特典を盗む怪盗 R (ボルメテウスさん)
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Un voleur apparaît de l'obscurité de la nuit. ~怪盗は夜の闇から現れる~

「よう、俺はルパンレッド。
今回から新たな俺達の活躍に期待していてくれ。
それじゃあ、特典を盗む怪盗Rの始まりだ」



それはとあるカジノだった。

 

日本では見慣れないラスベガスのカジノを模した施設であり、カードでの使用される台、巨大なスロットマシンがあり、その中で一人の男が笑みを浮かべながら、遊んでいた。

 

「今日もぼろ儲けだぜ」

 

そう言いながら、男が見せた手札はロイヤルストレートフラッシュだった。

 

「そんな、馬鹿な、これでもう10回目だぞ!!」

 

「こんな事があり得るのか!?」

 

「これが俺の運だからな、さて、チップを」

 

そう男が呟くと、周りの客からチップを次々と受け取る。彼の手元には既に天井に届く程のチップが置かれており、男は笑みを浮かべていた。

 

「では次の奴だな。

それじゃあ「うわぁっ!?」なんだ?」

 

そう次の獲物を探ろうと周りを見渡していると、男の目の前に突然何かが通り過ぎた。

 

「これは」

 

通り過ぎた物を確認する為に見てみると、そこに書かれていたのは

 

【伊香様 不正を働き、金を稼ぐ行為を見逃せない。

よって、その特典を頂きに参上する 怪盗戦隊ルパンレンジャー】

 

「ルパンレンジャー!?」

 

「そういう事だ」

 

「痛っ!?」

 

その予告状を読み上げ終えると同時にカジノの窓を突き破り入ってきたのは3人組だった。

 

一人は黒いコートを身に纏い、白いマスクをつけた青年。

 

一人はフードを深く被り、顔全体を覆う程のマスクを身に着けた青年、

 

一人は黒い豪華な着物を身に纏い、鬼を模したお面を被った少女だった。

 

「お前らは」

 

「さっき予告しただろ、世間を騒がせる怪盗だと」

 

その言葉と共に指を弾き、音を立てると共に周りを覆う程の光がカードから現れる。

 

「ぐぅ!!」

 

何が起きているのか、分からない間に伊香に大きな変化が起きていた。

 

顔を隠すイカを模した仮面を身に着け、背中からはイカの手足を生やしていた。

 

「どうなっているんだ!?」

 

「ばっ化け物!?」

 

「何が起きているんだ!?」

 

余りにも変わりすぎた伊香の姿を見て、その場にいた客達はすぐにその場から逃げ出した。

 

「それはお主の真実の姿」

 

「お前の欲望によって歪められた特典と一体化した姿だ。

だからこそ、ここでお前を倒させてもらうぜ」

 

「何を・・・!?」

 

伊香が言い終える前に3人は懐から取り出した白い銃と各々の色に合わせた小型飛行機を取り出す。

 

【RED!】【BLUE!】【YELLOW!】

 

白い銃から鳴り響く音と共に、各々の銃に装填された飛行機と同じ色を覆いながら、飛行機に付いているダイヤルを回す。

 

【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「「「怪盗チェンジ」」」

 

準備を終えたとばかりに、各々の銃口を回転させ、各々が伊香に向けて引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に白い銃から先程の予告状と同じカードが現れ、人と同じ大きさまでに巨大化し、3人の身体をすり抜けた。

 

同時に3人に大きな変化が起きていた。

 

各々が赤、青、黄のタキシードを思わせるスーツとマント、そしてシルクハットを思わせるマスクを身に着けていた。

 

「ルパンレッド」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

変身を終えた3人は銃を構えながら、各々の名前を告げる。

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!」」」

 

名前を告げた3人を見て、伊香は眼を見開きながら

 

「ふざけるなぁ!!」

 

そう叫ぶと共に、周りにある台やスロット台にイカの触手を絡ませて、次々とルパンレンジャーに向けて投げていく。

 

「ふっ」

 

同時に3人は走り出すと、投げられる物を避けながら走り抜け、手に持った銃の引き金を引く。

 

引かれた引き金と共に銃弾は次々とイカの触手を打ち抜きながら近づく。

 

「ぐぅ」

 

触手の痛みにその場で倒れるが、ルパンレッドはすぐに接近し、蹴り上げる。

 

「てめぇ」

 

「悪いが、さっさと頂くぜ」

 

「嫌だ、これは俺の力なんだよ!!」

 

その言葉と共に、伊香が手を伸ばしたのは自身に装着されている仮面だった。

 

「うおぉ!!」

 

伊香はすぐに仮面を無理矢理引きはがす。

 

「何をするっ!?」

 

「これは!?」

 

伊香の行動に疑問を思えると共に、伊香の傷口から次々と黒い泥が現れ、伊香の身体を覆っていく。

 

「なんだっ!」

 

「とにかく離れるぞ」

 

伊香の行動に疑問に思いながらも、ルパンレンジャー達はすぐにその場から離れると、伊香の身体は巨大なイカの怪物へと変わっていた。

 

「まさか、あの仮面を外すとこうなるとはな」

 

「油断しすぎじゃ。

とにかく、こういう奴相手には戦い方を変えるぞ」

 

「そうだな」

 

巨大イカの怪物に対抗する為に、ルパンレンジャー達は銃を再び操作する。

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

同時に引き金を引く。

 

【RE・RE・RE・RED】

 

その音声と共に、小型飛行機は銃から離れると、巨大化を果たし、3人は各々の飛行機へと乗り込む。

 

「まったく、こんだけでかいと、イカ料理に困りそうにないな」

 

「保存ができないだろ」

 

「とりあえず、切り裂くぞ」

 

その言葉と共にルパンイエローが乗るローター飛行機が、3人を狙う触手に反撃するように動く。

 

同時にローター飛行機は変形し、回転カッターを出すと、次々と触手を輪切りにしていく。

 

「あぁ、まったくだ」

 

そう言い、ブルーもまた、プロベラ型飛行機が変形し、出したガトリングから銃弾を放ち、触手を粉々にしていく。

 

「がああぁぁ!!」

 

「まったく、今回は簡単に終われると思ったんだがな」

 

その言葉と共に、レッドは二人によってできた道を通り抜け、伊香に急接近すると共にレッドの戦闘機は、巨大なビーム砲に変形する。

 

「ぐぅ!?」

 

「永遠にアドゥ」

 

その言葉と共にレッドは引き金を引くと、ビーム砲から放たれる極太のレーザーが伊香を包み込んだ。

 

「あぁ」

 

レーザーに包み込まれた、下半身だけ残った伊香は黒い泥が溢れ出しながら、倒れる。

 

同時に黒い泥から出てきたのは気絶した伊香だった。

 

「さてっと、特典は」

 

そう言い残った泥を見ると、そこに現れたのは小さな光の玉だった。

 

光の玉はレッドに近づくと、形を変えた。

 

山を思わせる形をした苔がある、茶色のタコがそこにいた。

 

『貴様は何者だ』

 

「おっ、レア物か」

 

『我は一体』

 

「そこにいた奴の特典になっていたかな」

 

『そうか。

ならば、この男の行った罪を償う為に、貴様の力になろう』

 

「良いぜ」

 

その言葉と共にレッドの手元にマスクが一つ現れた。

 

『我が名はクラーケン。

我が触手で、敵対する全てを握りつぶそう』

 

その一言と共に、レッドの元へと収まった。

 

「まさかペルソナだったとはな」

 

「とりあえず、帰るぞ」

 

「あぁ」

 

その一言と共にレッド達はその場から消え去った。

 

彼らがいなくなった後、破壊された建物を一つの影が笑みを浮かべながら見つめていた。

 

「またルパンレンジャーか。

だけど、今回の奴で俺達が求める特典の作り方が分かったぜ」

 

そう言いながら、影はその場から離れる。

 

「特典によって、レッドの力を増す可能性はあるが、それでもこれだけの力だ。

今後の奴らに期待するぜ」

 

その言葉と共に、夜は過ぎ去った。

 

「あぁ~、やっぱりここのサンドイッチはおいしい!!」

 

「もう、響ったら」

 

「だって、ここの朝ご飯がとっても美味しいんだから」

 

「もう」

 

そう言って笑みを浮かべながら、響と呼ばれた少女は店内の大量のサンドイッチを食べていた。

 

「本当に沢山食べるな」

 

「あっ連君!!」

 

その響に話しかけたのは、天然パーマが特徴的な眼鏡をかけた連だった。

 

「すいません、毎回」

 

「大丈夫だよ、朝と言っても客は立花さんと小日向さんぐらいしかいないから」

 

「そう言われると、照れるなぁ」

 

そう言いながら、手元にあるコーヒーを響は飲んでいると

 

「おい、連、次ができたぞ」

 

「あぁ」

 

そう連に声をかけたのは青い厨房服を身に纏った褐色の男がいた。

 

「あっソーマさん!

いつもありがとうございます」

 

「仕事だから、気にするな」

 

そう、無愛想に返すと、そのまま厨房へと戻っていった。

 

「あはは、ソーマさんは個性的だな」

 

「まぁ、その、ごめんな」

 

そう、連は笑みを浮かべながら、ため息をつく。

 

「なんじゃ、お前ら、また来たのか」

 

そう言いながら、出てきたのは黄色のエプロンを身に纏った長い金髪の少女が立っていた。

 

「あぁ忍ちゃんだぁ!!」

 

「ぐあぁ!!

おい、小娘、何をしやがるんじゃぁ!!」

 

「だって、今日も可愛いんだもん」

 

「もう響ぃ!!」

 

既に抱き着いている忍を助けるように、未来は動き出す。

 

そうしている中で

 

『次のニュースです。

昨夜、闇カジノの取り押さえと共に多くの犯罪者が発見されました』

 

「・・・」

 

そうしていると、喫茶店のテレビからニュースが流れている。

 

「んっ?」

 

ニュースが気になった響達はテレビをの方を見ると

 

『今回のカジノで特に違法行為が多く見られた伊香氏ですが、発見時から特に抵抗する様子もなく、まるで人が変わったように大人しい様子でした。

また、その闇カジノでは例のルパンレンジャーの存在も確認されました』

 

「あぁルパンレンジャーだ!!」

 

「ルパンレンジャーって、確か最近話題になっているよね」

 

「そうだよ、謎の存在で、彼らが出てきたら、そこにいた悪人が改心したという事で有名なんだよ」

 

そう言いながら、ルパンレンジャーの話題で盛り上がる二人を見ながら、連は時計を見る。

 

「そういえば、時間は大丈夫?」

 

「あっあぁ本当だ!!

急ごう!!」

 

「あぁもう、あっお会計お願いします!!」

 

「えぇ」

 

そう言って、二人は急いで店から出ていった。

 

「まったく騒がしい奴じゃな」

 

「だけど、ここまで食べてくれるなんて、嬉しいじゃないか」

 

「こっちは夜の仕事明けだと言うのに」

 

「まぁまぁ、そう言うなよ」

 

そんな彼らに声をかけたのは、帽子を被った男が3人に声をかけた。

 

「石道」

 

「それで、ターゲットからのお宝は」

 

「悪い、ペルソナに変わった」

 

「おぉ、それは良かったじゃないか」

 

そう言って石道は笑みを浮かべた。

 

「特典の回収は確かに重要だけど、お前達が強くなったのは良い事だ。

それにペルソナはお前達にとっては必要な事だからな」

 

「まぁ良いけど。

本当にこのままでも良いのか?」

 

「俺の話を信じないのか?」

 

「それしか道はなかっただけの話だ」

 

そう言いながらソーマは睨みながら、答える。

 

それに対して石道は笑みを浮かべながら

 

「ソーマは探し人、忍ちゃんは復讐する相手。

そして、連は自分の記憶」

 

「・・・・」

 

「ちっ」

 

「まぁな」

 

3人が各々別々の反応をしながら、取り出したのはルパンレンジャーが使っていた小型飛行機と白い銃だった。

 

「VSチェンジャーとダイヤルファイター。

これが、一体なんなのか、分からないけど」

 

「俺達は自分達の目的の為に戦う」

 

「それが、俺達が怪盗になった目的だからな」

 

それが連、ソーマ、忍、三人のルパンレンジャーだった。




ペルソナ紹介
クラーケン 塔
北欧の伝承に登場する巨大な海の怪物。
その名は18世紀中盤にベルゲン司教のエーリク・ポントピダンによって書かれた「ノルウェー博物誌」で紹介され広まった。
時代によって姿も性質も様々に語られる怪物であるが、多くの場合タコやイカなど、巨大な頭足類の姿をした化け物として描かれている。
中世から近代にかけて、海に生きる船乗りたちにとっては海の脅威の象徴として恐れられてきた。
船を襲う他、「島と間違えて上陸した者がそのまま海に引きずり込まれるように消えてしまう」といった伝承も残されている。

ペルソナ5Rの影響もあり、再度ルパンレンジャーを書きたくなった事も含め、再始動と共に書かせてもらいました。
ガンダムラザーニャさんと共に、別の方向で書いてみたいという事でリメイク版を書かせてもらいました。
これから、よろしくお願いします。


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Quelle est la façon dont la justice déplace le voleur ?~怪盗の正義を動かすのは何か?~

「うわぁ、遅刻しちゃうよぉ!!」

 

その日、立花響は遅刻しそうになっていた。

 

彼女は日常的に人助けや、猫を助けていた。

 

そうしている間にも、彼女は通っている学校に遅刻しそうになりながら、走っていた。

 

「んっ、立花ちゃんか」

 

「あぁ、雨宮さん!!」

 

その中で買い出しをしていると思われる雨宮がいて、挨拶をした。

 

「こんな時間で、大丈夫なのか?」

 

「いやぁ、遅刻しそうで大変ですよ」

 

そう言いながら、響は一緒に走っている。

 

「だったら、ほら、新メニューのカレーサンド食べてみるか?」

 

「うわぁ、ラッキー!!」

 

そう言いながら、投げられたカレーサンドを笑みを浮かべながら、すぐに走りだした。

 

「さて、俺も仕事をしないとな」

 

その言葉と共に雨宮は鋭い目と共に、周りを探っていた。

 

雨宮が来たのは買い出しだけではなく、この周りに転生者の情報がある事も含め、探っていた。

 

「さて、んっ?」

 

そう、雨宮はふと、聞こえた音に気付き、その方向を見た。

 

その方向は先程まで響が走っていた場所だった。

 

「まさか」

 

その場所へと向かうと、多くの壁が崩され、人々が閉じ込められていた。

 

「これは」

 

「さぁさぁさぁ!!

虐殺タイムだぜぇ」

 

「さて、ターゲットである蜈蚣が簡単に見つけられるとはな」

 

そう言いながら、雨宮は懐から取り出したVSチェンジャーとダイヤルファイターを装填し、構える。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その一言と共に、雨宮はルパンレッドへと変身すると共に、蜈蚣に向けてVSチェンジャーで攻撃を仕掛ける。

 

「なっ、貴様はっ!?」

 

「ルパンレッド。

さて、予告する、あんたのお宝、頂くぜ」

 

その言葉と共に、懐から取り出したカードを投げ、カードに向けて銃弾を放った。

 

「なに!?」

 

カードから強烈な光と共に爆発し、人々を閉じ込めていた壁を破壊する。

 

「なっ」

 

「さっさと逃げろ!!」

 

その一言と共に手に持ったワイヤーを放ち、蜈蚣を拘束し人々から離れさせるように蹴り上げる。

 

「貴様ぁ」

 

「さぁて、行くぜ」

 

その言葉と共にワイヤーの拘束を抜け出した蜈蚣は、その身体から無数の虫を放ち、ルパンレッドへと襲う。

 

「ふぅ、ペルソナ!!」

 

その言葉と共に、ルパンレッドの一言と共に襲い掛かろうとしていた虫に向けて、闇が襲い掛かる。

 

「なっ」

 

「アルセーヌ」

 

その言葉と共に出てきたのは仮面のような顔と巨大な黒い翼が特徴的な影がルパンレッドの後ろから現れる。

 

「なっなんだ、だけど!?」

 

そう言い、蜈蚣はすぐに巨大な虫達が襲い掛かるが

 

「クラーケン!」

 

その言葉と共にアルセーヌの姿はクラーケンへと変わり、無数の触手を使い、全ての虫を振り払う。

 

「ぐぅ」

 

「さぁ、とどめをっ!!」

 

そうVSチェンジャーを構えようとするが、響が逃げ遅れていた。

 

「しまったっ!!」

 

響が逃げ遅れている事に気付いたルパンレッドはワイヤーを使い、その場から離れ、響の元へと近づく。

 

「お前、何をしているだ!!」

 

「ごめんなさい、でも、他に逃げ遅れいてる人がいないかと思って「力もない癖に無茶な事をするな!!」っ!!」

 

「隙ありだ!!」

 

そう言い、蜈蚣はルパンレッドへと襲い掛かろうとしたが、クラーケンの触手を使い、防いでいく。

 

「ぐっ」

 

「はははぁっ、がぁ!?」

 

蜈蚣は攻撃を続けていると、蜈蚣の背後から襲い掛かった衝撃により、攻撃を一時的に止められ、同時にルパンブルーとルパンイエローが到着した。

 

「悪いな、遅くなった」

 

「なんじゃ、まだ逃げ遅れていたようだが」

 

「っ、悪いが、そっちは頼む!!」

 

ルパンレッドはそのまま何かに気付くと共に走り出す。

 

そんな、状況の中で響は顔を下げていた。

 

「んっ?」

 

「私、やっぱり間違っていたのかな?」

 

「んっ?」

 

「私、誰かを助けたいと思っていたけど、私、弱いから、誰も助ける資格はないと言われて」

 

その言葉を言った響に対して

 

「悪いが、小娘。

儂は別にルパンレッドが悪いとは思っていないし、あいつが言いたい事はそういう事ではないかもしれないな」

 

「それって、どういう事なんですか」

 

「俺達の戦いはいつも命懸けだ」

 

その言葉と共にルパンブルーは手に持ったVSチェンジャーを手に取りながら、真っすぐとルパンレッドを見つめる。

 

それに釣られて、響はルパンレッドの方を見ると、そこにはワイヤーを使い、蜈蚣の元へと向かう。

 

「はあぁ!!」

 

蜈蚣の持つ剣がルパンレッドに襲い掛かろうとしたが、ルパンレッドはすぐに手に持ったルパンソードを使い、その攻撃を受け流した。

 

受け流すと共にルパンレッドはそのまま前に転がり込む、ルパンソードをその場で捨ててVSチェンジャーを蜈蚣に向けて放った。

 

「ぐぅ!?」

 

VSチェンジャーからの一撃に驚きながら、後ろへと下がり、その間にルパンレッドはその場を離れた。

 

「あれは」

 

響が見えたのは、ルパンレッドの片手で泣いている子供だった。

 

「儂らは自らの目的の為にやっているが、ルパンレッドだけは少し違う。

あいつは、記憶がない」

 

「記憶が」

 

「奴は記憶を無くす前の自分がどんな事をしていた、どんな人間だったのかまったく知らない。

だからこそ、奴は求めているんだ、誰も救える強く、優しい人間を」

 

「強さ」

 

「誰も救えない強さがなければ、意味はない。

だからこそ、奴は強さに固執する所がある」

 

「・・・・、なぜ、それを私に」

 

「なぜだろうな。

だが、なぜか伝えたいと思っただけだ」

 

そう言い、ルパンブルーとルパンイエローは立ち上がる。

 

「さて、いつまでものんびりしていられないからな」

 

「それじゃあ、行くか」

 

その言葉と共にルパンブルーとルパンイエローは走り出し、ルパンレッドを襲い掛かろうとしていた蜈蚣を背中から蹴り上げた。

 

「ぐぅ」

 

「遅いぞ」

 

「悪かった」

 

「いいから、さっさと終わらせるぞ」

 

その言葉が合図となり、3人はVSチェンジャーを構えると、各々の色に合わせたエネルギーが銃口へと集まる。

 

「ぐぅ!!」

 

「それじゃあ、アドゥ」

 

その言葉と共に、銃口から放たれるエネルギーは一体化すると共に蜈蚣の身体を包み込んだ。

 

「さて、特典を回収すると「があぁ」なに?」

 

突然の声に気になり、見てみると蜈蚣の顔に張り付いている仮面が徐々に剥がれる。

 

同時に仮面が完全にはがされると同時に、蜈蚣の身体は黒い霧に包まれると共に、巨大な蜈蚣の怪物となった。

 

「また、このパターンかよ」

 

「さっさと片付けるぞ」

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

【RE・RE・RE・RED】

 

その音声と共に、ルパンレッド達のVSチェンジャーから出てきたダイヤルファイター達は空を舞いながら、蜈蚣に向けて、各々が攻撃を仕掛けてくる。

 

「ちぃ、こいつ、見た目以上に装甲が硬いぞ」

 

「スピードも面倒じゃ、このままじゃ」

 

「ちぃ」

 

3機のダイヤルファイターは変幻自在に蜈蚣に攻撃を仕掛けるが、蜈蚣の装甲は想像以上に硬く、決定的な攻撃を行う事ができなかった。

 

「へいへい、なかなかに面白い状況じゃないかよ」

 

「んっ?」

 

そんな彼らに近づいた小さな何かに気付いたルパンレッドは横を見ると、ダイヤルファイターと並行して走っている小さな飛行機がいた。

 

「なんだ?」

 

「おいらはグットストライカー。

それよりも、お前、あいつを倒したいんだろ?

だったら、おいらが協力してやるぜ」

 

「なんでそんな事を?」

 

「あえて言うならば、ぐっと来たからだよ。

それで、どうするんだ?」

 

その言葉を聞き、一瞬迷いそうになったルパンレッドだが、すぐにその迷いを取り払うようにコックピットを開くと、目の前に迫っていたグットストライカーの手を掴む。

 

「だったら、頼むぜ、グットストライカー!」

 

そんなグットストライカーの奇妙な誘いを受けると共に仮面の下で、連は笑みを浮かべながら、グットストライカーを掴む。

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに新たな契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”アレフ”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

そんなグットストライカーを手に取ると共に、聞こえてきた声に疑問に思いながら、VSチェンジャーに装填する。

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

【GO・GO・GO・GOOD!!】

 

その音声と共に、現れたのはルパンレンジャー達が乗っているダイヤルファイターよりも巨大なダイヤルファイターが現れ、3人は驚きを隠せなかった。

 

「こいつは一体」

 

「さぁ、怪盗ガッタイム!!

勝利を奪い取ろうぜ!!」

 

そのグットストライカーの声と共にルパンレンジャー達が乗っているダイヤルファイターはグットストライカーと共に変形していく。

 

「なっなんだ」

 

「こんなの聞いておらんぞ!?」

 

そう言っている間に、グットストライカーは変形を終えると共に、そこに現れたのはまるで巨大な怪盗を思わせるロボットが誕生する。

 

「完成、ルパンカイザー!」

 

その声と共に、手を翻すと共に背中から黒いマントが現れ、回転カッターを蜈蚣に狙いを定めた。

 

「なんだか、分からないが、ショータイムだ」

 

「そんな事で、何ができるだぁ!!」

 

その言葉と共に蜈蚣の身体から無数の虫が現れ、ルパンカイザーに襲い掛かるが、ブルーダイヤルファイターが変形した右腕を構えると、そこから何百という銃弾が貫いていく。

 

「なっ」

 

「威力が桁違いだ」

 

「だったら!」

 

その言葉と共にルパンカイザーの背中のマントは変形し、炎が噴射し、蜈蚣に接近すると共に左腕の回転カッターで切り上げる。

 

「ぐぅ」

 

蜈蚣は様々な手を使い、ルパンカイザーに襲い掛かるが、ルパンカイザーは次々とガトリングと回転カッターで全てを切り裂いていく。

 

同時にガトリングを蜈蚣の身体へと近づくと共に、放っていく。

 

「ぐぅ、がぁ!?」

 

ガトリングの銃弾の威力に負け、蜈蚣は空中へと吹き飛ばされ、それを見たルパンカイザーの瞳は光る。

 

「とどめは派手に決めるぜ!!」

 

その言葉と共に、ルパンカイザーの目の前に巨大なVSチェンジャーの幻影を作り出し、構えると

 

「必殺!グッドストライカー連射倒れちまえショット」

 

その言葉と共に、VSチェンジャーから放たれた巨大な銃弾は蜈蚣を貫く。

 

同時に蜈蚣は大きな穴を開くと同時に爆散する。

 

「永遠にアドゥ」

 

その一言と共に空中にいた蜈蚣は光と共に地面へと落ちていき、そこには蜈蚣が気絶していた。

 

「さて、それじゃあ、帰るとするか」

 

「気分は上機嫌、じゃあねぇ」

 

その言葉と共にグットストライカーと共にルパンレンジャー達はその場を去っていった。

 

そして、その日の夕方。

 

「はぁ」

 

帰り道、響はため息をついていた。

 

「やっぱり、私のやっている事は間違っているのかな」

 

「んっ、響か」

 

「あっ雨宮さん」

 

仕事を終えて、少し休憩をしていた雨宮は帰っている途中の響wお見つけた。

 

普段は一緒にいるはずの未来の姿も見えなかったので、気になったのか、雨宮は話しかける。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、その、実は」

 

そう言い、響は朝に起きたルパンレンジャーとの闘いでのルパンレッドの言葉について相談をしていた。

 

「まぁ、別にそんなに難しい事じゃないと思うぞ」

 

そう言い、雨宮は見つめる。

 

「立花はその時に助ける事に必死になって、自分が見えなかったんじゃないのか?」

 

「それは」

 

その言葉と共に響が思い浮かんだのはあの時の自分の行動だった。

 

確かにあの時、誰かを助ける事ばかりに目を向けていた。

 

「確かにそうかもしれない」

 

「誰かを助ける事は確かに素晴らしい事だけど、その時、自分ができない事をやろうとして、自分を幾らでも犠牲にしてしまう過剰な自己犠牲は駄目という事じゃないかな?」

 

「あはは、それは確かにそうかもしれないですね」

 

そう言い、立花は苦笑いをしながら、ゆっくりと息を吐く。

 

「雨宮さんは、なんだか凄いですね、そういう事が分かっていて」

 

「それは、どうなんだろうかな」

 

そう言って、雨宮も苦笑いをする。

 

「俺も、人助けをしたいけど、未だに分からない事ばかりだからね」

 

「・・・だったら、私達、案外似た物同士かもしれませんね」

 

「かもな」

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに新たな契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”ラメド”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

ふと、グットストライカーと同じような声が頭の中で聞こえると共に、その中で自分の中で響いた声で新たな可能性にゆっくりと、沈みゆく夕日を二人で見つめる。

 

 




今回出てきたアレフとラメドは、調べた所、セフィロトに出てくるパスと大アルカナとの対応で出てきた愚者と正義という意味です。
これからも、このような感じで進めていきたいです。


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Les liens avec Tachibana Hibiki créent de nouvelles possibilités~立花響との絆は新たな可能性を作り出す~

「ノイズ」

 

その警報が鳴り響くのを聞いた雨宮はすぐに周りを見渡す。

 

この世界にとって、何時起きるのか分からない、人を灰に変える災害ノイズは、雨宮達の活動中に遭遇する事はそれ程珍しくなかった。

 

警報と共に雨宮はその場を走り出すと、それ程遠くない所から迫っていた灰が既にノイズが出現する事を物語っており、間に合わなかった事に顔を歪ませる。

 

「だが、まだ」

 

その言葉と共に、背後から迫っていた何かを感じると、その場を離れ、手に持ったVSチェンジャーの引き金を引く。

 

VSチェンジャーから放たれた弾丸は、雨宮を襲おうとしていたノイズを次々と打ち抜く。

 

同時に宙を飛んだ事により見えたのは、女の子を連れて、逃げている響の姿だった。

 

「巻き込まれたのか!?」

 

前回の転生者の事件に引き続き、運悪く巻き込まれた響を助ける為に雨宮もその場を走り出す。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に、雨宮はすぐにルパンレッドへと変身すると共に迫りくるノイズを倒しながら、響達を追う。

 

「川に流されたか。

追いかける方からしたら、難しいが」

 

それでも雨宮は、響を追う為に走る。

 

「追いついた!!」

 

そうして、辿り着いた工場において、登って逃げている響を見つけ出すと腰に装着しているワイヤーで一気に近づく。

 

「なっ!!」

 

そんな雨宮の目指している先で突然のオレンジの光で一瞬だけ見え、そこにはこれまで見た事のない恰好をした響がいた。

 

「えっふえぇ、私どうなちゃっているの!?」

 

何が起きているのか、響自身も理解していない様子だった。

 

だが、響はまるで直感なのか、その場を飛び上がった。

 

「なっ」

 

あまりの行動に驚く事しかなかったルパンレッドだったが、響はそのまま無傷で着地した。

 

そのままノイズは次々と響に向かって襲い掛かるが、まるで身体が勝手に動くように走っていた。

 

「たく」

 

危ない所が目立ちながらも、響の必死な表情を見て

 

「きゃっ!!」

 

そうしている内にノイズの一体が響に襲い掛かろうとした時、ルパンレッドはVSチェンジャーの引き金を引く。

 

「えっ?」

 

そうしている間にルパンレッドは響の近くに降り立つと、VSチェンジャーを回しながら、周りにいるノイズを打ち抜いていく。

 

「また無茶をしたな。

だが、まぁ、今度はよくやった」

 

「ルパンレッドさん!」

 

これまで、ノイズばかりしか会っていなかった響と少女にとっては心強い味方であるルパンレッドを見つめる。

 

そうしていると、ルパンレッド達に迫りくる別の音が聞こえた。

 

「これは、バイク?」

 

迫りくる音の正体に気付いたルパンレッドは見つめると、その先にはノイズを蹴散らしながら、こちらに迫りくる誰かの姿が見えた、

 

「あれって、翼さん!」

 

「それって、歌手のか、だがなぜ」

 

そう疑問に思っている間に、翼はそのまま迫りくるノイズを切り裂いた。

 

その姿は、今、響が身に纏っている何かとよく似ていた。

 

「えっ、これって、一体何が?」

 

「さぁな、俺もさっぱり分からないけど、現状はまぁ味方だと考えて良いかな?」

 

周りを見渡す限り、ノイズという敵に対しては味方だと考えている。

 

「まさか、ルパンレンジャーの一人がここに」

 

「まぁ、今、この場においては敵じゃない事だけは覚えてほしいな」

 

「この場ではね」

 

その言葉に納得するように翼は睨みつけているが、ルパンレッドはVSチェンジャーを翼の背後から迫っていたノイズを打ち抜く。

 

同時に翼はルパンレッドの後ろに迫っていたノイズを短剣で貫く。

 

「にゃふぅ、なかなかに良いターゲットじゃないか」

 

そう、ノイズを倒した瞬間、まるで狙いを済ませたように強烈な風が襲い掛かる。

 

「えっ?」

 

突然聞こえてきた声と風に対して反応して、周りを見渡しても人影は見当たらなかった。

 

響は自身の自分の腕の中に守る女の子を庇うとしたが、ふと、その感触が無いことに気づく。

 

「なっ!?」

 

「一瞬で」

 

嫌な予感がした。

 

当たって欲しくない予感はまるで的中するように、少し離れた場所に女の子は奇妙な怪物と一緒にいた。

 

そこにいたのは黒い獅子を思わせる風貌をした怪物がおり、そこには尻餅をしている女の子がいた。

 

「そんなっ」

 

「さぁて、お前の実力を見させてもらうぜ」

 

そう言い、怪物が取り出したのは転生者達が装着しているマスクだった。

 

「あれは、まさかっ!!」

 

「さぁショータイムだ!!」

 

その一言と共に、怪物は少女にマスクを無理矢理装着させる。

 

「きゃああ!!!」

 

「っ!!」

 

少女の悲鳴が、その場で黒い煙が包み込むのと同時に、その姿を変えた。

 

その場に現れたのは、風を身に纏ったような虎の怪物が現れ、少女の面影はどこにもなかった。

 

「にゃはぁ、成功成功」

 

「お前、一体」

 

「暴走だよ、ルパンレンジャー。

人間が誰しも眠る力を無理矢理引き出しているんだよ」

 

「まさか」

 

その力の正体は特典ではないかと考えている内に、少女だった怪物は周りにあるノイズを吹き飛ばしながら、ルパンレッド達へと迫っていた。

 

「それじゃあ、実験の結果は見れたし、我が輩はディエゴ。

これから会う度に怪物と言われちゃ面倒だからな、まぁ、会えたらの話だけどな」

 

「待ちやがれ!!」

 

「待たないよ、ベガ!!」

 

ディエゴと名乗った怪物を追うとルパンレッドは手を伸ばすが、ディエゴは叫ぶと同時に背後から現れた軍服を着た怪物が現れると同時にディエゴを風で包み込み、姿を消した。

 

「あれは、ペルソナ!?」

 

自身と同じ力を使ったディエゴに対して、驚きを隠せないルパンレッドだが、それを考えるよりも先に怪物が響を襲いかかる。

 

「ちっ!!」

 

呆然としている響を助ける為に、ルパンレッドはすぐにワイヤーで響を助け出すと、次に襲いかかる怪物に対して、翼がその場で剣を受け止める。

 

「何をやっているんだ!!

