この異常能力者に祝福を! (嘘つき魔神)
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第1話:転生、転生初日
「佐藤和真さん、あなたは、先程その生を終えました。短い人生でしたね」
……俺、佐藤和真は、今日この日、死んだ、らしい……
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「ねぇ~まだ~?引きこもりのロリコンに期待なんかしてないんだからさっさと決めてよ~」
「誰がロリコンだっ!?」
……まさか、生きてる内は、こんなチェス盤みたいなところで転生特典とやらを選ぶことになるとは思わなかったな……
さて、何でも俺はトラックに轢かれた……と勘違いしてショック死したらしい、おまけに俺が庇わなければ、助けた子も怪我なしだったらしい……それを思いっきりこの女神、いや、駄目神ことアクアは笑ってくれやがった……!
んで、俺には道が2つ、天国に行くか輪廻転生するか。しかし、どっちにもデメリットはやっぱりある。天国に行けば、肉体がないから肉体的欲求を満たす、例えば食べたりとかができず、輪廻転生したら今の俺という存在はなくなってしまうらしい。そこで、アクアがニコニコしながら出した3つ目の道、それが異世界転生だ。
何でも、今から俺が行く世界は、魔王がいて、そいつに多くの住民が殺され、殺された奴等は元の世界へ戻るのを嫌がってしまう、そこで、若くして死んだ奴等をその異世界に送り込む、つまり、移民政策みたいなものをしているのだとか。だが、さっき言った通り、魔王もいるし、それに従う幹部もいる。つまり、へっぽこを送り込んでも数秒か数時間かで死ぬのは目に見えている。そこで、チートを与え、即戦力にすることになったそうだ。それで、俺は今転生特典をどうしようか迷っているのだ。が……
「何かパッとしないな……いや、どれも強いんだろうけど……」
「まぁ、あんたみたいな引きこもりには手に余るでしょうね~」
……悔しいが、アクアの言う通りなのだ。俺は、引きこもりだからそんなに体力がない。だから、強力な武器を貰ってもどうしようもできないのだ。だから、貰うなら、スキル系統になるか……ん?
「何だこれ?『覚醒の力』……」
「ん?何それ?」
「……いや、女神が知らないのかよ?」
「だって、ここまで読み込む人初めてだし」
うぅん、どんな力か分からないのが怖いな……でも、何か、響きが格好いいよな、『覚醒の力』……
「うし、これにするか!」
「ようやく決まった?じゃ、転生の準備、始めるわね」
そう言って、アクアが俺の足元に魔方陣を書く。ヤバい、めっちゃドキドキしてきた。
「……あれ?魔方陣が反応しない?」
アクアがそう言った瞬間、突如魔方陣が紅く輝き始め、一際強い光を発した瞬間、俺の意識は途絶えた……
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「う、うーん……ここは……?」
目覚めると、暖かい太陽の光が俺を出迎えてくれた。だが、それよりも……
「……何だ?体にこれ以上ないくらいに力がみなぎってる。まるで俺の体じゃないみたいな……」
そんなことを言いながら、手をわきわきさせてみる……うん、やっぱり慣れ親しんだ俺の体だな。
「にしても、ここはどこだ?異世界に来たのは分かるけど……」
何も野原の真ん中に放り出すことは……いや、よくよく考えれば街にいきなり人が現れたらヤバいよな。そんなことを考えながら周りを見渡す……視力まで上がってるな。ゲームは結構やってても目はいい方だったんだが、今はそれよりもよく見える……うっかり太陽なんて見たら一発で失明しそうだな……
「……ん?あそこ、人が入っていってる?てことは……街か!」
やった! ついに ねんがんのまちを みつけたぞ!
1:きょうみないね。
2:ゆずってくれ!
3:ころしてでもうばいとる。
と、アホなことやってないで、行かねぇと!こんなとこにいたらいつモンスターとやらに襲われるか!こんなとこにいられるか!俺は街に行かせてもらうぜ!
