ビルド NEW WORLD~Masked Rider Lyricar Build~ (ミノル)
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仮面ライダーシルバークローズ

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

『Are you ready?』

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

スペック

身長: 197.0cm

体重: 102.4kg

パンチ力: 32.1t

キック力: 36.5t

ジャンプ力: 58.2m(ひと跳び)

走力: 2.2秒(100m)

 

概要

第8話にて万丈がハザードトリガーを使用した戦兎を止めるためにシルバードラゴンフルボトルをクローズドラゴンに刺して変身した姿。

基本スペックはクローズチャージやグレートクローズと同程度。

なお、同じくシルバードラゴンフルボトルを使用するビルドのトライアルフォーム、ラビットドラゴンよりもスペックが 下回るのはシルバードラゴンフルボトル1本のみでの変身のため。

ラビットドラゴンのスペックは進化したボトルが2本合わさったことでの究極の化学反応によるもの。

第8話でハザードトリガーを使用させるにあたり、書いてる内にクローズチャージにまだ変身出来ない万丈ではオーバーフローモードのハザードフォームは止めれないのでは?と思い急遽登場した形態。

なお、シルバードラゴンフルボトルへの進化事態が一時的な物の為、この形態も一時的な物。今後の登場は読者の反応次第。

 

全身部位

 

01.シルバークローズヘッド

仮面ライダーシルバークローズの頭部。

 

02.SLVブレイズチェストアーマー

仮面ライダーシルバークローズの胸部を保護する発熱装甲。

シルバードラゴンフルボトルの成分を白銀の炎に変換して全身各部へと展開する機能を持つ。

白銀の炎を纏った部位は強化状態「SLVブレイズアップモード」へと移行し、攻撃性能が飛躍的に上昇する。

 

03.SLVインファイトショルダー

仮面ライダーシルバークローズの肩部を保護する装甲。

腕部の動作を最適化し、格闘攻撃の速度と威力を敵と同程度にまで引き上げる役割を持つ。

 

04.シルバーラッシュアーム

仮面ライダーシルバークローズの腕部。

鋭利な白刃「SLVファングオブレイド」を利用した切断攻撃を得意としており、白銀の炎を纏った爆砕パンチで周囲の敵を薙ぎ払うことも可能。

 

05.SLVインファイトグローブ

仮面ライダーシルバークローズの拳を覆う強化グローブ。

強く握ると超硬化し、打撃攻撃の攻撃力を引き上げると共に反動ダメージを受けないよう拳を保護する。

変身者の格闘センスに応じて性能が上昇し、一撃必殺のフィニッシュブローも可使用能となる。

 

06.シルバーラッシュレッグ

仮面ライダーシルバークローズの脚部。

ジャンプ力を活かした上空からの急襲ニードロップを得意としており、白銀の炎を纏った爆砕キックで周囲の敵を薙ぎ払うことも可能。

 

07.SLVクイックステップシューズ

仮面ライダーシルバークローズのバトルシューズ。

フットワーク最適化機能を備えており、地面を滑るような無駄のない動きで敵を翻弄することが可能。

 

08.SLVドラゴライブレイザー

仮面ライダーシルバークローズの上半身を保護するボディーアーマー。

シルバードラゴンフルボトルの成分を白銀の炎のエネルギー体「シルバークローズドラゴン・ブレイズ」へと変換する機能を持つ。

その意識はクローズドラゴンのAIとリンクしており、短時間であれば共に戦うことも可能。

 

09.SLVアンリミテッドスーツ

仮面ライダークローズの耐衝撃ボディスーツ。

戦闘ダメージから変身者を保護すると同時に、肉体のリミッターを解除し、秘められた身体能力を引き出すことが可能。

 

10.ビルドドライバー

仮面ライダーシルバークローズへの変身時に使用するベルト。

 

11.SLVバーンアップクレスト

仮面ライダーシルバークローズの全身各部に組み込まれた爆破装置。

必殺技発動時などに自動で大爆発し、技の威力を底上げすると共に、より広範囲の敵にダメージを与える。

 

頭部部位

シルバークローズヘッド

 

01.シルバーエヴォリューガー

仮面ライダーシルバークローズの頭部に設けられた出力調整装置。

変身者の精神や肉体などのコンディションに合わせて各機能を最適化し、より高い能力を引き出せるようサポートする。

場合によっては基本性能を超えた戦闘能力を引き出すことも可能。

 

02.SLVシグナル

仮面ライダーシルバークローズのデータ収集装置。

集めた戦闘データから自身と敵の能力を正確に把握する他、全身の状態管理や応急補修を行う。

ビートクローザーに転送シグナルを発信し、手元に出現させることも可能。

 

03.SLVブレイズヘッドアーマー

仮面ライダーシルバークローズの頭部を保護する装甲パーツ。

最小限の動きで敵の攻撃を回避できるよう、ディフェンス動作を最適化する機能を持つ。

 

04.SLVドラゴンフェイスモジュール

仮面ライダーシルバークローズの頭部に設けられた発熱強化装置。

全身の装甲を融解寸前まで加熱し、必殺技の威力を数倍に引き上げる。

主に変身者の感情が昂ぶることで作動する。

 

05.SLVツインアイドラゴン

仮面ライダーシルバークローズの視覚センサー。

変身者の反応速度を強化し、格闘戦における命中率と回避率を引き上げる。

激しい戦闘から視覚センサーを保護するため、表層は対衝撃性に優れたクリアシールドで覆われている。

 

06.SLVファングテクター

仮面ライダーシルバークローズの顔面を保護する装甲パーツ。

装甲下に衝撃緩和装置が組み込まれており、敵の攻撃が直撃した場合でも頭部へのダメージを最小限に抑えられる。



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プロローグ

ここはとある町にある空き倉庫でのこと。

 

「帰ったぞー…」

 

そう言って気だるげに入ってきたこの男は万丈龍我、以前人殺しの冤罪で捕まったことのある筋肉バカだ…

 

「おう、お帰り、どうだった?」

 

そう言って万丈を迎え入れるのはこの俺、天っ才物理学者の桐生戦兎でありました。

 

「ダメだ、全然売れねえ…」

「はぁ!?売れねえじゃねえよ、どうすんだよ!先月の家賃も滞納してんだぞ!このままだとここ追い出されるぞ!」

「しかたねえだろ!!売りもんがこんなガラクタじゃ売れるわけねえ。よほどの物好きぐらいだぞこんなの買う奴!!」

「ガラクタってなんだよ。この俺の天っ才的発明品に向かって!!」

 

俺達は訳あってこの日本での戸籍がなく定職どころかバイトでも雇ってもらえないのでこうして俺が作る天っ才的発明品をフリーマーケットで売って生計を立てようとしたのだが…この馬鹿の接客の問題か全然売れないのだ。

 

「いっそのことゲンさんに頼んでこっそり戸籍登録してもらおうぜ。そうすりゃまともな職に着ける。」

「何度も言ったろ?ゲンさんはもちろん、他のみんなも俺たちの事を覚えてない。」

 

俺達は本来この新世界で存在する筈のない人間だ…実際に仲間に会ったときも誰も俺達の事を覚えていなかった。

 

「はぁ、なんでみんな覚えてないんだよ…」

「何度も説明したろ…この世界はエボルトが地球に来ないでスカイウォールが生まれなかった平行世界と融合して生まれた。他のみんなも前の世界とは違う十年間を過ごしたんだ…。」

「新世界の誕生で消える筈だった俺達は本来存在してはならない…」

「わかってるじゃないか。」

 

空気が重くなる…ダメだな。前の世界の事とかを考えるとどうしても気分が暗くなる…。今は目の前の問題について考えよう。

 

「それより本当にどうするんだよ…稼ぎがないとここ追い出されるぞ。」

「あー、それなんだけどな、実は帰る途中でいいもん拾ったんだよ。」

 

そう言うと万丈はポケットから何か取り出して俺に渡してくる。どうやら宝石のようだ。

 

「どうだ、綺麗だろ。なんて宝石だろうな?これを売ればそれなりの金になるんじゃねえか?」

「お前なあ、拾ったものを売りに出すつもりか?だいたい出所のわからない物買い取ってくれるわけないだろ。これはとりあえず交番に届けるぞ。」

「んだよ。せっかくいい考えと思ったのによ。」

 

万丈はそう言って不貞腐れる。それにしてもなんなんだコレ?宝石についてはそんなに詳しく無いけどこんな宝石は俺の知る限り存在しないぞ?俺はそう思いながら詳しく宝石を見ようとすると突然その宝石が光だした。

 

「おい、戦兎!?なんか光ってるぞ。どうなってんだよ!」

「わかるわけないだろ!お前が拾って来た物なんだからお前どうにかしろよ。」

「は!?ふざけんな!お前こそ天才なんだからこれくらいどうにかしろよ!…て、おい!なんか壁のパネルも光だしたぞ!?」

 

万丈に言われて俺も壁に掛けてある白いパンドラパネルを見ると宝石の光に呼応するように光っている。パネルの光はどんどん強く目が開けていられないほどになり、その光に包まれながら俺達は意識を失った…

 

 

 

 

 

気が付くと俺はうつ伏せに倒れていた。

 

「一体…何が起こったんだ?」

 

俺はすぐに立ち上がり周囲の状況を確認する。

 

「どこだ、ここ?」

 

先程まで倉庫の中だったのに、今現在、どこかのビルの屋上にいたのだ。更に一緒にいた筈の万丈がどこにもいない…。

 

「最悪だ…どうなってるんだよ…」

 

俺は星空を見上げながらそう呟いた…

 




次回予告

「ジュエルシードを渡しな!!」

謎の宝石を狙う謎の二人

「ここは俺がいたのとは違う世界みたいだ。」

異なる世界!?

「条件がある。」
「俺にも手伝わせろよ…」

第1話 時空規模のキャスタウェイ

『Rabbit!』『Tank!』
『Best match!』



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第1話 時空規模のキャスタウェイ

戦「天っ才物理学者にして仮面ライダービルドこと桐生戦兎は地球滅亡を企む地球外生命体エボルトの野望をその他大勢のライダーと力を合わせて阻止し、新世界を創造する。」
龍「おい!その他大勢のライダーってなんだよ、ちゃんと紹介しろ!」
戦「じゃあ、筋肉バカの万丈龍我とアイドルオタクの猿渡一海と文字T大好き氷室幻徳と力を合わせて…」
龍「おい、筋肉バカはねえだろ…」
戦「うるさいなそんなに言うなら後で自分で考えなさいよ…そんなこんなで新世界で生活する俺達だが、万丈が商売下手の為稼ぎがなく絶賛大ピンチ。」
龍「売れないのはお前の造るもんがガラクタばっかだからだろ!…そんで俺が帰りに売れるかなと思って拾った宝石と壁に掛けてた白いパネルが光だしたんだよな。」
戦「そして、光に包まれた俺は気が付くと全く見知らぬ場所に、そして万丈ともはぐれてしまう。」
龍「俺は今どこにいんだよ!」
戦「それは後々わかるからでしゃばるんじゃないよ…さて、一体どうなる第1話!」


「アルフ、あの人…」

「見たところ管理局じゃなさそうだけど、魔力反応も出さずに転移してきたからただ者じゃないだろうね。アイツがジュエルシードを持ってるならこっちに気付く前に気絶させてジュエルシードを回収しよう。」

「うん、そうだね。いくよ、バルディッシュ。」

『Yes sir.』

 

私は突然現れたあの人に向け、魔力弾をつくる。できるだけ人を傷付けたく無いけど母さんの為だから…

 

「ごめんなさい…」

 

魔力弾を放つ。魔力弾はまっすぐその人に向かって飛んでいき、背中に直撃、その人は前のめりに倒れる。そんなに威力は込めてないけどバリアジャケットなしで生身で受けたら気絶する筈。私達はその人が持ってるジュエルシードを回収する為に近づく…

 

「いってぇ。なんだよ一体?」

 

信じられない、その人は何事もなかったかのように立ち上がりこちらに向き直った。

 

 

 

 

 

 

急に背中からの強い衝撃で前のめりに倒れた俺はすぐに立ち上がり、後ろを振り返った。

そこには犬耳…いやどっちかと言うと狼か?の耳のオレンジ色の髪をした女がこちらを睨んでおり、その隣には金髪のツインテールに黒いマントに機械的な斧型の武器を持った女の子が驚いた表情をしていた。

 

「さっきのは君達の仕業?急に何するんだよ。」

「今ので、気絶しないなんてね…あんた、これ以上痛い目にあいたくないんならジュエルシードを渡しな!!」

 

ジュエルシード?この宝石の事か?

 

「なんでこんな物を欲しいんだ?」

「あなたに言う必要はありません…」

 

黒い女の子がそう言ってこちらに斧を向ける。

 

「それじゃあ渡せない、これは何か危険な物の様に見えるし。そんな物をそう簡単に人に渡すことは出来ない。」

 

俺が今ここにいる要因にこの宝石が関わってるのは状況から明らかだし、いきなり人を攻撃してくる奴に渡したらどうなるかわからない。

 

「それじゃあ痛い目にあってもらうよ!」

 

そういうと女は俺に殴りかかってくる。俺は突き出された拳を受け止めてそのまま応戦する。大体力量は初めてあった頃の万丈っていったところか。前はフルボトルを使わないと対処できなかったけど今の俺ならこれくらいどうということはない。

俺は女の顎に向かって拳を突きだす。女はなんとか直撃は避けたけどかすっただけでも問題ない。

 

「なかなかやるね…あれ?」

 

女はそのまま立って居られなくなり尻もちをついた。

 

「今ので脳を…」

「そのとおり、これで諦めたら?」

「くっ…けれど、準備はできたみたいだね。」

「何!?」

 

俺はすぐにもう一人の少女の方を向くと少女の周辺にはいくつもの光弾が形成されていた。

 

「うそーん…何だよそれ…」

「フォトンランサー、ファイア!」

『Photon Lancer』

 

俺に向かってその光弾が放たれる…

 

 

 

 

 

 

わたしの放ったフォトンランサーが当たり、煙が出ている。良く見えなかったけれど確実にあの人に当たったと思う。

 

「やったねフェイト。」

「アルフ、もう大丈夫なの?」

「あれぐらい平気さ…にしてもなんだったんだろうねアイツ。」

「大丈夫かな?」

「どうだろうね、まあジュエルシードを回収したら簡単な治療魔法ぐらいはかけてやればいいんじゃない?」

「そうだね。」

 

煙が晴れて来た、ジュエルシードを回収しないと。そう思って煙が晴れた先を見ると誰もいなかった。

 

「え!?」

「やられた。まさかあの状況から逃げるなんてね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なかった。あとちょっとボトルを使うのが遅かったら当たってたな。」

 

そう言う俺の手にはラビットフルボトルが握られてる。様はあの光弾が当たる直前でラビットフルボトルを振って成分を活性化させてその力で走って逃げた訳だ。

 

「あいつらが狙うこの宝石、ジュエルシードだったか…これについて調べないとな。」

 

俺はそう言いながらビルを出る、どうやら今まで俺がいたのは廃ビルだったようだ。俺は手製のスマホ、ビルドフォンにライオンフルボトルを装填して放り投げる。

 

『ビルドチェンジ』

 

音声の後にビルドフォンは巨大化、変形して俺のバイク、マシンビルダーになる。

俺はバイクに乗り、その場を後にした。

 

 

 

 

 

「最悪だ…結局公園で一晩過ごしちまった。」

 

昨夜、ビルから離れた俺は公園でバイクを停めてベンチに座り、ビルドフォンでインターネットで検索して健在の状況について調べた。結果、ここは俺が作った新世界とは別の世界だという結論となった。

まず、今の西暦、どうも今は2008年つまり旧世界でスカイウォールの惨劇の一年後、俺が新世界を作った10年前という事になっている、さらに氷室泰山という名の政治家がいない事、これが仮にタイムスリップなら当時既に政治家だった彼がいないのはおかしい、他にもいるはずの政治家や旧世界で極プロジェクトに参加した宇宙飛行士、それに父さんもいなかった。難波重工という企業も存在しなかった。更に極めつけは、ここから隣の海鳴市という町。新世界になってからの日本の地理は押さえたが、海鳴という町は存在しなかった。俺がここに来たのには白いパンドラパネルが関わってるからあり得なくない。あのパネルは平行世界にアクセスする為の物なんだから。

 

「そしてこのジュエルシードという宝石についてもわからなかったな…」

 

ビルドフォンで出来る限り調べたが、パンドラボックスの物とはまた違う膨大な未知のエネルギーが込められてる事しかわからなかった。

また、インターネットでこの宝石やあの女の子の力や武器について調べたが情報無し。

 

「この世界の機密事項なのか?それともこの世界でもこれは存在するはずのない異物なのか?」

 

俺はそんな風に考えながら公園の水道で顔を洗う。正直、このジュエルシードを見たときどことなくパンドラボックスに似てる様に感じた。もしかしたら、パンドラボックスと同等の危険物なのかもしれない。だからこそこれの正体を一刻も早く掴まないといけない。しかし、これについての情報源はもう昨夜のあの女の子達しかない…俺がこれを持つ限りあの子達とはまた会うはずだが、昨日の様子だと話を聞いてくれそうにない。となると、一か八かこのジュエルシードを掛けて勝負して、勝利の報酬として情報を聞き出すか。

さて、方針は決まった、まずはこの世界のどこかに飛ばされたはずの万丈と昨夜の女の子達を探す。このジュエルシードの正体を知り、しかるべき場所に届ける。そして、元の世界への帰り方を探す。

方針を決めると俺はその公園を後にした。

 

 

 

 

 

「最悪だ…」

 

宛も無く町を散策していた俺だったが横断歩道の前で信号が変わるのを待っていると向い側に昨夜の女の子がいた。

信号が青に変わると俺も少女もそのまま歩きだし、横断歩道の真ん中で立ち止まり互いに向き合う。

 

「あなたの持っているジュエルシード、今度こそ渡してもらいます。」

「ここでやるのか?ここだと周囲を巻き込む…昨日と同じ場所、そこでこのジュエルシードをかけて勝負しよう。俺が勝ったらこのジュエルシードの事や君達の事を教えてもらう。」

「…わかりました。ついて来て下さい。」

 

そう言って女の子は俺を路地裏まで連れていく。そこで、急に足元が光ったと思ったら一瞬で昨夜の廃ビルの屋上にいた。

 

「これは、テレポート?トランスチームガンやネビュラスチームガンのそれとも違う、どういった物理法則で…」

「準備はいいですか?」

 

そう言って女の子が話しかけてきたので俺は考察を中断して少女に向き直る。

 

「悪い、もう大丈夫だ。」

「それじゃあ…バルディッシュ、セットアップ…」

『Set Up』

 

女の子が光に包まれたと思ったら昨日と同じ黒い衣装に斧を装備した。

 

「なるほど、その格好は一種の変身だった訳か…ならこっちも…」

 

俺はビルドドライバーを取り出し、腰に押し当てるとアジャストバインドが展開されて装着されて起動音がなる。

そして、更に使い慣れた二本のフルボトルを取り出す。

 

「…さあ、実験を始めようか。」

 

俺はフルボトルを振り成分を活性化させてボトルのキャップを開けると、それをドライバーのツインフルボトルスロットに装填する。

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

ドライバーがボトルを認識したらドライバーの右側にボルテックレバーを回す。すると、ボトルの成分から俺の前後にスナップライドビルダーが形成される。

 

Are you ready?(覚悟はいいか?)

 

ドライバーが問い掛けてくる…。力を手にするにはそれ相応の覚悟がいる…今、俺は一人の少女にライダーシステムの力を振るおうとしている…けれど、相手は俺も知らない未知の技術を使ってくる。彼女に勝たなければジュエルシードの事も何もわからない。かつて、旧世界でパンドラボックスが引き金となった惨劇…もしこのジュエルシードが同様の代物ならば、同じ悲劇を二度と起こさない為にも、俺はこの力を使う!

俺は覚悟を決めてファイティングポーズをとる。

 

「変身!!」

 

『鋼のムーンサルト、ラビットタンク!イェーイ!!』

 

前後のスナップライドビルダーが俺を挟む形で一つになり俺の体に装甲が装着される。

 

「バリアジャケット?…じゃない!?」

 

女の子が目を丸くしている。

 

「俺は仮面ライダービルド、造る、形成すると言う意味のビルドだ。以後お見知り置きを。」

 

俺は右側の複眼から伸びるキャノンフェイスモジュールを指でなぞり、最後に手を開く動作をしながらあの決め台詞を言う。

 

「勝利の法則は、決まった!!」

 

俺はそう言うとビルドの武装、ドリルクラッシャーを取り出して構える。

 

「はぁ!」

 

先に女の子の方から仕掛けてきた。その手に持った斧で攻撃してくるけど俺はドリルクラッシャーでその攻撃を的確にさばいていく。そして、反撃にドリルクラッシャーを回転させないまま彼女に叩きつける。

 

「くっ。バルディッシュ!」

『Scythe Form』

 

彼女の声にあわせて斧が変形し、エネルギーの刃を形成して鎌になる。

 

「その武器も変形するのか…」

「アークセイバー!」

『Arc Saber』

 

彼女が思いきり鎌を振り抜くとエネルギーの刃が回転しながらこちらに飛んでくる。

 

「危な!?」

 

俺はドリルクラッシャーを刃の回転とは逆回転に回しながら受け止める事で刃の軌道をそらした。

 

「だったら…はぁ!」

 

また同じ攻撃がいくつか飛んでくる。俺はそれを先程と同じ用に受け止めようとした…

 

『Saber Blast』

 

エネルギーの刃は俺が受け止める直前で全て爆発した。

 

「刃のエネルギーを爆発させたのか…こんな事も出来るなんてな…」

 

爆発は対したダメージにはならなかった。爆煙が晴れると女の子がいなくなっていた。

俺は左側の複眼、レフトアイラビットの嗅覚センサーとそこから伸びるイヤーフェイスモジュールで強化されたる聴覚で相手の位置を探る。

 

「上か!?」

 

俺が空を見上げるとそこには宙に浮かびながら昨日と同じ光弾を用意してる。昨日と違うのは光弾の数か…昨日よりも多い

 

「羽根の様な機構も無しに空を飛ぶなんてな…どうやっているんだ?」

「ファイア!!」

『Photon Lancer・Full auto fire』

 

光弾が放たれる。俺はドリルクラッシャーをブレードモードからガンモードに変形させてその光弾を撃ち落とす。

 

「結構、数が多いな…うお!?」

 

少し撃ち漏らししてしまいそれが当たり吹っ飛ばされてしまった。

 

「空を飛ぶとなるとこのままだとこっちが不利だな…なら。」

 

俺はオレンジ色のフルボトルを取り出してラビットボトルと入れ換えてレバーを回す。

 

『Taka!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ…」

 

ボディのラビットの成分の部分がタカの成分の物に変わってトライアルフォーム、タカタンクにフォームチェンジする。

そして、タカの成分によって背中に装備されたソレスタルウィングを展開して空に飛び立つ。

彼女は再び光弾を放つがタカに変えた事で変化した複眼、レフトアイホークは動体視力に優れた高精度センサー、更に右のライトアイタンクは射撃攻撃時に弾道計算を瞬時に行い命中制度を上げる事が可能。この二つのセンサーが合わさった今、もう撃ち漏らしはしない…この組み合わせは初めてやったけどベストマッチを除けば結構相性がいいんじゃないか?そんな風に考えながらも空中戦は続く。互いに一歩も退かない撃ち合い。この拮抗状態に焦り始めたのは…

 

「だったら…バルディッシュ、マルチショットやるよ。」

『Yes sir.Photon Lancer get set,Multishot fire』

 

彼女の方だった。新しく光弾を生成して、今までは連射してたそれを今度は一斉総射してきた。

 

「ならこっちも、付き合うさ。」

 

俺は灰色のボトルを取り出してガンモードのドリルクラッシャーのフルボトルスロットに装填した。

 

『Gatling!』

『Ready go!』

『ボルテックブレイク!』

 

ドリルクラッシャーの銃口からいくつもの弾丸が一斉に放たれる。それを彼女の光弾を全て撃ち落とすだけに留まらず、残りの弾丸が彼女に向かっていく。

 

「はっ!?」

『Defensor』

 

彼女の前にまるで魔法陣の様な壁が現れて弾丸を受け止めるが、俺はその好きに間合いを詰めてブレードモードにしたドリルクラッシャーを回転させてその壁を切りつける。壁はあっさり切り裂かれ、そこに追撃で蹴りを入れて彼女を叩き落とす。

 

「きゃぁぁっ!」

 

彼女はそのまま落ちて、地面に叩きつけられる。

俺もすぐに降りる。彼女はまだ立ち上がり戦おうとする。

 

「なかなか根性あるじゃねえか…けれど、これで終わりだ。」

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

「ビルドアップ!」

 

『鋼のムーンサルト、ラビットタンク!イェーイ!!』

 

俺は再びラビットタンクフォームに戻ると、更にレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

音声と共に彼女の左右か巨大なグラフが出現。グラフはそのまま一つに合体し、彼女は曲線とX軸に挟まれて身動きがとれない。

俺はY軸を跳び越えて曲線をレールにしてすべりながらライダーキックを放つ。そして…

 

「え…?」

 

彼女にキックが当たる直前でレールから外れてキックは不発、俺は彼女の横に着地した。必殺技の不発によって出現していたグラフは消滅、彼女が自由になる。

 

「どうして?」

 

彼女から疑問の声があがる。

 

「もう勝負は着いた。あの状況から君に俺の攻撃に対処するのは不可能だ、そしてあの攻撃が当たっていれば確実に俺が勝っていた。だったらこれ以上続ける理由はないだろ?それとも何か異論はあるか?」

 

彼女は頭を左右に振る。

 

「だったら約束通り、いろいろ教えて貰おうか…」

 

 

 

 

 

 

話をするなら落ち着ける場所ということで俺は彼女の住むマンションに案内された。

 

「おかえり、フェイト…なっ!?あんたは!!」

「お、落ち着いてアルフ。」

 

来て早々一悶着あったが…俺と彼女達はリビングの椅子に腰掛けて向かい会う。

 

「…話はわかったよ。まあ、フェイトが言うならあたしは何も言わないけどさあ…」

 

オレンジ髪の女が不貞腐れながら言う。

 

「とりあえず、お前達の話を聞かせてくれ。」

「えっと…何から話せばいいのかな?」

「全てだ…」

「わかったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

あたしが生まれたのは今から大体3、4年くらい前だったかな?それ以前の私は死病にかかって群れを追放されてね、そんな中でフェイトに出会ったんだ。リニスに見守られながらフェイトと契約して使い魔として生まれ変わって…

 

「誰が生い立ちから話せって言ったよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何するんだい!!」

「誰が生い立ちから話せって言ったよ…」

「全部話せって言ったのはあんただろ!?」

「普通、話の流れで大体わかるだろ。万丈並の馬鹿か。」

「馬鹿ってなんだい!!」

「まあまあ、二人共落ち着いて。」

 

女の子に言われて落ち着くために少し深呼吸する。

 

「お前達が何者で、このジュエルシードがなんなのか話せばいいんだよ。」

「ああ…って人の事を聞く前にまず名のったらどうだい?あたし達はあんたの名前もまだ知らないよ。」

「そういえばそうだな…」

 

俺としたことがすっかり失念してた…

 

「俺は天っ才物理学者の桐生戦兎だ!」

 

決まったな。

 

「自分で天才とか言うんだね…」

「天っ才だからな。」

「えっと…私はフェイト・テスタロッサ…って言います。この子は私のデバイスのバルディッシュ。」

Nice to meet you.(よろしくお願いします)

 

少女、フェイトはそう言って三角形のアクセサリーを取り出すと、そのアクセサリーが話しかけてきた。

 

「スゲー、これさっきの武器だよな?普段はこんな形状で持ち運べるのか。それに結構高度なAIを積んでるな、どんな構造なんだろう?」

「落ち着きなよ…あたしはフェイトの使い魔のアルフだよ。」

 

互いに自己紹介が終わる。それにしても…

 

「なあ?さっきもちらっと聞いて気になったんだが…使い魔ってなんだ?」

「何ってそのまんまさ。あたしはフェイトと契約した使い魔。ご主人様であるフェイトのサポートをしたりして助けるのが役目さ。」

「まるで魔法使いだな。」

「まるでじゃなくて、フェイトは正真正銘魔法使いだよ?」

「は?」

 

何を言ってるんだこいつは?俺は確認するように女の子、フェイトの方を見る。

 

「うん、正確には魔導師ですが…ミッドから来た魔導師です。」

「マジか…ミッドって言うのは?」

「正式名称はミッドチルダ、時空管理局の管理する第1管理世界です。」

「時空管理局?」

「次元世界の治安の管理、維持を行い、犯罪の取り締まりやロストロギアの回収、管理を行っている組織です。ちなみにこの地球は存在は認知してるけど管理局が管理していない世界で第97管理外世界と区分されてます。」

「ロストロギアというのは?」

「次元世界の中には何らかの原因で滅んでしまった物とかもあって、そんな世界の技術で造られた遺物の総称です。中には世界が滅ぶ原因となった様な危険な物もあります。」

「世界を滅ぼす…」

 

そう言うことなら俺達の世界のパンドラボックスもまさしくほどそのロストロギアになるんだろうな…

 

「ちなみにあなたの持ってるそのジュエルシードもロストロギアの一種です。」

「何!?」

「このジュエルシードは全部で21個あって、一つ一つが強大な魔力の結晶体で、周辺の生物の願いを叶えることができます。私は母さんに言われてこの世界に散らばったジュエルシードを集めてます。」

「ロストロギアを回収管理するのは管理局の仕事って言ったよな?ならお前達も管理局に所属してるのか?」

 

俺の質問に二人はばつが悪そうにする。

 

「いえ…私達は管理局員じゃありません。」

「ちょっとまてよ、ロストロギアは管理局が管理しなきゃいけない物なら、それ以外が回収、所持するのは違法なんじゃ…」

「そうだよ。だから、あたし達は管理局に見つからない様にやってるんだ。まあここは管理外世界だから管理局が出てくることはないだろうけどね。」

 

管理外世界だから管理局が来ない…たしかフェイトは母親に頼まれて回収してると言ったな…管理局が出てこないから代わりに回収しようって言う善意からの行動か?いや、けれど管理外の場所にそれがある事をどうしてフェイトの母親はわかったんだ?

