歌う乙女の成り上がり (真嶋永遠)
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本編〜1話完結〜

初投稿でよくわかんないです。
妄想垂れ流しだし、口調バラバラなので暖かい目で読んでください。お願いします。

2話目(蛇足)投稿してから大幅修正するという鬼畜

戦闘シーンとか加筆修正しました。


今日からユグドラシルプレイヤーです。ここで私は、最強プレイヤーの一角として活躍していくのです。

 

 

 

 

なんて思っていた時期もあった。

ギルドにも所属せず今はソロの歌特化、キャラ名エレインス・エレオリーとしてコソコソプレイしているのが現実。

 

 

まずは私などんなキャラ作りをしたか。

色んなゲームをプレイしてきた私だが、個人的にこういうゲームは物理や魔法、全部をやろうとすると器用貧乏になりがち。だから私は特化型でやって行こう、でもありがちなのはやだ、と思ったわけで。ただ…選んだ職業と種族が間違いでした。

 

職業…歌い手、踊り子、種族…セイレーン

 

ただでさえ貧弱なステータスの種族なのになんで戦闘出来ない補助職なんだよ!そういうのは強い人と仲間になれる保証が出来てからにしろよ!

と、当時の私に言ってやりたい。

 

 

最初は楽しかった。たった一人の友人がパワーレベリングに協力してくれてたし、装備も母がデザイナーだったおかげで頼んだら綺麗な物をいっぱい作ってくれた。

しかしいくらかレベルが上がってきたことで、壁が現れた。…ステータスの貧弱さと課金の限界。多少の課金は私もした。実家暮らしでバイトのお金が貯まっていたから。指輪も10個装備出来るし、キャラデザインも母に頼んで美しくしてもらった。

ただ、今の私に合うレベルの装備を揃えるにはガチャがほぼ必須…

市場に出回る装備は私には高いし、歌・踊特化型に合う装備もほぼない。

挙げ句の果てに一緒にプレイしていた友人は引退していった。

ステータスが貧弱でソロになった私にはレアドロップを狙って上位クエストを受けることも出来ない。

異形種だけに討伐パーティにも参加出来ない。

 

そんな私は、夜勤のバイトから朝帰ると、ユグドラシルでレベル上げに勤しみ、寝た後、昼頃に仕事に行く。そんなふうに過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、今日はこんなもんかな」

 

今日もコツコツレベル上げして今はクラスレベルがすべてMAXになっている。種族レベルを上げられるとはいえ、新しいクラスを手に入れる必要がある。

 

「市場の見物がてら情報収集に街へ行くか…」

 

 

 

 

 

「せっかく空飛べる種族なのにな」

 

やっと街に到着した。

PKが怖くて歩きだから、時間がかかる。転移系の魔法覚えたい…

 

人化の指輪の効果で人間種の姿になり、街へ入った。

街ブラタイムです。

弱いモンスターしか倒してきてないが、初心者向けのモンスターの金貨ドロップキャラをコツコツ倒したおかげでそこそこ資産がある。楽しみ。

 

市場で商品を見ているとひとつのアイテムが目に留まった。

歌と踊りの指輪(リング・オブ・ジャ○ーズ)と名付けられたもので、店主によると有名な生産職の方が好きなアイドルの引退を機に作ったものだそうだ。

そして、その効果の使いづらさから売りに出されていた。

私にとっては尋常ではない価格だったが私は迷わず購入した。その効果は価格のわりに、伝説級にギリギリ届きそうなほど高く、まさしく私のために作られたかのような効果。…まあ、引退するアイドルのためでしょうけど。

素敵な装備に出会えていい気分になった私は、しばらくこの街で情報収集することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホントにこんな所でクエストがあるのかな?」

 

路地裏に到着した私は目的の人物と思われる男性(NPC)に声をかけた。

 

「歌う華亭の主人ですか?」

 

普段は話しかけても普通のNPCと変わらない反応しかしない男性は、特定のクラスを修めると、こう話しかけた時に自動でクエストが開始される。

 

この情報は行き詰まって色んなNPCから話を聞いていた時、たまたま寄った歌う華亭と言う酒場で、そこに通って妙に親密度の数値が上がったNPCに教えてもらったものだ。

 

男性は私に付いて来るように言ってから歩き始めると、今お店の歌手が休養に入るからアルバイトとして夜に来て欲しいという趣旨の話をしていた。(後でログ読んだ)

 

 

歩いて着いた先はちょうど歌う華亭の裏に位置する場所で、働く時はここから入るようにと指示されてから、自由に行動出来るようになった。自動ストーリーは終わったようだ。

 

「時間は私が指定できるんだね」

 

クエスト時間を指定してから、ログアウトした。

 

 

 

 

母のグラフィックデザインのおかげで何人かの男性にナンパされながら街ブラで時間をつぶし、指定した時刻になってから歌う華亭を訪れた。もちろん裏口から。

自動ストーリーに入ると主人に迎えられ、歌手の女性(NPC)を紹介される(今度はちゃんと聞いてた)。女性は挨拶を交わすと本を手渡され、明日までに読むよう言われて自動ストーリーが終了したが、私はポップ地点(安宿)に戻ってから確認することにした。

 

 

 

本を鑑定すると、この本の使用と、歌う華亭で一定期間働くことがクラス条件だと分かった。先が見えてきた。

その後はいつも通り狩りをしていた。

 

「もうこんな時間か」

 

そろそろ寝ないとまずい時間になりログアウトするが、仕事から帰りユグドラシルをログインするのが楽しみだったのは、かなり久々の感覚だった。

 

 

 

 

ログインして、狩りで暇をつぶしたあと歌う華亭に着く。

歌と踊りを披露するためにドレスアップされ、ステージに上げられた。

歌や踊り自体は自動で行ってくれるのだが、クエストにはスキル使用が必要なようで、消費使用回数の確認が表示された。

どうせ今日はもう狩りに行かないし、スキル使用回数をすべて注ぐと、スキル使用の度に上がる歓声がとても気持ちよかった。客はNPCだし、私の歌と踊りでもないけどね。

 

 

曲が終わると、自動ストーリーモードが終了し、結果が表示された。

 

「え!嘘でしょ?」

 

表示結果には、アルバイト報酬の金貨と歌う華亭での人気%アップ、微々たるものだがおどろくことにステータスのアップが表示されていた。ステータスがレベル上げや装備品、特殊アイテム以外で上がるとは思いもしなかった。

そして私はある仮説をたて、数値を保存しておいてからログアウトした。

 

 

 

今回は仮説検証のために狩りに行かずにここへ来た。店に到着すると早速ステージでの曲が始まる。ここで、すべて残しておいたスキル使用回数を消費する。

やはり歓声に気持ちいい。こころなしか前回より歓声が大きい気がした。

 

 

結果ではやはり、報酬の金貨とステータスアップ、人気%アップが表示された。さらに表示結果は前回より上がっている。金貨報酬は人気%分増えていて、ステータス、人気%アップもスキル使用回数分前回より上がっていた。たてた仮説の通りだった。

 

「私はすごいクエストを発見してしまったのかも知れない…」

 

 

 

ついに最終日、いつも通り曲を終えると、店の主人がやって来た。

「これで仕事は終わりだが、報酬は支払うからいつでも来て歌って欲しい」と言い、クエストが完了した。

これで新クラスが手に入るはずだ。

 

 

 

 

 

クラス・アイドルを獲得しました。

 

「は?」

 

…クラス・アイドルってなんだろうか?情報がないクラスだし。

恐らく歌い手と踊り子系の複合した上位クラスなんだろうけど、魔法は相変わらずあまり覚えないクラスのようだ。

何よりクラス名がアイドルって、恥ずかしいやつだね。

まあステータスはクエストのおかげでだいぶ上がったし、今までよりは上位のクエストでもなんとかなるだろう。

 

そして、気になるのは歌う華亭のNPCの言葉、また来てくれと言ってたし、レベル以外の方法でステータスが上がる以上、行かない訳には行かない。

 

 

 

裏口から入るとやることは前のクエストの時と変わらず、曲が終わると結果が表示される。やはりというかとうぜんというか、報酬の金貨と、人気%アップだけだった。

ステータスがそんな簡単に上げられるわけもないよね。

 

今日からレベル上げ再開。アイドルというクラスがどのようなスキルを発生させるのか気になるしね。

 

 

 

 

結果的に言うと、私かなり強くなってた(前の私基準)。

普段、スキルや魔法に攻撃系がないから、バフを自分にかけての肉弾戦なのだが、単純にステータスが上がったことと、同じくステータス上昇にともなうスキルの強化によって、狩りが楽になっていた。

そしてクラス・アイドルのクラス特性、戦う時のエフェクトが綺麗になった。

 

「…やっぱり歌・踊特化はどこまで行ってもネタなんだね」

 

そんなことを呟いて嘆息しながら、今後の行動方針はレベルを上げ、街で情報収集がてら歌う華亭で歌っていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

クラス・アイドルもレベル最大になった。手に入ったスキルは

 

常在スキル…歌効果上昇、ステップ小(動き補正)、魅力小アップ、拡声小(歌射程増加)、視界阻害小

 

発動スキル…魅了する曲、昂騰する曲、傾倒する曲

 

歌・踊と併用できる強力なバフとデバフ、しかもレジストされても別の特殊なデバフが入るオマケ効果付き。

アイドル、バカにしてすみませんでした。どのスキルも有用かつ強力でかなり強いです。

 

そして歌う華亭での仕事の人気%も99%になった。次で100%になるので、何かが起こるだろう。

 

 

 

狩り場から街へ戻る途中、PKに会った。同レベル位の人だったが、返り討ちにしてやった。自分でもびっくり。

 

戦闘中、相手は攻撃外しまくってたのだが、戦闘後に確認すると、アイドルのエフェクトが視界を邪魔して命中率を下げる効果があるようだった。

戦闘自体は私のステータスは上がったとはいえ、貧弱であることに変わりはないから、倒しきるまでに時間がかかったけどね。

 

 

 

 

 

街に着き、いつも通り歌う華亭でクエスト受注する。

 

曲が終わり、ついに人気%が100%になった。

すると客席から商人っぽい男性が1人近づいてきて、懐から封筒を出すと私に手渡して来た。

 

「アイドル闘技場ワールド大会?」

 

中身を確認すると、闘技場入場チケット、参加チケット、そして開催日時が書かれていた。

 

 

 

 

 

アイドル闘技場ワールド大会の開催日がついにやって来た。

開催日まで、新たなクラスがないかNPCに聞きまわり、クラス・スターアイドルを手に入れカンスト、種族レベルも上げ、進化して種族セイレーンの女王(セイレーンロード)になっていた。上位クエストを受注出来るようになり、装備もそこそこ充実していた。

そして、どんな大会なのかと浮き足立っていた。

 

 

 

招待状の通りにアクセスするとアイドル闘技場にワープ出来た。

ユグドラシルのいくつかあるワールドとはまた違う空間らしい。

 

「すごい人の量だ」

 

まるで人がゴミのようだ。と思ったが口には出さないでおいた。異形種の私が言うと目をつけられかねないと。

 

開会時間まであと10分と言ったところで、観客席もいっぱいだった。攻略サイトにも載っているような有名なギルドの人達も来ている。あ、あのアバターも見たことある。

 

 

 

開会式が始まると、ユグドラシル運営が司会者として競技と参加者の発表を行っている。

参加者は30人ほどでユグドラシルプレイヤー数からすればかなり少ない。

競技の数日かけてのトーナメント戦はまさかのPVPで、肉弾戦だった。

アイドル投票とかじゃないんですね。

そして何より驚いたのが、その景品だった。

 

 

 

 

 

開会式のあとはついに競技開始。

参加者は戦う度にスキル回数や魔力が最大にリセットしてくれるそうだ。

 

 

 

クジで決まったトーナメントで一回戦が始まる。

 

戦いが始まった。

人の戦い方を見るいい機会だと思ったら、あまりパッとしない。

アイドルスキルのおかげでエフェクトは派手だが、正直戦い方が下手だった。

少数を除いて皆似たようなものだった。

 

 

後に知る事だが、下手な人たちはみな支援職としてパーティやギルドにいるせいで、ろくに一人で戦ったことがないようだった。

さらに歌・踊以外の系統のクラスをとっている人が多く、アイドルの力を発揮して戦えていないようだった。

 

出場者の仲間らしき人達の会話に聞き耳をたてていると、歌う華亭以外でもアイドルは獲得できるようで、そこではどうやらステータスが上昇しないようだ。

それだと確かに一人で戦う発想が出ないかもしれない。

 

 

 

「続いてはぁ!エレインス・エレオリー選手の入場だぁぁあ!」

 

ついに私の出番がやって来て、闘技場の待機所に移動する。

どんな相手だろうと油断は禁物だ。自らの頬を叩き気合いを入れた。

 

 

 

 

 

 

…えっ、相手弱すぎないか?

