めぐねえがいく『がっこうぐらし』RTA (鹿尾菜)
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1.DLC起動!めぐねえ怒りの高校生活

お荷物とよく言われるめぐねえを強化するRTAはーじまーるよー‼︎

 

さて、今回プレイしていくのは最近話題の『がっこうぐらし』。

様々なRTAが行われていますが今回はFPS、TPS系が苦手な方向けのRTAを行なっていきます。これについては後ほど。

今回は新しくきたアップデートと追加コンテンツとを使っていきます。使用するのはアップデートver1.22、追加コンテンツは制作会社側が一緒ということからバイオハザードとの期間限定コラボのものを使用します。

制作会社が同じことから生まれたコラボ。

 

今回のチャートを組むにあたって試してみたのですが一般的なキャラガチャで出るキャラを使うより主要キャラを使用した場合の方が早かったのでそっちでチャートを組んでみました。後このDLCコンテンツ入れると主要キャラを主役におかないと途中でかなりのタイムロスが発生します(22敗)

ちなみにRTAでなければ実は通常キャラの方が楽です。

なおこのバイオDLCを入れている場合めぐねえは結構有用キャラになります。

あれ?主要キャラなのになんでめぐねえ操作できる?のと思ったそこのお兄さん達。実は今回のアップデートで一部主要キャラをプレイヤーキャラとして操作することが出来るようになったのです‼︎わーパチパチ。

 

 

操作できるのはめぐねえとくるみちゃん。

方やゴリラとか筋肉お化けとかバーサーカーと呼ばれる戦闘民族。普通にプレイするならこっちの方が全然早いです。ですが彼女をプレイする場合どうあがいてもめぐねえが犠牲になります。全員生存ルートはどうやら彼女の場合存在しないようです。なんてことだ‼︎

だからといってめぐねえを選んだ皆様。安心してください。めぐねえはもっとやばいです。

 

なんと正気度が通常の三倍の速さでゴリゴリ削れていきます。特に何もしていない状態でもそれなので正直しんどいです。しかも普通なら正気度回復するはずの行動やミニイベントでも彼女の場合正気度が回復しないことが多いです。

そのためゲームクリアより前に発狂してコントロールできなくなってしまう場合がほとんどなので超マゾゲーになります。一応めぐねえのメリットとして他のキャラとの不和が起こらない。他キャラとの好感度が最初から全員高いというメリットがあり運用上好感度調整を考えなくて良いというのがあります。

しかし悲しいかな。

 

しかしご安心を‼︎このバイオパッチを追加で入れることでめぐねえはお荷物でも生かすのが難しいキャラでもなんでもなくなり、最悪主人公補整かかっているんじゃないのかって言う超強キャラに変わります。うまくいけばくるみちゃん並みに無双できます。やったねめぐねえ!活躍増えるよ‼︎

 

ただしそのめぐねえを解放するには通常のめぐねえで一回エンディングを迎える必要があるので難易度が高いです。心が折れないように頑張りましょう(6敗)

 

ちなみにこのめぐねえは初期状態で「体力補正」と「サバイバル術」のスキルが追加されています。

「体力補正」はステータスの体力を2プラスにするもの。これで多少は体力なしが改善されます。

もう一つの「サバイバル術」は他に持っている子が1人しかいない超レアスキル。

なおその子は図書館篭りのもやしっ子なのでアウトブレイク初っぱなで詰む確率が鬼のように高いです。

なのでまともに運用できるのはおそらくこれが初めてだと思われます。

 

 

では早速プレイをしていきましょう!細かいチャートなどはその都度解説をしていきます。ガバらないことを祈りましょう。

 

計測はオープニング終了地点からエンディングがはじまるまで。

ではスタート。

バイオDLCを入れると実はこのムービーも少しだけ変化します。なんと所々でアンブレラのマークをつけたヘリや車が登場しているのです。

ちなみにルートによっては登場しますが難易度が跳ね上がる上にかなりのロスになるので今回は見送りです。

 

オープニングが終わるとキャラメイクになりますが主要キャラの場合いじることができないのでそもそも画面が出ません。これだけでも数秒の巻きになります。やったぜ。

 

 

めぐねえを選ぶとスタートは職員室から。時間はアウトブレイクに学校が巻き込まれる2時間前。

ここでまずやることはめぐねえの鞄を装備し、早めにゆきちゃんと合流することです。アウトブレイクまでに合流できない場合高確率でゆきちゃんが死んでしまいます(1敗)

 

ここでお気づきの方もいられるでしょう。実はバイオDLCを入れると視点を俯瞰視点。つまり初代バイオシリーズ特有のエリア端固定画面にすることができます。これでFPSのように自身が見れないという悲劇も、TPSのように背後しか見えないということもなくしっかりキャラを見ることができるようになります。良いですねえ。

まあコントロール難易度は上がりますが慣れてしまえばどうということはありません。

 

 

 

無事合流できたら会話をしながら臨時補習をしましょう。多少好感度が下がりますが許容範囲です。

時計が午後4時40分を指していたらすぐにスマホを開いて親からのメールを開きましょう。これをすることでアウトブレイク発生を屋上に陣取った状態で迎える事ができ無駄な戦いや移動をしなくて済みます。

 

ここら辺は通常版のめぐねえプレイでも変わりません。

 

どうやらゆきちゃんを連れて屋上に向かうようです。最悪屋上の拠点確保に失敗しても逃げ道は残っているので意外と屋上へ行くルートは生存率が高いです。

 

 

屋上へ到着したらまずは情報収集のため鞄からラジオを出します。

なんとめぐねえのこの鞄、ラジオと水、チョコなどのお菓子にハサミと絆創膏、消毒液などが入っているのです。ハサミは緊急回避などに使えるので大変便利です。また消毒液も移動中に転んだりしてしまった場合に発生する擦り傷や切り傷による移動能力の低下やダメージの回復につながります。

 

序盤でこれらが手に入るのは大変良いです。わざわざ保健室まで行く必要がないです。

 

ラジオをチューニングして情報を収集しようとすると電話がかかってきます。これを取ればイベント開始です。

なおラジオをチューニングすると確定で電話が鳴りますがそうじゃない場合数分ほど経たないと電話が鳴りません。完全にタイムロスにつながります(1敗)

 

というわけでくるみちゃんが怪我をした先輩を連れてやってきました。早速ですがロッカーを使って入り口を塞いでしまいましょう。

といってもロッカーを押し返そうとしてくるのでボタン連打の押し問答です。ここで通常めぐねえだと体力不足ですぐにへばってしまいますがバイオ版だと体力補正のため多少は長続きします。でもりーさんを手伝わせましょう。実はここでりーさんに手伝ってもらうことであるルートが解放されることになるのです。詳しくは後ほど。

 

 

はいくるみちゃんが覚醒してくれたのでそろそろこちらもイベントを終わらせましょう。

りーさんに話しかけるを選択し、別のロッカーから箒を取ってきてもらいます。これを使って手を伸ばしている彼らをペチペチやってもらうわけです。するとコマンド入力が発生。

これの入力に成功すればすぐイベント終了です。

コマンドは固定なので入力をミスらなければ問題ありません。はい終わりました。

 

 

 

イベントが終わると壊滅に至る街のムービーが流れます。

なおアウトブレイク時にショッピングモールなどにいるとこのムービーが変化します。

それが終わると時間は夜に飛びます。

 

まずはゾンビが階段のところにいないのを確認。

 

次に校内の生存者を助けに行くと選択します。

全員から反対されますが押し切りましょう。ついでにここではくるみちゃんを連れていくを選択。こうすることで後々必要になるフラグをいくつかすぐに立てることができます。ですので必要な道具を持っていきます。ここで新たに見つけている刈込鋏とバケツに濡れた雑巾を装備します。後二つは「サバイバル術」がないと装備できないものです。気を付けましょう。

 

ちなみにゾンビをコロコロしすぎると同行者の好感度が下がりますがめぐねえの場合はほとんど下がりません。ただし生きている人を攻撃したりすると一気に好感度がゼロになりますので注意してください。

というわけで……

 

イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

はい、三階にはほとんど彼らはいません。

なんと教室に至っては一か所にしかいないのです。ですのでここでゾンビの特性を皆と共有するために色々実験をしておきましょう。そのためにくるみを連れてきたといっても過言ではない。

 

 

濡れた雑巾を投げつけたり近くに落として反応を確認。こうする事で音に敏感に反応する。多少は目が見えている。体側の痛覚などは死んでいるが確認できます。

ではある程度観察が終わったのですぐ二階にいきましょう。

生存者なのですが通常は3階のトイレに隠れているチョーカーさんこと柚村貴依が居ますが、バイオDLCを入れていると二階のロッカーにランダム配置となります。

それともう1人5%の確率で1階のロッカーに通常キャラの誰かがランダム配置で入っている場合がありますがめぐねえプレイではすでにゾンビ化しています。

逆にくるみプレイの場合チョーカーさんが出現しない代わりに1階ロッカーに通常キャラの子が対象キャラとして出現します。

初代バイオハザードを彷彿とさせますよねえ。

なおめぐねえの呼びかけにはチョーカーさんも安心するのかゆきちゃんの写真を見せなくても出てきてくれます。

 

呼び出しを行う前にまず廊下のゾンビをさっさと始末しちゃいましょう。放っておくと事故の元です(3敗)

 

くるみちゃんは覚醒したばかりでゾンビを殺すのに躊躇してしまいますが会話をある程度すればすぐ躊躇しなくなります。

 

さてチョーカーさんはどこかなあ?いるか居ないかを見分けるにはくるみちゃんの反応でわかります。チョーカーさんが隠れている教室に入るとくるみちゃんが残っている鞄を装備しようとします。

どうやらA組の教室にいたようですね。

 

はい回収回収。すぐに屋上へ連れて行きます。本来ならこれで終了ですがチョーカーさんを助けた直後は連れて行っていたキャラの好感度と正気度が下がらないバフがかかるので今のうちに全フロアの彼らを始末しておくのがおすすめです。

 

というわけで再び……

イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

はい到着しました。食料品や使えそうなものを回収するため途中の教室で生徒の鞄をパクってきました。

ちなみにくるみちゃんはスコップを装備していながらも鞄を二つ装備できるのでもはやトラックです。しかも荷物満杯でも戦闘力に支障はないというかなりのチートです。

 

なお調べる順は一階、二階の順で下から上に行った方が早いです。特にめぐねえは荷物が増えると比例して移動速度が低下しますので意外とタイムロスになるんですよ。

特に二階は学生食堂がありますのでなるべく日持ちしない食料を回収する必要があります。昼間はゾンビーズが増えるのでなかなか行けません。

 

食材が無駄になってしまいます。ふざけやがってえええ‼︎

 

 

さて今回行くのは1階の用務員室。廊下のゾンビーズをコロコロしていると流石のくるみちゃんも疲れが溜まってきてしまうので休憩と称していきましょう。こうすることでもう一つのスキル「サバイバル術」のチュートリアルが開放されます。

用務員室にある道具を使って即席の武器を作ることができます。ちなみに何が出てくるかはランダムです。運が良いと即席手榴弾や竹槍なんかも作れます。

 

今回は…どうやらガス式の釘打ち機ですね。

多分元ネタは学園黙示録で使用されたものでしょうがあちらと比べるとかなりのスペックダウンです。一見使えそうですが予備の釘やガスはないので使い物になるかは微妙です。ちなみに明日の朝にはガスが勝手に抜けてしまい使い物にならなくなるので今回限りです。

 

しかし何かの縁ですのでチュートリアルのために釘打ち機君には犠牲になってもらいましょう。

ここでの作業は無理ですので工作室に行きます。

テープと定規を用意したらコマンド入力。

これはランダムで変更になりますが二回まで間違えて良いので落ち着いて打ち込みましょう。

 

……はい完成です。

ここでこのチュートリアルをしておかないとサバイバル術のスキルが使えなくなってしまいます。精々が食べられるものを見分けるくらいにしか使えないです。

ですのでしっかり受けておきましょう。死にスキルとかもったいないじゃないですか。

勿体無いお化け出ちゃいますよ。

 

実際に使ってみるとわかるのですがこれスコップのリーチまで引き付けて使わないと一撃で倒せません。

くるみちゃんに持たせてみましたが不評です。もちろん刈込鋏を持っているめぐねえでもあまり良い反応は出ません。

一応鋏の耐久を残すために使うことにしましょう。

こういうのは本来近距離戦が得意じゃないりーさんなんかに持たせるのが良いのですが銃と違ってガス欠の概念があるので防衛は不向きです。

やるのであれば本物を持たせましょう。

コスモガン化します。代わりに疲労と正気度の減りが早くなってしまいますが。

 

ということで本日はここまで。ご視聴ありがとうございました。




試走
「もしかしてこれ救助を待つより救助されに行った方がいいんじゃないのだろうか?」

カチカチ

「ぬあああああ⁈ちょっと待って!ごめんなさい許してくださいなんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)」

「救助ヘリがカプコン製に化けるなんて……」



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順調なチャートには裏がある

世界が変わってしまう前日、私は夜更かしをしてしまった。

その日、目覚まし時計の音よりも先に私はサイレンの音で目を覚ました。

あの時の記憶もサイレンの音を聞いたくらいじゃもう思い出さない。そういえば昨日からやけにサイレンを鳴らしている車両が多い。

ポストに入れられていた朝刊を回収し、簡単に済ませるはずだった朝食を口にする。ただトーストを焼こうとしたはずなのに何故か目玉焼きやベーコンが乗っかっているのは気にしてはいけない。そういう気分だっただけ。

 

着替えを終えた頃にはもう眠気はどこかに吹き飛んで、脳は完全に覚醒をしていた。再び救急車両の音がした。

どうやらさっき通ったのが折り返してきたらしい。

 

 

出勤の時間になってもやっぱり緊急車両はよく目立った。どこかで大きな事故があったとラジオは伝えている。

きっとそれの影響だろう。最近物騒になってきたものね。あ、そういえば最近夜に不審者が出たり帰り際に襲われたという事件が発生していたから生徒の安全を危惧して早めに授業を切り上げるって言っていたっけ?

だとすれば早めに帰れるだろうか?

 

でも教師だと授業がなくてもやることは多い。きっと帰ることはできないだろう。

 

私が担当する国語の授業はこの日に限って言えば午前中しか入っていない。

だけれどなんだかんだ教員というのは忙しい。授業を終えたとしてもテストの採点だったり部活の監督だったり、それ以外にも生徒の相談なんかも。

お昼のニュースを背景音楽代わりに使っていると、一瞬気になる単語が出た気がした。だけれどその詳細を聞く前に先輩の神山先生がチャンネルを変えてしまった。

「あ…」

暴動?日本にしては珍しい言葉な気がした。

「ん?さっきのニュース見たかった?なんか結構大きい交通事故のニュースだったみたいだけど」

 

「いえ、大丈夫です」

そういえばさっきから両親からのメールが来ていたような…1回目も2回目も車の中だったからちょっと取れなかった。なんだったのだろう?

でも疑問を確認する前にまずは仕事を片付けないといけない。

結局今日もだけれど帰れそうにないわね……

自分の机で作業をしていると既に時間は3時を回っていた。そろそろ日が傾いてくる頃だろう。

少し巡回でもしてこよう。そう思い立ったのは偶然だった。

そういえば……1人気になる子がいるんだった。

まだ残っているならちょっとだけ勉強を教えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

二階の3年C組の教室に顔を覗かせてみれば、意外なことにまだ残っていた。もう教室には彼女以外残っていない。何をしていたのだろうか…

「あ、いた。まだ残っていたの?」

丈槍由紀、国語が苦手なのか毎回テストで赤点を取ってしまう子。でも元気で明るい性格だし悪い子ではない。どこか浮き気味なのはいまの時期では仕方がないことなのかもしれない。

「あ!めぐねえ」

私が入ってきたことに気づいたのか彼女が駆けてきた。人懐っこいのは良いことだけれどちょっとマイペースすぎるというか。悪い子じゃないけれどね。

「めぐねえじゃなくて先生よ。何していたの?」

 

「絵を描いてたの‼︎」

 

三年といえばもう受験勉強が本格化してきてどことなくピリピリした雰囲気が出るものだけれど、彼女からはそんな雰囲気は一切出ない。そのおかげかある程度クラスの不和を緩和しているようにも思える。それが彼女の良いところ。

まあ…国語の成績はボロボロなのだけれど。

でも英語や数学といったところはそれなりにできているから全教科がダメってわけではない。

「せっかく残ってるのだから補習しましょうか」

私はそこまで優しくはしないわよ?

「ええー‼︎今⁈」

 

「国語の成績が悪いと卒業できないかもしれないわよ?少しくらいいいでしょう」

実際次の中間で赤点を叩き出すと成績つけられないのよ。

「でも眠くなっちゃうんだよね」

机に突っ伏しながら彼女はそういった。そういえば授業中も結構寝ていたなあ。

「本を読むのは嫌いなの?」

 

「うーん…読んでてもだんだん眠くなっちゃうの」

それもそうか。だとしたら眠くならないようなものをまず探してみよう。

「これ読んでみる?ラノベだけど…」

受け取ったゆきちゃんは少し渋い顔をしたけれどそれを読み始めた。

「……めぐねえこれなんて読むの?」

 

「漢字の勉強もしちゃいましょうか」

 

 

閑話休題(おべんきょう)

 

 

そういえば母から送られてきたメールなんだったのだろう?

丁度本に熱中し始めて質問回数が減ってきたし今のうちに確認しておきましょう。

そう思いメールを開いた。

「う…嘘?」

それは動画サイトのURL。それを立ち上げてみればそこには大規模な暴動の様子が映っていた。駅やショッピングモール、さらに駅前の県道でも。いやこれは暴動なんかじゃない。フラフラとしながら動く人。そして人に襲いかかり噛みつき、食いちぎっている……これじゃまるで、あの時と同じ。

「めぐねえ?どうしたの?」

気づけばゆきちゃんが私を心配そうに見つめていた。

「え、あ!ごめんね。ちょっと、ちょっと待って……」

まだあれと決まったわけではない。まだ希望は残っている。

とりあえずここは危ないかもしれない。えっと確か……

「あ、私そろそろ帰らなきゃ」

そう言って彼女が帰り自宅を始めた。

「ちょっと待って‼︎」

自分でもちょっと強く言いすぎた。深呼吸をして一旦落ち着く。

 

「今電車止まってるみたいだし…そうだ。園芸部でも見学して行かない?」

この場合一応安全が確保できるのは上部階層かつ入口が一か所の場合。それに屋上なら緊急用避難の籠がある。

「園芸部かあ。もしかしてトマトとか食べれるかな?お腹すいちゃって…」

確かにもう夕方。そろそろお腹も空いてくるだろう。

「この時間だともう購買部もしまっているし…もしかしたら何か食べれるかもしれないわね」

でもそれは園芸部の許可を取ってからと付け加える。

 

 

 

屋上の鍵は意外にも空いていた。どうやら園芸部員が閉め忘れているらしい。鍵を使う必要がなくて助かった。

「あら、鍵閉め忘れちゃってました?ごめんなさい」

屋上にいたのは園芸部員の若狭さんだった。彼女とは前に色々とあったので結構面識がある。

私が屋上に来たのが意外だったのか少しだけ驚いていた。

「いいのよ。若狭さん」

 

「わあ!野菜美味しそう…園芸部の人ですか?」

ゆきちゃんが早速野菜のほうに興味を持ち始めた。若狭さんも純粋に興味を持って接してきているゆきちゃんのペースに飲まれる。あれはすぐ仲良くなるだろう。

「そうよ。貴女は……見学かしら?」

 

「うん‼︎」

 

取り敢えずまずは情報収集を……

バッグから携帯ラジオを取り出して電源を入れた。雑音。いつにも増して通信が悪いように思える。

私のスマホが鳴った。

一旦ラジオを花壇の近くに置いてスマホの通話ボタンを押した。だけれど耳に当てるときにスピーカーになってしまったらしい。

「もしもし……」

 

「あ、佐倉先生今どこ‼︎」

大音量で聞こえてきたのは切迫した神山先生の声だった。

「屋上ですよ。まさか……今どこに?」

 

「職員室‼︎ともかく屋上にいるならドアを封鎖して‼︎誰も入れちゃダっ…」

 

直後、ガラスの割れる甲高い音と、何かが割れる音、雪崩れ込む喧騒が聞こえて、電話が切れた。職員室は3階。ここからいけば建物の反対側になってしまうけれどそこまで遠くはないはずだ。だけれど……

そんな…そんなことって。

 

「先生?今のは……」

気づけば2人が心配そうに私をみていた。そうだ、彼女達を守らないといけない。

 

ドアが強く叩かれた。誰かが来た?

「開けて、あけて!先輩が怪我してるんだ!」

 

「開けなきゃ!」

咄嗟にゆきちゃんが扉に駆け寄った。

ゆきちゃんがドアを開けると恵飛須沢さんが男性を連れて飛び込んできた。

確か彼は去年卒業した……私のクラスじゃなかったから陸上部エースということくらいしか覚えていない。

そんな彼は酷く衰弱しているようだった。よくみると怪我をしているのか腕と足から血が出ていた。

「何があったの⁈」

 

「わからない!急に変な奴らが襲ってきて先輩が庇って……」

真っ青になって若狭に連れられ柵に腰をかける2人。

「ほ、保健室に連れて行かなきゃ!」

ゆきちゃんがドアを開けようとした。

「ダメだ!もうダメなんだ…」

 

ドアが強く叩かれた。さっきのとは違ううめき声のようなもの。嫌な予感がした。

「ゆきちゃん下がって!様子がおかしいわ」

しばらくすると呻き声は消えて扉も叩かれなくなった。

 

悲鳴が聞こえた。それは下を見ていた若狭さんのものだった。

「先生‼︎な、なんですかこれ‼︎」

つられて私も下を見る。

「嘘…」

そんな……こんなことが。どうしてこんなことが日本でも!どうして……

眼下に広がっていたのはあの時と同じ地獄だった。ヒトがヒトを襲い、群がっている。グラウンドはすでに亡者達が生者を襲い、食い殺す地獄絵図と成り果てていた。遠くで爆発が起こったのか黒煙が上がっていた。

「私に…平穏を与えないつもりなの?」

あの惨劇がフラッシュバックしてしまう。もう嫌だ。あんな光景はもう嫌だったのに‼︎

「先生どうしたの‼︎」

気づけば私はしゃがみ込んで震えていたみたいだ。身体中が変な汗で濡れている。

「なんでもないわ… ごめんなさい恵飛須沢さん」

再び強く扉がたたかれた。今度は叩く音も呻き声も大きい。

ドアの磨りガラスが破られた。そこには無数の手がこちらへ入ってこようといくつも飛び出してきていた。

「扉が!若狭さん手伝って!」

近くにあったロッカーをドアの前まで引きずり扉に立てかける。

それでもドアから出た手によってそれは押し返されそうになった。若狭さんが居なかったら多分押し返されていただろう。

扉自体が圧力に耐えきれなくなっているのか変形が始まっていた。

「あ!先輩‼︎まだ動いちゃ……」

 

ほとんど衰弱していたはずの彼が急に起き上がった。だけれど様子がどうもおかしい。真先に1番近くにいた恵飛須沢さんのほうに向かっている。その足取りは完全に外にいる存在と同じだった。

「待って‼︎様子が…」

 

「きゃ‼︎」

先輩と呼ばれたその人は、掴みかかるのを一瞬だけ躊躇したかのように彼女を突き飛ばした。その直後、雰囲気が変わった。

「あ……」

 

「様子が変よ!離れて!」

ダメだ。あれでは腰が引けてしまっている。助けに行こうにもここから離れることができない。何か…何か……

 

「せ、せん…ぱい?」

掴みかかろうとしていた彼にボールペンをぶん投げた。だけれど距離もあったせいで頭にカツンと当たっただけ。それでも一瞬気を取られたらしく動きが止まった。今のうちに早く……

「う、うわああああ‼︎」

 

まったくの想定外だった。

鈍い音と共に彼の首にスコップが突き刺さった。

背後から強く押し返される中、私の目線は、スコップによって叩きつけられる先輩だったものから離れなかった。

「あ……」

何度も叩きつけられたそれの頭は完全に押し潰れ、動かない完全な屍となった。だけれど彼女はスコップを叩きつけるのをやめない。まずい正気を失っている!

 

「ーーーっ‼︎」

みていられなくなったのかゆきちゃんが恵飛須沢さんに抱きついた。

「な、なんで…泣いてるんだよ変なやつだな……」

 

「ってか…あんた誰だよ…」

 

……生徒が生徒だったものを殺める。あの時と一緒だ。あの時と……

目の前で行われた行為、私がやってしまった行為。あんな経験をするのは私だけで良い……そう誓ったはずなのに……

 

「先生‼︎これからどうしたら…」

ああそうだ。後悔をしている暇はない。私にそんなことをしている暇はないのだった。

「若狭さん!先生がここ押さえておくから箒とかあったら持ってきてくれる?」

 

「箒ですか?ちょっと待っててください!」

ともかく安全を確保しないと……

少しして若狭さんが箒を持ってきた。

「それで、窓から伸びてる手を突いて!」

ロッカーを押そうと窓から飛び出している手をどうにかしないと私の体力がもたない。

「全然引っ込まない!」

 

それでも少しは効果があったのかロッカーを押す力は幾分か弱まった。

素早く斜めになっているロッカーを突き飛ばすように押し込んだ。

大きな音と共にロッカーが垂直に立ちドアを塞いだ。

「はあ……はあ……これでなんとか」

さっきより全然楽に押さえることができる。

 

 

 

 

 

閑話休題(ときすぎて)

 

それから数時間経った。日は完全に落ち辺りが暗くなると、市街地の方の炎が見えるようになってきた。

夕焼けに同化して見えなかったものも、今ではよく見える。町全体が停電をしているのか辺りは暗闇に包まれていた。サイレンの赤い灯や炎だけが唯一の明かりになってしまっていた。

「……静かになった?」

ロッカーを使って押さえつけていた扉も今では何の反応も返さなくなった。

「ドアの外にも気配はないわね」

足音も何かを引きずるような音ももう聞こえてこない。聞こえるのは遠くで聞こえるサイレンの音ばかりだった。防壁がわりにしていたロッカーを横にずらし割れた窓から階段の踊り場を確認してみる。そこには不思議なほど誰もおらず、ただ暗闇が広がっていた。

「もう誰も居ないみたい」

 

もしかしたら奥にいるのかもしれないけれど少なくとも扉を開けただけじゃやられなさそうだ。

さっきロッカーの中で見つけた刈込鋏を持ち、ドアに手をかける。

 

「先生何する気ですか?」

座り込んでいた若狭さんが疲れ切った表情で聞いてきた。

「生き残っている生徒を探してきます」

まだアウトブレイクからそう時間は経っていない。もしかしたらまだ生きている人がいるかもしれない。

「待って待って。流石に静かになったとはいえ危ないってば」

 

「そうだよめぐねえ‼︎だって電気ついていないし…」

つられるように恵飛須沢さんとゆきちゃんが私を止めようとしてきた。

「生きている子を見殺しにはできないわ」

たとえ可能性が低くても、助けられるのなら助けたいのだ。

それは私があの時そういう風にして救われたから。今度は助ける番にしたいから。

「でもそうね…1人だけじゃちょっと危ないから…恵飛須沢さん一緒に来てくれる?」

 

「……私?別に良いですけど…」

 

「それじゃあゆきちゃんと若狭さんは屋上を守ってて」

扉を開ける。激しい圧力にさらされたからか蝶番が緩んできてしまっている。

「戻ってきたときはどうやって判断すれば良いのかしら?」

 

「ノック3回の後に合言葉でどうかな?」

若狭さんの疑問に恵飛須沢さんが答えた。

「それじゃあ合言葉はメロンパンね」

 

「分かったわ。メロンパン」

 

「めぐねえ絶対帰ってきてね!」

 

「分かっているわよ」

 

 

電気が止まってしまっているのか構内は真っ暗だった。唯一消火栓の位置を表す赤色灯と非常口を表す緑色の光だけが廊下を照らしていた。

「……居ねえな」

廊下側には先輩さんのような存在はいなかった。下に転がり落ちたのだろうか?それにしても静かだ。

「トイレとかロッカーにいる可能性もあるわ。探してみましょう」

 

二年生の教室の扉を開けると、そこにはふらふらと動く人影が一つ。周りには誰も居ない。丁度良い。色々と試してみよう。

「なあ何しているんだ?」

屋上を出るとき持ってきたバケツから濡れ雑巾を取り出す。それを彼らの体に思いっきり投げつける。

水が跳ねる音がしたもののそれは何の反応も示さなかった。

「確認。触れた感覚には反応しないみたい。多分痛覚が機能していないんじゃないしら」

 

「なるほどなあ……」

 

奴の近くに濡らした雑巾を放り投げる。

当然床にに落ちたそれは水の弾ける大きな音を立てた。

その方向に向けて奴は首を向いた。

「音は聞こえているみたい。それに一応目も見えているようね」

ゆっくりだけれど音のした方向に向かって歩き出していく。生気のない白目を向いた瞳が雑巾に向いている。

「どうしてわかるんだ?」

 

「机や壁にぶつからずあの場所を目指しているからよ」

目が見えていないなら壁にぶつかって一生そっちの方向へ向かって歩き続ける。それに身体中の痛覚も機能していないとなればずっと壁にぶつかったままだったりとするはずだから。取り敢えず持ってきていたバケツを彼の頭にかぶせる。こうしておけば多少は安全だろう。気休めでしかないけれど。

「先生よくわかるな…あ、分かりますね」

 

「無理に敬語使わなくていいわよ。それより……少なくないかしら?」

それにしても数が少ない。この三階だけで僅か3人しか居ないなんて…いくら放課後で生徒が残っていなかったとしてもだ。あの通話では相当数が襲ってきたはずなのに。

「他の奴らどこに行っちゃったんだ?」

 

「外にいるか…或いは下の階に溜まっているか」

動きは上から見た感じでは遅そうだったし段差にも弱そうだ。だとしたら階段から転げ落ちて下に溜まっている?

 

でも階段から聞こえてくる呻き声はそう多くはなさそうだった。

 

三階には他に誰も居なかった。当然職員室の中も数人ふらふらとしている人影が居た。その中に神山先生の姿はなく、服装も教師というより生徒のものだった。同僚や先輩の変わり果てた姿を見なくてほっとする心と、不安が板挟みになってしまう。

どこかに生存者はいないのかと探してみたけれどやっぱり空振りだった。今は救出が優先なので彼らの始末はあまりしない。下手に物音を立ててしまうと大変な事態になりかねないし。

 

「……なあ佐倉先生」

普段めぐねえと言ってくる彼女が珍しく先生呼び。へんに気を張ってしまっているのね。

「どうしたの?」

 

「先生は……どうしてあんなことがあったのにもう気持ちを切り替えられたんですか?」

そうだろうか?そう言われて改めて考えてみると確かにもう気持ちを切り替えている自分がいたことに気づいた。つい数時間前まで生徒だった存在を私は思いっきり殺した。

「……そうしないと生き残れないから。っていうのは言い訳。怖いから…かな」

「怖いから?」

 

「そう、怖いものは逃げても逃げ切ることはできない。怖いものには立ち向かって乗り越えないといけないのよ。それに昔同じようなことに巻き込まれたし」

あの時もこんな感じだった。あの時の地獄とどっちがましかと言われたらどっちも嫌だと答えたいけれどまだこっちの方がましなように思えてくる。

「そっか……強いんですね」

 

「無理に敬語にしなくていいのよ。自然体でいいわ」

 

「わかった…めぐねえ。下の階へは行くのか?」

 

「そうするつもりよ」

比較的彼らがいない校舎端っこの階段を下に降りていく。

二階も三階も似たような惨状だった。だけれどこっちは数が多くいる。生存者救出を考えるなら何人か始末をしてしまわないといけない。

それに破損や汚れもひどい。

「数が多い…やるしかないわ」

 

「でも……」

流石にさっきまで話していたはずの生徒に手をあげるのは気がひけるらしい。それも無理のないことだ。私だってこんな事したくはない。だけれど…心の甘えは命取りになる。

「わかっているわ」

実際にはどうかわからない。もしかしたらワクチンが開発されれば元に戻るかもしれない。でもそんな希望的観測にすがっているような時間も余裕も残っていなかった。

 

「酷いことを言っているのは分かっている。生徒に手をあげるなんて先生として失格なのも…でも放っておくわけにも行かないの。万が一があったら全部私の責任。あなた達じゃないわ」

我ながら最低だ。こんな言葉が自分の口から出てくるなんて。

でも軽蔑されたって構わない。私は彼女達を守る務めがあるのだ。

「……」

 

「ともかく行くわよ」

園芸部のロッカーに入っていた刈込鋏を近くにいた生徒だったものの頭に突き立てる。

力一杯押し込めば例え園芸用のハサミであっても頭蓋骨を破壊する程度は役に立つ。本当はハンマーとかあれば良かったのだけれど…。

 

頭を潰せば彼らは動かなくなった。当たりまえだ。私が今殺したのだから。

もう1人は恵飛須沢さんがスコップで頭をかち割り、動かなくなった。

……人を殺めてしまった。でもそれはここに残っていたあの時の感覚を呼び起こした。

死に慣れてしまう感覚。人を殺す感覚が薄れていく恐怖。

 

「図書館と購買部…めぐねえせっかくだから購買部で何か持っていくか」

「そう…ね……」

夕方にアウトブレイクが発生してしまったためか購買部の棚には普段の半分ほどしか物がなかった。だけれど学生食堂の方の冷蔵庫にはまだ食料が残っているはずだし一階の購買部倉庫への荷物搬入は今日の午後3時に到着していたはずだ。篭城するにしてもここを出るにしても食料の確保は1番の問題だ。

ただ今回はバッグなどのものを入れるものを持ってきていない。

どこかに鞄などが落ちていれば良いのだけれど……。

 

「まずは鞄か何かを持ってこないと運ぶの大変ね。三年の教室に鞄残ってないかしら?」

「見てくるか?」

 

「別れて行動するのは危ないから一緒にいきましょう」

単独行動は時と場合による。

「それもそうだな……」

 

 

 

「お、いくつかあるじゃん」

恵飛須沢さんがバッグをひっくり返して空っぽにしたものを肩にかけていると、背後で何か物音がした。

「だ、誰かいるの?」

掃除道具が入っているロッカーの方から声が聞こえた。まさか…

生存者がいたの?

「教師の佐倉よ。他にも何人か屋上に避難しているの」

 

 

「い、生きてる?」

ロッカーがゆっくりと開かれた。

「ええ、生きているわよ!」

 

彼女は柚村貴依と言った。普段から首にチョーカーをつけているから私も印象によく残っていた子だ。

ちなみに私をめぐねえと呼び出した人の1人だったりする。もう1人はゆきちゃんだ。

 

「取り敢えず他にも生存者がいないか確認するんだけど…怖かったら今すぐ屋上に戻るわ。どうする?」

 

「そう…だね。屋上に行きたいかな…」

 

「分かったわ。いらっしゃい」

 

廊下の彼らは先に始末していたからか、1番近い真ん中の階段までのところには誰も居なかった。

先に私が行き階段の上と下の安全を確認。今のところ大丈夫そうね。

 

手を挙げてすぐに2人を呼ぶ。声をあげるのはもしかしたら彼らを引きつけてしまう可能性があるから暗くてもこうするしかない。流石に目が慣れてきているから合図が見えなかったってことは無かったようで2人ともすぐ階段のところまで来てくれた。

 

「たかちゃん‼︎」

 

「ゆき!無事だったんだ…」

 

「それじゃあ私達はまた捜索に行くわよ。彼らも少なくなっているから今のうちに集められるだけ物も集めておきたいし」

 

 

 

 

 

 

二年生の教室で残っていたカバンを拝借する事にした。

放課後遅い時間だったとはいえ全員が帰っているわけじゃなかったから二、三個はどの教室も残っていた。

中に入っていたものを一度取り出して、空っぽにする。

 

「まずはどうする?」

 

「先に一階を回ってからにしましょう」

 

 

「了解。隊長」

 

「隊長って…」

 

「だって先生っていうよりこの場合隊長の方がふさわしいだろ」

 

「そうかしら?」

 

 

二階で生存者がいたからもしかしたら一階にもいるかもしれないと思ったけれどその期待はあっさりと裏切られた。

トイレにも誰もおらず、廊下には最も多い10人もの彼らが居た。その上教室の方にも何人か残っているらしい。

 

廊下にいた彼らを素早く潰していく。どうやら暗闇ではよくこちらが見えていないようで音だけを頼りにしている節が見られる。もしかして…

 

確か階段の下にある小さなスペース。そこに災害時用の懐中電灯がいくつかあったはずだ。

 

 

二個ほど消えていたけれどそれでも二つほど懐中電灯を確保できた。

 

そのうちの一つを点灯させ、廊下の端に置いてみた。

 

「光に反応している?」

 

「みたいだな……やっぱり暗いところは怖いのかな?」

 

でもあれである程度はおびき寄せられる。

 

完全に背を向けている彼らの頭に刈込鋏を突き立て、無力化。

 

同時にスコップが集まってきていた彼らの足を掬い取り、廊下に転ばせた。

そいつらの頭を思いっきり踏みつけ、体重をかけて押し潰す。

あの時と同じだ…そういえばあの人達もこうして無力化していたことがあった。

その後も素早く淡々と素早く廊下にいる彼らを無力化していった。

 

「はあ……はあ……」

 

「ちょっと休憩しましょう……さすがに疲れました」

恵飛須沢さんが肩で息をしていた。そろそろ一旦休んだほうがいいかもしれない。

「だな…ちょうどそこに用務員室あるみたいだし」

一階にあるにも関わらず用務員室は彼らによる襲撃がなかったようだ。そのおかげか特に壊れたものも無く、ほとんどのものが綺麗に残っていた。

 

「何か武器になりそうなものないかな?こう…チェーンソーとか」

 

「あれば良いけれどチェーンソーって……デスマスクかぶって?」

いつか見たあるホラー映画を思い出してしまう。いやあり得なくはない。長く伸びた木などを斬り倒す時に時々使っているのをみたことがある。もしかしたらあるのかもしれない。

「いやいやそれはないって。それにチェーンソーじゃ音がうるさいかもしれない」

確かに…チェーンソーなんて音が大きいし扱いが難しそう。

 

「これ……釘打ち機?」

恵飛須沢さんが棚の上から工具箱を下ろしてきた。先に中を見たらしい。開けてみれば確かに釘打ち機が入っていた。

「長釘のやつね。工事現場でも申請書が必要なやつじゃなかったかしら?」

工具箱に入っていたのはガス発射型のもの。どうしてこんなもの持っていたのだろうか?

「武器になるかな?」

恵飛須沢さんが釘打ち機で銃のような真似をしていた。だけれど先が上下に揺れてしまっている。

「……安定しない。ストックが欲しいわね」

それに先端についている安全装置を外さないとちょっと使えないかも。

確かこのすぐ近くに工作室があったはず。あそこなら鋸とかの道具が揃っているはずだ。それで作れるかしら?

 

工作室に移動し、必要なものをかき集める。

「めぐねえどうするつもりなんだ?」

 

「ちょっとだけ工作」

安全装置の解除と、ストックの追加をするだけなので数分で作ることができた。1分もかかっていないのではないだろうか。

「完成」

長さを調節した定規をテープで巻き付けただけで見た目は不格好だけれどそれなりに扱い易くはなった筈だ。

「なんか一気に銃みたいになった!」

 

「こうするだけでも安定して持てるから意外と楽よ。まあ釘打ち機は本来ものに当ててやるものだし釘の数もないから大して使えないけれど」

予備のガス缶とか釘があれば良かったけれど無い物ねだりは意味がない。残っている釘の数しか使えない。ホームセンターに行けば予備の釘とかガス缶とかあるかしら?

「使ってみる?」

 

「え……うん」

なんだか釘打ち機を手に入れたなんてSE音声が聞こえてきそう。

 

「確かにさっきより扱いやすいかも」

「ストックで体に押さえつけて安定させることができるからね」

 

廊下には相変わらず彼らがうろうろとしていた。さっき廊下の半分はなんとか始末できたけれど入り口エントランスを挟んだ反対側は未だに彼らの巣窟になっていた。

恵飛須沢さんが廊下でフラフラしている彼らの1人に狙いを定めた。

カシュンと軽い音がして、近づいてきていた彼らの口元に長い釘が突き刺さった。だけれど一瞬動きを止めただけで無力化は出来なかった。

「なんか思ったより刺さらないんだな」

 

「まあ…釘打ち機だし…もうちょっと引きつけてからの方がいいかもしれないわね」

それにこれは撃って使うものではない。そこら辺はもうどうしようもなかった。

でも近づくとなるとスコップなどの方が取り回しが良いということになってしまい結局私が使うことになった。それもかなりの至近距離でだ。やっぱりハサミとかの方がいいかもしれない。

 

廊下の彼らをどうにかして片付けて、各教室や隠れられそうな場所をあたってみたものの、誰も居なかった。

「誰も居なかったな」

 

「居ませんね……」

生きている人はついに発見できなかった。

「……購買部で何か持って帰りましょうか。隣の冷蔵庫の物とか日持ちしそうにないものは早めに消費しないともったいないでしょうし」

落ち込む恵飛須沢さんを宥めながら二階に戻る。

釘のなくなった釘打ち機を音を立てないように静かに廊下に下ろした。

 

 

 

アウトブレイク発生から半日。学校は私達わずか5人を残して壊滅した。

 

 

 

 



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2.主役キャラの妹は準主役です異論は認めません。

セーブしたので初投稿です。


順調すぎて何か恐ろしいことが起こるのではないかと危惧しているRTAはーじまーるよー!

 

学校の探索も終わったので屋上で皆と交流。仮宿泊としてブルーシートで寝ましょう。

というのも流石に体力補正があったとしても現状ではかなり疲労が溜まっています。

道中でゾンビーズをコロコロしてレベルアップはしていますが実は主役キャラでプレイする場合レベルアップしてもステフリはできません。ランダムでどれかが上がる仕様になっています。ちなみにさっきの戦闘の結果体力は一向に上がりませんでした。

確率さん「まあビールでも飲んでリラックスしてな。」

面白いやつだな。気にいった殺すのは最後にしてやろう。

なんて茶番をしている暇は実はないです。

 

流石に現状ではこれ以上の探索や移動は困難ですので早めに睡眠をとり疲労回復に努めましょう。ここで無理をして見張りなどを行なうと2日目の行動に支障が出ます。

 

意外と2日目3日目が重要になってくるのでここでの休息は絶対条件です。はっきりわかんだね(4敗)

 

おはようございます!今日も一日がんばって…ってまだ夜やんけ!

どうやら日が昇る前に起床したようです。

 

というわけで見張りをしてくれた方々の疲労回復も兼ねてさっさと食事を作りましょう。

フライパンやガスコンロを回収してきているので簡単なものなら作れます。ちなみにめぐねえは普通に料理ができるキャラなのでスキルの有無に関わらずそれなりの味は保証します。

あ、飯テロになりかけているようでしたらミルクティー飲みます?

 

ついでに料理中ですがここでラジオをいじります。

周波数はFMの51.4Hz

あくしろよ…

 

あ、繋がりましたね。というわけでこちら小学校からの救難要請電波です。

このまだ日が開けていない時間帯ですが小学校からの救難信号を受信できます。ちなみに内容は一度だけで話している途中にゾンゾンさんの襲撃があったようで向こうの通信は切れました。

 

そろそろお食事ができる時間です。匂いにつられてみんなが起きてきました。

 

 

ここで取るのはりーさんの妹るーちゃんの救出。

イベントは2日目から3日目の朝まで。ちなみにここで救出できないとりーさんが狂ってタイムロスどころかチャートが崩壊します(5敗)

さっきのラジオで救難の信号を受信することでイベントが発生します。

 

 

ここからはムービーですので選択肢を選ぶ必要はありません。スキップスキップ。まだプレイしたことない兄貴達のためにさくっと説明すると、当然半分ほどめぐねえが行くのに反対します。そりゃまずはこっちの身を守るのが最優先です。

ですがりーさんがもしかしたら妹が助かるという可能性を見出して全員の意見を反転させます。というかちょっと無理やりです。

 

というわけでイベント開始ですが同行者としてゆきちゃんが一緒に行くと言ってきます。この場合断るとゆきちゃんとの親密度の減りが早くなるトラップが隠されているので面倒ですがとリーさんと共に連れて行くことにしましょう。

それにゆきちゃんは戦闘はほぼ出来ませんが「天性の直感」「強運」「閃き」など探索に特化しています。場合によっては武器を見つけることもありますのでメリットデメリットは相殺されます。

 

 

通常版ですとるーちゃんは小学校スポーンなのですがことバイオ版では小学校以外にもりーさんの家や家から学校までの道中のどこかにいる可能性とかなり拡散してしまいます。割合は学校が6、そのほかが4くらい。まあラジオ通信を聞いている場合小学校優先になってしまいますが別に強制ではないので問題はありません。

もし小学校にいなければしらみつぶしに探せば良いのですがかなりのタイムロスです(2敗)

ですが昨日のうちにりーさんと話しておけばギミックが解除されてどこにリスポーンするのかが途中でわかるようになります。

 

 

 

 

ちなみにめぐねえの車もバイオ仕様だと変化があります。一つはいつもどおりの2007年にモデルチェンジした赤いミニクーパーS。エンジンサウンドからターボ付きのものです。もう一つは赤の三代目ジープラングラーのアンリミテッド。

どちらの車が来るかは実は駐車場に行かないとわかりません。だいたい半々の確率です。通常なら大型のラングラーが良いのですが速度が遅いし燃費がクーパーより悪くガス欠に注意する必要があります。というより小回りが利いて最高速の速いクーパーの方がRTA向きなのですがこればかりは運です。

ガソリンスタンドなんて絶対世紀末さんが押さえているでしょうからね。

まあRTAでは気にする必要はありません(慢心)

 

どうやらジープが来てしまいました。畜生半々の確率外すとかガバガバだろ。乱数調整しておけばよかった。まあ出てきてしまったものは仕方がありません。

おや車をぞんぞんが囲み始めましたね。

あれなんか目の前のスーツの色……

自動車が生まれたのはアメリカです。日本の発明じゃありません。暫し遅れをとりましたが今や巻き返しの時です。どうです?ああおっしゃらないで。ビニールです。でも皮なんて夏は暑いしひび割れるしで良いことはありません。

さあどうぞエンジンを回してみて。余裕の音だ馬力が違いますよ。

 

あーちょっと‼︎何しているの‼︎止まれ!止まれええ!

うわあ‼︎ガシャーン

はい、邪魔なゾンビは跳ね飛ばしましょう。ジープですので車の耐久も高いです。ルートによりますがイギリスが誇るゾンビ映画の如き鉄板や金網を張り巡らせ装甲車にもできます。まあ元からフロントにカンガルーバーが付いているので人間くらいどうということはありません。

 

まだ日が登る前ですのでゾンビーズも学校周辺は少ないです。

安心して2人を玄関から回収しましょう。

校舎前で2人を乗せたらまっすぐ直行です。

 

 

ここからしばらくは暗記ドライブなのでこの合間にるーちゃんについて説明しましょう。

 

通常では原作開始前に交通事故で亡くなってしまう彼女ですが、一般キャラでも助け出すことが2周目以降可能なのはご存じのとおり。ですがめぐねえをプレイヤーキャラとしてプレイする場合に限り1周目から助けることが可能です。

というのもめぐねえをプレイヤーキャラにするとるーちゃんを轢きそうになってしまう車にめぐねえが自身の車をぶつけて助けたという設定がついてくれます。

なんやそれと思う方。我も分からん。

 

 

 

 

ではそろそろりーさん占いをすることにしましょうか。

りーさん!るーちゃんの居場所はどーこだ!

「分からない…です」

 

あれ?ガバった?ここはさ。どこどこにいるんじゃないとか言うところでしょ。あれれ?どこで間違えた?

ああ‼︎昨日のうちにりーさんとるーちゃんの会話するの忘れた‼︎ぬああ‼︎やべえこれリセか⁈リセなのか!

待て待てまだリセと決まったわけではない。

 

それに6割はあるんだ!小学校から行ってみよう!賭けだ賭け。ガバ運に賭けよう!

さっき5割で外れたけれど!

ちなみに小学校の中までは流石に車では行けないので途中から徒歩になります。取り敢えず車は校舎入口に横付けしておきます。ちなみに道中にリスポーンされると場所によっては車の乗り入れが出来ず十分近く徒歩で移動するというリセ案件が発生します。気をつけましょう(7敗)

 

ちなみに盲目キャラだと「よく聞く」を使ってすぐにるーちゃんを見つけることができますがこのメンバーの中にそんな器用なことできる人はいません。

 

ですが学校内のどこかにランダムスポーンしている場合でりーさんを連れてきていると彼女がるーちゃんのところまで駆け出します。

あ、駆け出しましたね。やった‼︎第一部完

勝ったな風呂入ってくる。え?まだダメ?

 

ちなみにこの小学校にゾンビーズが大量に入ってくるのは午前7時を回ってから。それまでの今はゾンビーズは数が少ないですが例外が一箇所。

職員室に限っては大体10から15体くらいたむろってます。

 

ちなみにるーちゃんがそこにリスポーンする確率はわずか2%しかないです。大丈夫なはずですよう。

 

 

 

「あ!いたわ!」

 

あああああああ‼︎なんで2%引き当てるかなきみいい‼︎

 

ちなみに今どうやってりーさんはるーちゃん見つけたんですかねえ。テレパシーですかい?

 

 

 

うわやべえよやべえよ。12体いますよ。全員教師っぽい服装しているので残業ですかね?お疲れ様です。

 

 

イベント戦ですのでいくらゾンビを始末してもゆきちゃんやりーさんの好感度は下がりませんが正気度の方に影響が出てしまいます。特にメンタル的にまだ覚醒していないゆきちゃんはお豆腐とまではいきませんがかなり弱いです。

 

それとるーちゃんの前でコロコロしすぎるとあっちの好感度と正気度両方下がってしまいます。

仕方ありません。ここは運要素が強くなりますがオリチャーです。

 

ゆきちゃん、るーちゃんを回収しに行きなさい‼︎

 

おらおまえらこっちだこっち‼︎

新鮮なお肉はこっちやぞ‼︎

陽動作戦開始です。ちなみにりーさんに回収をお願いするとなぜか失敗します(1敗)

さありーさん一緒に逃げるのだ!

車の鍵は開けっぱなしにしておきましたのでゆきちゃんにはるーちゃんを連れて車に乗っていてと指示を飛ばします。

うんこれが1番早い。

 

12体どころか上の階や教室からもこんにちわーしてきました。

ちなみにりーさんも登校口の近くで車に乗れと突き放します。こうしておかないと事故の元です。

めぐねえより持久低いんだから黙って車乗ってろ!

 

ちなみにゾンゾンは動きが遅いのでこの追いかけっこ結構簡単に振り切れます。階段使って2階経由で裏側に回ればはい終わり。固定アングルだと味気ないですがFPSやTPSだと視界が一方的になりやすく初心者さんは意外と囲い込まれてしまう事が多いんですよね。

 

だからこの固定カメラ視点が良いのですよ。廊下の先が見えなくても音である程度いるかいないかは分かりますし。

 

ほら簡単だったでしょう?

それじゃあ車までBダッシュ!

 

ちなみにるーちゃんを7時までに回収するとムービーが入ります。

なんと入り口から多数の子供ゾンビが迫ってくるというヤバいものです。

後ろから教師ゾンビ、手前から規制がかかるに決まっているであろう子供ゾンビ。

全く!戦争は地獄だ!

 

でも車があると余裕なのですけれどね。ただ逃げ出す時に車と子供ゾンビがぶつかると結構ダメージ入ります。なんでだろうね?

 

それに行きと違いいくつかバリケードが追加されていますのでここは校舎裏側にある裏門を使いましょう。こっち側から行くとバリケードや通行止めがないので5分ほど早く到着します。

ちなみにラジオ放送中に襲われた教師ですが実は二階の放送室にいます。

RTAじゃなければ拝みに行くのもありなので興味があったら見に行くといいですよ。

 

 

るーちゃんが後部座席でりーさんと尊い尊い状態になっているのを眺めながら帰りましょう。やっぱりここも暗記です。ちなみにここから国道を北上すると航空自衛隊と米軍が共同運用で使っている基地があります。

こっちに行くとバイオオリジナルのルートになりますが難易度が跳ね上がって全員生存でエンドを迎えるのは不可能です(23敗)

 

 

 

さて帰る途中ですが大型スーパーが見えてきますね。あそこは必ず生存者がおらず、またアウトブレイク次にすぐシャッターを閉めた有能店舗なので略奪にもほぼ合ってないので食料がたくさん残っています。早めにああ言ったところの食料から消費していく方が良いのですけれどね。

というのも実はこのゲーム食料の耐久が無駄にリアルに設定されているので食料は使えるうちに使わないと結構大変なことになります。

 

アウトブレイク発生数時間後にはすでに市内全域は停電。予備電力で太陽光や風力を備えている我が母校ちゃんはなんとか冷蔵庫などの設備を動かしていますが市内のコンビニやスーパーはそうはいきません。

 

食品の耐久性は実際の食品と同じで設定されているので2日目の時点でスーパーの生肉等は既に食べられません。

ついでに野菜や果物も冷蔵機能が失われているので一週間が限度です。早いと2、3日でちくしょう腐ってやがるとなります。乳製品なんて一週間放置されたら発酵して大変なことになります。

 

一年間篭城プレイなどをやったかたはご存知でしょうが半年経つとスーパーなどは異臭が酷くて入れません。無理に入ると細菌汚染などにかかる危険性があります。

ちなみにこれらの現象はゲームだからと誇張されたものではないようです。実際に発生した事例をもとに再現されているようでこんなところでちゃっかり食について考えさせられます。

食の安全は難しいですね。ばれへんからと言ってつまみ食いするどこかの配達担当にも見せつけておきたいです。

ちなみにフリーズドライのものや長期保存を前提とした缶詰は1年程度でしたら問題はありません。

 

というわけでるーちゃんを回収したついでにスーパーに寄りましょう。

まだ2日目ですのでなんとか新鮮な野菜やおにぎり等はなんとかなっています。

こういう時に保存料をたっぷり使用したものは強い。常温放置でも2日程度なら何とかなります。

大手チェーンのハンバーガーなんかは4日くらい放置しても過熱処理すれば問題なく食べられます。

 

ちなみにこのスーパーの野菜はまだ大丈夫ですが念のために加熱処理して食べましょう。後2、3日すればここの大量の野菜や果物も腐敗が始まってしまうので考えものです。

後腐敗が始まると恐ろしいのはネズミーズや虫が沸いてしまうことです。下手をするとパック詰されているものや袋詰めになっているものにも容赦なく虫が湧きます。調べてみると野菜の中や表面にわずかに残った微小な卵から生まれるようです。

 

かなり正気度に影響しますのでスーパー探索は早いうちにやっておきたいですね。

 

調味料や缶詰、後お菓子など日持ちするものからなるべくはやく消費しないといけないものまで急いで回収していきます。

午前中でゾンゾンさんは少ないですがこれが午後になってくると一気に増えていってしまいます。シャッターさんだっていつまでも耐えれるわけではないのでね。

幸いめぐねえの車がジープだったので積載量はミニクーパーよりはるかに多くかなりの量を回収できます。

ここでもたもたしていると他の生存者グループと遭遇してしまったりしてタイムロスが発生したり襲われる可能性があります。根城にする輩はいないのが救いかな?

特に秩序が崩壊してしまっている場合何が起こるかわかったものじゃない(確率の嵐)

世紀末は伊達じゃないのだよ。

 

食料自体は購買部のものなどが残っていますが人数が増えると消費も早まります。全員生存ルートでバイオ版を行うと日数の問題で後半キツくなってしまいます。特に缶詰とか乾パンだけとなると士気に関わり正気度の減りが大きくなったり疲労回復が低下したりと踏んだり蹴ったりです。

特に疲労は攻撃力の低下や緊急回避の失敗率上昇などが起こるのでRTAとしてはタイムロスですが集めておいて損はないでしょう(3敗)

 

さてある程度買えたので出発しましょう。

さあ乗った乗った。

おやあ?目の前からバスが来てますねえ。どうやら生存者が乗っているものでしょうね。早めに脇道に逸れましょう。ここですれ違おうとすると面倒なイベントが発生してしまいます。正直るーちゃん以外で外に出るのは「えんそく」だけで十分です。時間の無駄です。

 

高校に到着したらなのですがまずは日陰に車を止めます。時刻は午前8時台

高校は現在ゾンビ生徒たちが登校している真っ最中です。ですが知能が高くないのか入り口の扉を閉めておけば入ってくる数を制限できます。一部割れてしまっているので完全に防ぐことは現段階ではできませんがやらないよりマシでしょう。

荷物は来た時に持ってきたものだけ。途中で回収した食料は置いていきます。

ですので日陰に止める必要があったのです。これが日向だと車内温度が上昇してせっかく持ってきた野菜や果物が壊滅します。一応保冷ケースが車内にあるのでそこに入れておけば良いのですが全保冷ケースでも限界があります。

 

すまぬ友よ!あとで必ず迎えに来るからなあ!

というわけで気持ち切り替え

 

全員身軽な状態になったらさっさと上に上がってしまいましょう。階段にも結構なゾンビーがきていますがまだ昼間1番多い時の半分くらいと言ったところです。

 

RTAではこう言った奴らは倒すだけ時間の無駄なので足を刈込鋏で薙ぎ払って転ばせましょう。

デメリットとしては低確率で転ばせたやつに足を掴まれる事です。

まあ注意して通り抜ければ問題はないでしょう。

 

三階ではちょうどくるみとチョーカーさんがバリケードを構築しているところのようです。すぐにバリケードを潜って登って安全地帯(仮)に逃げ込みましょう。

ここでもたつくと背後から来るゾンビーズに気づかなかったなんてことになりかねません。しかも固定アングルの位置が悪いのかちょうどバリケードで背後が見えません。それに操作性も反転しますので動かすのに慣れてないと背後から襲われて泣き別れしてしまいます(1敗)

 

まあRTA走者には何も問題ありませんけれどね。

では今日はここまで。ご視聴ありがとうございました!



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崩れた秩序

探索に出ていた佐倉先生と陸上部のくるみさんが戻ってきた。

 

2人ともこの数時間でかなりやつれてしまったように思える。そんな2人の変わりように心が痛んだ。

せめて何かしないとと思い2人が持っていた重そうなバッグ(実際すごく重かった)を代わりに担いだ。

「めぐねえ……なんで……」

くるみさんと佐倉先生の間で何かあったのだろうか?それを聞こうとしたけれど、2人の服に赤い何かが少しだけ付着しているのを見つけて声をかけられなくなった。ああ…きっと手を下してしまったのだろう。私にはどこか他人事のように感じられた。数時間前に崩壊した日常に私はまだ囚われてしまっているようだった。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい」

だけれど、佐倉先生の顔は誰よりも悲壮感に溢れてしまっていた。こんなの……佐倉先生を責められるわけない。そもそも先生は私達を守るために……

何もできずただ屋上にいただけの私は2人を直視できずに顔を背けた。

「あー……悪いのはめぐねえじゃないし…私もめぐねえに言われる前から手を汚しちゃったから」

私が何もできずにいる合間にもどうやらくるみさんと佐倉先生の間では奇妙で明白な信頼関係のようなものが生まれていたらしく、自然と和解したらしい。

 

「じゃあ私、見張りしていますね。2人はゆっくり休んでてください。ゆきちゃんはショックが大きかったのか寝ちゃってます」

ゆきさんはかなり憔悴していて、自分も落ち着きたくて彼女の頭を撫でていたらついさっき寝ちゃった。いくら友人が無事だったとはいえ日常が、平穏が終わった瞬間を見てしまったのだ。家族はどうなったのだろうとか色々と考えたいけれど、気が動転してしまっているのか今は無理そうだった。

2人の代わりに見張りをするというのも結局は無力な自分を直視しなくても良いようにというある種の逃げのようなものだった。

「私も見張り手伝うよ。ともかく2人は休んでてください」

柚村さんも手伝ってくれるそうだ。じゃあ2人で順番に見張りをしましょうか。

 

「悪い。じゃあ寝るわ……」

精神的に参っているところに肉体的疲労も重なったのかくるみさんはブルーシートの上で丸まって寝ているゆきさんを抱きしめるように横になった。

その数秒後には規則正しい寝息が聞こえてきた。

時計は9時をちょっと過ぎたくらい。これが悪夢で、もし目を瞑って朝起きたら日常に戻っていたなんて希望がどうしても捨てられない。でもこれは現実だ。受け入れるしかない。

 

ふと端っこを見ると、佐倉先生は街に向かって手を合わせていた。

佐倉先生も先生なりに考えての行動をしたのだろう。

「佐倉先生も寝て良いですよ」

 

「私は……」

思い詰めた表情をしている佐倉先生。このままだといつかここから飛び降りてしまうかもしれない。どうしてそう思ってしまったのかは定かではなかった。だけれど一度そう思ってしまったら嫌な妄想が次々生まれてしまう。先生がもし死んだらどうなってしまうのか?私1人だけ残されたら……頭からそれらを追い出すように言葉を繋ぐ。

「先生、寝ないと疲れちゃいますよ」

「そうですよ。寝れるときに寝ておかないとあれだし…先生も頑張ってくれたんだからさ」

柚村さんも助け舟を出してくれた。それがきっかけになったのかようやく佐倉先生は、少しだけ笑顔を見せた。

 

「ありがとう。それじゃあお願いしちゃおうかしら」

 

それから2時間おきに柚村さんと交代することで見張りをしていたけれど、彼らが扉を叩くことは一度もなかった。

町の方では未だに何かが燃えているのか赤い色の炎と、煙が数本立ち上っていた。

爆竹を鳴らしたような音も遠くで少しだけ聞こえて来る。もしかして銃声というものなのだろうか?警察か自衛隊が戦ってくれていていつか助けににてくれるのではないのか。

少しだけ希望があった。

 

 

佐倉先生が起きたのはそれから7時間後の午前4時あたりだった。

まだ日が昇る兆しは見えない暗闇の中で佐倉先生が1人先に起きてきた。

「先生?まだ寝ていても良いんですよ?」

 

「大丈夫よ。見張りありがとう。食糧持ってきたから何か食べる?」

そう言って先生は昨日持ってきたあのバッグを指さした。それも、かなり物が入っているようでバッグが壊れるのではないかと言わんばかりに膨れ上がっている方のだ。

「じゃあみんなが起きたときに」

 

「そう……それじゃあ朝食の準備しましょうか」

先生の言葉は少しだけ私の意表をついた。

「準備ですか?」

準備といってもパンとかそういうのなのではと思ったけれどどうやら違うらしい。私が思わず聞き返すと、先生は昨日持ってきたあの重たいバッグから小型のカセット式ガスコンロを取り出した。

コンロには側面に番号が書かれたシールが貼ってあった。調理実習室を兼用している学生食堂の備品ね。

他にもフライパンや小さな鍋などいくつか持ってきていたようだ。

確かにこれなら温かい食事ができるかもしれない。いくら5月でも少し夜は肌寒いもの。

 

佐倉先生は料理に手慣れているようで、ガスコンロ一つしかない状況でも素早く料理を進めていた。

私も料理はできるけれど携帯ガスコンロの火力はどうみても弱火だし外で吹きっさらしだから上手く作れる自信はない。

「佐倉先生はこういうの手慣れているんですか?」

 

「前に色々あってね……」

色々あったにしてはこれサバイバルの知識にあたるものよねえ。

普段あんなにおっとりしていたはずなのに想像がつかない。やっぱり人は見かけによらないのね。

「あんなことがあった矢先だけど、食事くらい美味しいものを食べたいじゃない」

 

「そう……ですね。なんだかお腹空いてきました」

そういえば昨日からずっと何も食べていなかった。確かにお腹が空いても仕方がない。

「それと日持ちしないものはなるべく早めに消費していかないと…いつここの冷蔵庫が止まるか…」

 

「冷蔵庫動いていたんですか?」

それは意外だった。てっきり電気が全部止まっているから冷蔵庫とかもダメなのかと思った。

「太陽光と風力発電で最低限の設備は動いているみたい。一応水のろ過装置と水道が止まっても使用できる地下水の汲み上げポンプも電源を立ち上げれば動かせるはずよ」

 

 

食事の匂いが漂い始めると、それに釣られてかみんなが起き始めた。

「お?もしかして朝ごはん⁈」

まだ日は登っていないけれど、ガスコンロの灯りにみんなが集まってきた。

紙皿で用意されたのは目玉焼きと豚肉のスライスを乗せた食パン。それとお味噌汁だった。

「へえ、味噌汁作ってるのか」

あの低火力でよくここまで作れたと先生を改めて尊敬する。

「体も温まりやすいでしょう。もう少しでできるからちょっと待っててね」

 

「おいしそう‼︎」

 

紙皿と紙コップをバッグから引き出し用意していると、佐倉先生が手招きをして私を呼んだ。

 

「どうかしましたか?」

 

「ちょっと鍋見ていてくれる?」

 

「わかりました」

先生と立ち位置を変わると、先生は花壇の方に歩いていった。確かそこにはラジオを置いていた筈だ。

数分の合間先生は花壇に放置してあったラジオをいじっていた。

少し耳を澄ませていると誰かが喋っている声が少し聞こえた。だけれどその声は何かの物音ですぐ聞こえなくなってしまった。もしかしてどこかのラジオ放送が生きていたのだろうか?

その答えは食事の時先生の口から語られた。

 

「これからなんだけど……さっきラジオで小学校からの救援の声を拾ったの」

その言葉に全員揃って佐倉先生の方を見た。

内容は児童7名とともに学校に立て籠もっているというものだったそうだ。向こうは食料や水などがなく、また子供が多い為どうしても自力での脱出ができないということだった。

その言葉に私の心はさざめいた。もしかしたら妹が生きているかもしれない。

他の肉親が無事かどうかわからない中でこんなことを言うのはもしかしたら残酷なことかもしれない。

「先生それって…」

でも可能性が少しでもあるなら……

 

「私はあそこに助けに行きたいの」

先生の言葉に、真っ先に反応したのは由紀さんだった。

「さすがに危ないよめぐねえ!」

 

「そうだよ。学校だってこんな危ないのに外はもっと危険だって…」

ああ、その反応こそ普通の反応なのだろう。本当なら私も反対しないといけないのかもしれない。今の先生は、私からみても追い詰められている。このまま外に行ってしまったらもう二度と帰ってこないんじゃないかって不安になってしまう。

 

完全に場の空気が救助反対に回ってしまった。このままだとまずい……

無意識にかけていた遠慮がついに外れてしまった。

「まって!私の妹がいるかもしれないの…お願い……酷いことを言っているのはわかっている。最悪私1人でも行くわ」

 

「さすがに…そこまで言われちゃなあ…あーもうこれじゃあこっちが悪者みたいじゃねえか」

 

「私もそんなつもりで言ったんじゃないんだすまない」

 

場の空気が完全に悪くなってしまった。やってしまったと気づいた時にはもうすでに遅かった。何を私は焦っているのだろう…

「じゃあこうしましょう。私と若狭さんで行ってくるって事で」

 

「しゃあないなあ。それじゃあ私達はバリケードを作って待ってるよ雨風凌げる場所があった方がいいだろ?いつまでも屋上じゃ色々辛いし」

くるみさん…ありがとう。

ということは3人がバリケード製作で私と先生が救出ね。

「じゃあ私も行く!」

そう思っていたら由紀さんが先生に飛びついた。

「ゆきちゃん⁈」

 

「私だって何かやれることがあるもん!」

覚悟は本物らしい。先生もどうやら連れて行くことにしたみたいだ。

「分かったわ。じゃあゆきちゃん一緒にいきましょう」

 

「大丈夫なのか由紀」

 

「大丈夫だよ!それにめぐねえが無理しそうだったら私が止めるから‼︎」

 

「それは…頼もしいな」

 

「頼もしいか?なんだか振り回されそうなんだけど」

散々な言われようね…なんだか同情しそう。

「そんなことないよー」

 

 

最終的にみんな納得してくれて、私と由紀さんが佐倉先生に同行することになった。

くるみの言うとおり暗闇が広がっている廊下には彼らの姿は見当たらなかった。多少は排除したと言っていたけれどそれでも数が少なかったから外に出ていってしまったのだろうと言っていた。

「それじゃあここで待っていて」

それでも下の階には少しばかり彼らが残っているようだ。

 

下駄箱の一部は倒され、いろんなものが散乱している玄関で、佐倉先生は私達と一旦別れた。

裏の駐車場に停めてある車を取ってくるためだ。

先生の足音がだんだん遠ざかると、周囲の暗闇がひどく不気味なものに感じられた。

外は日が登り始めたのか少しづつ明るくなっているけれど建物の中を照らすほどの明かりはまだない。

暗闇に紛れて彼らの足音が聞こえる。近づいているのか遠くにいるのかそれすらもわからない。1分が10分にも感じられる。

そんな中じっと息を殺してまっていると外から重厚な音が聞こえた。それはあっという間に登校口の前にやってきた。

 

「2人とも乗って!」

 

その声に導かれるように私達は車に飛び乗った。

 

 

 

 

佐倉先生の車は大型の外車だった。先生の仕事ってこういう車を購入できるほど儲かるもの何かしら?気になった私は聞いてみることにした。もしかしたら無意識に外の景色を見ないようにしていたのかもしれない。

「昔色々お世話になった人がお勧めしてくれて半分くらい出してもらったの」

半分出してもらうってそれ相当すごいことだと思う。

「そうだったんですか……良いご友人なんですね」

 

「そうなのよ。しかもものすごく強いの」

強い……さっき言っていたいろいろあったというのと関係があるのかしら。

 

ただ乗り心地は良いとは言えない。道路の段差とかで大きく跳ねるし車体も曲がる時に結構傾いてしまう。きっとこういう車はもっと悪路を走る車なのだろう。

 

「るーちゃん…学校にいるかしら?」

 

「……分かりません」

先生も不安なのか…確かあの時の通信は途中で途切れてしまったとさっき言っていた。もしかしたら無駄足になってしまうかもしれないって……

それでも私は希望を捨てたくなかった。

「まあ行ってみるだけ行ってみようよ!」

由紀さんは元気ね。なんだか羨ましいわ……元気を保てるそのメンタルが。

「そうね……」

 

流れていく景色に人の営みはなく、ただ暗闇と、崩壊した日常の痕跡が延々と続いていた。

 

玉突き事故で燃えてしまった車や、ガラスの破片、いろんなゴミが散らばっていた。その中には人のようなものだったり血だったりと凄惨なものも多かった。暗闇でよく見えなかったけれど確かにそこにあったのだろう。

これが現実なのだ……

 

閑話休題(かけぬけろ)

 

 

ラジオからの助けを求める声を聞いた時、私はいてもたってもいられなくなった。

できれば今すぐにでも助けに行きたい。だけれど高校だって安全とは言い難い場所なのだ。そんなところでどれほどの人数を収容できるか。食料はどうするのか……

それでもこのまま見捨てるなんてできない。

散々悩み通した挙句私はやっぱり小学校を見捨てることはできなかった。

 

幸い学校までの道のりは途中バリケードや事故車なので道が塞がってしまっている事はあったけれどなんとかたどり着くことができた。校舎前に愛車を停めて周囲の様子を探る。周りは驚くほど閑散としていて、彼らの気配はなかった。どうやら高校だけの現象ではなかったみたい。何かの法則性があるのだろうか?

なるべく音を立てず、車から降り校舎に入る。ここも内部に入れば悲惨な景色が広がっていた。外見ではまだ比較的綺麗な方だと思ったのだけれど……

所々に飛び散った血の跡や争った形跡、壊れた扉や窓ガラスなどが散乱していた。

 

急に若狭さんが駆け出した。

「単独行動は危険よ!」

このまま見失ったら一生会えなくなりそうな不安が押し寄せて、すぐにゆきちゃんと一緒に若狭さんを追いかける。

その途中あの放送が流されていたと思われる放送室を見つけた。だけれど扉は破壊され、中は見たくもない光景が広がっていた。

多分あれは…子供の手だっただろうか?

いや、今はそんなことを考えるな‼︎後で嫌というほど考えれば良い。

 

「いたっ‼︎」

若狭さんが声を上げた。咄嗟に彼女を引っ張って覗き込んでいた扉から離れさせる。僅かだけれどそこの部屋の中は彼らの足音がしていた。

どうやら気づかれなかったようだ。足音は未だに徘徊しているままだ。

(静かに。音に反応しやすいから気をつけて)

 

(あ、ご、ごめんなさい先生)

そこで気づいた。若狭さんが覗き込んでいたその部屋がどんなところなのかを。

職員室と書かれたプレートは、飛び散った血で少しだけ汚れていた。

若狭さんに代わってこっそりとその部屋を覗き込んだ。

中には12人の彼ら。部屋は半分がバリケードで塞がっているように見えるけれどどうやらとっくに崩壊しているようで、部屋の奥側はバリケードの名残が散乱してとてもじゃないが奥までは行けそうにない。

だけれどるーちゃんはその奥にいた。机の下に隠れて小さくなっていた。

確かにあの位置なら彼らにとっても死角になりやすい。だけれどあれでは身動きが取れないだろう。

 

2人に待っていてと合図して反対側の出入り口に向かってみる。こっち側の方が近いはず。

だけれどこっちはこっちで扉が外れかかってしまい少ししか開かなかった。あまり無理に動かすと音が出て彼らを呼び寄せてしまう危険がある。

小柄な子ならおそらく通り抜けはできるだろうけれど……でもるーちゃんにこっちにきてもらうのは無理そうだ。

おそらく向こうもこっちは気づいていないみたい。寝ている…のかしら?いや寝落ちのようね。でもあんな状態じゃ危ないことこの上ない。

それにもう日が上がってきている。明るくなればなるほど彼らの視界が開けてしまう。

仕方がないわ。ちょっと危ないけれどモタモタしているわけにもいかないし。

この隙間の大きさ…ゆきちゃんならと通れそうね。

 

彼らに気づかれないよう身を伏せて2人の下に戻る。

「ゆきちゃんお願いがあるの」

「めぐねえ?」

ゆきちゃんは察しが良いからなのか私の手を握ってきた。

「私がおびき寄せるから、反対側の出入り口から彼女を車まで連れて行って」

 

「でもそれって……」

ああゆきちゃんそんな表情しないで。何も死に別れをするわけじゃないのよ。それに彼らはそこまで動きが俊敏じゃないでしょ。だから大丈夫よ。先生これでも動きの素早いやつは相手にしてきたから。

「大丈夫よ。絶対死なないって約束したでしょ」

 

「なら私が…」

最初は若狭さんの方が良いかと考えた。姉妹だからるーちゃんも安心するはずだしと。でもあそこの扉やバリケード後の隙間を考えたら彼女の体格ではおそらく突っかかる。

「あそこのバリケード跡はゆきちゃんくらいの体格じゃないと出入りは無理よ」

分かってはいたのだろう。心配なのはわかるけれどここはゆきちゃんを信じてあげて。

 

ゆきちゃんが配置についた。

覚悟を決めろ。ミスは許されない。

 

扉を思いっきり開ける。その音でほとんどの彼らがこっちを振り向いた。

「こっちよ‼︎」

持っていた刈込鋏を叩きつけ、さらに音を立てる。

中を徘徊していた彼らが一斉に私たちに向かって動き出した。

これでるーちゃんの安全は確保できた!それに今の声が聞こえたのなら他の生存者も出てきてくれるはずだ。

部屋の中だけでなく廊下の方からも蠢く音が聞こえ始めた。そろそろ限界だろうか?幸いゆきちゃんのいる方には彼らはきていない。

彼らがバリケード跡から一時的にいなくなった。

ゆきちゃんが部屋に飛び込み、るーちゃんのところに向かっていくのが見えた。

 

「先生後ろから…‼︎」

もうちょっと入り口のほうに引きつけたかったけれど無理そうね。丁度ゆきちゃんがるーちゃんと合流できたところだからもう少しだけ粘りたかったけれど。

「そろそろ限界ね…行くわよ!」

 

若狭さんに手を引かれて私は駆け出した。囲まれかけていても向こうは動きがそこまで速くない。

それに包囲を抜けてもまだ彼らは追いかけてきてくれる。なるべく職員室から引き離すように、ちゃんと誘導しながら逃げる。

 

 

 

でもこのまま逃げ回るのもかなり危ない。若狭さんに先に車に戻ってエンジンをかけてもらうことにした。

「これで車にエンジンをかけておいて」

 

「先生は⁈」

「他に生存者がいないかだけ確認してくるわ。大丈夫よ。未成年に運転させたりなんてさせないから」

早くしないと彼らが来てしまう。躊躇してしまっている若狭さんを押し出す。

「お願い!」

 

「わかりました…必ず戻ってきてくださいね」

車に向かって走っていった若狭さんを見送り、すぐに駆け出した。まだ構内に彼らは入り込んでいないようで、奥の階段側には彼らはいなかった。しっかり誘導できているのを確認して二階へ続く階段を駆け上がって叫ぶ。だけれど誰も出てきてくれない。もう誰も生きていないのだろうか?

それをいちいち確かめている時間はもう残っていなかった。何度か叫んだ声に反応して教室にいた彼らが廊下に出てきた。

 

さらに階段の下から這い上がってきた彼らが二階の廊下に溢れ出していた。どうやらこの学校にはもう誰もいないらしい。三階から誰かが駆け下りてくる気配もない。仕方がない。もう行こう。

反対側の階段まで駆け抜ける。通路を塞ごうとしていた彼らを刈込鋏で倒しその上を飛び越える。

あの時と同じだった……あの時もこんな……

私が引きつけ続けたからか彼らは一箇所に固まってくれたようで、反対側の階段には彼らの姿はなかった。

階段を滑るように降りて一階に戻れば大半はまだ反対側の階段のところにいるのかそっちから呻き声が聞こえた。だけれど追いかけてくるにはまだ時間がありそうだった。

 

 

校舎から駆け出し入り口に横付して置いたジープに飛び乗った。すでにエンジンがかけられていて、小刻みに車は振動していた。ギアをドライブに入れたところで外を見ていた2人が同時に叫んだ。

「めぐねえ!」

 

「先生‼︎前!」

切迫した2人の叫び声に思わず校門の方を見た。

 

「そんな……」

何十体もの子供がこちらにゆっくりと歩みを進めていた。動きからそれが全て彼らになった物だというのは嫌でも理解できた。子供でさえも…見境なく彼らとして襲ってくる。現実はどこまでも私を苦しめる。

「数が多すぎるわ……」

 

すぐに車を発進させる。校門側は彼らが溢れてしまっているから無理だとしてもまだ裏門がある。

校舎の脇をすり抜け裏門側に向かう。幸いにも裏門は開け放たれていて、ついさっきできたと思われる車の轍が残っていた。どうやら私達より前に誰かがきてくれていたようだ。るーちゃん以外の児童や先生達が無事なのを祈るしかない。

……私達に助けを求めた人も……生きていると良いな。

そこから道に飛び出す。道にも彼らは溢れていたけれど校門を通るよりかはいくらかマシだった。いくら車が頑丈でも人を跳ね続けて走れる自信はない。

 

「もう二度とこんなことしたくないわ…」

あの時ほどではないけれどあまり運動をしていない私にはかなり足腰の負担になった。やっぱり体力はつけておけばよかったわ。

「でも、良かったですね。るーちゃんも無事です」

恐怖で後ろに乗っている2人に抱きついたまま身を小さくしている命。この手は…この体は奪うだけじゃなかった。それがなんだか救いになった気がした。たとえ自己満足であってもだ。

 

 

少し走っていればもう安心だと理解したのかるーちゃんはようやく顔を上げた。私は運転していないといけないから後は2人に任せることにした。

何があったのかを聞こうとしたものの、るーちゃんは一言も話してくれなかった。いや、話せなかったのだろう。さっきから何かを伝えようと口を開くものの、言葉はいくらたっても出てこない。

「多分失語症の一種かもしれないわ。ペンとメモ用紙で意思疎通が出来るか試してみて」

ダッシュボードに入れておいたペンと紙を渡して確認をしてみれば、案の定失語症だった。確かに仕方がないかもしれない。人が殺され、おぞましい存在として動き出したのだ。それを目の前で見てしまったのであれば小学生では耐え切れないだろう。

PTSDのようなものかもしれない。だけれど私にはどうすることもできない。

心理治療は受ける側であって行う側ではないもの。

 

 

 

 

外を見ていたゆきちゃんがスーパーの看板を見つけた。私もたまに行っていたスーパーだった。

「あ、めぐねえスーパーがあるよ」

 

「ほんとね。折角だし寄っていきましょうか」

少し気分を切り替えたいのと、何かおいしいものがあれば気が紛れそうだし行ってみましょう。

「大丈夫…なんですか?」

 

「特に今みたいに街の電力が完全に途絶えている状態だと大丈夫だと思うわよ」

 

なんだかんだ言っても食料というのは冷蔵庫がないと保存が利かない。特に肉類は常温放置をしたら一日もすればもう食べられなくなってしまう。

大袈裟かもしれないけれど生の食品はそんな感じなのだ。芋類くらいかな?常温で放置できるのは。

多分他の生存者も拠点にするのはまずいと思うだろう。

 

実際他の生存者がどう思っていたのかはわからないけれどシャッターの降ろされたスーパーに人気はなく、少しばかりの彼らがいるだけだった。

 

「それじゃあいくつか食べれそうなものを持っていきましょう」

 

「良いのかな…こんなことしちゃって」

 

「100%割引セールって考えましょう」

それを咎める店員も、警察もここにはいなかった。そもそも法律自体が適用されるかどうかなんてもう今となっては分からないのだ。

 

僅かに蠢く彼らをやり過ごし、食料を回収していく。

やっぱり電力が途絶えているからか、冷蔵設備は止まっていて、アイスが入っていたところは溶けて容器から溢れ出したアイスの液体ですごいことになっていた。虫が沸いていないのが不思議なくらいだ。

 

肉の方も見てみたものの、すでにバクテリアによる分解が始まっているのかケース越しに若干異臭がした。

 

「……お肉はやめておきましょう」

 

「そ、そうですね」

 

そういえば今は…まだ8時前か。さっき小学校に来た彼らはその多くが小学生だったものだ。もしかして生前の記憶と行動がリンクしている?だとしたら……

「急がないと学校は入れなくなるかもしれない」

 

「どういうことですか?」

 

「若狭さんもしかしてなんだけど…彼らは……」

 

その予感は的中した。



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3.運がEランクのやつに運要素をやらせてはいけない

日付が変わってしまったので初投稿です。


ガバなんてなかったいいね?と記憶を新たに書き換えたRTAはーじまーるよーー‼︎

 

というわけでるーちゃん救出イベントを終えて一服したいところですがRTA中ですのでそんなことは許さない。早速ですが解放された2階職員室にいきましょう!

