僕は瀬川 優(せがわ ゆう)。
大舞北(おおぶきた)高校に入って1ヶ月だ。
部活に入る予定はないが、いろんな部活から勧誘が来ている。
ただ、興味のあるボードゲーム部からは全く勧誘の気配がない。やはり勧誘の必要もないほど人気なのだろうか…
そこで、ボードゲーム部希望を公言している、友人の早原(はやはら)にきいてみる。
「なあ早原、ボードゲーム部って人気なのか?」
「ん? ああ、瀬川か。 ボードゲーム部は人気ではない方だけど県大会優勝は当たり前のとこだから、ハイレベルな生徒を迎えるために、練習の厳しさ、プレイスキルを見て入部させるか判断するんだとよ。 俺の所にも勧誘は来なかったけど、頑張って入部してやるんだ!」
ふーん、興味があるだけじゃダメなのか。でも入ってみたいなあ――――様々な思いが入り混じって、授業も上の空になってしまう。
「おい、瀬川! この問題を解けと何度言ったら分かるんだ!」
「…はっ?! あ、すみません!」
「全くお前ってやつは…」
早速先生のお叱りも飛んでくるし、散々な1日だ…。
そして昼食の時間。
「瀬川、今日どうしたんだ? いつにもまして集中力が無いみたいだが」
「いつも集中力が無いみたいに言わないでよ。それより早原、ちょっと相談があるんだけど」
「? どうしたんだ?」
「実は、ボードゲーム部に興味があって・・・」
「でもお前、プレイスキル無いだろ」
「だから困ってるんだよ分かってくれよ!」
おっと、つい強い口調になってしまった。クラス中の視線も集めちゃったようだな・・・やっちゃった・・・
「あ、ご、ごめん・・・」
「いいさ。 それより、ボードゲーム部に入りたいなら何かしらのボードゲームで強くならなきゃいけないぞ」
「だよねぇ。どうしたらいいんだろう・・・」
キーンコーンカーンコーン・・・
「おっ、もうこんな時間か。対策は考えるから、俺に時間をくれ」
「分かったよ」
結局午後の授業もイマイチ頭に入らず・・・日を改めて僕は授業内容をクラスメイトに聞くことにした。
「はぁ・・・」
深いため息が一つ、
「はぁ~・・・」
二つ、
「はぁ~あ・・・」
三つ。
何だか煮え切らない気分で家に帰る。
「ただいま~」
返事は無い。
僕は冷蔵庫などからおやつや夕食をかき集めて自室にこもった――――のは良いんだが、やることがない。いや、正確にはあるんだがやる気が起きない。宿題も、趣味のオンラインゲームも、やりたい気分じゃない。
こんな日もたまにはある、と吹っ切れてやけ食いする。また太っちゃうな・・・運動部もいいかな・・・何て考えてみる。
結論、こんな日は少ないやる気を出しきって勉強して、早く寝てしまえばいいんだ。
そう考えたら少し楽になった。
さて、それじゃあ勉強して寝よう。
おやすみ~・・・
どうも、作者の浜風快速です!
文才が無いので拙い話になっています。すみません。
この連載は不定期投稿ですので、次回投稿まで間が空くかもしれません。
誤字脱字訂正や感想など気軽にどうぞ!
頂いたコメントにはできる限り全て返信します。
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いつもと変わらない一週間の始まり
ガバッ!
悪い夢で飛び起きてしまった・・・もちろん目覚めは良いものではない。
あまり食欲もなく、朝食は抜くことにした。
月曜日からこんな調子で大丈夫だろうか・・・
「まだ早いけど学校にいくか・・・行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
あれっ、珍しく返事がある。妹の声だろう。この時間だと妹はまだ登校前なのかな・・・
学校に行くとこれまた珍しく1番乗り。
だけど自習くらいしかやることがないんだよなぁ。早原も早く来ないかなぁ・・・
「おい、瀬川! お前はまったく反省もしなけりゃ懲りもしないんだな。」
やっちゃったか。どうやら暇で寝てしまったようだな・・・早起きだったし当然といえば当然か。
「また怒られてやがるw」
「次は席が教卓の目の前かなw」
クラスメイトに散々に言われてるけど、そんなものは気にしない。一瞬聞き流しちゃいけない言葉が聞こえてきた気がしなくもないけど・・・
今日は1限を除いてかなり集中してたなぁ・・・気づいたらノートが随分と綺麗にまとまってるし。
「よう瀬川、今日も立派に怒られてましたねぇ」
「おいコラ」
「まぁまぁ、それはそうと瀬川、明日から泊まりでボードゲームの特訓しないか?」
「…え?」
「だから、特訓だっての。お前、ボードゲーム部に入りたいんだろ? だったら特訓しか無いだろ」
特訓・・・ねぇ。僕はいいけど家族がなんて言うか・・・
「それで、する?しない?」
「僕はいいけど、親に聞いてからじゃないと・・・」
「いつまで親に頼ってんだか。 それくらい自分で決めろよ」
「そうじゃなくて、親が過保護ってゆーかなんて言うか・・・」
「一回バシッと過保護はやめろって言えよ」
「うちの親は過保護の自覚が無いからねぇ・・・って話が逸れてるよ」
「あぁ、特訓か。 明日必ず返事出せよ」
特訓か・・・興味本位で入ってみたかっただけなんだけどな・・・
そんな思いを巡らせつつ、家路につく。
「ただいま~」
「おかえり」
「あっ、母さん。ちょうど良かった。話があるんだ」
「? どうしたの?」
「僕、ボードゲーム部に入ってみたい。」
「ふ~ん。 入れば良いじゃない。」
「そこで、入部前に早原んちでプレイスキルを上げるべく泊まりで特訓したいんだ。」
「えっ、大丈夫? 早原君の家はどこなの? 何泊するの?」
出たよ母さんの過保護アタック・・・
「はぁ・・・母さん、僕ももう高校生だよ。母さんは過保護すぎる」
「そんなことないわよ。心配になるんだから当然のことじゃない」
「普通は高校生にもなれば大抵は子供に任せるものだけどね・・・」
「優には任せられません!とにかく、今言ったことを報告しなければ許可は出ませんからね!」
まったく、面倒な親だなぁ。
こうなれば一人で勝手に行ってしまおうかな・・・
今日は勉強してから、オンラインゲームをして寝ることにした。
「勉強終わり! よ~しゲームするぞ~!」
そこからの記憶はない。いつ寝たのかも、オンラインゲームのスコアも覚えていない。
今回は会話がだいぶ多めです。
次回もお楽しみに!
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決断、そして自立の始まり
ピピピッ! ピピピッ!
「ふあぁ~。 こんな時間か・・・」
やはり途中で寝てしまったらしく、手にはコントローラー、モニターにはゲームのトップ画面が。
っとそんなことはどうでもよくて、僕はある提案を母さんにしようと思っているんだ。
「あら、優おはよう」
「おはよう。 ちょっと母さんに話があって・・・」
「また特訓の話?」
「違うよ。 母さんはいつも僕が心配だとか、任せられないとか言うけど、たまには任せてくれよ」
「あんたには任せられませんって何度言ったら・・・」
「まったく、任せられない任せられないしか言わないじゃないか・・・そこでさ、提案があるんだけど」
「何よ」
あっ、母さんが完全に怒ってしまった・・・まあ無視して話を続けよう。
「今日から一週間、予定を聞かずに僕に任せてくれないかな?」
「それで事件や事故に遭ったりしたらどうするのよ」
「この一週間で僕が大きな事故に遭わなければ僕は大丈夫だから、以降も僕に任せてくれる? いい加減親の許可が無いと外出できないなんて嫌なんだ」
「はぁ、良いわよ、分かったわよ」
「じゃそういうことで」
今日はいつもより濃い朝を過ごしたなぁ。
授業も頑張るぞ~
「瀬川も今日はちゃんと授業を受けてるな」
いつも説教飛ばす教師に言われれば誉め言葉だな。
「おい、次情報だってよ」
「マジか、移動教室だりぃな」
クラスメイトが不満を漏らすが、僕は得意科目なので嫌な顔せず移動する。
「瀬川、最近お前クラスで悪い方向に目立ってないか?」
「そうかな?」
「もっといい方向に目立てるように努力しなきゃだめじゃんか。 ボードゲームと一緒にそっちの特訓もするか?」
「ええ、それは嫌だなぁ」
「てかお前、ボードゲームの特訓はどうするんだ?」
「親の許可を得ずに行くことにした」
「ふ~ん、お前もやっと自立を始めるんだな」
「どっちかっていうと自立を始めるのは親の方だけどね」
あまりそのあとの記憶はない。どうでもいいことはすぐに忘れてしまうのでそんなに大事なこともなかったんじゃないか?