 

「なあ、そもそもなんでそのジュエルシードはこの世界に散らばったんだ?」

「なんでも、ジュエルシードを発掘した連中の渡航船が事故にあったらしいよ。」

「私達も母さんに聞いただけだから詳しくは知りません。」

「フェイトの母さんはジュエルシードを集めてどうしようって?」

「それは…わかりません。」

 

なんだかきな臭いな。

 

「なあ、仮にフェイトのお母さんが間違ってることにジュエルシードを使おうとしてたらどうするんだ?」

「それでも、母さんが望んでることだから…」

「お前…」

 

なんだこの違和感?これくらい子供が親の言うことを聞こうとするのはわからない事じゃないけど、フェイトは母親に依存しすぎてるような…

 

「あたしもあんな奴の言うこと、聞く必要ないって言ってるんだけど、フェイトがまげてくれなくてね。」

 

アルフはフェイトの母親を良く思ってないようだけど、そのアルフの言うことも聞かないなら、俺が言っても聞かないだろうし…

 

「さて、こっちの事は話したんだから今度はそっちのことも話してもらうよ。」

「ん?ああ、さっきも言ったけど俺は桐生戦兎、天っ才物理学者にして仮面ライダービルドでもある。」

「私と戦ったときのあれだよね?」

「そのとおり。」

 

そう言うと俺はビルドドライバーとフルボトルを取り出してテーブルの上に置く。

 

「このビルドドライバーにこの様々な特殊な成分の入ったフルボトルを振って中の成分を活性化させてボトルを刺して、このレバーを回すとその成分から装甲を形成して装着、変身するんだ。こんな風に…」

 

俺はボトルを振ってドライバーに刺す。

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

「こんな感じだな、ちなみにボトルの成分は大きく別けて有機物と無機物の二種類があって、変身には有機物と無機物の組み合わせを使うんだ。」

「さっきベストマッチって言ってたけど、それはなんなんだい?」

「ボトルの組み合わせの中で相性のいい組み合わせのことだ、元々は変身機能だけだったんだけど後からベストマッチを識別できる様にしたんだ。ちなみにビルドドライバーとそれを使うライダーシステムもこの俺の発・明・品。すごいでしょ!サイコーでしょ!天っ才でしょ!」

「う、うん。」

 

俺は自分の発明品を自慢できてテンションが上がってきた。

 

「わかった、わかったから!少し落ち着きなって。それで、あんたはあの時何の魔力反応もなくあの場所に現れたけど、それは一体どういうことだい?」

「ああ、それはな、俺は仲間と二人暮らしなんだけど、そいつがこのジュエルシードを拾って来てな。それを見てたら急に光出して、気が付くとこの世界のあの場所にいたんだ。」

 

俺はパンドラパネルについては伏せて説明した。

 

「ジュエルシードのせいで…あれ?この世界?」

「ああ、昨日の夜調べたけどここは俺がいたのとは違う世界みたいだ。地球には変わりないけど、年代が違ったり、いるはずの有名人がいなかったり、ないはずの町があったりしたからな。」

「てことは戦兎って…」

「次元漂流者ってこと?」

 

二人が確認するように聞いて来る。

 

「次元漂流者か…字の通りの意味ならそう言う事になるな。」

「そうだったんだ…」

「まあ、これで互いの事情はわかったな。」

 

俺はそう言うと持っていたジュエルシードを差し出す。

 

「え?」

「やるよ。いるんだろ?」

「いいのかい!?」

「ただし、条件がある。」

「条件…」

 

俺の言葉に二人が緊張したような表情になる。

 

「俺にも手伝わせろよ、ジュエルシードを集めるの。」

「え!?」

「子供には荷が思いだろ?だから俺も手伝う。」

「けれど、戦兎さんには仲間が…」

「ああ、たしかにあのとき近くにいたからあいつもこの世界にいるだろうな。」

「だったらそっちを探した方がいいんじゃないかい?」

「たしかにあいつの事も探すさ。けれどあいつはほっといてもくたばる奴じゃない。それよりも今、ほっとけないのはお前達の方だよ。」

「どうするんだい、フェイト?」

「えっと…それじゃあ、よろしくお願いします。戦兎さん。」

「呼び捨てでいいぞ?あと敬語も無し。仲間になるんだからな。」

「あっ…わかったよ、戦兎。」

 

少し照れながらも俺を呼び捨てにするフェイト。子供だからほっとけれないというのは嘘じゃない。けれどもう一つ、フェイトの母親の目的について探らないといけない。もしも良くない事を企んでたら阻止しないと。そんな風に考えてると俺の腹からぐぅ~っと大きな音が、万丈じゃないんだから少しは空気読みなさいよ俺の腹…

 

「…悪い。そういえば昨日の夜から何も食ってなかった。」

「フフ、ご飯にしようか。カップ麺でもいい?」

「ああ、悪いな。」

 

フェイトはそう言うと台所に向かっていった。




次回予告

「クソ、どこだよここ!?」

万丈の行方

「何?どうなってるの?」

少女との出会い

「まあ見てろよ、俺の変身を…」
『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!』

第2話 不屈の心のウェイクアップ

『Stand by ready,Set Up.』


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第2話 不屈の心のウェイクアップ

戦「天っ才物理学者の桐生戦兎は万丈の拾って来た宝石と白いパンドラパネルの力で気が付くと見知らぬ場所にいた。そこで謎の二人組フェイトとアルフと出会い、宝石がジュエルシードという強大なエネルギーを秘めた願いを叶える物であることとここが自分がいた新世界とは別の世界であることを知る。」
ア「ちょっと、なんだいこれ?」
戦「あらすじ紹介だよ、いいから黙ってなさい。ジュエルシードを狙うフェイトを相手に桐生戦兎は仮面ライダービルドとなり戦うも、未知の技術、魔法に苦戦する。しかし、天っ才的発想でトライアルフォーム、タカタンクとなりフェイトとの遠距離からの撃ち合いを制する。」
ア「天才的って、ただ単にフェイトが飛ぶから飛行能力を持ってるボトルに変えただけだろ…」
戦「戦いが終わり話を聞くとジュエルシードを集めるのは母親の為だという事を知り、心優しい俺はそんな健気な少女を見捨てることができず、魔導師のフェイトと犬の使い魔のアルフに協力する事にしました。はてさて一体どうなる第2話!」
ア「あたしは狼だ!!」
戦「ツッコミ遅いんだよ…」


戦兎がフェイトとアルフに出会った頃

 

 

 

「クソ、どこだよここ!?気が付いたら戦兎もいねぇし。」

 

白いパネルが光ったと思ったら気が付くと道の真ん中に俺一人で突っ立ってた。しかたねえから歩いてんだけどちっとも見覚えのあるところにでねえ。

 

「ほんとにどうなってんだよ?はぁ…なんか腹も減って来たし、金持ってねえから何も買えねえし…」

「キャー!!」

「なんだ今の声!?」

 

なんか悲鳴が聞こえたと思ったらどこからともなく戦兎が俺に作ったクローズドラゴンがやって来た。

 

「あっ!?ドラゴン、お前今までどこ言ってたんだよ!!」

 

ドラゴンの奴はこっちと道の先を何度ま見ている。

 

「ついて来いって言ってんのか?よし、わかった案内しろ!!」

 

俺はドラゴンを追いかけて声の方向に走った。

 

 

 

 

 

 

「何?どうなってるの?」

 

私は高町なのは、いたって普通の小学3年生。今、すごいピンチに見回れてます。

今日、学校の帰り道で怪我をしてる不思議なフェレットを拾って動物病院に預けたんだけど。その夜に不思議な声を聞いて動物病院まで来たら、道路にあのフェレット君が倒れてたんだ。しかもそのフェレット君は言葉を喋って、それに驚く間もなく黒い何かが遅いかかってきたの。

 

「あれ、何?」

「あれはジュエルシードの異相体…あれを封印しないと大変なことになる…お願いします、僕に力を貸して下さい。」

「そんな事急に言われても…」

「危ない!!」

 

フェレット君が叫んでるのを聞いて、前を見てみるとあの黒いのがまたこっちに突進して来ました。

 

「キャー!」

 

つい私は目を閉じちゃったんだけどそのとき…

 

「オラァッ!!」

 

男の人の声を聞いて目を開けると、私の前に男の人がいて。周りにはなんか黒い何かが飛び散っていて。どうやらあの黒いのを男の人が殴ったみたいでした。

 

 

 

 

 

 

ドラゴンを追いかけるとなんか黒い変なのが子供を襲ってた。俺は急いでフルボトルを取り出してそれを振りながら子供と黒い変なのの間に入って…

 

「オラァッ!!」

 

思いっきりその黒いのを殴り飛ばした。そしたらその黒いのがバラバラになって辺り一面に飛び散った。なんか気持ちわリーな。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

俺は子供の方を振り返って無事かどうか確認した。

 

「は、はい。」

「すごい、あの異相体を一撃で…」

 

どうやら、無事みたいだな。…ん?なんか今声が一人多くなかったか?俺は声の方を見るとよく見たらイタチが子供に抱き抱えられてた。

 

「あの、なにか?」

「イ、イタチが喋った!?」

「えっと…この姿は一応フェレットなんですけど…」

 

マジか!?最近のイタチは喋るのかよ。

 

「気を付けて下さい!まだ終わってません。」

「は?何言ってんだ、あの変なのはバラバラになっちまっただろ?」

 

俺はそう言って変なのを見るとなんか黒い破片が一つに集まってた。

 

「…マジ?」

「あの異相体は本体のジュエルシードを封印しないと倒せません!」

「それを早く言え!どうすりゃいいんだよ。」

 

イタチは子供の腕から飛び降りて首に掛けた宝石を見せてくる。

 

「これを使えばあの異相体を封印できます。」

「なら早くやれよ!」

「今の僕にはこれを使う力は残ってません。けれど…」

 

イタチが子供の方を向く。

 

「僕の声が聞こえた貴方なら使えるかもしれません。お願いします!僕に力を貸して下さい。魔法の力を…」

「ま、魔法!?」

 

おいおいまずいぞ!?もうあの変なのほとんど元通りになってやがる。

 

「おい、イタチ…その封印って奴は時間がかかるのか?」

「え?はい…起動するための起動用パスワードを詠唱しないといけないので…」

「だったらその時間…俺が稼いでやる!」

 

俺はボトルを握りしめてあの変なのに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

突然現れた男の人はそう言って黒いのに立ち向かって行きました。黒いのは元通りになってその人に襲いかかりますが、その人は一歩も退きません。

 

 

「すごい…生身なのにあの異相体とあそこまで戦えるなんて…」

 

フェレット君が男の人の戦いを見てそう言っています。必死に私達を守ってくれてるその姿を見て私は決心してフェレット君が首に掛けてる赤い宝石を取ります。

 

「ねえ、これどうやって使えばいいの?」

「力を貸してくれるんですね。」

「早く教えて!」

「その宝石を胸に当てて僕が今から唱える呪文を復唱して…いくよ?」

「う、うん…」

 

私は言われた通りに胸に宝石を当てます。

 

「我、使命を受けし者なり…」

「わ、我、使命を受けし者なり…」

「契約のもと、その力を解き放て…」

「契約のもと、その力を解き放て…」

「風は空に、星は天に…」

「風は空に、星は天に…」

 

あれ?なんだろう?不思議な感覚…頭に言葉が…

 

「そして不屈の(こころ)は…」

「そして不屈の(こころ)は…」

「「この胸に!」」

「「この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」」

『Stand by ready,Set Up.』

 

呪文を唱え終わると私の体はピンク色の光に包まれました。

 

「すごい、魔力だ!?」

「な、なんだ!?」

 

フェレットと男の人の驚いてる声が聞こえました。

 

Welcome,new user.(はじめまして、新たな使用者さん)

「え?あっ、はじめまして…」

 

あの赤い宝石が話しかけてきました。

 

Your magic level qualifies you to use me.(あなたの魔法資質を確認しました)|May I select the optimum configuration for the Barrier Jacket and the Device?《デバイス・防護服の最適な形状を自動選択しますが、よろしいですか?》』

「えっと…とりあえず、はい!」

 

なんの事かわからないからおまかせします。

 

All right.(わかりました)Stand by Ready.Barrier Jacket, Set Up.』

 

光が更に強くなって…気が付いたら、私は真っ白な服に杖を持った姿に変身してました。

 

「えー!?」

 

 

 

 

 

 

 

スゲー…あの子供、変身しやがった。俺はそう思いながら、またこの変なのを殴り飛ばしてバラバラにしてやった。これでまた元に戻るまで時間が掛かるだろ…。俺は変身した子供に近づいて話しかける。

 

「スゲーじゃねえか、どうなってんだ?」

「私も何がなんだか…」

「あっ!?見て下さい、異相体が!」

 

なんかイタチが叫んでるから変な奴の方を見ると例の破片が今度は3つに集まって元通りになった。

 

「マジかよ。増えやがった。」

「どうしよう…」

How much do you know about magic?(魔法についての知識は?)

「全然!全くありません。」

Then I shall teach you everything.(では、全て教えます)Please do as I say.(私の指示通りに)

「うお、今度は誰だ!?」

 

また誰もいねぇのに声がしやがった。今度は周りに他の生き物はいねぇ。

 

It's me.(私ですよ)

 

声は子供の持ってる杖からしてた。

 

「イタチの次は杖かよ…」

My name is Raising Heart.(レイジングハートと申します)I wish you would know me.(以後お見知りおきを)

「お、おう、よろしくな…とりあえずなんとかできそうなのか?」

「や、やってみます。」

 

子供はそう言ってるけど少し震えてるじゃねえか…しょうがねえ。

 

「だったら一緒に戦うぞ!!」

「え!?」

it's dangerous! Go back!(危険です、下がって下さい!)

「そうですよ!」

「まあ見てろよ、俺の変身を…」

 

俺はそういうとビルドドライバーを取り出して腰につける。そしたらドラゴンの奴が飛んできた。俺はドラゴンを掴むと頭と尻尾を折り畳んで背中にドラゴンフルボトルを刺す。

 

『Wake Up!』

 

次にドラゴンをビルドドライバーのボトルを刺す所に入れた。

 

『Cross-Z Dragon!』

 

最後にレバーを回すと俺の前後に…戦兎の奴なんて言ってたかな?えっと…そうそう、スナップライドビルダーだ!それが出来てく。

 

『Are you ready?』

 

「変身!!」

 

そのスナップなんちゃらが俺を挟んで一つになる。

 

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

「えっ?えー!?」

「一体、これは!?」

 

へっへ、驚いてやがるな。

 

「俺は仮面ライダー…仮面ライダークローズだ!」

 

俺はそういって名乗りをあげると変な奴等の方を向く。

 

「今の俺は…負ける気がしねぇぜ!!」

 

俺はそう言って変な奴等に向かっていく。そしたら、変な奴等の2体はこっちに向かって来て残りの1体は逃げて行きやがた。

 

「ちょうどいいな。おい、お前はあの逃げたのをやれ、この2体は俺がやる。」

「わ、わかりました。えっと…どうすればいいのかな?」

Flier Fin.(飛びます)

「うわっ!?わっ、わぁー!?」

 

スゲーなあの子供、飛ぶ事もできんのか…ちゃっかりあのイタチもしがみついていったな…さて、こっちもいっちょやるか!

 

「オラオラオラァッ!!」

 

まずは1体、俺は何度もそいつにラッシュを叩き込んでやる。当然、今までどおり木っ端微塵になりやがった。

 

『ビートクローザー!』

 

次に俺はクローズの武器、ビートクローザーを取り出した。剣はあんまり性に合わないけどせっかくアイツが作ってくれた武器だからな、使ってやらねえと。

残りの1体をそのビートクローザーで斬っていく。そして、とどめにグリップの端を2回引っ張ってから…

 

『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』

『ミリオンヒット!』

 

思いっきり振り下ろす。そうしたら、斬撃が飛んでってそいつを斬った。けれど倒した2体の欠片はまた集まって元に戻る。

 

「だぁー!こいつら弱いのにすぐに元に戻ってメンドクセー!!」

 

俺は今度はグリップの端を1回引っ張る。

 

『ヒッパレー!』

『スマッシュヒット!』

 

ビートクローザーが刃が青く燃え出してそのまま斬りつける。今度はあの変なのはかわして、少し端を削るだけだった。…けどな、その削った欠片に炎が移ってそのまま燃え尽きてなくなったのを俺は見逃さなかった。

 

「なるほどな、全部燃やし尽くしちまえばいいのか!!」

 

ビートクローザーに俺の持ってるもう一つのボトル、ロックフルボトルを填める。

 

『スペシャルチューン!』

 

そんでまたグリップのところを2回引っ張る。

 

『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』

『ミリオンスラッシュ!』

 

そうすっとさっきよりも激しく刃が燃え出したからそいつを振り払うと炎が飛んでって変な奴の1体に当たり、そのままそいつは完全に燃え尽きた。

 

「しゃあ、まず1体!次は…」

 

俺はドライバーのレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

 

そうすっと、俺の右足が青く燃え出して後ろに青い炎のドラゴンが出てきた。そんで、そのドラゴンが吐き出した炎に乗ってのこりの1体にその燃えた足でボレーキックをかましてやった。のこりの1体もその炎で完全に燃え尽きた。

 

 

 

 

 

 

私はあの男の人、クローズさんに言われてあの黒いのを追いかけてました。でも、まだ頭の中がパニックです。どうして、私飛んでるんだろう?本当に何がどうなってるの!?

 

「あっ!?いた、あそこ!」

 

いつの間にかついて来てたフェレット君が指す方を見るとあの黒いのがいました。そして、私達に向かって飛び掛かってきました。

 

「わぁ!?」

『Protection』

 

レイジングハートからそんな声が聞こえると私の前にバリアが張られてその黒いのを受け止めてました。

 

Your magical powers are impressive.(良い魔力をお持ちです)

「予想以上だ…あなたの魔力があればあれを止められます。レイジングハートと一緒に封印を!」

「封印って…どうすれば?」

『|To seal,either get closer and invoke the sealing magic or use more powerful magic.《封印は、接近による封印魔法の発動か、大威力魔法が必要です》』

 

レイジングハートが教えてくれました。

 

『|Imagine you're about to strike.《あなたの思い描く強力な一撃をイメージしてください》』

「そんな、急に…」

 

いきなり言われてもどうすればいいのかわからないよ。

 

Hold out your strongest hand.(利き手を前に)

「は、はい!」

『Shoot the Bullet.』

 

言われた通りに利き手を前に出すと手の平から光が出て来ました。

 

Shoot.(撃って)

 

言われた瞬間に私はそこ光が飛んでいくイメージをしました。すると、イメージどおりに光が飛んで、バリアで受け止めてた黒いのを吹き飛ばしました。光を撃ったあと少し疲れてしまい、私は肩で息をしてました。吹き飛ばされた黒いのはまた逃げ出してます。このままだと見失っちゃう。

 

「ねえ、さっきの光、もっと遠くまで飛ばせない?」

If that's what you desire.(あなたがそれを望むなら)

「うん!」

 

あの光がもっと遠くまで、真っ直ぐ、一直線に飛んでくイメージ…なんだろう?胸の奥が熱くなってきた。

 

That's right.(そうです)|ocus your internal spiritual heat through your arms(胸の奥の熱い塊を両腕に集めて).』

 

言われた通りにこの熱い何かを腕に流していく。そうしたら。

 

『Mode change.Cannon Mode.』

 

レイジングハートが変形し始めたの。杖の先は二股で鋭くてまるで槍みたいになって。持つところには引き金が出来てたの。

 

「封印砲?この子、砲撃型だったのか…」

Shoot in Buster Mode.(直射砲形態で発射します)Immediate fire when target is locked.(ロックオンの瞬間にトリガーを)

「わかった、やってみる!!」

 

目の前に照準が見えて狙いを定め初めまして。

まだ…まだ…

 

「今だ!!」

 

照準が黒いのと重なるのと同時に私は引き金を引きました。するとレイジングハートの先から大きな光が飛んで黒いのに当たりました。

 

『Nice shot.』

 

光が晴れるとそこにはもう黒いのはなくて、菱形の宝石が浮いてました。私はその宝石の近くに降ります。

 

「えっと…これ、どうしたら?」

「レイジングハートで触れて…」

「こう?」

 

フェレット君に言われた通りにレイジングハートでその宝石を触ります。

 

『Internalize No.XXI』

 

そうして、その宝石はレイジングハートの中に吸い込まれて行きました。

 

 

 

 

 

 

例の子供を追いかけてるとなんかスゲー光が飛んでくのが見えて、その光の先にいくと子供とイタチがいた。

 

「よお。そっちはうまくいったようだな。」

 

子供に話しかけながら俺は変身を解く。子供の方もこっちに気付いて、変身を解いた。

 

「あっ、はい。なんとか終わった…んだよね?」

「はい、あなた達のおかげで。ありがとう…」

 

イタチがそう言いかけて倒れた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「おい、大丈夫か!?」

 

そう言ってイタチに駆け寄るがパトカーのサイレンが聴こえてきた。周りを見るとすごい大惨事になってやがる…

 

「えっと…もしかして、私…ここにいたら非常にあれなのでは…」

「ヤベー。とにかく逃げるぞ!!」

「ふえーん!ごめんなさ~い!!」

 

俺と子供はイタチを抱えてその場を走って逃げた。

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、ここまで来ればもう大丈夫だろ…。」

 

俺達はどっかの公園に駆け込んでベンチに座りこんだ。

 

「すみません…」

「目を覚ましたか!」

「ごめんね、怪我は大丈夫?」

「怪我は大丈夫です。もうほとんど治ってますから。」

 

そう言ってイタチは体を震わせると包帯がほどけて地面に落ちる。

 

「本当だ…怪我の跡がほとんどなくなってる。」

「助けてくれたおかげで、残った魔力を治療に回す事が出来ました。」

「…何言ってんのかサッパリわかんねえ。」

「えっと…自己紹介していい?」

「あっ、うん。」

 

そう言って子供は咳払いをして自己紹介を始めた。

 

「私は高町なのは。家族とか友達はなのはって呼ぶよ。」

「僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから…ユーノが名前です。」

「俺は、おっ!俺は…バサッ…プロテインの貴公子、万丈龍我だ!!」

 

決まった…咄嗟に思い付いたけどプロテインの貴公子…中々いい響きだな。

 

「えーと…」

 

俺の会心のネーミングに言葉がでねぇみてえだな。

 

「すみません、あなた達…」

「…なのはだよ。」

「なのはさん達を巻き込んでしまって。」

 

なんだよ、このイタチは暗くなりやがって。

 

「たぶん私、平気。」

「水くせえこと言うなよ。」

「そうだ、ユーノ君怪我してるんだったらここじゃあ落ち着かないよね。とりあえず私の家にいきましょ、後の事はそれから。万丈さんもどうですか?」

「俺も行くぜ。他に行く宛もないしな。」

 

俺はこのイタチ、ユーノの話を聞く為になのはの家に行くことにした。

 

 

 

 

 

なのはの家についたけどなんか変なんだよな。

 

「なあ、何で自分の家に入るのにそんなこそこそしてんだよ。」

「えっと、それはその…」

 

なんか歯切れが悪いな…

 

「おかえり…」

 

急に声が聞こえてきたからその方を見ると黒い髪の男がいた。なのははユーノを背中の後ろに隠した。

 

「こんな時間にどこに行ってたんだ?」

「お、お兄ちゃん…」

 

お兄ちゃん!?こいつら兄妹かよ…似てねえな。

 

「あら可愛い~。」

 

今度はメガネをかけた女が、この流れだと…

 

「お、お姉ちゃん?」

 

やっぱりか。

 

「あら、なんか元気ないね?なのははこの子が心配で様子を見に行ってたのね。」

「気持ちはわからんでもないが、だからといって内緒でというのはいただけない。」

 

なんだ、こいつ何も言わずにであるいてたのか…しょうがねえ、助けてやるか。

 

「まあまあ、いいじゃねえか。こうして何事も無かったんだからよ。」

「あなたは?」

「偶々こいつに会ってな。あぶねぇからここまで連れて来たんだよ。」

「それは、ありがとうございます。妹がお世話になりました。」

 

 

 

 

 

それから俺はなのはの家の中にあがってなのはの両親にも会った。ユーノの奴はなのはの母親の桃子さんに揉みくちゃにされてたけどな、それで俺は…

 

「うっま!!これめっちゃうまいっすよ。」

「よかった。ごめんなさいね、晩御飯の残り物ばかりで。」

「そんなことないっすよ。本当にうまい。」

 

桃子さんに晩飯をごちそうになってた。いや、桃子さんとなのはの父親の士郎さんと話してる途中で腹が鳴っちまってそれから桃子さんが飯の用意をしてくれた。その後、もう遅いからってことで今日は一晩泊めてもらうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「いいですか龍我さん、もう一度説明しますよ?」

 

僕は今、龍我さんにジュエルシードのことも含めて事情を説明しています。えっ、なのは?もう遅いからって桃子さんに寝る様に言われて、今日はもう休んでるよ。寝る前にお互いに敬語抜きで名前で呼び合おうって話はしたんだけど今日会ったばかりの相手を呼び捨ては馴れないな…龍我さんはさすがに年上だからさん付けに敬語だよ。

 

「まず、僕はこことは別の世界、魔法という技術のある世界出身で古代の遺跡でジュエルシードを発掘しました。」

「おう。」

「ジュエルシードは強大な魔力が込められた結晶体で願いを叶える力があるけれど暴走したら周囲を吹き飛ばしてしまうかもしれない危険な物です」

「おう。」

「そのジュエルシードを運ぶ途中で事故にあってこの世界にジュエルシードが散らばってしまいます。」

「おう。」

「そして、僕はそれを回収しに来たけど力不足で怪我を負ってしまったのでこの世界で魔法の資質をもっている人に助けを求めて、それになのはが答えてくれました。」

「おう。」

「なのはは僕が持ってたデバイス、いわゆる魔法の杖を見事に使ってジュエルシードを封印しました。」

「おう。」

「けれど、ジュエルシードは全部で21個あるのでまだまだ先は長いんです。」

「おう!よっしゃあわかった。」

「ようやく理解してくれた…」

 

同じことを15回くらい説明したよ…

 

「けどよ、ジュエルシードって危ないもんなんだよな?それを集めるのにまだ子供のなのはを巻き込むのはどうなんだ?」

「けれどこの世界でジュエルシードを封印できるのは彼女だけなんです。自分で撒いた種を他の誰かに対処してもらうなんて間違ってるのはわかってます。けれど、僕の発掘したジュエルシードが誰かを傷付けるのは嫌なんです。」

「お前なんでそこまで…」

 

なんで…か…

 

「スクライアは遺跡発掘を生業とする部族です。だから僕も、小さい頃から親と一緒に発掘の手伝いをしてきました。遺跡から過去の遺物が発見されるとその技術力の高さにいつも目を輝かせていました。そして、世界や文明を滅ぼすほどの物が出てくるといつも思うんです。これらの物も、もっと正しく平和利用できたんじゃないかって。」

 

龍我さんは僕の話を黙って真剣に聞いてくれている。僕はそのまま話を続けた。

 

「僕達は、過去の過ちから学び、またそれらを平和利用して明るい未来を作っていくのが仕事なんだと思ってるんです。だから、僕の発掘したジュエルシードには誰かを傷付けてほしくない。過去が未来を作ることがあっても、未来を壊すことはあってはならないと思うんです。」

 

 

 

 

 

 

ユーノの話を聞いて、なんとなく戦兎に似てると思った。前に葛城巧の人体実験について知った時、美空の奴が言ってたな。

 

「戦兎は科学の力を誰よりも信じてる。だから、葛城巧を憎むより、その研究が正しく使われなかった現実をなんとかしたいと思ったんじゃないかな?」

 

お前も同じなんだな…

 

「お前の話はわかった。まあなのはには明日またどれだけ危険かを説明して。それから決めてもらう様にしろよ?けれど、なのはが手伝うにしても、手伝わないにしても、俺はお前を手伝うぜ。」

「え、いいんですか!?」

「もちろんだ!」

「ありがとうございます。このお礼は必ず…」

「ああ、そういうのはいいわ。」

「え?」

 

そうだ、そんなのはいらない…

 

「見返りを求めたら、それは正義とは言わねえ。俺のヒーローからの受け売りだ。そいつ曰く、顔がくしゃってなるんだとよ。誰かの力になれたら嬉しくなってな。俺も最近、ようやくそんな風に顔がくしゃってなるようになったんだ。強いて見返りをいうならその気持ちだけで十分だ…」

「ありがとうございます…本当にありがとうございます。」

「ほら、もう遅いからお前ももう寝ろ。」

 

悪いな戦兎。お前のこと探すのは後回しにするわ。今はこいつのことを助けてやりてえんだ。わかってくれるよな?

