Fate/Extra Order (たこたこたこ焼き)
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1話

 一人の男が黄蘗色の海へ沈んでいく。

 それはどこまでも深くどこまでも透明な電子の海。

 男の四肢は分解され無数の泡となり海へ溶けていく。

 

 彼の名は岸波白野。月で行われた百人の魔術師による殺し合い『聖杯戦争』の唯一の勝者だ。

 

 彼はこの結末に異論がない。

 数々の葛藤を飲みこみ数々の苦難の末掴んだ未来。これが実現出来うる最上の結末だと、彼自身感じていた。それに彼は自分を何度も助けてくれた女性の無事を確かめることもできた。敵でありながら戦争中何度も彼を助けてくれた女性。

 彼はたとえ自分があと数秒、あと数コンマで消えるとしても、その事実だけで満足だった。

 

 ゆっくりと、しかし確実に、電子の海は彼の体を溶かしていく。

 

 どこかへ昇る無数の泡を見て、彼はふと思った。

 水泡一つ一つがそれぞれバラバラに消えていくように、自分にもまた違った結末があったのではないかと。

 

 消えゆく彼の些細な疑問。本来であるならそれも泡と供に消えていく。

 しかし、その疑問を聞き逃さないものがいた。

 

 ムーンセルオートマン。聖杯戦争の勝利者のみが接続できる、月の大聖杯。

 白野が居る海はその大聖杯の内側であった。

 

 ムーンセルはどんな願いも聞き逃さない。

 それが例えほんの小さな疑問でも。

 

 

 ◯

 

 

 ぼんやりと微睡から脱出する。頬がむず痒い。

 目を開けるとそばに白い獣がいた。煩わしいので睨みつけても、獣は構わずペロペロと舌で舐めてくる。

 仕方ない、起きよう。

 上体を起こし胡坐をかくと、獣は膝にちょこんと乗った。まだまだ退くつもりはないらしい。よろしい、ではモフモフだ。

 両手で思いっきり獣を撫でる。獣は気持ちよさそうに体をよじらせた。

 

「先輩? どうしてこんなところで眠っていたのですか?」

 

 紫の髪色をした少女が目の前に立っていた。気が付かなかったが、彼女は自分が起きる前からずっとそこに立っていたようだ。

 少女はわざわざしゃがんで目線を合わせ、困ったような顔をする。

 

 周囲は白を基調とした無機質な廊下。とても、人の眠る場所では無い。

 少女が手を差し伸べる。少女の手を取り立ち上がると、膝に居た獣はぴょんと飛び跳ね、器用にも今度は少女の肩へ乗り移った。

 

 ▷ありがとう。名前は?

 

「フォウ! キャーウ!」

「こちらのリスっぽい方はフォウです。フォウさんのお陰で先輩を発見することができました」

 

 違う、そうではない。獣ではなく少女の名前を聞いたのだ。

 無邪気に微笑む少女。ふいに、その笑顔が誰かの姿と重なって見えた。それは紫の長髪をした女性。頭を悩ませても、どうしてか思い出すことができない。

 頭を抱えていると、フォウは何処かへ走り去る。

 

「フォウ! フォーウ!」

 

 ▷……不思議な生き物だね

 

「はい。わたし以外にあまり近寄らないのですが、先輩は気に入られたようです。おめでとうございます。カルデアで二人目のお世話係の誕生です」

 

 少女が嬉しそうに言う。

 頬を舐められただけで世話係になるとはいかがなものか。ここは断固抗議しよう。

 だが、それより彼女が何故自分のことを先輩と呼ぶのかが気になる。少なくとも自分には彼女と話した記憶はないし、先輩と呼ばれるような立場でもない。

 

「ああ、そこにいたのか。だめだぞ、断りなしで移動するのはよくない」

 

 廊下から一人の男が現れる。緑色のスーツに緑色のハット。自分はそこまでお洒落に詳しくないが、その色合いはダサいのでは……?

 

「先客がいたのか。君は……そうか、今日から配属された新人だね。私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ。君の名前は?」

 

 ▷フランシスコ・ザビエル

  岸波白野です

 

 間違いない。自分の名はフランシスコ…ザビ…!

 答えようとしたところで、廊下の端から謎の威圧感を感じる。どうしてか、名を言い切ることができない。どうやら、その名前は違うようだ。

 

 ▷……岸波、白野です

 

 一文字一文字噛みしめながら答える。名前はなんとか思い出せる。だが、自分はどこで生まれてどう育った? どんな事をして何をしようとしている? 何も思い出せない。

 ぞくり、と背に冷たいものが走る。

 必死に思い出そうとしても、思い出せるのは名前や身長体重の個人情報だけ。家族友人、何一つ思い出せない。

 そこで、何故だか少しだけ冷静になれた。焦る心の反面、なんだその程度のことか、と思う自分がいる。以前の自分にもそんな経験があったのだろうか。

 

「ようこそ、カルデアへ。歓迎するよ。わからない事があったら私に遠慮なく……おや? そういえば、彼と何をはなしていたんだい? らしくないじゃないか。以前から面識があったとか?」

「いえ、先輩とは初対面です。ここで熟睡していたので、つい」

「ああ、さては入館時にシミュレートを受けたね? 霊子ダイブは慣れていないと脳にくる。シミュレート後、表層意識が覚醒しないままここまで来たんだろう」

 

 レフが眉間に皺を寄せる。

 

「本当なら医務室まで送ってあげたいところなんだが、すまないね。少し我慢してくれ。じき所長の説明会が始まる。君も急いで出席しないと」

「あの、先輩に途中で熟睡される可能性があるので、わたしも説明会に参加してもよろしいですか?」

「……うん? まあ、そうしたいなら好きにしなさい。岸波君もそれでいいかい?」

 

 ▷お願いします

 

「では決まりだね。他に質問がなければ管制室に向かうけど。今のうちに聞いておくことはある?」

 

 ▷……彼女はどうして自分の事を先輩と呼ぶんですか?

  彼女のスリーサイズを教えてください

  その格好ダサくないですか?

 

 レフに尋ねる。彼女は今しがた『先輩とは初対面』と言っていた筈だ。

 少女はなぜか頬を染めて黙り込む。

 

「そうだね。確かにはっきりと先輩と呼んだのは君が初めてだ。私も不思議になってきた。なんだって彼が先輩なんだい?」

「理由……ですか? 岸波さんが今まで出会ってきた人の中で一番人間らしいからです」

 

 思わず息が詰まる。何故なら自分は人間たらしめる記憶が無いからだ。記憶のない人間が人間らしいなんて、悪い冗談もいいところだ。

 屈託無く『先輩』と語りかける少女。罪悪感が胸に渦巻く。

 

 レフと少女は会話を終えて管制室へ歩き出した。途中、少女が振り返りその場を動かない自分に『先輩、行きましょう』と微笑んだ。

 違う。自分は先輩なんて呼ばれる価値はない。

 

 

 

「ここが管制室です。先輩は最前列ですね。空いている席へどうぞ。……先輩? 顔色が優れないようですが」

 

 ▷……大丈夫。心配しないで

 

