「ふふ……そうね……」

 

僕はその後の世界のことも話した。

 

すると

 

「へー……じゃあ私以外にもイタンダ……奥さん……」

 

あれ?なにかマズい地雷でも踏んだ?

 

エリザベスの目が氷点下にまで下がっているんですけど!

 

「出久……?」

 

「な、なにかな……?」

 

怖えよ……!!

 

「もし……その恋人たちが現れても……私を愛してくれる?」

 

エリザベスがまっすぐこちらをジッと見て答えを求めてきた

 

その目はどんな答えも受け止めるような覚悟のある目だ

 

それに対して僕は……

 

「そうだな……僕はエリザベスも愛したいけど他の皆も邪険に扱うなんてできないな……」

 

「……そう……」

 

ヘタレだと思われても結構だ。それが僕の本心なのだから

 

どんな返答も受け止める覚悟もできている

 

「そっか……じゃあいいや!」

 

「へ……?」

 

返ってきた言葉は思ってたのと違うものだった

 

「へ……?僕が言うのもなんだけど……いいの?」

 

「出久が私をちゃんと愛してくれるのなら……私は構わないわ」

 

ジッとこっちを見て微笑むエリザベスを見て思わず抱きしめてしまった。

 

「エリザベス……」

 

「出久……」

 

そのままお互いの体温を確かめ合うようにギュッと抱きついた。

 

そして30秒ほどしてお互いが離れて手と手を重ね合わせた

 

ああ……暖かいな……

 

ふと疑問に思ったことがあったので聞いてみることにした

 

「そういえばエリザベス、この世界でなにするつもりなんだ?」

 

「う~ん……出久のお嫁さんになるのは決まりだけど……やっぱり私もヒーローを目指すことにするわ」

 

「え?いいのか?ヒーローになるには当然戦闘技術も求められるが……」

 

「大丈夫よ。私だって戦えるわ」

 

まっすぐなエリザベスの視線に僕はその覚悟を受け止めた。

 

「じゃあ10ヶ月間特訓だね」

 

「うん!」

 

こうしてエリザベスも加えて特訓することになった。

 

そしていよいよ雄英入試当日!

 

 

 



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雄英入試 そして……

出久side

 

雄英一般入試当日、この日は誰もが名だたるヒーローたちを選出してきた高校に意地でも合格しようと緊張しているだろう。

 

僕は緊張していない……といえばウソになるが今までの自分が託してくれた思いのためにもここで止まってなんかられない!

 

「どうしたの?出久」

 

エリザベスが心配して顔を覗き込んできたので心配させないように「大丈夫だよ」と返しておく。

 

そしてそのまま会場に向かおうとしたのだが

 

「どけデク!」

 

「かっちゃん……」

 

「俺の前に立つな!殺すぞ!」

 

いつもどおりの荒っぽい言動を吐きながら周りの視線も気にせずにかっちゃんは中に入っていく。

 

「出久……あの人がまさか……」

 

「……うん。僕を昔っから虐めていたかっちゃん、爆豪勝己」

 

あのヘドロ事件の後かっちゃんは、悪い意味で有名になり新聞社がかっちゃんのこれまでの所業を突き止めると同時にかっちゃんは学校にいられなくなって逃げるように転校した。そんなかっちゃんが雄英を受けられたのは多分光己さん(かっちゃんのお母さん)や転校先の先生が各方面に頭を下げたからだと思う……勿論かっちゃんもボランティア活動などに参加して少しでも心象をよくしようとしているがかっちゃんからすれば窮屈この上ないことだろう。その不機嫌のせいかかっちゃんは殺気ビシビシだった

 

控室でエリザベスがかっちゃんのことを聞いてきたのでこれまでのかっちゃんと僕との関係を話すと

 

「酷いわね……」

 

『ワシも出久が止めてなかったら奴をチリにしてやるところだが……』

 

やめてクラマ、君がやったら笑い話じゃすまなくなるから

 

そして筆記試験は自己採点で問題なく終わり、午後になって説明会場に来ていた

 

『今日は俺のライブにようこそー!!エブリバディセイヘイ!!』

 

説明会の司会はボイスヒーロー『プレゼントマイク』だ!僕も毎週ラジオ聞いてたよ!世界を回った後じゃあ大分昔のように感じるが

 

でも周りのピリピリしている空気のせいか誰も反応しなかったので

 

『こいつはシヴィー!!受験生のリスナー!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!!?イェー!!』

 

プレゼントマイクの説明によれば内容はこうだ

 

・10分間の模擬市市街地演習

 

・4種類のいる中の3種類の仮装敵を倒すか行動不能にしてそれぞれに振り分けられているポイントを稼ぐのが目標

(ちなみに残りの一つは0ポイントのギミックらしい)

 

・道具の持ち込みは自由

 

・アンチヒーローな行為はご法度

 

『俺からは以上だ!最後に一つ!我が校の校訓を紹介しよう。更に向こうへ!≪plus ultra.≫だ!それでは皆!いい受難を!』

 

エリザベスとは別会場だったので別れることとなってしまい

 

「私も出久と一緒がよかったわ……」

 

「まあまあ、同じ会場でないなら僕も本気がだせるからさ?ここは大目にみてよ。その代わり……」

 

チュッ

 

「これで元気出た?」

 

エリザベスにキスするとアワアワし始めた

 

「もうっ!いっ、いきなりキスするなんて!」

 

「アハハ、ごめんごめん」

 

「でも……嬉しかったよ♪」

 

「エリザベス……」

 

「出久……」

 

モジモジしたエリザベスが可愛くてつい手を伸ばしてしまった

 

ちなみに後でクラマから聞いた話だがこの様子を見ていた受験生たちは『爆発しろ』だとか『舐めてんのか』と思っていたらしい

 

エリザベスと別れてからバスに乗って演習会場に着くとウォーミングアップをして一息吐く。

 

そして開始の合図が近づくと右手を拳の状態で地面において左手を膝に置く

 

そして

 

「……ギア2(セカンド)

 

全身から蒸気のような煙が噴き出させると立ち上がって前を向く

 

周りにいた人たちは僕の様子を見て不思議そうな顔をしていた時

 

「ハイスタートぉ!」

 

「剃!」

 

僕は一気に駆け出した。

 

・・・・

 

???side

 

「今年は優秀な金の卵はいるかね?」

 

プレゼントマイクくんの呟いた言葉に私たちはモニターを見ると根津校長が

 

「この入試はヴィランの配置も総数も伝えていない。だからこそあぶり出されるのさ。広大な敷地の中で配置を把握する情報収集力。遅れて登場じゃ話にならない機動力。あらゆる状況で冷静でいられる判断力。そしてヒーローで重要な純粋たる……戦闘力……平和を守る基礎能力が示されるのさ。ポイントという数値でね」

 

「だが合理的じゃありませんよ?」

 

相澤くんが呟く。他の先生方曰く彼は入試の時はいつも口走っているそうらしい。

 

「まあまあ!マスコミなどを考慮した校長先生の考えなんだからな!?目を瞑ってくれよ!」

 

マイクくんが相澤くんにツッコミをいれる

 

そろそろスタートが近いので準備したマイクくんがある程度間を置き、スタートの合図を出すと何名かはすぐに走り出したその時

 

ドガァン!

 

「なんだなんだぁ!?」

 

音を拾った一つのモニターに注目すると仮装敵が何体か倒されていたのが見えた

 

「おい!故障か!?」

 

「そんなはずはありませんが……」

 

「会場は?」

 

校長が聞くと

 

「H会場です!」

 

とモニターのほとんどがH会場のカメラに変わった。

 

そして映し出されたのは

 

ドガァン!ガゴォン!ゴッガシャーン!

