ハードボイルド探偵 天羽 奏 (ナイトメア・ゼロ)
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プロローグ
Sの探偵


これはあたしがまだ子供の頃だった話。あたしは両親と妹と一緒に遺跡にある聖遺物を発掘しにいった。特になんの異変も起きず順調に作業が行われていた時だった。突然そこにノイズが現れた。そしてあいつらのせいであたしは家族を失った。

 

発掘チームはノイズに殺された。言い方が悪いかもしれないけどあたしの両親は発掘チームを囮にして一緒に逃げた。だけどノイズに回り込まれ逃げ場を失った。

 

両親は、あたしと妹を逃がそうと身体を張って逃げ道を作ってくれた。そのおかげで遺跡の入口まであたしと妹は逃げれた。あたしは振り返って妹の顔を見て笑った。そして力強く手を握り引っ張って遺跡から出ようとした瞬間だった。突然軽くなったんだ。あたしは嫌な予感をして振り返るとそこには燃えカスのような炭になった妹がいた。妹は「助けて。お姉ちゃん」と言ってあたしの目の前で身体が崩れ落ちた。

 

「あ、ああ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 

それを見たあたしは悲鳴を上げた。あの時あたしは何が起きたのか分からなかった。理解したくなかった。でも現実は残酷だった。その証拠にあたしの前に妹はいない。あるのは妹だったものとノイズだけだった。

 

ノイズはゆっくりとあたしに歩み寄ってきた。

 

何の力もなかった子供のあたしは死への恐怖に耐えながら、この命が消えるまで目の前のノイズを睨み続けることしかできなかったその時だった。

 

「大丈夫か?お嬢ちゃん」

 

男の声が聞こえた。あたしは振り返るとそこには白いスーツと白い帽子を被った男が現れた。男は腰に何かを付けると胸ポケットから何かを取り出した。

 

『SKULL』

 

そしてそれを腰につけたものにセットした。

 

「変身」

 

『SKULL』

 

すると男は姿を変えた。そこにはドクロの仮面をしておりそして白い帽子を被った男がいた。

 

「さぁ・・・・・・お前達の罪を・・・・・・・数えろ」

 

『SKULL MAXIMUM DRIVE』

 

男は走り出してあたしを通り過ぎるとノイズの顔を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたノイズは後ろにいた他のノイズを巻き込んだ後巻き込まれたノイズは炭になって崩れ落ちた。

 

「大丈夫か。お嬢ちゃん」

 

男は元の姿に戻るとそう言ってあたしに手を差し伸べた。

 

「ッ!!」

 

パァン!!

 

だけどあたしはその手を払った。あたしは立ち上がって男のスーツを掴んだ。

 

「なんでだよ。・・・・・なんでもっと早く助けに来なかったんだよ!!お前がもっと早く来てたら父さんも母さんも・・・・・鏡花も死なずに済んだのに!!・・・・・・なんでだよ!!!!」

 

あたしは命の恩人である男に向かってそう言った。そしてあたしは何度も男の胸を叩いた。あたしは泣きながら男に八つ当たりをした。だけど男は何もせずあたしのやりたいようにさせていた。そして男はあたしを抱きしめると

 

 

「すまなかった。お嬢ちゃんの大好きな両親を・・・・・・・妹を救えなくて。・・・・・オラがもっと早く来ていればこんな辛い目に合わせずに済んだのに・・・・・・・すまなかった」

 

男はそう言うとあたしは大泣きした。多分人生で一番泣いたと思う。あたしが泣き終えると男はこう言ったんだ。

 

「行く場所があるのか?」

 

って聞いてきた。正直この時のあたしはこの先どうすればいいのか分からなかった。だけど男はこう言ったんだ。

 

「お嬢ちゃんが良ければオラの家に来るか?まぁ、家って言ってもオラの仕事場だけど・・・・・・引き取り先が見つかるまでいるか?」

 

男はあたしにそう言うとあたしはコクリと頷いた。男はあたしを背負うとその遺跡から出た。

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

「あんた名前なんなんだ?」

 

あたしは男にそう聞いた。

 

「オラか?オラは野原 信之介(のはら しんのすけ)35歳。探偵だぞ」

 

これが名探偵、野原 信之介とあたし天羽 奏の出会いだった。



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Nの恋人

それなりに反応が良かったので続きを書いてみました。





それではどうぞ


あの事件から半年が経った。あたしはおいしそうな香りにつれられて目を覚ましベッドから起き上がるとそこには白いスーツを着た信之介さんが朝食をテーブルに並べていた。

 

「おはよう奏ちゃん。よく眠れたか?」

 

信之介さんはそう言って信之介さん専用のコップにブラックコーヒーを入れて飲み始めた。

 

「おはようございます。信之介さん」

 

あたしはそう言ってイスに座ってトーストと目玉焼きとウインナーを食べた。信之介さんは私立探偵を仕事にしているけどあたしが知っている探偵の仕事とは全然違っていた。信之介さんがやっている仕事は基本的にペット探しや浮気調査、人探しの仕事ばかりだった。中には常連さんがいるけどアニメでやっているような事件を推理して犯人を捕まえるような仕事はなかった。

 

「・・・・・信之介さん」

 

「ん?どうした奏ちゃん」

 

「・・・・あたしはいつになったらノイズを殺せる力をくれるんですか?」

 

あたしがこの事務所にいるのはあの時、信之介さんがノイズを全滅させた力を手に入れるためにここに残っている。たまに信之介さんの帰りが遅い時は事務所の中にあるあの力を探しているが結局見つからずよく信之介さんに怒られた。

 

信之介さんは力を渡すのにふさわしくなった時に力を渡すって言ってたけど未だにあたしに力をくれなかった。

 

「・・・・・前にも言ったけど奏ちゃんにガイアメモリは、早すぎる。それにその力を手に入れても考えているのはノイズに復讐することだろ?」

 

「当たり前だ!!信之介さんだって見たはずですよ!!あたしの前で父さんと母さん、鏡花が殺された瞬間を・・・・家族の仇を取れるならあたしは地獄にだって落ちる覚悟がある!悪魔にだって魂を渡す覚悟がある!!だから信之介さん!!そのガイアメモリをあたしにくれ!あたしだって一人前になったはずだ!!」

 

あたしだってそれとなく信之介さんの仕事を手伝っていたつもりだ。まだ一人前じゃなくてもガイアメモリさえあれば1人でも戦える自身があった。だけど。

 

「それでもダメだぞ。奏ちゃんはまだ半人前だ。それに復讐をしても家族は帰ってこないぞ」

 

信之介さんはあたしにそう言うとあたしはテーブルを思いっきり叩くと立ち上がった。

 

「もういいです!!」

 

あたしはそう言って事務所を飛び出した。そんなにあたしは頼りないんですか?信之介さん。復讐がそんなにダメなんですか?あたしは走ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは町をうろうろしてから事務所に戻ると話し声が聞こえた。信之介さんに依頼が来たと思ったあたしはこっそりと話を聞いた。

 

「本当に久しぶりだねしんちゃん!噂には聞いてたけど本当に探偵をしていたなんてネネは知らなかったわ」

 

「ひどいぞネネちゃん。オラの活躍を知らないなんて」

 

信之介さんが楽しそうに会話をしている。この時あたしは信之介さんの友達かなって思った。すると。

 

「奏ちゃん。帰って来て早々に悪いけどコーヒーを入れてくれないかな?」

 

どうやら信之介さんはあたしが帰って来たことを知っていたようだった。あたしが事務所に入るとそこにはスタイルのいい赤髪の女性がいた。

 

「え?しんちゃんってもしかして結婚してたの!?」

 

ネネっていう女の人はそう言って信之介さんを見た。

 

「違うぞ。奏ちゃんはノイズ騒ぎの生き残りで彼女を救出した後そのまま引き取ったんだ」

 

あたしは入れたコーヒーを信之介さんとネネさんに渡した。

 

「せっかくだからネネちゃんに紹介するぞ。彼女は天羽 奏っていうんだぞ」

 

「・・・・はじめまして。天羽 奏です」

 

あたしはそう言うと。

 

「ふふ。私は桜田 ネネです。WINDSCALEって言う会社でデザイナーやっているの」

 

ネネさんがそう言うと信之介さんコーヒーを吹き出した。

 

「信之介さん!?」

 

「ちょっ!?ちょっと汚いでしょ!!」

 

「ご、ごめん。それよりネネちゃんあのWINDSCALEな就職してたの!?」

 

信之介さんそう言ってコーヒーを机に置いた。

 

「信之介さん。WINDSCALEってなんですか?」

 

「WINDSCALEというのは日本の超有名なファッションデザイナー企業。あの企業がデザインした服はオラも好きなんだ。ネネちゃんがそんな大企業に就職していたなんて意外だぞ」

 

信之介さんはそう言ってコーヒーを飲んだ。

 

「ふふん。これでもいくつかアイディアを採用してくれてそれなりの役職についたのよ」

 

「大出世じゃないか!?子供の時は、アイドルとか女優になるって言っていたのが嘘に感じるぞ」

 

「ちょっ!それ黒歴史だからやめてよしんちゃん!」

 

そうやって信之介さんは昔話に華を咲かせていると本題に入った。

 

「実はしんちゃんにお願いがあるの」

 

「どんな依頼だ?」

 

「私の彼氏を探して欲しいの!!」

 

ネネさんはどうやら同じ職場の人と付き合っていたらしいけどある日突然姿を消したらしい。名前は熔岩 修造(ようがん しゅうぞう)37歳。暑苦しいところもあるが真面目で仕事熱心な努力家で職場の人間関係も良好な男性。ある日突然会社を休むようになってそれ以来行方が分からなくなってしまったらしい。

 

「信之介さん。どうします?」

 

私は信之介さんにそう聞くと。

 

「分かった。幼馴染の頼みだ。格安で引き受けよう」

 

信之介さんはそう言って白い帽子を被った。

 

「あ、ありがとうしんちゃん」

 

ネネさんはそう言って頭を下げて泣き始めた。

 

(その彼氏がよっぽど心配なんだな)

 

あたしはそう思うと信之介さんはネネさんにハンカチを渡した。

 

「ほらネネちゃん。これで涙をふいて。女性の顔に涙は似合わない。可愛い顔が台無しになっちゃうからな」

 

あたしは信之介さんのさりげない口説きがすごく思う。ネネさんも少し顔を赤くしてるし。

 

「奏ちゃん。行くぞ」

 

「あ、はい」

 

あたしは信之介さんの手伝いをするためについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネネさんの依頼から3日が経った。調査した結果、熔岩 修造はWINDSCALEをクビになっていた。クビになった理由は最近熔岩 修造は結果を出せずにいたため戦力外として解雇したようだ。信之介さんはクビになった熔岩 修造を探しているとある服屋の前に熔岩 修造がいた。

 

「信之介さん!あの人!」

 

「間違いない。熔岩 修造だ」

 

信之介さんは熔岩 修造に近づき肩を叩いた。

 

「・・・・・・」

 

相手は無言であたし達を見た。

 

「熔岩 修造さんですね。オラは野原 信之介と言います。あなたの恋人の桜田 ネネさんにあなたの捜索を依頼されて・・・!?奏!!」

 

「えっ?」

 

信之介さんが突然あたしを抱きしめて熔岩 修造から離れた。

 

「な、なんですか信之介さん!?」

 

あたしは信之介さんにそう言うと。

 

『MAGMA』

 

という音声が聞こえた。あたしはそっちを見るとそこには赤いガイアメモリを持った熔岩 修造がいた。

 

「お前もこの会社の社員か?なら燃えろ!!!」

 

熔岩 修造がそう言うと腕にメモリーを刺した。すると温度が一気に上がり炎が舞い上がった。そこにはマグマのような化け物がいた。

 

「なっ!?」

 

あたしはノイズ以外の化け物を初めて見た。そしてそれを見た周りの人は悲鳴をあげて逃げ始めた。

 

「な、なんだよあれ?」

 

あたしは腰が抜けて尻餅をついた。

 

「・・・・・・・ドーパントか」

 

「えっ?」

 

「奏。危ないから下がってろ」

 

信之介さんはそう言って腰にあの時のベルトをつけるとガイアメモリーを取り出した。

 

『SKULL』

 

信之介さんは勢いよくベルトにセットした。

 

「・・・・・変身」

 

『SKULL』

 

するかそこにはあの時のドクロに信之介さんは変身した。

 

「・・・・・俺は仮面ライダースカル。行くぞ熔岩 修造!」

 

信之介さんは突然一人称が俺に変わった。そして化け物に向かって走り出すと 信之介さんは化け物に殴りかかった。右左交互にパンチを入れローキックもした。化け物は後ろに下がると火炎弾を放った。 信之介さんはそれを転がりながら回避して足払いをして化け物をこかした。

 

信之介さんは無理矢理立たせると化け物の顔面を思いっきり殴り壁に叩きつけた。

 

「ギャァ!!」

 

化け物は悲鳴をあげると 信之介さんは銃のようなものを向けながら言った。

 

「さぁ。ガイアメモリを解除するんだ。そしてネネちゃんのためにも法の裁きを受け真っ当な人間に戻るんだ!!」

 

信之介さんがそう言ったその時だった。突然地震か起きた。

 

「な、なんだ!?」

 

あたしはそう言うと地面から新しい化け物が出てきた。

 

「なっ!?別のドーパントか!?」

 

信之介さんがそう言うとその化け物はマグマの化け物を加え地面の中に消えた。 信之介さんは穴の中を見るがそこには何もいなかった。

 

「・・・・・逃げたか」

 

信之介さんはそう言うとメモリーを抜き元の姿に戻った。

 

「・・・・・ 信之介さん」

 

「・・・・あれがガイアメモリの力だ。奏ちゃんじゃぁまだあれを使うことはできない。仮に使えたとしても熔岩 修造みたいになる。これが奏ちゃんにガイアメモリを渡せない理由だ」

 

信之介さんはそう言って歩いて行った。あたしはただ見ていることしかできなかった。



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NはTに溺れる

依頼主

桜田 ネネ→信之介の幼馴染

ターゲット

熔岩 修造→ネネの恋人→マグマドーパント→誘拐?

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵

天羽 奏→信之介の養子兼助手


熔岩 修造が謎のドーパントに連れ去られた次の日。ニュースでは熔岩 修造が死体で発見されたと報道されていた。凶器は鋭い刃物で滅多刺しにされたような痕跡があり警察は恨みによる殺人事件として捜査を開始していた。

 

信之介さんはネネさんと待ち合わせている喫茶店に行き今回のことを報告しに行っている間あたしはこの事務所で留守番をしていた。そしてあたしは昨日見たドーパントと呼ばれる化け物とガイアメモリのことを考えていた。

 

(ガイアメモリは確実にノイズどもを殺せる力を持っている・・・・・けどあんな化け物になるなんてあたし聞いてない。家族の仇の為にあたしは化け物にならなきゃいけないのか?)

 

あたしは復讐のためなら地獄にも落ちる覚悟はあった。だけどあれは予想外すぎる。あんな化け物になるなんて思わなかったあたしはどうすればいいのか悩んでいた。すると。

 

「ただいま」

 

信之介さんが帰ってきた。

 

「おかえりなさい信之介さん」

 

信之介さんはコーヒーを淹れるといつもと違いコーヒーに砂糖とミルクを入れて飲み始めた。あたしはいつもと違う信之介さんの行動に首を傾げた。

 

「どうしたんですか?信之介さん」

 

「・・・・・少し気になることがあったんだ」

 

信之介さんはそう言って今回のことをあたしに話した。信之介さんがネネさんに報告をしに行った時、信之介さんは恨み言を言われるのを覚悟していた。だがこの時ネネさんの反応がおかしかった。熔岩 修造を見つけたが何者かに連れ去られことを話した後に朝のニュースで死亡されたことが報道されたことをネネさんに話した。当然ネネさんはそれを知っており熔岩 修造の死を悲しんで泣いていたらしい。

 

「? 信之介さん、それは普通の反応じゃないんですか?」

 

「なんでそう思うんだ?」

 

「だってネネさんはあの人が大切な人だったんでしょ?ニュースで報道されて信之介さんの報告を聞いたら悲しむのは普通じゃぁ「そこがおかしいんだ」?」

 

あたしは首を傾げた。信之介さんの言ってることが理解できなかった。大切な人がこの世からいなくなった。それを経験したあたしはネネさんの気持ちはすごく分かる。それのどこがおかしいんだ?

 

あたしは混乱していると信之介さんは、パソコンを開いて何かを調べ始めた。あたしは腹がへったからカップ麺を作って食べた。信之介さんの分も作って信之介さんの近くに置くと信之介さんは集中しているのかカップ麺に手をつけず調べていた。

 

それから3時間が経った。あたしはPS4でゲームをしていると信之介さんがカップ麺を食べながらパソコンとにらめっこしていた。信之介さんはスープを吸いのびきったラーメンを食べ終えると白い帽子を被った。

 

「どこか行くんですか?」

 

「あぁ。ちょっと出かけてくる。帰りは明日になるかもしれないから戸締り頼むぞ」

 

信之介さんはそう言って出かけた。あたしは事務所を掃除して夜ご飯は信之介さんが作ってくれたチャーハンを食べて風呂に入ってパジャマに着替え眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。信之介さんがソファで寝ていた。疲れているのか少しイビキをかいており白いスーツのままだった。そして1時間後、信之介さんは目を覚まして起き上がった。

 

「おはようございます。 信之介さん」

 

「おはよう奏ちゃん」

 

信之介さんは首の骨を鳴らすとコーヒーを淹れ飲み始めた。その時、信之介さんはすごく悲しそうな顔をしていた。

 

「どうしたんですか?」

 

あたしは信之介さんにきいてみた。

 

「・・・・・・・熔岩 修造を殺した犯人が分かった」

 

それを聞いた時あたしは驚いた。信之介さんは、たった1日で犯人を特定したんだ。

 

「それ本当なんですか信之介さん!?すごいじゃないですか!!」

 

あたしは信之介さんにそう言うと。

 

「すごくない!!」

 

突然、 信之介さんが怒った。あたしはなんで怒られたのか分からなかった。

 

「奏ちゃん。今日は事務所で待っててくれ。オラは犯人を捕まえてくる」

 

信之介さんはそう言って事務所を出た。あたしはこっそりと 信之介さんの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラは認めたくなかった。調査通りなら熔岩 修造を殺した犯人はあの人で間違いない。だけどオラは信じたくなかった。あるホームレスからの情報によると1月前に熔岩 修造は何者かからガイアメモリを購入しておりそして犯人も1週間前にガイアメモリを購入していた。顔は分からなかったがネクタイに血のようなシミが付いた男というのは分かった。元凶はその男なのだろう。そして1週間前に購入したガイアメモリの犯人は・・・・・・・・・・。

 

「こんなところに呼び出してどうしたのしんちゃん?私、修造さんが居なくなってすっごく辛いの」

 

ネネちゃんはそう言って口を押さえた。

 

「・・・・・ネネちゃん。熔岩 修造を殺した犯人を見つけたんだぞ」

 

オラはそう言うとネネちゃんは驚いた顔をしていた。

 

「犯人は・・・・・・ネネちゃん・・・・・・いや。桜田 ネネ、あなたでしょ?」

 

オラはそう言うとネネちゃんは更に驚いた顔をした。

 

「な、何を言ってるのよ!?そんなわけないでしょ!?なんで私が恋人の修造さんを殺すのよ!?」

 

ネネちゃんはそう言ってオラにキレた。

 

「オラも信じたくなかったけどちゃんとした証拠があるんだ。ネネちゃんが犯人だって言う証拠が」

 

「ちょっと!!いい加減なこと言わないでよ!!名誉毀損で訴えるわよ!?」

 

ネネちゃんはそう言うけどオラは無視して続けた。

 

「まずネネちゃん。ネネちゃんはWINDSCALEを辞めていた」

 

それを聞いたネネちゃんは動揺した。

 

「ネネちゃん。熔岩 修造は、確かに評判のいい会社員だった。だけど裏ではパワハラや恐喝をしていて人の手柄やアイディアをぬすんでいるクズだった。ネネちゃんはその被害者の1人だった。WINDSCALEの上層部は、熔岩 修造の実力を評価していて期待されていたがある会社員の報告により熔岩 修造がしてきたことが上層部に知れ渡り懲戒免職という処罰を与えた。クビになった熔岩 修造はその逆恨みでガイアメモリの力でWINDSCALEの会社員を殺していた。現にはWINDSCALEだけでなくその家族も警察に殺された会社員の捜査届けを出されていた」

 

「・・・・・・・」

 

「ネネちゃんは1週間前に奇妙な男からなんらかの取引をしていたこともオラは知ってる。そしてガイアメモリの所持者派必ずと言っていいほどどこかに隠し持っている。たぶんだけどネネちゃんはそのバックの中に隠してるんでしょ?」

 

オラはそう言うとネネちゃんはバックを隠すようにバックを後ろに回した。

 

「なんでだ!?なんでこんなことをしたんだ!!ネネちゃん!!?」

 

「・・・・・・仕方ないでしょ?だってアイツが全部悪いんだもん!!私はアイドルや女優の才能が無いって言われて傷ついてなんのやる気もでなくて1年間ニート生活をしていた。そんな私を救ってくれたのはWINDSCALEだった!私が趣味で描いていた服のデザインを褒めてくれて社長自らが私をスカウトしてくれたの!!だからその時私は決めたの!いつかアイドルや女優を目指す人たちの希望になるような服をデザインするっていう目標が私にできた!!それをあの男は・・・・・・・・私がデザインした服を全部奪ったのよ!!文句を言っても流されて社長達に言ってもそんなことありえないって言われたのよ!!それだけならまだしもあの男は私に横領の濡れ衣を着せて私をあの会社から追い出したのよ!!会社を辞めた私はいつかあの男に復讐してやるって思って今を生きていたの!!」