相手はアイドル止まりで、私はスターアイドルをカンストしてて、当たり前っちゃ当たり前だけど。

相手がバフ系を使おうとしている隙に殴り飛ばしましたけど何か。

そもそも私の方がスキル効果強いし発動時間も短いんだけどね。戦い方がやはり下手。

歌って踊りながら発動までその場待機って…攻撃してくださいって言ってるようなものだろう。

今までは盾役の後ろで範囲攻撃に巻き込まれないようにしながら支援してれば良かったんでしょうね。ゆとりだね。

 

そのままなんの障害もなく勝ち進んで行った。

 

 

 

 

代わり映えのしない相手たち。

たまに剣とか槍を持っている輩もいたが、そんなに変わらない。

 

 

ついに決勝。

相手はアイドル戦にセンスがあり、トーナメントが進むにつれて戦い方が上手くなっている人だ。

この人もトップアイドルだけど私と違ってカンストは出来ていないみたいだ。

てことは、ここぞという時にスターアイドルカンスト時のスキルを使うべきでしょうね。

 

 

 

遂に決勝の戦いが始まった。

 

戦闘開始のブザーと共に相手はスタジアムを周遊するように駆け出す。それに対し私は地面を蹴り真っ直ぐと敵に向かう。もちろん2人とも歌い踊りながらだ。

2人ともスピード系の歌と踊スキルを中心に使っている。敵はカンストでは無いとは言え、詠唱時間に関するスキルに違いは無いため特に差は生まれない。バフに差が生まれないという事は異形種として素のステータスが高めの私の方が有利だと思うが、別系統クラスによるスキルで敵も私同様に隠し球を持っている可能性もあるため、私は詰めの択を選んだ。

 

スピードをバフする舞踊の1回分を別の舞踊に切替える。

 

 

「スキル・磊落なる演舞」

 

 

スピードをバフする代わりに使ったのは舞踊家のスキル、効果は一定時間の間敵に攻撃が連続ヒットする度に攻撃力が上がるスキルだ。

これは攻撃を回避又は逆に攻撃によってダメージを食らうとバフがリセットさせてしまう。普通の戦闘なら範囲攻撃を使われるとたとえ微少ダメージ量だろうと解除されてしまうあまり強くない能力だ-それでも相手に本来とは違う一手を使わせることができるなら十分だ-が、アイドル同士の対決となれば範囲攻撃はほとんど限られる。故に強力な手札となり得ると戦闘前に思っていたのだ。

 

遂にお互いの攻撃のリーチに近付く。異形種かつ爪がある分私の方がリーチも若干有利か、だがモンクに近い舞踊系のスキルを取得していた場合は威力は低くなる代わりに攻撃範囲を広げるスキルで負ける可能性も考慮する。

 

ギリギリ攻撃が届く範囲に入り右腕を大振りを振るう。

相手もそれに反応し回避して懐に潜り込んでくるがそれは想定内、もちろん右腕の攻撃はフェイントだ。攻撃しようとストレートで放ってきた相手の右腕を左腕で横から掴み取る。

拘束無効系のスキルを持っているらしく後退するようにするりと抜けられ腕を掴んだままの攻撃は出来なくなる。だがスキルで拘束から抜け出した際の相手には一瞬硬直が生まれる。

一瞬で反応した私はそこに右腕で突きをお見舞いした。

相手はギリギリで回避しようとするがスキル硬直で間に合わない。胴心への攻撃はズラされたが肩へ一発入る。

スキルの効果で少し攻撃力にバフが入った。

相手は防御や回避のバフスキルを自身にかけ始めるが、私も即座にデバフで対応し一進一退。

さらに詠唱開始のタイミングで攻撃を合わせることで若干ノックバック効果が生まれ詠唱をキャンセルする。

フェイントや足技(尾技?)を組み合わせさらに反撃をいなし、攻撃力がどんどんバフされてゆく。

そして敵の癖を読み切った私の爪攻撃が遂にクリティカルヒットし大ダメージを与える。

だが当たったはずの攻撃はするりと避けられてしまう。アイドルが一戦闘に一度使えるスキル・お触り禁止による効果、戦闘中に一度相手からの直接攻撃(遠距離攻撃、範囲攻撃の場合も至近距離なら直接攻撃となる)を食らった時、ダメージを無効化し自動で回避する。もちろんその攻撃に付随する特殊効果も無効だし、しかも硬直無く行動に移れるアイドルにとって強力な手札となり得るスキル。これによって攻撃を回避されたのだ。

攻撃を回避された、つまり連続ヒットの攻撃力バフが遂にリセットされてしまった。

だがこの時を待っていた。

直接攻撃に限るとはいえ、相手の至近距離に行ってしまえばあらゆる攻撃を一度だけでも無効化してしまえる、アイドルにおいて受け性能最強のスキルを切らせることに成功した。

つまり…

 

ついに発動する時が来た。24時間に一度きりの能力

 

幻想と夢想の創造(クリエイト ザ ドリームツアー)

 

スタジアム内に私を中心としてステージが出現し相手はステージ外までノックバックする。さらにオートマタ軍隊が現れ、光るスティック状の武器を振り回しながら、相手に突撃していった。

 

オートマタは一体一体に特殊な能力はないがスピードが早く、ステータス自体はレベルは70にも達するモンスター。レベルカンストからすれば70レベルなど雑魚にも等しいがそれも数が集まれば対処は難しい。

さらにステージ周辺には転移阻害と飛行阻害の効果が発生し、軍隊から逃げるのは至難の技だ。

 

当然、相手は自身の知らないスキルに対処するすべを残しきれているはずもなく、軍隊の山に飲み込まれて行った。

 

 

 

私が優勝となった。

 

 

 

 

準優勝の人には金貨とレアアイテムが授与される。

 

優勝を果たした私はユグドラシルでただ1人の

 

クラス・世界の歌姫(ワールドディーバ)

 

を手に入れ、ギルド武器にも匹敵するアイテムが与えられた。

 

 

 

大会が終わりしばらくして、困ったことがある。

どこからIDが漏れたのか、多数の上位ギルドから破格の条件で招待されているのだ。

どこもすごいギルドばかりで、今までソロでコソコソとプレイしていた私には、混乱が抑えられない。

 

結局、もともと叔父に誘われて申請していた異形種ギルド、アインズ・ウール・ゴウンで、ギルド長のモモンガさんと叔父によるメンバーの説得と、ワールド・クラスを手に入れたことで参加が認められたのだった。

 

今では、メンバーみんなの姪っ子みたいな立場で可愛がられている。

 




2話目にして、オリ主の設定ちゃんと決めたので、大幅修正しました。

ワールドディーバは仲良くしている方が考えてくれたクラス名です。ありがとう(*^^*)

皆さん、エレインスって誰の姪っ子だと思います?


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蛇足の極み
本編に関係ない小話(本編より)


1話の小話です

本編とは関係ないオリ主です。


最近、同僚が一緒にユグドラシルをプレイしなくなった。呑みに誘っても着いてこない。

ユグドラシルをやめた訳では無いらしい。訳が分からん。

 

俺はユグドラシルでは隠密系の職業でやっている。

俺はこっそりと同僚のアバター"ジャン・けんしろー。"の後をつけていた。

 

 

「異形種の…女の子?」

 

 

あいつ俺と討伐しなくなったと思ったら、女の子にかまけてたのかよ。しかもすごく親しげに話している。

ぶっちゃけ羨ましい。俺も女の子とお近付きになりたい。

 

 

翌日、仕事場で同僚の男に話しかけた。

 

 

「おい。今日ユグドラシルで討伐いかないか?確か残業なかっただろ?」

 

「すまん。先約が入ってるんだわ。ほんとすまんが今日は無理だ」

 

「あの異形種の女の子か?羨ましいなぁ」

 

「お前なんで知ってんだ?…お前のビルド隠密系に寄せてたな。つけてたのか?」

 

 

同僚は疑問に思った後、すぐに気付き目をすっと細くして聞いてきた。

 

 

「それはゴメンって。だけど最近お前討伐参加してくれんし、飲みに誘ってもついてこないだろ?訳聞いても答えてくんねぇし。それなのにユグドラシルは辞めてないって、気になるだろ?しかも相手は女の子と来たもんだ」

 

「そんなの説明めんどくさいからに決まってるだろう?理由が女の子とか…絶対茶化されるしな。一応言っとくけど、俺とあの子はただの友達…幼なじみって言うんだったか?だよ」

 

 

同僚は心底嫌そうに説明すると仕事に戻っていた。

 

 

「ふぅん…」

 

 

俺は同僚の幼なじみという女の子に興味を持ち始めていた。

 

その日から俺はユグドラシル内で半ばストーカーじみたことをしていた。

 

 

 

 

「今日はあの子一人だけなんだな。エレインス・エレオリーちゃんかぁ…話しかけたら友達になってくれるかな?」

 

 

俺は意を決して、声をかけてみた。

 

 

「あのー、こんにちは、初めましてエレインス・エレオリーさん。俺の名前は"アニメモマケズ"って言います。フレンドになってくれませんか?」

 

「あの…初めまして。なんで私の名前を知ってるんですか?」

 

 

さっそくしくじった。なんで名前知ってるのか聞かれたし、ちゃんと自己紹介してないからビビってるじゃん。

名前はあいつから聞いたことにしとけば大丈夫だよな?

 

 

「あーごめんね?そんなに怖がんないで。ジャン・けんしろー。って知ってるでしょ?俺はあいつの同僚だよ。名前はあいつから聞いたんだ」

 

「…ジャンくんには内緒にしといてって言ったんですけど」

 

「え?…」

 

「なんで私の名前を知ってるんですか?」

 

 

はい、アウト。名前知らないはずの知らない人が自分の名前を知っている。しかも、相手は知らない男、この子にとっては恐怖だよね。

 

 

「ごめんなさい」

 

 

そう言って女の子は走り去ってしまった。ステータス的には追いかければ追いつくだろうけど、追いついたところでだよな。

 

 

 

翌日、同僚が声をかけてきた。

 

 

「お前、昨日何した?」

 

 

後ろから肩に手を置かれ、ドスの効いた声で話しかけられる。

 

 

「い、いやー…ちょっとねぇ…」

 

「あの子から話聞いたんだけど、アニメモマケズってお前のアバターだったろ?」

 

「あ、はい。合っています」

 

 

思わず声が震え、敬語になる。

 

 

「あの子怖がってたんだが」

 

「ほんとすいませんでした!ちょっとお友達になりたいなぁと思っただけなんです!許してくださいお願いします!もうあの子には近づかないって約束しますから!」

 

「ちょ!お前声が大きいって。分かったから、もうあの子には近づくなよ?ストーカー」

 

「はい」

 

 

仕事仲間の注目を集めながら同僚に頭を下げていた。

 

 

 

 

 

 

あれから二年とちょっと経つ。あの後すぐに同僚は仕事で異動になり音沙汰もない。ユグドラシルも引退してしまったようだった。

と言っても俺もあまりユグドラシルはプレイしなくなっていた。

 

 

俺も久しぶりにユグドラシルにログインして、草原フィールドをふらふらしていた。気休めの探知魔法を使いながら歩いていると、探知の端に反応があった。

しかも、三つまで指定できる特定探知の反応だった。

 

 

「なんだろ?」

 

 

もはや何を指定していたか忘れてしまったが、危険なものを指定した覚えもないので、取り敢えず隠密しながら近づいてみた。

 

 

「っ!あの子は!」

 

 

そうだった、あの時あの子に近づかないと約束してから、あの子に特定探知を指定して反応があったら離れるようにしてたんだった。

 

…しかし、もう同僚はユグドラシルをプレイしていないし、ちゃんと説明すれば仲良くなれるのでは?敵対されても最悪ガチビルド俺の方が強いはず。

 

そう思った俺は彼女に近づくと、話しかけようと隠密スキルを解除した。

 

 

「うわっ!」

 

 

その瞬間彼女は突然の気配に驚いたのは一瞬、振り返ると、バックステップで距離を取ってからすぐに戦闘体勢に入った。

 

 

「誰だか知らないけど、PVPなら受けて立つわ!」

 

「えっ?ちょっとまっ」

 

 

俺が話しかける前に、彼女はバフとデバフをかけながら殴りかかってきた。

必死に防御するが、バフとデバフの効果でどんどん受けきれなくなってくる。逃げる隙もない。

仕方なく攻撃に転じるが、キラキラしたエフェクトが邪魔で相手の動きが見えづらい。攻撃は簡単に躱され、反撃は強力だった。

 

 

(なんでこんなに強いの!?歌・踊のロマンビルドだったんじゃないのかよ!)

 

 

俺は彼女をストーキング(自分で言うのやだな)していた時に、会話から彼女のクラスビルドについて知っていた。

先ほど声をかけようとする前に情報系魔法で確認した時は、確かにレベルは自分と同じ位まで上がっていた。

しかし、ロマンビルドの彼女では隠密系のガチビルドの自分とは相手にならないと思っていた。

 

 

(踊系のクラスの回避ってこんなに厄介なのか!やばい、このままだと負ける!)

