ストライクウィッチーズ 第44機械化航空団 (薬缶飛行)
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1話

初投稿になります。

至らない点、知識不足の点様々あると思いますご容赦ください。

ご指摘等もよろしくお願いします。


1944年2月ガリア

第二次ネウロイ大戦、1939年に出現したネウロイはオストマルクに突如侵攻を開始した。

ネウロイは第一次ネウロイ大戦時より強力な〈モノ〉となり人類は撤退に次ぐ撤退を余儀なくされていた。

ガリアの2月の薄く空を覆う雲の下を8機の戦闘機が轟音を響かせていた。流れるようなフォルムと機首の下にエアインテークが特徴的な戦闘機、F-16Cファイティングファルコンだ。様々な作戦に従事できる優秀な戦闘機である。

『バットアイよりグリフォンリーダー、敵機が緩衝空域に侵入した。防空ラインまであと45マイル、交戦を許可する』

上空で管制をしているAWACSからノイズのまじった管制官の声がグリフォンリーダーに状況を伝えた。

『グリフォンリーダー、了解』

グリフォンリーダー駆るF-16は増槽を捨てバンクをとった。

『グリフォンリーダー、ボギーは4……いや5だ』

『了解ーーーグリフォンリーダーより各機、敵機迎撃ラインに侵入。中距離ミサイルを使用するぞ』

『グリフォンリーダーエンゲージ、FOX3FOX3』

F-16の主翼下のパイロンに装備されたAIM-120AMRAAMがリリースされロケットモーターに点火し白煙を吐きながら黙視外の敵機に向かう。ほかのF-16もそれに続くようにAIM-120を発射する。放たれたAIM-120は、ハニカム構造の黒と赤の装甲に覆われた大型タイプのネウロイに命中した。

『グリフォンリーダー、ネウロイのコアは依然健在だ。コアを破壊し撃墜せよ』

『エレメントに分かれ各個撃破だ。グリフォン2、ワレに続け』

グリフォンリーダーは編隊各機に命令を下すと、F-16は2機ずつのエレメントを組み編隊を崩した。

『ーーー機数が増えたっ?バットアイどういうことだっ?』

レーダーを見たグリフォンリーダーは目を疑った。敵機を示す光点が5つから7つに変わっているのだ。

『奴ら大型機の腹の下に張り付いていやがった!』

『くそっ』

グリフォンリーダーはアフターバーナーを点火した。ドンッと衝撃後に機体は加速を始める。そしてドッグファイトモードのスイッチを入れる。

『エネミータリホー』

グリフォンリーダーは肉眼で敵機を捉えた。三角形を幾つか組み合わせような主翼に二枚の垂直尾翼を持った黒と赤のジェット戦闘機だ。ネウロイとの航空戦において最も遭遇するタイプであり制空戦闘機に相当すると考えられている。このネウロイにはコアはなく、ある程度ダメージを受けると霧散するように消える。

『グリフォン4が喰われた!』

グリフォンリーダーがグリフォン4のF-16を見ると火を吹き上げ左翼をもぎ取られていた。

『やりやがったな‼』

グリフォンリーダーのF-16はネウロイの背後をとるとAIM-9サイドワインダーを撃つ。AIM-9はネウロイに直撃し爆発を起こしながら霧散した。

『メーデー、メーデー被弾したぁっ』

僚機のパイロットの断末魔のような叫びが無線から入る。

『グリフォン7、消火しろ!フュエールカットだ!』

しかし、グリフォン7からはノイズだけで答える声はなかった。

『っ!』

グリフォンリーダーは声にならないような叫びを抑え新たな敵機を見つけ出し背後に食らいついた。

 

 

2機の垂直尾翼に白い狼のエンブレムを描いた双発の戦闘機攻撃機F/A-18Cホーネットがゆったりとした速度で薄く曇った空を下を飛んでいた。

『ロシュフォール基地よりフェンリル編隊へ、グリフォン編隊がネウロイと交戦し劣勢だ。支援に向かってくれ』

『命令拒否とかは無理なんだろ?』

男は少しうんざりしたような声音で言った。

『さすがはアフリカの空を知ってるラインハルト大尉は違うね。理解が早くて助かる』

茶化すように管制官は言った。

『ーーーフェンリルリーダーからロシュフォール、燃料があんまりない、タンカーを待機させておいてくれ』

『了解だ。でもあんまり期待しないでくれ』

『オーダー追加だ相棒』

射出座席に収まった男ーーーラインハルト・シュツルムは、酸素マスクを付け直し自分の右後ろを飛んでいるF/A-18を見て言った。

『ーーーラインハルト、お前はもう少し他人を気にかけろ、特にオレを』

イヤフォンからフェンリル隊の2番機をつとめているエドガー・エーザウ大尉が言った。

『何言ってる?お前も食いたりないだろ、うすのろの地上目標なんて』

彼らは、国連軍第7航空軍団麾下の第44機械化航空団所属の傭兵である。ガリアの西部のロシュフォール空軍基地を拠点に主に航空作戦によりネウロイの西進を食い止めている。

