【デスノート】東方閻魔帳~Kira Star Necro Notebooks.【幻想入り】 (主エホバ神)
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NOTE/00 自殺願望
name;00 願望


新作読み切りに触発されて、そういえばと思って書いてみました。

原作そのままでは改変コピペと変わらないので、やや独自風にしつつ、
幻想郷でもしも、あのノートが使用された異変が起きたらばという形で、
物語を展開していきたいと思います。


私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで今日も人里をブラブラと歩いていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

上空から一冊の黒いノートが…。

 

 

הערת מוות

 

そのノートには漢字でも英語でもない、少なくともこの幻想郷では見慣れない文字でそう記されていた。

 

「ヘブライ語? 珍しいですね。題名は…」

 

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東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

name;00 願望

 

 

 

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

 

ノートを拾い上げページを捲る。

タイトル同じヘブライ語が使われているという事はわかるが、

私にとって、この種の言語は無論専門外である。

しかし、この幻想郷でただ一人、確実に手っ取り早くその言語を読めるであろう人物の元を訪ねてみた。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。うわっ、閻魔大王様…」

 

おきまりの反応。死後の裁判を受け持つ職業柄、余所余所しい反応されるのは慣れている。稗田家出版の妖怪図鑑本曰く、

他の生き物と干渉することが無い特殊な波長を持っており、何者にも染まらず惑わされない別次元の存在である故にこの様な裁断が行える。

 

と、書かれているが決して、そんな事はないと思う。皆、四季映姫ではなく、閻魔・ヤマザナドゥという偶像しか見えていないのだ。

 

鈴奈庵。ここは古来東西の人妖達が書き記してきた書物類を扱う店。

この者がその主だろうか?

とりあえず、例の物を差し出してみる。

 

「とある友人からの借り物なのですが、生憎、私にはこの言語は専門外でして。鑑定お願いできますか?」

 

「鑑定? 成る程、私の判読眼なら…。待っててくださいね」

 

 

少女はくいっと眼鏡を上げ、ノートを見つめる。

 

 

「デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。」

 

 

趣向を凝らした高性能な藁人形という訳ですか。

考えましたね。

 

 

「該当者が無に至るまでの因果律書くと、

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる」

 

売買禁止とは、意外と厳しいですね。

 

 

 

 

「いくら名前を書いてもページが減る事はない。

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

所有者以外には基本ルール以外は所有者に教えて貰わない限り、目に映らない」

 

 

「ほうほうほう。ホラー要素に加え、ミステリー要素もあるとは面白い」

その時この私、四季映姫の心中に柄にもない子供じみた悪戯心が芽生えてしまった。ほぼ無意識に、否、計算的にこう呟いてしまった。

 

 

「では試しに、そのノートに博麗霊夢、自殺。と、書いてみてください」

 

「霊夢さんを自殺に!? そ、それはまずいですって!」

 

 

「冗談とも検証とも受け取ってもらっても構いません。

第一あの紅白巫女が呪術か、その類で簡単におっ死ぬと思いますか?」

 

普段の説教とは違って饒舌に口が滑り出す。

 

「で、でも霊夢さんに何かあったら、幻想郷中で大騒ぎに…」

 

ああ、あの娘は本当に私と違って、身の心配して貰えるし、人気者なんですね。

 

「もしもの時があったとしても彼女を慕う者は多い。

いざという時は永遠亭か、マヨヒガ亭、紅魔館のいずれかの有識者が何とかしてくれるでしょう。私だって、これでも閻魔大王。能力者です。それに異変は幻想郷の風物詩でしょう」

 

「やっていい事と悪い事があると思いますが」

おや? 風の噂でボヤ騒ぎを起こしたとか何とか聞いてはいたのですが、意外と良い子ちゃんですね。なら…。

 

 

「こう言っては何ですか、あの娘、それこそ流れ弾で人妖問わず、何人か怪我をさせたり、

致命傷を負わせても、当たった奴が悪いとばかりに開き直ってますよ?

その癖、幻想郷のバランサーだからって、スペルカードルールという物を広めては自分はそれを守らない。ルール作成者にしかわからない、裏技とか抜け穴とかを駆使して、負けそうになったら躊躇なく相手を打ち負かす。少し横暴だとは思いませんか?」

 

流石にこれは私情が混じりの妬みにしか聞こえないか?

 

「………あの霊夢さんじゃなくて、私の友人の名前でもいいですか?」

友人の名前ですか。まあ、良くも悪くも妥当な選択ですね。

 

「では書いてみてください」

 

私が彼女にそう命じる様に告げる。いや閻魔オーラで威圧する様に口ずさむと、彼女は内心怖気づきつつも好奇心を宿した目で万年筆を取り、最初の1ページ目に、こう記し始めた。

 

 

 

稗田 阿求 自殺

 

 

 

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HOW TO USE IT

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

基本ルール

デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

 

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

 

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

 

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。

 

 

該当者が無に至るまでの因果律書くと、

 

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

 

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる。

 

 

いくら名前を書いてもページが減る事はない。

 

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

 

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

 

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

 

所有者以外には基本ルール以外は、所有者に教えても貰わない限り、見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プロローグはまあ、こんなものでしょうか?
次回、稗田阿求死す。


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name;01 自殺

登場人物の行動


四季映姫
是非曲直庁所属の幻想郷担当の閻魔大王。
デスノートを人里離れた所で取得。
ヘブライ語で書かれたノートのルール解読を本居小鈴に依頼。

本居小鈴
貸本屋、鈴菜庵の一人娘。
ヘブライ語で書かれたデスノートの基本ルール解読。
映姫に半ばけしかけられる形で、稗田阿求の名前をノートに記入する。


稗田阿求
小鈴が書き込んだデスノートの効力により、必ず自殺する運命にある。
人間の里にある名家「稗田家」の当主であり、九代目「御阿礼の子」。幻想郷の妖怪についてまとめた書物「幻想郷縁起」を編纂するため、千年以上前から転生を繰り返している。
しかし、度重なる転生の影響と、一度見た物を忘れない程度の能力の弊害の為か、以前の転生で忘れたはずだった記憶がフラッシュバックするという症状に悩まされており、永遠亭で処方される薬剤をストック買いする形で、大量購入しては過剰服用しており、身近な従者達には死期が迫る事によるプレッシャーにいよいよ耐えられず、自殺を図ろうとしているのではないかと疑われている。



博麗霊夢
楽園の素敵な巫女。
映姫に妬まれており、第一の犠牲者として、名指しで指名される。
阿求自殺の知らせを聞き、
その死が第三者による意図的に仕組まれたものだと看破する。
従来のやり方とは違うやり方で、異変解決を図ろうとする。

八雲紫
霊夢の相棒兼保護者。
阿求の御魂が死後行くであろう、無縁塚に赴く。
幻想郷管理者特権で映姫に阿求の輪廻転生データの提出を求めるが、
協力的でない映姫の態度に、やや疑念を抱く。

河城にとり
阿求が凍結破損した水道管交換を依頼した相手。
新しい水道管を当日交換できるにも関わらず、それを行わなかった事と、料金交渉で阿求と揉めた事から、稗田亭全焼の黒幕だと言いがかりを付けられる。
力や立場が弱い事もあって、スケープゴートの様な扱いを受ける。






 私、稗田阿求は早ければ約五年後に死ぬ。

そして次の転生までの100年あまりは地獄の閻魔の下で働く。

 

転生を繰り返す為、死を恐れない。

つもりだったが……。

 

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東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

 

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「うわあああっ!! 死にたくない。逝きたくないッ」

 

 ここの所、度重なる輪廻転生の弊害か、忘れた過去の転生記憶がアトランダムにフラッシュバックしていく。

永遠亭で処方された薬剤も効き目がない。

幻想郷縁起の執筆や転生の準備どころではない。

漠然と死の恐怖と生への謳歌と、苦しみからの自殺願望が綯い交ぜなっている。いっその事、正気を失ってしまいたいが、生来の超人的知性によって、中途半端なまま正気を保った状態が、ここ二三日続いている。

 

 

「稗田様、落ち着いて下さい」

 

そう、優しく諭してくれる従者の声すら、混乱した思考と感情により、

掻き消えてゆく…。

 

 

「放っとけやぁぁ!!」

顎に従者の手が触れたのが、その時は堪らなく我慢ならなかった。

だから思わず、事もあろうか、書きかけの幻想郷縁記を明るく照らしている燭台が灯る執筆台の方へ突き飛ばしてしまったのだ…!

 

 

「熱っ!!」

 

 例年以上の厳冬が予想される11月。私の健康状態の考慮した上で、

早めの寒さ対策も兼ねて、暖房器具として、スキマ妖怪からの親身のクリスマスプレゼントとして頂いたオイルストーブも何台か、屋敷中に配備してある。

ここ稗田亭には、服装も含めて、例年以上に可燃物に溢れていたのだ…!

