ハリポタVR侍ルート~Ver2.2 (時雨。)
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侍ちゃん#1 糖尿病爺との出会い

はじめましての方ははじめまして。はじめましてでは無い方もはじめまして。

今回は最近巷で話題のフルダイブ型VRRPGハリー・ポッターと幻の英雄というゲームをプレイしていきたいと思います。

はじめはRTAでやろうかなと思ったんですが、参考動画にさせていただこうと検索して一番上に出てきた動画を見て即止めました。

なんなんですかね、あれは。入学早々奇声を上げて暴れまわって減点されたかと思えばハロウィンにはイケメンスマイルと手慣れた口説き文句でハーミーちゃんを口説き落すとか……。(ドン引き)

まぁ私の考えなんて及びもつかないような何かがあったんでしょう。やはり諸先輩方は私なんかとは出来が違いますね!

ただ、このゲームメイン級もモブも関係なくNPCのアルゴリズムがリアリティ追求されてるのでそんなことをしようもんなら高感度が上がってる(強引に吊り橋効果を利用して上げた)キャラ以外から珍獣でも見るかのような目でホグワーツでの学生生活を送ることになるので、私個人としては絶対にやりたいとは思いませんでした。

とまあ私がRTAをやらない言い訳を長々言い続けてもあれですし、早速プレイをはじめていきましょう。

今回はタイトルに有る通り侍プレイ、通常とはかなり異なった特殊なルートを勧めていくこととなります。

主人公の設定はかつてダンブルドアに力を貸した日本人の孫で、マホウトコロに通うはずだった所を祖父とダンブルドアの頼みによってホグワーツへと入学させられるという感じです。

今まで日本で育ってるのに急に外国行かされて言語大丈夫かよと思いますが、プレイ中は相手が何人でもゲーム側で設定している言語で話しかけてくるので何の問題も有りません。

そして件のダンブルドアと親交のある祖父というのが、知る人ぞ知る武人で特に刀を振らせたら負けなしとまで言われています。

そんな彼に付けられた二つ名は剣聖……まぁRPGとかで剣の腕が立つ人のことを剣聖だの剣鬼だのと呼ぶのは何処の世界観でも定番ですね。

そんな剣聖の孫とかいうどっかのすごい魔法使いの孫みたいなライトノベルの主人公チックな立ち位置にいる主人公ですが、悲しいことにスキルのパラメータ上では他の素養と同じく剣術のパラメータも0です。

おっかしいなぁ、爺さんが営んでる道場じゃ負けなしって設定のはずなのに……。

という訳で、リドル君が闇のていおう(笑)に就職して、トカゲになって、人をぶっころころしまくったせいで闇の時代が到来し、その後赤ん坊にイカしたイナズママークを刻むためにおっちんだ所まででオープニングムービーは終了です。

はい、なんとも間抜けな死に方でございましたが、今回侍ルートをプレイする一番の理由はこのリドルくんにこそあります。

最終章が近づくにつれて過激になっていく騎士団と死喰い人の戦い。そんな最中手下と自分から豪雨の如く死の呪文浴びせられてるのにそれらを全て修羅のごとく叩き落として首を狙いに迫り来る主人公を見て顔面引きつらせてドン引きするリドル君……見たくない??いや、見たい(自問自答)。

――そうだよね!みんなも見たいよね!分かる、分かるよ!

それじゃあその目的を達成するのはだいぶ先になってしまうと思うけど、張り切ってやっていきましょい!