疲労蓄積が気になるところですが正直寝ればほとんど回復するので無理に下げようと休息を入れたりする必要はありません。

 

というわけでバリケードの改良と罠の設置をしたかったのですが……

「いやいやめぐねえも休んでろって」

 

「そうそう、朝から忙しかったしベッドの確保もできたから寝ていて良いんだぞ」

 

全員に止められてしまい強制休息となりました。

これで無理にやっても良いのですが余計なガバの可能性もありますのでやめておきましょう。仕方がありませんが黙って不貞寝……そうは問屋が下ろしません。

この休息中に取り敢えず進められるところは進めていきます。バリケードだけなら明日でも問題ないですからね。

 

まず職員室に行ってみるものはめぐねえの机の物色。ちなみにこの机を調べると双眼鏡が手に入ります。これは後でイベントを短縮するために必要になってくるのでちゃんと持っていきましょう。

他にはめぼしいものはありませんがここに来た目的は双眼鏡だけじゃありません。

もちろんめぐねえ日記でもありません。かゆうまは洋館だけで十分です。

そう毎度お馴染み旧支配者ばりにやばい非常用マニュアルです‼︎

どのルートを取るにしても必ずめぐねえが読んでしまうしめぐねえをプレイヤーキャラにした場合でも必ず読まなければ詰んでしまうという呪いの書物。

しかも見るとめぐねえのSAN値が一気に0になります。

ダイスは?ダイスはふらせてくれないのですかあああ‼︎

 

ただしバイオ版に限りめぐねえはこれを読んでも発狂しません。それどころか一定確率でスキル「覚悟した者」を取得することができます。このスキルを取得すると正気度が一定値を下回ると自動的に7割まで回復するというものです。

 

今回は……どうやら来てくれませんでしたね。まあ良いです。あろうとなかろうと誤差にしかならないので。

はい、これで地下へのフラグが立ちました。ですが実際そこに向かうのは5日目になります。

3日目や4日目に行ってもなぜか入れません。おそらく時間制で解放されるステージなのでしょう。まあバイオ版ですと4日目でバイオ版オリジナルのイベントが入るので日数上は問題ないのですけれどね。

 

 

 

ちなみにお昼は体に優しいかつ暖かめのものにしましょう。ここで肉類を食べるとめぐねえのみ吐きます。

やっぱり根本はめぐねえですのでね。仕方ないね。

ちなみに吐くと体力が減るわ正気度が減るわで全然良いことありません。

 

さて、イベントクリア後のこの無駄に余ってしまうこの時間。

RTA的にもただのロスにしかならないし取れ高的にもよくない。だからバリケードを強化しに行きたかったのですけれど…止められてしまうなんて試走の時なかったやん。

というわけですからちょっとだけるーちゃんと交流しておきましょう。彼女の好感度は正直低かろうと高かろうと問題はありませんが低すぎてこちらの指示を聞いてくれないなんてことになったら大変です(1敗)

 

るーちゃんるーちゃん、お絵かきしましょうよ。

 

あ、りーさんの方がいい?うーん思ったより好感度高くはないですね。でもこの感じならりーさん経由でいうこと聞いてくれそうですので放っておいても良さそうです。

 

 

ではここでるーちゃんについて説明しましょう。

ぶっちゃけ言ってりーさん強化素材です。はい説明終わり‼︎閉店!

……もうちょっと説明しますとるーちゃんを救出するとりーさんの正気度が減らなくなります。戦闘面においてはパワーこそゴリラには負けますがその代わりクリティカルが出やすくなりゾンビを一撃で倒しやすくなります。パワーでゴリ押しするくるみとは対照的に確実にキルしていく暗殺者みたいなものです。

ちなみにるーちゃん攻略をすると自動的にりーさんもついてきますが途中でヤンデレ化します。やっぱりりーさん地雷ですね。

 

まあめぐねえですのでそのような事態は発生しませんしRTAには不要な要素なのでバッサリ捨てておきます。

ちなみにモールに行く「えんそく」のイベントフラグですが帰りにスーパー寄っていったので2、3日ありません。

ちなみにあの2人を回収するのも一回目エクストリーム雨の日を過ごしてからとします。

なお2人が仲違いでそれぞれ別れてしまうのは8日目以降です。なので雨の日が終わった直後に行ってもいいわけです。

 

ちなみに早いうちに回収してもバイオ版ではあまりRTAに貢献しません。それどころか早めに回収すればするほど2人のステータスが下がります。最高値で回収した方が後々楽になりますのでね。

逆に仲違いで別れてしまうと今度駅にもいかないといけませんからロスとなります。速攻リセにします。

 

だって駅は夜も昼もゾンビどもで溢れかえっていて引く気配が無いんですもん。お前ら帰宅はどうした‼︎この社畜どもめ!死してなお出社する気か!

 

 

余談ですが鉄道はアウトブレイク時に人身事故が発生したため全線でストップしています。稀に運転手がゾンビ化して暴走する列車も現れますが今の電車は基本運転手がマスコンから手を離せば勝手にブレーキがかかりますのでこのエリアで脱線している列車は皆無です。

よくゾンビ満載で脱線する列車がありますがこのゲームではお目にかかれなくて残念です。

 

おっと、そろそろお昼ご飯の時間ですので屋上に戻りましょうか。

まだこの人たち屋上で飯食っているんですね。せっかくなんだから中入ろうや。

お昼ご飯は…やったぜ!お蕎麦や‼︎

これはめぐねえも吐かずに済む。やったねめぐねえ。

 

ちなみにお昼中に上空をプロペラ機が通る音がするので先ほどの双眼鏡で空を見ると無人偵察機が飛んでいるのが見えます。

これをすることで条件が解放されバイオ版の最短ルートへの道が開かれます。はい、開かれました。

ちなみに飛んで行った無人機には、装備一丁前なのに毎回部下が残念な目に遭うことで有名なBSAAことバイオテロ対策部隊のマークがついています。

 

ただし彼らは助けてくれません。

詳しくは追々説明していきます。

 

 

 

午後の予定ですが今のところ進められるようなイベントも分岐もありません。

まああるとすれば図書館からいくつか本を取って行くくらいでしょう。

暇なので今のうちにやってしまいましょうか。雨の日のギミック解除をするためにも必要ですからね。

 

ちょっとめぐねえの正気度が怪しいので今回はチョーカーさんと一緒に行きます。まだ下の階に降りるのには抵抗があるようですがお構いなしです。

チョーカーさんと会話することで多少正気度が回復しますが、彼女と一緒に行動することで正気度の減りが減少するバフがかかることがあります。

 

 

ついでですので混雑時の教室と食堂も確認しちゃいましょう。

ちなみに必要な条件はご覧の通り。

教室に集まるかれらを確認する

昼間の食堂を確認する

夕方の食堂を確認する

夜間にはかれらが減ることを確認する

朝から増えてくることを確認する

これら情報を全員で共有する

 

このため昼間の食堂の件があるので完全に食堂付近を封鎖するのは難しいんですよね。

なので簡易バリケードと呼ばれる彼らを通さないのではなくその動きを抑制し入れる人数を制限するバリケードを作ります。でもいまは流石に無理です。

 

「なんか食堂に多く集まっているわね」

 

図書館に行くついでに確認しておきましょうか。ついでに教室の方もこの時見にいきましょう。

 

さて本題の本選びに行くとしましょうか。

ちなみにハードカバーの本や分厚い辞書などは鈍器として使用可能です。

やっぱり辞書は武器。ただしこれを最も早く入手できるであろう図書館のモヤシはモヤシなので辞書なんて重い本持てませんし鈍器としても使用不可能です。はあー…

 

ともかく持っていく本は様々ですがもちろんタダでは終わりません。

この時1人5冊以上を持っていこうとすると三階に登った時点ですでに夕方になっています。屋上にいるより圧倒的に早く終わるのでおすすめです。

 

ちなみに夕飯担当はゆきちゃんが名乗り出てくれますので一緒に手伝うを選択しておきましょう。失敗するわけではないですがゆきちゃんはめぐねえと一緒にいると正気度と好感度が上がるのでやっておいて損はありません。

ちなみにここで夕食を一緒に作る場合作らない場合と比べて僅かに早く料理が完成するという結果が出ています。まあ誤差なのですけれど塵も積もれば山となるって言います。こういう積み重ねが大事なのですよう。

 

 

 

 

 

夜になったので車に置いてきた荷物を回収しにいきましょう。

メンバーは輸送と戦闘を考えてくるみとチョーカーさんをおともにします。

ちなみにチョーカーさんは荷物持ちオンリー。くるみはリュックを背負って行かせましょう。

こうすることで荷物を往復一回で運び切ることができます。

 

ちなみにコロコロしたゾンビーズは早めに建物の外に出してしまいましょう。もう一度死んでいるようなものですが改めてあの世送りにされると一般の死体と同じで大変面倒な事態になります。できれば焼却処理するのが良いのですがそのような道具も設備もありません。

衛生的にも心理的にもよろしくないですしヘタをすると普通に感染症が流行って壊滅しちゃうなんて事故の元にもなってしまいます。それに邪魔ですからね。

 

「サイレンの音……」

 

お、どうやら誰かがいるようですね。

ですがあれは警察署の方に向かっているパトカーのものです。

イベントの一つで学校に篭城せず自力で脱出するサバイバーエンドの分岐点として条件を達成することで開放されます。

 

バイオ版で追加されるオリジナルのルートで、条件はるーちゃんを救出した後に昼間見た無人機を双眼鏡で確認でパトカーが近くを通ってくれます。さらにめぐねえプレイでは3日目までに緊急マニュアルを読んでおくことでルート分岐のアクションを起こせます。

 

ちょうど今選択肢として出てきました。

先程の緊急車両が通ったらすぐに全員をまとめて警察署に行こうと提案すれば分岐します。

ですが全員生存で脱出する場合そっちのルートは使えません。必ず1人好感度が1番高いキャラが死んでしまいます。なんて救いがないんや。好感度が同じキャラが複数いる場合はそのキャラからランダムです。やっぱり救いがない。

 

 

それとそっちのルートなると発生する敵がゾンビ以外にも増えてしまいます。

本格的に移動や探索も増えバイオハザードになっていきます。

まあ敵に関してはモール拠点としてスタートした場合などでも変化するのですけれどね。あとは何故かめぐねえの家に寄るとタイラントおじさんが出現して壮絶な追いかけっこが始まります。

でも学校には入ってこないので別に良いのですが一度つけねらわれてしまうと「えんそく」でも追いかけてくるので難易度が跳ね上がります。

このゲームホラーアクションじゃなくてサバイバルシミュレーションなんですけれど。

 

 

まあそんなことは置いておきましょう。

夜の外はゾンビーズこそ少ないですがむしろそれ以外で危険があるのでね。

おやあ?野獣の眼光が茂みに……ちなみにちょっかいをかけない限り襲ってくることはありません。ワンってなけよほら、三回だよ。

荷物の回収も終わったようですので常温保存ができるものを持っている場合は屋上でも放送室でもどこでも良いので戻りましょう。ちなみに三階は一応バリケードによって一部解放されましたので部屋で寝ることができます。

 

ちなみに冷蔵が必要なものを持っている場合はお手数ですが二階へいきましょう。

食料を回収できたらまず野菜などの生物はすぐ冷蔵庫へシュート‼︎超エキサイティング‼︎

新鮮さはありませんが野菜や果物は比較的正気度や疲労回復度が高いですからね。積極的に取っていきましょう(RTA要素無し)

 

まだ二階の制圧はできていませんのでこのついでに購買や学生食堂のところに簡易バリケードを作ってしまいましょう。

こうすることで多少は彼らの侵入を防げますのでね。

 

 

 

さてこれで今日はおしまい‼︎さあ寝る時間だ!

ただし5時間後に見張りで叩き起こされます。

現実は非情である。

 

地味に3日目になって初の見回りですが周囲の目がない分結構やりたい放題できます。

特に教室や職員室は結構探索ポイントが多いのでRTAをやらないのであれば職員室探検をするのもありですね。

まあしませんが。

ちなみに見回りですが屋上と三階バリケードを2往復すれば終わりますのでダッシュしましょう。

あ、いけませんねゾンゾンさんがバリケード前にいます。

サーチアンドデストロイ。見つけてしまったからにはめぐねえの経験値となるのです!イヤーーー‼︎ホワター‼︎

 

はい4秒で殲滅できました。

 

実は食料回収時にレベルUPしましたのでスキルが解放されたのです。バイオ版でできるスキルとして新たに「回し蹴り」が導入されました。

 

どのようなスキルかと言いますと文字通り回し蹴りです。

接近戦スキルなのですが相手が気づいていない状況で行うと高い確率でクリティカルとして入ります。なので先ほどのように一撃で倒すことができるようになります。

ちなみにそうじゃなくてもこの一発の蹴りで9ミリ拳銃弾2発分の威力を持っています。基本頭に叩き込めば一撃必殺です。さらに当たり判定が広いので複数のゾンビを蹴り飛ばすこともできます。

ただし振りかぶりが大きいので攻撃後に大きく隙が出来てしまうのと、背後が完全にノーマークになるので囲まれた状態でやるのはアウトです。

さらに狭い通路でやると足をぶつけて怪我をする可能性もあるので使い場所も問題になりちょっとだけ不便さがあります。

 

くるみのスコップと比べても反動と消費するスタミナが大きいので乱用は厳禁。

やっぱりくるみはゴリラなんやなあ。

 

では屋上に戻って朝日を拝みましょう。

日の光を浴びることで眠気も消え去る……と良いですね。

ちなみにこのままだと半数が昼まで爆睡するので皆が寝ている近くでさっさとご飯を作りましょう。

美味しい匂いは人を覚ますと言いますし。え?言いません?気にしない気にしない。

 

取り敢えずちょっと遅いですがおっはよーございまーす‼︎今日も元気に活動ですよーー‼︎

 

 

ちなみに今日一日はバリケードの補修と強化を行う予定になっています。正直それ以外やることないので廊下の出入りを繰り返して強引2時間を進めましょうかね?まあ意味ないのですが。僕の夏休みでは出来たのにちくしょう‼︎

 

「なあめぐねえ。めぐねえって過去に何かあったのか?」

んー?くるみちゃん何を言っているんですかあ?それは明日にいうセリフでしょう。今日はなんだか蒸し暑いからプールを出してパーッとやらないかじゃないんですか?(8日目以降のイベント)

 

「それ私も気になってた。なんかめぐねえ場慣れしている感じがするんだ」

チョーカーさんまでなんで援護射撃しているんですか‼︎ええ…これどうするのよ。

いやバイオ版として必ず挟まれるオリジナルシナリオイベントなんですけれどどうしてこのタイミングで?本来ならこのイベント6日目に発生するはず…

これはガバったのかな?いやいやもしかしたらどこかで何かがあってRTA的に加速された可能性があるので……

どうやら選択肢的にもそのようですね。

まだ話せないと素直に話すの二択です。

ううーん……チャートとの剥離が怖いのでまだ話せないにしましょうかね。

そうしましょう。危険を犯すのはよくないことです。ワイトだってそういうと思います。

 

×まだ話せない

○素直に話す

 

あ、やべ…選択肢押し間違えた!ぬあああああ‼︎そうだった‼︎いつもの癖でマルバツ押し間違えたああああ‼︎うぎゃあああやっちまった‼︎畜生、天は我らを見放した‼︎

 

圧倒的リセ案件‼︎しかしもしかしたらこれRTA的にさらに早くできる可能性もある!それにもしダメだったらリセすれば良いから…そうだ。行こう。もしもの時は帰れるのだから。

というわけで今日はここまでです。ご視聴ありがとうございました。



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さあ、貴女はどうするの?

匿名から切り替えたので初投稿です。


私たちが小学校へ行っている合間に三階の廊下には机と紐によるバリケードが築かれていた。

それは彼らを食い止めるには少しだけ頼りなさそうで、でも今の私たちには立派な防壁に見えた。

 

これのおかげか3階の廊下には彼らの姿はなかった。とりあえずは助かったらしい。そう脳が理解してしまえば体から力が抜けてしまうのは明白だった。

思わず近くの椅子に座り込む。

時刻はまだ朝。数時間ほどしか経っていないけれど半日たったのではないかと思ってしまいたくなる。いや…あの日からずっと時間の流れが少し遅いように感じられる。

 

「1人だけ…だったのか?」

恵飛須沢さんが若狭さんの背中から降りたるーちゃんをみて呟いた。

「ええ……他には誰もいなかったわ。でも私たちより前に誰か来ていたのか車の跡はあったわ。無事を祈りましょう」

それは助けられなかったかもしれないという暗い絶望を捨てるための小さな光のようなものだった。だけれどこんな世界なのだ。そういう僅かな可能性にだってしがみついていないと心が保たない。

「そう……だな」

ああ、絶対彼女はわかっている。私の言葉がただの希望でしかないことを。

それにすがる以外の選択肢がないということも。

 

 

少し気分を落ち着かせようと思ったもののなかなか気分は落ち着かない。るーちゃんを囲っている皆んなから少し距離を取ってこれから何をするべきかを考える。

このままここに籠城して助けを待つべきか或いは自力で脱出するか。どちらにしても情報が少なすぎてどうしようも無い。

気休めにバリケードの強化でもしようかしら。あれだけでは少し不安だから。

確かまだ机はあるだろうから後は重ね合わせたりをどうにかすれば押されても倒れづらくすることはできる。それ以外にも方向誘導をするようにおいたりすれば分散できるかもしれない。実際あの時は一か所のバリケードが崩れたら連鎖的に崩壊してしまっていた。一部だけ崩れやすくしてあえてそこに穴を開けることで圧力を逃がすようにしても良いかもしれない。

「先生どこいくんですかー?」

柚村さんに見つかってしまった。勘が良いから先生困っちゃうわ。

「ちょっとバリケードの補強を…」

どうして彼女はそんな首を振るのだろう?

「いやいや、先生休みなってば」

え?でも…

「そうですよ。運転もしてたんですし走り回ったんですから今日は休まなきゃ」

若狭さんにまで言われてしまっては流石にやめておこう。私も少し疲れを感じていたところだ。そうね。無理して倒れたら大変だから。

「そう?じゃあお言葉に甘えて……」

 

「めぐねえは無茶しすぎだって。ちょっとは休んでいても良いんだぜ」

でもね……私が休んじゃうと恵飛須沢さんが今度無理しちゃうでしょ。先生それは嫌なの。いくら貴女が大丈夫と虚勢を張っても、それは儚く脆いものでしかない。近いうちに崩壊してしまうものだ。

 

 

 

 

 

椅子に座ってたらウトウト眠気がきてしまい、気づけばお腹にゆきちゃんが乗っかっていた。

時計は相変わらず時を刻んでいた。

「もう直ぐお昼ね……」

 

寝てしまっていたようだ。

でもおかげで頭がスッキリした。眠れてちょうどよかったのかもしれない。

そういえば職員室に緊急事態が起きた時にのみ閲覧して良いっていう書類があったわね。

どさくさで完全に忘れていたけれど今がその緊急事態じゃないのかしら?災害とかそういう時にどうすれば良いかなんかは書いてありそう。まあ気休めでしかないけれどもしかしたら毛布とか布団とか段ボールとか避難所設備が揃っている場所くらいは書いてあるだろう。

それがあれば多少は楽に寝ることができるかもしれない。ゆきちゃんを起こさないように静かに体を退かし、職員室に向かう。

途中柚村さんとすれ違った。一瞬どこへいくんですかと目線で訴えられた気がした。

「先生どこにいくんですか?」

やっぱりそうだった。なんでしょう…ちょっと警戒しているのかしら?

「職員室よ」

 

「職員室?何か取ってくるんですか?」

 

「そんなところかな?」

他にも私の机の中とかにちょっとは役に立つものが入っていたはず。十徳ナイフとか…残っていれば良いなあ。

「気をつけてください先生」

 

「わかっているわよ」

職員室まではバリケードによって道が確保されているから特に危険な事もなく、職員室も最初の日に破壊されたところを除けば特に変わったところはなかった。

扉や窓ガラスの破片も一部は掃除してくれたのかなくなっていた。

頑張ってくれたのね……

久しぶりに自分の机に座ってみる。

もしかしたら悪夢が覚めるかもしれないから……でもそんなことはなかった。

神山先生がいつものように話しかけてくることも教頭先生が生徒との距離を適切にと説教をしてくることももうない。完全な孤独だった。

 

静かすぎて辛くなってくる。主電源が入らないテレビはその機能を完全に停止し、何も映さない。ケータイも基地局がやられたのか通話は不可能。ネットもダメ。完全に外部からの情報は入ってこない。

あれだけ鳴っていたサイレンも今はもう聞こえない。街自体が死んでしまったように思えてくる。

 

机の中に入れておいた双眼鏡を取り出す。何があるか分からないからと持ってきていたものだけれどちょっとは役に立つかもしれない。後はライター。正直まだ使わなそうだ。でも持っておくだけ良いかな?

十徳ナイフを入れておいた棚は誰かが取り外して使ったのか変形した状態で教頭先生の机の下に転がっていた。もちろん十徳ナイフも見つからない。

 

 

そういえば緊急のマニュアル見なきゃ。

確かあれは……金庫に入っていたはず。正直マニュアルなのだから棚にでも入れておけば良いのにと不思議に思っている。一応全員に金庫番号は周知されていたけれど……

 

 

 

閑話休題(SAN値チェック)

 

 

「……うそ」

こんな……こんなことが許されるの?

マニュアルにはこのような大規模感染が発生した場合の対処と非難場所が書かれていた。この惨事は想定されていた?いやそれよりも……

地下に設けられた避難用の区画。そこは収容人数たった15人分しか確保されていない場所だった。クラスの半分の人数しかない。入り口も三階職員室に最も近いところにあるエレベーターを使えと書いてある。

命の選別……いや、これは学校の生徒全員を見捨てて教師陣の一部が避難するためだけに作られた避難区画。15人で一ヶ月分の食料が備蓄されているにすぎない地下シェルターのようなものだった。

そこで救助を待つと……ふざけるな。生徒の命をなんだと思っている‼︎

子供900人の命を見殺しにしてのうのうと助かろうなんて……

こんなものを作成した者に怒りしか出てこない。

 

おそらく校長や教頭はこの中身を知っていたのだろう。その上で生徒を見ていた…最低だ……教師失格と言いたかったけれどその相手はもう彼らとなってどこかを彷徨っているのだろう。

或いは生き延びているか……どちらにしてももう無意味だろう。それにこれは緊急時のもの。想定はしていても想像はしていなかったのかもしれない。

 

 

 

マニュアルをめくっていくと発生しうる可能性のある感染ウィルスの情報まで書いてあった。ワクチンがあるようだけれど正直それが効果があるのかはいまいちわからない。何せ書かれているウィルスの情報では詳細がわからない上に肝心なところばかり黒塗りだ。種類もいくつかあるようでどれにどれが効くのか……

そもそもウィルスってことは変異性が高いことが多いからすぐその性質を変えてしまう。

このようなウィルスは前に見たことがある。もしかしたらその類のものかもしれない。細菌とか……ウィルス以外にも可能性はある。

 

 

……なんとなく違和感のようなものはあったけれど学校ってこんなものだろうと納得していた私がアホだった。もっとちゃんと調べておけばよかった。妙に屋上に集中した豪華な非常設備だって違和感はあった。風力と太陽光だけならまだわかる。だけれど屋上に畑や水の濾過装置まであったらさすがに不自然だ。

まあ皮肉なことにそれらの設備が私達を救っているのも事実なのだけれど。

仕方がない。こうなったら私は彼女達を最後まで生かす。

何がなんでもだ。これ以上こんな理不尽で大切な教え子を失うわけにはいかない。今回の事故が人災なのかそうじゃないのか……そんなことはもうどうだって良い。

 

それにしてもランダルコーポレーションか……まるであの時のアンブレラ社みたいね。私だって名前くらいは知っているしこの街に住む限り普通に耳にする存在だ。

町の再開発計画の時から街の発展に関わり続けた製薬会社。現在では多方面に手を伸ばしているから製薬会社ではなく複合企業となっている。

まるでアンブレラ社のような存在とはよく言われていた。ただあちらはとっくに破綻して民事再生法がどうとかだったけれど……だとしたらもしかして……

疑問がいくつも出てきたけれど、それを解決してくれそうな答えは見つからなかった。

 

 

だけれど収穫がなかったわけではない。布団や毛布の場所も一応記されていた。生徒会室にダンボール入りになった毛布と布団が20セット。体育館のほうには通常の災害時に備えたものがあると書いてあった。

 

ふと職員室の入り口に人気を感じ、マニュアルを机の引き出しにしまった。

「やっぱりここにいた。めぐねえもう直ぐお昼ご飯だよ!屋上でみんなで食べるから呼んできてって」

ああそうだった…もうそんな時間だったのか。

「ありがとうゆきちゃん。じゃあ一緒にいきましょう」

 

まだこれは見せるべきではない……問題を先送りにしている自覚はある。だけれど今こんなものを見せたら……どちらにしても傷を残すだろう。

 

 

屋上に上がると、どうやら蕎麦を作っていたらしい。さっきのあれのせいで食欲が低下していたからちょうど良かった。

蕎麦以外にも多少パンやサラダなどもあった。若狭さんが少し得意げにしていたから作ったのは多分彼女なのだろう。

ほんのわずかだけれど、風を切り裂く音が聞こえた。空を見上げると、そこには灰色で空に紛れるようなモノトーンの何かが動いていた。

さっき持って来ていた双眼鏡でその動いているものを観察してみる。

一瞬だけ双眼鏡の視界にそれが映った。

「……無人偵察機?」

機種は詳しくわからないけれどアメリカ軍がよく使っているプッシャー式の無人偵察機だった。

側面には小さく部隊紋章が掲げられていた。BSAA…バイオテロ対策部隊だったかしら?確か数年前にそんな組織ができたというのをニュースで見たことがある。これももしかしてバイオテロの一種なのだろうか?

もしかして生存者を確認しているのだろうか。

彼らの真意は私にはわからない。だけれどもしかしたら救助が来るかもしれない。心の中で希望が膨れ上がった気がした。

「めぐねえどうしたの?」

 

「なんでもないわ……飛行機が見えた気がしたのだけれど気のせいだったみたい」

適当にごまかすことにした。あれが味方であるという確信はまだないもしかしたら感染拡大を防ぐためと言って囲い込みを行う相手かもしれない。その危険性を一瞬でも想像してしまった。

「飛行機…まだ飛んでるのかな?」

 

「どこまでこの惨劇が広がっているかによるわね」

 

もしかしたら空港などの主要施設とかなら初期防衛が成功していればなんとかなるかもしれない。

羽田や関西国際空港などは地形的にも防衛はしやすいはずだ。

「そもそも救助来てくれるのかな?」

 

「「うーん……」」

 

警察や自衛隊を当てにするのはちょっと難しいかもしれないわね。

彼らだってその人数は限られている。日本人口1億超えに大して警察と自衛隊で70万にも満たないのだ。

さらに内部で感染者が存在する場合。組織系統が完全に機能しない場合。

人命救助よりまず組織存亡、ひいては自己の生存を優先するに決まっている。

 

「まあ先にご飯食べちゃいましょう」

 

「そうね。そうしましょう」

若狭さんの言う通りに蕎麦を食べてしまおう。流石に伸びちゃうわ。

 

 

 

閑話休題(お食事中)

 

 

 

人は暇な時間ができてしまうとどうしても落ち着かなくなってしまう。午後からどうしようかというミーティングを行ったものの、結局私は一日中休んでいて欲しいと懇願されてしまった。

でもそういうわけにもいかないだろう。なんだろう先生として自信なくなってきたわ。

でもまあバリケードの強化の仕方は教えたから大丈夫だろう……

 

屋上から遠くを双眼鏡で見てみたものの、動いているのは相変わらず彼らだけだ。グランドでも風に吹かれたボールに反応した彼らがそれを追いかけている姿が見えるのみ。

生きている存在はもうどこにも見えない。

 

ふと服の裾を誰かが引っ張った。

「あらるーちゃん?どうしたの?」

足元にいたのはるーちゃんだった。

視線を下げるためにしゃがめば、メモ用紙に何かを書き込んでいた。

 

(やることがない。退屈)

そういえば若狭さんは野菜の手入れをしているしゆきちゃん達は今バリケードの改良に行ってしまっている。子供1人というのもまた酷だったかもしれない。環境に1番影響を受けるのは子供だから。

「あー…そうね。じゃあるーちゃんは何がしたい?先生が一緒に遊んであげるわ」

(ほんよみたい)

 

「本ね……今手元にないかなあ…ちょっとまっててね。そしたらいくつか図書館から持ってくるわ」

 

流石にるーちゃんを連れて図書館へ行こうなんてのは無理がありすぎる。

そこで、バリケードを作っているゆきちゃん達のところに行き図書館へ行きたいから何人かでいかないかと誘ってみることにした。

流石にバリケードの補強もあるから全員で行くことは難しいけれどね。

 

 

「なら私がいくよ」

 

「えー!たかちゃん良いなあ……」

 

「こう言うのは早い者勝ちだよ」

 

「まあ…バリケードももうほとんど完成だから別に良いぞ行ってきても」

 

「んー……じゃあるーちゃんと遊んでくる‼︎」

 

「ぬああああ‼︎こらゆきいいいい!」

 

こんなやりとりがあって、柚村さんが一緒に来てくれることになった。本はいくつあっても良いと思うから何冊も持っていきましょう。

 

二階の廊下はお昼頃だからなのか明るいからなのかよくわからないけれど彼らがかなりの数いた。

だけれど最も多かったのは、学生食堂の中だった。かなりの数の彼らが入り込んでいた。

階段の影から覗き見ただけでも30体以上はいるように見える。

「こんなに食堂に集まっているなんて……」

いくら夜にいなくなるからといってもこれは異常と言えるだろう。

「腹でも減ったんですかね?」

年がら年中お腹空いているのではないだろうか…

「習性……なのかしら?」

「或いは生前の行動をとっているとか……」

 

「あり得なくはないわ。実際寄生虫やウィルス感染した虫や動物が感染前の習性や行動をとるのは観測されている事実だしそれに……」

そこまで言って思わず口をつぐんだ。あの件は一応箝口令が敷かれているんだった。

「それに?」

 

「なんでもないわ…」

 

食堂に集まってくれているからか図書館までの道はそこまで困難なものでもなかった。

それに図書館は相変わらず彼らは少なく、本を回収するくらいの余裕はできそうだった。だけれど危険なのは変わらない。

まだ背後を向いている彼らの1人の頭を鋏で叩き潰す。

音が出ないように体をゆっくりと床に下ろし、ほかの彼らにこっそり近づく。

 

4、5回繰り返せばもう図書館に彼らはいなくなっていた。中には私が担任を持っていたクラスの生徒だったものも含まれていた。ごめんなさい。私も後で地獄に行くから……

 

彼らの脅威がほぼなくなったところで本を回収していく。

娯楽として読める本をなるべく多く持っていく。それ以外にもサバイバル術が書かれたものだったりもある程度追加。

「あったあった世界の銃ポケット版」

何を選んでも良いと言ったけれど流石にそれは……へえ?分解組み立てに基本的な銃の扱い方まで乗っているのね。使えそう。どうしてこんな本があるのかは今となってはわからない。でもこれ生徒からのリクエストってわけでもなさそうね。ってことはやっぱりそう言うのに対処するためだろうか。

この図書館は学校側が独自に購入した本と生徒たちのリクエストによって購入される本をマークと棚分けで区別している。この本は学校側が独自に購入した本だ。

今までだったら珍しいなで終わっていたけれど今となってはそういった本もきっとその本書の通りの使い方をするための教本とするつもりだったのだろう。

 

「後はるーちゃんの為に軽い小説…青い鳥(ブルーバード)系統は確かここら辺だったはず」

本当ならもっと優しい本が良いのだけれどここは高校の図書館だ。ブルーバードが限界だ。

「司書さんか図書館のドンがいればなあ」

図書館のドンが誰のことかは知らないけれどおそらくここもかなりの惨劇が繰り広げられた場所だ。考えたくはないけれど……

でも奥の方にはまだいくつもの本がある。もしかしたらその中には図書以外の目的のものもあるかもしれない。別に知ろうと思っているわけではないけれど。

下の方の本や一部の棚は血が飛び散って黒く変色していた。

やっぱりここもかなり酷かったのだろう。3階より彼らが登ってきやすいと言うこともある。だけれど放課後でもかなりの生徒がいた場所でもある。防音性も高いから気づいた頃には囲まれていたのかもしれない。

 

「そろそろ本も回収し終えたことだし戻りましょう」

 

「そう……ですね。先生」

帰りもそこまで彼らは廊下にいなかった。相変わらず食堂内に溜まっていてふらふらと体を揺らしていた。まるで海で波に揺られる海藻のようなものだった。

 

持ってきた本をるーちゃんは気に入ってくれたようで、仕事が終わった若狭さんと一緒に日が暮れるまで読んでいた。流石に日没となれば停電した状態で本を読むのは難しく、空を見上げれば星がいつも以上に綺麗に見えた。

 

でもいつまでも眺めているわけにはいかない。荷物を取りに行かなければならないから。

 

 

 

 

 

 

 

めぐねえ達が朝スーパーから回収した食料を取ってくるために日が落ちてから、私達は移動することにした。割れた窓から差し込む月明かりと、非常灯の緑がかった灯りを頼りに校内を手探り状態で進んでいく。彼らは灯りに反応しやすいから懐中電灯も厳禁だ。

まるで肝試しみたいだなんて感想を抱いたのは最初に見回りをした時。幽霊でも出てきたっておかしくないんじゃないかと思ってちょっとだけ怖くなった。変だよなあ……噛まれたら感染するやばい奴らがウヨウヨしているそっちの方が怖いってのに。

そんな暗闇の中でもめぐねえは校内を覚えているのかのように素早く移動していた。

その動きには迷いはない。目を慣らせば誰でもできるわと言っていたけれど私はまだあそこまでスイスイ動くことは無理だ。身のこなしも、ちゃんと観察していると普通の人とはなんだか違うものだった。廊下や曲がり角の確認、まるで誰かに仕込まれたみたいだ。

その上慣れた手つきで彼らを倒していく。なんでこんな慣れているのだろう?私だって生きるため自分を押し殺してやっとなのに……教え子に手をかけるときの気持ちってどうなんだろう。

 

気づけば私はめぐねえの背中ばかり見ていた。頼りにはならない。むしろ壊れそうで少し怖い……そんな背中だった。

気がつけばふと何処かへ行ってしまいそうと言ったほうがいいのかな?

 

あっという間に車のもとにたどり着いた。改めてみると結構大きい車だなジープって。もっとこう小型で頑丈で屋根のない軍用車を想像していた。

後部席には食料品がたくさん詰め込まれていた。それだけじゃなくラップや紙皿、コップなんかも積み込まれている。

素早くそれらを持ってきたバッグに入れていく。

 

帰りも私が先導をしていたのに気づけばめぐねえが一足先に行っていた。

やっぱりめぐねえ…過去に何かあったんだろうなあ。それかこの事態もある程度知っているんじゃないのかな?いやいやそんな馬鹿な事があるか。なんて否定しようにも今までありえないと思っていたことがたて続けに起こってしまっていたからそれを否定するのが難しかった。

 

冷蔵が必要なものは2階調理場の冷蔵庫に押し込み、残りを生徒会室に運び込んだところで緊張の糸が解けたのかめぐねえと柚村は座り込んだ。

 

 

 

 

めぐねえ達が眠り、私が見回りをする番になった。まあ彼らは入ってこないし結構暇なものだったから、つい外で寝っ転がり夜空を見て綺麗だなんて安っぽい感想を抱いていると、後ろから声をかけられた。

「ねえ起きてる?」

振り返ればそこにはりーさんがいた。眠れなかったのかな?

「若狭か。どうしたんだ?」

そういえば苦笑しながらもりーさんは私の隣に同じように並んで寝っ転がった。

「悠里とかりーさんで良いわよ」

 

「じゃありーさんで」

由紀がそう呼んでいるからって言うにもあるけれどなんとなくそっちのほうがいい気がしていたから。

まあ深い理由があるわけではない。なんとなくと言うやつだった。

 

「佐倉先生のことなんだけど…」

 

「めぐねえのこと?」

 

「うん、ちょっと気になっちゃって」

 

「分かった。多分同じこと考えてるはずだろ。なんであんなに場慣れしているのか。だろ?」

 

「あたりよ。やっぱり思うことは同じよね」

 

「いくらなんでも慣れるのが早すぎるんだよなあ。だってあんなことが起こる数時間前にちょっと相談したんだけどいつもどおりのほほんとしてたんだよ。それが数時間であそこまでたくましくなるなんてな」

大きな出来事は人を大きく変えると聞くけれどどう考えたってそんなものじゃない。あれは……慣れている人だからこそのものの見方をしている。

「貴女だって似たようなものでしょ。もしかしたら何か吹っ切れちゃったのかしら…」

確かに、私はあの日先輩を手にかけた時から変わってしまった。重たいはずのスコップも容赦なく振り回し、彼らを叩き潰してきた。友人だったかもしれないもの、元気な後輩だったかもしれないもの。それらを手にかけ最近やっと気持ちの整理ができるようになった。なのに……

「実際前に似たようなことがあったって言ってたしなあ……」

最初は暴動とかそう言うのの類のことを言っているのかと思ったけれどそう言うわけでもなさそうだった。だとしたら考えられる可能性は一つ。だけれどめぐねえがそうだったなんて想像できない。まだ秘密結社の工作員の方が信憑性が上がると言うものだ。

「朝起きたら聞いてみましょう?」

そんな私の迷いをよそにりーさんは、素直にめぐねえに聞くことを提案してきた。確かにそれが1番かもしれない。

「そうだな。変に誤解するのも嫌だしちゃんと聞いてみるか」

こんな世の中になっちまったんだ。下手に誤解したり喧嘩したりなんてして後で謝ろうと言うのが不可能になってしまうのも珍しくはないだろう。

ちゃんと向き合って話せばめぐねえも教えてくれるはず。何故だか知らないけれどそう思えた。

 

 

 

 

 

今日も私が朝方の見回りになっていた。まだ日が昇る前だったけれど見回りを終えて戻る頃にはそろそろご飯の支度を始めようかと言う時間になっていた。たとえ文明が崩壊しても多少は文明的な暮らしをしておかないと人は体調を崩してしまう。

 

昨日の夜についでだからと炊飯器とお米を調理場から回収したから今日の朝は白米にしてみることにした。

おかずもサバの味噌煮とお味噌汁。それと小松菜のお浸しを作ってみることにした。流石に料理を始めたら音で気づいたのか誰かがおきた。

「なあめぐねえ…」

やっぱり恵飛須沢さんだった。それに釣られて若狭さんと柚村さんも上体を起こした。

「どうしたの?ご飯ならもう直ぐできるわよ」

だけれど料理ではなく彼女たちは私自身に用があったらしい。だけれど押し黙ってしまっている。何か気に触ることをしてしまったのだろうか?最初に口を開いたのは恵飛須沢さんだった。

「めぐねえって過去に似たようなこと経験したって言ってたよな?詳しく聞かせて欲しいんだ!」

それはかなり意外なことで、それでいて私の知られたくない過去だった。私の手はとっくの昔から血に染まっていたと暴露するようなものだ。できれば知られたくはない。

「それは……」

どうやら3人とも同じ意見のようだ。いや本当は私の胸の内にずっと秘めているのは辛いから誰かにぶちまけたいと言うのが本音なのだろう。だけれどこんな汚い大人をさらけ出したくないと言うちっぽけなプライドがどうしても押し留めてしまう。

そんなプライドを支えているのは拒絶される恐怖だった。いえば楽になるかもしれない。だけれど言ったらもしかしたら軽蔑されてしまうかもしれない。確証はない。だけれど否定することもできない。どうしても勇気が出なかった。

「先生がこんなに場慣れしている理由が気になっちゃってさ。聞かせて欲しいんだ」

いつもと変わらない調子で柚村さんが追い討ちをかけてきた。やめて、それ以上言われたら堪えきれなくなっちゃう。

話したところで何か変わるわけでもない。だけれど別に隠す必要があるわけでもない。一応箝口令が敷かれていることだから詳しくは話せない。いや…もう監視なんて無理だろう。この際話してしまうのも良いかもしれない。

そういった気持ちが抑えきれなくなって溢れ出した。

「本当はさ…めぐねえ無理に話さなくても良いと思うよ…でもちょっとだけ気になっちゃうかな」

 

「そうね…朝ごはん食べてから全部話すわ……私の過去について」

言ってしまったからには後戻りはできない。

それでも何かが吹っ切れたからか少しだけ朝ごはんが美味しく感じられた。

 




ちなみにめぐねえは実弾射撃経験ありです。


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4.障害物に引っかかるガバは誤差の範囲

チャートが崩壊して内心焦っているけれど止まらねえRTAはーじまーるよー‼︎

 

はい今回から作風が一気に変わります。バイオ版オリジナルシナリオの中でも難易度が2番目に高い過去編。

バイオ版ではプレイヤーキャラは過去にバイオハザードに巻き込まれている設定が搭載されていますが今回がその巻き込まれたバイオハザード編。本来このイベントは第一回雨の日の後に挿入されるイベントなのですが実はこれだけで元の時間線の1日分を消化してしまいます。

それをやると不都合だったので今回雨の日より先に発生するようにフラグを立てていたのですがおかしいですねえ…早すぎました。

大丈夫なんですかねえこれ……

 

ちなみにキャラを通常キャラとくるみにするとバイオハザード6の達芝(ターチィ)かトールオークスがランダム。めぐねえにするとラクーンシティでのプレイとなります。

圧倒的に簡単なのはトールオークスなのですが長い上にランダムで別れる中国の方が格闘戦ばかりの鬼畜難易度になってしまうのでお勧めできません。そちらでプレイする場合ターチィが出たら素直にリセしましょう。悪いことは言わない。引き返すんだ!まだ間に合う‼︎

始まりはめぐねえの1人がたりから。もうさっさとスキップしましょうね。

あ、わからない兄貴達のために初期設定や探索をしている合間にかいつまんで説明。

 

1998年の3月から留学ということで中学生のめぐねえはラクーンシティに滞在してました。ちなみにめぐねえプレイだと彼女の父親はなんと海上自衛隊一等海佐で潜水艦隊司令をやっている超エリートの設定がつきます。(ラクーン事件のときは潜水艦はましお副長)

 

プレイが始まるのは本格的にバイオハザードが発生する24日の昼。実際には23日の時点でかなり感染は拡大していたようです。実際警察の対応も23日から本格化しています。

ですが事態が深刻化するこの24日は朝からショッピングのためにめぐねえは友人たちと旧市街の方に出ていたようです。

ちなみに24日はスタジアムでスポーツ観戦をやっていたらしくそこで感染者による大規模パンデミックが発生しています。これが引き金となり街全体が一気に崩壊へ向かいますが今の段階ではまだそこまで酷くはありません。

 

しかしここから帰ろうとしてもすでに時遅し、さらに暴動の知らせが飛び込んでくるのは最終的に夕方になってから。

昼のエクストリーム乱闘芸から始まる街全体を巻き込んだ大乱闘スポーツの影響で警官による避難や退避の知らせが来てもすでに帰ることはできません。

この時点ではまだ暴動としか言われていませんからね。

そこで彼女が住み込んでいる寮の管理人さんに車で回収してもらうことになっていたらしくスタートはそこから始まります。

時刻は24日の夕方。車の到着を待つために通りで待っています。いやあこの時のめぐねえ可愛いですねえ。ロリコンの兄貴諸君にために今のうちにいろいろ見せておきましょう!

ちなみにブティック店に行けば一応コスチュームは変えられますが、選べるのは二種類だけです。ちなみにR-18版では結構な数の服装が選べます。その多くが規制かかりそうなものですけれどね。

なんですかぴっちりインナーにベルトって…サハンですか?中学生がして良い服装じゃないですよ。

 

しかしそんな彼女にもエクストリームスポーツの魔の手が‼︎

感染拡大しすぎい‼︎と思いますが実は前々から感染は始まっていました。

正確には9月に入ったあたりからウィルスは流出を起こしています。この時点ではまだ下水にて黒いGやドブネズミと言った個体が感染。生存をかけた争いが始まっていました。他にも一部の昆虫や生き物にも感染が拡大。一部は変異を始めています。

空気感染が少ないのは意外な様に思えますがTウィルスは変異性が高く空気感染は漏洩初期にしか発生しないようです。

そのためホームレスなどが感染したネズミなどを介して感染してしまうのが20日あたり。その後23日にとある事故が発生しその影響でウィルスが大量流出。一部は上水道に流入し生活水が汚染されたことにより感染が広まった形です。そのためスタジアム以外にも複数の場所で感染が拡大しています。

 

ちなみにめぐねえは天然でTウィルスには抗体を持っているので初期感染を免れています。ですが噛まれればもちろん感染確定ですのでご注意ください。

どうやら天然の抗体持ちは10人に1人の確率でいるらしいですね。意外と多い。

 

 

さあ早速ゾンビから逃げましょう!彼らに捕まると確定で噛まれ感染してしまいます。

ちなみにこの時点では市街地の方から逃げてくる人が目立ちますが中には感染しているのか動きがおかしい人も紛れています。そのうち発症するので近づかないようにしましょう。

ちなみに友人達はどこにいるかと言いますとちょっと離れたところのお店に退避しています。

向こうも通路の異変に気付いて私を迎えに来ようとしますが誘いに乗るのはやめましょう。

取り敢えず友人達と一緒にまっているとあのお店で篭城戦をする羽目になりますが良いことはありません。むしろ時間かかります。

するとめぐねえの友人2人もじゃあついていくと言うことで一緒についてきてくれます。しかしその後ろにゾンビの大人が。

 

ちなみにムービーですので回避不能です。友人の1人が捕まりゾンビに首元を噛みつかれます。

流石にまずいと思ったのかこちらの映像は恐怖に歪むめぐねえと残った友人の恐怖に歪む顔を見るだけとなります。

ムービーが終わると周囲には多数のゾンビが現れます。さっさと逃げましょう。正直もう1人の友人は放っておいても良いのですが実はこの子も普通に助けることができる上に好感度パラメーターが搭載されています。実は彼女も攻略は可能です。というわけで助けることにしましょう!

 

こちらの少女はなんとも珍しい銀髪キャラ。ちなみにこの子、一般キャラやくるみ版でも登場します。その場合に一緒に脱出すると本編でも登場するようになります。めぐねえ版では本編登場は確認されていませんがここで見捨てると全員脱出のトロフィーがもらえないので忘れずに助けましょう。

 

ちなみに2人ともこの時点では戦闘力皆無。戦って倒そうなんて考えないほうがいいです。死にます(2敗)

まあゾンビは足遅いので特に問題はありません。

ある程度距離を取ると会話イベントが発生しますが取り敢えず適当に選んでさっさと終わらせましょう。

 

再びイベントで近くの裏路地からかなりの数のゾンビが飛び出してきます。

やばいのでさっさと逃げます。

ここである程度新聞なんかを拾って調べることもできますが特に意味ないので無視です。

道をまっすぐ走り抜ければ、丁度パトカーがやってきます。

降りてきた警官が後ろから迫ってくるゾンビに向けて発砲。凄いうるさいですね。

「急げ‼︎この地区は封鎖される!救助用のヘリが飛んでいるから詳しくはこの紙を見てくれ。すまない。君たち子供を車で送りたいが他にも助けなければならない人たちがいるんだ」

運転席から降りてきた方黒人の警官がそう言って私達に紙を渡してくれます。

実は彼マービンです。せっかくなのでパトカーで送って欲しいところですがそれどころではないようですので紙だけで我慢しましょう。

さあ後先考えずに逃げるのですよ。そもそもまだ中学生ですからね。

 

ある程度離れたところで紙を確認しましょう。

そこには暴徒鎮圧のため夕方の時点でこの区画は閉鎖されるということ。

路面電車の車両基地が救助ヘリの発着場になっていると言うこと。また路面電車や地下鉄はそこまでの緊急輸送をやっていると言うことが書かれています。

ちなみにこの時点で市バスは約半分が事故を起こして機能不全になっています。

極低確率でゾンビで溢れかえったバスが近くで事故ることがあります。その場合即座にその場を離れないと囲まれて詰みます(4敗)

 

 

 

ちなみにここから路面電車の基地までは距離がありすぎます。普通にいくとタイムロスになりますしどうせこのヘリに乗れることはないのでとりあえず最短ルートを取ることにします。

 

さて今後の方針ですが大まかに分けてルートは二つ。地下鉄を使うか路面電車の停留所まで移動するかです。どちらもタイム的にはほぼ同じで難易度も変わりません。さらに両方とももうちょっと市街地側にあるので結局ゾンビパニック真っ只中です。

 

 

でもそれ以外にルートないので。

今回のチャートでは路面電車を選択します。

ここから最も近いのはラクーン動物園のところの停留所ですね。

動物園とかほとんど行ったことないからオラワクワクすっぞ‼︎

 

ってなんかこっちに向かって……

「あ…バス!」

 

なんやて‼︎ここでバスかよ!このまま通り過ぎて…

ああああ‼︎フラフラし始めたああああああ‼︎

 

なんたることでしょう。すぐ近くに止まっていた車にぶつかってバランスを崩しバスは建物に突っ込んでしまった‼︎よく見れば中はゾンビまみれになっているではないか‼︎

うわ…やばいさっきぶつけられた車からガソリン漏れてる。早めに離れないと引火して爆発した時にダメージもらいます。

 

その上ゾンビもバスの窓から出てきましたね。ともかくこのまま逃げたいのですが実はこの道の先はゾンビが大量に配置されてしまっています。仕方がないので近くの建物に避難しましょう。

ちなみにここは雑貨屋さんです。店主は丁度いないようですのですぐに二階へいきましょう。引っかからないよう注意しましょうね。

ここから二階に抜けてベランダ伝いに逃げます。原則ベランダに出る所の扉は鍵がかかっていますが三回ガタガタ揺さぶると鍵が壊れます。

この手に限る。

ちなみに逃げると言っても2、3件伝ってすぐ地上におりますが。

ちなみにさっきのバスの演出がなくてもこのルートを通ったほうが正規ルートより早いです。約3分ほどですけれど。

 

ただ足場が不安定な上手すりが一部なくなっているのでミスると落下してリセなのですけれどね。

遠くで爆発音が聞こえますねえ。あ、タイトルロゴ出ました!そうそうここからバイオハザード始まるんですよ(今更)ようこそ地獄へ。帰りの切符はありませんよ。

 

ちなみに時間的にいくら急いでも18時発の避難ヘリには乗れません。

その後は22時に出るヘリですが……こちらは墜落してしまうので乗れません。

救助活動は24日午後から始まっているのですがこれ25日以降も続けるつもりだったようですね。まあ24日22時の便で墜落して以降救助ヘリは飛んでいませんが。

つまり15時と18時の便しか成功していないわけです。最悪ですね。でもそこに行かないとストーリー進まないんですよ。無視して警察署直行しましょうよ?

 

まあ仕方がないので少し進みましょう。途中で引っ掻き棒のようなものをゲットできますので忘れずに取っておきましょう。万が一捕まれそうになってもこれで緊急回避ができます。と言うのは建前でこれで緊急回避を使うのと同時にメニューを開くと一定時間加速するバグがあるのです。

ちなみにこれができるのはなぜか過去編の時だけなんですよねえ。

 

 

 

という訳で裏路地をダウンタウン方面に向かいます。ダウンタウンといえばバイオ3でお世話になったりアウトブレイクでお世話になったりした場所かもしれませんがこの時はまだ綺麗なものですよ。

友人の少女とはすぐ逸れる危険性があるのでなるべく手を引いていきましょう。一度逸れると大幅タイムロスしますし最悪死亡してしまいます(6敗)

 

裏路地はかなりの数のゾンビがいますがなるべく体を壁に擦るように横をすり抜ければ問題はありません。ただ、壁擦りは移動速度に影響が出るので最小限に抑えましょう。

 

あ、この先の道は2体横並びの配置になっていますので先程の棒で緊急回避を作動。

……はい‼︎これで無理やり速度を上げ、回避時に開けた隙間をすり抜けます。この時に友人の手をにぎにぎしてないと友人だけ取り残されてリセです(未検証)

さてもう少ししたら道が金網の扉で塞がれているところに出てしまいます。

 

一応大人の背丈なら隣のゴミ箱を足場に乗り越えられますが少女2人には無理なのでゴミ箱を登ったところにある換気用窓の窓から建物の中に入ります。

この建物はカフェCQA。ちなみにまだ営業状態になっていますが通りの方の混乱の影響で店の扉は閉められています。

 

ちなみに開けようとすると店員に止められてしまいますのですぐ裏口から逃げましょう。

店内には数名しかいないとはいえお腹を空かせたゾンビ達は容赦なくこんな扉破壊して入ってきます。暴動としか認識していないにしても危なすぎますねえ。

まあ店員が銃を構えていますからそれでどうにかできると考えているのでしょう。

店員に一言声をかけて裏口から出させてもらいます。

ちなみにあそこに十分止まると押し寄せてきた彼らが入ってきます。動きは遅いですが動きを止められない点で進行速度は思っているより速いです。

ちなみにお店の中で時計を確認すると18時5分となっています。

残念。最後の便乗れなかったね。

 

取り敢えず停留所まで急ぎましょう。

でもロリめぐねえはスタミナも低いですし友人側のスタミナや正気度の調整も必要ですので少しいった場所にあるラクーンモールにいきましょう。

そこは現在暴動が発生しているため臨時休業をしています。ですが裏口は空いていますのでそこから入りましょう。

流石にいきなり入ってきたら入り口を警戒していた店員に警戒されますがまだ子供なためすぐに保護してくれます。

ここで一旦休憩してスタミナの回復と友人の正気度調整をしましょう。

RTAにしては余裕だと思うでしょう?

実はここで正気度調整やスタミナ回復をしておかないとスタミナ切れや発狂で詰みになってしまいます。

 

というわけで特に見せ場のない調整ですので今のうちにこの友人について紹介しましょう。

銀髪でおっとりしている見た目をしたこの少女。名前はレナータ・マルコフ。

ロシア人みたいな名前だと思うでしょうが純粋なアメリカ人です。

めぐねえの友人枠であり学業成績は中の上。

特性は「不屈の意志」このためこの子に関しては最初のオープニングイベントで正気度が半分以下に減ってしまう以外ではほとんど正気度は下がりません。逆にロリめぐねえの正気度は大人の時の三倍の速さで減っていきます。こんなところで赤い彗星にしないで欲しいですよほんと……

そしてこの子の恐ろしいところは豊富な知識と技術です。

両親がかなりの物好きなのかレナータにいろんなことを教えています。ハワイで親父にと言い訳をするどこかの小僧並みの知識です。

なんと中学生になったばかりなのに車の運転から鍵開けのやり方銃の使い方。さらにヘリコプターの操縦まで出来てしまいます。

一応母親がヘリのパイロットということで操縦を教わったと設定がついています。それ以外をどこで覚えたのかは不明です。

ちなみに両親はルイジアナ州に在住。彼女だけラクーンの中学校に通っている状態です。

こんな超ハイスペックな子ですが運動は大の苦手。さらに読書は眠くなってしまうので五分ほどしかできないとかなりの癖があります。

 

さて、そろそろ正気度とスタミナの回復も終わりましたので行きましょう。

ここ生存者に引っかかりやすいので注意しましょう。

ちなみにここの休憩施設を使うと建物を出た時点で時刻は20時になります。

 

さて区切りがいいので今回はここまで。次回は動物園で楽しいショーを見にいくよ!



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ここは地獄楽しい地獄

ロリめぐねえ
実はこの時点でCはある。
レナータはA


私がその街に留学に来たのは中学一年からだった。

両親が幼いうちからある程度海外文化を知って柔軟に物事を考えられるようにと言うことで中学校ごとアメリカということになったのだ。

 

ただ、私がきてしばらくの合間は平穏だった街も5時あたりから何か不穏な雰囲気が出てしまっていた。

ラクーンシティと呼ばれたその街は周囲をアークレイ山地に囲まれている。そこにある民家で猟奇殺人事件が発生したのを皮切りに、不審な生物の目撃情報や街での行方不明者が続出していた。

ただまだ呑気な頃の私はそれがアメリカなんだなあと思い気にしていなかった。

 

それが悲劇に変わったのは9月ももう終わると言う頃。

私はあの日仲の良かったレナータと、リサの2人でショッピングに出かけていた。

子供だけだけれど昼を少し過ぎたあたりで帰る予定だったしそこまで危ないとは考えてもいなかった。あの日は街の外からもラクーンスタジアムで開催されるスポーツを見に多くの人が訪れていたから道は混んでいた。

しかし昼過ぎになって状況は変わった。

市街地から少し離れたところにいた私達は、お店のショーウィンドウでラクーンニュースネットワーク(RNN)を映しているテレビを見た時だった。

「スタジアムで暴動が発生。現在警官50名を動員して事態の収集に当たっている模様」

「また各地にて暴動が発生。混乱が広がっています」

 

 

「暴動?物騒すぎないかしら……」

そう言ったのはリサ。彼女はニュースをじっと見つめて暴動の様子を知ろうとしていた。特段興味があるわけじゃないけれど流石に近くで暴動が発生しているかもしれないとなれば見過ごすわけにはいかなかった。

 

「ねえリサ、一旦寮に戻らない?」

暴動に巻き込まれるのはごめんだ。自分の身は自分で守らないといけない。

「そうね…私もそれに賛成」

黙って私の後ろからテレビを見ていたレナータが賛成し、こんな状態で反対できるはずもなかったリサはじゃあ帰りましょうと地下鉄の駅に向かって歩き出した。

「お嬢ちゃん達地下鉄乗るのかい?」

歩き出した直後に声をかけられた。振り返るとそこにはパーカーを着た中年の男がいた。私たちの隣でテレビに目を通していた人だ。

「ええ、そうよ」

茶髪のポニーテールを揺らしながらリサが答えた。

「地下鉄、今止まってるぞ」

 

「え⁈止まってるんですか‼︎」

 

「ああ、ついさっき地下鉄に乗ろうと思ったんだが駅員にそう言われてな。詳しくは教えてくれなかったが」

 

参ったわねとリサが頭を抱える。地下鉄以外の選択肢はバスとか路面電車があるもののここから路面電車は距離がある。

さらにバスに関しては近くを通るバスは寮の近くまで行かない。

「参ったなあ……まあ時間はあるしどうにか考えよう」

レナはそう言ってバッグからバスの路線図を出した。

「バス使う?時間がいつになるか読めないけれど…」

暴動が各地で発生していると伝えているからまともに走っているのかが怪しいのだけれど。

「メグミの言う通りよ。どこかで電話を貸してもらって寮母さんに迎えにきてもらいましょう」

 

「確かにそれの方がいいかもしれないね」

レナもそれにすぐ賛成してくれた。少しして休憩を兼ねて入った洋服店の店員に事情を話したら快く電話を貸してもらえた。

代表でリサが寮母さんに事情を話していた。

気づけばもう午後の2時を過ぎていた。ちょっとだけ外を見てみるとなんだかいつもより変に騒がしかった。やっぱり暴動の影響なのかな。

 

「寮母さん今手が離せないから夕方あたりに車まで来てくれるって‼︎」

電話を終えたリサがカウンターから戻ってきた。

「なら安心だね。しかし運がないことだ…こんな時に暴動だなんて」

レナはそう嘆いて肩を竦めた。

「そうね…せっかくだしここで服でも買っていく?メンズが多いけれど…」

流石にこのままだとみんな気分が落ち込んじゃっているだろうから気を紛らわすためにそう提案してみた。

「あーまあレディースもないわけじゃないしセンスは良いからちょっとだけ見ていくか」

 

 

 

暫くして日が傾いてきた頃、私は店の外で寮母さんの車を待っていた。2人は店の中でのんびり待っている。交代で寮母さんの車を待つ役をやっているのだ。

そろそろきてくれるはずなのだけれどなかなか現れない。それどころか車はさっきから一方方向にしか走っていない。反対側に向かっているのは消防車や救急車、パトカーと言った緊急車両ばかりだった。

 

何か騒がしい。どうも変だと思っていると、ダウンタウンの方から逃げてくる人たちの一団が目に止まった。

一部は怪我をしているのか腕や肩から血を流していた。

何かあったのか聞こうとしたものの、私には目もくれず彼らは走っていってしまった。

通りの異変に気付いたレナとリサが店から出てきた。

「何かあったのかい?」

 

「わからないけれど…暴動なのかな…」

レナの疑問にただそう答えるしかない。怪我をしていた彼らが何から逃げていたのかそれを知るのはそう難しくはなかった。ただ、遅すぎた。

「さすがにお店に戻ったほうがいいんじゃないの?」

 

「でももう直ぐくるって言っていた…」

その直後、足を引きずるような音が聞こえた。人混みの喧騒の中で、それは確かにすぐ近くにいた。いつのまにか近くにきていたのだろうか。

リサの真後ろにそいつは忽然と現れた。

青白い肌に白目、一部の皮膚は腐っているのか腐敗していた。腐りかけた死体。いやそれは死体と言うにはあまりにもおぞましい何かだった。

 

「ひっ‼︎」

思わず後退りしてしまう。ふと横でレナが地面に尻餅をついた。腰が抜けてしまったようだ。気づいていないのはリサだけだった。早く教えなきゃと思ったものの、それより早くその化け物が動いた。

「え?どうしt……きゃあああ‼︎ちょ!離して!」

それは近くにいたリサの肩を掴み、その首元に噛み付いた。抵抗するリサの声が遠くに感じられた。

血と、肉が引き裂ける不快な音がして、目の前で起こっていることが信じられなくなっていた。ただのドッキリとかそう言うのだと思ってしまっていた。

だけれど実際に首筋を噛まれた彼女は、嫌々と暴れている。

「あ…あがっ…助け…」

 

彼女がそれに押し倒されるように前に倒された。飛び散った血で服も顔も血だらけだった。

助けようと手を伸ばしかけて、それが一体だけじゃないことに気づいた。

後ろから三人。いや三体。似たようなやつが迫ってきていた。そのうちの一体が倒れたリサの足に噛み付いた。さらに悲鳴が上がる。気づけば周囲でも同じような光景が広がっていた。化け物に襲われる男性、老若男女関係なしだ。

「い、いや‼︎」

どうしようもなかった。でも言い訳なんていくらしたって私の心は絶対にあの時のことを許したりはしない。その場にへたり込んでしまっていたレナの手を握って私はその場から逃げ出してしまっていた。

少しして我に帰って振り返ったものの、すでにリサは化け物達に囲まれていて姿は見えなかった。どうなってしまったかなんて言うまでもないだろう。

 

今になってその行為がどれほど酷いものだったのか……じわじわとお腹が締め付けられてくる。血の気がひいているのか視界が真っ白になっていく。

「ぁ……いやああああ‼︎」

 

「メ、メグ‼︎落ち着いて!」

 

「ごめんなさい‼︎そんなつもりじゃ……ごめんなさいいい‼︎」

だけれど時間は私に後悔をさせてくれなかった。私の声に反応したのか口を血塗れにした化け物達がこちらに向かって来ていた。

 

「すぐに逃げないとっ‼︎ほら立って!」

レナに引っ張られるように私は立ち上がる。いつのまにかしゃがみ込んでしまっていたらしい。リサを見殺しにしてしまった罪悪感から思わず一緒に死のうと考えてしまう。

「……っ!」

だけれどあの化け物の姿がどうしても怖くて、結局自殺願望より恐怖からの逃走心が上回ってしまった。

 

逃げ出そうと駆け出して、何かのエンジン音が近づいてきていた。

それは一台のバスだった。全く減速する様子もなくそのバスは道路に飛び出していた化け物を跳ね飛ばし、私たちのいる歩道に突っ込んできた。

「危ない!」

咄嗟に動いたのはまた私だった。

さっきまで私たちがいたところをバスが通り過ぎていく。

真後ろで街灯をなぎ倒したバスが、止まっていた車にぶつかった。激しい金属のひしゃげる音が響いて、反動でバスは私たちとは道を挟んで反対側の建物に激突した。

「あれは…そんな……」

事故を起こしたバスにはまだ乗客が残されている。一瞬助けに行こうかどうか迷い足を止めた。そして見てしまった。割れた窓ガラスから這い出てくるあの化け物達を。もうすでにあのバスは化け物の巣窟に成り果てていたのだ。

 

さらに近くで後ろ半分を押しつぶされた車から燃料が漏れていた。独特の異臭が周囲に広がっている。

「こっち!」

レナが私の手を引っ張った。近くの空いていた扉に飛び込んだ。

どうやら雑貨屋らしい。逃げ込んだ建物に人はいなかった。すぐに扉を閉めたけれどガラスの扉一枚じゃすぐに破られるに決まっている。そのまま二階への階段を駆け上がる。

二階は在庫管理の部屋なのかダンボールに乗せられた商品らしきものが積まれている以外には何もなかった。

廊下を真っ直ぐ進むとベランダに続く扉を見つけた。

でも鍵がかかっていて開かない。鍵を探している余裕も無い。

扉を引っ張ったり押したりして開かないか試す。

「開いて‼︎お願いだから開いて!」

何度か扉を叩きつけるように動かしていると、元から脆くなっていたのか何かが壊れる音がして扉が開いた。金属の破片が落下する音が聞こえた。

「開いた!」

 

「やったね」

二階ベランダは他の建物のベランダとほぼ繋がっていると言っても過言ではない状態だった。ベランダ同士の隙間は数センチ。

柵さえ乗り越えてしまえば簡単に乗り移ることが出来る。でも足元は金網式の足場だしあまり気持ちの良い物ではない。足場を支えている鉄骨も一部はボルトがなくなっていて宙吊り状態だった。歩くたびに不規則に揺れる。

当てにしていた手すりも古くなっているところは丸ごとなくなっていた。

「ゆっくり……」

 

近くで爆発が起きた。多分さっきぶつかったバスか車だろう。ふと遠くを見ると街の至る所で黒煙と炎が上がっていた。暴動なんて物じゃない。もっと大変なことが起こっているんだとようやく理解した。その頃にはもうすでに遅かった。

2、3件ベランダを伝って移動したものの、もうこれ以上先にベランダはなかった。ただ外階段と、ベランダのようなものがあったであろう跡地が少しばかり残っているに過ぎなかった。

一応足場は階段まで続いていた。手すりもなく足場も一部は支えの柱だけになってしまっているとこもある。それでも行くしかない。

「ねえメグってさ。結構度胸あるよね…」

 

「そう?」

 

「だってここ渡るつもりなんでしょ?」

 

「そうだけど……」

だってそこの建物の中あの化け物がうろついていたんだから仕方がないだろう。そんな危険なところに入るのとここを通るのとそう変わらないだろうし。

すごく危なかったけれど私達の重さにベランダ跡は耐えてくれた。不用意な振動もなくて助かった。

ベランダから降りた頃には周囲にあの化け物はいないように思えた。だけれどあんなことがあったからすぐに大通りに戻ろうとは思えず裏路地を駆け抜けた。こっちの方が安全そうだったからというなんとも安易な気持ちだ。安全なところなどどこにもないと言うのに。

途中で拾った鉄の棒を護身用に、地獄を走る。

「ひっ‼︎あいつらが…」

 

「だ、大丈夫……動きはそこまで早くなさそうだから……」

伊達にあの化け物から逃げていたわけではない。多少は観察している。走ることはどうやらできないみたいだし動きもどこか遅い。反応もどこか鈍い。

棒を使ってこちらに伸ばしてくる手を払い飛ばし横をすり抜けた。生きた心地がしない。いや、心がどこかでこの現実を否定してしまっていたのかもしれない。だから無茶なことができたのだろう。

だけれどそれも長くは続かない。金網による扉が道を隔てていた。

後ろからはあの化け物が追いかけてきてる。逃げ道は……

「どこかに……」

 

「メグ、あそこ」

レナが指を刺す方向には、半開きになった換気用の窓があった。ちょうどゴミ箱の上だ。

そこから建物の中に張り込む。もしかしたらこの建物にも化け物がいるのかもしれないけれどあそこでモタモタしていたらやられていたのは確実だった。

それにこの建物はなんだか騒がしくはないように思えた。

「ここってカフェ?」

入り込んだのはカフェの倉庫のようなところだった。部屋の扉には鍵はかかっていない。そっと扉を開けて外を見れば、そこには化け物はおらずバックヤードと思われるところにつながっていた。ほのかにコーヒーの香りが充満している。

「カフェっぽいね」

カウンターなどがある表側に向かってみれば、そこには生きている人間がいた。店員さんも銃を持って入り口を警戒している。表はまだあの化け物はいないらしい。今のうちに……

「お嬢ちゃんたちダメだよ。今外は危ないから扉を開けないで」

やっぱり止められた。それもそうだろう。

「というかお嬢ちゃんどこから入ってきたんだ?」

 

「裏の換気用窓から……」

あそこかと合点がいった店員さんは、頭をかきながら後で閉じておくかと呟いていた。

「う、裏口から出てもいいですか?」

ここに留まるということも考えたけれどここに止まって助けが来るのかどうか……移動するのも危険が多いけれどここじゃ籠城するのにはすごい不安だった。

「え?ああ…構わないよ。こっちだ」

 

店員に案内され裏口の方へ回る。さっきの道とは違ってすぐ手前に大通りが見える。幸いにもあの化け物は近くにいなかった。背後で頑張れよという言葉とともに扉が閉められた。

「あの化け物いないみたいだね……」

 

「今のうちに移動しよう」

大通りも避難してくる人はいてもあの化け物の姿はなかった。いや、いるのだろうけれどまだ見えていないだけ……

「きゃあああ‼︎」

 

「うわ‼︎離せっ‼︎」

 

居ないというのは幻想だった。裏路地から出てきた化け物が近くにいる人を襲い始めた。この大通りも安全ではない。

咄嗟に駆け出した。行き先なんてわからない。もうがむしゃらだった。

気づけばまた周囲にはあの化け物が集まってきていた。私達が出てきたあのカフェも入り口付近に化け物が溜まっていた。

道を走っていた車が化け物を跳ね飛ばしながら市の中心へ走っていく。轢き殺されたかと思いきやその化け物はまだ生きていた。関節が変な方向に向き、骨折もしているようだったけれどあれは這いずりながら近くで倒れていた人間を食い散らかし始めた。その姿が衝撃すぎて、目を背けた。

 

 

「……はあ、はあ……」

逃げるのに必死でいつの間にか息が上がっていた。近くで火災が起こっているのか肌が焼けるように熱い。ここはどこなのだろう?どれほど走ったのだろう?

「メグ、ちょっと休もう。流石にこのままじゃ途中で動けなくなっちゃうよ」

 

「わ、わかったわ……」

ずっと走りっぱなしだった上にもう精神的に参っていた。まだ大丈夫と自分に言い聞かせたかったけれど、私はそこまで意思が強いわけじゃない。レナに導かれるように、近くにあったラクーンモールの裏口に向かった。周囲にはやっぱり化け物たちがひしめき合っていたけれどまだそんなに数はいなかった。

「このモールなら」

表はシャッターが下りていて、中と外は完全に隔離されているように思えた。それに頑丈で広さがある建物はそれなりに避難所として機能するようになっている。

裏口の鍵はかかっていなかった。すぐ近くには炎を纏ったあの化け物がいた。そいつを棒で無理やり押し除けすぐに扉の飛び込む。

「動くなっ‼︎」

 

「ヒッ」

私達の目の前に突然棒のようなものが突きつけられた。それはよく見れば筒状で、猟銃なのだと気づくまでに少し時間がかかった。

「なんだ子供か、すまなかった。てっきり奴らかと」

私たちがあの化け物じゃない事をようやく理解したのか銃を構えていた男性はすぐ私達に謝罪した。

「あ、いえ、大丈夫です」

 

「……‼︎伏せなさい!」

男性の表情が豹変した。同時にレナが私の頭を押さえながらしゃがみ込んだ。

すぐ近くで何かが爆発したんじゃないかという轟音が巻き起こり、背後で誰かが吹き飛ばされる音がした。

「すぐに扉を閉めろ!」

 

ああそうだった。扉を閉めるのを忘れていたのだった。

振り返れば炎を纏ったあの化け物が吹き飛ばされて地面に倒れているのが見えた。

焼けていく人間の体。不快な匂いが鼻をついて思わず吐きそうになった。

生焼けになった人間というものを間近で見てしまったものの、それに対する感情は全く浮き上がってこなかった。まるで心に鎖が絡まっているかのようだった。

扉を閉め、鍵をかけた。さっきの銃声で化け物が寄ってこないとも限らない。

「奥の方にみんな集まっている。そっちに行っていなさい」

そう言って彼は私達を建物の奥に押しやった。

少し奥に進むと私達以外にも逃げてきた人が集まっていて、気づけば近くにいた記者のような女性から非常用のペットボトルの水を渡された。そういえばさっきから何も飲んでいなかった。

「……」

一口水を飲んで座り込んだ瞬間、今まで抑えていたものが溢れ出した。最初からわかっていた。自分がいかに最低なことをしたのかを……それを押し殺して無理に今まで振る舞えたのは単純に死の恐怖が隣にあったからだった。

感情がめちゃめちゃになっていく。きっとあの子は絶望し私を最後まで許さなかっただろう。それだけのことをしてしまった。

「メグ、大丈夫…か?」

 

「大丈夫……大丈夫だけど……ごめんなさい。ごめんなさい……手をつかめなかった…怖くて逃げ出しちゃった」

吐くことはなかったけれどあの光景が頭から離れない。肩を半分近く噛みちぎられ血管がいくつか見えていた。あそこで助けたらまだ助かっていたのかもしれない……

レナの慰めをただ自分の行いを正当化するための道具にしてしまいたいと心が叫んだ。でもそんなことは許されないのだ。私は友人を見殺しにしてしまった。

「いやメグのせいじゃ無いって…あの化け物が悪いんだって……それに私はあそこでずっと動けなかったんだよ?」

 

「でも……」

伸ばしていた手を私は引っ込めた。もしかしたら引っ張り出せたかもしれない……いやわかってはいた。子供の力であれをどうにかするのは不可能なんだって。だけれど友人を見殺しにした事実はいくら取り繕っても変わらない。

不意にレナが私を抱きしめた。ほのかな暖かさと、誰かに抱かれているという安心感で沈んでいた気持ちもある程度収まってきた。

 

「落ち着いたかな?」

見上げれば彼女が私を心配そうな瞳で見ていた。ああそうか……彼女も不安だったのか。彼女も同じ気持ちだったのだ。なのに私だけ取り乱して……何してたんだろ私……

「うん……落ち着いた」

本当に気持ちを爆発させるのはこの地獄から生還してから。そうしよう。

 

気づけばもう20時になろうとしていた。外は完全に日が落ち、暗くなっているらしい。もうそろそろ出ないと22時のヘリには乗れない。次は確か朝の10時だったはず

避難するヘリのところへ行こうとレナが言った。ここに篭って救助を待つという手もあるけれどあの化け物が大量に出てきてしまったら救助なんて言ってられないかもしれない。

流石に他の人にも避難を強要するのは良くないからあの警官からもらったこの紙を目立つところに貼っていく事にした。

一階は危ないので二階から外階段を使って出ようと言うことになり移動しようとしたところで声をかけられた。

「子供2人でどこに行こうとしているの?」

振り返るとそこには赤いスーツを着た金髪の女性が立っていた。少し訛りが強い英語で聴き取りづらい。私の代わりにレナが話すことになった。

「えっと…貴女は?」

 

「ああごめんなさい。アリッサよ。新聞社で記者をしているの」

 

「私はレナータ。こっちは友人のメグミだ。よろしく」

記者と名乗った彼女は同時に名刺を渡してきた。どうやら夕方あたりの暴動に巻き込まれてここまできたらしい。ついさっきここに到着したのだとか。

「そうだったんですか……」

その際に大量にいたあの化け物をまとめて吹き飛ばす警察の作戦を手伝ったりしてきたと言っていたけれどそれは聞かなかったことにしよう。相当アグレッシブな人だ。記者ってそういう人種なのかしら?

「それで貴女たち2人はどこへ行こうとしていたの?」

 

「実は……路面電車の車庫あたりから救助ヘリが出ているらしくて」

壁に貼った貼り紙を指差して答える。市街地などいくつかの場所を閉鎖するため、すぐに避難をしてくれというものだった。一応封鎖はもう始まってるらしい。あのヘリは取り残された住人の救助のものだと詳しくかいてある。

「なるほどね……そういうことなら私もついていくわ」

正直それは意外だった。安全地帯に篭っている方が安全性は高いはずなのに。

「え?」

レナと一緒にすっとんきょうな声をあげてしまう。

「子供だけじゃ危ないでしょ。それに外の様子をある程度取材できるからね」

 

「あ、ありがとうございます?」

後半の言葉が完全に記者だけれど仕事柄危険なところにも突っ込んでいく人だったのだろう。周囲を見渡してみたものの、他の人の多くはここに残る方を選択していたようだ。

「そうだな…そういうヘリは女子供を優先するべきだ。俺たちは俺たちでどうにかするさ」

そういう声も小さいながら聞こえてきた。

 

「そうね…ここからなら動物園前の停留所が1番近いわ」

動物園……こんな化け物まみれな状態で動物園は大丈夫なのだろうか…

私の不安は最悪な形で的中してしまうことになった。だけれどそれを知るのはまだ先のことだった。

「ラクーン動物園…確か一昨日から臨時休業していましたよね?」

こっちに来てから2回ほど遊びに行ったことのある場所だからなにかと親近感が出てくる。確か植物園か何かを新しく作っていたとかでそれが完成したらまたきてみようと話していたんだっけ……

 

「ええ、もしかしたらこの暴動ともなにか関係があるのかもしれないわ。ともかく移動しましょう」

そう言ってアリッサさんはこの建物の上のフロアに上がっていった。エスカレーターやエレベーターは電力が遮断されているからか全く動いていなかった。

「そういえばアリッサさんここまでどうやって来たんですか?」

階段を上がりながらふとそんなことを聞いた。外はあの化け物がたくさん居る筈だ。そこを突っ切ってきたのだろうか?流石にそれはないと思いたい。

「警官の車で避難している途中でこの建物から発煙信号が出ていたの。警官に言ったけれど救助できるかどうかは分からないって。少なくとも明日以降の状況でどうするか決めるそうよ」

一度降りてわざわざここまで来たのは取材をしたかったからだそうだ。記者魂すごい。

取材もほぼ終わりどうするか考えていたところで私達が移動しようという話が耳に飛び込んできて声をかけたのだとか。

「そうだったんですか…大丈夫かしらこのこと伝えなくて」

 

「不安になるような事は事実であっても伝えない方が良いのよ。それに確定した事実でも無いから無駄に感情を煽っても意味ないでしょ」

 

「それに士気が下がるとそれだけで生き残れる確率も低くなる。酷いようだけれど彼女の言っていることには正しいところもある」

 

「なんか釈然としない言い方ね。別に意地悪をしているわけじゃないわ。警官が市民の救助を優先するならここに止まっていた方が絶対に良いに決まっているわ」

そういうものなのだろうか。なんだか騙している気がしてならない。またあの時みたいに……リサを見捨てたときみたいに見捨てるのだろうか……

「それに彼らは自分の意思で残るって決めたんだから。メグミちゃんが無理に悩む必要はないわ」

 

そう言ってばっさりと彼女はこの話を切り上げた。きっと彼女も思うところはあるのだろう。そう思いたい。

屋上に出る扉は一応鎖で施錠がされていた。だけれどそれをアリッサさんは思いっきり蹴り飛ばしてドアノブごと破壊して外してしまった。

なんとも豪快な……

「さあ行きましょう」




ちなみに動物園周辺は24日夕方からどったんばったん大騒ぎ。

地獄のパーク巡りなのだ。
ラクーンなのでアライグマがインしました(嘘)
特殊条件を満たすとアライグマの彼女でバイオタイムアタックができるようになるぞ!


ちなみにラクーンシティ脱出は5種類あります四つはヘリを使うので実質ヘリに乗らないと脱出できないラクーン。カプコンヘリの因縁をどうにかすることはできるのだろうか


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5.武器がなくて戦えるわけないやろ!

ガバが起きると詰んでしまう区間に突入したRTAはーじまーるよー

 

はい、外に出ようとするといつのまにかアリッサ嬢がくっついてきています。何があったのでしょうねえ。

一応ここで仲間が増えるのはわかっていたのですが基本RPDのケビンか謎の配管工デビットだと思ったのですけれどね。

というかここランダムなのですが基本この2人のどちらかが来るはずなのですよ。偶にヨーコが出てきているのですがそちらはラクーンのんびり観光するにはうってつけですがRTAには全然向きませんその時は黙ってリセです。

今回は……うーんでもアリッサかあ。

このゲームめぐねえが子供でしかも武器の取り扱いができない前半は補正のためか強いキャラが来てくれるのですけれどねえ。銃使えて色々と制約がなくて済むケビンとかが一番多いのですがこれもしかして相当レアな確率なのでは?

調べてみたら1万回に一回出るか出ないからしいです。そんなの入れてチャートなんて無理やろ‼︎

 

まあ一応先人達の知恵によりアリッサのチャートもあることはあるのですが実は半分くらいケビンのものを流用しているので当てにならないのです。

ちなみに他のキャラはチャートがないものがほとんどです。これ大丈夫かな……

セーブを忘れているので今リセしてしまうと最初からなんですよねえ。仕方がない!まあなんとかなるでしょ(慢心)

 

というわけで二階から一階へ降ります。

屋上は烏が時々襲ってくるので注意です。実はあれにも感染判定がありますのでぶつかると感染します。

感染してしまった場合すぐにハーブをかじりつつ病院かラクーン大学に行かないとすぐゾンビ化してしまいます。まあ友人を助ける場合かならずそのどちらかには行かないといけないのですけれどね。まあタイミングの問題で早いうちに感染すると超タイムロスします。

 

というわけでここはタックル回避。

実はこの動作のモーションでは敵の攻撃の当たり判定が機能しなくなります。

なので烏の降下攻撃が来たらタイミングを見て虚空へタックルしましょう。

 

階段を降りて地上に降りればなぜか烏は襲ってきません。あそこに巣でもあったんですかね

ここから動物園までは一本道です。特に仕掛けなんてものもないので倍速です。

ってかアリッサさん武器何持っているんですか?