 時間が経つにつれ徐々に増す、記憶が無いことへの不安と焦り。その気持ちに呼応するように、頭が痛む。思い出さなければ。そう思えば思う程、頭痛は強くなる。最初はずきずきと痛む程度だったものが、今は鈍感で頭を殴られているような苛烈なものへ変わっていた。

 

「無駄口は避けた方がいい。もう始まっているようだからね」

 

 レフと少女に頭を下げて、自分の席に座る。

 壇上の女性はそれを一瞥し、少しだけ眉を傾けたが、そのまま話を続けた。

 オルガマリー・アムニスフィア。カルデアの現所長らしい。カルデアとは一体なんなのか。自身の置かれている状況を把握するためにも、彼女の話を聞こうとするが、それはできなかった。

 頭痛に続き、甲高い耳鳴りが襲ってきたのだ。もう不快感に抗うだけで精一杯だった。

 視界の淵が白く光りだし、チカチカと世界が点灯する。いよいよ限界だ。そう思った時、光の向こうに赤い外装を着た女性の姿がぼんやりと見えた。

 

 耳鳴りに紛れて、彼女の悲痛な声が聞こる。

 『余を呼ぶのだ』と彼女が叫んでいる。

 右手が疼くように、燃えるように痛む。まるで、赤子が産声をあげるように、痛みが必死に自己を主張する。

 この痛みを、覚えている。忘れられるはずがない。

 

 彼女の思いに応えるように、高らかに彼女の名前を叫――――

 

 パシーン。

 

 頭に響くその音で、夢から覚めた。正確には幻だろうか。もう、どんな内容だったか思い出せない。

 思わず開いた拳を握り締める。きっと掴めたはずの何かはかき消えて、指は空を切るだけ。さっきの幻は、絶対に忘れてはいけない大切なことのような気がする。悔しさで握る拳に力が入る。

 

 その手を優しく掴む手があった。先ほどの少女だ。少女は無言で手を引き、半ば強引に自分を管制室から連れ出した。

 

 

 

 少女に肩を支えられたまま廊下を歩く。先ほど襲った頭痛はもう嘘のように消えていた。

 礼を伝え、彼女の支えから抜け出す。

 

「大丈夫ですか先輩?」

 

 しっかりと頷く。頬がじりじりと痛むがそれも時期に引くだろう。

 

「そうですか。半覚醒状態だったようですが、所長の平手打ちで覚醒したようで何よりです」

 

 すたすたと前を歩く少女が、突然立ち止まった。

 

「ここが、先輩用の個室となります。私はファーストミッションのチームですのですぐ戻らないと」

 

 ▷色々ありがとう。お陰で助かった

 

「……? これはどういった意味の手でしょうか?」

 

 ▷よろしくって意味

 

「それでしたら。これからもよろしくお願いします、先輩」

 

 差し出した手を、少女の細い手がぎゅっと握る。ただの挨拶なのだが、少女は中々手を離さない。

 十秒経ち、二十秒経っても彼女は手を離そうとしない。

 

 ▷行かなくていいの?

 

「ごほん……失礼しました。それでは、わたしはこれで。運が良ければまたお会いできると思います」

 

 少女は淡々と言い終えると、元来た道を歩いて行く。その後姿髪型口調、全部違うはずなのに、ここにはいない生意気で小悪魔な誰かを連想してしまう。

 

 

 

 個室とは、自らが占有し独占的に使用できる空間の事であり、そこで体を休めるも、鍛えるも、何をしようと文句を言われない。

 もし、そこに我が物顔で居座る者がいた場合、どんな行動を取るのが正解なのか。

 

「だ、誰だ君は!? ここは空き部屋でボクのさぼり場だぞ!?」

 

 ベッドに横になり悠々にポテチを頬張る男。男は自分に気がつくと、はっと捲したてる。

 扉をそっと閉める。

 表札か何かを探し周りを見るが、意味深な数字が書かれたプレートがあるだけで、この部屋が本当に彼の部屋だと証明するものは無い。だが、先ほどの少女が部屋を教え間違えるとはあまり思えなかった。

 よし、戦争だ。

 

 ▷貴様誰の許可を得てここで寛いでいる!

  ここは自分の部屋だって聞いてたんですけど

 

 「はっ、はいぃ!」

 

 男は声に驚き、ベッドから起き上がってこちらを見る。ポテチのカスがベッドにパラパラと溢れる。許しがたい……。

 

 男は困惑した様子だったが、やがて『おおっ』と声をあげ、手をぱんと払い居直る。手についたポテチのカスが更にベッドに落ちた。……いつか復讐しよう。

 

「もしかして、君が最後の適正者かい?」

 

 ▷……多分そうです

 

「いやあ、初めまして。ボクは医療機関のトップ、ロマニ・アーキマン。なぜかみんなからロマンと略されていてね。君も遠慮なくロマンと呼んでくれていいとも」

 

 ふわりとロマニが笑う。その柔和な空気に、初め警戒していたのも馬鹿らしくなる。胡散臭い不法侵入者から、へたれそうな不法侵入者に認識が変わった。

 

 ▷よろしくお願いします、ロマンさん。岸波白野です

 

「岸波君ね。覚えたよ。ここは君の部屋だから直ぐにでもボクは退散するべきなんだろうけど、ボクはみんなの健康診断が仕事だから、レイシフト実験の現場に入れてもらえなくてね。その頬を見て察するに、君も所長から追い出されてここにきたんだろう? 所在のない者同士、のんびり世間話でもして交友を深めようじゃないか」

 

 ▷まあ、自分でよければ

  だが断る

 

「イヤッホゥ! 新しい友達ができたぞ」

 

 ロマニが腕を上げて喜んだ。その様子を見て思わず笑う。そういえば目が覚めてから初めての笑ったかもしれない。

 

 

 ロマニと世間話をしていると、一本の通信が入った。

 どうやら、レイシフトに備えてロマニが控えていて欲しいようだ。ロマニが医務室にいると思い込んでいるレフは、二分で来るように指示を出すが、ロマニがいるのは自分の個室。到底不可能だ。

 

「あわわ、ここからじゃどうあっても五分はかかるぞ」

 

 ▷身から出た錆びですね

 

「ちょっと! ぼっち友同士、ここは協力しようじゃないか!」

 

 ロマニが肩を掴む。

 その時、建物全体ががたがたと揺れた。遠くからうなるような地響きが鳴った。

 部屋の明かりが消え、管内の非常アナウンスが始まる。

 

「今の爆発音……、モニター、管制室を映してくれ! みんなは無事なのか!?」

 

 ロマニの顔に緊張が走る。しばらくは無音で、部屋にアナウンスだけが不気味に響いた。

 予備電源が入ったのか、モニターが映管制室を映す。

 管制室は、赤だった。天井まで登るような業火、バラバラに積もる瓦礫。立っている者は誰もいない。オルガマリーも、白野を先輩と呼んだあの少女もいない。誰もが目を背けたくなるような、そんな光景。

 

「ちょっと、岸波君。何処に行くんだ!」

 