まずはオープニングムービーが終わったのでキャラクリですね。

とはいったものの、このルートは勿論通常ルートなんかでさんざんキャラクリしてるので今回は容姿も名前もランダムで決めてしまいましょうか。

……はい、完了しました。

髪色は黒で、長髪タイプのポニーテール。サイドのこめかみのところからは顎と同じくらいまで横髪が伸びていて、前髪は右目の所で分けてますね。

瞳の色はくすんだ桃色で、ハイライトはあまり目立たないタイプです。場合によっては瞳の中に流れ星とかハートとか浮かんでるやべーやつになることもあるので、こんな瞳でも全体的に見ると無難な部類に入ります。

それで名前は『桜川 花蓮(さくらがわかれん)』ちゃんですか。なんだかランダムで決定したにしてはそれらしい感じになりました。

……別にどう解読しようとしても名前の中にホモもレズも隠されてないので一時停止して悩まくて結構です。

では、ストーリーを勧めていきましょう。

 

 

 

 

 

道場の真ん中で素振りをしていると、外から爺様の呼ぶ声が聞こえてきます。

おうよ爺様!今行くぜ!

手に持っている木刀を壁に掛け、声のした方へ進んでいくと爺様と並んで縁側で陽の光を浴びている老人がこちらをにこやかに見つめています。

……どちらも良い歳した爺さんなので、このまま昇天しそうな絵面ですね。いつから我が家は老人ホームになったのか。

そして動画初登場の原作キャラは皆さんご存知糖尿病マーリンのひげことアルバス・ダンブルドア。正式にはアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア殿でございます。

この秘密主義のクソジジイのせいで我々プレイヤーが原作で知っているけどキャラクターは知らないから行動できない、早く情報よこせよ知ってる体で動きたいからとヤキモキさせられた回数数しれず。

私個人としても愛の妄信者であるこいつはあんまり好きではありません。ですが、今回プレイするルートではいかに彼の信用を得るかに掛かっています。そのためなら私は彼の犬でも猫でも不死鳥……は無理そうなのでインコにだってなってやります。オウムも可。

わぁ!ダンブルドアおじじ!くぅんくぅん、わんわん!お靴ペロペロさせていただきやす!!

 

「おう、カレン。今日はお前に紹介したい奴がいてな。儂の隣にいるこの爺さんだ」

「はじめまして、カレン。儂はアルバス・ダンブルドア。イギリスの魔法学校で教師をしとる。君のことは君のお爺さんからよく聞いとるよ。とても優秀な剣士でありながら有望な魔法使いの卵だとのう」

 

なんて言われてますが、変身術も防衛術も闇の魔術も魔法薬学も剣術もパラメータ的には0です。まったくもって悲しい限り。

せめて剣術にくらいボーナス付けてもらいたいところですが、そういったことはちっともありません。

一応諸先輩方が呪文の習得率が上がっていたり、パラメータの伸びが良かったり、何かしらのフラグの要因になるのではと今現在も検証が重ねられていますが、未だにその辺は不明です。まぁ、コンテンツが膨大なゲームだしね、今後の諸先輩方の頑張りに期待しつつ、ストーリーを勧めていきます。

長ったらしい現在の世界情勢の説明や世間話をまとめてバッサリカットして、その内容を要約すると「昔君の爺さんとの約束で孫をホグワーツに通わせることになってたから君はマホウトコロじゃなくて来年ホグワーツに行くことになるよ。ついでに同学年のハリー・ポッター殿とお友達になってね」という感じです。

は~???なーにいきなりやって来てふざけたこと言ってんだこのクソジジイ。

糖尿病爺はさっさと介護施設にぶちこまれてどうぞ。

と言いたいところですが、自信ありげかつお前の目的も分かってるから任せとけ的な表情で頷いておきます。

ちなみにこの際、というかこの爺と会話する際には基本的に目を合わせてはいけません。無許可で乙女の心を丸裸にしてあんな記憶やこんな記憶を根掘り葉掘りせっせと掘り起こしてきやがるからです。

ほんとにさっさと捕まったほうがいいと思います。

アズカバンッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!

 

組分け帽子が本当に組み分けるべきはこの爺なのではないでしょうか。

 

 

 

 

ということで、ちょっと早いですがカレンちゃんのホグワーツ収容が決定した所で今回はここまで。

ご視聴ありがとうございました。

次回も見てね!



