メギド妄想乱文 (陰険ムース)
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メギド妄想乱文

ボティスの場合

 

 

 

彼、いやあの男は私を愛していたのだろうか。

名前も思い出そうと思えないけれど私はあの男を愛し、そして尽くしていた。

一方通行の愛ほど空虚なものはないと今更おもうれど彼は暖かかった、

見捨てられ一人血に溺れていた私には眩しいくらいに輝いていて

彼の語った夢は私の目を灼いた

彼のためなら傭兵稼業も苦ではなく

彼に尽くす喜びが溢れて幸福を感じていた

確かにお金の使い方は悪かったけれど私たちのためだと納得できていた

家に帰って彼がいて、抱きしめてくれるだけで、それだけでよかった。

その結果があれだ、また見捨てられ孤独に戻る絶望と心を引き裂かれる怒りだけが残った。

あんなにも愛していた男はかけらも私のことを見ずメギドラルのように私を捨てた

私が見つめていたあの目は私のことをかけらも写してやいなかった。

怒りに身を任せ殺すこともできたけれどしなかった、いやできなかった

あんなものを殺すことを(メギド)が許そうとはしてくれないそれがどうしようもなく心をかき乱した。

 

今思えばただ盲目に巣に蜜を持ち帰ることしかできない、愚かな働き蜂のようなその様はひどく滑稽だったのかもしれないわね

あなたはこんな愚かな私をしったらどう思うかしら。

 

 

 

ソロモン一行はシバ女王の依頼で幻獣素材の運搬をする

商隊の護衛に付いていた。

「ねぇねぇモンモン!今日はシバシバの所からの依頼なんでしょー?

どうしてヴィータの傭兵がいるの?」

「おいシャックス最初に説明したはずだぞまた聞いてなかったのか」

「えぇ?そうだっけ?」

「まぁまぁガープいつものことじゃないか

ソロモンは商隊のリーダーが呼んでいたから行った方がいいんじゃないかい」

「バルバトスありがとう」

いつものやり取りに軽く苦笑いしながらその空気にどこか安心感を覚えソロモンは商隊のテントに入って向かった。

「ぶー!モンモンは行っちゃうしガープはうるさいしぃなにさなにさ教えてくれたっていいじゃん!」

「シャックスはあいかわらす。こんな感じだしなぁ」

「うるさいわねこの商隊が私たちを信用してないから個人で雇ったって言ってたはずよ。」

「わはー!ありがとーウェパル!」

「んなことより誰か付いて行かなくてよかったのかよあいつは腹芸なんてできるたちじゃねぇだろ。」

「んー確かにそうだね王様が直接交渉なんてカッコもつかないんだろうけど

多少は口も回るようにならないと後々困るだろうからね、今回は経験だよ

この商隊のリーダーも国認商会付きの立場を傘にしたただの小物らしいから問題はないと思うよ。」

「ソロモン王は正義の人!そのような者に気圧されるはずがありません!

その男もソロモン王の正しさに気付き正義しるはずです!」

「んなわけねぇだろうが、たくよぉモラクスは寝こけてやがるし

とわ言ってもだあいつは少し真っ直ぐすぎる俺が様子を見に行ってくる。」

「確かに少し心配かもしれないね、まかせたよブネ」

 

テントへ商隊のリーダーに呼びだされたソロモンは実際かなり困っているようだった

 

「私はウタグール国認商会のハーコブだぞ!

ソロモン王だかなんだか知らんが女王陛下直々の依頼だとしても信用などできん!

この積荷の護衛はすでにこちらで用意しているのだ!

貴様らはとっとと元来た道に帰れ!」

「待ってくれ!こっちはシバ女王から依頼されているんだてきとうなことはできない!

幻獣の相手を任せてくれればいいんだ!」

「黙れっ!私は国認商会付きなのだぞ!祖父の代から運び手として王家にご利用いただいているのだ!

メギドだかなんだか知らんが貴様らの手など借りるはずがないだろう!

凄腕の傭兵を大金叩いて雇ったのだ今更無駄にできるか!」

「でもっ!

ソロモンの反論を遮るように様子を見に来ていたブネが分け入りハーコブとの話を引き継いだ

「まて、ソロモン。

話は聞かせてもらった、そっちがそのつもりならしょうがねぇ

だが俺たも王家に雇われて来てんだ最後まで同行はさせてもらうぜ

こっちは手をださねぇんだからそっちの懐もいたまねぇしメンツも保てるだろう

問題無いな?」

「き、貴様急に入ってきてどういうつもりだ!