 ロマニの声で、自分が走り出していることに気が付いた。

 あの光景を見て、心が震えた。あの地獄を、知っている。体験したことがある。炎は怖いし、死ぬのも嫌だ。だが、どうしても足は地獄へ向かって進む。

 

 だって、自分はまだ、少女の名前すら聞いていないじゃないか―――

 

「ああもう、強引だな君は。隔離が閉鎖する前には戻るんだぞ!」

 

 ロマニが息を切らせて白野に並び、悪態をつく。カルデアのアナウンスが響く、永遠とも見間違いそうになる長い廊下を、二人は必死に駆け抜けた。

 

 

 

「……生存者はいない。無事なのはカルデアスだけだ」

 

 ばちばちと火花飛ぶ管制室の中で、ロマニが呟く。管制室には廊下よりも大きく、非常アナウンスがこだまする。

 

「これは事故じゃない。人為的な破壊工作だ。ボクは地下の発電所に行く。キミは急いで来た道を戻るんだ。まだギリギリ間に合う」

 

 ロマニが階段を下ってその場から消える。

 変わり果てた管制室の姿。瓦礫、瓦礫、瓦礫の山。その隙間から、誰かものともわからない赤黒く変色した腕や足が飛び出ている。爆発の中心部に近かったのだろうか。彼らはもう助からない。

 白野があても無く管制室を練り歩く。そこで、満身創痍の少女を見つけた。

 

「……あ」

 

 ▷しっかり! 今助ける!

 

「……いい、です。……助かりません、から。それより、はやく、逃げないと」

 

 少女が振り絞るように声を出す。同時に管制室の中央にあるオブジェクトが赤く光った。管内アナウンスが不吉な言葉を告げていく。

 ガシンという音が鳴り、自分たちが入ってきた扉が閉まる。

 

「……隔壁、閉まっちゃい、ました。……もう、外に、は」

 

 ▷自分は大丈夫だから! それよりまずは瓦礫を退かさないと……

 

 目の前の少女がもう助からないことは、何となく分かってしまう。だが、分かっていても諦めることとはまた別だった。少女を救うために体は必死に動く。

 唐突に、白い光が彼女と白野を包み込んだ。

 

「……あの、せん、ぱい。手を、握ってもらって、いいですか?」

 

 弱々しく呟く少女の手を優しく握る。苦しそうだった少女の顔が少しだけ穏やかなものに変わる。

 管内のアナウンスは、レイシフトまでのカウントダウンを始める。その数字が零を告げた時、視界と意識は闇に溶けた。

 

 

 

 

 

 頬に灼熱を感じて飛び起きる。数瞬前とは比べ物にならない熱量に驚き、周囲を見渡す。

 そこは業火の街だった。

 黒く焦げた建物と瓦礫でひしめく街。もう燃えるものなど残っていないのに、なお燃え続ける街。

 

 なんだ、ここ? どういうことだ。あの子は?

 

 混乱していた。この場所に移動する前の管内アナウンスを思い出す限り、これがレイシフトなのだ。だが、単語を知っていても、内容までは理解していない。

 

「GiYaaaaaaaaaaaaaa!」

 

 突然の咆哮。即座に横に跳ぶ。直後、先ほど居た位置に数本の弓矢が飛来した。何故避けられたのかわからない。だが、感じる死の危険が体を勝手に動かした。

 

 弓矢が飛んできた方向に目を向ける。そこには居たのは布を被り、弓を構えた骸骨。見ただけで確信する。あれは人におえる存在ではないと。

 骸骨からまた矢が放たれる。その矢をなんとか躱し、丁度半身を隠せるほどの瓦礫に身を滑り込ませた。

 化け物が矢を構えてきているなら、遮蔽物に身を隠すのが一番だろう。

 

「Giiiiiiiiii!」

 

 だが、背後から剣を持った別の骸骨が現れる。化物は一体ではなかった。

 身を捻って躱すが、気づくのが遅すぎた。剣が脇腹にずっぷりと刺さる。

 凄まじい痛みが体を襲う。声にならないうめきが喉の奥からこぼれる。逃げなくては、と思っても、痛みで体は動くどころかその場に倒れこんでしまう。

 それでも逃げるのを諦めない。痛みに固まる体を無理やり動かして地面を這う。

 

 

 更なる痛みが怖かった。

 体から力が抜けるのが怖かった。

 死ぬのが怖かった。

 

 なにより、このまま無意味に消えることが怖かった。

 まだ、自分は記憶もなく、何者なのかさえわからないのだから。

 

 

 だが、いくら這っても移動したのはわずかで、周囲には更に数体の骸骨が集まっていた。そのうちの一体が、腹に刺さった剣を引き抜く。

 腹から血が吹き出す。異次元の痛みに今度は声すらあげられなかった。

 骸骨たちが一様に剣を構えて、殺そうとしている。

 

 その時だった。赤い空から声が響いたのは。

 

「ようやく辿りついたか。旅の途中、突然消えたかと思えばこんな所で油を売っているとは」

 

 空が割れ大量の白光と共に、五筋の強い光が降ってくる。その光は白野にとっての死である骸骨を容易く切り裂いた。地面に突き刺さるのは神々しさをまとう五つの神器。

 見なくてもわかる濃密な存在感。骸骨が化物だというのなら、空からふわりと落ちる彼は一体何者なのか。

 

「さあ我の名を呼べ、マスター。よもや忘れたとは言わせぬぞ」

「ギルガ、メッシュ……!」




ムーンセル(ご都合主義)のお陰です


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2話

 ギルガメッシュの名を呼んだ途端に彼のことを、そして月の聖杯戦争のことを次々と思い出した。今までどうやっても思い出せなかったことをいとも簡単に。

 

 ギルガメッシュの指が鳴る。体の傷も痛みも、まるで最初から何もなかったかのように消えた。相変わらずこの王様は規格外だ。

 

 ▷ありがとう。助かった

 

「いちいち礼などいらん。それより、白野よ。貴様はまた面倒ごとに巻き込まれているようだな」

 

 面倒ごと。そう言われてもピンとこない。元いた世界と違う世界にいる。それは確かに面倒だが、幾たびの事件に巻き込まれた自分や彼にとって大したことじゃないはずだ。

 

「事態はそう簡単ではない。貴様が迷い込んだこの世界、この我をしても未来が見えぬ。つまり、この世界は直に崩壊する」

 

 空を見上げる。

 燃え上がる地を反射して赤く燻る空。世界が崩壊する、というのも現実味を帯びる。

 

「ムーンセルめが下手に絡んでいるせいで、無理矢理この世界から連れ出すことも叶わぬ。知的好奇心を持てとは言ったが、厄介なことを願ってくれたものよな」

 

 ▷厄介なこと?

 

「別世界の貴様がムーンセルに願ったのだ。自分の他の可能性を見たいと。ムーンセルはそれを可能な範囲で実現した。記憶を別世界の同位体に転移させることでな。我がムーンセルで調べた限りでは、今のお前は11回目の転移体だ」

 

 11回。そう言われても実感が沸かない。ムーンセルにそんな願いをしたのはうっすら覚えているが、その他で覚えている記憶はギルガメッシュと一緒に月の裏側を冒険した人生だけだ。

 

 ▷そういえば、ギルガメッシュはどうやってここに来たんだ?