『まぁ確かにな…。安い地上目標よりは稼げるからな』

エドガーはマスクを付け不敵に笑う。

『そうだろ?』

ラインハルトはそう言いながら、マスターアームのスイッチを入れた。

『もう一稼ぎするか』

2機のF/A-18は進路を変え赤い炎をエンジンから噴き出させ一気に加速した。

 

 

ネウロイ制空戦闘機とF-16は激しいドッグファイトを展開していた。そんな中、ネウロイがグリフォン2のF-16に喰らい付いた。グリフォン2のF-16は、機体を左右に滑らせるように振りながらネウロイからのロックオンさせないように機動をする。

『クソッ!後ろにつかれた!!』

グリフォン2は身をよじるように自機の背後についたネウロイを見た。

『グリフォン2、ブレイクしろ』

『わかってるっ』

僚機のパイロットがグリフォン2に回避を呼びかける。

グリフォン2右に弧を描くように回避機動をとるがネウロイはグリフォン2のF-16に張り付きながら黄色の曳航弾をグリフォン2のF-16に放つがかすめそうになりながら曳航弾は飛び抜けていく。

『メーデー、メーデー助けてくれっ』

『待ってろっ』

グリフォン2は味方に支援を求めつつ再び回避機動を取ろうとした時、聞きなれない声が聞こえた。

ラインハルトのF/A-18は上層の雲を突き抜け急降下をしネウロイ制空戦闘機タイプの後方を滑り込むようにして占位した。そしてトリガーを絞る。F/A-18にの機首に装備されたM61A1バルカン砲は咆哮をあげると20m砲弾を撃ち出しネウロイの装甲を引き裂き爆発と同時に霧散させた。

『間に合ったみたいだな』

グリフォン2のF-16のとなりに白い狼のエンブレムを描いたF/A-18が並走するように現れる。

『た、助かったよ…』

安堵した声でグリフォン2は言った。

『まだ、敵はいる。気を抜くなよ』

ラインハルトのF/A-18はグリフォン2のとなりを通過しながらラインハルトはグッドラックサインを送った。

『そっちもな』

グリフォン2もグッドラックサインを送り残ったネウロイを見つけるために上昇した。

一方エドガーは、F/A-18の低速での高い機動力を生かしネウロイの後ろをとった。ネウロイは回避機動をとるがこの速度域ではF/A-18のほうが有利である。

『逃がすかよ!フェンリル2、シーカーオープンFOX2FOX2』

主翼の端のパイロンに装備されたAIM-9が発射されネウロイの主翼を吹き飛ばし霧散させた。

『スプラッシュ!!』

エドガーは小さくガッツポーズをとった。

『バットアイより、交戦中の各機へ制空戦闘機タイプの全機の撃墜を確認した。大型タイプは〈ウィッチ隊〉が片付けるとの連絡があった、全機帰投せよ』

空中管制していたバットアイからグリフォン隊とフェンリル隊に通信が入った。

『どうやらオレたちは主役登場までの咬ませ犬役だったらしいな』

各機がAWACSからの指示で戦闘空域を離れていく中、エドガーはラインハルトのF/A-18の右後ろに付き編隊を組み少し残念そうに言った。彼としては1番稼げる獲物を撃墜出来ず少し悔しいのだろう。

『咬ませ犬というか、予算獲得のパフォーマンスだな』

ラインハルトは冷めたような口調で言った。最後にネウロイの大型タイプを撃墜したのはウィッチの戦果になり、戦闘機の戦果は小型タイプを複数撃墜したがこちらは3機の戦闘機を失い任務も完遂できてもいない。

『ーーーふざけるなっ!!どうして今帰投しなきゃならないんだ!?』

グリフォンリーダーがAWACSの管制官に怒気を含め口調で問う。

『国連軍航空歩兵司令部からの命令だ。我々には命令に従うことしか出来ん…』

『味方が…仲間が死んだだよ…!なのに仇もとれねぇのかよ…』

グリフォン隊はこの戦闘で8機中3機を失った。

このガリア西部空域の戦場ではこの程度損害は日常的である。そのため中隊定数を満たしていない機械化飛行中隊も珍しくない。

 

 