 

ネネちゃんは泣きながらオラにそう言うとバックからガイアメモリを取り出してオラに見せた。

 

「この力で私はあの男を殺すことができた!!それだけであの男の被害者になった人がどれだけ救われたと思ってるの!?なんで私が悪者扱いにするのよしんちゃん!!」

 

ネネちゃんはそう言ってオラに抱きついた。

 

「お願いしんちゃん。見逃して。私はあの男が本当に許せなかった」

 

ネネちゃんは泣きながらオラにそう言うとオラは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そっと押してオラから離れさせた。

 

 

「ネネちゃん。あれを見て」

 

オラはそう言って後ろを指すとそこには3台のパトカーが来ていた。

 

「へっ?しんちゃん?」

 

「警察にはオラが報告していたんだぞ。そして今の会話もすでに録音済みだぞ。さぁ、ネネちゃん。法の裁きを受けてちゃんと罪を償うんだ。オラやマサオくんボーちゃんそして風間くんもネネちゃんが帰ってくることをずっと待ってるから」

 

オラはそう言ってネネちゃんを警察に引き渡した。警察もネネちゃんの両脇を掴んで連行しようとしたその時だった。

 

「ふん!!」

 

「ブベッ!!」

 

「グオアッ!!」

 

ネネちゃんは右の警察官の股間を蹴り上げ左の警察官に頭突きをした。

 

「貴様!!何をする!!」

 

1人の警察官が拳銃をネネちゃんに向けた。

 

「ネネちゃん!!」

 

ネネちゃんはオラに顔を見せた。その顔はまるで麻薬をしてる人間のような顔をしていた。

 

「な〜んだ。しんちゃんは女にめちゃくちゃ甘い探偵だって聞いてたけどそんなことなかったんだ」

 

ネネちゃんはそう言ってガイアメモリにキスをした。

 

「やめろ!!やめるんだネネちゃん!!」

 

『T-REX』

 

ネネちゃんは肩にメモリを挿すとそこにはティラノサウルスの頭部に手足と尾がついたドーパントに変身した。

 

「ネネちゃん!!」

 

「ギャアオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

ティーレックスドーパントはオラに威嚇した。

 

「う、うわぁぁぁ!!!!」

 

「ば、化け物!!」

 

「う、撃て撃て!!!!」

 

警察官達は銃で応戦するが効いていなかった。

 

「応戦するな!!逃げろ!!」

 

オラは警察官達にそう言うが聞こえておらずネネちゃんに食われたオラは突進しできたネネちゃんを避けてロストドライバーを装着した。

 

「あはははは!!!好きよしんちゃん。だから私が食べてあげる!!」

 

「ネネちゃん・・・・・・」

 

『SKULL』

 

オラはロストドライバーにセットした。

 

「・・・・・・変身」

 

『SKULL』

 

俺は落とした帽子を被るとネネちゃんの方を見た。

 

「・・・・・・俺の罪はネネを助けれなかった。・・・・・・大切な幼馴染を泣かしてしまった。・・・・・そして俺の中での鉄のルールを俺自身が破ってしまった。・・・・・・これがネネに対しての俺の罪だ。・・・・・さぁ、ネネ。・・・・・お前の罪を・・・・・数えろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうなってんだよ」

 

あたしはこっそりと信之介さんの後をつけてきた。そしたら熔岩 修造殺しの犯人はネネさんだった。ネネさんは化け物に変身して信之介さん達に襲いかかったけど・・・・・これってあたしもやばくねぇか?

 

信之介さんは変身して銃で応戦してるけど正直効いてないと思う。ここは即座に逃げたほうがいいかも。

 

あたしはこっそりと逃げようとした時だった。あたしの前に化け物が吹っ飛んできた。

 

そしてそれと同時に信之介さんが銃を連射してあたしの前に着地したんだ。

 

「奏!!」

 

「し、信之介さん」

 

「俺が甘かった。ちゃんと帰れって言っとくべきだった。とにかく奏!ここに隠れてろ!!」

 

信之介さんはそう言ってあたしをパトカーの中に押し込んだ。

 

「ギャアオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

化け物は信之介さんに突進してきたけど顎を蹴り上げてカウンターをした。化け物が倒れるとすぐに立ち上がり威嚇するように鳴くと道路や近くにある手すりそしてパトカーを吸収してティラノサウルスになった。そしてあたしはというと。

 

「・・・・・し、しんのすけさーん!!!!た、たすけてくれー!!!」

 

捕まりました。

 

「奏!!くそ!!メモリの暴走か!?」

 

ティラノサウルスは信之介さんに噛み付こうとするけど信之介さんはそれを避けて回し蹴りや銃を使って応戦した。信之介さんはティラノサウルスの顔を蹴り怯ませると大きくジャンプをして背中にあるパトカーに飛び移り扉をこじ開けてあたしを出してくれた。

 

「大丈夫か!?」

 

「あ、あぁ!」

 

信之介さんはメモリを取り出すとそれを銃にセットした。

 

『SKULL MAXIMUM DRIVE』

 

信之介さんは、銃口をゆっくりと向けると。

 

「・・・・スカルパニッシャー」

 

信之介さんはティラノサウルスに向けて撃った。信之介さんが撃った光弾は全てティラノサウルスに命中すると悲鳴をあげて爆発した。そしてあたしの前にガイアメモリが落ちてくるとそのガイアメモリは粉々に砕け散った。

 

「や、やったー!やりましたよ信之介さん!!」

 

あたしがそう言うと背筋が凍った。信之介さんはドクロの仮面で隠れて分からないが信之介さんは確実に怒っていた。

 

「あ、ああ」

 

声が聞こえてあたしはそっちを見るとそこには下半身がなくなり見えてはならないものが見えているネネさんがいた。

 

「ヒッ!!」

 

あたしは思わず声をあげた。

 

「し、しんちゃん。た、たすけて」

 

「し、信之介さん!!い、急いで救急車を!!」

 

あたしがそう言うとあたしの目を両手でおった。

 

「な、なにするんですか!?信之介さん!!」

 

「・・・・・帰るぞ。奏」

 

「な、なにを言って「ネネならもう死んだ」えっ?」

 

「・・・・俺が殺したんだ」

 

この時あたしは気づいた。信之介さんが震えていたことに。そしてなんであたしにガイアメモリわ渡さないのかもちゃんと理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日。ネネさんの死がニュースに報道されていた。しかしガイアメモリについてはなにも報道されていなかった。




野原 信之介 探偵(○○)報告書

28ページ

桜田 ネネ(35)

好きな食べ物 いちご大福

嫌いな食べ物 ベビーコーン

大切なもの ウサギのぬいぐるみ(ストレス解消サンドバッグ)

家族構成 父、母の3人家族

ガイアメモリ T-REX

オラの大切な幼馴染の1人。オラがこの手で幼馴染の○○○を奪った。許されない行為をオラはしてしまった。だからオラは忘れない。ネネちゃんの死を・・・・・・オラはずっと背負って生きていく。それがオラのできるゆういつの償いだ。


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C調査

あたしは、信之介さんと家で対戦ゲームをしていた。あたしはネネさんの事件以来信之介さんにガイアメモリをねだるようなことをしなくなった。だけどあたしは信之介さんからガイアメモリについて詳しく聞いてないしそもそもガイアメモリは一体なんなのかも知らない。だからあたしは思い切って信之介さんにガイアメモリってなんなのか聞こうと思った。

 

「信之介さん」

 

「どうした奏ちゃん」

 

「ネネさんの事件の時から聞きたかったんだけどガイアメモリってなんなんだ?あれはノイズを殺すことができる力じゃないのか?」

 

あたしがそう聞くと信之介さんが少し悩むとゲームを中断してあたしの方に向いて信之介さんのスカルメモリをあたしの前に出した。

 

「ガイアメモリは、その名の通りだ。「Gaia」は、地球「Memory」は、記録という意味をもっている。オラも詳しくは分からないけど聞けば地球に記憶された現象・事象を再現するプログラムがこの中に封じ込められているんだ。これを「生体コネクタ」っていうメモリの挿入口を模した黒い模様に挿すとメモリに内包された「地球の記憶」を注入することで、生物をドーパント・・・・・・・奏ちゃんが見た化け物に姿を変えてしまうんだ」

 

「でも信之介さんもガイアメモリを使ってるけどあんな化け物に変身してないじゃないですか」

 

「オラは、ロストドライバーっていうベルトで変身してるんだ。だからオラはドーパントとはまた違った存在、仮面ライダーに変身するんだ」

 

「仮面ライダー?」

 

「そう。仮面ライダーだ。まぁ、オラが勝手に名付けてるだけだけど」

 

「じゃぁ、あたしもそのロストドライバーを使えば「ガイアメモリを舐めるなよ?」えっ?」

 

「オラはロストドライバーのおかげでなんとかなっているだけだ。いくらベルトをつけても普通の人間がガイアメモリを使った場合、その力の強さに負けて地球の記憶に飲み込まれたり毒素に精神と肉体を蝕まれたりして、暴走したり依存症になったりするケースもあるんだぞ」

 

「!!なんですかそれ!?じゃぁ、ガイアメモリって麻薬なんですか!?」

 

あたしがそうきくと信之介さんは首を縦に振った。

 

「ガイアメモリは、生体コネクタ手術をして初めて効力が発揮する。もしこの手術しないで使用したらどうなるかはオラでも分からない。でも相当ヤバイことになると予想できる。しかも各メモリには使用者との相性があるんだ。入っている記憶に使用者の性質や願望などが近ければ近いほどメモリの力を強く引き出せる。でもオラの経験では中には相性が良すぎてメモリの力を過剰に引き出してしまう「過剰適合者」と言うものも存在しているんだぞ」

 

信之介さんの説明を聞いたあたしは背筋が凍った。あたしの願望に近いガイアメモリと出会ってもしそれを使ったらあたしは・・・・。

 

「すいませーん」

 

「ん?依頼人か?」

 

事務所に依頼人が来た。あたしと信之介さんは、ゲームをやめて依頼人会いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浮気調査ですか?」

 

依頼人からの話をメモしている信之介さんと今回の依頼人は、専業主婦の東 花子(あずま はなこ)さんにコーヒーを置いた。

 

「はい。この頃主人の帰りが遅く出張も多く・・・・・その夜の行為も最近相手にしてくれないので少し怪しくなって・・・・・・」

 

「それで主人の東 和樹(あずま かずき)さんが怪しくなって調査し報告してほしいということですね」

 

「・・・・・・はい。もちろん私は主人を信じています。主人は浮気をするような人じゃないと。・・・・・・・・・・でも不安になってしまって・・・・・」

 

「分かりました。その依頼、お受けいたしましょう。まず前金として30万お願いします。成功報酬としては50万を。また失敗した時は前金をご返却致します」

 

信之介さんがそう説明するとあたしは書類とペンを花子さんの前に置いた。

 

「こちらは同意書です。サインをお願いします」

 

花子さんはサインをするとそのまま事務所を出て行った。

 

翌日。花子さんは代金を振り込んだことを確認した信之介さんは、白いスーツを着直し白い帽子を被った。あたしも動きやすい服装に着替えると信之介さんについて行った。

 

「あれが浮気をしているクソ野郎だな」

 

花子さんが東 和樹を見送った後あたしは信之介さんのバイク「スカルボイルダー」の後ろに乗って東 和樹の後を追った。

 

「東 和樹、50歳。職業は普通のサラリーマンか」

 

「そしてあれが浮気相手の女か」

 

あたしはそう言って信之介さんの隣に隠れて出張のフリをして浮気相手と一緒にいる東 和樹を覗いていた。

 

「それにしてもいい年したおっさんが浮気なんて情けない」

 

信之介さんがそう言うとあたしはジト目で信之介さんを見た。

 

「な、なんだよ奏ちゃん」

 

「・・・・・・・信之介さんが東 和樹を尾行中に何回ナンパしてたと思う?あたしが数え間違ってなかったら10回はしてたよな?」

 

「・・・・・・・・あれは隠れ蓑のために」

 

「何人か本気になってましたけど?」

 

「・・・・・・・」

 

「それにあたしは何回信之介さんの耳を引っ張って連れて着ましたか?」

 

「すいませんでした」

 

信之介さんはこう言う反面教師なところもあるけどこの人にあたしは命を救われたんだと思いながら尾行を続けた。あたし達は様々な浮気の証拠を写真に収めながら追跡した。そして夜の22時。東 和樹と浮気相手はラブホテルに入っていった。そこも写真に収めるとあたし達はアンパンと牛乳を食べながら出てくるのを待った。

 

「暇だなぁ」

 

「我慢しろ奏ちゃん。探偵に必要なものは根気だ。どんな仕事でもイベントでも我慢はつきものだぞ」

 

信之介さんがそう言ったその時だった。

 

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「えっ?」

 

「ブッ!」

 

突然の悲鳴にあたしは驚き信之介さんは牛乳を吹き出した。

 

「な、なんだ!?」

 

「突入するぞ奏ちゃん!!」

 

走りだした信之介さんを追うようにあたしも走った。途中ラブホテルのスタッフに何か言われたけどあたし達は無視して走った。すると人だかりができてる扉があった。

 

「どいてください!!」

 

信之介さんは扉の前に行き扉を蹴破って中に入った。するとそこにはベランダに裸で返り血を見て震えながら座り込んでいる浮気女と裸で口から血を流している東 和樹がいた。

 

信之介さんは、上着を羽織らせるとすぐに東 和樹の脈を測った。

 

「!!死んでる」

 

東 和樹は死んでいた。



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Pの恐怖

依頼主

東 花子(42歳)→浮気調査を依頼

ターゲット

東 和樹(50歳)→花子さんの旦那さん→浮気女とラブホテル→死亡

浮気女(27歳)→東 和樹の浮気相手→犯人?

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵→仮面ライダースカル

天羽 奏→信之介の養子兼助手


ラブホテルの周りでは警察がウロウロしていた。あたしと信之介さんは、部屋前で立っていて他の客は各部屋で待機させられていた。

 

「信之介!」

 

すると1人のベテランそうな雰囲気をだした刑事が信之介さんに近づいた。いったい誰だ?

 

「お久しぶりです汚田さん。相変わらず一発ギャグ発作病ですか?」

 

「ガチョーン!!・・・・・・って何やらせるんだ信之介!!」

 

「?信之介さん。この変な刑事と知り合いなんですか?」

 

「変な刑事!?」

 

あたしがそう言うと変な刑事はガーンというよな効果音がなりそうな顔をした。

 

「あぁ。この人は汚田 急痔(おだ きゅうじ)警部54歳。オラがアパートに住んでいた時に知り合った刑事だ」

 

信之介さんがあたしにそう説明すると汚田さんはあたしの方を見て驚いていた。

 

「信之介。結婚してたのか?」

 

「してませんよ。あるノイズ騒ぎの生き残りで保護したんだけど引き取り手がいなかったからオラが引き取ったんだぞ」

 

「養子かぁ」

 

そう言って汚田さんはしゃがんで手を出した。

 

「はじめまして。俺は汚田 急痔よろしくな」

 

「・・・・・天羽 奏です」

 

あたしは握手をすると信之介さんが話しかけた。

 

「ところで汚田さん。今回の事件何か分かったんですか?オラは浮気調査でずっと張ってたんですが正直いきなりこんなことが起きて驚いているんですよ」

 

「あぁ。えっと。殺されたのは東 和樹50歳。ある会社の部長だ。現場にいた女性は、黒田 沙江(くろだ さえ)さん27歳。職業は、東さんと同じ会社のOL。信之介の言った通り黒田さんと東さんは不倫関係でいて今日はこのホテルで夜を過ごすつもりだったらしい。黒田さんの証言によると突然苦しみだしていきなり血を吐いて倒れたらしくそのまま何をすればいいのか分からなくなって混乱して悲鳴をあげた。そこへ信之介が突入して来たと言うことだ」

 

「東 和樹の死因は?」

 

「予測からしておそらく毒だ。警察側は、黒田さんが犯人だと思ってるけど・・・・・・信之介どう思う?」

 

「・・・・・オラが張ってた時はレストランとかにも行ってたけ毒を入れたような行動はしていませんでした。たまに1人になることもあったがその時も特におかしな行動はありませんでした。」

 

「となるとこのホテルで毒入りの何かを飲ませたのか?」

 

信之介さんと汚田さんがそう話していた。

 

「とりあえず本人から聞いてみよう。奏ちゃん行くぞ」

 

「はい」

 

あたし達は話を聞こうとしたけど相手が発狂して話ができなかった。あたし達は仕方なく帰ることになり明日朝から警察署に来るように言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。あたしは信之介さんと警察署に来た。信之介さんは今回の事件のことと調査結果を報告書を徹夜でまとめていたせいで目の下にクマができていた。あたし達は女の警察官に取り調べ部屋に案内してもらった。けど。

 

「お嬢さんはとても美しい。まるで絵画の絵が現実に現れたような美しさだ」

 

「そ、そのありがとうございます」

 

廊下の途中で信之介さんがナンパを始めた。

 

「どうです。今夜オラと一緒に食事でもいかがですか。いいワインが飲めるレストランを知っているんですよ」

 

「その・・・・・ダメですよ。私には婚約者が・・・・・・」

 

「こんなところにまで来てナンパしないでください!!!信之介さん!!!」

 

あたしは、信之介さんの耳を引っ張ってやった。

 

「イタタタタタッ!!!ちょっ奏ちゃん!!離して痛いから!!ごめん!!マジごめん!!だから離して!!

 

そんなことをしていると喧騒が聞こえた。信之介さんは聞こえた部屋に着くとそこは取り調べ部屋だった。信之介さんが扉を開けるとそこには黒田さんと依頼主の東さん、そして1人のメガネをかけた冴えない男性がいた。

 

「あんたが!!あんたが私の主人を!!」

 

「落ち着いてください奥さん!!暴力は!!暴力はダメですよ!!」

 

「沙江!!どういうことだ!!お前は主張中じゃなかったのか!?なんで男と一緒だったんだよ!!?しかもラブホテルで!!」

 

「・・・・・・・」

 

黒田さんは、顔を下に向けて黙秘していた。

 

「うわっ。すっげぇ修羅場。ていうかあの人も浮気してたんだ」

 

あたしがそう言うと。

 

「やっぱり報告書が無駄になったな」

 

と、信之介さんがポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃぁ今回の事件の関係者を集めました。私は刑事の汚田 急痔です。まず殺害されたのは東 和樹さん50歳。職業は、サラリーマンで部長職についています。続いて専業主婦の東 花子さん42歳。夫の浮気調査の為に私立探偵の信之介君に依頼し東 和樹さんの死亡を目撃。そして浮気相手の黒田 沙江さん。状況証拠によると犯人は黒田さんになりますが黒田さんの所有物には毒になるようなものは無かった。夜の行為を行う為に強力な精力剤がありましたがそれを検査したところ毒物質は出てきていません。そして最後に黒田さんの恋人の鈴木 桂(すずき かつら)さん27歳。職業は、サラリーマンと」

 

あたし達はアリバイ調査が開始された。信之介さんは、疑いから外れていてアリバイを聴く側にいた。

 

「その・・・・・・・私がホテルに入ったのは午後10時ごろだったと思います。お風呂に入ってそして今日は・・・・・・その・・・・・マニアックなことをしたいと私が言ったので午後10時30分ごろにベランダに出た瞬間いきなり苦しみだしてそしたら突然血を吐いて・・・・・・ウプッ」

 

「私は野原さんに浮気調査を依頼した後ずっと家にいました。昼の12時に気を紛らわす為にベランダに出てガーデニングをしたりしていました。そして今朝の7時に警察から主人が・・・・・・・・・」

 

「俺は昨日会社にいた。沙江が友達と旅行に行ってくるって言って俺は冗談で土産を頼むって言ってそして沙江もオッケーみたいな感じのノリで連絡をしてたんだ。その時間は確か午前9時20分だったな。だけどまさか浮気をしていたなんて思わなかったよ。帰った時間?昨日は仕事が早く終わって定時帰りができたから家に着いたのは午後7時だったと思う」

 

この中でアリバイが証明できないのは黒田さんだけだった。裏をとったところ2人は本当に家に1日いたり定時に帰って少しズレがあったが7時に家に帰っていた。あたしは完璧に黒田さんが犯人だろって思った。

 

「・・・・・・・妙だな」

 

「?妙?なんか違和感でもあったのか?」

 

「変なんだ。仮に本当に黒田さんが毒殺しているならなんで悲鳴なんてあげたんだ?しかもあんなザ・私が犯人ですみたいな状況で悲鳴をあげたら確実に犯人扱いされるのも分かるだろ?」

 

「ということは」

 

「犯人は別にいるのかもしれないな」

 

信之介さんと汚田さんがそう話していると。

 

「警部!東 和樹の解剖結果が分かりました。やはり毒殺でした」

 

「やっぱりか」

 

「しかしこの毒殺、少し変なんです」

 

「変?どういうことだ?」

 

信之介さんか警察に聞くと汚田さんが彼にも話してくれと言った。

 

「なんでこんなこんなおっさんに・・・・・えっと毒の成分なのですが成分が「タマゴテングダケ 」だと思われます」

 

「タマゴテングダケ?なんだよそれ?」

 

「遅効性の猛毒キノコです。これを食べたら24時間以内にコレラのような症状を出すんですがその後すぐに治るんですよ。そしてそれから数日かけて肝臓と腎臓の細胞が破壊されて死に至る危険な毒キノコです」

 

「信之介さん。もしかして東さんが旦那さんにその毒キノコを食わせて殺したんじゃ・・・・・」

 

「可能性はありそうだな」

 

信之介さんがそう言うと汚田さんがすぐに画像を持ってこいと言って命令したが。

 

「待ってください!!だから変なんですよ!」

 

「何がだ?」

 

「タマゴテングダケの生息地はヨーロッパやニュージーランドが主なんです。日本では北海道でよく見られていますが本州で見られるのはごく稀なんです。わざわざこの毒キノコで毒殺を考えるには効率が悪すぎるんです」

 

「・・・・つ、つまりどう言うこと?」

 

あたしはだんだん話がついていけなくなって混乱し始めていた。

 

「つまりここら辺じゃ絶対に見られないキノコをどこでどうやって見つけていつ東 和樹毒殺計画を立てたかってことだ」

 

信之介さんは、あたしにそう説明した。そしてそれと同時にあたしは少し思ったことがあり信之介さんにこっそり聞いた。

 

「信之介さん。もしかしてドーパントが絡んでるんじゃ・・・・・」

 

「あぁ。絡んでるかもな。だけど今回は証拠がない上に誰がドーパントなのか分からない。この中に犯人がいるとして誰がドーパントなのか・・・・・」

 

信之介さんがそう言ったときだった。

 

「ん?」

 

「?信之介さん?」

 

信之介さんが何かに気付いた。信之介さんは、黒田さんの方に行った。

 

「黒田さん」

 

「・・・・・・」

 

「あなたの携帯をオラに見せてほしいのですがいいですか?」

 

信之介さんがそう言うと黒田さんが首を傾げて素直に渡した。そしてそれを信之介さんが確認すると。

 

「・・・・・・・・・分かった」

 

と言った。

 

「?どうしたんだ信之介?」

 

「犯人が分かった」

 

信之介さんがそう言った時あたしと汚田さんと近くにいた警察官は驚愕した。

 

「いや。実際に分かったわけじゃないけどもしオラの推理が当たっていたら犯人はあの人かもしれない」

 

信之介さんは、そう言うと汚田さんに全員を集めるように言いオラは確認することがあるから少し出てくると言って部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員が集まると信之介さんは、東さん達の方を見た。

 

「今回の東 和樹さんの毒殺事件の犯人が分かりました」

 

信之介さんがそう言うと全員驚愕した。

 

「どういうことですか野原さん?主人はこの女に殺されたんじゃ」

 

「いえ違います。犯人は黒田さんじゃありません。真犯人はあなたです。鈴木 桂さん!!」

 

信之介さんがそう言って指をさした。え?あの人が犯人?