 

 

気づいた時には遅かった。

徐々にHPが削られ、踊るような猛攻にスキルを使う暇も与えられない。

彼女の口からは今も歌が歌われており、彼女はどんどん強化され、俺はどんどん弱体化されていった。

PVP、特に一対一の戦いでは、純戦士以外の近接戦闘の歌・踊特化型は意外と強かった。

 

そうして俺は、彼女の経験値となり、アイテムをドロップして消えた。(街でデスペナルティ受けながら復活はしたよ)




1話であったPKってこの人だったんですね
戦うつもりなかったのに可哀想

しかもエレちゃんにはすっかり忘れ去られていたよ


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ワールド大会決勝直前小話

他人視点で書いてみたかった…けど書けない。しょうがないことだと思うよ。文才がないんだもん。

戦闘シーンはありません。て言うか書こうと思ったけど書けなかった。

例のごとく短いです。


私の名前はサーチャ。あだ名がさーちゃんだからサーチャ。ユグドラシルを人間種で始めたありふれた女性プレイヤー。

 

私が参加しているギルドは八人で構成された弱小ギルド。ワールドクラスを持ったメンバーなんていないし、ワールドアイテムなんてもっての外。

ワールドの名を冠するこの大会は、ギルドの命運を握っていると言っても過言ではないわ。

 

そしてギルドのみんなは優しくて、こんな私でもギルドに誘ってくれて、大会の招待状貰った時なんかは、ログインしてる人がみんな付きっきりで協力してくれた。

これまでみんなのおかげで勝ててきた。

 

だから、決勝戦もみんなのためにも何としても勝たないといけないんだ。

 

 

 

 

 

「え、なにこの化け物」

 

準決勝戦を厳しい戦いながらも勝利して終えた私は、ギルドホームに戻り、メンバーとともに後日行われる決勝戦に向けた対策会議を行っていた。

 

クリスタルに映し出されているのは、公式に配信されている大会の対戦映像。今回の戦いにおける反省会も同時に行っている。

 

決勝戦の相手の対戦映像を見ているのだが、映っているのはどう見ても異形種。

顔はワニのようで、牙は鋭く、鱗に覆われた蛇の様な身体は下半身で二又に分かれてうねり、腕の部分には翼が生えて、羽の関節には鋭い爪が姿を見せていた。まるでドラゴンのようだ。

しかもほとんどの試合で圧勝、ソロ戦闘慣れしている。

プレイスキルも見た目も文字通り化け物だ。

 

「…対戦映像を見終えた訳だが、誰か意見はあるか?」

 

クリスタルの映像が消え、ギルド長、まいまいかたつむりさんがメンバーに意見を求めた。その顔はギルド内での戦闘センスと分析力がピカイチのメンバー、はいサーさんに向けられている。

 

「…見た感じ、ステータスが素でも準戦士並にあると見ていいだろうね。今までやってきた〈魔法の矢(マジック・アロー)〉などの牽制は無意味と見た方がいい。素のステータスで避けられるだろうし、魔法職ではないサーチャの魔法攻撃では当たってもダメージは微々たるものだろう」

 

「となると、そちらに下手にリソースを割くより、バフを中心に見ていった方がいいか…」

 

「そうだね。あとはアイドル系のスキルには精神異常無効にも効くデバフがあるからその辺を使うのもいいかもね」

 

「それよりもあの異形種からあんな歌声が出ている方がびっくりだよ」

 

「それな。プレイしてる子可愛いんだろうな」

 

はいサーさんの意見に他のメンバーも次々と意見が続いていく。中にはどうでもいい意見もあったが。

意見が出尽くしたと思えるところで、再びまいまいかたつむりさんが口を開いた。

 

「あらかた意見が出たね。じゃあ実際に決勝戦での戦闘パターンについて、詰めて行こうか」

 

再びはいサーさんの意見から始まり、会議は盛り上がりを見せ、結局その日は拠点から出ることも無く解散となった。

 

決勝戦当日

 

会場に着いた私は、待機室で一人、前日までに詰めていた戦闘パターンを頭の中で復唱していた。

待機室はふたつあり、もうひとつの部屋には対戦相手が居るのだろう。

戦闘開始まで、あらゆる魔法や攻撃、スキルは無効化されるとはいえ、あの化け物じみた姿の異形種が隣の部屋にいると思うと、戦々恐々とする。

しかも部屋の出入りは自由と来たもんだ。選手同士の干渉は認めるということなのだろう。アイドルのクラスは女性プレイヤーしか取れないしね。

 

そんな私に声がかかった。

 

「サーチャさん。今日はよろしくお願いします」

 

綺麗な亜人種だった。差し出された手にも気づかず、思わずみとれてしまうくらいには。

 

私に声をかけたのは、髪の毛は深海を思わせる深い青、肌は淡い空色で腕には畳まれた白い羽が生えていて、身体には所々鱗が虹色に輝いている、十人中十人が美人だと言うであろう亜人。

そして下半身は蛇の様になっていて、更に二又に別れて…

 

「あなたはエレインス・エレオリーさん!?」

 

「はい。そうですけど?」

 

首を傾げる姿には、前日映像で見た異形種らしさはなかった。

 

「え?だって、エレインス・エレオリーさんて異形種じゃ?あれ?」

 

「ああ、異形種であってますよ。PKに合うのが怖くて、普段は亜人化してるんですよ」

 

「そ、そうなんですね」

 

いや楽勝で返り討ちに出来るでしょ、という言葉を飲み込み、握手を交わす。

 

「決勝戦、お互い頑張りましょうね!」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

「じゃあまた後で!」

 

そう言うと、エレインス・エレオリーさんは手を振って、部屋を出ていった。




文が汚いよね?ごめんね
自分でも汚いと思うよ。
でも文才がないからしょうがないよね。
だから許してm(_ _)m


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思い出

かつてのアインズ・ウール・ゴウンメンバーとエレちゃんの絡みです。とにかく短い。キャラ崩壊不可避だったのでお気を付けて


文章を書くのが難しくて会話形式にしました。登場人物沢山いるのに文章書ける人ほんとにすごいと思います。






▪茶釜&ペロロン

 

 

ペロ「ふぃ〜、これでよしっと」

 

エレ「あっ、ペロロンさんだ。何やってるのー」

 

ペロ「ん、おーエレちゃん!今ね、シャルティアの新設定を書き込んでたんでて丁度終わったとこ」

 

エレ「また設定増やしたの?」

 

ペロ「そうそう。エロゲの新作買ったんだけどまた姉ちゃんの声でさぁ…消化不良な分をシャルティアに付け加えちゃおって思ったんだよねぇ」

 

エレ「…ふーん」

 

ペロ「パッケージのヒロインがロリ巨乳でキタコレ!って思ったんだけど、よく考えなくても姉ちゃんの十八番だったよなぁ」

 

エレ「…そうだね」

 

ペロ「ヒロインロリ巨乳なのに中身は絶壁な人がやってるわけじゃん?」

 

エレ「…あーあ」

 

ペロ「しかも身内!マジ最悪だよなぁ…ん?そういえばエレちゃん反応薄いけどどうしたの。え、後ろ?後ろがどうしたの」

 

 

〜それからしばらく〜

 

 

茶釜「エレちゃんごめんねぇ。愚弟に変なこと言われてない?大丈夫?」

 

エレ「大丈夫だよ茶釜さん。ペロロンさんいつも通りだったよ」

 

茶釜「それ大丈夫じゃないんだけど…ってエレちゃん他人行儀〜!茶釜姉さんって呼んで!」

 

エレ「でも、茶釜さんと私叔母と姪くらいのねn」

 

茶釜「ん?」

 

エレ「だからねんr」

 

茶釜「ん?」

 

エレ「…茶釜姉さん」

 

茶釜「うむ。よろしい」

 

ペロ「あっはっは!じゃあ俺兄ちゃんだ!」

 

茶釜「…」ビキッ

 

エレ「おじさん…流石にない」

 

ペロ「おじさんはやめてよぉ〜。俺、姉ちゃんより若いゾ☆」

 

エレ「…」

 

茶釜「てめぇ反省してねぇみたいだな?あ?」

 

ペロ「…すんません」

 

 

それからは、ぶくぶく茶釜は「茶釜姉さん」と呼ばれるようになり、ペロロンチーノは「おじさん」としか呼ばれなくなった。

 

 

▪ウルベルトの策略、たっち・みーとの模擬戦

 

 

ウル「せっかくメンバーが結構揃っているんだし、《狭間の廻戦》行くから!」

 

たっち「だからそれは今じゃなくてもいいですよね。何度も言うようですが予定通り期間限定の《束の間の殺伐》に行くべきです」

 

ウル「《狭間の廻戦》だって揃っている時しか行けないんだから期間限定みたいなもんだろ。あと一つで装備完成するんだよ」

 

たっち「そもそもなんでウルベルトさんの装備を優先させるために予定崩してまで《狭間の廻戦》行かなくては行けないんですか。《束の間の殺伐》だってメンバーの装備強化に不可欠ですよ」

 

エレ「はいストップストップ〜!何やってるのよ。2人とも熱くなんないの!それこそアインズ・ウール・ゴウンなんだから多数決で決めればいいでしょ、ね?」

 

たっち「それもそうですね。すみませんエレちゃん」

 

ウル「…」

 

エレ「ウルベルトさん?」

 

たっち「ウルベルトさん、往生際が悪いですよ。メンバー全員で決めることなんですから黙ってないでくだs」

 

ウル「エレちゃん、たっち・みーが模擬戦してくれるって」

 

エレ「え!ほんとですか!?やったー!!」

 

たっち「え!ちょっと何言ってるんですかウルベルトさん!」

 

エレ「たっちさん模擬戦しよ」キラキラ

 

たっち「…はぁ、1回だけですよ」

 

ドガーン!!!ボーン!!!ダダダダダダダダ!!!ガガガ!!キーン、キーン!

 

 

〜模擬戦終了〜

 

 

エレ「はぁーまたまけたー…これで1勝458敗だよぉ」

 

モモ「エレちゃんどんまいです。たっちさん相手にあれだけ善戦できていれば十分ですよ」

 

茶釜「でもたっちの野郎本気出しすぎじゃなーい?そもそもこんなに可愛いエレちゃんに剣振るうとかどうかしてるよね」

 

餡ころ「それな。男なら乙女の攻撃の1発や2発…100発や200発くらい受け止めてみろってんだよ」

 

たっち「あの〜さすがにそれは…それにエレちゃん相手だと本気出さないとほんとに負けそうになってしまうんで…」

 

茶釜「うるさいぞ婦女暴行犯」

 

餡ころ「黙ってろ銃刀法違反者」

 

たっち「…」( ´•ω•` )

 

ウル「ざまぁwwww」

 

エレ「次はウルベルトさんと模擬戦する番だね!」

 

ウル「え」

 

 

模擬戦終了後、たっち・みーとウルベルトはしばらくの間メンバーから冷たく接せられた。

 

 

 

たっち・みー戦

1勝458敗

 

そもそも近接戦闘に対し序盤の防衛手段がないエレちゃんが不利な戦いだが、1度だけたっちによる序盤の猛攻を凌ぎ切り、後隙にバフデバフをかけまくって勝利した実績がある。めっちゃもてはやされた。

 

 

ウルベルト戦

229勝254敗

 

ほぼ互角。序盤は小競り合いになりがちだが、双方スロースターターなため後半近接戦に繋げられると、仮にもたっちに近接で善戦できるエレちゃんに一気に勝敗が傾く。今はウルベルトが先輩としての意地でなんとか勝ち越しているが、最近勝率が明らかにエレちゃんに傾きつつある。




急に書きたくなった。後悔はない。


《》内のクエスト名はテキトーです。好きに中2っぽい読み方で読んでください。


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とあるワールドアイテムの話

会話形式になりまふ


モモ「...これワールドアイテムですね」

 

エレ「え?あんなところにあったのに?」

 

茶釜「意外とそんなところにあるもんよ。鉱石だって変なとこの横穴にあったらしいじゃん」

 

エレ「それでもおかしくないですか?こんな簡単に見つかる場所にあるなんて」

 

モモ「簡単て言っても、魔法禁止エリアで飛行と潜水両方しないと分からない場所にあるんですから、特定の...それこそセイレーン種とかくらいしか行けないんじゃないですか?」

 

ペロ「確かに飛行は大丈夫だけど潜水はできないかな」

 

モモ「俺たちに至っては飛行すらできませんよ」

 

エレ「そう考えると確かに」

 

茶釜「それよりも効果はなんなの?もしかして20級だったりして」

 

モモ「20の情報には無かったですけど、未発見のアイテムなら有り得ますよね」

 

エレ「ももんがさんはやくはやく」

 

モモ「わかりましたから落ち着いて〈上位鑑定〉」

 

エレ・茶釜・ペロ「(っ’ ꒳’ c)ワクワク」

 

モモ「詳細わかりました。名前は〈ノアの方舟〉。効果はちょっと分かりずらいですけど、つけてる間特定の対象に対する効果を全てに変えるようです。消費型では無かったですね」

 

エレ「どゆこと?」

 

茶釜「わからん」

 

ペロ「モモちゃんくわしく」

 

モモ「具体的に言うとですね、例えば俺は打撃に対する脆弱の特性を持っていますが、それがあらゆる攻撃に対する脆弱に変わります」

 

エレ「え、デメリットすぎん?」

 

モモ「まぁ待ってください。もちろんデメリットになりますが、同時にメリットにもなります」

 

茶釜「ははーん。そう言うことね」

 

ペロ「え?姉ちゃん分かったの?」

 

茶釜「モモちゃんそれって、魔法攻撃無効...って特性も全攻撃無効って特性になるってことだよね?」

 

モモ「その通りです茶釜さん」

 

ペロ「ちょっと待てちょっと待て。全攻撃無効はチートすぎるやろ運営頭おかしくなった?」

 

モモ「落ち着いて落ち着いて。ここで特性に関して、例えばエレちゃん、それぞれ違う種族、クラスで特性〈物理強化Ⅰ〉を2つ手に入れた時、どうなりますか?」

 

エレ「統合されて、一定以上になると〈物理強化Ⅱ〉になるんじゃない?」

 

モモ「そう!その通りです。じゃあ全攻撃無効と全攻撃脆弱が複数あるとどうなると思います?」

 

エレ「統合と効果のぶつかり合いが生じる?」

 

モモ「その通り、ぶつかり合いで効果が弱まって結果的にそんなにチートじゃなくなってしまうんですよね」

 

茶釜「じゃあワールドアイテムではあるけど使いにくいかも」

 

モモ「デメリット特性が少ない人なら、かなり強いと思うんですけどね」

 

エレ「それ私が付けて特性確認してもいい?」

 

茶釜「いいと思うよ」

 

エレ「装着っと、どれどれ変わった特性は...」

 

 

物理脆弱Ⅱ、魔法脆弱Ⅱ、炎属性脆弱Ⅲ→全攻撃脆弱Ⅲ

体力自動回復Ⅴ→体力魔力自動回復Ⅴ

戦闘時全能力強化(対人間種)Ⅴ→戦闘時全能力強化(対全種)Ⅴ

歌スキル詠唱時間短縮IV、踊スキル発動時間短縮IV→全スキル発動時間短縮Ⅴ

空中戦闘時素早さ強化Ⅱ、水中戦闘時素早さ強化Ⅱ→戦闘時全能力強化Ⅲ

精神攻撃無効、拘束無効→全攻撃無効

対人間種魅了Ⅲ→対全種魅了Ⅲ

アイドルエフェクト(攻撃時)→アイドルエフェクト(全行動時)

 

 

エレ「...オーウ」キラキラ

 

モモ「どうでした」

 

エレ「うん...なんというか」キラキラ

 

エレ「すごいアイテムだね」キラキラ

 

茶釜「なんかエレちゃんキラキラが飛んでるんだけど何これ」

 

エレ「たぶん〈アイドルエフェクト(全行動時)〉の効果ですね」キラキラ

 