 

 

「うわぁぁぁ、火が! 誰か水を!」

嗚呼、なんて事なの。昨日、凍結破損した水道管の取替作業を、

自称幻想郷のエンジニアさんに依頼してたっけ…。

新しい水道管は二日後に届くとか何とか。

 

 

火だるまとなった従者が屋敷中を転げ回るのを誰も止められない止まらない。畳、タンス、布団、座布団、障子に木製の支柱。

屋敷内に均等に配備されているオイルストーブにも火の手が…。

 

そう思った私は、苦しむ従者に目を背け、風呂敷を広げ、

夢我夢中で今まで書き溜めてきた幻想郷縁記シリーズを掻き集めていた。

 

 

 

「お、おもぉう!?」

何十冊、いや何百冊か?

火事場の力とはよく言ったもので、自分の体積以上のものを、

こんなにも背負いながら走れるなんて。正に人体の神秘。

 

 

「あがッ!?」

感覚で解る。腰の骨が折れてしまった。

そりゃそうだ。こんな貧相な体で耐えられるはずもない。

 

ならば、最新の縁記だけでもっ…!!

這いずってでもっ…!!

 

 

「あっ…」

 

手を伸ばした先の縁記に火の粉がぁ。

 

 

「燃やされてたまるかぁ…!」

 

「稗田様!お立ちください。もうこの邸宅は焼け落ちを免れません!

諦めしょう!」

 

そう従者が体を持ち上げようするが、折れた部分の腰の骨が痛みが全身を駆け巡り、立つ事が叶わないッ。

 

 

「腰がダメ…立てない……。今までありがとう」

 

「稗田様…!」

 

従者の背中が遠のいていく。

行かないでぇぇ…!

 

 

 

「う、うわああああ!! 小鈴!! 霊夢!! 魔理沙!! 助けてよぉっぉぉぉオ!!」

 

 

稗田 阿求 享年25歳

燃え盛る稗田亭にて没する。

 

 

 

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 阿求が焼死した。

母親にそう告げられた時、驚きよりも、脳裏に閻魔とのやり取りが過ぎった。

 

「自殺したの!?」

 

「馬鹿な事を。何でも燭台が倒れて、火の手が回ったって」

 

 

まさかとは思うけど、あのノートの呪いで…。

い、いや稗田 阿求 自殺と書いたまでで、放火しろなんてどこにも書いてないはず。

 

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「稗田亭が全焼? 小町、冗談でもそれ面白くないわよ」

 

「いやマジなんですって。オイルストーブに連鎖引火する形で、

もうあっという間に火の手が。おまけにその前日に水道管交換を依頼してて消火すら叶わなかったらしいですよ。死神って居るんですね」

 

「まさか、小町…。あなたが?」

 

「バカ言わないでくださいよ。舌抜きますよ? 死んだら四季様の元へ使える御魂にそんな事するなんて自殺行為じゃありませんか。

しかし、まさか寿命を迎える前に死ぬとは……イレギュラーな事もあるもんですね」

 

 

この乳ましい者は、職業柄なのか素なのか、命を軽々しく語る。

机の引き出しから、閻魔帳に偽装した例のノートを取り出す。

 

 

 

 

デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

 

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

 

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

 

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。

 

 

該当者が無に至るまでの因果律書くと、

 

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

 

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる。

 

 

いくら名前を書いてもページが減る事はない。

 

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

 

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

 

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

 

所有者以外には基本ルール以外は、所有者に教えても貰わない限り、見えない。

 

 

 

自殺と言えば、一般的には絞殺をイメージしていましたが、

なるほど、そういう道理だった自殺もありなのですね。

 

 

「間違いないわ。これは恐らく本物」

 

「四季様、そう言えば閻魔帳って、亡者の生前の名前や行動を記しておくという帳面ですよね。それって自動式で書き込まれてたりするんですか?」

 

「ありません」

 

「はい?」

 

 

「死んだはずの稗田阿求の名が乗っていません…!」

 

 本物の閻魔帳を取り出す。

 

元々は死後裁判を行ってから、死者の名前を書き込むのであるが、最近の是非曲直庁では作業効率化とセキュリティ対策も兼ねて、死者の名前が随時浮かび上がってくる様に、アップデートされている。従来の閻魔帳では生じていた典型的な書き間違えや書き漏らしもない、精度99%の最新式閻魔帳。

 

その最新式の閻魔帳にあるはずの名がないのだ。

こうして開いている間にも、死者の名前は次々と浮かび上がってくるものなので誤作動という事はない。

 

この場合、考えられる事は…。

 

一つ、稗田阿求は生存している。

二つ、稗田阿求の御魂そのものが消滅しているので、カウントされていない。

 

 

「小町、現場に行くわよ。死体があるかどうか」

 

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幻想郷の管理者である、この私、八雲紫は今非常に後悔している。

良かれと思ってした事が、結果的に稗田阿求の死の一因となった事は言うまでもない。

幻想郷の生きとし生きる者は、血の繋がりがなくても皆我が子である。

 

彼女は寒がりと聞いていたから、スキマロースからのクリスマスプレゼントとして、

中古で仕入れたアメリカ製オイルストーブで屋敷中を温めてやりたいなと奮発したのだが、

結果的には稗田亭そのものを焼き討ちにする爆弾を送りつけてしまったのだ。

 

 

さらに運が悪い事に、例年稀に見る厳冬によって凍結破損した水道管の取替作業を水道業者に依頼しており、取替作業が行われるのは明日だったのだ。

だから消火活動をするまでもなく、畳、タンス、布団、座布団、障子に木製の支柱。

恐らく稗田亭内全てのオイルストーブにも火の手が及んだ事だろう。

 

 

生き残った従者曰く、燃え盛る炎の中、

夢我夢中で今まで書き溜めてきた幻想郷縁記シリーズを掻き集めていたそうだ。

 

 

 

享年25歳。

転生が不完全なのか、転生による過剰な知性が負担となるのかは不明だが、どの転生体も30年前後しか生きられない事を考えると、余りに唐突で突然すぎる…。

昨年の様子から、ざっと8年は大丈夫そうだと踏んでいた私の演算能力は誤りだったのだろうか?

 

しかし、これも形は違えど、避けられぬ事。

次の転生までの100年あまりは、あの閻魔の下で仕え、そしてまた転生する。

 

それはそれは残酷な話。

 

何だか気分が優れない。早い事、冬眠でもしよう。

 

 

 

 

「阿求!! 阿求!!」

 

 

 本居小鈴。

妖魔本に興味があったりと人外のものに対する好奇心が旺盛な霊夢とそう年齢が変わらない

女の子。判読眼という、読めない言語はないという、地味に有用な眼を持っている。

それ以外は取り立てて普通だが、霊夢や魔理沙以上に、こちら側に来やすい。

 

もし将来、巡り巡って邪悪な性質を持つ者になってしまった場合、

最悪退治されてしまう可能性もあると私は忠告したが、あの時より、より一層と妖しさが増している様な気もする。

 

 

 今の所は、そんな未来は有り得ないと思っているが、霊夢と違って、私の直感はよく外れる。

私は彼女に、妖怪は人間にとって何たるか問うた時、敵だと回答された。

しかし、そうは思わない。私はここで異説を唱えてみる。

妖怪も、エネルギー性質が異なる別の形の人間ではないかと?

 

 

二本の足、五本指、二つの目。

ここ最近、幻想郷に幻想入りしていくる新米妖怪を見て思った。

妖怪は人間へと進化しようとしているのではないかと?