 

「果ての果ての星雲といった場所で出会った奇怪な狸ロボットに、第二魔法を可能とする電話機を借りてな。ムーンセルとそれを使って強引に駆けつけた」

 

 ▷だっ、第二魔法−−−−!?

 

「良い反応だ。これでこそヤドカリ退治に興じた甲斐があったものよ」

 

 ▷……ヤドカリ?

 

「よい。こちらの話だ。それより白野よ、下がれ」

 

 ギルガメッシュが燃える丘の奥を睨む。その数歩後ろに立って身構える。

 やがて、丘から身の丈ほどの盾を持つ少女と所長オルガマリーが現れた。

 

 ▷君は……! 無事でよかった!

 

「先輩こそ! ご無事でなによりです」

 

 ▷ええと、その格好は?

 

「これについては話すと長くなるのですが……」

 

 守りたかった、でも守れなかった。そう思っていた相手が生きていた。手を握り互いの無事を喜び合う。

 しかし、ギルガメッシュはそんな場の空気など知らぬ、といった風に少女とオルガマリーに嘲笑を向けた。

 

「英霊もどきに亡霊もどきか。奇怪なコンビよな」

 

 その不遜な態度と言葉にオルガマリーが食ってかかる。マズいと思い、間に入ろうとしたが、遅かった。

 

「貴方ねぇ、どこの英霊だか知らないけど−−−−」

 

 オルガマリーはそこまで言って口を閉ざす。いや、それ以上開くことができなかったのだ。

 

「−−−−雑種が。誰の許可を得て口を利いている」

 

 ギルガメッシュから発せられる濃密な殺気が空間を支配する。それは業火の町が凍てつく凍土に変わったようだった。

 

 オルガマリーは動けない。叫び声を上げられずに固まった。

 このまま、沈黙を貫くことは明らかな悪手であるのだが、恐怖で身がすくんでいるのか何もしない。

 だが、それはある意味で僥倖かもしれなかった。もしまた安易に言葉を発したのなら、自分が止める間もなく、今度は二度と口がきけなくなっていただろう。

 

 ▷抑えてくれ、ギルガメッシュ。今は自分の置かれている状況が知りたい

  王さま、ステイ

 

 ギルガメッシュの深紅の瞳がじろりとこちらに移る。ギルガメッシュはしばらく睨んだのち、その刺すような殺気を収めた。

 

「ふん、まぁよい。死者を裁く必要もあるまい」

『……っ、ギ、ギルガメッシュだって!? 傲慢で冷酷、この世の全ての財宝を持つあの英雄王の!? 信じられない、その英雄王が白野くんの言葉に従ってるなんて!』

 

 ▷ロマニさん。無事だったんですね

  まだ生きてたんですか、ロマニさん

 

『ああ、何とかね。取り敢えず、君が言っていたようにまずは僕たちの状況を整理しよう。……っとその前に、その、ギルガメッシュ王は君のサーヴァントで間違い無いのかな?』

 

 ▷サーヴァントというよりは…… 相棒(パートナー)です

 

 通信越しでロマニが固まっているのがわかる。それどころか、目前のマシュとオルガマリーもまた固まっていた。反対に、ギルガメッシュだけは満足気に笑っていた。

 

 

 

 ロマニたちの説明で、ようやく自分が置かれた状況を把握した。

 マシュ・キリエライト。盾を持つ彼女が死の淵にデミサーヴァントととして覚醒し、自分をマスターとして契約することで生き残ったということ。

 そして、この冬木という土地が特異点というもので、特異点の中心にある聖杯を回収しなければいけないこと。

 

「と、とにかく、ここからはわたしの指示に従ってもらいます。それでいいわね?」

 

 オルガマリーがこちらに指をさす。しかし、実際に問いかけているのは後ろにいるギルガメッシュに対してのようだった。

 ギルガメッシュは彼女らには目も向けず、瓦礫に座りながら崩壊した冬木の街を眺めている。

 

 ▷どうかした?

 

「……いや。つくづく縁のある土地だと思ってな。それで、話はまとまったようだな」

 

 ▷ああ。町を散策して聖杯を見つけだすらしい

 

「その必要はない。ここが冬木の街である以上、聖杯の場所はあそこだろうよ」

 

 ギルガメッシュはどこか遠くを睨む。同じ方向を見てみるが、瓦礫の奥に山が見えるだけで、それらしいものは見えなかった。

 

「ギルガメッシュ王は、聖杯のありかをご存知なのですか!?」

「あれの事なら良く知っている。それよりも……来客だ」

 

 ギルガメッシュの言葉通り、自分たちを挟むように、影に包まれた二体のサーヴァントが現れた。

 ギルガメッシュはこちらを見てにやりと笑う。手を出すつもりはないようだ。

 

 すぐさま身構える。しかし、隣で構える少女の体は緊張からか強張っていた。

 

 ▷君の名前は?

  深呼吸するんだ

 

「せ、先輩? 今はそれどころでは!」

 

 少女が慌てて振り返る。少女の言葉ももっともだ。だが、あえてこの危機的状況で笑って見せる。

 もう少女の名前は知っている。だが、名は本人から聞くことに意味があるのだ。

 

 ▷大丈夫。場数は踏んできた。こんな敵、二人なら平気だよ。さあ、名前を教えてくれ!

 

「……マシュ・キリエライトです。先輩」

 

 ▷よし! さぁいこう、マシュ!

 

「ええ、支持を。マスター!」

 

 影のサーヴァントは目前に迫っている。だが、もうマシュの体に緊張はなかった。

 

 

 

 

 

「クソ、聖杯ヲ目ノ前ニシテ……」

 

 幾度の刃を交えた後、決着はついた。影のサーヴァントは粒子となって消える。

 

「はぁ、はぁ……。何とかやりましたね、先輩」

 

 ▷ありがとう、マシュのお陰だ

  余裕だったね

 

「いえ、先輩の指示があったからこその勝利です」

 

 所々危うい場面はあったが、なんとか乗り切った。宝具を使えない、そして二対一という不利な状況では大金星といえるだろう。

 

「ごほんっ……。良くやったわ、二人とも」

『いやあ、本当に凄かったよ白野君! とても初めてとは思えない! それにマシュもよくやったね!』

 

 ▷ありがとうございます。……初めてじゃないんですけどね

 

 腰が抜けていたオルガマリーも通信越しに見ていたロマニも、自分たちを褒めたたえる。

 ギルガメッシュはそれをつまらなそうにしばらく見ていたが、立ち上がるとある一点を睨みつけた。

 

「おい、浮かれるのはもう一匹片づけてからにしろ」

「おっと。気付かれてたか。いやあ、出よう出ようと思ってはいたが、中々タイミングが無くてな」

 

 マシュの名前を呼ぶ。すると彼女はすぐに大楯を構えて、戦闘態勢に移った。

 しかし出てきた男は軽く手を上げてみせ、交戦意思がないことを示す。

 

「待った。俺はお前らの敵じゃねえよ。どちらかというと味方の方が近い」

 

 ▷クーフーリン……?