茶釜「あぁあの攻撃する時にキラキラ出てくるエフェクトか」

 

ペロ「アイドルエフェクトが全行動時とか草生える」

 

モモ「まさにアイドル」

 

ペロ「アイドルっぽいポーズしてみてよ」

 

エレ「...ピース(笑顔のビーコン)」キラキラ

 

ペロ「ブフォ」

 

茶釜「え、何それ可愛い保存した」

 

ペロ「これは総選挙1位間違えなし」

 

茶釜「握手券付きCD1000枚買うわ」

 

エレ「ももんがさんこれ私が使ってもいい?」キラキラ

 

モモ「あ、ええいいんじゃないですか?(そこの姉弟はスルーなのか)エレちゃんが見つけてきたものですし」



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エレちゃんの歴史

読み聞かせ風にエレちゃんの幼少期、バックグラウンド的なものを載せときます。

本筋(そんなものない)とは余り関係ないものなのでスルーしてくださって結構です。


 あれはエレちゃんがユグドラシルと出会う前、のそのさらに前のことです。

 

 当時7歳だったエレちゃんは、VRMMO化した大人気某大乱闘ゲームの公式大会で一般参加。そこで華々しい結果を残し、史上最年少プロとしてデビューしました。

 

 母親を通しているためエレちゃん自身は知らなかったものの、スポンサーと契約を結んだエレちゃんは、一般的な成人男性と遜色ない、むしろ上回るくらいの収入を得ていました。

 母親は、働きながらシングルマザーとして家事もこなしていたため、厳しい生活に変わりはなかったですが、金銭的な余裕が生まれたのは事実でした。

 それでも母親は、エレちゃんの収入には手を付けず、エレちゃんの学費と将来のための貯金に回して、生活費は自身で稼いだ分だけをあてていました。

 

 その結果、遅れながらもエレちゃんは小学校に入学。

 親子の生活は、若干の安定を見せていました。

 

 ところが、5年と少し経った頃のことです。

 公式大会にプロ選手として参加していた齢11歳のエレちゃんですが、対戦相手の男が子供に負けたことで激昂し、エレちゃんに手を上げる暴力事件が発生しました。

 男は警察に連れられ捕まりましたが、恐怖でゲームをプレイ出来なくなったエレちゃんは、業界を離れることになりました。

 

 小学校を卒業し、働き始めることになったエレちゃんですが、就職と同時に母親から通帳を渡されます。

 それは、母親がエレちゃんの収入を将来のためにと貯めていたものでした。

 

 そして、エレちゃんが仕事に慣れてきた頃、母親は今までの苦労が祟り倒れてしまいます。

 合併症も患っており治療は絶望的で余命はわずか。それでもエレちゃんは諦めきれず、何度も足蹴なく病院に通いました。

 それを見兼ねた医者はある提案をしてきます。

 

 "電脳延命"

 

 体の機能のほとんどを停止、又は機械で代用し、VRMMO技術を使って脳の信号をコンピュータにトレースすることで擬似的に患者を数年延命させると言うものでした。

 

 母親も一緒に聞いていて、その治療にかかる多額の費用を見て首を横に振りますが、エレちゃんはどうしても母親を失いたくなく、どうにか説得して、治療を決めます。

 不幸中の幸いだったのが、治療費はエレちゃんの貯金のほとんどを費やせばなんとかなる金額で生活はできそうなことでした。

 

 治療の1週間前のこと、母親はエレちゃんに言います。

 

「最後に1度だけ、心から楽しそうにしているあなたをこの目で見たい」

 

「あなたはゲームしている時が1番輝いていた」

 

「事件のせいでゲームしなくなってしまったけど、どうか、あのころのあなたを」

 

 咳き込みながらそう言った母の願いをエレちゃんは叶えようと思いました。

 そして、当時話題になっていた『ユグドラシル』を始めることになったのです。

 

 そうしてユグドラシルを始めたエレちゃんですが、その自由度の高さ、作り込みの細かさにすぐにのめり込んで行きました。

 

 エレちゃんは病院に行くたび、母親にユグドラシルについて楽しそうに話し、母親はそんなエレちゃんに優しく相槌をうつ、そんな幸せな7日間はあっという間にすぎていきました。

 

 

 母親の延命治療が終わり、エレちゃんが病室を訪れると、画面の中から元気に手を振る母親の姿がありました。

 ほっとしたのと同時に悲しさが込み上げてくれました。

 母の胸に飛びついた時の鼓動も、暖かい香りも、頭を撫でてくれた手の温もりも、現実世界ではもう二度と感じることはできないのです。

 

 

 

 

 

 エレちゃんは幼馴染と再会し、ユグドラシル内でバディを組んでプレイするように。

 

 元々デザイン系の仕事をしていた母親はデータのやり取りだけでも可能な仕事を見つけ、非常に多忙ではありましたが、時にはユグドラシル内でエレちゃんと過ごすこともあったそうです。

 

 そしていつか最凶とも謳われたギルドで、心から楽しめる仲間を見つけるでしょう。

 

おわり




期間をかなり開けてしまったにも関わらず、感想までくれる方がいるとは思っても見ませんでした。
ほんとにありがたいことです。さまざまな作品の作者様の感想が励みになるという言葉、実感できますね。

ゆっくりと書いていくつもりなですが、どうぞこの二次創作、そして不甲斐ない作者をこれからもよろしくお願いします。


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続章という名の蛇足
ナザリック転移


蛇足でしかありません。本編(1話完結)が全てです。


続きを書くつもりは無かったのでかなり投稿が遅くなりました。


装置を起動させユグドラシルにログインすると、[ユグドラシルにログインしました。エレインス・エレオリーさんおかえりなさい]という文字が浮かぶ。

久々の仮想現実世界で目を開けると、大きな部屋の中にいた。ギルドメンバーは基本的にログインするとこの部屋に着く。

部屋の中には大きな円卓と囲うように豪華な座席が四十二、そこに座り雑談を交わす二人…いや二体のモンスター。

彼らは異形種ギルド、アインズ・ウール・ゴウン、ギルド長のモモンガとメンバーのヘロヘロだ。

 

 

「お久しぶり。モモンガさん、ヘロヘロさん。」

 

「お久しぶりです!エレちゃん」

 

「おひさーです」

 

 

同じくこのギルドに所属している私が二人に挨拶を交わすと、モモンガさんは声音だけでもわかるほど嬉しそうに、ヘロヘロさんは疲れた調子で挨拶を返した。

モモンガさんの挨拶で気づいたと思うが、私は叔父さんが所属していることとエレインス・エレオリーという名前からエレちゃんと呼ばれ、可愛がられていた。

 

 

「エレちゃんも来てくれたんですね。良かったです」

 

「ありがとう、モモンガさん。…ヘロヘロさんは大丈夫?」

 

「あー、さっきモモンガさんに話していたんですけど、もう残業続きで体が超ボロボロなんですよ。さすがに医者にかかるまでは行かないですけど、もう逃げ出したい。でも生きていくために奴隷のごとく鞭に打たれながら必死に働いてる、っていう話していたんです。」

 

「うわー」

 

「ははっ、モモンガさんと同じ反応してる。そんなエレちゃんはどうなんですか?」

 

「え、私?私は何とか…」

 

 

そして、三人の現実世界(リアル)での仕事の愚痴は加速していく。

その内にダムが決壊したようにヘロヘロの愚痴は流れ出し、一方的にモモンガとエレインスが聞く側へとシフトしていた。

 

 

「…すいません。愚痴ばっかりこぼしちゃって。あんまり言えないんですよね、向こうじゃ」

 

「気にしないでください、ヘロヘロさん。そんなに疲れているのに無理を言って来てもらったんですから。愚痴くらいだったらどんだけでも飲み干せますって」

 

「私も全然平気だよ。久しぶりにお話出来て嬉しかったから」

 

「いや、ほんとありがとうございます、モモンガさん、エレちゃん。こっちもログインして久しぶりに仲間に会えて嬉しかったですよ。

……ですけど、そろそろ」

 

 

ヘロヘロは触腕を使い、コンソールを操作する。

 

 

「ああ、確かにもう時間ですね…」

 

「すいません、おふたりとも」

 

「そうですか。それは残念ですね。…本当に楽しい時間はあっという間ですね」

 

「本当は最後までご一緒したいんですけど、さすがに眠すぎて」

 

「あー、頑張ってとは言えないし。…体に気をつけてね、ヘロヘロさん。」

 

「お疲れですしね。すぐログアウトして、ゆっくり休んでください」

 

「本当にすいません。……モモンガさん。いや、ギルド長とエレちゃんはどうされるんですか?」

 

「私はサービス終了の強制ログアウトまで残っていようかと考えています。エレちゃんはどうします?」

 

 

エレインスはモモンガに向かうとサムズアップのマークを頭上に浮かべる。

 

 

「私も残ります。せっかく帰ってこれたし。……まだここが残っていて良かった」

 

「本当ですね。モモンガさんがギルド長として、俺たちがいつ帰ってきても良いように維持してくれていたんですね。感謝します」

 

「…皆で作り上げたものですからね。誰が帰ってきても良いように維持管理していくのはギルド長としての仕事ですから!」

 

「そんなモモンガさんがギルド長だからこそ、俺たちはこのゲームをあれほど楽しめたんでしょうね。……次にお会いする時は、ユグドラシルIIとかだといいですね」

 

「IIの噂は聞いたためしがないですが……でもおっしゃるとおり、そうだといいですね」

 

「その時はまたぜひ!じゃ、そろそろ睡魔がやばいので……アウトします。最後におふたりにお会いできて嬉しかったです。お疲れ様でした」

 

「私も会えてよかった。お疲れ様ー。……モモンガさん?」

 

「――っ、いや、こちらこそお会いできて嬉しかったです。お疲れ様でした」

 

 

笑顔マークがヘロヘロの頭上に浮かぶ。モモンガもエレインスも同じエモーションを浮かべる。

ヘロヘロから最後の言葉が投げかけられた。

 

 

「またどこかでお会いしましょう」

 

 

ヘロヘロの姿が掻き消え、コンソールに[ヘロヘロさんがログアウトしました]という文字が浮かぶ。

おそらく二度と会うことの出来ない別れに、思わず黙り込む。

そうして、人がいるとは思えないほどの静けさが室内にやってくる。余韻も残滓も何もなく。

先ほどまでヘロヘロが座っていた椅子に向かって、モモンガは最後に言おうとしていた言葉をポツリと呟いた。

 

 

「今日がサービス終了の日ですし、お疲れなのは理解できますが、せっかくですから最後まで残っていかれませんか――」

 

「もちろんです」

 

「あー、いや、すいません」

 

 

モモンガはエレインスがいることを思い出し、一瞬相手の存在を忘れてしまった申し訳なさから、謝罪していた。

エレインスは少し俯き、呟いた。

 

 

「またどこかでお会いしましょう……だって。

……いつどこで会えるんだろうね」

 

「えぇ。本当に――

…ふざけるな!ここは皆で作り上げたナザリック地下大墳墓だろ!なんで皆そんなに簡単に棄てることが出来る!」

 

 

エレインスの言葉を聞き、モモンガの本心がつい迸った。

 

 

「モモンガさん…」

 

 

そして、呼びかけにより激しい怒りから我に返った後に来たのは、羞恥と……寂寥感だ。

 

 

「エレちゃん、すいません。見苦しいところを見せてしまって。…分かってるんです。簡単に捨てたわけじゃない。現実と空想。どちらを取るかという選択肢を突きつけられただけで、仕方ないことだし、誰も裏切ってなんかいないって。」

 

「いえ、こちらこそすいません。もっとはやく戻ってくればよかった。」

 

「エレちゃん?」

 

「モモンガさん。私がこのギルドに参加した時のこと覚えてます?当時アルバイト生活だった私がギルドに入れるように、私の叔父さんと一緒にメンバーに説得してくれたじゃないですか。

やっと私が正真正銘の社会人になったのに、仕事の都合でユグドラシルを離れてしまって、仕事に慣れてきた頃、戻ろうと思っても合わせる顔がなくて…

ユグドラシルの終了と知っても勇気が出なかったんですけど、メールくださったおかげで戻ってこれました。

モモンガさんにそんな辛い思いをさせてたなんて、本当にごめんなさい」

 

「…いえ、仕事の都合では仕方ないですし、戻りづらいのもしょうがないですよ」

 

 

モモンガの激しい怒りを見たあとだと、どうしても許されない気がした。エレインスに伝わってくるモモンガの感情は、一人で自分を育ててくれた母を失った時のものと近しいものを感じていた。

 

 

「モモンガさん。私が来る前のアインズ・ウール・ゴウンのことを、教えてくれませんか?モモンガさんの思い出を、私にも共有させてください」

 

 

その後、二人は思い出話に花を咲かせ、ゆったりとした和やかな時間を過ごしていた。

 

そして、残り三十分という所で、玉座の間でユグドラシル最後の時を過ごそうという話になった。

 

 

「どうせならモモンガさん、最後だしギルド武器を持って玉座の間まで行こうよ」

 

「えっ、ギルド武器ですか?いいんでしょうか」

 

 

モモンガもエレインスもすっかり元気に戻っていた。

 

 

「良いに決まってるよ。モモンガさんはギルド長なんだから」

 

「そうですね、最後くらいギルド長として、ギルド武器持つくらい良いですよね」

 

「うんうん。…あっ、私最後にあの子に挨拶してくるね」

 

「あぁ、エルちゃんのNPCですね?了解です。私は先に玉座の間に行って待ってますね」

 

「はーい、また後でね」

 

 

エレインスはそう言うとリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを発動させ、第四階層に転移する。

周りの景色が急に変わる。

そのままガルガンチュアのいる広い湖に近づくと手を二回叩いた。すると、小さな影が岸の水面に近づいてきて、頭を出した。

 

これがエレインスのNPC、種族の守護団長セイレーンの守護団長(ガーディアンジェネラル)のオデュッセウス。レベル二十にも満たない魚型のモンスターは、初心者向けのエリアに出現するものと似ていた。