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侍ちゃん#2 出立からホグワーツ特急まで

皆さんオハコンバンニチワ。

今回も張り切ってハリポタVR進めていきましょう。

 

前回は徘徊老人糖尿病患者からカレンちゃんがホグワーツ強制収容のお知らせを伝えられたところまででしたね。

まったく、何が悲しくて眼鏡のガキ一人の為に国を跨いで飛んでいかにゃならんのか。

甚だ疑問でなりませんが、そういうストーリーなので仕方が有りません。

あの後軽い世間話(ゲーム側からの世界観の補足)をして糖尿病は姿くらましで消えていきます。この時点でホグワーツ収容日までそう余裕は有りません。

夢のトカゲ野郎首刈り作戦を実行するには一日たりとも無駄にするわけにはいきませんので、先程ムービーでカレンちゃんが居た道場へ全力ダッシュで戻ります。

壁にかかっている木刀を手に取り道場の中心へと行きましょう。

これから何をするかを説明する前にまずはこのゲームにおけるパラメーターについてお話する必要がありますね。

ハリポタVRではこれからホグワーツで学ぶ学問それぞれに経験値が存在し、その分野に関する何かを行うたびに値を得ることが出来ます。

その結果として一定以上の値に達するたびに新しい魔法やスキル、薬を作る事ができるわけです。

例外としてストーリークエスト中に流れでまだ作ることの出来ない魔法薬を作ったりする事もありますが、それはそのストーリー中での一回のみです。

任意のタイミングで作りたいと思ったら自分の魔法薬学の経験値を上げる必要があります。

それらを踏まえて今からすることを説明します。

恐らく皆さんすでに気がついているかもしれませんが、刀で戦うには刀の経験値を上げなくてはならないのです。

実家の道場では負けなしという設定も、あくまでフレーバーでしかなく、実際の数値的なボーナスは欠片もありません。

私も初めてやる時に多少はあんだろと思ってキャラステータスを開いた瞬間普通に0でビビりました。

バグかと思って開いたり閉じたり再起動を繰り返しましたが表記は変わらず。

ふ○っきゅー。

てなわけで、居間現在のカレンちゃんは初めて刀を握ったも同然というわけです。

刀で魔法を弾きたければ弾けるところまでスキルを上げなくてはなりません。

んー、何だこのクソ仕様は……。

まぁ、そこまで出来るようなパラメーターになってれば盾の呪文なんぞ紙切れのように切り裂くようになるのであんまり楽にしたらヌルゲーになっちゃうのは分かるんですけど、だからといって0はないだろ0は。

運営はカレンちゃんに親でも殺されたんだろうか。

などと考えながらも木刀を振り始めます。

救いなのは刀のスキルに関わらず同じ動作でもその動作によって上げられる経験値の上限までは特別な何かを挟む必要がないということですね。

心を無にして繰り返すのがコツです。

セブルス・スネイプが一匹。

セブルス・スネイプがニ体。

セブルス・スネイプが三隻。

セブルス・スネイプが四膳……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セブルス・スネイプが一万四千九百九十八頭。

セブルス・スネイプが一万四千九百九十九米突。

セブルス・スネイプが一万五千突節!

 

ダンダララララン!という無駄に豪華な効果音とともにスキルがレベルアップしました。

取り敢えず単純な素振りで上げられるレベルはここまでかな?