そんな事を友人に呟いたら、霊夢達に感化されたの?と、心配されたが、そうかも知れない。

霊夢達は別だが、基本私は人間の事がどうしようもなく嫌いだ。憎んですら居る。

当然だ。この私をこんな辺境の地で、小さく縮こまるまでに追い立てたのだから。

しかし、この人間とほぼ似通った身体的特徴と生活様式を兼ね備えている自分が、そんな事口走っても皮肉にしかならない。

 

 

 ここに、宇宙の謎を紐解く鍵があるのかも知れない。

ただ、一つはっきりしているのが、妖怪に未来はなく、人間には未来があるという事。

人間の行く着く最終進化の果ては、恐らくは神。いや宇宙そのもの。

そしてまた、宇宙を経て、人間。いや私達妖怪に至るのだ。

ただ、その妖怪は私達の様な人間の思念エネルギーにはいちいち依存しない、全く別の形式の妖怪だろう。

 

 

人間は知性ある獣であってはいけない。

ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。

666はひっくり返すと、神を表す数字999となる。

しかし、666と999を重ね合わせると、神の子の数字である888。

 

横倒しで∞∞∞。つまりインフィニティとなるのだ。

 

 

 と、頭でぼうっと、口舌ふるっている時、背後から物理的なエネルギーを感じた。

 

 

「冬眠前に火事場泥棒?」

 

おや、666の獣のご登場。

 

「状況は?」

 

 

「出火原因は燭台の転倒。そこから火の手が回る形で、稗田亭全体に延焼。

例年以上の厳冬が予想される11月。服装も含めて、例年以上に可燃物に溢れていた。

二日前、凍結破損した水道管の取替作業を、河城にとりに依頼。

新しい水道管は後日届く手はずだったとの事よ」

 

「そして、その稗田亭全体を延焼させる程の間接的要因に、あんたも一枚絡んでいると。

後でみっちりと、二人きりでお話しましょうね。八雲紫さん」

 

ああ、勘の良すぎる人間がこの世で一番嫌い。今年は眠りに就けなさそうね。

 

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「おら!」

 

「ひゅい!?」

 

 

「河城にとりさん、稗田亭全焼の件について、お話願えますか?」

 

「………文屋のスクープで見たが、私は犯人じゃないぞ」

 

 

「あら、これが例の水道管。そして納品書。日付が一ヶ月前」

 

「当日交換できたものを。敢えてそれをしなかった。確信犯ね」

 

「今年の11月は例年にない厳冬期に差し掛かる。

稗田亭だけを相手にしてる訳じゃないし、先約も居た」

 

「値引き交渉で揉めてたとか。それに何個か同じのがあるじゃない。ストック切れという訳でもなかったはず」

 

 

「………向こうから無礼を働いたんだ。こっちも気持ちを害したし、後回しされても当然だろ?」

 

「どちらにせよ。稗田亭の初期消化が行えなかったのは、水道が使えなかったから。

そしてあなたは意図して、取替作業をできるにも関わらず、その日に行わなかった。

それは間違いないわよね?」

 

「間違いないです。しかし、私が何か私怨で放火したとかなら誤解だ。

それにあんた、文屋の話じゃ火の手が上がる前日に、

稗田亭へ数台のオイルストーブを載せたトラックを運転する従者の姿が目撃されていたとか…」

 

「紫ぃ…」

 

「彼女の健康状態と寒がりを考慮した親心からよ」

天狗の情報ネットワークは侮れないわね…。

 

 

「まあ、二人共、阿求に明確な殺意を抱いているとかではなさそうだし。

現時点では保留とするわ。

でもね、あんた達が阿求を間接的に死に追いやったという事実は忘れないでね」

 

  紫もにとりも嘘はついていない。

しかし、阿求の行動といい。紫の言う親心からの行動といい。

不幸の偶然にしては、とても人為めいてる。

いつもの異変は何か、妖気やら霊気やら、何かのオーラを感じさせたのだけども、今回はそれが気持ちの悪いくらい全く感じられない。

 

道理だった事が起きる。それは道理で説明できない輩がわんさかと居るこの幻想郷では珍しい事。

ただ一つ、これは阿求と同じ生身の人間の仕業だと言う事。妖怪の悪さとは違って、見えないシステムチック的な何かを感じさせる。

もしも紫やにとりがそうとは知らずに将棋盤の駒の様に動かされていたとしたら、そいつの能力は、対処の難しい最もタチが悪いもの。

異変解決家の専門家である私自身でさえも、下手をすれば…。

 

小鈴ちゃんも、そうだけど。こういう時、漂う死んだ幽霊よりも捨て身がかりの生きてる人間が一番怖いのよね。

 

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 燃え落ちた稗田亭。

焼け跡には、腐った卵の匂いが充満している灰色に炭化した人骨が斑に点在していて、どれが嘗て阿求のモノだったのか、わからなかった。煤けた金属製の髪飾りだけは見つける事ができた。

 

文々。新聞では、事故による行方不明と扱われているが、

人里では従者に恨まれていたとか、妖怪の仕業だとか、暗殺だとか。色々と諸説を唱えられている。

 

ただ一つだけ何となくわかるのは、稗田阿求にはもう二度と会えない。

 

その事実だけは確かだ。もう、この幻想郷には戻ってこない。

永遠に。

 

 

「稗田阿求さん、とうとう殺されちゃいましたね。本居小鈴さん」

 

「殺された!? 自殺ではなくて!?」

 

「冗談です。どうしてまだ話もしてないのに、自殺だと断定できるにですか?」

 

「それは…」

 

 

稗田 阿求 自殺

 

あのノートには、好奇心というか何というか、ちょっとした悪戯心で名前書いただけで、本当に阿求に死んで欲しいだなんて思ってもない。

ましてや稗田亭全体に火の手が回るだなんて記述も…。

 

 

「あの日、稗田阿求に仕えていた従者曰く、

過去の記憶が前触れ無く頭に頻繁に浮き上がるという重い症状に悩まされていたそうです」

 

確か阿求は一度見た物を忘れない力があるとか言ってたっけ。

涼しい顔して裏では結構大変だったのかな。

 

 

「オイルストーブ等の可燃物を屋敷中に配備してあるかつ、

凍結破損した水道管の取替作業の為、その日水は使えなかったそうです。

稗田阿求は寧ろ、火の手が広がる前に今まで書き溜めてきた幻想郷縁記を少しでも運び出そうと奮闘していました。それが仇となったとも言えますが」

 

阿求はあれでも結構力持ちだ。

それに今まで大事に書き溜めてきた自分の作品を守ろうとするのは当然だろう。

 

「じゃあ、阿求は自殺ではなくて、事故死だったんですね。よかった…」

最低だ。あんなに交流のあった親友が焼け死んだというのに、胸の内は安堵すら思える。

今まで自覚がなかっただけで、私はこんなにも程度の低い人間だったのだろうか?

 

 

「ノートはお返しします。返す宛もなくなったので」

 

「え?」

どういう意味だろう? 確か閻魔様は友人から借りたと言っていたが、まさか…。

いや、意味がわからない。もしそうなら、阿求は閻魔様を介して私に自殺共助を?

閻魔様の話と文々。新聞の記事を照らし合わせる限り、事故死だとしか…。

 

 

「あの…あれ?」

緑の髪をしている背の高い彼女は既に店を出ていた。

最初から居なかったかの様に。

 

 

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「ふふふ」

 あの様子なら近日中にまたノートを使う。人間は好奇心と罪悪感に抗えない生き物だ。

嗜虐心を擽られるあの顔と言ったら…! 私もやはり妖怪だったのですね。

 

さて、これからどう幻想郷を料理しましょうか?

博麗の巫女や隙間の妖怪との衝突は恐らく避けては通れないでしょう。

それにあの二人、実は本名ではなく、呪術対策に元から仮名を名乗っているという噂もある。

そういう類に精通しているだけあって、一筋縄とは行かないでしょう。だからこそ面白みがある。

 

それにいくらページを使っても減らないというルール。

ノートの存在が何れは公に知れてしまう、切り札を部外者に与えてというハイリスクはありますが、

所有者とノートを量産するという意味では、とても使える。

あの娘にはノートの更なる検証も兼ねて、もっともっと名前を書き込んで貰わなければね。

私はノートの使い方を提案するだけであって、別に唆そうとか、そういう気持ちはありませんよ? 選択の自由は先にノートを使ってしまった本居小鈴当人にあるのですから。

 

 

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「何です? 使い魔を寄越してまで呼び出して」

 

「単刀直入に言うわ。

幻想郷管理者特権で阿求の輪廻転生データを閲覧させて」

 

「拒否します。私にその権限はありません」

 

「稗田阿求の御魂が再思の道を通って、冥界や三途の川の中継地である無縁塚に来ているはずよ」

 

「はて? 存じませんね。小町の方でも稗田阿求の御魂が来たという報告は受けていませんし、まだどこかで生きていて、囚われの身になっている可能性が高い気がしますが」

 

「何か勘違いしている様だけど、私は外の世界からの自殺志願者や犯罪者を攫うだけで里の人間に手は出さないわよ。それは浄玻璃の鏡で里の人間の死の瞬間を見てきたあなたならわかるはず」

 

「生憎、そういうのを好き好んで見るタイプではないんですよ私は。

悪戯心で床の間シーンを覗いたりはしますが」

 

「陰湿ね。閻魔様にもそういう所があるんだ」

 

「私はこれでも女の娘ですからね、ふふっ。あなたと居ると御魂の色相が濁るので、これで退散させてもらいますね」

 

「ねえ、閻魔様。よかったら私の友人と三人でお茶会でも如何ですか?」

 

「考えておきます」

 

 

 いつも追われる立場なのに今じゃ逆ね。

でもこれで、稗田阿求の御魂は来ていないという事はわかった。

残る手は火災現場の人骨のいくつかから、DNAを割り出すしかない。

稗田家の親族からは鑑定用の毛髪は頂いた。後は骨と一緒に永遠亭に…。

 