 

「はぁ?何言ってんだ?俺が犯人?そんな訳ないでしょ?俺にはちゃんとしたアリバイがある。その東 和樹って男を殺すなんて無理だ!」

 

「そお。普通なら不可能。だけどこの男は可能なんですよ。あなたはメールで恋人の不倫旅行にお土産を頼んでいますよね?この時あなたはさりげなくどこに旅行に行くのか前もって知ってたんじゃないですか?」

 

「あ、あぁ。知ってたさ。だけどまさか不倫旅行だったなんて思ってもなかったけどな」

 

「いえ。あなたは知ってたんですよ。東 和樹さんと黒田 沙江さんが浮気をしていたことを」

 

信之介さんは、そう言った。しってた?どういうこと?

 

「あなたは何らかの方法で偶然、黒田さんが浮気をしていることを知ったあなたはとある方法で殺害に踏み切ったのではないですか?」

 

「とある方法?何だよそれ?説明できんならしてみろよ!!俺は犯人じゃねぇからどんな質問も正直に答えれるぜ」

 

「あなたはあるものを買っているんじゃないですか?」

 

「あるもの?」

 

「そしてそのあるものを持っているのならあなたは確実に犯人である証拠になります」

 

信之介さんがそう言うと鈴木さん達の前に写真をばら撒いたそれは浮気の証拠写真だった。その中の一枚を取り出すと信之介さんはそれを見せた。

 

「これはとあるレストランで2人が食事してる瞬間です。ここを見てください。彼女はキノコが嫌いなようですね。パスタからマッシュルームを器用にどけて食べています。そして東さんはマッシュルームを食べています。この時にあなたは毒を盛ってたんじゃないですか?」

 

「はぁ?んなわけあるか。その場に俺はいないのにどうやって毒キノコを入れるんだ?」

 

鈴木さんがそう言った。

 

「ん?おかしいですね。何で毒キノコと分かったんですか?」

 

「あぁ?何言ってんだ?お前が毒キノコを盛ったって言ったんじゃねぇか」

 

「言ってませんよ?オラは「彼女はキノコが嫌いなようですね。パスタからマッシュルームを器用にどけて食べています。そして東さんはマッシュルームを食べています。この時にあなたは毒を盛ってたんじゃないですか?」と言っただけですよ。毒キノコを使った毒殺なんて言ってませんよ」

 

「何だよそれ?紛らわしい言い方すんなよ。俺はあんたの言い方でてっきり毒キノコかと思ったんだ」

 

鈴木さんがそう言った。あたしは大丈夫なのか心配になって信之介さんを見た。だけど信之介さんは、余裕そうな顔をしていた。

 

「あなたがそう言うことも予測しています。ですがあなたは重大なミスを犯した」

 

「ミス?」

 

「えぇ。あなたはキノコを使っての毒殺ではなくキノコの胞子を使って毒殺したんですよ」

 

これにはあたし達も「ハァ」ってなった。もうどう言うことか分んねぇや。

 

「全く理解できねぇな。胞子なんかでどうやって殺すんだ?」

 

「勿論普通なら無理です。しかしあるメモリを使えばそれが可能なんですよ」

 

信之介さんがそう言った瞬間だった。鈴木の顔が凍りついた。

 

「・・・・・持ってるんですよね?ガイアメモリを」

 

「?ガイアメモリ?」

 

汚田さんが首をかしげた。

 

「なんですか?ガイアメモリって?」

 

鈴木さんがそう言ったその時だった。

 

「警部!!本当にありました!!鈴木さんの会社バックに妙なUSBメモリーが!!」

 

それを見た鈴木さんが驚愕して振り向いた。あたしも警察官の持ってる物を見るとそれは確かにガイアメモリだった。

 

「あなたはあのレストランの何処かにいたんですよ!!そして胞子を操りパスタにタマゴテングダケの胞子をパスタに入れた。違いますか!?」

 

信之介さんがそう言った時だった。鈴木さんは両膝をついた。

 

「・・・・・・・クソガァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

 

「なっ!?」

 

鈴木の野郎がガイアメモリを警察官から取り返した。突然のことで警察官も突き飛ばされガイアメモリを離してしまった。

 

「こんなところで捕まってたまるか!!」

 

『TOADSTOOL』

 

「まずい!!奏!!」

 

信之介さんはあたしを守るように抱きしめあたしを守ってくれた。すると鈴木は毒キノコのドーパントに変身した。突然のことに警察官や東さん達は思考停止しておりその隙に吹っ飛ばされて壁に叩きつけられた。だけど汚田さんだけは無事だった。

 

「汚田さん!!奏を頼みます!!」

 

「ま、まて。待つんだしんちゃん!!」

 

信之介さんは、毒キノコのドーパントを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SKULL』

 

「変身」

 

『SKULL』

 

信之介がスカルに変身するとスカルマグナムで攻撃した。光弾が当たったトードストールドーパントは、地面を転がった。信之介は、トードストールドーパントの首を掴むと無理矢理立たせた。

 

「ガイアメモリを解除しろ!!そして法の裁きを受けるんだ!!」

 

「はぁ?何言ってんの?嫌に決まってんだろ?」

 

「お前の恋人が奪われてつらい気持ちも分かる!!だからこんなことをするな!!罪を償うんだ!!」

 

信之介はそう言った。だが。

 

「あいつは恋人じゃねぇよ?」

 

「なに?」

 

「あいつはただの撒き餌。俺と付き合う女はわざと浮気させてそして幸せになっている瞬間を残酷な毒で殺すのが趣味なんだよ!!そして俺はその恐怖した顔を見るのがたまらなく好きなんだよ!!たまらねぇぜ。俺は10人引きこもりにしてやったし内3人は自殺に追い込んでやったんだぜ」

 

鈴木がそう言った時だった。突然、信之介と鈴木の間にドクロのようなエネルギーが生まれそして鈴木は吹っ飛ばされた。

 

「どわっ!!な、なんだ!!」

 

鈴木は信之介を見た瞬間恐怖した。キレていたのだ。仮面をつけていても信之介がキレていることを本能的に悟らせたのだ。

 

「このクズ野郎が」

 

『SKULL MAXIMUM DRIVE』

 

信之介は、大きくジャンプするとドクロのエネルギーを蹴った。

 

「ギャァァァァァ!!!」

 

鈴木は攻撃が当たると大きく爆発した。

 

「ライダーキック」

 

信之介が着地と同時にそう言うと信之介の前に鈴木の右腕とガイアメモリが落ちてきた鈴木右腕は地面に落ちガイアメモリは途中で砕け散った。

 

「地獄でお前の罪を数えろ」

 

信之介がそう言うとスカルメモリを取り変身を解除した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後鈴木は行方不明となった。ガイアメモリの件はニュースで報道されなかった。そして東 花子は死んだ東 和也から遺産を相続しさらに黒田 沙江から慰謝料をたんまり頂きそしてその30%が野原探偵事務所に入った。



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Bでの会合

正月。各暦の年初のことである。文化的には旧年が無事に終わったことと新年を祝う行事である。正月飾りをし、正月行事を行ったり御節料理を食べて、盛大に祝う行事だ。

 

あたしと信之介さんは事務所で信之介さん手作りのおせち料理を食べていた。信之介さんは中華料理が得意だから出されているのは手作り餃子や手作りシュウマイなどの中華料理ばっかりで日本のおせち料理ぽくなかったけどすっげぇ美味かった。あたしは栗きんとんの代わりに入っていたチャーハンを食べているとふと思ったことを信之介さんに聞いた。

 

「そういえば信之介さん」

 

「ん?どうしたの?」

 

「信之介さんって実家に帰らなくていいのか?あたし信之介さんの父さんと母さんのこと全然知らないし」

 

あたしがそう聞くと寂しそうな顔をして言った。

 

「・・・・・・親父と御袋とは絶縁してるんだ」

 

「・・・・・・えっ?」

 

「御袋は、ある理由でオラを嫌ってるんだよ。オラがまだあの家に住んでた時は何回か殺されかけたこともあったんだ。そして親父の方はオラが勝手に大学をやめて探偵の道を選んだ瞬間から絶縁されたんだ」

 

あたしは少し空気が重くなったように感じた。いつもヘラヘラしていて優しくてあたしの事を考えてくれている信之介さんにそんなことがあったなんて思ってもいなかった。

 

「・・・・・その・・・・・・すいません」

 

あたしと信之介さんは、おせちを食べ終えると外で一緒に買い物をしたりしていた。夜に事務所に戻るとあたしと信之介さんは、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中の12時。信之介は、こっそりと起き上がると奏が寝ているかどうか確認した後こっそりと外に出た。信之介は、夜中の街を歩いていた。そして30分ぐらい歩き続けると信之介は路地裏に入ったそしてそこにある階段を下りるとそこにはBARがあった。信之介は扉を開けて入ると。

 

「いらっしゃいませ」

 

BARに入るとそこにはカクテルを作っている1人の店員と黒いスーツを着た青い髪の男がいた。

 

「・・・・・・来たか信之介」

 

信之介は、男の隣に座った。

 

「ウォッカ。ストレートで」

 

「かしこまりました」

 

信之介は、葉巻を取り出し咥えると隣の男が右手を出し親指の指先が外れると火がついた。

 

「ありがとう・・・・・・風間君」

 

信之介は葉巻に火をつけてもらうとゆっくりと煙を吸いそして吐き出した。

 

隣の男の名は風間 トオル36歳。表側は、大手企業風間組を創設した天才社長。だが裏では名のある政治家の情報や大手企業の社長や幹部の情報を得て脅迫や暗殺、情報操作などを得意とするヤクザ風間組初代組長だった。この男は信之介の幼馴染で定期的に会っていた。

 

「・・・・また新しい義手を作ったんだな風間君」

 

「前の義手も良かったけど俺はこの新しい義手の方がフィットしてるんだ」

 

そう言ってるとある書類を信之介に渡した。

 

「これが今回の報告書だ」

 

「・・・・・・・・」

 

信之介は、無言で受け取ると中身を見た。

 

「悪いけど今回も収穫はゼロだった。ガイアメモリの生産と販売する組織。闇の世界では噂になっているけどほとんど分からなかった。本当にそんな組織が存在するかどうか不安になってきたよ」

 

トオルは、そう言ってカクテルを飲んだ。ウォッカを置いた店員に信之介は目を向けると話しかけた。

 

「そっちの情報はどう?マサオ君」

 

信之介がそう聞いた。

 

目の前の店員は佐藤 マサオ36歳。信之介の幼馴染で昔は泣き虫オニギリと呼ばれていたがもうその面影はなかった。肩までかかる長い髪は後ろで縛っており片目を失明したのか眼帯をつけていた。

 

この男は表側は隠れ名店と呼ばれるほどのBARの店長なのだがある時間帯になると爆弾や拳銃、刀などの人を殺す武器を取り扱っている死の商人だった。

 

「・・・・・・・私のところも同じだ。もしかしたらもっと深い闇の世界に奴らがいるのかもしれない」

 

「・・・・・・・・・そうか」

 

信之介は、一気にウォッカを飲むともう一杯くれと言った。

 

「・・・・・・・俺たちなんでこうなったんだろうな」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「俺はいつか大企業の社長になる。その夢は叶った。だけどまさかヤクザの組長に俺がなるとはな。・・・・・・マサオも美術大学卒業したら漫画家になるつもりだったけど中退して行方不明になったと思ったら俺より先に闇の世界に入ってたしなんでこうなったんだろうな?」

 

トオルがそう言うと。

 

「・・・・・全部オラのせいだ」

 

信之介が帽子を置いてウォッカを飲んだ。

 

「あの時オラが・・・・・・」

 

「信之介!!」

 

信之介が何か言おうとした時だったマサオが信之介の肩を持つと言った。

 

「あれは誰も悪くない!!あの事件は全部ガイアメモリが悪いんだ!!そしてそれを生産した組織が悪いんだ!!だから信之介は悪くないんだ!!」

 

マサオがそう言うと信之介は振り払った。

 

「だとしても!!・・・・・オラが。あの時オラがひまわりを殺したことに変わりはない!!!!」

 

信之介は、自分の両手を見るとそこには血で塗られた真っ赤な両手が見えた。

 

「オラがひまわりを殺したんだ!!最近だってオラがネネちゃんを殺した!!東 和樹も殺した!!伊藤 達也を殺した!!犬山 麗子を殺した!!佐々木 エリカを殺した!!まだまだオラが殺した人間はたくさんいるんだ!!そして何よりオラ自身が親父と御袋を・・・・・」

 

マサオとトオルは何も言えなかった。

 

「なぁ。お前の家族のこと娘に言わなくていいのか?」

 

「血が繋がってなくてもオラにとっては大切な愛娘。奏ちゃんだけにはオラの罪を知ってほしくない。何よりオラは奏ちゃんに復讐は何も生まないって教えてきた。そんなオラが復讐に飲まれているなんて言えないしそんな姿を見せたくない」

 

「「信之介」」

 

信之介は、ウォッカを飲むとそのままBARを出て行った。



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Mのストーカー?

あたしは、信之介さんが作ってくれた麻婆豆腐を食べている時に新しい依頼人が来た。信之介さんは別件の仕事で昨日から事務所から出ていてここにいるのはあたししかいなかった。あたしが出てみたら1人の女性がいた。

 

「えっ?」

 

女性はあたしを見て驚いていて外の看板をもう一回見てそして戻ってきた。

 

「ねぇ。ここって野原探偵事務所でいいんだよね?」

 

「は、はい。そうですけど・・・・・」

 

「っかしいな。信之介が結婚してるなんて聞いてないし子供までいるなんて聞いてないよ」

 

女性はそう言った。あたしは気になって声をかけてみた。

 

「あの信之介さんに依頼ですか?」

 

あたしがそう言うと女性はこっちを見た。

 

「ん?あぁ。まぁ依頼って言ったら依頼なんだけど・・・・・」

 

女性はバツが悪そうな顔をそう言うと。

 

「とりあえず中に入ってください。コーヒーを出しますから」

 

あたしは、そう言って女性を中に入れた。あたしは、女性にコーヒーを置くと。

 

「ねぇ。聞きたいんだけど君って信之介の子供?」

 

と、聞いてきた。

 

「あたしはこの事務所で信之介さんの手伝いをしてるんだ。ノイズのせいであたしには行く場所がなかったんだけど信之介さんが引き取ってくれたんだ」

 

「ほぉ。ってことは義娘ってことか。信之介がねぇ」

 

女性はそう言ってコーヒーを飲んだ。すると。

 

「ただいま」

 

信之介さんが帰ってきた。信之介さんは、壁についている帽子掛にめがけて帽子を投げてかけると女性を見て驚いていた。

 

「むさえちゃん」

 

「信之介!久しぶり!!大きくなったねぇ!!」

 

「むさえちゃんも久しぶり!!こんな所に何しに来たんだ?」

 

女性は信之介さんの肩を叩いており信之介さんも笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃぁ改めて。オラは、野原探偵事務所所長兼私立探偵の野原 信之介。そしてオラの助手兼愛娘の天羽 奏だぞ。奏ちゃん。彼女は、小山 むさえ(こやま むさえ)。御袋の妹でオラの叔母にあたる人だ」

 

信之介さんはあたしにそう言うとあたしは挨拶をした。

 

「天羽 奏です」

 

「あたしは小山 むさえ。フリーだけどプロのカメラマンだよ」

 

むさえさんは、そう言ってあたしに握手をした。

 

「ところでむさえちゃん。今日は何しに来たんだ?」

 

信之介さんがそう聞くと少し暗い顔をした。

 

「信之介。あたしを守ってくれない?」

 

「?守る?どういうこと?」

 

信之介さんは、首を傾げた。あたしも首を傾げた。一体何から守ってほしいんだろう?

 

「実はこれ見てほしいんだ」

 

むさえさんは、そう言って折りたたまれた紙を渡した。あたしと信之介さんは、それを見た時驚愕した。それは脅迫の手紙だった。

 

『今すぐにお前が撮った写真を全て燃やせ。さもなくばお前を殺す』

 

ありきたりな脅迫の手紙だった。しかしその手紙を見てむさえさんは不安そうな顔をしていた。

 

「・・・・・最初はただのイタズラだと思ったんだ。だけど最近仕事で外出したらなんだか見られているような気がしたんだ。一応警察に相談したんだけど証拠みたいなものなんかないから全然まともに相手してくれないし」

 

「?脅迫の手紙を見せなかったのか?あれだけでも十分に脅迫罪として見られるし警察も動くはずなんだけど」

 

「もちろん見せたよ。だけどこんなイタズラは今の時代どこでもあるって言われて相手にしてくれなかったんだ。もう頼れるところはここしかなくて・・・・・・・お願いだ信之介。助けて」

 

信之介さんは立ち上がると白い帽子を被った。

 

「50代のおばさんにそんな涙目で頼られても嬉しくないけど・・・・・・・・・・・女性を泣かすようなクズを野放しにするわけにはいかない。何よりむさえちゃんの依頼だ。喜んで引き受けるぞ」

 

信之介さんがそう言うとすぐに動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、信之介さんはむさえさんの仕事道具のカメラを持って事務所に来た。

 

「今日から事件解決までむさえちゃんをこの事務所に泊まらせることにした。仲良くしてくれよ奏ちゃん」

 

「勿論だ信之介さん」

 

むさえさんは、しばらくの間この事務所に居候させることになった。その間、信之介さんはむさえさんの仕事や出かけるときにさりげなく一緒に出かけたり後ろから見守りながら歩いていた。それが1週間続いた。だけど信之介さんは、怪しい人物も尾行しているような人物もいなかったと言っていた。

 

「やっぱりイタズラじゃないのか?」

 

信之介さんはむさえさんにそう言うと。

 

「そんなことない!でも確かに最近そんな感じはしなくなったけど・・・・」

 

「・・・・・・奏ちゃんの方はどうだった?」

 

信之介さんがあたしに聞いてきた。

 

「・・・・・・写真をずっと見ていたけど特に怪しそうな人は写ってなかった。あたしも信之介さんと同じでやっぱりイタズラだと思ってるんだけど」

 

あたしがそう言うと信之介さんは少し考えた。

 

「・・・・・まさか。少し出かけてくる」

 

信之介さんが事務所から出て行った後あたしとむさえさんで色々話した。信之介さんの子供時代の話やむさえさんが信之介さんの家に居候していた話をした。あたしも信之介さんに救われた話や信之介さんとの思い出も話した。すると信之介さんが帰ってきた。右手にはトランシーバーのような機械があった。

 

「知り合いから借りたんだ。まさかとは思うが・・・・・・・」

 

信之介さんは、むさえさんのカメラにその機械を当ててみると。

 

ヴィー!!ヴィー!!ヴィー!!