俺はそう思いながらその日は眠った




次回予告

「どうやら人間が発動させたみたい…」

町を襲う災害

「私、良くわかってなかった。だからこんなことに!」

なのはの後悔

「レイジングハート、最初にジュエルシードを封印した時の砲撃やるよ。」

第3話 魔法少女のモウティヴ

「お前はなんの為に魔法使いやってんだ?」



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第3話 魔法少女のモウティヴ

戦「天っ才物理学者の桐生戦兎が異世界にてフェイトとアルフの襲撃を受けている頃、筋肉バカの万丈龍我は道に迷っていた!」
龍「俺は筋肉バカじゃねえ…バサッ…プロテインの貴公子、万丈龍我だ!!」
戦「なんだよプロテインの貴公子って、寒いんだよ…」
龍「はぁ!?ふざけんな、お前の天才物理学者の方が寒いんだよ!!」
戦「はいはい、バカはほっといて…万丈がクローズドラゴンの案内されるまま進むと、フェレットのユーノとそのユーノからデバイス、レイジングハートを渡されて魔導師となったなのはと出会う。」
龍「なあ、イタチとフェレットって違うのか?」
戦「はあ!?違うに決まってるだろ!本当にバカだな。」
龍「バカってなんだよ、せめて筋肉つけろ!!」
戦「うるさいよ。大体俺がなにも食わずに公園で一晩過ごしてた時になにお前だけ暖かい飯食って、暖かい布団で寝てんだよ!!」
龍「知るかよそんなこと。お前がはぐれるのが悪いんだろ!?」
戦「あーもう!とにかくそんなこんなで俺と万丈はそれぞれジュエルシードを集めて行くことになったのでした。さあ、どうなる第3話!」


「おはよう、戦兎。」

Good morning.(おはようございます)

「おはようフェイト、バルディッシュ。朝飯できてるぞ。」

「うん、ありがとう。」

「ふぁ~。おはようフェイト、戦兎。」

「おいアルフ。なんだよその大きなあくび、まだ眠いんなら顔洗って目を覚まして来い。」

「そうするよ。」

 

フェイト達に協力すると言って3日たった。

俺は食パンと目玉焼き、それに簡単に作ったサラダを食卓に並べた。旧世界での事もあってすっかり食事当番が板についていた。というのも、フェイト達は俺と会うまでインスタントや菓子パンばっかりの食生活だったらしい。俺や万丈みたいにとっくに成人してる大人ならともかく、育ち盛りのフェイトがしてていい生活ではない。けれどフェイトもアルフも料理ができないから必然的に俺が食事当番をする事になった。

 

「よし、みんな席についたな?それじゃあ、いただきます。」

「「いただきます。」」

 

全員揃ったところで俺達は朝食をとる。

 

「フェイトとアルフは今日もジュエルシードの探索か?」

「うん、そうだよ。」

「悪いな。手伝うって言っときながら、任せっきりになって。」

「ううん…元々私達の役目だし、それに戦兎の方もビルドドライバーの調整がまだ終わってないんでしょ?」

「ああ、他のアイテムの整備と平行してやってるからまだ時間がかかるんだ。」

 

そう、俺は今ビルドドライバーの調整と武装や強化アイテムの修理、整備を行っている。

強化アイテムはエボルトとの戦いで壊れてから、もうライダーシステムは必要ないと思い手付かずだったが今回、フェイトに協力する為に少しずつ修理に取り掛かっている。

武装も最後の戦いから全く整備してなかった。特にフルボトルバスターが酷い、こいつは元々フルフルラビットタンクボトルやフルボトルを4つ装填して使うことを想定してそれだけのエネルギーに耐えれるように設計してある。

しかし、エボルトとの最後の戦いでハザードレベル7によって進化したボトルを2本装填したのがよくなかった。進化したボトル2本分のエネルギーは通常のフルボトル4本分のエネルギーを大きく上回ったようだ。

その結果、エネルギーに耐えきれずに内部構造がイカれてしまったようだ。これの修理はこのジュエルシードの件が終わるまでには間に合わないだろう。

そして次にビルドドライバーの調整、最低でもこれが終われば俺も探索に同行できる。フェイト達に話を聞くとジュエルシードによって起こりうる被害は2つのパターンが考えられるらしい。1つはジュエルシード単体で異相体という物を形成して暴れまわる場合。まあこれはまだいいんだけど問題は2つ目、他の生物を取り込んで暴れる場合。この時にビルドで思いっきり戦ったら取り込まれた生物を死なせてしまう可能性があった。そこで注目したのがフェイトの使う魔法とデバイスのバルディッシュだ。フェイト達魔導師の使う魔法には非殺傷設定という、相手に外傷を与えず、痛覚にだけ作用して相手を無力化し殺さない様にする物があるらしい。この設定の切り替えはデバイスを介して行われることが多い、つまり、デバイスそのものにも非殺傷設定についてのプログラムが組まれている。バルディッシュを解析してこのシステムをビルドドライバーに組み込んでライダーシステムにも非殺傷設定を実装しようとしているのだ。

非殺傷設定は絶対ではないが、これができれば仮面ライダーで戦って相手を殺してしまうリスクが格段に下がる。これが、もっと早くあれば俺はあの時…

 

「完成しそうなの?」

「えっ?ああ…」

 

フェイトの質問で悪い方向に向かってた思考が中断された。

 

「バルディッシュの構造は解析が終わって大体理解出来たからな。あとはこれをビルドドライバーに組み込める様に調整するだけだからなんとかなるさ…」

「そうなんだ。」

「にしても、アンタ本当に天才なんだね。アタシ達からしてもデバイスを解析、整備するのは専門の知識がいるのに、それを何も知らない手探り状態でやって構造を理解するなんてね。」

「この天才物理学者に不可能はない。まあ、多少プログラムを構築してる未知の言語に戸惑ったけどな。」

 

ミッドチルダの文字がアルファベットに酷似してて助かった。なんとか照らしあわせて解読出来た。これが本当にわからない文字だったらもうお手上げだった。

 

「そろそろ私達は行くね?」

「ああ、頑張れよ。」

「帰ったらうまいもん用意しとくんだよ。」

「お前は肉とドッグフードがあればそれでいいんだろ!?」

 

やれやれ、俺はフェイトとアルフを見送ると作業に取り掛かった。

 

「それにしても、この世界に来てから何度か外を出歩いたけどちっとも万丈の奴を見かけないな。全く、どこで何してるんだか。」

 

この時俺は知らなかった。万丈の奴が俺よりも快適な生活をしていることに…

 

 

 

 

 

 

 

「万丈君、これ3番テーブルまでお願いね。」

「うっす!」

 

俺は桃子さんからお盆を受け取ってそれを言われた通りに運ぶ。

 

「お待たせしました。コーヒーとショートケーキのセットになります。」

 

それにしても桃子さんも士郎さんもいい人だよな。俺が仕事がなくて行く所がないって行ったらこの翠屋で住み込みで働かせてくれるって言ってくれるんだからな。まあこの仕事覚えるのに必死だったからジュエルシーフードのことはユーノとなのはに任せっきりだったけどな。あれ、なんか違ったか?

それにしても驚いたよな、ユーノとなのはにあった次の日に俺は自分がどういった状況か理解した。どうやら俺は過去に飛んじまったらしい。なのはの家のカレンダーを確認したから間違いねえ。ユーノの探し物の件が終わったら戦兎を見つけて元の時代の帰りかたも探さねえとな。…おっと客だ。

 

「いらっしゃいませ…って士郎さん。どうでした試合は?」

 

監督をしてるサッカーチームの試合に行ってた士郎さんが子供達をつれて店に来た。

 

「勝ったよ。お祝いにこの子達に飯でもごちそうしようと思ってね。なのはとその友達も一緒に来てるから仕事はもういいから少し相手をしてくれないかな?」

「わかった。」

 

俺はエプロンを外してなのはのとこに行った。なんか二人の子供にユーノの奴が頭を撫でられてる。

 

「よっ。なのは、そいつらは友達か?」

 

俺が声をかけるとなのはとユーノ、それと他の二人の子供もこっちに気付いた。

 

「あっ、龍我さん!」

「ねぇなのは、この人がなのはのとこに来た居候?」

「うん、万丈龍我さん。龍我さん、こっちは私の友達の月村すずかちゃんにアリサ・バニングスちゃん。」

 

なのはに紹介されて紫色の髪の子供、すずかと金髪のアリサがお辞儀して来た。

 

「おう、よろしくな。すずか、アリサ。」

 

俺がそう言うとまたどこからともなくドラゴンの奴が飛んで来てユーノのとなりに降りて来た。

 

「あっ、ドラゴン!お前またどこ行ってたんだよ!?」

 

こいつ、この時代に来てからしょっちゅうどっか行くんだよな…ん?なんかすずかの奴が目を輝かしてるな。

 

「わー。龍我さん何ですかこの子?」

「あー、そいつはクローズドラゴンつって知り合いが作った俺のお目付け役…じゃない。えっと、ペットロボだ。」

「へー、可愛い!!」

「そう?なんかごつくない?」

 

アリサがドラゴンに向かってそう言うとドラゴンの奴がアリサに向かって火を吐いた。

 

「あっつ!?今こいつ火、吐いたわよ。」

「ダメだよアリサちゃん。こんなに可愛いのに酷い事言っちゃあ。」

 

そう言ってすずかはドラゴンを抱き寄せて頭を撫でてる。…なんかこいつ俺よりなついてねえか?

 

 

 

 

そのあと、俺達は解散。士郎さんからも今日はもうあがっていいって言われたからなのはの奴を家に送った。

 

「なあ、あれからジュエルシーフードの件はどうだ?」

「龍我さん…ジュエルシードです。」

「あ?そうだったか?」

「にゃはははは…」

 

なんか間違ってるような気がしたが、シーフードじゃなくてシードだったか。

 

「えっと、今5つ集まってるよ。」

「おっ、もう5つか!順調だな。そういえば俺、まだジュエルシードの実物見てないんだよな。ちょっと見せてくれよ。」

「うん、いいよね?」

「危険な物なので気をつけて下さいね。」

「わかってるよ。」

「レイジングハート…」

Ok.(わかりました)Put Out.』

 

レイジングハートから菱形の宝石が出てくる。あ?

 

「これ、俺がここに来る前に拾ったぞ?」

「えー!?」

「そ、それは今どこに!?」

「いや、戦兎の奴に渡して…それからそれが光出してここに来たからまだ戦兎が持ってると思うぞ?」

 

なんかユーノの奴が険しい顔をしてる。

 

「だとしたらすぐにその戦兎さんからジュエルシードを回収しないと。」

「どうして?」

「ジュエルシードが一番強い力を発揮するのは、人間が強く願って発動させた場合なんだ。」

「マジか!?まあ、戦兎なら大丈夫だと思うけどな…」

 

そんな事を話していると。

 

「はっ!?」

「なのは!?」

 

二人の顔が険しくなる。

 

「ジュエルシードか!?」

 

俺達は急いで飛び出してジュエルシードのとこに向かった。

 

「んだよ、これ…」

 

町にでかい木が生えてその根っこで大惨事になっていた。

 

「どうやら人間が発動させたみたい…」

 

ユーノはその状態を見てそう言いやがった。マジかよ…人が使うとこんな風になるのかよ…

 

「やっぱり、あの時…」

 

…?どうしたんだ、なのはの奴。

 

「レイジングハート…こういう時はどうしたらいいの?」

First we need to identify the source.(まずは発生源を特定する必要があります)Area Search.』

 

レイジングハートからなんか沢山光の玉が飛んで行った。

 

Please concentrate with your eyes closed.(目を閉じて意識を集中して下さい)

「うん、わかった。」

 

そうしてなのはは目を閉じた。

 

「おい、何してんだよ?」

「エリアサーチ、サーチャーを飛ばしてそのサーチャーが移した映像を見ることで周囲を確認する魔法。だけど、あの数のサーチャーを全部コントロールしてその映像を確認するなんて…」

 

ユーノの言うことはよくわかんねえけど、相当難しいことをなのはがしてんのはわかった。

 

「見つけた!」

「マジか!?」

 

スゲーななのはの奴、魔法ってのを使うようになってまだ3、4日だろ!?

 

「レイジングハート、最初にジュエルシードを封印した時の砲撃をやるよ。」

Ok.(わかりました)Mode change.Cannon Mode.』

 

レイジングハートがまるで大砲みたいになった。その先がスゲー光ってやがる。

 

「行って!!」

『Divine Buster shoot.』

 

レイジングハートからスゲービームが出やがった。ビームはまっすぐ飛んででかい木の一つに当たる他の木も跡形もなく消えた。そして光が飛んでった方からジュエルシードが飛んで来てレイジングハートに吸い込まれた。

なんだよ、今回も俺の出番なしかよ…なんてこと言う空気じゃねえな。

 

「…ありがとう、レイジングハート。」

Good bye.(私はこれで…)

 

レイジングハートの奴はそれだけ言って元の宝石に戻った。町の方を見ると道路はひび割れてて停めてあった車はボロボロになってた。

 

 

 

 

 

 

色んな人に迷惑をかけちゃった。

 

「龍我さん、ユーノ君。私、気付いてたんだ…あの子がジュエルシードを持ってるの。なのに私、気のせいだって思って見逃しちゃった…」

「なのは…」

 

ユーノ君もレイジングハートも何も言わない。

 

「なあ、なのは…お前はなんの為に魔法使いやってんだ?」

 

そんな時に龍我さんが聞いて来ました。私が魔法使いをしてる理由…

 

「…ユーノ君のお手伝い。」

「それだけか?」

「うん…それだけだったんだ。だからユーノ君はジュエルシードがどれだけ危ないのか教えてくれてたのに…私、良くわかってなかった。だからこんなことに!」

 

気がついたら私は泣きながら声を荒げていました。そうだ、私があの時ちゃんと回収してたらこんな事には…

 

「それで、お前はこれからどうしたいんだ?」

 

私がこれからしたいこと?

 

「…もう、こんな事起こしたくない。色んな人に迷惑をかけないように、もう誰も傷つけないようにジュエルシードを全部集めたい。ユーノ君の手伝いだからじゃなくて、私がそうしたいから!!」

 

私は龍我さんにそう言うと、龍我さんは私に笑いかけて…

 

「ちゃんと戦う理由があるならもういい。」

 

そう言ってくれました。

 

「俺もな、最初の頃は戦う理由も無しに仮面ライダーやってたんだ。」

 

龍我さん?

 

「最初にドラゴンで変身しようとしたときな、俺の気持ちが足んなくて変身できなかったんだ。香澄…死んだ俺の恋人の遺書を読んでそれがきっかけで変身できるようにはなったんだけど、仮面ライダーになって戦い続ける理由が俺にはなかったんだ。そりゃ、力がほしい理由は有ったんだけどよ…それがないと、俺には戦う理由が全くなかったんだよ。」

 

そうだったんだ。じゃあ龍我さんは今なんの為に戦ってるんだろう?

 

「けれどある事がきっかけで俺や戦兎以外の仮面ライダーに会ったんだ。戦兎以外のライダー達も、礼を言われる訳でもねえのに見ず知らずの誰かの為に命張ってた…バカだって思うだろ?俺もそう思った。けれどな、同時にスゲーって思ったんだ。俺にはそんな事真似できねえ。俺は自分の為に、自分の信じる物の為に、自分を信じてくれる奴の為に戦う。戦兎は俺の事を信じてくれた、俺の信じる戦兎は…仮面ライダーは、愛と平和の為に戦ってた。なら俺は、愛と平和の為に戦うあいつの為に戦う!それが俺の仮面ライダーをやってく最初の理由だった。」

「万丈さん…」

「ようするに俺の言いてえのはさ、戦い続ける理由がなくてふわふわしてるような奴には何もできねえ。けれど戦う理由がちゃんとある奴はどこまでも強くなってく、戦い続けれる。」

「私も…強くなれますか?こんな事、もう起こさせないくらい…」

 

私は万丈さんにそう聞いていました。

 

「当たり前だろ?昨日までのお前ならともかく、戦う理由をちゃんと決めたお前ならきっと俺や戦兎と同じくらい強くなれるぞ。お前が戦う理由を無くさない限りな…」

 

龍我さんは笑いながらそう言ってくれました。

 

「さ、帰るぞ。なんか腹減ってきたし、桃子さんの飯が早く食いてえよ。」

「うん!」

 

私は、さっきまでの暗い気持ちが嘘みたいに明るい気持ちで龍我さんと一緒に家に帰りました。

 

 

 

 

 

 

ビルドドライバーの調整は思ったよりも時間がかかっていた。魔法とライダーシステムという別々の技術には互換性がない。だから非殺傷設定についてはデバイスのシステムを元にシステムを構築しなければ行けなかったのだが、これがシステムのほとんどがビルドドライバーに適応できず、ほぼ1からシステムを構築せざるを得なかったのだ。まあ、俺は天っ才だから今日1日で5割方システムが完成している。

 

「ただいま。」

 

おっとフェイト達が帰ってきたみたいだ。

 

「お帰り、どうだった?」

「ダメだね、全く収穫無しだよ。というかお腹すいた、戦兎、晩ご飯にしよう。」

「はいはい、わかったよ。すぐ用意するから待ってろ。」

 

アルフに言われて俺は飯の用意をする。

ちなみに今日の晩飯は焼肉だ。

 

「それで、詳しく聞かせてくれ。」

 

俺は晩飯を食べながらフェイト達に話を聞く。

 

「ジュエルシードの反応を感知して現場に向かったけど、そこにはもう何もなかった。」

「これでもう3件目だよ、反応を関知したのに現場にジュエルシードがなかったのは。」

 

フェイトとアルフがそう説明してくる。反応が有ったのに現物がなかったとなると…

 

「誰かが俺達よりも早く回収している?」

「多分そうだろうね。管理局の連中かもしれない。」

「いや、その可能性は少ないと思う。」

 

俺はアルフが考えてる可能性を否定する。

 

「どうしてだい?」

「ここは管理外世界だろ?管理外ということは、そこで起こった事については関知してないということだ。だったらその管理局がジュエルシードがこの世界に有ることを把握してるとは思えない。」

 

だが、そうなると…

 

「じゃあ管理局以外の魔導師がジュエルシードを回収してるって言うのかい?」

「そうなるだろうな…ジュエルシードは危険な代物だ。もしジュエルシードを集めてるもう一人の魔導師が悪意を持ってそれを手にしようとしてるならなんとしても阻止しないと。」

 

パンドラボックスの悲劇の二の舞にしない為にも絶対に。

 

「たとえ…」

 

フェイトが口を開く。

 

「たとえ誰が相手でも、母さんの為にジュエルシードを集める邪魔をするなら容赦しない。」

 

まただ、やっぱりこのフェイトの母親への依存はなんだか不自然だ。

 

「戦兎の方はどうだったの?」

 

フェイトがこっちに聞いてくる。

 

「ああ、大体5割ぐらいはできたな。明日中には完成すると思う。」

「そっか、よかった。」

「あんたには期待してんだからね。」

「わかってるって。まあ、この天っ才物理学者にまかせなさい。」

 

俺は自信たっぷりにフェイトとアルフに言う。

 

「さ、飯食ったならもう寝ろ、明日も早いんだろ?」

「うん、そうするね。おやすみ。」

「おやすみ、戦兎」

「おやすみ。」

 

フェイトとアルフはそう言うと寝室に行った。

 

「さて、俺も後少し踏ん張りますか。」

 

俺は作業を再開した。

 

 

 

 

 

 

朝、目が覚めてリビングにいくと戦兎がコーヒーを飲みながらくつろいでた。

 

「おはよう、フェイト。」

「おはよう…戦兎、昨日は寝たの?」

「あ~…いや、徹夜だな。朝飯を食ったら少し寝るよ。」

「そうなんだ…」

 

桐生戦兎、ジュエルシードを集める為に襲いかかった私達を手伝ってくれるって言ってくれた不思議な人。今だって私達の力になろうと頑張ってくれてる。正直に言うとどうしてそこまでしてくれるのか、私にはわからない。けれど全部終わったら母さんと一緒になにかお礼をしようと思ってる。

 

「アルフはまだ寝てるのか…フェイト、起こして来てくれ。」

「うん、わかった。」

 

私は戦兎に言われてアルフを起こす。

アルフを起こしてリビングに戻ると戦兎がご飯をテーブルに並べてた。今日の朝ご飯は白いご飯に海苔、それと卵焼きに漬物といったこの世界のこの国特有の物だった。

 

「おっ、来たな。早く座れよ。」

 

戦兎に促されて私達は椅子に座る。

 

「今日の卵焼きはお袋の味って奴を再現しようとしてみたんだ。」

「お袋の味?」

「ああ、俺の母さんがよく作ってくれたんだよ。その味を再現しようとしたんだ、まあ母さんの卵焼きには全然届かないんだけど食べてみてくれ。」

「へー。それじゃあいただくよ。」

 

そう言ったアルフは卵焼きを一口食べる。

 

「うっわ…なんだいこれ!?甘過ぎだよ」

「そうか?母さんのはもっと甘かったんだけどな…」

「それは絶対あんたの舌がおかしい!」

「アルフ、そんなに言うと失礼だよ。」

 

アルフにそう言うと私も卵焼きを一口食べる。

 

「…美味しい、すごく美味しいよ戦兎!」

「ウソだろ!?」

「本当か!?気にいってくれて良かった。」

 

美味しい、これが戦兎の母さんの味なんだ…そういえば最近母さんのご飯食べてないな。昔はどんなに忙しくても作ってくれたのに。

そんな風に思いながら私は戦兎の作ってくれた卵焼きを口に頬張った。

 

 

 

 

「それじゃ、言ってくるね戦兎。」

「ああ、頑張ってこいよ。」

 

私達は朝ご飯の後すぐにジュエルシードを探しに出掛けた。町外れにいくとすぐに探知魔法を使ってジュエルシードを探す。

 

「どうだい、フェイト?」

「うん、なんとか見つけたよ。」

「よし、それじゃあ今度は盗られないうちにこっちで回収するよ。」

「うん。」

 

私達はジュエルシードの反応がする場所に向かうとそこはどこかの屋敷の裏庭だった。

私達がそこに着くと同時に結界が張られる。

 

「どうやら、私達以外のジュエルシードを集めてる奴も気付いたみたいだね。」

「急ごう、アルフ。」

 

ジュエルシードのところに急いで行くと大きな猫がいた。

 

「あの猫だね。大方大きくなりたいとでも願ってああなったんだろうね。」

「早く封印しよう、バルディッシュ。」

『Photon Lancer』

 

私は猫に向かってフォトンランサーを発射した。

 

「バルディッシュ、今度は連続で…」

『Photon Lancer・Full auto fire』

 

私は連続でフォトンランサーを放った。けれどそれはバリア系の防御魔法で防がれる。

 

「魔導師?なら。」

 

今度は猫ではなくてその足元にフォトンランサーを撃つ、すると猫はその場で転んだ。猫が転ぶのを確認したら、私は相手の魔導師との距離を詰めてその姿を確認する。

栗色の髪でツインテールの女の子、白いバリアジャケット。側にはフェレットの使い魔。私と同形の魔導師、戦兎の言ってた私達以外のロストロギアの探索者。デバイスである杖はバルディッシュと同じインテリジェントデバイス。

 

「バルディッシュ」

『Scythe Form』

 

私はバルディッシュをサイズフォームに変えて構える。

 

「ロストロギア、ジュエルシード。申し訳ないけど、いただいて行きます。」

 

私はその白い女の子に斬りかかる。けれど…

 

『ビートクローザー!』

 

私の攻撃は防がれた。けれど、防いだのはあの白い女の子でもあの子の使い魔でもなかった。

 

「おい!いきなり何すんだよ!?」

 

腰にはつい最近見た戦兎と同じビルドドライバー、全身を覆うフルスキンの装甲。デバイスとは違う機械的な武器。そう、その姿は…

 

「仮面…ライダー?」

 

戦兎が変身するのと同じ、仮面ライダーだった。




次回予告

「出来たー!!」

完成するビルドドライバー

「もう一人のジュエルシードを集めてる奴の所に万丈がね…」

ついに発覚する万丈の行方

「や、やめて…」
「試したい…試したい…」

第4話 探索者達とのエンカウント

「アイツは自分から悪人に力を貸す様な奴じゃない…」


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第4話 探索者達とのエンカウント

戦「天っ才物理学者、桐生戦兎はフェイト、アルフと共にジュエルシードを集める事にした。それに伴い、自身のビルドドライバーに非殺傷設定を組み込もうと調整を行う。」
フェ「一方その頃、仮面ライダークローズこと万丈龍我は翠屋の住み込みのバイトとしての生活をしていた。…こんな感じでいいの?」
戦「ああ。そんな中、街中でジュエルシードが発動。街に甚大な被害が出る。ジュエルシードの存在に気付いていた筈のなのは今回の件を酷く後悔し、自分の意思でジュエルシードを集める事を決める。そんななのはに自身の実体験を話す龍我。その言葉になのはは気持ちを切り替えるのだった。」
フェ「次の日、私がジュエルシードの探索をしてジュエルシードを発動させた大きな猫を発見。回収の為に攻撃をするとそこに同じくジュエルシードを集めるなのは、そして戦兎と同じ仮面ライダーの龍我と出会うのでした。」
戦「はてさて一体どうなる第4話。」



俺はなのはとなのはの兄ちゃんの恭也と一緒にすずかの家に来てた。なんで恭也も一緒かっつうとすずかの姉ちゃんと付き合ってんだとよ、こいつ。

つか、スゲーデッケー家だな。本物のメイドとか初めて見た。なんでもすずかもアリサも家が金持ちなんだとよ。すずかの奴が喜ぶかと思ってドラゴンの奴もつれて来たんだけど、すずかの姉ちゃんの忍までドラゴンを見てテンションをあげてよお。ほんとに似てるなこの姉妹…さすがにドラゴンを分解されそうになったときは全力で止めたけどな。

今はすずかの部屋でユーノの奴が猫に追いかけられてるのを眺めてた。ちなみにドラゴンの奴は他の猫とじゃれついてる。…猫多いなこの家。

 

「へぇ、万丈って元格闘家なんだ?」

「まあな。色々あってやめちまったけどな。」

 

アリサとすずかに俺の事を少し話した。つっても仮面ライダーとかの事は伏せてだけどな。

 

「なんでやめちゃったんですか?」

「だから色々だよ。そこはあんまり聞かないでくれ…」

 

すずかにかやめた理由を聞かれたけど言えるわけねえよな。八百長やって追放されたなんてよ。

 

「ふーん、だけど万丈なんて格闘家あたし知らないけど?」

「それはあれだよ…あんまり有名じゃなかったんだよ。」

 

そりゃ、10年前なら俺は14才だからな。まだ格闘家じゃねえんだから知ってるわけがねえ。

 

「なんだ、やっぱりあんまり勝てなくてやめただけじゃない。なんか重たい事情がある風に言っちゃってさ。」

 

…勝手にそう思うのはいいんだけどよ、やっぱりってなんだよやっぱりって。

そんな風に話してるとユーノの奴が急に部屋を飛び出して行きやがった。

 

「あれ?ユーノ、どうしたの?」

「あはは、何か見つけたのかも。ちょっと探して来るね」

 

そう言ってなのはの奴も部屋を出る。

ジュエルシードか…俺はドラゴンの奴に目配せするとドラゴンは頷いてなのはの後を追いかけて行った。

 

「おい!?どこ行くんだよドラゴン!?おい!…仕方ねえな。悪い、俺もちょっと探して来るな。」

 

俺はそう言って部屋を出るとなのは達を追いかけた。

 

「たく…なんでこんなにバカみてえに広いんだよここは!」

 

俺はなのはを探して走り回ってると庭の方からデッカイ猫がいるのが見えた。

 

「あれか!」

 

俺は窓を開けて外に出ると猫の方に走って行く。そしたら途中、猫に向けて攻撃が飛んで行くのが見えた。

なのはじゃねえ!あいつなら猫が傷つかないように封印しようとする筈だ。

俺は急いで駆けつけると金髪の黒いガキが手に持った鎌でなのはの奴に襲いかかっていた。

 

「あぶねえ!」

 

俺は飛んで来たドラゴンの奴にボトルを刺して急いでドライバーを着けて変身する。

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

『ビートクローザー!』

 

俺はなのはと金髪のガキの間に入ってビートクローザーで鎌を受け止めた。

 

「おい!いきなり何すんだよ!?」

 

金髪のガキは驚いた顔をしてやがった。そして次に言った言葉を俺は、聞き逃さなかった。

 

「仮面…ライダー?」

 

 

 

 

 

 

 

間違いない…この人は戦兎の仲間だ。戦兎と同じ仮面ライダーだし、何より同じビルドドライバーを使ってる。戦兎はビルドドライバーは自分が作った物って言ってたからそれを持ってるってことはこの人は戦兎のはぐれた仲間。

そんな風に考えてると、私は目の前の仮面ライダーに押し返されてしまった。

 

「おい!なんでお前が仮面ライダーを知ってんだよ!?」

「それは…」

 

戦兎に会ったから。ただそれを言えばいい筈なのに言葉がでない。

 

「ニャー…」

 

その隙にジュエルシードを発動させた猫がその場を逃げようとする。

 

「チィッ、なのは!こいつは俺が押さえておくからさっさとジュエルシードを封印しろ!!」

 

目の前の仮面ライダーが白い女の子に指示を出す。このままだとこのジュエルシードも盗られる!

 

「分かりました…」

「おっと、そうはいかないよ!!」

 

白い女の子が封印をしようとしたらアルフが駆けつけて女の子を殴り飛ばした。そのまま、女の子は気を失ってる。

 

「仲間がいたのかよ!?」

「あれは使い魔!やっぱりこの子は僕と同じ世界の…」

「フェイト!ここはアタシに任せてジュエルシードを!!」

 

アルフに頷き返すと私は猫の方に飛んで行く。

 

 

 

 

 

 

 

「させるか!」

「おっと、アンタの相手はアタシだよ!!」

 

アタシは目の前の仮面ライダーに殴りかかる。

 

「邪魔すんじゃねえ。」

 

仮面ライダーのパンチがアタシの腹にめり込む。

 

「あっ!?悪い、つい手加減すんの忘れてた!」

 

これが仮面ライダーの力、戦兎にフェイトが負けたのがよくわかったよ。アタシは腹を押さえながらその場にうずくまる。

仮面ライダーはアタシに一言謝るとフェイトの元に、向かおうとする。

 

「まちな…アンタの相手はアタシだって言っただろ…」

 

アタシはなんとか立ち上がってそう言った。

 

「お、おい…無茶すんなって。ふらふらじゃねえか!?」

「ふらふらかどうか…確かめてみな!?」

 

アタシはそいつに向かって思いっきり殴りかかる。

 

「うぉ!?」

 

アタシの攻撃は仮面ライダーに当たってそのままそいつは吹っ飛ばされる。

戦兎のとこからこっそり持ってきたこいつが役にたったよ。

 

 

 

 

「そういや戦兎?」

「なんだ?」

「初めてあったときフェイトのフォトンランサーをかわしてアタシ達から逃げ切ったけど、あれはどうやったんだい?」

「あれか?あれはラビットボトルを使ったんだ。有機物の成分のボトルは振って活性化させるだけでもその成分の効果を引き出せるからな。ラビットなら素早い身のこなしってわけだ。」

「ふーん…」

 

 

 

 

アタシは戦兎との会話を思い出しながら手に握りしめた茶色のゴリラの模様のボトルを見た。

 

「なんだよ…今の。」

 

仮面ライダーがこっちに戻ってくる。

 

「さあ、始めるよ!」

 

アタシは拳を前に突き出しながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

私はジュエルシードを取り込んだ猫に近づいてライトニングバインドで足を拘束した。

 

「急いで封印しないと…バルディッシュ。」

『Axe Form』

 

バルディッシュをアックスフォームに変えて封印魔法を使う。

 

「ジュエルシード、シリアルXIV…封印!」

『Sealing.』

 

封印魔法でジュエルシードは封印されて猫は元に戻る。少しグッタリしてるけど少し休めば大丈夫…

私はアルフの方を向くとボロボロになりながら仮面ライダーと戦ってた。

 

「アルフ!封印したよ!!」

 

大声でアルフに呼び掛けながら飛ぶ

 

「わかったよ!!はっ!」

 

アルフは最後に仮面ライダーを殴ったらそのままその場を飛び立つ。

 

「あの白い魔導師に言っときな!またおいたするようならガブッとやっちまうよってな!!」

「待ちやがれ!おい、降りてこい!!」

 

よかった、この人は飛行ができないみたい。

私とアルフはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「チクショウ、逃げられた!」

 

俺はそう言いながら変身を解除する。

 

「すみません、僕がサポートに回れるほど回復していれば…」

「いや、お前のせいじゃねえよ…っとそれよりなのは!!」

 

俺は犬耳の女に殴られて気絶したなのはに駆け寄る。

 

「おい、なのは!?しっかりしろ。なのは!!」

「んっ…龍我…さん?」

 

良かった、目が覚めた。

 

「私…?そうだ!ジュエルシードは!?」

「悪い…盗られちまった。」

「そうなんだ…」

 

なのはは俯きながらそう言う。

 

「何だったんだよ?あいつら…」

「使い魔をつれて、魔法に手慣れてる様子から見て、僕と同じ世界から来た魔導師で間違いないと思います。」

「使い魔?」

「魔力によって動物をベースに作る魔法生命体、製作者である魔導師のサポートをする存在です。それにあそこまで感情豊かな物になると相当高精度な使い魔だ。使い魔は使役してるだけでそれの精度が高ければ高い程魔力を消費する。あれだけの物を使役してあそこまで魔法を使えるとなると…」

「相当ベテランな魔法使いって訳か?」

「はい…」

 

そんな連中までジュエルシードを集めてんのかよ。

 

「あの子…」

 

なのはがぽつりとしゃべり出す。

 

「あの子、なんであんなに寂しそうな目をしてたのかな?」

 

寂しそうだった?どう言うことだ?