そして帰りのホームルーム前。
「今日は帰ったら荷物準備して俺んちに来いよ。」
「泊まりだから最低限の日用品も必要か。何なら勉強道具も持っていこうかな」
「だったら勉強教えてくれよ」
「え~、どうしよっかな~」
なんて談笑してたらあっという間にホームルームの時間。
「今日は瀬川もきちんと授業に取り組んでたようだな」
「「「アハハハハ」」」
おいマジかこの教師、生徒を笑い話のネタにするとは…
「よし、じゃあ今日も気をつけて帰れよ~」
「「「「さようなら~」」」」
「じゃあ僕こっちだから」
「またあとでな。ちゃんと来いよ」
「オッケー」
ボードゲームの特訓か~。楽しみだなぁ。
どうも、作者の浜風快速です。
第3話、いかがだったでしょうか。
評価、コメントなどお待ちしております。
頂いたコメントには全て返信させていただきます。
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特訓の始まり
「日用品よし、着替えよし、勉強道具よし・・・と。」
これから早原家での泊まり込みボードゲーム特訓なのである。
「行ってきまーす」
通学路を途中まで進む。
「ここを右でいいのかな?」
そう言って右を向くと・・・
「よう、迎えにきてやったぞ」
「わっ?! びっくりしたなぁ、もう」
「だってお前、道に迷うと思ったからさ」
どうでもいい話で盛り上がってたら早原家到着。
「お邪魔し「ただいま~‼」
「ちょっと待って早原、挨拶被せてこないでくれよ」
「おかえり。瀬川君もこんにちは。」
早原のお母さん、綺麗だなぁ。
「こっ、こんにちは・・・」
「まだ緊張してるかな? まあいいや、拓弥、早く瀬川君を部屋に案内してあげなさい」
衝撃の事実。 早原の名前は拓弥だった。 いつも名字で呼んでたから気にしなかったなぁ。
「ほら、こっちだ」
言われるがまま部屋に入る。
「何だここ。 ボードゲームありすぎでしょどう見ても」
「じゃまずはお前の実力を試すぜ」
最初は将棋。
途中まで優勢だと思っていたのに一瞬で形勢逆転されてしまった。
次にチェス。
短時間で決着がつくほどの実力差を感じた。
オセロに囲碁、あえなく惨敗。
ただ、唯一エアホッケーでは持ち前の瞬発力で勝利。
「はぁ、エアホッケーは正直上手いな。だけど他はまったく駄目だ。 特訓の余地ありといったところか」
しかしそこからが地獄だった。
「よし、この技術参考書を徹底的に読み込め」
そう言うと参考書を何十周でも読まされ、ひたすら覚え込まされるし、
「じゃあ、詰め将棋や詰碁、チェックメイト問題で練習だ」
というと何百とある将棋、囲碁、チェスの雑誌問題を全て解かされるし、
「よし、実践練習だ」
というと何百回でも指す、打つ。
こんな練習、何になるんだ。
そう思いながらひたすら辛い特訓を重ねた。
枯れ果ててしまいそうなくらいつらい。
流す涙もほとんど残っていない。
一度本当に心が折れたと感じた時は、何も考えられずに溢れる涙を抑えることしか出来なかった。心が折れたらこうなると、はっきりと感じた。
でも、日が経つにつれ、練習が苦にならなくなり始めた。
何故か不思議と辛くない。
少し楽しみを見いだせるようになった。
そこからはあっという間だった。
一日の特訓時間は短く感じた。
特訓6日目、特訓が楽しいと感じているその時に明日帰らなくてはいけないと言う事実が立ちはだかる。
「今日はもう寝よう」
本当はもっとずっと特訓したかった。 でも、このままでは身体がもたないと判断しての答えだった。
「そうだな。お前は今、もう充分に実力はあると言える。 あとは二人でボードゲーム部に入ろう」
お互いの仲も深まっていい特訓になった、よし寝よう。
と思っていたとき、思いがけないことが起きた。
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突然の出来事、そして信頼の始まり
白焼さんの素晴らしい小説もぜひご覧ください。
また、更新ペースが遅くなってしまい申し訳ありません。
今回の話は第4話の続きなので、始まりが少しおかしいように感じられるかもしれません。
ピンポーン!
「こんな時間に誰だ? まったく…」
「あっ、拓弥は寝ててよ、私が出るから」
誰だろうか…
「瀬川く~ん!! お母さんが来てるけど~!」
「「…えっ?!」」
二人揃って驚いてしまった。
「か、母さん?!」
「ずっと帰ってこないと思ったら…こんなとこで何やってるのよ!」
「ボードゲームの特訓だって。 言ったでしょ?」
「いいから早く帰ってきなさい!! 心配したじゃない」
「瀬川君、大丈夫?」
「ああ、うちの親、子離れがどうもできてなくて、かくかくしかじか…」
「なるほどね。分かった。 とりあえずお母さんは説得しておくから、ゆっくり寝てね」
「はい、分かりました。お休みなさい。」
「大丈夫だったか?」
「うちの親が凸ってきちゃったみたい。 早原のお母さんに任せてるけど大丈夫かな…」
「母さんなら大丈夫だって。 ほら、寝ようぜ」
―――翌朝―――
「今日は授業あるんでしょ?」
「学校に宿泊の荷物とか持っていくのも何なので、一旦こっちに寄って荷物を持って帰る形でもいいですか?」
「じゃ一旦こっちに来るのね。 分かったわ。」
なぜだろうか、今日はいつになく授業に集中できる…
「瀬川、大丈夫か?」
「あっ、先生。僕なら大丈夫ですが」
「そうか、どことなく寂しげだったから何かあったのかと思ってな。大丈夫ならいいんだ」
あの先生、最近やたら僕に話しかけてくるな…。
そのあともなんやかんやあって今日最後の授業を終えた。
「もうお前が帰っちまうんだな」
「あの家には帰りたくない…」
「まあまた遊びに来いよ。」
「とにもかくにも、二人とも入部できるといいよね」
「だよな」
「お~い、帰りのホームルーム始めるぞ~」
『はーい!!』
そして帰り道。
「あれっ、お前こっちじゃないだろ」
「もう忘れたんだね。 一旦荷物を取りに行くって言ったけど」
「あ、そっか。そうだったな(笑)」
「「ただいま~」」
「おかえり、瀬川君の荷物はここにまとめてあるわよ」
「ありがとうございます。 お邪魔いたしました」
「あら、瀬川君は礼儀が成ってていいわねぇ。うちの子もこんなだったらいいのに…」
早原のやつ、そっぽ向いちゃってるよ…
「じゃあ、ありがとうございました!」
「ただいま~」
「ねえ、昨日早原君のお母さんにも注意されたけど、私は別に心配性じゃないからね」
ある意味すごい、早原の母さんに注意されても懲りないとは…
「いや、はっきり言って母さんは心配性すぎる。 今回の宿泊でもなんともなかったし、今まで学校の修学旅行とかでも何もなかったんだから、そろそろ信頼してよ。」
「そうなのね、分かった。」
ようやく母さんも分かってくれたか?
「もう今日は遅いし、早く勉強して寝なさい」
「わかったよ、おやすみ」
どうも、作者の浜風快速です。
「はじもの」が50UAに到達いたしました、ありがとうございます。
ご感想等お待ちしております。
それでは、次回もどうぞお楽しみに!