 

 

「やっぱりイルカちゃん可愛いぃぃ!」

 

 

ただし、その見た目はイルカと呼ばれる、絶滅してしまった生物の姿に改造されていた。

なぜこんなモンスターがここにいるかと言うと、エレインスがギルドに入った時に残っている拠点ポイントが少なく、守護者と呼べるようなNPCを作ることが出来ず、なおかつ配置できる場所が限られていたからだ。空いていたのが、湖の中くらいだったのである。

ただし、このNPCはそんなに雑魚ではない。初心者向けモンスターに似ていて、レベルが低いのは間違いないが、その種族特性はデスナイト同様一回だけ体力一で耐えるというもの。

そして、死亡することで敵全体の攻撃、魔法、スキルを一コマンド分無効化できる。

更に、一度に十六匹までセイレーンの守護者(ガーディアン)を生み出すことが出来て、それらは同じく死亡することで敵単体の攻撃、魔法、スキルを一コマンド分無効化できる。

これらは攻撃力こそ皆無だが、ガルガンチュアを起動させ守ることで、最強の盾役と化す。

 

そんな、水面を遊泳する可愛らしいNPCに癒されながら、水面に手を入れる。

すると、プログラムどおりに手に擦り寄るように泳ぎ始めた。

 

 

「オデュッセウス…もうお別れだね。最後は一緒にいようか。確か地上でも活動可能だったよね。『私についてきて』」

 

 

コマンドを発すると、オデュッセウスは水中から浮き上がり、エレインスの背後に付き従った。

歩いて玉座の前までたどり着くと、その重厚かつ豪華な扉をゆっくりと開いていく。

 

 

「すごい…」

 

 

何度も来たことのあるはずの玉座の間に、思わず感嘆の声が漏れる。この作り込みは恐らくユグドラシルにおいても一、二を争うスケールだろうとエレインスは思う。

 

 

「さっきぶりです、エレちゃん」

 

「待たせてごめんね、モモンガさん。セバス・チャンとプレアデスたちも連れてきたんだね?モモンガさん自身も最強装備になってるし。」

 

「わがままですが、ギルド長として最後くらい働かせてやりたくて。…装備はギルド武器持つのに相応しいものを、ってね。」

 

「いいですね。実は私もオデちゃん連れてきちゃいました」

 

 

エレインスは、待機コマンドでオデュッセウスをプレアデスの向かいに待機させると、玉座に座るモモンガのとなりに立つ。

 

 

「モモンガさん、さっきまで何してたの?」

 

「はい。アルベドの設定でも読んでいようかと思いましてね。タブラさん、設定魔でしたから」

 

「確かに。私も一緒に見ていい?」

 

「もう最後の方ですけど、いいですよ。ほら」

 

 

二人でアルベドの設定を読んでいき、最後に文までたどり着く。そして、最後の文に二人して固まった。

 

 

『ちなみにビッチである。』

「…え?何これ?」

 

「ギャップ萌えってこと?それにしてもこれは…」

 

「サキュバスだからむしろ合ってる?」

 

「…モモンガさん、書き換えちゃおうよ」

 

「え…ですけど…」

 

「ギルド長なら、クリエイトツールなくても大丈夫だったよね?それに…さすがにビッチは可哀想だよ」

 

「…ですね」

 

 

モモンガはスタッフを突きつけ、ギルド長の特権を行使する。コンソールを操作すると、一文は即座に消えた。

満足気なエレインスの横で、モモンガは少し考える仕草をすると、コンソールを再操作する。

 

 

『モモンガを愛している。』

 

「…モモンガさん?」

 

「あーいや、すぐ消しますね」

 

「まって」

 

「え?」

 

「すごくいい。うん、すごくいいよ!文字数もピッタリだし、守護者統括がギルド長を愛している。すごい萌える。モモンガさん天才的」

 

「ありがとうございます?

……あ、もうそろそろ時間ですね」

 

「え、あぁほんとだ。寂しいね。モモンガさん、最後にアレお願いしてもいいですか?」

 

「アレ…あぁアレですね?よろこんでやりますよ。っとその前に『ひれ伏せ』」

 

 

モモンガが片手を軽く上から下へと動かすと、アルベドにセバス、そして六人のメイドは一斉に片膝を落とし、臣下の礼を取る。オデュッセウスは、浮き方が少し低くなる。

モモンガは良しと頷くと時間を確認し、エレインスにお願いされたアレを実行する。

 

 

「行きますよ」

 

「はい!」

 

「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」

 

「栄光あれ!」

 

 

―23:55:37

二人はそのまま余韻に浸り、終わりの時が近づくのを待つ。

そして本当に最後、モモンガはおもむろに天井から垂れている四二の大きな旗に、指先を向けた。

 

 

「たっち・みー、死獣天朱雀、餡ころもっちもち、ヘロヘロ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜、タブラ・スマラグティナ、武人建御雷――」

 

 

四〇人の名を挙げるのにさほど時間は掛からなかった。

今なお、モモンガの脳裏にしっかりと焼き付いている。その友人たちの名を。

そして、モモンガは顔を横に向けて続けた。

 

 

「そして、エレインス・エレオリーさん」

 

「モモンガさん…」

 

「楽しかったですね」

 

「はい。私の大切な思い出です」

 

モモンガがカウントダウンを始めるとアバターの表情にはあらわれないが、二人とも目を閉じる。

 

0:00:00……1、2、3

 

 

「………ん?」

 

「…モモンガさんカウントダウン間違えました?」

 

「…そんなはずないんですけど」

 

 

確認すると時間は正確だった。今頃サーバーダウンによって強制排出されているはずなのに。

 

 

「サーバーダウンが延期になった?」

 

 

それも恐らく好ましくないものによって。

 

 

「モモンガさん!コンソールが浮かばないよ!」

 

「何!?」

 

 

慌ててモモンガもコンソールを確認するが、何も起こらない。他のシステムも機能を呼び出せない。

 

 

「……どういうことだ」

 

 

モモンガの静かな憤怒を込めた声が広い玉座の間に響き、消えていく。

モモンガを襲っていたのは、栄光の終わりを綺麗に迎えられなかったことに対する苛立ちだ。その思いが言葉の端々に浮かび上がっていた。

そんな八つ当たり気味の声に、エレインスは口をつぐんだ。そのためその声に返答は無いはずだった。

―――しかし、

 

 

「どうかなさいましたか?モモンガ様?」

 

 

初めて聞く女性の綺麗な声。

モモンガとエレインスは呆気に取られながら声の発生源を探る。そして誰の発したものか理解したとき、唖然とした。

それは顔を上げたNPC ――アルベドのものだった。

 

 

「何か問題がございましたか、モモンガ様?」

 

「何…これ…」

 

 

アルベドが問いを繰り返し、エレインスは驚きのあまり声をもらした。そして、モモンガは不可解な事態の連続に、思考回路がどこかでショートしていた。いや、エレインスの前で苛立ちを隠していなかった時点でもうそうなっていたのだろう。

 

 

「失礼いたします」

 

 

アルベドが立ち上がりモモンガのすぐそばに立つのを、モモンガとエレインスはぼんやりと眺める。

 

 

「何かございましたか?」

 

 

覗き込むようにその美しい顔をモモンガに向けるアルベド。

アルベドから控えめに漂う芳しい香りに、モモンガの思考回路が修復され、どこかに飛んでいた思考がゆっくりと戻ってくる。

 

 

「いや…なんでもないで…いや、なんでもない」

 

 

モモンガはNPCであるはずのアルベドに、思わず敬語で答えてしまいそうになっていた。彼女の仕草や口調には、無視しえない人間性が垣間見えたからだ。

混乱している様子のモモンガだったが、冷静さが戻って来る。

 

 

「いかがされましたか?」

 

「………GMコールが利かないようだ」

 

 

モモンガは距離の近いアルベドに再び混乱した様子ながら、ついNPCに相談してしまう。

そしてモモンガは、また急に冷静さを取り戻す。

 

 

「…お許しを。無知な私ではモモンガ様の問いであられる、GMコールというものに関してお答えすることが出来ません。ご期待にお応えできない私に、この失態を払拭する機会をいただけるのであれば、これに勝る喜びはございません。何とぞなんなりとご命令を」

 

 

会話している。

この事実を理解したとき、モモンガは体が硬直するような驚愕に襲われていた。

 

 

(モモンガさん、聞こえる?〈伝言(メッセージ)〉を使ってみたの)

 

 

モモンガは急に頭に直接流れてきた声に、エレインスを振り返る。

 

 

(聞こえてるみたいだね。魔法とかスキルは感覚で使えるみたい。…モモンガさん、アルベド生きてるよね?今の見た限り、NPCとは思えないんだけど)

 

 

モモンガは前を向き直すとアルベドが首を傾げ、潤んだ瞳で見つめていた。

 

 

(ええ、私も思いました。こんなこと、データ量的にも技術的にも絶対に無理だと思います)

 

(モモンガさん、ここはユグドラシルなのかな?)

 

(どういうことですか?)

 

(いや、アルベドや魔法のこともあるし、体が妙にしっくりくると言うか、ユグドラシルのときにあったはずの実際とは違う体を動かす違和感が無くなってるの)

 

(…私もです。ただ、ここがユグドラシルかどうかは後で確認しましょう。ひとまずセバスやプレアデスも確認してみます)

 

 

モモンガは〈伝言(メッセージ)〉を切ると、アルベドに下がれと手で合図を送る。

 

 

「セバス!メイドたちよ!」

 

『はっ!』

 

 

全員の声が見事に重なり、すっと執事とメイド全員の頭が上がる。

 

 

「玉座の下まで」

 

『畏まりました』

 

 

再び全員の声が合わさり、セバスとメイドたちはすくっと立ち上がる。そして背筋をぴんと伸ばした綺麗な姿勢で玉座階段の下まで歩み寄り、そこで再び片膝を落とし、頭を下げる。

モモンガは再び〈伝言(メッセージ)〉でエレインスに話しかける。

 

 

(はい。モモンガさん)

 

(エレちゃん、セバスたちの動きみましたか?コマンドを使っていないのに命令に従いました。NPC全員が自我を持っているかもしれません)

 

(そうだね、オデちゃんの確認をしたあと、四階層を見てきていい?オデちゃんの眷属たちを確認してきたい)

 

(分かりました。指輪の効果の確認も出来ますしね。終わったら色々確認したいので六階層のアンフィテアトルムに来てください。ただし、NPCの全員が味方とは限らないので油断しないでくださいね)

 

(了解です)

 

「うむ。オデュッセウスはエレインスさんと第四階層に行きなさい。念の為、エレインスさんを護衛しろ」

 

「畏まりました、モモンガ様。では、エレオリー女王陛下、こちらへ」

 

「「女王陛下?」」

 

 

オデュッセウスが女性特有の美しい声を出したこともさる事ながらエレインスを女王陛下と呼んだことに、モモンガとエレインスは思わず揃って声をあげた。

 

 

「もしかして、私の種族がセイレーンの女王(クイーンセイレーン)だから?」

 

「その通りでございます。女王陛下」

 

「…まぁいいか。じゃあモモンガさん、また後でね」

 

「はい。ガルガンチュアは起動させないでくださいね」

 

「はーい」

 

 

エレインスは玉座階段を降り、オデュッセウスを抱えると慌てるオデュッセウスを無視して指輪の効果を起動した。

景色が玉座の間から四階層の広い湖に移り変わる。

 

 

(もしかしてと思ったけど抱っこ出来るなんてね)

 

 

本来ユグドラシルではNPCを抱えて動くことは出来ない。やはりここはユグドラシルでは無いようだ。

 

 

「女王陛下!なぜ抱えて!接触するだけで大丈夫なはずですが!」

 

「いいじゃんいいじゃん。オデちゃん、抱っこはいや?」

 

「いえ!嫌などとは滅相もございません!むしろ、ありがたき幸せにございます。その、しかし、御身に触れるのは大変失礼ではないかと…」

 

「何言ってるの?オデちゃんは私たちが作った、言わば子供みたいなものなんだからね」

 

 

エレインスはオデュッセウスに頬ずりをする。

オデュッセウスはエレインスの腕の中で、魚なので涙は出ないが感動で震えていた。自らを子供みたいなものだと言い、優しく微笑む自らの女王はまさに母だった。

 

 

「じゃあオデちゃん、眷属たち呼べる?」

 

「もちろんでございます。陛下のためならなんなりと」

 

 

すると、湖からオデュッセウスをひとまわりもふたまわりも小さくしたような十六匹のセイレーンガーディアンが現れる。

 

 

「へーか!へーか!」

 

「じょーおさま!じょーおさま!」

 

 

オデュッセウス同様、魚なのに見てるだけで和むようなキュートな彼女たちは、オデュッセウスと違って幼い。

 

 

「陛下。こちら十六名、眷属のセイレーンガーディアンたちにございます。……陛下?」

 

「か…かわいい!」

 

「陛下?」

 

 

エレインスはオデュッセウスを離すと眷属たちに近づき、頭を撫でながら話し始めた。

 

 

「かわいい。君たち名前はなんて言うのかな?」

 

「なまえ!いち!」

 

「に!」「さん!」…………「じゅーろく!」

 

「あぁ、そっかそっか」

 

彼女達は名前の代わりに番号を当てられていた。それもそのはずで、彼女達はオデュッセウスと違い一度死んだら生き返らずにオデュッセウスのスキルによって新しく産み出されるのだ。いちいち名前などつけられない。

エレインスは彼女達を撫でると、番号を呼びながら可愛い可愛いと抱きしめていった。

 

 

(もしもしモモンガさん?指輪の効果はちゃんと使えたよ。眷属たちも意思があるみたい。ついでに、NPCのオデちゃんを抱っこ出来たよ。本格的にここはユグドラシルじゃないと思った方がいいと思う)

 

(了解です。後、フレンドリーファイアも解禁されてるみたいです。偶然アルベドに負の接触(ネガティブタッチ)でダメージが入りました。解除も意識で出来るみたいです)

 

(フレンドリーファイアがあるとなると、範囲系が使いづらいね。探知阻害も味方に効いちゃいそう。お互いの確認する時は伝言(メッセージ)してからの方がいいかな?)