 

次々に仮装敵が吹き飛ばされていく映像だった。だが注目すべきことは

 

「誰がやったんだ?」

 

そうモニターには誰も映ってないのだ。

 

「遠距離系の個性じゃありませんか?」

 

その可能性もありうる。遠距離系の個性なら近くのモニターに映らなくとも可能だ。だが

 

「明らかに殴られたような跡だぞ」

 

相澤くんが呟いた通り仮装敵は殴られて潰されたような跡があったのだ

 

「ならスロー再生してほしいのさ」

 

根津校長がそう言うとすぐにスロー再生に切り替わったが

 

「ん?なんだこりゃあ……?」

 

映像には影のようなものが映っていたがなにかまではわからなかったのだ

 

「これがやったのか?」

 

ブラドキングくんがそう言うと

 

「それだったらスローでも見えねえなんてなんつう速さなんだ?」

 

マイク君が言う通り確かに私並の速さであろう

 

そして更にスロー再生させてそこに映ったものに私は驚きを隠せなかった

 

(な……!?)

 

そこに映っていたのは私がかつて会った少年だったからだ。それも

 

『個性がなくても!ヒーローになれますか!?』

 

彼は無個性だったからだ

 

「見えたぞ!」

 

「こいつがやったってのか!?」

 

「にしてもすげえ速さだ。スローでも正体がわかっただけでなにしてるかまでは映らねえ」

 

「彼は……」

 

私が呟いたのを聞き逃さなかったのか根津校長が

 

「オールマイトくん。彼を知っているのかな?」

 

私の方を見て聞いてきた。

 

「はい……彼とは一年ほど前に会いました……」

 

「じゃあオールマイトさん。彼について知っているんですか?」

 

相澤くんがすかさず聞いてきた。他の先生方も興味津々といった感じだった。

 

「ええ……個性のことだけですが……」

 

「それでも充分だよ。それで?彼の個性は?」

 

「はい……彼は……」

 

『彼は?』

 

「……無個性です」

 

『ハッ!!?』

 

モニタールームにいた全ての先生方がそんな声を漏らした

 

「っ~……オールマイトさん。いくらなんでもそんな冗談は通じませんよ」

 

「そうだぜ!オールマイト!あれが無個性のはずねえだろ!」

 

皆もそう言ってたが

 

「僕も同意見なのさ。本当なのかい?」

 

根津校長も信じられないような顔で私を見ていた。

 

「……私も信じられない気持ちでいっぱいです……ですが彼に会った時彼が『個性がなくても!ヒーローになれますか!』と聞いてきたのです……その時の彼がウソをついているようには見えませんでした……」

 

「……じゃあ本当に無個性だってのか……?」

 

「そんなはずはない!だったらあれはなんなんだ!?」

 

相澤くんが声を荒げるとそこに映っていたのは更にスローされた映像で誰もが映っていた彼の姿に言葉も出なかった。なぜなら

 

『腕が……伸びているぅ!?』

 

そう。無個性なはずの彼の腕がまるでゴムのように伸びていたのだ

 

とここで一人の教師が持っていた資料を見て

 

「ありました!受験番号5120の緑谷出久!オールマイト先生が言ってた通り彼は無個性です!」

 

『はぁーーーー!!?』

 

殆どの教師が叫んだあとに

 

「無個性だと!?ありえない!」

 

「だったらあれはなんだってんだ!?」

 

ガヤガヤと騒ぐ教師陣。だが私には一つの可能性を考えていた

 

「まさか……オールフォーワン!?」

 

と私が呟くと

 

「オールフォーワンだって?まさか、彼は死んだはずじゃ……」

 

根津校長がそう呟くと緑谷少年に疑惑の目が向けられ、その後も緑谷少年について話し合っていたが

 

「どっちにしろ彼の合格は決まりと言ってもいいだろうね。証拠もないのに根拠だけで不合格にするわけにもいかない。もしかすると本当に無個性なのかもしれないし相澤くんに確かめてもらったら彼の力が個性かどうか判明するはずだ。いいよね?」

 

「わかりました」

 

そしてモニターに再び注目する教師陣

 

・・・・

 

出久side

 

よし!これで150ポイント!

 

他の人のためにも残しとかなきゃ!

 

剃を解除して周りに目を向けると3ポイント敵に襲われていた人がいたので駆け付けて助ける

 

「あ、ありがと!」

 

「じゃあ頑張って!」

 

そして再び困っている人がいないか駆けまわる

 

・・・・

 

一方モニタールームでは

 

「彼は気づいたようだね」

 

「ええ……」

 

「しかし……本当の脅威を見た時……どうなるか……」

 

教師の一人がボタンを押すと会場に0ポイントが現れた

 

・・・・

 

出久side

 

あれが0ポイント!他の人たちがいないか確かめないと!僕はビルまで跳躍して覇気で誰かがいることを確認すると僕は魔剣ロストヴェインを手に持ち0ポイントの上まで跳ぶと

 

「僕の畏れよ……刃に宿れ!」

 

ぬらりひょんの恐れを刃に宿らせると横に一閃した

 

小さな切り傷から畏れが侵食して徐々に0ポイントは畏れに飲まれてやがて轟音を鳴らせて0ポイントは倒れた

 

そしてそのまま地面に着地して駆け付けると茶髪の女の子が足に怪我してるのを見つけたので

 

「大丈夫?」

 

「ああ、うん……ありがとね!」

 

「ちょっと待っててね……」

 

茶髪の女の子にクラマのチャクラを少しだけ分け与えると

 

「うそ!?治ってる!?」

 

よかった……と思った時

 

「リクオ様!?」

 

え……なんで……その呼び方は……

 

その声に覇気で感じた懐かしい気配

 

まさか……

 

僕が後ろを振り向くと同時に抱き着いてきたその着物を着た女の子は

 

「つら……ら……?」

 

「はい……!若の……リクオ様、いえ出久様の氷麗です!」

 

そう言って抱き着いてきた女の子は美少女と言っても過言ではないがそのグルグルの目を僕が見間違えるはずもなかった

 

「やっぱり……氷麗なのか!また……また会えた……!」

 

「はい!あの畏れ……出久様に間違いありません!また……また会えました……!」

 

僕も嬉しさのあまり抱きつく力を強めると氷麗も抱きしめ返してくれる

 

「えっと……お邪魔みたいだからどっかいくね……」

 

怪我した女の子は空気に耐えられなかったのかすぐに退散した

 

試験も終わった僕は氷麗を連れて外でエリザベスを待っていた

 

「それじゃあ氷麗もこの世界に来たの?」

 

「はい。羽衣狐に頼んだら連れていってくれました」

 

そうか。転生妖怪である彼女にとったら簡単なことなのか

 

そしてエリザベスが来ると

 

「あっ、出久……まさかその人は……」

 

となんて説明するか考えていたが氷麗が出ると

 

「初めまして。貴方が出久様のお嫁さんのエリザベスさんですね?同じお嫁さんの及川氷麗です」

 

「やっぱり……初めまして。私も出久のお嫁さんのエリザベスよ」

 

そして

 

「貴方は……私がいてもいいのですか……?」

 

エリザベスが本題ともいえる問いを氷麗に向けると

 

「ええ、構いません。私は若が皆を愛してくれるのなら……」

 

氷麗がまっすぐにエリザベスを見つめると

 

「そうね……私も構わないわ」

 

二人は握手をすると僕の横まで来て腕を絡ませる

 

「「ふふっ……」」

 

嬉しいけど恥ずかしィィィ!!