なんとかホグワーツ収容日前夜までに終えることが出来ました。いやー、昨日の夜にランダムイベントの『弟弟子からの挑戦状』が発生した時は少し焦りましたね。

アレが入るとその日の夜はイベント終了し次第就寝してしまいますから。

ただ、イベントクリアで獲得した『羨望と祈願』は一夜分まるまる吹っ飛んだ分はあると言えるだけの効果があります。

『羨望と祈願』の見た目は普通に神社で売っていそうなお守りで、本体色は青、紐は桃色の門下生達の手作りお守りです。本体中央に下手くそな刺繍で「安全祈願」と書かれているのが可愛らしいですね。

このアイテムは装備時に攻撃を受けた場合一度だけダメージを一定数肩代わりしてくれます。

後半になってしまうとダメージ量も大分大きくなりますので役に立ちませんが、序盤の中ボス、学年最終ボス戦等では大きなアドバンテージになるでしょう。

トロールとか後頭部に帝王を搭載したハゲとかね。

 

 

 

そんなこんなでホグワーツ収容日当日。

糖尿病爺の巣になんぞ行きたくありませんが、行くしかありません。

全てはより大いなる善(トカゲ斬殺)のために。

さぁ、昨日の夜に準備したトランクを持って!(ストーリー的に準備したことになっている)

今日のために事前に爺様が用意してくれたおニューのコートを羽織り!(ストーリー的に買ってもらったことになっている)

爺様がくれた()()()()()()()()()をコートの内ポケットにしまい!(ストーリー的に以下略)

玄関を出ていざ出発!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と意気込んだは良いものの、ブラックアウトして次の瞬間にはホグワーツ特急の前です。

なんたらとなんたかの三番線に既に立っています。

周りでは別れを惜しむ子供と両親が抱き合ったり言葉を交わしているのが見えます。

べ、別に寂しくなんて無いんだからね!

ちょっぴり光った目尻をうつむくことで隠しつつ、トランクをガラガラ引きずるようの長い取っ手から横についている持ち運び用に持ち替えて颯爽とホグワーツ特急に乗り込んでいきましょう。

うーん、やはりこのゲームにおける一番の魅力はこのリアリティにありますね。

長年使い込まれたことによるシミや傷。

さりとて丁寧な整備の行き届いた車内。

古ぼけたというよりは使い込まれたと言うべき匂いまで。

フルダイブ故に生まれる良さを最大限活かしているといった感じでしょうか。

素晴らしい、いぐざくとりー、えさくた。

おっと、汽車の廊下でうっとりしている場合でありません。

ここで一つ今後このストーリーを攻略する上で大事な仕込みがあるのです。荷物を置くコンパートメントを決めたらこの時点でローブに着替えて再度廊下に出ましょう。

取り敢えず目的の奴がいないかこの時点であちこち見回してみます。

……どうやらこの近辺にはいないようですね。呪文を使えれば楽なんですが、呼び寄せ呪文は入学前のお嬢ちゃんが使えるような呪文ではありませんし、より現実的な話をしてしまうとカレンちゃんはここ数日木刀しか振っていませんので呪文学のスキルレベルが0のままです。つまりはおひさまなんたらやビューンヒョイどころか杖明かりすら使えないということです。

まったく、情けなくて涙が出てきますね。まぁそのうち魔法生物だろうが死喰い人だろうが秒で三枚おろしに出来る様になるんですから今は涙を飲んで徒歩で探しに行きましょう。魔法に頼ってばかりでは足腰が弱ってしまいますからね。

休みぶりの再会に笑顔で歓談する上級生達をかき分けながら移動します。

オラオラ!カレンちゃん様のお通りだ!どきやがれ穢れた血共!!

ちなみに余談ですがカレンちゃんは母方は土御門かどっかで父方の桜川家も純血の家系のはずなのでゴリゴリの純血です。

などと話している間にも発見しました。隅の方で頬を膨らませているでっかいカエルです。

そう、このタイミングで出てくるカエルといえば皆さんご存知トレバーさんです。半泣きのロングボトム君が箒頭の出っ歯少女と一緒にいなくなった此奴を探しに来るイベントは皆さんもよくご存知でしょう。

正直言ってあまり触りたく有りませんが、覚醒ロングボトムのフラグのひとつなので我慢して触ります。

下手に躊躇すると予想以上の脚力で逃走を図ろうとするので一気に行きましょう。

おっすトレバーさん、おとなしく捕まりな!オラッ!