  フランシスコ・ザビエル……?

 

「ん? 坊主。どっかで俺と会ったか?」

 

 ▷前にね。それより、槍は?

 

「………………っち。……今回、槍はねぇ。くそっ、槍さえあればあいつらぶすっと一刺しできんのによ」

 

 クーフーリンは苦々しく自らの杖を睨む。

 白野は彼のことを記憶で知っていた。ギルガメッシュと月の裏側にいく更に前、表に居る時。その時自分が契約していたサーヴァントは未だに思い出せないが、表の聖杯戦争の時、凛が連れていたサーヴァントが彼だったはずだ。

 

 クーフーリンはしばらく小声で愚痴を呟いていたが、気持ちの整理がついたのかにかっと笑ってみせた。

 

「お前ら見た所、この世界に来たばかりってとこだろ? ここのこと教えてやるぜ。まっ、楽にしようや」

 

 彼は四人の近くまでずかずかと近づき、瓦礫の上にどかりと座った。




白野はギルガメッシュにとっての『愉しみ』だそうです


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3話

「ねえ、本当に彼を信用していいのかしら」

 

 ▷彼は信用できます

 

「…………あなた、なんの根拠があってそれを言い切れるのよ」

 

 オルガマリーが呆れたように呟く。

 目的地は円蔵山の地下空洞。クーフーリンの話によると、聖杯はそこにあるらしい。

 道中骸骨が襲いかかってきても、容易く蹴散らせた。ギルガメッシュが動かないのは変わらないが、クーフーリンが加わったことで戦闘も随分安定したものだ。

 ちらりと見えるマシュの顔。その顔は疲れを隠し切れていない。その疲れは体力的というよりは、精神的なものなのだろう。

 カルデアの大爆発。初めての特異点。そして、英霊としての責務。イレギュラーだらけのこの環境で疲れないはずがない。

 

 かくいう自分も疲れていた。眠い。集中力が続かない。

 先ほどまでは戦闘の連続で疲れを感じる余裕すらなかったが、骸骨の襲来も落ち着いてくると、どっと体に疲れが宿る。

 

「ここらで一旦休憩にするか」

 

 クーフーリンが立ち止まる。

 

 ▷休憩なんていらない

  もう疲れたのか?

  置いてくよワンちゃん

 

 そう、自分は平気だ。この程度で倒れるようなら月の聖杯なんて夢のまた夢。隣に立つギルガメッシュや、先輩と慕う少女に不甲斐ない姿を見せられない。

 ここは月ではない。コードキャストも使えないし、過去の経験も役に立つかはわからない。だからこそ、自分が弱音を吐いてはいられない。

 

「おいおい。勇ましいのはいいけどよ、肝心な時にぶっ倒れられんのは御免だぜ」

『僕もそう思う。ここから先、強敵との戦闘が予想される。ここは一度体制を整えるべきだ』

「…………ドクター、彼のバイタルチェックはしている?」

『えっ!? あ、……うん。これは、まずいね。そうとう脳に負担がかかっている』

 

 ロマニの通信がカルデアから届く。チームの意見が対立した。

 自然と視線が、ギルガメッシュに集まった。

 

「わざわざ我が言うまでもないが……この程度で根を上げるなら話にならん。たかが初めの特異点で死ぬようなら、所詮そこまでの男だったということよ。もっともこやつはそんな玉ではないがな」

 

 ギルガメッシュ……。少しだけ感動した。

 彼の視線に頷き、また歩き始める。目的地の円蔵山はきっと一筋縄ではいかない。

 

『ちょっと待って、冷静に考えて欲しい。確かに特異点の中心たる聖杯を確保するのは優先事項さ。だけど、失敗したらそれで終わりなんだ。ここは……』

「あー……あいつらもう進んでるぞ」

『なっ! と、止まるんだ! キャスターも笑ってないで止めるのを手伝って!』

「これ以上引き止めるのは野暮ってもんだろ。まっ、肉体的な話なら俺のルーンがあるからなんとかなる」

 

 クーフーリンも後ろから続く。

 誰にも言えなかったが、不安が一つある。ギルガメッシュへの魔力供給ができていない事だ。魔力的なパスは微弱だが感じる。だがどうやっても魔力供給ができない。

 もちろんそれはギルガメッシュも承知だろう。だから、一切の戦闘を避けている。言葉に出さないということは彼にもどうする事ができないのだ。

 

 冬木の空は、その不安の大きさを体現するように、より不気味に赤黒く染まっていく。

 

 

 

 暗く湿った大きな洞窟。クーフーリンは足場の安定しない地面を、ひょいひょいと進む。なかなか歩きづらい。

 

「大聖杯はこの奥だ。ちぃとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな」

「天然の洞窟のように見えますが、これも元から冬木の街にあったものですか?」

 

 マシュが洞窟内を見渡して聞く。天井からは鍾乳洞が伸び、それを水滴が伝う。

 

「これは半分天然、半分人工よ。魔術師が長い時間をかけて拡張した地下工房です」

 

 ▷この先にセイバーとアーチャーがいるのか

  所長意外と物知りなんですね

 

「ああ。セイバーの宝具は強力だぜ。他のサーヴァントが倒されたのも、宝具があまりにも強力だったからだ」

「強力な宝具……ですか。それはどういう――」

「――止まれ。それで隠れているつもりか?」

 

 ギルガメッシュが洞窟の大広間、といった所で足を止める。合わせて皆も止まり、奥を睨む。マシュは盾をクーフーリンは杖を構える。

 しばらくすると、影に包まれたサーヴァントが岩陰から現れた。

 

「その名は、約束された勝利の剣(エクスカリバー)。騎士の王と誉れ高い、アーサー王の持つ聖剣だ」

「おう、信奉者の登場だ。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメェは」

「信奉者になった覚えはないがね。つまらない来客を追い返す程度の仕事はするさ」

「ようは門番じゃねえか。何からセイバー守っているか知らねえが、ここらで決着つけようや」

 

 クーフーリンとアーチャが軽口を言い合う。だが、警戒は少しも緩んでいない。

 

「望むところ、と言いたいところだが、ここは引かせてもらう。流石に三対一では私も分が悪い」

「……安心しろ贋作者。本来ならば今すぐに貴様の首を落とすところだが、今回我は手を出さん。貴様の相手は槍を持たぬ犬とそこのデミ・サーヴァントだ」

 

 その言葉にクーフーリンの額がぴくりと動く。影のアーチャは皮肉気に口を歪めた。

 

「ほう、私も随分と舐められたものだな」

「…………それはこっちのセリフって言いたいところだが、槍がねえとそうも言いきれねえ。頼むぜ坊主、お嬢ちゃん。アンタの盾がなきゃオレはまともに詠唱できねえ」

「はい、ガードならお任せ下さい。マスター、指示を!」

 

 退却しようとしていたアーチャーが双剣を構える。そして、マシュ目がけて突撃した。

 

 

 

「ち、ちょっと。彼は本当にアーチャーなの!?」

 