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入部期間の始まり
「おはよう~」
さあ、今日も新たな一日の始まりだ…などと呑気なことは言ってられない。
なにしろ、今日はとても大事な一日だから。
「行ってきま~す」
人通りも多いいつもの通学路も、今日はなんだか空気が張り詰めている気がする。
「おはよ…」
クラスのピリピリした空気に、自然と挨拶も小さくなってしまう。
「よう、瀬川」
「早原も今日は何だか暗いな。 やっぱりアレのせいか?」
「ああ、間違いなくアレのせいだよ」
そう、今日は何を隠そう、
入部期間の始まりなのだ。
「お~し、朝のホームルーム始めるぞ~」
クラスメイト達がパタパタと席についていく。
「さあ今日は入部期間の始まりだ。 みんなの望む部活に入れるよう応援してるからな」
クラスが静まり返る。
「まあそういうことだ、頑張れよ」
授業の空気もいつもとは違う。
少し面白い先生はそれをネタに雑談をし、優しい先生は気分をほぐすために軽いアクティビティを取り入れるほどであった。
そして帰りホームルーム。
「みんな、入部競争に負けんなよ!」
そう、この高校、入部競争なるものがある。
ほとんどの部活に入部希望の1年生が殺到することで起こってしまう競争。
それをさばく狙いもあって、ボードゲーム部は入部試験を行っているのである。ちなみにボードゲーム部は入部試験のために他の部活より3日ほど入部期間が短い。
「瀬川、俺たちは入部試験に勝とうな!!」
「おう!!」
まずは入部希望の旨を記した紙を顧問に提出。
ここまではすんなりと行った。
さあ、勝負は入部試験で決まる。
「瀬川、また特訓するか?」
「やるなら参加するよ」
「よっしゃ、じゃやるか!!」
「オッケー!」
――4日後、入部試験日――
「よし、特訓の成果、見せてやろうぜ!!」
「そうだね!」
意気込んで迎えた入部試験は、3日間にもわたる部員たちとの実戦。全部員と1回ずつ対戦し、戦績で入部の可否が決まる。
「皆さんに対戦カードを配ります。」
僕のカードは、なんと4戦目で部活史上最強とも呼ばれる部長、17戦目で副部長と当たるカードだった。しかも他の1年生に比べて対戦の抜け番がない。
早原は11戦目で2年生最強ともいわれる先輩、さらにその次に部長と当たる代わりに、抜け番が多めのカードだった。
「お互い頑張ろうな」
「部長には奇跡でも起こさない限り勝てないし、部長に負けても落ち込まなくていいよね」
「そうだよな」
「それでは、入部試験、開始です!!」
1戦目、僕は特訓の成果を見せて勝利、早原も楽々と勝ったようだ。
2戦目、少し厳しい場面もあったが、終盤で粘って結果は勝利。しかし早原はよほど強い相手と当たったのか、惜しくも敗北となってしまった。
3戦目、早原は抜け番だったが、休憩中も悔しさを隠し切れていない様子だった。僕は楽々勝利をつかみ取った。
いざ、4戦目。抜け番の早原が応援する中、僕は奇跡を起こせるか。
こんにちは、作者の浜風快速です。
瀬川の運命や、いかにといったところで、続きとさせていただきます。
いつも見てくださっている皆様、本当にありがとうございます。
よろしければ気軽に感想等書き込んで頂けるとありがたいです。
それでは、また次回をお楽しみに!!
・アンケートを実施しています。
アンケートについてのご意見(その他で何をやってほしいか等)は、活動報告に返信して頂けるとありがたいです。
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運命の対戦の始まり
いざ、4戦目。
僕の相手はなんと部長、しかし得意なエアホッケーでの11点先取の対戦。
「よろしくお願いします」
そう言ってパックを打って試合開始。
部長はエアホッケーが得意ではないと見えて、なんとなく動揺を隠しているのも伝わってきた。
序盤はすんなり得点できて4-2。
しかし、僕はここから部長の真の強さを目の当たりにすることになる。
早いショットを次々と繰り出され、なんと手も足も出ずに5-8と一気に劣勢に立たされてしまった。
早原もがっかりしているのが分かった。
僕の猛反撃が、始まった。
反射を使って6点目のパックを押し込む。
相手の逆を突くショットで7点目、自己最速といえるショットで8点目。
「これで、同点か」
しかし部長も強く、9点目、10点目と取られてしまい、もう後がなくなってしまった。
それでも、防御の隙をついて9点目、自分でもよく分からないトリックショットで10点目をとった。
デュースだ。
この接戦に、既に4戦目の対戦を終えていた1年生や部員、抜け番の1年生たちも見入る。
応援はできないので静かだが、僕を心の中で応援してくれている人が多いことを願って、対戦を続ける。
長い長いラリーの末に僕がアドバンテージを獲得。
次を決めたら勝利という場面で、ほとんどの人が固唾をのんで見ている。
早いショットが次々と繰り出されるが、何とかかわしてこちらもショット。しかし部長の鉄壁の防御の前に得点できない。
入ってくれと願いを込めて打ったショットは、壁に反射して――――――――敵陣ゴールへと、吸い込まれるように入っていった。
僕の勝ちだ。
「負け、ました」
部長の落ち込みが分かる声が聞こえた。
「ありがとうございました」
「やったな、瀬川、やったな」
早原も感動気味。泣きそうな早原なんて、初めて見たなぁ。
そして早原が頑張る番。
11戦目、2年生相手に苦戦。
一時は明らかな劣勢に立たされるも、猛反撃を繰り出して何とか勝利。
副部長相手に早原は12戦目、僕は17戦目で惜しくも敗れて、17戦目終了時点で全勝者はついに不在となった。
その後もなんだかんだ全40試合を3日間で終え、運命の結果発表。
「今年入部できる20名を発表いたします」
頼む、二人とも入っていてくれ…
「1位、瀬川 優、38勝2敗」
なんとトップで入部確定。喜びやら感動やらが詰まった熱い涙が流れた。
頑張って、良かった。
特訓して、良かった。
そう思えた。
「4位、早原 拓弥、34勝6敗」
早原も上位で呼ばれた。
「いや~、良かったな」
「そうだね」
「ボードゲーム部で、頑張ろうぜ」
「頑張ろうね」
さあ、念願かなってボードゲーム部に入れた。
これから、どんな仲間と活動していくのだろうか。
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部活の始まり
何日か前、僕はボードゲーム部の入部試験にトップで合格して、晴れて部員番号101のボードゲーム部員となった。 もちろん早原も部員だ。
今日は、その初めての活動日。
「こんにちは! 瀬川です」
「こんにちは。 今日からよろしくね。 僕は213番の戸崎(とざき)です」
「戸崎先輩、宜しくお願いします!」
早速戸崎先輩と仲良くなれそうで良かった・・・
「よっ瀬川、来てたのか」
「こらこら、部室に入るときは挨拶しなさい」
「すみません・・・」
早原は早速先生に叱られてしゅんとしている。少し可哀想だな・・・
「こんにちは! 上岡(かみおか)です」
彼女はクラスメイトの上岡さん。 活発な感じだったからまさかここに入るとは思わなかった・・・
「女子部員は珍しいなぁ。 頑張ってくれよ」
「は、はい!」
その後もなんやかんやあって各学年20名ずつ、計60名が集まって部活開始。
「こんにちは、1年の皆さんは初めましてかな? 顧問の伊藤です。 よろしくね。 じゃあ1年生から自己紹介してもらいましょう。 じゃあ部員番号順で」
「101番、瀬川です。 入部試験ではエアホッケーで部長に勝ちました。 宜しくお願いします」
これ以降も同じように自己紹介、さらに先輩方の紹介も終了。 早原は104番、上岡さんは109番のよう。 上岡さん、意外に強そうだな・・・
「はい、じゃ活動しましょう。 今日は将棋をやります」
『はい!』
「1年の皆さん、詰め将棋はできますか?」
『はい』
「全員できるようですね。 じゃあ出来そうな手数を選んで取っていってね。」
パタパタと1年生たちが問題を取っていく。
「できたら先生のところに持ってきてね。それじゃ、始め」
将棋はそんなに得意じゃない・・・辛うじて7手の詰め将棋が出来るかどうかだな・・・
よし、何とか出来た。
「はい、合ってますよ。 9手に挑戦してみる?」
「・・・(考え中)」
「後ろが待ってるから早く決めなさい」
「じゃ、じゃあやります」
「はい、9手詰です」
「ありがとうございます」
はぁ、叱られてしまった・・・
とにかく、9手を解かなきゃいけな・・・って難しくないかこれ?