あ、一応拳銃は持っているのね。でも38口径か……それでゾンビ倒すってなると確定で4発いるんですよね。

45口径があったら絶対乗り換えて損はない銃です。でもこちらからそれに干渉することはできないので諦めましょう。ちなみに今のままでめぐねえが銃を持っても零距離射撃でもない限り当たりません。それに反動でダメージ入ります。

レナは時々射撃場で撃っていたという設定通り持たせれば拳銃程度は使いこなしてくれます。

なんやこの中学生チートやんけ。

裏路地を進んで途中で通りに出るとまだアウトブレイク直後でゾンビの数は少ないですので結構歩きやすいです。

所々車が道を通せんぼしていますがこんなの登ってナンボです。

 

あ、引っかかった。

まあ誤差の範囲だから……

やっぱ車邪魔だよ!どけよお前ら‼︎災害時に道路のど真ん中に横になって事故ってんじゃねえよこのやろう‼︎

後でプレス機送りにしてやる。

ちなみにここでもレナータのおててにぎにぎイベントは継続です。

この先いくつか路地を抜けます。このまま通りを進むのもありなのですがそれだと暴走自動車による特攻とゾンビ運搬バスによるゾンビ襲撃イベントが発生する可能性があります。

これ25日まで通りで発生するランダムイベントなので避けたければ裏路地にいるのがベストです。

正直時間の無駄なのでね。

 

ちなみにここ反対側の路地を使っていくと警察署のほうに出ます。

まだ警官も沢山いるので少しは安全地帯となってくれますが狂乱する所長とかゾンビ襲撃イベントとか超面倒ですし事故しか起こらないので壊滅後に行くのがベストです(外道)

ちなみに裏路地攻略のポイントは前半はゾンビ共の回避。

後半はリッカーとかゾンビ犬とか出てきますのでなんとか回避しましょう(適当)

正直回避するだけなら簡単なんですよ。移動速度が下がるのでテクニックが必要なのですけれどね(ヘタクソ)

さてもうすぐ動物園の裏口に出ます。ここでも誰かと合流することができるのですけれど……

 

あ、動物園前でケビン先輩と合流しました。あたりキタコレ‼︎

ちーっすケビン先輩保護して‼︎

他にも生存者がいるかと思ったら駅員のジムしかないやん。デビットどこいったーー‼︎もしかしてアップルインの方に行ったのか⁈あそこもいけたけれどRTAではロス以外の何物でもないからカットしたのですが……

 

まあいいか(気にしない気にしない)

駅員とかここで1番使えないわー。地下鉄の駅に行った時に出てきてよ。誰1人いないよりマシだから良いけど。

まあ気を取り直して動物園に観光にいきましょう!この動物園の名物はゴリラゴリラゴリラとライオン、それに象と地方の動物園にしては中々揃っています。

昔は象でパレードまでやっていたというのだから相当賑わっていたのでしょうね。

 

どうやらケビン先輩が既に裏門を閉じている鎖を解除していたようです。

意外なところで良い巻きができましたね。おかげで鍵開けのロスなしで動物園編が始まります。

さあ行きましょうか‼︎ちなみに入ると即ムービーです。もちろんカットですよ。誰もあんな巨大な象さん見たくないでしょ。

というわけで無料開放してくれているこの動物園でやっているふれあいイベントその1‼︎

象のオスカーです!

少し進むと現れますのでぜひ拝みましょう。

 

いやあでっかいですねえ。流石象さんです。牙も大きく成長して……

はい逃げます。こんなの戦っている暇があったらさっさと謎解きしましょうね。正直倒すより仕掛けを使って閉じ込めたほうが早いので。

このゲームのNPCは極めて優秀なのでこんな奴相手にしていられるかとみんな逃げます。

ちなみにケビン先輩はアリッサと共に正面門を開放する謎解きを始めます。所要時間は大体10分くらいかな。ちなみに私が謎解きに参加しても時間は大して変わりません。

というわけでラスボスがすぐ倒せるようにジムと一緒に象さんを寝床へ返すお仕事をしましょう。

 

ほら早くこいや‼︎

 

 

ちなみに謎解き成分は今作ではかなり削減されています。ですのでマスコットメダルを取る必要もないですし象を閉じ込めるだけなら事務所の机にパレードBGMのテープが置いてありますのでそれを持っていけばOKです。わざわざステージのところまで行く必要はありません。正直ロリめぐねえでワニのいるところとか自殺行為でしかない。

1番の謎解きは多分正面入り口かな。

 

というわけで事務所に突撃します。

 

イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

事務所前にハイエナが配置されていますが一体だけですのでスルーしましょう。

ちなみにハイエナは結構弱いので38口径でも3発くらいで倒れます。ほらジムさんそんなの放っておいて行きますよ。

象さんきちゃうから。

 

 

 

ちなみに事務所内も探索すれば猟銃とか出てくるのでしょうが取っている暇ないですのでやめましょう。たまにNPCが持ってきてくれることがあるのでそれに賭けてみてもいいかもしれません。

まあジムさんだと取ってくることはほぼないですが……

ちなみに象さんは現在アリッサ達を追いかけているので事務所の壁を突き破ってこんにちわしてくることはありません。

事務所奥に着いたら生存者が何人かいますが気にしないでおきましょう。

少し話しかけられますが適当に返事をしてすぐに象の鍵を奪取。ついでにテープも回収です。テープを回収しただけではまだ何もできません。

一応テープをレナータに渡すと彼女の閃きでBGMを使っておびき寄せる案が出ます。ただしこれは象の監視塔とそこにあるテープ再生機をあらかじめ確認しておく必要があります。

でもそれをしなくても良いようにするオリチャーがあるのです!

装備にテープをセットして事務所内に逃げ込んでいる生存者のロイド・スチュアートに話しかけると外で暴れまわっている象についての情報をもらえます。

彼、動物園職員で普段は園内の見回りや門の施錠を担当していますが一時期象の飼育補助をやっていたこともあり少しばかりはオスカーについても知っています。

「……オスカーはそのパレードの曲に反応するんだ。もしかしたらあんなになっちまっても反応するかもしれないな」

 

「ねえ、象の飼育場所って監視塔があるよね!そこにテープの再生機と放送設備ってあるの⁈」

何か閃いたレナータがロイドさんに詰め寄ります。よしオリチャー成功‼︎

「ああ…パレードをやっていた頃の名残で再生装置はあるぞ」

はいさっさと行きましょうねー。

 

あ、帰るときは気をつけましょう。行きは出ないのですが帰りは象さんが鼻を突っ込んできます。これに捕まると即死です(1敗)

 

 

再び外に出ますがなんとさっきのハイエナ復活しています。だからジムがあそこで倒そうが倒さまいが何も変わらないのですよ。むしろ時間の無駄なんや。

 

とりあえずコロコロするのはいいからいきましょう?いきましょう‼︎ほらついてこいや!

 

置いて行っても良いですがこの後少しだけ必要になるので連れて行きます。

道中はもう一体ハイエナが追加。人間のゾンビが出てこないのは軒並み彼らのご飯になってしまったからです。普通のゾンビとどっちがいいのやら……

まあ原型止めているだけまだましかなあ。変に栄養取られてリッカーに進化されるよりよっぽどマシですし。

 

 

閑話休題(とつげき)

 

さて象の檻の前までやってきました。

ちなみに象の檻は鍵で施錠されてしまっているので一度これを外しておきます。なんでここの施錠がされてしまっているのか全くわかりませんけれど。この状態では人1人が入れる程度しか檻は開けられません。元々電動だからここまで開けられただけでも相当なものなのですけれど。

 

ここから像の檻を管理する監視塔までは一直線。

あ……

追いかけてきていたハイエナが飛び込んできました。よう入れたなああの隙間。

 

余計なハイエナもくっついてきてしまいましたが誤差の範囲です。襲われる前にさっさと梯子を登ってしまいましょう。知能の方が若干低下しているからなのかハイエナどもは上に登ってくることはありません。

監視塔は入ってすぐの部屋がコンソールのある部屋。

その隣は配電盤とか色々あるお部屋です。

 

コンソールパネルの右端にある放送設備のところに行けばレナータがスイッチを操作してくれます。

この合間ジムさんは何しているかというとコンソールのある部屋の隣の部屋にある配電盤ブレーカーを上げてくれています。少し壊れているようですがなんだかんだ彼そういう修理得意なので少しすれば直ります。

 

お、電気が来ました。

では門を電動開放。

続いて照明をオン。どうやら象は近くにいるようです。では早速テープを再生しましょう!

パレード用BGMなだけあって明るい音楽ですがやってくるのはゾンビ。悲しいかな。

生物災害の虚しさをよく強調してくれます。まあ出番なんかもうないのですけれどね。

 

さて機械をいじっていきましょう。

ちなみにここからムービーという親切設計。

わざわざ象が来るのを待たなくて良いので楽チンです。ここまで来るのは修羅の道でしたが……

 

お、やってきましたオスカー君。さあはいるのですよう……

おら早くしろや。

入った‼︎

門の開閉装置を動かして象さんを閉じ込めてしまいましょう。ちなみに一緒に入っているハイエナ君ですが……

あ、象に踏み潰された。

あれはお食事コースですね。象って肉食じゃなかったような気がしますがウィルスの影響でバリバリの肉食に化けてます。くわばらくわばら。

 

というわけでさっさとこんな危険な檻からは出てしまいましょう。

監視塔のすぐ隣に職員用出入口があるのでそこから出ます。

いやあ象さんがいなくなって静かになりましたねえ。ただまあここから出てもしばらくハイエナだったり動物系ゾンビのオンパレード。ケルベロスとかゾンビ犬より先にこんな奴らに会ってたら彼らのインパクトがなくなっちゃう!

 

ちなみに今の状態ですぐ正門前まで移動すると丁度アリッサ達が謎解き終わるので門を開けてくれます。

ちなみにライオンさんが道中に出現するので気を付けましょう。元々凶暴かつ狩のプロだったのがウィルスのせいで余計凶暴化しています。やべえやつです。特にメスライオン。

 

 

まあ何度かくるくるすれば逃げられますし結構どうにかなります。

 

というわけで表門到着です。いやー大変だったなー(棒)

本当なら表門の謎解きはやっておいた方が良いのですが正直ロリめぐねえの体力じゃ無理です。そもそも一撃喰らっただけでもアウトなのに無茶言わんといてください。

うま味も撮れ高も少ない動物園でしたが動物と触れ合おうコーナーで癒し映像が沢山撮れましたね!

かっこいい牙を持つ象さんに犬みたいに従順でお腹を撫でさせてくれたハイエナ(捏造)

望めばワニや鳥類ともじゃれ合うことが出来るらしいですよ(白目)

 

 

いやー楽しかった楽しかった。おやあ?誰か見送りに来てくれたみたいですね!

おお‼︎なんとライオンさんが見送りにてくれましたよ!

猫じゃらし持ってくるの忘れてないよねみんな‼︎

 

はいというわけで停留所前でライオンと戦闘です。

まああのオスカーを倒すのよりかは遥かに楽なのですけれどね。

どこで拾ったのかケビン先輩が猟銃を持っています。

対動物用の銃なので威力はお墨付き。ライオンゾンビ程度なら簡単に仕留められます。流石に象は皮膚が硬くなかなか倒れてくれませんけれど。だから今檻に閉じ込めているのですけれどね。

 

もちろんめぐねえはレナータを連れて避難しちゃいましょうねー。そもそもライオンを相手にできる武器なんて持っていませんから。

せめてナイフを投げる程度でしょうね。

 

旨味成分の一つもありゃしないのでオスライオンの眉間に金属棒君をぶん投げましょう。

ちなみにめぐねえの投げスキルはそこそこ高いので顔に向けて投げれば大体どこかの急所に当たります。

今回は…お‼︎どうやら目を潰したようです。

片目が潰れるだけでも距離感を計れなくなりますので攻撃を空振させやすくなります。

ついでだから挑発してみましょう。

お、突っ込んできました!今回は屋台さんに壁になってもらいます。

オスカー戦でこれにBGMテープを使うとオスカーが突っ込んできて大ダメージを与えることができるこの屋台ですがこうやって挑発することでライオン相手にも通用します。

 

ちなみに大ダメージな上に動きも止めることができます。

ケビン先輩が早速猟銃でライオンの後頭部を撃ちぬきました。流石にゾンビライオンでも脳を破壊されればもう絶命です。

はい終わった終わった。

ではムービーですね。今のうちにセーブしましょう。

 

電車がやってきました。二両編成でバイオ3に搭乗した車両よりちょっと新しいものです。

到着したこの路面電車が22時のヘリに接続する最後の電車なのです。

ただケビン先輩はこれから警察署に戻ると言い乗るのを拒否します。まあ彼は警官ですからね。避難より先に警察署に戻って住民の救助を優先しないといけませんから。

 

派手に電車が停車しましたね。

おかげでめぐねえをレナータが押し倒しているキマシタワーな光景が見られたじゃないですか‼︎なんてことしてくれるんだ電車‼︎いいぞもっとやれ!

 

ちなみに窓から見える光景は地獄そのものです。救助ヘリとしてやってきていたV-107ヘリコプターは無残にも大破炎上しております。墜落したのかはたまた何かに壊されたのかそれはわかりませんがこれで脱出はできなくなりました。

でも落ち込んでいる暇はありません。イベントのせいで正気度が一気に減っていますが仕方がありませんね。ここは大人しく警察署まで行きましょう。そこで警察暮らしと行きましょうやないか。

おっと区切りがいいので今日はここまで‼︎ではまた‼︎




ちなみに前話でバスにぶつけられ破壊された車はなんか改造されてパーツがゴテゴテくっついたデロリアン。
少し離れたところで少年とおじいさんが叫んでいた様子をムービーが捉えております。
「ドク‼︎デロリアンが!」

「しまった!」

現在のめぐねえの服装、白ワンピース。試走の時は遊びで白インナー+スク水


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絶望は歩いてやってくる

なんとなく初投稿です


「うへ…ラクーンシティってそんなことになってたんだな」

私の話が途切れたところで最初に声を発したのは恵飛須沢さんだった。他の人はいまだにそんな地獄がここ以外にも生まれていたなんてと唖然としていた。

まあ無理もない話だ。あれは表向き燃料漏洩による大火災とだけ伝えられている。実態は別だけれどいまだにウィルスの汚染がひどいからラクーンシティ跡周辺はいまだに閉鎖されている。後5年と言ったところだろうか。

 

「そのウィルスってさ…もしかしてだけど動物にも感染したりするの?」

 

「もちろんよ。哺乳類全般に昆虫なんかの虫にも感染するわ。まあ虫だと大半はウィルスの影響で死滅しちゃうけど変異とかして一部は化け物になったりもしていたわ」

実際最初の感染源はどうやらネズミだったらしい。ただ広域感染を引き起こす鳥類まで感染していたから感染が爆発的に広がったのも仕方がないのかもしれない。それ以前に感染経路が広大すぎてもう特定なんて無理なのではないかしら。

「うわあ……地獄だわ」

 

「言ったじゃないの。地獄よって」

 

むしろ地獄の方がいくらかマシなのかもしれない。何せ死者は蘇らないのだから。

 

 

 

 

動物園までの道はお世辞にも楽だったわけではない。相変わらず化け物はいるし道は既にまともに使えそうになかった。

だけれどアリッサと名乗った新聞記者がいてくれただけでずいぶんと安全に進むことができた。

銃の扱いに慣れているらしく襲ってくる化け物を次々銃で倒してくれた。

それに私達より道を知っているらしく近道をいくつも教えてくれた。大通りをいくよりかは多少はマシだと言っていたけれどその通りかもしれない。狭い路地では化け物達も一斉に襲ってくる事は無理だ。そんなことをすれば詰まってしまう。

いつのまにか私もこの銃声に耳が慣れてしまったのか近くで発砲されてもうるさいとは思わなくなってきた。

うるさいのは確かだけれどね。

周囲にいる化け物をアリッサさんは次々倒していく。

そうして車を登ったり裏路地を駆け抜けていると動物園の裏門が見えてきた。

その門の前で警官の制服を着た人が何かをいじっていた。その隣には……鉄道員の人だろうか?なんかそんな感じの服装の人がいた。

「ケビン。それとジム!」

アリッサの知り合いだったようだ。ケビンと呼ばれた警官が振り返った。

「アリッサか!さっきぶりだな。避難したんじゃなかったのか?」

警官の方はちょっとだけ態度が悪いというか…どっちかっていうと少し柄が悪い人が警官の服を着ているみたいだった。

 

「そのつもりだったけれど真実を記録しないといけないと思ってね。それに人助けをちょっとね」

そう言って彼女は私達を紹介しようとした。ただそれを言う前に黒人の駅員っぽい人が割り込んできた。

 

「そっちのちっこい子供か?」

さっきジムと呼ばれた人が私たち2人を指差す。なんだか一言多いような気がした。多分本人は悪気があって言っているわけではないのだろう。ちなみにちっこい言われてレナが1番イラッと来ている。身長がコンプレックスだと言っていたけれど私とほぼ同じくらいだ。つまり私も海外の感覚では小さい方なのだろう。実際同期の子は結構大きかった。

「レナータよ。こっちはメグミ。ちっこいのとか言わないで」

 

「よ、よろしくお願いします」

すまし顔してたけれどやっぱり怒ってた。

 

「人助けってどうするつもりだ?」

 

「救助ヘリに載せるわ。貴方達も乗るの?」

そう聞いたアリッサさんにケビンさんは俺はまだやることがあるから乗りはしないと言った。

「ああ、そこに貼ってある救助へリね。信用できるのかちょっと怪しいのが悩ましいけど」

そう言って訝しそうなそぶりを見せるのはジムさん。

でも警官も同じものを持っていたからの多分間違ってはいないはずだ。それにこれを主導しているのはラクーン警察だ。

「ともかく急ぎましょう。ヘリの発着場まで行くにしても時間ギリギリよ」

その言葉でジムが懐中時計を引っ張り出してやべえとボヤいた。

「……分かった。停留所は動物園を突っ切ったほうが早い。行こう」

 

閑話休題(不法侵入)

 

動物園は昨日から臨時休業しているからか、中は異様なほど静かだった。いや、静かすぎた。

裏口を入って少し進めば動物がいるはずの檻などがある。だけれどそれらの檻は無残にも破壊されており、動物はいなかった。

この混乱で逃げ出してしまったのだろうか。多少血の後は残っているが死体はない。

そんな期待が少しだけ心に灯った。もしかして動物は無事なのかもしれないと……

だけれどそんな期待は早々に裏切られることになってしまった。

 

「揺れてる?」

地面が急に振動し始めた。まるで何か大きなものが歩いているかのようだ。

だんだんと振動が大きくなってきた。

全員が周囲を警戒した。

そいつは月明かりを背に突然現れた。

 

「な、なんなのあれ‼︎」

塀を飛び越えて広場に飛び込んできたのは巨大な象だった。

体が巨大化しているのか普通の像より二倍近く大きく、体は腐敗が始まっているのか一部の肉は崩れ落ち、内臓や骨が露出していた。

さらにその口には巨大化し異常に発達した牙がついていた。現実感が全く湧かない。象ではない。象のような化け物……

「象のオスカー⁈にしてはなんか違うわ!」

それがオスカーだとわかったのはどうしてだろうか。いやわかっていたわ。動物園に象は一頭しかいないから。

「喋ってねえで逃げろ!ジム!その2人を任せた!」

やっと我に帰った時には、私はレナに手を引かれて逃げていた。どうやらあの化け物象が突進してきたときにケビンさんとアリッサさん、私達とジムさんで分断されたようだ。

「任せたっておいおい冗談もほどほどにしてくれよ!俺はただの駅員だぞ!」

そうは言いながらもジムさんは私たちと化け物象の合間に割って入っている。

「知るか‼︎こいつをどうにかするから事務所にでも篭っておけ!」

確か事務所は……

突進の反動から回復したのか動きを止めていた化け物象がこっちを睨んだ。その真っ赤になった瞳がおぞましい姿をより一層怖いものにして……

「ああもう!お嬢ちゃん行……」

 

「ジムさん!早くこっちに!」

 

「メ、メグ⁈」

今度はレナの手を引っ張って走って逃げ出していた。だけれど象がこっちに興味を示したところで、銃声が象を遮った。

「こっちよ化け物‼︎」

アリッサさんとケビンさんが注意を引きつけている合間にジムさんも私達を追って事務所のあるエリアに駆け出していた。

「ま、待ってくれよ!」

 

木製の壁で区切られた隣のエリアに飛び込んだ時、何かの四足歩行の動物がこちらを見つけているのに気がついた。

それは事務所の入り口付近でこちらに頭を向けて座っていた。

「ハイエナか?確かに檻が壊れていたけど…」

 

「ハイエナ?」

不意にそれが起き上がった。電灯の灯りに照らされたそれはハイエナというよりやっぱり化け物だった。

「にしてはなんか違うような……」

だがそれは体の一部の肉が削げ落ち、肋骨をのぞかせたハイエナのようなものだった。

それがいきなりこちらに飛びかかってきた。

とっさに私はレナを引っ張りハイエナだったものの攻撃を避けた。ジムさんも横に転がって回避する。

「くっ!やべえ!」

ジムさんが懐から出した銃でハイエナを撃った。私達に対する攻撃が外れた直後ということもあって完全に動きが止まっていたところを狙われたハイエナは眉間に弾丸を撃ち込まれてその場に倒れた。

 

「すげえ。眉間に当たった!」

まぐれ当たりだったようだけれどそれで助かったのも事実。

「呑気なこと言ってないで早く入るわよ!」

こんなところで呑気に喜んでいる場合ではない。今度はレナが私を引っ張る形で事務所に駆け込んだ。

事務所の中に人間形の化け物はいなかった。どうやら中はまだ安全のようだ。

外ではまだオスカーだったモノが暴れているようだった。相変わらずアリッサさん達を追いかけ回しているのだろうか?

この先に進むにしてもあれをどうにかしないといけないよね……

「どうするんだ?逃げ込んだはいいけれどいつまでも待っているわけにはいかないぜ」

そう言ってジムさんは事務所の中を物色し始めた。

「あの象をまずはどうにかしないと…」

何かをするにしてもあの象の化け物が1番厄介だ。ハイエナっぽいやつなんかもそうだったけれど……

「どうするって?まさか倒すの?銃は使える?」

レナにそう言われて言葉に詰まる。確かに銃なんて扱った事がない。父のお陰で実物をちょっとだけみたことがあるというレベルだ。

「銃以外の方法を探るわ…麻酔銃とか効くかしら?」

一応動物園なら麻酔銃くらいどこかにあると思う。それが効くかは分からないけれど少なくともあれが生きているというのなら可能性はある。

「無理だと思うな。それに麻酔が効いたとしても象程度の大きさだと効果が現れるまでかなり時間がかかる。その合間に電車は行っちまってるよ」

事務所の各部屋を調べていたジムさんがそう応えた。

 

事務所のオフィス部分には、他にも生存者がいた。スタッフジャケットを着ているから動物園の職員なのだろう。

突然入ってきた私達を見て少しだけ驚いていたけれど深く帽子をかぶって目元を隠してしまった。結構無口な人なのだろうか。

 

まあ特に私達を咎めてくる事もなかったし、完全にこっちに意識を向けていないようにも思えた。

何かないかと事務所の机を探してみる。象の飼育スペースの扉を開ける鍵と何かよくわからないカセットテープ。他には何かないかなと探したものの飼育日誌とかくらいしかなかった。

 

「これって……カセットテープ?」

レナがカセットを持ち上げて何か考え込んでしまった。

側面にはオスカー パレード用BGMと書かれていた。確かオスカーって昔はパレードの花形とか言われていたんだっけ?去年とかその辺りから高齢を機にパレードは引退したって説明書きに書いてあった。そのオスカーって確かあそこで化け物に変わり果ててしまった象だったよね?

 

「ああ……お嬢ちゃん。そいつはオスカーのパレードで使っていたBGM音源さ。昔は電装を背負って園内を歩き回ったんだぜ」

レナがウンウン悩んでいると、部屋の隅っこでじっとしていた職員さんが話しかけてきた。相変わらず目元は隠しているけれどそれでも怖そうな話し方ではなかった。やっぱりこういう仕事をしている人って話し方で人を落ち着かせることができるんだなあ。

「貴方は……」

 

「俺はロイド。一応動物園の職員だ」

もう無職になっちまったがなと自虐的な皮肉。

「オスカーって外で暴れているあの……」

 

「ああそうさ。今じゃあんな変わり果てちまったがああ見えて可愛いやつだったんだ。引退してからもパレードの曲を流せば寄ってきてくれてしゃがむんだ。電装を背負わせる時にいつもそうしていたからな」

その言葉にレナが何かを閃いた。私も一瞬これでおびき寄せたりすることができないかなと思ってしまったけれどおびき寄せる設備なんてあるのだろうか?

「それってもしかして……」

 

「BGM……偶にオスカーに餌をやるときとかに誘導で使っていましたね」

そっか確かそんなこともあったような……ああそうだった。確か昼の餌やりの時だった。何かの曲がかかっていた。その曲なのね。

「ああそうだ。もう使わないと思っていたがまさかな……二週間前も園内を散歩させた時はその曲で檻の中まで誘導したんだ。もしかしたらあんなになっちまっても反応するかもしれないな」

可能性はある。もしかしたらあの象の化け物をどうにか閉じ込めておくことくらいはできそうかもしれない。そもそもあんなものが暴れていたら外も出歩けないわ。

「ねえ、象の飼育場所って監視塔があるよね!そこにテープの再生機と放送設備ってあるの⁈」

レナが詰め寄り、ロイドさんは少しだけ引きながらも答えてくれた。

「ああ…パレードをやっていた頃の名残で再生装置はあるぞ。実際それを使って誘導してたんだからな」

レナの顔が輝いた。

「もしかしたらいけるかもしれない…電力は?来ているっぽいけど…」

一応事務所内部の電気は通電しているように見える。まだ停電も起こっているわけじゃないから多分電気は来ているのだろう。

「一応まだ電力は来ているし上下水道もなんとか生きている。ただ監視塔の電力は分からん。分電盤とかはもう旧式でいつもガタを起こしてたからな……ってお嬢ちゃん達何をする気なんだ⁈」

ロイドさんもようやく気がついたようだ。私たちがやろうとしていること……あの象をどうにか檻に誘導することだ。

「あれをどうにかしないとヤバそうだからね」

 

「待て待て‼︎正気か⁈」

正気なんかでやっていられるわけがない。正気だったらさっさと逃げ出しているところだ。だけれど外で戦っている人がいる。もう見捨てたくはないのだ。

「正気じゃなかったらこんなことしないさ。でも今だって外で戦っている人がいるんだ」

レナも同じ気持ちだったみたいだ。

「あーもう‼︎俺は止めたからな!」

 

 

そこへジムさんが戻ってきた。

「へいお二人さん。こんなもの見つけたんだけど。役に立つと良いな」

その手には木製のストックをつけた重心の長い銃が握られていた。

「ショットガン?」

 

「ウィンチェスターM1300か。使えるかも」

レナ詳しいね……

「弾も10ゲージのものがあった。これで俺も活躍できるぜ」

弾のゲージとかはよくわからないけれど強いのだろう。でも良いのだろうか?これ動物園の備品なのでは……

でもどうやらロイドさん曰くこれらはある職員が勝手に持ち込んだものらしい。使っても別に良いとのことだ。

「それは個人的に持ちこまれた物だ。好きにしていいさ。それとお嬢ちゃん。これを持って行きなさい」

そして彼はレナに何かを渡した。それは拳銃だった。後で聞いた話では45口径のかなり強力な拳銃だったらしい。確かH&K HK45って刻まれていた。

「良いのですか?」

 

「ああ、少なくとも身を守るのには役に立つはずさ。使い方はわかるな?」

 

「大丈夫。たまに射撃していたから」

そう言ってレナは銃をいじり始めた。中学生なのに拳銃を使ったことあるのはやっぱりアメリカだからなのだろうか。

「準備は整ったな。それじゃあ行こう。2人はついてきてくれ」

 

 

 

 

 

途中廊下で象の化物が壁を突き破って鼻を突っ込んできた。

咄嗟にレナが鼻にもらったばかりの銃を放ち、すぐに追い払ってくれたからなんともなかったけれど気を抜いたら死んでしまう恐怖に少しだけ足がすくんだ。

「離れるんじゃないぞ…俺がどうにかするから」

 

そう言ってジムさんは玄関の扉をそっと開けた。

外にはさっき倒した化け物を食い漁っている同族と思しきハイエナのような奴が何体かいた。

 

「まずいな……でもやるしかないか」

真先にジムさんが飛び出した。仲間を食っているハイエナのようなやつに突撃して一気にショットガンを放った。

 

大きく重い音が響き渡り、数体がまとめて吹き飛んだ。

その隙に私たちも飛び出す。

ここから象の飼育場まではそんなに遠くはない。

だけれど道中にはどこから湧いてきたのかメスのライオンが二体いた。その子達もやっぱり化け物になっていて。目は赤く、体は一部が腐敗していた。

「くっ‼︎また厄介な!」

レナがこちらを見定めていた一体に発砲。何発か当たったのか、飛びかかってくる前にライオンは動きを止めた。

そこにジムさんが私達の前に出て残りのライオンを倒してくれた。

 

急ごうと私の手を取って駆け出す。

象の飼育場は門に施錠がされていた。持ってきた象の檻の鍵を使い、施錠を外す。

元々電動で動かしていたものらしく私とジムさんで開けようとしたけれど人1人分しか開かなかった。

だけれどそれだけあれば十分だったその隙間からすぐ中に入る。

でも向こうはそう簡単に逃してはくれなかった。

 

 

 

私達が入った直後、さらに一匹ハイエナのような奴が無理矢理飛び込んできた。

そこまでして私たちを襲いたいのだろうか。もう嫌だ……

「うげっ‼︎入ってきた!」

 

「早く梯子を登れ!一応レディファーストしてやるから!」

ジムさんがショットガンでハイエナを攻撃した。流石にショットガンなんてものを使われたらハイエナのような化け物もひとたまりもなかった。

絶命するまでには至らなかったけれど足を吹き飛ばされその場に倒れ込んだ。

それを見届けながらレナと一緒に梯子を登っていく。

「危なかった……」

登り終えたところは大きな制御室のようなところで、比較的きれいに整頓されていた。後から登ってきたジムさんが、部屋の隣に直結している配電盤室のほうに向かった。

「配電盤を見てくる。コンソール…使い方わかるか?」

 

「わかるはずないでしょ。とりあえず適当にいじればどうにかなるわ」

そんな簡単なもので良いのだろうか?でもコンソールには一応どのレバーがどの制御をするのかの表示はされていた。略称だったりで全然わからないけれど。

「それもそうだな」

配電盤室に入って行ったジムさんがすぐに戻ってきた。

 

「配電盤が壊れてる。ちょっと修理するから待っててくれ」

そういえばガタが来ているって言っていた。多少壊れてきているのも仕方がないのかもしれない。

レナの方はどれのスイッチを使うのかを考えているようだった。テープレコーダーのコントロールはまとめて右端に設置されていた。

私も少し手伝おう。

幸いにもコンソール隣の棚から操作マニュアルが出てきた。

どのスイッチを入れれば良いのかを確認していると、再びジムさんが戻ってきた。

「直った‼︎電源入れていいぞ!」

 

「スタートスイッチはこれね……照明オン。電流柵起動…」

操作マニュアルがあるわけじゃないけれど文字盤を見つつどうにか手探りでスイッチを入れていく。

やがて檻の中を照らすように照明が点灯した。電動扉を開き、準備を進めていく。

隣ではレナが音源を再生する準備を進めていた。スイッチ類を素早く操作していき、すぐに待機ランプ点灯状態まで持っていく。後は再生ボタンを押すだけだ。

「さあきて‼︎」

音楽が流れ始めた。こんな惨劇の世界には場違いなほど明るい曲が流れ始める。数秒の合間はあまり変化はなかった。聞こえていないのかと思ったけれど建物が微かだけれど揺れ始めた。来た。誰もがそう思っただろう。

そう思っていると、塀を飛び越えて象の化物が通路に飛び出してきた。

「あ!来たわ!」

そのまま放送用スピーカーのあるこの監視塔に突っ込んできた。

激しい揺れで思わず転んでしまう。

とっさにレナが音源を止めて、門の開閉レバーを引き上げた。電動式の門が閉じられ、それに気づいた象の化け物が扉に突進し始めた。

このままでは扉が破壊されてしまう!

体を転んだ時に強打したけれど今は動かすしかない。

すぐにBGMを再生。音量を大きくして流しっぱなしにする。意識がこっちに向いたのか再び監視塔に突撃してきた。

「これでよし!それじゃあバレないように逃げようや」

 

激しく揺さぶられるこのままじゃ監視塔が崩壊してしまう。すぐにジムさんを先頭に脱出する。

いつのまにか突進をしていた象の化物は、足元にいたハイエナの化け物を踏み潰してその血肉を貪っていた。

腐敗した肉と獣、血の匂いが混ざり合って不快な臭いが充満している。

 

「あまり見るな。確か裏側に人用の出入口があったはずだ。そこから出るぞ」

ジムさんに半分引っ張られるように飼育場から逃げ出した。

 

象がいなくなり再び静かになった園内を表門まで駆け抜ける。

途中で鳥のようなものが襲ってきた。だけれど急降下してくるから結構狙いがわかりやすい。それにそこまで早くもなかったからジムさんがショットガンで叩き落としてしまった。

「あー…弾切れだ。弾持ってるか?」

鳥を撃ち落とすのに全部の弾を使ってしまったようだ。

「ないよ。ショットガンの弾なんて」

 

「だよなあ……フォークとかナイフでも詰めて撃ってみるか?」

ジョークのつもりなのだろうが面白くない。それにフォーク程度で化け物が止まるとも思えない。せめてナイフとかかしら?

 

動物園の中央広場に到着すると、アリッサさん達と合流した。

「ジム、無事だったか!」

 

「ああ、象をおりに閉じ込めてやったところだぜ」

どうやら象がどこかへ行ったので閉鎖されている表門を開けるために駆け回っていたようだ。それもちょうど終わったから私達を探しに行こうとしていたところなのだという。

「表門はもう解放したわ。いきましょう」

 

チケットを入れるゲートを潜り、ライオン像がある正面門のところに行くと、門はすでに開かれた状態になっていた。

やはり臨時休業していたからか、門の内側と外側ではその様相は大きく異なっていた。

柵が壊され、サイやゴリラの死骸が道路に散乱している。車も一部は何かに吹き飛ばされたのか大破して転がっていた。

 

そんな光景が延々と続いている。

「こっち側の方が酷い状態…」

 

「まあまだマシだな。数日経ってたらハエが湧いてやべえことになるからな」

ジムさんの言葉に嫌なものを想像してしまう。気持ち悪くなってきた……

 

「ジム、一言二言余計だ」

 

「あーごめんごめん」

 

 

 

 

表門を出たところにある停留所にはまだ電車は来ていなかった。でも待っていればくるはずだとケビンさんは言っていた。時間的にも一回分は電車を往復する時間はあるそうだからだ。

じゃあ待とうかと思っていたけれど化け物達はそう簡単に待たせてくれはしなかった。

表門を飛び越えるように、何かが私たちのすぐそばに降り立った。

「ライオン⁈」

それはオスのライオンだった。でも顔の半分は爛れているのか皮膚が剥けていておぞましい姿を隠そうともしていない。

その後ろにメスのライオンのような奴らも降りてきた。

 

「ッチ‼︎オスは引っ込んでやがれこのやろう‼︎」

ケビンさんがオスライオンに向けてライフルを放った。だけれど距離を素早く取ったオスライオンはそれをかわした。知能がある…?今までの化け物とは何かが違う。

オスをカバーするようにメスが前に出た。

そのメスにレナとケビンさんが真先に銃弾を叩き込んだ。

だけれど素早く移動されてしまってなかなか当たらない。

少し遅れてジムさんとアリッサさんが銃撃に加わった。

 

「体に当たっただけじゃ効いてないわ!」

真先に弾切れを起こしたのはレナだった。

ライオンの動きを牽制していたからすぐに弾が無くなってしまったのだ。

予備の弾はもらっていない。私がとっさに隠れた屋台の影に飛び込む形で入ってきた。

 

ようやく一体、二体とメスライオンが倒れた。

だけれどそう何発も銃を連続して撃てるはずはない。オスのライオンに狙いを定め撃ったところでアリッサさんとジムさんの銃のスライドが上がりっぱなしになった。

「しまった!」

 

「ああもう!」

弾切れを起こしたアリッサさんとジムさんに向かってオスライオンが飛びかかろうとした。ケビンさんも使っていた猟銃の弾が切れてしまい、装填に入ってしまっていた。タイミングが悪すぎた。とっさに今まで持っていた引っ掻き棒のようなものを投げつけた。

狙いをつけたわけではない。注意を引ければそれでいいと思っていた。

ライオンの低い叫び声が聞こえた気がした。よく見ればそれはライオンの片目に突き刺さっていた。

「こっちよこの猫野郎!」

オスライオンがこちらに狙いを定めた。

 

近くにあった屋台を挟む形でオスライオンを睨む。

「メグ?何する気なの?」

隣でしゃがんでいたレナが私を心配そうに見つめていた。

「やれるかどうかはわからないけど…」

オスライオンが駆け出した。

化け物となり果ててもその運動力は健在。いや余計に強化されているのか一歩一歩が早い‼︎

レナの手を引いてすぐに屋台の影から飛び出した。

すぐ後ろで化け物が屋台に飛び込む音がした。

「ナイスだ‼︎」

 

装填を終えたケビンさんの銃が火を吹いた。

少し遅れて屋台で動きを止められていたライオンの後頭部に血飛沫が一瞬上がった。

映画みたいに派手なものではなかったけれど、確かにそれは致命傷となった。

動きが止まりその場に倒れ込むライオン。それが再び動くことはもうなかった。

「ふー危なかったな……」

 

「ほんとだよ!なんだこいつさっきから化け物しかいないのかこの街は。いつから地獄になっちまったんだ!」

ジムさんの愚痴が誰もいなくなった道路に響いた。その声を跳ね返すように、電車の走る音がした。

「来たわ!」

 

「乗るのはこれだけか?」

運転席から顔を出した運転士がそう言った。

その声色からはあまりにも少なすぎるという落胆がにじみ出ていた。おそらく前までの輸送ではそこそこの人数がいたのだろう。

「俺はこれから警察署に戻る。幸運を祈る」

ケビンさんは乗るのを拒んだ。それもそうかと納得してしまう。

 

 

そのほかにも何人かはまだ園内にいたけれど、彼らを連れてくる余裕はもう残っていなかった。また見捨てるのだろうか……

いや仕方がなかったのよ。それにもしかしたら別のルートで脱出するかもしれないじゃないの!

「すぐに出発する。乗って待っていてくれ」

運転士はそう言って反対側の運転席へ歩いて行った。

手動開閉の扉を開けて車内に入る。年季の入った車両だけれど、床下から聞こえるモーター音は力強く唸っていた。

 

 

道路は放置された車や事故車、瓦礫などで散々な状態だったけれど、路面軌道は破損を免れたようで、電車はいつも以上に速度を上げて走っていた。

 

ヘリに乗れたら、その先一体どうなるんだろう。寮母さんたちやクラスメイトは無事なのか……座ってほっとしたらいろんな心配事が湧き出てきた。

 

「ねえレナ…同級生大丈夫かなぁ…」

 

「そう言うのは助かった後に心配するものだよ。今は生き残るかどうかが最優先」

そういう彼女の手は少し震えていた。

「きゃっ‼︎」

激しい振動と急制動で体が前に向かって投げ出された。隣に座っていたレナも一緒に床に投げ出され、一緒に倒れ込んだ。

「イッタイ……」

「アタタ……クッションがあって助かった」

 

上に乗っかったレナを押し除け起き上がる。一体何があったのだろうか……

そういえば外が異様に明るいような…確かに火災は至る所で起こっていたけれど……

「あ……そんな」

緊急停車した電車の真横で、真っ赤に輝いていたのは墜落し燃え盛るヘリコプターだった。

それが救助ヘリだった残骸だと知るのはそんなに難しいことではなかった。だけれど、それはこの場所からの脱出ができなくなった…そう絶望するにはまだ早すぎる。

例えばここから歩いて国道を使えばもしかしたら脱出できるかもしれない。

私も変に切り替えが早くなってしまったものね。

ああ……いちいち絶望するのに疲れただけか…

どっちにしても私はほんの数時間で壊れてきてしまったのかもしれない。



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6.警察署ってだいたいフラグしかない

4日間が空いたので初投稿です。


絶望の中に絶望を混ぜるRTAはーじまーるよー‼︎

 

美味しいものと美味しいものを足せば絶対美味しくなる理論通りに絶望と絶望を混ぜてみたら絶望でしかなかった。

というわけで前回の路面電車さんからのスタートです。

完全に救助ヘリがなくなり封鎖地区からの脱出が不可能となってしまいました。

ここで知能が一定値以上の場合次の行動をとることができます。一応ロリめぐねえの知能数では問題ありませんが通常キャラなどによっては行動を選べずNPCによる提言があるまで動けないというロスが発生する場合があります。

というわけで次の行動は警察署一択。

 

と言っても今日はもう遅くこれ以上起きていると疲労と眠気で行動力と反応速度が一気に下がり場合によっては珍しく感染者との接触なしで感染するというペナルティが入ります。

危険ですのでロスに近いですが睡眠を取りましょう。

 

場所はもちろん電車の中。ここが1番安全なのですよ。ただし27日以降は電車の中でも容赦なくゾンビが入ってきますので気をつけてください。

 

 

 

 

おっはよーございます‼︎25日の午前9時!

床を寝床がわりに無理やり寝ていたせいか若干の体調不良のようですね。まあ気にしませんが、ともかく早く移動するぞあくしろ‼︎

 

ここからは単独行動‼︎チャートは半オリジナルで警察署、市役所と病院を経由してヘリ強奪ミッションのルートを取ります。

 

ちなみにアリッサ嬢は気になることがあると言ってお出かけしに行きます。あれについていくと最終的にアークレイの山間部にある廃病院を経由して大学側から脱出します。

でもそれかなりのタイムロスとイベントの多さ。そして敵の強さからRTAには不向きです。試走時のタイムで6分半遅いルートです。やめましょう(数え切れない敗)

ちなみにジムさんについていくと一度地下鉄に行ってから地下研究所経由で警察署、からの郊外で車脱出かヘリ脱出と難易度エクストリームとります。めぐねえで挑むのはやめましょう。だいたい研究所で死にます。

 

 

というわけでみんなとは分かれてレナータ子女と共に警察署へ直行です‼︎

ですが周辺は火災が発生していたりゾンビまみれな上に廃棄車両や事故車で道が塞がっているので真っ直ぐ移動はできません。

ちなみに25日の天気は曇り時々雨です。

ワンピース一丁しか着ていないロリめぐねえは雨に当たると体温低下で体力を無駄に消耗してしまいますので注意しましょう。傘でもあると便利です。

 

まあそんなの無視しますが……

というわけで食事なんかあるはずもなく出発です。

 

電車の外は日がある分探索しやすい状態です。まあ特に必要なものもないのでスルーします。ここでは重要な書類等落ちている場合がありますが無視するといつのまにかお友達が回収してくれます。

ただしお友達が回収するとアイテム扱いでずっと持っているので定期的に回収しておきましょう。

お、鉄の棒が落ちていました。回収しておきましょう。

鋼鉄の逸物……にしては細すぎますね。

 

ではここで状態チェックをしてみましょう

はい、空腹ですね。昨日から何も食べていませんのであたりまえだよなあ?

二食抜けただけでも体力の低下やダメージの増大などがあり危険ですので早めに食事を取りましょう。

警察署方面へは再びダウンタウンとアップタウンを行き来する必要があります。途中で食料品店前を通過するのでよっていきましょう。どうせゾンビまみれでしょうけれどね。

 

放置車両の一部ですが実はまだ動かすことができます。なぜか29日まで動かさずに放置されているものはバッテリー上がりで動かなくなってしまうのです。なんてひどい仕様だ。

時間短縮にため乗っても良いですがゾンビを引き寄せやすく事故車や火災などで不通区間も大量にあるので実は煩わしいです。

 

まあ使いますけれどね。車両基地の前に止まっている中型自動車は運良く鍵が空いています。スペアキーはダッシュボードのところに。ちなみに護身用と思われる拳銃もあります。一般的な38口径モデルですので威力は不足しますが弾不足に悩まされることはありません。

 

それでは出発!

ですが5、6分ほど走ったところで道が塞がれてしまいます。レッカー車を呼べ‼︎と言ってもこんな状況じゃ来てくれるはずも無いですけれどね。

まあこんなのある程度無視して突っ込むのですけれどね。他人の車ですしアメ車は頑丈なので多少突っ込んでも平気ですが事故車に三回突っ込むと流石に壊れます。

事故車バリケードを思いっきり突き破りゾンビどもを跳ね飛ばします。おっとここで2回目のバリケード。これはバスのですので破壊不能です。少し手前の交差点を左折。道路上の障害物で車体が激しく揺れますのでちゃんとシートベルトつけましょう。運転しているめぐねえが頭を打ったりはね飛んだりしたら事故の元です。

 

はい、食料品店到着です。

ここまで運んできてくれた車ともおさらばです。ボロボロで煙を吹いていますから仕方ないね。

というわけでさっさとご飯に行くぞ‼︎

食料はなるべく缶詰系を。後ハーブ。グリーンハーブとレッドハーブがプランターで置いてあるので回収してきましょう。

店内にいるゾンビどもはレナが勝手に攻撃して倒してくれます。ちなみに少しだけ弾も落ちています。箱ごと落ちていたりするので装填には一度マガジンを外しカチカチ弾をこめていかないといけませんけれど。

 

あらかたゾンビの片付けが終わったようですのでご飯にしましょう。

プラスチックのスプーンやフォーク、紙皿なんかもここで回収しておきましょう。

まあ食事と言っても缶詰ですけれどね。だって他にないんですもの。

 

 

まあそれでも缶詰二つも食べたら幼女ボディは満腹感で満たされます。

食事こそ幼女を幸せそうにする。守りたいこの笑顔。

 

食事を食べ終わった時点で時計チェック。現在午後13時。なんと出発してからかなり時間が経っているように思えますがこれは食事のカットが入るからであり実質プレイはそんなに経っていません。

ついでなので事故挽回用にレッドハーブとグリーンハーブを混ぜておきましょう。

なんで調合用のすり鉢とかがないのに粉末状で混ぜられているんでしょうね?

ラクーンの住人は時々不思議技を炸裂させてきます。

一応ハーブの調合はラクーンに来る場合必ず修得する必要があるらしいのかめぐねえもハーブの調合ができます。5回に1回は失敗しますが。

 

はい準備完了。いきましょう。

ここから警察署まではちょっとした迷路になります。迷ったら1発でリセ案件なのでちゃんとマップを覚えましょう。

路地を進むとイベントでゾンビがとたんの仕切りを破壊して大量にやってきます。

逃げるためにすぐそばにあった地下下水へ逃げ込みましょう。

土管なんてものではなく完全な地下下水道。しかもここからしばらく地下ステージなので大迷宮です。

この地下ではゾンビーズはやってきません。それは平和という意味ではなくゾンビーズになってしまうより先にその死体の大半を別の存在に食べられてしまったからに他なりません。

この地下大迷宮に巣を作っているのは感染したネズミと同じく感染したG。それも感染で巨大化しています。正直SAN値ピンチです。

 

そのほかにも何故かハンターとかが配置されています。ほんとこいつらどこから入ってきたんでしょうね。ハンターγとかがメインなので泳いできたのかな?超迷惑なんですよねこいつら。すばしっこいしすぐ群れるし。

それらを回避しながら進むルートをちゃんと覚えておかないと大体死にます(41敗)

だってハンター最強なので。武器持っているとはいえたかがハンドガン。しかも当たってもあまり怯まないので足止めできません。

こんなやつ相手できるはずないやろ!持っている鉄の棒のリーチではハンターの爪から逃れることはできません。

正直タイラントより質悪いです。あいつら暴走しなければ走ってこないので。

 

少し汚い水に腰まで浸かって速度が落ちるので最短距離を突っ走りましょう。

ちなみに下水は接続されていないようです。川からの用水路だったりを引っ張っているもので衛生面的にはよろしくはないもののこの区画は汚水が混ざっているわけでもないのでまだ綺麗な方です。

もうちょっと先に行くとガチで生活排水が流されている下水に出ます。

バイオ本家では対して気にならないかもしれませんが女の子なのでそう言うところに入るのは正気度にモロで影響します。なるべく端っこを歩きましょう。

何かと正気度半分切ってますからね。

誰だって下水の水に下半身まで浸かりたくないよねえ?

 

あ、一旦止まります。タイミングを合わせないとハンターとかち合ってしまうのでここで6秒止まります。

ハンターの配置は固定なのですが巡回パターンと待ち伏せパターンだけはランダムなのです。だけど足音で分かりますしスポーン地点は同じなので深く考える必要はありません。

 

あっちに行ってくれたので進みます。ここで走ると走る時の音でいろんなところからハンターがやってきます。それどころか稀にミミズまでやってきます。

お前は墓で餌食ってろ‼︎

 

はい、見所さんが居ないのでサクサクっと攻略できました。でも安心できないのはここから。地上へ上がる時に梯子を登るのですが登りはじめると必ずハンターが迫ってきます。10秒で外に出ないと追いかけてきたハンターによって体を真っ二つにされたり首をすっぱきられたり重傷を負わされたりとろくなことになりません。唯一の救いはハンターの攻撃に感染判定がないと言うことでしょうか。

はいボタン連打‼︎オラオラオラオラ‼︎おらぁ‼︎

昔から変わらないボタン連打。必須スキルですよ。

ここはちょうど警察署が面している通りです。

ここから警察署までは近いですが、実はここにもトラップが仕掛けられています。

「きゃあ‼︎」

 

はいこのように車の下から這いずりゾンビーさんが足をつかんでくる卑劣なRTA殺しです。

何?引っかかってるやないかって?これはあれですよ。皆様に分かりやすいように実践して見せたのですよ。もちろん誤差の範囲内(白目)

ですが危険性を認識できたでしょう?

と言うわけでバイオ2でお世話になる警察署に到着です。

なぜこの建物はトイレがないのでしょうね?まさかトイレしないんでしょうか?と言うことはなく、なぜか今作ではトイレが追加されています。まあそりゃそうだよね。

 

ですが現時刻でここ警察署に入るのはとっても危険です。その上警察署は市民の避難所にはなっていません。通常であれば避難所として開放されているセントミカエル時計塔へ行くよういわれます。

ちなみに25日の警察署の動きとしては、悪の所長による武器弾薬の分散配置を行い暴徒鎮圧用のガス噴射装置を館内に設置している最中です。

ですがもう夕方ですのでそれも終わってひと段落といったところでしょう。

 

ちなみに明日は警察署でゾンビデパートと通信設備破壊と所長によるヒャッハー‼︎皆殺しだぜ!パレードが発生し長い1日と化します。

イベントを楽しむ上では必要ですが別にあってもなくても変わらないイベントですので無視しましょう。

と言うことで警察署の扉をたたきます。

お、このお兄さんは確か殺人係のメイヤーさんじゃないですか‼︎いやあ生存している姿を見るのは初めてです。

ここで助けて欲しいと言う旨の事を伝えますが、警察署は避難所として機能はしていない。厳戒態勢なので近くの避難所として時計塔か市役所へ行くように言われます。

でもその二つもすぐ機能停止してしまうのですけれどね。

少し粘ってみましたが素直に下がりましょう。ここで思いっきり食い下がると子供なので特別にと言うことで中に入れてもらえます。

でもそれをやるとやばいので……

「まあいいじゃないか。まだ子供だろう?」

 

あれえ?まさか貴方はエドワード⁈エドワード先輩じゃないっすか‼︎所長にヌッコロされる残念な人だ!写真良いですか?後で遺影として使いますから。

ってこんなことしている場合じゃない‼︎ここで誘われてしまうなんて今までなかったぞ!おいどうなっているんだ!

やめろ私はそんなフラグとイベントまみれの警察署なんて嫌だ‼︎誰か助けてくれ!

「さあ入ってくれ。子供を守らなくて警官を名乗れるか?」

 

「そうだな……とりあえず上には俺が報告しておこう」

 

なんやこの警官たちええ人たちやないか。でも今RTAなの‼︎ぬああああああ‼︎

 

これはひどい。本当なら少し離れたところにあるケント銃砲店に保護してもらうつもりだったのですけれど…あそこは29日夜まで安全が確証された場所なのであそこにいれば特にイベントもなく済んだのですけれどねえ。なんででしょうか……

 

しかし警察署ルートか…チャートあったっけなあ。こっちのルートなんて絶対選択肢なかったからRTA用チャートないんだよなあ。

 

フラグ管理ガバガバな気がしてきましたがもう仕方ありません。行けるところまでいきましょう!

ちなみにまだこの時の警察署は綺麗なものですがかなりの厳戒態勢が敷かれて皆重武装。さらに作戦会議室とは別に情報収集室を設けて市内全域の情報収集と避難状況を一括管理しています。

まあここも明日明後日でその機能を失うんですけれどね。

 

 

うーんまあ仕方がありません。今日は安全な会議室で寝ましょう。明日のイベントたちどうするべきかねえ。ケビンと合流すればどうにかなるだろうか?あーもうチャートめちゃくちゃだよ。

 

元美術館だった建物なので玄関を入る大きなとエントランスになっています。

もちろん西洋美術館の凝ったデザインなので警察署だと一瞬だけ忘れそうになります。

ですが一部の扉はすでに封鎖やバリケードを施されています。

当然ですがなんか役に立つのか怪しいです。

 

「やっぱり見つからないか?」

 

「ああ、畜生どこ行きやがったんだあいつ。見つけたらぶん殴ってやる」

おやこれはイベントでしょうかねえ?でも正直なところこのイベントはやりたくないのが本音なんですよ。知らんぷりしたいなあ……

「何かあったんですか?」

ねええええ‼︎そこの銀髪トラブルメーカー‼︎聞くなよあほ‼︎

「武器庫のカードキーを持った奴が何処かに行っちまってな」

知らんわ‼︎無視だ!大変ですねーとでも返事しておいてすぐ休むぞ!服生乾きで正気度ガンガン下がってんだよ!って言うか野郎ばっかりだな婦警さん連れてこいや!2人揃って萎縮してるやないか。正気度がゴリゴリ削れる要因ですよう。

後トイレないっすかねえ?めぐねえおトイレ近いんですよ。無論トイレは行かなくても良いのですがあっさり病気になって動けなくなるペナルティが…どれだけこのゲーム行動縛るんでしょうねえ。

 

おらトイレ教えろ‼︎

トイレは二階だあ?なんだとうてめえ……

一階にねえのかよトイレ‼︎不便すぎ!階段バックステップ移動や!

 

少女トイレ中

 

いやーめぐねえの正気度と体力が少しだけ回復しました。こっちは無駄なロスタイムで胃が痛いですよ。

ともかく二階の一室に簡易宿泊をしてくれと言うことで物置部屋をあてがわれました。勿論寝袋があるので床で寝るなんてのはありません。鍵をかければ安心して寝ることもできます。

さて区切りがいいので今日はここまで。ご視聴ありがとうございました!



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死は追いかけてくる

ふと目が覚めた。顔に朝日が直撃したのかと言うほどの明るさに無理やり起こされたと言うべきだろうか?

目を開ければそれはアリッサさんが持っている懐中電灯の灯だった。

 

「あらごめんなさい起こしちゃったかしら」

外を見ればまだ炎が燃え盛っているのかほのかに赤い意外は暗闇のままだった。

「えっと……おはようございます?」

今は何時なのだろうか。腕時計は途中で自然にぶつけてしまったせいで止まってしまっていた。多分あのライオンのようなものと戦った時だろう。

「日はまだ上がってないから寝ていていいわ。私達で見張りをやっておくから」

 

そうか、そうだった。確か昨日…救助ヘリが墜落していてどうしようもなくて…運転士のおじさんが車両基地の事務所に行ってくるって行った後流石に眠いからってことで寝ていたんだっけ?

「運転士さん戻ってきたんですか?」

 

私の質問にアリッサさんは首を横に振った。当たり前のように誰かが死に、動く化け物になってしまうことに慣れてしまったのだろうか?私は完全に運転士さんを可愛そうだと同情することしか出来なかった。

 

どこか壊れている。そう自覚はしても感覚が麻痺して上手く直せない。

すぐ隣で寝ていたレナが寝返りを打った。

こんな状況でも幸せそうな寝顔をしている。私も…守られるだけじゃなくて誰かを……せめてレナを守れるようにならないと。

 

「……もう少し寝ていなさい。日の出にはまだ時間があるわ」

何かを察したのか急にアリッサさんが手を握った。他人の温もりを感じてささくれ立ち始めていた心が落ち着いた。

「そうします」

もう一度電車の床に体を横にすれば、微睡が襲ってきた。気づけば再び私は眠りに落ちていた。

珍しいことだけれどあんなことがあったのに私は悪夢を見なかった。

レナは途中から悪夢になっていたのかひどい夢だったと起きて早々私に愚痴を言ってきた。

 

 

 

 

「さて今日の予定だけれど……」

日は完全に上まで登っているのだろうけれど空はどんよりと曇っていた。

外で燃えていた炎は夜明けぐらいには消えてしまったのかもう煙を燻っているだけとなった。

「私は少し思い残す場所があるからそこに行ってみるわ。もしかしたらこの惨劇の真相に迫れるかもしれないわ」

 

「じゃあ俺はもう少し生存者を探す。ついでだから脱出できそうなところも探してみるさ」

脱出か。こんなことになってから2日も経っていないのにもう救助を待つ人がいなくなるなんてことはないはずだ。多分どこかで誰かが助けを待っているし行政だって避難を進めているはずだ。機能しているかどうかは別として……

「2人はどうする?できればジムについて行った方が懸命だと思うけど」

アリッサさんがそう聞いてきた。確かに普通に考えたらアリッサさんがどこへいくにしても危険が多そうな気がする。まあそれはどこに行っても同じなのだけれどね。

「そうだね。私はできればジムさんについて行きたいけれど、メグはどうする?」

レナはそう言った。だけれど生存者を探すというのはそれもそれでかなり動き回りそう。眠ったとはいえ昨日の疲労は足にまだ残っている。あまり無茶はできそうにない。

「私は……警察署に行こうかと」

確かこの車両基地からなら警察署が近かった筈だ。近いと言っても歩きでは結構かかるのだけれど。アップタウン側から回るにしても結構な距離がある。

「警察署か確かにそこならまだ安全かもしれねえな」

だけれど警察署が機能しているかどうかはわからない。街がこんな状態になってしまっていればそれこそ警察署だって壊滅しているかもしれない。でもあそこには優秀な警官がたくさんいる。もし防衛に成功していればそこから救助ヘリなどで避難できるかもしれない。どれも希望のようなものだけれどそれにすがらないと心が壊れてしまいそうだ。

「そうね…ついていってもいいけど……」

アリッサさんが警察署まで送ろうかと言ったけれどさすがにそこまでしてもらうわけにはいかない。

「いえ、これ以上は迷惑をかけられません。それにここからならまだ歩いて行けます」

これが郊外まで行くとなるとちょっと難しいけれど。

 

「でも……いいえ。貴女達がそれでいいと言うのならそうしなさい」

私の瞳を見たアリッサさんは少し悩んだものの、反対はしなかった。ジムさんも2人がそれで納得しているのなら構わないと言っていた。一言余計だったけれど。

「レナ、嫌ならジムさん達と一緒に行ってもいいんだよ?」

 

「平気だよ。それにメグを1人にするとなんだか危なそうだからね」

それはそれでちょっと困るかな?でも私そんなに危ないことはしていないよ。多分……

 

 

 

「気をつけて」

電車を降りると、そこは燃料が燃えた匂いが充満していた。焼け焦げたヘリのそばには、完全に黒くなった人間だったものがたくさん転がっていて、思わず吐き出しそうになった。でも昨日から何も食べていない体は何も吐き出すことはできない。

線路をいくつか渡って柵伝いに進んでいくと、車が突っ込んで柵が一部壊れているとこを見つけた。車によじ登りながら道路に出る。

「相変わらず…ひどいね」

 

事故車や放置車両、そして炎上したであろう車の燃えかすの合間にフラフラと蠢く化け物。

落下してきた看板や、ベランダの一部が歩道を塞いでいる。まさに地獄だった。

「いこう……」

1日で変わり果ててしまった街を駆け抜けようとレナの手を握った。

そんな中比較的きれいな車が目に止まった。放置車両の多くは壊れたかあるいは暴走車両に突っ込まれて壊れている。だけれどその車は幸運にもそんなことはなかったようだ。

 

「もしかしてこの車……」

 

「どうしたのかなメグ」

 

周囲には誰もいない。

私は思い切って扉に手をかけた。軽い音がして運転席の扉は開かれた。

 

「開いた……」

幸運にもその車は鍵がかかっていなかった。その上車のキーも差しっぱなしになっている。セルを回せばすぐにでも動かせそうだった。

「メグ運転できるの?」

私がやろうとしていることを察したのかレナ私と一緒に車に入り込んだ。

「運転したことないからできるかどうかは……」

「じゃあ私がやるよ。これでも車は何回か運転したことあるからさ」

 

「そうなの?意外…」

やっぱりアメリカの人は幼いころから運転を学ぶのだろうか?

「父に教えてもらったんだ」

運転席に滑り込んだレナ。少し上を失礼して助手席側に入り込む。

躊躇無くレナはエンジンのキーを回した。

「かかった!」

少し長くセルが回ったけれどエンジンは無事動いた。だけれどエンジンの音に化け物が引き寄せられ始めている。

シートベルトをした途端体が座席に押し付けられた。

急発進。道路真ん中はまだ比較的道になっている。そこを突っ走っていく。

だけれどすぐに事故車で道が塞がれていた。一度戻るしかない。そう思ったけれどレナは車の速度を落とさない。何を考えて……

「この車なら少しは進める……ちょっと突っ込むからしっかりつかまってね」

レナは少しだけ笑顔だった。いや、笑顔と言うか変なことを考えた悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。

「突っ込むって…まさか!」

車体が段差を乗り越えて跳ね上がった。

「喋ってると舌噛むよ‼︎」

 

車が半分歩道に乗り上げた。

事故車の近くでこちらにフラフラ歩いてきた化け物を跳ね飛ばし、車は思いっきり事故車のトランクにぶつかった。反動で事故車が吹き飛び、車は無事突破できた。車の破片などが飛び散り、金属同士がひしゃげた音が耳に残る。

「うう…あれで動けなくなったらどうするつもりだったの!」

ここからは見えないだろうけれどフロントはひどいことになっているに違いない。

「大丈夫さ。当てる場所さえ間違えなければね」

そう言う問題じゃ無いわよ!余裕そうに言うレナ。全く心臓に悪いわ。

 

「今度は車でバリケード?」

警察車両が道を塞ぐように何台か置かれていた。それをみてレナは流石に諦めてくれるかと思ったけれどレナは甘くなかった。

「いけるいける。父と練習でよくやっていたから」

貴女のお父さん一体どんな教育させたのよ‼︎

そう叫ぼうとしたけれどそれより先に車体が建物に擦り付けられ。振動と火花が散った。

サイドミラーが吹き飛び、ドアが歪んだ音がする。

車が通るには小さい隙間。木製の柵を蹴散らし、再び車はパトカーのトランクに突っ込んだ。

激しい音がしてボンネットが歪んだ。

「さすがに今のは不味かったかも……」

 

「当たり前よ‼︎こんな無茶苦茶して!」

車のエンジンが白煙を上げ始めた。冷却液が漏れたのかラジエーターが壊れたのかガソリンメーターの下にある水温計上昇を表すランプが点滅し始めた。

このまま走るのは無理だろう。

「ともかくどこかに止めよう。これ以上はやばい…」

 

化物がいないところに無理やり車を止めた。流石に道路の真ん中は邪魔なので端によるのは忘れない。

ドアを開けようとしたら固くて開けづらい。完全にドアまでダメージが入ってしまっていたみたいだ。

「それじゃあいこっ…」

激しい音がして、レナのいる運転席側の窓にあの化け物が飛びついた。窓を叩き割ろうと激しく叩いている。ぶつけた衝撃でヒビの入っていた窓だからあまり保ちそうにない。

「うわあ⁈」

 

「レナこっち‼︎」

幸いにも助手席側に化け物は来ていなかった。ドアを蹴り開け、混乱しているレナを引っ張るように車から引き出す。車から駆け出した時には、音に敏感なのか化け物達が集まり始めていた。

「ここを離れるわ!」

すぐ近くで入れそうな…それでいて安全そうなところ……

あった‼︎安全かどうかはわからないけれど!

飛び込んだのは食料品店だった。入り口の扉は商品棚が倒れていて普通は入れない。だけれど下の方に少し隙間があったから私達はそこから潜り込むことができた。内部はひどく荒らされていて商品棚がいくつかなぎ倒されものが散乱していた。その中を化け物が数人うろついていた。

「さっさと片付けちゃいますか!」

「レナ、銃の弾って残ってるの?」

動物園での戦いで使い切ったと思っていたのだけれど……

「さっき弾が入った箱を見つけてね。6発だけなんだけど……」

6発…化物の数は三体だからいけなくはないのかな?確かあの化け物は脳を撃てば一撃で完全に死ぬっぽいけれど……

「いけそう?」

 

「準備するからちょっと待って」

レナが持っていた銃からマガジンを取り出しそこに弾を入れ始めた。

予備のマガジンがないってなんだか辛いね……

 

準備ができたレナが化け物の背後から頭を狙って発砲。乾いた音が室内に響き、普段よりも煩く聞こえる。

頭を撃ち抜かれた化け物がその場に倒れた。

銃声につられて残り二体の化け物が近づいてきた。

動く的を当てるのは難しいってレナは電車の中でぼやいていた。なら……

棚の影に隠れて化け物を待ち伏せ、鉄の棒で足を払う。フラフラと引きずるようにしか歩けないからか、あっさりとその場に転倒した。

レナがそれの頭を素早く撃ち抜く。

最後の一体は、気づけばレナのすぐ近くまで迫っていた。

「レナ!」

 

「大丈夫。間合いだよ」

構えた銃から放たれた弾丸が、至近距離から化け物の頭を貫いた。

 

 

「お、終わった……?」

 

「そうだね。ちょっとだけ休憩しようか……」

 

そういえば昨日から何も食べていない。そう思った瞬間お腹が鳴った。

ここは確か食料品店だったはず。

顔をあげればレナも同じことを考えていたらしい。なんとなく笑ってしまった。

「食べれそうなもの…探そうか」

 

閑話休題(食べ物探し)

 

探し出せたのは缶詰が5つだけだった。そのほかの食品はほとんどがダメになっていたか無くなっていた。特に缶詰などの保存食は軒並み店から消えていた。多分最初の騒動の時に誰かが盗んでいったのだろう。それを咎めようとは思わない。それに少しだけ食料も残っていたから全くないってわけでもないし。

「いただきます」

 

店にあったプラスチックのスプーンとフォークで缶の中身を摘む。

「おいしいね……」

肉って書いてあるけれど肉と言うよりなんかよくわからないパテの塊だったけれど、それでも今の私にとってはそれなりにおいしいと感じた。

「そうだね…まさか缶詰がここまで美味しいものだったとは」

 

普段は全然美味しいと思えないものだけれど、なぜか今はすごく美味しく感じた。気づけば缶詰5つはあっさりとなくなっていた。

「なんか喉渇くね」

 

「保存食は塩気が強いからね」

 

外に集まっていた化け物も、気づけば何処かに散らばってしまったのか店の前にはいなかった。時計は午後13時を過ぎたところだった。

十分休息も取れた。そろそろここを出よう。

 

 

再び通りに出てみれば、雨が降り始めていた。

肌に当たる水滴は9月の冷たい雨。傘が欲しいと思う気持ちはこっちで生活していると薄れてくると言うけれどそんなことは全然なかった。

「雨ひどいね……」

 

「いつもの雨さ」

レナが手を握って先導。道路はあの化け物が多く、道も状態は良くない。横転していた車が壁となり道を塞いでいた。端っこの歩道側はあの化け物が蠢いている。とっさに裏路地に駆け込んだ。雨で滑りやすくなっている道を、駆け抜けていく。

隣の道路まではあの化け物もいなくて静かだった。だけれど普段手入れをしていないからか違う意味で不気味なところだった。

反対側の道も似たようにズタズタだった。でもこっちはまだ車が少ない。破損した看板やらが転がっているけれど通れない程ではなかった。

それでもあの化け物がいないと言うわけではない。密度は低いけれどそれなりにいた。

呻き声が聞こえ、車にぶつかって止まっていた救急車から化け物が飛び出してきた。

おそらく搬送中に化け物になり果てたのだろう。

そこから先は想像したくない。

これ以上はもう進むのは無理そうだ。再び裏路地に逃げ込んだ。近くに工事現場があったのか、一部の建物は取り壊され、その場所は錆びたトタン板で覆われていた。

背後で何か扉が破壊される金属音が響いた。

振り返れば、沢山の化け物がトタンを破壊して出てきた。その多くが作業用のヘルメットをかぶっていたり作業服を身につけたものだった。数はそこまで多くない。だけれど細い路地であの数は多く見えた。

 

「やば‼︎囲まれた!」

レナの叫びで意識を前に戻すとそこには複数の化物が、路地に入り込んできていた。さっきの音に反応して入ってきてしまったのだ。横道があったけれどそこにも化け物がいた。通り抜けるのは無理そうだ。完全に囲まれてしまった。逃げ場はない‼︎

細い道のデメリットがここにきて……どうしよう逃げられるところは……

左右は壁。窓もなし……

ヤバイヤバイ‼︎どうにかしないと…えっと…えっと‼︎

「あ‼︎もしかして!」

足下には下水へ続く点検ハッチ。思わず鉄の棒でそれを無理やりこじ開けた。ラクーンシティの下水道は一部が昔のものを流用している関係で点検ハッチに鍵がない所が多い。だから鉄の棒などがあれば簡単に開けることができるのだ。

「こっち!早く入って!」

暗闇がぽっかり口を開けて待ち構えているような恐怖を感じたけれど今すぐ食い殺されると言う怖さに比べたら可愛いものだった。

 

地下水道につながる点検ハッチを潜り、すぐにハッチをしめた。多分あの化け物は扉などを開けると言うことは出来ないのだろう。足で踏みつける音はしても開けてくることはなかった。知能はやっぱり高くないみたいだ。

「助かった……」

 

「メグ、ナイス!」

梯子を下っていくと、水の流れる音が煩く響いていた。

「ここって地下水道?」

明かりが全くない地下は完全に真っ暗闇だった。水の流れる音と少しだけ漂ってくる腐敗臭。すぐ近くを水が流れているのだろうか。

「川の水を通す方のね。下水はもっと汚いわ」

離れるわけにもいかないからレナの手を握る。

「うう…そんなところに入らなくてよかったかも」

だんだんと目が慣れてきた。すぐ近くにはやっぱり水路が通っていた。結構深いようで鉄の棒を入れてみたらかなり深くまで入った。

 

そんな水路の端っこを手探りで進んでいく。どっちに行けばいいのかはわからない。さっき入ったところからどっち向きに流れているのか。完全に運だった。

何度か休憩を挟みつつ奥へ進んでいくと、急にレナが止まった。

「まって、何かいる」

耳を澄ませば、流れる水の音に混ざって微かだけれど何か聞こえた。

人間の成れの果てのような化け物とは違う…甲高い獣の叫び声のようなもの。まるでモンスターだ。

歩く音も何かを引きずるようなものではなく、硬い爪がコンクリに当たる音だ。そんな足音をする生き物なんて犬くらいだろうか?でも犬の歩幅でもない。二足歩行の何かだった。

(なんだろう……)

 

(わからない。でも近づかないほうがよさそうだ)

闇に目が慣れてきてもあまり遠くを見通せない。懐中電灯があれば良かったけれど無い物ねだりをしても仕方がない。

そうこうしていると腐敗臭が濃くなった。

直ぐ近くに生活排水を流す水路があるのだろう。最悪の匂いだ。そんなところに落ちたくはない。

だけれど運がなかったのかレナがそんな汚水に落ちた。姿は暗闇で見えないけれど泣きそうな声を出していた。私は絶対に落ちないようにしないと……気持ち悪そう……

 

再び手探りで進む。もう何時間進んだのかわからない。運良く途中で懐中電灯を拾うことができた。多分ここの点検用具の一種だろう。通常のものより強力な作業用のものだった。

それのおかげか多少は周りが見えるようになった。それだけでもありがたい限りあのまま真っ暗闇にいたら気が狂いそうだ。

 

時々通路の角で何かよくわからない化け物の影がちらつく。

あの足音を立てて動き回る怪物……地上の化け物とはまた違う何かが地下にもいると言うことを嫌でも思い知った。

姿は直接見えていなくてもあれはやばい。

「ここに梯子があるよ」

懐中電灯で照らされたそれは、かなり新しいものだった。つい最近付け替えられたのだろうか。

「そろそろ登ろうか。さすがにいつまでもモグラごっこをするのはつまらないし」

というより何時間も暗闇の中にいると恐怖で感覚がおかしくなりそうだった。

どうしてここまで長々と地下を移動する羽目になったのだろうか?ああそうだ上に出る階段が無かったからか…だとしたら仕方がないかもしれない。

 

上の点検ハッチも鍵がかかっていないのか鉄の棒を隙間に挟み無理やり動かせば、大きな音を立ててハッチが空いた。

いまの音聞かれたりしていないよね?

レナが先に外にでて周囲の安全確認。すぐに私の手を取って引き揚げてくれた。背後で何か大きな音がした。怖くなって咄嗟にハッチを閉める。暗闇が広がるハッチの中が今さらながらとてつもなく恐ろしいものに見えた。死が渦巻くあの世への入り口のようなそんな感じだ。

 

「ねえここって……」

見覚えがある。というより私たちがこれから行こうとしていた場所のすぐ近くだった。

「警察署がある通りだね」

放置車両の合間を抜けて進んでいくと、雨に濡れたラクーン警察署の門が見えた。門の外にはまだあの化け物がうろついている。となると警察署は壊滅した?いや、そんな雰囲気は見られない。灯の灯る窓からは走り回る警官の姿が確かに確認できた。

降り注ぐ雨が体から体温を奪っていく。10月になろうという時の雨はとても冷たい。周囲もいつの間に可否が落ちてしまっていて、吹き付ける風が体を凍えさせる。

 

レナが門の前の化け物に向けて残りの弾をたたき込んだ。

完全に倒せたのかどうかはわからないけれど門の前にいた化け物たちはその場に倒れ伏した。その合間に門まで駆け抜ける。

幸い鍵は付いていない。すぐにそこに入り込み、内側から棒の鍵をかけた。これでひとまずは安心なのかもしれない。だけれど大勢でやってこられたらちょっとやばいかも。

案の定さっきの銃声に反応した化け物と、完全に倒しきれず起き上がる化け物が門を叩き始めた。

 

ラクーン警察署の玄関は、警察署とは思えない独特の作りをした両開き式の扉だった。普通なら自動ドアとかガラス張りの扉が普通なのだけれど。

アメリカの警察署は初めて来たのだけれどこんな小洒落たところなのだろうか?なんて場違いな感想を抱いてしまう。

 

「誰か‼︎誰かいませんか?」

蝶番を叩くように呼びかける。ここまで広い建物でちゃんと蝶番だけで聞こえるのかどうか怪しいところだけれど。

だけれど私がドアを叩く音はしっかり伝わっていた。扉の片方が開かれた。

「どうした⁈って子供?」

出てきたのは茶髪の警察官だった。よかった。まだ警察署は生きていた!

「あの‼︎助けてください!」

 

「あーすまない。助けたい気持ちはあるんだが警察署は避難所としては開放していないんだ。この近くだと時計塔と市役所が避難所として開放されている。すまない、そこに行ってくれ」

告げられた言葉は、無情なものだった。確かに警察署は避難場所としては機能しない場所ではある。多分解放されている可能性は低いと思ってたけれど……あの化け物をくぐり抜けて別のところまで行くのは流石に疲労していて無理だった。

「そんな……」

だけれどここを解放していないとなればもうどうしようもない。レナは絶望した表情で茶髪の警官を見つめていた。彼もものすごくバツの悪い表情で顔を伏せていた。

個人の感情より全体を鑑みての行動だったのだろう。なら彼を非難するのは筋違いだ。諦めよう……

「まあまあ良いじゃないかメイヤー入れてやれよ」

わかりましたと言おうとした時、別の警官が合間に割り込んできた。茶髪の警官より少しだけ背の高いお兄さんのような感じのする警官だった。

「でも入れるなって言われただろ?どこに行ったのかわからねえバカ所長の命令だけどよ」

所長って確か警察署のトップだよね?まさか行方不明?まさかそんなこと……大丈夫、多分大丈夫だ。指揮系統はまだしっかりしているみたいだし。

「まだ子供だろ?それにお前だって本当は保護したいんだろ」

保護したいかどうかではなく放っておけないと言ったところだろう。多分この場の全員はそう感じた筈だ。

「あー仕方がねえ。お嬢ちゃん早く入りな」

少し悩んだ挙句メイヤーと呼ばれた警官が扉を大きく開けた。レナの顔が輝いた。多分私も輝いていたはずだろう。そうでなければ、多分私の心はどこか壊れてしまっているはずだ。

「あ、ありがとうございます‼︎」

中に入れば完全にそこが警察署なのか疑いたくなるようなエントランスだった。不思議そうにしていた私を見かねたのかレナが教えてくれた。

警察署は元々美術館だったものを改装して使っているものなのだとか。だからこんな警察署らしくない内装と外装なのか。

「取り敢えず案内するからついてきてくれ」

元美術館を改装して使用している警察署のエントランスは、そこが警察署だという事を感じさせない独特な作りだった。

だけれど出会う人はみんな警官。それがこの場所を警察署だと教えていた。

異質だったのはショットガンや短機関銃などを持った警官が行き交っていたことだ。まるで防衛前線のようなピリピリとした雰囲気だ。

所々で作戦室や情報収集室と書かれた紙が扉に貼り付けられていた。

 

やっぱり街全体があんな状態になっているからか、警察署はものすごい喧騒だった。

机や木材などのバリケードに使えそうなものが集められていたり、何故か通路の端っこに武器弾薬が積み上げられてた。

そんなところを通過しながら案内されたのは建物二階の一角だった。途中でメイヤーさんから渡された地図によればそこは西側の物置部屋になっているところだった。

美術館だった頃の名残か、壁や天井の装飾が独特だった。

「取り敢えず物置だが…ここくらいしかまともに部屋として残ってないんだすまない」

元々避難所として開放していなかったのだから仕方がない。それに安全なところでしかも雨風凌げるのならむしろありがたい。

「無理を言っているのはこっちなんです。むしろ部屋が与えられただけでもありがたいですよ」

メイヤーさんはそうか。悪いなと一言呟いて、仕事に戻ると部屋を後にした。

「とりあえずそこに寝袋がある。寝るときはそれを使ってくれ。それと、これ良かったら飲んでくれ」

だけれどすぐに色々伝え忘れていたのに気づいたのかまた戻ってきた。

二本の水のペットボトルは近くを通った別の警官からもらったものなのだろう。

「あ、ありがとうございます!」

そういえば昨日からなんにも飲んでいなかった。その事実に気づいた瞬間喉が一気に乾いてきた。必死すぎて忘れていたのだろう。喉を水で潤していくと、安堵感が浮かれてしまったのか一気に睡魔が襲ってきた。

「すまんなこんな埃っぽい部屋で。何かあったら婦警に尋ねてくれ。俺たちよりかはフレンドリーで話しかけやすいからな」

そう言って彼は警官達の喧騒の中に戻っていった。

 

「……眠いね」

 

「これが寝袋か……メグは寝ていていいよ。私は婦警さんを探してくる」

一緒に寝ようと言おうとしたけれど、その気力もいつの間にか消えてしまっていた。気づけば私は寝落ちをしてしまっていたのだ。




あきらかにやばいであろう下水を腰まで浸かりながら歩くラクーンの人達って頭おかしい


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7.警察署は大騒ぎ

筆がとろけたので初投稿です。


アドリブで乗り越えるしかなくなったRTAはーじまーるよー‼︎

 

というわけでやっていきましょう地獄の運動会‼︎

 

ぐっすり寝ること経過時間はロード時間の僅か4秒。ちなみにゲームの中では11時間ほど寝た午前8時を回ったあたりとなっています。どれだけ寝ていたんやねん。

ここまで眠れれば体力や疲労、正気度も回復しているはずですので無茶し放題です。やったね‼︎今日という地獄のパレードを精一杯楽しめるよ‼︎楽しむつもりは毛頭ありませんが。

 

「おはよ……」

 

お、レナータが起きたようですね。では早速行動と行きたいところですがまずは婦警さんに話しかけましょう。

部屋の外に出て一階へ降りればリタ・フィリップ婦警がいます。ちなみに彼女はグウ聖なのでお世話になろうと思います。しかしRTAなのにRTAできないのは辛いですね。まあ仕方がないのですが…

 

さてここで話しかけると新たに水と食料をくれます。食料はサンドウィッチです。缶詰より正気度と空腹が回復しやすいのが特徴。ただし日持ちしないのですぐに消費する必要があり過去編後半では手に入ることはなくなります。

本編後半でも冷蔵設備が生きている場所以外では手に入らない貴重品です。

 

 

というわけでこれを食べて警察署を一周すると全体的に警察署が騒がしくなってきます。何があったのでしょうねえ(すっとぼけ)

どうやら大イベント大会が始まったようです。さて余計なイベントは回避したいのであてがわれたあの部屋に戻りましょうねー。

なるべく端っこを全力で疾走します。ここは一定時間以内に部屋の前まで行くとギミック解除になるようです(Wiki見)

 

あ、ケビン先輩っちす‼︎

ケビン先輩を見つけることができました。これでギミックひとつ目は解除です。

話しかけるとゾンビどもが入ってきたから部屋に戻っていろと言われます。言われなくてもそうしますよ。余計なイベントなんてしたくないですから。

 

では入ってひとまず落ち着きがてら警察署内部で一体どのようなことが発生するのかここから時系列順に並べていきましょう。あ、めぐねえたちに関係のないところは省きます。色々ありすぎるからね。

 

本日26日

ゾンビーズの津波により警察署内部ではちゃめちゃ大乱闘が勃発。ついでに無線機を破壊され外部との通信が不可能に(ただし市内や近くを飛ぶヘリへの通信は可能)

ここでようやく建物にバリケードを設置する作業が始まります。

またこの日を境にラクーン総合病院が壊滅。機能を残しているのは警察署だけとなります。

明日27日は西側バリケードが突破され再びの大乱闘ラクーンブラザーズ。

その後警察署破棄と脱出のために選抜警官隊を出動させメインストリートの確保にあたりますが壊滅。このタイミングでUBCSことアンブレラの駒が市民救助のため展開。

明後日28日は警察署の会議室にもゾンビが押し寄せ生存者は1桁台になります。この時点で外部への救助要請は人が直接やりに行く始末。夕方までには機能停止と言うハードプログラムとなります。やべえっすねこれ。

 

その後ジル姉さんが夕方に一度警察署に訪れた後29日夜にレオン先生がやってきます。

 

 

 

では部屋に入ります。どうやら部屋に入った後は時間経過でイベントが発生するようですがここは時間短縮。すぐに扉を調べましょう。

警察署ルートの攻略法によると、扉を二回調べるとイベント突入。扉を調べなくても3分待てばイベントに入るそうです。どっちにしろイベントなら3分も待っていられるわけないんだよなあ!