 アーチャーの戦闘方法にオルガマリーと通信越しのロマニが驚く。弓を使わず突撃するアーチャー。クラスの概念なんてあったものでない。

 双剣というだけあって手数が多く、剣と盾が衝突する音は洞窟内にうるさいほど響く。

 

「アンサズ!」

 

 隙をついたクーフーリンのルーン魔術がアーチャーに命中する。しかし、彼も対魔力を備える三騎士のサーヴァント。牽制用の魔術では大したダメージはない。

 クーフーリンの援護とマシュの実直な性格が噛み合い、なんとか猛攻を防いでいる。

 アーチャーが時折見せる隙にも飛び込まない。もし、その隙に乗じてマシュが攻勢にでたら、瞬く間に首を落とされているだろう。

 

 クーフーリンの牽制魔術がアーチャーに行動を邪魔し、お陰で接近戦はマシュが防ぎきる。その間にクーフーリンが強大な魔術の詠唱を終わらせ、アーチャーを襲う。

 勝てる。そう思った時、アーチャーはバックステップを繰り返しマシュと距離を取った。そして双剣を明後日の方向に放る。

 

 ▷飛んだ剣を魔術で落として!

 

 思考よりも先に口が動いた。何故か、彼が今からしようとする攻撃が分かる。

 自ら剣を捨てたアーチャーに驚いていたクーフーリンだが、すぐさま剣へと魔術を放つ。落とすとまではいかずとも、軌道を逸らすことに成功した。

 しっかりと盾を構えたマシュの元に、アーチャーが接近する。手には今放ったはずの双剣が握られていた。

 

 接近の推進力を加えたアーチャーの一撃。マシュの体制が一瞬よろめく。

 

「――――鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)!」

 

 ――させない!

 その思いが奇跡を生んだ。最後の攻撃がマシュに襲う直前、白野の光玉がアーチャーに当たる。

 駄目元で打ったコードキャストが成功したのだ。強い疲労感。どういう訳か、腰には月での礼装『破邪刀』が差されている。

 ひるんだアーチャーがカウンターを恐れてまた距離を取った。

 

「……どういう訳か私の手の内は君にバレているようだな。――なら、これはどうだ」

 

 アーチャーが後ろへ大きく跳躍する。洞窟の天井ぎりぎりまで高く飛んだ体の左手には、剣ではなく大きな黒弓が握られている。

 

「I am born of my sword」

 

 そして弓を持つべき右手には歪な形の剣が握られていた。

 

「――我が骨子は捻れ狂う。偽・螺旋剣(カラドボルグII)!」

 

 剣に秘められた魔力と神秘性は離れていても強く感じられた。何故だかあの宝具を知っている。そして、その莫大な威力も知っていた。

 あれは防ぎきれない。そう、直感した。

 思わず、ギルガメッシュの方を向きそうになるが、グッと堪えた。

 前にいる少女はあの宝具を前にして諦めていない。自分たちを守ろうと盾を構えている。

 彼女のマスターとして、そんな不義理はできない。

 

 飛来する宝具。彼女の盾が、彼女の絶叫に呼応するように光る。盾の神秘の力が爆発的に増える。

 彼女の宝具が発現した。

 

 互いの宝具が衝突し、発光が洞窟を埋め尽くす。発光と土埃が収まると、あの恐ろしい攻撃をしてきたアーチャーが、その場に呆然と立っているが見えた。

 

「……ばかな」

「おい、どこみてんだよ」

「なっ!」 

「灼き尽くせ。灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!」

 

 少女を信じて、詠唱を続けていたクーフーリンの魔力が解放される。

 アーチャーは避けることができず、その豪炎に包まれた。




なぜ、選択肢形式にしたんだ。自分でも読みづらい。
プロットはここで終わってるので構想からまた練り直しです。
読んでくれた方、続きは気長に待っていてください。
一応、第二特異点「二人の皇帝(君の名は)」までは頑張りたいです。


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4話

 アーチャーが闇に消える。何故だか、胸が締め付けられる。ギルガメッシュは自分のことを十一回目の転移体と言っていた。彼ともどこかの世界で巡り会っていたのだろうか。

 

「おう。未練なく消えろ消えろ。聖剣攻略はオレたちでやってやる」

 

 爽快なクーフーリンの言葉とは対称に、マシュは複雑な顔をしていた。たった今アーチャーを倒したばかりなのに。

 

 ▷お腹でも痛むの?

  ……不安なのか?

 

 きっとお腹が冷えたに違いない。冬木の街と比べて、この鍾乳洞は暗く冷たい。マシュの格好はシールダーと名乗るには明らかに防御力不足だ。特にへその辺り。さすってあげたほうがいいのではないだろうか。

 

「ちっ、違います! ……というより先輩、これから決戦だというのにそんな事を考えていたんですか?」

 

 マシュから刺さるような視線を浴びる。気づけば所長も睨んでいた。

 

「……その、私が、かのアーサー王の聖剣防げるのかと」

 

 マシュの盾を持つ指は震えている。

 どう励ますべきか考えていると、クーフーリンが飄々とした態度を崩さずに言う。

 

「そこは根性しかねえな。だがまあ、オレの見た手じゃ相性は抜群にいい。負けるとしたらお嬢ちゃんがヘマした場合だろうな。セイバーを倒すなんて考えずに、アンタは今までどおり守ればいいだけさ。得意だろ? そういうの」

 

 流石、アイルランドの光の御子。かの大英雄は言うことが違う。ちらり、と期待してギルガメッシュを見る。視線に気がついたのか彼も口を開いた。

 

「どうした、白野よ。我の体に見惚れたか? 無理もない。どうしてもと懇願するなら触らせてやってもよいぞ」

 

 誰が男の体を触りたいと思うだろう。少なくとも自分にはその気がないのでお断りだ。

 流石英雄王。ある意味期待を裏切らない。

 

 

 

 歩いていると、洞窟の中だと忘れるほど大きな空間に出た。その大空洞に置かれた大聖杯を見て、所長が驚いている。

 魔術的知識がない自分ですら、ムーンセルの聖杯に及ぶとんでもない代物だと分かる。だが、それと比べるとあまりにも不吉で禍々しい。

 

「――――ほう。面白いサーヴァントがいるな」

 

 大空洞に声が響いた。黒い甲冑を身にまとい、黒い剣を持つ少女。間違いなくセイバーだ。

 黒いセイバーはマシュに語り掛ける。

 

「――――面白い。その宝具は面白い」

「なぬ!? テメェ、喋れたのか!?」

「ああ、何を語っても見られている。故に案山子に徹して――っ!」

 

 が、彼女の言葉は、空中より飛来した宝剣に遮られた。予備動作なく襲う宝剣。セイバーは紙一重でそれを躱す。

 

「下らん雑念に堕ちた貴様など、我慢ならん。疾くと失せよ」

 