 

 八雲紫。この女、越冬前とはいえ、動きが早いな。

早い事、次の手を進めなければ。殺そうと思えば、能力的にもこの場で殺せる。

しかし、そんな事をすれば、博麗の巫女を音頭に、彼女と同盟を結んでいる幻想郷の有権者達に飛びかかられる。そうなっては私とて、ひとたまりもない。

かと言って、言い包めようにも、頭の回転は私のそれ以上……。

互いの立場も換算して、総合的な力量差は良くて五分五分といった所か。

どうにかこうにかして、本名を探らなければ…。一度知ってさえしまえば、後で脅すなり何なり、どうとでもなる。

 

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「幽々子様。八雲様から稗田阿求の御魂が来ているかどうか確かめて欲しいという報告を受けました」

 

「あら、もうそんな時期? 早いわね」

 

30年前後に定期的に死に、その後100年間はあの閻魔大王の元で働く。当人に失礼だが、どれだけの年数が経ったかのサイクル表代りに、死後は話し相手も兼ねてここ白玉楼へ一週間宿泊するというのが恒例だった。どうも今年はそうではないらしい。

 

「異変、かしらね」

 

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HOW TO USE IT

01

 

01. עד 48 שעות כלל אם סיבת המוות נכתבת רק כהתאבדות, מוות בשוגג או מחלה על שם השם, ואין תיאור לגבי מצב המוות לאחר מכן, בעיקרון, תוך 48 שעות לכל היותר, האדם הנוגע בדבר ייהרג בצורה כלשהי. הסיבתיות, הסביבה והתנאים הם בטווח של עד 48 שעות מרגע המוות. יכול לקרות שהמצב עד שהאדם נפטר כבר היה במקום או כבר מת.

 

最大48時間ルール

名前の後に死因に自殺、事故死、病死とだけ書き、それ以降死の状況に関する記述がない場合には、基本的には最大48時間以内に、その該当者を何かしらの形で死に至るまでの因果律、環境、条件が、死の瞬間から最大48時間の範疇で死の因果律の順算と逆算が行われる為、使用者の預り知らぬ所で、ノートに名前を書くよりも前に、該当者が死に至るまでの状況下が整っていたとか、或いは既に死んでいたというケースが起こり得る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




東方キャラで比較的な好きなのは実は八雲紫です。

今回は各キャラクターの思考OSに焦点をあててみました。
四季映姫は単純なトップダウン型。
八雲紫は複雑なボトムアップ型。
霊夢と小鈴は、その中間のミドルアップ型でしょうかね。

この話に出てくる映姫様、頭が良いようで実は割と単純だったりします。

何だか消化不良感が歪めない感じですが、
犯罪者裁きというよりは、よくある典型的な事件簿ものになってしまうかも知れません。こう静かな戦いともいいましょうか?

次回、小鈴、デスノートに二人目の名前を記入す…!




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name;02 投影

登場人物の行動

四季映姫
デスノートの主権者であり所有者。
稗田亭全焼の知らせを受け、焼け跡を視察。
その帰りにデスノートを本居小鈴へ返却。
八雲紫の稗田阿求の輪廻転生データの閲覧許可を拒否。
要注意人物としてマークされる。

本居小鈴
デスノートの所有権はないものの、最初に使用した人物。
四季映姫からデスノートを返却される。稗田阿求の死を確信。
捜査の手が自分にまで及んだ事からのプレッシャーから、
自暴自棄になる形で、デスノートの使い手として覚醒する。

八雲紫
四季映姫に稗田阿求の輪廻転生データの閲覧許可を拒否される。
彼女を要注意人物としてマーク。
稗田阿求のものと思わしき遺骨と、親族の毛髪のDNA鑑定を永遠亭に依頼しに行く。

霧雨魔理沙
博麗霊夢の相方である人間の魔法使い。
稗田阿求を内心嫌っていた。
彼女の死の原因が実はある種のマジックアイテムによるものなのではないかと踏み。紅魔館と鈴奈庵を訪ねる。

博麗 霊夢
魔理沙と共に、稗田阿求の死の真相を探るべく、紅魔館と鈴奈庵を訪ねる。
そこで、外の世界で過去に起きたキラ事件という犯罪者連続変死事件と、
今回の異変が同一のものかも知れないという予測を立てる。

パチュリー・ノーレッジ
紅魔館の知識人。
魔術や呪術。その他の専門知識。
外の世界のトレンドに詳しい。
霊夢達に、キラ幻想入りの可能性を示す。





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【挿絵表示】

 

 

東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

 

 

 

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【挿絵表示】

 

 

無防備に昼寝をしていると、空から魔法使いが降りて来た。

 

 

「よぉ霊夢。ノーガードで昼寝とは、ここ周辺に越冬間近の熊が出没してるっていうのに、いい度胸じゃねぇの」

 

 

 こやつは霧雨魔理沙。幻想郷で唯一の火器をメインウェエポンとした変わり者だ。

生粋の捻くれ者で友達が居ないらしく、同年代の異端児である私の元へ訪ねては、菓子や茶を無断で喰い散らかしては、死ぬまで借りると言って、人様の所持品を盗んでいく可哀想な娘。

比較的な長い間、成行きで異変解決コンビを組んできたが、彼女の事は実はよく知らないし、

好きでも嫌いでもない。

 

人間の里にある大手古道具屋の父親と絶縁状態にあるとか人伝で聞いたが、罫線に触れそうなので、当人の過去については余り詮索しない様にしている。

 

 

「阿求死んだってな」

 

 

今幻想郷は文屋の焚き付けもあって、その話題で持ちきりだ。

稗田阿求、邸宅にて焼身自殺す。と。

 

 

阿求の死の知らせを聞いた時、他人に興味のない私としては、実は柄にもなく心が痛んでいた。

 

妖怪退治の専門家という共通項もあってか、個人的に談笑したり、試作のスペルカードについての意見や考案までして貰ったり、色々と御世話にもなった。

そう多くはない機会しか話したり、会った事ぐらいしかなかったが、親しければ友達になれたと思ってる。

 

「どうした霊夢? 涙流して」

 

「は?」

 

あ、ホントだ。しょっぱい。

 

「と、と、と、ともだちだと、おももっおも…うわああああああっ!!」

 

 

博麗霊夢が泣いた。あの天下無敵の博麗霊夢が、たかが人間一人の死の知らせに。

あいつの事、友達だとよ。お前にしては中々お笑いだよ。

そうか、あいつの事そんなに好きだったんだな、霊夢は。

私が鬱病で自殺未遂したって知らせには、うんともすんとも言わなかったのによ。

 

 

稗田亭炎上中の知らせを聞いた時、私がまず先に取った行動は、

遺産贈与だ。

知り合いのエンジニアにプレゼントしてもらった光学迷彩とガスマスク装備でのレジャーランド体験。最高にスリリングだったぜ。

 

光り輝く金銀財宝の在り処を燃え盛る屋敷の中、不屈の精神で生死と隣合わせの環境下で探索していく。

 

屋敷に取り残された稗田阿求の金切り声を環境音に。

 

ある程度掻き集めた所で、記念と言っては失礼だけど、生身の人間の死に様、稗田阿求の死に際を見届けてやった。

猫のみたいな鳴き声を出しながら、もう使い物にならないであろう、幻想郷縁記だったものに手を伸ばして。

体中が火達磨になっていたが、私の姿は見えていたみたいだ。

 

 

私はそっと、八卦炉をそいつの伸ばされた焼けただれた手の平に置いてやった。

 

「こちゅじゅ、おめがいね。れぃぬにもよろじく。ふたりは私の親友でちた」

 

次の瞬間、小さな閃光。

稗田阿求は頭部に小さな穴を空けて自害した。そのマジックアイテム、ある程度の先天的霊力がなきゃりゃあ、使えないはずだったのにな。奇跡だ。

 

私はそれを見て失禁した。いや絶頂した。人間って普段あんなに元気そうでも本当に死んじゃうんだなと。

 

 

「なあ、霊夢。泣くなよ。私が居るだろ? 一緒に犯人探しでもしようや。大切な友達だったんだろ、阿求の事。それにお前の事だ、何か手がかりの様な事は掴んでるんだろ?」

 

「……阿求は顔見知りの誰かに殺されたのよ」

 

それを聞いて私の胸は高鳴った。もしも阿求の遺体から、私が捜査線上に浮上してもおかしくはないし、その当日にやっていた事がやっていた事だけに、どう取り繕っても言い逃れができない。

しかしだ、あの傷ではどの道生きててもしょうがないし、永遠亭に運び入れ様とも箒から落ちた事だろう。

 

 

「自殺じゃないってのか?」

 

「全貌を知ると、道理は通っているのよ。手の混んだ自殺としか言い様がない程。

出火原因は阿求が精神不安定状態から従者と揉めだした際の燭台の転倒」

 

「そういや、胡蝶夢丸が買い占められてたな」

お陰様で禁断症状に苦しめられたぜ。

再入荷は当分先、死んでも迷惑な奴。

 

 

「そこからボヤが、八雲紫様がその前日に早めのクリスマスプレゼントして、

オイルストーブ数台を手配。それが稗田亭の全焼させる程の火力を生み出した。

タチが悪い事にその二日前、凍結破損した水道管の取替作業を、にとりに依頼していて。

新しい水道管の取替を後日してもらうはずだったんだけど、そのにとりと料金交渉で言い争いを起こしていて、にとりはそれに気を悪くして、当日交換できるにも関わらず後回しにしちゃったらしいんだって」

 

「それはしょうがないんじゃないか? 運が悪かったとしか…」

そこまで条件が揃ってると、最早自殺するしかないよな。雰囲気的に。

雰囲気?