ガリア・ロシュフォール空軍基地

ガリア西部のロシュフォール空軍基地、ネウロイとの最前線基地でもある。この基地には国連軍第7航空軍団航空軍団第44機械化航空団が所属している。

ウィッチは一人も所属していない、戦闘機だけでネウロイに対して作戦を展開している。

「見事な着陸だな」

エプロンで豊かな金髪を風になびかせる女性佐官アイリス・プリラー大佐はその碧眼で白い狼のエンブレムを持つF/A-18の着陸を見つめていた。

「大佐、あまり私の部隊にちょっかいを出さないで下さい」

栗色の髪を大きなポニーテールで結んだ幼さの残る少女カティア・シュヴァツハイム中佐は呆れるように言った。

「シュヴァルツハイム中佐、私がいつ君の言う部隊の〈隊長〉にちょっかいをかけたのだ?」

「どうして、隊長なんですか…」

「そうか、そう言うなら問題ないな。それに本来アレは私の『モノ』だ、余計は真似はするなよ?小娘」

アイリスは不敵な笑みをカティアに向け言った。

「うっ…」

 

 

ラインハルトは愛機のF/A-18をエプロンに駐機させた。

「どうにか帰ってこれたな」

ラインハルトは燃料計を見て言う。そしてヘルメットをとりラダーで機体から降りた。

「オレたちの獲物を奪ったウィッチの部隊ってどこの奴らだよ…」

エドガーは機体から降りたラインハルトに声をかけた。

「ご苦労な連中だ。のこのこ制空権も確保できてないような空域に出張ってくるなんてな」

「ったく、余計な事しやがって…。今夜はまともな飯にしようと思ったのに」

ラインハルトはエドガーのいつものように愚痴を聞き流しながらB-15フライトジャケットからサングラスを取り出し掛け、片手にヘルメットをぶら下げながら司令部へのエプロンを歩き始める。

「ーーーでも、あの援護した部隊……グリフォン隊だ。あいつらも気の毒だな、撃墜された味方の仇も取れないなんてな…」

エドガーはグリフォンリーダーの言葉を思い出し言う。

「合理的な判断でもないしな。納得も出来ないだろうな…」

そして続ける。

「どこもこの部隊のボスや飛行隊長みたいにはいかんな」

エドガーは息をつくように言った。

「あぁ…」

ラインハルトは司令部に目を移した。

 

 

ブリタニア国連軍欧州司令部

「連中は何をやっていたんだ!?」

国連軍第7航空軍団総司令官、ウィリアム・カニンガム中将は応接用のソファーに踏ん反り返り葉巻を吹かしていた。

「航空歩兵司令部と機械化航空軍団司令部では前者のほうが上位ですから…」

「自分たちでは制空権すら確保できない奴らが偉そうに…もう戦争のあり方は変わってしまっていることを認めるべきだ」

カニンガムはイライラと葉巻を吹かながら過去の自分が参加したネウロイ大戦を思いだしていた。

カニンガム中将は第一次ネウロイ大戦を戦闘機乗りとして従軍していた。当時の機械化航空部隊の任務はウィッチの露払いであった、視程外ミサイルを放ち離脱する、これだけであった。しかし第一次ネウロイの末期、ネウロイはジェット戦闘機に相当する兵器を投入をしてきたのだ。音速を超えたネウロイにはウィッチは手も足出なかった、機械化航空部隊はミサイルキャリアーとしての能力に特化した戦闘機では機動性の高いネウロイの餌食となってしまうのだ。そして一時的ではるが人類の制空権は一部が喪失し地上部隊は壊滅的打撃を被った。人類は当時の最新鋭の戦闘機を投入しどうにか第一次ネウロイ大戦はしのいだ。

現在の大戦ではネウロイは制空戦闘機タイプを投入を全面的に行っているようだ。ウィッチだけでは戦えない、もちろん機械化航空部隊だけでもだ。

「ーーーしかし中将、コニャック・シャトーベルナール基地及びロシュフォール基地の損耗率が高くこのままでは絶対的な制空権の維持は難しいです」

カニンガム中将は意識は副官の声により現実へと戻された、そして手渡せられた報告書に目を通していく。戦闘機部隊の損耗これが意味するものは、制空権の喪失、制空権が仮に奪われるとネウロイの攻撃機により前線の地上部隊に被害が拡大してしまう。

「ネウロイの前線基地を叩く必要もあるのかもしれんな」

カニンガム中将は煙を吐きながら言った。

「そうなるとネウロイの対空陣地も叩く必要もありますね」

「一つの選択としてこの作戦を考えておくか…。根回しもしておく必要もあるな…」

カニンガム中将は葉巻を口から離し息をつき、葉巻の火を灰皿で押しつぶし消した。そしてゆっくりとソファーから立ち上がり、夕日が射し込む窓際へあるいて行く。

「根回し、か…。欧州が壊滅的な状況であるのに人類は一つになれないか、この戦争は何に向かっていくのだろうか…」

カニンガム中将はオレンジ色の夕日に照らされながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




色々見苦しいところがあり申し訳ありません。

ご指摘、アドバイス等ありましたらよろしくお願いします。

今後ともよろしくお願いします。


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