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「……ひゃぁ……立派だなぁ……」
街、アクセルとやらに来た俺は、その街並みに驚愕していた。The・西洋の街というような、元は庶民の俺がいるだけでも勇気を必要とするような場所だった。
というか、さっきも何かおかしかった。ついテンションが上がって走ってきたのはいいんだが、風になるってああ言うのを言うんだろうか?そんなことを思う程風が心地よかった。しかも、息切れ一つしていない。……何だか、やっぱり俺の体じゃないみたいだな……まぁ、慣らしていくしかないよな。
「とりあえず、アクアも言ってたが、言語問題については何ら問題はなさそうだな、頭がパァンなんてこともないし」
これで、ちょっと心配だったコミュニケーションは大丈夫、いざという時には助けてもらえるだろう。さてしばらく歩いていると、一際大きい建物が建っていた……読むのも問題ない、『ギルド』か。ということは、ここは市役所みたいなもんかな?
「たーのもー……」
小声でそう言いながらドアを開けると、フルスキンフルプレートの剣と盾を持った人、魔法使いのような衣装の人。いろんな人がいた。だが、これだけだとコスプレ施設にしか見えないな……あ、何かプレートが掛かってる……何々?『冒険者登録窓口』……そんなのもあるのか、あ、でも確かにレアな素材とか落とすやつを下手に乱獲されると困るかもだし、そういう免許の発効をしてるのかな?となると、登録しないうちに何かやったらお尋ね者になりそうだな……幸い、今は空いてるみたいだし、ちゃちゃっと登録を済ませてしまおう。
「あの、すみませーん、冒険者の登録をしたいんですが、何分田舎から来たもので……」
こう言っておけば、後は向こうが教えてくれる。皆も分からないことがあったら聞くんだぞ?
「はい、それではまず、登録手数料として1000エリスを支払ってもらうことになります」
「……お金、いるんですか?」
「はい、もしかして、ありませんか?」
「……はい、あの、仕事とかは……」
「……申し訳ありませんが、こちらで紹介できるのは冒険者としての仕事のみですね」
「……大人しく出直してきまーす……」
こうして、俺はギルドを後にし、バイトを探すことにしたのだった……
この後書き以降、和真はカズマと表記します。後、スキルにはくどいけど『』はつけます。
『覚醒の力』
カズマが選んだ転生特典、転生担当のアクアでさえ知らない謎のスキル。今のところ、身体能力の向上が見られる。
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第2話:この元引きこもりにアルバイトを!
前回のあらすじ:死んでしまったカズマは『覚醒の力』を手に異世界へ!身体能力の向上を実感したはいいがまさかの無一文!カズマ、痛恨のミス!
「……そう簡単にバイトなんか見つからないかぁ……」
あれからしばらくバイトを探していたけど、見つからない……はぁ、何か手軽に稼げるバイト……
「ん、工事か?あ、張り紙してある」
何々、トンネル開通工事、常時アルバイト募集中、時給850エリスか……確か、1円が1エリスだっけな?ふむ、必要なのは1000エリス、二時間手伝うぐらいはどうってことはない、うし、やるか!
「あの、忙しいところすみません」
「……何だ?」
「あのー、バイトに来たんですけど……」
「お、あの張り紙見たのか?うし、顔しか知らんが採用!名前は?」
「えっと、カズマです、サトウカズマ」
「おぉ、よろしくなカズマ!」
こうして、俺は生まれてはじめて土木作業のバイトを始めたのだが……
「……やっぱり、俺の体じゃないみたいだ……」
ツルハシを打ち込めばいとも容易く岩が砕け、疲労もそんなにない。何なんだ?やっぱ、あの『覚醒の力』が関係してるのか?