 

 

「まさか、誰かが計画的に周囲の奴らをそうなる様に仕向けたと?」

 

「まさにそう。偶然にしては気持ち悪いくらい道理仕掛けなのよ。

妖怪の仕業じゃない。これは人間の仕業」

 

 

「人間の仕業か。なら犯人候補は絞られてくるな。私じゃないぜ?」

 

「あんたは小賢しい事はせずに、八卦炉で阿求の頭を直接撃ち抜くはず」

 

こいつ、読心術の心得でもあるのかな。相変わらず油断ならないぜ…。

 

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カリポリッ。

 

焼け跡から匂いを頼りに回収した稗田阿求の遺骨と思われるモノを、稗田家の遺族の面々の顔を思い浮かべながら、カルシウム補給兼ねて摘み食いしながら、私は永遠亭へと続く竹林道中を歩いていた。

腐った卵の殻の様な苦味ある味が、何ともも言えない様な微興奮を掻き立たせる。

 

あの10日前まで生き生きとしていた幻想郷縁起の著作者である、

稗田阿求の遺骨を今まさにこうして喰っているのだ。

別に咎められる事もないだろうが、ああ自分妖怪なんだなというノスタルジーと背徳感が胸一杯にじんわりと広がってゆく。

 

 

「やあやあ、八雲紫様。珍しいじゃないか」

 

竹林ホームレスの藤原妹紅。殺人者だ。

千年前。不老不死の薬である蓬莱の薬の廃棄の際に同行し、どういう訳か帝の使いであり、行き倒れを助けてもらった男を突き落とし、これを殺害。

終いには薬を飲んで、普通の人間の性質を持ち合わせたまま不老不死なった挙げ句、天国にも地獄にも文字通りに行けなくなった。

そのどうしようもない境遇から来る自殺願望を発散する為に、同じ薬を口にした蓬莱山輝夜という昔私が攻め込んだ月の都の姫君様と夜な夜な殺し合いをしているという狂人。

 

こうはならなくてよかったなと、心底思う。どんぐりの背くらべでしかないが。

 

 

「これはこれは、藤原妹紅殿。薬屋はどこですか?」

 

「そのまま50m先の折返地点まで進んで、さらに右折して、まっすぐ120m地点で、真横70mのまま歩いていけば到着だよ」

 

永遠亭には滅多に行かないので、場所を忘れやすくて助かる。

 

「ありがとう」

 

コッコッコッ。

ドグシャッ!

 

「うぎゃああああああああ痛いいいいいッ!!」

古典的かつ実用的トラップだ。パンジ・スティック。

枯れ葉や土で偽装した落とし穴の底に釘や竹槍・杭を設置して殺傷する火薬を用いないトラップ。

先端を尖らせた竹の断片で、火入れをして硬化させることにより先端の鋭利さが長く保たれるようにしてあった。さらに、傷を化膿させ感染症を引き起す為に人や動物の糞尿や毒物を塗る場合もある。

 

数十年前のベトナム戦争でも使用された。

 

非常に肉体に近い魂魄体である私には血はないが涙くらいならある。それでも物理攻撃はある程度は効くのだ。問題は人間が死ぬ傷であっても、その精神力と知性と体質から瞬時に死ねないという事。

かと言って意識も失うにも中途半端な痛みを感じ続ける。

 

「痛い痛い痛いぃぃぃぃぐッう」

 

「故人の遺骨を、遺族の気持ちも考えず、何食わぬ顔で摘み食いする様な悪い子には罰が当たって当然だろ。

大妖怪とあろうものが情けない顔しちゃってさぁ。あはははは!!」

 

「うひーっ! 手を貸しなさい!?  先端が捻れ構造で中々抜けないわッ」

 

「あんた能力者だろ? 自分で何とかしろよ」

正論だ。

 

「痛みで気が乱れて発動できないのっ!! 意地悪しないでぇ…」

 

「でもその怪我じゃ、お前さんであっても、二三日の入院だろ?

永遠亭の使い物を呼びに行くから、後6時間ぐらい、そこで待っててくれないか?」

 

「6時間!? 生殺しの状態のままで!? 嫌よぅ…」

ここの幻想郷住人は皆どこか病んでいる。らしい。

 

他の世界線の幻想郷の多くは陽気な者が多いのだが、

ここの幻想郷の者は他の幻想郷と比べて殺伐というか、

平均して心のパズルの三分の一が欠如している。

一見まともそうなキチガイ。穏やかに発狂している。

メンタルヘルスケアが必要。

 

自殺志願者の溜まり場などと散々な言われようだ。

他の幻想郷よりは、そりゃ陰気臭いとは思っているが、一体全体何がそんなに違うというのだろうか?

他の幻想郷にだって、ダークネスな部分や生き死にはあるだろうに。

 

「そんだけ口が回るのなら大丈夫だろ」

そう言って彼女は背を向けて歩いていく。一人にしないで。行っちゃ駄目だ。

 

 

「ちくしょう…」

しかし、久々に感じる肉体的な痛みは、普段から抱いていた希死願望が叶ったかの様で、まんざらでもなかった。

私は変態だったのだろうか?

 

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「はい治癒完了。歩行以外の派手な運動避けて、お大事に」

 

「ありがとうございます、先生。助かります」

 

 

 

「ところでここへ来たのは、治癒ではなく鑑定をお願いして来たんですよ」

 

「鑑定?」

 

 

「稗田阿求の親族の毛髪と、稗田阿求当人のものと思われる遺骨です。DNA鑑定をお願いできますか?」

ゴトッ。

 

「出来ますけど、何故そんな事を?」

 

 

「稗田阿求が本当に死んだかどうか証明して貰う為です」

 

「閻魔大王の元に行けばいいでしょう。わざわざ骨を…。あんたちょっと大丈夫? 目がギラついてて、まるでそこらの下劣な人喰い妖怪みたいよ、血に飢えた」

 

「行きました。幻想郷管理者特権で阿求の輪廻転生データを閲覧を要求しましたが、私にその権限はありませんと拒否されました。

私としては、稗田阿求の御魂が再思の道を通って、冥界や三途の川の中継地である無縁塚に来ているはずだと踏んでいたのですが、

そういう報告は受けていないそうです。このDNA鑑定で外れたら、彼女はまだどこかで生きていて、捕縛されているという事です」

 

 

「よくわからないけど、込み入った事情はあるのですね。少し待っててください」

 

 

恐らく彼女は死んでいる。こう言ってはなんだけど、彼女は人間にしては印象的な旨そうな臭いを発していたから、骨もこれは九分九厘彼女の遺骨だと思う。

魂のない人間がこの世にいないはずがないし、もしそうだとしたら、彼女は人間ではなく肉体の形を伴ったお化けだったと言う事になる。

 

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「おやおや、お二人揃って? どの様な要件で?」

 

「無意識を司る魔術、マジックアイテムがないか尋ねたい」

 

「そんな魔法ないと思いますが」

 

「とやかく言わずに、とっとと挿れなさい」

 

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「難しいわね……。痕跡を残さずに殺せる魔術なんて、聞いた事がないもの」

 

「そうか」

 

 

「ただ、十数年前。外の世界の話だけど、キラ事件と称された犯罪者を狙い撃ちにした同時多発大量殺人事件というものがあったわ。その犯人が自らの力をダイイングメッセージや権威付けも兼ねる意味で好んだのが心臓麻痺」

 

「キラ?」

 

「殺し屋のKillerから捩られた、犯人を表す固有名詞。

定期的に死のターゲットは決まっているらしく、6年前の第二次キラ事件では自殺志願者や老人。今年の5月に起きた第三次キラ事件は、死者こそは出なかったものの、そのキラの力を売買するという世界中を巻き込んだ騒ぎ。アメリカ合衆国が多額の資金で落札したと聞いたわ」