やべ、逃した。

ちょ、ちょっとまって!まさかRTAではないけれどこんな所でガバを披露することになろうとは!いやいやいや、ほんとに待て、このイベントは箒頭に先に捕獲させる訳にはいかんのだ。

ドラァッ!!

――はい、若干先程よりも潰れてしまったような気がしますが、まぁ問題ないでしょう。多分、きっと、メイビー。

いざとなればお尻から空気でも入れて膨らまそ……。

そうこうしているうちに後ろから話しかけられます。

はい、件の箒頭ちゃんことハーマイオニー・グレンジャーちゃんです。

自分からトレバーを見なかったかと一発目に聞いてきた癖してこちらが返事をする前にマシンガンも真っ青なスピードトークでまくし立ててきます。

やれ呪文はどうこうだの試験がどうだのと止まる気配がありません。

彼女は呪文学0の私をおちょくっているのでしょうか?そうに違い有りません。これだから汚れた血は……。

取り敢えず彼女はこのまま話し続けると確か自分の喋れる内容が終わるまでの二十分間給水も休憩も無しに喋り続けるのでこちらから会話を遮ってあげましょう。

ほら、お探しのモンだぞ。

カレンちゃんの手の中のカエルを見た途端に本来の目的を思い出したのか、確認のためにネビル君を呼びに行きました。

まもなくしてやってきたネビル君に間違いなくトレバーを渡します。

これで例の隠しクエストのフラグが立ったはずです。

そそくさと自分が荷物を置いたコンパートメントまで戻ると、中には既に人がいるようです。

本来であればこの際に中に座っているキャラはランダムで決まります。

主人公がノーマルであればハリーとロンの確率が一番高く、イギリスの魔法使いの純血系の家系であればマルフォイ一行の確率が一番高いです。

ただ、今回の侍ルートではストーリー的にグリフィンドールに入ることが確定しているので確定でハリーとロンが座っています。

他愛ない会話をしつつ、三人でホグワーツまでの汽車の旅を楽しみ今回はここまで。

ご視聴ありがとうございました。

次回は組分けです。我らが寮監(未来)のマクゴナガル先生に身なりを整えてと言われるので、しっかり爺様からの餞別も装備して糖尿病爺の前に出ていきましょう。(ニッコリ)

 



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侍ちゃん#3 組分け(ダンブルドア視点)

新入生が列を成して大広間の中央に並んでいる。

美しい天井の夜空を見上げ恍惚とした表情を浮かべている者、自身がどの寮に組み分けられるのかを緊張した面持ちで待つ者、早くも出来た新たな友人達とまだ見ぬ未来へ思いを馳せる者。

どの子も皆一様に新たな日常に心動かされておる。

教員席から彼らを見守る教師達の瞳は数名を除いて穏やかで、恐らく彼らも自分達がかつて同じように組分けの儀式を受けたことを思い出しているのだろう。

そしてこの儂、アルバス・ダンブルドアもまた同じく教員席からこの城の新たな家族を見守っていた。

今年はハリーと、更にはあやつの孫まで入学してくる。まず間違いなく大きな混乱が予想されるじゃろう。

かつてヴォルデモート卿を打ち破り、暗黒の時代に終わりをもたらした英雄と最も多くの死喰い人を屠った剣聖の孫。どちらも今のイギリスではネームバリューが大きすぎる。

それを本人達が全く知らないというところまで共通しているというのは最早なにかの因果かもしれんの。

そうこうしているうちに組分けの儀式が始まった。

緊張に見を震わせて名前を呼ばれた少女が正面に座っている儂を見上げながら組分け帽子まで歩んでいく。

不安そうな目をした彼女に一つ安心させようとウィンクを飛ばしてやれば――――背筋が一瞬凍るかと思うほどの鋭い視線が飛んできた。悪寒の元へと目を向ければ、列に並んでいるカレンが酷く荒んだ瞳でこちらを睨んでいるのが見える。その瞳の内に宿る軽蔑と蔑みを感じるだけで彼女が何を言いたいのかありありと感じることが出来た。