 

音がなった。あたしとむさえさんは、どう言うことか分からず機械の音に驚いていると。

 

「・・・・やっぱりか。通りで犯人はやめたわけだぞ」

 

信之介さんがそう言うとあたし達を別の部屋に連れて行ってそこで話した。

 

「今回犯人が現れなかったのは至極簡単だった。むさえちゃんは盗聴されてたんだ」

 

「えっ?盗聴?」

 

むさえさんは驚いていた。まさかカメラに盗聴器が仕掛けられているなんて思っていなかったんだ。

 

「おそらく犯人はむさえちゃんの撮った写真の中にいる。それかいつも写真の取引をしている会社の誰か」

 

信之介さんは、考え込むようにイスに座った。

 

「でも何のために盗聴なんか」

 

あたしがそう言うと。

 

「あっ」

 

むさえさんが何か思い出したような声を出した。

 

「?何か心当たりがあるのか?」

 

「いや心当たりじゃないけど・・・・・・・実はある高校の修学旅行のカメラマンとして仕事に行った時なんだけど・・・・・その時にもう1人男のカメラマンがいたんだ。もしかしてその人が・・・・・」

 

「!?その人の名前は!?特徴は!?」

 

「えっと・・・・・確か・・・・・・・セプレンヌ・C・数馬って名前だった。金髪の短髪とドクロのイヤリングをしてた20代後半ぐらいの男だった」



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Mのストーカー事件解決

依頼主

小山 むさえ(55歳)→フリーのカメラマン→護衛対象

ターゲット

セプレンヌ・C・数馬(28歳)→ある高校の修学旅行での同業者→犯人?

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵→仮面ライダースカル

天羽 奏→信之介の養子兼助手


信之介さんは、セプレンヌ・C・数馬という男を詳しく調査し始めた。信之介さんは、むさえさんにしばらくこの事務所から出ないように言うと信之介さんは一人で事務所を出た。あたしはセプレンヌ・C・数馬という男がここに来たらむさえさんを守るように言われて事務所に待機していた。信之介さんは数日かけてセプレンヌ・C・数馬のことを調べた。しかしこの男は名探偵の信之介さんをかなり混乱させていたんだ。信之介さんが調査したところによるとこの男は特に怪しい行動はしておらず仕事も現場の行き帰りを続けているだけだった。

 

信之介さんは、盗聴魔としての方向で調査をしなおしたけど他の仕事仲間や同じ現場に居合わせたカメラマンに盗聴器を仕掛けるようなそぶりもなくまたカメラをすり替えるような行動もしていなかった。信之介さんはセプレンヌ・C・数馬が住んでいるアパートに友人として入った時も盗聴器は無く数台のカメラも調べても盗聴器は発見できなかった。ドーパントの可能性も考えガイアメモリを探したけどどこにもなくより謎に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん。調べても怪しそうなところはなかったしイタズラだとしたらむさえちゃんのカメラに仕込まれていた盗聴器が説明できないし・・・・・・・・犯人は一体誰なんだ?むさえちゃんの何を黙っていてほしいんだ?」

 

信之介さんはそう言って信之介さんの大好物のチョコビを食べながらホワイトボードに貼ってある写真や行動の流れとにらめっこして考えていた。信之介さんは、難しい依頼が来るとチョコビを食べて糖分を摂取して頭を働かせているんだ。あたしとむさえさんは、信之介さんが作ってくれたサンドイッチを食べていたけどここのところ信之介さんはコーヒーとチョコビしか食べてないからあたしはかなり心配していた。

 

「・・・・・むさえさん。なにか他に心当たりないんですか?」

 

あたしがそう聞くとむさえさんも頭を悩ませた。

 

「そう言われても心当たりないしそもそもなんなの?写真を燃やさなかったら殺すって。しかもストーカーって。本当訳わかんない」

 

むさえさんがそう言うと信之介さんは、テーブルに置いてある写真をもう一度見始めた。

 

「どれもこれも普通にいい写真だし犯人につながるようなものなんて何一つなさそうだしどうなっているんだ?」

 

信之介さんはそういってコーヒーを飲んだ。あたしは何気なく新聞を読んでいた時に嫌な記事を見つけた。

 

「うわっ。バラバラ殺人事件の犯人がまだ見つかってないって書かれてる」

 

あたしが何気なくそう言った時だった。信之介さんは、凄い勢いでこっちを見た。

 

「・・・今なんて言った?」

 

「ん?」

 

「?どうしたんだ信之介さん」

 

「いや、今バラバラ殺人事件とか犯人とか言わなかった?」

 

信之介さんがあたしにそう聞いてきた。あたしは頷くとすぐに写真を見だした。そして一枚の写真を見ると。

 

「・・・・・・間違えた」

 

って言った。

 

「間違えた?どう言うことだよ信之介」

 

「オラはてっきりセプレンヌ・C・数馬が犯人だと思ったけど違ったんだ。今回のストーカー事件の犯人。それはこのバラバラ殺人事件の犯人だ!!」

 

あたしとむさえさんは驚いた。むさえさんは腰を抜かして震えていた。

 

「な、なんでそいつが犯人だって分かるんだ?」

 

「簡単だ。多分この写真だろ」

 

それはむさえさんが仕事で撮った修学旅行のクラス写真だった。その写真をあたし達に見せてきた。

 

「この写真がどうしたんだよ?」

 

むさえさんがそう聞くと。

 

「分からないのか?この写真の違和感に」

 

と、信之介さんが言った。あたしももう一度写真を見たけど分からなかった。特におかしいところなんてない普通の写真だった。

 

「オラも分からなかったけど今分かった。犯人はまだ分からないけどこの写真に写っている誰かが犯人だ」

 

それを聞いてあたし達は、驚いた。

 

「ヒントはこの写真の背景だ」

 

信之介さんは、4枚の写真を並べた。そして右端の写真を指差すと言った。

 

「この写真。やたらと多くないか?カラスが」

 

「カラスが?そんなこともあるでしょ?カラスが多いなんて別に珍しく「奏ちゃん」・・・?」

 

「カラスの集まる理由ってなんだと思う?」

 

「そ、それは確か生ゴミを食べる為とか・・・・・・あっ!!」

 

あたしは気づいた。そう考えれば確かにこの写真はおかしかった。

 

「?なに?どういうこと?」

 

むさえさんはあたし達に聞いてきた。

 

「カラスは生ゴミや動物の死体を食べる習性がある。またカラスは、夜に集団で眠る習性があって一度どこかに集まってから巣に戻るらしい。この写真は午後1時に撮ったもの。それを考えたら朝の方で考えたら遅いし夜の方では早すぎる。この写真に写っている大量のカラスはもしかしたらここら辺周辺にカラスが大量に集まるほどの生ゴミがあったか或いはなにかの死体があったかだ。そしてそのバラバラ殺人事件の現場は偶然にも写真が写っている場所だったんだ」

 

信之介さんは、そう言ってあたし達を見た。

 

「・・・・・偶然にしてはできすぎてないか?」

 

信之介さんはそう言うとすぐにその写真を持って事務所から出た。そして1時間で帰ってきた。信之介さんは「後は警察の仕事だから警察が真犯人を逮捕するまで待っていよう」って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして3日後。テレビで4人の生徒がバラバラ殺人事件の犯人として逮捕された。殺害した犯人のリーダーは、直江 純(なおえ じゅん)17歳。そして取り巻きの石川 大輝(いしかわ だいき)17歳、高雄 竜太(たかお りゅうた)17歳、如月 晃(きさらぎ あきら)17歳だった。4人の顔と出身高校がモザイクで隠されて報道されていた。もともと4人は犯行は行なっていなかったが修学旅行でも隠れてある1人の男子生徒をいじめ続け自殺に追い込んだ。そしてその現場を見た4人は怖くなりノコギリで体をバラバラにして修学旅行クラス写真で撮った山の中に死体をあちこちに隠したらしい。そしてその写真をむさえさんが撮っていたこととカラスの習性を知り慌てて行動を起こした様だ。

 

4人は脅迫罪と死体損壊・遺棄罪で捕まったことでむさえさんのストーカー事件は解決した。夜は事件解決パーティーが行われて信之介さんの得意な中華料理だどんどん出てきた。むさえさんは、楽しそうにビールを飲んでいてあたしはオレンジジュースを飲んでいた。信之介さんもむさえさんと一緒にビールを飲んでいた。そしてあたしは眠くなると先に寝室に行って眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前3時。あたしは喉が渇いたから水を飲みに行こうとした。すると信之介さん達がまだむさえさんと飲んでいた。そしてあたしはこっそりと盗み聞きした時だった。あたしは信じられないことを聞いた。

 

「信之介。たまには姉ちゃんと義兄さんに会いに行ったらどうだ?」

 

「無理だ。オラはすでに絶縁されてるんだ。今更会えない」

 

「確かに姉ちゃんは信之介を恨んでるけど仕方なかったんだろ?ひまわりのことだってあれは事故だったんだろ?」

 

「違う。あれはオラが殺したんだ。ひまわりを殺したのはオラだ。だからオラはひまわりの仇を取るために探偵になった」

 

「・・・・・・・義兄さんはそんなの望んでない。義兄さんは、信之介が幸せに暮らせるように大学に入らせたんだ。今も義兄さんは信之介のことを気にしてるし・・・・・それに・・・・・」

 

あたしは寝室に戻った。信じられなかった。あたしは信之介さんに妹のひまわりさんのことを聞いていた。ある事件に巻き込まれて死んだって。けどひまわりさんを殺したのは信之介さんだった?そして仇を取る?それって復讐ってことか?あの時の信之介さんはあたしの知っている信之介さんじゃなかった。

 

「・・・・・・・復讐をしても家族は帰ってこないぞ?・・・・フザケンナよ。信之介さんだって復讐しようとしてるんじゃないか。だったらあたしだってノイズどもに復讐してもいいじゃねぇか」

 

あたしは泣きながらそう言った。

 

この時あたしは少し信之介さんを信じられなくなった。だけどこの暗い感情があの悲劇を起こすなんてあたしは夢にも思っていなかった。



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Kの悲しみ

ガシャーン!!

 

あたしは信之介さんに向けてコップを投げつけた。あたしが投げたコップは割れてその破片が信之介さんの額を切った。信之介さんは血が出てるところを手で抑えてあたしに話しかけてきた。

 

「落ち着いて奏ちゃん!!オラはただ「ふざけんな!!」っ!?」

 

「あたしは信之介さんを信じてた!!あたしをノイズから助けてくれてあたしを育ててくれて・・・・・・あたしは信之介さんを信じてたのに・・・・・なんでだよ!!信之介さんだってひまわりさんの復讐のためにガイアメモリ使ってるじゃねぇか!!それならあたしにも寄越せよ!!くれよ!!ガイアメモリ!!ノイズに復讐させろよ!!」

 

「待つんだ奏ちゃん!!あの時も言っただろ?復讐しても家族は戻らないって。ガイアメモリの危険性も話したはずだ!!」

 

信之介さんは、あたしの肩を掴んでそう言ったけどあたしはその肩を振り払った。

 

「何が復讐しても家族は戻らないだよ。じゃぁなんで信之介さんはスカルメモリで戦ってんだよ!!しかもあのメモリで人を殺してるじゃねぇかよ!!」

 

「・・・・・・っ!!!」

 

「あたしが半人前だからってガイアメモリもくれないし・・・・・所詮あたしはあんたの子供じゃない!!どうせ保護されただけの子供だよ!!あんたがあたしのことをただ義務的に育ててくれてるだけ。そんな奴があたしの父親顔なんかしてんじゃねぇよ!!!」

 

「っ!!!!」

 

パチーン!!

 

あたしは信之介さんに頬を張られた。あたしは張られた頬を抑え信之介さんを睨み付けるとあたしは事務所を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

オラは奏ちゃんを張った手を見ていた。奏ちゃんの気持ちも分からなくない。だけどそれでもオラは奏ちゃんを。大切な愛娘をオラと同じ道を歩いてほしくなかった。

 

「もう何が正しいのか分からないぞ」

 

オラはそう言うと携帯が鳴った。出てみると。

 

「らしくないわね。あなたがそんなにへこむなんて」

 

あの女から連絡が来た。

 

「・・・・・・何の用だシュラウド?」

 

オラがそう言うとシュラウドはフフフと笑っていた。

 

「フィーネ姉さんの居場所が分かったわ。あなたの大切な妹が死んだ元凶の居場所をあなたに教えようと思って連絡したのよ」

 

「!?」

 

「時は来たわ。やり方は全てあなたに任せる。でも、1つだけ私からの依頼を頼まれてくれないかしら?」

 

「?お前が頼み事なんて珍しいな」

 

「ある女の子を救ってほしいの。多分世界中にいる優秀な探偵の中でもこの依頼を頼めるのはあなただけよ」

 

「・・・・・・・・詳しく話せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは公園のベンチに座っていた。あたしは信之介さんに酷いことを言った。でもあたしは信之介さんを信じることができなくなっていた。あたしが大切ならなんでガイアメモリをくれないんだよ。やっぱりあたしは本当の娘じゃないから・・・・・・・。

 

「君は・・・・・天羽 奏ちゃん?」

 

あたしが悩んでいる時に1人の男性が話しかけて来た。

 

「誰だよあんた?」

 

あたしは警戒してそう聞いた。

 

「・・・・・・私は、佐藤 マサオ。信之介の幼馴染だ」

 

マサオさんがそう言うとあたしの隣に座った買い物帰りなのか買い物袋の中には飲み物や食料がたくさん入っていた。

 

「君のことは信之介から聞いているよ。まさか会えるなんて思っていなかったけど」

 

マサオさんがそう言って買い物袋からコーラを取り出してそれをあたしに渡した。あたしは受け取るだけで飲まなかった。マサオさんは特に気にしてなくてあたしに聞いてきた。

 

「信之介と喧嘩でもしたのか?」

 

「・・・・・・あんたには関係ないだろ?」

 

あたしはそう言うとマサオさんはヘラヘラと笑って「確かに」って言った。

 

「・・・・・あたしは隠し事をされていた。あたしは信用されてなかった。信之介さんがひまわりさんを殺したことととかあたしに話してくれなかった。あたしはどうせ信之介さんの子供じゃないから・・・・・」

 

あたしがそう言うとマサオさんはため息をついた。

 

「それは違うよ奏さん」

 

マサオさんがそう言うとマサオさんはあたしの前に来てあたしの目線に合わせた。

 

「信之介は、奏ちゃんの事を本当の娘のように愛してた。私のBARに来た時も最近は奏ちゃんの話をすることが多かった」

 

「・・・・・・・・」

 

「それに最近の信之介は戻ってるんだ」

 

「?戻ってる?」

 

マサオさんはあたしの隣に座り直すとあたしに話始めた。信之介さんの過去を。そして信之介さんの罪を。



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Sの過去

信之介がスカルになったのはまだ高校3年生だった時だ。私と信之介は、アクション高校、そしてもう1人の幼馴染の風間 トオルっていう男は覇道高校って言う高校を卒業してそれぞれの進路が決まっていた。けど風間は東大の受験に失敗して三流の大学に入学することになって落ち込んでいたんだ。そんな風間を慰めると言う意味で私と信之介で卒業旅行を計画しそれを風間に話したんだ。風間がOKを出した瞬間私たちは行動に移した。

 

私は、本屋でバイトをし信之介はラーメン屋でバイトをし風間は金持ちだったから親に出してもらっていたんだ。そして旅行の資金も溜まった時に信之介の母さんが妹のひまわりも連れて行ってあげてほしいと言ったんだ。当時のひまわりちゃんはある悩みがあったんだ。その悩みが部活関係だったんだ。

 

ひまわりちゃんは勉強はあまりできなかったけど陸上でエースになっていたんだ。そのひまわりちゃんが新記録を出せずエースの座も危なくなっていてすっごく悩んでいたんだ。信之介は最初は断っていたんだけどひまわりの分は信之介の母さんが出すって言ってからしぶしぶだが付いてくる事を了承したんだ。その時のひまわりちゃんは綺麗だった。信之介は、赤いシャツの上に黒いコートとジーパンだったけどひまわりちゃんはロングスカートに黄色いセーターを着ていたんだ。その時のひまわりちゃんは不思議な色気みたいなオーラを出していたんだ。・・・・・・・ごめん。少し脱線したな。

 

私達がその時に行った場所は京都だった。私達は京都で3泊4日の旅行をしたんだ。ひまわりちゃんがマイコさんになったり風間が歴史資料館に行ったり信之介が抹茶を飲んだりと楽しんだ。そう。楽しかったんだ。だけどその旅行も次の日には地獄に変わったんだ。昨日まで元気だったひまわりちゃんが突然暗くなったんだ。昨日までの元気が嘘のようだった。信之介は流石に心配になってひまわりちゃんに話しかけた時ひまわりちゃんが信之介を突き飛ばしたんだ。信之介は怒ってひまわりちゃんの胸ぐらを掴むとひまわりちゃんが言ったんだ。

 

「私はお前らみたいに呑気に楽しんでる暇なんてないんだよ!!もしかしたら陸上のエースを奪われるかもしれないんだよ!!?そんなの嫌だ!!私はエースなんだ!!あの陸上には私が必要なんだ!!能天気なお前らと私を一緒にするな!!」って。

 

その時にひまわりちゃんはどこで買ったのか分からないけどガイアメモリを取り出したんだ。その時は私達も何をしようとしてるのか分からなくて呆然としていた。今思えばあれはたぶん蛇。スネークドーパントだと思う。ガイアメモリもスネークって言う音声を出してたし怪物の姿も蛇だった。突然のことだったから私は怯えてとっさに押入れに隠れたんだ。だけど信之介は、突然のことで対応できず殺されそうになったんだ。その時に風間は信之介を庇った。そして風間はひまわりちゃんに右腕を喰われたんだ。ひまわりちゃんは旅館から逃げ出したんだ。信之介は我を取り戻すと急いでひまわりちゃんを追いかけた。私は風間を近くの病院に連絡を入れて救急車を呼んだ。結果、風間は入院することになった。私と信之介は警察から事情聴取を受けたけど警察は私たちの言葉を信じなかった。でもそれは当たり前だったんだ。USBメモリのようなもので化け物になったなんて誰が信じる?まぁ、そんなことがあって旅行は中止になった。

 

風間の母さんは右腕をなくした風間を見てかなり取り乱していた。そして信之介の所も混乱していた。あの日から私と信之介はあの旅行費を全てつぎ込んでひまわりちゃんを探した。だけど見つからなかった。信之介の母さんと父さんも協力してひまわりちゃんを探した。そして私も信之介に協力して探したんだ。大学生活が始まった時もひまわりちゃんは見つけられず私と信之介は大学が休みの時に探し続けた。そんな時だった。あの女にあったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの女?」

 

「・・・・・あぁ。正直言って私から見たらあの女はかなり気味が悪かった」

 

あたしはマサオさんの話を聞き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と信之介がひまわりちゃんを探している時にノイズに襲われたんだ。そんな時に私と信之介を助けてくれたのはシュラウドと言う女だ。顔は包帯をしていて分からなかったがサングラスと黒いドレス。そして銀色の髪をしたあの女が私達を助けてくれた。そしてあの女が言ったんだ。

 

「野原 ひまわりを救いたいのならこれを使いなさい。しかしこれを使えばあなたと私は共犯者になる。それでも野原 ひまわりを助けたいですか?」

 

そう言って信之介に渡したのはロストドライバーとスカルメモリだった。信之介はロストドライバーを腰につけるとスカルメモリをセットしてスカルに変身したんだ。当時の私はかなり驚いたよ。そして信之介はその力でノイズを倒した後ひまわりちゃんを見つけたんだ。ひまわりちゃんはスネークドーパントに変身すると信之介もひまわりちゃんを助けるためにスカルに変身した。この時から私達の運命は決まってしまったのかもしれない。あの時、信之介はひまわりちゃんを救うためにひまわりちゃんにマキシマムドライブをくらわせたんだ。結果ひまわりちゃんは変身解除させることに成功した。だけどその時に私と信之介はとんでもないことに気がついたんだ。それはひまわりちゃんが息をしていなかったんだ。私たちはすぐに人工呼吸をしたがダメだった。その時にシュラウドが現れてこれはどう言うことか聞いたんだ。そしたらあの女はこう言ったんだ。

 

「スカルはメモリブレイクをすると同時にメモリの変身者を殺害する力がある。だから聞いたんだ。私と共犯者になる勇気があるか」って言ったんだ。信之介は泣いた。少なくとも私は信之介があんなに泣いている姿は初めてだった。

 

それから信之介は変わってしまったんだ。信之介だけじゃない信之介の母さんも変わってしまった。信之介の母さんは、ひまわりちゃんの死を信之介1人の所為にしたんだ。信之介の父さんは信之介を庇っていたが信之介は自分がひまわりを殺したと言ったんだ。信之介は警察に捕まったけどひまわりちゃんの死に方は普通じゃなかった。だから証拠不十分で無罪になったんだ。それから信之介は笑わなくなった。ひまわりちゃんの死は事故死として扱わられたんだ。だけど信之介は自分がひまわりちゃんを殺したと言ってずっとその罪に縛られたんだ。信之介の母さんは信之介を憎むようになり何度も殴られたんだ。だけど信之介は抵抗しなかったんだ。信之介の父さんが仕事から帰って帰ってくるとすぐに助けてくれたらしいけど信之介はそれを望まなかった。ひまわりちゃんを殺してから信之介は死を望むようになった。信之介の母さんが包丁を持って信之介を殺そうとした時も受け入れたんだ。運良く信之介は死ななかったんだがそれでも信之介は生きていること自体に苦しみ続けた。そんな時に信之介は、信之介の父さんに言ったんだ。大学を辞めて探偵になるって。

 

信之介の父さんは反対したが信之介はひまわりちゃんの仇を討つと言って聞かなかった。信之介の母さんはとっとと出て行けって言ったらしい。けど信之介の父さんはせめて大学を卒業してから探偵になってくれと言ったらしいけど信之介はそれを拒否したんだ。それから信之介の父さんもキレて信之介と絶縁したんだ。

 

