初投稿作品です。
全くの初心者ですのでめちゃくちゃ拙い文だと思いますが、頑張って執筆していきますので、読んでいただけたらと思います。
また、ご意見感想等々もいただけたら幸いです。
いつからだろうか、写真を撮らなくなったのは。
ガキの頃はただ純粋に写真に映る世界が好きで、ただガムシャラに写真を撮っていた。
中学に入ったあたりからは、母親の勧めで写真展に応募するようになった。そこは、写真という自分だけの世界を他人に評価されるという、未知の世界が広がっていた。他人に自分の写真を見られるというのは、なんともくすぐったく、あまり好きにはなれなかった。しかし、子どもだった僕は賞を獲ることに熱中し、相手の目にどう映るか、いや、どんな写真が賞を獲るか、お手本のような写真の撮り方を研究した。そして我に返った時、もうそこに写真への情熱は見当たらなかった。
グラウンドを疾走する、ハードルを越えていく、汗をぬぐう、その姿、、、その姿から目が離せない。
最近、放課後になると決まって教室の窓枠に腰かけ、そして先輩の姿を捉える。指で四角いフレームを作り、片眼を閉じ、先輩の一挙手一投足を逃さぬよう。どこに記録するわけでもなく、ただその姿を追う。その躍動は時間を消し、音を消し、フレームの外の世界を消す。
そこには、僕と先輩しか存在しない儚くも完全な世界が訪れる。
「お前さー、いっつもそれやってるよなー。そんなに写真撮りたいならカメラ出せよ、どうせ今日も持ってきてんだろ?」
学校で僕に話しかけてくる奴など、こいつ、太宰賢治くらいだろう。
苗字名前ともに文豪と同じといういかにも知的な名前だというのに、バリバリのラガーマンである。
家が近いこともあり、幼い頃からの腐れ縁であるが、僕は一向にこいつの考えていることが分からない。部活に勤しみ、リーダーシップがあり、クラスではいつも中心にいる。人の悪口などあいつの口から聞いたこともなく、いつも能天気に笑っている。僕とは正反対の人種の男がなぜ僕に構うのか。そんなことを考えながら、いつも通りに返答する。
「太宰、君は本当に無礼だな。知ってるだろう、これは僕の癖で、別に写真を撮る気はない。それに」
「はいはいはいはい、カメラを持ってきてるのは手入れしないとダメになるからだろ?
聞き飽きたね、別にもう撮らないなら別にいいじゃんかよ、それに手入れなんて家でもできんだろ。結局お前は写真が撮りたいんだよ。おっと、部活に早く戻らねえと、じゃあな、あんまり夏樹先輩ばっか追っかけてんじゃねえぞ、陸上部でもうわさになってっから」
「ちょ、お前、別に俺は、、、」
太宰はその返事を聞くことなく小走りに部活に戻っていった。
一方僕も、太宰に心を見透かされたようでその場に残るのがもどかしく、鼓動を鎮める方法も見つからず、グラウンドを横目に足早に帰路に就いた。
次回へ続く
最後まで読んで下さりありがとうございます。
めっちゃ小説書くのって難しいんですね。
二三日で次の話をあげられたらと思います。
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