死にたいのか!!」

 

「ルパンレッドさん、私聞こえたんです」

 

「聞こえたって、何を「助けを呼ぶ声が」はぁ?」

 

そう言い、響は真っ直ぐと怪物を見つめる。

 

「あの子、苦しんでいるんです。

無理矢理、あんな姿になって、だから助けないと」

 

「今のお前じゃ、無理だ。

前にも言ったはずだ」

 

「確かに私には力はありません。

だけど、目の前で助けを求めている手を掴めなかったら、私、絶対に後悔します」

 

「それは」

 

「確かにルパンレッドさんの言う通り、未だに力は足りません。

それでも、私は、助けたいんです!!」

 

その言葉を聞き、雨宮は仮面の下で驚きの表情をすると共に、笑みを浮かべた。

 

「そうか、だったら、助けないとな」

 

「はい」

 

そう言い、ルパンレッドはゆっくりと見つめる。

 

同時に、ドクンッと心臓が動く音が聞こえる。

 

「これは、なんだろう」

 

それは響も感じたのか、自然と口を開いていく。

 

同時にルパンレッドの目の前に現れたのは、これまで雨宮がペルソナを召還する時に使った仮面とは違うカードだった。

 

だが、それでも、自然と手は伸びた。

 

「ペルソナ!!」

 

その一言と共にルパンレッドは手の中に収まったカードを握りつぶした。

 

同時に2人の後ろから強烈な風が吹き、翼は戦闘中にそちらを見つめた。

 

「なっ!!」

 

翼が目にしたのは、2人の後ろから現れた巨人だった。

 

黒い長い学ランと白い鉢巻きをした存在がその場に立っていた。

 

「何が起きているんだ」

 

その疑問に感じる前に怪物が叫び声と共に、翼を放って、ルパンレッド達に襲いかかる。

 

「Now I face out I hold out」

 

そうしていると、響は目を閉じながら、ゆっくりと歌を歌い始めた。

 

同時にルパンレッドは手に持ったVSチェンジャーを怪物に狙いを定めた。

 

「イザナギ!」

 

ルパンレッドの言葉と同時に、背後に立っていたペルソナ、イザナギは手に持った長得物を構え、迫りくる怪物の爪を受け止める。

 

「I reach out to the truth of my life Seeking to seize on the whole moment yeah」

 

響の歌に合わせるように、イザナギは怪物を上に持ち上げ、蹴り上げる。

 

「なんだ、これは!!」

 

イザナギから感じる力に驚きを隠せない雨宮だが、その力は止まる事なく、溢れ出す程に高まっていく。

 

「Look man you are one who actually you detest」

 

同時に雨宮はふと、隣を見ると、歌を歌い続ける響からまるで力を感じるように、彼女の近くにいる程、その力は強くなっていた。

 

(まさか、このペルソナ。

立花さんの歌と共に強くなっているのか!!)

 

「Save me now, last beat in the soul 」

 

その事に驚きを隠せない中で、イザナギは怪物との激戦を繰り広げていく中で、イザナギは構える。

 

「イザナギ!!」

 

同時に雨宮はイザナギと合わせるように構えると同時にイザナギから真っすぐな稲妻が怪物を貫き、マスクを砕けた。

 

「がぁあぁ」

 

同時に怪物を形成していた黒い塊は崩れ落ち、その中にいた少女は横たわっていた。

 

「っ!!!」

 

響はすぐに少女の無事を確認するように抱き上げると、息をしているのに気づき、安心したように息を吐く。

 

「良かった」

 

少女の無事を確認すると共に響は涙が溢れそうになり、同時に少女の隣から別の存在が出てきた。

 

「まさか、まだ倒せていないのか!!」

 

「っ!!」

 

そこに現れた虎に警戒するように二人は構える中でルパンレッドはゆっくりと近づく。

 

「おいらを解放してくれたのはお前達か?」

 

「俺も少しはな」

 

「それだったら良かったじゃん。

正直、その子に対しては悪い事をしてしまって申し訳なかったじゃん。

暴走してしまったとはいえ、傷つけてしまって」

 

そう言い虎は眠っている少女に目を向ける。

 

「すまなかった、おいらのせいで。

そして、君もおいらを止めてくれて、ありがとうじゃん」

 

「えっいえ、別にそんな事は!?」

 

虎が喋っている事に驚きを隠せない中で虎はゆっくりとルパンレッドに向き合う。

 

「さて、おいらを助けてくれたお礼じゃん。

おいらの力、あんたに預けるじゃん」

 

そう言い、虎はゆっくりと光に包まれると、その姿を仮面に変え、ルパンレッドへと吸い込まれる。

 

「おいらはフェンガロン。

風を司り、音楽を愛する虎さ、よろしくな」

 

「あぁ」

 

フェンガロンが自身の中へと吸い込まれるのを確認すると、ルパンレッドは立ち去ろうとする。

 

「すまないが、あなたには同行をお願いしたいが」

 

「えっ翼さん!!」

 

そう翼は刀をルパンレッドに構える。

 

「悪いけど、俺にも用事があるから、ここで失礼するよ」

 

その言葉と共に忍ばせていた煙玉を地面に叩きつける。

 

「くっ!!」

 

視界を奪われた翼はすぐに刀を使い、すぐに対応するが、その場には既にルパンレッドの姿はなかった。

 

「奴はどこに、なに!!」

 

翼は周りを見渡してると、何かを聞こえるように上を見ると、そこにはダイヤルファイターに乗り、その場を去るルパンレッドがいた。

 

「それじゃあ、アドゥ」

 

その言葉と共にルパンレッドは夜の闇の中へと消えていった。




イザナギ
立花響との絆によって誕生した雨宮連のペルソナ。
日本神話において国生みの神と言われる男神、伊弉諾命として有名だが、このペルソナの最大の特徴は、絆を結んだ立花響の歌と共に強くなる事である。
結ばれたばかりでも、圧倒的な力を持つイザナギは立花響との絆次第で今後さらに強力になる可能性がある。

という事で響とのコミュで誕生したのはイザナギであり、今回響が歌ったのはペルソナ4の戦闘曲でもある「Reach Out To The Truth」です。
個人的にもお気に入りであり、イメージカラーが同じというのもあり、登場させました。
活動報告にて、まだまだペルソナの募集をしております。
その際に今回のようにキャラクターと結んだ事で得たペルソナもありですので、皆様の応募お待ちしています。


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La mémoire est avec la conduite du chat.~記憶は猫の導きと共に~

街中で、一人、少女は歩いていた。

 

周りの景色を眺めながら、不機嫌な気持ちを隠さないばかりに町の様子を見ていた。

 

「・・・・あたしは一体なにやってんだ」

 

そんな町の景色と自分を重ねるように少女は吐き出した言葉と共に周りにいる人々を眺め

 

「くっそっ!!

ここは落ち着かねぇ!!」

 

その言葉と共に少女は走り出そうとした時だった。

 

「うわぁと」「わぁ!?」

 

少女は何かにぶつかったのに気づき、目の前を見てみると、そこには男が一人、買い物袋を抱えていた。

 

「っ!!」

 

「あっ」

 

一瞬、謝ろうと思ったが少女だが、今は自身の気持ちが収まらない状況なのか、男を一瞬睨んだ後、すぐに走り出した。

 

「んっ?」

 

少女が走った後を見ていた男はふと、何かが落ちているのを確認すると、そこには携帯が落ちており、とても少女が持つ物とは思えない物だった。

 

「仕方ないな」

 

息を吐きながら、男はもう片方の手で拾った携帯を片手に歩き出す。

 

しばらくして、まるで道のりを知っているように男は少女の元へとたどり着く。

 

「お嬢さん」

 

「あぁ、てめぇはさっきの。

なんだよ、文句を言いに来たのかよ」

 

少女は不機嫌な様子を隠せないように、男を睨みつけるが、男が少女に見せてきた物を見ると、目を大きく開いた。

 

「落ちていた」

 

「っ!!

てめぇ、何が目的だ」

 

少女にとって、それは重要な物であり、それをわざわざ返しに来た男に対して、警戒を高めながら睨むが

 

「いや、落として困ってそうだったから、来ただけだが」

 

「それだけなのか」

 

「それだけ、はい」

 

男はそのまま笑みを浮かべながら、少女に返す。

 

その様子についていけず、ぽかんとしている少女だが、同時に彼女のお腹から可愛らしい音が鳴る。

 

「~~~!!!!」

 

その事に気付いた少女は顔を真っ赤にさせてしまうが、少年はふと何かを思い出したように取り出した。

 

「良かったら食べるか。

本当はおみあげ用に買っていたけど、お腹空いているんだったら」

 

そう言い、男が取り出したのはドーナツだった。

 

「だっ誰が」

 

そう、反論しようとしたが、腹の虫は収まる所が、むしろ鳴り続けていた。

 

その事で、既に恥ずかしくなったのか、少女は自分に差し出されているドーナツを奪い取るように口の中へと入れていく。

 

「・・・美味しい」

 

「それは良かった」

 

ドーナツを食べ始めた少女は顔を赤くさせながら、ゆっくりと食べていた。

 

数分とかからないうちにドーナツを食べ終わった少女は、未だに恥ずかしい様子で顔を横に向けていた。

 

「その、ありがとうな。

それに悪かった、ぶつかってしまって」

 

「気にしないで良いよ。

俺が勝手にやった事だから」

 

そう言い、男はふと何かに気付いてように見つめていた。

 

「どうしたんだ」

 

「いや、来た事のない場所だけど、案外、ここから見る夕日は綺麗だなと思って」

 

「夕日って、そんな訳」

 

そう少女は言い返そうと思ったが、見るとそこには既に日が沈み、町は夕日の光に包まれている光景が広がっていた。

 

その光景は確かに綺麗な光景なはずなのに、少女は、それを見てもどこか別の世界のような気がしていた。

 

「・・・あぁ、そうだな」

 

そう言って、隣にいた男にゆっくりと視線を向けた。

 

「なぁ、あんたの、その名前は」

 

「俺か、俺は雨宮連。

この町で喫茶店ジュレを経営している。

今は夜の仕込み用の材料の買い出し中だけど、たまにまこういうのも良いかもな」

 

「そうか。

その」

 

そんな雨宮に対して、少女に告げようとした時だった。

 

少女の持っている携帯から音が鳴り、急いで電話に出る」

 

「あなた、今どこにいるのかしら?」

 

電話から聞こえる声は少女にとっては聞き覚えのある声だったが、タイミングが悪すぎると思いながら

 

「あんたが町中を歩けって言うから「現在の位置を聞いているの、答えなさい」はぁ?

町のはずれだけど」

 

少女は既に電話を早く切りたくてしょうがないのか、いらつきながら答えると

 

「街はずれね、まぁいいわ。

その場にノイズを出すから戦いなさい、イチイバルで」

 

「はぁ、何を言っているんだ!!」

 

少女はすぐに電話の相手が行おうとしている事に驚きながら、雨宮を見つめる。

 

「実験の一つよ。

心配しなくても特異災害対策機動部には気付かれる事はないわ」

 

「そういう事じゃない、今はっ」

 

「あなたの目的のために必要な事よ、可愛いクリス」

 

「待っ」

 

クリスは、電話の相手に待つように声を出そうとするが、時は既に遅く、二人を囲むようにノイズが現れた。

 

「ノイズっ!!」

 

ノイズの出現と共にクリスは眼を見開くが、雨宮は手に持った荷物を捨てると、クリスの手を掴む。

 

「おいっ!!」

 

「逃げるぞ」

 

そう言った雨宮の行動に驚きを隠せないクリスだった。

 

(違う、あたしはあんたに心配されるような資格なんてない!!)

 

そう言いながら、突き放そうとしたが、雨宮の手は強く、強引に離す事ができるはずなのに、クリスには離す事ができなかった。

 

迫りくるノイズは普通ならば簡単に追いついて、殺すはずだった雨宮だったが、近くにある森の木を使い、上手く隠れながら、ノイズからクリスを守っていた。

 

会って、数分しか経っていないはずの男のはずだった。

 

だが、その笑みや見せてくれた光景が、なぜか両親との思い出が重なるように温かく感じたクリスは、涙を溜めていた。

 

(離したくないと思っているのか!

たったの数分だぞ、すぐに捨てられる、捨てられる!!)

 

そう、何度も自分で言い聞かせるが、握る手はむしろ強くなっていった。

 

そうしている間にクリスは足を滑らせてしまい、雨宮はそれを受け止めた。

 

「大丈夫か」

 

「っ!!」

 

こちらを心配するように声をかける雨宮の目を見ていると、ふと、自身に迫りくる脅威を思い出し、振り返ると既にノイズが迫っていた。

 

万事休すかと思えたその時だった。

 

ノイズを打ち抜くように青い光と黄色の光が貫く。

 

「無事のようだったな」

 

「ちっ」

 

「あいつらは、ルパンレンジャー」

 

その場に現れた青色の怪盗と黄色の怪盗を見て、クリスはその姿を驚く。

 

先程まで指示をしていた存在から、要注意するべき存在だと聞かされていたが、目の前で現れるとは思わなかった。

 

すぐにでも捕らえる為に動こうと思ったが

 

「ここは彼らがなんとかしてくれるから、逃げるぞ」

 

「えっあぁ」

 

雨宮からの声に一瞬呆けてしまい、走り出してしまう。

 

自分の目的の為の命令も、邪魔する奴らの始末もできるチャンスだったはずが、クリスは気付くと雨宮と一緒に行動するのを選んでしまう。

 

「ここまでくれば大丈夫か」

 

「あっあぁ」

 

どう答えたら良いのか分からない内に少女の懐から電話が鳴る。

 

ゆっくりと、電話に出ると

 

「何をしているのかしら?」

 

「逃げている。

あんたのせいで」

 

「はぁ、どうやら、少しお仕置きが必要のようね。

それとも、隣の彼が邪魔だったかしら?」

 

「っ!!」

 

その声の主が何をしようとしているのか、すぐに気づいたクリスはすぐに雨宮を突き飛ばした。

 

「っ!?」

 

一瞬の事で、驚く事しかできなかったが、雨宮は近くの木にぶつかり一瞬で気を失い、先程まで雨宮がいた場所にはノイズがいた。

 

「あたしのせいだ。

あたしが、求めたせいで」

 

自分の甘さに涙を流しながら、まるで覚悟を決めたように、胸元にあるブレスレットを取り出す。

 

「Killter Ichaival tron」

 

その歌声と共に形成されたガトリングガンを使い、雨宮を狙うノイズを次々と撃ち抜いていく。

 

「・・・結局、あんたに名前を告げる事はできなかったな」

 

そう言い、クリスはその場から離れていった。

 

「油断したっ!!」

 

すぐにクリスを探す為に周りを見渡すが、そこにはクリスの姿はなかった。

 

「やばいっ!!」

 

周りには灰があった。

 

「っ!!」

 

一瞬、クリスがノイズに襲われたのかと思ったが、雨宮は瞬時に自身の能力であるサードアイを使う。

 

記憶を無くし、ペルソナ能力とは別に備わっている能力であるサードアイは周りの状況を知る事ができ、ルパンレンジャーとしての活動時には重宝している。

 

そして、ノイズによって作られた灰が人なのか、それとも物なのか。

 

「これは人じゃない。

だったら」

 

その言葉と共に雨宮は懐から取り出したVSチェンジャーとレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に、雨宮はルパンレッドへと変身すると共に、腰にあったワイヤーとサードアイを使い、ノイズが集中している場所へと向かう。

 

「遅れた」

 

「遅かったな、一緒にいた奴は」

 

「探している途中だ」

 

その言葉と共に合流したルパンブルーに背中を任せると共に、その手に持ったマジックハンドと剣が一体化した武器、ルパンソードを使い、迫りくる敵を倒していく。

 

「随分と仲良さそうじゃったな」

 

そう言いながら、手に持ったVSチェンジャーを使い、迫りくるノイズを打ち抜いていく。

 

「にゃははぁ、まさかこうして集まるとはなぁ!!」

 

「「「っ!!」」」

 

突然聞こえた声と共に、その場を散開したルパンレンジャー達の前に現れたのは、ディエゴだった。

 

「お前は」

 

「吾輩としても、これから邪魔になるという事で始末はしたいと思っていたし、ここはそれに丁度良いからな、ベガ!!」

 

その言葉と共に、ディエゴの背後からペルソナであるベガが現れ、周りにある木々から葉で視界を隠した。

 

「これじゃあ、何も見えないっ!」

 

周りの木々を使い、反動を使い、攻撃を仕掛けていく。

 

「たくっ、厄介な奴が来たな」

 

そう言いながら、下手に銃での攻撃を行う事ができず、ルパンソードを使い、防御を行っていく。

 

「ちっ、正直、これじゃあ威力にかけるが仕方ない。

二人共」

 

「あぁ」

 

「了解した」

 

その言葉と共に、ルパンブルーはその手に持ったルパンソードを構えると同時に、ルパンレッドとルパンイエローはルパンブルーを守るように立つ。

 

「にゃぁ、なんだ、ついに可笑しくなっ!?」

 

突然の行動に笑っていたディエゴだったが、ルパンブルーの持つルパンソードの刀身に黒いエネルギーに全身の毛が逆立っていた。

 

「てめぇら、何を「遅い!!」にゃぁ!!」

 

ルパンブルーの言葉を合図に、二人はその場を離れると同時に、ルパンブルーはルパンソードを叩きつける。

 

同時に周りを囲んでいた嵐を吹き飛ばした。

 

「ちぃ、ならば「アルセーヌ!」ちぃベガ!!」

 

嵐が過ぎ去った事により、ルパンレッドはすぐに呼び出したアルセーヌを使い、ベガと激突する。

 

だが、それと同時だった。

 

『おい、お前戦えるんだろ!やるぞ!』

 

そこに映っていたのは、猫のように見える奇妙な生き物だった。

 

「これは」

 

周りの光景は霧で包まれており、雨宮自身だと思われる存在とその奇妙な生き物しか見えない。

 

『来い!』

 

その声と共にその奇妙な生き物の背後に現れたのは、ペルソナだと思われる存在だった。

 

『速やかに黙らせてやる』

 

その声と共に終わりを迎えると

 

「おい、レッド」

 

「っ!!」

 

後ろにいたルパンイエローに声をかけられ、気付いたルパンレッドはすぐに前を向いた。

 

「ぐぅ、なんだ、これ?

吾輩はディエゴ、そのはずだ」

 

ディエゴはその手を頭で抑えていた。

 

「ブルー、イエロー。

一気に決める。

あの仮面を剥ぎ取る」

 

「仮面を?」

 

「なんだか、分からない。

だけど、俺はあいつを知っている気がするんだ」

 

「まぁ、元々は貴様の目的だからな、良いじゃろ!!」

 

その言葉と共に走り出すと、ディエゴの背後から現れたベガはそのままルパンレンジャーに向けて再び襲い掛かる。

 

それに対して、ルパンレッドはVSチェンジャーを、ルパンブルーはルパンソードを、ルパンイエローはマジックハンド側のルパンソードを構える。

 

「一気に決める」

 

その言葉と共にルパンイエローは一瞬で振り上げたマジックハンドから出てきた巨大な腕でディエゴとベガを拘束する。

 

同時にルパンブルーは再び作り出した巨大な剣を前を振り下ろすと、ディエゴから抜けるように黒い塊が宙に舞う。

 

「その歪んだ欲望、頂戴する!」

 

そして、最後にルパンレッドはVSチェンジャーの引き金を引くのと同時に赤と青と黄が混ざり合った弾丸が塊を打ち抜く。

 

同時に空に派手な花火が舞い上がる。

 

「さて、特典は回収したが、こいつがディエゴなのか?」

 

そう言い、地面を見てみると、そこにはディエゴだと思われる黒い猫が寝ていた。

 

「猫か?

転生者じゃないのか」

 

そう疑問に思いながら、ルパンレッドはゆっくりと手を伸ばす。

 

「んっ、あれ、お前、連なのか」

 

「モルナガ」

 

目を覚ましたモルナガの言葉を聞き、同時に連の中の記憶が蘇った。

 

「猫が、喋った!」

 

「猫じゃねぇし!!

というか、なんだここは!?

ていうか、お前、なんだその恰好は!?」

 

「色々とあった」

 

「色々とありすぎるだろ!?」

 

連の言葉に思わず突っ込んでしまうモルナガだが、ふと疑問に思うように首を傾げた。

 

「あれ、待てよ?

なんで、吾輩はこんな所に?

それに、お前と吾輩以外のメンバーの記憶がまるでないんだが?」

 

「詳しい話はあとで。

それよりも、俺は探さないといけない子がいるんだ」

 

「ふぅん、なるほどな。

まぁお前の事だから心配するつもりはないけど。

だけど、なんでだ、吾輩、身体が全然動かない」

 

久しぶりとも言える会話を行ったモルナガは身体が動かないのか、そのまま寝転がっている。

 

「どういう状況か分からないがとりあえずはこいつは俺達が連れて帰る。

お前はさっきの奴を追いかけろ」

 

「あぁ、ありがとう、頼むわブルー」

 

ルパンブルーはそのままモルナガを抱きかかえると、共にルパンレッドは走り出す。

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに再び取り戻し契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”魔術師”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

その声が聞こえると共にルパンレッドはサードアイを使い、隅々まで走り抜けながら目的のクリスを見つけると共に、変身を解除する。

 

「おい、無事か!!」

 

「っ!!」

 

後ろから雨宮の声に気付き、クリスは一瞬、驚いたように目を見開くが、すぐに走り出す。

 

「おい、どうしたんだ」

 

「来るな!!」

 

すぐに止めるようにクリスの手を繋ぐと、叫んだ。

 

「あたしは、あんたに迷惑をかけてしまった。

さっきのノイズは、全部あたしが呼んでしまったようなもんだ」

 

そう言いクリスは笑みを浮かべながら

 

「あたしの周りにいると、どうせあんたもノイズの灰になるんだ。

それが分かったんなら、さっさと手を離せ」

 

そう言い拒絶するようにクリスは言うが

 

「ノイズは君のせいだとは絶対思わない」

 

「とんだお人よしだな、でもな、これは全部「嘘だとは言わせない」っ!!」

 

「あの時、確かに君は怯えていた。

それは、演技でもなんでもない本心だった。

会って少ししか経ってないけど、君がそんな事をしない子だって分かっているから」

 

「なんだよ、それ」

 

そう言いクリスは涙を隠すように顔を隠す。

 

すると雨宮はポケットに入れていたジュレの名刺を渡す。

 

「もしも、困った事があるならば、ここに来てくれ。

俺が力になる」

 

「・・・・」

 

今のクリスに対して、これ以上の言葉は無意味かもしれない。

 

そう思った雨宮はクリスに名刺を渡すのと同時に、その場を立ち去ろうとする。

 

「雪音クリス」

 

「んっ?」

 

「それが、あたしの、名前だ」

 

「雪音さんか、良い名前だな」

 

その言葉を最後にクリスはその場を去っていった。

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに新たな契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”ケセド”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

再び聞こえた声に耳を傾けながら、クリスが見えなくなるまで、見送っていった。

 

そして、ジュレに戻ると、なぜか土鍋の中に入れらているモルナガがいた。

 

「なんで、土鍋?」

 

「猫を入れるベットがないから」

 

「だから、吾輩は、あぁもう良い」

 

既に聞く耳を持たないソーマに対して呆れたモルナガはため息と共に雨宮を見つめる。

 

「それよりも、連。

記憶を無くしていたのは本当か?」

 

「あぁ。

ここに来る前の記憶は」

 

「吾輩もだ。

吾輩も、ディエゴとして活動していた時の僅かな記憶しかなかった」

 

「それよりも、お前はあれを配っていた張本人だろ。

何かわからないのか?」

 

「残念ながら。

あれがなんなのかなんて、もう記憶はない。

そもそもディエゴって一体」

 

「そうだよな、モルナガのペルソナは確かゾロだったはず」

 

「ゾロにディエゴ。

なるほどじゃな」

 

その名前を聞くと興味深そうに忍は笑みを浮かべた。

 

「なんだ、この餓鬼は」

 

「忍野忍。

今は俺と一緒に怪盗団をしていて、800年生きている吸血鬼だ」

 

「はぁ?!

吸血鬼だって!?

おいおい、なんなんだよ、お前の今のメンバーは」

 

「それよりも、何を納得しているんだ?」

 

「ふぅ、まぁ良いだろう。

そこの猫が言っているゾロとディエゴは同一人物として有名だ」

 

「「???」」

 

「そうか、そういう事か」

 

忍の言葉に納得するようにモルナガは言うが、雨宮とソーマは何を言っているのか、顔を見合わせて疑問に思う。

 

「怪傑ゾロと呼ばれる義賊がその昔におったんじゃ。

そこにいる猫のペルソナはそれを元にしたペルソナを持っていたんじゃが、ゾロの正体はディエゴと呼ばれる貴族だったんじゃよ」

 

「つまりはゾロの正体であるディエゴの名前を名乗っていたという事?」

 

「まるで正反対だな」

 

「だとしたら、吾輩は何者かによって記憶を奪われ、あんな悪業を」

 

その言葉と共にモルナガは悔しそうに歯を噛みしめる。

 

「モルナガ」

 

「・・・分かっている。

過去はどうしたって、消えない。

吾輩もこれからはこの罪と向き合うよ」

 

「じゃが、この調子だと、どうやら雨宮の鍵はどうやら転生者にあるようだな」

 

「それも、元仲間か」

 

その言葉を聞き、雨宮はゆっくりと息を吐く。

 

「奪われたんだったら、奪い返してやる。

俺の記憶も、仲間も全部な」

 



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Les difficultés de la base secrète du voleur~怪盗の秘密基地の困難~

「ようこそ、ベルベットルームへ。
ここは、夢と現実の狭間にある部屋。
今は、あなた様は現実の世界から離れ、ここに案内されました。
私が案内できるのは、未だに少ないですが、あなた様の記憶が取り戻すまでの間、ここでお待ちしております」


モルナガが喫茶ジュレで世話になった次の日、モルナガは呆れていた。

 

「お前、これ、前の生活よりも酷くなっていないか?」

 

「この前まで、怪盗団としての記憶もなかったからな」

 

そう言ってモルナガは見つめると、そこには記憶を無くす前に住んでいた屋根裏部屋があった。

 

ただし、そこにはベットはなく、敷布団が3つあり、各々の私物だと思われる物が広がっていた。

 

「ふっ、俺達は怪盗稼業をしているからね。

普段は目立たないように拠点は最低限であり、資金自体は喫茶店の収入だからね。

家賃と店の維持に使う金を含めた結果の共同生活だ」

 

そう、この店のオーナー兼同居人である石道は笑みを浮かべていた。

 

「だとしても、少しは考えろよ。

一応は男女で暮らしているんだから、というか、あれ?」

 

そう言い、モルナガは疑問に思ったのか、周りを見渡す。

 

「忍野はどこにいった」

 

「なんじゃ騒がしい」

 

その声が聞こえ、モルナガは下を向くと、雨宮の影から頭だけ出した忍がいた。

 

「うわぁ?!

なんで、影の中から!?」

 

「儂は吸血鬼だからな。

影の中に潜むは容易いから、こうして普段は影の中で過ごしているぞ」

 

「影の中って、狭くないか?」

 

「別段狭くはないの。

むしろこっちの方が快適なぐらいだからな」

 

そう言って、忍は影から出てくる。

 

「なんだか、前の生活よりもなっているが、まぁ良い。

それよりも、そろそろ情報を統合するぞ」

 

「やっとか」

 

その言葉と共にソーマは階段から上がってきていた。

 

見ると、その手にはグラタンがあったが

 

「今日のまかないだ。

安くなっていたチーズとキノコとジャガイモを組み合わせたグラタンだ。

一応は猫でも食べられるのを用意した」

 

「だから、吾輩は猫じゃないと言っているだろうが、たく」

 

そう言いながら、差し出された料理を食べてみると、モルナガは眼を見開いた。

 

「なんだ、これぇ!!

舌がとろける程上手いじゃないか!!」

 

「ソーマ君の料理はジュレでも評判でね。

コーヒーの腕は雨宮君、料理はソーマ君のコンビで家の売り上げはかなり上がっているよ。

特に夜は予約が入った時に出る特性フルコースは安くて旨いで評判なんだよ」

 

モルナガの反応を見て、自慢げに語る石道を他所に、モルナガは猫舌なので、ゆっくりと口の中にグラタンを食べながら聞く。

 

「それじゃあ、そこにいる忍野は?」

 

「あぁ、そんなの面倒だからやっていないぞ」

 

その言葉に思わず呆れてしまった目で忍野を見る。

 

「さてさて、家の台所事情はここまでとして、本題から入ろう。

まずはあの仮面の正体についてだが、少し分かった事がある」

 

「分かった事?」

 

「あぁ、モルナガ君の身体に付着していた僅かな欠片から調べた結果、あれは無理矢理特典を作り出す物だったようだ」

 

「無理矢理に特典を?

というか、特典って、そんな簡単に作れたのか?」

 

「そうじゃぞ。

そもそも、神の力じゃなかったのか、特典は?」

 

「正確には、神が作った力だ。

だが、力は力でも、神自身の力ではないぞ」

 

「「「えっ?」」」

 

その言葉に疑問を持った3人は一斉に石道を見つめる。

 

「どういう事?」

 

「あぁ、特典というのは確かに神が作り出した物だが、その材料となる力は転生する人間自身の力だ。

本来ならば使用されるはずだった寿命をエネルギーに変え、転生する奴の望む物に変えたのが特典だ。

それは自分自身と言っても過言ではない」

 

「という事はあいつらは全員、ペルソナ使いだと言う事なのか?」

 

「そうだね。

彼らは『特典』という言葉を神から聞く事によって、自身の中にある力を無理矢理認知させる事で、その力を発揮する事ができる。

死後の魂なんて、肉体という枷がないから、それこそ、本人が最も望む力を手に入れる事ができる」

 

「特典とは本人が望んだ物という訳か。

まるでオタカラだな」

 

「なんだか、どんどん訳の分からない話になっているぞ」

 

「俺達には理解できない話だな」

 

「あぁ」

 

石道とモルナガの話についていけない3人はコーヒーを飲んでいた。

 

「おいっ!!

お前らが一番関係しているんだぞ、真面目に聞け」

 

「と言われても、いきなり貴様が知っている情報で言われても困るんじゃが」

 

「もっと分かりやすく言え

 

「こいつらは色々と問題あるメンバーだな」

 

ソーマと忍の言葉に対して、モルナガは頭を抱えてしまい、笑みを浮かべながら石道は出てい来る。

 

「ようするに、お前達がこれまで戦ってきたのは雨宮の持つペルソナが制御できていない姿だ。

クラーケンなどは、連の持つ力の影響で制御できるようになった姿だと思ったら良い」

 

「なるほど」

 

その言葉に納得したように忍はグラタンを食べきる。

 

「儂らのように生まれた後に手に入れた力ではないか。

つまりはこいつも転生者なのか?」

 

「いや、ペルソナは元々連が持っている能力で間違いない。

けど、可笑しいなぁ、ペルソナはそもそも認知の世界にしか召喚できないはずなんだけど」

 

「あぁそれについてはこれだよ」

 

そう言い、連が取り出したのはレッドダイヤルファイターだった。

 

「こいつは特典を奪う力がある他に、俺のペルソナを実体化させる事ができる能力がある。

最初に石道から言われて、認知がなんなのか、忘れていたけどな」

 

「へぇ、こんなのが?」

 

そう言い、興味深そうにレッドダイヤルファイターを見つめる。

 

「というよりも、儂としてはこいつの存在の方が気になるのじゃがな」

 

そう言いながら、忍は石道と一緒に話していたモルナガを掴みながら、睨む。

 

「というか、お主以外のメンバーは知らないのか?」

 

「さっぱりだ、前にも言ったけど、吾輩自身の名前とあとは組織の名前ぐらいだ」

 

「組織の名前って!!

なんで、そんな重要な事を言い忘れたんだ!!」

 

「というよりも、組織!?」

 

モルナガの言葉に、忍とソーマは叫んだ。

 

「組織の名前?」

 

「あぁ、名前はギャングラー」



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Le chat et la chasse de voiture du pirate~バスになった猫と海賊のカーチェイス~

「それにしても、お前の行動パターンは相変わらずだな」

 

「そうか?」

 

その日、雨宮は町を見渡しながら、幹部だと思われる存在の探索を行っていた。

 

彼の肩にはボストンバッグがあり、そこから顔を出しているモルナガは記憶を無くす前から行っていた行動に対して呆れるように言う。

 

「まぁ、俺達以外のメンバーの事についてはまるで記憶にない状況だから少しでも分かれば良いけどな」

 

「そんな簡単に「あれ、雨宮さん」んっ、その声は」

 

後ろから聞こえた声に振り替えると、なぜか体操服を身に纏った響と、見た事のない赤いジャージの男性がいた。

 

「響君、彼は?」

 

「あっはい。

この人は雨宮連さんと言って、私がよく通っている喫茶店の店員さんです」

 

「そうか、俺の名前は風鳴弦十郎だ。

よろしく頼む」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

見た所、とても鍛えられている事が分かり、握手した感触だけでも、ソーマ以上の怪力があると連は警戒していると

 

「んっ?」

 

すると、何か気になったのか風鳴さんが連を見つめる。

 

「雨宮君」

 

「はっはい」

 

その目から感じる視線に対して、正体がばれてしまったのかという焦りが出そうになるが、ポーカーフェイスを心がけていると

 

「君のバックには猫がいるようだが、俺の気のせいか?」

 

「あっあぁ」

 

どうやら、視線はモルナガのようだったので一瞬だけ力が抜ける。

 

「はい、そうですよ。

こいつはモルナガと言って、今、俺達で飼っている猫です」

 

「うわぁ、凄く綺麗な黒猫ですね!!」

 

「うわぁ、何するんだこの子は!!

くすぐったいだろう、にゃあ」

 

モルナガの事に気付いた響は思わずモルナガを撫でていた。

 

最初は鬱陶しがっていたモルナガだが、何やら手慣れた動きでモルナガを撫でているとすぐに甘えるような声を出し始めた。

 

「響君もここの所、忙しかったし、少し良い気分転換になっているようで、何よりだ」

 

「それで、風鳴さんと立花さんって、どういう関係なんですか?

なんだか全然接点がないようですが」

 

「むっ、そうだな。

俺の仕事先で会った子なんだ」

 

「仕事先?」

 

「あっはい、そうなんですよ!

私、バイトをする事になっていて、あっ勿論怪しい店じゃないんですよ!