「カズマァ!手ぇ止まってるぞ!」
「あぁ、すいません!」
やべ、こんなこと考えてる暇あったら手動かさないと……うん、疲れにくいんだしちょうどいいよな!前向きに考えながら俺は手を動かし始めたのだった……
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「いやぁ、お疲れだカズマ!まさか、明日までかかると思ってた工事が終わっちまうなんてな!」
「た、たはは、そうですね……」
親方が何か言っているけど聞こえない……確か、俺は3時間しか働いていないはず、だから、本来は2550エリスが給与のはずなのだが、俺の手元には親方からボーナスと言って貰った分合わせて5100エリスある……親方に返すっていっても持ってけ泥棒!としか言われないし……うーん、ここはお言葉に甘えておくか。
「そうと決まれば、ギルドに行かなきゃな……」
親方達にお礼を言った後、俺はギルドに風になりながら向かった……後、今度から暇なときに見かけたら、手伝って欲しいと言われたから、もちろん了承した。
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……えぇ、昼間のお姉さんまだいるよ。転生した時が何時かは分からないけど、今夕方より遅いくらいだから……あ、別にいてもおかしくないか?
「あの、すいません、冒険者登録しに来たんですけど……」
「おや、あなたは、お昼の……その分ですと、無事、登録手数料は用意できたみたいですね?」
「はい、あ、これが登録手数料の1000エリスです」
「紙幣が1枚……はい、確かに、それでは、サトウカズマさん、あなたのこれからの活躍を期待しています」
……この人、事務的だなぁ。できるOLって感じ。
「さて、サトウカズマさん、冒険者となったからには、まず、冒険者カードの作成を行います。これがないと、クエストが受けれませんし、冒険者資格がない人を無理やりクエストに参加させると、ギルドからペナルティが課せられます」
「あぁ、やっぱり免許みたいなものなんですね」
「はい……以前までは、こんな仕組みにしなくてもよかったのですが、いつからか、冒険者資格がない人をクエストにつれ回すバカが出やがるように……こほん、失礼しました、それで、今から冒険者カードに触っていただき、ステータスの確認、そこから職業の選択に入ります。こちらが冒険者カードになります」
そう言って、銀の板みたいなのを差し出される……なんも書いてねぇと思って、触ってみると、いきなり光始め、光が収まると、さっきまでなにもなかった銀の板に、俺のステータスみたいのが書いてあった。
「失礼します……ふむ、筋力や魔力が随分……幸運もなかなか高いですね……このステータスだと、クルセイダーやアークウィザードがおすすめですね」
「あの、他に職業ってないですかね?」
「……ふむ、あるとしたら冒険者でしょうか?冒険者はステータスに一切の補正が掛からない代わりに、他の職業のスキルも覚えられます」
「……それって、アークウィザードとかのスキルもですか?」
「はい、可能ですね」
うーん、ステ補正重視で上級職にするか、スキル重視で冒険者か……冒険者だな。いろんなスキルがあるなら便利だしな。
「冒険者でお願いします」
「かしこまりました……しばらく、お時間を頂きます、席にお掛けになってお待ちください、出掛けるなら、窓口に一言お願いします」
そう言って、俺の冒険者カードを持ってお姉さんは裏に行った……さて、どうしたもんかな?暇だなぁ……
『グゥゥゥゥ……』
……そういえば、昼飯も何も食ってないな……よく持ったな俺……うし、飯にするか。
そして、俺は夕飯にした訳だが、大発見、異世界飯めっちゃうめぇ。蛙の唐揚げっていうのが中々旨かった……ほんとは後もう1皿位欲しいが、宿代とかがいくら掛かるか分からないし、下手な散財は辞めておくべきとした。
「お待たせ致しました。こちらがあなたの冒険者カードです」
……何か、スキル欄ってところが増えてるな。そこに、『覚醒の力』が入ってる。でも、それ以外はないのと、SPって書いてて、10って書いてあるな……後、職業の欄に冒険者って書いてある。んで、その下に俺の名前とレベルって感じか。
「あの、今から行けるクエストってありますか?」
「……ふむ、確か初級クエストに、ジャイアントトードの討伐依頼がありますね、受注しますか?」
「あ、はい、お願いします」
それを聞くと、掲示板の方に行って……掲示板あったんだ、そこに貼ってある紙を取って、判子を押した。
「受注しました、御武運を」
その言葉を聞いて、いよいよ始まるんだな……と思った。そして、自分の足で行かなきゃダメと気づくのに数秒かかった……
難易度
初級〈中級〈上級〈究極〈激究極〈超絶〈爆絶〈轟絶
……って、感じかな?