なのははそれっきり黙り混んじまった。

 

 

 

 

 

 

私はアルフと一緒にマンションに帰ってきた。

 

「出来たー!!」

 

そんな声が聞こえて来たのと私が玄関のドアを開けるのは同時だった。

私が部屋に入ると戦兎がビルドドライバーを手に持って立ち上がってた。

 

「戦兎?」

「おお、帰ったか!!」

 

私が声を掛けるとすごい勢いで戦兎が詰め寄ってくる。よくみると髪の毛の一部が上にピョンって跳ねてた。

 

「見ろよフェイト!遂にライダーシステムに非殺傷設定を実装したぞ!!すごいでしょ?サイコーでしょ?天才でしょ!?」

「う、うん…」

「ちょっと、落ち着きなって。」

 

前にビルドドライバーの説明をしてくれたときと同じテンションになってた…

 

「あー、早く試したい…」

 

戦兎はそう言うとビルドドライバーを着けてじわじわとこっちに近づいて来た。

 

「えっ?」

「試したい…試したい…」

 

戦兎はうわ言のように試したいといいながらボトルを振り始める。

 

「せ、戦兎?落ち着いて…」

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

戦兎は構わずボトルをドライバーに刺した。

 

「や、やめて…」

「試したい…試したい…」

 

ダメだ、全然聞いてくれない。戦兎の手がドライバーのレバーを回そうとしたとき…

 

「だから落ち着きなって言ってんだろ!!」

 

アルフが戦兎を殴り飛ばした。

 

「イッテー、何すんだよ!?」

「アンタが暴走するからだろ!見なよ、フェイト涙目になってるじゃないか!!」

 

アルフに言われて初めて私は自分が泣いてることに気付いた。

 

「悪かったよ…けれどせっかくの発明品は試さずにはいられないだろ?」

「だからってあんなじわじわと近づきながら問答無用でやろうとしなくてもいいだろ!?」

「わかったって…仕方ない、これは次の機会に試すか。」

 

そう言って戦兎はビルドドライバーを外してくれた。よかった~…

 

「あっ、そういえば…」

 

そう言うと戦兎はアルフに向かって手を出しました。

 

「なんだい、コレ?」

「惚けるんじゃないよ。ゴリラボトル、勝手に持ち出したろ?返しなさい。」

「あー、あれね。悪かったね、けどこれのおかげで今回は助かったんだよ。」

「何があったんだ?」

 

私達は戦兎に今日のことを説明しました。

 

「なるほどな、もう一人のジュエルシードを集めてる奴の所に万丈がね…」

「うん、そうなんだ。」

「とりあえずよかった。」

 

戦兎はほっとしたような顔をした。

 

「アンタも仲間の無事がわかって安心したかい?」

「それもあるけどな、万丈の奴が手を貸してるって事は少なくとももう一人のジュエルシードを集めてる魔導師は悪い奴じゃないって事だ。アイツは自分から悪人に力を貸す様な奴じゃないからな。」

 

本当に信頼してるんだ、あの人の事…

 

「ねえ、戦兎…その万丈って人の所に行っても良いよ…」

「フェイト…?」

「せっかく見つかったんだしその方が良いよ。戦兎がいなくなるのは少し寂しいけど、元々私とアルフの二人だけだったんだから平気だよ?だから…」

 

それ以上は言えなかった。戦兎とはほんの少し一緒にいただけだったけど、毎日美味しいご飯を作ってくれて、ジュエルシードの探索から帰ったらお帰りって言ってくれて、なんだか、久しぶりに家族を感じることが出来て、そんな戦兎がいなくなるって思うとなんだかとても苦しくなる。けれど、戦兎には戦兎の仲間がいるから…

 

「何言ってるんだ?まだジュエルシードの件が終わってないだろ?前にも言ったけど万丈の事より今はお前達の事が見ていられない。それに俺がいなくなったら、またお前達前の食生活に戻るだろ?育ち盛りがあんなものばかり食べて言い訳ないだろ。」

 

戦兎はそう言うと私の頭に手を起きました。

 

「お前の気持ちはうれしいけどな、子供がいらない気を使うな。」

 

戦兎のこの言葉を聞いて私は思わず泣き出した。

 

 

 

 

 

 

俺は泣きつかれて眠ったフェイトを抱えて寝室につれていった。

 

「ありがとうね、フェイトの事。」

 

アルフが話しかけてくる。

 

「別に当たり前の事をしただけだ。」

「そうかい…正直に言うとね、アタシはアンタの事信用してなかったんだよね。」

「やっぱりか…」

「気付いてたのかい!?」

「まあな。」

 

実際、フェイトの前や俺が見てる時は言葉では信用してる、期待してるって言ってたけど、フェイトがいないときや俺が見てないときは睨み付けてたからな。変な事したら承知しないって感じで。

 

「フェイトはこれまでずっと寂しい思いをしてきたんだ。そりゃアタシも側にいたけど、アタシの場合はフェイトの使い魔だから、義務だから一緒にいるって風にこの子は感じてるんだ。アタシ自信はフェイトの事が好きで一緒にいるんだけどね。」

 

アルフがぽつりぽつりと話始める。

 

「だから、アンタが来てこの部屋で一緒に暮らすようになってから本当に楽しそうだったんだ。義務でも無く一緒に居てくれる人ができてさ。フェイトはアンタの事、家族の一人って思ってるんだよ。」

 

その気持ちはわかる。記憶喪失だった頃、マスターに拾われて一緒に暮らすようになった時。帰ったらお帰りって行ってくれる場所が有ることに、迎えてくれる人がいることにどれだけ救われたか。例え、それが偽りの関係だったとしても、あの頃の俺はマスターの事を本当の家族の様に思った。

 

「だから、アンタが仲間とフェイトとで迷わずフェイトを選んでくれて本当によかった。だから、アタシはそんなアンタだから信用することができるよ。これであの女の言いなりにならずにいてくれたら1番いいんだけどね。」

 

アルフがそう言うがそれは無理だろう、フェイトの異常なまでの母親への依存を考えるとこいつが一番欲しいのは…

 

「いくら俺達がこいつと一緒にいても、こいつが一番求めてるのは母親の愛情だ。俺達にはこいつの寂しさを慰めることは出来ても、完全にその心を埋めることはできない…」

「それはわかってるさ。あんな女でも、この子にとってたった一人の母親だってことは。」

 

アルフが苦虫を噛み潰した様な顔で言う。俺はここで思いきって聞いてみることにした。

 

「なあ、フェイトの母親ってどんな奴なんだ?」

「プレシアかい?はっきりいって鬼婆だね!フェイトがどんなに誉めて欲しい時も誉めない、一緒にいて欲しい時も一緒にいてやらない、どんなに頑張ってもその頑張りを見てやらない。最低な母親さ!!昔は優しかったってフェイトは言うけどアタシには信じられないね。」

 

アルフは不愉快そうにそう言った。そんな人物が急にジュエルシードを求め出した、何の為だ?アルフから聞いた人物像の限り、あまり良いことじゃなさそうだけどな…。

俺はまだ見ぬフェイトの母親について思案するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「なのは、入るぞ。」

 

俺は、昼から様子のおかしいなのはの事が気になってあいつの部屋に来た。

 

「あっ、龍我さん…」

「昼のあいつらのこと考えてるのか?」

「…はい。」

「あの金髪の奴が寂しそうな目だって言ってたな、あれはどういう意味だ?」

 

俺は昼から気になってたことを聞いた。

 

「あまり、うまく言えないですけど…あの子の目を見てるとなんだか、昔の私を見てる様な気分になるんです。」

「昔のなのは?」

「はい…実は私の小さい頃、お父さんが事故で意識不明の大怪我をしちゃって入院したんです。」

「士郎さんが!?」

 

そんな風に見えなかったけどな…

 

「お母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、みんなお見舞いとか看病に行って…その間、私は一人ぼっちだったんです。あの子の目を見てると、そんな頃の私を思い出してしまって。きっとこの子も寂しい思いをしてるんだろうなって…」

「それでほっとけないって訳か?」

 

そう言うとなのはは黙って頷く。

 

「そうか…。悪い、そのことについては俺にはよくわかんねえからなにも言えねえ。」

「いえ、いいんです。私が勝手に悩んでるだけですから…それに、あの子のことを考えているのは龍我さんもですよね?」

 

バレてたか…

 

「なあ、ユーノはいるか?」

「はい、いますよ。」

 

ユーノの奴が机の上の寝床から顔を出した。

 

「うお!?お前いつからいたんだよ。」

「いや、初めからずっとここでなのはの話を聞いてたんですけど…」

 

マジか!?気付かなかった…

 

「まあそれならちょうどいい…なあ、お前の世界に俺みたいな仮面ライダーっているか?」

「いえ、僕も龍我さんが初めて見る仮面ライダーでしたから、少なくとも僕が知る限りいません。」

「だよな…」

「どうかしたんですか?」

 

なのはの奴が聞いてくる。

 

「いやな、あの金髪の奴が俺を見て仮面ライダーって言ったんだよ。だからユーノの世界にも仮面ライダーがいんのかなって思ったんだけどよ…」

 

けれど、そうなるとな…

 

「もしかしたらあいつら、戦兎の事を知ってるのかもしれねえ。」

「えっ、戦兎さんのことを!?」

「ああ、それにあの犬耳の奴も途中から急にパンチが強くなったんだけどよ…フルボトルを使ったのかもしれねえ。」

「フルボトル?」

 

あっ、こいつらにフルボトルのことを説明してなかった。俺はドラゴンのボトルを取り出す。

 

「こいつだよ、ビルドドライバーを使うライダーはこれを使って変身するんだよ。」

「これで…」

「俺はこのドラゴンボトルだけで変身するんだけど、戦兎の変身するビルドはボトル2本を組み合わせて変身するんだ。」

「でもこれってビルドドライバーが無いと使えないじゃ…」

 

なのはの奴がそう言う。まあこれだけの説明だとそう思うか…

 

「いや、ボトルには有機物と無機物の二つのボトルがあるんだけどよ、有機物のボトルは振るだけでもそのボトルの力が使えるんだよ。ほら、初めてあった時生身であの変なのと戦ったろ?あの時もこのボトルを振ってたんだよ。」

「そうだったんですか。」

 

なのはとユーノは理解したみたいだな、俺も説明がうまくなったな。もうバカとは言わせねえぞ戦兎!!

 

「じゃあ、あの使い魔がボトルを持ってるとしたら…」

「ああ、戦兎のことだから昔ならともかく今のアイツがボトルを奪われるとは思わねえけどよ、何かしらの手がかりを知ってるかもしれねえ。」

「けれど…」

 

ユーノの奴が言いづらそうに話かけてくる。

 

「もしかしたらその戦兎さんが彼女達に協力してる可能性もあるんじゃ…」

「なんだ、そんなことかよ…もしそうだったら安心じゃねえか。」

「どういうことですか?」

「あいつが手を貸してるってことは、あいつらが悪い奴じゃねえってことだよ。」

「どうしてそう言いきれるんですか?」

 

ユーノもなのはも俺の話ちゃんと聞いてたのか?俺のいってる戦兎の性格を考えればすぐわかるじゃねえかよ。

 

「あいつはな、誰かの力になりたい、誰かの助けになりたいって本気で考えてる様な奴なんだよ。ラブ&ピースなんて恥ずかしげもなく言ってのける様な正義のヒーローなんだよ…だから、あいつが悪党に手を貸すことは絶対にありえねぇ。」

「信頼してるんですね。戦兎さんのこと…」

「ああ、あいつはいっつも難しいことばっかり言って、何のこと言ってんのかさっぱりわかんねえけどよ。けれど、あいつの言うことなら…信じられんだよ、俺は…」

 

あいつが俺の明日を作ってくれたからな。

 

「私、なんだかその戦兎さんにすごく会ってみたいです!」

「僕も是非。」

「そうか。けど、もし会っても俺が今のこと言ったて言うなよ?あいつのこと面と向かって誉めるのは癪だからな…」

「もしかして、照れてます?」

「は?照れてねえよ!」

 

俺はこの時思っても見なかったんだよな、こいつらが案外早く、戦兎の奴と会うことになるなんてな。

 

 

 

 

 

 

フェイトが万丈の奴と会ってから一週間たった。その間、特にジュエルシードの反応は感知できなかった。

 

「どうだい?」

「…うん、見つけた。」

「どの当たりだ?」

 

俺は地図を拡げてフェイトに見せる。

 

「この当たり一体から感じる。」

「どれどれ?」

 

俺はフェイトの指したところを見てみる。

 

「ん?温泉街じゃないか。」

「おんせん?」

「なんだいそれ?」

「知らないのか?簡単に言うと地面から湧き出る風呂だよ。ちょうどいい、ジュエルシードの回収ついでに骨休めするか。俺はともかく二人は疲れてるだろ?」

 

よし、そうと決まればすぐに旅館に連絡だ。今から部屋とれるか?

 

「…あっ、もしもし。明日一晩泊まりたいんですが?…はい、はい…大人二人に子供一人です。はい…桐生と言います。はい…お願いします。…ふう、部屋とれたぞ。」

「なんで明日なの?今日にでも…」

「いやよく見ろよ、ここからだとバスでも結構かかるぞ明日朝一番で出発した方がいいんだよ。」

「転移魔法を使えば…」

「それこそ却下。温泉街は人が大勢いるんだぞ。そんな中に転移なんかしたら大騒ぎだろ?」

「けど…」

 

なかなか引き下がらないな…仕方ない。

 

「あとで卵焼き作ってやるから。」

「…わかった。」

 

これでよし。

 

「フェイト、そんなにあの卵焼きがいいのかい?」

「戦兎の卵焼きはおいしいよ?」

「いや、あんなのただ甘いだけじゃないか。」

 

よし、アルフは明日まで飯抜きにしよう。

アルフへ死刑執行する事を決めて俺達は明日の準備を始めた。




次回予告

「今までお前どこに行ってたんだよ!?」

ついに再会する戦兎と万丈

「それより、ちょっと実験に付き合えよ。」
「マジかよ…本気なんだな?」

ビルドVSクローズ!?

「そいつらの事はお前に任せるぞ、万丈。」

第5話 再会するベストマッチな奴等

「だから…私に戦い方を教えて下さい。」



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第5話 再会するベストマッチな奴等

戦「天っ才物理学者の桐生戦兎は、ジュエルシードを探索するにあたってビルドドライバーに非殺傷設定を組み込む事に成功する。更に、万丈が現在他の魔導師の元でジュエルシードを探していることを知る。」
ユ「一方、龍我さんはフェイトが仮面ライダーの事について知っていた事から戦兎さんの事について知っているのではと疑う。」
戦「そして、ジュエルシードの気配を追って物語は温泉街、海鳴温泉へと舞台を移そうとしていた。…ところでなんか巷ではお前のこと淫獣だとか言われてるんだが何したんだ?」
ユ「い、いやあれは不可抗力というか…そもそもあの時は僕、ちゃんと目を閉じるようにしましたから…」
戦「だから、何やらかしたんだよ?」
ユ「それは今回の話を見ればわかります!!さぁ、いったいどうなる第5話!?」
戦「あっ!?それ俺のセリフ!!」


「海鳴温泉?」

 

仕事の休憩中に士郎さんが俺に話しかけて来た。

 

「ああ、うちは連休とかになると店の事はみんなに任せて海鳴温泉って言う温泉街でちょっとした家族旅行をするんだけど、次の連休で忍ちゃんやすずかちゃん達とあとアリサちゃんも一緒に行く事になっていてね…万丈君も良かったらどうかと思ってね。」

「俺もいいんすか?」

「もちろんさ。君も、もう半分家族の様な物だしね。」

 

家族っか…なんかそう言ってもらえるのっていいな…

 

「わかった、俺も一緒に行きます。」

 

こうして俺達は海鳴温泉に連休に行く事になった。

 

 

 

 

 

 

温泉に行く当日。

俺はフェイト、アルフと一緒にバスに乗り込み旅館に向かった。

 

「へえー、大きいね。」

「宿泊施設だからな…お前達はこういう所に来たことないのか?」

「うん。ずっと母さんの所だったから。」

 

だったら連れて来て正解だったな。

俺達は受付をすませて部屋へと案内される。

 

「いい部屋じゃないか。」

「フェイト、アルフ。俺は先に温泉に入って来るけどどうする?」

「いいねえ!フェイト、私達も行こ?」

「二人で行って来て。私はジュエルシードの正確な位置を調べるから。」

 

こいつはまったく…

 

「おいアルフ、お前反対側を持て。」

「あいよ。」

「戦兎?アルフ?」

 

俺とアルフはフェイトを両脇から抱える。

 

「な、何?」

「お前も今日はゆっくり休んでろ。」

「そうだよ。ジュエルシードの探索は夜でもいいじゃないか。」

「よし、それじゃ温泉にレッツゴー!」

「オー!」

 

こうして俺とアルフでフェイトを温泉へと連行した。

 

 

 

 

「ふぅ。いい湯だな。」

 

俺は温泉に浸かりながら体を伸ばす。

思い返せば今まで温泉に来た事はなかったな。桐生戦兎になってから今まではそれどころじゃなかったし、葛城巧だった頃も父さんは研究で忙しくて旅行とかに行かなかったし、あいつが消えた事で少しずつ思い出してきた悪魔の科学者と言われた頃もあいつ、社員旅行とかパスして研究ばっかしてたし。

 

「色々あったな、本当に色々…」

 

でも、まだ問題が山積みなんだよな…

俺は三日前にフェイトに母親の事を聞いた事を思い出した。

 

 

 

 

「母さんの事?」

「ああ、アルフは良く思ってない様で…昔は優しかったって聞いたんだけど…」

「もう、アルフは…」

 

フェイトは困った顔しながらそう言った。

 

「今の母さんは研究がうまくいかなくて切羽詰まってるだけだよ。昔は本当に優しかったんだよ。」

 

フェイトは懐かしそうに微笑んでそう言う。

 

「たとえば、花畑にお出かけした時も母さんは私に花冠を作ってくれてそれで……ッ!」

 

なんだ?急にフェイトが信じられないと言う様な顔で言葉を詰まらせる。

 

「どうした?」

「う、ううん…なんでもない。とにかく、優しい母さんだったんだよ…」

 

それっきりフェイトは黙ってしまった。

その夜、俺は昼のフェイトの様子が気になり、フェイトとアルフが寝てる隙に以前、美空の腕輪のベルナージュの思念を読み取った応用でフェイトの記憶を覗く事にした。

こっそりフェイトの頭に装置をつけると、パソコンのディスプレイに映像が映し出された。

花畑に黒髪の女性と金髪の少女がいた。フェイトの母親と小さい頃のフェイトだろう。

 

「はい、出来たわよ。」

 

母親はそう言って花冠をフェイトに被せた。

 

「こうして見ると優しそうな女性だな…」

 

俺はそんな母娘の微笑ましい様子を見ていた。

しかし、次の母親の言葉に耳を疑った。

 

「良く似合ってるわよ、“アリシア”。」

 

……。

 

 

 

 

「アリシア、か…」

 

あの女の子はどう見てもフェイトだった…アリシアから改名したのか?でも、フェイトはそんな事一言も言わなかったし、何の為に名前を…?

俺は温泉に浸かりながら思案していると最終的にのぼせてしまった…

 

 

 

 

 

 

俺は、士郎さん達と海鳴温泉に来た。そういやここに来る途中で別の旅館の奴が温泉でのぼせて運ばれてくのが見えたな…顔はタオルを掛けてて見えなかったけどバカだよな。

部屋に来たら俺達はすぐに温泉に入る事にした。ユーノの奴がなのはに女湯に連れていかれる時こっちに向かってキューキュー鳴いてたけどなんだったんだろうな?まあ、いいか…

 

 

 

 

「ふぅー、いい湯じゃねえか。」

 

俺はゆっくり湯に浸かりながら息を吐く。

 

「どうだい、万丈君?」

 

士郎さんがそう言いながら隣に来た。

 

「いや、サイコーすねこの温泉。」

「ははっ、そう言ってくれると誘ったかいがあるよ。」

 

そう言って笑ってるんだけど急に真剣な顔になった。

 

「ところで…万丈君、少し聞くんだけど…最近なのはと一緒に何をしてるんだい?」

 

士郎さんがそう言って来た。

 

「何って…」

「危険なことなんだろ?」

 

ダメだ、この人は誤魔化せない…

俺は観念した。

 

「すみません、言えません…」

「そうか…」

「気付いてたんすね。」

「まあね、こう見えて昔は裏家業だったからね。」

 

裏家業って…

 

「ヤクザとかっすか?」

「そんなひどいのじゃないよ。僕の実家の剣術を利用して要人の護衛をね。だから、こそこそ何かを企んだり行動したりしてるのはすぐに分かるんだ…そういう事に敏感じゃないと護衛は勤まらないからね。僕が大怪我で入院したのは知ってるかな?」

「なのはの奴に聞きました。」

「あの時も本当は護衛の仕事をしていた時にね…護衛対象は守り抜いたけどちょっとへまをしてね。あの時はなのはに寂しい思いをさせた…その仕事を最後に裏の世界からは足を洗うつもりだったからこれからは家族の為に生きようと思ったんだ。」

 

俺は黙って士郎さんの話を聞く。

 

「だから、家族が危険な真似をしようとしてるのを黙って見過ごす事はできない。」

「あいつのしてる事をやめさせろって言いたいんすか?」

「万丈君からもお願いできないか?」

 

そんなこと…

 

「無理だ…あいつがやると決めた以上、誰が何と言ってもあいつはやめねえよ…だけど、俺が絶対に危ない目には会わせねえ。信じてくれ…」

 

俺は士郎さんの目を真っ直ぐ見た。

 

「…わかった。君も相当修羅場を潜ってるみたいだからね、信じるよ…なのはのこと、頼むよ。」

「任せとけ!」

「ああそれと、僕と話す時の口調はそのままでいいよ。無理して丁寧な言葉遣いをしようとして時々口調がおかしくなってるよ?」

 

士郎さんはそう言うとあがって行った。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、まだ少し頭がクラクラする…」

「まったく、風呂入りながら考え事してのぼせるなんてバカじゃないのか?」

「戦兎、大丈夫?」

 

夜になって俺達はジュエルシードの捜索に出てるんだけど、酷い言われようだな…

 

「しょうがないだろ?天っ才には色々考えることがあるんだよ。」

「まったく…。」

「ところで万丈達がここに来てるって本当か?」

「ああ、さっきアンタがダウンしてる時に見かけたよ。この間、忠告しといたから今回は話しかけなかったけどね。」

「そうか…」

 

まあ、アイツは言っても聞かないだろうけどな…

 

「見つけた…まだ発動してない。」

「さすがアタシのご主人様。」

「さっさと回収しよう。」

 

ジュエルシードの元へと向かい池の架かる橋に来た。どうやらジュエルシードは池の中のようだな。フェイトがバルディッシュを池の方に向けるとジュエルシードが浮かびあがってきてバルディッシュに吸い込まれる。

 

「待って!!」

 

どうやら来たみたいだな…

俺達は声の方を向くと白いバリアジャケットの女の子と一匹のフェレットがいた。

 

「あの…」

「おい、戦兎!!今までお前どこに行ってたんだよ!?」

 

あのバカがあとからやって来た。つか今女の子がしゃべり掛けてたでしょうが!

 

「何処って、状況見ればわかるだろ?今までこの子達と一緒だったんだよ。」

「やれやれ、忠告はした筈だよ!」

 

俺の後にアルフが言う。

 

「え?忠告…?」

 

女の子が何の事かわからないといった顔をしてる。まさか…

 

「あ、悪い。言うの忘れてた。」

 

その場の全員がズッコケた。やっぱりかこのバカ!

 

「アンタねぇ…まあいい、とにかく今度は容赦しないよ。」

 

そう言ってアルフが狼の姿になる。

 

「なのは、あの使い魔は僕が…」

「うん、お願い。」

 

そう言ってフェレットが地面に降りると足元に魔法陣が現れてアルフと共に消える。

 

「いい判断だね。賢い使い魔だ。」

「ユーノ君は使い魔じゃないよ!私のお友達。」

「おい戦兎、どういう事か説明しろよ!?」

「今はまだ説明出来るような状態じゃないんだよ。」

 

まだ俺もフェイトの母親の目的を知らないからな。

 

「それより、ちょっと実験に付き合えよ。」

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Best match!』

 

ようやく非殺傷設定を試せる!

 

「マジかよ…本気なんだな?」

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

 

俺達は同時にボルテックレバーを回す。

 

『『Are you ready?』』

 

「「変身」」

 

『鋼のムーンサルト、ラビットタンク!イェーイ!!』

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

俺達が変身するのと二人の少女が飛びたつのは同時だった。

 

 

 

 

 

 

やっぱりだ。この子、とても寂しそうな目をしてる…

 

「戦兎はあなたが悪い人じゃないと言っていた…」

 

戦兎さんも…

 

「龍我さんも、戦兎さんと一緒にいるあなた達は悪い人じゃないって言ってたよ。」

「けれど、私にはジュエルシードが必要だから…あなたのジュエルシード、いただいて行きます。」

 

女の子がまた襲いかかってくる。

 

「ジュエルシードはユーノ君の探し物だから…」

 

やっぱり、戦うしかないのかな?

 

 

 

 

 

 

 

「ロストロギアをどうするつもりなんだ!?」

「ごちゃごちゃうるさい!アンタ達がたとえ悪い奴等じゃなくても、ジュエルシードを集めてるならアタシ達の敵だよ!!」

 

ジュエルシードをちゃんと集めて来ないとプレシアがフェイトに何するかわからない、そうさせないためにも、目の前のフェレットにアタシは牙を向ける。

 

 

 

 

 

 

「おい、戦兎!あのジュエルシードがどんだけやべぇ奴なのかわかってんだよな?」

「当たり前だろ!」

 

俺達は戦いながら話を続ける。

 

「なら、お前らはなんであんな物集めてんだよ?」

「逆に聞くけどお前達はなんでなんだよ?」

 

お互いに拳を受け止めながら聞く。

 

「あれはユーノ、あのフェレットが発掘したもんだ。アイツはその責任でジュエルシードが誰かの明日を壊さねえように回収しようと一人でこの世界に来たんだよ。」

 

なるほどな、善意からの行動か…にしても一人でなんて根性あるじゃねえか。

俺はそう思いながら万丈を蹴っ飛ばしてタンクボトルを交換する。

 

『Diamond!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

俺はトライアルフォーム、ラビットダイヤモンドになる。

 

「そんで、お前達はなんでなんだよ?」

「まだ知らない。」

 

俺は一言そう言って、万丈に飛び蹴りを放つ。

けどそれはかわされて逆に重い拳を一発をもらった。

 

「知らねえじゃねえよ!知らねえのに協力してんのか!?」

「色々事情があるんだよ。」

 

俺は立ち上がりながらそう言う。ダイヤモンドの防御力であまり痛くはない。

 

「まあ、安心しろ。あいつらは悪い奴じゃねえから…」

「そりゃお前がそっちにいるのならそうだろうけどよ…」

 

万丈はそう言って少し俯いた。

 

「隙あり!」

 

俺はその隙にボトルを交換する。

 

『Gorilla!』『Diamond!』

『Best match!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『輝きのデストロイヤー、ゴリラモンド!イェーイ!!』

 

俺はベストマッチ、ゴリラモンドフォームになる。

 

「うわ!?ずりぃ!」

「余所見したお前が悪いんだよ。」

 

レバーを更に回す。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

俺は目の前にダイヤモンドを形成するとそいつを巨大な右腕、サドンデストロイヤーで粉々に砕く。砕かれたダイヤモンドは散弾のように飛んでいく。

 

「必殺技は洒落になんねえだろおいー!?」

 

そのまま、万丈に当たり、万丈は吹っ飛ばされてそのまま変身解除された。

 

「つうー。マジで手加減抜きかよ!」

「悪かったって…けど、痛みは有っても傷一つないだろ?」

 

俺はそう言って万丈に話し掛けながら変身を解く。

 

「本当だ…どうなってんだよ!?」

 

万丈は自分の体を確認しながら俺に問い詰める。

 

「魔法の非殺傷設定って奴をライダーシステムに組み込んだんだよ。今回はそれが機能するか試したんだよ。」

「それならそう言えよ!」

「だから悪かったって言ってるだろ?今度お前のドライバーにも組み込んでやるから。」

「たくっ…絶対だかんな。」

 

万丈はそう言ってそっぽを向いた。

おっ!どうやらあっちも決着みたいだな。

 

 

 

 

 

 

私は相手の女の子の攻撃をかわして距離を取ります。

 

「レイジングハート!」

『Mode change.Cannon Mode.』

 

私はレイジングハートにキャノンモードになってもらって砲撃を射つ準備をしました。

 

『Divine Buster 』

「ディバインバスター!!」

 

私はしっかり狙いを定めて引き金を引きました。けれど、

 

「バルディッシュ…」

『Scythe Form』

 

あの子は私の攻撃をギリギリで避けて、そのまま距離を詰めて魔力の刃を私の首に当てました。

 

『Put Out.』

 

するとレイジングハートがジュエルシードを一つを出しました。

 

「レイジングハート?」

There is no point in continuing further.(これ以上は無意味です)You can't beat her.(あなたでは彼女に勝てません)

It is a wise decision.(賢明な判断です)

「主人思いのいい子なんだよ…」

 

女の子はそう言ってジュエルシードを取って行きました。

 

「これ以上、ジュエルシードと私達に関わらないで…次は手加減できないから。戦兎、アルフ…行くよ。」

「あっ…」

 

このままだと行っちゃう。その前にせめて…

 

「ねえ!お名前教えて?」

 

女の子は一瞬だけ止まるとこっちを振り返えって…

 

「…フェイト・テスタロッサ…」

 

一言そう言いました。

 

「あの、私は…あっ…」

 

フェイトちゃんは、そのまますぐに行っちゃった。

 

「名前…言えなかったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったな…それじゃあ俺も行くな。」

 

そう言って戦兎は金髪の奴と一緒にいこうとする。

 

「まだあいつらと一緒に行くのか?」

「ああ、まだ気になることもあるからな…」

「あいつらが何に利用されてんのかか?」

 

戦兎は何も言わない。

 

「あいつらと一緒にいて理由がわからねえって事はジュエルシードがほしいのはあいつら自身じゃねえってことだろ?」

 

いつもはバカで察しの悪い俺でもそれくらいは解る。こいつが、もしあいつらが悪い事に利用されてんなら助けだそうと思ってんのもな。

 

「お前がそうしようとしてんならまあ間違いないだろ…お前の戦う理由は何時だって…ラブ&ピース…だろ?」

「…最悪だ…」

 

戦兎はそう言って振り返る。

 

「俺も同じ事考えてた。…そいつらの事はお前に任せるぞ、万丈。」

 

そう言うと、そのまま歩いて…。

 

「おっと、そうそう…」

 

行かなかった。

 

「なんだよ?」

「ズボンのチャック全開だぞ?」

 

そう言われて確認したら本当に全開だった。

 