 

こうして僕の入試は終了した。

 

 

 




及川氷麗

ぬらりひょんの孫の世界で出久(リクオ)に仕えてきて、出久のお嫁さんであり雪女。出久のことが好き

好きなもの
・出久
・奴良組の皆
・アイス

嫌いなもの
・出久を絶望させたオールマイト
・出久をバカにする奴等(特に爆豪)


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告白と新生活

出久side

 

結論から言うと僕は雄英に合格した。しかも首席と、お母さんに報告すると滝のように泣きついて喜んでくれた。

 

そんな心から喜んでくれているお母さんを見てるとやっぱり自分のことを話さないといけないと思ってしまった。

 

「お母さん大事な報告があるんだ」

 

「え?なに?言ってみなさい!」

 

僕はこれから母さんに隠してきた真実を告白する。でもこれを伝えなければ自分は前に向けないだろう

 

『出久よ、おまえが信じた人間なら大丈夫だ』

 

クラマ……うん!そうだね!

 

「お母さん……実はね……」

 

その後僕は話した。一度自殺してその後、異世界を巡ったことも、自分の力は異世界の自分から思いと共に受け継いだことも。そして全てを告白した後母さんにすぐに謝った。自分の弱さで母さんを悲しませるかもしれなかったからだ。

 

僕が頭を下げていると

 

「……顔を上げて出久」

 

「お母さん……」

 

「辛いのは出久だったのよ?出久が今まで前を向いて努力してきたのに……私はなにもサポートできなかったわ……それでも出久が再び前を向いて歩いていけるって思ったら……嬉しくて……」

 

「お母さんっ!」

 

僕は嬉しくてお母さんに抱き着いた……そして涙を流した……

 

「それと……よく頑張ったわね……出久」

 

「信じてくれるの……?」

 

「息子の言うことを親が信じなくて誰が信じるのよ。貴方がそんなウソをつく子じゃないってのは私がよくわかってるわ」

 

「お母さん……」

 

僕は母の偉大さを改めて感じさせられた。

 

『……良いお母さんじゃねえか』

 

うん……!

 

『泣くな、もう一つ報告することがあるだろうが』

 

あっ!そうだった!

 

「お母さん、もう一つ報告することがあるんだ。今度はいいニュース!」

 

ピンポーン

 

あっ、噂をすれば!

 

「ちょっと待っててね」

 

僕は玄関まで行って二人を連れてくる

 

「ここが出久の家……」

 

「ほぇ~……」

 

「出久?その子たちは?」

 

母さんが聞いてきたので僕は二人の肩を抱き寄せると

 

「紹介するね。僕のお嫁さんのエリザベスと氷麗!」

 

「「「ええーっ!!?」」」

 

あれ……?言うタイミングマズかったかな……?

 

「お、お嫁さんって!?いっ、何時!?まさか……!」

 

「そう!世界を旅した時の!」

 

「い、出久っ!?まさかその人……!」

 

「僕の母さんだけど?」

 

「い、出久様のお母さま……!は、初めまして!氷麗と申しますぅ!」

 

「あっ、はいっ!出久の母の緑谷引子です!」

 

その後お母さんに二人の紹介を終わらせると

 

「出久~!立派になったね~!」

 

「ハハハ……」

 

母さんが進学祝いと結婚祝いを兼ねて寿司を取ってくれるそうだった。

 

ついでに言えば二人も合格したらしい。

 

そして月日はあっという間に流れー

 

いよいよ雄英入学式当日

 

「出久!ハンカチ持った!?」

 

「うん」

 

「ティッシュは!?」

 

「持ってるよ」

 

『落ち着きがねえな……』

 

そう言わないでよクラマ、喜んでくれてるんだからさ

 

『まっ、そうだな……』

 

「出久!」

 

「なに?」

 

「……超カッコイイよ」

 

「…………!行ってきます!!」

 

そして僕が玄関を出ると迎えてくれたのは

 

「出久おはよう」

 

「若!おはようございます!」

 

「二人とも、出久を宜しくね」

 

「「任せてください!」」

 

そして電車を乗り継いで30分

 

ついに僕の夢の雄英アカデミアがはじまる!



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雄英新生活!

お待たせしましたァァァァ!


雄英に着いた僕たちはさっそくクラス割を確認する。

 

「僕はA組か。エリザベスたちは?」

 

「私もA組よ」

 

「私もです!」

 

『よかったじゃねえか』

 

「じゃ、行こっか」

 

「「はい(うん)!」」

 

僕たちはそのままA組の教室に向かい教室を見て思ったことは

 

(扉デッカ!)

 

「大きいですねえ……」

 

「きっとこの世界では異形型をも考慮したものだと思うのだけれど……すごいわね……」

 

そして扉を開けて見えたのは

 

「机に足をかけるな!机の製作者や雄英の諸先輩方に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「思わねーよ!テメーどこ中だ!?端役が!」

 

ガラガラガラッ

 

「出久……あれって……」

 

「うん……かっちゃんはあんなんでも一応強いからさ……」

 

「あいつが出久様を虐めていた爆豪とかいうクソガキですね……」

 

クソガキって……確かに氷麗からすればかっちゃんは子供みたいなものだけどさ……

 

ああ……皆のテンションが一気に下がったな……

 

と再び扉を開けると

 

「む!騒がせてすまなかった。俺は聡明中学の飯田天哉だ」

 

「僕は緑谷出久。それでこっちが」

 

「エリザベス・リオネスです。よろしく」

 

「及川氷麗ですっ♪」

 

そのまま教室に入ろうとしたら

 

「あー!そのモサモサ頭は!地味目の!」

 

聞き覚えのある声に振り向くとあの時助けた茶髪の女の子が来ていた。

 

「私麗日お茶子!やっぱり受かってたんだ!そりゃ0pt吹っ飛ばしたもんね!」

 

麗日さんの発言で教室にいた全員の視線が僕へと向けられる。

 

「流石出久ね♪」

 

「当然です!出久様ですから!」

 

『い、出久様あ!?』

 

氷麗の爆弾発言で更に視線が鋭くなる

 

やめて!恥ずかしいからああ!!

 

僕が逃げるように自分の席に向かおうとしたら

 

「ナルトくんっ!?」

 

え……?なんで……その声は……!

 

僕が振り向いた先にいたのは白目か可愛い女の子、僕はこの子を知っている

 

「ヒナタ……か……?」

 

「やっぱり……ナルトくん、いや出久くんだ!久しぶり!」

 

「うわおっ!?ちょっヒナタぁ!?」

 

「出久くん……やっと……やっと会えた……!」

 

やめてヒナタ!皆見てるからさああ!特に金髪と小さい人がすごい形相で睨んでるからああ!

 

取り乱したが落ち着いた僕はヒナタを抱きしめて

 

「……久しぶり。ヒナタ」

 

「うんっ!出久くん!」

 

エリザベスたちは知っていたのか特になにも言ってこなかった。

 

二人に紹介しようと思ったところで

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここは……ヒーロー科だぞ」

 

声がしたので振り向くと寝袋に入って栄養ゼリーを啜ってる少し小汚い人がこっちを見ていた

 

「なんですか……?このイモムシは」

 

『ブブーッ!!』

 

氷麗の一言でクラス中に爆笑が起こった。

 

「あのな……まあいい……俺は担任の相澤消太だ」

 

寝袋から出ると同時に自らの素性を明かした。

 

担任?ってことはこの人もプロヒーローってことだよな……でも見たことないような……氷麗たちもとても先生とは思えないのかなんともいえない表情を浮かべていた。

 

「早速だが……これ着てグラウンド出ろ」

 

それだけ言うと相澤先生は教室から出て行った。

 

 

 

 

 

グラウンドに呼び出された僕たちは相澤先生から個性把握テストをやると言われた。

 

当然のことか麗日さんを初めとする何人かが抗議したが相澤先生は雄英は自由な校風が売り文句だとか言ってさらっと流し、説明を続けた。

 

説明によればこれからやるのは中学生でやった体力テストらしい。ただし個性を使用ありで

 

んで見本としてかっちゃんが呼ばれた。

 

「爆豪、個性使って投げてみろ」

 

「んじゃまあ……死ねえ!!」

 

死ね……?