「はい、詰め将棋終了」
結局9手詰は解けなかった。
「じゃあ戦法学習です。 今日は横歩取りです」
あっ、知ってるぞこの戦法。
「はい、じゃあしっかり復習してね」
聞き流してたから復習も何もない・・・
「次は実戦です。好きな相手と戦っていいよ」
戸崎先輩は・・・あっ、いたいた。
「戸崎先輩、良ければ戦いませんか?」
「いいよ」
「戸崎も先輩って呼ばれるようになったんだな」
「やめろって」
戸崎先輩、仲のいい先輩がいるようだ・・・
「ありがとうございました」
気付けば一手差といえる接戦で負けていた。
入部試験では勝ったからいけると思っていたんだが、やはり上級生の壁は厚いか・・・
第2戦は・・・上岡さんでも誘ってみよう。
「上岡さん、対戦しない?」
「いいよ~、かかってこい!」
やけに自信満々だな・・・
「ありがとうございました」
余裕の勝利。 さっきの自信は何処へやら、何か落ち込んでるようにも見える・・・
「よし、じゃあ今日は終わりにしようか」
『ありがとうございました』
ボードゲーム部、なかなか楽しそうである。
どうも、作者の浜風快速です。
投稿が遅くなりましてすみません。
気軽に評価、感想を書いていただければ嬉しいです。また、第6話でアンケートを実施中です。ぜひご回答お願いします。
では、また次回!
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東川との交友関係の始まり
最近忙しくて小説を書いている暇がありませんでした、ごめんなさい。
「ふあ~ぁ」
今日から朝の部活が始まる。眠い目をこすりながら部室へ。
『こんにちは~』
「おはようございま~す」
戸崎先輩や1年生のみんなが迎えてくれる。まだ数人しか来ていないようだ。
「ねえ、一緒にパズルでもやらない? まだ部活も始まってないしさ、ほら」
「僕、パズル苦手なんだよね…ってそうだ、4組の瀬川です、よろしく」
「4組ってことは隣か。僕は3組の東川。よろしくね」
東川…聞いたことがあるようなないような。
「とにかく、パズルが苦手なら教えるからやろうよ」
「うん、分かったよ」
苦手を伸ばすチャンスだ、やっちゃおう!!
「難しいな…」
「そこはこういうやり方があるんだよ」
「ふ~ん、面白いやり方もあるもんだね」
「それがパズルだからね」
あっ、なんか今いいこと言ったように聞こえた。聞き逃しちゃったなぁ。
「よ~し、みんな集まったかな? 部活やるよ~」
『は~い』
―――伊藤先生、出欠確認中
「全員来てるね。今日はチェスです。放課後もやるからね」
「よし、戦法解説やるぞ~」
「はい、今日覚えたこと、しっかり実戦で生かせよ~」
『はい!』
「じゃあ実戦だ、今朝は違う人と計5戦、感想戦もしっかりやれよ~」
チェスに感想戦ってあったっけな…まあいいや。
「東川、対戦しようよ」
「いいよ~」
「えっ、瀬川もう友達作ったのかよ」
おわっ?! なんだ、早原か。
「ビビらせないでよ~」
「悪かったって」
「そこ、対戦組みなさい!」
「は~い」
すごすごと戻っていく早原、なかなか哀れなもんだね。
「ありがとうございました」
気づけば僕は勝っていた。自分でも驚きだよ。
「瀬川って、チェス強いんだね。」
「そんなことないよ~」
なんてたわいない会話をして第2戦に移る。待てよ、今呼び捨てにされた気がしなくもないけど…まぁ気のせいか。
「っしゃ瀬川、負けねーぞ~」
「ずいぶん強気だねぇ」
「まあ今日は幸運な日だからな。負ける気がしないぜ」
あっ、そう…なんだ。って言いかけたけどその言葉を飲み込む。
「負け、ました…」
「ありがとな。やっぱり勝ったぜ」
くそっ、早原の幸運をも覆すほどの実力がほしい…
さあ、第3戦、誰とやろうかな…
「お~い、今空いてる? よかったらやろうよ」
「戸崎先輩! いいですよ、やりましょう」
なんか挑発してるみたいに聞こえたかな…まあいいや、先輩は気にしていないみたいだし。
「そういえば、君はチェスは得意?」
「いえ、むしろ苦手な方ですね…」
「そっか、強くなれよ。応援してるから」
「ありがとうございます」
結果は案の定負けた、でも不思議と悔しくはない。
強くなれそうな気がする、もっと練習したい。
でも、もう授業時間だ。
今日も、学校が始まる。
どうも、作者の浜風快速です。
今回もお楽しみいただけたら幸いです。
いつも、私の拙い小説を見ていただき、本当にありがとうございます。
改善点など頂けたら、今後のモチベーションと質の向上に繋がります。
また、評価などもお待ちしております。
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「キミと、友達から」の始まり
キーンコーン…
「おーし授業始めるぞ~」
『はーい』
「今日はちょっと息抜きでもするか、ペアワークだ」
教室が騒がしくなる。
「そこはしょうがないから3人グループな、はい出来上がり!」
グループができた。なんと幸運にも上岡さんとのペアだ。嬉しすぎる…!!
「よろしくね」
「よ、よろしく…」
ああ、声も可愛いし容姿も完璧だ…
「……についてペアで話し合うように」
あっやべ、聞き逃した…
「ねぇ、聞いてる? 早速やりましょうよ」
「あっ、そ、そうだね」
「大丈夫? なんか顔が赤いけど」
「? ああ、別に大丈夫だけど」
やってしまったようだ、顔に出てたか…
そんなこんなでペアワークが進む。
「私たち、早く終わっちゃったみたいだね。雑談でもしよっか」
「そうだね…」
「もしやとは思うけれど、人見知りだったりする?」
完全に図星である。さらに上岡さんが話し相手という2コンボ…
「ボードゲーム部は楽しい?」
「うん、上岡さんともまた対戦したいな」
「そっか、嬉しい」
やった、喜んでもらえた!
「それで、ちょっと話したいことがあって…」
「どうしたの?」
この時が来た。言おうと思っているセリフを噛まないように復唱して、深呼吸もして…よし、言おう。
「入学してから、ずっと、上岡さんのこと、可愛いなって思ってるよ」
少し遠回しな言い方でその言葉を口に出す。
「ありがとう、でもなぁ…」
えっ、もしかして僕、振られましたか?
「じゃあこうしよう。 キミと、友達から。」
よかった、フラグが折れた…
「うん、よろしくね」
「こちらこそ、改めてよろしく」
今日1日で、東川に上岡さん、二人も友達が増えちゃったなぁ。
「よし、じゃあペアワーク終了な」
先生、ナイスタイミング! 心の中でグーサインを出す。
キーンコーン…
「やっべ、授業まで終わっちまった」
教室内から笑いが巻き起こる。
「じゃあペアワークの結果発表は次な」
『はーい、ありがとうございました』
なんかいつにもまして濃い授業だった気がする。
「瀬川くん」
肩を叩かれた。ほんのり女の子のいい香りが漂う。
「ん?」
上岡さんだ。どうしたのかな?
「次の授業、教室移動だよ」
「あっ、ありがとう、急がなきゃ」
ふぅ、危ない危ない。
その後も廊下で転んだり早原にドッキリを仕掛けられかけたり色々あって濃い1日になった。
さあ、部活だ部活。
「瀬川、部活行こうぜ」
「上岡さん待ってあげようよ、せっかく同じクラスだし」
「ふ~ん、どうしたんだよ」
「別に、どうもしないけど…」
必死のフォローも、何だか逆効果に思えてくる。
「瀬川くんに早原くん、待っててくれたの?」
「一緒に行こうよ」
早原、ついにナンパしにかかった。
「瀬川、こうやって彼女を作るんだよ、覚えておけ」
なんかこっそり話しかけてきた。そんなこと、僕に言われてもなぁ。
「そんなことより部活行こうよ」
「そうだな」
そして今日も、部活は始まる。
どうも、作者の浜風快速です。
白焼さん「小説のUA数やばいよ」
浜風快速「うらやましいです」
白「年末年始ではじもの200UA目指したらいいよ」
浜「頑張ります」
てな訳で年末年始、頑張って投稿します。
いろいろ忙しいのにな…
これからもよろしくお願いします。
あと、ユーザー情報を更新しました。
追記:1/7時点で160UA...意気込んだのに不発でした。4月までにはあと100UA増やしたいです。
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打ち明けの始まり
―――部室
「こんにちは~」
「おっ、4組トリオじゃないか」
『?!』
僕たち、いつの間にそんな呼び名がついてたんだね…知らなかったよ…
「ま、まあほら、早速だけどチェスやらない?」
「おう、やろうぜ」
「じゃあ私、瀬川くんとやる!」
「えっ…」
露骨に落ち込んでるのが分かる早原、惨めだね!…ってか、いつの間に君付けで呼ばれてる?!