でも未来には秘密にしておいてください」

 

「まぁ別に良いけど」

 

「あっそれじゃあ、私達、もうそろそろ行きますので!!」

 

「そうか、気を付けて」

 

そう言い、響達が走り去っていく姿を見ながら、バックから出てきたモルナガは見つめる。

 

「あいつがお前の言っていた響っていう子か。

確かに純粋だな」

 

「まぁな、それにさっきの人、とても良い人そうだ」

 

「確かにな僅かな記憶で見ていた俺達の知っている大人とは全然違う。

これだったら、心配なさそうだな」

 

「だと良いけど」

 

雨宮はそう言いながら、これからどうするかを悩んでいると

 

「おらぁ、さっさと運べ運べ!!」

 

「んっ、なんだぁ?」

 

突然聞こえてきた声に驚き、見てみると、そこには暴走したバスが道を走っていた。

 

何が起きているのか、状況の把握ができなかった雨宮はそう言いながら、見てみると、バスの中では乗客だと思われる人物と身体に穴がついた謎の集団、そしてリーダーだと思われる存在がいた。

 

「あいつはディーチ!?」

 

「知っているのか」

 

「まぁな、パワー馬鹿で足も早いし、打たれ強い。

単純な身体能力だけを言ったら、幹部の中でも一番の強さを誇るけど、その変わりとんでもない馬鹿な幹部だ」

 

「それじゃあ、あれは」

 

「さぁな、けど、放っておけないという顔をしているだろ」

 

「当たり」

 

そう言って、モルナガはバックから飛び出すと、近くの建物へと入り込むと同時に連はVSチェンジャーとレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その言葉と共に、ルパンレッドへと変身した雨宮と共に、走り出したモルナガは一瞬だけマスコットを思わせる本来の姿から、さらには少し大きめのバスへと変わった。

 

「思った通りだぜ。

ダイヤルファイターの範囲だったら、バスにもなれるようだな、おいジョーカー、バスの運転は」

 

「任せろ、レッドダイヤルファイターでの運転でスピードには慣れている」

 

「それは頼もしいぜ!」

 

ルパンレッドの言葉を聞き、笑みを浮かべながら、モルナガカーのエンジンは始動すると共に走り出す。

 

「あぁ、なんだ、あの不細工な車は?

こっちに来ているようだが、構わねぇ、邪魔だから撃てぇ!!」

 

「気をつけろ、あいつらはボーダマンと言って、集団での戦闘に慣れている。

まぁ幹部の中でも教育ができていないディーチの奴らだったら問題ないぜ」

 

「モルナガ、風を出しながらいけるか?

被害を抑えたい」

 

「おっと、分かったぜ。

ならば、行くぜ」

 

その言葉と共にモルナガカーの身体は一瞬光ると同時にその背後から現れた紳士を思わせる恰好をしたペルソナが手に持ったレイピアを構えると

 

「威を示せ!ゾロ!」

 

その声と共に現れたゾロはレイピアを振るうと、ディーチが走らせているバスが突然現れた風によって、止められてしまう。

 

「うわぁがぶぅ!!」

 

止められた事により、ボーダマンの手に持っていた銃が次々とディーチの身体に当たっていく。

 

「何をするだぁ!!」

 

その事に怒りを露にしたディーチは立ち上がるが、目の前に迫っていたモルナガが肉球が見えていた。

 

「ラッキーパンチ!」

 

「嘘だろ!?」

 

想像を遥かに超えた威力にやられたディーチはそのままバスから無理矢理降ろされる。

 

それに驚きを隠せないボーダマンに対して、ルパンレッドは次々とVSチェンジャーを使い、倒していく。

 

「よし、とりあえずは乗客の安全の確認はできたぜ。

あとは、あの馬鹿ディーチを止めるだけだ」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、道路に出てみると、ディーチはルパンレッド達を睨みつけた。

 

「よくも、俺の邪魔をしてくれたなぁ!

覚悟はできているんだろうなぁ!」

 

そう言ってディーチが取り出したのは仮面だった。

 

「あいつまさか」

 

「ほら、飛んでけぇ!!」

 

「「ええぇ!!」」

 

ディーチが行った方法とはまさかのアイテムを遠くへと投げ飛ばす事だった。

 

あまりの事で驚きを隠せない二人は、ディーチを見る。

 

「お前、馬鹿だろ」

 

「へっそれはどうかな」

 

そう言って、ディーチは余裕の笑みを浮かべていた。

 

何か企んでいる様子で、警戒をしているとドゴンッという音と共に、何かが吹き飛ばされた。

 

「まさか、奴が何か」

 

急いで見てみると遠くから吹き飛ばされてきたのは機械の骨がむき出しになっている存在が空から吹き飛ばされ、ディーチの隣にいた。

 

「えっ?」

 

「あの、ルパンレッドさん、無事ですか」

 

「あっあぁ、もしかしてお前が」

 

後ろを振り向くと、そこにはシンフォギアを身に纏った響がその場に立っていた。

 

「えっいやぁ、助けに来たのは私ですけど、吹き飛ばしたのは別の人でして」

 

何やら迷った様子で返答する響だが

 

「とりあえずは危ない所を助けてもらって、感謝する」

 

「えっ」

 

「どうした?」

 

ルパンレッドの言葉を聞いて、少し呆けた響を見つめると

 

「いえ、師匠のおかげですので」

 

「そうか、だけど、行けるか」

 

「勿論です」

 

「ちぃ、てめぇら、出ろ出ろ!!」

 

そう言ったディーチの言葉に合わせるように、後ろのマンホールから次々とボーダマンが現れる。

 

「へへっ、どうよ、この数は」

 

「数ねぇ」

 

「なんだ、びびって、声が出ないのか。

だけどまだがぁ!?」

 

ディーチは自慢するように言おうとした瞬間、マンホールから現れたボーダマンはディーチを踏んでいる事を気付かず、大慌てに逃げていた。

 

そうしているとマンホールから出てきたのは、ルパンブルーとルパンイエローだった。

 

「まったく、こっちの営業を妨害しおって」

 

「覚悟してもらおうか」

 

「ブルーさんにイエローさんも!!」

 

「けっ」

 

「えぇ!」

 

響は合流した二人を見て、喜ぶように手を振るが、気に入らないようにイエローは唾を吐く動作をした。

 

「とりあえずは」

 

それを合図に、ルパンレッドは指を鳴らす。

 

それにより、その場を走っていたボーダマン達は一瞬だけ、動きを止め

 

「ルパンレッド!」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

名乗りをあげた3人はそのままVSチェンジャーをディーチ達に構えた。

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー」」」

 

「なっ」

 

「予告する、あんたのお宝、頂くぜ!!」

 

「盗れるもんなら、盗ってみやがれぇ!!」

 

その言葉にきれたディーチを合図に手に持った鉄パイプを地面に叩きつけると、怯えたボーダマン達は各々別方向へと逃げ出す。

 

「立花、行くぞ!!」

 

「っはい!!」

 

その言葉と共にルパンレッドは目の前にあるカードを握りしめる。

 

同時に後ろから現れたのはイザナギではなく、巨大な岩の腕が現れる。

 

「これは」

 

「合わせろ」

 

「はい!」

 

何が起きているのか分からない響はルパンレッドの言葉に驚くが、自然と出てきた言葉を言うように、ゆっくりと息を吸い

 

「「アースガルズ!」」

 

二人の声が合わさるのと同時に巨大な腕はボーダマン達と謎の転生者を瞬く間に吹き飛ばした。

 

「はあぁ!

なんだよ、これ、聞いてないぞ」

 

「さて、お主からは聞きたい事があるからな」

 

「大人しくしていろ」

 

そう言い、二人はディーチにVSチェンジャーを構えるが

 

「捕まってたまるかよ、ドレイク!!」

 

その言葉と共に背後から現れたペルソナから出てきた雷が町に襲い掛かり、アースガルズを使い、その攻撃を防ぐ。

 

「奴は」

 

「逃げ足だけは早いようじゃな」

 

周りを見渡すと既に逃げた後なのか雷の焼き跡しか残っていなかった。

 

「さて、こいつの特典を」

 

そう言おうとした瞬間

 

「なっシャドウだと」

 

「シャドウって、そう言えば」

 

その光景は前に見た事のあるシャドウが姿を変える光景によく似ており、瞬く間に巨大な機械の骸骨の怪物へと変わっていた。

 

「おぉっと、これはなかなかの大物じゃないかよ!!」

 

「あっ丁度良かった」

 

その言葉が聞こえ、その方向を見てみると、グットストライカーが飛んでおり、ルパンレッドはすぐにグットストライカーを取る。

 

「行くぜ」

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

【GO・GO・GO・GOOD!!】

 

その音声と共にグットストライカーは巨大化すると共に、レッドダイヤルファイターも巨大させ、ルパンレッドはレッドダイヤルファイターへと乗り込んだ。

 

「あれ?」

 

「えっ行くぞって言われたので」

 

「そういう訳じゃなかったけど」

 

レッドダイヤルファイターに乗り込んでいたルパンレッドは一緒に乗り込んでいた響を見てしまった。

 

「まぁ良いじゃないかよ。

こういうのもグッときたぜ!!怪盗ガッタイム!」

 

グットストライカーの声を合図に、変形していき、ルパンカイザーへと変身すると共に、前回に身に纏っていたマントはなく、腰には学生服を思わせるローブがあり、イエローダイヤルファイターの回転カッターは刀を思わせる形へと変形する。

 

「完成、ルパンカイザー!」

 

「これは、また変わっているな」

 

前回と変わった形に驚きを隠せなかったが、それでも敵はその驚きを逃さないように襲い掛かる。

 

だが、刀に纏った雷を振り払うと、機械は一瞬で動きを止めた。

 

「あれ、これって前に出たのとそっくりだけど」

 

「あぁ」

 

「これは驚いた。

こいつ、ジョーカーのペルソナの力を取り入れているようだぜ」

 

「うわぁ、猫が喋った!!」

 

「猫じゃないし!!

とにかく、さっさと決めるぜ!!」

 

「いいねぇ、ビリビリにグッとした一撃を決めるぜぇ」

 

その言葉と共にルパンカイザーの目の前に半透明のVSチェンジャーが出てくる。

「グットストライカー!

ビリビリに痺れちまえショット!!」

 

その一言と共に、VSチェンジャーの銃口を中心に雷が集い始まり、一点に集まるのと同時に引き金を引く。

 

「永遠にアドゥ」

 

その一言と共に、VSチェンジャーから出てきた光は敵を貫き、同時に爆散する。

 

「やったぁ!」

 

「気分は上機嫌、じゃあねぇ」

 

その言葉と共に、響は地面に置いていかれると共に、残りのメンバーはそのままダイヤルファイターを使い、その場から退散していく。

 

「それにしても、なんなんだ、このダイヤルファイターは?

俺達の力を現実世界に出すだけじゃなく、ジョーカーの力も強くさせるなんてな」

 

「俺も記憶が未だに取り戻せていないからな。

とりあえず、今度のターゲットは」

 

「あぁ、ディーチだな」

 

今回の戦闘において、暴れていたディーチ。

 

その退散時に行った能力は、間違いなくペルソナであった。

 

その事も含め、彼らの次のターゲットはディーチに決まった瞬間でもあった。



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Jusqu'où dure la tour dans le rêve ?~夢の中の塔はどこまで続く~

その日、新たなターゲットであるディーチに決まるのと同時にすぐに動き出した。

 

ディーチが襲撃したバスの乗客のリストを手に入れた石道と共に見つめる。

 

「これは、面白いね。

ここにいる人々は皆、転生後の記憶がなく一般人と変わりない生活をしていた。

だけど、その能力はどれも強力だ」

 

「という事は、ディーチはそれを狙って?」

 

「いや、全員が別々の目的でバスに乗っている。

おそらくは何かに誘導されたと思うが、ディーチが行ったとは考えられない」

 

「別の幹部がディーチに唆したのだろうな。

あいつは他の幹部に比べて力に対する執着が強かったからな」

 

ディーチの事を知っているモルナガの話を聞くと共にその場にいる全員が予測する。

 

「モルナガ、他の幹部の名前は分かるか?」

 

「悪いが、俺が知る幹部はディーチの他には、自分の美しさに絶対の自信を持っている『マリエ』自分の芸術の為に動く『イシカワ』に商売を行っている『ヘイ』ぐらいだ。

他の奴は警戒心があって、名前は分からない」

 

「ディーチの名前からして、歴史の人物と何かしら関係はあると思うが」

 

「情報が少なすぎるねぇ、これは」

 

「あぁ、だが、我が輩の記憶の中でも一番に警戒している奴が一人だけいる」

 

「一番に?」

 

「あぁ、そいつの名前は分からないが見た目の特徴から、我が輩は鴉と呼んでいる」

 

「鴉って、そのままじゃな」

 

「あぁ、だが、おそらくは奴は幹部の中でも最強だ。

今でも」

 

そう言ったモルナガの身体は震えており、彼がどれだけ恐ろしい存在なのか、よく分かる。

 

「くよくよしても、仕方ない。

今は寝るぞ、もうすぐ0時だ」

 

「儂としては、まだまだ足りないがな」

 

「明日も店だからね。

情報の整理はまた今度だ」

 

その言葉と共にソーマと石道はすぐに寝る準備を行った。

 

「おい、お前もそろそろ寝ろよ。

明日も速いんだから」

 

「あぁ」

 

モルナガからの声に従うように、雨宮もすぐに寝そべった。

 

目を向けてみると、ゆっくりと時計の針は0時を指した時だった。

 

鐘の音が鳴り響くと共に、雨宮の意識はどこかへと飛ばされていった。

 

「ここは」

 

「ようこそ、我がベルベットルームへ」

 

「ベルベットルーム?」

 

不思議と懐かしい言葉に耳を傾けていると、近くに女の子が来ている事に気づく。

 

「お久しぶりですね、トリックスター」

 

「トリックスター?」

 

その言葉に疑問に思うよりも前に、周りを見渡すと、そこはまるで小さなオーケストラなどを行う為に開かれた会場であった。

 

「なんだか、違うような」

 

「それはこの世界でのあなたの心によって、新たに変わったからです」

 

「ここは、お客様の意思によって、様々な形へと変化していきます。

申し遅れました、私の名前はイゴール、このベルベットルームの主を務めております」

 

「私はラヴェンツァ、ここであなたの案内をする者です」

 

「案内か」

 

「それではまずはこのベルベットルームで行える事から説明します。

ここでは、あなたがこれまで得たペルソナ同士を合体させ、新たなペルソナを生み出す事ができます」

 

その言葉と共に雨宮の中にいたペルソナであるクラーケンと腕だけだがアースガルドが出てくる。

 

二つのペルソナは楽譜に刻まれる音符へと変わると、部屋にあったピアノへと導かれた。

 

「楽譜と楽譜が合わさり、新たな音楽が誕生するように、ペルソナとペルソナが合わされば、新たなペルソナが誕生するのです」

 

その言葉と共にラヴェンツァはピアノを弾くと、そこから音が広がり、現れたのは背中から巨大な光を発するドラゴンだった。

 

「我が名はグラジエフ、大地を司るその力で、貴殿を導こう」

 

その言葉と共にグラジエフはゆっくりと雨宮の中へと合わさっていく。

 

「なんで、俺に?」

 

「あなた様は、この部屋の客人であります。

そして、同時に私達にとっての恩人でもあります」

 

「それって、俺の過去の事を」

 

雨宮はすぐに飛び出しそうになりながら、詰め寄る。

 

「勿論、ですが、その事についてはお話する事はできません」

 

「なんで」

 

「私達はあなたを導く事が役目。

ですが、もしも全てを知ったとしても今のあなたではこれから待ち受ける困難を超える事はできません」

 

「それだったら、どうやって」

 

「絆を紡ぐのです」

 

「絆って」

 

「既に知っているはずです。

あなたには立花響と結んだ時に芽生えた力を」

 

「それって、イザナギの事か?」

 

「あれは力の始まりにすぎません。

あなたがどのように絆を結ぶ事によって、より大きな力を得られるはず」

 

「かつてのあなたを知る私達だからこそ言える事です。

そして、どうか、忘れないでください。

あなたには絆があるという事を」

 

その言葉はどこまでも信じており、優しい言葉だった。

 

「分かった、約束しよう」

 

「それでは、新たな絆を紡ぐ為にとある場所へと向かってもらいます」

 

「とある場所?」

 

その言葉と共に、扉は開かれ、見てみると薄暗い光が灯っていた。

 

「あそこは死の淵。

今、あの子を助けられるのは、あなただけです」

 

「死の淵、よく分からないが、行かなきゃいけないという事なんだな」

 

「左様、こちらを」

 

その言葉と共に、VSチェンジャーとレッドダイヤルファイターをイゴールから渡される。

 

「これは」

 

「現実にある物を摸した物です」

 

「なんだか、未だに分からない事ばかりだが、とにかく、やるだけやってみるか」

 

「いってらしゃいませ」

 

「お気をつけて」

 

2人の言葉を聞きながら、ゆっくりと出て行くと、そこに広がっていたのは塔だった。

 

物理法則や、様々な事を無視した不気味な建物は震えながらもゆっくりと進んでいく。

 

「一体、どういう建物なんだ、ここは?」

 

疑問に思いながら、進んでいると、足音が聞こえ、すぐに近くの物陰に隠れた。

 

すると、そこに歩いていたのは泥のように溶けた仮面をつけた怪物だった。

 

「なんなんだ、あれは?」

 

そう疑問に思っていると、別の足音が聞こえた。

 

「今度は、えっ?」

 

そこを歩いていたのは風鳴翼だった。

 

その服装は病院服であり、目には正気がなかった。

 

「何なんだ、ここは?」

 

そう思っているが、考えるよりも先に、手に持ったVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターを装填し、走り出す。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に、雨宮はルパンレッドへと変身し、翼を連れて行こうとしていた影を打ち抜いた。

 

「・・っ!

ここは」

 

「目が覚めた」

 

「お前はルパンレッド」

 

未だに完全に目覚めた状態の風鳴ではないが、少しだけ頭を振りながら、見渡す。

 

「ここは」

 

「俺にもさっぱりだ。

ただ、一つ、結構やばそうな所だという事だけだな」

 

「あぁ、それは分かる。

だが、私は、確か、あの時絶唱を使い」

 

「絶唱?」

 

何を言っているのか分からず、首を傾けるが、すぐに後ろを振り向くと、そこには先程と似た影の化け物が次々と現れる。

 

「とにかく逃げるぞ。

ここがどこかなんて、後で考えるぞ」

 

「了解した」

 

その言葉と共に、ルパンレッドは走りながら、風鳴を守るようにVSチェンジャーを撃ちながら走っていく。

 

敵の数は減る事がなく、行った時と同じルートを辿ったはずだが、出口にたどり着けなかった。

 

「まったく、死の淵だとは言っていたが、確かにこれだったら生き返るのに時間がかかる訳だ」

 

「死の淵?」

 

「あぁ、俺にこの場所を案内してくれた奴の言っていた言葉だが、風鳴さん?」

 

ふと、足を止めた風鳴は目を閉じる。

 

「確かにそれならば納得かもしれない。

私は死んでしまったんだ」

 

「何を言っている」

 

「すまない、ルパンレッド。

私を置いていってくれ。

そうすれば、助かるかもしれない」

 

「何を言っているんだ?」

 

風鳴の言葉に納得ができず、ルパンレッドはすぐに詰め寄る。

 

「私は防人としての使命を果たす為に命に代えた技を行った。

その結果が、死ならば、私は受け入れよう」

 

そう言った翼は悲しそうな目をしながら、先程までの道を戻ろうとしたが

 

「受け入れて、何がある。

例えお前が死ぬと決めたとして、俺が戻れる保証はない。

だったら、俺はお前を連れて生き残る手を探す方が良い」

 

「しかし」

 

「生きるのを諦めるな」

 

「えっ?」

 

「俺は、いつだって自分の為に生きている。

誰かを悲しんでいる姿なんて、見たくないから。

だから、そんな諦めた顔をするな」

 

そう言ったルパンレッドだが、風鳴は目に涙を溜め始めた。

 

「えっ、どうしたんだ!?」

 

「なんでもないっ!

そうだ、私は、諦めたくない!!

奏の為にも」

 

「奏?」

 

誰だか知らない人物だと、疑問に思っていると、影は凄い勢いで集まり、そこには大量の黒い腕のみが集まった怪物だった。

 

「あれは、私を引き摺る為に来たのか」

 

「させるかよ」

 

そう言って、ルパンレッドは風鳴の前に出る。

 

「戦わなければ生き残れない。

だったら、俺は戦うだけだ」

 

「あぁ、そうだな」

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに新たな契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”カフ”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・ 

 

「これは」

 

その言葉と共に、ルパンレッドの手にはVSチェンジャーとは違う、拳銃があった。

 

その使い方は響の時と同じく自然に頭に思い浮かぶと共に、ゆっくりと自身の頭へと向ける。

 

「ペルソナ」

 

その言い慣れた言葉と共に現れたのは、機械と人が合わさったようなペルソナが現れ、その背中には巨大な琴を背負っていた。

 

「Dreamless dorm ticking clock 」

 

そのペルソナが現れると共に、翼もまた歌い始めた。

 

戸惑いを見せた翼だが、自然とその口は動きを止める事なく続ける。

 

同時に、襲いかかる存在が襲いかかる。

 

「オルフェウス!」

 

ペルソナの名前、オルフェウスの名前と共に叫ぶと、手に持った琴を引くと敵を燃やし始めた。

 

だが、炎の中から現れた腕は、それでも襲いかかるようにオルフェウスを襲い、動きを封じ込める。

 

「ぐっ」

 

締め付けられた事で本体であるルパンレッドも来るし始めるが、翼は

 

「I will burn my dread 」

 

その声と共にオルフェウスの腹部にあるスピーカーから、発する音によって、敵の拘束を引きちぎり、そのまま手に持った琴を使い、敵を吹き飛ばした。

 

「オルフェウス!」

 

その言葉と共に、VSチェンジャーを構えると、銃口に炎が集まり始めると共に

 

「アギダイン!」

 

引き金を引く。

 

業火とも言える炎が敵を燃やし尽くした。

 

「はぁはぁ、この歌は」

 

「それは分からない。

だけど、とにかく脱出だ」

 

「えっどうやってっ!!」

 

風鳴はルパンレッドの言葉に理解できないようだったが、説明するよりも先に風鳴を抱えると共に走り出す。

 

「えっどこにって、きゃぁ!」

 

ルパンレッドが走り抜けた先、そこは先程のオルフェウスと共に放ったアギダインによってできた穴から脱出する。

 

「そんな無茶な」

 

「無茶な事でもできるさ。

生きていれば、いくらでもな」

 

その言葉と共に風と共に地面へと落ちていく。

 

もう片方の手から出したワイヤーでスピードを緩めながら、ゆっくりと地面へと降りていく。

 

「はぁはぁ、本当に無事にたどり着けた」

 

「まったくな」

 

そう言っていると、ふと風鳴の足下が光り始めた。

 

「これは」

 

「あぁ、なんとなく分かる。

私は元の世界へと戻れる気がする」

 

「えっ?」

 

一人、納得するように頷く。

 

「感謝する、ルパンレッド。

私は」

 

その言葉続かず、その姿を消した。

 

「今のは」

 

「元の世界へと戻っていったんです」

 

その言葉と共に出てきたのはラヴェンツァが現れる。

 

「ここはタルタロス。

その昔、あなたと同じペルソナ使いによって、封じられた死の塔です。

生死の曖昧なこの世界において、死を象徴する為にできあがった場所です」

 

「死の塔、それって、つまりは風鳴さんは」

 

「今は大丈夫です。

魂は現実の身体へと無事に戻りました」

 

「それだったら、良かったかな」

 

そう言いながら、タルタロスを見つめる。

 

「時間です。

現実のあなたに戻る時間です」

 

「なぁ、ラヴェンツァ。

最後に質問なんだけどさ」

 

「なんですか?」

 

「俺があの力を目覚めた時に聞こえたカフとは一体」

 

「この世界でのあなたの絆の名です。

生命の樹に記された絆が、きっとあなたを導いてくれるでしょう」

 

その言葉と共に、ゆっくりと周りの景色が消え、目を覚ますと、そこに飾られている時計の時刻を見てみると、時計の針は僅かに1分程しか経っていなかった。

 

「ベルベットルームか」

 

1時間程の体験のはずが、1分しか経っていない事に疑問に思いながらも、身体に来る疲労と共に再び眠りについた。



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Les pirates se souviennent de l'amitié dans les flammes~海賊は炎の中で友情を思い出す~

(ちっ)

 

その日、クリスはある場所に座っていた。

 

雨宮達がモルガナを取り戻した夜と同じ頃に起きた翼との闘いにおいて、絶唱を正面から受けた事により、ネフシュタンの鎧は調整の為に手元にはなかった。

 

それを含め、ソロモンの杖を保管し、手元にあるのはイチイバルだけだった。

 

「ちくしょぉ」

 

任務に失敗をしてしまったクリスはそのまま悔しさと共に、手を握りしめていた時だった

 

「おっ今日は会えたか」

 

「その声は」

 

ふと聞こえた声に気付くと、そこに立っていたのは雨宮だった。

 

「ドーナツ、食べるか?」

 

「あっあぁ、悪いな」

 

そう言い、変わらぬ態度で渡されたドーナツに戸惑いを見せながら、受け取る。

 

「にしても、お前も変わった奴だな。

わざわざ、そのこんな所に来て」

 

「なかなかにお気に入りの所だからね。

それにモルナガにも見せたかったからな」

 

「モルナガ?」

 

「ほら」

 

そう言い、取り出したカバンから出てきたモルナガの姿を見て、驚いたように見つめる。

 

「おいおい、カバンの中に入れたら、駄目だろ」

 

「いやぁ、なんだかんだカバンの中が気に入っているようなんだよ」

 

『移動の為に入っているだけだ。

まぁ気に入っていないと言うのは嘘になるからな』

 

クリスにはモルナガはそのまま聞こえない声で呟きながら、クリスはモルナガを見つめる。

 

「触るか?」

 

「いっいや、別にあたしは、その」

 

そう言いながら、ちらちらとモルナガを見つめながら、ゆっくりとモルナガの頭を撫でる。

 

「なんか、良い感触だな」

 

「だろ」

 

『おいおい、あんま乱暴に触るなよ』

 

モルナガを撫でながら、クリスは雨宮と過ごす時間に、クリスは先程までの悔しい思いは消えつつあった。

 

「おい」

 

そんなゆっくりとした空気に聞こえてきた声に気付き、雨宮達はその方向を見ると

 

「こんな所でさぼっていたのか」

 

「おう忍」

 

「誰だ?」

 

その方向を見ると、白いワンピースを身に纏っている忍が立っていた。

 

「こいつは?」

 

「俺の家で一緒に住んでいる忍野忍だ。

忍、こっちは「雪音クリスじゃな」んっ知っているのか?」

 

「あぁ、よくな」

 

そう言いながら、クリスを睨みつける忍。

 

「お前の家、どうなっているんだ?」

 

「まぁ色々と訳アリでね」

 

「そうじゃな、お前では踏み入れない程の関係じゃがらな」

 

そう言って、忍は雨宮の腕を掴む。

 

「そうかよ」

 

そう言いながらも、クリスは反対側で手を握る。

 

「えっ?えっ?」

 

何が起きているのか分からない雨宮は左右で睨みあっている二人を見ながら、モルナガに視線を向ける。

 

『これはいわゆる修羅場だな。

吾輩が見る限りじゃと、忍はわざとで、雪音の方はなんとなくだな』

 

モルナガの意見を聞こえた雨宮だが、そんな事よりも助けてほしいと視線で訴えるが

 

「おい、離したらどうだ?」

 

「そっちこそ、離さないんじゃないか?」

 

そんな雨宮を他所に睨んでいる二人にどうするか考えていると

 

『んっ?

おい、連、このビリビリとした感じ。

間違いないディーチだ』

 

「っ!!」

 

モルナガの声を聞き、雨宮は立ち上がる。

 

「えっ?」

 

「んっ?」

 

呆けた声で見つめていたクリスとモルナガの声が聞こえた忍は手を離した。

 

「ごめん、モルナガが逃げたから、ちょっと追いかける」

 

「おい!?」

 

突然走り出した雨宮に驚き、クリスはそのまま立っていた。

 

「じゃあな」

 

そして、そんなクリスに向けて挑発するように笑みを浮かべた忍もまた雨宮の後ろについていく。

 

「ちっ、待てよ」

 

忍の態度と雨宮の事もあり、クリスもついていく。

 

その先には古い建物があり、その建物内に入った雨宮とモルナガはゆっくりと、パレスでの侵入方法を思い出すように歩いていく。

 

「ちっあぁくそぉ!!」

 

そうして、聞こえてきた声の方向を見てみると、苛立ちを隠せないディーチが近くにある物を鉄パイプで叩き潰していた。

 

「あの野郎!!

俺をよくも利用しやがって、馬鹿にしやがって!!

今度会ったら、絶対に叩きのめす!!」

 

「ほぅ、まさかこんな所に隠れていたとはな」

 

「ギャングラーがこっちの世界にいる時の基地の一つだと予想はできるんじゃな」

 

やがて合流した忍は、近くで会話を続ける。

 

「どうやら、こっちには気付いていないようだな」

 

「あぁ、ゆっくりと一気に」

 

そう言いながら、ディーチの仮面へと目を向けていると

 

「おい、なんか大きな音が聞こえたけど」

 

「あっ」

 

『しまった!』

 

こちらを心配して来たクリスに気付いた雨宮とモルナガ。

 

同時にこちらに気付いたディーチは3人の方を睨む。

 

「なんだぁ、てめぇらぁ!

見せもんじゃないぞ、おらぁ!!」

 

その叫び声と共にディーチはその手に持った鉄パイプを地面に叩きつけると共に強烈な雷が辺り一面に広がり、雨宮達を襲いかかる。

 

「うわぁ!?」

 

「なんだ、これはっ!?」

 

襲いかかってきた一撃から身を守る為にその場から離れ、近くの建物に入った雨宮達だが、雷は収まる事なく、建物の壁を軽々と砕け散った。

 

「あいつ、とんでもない化け物だ」

 

「あぁ、しかも、ああ言う単純な奴は暴れても気にしないタイプだ。

下手に街へと行くと、被害が広がるぞ」

 

忍はそのまま考察を語ると、雨宮は眼鏡をかけ直すと共に

 

「ここは俺が囮になる。

どうせこのままじゃ、全員が危険だ」

 

「はぁ何を言っているんだ!!

お前一人で何ができるんだよ!!」

 

「何にもできないかもしれない。

だけど、クリスと忍が助かる可能性がある」

 

その言葉と共に雨宮は飛び出す。

 

すぐに呼び止めようとするクリスだが、忍の引っ張る手によって、それは遮られてしまう。

 

「何をするんだ!!」

 

「それはこっちの台詞じゃ。

お前、どこに行くつもりだ?