 

「まずまずの記録だな……」

 

相澤先生が持ってた己機械に表示された数値は700mを超えた数値が表示された。

 

かっちゃんはかっちゃんでどうだ!みたいな顔をしている。

 

「流石入試4位通過だけはある」

 

「はっ…………?」

 

と次の相澤先生の言葉で自信満々だったかっちゃんの顔が一気に崩れ去った。

 

氷麗たちを見てみると笑いを抑えるのに必死だった。

 

クラマも笑わない!

 

「なんでだ……撃破ポイントを77も稼いだってのに……どういうことだよ……」

 

「そいつは簡単だ。おまえの記録はたしかに歴代から見ても素晴らしいが、今年はそれを超える記録が3人、現れたってことだ。しかも首席はおまえの約2倍ものポイントを稼いでー、いや合否発表の時に説明した救助ポイントも含めれば約3倍のポイントだったな」

 

かっちゃんがワナワナと震えていた。

 

多分、あと二人って氷麗とヒナタだろうな……エリザベスは戦闘向きじゃないし……

 

「んじゃあとっとと始めるぞ。言ってなかったがトータル成績最下位の者は見込みなしとしー……除籍処分としよう」

 

皆の顔が一気に青褪めた。そして再び抗議の声をあげるも

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵たち……そんな理不尽から市民を守るのがヒーローだ。これから三年間、雄英は君たちたち苦難を与え続ける。plus ultraさ。全力で乗り越えてこい」

 

いきなりこんなことがあるなんて!でも……負けられない!

 

第一種目50m走

 

飯田くんの個性はエンジンだったので3秒という記録を出した。

 

氷麗も地面を凍らせて滑って4秒という記録を出した。

 

そしていよいよ僕の番となった。

 

「いよいよ緑谷くんの番か……」

 

「はっ!デクごときが俺に勝てるわけねえ!」

 

かっちゃんの言葉に氷麗たちはイライラしていた。

 

僕がスタート地点に立つと

 

「おい緑谷、おまえ本当に無個性か?」

 

と相澤先生が聞いてきた。

 

「そうですけど?」

 

(本当に無個性かどうかはこのテストでわかる。俺の個性を発動させればな)

 

入試でやりすぎちゃったかからな……でもここでも全力でやるだけだ!

 

「ギア……2」

 

血の流れを加速させると僕の身体から蒸気のようなものが噴き出した。

 

「な、なんだありゃ」

 

『レディィィィィィースタート!!』

 

「剃!」

 

開始と同時に僕は地面を10回以上蹴って一気に駆け抜けた。

 

「記録0.2秒……」

 

(なんだと!?個性は消したはずだ!なら本当に緑谷は無個性なのか……!?いや、だったらあれはなんだったんだ!?いや……今は緑谷を無個性と認めるしかないな)

 

「どーゆことだ……!わけを言えぇ!デクっ……!?」

 

かっちゃんが両手を爆破させて突っ込んできたが

 

「煩い」

 

氷麗が手を振るとかっちゃんは足元から氷に飲まれてその場に拘束された。

 

口元まで氷に覆われたかっちゃんは氷麗のことを殺すような目つきで見ていたが氷麗はどことなく無視していた。

 

「……今のはしょうがないか……おい轟、溶かしてやれ」

 

「……わかりました」

 

轟くんが左から炎を出して解放されると同時に再びかっちゃんは突っ込んできたが

 

「っ!?なんだこの布っ!」

 

「あの捕縛布!まさか個性を消すヒーロー!イレイザーヘッド!」

 

「ったく!何度も個性を使わせるな!俺はドライアイなんだ!」

 

(((個性すごいのにもったいない!!)))

 

「おいデクぅ!!テメェ俺を騙してやがったのかぁ!!?無個性だったんじゃねーのかよ!!」

 

かっちゃんがそう叫んだので僕は

 

「何言ってるんだかっちゃん?僕は無個性だよ?」

 

僕がそう言うと皆は

 

「「「「「「はあああああっ!!?」」」」」」

 

「ウソだろ!?」「今の個性じゃねーのかよ!?」「すげースピードだったぞ!」

 

と驚く中でかっちゃんが

 

「デタラメ抜かすんじゃねえ!今の、個性じゃねーか!」

 

どうしよう……と思っていたは相澤先生からの援護射撃が入った。

 

「爆豪静かにしろ!緑谷は無個性だ!さっき俺も個性を発動したが消えなかった!時間がない。さっさとしろ!」

 

相澤先生のお陰でなんとかその場は引いたかっちゃん

 

第二種目握力

 

「ギア3!」

 

僕は指を咥えて空気を体に送り手を大きくすると

 

「あいつホントに無個性なのか!?」

 

そのまま握力計を握ると

 

バキッ

 

「すいません。壊しちゃいました」

 

「……記録は∞にしてやる」

 

個性を使って万力を創造していた人と六本腕のひとが目を見開いていた。

 

第三種目

 

立ち幅跳び

 

六道の力で宙に浮く

 

「……おい緑谷、おまえホントに無個性か?」

 

「先生個性発動してますよね?」

 

「そうなんだが……おまえのそれは個性じゃないんじゃないか?」

 

鋭い。まあ個性でないなんてこの世界ではほとんど想像しないか

 

第四種目反復横跳び

 

ここもギア2でやった結果

 

「……測定不能」

 

「測定不能だってよ!」

 

「マジか!?」

 

「あいつホントに無個性なのかよ」

 

第五種目

 

「えい!」

 

麗日さんは個性を使って∞を叩き出した

 

「すげー!∞が出た!!」

 

氷麗も吹雪で勢いを出して687m

 

ヒナタは空中に浮かせたボールにチャクラを込めた拳を打ち込んで807m

 

すごいな……僕も負けてられないや!

 

というわけで

 

「魔神化……仙人化……」

 

魔神化を発動させると僕の身体は闇に包まれて仙人化でその上にさらにチャクラを纏うと

 

「なんだ……ありゃあ……」

 

かっちゃんがそう呟いて僕の方を見ていたが気にせずにボールに流し込んだチャクラを圧縮させてさらに魔神の炎を腕に集中させて振りかぶり

 

「魔神風遁!獄炎螺旋丸!」

 

そのまま投げたボールは螺旋丸の遠心力と獄炎による推進力によって遥か彼方に吹き飛んでいった

 

「…………測定不能」

 

その後も全力で挑み個性把握テストは終了した。

 

「……じゃあこれでテストは終了な。口頭で説明するのは面倒なんで一括開示な。ちなみに除籍は嘘な」

 

『!!?』

 

「君らの最大限を引き出すための合理的虚偽」

 

『はあーっ!!?』

 

「ウソに決まってるじゃない……ちょっと考えればわかりますわ」

 

「いや、八百万さん。相澤先生の目は本気だったよ」

 

「どういうことですか!?」

 

「言った通りだよ。相澤先生は順位に関わらず見込みのない者を除籍処分するつもりだったんだ。その証拠に昨年の一クラス分、相澤先生は除籍にしている」

 

「そ、そんな!?」

 

まあ、六道の力で心を読み取ったからわかったんだけどね

 

「ほぅ……俺のことを知っていたか……ま、その通りだ。最下位だけだと言ったのは虚偽だ。だが見込みがないと感じたらいつでも除籍にするからな」

 