その時には私も母さんに内緒で美術大学を辞めて行方をくらませ今の私がいるんだ。私独自で集めた情報を信之介に渡す。私にはこんなことしかできなかった。信之介の母さんは1年後に精神がおかしくなったんだ。今は、信之介の父さんと小山 むさえが面倒をみているらしい。信之介の母さんは信之介が5歳児だったころとひまわりちゃんがまだ0歳児だった頃の時間に生きているんだ。そして信之介の父さんは今も見捨てずに小山 むさえと小山 まさえ、そして信之介の母さんの友人から力を貸してもらっているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信之介は、あれからずっとガイアメモリの後を追っていたんだ。ひまわりちゃんの仇のために。復讐のためだけにシュラウドっていう女と手を組んでガイアメモリを探し続けたんだ。その時の信之介はまるで鬼のようだったんだ」

 

あたしはマサオさんからその話を聞いて信じられなかった。信之介さんにそんな過去があったなんて・・・・・・・そして信之介さんが鬼になっていたなんてあたしは全然知らなかった。

 

「だけどあたしの知ってる信之介さんは「だから元の信之介に戻ったんだ奏ちゃんのおかげで」?」

 

あたしはどういう意味か分からなかった。

 

「ある日、信之介が私と風間に言ったんだ。ノイズのせいだけどオラに娘ができたって」

 

「昔みたいに笑ってそして喜んでいた。奏ちゃんのことが可愛くてそして喜んでいるところを見るとすごく嬉しくなって悲しんでいるところを見るととても辛かったって言ってたんだ」

 

マサオさんは嬉しそうにそう言った。

 

「信之介は今も復讐のために戦ってるっていってたけど本当はもう変わってることに気づいてるんだと思う」

 

「・・・・・・・・」

 

「信之介の真の復讐は可能な限りガイアメモリを破壊してそして少しでも奏ちゃんが幸せになってほしい。奏ちゃんをガイアメモリから守る。それが今の信之介がやろうとしてる復讐だと思う。奏ちゃんの未来のために戦う。それがひまわりちゃんへの償いで今まで殺してきた人達への償い。これがガイアメモリへの復讐だと私は思っているんだ」

 

「・・・・・・・・あたしはバカだ」

 

「?奏ちゃん?」

 

「すいません!!用事があるので帰ります!!」

 

「・・・・・あぁ。しっかり信之介に謝るんだよ」

 

「はい!!」

 

そうだ。信之介さんだって辛かったんだ。ひまわりさんはノイズに殺されたんじゃなくて人に殺されたんだ。信之介さんは復讐にとらわれてたとしても・・・・・今の信之介さんはあたしのために戦っていたんだ。そしてこの町のために戦い続けていたんだ。そんなことも気づかないなんて。

 

「本当になさけねぇよな!!このバカは!!」

 

あたしはそう言って信之介さんのもとに走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラは壁にかけている白い帽子を被ってオラの宝物を胸ポケットに入れた。

 

「・・・・・・・奏ちゃん」

 

オラの心残りは愛娘の奏ちゃんだった。最後に一目、奏ちゃんを見ておきたかった。

 

オラは念のために用意した遺言書を机の中に入れた。そしてオラは事務所を出た。そして。

 

「・・・・・・・さようなら奏ちゃん」

 

と、言った。



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N 悪夢の夜

「信之介さん!!」

 

あたしは事務所に帰って来た。だけど信之介さんはいなかった。部屋を見回した時いつも壁にかけていた白い帽子が無かった。信之介さんは仕事に行ったんだと思ったあたしは信之介さんが帰って来た時に謝ろうと思った。その時だった。事務所に電話がきた。あたしは電話に出ると。

 

「天羽 奏ちゃんね?所長は?」

 

相手は女だった。

 

「誰だよあんた?」

 

「・・・・・・依頼人よ」

 

「へ?・・・・・・あ、えと、信之介さんは今いません」

 

あたしがそう言うと。

 

「そう」

 

相手はそれだけを言った。そして続けざまに聞いてきた。

 

「ねぇ。ソファーの下にトランクケースがないかしら?」

 

「?トランクケース?」

 

あたしは受話器を置いてソファーの下を覗きに行った。見てみると何かがあった。あたしはそれを取り出すとたしかにトランクケースがあった。あたしは受話器を取って答えた。

 

「ありましたけど信之介さんの忘れ物ですか?必要ならそちらに届けに行きますけど?」

 

「・・・・・やっぱり。相変わらずあの子はそれが嫌いなのね」

 

「?どういうことだよ?」

 

あたしは依頼主の言葉に首を傾げた。

 

「・・・・・・それは地獄から抜け出すための切り札になるはずだったのだけど・・・・・・・信之介らしいと言えばらしいわね」

 

「!?どういうことだよ!?あんた一体何を言ってるんだよ!!?」

 

あたしはそう言うと依頼主は電話を切ってしまった。

 

「・・・・・・地獄ってどう言うことだよ?信之介さんは一体どんな事件に関わったんだよ」

 

あたしはそう言ってトランクケースを見た。あたしはほっとくことができなかった。

 

「信之介さんの助手はあたしだけなんだ。あたしが持ってかなきゃ」

 

あたしはそう言って事務所を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが悲劇の始まりだと知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは信之介さんの居場所を突き止めた。ある港から船に潜り込んでいたらしい。あたしがその港に着いた時にはすでに夜だったけどその港はかなり様子がおかしかった。中型の船に数台のトラックが入ろうとしていてその周りには黒服の男がかなりいた。どう見てもロクな人間じゃなかった。あたしはスキをついてトラックの下に潜り込みしがみつくとなんとか船内に潜入できた。するとすぐに船は出航した。

 

あたしはこっそりと船内を歩いているとこの船の目的地のような島が見えた。でもその島はおかしかった。その島はかなり小さい島であんなところに大量の物資を持ち込んでも意味がないような島だった。その時だった。

 

バチ!!バチバチバチバチバチバチ!!!!!バチチ!!

 

「うわっ!?」

 

突然妙な音が鳴り響いた。あたしは驚いて思わず声をあげた。幸いそこには誰もいなかったからなんとかなった。そしてあたしは目を疑った。

 

その島にはさっきまでなかったはずだった。そこにはでっかいビルが建っていたんだ。

 

「な、なんだよこれ?」

 

あたしがそう言って下がるとパイプを蹴ってしまった。そして近くにいたのか1人の黒服があたしに気がついた。

 

「誰かいるのか!?」

 

「やっべ」

 

あたしがそう思った時だった。突然誰かがあたしの口を手で覆った。そして狭い通路に引きずられると同時に誰かがあたしの前に出ると。

 

パシュッ。

 

誰かが黒服の男を銃で撃った。

 

「!!」

 

あたしは思わず悲鳴を上げようとしたら。

 

「しー。静かに」

 

そう言ってあたしの口から手をゆっくり離した。あたしは後ろを見てみると。

 

「信之介さん!」

 

そこには白いスーツと白い帽子を被った信之介さんと右腕が義手の男がいた。そしてその後ろには武装した10人の男がいた。

 

「・・・・・・なんでここにいるんだ奏ちゃん」

 

信之介さんにそう言われてあたしは言葉を詰まらせた。すると義手の男が信之介さんに話しかけた。

 

「信之介。どういうことだ?なんでお前の娘がこんな危険なところにいるんだよ!?」

 

男がそう言うと信之介さんはあたしが持ってるトランクケースを見た。

 

「・・・・・・・・それを持ってきたのか?」

 

信之介さんがそう言うとあたしは素直に答えた。

 

「い、依頼人の女の人から連絡があって・・・・・・・それで、もしかしたら信之介さんがヤバイって思ってそれで・・・・・」

 

「・・・・オラの足取りを追って持ってきたと」

 

あたしは頷いた。

 

「・・・・・・・信之介。その依頼人ってもしかして」

 

「あぁ。間違いないよ風間君。あの女だ」

 

信之介さんがそう言うと手をあげた。あたしは叩かれると思って目を瞑るが信之介さんはあたしの頭を撫でてくれた。

 

「信之介さん?」

 

「・・・・・・これはきっと運命だ」

 

「えっ?」

 

信之介さんがそう言うとあたしの両肩に手を置いてあたしに話した。

 

「いいか、奏ちゃん。本来だったら奏ちゃんを巻き込むつもりはなかった。だけどこうなってしまった以上オラも、風間君達も、そして奏ちゃんも、誰も引き返すことはできない。だからよく聞くんだ」

 

信之介さんはそう言ってあたしの手を掴んでこっそりとビルを見た。そしてその隣には風間という男も一緒だった。

 

「いいか、奏ちゃん。あのビルは地獄だ」

 

「?地獄?どういうことだよ信之介さん?」

 

あたしはそう聞くと。

 

「黙って聞け奏ちゃん」

 

と、言われた。

 

「あの中に1人の少女が捕まっている。今回の依頼はヤクザ、風間組と探偵のオラで彼女を救出する事だ」

 

この時の信之介さんは、まるで覚悟を決めたような目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プシュゥゥゥゥゥ!!

 

ある機械から1人の少女が起き上がった。その少女は病院服のようなものを着ており長いピンク色の猫耳のような髪をしていた。その少女が起き上がると。

 

「目を覚ましたかな?」

 

誰かが彼女に通信をしてきた。

 

「・・・・・・あなたは・・・・・・・誰?」

 

「ワシのことなど気にしなくてよい。さっそく研究を始めるんだ。貴様は地球の全てを学ぶためだけに生まれてきたのだからな」

 

「・・・・全てを・・・・・・学ぶ。そうだ。それが私の使命でありたった一つの生きる価値だったわ」

 

彼女がそう言うと相手は笑った。

 

「ハッハッハッハッハッハッハッ!!!!その通りだ!!貴様が何者かなど考える必要はない!!ここは貴様のために作られた施設、いわば楽園だ!!存分に楽しむがいい!!」

 

男がそう言うと同時に彼女は立ち上がった。

 

「さぁ!用意はいいな?」

 

「・・・・・・・問題ないわ」



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Hの痛恨

依頼主

シュラウド→???→???

ターゲット

フィーネ→殺害対象→復讐対象→???

???→???→???

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵→仮面ライダースカル

天羽 奏→信之介の養子兼助手

風間 トオル→信之介の幼馴染→風間組組長


潜入はバレた。風間さん達が囮になっている間あたしと信之介さんは、内部に侵入していた。そして今回のターゲットの話を聞いていた。

 

「?運命の子?」

 

「そうだ。彼女は地球の全てを背負いこんでしまったんだ。敵はこの島で彼女の力を引き出し悪事に利用している。その子は機械の部品のように扱われている彼女をなんとしてでも救いたい」

 

信之介さんがそう言うとあたしは違和感を感じた。

 

「救いたいって・・・・・・・それが依頼人の頼みじゃ「優先順位を無理矢理変えただけだ」優先順位?」

 

あたしは信之介さんの言葉に首を傾げた。

 

「彼女にとって少女を救い出すことはついででしかない。本来の目的はここにいる黒幕を殺すことだ」

 

「?黒幕?」

 

「全ての黒幕ってわけではない。ただどんなものでも始まりというものが存在する。あの女を殺したところで真の黒幕に受け継がれるだけだがそれでもかなり敵を弱体化させることが可能だ」

 

信之介さんは、そう言って進んでいく。あたしはその後を追った。そして聞いた。

 

「・・・・それってひまわりさんにガイアメモリを渡したやつなのか?」

 

「そうだ」

 

信之介さんはそう言うとトランクケースを開けた。

 

(やっぱり信之介さんなら開けれるんだ)

 

「・・・・・・・・・犯人の名前は『フィーネ』。終わりの名を持つ女だ」

 

「・・・・・・それが信之介さんの復讐対象?」

 

「そうだ」

 

信之介さんがそう言うとあたしはトランクケースの中身が気になって聞いた。

 

「信之介さん。結局その中身って一体・・・・・」

 

信之介さんは少し悩んだ顔をするとあたしの目を見て言った。

 

「ガイアメモリだ」

 

「!!スカルメモリ以外にもあったのかよ!?なんであたしに隠してたんだよ!!」

 

「騒ぐな奏ちゃん。言ったら確実に盗むつもりだっただろ?」

 

信之介さんにそう言われるとあたしは言葉を詰まらせた。

 

「この際だからはっきり言うぞ奏ちゃん」

 

信之介さんはそう言ってあたしを見た。

 

「オラはガイアメモリが大嫌いなんだ。オラの手でこの世にある全てのガイアメモリを破壊してやりたいぐらい嫌いなんだ。こいつのせいでどれだけの人間を苦しませてきたか・・・・・・・・・・」

 

この、信之介さんは悲しそうな目をしていた。マサオさんからある程度の話を聞いていたからあの目が誰を映しているのか予想ができた。だからあたしは聞かなかった。

 

「・・・・・・・奏ちゃん。お前はまだ探偵として半人前だ。だからこの場所では何があろうとオラの命令に従え。絶対服従だ」

 

「絶対服従って。あたしはいつも信之介さんの指示に従ってるだろ?こんな所でもあたしのやる事はいつもと変わらないだろ?」

 

あたしが信之介さんにそう言うと信之介さんはあたしの肩を掴んだ。

 

「?信之介さん?」

 

「こんな所だからこそオラの命令をいつもより聞くんだ。いいか。オラが逃げろって言ったらオラを見捨ててでも逃げろ」

 

信之介さんがあたしにそう言った時だった。大きな爆発がおこりビルが少しゆれた。

 

「急ぐぞ奏ちゃん。風間君の陽動も長く持たない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルの中にある高級そうな部屋。そこには2人の女性がいた。1人は大きな胸を主張するように開いた白いドレスを着た金髪の女性と黒いドレスを着ておりその上から金持ちが着るようなジャンバーを着た黒髪の女性がいた。2人はワイングラスに30年もののワインを注いで飲んでいた。すると。

 

「侵入者だと?冴子」

 

「そのようね。お父様」

 

冴子と呼ばれた女性はお父様と呼ばれる男と通信していた。

 

「何者かは知らぬが運の悪い連中だ。よりによってお前がいる時に忍び込むとはな。冴子」

 

男はそう言うと通信を切った。

 

「申し訳ないわねフィーネ。せっかく来てもらったのに」

 

冴子はそう言うとベルトを巻いた。

 

「構わないさ。計画が成功すればガイアメモリは大量生産できる。そしてその計画が失敗する事は100%無い。そうだろう?」

 

「えぇ。その通りよ。なにせここにはあなたから貰った力とこの私がいるのだから」

 

冴子がそう言うとガイアメモリを取り出した。

 

『TABOO』

 

そしてそれをベルトに入れた。すると冴子の影は化け物のような姿になりフィーネはそれを愉快そうな目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、信之介さん。その・・・・・・・風間さん達は大丈夫なのかな?」

 

「風間君達も死ぬ覚悟はできていた。あとは祈るしかない。風間君達の無事を」

 

あたしと信之介さんはそう言って進んで行くと。

 

「なっ」

 

あたしは見た。恐ろしいものを。

 

「出て来なさい、コソ泥」

 

そこには宙に浮いているドーパントと黒服の男が10人いた。

 

「それとも産業スパイかしら?いずれにせようっかり地獄に舞い込んだ愚かな小動物というところね」

 

「・・・・・・・・・なんだよ。あのドーパントは?」

 

それを見た信之介さんはあたしの方を見た。

 

「奏ちゃん。早速命令だ。これを持ってじっとしていろ。この場を一歩も動くな」

 

信之介さんはあたしにトランクケースを預けるとゆっくりとドーパントの前に現れた。それに気づいた黒服の男達はすぐに信之介さんに襲いかかったけど信之介さんは肘打ちや顎に蹴りを入れたり投げたりして次々と黒服の男達を撃退した。だけど黒服の男達はすぐに立ち上がると胸ポケットからガイアメモリを取り出した。

 

「あいつらもガイアメモリを持ってんのかよ?」

 

『MASQUERADE』

 

するとあいつらはみんなドーパントになった。信之介さんはそれを見ても落ち着いていた。

 

「コソ泥にしてはやるわね」

 

すると宙に浮いているドーパントがそう言った。

 

「好みのタイプの男よ。でも、残念ね」

 

ドーパントはそう言ってエネルギーの球を作った。それを見た信之介さんは焦りもしていなかった。

 

「そのベルト・・・・・・・なるほどお前は組織の幹部か。ということはそれがフィーネが開発した新しい武器か」

 

信之介さんがそう言うとロストドライバーを取り出した。

 

「撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだぞ。レディ」

 

そして信之介さんは、ロストドライバーを巻いた。

 

「!?何そのドライバーは!?」

 

(どう言うこと?フィーネ以外にもガイアメモリ専用のベルトを開発することができる人間がいたの?)

 

信之介さんはスカルメモリを取り出した。

 

『SKULL』

 

「変身」

 

『SKULL』

 

「さぁ、お前の罪を・・・・・・・数えろ」

 

信之介さんは、仮面ライダースカルに変身すると戦い始めた。あたしはそれを見ていることしかできなかった。すると。後ろから気配を感じた。あたしは振り返るとそこにはピンク色の髪をした女の子がいた。

 

「も、もしかしてあの女が?もし、そうだとしたならこれはまぎれもないチャンスだ」

 

(でもあたしは信之介さんにここを動くなって言われた)

 

あたしは信之介さんが戦っている姿を見た。それを見たあたしはこう思った。

 

(信之介さんもきつい状態なんだ。ここであいつを助ければ信之介さんもかなり楽になるはずだ)

 

あたしはそう思ってあいつを追った。でもそれは死神の罠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァハァハァ。追いついた。おい。お前が運命の子か?」

 

あたしは彼女にそう言って聞いてみた。そして彼女があたしの方を向くとその目は死んでいた。目に光が宿ってなくてまるで人形のような女だった。

 

そしてこれが後のあたしの相棒『マリア』との出会いだった。



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Dの女

依頼主

シュラウド→???→???

ターゲット

フィーネ→殺害対象→復讐対象→???

???→???→???

敵側

冴子→タブードーパント→???

黒服の男達→マスカレイドドーパント→組織のしたっぱ

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵→仮面ライダースカル

天羽 奏→信之介の養子兼助手

風間 トオル→信之介の幼馴染→風間組組長


スカルとタブードーパントは激しい撃ち合いが行われていた。接近戦をしようとするマスカレイドドーパントに蹴りを入れそのままスカルマグナムでタブードーパントに攻撃をするが飛んでいるタブードーパントはスカルの攻撃を簡単に避けてエネルギーの球をスカルにぶつけた。スカルに当たり吹き飛ばされるが一回転して着地するとそのまま撃った。

 

「くっ!!」

 

タブードーパントはエネルギーの球でスカルの攻撃を撃ち落とすが2発体に当たり後ろにのけぞった。その間にスカルは壁に隠れた。

 

「さすが組織の幹部だ。なかなか押し切れない」

 

スカルはそう言って大きく息を吐いた。そしてタブードーパントもスカルに対してイライラしていた。

 

「スカルメモリ。私の攻撃を受けても怯まず戦う姿、間違いないわね。スカルは生死を超越するメモリ。まさに不死身。でも私の全てのエネルギーを一点に圧縮した渾身の攻撃であのドライバーかメモリを破壊すれば・・・・・・・・」

 

タブードーパントは、エネルギーの球を次々と作り出しそしてそのエネルギーの球を一点に圧縮し始めた。それを見たスカルもドライバーからメモリを取り出した。

 

「勝負だ」

 

スカルはそう言ってスカルマグナムにセットした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、なんだよこいつ?)

 

あたしは目の前にいる女が少し・・・・・・いやかなり気味悪く感じた。まるで生きた人形と話してるようなそんな気持ち悪さをあたしは感じた。

 

(こんな薄気味悪い女が運命の子?)

 

あたしはそう思っていると。

 

「・・・・・誰よ、あなた」

 

目の前の女があたしにそう言った。

 

「ここの人間じゃないわよね?」

 

あいつはそう言って部屋に入った。あたしはそいつについて行った。

 

「組織に選ばれるような知能があるようには見えないけど・・・・・・・・実験体かしら?」

 

あいつはそう言ってバカにするような言い方をした。あたしはムッとなったけど堪えて返した。

 

「そんな言い方はねぇだろ?せっかく助けに来てやったのによ」

 

あたしはそう言うとあいつはあたしを見た。

 

「助ける?・・・・・・あなたが?」

 

「見てわかんねーの?信之介さんには劣るけどこのハードボイルドな面構えを!」

 

「・・・・・ハード・・・・ボイルド?」

 

あいつはあたしの言ったことにも気にせず機会を触りだした。そして映像に映し出されたものを見てあたしは驚いたんだ。そこに映っていたのは。

 

「が、ガイアメモリ!!」

 

あたしは、あの女の隣に行って近くでその映像を見た。

 

「まさか。これあんたが作ったのか?」

 

あたしがそう聞いた時だった。あの女はいきなりあたしが持っているトランクケースを奪い取った。

 

「な、何すんだよ!?」

 

その時だった。信之介さんにしか開けられないはずのトランクケースを開けた。あたしはそれに驚くと中身を見たこいつも驚いていた。あたしも中身を覗いたけどそれが一体どんな価値があるのかそしてどんな力があるのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SKULL MAXIMUM DRIVE』

 

「・・・・スカルパニッシャー」

 

スカルはタブードーパントに向けてエネルギー弾を撃つとそれと同時にタブードーパントの圧縮されたエネルギーの球を放った。しかし先に当たったのはタブードーパントだった。タブードーパントは胴体に当たると撃ち落とされるように落ちた。そしてスカルは横に飛んで回避しようとした。だが。

 

「くっ!!」

 

一体のマスカレイドドーパントがスカルに抱き着きスカルの行動を止めると圧縮されたエネルギーの球はマスカレイドドーパントを貫きそしてスカルのロストドライバーに命中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな爆発音が鳴るなか冴子は立ち上がり息を吐いた。そしてタブーメモリを再びドライバーにセットした。だが。

 

(・・・・・・再変身できない。ドライバーの制限装置が作動しているのね。私の体力が回復するまで・・・・・・・)

 

「まったく恐ろしい男ね」

 

冴子はそう言って息を吐くとタブーメモリにキスをした。

 

「でも・・・・・・絶対に逃がさない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ」

 

信之介は、壁に手をつけながら歩いていた。被っていたお気に入りの帽子は切れ目が入っておりそれを見て信之介は残念そうな顔をした。

 

「あいつ俺のお気に入りの帽子に傷をつけやがって・・・・・・・この礼はいつか必ず返してやるよ」

 

信之介がそう言ってロストドライバーからスカルメモリを外すと。

 

ピシッ!ピシシッ!!パリン!!