そういえば、大舞北に入ってからなんかキャラとかいろいろ変わってるような気がしないでもない…今のシチュエーションだって以前の僕なら早原を心配してたはず。何が僕をそこまで変えたんだろう。
「ほら、ボーっとしてないで早く並べなよ」
「あっ、そうだね、ごめん」
「はいそれじゃあ始めてくださ~い」
『お願いします』
早原、落ち込み過ぎだっての…
対局は中盤といったところで、僕の優勢が続いている。
「瀬川くん強いねぇ。チェスは得意?」
「いや、そんなことも無いよ。むしろ苦手な方かな。エアホッケーなんか得意だよ」
どうでもいいけど君付けはあまり慣れてないから困る…
「へぇ~、今度エアホッケーやろうね」
「いいよ」
そういって盤面に目を落としたその時、僕は驚いた。
僕の、圧倒的劣勢。
何でだ、何があったんだ…
上岡さんを見るとニヤッと微笑んでいる。
盤外戦術…か。
「気づいた?」
「……」
「もう騙されないよね?」
「分からない」
上岡さんの策略にまんまと嵌まってしまったようだ。
「……負け、ました」
上岡さん、入部試験以上の実力があるのではないか?
その後の部活も上の空。
一応覚えておいたことをまとめると、もう1つ戦法解説をして(何を解説したかは覚えていない)、第1戦は早原に快勝して、第2戦は誰と戦ったっけ、勝敗も覚えてないや…まあいいか、第3戦は上岡さんと戦うも、巧妙な盤外戦術の前に歯が立たなかった。第4戦は戸崎先輩と当たって、確か接戦だったんだよな。どっちが勝ったかは覚えていない。第5戦は東川と仲良く千日手だったなぁ。それで部活が終わったんだった。ちょっと思い出したぞ。この記憶力もどうにかしたいけど…
そして帰り道。
「瀬川くん、今日はありがとうね。いい対戦だったよ」
嫌だ、あれは思い出したくない…。
「あ、うん」
「じゃあ私こっちだから」
「じゃあね、上岡さん」
「またね、早原くん」
「おい瀬川、どういうことだ」
「何がどういうことなんだよ」
「いやいや、上岡さんが瀬川と対戦したがるなんて何かないとおかしいだろ」
「何もないって」
「ホントか? じゃあ何で上岡さんは瀬川と対戦したがってたんだ?」
「いくら僕でも上岡さんの気持ちまでは分からないさ」
「とぼけんな、ホントは何かあるだろ」
「何もないっての」
やっぱり、こういうときのフォローは逆効果になりやすいよね。
「な・に・か・あ・る・ん・だ・ろ?」
「だから何もないって言ってるでしょってやめて痛い絞めないで息が出来なくぁwせdrftgyふじこlp;@」
おお、怖い怖い…
どうも、作者の浜風快速です。
今回は特に言うこともないです。
これからもよろしくお願いします。
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"アレ"に向けての準備の始まり
さて、今日は土曜日。授業は無いけど部活の日だ。
「おはようございま・・・す?」
何だ、誰もいないのか。
暇なのでこの前東川に教えてもらったソリティアでもやってみる。
始めて10分、早速詰んでしまったらしい。やり直しか・・・。
始めて30分、また詰んでしまったと見える。ソリティアは詰みやすいから短気な人には無理という東川の何気無い一言を思い出す。
「地道に頑張ろう」
そう意気込んだのを、伊藤先生に聞かれた。
「どうしたんだい?ああ、ソリティアか。私もよくやったなぁ」
「あっ、おはようございます」
「どうだろう、ソリティアで対戦しないか?」
一人用で有名なソリティアで対戦なんて、どうやってやるんだろう・・・
「簡単さ、それぞれソリティアをやってタイムを競うんだよ」
あれっ、何故か心を読まれた気がする。
まあいっか、やろうかな。
「やりましょう!」
「ふふっ、乗り気だね。それじゃスタート!」
開始から5分、先輩がぞろぞろと入ってきたが、軽く挨拶して再開。
10分経過、一度目の詰み。先は長そう・・・
20分経過、部員も大体集まってきた。
25分経過、ギャラリーが集中を削ぐ。と、何と先生クリア。
「あぁ、負けました」
軽いため息も出てしまう。
「ソリティアは意外に技術が要るよ。例えば、ここならこう・・・」
すごい、解説が分かりやすい。流石先生だな。
「はい、部活始めるから席について」
『はーい』
「今日はカードゲームのウノをやっていくよ」
「先生、ウノのローカルルールはどうなりますか」
「それも今から解説するから聞いてね」
一通りウノのルールと勝敗の決め方、ローカルルールまでの解説が終わった。
僕が慣れているルールで良かった・・・。
「早速対戦したいところだけど、一つ聞いてね。今日は、仲の良い人とは対戦しないで下さい」
何だって・・・それはつまり知らない人と積極的にやれということか?
だとしたら僕には無理だな。
僕は休み時間は図書室の隅で読書、仲の良い人と二人ペアを作れの言葉は僕がぼっちになるフラグという典型的な陰キャである。自分で言ってて虚しいけど。
そういう訳で今日は緊張してしまい、誰と戦ったかなんて全くもって忘れてしまった。
「はい、今日は大事な話があります」
騒然とする部室。何だ何だ。
「夏にボードゲームの公式大会があり、来月その地区予選と、それを兼ねた高校交流戦に出られることになりました」
小さな歓声が上がる。
「今回は60名を12チームに分けて、全国を目指す地区予選、強い人と交流する交流戦上級、それほど強くない人と交流する交流戦中級に出します。そこで、チーム分けの参考にするために次の活動から数日間総当たりをやります」
大会か、どんなとこと当たるかな・・・。
今からワクワクするよ!