 ギルガメッシュの冷めた声を皮切りに、空間から宝具が惜しみなく射出される。王の財宝(ゲートオブバビロン)。マシュと所長はその攻撃の凄まじさに絶句していた。

 英雄が英雄たる証の宝具。多く持つものでも4つ程と聞いたことがある。その宝具を彼は宝物庫から何十本と放つのだ。自分も初め見たときは驚いた。

 彼の放つ宝具は、恐らくどれも竜の因子を持つ彼女に特攻のあるものだ。一発でも当たれば致命傷だろう。

 

 だが、中々当たらない。時には避け、時には剣ではじき、被弾を防ぐ。

 ギルガメッシュの射出が一段落した。宝剣で抉れた地面。セイバーが小柄な体を縮めた。

 ――何かが来る。そう思った。

 

「天の鎖よ」

 

 だが、天地から伸びる鎖によって、彼女の動きは阻まれた。

 苦悶の顔を浮かべるセイバーに、もう一度宝具が飛来する。今度は避けられない。

 

「――くっ。まさかこんなに容易く敗北するとは」

「理想を失った貴様に用などないわ」

 

 鋭く光る赤い瞳は、心底つまらなそうだった。

 串刺しとなった黒いセイバーは、光に飲まれて消える。

 

 ――なっ、なんてあっけない結末なんだ。この英雄王、相変わらず自重という言葉を知らない。

 

『いやぁ。流石英雄王。セイバーを倒せたのは良いけど、空気も何もあったものじゃないね』

 

 ロマニが言いたかったことを言ってくれる。ちらり、とギルガメッシュを見るが、別に気にした様子はない。ドクターは許されたようだ。

 

「あー……。なんか納得いかねえがしょうがねえ。坊主、中々良い指揮だったぜ。もし次があんなら、そん時はランサーとして呼んでくれ」

 

 自分も納得がいっていない。セイバーやクーフーリンの匂わせたセリフから、マシュの盾とセイバーは何か関係があるように見えた。きっとこの戦いで何かが分かる。そう思っていた矢先だ。

 

 クーフーリンがポンと肩を叩いて光に消える。最初から最後まで槍を欲しがっていた。青タイツよりはその恰好の方が恰好良いと思う。

 

「…………不明な点は多いですが、これでミッションは終了とします。あ、あなたの働きは及第点です。カルデア所長としてあなたの功績を認めます」

『なんと。所長が白野君を認めるなんて、何か甘いものでも食べました?』

「無駄口を叩く暇があるなら、バイタルチェックでもしてなさい。それより、まずあの水晶体を回収するわよ」

 

 戦闘が終わり落ち着いた時、所長が指示を出す。それに従いマシュが動き出した。

 

 しかし、ある人物の言葉が、マシュの動きを止める。

 

「――――いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃してあげた私の失態だよ」

「レフ教授!?」

 

 死んでいたとばかり思っていた人物の登場で、皆が驚く。だが、あの温和な笑みを浮かべていた彼とはどうも違う印象を受ける。彼からは危険な匂いがした。マシュも同じものを感じたようで、ずいと一歩前に出て大盾を構える。

 だが一人、所長だけは異変に気付かず、レフに駆け寄った。

 

「レフ……ああ、レフ、レフ、生きていたのねレフ!」

「ああ、本当に予想外なことばかりで頭にくる。その中でもっとも予想外なのは君だよ、オルガ。爆弾は君の真下に設置したのに、まさか生きているなんて」

 

 ……っ。思わず息を飲んだ。あのカルデアの爆発を、あの地獄の光景を作り出したのが、この男の仕業だったなんて。

 男はまったく悪びれるそぶりも見せない。

 

「いや、生きているというのは違うな。君はもう死んでいる。肉体的にはとっくにね。哀れだね。生前あれだけ切望していたレイシフト適正を、死んだことではじめて手に入れたんだ。だが、だからこそカルデアには戻れない。戻った時点で君の意識は消滅するのだから」

「え……え? 消滅って、わたしが……? ちょっと待ってよ……カルデアに戻れない?」

 

 大空洞の空間が歪み、見覚えのある部屋が現れる。中央には真っ赤に染まったカルデアス。

 レフが聖杯によってカルデアと空間を繋げたのだ。

 

 オルガマリーが崩れ落ちる。精神の限界を迎えたのか、もうそうなればカルデアの所長という肩書なんてない、ただの少女だった。

 レフはそんな彼女を、彼を慕う彼女を、一切の慈悲も与えず責め立てる。

 

 そして、彼女の体を魔術で宙に浮かせた。

 

「このまま殺すのは簡単だが、それでは芸がない。君の宝物とやらに触れるといい」

「や、止めて。お願い。だってカルデアスよ? 高密度の情報体よ? 次元が異なる領域、なのよ?」

「ああ。ブラックホールと何も変わらない。それとも太陽かな。まあ、どちらにせよ人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。遠慮なく、生きたまま無限の死を味わいたまえ」

「いや――――いや、いや、助けて、誰か助けて! わた、わたし、こんなところで死にたくない! だってまだ認められてない……! 誰も、わたしを認めてくれていないじゃない……!」

 

 彼女の絶叫を聞いてられるのも最初だけだった。制止するマシュの横を抜けて、彼女の元へ急ぐ。ちらり、とギルガメッシュを見る。好きにしろ、といっている気がした。

 もう残り僅かな魔力を走らせ、コードキャストを使用する。成功の保証はなかったが、思い通り靴が『強化スパイク』に変わり、走る速度が上がる。

 

 男の顔がにやりと歪むのが見えた。

 

「――ああ、本当に、何で愚かなんだ。君は」

「その男は我が契約者。我の許しなくして白野を害する事は、永遠に出来ぬと思え」

 

 しかし彼が魔術を打つことはない。

 ギルガメッシュの射出した宝具が、男の腕を貫く。ギルガメッシュの言葉は男だけでない、他の誰かに聞かせているようだった。

 

「ギルガメッシュか。だが、無駄だ。こちらに聖杯がある以上貴様は私に適わない」

「ほう、思い上がったな。戯言は後七十一柱連れてきてからにするがよい」

「…………英雄風情が」

 

 後ろからギルガメッシュとレフの声が聞こえる。だが、関係ない。自分はただ、手を伸ばすだけだ。

 恐怖と悲壮で塗られた彼女の顔に一筋の光が差す。

 

 

 

 ――――が。

 自分の腕が彼女の伸ばした手に届く寸前、彼女の体がカルデアスに飲み込まれた。

 

 空を切る手。繋がっていた空間も元に戻る。目の前にはもう、誰もいない。後ろから男の高笑いが聞こえた。

 

「そう悲しまないことだ。お前たちも直ぐに彼女の元へ行くこととなる。もう人類はこの時点で滅んでいるのだから」

『それはどういう意味ですか。未来が見えないことに関係があると』

 

 ロマニが通信越しに疑問をあげる。男は冥土の土産とばかりに丁寧に説明を返した。未来は焼却したと。結末は確定したと。誰にも結末は変えられないと。人類史は何の価値もない紙クズのように燃え尽きるのだと。

 

 ひとしきり人類を貶め満足したのか、男は「次の仕事がある」と崩落する大空洞を後にした。

 

 

 三人しかいなくなった大空洞。男の言葉を反芻する。鼓動が強く胸を叩いた。

 人類史に何の価値もない?