 

ロストドライバーが腰から床に落ちた。タブードーパントとの戦闘で壊れてしまった。それを見た信之介は焦りもせずただロストドライバーを見つめそして。

 

「お疲れさん」

 

と、ただ一言。それだけを言った。

 

「まずいな・・・・・・・シュラウドの読み通りになってきた。このままじゃかなり厳しくなりそうだ」

 

信之介はそう言って壁に手をつけながら歩き始めた。

 

「シュラウドが開発したあの新兵器・・・・・・・なんだっけ。・・・・・・・確か『ダブルドライバー』・・・・・・とか言ったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは凄い!!誰よ!!一体誰がこんな凄いものを考案したのよ!?」

 

こいつはそう言って中にあったロストドライバーに似たドライバーを取り出した。

 

「このドライバーの使用者は、私と一体化できる!!同時に2本のメモリが使えて更に私の知識を全て備えた究極の超人が生まれる!!」

 

・・・・・・・なんだよこの女。こんな女のせいで信之介さんは・・・・・。

 

「・・・・なにが・・・・・・・何がおかしいんだ!!この悪魔!!」

 

あたしは我慢できずこいつの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけた。

 

「お前の!!お前達が作ったメモリのせいでいったいどれだけの人が泣いたと思ってんだよ!!どれだけの人が悲しんでるのか分かってるのかよ!!」

 

あたしは睨みつけながらそう言った。だけど。

 

「・・・・・拳銃を作っている工場の人間は犯罪者かしら?」

 

この女はあたしにそう言った。そしてその言葉にあたしは言葉を詰まらせた。

 

「違うでしょ?使って悪事をする人間の方が悪いのよ。私はただガイアメモリを生産してより効果の強いメモリを見たいだけなのよ」

 

「だ、黙れ!!!」

 

あたしは思わずこの女を床に投げた。だけど私は後悔していない。こんな女が哀れな囚われの子?ふざけんな。こんな女、助ける価値なんかない。こんな奴殺した方がいいに決まってる。

 

「邪魔をしないでくれないかしら?」

 

あの女が立ち上がると私は思わず握り拳を作った。

 

「さっきも言ったけど、どうせあなたもガイアメモリの実験体でしょ?あなたにぴったりのメモリなら後で私が選んであげるから邪魔だけは・・・・・・・「この悪女が!!!」!!」

 

あたしはこの女の顔面を思いっきり殴ってやった。すると女は変な機械に入るとその場から消えた。

 

「えっ?」

 

比喩とかじゃない。本当にその場から消えた。あたしは急いでドライバーを直して信之介さんのところに戻ると途中で信之介さんが壁にもたれかかるように座っていた。

 

「!信之介さん!!」

 

「・・・・・・奏ちゃん。・・・・・・お前・・・・・どこに消えてた?」

 

この時、あたしは信之介さんの顔がすごく怖か感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は・・・・・・・・私の名前は覚えている。だけどそれ以外のことは何も覚えていない。思い出そうとしても砂嵐が発生して何も分からなくなる。私の名前以外に覚えていることは私の存在価値だけ。だけど私にはどうでもいいこと。

 

「ガイアタワーに転送されちゃったわね」

 

私はそんなことすらもどうでもよかった。でも今の私には気になって仕方のないことがあった。

 

「あの実験体の女が言っていた、不可思議な言葉・・・・・興味深い」

 

さぁ、検索を始めましょう。

 

「キーワードは、『ハードボイルド』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このバカが!!」

 

パン!!

 

あたしは赤くなった左頬を抑えた。

 

「なんで言われた通りにしなかった!!あの子を押さえれば今頃・・・・・!」

 

信之介さんはトランクケースを持つと歩き始めた。あたしは納得できなかった。

 

「・・・・・・信之介さん。なんであんな女を助けるんだよ」

 

「!」

 

「あんな悪魔みたいな女。信之介さんが命を張って助ける価値なんかないよ。あいつは信之介さんの妹のひまわりさんを殺した元凶の1人なんだぞ!!あたしは嫌だ!!あんな奴助けたくねぇ!!助けたくねぇよ!!」

 

あたしは泣きながら信之介さんに言った。

 

「・・・・・・・奏ちゃん。いや、奏。命を張る価値ならある。彼女だって望んでこんなことをしてるわけじゃない」

 

あたしは泣きながら信之介さんを見た。

 

「彼女だって本当なら母の胸に抱かれそして家族と幸福に育っていたはずだ。だけど彼女は家族と引き離された。奏、お前が不幸にも本当の親御さん達と死に別れたように・・・・・・・」

 

信之介さんはそう言ってあたしを見た。

 

「だから奏。オラができなかったことをお前がやるんだ。彼女を助けてやれ、奏」

 

「・・・・・・ても」

 

「彼女が悪魔に見えるなら、悪いのは彼女じゃない。そう書き換えた奴らとフィーネだ。彼女自体は真っ白な紙と同じだ」

 

信之介さんはそう言ってあたしの肩に手を置いた。

 

「奏。あの子に手を差し伸べてやれ。お前は弱い者に力を振りかざさず手を差し伸べるんだ。きっと彼女にもできる」

 

信之介さんはそう言ってあたしの手を掴んで立たせてくれた。

 

「彼女は、このビルの中枢部に融合しているはずだ。まだ間に合う急ごう」

 

信之介さんは私にそう言ってくれた。なんであたしは忘れてたのかもしれない。あの時もそうだ。あたしは、信之介さんに救われていたんだ。それを今度はあたしがあいつにする番なんだ。あたしは急いで信之介さんを追いかけた。



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B 始まりの夜

依頼主

シュラウド→???→???

ターゲット

フィーネ→殺害対象→復讐対象→???

???→???→???

敵側

冴子→タブードーパント→???

黒服の男達→マスカレイドドーパント→組織のしたっぱ

探偵側

野原 信之介→野原探偵事務所所長兼私立探偵→仮面ライダースカル

天羽 奏→信之介の養子兼助手

風間 トオル→信之介の幼馴染→風間組組長


黒服の男達の妨害を撃退しながらあたしと信之介さんは、あの女のもとに向かっていた。そしてあの女は妙な機械の中にいた。あたしと信之介さんはゆっくりと近づくと。

 

「帰ってくれないかしら?」

 

と、言った。

 

「私の読書の邪魔をしないでちょうだい」

 

「?読書何言ってるんだよこいつ?」

 

あたしは首を傾げた。

 

「彼女は今、地球(ほし)の本棚に入った。」

 

「本棚って・・・・・・・・信之介さんどういうとなんですか?」

 

「彼女は、この地球の記憶そのものと頭脳が直結してしまったんだ。脳内に地球が抱える全ての知識が『本』という形になって現れてそれを自在に検索することができる。・・・・・・・らしい」

 

・・・・・・・ちょっと待てよ。あたしこの話聞いたことがあるような気がする。そんなのまるで。

 

「が、ガイアメモリみたいだ」

 

「そうだ。地球の記憶を悪用し人間を怪物に変える装置として生まれたのがガイアメモリ。彼女はそれの生産のためだけに利用されているんだ」

 

こういうことだったんだ。あいつが運命の子って呼ばれてる理由はそう言うことだったんだ。

 

「因みに、地球の記憶の力はノイズの位相差障壁を無効化することができる」

 

「えっ?」

 

「奏ちゃんを助けた時もスカルの力で助けただろ?あの時もガイアメモリがノイズを倒したんじゃなくて地球の記憶の力が宿ったガイアメモリだからこそノイズを倒せたんだ。まぁ、その理由もなんでか分かってないけどな」

 

信之介さんはそう言ってスカルメモリを取り出した。

 

(彼女を装置から引き出すことはもう不可能。だけどもし彼女が自分の意思で出るならまだ可能性は残されている。スカルメモリに残されたエネルギーで彼女の世界に接触できれば・・・・・・)

 

「・・・・・・・いけるか?」

 

信之介さんはそう言うと。

 

「奏ちゃん。入口のあたりを見張っててくれ」

 

あたしにそう命令してきた。

 

「えっ?信之介さん。一体何を?」

 

「二度も言わすな」

 

「・・・・・・・・・・わかった」

 

あたしはそう言って入口に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・どういうことなの?」

 

私は混乱していた。こんなことは初めてだったから。

 

「分からない。不可解だわ。調べれば調べるほど・・・・・・・あの女が『ハードボイルド』なる人物像には程遠い・・・・・」

 

私が読書に集中していた時だった。

 

『SKULL』

 

「!?」

 

私の世界に大きなエネルギーが駆け巡った。そして私の前にあの男が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信之介は、スカルの力で地球の本棚に入ると完全に壊れたスカルメモリを見た。

 

「・・・・・・・スカルメモリ。オラはお前の力をずっと憎んでいた。・・・・・・・・・だけど最後に・・・・・・・礼を言うぜ。ありがとう。スカル」

 

信之介がそう言うとスカルメモリは消滅してしまった。

 

信之介は彼女のもとに向かうと。

 

「・・・・・あの特殊なメモリの力ね。まさかこんな強引な方法で私の本棚に入ってくるなんて・・・・・」

 

彼女も少し驚いていた。

 

「さぁ、行こうか」

 

信之介は、そう言うが彼女は首を振った。

「私は・・・・・・ここにいろって言われた。『恐怖』と言う名の男に」

 

彼女がそう言うと少し震えていた。信之介ゆっくり歩み寄りそして彼女の隣に座った。

 

「なぁ、お前は今まで一つでも自分で決めて何かをしたことがあるのか?」

 

「自分で決める?」

 

彼女は少し考えたがすぐに首を横に振った。

 

「分からない。私は・・・・・何も覚えてないの」

 

「・・・・・・そうか。じゃぁ今日が最初だ」

 

信之介はそう言って立ち上がった。

 

「自分自身の決断でこの暗闇の牢獄を出るんだ。そして自由になったら・・・・・・・・・・お前の罪を数えろ」

 

「・・・・・・私の・・・・・・罪?」

 

『お前の!!お前達が作ったメモリのせいでいったいどれだけの人が泣いたと思ってんだよ!!どれだけの人が悲しんでるのか分かってるのかよ!!』

 

「なんで、なんであの女の言ったことが頭に響くの?」

 

彼女は自分の頭を抑えた。

 

「・・・・・・・名前はなんだ?」

 

「・・・・・・・・マリア。私の名前はマリア。でも、それ以外のことは何も思い出せない」

 

「・・・・・・・そうか。マリア、オラは『アクション仮面』って言うヒーローが大好きなんだ」

 

「?」

 

「昔流行った特撮アニメでオラみたいな偽物のヒーローじゃなくて彼は本物のヒーローだった。彼は・・・・・・自分の決断で全てを解決していたんだ」

 

「・・・・・・・・決断・・・・・・・」

 

その時だった。彼女の目に・・・・・・マリアの目に光が宿った。

 

「人形のような目だったけど・・・・・・・・・女になったな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリィィィン!!!

 

何かが割れる音が聞こえた。あたしはそっちを見るとそこにはあの女に肩を貸している信之介さんがいた。

 

「信之介さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は肩を借りてなんとか歩いていた。

 

「・・・・・・問題はこれからよ。はっきり言うわ。この島から逃亡するのは不可能に近いわよ?」

 

「なんとかするさ。オラの助手もいる」

 

私は顔を上げて彼女を見た。

 

「・・・・・・彼女はあまりに不完全すぎるわ」

 

「確かに奏ちゃんは、半人前だ。だけど奏ちゃんはマリアちゃんが持ってないものを持ってる。オラの大切な愛娘だ。仲良くしろよ」

 

・・・・・・・この男が私にそう言うと彼女は私の腰を持ってそして。「変わります。信之介さん」と言って私に肩を貸してくれた。

 

「・・・・・・あたしはやっぱりお前が大嫌いだ。これからもあたしとお前とは合わないと思う」

 

「・・・・・・」

 

「でも、お前の事情を知らないくせに一方的に言ったことは謝る。ごめん」

 

「・・・・・・・」

 

「あたしは、天羽 奏。名探偵、野原 信之介の娘で助手で一番弟子だ。お前は?」

 

「・・・・・・・・マリア。それ以外は覚えていないわ」

 

「そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうするか。もうスカルに変身することはできない。脱出するにはこのトランクケースにあるダブルドライバーをたよるしか道がない。だけどこいつを使うってことはマリアちゃんを戦いに利用することになる。それだとオラのやる事はフィーネ達と同じじゃないのか?)

 

信之介はトランクケースを奏に渡した瞬間だった。

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

「!!!!」

 

「えっ?」

 

信之介は撃たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信之介・・・・・さん?」

 

あたしは信じられなかった。突然、信之介さんが倒れた。なんで信之介さんは背中から血を流しているんだ?なんで床に血の水たまりができてるんだよ?

 

「し、信之介さん!!信之介さぁん!!!!」

 

あたしは急いで信之介さんの隣に行った。

 

「・・・・・ガッ!い、一瞬判断が鈍った・・・・・・・・・・・オラも探偵としてまだまだ甘かったか」

 

「信之介さん!!喋ったらダメだ。すぐに手当てすればなんとか「奏ちゃん」!?」

 

「この依頼・・・・・・・・・お前が引き継いでくれ」

 

信之介さんはそう言ってあたしに信之介さんのお気に入りの帽子を被せてくれた。

 

「奏・・・・・・・・・あの子を・・・・・・・・マリアを頼んだぞ」

 

「な、何、冗談言ってるんだよ信之介さん!!あたしにはまだ帽子は早いんだろ!?そんな遺言みたいな事言わないでよ!!信之介さん!!」

 

「・・・・・・・似合う女になれ・・・・・・・・か・・・・・な・・・・・・・で」

 

・・・・・・・・うそだ。

 

「し、信之介さん?」

 

うそだうそだ。

 

「あ、ああ」

 

「しんのすけさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の前であの子が泣いてる。私の前であの男が死んだ?私の罪・・・・・・・・・・私の?

 

そうか。これがそうなんだ。人を泣かせると言うのはこう言う事だったんだ。

 

これが・・・・・・私の罪だ!!

 

 

ドガァァァン!!

 

「うわっ!!」

 

「きゃぁ!!」

 

あの男はビルの下に落ちた。私と彼女は・・・・・・奏はただ見ていることしかできなかった。

 

「ふふふっ。死んだのね、スカルの男。安心したわ」

 

「タブートーパント!!」

 

「残るはネズミ一匹!!」

 

タブートーパントは、エネルギーの球を放って来た。私は奏の手を掴んで逃げようとした。だけど。

 

「なっ!!」

 

私たちの前にカラフルな化け物が現れた。こいつらは。

 

「!!ノイズ!!こんな時に!!」

 

「あれは!!くっ!!フィーネの仕業ね」

 

「くそっ!!こっちだマリア!!」

 

今度は奏が私の手を引いてくれた。だけど私達はノイズに包囲されていた。宙にはタブートーパント、周りにはノイズ。最悪の状況だった。

 

「・・・・・・あたしの・・・・・・・・あたしのせいだ。あたしが最初に信之介さんとの約束を守っていればこんな事には」

 

奏が泣いてる中私はトランクケースを持ち直して開いた。それに気づいた奏は私を見た。

 

「・・・・・・・・ねぇ、奏。あなたはさっき私を『悪魔』ってののしったわよね?」

 

「・・・・・・・こんな時になんだよ?ノイズに囲まれてるしドーパントまでいるし・・・・・・そうだよ。お前さえ・・・・お前さえいなければ信之介さんは死ななかった!!」

 

「奇遇ね。私もあなたがあの男の言うことを聞いていればあの男は死ななかったと思ってるわ」

 

私がそう言うと奏は、歯ぎしりをした。私にそんなこと言えるのだからまだ闘志は残ってるようね。

 

「殴り合いでも口喧嘩でも後でいくらでも付き合ってあげるわ。でも今は生き延びなきゃいけないでしょ?」

 

「ぐっ」

 

「そこであなたに提案があるわ」

 

「提案?」

 

「あなたは悪魔と相乗りする勇気、あるかしら?」

 

私はそう言ってガイアメモリとドライバーを見せた。奏がガイアメモリを取ると私もガイアメモリを取った。そしてドライバーを奏の腰につけた。

 

「いくわよ奏!!」

 

「うっ・・・・・・・・・うあああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『CYCLONE』/『JOKER』

 

私と奏は、一つになった。















ビルの1番下。そこで信之介は、目を覚ました。

「オラはどうなったっけ」

信之介はそう言って目を瞑ると撃たれたことを思い出した。

「そうだった」

信之介はそう言って奏の前では我慢していた葉巻を取り出し口に咥えた。

「よぉ。信之介」

呼ばれた方を見るとそこには血まみれで義手である右腕がもげた風間組組長、風間 トオルがいた。

「風間君」

「あんなところから落ちて来たのに生きてるってお前の生命力は凄いな」

「それほどでも」

信之介はライターで葉巻に火をつけ煙を吸って吐いた。

「動けるか?」

「無理だ。下半身の感覚がない。痛みも感じなくなってる。オラはもうすぐ死ぬんだな」

「俺もだ。血を流しすぎた。すっごく寒いんだよ。幹部たちも全滅した。俺ももうすぐ死ぬ。ハハッ。風間組も解散だな」

2人がそう話していると信之介は胸ポケットから1枚の写真を取り出した。

「それは?」

「奏との写真だ」

信之介がそう言うと加えていた葉巻を落とした。

「娘の方は大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。奏にはオラからの最後のプレゼントを贈った。マリアっていうオラにはなかった大切な相棒という存在を奏に贈った。きっと大丈夫だ。オラは何も心配していない」

「そうか・・・・・・・それは・・・・・・よか・・・・っ・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・ひまわり」

「そうか。迎えに来たのか。奏。愛し・・・・てる・・・・・ぞ」


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第1章 ルナアタック
A 入学/E 出会い


私は立花 響15歳!誕生日は9月の13日で血液型はO型。身長は157センチ体重はもう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで好きなものはごはん&ごはん。あとは彼氏いない歴は年齢と同じ!!