どうも、作者の浜風快速です。
皆様、明けましておめでとうございます。
2020年も浜風快速を宜しくお願い致します。
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大会メンバー発表と、協力の始まり
今日もまた、部活が始まる。
今日は、夏の大会に向けてチーム編成を発表する日だ。僕は誰と一緒に戦うのかな。
「はい、みんなこんにちは~」
『こんにちは~』
「今日はチームの発表と、そのチームで練習をしていきます」
『はい!』
早速チームの発表だ。分かりやすくチームをまとめてみようと思う。
大舞北① 301 中村 304 古川 202 森 101 瀬川 109 上岡
大舞北② 302西銘(星)307 江佐 211 華岡 104 早原 112 中野
大舞北③ 303 相岡 309 竹田 201 嵐川 213 戸崎 102 坂井
大舞北④ 306 東谷 203山田(海)103西銘(舞)108 遥坂 117 小倉
大舞北⑤ 305 和田 308 持田 207 井野口 219 小谷 105 東川
大舞北⑥ 313 長尾 215 平橋 220 橋本 106 江川 116 神名
大舞北⑦ 319 町 320 東矢 204 園谷 208 淡路 107 北井
大舞北⑧ 310 音羽 209 笹木谷 218 砂原 110 高橋 111 菱田
大舞北⑨ 311 左瀬 312 五十嵐 205山田(大)217 内海 119 梶崎
大舞北⑩ 314 後藤 317 東風崎 212 佐藤 214 市原 115 中川
大舞北⑪ 315 杉岡 316 鈴木 210 大井 113 寺迫 118 綿谷
大舞北⑫ 318 井上 206 江沢 216 館川 114 渥海 120 傘花
(地区予選①~④、交流上⑤~⑦、交流中⑧~⑫)
こんなふうになった。僕は部長や上岡さんと同じチームになれて良かったよ…早原はなんか寂しそうだけど気にしなくていっか。
「よろしくお願いします」
「チームの足を引っ張るなよ」
「はい、頑張ります…」
「あはは、冗談だって」
部長、冗談が冗談じゃないんですが…
「お、お願、お願いし、お願いします…」
「森、緊張しすぎだっての。人見知りかお前は」
「ほんと、部活と授業で態度が全く違うよな」
「そうなんですか?」
マジか…この物静かな感じの先輩が、授業中はどうなっているのだろうか…
「君らのクラスにも授業中まではっちゃける奴とかいない? そういう奴なんだよ、森は」
俄かには信じがたい。部活で物静かな先輩が授業中ははっちゃけると聞いて、あぁそうなんですねと納得できる訳がないよ…
「はい、まずはチーム練習からね」
いよいよ練習開始。今までの部長戦は1戦1勝だが、惨敗になってもおかしくはない。
「瀬川くん…でいいんだよね?」
「ん、あっ、はい」
だから君付けはやめてください・・・
「入部試験強かったね。ボードゲームは得意なの?」
「いえ、友人と試験直前に泊まり込み特訓してたんです」
「ふ~ん、でも君なら多分だけど素質はあるんじゃない?」
パチッ。音のした方に目をやると対局が始まっていた。上岡さんに鍛えられたおかげで番外戦術は回避できた…
「そういえば、体育会系に見えるけど、運動部から勧誘とか来た?」
「引っ張りだこでしたけど、本命のボードゲーム部からは来なかったですねぇ」
「じゃあもし退部になってもすぐ新しい部活見つかるね」
「退部はしないつもりですよ」
「だから冗談だって」
部長、冗談がきついです。
どうも、作者の浜風快速です。
今回のチームまとめ表、縦がきっちり揃ってないのは気にしないでください…
2020年もあと360日、色々なことがあると思いますが、皆さんもがんばってください!
それではまた次回!
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大会に向けての練習の始まり
私用が落ち着いてきたので、また更新させていただきたいと思います。
「はい、じゃあチーム作って~、大会練習するよ~」
いよいよ、大会に向けた練習が始まる。いつも以上にハードな練習だと言われ、少し身構える。
しかし、予想以上にきつい練習が待ち構えていた。
初日は部活が終わるまでずっと、様々なボードゲームで最善手を探す問題を解いた。終盤になってくるとどうしても集中力が切れて、誤答を連発してしまった。
2日目は過去に行われた対戦の中から、善手と悪手を見つけ出していくだけだった。これもかなりきつかったが、自分の技術の糧になるような手をいくつか発見できて満足だ。
3日目、実戦練習に入った。同学年の生徒と対局、15分以上の感想戦を繰り返した。感想戦で取り上げられそうな善手や悪手を見つけながら戦わなくてはならず、不調の時並みの勝率の低さを出してしまった。
4日目、体力や持久力のためと言われて、なんと校舎の外周を5周、距離にしておよそ3000mを走らされた。文化部なのに、文化部なのに…と呟きながら走った。当然疲労困憊、その後の活動なんて覚えているわけが無い。
その後もきつい練習を重ね、12日目には高校の部活とは思えないほどハイレベルな対局が部内のあちこちで見られた。
もちろん、毎日のように疲労困憊して帰ってくる僕を見て、母さんはいつも心配そうにしている。
「大丈夫? あまりきついようなら学校に連絡しようか?」
「だから母さんは過保護なんだって。自分で選んだ部活なんだから頑張るよ」
「はぁ、優は過保護過保護ってうるさいわねぇ。母さんは優のためを思って…」
「そういうのほんといいから」
このやり取りが約2週間ほぼ毎日だ。もっと疲れるよ、こんなの…。
大会練習開始から20日が過ぎたある日の朝。
「優、体に気をづけだざいよ」
なぜか母さんが風邪をひいた。聞いた話では、パート先でもらってきたらしい。ホントに、インフルエンザも流行ってるからやめてほしい…。
「母さんは人のこと言えないでしょ。まずは自分の風邪を治してから言ってよ」
「はいはい、わがったわよ」
風邪で鼻声だからか、訛ってるようにも聞こえてくる。
「とにかく、ゆっくり休んでてよ。行ってきま~す」
「いっでらっしゃ~い」
授業中、母さんの鼻声が可笑しくてつい吹き出しそうになる。
「瀬川さん、何をニヤニヤしてるんですか。授業中ですよ」
「あっすみません、今朝の母の声が可笑しくて…」
「まったく、集中しなさい」
結局怒られてしまった。何で僕ばっかり…
「瀬川、また怒られてたな」
「早原が言えることじゃないでしょ」
そう、実は早原もかなり怒られているのである。
「おっ、似たものコンビが話してる~」
やんちゃな奴が来た。こいつは常に誰かをイジっていないと気が済まないようで、今日は僕らが標的となった。
「ホントにお前ら似た者同士だよな」
このあと、彼の口からとんでもない一言が発せられるなんて、この時は想像もしていなかった。
どうも、作者の浜風快速です。
始まりの物語を読んでくださる皆さん、いつも本当にありがとうございます。
もうすぐUA数も200に届こうとしております。
さて、毎度のように申し上げておりますが、感想や評価などは、これからのモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします。
それでは、また次話でお会いしましょう。
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衝撃の一言と、いつも通りの生活の始まり
まだ前話を見ていらっしゃらない方は、前話からお楽しみください。
「ホントにお前ら似た者同士だよな」
「何だって?」
早原、あまり突っ掛からない方がいいよ…
「お前ら良いカップルになるんじゃねーか?」
なるんじゃねーか…じゃねーか…ねーか……。
あいつの言葉が頭の中で響く。
何を隠そう、早原は男だが、僕、瀬川優は、一人称は僕、髪も短く切っていて、体育が出来そうな感じではあるが、実は、体育なんて大の苦手な、女の子だ。いや、自分で女の子なんて言うのも気が引けるが…
まあとにかく、僕は所謂僕っ娘というやつである。正確には、身体は女の子だけど心は男の子という状態だけれど、これを何というかは忘れた。
女の子だから、君付けの呼び名も慣れていなかったり、中性的な口調になったりしているのだし、心が男の子だから、恋愛対象はどうしても女性になってしまい、何週間か前のように上岡さんに告白などをするし(上岡さんは普通の子なので、女子に告白されても普通に断るんだけどね)、男子の早原などを恋愛対象として見たことも一度もない。でも見た目は普通にJKだから、通学しているときに周りの男性から熱い視線を毎日のように浴びるし、たまに学年の男子からの視線を受けたり、誰それが僕のことが好きだという会話を聞くこともある。
っと、少し話し過ぎたか。
「誰が良いカップルだって? えぇ?」
相変わらず怖いよ…だけど僕も言い返さなきゃ。
「まったくだよ。早原を好きになったことなんて無いって」
「…えっ?」
早原は普通の男子なので、どうやら僕が早原に好意を寄せていると勘違いしていたらしい。まったく、惨めなやつだな…おっと、また思考回路が変な方向に行ってしまった。最近こうなることが多すぎるから、気をつけようっと。
「お~い、帰りのホームルーム始めるぞ~」
『は~い』
「最近はボードゲーム部がだいぶ頑張ってるようだが、3人は頑張りすぎて燃え尽きてないか?」
「私は夜、疲れきってるからお布団に入ったらすぐ寝ちゃいます」
「僕も僕も。毎日疲労困憊して帰っちゃうから勉強時間が無くなりそうです」
高校入学したその日に僕っ娘を公言したおかげで、僕の口調に言及する生徒は誰一人としていない。
「俺は大丈夫だぜ。なんたって男子高校生だからな!」
いよっ早原! 頼もしい~!