おお、そんなに冷たい目で見んでくれカレン。別に今のは緊張をほぐしてやろうとしただけじゃ。

何故か分からないがあやつの孫であるカレンからは酷く嫌われているようだった。

心当たりと言えば強引に留学の件を儂とあやつだけで決めてしまっていたことか。本人には既に了承をもらっているものと思っていたので、現地で自己紹介をするとなった三分前に縁側で寛ぐあやつからまだ留学について一言も話していないと言われた時には心底驚いた。

ホグワーツへの留学の件を話に行った時は完璧な笑顔で快諾してくれたが、やはり彼女にも思うところがあったのではなかろうか。

しかし、ハリーが入学する年なのだから城の防備は万全を期すに越したことはない。あやつ本人を喚べれば何よりじゃったが、かつての戦いで受けた傷のせいであの頃のようにはもう刃を操れなんだ。

願わくば、彼女もこれまでの生徒同様この学校で真の友と叡智と溢れんばかりの思い出を手にしてくれることを祈ろう。

 

「サクラガワ・カレン!!」

 

ついにカレンの名前が呼ばれた。サクラガワの姓に大広間がざわつく。大広間の中央をゆったりと歩く彼女の姿を生徒たちが捉えた。生徒達の声を切り裂くようにカツカツとカレンの足が石の床を歩く音が響く。

彼女の腰に下げられた物が視界に入り、思わず頬がひきつる。

儂と同じくそれを見た生徒達もそれぞれ異なった反応を見せた。

グリフィンドールの生徒は無意識に小さな歓声を上げ、レイブンクローの生徒は興味深げにそれを見つめる。ハッフルパフの生徒は少し不安そうな顔で見つめ、スリザリンの生徒に至っては数名悲鳴を上げながら椅子から転げ落ちた。

椅子には座らずこちらを凝視するカレン。そのくせ開心術を警戒しているのか全く目を合わせようとはしない。

カレンが静止したことで今まで彼女の左腰で揺れていたそれも同じく止まる。

間違いなく上等な魔法生物の革で作られたであろうベルトによって固定されたそれは、かつて戦友が振るっていたカタナ。幾千もの魔法を切り裂き、それと同じだけ死喰い人や闇の陣営の勢力を切り捨ててきた一品である。

日本であやつと別かれる際に組分けではきっと驚くことになると言っていたが、まさかこういう路線で来るとは思わなんだ。

心做しかドヤ顔をしている気がするカレンに苦笑いを返してやれば、それで満足してくれたのか大人しく組分け帽子を被った。カレンの父親と母親にも会ったことがあるがどちらも落ち着いた雰囲気の夫婦だ。ともすれば彼女のこれはまず間違いなく祖父譲りじゃろう。

彼のいたずらカルテットが一人、ジェームズ・ポッターの息子にあやつの孫娘。間違いなく今年からフィルチの仕事量が倍増するであろうことを予想して、すでにウィーズリーの双子で過労気味な彼へ心のなかでエールを送った。

その後組分け帽子がしばらく悩んだもののカレンはグリフィンドールに組分けられ、ハリーも同じくグリフィンドールへと組分けられた。

ハリーはウィーズリーの末の子と、カレンはまた別の女生徒と早くも仲良くなっているようだった。

彼らの学生生活は恐らく普通とは言い難い物になることは既に必定。時には恐怖や悪意が濁流のようになって押し寄せてくることもあるだろう。そんな時、手を取り合って立ち向かうことの出来る友を作ってくれることを願いながらも、アルバス・ダンブルドアは目の前の皿に向けて糖蜜パイを注文するのだった。



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侍ちゃん#4 必要の部屋スキルレベルリングから成金マルフォイとの遭遇まで