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第3話:この紅魔族の少女にご飯を!
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「……うわぁ……」
あの後、ジャイアントトードの出てくる場所を聞き、せっかくなので余ったエリスで剣を買い、そこから出没地に向かったのはよかった。だが、よく考えれば俺のスキルってまだ『覚醒の力』しかないし、武器も剣一本……ヤバい、どうしよう?しかも、ジャイアントと言うだけあって、多分、3メートルはあるんじゃないか?そんな巨体でのそのそ動いている……気持ち悪ぃ……
「うーん、目に見える範囲なら2体……でも、もうちょっといる可能性もあるよな……」
多分、俺の力じゃ無理だ。『覚醒の力』ありとはいえ、武が悪すぎる。だけど、やるべきだよな!
「……うし、まず一匹から……!」
そう言いながら隠れてた茂みを飛び出し、剣を抜きながら蛙に向かっていく。もちろんその音で二匹に気づかれた。だが、俺の今の足の早さなら、一撃いれるのに何ら問題は……!
「でりゃあ!」
そう叫び、蛙の腹に剣を打ち込み……剣が滑り、蛙のタックルで吹き飛ばされた。力任せに振るったせいで、受け身もとれないままに吹っ飛ばされ、身を強かに打ち付けた。
「いっ……!」
そもそも、考えてみれば分かることだった。蛙の体がヌメヌメしている可能性を。そのまま二匹は、俺に近づいてくる。このまま食べられて、俺は死ぬのか?冗談じゃない!化け物の口の中で死ぬなんて!だが、俺の体は動かない……痛い。慣れない鈍痛が、じわじわ体力を削いでくる。あぁ、死んだな……そう察し、俺は静かに目を瞑った……
……数秒後、凄まじい風圧に吹き飛ばされ、また強烈に地面に体を打ち付ける。ふと、前を見ると、蛙がいた場所には大きなクレーターができ、蛙なんか元からいなかったような。そんな光景が目に入った。
「……うぁぁ……」
ヤバい。もしかして、俺を助けてくれたのかもしれないが、もし敵だった場合、こんな魔法を撃てるなら、俺一人簡単に……!
「逃げねぇと……!」
だが、鈍痛に蝕まれた体は立ち上がることを拒否し、ならばと這ってもカタツムリよりは早い程度……終わった、今度こそ終わった……そう思い、再び目を瞑ろうとすると……
「ぷぎゅ」
そんな声が聞こえた。目を開け、周りを見ると、ジャイアントトードが一匹、その口から誰かの足のようなものが……もしかして、俺を助けてくれた人……?