男子の声援が早原へと飛んでいく。早原は機嫌がよさそうだが、その声援の6割は野次馬によるものだということは公然の秘密。
「なぁ瀬川、ホントに俺のこと好きじゃないのか?」
「まぁね。てか誰かを好きになったことなんてないから」
嘘をついた。本当は上岡さん大好き…
「そうか…まあ俺に女心は分からないし、どうしようもないかもな」
そうだその通り、僕のことなんて諦めた方がいいよ。
どうも、作者の浜風快速です。
今日は1日で2話も書いてしまいました。やはりハーメルンはこういうところに楽しみがあり、続けたくなるんだと思います。
それでは、また次回。
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「最後の一日」の始まり
「はい、じゃあ部活を始めましょう」
『よろしくお願いします!』
今日もまた、厳しい練習が始まる。
「皆さん、明日はいよいよ大会です。今までの練習の成果を発揮して頑張りましょう。1年生は初めての大会ですし、結果が出なくても大会の雰囲気を感じてもらえれば大丈夫です」
でも、こう言う先生こそが結果を出せないと厳しくなるタイプであることを、僕は小中学生の9年間で知識として蓄えた。
つまり、この大会で結果を出せないと、周りからひどい扱いを受けることになる。
そう感じて、より一層練習に熱を入れるようになった。
戦略解説では食い入るように先輩の解説を聞いて、いつも以上に分かりやすいメモを取るようにした。
実戦では今まで学んだ戦法、独学で身に着けた戦法を惜しみなく投入する。
さらに運動で蓄えた体力と持久力をフル投入し、どんな相手でも、早原でも上岡さんでも、容赦することなんて無かった。
「女子なのに随分と激しい戦いをするねぇ」
「くそっ、たかが女子に負けちまったよ」
今日戦った先輩の泣き言が聞こえる。
僕はこの、「女子なのに」という言葉が嫌いだ。女子を甘く見ているのか、はたまた女子差別といわれる類のものなのか。とにかく、僕みたいに心が男子である人間にとって、女子なのにという言葉は深く刺さる。
…おっと、話が脱線してしまったが、僕は9戦ほど先輩たちと交えていずれも勝利した。
なんと僕は部長にギリギリ勝てるレベルまで成長していたらしい。
「女子なのになかなかやるじゃん」
この言葉にはいつもイラっとさせられるなぁ。部長すらもこの言葉を発する人だったのか、少し残念である。
「さて、今日はここまでにしようかな」
疲れ切ってあまり記憶もないが、よほど辛い活動でもしていたのか、気づいたら全身から汗が噴き出している。
「瀬川、大丈夫か?」
「ん? ああ、早原か。僕は大丈夫だよ」
「そっか、ならいいんだけど」
あれっ、何だろう。少し早原の口調に違和感がある。心なしか少し優しい…?
「皆さん練習お疲れさまでした。今日はゆっくり休んで、明日しっかり
実力を発揮してね」
『はい!!』
「それじゃ、号令かけましょう」
「気を付け~、礼~」
『ありがとうございました~』
なぜか脱力した感じになる終わりのあいさつ、バッグを持ち上げる力も出なくなりそう。
それでも頑張って何とか帰り、自室でベッドに倒れこむ。
「優~、晩御飯は~?」
「ちょっと今いらない…」
当然この返事が聞こえる筈も無く、無事に母さんが自室に凸。
「ほら優、晩御飯冷めるよ」
「ごめん、今いらない…」
「そう、でも臭くなるからお風呂は入りなさいね」
そうだ、最低限お風呂に入るだけの力は回復させなきゃ。
でも、倒れこんでいる間に、僕は深い眠りへと落ちて行ってしまった。
どうも、作者の浜風快速です。
最近PCを新調しました。今までのとは使い勝手が違うので、小説も書きにくいですね…。
ただ、今までより更新頻度が上がるかもしれないので、ご期待くださいませ。
それでは、また次回!
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大会の始まり
「おはようございま~す」
集合場所の上大舞駅に来たが誰もいない模様、一番乗りだ。
それもそのはず、暇つぶし用のボードゲーム解説書数冊をカバンに入れ、暇になる前提で集合の約40分前に到着しているのだ。
「さすがに暇だなぁ」
速読に定評のある僕は持ってきた本を一通り読み切ってしまった。
「発車標でも眺めてみるか」
普通 大舞町行き、快速 月町経由南矢崎行き、普通 牧野行き、普通 大舞町行き、快速 滝宿経由氷月が丘行き…
けっこう見飽きないもので、はっと気づいて周りを見てみたらもう大半の部員が来ていた。
「何ボケーっとしてんだよ」
早原に叩かれる。
「痛いなぁ、やめてよ」
「そうだぞ、女の子を叩くなんて男として最低だろ」
『そうだそうだ』
早原が(´・ω・`)ショボーンとなった。滑稽だな(笑)
「よし、出発だ!」
大舞北の一行は快速 滝宿経由南矢崎行きに乗車。
「高校生なんだからうるさくしないでね」
『は~い』
全員が静かな声で返事をする。
僕は鉄道が大好きだから、車窓やレール、対向車などを見飽きずに楽しめるタイプだ。
「次は上紀野、上紀野です。お出口は右側です。この先の通過駅をご利用の方と、月町方面、市営紀野線はお乗り換えください。」
上紀野の珍しい配線も大好きだ♪ 毎回ここに来るとわくわくする!
上紀野を出て、少ししたら目的地の滝宿だ。
「次は滝宿、滝宿です。お出口は左側です。」
「みんな~、降りるよ~」
『は~い』
僕たちは滝宿市民会館に到着。
先生が何やら手続きをして、いよいよ会場入りだ。
「はい、じゃあこの間作ったチームに分かれて席に座ってね」
先生の指示で素早くチームができる。
「部長、よろしくお願いします」
「おう、よろしくな、みんなも頑張れよ」
「上岡さん、よろしくね」
「うん、頑張ろうね」
「では、これより、第48回 ○○県ボードゲーム大会を開催します。 気を付け、礼」
『よろしくお願いします!』
「まず、ボードゲーム協会会長からご挨拶です」
そのあとも長いルール説明などがあり、いよいよスタートだ!
「では第1戦、始め!」
『お願いします!』
第1戦は月町二高との対戦。
僕と上岡さんにとっては高校生になって初めての他校との対戦だった。
少し緊張もあったが、僕はなんとか自分の力を出し切って勝利。
部長や先輩も勝てたが、上岡さんは苦戦を強いられ敗北。
「すみませんでした…」
何度も謝る上岡さんを1、2年生3人で慰めながらいざ第2戦。
果たして、初めての公式戦の結果はどうなるのでしょうか、次話をお楽しみに!
どうも、作者の浜風快速です。
最近は感染症などのニュースが連日流れておりますが、皆様はいかがお過ごしですか?
私は先日、外出先でICカードを落として凹んでおります…。
ICカード、見つかるといいな…。
それでは、また次話で!
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予想外の苦戦と、楽観的思考の始まり
迎えた第2戦。
今度は暁学園高との対戦。
「お願いします」
僕にとっては全く知らない高校のため、全てが未知といえる。
さらに苦手なチェスでの勝負のため、負けると考えるのが妥当な線といったところか。
5分ほど経過しただろうか、僕の圧倒的劣勢で中盤戦に突入。かなりの長期戦、体力をできるだけ削らないように戦わざるを得ないが、これがまた難しい。
そこからさらに2分、少し逆転の糸口が掴めた。
早々に勝利を決めた先輩2人が無言の応援をしてくれている。
少しずつ互角程度までもっていく。
上岡さんも勝てたのか、少しうれしそうな表情でこちらに目を向けてくれた。嬉しい♪
ほぼ互角の状態で終盤戦へ。
相手は残りの体力をこの試合に注ぎ込む気なのか、かなり強くなっているようにも感じる。
少しずつ劣勢に傾き、それを逆転し、また劣勢に傾き…を繰り返した結果、
僕は、負けた。
体力を注ぎ込んで燃え尽きそうなのにも関わらず引きつったような笑顔の相手を前に、僕は、涙の味を知った。
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です…」
慰めてくれる先輩に、力ない声で答える。
「よし瀬川、君にこの言葉を教えよう。『涙を知った人間は、強くなれる』。壁に当たっても、強くなるための苦難だという楽観が大事だ」
「は、はい!」
「よし、第3戦行くぞ!」
楽観的思考を携えて迎えた第3戦は、矢崎高との対戦。
今度は割と得意なオセロでの対戦だ。
「お願いします」
オセロでは基本的に後手が有利とよく言われる。本当にその通りで、僕が先手を持った場合と後手を持った場合ではオセロの勝率は全く違ってくる。
そして今回、僕は後手を引いた。
(これはもらったか)と思いながら戦う。
序盤、予想通り僕の優勢で試合を進める。
相手がこの段階で長考しているのが少し気になるなぁ。
中盤、少し体制を崩されかけたが、持ち前の技術で回復させる。
少し苦しくなり始め、そこそこ時間を割いてしまっている。
残り十数手、相手が読み切っているのか、それとも少ない時間に押されているのか、だいぶ早指しになってきた。
ここで時間を使ってはいけないと、読みを加速させる。
残りは10手を切り、依然として僕の優勢。
相手方から小さく独り言が聞こえてくる。集中せねば。
対局終了。
「ありがとうございました」
第2戦からの切り替えを素早く決めて、第3戦は勝利で終えた。
全勝の可能性は消えたけれど、初めての大会でいい成績をとれるよう頑張ろう!