まさか、何の策もなく、行くつもりか?」

 

「お前こそ、散々あいつと仲良いとか言って、自分の命が大事になったら、見捨てるのか!!」

 

そう、忍の掴んだ手を無理矢理離すと、雨宮の元へと走り出す。

 

「ちっ、だから、餓鬼の面倒を見るのは嫌いなんじゃよ」

 

そう言いながら、クリスが見えなくなった所で、忍は影の中から勢いよく飛び出したVSチェンジャーとイエローダイヤルファイターを取り出し、装填する。

 

【YELLOW!】【3・6・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジじゃ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に忍の身体に合わせた小さなルパンレンジャー、ルパンイエローへと変身すると同時に、目を瞑る。

 

同時に、近くの樹に触れると共に、樹の影を通した光景を見つめていく。

 

「ちっ、さすがに音しか聞こえないが、だいたい分かった」

 

言葉を言い終えると共にルパンイエローはその足に力を籠めて、走り出した。

 

「ちぃ」

その場では、イチイバルを身に纏ったクリスがボーダマンと戦っていた。

 

「てめぇら、邪魔だ!!」

 

その言葉と共に、手に持ったイチイバルをガトリングへと変え、周りにいるボーダマンを撃っていく。

 

「まだ、こんな所か」

 

「おめぇは」

 

そう言いながら、ルパンイエローに気づいたクリスは銃口をルパンイエローに向けるが

 

「私を狙っている場合か?」

 

「っ!!」

 

その言葉と共に、本来の目的を思い出したように振り返ろうとした時だった。

 

「おいおい、邪魔者を始末しようとしていたら、まだここにいるのかよ」

 

「お前」

 

クリスが見つめた先にいたのは、ディーチだった。

 

「てめぇ、雨宮をどうした?」

 

「あぁ知らねぇよ。

でも、まぁ、途中で憂さ晴らしに雷を鳴らしたから、どっかでくたばったかもな」

 

「てめぇ!!」

 

その一言に切れたクリスはその手に持ったイチイバルを変形させ、ディーチへ狙いを定め、放つ。

 

「なかなかに思い切った一撃じゃないかよ。

でもなぁ、その程度がどうなんだよ!!」

 

ディーチはイチイバルの攻撃を正面から受け止めるが、まるで何もダメージを受けてなかったように走り出し、その手に持った鉄パイプを投げる。

 

「ぐっ、ただの鉄パイプだろ、これっ!!」

 

鉄パイプを受け受け止めたボウガンは簡単に砕けてしまい、文句を言おうとしたが、ディーチは既にドレイクを呼び出していた。

 

「ぶっ飛べ、ドレイク!」

 

その一言と共に辺り一面に雷を放つ。

 

すぐにその場を避けるが、雷の光によって、クリスは目を閉じてしまう。

 

「はぁ!」

 

「がはぁっ!!」

 

目の前に迫っているディーチの攻撃に反応する事ができず、吹き飛ばされる。

 

「さぁ、まずはてめぇからだ!!」

 

そう言い、ディーチはドレイクに乗り込み、クリスに襲いかかる。

 

「っ!!」

 

避けきれない攻撃に目を見開き、覚悟をした時だった。

 

ルパンイエローがクリスを蹴り飛ばし、クリスの代わりにその攻撃を受け止める。

 

「お前っ!!」

 

「へっ、どうやら想像とは別の奴を捕らえたようだな」

 

すぐにルパンイエローを助ける為にクリスは近づく。

 

「なんで」

 

「あいつが助けるつもりだったからな。

お前を見捨てたら、あいつが悲しむからな」

 

「あいつって」

 

そう誰か知らない人の為に貫かれた身体を見て、クリスは困惑していた。

 

「纏めて丸焦げにしてやるよ、ドレイク!!」

 

その言葉と共に、上空へと飛び上がったディーチは、ドレイクに雷が集い始める。

 

余りにも現実味のない光景に、クリスは睨みながら

 

「どうにか、できないのか」

 

「どうにかしてやるよ」

 

その言葉が聞こえると共に、ディーチは突然襲いかかる闇に落とされる。

 

「ちっ、これは!!」

 

「間に合った」

 

その言葉と共に出てきたのはルパンレッドと、そのペルソナ、アルセーヌだった。

 

「間に合っていない。

あたしのせいで、雨宮も、こいつも」

 

「ぴぃぴぃ五月蠅いぞ」

 

「えっ?」

 

その言葉と共に見つめると、先程まで身体に穴が開いていたルパンイエローは起き上がった。

 

「なんで」

 

「私がこの程度で死ぬわけないだろうが。

たく、面倒な事をさせおって」

 

そう言いながら、首を回しながら、答える。

 

「お前の事を心配したんだぞ」

 

「それがうざいんだ。

さっさと片付けるぞ」

 

「どういう事なんだ」

 

困惑しているクリスを余所にディーチは

 

「ちっ、同じペルソナ使いであるルパンレッドだけでも厄介なのに、まさかルパンイエローは怪物だとはな」

 

「へっ、化け物みたいな連中と戦うんだ。

化け物ぐらいが、丁度良いんだよ」

 

そう言い、ディーチに向けて、銃口を構える。

 

「いけるか、小娘」

 

「小娘じゃねぇ、雪音クリスだ」

 

その言葉と共にディーチに向けて、銃口を構えると同時にルパンレッドの手元にはVSチェンジャーとは違う物があった。

 

「やるぞ、クリス」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、ルパンレッドは引き金を引く。

 

「コール」

 

その一言と共に、銃から出てきたのは魔法陣だった。

 

「なんだ、これはっ!!」

 

魔法陣に驚いたディーチに対して、襲いかかったのは、魔法陣から飛び出した紫色の犬の鋭い牙だった。

 

「ケロベロス」

 

突然の事で、驚きを隠せないディーチにダメージを与えた後、ケロベロスは3人の元へと来る。

 

「なんだ、これ」

 

驚きを隠せなかったクリスだったが、その口は自然と歌を歌い始めた。

 

「Ain't it's great how we met each other」

 

まったく知らない歌詞のはずだったが、その言葉は自然に現れ、歌い始めた。

 

嫌いだったはずの歌が、今ではまるで、歌わなければならないと思える程に気持ちは高ぶっていた。

 

「そんな、犬擬きでぇ!!」

 

その言葉と共にディーチは巨大な大砲を作り出し、ルパンレッドへと構える。

 

「今こそ、新たなペルソナの力を」

 

どこから聞こえてきたラヴェンツァの声と共に、ルパンレッドの手元には黒い銃があった。

 

「あぁ」

 

その一言と共に、構えると、ケロベロスは銃へと吸い込まれ、その形は変わる。

 

「ペルソナが、変わった」

 

驚きを隠せない忍を余所に、新たな武器をVSチェンジャーに重ねる。

 

 

「Welcome to this wild Maze of life!」

 

【怪盗ブースト】

 

「インフェルノ!」

 

その一言と共に引き金を引くと、ルパンレッドはその余りにも強すぎる威力に吹き飛ばされそうになる。

 

「「っ!!」」」

 

そのルパンレッドを支えたのは歌を歌い続けるクリスと、ルパンイエローだった。

 

2人の支えを受けたルパンレッドはまっすぐとディーチへと狙いを迫る。

 

「なっ!!」

 

ディーチの攻撃は瞬く間に飲み込まれ、そのまま業火と共にディーチを飲み込んだ。

 

「やったのか」

 

「あぁ、そのようだな」

 

その言葉と共に、ディーチはゆっくりと地面へと落ちていく。

 

そこには既にボロボロになっているディーチが苦しそうにしながら、こちらを睨む。

 

「ここで、負ける訳にはいかねぇ!

俺は、力をつけてやる!!

誰よりもなぁ!!」

 

そう言って、ディーチは走り出す。

 

「あいつ、まだ!!」

 

そう言って、クリスは構えるが、ルパンイエローはそれを止める。

 

「おい」

 

「見ていろ、あれがルパンレッドだ」

 

そこにはルパンレッドも走り出しており、背中からはアルセーヌが現れる。

 

ディーチとの距離が縮まると共に、ルパンレッドは拳を構え

 

「奪え、アルセーヌ!」

 

「ぶっ潰せ、ドレイク!」

 

その言葉と共に交差するようにルパンレッドとディーチ、アルセーヌとドレイクの拳が互いの顔へと吸い込まれる。

 

殴られた事により、ルパンレッドの仮面が僅かにヒビが入る。

 

だが、同時に、ディーチの仮面は徐々に割れ、その素顔が現れる。

 

「「っ!!」」

 

『俺達、怪盗団なら、助けられるんじゃないのか?』

 

『身勝手で、人の事を見下す糞な大人共を改心する事ができるんじゃねぇ?』

 

「っ!!」

 

互いに記憶を取り戻すと共に、ルパンレッドは倒れそうになっている手を掴む。

 

「目覚めたか、スカル」

 

「あぁ、悪いな、目覚めるのが遅れて、悪いな、ジョーカー」

 

「えっ、どういう事なんだ?」

 

その状況にまるでついて来られないクリスは驚いていると、周りに未だに残っていたボーダマンが銃を構えていた。

 

「こいつら」

 

「状況は分からないが、一気に片付けるぜ」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、スカルと背中合わせに構えるルパンレッド。

 

「おい、そいつは敵じゃないのか?」

 

「今は味方だ」

 

「そういう事だ。

迷惑かけた分、ここで払うぜ!!」

 

その言葉と共にスカルは構えると

 

「行くぜ、キャプテンキッド!!」

 

「奪え、アルセーヌ」

 

その声と共に、スカルの背中から現れたのはドレイクとは違うペルソナだった。

 

ドレイクがまるで戦艦を思わせる船だとすれば、キャプテンキッドはたった一つしかない船で冒険する海賊を思わせるペルソナだった。

 

キッドが現れると同時に、アルセーヌは構えると、キッドから放たれる雷とアルセーヌの闇が合わさり、辺りにいた全てのボーダマンを吹き飛ばす。

 

「何が起きてって!!」

 

予想外の攻撃に驚きを隠せないクリスだが、その場には既に誰もいなくなっていた。

 

「何が「おーい」っやばっ!!」

 

聞こえてきた雨宮の声に気づき、シンフォギアを解除させたクリスは声の方向を見る。

 

「無事だったか?」

 

「あっあぁ、お前は、その怪我はなかったか?」

 

「なんとかな、雪音さんは」

 

「あたしもなんとかな」

 

そう言いながら、笑みを浮かべながらもゆっくりと下がる。

 

「それじゃあ、あたしは「あっそうだ」なんだ」

 

「これ」

 

そう言って、雨宮が取り出したのはドーナツだった。

 

「忍の奴が心配していたから、会ったら渡していてくれって」

 

「あいつが?」

 

そう言われながらも受け取ったクリスは少し複雑な表情をしながらも。

 

「・・・ありがとうな」

 

その言葉と共に、クリスは背中を見せ、ゆっくりと歩き始める。

 

「雪音さん、またねっ!!」

 

「っあぁ」

 

その言葉を最後に今度こそ、クリスはその場を去って行った。

 

「おい、勝手な事を言うな」

 

クリスがその場から去っていたのを確認したのを合わせるように出てきた忍は雨宮を睨みつけながら、言う。

 

「えっ、でもモルナガから聞いたけど、雪音さんを庇ってくれたと聞いたんだけど」

 

「報酬目当てじゃよ。

さっさと帰って、ドーナツを食べるぞ」

 

「そうだな、モルナガ!」

 

その声と共にモルナガはモルナガカーとなって、現れる。

 

「たく、こっちは車だから動けないんだぞ」

 

「あはは、ごめん」

 

そう言いながら現れたモルナガに謝りながら、連と忍はモルナガカーに乗り込み、走り出す。

 

 



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Pouvez-vous voler dans le ciel avec les griffes de votre chat?~猫の爪で空を飛べるのか?~

「なぁ、やっぱり男3人で、ここは狭いだろ、ここ!!」

 

「そう言われても、ここぐらいしか住める場所はないぞ」

 

そう言いながら、スカルこと坂本竜司は喫茶店ジュレの住宅スペースを見ながら、思わず呟いてしまう。

 

「とりあえずは、聞きたい事があるけど、竜司はなんか知っているか?」

 

「さぁな?

俺はディーチの時は周りに見下されないように力ばかり求めていたからな」

 

「まぁ竜司だから仕方ない」

 

「なによう、たく、お前は変わりないな」

 

そう言いながら、竜司はモルナガの頬を引っ張りながら呟く。

 

「あっ」

 

「どうしたんだ?」

 

「そう言えば、思い出した!!」

 

「何を?」

 

「次のターゲットだ!!」

 

「はあ、それはどういう事だ!?」

 

竜司の一言にその場にいた一同は思わず声を出してしまった。

 

「おい、それを詳しく言え!!」

 

「いや、俺だって詳しくは知らないよ。

だけどデュランダルっていうのを狙っているって聞いただけだよ」

 

「デュランダル。

それって確かローランの歌に出てきた伝説の剣だったはず。

その剣を狙うのは、吾輩が知る限りだと二人だな」

 

「二人?」

 

「あぁ、前に言ったマリエとイシカワの二人だ。

あいつらだったら。デュランダルの価値を感じて、動く可能性がある」

 

「だったら、そのデュランダルを狙えば、奴らと出会う可能性がある訳だな。

それで、そのデュランダルはどこに?」

 

「へぇ、なるほど、それは丁度良いかもしれないな」

 

そう言い、石動が取り出したのは地図だった。

 

「二課がデュランダルを護送するという情報は手に入れている。

ならば」

 

「それを狙うという訳か。

良いだろう」

 

その言葉と共に、雨宮達は怪盗衣装を取り出す。

 

「へぇ、ジョーカーは前とは変わりない衣装だな。

あれ、そう言えば俺は?」

 

「留守番だスカル。

店番頼むぞ」

 

「はぁ、ちょっと待てよ、俺、店番なんて」

 

そう言いながら、3人と1匹が出かけた後、ぽつんと置いていかれた。

 

「それじゃ、店番をしよっか」

 

「大丈夫かよ」

 

そう言いながら、肩を落としながら竜司は呟く。

 

「さて、それじゃあ、出発するか」

 

そう言い、モルナガはモルナガカーへと変わる。

 

「それにしても、こいつが介入してくれたおかげで、移動が楽になったな」

 

「あぁ、怪盗衣装に着替える手間も省かれた」

 

「扱いが雑じゃないか、こいつら」

 

そう言いながら、辿り着いたのは、二課の基地と思われる場所、リディアン学園だった。

 

「しかし、今度はパレスじゃなくて、本当の意味での潜入とはな。

これは少しわくわくしてきたぜ」

 

「パレス?」

 

「気にするな、とにかく、入るとするか」

 

その言葉と共に、二課へと入り込む。

 

二課の地下は予想以上に深かった。

 

「なんだ、この基地は?」

 

「シンフォギアがあるとは聞いていたが、これは」

 

そこに広がっていたのは、何かの遺跡だと思われる文字が幾つも残っていた。

 

「どうやら、二課という組織にも良い奴ばかりとは限らないようじゃな」

 

「知っているのか?」

 

「さぁな、だが」

 

そう言いながら古代文字を見ている忍は疑問に思いながらも、進んでいく。

 

「さて、お宝の場所が分かれば良いけど」

 

そう言いながら侵入していく。

 

地下深くへと侵入していき、目的地とは違うが、どこかの指令室に辿り着いた。

 

「デュランダルの保管状況は」

 

「あの人は、なるほどな」

 

そこで会話している男性は、響と共に特訓していた風鳴弦十郎だった。

 

それにより、これまでの繋がりに納得すると共に、少しでも多くの情報を得る為に耳を澄ませる。

 

「あぁ、未だにアビスでの保管は未だに問題ないわ。

まぁ、こんな所を狙う人はそんなにいないでしょうけど」

 

そう言った画面に映し出されているのをすぐに見つめる。

 

「高さを見るだけでも、相当に深いな。

これは普通に盗むのは困難だな」

 

「だとしても、何か手があるはずだ」

 

「いっそのこと、儂らで盗むか?」

 

「馬鹿か、捕まったら元も子もない。

今回はデュランダルの存在の確認だけでも十分すぎる」

 

そう言っていると、基地内で警報が鳴り始めた。

 

「なんだ、これはっ!!」

 

そこに映し出されているのはまるでゴーレムを思わせる怪物が、真っすぐとリディアンに向かっている映像であった。

 

「分かりません。

ノイズと同様に突然の出撃ですが、明らかにノイズとは反応が違います」

 

「あれは、ゴーラム!?」

 

「誰だっ!!」

 

モルナガの声に気付き、弦十郎さんがこちらに気付いて、見つめる。

 

その言葉と共に入り込む。

 

「ジョーカー」

 

「あぁ」

 

モルナガから視線を送られ、二人にも見つめる。

 

声という証拠が残れば、これからの活動にも影響の為、証拠が残りにくいモルナガに頼む事にした。

 

「お前達は」

 

「吾輩達は心の怪盗団。

他にもルパンレンジャーとも言われている者達だ」

 

「猫が喋った!」

 

「猫じゃねぇよ!!」

 

モルナガが自己紹介するように言うが、モルナガは猫という言葉に思わず反論してしまう。

 

「それで、君達の目的は一体」

 

「吾輩達の目的は簡単さ。

デュランダル」

 

「っ!!」

 

その言葉にその場にいる全員が睨みつける。

 

「なぜデュランダルの事を」

 

「吾輩達の情報網を嘗めないで欲しい。

まぁ、あえて言えば、吾輩達の目的はデュランダルその物じゃないけどな」

 

「なに?」

 

その言葉に疑問に思いながら

 

「とりあえず、デュランダルの無事の為に、今回は吾輩達がゴーラムに対応しておく」

 

「ゴーラムだと?

奴らの事を知っているのか?」

 

「まぁ吾輩達にとっては、狙いの一つだからな。

それに今回の事で確信したしな。

まっこれ以上は話せないので、また今度にするぞ」

 

その言葉と共に雨宮は手に持っていた煙玉を地面に叩きつけた。

 

「司令」

 

「今は、彼らを信用しよう」

 

「ですが」

 

「可笑しいと思うが、ジョーカーと呼ばれている彼の目は真っすぐとしていた。

今は悪人ではない事を信用したい。

それに」

 

そう言って、映し出されているゴーラムを見る。

 

「これに対抗するには、彼らしかできないかもしれない」

 

そんな弦十郎の会話が行われている間、一気に基地から脱出する。

 

「よう、お前ら、久しぶりだな」

 

「なんだ、こいつは!?」

 

「グットストライカー、丁度良かった」

 

「おぉ、さっそく俺様の出番か」

 

その言葉と共に、雨宮はグットストライカーをVSチェンジャーに装填する。

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

【GO・GO・GO・GOOD!!】

 

その音声と共に巨大化したグットストライカーとそれを追いかけるように、三人は各々の機体を呼び出す。

 

「さぁ、怪盗ガッタイム!!

勝利を奪い取ろうぜ!!」

 

その声と共に、空中に飛んでいたグットストライカーとダイヤルファイターは一つへと合体する。

 

「完成!ルパンカイザー!」

 

完成されたルパンカイザーは、二課を襲い掛かろうとしているゴーラムを蹴り上げる。

 

「悪いが、ここから先には行かせないぜ」

 

その言葉と共に、ルパンカイザーは右腕を構え、マシンガンが放たれ、ゴーラムの装甲が剥がされていく。

 

「まだまだ、行くぜぇ!!」

 

さらに左腕の回転カッターでゴーラムの腕を切り落とす。

 

「こいつは早々に決着がつけれそうだな!!」

 

そう言い、再びマシンガンを構えようとした時だった。

 

腕が、マシンガンの動きを止めた。

 

「なっ!」

 

「こいつはっ!!」

 

見てみると、先程まで崩れていたはずのゴーラムの腕が掴んでいた。

 

「再生しているだと!?」

 

「もう左腕も回復しているだと!」

 

ゴーラムの急激な回復能力に驚きを隠せずにいた。

 

「このままでは勝てないという事か」

 

「だからと言って、退く訳には」

 

明らかに高すぎる再生能力に対する対抗手段を考える。

 

「何か」

 

そう言い、ルパンレッドは懐を確認する。

 

そこには、先日の戦いに使用した黒い銃の他には黒い模刀、そして

 

「黒い模型」

 

ラヴェンツアから渡された新たな力だが、この黒い模型だけは現在持っているどのペルソナとも会わない。

 

「それは」

 

「あぁラヴェンツァから預かっていた物だが、どうも」

 

そう言いながら、手に持った物を見せる。

 

「ここにペルソナを収めれば、新たな武器になるとは聞いているが、これでどうやって」

 

「なるほどな、どうもさっきから騒ぐはずだぜ」

 

その言葉と共にモルナガは黒い模型を手に取る。

 

「使わせてもらうぜ、これを」

 

「モルナガ?」

 

その言葉と共にモルナガの後ろから現れたペルソナであるゾロが黒い模型が吸い込まれていき、その形は大きく変わる。

 

そこに形成されたのはモルナガカーと似たヘリコプターのダイヤルファイターへとなる。

 

「おぉ、これはなかなかに良いな」

 

「あぁ、使わせてもらうぜ」

 

その言葉と共に、VSチェンジャーにモルナガのペルソナが収まったダイヤルファイターを装填する。

 

【MORNAGA!】

 

【GET SET! LEDY?飛べ!飛べ!飛べ!】

 

【MO・MO・MORNAGA!!】

 

その音声と共に、ルパンカイザーから出てきたモルナガコプターが現れ、絡まってくるゴーラムの腕を切り落とす。

 

「左腕、変わります!」

 

その音声と共にルパンカイザーの右腕に装着されているブルーダイヤルファイターが外され、新たに装着される。

 

装着された事により、モルナガコプターの羽部分がまるで猫の爪を思わせる形へと変形し、頭部にはモルナガのペルソナであるゾロだと思わせる帽子が装備される。

 

「完成!ルパンカイザーキャット!」

 

「さぁ、盛り上がっていくぜ!!」

 

その言葉と共にルパンカイザーは瞬時にゴーラムの装甲を切り裂く。

 

「っ!?」

 

「よしっ、行けるぜ!」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、襲い掛かるゴーラムに対して、モルガナコプターの爪で攻撃を続ける。

 

爪には風が纏われており、後ろへと下がったゴーラムに対しても、風の刃で切り裂いていく。

 

だが、ゴーラムは装甲が再び集まり始める。

 

「ちっ、やっぱり装甲が再生するか」

 

「だけど、吾輩の力があれば一気に倒せる!

だろ、ジョーカー!」

 

「あぁ」

 

「良いぜぇ、だったら、一緒に行こうぜ!」

 

その音声と共に、モルナガコプターの刃は丸まり、拳へと変わった。

 

「グットストライカー!一発逆転ラッキーパンチ!」

 

その音声と共に、ゴーラムに向けて、連続に放たれた拳はゴーラムの装甲を打ち砕いていく。

 

その装甲が剥がされていく度に、再生を行おうとしているゴーラムだが、そのダメージは予想以上に大きかった。

 

さらに破片が重なり、ダメージの修復を邪魔するなど、幸運の結果が続いていた。

 

「永遠にアドゥ!」

 

その言葉を最後にゴーラムを吹き飛ばし、完全に消滅させた。

 

「それじゃ、アドゥ」

 

その言葉と共に、グットストライカーは分離し、その場で雨宮達は隠れながら見つめる。

 

「モルナガ、大丈夫か」

 

「あぁ、にしても、バスとは違って、結構しんどいぜ、こりゃ」

 

「まぁな」

 

そう言いながら、黒い模型と分離したモルナガは呟く。

 

「まったく、派手にやってくれるじゃない」

 

「ほぅ、向こうから宣戦布告か」

 

そう言い、見つめると、そこにいたのは豪華な衣装を身に纏った女性が立っていた。

 

「それで、あれはお前の差し金か。

マリエ」

 

「えぇ、その通り。

だけど、ゴーラムでの発掘作業は失敗のようだから、今日は退散するわ」

 

「逃げるのか?」

 

「醜い反撃は嫌なだけ。

勝つなら、徹底的に有利によ、じゃあねぇ」

 

その言葉と共にマリエは姿を消した。

 

「とりあえず、今回は守る事ができたが、今後どうなるのか分からない」

 

「まぁな、だが、情報を得る手段は既にできている」

 

「おぉ、という事は」

 

そう言いながら、ソーマが取り出したのは盗聴器だった。

 

『先程のは彼らの言う事が本当ならば、デュランダルを狙っての行動でしょうね?

それで、どうする?」

 

『元々、決行するのは決まっている。

ならば、すぐにでも準備を行うだけだ』

 

『了解、だったら準備するわ』

 

『あぁ、輸送は明後日とする』

 

その言葉と共に、盗聴器が破壊される音が聞こえる。

 

「盗聴器が破壊されたという事は、バレていたという事か?」

 

「だが、なぜわざわざ輸送の情報を?」

 

「決まっているじゃろ。

成功率を高める為じゃよ」

 

「なるほどな、偶然を装った協力要請という訳か」

 

「ならば、決まりだ。

明後日、デュランダル輸送を見届ける」

 

その言葉と共にその場を去っていった。



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Le feu et la glace reflètent la vérité~炎と氷が真実を映す~

活動報告に追加事項がありますので、興味がある方はお願いいたします。


ルパンレンジャー達が二課の基地に潜入してから、数日後。

 

二課はデュランダルの輸送の作戦を実行に移していた。

 

デュランダルの輸送が始まったが、輸送している車に向けて、次々とノイズが襲い掛かっていた。

 

「前方から不審なワゴンカーが来ているようだけど」

 

その走行中、建物の上から突然現れたモルナガカーに驚きを隠せなかった。

 

そのモルナガカーから一つの人影が現れると、その手に持った武器を使い、マンホールを破壊し、そのまま地下へと降りる。

 

「キャプテンキッド!」

 

その声と共に、マンホールから強烈な光が溢れ出す。

 

すぐにその場で停車すると共に、マンホールから飛び出したのは、既に灰になりかけているノイズの大群だった。

 

ノイズはそのまま灰になり地面へと落ちるが、建物に隠れていたノイズが次々と現れる。

 

「どうやら囲まれているようだわ」

 

「本当に美しくないわね」

 

「っ!」

 

聞こえてきた声と共に響が見つめた先には豪華な衣装を身に纏ったマリエが立っていた。

 

「有象無象に用はない。

早く、デュランダルを渡してもらおうか」

 

「まさか、他にも」

 

その声が聞こえ、見てみると、そこには歌舞伎を思わせる衣装を身に纏った男が刀を構えながら言う。

 

「人?」

 

「我らはギャングラー。

そして我が名はイシカワ、異界の力を使い、世を支配する者だ」

 

「そういう肩苦しいのは良いから、さっさとデュランダルをよこしなさい」

 

そう言いながら、マリエは指を弾くと辺り一面が炎で覆われ、イシカワは手に持った刀を振るうと、空を覆う氷の壁が作り出す。

 

「これで逃げ場は無くなった」

 

「それはこちらの台詞だぜ」

 

その一言と共に、モルナガはその場で構える。

 

「怪盗」

 

「こっちの狙いはてめぇらだからな」

 

そう言って、響を始めとしたメンバーを守るように雨宮達は構えていた。

 

「えっ、狙いって?

デュランダルじゃないんですか?」

 

「いや、俺達の狙いは、お前らだ」

 

「まさか二人同時とはな。

さっさと決めるぞ」

 

その言葉と共に、取り出したVSチェンジャーに各々のダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

同時にルパンレンジャーへと変身する。

 

「ルパンレッド!」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー!」

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!」」」

 

3人は名乗りを上げると共に周りを見渡す。

 

「ふっ良いだろう。

纏めて、相手にしてやろう」

 

「土産には丁度良いしねっ!」

 

その一言と共にマリエは炎を放ち、イシカワはその手に持った刀で襲い掛かる。

 

「レッドさん」

 

「あぁ」

 

響の言葉を聞き取るのと同時にルパンレッドの目の前に現れたカードを握り潰すと同時にイザナギを召喚する。

 

イザナギの召喚に合わせるように、もう片方の手にある黒い模刀を取り出す。

 

「イザナギ!」

 

その声と共に、その手に持った黒い模刀がすぐに形を変え、イザナギの持つ薙刀に変わりルパンレッドはイシカワの攻撃を受け止める。

 

同時にマリエによって放たれた炎は、ソーマと忍はVSチェンジャーで炎を撃ち落とす。

 

「おい、小娘。

あいつらは儂らが片付ける。

雑魚のノイズは骸骨共が片付ける」

 

「骸骨?」

 

「スカルだぁ!!」

 

その言葉共に、地下に入っていたスカルは飛び出し、キャプテンキッドに乗りながら、ノイズへと攻撃を仕掛ける。

 

「えっ、あれって確か」

 

「気にするな。

それに、お前の相手は向こうだ」

 

「っ!」

 

その言葉を聞き、見てみると、デュランダルを狙っていると思われる相手の銀色の鎧を身に纏った女性がいた。

 

「んっ?」

 

襲ってきた相手が気になり、ルパンレッドは一瞬だけ、そちらの方向を見ると、その女性はどこか見覚えがあった。

 

「余所見とは、余裕だな」

 

「ちっ」

 

その一瞬の隙を突かれる形でイシカワに攻撃を仕掛けられ、イシカワが振った刀から溢れる冷気と共に、周りは氷の柱が出来上がる。

 

「やはり、幹部だけあって、油断はできないな。

だけどなぁ!!」

 

その言葉と共に、襲い掛かる斬撃に対して、薙刀を回転させながら、そこから溢れ出る雷で反撃を行っていく。

 

そんなイシカワと戦いを行っているルパンレッドとは別にルパンブルーとルパンイエローはマリエに対して、苦戦を強いられていた。

 

「ふっ、どうやら、態度だけ大きかったようね」

 

「ちぃ、言わせておけば」

 

「だが、この炎は厄介だぞ」

 

そう言いながら、炎から二課の局員を守る為にその場を動けない二人はVSチェンジャーによる攻撃を止める事ができない。

 

「ちっ、ルパンソードではなぁ」

 

そう言いながら、苦戦を強いられている中で

 

「だったら」

 

イシカワとの戦いで苦戦をしている中で手に持ったVSチェンジャーでイシカワに牽制するように放つ。

 

「ちっ」

 

「響、お前の力、他の奴に貸しても良いか?」

 

「勿論だよ、レッドさんの仲間だからね」

 

「悪いな」

 

その言葉と共に手に持った薙刀を投げる。

 

「武器を捨てて、血迷ったか!!」

 

その隙を逃さないようにイシカワが攻撃を仕掛ける。

 

「血迷っていない、信じているだけだ!」

 

「なっ!」

 

イシカワの攻撃を防いだのは、モルガナのペルソナであるゾロだった。

 

「悪いが、ノイズはもう全部片づけているからな」

 

「ちっ」

 

イシカワの横からスカルは手に持った鉄パイプで攻撃を仕掛ける。

 

「あれだけのノイズの群生を瞬く間に倒したというのか!?」

 

「怪盗団、舐めるなよ」

 

その言葉と共にルパンレッド達は各々の銃を構え、引き金引く。

 

「ぐっ、これは予想外にっ!!」

 

銃弾を受け止めきれず、一瞬倒れてしまう。

 

「今だ!!」

 

「「おう!」」

 

その倒れた瞬間を狙い、3人は一斉に飛び出す。

 

「なにっ!」

 

3人の影が消え、次の瞬間、イシカワの身に起きたのは次々と襲い掛かる影だった。

 

影が攻撃を終えると共にルパンレッドは着地するのと同時に笑みを浮かべる。

 

「がぁ!!」

 

全ての攻撃を受けきるのと同時に、イシカワの仮面が割れる。

 

「ぐっ」

 

『俺はこんな美を追求したい』

 

『俺も咥えてくれ、怪盗団に』

 

「まだまだぁ!!」

 

イシカワの仮面が割れるのと同時にマリエの追撃は終わらなかった。

 

ルパンイエローは、ルパンレッドから投げられた薙刀へと向かっていくが、それまでには距離が遠すぎた。

 

「さぁ、燃え上がれ」

 

マリエは、その一言と共に巨大な炎をルパンイエロー達に向けて放った。

 

「悪いが、その炎は美しくない」

 

「っ!」

 

聞こえた声と共に炎から守るように氷の柱が現れた。

 

「えっ?」

 

「あいつは」

 

その場にいた者達は、一斉に氷を放った張本人を見た。

 

そこには先程まで歌舞伎の衣装と比べれば軽装の怪盗衣装を身に纏っており、狐の仮面を装着していた。

 

「何のつもりっ、イシカワ!」

 

「否、俺は既にその名は捨てた。

我が名はフォックス、そして、これが我がペルソナ、ゴエモンだ!」

 

その言葉と共にゴエモンが現れ、マリエの足場を全て凍り付ける。

 

「えっえぇ!?

どういう事なのっ!?」

 

「ふむ、色々と迷惑をかけた。

しかし、なかなかに面白いな」

 

「なっなんだ、こいつ!?

さっきまでも変だったけど、変態になった!」

 

「そう言えば、こいつは」

 

久しぶりのフォックスの反応にモルガナは言っていたが

 

「ちっ、だが「別に問題はない」っ!!」

 

「なかなかに良い剣だ」

 

ルパンイエローはその手に持った薙刀を構え、払う。

 

「えっ?」

 

その一瞬の構えで、マリエの仮面は割れる。

 

『もう我慢はしない!

好きにさせてもらうから!』

 

「えっ?

これ、どういう状況?」

 

「目的は果たした、ジョーカー、あとはっ!!」

 

そう言い、ルパンレッドに話しかけたスカルだが、ルパンレッドはその場で蹲っていた。

 

「おい、ジョーカー、何が」

 

「おい、何が起きている!」

 

フォックスの言葉に気付き、その場にいる全員が上を向けると、そこには飛び出たデュランダルを手に持った響が黒く染まっていた。

 

「こっちまでっ!」

 

忍が手に持っていた薙刀にも、すぐに変化は起き、元の黒い模刀へと戻ると共に、イザナギが現れる。

 

「ぐっがぁ!まがぁついざなぎぃ!」

 

その声と共に、イザナギの黒は徐々に変わっていき、そこに立っていたのは禍々しい黒によって染められたイザナギだった。

 

「何がどうなっているんだ?」

 

「ペルソナはもう一人の自分だ。

だけど、ジョーカーのあのイザナギはあの子と共鳴する事で召喚している」

 

「つまりは、あいつが暴走したせいで、それに巻き込まれた訳か」

 

同時に暴走した二人はさらに共鳴するように辺り一面を吹き飛ばす程の嵐を作り出しており、黒服を纏った職員達は既に吹き飛ばされていた。

 

「このままじゃ」

 

絶体絶命の危機的状況の中で、響はその手に持ったデュランダルを振り下ろした。

 

「皆、今は逃げる事を専念だ!」

 

その言葉と共にモルナガはすぐにモルナガカーへと変身し、全員をすぐに乗せた。

 

そして乗り込み、一瞬の爆風と共に、その場にいた全員が吹き飛ばされていった。

 

「わあぁ!?」

 

「ぐっ、揺れる!」

 

モルナガカーの中で縦横無尽に飛び交う中でも、その場にいた全員は無事に避難する事ができた。

 

「なっなんだよ、これは」

 

すぐに起き上がったスカルが目にしたのは、先程まで自分達がいた場所だとは思えないように、周りが荒野へと変えられた光景だった。

 

「とんでもない威力だ。

しかし、ある意味、幸運だったかもしれない」

 

「どこか幸運なんだ、これがぁ!」

 

ソーマの一言に切れ、スカルはすぐに詰め寄った。

 

「あれよりも低い威力ならば、近くの工場まで届き、爆発し、二次被害が考えられる。

それすら起きない程の圧倒的な威力はむしろ幸運だ」

 

「だとしても、誰かいたら」

 

「そんな事よりも、さっさとレッドを回収する。

奴が見つかったら、厄介だ」

 

その言葉と共にブルーとイエローはすぐに飛び出した。

 

「なんだよ、あいつら!

ジョーカーの事をまるで心配していないような態度!」

 

「スカル、落ち着け」

 

「これが落ち着いてられるかよ!

あそこにいた人達は必至になって、守ろうとしていたんだぞ!

しかも、それを「竜司」っ!」

 

そう叫んでいると、気絶していたマリエこと、本当の正体である高巻杏が目を覚ます。

 

「行ってあげなよ。

あの人達、あんたが思っている程、悪い奴らじゃないよ」

 

「なんで、そんな事を言えるんだよ」

 

「あの人達、爆発が終わってすぐに飛び出そうとしていたよ。

それって、本当は素直になれないだけで、仲間を思う気持ちは同じじゃない」

 

「それは」

 

「俺からも頼む。

先程ので、既に歩けない程に体力を奪われた。

この場で頼めるのは、お前だけだ」

 

再び出会う事ができた二人の仲間の言葉を聞きながら、収まらない怒りを頭で掻きながら

 

「あぁ、分かったよ!」

 

その言葉と共に、竜司はモルナガカーから飛び出し、走り出す。

 

走り出した先には追い付いた先に見えたのは、デュランダルを持ち去ろうとしていた謎の少女だった。

 

その先には既に変身が解かれている雨宮だった。

 

「ジョーカー!」

 

「っ!」

 

スカルのその一言を聞いた瞬間、少女は眼を見開いた。

 

スカルはすぐにキャプテンキッドを召喚し、雨宮を抱え、その場を去る。

 

「嘘だろ」

 

スカルがそのまま逃げ去った後を見つめながら、呆然と少女は立っていた。

 

その少女、クリスの手には、雨宮が変装の時に使っていたマスクが握られていた。



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Les larmes de la fille émeutnt le voleur.~少女の涙が怪盗を動かす~

二人の救出から数日後、組織にいる仲間だと思われる人物を統合した結果、残り3人だと思われる事を予想できた。

 

だが、その三人の内の一人は分かっているが、残り二人は余程警戒しているのか情報がなかなか分からず、俺達は町に現れるノイズや暴走する転生者達の対処を行っていた。

 

「まったく、のんびりする暇はないのか」

 

「そう言ってもここに来るんだな?」

 

「まぁここからだったら、すぐにどこでも行けるからな」

 

そう言いながら、俺とモルナガはお気に入りの場所のベンチに座りながら、のんびりと過ごしていた。

 

この町での暮らしに既に慣れており、俺にとっては守りたい場所の一つになっていた。

 

「やっぱりここか」

 

「んっ?