皆さんどうもオハコンバンニチハ。

本日も気合を入れてムショぐらし……じゃなくて、学校生活頑張っていきましょう。

 

前回は禄に明かりもない汚らしい道を延々歩かされた挙げ句に在校生の前でこれまた小汚い帽子を被らされて見世物にされました。まぁ幼女に色目を使う爺が校長をやっている学校ですから、仕方のないことなのかもしれません。

さて、新しい朝が来ました。希望の朝でございます。本日から始まる学校生活に胸をときめかせて(無表情)いると、同室になったハーミーたそが興奮気味に話しかけてきます。

やれ早く起きないと朝食がなくなるだのギリギリまで寝ているなだの勉強の予習をしないのかなどあいも変わらずマシンガンガールな彼女のことは放っておいて身支度を整えます。

といってもパジャマから制服に着替えるだけなんですが。

特にゲーム上で顔を洗うだとか歯を磨くようなコマンドは存在しません。ちなみにこの着替えをする際に着られる衣装の入手場所はゲーム内に点在しており、一番容易なのは服飾店で購入することです。購入した服はタンスやクローゼットのある場所なら任意のタイミングで自由に着替えることが出来ます。それに、私は持っていませんが確か早期購入特典だか予約特典だかで『ダンブルドアのローブ』が貰えたはずです。まぁそんな加齢臭が染み付いていそうなモンこれっぽっちも欲しく有りませんが、年末の大掃除の時に台所周りの油汚れを刮ぐ布くらいには使えるかもしれませんね。

さて、一年生時にしか味わえないピカピカの制服を身に纏い、朝食の場に赴きます。

おっす、メガネに赤毛。元気してるか?

そうかそうか。

二人共元気に返事をしてくれました。どうやら絶好調なようです。

おっと、ここで重要事項ですが、今作では食事によってバフを掛けることが出来ます。某狩りゲーの様ですが、イメージ的にはあれを想像してもらうのが一番分かりやすいでしょう。

あちらと違うのはパラメーターだけでなくスキルレベルの経験値効率も上がるという点です。朝食はこれから行う授業に、夕食は今夜から始まる秘密の部屋ブートキャンプで大いに影響を与えるものなので、欠かさず摂取するようにしましょう。

カレンちゃんの現在のスキルレベルのパラメーターは剣術に尖りまくっていて他は0のままなので、今朝の朝食は筋力を上げてくれる肉とじゃがいもを選択しましょう。

みんな既にお皿に盛り付けられてあるものを食べていますが、更に向かって注文すれば厨房のしもべ妖精達がどうにかしてくれます。

ささ、お皿さんローストビーフとハッシュドポテトをだしておくれ。

カラン、という皿が震えたと同時に皿の上には注文した品が出ています。さすがしもべ妖精仕事が早い。

ムシャコラァと朝っぱらから消化に悪い朝食をバカスカ食べて授業に備えましょう。

あぐ、あぐ、うむ、うまい(無味)。

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ということで本日の授業が終了致しました。

今日一日各教科の授業を受けたことでようやく剣術バカだったパラメーターが若干マシになりました(本当に少しだけ)。

夜になりましたのでこれから部屋ブートキャンプへ向かうとしましょう。そもそも部屋とは何なのか、ところから説明させて頂きましょう。必要の部屋とは、ハリポタ作中でDAの特訓に使用された部屋で、その時必要だと思った何かに対してそれを満たしてくれる部屋に自動的に構造が変化するというなんとも便利なお部屋のことです。

このゲームでは変化する部屋の種類にいくつか制限があるものの、それでも便利なことに変わりはありません。

そんな便利な部屋をスキル上げに使わない手はありません。

部屋の扉が現れる石壁の前を3回往復すると、選択肢が目の前に出現します。

いくつかある中から本日は呪文学の練習に特化した部屋を選びましょう。その部屋の施設を使用しない場合でも、選択した部屋によって経験値ボーナスが入ります。こういうところを積極的に使用していくのが効率的なレベリングのコツですね。