「ヤバい、なんとかしないと!?」
流石に人、多分命の恩人を見捨てて逃げるなんて目覚めが悪すぎる!そう思いながら、震える足を無理やり立たせ、剣を構える。正直、どう勝ったもんか……あんな魔法が使えれば……そんなことを考えていると、蛙がいなくなっていた。そして、自分の影すら隠すような大きな影に覆われる。
「ヤバい……っ!」
咄嗟に足を踏み出し、影から逃げる。少しして、蛙がその影に落ちてきた。あんなもん食らったらただじゃすまない……そもそも、スキルってどうやって覚えればいいんだ?ふと、そんなことを考える。蛙から視線は外さず、向こうからは見えないように隠れる。さて、スキルがないと、どうしようもない……蛙なら、電撃が効きそうだが……
「そう都合よくは……ん?冒険者カードに何か書いてる……」
攻撃スキルがない現状を冒険者カードを見ながら嘆こうと取り出すと、何やら見慣れない文字が。
「……『習得可能スキル:初級魔法』?魔法!?」
この世界にも魔法はあったんだな。そんなことを考えながら、雷っぽい魔法を探してみる。あった。
「『ライトニング』……!」
スキルポイントもあるので『ライトニング』を取り、いざ行かんと足を踏み出し、蛙の前に立ったところで一番重要なことを思い出した。
「……スキルってどうやって使うんだ……?」
そう、スキルの使い方がさっぱり分からない。そうこうしてる内にも蛙は近づいてきている。当然だ、進路を塞ぐ形で立ってるから。
「……あぁぁぁぁ!どうにでもなれ!『ライトニング』!」
そう叫びながら蛙に手をかざすと、青白い光が蛙に向かい、蛙の腹をぶち抜いた……そのまま蛙はぐったり倒れてしまった……
「……殺っ、た……?」
冒険者カードを見てみると、裏にジャイアントトードの名前と、1という数字が新しく刻まれている。つまり、あの蛙を俺は倒したんだ……!
「やったぁ……」
それを知ったら、体から力が抜けてきた……ガチガチだった筋肉が緩んでいくような感覚だ……もう、俺寝ちゃってもいいよね……?
「……あ、蛙に食べられてた人忘れてた!?」
そうだ!こうしてる場合じゃない!すぐに倒した蛙の口を開ける……
「……女の子……?」
それも、いかにも魔法使いですみたいな格好の。あ~あ~杖もベトベトだし全身もベトベトだし……そっと、少女を蛙の口から出す。にしても、さっきの魔法はこの子が?だとしたら、アークウィザードとかか?
『くぅぅぅぅ……』
ふと、お腹が鳴る……そういえば、この子、なんだかやつれてるような……
「……お腹空きました……」
忌マワシキ者ノ母、淫猥ナル女、大バビロン。
ナレバ、我ハ存在シ、シナイ者。故ニイット、ソレナノダ。
……なに言ってるんでしょうね?私は。
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第4話:この爆裂魔法に活用法を!
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……人間って、自分の理解を越えることが起こると、思考が止まるんだな……
「お、おーい、そんなにがっついてると詰まらすぞ……?」
「はぐ!はぐ!ふぉんあい、ごくっ、ありません!」
……この娘、どれだけ食べるんだ?成長期なの?いや、それにしたってあの細い体のどこに蛙の唐揚げ(多分ジャイアントトードの肉、ちなみに一皿8個)3皿が消えるんだ……?しかも、食べるのめっちゃ早いし……
あの後、ギルドに帰ってきて、この娘が起きた。それで、助けてくれたのかと聞くと、どうやらあれは日課の爆裂散歩とかの途中で
「ふぅ……ごちそうさま、です」
「お、おう……」
そう言った少女の顔はめっちゃキラキラしてた……心なしか、紅い目もうっすら輝いているような……まぁ、確かに蛙の唐揚げおいしいしな……付け合わせのソースかな?あれをつけて食べるとこれまたうまいんだ……
「いやぁ、ありがとうございます、えっと……」
「カズマ、サトウカズマ」
「カズマ、ですか……私は……」
突如少女が立ち上がり、昔見た特撮のようなポーズを取る。
「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法『爆裂魔法』を操りし者!」
……えっと、これは、合わせるべきかな?