それだけ言って去っていった後の雰囲気はすごい重かったが僕は気にせずに更衣室で着替えを済ませてエリザベス達と合流するとさっさと帰ることにした。

 

 

余談

 

「それで出久?この人って……」

 

「うん。僕のお嫁さんの一人のヒナタ!」

 

「は、初めまして……日向ヒナタです!」

 

と新たなお嫁さんの宣告にお母さんが再び祝ってくれた

 

 

 

 




日向ヒナタ

ナルトの世界で出久(ナルト)に出会って結婚する。彼の死後六道仙人の手によって16歳で転生する。氷麗やクラマと比べてオールマイトへの嫌悪感はない

好きなもの
・出久たち家族
・ぜんざい

嫌いなもの
・出久をバカにしてた奴ら(特に爆豪)


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戦・闘・訓・練1

いきなりですが重婚制度ぶっこみます


個性把握テストの翌日の朝、僕が起きて朝食の用意をしようと台所へ向かうと

 

「あ、氷麗」

 

「おはようございますっ♪出久様」

 

「そうか……氷麗、朝早かったもんね」

 

「はいっ♪お母様に住まわせてもらっている以上これぐらいはしないと」

 

そう、ヒナタを紹介した後三人とも一人暮らしをしているのを聞いたらお母さんがならいっそのこと家ですめばいいかと提案したのだ。幸いなことに部屋にはいくつか空きがあったので特に問題はなかった。

 

「じゃあ僕も手伝うよ」

 

「いいんです!若に雑務をやらせるわけには」

 

「ここでは僕はただの出久だからさ?手伝わせてくれないかな?」

 

「そ、そう言われますと……じゃあお願いしますっ♪」

 

そうして弁当の用意をしていく。仕上げは氷麗がやると弁当が凍ってしまうので僕がやることにした。

 

「じゃあ私は二人を起こしてきますね」

 

「お願いするよ」

 

その間に僕は朝食を用意すると同時にテレビをつけると

 

『この度議論され続けた重婚制度ですが昨日制定されました。つづいてのニュースです。またしてもヒーローを再起不能にしたヒーロー殺しですがその行方はいまだわかっておりません』

 

そして朝食を食べて支度を済ませると

 

「皆!行ってらっしゃい!」

 

「「「「行ってきます!」」」」

 

母さんに見送ってもらって僕たちは雄英に向かう。

 

・・・・

 

教室の扉を開けて中に入ると

 

「お!やっと来たか!」

 

「待ってたんだよー!」

 

赤髪の切島くんと黒目の芦戸さんを中心に何名かが僕たちの元に駆け寄ってきた。

 

「わっ!?ちょっとなにっ!?」

 

「緑谷!おまえの力ってなんなんだ!個性じゃないのか!?気になってしょうがねえ!」

 

「そうだよ!相澤先生も消せないって言ってたし!」

 

切島くんたちが詰め寄って聞いてくる。

 

「いや、それは」

 

「HRの時間だ」

 

相澤先生がタイミングよく入ってきてくれたので助かった

 

午前中はなんとかはぐらかして昼休みの時間となった。

 

「はい!出久様!お弁当です!」

 

「……ありがとう……氷麗……」

 

氷麗が渡してくれた弁当は美味しそうな極々普通の弁当だった。一点を除けば……

 

(結局凍らせちゃったんだ……)

 

そう。弁当のおかずがキンッキンッに凍らされているのである。

 

「……いただきます」

 

凍らされた唐揚げに手を伸ばして口に入れる。

 

これはっ!?

 

「どうですか!?若!」

 

「……美味しい……!」

 

なんだこれ……!氷のシャリシャリ感と唐揚げの味がベストマッチしている!

 

前世の僕が美味しいって言ってたのがわかった気がする……!

 

「そうですか!よかったです!」

 

氷麗が喜んでいるのを見てドキッとしたので

 

「これからもよろしく頼むよ?氷麗」

 

氷麗の頭にポンっと手を置いてナデナデする。

 

(はわわわっ!!?い、出久様がナデナデっ!?ま、前じゃこんなことやってくれなかったのに……で、でもっ、う、嬉しいですぅぅ!!)

 

アワアワとする氷麗が可愛くて更にナデナデしてしまう。ああっ!!可愛いなあ、もう!

 

ちなみに上鳴と峰田が血涙を流して出久を睨んでいたが気づくことはなかった。

 

・・・・

 

ヒーロー科の午後はヒーローについて学ぶヒーロー基礎学の時間だ。担当の教師は

 

「ワーターシーがー普通にドアからやってきた!!」

 

『オールマイトだあああ!!!』

 

切島君たちを中心にクラスの大半が盛り上がる。

 

でも……

 

(オールマイト……僕は……)

 

昔に比べて僕のオールマイトへの尊敬度や憧れは大分下がったと思う。今でもオールマイトはスゴイと思うし、憧れがないわけじゃないが、無個性の僕を認めてくれ、力をくれたのはまぎれもない過去の自分だ。

 

氷麗とクラマもオールマイトのことはあまりよく思ってないようだった。その実績は認めているようだが

 

(僕たちは貴方を超える!皆の思いのためにも!)

 

「今日のヒーロー基礎学は戦闘訓練!!皆の要望と個性届を元に作ってもらったコスチューム!!これに着替えたらグラウンドβに集合だ!格好から入るのも大切だぜ!!自覚するのだ!!今日から君らは……ヒーローなんだと!!来いよ!!有精卵ども!!」

 

僕たちはコスチュームに着替えると指定されたグラウンドに集合した。

 

「あ!出久様!カッコイイですよ!」

 

「流石です……」

 

「もしかしてそれって……」

 

「うん。あの時の服装な!」

 

氷麗たちがこっちに来て僕のコスチュームを褒めてくれた。

 

僕のコスチュームはメリオダスの時の豚の帽子亭の店長服だ

 

「緑谷くんカッコいい!」

 

「麗日さ……は……?」

 

「やっぱ要望ちゃんと書けばよかったよ……パツパツスーツになってもうた……恥ずかしい……」

 

いやこれは要望とかそういうもんじゃないでしょ……そう思ってたら

 

「ヒーロー科最高」

 

なにが最高なのか峰田くんが親指をグッと立てたが

 

「ハッ……!!?」

 

「「「…………」」」

 

氷麗たちからの殺気を受けて逃げ出す峰田くん

 

アハハ……

 

「うんうん!皆カッコいいじゃないか!さあ早速戦闘訓練を開始しようか!」

 

「先生!ここは市街地演習場ですがまた屋外戦をやるのですか!?」

 

フルアーマーの飯田君が質問すると

 

「いや!もう二歩先へ踏み込む。屋内での対人戦闘訓練だ!」

 

その後オールマイトが屋内のヴィラン出現発生率の高さにおける重要性を説明した。

 

「これから諸君らにはヒーロー組と敵組に分かれて二対二の戦闘訓練を行ってもらう。設定はこうだ。核を持ったヴィランがビルに立て籠もっているのをヒーローチームが回収しようとしている!ヒーローチームの勝利条件はヴィランを捕縛するか核に触れて回収するか!時間を過るかヒーローを捕えればヴィランチームの勝利だ!組み合わせは……クジだ!」

 

こうしてクジの組み合わせの結果

 

Aチーム:日向ヒナタ&及川氷麗

Bチーム:轟焦凍&障子目蔵

Cチーム:八百万百&峰田実

Dチーム:爆豪勝己&飯田天哉

Eチーム:芦戸三奈&青山優雅

Fチーム:緑谷出久&エリザベス・リオネス

Gチーム:上鳴電気&耳郎響香

Hチーム:常闇踏陰&蛙吹梅雨

Iチーム:尾白猿夫&麗日お茶子

Jチーム:切島鋭次郎&瀬呂範太

 