雪音さん?」

 

聞こえてきた声に振り返ってみると、そこには雪音さんが立っていた。

 

だが、その表情は前まで見てきたのとはどこか違った。

 

「なぁ、あんたは、隠し事をしているか?」

 

「隠し事?

そうだね、まぁ色々としているかな」

 

そう言いながら、はぐらかすように言う。

 

実際に俺達には多くの事を彼女に隠しており、その中にはルパンレンジャーの事はもちろんの事だが、それ以外にも多くある。

 

「まぁ、そう簡単に言ってくれる訳ないよな」

 

そう言った雪音は髪で表情を隠れており、詳しくは見えなかった

 

「あんたの正体、ルパンレンジャーなんだろ」

 

突然言いだした言葉に、一瞬だけ動きを止めてしまったがすぐに切り替える。

 

「さぁ、どうなんだろうな」

 

「別に隠さなくても良いだろう。

あたしと何回も戦っているし、ルパンレッドだったか?

奴がいる時にあんたがいなかったのを知っているからな」

 

「あぁ、そうか」

 

よく考えれば、ここまでの戦いの中で彼女と一緒に戦っている時に姿を消す事もあったので、もしかしたらそれでバレていたかもしれない。

 

「いや、もしかしたら別の理由かもしれないぞ」

 

そう言いながら、モルナガは警戒して、雪音さんを見つめているが

 

「まぁ、ここまでバレていたら仕方ないからな」

 

そう言いながら、俺はVSチェンジャーとレッドダイヤルファイターを取り出す。

 

「やっぱりかよ」

 

「まぁね。

だけど、本当にこれまで助かったよ、雪音さんのおかげで助かった事は何回もあったからね」

 

「助かった事も。

邪魔した事もあったがな」

 

「んっ?

そうだったか?」

 

「どうやら、そっちは知らなかったようだな。

けど、もう遅いよな」

 

その言葉と共に、雪音さんの姿は変わった。

 

そこに現れたのは

 

「まさか、白い鎧のっ!!」

 

「こっからの作戦で邪魔になるからな。

雨宮、悪いが、死んでくれ」

 

その言葉と共に白い鎧から生えている鞭が俺に向かって襲い掛かる。

 

同時に手に持ったVSチェンジャーが光ると共に、カバンの中にいたモルナガは飛び出し、手に持った剣で鞭を受け流した。

 

「なっ!」

 

「悪いけど、吾輩達のジョーカーは簡単にはやらせないぜ」

 

「猫が化け猫に!?」

 

「猫じゃねぇし!!」

 

モルナガの変化に驚きを隠せない雪音さんだが、その間に俺は手に持ったレッドダイヤルファイターをVSチェンジャーに装填し、構える。

 

【RED!】【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声が鳴り響くのと同時に俺の姿はルパンレッドへと変わるのと同時に構える。

 

「ちっ」

 

「雪音さん。

目的は一体なんなんだ?」

 

「目的?

そんな事、あんたに話したって無駄だろ!!」

 

「そんな事、話し合わないと分からないだろ!!」

 

「五月蠅いんだよ!!」

 

その言葉と共に、手に持った鞭を使い、次々とこちらに襲い掛かってくるが、VSチェンジャーとルパンソードを使い、それらの攻撃を受け流していく。

 

「言葉が通じたって何が変わるんだよ!!

どんなに話したって、こうやって戦う事になっちまうんだったら、最初からお前なんかに会わなければ良かったんだよ!!」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞きながら、バイザーの奥から見える雪音さんの瞳を見て

 

「ジョーカー、油断をしたら負けるぞ」

 

「あぁ、だけど、俺は、彼女を信じたいと思う」

 

「はぁ、たく、お前は無茶な事を言うな。

だけど、付き合うぜ」

 

「サンキュー、モルナガ!」

 

その言葉を皮切り、雪音さんはその手に持っている杖のような何かを俺達に向ける。

 

「さっさと消えろぉ!!」

 

その言葉と共に、雪音さんから出てきた光はノイズを作り出し、俺達へと襲い掛かる。

 

だが、モルナガは俺の背中へと乗ると共に、構える。

 

「威を示せ、ゾロ!」

 

「奪い取れ、アルセーヌ!」

 

その言葉と共に現れたゾロから出てきた突風が俺達を吹き飛ばし、風に闇を乗せながら突き進んでいた。

 

襲い掛かろうとしていたノイズは闇の風によって引きちぎられ、近づく事ができず、想像していなかった方法で近づいた事に驚きを隠せなかった雪音さんに一気に近づく。

 

「なっ」

 

すぐに別のノイズを呼び出そうとするが、ノイズを呼ぶ為に使っていたと思われる杖を蹴り飛ばし、地面に押し倒すと同時に俺は雪音さんを見つめる。

 

「チェックメイトだ」

 

その言葉と共に、眼前にVSチェンジャーを構えた。

 

「ぐっ」

 

この状況で反撃する事ができず、俺を吹き飛ばしたとしても、俺の背中に乗っているモルナガのパチンコは常に雪音さんを狙っている。

 

「どうした、やらねぇのかよ」

 

「俺は雪音さんを倒したい訳じゃない。

だけど、これ以上、こんな事をして欲しくないだけだ」

 

「寝ぼけた事を言うな」

 

「あぁ、その通りだ」

 

「だけど、そういう奴だから、吾輩も、そしてお前もこいつの事を信頼しているんじゃないのか?」

 

そう言ったモルナガの言葉に心当たりがあるのか、雪音さんは眼を横に逸らして、黙っていた。

 

「心から思うよ。

雨宮、お前と、なんでもっと早く会えなかっただろうってね」

 

『本当、あと数年早く会えていたら』

 

「っ!」

 

雪音さんの言葉と共に脳裏に思い浮かんだ言葉に違和感を感じ、一瞬立ち眩みをする。

 

「ジョーカー」

 

「っアーマーパージ!」

 

「にゃっ!!」

 

「しまっ!!」

 

その隙を逃さないように雪音さんから強烈な光と共に姿は変わり、これまで共に戦ってきた赤いシンフォギアに身に纏うが、すぐにVSチェンジャーを構えると、雪音さんもその手に持った巨大なガトリング砲をこちらに向けていた。

 

「悪いが、こっちの扱いはお前達よりも上だ。

それに、お前はあたしを殺す気がないけど、こっちは殺す気は満々だぞ」

 

そう言いながら、構えていながら、ゆっくりと、周りの時間が止まるような感覚と共に睨み合っていた。

 

「まったく、せっかくのチャンスなのに、何を戸惑っているのかしら」

 

「なっ!!」

 

突然聞こえた声に対して、俺達は見てみると、そこにはこれまで見た事のない黒いコートを身に纏った金髪の女性が立っており、その手には先程まで雪音さんが使っていたノイズを召喚する杖だった。

 

「フィーネ」

 

「何か奇妙だと思って、見てみたら、まさかルパンレンジャーに気味の悪い猫と戦っていたとはね。

まぁ良いわ、そんなチャンスをも見逃すあなたはもう駄目ね」

 

「なっ!!」

 

その言葉と共にフィーネと呼ばれた女性の身体を纏われたのは先程まで雪音さんが身に纏っていた銀色の鎧だった。

 

だが、その色は黄金に輝いていた。

 

「ネフシュタンの鎧は返させてもらったわ。

あなたは用済みよ、クリス」

 

「何を「アルセーヌ!」「ゾロ!」っ!」

 

雪音さんが呆然としている間に襲い掛かるノイズから守るように俺達は同時にペルソナを召喚し、その攻撃を防いだ。

 

ノイズは無数の雨にように襲い掛かるが、形が定まっていない俺達のペルソナはエネルギーの壁となり、攻撃を防いだ。

 

全てのノイズを防ぎきると共に、フィーネと呼ばれた奴を睨む。

 

「へぇ、その子を庇うのね」

 

面白いようにこちらを見つめる視線は鴨志田と班目を思わせる目があった。

 

「フィーネ、覚悟してろ」

 

「あら、宣戦布告かしら?」

 

「あぁ、俺達ルパンレンジャーとして、そして何よりも俺達心の怪盗団が。

お前の歪んだ欲望を奪い取る」

 

「歪んだですって?

何も知らない餓鬼が」

 

そう続けようとして、近づくフィーネだが、懐から取り出した煙玉を地面へと叩きつける。

 

「ぐっ、目晦ましでっ!!」

 

そうすぐに振り払ったフィーネだが、その時には既にモルナガがモルナガカーに変身し、その場を逃げ出していた。

 

呆然としている雪音さんは助手席で呆けたままだが、後ろからはフィーネが追ってくる気配はなかった。

 

「おい、これからどうするんだ?」

 

「少し、仲間を探すのは遅れるかもしれない。

やっぱり反対されるかな?」

 

「そんな事を言う奴だと思うか?」

 

「そうだな」

 

その言葉と共に、俺はハンドルを切る。

 

「ターゲットはフィーネに決まりだ」

 

 

 



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Tout est entre mes mains.~全ては僕の手の上で~

次のターゲットがフィーネに決定してから翌日。

 

nacitaは休憩時間と共にメンバーが全員が集っていた。

 

「フィーネねぇ。

確かにこれからの事を考えれば邪魔になるのは必然じゃから、別に反対はない」

 

「俺もだ!

そいつの話を聞いているだけで、鴨志田を思い出すしっ!」

 

そう言いながら、その場にいた全員が賛同する意見が出た。

 

だが

 

「じゃが、どうするつもりだ?

そのフィーネという奴を止める方法は」

 

「それは、お前!!

どうしよう」

 

賛成が意見と共に、じゃがりこを食べていた忍からの意見にすぐに坂本が返事しようとしたが、呆気を取られたように言う。

 

「まったく。

確かにフィーネという奴はターゲットにするのは良いか、我が輩達には異世界に行く手段は今の所はないんだぞ」

 

「そうだよね、ナビもないんじゃ」

 

モルナガと高巻も賛同するように言う。

 

「ナビ?」

 

「一体何を言っているんだ」

 

「まじで猫が喋っている」

 

その場で話について来れてない忍とソーマは疑問に思い、口に出していた。

 

ただ、クリスは本当に猫が喋っているという事実に驚き、見つめるだけだった。

 

「そう言えば、まだ説明していなかったな。

ナビってのは我が輩達が活動する時に必要な物なんだ。

ナビにターゲットの名前、主に活動する場所、そしてそこをどう思っているのかってのを入力する事で、認知の世界に入り込む事ができるんだ」

 

「認知の世界?」

 

「あぁ、そこはパレスと呼ばれていて、欲望の強い奴が作り出す空間だ」

 

「じゃったら、こいつのスマホにはないのか?」

 

「我が輩も見たが、そこには「なんじゃ、この目玉は」目玉!?」

 

その言葉を聞くと共に、その場にいた全員が雨宮のスマホの画面を見つめる。

 

「まっ間違いねぇ!!

これ、ナビじゃないか!!」

 

「という事は、これでフィーネの認知の世界へ行けるのかよ」

 

「待て、まずは名前を入力しないと」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、雨宮はスマホを操作し、人物名にフィーネと打つ。

 

『ヒットしました』

 

「あった!!

あとは場所とそこをどう思っているのか分かれば」

 

「・・・カ・ディンギル」

 

『ヒットしました』

 

「カ・ディンギル?」

 

「フィーネが言っていた言葉だ。

どういう場所なのか、さっぱり分からないけど、まさか当たりだとはな」

 

「カ・ディンギルって言うのは何なのかさっぱりだけど、あとは場所だけだが」

 

「そんなの分かるか?」

 

「とにかく、何でも良い!

該当しそうな場所を言いまくれ!」

 

「東京タワー」

 

「研究所」

 

「発電所」

 

「ビル」

 

「街」

 

そう言いながら、カ・ディンギルに該当しそうな場所を次々と言っていくが、どこも当て嵌まらず、一同は頭を悩ませる。

 

「あぁ!!

本当にこの街にあるのかよ!!」

 

「・・・・まさか」

 

「どうした?」

 

「いや、もしかしたらじゃが」

 

そう言い、忍は呟く。

 

「リディアン女学園」

 

『ヒットしました

ナビを開始します』

 

「なっ、それって」

 

「そう言えば」

 

忍の一言と共に思い出したのは、リディアンの地下にある基地へと侵入した時に見えた光景。

 

それも含めて考えれば、あの場所が一番怪しく感じた。

 

同時にその場の全てが歪み、雨宮達は外へと飛び出す。

 

「これは」

 

「まぁ認知の世界ならではじゃな」

 

そこに広がっているのは古代文明を思わせる建物の数々の中で、宇宙を突き抜ける程の巨大な塔がリディアンに建てられていた。

 

「これが、フィーネの認知の世界」

 

「とにかく、あそこに向かえば良いんだな。

モルナガ」

 

「了解したぜ」

 

そう言うと共にモルナガカーへと変身すると同時に雨宮、ソーマ、忍が乗り込んでいく。

 

「よし、俺も「あんたは留守番」はぁ!!」

 

「だって、ここ最近あんたばっかり活躍しているじゃない。

たまには私も暴れたいんだから」

 

「お前な」

 

「どちらにしても、ここ周辺も調べておいて損はないだろ」

 

「そうだな。

とにかく、俺、ソーマ、忍、モルナガ、高巻であの塔を調べてみる。

他の皆はこの周辺を調べてくれないか」

 

「まぁ、ジョーカーが言うならば」

 

「いや、それよりも一瞬で姿が変わった事に突っ込まないのかよ」

 

目の前で次々と起きている現象に目を回すクリスだが

 

「ここは認知の世界だ。

何が起きても可笑しくない世界だ、気にするな」

 

「お前、とりあえずは絵を描くのを辞めようか」

 

「断る。

中々に見られない光景だからな、ぜひともスケッチをしなければ!!」

 

そう言うとフォックスへと変わった喜田川は手に持ったスケッチブックに次々と目の前の光景を描いていく。

 

「・・・という事で、スカル。

フォックスの面倒を頼む」

 

「おい、置いていくなぁ!!」

 

スカルの叫びを無視しながら、そのままモルナガカーは走り出した。

 

「マジかよ」

 

「どうするんだ」

 

取り残されたスカルとクリスは互いに見つめると

 

「とりあえずはあいつが狙われないように見ておかないとな」

 

「たく」

 

そう良いながら、近くにあった岩へと座りながら、フォックスがスケッチが終わるのを待ち続けた。

 

スカル達がフォックスを見守っている間、雨宮達は目的地に向かって走っていた。

 

「道中にはシャドウはいないようだけど?」

 

「どうも、我が輩達が知っているパレスとは違うようだけど」

 

「さっきからお前達だけが知っている単語で喋るな」

 

道中、モルナガ達の会話についてこれない忍は不満そうに呟く。

 

そうしながらも雨宮は周りを見つめており、ソーマはふと、何かに気づくと

 

「やばいっ」

 

「「っ!!」」

 

「「?」」

 

ソーマは立ち上がると共に、隣の席に座っていたパンサーを抱え、雨宮はモルナガカーを急ブレーキして、無理矢理猫へと戻し、その場を飛び出す。

 

同時に空から降り注いだ二つの影が、彼らの進路へと遮った。

 

「まさか、奇襲が失敗するとはね」

 

「まぁ退屈はしないようで、良かったけど」

 

「ちっ、まさか幹部が2人がいきなり出てくるとは」

 

「いや、どうやら2人だけじゃないようだ」

 

ソーマは空を見つめると、そこにはビルからこちらを見つめる少女が立っていた。

 

「おぉ、流石は怪盗。

まぁ、そうでなければ、ゲームは面白くないんだけどね」

 

「ゲーム感覚とはな、むかつく奴らじゃな。

さっさと片付ける」

 

「3人相手はきついかもしれないけど、一気に片付ける」

 

「あぁ」

 

ソーマと忍の言葉と共に立ち上がった雨宮はその手に持ったVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「「「怪盗チェンジ」」」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その声と共に引き金を引いた3人の姿は瞬く間にルパンレンジャーへと変身すると共に構える。

 

「ルパンレッド」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!」」」

 

3人は同時に名乗ると共に構えると、それを見ていた幹部の一人が笑みを浮かべる。

 

「なるほど、なかなかに良い自己紹介ですね。

ならばこちらも名乗りますわ。

全て奪う黒、シュバルツ!」

 

「えっ、名乗るの」

 

「ほら、セントリーもAIも!」

 

「いや、言ったら意味はないだろ。

私、そういうのは興味ないし」

 

「えぇ」

 

自身から名乗ったシュバルツと、それに突っ込むセントリー、呆れるように呟くAI。

 

戦いの場とは思えない雰囲気にモルナガとパンサーは呆れた様子で見つめる。

 

「おいおい、本当に大丈夫なのかよ」

 

「あれ、そういえば三人はって!}

 

パンサーはふと、既に姿を消していた3人が気になり、周りを見つめると3人は各々のターゲットを狙い、武器を構えていた。

 

「速っ!」

 

既に行動を起こしていた3人に驚きの声を出したが、余裕の態度は変わらなかった。

 

「でも分かっていた事!」

 

同時シュバルツの前には壁が現れ、ブルーの攻撃を反転させ吹き飛ばす。

 

セントリーは迫り来るイエローの攻撃を受け止めると共にAIに向かっていたレッドへと吹き飛ばし、攻撃を防ぐ。

 

「ちっ」

 

「読まれていたか」

 

「だが、まだまだ!!」

 

その言葉と共に、態勢を整えた3人は各々で動き始めた。

 

縦横無尽に動く赤と青と黄の3つの線はモルナガ達は戸惑っていたが、まるで先を読んでいるようにシュバルツ達は反撃していた。

 

「えっ、対応している!?」

 

「我が輩が見る限りだとおそらくはあのAIの指示だろ」

 

「おぉ、にゃんこ、その通り」

 

そう笑みを浮かべたAIは宙に浮かんだ画面を見せる。

 

「これまでのデータは私の中で保管されている。

そこでどんな攻撃でも反転する事ができるシュバルツと、最強の攻撃ができるセントリーとわざわざ手を組んでこうして殲滅しに来たんだよ」

 

「殲滅だと?」

 

「あなた達が私達の商売を邪魔しているのは分かっていたからね」

 

「それを排除するのも、幹部の仕事」

 

「幹部幹部って、てめぇらは一体なんなんだ」

 

そう良い、イエローは叫び、睨み付ける。

 

「さぁ、私にも分かりません。

ですが、幹部という使命こそが全て。

それだけ分かれば十分じゃないですか?」

 

「狂っている」

 

「私達から見れば、あなた達の方が狂っているわよ」

 

そう良い、セントリーはブルーの言葉に反論するように攻撃を仕掛ける。

 

「既に決定された敗北に、なぜそこまで挑めるのか、疑問でしかないわ?」

 

「そうそう、お前らの勝率は0%。

全てのデータがある限りね」

 

「全てのデータ」

 

「モルナガ、なんかないの。

このままじゃ私、ただの足手まといじゃない」

 

「・・・杏殿」

 

その顔を見ると、モルナガは決意を固めたように近くで倒れたルパンレッドに近づく。

 

「モルナガ」

 

「確かにこのままじゃ負けは確定してしまう」

 

「おぉ、にゃんこの方が物分かりが良い「だけどな」んっ?」

 

「だったら、これまでにない方法でやれば良いだけの話だぁ!」

 

そう言い、モルナガ走り出すと共に、ルパンレッドの背中に手を当てる。

 

「モルナガ」

 

「方法なんて分からないし、失敗するかもしれねぇ!

けど、我が輩は今、お前に賭けてみたい!」

 

その言葉を聞くと、先程までどうすれば良いか、悩んでいたパンサーもまたルパンレッドの背中を触れる。

 

「だけど、確かに今までやった事のない事をしないとな」

 

そう言い、パンサーも同時にルパンレッドの背中に手を置く。

 

「俺達の力、お前に託した!!」

 

その言葉と共に、2人のペルソナが現れると共に、アルセーヌの中へと吸い込まれていった。

 

「っ!!」

 

同時にルパンレッドに襲いかかってきたのは、溢れ出る程の力で、身体が膨れ上がりそうになっていた。

 

だが

 

「あぁ、確かに預かった!!」

 

その一言と共に叫ぶと、アルセーヌも大きく変わっていった。

 

人を摸したアルセーヌの手は獣の手へと代わり、仮面は外れ、ライオンを思わせる姿。

 

そして、身に纏っていた衣服を脱ぎ捨て、現れたのは太陽を思わせる赤いライオンがその場で現れた。

 

「ガオライオン!!」

 

その叫びと共に、現れたガオライオンに釣られるように次々と青、黄、黒、白の4色の光球が現れる。

 

「あれは一体っ!」

 

「分からないっ!!

ペルソナなのは分かっているけど、こんなの知らない!?

どの文献にも元になっている存在がない!?」

 

「未知の存在!」

 

「ブルー、イエロー!

受け取れぇ!」

 

その叫び声と共に放たれた光球はブルーの元には黄と黒、イエローの元には青、白の光球が集い、武器へと変わった。

 

「丁度、欲しかった物だ」

 

「えっきゃぁ!!」

 

その言葉と共にルパンブルーが振り上げたのは黒い斧と黄色い剣が合わさった巨大な剣があり、それを振り上げる事でシュバルツの斧を弾き返した。

 

「まだまだ「反撃はさせねぇ!!」きゃぁ!」

 

すぐに反撃をするように斧を振り上げるも、ルパンブルーはその手に持った剣の威力は高く、反撃の隙を与えず、攻撃をしていく。

 

「くっ!!」

 

「中々に器用に扱えるもんじゃな」

 

そうしている間にもルパンイエローはその手に持った白い棒と青い双剣を使い、セントリーの得意とする近接戦闘を防いでいた。

 

「はぁ、ふざけるなよ!!

いきなり覚醒して、逆転ってっ!」

 

「ガオメインバスター!」

 

AIはそう言いながら、すぐに情報を集めようとしていたが、ルパンレッドはその手に持ったガオメインバスターをAIの乗るペルソナに向けて、放った。

 

放たれた弾丸はペルソナを打ち抜き、彼女を地面へと落とす。

 

「くっ」

 

「きゃぁ!」

 

その時、ルパンブルーとルパンイエローと戦っていた二人は同じ場所へと追い込まれる。

 

「よし、後もう少しっ」

 

「んっ、光っている?」

 

そうして追い込んでいると、ルパンレッド達の手に持っている武器が強烈な光を放ちながら一つの武器へと変わる。

 

「これで、とどめか。

良いぜ」

 

「背中は支える」

 

「安心して、放て」

 

ルパンレッドはその手に持った剣を構えると同時に右側はモルナガを始めとした怪盗団メンバー、左側からはルパンレンジャーとなって得たルパンレンジャー達が支える。

 

「あぁ」

 

二つ大きな支えを背中で感じると共に、ルパンレッドはゆっくりと剣を構える。

 

「破邪百獣剣!」

 

それと同時に、狙いを3人へと定める。

 

「邪気退散」

 

その一言と共に構えていた剣を振り下ろすと、剣から伸びた光の刃が3人の仮面を切り裂く。

 

「「「きゃぁ!」」」

 

それにより、3人の仮面から溢れ出る闇と共に、記憶が同時に呼び起こす。

 

「真!」「春!」「双葉!」

 

倒れた3人の記憶取り戻すと共に衝撃に耐えきれなかった3人はそのまま倒れる。

 

すぐに走り出した3人は走り、パンサーは真に寄り添い、モルナガは頭にぶつけながら春を受け止め、雨宮は双葉を受け止める。

 

「良かった、なんとか取り戻した」

 

「あぁ、未だに謎は多いけど「ようやく怪盗団全員が揃った訳だね」この声はっ!」

 

感動の再会を嘲笑うような拍手が響き、その方向を見ると、そこには茶色のコートを身に纏い、鴉のような仮面を身につけた青年がいた。

 

「てめぇは鴉!」

 

「おっと、確かに名前は名乗ってなかったけど、鴉呼ばわりは嫌だな。

まぁ、そろそろ役目も終わった事だし、外しても良いだろ」

 

その青年が自ら仮面を外し、その姿を見せた。

 

同時に雨宮達の脳裏に思い浮かんだのは、味方として共に戦った時の姿と敵として対面していた時の明智の二つの姿だった。

 

「お前は、明智!!

 

「やぁ、久しぶりだな、ジョーカー」

 

「知り合いか?」

 

「あぁ、だけどなぜ」

 

その場で現れた明智はそのまま降り立つと共に、懐から取り出したのは暴走の時に使われた仮面だった。

 

「それはっ!」

 

「君達も知っているだろう。僕の力は精神を暴走させる事ができるのを」

 

その言葉と共に、思い出したのは明智との戦いで使った精神を暴走させる力を雨宮達はよぎった。

 

「そうだ、なんでそんな重要な事を。

いや、だからこそか」

 

「ご名答と言いたい所だけど、記憶を奪った犯人は僕じゃない」

 

「だけど、私達が暴走したのは、あなたが関係しているんでしょ」

 

「それは正解だ」

 

そう良い、手に持っている仮面を見せる。

 

「この仮面には実に面白い力があるんだよ。

破壊された他の仮面からエネルギーを吸い取れるという力を持っているんだ。

それも倒した相手の力をより完璧に」

 

「お前、まさか始めからそれが目的で!」

 

「ご名答。

君達は転生者を救う為に戦ってくれたおかげで、十分すぎる程の力が溜まった。

特にジョーカー、君は仲間を救う為だったら確実に戦ってくれると分かっていたから、目的の力は容易に集まったよ」

 

同時に仮面の形は変わっていき、そこに現れたのは真っ黒に塗りつぶされたVSチェンジャーとレッドダイヤルファイターだった。

 

「っ!!」

 

「これで、君と対等の力を得た」

 

【BLACK!】【0・0・0】

 

「怪盗チェンジ」

 

【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー】

 

その音声と共に現れたのは、全てが黒く染められたルパンレンジャーが現れた。

 

「ふっ、ルパンブラック、参上と言っておこう」

 




アイテム紹介
ラナウェイ・アイ
見た目はウルトマントレギアのトレギアアイがモデル
明智の精神を暴走させる力を込められたアイテム。
特典を持った転生者の精神を暴走させる事が可能で、破壊されるのと同時に破壊した相手の力をコピーし、明智の持つ親機へとデータが送られる。
現在はブラックダイヤルファイターへと変わっている。


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Pour attraper la main du vampire jaune~黄色い吸血鬼の手を掴むのは~

その日、響と未来、そして翼は共に出かけていた。

奏以外と出かけていなかった翼にとっては新鮮な気持ちで一緒に出かけており、楽しんでいた。

「翼さん、ここです!!
私達のお薦めのお店のカフェは」

「ここがか?」

「はい、お値段がとってもお手軽で美味しくて話題なんですよ」

「そうか、では」

そう言い、店へと入店した。

「いらっしゃいませ」

「あれ、雨宮さんじゃない?」

そこに出てきたのはこれまで見たことのない青年だった。

「あぁ、最近バイトで入った喜田川だ。
なるほど、なかなかに面白い組み合わせの色だ」

「あはは、また変わった店員さんですね」

「ふむ、だが店の雰囲気は良さそうだ」

「むっ?」

「?」

翼の声を聞くと、喜田川は驚きで目を見開いた。

「えっもしかして、ばれちゃった!?」

「そっそうなのか?」

「???」

「あの喜田川さんどうしました?」

「いや、すまない。
そこにいる青い髪の女性の声がどこかで聞いた事のあるような気がして」

「あははは、そうです「どうしたの、祐助」へっ?」

未だに勘違いしている喜田川をそのまま流そうとしたが、そんな響が聞こえたのは、今、まさに後ろにいる翼の声だった。

「どうしたの?」

「「えっえぇ!!」」

「あぁなるほど、杏とそっくりだったのか」

「「???」」


「ルパンブラック」

 

「まぁ、今日は挨拶だけだからね。

初のお披露目だから、ここから去らせて貰うね」

 

その言葉と共に、ルパンブラックはその場から去ろうとした瞬間、ルパンレッドの横に立っていたルパンイエローの姿はなくなり、その手に持ったルパンソードを構えていた。

 

「イエロー!」

 

「やれやれ、戦う気はないのだけどね」

 

そう言い、その手に持った赤いレーザーブレードで受け止める。

 

だが、ルパンイエローはその行動を読んでいたように、もう片方の手に持っているVSチェンジャーを使い、ルパンブラックに向けて、次々と銃弾を放っていく。

 

銃弾は真っ直ぐとルパンブラックに迫っていたが、ルパンブラックのマントが鋭い槍となって、全ての銃弾を弾き返すと共に、ルパンブラックはそのままルパンイエローを蹴り上げる。

 

「ちっ」

 

「イエロー、無茶を「邪魔だっ!」うわぁ」

 

すぐに止めようとしたモルナガの声を振り払い、ルパンイエローはすぐに走り出す。

 

「ねぇ、どうなっているの?」

 

「とにかく撤退するしかない」

 

その言葉と共にルパンレッドの背後から現れたアルセーヌは手に集めた闇をルパンイエローとルパンブラックの間に向けて放った。

 

一瞬の闇が、その場を支配すると共にルパンブラックが視界を回復した時に見えたのは戦闘によって破壊された跡しかなく、ルパンレンジャー達の姿は消えていた。

 

「逃げられたか。

けど、面白い事も分かった。

これから、楽しみだ」

 

そう言い、ルパンブラックはその手に持っているVSチェンジャーのブラックダイヤルファイターを起動させ、その場を去っていた。

 

ルパンレンジャー達が離脱後、ジュレに戻ってきた一同は双葉達を屋根裏で休ませていた。

 

「おい、なんであんな無茶をしたんだ」

 

モルナガは戦いを終えた後、大量のドーナツを食べている忍に向けて放った。

 

「なんじゃ、敵を攻撃するのに何か理由があるのか?」

 

「あの場で戦ったら、せっかく救出した春達にも危険だったんだぞ!」

 

「それが?」

 

モルナガの言葉を心底興味がないように呟くと共に、ドーナツを食べる。

 

「お主らが仲間を大事にするのは構わぬ。

だけど、儂は儂の目的で動いている。

あくまで目的が一緒なだけでお前達の仲間になったつもりはない」

 

「なっ」

 

「儂は寝る」

 

その一言と共に忍はその場で姿を消し、店の机がどかされ、男性陣の敷かれている布団のみだった。

 

「なんなんだ、あいつはっ!

というか、なんなんだ!!」

 

「話では吸血鬼だと聞いていたが、あそこまで冷たい奴だったのか」

 

先程までの忍の態度が気に入らなかったのか、竜司と喜田川は思わず呟く。

 

「奴は元々はある目的の為に俺達と共に行動している。

俺も、人の事は言えないからな」

 

そう自身の事を含めて呟くソーマに対して竜司はすぐに目を向ける。

 

「一緒じゃねぇよ。

お前はなんだかんだ助けてくれてるし、良い奴じゃないか」

 

「俺はそんなできた人間じゃない。

悪いが、もう休ませて貰う」

 

その言葉を最後に、ソーマはそのまま寝転がった。

 

「個性の強いチームだとは思ったがここまでとはな」

 

「なぁ、お前は忍とは付き合いは長いのか?」

 

「まぁ、少しな」

 

「だったら、なんで入ったのか教えてくれないか?

悪い事じゃないんだったら「ごめん、それは忍自身から止められているんだ」あいつ自身が?」

 

「何やら深い事情なのか」

 

「あぁ」

 

それを聞くと竜司はそのままため息を吐く。

 

「分かった。

俺も似たような事があったから、そこまでは言わない」

 

「悪いな。

それと、少し外の風に当たってくる」

 

その一言と共に雨宮は裏口から散歩に出かけていった。

 

外へと出て行くと、春という事もあり、過ごしやすい風であり、ゆっくりと通り過ぎる光景を眺めながら、とある場所へと訪れる。

 

「懐かしいな」

 

「あれから1年じゃな」

 

「うわっ!?」

 

その場所へとたどり着くと、雨宮の影から現れたのは寝ているはずの忍だった。

 

「忍、寝ていたんじゃ」

 

「あんなの、あの馬鹿共の話を聞かない為じゃ」

 

笑みを浮かべながら、忍はその壁を見つめる。

 

「一応聞くけど、なんであの時に無茶な攻撃を行ったんだ?」

 

「叩くのならば、今しかない。

そう思っただけじゃよ」

 

その言葉と共に忍は背を壁に当てながら、真っ直ぐと雨宮を見つめる。

 

「どのような力でも手に入れたばかりでは完全には使えない。

だが、時間が経てば、その力の使い方が分かり、厄介な事になる。

ならば、少しでも可能性がある、あの時にしか始末するしかない」

 

「それは、お前の経験か?」

 

「ふっ、どうじゃろうな。

かつて、この身になった時かもしれないがな」

 

そう言って、自虐するように笑みを浮かべる。

 

「まぁ、最も、その力は既に無くなっているようなもんじゃがな」

 

「・・・」

 

その言葉を聞くと忍の元へと近づき

 

「約束しただろ。

ソーマもお前の大切な物は必ず取り戻る。

俺は記憶取り戻して続けているから、お前達も絶対に取り戻す」

 

「当たり前じゃ。

あの時の約束は守ってもらうぞ」

 

その言葉を聞くと共に、彼らはかつて出会った場所を見つめる。

 

「おやおやぁ、まさかこんな夜更けに、珍しいお嬢ちゃんがいるじゃないですかぁ!」

 

「あぁ?」

 

気味の悪い声が聞こえ、忍は睨み付けると、そこには神父服を纏った白髪の男が立っていた。

 

「なんじゃ、貴様は?」

 

「俺ちんは異教徒を始末する必殺お仕事人な神父さんフリードでぇす!