「うわマジか!?いつから?」

「変身する前から…」

「はじめからじゃねえか!なんで言ってくれねえんだよ!?」

「どのタイミングで言えってんだよ。自分で気付けバカ。」

「バカってなんだよ!せめて筋肉付けろ!!」

 

俺がそう言うと戦兎の奴は走って逃げやがった。

 

「たくっ…お前に言われなくてもこいつらの事はそのつもりだよ。」

 

俺は、もう姿が見えない戦兎に一言そう言った。

 

 

 

 

 

 

その後、俺達は一応追跡されても大丈夫なようにバラバラに遠回りして旅館へと戻った。

 

「いやー、大収穫だったね!ここにあったジュエルシードだけじゃなくて、あの白い魔導師の持ってたジュエルシードも回収出来るなんてね!」

 

アルフは上機嫌だった。

 

「どうだフェイト?実際に戦ってみて。」

「…魔力はかなり多いね。あの砲撃も、当たってたら落とされてた。けど…」

「けどそれだけだね、フェイトの敵じゃないよ。そもそもバインドも掛けずに一直線の砲撃を撃つなんて素人の証拠だよ。」

 

フェイトとアルフの評価は大体俺と同じか。けど…

 

「油断は禁物だぞ?多分あの子は俺か万丈かと言ったら万丈タイプだろうからな。」

「どういう意味?」

 

俺の言葉を聞いてフェイトが質問してくる。

 

「ある奴が俺と万丈の事をこう評したんだよ。あんまり思い出したくない奴だけど…万丈は戦うために生まれてきた才能だらけの天然物、俺は科学の力で強くなる養殖物ってな。多分、あの子は総合的に見たらフェイトより才能あると思うぞ?」

「そうかい?とてもそんな風に見えなかったけどね。」

 

アルフが俺の言葉に半信半疑だな。

 

「現にフェイト、お前の最初の内の攻撃をあの子は荒削りだけどちゃんと対処してたろ。確かに手加減してたのもあるだろうけど、それでもあのデバイスの形状から見て接近戦なんてほとんどやったことが無いような子がだぞ?」

 

そう言われてフェイトははっとしていた。俺が見た限り手加減してたとはいえあの時のフェイトの攻撃はそれでもただの素人が対処出来る物じゃなかった。けどフェイトは攻めきれなかった。

 

「あの子に一本とれたのはあの砲撃の隙を突いたときだけだろ?それにあの判断ミスも単純に対人戦慣れしてなかっただけだろうな。次に戦うときは確実に今より強くなってるぞ?」

「…たとえそうでも、私達は負けないよ。そうだよね?バルディッシュ。」

『Yes sir.』

 

俺の言葉にフェイトは俯きながらそう言って、バルディッシュがそれに答える。

 

「そうか…。」

「ねえ?戦兎から見たらフェイトはどっちのタイプなんだい?」

 

アルフが聞いてくる。

 

「フェイトは俺と同じ養殖物だろうな。フェイトの場合は科学じゃなくて努力して習得した技術で強くなるタイプだ。言っとくけどこれはどっちが優れてるとかないからな?現に俺と万丈は強さにそんなに差はないし…」

「だったら大丈夫だよ!たとえあの魔導師の才能がフェイト以上だったとしても、フェイトが今までしてきた努力の数を思えばそんなすぐに追い付かれるもんかい。」

「うん、そうだね。」

 

アルフが自信満々にそう言った事でフェイトは微笑みながらそう言う。

けどな、案外万丈タイプは敵にまわると厄介なんだよな…万丈は初め俺よりハザードレベルが低かったのに短期間でどんどんレベルを上げて、一時期俺を超えたからな。エボルトの遺伝子の影響による物だとしてもこれも万丈が生まれ持ってた才能の一つだ…

 

「とりあえず今日はもう遅いから寝ろ。長居して、万丈達と鉢会わせても気まずいから朝一のバスで帰るからな。」

 

これ以上水を指しても仕方ないから、俺それだけ言ってから布団に入って寝た。

 

 

 

 

 

 

戦兎達が行った後、俺達はゆっくり歩いて旅館に戻ってた。

 

「どうした?元気無いな。」

 

俺はさっきから暗いなのはに話し掛けた。

 

「うん、ちょっとね…」

「あのフェイトって奴の事か?」

 

なのはの肩がピクッと動いた。図星かよ…

 

「そんなに負けたのが悔しいのか?」

「ううん、そうじゃないんだ。ただ…フェイトちゃんの名前は聞く事が出来たけど、私の名前は言えなかったから…」

 

それそんなに深く考える事か?よくわかんねえな。

 

「彼女達に取って僕達はジュエルシードを集めるのに邪魔な存在。それ以外の何者でもないのかもね…」

「それは、そうなんだろうけど…」

 

なんか歯切れが悪いな…

 

「大体お前はあいつとどうしたいんだよ?」

「それは…」

 

なんだ、はっきりしてねえのかよ。

 

「それがはっきりしてねえと何を言ってもあいつには届かねえんじゃねえのか?」

「うん…」

 

こいつはジュエルシードを集める理由は出来たけど、あいつとどうしたいのかはわかってねえのか…

 

「なんだったらわからねえなりにぶつかってみたらどうだ?」

「わからないなりに…」

「確かに目的や理由が無いやつには何も出来ないっていったけどよ、じっとしてても何もわかんねえだろ?だからとりあえず動いてみろ。そうしたらお前自身がどうしたいかわかるかもしれねえだろ?そうすりゃお前の言葉も届くかもしれねえ。」

 

俺はそう言ってなのはの頭を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

そうだよね。とりあえず今出来る事をしないと。

 

You can't beat her.(あなたでは彼女に勝てません)

 

フェイトちゃんと戦ってる時にレイジングハートが言った言葉が頭を過りました。

 

「ねえ、レイジングハート。私じゃフェイトちゃんには勝てないって思うの?」

At least not possible now.(少なくとも今は…)

「そっか。」

 

今はって事はこれからどうなるかはわからないんだね。だったら…

 

「ユーノ君、レイジングハート、龍我さん…」

 

みんなが立ち止まってくれる。

 

「このままじゃフェイトちゃんとどうしたいのかわかっても、その思いを届けられ無いと思うから、だから…私に戦い方を教えて下さい。」

 

私は頭を下げてお願いしました。

 

「もちろんいいよ!ねっ、レイジングハート?」

Of course!(当然です。)

「言っとくけど俺は厳しいからな。覚悟しとけよ。」

 

みんな、真剣に答えてくれた。

私の中の思いを伝えられるようになるために、今よりもずっと強くなる。

私、高町なのはの一世一代の大決心です。

そうして私達は旅館に戻りました。

 




次回予告

「くそ、どうすれば…」

ジュエルシード、暴走!?

「おい戦兎、ハザードトリガーを寄越せ!!」

万丈の秘策

「止まりやがれ!!」

第6話 ジュエルの暴走

『Hazard ON!』


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第6話 ジュエルの暴走

戦「天っ才魔導師、フェイト・テスタロッサは…ってなんだこれ?おいアルフ!お前だろ勝手に台本すり替えたのは!?おい…」
ア「天っ才魔導師、フェイト・テスタロッサはロストロギア、ジュエルシードの探索をしてその一つを発見。そこに現れたのはピッカピカの素人魔導師高町なのはと仮面ライダークローズの万丈龍我!」
戦「勝手に進めるんじゃないよ!?」
ア「前々回にフェイトを怖がらせた罰だよ。アタシ達はそいつらを蹴散らして見事ジュエルシードを回収する。」
な「けれど私も黙っていません!強くなるために万丈さんとユーノ君、レイジングハートに弟子入りするのでした。」
戦「なのはも!?お前らまだこの時期はそこまで親しくないだろ!」
ア「ここは舞台裏だから細かいことはいいんだよ。」
戦「舞台裏とか言うんじゃないよ!」
な「そんなこんなで、ビルド NEW WORLD~Masked Rider Lyricar Build~ 第6話、始まります!!」
戦「言われた…俺主役なのに~」


「準備はいいな?」

「はい!レイジングハート、いくよ?」

『Ok.』

 

私は公園でユーノ君に人払いの結界を張ってもらって龍我さんと向き合ってます。龍我さんは腰にドライバーを着けてクローズドラゴンにボトルを振って刺します。

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

『Are you ready?』

 

「変身」

 

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

「レイジングハート、セットアップ!」

『Stand by ready,Set Up.』

 

龍我さんは仮面ライダークローズに変身、私はバリアジャケットを展開してそれぞれ構えます。

 

「それじゃあいくよ?…始め!!」

 

ユーノ君の合図で私と龍我さんは駆け出しました。

何で私と龍我さんが戦うことになっているのかと言うと、この間の海鳴温泉の一件で私自身、もっと強くならないといけないと思ったからです。

 

 

 

「僕達、魔導師の胸の奥にはリンカーコアっていう魔力を生成する器官がある。リンカーコアで呼吸をして空気中の魔力素を取り込む。これが魔力運用。」

 

朝はユーノ君に魔法の基本を教わって…

 

 

 

Speed and power are essential in combat,(戦闘には速度やパワーも必要ですが)but there are more important things.(それよりもさらに必要なものがあります)Do you know what it is?(それが何だかわかりますか?)

「負けないって気持ち、とか?」

Good answer, but what else.(好ましい回答ですが、それ以外に)

「えっと…」

Wisdom and tactics.(知性と戦術です)|How to fly and shoot, and the theory and practice of aerial combat,《飛行と射撃、空戦機動の基本と応用》I will teach you these things.(これから私が教えます)

 

学校ではレイジングハートとイメージトレーニング、そして…

 

 

 

「オラァッ!!」

「シュート!」

 

放課後はこうして龍我さんと実戦形式の模擬戦です。私は殴りかかって来る龍我さんを空中に逃げる事で回避してそのまま魔力弾を放ちます。

 

「そうだよ、なのは。なのはの戦闘スタイルは遠距離(アウトレンジ)から中距離(ミドルレンジ)の砲撃・射撃型。近距離(クロスレンジ)主体の龍我さんを相手にするなら間合いの外から攻撃するんだ。」

「へっ!確かに距離を取られたら戦いづらいけどな…俺はこういう事も出来んだよ!!」

 

『ビートクローザー!』

 

龍我さんはビートクローザーを取り出してフルボトルを振り始めたので私はガード出来るように防御魔法の準備をします。

 

『スペシャルチューン!』

『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』

『ミリオンスラッシュ!』

 

フルボトルをビートクローザーに刺してグリップの端を二回引っ張ってるのを見て私は出来るだけ捉えられないように動き回りますが、龍我さんはそんな私に狙いを定めて思いっきり振り抜きました。

 

『Protection』

 

炎が飛んで来ると思ってすぐに準備してた防御魔法を張りました。けれど…

 

「えっ?ふぇぇぇっ!?」

 

私の予想と違って炎ではなくてビートクローザーから鎖が伸びてきて防御魔法ごと私の体に巻き付きました。

 

「オラッ!」

 

そうしてそのまま龍我さんはビートクローザーを振り下ろした為私は地面に叩きつけられました。

 

「そこまで!」

 

ユーノ君の声を聞いて龍我さんは変身を解除します。

 

「ほら、立てるか?」

「あっ、はい…何で前に見たのとは違う技が出たんですか?」

 

私は龍我さんが差し出してきた手を掴んで立ち上がりながら聞きました。

 

「あー、何でだろうな?俺もなんとなくやってるからな…なんか俺がしたいって思った方の技が出るんだよな。詳しく仕組みとかは知らねえ…」

 

す、すごいアバウトなの…

 

「でもよ、大体実戦なんてこんな物だぞ?相手が見たことない技を使うのは…それに一々対策考えてたらきりがねえよ。余計なこと考えないで、自分の戦いやすい戦い方をしたらどうだ?さっきだって今までの大砲みたいのじゃなくてあの豆鉄砲みたいな技だけ使って勝とうとしたろ?」

 

う、鋭い…

 

「けれどせっかくレイジングハートが空戦起動の基本と応用を教えてくれたし…」

Certainly I taught it.(確かに教えました)But it ’s up to you how you use it.(ですがそれをどう活かすかはあなた次第です)

「レイジングハート…」

「そうだよ。確かに習ったことを実践しようとするのは大事だけど、それを全部やる必要は無いんだよ?なのはにはなのはのやり方がある筈だからね」

「ユーノ君…」

 

そっか…何でもかんでもやればいいって訳じゃないんだ。

 

「けれど、これだけはよく聞いて。」

 

ユーノ君がすごく真剣な顔で言います。

 

「なのはは平均よりも多く魔力があるから砲撃魔法を何度も撃てる。けれど、砲撃は体への負担があるからまだ足腰の出来てない今の時期に多用するのは不味い。」

「けれどあのフェイトに出し惜しみして勝てるのか?」

「確かにあの子の方が魔法を使ってきた時間の分技術は上だ。全く使わない訳にはいかない。だから砲撃は1日に1発、多くても2発までにしてほしい…わかった?」

「…わかった約束するよ。」

 

私はそう言ってユーノ君と約束しました。

 

 

 

 

 

 

俺はフェイトとアルフと共にジュエルシードの探索をしていた。しかし、中々見つからず夜になってしまい。人気の無い建物の屋上でみんなと合流した。

 

「どうだい、フェイト?」

「うん、大体の位置は割り出したけど正確な場所がわからない。」

「どうするんだ?」

 

俺が聞くとフェイトはバルディッシュをアックスフォームにして構えた。

 

「少し強引だけど、魔力流を流し込んで強制発動させる。」

 

そう言ってフェイトの足元に魔法陣が現れ、周りには稲妻が走る…って

 

「ちょっと待った!こんな街中で発動させたら被害が大きくなるだろ!?」

「けれど…」

「けれどじゃない…まったく、ここは俺に任せておけ。」

 

俺はそう言ってドライバーを着けてボトルを振り、装填する。

 

『Ninja!』『Comic!』

『Best match!』

 

探し出せる保証は無いが試して見る価値はある。

 

『Are you ready?』

 

「変身」

 

『忍びのエンターテイナー、ニンニンコミック!イェーイ!』

 

俺はベストマッチ、ニンニンコミックフォームになって街を見下ろす。

今回はこのフォームでの両目のセンサー、ライトアイコミックとレフトアイニンニンの性能に賭けてみる。

ライトアイコミックには物体の3Dスキャンや構造分析をする機能が、レフトアイニンニンには内部構造を透過スキャンする機能がありさらに夜間での索敵性能が高い。

この機能で街中をスキャンしてその情報を分析してみる。が、中々見つからない。やっぱり戦闘用の機能だからダメなのか?街中をスキャンしてかなり膨大な情報が流れて来たから頭がもう疲れてきた。もう無理かと思って諦めかけたその瞬間だった。

 

「ん?…あっ、見つけた!?」

 

遂に見つけた。

 

「本当かい!?」

「ああ、けど交差点のど真ん中で車や人が邪魔だ。」

「そんなところのを強制発動してたら今頃…」

 

フェイトは顔を青ざめてる。自分のしようとしたことで取り返しがつかない事態になってたのかもしれないという事に気付いたか。

 

「次からは軽率な行動はすんなよ?」

「うん…」

「とりあえず、人が邪魔ならアタシが人払いの結界を張るよ。」

 

そう言ったアルフの足元に魔法陣が現れると街全体が結界で覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは!?」

 

僕達は特訓が終わった後に街にジュエルシードの探索に来た。そのとき突然街が結界に覆われた。

 

「ユーノ君!」

「おい、ユーノ!!」

 

なのはと龍我さんが話しかけてくる。

 

「ねえ、これって!?」

「多分、彼女達がジュエルシードを見つけたんだ…」

「俺達も急いで行くぞ!」

「けれど、この区域にあるのはわかるんだけど、正確な場所がわからな…」

「こっちだ!!」

 

僕が言い終わる前に龍我さんが走り出した。

 

「私達も行こう!」

「う、うん。」

 

僕達も龍我さんについて行くけど、どうして龍我さんの迷いのない足取り…ジュエルシードの場所をわかってるみたいだけど、どうやって調べたんだろう?

 

 

 

 

 

 

俺達はジュエルシードのある交差点にたどり着いた。

 

「よし!じゃあさっさと回収しようか、フェイト。」

「うん。」

 

そう言ってフェイトがバルディッシュをジュエルシードに向けようとしたところに…

 

「おっしゃあ、やっぱここか!!」

 

そんなバカみたいな大声をあげながら万丈達が向かいの道路からやって来た。

 

「なんとか間に合ったみてぇだな。」

「おいおい、フェイトでも正確な位置を割り出せなかったのにお前達どうやってここがわかったんだ?」

「それは…」

 

俺がそう聞くと向こうの一人と一匹が万丈を見る。

 

「あ?決まってんだろ!俺の第・六・感。」

「えー!?勘でここがわかったんですか!?」

「冗談ですよね!?」

 

まあその反応はわかるが事実だろうな…こいつの勘は本当に当たるんだよ、実際ビルドのベストマッチフォームの幾つかはこいつが勘で見つけた物だし…まあラビットタンクスパークリングを作るときには全く役にたってなかったけどな。

 

「ジュエルシードと私達に関わらないでって言ったよね?」

 

そう言ってフェイトがいつの間にかバリアジャケットを展開して前に出る。

 

「ごめんね。だけど、ほっておけないの!ジュエルシードの事も、フェイトちゃん達の事も!」

 

そう言って向こうの子もバリアジャケットを展開する。

 

「この間は言えなかったけど…私は高町なのは、私立聖祥大附属小学校3年生!」

「…バルディッシュ…」

『Scythe Form』

「レイジングハート!」

『Mode change.Cannon Mode.』

 

二人の魔導師は飛び出していく。

 

「なのは!」

「おっと!あんたの相手はアタシだよ。」

 

そう言ってアルフは狼フォームでフェレットに飛びかかる。

 

「俺達はどうすんだよ?前みたいに戦うか?」

「その必要あるか?」

「だよな…」

 

俺と万丈は二人の勝負を見守る。

 

 

 

 

 

 

私はフェイトちゃんと話をするため何度も話しかけるけど、フェイトちゃんは構わず切りかかって来ます。

 

「目的があって、譲れなくてぶつかっちゃうのはしょうがないかもしれない。だけど、なにもわからないでただ戦うだけなんて私はいやだ!!」

 

そう言って私はレイジングハートでフェイトちゃんの攻撃を受け止めます。

 

「私はジュエルシードをユーノ君が探してるから集めだしたけれど、そのジュエルシードで町の誰かの迷惑になったり傷つけたりするのは嫌だから、だから!!」

 

そのまま私はフェイトちゃんを押し返しました。

 

「私はジュエルシードに誰かを傷つけさせない為に集めてる!!ねぇ、フェイトちゃんはどうしてジュエルシードを集めてるの?」

 

 

 

 

 

 

前より動きが良くなってる。今度は手加減してないのに攻めきれない…戦兎の言った通り、私との差がなくなってる。それに、すごく真っ直ぐな子だ。

 

「私は…」

 

私はついその子の言葉に押されて口を開こうとする。

 

「フェイト、話さなくていい!!優しくしてくれる人に囲まれてぬくぬく育ったような甘ちゃんになにも言う必要はないよ。」

「なんだと!?この犬やろう、なのはがどんな思いでな…」

「落ち着けよほらバナナやるから。」

「アタシ達の目的はジュエルシードを集めることだろ!?」

 

アルフ…そうだね。

私はバルディッシュを構え直すと…

 

『Sonic Move』

 

高速で移動して彼女の背後にまわり、斬りかかる。

 

『Flash Move』

 

けれど、私の攻撃は空を斬る。そして気付くと彼女が私の背後に…

 

『Divine Shooter』

「シュート!」

 

彼女の魔力弾が私に襲いかかり、私は反応が遅れる、けど…

 

『Defensor』

 

私が反応出来ない分、バルディッシュが対処してくれた。これでよし、私と彼女だったら私の方がジュエルシードに近い!!

 

『Grave Form』

 

私はバルディッシュをグレイブフォームにするとジュエルシードを回収しに行く。あの子も急いで私を追いかける。そして私のデバイスと彼女のデバイスがジュエルシードに重なった。

 

 

 

 

 

 

ジュエルシードに二人のデバイスが重なったと思った次の瞬間、強大なエネルギーがジュエルシードから溢れだして二人のデバイスをボロボロにして吹っ飛ばした。

 

「フェイト!」

「なのは!」

 

俺はフェイトを、万丈はなのはに呼びかける。なんとか二人は無事そうだ。しかし、ジュエルシードからは強大なエネルギーがまだ溢れ出してる。

 

「おい、なんかヤベーぞ戦兎!」

「くそ、どうすれば…」

 

封印しようにも二人のデバイスはボロボロでそれどころじゃない。そんなとき、フェイトが素手でジュエルシードを握り締めた。

 

「あのバカ!ジュエルシードを押さえ込むつもりか!?」

「おい戦兎!?」

 

俺はフェイトに駆け寄りながらボトルをドライバーに入れる。

 

『Gorilla!』『Diamond!』

『Best match!』

『輝きのデストロイヤー、ゴリラモンド!イェーイ!!』

 

「バカ!無茶するな!!」

 

俺はゴリラモンドフォームになってそう言い、フェイトをジュエルシードから引き離すと代わりにジュエルシードを握り締める。しかし、ジュエルシードからのエネルギーによる負荷で安全装置が働き変身が強制解除される。

 

「戦兎!!」

 

フェイトが大声で呼びかけるけど答える時間がない。

 

「どうすれば止まる!?」

 

俺がそう考えてると…

 

「おい戦兎、ハザードトリガーを寄越せ!!」

 

万丈がそう言って走って来た。

 

 

 

 

 

 

不味いぞ…戦兎の奴、変身が解除されてもジュエルシードから手を離さねえ。一体どうすりゃ…

そんなとき、俺は頭ん中であることを思い出した。

 

「そうだ、これだ!」

 

俺はすぐに戦兎の元に走る。

 

「おい戦兎、ハザードトリガーを寄越せ!!」

「万丈…?」

 

戦兎の奴は一瞬なんのことかわかんなかったみてえだけどすぐに俺にハザードトリガーを投げ渡した。

 

「戦兎、どけ!!」

 

俺は戦兎にジュエルシードを離させてからそのジュエルシードにハザードトリガーを押し当てた。前にエボルトの野郎は俺とカズミン、ゲンさんの三人の必殺技のエネルギーをエボルトリガーに吸収させたことがある。ハザードトリガーがエボルトリガーを再現したもんなら、あいつの遺伝子を持ってる俺なら同じ事が出来るはずだ!

 

「止まりやがれ!!」

 

俺がハザードトリガーを押し当て続けると…

 

『Hazard ON!』

 

ハザードトリガーがジュエルシードのエネルギーを吸収してジュエルシードの暴走は治まった。

 

「止まったか…」

 

俺はそのまんま一気に疲れて倒れこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「やりやがったあいつ…」

 

俺は倒れてる万丈を見ながらそう言ってジュエルシードとハザードトリガーを回収する。

 

「まさか起動させちまうなんてな…」

 

ハザードトリガーはエボルトとの戦い以降、壊れて起動しなくなっちまってたが、今のエネルギーで起動が可能になったようだ。まあ、滅多に使う気はないけどな…

 

「あの、龍我さんは?」

 

そう言ってなのはが話しかけてくる。

 

「なに、少ししたら目を覚ますよ。ただ、悪いけど今回はこのジュエルシードは俺達がもらってくぞ?」

「あっ、それは…」

「じゃないと、あの怖い狼が噛みついてくるぞ?安心しろ、悪いようには俺がさせないから。」

「…わかりました。」

 

彼女はそう言って頷いた。

 

「フェイト、アルフ、帰ろう。」

「戦兎、手は大丈夫なの?」

「人の心配より自分の心配をしろよ。お前だって素手でさわったろ?」

「帰ったら手当てしてやるよ。」

「悪いな。」

 

俺達はそう言いながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

「いってぇ…」

「我慢しな、まったく…無茶するねえ。」

 

俺はアルフに手の傷を消毒して包帯を巻いてもらった。

 

「フェイトはどうだ?」

「アンタがすぐに手を離させたからそこまで酷くはないよ。今は少し休んでる。」

「そうか…」

 

それにしてもあのジュエルシードの暴走はただ中のエネルギーが放出されただけのものじゃないな…

 

「まさか次元震が起こるなんてね。」

「次元震?」

「次元に発生する震動だよ。本来ならそう滅多に起こることじゃないけど、強力なロストロギアなら発動の余波で次元震を引き起こすことがあるんだよ。まあ、今回はそこまで大きい物じゃないけどさ。」

「次元震が大きくなるとどうなるんだ?」

「次元断層、言うなれば空間に裂け目が出来て世界がそこに飲み込まれるね。これまでに滅んだ世界のほとんどはそうやって滅んでる。」

 

世界が滅ぶ!?待てよ、たしかジュエルシードは全部で21個だろ。それが仮に同時に発動したら確実にその次元断層が起こるぞ!?

やはりジュエルシードがパンドラボックスと似てると思ったのは間違いじゃなかった!

 

「フェイトの母親は本当に何を考えてるんだ…そんな危険物を子供に集めさせるなんて。」

「まったくだよ。アイツの研究に必要って言ってたけどさ。」

 

世界を巻き込んだ研究…真っ先に思い付くのは最上魁星、アイツは平行世界合体装置エニグマを使ってもう一人の自分と一つになることで不老不死になって世界の帝王として君臨することを望んだ。けれど時間の流れが違う離れすぎた世界を無理矢理一つにしようとしたら両方の世界が対消滅する可能性が高かったため、当時奴の助手だった葛城巧…昔の俺は奴との協力関係を切った為奴の計画は遅れ、実行に移した時も俺と万丈、そしてエグゼイド達向こうの世界の仮面ライダーと力を合わせてその野望を阻止した。

今回はそれとは事情が違うだろうけど…

 

「…アルフ、戦兎?」

 

フェイトが目を擦りながら入ってくる。

 

「あっ、ごめんねフェイト…起こしちゃたかい?」

「ううん…ねえ戦兎、アルフ。明日、一度母さんのところに帰ろうと思うんだ。」

「プレシアのところに?」

「うん。ジュエルシードを集め始めて結構経つし、お土産でも持って近況を報告しにね。」

 

フェイトの母親に会いに…

 

「いいんじゃないか?たまには親に顔を見せるのは大事だろ。」

「戦兎も来てくれないかな?母さんに戦兎のことを紹介したいし。」

「当たり前だろ?」

 

プレシアに会えば全てがわかる。

俺はそう思ってフェイトと一緒に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

「なのは、ユーノ。レイジングハートの調子はどうだ?」

 

あの後、目を覚ました俺はみんなで家に帰ってきた。なんかレイジングハートにヒビが入ってうんともすんとも言わなくなったから心配になって様子を見に来た。

 

「あ、龍我さん…今ユーノ君が自動修復機能をフル稼働させてるって。」

「治りそうか?」

「外見のフレームはなんとかなるけど、中のプログラムも少しおかしくなってて、完全に直るかは…けれど魔法を使う分には大丈夫なはずで。」

「そうか…」

 

俺には機械の事はさっぱりだからな。戦兎なら完全に直せたんだろうけど…

 

「ごめんね、レイジングハート…」

 

なのははレイジングハートに謝る。

 

「私、もうレイジングハートの乗り手にはなれないのかな…」

「乗り手?」

「前にレイジングハートが言ってたんです…自分は言わば乗り物で、乗り手がいないと力を発揮できないって。始めてレイジングハートを起動させたときも、その後も、私は何もしてない。レイジングハートが私の魔力を使って全部やってくれただけ…」

 

なのはの奴はそう言って俯く。

 

「けど、今日は自分で考えて戦ったんだろ?」

「そうだよ。なのははよくやってくれてるよ。」

「けど私、レイジングハートにまだ“マスター”って呼んでもらってない…」

 

確かにレイジングハートがなのはの事を呼ぶ時はいつも“あなた”だったな。前に町がひでぇ事になった時も少しそっけなかったし…

 

「そこまで気にすることはないよ。」

 

ユーノの奴がなのはにそう言った。

 

「僕、なのはがレイジングハートを起動出来て良かったって思ってるんだ。」

「ユーノ君…」

「レイジングハートは…僕の母さんの形見だから。」

「えっ?」

 

レイジングハートがユーノの母親の形見ってどういうことだよ…?

 

「僕の母さんは昔、遺跡発掘中の事故で死んだんだけど…レイジングハートは元々母さんのデバイスなんだ。母さんの遺跡発掘をサポートするために作られて、元々いくつものフレームのモデルが登録されてて状況に合わせて最適な形状になるように設計されてるんだ。今はなのはに合わせて杖の形状をベースに固定されてるけどね。レイジングハートは…というよりもインテリジェントデバイスは高度なAIで所有者の魔法をより円滑にサポートすることが出来るんだけど、その為にあらかじめ使い手を決めてから制作されるんだ。だから母さんがいなくなった後、完全に使いこなせる人が一人もいなかったんだ。息子の僕でもね…」

「そうだったんだ。」

 

なんかなのはもそうだけどこいつもスゲー重たい経験してんな…

 

「なのはにレイジングハートを渡した時も、僕がなんとかサポートしてその隙に封印だけしてもらうつもりだったんだ。けれど、なのははレイジングハートを起動させて僕のサポート無しで封印をした。今まであそこまでレイジングハートを使えた人は母さん以外いないよ。だから、心配しなくてもなのははレイジングハートの使い手として恥ずかしくない程頑張ってるよ。」

「ありがとう、ユーノ君。」

 

なのははもう大丈夫そうだな。

俺はそう思って静かに部屋を出た。




次回予告

「フェイトの母親のプレシア・テスタロッサか?」

ついにプレシアと会う戦兎

「フェイ…ト…?」

もう一人のフェイト?