 

(はい。そうしましょう。あと、セバスたちに外を調べるように指示を出しました。一時間ほど後にアンフィテアトルムに招集かけたので、そのくらいに来てください)

 

(了解だよ)

 

 

伝言(メッセージ)を切るとモモンガと繋がっていた感覚が途切れる。

 

 

「眷属ちゃんたちー?時間があるから一緒に遊ぼうか!遊ぶ子は返事してー!」

 

「『はーい!』」

 

 

何故かオデュッセウスも一緒に返事してしていた。

約束通り一時間ほど眷属たちと遊んだ後、エレインスはアンフィテアトルムに行くためにオデュッセウスたちから離れた。

 

 

「それじゃ、行ってくるね!」

 

「お気をつけて行ってらっしゃいませ、陛下」

 

『いってらっしゃーい!』

 

 

エレインスはオデュッセウスたちに手を振りながら、指輪の効果でモモンガの待つ六階層へ転移した。

 




まじでごめんなさい



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ダークエルフとヴァンパイア

失踪してましたが何か?
原作で書かれてるふうにするの難しいですです。
なので、ほぼ内容一緒一緒してるとこは飛ばしちゃいます!

文体変わってると思うし、短いです。

最初からそうすればいいのにね?
うち何してんだろうねww


エレインスがアンフィテアトルムに転移するとモモンガと二人の子供のダークエルフが話していた。

 

「モモンガさーん」

 

モモンガはエレインスの方に振り向くと、少し屈んでダークエルフの子供たちに話しかけた。

すると二人の子供―アウラとマーレは一瞬呆けた後、駆け寄るエレインスを見て、喜色を浮かべた。

 

「エレインス・エレオリー様!お戻りになったのですね!お待ちしておりました!」

 

「えっ、えっと、ボ、ボクもうれしいです!」

 

二人ともうさぎのようにぴょんぴょんと跳ねている。

 

「モモンガさん!アウラちゃんとマーレくんだよね!わぁ!可愛いぃぃ!ギューってしていい?いいよね?」

 

「もちろんです!エレインス・エレオリー様!」

 

モモンガはエレインスのテンションの高さに戸惑い反応が遅れ、二人がいいならと答える前に、アウラが即答した。

 

「えっ、い、いいのかな?」

 

「マーレ!エレインス・エレオリー様がしたいって言ってるんだからいいに決まってるでしょ!早く来なさいよ!また至高の御方を待たせるつもり?」

 

「ひっ、ご、ごめんなさい。し、失礼します」

 

アウラは満面の笑みで両手を広げ、マーレは少し小さくなって目をぎゅっと瞑った。

そのまま二人を抱きかかえると、子供の小さな体は、エレインスの腕の羽根に隠れてしまった。

エレインスがその場でくるくると回ると、喜びが精一杯表された少女の声と、少年の弱々しい悲鳴が上がった。

そして、女性と子供たちがいちゃつく姿に、モモンガは眼福していた。

そこに、幼くも艶やかな声が響く。

 

「おや、わたしだけでありんすか?」

 

転移門(ゲート)〉が出現し、そこから絶世と言える端正な顔立ちの、胸が異様に盛り上がった少女が姿を見せた。

 

「…転移が阻害されているナザリックで、わざわざ〈転移門(ゲート)〉なんか使うなって言うの。闘技場ないまで普通に来たんだろうから、そのまま歩いてくればいいのに。それに私たちがいないわけないでしょうが、シャルティア」

 

エレインスの腕の中から呆れたような声が聞こえる。羽根に隠れたアウラの、その冷やかな雰囲気には、先程とは違い子犬のような可愛らしさはない。そこにあるのは溢れ出す敵意のみ。

急激な姉の態度の変化に、マーレはプルプルと震えだし、縮こめていた身体を更に小さくしていた。

実際モモンガも、アウラの豹変ぶりにちょっとばかり引いていたし、抱えていたエレインスには更に顕著に感じただろう。

 

「ああ、我が君モモンガ様。死をも支配する愛しの君。」

 

最上位の転移魔法で現れたシャルティアは、アウラを無視して身体をくねらせながら、モモンガに近づくと、手を伸ばし、モモンガの首に抱きつくかのような姿勢をとる。

真っ赤な唇を割り、濡れた舌が唇をペロリと舐めると、開いた唇から芳しい香りがこぼれ落ちる。

 

エレインスから見て、シャルティアの身長や年齢的に、伸ばした手は首にぶら下がろうとしているようにしか見えず、妖艶な行動もちぐはぐにしか見えない。

 

しかし、女性慣れしていないモモンガにはそれで十分な妖艶さだ。思わず一歩後退してしまい、エレインスからの視線がやや冷ややかなものに変わった。

モモンガは視線の変化に慌てて弁明しようとするが、モモンガの反応に満足したのか、シャルティアはエレインスの方に振り向いた。

 

「ああ、至高の歌姫エレインス・エレオリー様。お久しゅう会えて…」

 

シャルティアの行動にモモンガが「あ、エレちゃんにもやるんだ」と小さく呟いた。

シャルティアはエレインスに触れようと近づき、アウラが羽根の中からひょっこりと顔を出しているのを見て、シャルティアの動きが止まる。

 

「…どうしたシャルティア?なにかあったのか?」

 

シャルティアの急な停止に、モモンガが質問する。

 

「ちょっとシャルティア!早くモモンガ様にお答えしなよ!ついに脳まで腐っちゃったの?」

 

「なんであんたそんなとこにいるのよー!」

 

停止から復活したシャルティアの叫びに、モモンガとエレインスは「あ、キャラ崩壊」とシンクロした。




結構飛ばしてすみませんm(_ _)m

…ところで、
ワールド・チャンピオンってどう言う扱いなんだろう?
100レベル+ワールド・チャンピオンのクラスレベル?
うちは勝手にこう解釈するから、話はその体で進みます(あまり影響は無い)。正しい設定がある場合は教えてくれると助かります。
↑感想よりご指摘頂きました
100Lvに含むんですね…ごめんなさいm(_ _)m
(話にほぼ影響無い)



もともと話進めるつもりは無かったんだよぉ
。゚( ゚இωஇ゚)゚。


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凍河の支配者

タイトル詐欺です
凍河の支配者ことコキュートスくんは初登場ですがほとんど絡んでません。次回するつもりなのでご勘弁を

今回はエレちゃんが暴走してるだけです。


今、アンフィテアトルムにはモモンガとエレインス、階層守護者であるアウラとマーレ、そしてシャルティアが集まっている。

そして、シャルティアの突然のキャラ崩壊に場が静まり返っていた。

 

 

 

アウラが羽根の中でもぞもぞと動き出し、はっとしたエレインスが子供二人を解放する。

よろけて着地したマーレに対し、アウラは綺麗に着地するとシャルティアの方に向き直り、眉をひそめた。

 

「至高の御方への挨拶は最後までちゃんとしなさいよ、シャルティア」

 

「あな、あなたこそなんで御方の腕の中にっ」

 

シャルティアは指を立ててアウラに迫るが、先程までの間違えだらけの廓言葉は無かった。

そんなあまりにもわかり易すぎる動揺にアウラが追撃を仕掛けた。

 

「へへーん。私とマーレだからじゃない?エレインス・エレオリー様は私らの事"かわいい"っておっしゃってたしー?」

 

「かわっ!私の方が可愛いのに!ただのチビのくせにっ」

 

「何言ってるの?あんたが可愛いわけ…ああ」

 

シャルティアの発言に少しムッとしたアウラは、いいことを思いついたのか表情をにやりと変える。

 

「胸だけはかわいいよね、偽乳。ぷぷー」

 

「な、なんで知って」

 

「一目瞭然でしょー。変な盛り方しちゃって。何枚重ねてるの?」

 

「うわー!うわー!」

 

アウラの発言をかき消そうとしているのか、ばたばたと手を振りながら叫ぶシャルティアの姿は年相応に見えた。

それに対してアウラは邪悪な笑みを浮かべ、更に言い募ろうとして、

 

「こらこら。二人とも喧嘩はやめなさい」

 

エレインスが二人の間に入った。

 

すると、アウラとシャルティアは事前に示し合わせていたのではないかと言うほど揃って頭を下げた。

 

『申し訳ありません!』

 

エレインスは二人をそのまま正座させ、説教を始めてしまった。

 

モモンガは、いや、喧嘩と言うよりアウラがシャルティアに一方的に言っていただけじゃないかとか、二人とも自決しようとしなくていいからとか思いつつ、口は出さずにいた。

かつての光景を目にしたようで、三人を、主にエレインスを止めるべきか迷っていたのだ。

シャルティアを設定したペロロンチーノと、アウラとマーレを設定したぶくぶく茶釜は姉弟だった。

その二人は時折、仲のいい喧嘩をして、エレインスに説教されていたものだ。ここまで素直に説教されてはいなかったが。

 

「モモンガ様。エレインス・エレオリー様。タダ今参リマシタ」

 

エレインスの説教が脱線に脱線を重ね、絶滅した生物、特にイルカについて熱く語り始め、さすがのモモンガもエレインスを止めようと思った時、人間以外のモノが無理やり人の声を出している、そんな歪んだ硬質な声がエレインスの説教を中断した。

 

「誰の声?…コキュートスか」

 

エレインスが声のする方を向くと、そこにはいつから居たのか冷気を周囲に放つ異形が立っていた。

それはナザリック地下大墳墓第五階層の守護者である、コキュートス。

エレインスはライトブルーの異形を見ても、物怖じ一切せずに言い放った。

 

「今、お話中なの。邪魔しないで」

 

「モ、申シ訳アリマセン」

 

自分の説教…イルカの話の腰をおられたエレインスの苛立った声がコキュートスに突き刺さる。

コキュートスは氷山のように盛り上がった身体を腰と思われる辺りから声を震わせながら折り曲げた。

エレインスの説教モードに慣れておらず、ましてや至高の存在から言い放たれのだ。萎縮せざるを得なかった。

 

エレインスはそのまま、説教、もといイルカの話を再開してしまった。コキュートスは放置された。

 

モモンガは、エレインス説教モードを見るのも久しぶりだなと思いつつ、さすがにコキュートスが可哀想で、もとより止めに入ろうと思っていたこともあってエレインスの前に移動した。

 

「コキュートス、気にしなくていいぞ、楽にしろ。…エレちゃんストップ!お説教がイルカの話になってますよ」

 

「え、あ、そうだね。イルカの話をしたら思ったより二人が食いついてきたから興が乗っちゃった。てへっ」

 

モモンガに目の前に立たれて中断させられたことで、さすがに説教モードは終わりを迎え、普段通りに戻ったエレインスはおでこにコツンと手を当てると小さく舌を出した。

 

モモンガはため息をつきながらも、姪っ子のように思っている彼女のおちゃめな姿に、内心悶えていた。

 

姪っ子、甥っ子が可愛いとはよく熱弁されたこともあったが、モモンガには親類どころか家族もいなかった。

それに近い存在に感じているエレインスに関しても、可愛いと思い、実際可愛がりつつも、ユグドラシル内でのことだけだったこともあり、熱弁する程だろうかと思っていた。

 

ユグドラシルでは、表情を変えることを出来なかったが、今は違う。容姿端麗なエレインスがそんなことをすれば、その威力はかなりのものだった。

 

「表情が変わるだけで、ここまで父性をくすぐられるとは」

 

「ん、モモンガさん何か言った?」

 

「いや、なんでもないです」

 

モモンガの後ろには、正座をされられながらもエレインスのおちゃめな表情を正面から目撃してしまい、悶絶している吸血鬼がいたとか。




( ´-ω- )フッ
だらだら書いてくわ
シリアスとか戦闘シーンとか書けないもの

次回!
階層守護者集合!…するかもしれない


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守護者集合させようと思ったけどまだ出来ない件

あれ、そういえばシャルティアの反逆の時、敵対行動とるまで無視ってことはエレちゃんバフかけ放題?しかもエレちゃん神官(準戦士)職と相性悪くない設定やん…それじゃ楽勝すぎん?
モモンガさんにギルマスの意地とか言って単身で戦わせとくか…


それはさておき、エレちゃんがギルドに加わったことで、転移前の御方々の行動が原作と変わってるので、NPCたちの設定や性格も若干変わってる設定です。
書き方迷走中なので誰視点の書き方なのか、バラバラです。ごめんなさいm(_ _)m


 モモンガさん、どうしたのだろうか? 先程から目元? 骸骨だから分かりにくいけど、多分目元を押さえてる。

 モモンガさんは目元を押さえていた手を下ろすと、ため息をついた。

 

「モモンガさん大丈夫、状態異常?」

 

「いや、大丈夫です。むしろ状態異常を無効化したと言うかしてしまったと言うか……」

 

 無効化して"しまった"? と不思議に思っていると、モモンガさんが近づいて来て小さくつぶやいた。口は動かしていないがどうやって声を出しているのだろうか。

 

「とりあえず魔王ロールするんで合わせていただけますか」

 

「おk」

 

 耳打ちしてきたモモンガさんに、耳打ちじゃなくて《伝言》使えばいいのにと思いながら小声で了解を示す。

 

 モモンガは居住まいを正すと、非公式魔王の名に恥じぬ堂々とした態度で、マイペース1名、正座2名、45度の立礼1名、放置1名という状況を収めに注力する。

 マイペース1名ことエレちゃんもおkという抜けた返事に不安は残るものの耳打ちに了承を示したから、とりあえず大丈夫だろう。

 

「ん゛ん゛っ、コキュートス。来てもらって早々に悪かったな。とりあえず、ほかの守護者が到着するまで楽に待っててくれ」

 

「ごめんなさいね、コキュートス。少しキツかったわよね」

 