何やら、とっても邪魔な怪盗を始末して欲しいとい依頼があったのでぇ、遊びに来ましたぁ」

 

「面倒な奴じゃな」

 

そう言い、その瞳は先程まで見せなかった冷たい目でフリードを睨み付けると共に、その手にはVSチェンジャーではない武器を取り出そうとするが

 

「忍」

 

「・・・分かっておる分かっておる」

 

雨宮の言葉を聞き、取りだそうとした武器を影の中へと捨てて、手の中にVSチェンジャーを収め、構える。

 

「あれぇ、あれあれ?

武器はそんなおもちゃですかぁ!?

だったら、俺様ちゃんはこれを使わせて貰いますねねぇ!!

 

その言葉と共に出てきたのは、刀身が光っており、周りが昼だと思わせる程の光を発していた。

 

「この伝説の剣で、悪党の怪盗と吸血鬼ちゃんを倒させて貰いますぜぇ!!」

 

「伝説の剣じゃと?

興味ないな、使い手がお前のような下品な奴だと、宝の持ち腐れじゃな」

 

その言葉と共に、手に持ったVSチェンジャーにイエローダイヤルファイターを装填する。

 

【YELLOW!】【1・1・6】【怪盗チェンジ!】

 

「「怪盗チェンジ!」」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共にルパンレンジャーへと変身すると共にフリードへと構える。

 

「予告する、あんたのお宝、頂くぜ!」

 

「俺様ちゃんのお宝を?

いやぁん、泥棒さんにはお仕置きだよ!!」

 

その言葉と共にフリードの姿は一瞬で消えるが、ルパンレンジャー達は瞬時に前に走り出し、後ろへと振り返り、VSチェンジャーの引き金を引く。

 

銃弾は次々と放たれ、その先には姿を消したはずのフリードの姿があった。

 

「ちぃ」

 

「奇襲をするならば、別の所にするんだな」

 

「速く動いて、単純な奴は動きは分かりやすいんじゃな」

 

「まだまだ、準備運動ですからぁ!!」

 

そう言い、地面を思いっきり叩きつけると共に、周りに石がまき散らされ、視界が遮られてしまう。

 

遮られた視線を違いに庇うように背中合わせになった2人は周りを見つめる。

 

「きゃはぁ!

このエクスカリバーちゃんはパワーやスピードは勿論の事、幻覚や形を変える、さらには祝福に支配となんでもありのとんでもな剣なんだよぉ!」

 

「ちっ、いちいち五月蠅い奴だ」

 

「ついでに音を遮るのか?

さっきから奴の把握が難しいな」

 

1秒の小さな時間の間に2人の身体は次々と傷だらけになっていた。

 

動きが単純に読めた奇襲とは違い、フリードの支離滅裂な思考と似た攻撃によって動きを読む事が難しくなっていた。

 

「ほらほらぁ、もっと傷つけるぜぇ」

 

「ちっ、時間をかけるのも面倒じゃ、レッド」

 

「なんだ?」

 

「お主のペルソナで一気に片付けるぞ」

 

「アルセーヌや他のペルソナじゃ「何を言っている、儂がいるんじゃろ」忍」

 

「なんじゃ?

店の常連だけができて、一緒に戦ってきた奴は信用できないのか?」

 

「確かにな、でもな」

 

「んっ?」

 

「別に一緒に戦ったからじゃない、仲間だから、信用しているんだ」

 

そう言って、ルパンレッドはルパンイエローに手を伸ばす。

 

「・・・そうか。

まぁ良いじゃろ、今の所はお主とソーマぐらいは仲間として見よう」

 

その言葉を受け取ると共にルパンイエローはルパンレッドの手を掴む。

 

「仲良く無理心中ですか!!

解釈ごめん!!」

 

「悪いが、死ぬ気なんて、さらさらないんじゃよ

 

その言葉と共に違いの手を強く握りしめる。

 

それはまるで決して離さないように強く握りしめると共に、互いのスーツから溢れ出る血が宙で舞い上がる。

 

「はぁ?」

 

「貴様、確か神父じゃったよな。

だったら、こいつが似合いじゃないか?」

 

「ジャンヌ!」

 

その言葉と共に背後から現れたのは黒い鎧を身に纏った白髪の女性が現れると共に、その腰にある剣を振り上げる。

 

「はぁ、なんですかそれは!?」

 

「あいにくと正義の味方だが、性格は最悪なんじゃよ、儂は。

という事で、痛みと共に、罪を償うんじゃな」

 

その言葉を聞いた瞬間、先程まで戦いを優勢に戦っていたはずのフリードの血の気が引きその場を去ろうとした。

 

だが、彼の前に現れたのは煉獄の炎とも思われる壁が現れ、彼の身体は槍で貫かれる。

 

一本、二本と次々と突き刺さっていき、その身体はまるでキリストの処刑を思わせる姿になる。

 

「があぁっあがぁ!!」

 

同時に襲いかかるのは、全身を燃やされるような熱さと、貫かれた痛みが広がる。

 

「がぁ、ぎやぁ!!」

 

痛みで既に言葉が出ない程に、白目になりながらも、気絶しては痛みで起きあがり、死んでは、あまりの痛みで再び生き返る。

 

まさに生き地獄を繰り返し、ルパンレッドとルパンイエローは構える。

 

「「永遠にアドゥ」」

 

その一言と共にVSチェンジャーから放たれた銃弾はフリードを貫き、特典を奪い取る。

 

同時に気絶したフリードは地面に叩き落とされた。

 

「おい、大丈夫なのか?」

 

「お前が加減したんじゃろ。

これでも優しいぐらいじゃよ、儂は」

 

「本当かよ。

とにかく警察まで連れて行くか」

 

そう言い、フリードをそのまま警察まで連れて行き、夜明けを迎えようとしていた。

 

「まったく、面倒な仕事が増えてしまったもんじゃ」

 

「まぁ、良いじゃないか。

これで少しはあいつに殺された人も報われる」

 

「お前は、本当に記憶を無くしている時も、取り戻しても変わらないんじゃな」

 

そう言って、真っ直ぐと人を助ける雨宮を見て

 

「儂も」

 

「んっ?」

 

「なんでもない」

 

小さく呟いた忍の声は聞こえず、すぐに聞き返そうとした雨宮だが、誤魔化される。

 

「さっさと寝ないとやばいんじゃないか?

もう2時じゃよ」

 

「なっ、明日は店があるのに」

 

「かかっ、とっと帰るぞ」

 

慌てる様子の雨宮を見た忍は笑みを浮かべながら、歩き出す。

 

「あぁ、本当に、無くす前と無くした後が変わっているのは儂ぐらいなもんじゃな」

 

そう、忍はかつての自身に睨まれているような奇妙な感覚と心地よい暖かさを胸に、ジュレへと戻っていく。

 



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Transformez les mains qui se chevauchent en vigueur.~重なる手を力に変えて 前篇~

遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。
まだまだ未熟者ですが、これからもよろしくお願いします。


フィーネのパレスへと突入した雨宮達は怪盗衣装を身に纏うと共に周りを見渡す。

 

そこには街並みは変わっているが、多くのノイズと思われる存在が大量におり、今でも襲い掛かりそうになってた。

 

それを見ると共に

 

「さて、時間だな」

 

『こちらからのサポートは最低限になるが、大丈夫か?』

 

「十分だ、それよりも他の皆はどうだ?」

 

そんな雨宮が聞こえてきた声に返答する。

 

『ばっちりだよ。

各々でノイズと戦闘を行って、街の人々の避難も順調だ』

 

「だったら、そのまま頼むぜ」

 

『そっちも頑張れよ、ジョーカー』

 

「分かった、ナビ」

 

その声と共に雨宮は一緒にいるソーマと忍に目を向ける。

 

「それじゃあ、行くか」

 

その言葉と共に3人は走り出した。

 

立ち並ぶビルで走りながら、ワイヤーを使いながらパンクールを使いながら、目的地へと近づいた。

 

「本当に、改めて見るととんでもない場所だな」

 

そう言い、上を見ると、そこには空まで届きそうな塔が一つ生えていた。

 

「だが、目的地まではダイヤルファイターなら「そうさせるとでも?」その声は」

 

「何時か来るとは思っていたが、まさかこのタイミングだとはな」

 

ターゲットの場所まであと少しの所で、現れたのは白い巫女服を身に纏った金髪の女性が現れた。

 

「認知上のフィーネか」

 

「そうなるな。

しかし、私も長い時を生きたが、まさか人の心に入り込む力があるとはな。

くくくっ、面白いなこれは」

 

そう言いながら、余裕の笑みを浮かべながら、フィーネはゆっくりと歩いていく。

 

「もうすぐ計画は成功する。

そのあと少しの時に、貴様らに邪魔されてたまるか」

 

「その邪魔こそが、俺達の目的だ。

悪いが、フィーネ、あんたのお宝、頂戴するぜ」

 

「奪えるのならば、奪ってみせろ。

ただし私は貴様らに奪わせるつもりなど、毛頭ない!」

 

その瞬間、フィーネの身体は光に包まれるのと同時に現れたのは黄金に輝く天使を思わせる姿だった。

 

「ふっ自分は天使だと思っているのか?

そこまで思い込んでいるんだったら、その翼を破って、地上に引きずり落とすぜ」

 

【RED!】【BLUE!】【YELLOW!】

 

3人は同時にVSチェンジャーにダイヤルファイターを装填すると共に、構える。

 

【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「「「怪盗チェンジ」」」

 

【ルパンレンジャー!】

 

引き金を引き、ルパンレンジャーへと姿を変えた雨宮達は同時に各々が指を弾く。

 

「ルパンレッド」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!」」」

 

その掛け声と共に、ルパンレンジャー達は走り出した。

 

「愚かな事を」

 

その言葉と同時にフィーネは地面を叩くと、そこから現れたのはマネキンが幾つも現れ、身に纏ったのはシンフォギアだった。

 

同時に、そこには生身の人間となり、そこにいたのは眼に生気のない響達だった。

 

「なっ、どういう事じゃ!?」

 

「ここはパレス、つまりはあいつの心の中の世界」

 

「だから、再現は可能という訳か」

 

同時にルパンレッドには響が、ルパンブルーは翼が、ルパンイエローはクリスがぶつかり合った。

 

かつて共闘した時に比べて、確実に強くなっている響の拳は確かにルパンレッドにダメージを与えており、偽物だと知りながら、VSチェンジャーを彼女に向ける事ができなかった。

 

「ぐっ」

 

「何をしているんじゃ!

こんな時に甘さを出している場合か!」

 

同時にルパンブルーはその手に持ったルパンソードを構え、翼の攻撃を防ぐ。

 

「ちっ邪魔じゃ!」

 

ルパンイエローは次々と襲い掛かる攻撃を防ぎながら、合流する。

 

ルパンレンジャーが一ヵ所に集まると同時に、雪音がミサイルを同時に発射し、土煙をあげる。

 

同時に響と翼が襲い掛かる。

 

響の拳を受け流しながら、手に持つルパンソードのマジックハンドによってで翼の持つ剣を外した。

 

だが、すぐにその場で回転し、牽制した翼からその場を離れる。

 

「ぐっ、だけど、まだクリスとフィーネが」

 

その言葉通り、見てみるとクリスは巨大なミサイルを発射さえようとしており、そのターゲットはガ・ディンギルだった。

 

「なっ」

 

「お前らに奪われるぐらいならば、壊した方がマシだからな」

 

「やらせるかよ!!」

 

その言葉と共にガ・ディンギルへと迫るミサイルを手に持ったルパンソードに力を込めて、斬撃でミサイルを切り裂く。

 

「もう一発はっ!」

 

その言葉と共に上を見ると、そこにはミサイルに乗ったクリスが天高く飛んでいた。

 

同時に、その歌声が聞こえた。

 

「これは」

 

「シンフォギアの切り札、絶唱だ。

さぁ、どう防ぐ?」

 

まるでこの状況を面白いと言わんばかりのフィーネに対して

 

「やらせるかよ!!」

 

同時にルパンレッドはその手に持ったVSチェンジャーをクリスに向けると、同時にアルセーヌが現れ、弾丸に宿る。

 

「奪え、アルセーヌ!」

 

その言葉と共に黒い弾丸がクリスの放った一撃とぶつかる。

 

亀裂を生みながら、身体は悲鳴を上げながら、堪えていた。

 

「連」

 

「っ!」

 

瞬間、ルパンレッドの目の前に広がった光景は、まさに自分達が行っていた戦闘の光景と同じだった。

 

「まさかっ!」

 

「レッド!?」

 

ルパンレッドは既に召喚しているアルセーヌに乗り、クリスの元へと跳ぶ。

 

落ちていくクリスに必死に手を伸ばし、受け止めようとしたが、それは空を切った。

 

「っフィーネぇ!!」

 

「ふっ」

 

フィーネはそのまま意味深な笑みを浮かべる。

 

ルパンレッドは身から溢れ出そうな怒りと共にフィーネに襲うが、その前に立ちふさがったのは黒く暴走している響だった。

 

直前で響の前で拳が止まったルパンレッドはその場で後ろに下がり、フィーネを睨む。

 

「何か分かったのか?」

 

「あぁ、とことんやばすぎる」

 

「どういう事じゃ?」

 

ルパンレッドが何かに気付いたのを察して二人は聞くと

 

「今、目の前に戦っている二人も、クリスも現実にいる3人と同じだ」

 

「「なっ!?」」

 

「どうやって気付いたか分からないが、その通りだ」

 

そう言い、フィーネが作り出したのは一つの画面だった。

 

「貴様らの動きは現実にいる私と連動している。

戦闘に少し不慣れな私は少しでも戦闘を有利に進める為に貴様達のデータを取る事にした」

 

「最初からこっちの策に気付いたのか?」

 

「お前達とよく似た奴からの情報でな」

 

「明智っ!」

 

フィーネからの言葉により、今回の作戦を思いついたと思われる人物に対して、忍は声を荒げる。

 

だが、その言葉を聞きながらも、既にルパンレッドは既にVSチェンジャーを構える事ができず、迫りくる響に対して攻撃する事ができなかった。

 

「ちっ、イエロー」

 

「分かっておる!」

 

同時にルパンイエローはルパンレッドを抱え、ルパンブルーは暴走している響の攻撃を防いだ。

 

その動きは、目の前で動く画面と連動していた。

 

「貴様らが反撃すればするほど、現実の私が有利になるだけ。

貴様らに最初から勝機などなかったのだよ!!」

 

そうしている間にも、戦いは続いていた。

 

もう一人の翼はその身は消え去り、現実の画面にいた翼もまた姿を消していた。

 

その光景が続き、既に心が死にかけていたルパンレッドと、既に変身が解除する所まで追い込まれたソーマと忍。

 

自身が救おうとした人を傷つけてしまった。

 

その事実に対して、ルパンレッドは

 

「俺は『何をやっているんだ、ジョーカー!』えっ?」

 

「貴様らはっ!」

 

既に倒れそうになっているジョーカーの耳元に聞こえてきたのは、モルナガの声だった。

 

「これはっ!」

 

同時に認知のフィーネが見たのは、現実の世界の光景だった。

 

そこでは力尽きていた響を守るようにモルナガ達が現れた。

 

「貴様らは一体?!」

 

「俺輩達は心の怪盗団だ!」

 

「義によって、助太刀に来たぜ、聞こえているかジョーカー!」

 

「スカル、フォックス」

 

「諦めているなんて、言うんじゃないわよね!!」

 

「どんな逆境だって、乗り越えて来たじゃない!」

 

「パンサー、クイーン」

 

「遅れたから、偉そうな事は言えないけど、だけど」

 

「こんな状況では恰好つけられないでしょ!」

 

「ナビ、ノワール」

 

現実の画面を通して聞こえてくる声。

 

その声と共に既にボロボロになって、倒れていた雨宮と重なったのは響だった。

 

「聞こえる」

 

「あぁ」

 

「皆の声が」

 

「仲間達の声が」

 

「私達を支えてくれる皆の声が」

 

「信じてくれた声が」

 

「何時だって傍に」

 

「どんなに離れていても」

 

「皆が歌ってくれているんだ」

 

「俺に差し伸ばしてくれている」

 

「頑張れる」

 

「立ち上がれる!」

 

「「戦える!!!」」

 

同時に雨宮と響を中心に、光ははじける。

 

「「ぐっ!!」」

 

現実と認知、両方のフィーネがそれに怯み、後ろへと下がる。

 

同時に別々の世界にいるはずの雨宮と響は目が合わさると同時に響は空へと飛ぶ。

 

「まだ、負ける訳にはいかないよな」

 

既に身体に力が入らない状況の中で、雨宮は確かに響の言葉が聞こえた。

 

彼女の言葉に応えるように、ゆっくりと立ち上がり、目の前にいるフィーネを睨む。

 

「まだ諦めないのか、怪盗」

 

「諦めてたまるかよ。

彼女の、諦めない言葉を聞いた以上、怪盗の俺がそれに応えなくてどうするんだ」

 

「それは違うぞ」

 

そう、雨宮の言葉を否定したのは、ソーマだった。

 

「ソーマ」

 

「そこは俺じゃなくて、俺達じゃろ」

 

「忍、そうだったな」

 

既に限界に近い二人だったが、ソーマも忍も雨宮に手を貸す。

 

「なんなんだ貴様らは」

 

「言っただろ、世間を騒がせている怪盗だって、そして予告する」

 

その言葉と共に、再びVSチェンジャーフィーネに構えた。

 

「あんたのお宝、頂くぜ!」

 

その一言と共に雨宮の背後から現れたのはアルセーヌだった。

 

だが、アルセーヌが現れた瞬間、彼らを包み込むように光が集まり始める。

 

「これは、現実と同じまさか!」

 

「ぺ」

 

その言葉と共に、アルセーヌの羽は機械の羽へと変わり、片方は黄金の輝きを放ち

 

「ル」

 

同時に纏っていたボロボロの衣服はまるで新調された真っ赤な上着に黒いズボン

 

「ソ」

 

同時に帽子は天高く飛び、不気味な仮面は鋼鉄な仮面へと変わり、ニヒルな笑みと共に咥えタバコをする。

 

「ナ!」

 

瞬間、シルクハットは短くなり、ペルソナがそれを被る事によって新たな姿へと変わる。

 

新たに生まれ変わったペルソナは雨宮達の背後に立つと同時に、彼らは新たなペルソナのその名を叫んだ。

 

「「「ラウール!」」」

 

新たなペルソナ、ラウールの誕生と共にルパンレンジャーへと姿を変えた彼らと新たな姿へと変わったシンフォギアを身に纏った響達が空を飛ぶ。

 

彼らのフィーネとの最終決戦が始まる。



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Transformez les mains qui se chevauchent en vigueur.Part2~重なる手を力に変えて 後篇~

ラ・ウールの登場と共に、フィーネは怒りで我を忘れたように叫んだ。

 

「このような都合の良い話、あってたまるかぁ!!」

 

その叫び声と共に現れたのは赤い巨大な竜だった。

 

竜はこちらに向けて襲い掛かった。

 

同時にラ・ウールは龍に向けて、召喚したVSチェンジャーを使い、銃弾を放った。

 

銃弾は竜へと当たるが、まるでダメージは通らず、そのままラ・ウールに向けて襲い掛かり、爪がラ・ウールに襲い掛かる。

 

「所詮、この程っ!?」

 

そう言おうとした時だった、

 

ラ・ウールの片方の翼から襲い掛かったのは雷だった。

 

「なにっ!?」

 

突然の雷に困惑しながら、竜は一瞬だけ怯むと同時に翼から現れた巨大な爪は竜を吹き飛ばし、その姿を現した。

 

その姿は獅子に様々な装備を身に纏い、その内の一つのマントからは雷の音が溢れ、止まなかった。

 

「「ヴァジュラ!!」」

 

雨宮とソーマ、二人の声に合わせるようにヴァジュラは咆哮を上げ、幾つもの雷の球体を作り出し、竜に襲わせる。

 

「ちっ、神の名を使うか!!

だが、まだだ!!」

 

そう言い、竜はその場で留まるのと同時に口に炎を集め始めた。

 

竜が口に炎を集め始めるのと同時に、地面は焦げ、溶け始めていた。

 

その狙いは紛れもなく、ラ・ウールとヴァジュラ、そして雨宮達だった。

 

「焼け死ね!!」

 

その言葉と共に竜は溢れるばかりの炎を放ち、放たれた炎はラ・ウール達に激突すると共に巨大な火柱を作り上げた。

 

「奴らはどこだっ!」

 

先程まで絶対的な一撃を与えたはずのフィーネだが、その顔には焦りしかなかった。

 

絶対的な優位のはず、確実に倒せる程の一撃を放ったが、それでも不安は無くらなかった。

 

そして、その不安は的中した。

 

「「フルークフーデ」」

 

「っ!!」

 

同時に聞こえたのは耳を抑えたくなるほどの蝙蝠の鳴き声と翼、同時に火柱から出てきた数えきれない程の蝙蝠は空へと舞うと、そこに姿を変えた。

 

そこに現れたのは漆黒の竜と思わせる黒い化け物であり、そこには忍が頭に乗っていた。

 

同時に現れたのはヴァジュラに乗ったソーマ、ラ・ウールを背後へと召喚している雨宮の姿だった。

 

「なっなんなんだ、貴様らはっ!!」

 

「言っただろ、世間を騒がせる怪盗だって。

そして、これで終わりだ」

 

その言葉と共に、ラ・ウールは手を翳す。

 

「ショータイムだ」

 

その一言と共に竜はその動きを止めると同時に目を徐々に閉じていった。

 

「なっ、馬鹿なっ!

なぜ、眠るんだっ!!」

 

「俺のラ・ウールは万物を盗む事ができる。

俺はそいつから時間を盗んだ」

 

「そんな馬鹿な事がっ」

 

「悪いが、決めさせてもらうぜ」

 

その言葉と同時に走り出した。

 

フルーク・フーデと忍が竜を吹き飛ばし、ヴァジュラの雷がソーマのルパンソードの切れ味を上げ、様々な部位を切り落とす。

 

そして、ラ・ウールと雨宮はVSチェンジャーを構え

 

「チェックメイト」

 

その一言と共に引き金を引いた。

 

同時に竜は完全に撃ち抜かれ、その姿を消した。

 

「さて、残るはお前だけだが」

 

「・・・既に敗北している」

 

その一言と共に見てみると、現実の世界で現れた竜と同じ姿をした怪物が響達によって倒された光景だった。

 

「だがっ諦めるつもりはないっ!!

私は「なぁ」なんだっ!」

 

「あんたは結局、何がしたいんだ?」

 

「聞いていなかったのか?

私の目的は統一言語を取り戻し、あの方へと思いを告げる事だっ!」

 

「あんたが何をしたいのかよく分からないけどさ、あんたの想いってそう簡単な物なのか?」

 

「なに、簡単な物だとっ?!」

 

雨宮から出ていた言葉にフィーネは睨む。

 

「俺は人の心なんて未だに分からないけどさ、フィーネ。

あんたは本当に真っすぐとその人と向き合っているのか」

 

「何を言っている」

 

「統一言語が無くなり、言葉が繋がらず、ぶつかり傷つくのが怖いだけじゃないのか?」

 

「恐怖だと?

そんなのは、私には、私には」

 

そう言ったフィーネの言葉は少しずつ小さくなっていき、やがて

 

「そうかもしれないな」

 

諦めがついたようにフィーネは空を見上げる。

 

「私は統一言語という手段がなくなり、あの方が理解できなくなり、争う事を恐れた。

だからこそ、私は傷つかない手段に手を伸ばしたが、お前の言う通りかもしれないな」

 

そう言ったフィーネはまるで長い間の憑き物が取れたようだった。

 

「誰かと分かり合う為に傷つく事を恐れてはいけない。

当たり前のようでいて、私は、見ようとしていなかった」

 

そう言うと同時に響との戦いに完全に決着をつけた瞬間だった。

 

「ありがとう、最後に気付かせてくれて」

 

同時に認知のフィーネは消え去れ、雨宮達もまた認知の世界から元の現実の世界へと戻る。

 

「うぐぅ」

 

「了子さん?」

 

「くっ、まさか、本当に奇妙な物ね。

二つの世界を認知していながら、二つ共負けてしまったというのに、ここまで清々しいとはね。

響ちゃん、ルパンレッド」

 

「・・・」

 

同時に認知の世界から戻ってきた雨宮と響はフィーネの前へと立っていた。

 

「あなた達の胸の中の歌を信じなさい」

 

その言葉を最後に完全に砂となって消え去った。

 

それはノイズによって灰になった人々と同じ最後だったが、その表情はどこか救われた表情であった。

 

「ルパンレッドさん」

 

「すまないな、ここまで遅刻するとは思わなかった」

 

「ううん、ありがとう。

事情はモルナガちゃん達から聞いていた。

もう一人の了子さんを救ってくれたんだよね、だから了子さん、最後は笑顔でいてくれた」

 

「そうか」

 

同時に空を見上げると、そこには月から欠けた欠片がゆっくりと迫っていた。

 

「さて、もうひと頑張りしないと」

 

「だったら、俺も手伝うとするか」

 

そう言い、手に持ったVSチェンジャーともう片方の手には竜を倒した時にできたフィーネの宝、楽譜だった。

 

「それは、了子さんの」

 

「あぁ、あの人、あぁ言っていたけど歌が好きだったんだと思うよ」

 

「そっか」

 

その言葉を聞き、安心したように響は笑みを浮かべた。

 

***

 

後日談を語ろう。

 

先史文明の巫女の亡霊・フィーネが企てた計画は立花響達が阻止し、その心の闇は雨宮達によって取り除かれ、成仏した。

 

何千年と続いた彼女の計画がここで終わったのかどうかは未だに分からないが、もしも行われていたとしても、それはきっと非道な計画ではないだろう。

 

そしてフィーネが行った事件の後始末でもある月の落下は見事に防がれた。

 

月の欠片が迫る中で、エクスドライブへと至った響とダイヤルファイターに乗ったルパンレンジャー達によって、その危機は去った。

 

だが、その後、彼女達の行方を知る者達はおらず、ノイズの被害は未だに続いていた。

 

主に集中的な被害を受けている日本は、謎の集団「心の怪盗団」によって被害は減っており、世間では謎の存在として噂されていた。

 

「と、吾輩が語れるのはここまでだな」

 

「そうなの」

 

その日、吾輩はとある少女と一緒に墓参りに来ていた。

 

吾輩達、心の怪盗団はあのルナアタックと呼ばれた事件の後、喫茶店ジュレの店長と話し合った結果、信用できる組織という事もあり二課の協力者として活動している。

 

ノイズに対抗できるペルソナ能力もあり、吾輩達は様々な場所に呼ばれている。

 

他のお偉いさん達には「シンフォギアと同様に謎のシステムで解析は不可能」と上手く説明しているようだ。

 

「だけど、本当に良いの?」

 

「それも連との約束だからな」

 

「そう」

 

そう言った彼女と共に墓参りへと向かっていた。

 

雨を打たれる中で響殿の墓の前で悲しんでいる。

 

「・・・」

 

悲しみに暮れる彼女を見ていると、胸が苦しくなる。

 

吾輩からしたらフィーネの言っていた統一言語がどれほど意味があるのか分からない。

 

それ程に賢い訳ではないが、未来殿が涙を流す程の価値が果たしてあっただろうか?

 

そんな疑問を他所に突然聞こえてくる車の衝突音が聞こえ、見てみると、そこには女性がノイズに襲われそうになっていた。

 

「未来殿は逃げろっ、ゾロ!」

 

その言葉と共に吾輩はゾロを呼び出すと共にガルでノイズを吹き飛ばし、未来殿は女性を連れて逃げ出した。

 

「さぁかかってこい、吾輩が相手だってっ!!」

 

奴らは吾輩の事を見ずに、未来殿に向かって行った。

 

「まさか、吾輩が人間じゃないから、狙いを逸らしたのかっ!!」

 

今、この時程に吾輩の身体が人間ではない事を恨みたいが、今は未来殿達を救うのが先決。

 

吾輩はすぐに走り出し、未来殿達が逃げ出した方へと走る。

 

そこには無数のノイズによって取り囲んでおり、絶体絶命の未来殿が立っていた。

 

「それ以上っ、近づくなっ!!」

 

そう言い、手を伸ばすが、間に合わないはずだった。

 

「ペルソナ」

 

その言葉と共に襲おうとしていたノイズは黒い炎がノイズを包み込み、一瞬でノイズは吹き飛ばす。

 

「ごめんね、また未来には内緒にしちゃって」

 

「響っ!」

 

そこには久しぶりに再会した親友達が抱き合った姿だった。

 

「まったく、厄介な事になったけど、まぁ結果的には良かったかもな」

 

「まったく、お前、死んだふりはもうするなよ」

 

「悪い悪い」

 

そう言いながら、吾輩の横にはジョーカーの時の恰好を身に纏っている連がいた。

 

これが、未だに終わりの見えない戦いの序章に過ぎないが、それでも今はこの光景を守れた事を誇りに思おう。



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Jour du commencement RED=始まりの日 ルパンレッド~

「「ジュレ!ジュレ!ジュレ!」

「「ルブラン!ルブラン!ルブラン!」」

「これ、一体何の騒ぎ?」

「この前のルナアタックの時に店が壊れたから、別の所で再開する店の名前の会議だ」

「意見が真っ二つに割れて、今はこうして口論になっている。
あっ、店長だ」

「・・・・ナシタだ!!」

「意見がまた増えた!?」

店の名前はアンケートで


ルナアタックが終わり、事後処理の為に現在立花響を始めとしたシンフォギア奏者達は仮基地の潜水艦の中にて、過ごしていた。

 

「それにしても、まさか、ルパンレンジャーの正体が雨宮さんだったなんて」

 

「まぁ仕事の都合でな」

 

そう言いながら、雨宮は立花の隣に座りながら、返答する。

 

あの戦いの後、訳を説明せず、石動の提案によって、二課の協力が決まってしまった。

 

そして、事後処理の為にもルパンレンジャーの活動休止と共にこれからの連携の為に彼ら三人はシンフォギア奏者と一緒に過ごしていた。

 

「それにしても、何時からルパンレンジャーだったんですか?」

 

「なんだ急に?

まぁ、俺が覚えている限りだと、そんなに経ってないな、あの時から」

 

「あの時?

もしかして、ルパンレッド誕生の物語とかですか!!」

 

そう言うとまるで新しいおもちゃを見つけたように響は雨宮に詰め寄る。

 

「なっなんだ!?」

 

「だって、この船は娯楽が少ないんですから!

それに、こういうのはお互い知った方がこれから仲良くなれるじゃないですか!!」

 

「むっ確かにな。

それもそうだな」

 

立花の提案にも納得した雨宮は頷くと

 

「それじゃあ、話すとするか。

あれはそうだな今からだいたい1年ぐらい前だったかな?」

 

そう言いながら、雨宮は最初にルパンレッドになった時の記憶を思い出す。

 

________________________________________

目が覚めると、俺は記憶を無くしていた。

 

雨の中行くあてもなく座り込んでおり、自分の名前も、何もかも分からなくなっていた。

 

「俺は一体」

 

僅かに残っていたのは、自身の名前である雨宮連という名前だけだった。

 

そんな不安の中で、こちらに近づく足音が聞こえ、見つめるとそこには傘をさしている男が一人立っていた。

 

「どうやら、ダイヤルファイターが選んだのはお前のようだな」

 

「誰だ?」

 

「俺は石動。

訳あって、お前を捜していた男だ。

とりあえずは雨の中ではなんだ、ついて来い」

 

そう言い、石動に連れられ、向かった場所は現在はnacitaとして開店する前の空き家だった。

 

「とりあえず身体を拭け。

何か暖かいのでも用意するから」

 

家に入ると、手慣れた動きでタオルを取り出し、俺に投げてきた。

 

すぐに受け止め、ずぶ濡れになっている身体を拭きながら、俺は家の中を見ていた。

 

記憶はなく、何も知らないはずの場所の光景をなぜか懐かしく思いながら、ゆっくりと近くの椅子に座った。

 

今になって、俺はその時には記憶が無くても、心の怪盗団の皆と共に過ごしたルブランだと間違えてしまう程に心細かったと思う。

 

「悪いがコーヒーしかないかいけるか?」

 

「まぁ、なんとか」

 

そう言い受け取ったコーヒーを飲みながら、俺は石動を見つめる。

 

「なぁ、さっきは俺を捜しているようだけど一体俺に何の用なんだ?」

 

「そうだな、まずは実物を見てから聞いてくれ」

 

そう言い、取り出したのは今の俺が愛用しているダイヤルファイター、レッドダイヤルファイターだった。

 

「これは?」

 

「ダイヤルファイター。

転生者と呼ばれる奴らから特典を奪う事ができるとんでもない代物だ」

 

「転生者?」

 

いきなり訳の分からない単語を聞き、困惑する俺に対して石動は笑みを浮かべる。

 

「まぁ、今は難しくて頭に入らないと思うけど、簡単に言うと一度死んで、人を超えた力を手に入れて蘇った奴らの事だ。

そして、そいつの持つ力、つまりは特典を、このダイヤルファイターで奪う事ができるんだ」

 

現実離れしている内容についていけず、俺は頭が混乱していた。

 

「そんな力を、俺に渡してどうするつもりなんだ?」

 

「単刀直入に言う。

雨宮連、お前にはルパンレンジャーとなって転生者から特典を奪ってほしい」

 

「なっ!?」

 

いきなりの事で俺は石動に詰め寄る。

 

「なんで、俺なんだ!?