「ふぅ……我が名はカズマ!見習い冒険者にして、いずれ魔王を討ち取る者!」
合わせることにした。ポーズは○ョジ○だったかの奴を参考にした。
「おぉ……!カッコいいです!何ですかそのポーズ!教えてください!」
……予想以上に食い付きがいいな。いや、まぁ、センスあるとは思うけどな。というか、一瞬ズアッ!って鳴った気が……
「あー……っと。とりあえず聞いてもいいか?」
「何です?」
「『爆裂魔法』って、蛙相手に撃ったやつだよな?」
「えぇ、『エクスプロージョン』のことですね、いい的もなかったし、暗いから帰りしなにいいのを探してたら」
……『エクスプロージョン』か。響きからして如何にもって感じだな。
「じゃあ、めぐみんはアークウィザードなんだよな?他の魔法は?」
「……」
……壊れたおもちゃみたいな動きで目を逸らしたな。まさか……
「……『爆裂魔法』以外使えないのか……?」
「……はい」
……マジか。しかも、話を聞くと、当人も『爆裂魔法』以外の魔法は使う気もないし、覚える気もないらしい。何でも、爆裂道とやらを極めたいらしい……
「……うーむ」
スカウトして、仲間になってもらおうかと思ったが、如何せん尖りすぎだ。対大物なら『爆裂魔法』も有効だろうが……ん?でも、別にめぐみん頼りじゃなくても、俺が雑魚を蹴散らしたりで役割分担すればいいし、俺はまだ駆け出しだからそんなにスキルもない……だから『爆裂魔法』の火力はかなり有用なものになるな……よし。
「なぁ、一つ、相談があるんだけど……」
「何ですか?」
「俺とパーティー組まないか?」
そう言うと、途端にめぐみんが慌て出した……
「……あの、本当にいいんですか?私、『爆裂魔法』を一回撃つと倒れちゃいますよ?」
「ちょっと待って?それ、命に別状とかは……?」
「安心してください、貧血みたいなものですから」
魔力って血液みたいなものなのか……使いすぎは厳禁みたいだな、二人して倒れたら……って、何でもう組む前提になってるんだよ、めぐみんの返事も聞いてないし。
「……分かりました、では、よろしくお願いします、カズマ」
「よろしく、めぐみん」
……なんか、嬉しいな。仲間が増えたぜやったぜ。というか……
「……なぁ、めぐみんって、目が紅いけど、どうしてなんだ?」
「……カズマ、紅魔族を知らないのですか?」
紅魔族……多分、めぐみんの……種族?いや、でも、エルフとかもいるしなぁ……
「……うん、教えてください」
「分かりました、紅魔族は……」
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「……えーっと、紅い目に高い魔力と、独特なネーミングセンスと感性を持った集団ってことか?」
「……まぁ、世間一般には」
紅魔族。紅目黒髪高魔力に独特なネーミングと感性を持った種族らしい。何でも、紅魔の里、というのがあるらしく、紅魔族は全員がアークウィザードなんだそうだ。全員が上級職って……もう紅魔族だけでいいんじゃないかな?
「はぁぁ……すげぇんだな、紅魔族って」
「えぇ、紅魔族はいわば魔法のエキスパートなんですよ!」
めぐみんの『爆裂魔法』が絶大な威力を誇っているのも、紅魔族特有の魔力の高さが根底にあるんだろうか?単純にスキルポイント全部『爆裂魔法』関連に振ってるのかもだが……
「うーん、だとしたら、心強い味方ができてよかった、このままぼっ……ソロかもと思ってたからなぁ……」
「いやぁ、カズマがソロ……キツいかと」
だろうね、だって、未だにろくにスキル覚えてねぇもん。今覚えてるのが『覚醒の力』と『ライトニング』だけってどういうことだよ。
「……そう考えると、めぐみん来てくれて本当によかったな……一応、力には自信があるし、めぐみん運搬しながらって感じで……」
「フム、それならカズマはこういうスキルが……」
結局、この後、1時間半位話し込んでいて、追い出されました。俺?馬小屋で寝たよ……隙間風が入ってくるわ藁が固いわで散々だったよ……金があっても、いい思いできるかは別みたいです……
流石に、いきなりシェアルームはきつかったみたいですな。カズマの『覚醒の力』は一体なんなんでしょうね?(これのせいで厄介なことになるかも……?)ともかく、一発屋とはいえ、超高火力のめぐみん加入、カズマの精神もちょっとは安定するかな?
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