 

 

というわけでささっと扉を調べます。するとレナが扉を半分開けてくれます。

お、さっきの婦警さんがバリケードの材料を持って走っていますねえ。

では声をかけてイベントを進めちゃいましょう!

 

 

どうやらゾンビは一階西側から入ってきているようで、反対側からも侵入され挟み撃ちになるのを防ぐため東側の窓などにバリケードを作り侵入を阻止するようです。西側では決死の防衛線が構築されているようですがゾンビの弱点を知らないからか苦戦が続いているようです。

まあ私には関係ありませんからバリケードのお手伝いをしましょう。ちなみに似たようなイベントはくるみルートのみ存在します。ただし向こうでは通常キャラでは能力の振り方によってあったりなかったりまちまちです。この話は今度にしましょう。

 

 

 

このイベント窓二枚に板を打ち付ければ終わるらしく終わった時点で時間が飛び昼過ぎとなります。ただしバリケードを制作している途中でゾンビに襲われる可能性もあります。(未検証)

多くの警官とメイヤー氏を失う大乱闘でしたが警察署の機能が全く機能しないわけではありません。ゾンビーズの掃討が終わったので西側にもバリケードを作っちゃいましょうねー。

ちなみに西側に行くと警官と一緒に防衛線のお手伝いを出来るらしいですが難易度が高いのでやめましょう。正直ただの女子中学生2人に手伝えることなんて無いですから。

リッカーも出てくるようですので危険極まりないですね。なんてこったいリッカー兄貴は帰ってどうぞ。ここには少女しかいませんよ。

 

バリケードが完成しました。これでひとまずは安心です(慢心)

ちなみにこのアドリブチャートでは警察署脱出は27日とします。というのも28日に警察署を脱出した場合本来行くべき場所への道が火災によって塞がれてしまうからです。(Wikiガン見)

この場合ジルとの合流を待たないと火災地帯を突破することはできません。(鬼畜)

タイムロスとなる可能性が高くまた移動する際にネメシスに追いかけられる可能性もあるので危険です。あれSTARS以外でも容赦なく攻撃してきます。

ただしレオンと会う場合はこの限りではありません。ですがこっちを選ぶと移動が大変なんですよ。さらにタイラントおじさんとG生物というダブルコンボ。どう考えても逃げ切れる気がしません。(鬼と悪魔が追いかけてくる)

なので2人とは出会わないように移動するのが現状の最適解となります。

 

と言ってもタイラントに関しては結構な個体数がいるので油断できないんですよね。一応、米軍特殊部隊がレールキャノンで刺し違えてくれるのですがそれは行われるのは少なくとも30日。それまで逃げ回れというのは鬼な気がするんですよね。全力でゲームが殺しに来てますよ。

 

バリケードの設置が終わり突破された西側にもバリケードを作っていきます。と言っても窓に木材を打ち付けて扉を鎖で封鎖するくらいなのですけれど。

それを幼女にも手伝わせるって警察署も末ですねえ。

それと脱出フラグを立てるためにケビン先輩と何回も話しておきましょう。

6回から7回話しかけることで脱出のためのフラグが立つようです。

 

お、6回目で立ちました。

 

この説明で正面玄関直下から地下駐車場まで行く抜け穴のことが示唆されます。実際には一部分が破損しているので開けることはできないのですけれどね。

 

さて本日ですが特にやることもないので部屋に篭るのもありですが特にタイムに影響はしないので一周だけ警察署を回ってみましょう。

 

お、破壊された無線装置がありました。どれどれもしかしたらヘリを呼べて脱出できるルートがあるかもしれませんねえ。もしかしたらそっちが早いかも!

(クズ運)

んー…墜落寸前のヘリの無線が聞こえただけですか。つまんね。

 

というわけで何もなかったので部屋に帰ります。後は明日になるまで部屋で休むを選択。おやすみなさーい‼︎しっかり寝ておきましょうねー。

 

 

 

というわけでおはようございまーす!本日27日未明。脱出本番となりました。

昼間は結構平和なものです。たまにバリケードの設置された窓をバンバン叩かれる程度です。たまにやられるとびっくりするんですよね。

まずはリタ婦警に接触してご飯をもらいましょう。ご飯といってもサンドウィッチです。2日連続ですが一日一食くらいしか食べれていないので平然と食べます。空腹に勝るスパイスはないを地で行っていますね。

あ、レナータがしれっと警官服に着替えています。

好感度が一定以上だとこうして定期的に服を着替えてくれます。調整に非常に役立つギミックですね。

このギミックを作動させるには特定の場所に一定以上居ることで起こります。

立て篭もっている合間の僅かな癒しといえるでしょう。可愛いわあ。

 

午前中は特にすることはないので少し遊び…いえ時間を飛ばします。

部屋の移動を何度も繰り返す事で時間を飛ばしていきます。

 

 

夕方になりました。早速選抜警官隊が残された武装をかき集めてメインストリートの確保に向かいます。

ケビンと昨日話しておいたおかげで警察署からの脱出経路を確保するということを教えてくれます。同時にアンブレラ社の私兵部隊もきている可能性があるということを教えてくれます。

無線機が破壊される前にあらかじめ通信で打ち合わせをしていたのでしょうね。

 

というわけで選抜警官隊と選び抜かれた精鋭が車で旅立ちました。

もうすぐ日が暮れると言ったところですね。あ、マービンさんいるじゃないですか。

お久しぶりですね。元気にしてました?

まだ怪我していないようですし元気みたいですね。

 

ドンガラガッシャーン‼︎

 

 

あ、バリケードが突破されましたね。

そこへ行こうにも暴徒鎮圧目的で設置されたガスのせいで動きが制限されてしまいます。しかもこのガスゾンビに効果ないです。ひどくね?

しかもゾンビーズに混じってかなりの数のリッカーがやってきています。こいつらも元ゾンビーズだったと思うとポケ◯ンみたいな進化してるなあ。

 

「まずい‼︎早く逃げなさい!」

 

「昨日より数が多い!誰か手を貸してくれ!」

 

あーあ……突破されてから2分も経っていないんですけれど。

まあそれもそうか。武器はほとんど警官隊にあげちゃいました。少ない武器では数の暴力には勝てないのだよ。戦いは数なんだよ兄貴‼︎

 

 

そうしているうちに比較的近くて安全な会議室に避難させられます。一応ケビンとリタさんが会議室の近くを防衛してくれますが、ここでチンタラしているわけにもいきません。早速扉を調べます。

ガチャガチャ。ガチャガチャ。

こうするとケビンさんが扉を空けて脱出を促します。

「こっちだ!」

 

「警察署はもう安全とは言えない。すぐにここから逃げるんだ」

 

勿論そうさせてもらいますが逃げるといってもどこへ逃げるのでしょうねえ。

もう安全なところなんてありませんよ?まあそんな野暮な質問は抑えましょう。少なくとも警察署より多少マシと言ったところは沢山ありますから。

 

「ともかく援護する!駐車場側から逃げるんだ!」

どうやら玄関側にも大量のゾンビーズがいるらしい。いやあこれ確かに防衛失敗濃厚ですねえ。

というわけでケビンさんが援護してくれることになりました。やったね!これで道中安全だ!

ソファなどがバリケードの一部として部屋を塞いでいる場所があったりガスが吹き出していて通れないところがあったり大変ですがなんとか脱出できそうです。

お、ショットガンでフレンドリーファイアしちゃってますねえ。危ないですので離れましょう。

お、あっちではマービンさんがリッカーにお腹をやられましたね。なるほどあの傷はここでできたのですね!

ケビンさんが駆け寄って何か話しています。おーいそんなことしてる場合じゃないだろう。ほらマービンにも言われてますよ。早く子供を逃せと。

 

早くしてください‼︎これ以上はタイムが!タイムがやばいんです‼︎(鬼畜)

 

ちょっと手間がかかりましたけれどなんとか地下駐車場にたどり着きました。ほとんどの車は出払ってしまっているので残っているのは整備中か故障車ばかりです。

後は私物の車ですかね。

 

駐車場の方なのですが犬舎が隣にあり一部はゾンビ犬化しています。ですがその多くは檻でおとなしくしています。いまの所は……

バイオ2の時点では檻が破壊されたのか彼らは逃げ出しています。ちなみにドーベルマンばかりがゾンビ犬になっているのはデータ量の問題…なのですが一応理由づけされていて中型、小型犬などはウィルスに耐えきれず死亡。最終的に比較的大型で凶暴性の高いドーベルマン系が残っているという事です。一応ゴールデンレトリバーなどのゾンビ犬もいますが母数の少なさで会うことは稀です。

ちなみにゾンビ犬を見たら真先に逃げましょう。正直ゾンビライオンよりたち悪いです。

「こっちにはいないな…レナータ、メグミ‼︎幸運を祈る。俺は仲間を助けに行ってくる」

 

おういってらっしゃい。取り敢えず勤務態度が悪い以外はかっこいい上に超優秀な警官なんですよねえケビン。勤務態度さえどうにかなれば……

 

というわけで逃げましょう!スタコラサッサ‼︎ってあれえなんか変だぞ?

煙が立ち上がっているのですえけれど。

あ、大火災やんけ。

「こっちは危ないわ!」

なんでだああああ‼︎畜生!これでは病院まで行けないではないか!何故この時点で火災が発生してるのだ‼︎この馬鹿‼︎火災め!

くそう!どこで間違えた?どこだ‼︎

……あ、もしかしてこれかな?

ーー破壊された無線装置を弄ると近くを飛んでいるヘリの通信が聞こえてきます。このヘリはゾンビを乗せた状態で墜落。火災のフラグが立ちますーー

 

ちくしょおおおお‼︎

あったまきた‼︎もう許せるぞオイ(どっちだよ)

あー喚いても仕方がありません。本来の目的地ではありませんが逃げ回るだけの体力はねえ!予定よりだいぶ遅れましたがケンド銃砲店に入店します!店は警察署反対側にあるのでちょっと大回りですが駆け抜ければどうということはない‼︎いつもどおり怯ませてすり抜けです。

もうガバガバすぎる。警察署である程度巻くことができたと思いたいですがアドリブですからねえ。こんちくしょう。タイム自体はそう悪いものではないんですよ。試走時と比べて誤差30秒に収まっているんですから。

うん30秒なら誤差(おめめぐるぐる)

 

はい、気を取り直して進めていきましょう。怒ったってどうしようもないですからね。

お店に飛び込むと最初はゾンビかと疑われて銃を向けられますが、子供だということですぐ店の奥に隠れていろと言われます。子供に優しいラクーンの大人達に助けられますねえ。特にここのおじさんは市民に武器を無償提供してしまうというなんていい人なんや。

 

ちなみにめぐねえですがここで銃の使い方を教わることができます。保護された後店主さんが安全を確認したところで戻ってくるのでその時に色々お話をしましょう、これでようやく銃が解禁されました。めぐねえは非力で反動を堪える力が弱いのでなるべく反動が小さい小口径の拳銃かあるいはショットガンなどの短距離広範囲攻撃ができる武器が選べます。RTA的にはショットガンにしましょう。複数体のゾンビの動きを一撃で止めることが出来ますから。

ついでにレナの銃の弾補給もしてしまいます。後は29日まで待つことにしましょうか。

というわけで倍速‼︎特に何かが起きるわけでもなく2日過ぎていきます。

その合間に少し色々ありました。服の交換とレナの服が再び変わりました。

ちなみにR指定が入っているバージョンでは他にも色々とイベントが追加されているようです。RTAとしてはただのロスなので入れていませんが。

試しにやってみたときは服装だけでなく下着の方にも色々と調整や交換が可能らしいです。

走者には無用の長物ですね。気になった方は是非普通に遊んでみましょう。

 

というわけで今日はここまで‼︎




メモ:通常版でも下着の脱着は可能。ただしアングル制限のため元から覗き込み等はできない
R指定版のみアングル制限解除。

R指定版では服装全般に耐久値があります。規定以上の衝撃や尖ったものにぶつかる、擦る等で少しづつ汚れと破損が発生し、ビジュアルに変化が発生します(下着も同じく)


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生と死 1

日付が開いたのは初投稿です


目が覚めれば、私は何かを抱きしめていた。

意識がはっきりしてくれば、それが横で寝ていたレナだと言うことに気がついた。

 

警察署で特別に保護してもらった後どうやら私は安心からか寝てしまっていたみたいだ。

時計がなく窓もない部屋なので今が昼なのか夜なのかすらわからない。

 

 

「おはようメグミ」

寝袋から体を出して動いていると、つられてレナが起きた。まだ寝ぼけているのか目は閉じたまま、体をふらふらさせていた。

「おはよ……」

せめて顔とかくらいは洗いたいのだけれど警察署にそんな設備あるだろうか?あったとしてそれが機能する保証は?そこまで疑問に思ってようやくその思考ができていると言う事実に驚いた。

地獄から解放された。仮初でしかないけれどそれは私たちに相当な負担軽減をしてくれたらしい。

「ご飯と体を洗えないか聞いてみようか」

 

「そう…だね」

 

そっと扉を開けて外を確認する。

そこは慌ただしく往来する警官たちがいた。昨日婦警さんに色々聞いてくれって言っていたよね…婦警さんどこにいるのかな?

ここは警察署なのだしそれなりに人も多い。

ただ警官さん達の表情にも不安と疲労が垣間見えた。どことなくみんなそれを表に出すまいとしているようだったけれど子供は敏感ゆえにその姿のなんとかわいそうなものかと同情してしまった。

「あらおはよう。貴女達ご飯食べた?」

ようやく婦警さんに会うことができた。丁度差し入れなのか幾つものサンドウィッチを持っていた。どことなく硝煙の匂いがするのはきっとその腰に収まっている拳銃からしているものなのだろう。

「食べてないです」

 

「そう、ならちょうどよかったわ。配給のご飯よ。食べて」

そう言って婦警さんは持っていたサンドウィッチを渡してくれた。何日かぶりのまともな食事に思わず涎が出てしまう。

「あ、ありがとうございます」

 

「これくらいしか出せなくてごめんなさいね」

今になって思えば目を輝かせていた私たちがどことなく悲壮に写っていたのだろう。まあどちらにしても私達には何日かぶりのご飯だった。

「いえ‼︎気にしないでください!」

 

ついでだったので聞いてみることにした。こういうのは男性に聞くよりも女性の方が安心して話すことができるから。

「ところでシャワーって浴びれたりします?」

特にレナは下水道でひどい目にあっている。いくら服を変えたといってもシャワーで体を洗っておかないと感染症などの危険性も否定できない。

「シャワー?ああ、仮眠室の隣にあるわよ」

そう言って婦警さんは警察署の見取り図のコピーを渡してくれた。仮眠室は一階の東側にあるようだった。まだ水やお湯も出すことができるらしい。

「使わせてもらっても良いですか?」

そう聞いたのは1番シャワーを浴びたがっているレナだった。

「そうね……多分大丈夫だと思うわよ。近くで休んでいる人に一声かけて頂戴」

婦警さんは再び食料を配りに歩いていった。

こんな状況でも、いやこんな状況だからこそみんな自分のやるべきことをやっているのだろう。逃げ回っている私たちと違って……

少なくとも自分の身を守る程度の力がないといけない。あまり扱いたくはないけれど銃の使い方教えてもらおう。

 

 

シャワー室の近くにいた人にシャワーを借りると伝えたら、快く通してくれた。多分私達相当臭っていたのだろう。下水道にいたのだから仕方がない。

 

確かにシャワーはしっかりと暖かいお湯を出した。

どうやらガスと水道は生きているようだ。インフラが止まってしまったらそれこそ大変な事態だろう。

暖かいお湯が流れていく下水溝から一瞬だけ叫び声のようなものが聞こえた気がした。

1人でシャワーを浴びているのが怖くなってすぐに体を洗いその場を飛び出した。地下に何かいる。そんな妄想のような恐怖がいつまでも私にまとわりついていた。

 

 

閑話休題(おきがえ)

 

 

警察署の中が今どうなっているのかを知りたくて邪魔にならないように色々と見て回っていると、不意に警察署の奥が騒がしくなった。

何事なのだろうと騒がしくなっている方向へ行こうとして、角を曲がって、息を切らした警官が飛び込んできた。

「大変だ‼︎西側からゾンビ供が‼︎武器弾薬を持ってすぐ向かってくれ!」

その声に耳を疑った。あの化け物が警察署に入ってきた?だけれど警察官は武器だって持っている。数が多くても多分大丈夫なのではないだろうか。そんな希望が一瞬だけ頭に過ったものの、周りの警官達の慌てようからそれはあっさりと裏切られた。

「ど、どうしよう……」

どうすればいいのかわからない。逃げるべきか?でもどこへ?ここ以外で安全な場所なんてあるのだろうか?

私の手を掴んだレナが二階へ行こうと提案した。確かに二階の方が多少は安全かもしれない。

「レナとメグミ?無事だったのか!」

 

急に私たちの名前を誰かが叫んだ。怒号の中こえのした方へ振り向くと、そこには動物園で私達と行動を共にした警官が立っていた。

「あ!ケビンさん!」

無事だったんだ。見知った人と再会して一瞬安心。向こうも私たちが無事なのが分かってほっとしているようだった。

ただすぐにこちらに駆け寄ってきて彼は言った。

「ここは危ない!すぐに避難しさない」

 

「避難するって……」

 

「なるべく二階が良い。ここに避難しているってことは部屋とか割り当てられなかったか?」

 

「えっと、二階の物置みたいな部屋に」

 

「ならそこにいなさい。大丈夫さ。警官を信じろ」

おそらく彼は人を安心させることに長けているのだろう。

少し話しただけなのに、この状況でも多少は安心してしまう自分がいた。

 

ケビンさんに背中を押されて階段を駆け上がる。

二階でもバリケードの構築のためかソファのような重たいものも下に運ぼうと警官達が駆け回っていた。その合間をすり抜けて部屋に転がり込んだ。

少なくともこれで私たちは安全…なのかもしれない。だけれど部屋の外で戦っている警官達はどうなるのだろう?

 

ここまできてしまってやっぱり不安が心に積もっていく。やっぱり今からでも何か手伝った方が良いのだろうか?ドアに手をかけながら悩む。

「やっぱり放って置けない!」

どうしても一歩を踏み出せない私を押し除けてレナが扉を開けた。

「あ、レナ!」

廊下に出たところで、さっき食事をくれた婦警さんと出会した。彼女は何枚もの木の板を持っていた。多分バリケードの構築材なのだろう。

「貴女達⁈危ないから部屋に隠れていなさい!」

 

「私達も手伝います!」

 

「バリケードですよね!どこに作るんですか?」

バリケードくらいなら私達だって作れる。

 

「……わかったわ。東側一階の窓と扉を塞ぐからついてきて」

最初は私達の申し出を断ろうかとしていたようだったけれど結局は私達も手伝わせる事にしたようだ。それほどまでに人手が足りないのだろうか?だとしたら相当な修羅場だろう。

「わかりました!」

 

「やってほしいのは東側一階の窓ガラスを木板で塞いでほしいの。奴らが入ってこないようにするためにね」

東側、私達がいるところの下ということね。なるほど確かにこっち側からも入ってこられたらどうしようもない。

 

「わ、わかりました!」

一階に降りる階段で婦警さんから工具を渡された。

「トンカチと釘よ。窓枠に装飾があるかもしれないけれど気にしないで打ちつけちゃって」

美術館時代の洒落た装飾などこの場合ただの飾りでしかない。美術的に価値があるとか何とか言われそうだけれど生憎私はそっちの感性は疎い。

「後、警察署内には対暴徒用の催涙ガス噴射装置を置いてあるから無闇に動いちゃダメよ私についてきて」

そう言って婦警さんはあえて廊下ではなく部屋側を通過したりして目的場所まで移動した。

見れば部屋の端っこや廊下の隅にガスを吹き出す装置が置かれていた。あれ効果あるのだろうか?

 

いくつかの窓に木の板を打ち付けていると、あらかた終わったわと声がした。

婦警さんのところに戻ってみれば、再び木材などの道具を持って移動しようとしていた。

「西側にもバリケードを作るわ。侵入をこれ以上許すわけにはいかないから」

気づけばあの喧騒や怒号もいつのまにか聞こえなくなっていた。どうやら西側はどうにかなったらしい。どれほどの犠牲が出たのかはわからない。だけれど安全は確保されたのだろう。

棚やソファーで通路は塞がれ、警察署の中は迷路のような状態になっていた。

 

 

西側に行く途中担架が何回か通過した。レナはそれをみて十字架を切っていた。それにならって私も十字架を切る。

いくつかは白い布がかぶされていて、私はそれをみないようにしていた。

だけれど目の前で担架に乗せられる人だったものを見た瞬間、その場に崩れ落ちた。

それは昨日私たちを案内してくれたメイヤーさんだったのだ。

少しの合間とはいえど話はした人だ。

知らない人が死ぬのとは訳が違う。

 

ショックを隠せないまま、婦警さんの言う通りバリケードの設置をしたり突破された窓を板で塞いだりしていたら、いつの間にか外は暗くなっていた。

所内の時計ももう7時だった。

レナは、リタ婦警さんと何かを話していた。そろそろショックもなくなってきたのだろうか何だろうかとその時何を考えていたのかはわからない。だけれどどうしてか私はフラフラと警察署を散策していた。

あてもなく歩いていると、無線室と書かれた部屋にたどり着いた。

 

「直りそうか?」

 

「いやこれは無理だな…完全に壊れちまってる」

興味本位で覗いてみると、そこには黒人でガッチリとした体格の警官と、警官のようだけれど作業服のようなものを着ている人が話し込んでいた。

「STARSオフィスのものは?」

 

「ありゃ市内限定の通信設備だ。どうにもできないさ」

 

「あ?お嬢ちゃんこんなところで何しているんだ?」

作業服姿の警官が扉のところで様子を見ていた私に気がついた。

「いや…えっと……」

どうしよう気になってみていましたって言えそうにないや。なんか怖いし……

「無線機が気になるのか?」

黒人警官がそう言った。今思えばそれは怖がっている私を見兼ねての助け舟のようなものだったのだろう。

「えっと…少しだけ」

 

「まあ娯楽と言えるようなものもないし、もっと近くにきてみてもいいぞ。俺はマービン警部補」

目線を下げて合わせてくれた彼は、警部補だった。どれくらいの階級なのかはわからないけれどそれなりに偉い人なのだろう。

「佐倉恵です。これ…壊れているんですか?」

煙をあげているようには見えないけれど、操作盤の下が開けられて内部が見える状態になっていた。そこから飛び出ているケーブルはほとんどが焦げていた。

「まあな。原因はわからんが、ともかく治せるかどうか試すさ。お嬢ちゃんが気にすることじゃない」

 

無線機に繋がれたヘッドホンを耳に当ててみる。完全に壊れてしまっているのか雑音ばかりしか聞こえなかったけれど一瞬だけ叫び声にのようなものが聞こえた気がした。

思わずボリュームダイヤルを上げる。ノイズまみれの音の中に確かにそれは聞こえた。ヘリコプターのパイロットのものだった。

 

相当焦っているのか早口で私には聞き取れなかった。唯一わかったのは墜落すると言う叫びだけだった。

少しして完全にその声は聞こえなくなった。故障した無線機ではこちらから何かを伝えるのは無理そうだ。

無線越しに誰かが死んだ。死というものに慣れてきてしまったのか……さっきのショックがうそみたいになにも感じなかった。

「何か聞こえたのか?」

そばにいた作業服姿の人が覗き込んできた。

「ヘリの断末魔が……」

それを聞いて2人の顔にまたかと言う諦めの表情が浮かんだ。どうやら珍しいものではなかったようだ。これが珍しくないって相当ひどい場所ではないだろうか。

「仕方がないさ。だが絶望するには早い。まだ外からの救援は行われているし明日になればアンブレラ社も救助部隊を送ると言っていた。少なくとも州軍と同じくらいだろう」

驚きだった。まさか外侮からの救助が実行されようとしていたなんて。現状私達はほとんど情報を持っていないと言うことが明らかになった。もしかしたらそれ以外にも救助を行なっている場所があるのかもしれない。

だとすれば多少は避難も進むのだろうか?

まだ分からない…だけれど状況はマシになるのかもしれない。

「そういやお嬢ちゃんもしかして日本人か?」

話題を変えようと切り出したのはマービンさんだった。

「ええ、そうですけれど…」

中学校に留学しにきていることを伝えれば、そうかと返事が返ってきた。後で聞いた話では郊外にあった中学校は避難所としてすぐに解放されていたものの、26日の朝の時点で連絡は途切れたそうだ。あそこもヘリの発着場になっていたらしいけれど詳しいことはわからない。

ただ教師を含め生徒の8割は今も行方不明扱いだ。

「災難だったなこんなことに巻き込まれちまって。そうだ、折角だし色々話聞かせてくれ」

 

「良いんですか?」

 

「俺は構わない。スコットはどうだ?」

作業服姿の厳つい警官はやっぱり威圧感満載の表情だった。だけれど別に威圧している訳ではないと言うのはそろそろ雰囲気でわかってきていた。

「休憩がてらいい暇つぶしになりそうだ」

2人の顔に嫌そうな気配はなかった。

 

その日はマービンさんとスコットさんがリタ婦警さんに呼ばれるまで話し続けた。

 

 

 

 

次の日は朝少し遅い時間に起きた。

署内の時計は午前9時を指している。外が少し薄暗い気がしてそっと木材の隙間から外を見てみると、雨が降っていた。どうやら今日は雨らしい。ここ最近はよく降る。季節的にちょっと遅めの梅雨のようなものだった。まあ基本的に天気が良くないのだけれど。

それでも人はなにかとやっていないと気が滅入ってしまう。だから私も朝からバリケードの見回りをしたり補強をしていた。そのおかげでもうすっかり署内の構造は覚えてしまった。

「なんだか少し騒がしいね」

 

 

選抜警官隊。わかりやすく言うのであればSWATである。

どうやら今まで温存されていた部隊らしい。ようやく出動ということとなった。作戦はメインストリートの確保。

それがどう言った理由で行われたのかはわからない。だけれどタイミングとしてUBCSという私兵部隊と歩調を合わせるらしい。

 

やる気に溢れているのはそのためなのだろう。だけれど彼らの武装をよく見れば何故か拳銃だけだったりする。全員が全員フル武装というわけではないみたいだ。

それ自体はやはり仕方がないと割り切ってはいるのだけれど少しだけ不安だ。

化物の数がどれ程のものなのかは分からない。だけれど生半可な数ではないことは確かだ。

 

大丈夫なのだろうか。

 

 

 

夕方になって選抜警官隊は出動して行った。私達は作戦会議室として扱われている部屋で飲み物を飲んでいた。

作戦会議室という部屋は常に会議室として使われているわけではない。元々はデスク作業を行う部屋だからか、会議以外の時は基本は休憩室だったりとして使われている。

実際そこにある程度の食料と水の備蓄がありお昼ご飯などはここで取るという警官が多いのも事実だった。

それは選抜警官隊がメインストリートの確保をするために出動してからも変わらなかった。

だけれど地獄というのは私達を逃さないらしい。もうすぐ日が暮れようかと言うや否やな時間。その音は空気を切り裂き署内を駆け巡った。

バリケードの倒れる音、悲鳴と怒号。それらは作戦会議室にもしっかりと聞こえた。

「何⁈今度は何⁈」

中にいた警官達が一斉に外へ駆け出し、中に残ったのは私達を含め数人だけだった。

「西側でバリケードが突破された!」

西側といえば昨日突破されたところとだ。昨日の今日でまた?それどころかタイミングが悪すぎる。

選抜警官隊が出払った後でそんなに人数も弾薬も残っていないはずだ。いくらバリケードがあっても突破されるのは時間の問題だ。

「嘘だろこの!」

 

「ともかくいくぞ‼︎」

無駄に議論している暇はなかった。一気に残った警官達は動き出した。

本部が置かれている会議室でレナと一緒に身を寄せ合っていると、ケビンさんが飛び込んできた。

どうやら相当焦っているようだった。

「まずい手が足りない‼︎リタ‼︎武器と弾薬を集められるだけ集めてきてくれ!」

 

「分かったわ!」

リタさんが素早く部屋を飛び出した。

「他のやつは一階西側へ急げ!」

 

「2人とも‼︎もう警察署は保ちそうにない。すぐに逃げるんだ!」

ようやく私達を見つけたケビンさんが、すごい剣幕でそう言った。警察署が保ちそうにないと言うのはある意味ショックだった。もはや警察署も安全な場所ではなくなってしまったのだった。

「逃げるってどこに?」

だけれど当時の私はどこに逃げれば良いのかわからなかった。

「さあな。とりあえずここより安全なところだ。援護するから一緒に来るんだ!」

そう言ってケビンさんは悲しい顔をしながら私達を部屋の外へ連れ出した。荷物自体は常に持ち歩いていたから準備に時間はかからなかった。

 

かなりのところまで突破されてしまっているのか、銃声がすぐ近くに聞こえた。作戦会議室は中央ホールに近いところにあるのだけれど、もうすでにそこまで化け物が迫っているのだ。早すぎる……

 

通路に出たものの、そこではバリケードを突破しようとする化け物相手への防衛戦が展開されていた。

中には警官服の化け物もいた。

それらがまとめて吹き飛んだ。周囲でバリケードを押さえつけていた人をまとめて吹き飛ばして……

 

「あ…ああ……」

目の前でショットガンを撃った警官。その射線にはまだ味方もいたのだ。敵と一緒に無事だったはずの味方まで吹き飛んだ。人だったものと生きている人が吹き飛ぶのはかなり凄惨なものだった。ただ今となってはその時のあの惨劇は思い出せそうにない。脳が拒否をしているのだろう。

「見るな。みんなこの事態にどうかしちまってるんだ……」

その惨劇が脳に記憶される前に私はケビンさんに手を引かれてその場を離れてしまったからそれ以降彼がどうなったのかはわからない。

部屋を通り抜け、反対側の通路に出た。こっちはまだ化け物はいないようだった。

だけれどそれはいないように見えただけ。

通路を曲がった先で、マービンさんが化け物と対峙していた。だけれどその銃口は天井を向いていた。天井に何かいるのだろうか?

天井にはなにもいないように見えた。

突然、天井のパネルが吹き飛んだ。

それは長い触手のような舌だった。そんな長い舌がマービンさんを弾き飛ばした。

「マービン!」

同時に化け物が降りてきた。

彼が対峙していたのは見たこともない化け物だった。肥大化した脳、身体中が剥き出しになった筋肉で覆われた四足歩行。どの生物にも当てはまらない全く未知の怪物だった。

 

「このやろう‼︎」

ケビンさんが放った弾丸が脳を直撃しその場に崩れ落ちる。やっぱり弱点はあの剥き出しの脳みたいだ。普通の化け物と違って骨で覆われていない分破壊しやすくみえる。

だけれどマービンさんは既に怪我をしていた。重症だった。

「ケビン!俺のことはいいからそっちの子供達を守ってやれ!」

ただ重篤という状態でもないらしく片膝をついたけれどすぐに立ち上がった。

「だけど!少なくとも救護所まで……」

肩を貸そうとしたケビンさんを押しやってマービンさんは起き上がった。

「自分でいくさ。それにたいした怪我じゃねえ」

そう言ってマービンさんはしっかりとした足どりで救護所のあるホールに向かって行った。脇腹を怪我しているのに……

 

「彼は強い。あんなのでくたばる奴じゃないから安心しろ」

何となくだけれどあそこまでしっかりと歩けるのなら確かに大丈夫なのかもしれない。その上マービンさんあの化け物何体も倒していたみたいだ。死体がたくさん転がっている。

「急ぐぞ。ここも危ない」

 

ケビンさんに連れられる形で地下の駐車場へ向かう階段へ駆け込んだ。ここも化け物が既に侵入しているからか、階段には何体もの化け物がいた。ただ階段を登るのは苦手のようで突っかかって転んでばかりだ。

それらの頭を素早くケビンさんは撃ち抜いていく。

 

建物の地下駐車場は、車の多くが出払ってしまっていて、ほとんど車両は残っていなかった。残っているものも大半は整備中だったものか職員の私物の車でありすぐに動かすことはできそうにない。車で避難するのは現実的ではない。

「ここからだと時計塔あたりなら何とかなりそうだ!一応あそこはUBCSのヘリ発着ポイントの一つだったはずだからな!」

どうしてそう言った情報を知っているのかは分からない。だけれど警官全員が共通している情報だからだいぶ前から決まっていたことなのだろう。

「ケビンさんは一緒に来ないのですか⁈」

レナが訪ねたけれどケビンさんは首を横に振った。

「俺にはまだやるべきことがあるからな!幸運を祈る!」

そう言って彼は再び建物へ戻って行ってしまった。

いや、彼が駆けて行った先は犬舎だった。中で唸り声が響いているのもしかして…犬も化け物になってしまっているの?

少しして連続した発砲音が聞こえる。だけれどすぐにそれも途絶えた。もしかして…いやそんなこと考えたくはなかった。

それでも仕方がない。ここからは自分の力で生きていくしかない。私の手元に残されたのは斧だけ。あとはレナが持っている拳銃。

 

すぐにかけ出す。メインストリート方面がどうにかなっていればそっち側から時計塔まではいけたはずだ。例え車などが邪魔になっていても乗り越えたりすればいけるはずだ。

 

だけれど少し道を駆け抜けて嫌な明かりが見えた。いやそれは明かりというより何かが燃えて真っ赤に輝いているそんな感じのものだった。

「そ、そんな…」

 

大規模な火災が発生していた。道路上で車は燃え、近くの建物も一緒に炎上している。どこまでもそんな火災が続いているような感覚に襲われた。絶望というものを感じすぎて体が麻痺を起こしているのではないかと思っていたけれどどうやら私はまだ絶望には慣れていないようだった。

「こっちは無理だ!」

呆然としているとレナが私の手を取り駆け出した。気づけば周囲には化け物が集まりつつあった。

呻き声が重なりあって遠吠えのように聞こえる。

炎の熱風を少しだけ感じながら雨の街を駆け抜ける。

「あそこだ!」

どこをどう駆け抜けたのかは分からない。気づけばレナはどこかの建物裏口から室内に入っていた。

 

「誰だ‼︎」

ガチャっと金属の擦れ合う音がして、私たち2人の前の前に銃口が向けられた。

「ひっ!撃たないでください!」

この店の人だろうか。40代前後のおじさんがショットガンを構えていた。

「何だ子供か。危ないから奥へ入っていなさい」

 

そう言っておじさんは銃を下げた。

「ここは?」

 

「俺の店さ。ケンド銃砲店」

 

銃砲店。それはもっとも武器が置いてある場所だ。

だけれど店内の方へ行ってみてもほとんど銃や弾薬はなかった。どうやら市民に無償で配っていたらしい。

もう残ってなくてすまんと謝られたけれど彼が悪いわけではない。

 

店主さんはしばらく避難していた方がいいと店の二階へ案内してくれた。そこには食料と水。さらに少しだけれど武器があった。流石にこの武器は店主さんが使うものだから触っちゃダメだと言っていた。中には大事そうにケースに入れられているものもあって、多分特注品なのだろうとレナは分析していた。

 

中には大事そうにケースに入れられているものもあった。多分あれは特注品のようなものなのだろう。

 

 

「ねえレナ、銃の使い方教えて」

私も覚悟を決めることにした。今までどこか人の面影が残る化け物を殺すのに躊躇してしまっていた。だけれどこれからはそうもいかない。

「銃の使い方?わかった」

 

レナが持っていた45口径の拳銃を渡してきた。

 

「ここのセレクタでロック解除。初弾はスライドして送り込んで」

てきぱきと操作していきあっという間に射撃可能な状態になった。もちろん弾は入れていないから実弾が飛び出すことはない。

「結構重いんだね…」

 

「まあね。それと銃を構えるときはちゃんと脇を閉じて安定させて。45口径は反動が大きいからしっかり握って」

 

「こう?」

 

「そう、目標を狙うときは手前と銃の先っぽの出っ張りが重なるように調整。反動もあるから最初は首か胸の上辺りを狙うようにしてみて」

 

「わ、わかったわ」

なにもない壁に向けて銃を構える。ずっしりと手にかかる重さが、その武器の本質を、命を奪うということの重さを表しているようだった。

「って言ってもこれは私が普段は使うからメグは9ミリとかそっちにしておいた方がいいと思うよ。反動も小さいしグリップが細く小さいから握りやすいから取り回しやすい」

 

そっか……銃って言ってもいろいろあるんだね。

 

「お嬢ちゃん銃に詳しいのか?」

階段の方から声が聞こえて振り返ると、店主さんが立っていた。どうやら危機はさったみたいだ。

「ええまあ、父に扱い方を教えてもらって」

 

「なら色々と話すことができるかもしれないな。そうだ?折角だし色々話そうじゃないか」

 

「良いですね。私も趣味の合う人と話したかったところなんですよ」



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8.やったね救助ヘリ‼︎仲間が増えるよ‼︎

新年明けましておめでとうございました。時間が空きましたので初投稿です。


はいチャート通り(白目)で進んでいるがっこうぐらしはーじまーるよー‼︎

 

今回はケンド銃砲店で2日過ごした29日からのスタートです。

いつの間にかめぐねえが銃で武装しているのですがなにがあったのでしょうねえ(すっとぼけ)

まあこの銃は親友のバリーが製作を依頼した銃トーラス・レイジングブルの45口径銃です。

使用弾丸は.454カスール。反動が大きいですがゾンビだろうがハンターだろうが一撃で倒してくれるハイパワーリボルバーです。某旦那も水銀やら大聖堂の銀十字を溶かしたものをコーティングしたりして使っていた弾丸です。

 

ようやくめぐ姉が覚醒しましたね。これで戦い放題です!と言っても弾はなるべくケンドの店で調達しておきましょう。カスール弾はなかなか見つからないですからね。44マグナムばかりいらねえよう。

しかもレナの銃は44マグナム微妙に使えないんですよ。45口径APC弾なのでね。口径的に入りそうなものなんですけれど。

 

まあいいです。というわけで主人公お兄さんことレオンが来るまで倍速倍速‼︎

 

 

はい主人公がやってきました!われらは二階から見守ろうとしよう。どうして来たのがわかったかって?下がどんぱちにぎやかになるからさ。

というわけでレオンが入店してからきっかり2分後に下におります。

階段を降り終わった直後にムービーが入り店主が入り込んできたゾンビに襲われます。ムービーが終わったらすかさず助けようと行動しましょう。ですがもちろん助かりませんし入ってきたゾンビに追い詰められそうになります。

でも安心してください。ここには頼れる大人レオン先輩がいるんです。後にキックで拳銃二発分の威力を出すとんでもお兄さんです。

しっかり襲ってくるゾンビを倒してくれます。

ここでレオン先輩に助けてもらった事で一緒に行動するフラグが立ちます。ここを逃すとレオン先輩とは一緒になれません。まあならなくても良いのですけれど戦闘が楽になり時短にも繋がりますのでRTAでは積極的に絡みましょう。危険も大きいですけれど。

 

というわけでレオン先輩と一緒に警察署に戻りましょう。

ここからならそう遠くはありません。

 

移動中はゾンビ共は全部レオン先輩が始末してくれるのでやることはありません。

なのでこの間警察署が2日前どうなったかをあらかじめレオン先輩に教えておきます。まあなにに繋がるとかそういうのはありませんがなるべくここで信頼度を高めておかないと途中でリッカーに襲われてゲームオーバーになってしまいます。もちろん確定演出です。(2敗)

畜生めええ‼︎

ただしずっとレオン先輩と一緒にいるわけではないので少しあげるくらいで良いのです。

 

あ、やっべ。飛び出しゾンビに押し倒された。ええい‼︎早く攻撃をおおお‼︎レバガチャならず肩ガチャ‼︎

良し引き剥がせた!すかさず鉛玉をプレゼントしちゃいましょう。

ふースッとしたぜ。事故が起こった気がしますがRTAのタイムとしては問題なさそうなので(白目)リセ無しで進めていきましょう。

 

やってきました警察署。前にきた時よりさらに荒廃してきています。しかし不気味ですねえ。友情演出でデフォルトでバイオ2のBGMが流れるようになっているのですがロリめぐねえの可愛さすらこのBGMには負けます。

レオン先輩の後を追いかけながら荒廃した警察署を巡ります。

 

あ、そうそうマービンさんにも会ってきましょう。ってありゃオフィスにいないですねマービンさん。ってなるとまだ所内を徘徊しているのかな?

 

レオン先輩なに見ているんですか?へえ生存者が何かカメラに向かって叫んでいますね。え?行くの?しょうがないなあ……

 

ついていきましょうか。

まずはシャッターを開けて……って署内ほとんど停電しているやんけ‼︎暗い暗い!

まあ懐中電灯を探している暇はないので先に進みます。

 

ほほう…何か出てきそうな雰囲気ですね。ゾンビーズはどこかなあ?

奴らがわかるのか?

こっちが風下だ。来ればすぐにわかる。

 

どうやって?臭いを嗅げとでも?

 

そうだ‼︎

 

冗談はさておきあいつらうるさいからすぐにわかります。

進路の邪魔になりそうな奴らだけ先にぱっぱと倒してしまいましょう。ただしこいつら一度殺したらすぐに焼き払わないとクリムゾンヘッドになってしまうので危険なんですよね。

まあここには戻ってこないので無視しますけれど。

 

というわけで少しだけ開いたシャッターから警官を助けようとします。

ここはスキップできるムービーですので迷わずスキップ。

はい警官は死んでしまった。というわけでここから鳴りを潜めていた奴らがラッシュのように押し寄せてきます。おらめぐねえのガバガバ射撃スキル上げの経験値となりやがれ‼︎

めぐねえがんばれ!

 

あ、先に行って良いって?レオン先輩優しい‼︎というわけでお先失礼します‼︎

半開きのシャッターから先にレナと並んで脱出。すぐにレオン先輩を引っ張り…くそまた足を掴まれた‼︎

 

「まかせろ」

 

はっ‼︎貴方はまさか!

レオン絶体絶命のピンチに現れたのはマービンさん!あんたやっぱヒーローや。

って怪我全然治ってないし。というかあんた大丈夫なのか感染とか?まあバイオ2を見る限りダメそう。

まあ生きている最後の姿としてしっかり記憶しましょう。と言って見つめた回数n回。

再び場所はホールに移ります。ピアノの音が入るところが地味に好きになるBGMを背景に色々と話を聞きます。

 

と言っても私たちはもう知っている事なので聞くだけ無駄ですけれど。

はいスキップスキップ。ここからもしばらくはレオン先輩にくっついていきましょう。危ないですし。一応武器も持っているので足手まといにはならないと言っておきましょう。

レオン先輩も子供だからと邪険に扱うような人ではないので大丈夫です。

 

というわけで行くぞーー!

レオン先輩の目的は脱出のための地下通路を開放すること。少しくらいは付き合ってあげましょう。

お、停電中の廊下ですね。私達がバリケードを作ったり窓を木で打ち付けにしたりした場所も停電してしまうと恐怖倍増です。

 

あ、そういえばここは……

リッカーのプチムービー‼︎

ええい‼︎時間の無駄じゃカット!

 

ムービーが終わったらすぐに銃を構えて撃ちましょう。めぐねえのカスールならどこに当たっても一撃でノックアウト可能です。すぐに撃たないと素早く移動されてしまい照準を合わせるのが困難になります。

レオン先輩にすごい射撃だ。どこで使い方をと聞かれます。

説明書を読んだのよと答えておきましょう。

 

というわけでまだまだ進めていきます。なるべく署内は弾薬の節約に徹しましょう。そもそレナの銃がケンド銃砲店に行ったことでコスモガン化しています。

 

途中でヘリ墜落のムービーが挟まります。これもカットです。もう何回も見た。毎回ゾンビに襲われてマシンガン誤射する警官なんて知らんわ。

 

はい到着しましたSTARSオフィス。途中鍵がかかっているお部屋などある程度謎解きする必要がありましたがまあ仕方がありません。

STARSオフィスの無線機をいじるとUBCSの隊員達の会話を傍受できますそれを聞くことで時計塔へ行く選択肢が出ます。

ただしこの時点でヘリは墜落。時計塔は破壊され追加のヘリはやってこない絶望状態ですがそれを知っているのはごく一部です。情報伝達がうまくいっていない証拠ですね。

そのことをレオンに伝えます。するとレオンは署内をもう少し散策して生存者を集めてから脱出すると言います。ここからは再び単独行動です。

ちなみに少しするとクレアさんがやってきます。

ク……ゴリアさんと一緒に行くルートもありますがこっちもまた修羅の道。ちなみに難易度は1番高いようです。下手するとGに感染してとんでもない事態になりかねません。

 

 

というわけですぐに地下駐車場へ行きます。

レオン達ではバリケードとヘリ墜落による崩落により地下駐車場までの道は閉ざされていますがめぐねえ達だけならなんとか先に駐車場まで行くことができます。というわけで行きましょう。

確か東側の……あ?なんでBGM変わっているんです?

 

え?誰ですか後ろの扉開けたのは?

ぬああああ‼︎なんでここにタイラントが!

コートに身を包んだやべえおじさんが来てるうううう!こっちじゃなくてレオンの方に行けよ!ほら早く‼︎

 

逃げろおお‼︎敵の潜水艦を発見(にほんへ)

だめだ‼︎

ちがあああああう‼︎

 

 

海軍の支援を要請する‼︎

支援できません。

うわああああ‼︎

 

こうなったらコマンド入力!

タイラントに追いかけられると時々コマンド入力で攻撃回避モーションが入ります。これに成功すれば大きく距離をかせぐことができます。

 

はい逃げます逃げます‼︎あんなの戦っていられるか!

BGMが止まりましたね。どうやら撒いたようです。やったね。

 

しっかしたまげたなあ。おじさんどうして少女を追いかけるんですか?まさかそっちの趣味…

考えるな。そんなこと言ったらG生態だってシェリーを追いかけているじゃないか。あ、ってことはあの2人って相当やばいやつじゃん。

 

少し様子を見てもう追っかけてこないようでしたら先に進みます。タイムロスですが仕方がありません。しっかしおかしいなあ……試走ではタイラントとは接触しないはずだったのに。

でもあの人レオン達を優先的に追いかけるはずなのですぐ警察署を後にすれば問題はないはずです。

 

いやあめぐねえのSAN値がタイラント遭遇でピンチになっってますよ。一応ゾンビと違ってビジュアルでアウトというわけではなく2メートルに迫る巨体がズンズン歩いてくるのがすごい威圧なんですよね。

さてさて、ここが駐車場へ行く抜け穴のようなものです。ここを通れるとすれば多分シェリーを含めた子供くらいでしょう。

 

ここを使うとすぐに駐車場まで出ることができます。

ここから向かうは時計塔です。

火災地帯を抜けることになりますが実はこの火災発生から2日経つと弱まるので時計塔までのルートが解放されます。

27日に火災が発生していますので29日はそのまま直行可能です。ただし火災が弱まっただけですので危険いっぱいわくわくファイアールートに変わりはないのですけれどね。

移動手段は警察署の駐車場に止められている車を使います。

故障したものしか残っていないと言いましたが改めてくると一台だけ使用可能になっています。配置は入り口に1番近い車です。どうやらこれはさっきヘリを落とした太っちょの警官が乗り付けてきたもののようです。鍵もついたままになっています。

 

というわけで運転はめぐねえがやります。一応それなりの運転アシストは入りますが基本はプレイヤー側のセンスです。ちゃんと運転しないと時計塔まではたどり着けないので気を付けましょう。

道路は放置車両とゾンビとケルベロスで溢れかえっています。邪魔な事故車を弾くにはなるべくトランクのところに車体をぶつけて弾き飛ばす。これは必須スキルですので無意識敵機できるようにしましょう。

 

しばらく裏路地とアベニューを行き来すると火災地帯が見えます。ここは先発で火災原因をはじき飛ばしてくれた路面電車の走った後を通ることにしましょう。

ええそうです昨日の夜にジルが修理して火災地帯を突破するのに使ったものです。

 

はいここを通過すると見えてきました時計塔。

途中で脱線した路面電車が見えます。

これが有名なジルの路面電車(有名じゃない)

見た目は良いのにねえ…かわいそうに廃車確定です。ちなみに初日でめぐねえが乗った路面電車より古いです。鉄オタの血が騒ぐのか鉄オタゾンビがorzポーズしてます。

 

しかしここのステージ燃えているゾンビが多いの何のって。

燃えたんだったらそのまま焼けちまえばいいのに。

ですが燃えているおかげかここら辺はクリムゾンヘッドは出てきません。

まあ何度も通ることはないので遭遇率も低いのですけれど。

 

 

ここまで来るとめぐねえ達も流石に気づきます。墜落したヘリと破壊された時計塔。既にここが撤収ポイントとして機能を停止している状態であるということ。

絶望で2人の正気度が減っていきます。でも安心してください。発狂することはありませんから。

とりあえず燃えるヘリを見ながらもーえろよもえろーよーって歌い出さなければ平気です。ふはは‼︎リスク管理は完璧なんじゃい。

 

本来なら途中でご飯を食べたりして正気度回復をしたり一緒のベッドで寝て疲労回復と信頼度上げを行うのが普通ですがRTA上そんなものは要らぬ‼︎最悪発狂する前にクリアしちまえばこのステージはこっちのもんです。

ってあれえ?またBGMが…ってネメシスおじさん⁈なにしているんですかこんなところで‼︎あ、そうかそういえばこいつジル狙いで周辺うろうろしているんでした。

ロケットランチャーはもう持っていないですが触手攻撃が…ってレナータ姉御早く逃げるんですよ‼︎あれ目撃者を追跡する癖があるんですから‼︎

 

ってああああああ⁈

レナータ姉貴触手に腰を貫かれた‼︎いやああああ‼︎感染してもうたああああ‼︎

ええいままよ!これは大きなリセ案件!うう…でもセーブしてないしここでやり直すのも尺に触る(コンコルド効果)

こうなったら…こっちくんじゃねえ‼︎このやろう!

 

貴重なカスール弾持っていきやがれおらあ‼︎

まあ元から強い銃弾なので頭に4発当てればあっさり逃げてくれます。少し前にジルやカルロス兄貴にボッコボコにされた反動で本調子じゃないんでしょうね。

もう二度とくるんじゃねえ!

というわけで燃え盛るヘリを横目に時計塔の中に入ります。ここからはステップ移動で少しでも時間を稼ぎます。ちなみに普通に走る場合より多少は早いです。ショットガンと操作メニューを使った拘束移動もありますがショットガンを拾っていないのでそれは使えません。

レナータは肩を貸していきましょう。奥のお部屋にはジルが寝かされています。28日にネメシスの触手で感染。現在も生死を彷徨っているようです。

やあカルロス。とりあえずこの子も怪我したからそこに寝かせてくれや。

なに1人2人変わらんだろう?

取り敢えずカルロスとジルに状況を説明。でっかい化け物に襲われたと言っておけば大丈夫です。

ここで意識がまだあるジルによってこの惨事の原因がウィルスであるということと、アンブレラめ畜生ということを教えられます。

まあわかっていましたよ。

ついでに噛まれたろ刺されたりで感染するということも教えられました。よってレナータ姉御は感染しているということがわかります。

どうにかしないとと言うことでカルロスさんとともにめぐねえは戦地へ向かう事となりました。やったね。

全然やったでもないのですけれど万が一めぐねえが感染した場合はここでしばらくじっとしていないといけません。

15回ほど試しましたけれど待っている場合はめぐねえ本人がいくのより二倍近い時間がかかります。これはひどい。

とりあえず移動しましょう。

というわけで病院にお薬を撮りに行くところで今日はお開きです。ご視聴ありがとうございました。




アップデートで新衣装が来ました。めぐねえ学園黙示録版制服と
るーちゃん私服、寝巻き姿です。
りーさんのバスタオル姿はストアで1919円で発売中です。

くるみ「あ、フィギュア化だ」


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タイラントとネメシス

ストックが無いので初投稿です


それは唐突に起こった。2日もここで過ごすと流石に研ぎ澄まされた適応能力は今の生活を完全に受け入れていた。だからこの生活に入ってくる異物に対してかなり敏感になっていたのかもしれない。

当時まだ私は子供で、本質としては大人という存在に守られていなければ何もできない。それもあったからかもしれない。

真下で誰かが入ってきた音がした。おじさんが誰かと話しているようだった。

声からして若い男性のようだ。

ただ、その足音と声は再びドアが開く音とともに消えた。誰か来たのだろうかとレナと一緒に下へ降りる。万が一に備えて荷物は常に携帯している。

 

「おじさん誰かk…」

レナの言葉は最後まで続かなかった。

ショーウィンドウを破壊して大量の化け物が入ってきた。そいつらに向けておじさんがショットガンを放ったけれど、数に圧倒され押し倒されてしまった。

「おじさん‼︎」

 

「助けなきゃ!」

咄嗟に腰の銃を構えたけれど手が震えてしまって照準が合わせられない。それにもうおじさんは押し倒された時に首を噛まれていた。あれでは出血多量で助からない。そんな気がしてしまった。

実際引きちぎられる肉片に太い血管が見え隠れしていた気がした。

さっきまで元気だった人が目の前で殺される。そんな衝撃的な事だったけれど、あっけに取られていた時間は長くなかった。ただ、この場においては少し遅かった。

気づいた時には私達に狙いを定めた化け物たちが一斉にこちらへ歩き出していた。すぐにレナと一緒に反撃をした。

その時初めて化け物に向かって実弾を撃った。練習で言われていたことを忠実に守ったけれど、初めての射撃は早々当たるものではない。

引き金を引いた瞬間の反動は思ったより大きく。手がちぎれるのではないかと思った。その上爆竹とは比べものにならない大きな音で耳が遠くなったかのように思えた。

そんな思いをしてまで撃った弾は相手の口に命中し、顎を捥いだ。

血と肉片が飛び散り化け物の動きが止まった。だけれど倒れることはなかった。

そのまま襲いかかってこようとする。その恐怖に思わず足がすくんでしまった。

「子供⁈」

 

さっき入ってきた人と思われる男が化け物達の背後から攻撃してくれた。あっという間に頭が貫かれ、その場に化け物達が崩れ落ちていく。

「大丈夫か!」

その男性は、私たちに駆け寄って安否を確認した。やや金髪の若い男性。

イケメンと言う単語が当てはまるような人だった。ただときめいたかと言えば首を横に振る。

 

「あ…だ、大丈夫です」

 

「それよりおじさんは‼︎」

慌てて駆け寄ったけれど、すでに銃砲店のおじさんは息をしていなかった。

もう助からない……

「……ここは危ない。警察署に避難しよう」

この人はなにも知らないのだろうか……

「ところで貴方は?」

私の問いにそう言えば名乗っていなかったと言うことを思い出したのか彼は首の後ろをかきながら答えた。

「俺はレオン。ついさっきこの街にきたんだが……一体どうなっているんだ?」

ついさっき来た?厳戒態勢が敷かれているのに?というとまだラクーンに通じる道は生きているのだろうか?だとしたらそこを使って脱出することもできるかもしれない。

「私はメグミ、こっちは友達のレナータ」

 

「事情は歩きながら話そう。奴らが集まってきている」

いつのまにか外を見張っていたレナが、化け物が来ていると警告した。耳をすませば確かに化け物の呻き声がいくつも重なり合い遠吠えのようになって聞こえた。

 

「そうしたほうがいいな。動けるか?」

 

「問題ありません」

 

「私も準備はできているさ」

 

そう言ってレナが裏口の扉を開けた。外に化け物はいないようで、表と違って静かだった。彼女が急いで外に出ようとしたのはおじさんの死体を見たくなかったからだろう。

レオンさんがレナの前に出て先導を始める。

「警察署がどこにあるのかわかるのかい?」

レオンさんこの街に来たばかりで分かるのでしょうか……

「なんとなくな。一応ここの警察署に着任する予定だったからな」

だから街の地形は大まかには暗記したそうだ。

「それは災難だったね……」

 

「警察署もあの化け物たちに襲撃されてて…退去する可能性も出てたんだけど」

実際撤退が実行されたのかはわからない。撤退したのだとすればどこへ行ったのだろうか?ううんわからない。生きているのだろうか…

「そんなに酷かったのか?」

 

「2日前だけどね。化け物の大群に襲われて半壊してたよ」

レナがそう言ったけれど実際に壊滅したかどうかは分からない。

「……そうか」

レオンさんすっごい落ち込んでいるよ。

「でももしかしたら生存者がいるかもしれないし、もしかしたらまだ警察署として機能しているかもしれないよ」

それがただの希望観測なのはいうまでもない。だけれど可能性がないわけではなかった。それにもしかしたら脱出の手立てもあるかもしれない。

そう思考してしまっていると、不意に私の横の壁が破壊された。そこはトタン板で塞がれただけの簡易的なところで、考え事をしていた私は完全に行動が後手に回ってしまった。

咄嗟にトタン板がぶつかってくるのを防いだものの、それは悪手だった。

「きゃあ⁈」

 

私と同じくらいの身長の化け物が私に飛びついてきた。人間1人分を支えるような力はなく、踏ん張りも効かない私はそのまま押し倒された。

 

「メグミ‼︎クソっ!」

レオンさんが助け出そうとしたけれど化け物はこれ一体だけではなかった。2、3体と狭い通路に展開しようとして来ていた。

それを見過ごせば完全に囲まれてしまう。私を助けるのを一瞬だけ躊躇してしまった。

 

「う、嘘……」

 

レナが真っ青になってその場にへたり込んだ。私に襲い掛かろうとしてくる化け物は知り合いだったのだろうか?

体は腐った死体のようになり果て、どこかでみたことあるような服装をしたそれは、友人だった存在とどこか面影が似ているように感じた。ただ、そんな感傷に浸るより、生への欲求、そして分泌されたアドレナミンで私は興奮状態になってしまっていた。だからよく考えずその化け物の口に握っていた銃をねじ込み、引き金を躊躇せずにひいてしまった。化物の後頭部から血の花が咲いた。

ことぎれた体が私に覆いかぶさってきた。もうすでに死んでいるのに再び死んだというのもなんだか変な言い方だ。

 

「はあ…はあ…あれ?」

 

ようやく落ち着いて回るが見えるようになり、私もたった今殺した化け物に思い当たる節が……

「いやこれ…まさか‼︎」

 

嘘だと言って欲しかった。だけれど私がそんなまさかと思ってその体を退かせば、それが嘘ではないということは一目瞭然だった。

皮膚は腐り変色し、白目を剥いてしまっていたけれど、それは紛れもなくリサだったのだ。口に突っ込んで銃弾を撃ったおかげで顔は比較的原型を留めていた。だけれどそれが自身のやった事を責めているように感じて手が震え出した。

「嘘…そんな……」

私は友人だったそれを撃ってしまった。その事実が、少しづつ心を蝕み始めた。

 

「立てるか?ここは危険だいくぞ!」

それを押し消すかのようにレオンさんは私を強引に引っ張り上げた。いつの間にか破壊された壁からは何十という数の化け物が押し寄せてきていた。一斉に入ろうとしていて詰まってしまっているけれどいつ壁が破壊されるかわからない。死の恐怖が再び心を支配し、全てから逃げ出したくなって私はレオンさんについていくしかなかった。

 

化け物の合間をすり抜けるように駆け抜けていけば、いつのまにかあの門へ辿り着いていた。

あの時は必死に扉を叩いて入れてもらった。あの扉の先はもう何も聞こえない

 

「ああ…来てしまった……」

警察署は数日前に来た時よりもどこか寂れた雰囲気を強めてしまっていた。

実際寂れたのだろうか。雨が多いからそう見えるだけだと思いたい。

 

ただ、案の定中は化け物で溢れかえっていた。ホールには奴らの姿はなかったものの、テープで枠を囲われ固定されたシャッターの奥からは時々呻き声や何かがぶつかる音が響いていた。ホールもすでに安全なところではないのだろう。

これでは生存者も多分期待はできない。

それでもレオンさんは諦めるつもりはないみたいだ。実際監視カメラに助けを呼ぶ警官が映し出されていた。レオンさんは助けに行くようだ。

しばらくレオンさんと一緒に行動することにした。

 

一度ホールを出れば、停電が発生しているのか廊下は暗くなっていた。その上酷い死臭と、血の匂いが充満していた。

化物が何体もうろついているのか、ふらふらと動きながらバリケードの影から化け物が現れた。

全部を処理しているわけには行かない。だからバリケードをうまく使って袋小路に追い込み動きを止める。なにかと一直線にこっちに向かってくる傾向があるから騙すのはやりやすい。

ただ例外というのはどこにでもいて、それは意外なところからいつもやってくる。

 

「な、なんだこいつは」

 

そいつは天井を這うように移動してきた。

マービンさんを襲っていたやつだ。剥き出しの筋肉がヒクヒクと痙攣し、生理的嫌悪を誘う。

まるで蛇が周りを確認するかのように長い舌が出てきては周囲の空気を舐め回すように動き回っている。

 

素早く銃を構える。改めて観察してみるとそいつには目のようなものはなかった。もしかして目は見えていないのだろうか?ならこちらを確認する方法はもしかして耳とか蛇のような温度感知?

 

肥大化して飛び出している脳に大きくて重たい弾丸を叩き込んだ。3発目からは段々と引き金の弾き方、反動の逃し方を体が覚えてきた。

流石に撃たれてから動くのは遅すぎる。結果としてそいつはその場に脳をぶちまけて倒れた。

品定め中だったのか慢心していて助かった。あれが不意打ちをかけてきていたらと思うとゾッとする。

 

 

「誰か!開けてくれ!」

 

シャッターの向こうから声がした。

とっさにレオンさんがシャッターを開けようとしたけれど、潜れるスペースが空いたところでシャッターが動かなくなってしまった。

「早く捕まれ!」

さっき監視カメラ越しに何かを言っていた警官がシャッターから這い出ようとした。

だけれど上半身が出たところで、下半身を奴らに掴まれた。

いきなり引っ張られたことで思わず手を離してしまった。

「うわああ‼︎くっ!ぎゃああああ‼︎」

とっさに目を逸らしてしまう。その警官の叫び声は聞こえなくなってしまった。

「レオンさん?」

 

「振り向くな」

振り向けるはずがなかった。それは罪から目を逸らす行為だったけれど子供心に罪を認識するというのは無理な話だ。

 

先程の騒音で署内の化け物どもが一斉に動き出していた。

呻き声が大きくなってきた。

咄嗟に逃げようと提案しレナとレオンさんを引っ張って駆け出す。

案の定化け物がいろんなところから現れた。

警官だったものや避難してきた一般市民だったもの…侵入してきた奴らと様々だ。

ただでさえ数が多いのにこれでは対処できない。

すぐにきた道を引き返した。

 

だけれど途中シャッターが閉まってしまっている場所に出た。

下の方が潜り抜けられる程度空いている。シャッターをあげようとしたものの、全く動かない。レールが歪んでしまっていた。

「先に行け!」

レオンさんが後ろに向かって発砲しているのを聞きながら少ししか開いていないシャッターを伏せるように2人で潜り抜け、蹲み込んだレオンさんの手を掴んだ。すぐに引っ張るけれど後一歩のところで足をバケモノに掴まれてしまう。

「クソっ!このやろ!」

 

「まかせろ!」

突然第三者の腕が伸びてきて、化物をレオンさんから引き剥がした。

そのままそいつの頭をシャッターで押しつぶした。

それはあの時の黒人警官マービンさんだった。

「「マービンさん‼︎」」

相変わらずお腹の傷は出血をしていた。2日前につけられたはずなのに……いやこれは再出血してしまっているのか。

「なんだお前ら…結局戻ってきちまったのか」

 

 

 

比較的安全が確保されているホールでマービンさんのお腹の傷を応急手当てしながら、情報をそれぞれ交換した。

どうやら昨日警官と市民の一部を乗せて車で残りは脱出したらしい。だけれどその後も何人か生存者が入り込んでいたらしい。

 

警官の制服に着替えたレオンさんが、あの警官から渡されたメモの内容を聞いた。どうやらそれはホールにある地下への脱出ルートを示しているのだとか。どうやら私達が出た後駐車場に向かう通路の一部が崩壊してしまったらしく逃げようにも逃げられないらしい。

マービンさんはここを守ると言っていた。今になって思えば感染してしまっていてもう長くは保たないと気付いていたのだろう。怪我は見た目としては深刻そうなものではなかった。だけれどそれにしては様子がおかしかったのは今でも覚えている。

 

レオンさんの後をついていく形で署内の探索を行うことにした。

途中ヘリの音がすぐ近くに聴こえて、一瞬救助かと期待が膨らんだ。

その直後に爆発音と署が大きく揺れて、希望は墜落したことを悟った。どこらへんに落ちたのかはわからないけれど屋上あたりかもしれないとレオンさんは言っていた。

 

「なんか不思議な仕掛けだね……」

 

「美術館時代だった頃の名残なのかもしれないけれどなんでこんな…王家の隠し通路とかじゃないんだし」

 

なんかよくわからない仕掛けを解いている最中STARSと呼ばれる特殊部隊のオフィスに出た。

そこには中型の無線設備があったけれど、市内とアークレイ山地の一部までしか電波が届かない物だと前にマービンさんが言っていたものだ。

外部への救助依頼は出来なさそう。それに壊れているらしくこちらからの送信はできないらしい。

そこに生存者が入ってきた。どうやら私たち以外にも生き残りはいたらしい。

「クレア!」

 

「レオン」

入ってきた女大生はレオンさんの知り合いだったらしい。

少しばかり話していたけれど少し早口気味で若干鈍っていたせいでうまくは聞き取れなかった。でもある程度のところまでは聞き取れた。

 

「どうやらここに兄はいないみたいだ。ヨーロッパに向ったらしい」

 

私が会話を必死に聞いているとしてすぐ側で無線機が雑音混じりの声を拾った。どこかの誰かが通信しているようだった。偶然傍受してしまったのだろう。

『くそっ!撤退だ!撤退の合図が上がったときに時計塔まで行けばよかったんだ!』

 

撤退?時計塔?

 

『こちらシェパード1撤退命令は出ていないぞ』

 

『こっちは昨日鐘の音を聞いているんだ!迎えのヘリがきているはずだ』

よくわからないけれど…撤退中の人たちがいるって事だよね?もしかしてうまくいけば一緒に逃げられるかな?

 

「レナどう思う?一緒に乗せてもらうのって…」

ヘリの収納能力にもよるけれど多分いけるのではないのだろうか。だから首を捻って考え混んでいたレナに聞いてみた。

「多分できると思うけれど彼らが何者なのか分からないと危険だね」

状況からしてアンブレラの私兵部隊じゃないかな?確か警官隊が出動した時に一緒に展開するって言っていたし。

「でも物は試しね。やってみたほうがいいわ」

 

「メグも言うようになったね。うん、ならいってみよう。確か時計塔は避難所として指定されていた場所だから救助ヘリの発着も行われていたかもしれないし」

だとしたら余計に可能性はある。急ごう。

「時計塔へ行くの?」

私達が決意を固めていると、クレアさんが入り込んできた。

「ええ、ここからいけないようなところでもないですし……」

警察署ももはや安全ではなくなった。それに表からは化け物が集まりつつある。いつここも化け物で埋め尽くされるかわからない。だとすればまだ希望がある方へ行く方が良い。逃げられるうちは逃げる方がいいから。

「わかった。俺は他の生存者がいないかどうか確かめてから地下道で逃げる」

少しだけ議論した結果レオンさんとクレアさんは署内をまだ確認することにしたそうだ。入り口側には化け物が集まっていて脱出は難しいので地下道から逃げると言っていた。

「2人ともこれ、持って行きなさい」

選別よと言ってクレアさんはグリーンハーブをくれた。

「ありがとうございます!」

 

「こんなものでごめんなさい」

 

 

「それじゃあ急ごうか」

STARSオフィスを後にし、化物をやり過ごしながらようやく通路の一部が崩壊している場所へ来た。ここら辺には地下駐車場へ向かう道があったはずだけれどそれも瓦礫に埋れてしまっているのだろう。だけれど私達程度の体なら入りそうな隙間ができていた。もしかしたらここから通れるかもしれない。

 

ふと誰かが扉を開けた音がした。

「…えっとあれなに?」

音の下方向を向くと、そこには身長200センチを超える大柄なヒトがいた。いや、人のような形をとっているがそれは人とは明らかに違う何かだった。

肌は紫がかった黒で黒いコートを着込んでいる。一見すれば巨大な人。でもそれは明らかに人ではなかった。私達を見つけたそいつは一直線にこちらに向かってきた。

走ってはこない。だけれど大股で威圧するかのようなそんな歩き方だった。

「逃げたほうが良さそうだね」

 

「そ…そうね」

迫ってきた巨人がタックルをしてきた。レナを押して一緒に廊下の端に倒れ込んだ。そのまま巨人はバリケードに突っ込んだ。煙が舞い上がり視界が奪われる。

「いきなりなんなの⁈」

 

「わからない!」

 

向こうはこっちを見失ったと思いたくて、地下に行くわずかな隙間に飛び込んだ。完全に見失ったからか、それとも追撃不能と諦めたのかそいつはそれ以降追ってくることはなかった。

 

地下駐車場へ行くルートは、その一部が化け物との戦闘で崩壊してしまっているものの、私たちのような子供程度なら通れる抜け道くらいは出来ていた。

だけれど隙間を潜ることになって結構危険度は高い。服が少しなにかに引っかかって破けた気がした。

そこを通り抜け素早く駐車場に出る。近くで何かの唸り声が聞こえたけれど気にしないことにした。警戒はするけれどそれが一体なんなのかなんて知りたくもない。

幸い向こうは私たちを襲ってこなかった。それはそれで好都合だ。

 

駐車場の入り口にはエンジンがついたまま放置されているパトカーがあった。素早く運転席に乗り込む。

私が運転席でレナが助手席。座席の位置を調整してハンドルとペダルに届くようにする。かなり前になっちゃったからハンドルがすぐ近くに感じられる。

 

さっきの巨人が来るかもしれない。だからすぐに飛び出した。

道は格段に散らかっていて、荒れ放題だったけれど、それでも車が通るスペース程度は残されていた。車体を少しだけ物に擦り付けながら、車を進める。外は集まりつつある化け物で歩いて移動するのは確かに難しそうだった。

火災が発生していた場所も、火の勢いが弱くなっていて、通過することはできそうだった。

車体を火の粉が舐め回し、炎の中で蠢く化け物が車を取り囲もうとして陽炎のようにふらふらとしていた。

そんな火災地帯をすり抜けると、周囲は嘘のように静まり返った。いや実際には雨が降っていて視界は悪い状態だったけれどそれでもさっきの火災地帯よりかはマシだ。

「見えてきたわ!」

ビルの合間から一際高い時計塔が見えた。

道を占領しようとふらふら突っ立っている化け物を弾き飛ばす。ヘッドライトが壊れた気がするけれどいちいち気にしてはいられない。

数分ほどで時計塔の近くに来ることができた。

時計塔にの敷地には脱線した路面電車が飛び込んで止まっていた。乗っていた人たちはどうなったのか少しだけ気になる。

 

 

車から降りて敷地内に入ってみると、そこには墜落したヘリコプターの燃えかすが残っているだけだった。時計塔もよくみるとヘリが墜落したのか時計板が大きく歪み破壊されていた。

「そんな……」

 

「これじゃ流石に無理そうね……」

 

これからどうしようか…どうにか考えようとしたところで、レナの悲鳴が隣で響いた。

「イギッ!」

後で何かの声がした。

「レナ⁈」

振り返るとそこにはまた巨人がいた。だけれど警察署にいたのとはまるっきり違う存在だった。

あっちがただの巨人だったとすればこっちは触手をいくつも生やし顔はケロイドで変形したまさしく化け物だった。

そいつの触手の一本がレナの腹部に伸びて、赤い命の液体を垂らしていた。

「レナっ‼︎大丈夫なの⁈」

その場にレナは崩れ落ちてしまう。すぐに半身を持ち上げたけれど、未だに触手が貫いていた。それを引っ張って抜く。

「いっつ…すごく痛い…」

少し粘膜じみたものが覆っていて硬い薔薇の茎のような感触がした。

その化け物はこっちに向かってゆっくり歩みを進めてきた。狙いは私のようだった。私の中で何かが切れた音がした。

「この…化け物ぉおおお‼︎」

無我夢中だった。気づけば銃に入っている弾丸を全部使い果たしていた。

「逃げた…追い払ったの?」

予備弾を銃に入れてレナの容体を確認する。傷口は脇腹あたりにできていて、出血量は思ったより多くなかった。

「多分……」

 

もう二度と会いたくない。ケロイドでひどいことになっている顔の巨人とそうじゃない巨人と…化け物とは違う何か。もしかして誰かが意図的に送り込んだみたい。

 

でもそんなことを考えている余裕は私たちにはなかった。

「うぐっ……」

ハンカチを傷口に押し当て出血を抑える。

「レナ!どこか休めるところで休みましょう!」

触手は脇腹に入っていて内臓の損傷はしていないように見えた。実際出血量も少なかったし。それでも万が一ということがある。

 

幸い時計塔の内部は比較的安全な場所となっていた。

ただそこで私達は残酷な現実を知ることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

「完全に地獄だったんだな。ってかそのでっかい巨人って話聞いてるとなんか人によって作られたやつみたいだな」

普通の生活をしていたら多分信じなかっただろう。こんな状態になって初めてそれを信じようという気になったのはなんだか皮肉みたいだ。

ただ気になったのは巨人みたいなやつだ。いくらなんでもそんな黒いコートを着た化け物が人の手が加わっていないなんてことはない筈だ。だとすればそれは……

「まさか。そんなことありるわけ…」

そんなことあるはずがないとりーさんは首を振った。

「恵飛須沢さんの指摘は間違っていないわ。警察署で遭遇したのはタイラントと呼ばれる存在。詳しい事は後で話すわ」

ああそうか…なんとなく想像していたことが当たってしまったかもしれない。

「めぐねえ、その…街がそんなになっちゃったのって……」

少し悩んでめぐねえは、全部話すと言ったんだしと答えてくれた。

「もうちょっと後に話そうかと思っていたけれどやめるわ。原因はウィルスよ」

それは意外なものだった。寄生虫とかそう言った類のものかと思っていたんだけど。

「「「「ウィルス?」」」

私を含め全員の声がハモった。ウィルスってあのウィルスだよな?インフルエンザとか。

 

「正確にいえばアンブレラが作ったウィルスよ。元々がどんなものだったのかはわからないけれどね。そのウィルスは暴君(タイラント)の頭文字を取ってtウィルスと呼ばれていたわ」

 

「生き物をゾンビ化するウィルスか……」

 

「正確にはゾンビではないわ。あれは死んでいないのよ。いいえ、医学上は死んでいるという扱いらしいけれど」

めぐねえは不思議なことを言った。死んでいないってどういうことなんだ?

「どういうことなんだい?」

私達全員の疑問を代表して柚村がめぐねえに尋ねた。

「ウィルスの症状で、最も危険なのは大脳皮質の破壊による知能低下よ。これがゾンビのような状態にさせている一環とも言えるわ」

ウィルスで脳の一部が破壊されるか……それって脳死なのかな?知能と倫理観の欠如だけでそんなになっちまうのか。

「脳死に近いのか」

 

「ちなみに死んだ人を生き返らせるようなものじゃないわ。ただ死んだ細胞すら強引に活動状態にさせることができるから攻撃を受けても生半可なものでは動きを止められないわ。それにそんなことをすれば体は普段の何倍ものエネルギーを必要とするの。だから脳の壊死と合わさって最も効率的にエネルギーを取れる人間を喰らうの」

ってことはエネルギーが補充できるなら共食いだって別にいい訳だなって思ったら案の定そうだった。

 

「思いっきり今のあいつらと同じだな……だけどあいつら噛み付いて感染させるだけで食い殺そうとしているそぶりは無さそうだけど…」

確かに外をうろつくあいつらは噛み付いてくることはあるけれど共食いをする形跡はないし食べようとしてきているわけでもなさそうだ。

「あれがウィルスじゃない可能性もあるし新種のものかもしれないわ。ウィルスは変異性が高いから」

それもそうか…もう10年も前の事だ。ウィルスだって進化するかもしれないしこの街がこうなってしまった原因ってまだ決まったわけじゃない。そもそも原因が分かっても私たちにはどうすることもできない。

 

「ねえアンブレラ社ってどうしてそんなものを作ったの?」

 

「私も人伝に聞いた話だから詳しくは分からないけれど元々は生物兵器として作られていたものらしいわ。ただ事故で流出したみたいで……」

生物兵器…嫌な事を聞いちまった気がする。

「ってことは空気感染ってやつか?」

 

「ウィルス流出直後はそうだったらしいけれどあれは変異性が高いから空気感染は流出直後だけらしいわ。主な感染ルートは生活用水への混入と感染者からの経口接触、血液感染ね。爪で引っ掻かれただけでも感染するわ」

それは感染力が強いと言えるような気がするけれどインフルエンザみたいに空気感染の可能性が低いっていうのは良かったのかもしれない。

 

「なんだか広範囲感染しやすいのかしづらいのかわからないね」

それでも鳥インフルエンザみたいに長距離を移動する鳥に感染したら一気に広まりそうだけれどな。

「ただ動物以外にも植物にだって感染するし植物はウィルスによる変異性をもろに受けるから短時間で化け物へ進化するわ」

食人植物なんて笑えないわよほんと。

その言葉が重くのしかかった。植物ですら感染するなんて……それじゃあ魚や鳥なんかも感染しているってことだよな?やべえなそれ……本気で世界中に拡散しなくてよかったわ。

「なんじゃそりゃ。まさか虫も化け物になんて…」

 

「あったわよ。ただ、十分な栄養が補充できなかったり小柄な生物の場合ウィルスの引き起こす新陳代謝の強化に耐えられない場合が多くてすぐ死んじゃうみたいだけれど…」

柚村の問いになに当たり前だよ感出してるんだメグねえ。怖いだろ!

「え?虫も化け物に?」

 

「あれは多分ミミズだったかしら?十メートル近い大きさになって先端にも巨大な口ができていたわ」

「「気持ち悪っ(いわ)」」

 

「人や動物に感染した場合でも変異性なんかが強いから十分なエネルギーを確保できてしまうと宿主の体をより強い存在に変化させるの。警察署とかで遭遇したい四足歩行の化け物はもともと人だったって話よ」

 

信じられる?とめぐねえは疲れたように笑った。

確かに信じられない。非人道を通り越して尊敬すら覚えてしまいそうなものだ。

「ってめぐねえの友人そんなのに感染したのか⁈どうするんだよそれ…」

思いっきり変な巨人の触手攻撃が体に刺さってたよな⁈大丈夫だったのかそれ…

「近くにあった中央病院で抗ウィルス剤を作ったのよ。あそこ…大規模なアウトブレイクが発生する半月ほど前からウィルスに感染した患者が送り込まれていたみたいでワクチンを完成させる手前まで来ていたのよ」

大規模なものの前からも感染者がいたのか…ほんといつから感染が広まり始めていたんだか。

「一応聞くけど病院職員は…」

 

「私達が来た29日の夜には既に壊滅していたわ。日記や記録から27日までには機能を停止していたみたい」

 

「そっか……」

 

「そもそもまともに機能しているところなんてもうなかったのかもしれないわ」

話を聞いている限り確かにそうかもしれないな。

「よく生き残れたな……」

 

「生きる気力を失わなければなんとかなるのかもしれないわ」

確かに言えてるな。こんな状況だし。

 

「まあその病院も地獄でしかなかったのだけれどねBOWってなんの略か分かるかしら?」

なんだそれ?

 



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9.勝ったな風呂入ってくる

仕上がったので初投稿です


多分予定通りに戻った(戻ってない)RTAはーじまーるよー‼︎

 

はい、過去編も最終章に入りましたね!というわけで9月29日の真夜中。我々は未知の病原菌に対するワクチンを探すためアマゾンの奥地へと向かった。

というわけでラクーンシティ総合病院です。時計塔の裏手1ブロック隣にある立派な建物です。

 

というかここの人たち何かと凄かったのですよねえ。何せ一ヶ月かからずしてウィルスの特定とそれに対するワクチンを生成する一歩手前まで来ていたんですからね。

普通こう言ったものって一ヶ月ほどかかると言われているのに。

ここの医者達は化け物か?いやもう化け物なんですけれどね。

 

先導は機関銃を持っているカルロスに任せてよちよちついていくことにしましょう!

幼女に頼られているカルロスさんもどこか嬉しそうです。

ここのルートは本来一緒になって行動するのが安全ですがそれだと時間がかかるのでエレベーターに乗るときにめぐねえは地下の探索に行くことにしましょう。反対にカルロス兄貴は四階へ行ってもらいます。

ちなみにここも入るスペースがあまりありませんが25日以前に病院に行くといろんなところを見に行くことが可能になっています。

手術室とかもそうですし各階のお部屋とか。そうやって探索してみると意外と広いんですよねこの建物。

 

というわけでカルロスが四階に行ったのを見届けて戻ってきたエレベーターで地下へ行きます。

へいお前ら!元気にしているかい?あ、寝てた?ごめんごめん。

 

地下の研究室には眠らせて頑張って捕獲したハンター達が眠っています。よくこんな奴ら確保できたよなあ。やっぱりここの職員普通の人やめてますやん。

なんでこんな奴ら生け捕りにできるんや。

 

ここの奥にある薬品生成装置を観察、マニュアルを読むの順で行動すると、カルロスがやってきます。

 

はいやってきました。あとは彼からもらった試薬と培養液を機械にセット。

電源を起動して調合します。

この間眠らせているハンター達のカプセルから液体が抜けてしまいますが別に起きることはないので大丈夫です。

後は簡単に左右左とポチポチゲー。

 

 

はい完成です。これでレナータとジルは安泰です。ワクチンができたので帰りましょう。もうこんなところに用はねえ!

ここで扉の近くに行くとハンターが機械から飛び出してきますが無視です。

さっさと帰るんだよう!こいつらの相手なんかしているひまはねえ!タイムが、タイムが!