「ふざけんじゃねえ!!」

第7話 少女のトゥルース

『不死身の兵器、フェニックスロボ!』


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第7話 少女のトゥルース

戦「今回は大丈夫だな…よし!天っ才物理学者の桐生戦兎はフェイト達と共にジュエルシードを探索。ベストマッチ、ニンニンコミックフォームのセンサーで街中のジュエルシードを見つける。」
?「一方私達も万丈の第六感を頼りにジュエルシードを発見しました。」
戦「あれ?えっと、どちらさまですか?」
?「これは失礼しました。レイジングハートです。以後お見知りおきを。」
戦「えー!?英語しか話さないんじゃ…」
レ「ここでも英語だと読みづらいじゃないですか。それはともかく、フェイトとなのはがジュエルシードを巡り戦う中、ジュエルシードが暴走を起こしてしまいます。」
戦「あ、えっと。そんな時、万丈はバカなりに考えてエボルトのやった事を参考にハザードトリガーに暴走したエネルギーを吸収させる事を思い付き実行、なんとか暴走は止まるのでした。」
レ「そして、ついに戦兎はフェイトの母親。プレシア・テスタロッサに会いに行くのでした。」
戦「さあ、どうなる第7話!」
レ「ところで今回のタイトルはフェイトの事だけじゃないらしいですよ?」
戦「え?」


俺とアルフは最初に出会ったビルの屋上に来ていた。何でも、このビルはこいつらが次元転移をする際に人目がつかない場所として使っているらしい。

 

「ごめん、お待たせ。」

 

フェイトがケーキの箱を持ってやって来る。

 

「お土産ってお菓子かい?そう言うの、あの人が喜ぶかねえ。」

「いいじゃないか。こういうのは気持ちだろ?」

「そうだよ。」

 

そう言ってフェイトは転移の準備をする。

 

「次元転移…座標、時の庭園。」

 

俺達の足元に巨大な魔法陣が現れると、そのまま俺達の姿はそこから消えていた。

 

 

 

 

気が付くと俺達は異次元空間に浮かぶ庭園のような場所にいた。いたんだけど…

 

「うっ。なんかすごく気持ち悪い。」

「大丈夫、戦兎?」

「こりゃ転移酔いだね。始めて次元転移をした場合、人によっては体質で酔うんだよ。一回経験すれば次からは酔わないけど…」

 

な、なるほどな。この天っ才物理学者なりの繊細な体質が仇になったのか。

 

「少し休んでたらよくなるよ。」

「戦兎はここで待ってて。私は母さんのところに行って来るから。」

 

そう言ってフェイトとアルフは庭園の奥の屋敷に入って行った。

 

 

 

 

 

 

「ふう、ようやく楽になったな。」

 

俺はそう言って立ち上がる。

 

「すぐに戻ると思ったけど遅いなアイツら。なにかあったか?」

 

俺はフェイト達を追って屋敷の中に入る。

中はやはり広く、下手すると迷う。というよりか今迷ってる。

 

「と、お困りのあなたに。そんなときはこれ。」

 

誰に言うでもなくそう言いながら俺はビルドフォンを取り出す。実は昨日の一件を参考に新機能を搭載しておいた。俺はビルドフォンにコミックボトルを入れる。

 

『ビルドサーチ!』

 

その音声と同時にビルドフォンがこの屋敷の構造をスキャンする。

 

「…よし、スキャン完了。これでこの屋敷の構造が解ったな。」

 

スキャンした結果作成されたマップを見る。

屋敷というよりはまるで城のような作りをしている。なんか玉座の間みたいな部屋があるからそこに行ってみる事にする。

するとそこには部屋の扉の前で耳を押さえるように頭を抱えて座り込むアルフがいた。

 

「アルフ?」

 

俺が呼びかけるとこっちに気付いたアルフが俺に泣きついて来る。

 

「戦兎!フェイトが…フェイトが!!」

 

その言葉を聞いて俺は始めて扉の奥から鞭を叩きつけるような音がする事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

「確かにジュエルシード、よくやったわ。」

 

良かった。母さんが喜んでくれて…

 

「…と、誉めてあげたいところだけど。私はあなたに、なんと言って送り出したかしら?」

 

母さんの声がとても冷たくなってくる。

 

「21個のジュエルシードを全て回収してくるようにと、そう言った筈よね?」

「はい…」

「それをこんなに時間をかけてたったの4個、言われた事もまともに出来ないのかしら?…ん、それは?」

 

母さんが私の手に持ってる箱に気付いた。

 

「母さんにお土産に…ケーキを…」

 

そう言った瞬間に母さんが私を頬を叩いた。そのときに床に箱を落としてケーキがぐちゃぐちゃになる。

 

「そんな事をしてる暇があるなら、言われた事をちゃんとしなさい!!」

 

そう言って母さんは手に持ってるデバイスを杖から鞭の形状に変えた。

 

「フェイト…私はあなたを叱らないといけないわ…」

「ごめんなさい、母さん…」

 

母さんは私に鞭を打ち付けてくる。何度も何度も…

ごめんなさい、ちゃんと出来なくて。言われた事をちゃんと出来なくてごめんなさい。ごめんなさい…

 

「フェイト…」

 

ふと、戦兎の声が聞こえた気がした。そんな筈ないのに…けれど私は…

 

「戦兎…助けて…」

 

気が付いたら小さな声でそう言ってた。

 

「フェイト!!」

 

部屋の扉が勢いよく開け放たれる音と一緒に声が聞こえて、扉の方を見ると

 

「戦兎?」

 

そこに戦兎がいた。私は戦兎の姿を見たら安心してそのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

俺は扉を開けて部屋に入ると鞭を持った女がフェイトを打ち付けてるところだった。

フェイトはこっちを一瞬見るとそのまま気を失った。

 

「アルフ、フェイトを連れて先に行け…」

「けれど…」

「いいから行け!!」

「…わかった。」

 

アルフは頷くとフェイトを担いで部屋を出て行く。

 

「アンタがフェイトの母親のプレシア・テスタロッサか?」

 

目の前の黒髪の女に一応確認する。

 

「何者かしら?」

「俺は桐生戦兎。フェイトのジュエルシード集めを手伝ってる。」

「それは感謝しないといけないわね。あの出来損ないに協力してくれてありがとう。」

 

出来損ないだと?

 

「…何でフェイトにあんな事をした。」

「これは躾よ。言われた事も出来ないあの子のね。」

「フェイトはちゃんとジュエルシードを持ってきた!」

「私は全てのジュエルシードを集めて来るように言ったのにこんなに時間をかけてたったの4個…これじゃあ全然足りないわ。」

 

なにかを焦っているのか?

 

「ジュエルシードをどうするつもりだ?」

「あなたに言う必要はないわ。」

「いいから答えろ!!」

「うるさいわね…いい加減、黙りなさい!」

 

そう言ってプレシアは俺に向けて電撃を放つ。

 

『Gorilla!』『Diamond!』

『Best match!』

『輝きのデストロイヤー、ゴリラモンド!イェーイ!!』

 

俺は瞬時にゴリラモンドフォームに変身して目の前に巨大なダイヤを形成してその電撃を受け止める。

 

「本当に何者なのあなた?けれど、甘いわね…」

「何?うわ!?」

 

その言葉の後、背後から電撃が襲って来た。

 

「何だよ今の?」

「ここは私の領域よ?この部屋で私に勝てる訳ないわ。」

 

そう言ってプレシアが杖を掲げるとフェイトと同じ魔法、無数のフォトンランサーが全方位に展開される。

 

「嘘だろ!?」

 

無数のフォトンランサーを受けて俺は玉座の後ろに飛ばされる。

 

「この威力は…まさか殺傷設定に?」

「うるさいネズミを始末するのに、非殺傷にする必要がある?」

 

プレシアが迫ってくる。そんなとき、ふと俺は玉座の後ろに目をやる。

 

「たしかこっちには…」

 

スキャンした結果の通りならこの先には部屋がある筈。この部屋では不利なら別の部屋に…

そう思った俺は立ち上がるとまずボトルを変える。

 

『Ninja!』『Comic!』

『Best match!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『忍びのエンターテイナー、ニンニンコミック!イェーイ!』

『四コマ忍法刀』

 

俺はニンニンコミックの武装、四コマ忍法刀を取り出すとグリップのボルテックトリガーを一回引く。

 

『分身の術!』

 

すると4体の俺の分身が現れてプレシアに襲いかかる。その隙に俺は両目のセンサーで玉座の裏を解析して隠し扉を発見。その扉を開けて中に入ると、そこには信じられない物があった。

 

「フェイ…ト…?」

 

液体の満たされたカプセルの中に浮かぶ、幼い姿をしたフェイトがそこにいた。

 

「私のアリシアに近付かないで!!」

「うわぁ!!」

 

後ろから電撃を当てられてる隙にプレシアがカプセルの前に立つ。

 

「嘘だろ、もう分身を倒したのか!?いや、それよりも…」

 

アリシアだって?それはフェイトの昔の名前じゃ…けどその子がアリシア?

 

「いや、まてよ…まさか、その子は!!それじゃあ、お前の目的って…」

「察しがいいわね。そうよ、この子が…このアリシアこそが私の本当の一人娘!!」

「フェイトはその子の遺伝子情報から作ったクローンって訳か。死んだその子を生き返らせようとして…」

「そのとおりよ。私はアリシアの生き返らせようとしてその遺伝子を元にアリシアのクローンを作った…けれど出来たのはあんな出来損ない。アリシアの記憶を与えてる筈なのに違う!利き腕も魔力資質も人格さえも!!あれはアリシアではない、唯の出来損ないの人形。あんなもの、私の娘なんかじゃないわ。」

「同じじゃないから娘じゃない…?」

 

そんなことはない…。

 

「ラブ&ピースだ!父さんは、愛と平和の為に科学者になったんだ!!」

「顔は変わっても、その癖は変わらないな…巧。」

「巧…また背…延びたか…?」

 

俺は父さんの事を思い出していた。父さんは俺が顔が変わっても、人格が違っても俺の事を息子として見てくれた。

 

「…けん…ねぇ」

「何?」

「ふざけんじゃねえ!!」

 

俺はプレシアにキレながらドライバーにボトルを入れる。

 

『Phoenix!』『Robot!』

『Best match!』

 

このベストマッチを選んだのは皮肉だ。死んだ娘を生き返らせようとしてる母親を生命の再生を司る不死鳥の力で倒す!!

俺は荒っぽくドライバーのレバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『不死身の兵器、フェニックスロボ!イェイ!』

 

「はあぁぁっ!!」

「まだ懲りないのね、消えなさい!!」

 

プレシアが電撃を放つが俺はその電撃が当たってもお構い無しで突っ込む。

 

「なんですって!?」

「はぁっ!!」

 

そして俺は左手のパワーアーム、デモリションワンでプレシアを掴んで投げ飛ばす。

 

「くっ…」

 

そして、プレシアに右手を向けてその腕にある燃焼攻撃ユニット、フレイムリヴァイバーで火炎弾を放つ。

確かに死んだ人間に生き返ってほしいという気持ちはわかる。実際に新世界を創造して、スカイウォールの惨劇以降の10年間で死んだ俺の仲間を含む多くの人達を、死んだという出来事そのものをなかった事にする事で生き返らせた俺に、それをとやかく言う資格は無い。けれど…

 

「たとえアリシアじゃなくても、どんな生まれ方をしていても。フェイトは…他でもないアンタが生み出した、アンタの娘じゃないか!!」

 

フェイトが娘じゃないって言うその言葉は絶対に否定してやる!!

 

「フェイトが私の娘?ふざけないで!」

 

プレシアはフォトンランサーで火炎弾に応戦する。

 

「アリシアはいつも優しかった、フェイトとは違う!!そんなアリシアに私は何一つしてあげれなかった…仕事が一段落したら。私の時間も優しさも全部アリシアにあげようと思っていたのに!!」

「フェイトだって優しい奴だ!誰よりもアンタの事を思って、アンタの為を思ってずっと…」

「黙りなさい!!あの子が、あの子がいると…私の中のアリシアが消えていくのよ!!」

 

それがフェイトを認めない理由か…

俺はボルテックレバーを回して決めにかかる。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

俺はその体を火の鳥に変化させてプレシアに突っ込む。プレシアはフォトンランサーを俺に放つけど、今の俺は実体の無い炎。そんな攻撃は当たらない。

 

「そんな…!?」

「勝利の法則は決まった!!」

 

プレシアは火の鳥となった俺の攻撃に吹っ飛ばされた。俺は元の姿に戻ると変身を解除する。

 

「最後にこれだけは言っておくぞ…」

 

俺はまだこちらを睨んでくるプレシアに向かって、以前見たフェイトの…いや、アリシアの記憶を思い出しながら口を開く。

 

「アンタはアリシアに何もしてやれなかったって言ったけど、そんな事はない。アリシアの死んだ後だけど、ちゃんとあの子の望んでいた物をあげたじゃないか。プレシア…アリシアとの誕生日の約束を思い出してみろ。」

「なっ!?」

 

俺はそう言って背を向ける。

 

「ま、待ちなさい!あなた、何を知って…?」

 

俺はその言葉に答えずにその場を後にした。

 

 

 

 

「あっ、戦兎!!」

 

最初に来た庭園でアルフが待っていた。

 

「アルフ、待ってたのか?」

「当たり前だろ…あんた一人でどうやって帰るつもりなのさ。」

「そうだな。」

 

アルフが転移の準備に入る。

プレシア…フェイトがいると自分の中のアリシアが消えるって言ってたけど、それはお前がフェイトの事を少なからず意識しているからじゃないのか?

そう思いながら俺達は時の庭園を後にした。

 

 

 

 

 

 

俺は翠屋のバイトが終わったあと、宛もなく町を歩いてた。なのははレイジングハートが治るまではジュエルシード集めは出来ねえけど発動前の奴なら俺でもなんとかなるからな。この前みたいに勘を頼りに探してる。

そんな時だった。向こうの方からアリサとすずかが歩いてくる。

 

「よお、お前ら。今、学校終わりか?」

「あ、万丈さん。」

「万丈…」

 

なんか暗いな?そういや…

 

「なのはは一緒じゃないのか?」

「知らないわよあんな奴。」

「ちょっと、アリサちゃん…」

 

なんだ喧嘩か?

 

「なあ、ちょっと今時間あるか?」

 

 

 

 

 

「ほら、とりあえず食え。」

 

俺は近くの公園に二人をつれてきて、焼き芋がちょうど売ってたから買ってやった。

 

「ありがと…」

「いただきます…」

 

二人は受けとると少しずつ食い始める。

 

「それで、何があったんだよ?」

 

俺は二人事情を聞く。

 

「最近、なのはの奴付き合いが悪いのよ、それに何を話しても上の空で、こっちが理由を聞いても何も言わないのよ。頭きちゃう!」

「気持ちはわかるけどそんな風に言うのはよく無いよ。」

 

なるほどな…なんとなくアリサの気持ちはわかるな。

 

「まあ待てよ、すずか。アリサ、お前もなのはがお前らに何も言わないのはそれが自分で解決しなきゃいけないことだと思ってるから。それはお前もわかってるよな?」

「まあ…そうだけど…」

「だからそれに腹立ててもしょうがねぇ。それはわかるけど気持ちが抑えられなくてそんな自分にも腹が立つ。そうだろ?」

「ええ…」

 

やっぱな、俺も戦兎が香澄の死ぬ原因を作った葛城巧だって知った時もそんなだったからな。こういうときは…

 

「別に許さなくいいんじゃねえか?」

「「え?」」

「そんな簡単に気持ちの整理なんてつかねえだろ。それに、腹を立ててもなのはの奴が友達なのは変わらないだろ?だったら怒ったまんま見守ってやれよ。」

「万丈さん…」

 

アリサの奴は少し考えると顔をあげる。

 

「わかった。私はなのはが抱えてる悩みが解決するのを待ってる。親友が何も話してくれないことと親友の力になれない自分に怒りながら。」

「おう、そうしろ。」

 

なんとか吹っ切れたようだな。

 

「そういや前から気になってたんだけどよ。お前らってどういう風になのはと仲良くなったんだ?お前らはいわゆるお嬢様な訳だろ?なんかそんなやつらに仲良くなるなんてなんか切っ掛けがないと難しくないか?」

「別にたいしたことじゃないわよ。」

 

そう言ってアリサが懐かしそうに話し始める。

 

「むしろ、切っ掛けを作ったのはなのはの方だったわよ。それまでは私もすずかも一人ぼっちだったから。」

「そうなのか?」

「うん…一年生の頃の私は、今よりずっと気が弱くて、誰に何を言われても反論出来なかった。」

「そんでアタシは、自信家でワガママで、いつもクラスメートをからかってバカにしてた。そうしてないと自分に自信が持てないくらい心が弱かったから。」

「ワガママなのは変わらなくねえか?」

「うっさいわね!!」

 

アリサの奴が睨みつけてくる。

 

「とにかく、そんな嫌な奴だったのよ。そんである日すずかが大事にしてるリボンをとってからかってたらなのはが来て、アイツ何をしたと思う?」

「そりゃあ、アイツのことだからやめろって止めに入ったんじゃないか?」

「それならまだいいわよ。止めに来たのは変わりないけど、アイツは来て早々何も言わずにアタシにビンタしてきたのよビンタ!」

「ビ、ビンタ!?」

 

先に手が出る奴だったのかよ…今のフェイトと話をしようとしてるアイツからは考えられねえな。

 

「けれど、そのあと言ってくれたんだ。」

「痛い?けど、大事な物を盗られた方はもっと痛いんだよって。まあ、アタシは始めてそんな風に叩かれたからなのはに掴み掛かっちゃったんだけど。」

「私、二人にそんな風に喧嘩してほしくなくて…そのとき初めてやめてって大きな声で言えたんだ。」

「まあそれが切っ掛けで良く三人で一緒にいるようになったのよ。」

 

そうだったのか…なのはといいユーノや士郎さんといい、こいつらほんとに意外な過去があるな。

 

「教えてくれてあんがとな。さて帰るか、お前らは迎えはくるのか?」

「ええ、うちの執事の鮫島に来てもらうわ。」

「そうか、気を付けて帰れよ?」

 

そう言って俺はアリサ達と別れてまたジュエルシードを探しに行く…

 

「キャー!!」

 

筈だったんだけど、急にすずかの悲鳴が聞こえて引き返すと。

 

「助けてぇ!」

「ちょっと、離しなさいよ!」

 

すずかとアリサが車に詰め込まれて連れていかれた。

 

「マジかよ…待てこのヤロー!!」

 

俺はその車を走って追いかけた。

 

 

 

 

 

 

私はアリサちゃんと2人でどこかの倉庫に連れてこられました。

 

「ちゃんと連れて来たか。」

「はい、この通り。」

「良くやった。」

 

男の人達が私達の方に来ました。

 

「初めまして、月村のお嬢さんにバニングスのお嬢さん。」

「私達をどうするつもりよ!!」

 

アリサちゃんがそう言って睨みつけてるけど、男の人達は全く気にも止めません。

 

「わかってるだろ?君たちを人質に身代金を要求するんだよ。」

「複合企業バニングス社と月村重工、月村建設はたんまりと儲けてる筈だしな。」

「そんなのうまくいく筈ないじゃない!警察に捕まってアンタ達は終わりよ。それにすずかのお姉さんの恋人はすごく強いのよ!!」

 

確かに恭也さんが来てくれればきっと。

 

「むしろ好都合だね。そいつへの復讐も俺達の目的なのさ。」

 

復讐?

 

「月村家の長女の恋人が御神の剣士なのは調べがついてた…」

「俺達は今でこそこんなだがこれでもそれなりに裏社会では名の馳せた組織の一員だった…けれどな、その組織を御神の剣士に潰されて俺達はこんな風に落ちぶれた。御神の剣士は今はもうほとんど残って無いようだが、その生き残りがまだいるならそいつらに復讐する!」

 

そんな…そんなのって。

 

「ただの八つ当たりじゃない!!」

「うるさい!ガキに何がわかる!!俺達はそのために準備は進めてたんだよ!!」

 

そう言って男の人が何かのスイッチを押すと奥のほうから一体のロボットが来ました。

 

「このロボットはなあ、潰された組織の残った資金を全てつぎ込んで造らせた対御神用兵器だ!こいつには組織を潰された時の御神の剣士の戦闘データがインプットされてる。身代金を要求するのもこの兵器をより完成度をあげるためなんだが…このままでも十分機能する筈だ。」

「そんなの子供だましよ。だいたい、そんなロボット造れる筈がないわ。どうせ中に人でも入ってるんでしょ!!」

「それが造れるんだよ…月村のお嬢さんならわかるよな?」

 

え?それって…

 

「もしかして、ノエル達の…」

「そう!こいつには現在解明出来てるだけの自動人形の技術が全部積み込まれてるんだよ!!さすがに自我はないがな…」

 

そんな…

 

「これでも無理だと思うか?」

 

男の人が自信たっぷりに言います。

そんなとき…

 

「すずか、アリサ!2人とも無事か!!」

 

そう言って倉庫に入って来るのは、さっきまで一緒だった龍我さんでした。

 

 

 

 

 

 

なんとか車を追い掛けてどっかの工場跡の倉庫に来た。

 

「なんだ、お前は?」

「万丈さん!」

「万丈!」

 

2人はまだ無事みてえだな…

 

「なるほどな、このお嬢さん達を助けに来たって訳か…けどな。」

 

男がそう言うと俺を拳銃を持ったやつらに囲まれた。

 

「これじゃあどうしようもないだろ?ほら、ここを誰にも言わないなら特別に見逃してやる。お前も、バニングスのお嬢さんはともかく…この月村の化け物の為に死にたく無いだろ?」

 

そう言われてすずかの体が震える。

 

「すずかが化け物って…どういうことだよ?」

「なんだ知らなかったのか?月村の家はなあ…」

「お願いやめて!!」

「夜の一族って言う吸血鬼の一族なんだよ!」

 

吸血鬼…すずかが?

 

「嘘よそんなの!」

「そう思うなら本人に聞いて見るといい。」

「嘘よねすずか!…すずか?」

 

すずかの奴は俯いたまま何も答えない。

 

「そんな…」

「まあ、言えるわけないよな。本当のことだし、言ってたら友達なんて出来ない…化け物が人間と一緒にいられるわけないしな。それとも、油断させた隙に血を吸うつもりだったのか?怖いな~。」

 

男はだんだんイラつく喋り方ですずかに言った。

 

「ち、ちが…」

「ふざけんじゃないわよ!!」

 

アリサの奴が叫ぶ。

 

「アンタがすずかの何を知ってんのよ!!すずかが本当に吸血鬼だとしてもね、アタシ達の血を吸うつもりならいくらでもチャンスがあったのよ…けどこの子はそんなことしなかった。これ以上アタシの親友をバカにしないで!!」

「アリサちゃん…」

 

言うじゃねえかアリサの奴。

 

「難しいことは俺はわかんねえけどよ。とりあえず俺がそいつら助けるのにな、そんなこと関係ねえんだよ。」

 

俺はそう叫んで周りの銃を持った連中に殴り掛かった。




次回予告

「俺は…仮面ライダー…クローズだ!!」

2人の前で変身!?

「フェイト、アルフ…下がってろ。」

強力な異相体出現!

「今、出来ることをするしかないだろ!!」

第8話 ロストした正義

『Uncontrol switch!Black hazard!』


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第8話 ロストした正義

戦「天っ才物理学者の桐生戦兎は時の庭園にてプレシア・テスタロッサとついに出会う。そこで俺はフェイトがプレシアの娘、アリシアのクローンであることを知る。プレシアのフェイトは娘ではないという発言に父、葛城忍のことを思い出しながら怒りを爆発。プレシアへの皮肉としてフェニックスロボフォームとなりこれを撃破するのでした。さあ、いったいどうなる第…」
龍「ちょっと待てよ!俺やすずかたちの話はどこ行ったんだよ!?すずかとアリサが誘拐されたり、すずかが吸血鬼だったりしたろ。」
戦「あんなの尺あわせの為にちょっと書いただけだろ?」
龍「ふざけんな!いいからちゃんと紹介しろ!!」
戦「はいはい、仕方ないから最後にちょっとだけ触れてやるけど…えー、万丈はすずかとアリサを助ける為に誘拐犯に立ち向かうのでした。さあ、どうなる第8話!」
龍「って本当にちょっとだけじゃねえか!!」



「おらぁ!!」

 

俺は誘拐されたすずかとアリサを助けに来た俺は拳銃を持った連中に囲まれたけど、もうその連中は全部殴り飛ばした。

 

「嘘だろ…あの数をたった一人で、それも素手で…」

「万丈さんすごい…」

「どうしてこんな奴が格闘技界で無名なのよ…」

「おい、もうお前だけだぞ?」

 

俺は最後の一人にそう言って近づく。

 

「くそ、こうなったら御神の剣士用に取ってたがこいつで…」

 

そう言って男がなんかのスイッチを押すと男の後ろの方から何かが動き出して俺の前に現れた。

 

「…な!?嘘だろ!何でこの時代に、ハードガーディアンがあるんだよ!?」

 

俺の前に現れたそいつは旧世界で難波重工が西都との代表戦の後に使い始めたハードガーディアンだった。

 

「ハードガーディアン?何を言っている?こいつは俺が作らせた対御神用の兵器だ!!」

 

こいつが作らせた?確かによく見たらハードガーディアンに似てるけど所々違うな。

 

「こいつは生身の人間がどうにか出来る奴じゃないぞ、もうお前はおしまいだ!!」

「だったら、これしかねえか…」

 

2人の前だけど仕方ねえ…俺が腰にドライバーをつけるとドラゴンの奴が飛んでくる。

 

「ドラゴン?何でアイツが…」

「万丈さん…?」

 

やるか…

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

俺は2人の前で仮面ライダーに変身した。

 

「な、なんだその姿は…何なんだお前は!!」

「俺は…仮面ライダー…クローズだ!!」

「仮面ライダー…」

「クローズ…」

「いくぞ!!」

 

俺はそう言ってガーディアン擬きに殴りかかった。殴った感触は前の世界のハードガーディアンと大差ねえ…てことは…

 

「くそ、やっぱ普通のクローズで殴っても威力が足んねぇか…」

 

けれど無い物ねだりは出来ねぇ。スクラッシュドライバーは随分前に壊れたきりだし、マグマナックルもあの空間の裂け目の中でエボルトに体を乗っ取られる前に戦った時に壊れちまってる。エボルトから盗ったボトルも新世界になった途端に消えちまったしな。

 

「殲滅対象確認、排除シマス…」

 

そう言ってガーディアン擬きは取り付けられた銃を全部こっちに狙いを定めて撃ってきた。

ただの弾丸じゃクローズの体はびくともしないけどよ、こっちの攻撃も通じねぇ。

 

「それでも、負けられねぇんだよ!!」

 

普通に殴ったって効果がねぇならいきなり必殺技だ!!

 

『Ready go!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

 

俺は後ろに出てきたドラゴンを右腕に取り込んでそのままその手でガーディアン擬きを殴る。

殴った箇所から爆発が起きてそのガーディアン擬きはバラバラになった。

 

「そんな…対御神の為に資金全てを注ぎ込んだ兵器が…」

「…2人は返してもらうぞ。」

 

俺は放心してる男をそのままにすずか達をつれて倉庫を出る。後は警察にでも任せればいいだろ…

 

 

 

 

「大丈夫だったか?」

「なんとか…」

「それより万丈!アンタ、あれは何よ!?」

 

俺は2人に確認するとアリサの奴が突っ掛かってきた。

 

「さっきも言っただろ?あれは仮面ライダークローズ。いわゆる正義のヒーローだ。」

「正義のヒーローって嘘臭いわね。」

 

アリサの奴…まあ俺も初めはそう思ってたけどな。

 

「あ、あの…」

 

すずかが声を出す。

 

「さっきの事なんだけど…」

「吸血鬼って奴か?」

「結局、あれって本当なの?」

「…うん。私もお姉ちゃんもお父さんもみんな夜の一族…吸血鬼だよ…」

「けど吸血鬼って日の光がダメじゃねえのか?」

「ううん。私達夜の一族はそういうのじゃないんだ。私達は人の突然変異みたいな物なんだよ、人によってはみんなが想像するような吸血鬼が出来ることが出来る人もいるけど、私とお姉ちゃんは無理…私の場合は運動が人より出来るぐらいかな…」

 

すずかは俯きながら話を続ける。

 

「けれど、夜の一族全員に共通した特徴はあるよ…一番有名なのは血を吸ったり、傷の治りが早かったり…処置しだいだと手が取れてもくっつくんだ…後すごく長生きで、最低でも200年くらいは生きるんだ。ごめんね黙ってて…もうアリサちゃんやなのはちゃんのお友達じゃいられないね…」

「な、何言ってんのよ!」

「だって私、化け物だもん!!」

 

すずかの奴が泣きながら叫ぶ。

 

「アリサちゃんが私のこと知っても親友って言ってくれて嬉しかったけど、それでも私は化け物だから…いつかはアリサちゃんも私のこと気持ち悪いって思うもん!!今はそうじゃなくても、先の事なんてわからないよ…」

「すずか…」

 

たく、こいつは…

 

「いいじゃないか、今は友達ならそれで。先の事はわかんねえんだろ?だったら考えてたってしょうがねえだろ?それに、人間じゃないからって、友達でいられない理由にはならないだろ?」

「…万丈さんにはわからないよ。化け物の私の気持ちなんて。」

「…わかるぞ。」

 

ああ、多分誰よりもわかる。

 

「俺も…人間じゃねえからな。」

「え?」

 

すずかがやっと顔をあげた。

 

「俺さ、妊娠2ヶ月目で生まれたんだ。体重3203gの元気な赤ちゃんでな…」

「はあ!?ちょっと待ちなさいよ。妊娠2ヶ月?それでそんな元気な赤ちゃんが生まれる訳ないじゃない!!」

 

アリサが突っ掛かって来る。そうなんだよな…

 

「だから俺の体は国の研究所で調べられてよ。そしたら、この地球にはいない生き物の…ようは地球外生命体の遺伝子が見つかったんだってさ。俺はその頃の記憶はよく覚えてねえんだけど。」

「万丈さん…」

「これ知った時は俺、動揺しちまってな。そんな筈ねえ、俺は人間だって…もう頭ん中ぐちゃぐちゃになっちまって、そんで飛び出してよ。さんざん悩んで…けど答えは簡単だった。」

 

ほんとに簡単な事だったな。

 

「その答えって何ですか。」

「俺が仮面ライダーってことだよ。例え人間じゃなかろうと俺は、愛と平和の為に戦う。それが、俺の信じた仮面ライダーだ。結局はな、お前が本当はどうしたいのかなんだよ。」

「…いいのかな?私、アリサちゃん達と友達のままで…」

「だからさっきからそう言ってるでしょ!!アンタが嫌だって言っても、アタシはあんたの友達をやめるつもりはないわよ。」

「うん…うん!」

 

すずかの奴は泣きながら何度もアリサに頷き返してた。

 

 

 

 

 

 

私は、今日は一人で学校から帰ってました。

 

「なのは。」

「ユーノ君?」

 

ユーノ君が迎えに来てくれました。首にレイジングハートを下げて。

 

「レイジングハート、治ったんだ。」

Condition green.(おかげさまで好調です)

「…また、一緒に戦ってくれる?」

All right, my master.(もちろんですよ、マスター)

「あっ…」

 

レイジングハート、今…

 

I was watching your efforts.(私は、あなたの努力を見てきました)|If you are a master I will do my best.《あなたがマスターでいてくれるなら、私は全力であなたの力になります》』

「レイジングハート…ありがとう…」

 

やっと、レイジングハートが認めてくれた…

嬉しくて笑顔になっていると、

 

「なのは…」

「うん、わかってる。」

 

ジュエルシードの気配…

 

「いくよ!レイジングハート。」

『Stand by ready,Set Up.』

 

私はバリアジャケットを展開してそのままジュエルシードの反応の場所まで飛んで行きました。

 

 

 

 

 

 

 

「フェイト、もう大丈夫なのか?」

 

俺は時の庭園で気を失って、今起きてきたフェイトに体の調子を訪ねる。

 

「うん、大丈夫。バルディッシュも行けるね?」

Recovery complete.(修復は完了しています)