「最初の対戦カードはこれだ!ヒーローAチーム対ヴィランDチームだ!」

 

ええ……!?大丈夫かな……

 

僕がそう思ってるのがわかったのか

 

「大丈夫よ出久くん」

 

「任せてください!あのクソガキをボコボコにしてやります!」

 

頼もしいような怖いような……

 

「ではヴィランチームは先に行って準備しておいてくれたまえ!これは戦闘訓練だ!遠慮せずに思いっきりな!度がすぎたら中断するけど……」

 

そしていよいよ戦闘訓練が始まった。

 

 

 

 



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戦・闘・訓・練2

氷麗side

 

さて……私たちの相手は爆豪と飯田さんでしたっけ……

 

「ヒナタ、どういきます?」

 

「う~ん……多分だけど爆豪くんは性格上、独断専行してきそう……」

 

「ヒナタもそう思いますか……となれば……」

 

「出久くんが言う通りあんなんでも強いと思う……体力テストでも体こなしがすごかったし……」

 

認めたくはないですがあいつの戦闘能力は私たちを除けばクラスでも上位に入るでしょう……

 

勿論出久様のほうがすごいですけどね!

 

となると……まずは……

 

『戦闘訓練スタート!』

 

あのマッチョの放送がビルに響き渡ってきました。顔の圧の通りの声ですね……

 

ビルに入る前にヒナタが

 

「白眼!」

 

ヒナタが白眼を発動させて建物の中を調べる

 

「うん……やっぱり爆豪君がきている」

 

ヒナタの報告を聞いた私は作戦通りにするとアイコンタクトをとって、ビルの中に入っていき、廊下を歩いていく。

 

階段の角に差し掛かろうとした時

 

「死ねえ!」

 

クソガキがいきなり飛び掛かってきました。

 

私たちは後ろに下がってクソガキの爆破を回避すると

 

「ちいっ!避けんじゃねえぞ!」

 

バカなんですか?こいつは。戦いでそんなことが通じるとでも?

 

「ヒナタ……先に行っておいてください。こいつは私が相手します」

 

「うんわかった!」

 

ヒナタが先に行くのを追おうともしない爆豪は

 

「意外ですね……見逃すなんて……」

 

「ハッ!テメエを仕留めちまえばあんな没個性の奴なんて大したことねえんだよ!」

 

ああ……こいつを少しでもいい奴だと思った自分が情けない……

 

「滑稽ですね……個性でしか人をみることができないなんて……それに今の貴方じゃヒナタには敵いませんよ」

 

「戯言抜かしやがって!さっさと死ねえ!」

 

爆破による推進力で突っ込んでくるクソガキ

 

出久が言ってた通りの右の大振りをスッと横に避けて氷で作った薙刀を脇腹に叩き込む

 

「グっ……!テメエ!」

 

倒れるもすぐに立ち上がって再び突っ込んでくる。迎撃しようとした時奴は下に手を向けて爆破を起こして後ろに回り込むと同時に爆破で突っ込んでくる。意外と頭もいいのですね。でも……

 

「はあっ!」

 

「ごはっ……!」

 

左足を軸にして後ろに回転して右足の蹴りを叩き込むと再び吹っ飛んでいくクソガキ。

 

だが満身創痍の状態ながらも立ち上がってこちらを睨む

 

「はあっ……はあっ……もうわかってんだろうが俺の爆破はニトロのようなものを手から出して爆発させる!要望通りの設計ならー「我が身に纏いし眷属氷結せよ、客人を冷たくもてなせ!」なっ……!?」

 

私が詠唱を始めると辺りが凍え始め

 

「闇に白く輝け、凍てつく風に畏れおののけ!呪いの吹雪、風声鶴麗!」「ぐあああっ……!!テメェ……!!」

 

クソガキは首から下が氷で覆われた。

 

そして捕縛テープを巻くと

 

『爆豪少年確保だ!』

 

「ふざけんじゃねえぞ……!なんでクソデクについてるかは知らねえが、そのうち俺がデクをぶっ殺してデクより上だってモブども全員にわからせて「貴方なんかに出久様の強さや魅力はわかりませんし、今の貴方では出久様に勝つなんて夢物語ですよ。プライドだけはいっちょ前の貴方じゃ」なんだと……!!!」

 

私はなにやらわめいているクソガキを無視してヒナタの元へ向かう

 

「飯田君に警告します!そんなことしても無駄です!大人しく投降してください!」

 

「ウハハハハハ!!バカめ!こちらには核があるんだぞ!!そちらこそ降伏しろぉ!」

 

ブッ……!!なんですか!?真面目にもほどがあるでしょう!ああ……ダメ……!試験中なのに……!

 

「ヒナタ、状況は?」

 

「氷麗さん。見ての通り核に近づこうとしても抱えて逃げられてしまいます……どうしましょう……」

 

「じゃあ……」

 

作戦通りヒナタが一気に突っ込むが

 

「む!」

 

飯田さんは横に加速して逃げる

 

そして私は準備を進める

 

「どうしたヒーロー!そんなものかあ!?このまま時間いっぱいまで逃げ切ってやるぜえ!」

 

そろそろですね……

 

「フハハハハハ……!ぬっ!?なにっ!エンジンが……!」

 

エンジンが遅くなった飯田さんに追いついたヒナタが核に触れて

 

『ヒーローチーム!ウィーン!』

 

・・・・

 

氷麗たちが戻ってきて講評が始まった。

 

「今回のMVPは及川少女だ!なぜだかわかる人!」

 

それに答えたのは推薦入学者の八百万さんだった

 

「はい、オールマイト先生。一番活躍した……というのもありますが最後の作戦も見事で常に状況を見据えているというのが大きかったですね」

 

「そうだ!突然俺のエンジンが遅くなったのは……あれは君の仕業だったのかい!?」

 

「ええ、私の冷気で部屋を冷やしてエンジンの駆動を鈍らせました」

 

「成程……そんな弱点が……」

 

「よし!次の対戦に移ろうか!」

 

この後も次々と対戦が行われていよいよ最終戦

 

「最後はヒーローBチームとヴィランFチーム!」

 

いよいよ僕たちの番か……相手は轟くんだったな……

 

もう一人の推薦入学者……だが彼はまだ本気を出してないような気がする……確証はないが……だけど、どうこようが負けるつもりはない!全力でやるまでだ!

 

「行くよ、エリザベス」

 

「はいっ!」

 

僕たちは核のある部屋で待機していると

 

『戦闘訓練スタート!』

 

開始と直後に氷結が下から迫ってきたので

 

「エリザベスっ!」

 

「あっ!出久……」

 

僕は咄嗟にエリザベスを抱えてジャンプして氷結の魔の手から逃れる。

 

「助かったわ。ありがとう出久」

 

「なーに、お前は俺が守るっていっただろ?気にすんな。それにここからが本当の勝負だ……」

 

・・・・

 

轟side

 

「核を回収すれば俺たちの勝ちだ」

 

俺は障子が索敵した核があるとみた部屋に向かっていき、角の階段を上ろうとした時

 

『なっ!?グホアッ!ど……どういうことだ……』

 

無線機から突然聞こえてきたのは障子の悲鳴。俺は慌てて入口へ戻るとそこには緑谷と地面に伏っしている障子がいた

 

「なっ……!?」

 

「す、すまん。轟……気をつけろ……察知ができなかった……」

 

どういうことだ!?こいつが察知できなかっただと!?