ちなみに廊下で眠っていたハンターも起き上がっていますがこいつらは場所配置がランダムなのでなるべくカルロス兄貴と一緒に倒しちゃいましょう。無理に突破しようとすると必ず事故ります(4敗)

特にめぐねえの場合1発でも喰らうと死んでしまうので。別にノーダメクリアを狙いいているわけではないのですがハンタークラスの攻撃は当たれば即死。ゾンビの噛みつきだってやられたら即死と体力という概念をぶっ壊してきてきているのでダメージ受けられないんですよ。なんだこのポケ鬼感。

まあエレベーターに乗ってしまえば良いのでダウン取らせるだけで良いんですよ。

 

はいエレベーターには入りました。

一階に到着すると大量のゾンビーズがエレベーターになだれ込んできます。

ここは流石に援護しましょう。ただし使うのは3発までです。これ以上の消費はラストまでの弾薬補充が望めない事などを考慮するとボス戦で摘みます。

 

 

はい皆さん用意はいいですか?もう直ぐ扉開きますよ。

オラオラ!死ねやごらああ!

一体1発で十分なので倒すのは楽です。しかし数が多いので困り物ですよねえ。

カルロス兄貴やっちまえ!全員殺すのだあ!

あースッとしたぜ。というわけで全員倒し終わったので走りましょう。

 

おやあ壁で何かがチカチカしていますねえ、

 

ここでカルロス兄貴が何かに気づきとっさにめぐねえの手を取って駆け出します。もちろんさっきカチカチと柱で音を鳴らしていたもの……爆弾です。ニコライによって仕掛けられたものです。これはやばい。

 

はい全力ダッシュ。5秒以内に病院から脱出しましょう!

ヌコ動本社爆発に巻き込まれる義理はねえ‼︎さらば旧本社!

 

 

爆破あああっ‼︎

 

汚え花火だ。

ニコライさんって意外と建築工学に精通しているんですかね?人1人が持ち運べる程度の爆薬であの大きな総合病院をちゃんと爆破解体出来ているんですから。もしかしてアンブレラに来る前は爆破解体業でもやっていたのでは⁈

まあ考察は私の仕事ではありませんので放って置きましょう。

 

とりあえず精製できたワクチン(四本)を持って帰ることにしましょう。

ちなみにこれらワクチンのうちめぐねえ分は保険のようなものです。今のところ感染していないのでいらない子なんですよね。まあ保険として持っておきましょうか。

 

なんかすでにめぐねえの正気度が限界突破しているような気がするのですが。仕方がないですねだってさっきからずっと戦闘続きなんですから。

 

さあさあ早く戻ってレナータとジルを助けるのだ!

あ、またネメシスじゃないですかー。三十六計逃げるに如かず!

 

まだ追ってくるぞあいつ。

 

おら逃げろ逃げろ‼︎

あんなの近づくのだって嫌だよ!触手うねうねしているし。しかもエ◯同人みたいな触手じゃなくて色物のツタみたいな硬いやつだもん。

 

というわけで戦闘はカルロスに任せます。しばらくマシンガンで気を引いてくれていますのでその合間に端っこを通り抜けて部屋に飛び込みに行きます。

薄情かもしれませんがまあ少ししたら追いついてくるのでここは任せてもいいです。

 

ほい、セーブルームに滑り込みイン!なぜかこの部屋にあいつは入ってきません。

不思議ですよねえ。入ってきていいわけじゃないですけれど。

はいカルロス早く2人にワクチンを導入するのだ!当然注射器は人数分持ってきています。使いまわして別の感染症とかになったら目も当てられませんからね。

2人の症状は近づくと頭の上に表示されます。

まだ風邪の症状と似た発熱や疲労感だけですね全然間に合う!

これに全身の皮膚の痒み、意識レベルの低下が追加されたらもう手遅れです。早めに頭を打ち抜きましょう。

 

というわけでワクチンを打たせて終わりです。特に何をするわけでもありません。後は体力が回復するのを待つだけです。でもこれのせいで1日ロスなんですよね。まあ幸いにもこの間特に何もしなければ扉の出入りグルグルで1日はすぎていくのですけれどね。

でもそんなことをするのはちょっともったいないので少しカルロスさんとお話ししましょう。適当にテキスト流していればOKです。

 

お、ご飯もらえました。ラッキーです。少しは体力と正気度が回復します。特にお菓子系は歓迎されますがアメリカのお菓子って当たり外れが大きいんですよね。

 

というわけで三十日になりました。

昨日の時点である程度好感度を稼いでおくとカルロス兄貴から脱出の選択肢が言い渡されます。これで最短ルートヘリ強奪に行くことができるようになります。

 

ここから街の北の方に行ったところでも部隊の回収作業が行われていたというものです。ただしこれは一般隊員ではなく設置された司令部が脱出するためのものと聞かされているようで一般人の救助もやっていないのだという。ただそれでも可能性は否定できないとのことです。

というわけでこれが聞けたらレナが起き次第出発とします。ちなみにカルロス兄貴はそこへ行かないのかと聞いてもそっちにいっても射殺される可能性のほうが高く危険であるので他の脱出経路を探すのだとかなんとか。

 

おらおきろレナータ!おめえもう大丈夫だろう!

はい起きました。それじゃあいきましょう。日の出まであまり時間がありません。

北部まで移動するのは徒歩でもできますが事故の元ですのでなるべく車を使います。昨日乗ってきたパトカーがまだ生きているのでそれを使いましょう。

 

ジルはジルでラクーン公園に気になるところがあるらしくそっち側を見てみるとの事です。

まだこの時点で街が滅菌作戦で吹っ飛ばされるなんて知らないでしょうから仕方がありません。でもこっちはそれどころじゃないんですよ。ちなみにジル達と一緒に行くとレナは必ずネメシスにやられます。なんてこったい。

幼女に厳しい世界。

 

パトカーはしっかり止まっていますね。では早速乗り込んでキーをひねります。エンジン音で周囲のゾンビーズがやってきてしまうのですぐに発進しましょう。

ちなみに車であってもバリケードや事故車、放置車両でまともに走ることはできないのでちゃんとルートを覚える必要があるのは言うまでもなく、むしろいろんなもので散らかっているからがっこうぐらし本編より身動きがしづらいです。

間違えたらリセ案件です。

 

はいここを右で後は道なり。そうするとビルの合間から見えてきました。

少し広めの敷地に銃座と土嚢によるバリケードなどが設置されておりなかなか立派な撤退場になっています。

しかしここに人の姿はありません。

避難はもう終わっているのかと思うでしょうがそういうわけではありません。

バリケードの手前で車を止め、土嚢をよじ登ると中は死体だけしかありません。

ヘリ発着場になっているところには破壊された車やヘリなども置いてあります。その中に一機だけ無傷で止まっているヘリがあります。それを調べるとボス戦に入ります。

 

バリケードの外に止めておいたパトカーが吹き飛ばされ土嚢を蹴り飛ばして奴が入ってきましました。

すごく、おっきいです。

 

はいここのラスボスはタイラントです。それもただのタイラントではありませんスーパータイラントです。

ちなみに警察署の個体とは違います。

こっちは米軍特殊部隊を迎撃するために投下されたものの生き残りで既にコートがなくなり暴走状態になっています。いやあBGMがいい味出していますねえ(バイオ2)

 

はいムービースキップさっさと殺すぞおら‼︎

 

ちなみにこいつロケットランチャーかパラケルススの魔剣じゃないと倒せません。

なのでまずはこのどちらかを取りますが…魔剣はここにはないですし起動に時間がかかるのでロケットランチャーを使用します。

 

って言ってもこっちだって見つけるの苦労するんですけれどね。

そこらへんに転がっているものでもありませんし。

 

しかしここは最後の輸送へリ発着場!大体は放棄されているトラックの中にランダムで出現します。

ただそんなもいちいち待っているわけにも行かないのでレナにロケットランチャーを探すように指示。こっちは彼女がランチャーを持ってくるまで注意を引きつけます。

おっとここでカウントダウンは入りました!

このカウントがゼロになるとミサイルが弾着し死んでしまいます。

ちなみにレナは確定で1分ほどでロケットを持ってきてくれます。自分で探すとどうしても運任せでタイム差が大きく出ちゃうんですよね(4敗)

 

 

 

元々この場所はデータ取りに使用したタイラントや研究所で実験中だったサンプルの一部を避難させるために設けられたところです。

一応UBCSの監視員を回収するのも目的の一つだったようですがその前に化け物の襲撃を受け完全に破棄されてしまった場所のようです。

どんな化け物だったのでしょうねえ……

 

はい壊滅の原因って実はG生物の一つです。

29日にここに来るとタイラントの代わりにG生物とのガチバトルをすることができます。このG生物がここの人たちをヌッコロして壊滅させたもののようです。

ただしタイラントの方が遥かに楽です。

防爆コートのないタイラントなんてただのカカシですな。

 

とは言っても全然怯んでくれません。それでも一応全弾叩き込めば一回は動きを止められます。その合間にバリケード近くに設けられた機銃に飛びつきます。

非常時のためにいつでも撃てるようにセットされているので後は目標をセンターに入れてスイッチ。

固定された重機関銃なので反動はほとんどなく素直にまっすぐ弾を飛ばせます。ちなみにここに設置されているのは安心と安定のM240。米軍払い下げ品です。

弾もたっぷりあるので沢山食らわせましょう!って言っても硬いんですけれどね。弾かれますし。ちなみに弾も50発しかないので数秒で撃ち尽くしてしまいます。

やっぱり12.7ミリとか欲しいんですけれどねえ。それだって効果あるかどうか…

映画だとアヴェンジャーの30ミリで木っ端微塵になっているから大口径機関砲だったらある程度抵抗できるはずなんですけれど。

 

「見つけたよ!」

 

きっかり1分でレナがロケットランチャーを見つけてくれました。では射線から離れましょう。

「おい化け物!食いやがれ」

とは言っても1発ははたき落とされるんですけれどね。

カッコつけたのになんだか残念。

というわけで2発目でとどめです。

はいボス戦終了。結構簡単でしょう?(5敗)

 

いやあスーパータイラントなんて遠距離からチマチマ攻撃しておけば全然簡単ですよ(慢心)

 

無事なヘリが一機だけ残っています。これを使って逃げることにしましょう。

いやあいいところにヘリがいて助かりましたわ。

もちろん操縦はレナに任せます。さあミサイル着弾まであまり時間がありません。

後5分もしないうちに第一派が着弾してきます。

 

どうやらタイラントが破壊したバリケード部分から大漁のゾンビとゾンビ犬が入ってきました。いやあ間一髪です。あれ2分以上相手しているとこいつらも入ってきて大乱闘ゾンビブラザーズが始まるんですよ。超ロスなのでRTAでは絶対にやってはいけませんよ(2敗)

普通のプレイでもまずやりたくないですし!

 

 

お、他の生存者を探しに行くかどうかの選択肢が出ましたね。もちろんいいえです。時間ないですからねRTA的に(クズ)

 

 

なおここからはムービーになるのでスキップです。

見たかった人のために動画の最後に大画面ノーカット版を置いておきます。

 

というわけで過去編終了です。次回からは時系列が戻りがっこうぐらし本編をほのぼのやっていきましょう!



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脱出

正直私はこの化け物がウィルスによって生み出された化け物だと言われてもいまいちピンとこなかった。

それでもレナの容体がおかしくなってきていることと、STARS隊員だったというジルさんのいうことは辻褄が合う。途中で襲ってきたリサもきっとそうだったのだろう。だけれど今更苦やんでも意味はないしもう助からなかった。

アンブレラ社が兵器としてこれを作ったのはまだちょっと信じられないけれど。

 

でもこれってレナは感染していて奴らみたいになってしまうってことなんじゃ……

ジルさん達のところに運良く逃げ込めてから2時間。レナの顔は青白くなって呼吸も浅くなり始めている。

熱があるのかさっきから汗を流しっぱなしだった。ジルさんも似たような状態だった。

 

このままじゃ……そんなの絶対嫌!どうにかしないと……でもウィルスなんてどうしたら。

私は薬学の天才でもなんでもない。ごく平凡な中学生だ。ワクチンを作るにしたって何をどうすればいいのかなんてわからない。

ジルからの話を聞いて俯いてしまった私、どんよりと重くなった空気を竜の息吹で吹き飛ばすかのようにカルロスさんが立ち上がった。

「俺は諦めねえ!どうにかして2人を助ける方法をさがすさ」

そうだった。まだ諦めるのは速い。

諦めて仕舞えば一瞬で終わる。その先にあるかもしれない奇跡だってもう届かない。ガムシャラでも良い。頑張ってみよう。

「私も協力するわ」

ちょっと待ってとレナが静止をしようとしたけれどそれを私は無視した。

「そんな青鯖が空に浮かんだような顔して一緒についてこられても危険なだけよ。ジルさんとおとなしくしていて」

 

「え?あ……うん」

呆気にとられたレナに信じて待っててと言ってカルロスさんの隣に行く。

 

「メグミ、ならついてきてくれ」

準備はもうできている。覚悟も決めた。迷うことなくカルロスさんについて行くことにした。

部屋を後にし、時計塔の中を進み始めるカルロスさんにどこに行くのかを聞くことにした。

「どこに行くんですか?」

もしかしたら彼自身もわかっていない可能性があったけれどそういうわけではないみたいだ。確証は無いけどと言い、彼は続けた。

「ここから1ブロック北にラクーン総合病院があるんだ。もしかしたらウィルスの手掛かりがあるかもしれねえ」

 

実はカルロスさんは抗ウィルス剤を持ってはいた。ただそのワクチンは質が悪く、量も少ないため使い物にならないそうだ。実際あの化け物が宿しているのはかなり濃度の濃いものらしく、ジルに試しで打ってみたものの効果はないそうだ。

ただもしかしたらそのウィルス剤を強化したものを作れる可能性は残っていた。無頭滑稽かもしれないけれどカルロスの話では作戦では総合病院の確保もかなりの優先度の目標になっていたようだ。

裏の扉を開けると、そこには大量の生きる屍がいた。扉を開けた音に反応したのか私達を視認した屍がいっせいに動き出した。

 

「足を引っ張るなよ。自分の身は守れるな?」

アサルトライフルを構えるカルロスさんに続いて銃を構える。

「大丈夫です!」

私の返事を聞いて安心したのかカルロスさんは笑った。

「いくぞ!」

 

目指すは建物の影から少しだけ顔をのぞかせている白い建物。

目の前に迫る化け物の頭を正確に撃ち抜く。

動きも遅くふらふらとはしているけれど基本的に避けてはこない。不思議と私はあの時1発も外すことはなかった。

銃を初めて扱ったはずだったのに不思議だった。きっとレナと銃砲店のおじさんの教え方が上手かったのだろう。

前方にいる化け物を永眠させカルロスさんと共に駆け出す。

彼らは確かに脅威だけれど、動きに関してはあまり早くはない。

 

 

ラクーン総合病院の表玄関は、意外なことに綺麗な状態だった。普通発症した患者は真先にここに送られてきていたはずだけれど…誰かが片付けたのだろうか。

ガラス張りの扉の向こうは非常灯に照らし出された待合室が浮かび上がっていた。

化け物の姿はどこにもない。鍵も開いていた。

なるべく音を立てずに建物の中にはいる。

化け物がいないとはいえ中は相当に荒れていた。植木鉢は倒され、ソファもズタズタで転がっていた。よく見れば化け物であったもの、化け物になる前に自殺を選んだ者たちの末路がソファやカウンターの影に転がっていた。まだハエも湧いていない。最近できたものなのだろう。頭は嫌なほど冷静だった。

「人…いなさそうですね」

 

「だが手がかりはあるかもしれない。医者のデスクとか探ってみる価値はありそうだな」

カウンターの奥の部屋に行ってみると、そこはソファと机、後はカルテばかりが治められた棚の質素な部屋に出た。

どうやらここは応接間のようなところらしい。カウンターの裏側にこれってどうなっているのやら。

だけれどこの部屋の隣には普通に看護師の待機ルームのようなところもあったから構造的にはおかしくはないのだろう。

 

机の下に日記手帳が落ちていた。カルロスさんがそれを拾って中を確認していく。

「……どうやらワクチンの精製一歩手前までいっていたみたいだな」

 

「ってことはもしかして!」

 

「ああ、何とかなるかもしれねえ。ワクチンの精製は…」

カルロスさんはカウンターの近くにあった職員用の館内図をとってきた。それによるとワクチンなどを精製する機械はまとめて地下に置いてあるそうだ。

ただワクチンを精製するのに必要な材料がそこに揃っているかと言われるとなんとも言えない怪しさがあった。

この混乱でワクチンの材料が失われている可能性があるからだ。

「別れて探索したほうがいいかしら?」

階段はバリケードがわりにしたであろうロッカーなどが邪魔をして通れそうになかった。ただエレベーターは健在だった。

「なら俺は四階から上を調べる。君は地下の機械から調べてくれ」

 

「分かりました。気をつけてください」

 

「そっちこそな」

 

上昇していくエレベーター、やがてそれは4階で止まり、再び降りてきた。それに乗って私は地下のフロアへ向かう。館内の至る所で停電が発生しているのか到着した地下は薄暗かった。

 

ワクチン精製機は案の定すぐ見つかった。ただそれら機械の隣でよくわからない液体に漬けられた化け物に目がいってしまう。

それらは人型でもましてや警察署であったあのよくわからない化け物でもない初めてみる存在だった。

潰れたカエルのような頭に鋭く伸びた爪、体格は私とほぼ同じくらいだろうか。明らかにそれは自然に生まれるようなものではなかった。これがジルさんの言っていたB.O.W…生物兵器なのね。

 

近くにあったレポートでこれが医者達の決死の行動で眠らせて捕獲することに成功した個体らしい。地下下水道を伝って地下に入り込んできていたようだ。他にもウィルスに感染したヒルもいるそうだ。

考えただけでもおぞましい。

 

いや今は機械の方をどうにかしないと。

精製機ってこれね。ご丁寧にアンブレラ社製だこと。

 

すぐ近くに操作マニュアルがあって助かった。それとすぐ近くの冷凍庫に培養液が入っていた。あとはこれに試薬があればワクチンを作ることができるらしい。試薬が作られていたのかは定かではないけれど今は信じて待つしかない。配電盤や電気コードは幸い無事で、スイッチを押せばすぐに起動できる状態だった。

 

少ししてカルロスさんがやってきた。

「ここの機械でワクチンの試薬と培養液を使ってワクチンが作れるみたいです。でも試薬が……」

 

「ああ、試薬ならあったぞ」

 

カルロスさんはそう言って胸のポケットから紫色をした液体の入った小さなカプセルを取り出した。

その時の私は嬉しさとよくわからない感情で大混乱していたのだろう。

 

早速それを機械にセットして電源を入れた。だけれど病院内の電力供給が不安定らしく、別のことに使用している電気まで使用して機械が動き出した。

真横で化け物の入った水槽から液体が引き抜かれていく。あれ動き出したりしないよね?

 

それでも何とか動いてくれた機械でワクチンを生成することはできた。出てきたそのワクチンをカルロスさんはポケットに入れていく。

操作が難しいんだか難しくないんだかよくわからない手順で動作するのはきっとこの機械を作った人の趣味だと思いたい。

 

目的も果たしたからすぐに戻ろうと部屋の扉を開けようとして、真後ろでおぞましい金切り声が響いた。

 

「あいつら!走れメグミ‼︎」

振り返る間もなく扉を開けて外に出る。後ろではガラスの割れる音が響いていた。カルロスさんが出たところですぐに扉を閉める。ドアのロックをかけたところで扉に奴らが突進をかましたのだろう激しい揺れと音で体が吹き飛んだ。

幸いにも扉は歪んだだけだった。

近くに転がっていた鉄パイプをカルロスさんが扉と扉に挟み込んで固定した。

 

 

「急ごう!長くは保たない!」

 

そう言って駆け出そうとしたカルロスさんだったけれど、廊下の向こう側にさっきのと同じ化け物がいることに気がついて動きを止めた。

そいつの目のような器官がこちらを睨んだ気がした。瞬間その化け物はものすごい速さで襲いかかってきた。

 

「クソッ‼︎」

攻撃のために飛び上がった瞬間をカルロスさんは狙い撃ちにした。

 

2人揃って駆け出す。エレベーターは地下に到着した状態のままだった。

飛び乗って真っ先に閉まるボタンを押す。金属の飛び散る音が響いて扉が吹き飛んだ。化け物たちが飛び出してくる。

ただ駆け出した頃にはエレベーターの扉は閉まり始めていてどう考えても間に合ってはいなかった。映画みたいにギリギリになって閉まるなんていうのは胃に悪すぎるし絶対にやりたくない。

 

少し気を落ち着かせてほっとしていると、上の方が何やら騒がしいように感じた。まさか……

 

「構えろ。おそらく…」

 

チンと音がしてエレベーターが一階に到着した。

ゆっくりと扉が開いていく。そこは大量の化物がこちらに入ってこようと待ち構えている地獄への門だった。

 

構えていたカルロスさんがライフルで次次に化け物を張り倒していく。

私も構えたマグナムでカルロスさんの射撃から逃れた化け物を吹き飛ばす。

 

「弾切れ!援護してくれ!」

 

「分かった!」

マガジンを交換する合間入ってこようとする化け物の頭を吹き飛ばす。そうしているうちにようやく全ての化け物を片付けることができた。

危なかったと言ってエレベーターを降りる。

 

何かタイマーのようなものの音が聞こえる気がした。

瞬間私はカルロスさんに手を掴まれて出口に引っ張られた。物凄い速さで振り回されながらも病院から飛び出したカルロスさんは道路の端っこで大破した車の後ろに私を抱えて滑り込んだ。

 

その直後耳が聞こえなくなった。お腹を揺さぶる振動と埃が視界を奪った。

暫くして耳鳴りのような音がし始め、周りの音がようやく聞こえてくるようになってきた。その頃には周囲の煙も晴れていて、周りで何が起こったのかがわかるようになってきていた。

病院は瓦礫の山となり、所々で炎が上がっていた。

爆破されたのだ。それも徹底したものだ。

 

 

「大丈夫か?」

 

「ええ…なんとか」

 

一歩遅ければあれに巻き込まれて今頃サンドウィッチにでもなっていたところだ。

私達はつくづく運がいい。

少しだけその場で息を整えてからレナ達が隠れている部屋に向かう。

だけれど、表玄関側に行ってみると、そこにはあのケロイドの化物がうろついていた。

「あいつしつこすぎるだろ」

どうやらカルロスさん達と少なからず因縁があるらしい。

「追いかけられていたんですか?」

 

「ああ……クソッ‼︎こっちに気づいた‼︎」

 

視線をあの化け物に戻せば、物陰から観察していた私達に向かってまっすぐ突き進んでいていた。

カルロスさんが前に飛び出し、牽制射撃を行う。隠れていても追い詰められるだけ。怖いけれど素早くそこから飛び出し、化け物から距離を取るようにして逃げる。

「先にワクチンを持っていけ‼︎」

 

カルロスさんがワクチンを押し付けてきた。最初は受け取るのを拒もうか考えてしまったけれど半ば強引に渡されてしまった。

 

「カルロスさん!」

 

「任せておけ!」

 

そう言ってカルロスさんは化け物を引きつけるために敷地から飛び出した。外は事故車や放置車両が散乱している。

ついていっても足手まといになるだけだと言われたような気がして、私はジルさん達がいる部屋に駆け込んだ。

ちなみにカルロスさんは私が飛び込んだ十分後には何事もなかったかのように部屋に滑り込んできていた。

 

 

持ち帰ったワクチンをすぐにジルとレナに投与すれば、効果はすぐに現れ始めた。

真っ青だったレナの顔色も2時間すれば元に戻り、体調不良や気怠さも6時間も経てば無くなったと言っていた。

どうやら相当効果があったらしい。

もしこれの精製が間に合っていたらもっと事態は抑えられたのではないだろうか?まあ今更たらればの話をしても仕方がないのだけれど。

 

比較的感染してから時間が経っていなかったレナはすぐ回復したけれどそれでも大事を取って1日休むことになった。

その間カルロスさんといろんなことを話した。

例えばUBCS…アンブレラバイオハザード対策部隊の事とか、今まで何を見てきたのか。

そうしているうちに29日も開けて30日に変わり陽が昇る頃私は仮眠に入った。

 

行動をしようとなったときには再び日は暮れてしまっていた。まあ私が寝過ごしてしまったということもあるのだけれどねまさか12時間近くねてしまっているなんてと蓄積された疲労に恐怖した。

 

「さてこれからどうするかよね……」

ジルさんとカルロスさんの話では救出した民間人と隊員の回収はここ時計塔で行われる予定だったのだとか。しかしヘリを落とされてしまいさらにヘリを呼ぶための鐘もその時に破壊されてしまっていてもう使用できない状態だった。

他に避難所に指定されている場所は無ない。

「脱出の手立てはあるのかしら」

 

「そういえば一部物資回収と部隊長だけは別の場所で回収ってなってたな」

カルロスさんがそんなことを突然言い出した。

「それ本当なの?」

 

「盗み聞きしただけだから確証はないが、ここから北にメインストリートを進んだところでヘリの発着場を設営しているみたいでな。そこで合流するらしい。ただ俺たちただの隊員には伝えられていないし民間人の救助もここはやっていないだろうけどな」

 

「でももしかしたら……」

 

「おいおいやめておけよ。あいつら民間人だろうが仲間だろうが容赦なく殺していくやばい奴らだぞ」

確かにそれは危ないかもしれない。だけれどそれをいちいち心配するのと目の前に迫る死とどっちがマシか考えたら……

レナも同じ考えだったらしい。

「ヘリがあれば奪うし、もしかしたら他の脱出経路の手がかりだってあるかもしれないから私達は行ってみるよ」

 

「子供だけっていうのも心配だけど…私達についてきても似たようなものね」

 

「ジルさんはどうするんですか?」

 

「まだ調べたいことがあるの。それが終わったら脱出するわ」

調べたいこと…きっとアンブレラに関することなのであろう。それも気になったけれど今は生き残るのが先決だ。

ふと遠くで何かの咆哮が響いた。この叫び声は多分あの化け物なのだろう。

「しつこすぎるな」

 

「ここも安全ではなくなってきたわ。急いでいきましょう」

ジルさんとカルロスさんは裏口から公園の方へ抜けることにしたそうだ。

 

そうなるとここで私達とは別れることになる。色々と話もできたしカルロスさんも傭兵だけど別に悪い人ではなかった。レーションも分けてくれたし。

ただどこか人と一線を置いている感じはした。まるで自衛官である自分の父のようなそんな親近感を覚えた。

 

 

 

 

表に止めておいた車に急ぐ。昨日ここにきたときと同じようにパトカーは佇んでいた。レナは刺された脇腹が痛むのかあまり激しくは動けそうになかった。傷口は消毒と止血をしただけなのでいつ再出血してもおかしくないそんな綱渡りな状況なのだ。

今はカルロスさんにもらった鎮痛剤(案の定アンブレラ社製)を打ち抑えているけれど実際にはすごい痛いはずだ。

 

燃料も少なくなって少し心ともないけれど今はこのパトカーに頼るしかなかった。それに飛び乗り時計塔を後にする。ジルさん達がその後どのように脱出をしたのかはわからない。だけれど無事だったという事実は人伝だけれど聞くことができた。

 

バリケードや事故車が放置されたままの道路は、元々道や街の作りが古く細く狭いだけあって車の進行をこれでもかと阻害していた。

何度か化け物を跳ね飛ばしたり四足の化け物を轢き殺したりしながら突き進むこと1時間。

ようやくヘリの発着場が見えて来た。今までの、車やそこらへんにあるもので作られたバリケードではなく土嚢と鉄条網で完全に武装化されたそれは軍事的なものだと知らしめていた。

車を止め、どこかに出入口はないのかと少しバリケードに沿って歩いて散策すれば、一部の鉄条網が引きちぎられ、土嚢もいくつか崩れ去っている場所を見つけた。

そこから登ってバリケードの内部に潜り込んだ。

 

 

ヘリの発着場はみごとに荒れていた。

土嚢のバリケードの内側では戦闘が起こったのだろうか何人もの人間の死体と、破壊された車やヘリコプター。何かの体当たりで変形したコンテナなどが散乱していた。

「ひどい……」

 

「ここも化け物に襲われたみたいだね」

比較的原型を留めていたテントの下に、中型の無線装置が置かれていた。

通信は生きているようで、何処かと繋がった状態になっていた。

無線から聞こえてくるのは緊急事態を示すコールだった。

『夜明けと共にコードXXが発令される。ただちに街から待避せよ。繰り返す……』

「コードXX?」

 

「よく分からないけれど街が大変なことになる何かだろう…早く脱出を急いだほうがいいかも」

前後の言葉からして街を吹き飛ばすとかそういう類のものだろう。

夜明けまではもう時間が残っていなかった。すぐにヘリの駐機場に行ってみた。そこにあったヘリはたった一機それもテイルローターが破損して飛べそうになかった。

しかし発着スポットに止まっている軍用ヘリコプターのようなものは意外にも無事だった。

レナが駆け寄って中をくまなく調べた。

「大丈夫、これならエンジンをかければいける‼︎」

 

「やったっ!」

 

レナがヘリの操縦ができて助かったわ。これでこの地獄から脱出できる……

 

不意に咆哮が響いた。

ケロイドの化け物のが追いかけてきたのかと思ったけれど少しだけ違うような気がした。

 

嫌な予感がした瞬間、バリケードの向こう側で乗ってきた車が石のように宙を舞った。バリケードの土嚢をいくつか巻き込んで車はじめんに叩きつけられた。ガラスの破片やミラーが飛び散り、歪んだバンパーが足元の近くに転がってきた。

バリケードにできた凹みから、外にいるそいつが見えた。

「またあいつ⁈」

それは警察署で出会したあの巨人だった。着ているはずのコートはほとんど破け、体の大半が肥大化し、一部は赤く巨大な血管が肉を突き破って表に露出していたよ

「まって様子が変だ。なんかやばそう」

バリケードの残りを殴って吹き飛ばす。目の前の障害物は容赦無く破壊している。まさに暴君だ。

 

「っ!こっちこないで!」

 

距離はまだ少しあったけれど、レナは銃を抜いて攻撃を始めた。だけれど怯んだ様子もない。その多くが頭に集中したにもかかわらず、弾は貫通していないようだった。

「これじゃあ通用しない!」

 

「何か効果もありそうなもの探して!私が引きつけておくわ!」

 

「メグ⁈危険すぎるって!」

怪我してるレナの方に向かっちゃう方が1番危ないわよ。

「どっちにしてもあれを倒さなきゃ逃げられないでしょ!」

迫ってくる巨人はどうやら私を目標にしたらしい。ただそれは命令されたからと言うよりもはや本能のようなものなのだろう。

 

すぐにマグナムを構えてぶっ放す。

1発目は頭の横を掠めた。

2発目は首、3発目は口元と急所に当たっているけれど怯んだ様子もなく、そのまま歩いてくる。

ちょっとやばいかもしれない……

 

カチンと軽い音がして弾が切れた事を銃が教えた。

直ぐに次の弾を装填しようとしたけれど、既に弾薬は残っていなかった。

 

「う…こっちよ!」

それでも逃げ出すわには行かない。

 

何か他に武器になりそうなものは…あったあれだ‼︎

 

バリケードの近くに置かれた大型の機関銃。もしかしたら使えるかもしれない。

とっさにそれに向かって駆け出す。巨人との距離はそんなにない。

 

アサルトライフルの弾のようなものがベルトで繋がれて大量に入った機関銃。

それの銃口を巨人に向ける。

「もういい加減どっか行って‼︎」

 

引き金を引くと、激しい衝撃とともに大量の弾が吐き出された。

ただ上に向かう反動は全くなく、激しい振動だけ抑えれば結構狙いをつけやすかった。

 

固定銃座は操作しやすいのかと場違いにも感心してしまっていた。

だけれど迫りくる巨人は弾なんてお構いなしに歩いてきた。流石にある程度は皮膚を突き破って飛び込んでいたけれど、効いている様子はない。

 

「見つけたわよ!」

コンテナの影からレナが顔を出した。それは人が持つ中では最大級の火力を誇るロケットランチャーと呼ばれる武器だった。

 

「化け物!食いやがれ!」

 

1発目が4つある発射機のうちの一つから飛び出した。

だけれど巨人はその伸びた爪でロケットを弾き飛ばした。真横に吹き飛ばされたロケットが遠くへ飛んでいった。

「うそっ‼︎」

 

だけれどレナは間髪入れずに2発目と3発目を放った。

二発も同時に放たれては堪らなかったのだろう。巨人は2発目を受け止めようとしたようだけれど、ロケット弾は確実に巨人に命中した。

爆発。炎の球体が巨人の体を包み隠し、消し去った。

 

 

倒したのだろうか…煙が晴れると、そいつの体は木っ端微塵に砕け散っていた。もう下半身が動き出してくることはなかった。茫然とその場にたたずんでいると、エンジンの音が響いた。

気づけばヘリの操縦席に飛び乗ったレナがエンジンをかける手順をしていた。

さっきまでの銃声に釣られたのかバリケードである土嚢の向こう側から多くの呻き声が共鳴して聞こえた。それはまるで遠吠えのようなものだった。

ヘリのエンジン音が響き渡り、やがてローターへエンジンが接続されたのかゆっくりと回転し始めた。

「メグミ‼︎乗って!」

 

ローターが高速回転しているヘリに飛び乗ると、丁度後ろの方でバリケードを破壊した化け物が入ってきた。その中には犬のようなものもいた。離陸しようとしてきているヘリに向かって真っ先に飛びかかってきたのは全身が腐り骨が所々見えている犬の化け物だった。

咄嗟にヘリの扉をすぐに閉めると、勢いよく犬が扉に体当たりをしてきた。ドンッという音と共に扉が凹みガラスにヒビが入った。

もう一度体当たりしようと距離を取った犬の化け物が駆け出した。

「ッチ!もうちょっとチェックリストあるんだけど…」

 

そう言ってレナはヘリのエンジンを立ち上げ、薄明るくなった空に向かって飛ばした。

浮遊するヘリ。その下で無数の化け物が蠢いていた。間一髪…それが1番ぴったり来る光景は他にないだろう。

「下に何かくっついてたりはしない?」

 

「大丈夫よ。くっついていないわ」

 

 

「夜明けまで後5分……」

こんなギリギリでは他に街に生存者がいたとしても助けることはできない。それが顔を知って私を助けてくれた人達だったとしても、顔も知らない他人だったとしても……なんだか嫌になってくる。

下を見下ろすと燃え盛る炎と瓦礫の合間に蠢く影のようなものが少しだけ見えた。それらはもう人ではなくなってしまったもの。

「もう誰も助けられない……」

 

「……でも何機か脱出しているみたいだよ」

 

そう言ってレナが窓の外を指さした。そっちの方向を良く見れば、そこには別のヘリが飛んでいた。私たち以外にも脱出している人はいたのだ。良かったと一瞬ほっとする。

そのヘリはそれぞれバラバラの方向へ向かって飛んでいた。市街地は見えなくなり、一瞬学校と宿舎が気になって、必死に探した。見つかるはずもないそれらを探していると、夜が明けたのか東側から太陽の光がアークレイ山地を明るく照らし始めた。

機体が一瞬だけ太陽の光で光った。

「来たわ」

後ろで光る何かが街に接近してきているのが見えた。

ヘリは速度を上げてアークレイ山地を飛ぶ。

 

真後ろで太陽が登った時よりもはるかに眩しい光が機体を覆い隠し、視界を真っ白に染めた。

ビルの窓から何かが砂のように吹き飛ばされた。それが窓ガラスだと気づいた頃には、さらに光が次々と街に生まれていく。

 

機体が衝撃波で激しく揺さぶられた。背後で建物が形もなく破壊され、真っ赤な熱風に消えていく。車や人だったものは木葉のように吹き飛んだ。時々吹き飛ばされたのか赤い炎を纏った何かが炎の本流から飛び出しては消えていった。

ヘリは何度も左右に揺さぶられ、警報がいくつも鳴り響いた。

それらが収まった時、周囲は真っ赤な光に包まれていた。

「……そんな」

ラクーンシティは巨大なキノコ雲に包まれていた。発生しているであろう火災と熱風の赤い本流がキノコ雲の地面を舐め回すように赤く光らせていた。その日その街は地図から消滅したのだ。

 

「……ともかくこのまま山を超える」

 

そう言って高度をあげるレナ。その手はひどく震えていた。

「山を超えたらハイウェイの近くに降りよう。確か空き地もあるはずだし」

 

「そう……だね」

鎮痛剤が切れてきているようだったので、スペアの鎮痛剤を脇腹に注射する。彼女の額には脂汗が滲み出ていた。少し休ませてあげよう!

「折角だしわたしにも操縦させて」

ヘリの席には両方に操縦系が取り付けられている。それは機械的にレナのと繋がっているからか目の前で左右に少しだけ揺れていた。

「メグ操縦できるの?」

 

「レナが隣で教えてくれればきっと出来る」

 

「そっか……じゃあお願いできるかな」

少し疲れたとレナは私に操縦を受け継いだ。

 

「悪夢は終わったよ……」

 

ラクーンシティ壊滅事件と名付けられたそれは、犠牲者10万に迫る大規模災害となった。

ともあれ山脈から顔を出した太陽を横に、ヘリは安全圏へ向かって飛び続けた。



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10.雨はいつか止むさごっこ

気が向いたので初投稿でした。


はい、本来のゲームに戻ってきたRTAはーじめーるよー‼︎

 

過去編長かったですねえ。あれだけで一本ゲームできちゃいそうなんですけれど普通にDLCコンテンツなのが恐ろしい。

というわけで時系列がアウトブレイク3日目の夜になりました。

一日中話していて終わったようですね。時の流れというのは早いものだしみじみ(棒)

 

それでは若干チャートが崩れていますがここからの方針は、一日繰り上がりで行なっていきます。

通常第一回雨の日は7日目に発生しますがバイオDLCを入れたメグねえではなんと2日早い5日目に発生します。

本来4日目にめぐねえ過去へんに突入するはずだったのですが早いに越したことはない。だから問題ないいいね?

 

早速ですが今日は寝ることにしましょうおやすみなさい。睡眠時間は6時間。現時刻から寝れば真夜中に起きることになります。

 

はいおはようございます!

時刻は進んで午前3時となりました!いやあ早起きはいいですねえ。

というわけで起きたら見回りにいきましょう。ちょうど良いところに見回りを終えたチョーカーさんが戻ってきました。

次の交代は我らがゴリラことくるみですがちょっと割り込ませてもらいましょう。

武装は鋏が二種類。まあこれくらいあれば戦闘はどうとでもなります。

後はロープと結束バンド、ハリガネハンガー、残りは二階で補充します。

 

寝床がわりになっている生徒会室を出たら真先に中央階段に行きます。丁度ゾン子さんがいらっしゃるので頭かち割っておきましょう。

それが終わったらバリケードを潜って二階へ降ります。

今回することは5日目に発生する第一回エクストリーム雨の日対策として館内のお掃除と増設バリケードの設置です。

これを行うことで侵入してくるゾンビーズの数は対策しなかった場合と比べて8割に落ち着きます。まあそれは副次的効果。本来の目的は二階一階玄関とバリケードをしていないとバイオ版ではリッカーとケロベロスがログインしてきてしまいます。

あいつら室内戦じゃうろちょろされてほんとやばいです。事故とかそういう次元じゃなくてただのクラッシャーです(20敗)

どうやらバリケード設置がギミックらしく三箇所に設置すると出現してこなくなるんですよねえ。

ちなみにこれ昼間にやろうとするとほぼ不可能です。無限ゾンビ戦やりつつバリケード設営とかたまったものじゃないです。

まずは二階に残っているいけないゾンビ供を駆逐していきましょう。

オラ!ここで経験値となり朽ち果てたまえ!

 

必殺回し蹴り!相手は死ぬ。もう死んでいますが。

廊下が片付いたので次は各教室に移りましょう。ほらさっさとしねえ!

ゾンビどもこの学校から出ていきたまえ!

肝試しのとき散々苦しめやがってこのやろう!初見の時に散々な目にあわせてくれた奴め!

あ、レベルUPしましたね。どうやら新たな技を使えるようになったようです。

使えるようになったのは…『アンブッシュ』ですね。これはゾンビに気付かれていない状態で発動する暗殺系の攻撃です。武器がなくてもあっても使える汎用性が高めのものです。ただし汎用性とは裏腹にエリア内のゾンビ全員から気づかれていない状態じゃないといけないとある意味使いづらいものになっています。

 

 

……はい終わりました。では二階の階段部分にバリケードを設置しましょう。一人で作る分では限界がありますので簡易型のバリケードで十分です。

机の数の問題もありますからね。

それでも耐久や防波堤の機能としては三階のバリケードと同じ強度を持たせるためにめぐねえのサバイバル術を活用します。道具は紐とそこら辺のロッカーから拝借してきた箒、椅子です。

ハイコマンドゲー開始です。気を抜かずにしっかりコマンドを押しておけば何も問題ありません(無敗)

 

はい完成しました。このバリケードをあと3カ所作ります。焦らずじっくりいきましょう。せっかちはホモになってしまいます。

めぐねえの場合れずなのかな?でもめぐねえはノンケなのでPC状態ではめぐねえは誰かとくっつくルートってないんですよねえ。まあプレイしている人が少ないせいでルートが攻略されていないだけかもしれませんが。

 

はい雑談していたら他のところも完成しました。一度サバイバル術で生み出したものは材料さえあればワンクリックで精製することができますので設置は簡単です。

これが終わったら次は一階に向かいましょう。正直こっちの方が数が多くて大変です。ですのでまずは安定の廊下で駆逐大会。

二階学食の料理場から引き出した包丁を使って早速アンブッシュしていきます。しゃがんで後ろから後頭部をざくり。どこの悪夢に閉じ込められた刑事なんだ。

しかしめぐねえ強いですねえ。

というわけでちょっと魅せましょう。

素手でアンブッシュ!頭を掴んでグリッと回すっと。

場所によっては脚で挟んでゴリッとやるのもあるようですがそっちは緊急回避行動の一部でも同じパターンがあるので使い回しでしょう。

というわけで廊下のゾンビは一掃。早速ですが一旦外に出ます。

 

外に出たら真先に駐車場に行きます。早速入り口付近に止まっている外車(BMW 320i)と駐車場端っこに止まっている旧式スポーツカー(スカイラインジャパン)

を動かします。BMW 320iはキーが刺さったまま放置されているのでクラッチを踏んでブレーキを解除したらおしていきます。夜はゾンビーズが少ないので危険は少ないです。この車達は玄関の前に横付けしてバリケードにします。

なおスカイラインの方は鍵がかかっていますが古い車なのでハリガネハンガーをちょっと折り曲げたもので窓の隙間を……

はいあきました。

エンジンをかけると奴らが近寄ってきてしまいますのでサイドを下ろしてクラッチを切っておしていきます。

何かと重いのでめぐねえの体力的にギリギリなところがあります。あ、バテた。休んでる暇はないぞ!ほら水でも飲んで回復しやがれ!ほら押す押す!

はい車バリケード完成です。後は一階端っこの階段にバリケードを作って、廊下の各防火扉を閉じていきます。

これで雨の日への備えは完璧!さっさと帰って寝ましょう!おやすみなさい!

 

 

おはようございます!いやあ朝日が眩しいですねえ。誰だ窓閉めないで寝たやつ。あ、めぐねえだった。

今日も快晴。しかしやることがないわけではありません。

めぐねえがいくら全員との好感度が高い状態をキープするキャラだとはいえ多少上下しています。

それに好感度管理がほとんど必要なくなると一緒に正気度管理まで疎かになってしまうんですよねえ私は。

というわけで今日中に正気度管理を終わらせましょう大会!

 

実は過去編を挟んで正気度が全員大きく減少しています。

どれだけめぐねえの話がショッキングだったんでしょうね?まあいいや。まずは近くにいたのでりーさん!

ちなみに正気度測定は顔色を見て行います。細かい調整が必要なわけではないので顔色だけで充分です。

このテクは好感度確認を行うときにも使用できますが好感度は大雑把にしか判別できないので会話して確認した方が事故がなくて良いですよ。

 

あーこれ半分切ってますね。

他の子もくるみ以外全員半分以下になっているようです。

正気度が半分以下の状態では雨の日を乗り越えるのは実質不可能です。

だいたい雨の日の戦闘で正気度5割は持っていかれます。発狂してしまったらもう手がつけられません。下手すればめぐねえ生存している、るーちゃん生きている状態でも幻覚が起こるというもうどうしようもない事態になります。

まとめて正気度あげないといけませんねえ。

そうなるとやはりミニイベントを挟む必要があります。

 

お、このマークは…

 

「なあめぐねえ、実は昨日見回りしてたら見つけたんだけど……」

 

どうやらこれは何かのイベントですね。ランダムに発生するものですので何が来るかは小生も計りかねます。

通されたのは屋上。その隅っこにブルーシートをかぶせられた何かができていますね。

「これなんだけど……」

 

現れたのはテントでした。

どうやら昨日の夜の見回りでこっそり二階に降りた時に見つけたようです。これ山岳部の備品ですね。

でも本格的なもので骨組みまで入れたら結構な重量ある気がするのですがそれを二つとも屋上まで持ってきたって……やっぱりこの子ゴリラじゃないの?

流石M500を持たせても余裕で何発も撃てる子。

ちなみにM500はくるみルートで一定時間以内にトゥルーエンドを迎えると解放される隠し武器です。

通称無限リボルバー。

めぐねえにも隠し武器はありますがこちらも例に漏れず無限リボルバーです。

 

 

というわけでテント一式を見つけたことをみんなに伝えましょう。これで正気度回復のミニイベント発生です。

 

由紀ちゃんがこの道具を使い屋上でキャンプをしようと言い出します。

というわけでみんなでキャンプだ!おら喜べ歌え飲め騒げ!

あ、冗談ですよ。

このミニイベントは参加した全員の正気度を大きく回復してくれる便利なイベント。ただしテントの設営に手間暇がかかるので注意が必要です。

 

というわけでまずはテントの設営を始めましょう。

山岳用の本格的なテントなので設営はちょっと道具が必要になりますが、まさかコンクリにペグを打ち込むわけにもいかないのでペグの代わりに養生テープなど代用品が必要になります。

 

 

はい完成しました。めぐねえのサバイバル術はここでも使用できます。設営時間の大幅短縮となりました。

ほらそこのご飯準備班食材のままつまみ食いするなや。まあそれは昼ご飯なのでつまみ食いしても良いのですが。

 

ちなみに夕食はカレーとします。材料にはまだ余裕がありますのでちょっと贅沢に消費期限が迫る肉と野菜を使ってしまいましょう。

ちなみに料理の良し悪しなども正気度の上下に関わってくるので要注意です。食は人類にとって最も重要なものなのですよ。

痛んだ肉を出して最終的に乗っ取られた戦艦なんかもありますからね。

 

 

ではカレーが完成するまで倍速倍速(5秒)

お昼ご飯?そんなものもうとっくに食しました。屋上で食べる以外にさしたる変化はありません。

というわけで早速くるみとチョーカーさんと由紀ちゃんでカレー作りです。るーちゃんとりーさんも手伝いに入りめぐねえ一人ぼっちとなりました。

絵面的にぼっちになってしまいますがめぐねえはお昼の見回りがあるので仕方がありません。

無駄なイベントフラグはふようなら!

実際屋上でカレー作りをするより見回りをした方が早いですしお寿司。

ついでなので昨日設営したバリケードを見てみましょう。

ほほう車はしっかりガードしてくれているので侵入してきたゾンビはいないようですね。ただ時間がなくて一階お部屋のゾンビは始末していないのでまだ残ってしまっています。

まあこれをコロコロするわけにもいかないので放置しましょう。

バリケードの耐久も余裕ですので放置に徹します。

 

さて戻ってみればカレーができていました。しかし夕食には早すぎるのでしばらく煮込んで味を染み込ませましょう。

このゲーム色に関しての再現が強いんですよね。一度完成状態になったカレーを温め直すと疲労回復効果と正気度回復率が上がるギミックがついてきます。

多分味にコクが出るというのを表現しているのでしょう。フルダイブverでは味の再現までされているのでその違いを味わってみるのも良いかもしれません。

 

飯テロだって?なら飯を食え!

 

さて日が暮れてきましたのでキャンプをしましょう。テントは二つ、人数的に3人づつで分けることにしましょう大きさには余裕がありますので。

分ける際には普通であれば指定はありませんがめぐねえプレイなら由紀ちゃんとチョーカーさんのペアに入ることにします。こうすることでめぐねえの正気度と疲労度の回復、前述2人の正気度と体力の大幅回復ができます。

ウマウマですね。

 

はいあとは寝るだけですのでめぐねえと3人の会話はほぼスキップ。選択肢?めぐねえはどれを選択しても好感度には影響しないので適当適当‼︎

 

はいおやすみ!明日は雨の日ラッシュだから早めに寝ましょうね!

 

 

おっはよーございます!雨の日の大大会がやってきました!日が昇る朝の5時ちょっと過ぎくらいですが既に暗雲が立ち込めていますねえ。雨が降ってくる前に全員を叩き起こしてテントをたたみます。

ほら急げ急げ!

ついでに朝食も早めに取ってしまいましょう。

ちなみにパンなどの軽めのもので済ませるのが良いです。そうしないと後で逆流という現象を引き起こして正気度がはじけ飛ぶ事故が発生しかねません(2敗)

 

7時を過ぎると雨が降り出し始めました。丁度ゾンビーズが登場してくるタイミングですね。できれば登校中にどこかの家とかに避難してほしいのですけれど。

なんでまっすぐ来るんですかねえ。

この雨の日イベントはギミック解除をするのが最短で終わらせるポイントなのですが、一応力技でねじ伏せることも可能ではあります。ただしそのためには総数300を超える学生ゾンビーズと、総数50に迫る社会人ゾンビーズを撃滅する必要があります。

社会人まで入ってきてるんじゃないやい!

「雨だな…」

 

「お陰で貯水タンクに水が溜められるわ」

 

はいイベント発生です。時刻は午前9時。一時限目、ゾンビーズ!二時限目、大ラッシュ!三時限目、28日目‼︎

では今回はここまで!ご試聴ありがとうございました。



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キャンプだけどキャンプファイアは無い

止まらねえからよ……
初投稿です


話終わったときの反応は様々だった。

 

案の定真っ青になっている由紀さん達と今の地獄が前にも発生していたその事実を受け入れようとしている若狭さん。

「あの時は運が良かっただけ。それと場慣れしているように感じるのもそれが原因かもしれないわ」

実際あれは本当に運が良かっただけだ。

「めぐねえはさ…その後どうしたんだ?」

恵飛須沢さんが、あの後のことを聞いてきた。あの後か……

「色々あったわね。レナを救護所に連れて行ったり勝手に使った銃を本来の持ち主に返したり」

私が使ったリボルバーは本来ならケンドさんの友人であるバリーという人のための銃だった。偶然救護所に来ていた彼に遭遇した時にその事を聞き、今となってはその銃は形見となってしまったのだった。

「あのさ……ちょっと聞くの怖いんだけど学校の生徒ってどうなった…」

それを聞いてきたのは柚村さんだった。怖くて仕方がないような瞳をしていたけれど知りたいという欲求がまさったみたいだ。

「一般人でしかない私に情報はこなかったけれど行方不明のリストに殆どの人の名前が載っていたから多分…」

 

「そっか……」

どのような最後を迎えたのかは分からない。だけれど多くの生徒と教師はあの日地獄で散っていった。

 

気づけば日は完全に暮れていた。みんなの顔色も悪そうだし夕食はちょっと無理かもしれない。

「もう日も暮れたし寝ましょう」

私の提案に反対する人は誰もいなかった。由紀さんさえ、元気なく頷いて布団を敷く準備に取りかかった。

 

あまり長く起きていると、部屋の明かりにいろんなヒトが寄ってきかねない。

死んでいる存在だったらまだ良い。1番恐ろしいのは生きている存在だ。秩序が崩壊した状態が長く続いた場合人は多かれ少なかれ本性に戻っていく。

友好的な相手だったらまだ平気だけれどもし友好的じゃなかったら?特に私達は女性だ。下手をすると襲われる可能性も高い。その逆というのもあり得るけれど。

 

 

 

 

 

 

 

日付が変わる頃からの見回りを終えて寝泊りをしている生徒会室に戻ってみれば、誰かがガサガサと布団から起き上がっていた。交代のくるみかと思ったけれど、あいつは日が昇ってない時は極端に寝起きが悪くなる。それはここ数日一緒に生活していてなんとなく理解できていた。だから彼女ではないだろう。

「起こしちゃったかな?」

完全に闇に慣れた目は、起きてしまったヒトをしっかりと認識した。

「大丈夫よ。今起きたところだったから。折角だし見回り変わるわ」

佐倉先生はそう言って近くにたたんで置いてあった紫色の修道女の着ている服にデザインが似ているワンピースを着込んだ。

「本当はそこの寝坊助さんなんですけれどね」

 

「悪いめぐねえ。私眠くてさ」

どうやら起きていたらしい。そりゃここまで音を立てれば起きるか。警戒心もなく完全に寝てしまっている3人は別にしてだけれど。

「ふふ、寝不足は体に毒よ」

そう言って佐倉先生は枝切りなどで使う手持ちの長い鋏を持って部屋を後にした。あの時以来ずっと使っているというそのハサミは、先端が少しだけ歪んできているのか完全に閉じなくなってきているようだった。少し遠くから見たらあるゲームの殺人鬼としていてもおかしくない感じだった。

まあそんなことは流石に言わないけれど。

私も寝ておこうと布団に潜り込んだ。ただこんな状態になってしまうと少し寝れない体質だからか全然寝付けなかった。それでも目を瞑って体を休めておくのが重要だとどこかの本で書いてあった。

あの時と変わらず、部屋の時計は時を刻み続けている。

 

そう言えば町の外はどうなってしまっているのだろうか?ラクーンシティ内部でもやはり情報は来ていなかったようだしそもそも封鎖されてしまっていて徒歩での脱出は実質不可能だと言っていた。

今回もそんな感じだったのだと仮定したら? 生存者である私たちも同時にウィルスなどを持っている保菌者の可能性がある。そうなれば街からは出してくれないだろう。そう考えると本当に救助が来るのか不安になって仕方がない。もしこの街だけこんな惨事だったとしたら?

もしかしたら滅菌作戦を決行する可能性は?

そんなことできるはずがないじゃないかと否定したいけれど、自国の街でさえ吹っ飛ばす国がやれと言ったらおそらく日本政府は断らない。ああもう嫌だ!寝よう寝よう。

そう思い寝返りを打つ。嫌な想像をしてしまったせいか胃の上のあたりが変にささくれてしまっているようだった。

少しして私も睡眠に入ってしまったけれど、視たのが悪夢だったせいか三十分もしないうちに睡眠から覚めてしまった。

 

自分の体がまるで自分で無くなっていくような。何かに体の内側から食い破られるようなそんなひどいものだった。ひどく生々しいものだと思い、少し上半身を起こして呼吸を整える。

そういえば佐倉先生はまだ帰ってきていないようだった。

やけに佐倉先生の帰りが遅いように感じた。何かあったのではないのだろうか?そういう不安が心の中に生まれ始めた。

腕時計を見ると午前4時半を過ぎたところだった。確か午前3時あたりに交代だったはずだから…

やっぱり遅い気がする。

流石に1時間以上も外を見回るなんて危ないからしていない。

様子を見に行こうかどうか悩んでいると、その悩みの渦中の佐倉先生が戻ってきた。やけに汗をかいているように見えたけれど大丈夫だろうか?

感染した?でもそんな様子はない。

大丈夫なのかと聞いてみた。

「ちょっと暑くなっちゃって。窓開けていいかしら?」

疲れたと呟きながら先生は窓の近くに寄っていった。汗を掻いて明らかに疲労しているけれど、足取りはしっかりしていた。多分ただ疲れてしまっただけなのだろう。

「大丈夫だと思いますけれど…」

 

月明かりに照らされた彼女の手は、少し黒く汚れていた。

何をしていたのだろう?まさか夜間に襲撃でもあったのだろうか?でもそんな雰囲気はないし建物は静かだ。

何をしていたのですかと聞こうとしたけれど、すぐそばで寝ていたくるみが起きたせいでタイミングを逃した。

「ああ、めぐべえ?」

寝ぼけたくるみが起きてきた。流石にまだ寝起きが悪い時間だったのだろう。

「佐倉先生よ」

 

「お腹すいた……」

半目で頭が前後に揺れている。普段しばっている髪も長くおろしているせいかなんだか別人のように思える。

「完全に寝ぼけちゃってるな」

 

「そうね…パンあるけど…貴女も食べる?」

そう言えば夕食を食べていなかった事を思い出した。

その途端にお腹が空いてきた。先生が何をしていたのか気になるのは相変わらずだけれど、きっと私たちの為に何かしているはずだ。言わないってことは何か事情があるからだろう。ならば無理に聞くのはやめておこう。

 

そのあと意識がはっきりしたくるみが顔を赤くしながら見回り行ってくると駆けて行ったのはちょっとした話題になりそうだった。

 

 

 

 

 

昨日見つけたそれが気になって、夜のうちに屋上に運んで置いたそれをどうしようかと悩んだ末、私はめぐ姉に相談して見ることにした。

めぐねえは丁度由紀とるーを相手していた。ちょっと割り込ませてもらおうか。

 

「なあめぐねえ、ちょっと良いかな?」

 

「くるみちゃんどうしたの?何かあったらの?」

真っ先に寄ってきたのは由紀だった。同い年なはずなんだけど年下を扱っているように感じちまうのは好奇心の塊のようなやつだからだろうか。

「ちょっと見つけたものがあってな。めぐねえに見てほしいんだよ」

 

「分かったわ」

 

「私も見てみたい!」

由紀もか?いや別にグロテスクだとかそういうものじゃないから別にいいか。

「んー?まあ別に良いぜ」

るーはりーさんのところに行った。失語症だと聞いたけれどなんとなく身振り手振りで意思疎通は出来ていた。

 

 

 

 

ふとめぐねえの腕を見てみた。普段の言動とか行動から運動系ではないように思えたし実際の腕は筋肉質には見えなかった。でも…あの腕で鋏を振り回している。それもかなりの力だ。多分…力の入れ方が上手いんだろうなあ。

 

屋上の端っこに一応雨風を防ぐためにブルーシートをかぶせてねかせておいたそれを2人に見せた。

 

「テントね」

これを見つけたのは偶然だった。柚村がめぐねえがどこか行っていたのではないかって見回り前に話したからどこに行っていたのかを探ろうとして下に降りた時に見つけた。本来の目的は結局分からずじまいだった。

「ああ、結構本格的だよな」

青色のテント一式。それが二つセットで二階の部屋に置いてあった。

「山岳部の物じゃないかしら…どこにあったの?」

 

「ちょっと二階に降りた時に教室の隅に立てかけてあったんだ」

週末に山岳部が登山をしようとか言っていたから多分それだろうか。

「そう……教室に」

 

「めぐねえ?」

何か考え始めためぐねえだったけれど何を考えているのかはその表情からは読み取れなかった。

「テント⁈折角だしキャンプしようよ‼︎」

 

「キャンプ??」

いや由紀お前何言ってるんだよ。これでキャンプって……

「良いと思うわよ。気分転換に面白いこととかやらないと人ってすぐ潰れちゃうし…」

めぐねえまで賛成かよ。しかも理論的に間違っちゃいない。確かに最近非日常かつ命の危険と隣り合わせの生活だ。寝ている時だって神経が張り詰めちゃって最近自分でもピリピリしているなと感じているところだった。

「それでキャンプか…でも外はゾンビまみれだぜ?」

 

「屋上でやるのよ」

 

「なるほどな…悪くないかも」

屋上でやる…確かにそれなら問題ないかもしれない。

これが気分転換になるって考えてしまっている時点で私もどうにかなってしまっているように思えたけれどそんなもの世界が先にどうにかなっちまったのだからしょうがない。

「それじゃあ私他のみんなに伝えてくる‼︎」

まるで水を得た魚のようだった。楽しいことが好きなんだろう。というか嫌いな奴はいないか。でもあんなに喜べるっていうのももしかしたらこんな世界では必要なことなのかもしれない。

 

「なあめぐねえ、これどうやって組み立てるんだ?」

そういえばこんな折り畳まれた本格テントなんてどうやって組み立てるんだろうな?

「説明書がここにあるわ。骨組みの組み立てはこれでどうにかなるけど……」

テントを開けて中身を見ていためぐねえが白いコピー用紙の冊子を見つけた。説明書だった。ただ問題はそれだけに止まらないみたいだった。

「なるけど?」

 

「テントの布とか骨組みを支える紐を地面に固定するのをどうするかよねえ」

 

「ああそれか」

名前は知らないけれど確かにテントを貼る時って杭みたいなもの打ってるイメージがある。

「養生テープで代用できるかしら」

なんだか怪しくなってきた。

 

なんだかんだあったけれど、テントはお昼ご飯が完成する頃には出来上がっていた。半分くらいめぐねえが作ったようなものだけど。

そのめぐねえはお昼ご飯を食べた後、りーさんと下の階に行っていたらしい。

 

どこからとってきたのか刺又や箒をいくつか持ってきていた。

そのうち箒はテントの補強のために使われていた。

刺又の使い道は考えなくてもわかる。逆に今までどうしてなかったのかが不思議なくらいだった。

まあ、それらが使われることなんて無いと良いなあ。

 

 

 

「ところで昼は何を作るんだ?」

 

早速夕食の準備をしていた由紀に聞いてみた。夕食を一任させちゃったのは不味かったかな?

「カレーだよ!期限の近い食材が多そうだったから」

杞憂だった。カレーなら多少変な食材が入っても問題は無い。流石に変すぎるとやばいけど。

 

「どれそれ…キノコか?」

 

「キノコと納豆!あと牛乳」

 

「うん納豆はやめておけ。台無しになるぞ」

危ねえ。変な食材打ち込もうとしすぎてた。こういう時の我らがお母さん(本人に言ったらめっちゃ怒られた)のりーさんはどこに…あ、妹の面倒か。仕方がない。私がやるしかないか。

 

「じゃあ私もカレー作りに混ぜろ!」

 

「良いよ!一緒にやろう!」

まあ私がいなくても柚村あたりがどうにかしてくれそうな気がしていたけれど。私自身こうしていると普段のいろんなことを忘れられて良い気分転換になった。たまにはこういうのも必要だな。こんな時だからこそ。

 

 

「お、どうしたどうした?寝れなかったのか?」

 

「ねえねえみんなで怖い話しようよ!」

 

 

「おいおい正気か?ここは普通……」

普通…なんだっけ?えっと…先輩?いや、忘れよう!今そのことを考えるべきじゃない。

「普通?」

 

「ミリタリーの話を……」

あまり言わなかったけれど私は結構その…そっち系が好きなんだ。まあこれも言ってしまえば先輩のせいなんだけど。先輩が悪いんだからね。

「それもどうかと思うわよ」

 

「い、良いじゃないか!スコップだって立派なミリタリ武装だぞ!」

 

「やっぱ怖い話しようよ。デュラハンとか」

デュラハンってそれ怖くないだろ。しかもあれ妖精の類だし。

「首なし騎士か。まあ当時だったらめっちゃ怖いわな」

 

「今で言う首無しライダーみたいなものかしら?」

りーさんどうしてそこで首無しライダーが出てくるんだ。あれ都市伝説だろう。

「それだと騎士じゃなくて首無し騎乗兵だな」

 

「でもデュラハンって首のない馬に乗ってやってくるよね」

 

「あーまあなあ」

 

結局めぐねえが来るまでその場はたわいもない話で盛り上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだか曇ってるな」

日が登っているはずの時間だというのにあたりは薄暗かった。そんな中で目が覚めたのは左隣で寝ていた小学生の足蹴りが私の鳩尾を捉えたからだ。無防備なところに容赦がない一撃が入ったものだから痛いのなんのって。叫ばなかった私を褒めてほしいくらいだ。

 

丁度起きてきた由紀と顔を洗っているときにふと空が曇っているという話題に話を振った。なんのことはない世間話というやつだ。

「雨が降るんじゃないかな?なんか湿ってるし」

確かに可能性はあるな。空気が湿っているかは鈍いからわからないけれど。

 

「だとしたら貯水タンクが満タンになってくれるからありがたいわ。最近水不足になってきていたし」

話に割り込んできたのはりーさんだった。鳩尾を抑えているからやられたのだろう。

「水道水は?」

シャワー設備も生きているとは言え水の供給が安定しないのか時々断水している状態だ。それでも水道水は生きていると思うんだけど。

そんな話をしていたら最後に起きてきためぐねえと柚村が話に入ってきた。

「水道水の話?」

 

「そうそう。たまに断水して困っちゃうよね」

 

「確かになあ」

 

「本当は念のために加熱処理しておきたいっていうのが本音なんだけど」

 

「そういや今は水道生きているのかな?」

 

「一応生きているけど……あ、発電大丈夫かしら」

りーさんの言葉でそう言えばと思い出す。

ここの電力は風力と太陽光で賄われている。補助電力としては申し分ないけれどその発電量の4割は太陽光だ。曇っている現状では4割の電力がごっそり失われているに等しい。

「冷凍庫が心配ね。最悪外の車を使って冷凍庫分だけ電気回そうかしら」

めぐねえがそんなことを言い出した。

「めぐねえできるのかそんなの」

 

「何回かやったことあるわ」

マジか。めぐねえって思いっきり文系かと思ってたけれど案外理系なんだな。

「これでも先生は理系大学院卒業なの」

それは意外な返答だった。

「マジ?」

国語教員だし文系大学出てるかと思った。

「じゃあめぐねえ物理教えられるの⁈」

「教員免許は国語と英語だけだから教えることができないけど……」

ありゃま。

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

テントを畳むのはテントを建てるのよりも素早くできた。多分慣れてきているからだと思う。或いは組み立てるのより壊すのが得意なやつが手伝ってくれたからなのかもしれない。

テントを解体し終えた所でポツリポツリと頭に水滴が降ってきた。

「やべ降ってきた」

 

「仕方ないからブルーシートの下に入れておきましょう」

私と柚村にめぐねえでテントの部品をしまっている間も雨は激しさを増して行った。最初はマダラになるかならないかだったコンクリートの床も今となっては完全に濡れてしまっていた。

「ちくしょうこれじゃあ服着たままシャワー浴びたのと同じじゃないか」

 

「トリートメントして髪の手入れしなくちゃね」

そうじゃないだろと柚村にツッコミを入れる。あんたまでそっちにいっちまったら私のツッコミが追いつかないっての。

「何か嫌な予感がするわ」

 

「めぐねえ?どうした?」

後ろにいためぐねえが外を見ながら何かを言っていたけれどよく聞き取れなかった。

「なんでもないわ……服の替えとかもそろそろ確保しないといけない気がしてね」

ああ確かにそうだ。いつまでもこの服を着たままっていうのもあれだし下着だって交換したい。流石に匂いもやばいと思う。肌の手入れなんかも……やべえ考えてみたらやばそうな気がしてきた。やっぱり雨で服を洗えて正解か?でもなあ……生乾きは匂いがきついからなあ。体操服に着替えるか。

「あー生理用品なんかもなあ……」

柚村もちょっとやべえって顔してる。やっぱり考えることはみんな同じか。

「今度探しにいきましょう」

 

 



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11.遠足のおやつにリンゴは含まれません

保冷剤とタッパなどの硬い入れ物に入れて持ってきた場合を除く。

というわけで初投稿です。


止まるんじゃねえぞなRTAはーじめーたーよー‼︎

 

はい、そろそろ皆さんの鬼門であり乗り越えなければならない壁であるイベント「あめのひ」が始まります。

現時刻は午前9時。学校にくるゾンビのほぼ全員が登校した時間となります。では早速ですが見回りと称して廊下に出ましょう。はい完了です。これですぐに戻れば防衛戦が始まります。

バイオ版を入れているのでこの間に挟まるムービーも通常盤とは違うものとなります。ちなみにスキップできませんイライラ。

 

まるでバイオ3のイメージに近いゾンビの群衆が入り口から押し寄せてくるムービーは無駄に圧巻です。どうやらバイオ3の映像制作の方が参加しているとの情報もあります。

まあどちらでも良いのですが……何でスカート履いてるゾンビの比率が多いのですかねえ?共学だし男子生徒だってたくさんいるはずなのに。不思議だなあ。教えて偉い人!

では早速全員で武装して防衛に当たりましょう!廊下にある階段は合計3カ所。そのうち待避所となる放送室に1番近いところをチョーカーさんと由紀ちゃん。真ん中をゴリッ…くるみ。もっとも遠い場所をリーさんとめぐねえで防衛します。るーちゃん?あんたは放送室の入り口を開けておく係だよ。

 

ちなみにこの配置が最も安全となります。特に一般キャラ使用時と違いモール組を連れてきていない分人数が足りません。

なので必然的に一箇所は1人で防衛となりますがめぐねえはいくら強化されていてもスタミナの問題で1人での防衛は無理です。一人で防衛可能なのはタンクことくるみだけです。後1番遠くに由紀ちゃんを置くと逃げ遅れるか途中でドジ踏んで転びます。その場合助けないと確実にお亡くなりに……何これ鬼畜かな(18敗)

 

まあ防衛線自体は簡単なんですよね。階段を上がっている最中のゾンビを突き落としてぶっ叩いてするだけなので。歩行能力が弱まっている分余計にやりやすいです。ただし数が多いため山となって押し寄せてきます。

なんだこのワールドウォーZ感。全力疾走してくる奴らだったら絶対やばかった。

28日後とか見てたら生き延びれる気がしないんですもん。

 

おらおちろおちろ!登ってくるなや!

結構な数がいるように見えますがこれだって合計で百体いるかいないかってところですからね。下の階にはまだまだいます。

こいつら全員始末するとか頭おかしいのかな?

 

ちなみに撤退のタイミングは1番遠いここが出す必要があります。

りーさんが隣にいるのでそっちに任せても良いのですがPCキャラがめぐねえでかつ1番遠い時に限ってりーさんは何も言ってくれません。

何やこの仕様。

 

なので合図はこちらで出す必要があります。だからといって開始直後に撤退をすることはできません。バリケードの耐久値が残り1割にならないと撤退合図を出すコマンドが出てこないのです。

なのでここは適度にバリケードを痛めつけてゾンビを追い払いましょう。

だからと言って手を抜いて良いわけではありません。このゲーム防衛戦開始から8分間は耐えないと撤退合図を出しても撤退してくれません。絶対おかしい。

というわけで全力でコロコロ。ゾンビの死体で壁を拵えましょう。死者への冒涜?知るか。倫理で生存できる世界はとっくに終わってるんだっての。

 

さて後五分頑張ってコロコロしましょうねー。正気度は今のところ問題はないですが流石のめぐねえでもこれは正気度持っていかれます。

まあゼロになってなければ問題はないですね(非道)

 

「やべっ‼︎しまった!突破された‼︎」

 

はあああ⁈嘘だろお前なんで…はーーつっかえオイゴリラ!突破されたってどう言うこっちゃ!

え?え?いや冗談抜きでまじい?

えー……チャートにはないのですが、というかこんな展開見たことないのですが。ありなのこれ?

真ん中が真っ先に崩壊しました。意味わからん。おいくるみ何してくれとんの。何をしたのか分かってるのか?分かってるのかああああ‼︎

 

カツ丼はあげません。

 

 

 

まだこちらのバリケードは耐久が半分残っていますがもうそんなの意味ありません。中央が突破されてしまったので下手をすれば退路がなくなってしまいます。とりあえずバックバック!あ、撤退指示出ました!りーさんの手を取って早速逃げましょう!

 

ってあああああ⁈何でもうゾンビ溢れてきてるの早いってば!もう一刻の猶予もないじゃん‼︎

後由紀ちゃんは邪魔だから早く放送室に帰りなさい。

「このっ!数が多すぎるわ!」

りーさんナイス!いやあ覚醒してくれていてたすかりました。るーちゃんがいるおかげで正気度も問題なく刺又持たせたはずなのに刺股の先端で器用に喉と頭を串刺しにしています。うんこれくらいできるなら大丈夫……じゃないか。

 

ともかく急ぐのだ!ここは危険なのだ!

おらオラオラ‼︎邪魔!鋏の錆になるのだ!

 

ん?何か今変なものが横切ったような……

あ、やべ!

「ゲッ!こいつ!」

あっぶな!後一歩ガードが遅かったらりーさん噛み付かれてたぞ!

「ドーベルマン⁈」

ねええええ何でいるの‼︎ドーベルマンなんでいるの⁈しかも所々腐ってるやつじゃん!太郎丸より立ち悪いわ‼︎

後フラットコーテッド・レトリバー!何で犬ゾンビまで来てるんですか‼︎あーもう無茶苦茶だよ。車バリケードで抑えたんじゃ……

 

あ、もしかしてこれ…車二台…あああ⁈車体の大きさの指定があった‼︎ウッソだろお前!うぎゃあああ‼︎スカイラインが大きさたりてないじゃん!

 

あーもーめんどくさい!リセットしたいですがロスタイムってわけでもないので続行しましょう。

ゾンビ犬だって対処できないわけではありません。ただし犬は下校の放送でも帰らないので処理が面倒なのです。幸い一度に湧く数は4体しか出ないので追い込み漁をされる心配は低いですがね。それにゾンビ犬が出たと言うことはリッカー擬きみたいな化け物は出てきません。そもそもあれは突然変異種扱いであり発生個体も僅か二体しかいないようです。

 

ってうぉい‼︎りーさん襲われかけてるやんけ!ってか何もたもたしてるんだてめえ早く脱げるんだよ!

ええいゾンビが邪魔だ?このやろう!進路妨害しやがって!

 

 

回し蹴りくらいやがれ!ヒャッハー決まった!三コンボだどん。

 

そういやワンコロどこ行って……こらそっちに行くな!投げ鋏!相手は死ぬ。

そこで叫んでる由紀にどうしてもゾンビ犬が反応してしまうようです。困ったなあ……

ええい拉致があきませんしいつまでも放送室の扉を開けっぱなしにしておくのはやばいですがこうなりゃ徹底抗戦だ!

お、突っ込んでくるかワンコロ。なら武士として答えよう覚悟!蹴り上げ!あははみろ犬がボールだ!(倫理)

 

ほら今のうちに全員入った入った。りーさんお前は真っ先に入れコラ。よし全員入ったな。そーらわたしも……あれもう一匹いなかったっけ?

 

っとおおおい⁈

ウッソだろお前えええ‼︎ああああふざけんなや!

視界外から飛びかかってくるなボケ!転んだじゃねえかなまじでかい犬だから重たいっつうの!

こう言う時はカウンター。からの放り投げ。めぐねえのスタミナでは一回やると3割近く持っていかれてしまいますが仕方がありません。でも迫ってきていたゾンビーズをボーリングの要領で転ばすことができたのはラッキーです。

 

さて早速戻る…あれ?扉閉まってる?あ、おーい…開かない?あ、そうか。イベント中では放送室のドアは一度閉まってしまうと開かないのでした。

 

やっべえゾンビパレードに強制参加させられた。早く放送を!放送をしてくれ!犬はどうしようもないにしてもこのゾンビがいなくなるだけで相当楽できるから。早く!ハリーハリー‼︎ハリーハリーハリー‼︎

 

……ふー取り乱しました。

実はNPCが放送を行う場合リアクションタイムが一定時間必要らしいです。その合間耐えろというのは初見でやった時鬼だと思いましたね。今も鬼だと思っていますが。

まあやってやろうじゃないですかめぐねえなめんな!

 

……啖呵切ったのは良いですが場所移動させてください。ここじゃ囲まれてしまいます。

屋上階段付近で持久戦やりましょか。ほらこっちこっち……

 

イッヌは絶対ヌッコロです。おりゃ串刺し。

ナムサン。返り血がひどいのですが屋上は雨が降っているので大体は洗い流してくれます。なので思う存分戦いましょう。

もちろん犬は優先的に。

校内に出現している犬は四体。そのうちの二体は始末したのですが残り二体がまだ残っています。

お、やってきました!では早速最優先でヌッコロさせてもらいましょう!

 

『下校の時間です。残っている生徒は全員速やかに帰宅しましょう』

 

ほらきた!皆さんお帰りください。めぐねえのところに来るんじゃありませんよ。

ってねええなんで十体近く来てるんですかねえ。しかもゾンビ犬も来てるじゃないですか!ああそうか被発見状態の奴らかよくそう!良いよこいよ!やってやろうじゃねえか‼︎

ハジキなんか必要ねぇ、へへへへっ誰がてめぇなんか、てめぇなんか怖かねぇ!野郎、ぶっ殺してやぁぁる‼︎

決戦だごら!あ、雨で滑った。ちょっと待ってタンマ……

タンマ!

 

 

 

 

 

 

 

「めぐねえ⁈めぐねええ‼︎」

佐倉先生が放送室へ私を押し込んだ直後、大型犬のタックルを受けて真横に吹き飛んだ。足か何かが当たってしまったのか勢いよく放送室の防音扉が閉じられてしまった。

それを慌てて由紀が開けようとして柚村さんに止められていた。

「まって!今開けたら危険よ!」

「でもめぐねえがっ‼︎」

何か…何かないの?

 

「くそっ‼︎私が行く!刺又あるなら援護‼︎」

扉を開けようとしたくるみだったけれど、ドアノブをひねった瞬間、思いっきり扉が押し込まれた。思わずくるみと一緒に扉を押さえつけた。

既に扉の前まで奴らが集まっていたのだ。

 

「ああもう‼︎これじゃ無理だ‼︎」

助けに行こうにもこれではどうしようもない。刺又で扉をこじ開けようとする腕を弾くので精一杯。佐倉先生を助け出すには私達はあまりにも無力すぎた。

「みんな!放送室の扉は開けちゃダメ‼︎」

防音扉が開いたことで外の音が喘鳴に聞こえた。先生は無事だったようだ。

「めぐねえ⁈でも……」

 

「私は大丈夫よ!屋上で相手するわ!」

同時に何か硬いものが叩かれる音と駆けていく足音が廊下に響いた。

「……っ‼︎」

一瞬だけ扉を開けようとする力が弱まった。

力を入れて扉を押し返す。

「先生を助けないと……」

 

「でもあれじゃ無理だ。何か方法は……」

落ち着いて私…こう言う時こそ落ち着かないと。

「どこかに音と光でおびき寄せるとか?」

そもそも今まで奴らがこんな一斉に攻めてきたことなんてなかった。なにがあったのだろう?

えっと……確か……今までの日と違うのは雨が降っていること。太陽が出ていないこと。確かに奴らは日が沈むと学校から姿を減らす。家に帰っているような挙動をしているのを屋上から見ているから生前の記憶通りに動いているような感じだった。

それを裏付けるようにお昼頃には食堂に集まっているって柚村さんと先生が確認している。だとすれば学校に学生服を着た奴らが多いのも納得ね。

るーちゃんが私の袖を摘んだ。

なに?と顔を向けると、空いていたもう片方の手でるーちゃんは天上のスピーカーを指差していた。

「放送スピーカー?」

放送…そういえば奴らは生前の行動を……

「「…あ!もしかしてっ!」」

気づけば由紀ちゃんと声が被った。まさか同じ結論に至った?だとしたら……

「どうした2人揃って」

ドアを押さえつけていたくるみが理由を問いただしたけれど話している時間が惜しかった。試してみる価値がある分もたもたしていたら佐倉先生が危ない。

「由紀ちゃん、放送設備の電源確認!」

 

「えっと…あれ?スイッチ入らない!」

すぐに部屋の隅にあるブレーカーを確認する。問題なく下がっていた。電圧も風力発電分の余力が残っている。

「ブレーカーは上がってないし電力は来ているから多分基盤の方かもしれない。ちょっと確認してみるわ」

と言っても機械いじりなんてやったことないからよくわからないのだけれど。こんなところでこの案が使えなくなるなんて嫌よ。

「私も手伝うよ」

 

「柚村さん?」

 

「こういうのは得意なんだよ」

そう言って彼女は慣れた手つきでコンソールの下の点検パネルを外して中を覗き込んだ。

「多分電源はきているから……鋏か何かないかな?」

上半身を機械の中に押し込みながら考察していたけれどすぐに体を引き出した。

「えっと…一応あるけど」

 

「由紀、借りるよ」

 

「わかった!」

ポケットに入る程度の小さなハサミを受け取った柚村さんが再び機械に体を押し込んだ。何か作業を始めている。それをペンライトで由紀がサポートしている。

「柚村さんって機械いじり得意だったのね」

 

「たかちゃんは手先が器用だから時計とかの修理してもらったりしてたんだ」

そうだったんだ。なら餅は餅屋ね。

「流石に恥ずかしいからやめてくれよ。ほら直結させたから電源来たはずだぞ」

 

「本当だわ。ありがとう」

 

「これで……」

既に校内のスピーカー全てがつながっていた。放送状態にしてコンソールのマイクに繋げる。

 

 

 

 

あっぶなー‼︎犬にのし掛かられた時はリセ覚悟しましたけれどなんとか堪えました。

まあ最後のハサミを無くしてしまったのですけれどね。元々緊急用のものだったので仕方がないのですけれどね。

最後に飛びかかってこようとしたイッヌも回し蹴りで首を粉砕してことなきを得ました。いやあコマンドが間に合ってよかったよかった。

 

 

ついでに屋上にいたゾンビーズも全員ヌッコロして屋上からポイポイしておきましょう。

他に誰かいるか?

死体だけです

なんて受け合いをするにはスプラッタすぎますからねえ。みんなのSAN値のためにも屋上からぽいぽい捨てましょう。

 

あ、めぐねえのスタミナも丁度果てたようです。では少し休みましょう。雨で返り血も全部洗い流せ…洗い流せ……服の返り血って流れないんですね。

雨の中で戦ったことないのでよく分からなかったのですけれどうーん……まあ紫だし目立たないから大丈夫かな。

 

それじゃあみんな帰ったみたいなのでみんなと合流しましょう。

あ、向こうから来てくれましたね。再びムービー。

抱きついて感動の再会になっていますが実質時間は短いのでなんとも感情移入しづらいですね。あ、チョーカーさんのパンツ見えた(感動台無し)

勿論レベルアップですね。そりゃあんなにゾンビーズを倒したんですから当たり前ですね。えっと…スキルはこなかったようですが体力と知力、魅力などがかなり上がりました。

 

うはあこっちの腕がぐったりしてますわ。やべえやべえ。

でも休んでいる暇はない!RTAは駆け抜けるのが使命!

ほらめぐねえ休み終わったでしょ!早くバリケードの再構築に行くんだよあくしろよ!