 

フェイトと修復されたバルディッシュが答える。まあ、バルディッシュは俺も修理に手を貸したから問題ないのはわかってたけどな。

さて…

 

「感じるね、アタシにもわかる…」

「俺のビルドフォンもジュエルシードのエネルギー反応をキャッチしてる。」

「うん、近くにある。」

 

とりあえずジュエルシードを集めないとな。プレシアの目的に関係無くあれはほっといていい物じゃないし…フェイト達にはアリシアの事は言えないな、きっと今のプレシアに依存してるフェイトじゃ耐えられない。

 

「いくよ。アルフ、戦兎。」

「「ああ。」」

 

俺達はジュエルシードの反応がある場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「万丈様。この度はアリサお嬢様とすずか様が大変お世話になりました。」

「いや、俺は別に…」

 

俺は2人を迎えにきた執事の鮫島さんにそう答えた。

 

「よろしければなのは様のお宅までお送りいたしますが?」

「いや、俺まだやることがあるんで。」

「そうですか。それではお嬢様、すずか様参りましょう。」

「万丈さん、ありがとうございました。」

「ありがとね、万丈。」

「おう、またな。」

 

2人は鮫島さんの車で帰って行った。

 

「さて、俺も行くか!」

 

俺はまたジュエルシードを探す。俺の勘が正しけりゃ、ジュエルシードは…

 

「こっちだ!!」

 

俺は近くの廃工場まで走って行った。

 

 

 

 

 

 

フェイト達と一緒にジュエルシードの反応のある廃工場に来た。

 

「あっ…フェイトちゃん。」

 

そうしたら反対側からなのはが来た。

しばらくその場で沈黙が流れる。

 

「おかしいな?ここにあると思ったんだけどよ…おっ、なのは!」

 

その空気を遅れて来た万丈が破った。

 

「龍我さん!?どこに行ってたんですか!?連絡出来る方法がないから困ってたんですよ!!どうやってここが?」

「決まってんだろ?俺の第六感。」

「ま、またですか…」

 

悪いな、なのは。万丈のそれにはもう慣れてくれ。

 

「ところで、ジュエルシードはどこだよ?」

「それがどこにも…」

 

なのはが万丈にそう言おうとしたところですごい物音がした。全員でそっちを見ると機械の塊のようなのが現れた。

 

「何、これ?」

「多分、ジュエルシードの異相体。」

「そいつがこの辺りの機械を取り込んでんだよ。」

 

なのはの疑問にユーノが答えてそれにアルフが補足する。するとその異相体が体からなのはとフェイトに向かって機械の腕を伸ばす。

 

「え?キャー!」

「フェイトちゃん!レイジングハート。」

『Protection』

 

フェイトは吹っ飛ばされてなのはは防御魔法を張る。だけど…

 

「そんな!?キャー!」

 

防御魔法は砕かれてなのはまで吹っ飛ばされる。

 

「なのは!」

「フェイト、大丈夫かい!?」

 

ユーノはなのはに、アルフはフェイトに駆け寄る 。

 

「だ、大丈夫だよ。アルフ…」

「私も、大丈夫…ユーノ君。」

 

まずいな、動きが速いし攻撃も重たい。フェイト達だと荷が重いな。

 

「フェイト、アルフ…下がってろ。」

「なのは、ユーノ…お前らもだ。」

 

俺と万丈が異相体の前に出る。

 

「戦兎?」

「龍我さん?」

「俺達がこいつの相手をする!」

「お前らはその後2人でこいつを封印しろ!」

 

俺達はそう言ってドライバーを着けてボトルを取り出す。

 

「さあ、実験を始めようか?」

 

『Kaizoku!』『Densya!』

『Best match!』

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

『『Are you ready?』』

 

「「変身!」」

 

『定刻の反逆者、カイゾクレッシャー!イェーイ!!』

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

変身した俺達は異相体に向かって行く。

 

『カイゾクハッシャー!』

『ビートクローザー!』

 

俺は海賊ボトルと電車ボトルの弓型武装、カイゾクハッシャーを取り出して牽制として放ちながら近づきカイゾクハッシャーのカトラスアンカーエッジで、万丈はビートクローザーで異相体に斬りかかる。

 

「硬っ!?また硬い奴が相手かよ!」

「また?」

「ここに来る前にちょっとな…こうなったら…」

 

『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』

 

万丈はビートクローザーのグリップエンドを2回引っ張って斬りかかる。俺はカイゾクハッシャーのビルドアロー号を引き絞る。

 

「おらぁぁっ!」

 

『ミリオンヒット!』

『各駅電車~、急行電車~』

 

「はぁ!!」

 

ビートクローザーの直接攻撃からそのままミリオンヒットの斬撃を飛ばす事で攻撃が多段ヒットする。

万丈の攻撃に合わせて俺もカイゾクハッシャーをチャージ2段階目で放つ。そのチャージショットが当たり異相体の外装は吹っ飛ぶ。

けれど…

 

「嘘だろ!?吹っ飛ばした鉄屑がまた一つに…」

 

吹っ飛んだ外装はすぐにもと通りになる。

 

「だったら、最大攻撃を同時に叩きこむぞ!!」

「おっしゃあ!!」

 

『各駅電車~、急行電車~、快速電車~、海賊電車~』

 

俺はビルドアロー号をまた引き絞りカイゾクハッシャーをフルチャージ状態にする。

 

『スペシャルチューン!』

『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』『ヒッパレー!』

 

万丈はロックフルボトルをビートクローザーに装填してグリップエンドを三回引っ張ると次にドライバーのボルテックレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

『メガスラッシュ!』

 

万丈は炎のドラゴン型エネルギー、クローズドラゴン・ブレイズを左腕に取り込み、次にビートクローザーから鍵状のエネルギー刃を生成して飛ばし、そいつに左腕に取り込んだドラゴン

のエネルギーを放つ。ドラゴンは鍵状のエネルギーを咥えて異相体に突っ込む。

 

『ボルテックブレイク!』

 

それに合わせて俺もカイゾクハッシャーのフルチャージショットを放つ。

この同時攻撃に今度こそ異相体の体が全部吹っ飛ぶ。

 

「よし、今度こそ…」

「いや、なんかおかしいぞ?」

 

よく見たら外装どころか異相体の本体やジュエルシードもいなくなってた。

そして、吹き飛んだ外装の残骸がまるで意思があるように俺達に飛んでくる。

 

「うわ!?」

「万丈!ぐはぁ!?」

 

残骸は俺達を吹き飛ばすとまた一つに纏まる。

 

「龍我さん!」

「戦兎!」

「外装が吹き飛ぶと同時に自分から分裂したんだ。外装に守られてる限り封印魔法は届かないのが本能みたいのでわかってるんだよ。」

「なんとか外装越しでもダメージを届かせて自分から分裂する余裕をなくせばなんとかなるんだけどね…」

 

ユーノとアルフがそう分析するのが聞こえる。外装越しにダメージを届かせれる攻撃。ベストマッチ以外の強化フォームならおそらくそれが可能だ…けれど、現状それに変身出来る強化アイテムは一つしかない…万丈が昨日起動させたハザードトリガー…けれど、これは…

俺の中でかつて暴走して青羽を殺してしまった事が思い起こされる。ハザードトリガーは万能強化剤『プログレスヴェイパー』を体内に浸透させてハザードレベルを上昇させる事で高い戦闘能力を引き出す。けれど、この強化剤は全身…つまり脳まで浸透し、脳がその負荷に耐えれなくなると自我を失い、ビルドを目の前の敵を殲滅するまで止まらない殺戮兵器に変えてしまい自力での変身解除が出来なくなる。

非殺傷設定を追加した今なら確かに死なせる事はないけど、それは同時に殲滅対象がいなくならないから永遠に相手をなぶり続ける事となり、前より凶悪さが増している。

制御装置であるフルフルラビットタンクボトルが修復出来てない今、どうしても易々とは使えない。暴走したら万丈やフェイト達を巻き込んでしまう。

今の万丈は通常のクローズにしかなれない。いくらハザードレベルが互角でも、それじゃあハザードフォームを止める事はできない。

こんな事ならスパークリングの修理を早く済ませておけばよかった、多分こいつをどうにかするのはそれぐらいで十分な筈なんだ。

 

「…使え。」

 

悩んでる俺に万丈がそういう。

 

「何言ってんだよ?」

「だから使えよ、ハザードトリガー。暴走しても絶対に止めてやる!」

「ふざけんなよ!今のお前は通常のクローズにしかなれないんだぞ!?それで暴走してオーバーフローモードのハザードフォームを止めれる筈が…」

「それでも止めてみせる!今あのジュエルシードをほっといたら大変な事になんだぞ?今、出来ることをするしかないだろ!!」

「万丈…」

 

そうだ、今はあのジュエルシードを止めれなかったら…あれを野放しにしたら大変な事になる。

俺は意を決してハザードトリガーを取り出す。

 

「万丈…頼んだぞ…」

「ああ、まかせろ…」

 

俺はハザードトリガーのセキュリティクリアカバーを外すとBLDハザードスイッチを押す。

 

『Hazard ON!』

 

そして、俺はビルドドライバー上部にあるBLDライドポートにハザードトリガーを刺すとボトルを活性化させてツインフルボトルスロットに刺す。

 

『Rabbit!』『Tank!』

『Super best match!』

『ドンテンカン!ドーンテンカン!…』

 

スーパーベストマッチの音声の後にいつもと違う待機音声が鳴ると、俺はボルテックレバーを回した。

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!…』

 

何かを建造するような音声と共に俺の前後にいつものスナップライドビルダーとは違う、真っ黒な金型状ハザードライドビルダーが形成される。

 

Are you ready?(覚悟はいいか?)

 

「…ビルドアップ…」

 

俺はハザードライドビルダーにプレスされる。金型が開かれるとそこには…

 

『Uncontrol switch!Black hazard!』

『ヤベーイ!』

 

全身真っ黒で他の色は複眼部分のラビットの赤とタンクの青のみの仮面ライダービルド、ラビットタンクハザードフォームに変身していた。

 

「勝利の法則は…決まった…」

 

俺はそう言って異相体に殴りかかる。俺の今のハザードレベルならすぐには暴走状態にはならない。だから一気に決める!

俺のパンチやキックの一発一発で外装が剥がれて中の異相体本体にダメージが通る。

 

「これで…終わりだ!」

 

再びボルテックレバーを回す。

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!…』

『Ready go!』

『ハザードアタック!』

 

俺は右足に紫のオーラを纏ったライダーキックを異相体に放つ。ライダーキックが当たると異相体が吹き飛び、本体のジュエルシードが露になる。

 

「今だ!」

 

俺はそう言って2人に封印を促す。

 

 

 

 

 

 

戦兎の合図と同時にバルディッシュを構える。

 

「ジュエルシード、シリアルVII…」

「封印!!」

 

白い女の子と一緒に封印する。

同時に封印したからかジュエルシードがその場に留まる。これからこの子とジュエルシードを賭けて戦わないといけないけど今は…

 

「戦兎、やったよ!!」

 

私はそう言って戦兎に近づこうとしたら、もう一人の仮面ライダー、戦兎の仲間の万丈がそれを手で制して来た。

 

「…今のアイツに近づくな…」

 

そう言われてまた戦兎の方を見ると。戦兎は静かにその場でただ立っていた。

なんだろう?いつもの戦兎じゃない…というより、今のビルドからは戦兎を感じない…なんだかとても…怖い…。

 

『MAX Hazard ON!』

 

ビルドがドライバーに着けた装置のスイッチを押してまたレバーを回し始めた。それと同時に万丈は戦兎に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!…』

『Ready go!』

『Over Flow…』

 

戦兎の奴が暴走して身体中から紫のオーラを吹き出したオーバーフロー状態になる。

 

『ヤベーイ!』

 

俺はそんな戦兎に…ビルドに殴りかかるけど俺の拳をあっさり掴んでビルドは俺の腹を殴りつける。

 

「ぐふぅっ!」

 

俺の体はくの字に曲がってそこをさらにビルドは殴り続ける。俺も負けずに殴り返すけど全部受け止められる。

 

「戦兎!?どうしたんだい!!そいつはアンタの仲間じゃ…」

「何言っても無駄だ!!今のこいつは自我がねぇ、暴走してんだ!!うわぁ!?」

「暴…走?」

 

俺が犬の使い魔にそう言ってるところをビルドは俺を殴り飛ばした。そして、ビルドは俺を殴り飛ばした後にフェイトの声に反応してフェイトの方を向くとゆっくりと歩いてく。

 

「お願い…やめて…」

 

ビルドは構わずフェイトに近づく。まずい!!このままだとアイツが!!俺は立ち上がるとビルドに殴りかかる。

 

「お前の相手は俺だ!!」

 

ビルドは俺の攻撃を避けるとまた俺に標的を移した。そして俺はビルドとの殴り合いを続ける。そして、殴り合いながら隙があればハザードトリガーを外そうとした。けれど、ハザードトリガーに伸ばした腕を捕まれてそのまま投げ飛ばされる。

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!…』

 

ビルドは投げ飛ばした俺を見るとレバーを回し始めるから俺も立ち上がってレバーを回す。

 

『『Ready go!』』

『ハザードフィニッシュ!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

 

そんで俺とビルドは互いにライダーキックを打ち合う。

 

「ぐわぁ!!」

 

俺のライダーキックはビルドのライダーキックに打ち負けて、俺は変身を強制解除されながら吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

「龍我さん!!」

 

暴走してる戦兎さんは龍我さんを吹き飛ばすと一番近くにいたフェイトちゃんに振り返って歩き出しました。

 

「フェイトちゃん!!」

 

私は飛んでフェイトちゃんの前に庇うように立ちました。

 

「止まってください、戦兎さん!」

『Divine Shooter』

 

私は戦兎さんに向かってディバインシューターを何度も撃ちます。けれど、それを戦兎さんは手で弾きます。

 

「そんな!?」

 

私は何度も打ち続けるけど戦兎さんは止まりません。そんなとき…

 

「はあ!」

 

フェイトちゃんの使い魔さん…確かアルフさんだったかな?…が、戦兎さんに殴りかかりました。

 

「戦兎、しっかりしな!!」

 

そう言って戦兎さんに掴みかかるけど、そんなアルフさんを戦兎さんは容赦なく殴り飛ばします。そしてまたこっちに歩いて来るけど、今度は緑色の魔力の鎖が戦兎さんの手足を縛ります。

 

「なのは!!今のうちに逃げて。」

 

ユーノ君が戦兎さんにチェーンバインドをかけてそう言って来るけど…

 

「ダメ!このままだと戦兎さんが暴走したままだよ!!」

 

私がユーノ君にそう言ってるうちに戦兎さんはそのバインドを引きちぎって私の目の前に向かって来ます。

 

「なのは!!」

「止まってぇぇ、戦兎ぉぉっ!!」

 

ユーノ君とフェイトちゃんの声が叫んでる間も戦兎さんはその手を振りかぶります。そのとき、何かが戦兎さんに飛んで来て当たりました。それは、龍我さんの武器ビートクローザーでした。それが飛んできた方を見ると生身の龍我さんがたってました。

 

 

 

 

 

 

俺が少し気を失ってる間に不味いことになってた。犬の使い魔は吹っ飛ばされてて、ビルドはなのはに殴り掛かろうとしてたからすぐにビートクローザーを投げた。ビルドはまた俺に狙いを変えた。

 

「戦兎、約束通り絶対止めてやる…」

 

俺はドラゴンボトルを振る、そしたらボトルの色が紺色から銀色に変わる。俺はそいつをドラゴンに刺した。

 

『Wake Up!』

『Cross-Z Dragon!』

 

俺はそのドラゴンをドライバーに入れてレバーを回す。

 

『Are you ready?』

 

「…変身…」

 

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

そして、俺はいつもと違う銀色のクローズに変身した。




次回予告

「今の俺は…負ける気がしねえ!!」

銀色のクローズ!?

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。」

動きだす管理局

「私達に力を貸して頂けないでしょうか?」

第9話 ガーディアンが動きだす

「条件がある…」


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第9話 ガーディアンが動きだす

第9話
龍「プロテインの貴公子、万丈龍我は誘拐犯からすずか達を助けてからジュエルシードを探しに廃工場に向かった。そこにはとっくになのはとフェイト、戦兎達が来ていた。そこになんかいろいろ機械を取り込んだジュエルシードの異相体…だっけ?が出てきたから戦うんだけどツエーのなんの…」
な「なんで今回、龍我さんがあらすじ紹介を?」
龍「ほら、戦兎の奴ハザードトリガー使って今暴走してるだろ?それで今回来れないから代理でな。…そんでその戦兎を止めるために俺は銀色のドラゴンのボトルで銀色のクローズに変身したんだよ。」
な「一体これからどうなるのでしょうか?それでは第9話、始まります!」


俺は銀色になったボトルを使って銀色のクローズに変身した。

 

「ぐっ…うっ…ああっ!?」

 

その瞬間、身体中に激痛が走る。

強制解除から間を置かずに変身した負荷だ、けれど!!

 

「ぐっ…うう…はあぁっ!!」

 

んなもん気合いではね除けて俺は暴走したビルドに向かう。

 

「うおりぁぁっ!!」

 

そして何度も殴り合う。さっきまでは苦戦してたけど、この銀色のクローズになってからは互角だった。いや、それどころか少しずつ押し始めてる。

そりゃそうか。ビルドは…桐生戦兎は、誰かの為に必死で戦うからつえーんだ。今のハザードトリガーで自我のないこいつじゃ俺に敵うわけねえ。

 

「兵器のビルドじゃ…ヒーローのビルドは越えらんねえんだよ!!」

 

俺はビルドを思いっきり殴り飛ばす。そしてドライバーのレバーを回す。

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!…』

 

ビルドの方もレバーを回し始める。

 

『『Ready go!』』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

『ハザードフィニッシュ!』

 

俺は銀色の炎のドラゴンを右手に取り込んで、アイツは紫のオーラを右手に纏わせる。

 

「今の俺は…負ける気がしねえ!!」

 

俺達は互いにその手でパンチを繰り出す。

そして互いにのけ反り、俺は立ったまま、アイツは後ろに倒れて変身が解除される。

 

「はあ…はあ…万丈?」

「おう。約束通り、止めてやったぞ。」

「そうか…ありがとな。」

 

俺は戦兎に手を貸して立たせてやる。

そんなとき…

 

「そこまでだ!!」

 

なんか黒い格好をした背の小さいガキがんなことを言って割り込んで来た。

 

 

 

 

 

 

龍我さんが戦兎さんを止めたそのとき、黒い格好をした男の子がやって来ました。

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか?」

「管理局だって!?」

 

男の子…クロノ君はそう言って私達にデバイスを向けて来ました。そんなとき、クロノ君に向かって魔力弾が飛んできました。クロノ君はシールドで防いだみたいだけど…

 

「フェイト!戦兎!撤退するよ。」

 

そう言ってアルフさんがフェイトちゃんと同じ魔力弾を撃ちます。それをクロノ君がシールドで防いでる間にフェイトちゃんがジュエルシードを回収しようとします。

 

「させるか!」

 

そう言ってクロノ君はフェイトちゃん達に魔力弾を撃ちます。

 

『Rabbit!』『Souziki!』

『Are you ready?』

 

そんなビルドドライバーの音声が聞こえた後にクロノ君が撃った魔力弾がどこかに引寄せられていきます。引寄せられていく先を見るとビルドに変身した戦兎さんが左手の掃除機で魔力弾を吸い込んでました。

 

「フェイト…アルフ…お前達は逃げろ。」

「そんな、戦兎!?」

「いいから…行ってくれ。」

 

戦兎さんにそう言われてフェイトちゃん達はジュエルシードを持って逃げようとします。

 

「逃がすか!」

 

クロノ君がフェイトちゃんに魔力弾を撃とうとしたら今度は…

 

「おい!いきなり出てきて何やってんだよ!!」

 

龍我さんがクロノ君のデバイスを持つ手を掴みました。その間にフェイトちゃん達は逃げました。

残された私達は今、すごく嫌悪でまさに一触即発です。

 

「ちょっと待ってもらえないかしら?」

 

そんなとき、女の人の映像が私達の前に現れました。

 

「少し、お話を聞いてもらいたいのだけど…武装を解除してくれないかしら?」

 

女の人がそういうと戦兎は少し考えてから変身を解除して、龍我さんもクロノ君の手を離します。そんな2人を見て、私もレイジングハートを宝石の状態に戻します。

 

「ありがとう。とりあえずはクロノ、お疲れ様。」

「すみません、艦長。もう一人の魔導師とその使い魔は取り逃してしまいました。」

「まあ、大丈夫よ。それで、そこの人達に話を聞きたいからアースラまで案内してもらえないかしら?」

「わかりました。すぐに戻ります。」

 

クロノ君がそう言うと映像は消えてしまいました。

 

「話は聞いていたね?悪いけど来てもらうよ。そこの君達もだ、いいね!」

 

クロノ君は私達に…特に龍我さんと戦兎さんに強い口調で言って私達は転移されました。

 

 

 

 

 

 

俺達は気が付くとどこか機械的な場所に来ていた。話の流れでここがアースラという船の中なのだろう。クロノと呼ばれた少年も、あの女の人を艦長って呼んでたし。

 

「おい戦兎、どこだよここ?こいつらは何なんだ?なんか出てくるなり偉そうだしよ。」

「時空管理局って言う言うなれば警察のような組織だよ。そんでここはどうやら管理局が保有する船の中だな。」

「そんな奴等がなんで出てくるんだよ?」

「それはこれから説明されるから今はいいだろ。」

 

俺は万丈にそう言ってクロノについていく。

 

「あ、君。バリアジャケットは解除して構わないよ。」

「あ、はい。」

 

なのはは言われた通りバリアジャケットを解除して制服姿になる。

 

「それと君もだ。そっちが本来の姿じゃないんだろ?」

「あ、そうでした。ずっとこの姿だから忘れてました。」

 

そう言ってユーノの姿が光る。

な、なんだ?

光が収まるとそこにはなのはやフェイトと同じ位の男の子がいた。

 

「ふう。なのはにこの姿を見せるのは久しぶりになるかな?」

 

男の子の姿になったユーノがなのはにそう話し掛ける。けど、なんか様子がおかしいな?

 

「ユ、ユーノ君って…ユーノ君って、普通の男の子だったの!?」

「お前フェレットじゃなかったのか!?」

「あ、あれ?」

 

なのはと万丈がユーノのことを指差しながらそう言った。

 

「君達の間で何か見解の違いでも?」

「え、えっと?龍我さんはともかくなのは、僕達が最初に会った時って僕この姿で…」

「違うよ!最初からフェレットだったよ!!」

「あれ?……あ!そうだったね、この姿見せてなかったよ。」

「やっぱりそうだよね。」

「つかお前温泉の時なのは達と女湯行かなかったか?」

 

万丈が空気を読まずにそんなことを言いだした。ほら見ろ、なのはの奴顔真っ赤にして口をパクパクしだした。

 

「い、いや違うんだなのは!僕はあの時なのははちゃんと僕の事知ってると思って男湯の方がって言ったら聞いてもらえなかったから入っただけで別にやましい気持ちは…そ、それにずっと目を閉じて何も見てないから!」

 

なんかだんだん見苦しくなってきたな。

 

「君達の事情は知らないが、艦長を待たせてるんだ。早く話を聞かせてもらえないか?」

「あ、すみません。」

「ごめんなさい…」

 

クロノにそう言われてなのは達は謝る。あ、そうだ…

 

「ちょっといいか?クロノ執務官。」

「…なんだ?」

「いや、すぐ済むから…」

 

俺が話し掛けるとクロノが睨みつけてくる。なんか嫌われたな。まあ無理ないがな、早く済ませよう。

 

「おい万丈。」

「あ?何だよ戦兎?」

「いや、あの艦長さんに会う前に言っとくけど…ズボンのチャック全開だぞ?」

「…うわ!マジか!?いつから?」

「あの廃工場にやって来た時から。」

「なんで言ってくれねえんだよ!!」

「どのタイミングで言えっていうんだよ。自分で気付けバカ!」

「バカってなんだよ?せめて筋肉つけろよ!!」

 

そう言いながら万丈が掴みかかる。

 

「いい加減にしてくれないか!!艦長を待たせてると言っただろ!!」

「…すみません。」

「…悪い。」

 

怒られちまった…。

 

 

 

 

 

「艦長、クロノです。遅くなりました。」

 

そう言いながらクロノが入った部屋を見ると。この機械的の船内には不釣り合いな内装だった。

畳に茶器があって部屋の端には桜や鹿威しまである。

ユーノはともかく、日本出身の俺達はその部屋の様子に唖然としてた。

 

「お疲れ様。さあさあどうぞみなさん、楽にして。」

 

俺達はなし崩しに部屋に通されてお茶とお茶菓子を出される。

 

「まずは自己紹介ね、私はこの時空渡航船アースラの艦長で管理局で提督をしているリンディ・ハラオウンよ。ここにいるクロノの母親でもあるわ。」

「あ、えっと。高町なのはです。」

「ユーノ・スクライアです。」

「俺は天っ才物理学者の桐生戦兎です。」

「万丈龍我だ。」

 

俺達が自己紹介を終えるとすぐに本題に入る。

 

 

 

 

 

「なるほど。あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのはアナタだったのね。」

「はい…だから僕が回収しようと…」

「立派だわ。」

「だが、同時に無謀でもある。」

「あ?何だよ。こいつは被害が出ないようにやったんだろうが。それを後から出てきてグチグチと…」

 

万丈の奴が突っ掛かっていった。まあ、確かに…。

 

「俺もこのバカと同じ意見だな。」

「バカってなんだよ!」

「いいから黙ってろ。アナタ達はジュエルシードが地球に来た時点ではその事実を把握してなかった。更に言えばここは管理外世界だからアナタ達はこの世界に関与するのに何らかの手続きが必要だった筈だ。その間あのジュエルシードを放置してたら、たくさんの被害者が出てた筈だ。こいつの行動は誉められこそすれ、アナタ達にそれを咎める権利はない。」

「そうね、戦兎さんの言う通りだわ。」

 

リンディさんは素直に認める。

 

「あの、ロストロギアって何ですか?」

「そんだよ、何なんだよ?」

 

なのはと万丈が聞く。

 

「えっと、遺失世界の遺産っと言ってもわからないわよね。この次元空間の中には幾つもの世界があるの。それぞれに生まれて育っていくその中にはごく稀に進化しすぎるものがあるの、技術や科学、進化しすぎたそれらは、自分達の世界を滅ぼしてしまう。その滅んだ世界の危険な技術の遺産。」

「それらを総称してロストロギアという。使い方は不明だが、その使い方次第で世界どころか次元空間をも滅ぼしうる危険な技術。」

「然るべき手続きをして、然るべき場所で保管しなければならない危険な品物。」

 

この話を聞いて、俺はエボルトの言葉を思い出す。

 

「お前だって解ってる筈だ、科学の行き着く先は破滅だということを。科学が進歩すれば、それだけ人間は退化し、環境は破壊され、世界は滅びる!」

 

俺はそんな言葉を振り払う様に…

 

「…きっと滅んだ世界は、自分達の技術を正しく使えなかったんだ。科学は本来、平和利用の為に、明るい未来を創る為に有るんだから。」

 

そう口に出していた。

 

「ちょっといいか?」

 

そんなとき万丈が口を開く。

 

「何かしら?」

「いやな…さっきから、何言ってんのか全然わかんねえんだけど?」

 

このバカは…

 

「君は話をちゃんと聞いてたのか!」

「聞いててもさっぱりわかんねえんだよ!!」

 

クロノが万丈に突っ掛かる。リンディさんも困り顔だ。今のは子供でもわかるように結構噛み砕いて説明したんだろう。それがわからないとなるとお手上げなんだろうな。

 

「いいか万丈?お前にもわかるように言うとだな、ロストロギアっていうのは俺達の世界のパンドラボックスみたい物の事だ。」

「ああ、なるほど。わかった。」

 

万丈が理解したところで俺はリンディさんに続きを促す。

 

「えっと、コホン…アナタ達が探してるロストロギア、ジュエルシードは次元干渉型のエネルギー結晶体。幾つか数を揃えて特定の方法で使用すれば、空間内に次元震を起こし、最悪次元断層も起こしかねない危険物。」

「君とあの黒衣の魔導師の衝突で起こった震動と爆発、あれが次元震だ。たった一つのジュエルシードの全威力の何万分の1の発動でもあれだけの影響、複数個集まった時の被害は…考えたくないね。」

 

リンディさんは一息つくと抹茶に角砂糖を2個入れて飲む。って角砂糖!?抹茶に角砂糖ってこの人…

 

「さて、次はアナタ達2人の話を聞かせてくれないかしら?」

「話って何を?」

「全てだ。」

「わかった。」

「言っとくが万丈、生い立ちから話せってことじゃないからな?」

「じゃあ何話せってんだよ?」

「君達のあの装甲の事だ!それとそっちの君はあの黒衣の魔導師と行動を共にしてた。その事についても説明しろ!!」

 

クロノの奴イライラしてるな。しょうがないな、こいつがバカだから。

 

「私達が知る限りアナタ達の地球ではあんな物を創る技術はない筈よね?あれをどこで手にいれたのかしら?」

「あれは、ライダーシステムは俺が元の世界で作った物だ。」

 

俺はリンディさんにそう言った。

 

「ん?なんだよ戦兎、元の世界って?」

「はあ?お前、自分の置かれた状況に気付いてなかったのか?」

「ああ、俺達が過去にタイムスリップした事か?」

「…俺達が経験したのはタイムスリップじゃない。平行世界への移動だ。現に氷室首相とゲンさん、それに父さんやマスターなんかもこの世界には存在してなかった。」

「マジか!?」

「つまり、アナタ達は次元漂流者ってことかしら?」

 

リンディさんが確認するように聞いてくる。

 

「ああ、俺達はジュエルシードの力でこの世界に来てそれぞれ俺はフェイト、万丈はなのはに最初に出会ってジュエルシードの事を知って、元の世界で使ってたライダーシステムを使ってジュエルシード集めを手伝っていた。」

「そう…あの黒衣の魔導師、フェイトさんは何でジュエルシードを集めてるのかしら?」

「母親が必要としてるらしい。ただ、その母親が何でジュエルシードを必要としてるのかは…知らない。」

「そうですか。」

 

リンディさんがまた抹茶に口をつける。

 

「これよりロストロギア、ジュエルシードについては、我々時空管理局が全権を持ちます。」

「君達は今回の事は忘れて元の世界で本来の生活に戻るといい。それと、そっちの2人は次元漂流者として保護させてもらう。」

「けれど…」

「次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない。」

 

クロノがなのはに強い口調で言う。そうだよな、これが本来の形だよな。

 

「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないだろうし、今夜ゆっくり考えて、改めてお話しましょう?」

 

ん?