「イエ、滅相モゴザイマセン。ソシテ私ハ御方ノ剣ニシテ忠実ナル下僕、エレインス・エレオリー様ノ御説教ヲ邪魔シテシマッタ私ガ不肖ノ致ストコロ。御方ニ非ナド有リ様ガゴザイマセン」

 

 強く鼻息でも吹いたのだろうか、コフーという抜けた音と共にコキュートスから冷気が舞う。

 

「そ、そうか。まぁ、お前が良いと言うなら良いが……」

 

 モモンガは未だ立礼をやめないコキュートスの忠誠心に困惑し、一気に魔王ロールの勢いが削がれたようだ。

 助けを求める視線をエレインスに向けるが、当のエレインスは視線の意味を理解していないのか"モモンガさんカッコイー"とか"コキュートスまさに武人だね! "と口パクで伝えてくるばかりだ。彼女の中では魔王と配下のこの状態は問題ないことらしい。

 

「では妾は待つ間モモンガ様のご寵愛を」

 

「シャルティアはそのまま正座していなさい」

 

 シャルティアの言葉を聞いたモモンガは即座に冷たく言い放つ。ご寵愛ということはそういうことだろう。先程のことを鑑みても、幼女趣味ではないとはいえ、迫られた時に冷静に対処できる自信が無い。

 もし冷静に対処出来なかったら先程の冷ややかな目をエレちゃんから向けられることになる。そんなのは2度とゴメンだ。それならそもそもそういう状態に持ち込まないに限る。

 

「ははっ……じゃあシャルティアちゃんはともかく、アウラちゃんは楽にしていいよ〜。ごめんねー、ほらなでなで」

 

「はいっ! ……えへへー」

 

 コキュートスが良いと言っていたので問題ないと思ったエレインスは正座させていたアウラを起こして頭に手を置いた。サラサラとした金髪は撫で心地最高である。

 

 エレインスの手がアウラの頭を撫でた瞬間、シャルティアの顔がぐりんとアウラに向くと美少女とは思えない形容し難い表情、血走った目でエレインスを見る。

 シャルティアのアタックにどう対処したものかと考えていたモモンガも、シャルティアの顔を見てドン引いた。

 モモンガは危ない時はこの顔を思い出せばいいんじゃないかと、妙案を見出していた。

 そんな中、姉の状態を見たマーレは自力で放置という状態から抜け出す。

 

「あ、あの……エレインス・エレオリー様……ぼ、ぼく」

 

「うーん? マーレくんもおいでおいでー……はいなそんなでなで」

 

「えへへー」

 

 エレちゃんにしては行動がマイペース過ぎると疑問に思ったモモンガだが、久しぶりに会ったのだから性格が変わったっておかしくないだろうと納得する。

 そして、エレちゃんに撫でられ続ける双子のダークエルフに目を向ける。あれがぶくぶく茶釜さんが望んだ双子の姿なのか、確かに癒される。そう感心していたモモンガは《伝言》を受信した。

 

『モモンガ様。ただいま半径10kmの確認が完了致しました』

 

 相手は予想通り、外を確認させていたセバスだった。アウラ、マーレ、シャルティアを見てだいたい予想ついていた事だが、NPCでも拠点外に出れた。つまり、ここはユグドラシルでは無いと本格的に確信した。

 

『……意外と早いな。状況はどうだった』

 

『はい。一面草原で目立った所はなく、モンスターや知的生命体は確認されませんでした』

 

『っ……そうか、ご苦労だった。後ほど玉座の間へ来るように』

 

 未知の世界への恐怖で一瞬固まったモモンガだが、精神が強制的に安定させられる。

 まだ慣れていないし慣れたいとも思わないが、考えをまとめるのに冷静になる必要があったモモンガは、心の中で自分の体に感謝しながら《伝言》を切った。

 

 




このペースだと書きたいシーンまで3年とかかかる気がするんですが...


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そろそろ守護者集まるんじゃね?

守護者たちの挨拶忘れちったよ。最後に読んだの数ヶ月前だからなぁ、でも書籍版1巻とか読み直すのもなぁ...

まあいいか


《伝言》を切ったモモンガは周りを見る。

立礼を崩さないコキュートス。エレちゃん、アウラ、マーレのほのぼのとした空間。それを酷い顔で凝視するシャルティア。

 

モモンガは諦めた。

 

そうしていると、闘技場入口からアルベドが現れた。後ろからは高身長のスーツをキメた男がゆらゆらと銀に光る尾を揺らしながら歩いてきた。

 

「モモンガ様、エレインス・エレオリー様。遅くなり申し訳ございません。デミウルゴス、ただいま参りました」

 

どこか心地よくなるような、惹き込まれるような張りのある声が発せられる。

彼こそが第七階層守護者、デミウルゴスだ。

 

「よい。よく来てくれた」

 

モモンガは軽く手を挙げて答え、そして思う。

 

待っている間もう既に分かっていた。ペンギン執事のような一部の例外を除いてNPCたちに敵対の意志はない、それどころか突き抜けた忠誠心があると。

根拠は集合を待つ間の守護者たちの行動、忠誠心の高さなどは主にコキュートスだ。

敵対の意志がない事がわかった時点で守護者を集める目的は完了していると言っていい。

戦闘にならなくてよかったとほっとしていると、アルベドが場が整ったと判断したのか声を発する。

 

「それでは、至高の御方々への忠誠の儀を。エレインス・エレオリー様はモモンガ様の傍にお願いします」

 

だらけた顔で双子を撫でていたエレちゃんはバッと振り向くと、すまし顔でそそくさとモモンガの横へ移動した。

モモンガは急に始まった忠誠の義と、エレちゃんはなぜ冷静に対応出来るのかと、ふたつの事に困惑していたが、儀は平然と続く。

 

「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に」

 

「第五階層守護者、コキュートス。御身の前に」

 

「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。御身の前に」

 

「お、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ。御身の前に」

 

「第七階層守護者、デミウルゴス。御身の前に」

 

いつの間にか整然と横一列に並び、片膝をついて頭を垂れている守護者が次々と自身の名を述べた。

 

「守護者統括、アルベド。御身の前に」

 

アルベドも同じように片膝をつき頭を垂れるが、それだけでは終わらない。

 

「第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。...御命令を、至高なる御身よ。我らの忠義全てを御身に捧げます」

 

自分たちに平伏する6つの頭を前に思わずモモンガの喉がなった。

ちらりと隣を見れば、エレちゃんは相変わらずすまし顔で佇んでいる。どうやって平然としていられるのか。

ともかく、今度は忠誠の対象者として自分が言葉を発する番だろうと気合いを入れる。

思わず特殊能力も解放してしまい、オーラを纏ったり、後光を背負う。

 

「面を上げよ」

 

守護者全員が一糸乱れぬ動きで顔を上げた。何故か隣でエレちゃんもオーラを放った。

 

「では...まずよく集まってくれた、感謝しよう」

 

「感謝などおやめ下さい。我ら、御方々に忠義のみならず好みの全てを捧げた者たち。至極当然のことにございます」

 

アルベドの言葉に口を出す階層守護者はいない。それどころか当然だという空気が流れる。

それが何より、この守護者統括の言葉が各階層守護者の心を代弁していることを物語っていた。

 

しかしモモンガは部下を持ったことは愚か、誰かに忠誠を捧げられたことなどない。

アインズ・ウール・ゴウン内ではギルド長をしていたが、あくまで調整や仲裁役、多数決の議長などがほとんどで誰かの上に立ったことは無い。

だから少し、今の状況を考えさせられてしまう。

 

 

「...モモンガ様はお迷いのご様子。それも当然でございます。モモンガ様からすれば私たちの力など取るに足らないものでしょう」

 

そこで一旦区切ると、アルベドの声のボルテージが1段階上がる。

 

「しかしながら御身より下命いただければ私たち―階層守護者各員、いかなる難行といえども全身全霊を以て遂行致します。そして、造物主である至高の四十一人の御方々―アインズ・ウール・ゴウンの方々に恥じぬ働きを誓います」

 

『誓います』

 

アルベドの言葉に、示し合わせたかのように斉唱する階層守護者たち。そのモモンガの警戒心を嘲笑うような何人にも揺るがせない忠誠心には、かつてのアインズ・ウール・ゴウンの輝きがあった。

モモンガの眼窩は赤く光り、彼の口からは自然とギルド長としての言葉が滑り落ちる。

 

「素晴らしいぞ。守護者たちよ。お前達なら目的を深く理解し、一切の問題なく事を運べると今この瞬間、強く確信した」

 

モモンガは守護者全員の顔をもう一度見渡す。

 

「さて、多少意味不明な点があるかも知れないが、心して聞いて欲しい。現在ナザリック地下大墳墓は原因不明かつ不測の事態に巻き込まれていると思われる」

 

隣でエレちゃんが深く頷く気配がした。

その間も守護者各員の顔は真剣そのもので、少しも崩れることは無い。

 

「そこでだ、お前たちには一度自らの担当する階層へ戻り異常がないか調べてくれ。その後玉座の間で詳しい話をする。階層守護者は勿論、領域守護者も集めてくれ」

 

「かしこまりました」

 

モモンガは守護者を代表したアルベドの返答に頷くと続ける。

 

「時間は...そうだな。アルベド。どのくらいで終わる」

 

「急げと言われればすぐにでも、と答えたいところですが、不測の事態ということですと念には念を入れて一時間ほどいただければ」

 

「そうか。ではそのように。後は、九階層に八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)を配置して警護させておけ」

 

「よ、よろしいのですか?神聖なる九階層にシモべなど...」

 

アルベドだけではなく、階層守護者各員も狼狽していた。

 

「今は非常事態だ、構わん。それに...残ったのは私とエレインスの二人だけだからな、広すぎる。エレインスもそれでいいか?」

 

「はい。私も構いませんよ」

 

「か、かしこまりました。ただちに」

 

エレインスもニコッと微笑むと了承を示す。

 

「ではまた後でな」

 

「それではまた」

 

モモンガは小声でエレインスに円卓へ、と言うと指輪の力で転移し、エレインスもそれに続いた。




ちょっと色々順番変えてます。


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聖王国編が終わったあとの話になる予定だったものたち
暴走


これ、結構話が進んでる前提ではじめの方に書いてたやつです。


 

 アインズは急ぎ執務室に向かっていた。

 外から転移できない場所にあるため途中から歩きで向かわざるを得ないが正直もどかしいし、イラつく。

 

『エレインス様と連絡がつかなくなり、付き従っていたシモべたちの反応も消えましたっ!』

 

 あまり聞いた事の無いセバスの慌てたような声で聞かされたのは最も危惧していた事態だった。

 もちろん安全対策にワールドアイテムは持たせていたし、幾数もの高レベルのシモべを付かせていたはずだが、そのシモべたちの反応すら消えたというのはエレインスが火急の事態にあるという事に他ならない。

 

 

「っクソ! …落ち着け。冷静になれ」

 

 

 苛立ちと焦燥が鎮静化され、そしてまたくすぶる。

 この世界について調べていくうちに過去のプレイヤーらしき存在も明らかになりつつあるし、死亡しても拠点にリスポーンすることが分かっている。

 最悪死んででも戻ってきて欲しいが消息不明。

 シャルティアの時のようにニグレドに探させてはいるが、フレンドリーファイアがあるこの世界ではエレインスの魔法耐性とノアの方舟(ワールド・アイテム)の守りのせいで中々見つからないだろう。

 

 執務室に辿りつき扉を開く。いつもなら扉の前に控えるメイドに開かせるが今はそんな余裕はない。

 室内にいたのはセバスのみ。連絡をよこしてから待っていたのだろう。

 頭を下げようとするトマスを手を挙げて止める。

 

 

「今は良い。それより状況は?」

 

「はっ、不在アルベド様に代わりエレインス様付きのシモべと定期連絡と取ろうとしたところ消息が途絶えておりアインズ様に報告した次第。各階層守護者には情報伝達しており既に玉座の間に揃っております」

 

「そうか。ではすぐに向かおう」

 

 

 アインズとセバスは指輪を発動させて玉座の間に転移した。

 セバスは頭を下げて玉座の間に入っていき、アインズは専用の入口から入る。

 玉座の間では既に階層守護者たちが揃い膝をついて頭を下げていた。

 

 

「頭を上げよ。緊急事態だ。無駄な時間は使いたくない」

 

 

 階層守護者たちがいっせいに顔を上げ、アインズを見た。

 その目は酷く不安に揺れており、普段の壮観さは無い。

 

 

「みなセバスから聞いているだろうがエレインス及び付き従っていたシモべたちの消息が途絶えた。すぐには見つからないだろうが急ぎニグレドに捜索させている」

 

「アインズ様! ほんとにエレインス様が?!」

 

「あぁ」

 

「しかしエレインス様はワールド・クラスまで手に入れたお方! 消息が途絶えるなんてことが」

「シャルティア…建設的でない発言をするな。今は状況の整理と場合によっては戦いの準備をしなくてはならない」

 

 

 アインズの中では先程からずっと苛立ちがくすぶり続けている。それが一定値を越え鎮静化される。

 だがまたくすぶり始める。

 

 

「すまないが私は今とても苛立っているんだ」

 

「も、申し訳ありません」

 

「まぁ良い。それでアルベド。確かエレインスは法国に向かったんだよな?」

 

「はい。上層部、主に聖典たちを支配下に置き、国の機能を吸収する計画のために法国に向かわれておりました。しかし現在法国にいらっしゃらない事は確認済みです。現地へ送ったシモべ達には引き続き付近を捜索させております」

 

 

 計画の内容は事前に知らされている通りだ。ひとつ頷く。

 そして続き指示を出す。

 

 

「ふむ……ではまずナザリックの警戒レベルを最大値まで上げろ。勿論戦闘できる態勢には入っておけ。もし、エレインスが何らかの攻撃を受けている場合、ここナザリック地下大墳墓も狙われている可能性がある」

 

「「「はっ」」」

 

「あとは……少し1人にしてくれ」

 

 

 アインズはそう言って自室へと向かって行った。

 

 残された守護者達は主人の姿が見えなくなると即座に準備のために各階層へ転移して行った。

 玉座の間で最後の一人まで見届けたアルベドは独り言ちる。

 

 

「エレインス様……どうかご無事で」

 

 

 

 

 

 埃ひとつない自室にてアインズは思考する。

 実の所、もう星に願いをすら使ってしまいたいと思っている。勿論相談した上になるだろうが。

 しかし、ワールドアイテムを所持するエレインスを果たして探し出せるのか。

 星に願いをではワールドアイテムの場所を知ることは出来ない。なら所持している者を探す場合は? 