 

おっとその前に…雨でびっしょり濡れていると体力が低下していく上移動速度も低下するのでまずは服を脱ぎましょう。

このまま移動するのもありですが他の子の信頼度と正気度がダメージを受けるトラップがありますのでちゃんと服は着ます。着ますけれどこの学校に残っている服なんて体操服しかありません。しかも体格上ギリギリです。まあこちらとしては目薬にもなるので良いのですがこの状態だとなぜかスタミナが減りやすくなります。サイズが合わないことによるペナルティのようなものですね。まあ体力が減るよりマシなのでさっさとバリケード復旧に勤しみます。

 

まずは一階のバリケード修復組としてくるみとチョーカーさんを連れていきましょう。残りの2人で3階階段のバリケードを復旧させます。

 

ちなみにゾンビ犬は全滅させたはずですがもしかしたら下の階にいる可能性もありますので注意です。確率は低いですがあめのひを挟んでスポーンする敵が若干変わりますので。

 

二階は異常なし。一階は…おお‼︎ゾンビ無しです!すっごーい!みんな帰ってくれたんだね!というわけで玄関前で横倒しにされているスカイラインとべんベ〜を元どおりにします。

いやあボコボコですねえ。見ていて泣けてきます。誰がこんなひどいことを(すっとぼけ)

 

さて入り口を車で封鎖できたので後は二階に続く階段のところにバリケードを構築していきましょう。どうせ耐久なんて普段は余らせるのだから簡易的なものでいいのです。ぶっ壊れたバリケードを資材に戻し再活用。エコですねえ。

というわけでそれが終わったら次は二階…ですが正直二階のバリケードは要らないっすね。やめたやめた。さっさと戻りましょう。

 

あーそういえば3階の死体処理していなかったですね。もしかしたら死体によって3階組の正気度がゴリゴリ削られているかもしれません。

あーやっぱり……

ま、まあ誤差の範囲だから。平気だってば。

とりあえずご飯はちょっと豪勢にしておきましょうね。卵がそろそろ限界なのでまとめてここで使ってしまいましょう。作るのはオムライスです。

トマトで味付けしたら見た目が血の色とかぶって一部の子には受けが悪いので使用するのもちょっと趣旨を変えてドライカレーで作っていきます。

 

料理自体は食材の組み合わせでメニューを作れますので夕食制作はそのメニューを元に作っていきます。

ボタンゲーと思ったそこの貴女。ご安心をフルダイブシステムの時にはちゃんと自分で作ることになりますので退屈はしません!

 

まあ私はフルダイブシステムにはご縁がないのでボタンゲーです。でも作られていくそれはすごく美味しそう。製作陣も狙っていますよねえ。飯に力を入れる。

ちなみに卵のストックと消費期限がもう残っていないので卵料理はこれ以降作ることができません。

スーパーの卵は冷蔵システムが落ちている現在ちょっと近寄りたくはないですね。冷蔵保存品を何日も常温保存とかどうなっても文句言えませんから。

実を言うと2日目にめぐねえが運んできた分にも卵はあるので調理用としてならギリギリ使えるんですよね。まあ時間経ちすぎているので調理しても一定確率で食あたり判定がやってきますが。

 

 

まあともかく無事にご飯も完成して全員の正気度もかなり回復しました。いやあ良いですねえ。食事で正気度回復とは。では寝ましょうか。早寝早起きが健康の素です。おやすみなさい!

 

はいおはようございます!今日は5日目。平穏な朝を迎えることができました。そういえばめぐねえ体操服のまま寝てしまっていますが大丈夫なのでしょうか?

サイズの合わない服はスタミナに影響する以外にも服自体の耐久を減らしていってしまいます。

まあ耐久がなくなっても問題はないのですが耐久なしの服は万が一ゾンビに組み付かれた際に定確率で感染を引き起こすんですよね。多分引っ掻かれた判定なんだろうね。

 

あーやっぱり耐久が限界になっています。とりあえず洗っておいたいつもの服に着替えさせておきましょう。

タイム的にはロスですが事故のことを考えるとちょっと嫌なので。

 

さて今日のチャートですが「えんそく」に行きます。

遠足自体は5日目以降から解放されままして、生徒会室に新たに街のマップが置かれています。これを調べることで「えんそく」イベントを発生させることができます。

 

では遠足に行くメンバーですが今回はお馴染みモール組を救出する必要があるので定石メンバーとします。

まずめぐねえ。次にくるみ。それと由紀ちゃん。

ちなみに6日目の時点でモール組の2人は別行動をとってしまいます。通常プレイでは「えんそく」イベントが6日目に解放される場合が多く2人同時に救出するのは難しいです。RTAでは当たり前のようにやっていますが初心者にお勧めするルートではないのでやめましょう(トラウマ)

 

というわけで朝食を食べたら車に向かいましょう。うへえ昨日の今日でまだグラウンドも水溜りがあるのにもう登校してきていますよ。

あとで跳ね飛ばしましょう。

 

というわけで今回はここまで!ご視聴ありがとうございました!

やべえオラお腹空いてきたぞ。飯食ってくる。

そういえば卵余ってたなあ。

 

 




るーちゃんのメモ
サイズのあわないおようふくをきるとやぶけたりすぐのびちゃったりひかかってボロボロになっちゃうからちゃんとサイズをあわせなさいっておねえちゃんがいってた。
あーるしてい?っていうのだとビジュアルもへんかするらしいよ。どんなのだろうね?


P.S
あーるしてい見たい人いるのかねえ


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生きる者

あーるしていを書こうとしたけど小話まとめになりそうなので初投稿です。


自分の見た光景が信じられなかった。

りーさん達が始めた下校の放送は、どうやら正解だったらしい。いっせいに彼らが学校から外に出て行ったのだ。

 

最初はその光景も見ることはできなかった。だけれど、扉の前から呻き声やものを叩く音がしなくなった事からも想像はできた。

ようやく外が静かになり、そっと扉を開けてみれば、そこは泥水や血が飛び散りめちゃめちゃになった無人の廊下がずっと続いていた。

そっとひび割れた廊下の窓から校庭を見れば、彼らの大群がまるで水が引いていくように校舎から湧き出していた。

それらは一直線に校門へ向かっていく。

「すっごいシュールだな…」

場違いにも思わずそんな言葉が口から出てしまった。

 

「めぐねえは⁈」

そういえば廊下にメグねえはいない。確か扉が閉まるときに屋上にいるとか言っていた。ならばきっと……

「屋上にいるって言ってた。いくぞ!」

頼む無事であってくれ!少しだけ不安が胸を刺したけれど、それよりもあのめぐねえがそんな簡単にやられるはずがない。根拠はなかったけれど私はそう考えることで他の邪念を打ち消した。もし邪念の方が強かったら今頃私は不安で押し潰されていただろう。それほどまでにめぐねえの存在に私は頼ってしまっていた。

屋上の扉は開け放たれていて、強い衝撃からなのか内側から扉はへこんでいた。元々割れていた窓ガラスは完全になくなり、もうすでにドアとしての機能を失っているようだった。

「めぐねえ⁈大丈夫なのか!」

豪雨のように雨がコンクリートを叩く屋上の真ん中で、めぐねえは大の字になっていた。

真っ先に飛び出した由紀がめぐねえに抱きついた。

そんな由紀をめぐねえは優しく抱きしめた。

「大丈夫よ。少し疲れただけ」

そういうめぐねえだったけれど、服は爪か何かが引っ掻いたのか一部が千切れ、返り血で真っ赤に染まっていた。

見渡せば屋上の至る所に血が飛び散った後が雨に滲んでいるけれど残っていた。どれほど過酷な戦いだったのだろう?

それと死体はどこに消えたのやら。流石に倒した直後に消えるような死体じゃないはずだけど。

「疲れただけって…ボロボロじゃねえか」

慰めも誤魔化しもできてないってば。

「スマブラの百人抜き手をやった気分よ」

まあそんな細かいことは後だ。雨に打たれているとだんだん頭も冷めてくる。さっきまでの高揚とか恐怖とか不安とかそう言った感情の全てが引っ込んできて、だんだんと冷静な判断を頭がし始めた。

 

「全く……」

めぐねえは上半身を起こしたけれど、由紀はまだ腰に抱きついていた。

「由紀いつまで泣いてんだよ」

雨で紛らわしくなっていたけれど目だけは兎みたいに真っ赤になっていた。まああいつの性格は知っているし仕方がないだろうけど…

「だってえええ」

泣きたいのはこっちだって同じだよ。雨が全部流してくれるから泣こうかな…

いやいや、あのとき涙すら流せなかった私がなにを今更…泣こうだなんて。泣くとしたら全部が終わってから…そうだ。彼への手向けもそのときだ。その時まで私は……

「先生困っちゃうわ」

 

「まあめぐねえが悪いから仕方がないな」

そうやって茶化すと、入り口の方から私達を呼ぶ声がした。りーさんと柚村だった。

「でもいつまでも濡れているには良くないわよ。ほら早く中に入って」

もうびしょ濡れだよと返事して、めぐねえの手を取って立たせる。相当激しい戦闘だったのだろう。確か犬の彼らもいたから仕方がないか。っていうか犬まで襲ってくるなんて……こりゃ認識を改めないとまずいかもしれないな。

 

 

めぐねえと一緒に部屋へ戻ったけれど、すぐにびしょびしょだとまずいと言うことで体操服へ着替えた。

最初に由紀が隣の生徒会室へ向かい、私とメグねえだけが残された。というよりも着替えの服が足りなかった。

私はあの時部活もあったし体操服はジャージ込みで持ってきていた。ただ、タイミングが悪くちょうど洗って干している最中だった。深刻なのはめぐねえだ。

まず着替えの服がない。先に出た由紀が教室から体操服を見つけて持ってきてくれたものの、それはサイズ的にめぐねえには厳しいところがあった。

 

再度探しに行ってもらってたけれど見つかるかどうかは怪しいところだった。

雨水を垂らしながら、めぐねえは何かを考えているようだった。流石にタオルはあるんだから髪の毛くらい拭けばいいのに。

「めぐねえ…血塗れだな」

肌についた血は雨で流れてしまっていたけれど服に染み込んだものはすでに黒く変色を始めていた。

「そうね…洗って取れるものかしら?」

それは私にもわからない。血の汚れなんて洗ったことないからなあ。ましてや洗剤や水は限られている。

「わからないけど早めに水拭き取らないと風邪ひくんじゃないか?」

いつまでも黄昏てるとほんとに風邪ひくぞ?

おっといけない。めぐねえは完全に忘れていたようだった。いや意識の外に無自覚のうちに追いやっていたみたいだ。急に服を脱ぎ始めた。

「おいおい!着替えもないのに脱ごうとするなって!」

紫色のワンピースを脱ぎ捨てたメグねえ。

大胆すぎて一瞬女の私でも心臓が跳ね飛びそうになった。慌ててバスタオルを押し付けて色々と隠す。

ちょうどそこに由紀が戻ってきた。

「ほかに誰もいないから大丈夫よ。えっと……体操服ってそれ?」

入ってきた由紀は体操服が入った袋を持っていた。

「1番大きいのこれしかなかったの。めぐねえに合うかな?」

由紀が渡したのは襟のタグにMと書かれた体操服だった。Sよりかはマシだけれど大丈夫かな?

「あー……」

 

「多分……大丈夫なはずよ」

いや確かに肩幅とかは大丈夫かもしれないけどさ…そうじゃないだろめぐねえ。

「ごめんMしか見つけられてなくて……」

 

「ま、まあ大丈夫よ」

実際にそれを着始めためぐねえ。私も下着とワイシャツだけの姿だったのを思い出し体操服に着替えた。

私が着替え終わる頃にはめぐねえの着替えも終わっていたけれど……

 

「全然大丈夫じゃないよなそれ‼︎」

案の定Mサイズでもダメだった。特に胸周りと腰回りがダメダメだった。更にいえばあのズボンの方はウェストが細めで作られていたようでめぐねえには全く合っていない。今にもゴムがちぎれそうだった。別にめぐねえが太っているとかそういうわけじゃなくて、ただ単純に骨盤の大きさの違いだ。

「でもこれしかないし……」

由紀は顔を赤くしていた。確かに色々と強調されちゃって見苦しいかもしれないけど……

なんか自分の小ささにちょっと泣けてきた。ごめん先輩泣きそうです。

「破れないか心配だよ……後お腹隠れてないけど大丈夫か?お腹冷えてとか嫌だぜ」

そう、体操服にしてもめぐねえの体格では丈の長さが全然足りていなかった。あれでは少し体を動かしただけでお腹が丸見えになってしまう。絶対お腹壊すぞ。

「大丈夫よ。インナーシャツ持ってきているから」

そう言ってめぐねえは服の下に着ている黒のシャツ一枚になった。いやどうしてそこで脱ぐんだよ体操服!ただでさえワキあたりが引っ張られて危ないのに余計なことするな‼︎それやぶれたらSサイズしかないんだぞ‼︎

 

 

一悶着あったけれどなんとか大丈夫だった。女の私でもちょっとこれはやばいって思える様な姿だけど一時的なものだしここに男はいないから大丈夫…うん大丈夫。

くそっ…よけいに考えたら直視できなくなった。なんか顔が熱い。

うーん……

「よければこれ着てなって」

仕方がないから私は体操服のジャージを羽織らせた。体格が大きくなったときのためにわざわざLサイズで買ったはいいけど結局体はMサイズが余裕という程度にしか成長せずジャージだけちょっとダボダボだったものだ。

「恵飛須沢さん?」

 

「めぐねえ薄着じゃ辛いだろ。取り敢えず着てろって」

やっぱりLサイズがめぐねえにはちょうどいい感じだった。まいったなあ…流石に借り物とはいえサイズの問題がここまで顕著だったなんて。

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

後で男物でもいいからLサイズ探してくるかなあ。多分りーさんもサイズ的にはLなんだけどりーさんは体操服家に置いてきちゃったって言っていたし。

近いうちに何処かで衣類の補充をしないといけないかもしれないな。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

少ししてめぐねえは全員を生徒会室に集めた。相変わらず電気は通じていないから暗くて仕方がなかったけれど、それはもういつものこととして割り切ることにした。

「取り敢えずやることをまとめてみたの」

 

ホワイトボードにはめぐねえのちょっと特徴的な丸っこい文字でこれからの予定が書かれていた。

まずバリケードの修理。

そして使える資材を集めて、破損箇所の応急修理。

夕食作りだった。

 

そして後日の予定で、学校の外での物資調達があった。それには衣類や生理用品。食糧や情報、武器になりそうなものと追加で小さくメモ書きが加えられていた。

いろいろやらないといけないと頭ではわかっていたけれど改めて提示されると色々と整理がつく。

「そうだな…私は異論はないと思うけど…」

他にやることと言っても救助要請くらいだ。それだって情報がないとどうしようもない。屋上にSOSって描いておくにも色々とものがないから描けない状態だしなあ。

「私もそう思うわ。欲を言えば生理用品は早めに確保したかったのだけれど…」

ああそうだった。ここにいる全員生理用品が必要不可欠だった。学校の備品では賄いきれない。色々あったせいで失念していた。

 

結局めぐねえが考えたそれに反対する人はいなかった。いたとすれば由紀が他の生存者を探したりするのはどうかなと言っていたくらいだろう。

ワンワン放送と言う放送をしている人が気になっているようだ。救助の通達などが行われる可能性があるからずっとラジオはスイッチを入れたままだけれど時々ワンワン放送と言う放送電波を拾っている。

私もそれは気になっていたけれど声の主がどこにいるのかがわからないしこちらから救助をしたいと言う旨の送信をできないから見送りになってしまった。

どうにかしてFM送受信器がつくれればいいんだけど。

 

「じゃあ早速だけどバリケードを直しにいきましょう。恵飛須沢さんと柚村さんはついてきて。あとの2人は三階の階段にバリケードを作ってくれる?」

今の時間は時計では昼を指していたけれど食欲は全然わかなかった。愛用のシャベルを持ってめぐ姉に続く。

「分かった!りーさん行こう!」

 

 

 

 

三階から下の階は、明かりがほとんどないせいもあってまるであの世への階段みたいだった。昔見た不気味なものリストにも似たような階段の変異があったことを思い出した。

「恐ろしいくらいに誰もいないな……」

電気も来ていない上にボロボロで血が辺りに飛び散った学校はある意味ホラー映画の舞台のようだった。もしかしたらホラー脱出ゲームの舞台として使えたかもしれない。

 

「ともかくまずは残骸の撤去ね」

懐中電灯の灯で、ボロボロになったバリケードを解体し使えるものを一か所に集めていく。もし彼らがいたら大変だったかもしれないけれど、幸い彼らが出てくることはなかった。

あらかたの作業が終わり、使える机や椅子が廊下に溢れていた。

 

それらを使い再びバリケードが作られていく。今度のは結構ガッチリとしたものだった。ただ、犬のような動物が攻めてきたときの対策はちょっとできそうになかった。すり抜けられないようにどこから取り出したのかピアノ線を貼っていたけれど気休め程度にしかならないだろう。

 

三箇所にバリケードを設置し終え、一階へ降りていく。

一階は二階と違い廊下が泥だらけだった。

まあ雨の校庭を通ってきたのだから仕方がないか。まずはこれをどうにかして綺麗にするところから始めるべきかな。でもそんなことしている余力は残っていない。

めぐねえは真先に玄関に向かい、横転している車を元に戻し始めた。

「なんでここに車があるんだ?」

 

「私が昨日押してきたのよ」

押してきたって…駐車場から?呆れて言葉も出ないわ。

「なんだ、だから佐倉先生の帰りが遅かったんですね」

柚村はそう言って車を元に戻すのを手伝い始めた。

「せっかくのスカイラインなのに…」

どうやらこの車は相当な名車らしい。

「仕方がないわよ」

確かに仕方がないかもしれない。こんな状況じゃなければ私もじっくり観察してただろうなあ。

 

全てのバリケードを直していると、いつのまにか日は暮れていて完全にホラー味の高い校舎に変貌していた。幽霊といった類は信じていないけれどゾンビに襲われた後だからもしかしたら幽霊もいるかもしれないと思い始めた。

 

 

三階は電気が復旧したわけではないけれど、ある程度の灯はあった。

 

その日の夕食はものすごく美味しかった。

めぐねえくらいの料理の腕を私も身につけてみたいなあなんて思うようになったのはこんなご時世じゃなければ思うだけで終わってただろうな。あの時は部活と恋でいっぱいだったし。

気づけば雨の音は止んでいて、明かりがなくなった世界からは夜空の星が息を吹き返していた。

 

あんな戦いの後だったからかなんか色々と吹っ切れてしまっているみたいな気持ちだった。実際吹っ切れていたのだろう。

いつの間にか私は椅子に座ったまま眠ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ日の上がらないうちからめぐねえは動いていた。なにをしていたのかはわからないけれど、何処かへ行っていたのは確かだった。多分下に行っていたのだろう。寝起きが悪い私はそこまで考えて再び眠りについてしまっていた。それが危険な行為であると理解したのは起きてからだった。

小1時間めぐねえを説教しようかと思っていたけれど、それを見越してかめぐねえは先手を打った。

「今日は……物資調達に行きましょうか」

物資調達。なるほど昨日ホワイトボードに書いていたやつだな。確かに食料だけじゃなくてトイレットペーパーとか生活必需品の多くがそろそろ心とも無くなってきていた。

いきなりだったけれどめぐねえの発言がそのまま起用されたのは私たちの心理状況もあったのかもしれない。

 

 

「えんそくだね‼︎」

えんそく。由紀はそう呼称した。

「うふふ、そうね。えんそくね」

遠足って…まあ物資調達なんて味気のない名前よりかはマシだけど。

「で、誰が何処に行くんだ?流石に全員は無理だろ」

流石にるーのような幼い子を連れて行くことはできないし1人にすることなんてもっとできない。もし1人にして何かあったら多分りーさんが修羅か般若になる。

「場所は決めているわ。ここから十分くらいのところにショッピングモールがあるでしょ。あそこなら衣類もあるしドラックストアも中に入っているから生理用品も見つかるかもしれないわ」

 

「あーあそこか……」

確かにあそこのモールだったら食料と衣類と…いろんなものが手に入りそう。他の生存者がいたらちょっと危ないかもしれないけれど。秩序の崩壊が招く事態にはそう言った諸々も入っているからなあ。

「じゃあ誰がいくの?」

私が聞く前にりーさんが訪ねた。

「そうね…誰が行きたい?」

決めてなかったんかい!

そっと手を上げた。それにあわせて全員が手を上げた。

「全員じゃこっちの守りどうすんだよ。人数的にも3人くらいまでだぞ」

 

「私が車を運転するとして後2人ね」

めぐねえ抜け駆けはいけないよ。

そう?車運転できる?

 

見様見真似なら……

ゲームで感覚は培ってる!ただしコントローラー操作だけどな。

「じゃあジャンケンで決めましょう」

りーさんがそう言ってじゃんけんを提案した。もちろんめぐねえ込みでだ。抜け駆けはダメだぜ。私だって車の運転くらいできるんだからな!ゲームだけど。

 

「提案者が負けてる……」

 

「くっ不覚……」

るーに慰められるりーさんってのもまた珍しいモンだな。

結局勝ったのは私とめぐねえと由紀だった。

これで決まりだな。

「それじゃあ後まかせた。あ、そうだ。今のうちに服のサイズ細かく教えてくれるか?服買うときに困るとまずいし」

 

「そうね。柚村さんの分も私が聞いてくるわ」

そう言ってりーさんは数分後に柚村の分のサイズも書かれた紙を渡してきた。

なんか隣の部屋から色々と悲鳴が聞こえたけど気のせいだと思う。

なにがあったのかを知りたかったけれどるーには聞かせられないような内容とだけ言われた。

柚村…強く生きろ。




るーちゃん
「エッチなことしたんでしょ!わたしがなにもしらないとおもってるの?これでもぴーーーとかぴーーーーとぴーーーーくらいしってるしともだちからかりてみたことあるもん!」
手話


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12.プレイヤーの怪我は怪我に入らない。

あーるしてい(笑)
現在10%




ショッピングモールへ買い物に行くだけのRTAはーじまーるよー‼︎

 

やっとあの2人を手元に連れてこれる!それだけで勝利したも同然です!

では早速車を…あれ?なぜかめぐねえの車が玄関のバリケード近くに移動していますね。おかしいな……まあRTAとしては取りに行く要素がなくなる分良いのですけれど。

もしかして寝ている合間に誰かが移動させたのでしょうか?

一応睡眠ライブ仕様にすれば寝ている合間の行動を10秒かからない程度で見返すことができるのですけれど。

 

まあいいや(慢心)

 

取り敢えず車を連れてきましょう。もうすでに時間は9時を超えていますので校庭はゾンビどもで溢れかえっています。

アウトブレイク発生2日目まではまだ健康的な肌だったのに今となっては腐り果てて完全にバイオ系ゾンビになっています。ビジュアルでSAN値削っていくって卑怯だと思う。

 

まあ覚醒しためぐねえ相手に足のとろいゾンビなんてただのカカシですな。

気をつけないといけないのは車の下に潜り込んだゾンビだけです。

まあそれも問題ないようですので行きましょか。

 

バックで車をバリケードの隙間につけます。すると玄関で待機していた2人がトランクルームの扉を空けて入ってきます。

ちなみにこう言った芸当はなぜかクーパーではできません。不思議ですねえ。

まあジープだからということで済ませておきましょう。

 

 

 

ではめぐねえ運転の元早速ですが現場へ向かいましょう。

道自体は放置車両と事故車とバリケードでラクーンシティほどではないですが走りづらい状態となっています。その上道にもゾンビが溢れていますからね。

邪魔だと思ったらゾンビ程度は跳ね飛ばして構いません。耐久が減ってしまうので行きでやるのはお勧めしませんが。

 

基本まっすぐ行けるのならすぐ着くはずですがそんな簡単に到着させてくれるはずもなく、暗記していなければ一発で通ることはできない迷路となっています。間違えたら即リセです。

まあ暗記くらいは簡単だよね(3敗)

 

「ちょっとストップ!」

 

お、そうだな。

はいくるみの家イベントです。

初めて「えんそく」イベントを行う場合確定でこの道を通らないといけませんのでこのイベントは確定してしまいます。

本当は無視して通りたいんだけどなー早くしてほしいなー。

ちなみについていくとくるみと友人以上、教師であれば生徒と教師以上の関係になれます。しませんがね。余計なイベントが入ってしまいますし。

後R指定ではここでくるみの限定コスチュームに色々と変える事ができます。似たような設定は各人の家に立ち寄るとできます。

ですがめぐねえだけはバイオ版DLCの都合上立ち寄るとタイラントおじさんとエンカウントしますのでやめましょう。コスチューム変更のためにタイラントおじさんと一緒に追いかけっことか嫌すぎるだろ。

 

ちなみに現在のめぐねえははちきれそうな体操服ではなくいつものワンピース状のドレスになっています。いつの間に着替えたと思いますが実はこれ着ている服が深刻な破損、あるいは完全に破れた場合に自動で初期の服に戻す全年齢版の仕様です。

R指定(Zクラス、Dクラス)ではこのような機能は付いていないのであしからず。

どうやらさっき運転している途中で破けたみたいですねエッチなめぐねえはもう見れないのかって人はR指定版にしましょう。

 

はいくるみが戻ってきました。時間にして3分。まあ想定タイムに組み込んでいますので問題はありません。

豆知識ですがZクラスで、一緒に行くとあんなことやこんなことしますがゲーム内の時間進行では十分も経っていないという判断されるという…十分しか経ってないのに⁈十分あれば十分です!

どこぞの美術商の付き人か‼︎

 

まあともかくいきましょう。

 

 

はい到着でーす!車も一応は駐車場のほうに入れて置きましょう。

車の音が響くのでゾンビを引き寄せやすいですが外に止めておくとすぐゾンビどもに埋まってしまうし下手すると他の生存者に盗まれるなんてこともあります。

 

 

このショッピングモールで気をつけることはゾンビの数が尋常じゃないことくらいですね。ちなみにモールと学校以外の場所でバイオ版をスタートさせるとゾンビ以外にもケルベロスやハンター、リッカーとバイオの面倒な奴らが出現するようになります。地獄だ。

 

ただしめぐねえプレイの場合はTウィルス系、それ以外のキャラではプラーガ寄生体、Cウィルス系のクリーチャーになるという変化があります。

 

ではここからは戦闘行動!

みんな、カバンはもったな?

 

まず一階はドラックストアに突撃です!ちなみにめぐねえは別行動で食料品店に突撃かましてます。

だって時間が惜しいんですもん。それに食料品店も生物を含む多くの食料はSAN値ピンチな姿に変貌していますからね。万が一くるみや由紀ちゃんが見ちゃって旧支配者を呼び出す寸前まで追い詰められても困りますし。

 

さっさと缶詰とフリーズドライを回収していくんだよ!後調味料や小麦粉、片栗粉、梅干しやじゃがいもなど。

当然邪魔なゾンビは片っ端から処分していきましょう。邪魔ですし事故の元です。

そもそも食料品店のエリアにはゾンビ少ないですので殲滅に時間はかかりません。

あ、鋏壊れた。壊れた鋏はそのまま持っておきましょう。サバイバル術のスキルで新しい武器にすることができますので!

 

 

 

お、レベルアップです。

今回は…体力と知力にポイントが振られていますね。それと新しくスキル「首回し」が追加されました。

これを習得するとゾンビーズの近くでボタン表示が出ますので素早くそれを押すことでゾンビの首をネジ回して折る一撃必殺の技です。もちろん周りを囲まれている状況では隙が大きくなり使いづらいですが暗殺スキルと違って常時発動可能です。

これで武器がなくても楽に戦えるようになりました。

 

よーしあらかた集め終わったので一度車に荷物を置きにいきましょう。

ロスのように思われますがこれ以降えんそくに行くこともないですからね。

できるだけたくさんの物資を回収したいのですよ。

 

 

「よし、後は衣類と雑貨だな」

 

というわけでささっと上の階へいきましょう。

みーくんやけーちゃんの救出は最後です。面倒ですのでね。

雑貨はやっぱり彼女達に任せるとして洋服店ですがまあ適当に選びましょう。どうせ選べる服なんてそんなにないのでね。

ちなみに洋服選びはガチャです。一回につき三度回せます。一応全員分の衣類が手に入るので三度回せばもう手持ち満杯です。というわけで一度車に戻って荷物を置いておきましょう。

お、こ↑こ↓は水着コーナーじゃないですか。

折角ですし入りましょう。

ちなみに水着を取っておかないとできないイベントなどもありますが正直RTAでは要らないです。

見るだけ見るだけ……ふうお腹いっぱい。それじゃあ行きましょうか。

 

 

何度も車に戻った気がしますがタイムロスではないのでご安心を。とりあえず階段はバックステップ上りで時間短縮します。

 

それでは全員で最上部のバックヤードにいきましょう。

くるみが何か言ってきましたが適当に返答して結構です。

 

さて、バックヤードには職員用の寝泊り部屋がいくつもあります。このうち一箇所だけゾンビが集まっているところがあります。気づかれていないうちにさっさと潰しましょう。

とりゃ!ていや!

数にして2体なんて回し蹴り一回で十分です。後は声をかけてみましょう。

「まさか助けが⁈」

 

そうだよ。

 

ほらあくしろよ!出てこいや!

 

ほお2人ともそろっていますねえ。それじゃあいくぞごら!

みーくんどうした?何悩んでんだ阿呆。悩んでないで早くこっちきなさい!でないと巡ヶ丘南ポリスデパートメントに打ち込みますよ!

 

「ちょっと待ってください!実は…」

 

太郎丸でしょ?そういや一緒にいないからね。そうでしたね探しに行きましょうか。と言っても見つけ出すのは無理無理方頭なのでここはNOと言っておきましょう。

ちなみにYESを選んで一緒に探しても見つかりません。最後帰ろうとするときにミニイベントとして太郎丸回収イベントが挟まれます。

 

というわけで一階へレッツゴー!

階段にいる敵は高低差で差をつけろ!

というわけで…難なく一階におりました。

では帰るために駐車場方面へ向かいましょう。するとワンワンと太郎丸の鳴き声が聞こえてきます。

ほらなけよ。

ワンっ!

ではみーくんと一緒に向かいましょう。

あ、由紀ちゃんもついてきました。本当なら先に車に戻っていて欲しいのですがまま良いでしょう。余計なことされてチャートがずれる事があるのでリカバリーの目的も兼ねて目の届く範囲に置いておきましょう!

けーちゃんは?ああ車に戻っているのね。

 

 

はい何百回と見た光景ですがピアノの鍵盤を太郎丸が押してしまっているせいでものすごい数のゾンビが集まっています。一階だからというのもあるのでしょう。

それにしても数の多いことなんの。これぞゾンビものの真骨頂というべき光景です。欲を言えばストリートで迫ってくるゾンビの群れの方がよかったのですけれどね。

 

 

まあ由紀ちゃんにかかればこんなものささっと終わるんですけれどね。電気が通じていない分周囲は暗くゾンビだって視界がある程度妨害されています。

ただし生きている人間ははっきり見えるようです。赤外線でも感じ取っているのでしょうかね?

 

由紀ちゃんのペンライト!アンド防犯ブザー!

これによりゾンビの視界と聴覚の両方を惑わせます。どちらか片方だけだと高確率で生きている人の方に向かっていってしまいます。それがモールゾンビの困ったところ。

 

集まっていたゾンビ達がウロウロとし始めました。お、太郎丸ダッシュです!ダッシュで今ゴールへ向かっています!

皆さん温かい拍手でお迎えください‼︎

「太郎丸おいで!」

「わん!」

 

「……え?」

あらー綺麗にスルーされましたねみーくん。なんだかかわいそう。状況は切羽詰まっていますが完全にギャグ時空になりました。

綺麗なスルーをした太郎丸は由紀ちゃんにゴール!ファンファーレ!とはなりません。奴らが来る前にさっさと逃げましょう。

あ、由紀ちゃん盛大に転けた!

あーもうどうしてそこで転ぶかねえ。ほら立って。包囲されちゃったら元も子もないよ。

 

お、みーくんがしれっとおんぶしてくれましたね。

なんやあいつイケメンやないか。スカートから伸びているガーターベルトさえなければ完全にボーイッシュで押し通せるんですけれどねえ。

 

あれえ?なんかゾンビの数が多いような……

 

うなああ⁈駐車場の方までいっぱいになってるうう!マジですか?

ヤッベ!おら突破だ突破!

出入り口塞ぐんじゃねえ!

 

……あーなるほどね。理解したわ(してない)

元々モールのような大型商標施設では立体駐車場に直結する入り口は設計上エレベーターと階段が集中しています。

このゲームなぜか階段にゾンビが多く配備されるのですがそれが先ほどの防犯ブザーに引き寄せられているようです。

理屈は知りませんが結構響いちゃっていますね。上の階にいた奴らがまとめてここの階段から溢れ出していました。

 

長物系の武器が有れば良かったのですが生憎園芸用の長い鋏は壊れています。

あれえ?これ詰んでね?ロスじゃね?

DIYの材料全部車だし。

うああああ!もおお‼︎

やってやろうじゃねえか!オラかかってきやがれ!

 

今まで取ったスキルは伊達じゃないんですよ!

 

ふっ!あちょー!ほわた!

 

うん、なんとかスキマ作れましたね。って何ぐずぐずしてるんですかみーくんおら先に行けや!お前は雛鳥か‼︎親鳥にくっついていくだけの雛鳥か‼︎

くそったれい!

 

やっと走ってくれましたね。いやあ自分1人ならどうとでも出来るのですが同行者がいるとどうも難しいですよね。

 

ああほらあんたがぐずぐずしてるから先生囲まれちゃったじゃないの!いやだああ!ロスなんてしたくない!

 

リセかな?リセかな?でも私のカルマが言っているんだ!ノーリセRTAから逃げるなと。

 

狙うのは壁に設けられた介助者用の手摺り!

ちょっとアクロバティックな動きをするので視点を三人称追従に切り替えっと。

 

では行きますよ…まず前を塞ぐゾンビの頭を回して折ります。すかさずダッシュボタン!スタコラサッサ!

速度が乗った状態やこういった突起によってはアクションボタンが出てきます。運営も狙っていますねえ。まるでアクション映画さながらです。

はいでました!タイミングを合わせて……といや!

さらに壁をキック。最後は壁側に取り付けられた監視カメラをつかんで…

振り子の要領で勢いをつけたらゴーール!はい入り口まで飛べました。

ちなみに今のでめぐねえは片腕脱臼によるダメージ、スタミナ切れと結構反動がきます。

ああいったアクションは運動部や運動をやっていているか体力にポイントを一定以上降っていないとペナルティでダメージが入るんです。

まあコラテラルダメージです。問題はありません。

お、どうやらくるみが運転してくれるようでみーくん達とめぐねえを回収するために車を回してくれました。すぐに乗り込んじゃいましょう。

ではくるみ先生なるべくぶつけないようにお願いしますね?

 

ドンッ!

おいゴラァ!免許持ってんのか。

 

なんで早速黒塗りのレクサスにぶつけてるんですかねえ?まあ低速ですしダメージは入ってないようですが車の警報機が作動してしまいました。

これは後から来る人大変だろうなあ。

 

ドゴッ‼︎

また何かぶつけた。どうやらゾンビを跳ねたようです。まあカンガルーバーついていますし人くらい跳ねたところでどうってこないね(慢心)

 

いやあ危機一髪でしたねえ。酒の席のいいネタが出来ましたよ。

そういえばそのカチューシャどうしたんですか?ん?けーちゃんもなんか返り血浴びているようですね。うーん…まあ正気度が多少低いですがそれだけのようですしまあいいか。

とりあえず応急処置でめぐねえの脱臼した腕を元に戻しましょう。ちなみに応急処置だけでは完治していないので後でちゃんと手当てを受けましょう。スキルはりーさんが持っています。

 

あ、そうそう、途中でくるみと運転を変わりましょう。彼女に任せると確定で二回道を間違えます。任せるとロスになりますのでね。

では戦利品と一緒に帰りましょう。もう夕方で薄暗いですがヘッドライトをつけるのは禁物ですからただでさえエンジン音でゾンビが集まってくるんですからね。ですのでちゃんと暗闇に目を慣らしておかないと悲惨ですよ。

街灯や信号はなんとか生きていますが大体家に帰れない社畜ゾンビ達を惹きつける誘蛾灯になってしまっています。なんか嫌だね。

 

学校に到着しましたのでみんなで荷物を三階に運びましょう!ちょうど真っ暗でゾンビも殆どいませんからめぐねえとくるみで梅雨払いすれば問題ありません。

ほらキビキビ動く!あ、由紀ちゃんはりーさんと一緒に先に戻って手当てしておいてね。めぐねえ?脱臼した部分はもう仕方がないですよ。

というわけで今回はここまで!ご試聴ありがとうございました!




るーちゃんメモ

さっきおねえちゃんたちのかばんをあさったらくろいケースにはいったDVDとカバーのついたマンガがでてきたの。おんなのこどうしがいちゃいちゃしているないようだったけどなんでおんなのこどうしであんなことしてたんだろうね?
えっとねないようは…
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えんそく危機一髪


R指定版70%できたので初投稿です


なんだかんだ言ってめぐねえは手際がいい。

バリケードを作るときしかり彼らとの戦いしかりエトセトラ

今もいつのまにかバリケードの前まで車を持ってきていた。

多分また夜中のうちに動いていたのだろう。

おかげで入り口付近でほとんど待つことなく、彼らとは一度も合わなかった。

めぐねえの車は車体が大きい。おかげで車内で横になっても十分寝泊まりできるんじゃないかって思える。さすがジープってことだよ

でも車体の大きさを感じさせない軽快な動きで彼らの合間を縫うように走っていく。

側から見てもその凄さがわかる。ただ、その鋭い目つきだけはちょっとだけ怖いもののように感じることが時々あった。私たちに向ける目つきとは明らかに違う敵意を孕んだ目つきだ。

確固たる意志があるのはわかったけれど……なんだか脆い気がしてならない。何かの拍子に壊れてしまわないか心配だ。めぐねえに何かあったら私だけじゃなくて由紀も悲しむしなあ。

 

見覚えのある傾いた電柱が見えた。確かいつも通学時に目にしていたものだ。小学校の頃はそれにどこらへんまで登れるかなんてアホな遊びをしていた。ってことはもしかしてこの道って……

ああそうだあの家だ‼︎

「ストップ!」

 

 

 

 

 

 

彼らや放置車両、事故車が多い国道を避け住宅地の中を進んでいると、急に恵飛須沢さんが停車の合図を出した。何か見つけたのかしら?

「なあめぐねえちょっと待っててくれないか?」

 

「くるみちゃんどうしたの?」

 

「いや、ちょっとな…」

 

いつもの覇気が感じられない。真横に立っている家の表札が目に入った。

少しばかり薄れていたけれどそれには確かに恵飛須沢と書いてあった。珍しい苗字だ。この街にそう何人もいるわけじゃない。

「恵飛須沢さんの家なのね……」

 

「あーそっか‼︎」

アウトブレイクから日にちが経っていないけれど、住宅地の家の多くはあの時の日常を切り取ったかのようにそのまま残っていた。

もしかしたら誰か生きているかもしれない。ここら辺は普通の生活が営まれているのかもしれない。そういう幻想を生み出していた。

 

「見てきたらどうかしら?待ってるわよ」

 

「わりい、そうするよ」

少しだけ俯いてしまっていて、その表情までは読み取れなかった。

くるみさんが家に入っていく。その背中は家族の心配で頭がいっぱいの少女だった。それが普通なのだ。こんな地獄でなければ……

 

地獄というのは人をどこまでも追い詰める。

 

 

 

 

十分くらいして、恵飛須沢さんが戻ってきた。

「誰かいたの?」

由紀の問いにどこかスッキリしてしまったような…色々と悟ったような顔で彼女は答えた。

「誰もいなかった。もしかしたらどこかに避難していて生きているかもしれないから……置き手紙を置いてきたんだ」

 

「そっか……」

 

「なあ由紀はどうなんだ?」

「私?私はちょっと遠いからなあ」

「隣町だったかしら?」

いつも電車通学だ。少し距離があるはず。

「そうだよ!だからすぐには行けないかなあ……」

確かにここから電車で数駅となるとかなりの距離がある。もしかしたらアウトブレイクに巻き込まれていない場所かもしれない。まあこのアウトブレイクがどこまで広がっているのかわからない現状ではどうすることもできないのだけれど。

 

 

 

 

 

 

住宅地の生活道路は交通量が少ない場所だけれど、それでも車一台が横転していればそこを通ることはできなくなってしまう。

案の定何回かそんな道に出会した。

「あの道もまた事故車か…」

 

「まあ生活道路は大体どこもつながっているからあまり問題はないわ」

碁盤の目とまではいかないけれどそれなりに道同士は繋がっている。なのでたどり着けないという事態にはならず、なんとかモールまでたどり着くことができた。

駐車場に車を入れる。立体駐車場の上方へ行く通路には焼け焦げた車があり仕方なく一階に止めることにした。ここにも車の持ち主だったのだろうか彼らの姿がいくつも見受けられた。

なるべくモールの出入り口近くに止めて置きたかったけれどそうも言ってられない。通路に車を止めてエンジンを切る。

 

「2人ともちょっと走りましょうか」

 

「そう…だな。この状況じゃちょっと危ないからな」

 

「かけっこかな?」

 

車のエンジン音に引き寄せられてきた彼らだけれど音がしなくなった途端また迷走している。今のうちだろう。

 

同時にドアを開けて外に降りる。なるべく音が出ないようにそっとドアを閉め、モールまで突っ走る。平日の昼間だからなのか彼らの数はなかなかの数だったけれどどこか少ないように思えた。

それでもざっと見たところ20に届きそうな数の彼らが吹き抜けのホール部分に溜まっていた。

「ホール側のエスカレーターはちょっと無理だな」

 

「仕方がないわ。まずは一階で集められるものを集めましょう」

上の階を見に行くのはそれからにしよう。

 

電気が通っていないからか昼間なのにどこか薄暗くホラーゲームの舞台と言われても違和感のないところを静かに歩く。

ここにも彼らは何体もいた。

 

「じゃあ私はスーパーを見てくるわ」

 

「わかった。じゃあ私達でドラックストアだな」

 

少し危ないかもしれないけれど、由紀さんと恵飛須沢さんなら信じても大丈夫。

バックヤードにつながる扉の影から飛び出して近くの彼らの首を回してへし折る。

あの人に教えてもらった技だけれど実際に使えるかどうかは怪しいものだった。まあ杞憂だったけれど。

邪魔だった存在が消えたところを彼女達が駆けていく。それを尻目に私も食料の確保に向かった。

 

 

 

 

ドラックストアの入り口は、商品棚によって塞がれた状態になっていた。それでも完全に塞がれているわけではなく、端っこの方に屈めば潜ることができそうなスペースがあった。

 

由紀を先に行かせてドラックストアに入る。

 

「どうだ⁇誰かいたか?」

 

「見たところだと誰もいないよ」

そっか…きっと倒れた商品棚がバリケードの役割を果たしているのだろう。ここら辺は外からの光も差さないからあいつらもほとんど目が見えていないようだし。

 

室内はまだたくさん物資が残っていた。

とりあえずまずは……

カウンター近くで集めなければいけないものリストを確認しようとして、ふと私や由紀とが違う気配を感じた。だけど感じた時にはすでに手遅れだった。

「動かないで」

 

「「……え?」」

 

ストックが置いてある奥の倉庫の方から出てきた少女が私に銃を突きつけていた。それは警官が持っているあの拳銃だった。おそらく警官から回収したのだろう。

銃を突きつけられている非現実感が緊張感をどこか奪っていってしまう。

「えっと……」

スコップじゃこの距離は無理だ。構える前ならまだどうにかできたかもしれないけれど構えられた状態じゃなあ……

由紀は私に抱きついて離れそうにない。初弾を回避するってのも現実的ではないな。

「何が欲しい?」

制服の上からフードをかぶった少女の表情はよく見えなかったけれど、こちらを本気で撃ってこようとしている気はなかった。

振り上げかけていたスコップを床に下ろし、敵意が無いことを示す。向こうもそれに従って銃を納めた。

「別に怪しいものじゃなくて…ただ生理用品とかが…」

 

 

「生理用品は1番右側の通路に揃っている。後、これも持って行きなさい。鎮痛剤よ。怪我した時に有効だから」

 

「そ、そうか。ありがとう」

私が貰ったものをバッグに詰めようとするといきなり由紀がその少女に紙を渡した。

「後これが欲しいんだけど」

由紀⁈おま…いつのまにメモ用紙を……

「……集めてくる」

そう言ってその少女は奥の倉庫の方に行ってしまった。

数分ほどして戻ってきた彼女はメモに書いてあったものを全部集めてきていた。

「あ、ありがとう?」

 

「礼はいらないわ」

 

「…ここに住んでいるの……か?」

 

「私は1人で大丈夫よ。早く行きなさい。ゲホゲホッ!あまり長居されると彼らが寄ってくるわ」

 

「分かった。ありがとう」

奥に戻っていく彼女はどこかふらついていた。

ドラックストアを出ても直ぐ近くに彼らは見当たらなかった。素早く入ってきた出入り口の影で隠れてめぐねえを待つ。

ふと受け取ったものの中にカチューシャが入っているのに気づいた。黄色いそれはついさっきまで彼女がつけていたものだろう。

「……まあもらっておくか」

 

数分してめぐねえが戻ってきた。バッグいっぱいに食料を詰めたのだろう。膨れ上がっている。

一度荷物を車に置いて、再びモールに戻る。

 

「後は衣服とかだったよな?」

 

「でも二階までどうやっていくの?」

由紀の疑問ももっともだった。二階へ行くにはそれなりに…いや結構度胸が必要だ。

「階段くらいしか選択肢はないわね……」

 

「そうなるよなあ……」

 

だけれど入り口近く……エレベーター脇の階段は彼らが結構集まっていた。

中には子供の大きさの彼らもいた。

あんな幼い子まで……いや感傷に浸っている時間はない。

こっち側はちょっと無理そうだ。

 

「じゃあちょっと機転を聞かせて…あそこの吹き抜けのエスカレーターを上がってみましょう」

 

「…へ?」

一瞬何を言っているのかわからなかった。

 

確かにホール部分は広いからそれなりにかわすこともできるけれど……

「狭いところに大量にいるのよりかはマシでしょう」

 

「まあ…確かにな」

 

言われてみればそうだ。ただ駆け抜けることができるかはわからないけれど。

「ピンポン球持っているわよね」

彼らの注意を逸らすのによく私たちが使う手だ。今も持ってきている。というより入れっぱなしにしていただけなんだけれど。

「あ、ああ……一応」

 

「それでおびき寄せちゃいましょう」

めぐねえの方法は驚く程簡単に行った。

彼らってやっぱり頭で考えていないんじゃないのだろうか?ピンポン球を追いかけて一時的に全員が出口の方へ向かって行ってしまった。

 

その隙に素早くエスカレーターを登る。だけど上のほうにいた彼らが目の前に割って入った。

「……ふっ」

とっさにめぐねえが足元を払って転ばせて、頭を捻った。

動かなくなって今度こそ屍となったその身体を音がしないように寝かせた。

相当腐敗が進んでいるようでもうすでに身体中が腐ってきていた。なるべくそれを見ないようにしながら、周囲の確認をする。

かなりの数がいたけれど登るのは得意じゃないからなのだろうか数は少なさそうだった。

 

散乱している机や植木の影に隠れて少しづつ進んでいく。やっぱりここも店が並んでいる場所はそこまで彼らはいなかった。

「洋服って確かここだよな?」

 

見た感じ彼らもいないようだった。

 

「いろいろあるな……」

 

 

ふう……結構買ったな。

 

「これお金足りるかなあ?」

 

「お金?あー…足りないかもな」

 

「えへへ、そうだよね」

お財布に入っていたお金をカウンターに乗せておく。少しアホらしいかもしれないけれど気持ちのようなものだ。

めぐねえもいくつか服を持ってきていた。ただよく見るとめぐねえが行ってきた店はちょっと服の露出が多いというか…下着とか服とか色々過激系だった。

 

「めぐねえそういうの趣味だったのか?」

 

「……へ?あ!ち、違いますよ!ちょっと気になったから入っただけで服は普通のを……」

そんなに慌ててたら逆に怪しい。めぐねえって結構そっち系の趣味あったんだな。

「あ、これとかりーさん似合いそうだね!」

空気も読まずに由紀はその店を物色し始めた。

「由紀、それ服じゃなくて下着だぞ?たぶん……」

 

「でもセーターって書いてあるよ?」

 

「背中丸あきのセーターってなんだよ保温性皆無じゃねえか」

なんだこのセーター。

「それ私もりーさんに似合うんじゃないかって思ってたのよ」

 

「2人揃って超失礼だな⁈」

 

あ、これって……

「これもしかしたら柚村にぴったりかもな」

それはいわゆるパンク系のセット品だった。ただ上は下着よりも下手したら面積がないビキニ状の服に脇下までしか丈がないノースリーブのジャンパー。首のチョーカーに合いそうだ。

「くるみちゃんも人の事言えないね」

 

「いいだろ!普通の服のいくつか買ったんだし…」

 

 

その後また何着かちょっとふざけたものを買って目的のものも揃ったからそろそろ帰ろうかという雰囲気になってきた。

「なあめぐねえ、さっきさ……」

 

生存者にあった事を伝えた。ただいきなり銃で威嚇してくるしあきらかにこちらとは相入れませんという雰囲気を出していて避難しないかと言い出せなかった事を伝えた。

 

「まあ向こうがその気がない場合は無理に近づかないほうがいいかもしれないわね」

 

「でもさ……」

 

「学校が1番安全って保証もないでしょ。人は自身で見たものを基準にして考えることしかできないからあの子にとってはあそこが1番安全な場所って判断せざるを得ないのよ。私達だって学校が安全って思っているのと同じよ。それに、社会秩序が崩壊している以上相手が必ず理性的な対応をしてくれるか、私たちが理性的な対応ができるか分からない。良くも悪くも野生って事よ」

 

 

「……そっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

私の自説のようなものだけれど、実際あのラクーンシティではそんな感じだった。敵は彼らだけではない。むしろ社会秩序という制御装置がなくなってしまった人間の方が危なかったかもしれない。なまじ意思疎通ができる分彼らより心理的な負担が大きかったから。

それでも私はそう言った事例に遭遇したのは一回だけ。しかも銃砲店のおじさんが追い払ってしまったからどれほど酷いのかは人伝にしか聞いたことがないけれど。それでも実際に起こってしまった事なのだ。

「まあ、いろいろ説明して情報を渡して向こうがどう判断するかに委ねるしかないわ」

実際情報ほど貴重なものはない。

「あの時もそんな感じだったのか?」

 

「似たような状態だったわね……」

 

「生きるって大変だね」

 

「ええ、大変ね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

……上に行ってみましょう。

もしかしたら上の方に生存者がいるかもしれない。協力的ではないかもしれないけれどそれでも会わないことには何も理解できない。一階の子は保留にして二階は誰もいない。だけれどスーパーに四階に生存者アリの紙が貼ってあった。

そういうわけだからもしかしたら上にも生存者がいるかもしれないと伝えた。まあ広域避難を前提に作られている場所だから非常時の食料備蓄くらいは備えているだろう。

対バイオハザード対策までされていた学校ほどではないけれど。

「こういう閉鎖空間の場合まず籠城するなら上なのよ」

実際彼らは階段を上るのが下手なようだ。さらにあの時はみんな避難で外に逃げようとしていた人が多いはず。逆に上に逃げようとした場合籠城を覚悟してのはずだからその時には上のほうに残っていた人は多くはない。

 

「だとしたら生存者がいるかもしれないな!」

 

「屋上の方は流石に無理だけど……」

 

 

バリケードの跡は残っていた。だけれどどれも破壊されてしまっている。

どうやら生存者がいたのは確からしいけれどこれじゃあ……

残っていた痕跡や血の後から多分昨日。彼らが一斉に押し寄せたあの日にやられたのだろう。だとしたら生存者はいるかもしれない。

「なああれって…」

くるみが何かに気づいた。咄嗟に由紀を引っ張り物陰に隠れる。

ふらふらと歩いてきたのは彼らだった。

「これは絶望的だな……」

 

「まって」

何か音がする。すぐそこにいる彼らの足音?違う、その音ではない。何かを叩く音。もしかしたら…

 

生存者がまだ抵抗をしている可能性が頭を横切り、奥へ進むことにした。

バックヤードの奥にある当直員用の部屋がいくつかある区画に出た。

L字に折れた廊下の向こう側をそっと覗いてみると、幾つも並んだ部屋の扉の一つを彼らが強く叩いていた。

まるでそこに誰かがいるようだ。

「あいつら何やって……まさかあの扉の向こうって!」

 

「行ってみる価値はあるわ」

由紀ちゃんにそこで待っているように言って音を立てずに角から体を出した。恵飛須沢さんも後に続く。

必中の間合いだ。私は素早く彼らの後頭部に蹴りをたたき込んだ。頭蓋骨が陥没するような不快な音と感触が足に伝わってくる。

その横では未だ扉を叩いていた彼らの首にスコップの先が突き立てられた。

 

時間にして4秒。あっという間だった。

数が少なかったこともありあっさりと片付いた。

 

急に扉の前が静かになったからか、彼らが叩いていた扉の奥で話し声が聞こえた。

声からして少女が2人。開けても大丈夫なのかどうかを話し合っていた。であれば私がすることはひとつだけ。

「もう大丈夫ですよ」

安心させるために声をかければいい。それでも向こうが扉を開ける事をしないのであればその時は諦めよう。

「ほ、本当ですか?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

少しして、ゆっくりとその扉が開かれた。部屋の奥はよくあるアパートのような構造をしていた。部屋以外にも台所とトイレがついているみたいだ。

 

「あ、同じ学校の……」

中にいた少女2人は、由紀や恵飛須沢さんと同じ制服を着ていた。違うのはリボンの色だろうか。確かそのリボンは……

「そう見たいね。二年生かしら?」

 

「え、ええ。2年の直樹美紀です」

短い髪でガーターベルトをつけた少女…直樹さんは同じ学校の生徒だという事で一瞬だけ安心していたけれど警戒は怠っていないようだった。片足を後ろに下げて身構えていた。まあいきなりすぎると人はそういう反応をするし仕方がないだろう。

「祠堂圭です」

一方ハーフアップの茶髪の子は警戒心が薄い方なのだろうか完全に無防備状態だった。

「2人とも学校に避難しない?」

 

「学校ですか?」

かれらの襲撃を受けた事は少し伏せておくことにして、私は2人に学校の現場を話した。現状の生存者。食料の備蓄状況。電源の確保、水の確保など。

 

「そんなに設備が…確かに太陽光とか風力とかがあるのはわかっていましたけれど。雨水のろ過装置まであるなんて」

確かに雨水のろ過装置なんて私も知らなかった。屋上に何かないか調べた時にようやく発見したくらいだから。

「いこう!ここにいるより絶対良いって!」

祠堂さんの方が真っ先に乗ったけれど直樹さんの方はどうも動きたくなさそうだった。救助ではなく、結局私たちも避難民であることに代わりはないから。

「でも……」

 

「こんなところで生きているだけでいいの?」

 

「……わかった。行こう」

 

 

話し合い、終わったみたいね。

 

2人が荷物をまとめている合間に、由紀さんは2人のあだ名を考えていたようで、部屋を出た直後から当たり前に用に渾名で呼んでいた。

「すごいコミュ力だな」

 

「ええ、一種の才能ね」

 

少なくとも心を開かせるというのに長けていると言ってもいいだろう。こんな状態になって発掘されたのがなんとも惜しい。

 

 

「ところで、ここにくるまでに犬を見ませんでしたか?」

直樹さんが思い出したかのように尋ねた。犬は…見ていないわね。彼らになってしまった犬なら見たことあるけれど。

「犬?くるみちゃん、めぐねえ見た?」

 

「いいえ、見てないわ」

 

「私も見てないけど……」

いたとしても彼らになっている可能性が高いから不用意に近づく事はできないけれど。

「実は太郎丸っていう小型犬も一緒に避難していたんだけど……」

 

「いなくなっちゃったのね」

 

「飼い犬だったけど私達の飼い犬じゃなくて……」

ああ、飼い主と逸れてしまった犬か。

「もしかしたら元の飼い主の家に帰ったとかそういう可能性もあるわ。残念だけど探している余裕は……」

こちらとしても探してはみたいけれど何処に行ったのかが分からない犬を見つけるのは難しい。平時だって相当大変なのに今はもっとだ。

「分かっています。気にしないでください」

 

 

 

彼らをやり過ごし、時に転ばせてなんとか二階ホールまで戻ってくることができた。ただ、時間も正午を回っていたからだろうか。彼らが前通った時よりも増えていた。

 

「あちゃあ…結構集まってきてやがった」

 

「前より増えているわね……」

何か注意を引かせられるものがあれば……

「めぐねえこれ使う?」

由紀さんが鞄から取り出したのは、ゼンマイ式で音を鳴らして走る玩具だった。

「確かに使えそうね。由紀ちゃんよく見つけたわね」

 

「えっへん!絶対必要になる気がしたからね!」

 

それを貰いエスカレーターの手すりに隠れながら降りる。

素早くゼンマイを巻いたそのおもちゃを動かした。

大きすぎず小さすぎず、静寂と呻き声が支配した空間に場違いなほど明るいメロディが流れる。

 

それに釣られるように彼らが動き出した。

上で待っていたみんなに来てもいいと合図を送る。

 

人数4人。結構増えたわね。車に乗り切るかしら……ラングラーは大きい車なんだけれど。

そんな心配をしながらモールの出入り口まできたところで、その鳴き声は聞こえた。

それは確かに犬のものだった。

 

「太郎丸⁈」

直樹さんが反応してしまった。まだその犬が太郎丸かどうか…いや、彼らではないのかどうかすらわからないのに。

「太郎丸の声!」

 

「私見てきます!」

 

「待って美樹!」

祠堂さんが止めたけれどすでに戻って行ってしまった後だった。

「私も行く!」

 

「由紀⁈おい!」

あろうことか由紀さんまで駆け出してしまった。あのまま2人を放っておくなんて出来なかった。

「恵飛須沢さん!祠堂さんを頼んだわ!私は2人を」

 

「分かった!」

 

 

 

直樹さん達を追いかけていけば、再びホールに戻ってきてしまった。そこにはピアノの上で彼らに囲まれた犬がいた。

ちょうど足がピアノの鍵盤を叩いてしまっていてその音に引き寄せられているようだった。

 

「どうしよう……」

 

 

「めぐねえ、これ使えないかな?」

そう言って由紀さんがリュックから出したのはペンライトと防犯ブザーだった。

「どこでこれを……」

 

「雑貨屋さんと文房具店」

由紀さんからそれらを受け取り、彼らが集まっているところを睨む。少しでいい。小型犬なら隙間が作れればすぐに逃げ出せるはずだ。

もうちょっと近づきたいけれどあまり近づくとこっちが今度は危ない。

 

飛んで行けと心の中で叫びながら赤や黄色に光るペンライトを放り投げた。一瞬彼らがその光に反応する。

次は爆弾のようなものだ。線を引き抜いた瞬間防犯ブザーは音量兵器化した。

建物内で音が反響して、より一層大きく遠くまで聞こえる。それをペンライトが転がっている方へ向かって放り投げる。

彼らの動きが一瞬迷走し、ピアノの周りの彼らにも隙間が空いた。

太郎丸は彼らが開けた隙間から素早くこちらに向かってすり抜けた。だけれど近くで抱き寄せる体制になっていた直樹さんを素通りし、由紀さんに飛び込んだ。

「……」

 

「あはは、くすぐったい」

 

 

とりあえず回収したから行こう。あの音で他の彼らもここに集まってきている。

それはみんなわかっていた事だ。直ぐに出入り口に向かって走り出した。

 

ただ、由紀が転んだ。犬を抱き抱えた状態でうまく走れなかったのだろう。

それを直樹さんが素早く回収した。俗に言うお姫様抱っこというやつだ。

だけれど、その間にもブザーの音に引き寄せられたのか彼らがいろんなところから集まりはじめていた。

 

すぐに通路を曲がったものの、そこには十体近い彼らが出入り口を塞ぐようにして立っていた。

 

「なんでこんなにっ!」

よく見れば彼らはエレベーター横の階段から溢れ出ていた。どうやら上の方の彼らまで呼び寄せてしまっていたらしい。

まだ彼らがそんなにいないところに飛び込み回し蹴り。彼らを思いっきり吹き飛ばした。入り口までの道がわずかに開けた。

「先に行きなさい!」

お姫様抱っこをしたままの直樹さんの背中を押す。

「ですがっ!」

 

「待ってめぐねえ!」

背後から襲いかかってこようとした彼らの頭を蹴り飛ばす。

 

流石に状況が状況だった。直樹さんは由紀さんを抱いたまま駆け出した。

私も後に続こうとしたけれど、先に彼らが道を塞ぐのが早かった。完全に囲まれた。

逃げ場は無くなった。だけれど諦めるわけにはいかない。何か!何かないの?

……あ!

 

目に止まったのは足場になりそうなところ。

私に飛びかかろうとしていた彼らを受け流し、頭を踏み潰す。

駆け出した先にあったそれは身体介助者が掴まるためにつけられた手すり。

タイミングを合わせてそれに飛び乗った。

一瞬壁を蹴り上げ、さらに上に張り出しで固定されていた監視カメラを両手でつかんだ。

私の体重が一気にかかり、カメラの取り付けてあった張り出し棒が歪む。

止まっている暇はない。体を少し揺らして勢いをつけ、手を離した。その時に変に力がかかってしまったのか左腕に激しい痛みが突き刺した。彼らの群れを飛び越え入り口の近くに着地。私が掴んでいた監視カメラが張り出し棒ごと落ちた。

 

「す、すごい」

 

「急ぐわ!」

ウカウカしていたら駐車場に溜まっていた彼らと挟み撃ちにされてしまう。

エンジン音が聞こえた。

「へい!ドライブに行かないかい?」

 

入り口から外に出ると、目の前に私の車が滑り込んできた。

恵飛須沢さんが運転席に座っていた。

 

 

すぐに助手席に飛び乗る。2人も後部座席に滑り込んだ。

直後に急発進。駐車場の中を蛇行しながら突き進む。すっごい不安なんだけど大丈夫かしら……

 

入り口のバーを破壊して車が道路に飛び出した。横転したままのバスの横をすり抜けて大通りを疾走する。

なんとか助かったみたいだ。

 

 

半ドアになっているドアを閉めようとして、左の手首が外れている事を思い出した。

外れた左手を押し込んで戻す。再びものすごい痛みが走ったけれど、いつまでも外れたままにしておくよりましだ。関節が外れたときの対処法ちゃんと練習しておいてよかった……

「おいめぐねえ大丈夫か?すっごい汗だけど…」

 

「大丈夫……もう少し行ったら運転変わるわ」

痛みも少しづつ引いてきた。でも後でちゃんと手当てしないと。

やっぱり運動しておくべきだったわ。

「え?あーわかった」

 



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13.勘のいい子はなんとやら

R指定の投稿をしたので初投稿です


攻略キャラが全員揃ったRTAはーじまーるよー‼︎

ようやく全員集めることができました。これで一安心もう大丈夫。というわけでもないですけれど少なくとも事故死の確率は低くなりました。

一応前々回のアップデートで攻略キャラが数人増やされたのですが、計測開始時点でいないキャラなので今回は見送りたいと思います。

 

ではモールで回収したけーちゃんとみーくんの状態ですが……

2人とも好感度は高めになっています。めぐねえ特権すげえ。

だいたいの場合みーくんは周囲から一歩離れたところで観測をするタイプなので好感度の初期値が低くまた上がりにくいという特性があります。その分推理力があるので前日章DLCでは探偵みーくんとその助手の華麗なる推理ショー(赤い夢)が出来たりします。

 

まあそれは置いておきましょう。

怪我は無いようですが清潔感が低く正気度が低めです。それに空腹状態になっています。まず2人はシャワーですね。2人をシャワーに送っている合間に…お、くるみとチョーカーさんがご飯作りですか。まあそこは放置。

 

りーさんと由紀ちゃんは転んだ時の手当てと太郎丸のチェック。

私はしっかりと手当てをしましょう。残念ですがサバイバル術には応急手当てこそあれど普通の治療などはありません。

軽い脱臼()だけですので応急手当てだけでも凌げますがやはり手当てをしないと戦闘時の動きが10%落ちます(当社比)

 

というわけで手当て担当キャラりーさんにお願いです!手当てしてンゴ!

 

「先生これ…どうしたんですか?」

 

A:脱臼しました。応急手当済みです。

 

 

時間にして10秒。応急手当完了しました!ビジュアルの変化では左手首に包帯が巻かれています。なんだかかっこいい。

 

手当てが終わったタイミングでシャワーを浴び終わった2人が出てきます。由紀ちゃんと一緒にお礼を言われますが適当に答えておきましょう。

あ、りーさんと常に一緒にいようとするるーちゃんがけーちゃんに近づいています。ということはみーくんとけーちゃんそれなりの関係になっているんですねえ?

まあ今は関係ないので放っておきましょう。

ではここからは夕食をみんなで食べるスチル絵を背景にこれからのチャートを説明していきます。

 

本来では14日目に楽しい「あめのひ」第二大会の開催になるのですが、バイオ版では日数が2日ほど早く12日目に大会が開かれます。なおこの第二大会までに各種フラグを回収する事でエンディングルートへ。回収しない場合次は21日目といった風にエンディングが先送りにされていきます。

 

もちろんRTAなので12日までにフラグ回収をしに行きます。現在学校とモールのフラグは回収し終わっていますので残りは一つなのです。

ただしバイオ版ではこれでもかとフラグが変更されてしまっています。なので通常プレイしかやった事ない人は海外ニキの動画を見て予習してください(人任せ)

 

最短コースをいく必要がありますが昨日の今日での外出は他のメンバーに止められてしまうのでできません。なのでこのチャートでは10日目にフラグ回収を行いに行きます。

と言っても見て回るだけなのですが。

悲しいことにバイオが全力でこちらを殺しにかかってくるのでサバイバルシミュレーションではなくアクションホラーとしてどんぱち賑やかになる事間違い無しです。

 

あ、食事も終わったようですので就寝です。ではおやすみなさい!寝よう!え?寝袋が足りない?じゃあ何人かは簡易寝台こと床!

それが嫌なら机で寝なさい。え?不安定?

 

海外の寝台列車の二段目よりましでしょう!

手すりのようなものもなく寝相が悪けりゃ落下。さらに列車がおぞましいほど揺れるので落下。

揺れないだけマシだと思いなさい。

 

 

はいおはようございます。本日は7日目の朝でございます。

大いz…おっと間違えた。

まず起きたら早速朝食作り。食事で全員の正気度を回復させる必要があるのです。

それが終わったらラジオのチェック。毎度お馴染みワンワン放送を流します。これが唯一の癒しなの。

 

ちなみにこの癒しですが癒し以外にもどこからゲットしたのかちょっとだけ自衛隊や在日米軍の情報が入ります。

バイオ版だと発生が周囲30キロ圏内で封鎖成功しているので米軍の無線傍受はできているが内容まではわからないと言うものです。

まあ民間無線機で軍用無線がジャックできるわけないですからね。

 

……お、早速情報が流れました。

ではすぐに無線周波をAM89.01から514.00へ毎秒一目盛づつ変えていきましょう。

こうすると米軍の無線が聞けます。内容はフル英語ですがめぐねえはラクーンにいた猛者ですから何を言っているのかは理解可能です。

殆どが絶叫と怒号です。

ではこの無線はなんの無線でしょうか?

正解は相模湾沖で臨時停泊をしていた米空母CVN-65エンタープライズです。

巡ヶ丘を中心とした大規模アウトブレイクへの監視として横須賀に来ていたエンタープライズを使っていたようですがあえなくバイオテロに見舞われBSAAのお世話になっている模様。

 

無線を聞き終えると丁度ゾンビまみれになった空母の映像が映し出されます。まるで学園黙示○だ。

 

 

ではここからは最短で終わるミニイベントを行なって日付を消化していきましょう。

RTAなので無駄に長いものは全力で無視!特に各キャラとの恋愛系のミニイベントは一本3時間とかかかることもあるのでやりません。だから恋愛系ルート嫌われるんだよ(RTA的偏見)

健全版じゃエッチシーンすらないですからすごく寂しいですし。

 

はいでは早速お着替えイベントです。この前適当に買ってきたネタ服をみんなで見せ合いっこする眼福なミニイベントです。

うーんめぐねえは…そうだそこの茶色の服を着てみましょう。

あ、これやっぱサイズ合わねえ。やっぱりそこの丈が短い服にします。丈は短くてもサイズはめぐねえぴったりです。まあ…絵面的に教師がなんて服着ているんだという状態ですが。

まあチョーカーさんもパンク系……あれ?チョーカーさん和服来てらっしゃいます?超意外。試走時はチャイナドレス着ることはあっても大体パンク系の服だったじゃないですか。

逆にくるみがパンク系を……うううん⁇あ!もしかして正気度が低くなってるからか‼︎

このゲーム謎に正気度で攻略キャラが着る服が変化する仕様になっています。

具体的に言えば正気度が低いと露出度が高めかつコスプレチックに。正気度が高いと実用性重視の街で見かける私服系になっていきます。

ただし正気度が20%を切ると今度は修道服やカルト系の服になっていくので露出度が消えます。ひでえ話だ。まああーるしていではそれでもそれなりにアレらしいですよ(ゲス顔)

 

 

んー他の子は普通の服に切り替えているのでくるみだけどうしたのでしょうね?

まあいいか……

というわけでですね。全員がもともと着ていた服をここで洗ってしまいましょう。

まあ何日も着続けた服ですから汗とか色々とありますし。もちろん洗っている合間のシーンはスキップスキップ!

だって下着だって含まれていますからね。仕方がないね。

しかも洗濯機も乾燥機も電力不足で動かすことはできません。発電量のほとんどは冷蔵設備に回されているのです。なので手揉み洗いです。あ、この服少し破れてきていますね。まあいいや。服ビリ少女は可愛いからね(ゲス)

あーもっとスチル絵増えないかなあ服ビリ系のやつ。あーるしてい版には結構入っているんですけれどねえ(非道)

では洗った洗濯物を外に干しましょう。風邪も出てちょうど良い感じになっております。

はい終わりました!今日のイベントは終了!

 

イベント終了後は自動で夕食の時間まで飛びます。夕食後まで飛ばないのは夕食を自分で作るか他の子で作るか毎回選択させられるからなんですよね。

 

まあ今回は私が作りましょう。食材もたんまりありますしお肉の期限ががが……

腐る前に食べちゃいましょう。

あああ……飯テロお。畜生ご飯まだ食べてないのにこんな美味しい画像見せられたら辛い。

まあぐだぐだ言っても仕方がないので黙って食べちゃいましょう。ああ美味しそう。

砂肝は下処理して…そうそうこれを野菜に包んで食べると美味しいんですよねえ。塩胡椒で軽く味付けして……あああああ‼︎だめ見てるだけで美味しそう。

 

オラオラ飯テロしてやるう!お前らも美味しそうな画像でお腹すかせるんだよ!

 

あ、めぐねえお酒飲んでる。

まあ仕方がないかな。っていうかこれお酒イベントじゃないですか。

なるほど由紀とチョーカーさんが勧めたから呑んだと……

でも別にめぐねえお酒が好きとかそういうのはないので製作側が入れたちょっとしたミニイベントですね。

 

 

さて今日はお酒を飲んでしまっためぐねえ。当然見回りをすることはできません。酔っ払いに見回りをさせるとか鬼畜ですね。

というわけでぐっすり寝ましょう。おやすみなさい。

 

 

 

はいおはようございます。8日目となりました。

えー……寝ている合間は画面真っ暗なので何があったのかはわかりませんが、ご覧の状態になっています。

右腕に由紀ちゃん。左腕にみーくんとけーちゃんが抱きついて寝ています。なんでこうなった。確かに寝袋が足りないのは事実ですけれどね。

 

あらあ?りーさんがにやにやとしているようですね。もしかして一部始終見ていたのでしょうか?

まあ興味ないので全員を叩き起こしましょう。もうすぐ日が昇る頃ですね。では朝ご飯といきましょうか。

あ、みーくんだけ何か態度がそよそよしいです。これは……

やっぱり好感度が少し下がっていますね。

みーくんは先ほども言った通り視点が少し遠くからとなるので攻略キャラとしても難易度が高く、パラメーター調整もシビアになってきてしまうのです。そのかわり味方につけると謎解きや伏線の回収にすごく役に立ちます。

 

ともかくまずは会話をしてみましょう。……ふむふむ、どうやらこの学校の異常性に薄々気づいているようですね。

異常なほどの非常事態設備から元々こう言った事態を想定して作られていた場所であると見抜いているようです。こういうのは下手に隠したり言わなかったりすると後で厄介なことになり兼ねません。あれですけれど非常用マニュアルを見せましょう。こうする事でめぐねえと秘密を共通するもの同士で好感度と信頼度がが下がりにくくなり言うことを聞きやすくなります。海外ニキがやっているRTAではチャートに組み込まれていましたが我のものは時短のためにチャートに組み入れていません。なのでロスです。まあ誤差の範囲ないという事で(白目)

だってみーくん勝手に動くことが多いけどそれなりに生存性が高いから放っておいても問題にならないんですもん!

 

あー結構正気度が減っていますね。まま仕方ありません。

というわけで会話タイム。

なるべく正直に答えましょう。

ちなみに地下のシェルターはまだしまっています。行くことはできますが中に入ることはできません。

ただし……

 

「ではこれからその地下シェルターに行きませんか?」

 

はいきました。みーくんと秘密を共有しようとすると低確率で発生するイベント。地下シェルター探索です。

では装備を整えていくことにしましょう。サバイバル術のクラフトで先端に包丁を巻き付けた中距離用の槍を作って…準備完了です。

 

まあ地下と言っても入れる場所は限られていますし謎の地下研究施設!というわけでもありませんので時間にしてもそんなにかかりません。他の余計なイベントに巻き込まれるより遥かに早く済むうま味イベントです。

まあ不確定すぎるのでチャートに組むのは難しいものです。一応もしこっちとなったときのチャートも用意していますのでご安心を。

 

地下シェルターですが、通常は行こうとしてもシャッターが降りていて入れません。入れるのは時間にして22時〜5時の合間に限られます。

しかしイベント中は自由に出入りすることが可能です。

 

 

一階まで降りる合間に邪魔な彼らはさくっと蹴り飛ばしたり暗殺していきましょう。みーくんの好感度が若干下がりますが問題はありません。

 

学校の構造上地下シェルターへ行く階段は他の階段とは異なる位置にあります。

早速入っていきましょう。

地下なので彼らがいるかと思われますが意外にも静かです。この場所は一般生徒立ち入り禁止の地下倉庫が手前にありその奥にシャッターが隠れるようにして設置されています。あきらかに隠そうとしていますねえ。

 

電力がなくなってもシャッターを開閉できるように壁に手回しハンドルが設けられています。まあこれがなくても普通に開けることができるのですけれどね。

はいシェルター内部に入りました。電気のスイッチを入れれば真っ暗だったシェルターに灯りが灯ります。

今回探索できるのは通路と備蓄庫のみとなります。

本来であれば居住設備と、武器庫、脱出用のハッチ等がありますがそちらまでは行くことはできません。

 

まあ必要になるものもあまりないので探索は倉庫をぐるっと一周して終わります。お薬⁇そんなもの必要ありません(慢心)

はい終わりました。みーくんも何か手掛かりになりそうなものとがあればよかったと残念がっています。

では帰りましょうか。戻ればこの日は終了となります。

では本日はここまで。ご試聴ありがとうございました!




るーちゃんメモ
みーくんはひらめきがするどいからかくしごとはむずかしいよ。だからけいちゃんとあんなことやこんなことしたかったらそうとうたいへんだよ


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違和感

この校舎を見るのも何日ぶりなのだろうか。

大規模停電で真っ暗となりシルエットだけしか見えなくなったけれど、そこは間違いなく母校であった。

ヘッドライトもつけずここまで運転してきた教師の佐倉慈は、車をなれたように校舎入口の前に横付けした。

「あの……佐倉先生ってライトつけなくても見えるのですか?」

 

「よく見えるわ」

 

そう言って先生は愛想笑い。

 

実のところ最初彼女と会った時、私は失礼なことだけれど頼りないと思っていた。どこかふわふわしていて気が抜けているというか……隣にいた由紀先輩もそうだけれどそれよりもっと戦ったり生き残ったりに向いていないというのが第一印象だった。

 

だけれどその印象はすぐに覆されてしまう事になる。

そこまでコロコロと第一印象が変化するのもまた珍しいと言えば珍しい。だけれどそれは内面を推し量るという点では意外と重要なことなのだ。

結果的にとはいえ私達は助かった。ただ、先生は何かを隠している。

直感だけれど頭にその考えが過ぎった。

慣れた要領で彼らを無力化し、倒していく。

モールでだって彼女は蹴り一つで大人を吹っ飛ばしたのだ。恐ろしい脚力だ。

だけれどそれだけではない。彼らに囲まれたってそこから脱出してしまったのだ。彼女はゴリラではないのだろうか?きっとそうに違いない。

 

ああ私はおかしくなってしまったのだろうか。そんなことない……きっと何か理由があるはずなんだ。

 

「移動してきて早速なんだけど、2人とも手伝えるか?」

スコップを持ったくるみ先輩(本人が名前の方がいいと言った)が私達の後ろに積み込まれている大量の荷物を指差した。灯火管制時のように黒い折り紙を巻かれて余計な光が漏れないようになっている車内灯をつけると、そこにはたくさんの生活物資が載せられていた。

なるほどモールにはこれらを回収しに行っていたわけか。

 

 

圭と一緒に幾つかの荷物を持つことにしたけれど、それでも一往復で収まるような量ではないのは明白だった。

由紀先輩は軽い打撲で済んだらしく太郎丸を抱えて私と圭の後ろに。くるみ先輩と先生が残っている彼らを蹴散らして行った。

「慣れているんですね」

 

「まあこうでもしないとバリケードを作るにしても何するにしても危険だったからな」

それもそうかと納得…私達みたいに必ずしも最低限のものが揃ったところに避難できたわけではないのだ。

相変わらず真っ暗な校舎の中を月明かりだけを頼りに進んでいく。

窓ガラスはほとんど割れ、黒い汚れや傷が至るところで銀色の光を浴びて浮き上がっていた。

 

三階に上がると、廊下に並んだ扉の一つから明かりが漏れていた。

そこは生徒会室として使われていた部屋で、中にはまた先輩方と小学生の少女が1人いた。

生存者がいたこと自体に内心気が少し落ち着いた。今まで2人きりしか生き残っていないのではないかと不安で仕方がなかった。重圧のような孤独が拡散していくような感じだった。

 

くるみ先輩と由紀先輩が首にチョーカーを巻いた先輩を連れて残りの荷物を取りに戻った。私はどちらかと言えば引きこもりやすい性格だからか、あまり外の方に行こうという気になれない。それで圭と何度か喧嘩した事もある。

 

「2人ともあの部屋ってシャワーついていたの?」

 

「いえ、ついていなかったです」

 

「じゃあシャワー浴びて来る?」

先生は私達をシャワー室に案内した。そういえばシャワーなんて浴びれるはずもなかった。私だって年頃の女の子なのだ匂いとか色々気になってきた。圭も同じだったようで目線があった瞬間苦笑いしていた。

脱衣所の電気もシャワールームの電気もなんとか点灯した。昼のうちに発電していた分でどうにか賄えているのだそうだ。

それでも電力消費と蓄電容量が危ういのだそうだ。

 

少女脱衣中

 

 

 

 

雨水の貯水槽と濾過システムを動かしているおかげで暖かいお湯も出るようになっていると車の中で聞いてはいたものの、本当にそんな設備あるのか内心半信半疑だった。だけれどいま目の前で流れ出る暖かいお湯を浴びれば、そんな疑惑吹き飛んだ。暖かい液体が体の汚れを落としていく。

毎日浴びていたはずのシャワーもこうして浴びてるのが貴重となった今では恐ろしいほどの喜びだった。

文明社会がいかに優れているのかがよくわかる。

「着替えの体操服とバスタオル入り口に置いておくわね」

先生の声が聞こえた。

わかりましたと返事をしたのは圭。隣のシャワールームからだった。

「あれ?お湯が出ない!」

 

「圭?」

 

「ごめん美紀!そっちのシャワー借りるね!」

圭が私が使っているシャワールームに入ってきた。

「あ!ちょっと!」

後で知った話だと、シャワーへお湯を供給する配管に不具合が起きていたらしい。

 

 

 

 

多少の擦った揉んだがあったものの、生徒会室に戻ってみれば、丁度夕食の準備が進められていた。

「2人ともシャワー気持ちよかった?」

三年生の制服を着た女性が声をかけてきた。そういえばまだ自己紹介をしていなかった。その事を言えばそう言えばそうだったとコロコロ笑った。随分とおっとりしていて一年上だけのはずなのにまるでお姉さんのような存在に思えた。

「2人ともはじめまして若狭悠里。こっちは妹」

あの小学生と姉妹だったようだ。あんまり似ていないなんていうのは言わない方がいいだろう。よく見れば目元などが似ている気がする。

私が見つめているのに意識が向いたのか手話をしながら微笑んだ。どうやら喋れないようだ。手話はやったことないけれど少しくらいなら意味も知っている。今のはよろしくという意味だ。私も辿々しいけれど手話で返してみた。

「柚村貴依だ。柚村でいいよ」

 

「2年の直樹美紀です」

 

「同じく2年祠堂圭です」

 

 

「あら、一年下だったのね。一瞬同学年かと思ったわ。」

そうだろうか?確かに私は実年齢より上よりにみられることが多いのは確かなのだけれど。

一瞬先輩が体を揺らした。それに連動して二つの山が揺れた。あ、やっぱり先輩だった。

「……いや、先輩方は先輩ですよ」

 

「美紀目線を上に上げて言いなさい」

少なくともあのサイズはおかしいと思う。

隣にいる柚村先輩も少し大きい気がするけれどまだ常識的は範囲だ。

 

「そろそろご飯できるからもうちょっと待っていてね」

そう先輩が言ってから実際にご飯が完成したのは三十分ほど経ってからだった。

温かいご飯。今まであの部屋で食べていたものも暖かいといえば暖かいものだった。だけれど人が人のために作ったものというのはあれとは違った温かみがあった。こんな時にそれに気づくというのも皮肉なのだろうか。

 

急に両親や知り合いのことが心配になってきた。今まで自分の身を守るので精一杯だったからだろうか。でも泣き顔を見られるのはどうしても恥ずかしくて、私のプライドがそれを許すまいとご飯をかき込んで涙ごと飲み込んだ。

 

 

何気なく周囲を見渡してふと先生が飲んでいる缶が気になった。銀色の一件無地のように見える柄…それ確かお酒だったんじゃないのだろうか。別に飲酒が悪いというわけではない。こんな状態ではお酒を飲みたくなるのも無理はないだろう。もしかしてお酒が好きだったのだろうか?