 それは違う。そんな事はないはずだ。結末が確定しているなら、自分たちが何をやっても虚しい抵抗なのかもしれない。

 だからどうした。たとえどんな状況だろうと関係ない。血の通った手と足がある以上自分は、ただ諦めない(前へ進む)

 そうでないと、所長やカルデアの爆発で散った人に顔向けできない。

 

「ここ日本では、馬鹿は死んでも治らないという言葉があるようだが、どうやら貴様もそうらしいな」

 

 悠然と立つギルガメッシュ。だが、体は粒子となり消えかけていた。

 

 ▷ギルガメッシュ!

 

「少々無茶がすぎたようだ。我はもう消える。おそらく、しばらくは来れないだろうよ。ええいBBめ……雑な仕事をしおって」

 

 え……BB? 今この王様とんでもないことをサラッと言った?

 ギルガメッシュは驚いた顔を満足そうに眺めて、今度はマシュに語りかける。

 

「業腹だが、デミ・サーヴァントよ。一時こやつを預けるぞ」

「……はい! お任せください」

「よい返事だ。――――では白野よ。しばしの別れだ」

 

 ギルガメッシュがマシュの返事に満足気な顔を返す。そして光に包まれて消えた。

 空虚感が胸を襲う。彼が居なくなったら、もう自分を、岸波白野を証明してくれる存在は何処にもいないのだ。

 だが、感傷に浸る時間はない。大空洞どころか空間がもう限界らしい。切羽詰まるマシュとロマニの声。ロマニいわく、このままでは宇宙空間に飛ばされるらしい。冗談ではない。顔面すれすれに岩石が落ちて来る。

 

「このままではわたしはともかく先輩まで……!」

「レイシフトは実行しているとも! でもゴメン、そっちの崩壊の方が早いかもだ! その時は諦めてそっちで何とかしてほしい! ほら、宇宙空間でも数十秒なら生身でも平気らしいし!」

「すみません、黙ってくださいドクター! 怒りで冷静さを失いそうです!」

 

 ▷同意見だ! もし、無事に帰れたら一緒に一発殴ってやろう!

  落ち着いて! 彼らを信じよう!

 

 真白に染まる視界の中、マシュに手を伸ばす。今度は、間に合った。彼女の手を強くしっかり握る。

 音が消え、体が宙へ浮いていく――――

 

 

 

 目を覚ますとベッドの上にいた。傍にはフォウと一人の女性。彼女はかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチらしい。なぜ女性なのか、なぜここにいるのか。そう聞く前に背中を押され、管制室に向かえと部屋から追い出された。

 

「おはようございます先輩。無事で何よりです」

 

 マシュが管制室で迎えてくれる。

 良かった、彼女は無事だったようだ。

 カルデアが爆発し、冬木の街に飛び、ギルガメッシュと再会し、戦いの末、彼と別れた。時間にすればたった数時間だ。なのに、こうして平穏を味わうのが久しぶりな気がする。

 管制室内にいたロマニが咳ばらいをして、マシュとの会話を制する。

 どうやら、真面目な話があるようだ。

 

「まずは生還おめでとう白野君。そしてミッション達成お疲れさま」

 

 そんな言葉から始まった現状と目標の確認。レフが言っていた通り、人類は既に滅んでいるらしい。それを阻止するには七つの特異点、人類史の土台を崩す狂った特異点を修復するのが、人類を救う唯一の方法のようだ。

 

「白野君。君が人類を救いたいのなら、未来を取り戻したいのなら、君はこれからたった一人で、この七つの人類史と戦わなくてはいけない。その覚悟はあるか? 君にカルデアの、人類の未来を背負う力はあるか?」

 

 ロマニの問い。そんなの、答えはとうに決まっている。

 最初は記憶の無いまま巻き込まれた。この世界での記憶はたった一日しかない。だが、自分を頼ってくれる、信じてくれる後輩がいるこの世界を、終わらせるわけにはいかない。

 

「――ありがとう。その言葉でボクたちの運命は決定した。我々が戦うのは歴史そのもの。君の前に立ちふはだかるのは多くの英霊、伝説になる。それは挑戦であると同時に、過去に弓を引く冒涜だ。けれど生き残るにはそれしかない。未来を取り戻すにはこれしかない。……たとえ、どんな結末が待っていようとも、だ」

 

 ロマニの言葉を聞いて拳に力が入る。マシュと一緒に強く頷いた。

 

「以上の決意をもって、作戦名はファーストオーダーから改める。これはカルデア最後にして原初の使命。人類守護指定・グランドオーダー。魔術世界における最高位の使命を以て、我々は未来を取り戻す――って、いたあ!」

 

 それはそうと、恨みは返させて貰う。『ポテチの恨み』と肩をこずいたらロマニは間抜けな顔をして笑い出した。マシュもぽかんと口を開けている。

 さっきまできまっていたのに台無しだ。……勿論、自分の性だが。

 

 

 

 

 皆で管制室を出て移動する。戦力の増強として、人理修復を手伝ってくれるサーヴァントを召還するらしい。

 ……大丈夫だろうか。もし低級な英霊と契約したものなら、あの英雄王に何を言われるか分からない。

 そもそも自分なんかに従ってくれるサーヴァントがいるのか。

 

「あまり固くならないで。君に害を与えたり属性がかけ離れていたりするサーヴァントが召還されることはまずないから。気楽にいこう」

 

 ダヴィンチちゃんが励ましてくれる。彼、彼女はカルデアに召還された第三号の協力者だ。レオナルドさんと呼んだら「ダヴィンチちゃん」と訂正された。ロマニは天才と奇人は紙一重と言っていたが、彼女を見ているとその通りだと思う。

 もし、サーヴァントを召還できなかったら。考えると不安だが、悩んでいたって仕方がない。成功しようが失敗しようが召喚資材は減るのだ(聖晶石は溶けるのだ)。少しでも自分に合ったサーヴァントが来ることを祈ろう。

 

 ▷よし、十一連だ!

 

 英霊召喚システム・フェイトが唸りをあげて発光する。

 光の後には――――

 

 

 

 ▷剣を携えた男装の少女

 ▷赤い外装に身を包んだ武人

 ▷妖艶な半獣の女性

 

 

 

 なっ、三人……だと……!

 驚いているのもつかの間、目の前が真っ暗に染まる。そしてガツンと頭を打った。

 

「ええい、待ち焦がれたぞ奏者よ! 何故もっと早く余を呼ばん!」

「ちょーっとセイバーさん! そこ、どいてくださります? じゃないと、うっかりご主人様まで燃やしてしまいそうですから」

「月の聖杯の次は人理の修復か……。やれやれ。君といると退屈しないな」

 

 こ、これは、胸? だが、苦しい。呼吸ができないというのはこんなに苦しいのか。

 三人の懐かしい声と、マシュの驚きの声がどんどん遠くなっていった。




見返す度に修正箇所が見つかる駄文ですが、頑張って書いていきます。
やっとチュートリアルを終えたので自由なストーリー展開ができそうです。
次回、マイルーム。もしよかったら気長に待ってください。


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