 

この春、私は晴れて女子高生となる。私の通う学校の名前は『私立リディアン音楽院』。ここには憧れのあの風鳴翼さんが通っている。できることなら何かの偶然で出会えないかと思って受験勉強も頑張った。・・・・・でも。

 

「立花さん!!」

 

「っ!」

 

 目の前の先生の叫び声に私はビクリと肩を震わせる。

 

「あ、あのぉ・・・・・木に登ったまま降りられなくなった子猫がいましてですね?」

 

「それで?」

 

「きっとお腹を空かせてるんじゃないかな〜と」

 

「立花さん!!!!」

 

 

 

 

 

 

「たはぁ~疲れたぁ~!!」

 

 入学初日の授業を終えて寮の部屋に帰ってきた私は床に倒れこむ。

 

「入学初日からクライマックスが百連発気分だよ~・・・・私呪われてる~」

 

「半分は響のドジだけど残りはお節介でしょ?全く、アニメじゃないんだから」

 

「人助けと言ってよ~、人助けは私の趣味なんだから」

 

 愚痴る私に言う同室の板場 弓美ちゃんに私は唇を尖らせて言う。

 

「朝の事はともかく流石に同じクラスの子に教科書を貸さないでしょ普通」

 

「うっ・・・それは・・・その・・・、隣の子に見せて貰おうかなぁと」

 

「それこそ、響が貸さずにその子が隣の子に見せて貰えば良かったでしょ」

 

「あっ、確かに。弓美ちゃん頭いいね!」

 

「いやいや、響が目の前のことしか見てないだけでしょ?まあ、それも響の良いところなんだろうけどね。前を見るって事は、その先にある手を差しのばさなければならない人を見つけられるって事だしね」

 

「弓美ちゃん」

 

 私は弓美ちゃんの言葉に感動していると。

 

「あ、そう言えば『人助け』と言えばね?」

 

 私はふと今朝の一件を思い出す。

 

「今日木に登って降りられなくなった子猫がいたんだけどね」

 

「今朝先生に怒られてたやつね」

 

「うっ・・・・・・・・それはまあそうなんだけどね」

 

 弓美ちゃんの言葉に私は朝の先生の剣幕を思い出して顔を顰める。

 

「まぁとにくその時にね、実は猫と私を助けてくれた人がいてね」

 

「助けてくれた人?誰?先生?用務員さん?」

 

「ううん、全く知らない人」

 

 弓美ちゃんの問いに私は首を振りながら答える。

 

「子猫が思ったより高いところに登っててね、猫を抱っこしたままだとなかなか降りられなくてほとほと困り果ててた時に枝が折れちゃったんだよ」

 

「折れたって・・・・・落ちたの!?えっ!?ケガとかしなかった!?」

 

「だから助けてくれたの!その場にたまたま通りかかったその人が落ちた私をキャッチしてくれたの!!しかもお姫様抱っこで!!その後に「大丈夫かレディ?」って言ってくれてすごくカッコよかったんだよ!!そしてその猫もちゃんと飼い主の人に返してくれたんだよ」

 

「へぇ~、そんなことがあったんだ。・・・・なんて言うかすっごくギザな人ね」

 

「そうかもね」

 

「それで?どんな人だったの?」

 

「うんとね、歳は聞かなかったけど、たぶんそんなに離れてないと思う。20代前半くらいの人だったよ」

 

「へぇ?思ったより若いんだね。もっとおじさんを想像してたよ」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「私を助けてくれた人男の人じゃないよ?」

 

「えっ?そうなの!?っていうか20代前半の女性が「大丈夫かレディ」って痛すぎでしょ!?」

 

「でもカッコよかたな〜。また会えないかな〜」

 

「アニメじゃないんだからそう簡単に会えないでしょ。名前とか聞いてないの?」

 

「それは聞いたよ」

 

 弓美ちゃんの問いに私は頷く。

 

「えっとね・・・・・奏さん。たしか『ハードボイルド探偵』の天羽 奏って名前だったと思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある村。真夜中ともいえる時間に飛び交う複数のヘリからの光に照らし出された場所に奴らはいた。

 

『ノイズ』

 

 人類共通の脅威とされ、人類を脅かす認定特異災害。13年前の国連総会で特異災害として認定された未知の存在であり、発生そのものは有史以来から確認されていた。歴史上に記された異形の類は大半がノイズ由来のものと言われ、学校の教科書にもその存在が記されているなど、知名度自体はそれなりに高い。空間からにじみ出るように突如発生し、人間のみを大群で襲撃、触れた人間を自分もろとも炭素の塊に転換させ、発生から一定時間が経過すると自ら炭素化して自壊する特性を持つ。また、一定範囲以内に人間がいなければ、周囲を探索したりはせず自壊するまであまり動くことはない。

 

現在のあらゆる兵器ではノイズに対処することができない。そのため、ノイズが発生したことが確認されればすぐさま避難誘導が行われる。この村でも付近一帯の民家には避難指示並びに自衛隊や特異災害対策機動部による避難誘導も行われた。

 

 現在も少しでもノイズの被害を減らそうと対策組織による迎撃が行われているがそれらは一切の成果を上げていない。そんな中最近ではありえない光景を彼らは目撃していた。そしてその光景は2年前から目撃されていた。

 

「おりゃぁ!!」

 

彼らの前には1人の少女がいた。その少女は変わった姿をしていた。まず服はピッチリとした鎧のようなライダースーツを着ておりそのライダースーツは右半分が『緑』、左半分が『黒』という変わったデザインをしていた。

 

顔はとても美人だが髪はライダースーツと同じように右半分が『緑』、左半分が『黒』という変な髪色をしておりそして『黒』の髪の部分にはWの形をした髪飾りがついていた。

 

そんな女の子が目の前にいるノイズの群れを蹂躙していたのだ。どういうトリックを使っているのかは分からないが通常兵器や通常攻撃が通用しないノイズに女の子はパンチや蹴りを当ててどんどんノイズを倒していた。すると。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 どこからともなく済んだ歌声が聞こえる。それと同時にノイズの中でも一番大きな二足歩行して進んでいたものの前にヘリから何かが落ちる。それは光を放ちながら地面へと降りていく。

 

「へっ!ようやくお出ましか」

 

女の子がそう言って襲って来たノイズに後ろ回し蹴りをして倒すと女の子の前にはノイズを片っ端から斬って行く女の子が現れた。そして残りは二足歩行型の大型ノイズだけになった。

 

「さぁてお片づけの時間だ」

 

女の子がそう言ってベルトからUSBメモリのようなものを取り出すとそれを右腰にセットした。

 

『JOKER MAXIMUM DRIVE』

 

すると女の子の周りにサイクロンのような風が吹くと女の子は宙に浮かんだ。そしてもう1人の女の子も後に続くように大きくジャンプすると武器である刀を巨大化させた。

 

「『ジョーカーエクストリーム!!』」

 

女の子がそう言うといきなり体が真っ二つに割れると黒の方からは先ほどの女の子の影が浮かび上がりもう一つの体からは別の女の子の影が浮かび上がった。そして二つの飛び蹴りと別の女の子の斬撃がノイズを襲った。

 

ノイズは大きな爆発を起こした。その中で女の子は元の形に戻ると立ち上がり女の子の方を見た。女の子もまるで親の仇を見るような目で睨み付けると刀を構えた。

 

「今日こそ特異災害対策機動部2課まで同行していただきたいが私の本音を言うと同行しないでほしい。その方がお前を倒す口実が生まれるからだ。ダブル!!!」

 

女の子がそう言うとダブルと呼ばれた女の子はため息をついて構えた。

 

「いいぜ。『あたし』が何度でも相手になってやる。かかって来い風鳴 翼!!」

 

ダブルがそう言った時だった。

 

『間違ってるわよ。そこは『あたし』じゃなくて『あたし達が』でしょ?』

 

と、別の女の子の声が響いた。そしてダブルは「そうだな」って言って笑うと2人の女の子が同時に走り出した。



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M メモリ/A 覚醒

「『自衛隊、特異災害対策機動部による避難誘導は完了しており、被害は最小限に抑えられた』だって」

 

 入学式の翌日、学園の食堂で昼食を取っていた響はリディアンでできた友達の弓美が携帯端末を見ながら言う昨夜起こったニュースを聞いていた。話を聞く最中も響は箸を止めず食べ続けていた。

 

「ここからそう離れていないね」

 

「うん」

 

 口に含んだご飯を咀嚼しながら弓美の言葉に頷く。すると。

 

「ねぇここいいかな?」

 

と、響達に話しかける2人の女の子が現れた。

 

「え?別にいいけど」

 

響は再び箸を動かしておりそれを見た弓美は響の代わりに答えた。2人の女の子が弓美と響の隣に座ると。

 

「いやーごめんね?座る席がほとんどなくて困ってたのよ」

 

そう言って身長の高い女の子が弓美にそう言った。

 

「別にいいわよ。ここは私と響しか使ってないし」

 

弓美がそう言うと響の隣に座っている金髪の女の子が響に話しかけた。

 

「たくさん食べるんですね」

 

「うん。だってお腹空いてるんだもん」

 

響がそう言うと金髪の女の子はクスクスと笑った。

 

「私は寺島 詩織と言います。あなたは?」

 

詩織という女の子が響にそう聞くと響は口に入れたものを飲み込んでから自己紹介した。

 

「私は立花 響15歳!誕生日は9月13日で血液型はO型。趣味は人助けで好きなものはごはん&ごはん。あとは彼氏いない歴は年齢と同じだよ」

 

「なんかえらく独特な自己紹介ね」

 

身長の高い女の子がそう言うと。

 

「でも面白い子でしょ?あ、私は板場 弓美。趣味はアニメ鑑賞よ」

 

「私は、安藤 創世。趣味、特技はバスケで部活もバスケ部に入るつもりよ」

 

4人は自己紹介をしていると。

 

「ねぇ、『風鳴翼』よ!」

 

「芸能人オーラ出まくりで近寄りがたくない?」

 

「孤高の歌姫と言ったところね!」

 

と、ヒソヒソとした声が届く。

 

「っ!」

 

 その会話の中に出た名前に咄嗟にその人物を探そうと立ち上がった響は

 

「っ!?」

 

 自身の隣を歩く人物にぶつかりそうになった。その人物は今まさに噂されていた『風鳴翼』だった。風鳴翼、日本を代表するアーティストであり、ツインボーカルユニット『ツヴァイウィング』の一人でもあった人物。『二年前のとある事件』以降はソロでの活動を行い、絶大な人気を誇っている。

 

超有名トップアーティストであるその人が突如目の前に現れたことで響の思考は真っ白になった。

 

「あ、あぁ・・・・あの・・・・・・」

 

 響は、ずっと出会ったときに言おうとしていた言葉が緊張で出てこずお茶碗と箸を持ったまま立ち上がっておりカチャカチャと音を立てている。

 

しかし翼は、無表情で響を見つめていると人差し指で自分の口元を指差した。

 

「へ?」

 

 その動作に響はつられて自分の口元に手を当てる。すると、その指先に何かの感触を感じる。見るとそれは、先ほど自分がかき込んでいたご飯粒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公園のベンチ。そこでは黒いスーツを着たオレンジ色の髪の女の子がだるそうな顔で座っており黒い帽子をウチワのように仰いでいた。

 

「あーだるい。いつもいつもペット探しばっかりじゃあたしだってモチベーション上がらねーよ。なんかこうもっとハードボイルドに解決するような事件があたしの依頼に来ねーかなぁ?」

 

女の子はそう言って両隣にあるペットケースを見た。そに中には2匹の黒猫が入っていた。女の子は背伸びをして首の骨を鳴らすとペットケースを持ち上げると2匹の黒猫の飼い主である依頼人の家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・翼さんに完璧変な子だって思われた」

 

響はへこむように寮のテーブルにうなだれた。

 

「間違ってないからいいんじゃない?」

 

「そんなぁ~」

 

 そう言って弓美はポテチを食べながらアニメを見ていた。そして弓美は思い出すように響に聞いた。

 

「そういえば今日は翼さんのCD発売だったわよね?大丈夫なの?」

 

「ん〜?・・・・・・・・・・ハッ!!?忘れてた!!!!」

 

 弓美にそう言われて思い出したようにガバッと顔を上げた響は大慌てで立ち上がり準備をすると弓美に「行ってきます」と言って全力で走り最寄りのモノレールに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特典!!フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特典!!」

 

 期待に胸を膨らませひた走る響。その顔には先ほどまで憧れの人物に変人認定されたと落ち込んでいた人物とは思えない幸福感に満ちた顔で走っていた。

 

「フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特てってうわぁ!!」

 

「うおっ!!」

 

 横の道から出て来た人物にぶつかり響は尻もちをついた。

 

「いてて・・・・・すいません」

 

響は謝って行こうとしたが。

 

「待てやゴラァ!!」

 

いかにもチンピラですっていう雰囲気を纏ったおっさんが響の肩を掴んだ。

 

「な、なんですか!?私急いでるんですけど・・・・」

 

「テメェどこに目ぇつけてんだゴラァ!見ろよ肩の骨折れちまったじゃねーか!!慰謝料と治療費払えやゴラァ!!」

 

頭の悪い会話をするおっさんに絡まれた響は急いで風鳴 翼のCDを買いに行きたいのに買いに行かないという状況になり無意識に握り拳を作っていた。すると。

 

「おいおい。なにいい年したおっさんが女子高生脅してんだよ?」

 

と、声が聞こえた。おっさんと響は、声が聞こえた方を見るとそこには黒いスーツと黒い帽子を被ったオレンジ色の髪をした女性がいた。そしてその女性を見た響は1発で気づいた。

 

「昨日の」

 

「テメェ誰だゴラァ!!部外者は黙ってろや!!」

 

おっさんはそう言って威嚇するが。

 

「そうもいかねぇな。あたしがこの街にいる以上悪党を見逃す理由なんてない」

 

女性がそう言うとさらに言う。

 

「まだ夕方なのにそんな風になるまで酒飲みやがって・・・・・程々にしたかねぇと警察に捕まるぞ?」

 

と、言った。

 

「女風情が俺に指図するんじゃねーよ!!」

 

おっさんは酒の勢いと頭に血が上っている状態なのかキレやすく女性の言葉にキレて殴りかかった。しかし女性は頭を少しそらすだけでおっさんのパンチをかわした。

 

「なっ!!テメェよけんな!!」

 

おっさんはそう言って殴りかかるが女性は退屈そうな顔でさらにアクビをするとおっさんはさらに怒り顔が真っ赤になっていた。しかしどれだけ殴りかかっても女性は簡単に避けてしまうので結果的に1発も当たらなかった。それどころか周りにギャラリーが集まりおっさんに「1発ぐらい当ててみろや」とか「女相手に情けないわよ」とかおっさんをバカにするような声があった。そして女性は少し調子にのってるのか被っていた帽子を脱ぎ放り投げると同時におっさんのパンチを避けると放り投げた帽子をキャッチしてカッコよく被りそして

 

「どうした、その程度か?ピエロ」

 

そう言って決めポーズをとった。それを見たギャラリーは女性に声援が送られた。「痛いけどカッコいいぞ」や「素敵抱いて」とかちょっとふざけた声援も混ざっているが全員女性を賞賛していた。それを見たおっさんは舌打ちをすると。

 

「お、覚えてやがれ!!」

 

と、捨てゼリフを吐いて逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?ケガは?」

 

「あ、はい!大丈夫です!」

 

 ギャラリーが解散すると女性は響に近づいて響の安否を確認すると響は大丈夫ですと笑顔で答えた。

 

「助けてくれてありがとうございます、奏さん!!」

 

「いいっていいって・・・・・うん?なんであたしの名前知ってるんだ?レディ」

 

「昨日木から落ちたところを助けてくれました!」

 

響がそう言うと奏という女性は思い出したように手を叩いた。

 

「あ、昨日のレディか。こんな所でなにしてるんだ」

 

奏が響にそう聞くと。

 

「欲しいCDを買おうと思って急いで来たんですけど・・・・・」

 

響がそう言うと時間的にもう間に合わないと思い少し落ち込み始めていた。

 

「CDって、もしかして今日発売の風鳴翼のCDか?」

 

「っ!もしかして奏さんも翼さんのファンなんですか!?」

 

 興奮して聞く響に奏は苦笑いを浮かべながら答えた。

 

「いや、あたしはファンじゃないよ。ただここら辺で仕事をしてて今はその帰りさ」

 

奏がそう言うと奏は止めていた黒と緑のバイクに乗った。

 

「うわー変わったバイク」

 

響がそう言うと。

 

「・・・・・・・・・もう遅いと思うけど行ってみるか?CDショップ。あたしが送ってくぜレディ」

 

奏は、カッコよくそう言うと。

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!後、私は立花 響って言います!!」

 

「響か。じゃーあたしも改めて、あたしは天羽 奏。どんな難事件もハードボイルドに解決する探偵さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新作CD~」

 

 響は、奏のバイクに乗せてもらいCDショップに向かっていた。もしかしたら売り切れてるかもしれないからなのか響は奏の背中に抱きつきながらションボリしていたすると突然奏はバイクを止めた。

 

「うわっ!・・・・・・奏さん?」

 

「奴らだ」

 

 奏がそう言うと響も気づいた。すぐ隣のコンビニに目を向ければ、そこには人の姿はおらず、ひしゃげた商品棚や潰れた商品とともに真っ黒な炭素の山ができている。

 

 コンビニの他にも周辺には人の気配はなく、目の前には人の形を作る炭素の山たち。風に乗って炭素が目の前を舞う。さっきまで命だったものが辺り一面に転がる惨状に絶句した響はぽつりとつぶやく様に

 

「ノイズ!」

 

 その惨状の原因となった存在の名前を口にする。

 

「・・・・・・響。新作CDは諦めろ。まずはここから離れるぞ」

 

 奏がそう言った時だった。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 悲鳴が聞こえた。

 

「まだ人がいたのか!?」

 

奏がそう言うと響がバイクから降りて悲鳴が聞こえた方向に走り出した。

 

「おい、響!!ったくなにやってるんだよ!!」

 

奏もバイクから降りるとすぐに響の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏は親とはぐれた女の子をオブリながら響と一緒に走っていた。

 

「クソどんどんシェルターから離れて行きやがる」

 

奏はそう言ってノイズから逃げていた。すると。

 

「奏さん!!前!!」

 

奏は前を見ると前からもノイズがゆっくりと歩いていた。それを見た奏は響の手を掴むと川に飛び込んだ。

 

「プハッ!!」

 

「響!!こっちだ!!」

 

奏は泳いで向かい側にある工場に向かった。そこからノイズから逃げようとするが目の前に大量のノイズが現れた。

 

「ここにも!!」

 

響がそう言うと。

 

「お姉ちゃん。私たち死んじゃうの?」

 

女の子は不安そうな顔でそう言うとそれを聞いた奏はゆっくりと女の子を降ろすと響の手を握らせた。

 

「大丈夫だ。ハードボイルドな探偵のお姉さんにまかせろ」

 

奏がそう言うと。

 

「響。そしてお嬢ちゃん。2人とも今から見るものは絶対に内緒にしていてくれよ?」

 

奏がそう言うと胸ポケットから何かを取り出した。そしてそれを腰に装着するとベルトの形になった。

 

「行くぜ相棒」

 

奏がそう言ってUSBメモリのようなものを取り出した。

 

『JOKER』

 

そして奏の頭の中である音声が響いた。

 

『CYCLONE』

 

と。

 

そして。

 

「『変身』」

 

奏がそう言った瞬間だった。右側に突然緑のUSBメモリが出現しそれを指し込むと今度は左側に黒のUSBメモリをセットしそしてWのかたちで開いた。

 

『CYCLONE』/『JOKER』

 

すると奏の周りに疾風のような風が吹き荒れると奏は姿を変えた。

 

「か、奏さん?」

 

響の前にはオレンジ色の髪から黒と緑の髪に変わりそして服も半分黒、半分緑の鎧のようなライダースーツに変わったのだ。

 

「『ノイズ共。さぁ、お前達の罪を数えろ』」

 

奏がそう言った時だった。

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

歌が聞こえた。そして奏は後ろを見るとそこには『風鳴 翼』と、よく似たものを纏った響がいた。



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S 特異災害機動部ニ課/D 探偵事務所

いつも戦姫絶唱シンフォギア555とハードボイルド探偵 天羽 奏を読んでくれてありがとうございます。

この度、私ナイトメア・ゼロは就職に成功しましたのでおそらくかなり忙しくなると思われます。

なので投稿ペースもかなり落ちると思います。可能な限り失踪をしないつもりですので読者の方には、ご迷惑をお掛けしますがこれからも戦姫絶唱シンフォギア555とハードボイルド探偵 天羽 奏の応援をお願いします。


とある施設。そこではノイズの出現の反応をキャッチしその位置の特定を急いでいた。

 

「反応、絞り込めました!位置特定!」

 

 複数の人員が端末を操作しておりその中の一人が自身の向かう画面に出た情報を正面の大きなディスプレイに表示した。

 

「っ!ノイズとは異なる高出量エネルギーを検知!」

 

「波形を照合!急いで!」

 

 その声に長い茶髪を頭の上でまとめた白衣の女性が指示し、その結果が表示される自身の端末の画面に息を飲む。

 

「まさかこれって!アウフヴァッヘン波形!?」

 

 女性の言葉とともに正面の巨大なディスプレイに文字が浮かぶ。

 

[Code : GUNGNIR]

 

「『ガングニール』だと!!?」

 

 それを見たその場の人間全員が驚愕した。中でも中心に立つ大柄な男が驚愕の声を上げた。そしてその表示に一番の動揺していたのはこの広い部屋の一番後ろ、出入り口付近に立っていた少女、風鳴翼は驚きと困惑に呆然と画面に浮かぶ文字を睨みつける。

 

「新たな・・・・適合者?」

 

 白衣の女性の隣で端末をいじっている研究員の言葉とともに画面にはどこかの監視カメラから送られているらしい映像へと切り替わる。

 工業地帯の建物が囲まれた場所。そこにはノイズに囲まれる中心でぴったりとしたボディスーツと機械的な籠手とブーツ、頭には一対の尖った角のようなヘッドギアを身に着けた翼とそう年の変わらない少女とそれを呆然と見つめる幼い少女の姿。そして。

 

「ダブル!?彼女もあの場にいるのか!?」

 

「っ!」

 

 驚愕する男性の言葉にさらに表情を険しくした翼は身を翻し出入口へ走った。

 

「待て翼!」

 

 男性が慌てて叫ぶが制止する声も聞かずに翼は部屋を後にする。

 

「くっ!今すぐ人員をそこに向かわせろ!翼だけで行かせるな!」

 

 

 

 

 

「響、お前なんで?」

 

 奏は目の前の光景に驚愕していた。だが1番驚いているのは響本人だった。突然胸の中で歌が思い浮かびその通りに歌ったたらまさか自分も変身しできるとは思ってもいなかったのだ。

 

「お姉ちゃんカッコいい!!」

 

女の子は響にそう言うと。

 

「危ない!」

 

ノイズが奏なら襲いかかった。しかし奏は分かっていたのか右の肘打ちをノイズにくらわせるとノイズを一瞬で倒した。すると。

 

『あれは、風鳴 翼が纏っているものと同じものね。実に興味深いわ』

 

「・・・・・えっ?」

 

 奏から『奏とは別の声』が聞こえた。

 

(どういうこと?今の奏さんの声じゃなかったような・・・?)