「先生それお酒じゃ……」

でも私の考えは圭によって覆された。

「あれ?でもノンアルって……」

圭の指摘にきょとんとした顔でお酒の缶を見せてくる先生。

どこにもノンアルなんて書いていない上に堂々とアルコール5%と入っているのですけれど。

「めぐねえ、書いてないよそんなの」

アルコールを飲んで赤くなっていた先生の顔が青くなっていく。少し見ていて面白い。

「あ……」

なんだろうやっぱり先生は頼りないって思えてしまう。やっぱり二面性がある人なのだろうか。

「いいよめぐねえ疲れてるだろうしお酒飲んじゃったんなら明日まで寝てな。見回りは私らがやっておくさ」

 

「え、缶一本でですか?」

ロシアなどではウォッカとか飲みながらでも色々作業する人はいますけれど。

「先生はお酒強くないのよ。酔いが回ってくるとすぐ眠っちゃうの」

ああそうか。そう言う理由があったのか。

完全に先生はしょげていた。モールで見せたあの雰囲気はどこにもない。まだ酔いが回ってはいないようだけれど時間の問題なのだろう。

 

 

食事が終わり、後片付けをしている最中、佐倉先生はいつの間にか寝袋に入って寝てしまっていた。若狭先輩が言っていた通りあまりお酒には強くないみたいだ。というかすごい弱い。

電気も最低限しかつけていないからか部屋はものすごく暗い。これで怖い話でもしようものなら雰囲気だけで怖い。

「そうだ。実は布団と寝袋の数がちょっと足りなくてな。2人で一つ使うことになっても大丈夫か?」

そういえば寝るのはどうしているのだろうと思ったら仮眠室から持ってきた布団とキャンプ用の寝袋を使っていた。さっきまでみんなで部屋の隅から引き出していたけれどどうやら数が足りないらしい。確かに人数分必ずあるなんていうのは有り得ない話だ。

「私は大丈夫ですけれど」

 

「なら私が美紀と寝ますね」

圭が先輩から寝袋を受け取った。決断が早いというか何というか。

こういう時に主導権を握りやすい圭は正直すごいと思う。

スキンシップが激しいように思えたのは多分気のせいだろう。

 

 

 

 

 

「あ、先生」

昨日飲酒をしてしまいそのまま眠ることになった先生はもう既に普通の状態に戻っていた。相変わらず笑顔に影が残る人だ。

「直樹さんおはよう。よく眠れたかしら?」

 

「ええ、よく眠れました」

ただし寝袋が圭と共用というのは色々と大変だった。圭は寝相があまりよくないからよくお腹を蹴られるのだ。悪気はないと分かっていてももう一枚くらい布団セットが欲しい。どこか探せば見つからないだろうか?

「良かった」

 

朝食はフレンチトーストだった。しかも手作り。ある意味この惨劇の中で最も食事に力を入れていると言っても過言ではないだろう。おかげで不安な気持ちも美味しさである程度緩和される。もしかしてこれが狙いではないだろうか。

 

 

 

食事の食べ終わり、図書館から持ってこられて隅っこで山を作っていた本を気晴らしに読んでみようと思っていたところで、由紀先輩達が衣服の入ったバッグを次々と開けていた。

「折角だから買ってきた服みんなで着ようよ!」

 

「あーそういえば……」

食糧や生活必需品だけにしては荷物が多かった。衣類が入っているにしても何か違う気がしていたのはそういうことだったのか。

「みんなですか……」

ここに元からいた人達は別にしても私たちのサイズまであるのだろうか?

「サイズ合わせとか色々あるし、ならその合間にそっちの制服洗っちゃいましょうか」

佐倉先生はそう提案した。なるほど確かにずっと服を着たままというのも色々と辛い話だ。それに少しは気晴らしになるかもしれない。

「賛成だな」

いつのまにか私も混ざって中に畳まれて入れられていた服を出す作業に没頭していた。

中にはふざけたデザインの服やこれはどうなのと言わざるをえないアレな下着なども混ざっていたけれど、大半はまともな服ばかりだった。私達の制服は先に洗濯に回されていたから戻ってきていたものの少し空気を読んでこの遊びを楽しむことにした。

 

 

「なあこれ本当に似合うのか?私じゃなくて柚村が着るようにって買ってきたと思ったんだけど…」

くるみ先輩はパンク系の服を若狭先輩に着せられて困惑していた。第一印象しか知らないけれど私は似合っていると思う。まあそれで街に遊びに出ようとかそういう感じになるかと言われたら少し違うかもしれないけれど。どちらかといえば原宿にいても違和感がないけれど新宿に行ったら悪目立ちする感じだ。

「似合っているわ」

 

「むしろ私より似合っていると思うけどなあ」

柚村先輩用に買ってきたと言っていたけれど当の本人はなぜか大正時代を連想させる少し色彩が派手な和服を着ていた。

和服と言っても腰から下はスカート状のものになっているから和洋の混ざった感じだ。巫女に近いかもしれない。いったいどこでそんなもの売っていたのやらだ。

「むしろお前が和服を着るとは思わなかったわ」

柚村さんは確かにちょっと化粧が厚くて首のチョーカーや髪型からパンク系を連想しやすかったし本人もそっちの節があった。だけれど和服も似合わないわけではなかった。かなり綺麗に着こなしている。

「失礼だな。これでも母方の実家は神社だし帰省で帰った時は巫女服着たりしてるんだ」

なるほどだから和服を着なれていたのか。そういえば圭も家では和服がメインだと言っていた。珍しいからそのことはよく覚えている。後で圭も着るのではないだろうか?

「へえ、意外だな」

 

 

「ねえこれどうかな!」

ちょっと待ってください由紀先輩そのスカートもしかして私立小学校の制服じゃないですか!いくらなんでもそれは……上が私服のシャツだからバレないとでも思ったのでしょうか?いやそもそもどうしてスカートだけそれを……

「可愛いわね」

圭は気づいていない。多分気づいたのは先生と柚村さんだけだ。

「スカートを除けば……」

 

「スカート?あーこれなんか着やすかったし昔小学校で着てたものだったから懐かしくて」

 

「え……由紀先輩って私立小出身だったんですか?」

 

「そうだよ!」

確かかなり頭が良くないと入れないところだったはず。もしかして先輩も見た目に限らず結構頭いいのでは?

無粋な詮索はやめておこう。人は見かけによらないと言うではないか。

「一応国語と英語を除けば学年上位20位には入るよ」

 

「そうなんだよなあ……国語と英語以外で私は勝ったことないからなあ」

あ、やっぱり頭はいい方だったんだ……やっぱり人って見かけによらない。

 

 

「……なんかるーと並んでると歳の近い姉妹に見える」

ふとくるみ先輩がそうこぼした。確かにと圭もうなずく。かくいう私もうなずいた。るーちゃんは半ズボンと半袖シャツだけれど私服を着ている姉妹に見えて仕方がない。

「確かに。りーさんと並ぶより姉妹みたいだな」

 

「2人ともそれどういう意味かしら?」

 

 

 

「お待たせしましたあ」

最後に部屋に入ってきた佐倉先生は、なぜかパーカーと長ズボンという部屋着姿だった。

「めぐねえは…すっごいダボダボだな服!」

だけれどそのおかげか露出も少なく先生らしいチョイスのように感じられた。体型を隠す着こなしもあってかなり落ち着いている。

「そうね。ちょっとそれはサイズがあっていないんじゃないかしら?」

 

「元からこういうデザインだったのでは?パーカーですし」

 

実際ダボダボ系パーカーは存在する。主に部屋着に使われるけれどね。

 

 

 

 

その後集められた洗濯物は先生と若狭先輩が屋上で洗っていたそうだ。洗濯機も乾燥機もあるにはあるが故障中なのだそうだ。

 

私たちも手伝おうとしたものの、気づいた時にはすでに洗い終わっていた。2人揃って家事上手。女として負けた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

朝から昼にかけては避難生活中と言っても皆バラバラに動いていることが多い。若狭先輩と由紀先輩は妹さんを連れて屋上で菜園。そのほかは雑談をしていたりしていなかったり。

私はあまり人と雑談をするのが好きではないからよく本を読んでいた。まあ話しかけてきたらそれなりに話す。ふと先生はどうしているのだろうと思ったらラジカセをいじっていた。

少しだけ観察していると、情報はもうないと思ったのかラジカセの電源を切った。

「あの、先生いくつか聞いてもいいですか?」

私の問いに先生は少しだけ肩を震わせた。そこまでびっくりすることだろうか?

「答えられる範囲ならいいわよ」

 

「この学校の設備がここまでしっかりしているのって何か理由があるんですか?」

 

「そうね……災害対策って名目だったけれど」

一瞬の言葉の空白、そして泳いだ瞳。

其れにしては設備が過剰すぎる。さらにいえばここの学校の間取り。普段の生活ではわからなかってけれどこうなった時に改めて間取りを見てみると、かなり立て篭りやすく作られている。偶然そうなったとは思えない。

「……あの、会って1日も経っていないのですけれど、もしかして何か大事なことを隠していませんか?」

嘘を言っているわけではないだろうけれど肝心なところを言っているようには思えなかった。

「……」

 

「教えられないことですか?」

この人は悪い人ではない。だけれど良い人だからこそ自分で全部背負い込もうとしてしまうところがある。昨日までの行動から見れば私の予想は当たっている。

「私自身信じられない事だったし……ショックが大きいかと思ってて」

 

「じゃあ私はだれにも言いません。これならどうですか?」

場合によっては教えるかもしれないけれど……

「できるだけ教えたくはなかったんだけれど……」

そう言って先生は私を職員室まで連れて行った。

佐倉先生は校長室にある金庫から緊急用マニュアルと書かれたパンフレット状の冊子を取り出した。

「教頭から非常事態の時に読むようにって言われていたものなの」

 

そこに書かれていた事は到底信じられるようなものではなかった。

この惨劇が最悪の想定として乗っていたこと。そしてこれがウィルスによるものだと裏付ける事まで。さらに地下にある緊急避難区画。そんな……

 

有り得るはずがない。だけれどこれが現実だった。

「こんな事って……」

避難人数だって僅か15人しかいない。まあそれすら使われた形跡はないようだけれどね

「残念だけれど事実よ。それにこう言ったウィルスや細菌兵器はいろんな企業が作っているわ。実際それらが事故で流出したりテロに利用されたりしているのも事実よ」

 

「だからって……」

 

「この惨劇がどこまで続いているのかはわからない。もしかしたら政府は私達を見捨てたのかもしれない。だから言い出せなかったの…」

事実だとすれば隔離して……全部の記録を抹消してから幾らでも捏造できる。そういった事例もあるのだそうだ。

先生はラクーンシティと言っていた。名前は聞いたことある。放射能漏れで破棄された場所……実際はそうではなかったようだ。

 

「先生、地下のシェルター見に行きませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

普段立ち入りが禁止されていた地下室。そう言ったところに男子だったら多分ワクワクしていたと思う。彼らと言う本物の死の恐怖がいなければだけれど。

降りるまでの合間に階段付近を彷徨いていた彼らを先生は無慈悲に、素早く仕留めて行った。

「早いですね……」

 

「ああなってしまった以上もう手の施しようがないわ。悲しいけれどこうするしかないの。だから素早く一瞬でなるべく苦痛がないようにする。それが彼らへの手向けよ」

その表情はものすごく辛そうで、絶対にこの先生は彼らを倒すのには向いていないと確信した。同時に悪い人ではないということも。

「随分と覚悟が決まっていますね」

私はまだ彼らを手にかけたことはない。彼らを前にしたとき私は、戦えるのだろうか?

 

「2人にはまだ教えていなかったけれど、こういう惨劇は初めてじゃないから」

 

「そうですか。なら後でその話じっくり聞かせてください」

 

 

地下一階は日の光が入ってこないからか真っ暗でどこかじめっとしていた。空気も循環もできていないようだった。先生が壁につけられたスイッチを押したものの非常灯がいくつか点灯しただけだ。やはり電力不足なのだろう。

そんな薄暗い倉庫の奥にシャッターが降りた場所があった。これがシェルターの出入り口……

電動シャッターのようだったけれど壁の横には手回しハンドルも取り付けられていた。

それを回してシャッターを持ち上げる。

シャッターの奥もまた通路のような無機質な空間が広がっていた。空っぽの倉庫というより倉庫と倉庫をつなぐ通路のようなところで、左右に扉がいくつもあった。

それらは鍵がかかっていて開けることはできなかった。唯一開けることができたその場所は物資貯蔵室と書かれたプレートが扉に掲げられていた。

中はいくつもの段ボールがゲージに重ねられるように乗せられていた。

中に何が入っているかまではわからない。だけれどこれらは多分避難してきた十五人のために使われる予定だった非常食や医薬品などだろう。残念だけれどそれらが使われることはなかったみたいだけれど。

 

「使えそうなもの、ありませんね」

 

「精々がこの丸太くらいね」

そう言って先生は壁に立てかけてあったかなりの大きさの丸太を抱えた。それ結構重いと思うのですけれど。

「これ扉押さえるためのものですよね?」

「これで相手を薙ぎ払うこともできるわね。丸太の可能性ってやっぱり無限大ね」

いやそうではないと思うのですけれど。

 

「……もうちょっと色々調べたかったのですが戻りましょうか」

時々外から聞こえる呻き声がだんだん大きくなってきていた。

「そうね。暗い分彼ら以外の化け物が来たら危険極まりないわ」

 

「居るんですか?」

確かにウィルスや細菌は人以外にも感染するのは当たり前だけれど。だとしたら鳥などに感染したら不味いのでは?一気に世界に広がりかねない。

「犬の彼らも居たわ。実際に戦ったし」

それもそれで最悪な事態だ。犬が野生動物と接触しないはずがない。そうなれば野生動物を媒介にアウトブレイクは広がる。それを食い止める術を人間は持っていないのだ。

豚コレラが流行った時だって鳥インフルが流行った時だってそうだ。発生後対処だけでは到底塞ぐことなんて不可能なのだ。

「……助け、来てくれると良いですね」

 

「ええ…そうね」




るーちゃん
うああああん!けーちゃんとみーくんこうびしたんだ!



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14.乙女よ急げ

初投稿となりました。


おはラッキー‼︎あ、間違えた。

おっはよーーございます!無事に日数も消化できたので終わりが近づいてきたRTAはーじまーるよー‼︎

 

今回は9日目からのスタートとなります。9日目ですが特にすることなんてありません。ちなみに水着があるのでプールをしてもいいのですが時間がかかりすぎるのでパス。水着が見たい人は是非買ってどうぞ。

ではなにをするのかと言いますとなにもしません。しかし簡単に時間を潰す方法はあります。

簡単な話です。地下施設の本気探索です。

え?それ余計時間かかるやつやないですかって?

えっとですね……そのですね。画面外でちょっと色々とありましてえ……

 

まあ百聞は一見にしかずと言いますのでまずはこちらをご覧ください。

 

「るーちゃん!るーちゃんどこ!」

 

はーい、えー……そのですねえ。

寝ている合間にるーちゃんが行くへ不明をやらかしたのです。

なんて日だ!

RTA上ロスロスだよ‼︎

「どうしてこうなったの……」

大嫌いだばーか!私だってどうしてこうなったか知りたいね!

きっとりーさんのおっぱいプルンプルンに嫉妬して逃げたんでしょ!知ってるもんねゔぁーか‼︎

 

えーただいま画像が乱れました。

まずこのイベント事態はそう珍しいものではないのです。

るーちゃんを助けた状態でりーさんルートに突入することで確定で発生。それ以外ではるーちゃん生存状態で確率0.1から3%で発生するイベントになっているのです。

ですがこんなところで発生するなんて……ガッデム!るーちゃん絶対ゆるさなえ。とっ捕まえたら縄縛りにして吊し上げの刑だ。

 

とまあ冗談はおいておくことにしまして、このイベントはるーちゃんを探し出すイベントなのですが、バイオ版で見たのは初めてなのです。うー…チャートがないからどうしたらいいのやら。仕方がない!こうなったら突き進んでやりますよ!あとでタイムはもう一回測ればいいんだから(お目々ぐるぐる

このイベントでるーちゃんは地下のシェルターに行っているのですがここで色々と楽しいパーティをすることになります。

 

えっとどこだっけ……あった!これですこれ!

りーさんルートのRTAチャート。これのルーちゃん捜索イベントっと……

 

まずるーちゃん捜索までに地下の存在を知っておくこと。これは平気。

チャートでは誰でもいいので適当に選ぶ……

ええい時間がもったいない!もう行く!

一緒に捜索するキャラ君に決めた!

お、みーくんじゃないですか。やったぜ。

 

本当なら探索系に特化した由紀ちゃんの方が良いのですが仕方がないね。1秒でも惜しい状態ですので早速ですが地下へいきましょう。

ちなみにるーちゃんは失語症なので叫んでも声は帰ってきません。それどころか彼らをおびき寄せる原因になるのでやめましょう。

あれ?一階の車また横転してるじゃないですか。直しておこう。

 

「いまはそんなことをしている場合ではない!」

 

ふっざけんな!その数秒返せ‼︎くっそう…

やっぱりるーちゃんはそれ相応のお仕置きが必要です。

 

さあ駆け出せ!はよう地下区画へ!

 

「ここですか?」

 

地上にはいないのわかりきってるんだよ!おら行くぞ!このやろう!怖いか?だろうな。なんたって元サバイバーだ。

 

試してみる?私だって元探偵だ。

 

茶番はさておき、一階到着です。イベント中は一階でも容赦なくゾンビが湧きますし地下区画は通常よりゾンビの数が増えています。実は昨日俄雨が降ったようでその時にかなりの数が入り込んだようです。すぐに止んでしまったので大事には至っていないようですがね。

 

というわけで早速ですがここから地獄の一丁目。切符はお持ちですかあ?

早速ゾンビが教室から現れました。隠れて脅かそうなんて先生そんなのには屈しないんだから!事故の元ですので頭をバールのようなものでかち割ります。ついでに横払いで吹き飛ばしちゃいましょう!倒し終わったので地下まで駆け抜けます。

現在の武装は包丁二本と、バールのようなもの。この二つさっき落ちてたのを拾ったものです。

 

 

地下に突入!入り口の扉を閉めて鍵をかけます。こう言った事態を想定してやったらめったら頑丈な扉になっているので奴らが破壊することはありません。

 

はーい、相変わらずの真っ暗ぶりですね。もちろん地図は頭に入っているのでライトがなくても問題はありません。しっかし呻き声がすごいですね。こんなところにるーちゃんがいるのでしょうかねえ?まあ別にいいんですけれど。

 

ミニマップを巧みに使って彼らを消し飛ばしましょう。もちろん暗闇で向こうは見えていないのでここは包丁を使った暗殺です。

みーくんのSAN値こと正気度がガリガリ削れて行きますがまあ誤差の範囲だから汗。

暗闇で暗殺……これはノーブラノーパン、ベルトタイツですね!

うんうん、R指定にそれに近い服装入っていましたし。

 

黙々作業タイムが終わり地下倉庫のゾンビをあらかた始末しました。

お、レベルアップのようです。

どれどれ…筋力アップと持久力アップですか。うーんここで出てこられてもなあ。まあいいか。

あーまたシャッター閉まっているよう。開けなきゃ、

おや?手回しハンドルが壊れていますね。これではシャッターを開けられません。本来ならここで工具を見つけてきてそれを使い残っている軸を回すのですが……めぐねえのスキル、サバイバル術を使えばそんな面倒なことしなくても開けられるのです‼︎

 

ロスタイムなしですぐに開けられます。初見ではどうやっているのかと思ったのですが、どうやら周囲のカバーを外して紐を歯車に巻きつけて回しているようです。なんだそれと思いますが事実なのでしょうがない。

 

はい少しだけ空きましたのでここからは手で押し上げます。シェルターとして作られたはずなのに中にも沢山の彼らがいますねえ。

 

「ホントにこんなところにいるのでしょうか?」

 

いるんだよねえこれが。驚きでしょう?子供って予想だにしないこと沢山しますしどうやってそこに行ったんだよというケースだって沢山あるのです。

子供は侮れない。これ大事。

 

ちなみにこのイベントの合間だけ普段はロックされている場所にも入ることが可能となります。例えばシェルターの寝室とか無線通信室(破損済み)とか。

見たかったらみんなもりーさんルートをプレイしてね!一歩間違えると刺されるけど。

 

ではるーちゃんがどこに隠れているのかですが、実は先日来たあの倉庫の奥に隠れています。というわけで早速回収…ええい邪魔!

あ、でもバイオ版だともしかしたら場所変わっているかも…試走の時にこのイベントで会ったことないので。

 

あ、やっぱいねえや。るーちゃんがいる場合ミニマップにちゃんと赤色点滅が発生するのですが倉庫にはいないようです畜生!

こうなったら全部一気に探すしかないじゃないか!

畜生!なんで!時間があああああ‼︎

リセしたいけどリセするのもなんだか面倒というか…セーブしてない汗

 

仕方がないです。こうなりゃやるしかない‼︎

 

るーちゃんどこじゃああ!おい開けろ!デトロイト市警だ!

あ、いた!ミーティングルームですか。どうしてこんな面倒なところに…しっかしここも彼らが多いですねえ。しかも止まっているやつじゃなくてチョロチョロ動き回っているやつだ。

 

まるでテーマパークに来た子供みたいだ。

まあすぐにコロコロするのですけれどね。いやあ暗殺スキルのおかげで楽ちん楽ちん。はい殲滅完了。るーちゃんおいでおいで。帰るよ。

んーよかった傷一つないですね。このイベントタイムが表示されていませんが結構シビアに時間制限があるので時間がかかりすぎるとるーちゃんは感染してしまいます。

もちろん薬を打てば助かるので大丈夫なのですけれどね。

 

はいではここから逃げましょう!

ってうぇえええ⁇ゾンビの大群がやってきちゃいましたよ!

あ、でも大群というより細い通路にたくさん集まって詰まっている感じですね。これくらいなら私でもどうにか出来そうですね。オラオラ!死ねやぼけ!

相手に気づかれた状態から始まってしまっているので回し蹴りとバールのようなもので殴っていきます。あーめぐねえの服がまた血で汚れていくうう!一昨日洗濯したばかりなのに。

でもまあ血濡れのめぐねえも可愛いよ(外道)

 

ウヘヘ、では堪能しながら帰りましょう。あ、パンツ見えた。って言っても健全版のため体操服なのですけれど。心の目で見るのだ。

うん可愛い。

 

ではバリケードまで逃げましょう。現在ゾンビによって一階は半分占領されていますが防火扉などのおかげである程度の生存区間は確保できています。

ってうぉおおおい!目の前に出てくるなやこのバカ!

咄嗟のコマンドは心臓に悪いんだってば!あーめぐねえの目に血が…しばらく視界が真っ赤になって周囲の確認ができなくなってしまいます。

 

あ、みーくんが引っ張ってくれていますね。ならそれに任せましょう。ナイスみーくん。どうやら階段を上がっているところのようですね。あ、やっと視界が戻りました。

 

あれえ?入り口に何かいるのですけれど……見間違えじゃなければあれジャーマン・シェパードって言われる部類じゃないですか?

しかもミニマップの表示が赤色なので敵ですね。なんてこったい‼︎

……あ、でもまあいいです。イッヌですからね。バイオ版だとここに出てくる敵は中ボスを含めたランダムになってます。一応めぐねえ家に寄っていなければG生命体とタイラントシリーズは除外されるので発生するのはゾンビ、ケルベロス系、リッカー、クリムゾンヘッド、ハンターシリーズ。変わり種として自衛隊基地に行った場合はプラーガ寄生体系列、ベロニカ系の奴らも出てくるようです(Wikiガン見)

今回はケルベロス系が登場のようですね。よかったひどいハズレではないようです。

犬の一匹や二匹問題はなーい‼︎

めぐねえのバールのようなもので吹き飛んでしまえ‼︎

 

犬は頭をかち割られた。

 

ありゃ。随分と弱っちい敵だこと。

あれ?もう一匹…あ!ダメダメダメ!そっちに行っちゃダメ!みーくんを食べちゃダメええ!

秘儀!燕返し!

もちろんただ包丁を投げただけです。

急所を貫いた。ゾンビ犬は倒れた。

メグねえは経験値を手に入れた。

 

レベルアップはしませんでしたが経験値は確実に手に入りました。ではここは危険なので移動しましょう。イッヌは二階以上の場所にはなぜか来ないですからね。

 

ふーやっと終わりました。

これでもう安全ですね。あ、そういえばバリケードがそのままですが今から戻るのはロスなのでやめます。も、勿論後で直すつもりだったんですよ。忘れたわけじゃないですよ。

とりあえずるーちゃんをみんなのところに連れて行ってイベント終了です。

しれっとるーちゃんがワクチンを持ってきていますが今回使う必要はないです。まあ誰かが事故で噛まれても一応大丈夫なようになると言った代物なのでね。

 

では残りは消化試合!

食事作ってみんなで食べておねんね!

はいおやすみ!あしためぐねえは忙しいので寝ます!

あ、見回りですか?もちろんやりますよ。これもほぼ消化試合に近くバリケード近くにいる彼らを一体ヌッコロせば終わります。

 

先生睡眠中

 

おはようございました!10日目の朝です。

では今日は修羅場なので覚悟しましょう。すーはーすーはー……はい覚悟できました。

 

では早速ご飯を食べて外出をしましょう。

というわけで人選です。今回はフラグ回収のためのお出かけなのでくるみと、話すだけで精神安定剤になるチョーカーさんを連れていきましょう。

というわけで今回はここまで!ご視聴ありがとうございました。




るーちゃん

せんせーが隠していたまにゅあるだけどわたしよんじゃったんだ。
しょっくだったけれどわくちんがあるってかいてあったからもしかしたらともだちをなおすこともできるんじゃないかなって……


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犬も走ればなんとやら

久しぶりに悪夢を見た。

目の前で人が人ならざるものに生きたまま喰われるのだ。そして食い殺されたものもまた彼らと同じ存在となって他者を襲う。思わず逃げた。ただ闇雲にこの悪夢のようなところから逃れたくて逃げ続けた。だけれど悪夢の中というのは不思議なもので体がうまく動かせない。いや例え体が動いたとしても逃れられるかと問われればそれはまた別の話だ。悪夢に終わりはないのだから。

ああこれは夢なのだと自覚した頃には、私はその人ならざる者に喰い殺されようとしている直前だった。その人ならざるものは、あの日私の目の前で食い殺され、見捨てるしかなかった子、リサだった。

その悲しげな瞳が、夢なのに夢じゃないようで頭の中に残り続けた。

思いっきり肩を噛みつかれ、思わず体が跳ね起きた。

額に手を当ててみると、びっしょりと汗をかいていた。これは相当魘されたのだろう。

嫌な悲鳴を上げたような気がしたけれど夢から目覚めてしまうとおぼろげな情報しか残らないせいで結局あの悪夢がなんだったのかなんてほとんど覚えてはいなかった。

最近は見なくなったあの悪夢をこのタイミングで見てしまったというのはおそらく私の精神が安定していないのか、この地獄のような惨劇のせいで心の傷がえぐられてしまったからか……

いやどちらにしろもう眠る気など残っていなかった私は少しばかり体を動かすことにした。

屋上で少し体を動かしていると日が登り始めた。

この生活が始まってもうすぐ二桁に突入しそうなところである。

いまだに救助の呼びかけすらない。まるで私達を無視するかのようだ。いや、おそらくに捨てられたのかもしれない。

時々無人機の姿が見えるだけで有人機の姿はまだ見ていない。相変わらずラジオは有益な情報は流れない。

やはりここから自力で脱出するしかないのだろうか。

 

しかし私に皆を守りながら逃げ延びるなんて力はない。

災害時の広域避難所として指定された場所に何かあるかもしれないけれど、その広域避難所というのはこの学校のことだしもう一つ大きいところは駅を超えた反対側にある市民会館だ。初期防衛さえどうにかできればもしかしたら望みはあるかもしれない。

やはり情報を集めなければいけない。

 

体も十分温まり、頭に残ってしまっていた悪夢の反動もあらかた消え去ったように感じて、私は皆がいる教室に戻ろうとした。

 

だけれど私が歪みきった屋上の扉を開けようとした途端、若狭さんが顔を真っ青にしながら飛び込んできた。ただ事ではないようだ。走ってここまで登ってきたからなのか息があがっていた。

「先生!」

 

「若狭さんどうしたの?」

 

「るーちゃんがいないの‼︎」

一瞬頭を殴られたかのような衝撃が走った。

「……え?」

 

 

 

落ち着いたところで詳しく聞きだすと、普段は横で寝ているはずのるーちゃんがいない事に気づいたのは起きてすぐ。最初はトイレに行っているのだろうかと思い、先に起きていた恵飛須沢さんたちに聞いてみたものの、誰も見ていないとの事だった。

慌てて名前を呼んだけれどなかなか現れない。

事態は中々に深刻だった。

もし外に出てしまっているとした場合それこそ大変な事態だ。小学生の足ではそこまで遠くまではいけないだろうけれどそれでも危険なことに変わりはないのだ。

「わかったすぐ戻るわ」

 

事態が事態なだけあって急を要する。だけれど闇雲に探そうとすればかなり危険だ。

 

 

既に何人かが捜索を始めていたようだけれど一旦全員を生徒会室に集めた。

「ともかく一人で行動すると二次災害になりかねないわ。2人1組で捜索しましょう」

安全などこの校舎内でも完全に保証できない状態で単独行動をするのは自殺行為に等しい。よくドラマや映画で一人で探してくるというような行動は恐ろしいほど危険な行為なのだ。ここは山とか密林だと思った方が良い。

「分かった。でも外に行ってたら大変だぞ?」

まだ朝早いからか校庭にいる彼らの数は少ない。夜のうちに校舎を出てしまっていたら確かに追跡するのは困難だろう。

「まずは校内の捜索よ。一階は私が行くわ。後二階と校舎外ね。校舎外は彼らが増えるし危険が高いからそれなりに覚悟しないと…」

三階はもう探してしまっているし声が聞こえたらさすがにるーちゃんだってくるはずだ。それがないということは少なくとも二階より下にいる可能性がある。

「なら私も先生についていきます」

 

「美紀、大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよ圭、いざとなったら先生がいるし」

私だって誰か1人を守りながら戦うのは難しいけれど……でもそれを表に出して余計な不安を与えてはいけない。

結局直樹さんが私についていくといい、若狭さんと恵飛須沢さん、柚村さんが外を、それ以外が二階の捜索を行うこととなった。

「わかったわ。それじゃあ捜索よ」

 

 

 

 

 

直樹さんが先頭で私が後方。少し不思議な気がするけれど不思議とこっちの方が性に合う。

先に外を捜索する3人が一階端っこの窓から外に出る。表側では彼らがいて危険が高いから仕方がない。

裏側には不思議なことに彼らはいない。時々柵の向こう側の道をふらふらと彼らが歩いてはいるけれどそれでもこちらに気づくことはない。

 

それを見届けて私達は一階の捜索に移る。その直後、見つけてしまった。

「「あ……」」

廊下の隅っこ、消火器の影にマニュアル冊子が落ちていた。思わず圭と声が重なる。紛れもなく昨日私が彼女に見せたものだ。そのあと金庫に戻したはずだけれど……

「これって……」

所々握り締めた後がある。

「そうね。マニュアルね」

 

「読んだってことですよね」

そういうことになってしまう。

「そうね……金庫は床に近いところにあったし好奇心旺盛な子供って行動力が高いし……」

 

「だとしたら地下でしょうか?」

そうね。と頷く。もしるーちゃんが地下へ行っていたとしたら何かの拍子に帰れなくなってしまっている可能性が高い。迷子とまではいかないけれど……

その瞬間玄関口の方から彼らの足音がした。

音を立てず静かに様子を確認すれば、靴箱に体をぶつけながら彼らの1人が入ってきていた。

入り口には一応バリケードがあるはずなのに……

「バリケードが壊れていますよ⁈」

思わず直樹さんが声を上げてしまう。その声に気づいた彼らが廊下に真っ直ぐ動き出した。

これ以上動き回られると危険だった。相手の正面に飛び出し、頭を持ってきておいたバールの様なもので叩いた。入りが甘かったのか倒れただけ。素早く頭を掴んで体と正反対の向きに捻った。

嫌な音がして首の骨が折れた。

「不味いわね。もうすぐ登校時間になるわ……」

掛け時計を確認すればもう後三十分もたたずに登校する生徒が増える時間帯が迫っていた。

今からバリケードを戻すにしても車は随分と動かされてしまっている。悔しいけれど防火扉を使って一部の区画を封鎖してしまうしか方法はなさそうだ。

 

地下倉庫内に降りてみれば、そこにも彼らが数人入り込んでいた。

こちらに気づく前に頭を確実に破壊する。

例え人であったものだとしても、生き残るために心を殺して動かなくする。私も後で地獄に行く予定だ。今更何人殺そうと変わらない。

 

シャッター前にいた彼らを排除し終えたところで、思わぬ問題にぶつかった。

「ハンドルが壊れていますね」

ハンドルは何かがぶつかったのか周囲に変な色の汚れを残して根本から消えていた。

「こういうときは……」

幸いにもハンドル機構が入っているところの周りはメンテナンス用にプラスチックのカバーで覆われているだけだった。ねじ止めもされていない。

カバーを力技で引き剥がし、中に残っていた軸を剥き出しにする。周囲の歯車は問題なさそうだ。

後はこの軸に紐を結びつける。滑ったりしないよう少し特殊な縛り方で巻いた紐をさらに絡まないように軸に巻きつけていく。

 

紐を引っ張れば軸が一緒に回されシャッターが少しだけ開いた。直樹さんとともにシャッターを押し上げた。

それでもどこか歪んでしまっているのか半分ほど空いたところで何かに引っかかり動かなくなった。

「行きましょう」

非常灯がある分まだ明るいシェルター内部。まるで波に揺さぶられる若芽のように不規則に動く影が映し出された。

「ものすごいうめき声が聞こえるのですが」

 

「入り込んでいる見たいね」

どうして入り込んだのかはわからない。だけれど原因究明は後だ。まずはるーちゃんを探さないといけない。

「どこから入り込んできたのでしょうか」

「わからないわ」

 

「わからないけれど……こいつらを倒さないと前には進めないわ」

一体がこちらに気づいたらしい。気を引き背後を襲うのは出来なさそうだ。

途中で拾ったバールの様なもので気づかれる前に素早く通路にいた彼らの頭をかち割った。やられる前にやる。

非常灯がある分倉庫の時よりも周囲が見えやすい。まあそれは私達を向こうが発見しやすいというのと表裏一体なのだけれど。

 

それでもシャッターがあったおかげか廊下には2人しかいなかった。

「るーちゃん、どこに向かったと思う?」

 

「私の考えではワクチンの置いてある医療品保管庫かと。後はとっさに隠れやすい場所……ミーティングルームのようなところでしょうか」

確かにあのマニュアルを読んでいるのであればその考えが妥当だろうか

「そうね…じゃあまずは医療品保管庫から行きましょう」

医療品保管庫は鍵がかけられない引き戸タイプのため容易に中に入ることができた。電子ロックのような設備はあるけれど電源が落ちている現状では無意味なものだ。

案の定ではあるがそこには誰もいなかった。だけれど一部の段ボールが階段のように積み上げられていて、その正面の棚からいくつか箱がなくなっていたのを見るとやはりるーちゃんはここにきていたようだ。

「やっぱりきていたのね」

 

「そのようですね。高さ的にも彼女と一致します」

 

「よく分かるわね」

 

「これでも観察は得意なんです」

とは言ってもここにいないとなるとやはり外なのだろうか?もう少し室内を探索してからにしよう。

「待ってください。何か聞こえませんか?」

直樹さんが何かに気がついた。耳を済ませて周囲の音を聞いてみると、多分隣の部屋だろうか?かなり近い。多くの呻き声が聞こえている。人のいるところに彼らも集まる。ということは……

「隣の部屋かしら?」

 

「おそらくそのようです」

少しだけ壁に何かが当たる音がした。どうやら室内の壁はかなり薄く作られているらしい。なるほどこれなら声が聞こえてくるのも仕方がない。所々手抜き工事しているわね。

そっと隣の部屋に回ってみる。部屋のネームプレートはミーティングルームと書かれていた。終末世界で何をミーティングするのやらだ。そっと扉を開けてみると、中にはかなりの数の彼らがいた。

暗闇に慣れきった目は、僅かに灯る非常灯に照らされた部屋をシッカリと見ることができた。

机の下、いや、いくつかの机を山のように積み上げてるーちゃんが引きこもって隠れていた。

「いたわ!」

思わず声を上げた。向こうもこちらに気づいたらしい。それは彼らも同じだった。顔を上げた人間だったものどもが光に集まる虫のように一斉に集まり始めた。

「先生声大きいですよ!」

直樹さんをすぐ後ろに下げつつ、武器を構える。

「彼らをこっちに引き寄せるの。廊下側にもきていないか確認しておいて」

それは結局私の罪を見て欲しくないからという言い訳に過ぎない。

すぐ近くにいた白衣を着た女性だったものを蹴り飛ばす。頭を強く机にぶつけたからなのかすぐにそれは動かなくなった。

2人目はバールのフルスイング。豆腐の入った陶器を割るような感覚がして頭が潰れた。

3人目もバール。感染すると体のリミッターが外れるのか見た目に反して恐ろしいバカ力を出してくる。そんな相手に取っ組み合いは御免被る。

残り一体。一際小さい体のそれは、一年生の制服を着ていた。

一瞬腕が止まりそうになった。曲がりなりにも相手は新一年生だった存在なのだ。私も入学式で顔を知っている存在だったかもしれないのだ。

 

だけれど……

「ごめんなさい」

生き残るために私はそれらに手をかける。マービンさんが言っていた。躊躇するな。必ず殺すんだ。そうでなければ自分が大事なものを襲ってしまう存在になるからと。

 

全員を片付け、るーちゃんのもとに駆け寄る。何時間そこでそうしていたのだろう。体は少し冷たくなっていた。

「るーちゃん大丈夫?」

机の下で丸くなっていた彼女は私に抱きついて嗚咽を漏らし始めた。

その手にはワクチンの入ったケースが握り締められていた。

「怪我はない?」

首を縦に振るるーちゃん。暗くてよくわからないけれどぱっと見で怪我は負っていないようだった。血の匂いは……ああだめだ。自分も周りも血の匂いがしすぎて何も感じない。

「さあ行きましょう。ここは危険よ」

 

るーちゃんを抱えて廊下に出れば、直樹さんが先導してくれた。だけれどシャッターのある区画に出たところで再び彼らと遭遇してしまった。

シャッターをくぐり抜けてきたらしい。なんてことだ。あれを潜ってこっちに来れるというのか。

 

るーちゃんを直樹さんに預けて彼らの始末に向かう。

走りながら彼らの頭を叩き潰す。蹴りつける。返り血が飛び散り服を汚した。気にせずに次の相手を捕らえようとして、足元にあった彼らの死体につまづいてしまった。

「先生⁈」

襲おうとしていた彼らに逆にのし掛かられた。咄嗟に首筋に包丁を突き立てた。生肉を切るのよりも硬く、刃先はあまり深く刺さらなかったけれどすぐに彼らは動きを止めた。

気づけば視界が真っ赤だった。手で触れてみると目の周りが粘り気のある液体で覆われていた。強く漂ってくる血の匂い。

「先生…目、大丈夫なんですか?」

血が顔にかかっただけだ。大丈夫……

「大丈夫よ。ハンカチか何か貸してくれる?」

 

まさか目に飛び散るなんてついてないわ。

ハンカチを借りて目の周りを拭いたもののやっぱり視界は赤いままだった。水か何かで洗い流さないとダメだろう。ウィルス以外にも血液感染してしまう病気なんかもあるからそっちも心配ね。

 

 

不意に聞こえた唸り声。今までの人間が放つようなものではない。それはあの「あめのひ」に遭遇したものと同じものだった。

元々野生で狩をして育っていたものの末裔のような存在。そしてウィルスか何かで凶暴化してしまったそれはうまく見えない私の視界でもしっかり捉えることができた。

「先生あれって……」

 

犬の方が動き出そうとした。こちらを見定め終わったのだろう。だとしたらいつ飛びかかってきてもおかしくない。ここで怖がってはダメだ。私の後ろには守らなければならない生徒がいるのだ。絶対にここは引けない。怖くても、足が震えていても、逃げ場なんてない立ち向かっていくしかないのだ。

「直樹さん、るーちゃんをお願い」

 

後手に回るのは犬相手には不利になる。

「先生⁈」

真っ先に飛び出した。犬の方が反応は遅れた。だけれどすぐに持ち前の瞬発力で飛び込もうとしてきた。犬の足が床から大きく離れた瞬間。持っていたバールのようなものを思い切ってフルスイング。

「ふうっ‼︎」

飛び込んできた犬の体をバールのようなものが捉えた。

前に飛んでいた犬の体がほぼ真横に吹き飛んだ。背骨にダメージが入ったのか

勢い良く壁に叩きつけられた犬はすぐには立ち上がってこなかった。犬の頭にバールのような物を突き立てる。

奥まで深く刺さったのかすぐに血溜まりが出来上がった。

犬であっても仕方がないのだ。むしろ長々と戦うとこちらが不利になってしまう。

 

 

 

 

 

だけれどそれは一匹だけではなかった。

あの時だってそうだ。こいつらは何匹かでまとまって行動していたのだ。

 

 

「……あ!」

気づけばもう一匹が直樹さんの方に向かって行っていた。敵わない相手への攻撃は危険と判断したのか安全策を取ったのか犬にしてはなかなか頭の回るやつだった。

おそらくずっと影から観察していたのだろう。でも考えている余裕なんてなかった。

ここから駆け出しても間に合わない。ならば取れる行動は一つだけだった。

とっさにポケットに入っていたナイフを投げつけた。それは回転しながら綺麗に犬の後頭部に突き刺さった。

あの時のように……

一瞬だけ鳴き声がして大型犬は地面に倒れ込んだ。

力なく倒れる犬と怯えるような瞳。少しだけ気まずくなってしまう。

「行きましょう。彼らが集まってくるわ」

視線を振り払うように私は逃げ出した。階段の上からも彼らが転がり落ちてきた。

一階に戻ると案の定彼らは入り口のバリケードの隙間から入り込んでいた。数は多くないけれどそれでも面倒に変わりはないし危ないことこの上ない。

素早く廊下にいた彼らを始末し、地獄の回廊を駆け抜けた。

入り口すぐのところにある防火扉を封鎖し、彼らがこれ以上侵入してくるのを防ぐ。気休めかもしれないけれどやらないよりかはマシだ。

 

バリケードをいくつか超えたところで、上から降りてきていた若狭さんと由紀さんが合流した。

「るーちゃん!」

 

少し疲れてしまい私は近くにあった椅子に体を横にした。

脱臼してまだ日にちが経っていない右肩を振り回したからか座った瞬間肩に痛みが走った。

 

「後は外にいる人たちに伝えてこないと……」

「あ、それは私がしますから先生は休んでいてください」

直樹さんが立ち上がった。

「そう?大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ。ともかく先生は休んでいてください」

そうね。由紀さんにもすごく心配かけてしまっているみたいだし。ああ……やっぱり私は大人として頼りない存在だったんだ。




るーちゃん


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15.物騒と癒し

気が向いたので初投稿です


はいガバがあったけど対してタイムに影響しなかった(と思いたい)RTAはーじまーるよー‼︎

 

今回はお外探索から!

いつもどおりにめぐねえカーに乗車です。そろそろ燃料の残りが気になってくる所ですがまあ大丈夫でしょう。まだ半分残っています。

今日はどこへ向かうんだとくるみっちが聞いてきました。ちょうど良いのでここで解説しましょう。

 

まずはホームセンターに向かいます。ここからだとモールとは反対方向の国道沿いにあります。そこでいくつか必要なものを買います。

と言ってもこれらはサバイバル術あるいは化学スキルがないと使えないものなのでスキル持ちか、あるいは知能全振りすれば力技で作り出すこともできます。

その次に今回のフラグ回収を行います。と言ってもある特定ルートを車で走るというだけです。通常の場合はそのルートが「えんそく」イベントの最短コースに重なるのでわざわざ立てる必要はありませんが今回のバイオめぐねえでは市街地の変化から最短ルートもフラグ回収コースも大きく異なるものになってしまいます。

 

またこのコースですが途中モブキャラとの遭遇が多くなり、途中下車を行う選択肢が出ますが基本は無視しましょう。航空自衛隊基地(米軍共用)の近くも通りますのでもしそこで下車しようものならタイラントコース待ったなしです。やめましょう(4敗)

最終日ラッシュで死にます。

 

 

話しているうちにホームセンターに到着しました。ここはご丁寧にバリケードとシャッターによる防御陣地が築かれておりますが、中の人々は4日目に壊滅しています。原因はわかっておりませんが有志の情報では食料を回収しにいった人が感染して戻ってきて壊滅した模様。悲惨すぎて話にならねえ。

 

ではまずシャッターオープン‼︎くるみ!手伝え!

ボタン連打ボタン連打!はいオーケー……周回で鍛えられたボタン操作に迷いはない(キリッ

中は真っ暗なので探索にはペンライトを使いましょう。灯でゾンビを引きつけてしまいますがそもそも真っ暗なので商品がわかりません。

みんなで分散購入じゃ!ほら買ってこい!

 

あ、ゾンビ邪魔だい。じゃけん始末しましょうねー。

どうせ肌腐ってますし。どうやらバイオ版では細菌によるゾンビ化もある程度性質がtウィルス寄りになっているようです。ですので仮死状態でおねんねしているゾンビとかも10日以降は出てきます。お腹空いているんでしょうかね?

こいつらのエネルギー源?今のところ不明です。人間を食べるわけでもないので体を動かすのに必要なエネルギーをどこから取っているのかが分からんのです。皮膚が腐敗してくる事から十分なエネルギーが得られていないのは確かなのですがね。

まあここは考察ニキに任せましょう。

ちなみに部位損傷が大きい者はゾンビ化する前に死んでいるようなので死者を生き返らせると言ったことは出来ないようです。

ちなみにここには大容量蓄電池と太陽光発電による非常電力があるのでこれを復旧させましょう。近くにある棚を使って天井の点検ハッチを開けます。中には中間分電盤があるのでこれをリズム良く上げ下げします。リズム天国をやっていれば簡単ですね。

電力が復旧しましたーわーパチパチ。では早速電力回復を祝って非常灯でダンスしましょう!もちろん冗談です。

 

はい、では必要なものを回収し終えましたので2人と合流しましょう。

ドンガラガッシャーン

ウワアア!

 

ありゃあ?チョーカーさん何か変なことした?思いっきり棚が倒れた音したんだけど。ねえチョーカーさん?どこへ行こうというのかな?

なになにい?ゾンビ?

 

あ?なんだこの大量の赤点。

いやあああああ⁈ゾンビラッシュしてるじゃん‼︎なんてことしてくれたんだ‼︎

 

ともかく退避なのだ!二階は……ダメだ!二階から来るゾンビの方が多い!畜生!

2人とも荷物は持ったな?それじゃあ逃げるんだよー‼︎あんなの相手していたらタイムの無駄です!今でさえ最短ルートが彼らで塞がれてタイムが伸びちゃう状態なのに!

まあ急がば回れと言いますし多少はね?ガバ?知らんな。

ともかく車の止まっている地下駐車場に逃げ込みます。階段にもゾンビがたくさんいますが蹴り飛ばしちゃいましょう。うーん……駐車場もどっからこんな湧いたんですかねえ。あ、シャッター閉まってるじゃん誰さ閉めちゃったの。せっかく開けておいたのに。

 

まあ電力回復していますので制御室で操作しちゃいましょうねー。

あ、この制御室簡易型じゃん!

ちょうどめぐねえなら窓を割ることもできますね。それ!

殴るでガラスを破り、コンソールのオープンボタンを押します。

ちゃんと手袋をはめてやりましょうね。でないとおてて怪我しちゃうからね。

はいこれでシャッターが開きます。ちょっと音が大きいのでゾンビが寄ってきてしまいます。すぐに車に戻りましょう。

ほお、鍵を回してエンジンをかけてくれていたのですね。ナイスナイス!君たちもタイムアタックに慣れてきたようだね。

 

ほらめぐねえさっきから走りっぱなしだからってバテるな!運転しろ!

ではここからはフラグ回収ルートを突っ走ります。

市街観光と行きましょうか。

皆さま右手に見えますのはかの有名な…大学でございます。え?ビルで見えないって?仕方がないやろ!でも地図ではワンブロック向こう側が大学なんだよ!

おっと危ない。子供ゾンビが公園から飛び出してきました。相変わらず子供ゾンビは当たるとダメージ判定が大きいので回避するに越したことはありません。

速度も60ちょいですね。本当ならメーター読み80あたりまで出した方が燃費が良いのですがそこまで加速させるには障害物が邪魔です。

 

まあ文句言っても仕方がないので進みましょう。イッヌがいますね。無視です。

ではここからはフラグ回収のために少しゆっくり走ります。

はい皆様見えますでしょうか右手に見えてきましたこの広い草原こそ自衛隊基地になります。ここはその端っこの何もないです所です。

奥の方に煙を上げているハンガー格納庫などが見えます。

ここは自衛隊練習機、あるいは一部のヘリと米軍のヘリコプターや空中哨戒機のための基地です。戦闘機なんかはいませんし基地の防備も必要最低限しかありません。なのでこの事態に対処するには能力が元からなかったわけです。悲しいかな。もちろん彼らが無能というわけではありません。実際素早い撤退命令のため基地の内部は比較的ゾンビは少ないです。

 

タイラントおじさんとかG生命体が出てくるので探索はやめましょう。正直ろくなものないので。

「基地がこんななんて……」

 

「元々ここは戦闘機などが配備されている所じゃないからな」

はいフラグ回収しました。

では左折して所定コースを通り学校へ帰りましょう!

途中でランダル社のビルを見ることができます。あそこらへんで実際に細菌を開発していたと思うとなんだか恐ろしいですね。しかも管理ガバガバとか道央精神してるんだか。

 

「めぐねえストップ‼︎」

おう?くるみっちどうしたん?なになにい、生きている人でもいたの?

 

「屋上で助けを求めてるんだ!助けないと……」

 

えー!なんで?ちょっとくるみっちどうして降りちゃうの!ダメだってば!あーもう‼︎

なんでこのミニイベント発生しちゃうん?

どうせモブ生存者なんて助けることできるわけないんだからさあ!無駄に正気度減るだけだし。

でもここで仲間のキャラが先に行ってしまった場合追いかけないとゾンビ化します。超面倒ですが追いかけましょう。

取り敢えず余計なことされると困るのでチョーカーさんには車待機。あいつら毛布かぶって車内に隠れておけば襲ってこないので。

 

ごらあああ‼︎待てやくるみ‼︎

あ、早速階段の扉の鍵が開けられなくて困っていますね。

思いっきり蹴り飛ばすんですよ。

「めぐねえって運動やってた?」

 

やってません。

ほらいくんでしょ。どうせイベント突入しちゃったんだからもうクリアしないといけないのよ。あータイムロスタイムロス。リセットしたいのですがさっきイベント突入でオートセーブが入ってしまったのでここでリセかますと一からやり直しなんだなあ。

はあ…病むわー病むちゃんだよ。しかもこのイベント一回もやったこといないし.

 

とりあえず早く行くよう。うわあゾンビまみれだなあ階段も。さっさと奴らを倒して突破しましょう。

「くそっ!こっちの階段崩壊してやがる!」

 

なんでかなあああああ‼︎急いでるのにこのっ!製作陣め!反対側に回らせやがって!

えーい!走れ!おめえ陸上部だろ!だったら足早いだろ!

うあああ!めぐねえスタミナ切らしてんじゃねえ!オラ水飲んで走れ!泣き言言わせねえぞ!

階段で回避操作ステップすればスタミナを余計に消費せず早い上り下りができます。スタミナ切れの時は多用しましょう。

 

あーやっと屋上だよ。4階分登るのにどれだけ時間かかったんだか。

あ、早速噛まれちゃってますねモブちゃん。

とっさにくるみっちが噛みついたゾンビをシャベルで叩き潰しますがもう遅いですよ。

モブちゃんとの合間で言い合いが交わされます。

「大丈夫!なんとかなるから……」

 

「もう遅いわ、噛みつかれたらどうなるかみてきたもの」

 

「まだ可能性はあるわ!ワクチンだって……」

 

「ありがとう、でもごめんなさい」

あーあー…落っこちていっちゃいました。

人の話を最後まで聞けや。何が疲れましただこのやろう!こちとて何周目だと思ってるんや。

まあいいや帰ろう。無駄足だったわ。

 

この救いがなさすぎるイベントはやる気が削がれるんですよ。がっこうぐらしなんだからもっと、きゃっはうふふなイベントが欲しいのであってね。

とりあえず文句は言ったから帰りましょう。

あ、イベントが終わると強制的に車のところに戻されるんですね。

戻る必要がなくて助かりました。では帰りましょうか。

 

ん?なんかトロフィーもらいましたね。まあいいや後で調べてみましょう。

 

 

ただいま〜‼︎では早速ですが持ってきた荷物を使って道具を作りましょう!

最終日に必要になる大事な道具ですからねー。

 

一緒に作るのは手先が一応器用な圭ちゃんとみーくん!

おらこいや。

 

「何を作るんですか?」

 

道具です。

 

「でもこれって…」

 

爆弾です。

ちなみに作り方はよくわかりません。まあこんなところで詳しく作り方が出てきたら真似する人でるでしょうからね。

というわけで…

危ないですが作っていきましょう爆弾。

 

テキスト文にはニトログリセリンを染み込ませたものと書かれています。

すまねえ、化学知識はさっぱりなんだ。

 

ところで買い物したものの中身はなんだ?

 

知らない方がいいわ。

 

 

というわけで早速スキル使用です。

こんなものが一瞬でできるとか化け物かよ。まあ現実みたいになん時間もかかったら溜まったものじゃないですけれどね。

これら爆弾はタイムを縮めるのに使うのであってこれを作っている合間にタイムが伸びたら本末転倒です。

 

はい完成しました。ではこれをバッグに詰めておきましょう。威力は折り紙付き。手榴弾程度の破壊力はあります。

スキルさえ有ればラクーンシティやターチィなどでも作れますが銃火器と比べたら圧倒的に劣ります。素直に向こうでは武器を回収しましょう。

 

では後は布団に入って寝るだけです。おやすみなさい!

 

はいおはようございます11日目の朝となりました!

今日は一日フリーとなります。RTA的には要らない日なので早めに処理したいところです。

そのため今日はこんなスケジュールとします!

 

鳩と風船による生存報告通達!

はい風船です。しれっと由紀ちゃんが風船を乗ってきてくれています。

ではみんなでお手紙作るどー!

 

お、由紀ちゃん絵ですか。分かりやすいですねえ。でもどう考えても中学以下が発信したとしか考え無さそう。るーちゃんも同じく…ありゃこっちは相当赤が多い絵ですね。

 

逆にくるみやみーくんは軍隊の作戦書みたいなものになっています。

チョーカーさんは遺書っぽい何か。これ大丈夫かな……

ではこれらを複数枚コピーして小さく折りたたみます。

 

ヘリウムは理科室にあったものを拝借します。

かなり重たいガスボンベですが階段で使えば武器として機能します。

一応筋肉お化けかくるみならこれを振り回して鈍器として使用することもできます。恐ろしい子‼︎

 

 

では屋上で風船飛ばしです!飛んでけー!どといっても風船の限界からか街の外まで飛んでいくというのはかなり難しいですけれどね。

 

ついでに屋上で鳩の捕獲を行い伝書鳩ごっこをします。

名前は…アルノーで良いでしょう。二匹捕獲すると二世も同時に生まれます。

 

鳩を捕まえる方法ですが結構原始的な方法を使います。ドバトなんてのは警戒心薄々なので……餌と籠と紐でどうにでもなります。

問題は鳩が持つ感染症などのリスクでしょうね。鳩との接触は一定確率で病気を引き起こします。

病気状態になると同時にウィルスへの感染確率が高まり事故の元となります。

 

まあここは賭けのようなものなので放っておきましょう。今から感染したってゴールまでに発症しなければ勝ちです。

というわけで早速確保しましょう!

由紀ちゃんと一緒に鳩確保です。お、一匹捕まりました。由紀ちゃんはアルノーと名付けました。

では早速ですが…脚に手紙ををくくりつけましょう。

風船と違って人に発見されても鳩を捕まえられなければ意味ないので期待薄々の薄ですがね。これがタイム短縮のためには必要なのよ。

イベント的にも短いので。

 

では鳩を無事に飛ばし終えたところで今回はおしまいです!ご視聴ありがとうございました!




るーちゃん
じつはさんわくらいはとをつかまえたことある
あのしかけがなくてもてでつかまえたほうがはやいきがするんだけどなあ


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危険物

もし機能が残っているとすれば、それは軍事施設であろう。

この町の近くには小さいけれど自衛隊と米軍の共同利用の基地があるのだった。

これはこの街がまだ巡ヶ丘と呼ばれる前からあったものだ。元々は戦前に陸軍の飛行場だったもので戦後、飛行場を米軍が使用し航空自衛隊も一部施設を共同使用するようになったもの。

最初は軍用機の運用が主だったものの機体の大型化と滑走距離の増加で飛行場の滑走路の長さがたりなくなり、伸ばそうにもその頃には周辺に民家が出来てしまっていたものだから大きくしようにも立退などで余計な費用や住民感情の悪化が懸念され結局首都圏の主力機は運用を厚木基地や土浦に移転した。

 

「今となっては米海軍の輸送機とか小型機、自衛隊の訓練機やヘリくらいしかないところよ」

 

「それじゃあ基地防衛の装備もなさそうだな」

車に乗っている恵飛須沢さんと柚村さんは私の話を聞きながら期待できそうにないと顔を伏せた。

 

「この惨劇がどこまで続いているか分からないけれど、元々警察や自衛隊などの暴力機関は人数が少ないの。おそらく内部でも感染者はあるはずだから市民救助まで力のリソースを回せないと思うわ」

実際ラクーンシティでも警察や投入されたUBCSの部隊は市民救助どころか自分の身すら守るので精一杯だった。

 

だからある種仕方がない事だ。暴徒鎮圧とはわけが違う。

 

「で、今更行ってどうするんだ。めぐねえ。いくら私がミリオタだからってそんなとこ連れて行っても喜べるかどうかわからないよ」

そうね……リッくんランドくらいなら全てが落ち着いたら行ってもいいかもしれないわね。

「基地に行くのはついでよ。まずは買い物が先」

 

「「買い物?」」

 

車を走らせること1時間。普段であれば二十分ほどで到着する道のりは、事故車や放置車両、道の崩壊などで発生した迂回で余計に時間を食った。

辿り着いたのはホームセンター。

もしかしたらここも生存者がいるかもしれない。だけれど外から見たところそのような感じはしなかった。バリケード跡が色濃く残っている入り口近くには彼らがうろついている。

従業員と思われる服装の者が多く、生前ここで働いていた人達の成れの果てというのは容易に想像できた。

 

駐車場に車を止め、元から止まっていた車の影に隠れながら入り口に近づいていく。近くには工事用のホイールローダーが止められていた。あれを使えばすぐに中に入れるだろうけれど、音が大きすぎる。それに動くかどうかわからない。

 

「買ってくるものはメモの通りよ」

 

少なくとも入り口付近にいる彼らは邪魔で仕方がない。だから駐車場の隅っこに止まっていた高級車を利用する。

紅茶の国のスパイ映画でお馴染みになった高級車の窓ガラスを石を使い思いっきり粉砕する。

車に警報の類はなく、あっさりと扉は開いた。

鍵穴が刺さる部分のカバーをマイナスドライバーで引き剥がし、内部の結線を素早く切る。バッテリー回路から直結している線とセルモーターに繋がれている線を組み合わせれば、高級車は一気に息を吹き返した。後はエンジン音を上げるためにアクセルペダルをペッドボトルをつっかえ棒がわりにして押し込む。

かなりの爆音が上がる。スポーツで音がかなりする車だったのが幸いだ。

 

見ればエンジン音に引き寄せられて入口シャッター前の彼らが駐車場を突っ切ってきた。

 

再び車の影を通り恵飛須沢さん達と合流する。

「それじゃあシャッターを開けるわ」

大型の電動シャッターは人が開けるようには出来ていない。

「これ、開けられるか?くるみでもこれは無理だろ」

 

「少し開けばいいのよ。行くわよ。せーの!」

 

普段は電動で開ける大型のシャッターは、必要以上に重たくなっていた。力一杯2人で押し上げて、隙間は70センチもない。屈まないと入れなかった。

周囲の彼らが気づく前に急ごう。

「うわ…中真っ暗だな」

基本こういった店舗は外との空気交換は大型空調設備と換気設備を使うから建物に窓はない。だから光が入ってこないのだ。夜であったとしても新月でなければそこそこ明るいけれど、建物の中は本当の闇だ。

「そうね…懐中電灯必要だったかしら」

ペンライトだけでは周囲の様子がわからない。だけれど呻き声や這いずり回る音が周囲には彼らがいるということを教えていた。

「彼らをおびき寄せるだけだし問題はないと思うよ」

必然的にみんなの声のトーンが落ちる。会話で彼らが寄ってきてしまう可能性があるからだ。

柚村さんが警戒しながら先に進んだ。後に私達が続く。

「それじゃあ私はこの先の洗剤類を……」

 

それは唐突だった。いや、シャッターからもれ出たあかりに引き寄せられたのだろう。

恵飛須沢さんに向かって影から腐った肌のそれが飛びかかった。

「くそっ!」

シャベルの柄で咄嗟に掴みかかられるのを押さえ込んだ。

それをすぐに引き剥がしそいつの頭を横に捻った。

事切れたそれを床にゆっくりと下ろす。

 

「あぶな…寿命が縮んだよ」

それと同時に彼らに気づかれなくてよかった。暗闇に紛れる彼らはおそらく音を頼りにやってくるだろう。今の音がもっと大きかったらヤバかったかもしれない。

 

「気をつけてね2人とも。柚村さんも無理そうだったら私か恵飛須沢さんと一緒に行動していいのよ」

 

「わ、わかった」

そう返事した柚村さんは顔を青くしながらも恵飛須沢さんと一緒に行動する事を選んだ。

 

 

 

しばらく広い店内を探索していると、梯子が通路の真ん中に降りていた。彼らの1人がそれにぶつかりガタガタと不快な音を立てていた。それを素早く始末し、静かになったところで梯子の上を照らしてみる。天井にまで伸びたそれは、半開きになった点検ハッチから下がっていた。

 

もしかしてと思いそこを覗き込んでみれば、それは中間分電盤の制御器が納められているところだった。

屋根には太陽光などがあったからもしかしたらここも蓄電した電気で一部の機械が動かせるのではないかと思っていたがビンゴだ。

いくつかの回路を開くとパッと内部が明るくなった。

と言っても普段の電灯がついたわけではなく、非常灯がいくつか点灯しただけに過ぎない。だけれど周囲が見えるようになったのは非常にありがたい。

 

 

 

あらかた欲しいものを調達できた。2人と合流をしようとして耳をつん裂く轟音が貫いた。

それは棚が倒れたような音で、店内全体にコダマする様に響き渡った。

尋常ではないその音に何かあったのだと直感が告げた。

「いやああ⁈」

「柚村!」

 

ああ大変な事態になっていた。

2人の声が聞こえた方向へ走っていけば、そこには既に始末された彼らの死体と、その横で茫然としている柚村さんがいた。商品棚が一列大きく倒れてしまっている。

「あ!めぐねえ!」

 

「恵飛須沢さん!なにがあったの!」

 

「彼らに襲われて……倒すときに間違えて棚も一緒に…」

 

 

「……くるみ!先生!後ろ!」

柚村さんが物干し竿を私と恵飛須沢さんの合間に通した。とっさに振り返れば、背後には彼らがいた。

店内に散らばっていた彼らが一斉に集まり始めていたのだ。

 

「まずいわ!逃げましょう!」

 

息が荒くなっている柚村さんの手を取り移動を開始した。

だけれど入り口の方は外から彼らがシャッターを叩く音がしたから行こうにもいけない状態だ。もしかしたら外も彼らが集まってきているのかもしれない。

「こっちだ!」

 

恵飛須沢さんが彼らの合間を襲ってきそうなものだけをシャベルで叩きつけて駆け抜けていく。

向かったのは下へ向かう階段。

そこにもやはり彼らは溜まっていたものの、その数は多くはなかった。

素早く階段下にいた彼らの頭を蹴り飛ばす。バールのようなもので叩きつけ、邪魔な奴らを退けていく。

 

駐車場に出たものの、そこは異様な暗さだった。

「もしかして…入り口閉じているのか?」

 

「そうみたいね……」

 

だけれど電源が回復した今なら開けられるかもしれない。

駐車場にいる彼らを投げ飛ばし、シャッター近くに行ってみれば、すぐ側に小さな小屋のような建物があった。

それはどうやらここのシャッターや空調設備の制御を行う部屋だった。

入り口にはご丁寧に鍵がかけられてしまっている。だけれど…

 

手にタオルを巻き付け、思いっきり窓ガラスを殴り付けた。

強化ガラスでもなんでもない窓は、それだけであっさり叩き割れた。

すぐに手を伸ばしてシャッター開閉ボタンを操作。

同時にシャッターが音を立てて動き出した。

 

「めぐねえ……」

 

「大丈夫よ怪我はしていないわ」

 

「先生そうじゃないです」

どういうことなのだろう⁇

 

 

その後も外から彼らが入ってきたりして少しばかり戦う羽目になったけれど、全部を倒すなんてのは出来るわけがないので早々逃げる選択肢を取った。

地上駐車場のほうに回ってみれば彼らは再びシャッターに集まっていて、車の周りには彼らはいなかった。

滑り込むように車に飛び乗る。気づけば息が上がっていた。さっきから走りっぱなしだったからだろうか…少し息を整えないと……

「運動続け…ていればよかったわ」

そうすればもう少しマシだったかもしれない。

「めぐねえ運動していたのか?」

 

「ええ、でも大学で辞めちゃってね…元剣道部よ」

体力の衰えとは意外と早いものだ。なんて年寄り染みた感想が頭の中を横切ってしまう。

ともかく帰ろう。車をゆっくりと引き出せば、一瞬誰かが助けを求める声が聞こえた気がした。それを気のせいだと割り切った私はきっとこのとき胸に感じた痛みを忘れないだろう。

 

 

 

 

帰る途中少し気になって基地の方に寄ってみた。とは言っても入り口がある大通りの方は横転したトレーラーと黒焦げになったタンクローリー、それを消化したと見られる消防車などが邪魔で行くことはできなかった。

だから生活道路を使って基地の周囲を見て見る事にした。

「中、彼らしか見えないな」

管制塔がある建物を私が貸した双眼鏡で見ながら恵飛須沢さんは呟いた。

「飛行機もヘリもないわ」

そこは完全に破棄された基地と言っても過言ではなかった。他の場所と同じく彼らが徘徊し、文明が滅んでしまった場所。生き残った人たちはおそらくヘリや飛行機で脱出したのだろう。

格納庫の奥に整備途中だった機体が少しだけ見えた。

 

「とっくに避難済って事か……」

これでは救助要請は無理そうだ。ここの通信設備を使えば何処かにつながるだろうが危険が多すぎるだろう。背中が少し寒くなった。こういう時は下手に近づかない方がいいに決まっている。

 

「でも通信施設くらいは……」

 

「柚村、正直無理だと思うぜ」

 

「そうね。彼らは今まで見てきたところだと身体能力のリミッターが外れているような奴らばかりだし、ましてや隊員なんて……」

あそこで彼らになっているのは自衛隊員や米軍の人なのだ。一般人よりガタイは絶対良いはずだ。どれほど影響があるかはわからないけれどきっと手こずるはず。

危険が大きすぎる。

やっぱり救助はあてにできそうにない。こちらから脱出の準備をしないと……

もしかしたら最悪の事態というのもあり得る。

 

 

再び車を動かし道を駆け抜けていく。時々彼らが道を阻もうとして、車に凹みをつけた。

まあジープだし問題にはならない。

 

 

 

「ちょっと止まってくれ!」

恵飛須沢さんがそう叫んだのは少し大きな通りに出てすぐだった。とっさにブレーキを踏み込み、減速をかける。だけれどそれすら惜しいのか、彼女は車から飛び降りた。

「くるみ⁈急にどうしたんだ!」

 

「屋上で誰かが襲われそうになってるのがみえたんだ‼︎」

そう言って駆け出す恵飛須沢さん。

「待って私も行くわ‼︎柚村さんは車で待ってて!」

 

「え⁈あ…わかった」

 

既に恵飛須沢さんはビルの中に入っていた。私もそれを追いかけて中に飛び込む。

彼女にはすぐに追いつけた。通路は彼らが何人もいて、通せんぼをしていたからだ。

助走をつけて1番近くにいた彼らの頭をバールで殴り飛ばす。勢いを殺さず次に飛び蹴り。

 

「めぐねえ⁈」

 

「勝手に飛び出したら危ないわよ!」

 

「でも見捨てられなくて…ごめん」

 

「…大丈夫よ。ともかく先にいきましょう」

オフィスビルであるその建物の階段はひどく狭いものだった。だけれどそのおかげか彼らは登って来れなさそうだった。上にいる彼らの足を払い転ばせ、頭を叩き潰す。気づけば私の体は返り血で汚れていた。それは恵飛須沢さんも同じだった。

 

二階に上がったところで階段が崩落を起こしていた。

「なんで階段が……」

よく見れば崩落したところにはヘリコプターのローターがあった。ヘリに突っ込まれたのだろう。よく建物の方が無事だったものだ。まあ耐震構造や免震構造のせいでなまじ頑丈だからというのもある。

 

「建物の反対側にも階段があるわ。そっちを使いましょう!」

 

二階のオフィスは、彼らが溢れていた。

こんなところで時間を食うわけにはいかない。

 

「め、めぐねえ⁈」

恵跳須沢さんを抱き上げ、私は飛び上がった。そばに寄ってきていた彼らが襲ってくるよりも早く、デスクの上に飛び乗りそこを駆け抜ける。

「これが1番早いわ」

 

反対側に着いたところで彼女をすぐに下ろす。もう腕が痛い。やっぱり無茶しすぎたわ、一瞬腰がダメになるかと思ったし。

「本当に先生運動やめたのか⁇」

 

「もちろんよ」

 

ようやく屋上に向かえたものの、既に救助を待っていた人は彼らに組み付かれていた。

胸ポケットに入れておいたナイフを投げつける。放物線を描いて、それは噛み付いている彼らの頭に突き刺さった。

崩れ落ちる彼ら。

 

助けを求めていたのは二十代くらいの女性だった。首元を噛まれたのかひどい出血だ。すぐに治療しないと……

 

「こないでっ!」

だけれど私たちが近づこうとすると、彼女はビルのフェンスをよじ登った。

「落ち着いて。私達は助けにきたんだ」

恵飛須沢さんが呼びかけたものの、一向にこちらに戻ってこようとはしない。

「もうダメよ。噛まれたら彼らになる。見てきたもの!」

確かにそうかもしれない。だけれどこっちにはそれを止めるためのワクチンがあるの!

「待って‼︎まだ間に合うわ!だってワクt……」

 

「そうだ!だから早くこっちに……」

だけれどもう彼女の決心は固まってしまっていたようだった。

「もう、遅いのよ」

説得で心が揺らぐのを恐れたのか、最後まで聞かずに彼女はフェンスの向こう側からいなくなった。

何かものがぶつかる音が鈍く響いた。

「どうして……どうしてなんだよ‼︎」

 

「……」

どうして……もうちょっと早くきていれば助かったのかな……

「戻りましょう……」

 

「……めぐねえ、どうしてこうなっちゃったんだろうな…」

 

「分からないわ……でも、今は落ち込んでいちゃダメ。全部終わったときに泣いて…弔うのよ」

気持ちを切り替えられなければ生き残れない。残酷だけれど死者に付き合って一緒に死んでしまうのは逃げと一緒なのだ。

 

 

 

 

 

帰ってきた頃にはもう日は暮れかけていた。学校の前には彼らの姿はほとんどなく、建物の中にも誰もいなかった。

さっきからずっと落ち込んでいた恵飛須沢さんも、学校が見えて来れば嫌でも気持ちを切り替えないとと思ったのか柚村さんとの会話もだんだん弾んでいった。

あれだけ乗り越えられたのなら、今は大丈夫だろう。

沢山の人が死んでいくところを見てきた。もう手遅れなのかもしれない。だけれどここで折れるわけにはいかないのだ。

 

 

 

「ねえ由紀ちゃん、手伝ってくれる?」

夕食が終わった後、私は人手を何人か必要とする作業を行うことにした。

「めぐねえ?私なんでも手伝うよ!」

 

「でしたら私も御手伝いします」

参加してくれたのは由紀さんと直樹さん。2人いれば多分十分だろう。

「じゃあちょっと隣の教室に来て」

 

隣の教室には今日買ってきたものが並んでいた。

「先生…なに作る気ですか?」

 

「爆弾よ」

 

「「……⁇」」

 

「ニトロ系のものよ。だから慎重に扱ってね」

意外と市販のものでも爆弾を作ることは可能なのだ。私が今回作るのはニトロ系化合物を生成する方式。もちろん衝撃で爆発するようなことは起こさないために粘土質のものに浸透させて安定化させる。

「十分気をつけてね」

 

「「……はい」」

怖がっちゃった?大丈夫よ。安全に気をつけていればね。




るーちゃん
もちろんぜんねんれいばんもあーるしていばんもせいせい失敗によるばくはつをうけてもだめーじはうけないよ。
すこしたちえがくろくすすけるくらいかな?あーるしていばんはふくがふきとぶだけですむよ。だけどてづくりばくだんだけだよ。


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16.最終日

真夜中の闇から始まるRTAはーじまーるよー‼︎

 

はい現在ゲーム時間は11日目の午前2時です。明日の一大イベントが楽しみなのかめぐねえがこんな時間に起きてしまいました。

「めぐねえ、交代だよ」

 

えーはい、その通りです。ただの見回りのミニイベントです。いくつかの見回りは自動で行われていると言うことになっていますが三回に一回は見回りイベントとして我々が操作せねばならない事があります。真夜中に起こしやがってくそったれめ‼︎

 

えーはい…実はバールのようなものの耐久値がもうピンチなので遠距離攻撃の手段を探さないといけないんですよね。

とりあえず包丁と箒の先端で即席突撃槍みたいなものを作ってみたのですがどどうもコレジャナイ感出ちゃっていますね。

まあ今更グダグダしても時間の無駄ですのでさっさと回ってきてしまいましょう。

と言っても部屋から出たら階段まで行ってなにもせず戻るだけで良いのです。1番近いところの階段を見るだけで終わりだなんてガバガバすぎぃ‼︎

 

というわけで再び睡眠の時間だよー!ほら早く寝ろ‼︎

 

心なしかめぐねえの疲労度と正気度が下がり気味なので朝起きたら大好物を与えて回復させましょうか。

後はシャワーですね。これだけでも随分正気度と疲労が回復します。人間温かいお湯を浴びるだけでもリラックスできるんですねえ。

 

というわけで起きたらまずはシャワールーム‼︎

「あ、先生おはようございます」

あ?圭ちゃんと若狭姉妹じゃないですかなんでここに⁇あそっかーこれもミニイベントか。ってなんでや‼︎こんなイベント知らんぞ!

え?wiki……最近見つかったばかりのやつだああ⁈なんだそれ‼︎しかもこれ編集更新が1時間前だ!

なんで今まで発見されなかったんですかねええええ?こんなのチャートもクソもあったもんじゃないですよ!あーもう!アドリブかよ!

会話イベントなんて選択を適当にポチればいいだけなのですが…うーん……

あ、ミニイベントだからスチル絵と会話だけか。

まあリセする程度でもないか。うんそうだそうだ……

まあみんなでシャワー浴びてるスチル絵が見れただけでもこっちは心がぴょんぴょんするんじゃ。

 

 

ではちょびっと…20秒前後ロスしたような気がしますがとりあえずいきましょう。

 

今日はみんなの英気を補うのと明日に備えるチャートになっています。

まずこのゲームに出てくる墜落ヘリコプターですが、これがちょっと難儀なものです。

バランスを崩して墜落するのですがどのような墜落をするのか、墜落時にどれほどのダメージを与えるのかはランダム。一応ゲームなので数学的に計算されて出される擬似的なランダムなのですがそれでも数が多く結果から次の結果を測定し予測することは私の腕では無理でした。

墜落状況によっては自動車が吹っ飛ぶトラップが新たに生まれたり階段の一部が崩落して使えなくなったり。軽い時には上層階にダメージを与えず出入り口付近にいたゾンビーズの群れに落ちて吹き飛ばしたりなどです。

とりあえずなにが起こってもいいように備えないといけないわけです。

 

まずは可燃物の撤去。バリケードなどのものは仕方がありませんがそれ以外の邪魔な可燃物などは退かせる限り一箇所にまとめてしまいます。

 

続いて駐車場の車たちですが…あれはもうどうしようもありません。

やろうと思えば対処できないわけではないですが時間がかかる上にゾンビに囲まれるので危険極まりないです。

3回やって2回失敗しました。車の下に潜って燃料タンクを破壊、可燃物を撤去してしまう方法ですが大概はゾンビに囲まれて余計な疲労を抱え最悪攻略キャラが助けにきて死んでしまう。

もう二度とやりたかねえ。

夜間作業でやるような事案ですが夜間でやっても彼らが集まってきます。解せぬ。

 

校内から集められるだけの可燃物が集まったのでこれを一箇所の部屋にまとめておきます。場所は墜落時の火災が燃え広がっても脱出路を確保できるように建物の1番端っこの部屋に入れておきます。

まあ三箇所階段があるので逃げ道自体の確保は簡単です。

 

お、そろそろいい時間になりましたね。

では今日はちょっと豪勢に食べましょう!どうせもう日数ないですからね。

別に最後の晩餐というわけではないですよ。ただ純粋に消費期限が迫っているものが出てきて処分しようと言う魂胆です。

 

ついでに全員の好感度を確認しておきます。ふむ、だいたいみんな似たり寄ったりですね。よしよし、これなら大丈夫。

疲労も正気も美味しいご飯を食べたので回復できました。

 

 

では午後ですが、屋上設備の総点検を行います。

「先生屋上に行くんですか?」

 

おうそうだよ。どうしたのかね若狭姉妹よ。

「私たちも手伝います」

あっそう、んーまあいいか。同行を許可しましょう。

向こうから手伝いを申し込むのは好感度が恋人あたりになっていると言う状況なのですが…うーん…心当たりが思い当たらない。

そういえば料理の後片付けもくるみがやっておくよといったりしていますね。

こっちは心当たりがあるので良いのですけれど。

あ、癒しの由紀ちゃんに関しては好感度が半分切っている時以外は反応が全部同じなので細かい測定ができません。

まあいいや。明日は第二次エクストリームスポーツなので好感度によるイベントもあったものじゃありません。

 

はいでは姉妹と一緒に屋上の機器を点検しましょう。

ここで点検を怠ると屋上で落雷による火災が発生します。そんなことになれば全員を生かしたままエクストリームスポーツなんてやってられません。

 

「あら、ショートしているわね」

はいこれで屋上発電設備の変電装置や大容量バッテリーが危険な状態だと言うことが分かりました。

ブレーカーを落として電源回路を停止させるかどうかと言う選択肢が出ます。

迷わず回路遮断を行いましょう。

ついでに太陽光パネルは地面に繋がっている短絡回路に切り替えて発電分を逃すようにしてあげれば完璧です。

 

下準備はこのくらいですね。では戻ってみんなでわちゃわちゃの会としましょう!

ついでに余ってる食料で再び豪華な夕食とします。

明日を乗り越えるためにはなにがなんでも正常値以上に持っていかないといけませんからね。

 

 

 

 

はいと言うわけでやってきました最終日!うわーい!見てくれよ土砂降りだぜ!学校の周りが冠水しているみたいな状態だぜ!

なぜかグラウンドと言い建物周囲と言い水捌けが悪いんでしょうかねえこのゲームは。

おかげである程度の高さから落下しても今のような状態ならダメージの軽減や怪我の確率を下げてくれる効果があるので悪いとはいえないんですけれどね。

 

ただ足元が滑りやすく戦闘向きではありませんね。戦闘系に特化していてもすぐに滑って転んでしまいますし動きが鈍くなるデバフがかかります。

ケッ(5敗)

なお昨日のうちに発電装備を軒並み停止状態にさせているので灯はないです。校内放送も使えません。

では全員起きたので早速見回りにいきましょう。

 

まず部屋を出ましてー……はい戻ります!これでOKわざわざ見に行く必要はありません。

同時に全員が戦闘態勢に入ります。

全員が箒の先端を包丁に変えた槍とかシャベルとかモップで武装しています。ちなみに圭ちゃんとみーくんは両腕に雑誌を巻きつけています。2人だけ国連の調査員みたいなことになっていますね。

 

では各場所での防衛戦開始です!

今回は停電させている関係で放送マイクは使えませんので黙って黙々と作業しましょう。

まずは一階の防衛ですが…そんなところの防衛はやりません。二階の各階段で耐久戦をやります。

というのもバイオ版では一階はゾンビ犬が窓から飛び込んでくるトラップが追加されているので一階での防衛戦は危険極まりないのです。観測した結果一階では8匹も入ってきました。少なくとも防衛線の時に下に降りなければ出現はしてこないので今のところ問題はありません。

 

ただ一階での防衛を元から破棄しているので上に行くにつれてその分のツケが廻ります。

まあやたらめったら数が多いのなんのってね。

ではめぐねえと由紀ちゃんで二階の中央階段そのほかは適当に分かれて防衛です。人数が人数なので疲労が溜まりにくくて楽ですね。

一昨日製作した爆弾も一緒に使いましょう。

はい火をつけてーぽーい!

汚え花火だ。

 

一応炎が多少出ますが周囲に延焼するする程度でもないので火災の心配はありません。とりあえず音と被害半径に気を付ければ問題ありません。

 

「まずい!バリケードが持たない!」

 

はいチョーカーさんの合図いただきました!すぐに3階の防衛線まで後退です。

三回の防衛を始めてすぐヘリの音が聞こえます。すぐに反応マークが出ますので見逃さずにそれを押しましょう。

するとヘリが墜落していくムービーが入ります。力入ってるなーさすがカプコンヘリ。落下芸だけは優秀なんだから。

 

あー……今回はどうやら屋上に突っ込んだようですね。でも機体が炎上しながら落下していきました。あーあ…これ上と下両方から火災だー。

しかもただの火災ではなく燃えているのは燃料の火災なので消化器程度では消せません。スプリンクラーがあっても多分ダメでしょうね。まあ電源がなくポンプも故障して動かないのですけれど。

 

「どうするんだよ!このままじゃ煙でやられちまうぞ!」

あー落ち着きたまえくるみくん。焦ったところでタイムは縮まらないのだよ。

では地下へいきましょう。あそこなら防火シャッターもあるので火災くらいなら余裕で防げます。

実際ロケットランチャーの直撃すら弾く装甲シャッターなのでタイラントが突っ込んできても安全安心なんです。

ほら荷物をまとめていくぞ!