 

「ちいっ!!」

 

俺は緑谷に氷結を放つが氷結に飲み込まれた緑谷は姿がブレながら消えた

 

「本体じゃないのか!?」

 

と入口から足音が聞こえてきた。バカな!?さっきまでそこには誰も居なかったはず……

 

・・・・

 

ー少し前

 

出久side

 

ロストヴェインで分身を作って明鏡止水で障子くんに気づかれることなく接近でき、障子くんを倒せた。分身にはわざとやられるようにも指示しておいた。ここまでは作戦通りだ。

 

「よ~し!じゃあ行くか!」

 

「悔しいけど今の私じゃ轟さんには敵わないから……お願いね」

 

「おう!任せとけ!」

 

僕は飛雷針の術を発動させてあらかじめマーキングしておいた場所に転移する

 

そして入口から出ると

 

「来たな……」

 

「勝負だ!轟くん!」

 

 

 

 

 



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戦・闘・訓・練3

今回のは自信がないです……


オールマイトside

 

「はあああっ!!」

 

「はあーーーーーっ!!」

 

緑谷少年と轟少年がビルの入り口前で戦っている。

 

屋内戦なので注意するべきかと思ったが後にすることにした。何故ならようやく轟少年が本気を出して戦ってくれているからだ。

 

轟少年の右の氷結と()の炎を相手に一歩も引かず、時には拳の風圧で相殺し、時には黒い炎を出して、交わし反撃した。

 

だがおかしい。緑谷少年のあの動き。まるでいくつもの修羅場をくぐってきたような動きだ。それに……

 

確か彼は無個性だったはずだ。

 

 

 

 

 

 

1年ほど前に私は彼と初めて出会った。ちょうど彼をヘドロ敵から助けた時だ。

 

『個性がなくても!ヒーローになれますか!?』

 

その時、無個性だった彼をかつての私と重ね合わせた。そして彼のその眼はヒーローになる覚悟を持った目だった。

 

しかしどれだけ正義感や覚悟があろうが力がなければだれも救えない。そして彼を試す意味でも残酷な言葉を投げてしまった。

 

『夢をみるのは悪い事ではない。だが現実も受け入れなくてはな』

 

そして立ち直れたのなら願わくば私の力を継承する候補者になるかもしれないと思ったからだ。

 

だが彼は新たな力を手にして雄英に姿を現した。

 

個性把握テストの後、相澤くんに聞いたが緑谷少年は本当に無個性だったそうだ。

 

あの時言ったことは偽りではなかったのだとわかった。

 

ならこの10か月であれほどの力をどうやって有したのだろう?

 

 

ー少し前

 

「味方を巻き込まず……核にもダメージを与えずに無力化……」

 

「最強じゃねえかっ!」

 

切島少年が震えながら叫ぶ。

 

確かにここまで影響のある冷気を放つ轟少年には流石としかいえない

 

だが……

 

「すげえっ緑谷!轟の攻撃を躱しやがった!」

 

緑谷少年は凍り始める床からエリザベス少女を抱きかかえてジャンプして氷結から免れる

 

「畜生っ!なにさらりとイケメンムーブかましてやがんだよっ!いい加減にぐへえっ!?」

 

峰田少年がなにやら騒いでいたが及川少女が氷の塊を作った後出してはいけない音が響いたような気がするが……怖いのでみなかったことにしよう……

 

そ!それはともかく躱した緑谷少年が背中にある片刃の剣を抜いて手に持った次の瞬間

 

『はあああっ!!?』

 

モニタールームに驚きの声が響いた。それも当然であろう。彼が二人に増えたのだから

 

彼は窓から飛び降りて背後に回ったが障子少年は気づいていない。まるで認識できないよ

私はヘドロ事件を思い出した。あの時も認識できない何者かがヘドロ敵から爆豪少年を助けたことに。今だから言える。あれは緑谷少年がやったのだと

 

そして障子少年を戦闘不能にした緑谷少年は轟少年の氷結に飲まれてそのまま消えると

 

本体の緑谷少年が一瞬で入口近くに転移して轟少年と相まみえる。

 

 

 

出久side

 

「行くよ!」

 

「ッ!来い!」

 

轟君が氷塊を僕目掛けてぶつけようとしたが

 

「ギア2!ゴムゴムの……JETライフル!」

 

僕が繰り出した風圧で氷塊は砕け散ってその破片が轟くんに飛び散る。咄嗟に轟君は氷の盾を作ってガードするが視界を防いだのは失敗だ!

 

「なっ!?グハアッ!」

 

僕は一瞬で後ろに回り込んで掌底を放って轟君を吹っ飛ばす。

 

ビルにぶつかりそうになった轟君だったが右腕を振るって氷壁を作り続けてビルに当たるのを回避した。

 

「グッ!」

 

轟くんは氷結を繰り出しながら突っ込んできたが

 

「フルカウンター!」

 

僕が右腕を振るうと氷結は反射されて突っ込んできた轟くんは避けることができず氷に飲み込まれた。

 

「グゥゥゥ……!!」

 

轟君はかろうじて意識を保っているがあれだけの連続の氷結の使用とフルカウンターで返ってきた分を合わせるとかなりの負担だろう。

 

なのに……

 

「……轟君、なんで左を使わないんだい?使えば脱出できるのに……」

 

「……左を使うことは俺にとっての負けだからだ」

 

「それで本当に負けてもいいのか!?それは僕を舐めているとしか思えないぞ!」

 

「なんとでもいいやがれ!俺はクソ親父の個性なんぞ使わねえ!」

 

クソ親父、確か轟君の父親はNo.2ヒーローのエンデヴァー

 

気になった僕は六道の力で轟君の心を覗いてみたがそれは想像を絶するものだった。

 

個性婚によって産まれた故に幼少期からの父による虐待とも呼べる英才教育、壊れてしまった母。憎き父親への憎悪、轟君の感情全てを感じた僕は吐き気に催されたがなんとか耐えた。

 

君の気持もわからないわけじゃない……僕だってそうだったから!一度は妖怪である自分の血を否定したから!

 

だからこそ……!

 

「確かに君の境遇も憎しみも……!僕なんかには計り知れない!でも!それは君の力じゃないか!例え血が憎くても君であることには変わらないだろ!自分のオリジンを思い出せよ!」

 

僕が心のあるままを叫んだその直後

 

「ふ……」

 

轟君の左が燃えた

 

「おまえ……バカじゃねえのか……敵に塩送りやがって……」

 

「……でも後悔はしてない。だって……僕は誰かのヒーローになりたいから」

 

「なら!俺も本気で行くぞ!」

 

「僕もだよ!来い!」

 

 

・・・・

 

氷麗side

 

出久様ったら……わざわざ塩を送るなんて……どうかしてます

 

でも今の私はとても誇らしい表情をしているでしょう。

 

だってそれがあの時から変わらない出久様ですもの♪

 

・・・・

 

そして現在ー

 

轟の変幻自在な氷結攻撃を魔神の炎で相殺して、高火力の炎による攻撃も水遁で防ぐ出久。

 

一見拮抗しているように見えるが決定的な違いがあった。それはスタミナだ。出久は全盛期よりは力が出せないとはいえそれでもトップレベルのヒーローに通用するほどのスタミナがある。

 

対して轟は負担を左右で減らしているとはいえ徐々に体力が奪われていく。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「…………」

 

「緑谷……おまえまだ余裕があるだろ」

 

「……ハハハ、バレちゃったか」

 

「……どういう体力してやがる。俺も限界が近い。そろそろ決めさせてもらうぞ」

 

「来いッ!」

 

轟は右の力を使って辺りの空気を冷やすのに対して、出久は右手に風のチャクラを練る。

 

「これで終わりだあああ!!」

 

「風遁螺旋手裏剣!」

 

そして轟は左の出力を一気にあげて衝撃波を放ち出久は螺旋手裏剣を轟に投げつける

 

凄まじい力と力が激突し、最後に立っていたのは

 

「僕だっ!」

 

出久だった

 

 

 



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爆豪の絶望

遅くなって申し訳ナィィィ!!!