選択した直後に今までただの壁だった場所に両開きの扉が出現します。

中に入ると、杖を持ったカカシや壁にかかった剣に盾が目を引きます。カカシは原作でも使われていた様に武装解除等の練習用で、壁の武具類はただのレイアウトです。一応剣の方は剣術のスキルレベルを上げていると刀と同じ様に使えます。刀と西洋剣じゃあ目的や使い方が違うというのはありますが、そこはまぁ本来魔法でバチバチ戦うゲームなのに刃物振り回そうってんだから多少はね?

さ、時間がもったいないのでさっさと本日練習する呪文をご紹介いたしましょう。本日は皆さんご存知、杖灯りを練習します。ルーモス(光よ)で点灯ノックス(闇よ)で消灯です。このゲームは他のファンタジーRPGなんかと違ってマジックポイントの概念がありません。つまり杖さばきとスキルレベル次第で使い放題ということですね。世界観的にも疲れている様子は描写されていても「別に魔力が切れて……」とか言ってるやつ見たこと無いので原作の世界観そのままを引きついでいるのでしょう。その分敵も強い方々は高威力の魔法をバチバチ撃ってくるんですが。

まぁ、なにはともあれ。

今からやるレベリングで好都合なのは、限界を気にせずアホみたいにスキルレベル上げが出来るということです。こんな感じに。

ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)ルーモス(光よ)ノックス(闇よ)……」

 

魔法薬学とかはもうちょっと手順があるんですが、呪文を唱える系のスキルレベル上げはだいたいこんな感じです。

目の前で光ったり消えたりが繰り返されるせいで目がチカチカする気もしなくもありませんが、ルーモス・マキシマ(強き光を)より全然マシなので耐えます。

この後活動限界時間の深夜3時までこの少女が棒きれ振ってピカピカするだけの絵面が延々と続くので、翌朝までカット!!

 

 

 

 

 

 

 

あーさー!!!!

眩い朝日の祝福に導かれて目を覚ましました。(別に起きても黒い球体が目の前にあるわけではない)

お隣で箒頭ももぞもぞと起き出てきます。

一生懸命治ってんだか治ってないんだかよくわからん頭をブラシでゴシゴシしてるハーミーちゃんは放置して、朝飯を食いに行きましょう。

ムッシャコラ!うめぇうめぇ!!

おや?ハリー坊ちゃんと貧乏人のウィーズリーが成金マルフォイに絡まれてますね。あ、これはあれですか、トロフィー室の決闘の下りですね。言い争っているのを隣の席で聞きながら芋を齧っていると、何やらこちらに成金の悪口が飛び火してきたようです。

ほう、何々?マグル生まれは食い意地が張ってて卑しいって?

何だとテメェこの野郎こちとら多分日本で一番純血の濃ゆい血筋じゃぞゴラァ!!舐めんなよ成金がァ……。(ガン飛ばし)ちょこちょこ家系図誤魔化しつつ薄まっていく血と繰り返される近親婚に板挟みになった高々数百年しか歴史のねェ新興貴族如きがこの桜川様になめた口を聞いてくれんじゃねェかァ。(メンチ切り)どう落とし前をつけるつもりだァ?日本じゃこういう時には腹を自分で切って死んで詫びるんだぞォ。

おっと、少し脅かし過ぎたのか青い顔をして半泣きになりながら逃げていきました。

ようやく静かに飯が食えるな。うむ?ハリー坊ちゃんとウィーズリーもさっきの成金と同じく顔を青くしたまま手に持っていたスプーンを置いてしまいました。

もっとちゃんと食べなくちゃ力が出ませんよ!もう!

え?食欲がない?そんなイベントあったかな……。体調不良イベント的な?日によって変わるの?

まぁ、いいや。お、箒あた……ハーミーちゃんそのウィンナーいらないの?じゃあちょーだい!

 

 

 



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