俺は、今は、そんな場合じゃないんだ」

 

「分かっている。

記憶を、無くしているんだろ」

 

その言葉を聞き、すぐに警戒するように後ろに下がった。

 

「なんで、その事を」

 

「そうだな、昔、似た奴と会った気がした。

それだけだ」

 

「それだけって」

 

「案外、馬鹿にならないもんだからな。

それに雨宮連、お前の事もある程度は知っている。

その上での取引だ」

 

「取引?」

 

「あぁ、お前がルパンレンジャーとして活動していれば、お前に失われていた記憶を取り戻す事ができる」

 

「取引と言いながら、俺にはそれ以外の選択肢がないようだな」

 

「まぁな。

記憶喪失の男が暮らすには、世界はあまりにも冷たい。

それに、普通の方法ではお前の記憶は戻らない」

 

今、考えれば、石動は俺がルパンレンジャーに入る事は最初から確信を持っていた。

 

そう思える程にあの笑みは確信したように見つめていた。

 

「・・・俺は」

 

「決意は固まらないようだな。

ならば、ついてこい」

 

その言葉と共に石動は手に持った銃を地面に向けると、そこから溢れ出す煙と共にどこかへと移動した。

 

「なっ、何がっ!?」

 

「俺も色々な修羅場を抜けてきたからな。

それよりも、見てみろ」

 

そう言って、見えたのは真っ黒で、機械的な奴がそこには立っていた。

 

「あいつは」

 

「ネビュラヘルブロス、とあるガスを特典にした転生者が暴走した姿だ。

このままあいつを放っておけば、街の奴らは殺される」

 

「なっ、そんな」

 

自分の記憶すら曖昧な状況で、突然言われた人の死。

 

その事に対して、俺は

 

「何が言いたいんだ」

 

「お前がルパンレンジャーになる事を断った後の事だ。

この場は俺がどうにかしよう、だけど、その後は保証できない。

お前がこれから記憶を取り戻そうとする時に幾らでも似たような理不尽が訪れる。

その時に優しさがあっても誰も救えない。

だからこその力だ」

 

そう言い石動は俺に向けてレッドダイヤルファイターを差し向ける。

 

「選べ、ルパンレンジャーになるのか、それともならないのか」

 

「まったく、ほとんど脅迫じゃないか、だけど」

 

そう言った時の俺の顔はどうだったか分からない。

 

怒りに震えていたのかもしれない。

 

正直、今になって分からないけど

 

「俺は助ける為に戦う。

そうじゃなきゃ、俺が俺じゃなくなる気がする」

 

そう言って、俺はレッドダイヤルファイターを受け取った。

 

「ふっ、ならこれもだ」

 

そう言い石動が渡したのはVSチェンジャーだった。

 

「これは?」

 

「VSチェンジャーだ。

そいつにレッドダイヤルファイターを装填し、ダイヤルを回せ。

その時がお前がルパンレンジャーになる時だ」

 

「あぁ」

 

そう言い、俺はネビュラヘルブロスの前に立つ。

 

「すぅ、ふぅ」

 

ゆっくりと息を吸い込み、その手に持ったVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

鳴り響く音と共に、レッドダイヤルファイターを回し、その持ち手を変え、ネビュラヘルブロスに向ける。

 

「怪盗チェンジ」

 

その一言と共に引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

同時に俺の身体は、ルパンレッドへと姿を変わる。

 

「ぎぃ!」

 

ルパンレッドへと姿が変わった事により、気が付いたネビュラヘルブロスは振り向くと同時にその爪で襲い掛かろうとする。

 

だが、その時の俺は目の前に迫るネビュラヘルブロスの脅威よりも、聞こえてくる声の方へと耳を傾けていた。

 

『記憶を失い、何もわからないままに選択肢は本当に合っているのか?

お前の選択は、本当に合っていたのか?』

 

「分からないさ。

もしかしたら間違っていたかもしれない。

だけど、俺は、今、後悔しない道を選びたいだけだ」

 

『目の前にある事しか見ないか。

だが、しかし、立ち止まるよりは良いだろう!!』

 

その声が聞こえると共に吹きあがる炎は迫りくるネビュラヘルブロスを吹き飛ばす。

 

「まさか、もう目覚めたのか!?」

 

俺の覚醒に驚いたように、石動は目を見開きながら見つめると、その先にいたのはアルセーヌだった。

 

『我は汝、汝は我。

己の信じた正義の為、あまねく冒涜を省みぬ者よ!

その怒り、再び我が名と共に解き放て!

例え地獄でつながれても、全てを見定める、強き意思の力を!』

 

その瞬間、手慣れたようにVSチェンジャーを回しながら、その狙いはネビュラヘルブロスへと構える。

 

「奪い取れ、アルセーヌ!」

 

その言葉と共に、引き金を引く。

 

同時に飛び出た弾丸は黒い闇に染まっており、弾丸はそのままネビュラヘルブロスを貫く。

 

「お宝は頂いた」

 

その一言と共に、その手にはネビュラヘルブロスから盗み取ったと思われる宝が手に収まっていた。

 

見てみると、ネビュラヘルブロスへと変わっていた人がそこに寝ており、気絶しているようだった。

 

「ブラボーだな。

まさか初陣でペルソナも目覚めるとはな」

 

「知っていたのか?」

 

「それも目的の一つだからね。

だが、覚醒はまだまだだと思っていたが、思わぬ誤算だったがな。

これで、これからの目的も進められる」

 

「目的?」

 

石動はそう言うと、怪しく笑みを浮かべる。

 

「仲間を集める。

それもとびっきりやばい奴らだ」

 

「やばい?」

 

首を傾げながら、問いただすと

 

「あぁ、なんだって相手はこの世で最強の吸血鬼、キスショット・アセロリアン・ハートアンダーブレードだからな」

 

「名前、長いな」

 

その名前を聞くと俺は思わず呟いてしまう。

 

________________________________________

 

「キスショット?

誰ですか?」

 

「あぁそれは「おらぁ!」がぁ!」

 

「雨宮さん!!」

 

雨宮がその名前の人物を喋ろうとした瞬間、遠くから投げられた何かが雨宮に激突する。

 

見れば、それは丸められたティッシュだった。

 

「まったく、人のプライバシーにかかわる話じゃろ」

 

「えぇ忍ちゃん?

もしかして、キスショットは「それ以上は言うな」あっはい」

 

気になった響はすぐに忍に話を聞こうとするが、その余りにもの重圧にそれ以上は話さなかった。

 

「それよりも、新しく引っ越す場所は聞いておるのか?」

 

「引っ越し?」

 

「あぁあの都市は壊滅的なダメージを受けた為に別の場所へと行く事になった。

儂らの店もお前らの学校もそこに変わるぞ」

 

「新しい街かぁ?

一体どこなの?」

 

「確かな」

 

そう言いながら、忍は取り出したメモ帳に書いている文字をゆっくりと見る。

 

「海鳴市じゃな」

 

 

 



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Bienvenue au café secret~秘密な喫茶店へようこそ~

フィーネの戦いから数ヶ月後、雨宮、ソーマ、忍の三人は新たな拠点となる店

nacsitaへと辿り着く。

 

「ここが新しい店か」

 

「店の名前も変わったな」

 

そう言いながら、雨宮は新しく住む事になった家であり、喫茶店nascitaを見つめる。

 

そこには3階建てのビルがあり、一階にフロア丸々が喫茶店になっていた。

 

雨宮達が入ると、中の雰囲気はルブランやジュレとはまた違った雰囲気を出しており、落ち着きのある雰囲気があるスペースと、誰かの贈り物なのかアクション映画のDVDや風鳴翼のCDなどが多く置かれていた。

 

「なんというか、自由だな」

 

「というよりも、我が輩の制服まであるんだが」

 

そう言った声につられ、雨宮は見てみると猫に合わせて作られたと思われる服を身に纏い

不満げにしているモルナガがいた。

 

「働かない奴に喰わせる店はなし。

猫とは違って、人並みの知能があるならば、バイトぐらいしないと」

 

「石動は色々と動じないな」

 

「まぁそう言うな」

 

そう言いながら、彼らは新たな店の雰囲気を確認すると共に2階へと訪れる。

 

そこには6つのドアに分かれており、各々が男性用と女性用の寝室とトイレ、そして風呂場が分かれており、まるで学校の寮のようになっていた。

 

「まぁ人数が人数だからな」

 

そう言った雨宮だが、以外にも部屋のスペースは前まで住んでいたジュレよりも部屋は広く、余裕のあるスペースなので、それ程不満は特になかった。

 

「それにしても、疑問だ」

 

「疑問?」

 

ソーマはそう言いながら、部屋を見渡しながら言った一言が気になり、雨宮は聞き返す。

 

そう言っていると、ソーマは部屋に入りながら、見渡していた。

 

「俺達の怪盗として活動する為に必要な設備がない。

見た限りだと地下への入り口などなかったはずだが」

 

「おぉ、そこに気づいたか」

 

「あっ双葉」

 

ソーマが疑問に思っていると、ひょこっと出てきたのは双葉だった。

 

「双葉、どういう事なんだ?」

 

「ふふふっ、では案内してやろう。

なんだって、私も普段はそっちで寝ているからな」

 

「「「???」」」

 

双葉の言葉に疑問に思いながらも、双葉の後をついていくと、そこは先程まで喫茶店となっている場所だった。

 

そこでキッチンへと入っていき、双葉が開けたのは

 

「冷蔵庫?」

 

そこにはキッチンの端にあった冷蔵庫であり、構造的なのかキッチンに入らなければ分からない角にあった。

 

双葉はそのまま冷蔵庫のドアを開けるとそこには

 

「かっ階段!?」

 

「どうなっとるんじゃ!?」

 

「良いだろ、なかなかに秘密基地っぽくって!!」

 

そう言って自慢するように双葉は冷蔵庫の中へと入っていく。

 

雨宮達は驚きながらもすぐに冷蔵庫の中を見てみると、そこには地下へと伸びる階段があり、ゆっくりと階段を下っていく。

 

そこには

 

「なっ、地下にこんな所があるとは」

 

そう言いながら、見渡すと、そこに広がっていたのは、広く広がった空間があり、怪盗団メンバーの各々の趣味だと思われる物は勿論の事だが、怪盗として必要な道具を作る為のスペースや通信に使われると思われる巨大なテレビなどこれまでにない規模の部屋が広がっていた。

 

「どうなっているんだ?」

 

「ふふっ、これこそ権力の力、なんちゃって」

 

そう言いながら、部屋で待っていた石動は椅子に座りながら自慢気に語る。

 

「いやいや、権力って一体」

 

「いやぁ、この前二課との協力も本格的に行う事にあたって、地上での基地について話していたんだよ。

そこで、ここを基地にしてみてはと提案したら、弦十郎君も賛同してくれてね。

こうして作っちゃいました」

 

「よくまぁ、思いついたな」

 

ソーマは目の前にいる石動の何気ない行動に対して冷たい目をしながら見つめるが

 

「いやぁ褒めないで褒めないで」

 

むしろ気にする事なく、笑みで答える。

 

「まぁ普通は冷蔵庫の中にこんな施設があるとは思わないだろうけどな。

よくお主が思いついたな」

 

「・・・まぁね。

俺もなんやかんや、一番楽しかった時期の事を思い出したからね」

 

「?」

 

そう言った石動は懐かしむように部屋を見回した後に振り向いた。

 

「とりあえず、これからはここで俺もお前達のサポートをするぜ」

 

そう言いながら、部屋の案内を一通り終えると、部屋の奥へと入っていった。

 

「どうですか、マイトリックスター」

 

「えっ?」

 

そうして、部屋を見回して声を掛けられ、見てみると、そこにいたのはラヴェンツァが立っていた。

 

「えっ、なんで?」

 

「誰だ、こいつは?」

 

「・・・キャラが被っている」

 

突然現れたラヴェンツァに一同は驚く。

 

「この基地の建設には、私達も多少なりとも関わっておりますので」

 

「そうなのか。

いや、まぁ確かに」

 

そう言いながら、ラヴェンツァの言葉に対して、驚いた。

 

だが、雨宮は前の世界で行った行動を思い出し、納得した。

 

「なんじゃ、こいつは」

 

「あぁ、そういえば紹介がまだだったな。

この子はラヴェンツァ、俺が活動する時にペルソナなどのサポートしてくれている」

 

「ペルソナか。

だが、そんな奴がなんでここに?」

 

「・・・これから起きるであろう戦いの為にです」

 

「戦い?」

 

そう言うとラヴェンツァは頷く。

 

「これまで、ルパンレンジャーとして戦ってきた日々は、まだ始まりでしかありません。ギャングラーの活動もこれまで以上に活発になります。

なによりも」

 

「分かっている。

あいつとは、俺が決着をつけなければいけない」

 

そう言いながら、雨宮は近くに置いてあったチェスの黒いキングの駒を取り、見つめる。

 

「・・・それでは、私はこれで失礼します」

 

その言葉と共にラヴェンツアは立ち去った。

 

「んっ、ラヴェンツアちゃんはもう帰っちゃったの?

残念」

 

そう言い石動は煎れたばかりのコーヒーを雨宮達に渡した。

 

「悪いが、コーヒーの気分ではない」

 

「儂は紅茶派じゃ」

 

その言葉と共に、その場を立ち去った。

 

石動は周りを見ながら雨宮を見つめると

 

「そうだな、貰うよ」

 

そう言い、雨宮はそのままコーヒーを取り、飲む。

 

「・・・うん、やっぱりまずいわ。

喫茶店では俺がコーヒーを出すよ」

 

「そうだな。

まぁ、お前のコーヒーは楽しみだからな。

うわぁ、まず」

 

そう言いながら、二人で不味いコーヒーを飲みながら、過ごした。



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il ya quelque temps de G~Gの少し前~

その日、連は海鳴町で散歩をしていた。

 

新しく引っ越してきた町での地形把握は、ルパンレンジャーとしての活動時には重要な情報の為、彼は歩いていた。

 

「そう言えば、久しぶりだな。

一人で歩くというのは」

 

連はそう考えながら、今は空になっているバッグ、そして誰もいない影を見つめながら呟く。

 

連はこの世界においては単独行動は実は少なく、歩くのがだるいと言って影の中に入っている忍や常に行動を共にしている相棒モルナガと一緒に行動していた。

 

だが、今日は忍は店の部屋でドーナツを食べており、モルナガは高巻にプレゼントするために店でアルバイトを行っていた。

 

その事もあり、その日は珍しく一人珍しく町を歩いていた。

 

「なんというか、珍しいな」

 

そう言いながら、町を眺めながら一人だけの日常に驚きを感じていた。

 

ふと、海が見える公園があり、公園の椅子に座る。

 

公園からそう遠くない場所に建てられているドームを見つめる。

 

もう少しで開催される予定である「QUEENS of MUSIC」の会場という事もあり、今でもその準備を行う為に多くの作業員が出入りしていた。

 

「気になるのかしら?」

 

「えっ?」

 

ふと、ドームを見つめていると、後ろを見ると黒いコートを身に纏った女性が立っていた。

 

「まぁ、気になると言ったら気になります。

知り合いが出る予定だと」

 

「知り合い。

確かに気になるわね」

 

そう言いながら女性は何を思ったのか連の隣に座った。

 

「あなたはなんでここに?」

 

「仕事の息抜きにね。

もうすぐ行う大仕事の為にも」

 

「仕事?

会場関係の人ですか?」

 

「ぷっ、えぇそうね。

確かに関係者と言ったら関係者ね」

 

連の反応で何か面白かったのか、女性は思わず笑う。

 

「それにしても、本当に驚きよね。

ノイズがあれだけ騒がれた町の隣でまさかこんな事をするとはね」

 

「まぁ、だからこそかもしれませんね。

ノイズの脅威は未だにね」

 

「災害だから、仕方ないかもしれないけど」

 

「まぁそうですけど」

 

そう言いながら、月を見つめる。

 

あの戦いの最中、連はどれぐらいの人を救えたのか。

 

助けられなかった人もきっと数多くいる。

 

そんな思いを見つめながら

 

「男の子だったらしゃんとしなさい。

ほら」

 

そう言って、女性は手に持っていたコーヒーを渡す。

 

「どうも」

 

「本当に変わっている子ね。

あなた、QUEENS of MUSICには興味あるかしら?」

 

「えぇ、勿論」

 

「だったら、楽しみにしておきなさい。

私の歌を聴かせるから」

 

「えっ?

まさか会場関係者って、そっち?」

 

「あら言ってなかったかしら?

というよりも知られてなかった方に驚いたわ」

 

そう言いながら呆れながらも

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ」

 

「えぇ、楽しみにしていますよ」

 

その言葉と共にマリアはその場から立ち去った。

 

「さて、楽しみもできた事だし、とりあえずは「なにっ!!」っ!」

 

そんな言葉と共に聞こえてきたのは、マリアが謎の車に詰められている光景だった。

 

同時に連はすぐに走り出した。

 

「くっそ」

 

だが、あと少しで間に合わず車を走り出した。

 

「ちっ」

 

すぐに公園の近くにある森に入り、そのまま怪盗衣装を身に纏い、そのまま車を追っていく。

 

「弦十郎さん、聞こえるか!」

 

そのまま、怪盗衣装から取り出したスマホを耳元に当てる。

 

『どうしたんだ、連君?』

 

「今、少し変な奴が通った。

悪いけど、俺の携帯からGPSで場所を調べて、カメラで状況を知らせてくれないか?」

 

『詳細は分からないが、分かった』

 

その言葉と共に10秒もしない内に驚きの声が出た。

 

『連君、よく聞け。

その暴走している車には歌手のマリアが誘拐されている。

すぐに救出はできるか?』

 

「問題ない」

 

その言葉と共に建物の天井から降り立つと共に、手に持っていたダイヤルファイターを扉に添える。

 

すると、ダイヤルファイターのあらゆる物の扉を開ける力が発揮され、ロックされていた扉が開く。

 

「なにっ!?」

 

運転していた犯人は驚きの声を出したが、連はすぐに誘拐されていた人物を抱きかかえると共にもう片方のドアから飛び出す。

 

「ぐぅ」

 

「一体何が?」

 

起こっている状況に対して、多少の混乱を見せながらもゆっくりとマリアは見つめる。

 

「歌手を攫いに来た怪盗と言った所かな?」

 

「なら、もうちょっとロマンチックにお願いできないかしら?」

 

「次回の機会があったら。

でも今は」

 

そう言い、連は手に持ったVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターを挿入する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

鳴り響く音と共に、レッドダイヤルファイターを回し、その持ち手を変え、転生者に向ける。

 

「怪盗チェンジ」

 

その一言と共に引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

同時に連の身体は、ルパンレッドへと姿を変わる。

 

「まさか、ルパンレッド!」

 

マリアは目の前の怪盗の正体に驚きながらも、見つめる。

 

「予告する、あんたのお宝、頂くぜ!」

 

「俺の邪魔をするなぁ!!」

 

その言葉と共に車の中から飛び出した転生者が持っていたのは弓だった。

 

油断できない状況の為、すぐに走り出すと、転生者はすぐに弓から矢が放たれた。

 

「早い、でもな」

 

矢の速さに驚いたが、すぐにその場を避けて走り出す。

 

だが

 

「がぁ!」

 

「嘘でしょ!」

 

避けたはずの矢がなぜかルパンレッドの肩を貫く。

 

「ぐぅ」

 

すぐに矢を抜き、何が起きたのか呆然としている。

 

「矢の軌道が変わったっ!!」

 

「なに?」

 

マリアの一言に驚いている間にも転生者は次々と矢を放っていく。

 

すぐにワイヤーを使い、その場を大きく離れるが、矢は大きく向きを変えて、ルパンレッドに迫っていた。

 

「追尾かよ!!」

 

その効果に驚きながら、ルパンレッドは走りながらも避ける手段を考える。

 

(どうする!?

あの様子だとどこまで追いかけてくるか分からない。

このまま放っておいても、いずれ追いつく)

 

「無駄だぁ!

俺の矢はどんな相手だろうと必ず当てる!!」

 

「・・・当たる。

だったらっ!!」

 

その言葉と共にルパンレッドはすぐに方向転換するように動いた瞬間、矢はルパンレッドに当たり、吹き飛ばされた。

 

「ルパンレッドっ!!」

 

「くくっやったぞ!!

あとはマリアを手に入れるだけ。

まぁまずは動けなくしないとなぁ」

 

そう言い、弓を再び構えようとした時だった。

 

「おい、まだ終わっていないぞ」

 

転生者は、その言葉を聞いた瞬間に震えた。

 

ゆっくりと声がした方向を見るとそこには、確かに吹き飛ばしたはずのルパンレッドが立っていた。

 

「なっどうなっているんだぁ!」

 

その言葉と共に転生者は再び弓を構え、放とうとしたが、それよりも早くルパンレッドは手に持ったダイヤルファイターをVSチェンジャーに装填し、引き金を引いた。

 

弓から放たれた矢はまっすぐとルパンレッドに向かったが、その前に現れた巨大な盾によってその攻撃は封じられる。

 

「なっ!?」

 

「ペルソナ、ガンレックス。

そしてそれが憑依したダイヤルファイター、シザー&シールドダイヤルファイターだ」

 

「なっまさかっ!!」

 

「あの力で防いだの」

 

絶対追尾の力を持つ矢はルパンレッドの攻撃を避けながら確実に当たる攻撃の前に素早さが武器であるルパンレッドは確かに苦戦を強いられた。

 

だが、その解決は簡単だった。

 

それは当たれば良いという事だった。

 

そこで召喚したのは、盾と剣を持つペルソナガンレックスだった。

 

当たる直前に盾だけが前に出て、その攻撃を受け、外に吹き飛ばされるが致命傷にはならなかった。

 

「なっなんだよ、それはああぁ!!」

 

その言葉と共に、転生者は次の矢を装填し、次々と放っていく。

 

同時にルパンレッドは背中にあった巨大なブーメランを投げ、盾を構えながら走り出した。

 

「確かに確実に当たる矢は脅威だ。

だが、必ず当たるという事は牽制もない。

お前はこれまでその能力に頼りすぎている」

 

「ひぃ!!」

 

その言葉通り、矢は百発百中の制度でルパンレッドに向かっていった。

 

だが、同時に全ての狙いが真っ直ぐすぎた為、ルパンレッドは盾を前に出し、構えるだけでも全ての攻撃を防ぐ事ができた。

 

「くそぉ!!」

 

すぐに狙いをルパンレッドから人質になっているマリアに向けるが、投げられていた巨大なブーメランによって、転生者は吹き飛ばされる。

 

「がっ!!」

 

瞬間、弓矢を手放した転生者が目にしたのは、盾を手放し、VSチェンジャーを構えているルパンレッドの姿だった。

 

「永遠にアドゥ」

 

その一言と共に引き金は引かれ、転生者は光へと吸い込まれた。

 

同時に転生者が手に持っていた弓矢は消え、ルパンレッドの元へ行く。

 

「無事か」

 

「えぇ、感謝するわ怪盗」

 

安全を確認すると共に、既に警察がこちらに向かっていた。

 

「それじゃあ、俺はこれで「あぁ待って」んっ?」

 

呼び止められたルパンレッドは振り返ると、マスク越しでマリアはそのままキスをした。

 

「これは助けてくれたお礼よ」

 

「・・・はい」

 

突然の事で目を点にした連だが、すぐにそのまま離れた。

 

「・・・怪盗していて、キスされるとはな」

 

そうして警察に後のことを任せた後、連は先程キスされた衝撃から戻って来れないままゆっくりとジュレに戻ってきた。

 

「ただいま」

 

そう言いながら、ジュレに入ると

 

「ぎゃあぁぁ!!」

 

「凄い、ジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドをこんな所で見れるとは!!」

 

「というか、どうなっているのこれぇ!!」

 

店に入ると、既に怒りで我を忘れている忍が客だと思われるピンク髪の女性?に向けて見た事のない技をかけている光景だった。

 

「・・・なにこれ」

 

その光景を見つめて、連は静かに呟く。

 

 



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Ouverture de G~Gの開幕~

店での騒動が起きてから、少し経った時だった。

 

その日、雨宮はとある会場の客席に座っていた。

 

「それにしても、すげぇな。

音が凄まじくて、耳がきーんとするぜ」

 

「しかし、ライブかぁ。

俺って、こういうのは行った事がないからな」

 

そう言いながら、雨宮のバックから出てきたモルナガは耳を塞ぎながら、坂本はこれまでにない場所で周りを興味深そうに見ていた。

 

最大規模の音楽祭典「QUEENS of MUSIC」

 

今回、雨宮達は知り合いである風鳴翼が参加する事もあり、喫茶店メンバー全員で応援に来ていた。

 

特等席で猫でも入って大丈夫なように、二課が図ってくれた事もあり、全員が楽しみに待っていた。

 

「それにしても、響ちゃんは残念そうだったね」

 

「前から楽しみにしていたライブだから仕方ないわよ。

でも、任務が終わったら、すぐに来れるそうだから」

 

そう言いながら、未だに来れていない響達の事を心配するように話題を出していた。

 

「おっ、そろそろ始まるぞ!」

 

その言葉を聞くと、全員がステージを見る。

 

そこでは翼ともう一人の歌姫であるマリアが現れる。

 

「あっ」

 

「んっ、なんか知っているのか?」

 

「この前の転生者の時に助けた人だ。

会場関係者って、そっちか」

 

「おまっ、何時の間にそんなうらやましい事に!!」

 

「五月蠅い、さっさと集中しろ」

 

坂本は雨宮から聞いた事に驚きながら詰め寄るが、面倒くさそうにソーマは彼を遮る。

 

「・・・」

 

「忍?」

 

そんな時、忍は何やら鋭い眼付で周りを見渡す。

 

「何か、嫌な予感がする」

 

「嫌な予感?」

 

忍の、その言葉に少し寒気を感じた雨宮。

 

その寒気の正体がすぐに理解できた。

 

「っノイズ!」

 

それは会場に突然現れた多数のノイズ。

 

それらを見た瞬間、観客達はすぐに悲鳴をあげ、その場から離れていった。

 

「なっ何が起きているのっ!?」

 

「分からないわっ、でも」

 

「そうとうにやばい事だけは確実だな」

 

そう言いながら、状況を確認する為に全員が隠れる位置に立つ。

 

「状況は悪いが、幸いな事に戦えるメンバーは全員いる。

双葉」

 

「了解」

 

その言葉と共に双葉は会場から見えない場所へと移動すると、そのまま怪盗衣装に変わり、同時にペルソナを発動させる。

 

「テストテスト、よし良好っと。

おぉい、本部聞こえているか?」

 

『双葉君か!』

 

「こちらの状況は既に分かっていると思うけど、大丈夫?」

 

『あぁ問題ない。

こちらでも現在対処している』

 

「それじゃあ、始めますよ」

 

そう言い、双葉はそのまま目の前にある画面を操作する。

 

双葉のペルソナであるネクロノミコンは情報収集に特化しているペルソナであり、二課にいる藤尭など多くの協力者の力を得る事により、それまで以上の情報収集能力や指示を出す事ができる。

 

「ノイズは操られているだけあって、場所はきちんと整列されているね。

だけど、やっぱり数が多い以上は一瞬で片付けなきゃ、人質が危険だよ」

 

「だったら、一瞬で片付ける。

配置する場所の指示「会場にいるオーディエンスたちを開放する!ノイズたちに手出しはさせない、速やかにお引き取り願おうか!」をってぇ!?」

 

すぐに対策を行うとした瞬間、マリアの突然の言葉にその場の全員が驚きを隠せなかった。

 

「何を考えているんだ、あのマリアという奴は!?」

 

「分からない、罠という可能性も考えられるけど」

 

『とにかく、今は観客の安全が優先だ。

ルパンレンジャーは観客の避難が終了するのと同時にマリアを取り押さえ、怪盗団メンバーはもしもの時に備えて待機を』

 

「了解した」

 

弦十郎からの言葉を聞くのと同時に、全員がその場で影に隠れながら、ゆっくりと進んでいく。

 

そうして、ゆっくりと観客が全員外に出てきたのを確認すると同時に、VSチェンジャーを構えようとした瞬間

 

「っ!!」

 

雨宮は突然の殺気に気付き、その場を飛び出す。

 

「なっ!?」

 

「調に切歌。

予定よりも早かったわね」

 

「ごめん、だけど予想外なのはこっちも同じ」

 

「もう隠れて来ていたのは驚きデス!!」

 

「シンフォギアが3人だとっ!」

 

カメラがある状況で、身動きが取れない中、目の前にはマリアの他にも調と切歌という少女達がシンフォギアを纏っていた。

 

「まったく、シンフォギアはあまりないと聞くけど、厄介だな」

 

「本当に、黒に緑にピンク。

こっちにはない色だな」

 

「じゃが、3対3で丁度良いじゃろ」

 

「へぇ、来るとは思っていたけど、もう全員集合な訳」

 

そう言いながら、雨宮達は並びながら、

 

【RED!】【BLUE!】【YELLOW!】

 

VSチェンジャーにダイヤルファイターを装填し、同時にダイヤルを回す。

 

【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「「「怪盗チェンジ」」」

 

準備を終えたとばかりに、各々VSチェンジャーを回転させ、各々が目の前にいる敵に向けて引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

同時に、ルパンレンジャーへと変身を終えると指をはじく。

 

「ルパンレッド」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー」」」

 

同時に自分達の名乗りを上げ、マリア達に向ける。

 

「予告する。

あんたのお宝、頂くぜ!」

 

「そうそう渡すつもりはないわよ」

 

その言葉が合図になり、各々が目の前にいる敵に対して、武器を向ける。

 

調が様々な方向から攻めてくる小型の回転鋸を大量に飛ばしてくるが、ルパンイエローはその身の軽さと手に持ったルパンソードを使い、回転鋸を弾きながら近づく。

 

切歌は手に持った鎌を使い、ルパンブルーに接近戦を挑むが、ルパンブルーはその手に持ったルパンソードのマジックハンドを使い、鎌を奪う。

 

「なんデスとぉ!!」

 

そう言いながら、鎌以外の武装を使い、ルパンブルーに攻撃を仕掛けるが、暴風を作り出す程の怪力でルパンブルーは対抗する。

 

「うわっと、これは面倒だなっ!」

 

そうして二人が戦っている最中、ルパンレッドは目の前にいるマリアに苦戦をしていた。

 

自由自在に動きを変えるマントは攻撃にも防御に使える為、VSチェンジャーによる牽制もあまり役に立たず、ルパンソードも使えなかった。

 

「あら?

どうやら盗まれるのはあなたの方みたいね」

 

「さぁ、それはどうかな?」

 

戦闘に踏み込む事ができないルパンレッドだったが、ふと上を見てみると、こちらに真っすぐと向かっている光があった。

 

「っ!!」

 

一瞬、ルパンレッドが向いた方向が気になり、マリアは見つめると、そこには拳を振り下ろしている響がいた。

 

「はああぁ!!」

 

「もう来たのかっ!!」

 

すぐにマントを使い、響の攻撃を受け取めると同時に投げ飛ばす。

 

「えっうわああぁ!?」

 

「よっと、たく危ないなぁ」

 

そう言いながら、響を受け止めたルパンレッドはそのまま彼女を降ろすと、同時にクリスと翼の姿が見える。

 

「遅くなって悪かったな」

 

「カメラも切れた。

ようやく、戦える」

 

「さぁ、これで数の差はこっちが有利だ。

どうする、ノイズも参加させるか?」

 

「そうね、確かに数も、それに実力も対抗するのは難しいわね」

 

そう言いながらマリアの表情には未だに余裕が見えた。

 

「やめようよこんな戦い!今日出会った私達が争う理由なんてないよ!」

 

未だに戦いが終わらない中、響は必至に今の戦いを辞めるように説得を行うも

 

「そんな綺麗事を!」

 

「綺麗事で戦う奴の言うことなんか信じられるものかデス!」

 

その言葉は聞かれず、その攻撃は響に向かった。

 

「アルセーヌ!」

 

だが、二つの攻撃はルパンレッドが召喚したアルセーヌによって、消滅する。

 

「やはりね。

アルセーヌ、確かに厄介ね」

 

「レッドさん」

 

「響、今は戦おう。

彼女達を止めてから、話しても遅くないはずだ」

 

「それは」

 

「大丈夫、お前は間違っていない」

 

「偽善な事をっ」

 

そう言い、ルパンレッドの言葉に何かを感じたのか、調は睨む。

 

「悪いが、俺は怪盗。

義賊だからな、偽善で結構」

 

そう言い、VSチェンジャーを構えた瞬間だった。

 

地面に亀裂が入り、すぐにその場を離れると、そこから現れたのは巨大なノイズだった。

 

「なっなんだこいつはっ!」

 

そう疑問に思うよりも先に、マリアは自身で召喚したはずのノイズに向けて、攻撃を仕掛けた。

 

「何を「あとは任せたわ」待てっ!」

 

そう追いかけようとしたが、散らばったノイズの破片が新たなノイズとなっていた。

 

「こいつら、分裂するのかっ!!」

 

「厄介な奴らを残しやがってっ!」

 

そう言いながら被害を抑える為に攻撃を行うが

 

「どうすれば「おいらを呼んだか?」グットストライカー!!」

 

「えっなにこれ!?」

 

突然現れたグットストライカーに対して驚きの声を出す一同。

 

同時に仮面の下で笑みを浮かべる。

 

「響、S2CAを行えるか?

エネルギーをここに入れる事は?」

 

「でっできますけど、どうやって?」

 

「任せろ、策がある」

 

「なんだか、分かりませんが、信じます!!