 

 

「外の世界の異変は、やっぱスケールが違うな」

 

「そのキラって言う人というか、怪異は捕まったの?」

 

「犯人が誰であるとか、どういう手口だとかは、その事件に直接携わった関係者以外、非公開のままよ。ただ、その事件の関係者と思わしき人物から、キラの犯行の手口はほぼ解明されたとの発表はあったわ。噂によると、実はキラは犯罪者の情報を得やすい立場の警察関係者だったんじゃないかって」

 

そう言えば、小鈴ちゃんのお店で幻想入りした、

それとは違う、何か似たようなワードが書かれた新聞記事を読んだ覚えが…。

 

「魔理沙」

 

「うん?」

 

「次は鈴奈庵に行くわよ」

 

 

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「いらっしゃいませー。あっ霊夢さん、魔理沙さん」

 

「小鈴ちゃん。あれから10日経つけど、大丈夫?」

 

「はい…もう忘れる事にしようと思います。思い出す度辛くなるので…」

 

「そう…。ところで、外の世界の新聞って今見れる?」

 

「見れますけど、殆ど傷んでますし、新しくても数年昔の物で良ければ…」

 

「確かどっかに…ここか! 40年前の消費税導入の年の」

 

朝  読  新  聞【朝夕刊紙面定価3925円(本体価格3938円・消費税13円】31部刷り朝刊488円・夕刊489円  1979年(昭和54年)12月5日  

宝銀行山下支店閉鎖

行員の相次ぐ変死が原因

更に近隣住人も

 

「魔理沙、これを良く読んで頂戴。特に死因の方……」

 

「!! ……支店長と次長が、同じ日の夜、ほぼ同時刻に心臓麻痺で死亡」

 

 

「心臓麻痺。紅魔館で聞いた外の世界で悪人を中心に殺されていった事件と関連性があるかどうかはわからないけど。今回の異変と、何だか似てないと思わない?」

 

 

「仮に阿求を殺したのがキラだという奴だと過程して、そいつは幽々子みたいな力を持ったやつなのか? 外の世界にも、まだとんでもない妖怪が潜んでるんだな…」

 

「妖怪…。確かにキラが妖怪なら、いつ幻想郷に幻想入りしていても可笑しくはないし、阿求の死もそいつが犯行手口の趣向を変えた上での仕業と考えた方が自然かもしれない」

 

 

「あのいいですか?」

 

「何、小鈴ちゃん」

 

「そのキラって妖怪が幻想入りしたというなら、まず人口の多い人里を狙うのは当然として……何故、阿求が最初のターゲットになるんですか? 悪人じゃないですよね?」

 

 

「阿求は悪人じゃない。寧ろ善人…。いや善人という程でもないけれど、悪い娘じゃない。

何故死ぬ事になったのか…。そこだけが引っかかるのよねぇ」

 

 

「なぁ……私達には荷が重すぎないか?

相手はスペルカードルールも無視して、力を躊躇なく行使する奴。弾幕勝負ならまだしも、実戦になれば、全く歯が立たないぜ」

 

 

「なーに怖じ気づいてんのよ。スペルカードルールを無視する奴が居るなら、私としても見過ごせないし、スペルカードルールに則って、これまで通りぶっ飛ばす」

 

 

「後は、そのぶっ飛ばす奴がどいつなのかって話なのよねー」

 

「………」

まだあれから10日しか経ってない。

流石は異変解決家だけあって、

いつかは来るんじゃないかと思っていたけれど、早過ぎる。

ノートも土に埋めるか、閻魔様に返却するか、それとも事故だったと証言するか、燃やすかなり色々と考えてたのに。

怖いよ。

 

バレるのも時間の問題だ。

もう殺るしかない。

こうなってしまった以上、口封じするしかない。

これは正当防衛権の行使だ。

 

 

 

 

「…魔理沙、もしもの話だけど」

 

「もしも?」

 

 

「本当にもしもの話だけど、あんたに「直接手を下さずに、相手を死に至らせる程度の能力」があったら、どうしたい?」

 

 

「はぁ? 私は疑われる筋合いなんてない。疑われるとしたら、幽々子だろ」

 

「幽々子はそんな事しないし、したとしても、あの稗田亭周辺に妖力の跡が必ず残るはず。あの現場に妖気やら邪気やらを感じさせるものはなかった。まあ私だったら、気に入らない奴はバンバン殺すわね」

 

「げげっ、お前、それでも博麗の巫女かよ」

 

「嘘。私は敵味方どちらにも肩入れしない中立派よ。でも仮にその力を持ったキラの立場で考えると、次に殺そうと思うのは━━━

 

 

 

「私達、異変解決家ね」

 

「おいおい、冗談じゃないぜ! 突拍子もない!」

 

「犯人からしてみれば当然の事よ。自分に疑いが向かないように、疑いを向けてきた奴、疑いを向けてきそうな奴は全員殺しておく。私達だけじゃない。咲夜に早苗に妖夢に、異変解決に携わってきた主戦力陣営は皆、まとめて殺しておけって感じね。

既に、私達が嗅ぎまわっている事に勘づいていると思うから、

これからは、あまり表向きに調べるのはやめた方がいいかも知れないわ」

 

「…霊夢。私が、その力を持っていたら私利私欲の為には当然使うが…。こんな奴、消えた方が世の中の為になると思う奴は全部殺して、まっとうな心を持った、まっとうな者だけの桃源郷を作るぜ」

 

 

「それは生きてる奴らの大半を殺さなきゃいけないし…そもそも、寿命の短い人間が天罰を下す神様になろうだなんてのは、不可能よ。それに働きアリの法則から、いくら善玉だけの楽園を創り上げても、必ず一定の割合で悪玉菌へと変異する。殺しても殺してもキリがない。そうこうしている内に神様1人だけになって、その神様も孤独から自殺して無になる。

まっ、あんたは殺す側よりも、殺される側だと私は思うけど」

 

「こええ事言うなよ。縁起でもない」

 

 

カリカリカリ。

 

 

「小鈴ちゃん? 俯いてどうしたの?」

 

 

稗田 阿求 自殺

そんなつもりじゃなかった。ごめんね。私もそっちへ逝くから。

 

博麗 霊夢 自殺

私が阿求を死に追いやったという趣旨の遺書を残し、首を吊って自殺。

 

霧雨 魔理沙 自殺

最も親しい人物の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、八卦炉を口に当て、そのまま発砲し自殺。

 

魂魄 妖夢 自殺

白玉楼の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、切腹自殺。

 

十六夜咲夜 自殺

紅魔館の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

東風谷早苗 自殺

守矢神社の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

 

「何でもありません。帰ってください」

 

「小鈴ちゃん?」

 

「帰ってください!!」

 

 

「行こうぜ…」

 

「あの…ごめんなさいね。この新聞記事借りていってもいい?」

 

「ご勝手にどうぞ」

 

パタン。

 

 

勢いで衝動的に書いてしまった。もう…後には戻れない。

何もかも終わりだ。

きっと私は死刑になるんだ。あの閻魔様に裁かれるんだ。地獄に落ちるんだ。

 

あははははははははははははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははははははははははははははははは

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はははははははははははははははははははははははははははははははは

 

 

次は誰の名前をカキカキしちゃおっかな♪

もうどうせ死刑確定だし。だったら最後まで楽しまなきゃね♪

うっしっし♪

 

 

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HOW TO USE IT

02

主権者特権

例え、自身がノートを使わず第三者に使わせる形で

基本ルール以外のノートのルールの存在を優先的に知る事ができる。

これを応用する形で、ノートの本来の所有者でない者にノートを使用させ、逸早くノートのルールを知るという事ができる。(ただし、デスノート本体が手元にある場合のみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔理沙は霊夢と違って、ストレートに窃盗行為を働いていますが、友達が多い印象です。陰湿な者と悪い者は似て非なるものだと言う事でしょうか?
次回はいよいよという感じです。
夜神月とは違って、小鈴ちゃんは余り頭がよろしくありません。
疑いが掛かったら即、衝動的な犯行に及ぶタイプです。

罪悪感以上に、自殺願望や霊夢達に目の前で疑いをかけられた(様に思えた)事に対するプレッシャーから、当人も内心訳の分からない暴発的な心境です。


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REPORT/東方閻魔帳
chronology/記録閲覧


作中での登場人物達の時系列。
小ネタも随時追加していくかも知れません。
ネタバレ注意です!