 

 頭の中を数々の可能性がぐるぐると回る。

 

 

「たのむから無事でいてくれ。むしろ……いや、これは最悪だな……」

 

 

 むしろ……死んでくれ。

 鈴木悟の残滓による唯一残ったギルドメンバーへの強い執着はあるが精神はほとんどアンデッドと変わりないそれになりつつある。

 むしろその執着がアンデッドの精神により変貌し、エレインスを死で縛り付けたいとすら思っているのだ。

 現在の最高の装備とも言える状態でエレインスが死んだのならば、復活後はナザリック内へ縛り付ける名分が生まれる。それを望んですらいるのだ。

 

 

「最悪だ。最悪だ。最悪だ。アンデッドの精神に引っ張られすぎている……。フレーバーテキストでは確か『すべての生を憎み』だったか」

 

 

 その時頭にひとつの事が引っかかる。

 

 

「フレーバーテキスト。それはアイテムやNPCだけじゃなくてプレイヤーにも、正確にはクラスにもあるじゃないか! 俺がアンデッドとして精神を引っ張られてるならエレインスはアイドル系とセイレーン種だから……」

 

 

 アイドル系はファンが力をくれるとか何とかだったからほとんど気にせずともいい。

 セイレーン種は『人を喰らう神話の怪物。人間は極上の食餌であり、船乗りたちを美しい歌声で引き付け……』

 

 極上の……食餌。

 

 

「伝言《メッセージ》

 アルベド、デミウルゴス。聞こえるか? 知恵者たるお前たちに急ぎ確認したいことがある」

 

『『はっ、アインズ様。直ちに向かいます』』

 

「では再び玉座の間へ」

 

 

 

 アインズが玉座の間へと戻るとすでにナザリック屈指の知恵者2人は集まり頭を下げていた。

 

 

「頭を上げて良い。待たせて済まないな」

 

「いえ、至高の御方たるアインズ様がご呼びとあらば即座に参るのが守護者の務め」

 

「あぁそうだったな」

 

 

 代表してアルベドが答えるが長くなりそうだったので途中で止める。

 

 

「早速だが、エレインスの件で相談がある。世辞などはいい、まず話を聞いてその後意見をくれ」

 

 その瞬間知恵者2人の雰囲気が静かになる。

 未だ何が起こっているのかわからない状態の中、至高の御方たるアインズ様はどう解決されるのか。注目する態勢に入ったのだ。

 

「まず、質問からになるがエレインスは先の計画へ法国へ向かったのが初の外出になるな?」

 

「はい。その通りでございますアインズ様」

 

「ありがとうデミウルゴス。ならば多くの人間種と遭遇したのもその時が初めてになるな?」

 

「おそらくは」

 

「そこでひとつ気になったことがあってな。お前たちは大好物……ご馳走が目の前に大量に用意されてたら我慢できるか? おそらく私は出来ないだろう」

 

 

 知恵者2人は恐る恐ると頷き、そして気付く。

 

 

「なるほど……セイレーン種は人間を至上の食事とする。そしてエレインス様はそのセイレーン種の頂点におられる御方」

 

「確かにそんなエレインス様にとって人間はご馳走になるわね」

 

「あぁ。そしてエレインスは未だに人間を食したことは無い」

 

「それは真ですか!?」

 

 

 アルベドが驚きの表情を見せる。

 デミウルゴスも表情を崩さないまでもその尾はおかしな位置で固まりついて動揺を示していた。

 

 

「私もエレインスも人間を積極的に害そうとは思っていないが、彼女はにとっては法国は……外はかなりの誘惑だらけなのだろうな」

 

「だから法国を離れ……」

 

「ですがなぜシモべ達も消息不明に?」

 

「それについても想像がついている。おそらくはワールドアイテムだ」

 

「エレインス様の、ノアの方舟ですか?」

 

「効果は『あやゆる効果が全てに適応される』でしたか」

 

「普通に使えば炎属性耐性が全属性耐性になり、逆に聖属性脆弱が全属性脆弱になるという二長一短のような少し使い勝手の難しいアイテムだが。もし仮に『"人間"種は極上の食餌』の部分にも適用されるとしたら?」

 

「ッ!?」

 

「そうだ。シモベの事もそう見えてしまっているのかもな。勿論我々に対しても」

 

「ではこん」

『ピピッ』

 

 

 アルベドが額に指を当てる。

 伝言《メッセージ》が届いたのだろう。

 

 

「アインズ様。エレインス様が見つかりました。パンドラズアクターの作成したアンデッド達との繋がりが次々と消失しているカッツェ平野南部を捜索したところ、1人佇むエレインス様を発見。即時に帰還を勧めようとしたところ、手当たり次第に攻撃してくる状態との事です」

 

「そうか、行くぞ」

 

 

 その眼窩を赤く光らせ、アインズはローブを翻した。



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本能

「アインズ様。こちらから先の安全は確保されています。転移した瞬間の隙に未知の敵に攻撃されることはないかと思われます」

 

アルベドから安全の確認が取れたアインズはシャルティアによって予め開かれていた転移門《ゲート》を潜ってカッツェ平野へと降り立った。

 

普段、巨大湖からの冷気と湿気によって立ち上っているはずの霧は見当たらず、同時に支配下に収めた際に配置した人間の死体から作られたシモベ達の姿はない。

 

 

「パンドラズアクターが私に代わり生成したアンデッドは全滅か…私が作成したアンデッドとの繋がりも途切れているな」

 

 

カッツェ平野にいたアインズ作成のアンデッドがそもそも少ないのもあり、既に多くのアンデッドを作成しすぎて分かりづらくなっていたが、確かに繋がりの消失が確認できた。

 

アインズはカッツェ平野を見渡して問う。

 

 

「して、肝心のエレインスは何処だ」

 

「ここから更に5kmほど南下したところでありんす。転移直後の無防備な状態での襲撃の可能性を防ぐため、安全の確認されいる多少遠い位置に転移門《ゲート》を展開させてもらいんした」

 

 

先に現地に到着し待機していたシャルティアが頭を下げて出迎えつつ質問に答える。

おそらくはエレインス1人の暴走であると考えられるものの、確かに未知の敵による襲撃も無いとは限らないのだ。守護者たちの判断は正しいと言えよう。

しかし、アインズは焦りの気持ちを抑えられない。

問題の原因が理解出来ただけで、問題自体が解決した訳では無いのだから。

 

(精神異常を無効化できても…この焦燥は抑制できないのだな)

 

アインズは珍しくも、感情の抑制を欲した。

だが、今回ばかりは抑制されなくて良かったのかもしれない。

この感覚をなくしてはいけない。そうでなければエレインスやナザリックを失ってしまうかも知れないから。

 

 

 

 

あかねにゅうはくひはいたいしゃ(えれいんす)にあおむらさき(さま)もえぎ()ぞうげはいきはだ(かんち)ににゅうはくきみどりひ(されない)にひだいだいぬればしんしゃ(さいしゅう)しろひはい(らいん)もえぎ()くわぞめしんしゃきはだくろはだ(とうちゃく)だいだいあおむらさきだいだいやまぶき(しました)ぼたんひはいたいしゃ(あいんず)にあおむらさき(さま)

 

「ありがとうヴィクティム」

 

 

アインズはガルガンチュアなどの外に出しにくい者以外のほとんどの階層守護者を連れ、エレインスへ近付いていた。

ここにいるすべての守護者は完全装備を備えているが、勿論エレインスとは戦わせたりしない。あくまで念の為だ。彼らにとって至高の御方と敬称する相手であるエレインスを攻撃する事は相当に辛い事のはずだからだ。

アインズは、今回こそ1人で戦うつもりだ。

闘わずに済むのならそれに越したことはないが。

 

 

「それでは確認を始めるとするか。生命の精髄《ライフ・エッセンス》

……かなりの体力だな。かつての彼女よりも遥かに多いぞ」

 

 

転移前に比べ、エレインスの体力およそ3割ほど増えていた。

 

アインズはフレーバーテキストの可能性に気づいてからパンドラズアクターにナザリックの蔵書から種族のフレーバーテキストが載る本を見つけさせていた。

そこでセイレーンクイーン種の項目を確認すると驚くべきことが書かれていた。

 

『(略)海を渡る多くの人々を死へ(いざな)い喰らってきた怪物は、人を喰らうほどに力を増し、いつしかクイーンと呼ばれる姿まで成長した。クイーン種と至った怪物を止めることはもう叶わない(略)』

 

 

"喰らうほどに成長する"

 

そのフレーバーテキストは、ユグドラシル内では敵対した人間種の数、及び倒した人間種の数だけその戦闘中だけに微量のバフがかかるものとして再現されていた。

しかしフレーバーテキストが大きく関わるこの世界ではその程度では済まされない。

実際に喰らうほどに成長していくのだろう。それも際限無く。

 

 

「法国内で高レベルのシモべ達、数多くの人間、そしてここへ来てからアンデッド達を喰らって成長したのだろうな。相当強くなっている」

 

「エレインス様ハソレ程マデニ強クナッテイルノデスカ?」

 

「ああ。体力は数値にして3割ほど増えている。その他能力値も相応に上がっていると見ていいな。かなり骨が折れるぞ」

 

 

アインズの言葉に守護者達も唸り声をあげる。

ゲーム内ではバランス的に許されない程の強化率であり、その恩恵をレベル100に至ったエレインスが受けているという事実は、大きな絶望足りえた。

 

…だが

 

 

「こんな事を言っておいて何だが、ここは私1人に任せてくれ」

 

 

アインズはオーラを最大限に放ちながら続けた。

その本気度を味わった守護者達は静かに耳を傾けた。

 

 

 

 

(大見得を切ったが、ただでさえ厳しいエレインス相手にバフまで掛かっているとなると……

我々のどちらかの死亡は必至だろうな)




シャルティアが暴走した時、始めにアインズ様は自分がギルド長として1人で行くと言いましたが、エレインス始め皆にとめられ、結局エレインスの手によってガチガチにバフされまくったアルベド、コキュートス、アウラ、マーレが4人でシャルティアを拘束し帰還。
その後ナザリックにて元に戻す手段を色々探った後、苦渋の決断でシャルティアを殺して復活させることにしました。

……という話を書く予定でした。


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ギルド長の仕事(前)

とにかく短いです。ちょくちょくこのくらいで投稿するかもです。


暴走したエレインスを目前にし、アインズは守護者たちにひとりで向かうと伝えた。

その大きな覚悟を伴ったアインズの宣言に守護者たちは反対することなどできようもなかった。アルベドを除いて。

 

 

「アインズ様!」

 

「お前たちは私の戦いを見守っていてくれ」

 

 

愛する相手を引き留めようとするアルベドに対し、アインズは静かに続ける。

 

 

「私はな、ギルド長という立場にありながら、ただギルドメンバーの間を取り持つだけだった。ギルド長らしいことをして来れなかったんだ。

だからギルド長としてギルドメンバーの...エレインスの暴走は私の手で止めたいのだ」

 

「それでも!アインズ様おひとりではあまりに危険すぎます!せめて前衛として私を...っ!」

 

 

アルベドがアインズの身を案じ、せめて自身が肉壁になろうと提案する。だがその提案はそっと挙げられたアインズの手によって止められてしまった。

 

 

「アルベドよ。お前の不安はよく分かるとも。

だがな、私は"アインズ・ウール・ゴウン"の"ギルド長"としてエレインスを救うを言ったのだ!」

 

「っ!」

 

 

アルベドの目をしっかりと見て告げられたアインズのその言葉は、その表情は余りにも...

愛する人にそんな顔で見詰められて断れる女など。

 

 

「もう一度言うがアルベドよ。皆と見守っていてくれ。わかったな?」

 

「はい...ぁ...」

 

 

アルベドの返答を認めたアインズは全守護者に告いだ。

 

 

「では皆の者!戦闘に巻き込まれぬよう避難せよ」

 

「「「はっ!」」」

 

 

アインズからの指示を受けた守護者たちは、数人で腰が砕けてしまったアルベドの身体を引きずりながら、シャルティアが開いた転移門を潜って行った。

 

 

「大丈夫かい?アルベド」

 

「ええ。少しアインズ様の覇気に当てられてしまっただけよ。気にしなくていいわデミウルゴス」

 

「そうかい。それはよかった」

 

「ソロソロ開戦スル。我ラデアインズ様ノ勇姿ヲ見届ケルゾ」

 

「ええ。そうしましょうか」

 

 

◇◇◇

 

 

「エレちゃん……」

 

漆黒の穴より荒野に降り立ったアインズは前方の怪物を見てつぶやく。

今のエレインスは彼女の母親が作ってくれたという眉目秀麗な姿ではなく怪物然としたセイレーン種としての本来の姿になっていた。

 

「《ライフ・エッセンス》」

 

相手の体力を看破する魔法をかけ直すとエレインスのユグドラシルプレイヤーとしては並外れた体力が分かる。

次いで魔力看破、魔力上昇、フライを始めとしたあらゆるバフを自身に重ねがけしてゆく。

不意に精神の安定化が働く。

 

「これだけしてもエレちゃんのバフには遠く及ばないなぁ……これが恐怖か。この身体になってから忘れてた感覚だよ」

 

《フライ》の効果によってふわりと浮かび上がったアインズはエレインスの弱点属性であるはずの炎の超位魔法《流星雨》を発動する。

 

「ノアの方舟を装備されてたら弱点にならないな。まあいい。開戦だ」



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