エタらないのでご安心を!


ー時間は出久と轟の戦いまで遡る

 

爆豪side

 

な……なんだってんだよ……

 

今俺の心を占めていたのは困惑と劣等感だった。

 

デクと推薦入学者の半分野郎の戦闘が始まるのをモニターで見ていたが開始と同時に半分野郎の氷結を見て”勝てないんじゃないか?”と感じてしまった。

 

だが俺が半ば諦めに近い感情を持っていた脅威を自分より下だと思ってたデクは難なく躱した。

 

信じられなかった

 

認めたくなかった

 

あの無個性で無力だったデクが、自分より上という事実に

 

これだけで済んだのなら俺はまだ、アイツより上になろうと立ち直れたかもしれない。

 

自惚れていると自覚しているが俺には才能と強い個性がある。だからここまでさほど苦労せずに上ってこれた。

 

しかしモニターに映ったデクを見て俺は自分の才能だけじゃ届かないものがあると感じてしまった。

 

これがオールマイトならまだ諦めがついたのかもしれない。俺が憧れて目標とした相手なら、届かないものだと

 

だがアイツは違う。自分のプライドが隣にいることを、後ろにいることを認めなかったアイツが、はるか前を歩いてることが許せなかった。

 

同時にそれを認めることは心の中でNo. 1になるという夢を諦めてしまったのだという事実を受け入れてしまった。

 

その事実が、それを受け入れた自分が、また許せなかった。

 

違え……!俺は諦めたわけじゃねえ……いつかデクを超えてやる……!!

 

と意気込んでいたら

 

ー諦めろ。お前じゃあ、今のデクには勝てねえ

 

何処からか聞こえた声に視線を動かしていると鏡の中からもう一人の自分が見つめていた。それもまだアイツを見下していなかった頃の幼い自分が嘲笑いながら

 

うるせえ……!!

 

ーデクはお前を見てすらいねえよ。プライドだけは一丁前のお前なんか

 

黙れ……!!

 

ー他を見下してきたお前を唯一見てくれていたアイツも、今のお前を見たら嘲笑うだろうなあ……

 

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇえええええええ!!!

 

BABABABABA!!!!!

 

「ど、どうしたんだ爆豪……?」

 

ハッと我に返ると、モブ……いや、切島たちが俺を見ていた。

 

痛みを感じた自分の手を見てみると、怒りで爆破を繰り返していたのがわかった。

 

「……なんでもねえよ」

 

俺はただ前で繰り広げられて戦いを見て自分に哀れみの感情を抱くことしかできなかった、

 

・・・・

 

戦いは僕の勝利で終わったものの

 

「今回のMVPはエリザベス少女と障子少年だな!」

 

「え、私と障子さん……ですか?」

 

「俺はすぐにやられたのだが……?」

 

「はい、理由わかる人」

 

「はいオールマイト先生。それはエリザベスさんと障子さんが一番状況設定に順応していたからです。緑谷さんは最初の奇襲はよかったものの屋内戦であるにも関わらず屋外で戦闘を行ったことです。轟さんも同様の理由ですね。リオネスさんは活躍こそ出来なかったものの自分の役割に徹していたということがプラスポイントですね。障子さんは……すぐにやられましたが、最初に状況把握したのもやはり自分の役割をこなしていました。ところで緑谷さん。最初の障子さんの奇襲はどうやったのですか?それに二人に分身したのも……」

 

「んー……まあ教えてもいっか」

 

僕は明鏡止水を発動させると

 

「ええっ!?緑谷が消えた!?」

 

すぐに明鏡止水を解除すると

 

「これで僕の認識を消したんだ。これを使うと僕に対する視覚、嗅覚、感覚、音、気配などが誰も感じられなくなる。この技を僕は明鏡止水って呼んでる」

 

「なるほど……だから障子さんは気配を感じ取れなかったのですか……では分身は?」

 

「このロストヴェインには自分の戦闘力を半分にした分身を作る効果があるんだ。それでもう一人の僕を作ったんだよ」

 

僕が説明すると皆唖然としていたが

 

「どーやって感知すればいいんだろ?」

 

「粉とかなにか被せればいいのかな?」

 

「それに見たところ分身はダメージを受けないみたいだしな」

 

皆が僕の技への対策を考えていた。

 

「っていうか緑谷!!その力があれは女子更衣室とか女湯覗き放題じゃねーか!!羨ましいぜこんちくしょーー!!」

 

突然叫び出した峰田くん。ちょっ!!変な誤解広めないで!!

 

「確かに……」

 

「危ない……」

 

時すでに遅し。女子たちから侮蔑の視線を向けられる

 

と弱っていたが

 

「失礼な!!出久様はそんなことしません!!」

 

「そうよ!!峰田くんと一緒にしないで!!」

 

氷麗……ヒナタ……

 

「そうです!!私たちと一緒にお風呂に入ってる出久が今更覗きなんてしません!!心外です!!」

 

ちょおっ、エリザベス!!?その情報広めないで!!?確かに前世や一緒に住むようになってからは皆で入ってるけどさァァァァ!!

 

女子たちが顔を赤くして一部の男子陣は血涙を流して僕を睨みつける。

 

「あー……もういいかな?」

 

ハッ!

 

いつの間にか蚊帳の外になっていたオールマイトの一言で場の空気は元に戻ったが未だに上鳴くんや峰田くんは僕を睨めつけてくる。

 

「今回の戦闘訓練!!特に大きな怪我をした者もいない!!皆、よく頑張った!!初めての訓練にしちゃ上出来だったぜ!!」

 

「相澤先生の後でこんな真っ当な授業……何か拍子抜けというか……」

 

切島くんが緊張が抜けたように呟く

 

「真っ当な授業も私たちの自由!!それじゃあ、お疲れ様!!着替えて教室にお戻り!!」

 

オールマイトは挨拶を終えるとダッシュでグラウンドから出て行った。

 

なにか急ぎの用事でもあるのかな?

 

僕たちは着替えを済ませた後、皆に問い詰められないようにさっさと帰った。

 

・・・・

 

ー雄英の校長室

 

ガリガリの男が犬か熊かわからない動物……もとい雄英の校長に今日の訓練の報告をしていた。

 

「ふむふむ……それで例の緑谷くんに関してはどうだったのかな?」

 

「……信じられないようですが、プロヒーローに通用するレベルの強さの上に、かなりの場数を踏んでいるように思えました。それに相澤くんがあれを個性でないと言うのもわかる気がします……あれはまた違う力のように感じられました」

 

「ふむ……それで彼がオールフォーワンに繋がっているとは思えた?」

 

「それはまだわかりません。しかし、直感ではありますが緑谷少年かあのオールフォーワンに内通してるとは私には思えません」

 

ガリガリの男……もといトゥルーファームのオールマイトの頭に思い浮かぶのは轟との戦いで緑谷の叫び。

 

あれが芝居やスパイのやる行動ではなく心からの叫びだと感じられた。

 

「……わかった。緑谷くんには機を見て話を聞こうと思う。それまでの間、万が一のために君と相澤くんに監視を頼むけどいいよね?」

 

「はい。わかりました」

 

こうして今日も雄英を守るために校長はその頭脳をフル回転させていた




この世界ではまだ出久はオールマイトの事情を知りません


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