そう思いつつ、僕は第4戦の場へと向かった。
どうも、作者の浜風快速です。
また少しお休みをいただきたいと思います。 というのも、作者自身、この春から生活環境が変わり、慣れるまでに時間を要するのと、より短時間で小説を書けるようにとタイピングの練習をしているのです。
ということで、戻ってこられそうなら活動報告を更新します。
それでは、いつになるかわかりませんが、また次話でお会いしましょう。
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思いがけない出来事と、大会最終戦の始まり
迎えた第4戦、今度は堅そうな私立に見えた(校名は分からなかった)。
今度はパズル5問早解きでの勝負となった。
1問目、苦手とするクロスワードで序盤から相手に大きく差をつけられてしまう。 これは終わったかと思い、諦めもあって顔を上げ、相手を見てみると。
そこには、いまにも燃え尽きそうな顔があった。
スタミナがないのか、それとも単純に1問目に全振りしてしまったのかは分からないが、これはチャンスだと思いながら落ち着いて解いた。
結果的に1問目を有利な状況で終えて2問目。 ここから4問目までは得意とするマイナーパズルの連続なので、安定して解いていきたいところ。
まずは消しゴムを1回も使わないでクリア、3問目に突入。
3問目は残り僅かのところでミスに気づき全消しという、特訓前なら確実にモチベが無くなる状況だったが、何とか持ち応えて4問目……かと思いきや。
「すみません、降参します」
なんと相手は完全にスタミナ、モチベが切れたようで、続行不能と判断し僕の不戦勝扱いとなった。
暇になってしまった僕は、チームのメンバーの様子を見る。
上岡さんはなぜかとても嬉しそうだ。 余裕綽々といったところか。
森先輩は辛そうである。パズル苦手だったのか……。
古川先輩は余裕とまではいかないが好戦している模様。
そして部長はというと、不戦勝の僕より先に5問を解き終えたようで、相手がまだ3問目であるところを見ると圧勝のようだ。
余談だが、森先輩の相手はずっと「女が二人もいるチームに負けるわけにはいかねえ…」とずっとぶつぶつと言っていた。 正直腹が立った。ボードゲームに男も女も関係ないと思うのだが…
チーム結果は、部長、古川先輩、僕、上岡さんの勝利で4-1の白星となった。
「森先輩、お疲れさまでした…。」
「くっそぉ、パズルは苦手なんだよぉ。 うぅ…(´;ω;`)」
「まあまあ、最終戦があるし落ち着いていこうぜ。 な、森」
「ぶぢょうありがどうございまず……」
「泣くなっての、みっともねぇぞ」
最終戦、秋吉南との対戦。種目(?)は5vs5制の将棋。(チームで相談していいというルール有)
最後はここまで全勝の3校中2校による対戦だ。負ければ優勝の可能性が消えるという崖っぷちの対戦でもある。
森先輩が気がかりだが、それでも落ち着いて臨んだ。
序盤はなんと古川先輩が快調な早指しで独走。ほか4人の出番ゼロという展開。
中盤に入るや否や、選手交代で上岡さんが入る。 今度はあまりに余った時間を有効に活用して、相談も設けつつチーム戦らしい戦い方を見せてくれた。
終盤、部長を中心にチーム全員で相談しまくりの進行。
はたして、僕たちはこの戦いを制し、地区予選大会でチームを全勝、優勝へと導けるのか。 次話をお楽しみに!
どうも、作者の浜風快速です。
2か月以上更新を空けてしまい、申し訳ございませんでした。
この間に新しい小説を書き始め、しばらくそちらを中心に更新しておりました。
ここまで空いたのに見に来てくださった方、本当にありがとうございます。
これからもノロマ更新ではありますが、気長にお付き合いいただけると幸いです。
それでは、また次話で!
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大会の終結と、”次へ向けて”の始まり
秋吉南との全勝同士の対決、5vs5将棋は終盤戦、手堅く守っているこちらの優勢といったところ。
森先輩を中心に相談しあいながら一手一手を確実に指していく。
相手もかなりチーム戦になっているものの、相談内容が丸聞こえらしく部長が聞き耳を立てて情報収集をしてくれている。ありがとうございます部長。
相手の指し手もだいぶ分かっているのでこちらは守れば勝てそうという場面であるが、油断は到底できない。
そして。
「参りました…」
その声を弱弱しく発したのは、
部長だった。
そう、僕たち大舞北は、秋吉南に敗れたのである。
部長の情報収集での聞き違えにより対策外の一手を指された僕たちは、時間も使い切り、まともな相談もできず逆転負けを喫した。
「ごめんよ、俺が聞き間違えたばかりに…」
「部長は悪くないですよ。俺らが落ち着いて相談できていれば」
「森先輩の言う通りです。部長だけの責任じゃありませんよ」
「第48回 ○○県ボードゲーム大会も、いよいよ終わりが近づいて参りました。それでは、全国大会出場を目指し集まった地区予選の結果と、全国出場校を発表します」
僕たちは4勝1敗となったが、全勝は秋吉南だけなので残り1枠を争う厳正な順位決め抽選に賭ける。
「地区予選優勝は、全勝で秋吉南高校!同校には優勝賞品と、全国出場権が与えられます。」
僕たちも拍手する。本当は祝いたくないんだけどな…僕たちが勝ってりゃ今頃僕はあそこにいたのに…
「なお、4勝1敗が同率で4校いるので、厳正な抽選によって第2位~第5位を決めます。第2位に選ばれた高校には、全国出場権が与えられます」
運命の抽選の時間だ。
「第5位は………岩永第二高校!」
良かった、選ばれなかった…。
「第4位…………羽山大学付属三井高校!」
4戦目まで全勝の高校3校のうち残りの1校らしい。
「さあ、第2位は大舞北高校と下梅郷高校、どちらになるのでしょうか!
第2位は…!」
全力で祈りを込める。大舞北、大舞北…
「下梅郷!」
なんとここでも不運だったらしい。わずか一回の負けで全国の夢さえも逃すとは…。
ふと下梅郷を見ると、信じられないといった顔で呆然と前を見ている。彼らに意識はあるのだろうか…。
その帰り道。
「ごめんな、俺のせいで…」
「いや私のせいです」
「俺が悪かった」
「僕のせいですよ」
「お前らは何も悪くないよ」
反省会はまともなものではなかった…。そりゃそうだ。あと1歩で全国というところを逃したのだから。
「先輩、トロフィーに涙たまってますよ(笑)」
「は?」
「ご、ごめんなさい…」
部長の剣幕に、茶化しに来た交流戦組がすごむ。そもそも茶化しに来るなよっていう話なのだが。
「まぁまぁ、君たち。次があるじゃないか」
「先生、でも部長の夢が…」
「それは諦めるしかないかもな…あのぉ中村くん(部長)、痛いからやめてくれないかな。電車内だよ?」
「掴みかけた最後の望み、そんな簡単に諦められるかよ…」
静かに反抗する部長が怖いです…。
こんにちは、作者の浜風快速です。
この度、ペンネームを改めさせていただきました。
浜風快速になっても、応援よろしくお願いします!
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