私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで妖怪の山をボウっと見上げていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

空から一冊の黒いノートが…。

 

 

射命丸 文の取材ノート。

 

そのノートには漢字でも英語でもない、少なくともこの幻想郷では時々見かける文字でそう記されていた。

 

「天狗語? 珍しいですね。題名は…」

 

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東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

chronology/記録閲覧

 

 

 

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

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2019/11/21

デスノートに纏わる夥しい数の集合思念が、幻想郷の地へ幻想入りする。その後、風土特有の事象作用によって具現化。

 

2019/11/22

幻想郷内の結界に異常を探知した八雲藍、これを調査するが、既にノートとして具現化していた集合意識体は、デスノートを使用していた者達からの残り香である学習成果・思考プロセスを駆使して、人里近郊へと飛翔。ノートの最初の所有者候補を探しを始める。

 

2019/11/23

四季映姫、是非曲直庁にて有休消化を申請する。

寂しさから人里へ教えを説くついでに、八雲藍と遭遇。

御魂関連で何か気になる事はなかったかと尋ねられる。

 

2019/11/24

八雲紫、八雲藍から報告を受けるが、これを突っぱね、

稗田亭にアメリカ製オイルストーブを搬入運送させる。

 

2019/11/25

四季映姫、人里近郊で上空から飛来したデスノートを拾う。

所有権を獲得。ヘブライ語で書かれたノートの基本ルールを、人里の貸本屋の一人娘、本居小鈴の判読眼にて解読に成功。彼女に嗾ける形で、デスノートに最初の名前(稗田阿求)を書かせる。

 

稗田阿求、凍結破損した水道管の取替作業を河城にとりさんに依頼。

 

2019/11/26

稗田阿求、稗田亭にて、デスノートによる因果率操作により自殺。

霧雨魔理沙、稗田亭炎上下の中、火事場泥棒。稗田阿求に自殺幇助。

八雲紫&博麗霊夢&四季映姫&小野塚小町&本居小鈴、火災現場を視察。

八雲紫、火災現場から稗田阿求の生前に体臭頼りに遺骨を収集。

本居小鈴、火災現場から稗田阿求の形見である金属製の髪飾りを入手。

 

 

2019/11/27

文々。新聞、稗田阿求が稗田亭にて焼身自殺したと朝刊スクープ。

八雲紫、稗田家の近親者からDNA鑑定用の毛髪を入手。

四季映姫、デスノートの効力を確信。

本居小鈴、デスノートの効力を確信。

 

 

2019/11/28

河城にとり、稗田亭炎上について事情聴取を受ける。

四季映姫、本居小鈴に再接触。デスノートを再度手渡す。

 

 

2019/11/29

 

八雲紫、幻想郷管理者特権で稗田阿求の輪廻転生データの閲覧許可を是非曲直庁幻想郷支部の四季映姫・ヤマザナドゥに要求。

四季映姫、アクセス権限がない事からこれを拒否。

 

 

2019/11/29

 

西行寺幽々子、白玉楼にて魂魄妖夢から稗田阿求の訃報を告げられる。

 

 

 

2019/11/30

 

博麗霊夢、霧雨魔理沙と異変捜査タッグを結成。

八雲紫、稗田阿求の遺骨を迷い竹林道中にて摘み食す。

因幡てゐの対獣トラップにて負傷。

 

藤原妹紅、八雲紫の異常行動を目撃。接触し、因幡てゐの対獣トラップへと誘導する。

八意永琳、八雲紫から稗田阿求のDNA鑑定を依頼される。

 

 

2019/12/01

稗田亭の焼け跡が処理される。

 

 

2019/12/02

稗田阿求の葬儀が人里郊外にて始まる。

 

 

2019/12/03

本居小鈴、デスノートを屋根裏部屋に保管。

他の妖魔本と表面上は区別がつかない様に、

徹夜で防腐処理と偽装処理を行う。

その際に、デスノートの材質が通常の木製ではない事を発見。

ほぼ白紙のままで、ほぼ似通った紙質の西洋ノートブックを掘り出し当て、偽デスノートの偽造に付いても検討する。

 

2019/12/05

博麗霊夢&霧雨魔理沙、紅魔館にて、今回の異変と類似性が見られる外の世界での犯罪者の心臓麻痺、犯罪者大量変死事件について知る。

その後、鈴奈庵にて、さらに40年前にも心臓麻痺で銀行員が複数人死亡していた事について書かれた新聞記事を入手。

 

本居小鈴、デスノートの使用者として覚醒。

幻想郷内で名の知れた異変解決家らの名前をデスノートに連続記入。




書いてて、とても気持ち悪くなっちゃいました。
登場人物からして見ればストーカーですが、作中で異常行動の直接行為者は当人達なのでプラマイゼロと言った所でしょうか?


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kill list/被害者名簿

デスノートによる被害者名簿と死の状況解説。
ネタバレ注意です!


 

私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで今日も浄玻璃の鏡をチラチラと見ていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

上空から一冊の黒いノートが…。

 

 

הערת מוות

 

そのノートには漢字でも英語でもない、少なくともこの幻想郷では見慣れない文字でそう記されていた。

 

「ヘブライ語? 珍しいですね。題名は…」

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【挿絵表示】

 

 

 

東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

kill list/被害者名簿

 

 

 

 

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

 

name;01

稗田 阿求

プロフィール:

生年月日:1994/08/01

命 日:2019/11/26

種 族: 人間

二 つ名: 幻想郷の記憶(後述)・九代目のサヴァン(鈴)

能 力: 一度見た物を忘れない程度の能力

登場作品: 幺樂団の歴史・東方求聞史紀・東方求聞口授・東方鈴奈庵

テーマ曲: 阿礼の子供

 

 

死 因:自殺(八卦炉で頭部額部を撃ち抜く)

 

状況説明:デスノート(記入者は本居小鈴)による第一の犠牲者。

度重なる転生の影響と、一度見た物を忘れない程度の能力の弊害の為か、以前の転生で忘れたはずだった記憶がフラッシュバックするという症状に悩まされており、永遠亭で処方される薬剤をストック買いする形で、大量購入しては過剰服用しており、身近な従者達には死期が迫る事によるプレッシャーにいよいよ耐えられず、自殺を図ろうとしているのではないかと疑われている。

 

出火原因は従者との揉めあいによる燭台の転倒。そこから火の手が回る形で、稗田亭全体に延焼。

例年以上の厳冬が予想される11月。服装も含めて、例年以上に可燃物に溢れていた。

二日前、凍結破損した水道管の取替作業を、河城にとりに依頼。

しかし、料金交渉で言い争いを起こしており、河城にとりも先客の予約もあった為か、当日交換できるにも関わらず後回しにされた事により、稗田亭の初期鎮火失敗の原因となる。

新しい水道管は後日届く手はずだった。

 

例年以上の厳冬が予想される11月。健康状態の考慮された上で、

早めの寒さ対策も兼ねて、暖房器具として、スキマ妖怪、八雲紫から親身のクリスマスプレゼントされたオイルストーブも何台かを、出荷前日に屋敷中に配備させており、稗田亭は、服装も含めて、例年以上に可燃物に溢れていた。

 

燃え盛る炎の中、

夢我夢中で今まで書き溜めてきた幻想郷縁記シリーズを掻き集めていたが、自分の体積以上の荷物を運び出そうとした所、腰の骨を複雑骨折し、その場から動けなくなる。

 

従者に別れを告げ、その後火事場泥棒に来た霧雨魔理沙と接触。

博麗霊夢と本居小鈴は自身の親友だったと告げ、霧雨魔理沙から別れの餞別として手渡された八卦炉で頭部額部を撃ち抜き、死亡する。

 

デスノートの最初の使用者であり、親友であった本居小鈴にキラとしての自覚と覚醒に踏み切るきっかけを与えてしまう。

その壮絶な死に様は、デスノートの効力を如実に証明すると共に、

これから先の幻想郷創設以来、前例のない異質なる大異変の始まりを象徴するものとなった…。




登場人物の作中展開推移の指標として、メモ代わりに書いたものですが、おまけ付録としても見てもいいです。


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rule book/取扱説明書

作中に出てくるデスノートの使い方です。




但し、通常のデスノートとは異なり、死神界由来のものではなく、

過去にデスノートを知っている人間、過去にデスノートを使った事のある人間、過去にデスノートによって名前を書かれて命を落とした人間達の集合体意識が幻想郷という、ある意味思念が具現化しやすい場所で何らかの事象によって形造られていった、天国にも地獄にも行けずに彷徨う事になったデスノートに纏わる夥しい数の人間達の怨念が、幻想郷の地で怪異化したものだという設定にしてあります。

 

死神界のデスノートの因果によって死んでいった幾多もの人間の怨念体だけに、その効力はとてつもなく恐ろしく、それは死神界産のデスノートには決して劣りません。作中で第1の犠牲者となった稗田阿求の御魂は、過去に名前を書かれて命を落とした人間達らの集合体意識に取り込まれる形で消滅していますが、御魂の輪廻転生暦が比較的残っているだけあって、より呪力を強力なものにしています。