 

その言葉を受け取ると共にルパンレッドが取り出したブランクダイヤルファイターを響達に向ける。

 

「響!」

 

「了解!」

 

ルパンレッドの声が聞こえると同時にブランクダイヤルファイターを投げる。

 

「S2CAコンバート!」

 

その声と共に響達の絶唱のエネルギーはブランクダイヤルファイターに注がれる。

 

同時にブランクダイヤルファイターの形は変形していき、その形は銀色の恐竜へと変わった。

 

【V・V・Vレックス!」

 

『ガアアアァ!!』

 

新たに生み出されたVレックスファイターはその咆哮共に増殖を続けるノイズに向けて次々とレーザーを放っていく。

 

『新たに誕生したVレックスファイター。

出力、安定しています』

 

『あぁ、それにしても凄まじいな』

 

『雨宮の持つワイルドの能力は繋がりによって強化される。

過去にもモルナガ達の力を借りる事で通常では考えられない程のペルソナが誕生した事も含めれば、雨宮の力が籠ったブランクダイヤルファイターにS2CA程のエネルギーが注ぎ込まれれば、これぐらは可能だろう』

 

そう言いながら、基地から状況を確認していた弦十郎と石動はそのまま様子を見ていく。

 

「怪盗ガッタイム!

勝利をつかみ取ろうぜ!」

 

同時にグットストライカーの声と共、レッドダイヤルファイター、イエローダイヤルファイターが合体していき、Vレックスファイターが変形し装着される事で新たな姿へと変わる。

 

「完成、レックスルパンカイザー!」

 

誕生と同時に増殖を続けるノイズはレックスルパンカイザーに向かって、襲い掛かる。

 

瞬時にレックスルパンカイザーは左腕にあるカッターと右腕のレックスの頭部で次々と会場へと戻していく。

 

『未だに避難は完了していません!』

 

「だったら、一気に決める!」

 

その言葉と共にVレックスファイターの口が開き、狙いを定める。

 

「ルパンカイザー!カチカチに凍っちまえレーザー!」

 

グットストライカーからの言葉と共に放たれたレーザーは散らばったノイズを一ヵ所に集め、一つの氷の塊へと変える。

 

「永遠にアドゥ」

 

同時にレックスルパンカイザーがそれに向けて腕を振り上げて、潰す事によって、ノイズは完全に消滅する。

 

「永遠にアドゥ」

 

「気分は上々!

またなぁ!!」

 

そう言い、グットストライカーはそのまま分離すると共に、S2CAのエネルギーが無くなったVレックスファイターは再びブランクダイヤルファイターに変わる。

 

「大丈夫か」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

そう言い倒れそうになっている響をルパンレッドは支える。

 

「さて、次の戦いは既に始まったか」

 

そう言いながら、会場から少し離れた場所で戦いを見つめていた明智は笑みを浮かべながら見つめる。

 

「明智さん。

一体何を企んでいるんですか?」

 

そんな明智に対して質問をしたのは、赤いポニーテールをした少女だった。

 

その顔には仮面が装着されていたが、明智は気にせず話す。

 

「企むか。

確かに企んでいるよ、僕にとっては彼との完全な決着だけが望みだから」

 

「探偵が怪盗にそこまでこだわるとはな」

 

そう言いながら、黒いサングラスをかけた男がまた明智に話しかける。

 

「何、探偵が事件に拘るのは当たり前だ。

まぁ、今の僕達は探偵であり、怪盗だからね」

 

そう言って、明智は黒いダイヤルファイターを取り出しながら、言う。

 

「戦いはもうすぐ始まるからね。

君達も実戦を楽しみにしているんだ」

 

そう言いながら、笑みを浮かべると共に明智の持つダイヤルファイターと共に現れたのは二つの黒いダイヤルファイターだった。



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un bon ami d’une personne~人の良き友人~

遅れてしまい、申し訳ございません。
色々とありますが、何よりもスクランブルのストーリークリアするまでに時間がかかりました。
ゲーム自体はクリアするのにはかからないと思いますが、ペルソナ5はやっぱり面白いですので、ついつい寄り道をしてしまいます。
活動報告でも追加項目がありますので、興味がある人はぜひお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=227157&uid=45956


「謎の反応?」

 

その日、二課では、未だに謎の多いフィーネについての調査を行っていた。

 

数日の時が過ぎたが、それでも情報は未だに集まらなかった。

 

その中で最近になって謎の反応が二課で観測された。

 

「正直に言うと、その正体については未だに謎だが、放っておくと何が起きるのか分からない」

 

「なるほどな。

とりあえずは俺とモルナガで調査か」

 

「本当に2人だけで大丈夫なんですか?」

 

そう言いながら、雨宮は

 

「見に行くだけだったら、問題ないだろう。

それに、フィーネの事があるから、あんまり戦力は別けない方が良いからな」

 

「我が輩としても、その意見には賛成だな。

この世界には未だに謎が多いからな。

竜司達には店の方を頼んでいるからな」

 

同時に2人は基地から出て行き、指示のあった場所に向かった。

 

そこは町から少し離れた山の中でしばらく歩き回っている間にも雨宮の目に映る奇妙な光が見えた。

 

「なんだこれは?」

 

ふと見えた怪しい光が見え、その方向へ向かう。

 

「どうしたんだ、ジョーカー?」

 

「何か奇妙な光が見える。

もしかしたら、これが謎の反応かもしれない」

 

「なんだと?」

 

その言葉を聞きモルナガと共に、その場所へと向かった。

 

 

「この箱が謎の反応の正体か?」

 

そう言いながら、雨宮はゆっくりとそれに近づく。

 

町からそれ程遠く内森の中で埋もれていた紫色の箱は怪しい光を放っていた。

 

その怪しい光には人を寄せ付ける魅力があり、雨宮はゆっくりとその箱に手を触れる。

 

「っ!!」

 

瞬間、目の前にある箱から、さらに強烈な光と共に、その姿は消えた。

 

「あれ?」

 

「無くなっただと!?

馬鹿な、あんなの一瞬で無くなるのか!?」

 

先程まで確かにあった箱の存在が無くなった事に戸惑いを隠せず、雨宮とモルナガは周りを見渡すが、どこにもその存在は確認できなかった。

 

「ターゲット消失。

共に目撃者確認」

 

「「っ!!」」

 

同時に聞こえた声に雨宮とモルナガは振り返ると、そこには目元がバイザーで顔を覆った謎の存在が囲まれていた。

 

「いつの間に囲まれていたんだ」

 

「分からなっ!!」

 

そう言いながら、VSチェンジャーを構えた瞬間、謎の存在は手に持っていた銃が雨宮の腕を打ち抜いた。

 

「ぐっ」

 

「連っ!!」

 

すぐに反撃しようとしたが、未だに銃を構えていた。

 

「無駄だ、お前達をこのまま拘束する」、

 

「っ」

 

絶体絶命のその瞬間

 

「マスターの危機を察知しました」

 

「なっ!!」

 

その瞬間、雨宮を襲おうとした集団に向けて、次々と白い板が連達の周りを囲んだ。

 

「なんだっ!!」

 

「ディア」

 

「さっきのはっ」

 

同時に怪我をした所が回復し、驚きながらもすぐにVSチェンジャーを取り、レッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】

 

VSチェンジャーにダイヤルファイターを装填し、同時にダイヤルを回す。

 

【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

同時に目の前にある板に向かって行くと、雨宮に合わせるように踏み台の位置になる。

 

それを見ると同時に飛び上がり、引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に、雨宮はルパンレッドへと変身し、その手に持ったVSチェンジャーの引き金を弾きながら、周りにいる存在に向けて弾丸を放っていく。

 

「くっ」

 

弾丸が当たると同時に、その存在が怪我した部分から機械だと思われるケーブルなどが露出していた。

 

「機械、、ロボット?」

 

「転生者とは違うようだけど、謎が多い。

とりあえず制圧するぞ」

 

「OK。

それじゃあ、マスター、セットアップと言ってくれ」

 

「さっきから聞こえる声は一体」

 

そう言いながら、ふと声の主が自身のスマホから聞こえたのに気づき、雨宮はそこを見てみる。 

 

すると、そこに写っていたのは白いモコモコしたワンピースに、編み込みがハート状になっている独特な赤いツインテールのお下げが特徴的な少女だった。

 

「えっ?」

 

「早くしろ、マスター」

 

「分かった。

セットアップ」

 

その言葉と共にルパンレッドに雨宮の怪盗衣装のコートの一部が装着され、シルクハットの部分もまた怪盗衣装のマスクへと変わる。

 

「これは」

 

「名付けて、ルパンレッドジョーカーだ」

 

「お前は一体」

 

「私の名前はソフィア。

人の良き友人だ、久しぶりだな」

 

「えっえっえっ?

 

ソフィアの言葉で未だに混乱する雨宮とモルナガは互いに顔を見て混乱するが

 

「今はこの状況をどうにかするしかないな」

 

その言葉と共に2人は背中を合わせながら、笑みを浮かべる。

 

「ジョーカー。

ピトスに向けて、弾丸を放て」

 

「今は信じるぜ」

 

同時にVSチェンジャーとモルナガはパチンコで次々と弾丸を放つ。

 

すると、ピトスが弾き、銃弾だとは思えない動きで縦横無尽で駆け巡り、次々と敵の集団を無力化していく。

 

「なっ」

 

「これは色々と使えるぜ」

 

「あぁ」

 

その言葉と共にルパンレッドとモルナガは近くに来たピトスに乗り込み、襲いかかる集団へと攻撃を仕掛ける。

 

「なっなんだこれはっ!!」

 

ピトスの出現に対して驚きを隠せなかった集団だったが、ルパンレッドとモルナガ、そして彼ら支援するピトスの連携に徐々にだが押され始める。

 

「一気に決めるぜ、ジョーカー」

 

「あぁ」

 

「ショータイムだ」

 

その一言と共にモルナガは一瞬でその姿をモルナコプターへと変わり、そこから伸びた梯子にルパンレッドは手を伸ばす。

 

同時に手に持ったVSチェンジャーを地面に向けて打ち込む。

 

黒い弾丸が次々と地面に撃ち込まれ、最後の一発が地面に打ち込むと同時に巨大な爆発が出来上がる。

 

【SHOW TIME】

 

「「「「きゃあああぁ!!」」」」

 

その場にいた全ての敵を吹き飛ばしす事に成功したが、同時に光に包まれ、その姿を消した。

 

「なにっ、消えただと!!」

 

その現象に驚きを隠せないモルナガだったが、その場には破壊された武器しか残っておらず、それ以外は何も残っていなかった。

 

「一体何者だったんだ?

というよりも、それは一体」

 

モルナガは変身を解除した雨宮だが、探ってみると、自身のスマホを改めて確認する。

 

「ソフィア、君は一体」

 

「ジョーカー、忘れたのか?

んっ、でも可笑しい?

私にも色々と記憶が消されているけど一体」

 

「知り合いか?」

 

「モルナガもか?

怪盗団の皆は」

 

「もしかして、まだ他にメンバーが。

可能性はあると思うけど」

 

そこで明かされた事実に驚きながらも

 

「とにかく、聞かせくれないか。

ソフィアの事を」

 

「了解した。

私も記憶にある限りの事を」

 



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La magia che il mistero chiama un mistero~謎が謎を呼ぶ魔法~

「俺達と一緒に活動していた?」

 

「あぁ」

 

あの戦いの後、雨宮達はそのままソフィアを連れて、基地へと戻った。

 

ソフィアから聞いた内容は、雨宮達が最後の怪盗として活動した冬から半年後の夏にて共に活動した事。

 

そこで彼らと共に日本中で起きている事件の解決の為に活動した事だった。

 

最初こそは警戒していたメンバー達も彼らしか知らない情報を知っている事もあって、ソフィアの話を信用していた。

 

「だが、問題は他にあるぞ。

あいつらは結局なんだったんだ?」

 

同時にモルガナが疑問に思ったのはソフィアと出会った場で現れた謎の存在だった。

 

「映像を見る限りでも意味不明だぞ。

全員がまったく同じ容姿な上に、こんな兵器見た事がない」

 

「フィーネが関係しているのか?」

 

そう言いながら、戦闘時の様子を思い出す雨宮達だが

 

「いや、フィーネだったらノイズを使うはずだろ」

 

そう確実ではないが、疑問に思いながらその戦い方を思い出す。

 

一糸乱れない連携に、その手に持った銃から放たれる銃弾は現代兵器ではあり得ない光。

 

「謎の第三勢力」

 

そうして、謎の勢力に対して警戒していると

 

「イリス」

 

「えっ?」

 

ソフィアから放たれた一言にその場にいる全員が驚きを隠せずにいた。

 

「いや、分からない。

私はあいつを知っている?

けど、なんでだ?」

 

「結局、あの箱についてもな」

 

そうして、これまで以上の多くの謎が残された事件に全員が頭を悩ませていた。

 

だが

 

「けど、新しい友達ができたと思えば、なんだか嬉しいな」

 

「友達、まぁ確かにな」

 

そんな響の一言と共に全員は笑みを浮かべ始めた。

 

「それでソフィアはどんな事ができるの?」

 

「私か?

そうだな、ネットに繋がれば色々と分かるぞ」

 

「おぉそこはやっぱりロマンがあるな!!」

 

そう言いながら、ソフィアはふと首を傾げる。

 

「なぁ聞きたいのだが、この世界にはシンフォギア以外にノイズで対抗できる兵器はあるのか」

 

「どういう事だ?」

 

「これだ」

 

そう言い表示されたのは機械の杖を持った同じ衣服を身に纏った人物達が何かを行っている画像だった。

 

「なんだこれは?」

 

「分からない、だがネットで残っていた画像の一つだ。

コラ画像でも偽物でもなく、本当に起きた出来事の映像だ」

 

「待てよ、これって!?」

 

クリスはそうしていると気づいたのは、彼らは何か結界を思わせる空間作り出して、壁に貼りついているのはノイズだった。

 

「ノイズ!?」

 

「まさか、ノイズを捕獲している?」

 

「いや、これだけでは分からない。

そもそも、このような技術は現在の日本ではないはずだ。

シンフォギアでもなんとか可能かもしれないが、ここまでの数を揃える程の量産体制はできていない」

 

「謎の勢力が二つ目か」

 

「解析したけど、イリスとあいつらが使っている技術は小さな違いるが、基礎的な所が多いな。

けど、本当に謎だな」

 

そう言いながら、画面越しでも解析を終えた双葉はそのまま見つめていた。

 

「でも話をすれば、分かり合えるかも」

 

「そう簡単にできるかねぇ」

 

「大丈夫、なんとかなるよ!!」

 

「ポジティブシンキング」

 

「あぁお前ら、一緒に話すなぁ!!」

 

「「ええぇ」」

 

双葉と響、二人が同時に話し、まったく同じ声の為か、クリスは思わず怒鳴ってしまう。

 

「とりあえずは、今後はフィーネだけではなく、この二つの集団について調べる必要がある。

皆、これからも頼むぞ」

 

―――はい

 



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Différents vols-異なる怪盗ー

久しぶりの更新と共に、皆様も既に知っていると思いますがまさかのリリカルなのはとシンフォギアのコラボイベントに驚きを隠せません。
未だにわくわくが止まりませんが、これからもよろしくお願いします。


あれから、新たに加わったソフィアのおかげで、情報収集はさらに捗った。

 

ネット上での情報、消された情報。

 

それらの情報を元に俺達はマリア達フィーネが潜んでいると思われる廃病院を突き止める事ができた。

 

廃病院を突き止め、連達は二手に分かれ、竜司達はもしもの時に備えて各々の場所で待機していた。

 

「それじゃあ、入るとしますか」

 

その一言と共に連達はワイヤーを使い、病院の屋上から侵入した。

 

下の階には響達が上からは連達は屋上から調査が始まる。

 

「それにしても、不気味な程に静かじゃな」

 

「廃病院だからだろうな」

 

そう言いながら、連達は周りの様子を見ながら、ゆっくりと進んでいく。

 

ゆっくりと進む中でも連は常に罠がないのか周りを見つめていると

 

「んっ、誰か来る」

 

気配を感じ、俺達はその方向に向けてVSチェンジャーを構える。

 

同時に姿が現れたのは

 

「明智」

 

「久しぶりと言う程じゃないか」

 

その言葉と共にVSチェンジャーをこちらに構えている明智の姿がいた。

 

だが、その後ろには見た事のない人影が二人立っていた。

 

「誰だ」

 

「紹介するよ、これが僕のルパンレンジャーだよ」

 

「ルパンレンジャーだと」

 

その言葉に疑問に思っていると、明智はその手に持っているブラックダイヤルファイターを構える。

 

だが、そのブラックダイヤルファイターの色に多少の赤が加わった新たなダイヤルファイターへと変わった。

 

「っ!!」

 

「さぁ、二人共準備は良いか」

 

その言葉と共に後ろにいた二人もまた、忍とソーマの持つ各々のダイヤルファイターを黒く塗りつぶした物を取り出し、VSチェンジャーに装填する。

 

「そんなのありかよ」

 

そう言い、すぐに俺達もまたVSチェンジャーを構える。

 

―――怪盗チェンジ

 

病院の廊下でその音が響いた。

 

同時に全ての窓が割られ、病院から飛び出す形で現れたのは6人の人影だった。

 

その内の3つはルパンレッドジョーカーを始めとした、雨宮達だった。

 

だが、それと敵対するように立ちふさがるのは、彼らと同じルパンレンジャーだった。

 

「まさか、そっちも結成しているとはな、明智」

 

「君に勝つにはこうして怪盗団を結成した方が良いからね」

 

そう言いながら、明智はその手に持ったVSチェンジャーを構えながら言う。

 

明智を中心に立っている2人のルパンレンジャーを含めて、彼らは各々のルパンレンジャーがパーソナルカラーになっている部分が黒く、黒い部分がパーソナルカラーという全てが反対のルパンレンジャーへと変わっていた。

 

「そう、これこそ僕達、アナザールパンレンジャー」

 

「アナザールパンレンジャーね。

だったら、ここで倒すだけじゃな」

 

「やれるならば、やってみてください」

 

そう言いながらルパンイエローはその手に持ったルパンソードを構え、アナザールパンイエローも同様にその手にルパンソードを構え、激突する。

 

ルパンイエローは周囲の建物を利用するように縦横無尽に攻めていく。

 

本来のスピードを利用して、ダッシュ&ウェイを基本にした戦いは周りからは黄色い線としか確認できない程に早かった。

 

アナザールパンイエローはその手に持ったルパンソードのマジックハンドで近くにある柱などを掴み、最小限の動きで攻撃を逸らす。

 

そうして避けながら、VSチェンジャーを使い、ルパンイエローに向けて攻撃を仕掛けていく。

 

「悪いが、ここで倒させて貰う」

 

「それはこちらもだ。

俺にもやらなければならない事があるからな」

 

その言葉と共にルパンブルーはその手に持ったルパンソードを使い、詰め寄る。

 

それに対して、アナザールパンブルーもまた、それに対抗するようにルパンソードで攻撃を受け流す。

 

互いに地面を揺るがす程の力で、互いに攻めながら、その攻撃でできた衝撃波は建物を破壊していった。

 

「雨宮っ!!」

 

「っ!!」

 

そんな戦いの中で、ルパンレッドとアナザールパンレッドの戦いもまた苛烈を極めていた。

 

ルパンレッドジョーカーを援護するようにピトスが次々と攻撃を放っていく。

 

だがアナザールパンレッドは両手に持ったレーザーサーベルと赤い刀の二つで全ての攻撃を切り裂きながら接近する。

 

「っ!!」

 

全ての攻撃を受け流されたのを確認すると、同時に片手にVSチェンジャー、もう片方にルパンソードを手に持ち、アナザールパンレッドに対抗する。

 

一瞬の油断もできない状況において、彼らの戦いが続いていく中で、アナザールパンレッドは

 

「一気に決めるぞっ!ロキ!!」

 

「っアルセーヌ!!」

 

アナザールパンレッドの言葉に合わせるようにルパンレッドもまたアルセーヌを召還し、対峙する。

 

だが

 

「サンドリヨン」

 

「バルジャン!」

 

「なっ!!」

 

同時に聞こえてきた声にルパンレッドが見つめた先には他のアナザールパンレンジャー達が召喚したと思われるペルソナだった。

 

「こいつらっ雨宮達と同じペルソナ使いっ!!」

 

「ぐっ!!」

 

二人が驚いている間に召喚されたペルソナに吹き飛ばされ、同時にアルセーヌに向かって襲い掛かる。

 

「ぐっ」

 

3体のペルソナと3人のアナザールパンレンジャーの猛攻にさすがに耐えきれる事ができずにルパンレッドも吹き飛ばされる。

 

それを見つめながら、アナザールパンレッドは

 

「言っただろ、君達に対抗する為のルパンレンジャーだって」

 

「確かにそうかもなっ」

 

そう言いながら、傷だらけになりながらも、なんとか立ち上がる。

 

「けど、まだまだ諦められないんだよな!!」

 

「だったらどうする?」

 

「こうするんじゃよ」

 

同時にルパンレッドの後ろにいたルパンイエローは口元だけが剥がれ、そのままルパンレッドの首元を噛みつく。

 

「なっ」

 

「仲間をっ、お前」

 

アナザールパンブルーとアナザールパンイエローはルパンイエローの行動に驚きを隠せなず、アナザールパンレッドは

 

「まずいな」

 

同時にルパンイエローの身体から溢れ出したのは闇だった。

 

闇はやがてルパンイエローを覆うのと同時に、その背丈は先程まで子供と変わらなかった姿から、ルパンレッドと変わらない大きさへと変わっていた。

 

「いけるか」

 

「あぁ!!

ショータイムだっ!!」

 

そのその言葉を呟くと同時に二人の影が立体になるように立ち上がる。

 

立体になると同時に走り出すと、その手にはVSチェンジャーを使い、アナザールパンレンジャーへと襲い掛かる。

 

「なっ、影がっ!!」

 

「これは厄介だね」

 

そうしている間に影の数は増えていき、周りを覆う程に増えていき、斬撃と銃撃がアナザールパンレンジャーを襲っていた。

 

「フィニッシュは」

 

「これで決まりじゃ!」

 

その言葉と共に影の中から現れた二人はそのまま手に持ったVSチェンジャーですれ違うのと同時に振り払う。

 

それによって、赤と黄の二つの光がアナザールパンレンジャーに襲い掛かる。

 

【シャドウ・ヴァンパイア】

 

「ぐぅ」

 

その一撃を喰らい、さすがにダメージを受けたのかアナザールパンレンジャー達はその場で立ち眩みをしていた。

 

「さすがにこれ以上は厄介だね」

 

その言葉と共にロキはその手をルパンレンジャーに向けた。

 

「メギドラオン」

 

「エイガオン」

 

その言葉と共にアルセーヌから出てきた闇がロキから放たれた光と激突する。

 

「逃げられたか」

 

周りを見渡しても既にアナザールパンレンジャーの姿は消えており、俺はそのまま拳を握りしめる事しかできない。

 

「たくっ厄介じゃな、朝日か。

連、さっさと建物に入るぞ」

 

「あぁ」

 

忍の言葉を聞き、連もまた廃病院へと入る。



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Même si c'est mauvais-例え悪だとしても―

シンフォギアとリリカルなのはのコラボもいよいよ明日で終わり。
バトルの中で映画の主題歌だけではなく、あの曲まで登場するとは思いませんでした。
機械獣など、今後もしかしたら出るかもしれない要素が多かったです。
以上、個人的な感想でした。
これからもよろしくお願いします。


「姿を消した奴らか」

 

あの戦いから数日、連達は未だに敵の居所を掴めていなかった。

 

アナザールパンレンジャーの正体についても、マリア達がどのような目的を持っているのか、謎が多すぎる彼らについて動けずにいた。

 

「ほら、連、さっさと動けよ」

 

「あぁ」

 

そう言いながら、連は普段の生活である仕事行っていた。

 

以前までの心の怪盗団や、単独でルパンレンジャーとして活動していた時とは違い、今は頼りになるメンバーに情報を任せていた。

 

だからこそ、その時まで、彼らは待っていた。

 

だが、同時刻、彼らは知らなかった。

 

それはとある倉庫。

 

そこで連達が探していたフィーネであるマリア達ががそこにいた。

 

だが、そこで行われていたのは虐殺だった。

 

マリア達を追ってきた敵を殺す為に、ウィル博士が一人、ソロモンの杖でノイズを召喚し、襲い掛かってきた兵士達を虐殺していた。

 

そんな兵士の一人が倉庫から飛び出し、ノイズに襲われ、消えた。

 

そして、そこで悲劇が起きようとしていた。

 

「ほぅ、まだいましたか」

 

そう言った、ウィル博士は笑みを浮かべながら、ソロモンの杖を向けた

 

「なっ」

 

だが、子供達に襲い掛かろうとしていたノイズは上空から降り注いだ光によって、撃ち抜かれ、同時に現れたのはアナザールパンレンジャーだった。

 

「これは、どういうつもりですか」

 

「どういうつもりもなにも、計画の邪魔になるから止めただけですよ」

 

アナザールパンレッドはそう仮面の中に隠れている笑みを浮かべながら、ウェルに向けて言う。

 

「てめぇら、死にたくなかったら、さっさと離れろ」

 

「っはっはい!!」

 

同時にアナザールパンブルーの言葉を聞き、少年達はその場から逃げるように離れていった。

 

「なんだと?」

 

「別にあの人達の始末は少しは納得します。

ですが、その為にここまで騒がせて、さらには余計な犠牲を出すのは私達も少し怒っています」

 

「だから、少しお仕置きだよ」

 

「こんな時にか、まぁ良い!

どちらが上か見させてもらうかぁ!!」

 

その言葉と共にウェルはその手に持ったソロモンの杖を構えて、次々とノイズを放つ。

 

ノイズは先程とは比べものにならない程の小型ノイズにそのノイズを召喚する芋虫型ノイズ、そして巨人型ノイズが現れた。

 

それを前にしても、アナザールパンレンジャー達は怯む様子はなかった。

 

「イエロー、すまんが」

 

「えぇ、お願いします」

 

その言葉と共にアナザールパンブルーの手元にはアナザールパンイエローのVSチェンジャーを持ち、両手に構える。

 

同時にその引き金を放ちながら、目の前を覆う程の小型ノイズを次々と打ち抜いていく。

 

同時にアナザールパンイエローはその手に持ったワイヤーを組み合わせて、目の前に覆う芋虫を思わせるノイズの口を閉ざしながら、同時に手に持ったルパンソードで切り裂いていく。

 

「なっ」

 

「勘違いしているようだけど、俺達はお前の力がなくても充分なぐらいには強いよ」

 

その言葉と共にアナザールパンレッドの背後から現れたロキと共にルパンソードを構える。

 

「レーヴァテイン!」

 

その一言と共に黒いエネルギーを纏ったルパンソードの斬撃がそのまま巨人型ノイズを真っ二つに切り裂く。

 

「なっ」

 

「お前にはまだ利用価値はある。

だから、今は殺さないでやるよ」

 

「ちっ」

 

そう言いながら、そのままドクターウェルはそのまま立ち去る。

 

「本当に必要なんですか」

 

「数では不利な上に必要な知識をあいつは持っている。

そういう意味では今は必要だからね」

 

「やっぱり不満かい」

 

そう言うと

 

「不満だね。

だけど、それでも俺達にはやらなければならない願いがあるのだから」

 

「えぇ、私達の目的は同じ」

 

「あぁ、そうだね」

 

その言葉と共に変身を解いた明智は

 

「僕達の大切な人の為に」

 

「あぁその為だったら、幾らでも悪人になってやる」

 

そう言いながら、アナザールパンブルーは変身を解いた長谷川善吉、同じくアナザールパンイエローの変身を解いた芳澤かすみ。

 

その三人は共に頷く。

 

(そう、僕の二つの目的。

あいつとの決着ともう一つの目的の為に)

 

 



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Le voleur de lune-月夜の怪盗-

深夜、現在は封鎖されている東京番外地、特別指定封鎖区域“カ・ディンギル跡地”に彼らは集っていた。

 

それは響達の学校に現れた切歌と調の二人から決闘を挑まれ、雨宮達ルパンレンジャー達3人と響達3人がその会場に辿り着き、構えていた。

 

「それにしても本当に来るのか?」

 

決闘を直接受けたクリスは未だに半信半疑で、その場にいた。

 

未だに姿を現さない二人に警戒しながらも

 

「罠の可能性は高いかもしれんの。

まぁそれだったら、それでかまわんがな」

 

そう言った忍は獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「別にあの小娘二人には興味はないが、あの偽物には痛い目にあったからな。

直接引導を渡さないと、気が済まないからな」

 

「おいおい、随分と荒っぽい事を言うんだね」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞いて、見つめると、既にルパンレンジャーへと変身していた明智達の姿、そしてその後ろにはドクターウェルが傍にいた。

 

「二人はどこに」

 

「さぁな?

それに、この決闘では二人ではなく、僕達3人とルパンレンジャーとの決闘を心待ちしていたのだから」

 

「俺達の?」

 

「いや、正確には僕と君の決着をね」

 

「・・・そうか」

 

その言葉を聞いて、雨宮は手に持ったVSチェンジャーを手に持ち、レッドダイヤルファイターを装填し、構える。

 

「怪盗チェンジ」

 

その言葉と共に、雨宮はルパンレッドへと姿を変え、アナザールパンレッドと睨み合う。

 

ゆっくりと互いに声を出さなかったが、一瞬で姿を消すと同時に互いに手に持ったルパンソードを手に取り

 

キィン

 

辺りのゴミが一瞬で浮かび上がり、強すぎる突風で辺りに散った。

 

その攻撃を受けたアナザールパンレッドはそのまま後ろへと下がると、もう片方の手にあったVSチェンジャーを構えて、ルパンレッドに向けて次々とビームを放っていく。

 

それに対して、ルパンレッドはそのままアナザールパンレッドへと接近しながら、その攻撃を避けながら、その手を顔に添えた。

 

「アルセーヌ」

 

その一言と共に背後から現れたアルセーヌはそのままアナザールパンレッドに向けて殴り込み。

 

だが、それに対してアナザールパンレッドは

 

「ロビンフッド」

 

ギリギリまで接近してきたアルセーヌの拳を防ぐように、ロビンフッドはその弓で攻撃を防いだ。

 

「ウィザードラゴン」

 

その一言と共にアルセーヌの姿は赤・金・銀のメカニカルな風貌をした西洋のドラゴンへと変わる。

 

その姿へと変わると同時に、ロビンフッドに向けて爪の一撃を襲う。

 

「そういえば、これは君には隠していたな」

 

「なに?」

 

アナザールパンレッドはそのまま笑みを浮かべると同時に構えると

 

「ビーストキマイラ」

 

その一言と共にロビンフッドの姿は変わり、ライオンをベースに、右肩に隼、左肩にイルカ、胸にバッファロー、尻尾にカメレオンの頭がついた獣へと変わった。

 

「ペルソナが変わったっ!?」

 

その事にその場にいた全員が驚きを隠せなかったが

 

「油断は大敵だよ!!」

 

その一言と共にビーストキマイラから放たれるレーザーはルパンレッドに襲い掛かる。

 

それに気づいたルパンレッドはそのまま後ろへと跳び、ウィザードラゴンへと飛び乗る。

 

それに合わせるようにアナザールパンレッドもまたビーストキマイラに乗り込み、空中で激突する。

 

「まだまだ終わっていないだろぉ!!」

 

「くっ」

 

ビーストキマイラから放たれるレーザーは次々とルパンレッドに向かって襲い掛かる。

 

だが、それに対してウィザードラゴンもまた口から放たれる炎、翼からは強風を行い、それらの攻撃を退き、反撃していく。

 

その光景はあまりにも現実離れしていたが

 

「あああぁ!!」

 

「「っっ!!」」

 

聞こえた悲鳴、見つめると、そこには左腕を喰われた響がいた。

 

そして腕を喰ったのはウィルが連れてきたネフィリムはそのまま響に向けてさらに攻撃を仕掛けようとした。

 

「させるかっ!!」

 

それに対して、ウィザードラゴンはそのまま炎をネフィリムに向けて放たれた。

 

気づいたネフィルムはすぐに飛び上がり、攻撃を避ける。

 

だが、同時に口を大きく開いたネフィリムはウィザードラゴンに向けて炎を次々と放っていく。

 

「ぐっ」

 

その攻撃に対して、ウィザードラゴンはすぐに避けるが、その量はあまりにも多すぎて、避けるのは困難だった。

 

だが、その攻撃を止めたのはなんとビーストキマイラだった。

 

「邪魔はさせない。

それに、正直胸糞悪い!!」

 

「明智」

 

「勘違いするな。

僕達の戦いを邪魔させない為だ。

一気に終わらせるぞ」

 

「あぁ」

 

アナザールパンレッドからの提案を聞き、頷くと共にネフィリムに向かっていく。

 

その間もネフィルムから放たれる攻撃は攻撃は止まる事はなかったが、その間も二人のペルソナは急速に接近する。

 

同時にウィザードラゴンの姿は変形し、巨大なドラゴンの足を模した姿に変わり、ビーストキマイラの前に巨大な魔法陣へと代わり、巨大な獅子の形へと変わる。

 

「「はあああぁ!!」」

 

そのまま、二人は何も言わずにネフィルムに向けて、一撃を加える。

 

KICK STRIK

 

「がああぁぁ」

 

ネフィリムは二人の攻撃を喰らい、そのまま爆散する。

 

「はぁはぁ、響っ!!」

 

後ろを振り向くと、そこには全身が黒く染まっており、まるで獣を思わせる姿で現れていたノイズを蹴散らしていた。

 

だが、それ程時間はかからず、元の姿へと戻る。

 

「っ!!」

 

倒れそうになった響をすぐに抱き寄せ、確認する。

 

喰われたはずの腕は既に戻っていた。

 

「どうやら、決着はつく事はできないようだね」

 

「明智」

 

そう言っていると既にビーストキマイラに乗り込んでおり、逃げ出そうとしていたドクターウィルと他のメンバー達と共に飛んでいた。

 

「今度こそ、決着だ」

 

その言葉と共に、完全に姿を消した。

 

未だに終わらない戦いの中で、さらなる混沌へと進んでいった。




今回出てきた烈 勇志さんのウィザードラゴンです。
また原作では原作では明智も主人公と同じ力を持っている事もあって、同じくワイルドの力を持っている設定です。
活動報告では明智が召喚するペルソナも募集しておりますので、皆様の応募、お待ちしています。


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