 

響がそう思っているとノイズはどんどん飛んできて奏は襲ってきたノイズを片っ端から撃退していた。

 

「響!!お前はその子を守るんだ!!」

 

「えっ!?あ、はい!!」

 

 奏の言葉に響が頷く。奏はパンチや蹴りをしてなんとか防いでいるが数の暴力で襲ってきているノイズに苦戦していた。すると。

 

『こういう時は』

 

奏はベルトを閉じて緑のメモリを取り出した。しかしおかしな事にそれを見た奏は驚いた顔をしていた。

 

『LUNA』

 

そして黄色のメモリを出すとそれをセットして再び開いた。

 

『LUNA』/『JOKER』

 

すると、奏の右半身が緑から黄色に変わった。

 

「ウェッ!?色が変わった!?」

 

そして更に奏は右腕をまるでゴム人間のように伸ばしそしてその右腕をムチのようにしならせるとノイズをどんどん倒していった。

 

「マリア!!お前勝手にメモリ変えるなよ!!」

 

 と、奏が大声でそう言った時だった。響の背後からノイズが襲いかかった。

 

「しまった!!逃げろ響!!」

 

「っ!」

 

 奏は間に合わない。そう思った瞬間だった。

 

「ハイッ!!」

 

響はなんとノイズに合わせるようにチョップをしてノイズを倒したのだ。

 

「『えっ?』」

 

奏はこれを見て目を見開いた。そして響の視線の先には女の子に襲い掛かろうとするノイズが見えその中の一匹、青いカエルのようなノイズが女の子に飛び掛かる。

 

「させない!!」

 

 響は一気に走り抜くとかかとを大きくあげてそしてそのノイズにかかと落としくらわせた。そして更に人型のノイズが来るが響は1体に下段蹴りをしもう1体には正拳突きをした。

 

「ハイッ!!ハッ!!」

 

響は女の子の前で右手を脇腹に持っていき左手を前に出した構えをとった。

 

「あいつ戦えたのかよ!?」

 

 奏はそう言ってノイズにアッパーをくらわせた。すると。奏の耳にエンジン音が聞こえる。

 

「っ!?」

 

 奏同様に響の耳にも届いていたらしく2人揃って音の方向に視線を向けると、そこには緑色のバイクに乗った人物が向かってきていた。

 

 そのバイクに乗った人物は響へと向かい、そのままその脇を走り抜け、響の背後にいた巨大な緑色のノイズへと向かって行く。

 

 寸前にバイクに跨っていた人物は上空へと飛び上がり、バイクのみがノイズにぶつかり爆発を起こし上空を華麗に舞いながら

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 透き通った声で歌うように呟いた人物は響の目の前に降り立ち

 

「呆けない!死ぬわよ!」

 

「え・・・・?」

 

「あなたはここでその子を守ってなさい!」

 

 そう言って走り出す。

 

「翼さん!?」

 

 響は驚愕すると翼は響と同じ鎧を纏うと翼は刀を巨大化させ青い斬撃『蒼ノ一閃』によって翼の正面にいたノイズたちが炭へと変わり爆発する。さらにそのまま上へ飛びあがった翼は右手に刀の形に戻った剣を握ったまま両手を大きく広げる。と、翼の周りにいくつもの青い光が湧き出しそれがすべて同じ形の両刃の剣の形となり、雨のようにノイズたちに降り注いだ。

 

翼の技の一つである『千ノ落涙』はノイズたちをさらに大量の炭へと変えていく。そのままノイズへと突っ込んだ翼は刀を振るい、ノイズを斬って行った。

 

「すごい・・・・!やっぱり翼さんは・・・・!」

 

 その光景に響は感嘆の声を漏らす。

 

そして奏の方は黒いメモリを右腰にセットした。

 

『JOKER MAXIMUM DRIVE』

 

 響は奏の方を見るとそこには右半身が増えた奏がいた。

 

「分裂してる!?っていうか増えた!?」

 

響は目玉が出るくらい驚いていた。すると奏の右半身が予測不能な攻撃で周りにいた全てのノイズを一箇所に集めた。

 

「行くぜ『ジョーカーストレンジ』」

 

そして奏の左半身が腕を伸ばし光を纏うとそのままノイズ共にラリアットをした。ノイズ共は爆発し全て炭となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、現場には自衛隊の制服や黒いスーツに身を包んだ人たちが入り乱れ、事後処理を行っていた。少し離れたところで紙コップに入った湯気の立つ飲み物を飲む少女の姿にホッと安心したように笑みを浮かべた。

 

「あの」

 

「へ?」

 

 自分に呼びかける人物に響は視線を向けるとそこには自衛隊とも、他の黒スーツとも、警察とも違う紺の制服に身を包んだ短髪の女性がにこやかに紙コップを差し出していた。

 

「あったかいもの、どうぞ」

 

「あっ・・・あったかいもの、どうも」

 

 湯気の上がるその紙コップを受け取ると響は息を吹きかけそして飲み始めた。

 

「プハァ~!」

 

 美味しかったのか響は頬を緩ませると突然響の体を光が包みこんだ。

 

「へぇ?」

 

 響は何が起こったのか分からずただ驚愕しており光が収まると身に纏っていた鎧が消え、響の姿が元の制服姿に戻った。

 

「うわっ!?わわわっ!?」

 

 突然のことに紙コップを落としバランスを崩した響はそのままよろけて倒れそうになる。だがそんな響を背後から歩み寄った人物が受け止める。

 

「わわっ!あぁ!ありがとうございます!!」

 

 慌てて身を起こし自分を受け止めてくれた人物へお礼を言いながら頭を下げる。そして自分を助けた人物を見ようと顔を上げるとそこには翼が立っていた。響同様先ほどの鎧姿ではなくリディアンの制服になっている。

 

「ありがとうございます!!」

 

 響はもう一度翼にお礼を言うが翼はそれを無視して1人の黒服の男性に話しかけた。

 

「緒川さん。ダブルはどこに逃げましたか?」

 

「申し訳ありません翼さん。ノイズを倒した後のドサクサに紛れて逃げられてしまいました」

 

男は翼にそう言うと翼は悔しそうな顔をした。

 

「そうですか」

 

翼がそう言った時だった。

 

「あの!」

 

響が翼に話しかけた。

 

「実は!翼さんに助けられたのは、これで二回目なんです!!」

 

 響がそう言うが翼は無視した。

 

「ママ!!」

 

「?」

 

 近くから先ほどの女の子の声が聞こえた。響はそちらの方に向くとそこには先ほどの少女が母親らしき女性と抱き合っているところだった。

 

「よかった!無事だったのね!」

 

 女性は娘が無事で安心したのか目に涙を浮かばせながら強く抱きしめていた。すると、横からタブレットを持った女性が話しかけた。

 

「それでは、この同意書に目を通した後、サインをしていただけますでしょうか?」

 

 女性は、タブレットを差し出しながら説明を始めた。

 

「本件は国家特別機密事項に該当するため、情報漏洩防止の観点から、あなたの言動および言論の発信には今後一部の制限が加えられることになります。特に外国政府への通謀が・・・・」

 

 女性の言葉にポカーンと母親と少女が口を開けているさまに苦笑いを浮かべた響は

 

「じゃあ・・・・私もそろそろ・・・・」

 

 と、翼に視線を向ける。しかし、そこには翼の他に黒スーツにサングラスをかけた男たちがずらりと並んでいた。

 

「あなたをこのまま返すわけにはいきません」

 

「な、なんでですか!?」

 

 翼の言葉に響は素っ頓狂な声を上げる。が、翼はその疑問には答えず

 

「特異災害対策機動部2課まで同行していただきます」

 

 事務的に冷たく告げる。直後に響の隣に歩み寄った男性が響の腕に大きな手錠をかける。ガコンと言う音と共に手錠がロックされる。

 

「へ?あ、あの」

 

「すみませんね。あなたの身柄を拘束させていただきます」

 

 そう言って男性は申し訳なさそうに微笑みかける。

 

「だから!なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 疑問の声を上げる響だが、誰一人それに答える者はいないまま車に押し込められどこかへと連れて行かれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野原探偵事務所。そこに奏はヘルメットを持って入ってきた。

 

「お帰りなさい奏」

 

事務所に入るとそこには奏の相棒の『マリア』がテーブルの上に夕食を置いていた。

 

「おう。ただいまマリア」

 

奏はそう言って帽子を壁にかけると今日の夕飯のメニューを見た。

 

「今日は肉じゃがにしてみたのよ」

 

マリアはそう言って奏の茶碗にご飯をよそい奏はそれを受け取ると。

 

「今日も美味そうだな!」

 

奏はそう言って「いただきます」と言って肉じゃがを食べた。

 

「うめぇ!!今日もうめぇぞマリア!」

 

奏は喜んで食べていると。

 

「それはよかったわ。検索していたら偶然肉じゃがのレシピを見つけて食べたくなったのよ」

 

マリアはそう言ってジャガイモを口に入れた。

 

「それにしてもマリア。お前なんだよその格好」

 

マリアは箸でマリアの格好を指した。

 

「ちょっと箸で指さないでよ。行儀が悪いわよ」

 

マリアは奏にそう言った。

 

「いや、なんだよそのマニアックな格好。そこら辺の男が見たら誘ってんのかって言われるぜ?」

 

そう。マリアの格好は、白いワイシャツの下にパンツしか履いていなかった。胸もおそらくノーブラ。それを見た奏は、肉じゃがを頬張りながらそう言うと。

 

「そんなつもりはないわよ。検索したらこの格好は最近かなり流行っているパジャマなのよ」

 

マリアは胸を張ってそう言うと。

 

「多分それ一部の人間しか流行ってねぇぞ?」

 

と、奏がツッコんだ。

 

「・・・・・・それにしても『立花 響』。なかなか面白い娘ね、ゾクゾクするわ」

 

マリアがそう言って笑うとそれを見た奏はため息をついた。



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J宝石泥棒/Q認められない喧嘩

あたしは天羽 奏、ハードボイルドな探偵さ。探偵という生き物は基本的に朝に弱い。それはなんでかだって?探偵は常に不眠症だからさ。探偵の脳は常に休息よりも謎を欲しがってしまう。そのおかげであたしは常に不眠症なのさ。眠れない夜を過ごしたあたしはキッチンで軽めの食事を始める。ブラックコーヒーとトマトそして新聞。これが探偵の朝食セット。脳に栄養を送ることでどんな難事件もハードボイルドの解決するためにはトマトが1番。そして新聞を読むことで常に事件の情報は把握している。そして最後にブラックコーヒーで探偵の朝食は終わる。

 

「何やってんのよ奏!!」

 

スパーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくウチがお金ないのは分かってるわよね?あなたコーヒーなんて飲めないのに変な無駄遣いしないでよ」

 

 奏の相棒のマリアはそう言って両手を腰に当てて叱っていた。右手には「無駄遣いするな!!」と書かれたスリッパがありそれでどうやら奏の頭を叩いたようだ。奏は頭を押さえながら

 

「う、うるせぇよ!!ただでさえ探偵らしい仕事がない上にこの探偵朝食セットをなくしてしまったらあたしがやってるのはもう探偵じゃなくてただの何でも屋だろ!!」

 

「漫画やアニメに影響されすぎよ!!いい?これが普通の探偵なの!そうそう事件の解決依頼なんて来ないに決まってるでしょ!そういうのは警察の仕事よ!」

 

 マリアはそう言って奏に写真を渡した。

 

「なんだよこれ?」

 

「新しい依頼よ。今度は迷子になったチワワの捜索よ」

 

「またペット探しかよ!!お前本当にいい加減にしろよ!?少しはマシな依頼持ってこいよ!!」

 

「派手な依頼より目の前のお金よ!!いいからとっとと仕事してきなさい!!」

 

 マリアはそう言って奏に帽子を渡してマリアは自分の部屋に戻ると。

 

「チッ。あの淫乱ババァが」

 

 奏がそう言った瞬間だった。

 

カッ!!

 

 かなの眼の前に包丁が通り過ぎ壁に刺さったのだ。奏はそっちを見るとハイライトを失った目で奏を睨みつけるマリアがいた。

 

「何か言った?」

 

「ヴェ、マリモ!!」

 

 奏はあまりの恐怖にオンドゥル語を出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奏はいつものように依頼のペットを探していた。そして今日は運がいいのか偶然にも迷子になっているチワワをすぐに発見した。奏はすぐにチワワを捕まえてチワワを飼い主に渡すと報酬を受け取りそのままバイクに乗って事務所に帰ろうとした。

 

「それにしても久々だな。仕事が午前中で終わるなんて」

 

 奏はそう言ってバイクを走らせていると。

 

「!!危なッ!!」

 

 奏の前を突然何かが通った。奏はそれを確認するとそこにはゴキブリが二足歩行をしたような化け物がいた。

 

「コックローチ!!」

 

 奏がそう言うとそのコックローチの右手を見た。その右手には大量の宝石が入ったバックがあった。

 

「宝石強盗か!!」

 

 奏はそう言ってダブルドライバーを装着した。

 

「マリア!!ドーパントだ!!」

 

『あらコックローチドーパントじゃない。さすがゴキブリの記憶を持ったメモリ。一番量産しやすいようね』

 

「解説してる場合か!!逃げられるだろ!!」

 

 奏はそう言ってバイクを反転させると同時にコックローチは素早く逃げ始めた。奏はバイクを走らせながらジョーカーメモリーを取り出した。

 

『JOKER』

 

「マリア!!ルナ頼む!!」

 

『オーケーよ奏!』

 

『LUNA』

 

「『変身!!』」

 

『LUNA』/『JOKER』

 

 奏の右半分は黄色になり髪も金髪になると左半分は黒色と黒髪に変化した。そしていつものWの髪飾りがつくとそのままコックローチに向けて見方を伸ばした。

 

『びぎっ!!』

 

 コックローチドーパントは足を掴まれたせいで派手に転ぶとすぐに立ち上がるごダブルはそのままバイクでコックローチドーパントをひいた。

 

『きぎゃっ!!』

 

 コックローチドーパントは地面を転がるとダブルはバイクから降りてコックローチドーパントに向かって走りながらメモリチェンジをした。

 

『CYCLONE』/『JOKER』

 

 ダブルは右半分が緑に変わるとそのままコックローチドーパントに掴みかかりまずは背負い投げをした。

 

「ドラッ!!」

 

 ダブルはコックローチドーパントを地面に投げて叩きつけると無理矢理たたせて腹を殴り顔面を殴りまた原を殴るという上下のコンビネーションをくらわせた。コックローチドーパントはダメージに耐えられなかったのか持っていた宝石はそこら中に散らばった。しかしダブルは気にせずコックローチドーパントにローキックをしたり背中をつかんで膝蹴りをした。

 

「弱いなこいつ」

 

 ダブルはそう言ってコックローチドーパントの顔面を殴ると地面に倒れた。

 

『たぶん今日使ったばっかりなんだと思うわ。力の使い方が分かってないなら今がチャンスよ』

 

 ダブルはそういうとジョーカーメモリーを取り出して右腰にセットした。

 

『JOKER MAXIMUM DRIVE』

 

「『ジョーカーエクストリーム!!』」

 

 ダブルは2つに分かれ奏の姿とマリアの姿に分かれるとそのまま連続でライダーキックをくらわせた。

 

『ぎゃああああ!!!』

 

 コックローチドーパントから強制的に変身解除をされメモリブレイクされると変身者は大学生ぐらいの男だった。ダブルは変身を解除して気を失っている男を拘束すると。5台のパトカーが来た。

 

「やっと警察が来たか」

 

 奏はそう言ってパトカーから降りる刑事をみた。

 

「あ、刃野旦那」

 

「おっ、奏ちゃんじゃん。もしかして捕まえてくれたのか?」

 

 パトカーから降りてきたのはツボ押し期を持った30代後半くらいの男だった。彼の名は刃野 幹夫。奏の師であり義父でもある野原 信之介が生きていた時に何回か顔を合わせている刑事で人柄がかなり良く奏の遊び相手にもなってくれたため奏にとって2番目に信頼できる男だった。

 

 警察はコックローチドーパントの変身者と破壊されたガイアメモリーを証拠品とした回収すると部下達は先に引き上げて行った。

 

「それにしてもお前も野原さんもガイアメモリー事件にめちゃくちゃ巻き込まれるな」

 

「まぁ、一応因縁はあるからな」

 

 奏はそう言って頭をかきながら答えた。すると刃野刑事が奏と肩を組む。

 

「それより奏ちゃん。面白い情報を教えてやろうか?」

 

 と言った。

 

「面白い情報?」

 

「あぁ。そいつはもしかしたらガイアメモリーの販売なんかも知らないんだよ」

 

「マジか刃野旦那?」

 

 奏はそう言って刃野刑事を見た。

 

「まだ確証はないから分からねぇがもしかしたらだ詳しくはここに入ってある」

 

 刃野刑事はそう言って封筒を渡した。

 

「じゃぁいつものように頼むぜ」

 

 刃野刑事はそう言うとパトカーに乗りそのまま帰って行った。

 

「まったくあの人は」

 

 奏は少し呆れているとそのままバイクに乗りその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ。すっかり帰りが遅くなったな」

 

 奏はそう言って帰路を走っていた。奏は休憩がてら公園のベンチで横になっていたがいつの間にか寝てしまい夜になっていた。奏は急いで帰っている時警報音が鳴り響いた。

 

「ノイズか」

 

 奏はそう言ってケータイを取るとノイズの発生している場所を調べすぐにその現場に向かった。奏はバイクを走らせながらドライバーをつけると。

 

『ちょっと奏!あなたどこで何していたのよ!!』

 

「悪い寝ちまってたよ。それよりノイズが現れた!」

 

『!!オーケー分かったわ』

 

 奏はジョーカーメモリーを取り出した。

 

『JOKER』

 

『CYCLONE』

 

「『変身』」

 

 奏は再びダブルに変身すると現場に着いた。現場では風鳴 翼と何故か立花 響がいた。

 

「あれは響!?なんであいつがあんなところに!?」

 

 ダブルはそう驚いていると。

 

『ノイズは片付かれているけどなんだかおかしな雰囲気ね』

 

 マリアはそう言って周りを分析していたすると。

 

「!!マリア!!」

 

『!!ええ、分かっているわ!!』

 

 ダブルはすぐにバイクを走らせた。理由は翼が響に刀を向けていたからだ。

 

「やめろ!!」

 

「ふえっ?」

 

「むっ!?」

 

 翼はバックステップで後ろに下がり奏は響の前に割り込むとバイクから降りた。

 

「ダブル!!」

 

「あ、奏さん!!」

 

 響は思わずダブルの名前を言ってしまった。

 

「おい!響!!」

 

「・・・・・・・・あっ」

 

 響は慌てて口を塞いだ。だが翼は聞こえてなかったのかダブルを睨みつけていた。

 

「何しに現れたダブル!」

 

「それはこっちのセリフだなんで響に刀を向けてんだ!」

 

「私はその子を認められないからだ。中途半端な覚悟で戦場に出てきても邪魔になるだけだ」

 

「だったら口で言えよ!!なんで刀を向ける必要があるんだよ!!」

 

「簡単だ。私は立花もそしてダブルお前も殺してやりたいくらいに憎んでいるからだ」

 

「えっ?」

 

 突然のことに奏も響も目を丸くした。

 

「どう言うことだよ?あたしならまだ分かる。だけどなんで響まで!?」

 

「立花が纏っているのはガングニールと呼ばれる聖遺物。そしてその聖遺物は私の大切な人。燕姉さんの物だ。事故とはいえ私から見たら彼女は燕姉さんから奪ったようなもの。そして燕姉さんを守れなかったお前も許せない!!」

 

 翼はそう言うとダブルと響に刃を向けた。




 どこか西洋の城を思わせる建築物の中、広い食事場を思わせる場所で金髪の女性が椅子に座っていた。ただ、その身には何も纏ってはいない。美しく伸びた金髪、張りのある胸、くびれた腰、無駄な肉のない足。それを惜しげもなく披露する女性には、美しさだけではなくどこか怪しげな空気すら感じられる。
妖艶、その言葉がまさに適していた。その側には、紅い服を着た少女が不機嫌そうに佇む。
 
「おい、フィーネ。本当にアイツを仲間にする気かよ」
 
 少女からフィーネと呼ばれた美女は、少しだけ口角を上げ微笑む。
 
「ええ、クリス。あの男は随分と頑張ってガイアメモリを売ってくれたみたいでしょう?功績には報いるべきではないかしら」
 
 それを聞いた少女、クリスは舌打ちをするが功績という部分については否定しない。彼女もフィーネの言うことにある程度は納得しているのだろう。
 
「いっそ、あなたの婿にでもしてみる?きっと尽くしてくれるわよ。それこそ体が灰になるくらいに、ね」
 
「はぁっ!?じょ、冗談じゃねえぞ!なんであたしがアイツと!」
 
 本気なのか冗談なのか判断に困る声音にクリスは赤面しながら大声で反論した。そんな2人に、扉の開く音が聞こえてくる。
 
「ははは、相変わらず仲がいい」
 
 笑いながら入ってきたのは、黒髪の男。その姿は黒いスーツに白いスカーフ。そして、そのスカーフには一点だけ血が滲んだような模様がある。男は悠然とフィーネの前まで歩いて行くとその場に止まった。
 
「あなたにコレが使いこなせるかしら?」
 
 そんな男に対し、フィーネはガイアメモリとWとは違うベルトを差し出す。
メモリの方はどこか強い力を発しており、通常のそれよりも、大きな力を有していることが分かる。ただのガイアメモリでも常人であればその毒素で容易く命を奪う。それよりも更に大きな力であれば、その代償は計り知れない。
だが、男は怯むことなくむしろ微笑んですらみせた。
 
「自慢の婿の誕生ですよ。お義母さん」
 
 それを聞いたクリスは、金魚のように口をパクパクと開けては閉じる。一方のフィーネは耐えきれないというように吹き出してしまった。男はそれを満足そうに眺め服を脱ぐ。露わになる引き締まった体。鍛え抜かれた胸筋、六分割された腹筋、そしてなにより美しく引き締まった美尻。完璧な肉体美がそこにはあった。その腰に、フィーネから渡された物ガイアドライバーをつけメモリのスイッチを押す。
 
『ナスカ』
 
 クリスの「脱ぐ意味ねーだろ、変態」という言葉を聞きながら、男は腰のドライバーに装填した。そしてその姿を青いドーパントへと変える。
 
「ようこそ、須藤霧彦。いえ、雪音霧彦とでも呼びましょうか?」
 
「おいやめろ!フィーネ!」
 
「ははは!お好きなように呼んでください。お義母さん」
 
「お前も笑ってんじゃねぇ!否定しろ!そして、フィーネの事を母とか言うな!」


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