 

まあ作者の都合ですね。原作デスノートのルールと、勝手に思い付いたオリジナルルールを作中で出来るだけ自然に使えたらなという願望の産物です。

 

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私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで今日も博麗神社の階段をコツコツと登っていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

上空から一人の紅巫女のスカートの中のパンティが…。

 

 

 

 

「何ご丁寧にカメラ盗撮してんのよ! 変態閻魔!」

 

「また白? いつも通りですね。霊夢は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【挿絵表示】

 

 

 

東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

rule book/取扱説明書

 

 

 

 

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

 

 

1.基本ルール

デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

 

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

 

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

 

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。

 

 

該当者が無に至るまでの因果律書くと、

 

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

 

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる。

 

 

いくら名前を書いてもページが減る事はない。

 

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

 

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

 

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

 

所有者以外には基本ルール以外は、所有者に教えても貰わない限り、見えない。

 

 

2.最大48時間ルール

名前の後に死因に自殺、事故死、病死とだけ書き、それ以降死の状況に関する記述がない場合には、基本的には最大48時間以内に、その該当者を何かしらの形で死に至るまでの因果律、環境、条件が、死の瞬間から最大48時間の範疇で死の因果律の順算と逆算が行われる為、使用者の預り知らぬ所で、ノートに名前を書くよりも前に、該当者が死に至るまでの状況下が整っていたとか、或いは既に死んでいたというケースが起こり得る。(つまり48時間の中だけならば、ノートに名前を書いていなくても、該当者が先に死んでいたという状況を作り出せる。一時的なアリバイ工作に有効)

 

3.主権者特権

例え、自身がノートを使わず第三者に使わせる形で、

基本ルール以外のノートのルールの存在を優先的に知る事ができる。

これを応用する形で、ノートの本来の所有者でない者にノートを使用させ、逸早くノートのルールを知るという事ができる。(ただし、デスノート本体が手元にある場合のみ)




作中で登場、或いは作者が思い付き次第、随時追加していきます。


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death score/利用履歴

作中でのデスノート利用履歴です。ネタバレ注意です!


 

私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで妖怪の山をボウっと見上げていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

空から一冊の黒いノートが…。

 

 

さる@@げきたいすこあぶっ⑨。

 

そのノートには漢字でも英語でもない、少なくともこの幻想郷では時々見かける文字でそう記されていた。

 

「ひらがな? 汚い字ですね。題名は…」

 

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東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

death score/利用履歴

 

 

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00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

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ノートを使用した直接殺害スコア単位:+1

ノートでの間接的殺害スコア単位+0.5

 

 

①四季映姫(ホスト所有者・デスノート本来の所有者であり主権者)

殺害スコア:+2.5名(殺害スコア・アシスト)

 

ノートへの記述:

 

 

ノートの解禁ルール:

1.基本ルール

デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

 

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

 

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

 

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。

 

 

該当者が無に至るまでの因果律書くと、

 

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

 

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる。

 

 

いくら名前を書いてもページが減る事はない。

 

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

 

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

 

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

 

所有者以外には基本ルール以外は、所有者に教えても貰わない限り、見えない。

 

2.最大48時間ルール

名前の後に死因に自殺、事故死、病死とだけ書き、それ以降死の状況に関する記述がない場合には、基本的には最大48時間以内に、その該当者を何かしらの形で死に至るまでの因果律、環境、条件が、死の瞬間から最大48時間の範疇で死の因果律の順算と逆算が行われる為、使用者の預り知らぬ所で、ノートに名前を書くよりも前に、該当者が死に至るまでの状況下が整っていたとか、或いは既に死んでいたというケースが起こり得る。

 

3.主権者特権

例え、自身がノートを使わず第三者に使わせる形で

基本ルール以外のノートのルールの存在を優先的に知る事ができる。

これを応用する形で、ノートの本来の所有者でない者にノートを使用させ、逸早くノートのルールを知るという事ができる。(ただし、デスノート本体が手元にある場合のみ)

 

 

 

❷本居小鈴(クライアント所有者・使用者だがデスノートの所有権はない)

殺害スコア:+5名

 

ノートへの記述:

稗田 阿求 自殺

そんなつもりじゃなかった。ごめんね。私もそっちへ逝くから。

 

博麗 霊夢 自殺

私が阿求を死に追いやったという趣旨の遺書を残し、首を吊って自殺。

 

霧雨 魔理沙 自殺

最も親しい人物の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、八卦炉を口に当て、そのまま発泡し自殺。

 

魂魄 妖夢 自殺

白玉楼の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、切腹自殺。

 

十六夜咲夜 自殺

紅魔館の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

東風谷早苗 自殺

守矢神社の主の目の前で、私が稗田阿求を死に追いやったと告げ、焼身自殺。

 

ノートの解禁ルール:

1.基本ルール

デスノート。このノートに名前を書かれた者は、いかなる形であれ無となる。

 

該当者の顔と名前を確実に把握していなければ、効果は得られない。

 

名前の後に40秒以内に、該当者が無に至るまでの因果律を操作できる。

 

特に指定がない場合は、肉体を保つ場合は大動脈解離。非肉体の場合はそのまま消滅する。

 

 

該当者が無に至るまでの因果律書くと、

 

更に9分4秒、その因果律に至るまでの詳しい経緯を追記する猶予が与えられる。

 

このノートの意図的な売買に参加した者は、例え名前を書かれていなくても自動的に無となる。

 

 

いくら名前を書いてもページが減る事はない。

 

ノートのルールはこれらの基本ルール以外にも存在するが、

 

それは所有者当人が解き明かしていくしかない。

 

所有者の理解度によって、ルールは付け加えられていくが、

 

所有者以外には基本ルール以外は、所有者に教えても貰わない限り、見えない。

 

 

2.最大48時間ルール

名前の後に死因に自殺、事故死、病死とだけ書き、それ以降死の状況に関する記述がない場合には、基本的には最大48時間以内に、その該当者を何かしらの形で死に至るまでの因果律、環境、条件が、死の瞬間から最大48時間の範疇で死の因果律の順算と逆算が行われる為、使用者の預り知らぬ所で、ノートに名前を書くよりも前に、該当者が死に至るまでの状況下が整っていたとか、或いは既に死んでいたというケースが起こり得る。

 

 

 

 




所有者がデスノートをどの様に使用したかの一覧表は需要がありそうなので、作ってみました。ネタバレ注意です!


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Gallery/展覧会

挿絵集です。



私、四季映姫は孤独だ。

名もなき石地蔵から永い時を経て、付喪神に。

付喪神から神霊体に。神霊体から閻魔に。

 

いつもいつも孤独だ。閻魔の次は一体何になるのだろうか。

 

自殺願望にも似た、ニヒリズムで美術館内をブラブラと歩いていた時、それは必然的な運命だったのだろうか。

 

 

作品として展示されている一冊の黒いノートが…。

 

 

הערת מוות

 

そのノートには漢字でも英語でもない、少なくともこの幻想郷では見慣れない文字でそう記されていた。

 

「ヘブライ語? 珍しいですね。題名は…」

 

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東方閻魔帳~デスノートが幻想入り~

Gallery/展覧会

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

00.כללים בסיסיים הערת מוות. מי ששמו כתוב בפתק זה יהיה בכל צורה שהי. אם אינך יודע את פניו ושמו של האדם, לא תוכל להשיג השפעה. תוך 40 שניות אחרי השם, אתה יכול לתפעל את הסיבתיות עד שהאדם נעלם. * אלא אם כן צוין אחרת, נדרשת דיסקציה אבי העורקת כדי לשמור על הגוף. אם זה לא פיזי, הוא ייעלם. * * אם אתה כותב את הסיבתיות עד שהאדם הרלוונטי לא מגיע לכלום, * בנוסף, 9 דקות ו -4 שניות, תקבלו חסד להוסיף פרטים כיצד להגיע לסיבתיות. * כל מי שמשתתף בקנייה ומכירה מכוונת של פתק זה יושבת אוטומטית, גם אם לא נכתב שם. * * לא משנה כמה שמות אתה כותב, לא תאבד דפים. * קיימים כללי הערה בנוסף לכללים בסיסיים אלה, * זה יכול להיפתר רק על ידי הבעלים. * כללים מתווספים בהתאם לרמת ההבנה של הבעלים, * מלבד הבעלים, למעט הכללים הבסיסיים, אינך יכול לראות זאת אלא אם כן תודיע לבעלים.

 

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Art;00 death notebook

 

【挿絵表示】

 

「ヘブライ語? 珍しいですね。題名は…」

 

 

 

Art;01 title logo

 

【挿絵表示】

 

「 閻魔帳、亡者の生前の名前や行動を記しておくという帳簿」

 

 




挿絵募集してます。


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