 

「あ?何でまた話すんだ?介入したらダメなら何も話す事はないじゃねえか?」

 

万丈も気づいたか…

 

「リンディさん、そんなずるい言い方はやめないか?」

「…どういう意味かしら?」

「簡単な事だ。次元世界を管理する組織。けれど、無数に存在する世界を管理するなんて普通に考えて手が足りない。今回の事件だって、場所が管理外世界だから最小限の人手しかないだろ?そんな時に現れた現地の才能有る人材。是非とも協力してほしいよな?だからこの人はずるい言い方をしてなのはの方から協力させてほしいって言わせたいのさ。」

「何で言わせる必要あんだよ?手を貸して欲しいならそういえばいいじゃないか。」

「組織の面子が立たないからだ。時空管理局の方から頭を下げて頼めば、俺達個人と時空管理局という組織が対等の立場だということを認めることになるからな。」

「なんかメンドクセーな。」

 

同感だな。

 

「何を言ってるんだ君達は!さっきも言ったが、民間人の介入できる問題じゃない。時間を与えるのはただ単に心の整理をつけて僕達に納得して引き継いで欲しいからだ。」

「ならこのまま帰っていいんだな?帰って、明日の話し合いにもでないで?」

「ああ、構わない。本来の生活に…」

「待ちなさい、クロノ。」

「艦長?」

 

リンディさんはクロノの言葉を遮ると頭を下げた。

 

「全て仰る通りです。私はなのはさん達の善意を利用しようとしました。」

「艦長!?」

「その上でこういうのはなんですが、それでも私達だけでは今回の事件を解決出来ないかもしれません。だからどうか、私達に力を貸して頂けないでしょうか?」

 

面子と事件の終息を天秤にかけてリンディさんは迷わず事件の終息をとって俺達に頭を下げる。

 

「私は、もうジュエルシードが誰かを傷つけるのは嫌だから…だから、喜んで協力します!!」

「僕もです!」

「俺達もだ…だろ?戦兎。」

 

万丈が俺に確認してくる。勿論協力はする積もりだ。だけど、どうしても釘を指さなければいけないことが有る。

 

「条件がある…」

「なんでしょうか?」

「俺達の使うライダーシステムについての詮索、そしてライダーシステムの事を上に一切報告しないことだ。」

「何故でしょうか?」

「かつて俺達の世界では、ライダーシステムは戦争の兵器として軍事利用された。その結果多くの人間が傷付き、死んでいった。…もうあんな悲劇を起こしたくない。今や仮面ライダーは俺と万丈だけだ。仮面ライダーについて知る人間もな…俺達がこの情報を漏らさなければ、再びライダーシステムが開発され、利用される事はない。」

「何を言うんだ!僕達時空管理局は質量兵器の使用、開発は法律で禁じている。そんな僕達がそんな事をするわけが…」

「わかりました。その条件を呑みましょう。」

「母さん!?」

 

クロノは思わず素になってしまうほど驚いていた。

 

「いい、クロノ?時空管理局も一枚岩ではないの。たった今私がなのはさん達の善意を利用しようとしたように、汚ない人間もいるのよ。覚えておきなさい。」

 

リンディさんにそう言われてクロノ黙る。

 

「それじゃあなのはさんとユーノ君は元の世界へ戦兎さんと万丈さんは私達の方で身柄を保護させてもらいます。明日改めて今後の捜査方針を話ましょう。クロノ、なのはさん達を送ってあげて。」

「…はい、艦長。」

 

クロノはそう言って立ち上がる。

 

「なのは、士郎さん達にはうまく言っといてくれな?」

「あ、はい。わかりました。」

 

そう言うとなのは達はクロノに連れられて帰っていった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、なんか今日はいろいろな事があったな?」

「そうだな…」

 

俺達はその後、当面の生活スペースとしてアースラの1室に通された。

 

「よし、出来た。」

「おっ!早いな!」

「もう出来てるシステムを組み込むだけだからな…」

 

俺は万丈のドライバーに非殺傷設定のシステムを組み込んだ。

 

「さて…次は…」

「まだなんかあんのかよ?」

 

俺はビルドフォンを操作してマシンビルダーのヘルメットを電子化して収納してる要領で収納してた装置を取り出す。その装置は電子レンジに色んなコードが伸びていてその先にはゴーグル付きのヘルメットがついてる。

 

「なんだよこれ?」

「こいつは簡易版の浄化装置だ。」

「浄化装置?」

「ああ、こいつでこれを浄化する。」

 

そう言って俺は1本のボトルを取り出す。

 

「…何だよこのボトルは?」

「前にジュエルシードが暴走したときに放出した残留魔力が以前パンドラボックスの残留成分を入れてたボトルに入って、中で成分化した物だ…こいつを浄化してみようと思ってな。」

「あのな、いくら浄化装置を作っても肝心の美空がいないと浄化出来ないだろ?」

「そっ!だから、美空の代わりにお前が浄化するんだよ。」

「は?」

 

万丈が意味わかんないと言いたげな顔になる。

 

「美空の浄化能力はそのバングルに込められた魂、ベルナージュによる物だった。俺は前にお前の中のエボルトの遺伝子を中和して抑制するためにそのベルナージュの能力をお前に移した。だから今、ベルナージュの能力はお前がもってんだよ。」

 

俺はそう言って万丈にヘルメットを渡す。

 

「つまりだ、お前なら美空の代わりに浄化が出来るかもしれないって訳だ。わかったらこのヘルメットを被って浄化しろ。」

「わかった、わかった。まったく…」

 

万丈はそう言ってヘルメットを被る。

 

「美空から聞いたけど、浄化にはベルナージュの意思が見せる火星の文明が滅びる瞬間の映像を見てこうなってほしくないって念じると出来るらしい。」

「ふーん…けどよ、俺の中には力はあってもベルナージュの意思はねえぞ?火星の風景なんて見えんのか?」

「そこは火星を滅ぼした張本人のエボルトの遺伝子から引っ張り出してくれ。」

「マジかよ…」

「それじゃ…実験を始めようか。」

 

俺は浄化装置の中にボトルを入れて装置を起動させた。

 

 

 

しばらくして電子レンジの中で小さな爆発が起こる。

 

「出来た!!」

 

俺は装置の中からボトルを取り出す。ちゃんと浄化出来てる。

 

「サイッコーだな!」

「あー、シンドー。美空の奴こんなシンドイ事をやってたのかよ。もうダメだ、寝るわ。」

 

万丈はそう言ってベットに倒れ込む。

それを確認したら俺は出来上がったボトルを詳しく見る。色はワインレッドで表面には魔法陣にトンガリ帽子、そしてローブのレリーフが入ってる。見た目は東都のフルボトルに近い。

 

「これは…魔法使い?」

 

俺は念のためにドライバーにボトルを刺してみる。

 

『Mahoutukai!』

 

やっぱり魔法使いフルボトルだ。

 

「これとあうボトルは何だ?さすがにベストマッチは存在しないよな?パンドラボックス由来じゃない61…いや、エグゼイドのボトルを入れたら63本目か…だからな。」

 

さてと、

 

「魔法…封印って感じでロックボトルか?それとも不思議な物繋がりでUFO?神秘的な物だったら…ピラミッドも有りだな…どんな組み合わせがいいかな!!」

「あーもう!うるせえ!!こっちは眠てぇんだから静かにしろ!!」

 

万丈はそう言ってベットから起き上がると一本のボトルを持ってドライバーに刺す。

 

『Diamond!』

『Best match!』

 

「ベストマッチ?」

「これでいいだろ?もういいから静かに寝かせろ…」

 

万丈はそう言ってベットに戻る。

どういう事だ?ダイヤモンドとベストマッチなのはゴリラだろ?それになんでパンドラボックス由来じゃないフルボトルがパンドラボックス由来のボトルとベストマッチになるんだ?むしろ由来じゃないからベストマッチになれたのか?いや、それよりこのフォームは一体どんな技が使えるんだ?早く試したいな。万丈叩き起こして模擬戦するか?いやさすがにぶちギレるか…でも試したいし…

俺は結局この日は興奮して一睡もできずに朝を迎えるのだった。




次回予告

「観測領域内の海上にて強大な魔力反応を感知!」

海上の決戦!

「私、フェイトちゃんの事をどうしたいのか自分でもどうしてあげたらいいのかわからなくて…」

なのはの迷い

「アイツがどうなってもいいってか?ふざけんなよ!!」

第10話 伝えるべきワード

「友達に…なりたいんだ。」


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第10話 伝えるべきワード

戦「天っ才物理学者の桐生戦兎はフェイト達とジュエルシードの回収をしていたけど、そこに時空管理局の執務官クロノ・ハラオウンが介入。フェイト達を逃がしてなのは達と一緒に管理局の船アースラにて艦長のリンディ・ハラオウンと会談する。管理局と協力関係を結んだ俺は万丈の中のベルナージュの力でジュエルシードの魔力を取り込んだボトルを浄化して魔法使いボトルを作るのでした。さあ、どうなる第10話!」


「また派手にやってるね…」

 

アタシは次元転移に使ってるビルの屋上から望遠鏡でアタシ達のマンションの部屋を捜索する管理局を見て呟く。その後、アタシはビルの一階に降りて近くの消化栓の戸を開ける。そこには本来あるはずのホースとかが無くて、代わりに下に続く階段がある。

アタシはその階段を降りてそこに置いてあるベットに横になるフェイトに話し掛ける。

 

「今、管理局の連中がアタシ達の部屋を調べてるよ。」

「そっか…」

 

フェイトはただそれだけ言う。

この隠し部屋は戦兎が用意してた物だ。戦兎は合間を縫ってこの部屋を作ってたらしい。あの管理局の執務官からアタシ達を逃がす時に戦兎はアタシにこっそりとメモを渡してきた。アタシはそのメモを読み返す。

 

「もしも、管理局が出てきて俺が彼らと行動を共にする場合、あのマンションの部屋の事を話す事になる。だから、俺が管理局に行ったらすぐに部屋の荷物を纏めて初めて会ったビルに行け。そこにはいざって時のために隠し部屋を作ってる。そこに拠点を移せ。隠し部屋の場所は…」

 

アタシ達は戦兎のこのメモにしたがってこの部屋を探し出した。

 

「戦兎の言うとおりになったね…」

「フェイト…もうやめようよ。管理局が出てきたらもうどうにもならないよ!!あの鬼婆もフェイトに酷い事ばかりするし…戦兎だってもう捕まっちゃったし…」

「アルフ、母さんの事を悪く言うのはやめて…」

 

フェイトはアタシにそう言ってくるけど…アタシは…

 

「言うよ!初めて会ったときから、フェイトはアタシにとって一番大切なご主人様なんだ。それなのに…」

「それでも、私は母さんの娘だから…それに、戦兎の方も大丈夫。戦兎は次元漂流者だから、管理局も悪いようにはしないよ…それに、戦兎の仲間も一緒だし。…心配かけてごめんね、アルフ。」

 

フェイトはアタシの頭を撫でながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

俺達は管理局と一緒にジュエルシードの回収を行っていた。

今はジュエルシードの発動で巨大化した鳥と戦闘中だ。

 

「さあ、実験を始めようか!」

 

俺は万丈に浄化させた魔法使いボトルとダイヤモンドボトルを振ってドライバーに刺す。

 

『Mahoutukai!』『Diamond!』

『Best match!』

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『ウィザード!』

『Please』

『ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー』

 

いつもと違う音声と共に俺はビルドとは全く違う仮面ライダーに変身した。

 

「これは…?エグゼイドのボトルと同じような物か?…まあいい、いくぞ!」

 

俺はこの姿の武装の銀色の銃とドリルクラッシャーを両手にそれぞれ持つと巨大な鳥に向かって行った。空へと飛び上がる鳥に向かって銀の銃を撃つ。鳥はその弾丸を避けようとするが、その弾丸は俺の思い描いたとおりに飛んで鳥に当たる。

 

「おお!結構使えるなこれ!」

 

俺は今度はドリルクラッシャーとガンモードの2丁拳銃で鳥を撃つ。その銀の銃の弾丸で鳥を追い込んでドリルクラッシャーの弾丸を当てていく。けど、

 

「あー、やっぱり図体がデカイ分タフだな。これじゃ埒があかない。だったら、今度はこの技を試してみるか。」

 

俺はドライバーから魔法使いボトルを抜くとドリルクラッシャーをブレードモードにしてフルボトルスロットに魔法使いボトルを刺す。

 

『Mahoutukai!』

『Ready go!』

『ボルテックブレイク!』

 

ドリルクラッシャーが回転しながら炎を纏う。それを銀の銃で鳥を追い込んだところを前に突きだすと螺旋状の炎が鳥目掛けて飛んで行き。直撃する。鳥は一瞬体制を崩したがすぐに立て直し、空高くに逃げようとして翼を広げる。

そこを緑色と青色の鎖とピンク色の輪が鳥を押さえ込む。

 

「悪い!遅くなった!」

「今のうちです戦兎さん。」

「お願いします。」

 

遅れて来た万丈とユーノとなのはがそれぞれロックボトルのミリオンスラッシュとバインドで鳥を拘束する。

 

「お前ら、最高のお膳立てだな!よし、トドメはこの正義のヒーローに任せろ!!」

 

俺はドライバーのレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

俺は右足に炎を纏わせてライダーキックを放つ。途中で魔法陣が現れてそれを通過すると炎の火力は更に上がり、そのキックが鳥に当たると鳥は元の大きさに戻り、その体内からジュエルシードが出てきた。

 

「ジュエルシード、シリアルVIII。封印!」

 

なのはがジュエルシードを封印して回収する。

こうして俺達は少しずつジュエルシードを回収していった。

そしてそんなある時…

 

「あの…戦兎さん。」

 

なのはが話しかけてきた。

 

「どうした、なのは?」

「いや、その…フェイトちゃんの事なんですけど…あの子、何であんなに寂しそうなのかなって…」

「なんだって?」

 

この子はそんなにフェイトと話が出来てないのに見ただけでフェイトが寂しそうだと気づいたのか?

 

「どうしてそう思ったんだ?」

「えっと…実は私も昔は一人ぼっちな事が多くて、その頃の私に似てたから…それで、ほっておけないんですけど…私、フェイトちゃんの事をどうしたいのか自分でもどうしてあげたらいいのかわからなくて…」

 

そうか…フェイトの寂しさをどうにか出来るのはプレシアしかいないと思ってたけど…同じ孤独を知ってるこの子ならきっと…

 

「そうだな…どうしたらいいかわからないって言ってたけど、なのはがその頃に一番欲しかった言葉をかけてあげたらどうだ?」

「私が一番欲しかった言葉…あっ!…戦兎さん、ありがとうございます。おかげでなにかわかった気がします!」

「気にするな、迷える子羊に道を示すのも正義のヒーローの努めだからな。」

 

俺はそういってその場を後にする。

そのとき…

 

「エマージェンシー、観測領域内の海上にて強大な魔力反応を感知!」

 

艦内にそんなアラートが響いた。

 

 

 

 

 

 

私とアルフは今海の上にいる。残りのジュエルシードは海の中、正確な場所はわからないから魔力流を流して強制発動させる。ここなら発動しても被害は出ないから…

 

「うっ…くぅ…」

 

もっと、もっと魔力を流さないと…母さんの為に!

 

「うっ…はあぁぁぁっ!!」

 

私が海に魔力を全力で流すと6つの水柱が上がる。発動は出来たけどもう魔力が…だけど

 

「母さんの為に…行くよ、バルディッシュ。」

『Yes sir.』

 

これを回収して、母さんのところに戻るんだ!

 

 

 

 

 

 

俺が管制室に駆けつけるとモニターに海上で戦うフェイトの姿が…

 

「フェイトちゃん!」

 

なのはとユーノも駆けつけてモニターのフェイトを見てなのはが叫ぶ。

 

「私、すぐ現場に…」

「その必要は無い。」

「え?」

「このままいけば彼女は自滅する。自滅しなくても封印を行って疲弊したところを捕獲すればいい。捕獲の準備を進めて。」

 

クロノの言う事はわかる、確かにこちら側の被害が少ない最善の方法だ。

けど…

 

「ふざけんじゃねえ!!」

 

今の話が聞こえてたのか、そう叫んで万丈が入ってきてクロノの胸倉を掴む。

 

「自滅させて捕獲だと!?本気で言ってんのか!!」

「落ち着いて下さい、万丈さん。残酷なようだけど我々は常に最善の選択を…」

「最善だあ!?これのどこが最善だ!現にフェイトが傷付いてるだろ!!ジュエルシードが回収出来たらアイツがどうなってもいいってか?ふざけんなよ!!」

 

リンディさんに対して万丈が突っ掛かる。

 

「落ち着け!個人の感情で考えるな!いいか?ここで人を向かわせたら向かった人間もただじゃすまない。あの魔導師とも交戦になるだろう。人を向かわせて負傷者をだすくらいなら彼女だけに封印させれば被害を最小限に抑えれるんだ。個人の感情と事態の迅速な収拾、どっちが大事だと思ってる?」

「決まってんだろ!さっさと事件が解決する事だよ。」

「なら!」

「だから、それじゃあアイツが被害にあってるだろ!!最善ってのは、初めから被害が出ねえことなんだよ!!」

「そんな綺麗事を…」

「それが一番いいもんだから綺麗事なんだろ!!」

 

全くこいつは…俺が言いたくても言えなかったこと全部言いやがって…それにいつだったか俺が言ったのと似たようなことを言ってるな…

 

「それで立弥が死んでもいいっていうのか?ふざけんなよ!!」

 

あんなに自分の事しか考えてなかったアイツも今じゃ本当にヒーローしてやがる。

そうだな、今は戦争をしてる訳じゃないんだ…時には感情的に動いてもいいか。

俺がそう考えてるとなのはが転移ゲートに入りこむ。

 

「なっ!?まて!」

「ごめんなさい。高町なのは、指示を無視して勝手な行動を取ります!!」

「戦兎!お前も行け!!」

 

俺は万丈に頷き返すと同じように転移ゲートに入る。

 

「あの子の結界内へ、転送!!」

 

ユーノがゲートを開き、俺達はアイツのいる海上の上空に転送される。

 

「行くよ、レイジングハート。」

「さあ、実験を始めようか。」

 

俺はドライバーを着けてボトルを、なのははレイジングハートを取り出す。

 

「風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の魂はこの胸に!レイジングハート…」

 

『Taka!』『Gatling!』

『Best match!』

『Are you ready?』

 

「変身!」「セットアップ!」

『Stand by ready,Set Up.』

 

『天空の暴れん坊、ホークガトリング!イェーイ!!』

 

俺達はそれぞれ変身してゆっくりと降りて行く。

 

「フェイトの邪魔をするな!!」

 

アルフがなのはに殴りかかる。

 

「違う!僕達は戦いに来たんじゃない!!」

 

ユーノが駆けつけて魔法陣でそれを受け止める。

そこへジュエルシードの魔力で操作された水流が襲いかかる。

 

「危ない!」

 

俺はすぐに対処しようとするが、それよりも早く巨大な炎がその水流を相殺した。

俺はその方向を見ると見たことがない…けれど魔法使いボトルで俺が変身した仮面ライダーに似ているライダーがいた。頭は俺の変身した物より装飾が派手で、全身のロングコートのような部分は黒から赤に、そして胸と両腕と背中にはそれぞれ赤いドラゴンの頭、爪、翼、そして尾がついていた。だけど…

 

「ば、万丈?」

 

腰のビルドドライバーと装填されたクローズドラゴンが、そのライダーが万丈であることを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「君達は自分が何をしたのかわかってるのか!?」

 

クロノの奴がそう叫んでるけど知ったことじゃねえ。

 

「俺達は何も間違った事はしてねえよ。それに前に俺達に協力してくれって頼んだのはそっちだろ?それって戦兎の奴も言ってたけど俺達とお前達は対等って奴だろ?それなら何しようが勝手だろ!!」

「何を…」

「やめなさい、クロノ。こうなってしまえば仕方ないわ。それに万丈さんの言ってる事も事実、こっちがお願いした以上は彼らの行動を咎める事は出来ないわ。」

「艦長…わかりました。」

 

リンディさんに言われてクロノは引き下がる。

 

「…行きたければ勝手に行け。こうなったら人手が多い方が確実にジュエルシードを止められる。」

 

そういってクロノは俺達に背を向ける。

 

「よし、ユーノ行ってこい!!」

「龍我さんは?」

「俺は今、空飛ぶ事できねえから…」

 

そう言ったところにドラゴンの奴が何か咥えてやって来た。

 

「ドラゴン?…ってそれ俺が浄化したボトル!戦兎が持ってた筈なのにいつの間に…」

 

ドラゴンは咥えたボトルを自分に入れると俺の手の上でドライバーに刺す為の形態になった。

 

「使えってのか?よし、やってみるか…」

 

俺はドライバーを取り出してドラゴンを刺してレバーを回す。

 

『Cross-Z Dragon!』

『Are you ready?』

 

「変身」

 

『スペシャルラッシュ!』

『Please』

『フレイム!ウォーター!ハリケーン!ランド!』

 

変身するとなんか戦兎が変身した奴に似たライダーになった、けどこっちのが強そうだな。それに羽根がある。

 

「これなら俺も行けそうだな。行くぞ、ユーノ!」

「え?あっ、はい!!」

 

そう言って俺達も戦兎達のいる結界の中に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「よっ!待たせたな戦兎。」

「万丈、お前…何、人のボトル勝手に使ってんだよ!しかもサブキャラの癖に俺より強そうだし!!」

「知らねえよ。ドラゴンが持ってたの使ったらこうなったんだよ!」

 

俺は万丈に突っ掛かるけど正直この増援はうれしい。ジュエルシードは6つ、なのはとフェイトのサポートをするにも俺とアルフだと手が足りないと思ってたところだ。

 

「よくクロノが行かせてくれたな?」

「なんかこうなったら人が多い方が確実なんだと。」

「なるほどな…だったら期待に応えますか!」

 

俺はそう言って今度はフェイトの方を向く。

 

「フェイト、前と同じだ!なのはと二人で封印しろ!アルフとユーノは俺達と2人のサポートだ!!」

 

俺はそう言って6つの水柱に向き直る。

 

 

 

 

 

 

戦兎の言葉の後に私の側にあの白い子がやってくる。

 

「フェイトちゃん、2人でジュエルシードを封印しよう。」

『Divide energy.』

 

そう言ってこの子はデバイスを私に向ける。

これは、魔力譲渡?

 

Charging completed.(魔力が完全回復しました)

 

バルディッシュの言うとおり、私の尽きかけてた魔力が回復した。

 

「2人できっちり半分こ!」

『Cannon Mode.』

 

その子はそう言ってデバイスを砲撃形態にしてジュエルシードに向き直る。

 

『Grave Form,set up.』

「バルディッシュ?」

 

バルディッシュが私の意志に関係なくグレイブフォームに移行する。やれってことなの?

 

「ディバインバスター、フルパワー。みんなが隙を作ってくれたら一発で封印。行けるよね?」

Of course,master.(当然です)

 

あの子が砲撃の準備に入る。

どうして敵の私にそこまでするのかはわからないけど、今はジュエルシードを封印しないといけないのは同じだから。

私は魔力を全開にしてバルディッシュをジュエルシードに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

「2人の封印が成功するまでジュエルシードを押さえないと…手伝って!」

 

目の前の子は、あの魔導師の使い魔はそう言うとジュエルシードの水流にバインドをかける。

なんでなんだい?なんでそんなすぐに隣にたてるんだい?おかしいじゃないか。アタシ達はジュエルシードを取り合う敵同士なのに。そんな敵にどうしてそこまで…

 

「もう一人のジュエルシードを集めてる魔導師は悪い奴じゃないって事だ。」

 

アタシは前に戦兎が言ったことを思い出すと気が付いたら一緒になってバインドをかけてた。

 

 

 

 

 

 

 

「万丈、アルフとユーノがバインドでジュエルシードを押さえてるけど、まだ発動の余波が飛んでくる。俺達でその余波を相殺するぞ! 」

 

『ホークガトリンガー!』

 

「任せとけ!」

 

俺はガトリングフルボトルの武装、ホークガトリンガーを取り出すとその弾倉を回す。

 

『Ten.Twenty.Thirty.Forty.Fifty.Sixty.Seventy.Eighty.Ninty.One Hundred.Full Bullet!』

 

全弾丸の発射準備が整うと今度は万丈がドライバーのレバーを回す。俺は万丈の攻撃に合わせられるようにトリガーに指を掛ける。

 

『Ready go!』

 

その音声が聴こえると同時にトリガーを引く。

 

『ドラゴニックフィニッシュ!』

『ボルテックブレイク!』

 

ホークガトリンガーから100発の鷹の形をしたエネルギーの弾丸が発射され、万丈の方は胸のドラゴンの頭から炎を吐き出す。

それらはジュエルシードの発動の余波のエネルギーとぶつかりあって相殺される。

 

「今だ!!」

 

そう言ってなのはとフェイトの方を見ると2人は頷く。

 

「ディバイーン、バスター!!」

「サンダー、レイジー!!」

 

2人の砲撃魔法がジュエルシードに飛んでいきすごい爆発が起こる。

 

爆発が治まると6つのジュエルシードがその場に浮かんでいた。2人の方を見ると互いに向かいあってる。

 

「私、やっとフェイトちゃんに言いたいこと纏まったよ…私はフェイトちゃんともっと話した、もっと互いのことを知りたい。」

 

なのはがフェイトに話しかけてる。

伝えろ、お前の真っ直ぐな気持ちを…

 

「一人ぼっちの時に一番かけてほしい言葉、大丈夫?とかごめんね、とかじゃない。ただ、一緒にいてほしい。私はフェイトちゃんと友達に…なりたいんだ。」

「…っ!」

 

息を飲む声はフェイトか、それともそれを見守ってるアルフか、または両方か。敵だと思ってた相手にそんなことを言われて戸惑ってるようだった。

それが、お前の答えか…なのは。

その場の全員がフェイトの答えを見守る。

そんな時…

 

「ん?な、なんだ?この観測結果は!?」

 

左側の複眼に付いてるウィングフェイスモジュールが妙なデータを拾った。このモジュールは飛行中の高度や姿勢、対気速度を自動速度を自動計測して変身者に伝える観測装置だが、同時に大気の状態を観測してこれからの天気を予測することができる。

それが、この雲が晴れ始めている今、雷の発生を観測してる。けれど空には雷雲は一つもない…まさか!

 

「戦兎?お、おい!どうしたんだよ!?」

 

俺は万丈の言葉を無視してすぐに2人の元に飛ぶ。

その途中でガトリングボトルを入れ換える。

 

『Diamond!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

俺はタカダイアモンドになる。

 

「フェイト!」

 

俺がフェイトとなのはの側に来るのとすぐに頭上に巨大なダイアモンドを形成する。ダイアモンドの形成と同時に空から紫色の雷が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

戦兎さんがいきなり飛んで来たと思ったらその瞬間に大きな雷が落ちて来て、戦兎さんが私達をその雷から守ってます。

なんでこんな事が起きてるのか分かりませんでした。

 

「…母さん…」

 

え?フェイトちゃん、今なんて…

 

「フェイト、なのは。」

 

戦兎が話しかけて来ました。

 

「早く…ジュエルシードを回収しろ。」

 

その言葉を聞いて私達はすぐにジュエルシードの元に行きました。半分この約束だから、私が3つ取って、フェイトちゃんが残りの3つ取ります。フェイトちゃんは一瞬戦兎さんを見ると、そのまま行ってしまいました。フェイトちゃんがいなくなると同時に雷は無くなりました。

 

「フェイトちゃん…お母さんって…どういうことなの?」

 

私はただ、そう呟くだけでした。

 

 

 

 

 

 

アタシはあの海の上から撤退した後すぐに時の庭園に行った。

 

「プレシア!!」

 

乱暴に扉を開けて部屋に入る。

 

「なんであの時攻撃した!」

「いきなり何かしら?あれは私なりの娘への援護よ。おかげで管理局の機能が停止して追跡されることなくあの場を離脱できたでしょ?」

「ごまかすな!あの時の雷はフェイトを狙って撃ってたじゃないか!!戦兎がいなけりゃどうなってたか…」

「……別に、あの時相手の言葉に惑わされて動きが止まってたあの子の目を覚まさせてあげただけよ。あの男ならフェイトを庇うと思っていたしね。」

「ふざけるな!それが…それが親のすることか!!」

 

アタシはプレシアに殴りかかる。

 

「あの子は使い魔を作るのが下手ね…余計な感情が多すぎる。」

 

プレシアは私の拳をシールドで防ぐとそのままアタシに電撃を撃ってきた。

 

「ああぁぁぁっ!!」

 

これがプレシアの電撃かい…フェイトとは桁違いの威力だ。

 

「あの子にはもっと有能な子を与えるわ。だから、あなたは消えなさい。」

 

プレシアの奴は本気だ…ごめんね、フェイト。もう力になれそうに…

 

「私はフェイトちゃんと友達に…なりたいんだ。」

 

そうだ…あの子なら、戦兎も信用しててフェイトに友達になりたいって言ってくれたあの子ならきっと…ひどい事をたくさん言ったから力になってくれるかわからないけど、フェイトの為なら。

アタシは最後の力を振り絞ってその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく君達は勝手な行動ばかり…」

「ごめんなさい。」

 

私達はクロノ君からお説教を受けてました。

 

「まあまあクロノ、落ち着いて。…今回の件は私からは咎めません。けれどよく覚えておいて、一人の勝手な行動が全員を危険に晒す事があるの、指示を聞くのはそういう事が無いようにするためなのよ。分かりましたね?」

「はい…」

「それじゃあ次に本題ね。エイミィ!」

 

リンディさんに呼ばれたエイミィさんはすぐに機械を操作し始めました。

…そういえば今まで空気だったの…

 

「なのはちゃん…今失礼な事考えなかった?」

「い、いえ!考えてません!!」

 

うう、エイミィさん鋭いの…

そして、1人の女の人がモニターに映し出されました。

 

「プレシア・テスタロッサ…かつては大魔導師と言われていたけど、危険な魔力炉の起動実験を強行して事故を起こし、その責任を問われ解雇。その後消息が途絶えてる。」

「テスタロッサって…」

「フェイトさんにジュエルシードの回収を命じてる母親とは彼女の事でしょうね。テスタロッサってそんなにいる姓ではないし。」

「…フェイトちゃん、あの雷を見てお母さんって…お母さんがフェイトちゃんを攻撃したなんて…」

 

そんなの…酷い…

 

「…あの時、アースラの方も攻撃を受けて一時的に機能が停止した。その為彼女達の追跡ができなかった。これ程の次元魔法も主犯が彼女なら納得出来る。」

「これからプレシア・テスタロッサとフェイトさんの行方を捜索します。なのはさん達はその間家に帰ってゆっくりしてらっしゃい。」

「けど…」

「何かわかったら至急連絡する。」

「…分かりました。」

 

こうして、少しの間だけ私達は家に帰ることになりました。




次回予告

「一騎討ち!?」

なのはvsフェイト

「勝つんだ…勝って母さんのところに…帰るんだ!!」

譲れぬ思い

「これが私の全力全開!!」

第11話 最後のデュエル

「本当の自分を始める為に!!」


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