「私は国認商会の人間だぞ!」

「こっちも王家から直々に依頼されてんだ文句はないだろうか。」

「くっ、もういいそれでかまわんからここから出て行け!」

 

 

テントから出てすぐにブネは言う

「ああいう輩はあっちが無駄に口開く前に

さっさとこっちの正当性と条件突きつけて黙らせる方がいいんだ

まぁこんなことも経験だあんまり気にすんなよ。」

「確かにそうだけどこの辺は強力な幻獣が出るようになったってことだけは伝えるべきだった。

傭兵を雇ったって言ってたけど聞く限りだと数人だけみたいだしいくら凄腕でもただのヴィータが幻獣をなんとかできるはずがない。

結局は幻獣が出たら俺たちで対処するしかないんだ!」

「それでいいじゃねぇかいつもどうりだ

シバ女王からお墨付きもらってんだ

幻獣が出たらぶっ潰すおまえはそう考えればいい

頭はバルバトスの野郎が勝手に回すだろう」

「確かにそうかもしれないありがとうブネ!

今はみんなの所に戻ろうか。」

 

 

ソロモンたちがキャンプに到着しことの顛末を話し終わった頃

商隊方向から怒号が飛んだ

 

「幻獣だ幻獣が出たぞぉ!」

ソロモン達はすぐに商隊の方向に走り出した

「おいおい早速じゃねぇか!ソロモン行くぞ!」

「アニキっ!やっと出番かよ!」

「めんどくさい、さっさと終わらせるわよ。」

「みんな頼む!」

 

ソロモンたちはすぐに幻獣達の元に向かったが先に件の傭兵が戦っていたらしく

戦闘はもう始まっていた。

しかし何人かの傭兵らしき装備をズタズタに引き裂かれた男達数人が血の池に沈んでいた

その中で幻獣を相手に一人戦い続ける女傭兵だけが異彩を放っていた

片手に携えたバックラーのような形状の盾を構え

幻獣の鋭い鎌のような爪を逸らし、避け隙を見て盾に施された刃を叩きつける

一連の流れはまるで舞いのようで戦いを有利に進めているようにみえていた

しかしあまりにも広い肉体スペックの差は埋めがたいものでありその体はだんだんと傷ついていった

それでも決して止まることなく数匹の凶悪な幻獣に立ち向かい続けその身を裂く凶刃を退け続けるさなか

駆けつけたソロモン王達は即座に幻獣と女傭兵の間に割って入った

ブネの大剣とモラクスの大斧が甲殻を砕き、シャックスが動きを止めウェパルの槍とマルコシアスの杭がとどめを刺す

ソロモン王が最も信頼するチームワークは確実に幻獣を残さず仕留めた。

「バルバトスフォトンをまわすから彼女の治療を頼む」

「まかせてくれ女性を癒すのは得意分野だ」

治療を終え空気も落ち着き

シャックスが痺れを切らしてふらふらとしだした時

彼女は喋り出した

「ありがとうあのままだったら確実に死んでいたわ」

「いや貴方が持ちこたえてくれなければかくじつ間に合わなかった、こちらこそありがとう。

ウタグール商隊はもう逃げ切ったようだしあなたのおかげだよ。」

「いいえ耐えることぐらいしか取り柄がないだけよ感謝の必要はないわ、私の名はボティス傭兵をしていたわ

いま依頼主に見捨てられたけれどね。」」

ボティスの名を聞きバルバトスはメギドラル時代にその名を聞いたことがあることを思い出した

「ボティスって言ったら冤罪でメギドラルから追放されたかなりの武闘派メギドだったと耳にしたことがある

ヴィータにしては強いとは思ったけれどそういうわけだったのか。」

バルバトスの話を聞きボティスは少し動揺したように見えたが

決心したように居住まいを正すとソロモンに向き直り話し出した

「驚いたけれど貴方達がソロモン王と追放メギド達ってわけなのね

いつか会いたいと願っていたのだけれどこんな出会いになるとわ思いもよらなかったわ。

メギドラルは私を捨てた憎き敵よ

そのメギドラルがハルマゲドンが起こすと言うのなら

私も貴方の力にになりたい。」

 

「貴方が私を捨てないことを願っているわ。」

 

最後の言葉はソロモンには聞き取れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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