 

荷物と言っても爆弾だけなんですけれどねえ。あ、後かき集めた武器程度か。っていうかみんな何そのリュックサック。どれだけにも積もって行こうとしているんですかね?まあいいか。

 

「先生危ない!」

 

おふう⁈なんでさ‼︎

 

三階天井が落下してきました。おかげでめぐねえとりーさん、その他大勢で分けられてしまいました。ふざけんなゴラ!なんでここでこのギミック作動しているんだよこのやろう!これ確率0.25%だぞ‼︎

畜生!やり直したいけどセーブ忘れました!自慢じゃないがこのゲームのセーブって30秒かかるから嫌なんですよ。タイム伸びるし。

 

あれ?ここって火災の火が来ている方じゃね?あれえ…他の奴らがいる方が安全じゃねまだ……

 

 

 

 

……あああああ‼︎もやだああああ!

でもここで諦めたら試合終了!とにかくいくぞ!

ってゾンビ邪魔!数が多い‼︎

 

しかもこいつ燃えてるから近寄れねえ‼︎くそう!

でも大丈夫だ!めぐねえなら多少の怪我くらい問題ない!噛まれなきゃいいんだから。

へへ、もうチャートなんていらねえ。タイムだって関係ねえ、オラオラかかってこいよ。てめえらなんざ怖かねえ……やろおぶっ殺してやらあああああ!

りーさんは別にタイプじゃないけど守らないとトロフィーゲットできないんだよおおおお!

りーさんはどうせ戦えない。

いくぞゾンビ!集合した人数は十分か?

 

 




るーちゃん
めぐねえとおねえちゃんだいじょうぶかな……
まんがいちがあったらいやだから…ぶきをとってこなきゃ!ちかにはえいがでよくみるぶきがたくさんあった。あれをつかおう。


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芸術は爆発したらもったいない

あの時と同じように、今日は雨だった。

俄雨だったらどれほど良かっただろうか。彼らはどうやら雨が嫌いらしい。屋上の発電設備は部分的な故障を放置できず停止させてしまっている。このせいで室内は異常な暗さだった。外が薄暗いというのもあるけれど、室内はさながら夜のような雰囲気だった。

仕方がない。蓄電されている電気では最低限二階の冷蔵庫くらいしか動かせない。水の汲み上げポンプも動かないからシャワーも浴びることはできず、水道だって動かない。

昨日の昼や夜のちょっと奮発したご飯と違って朝は結構質素だった。それでも缶詰はそれなりの味を保証してくれたから少しの手間を加えただけでそれなりの味にはなった。

 

 

 

「朝なのに暗いね」

 

「まあ仕方がないわなあ…くっそー眠い」

 

生徒たちの声を背中に受けながら、そっと外を見る。もうそろそろ学校には彼らがやってくる。普段は校庭で止まっている彼らも今日に限っては動きが活発だった。

大丈夫だろうか……

 

気になったので私は廊下に出てみることにした。彼らの呻き声が階段の下から這い上がってくるように聞こえた。

「まさか…」

 

 

 

 

先生が血相を変えながら飛び込んできたのは、時計が10時を過ぎようとしているタイミングだった。ちょうど直樹さんが読み終えた本の内容をるーちゃんにざっくばらんと教えているところだった。(確か危ない表現が結構あった本だと思うんだけど…)

 

「彼らが押し寄せてきてるわ‼︎」

扉を蹴破るようにして飛び込んできた先生は、第一声にそう叫んだ。一瞬で部屋の雰囲気が変わった。妹のるーちゃんもどこから取ってきたのか防災用ヘルメットを被って金属バッドを保とうとしていた。

なんだか昔のデモ隊みたい。じゃなかった……早く私も準備しないと!

 

昨日のうちに武器などは用意されていた。ただ私は血を見るのが苦手だった。先生は無理しなくていいように刺又のようなものを作ってくれていた。これなら押し通すだけで十分だ。

 

「佐倉先生、彼らは今どこに…」

 

「一階の登校口バリケードを突破しているわ」

この様子だと二階での防衛になりそうね。やっぱり彼らは雨に弱いのか…いや、雨に弱いというより雨が嫌いだということが確定した。

でもそれがわかったところでどうしようもない。

 

二階に駆け下りてみれば、既にバリケードに彼らが群がりはじめていた。

雨に濡れた彼らは、皮膚が腐っているせいで誰が誰なのかの判別はもうできそうになかった。

不思議なことに肌が腐って変色しているというのに全然動きが鈍っていないのだ。不思議なものだ。

 

 

私が担当する場所は屋上へ向かう方の階段だった。かなりの数の彼らが既に登り終えていたのかバリケードをたくさんの手がたたいていた。

バリケードの隙間から刺股を押し込み、彼らを突き飛ばす。

先生に教えてもらったとおりに、強く突き出すときの一瞬だけ力を入れれば良いという教えを守ってみれば、かなり彼らは遠くへ飛んでいった。彼らは足腰も弱いせいでそのまま階段を転がり落ちていった。

「若狭さん!よければこれ使ってください」

 

一緒に来ていた直樹さんが私の腕に素早く雑誌を巻き付けた。なるほど、これなら簡易的なプロテクターにはなりそうね。

「ありがとう。ところでその筒は……」

 

「一昨日先生と一緒に作った爆弾です。二本しか持ってきていませんけれど…」

 

「どうしてそんなものを……」

色々と言いたいことはあったけれど、それでも今は虎の子だ。タイミングを見て使わないといけない。腐った彼らが放つ腐敗臭に思わず顔をしかめた。

 

「かなり匂いますね」

 

「それに血の匂いもあるし……」

先端に包丁をつけた即席槍でバリケードを叩いていた彼らの首を一突き。

それでも彼らが登ってくる数の方が多い。必死で押し返しているけれど直樹さんも祠堂さんも疲労が完成溜まっているようだった。

「あっ!」

 

急に足を掴まれた。とっさに視線を下にすれば、首から血を流した彼らが這いずりながら私の足に噛みつこうとしていた。

 

「やめ…なさい!」

 

足を振り解き顔を蹴り飛ばす。首が変な方向に曲がってそれは動かなくなった。

ハッとなった。今私は何をしたのか。足元に流れ出した血が両足を包んだ。

それでも思考を、後悔を彼らはさせてはくれなかった。バリケードに再び彼らが体当たりをしてきた。思わずそれを押し返す。腕が悲鳴を上げた。かなりの人数が押し寄せてきていらしい。このままでは持ちそうになかった。

左右から後輩2人が槍で突いているけれど対処できる量を超えていた。気づけば制服を着た彼らだけではなく、スーツや私服を着た大人の彼らも混ざり込んでいた。

 

 

「これ以上は無理よ!撤退するわ!」

 

反対側の階段も似たような状態だったのか、先に柚村さんが

撤退を伝令しに駆けてきた。

すぐにバリケードから離れる。

3人揃ってすぐに真ん中の階段に駆け出す。背後でバリケードが倒壊する音がした気がした。

 

真ん中の階段は、比較的彼らの数が少ないように見えた。

でもそれはそこに倒れている彼らの数が多いだけであって、数としては私たちよりもかなりいたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

私は長槍のような武器は扱いが下手だった。

使えても剣道で使っていた竹刀程度なもので、それと同じ大きさの武器なるものといえば金属バットや真刀などだけれどそんなもの簡単に手に入るはずなかった。そもそも日本刀は何人も斬り倒すには向かないし力加減を間違えたり入刀角度を間違えたらそれだけで折れ曲がってしまう。

 

結果私の武器はバールのようなものと多少使える程度の技術くらいしかなかった。恵飛須沢さんのシャベルが相手の頭を弾き飛ばすその横で、私は頭を叩き割る。

なんだかんだ人間の時より体の耐久が低いのか蹴り上げただけでも彼らはその場で動かなくなってしまう。

おそらく骨の関節も脆くなっているのだろう。特に脊髄に頭への攻撃はそのまま脊髄へダメージが入っているらしい。すぐに動かなくなってしまう。

 

「先生!東側階段はもうダメだ!」

柚村さんがバリケード越しに叫んだ。

想像以上に彼らの進撃が早い。数が多いからなのだろう。

「わかったわ!すぐ反対側にも伝えて!上に退避するわ!」

ならばここを死守しないといけない。彼らの死体を下に転がしているせいか踊り場は死体の山が出来上がってきていた。それを乗り越えて彼らが下から溢れてくる。

「撤退戦か!見ている分には胸が躍るんだけどな!」

 

少ししてみんなが階段に集まってきた。すぐに上の階に行くように指示をし、恵飛須沢さんと一緒に殿を務める。

 

トドメに手製の爆弾を1発下の踊り場に放り投げた。

着火してから爆発までそんなに時間は掛からなかった。威力がどの程度出るかはわからなかったけれど、登ってこようとしていた彼らの中で爆発したそれは、踊り場を吹き飛ばした。

残っていた窓ガラスが爆風で吹き飛び、彼らで見えなかった床が少し煤けた状態で見えるようになった。

 

「すっごい威力……」

 

「さすがね」

 

 

三階に上がったとき、ふと雨の音に混じって違う音がしているのに気がついた。

 

割れた窓を開け放ち、体が濡れるのを躊躇わずに空を見上げる。

雨雲が低く垂れ込み、空の視界が悪い。だけれどその音は確かに大きくなって私の耳に届いた。

 

「ヘリコプター⁈」

 

「もしかして助けが来たの?」

だとしたらそれほど良いか。

 

やがて雲を突き抜けて一機のヘリが姿を現した。緑色と茶色の迷彩色を見に纏ったそれは、世界各国で未だに使用され続けるヘリの205型だった。側面に自衛隊や日の丸は描かれていないものの、その代わり側面に赤十字のマークがついていた。あきらかに救助ヘリだった。

「呼んでくる!」

 

恵飛須沢さんが屋上へ駆け出した。それを追いかけて直樹さんも駆けていく。少しの合間それは学校の周囲を旋回していた。

だけれど様子がどうも変だ。風に煽られているにしては動きが大きすぎる。どこか胸の奥に不安が宿ってきた。

そしてその不安が的中した。

 

「あ!」

由紀さんが大きく揺れたヘリを見て声を上げた。

 

バランスが崩れたヘリはまっすぐこちらに向かってきていた。

それでも最後まで立て直そうとしたのか、一旦は大きく機首上げ。

だけれどテイルローターが3階窓に接触し、大きく損傷したのか、屋上で大きな音がした。

 

少し遅れて大きな落下音と爆発。爆風で教室側の窓ガラスが軒並み吹き飛んだ。

少しして屋上から2人が降りてきた。

「2人とも大丈夫だったの?」

 

「ああ…でもあのヘリ発電装置に突っ込んでそのまま落ちていった」

 

「屋上で火災が起こってます。多分バッテリーか何かが破損して漏電しているんだと思います」

だからやたらと焦げ臭くなってきていたのね。まずいわ。さっきのヘリも下で火災を起こしている。上と下両方からなんて…火が回ってこなかったとしても一酸化炭素中毒で最悪死にかねないわ。

「パイロット大丈夫かしら……」

 

「今はそんなことよりも火災をどうにかしないと……」

獅堂さんがそう言って近くの消化器を撮りに行こうとするけれど事態はもう消火器で同行できる状態ではない。おそらく落下したのは駐車場……だとすれば放置されている車両に引火して大変なことになっているはずだ。

それを裏付けるかのように連続した爆発音が響いている。

「下の燃料火災はどうしようもないわ。ともかくここも時期に煙が登ってきて危険よ。どこか避難しないと…」

 

 

「先生、地下室なら……」

そう言い出したのは事情を知っている直樹さんだった。確かに…存在を忘れていたけれどあそこなら火災くらい防いでくれるはずだ。

「……そうね。あそこのシャッターなら確かに煙の遮断もできるし防火用に特殊なものを使っているはず」

私たちの会話にみんながついていけなくなった。

「地下?地下ってあの倉庫しかないんじゃ……」

 

「一般には公開されていませんがその奥にシャッターで区切られた避難シェルターがあるんです!」

直樹さんが皆に聞こえるように叫んだ。

「知っていたの?」

 

「私も知ったのは災害が発生した後よ。緊急マニュアルに書いてあったの」

皮肉だ。結局そこへ向かうことになるなんてね。

「じゃあそこならもしかして‼︎」

 

「迷っている暇はないな!それじゃあ行くぞ!」

 

そう言って恵飛須沢さんを先頭にみんなが一斉に移動し始めた。ただ一階も二階も彼らが溢れている。そこを通るのは並大抵のものではないはずだ。

 

 

ふと建物全体がわずかに揺れた気がした。

 

「先生危ない‼︎」

 

お腹に鈍い衝撃が走り、辺りは轟音に包まれた。

 

 

 

 

夢のようなものを見ていた。

その夢の中で私は皆を逃す途中に彼らに噛み付かれ、最後まで守り通すことができなかった。それも一回ではない。何百回もそう言ったことを経験したようなそんな気分だった。

まるで映画館のスクリーンの前でミシン縫いが行われているような感じだ。

 

 

 

かなり長い合間気を失っていたような気がした。だけれど気を失っていたのは数秒だけだったらしい。体を起こせば、目の前には瓦礫が高く積もっていた。

瓦礫に近づくと、奥からみんなが呼ぶ声が聞こえた。

私のお腹のところには若狭さんが抱きついてきていた。

「めぐねえ‼︎りーさんッ‼︎」

「おーい!大丈夫か!返事しろ!」

「せんせー‼︎若狭先輩!」

若狭さんは……気絶しているだけのようだ。よかった。

「こっちは大丈夫よ!」

轟音が少しだけ響いている。それに負けないよう声を大きくする。

「良かった!そっちはどうなってる?」

どうなっているのか……ここはどうやら屋上へ向かう階段と中央階段の合間だった。下に降りる階段は無事のようだ。

「……下に降りる階段は無事みたい。だからすぐに合流するわ。そっちは先に地下に逃げて!」

気絶していた若狭さんの意識が戻ったようだ。まだフラフラしているけれど自力で起き上がれた。

「だけど……」

躊躇している暇なんてないわ。こっちも動かないと……

「早く!るーちゃんを頼んだわよくるみ!」

 

「……わかった!」

足音が遠くなっていく。どうやら行ったらしい。

 

「大丈夫ですよね……」

由紀さんに幾つかの爆弾を持たせているからそれを使えば彼らが押し寄せていてもある程度道を切り開くことが可能だろう。

「大丈夫よ。まずはこっちね」

 

ともかく下へ向かおうと階段の方を向けば、角から彼らが顔を出したのが見えた。

どうやらさっきの崩落でバリケードもやられたらしい。次から次へと廊下に溢れ出てきた。

 

「先生…」

怯えているのは声だけでもわかる。

 

「大丈夫、なんとかするわ」

 

手元に残されたのは包丁が二本。後は爆弾がいくつか…いいわ。やってやる……

「教え子には指一本触れさせないわ」

 

 

駆け出した。そこからはもうガムシャラだった。

目の前に出てきた彼らの頭を掴んで力任せに捻った。

すぐそばにいた背の低い彼らには膝蹴り。続いてフリーになった腕で思いっきり殴りつけ、倒れたところを頭を踏み潰す。

真横から襲いかかってきた。腰に入れておいた包丁を口に突き刺す。

それでも数が多くて捌き切れない。

 

 

 

「先生!離れてください!」

 

叫んだのは若狭さんだった。振り返れば彼女は私の鞄から爆弾を取り出して着火していた。

後退するのと同時に爆弾が宙を舞った。ダメだ。この爆弾の威力では廊下は危ない。すぐに若狭さんを抱えて教室に飛び込んだと

同時に爆風が廊下を駆け抜け、瓦礫に反射して私たちに襲いかかった。

 

鼓膜が爆発音でやられたのか甲高い音だけで埋め尽くされている。

 

顔をあげれば、周囲は煙と埃で視界がほぼ遮られてしまっていた。

そっと廊下を確認すれば、そこにいた彼らの多くは吹き飛んでしまったのか、肉片ばかりが飛び散っていた。

「……大丈夫そうね」

 

混乱している若狭さんを起こして、すぐに駆け出す。だけれど階段を伝ってだんだんと黒い煙が登ってきていた。

二階はすでに視界がほぼない状態だ。

そういえばこの真下がちょうどヘリの墜落現場だったわけだ。

だけれどここしか道はない。

「いくしかないわね……」

 

「先生、絶対…生きてみんなで帰れますよね?」

 

「そうね……絶対みんなで帰るわよ」

 

私達は煙の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

由紀と美紀のやつがめぐねえと一緒に作ったって言う爆弾を彼らの中に放り込んだ。

すぐシャッターを閉める。一拍間を置いて、轟音と衝撃がシャッターを大きく揺さぶった。

そっとシャッターを少しだけ開けて外を見れば、シャッターにいた彼らは跡形もなく吹き飛び、衝撃で周囲の彼らも吹き飛んでしまっていた。

これでしばらくは大丈夫……多分だけれど。

 

「めぐねえとりーさん大丈夫かな……」

 

「わからない……でも2人なら大丈夫だと思いますよ」

 

「そうだな…ああ見えて先生強いし。若狭も機転が効くからな」

 

そういえばるーちゃんの姿が見えないな…どうしたんだ?まさか奥に行っちゃったとかじゃないだろうな。

愛用のシャベルをつかんで奥へゆっくりと進んでいくと、奥からパタパタと軽い足音が聞こえた。やっぱり奥にいたのか。何していたんだ?

 

「おいおいそれって…」

奥から現れたるーのやつは、その手に黒光りする金属の物を抱えていた。

それは俗に言う拳銃と呼ばれるものだった。

それを私に差し出してきた。

「使えって?」

 

うなずかれた。とは言っても私は銃の使い方はわかるけれど実際に使ったことなんてないぞ?どうするんだこれ……まあいいや。取り敢えずもっておこう。

 

一瞬背中がゾワっとした。るーのやつがこれをめぐねえに持っていけと言っているようだった。気のせいだとおもいたけれど、めぐねえが心配なのはみんな同じだ。だけれど大勢で行っては意味がない。

暗闇でみんなは私は動こうとしていることに気づいていない。

「どうしたんですかくるみ先輩まさか外に出るつもりですか?」

訂正、洞察力が鋭い美紀のやつが気づいた。鋭すぎるだろ。

「私……先生迎えに行ってくる」

 

「正気ですか⁈なら私も……」

 

「いや!二次遭難になるとまずい。私だけで十分だ」

 

「でも……」

 

「大丈夫だって。それにちょっとみて戻ってくるだけさ」

そう言ってシャッターを開けて私は外に出た。



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エンディング

終盤が近いRTAはーじまーるよー‼︎

 

うあああ無茶苦茶だああ。

 

挨拶しょっぱなで何を喚いているのと疑問の貴方。

現状のステータスをお見せしましょう。

 

体力ゲージはまだ半分残っていますのでこれは良い。

スタミナゲージがないに等しいのは仕方がないです。さっきまでゾンビとバトルしてましたから。

見て欲しいのは状態異常です。

軽度の火傷、軽度の一酸化炭素中毒、幻覚、幻聴

 

なんてこったい。どうしてこうなったんでしょうねえ。

 

えっと……りーさんと一緒に落下物を回避したところまでは良いとして他には、火災地帯強制通過芸?正気度が20%切っているところ?

あ、この二つですね。

火傷だけだったらまだコントロールが効いたのですが幻聴と幻覚はダメでした。

周囲の景色がよくわからない状態になっています。

どうやら時々ラクーンシティが出てきます。くっ!しずまれえ!

 

 

天井落下のせいで超危険なルートしか取れず、黒煙が噴き出る階段から下に向ったまでは良いのですが一階への階段はすでに火に包まれ二階部分も一部で火災が発生していました。

前に進むことしかできないので溢れ出るゾンビどもを蹴散らしながら燃え始めている廊下を通過した時に軽度の火傷を追いました。まあ火傷箇所は腕なので今のところ問題はありません。

 

 

あ、ゾンビ!煙のせいで接近に気付けませんでした。ええいこのやろう‼︎

あああ包丁が折れた!

もうこれしか武器がないのに!

 

もう他に武器なんてないですよ!逃げるしかないね!あ、そうだったお前邪魔だよ。

回し蹴り。スタミナがあまりないのに体術しか使えないって何この罰ゲーム。

邪魔邪魔!どきなさい!また火災かよ!消化器でも有れば応急的な処置で通れますが時間がかかるのでここも強制通過です。幸いにも一階には何箇所か動く水道がありますのでそれで体を濡らして突撃すればダメージを最小限にできます。

しっかし火災の広がりが早いですね。これ大丈夫か?

あ、また幻覚。ゾンビがどこにいるかわからなくなっちまうじゃねえかおい‼︎

確かさっきの位置と合わせて…ブラインドアタック!

 

はいあたり。画面上では壁に向かって殴っているだけのようですが実際には炎を纏ったゾンビをぶん殴って吹っ飛ばしています。

 

ともかく炎の通路を突っ切ります。

あ、めぐねえカーも燃えちゃっていますね。まあ仕方がないか。

玄関が一番火災に巻き込まれるリスク高いですからね仕方がないね。

 

 

「きゃあああ⁈」

 

ウッソだろお前えええ‼︎なんでここで襲われるんですか!しかも複数で!

 

あーもう!こっちもかよ!

ええいこのやろう食われてたまるか!

背負い投げじゃい‼︎

 

 

ああもう噛まれるのだけは待って!

引き剥がしコマンドと……はいこれで一旦は大丈夫ですね。でも完全に危機がさったわけではないです。

 

うーんまいったなあ……

 

 

 

ええい!これが最善策‼︎

りーさんを突き飛ばし階段近くまで飛ばします。

危険物が消えたのでさっさとこいつら片付けましょう。回し蹴り!暗殺術…はちょっとタイミングがアレなので折れた包丁を首に刺して突き飛ばします。

あ、やべスタミナ尽きた!後2体なのにいいい!もう体力も残ってねえ!

「めぐねえ‼︎」

 

あ!ゴリラっ‼︎ってお前もゾンビに襲われているやないかい!なんでや!

あれじゃ間に合いませんね。襲われずに走ってこれていたら多分間に合ったのですけれど。

あーもうこれリセット案件じゃないですか。くっそー……

「これ受け取れっ‼︎」

 

お、何か投げてきましたね。ってこれは… 『SIG SAUER P220』確か自衛隊でもライセンス生産品を使用しているものですね。

なるほどこいつは使える!すぐにメニュー画面から装備を選択、これで……よし‼︎

 

死に晒せええ‼︎

 

パンパン!

 

ふうスッとしたぜ。

 

あれ?弾2発しか入っていないんですか?なんじゃこりゃ。まあいいや助かりました。

他のゾンビが来ないうちにさっさと避難です。

とりあえず今のうちに早く行きましょう。2人の手を取って走ります。スタミナ?あとちょっとなので大丈夫です。

ほら大丈夫でした。多少インチキじみたタックル加速しましたけれどこれはゲームの仕様だから問題無い。

シャッター周辺もゾンビはいないようですね。って棚が倒れているしこれは…爆弾でまとめて吹っ飛ばしたんですね。流石です。

 

スライディング突入!

はいこれであとは会話だけです。

サクサクいきましょう。

サクサク会話。ボタンぽちぽち……

 

「火災、収まったみたいだね……」

はい由紀ちゃんのこのセリフが出たらイベント終了です!一時はどうなることかと思いましたよ。

 

 

ではイベント終了後早速ですが、サクサクっとエンティングまでいきましょう。

地下シェルターの奥へはるーちゃんが何かしたらしくいけるようになっています。今ままで行けなかった新エリアは武器庫、資料室と後シャワールームなどがちらほら。

では早速寝室にいきましょう。車のキーを持った首吊り死体があります。昔に釣ったせいか酷い腐敗臭です。長居すると体力が減っていきますので探索するならお早目に。

車のキーを男の死体から回収すると確定で血塗れの写真を手に入れます。この男性と女子高生の写真のようです。顔の部分が血で汚れて誰かは分かりかせんけれど。誰なんでしょうねえ(棒

 

ではこのキーを持ってみんなのところに戻ればエンディングです。エンディングはスキップ不可能なので黙ってみましょう。

走者イライラタイム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明かりがないというのは方向感覚を完全に奪ってしまう。その上濃い煙だ。呼吸が困難になってしまう。

下に降り始めてすぐ私は後悔した。なんとか二階まで降りることができたけれど、すでに一階へ向かう階段は炎に包まれていた。

こっち側から降りることはもうできなかった。だけれど彼らは集まってきている。廊下のいる彼らを倒すのに、手元の武器は全て使ってしまった。

 

「ゲホゲホっ‼︎」

 

「若狭さん!」

 

「ごめんなさい深く吸い込んでしまったわ」

私だけならともかくこの環境は彼女には辛すぎる。視界が眩んできた。そろそろ一酸化炭素中毒の症状が出始めたらしい。

廊下の彼らを追い払い、転がるように中央階段を降りた。

玄関に近いそこは、入り口で車が燃え上がっていて、廊下もすでに火が回ってきてしまっていた。

 

「どうするんですか先生!これじゃあ……」

 

「突破するしかないわ」

 

水道に手をかける。すでに火が回っていているせいで金属の蛇口は熱くなってしまっていた。掌に火傷特有の痛みが広がる。

だけれど最後の賭けに出る。

必死に回していくと、水道が動いている音がした。

組み上げポンプは動かなくても、水道局側のポンプが動いていれば一階までは水道が通っている。

予想通りだった。水道水が噴き出た。

近くに転がっていたバケツに水を入れ、彼女に思いっきりかけた。

 

「先生?何を……」

 

「火を突っ切るわ!」

 

私も頭から水をかけて服を濡らす。これでどれくらい稼げるかどうかはわからないけれど少なくとも服に引火するというのは防げる。

時間をかけている暇はなかった。まだ迷っている若狭さんをつれて炎の中に突っ込んだ。

 

炎が体を撫で回す。だけれど水で濡れているおかげでなんとか火傷することはなかった。

 

炎を纏った彼らが苦しそうに、まるで私たちに助けを求めているかのように両手を突き出して飛びかかってきた。咄嗟に足で頭を蹴り上げた。

再び彼らは炎の中に消えていった。

まるで地獄の炎が逃さぬようにと引きずって行ったのかのようだった。

一瞬、それがラクーンシティと重なった気がした。

不思議と体の周囲が熱く無くなった。気づけばそこはラクーンシティだった。

目の前で人々は食い殺されていた。

いやこれは夢だ。夢なんだ。幻覚だと必死で頭を振った。再び周囲は炎に包まれていた。

 

ふと炎の中に蠢く人影があった。それはゆっくりとこちらに歩いてきていた。結構小さい影だった。だけれどそれを見ていたら再び辺りはラクーンの街になってしまっていた。

道で食い殺されているのは、由紀さんだった。咄嗟にそれを助けようとして、私は腕を伸ばした。その腕が何かに当たった。その瞬間、それは燃えている小柄な女子高生になった。

 

突き飛ばしてしまっていた。

 

またやってしまった……

 

呆然としていると、不意に叫び声がした。

 

「っ!離して!」

若狭さんが彼らに組みつかれた。

慌ててそれを追い払おうとして、先に彼女が持っていた槍で喉を突いた。けれどもその拍子に槍を手放してしまった。

 

 

 

炎の壁なんてものはあまりなく、火災地帯を通過すると段々と炎が弱まっていくように感じた。

炎の中は酸素が極端に少ない。おそらくその影響であんな幻覚をみたのだろう。

 

「っ‼︎先生!」

 

「……え?」

 

気づけば大量の彼らが、私と若狭さんを取り囲んでいた。

最悪だった。腕を彼らに掴まれた。それを振り解いて背負い投げる。床に倒れたそれを踏みつけて動きを制する。

若狭さんに取り憑こうとしていたそいつを思わず突き飛ばした。

僅かに彼らとの距離が空いた。

 

だけれどどうしようもない。仕方がなかった。ここは……彼女だけでも助けないと。若狭さんの体を掴んで、思いっきり階段の方へ突き飛ばした。これで彼女は大丈夫だ。

目の前に迫っていた彼らを蹴り上げた。頭蓋骨が割れる音がして、それは倒れた。

それを見届けて飛びつこうとしていた男子生徒の亡骸を殴り飛ばした。

そうやって……でも確実に、私は追い込まれていった。まだ諦めるわけにはいかない。そうだ、まだ終わるわけにはいかない。

間合いを詰められて彼らに喰われそうになったとしても……

 

「めぐねえええッ!」

その叫び声は、私に響いた。

恵飛須沢さんがそばまで来ていた。だけれどそんな彼女も窓から飛び込んできた彼らによって組み伏せられてしまった。

それを蹴り飛ばそうとして若狭さんが彼らを蹴り飛ばしたものの、私の側にはもう1人別の彼らが迫ってきていた。

 

 

「受け取れっ‼︎」

 

恵飛須沢さんが何かを投げつけた。それを咄嗟に受け取った。

拳銃だった。海外で撃たせてもらったそれよりも幾分か小柄だった。

咄嗟に安全装置を解除して、押さえつけていた彼らの頭に押し当てた。

この距離ならまず外さない。

引き金を引いた。弾が入っているかどうか確認している暇はなかった。だけれど弾はしっかりと飛び出して、彼らの球を吹き飛ばした。

続いて横にいた彼らに銃口を向ける。

発砲。乾いた音とともに人間が倒れる音がした。

 

 

 

 

 

「はあ……はあ……」

 

「めぐねえ大丈夫か⁈」

りーさんのやつもめぐねえも煤で汚れていた。彼らを撃ち殺しためぐねえは、ふらふらとその場にへたり込んだ。

「大丈夫よ……」

確かに体は大丈夫そうだった。だけれどめぐねえはもう限界そうだった。顔も真っ青な上に体も震えている。

「大丈夫じゃねえって……肩かせ。連れて行くから」

 

「私も手伝うわ」

 

地下までの道に彼らの姿はなくて、なんとか2人でめぐ姉を連れてくることに成功した。

先にりーさんがシャッターを開けて中に入る。

それに続いて私もめぐねえを連れて中に入った。

 

 

「めぐねえ!」

フラフラだっためぐねえに由紀のやつが飛びついた。おかげで2人そろって尻餅をついてしまう。

「由紀さん……」

 

「めぐねえ!もういいんだよ!もう大丈夫だから……」

 

「ありがとう」

 

 

少ししてめぐねえは、起き上がった。さっき投げ渡した拳銃をどこで手に入れたのかを聞いてきた。私は正直にるーのやつがおくからとってきた事を伝えると、めぐねえはさっきまでのフラフラとは無縁みたいな足取りで奥へ歩いていった。私もちょっと気になってそれに続いた。

 

「なあめぐねえ…ここって……」

 

「そうよ。このマニュアルにある通りよ」

見せてくれたのは緊急時のマニュアルだった。それには今回のような事態が発生した時の対処が乗っていた。もちろんこのシェルターのことも。だけれどその収容人数はたった15人。それはこの学校の生徒全員を見捨てるに等しい数字だった。

 

「……そんな」

 

それを読みながら奥に進むと、そこは武器このような部屋だった。壁や収納庫に大量の武器がしまってあった。

 

「これもしかしてスコーピオンじゃないか?こっちはM1912…すげえ実物があるなんて」

しかもこっちには弾薬がこんなに……

「完全にこう言った事態に備えていたみたいね」

 

「しかしまあこれに助けられるなんてなあ…ある意味皮肉みたいなもんだな」

 

「そうね……」

 

めぐねえが隣の部屋を覗き込んだ。そこには、何かがぶら下がっているようだった。

 

「きちゃダメよ」

 

一歩言うのが遅いってばめぐねえ。見えちまったじゃねえか。

男の首吊り死体。薄暗くて顔は見えなかったけれど、腐敗臭がきつい。多分あの日にすぐ自殺してしまったものなのだろう。

 

「最悪……だな」

 

「そうね……」

 

戻ってきたメグねえは手に何かを持っていた。だけれどそれを聞く前にみんなのところに戻ろうと言われてしまった。結局めぐねえがその男から何を見つけたのかは私はついに知ることはなかった。

 

 

 

地下にいたのは2日くらいだったと思う。外を確認するためにシャッターを開ければ、外はすっかり鎮火していた。だけれど一階から二階は完全に燃えてしまって一回に関しては墜落現場が完全に骨組みだけになっていた。

それでも建物自体はまだ堪えていた。

 

「一階がこれじゃあもう学校はむりだな」

 

「そうね……どこか他の場所に移動しないと」

 

「卒業って事?」

聞き慣れない言葉に思わず耳を傾けた。だけれど聞いてみて結局損した。結局発想のそれは半分くらい子供みたいなものだった。

由紀のやつ…まあ確かに卒業みたいなもんだな。半年以上早いかもしれないけれどさ。

さてそうと決まったら荷物をまとめないといけないな。愛用のシャベルは、めぐねえが補強をしてくれたからかその頑丈さに磨きがかかっていた。

 

 

 

あの日も私は先生に助けられた。結局私は足手纏いにしかならなかった。

先生は確かに強かった。だけれどどこかそれに甘えてしまう私がいて、あの時突き飛ばされた先生を私は助けようと動くことができなかった。もしあれが私だったら…るーちゃんを突き飛ばしてまで守ることはできるだろうか?

 

後になって私は先生に聞いた。どうしてそんなに強くなれたのかを。

 

「そうね…難しいけれど私のこれは強さとは違うわ」

先生は相変わらずそう否定した。だけれどそれは確かに強さだった。誰かを命を挺してまで守ろうとするその勇気は明らかに強さだった。

脆い脆いと言われているけれど……それでも今の私にはその強さが欲しい。

だから私は先生に頼んだ。わたしにも誰かを守れるくらいの勇気をくださいって。

 

先生は最初は迷っていたけれど分かったと言ってくれた。私も強くなる……だから先生、これからもよろしくね。

 

 

 

 

 

 

人は幾度となく間違いを犯してきた。

私もその例に漏れず幾つもの間違いを犯した。

私の教え子は、形はどうであれひとであったものを殺してしまったし、多くの人の死を見させてしまった。

 

仕方がなかった。みんなはそういうけれど、その罪を、その十字架を私は一生背負い続ける。

でも悪い気はしない。むしろ今までの自分からはもしかしたら変われるんじゃないかって感じがした。

 

首吊り死体から見つけたキーの車は、幸いあの火災を生き残って無傷で止まっていた。ワンボックスと呼ばれるこの車なら全員が乗ってもスペースはありそうだった。

「みんな、これでここを出るわ。行き先は……」

 

行き先はそうだ……もう決まっているんだった。柚村さんが墜落したヘリから半焼けになった地図をくれた。そこに書かれていた印と、マニュアルにあったいくつかの地図から行き先は絞った。

 

悪夢はまだ終わらない。だけれど、私は最後の一瞬まで、彼女たちを守る義務がある。一度背負った十字架は、捨てることは許されないのだ。

 

 

 

「わかっているさ」

 

 

「ええ、いきましょう」

 

「レッツゴー‼︎だよ!」

 

私はまだまだ壊れるわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




るーちゃん
じかいかんけつらしいよ


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おまけ編

はい!タイマーストップ!

 

タイムは4時間33分22秒!うーん……予定ではもっと短くなるはずでしたがまあ誤差です(白目)みんな、他の動画と比較しちゃダメだぞ!お姉さんとのお約束だからね

 

まずは完走した感想です。

 

もう二度とRTAなんてやりたくないです。

このゲームRTA殺しでもやっているんですかねってレベルで鬼畜なんですよ。普通にプレイする分にはなんら問題もないのに。

もうこれはのんびりトロフィーコンプリートののんびり旅でもやりたいですね。

まあつよつよめぐねえのおかげで結構サクサクプレイできました。これはメシウマ。

 

本作ゲーム版がっこうぐらし!のバイオ版はノーマル版と比べて本来はアクションや戦闘面が強くなっています。だからなのか動きや立ち回りはバイオハザードを参考にしたりと意外と他のゲームからタイム短縮のヒントをもらったりしました。

 

それにいくつもの無数に分かれた分岐点のせいでチャートが機能しているのか不安でいっぱいでした。いまだにWikiが更新され続けるわアップデートで進化し続けるわ恐ろしいゲームですわ。

 

 

普段RTAなんてやらない私が本作を走ろうと思ったのはまあ試してみたくなったからですね。

もはや好奇心の塊みたいなものです。とある方の本作RTA動画を見て普段のプレイ以外のやつもやってみたいという欲望に駆られ次第です。

 

ついでだからとバイオ版のDLCの宣伝も兼ねてみました。そうそう、この放送の最中再配布されたらしいですねこのバイオDLC。いやあこういうのも私はあっていいと思いますよ。楽しいですし。

長くなってしまいましたが、ここで示させていただきたいと思います。

長時間のご視聴ありがとうございました。

 

 

おっといけない、エンディングの最後にも映像があったのでした。

 

 

 

 

 

 

数年後

 

 

私の耳元で、電話の相手は嬉しそうに声を弾ませていたばかり

「そう、教員免許取れたのね。おめでとう」

 

世界があんなことになってから、しばらくしてそれは一気に沈静化した。ただ失った人口は大きく、再建までにはまだまだ時間がかかる。

 

「それで、採用はどうだったの」

 

「バッチリだよ!今度からめぐねえと同じで教師になるんだ」

 

「私はもう教師じゃないわよ」

 

「めぐねえはいつまでも教師だよ。ところでめぐねえ、くるみちゃんも医師免許もう直ぐ取れるみたいだけど……そっちに行くって言ってるよ」

 

「本当?それは嬉しいわ」

そっか、恵飛須沢さんももうそんな時期だったか。ならちょっとだけ話をしてみよう。

「でも国連の保険調査員って医師免許必要だったっけ?」

 

「義務ではないけれど推奨はしているわよ」

 

「そうだったんだ‼︎あ、そろそろ電話を切るね」

電話の向こうがバタバタし始めた。多分生徒だろう。

「またね由紀さん」

 

電話が終わったのを待っていたかのように、今度は別の番号から着信が入った。それは私の直属の上司からのものだった。

「もしもし?」

 

「ああ、わたしだ。君に頼みたいことがあるんだ」

私私詐欺だろうかと言おうとしたけれど多分通じないだろうからやめた。

「調査ですか?わかりました……それで場所は?」

フィラデルフィア?

 

END

 

あ、これ国連調査員エンドだ。めぐねえプレイすると結構な確率で引くやつ。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

るーちゃん「しそうしてるときにおもしろかったからとっておいたやつみたいだよ」

 

タイラント戦

ルート分岐

2日目で軍基地へ向かい武器を調達。

ラクーンシティで友人を全員助けずに脱出

情報収集と実践データ収集のため投下されたT-103B試作タイラントとこの時点で遭遇。

 

 

 

 

地面が大きく揺れた。そいつは幾度となく戦いを仕掛けてきた巨人の化け物だった。

雨とヘリの火災で参っているというのにこちらの事情はお構いなしでやってきた。既にボロボロになったコートを着て、入り口で燃え上がっている車を放り投げ、道中の彼らをまとめて吹き飛ばしながらそれは入ってきた。

 

「あいつっ!飛んだストーカーじゃねえか!」

 

「めぐねえどうしよう!あんなのまで……」

 

手元にある武器は少ない。これでどうにかできるだろうか……いや、やるしかない。散々戦った相手だ。もうそろそろ引導を渡そう。あのラクーンの地獄から私は決別する。

 

「みんなは先に地下に避難して。私は…あれにとどめを刺す」

 

私の言葉に全員が息を呑んだ。確かにそうなるだろう。なにせ何度倒しても起き上がって襲ってくる相手なのだ。

 

 

 

「でもめぐねえ危険だよ!」

 

「いやもう危険とかそういうレベルじゃなくてやばいですってば先生」

 

「大丈夫よ。必ず帰るわ」

立ち上がってそこで話はおしまいと手を叩く。

いつまでもここにいるわけにはいかない。やるしかないわけだ。

 

 

その巨人の化け物、おそらくタイラントは待っていたかのように二階の廊下に立っていた。なるほど狙いはやはり私らしく、ずっと私を見つめていた。

向こうが歩き出した。なけなしのグレネード弾を投射。既に破れかけていたコートが、千切れて吹き飛んだ。

かなりの爆発があったけれど、それの肉体には傷はほとんど付けられていない。

それでも残った全弾を叩き込んだ。

一瞬それが片膝を着いた。既に体はボロボロ……コートは吹き飛んでしまっていた。

「やって……ないわね!」

 

急にそれの背中が大きく蠢いた。筋肉が痙攣しているとかそういうレベルではない。それは、体が骨格から変貌しているような…急速な進化とも言えた。

光と共に行われるポケモ◯の進化とは対照的にそれはひどく生々しくグロテスクだった。

 

起き上がったそれは、両腕の爪が大きく肥大化し、胸元が大きく割れていた。割れたところが大きく開き咆哮する。それは巨大な口のようなものだった。その口の中に巨大な目玉が見える。あれG生物なのかしら?まさか……

 

 

まっすぐこっちに突っ込んできた。歩くなんてものではない。走っていた。咄嗟に横の教室に飛び込んだ。タイラントが壁に突っ込んだのか大きな音がした。咄嗟に教室から頭を出す。下から登ってくる火災の炎が、タイラントの体を舐め回すように取り囲んでいた。

咄嗟に9ミリ拳銃をホルスターから引き出し構える。

そこでふと気づいた。背中側の腰には途中まで持っていたガトリングガンの弾薬庫がまだ残っていた。本体は途中で瓦礫に押しつぶされて壊れてしまっていたけれど、それ以降もずっと腰に弾薬庫はつけていたらしい。

 

足に向かって10発近くを叩き込む。これだけ銃弾を叩き込めば一瞬だけれど動きを封じることができた。

その隙に即席で作った爆弾を放り投げた。

先端の導火線は短く切ってある。それは放物線を描いて、タイラントの腰にあたり炎の中に消えた。

 

一瞬遅れての爆発、それとともに化け物の咆哮が響き渡った。弾薬庫も誘爆したらしく、爆竹が炸裂する音が聞こえた。

 

教室を伝って距離を取る。タイラントはまだ健在だった。それでもダメージは入っているようで、弾薬庫のあった腰あたりは焦げてボロボロになっていた。

 

それでも私を見つめ続ける。もはや暴君ではない復讐者のようだった。

 

 

再び奴が駆け出した。避けようとして、体に彼らが飛びかかってきた。意識をタイラントに集中させすぎていた。

振り解こうにも振り解けない‼︎

「しまっ‼︎」

 

もう直ぐそばまでタイラントが来ていた。したから突き上げるようにその巨大な爪を持つ腕が動いた。とっさに体を捻ってその爪に彼らを晒す。

案の定、彼らが先にそれに接触、首筋に噛みつこうとしていた彼らの体は縦に三つに分裂し掛けた状態で爪に引っかかった。

「きゃっ‼︎」

 

そのまま彼らの亡骸共々吹き飛ばされた。

床を何回か跳ねて、壁に叩きつけられた。肺から空気が全部抜けてしまって一時的に呼吸困難となってしまう。

 

「せ、せ、先……生ッ‼︎」

ふと幼い子供の声が聞こえた。後ろを振り返ってみると、そこにはるーちゃんが息を上げて立っていた。両手で重そうに包のような武器を持っていた。

 

それは対戦車ロケット……ソ連が開発したRPG-7だった。どこからそれをと言おうとしたけれど、それよりも先にタイラントが迫ってきていた。

もう後はない。

咄嗟にそれを受け取る。

「るーちゃん、私の左側でしゃがんで耳を塞いで口を開けていて。これ絶対よ」

うなずくるーちゃん。

こういう類の兵器は一度元警官に教えてもらったことがある。

安全装置を解除し、後方確認。

重たいそれの照準を、タイラントのお腹に向ける。

一瞬そいつが腹を開けた。巨大な目があらわになった。

 

「死になさい。化け物」

 

引き金は軽く、発射時の衝撃も酷くはなかった。

白煙が室内に撒き散らされ、一瞬立ってタイラントのお腹が大爆発を起こした。体が下半身を残し木っ端微塵に砕け散った。

 

「……終わった?」

 

まあそれはいい。この場でもう襲ってこないようなら今はそれでいい。すぐにるーちゃんを抱きかかえてみんなが待っているシェルターに駆け出した。

 

 

るーちゃん「あとはほんぺんとおなじだからかっとするね。つづいてもういっぽん」

 

 

 

 

 

 

 

ヘリコプター脱出

ルート分岐

 

2日目以降に軍基地へ向かう。

ラクーン篇で友人と脱出する。

感染してワクチンを使っている。

 

 

 

 

地下の施設に向かう通路は墜落したヘリのせいでもはやいくことはできそうになかった。こんなことなら全員分のワクチンくらい持ってきておくべきだった。後悔しても今更でしかないけれど。

 

二階までの防衛戦を突破されてしまって、三階の防衛線を行おうとした矢先の事だった。全員で作戦を立てるために一度近くの教室に集まっていた。

 

「どうしたら…ってこの場合屋上しか逃げ道はないか……」

 

「確かにあそこならまだ大丈夫なはずよ」

結局逃げ場なんてものはなくて、屋上を最終防衛線とすることになった。でもまずは3階の防衛だ。

 

「あれは……」

 

少しだけ気分が悪くなって、私は割れた窓から頭を出した。そのとき見えてしまった。

散々私たちを苦しめ続けたタイラントが、こちらに迫ってきているのに……

火災地帯なんてあれには確かに通用しないだろう。

 

「めぐねえ?っ‼︎あいつがきたのか‼︎」

 

私と恵飛須沢さんは、タイラントのせいで彼らに感染してしまったと言っても過言ではない。噛まれてすぐに地下から持ってきたワクチンを摂取できたから一命は取り止めているけれどそれでもいつまでもつかはわからない。少しづつだけれど自分の体が何かに浸食されているような感覚がある。

 

「く…まだ私たちを……」

 

最悪だった。玄関に集まっていた彼らを殴り飛ばし、それは正面玄関から入ってきた。

 

「やるしかねえか……」

恵飛須沢さんは覚悟を決めたらしい。ならば私もそれなりの覚悟はしなければならない。

「2人ともどうするつもりなの⁈」

 

「りーさん、ちょっと二階で戦ってくるわ」

 

「待って危険だよ‼︎」

 

「もう安全な場所なんてないのよ」

 

まだ彼らは二階に溢れ掛けているところで、ここでなら心おきなく戦える。

みんなを無理に押しとどめて2人で廊下の奥を見つめた。

彼らが蠢いている。その奥…中央階段のバリケードの残骸が吹き飛んだ。舞い上がった埃の中から、それが姿を現した。

 

「結局最後まで私達は相手するんだな」

 

「そうね……でも先生は貴女を信じているわよ」

 

「めぐねえやめてくれよ。フラグじゃないか」

フラグなんて折るものなのよ。

廊下を蠢く彼らを吹き飛ばしながら、タイラントが歩いてきた。相変わらず走れないようだったけれど、前回ガソリンスタンドごと吹き飛ばした時にコートは破壊され、異様に変形した体がいまだに蠢いていた。

 

「なんか…気持ち悪くないか?」

 

「そうでもないわよ」

地獄というのはもっと悲惨だから。

 

 

 

「はあああ‼︎」

シャベルを構えた恵飛須沢さんが飛び出して、タイラントに接近、だけれどタイラントもアホではない。右腕で突き出されたシャベルを弾いた。

 

 

そこに私がライフルの弾を浴びせる。残っていた15発全部だ。弱点となっていた頭に叩き込んだけれど…これでも全然頭は吹き飛ばない。

「やっぱり硬いわ」

 

シャベルが何度もぶつけられる音がしたけれど、それも何か硬いものを弾いているような音でもはや効いている様子はない。

「下がって‼︎」

 

腰にくくりつけておいたグレネード弾をライフル銃の下に取り付けられた装置に押し込む。

咄嗟に恵飛須沢さんが飛び退いた。近くの彼らの頭を蹴り上げて大きく跳躍。感染してからというもの体のリミッターが外れたのか時々体操選手並みの動きを披露している。

それに合わせてグレネードを投射した。爆発でそれの腕の付け根がついに吹き飛んだ。それはさっきまで執拗に恵飛須沢さんが攻撃していた方の腕だった。

 

「腕が吹き飛んだけど……」

 

「いえ……あれは!」

 

引きちぎれた腕を回復しようと、断面がまるで沸騰する水のように膨らみ始めた。それ一つ一つが細胞なのだろう。やがてそれに触手のようなものが絡み始め、腕が再構築されていく。

咄嗟に空っぽのライフルを捨て、9ミリ拳銃を引っ張り出す。

 

何度も弾丸を叩きつける。回復途中の攻撃が効いたのか、回復が中途半端な状態で止まった。

腕の代わりとして伸びた触手のようなもの。その先端は鋭く尖っていた。その上から細胞組織が被さろうとしていたのだろうがそれは大きく肩まで後退してしまっている。

その上、足りない分を別のところから持ってこようとしたのか心臓が少しだけ胸部から露出していた。

 

「心臓を剥き出しにするって…やってくださいって言っているようなものだろ!」

一気に勝敗を決めたかったのか恵飛須沢さんが駆け出した。壁を三点蹴りし、空中から一気にシャベルを心臓に向かって突き出した。

だけれどそのシャベルは心臓を貫く前に、触手で構成された腕によって掴まれた。

 

「まっず‼︎」

一瞬だけ遅れて彼女はこちらに放り投げられた。

「恵飛須沢さんッ‼︎」

吹き飛ばされた彼女は、階段の壁に叩きつけられた。

恐ろしい威力だ。腕が触手だけで構成されているとはいえ…力は比べ物にならない。

どうしようもない。ここは引くしかなかった。

体を強打した彼女を連れてすぐに三階に避難をする。全員にすぐ屋上まで避難するように叫び、下から上がってこようとしていたその暴君に手製の爆弾を放り投げた。それはちょうど足元で爆発し、一時的にだけれど動きを止めた。

追い討ちをかけるために包丁を持ち、階段の手すりを伝って下の階に飛び降りる。

うまく心臓を突き刺したかったけれど、そううまくはいかない、爆煙の中でもタイラントは移動していたらしく、私の包丁はそれの首筋に深く突き刺さった。

頭というのはこう言った生命体には心臓より必要性が薄いらしく、なかなか怯んでくれない。

だから刺さった包丁に力をいれ、それの頭を切り飛ばした。

流石に視覚や聴覚、それらを統制する頭脳が吹き飛ばされればそいつもうかつに攻撃はできないだろう。

 

すぐにその場を離れる。後ろの方で何か気色の悪い音がした。

 

 

三階に戻ると、全員が屋上に向かっている途中だった。私の姿を見て安心しているようだ。

 

すぐに私も彼女たちに合流しようと走り出す。

 

 

突然廊下が吹き飛んだ。目の前に巨大な穴ができる。その穴から這い出してきたそれは、四足歩行化の白っぽい体をした化け物だった。

「な、なんだそれ‼︎」

 

「柚村さん!今はそんなことより上に逃げるんです!」

階段で直樹さんと柚村さんが言い争っていた。

「でもめぐねえがっ‼︎」

 

「私はいいから早く上に行って‼︎」

多分これはタイラントだろう。どういう理屈か四足歩行になり、頭があったであろうところには無数の牙の生えた丸い口が開きっぱなしでこちらを見ていた。その口の両側に目のような丸くて粘膜に覆われた何かが露出していた。

 

気色悪い。それが第一印象だった。その上こちらはさっきよりも気分が悪くなってきていた。

残っていた銃弾を効果がありそうな目に向けて放つ。倒せなくても視覚を奪う。でも弾丸が当たっているにもかかわらず、そいつは嫌がったりしない。どうやら目は弱点ではないようだ。

それが駆け出した。まるで獣だった。

鋭い爪を壁に食い込ませ、天井を走ってきた。とっさに前に転がってそれが覆いかぶさってくるのを回避する。

振り返りながら規則性のない牙をはやした口へ向かって弾丸をお見舞いする。

今度は一瞬だけ首を振って嫌がった。なるほどそこだけは外皮のように硬くはないのね。

 

 

後ろを振り返ると、もうすでに全員屋上へ避難していたようだ。

ならば私も避難をしないと…そっと後退しながら、牽制射撃を繰り返す。ただ向こうも学習しているらしい。口を閉じてしまった。

 

爆弾でも食べさせられたらよかったのだけれど…仕方がないと階段を登っていく。そいつもくっついて登ってきた。咆哮、口が大きく開いた。とっさに最後の爆弾をその口に放り込み、拳銃でそれを狙い撃った。2発目で直撃があったのか、口の中で爆弾は炸裂した。

 

「やったの?」

 

それはフラグだ。

一瞬恵飛須沢さんの声が聞こえた気がした。

煙を突き破って、それが突っ込んできた。回避できない。

 

それのタックルを受けて私は屋上への入り口から吹き飛ばされた。水たまりを何回か跳ね、ソーラーパネルの基部でようやく体が止まった。

「「めぐねえ!」」

 

「先生!」

 

「まって来ちゃダメ‼︎」

 

流石に屋上の扉は通ることはできないのかその化け物は何度もタックルして破壊しようとしていた。もはやそれは本能で動く獣だった。

扉が破壊されるのも時間の問題。

「ここまで……なの?」

 

 

だけれど雨の音に混ざって別の騒音が聞こえた。それはさっき墜落したものと同じ音で、ふと柵の先に意識を飛ばせばそこにはダウンウォッシュで屋上の雨水を跳ね上げながらボバリングするヘリがいた。

 

「ヘリコプター⁈」

それもさっきより大型のものだった。

「おい!メグ!受け取れ!」

拡張器かスピーカーがあったのかヘリからそのような声が聞こえた。

その直後ヘリが大きく揺れ、機内から何かが落ちた。ケースだった。落下の衝撃で蓋が開き、中身があらわとなった。

それは四連装のロケットランチャーだった。確か某筋肉映画にも登場したものだった。

 

それを構えて、タイラントを見つめる。すでによくわからない何かの触手が生えてきてそれは化け物になっていた。その触手が入り口の周囲を捲るように破壊していく。だけれどそれが終わるよりも私の方が早かった。

「終わりよ」

背後を確認し引き金を引いた。

飛び出したロケットは真っ直ぐ屋上入り口に飛んでいって、そこにいたタイラントを吹き飛ばした。爆風が体を撫でる。

 

「……お、終わったのか?」

 

「そうみたいね…」

 

「おーい!燃料はやばいんだ救助は君たちだけかな?」

 

それは流暢な英語だった。改めてやってきたヘリコプターを見てみる。それは大型のUH-60ヘリだった。側面にはBSAAのマークが描かれていた。

「助けに来てくれたんですか⁈」

開け放たれたキャビンからヘルメットを被った人がこちらの様子を伺っていた。

「そうだよメグ!」

ヘルメットをかぶったパイロットらしき人は、コクピットに何か合図をしていた。やがてヘリが屋上に着陸した。

 

すぐにみんながヘリに乗っていく。ただUH-60といえど8人も乗るとそろそろ収容人数がギリギリになっていた。

それでも難なく離陸するヘリコプター。

 

「あ、ありがとうございます…ところでどうして私の名前を…」

 

救助を送るときに確かに名前は伝えたかもしれないけれどどうして私が本人だとわかったのだろう?

「そりゃそうさ。私を忘れたのかい?」

 

「もしかして…レナータ⁈」

ヘルメットを外した彼女は、たしかにあの時一緒に脱出した友人だった。まさかBSAAに入隊していたなんて……

「そうだよ。久しぶりだね」

 

 

 

「街…結構ひどいことになっていたのね」

 

「でも私たちが来たからにはもう大丈夫さ。それにウィルスに対処するためのワクチンも開発の目処が立った」

意外だった。もう彼らはこの事態を収束するためのワクチンを……すごいことだ。

「どうなの⁈」

 

「ああ、この土地の湧水がこの元凶に効果があるみたいでね」

 

そうだったんだ……不思議なものだ。

 

 

 

 

 

 

 

数年後

 

息抜きのために緑茶を入れていると、携帯が着信音を奏でた。表示されている相手は若狭さんだった。彼女からかかってくるのは一ヶ月ぶりだろう。直樹さんや由紀さんみたいに一週間に一回のペースではかかってこないので珍しく感じる。

電話に出てみれば、若狭ですと、あの時よりもさらに落ち着いた声が聞こえた。

「先生!新しい職場はどうですか?」

 

「若狭さん、もう先生じゃないのよ。今の職場は……まあ色々海外飛んでいるわね」

実際一昨日まで地中海にいた。

二ヶ月前はスペインだ。

「そうなんですか?くるみさんもそっちに今度から行くって言っていたので……そうよね柚村さん」

どうやら向こうの電話口には柚村さんもいるらしい。会話声が少しだけ聞こえてきていた。

 

彼女は確か医療チームだったわね…

「ええ、こっちでも確認はしているわ」

 

「そうですか。良かったです」

 

扉がノックされた。どうやら私を呼びにきたようだ。

「ごめんなさい呼ばれちゃったから切るわ」

 

「わかりました。先生も体大事にしてくださいね」

 

「そっちもね。それじゃあ」

電話を切るのと彼が入ってくるのは同時だった。

入ってきた彼は、私より2、3歳年下のはずだけれど、それでも私より背が大きくガタイが良いからか全然年下に見えない。まあ私の部下はみんながたいがいいせいで私自身子供と間違えられそうになる。

 

「隊長、緊急招集です」

軍服の腕についたワッペンにはBSAAのマーク。私の新しい職場は、今日もどこかで戦い続けるものだ。

「わかったわ、案内して」

 

彼に続いて私も部屋を後にする。

案内されたのは作戦会議室。

机には、どこかの国の地図が開かれていた。

 

「状況はどうなっているの?」

 

さて、これはまた出張かしらね。

 

 

 

END?

 

長い合間お付き合いいただきありがとうございました。




メッセージ
るーちゃん「うらしなりおがかいほうされたよ」

なんですと


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おまけ編 めぐねえがいくRe3

Re3発売記念で初投稿です


はいRTAおまけ編はーじまーるよー‼︎

今回はRTA……ではなく人気の高いラクーンシティ脱出編をガチチャレンジしていこうというものです。

RTAでは最短コースを進むために色々と省いたいわば別ルートでの攻略となります。

今回もあろうことかめぐねえ…じゃなくてごりねえで行きます。

あ、そうそう実はこのDLCコンテンツ修正パッチが入りましてね。実は内容が若干変化されています。特にラクーンシティは人口十万を超える巨大都市化しただけでなく高層ビル群が並ぶエリアが大きく拡大したせいでなんだか映画版のラクーンシティに近い印象になりました。

 

 

まあそれは見てからのお楽しみに。

 

 

ではよーいスタート!タイマー?ないよそんな物(走者あるまじき発言)

ロード長いっすねえ……

もうこれだけでやる気スイッチオフ確定なのは確かです。

 

ではごちゃごちゃ言っても仕方がないのでここでチャートをお知らせしましょう。

今回はOPや初動をほぼカットしてラクーンシティ編のみのプレイです。ぶっちゃけバイオハザードと変わりません。

ただし今回走るルートの関係上めぐねえの立ち位置が少しだけ変わります。

キャラメイクで色々能力を選べない分ルートによって立ち位置や性格、役職が若干変化するのはこのゲームの特殊なところ。

 

ではどれくらい変わるのか?まあクレア的立ち位置がエイダ的立ち位置になる感じです。

お、ロード終了です。

 

スタート地点はランダムですがどうやら今回は学校の寮からスタートのようです。

ルームメイトにはいつものレナータと通常版では助けられないリサがいます。ネタバレなのでこの後彼女たちがどうなるかはあえて言わないでおきます。とりあえずチャートです。

 

なぜか初版はFPSなんですよね。

 

 

画面振動注意

 

 

 

 

ベッドで寝ていたようですがどうやらレナータに叩き起こされたようです。お、テレビですか。なになにい?

おおどうやら街で大規模暴動が発生しているようです。楽しそう…ってかそれ実写やんけ。すげえなカプ。えーっと時刻は……

9/28/1998/19:45

ふむふむ、なんでこんなギリギリまで自宅待機律儀に守っているんですかねえ。

 

 

「逃げろッ‼︎やばいぞ!」

 

うっせ!ボリューム上げすぎじゃい‼︎

えーっと取り乱しました。どうやら門の方にいたゾンビが入ってきてしまっているようですね。あ、先生がゾンビに飛びつかれて噛み噛みされています。えーっと…助ける必要は無いんですがここで見捨てるとトゥルーエンドにならないんですよね。しょうがない助けましょう。近くに転がっていたレンガを拾って襲いかかっている感染者の頭を叩きます。

 

怯んだ隙にレナとリサが先生を引っ張って助けます。噛まれたのは肩のようですね。では彼について少し、実はこの人BNAの元選手という設定なのでこの先生はタフネスです。一回噛まれたくらいなら二日は耐えます。

でも助けることはできない確定死亡キャラです。

 

では彼を救出したので門の開閉を行う小屋のほうにいきましょう。このままでは感染者無限湧きになってしまいます。海外ニキによるとここでゾンビ耐久やるとエターナルだそうで。

 

 

レナが他の生存者と一緒に先生を運んで行っている合間にリサと一緒に開閉小屋に到着しました。

入り口近くで警備員が倒れていますね。返事がないただの尸のようだ。

 

ではこの人から拳銃を回収します。2人死んでいるのでリサにも渡しましょう。

彼女は武器オタ…厳密に言えばミリオタです。

幼い頃からケンド銃砲店に遊びに行っているようなガチオタクです。ケンドさんもケンドさんで調子に乗って色々教えたりしていたようです。

 

うーんこの……

拳銃は標準的な9ミリ拳銃。まあ護衛分ならこれで十分なんですよね。感染者相手に非力なのは間違い無いですが。

では武器と弾(予備マガジン1個)を回収したので門の開閉機を動作させましょう。もうすでに感染者が6体くらい入ってきていますがどんどん増えていきます。第二波が5分後に到着予定です。

 

ガコッ

 

 

 

 

はい半分くらいまで閉まったところで急に配電盤がスパークしましたね。

はいご察しの通りショートしています。

 

ヒューズの交換が必要です。壁の棚に載せられている書類の中にマニュアルがあります。替のヒューズは物置小屋にあるので取りにいきましょう。物置小屋の鍵⁇実は壊れています。

 

ここはリサかめぐねえのどちらかが取りに行く事になりますがめぐねえ一択です。リサに行かせるとその後彼女を見たものはいなかったになります。

 

ではヒューズ回収はカットです。道中ゾンビも原則スルーです。

雨でびしょ濡れめぐねえが戻ってきたぞ!

 

早速ヒューズを交換して門を完全に閉じます。

はい終わり。さっさと帰りましょう。

宿舎はヘリが墜落して火災が起きているのでその隣の校舎の方へ避難します。

 

 

はい先ほど入り込んだゾンビとそれによる内部での感染者が多発して結構大変なことになっています。

保健室の窓でレナが手を振っていますね。ではそこに駆け込みましょう。

駆け込むとムービーです。リサが足を掴まれて引き摺り出されそうになります。

ですが先ほど助けた先生がかみつこうとしているゾンビをぶん殴り吹き飛ばしました。やったねリサちゃん生き残れたよ。

 

 

では窓を塞ぎます。近くの棚を引っ張って窓を隠す。はい終わりです。

 

オートセーブが入りました。はいまたムービーです。

 

話し合いのようです。内容は脱出をするか救助を待つかですね。

そんなもの脱出をするに決まっているじゃないですか。それが良いというわけではないですが、バイオに至ってはこっちがベスト選択となります。ですが結局意見が対立したので救助を待つ人はここに残し、救助を呼んでくるという名目で脱出をしましょう。

まあ最終的に生きて脱出できるのはレナとリサです。さっきの先生は……今は

怪我の治療をするために残るようです。

 

では早速逃げましょう。廊下側も侵入した感染者がちらほら見られます。でも大丈夫。序盤で数も少ないですからね。

 

とりあえず表玄関は危険いっぱいで通れないので反対側の裏門から脱げます。

門はこっちも閉じていますがよじ登って通ることができます。

では学校から出たところで本日はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴動、火災、火炎瓶、そして鎮圧と銃撃戦、自宅待機。

この町で大変なことが起こっているというのは誰しもが感じていた。学校も休止されて寮生活の生徒は部屋で待機という常態だった。

 

雨の音が遠くしかしはっきりと、くっきりと、しっかりと聞こえてきていた。

 

ベッドで寝転んでは雨の音を子守唄に目を閉じて寝ようとしていた私は、異国の聞き慣れないようで聴き慣れた声に体を起こした。

「めぐみ、流石に寝るには早すぎるよ」

 

「そうだよ。夜中に起きちゃっても困るでしょ」

 

私と違って元気いっぱいなこのルームメイト、リサとレナータは、トランプゲームに私を巻き込みたいらしい。

仕方がない一戦付き合うかと思い腰を上げると、ちょうど部屋に置かれていたブラウン管テレビがノイズ混じりに映像を揺らしながら暴動の様子を写していた。

事態収集はまだかかかるらしい。

急にニュースの映像が乱れ、砂嵐が発生した。

「故障かな?」

 

「寮母さんに言ってくる」

 

「いいよめぐ。どうせベランダのアンテナの方向が悪かったんだ。雨が上がってから直すよ」

レナがそう言うなら今すぐ寮母さんのところに行く必要もないか。だけれど砂嵐の少し前に放送キャスターさんに暴徒が襲いかかっている瞬間が映っていた。あれはどこをどう見ても、またどう考えても人ではなかったように思えた。

だめだ変なものに見えてしまったというだけだろう。テレビを消そうとして、リモコンをつかんだ瞬間、何か雨音を切り裂いて近づいてくるような音がした。

異変に気づいたのは私だけではなく、部屋の全員だった。ヘリにしては音が大きすぎる。

「ヘリの音?」

 

 

「なんかおk……」

 

最後までレナの言葉は繋がらず、鋭い爆発音と衝撃で建物全体が地震でもきたのかのように揺れた。何回か点灯した照明が一斉に落ちる。

 

「何があったの⁈」

 

転んだ私をつかみ上げて起こしながら、真っ先にレナータは状況を把握しようとベランダから身を乗り出した。

状況はすぐに分かって、すでに大変な状態だって事を嫌でも理解させられたよ

 

「ヘリが突っ込んだ!火災も起こっているはやく逃げろ!」

廊下から誰かの叫び声が聞こえた。私たち3人はすぐに廊下に飛び出した。既に廊下には薄く煙が漂い始めていた。

すぐに離れないと煙に巻かれてしまう。

幸いにも建物の方にダメージは少なかったようで、みんな一斉に避難をしていた。

 

 

ただ、正面の門の近くまで行ったところで何か様子がおかしいのに気がついた。

いや、気がつかざるをえなかった。避難をしていた同級生が慌てて反対側に駆け出していたのだ。大雨で視界が悪くなっている中で、何かが向こう側にいる。そんな気配がした。

何があったのかを聞こうとしたけれど、それは聞く前に目の前に現れた。

 

「逃げろ!やばいぞ!」

数学を担当している男の先生が、こちらに向かって叫んだ。

何がですかと言おうとして、先生に何かが飛びついた。

それは人間だった。いや、人間のようで人間ではない何かだった。皮膚が腐り果て、体のいろんなところがボロボロで、血塗れのそれを人間と呼んでいいのであればそれは人間だろう。だけれどそれは完全に理性のない化け物のように先生の肩に噛み付いた。

とっさだった。私の隣で呆然として動けていない2人を尻目に、私は近くにあったレンガを持ってそれの頭を叩きつけていた。

煉瓦だったとしてもその重さで頭蓋骨にダメージを与えることはできる。実際手のひらに伝わる感覚は、濡れた煉瓦の重さと、骨が砕ける感覚の二つだった。そして仮称化け物が怯んだ隙に、我に帰ったレナとリサが先生を引っ張り出した。

 

 

「門を開けたらあいつらが入ってきて……」

 

先生は肩から出血していた。どうやらまだ門は開いたままらしい。このままだと私たちまで危険だった。

「めぐみ!門を閉じよう!」

そう言ったのはリサだった。とっさに私もうなずく。

「レナは先生を安全な場所へ連れて行って!」

 

「わかった!」

近くにいた同級生も駆けつけて先生は校舎の方へ連れていかれた。

急ごうと、雨の中をリサと門の方へ走る。途中でさっきのような腐った肌の人間が何人もふらふらと歩いていた。

 

もはや暴動なんてものじゃない。何か別の大変なことが起こっているようだった。

門は電動で開くもので、門の近くにある小屋から操作が行われる。その小屋の近くには警備員が倒れていた。

すぐに駆け寄って確認したものの、もうすでに脈はなかった。

顔を青くしてリサがしゃがみ込んだ。

私は……この状態に一周回って冷静になってしまっていた。感性が壊れてしまったのだろうか?

 

 

警備員の腰にあった拳銃を思わず取る。弾はまだ残っている。大丈夫、動きそうだ。使い方はわからないんだけれどね

「それ……いいの?」

 

「……ないよりマシかも。リサは使える?」

 

「使い方は知ってるけど実際に使ったことはないかな」

 

「そう……持ってていいよ」

小屋の中に入るとそこにも警備員が倒れていた。首元を噛まれてどうにかここへきたところで力尽きてしまったのだろうか?

床に広がるその血は、まだ赤く染まっていて時間が経っていないことを意味していた。

呼吸もなく心配も停止しているその警備員に軽く手を合わせ、手に握られていた拳銃を取った。使い方はわからないけれど持っておこう。

 

「ブローニングハイパワーね。使い方わかる?」

 

「全然…銃初めて見たし」

映画などでは簡単に使っているけれど実物を手に持てばその重さが手に広がる。

「セーフティを解除して、一応初弾は銃のシリンダーを手前に引っ張って装弾する方がいいかな。元から薬室に入ってる弾ってこんな雨じゃ火薬がしけって不発になる可能性が高いし」

 

「そうなんだ……」

 

「ともかくまずは門を閉めないと。確か…あった開閉ボタン」

それは年代物の門を動かすのにしては真新しいボタンが二つくっついているだけの操作板だった。後から自動化しましたというのが丸わかりだ。

リサがすぐに門を閉めようとスイッチを押す。

モーターと歯車の軋む音がして門が閉まり始めた。だけれど、しかしそれは半分まできたとこで唐突に動くのをやめた。その上操作板の下から白煙と焦げるような匂いがした。

 

 

「嘘故障⁈」

 

「そんなっ…でもこう言ったときの修理部品とかがあるはず」

 

操作盤の下にある点検パネルを開けて中を覗くと、ヒューズが焼き切れていた。

「メグ!故障マニュアルがあったわ!」

 

「ならヒューズが焼けちゃってる場合はどうしろって書いてある?」

 

「えっと……一旦操作盤の電源を落として新しいヒューズに交換してくださいって」

ヒューズが必要ってことね…でも交換ヒューズなんてそう簡単に見つかるかしら?用務員室とかにありそうな気がするけれど……

「警備日記だ」

私が迷っているとリサがさらに何かを見つけてくれた。それはどうやらここの警備の人たちがつける業務報告書のようなものだった。

「えっと……あった!三日前のやつ。古い機械だから時々過電流が流れてヒューズが壊れるらしくて……スペアパーツは予備が用務員室近くの物置小屋のほうにあるって!」

 

「わかった。取りに行ってくる」

 

「危険だってば!」

危険なのは十分理解していたよ周りの大人に頼った方がいいというのもわかっていた。だけれども、しかしその時の私は頭がおかしくなっていたのだろう。普通であれば絶対にしないような行動を取ろうとしていた。いやとっていた。まるで何かに操られるかのように……

「リサはここ守っておいて」

 

操作小屋を飛び出した私は駆け足で雨の中を突っ走り、物置小屋に突撃した。

扉を引き開けてヒューズを探す。幸いそれは棚の上に置いてあって、側面にヒューズとしっかり書かれていた。

それを取って化け物の合間をすり抜けるように走り抜ける。マラソン選手もびっくりだったのではないだろうか?

門の向こう側には雨で悪い視界ながらたくさんの仮称化け物が歩いてきていた。あれが入ってきたりしたら…思わずゾッとする。

 

「ヒューズとってきたよ!」

 

戻ってくるとリサは入り口で化け物を撃ち倒していたところだった。

地面に倒れている化け物を飛び越えて小屋に飛び込み、焼き切れたヒューズを引き抜く、すぐに替のヒューズを取り付け、操作盤のスイッチを操作した。

止めていた電源を入れ直し、閉まるボタンを押す。

再び息を吹き返した門が閉まり、その直後たくさんの化け物が目の前で閉じられた門を破壊しようと叩き始めた。

 

 

「行こう!ここは危険よ」

リサに手を引かれて息も絶え絶えに駆け出す。既に入り込んでいた化け物が、少しづつだけれど集まり始めていた。

 

 

既に宿舎の方は火に包まれていて、赤と橙色の松明となってしまっていた。あそこに立て籠るのはどう考えても無理だ。無事そうなのは校舎の方だけだ。確かそっちの方に先生たちも連れていかれていたはずだ。

すぐにそっちに向かってみれば、入り口のところにはあの化け物が溜まっていて入れそうにはない。

すると、一階の窓の一つが開いて、レナが顔を出していた。

「こっちだっ‼︎窓から入って‼︎」

 

その声に釣られるように私は、私達は窓に飛びついた。思いっきり地面を蹴って助走をつけたまま窓に飛び込む。一歩間違えれば窓枠にぶつかりかねなかったけれど、運が良かったのか私はそのまま飛び込んで床を転がった。

 

 

だけれど後から入り込もうとしたリサはそうはいかなかった。上半身が入ったところで背後から迫ってきていた化け物がリサの足を掴んだのだ。

 

 

「いやっ離して!」

 

とっさに彼女は持っていた拳銃で足を掴む化け物の頭を叩いた。だけれど怯んだ様子はない。

 

このままでは引き摺り出されてしまう。とっさに彼女の手をつかもうとして、さっき助けた数学の先生が割り込んだ。

先生はすぐに化け物の頭を掴み上げてリサから引き剥がした。

すぐに窓を閉め、近くにあった棚で窓を塞いだ。窓を強く叩く衝撃が棚越しに伝わってくるようだった。

 

 

だけれど恐怖と棚一つ隔てられたことでだんだんと冷静に物事を考えられるようになってきた。

同時に私がそれほど危険な行為をしていたのかもしっかりと、くっきりと、はっきりとわかってきた。

恐怖で鳥肌が立ち、体の震えが止まらなくなった。それでも生きているという証拠だと思えば、誠に非常識ながらなんとか堪えることができた。

 

 

 

 

to be continued



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おまけ編 めぐねえが行くRe3 その2

気が向いたので初投稿です


RTAじゃないけれどサクサクプレイはーじまーるよ!

 

はい前回は校舎を抜けて裏通りに出たところからです。

幸いここらへんはまだ大きな混乱もなく車などの事故車もないため人がいない普通の街のような雰囲気です。

実際には表通りから侵入した無数の感染者がいますが数も少なく問題はありません。

取り敢えず4人で固まっていればまず安全です。

 

ではここからの方針をお知らせしま。まず服装ですが…せっかくですので今まで揃えたものを毎回着せ替えながら進めていきます。一度回収した衣装へは簡単に交換できますのでね。今回はかの有名なエログロバイオハザード漫画である学園黙示○の制服を着ています。もちろん某イラストのように破けたりはしませんよ。ちなみにリサは同じシリーズの某校医の服にしています。

 

それとなるべくイベントを回収してから行きたいのでたまに遠回りになったりします。

まずはここから地下鉄の駅に向かって歩きましょう。と言っても意外と表通りとこっちの道を塞ぐようにバリケードが作られているのでちょっと迂回します。正確には建物の中を通ることになります。

 

建物の方は鍵がかかっていないのですんなり入れました。

表の方に繋がる扉はバリケードの一環で鍵がかかっています。この鍵はお店のカウンターに目立つように置かれています。

まあチュートリアルのようなものです。バイオハザード時のみ操作性やボタン配置が通常とは変化するのでそれに慣れてねということでしょう。

それとここからは組み付かれそうになった時にとっさに出るボタン押し…クイック操作での緊急回避ではなくきめられたコマンドを打ち込むことによる緊急回避となります。そのチュートリアルも…おっとでましたね。

 

扉を開けた途端飛び込んできた感染者が掴みかかってきました。噛まれないようにしっかり緊急回避しましょうね。回避すると先生がその感染者を転ばせて頭を踏み潰します。ワイルドな先生ですねえ。

まあ顔色がだんだん悪くなってきているのですけれどね。

 

では先に進みましょう表通りです。

 

 

オートセーブ

 

 

はい表通りはかなり荒れてしまっています。

どうしてなのか車が追突事故を起こし一部は火災で動けず。この通りを直接突破することはできません。

面倒ですが向かい側の建物から進んでいきたいところですがすぐに向こうにはいきません。

 

ここで一旦画面左方向、つまりダウンタウン方面へ向かってみましょう。しばらく道なりに進んでいくとなんとそこにはたくさんの生存者さん達が逃げているではありませんか。

元は十字路だったようですが正面の道は事故車で塞がっていて人々は右から左に向かって逃げています。

 

 

それらの避難誘導をやっている警察の中に皆さんお馴染みブラッドパイセンがいます。では彼らのところに向かいましょう!

 

向かうとすぐにみんなが逃げている方向へ逃げるように言われるイベントです。

ですが逃げる前にまずは学校側に人が取り残されていることを伝えると、警官たちがどこかに無線を飛ばし始めます。そこにブラッドが現れて事情を聞いてきます。どうやら先に現場に行き救助のための下調べをしに行くと言い出します。

 

ここでクイック選択。

ブラッドと一緒に学校に戻るか、否か。

ここは戻るを選択しましょう。

 

こうすることで先生、リサ、レナータとは別行動となります。

ではブラッドと一緒に学校の方へ戻りましょう!

 

ここで別れたとしても3人ともしっかり生存しますので大丈夫です。

ではきた道を引き返していると後ろからクラクションの音がしますね。見ると先程までいた十字路でバスが衝突事故を起こしています。まあなんということはありません。ただのゾンビアタックです。

ここで出てくるのはバスは41番系統アップタウン行きのバスです。

こんな時に何は知らせているんだと思いますが実はこの時点でバスは多くが避難用にアップタウン、ダウンタウン方面と街の外への避難をピストン輸送で行なっていました。

ただあれは運が悪く車内で感染者が出てしまったものでしょう。ナームナム。

ではバス事故を見届けたところで先に進みましょう。今回はアップデート前のように理不尽なバス特攻とか自動車特攻はありませんがああして遠巻きに事故が起こる様子が見られます。

 

ある意味地獄ですよねえ。

 

 

道の感染者は邪魔なので撤退してもらいましょう。と言ってもめぐねえの銃スキルはお察しくださいなので結構近距離から頭を狙うようにします。頭を撃たれればヘッドショットでなくても大きく怯みます。その隙に体術の足掛けで転ばせ、後頭部あるいは側頭部を撃ちます。

ちょっと手間がかかりますが仕方がありませんね。

まあブラッドさんも手伝ってくれていますので何とかなります。

では学校の正面にやってきましたが彼らの大群が門を取り囲んでいて入ることはできません。

結局また裏手側に行きます。

ちなみにまだタイラントは投下されていません。

 

ブラッドさんと一緒に学校に戻り生存者が立てこもっている場所まで案内します。結構な数の感染者がいますが校舎通路においてはブラッドさんがめぐねえの一歩後ろから援護射撃(ほぼヘッドショット)をしてくれますので特に攻撃をする必要はありません。

 

 

 

ではムービーです。

負傷者が多く避難誘導が困難だということで校舎屋上にヘリを呼ぶこととなりました。

そのためにまずは負傷者達の屋上への避難。そしてヘリの呼び寄せを行います。

 

では感染者が襲ってこないうちに動かせる負傷者を護衛しつつ屋上まで連れて行きます。と言っても感染者の数は校内配置はフロアごとに三体のみです。

なので一階は来る時にブラッドさんが殲滅していますので特に危険はありません。

はい殲滅。では奥上にヘリを呼び寄せるためにブラッド兄貴が発煙筒を焚きます。

 

 

後はヘリが来るのを待つだけなのでブラッド兄貴は退散です。めぐねえもこのヘリに乗るように言われますが今から来るヘリでは定員オーバーです。

なのでブラッド兄貴と一緒に他の避難者の救助をしにいきます。

 

まーなんというか人手不足も甚だしいですね。

 

 

では校舎を出たところで正門の向こう側から何かがやってきます。

おやあ?何か見えますねえ……

 

おっといけないネメシスちゃん登場です!皆さん写真撮影は今のうちです!

正門に群がる感染者をはじき飛ばし、タックルで校舎の門を破壊しました。すげえなおらワクワクしてきたぞ!

なんてふざけている場合ではありませんよおおお!

破壊した門を放り投げてきます。すごいぞめぐねえとブラッド。みる前から伏せに移って回避しています。

はい壮絶鬼ごっこ開始です。ここは障害物などに引っかからないよう全力で逃げましょう。ブラッドもそうしていますからね。

吹っ飛んだ門が校舎に突き刺さっています。走っては来ないのですがなかなか、どうして威圧感がありますね。

 

 

 

裏門を飛び越えて逃げようとしたらネメシスさんが掟破りの地元歩きで先回りしてきました。校舎と塀を破壊するなんて常識をどこにおき忘れてきたんですかねこの大男は。

 

あ、ブラッド兄貴捕まった。

でも放り投げられた。

ではここからムービーこみの操作です。

すぐにクイックアクションで近くに止まっている車(デロリアン)に飛び乗ります。キーは入ったままなので必死にくるくるしましょうねー。いやーエンジンのかかりが悪いのなんの。

 

はいかかりました。ではこいつを……ネメシスにシュート‼︎

脱出モーションも基本はボタン操作なのでたいしたことはしません。フルダイブ式のVRMMOを使っている場合は結構大変ですがアシストもあるし平気でしょう多分……ただしタイミングがシビアなので注意しましょうねー。

車が突っ込んだので一時的にネメシスの動きが止まりました。そのうちに追い詰められていたブラッド兄貴と一緒に逃げます。

 

BGMが変わりましたね。どうやら撒いたようです。まあロケットランチャー1発か2発でダウンとれる程度なのでまだ柔らかいですよ。

 

では会話しながら移動です。真先にブラッド兄貴を攻撃していたことからおそらくSTARS隊員を狙っているものと考えたようです。すぐに町に残っているジルに連絡を取ろうとします。

 

 

しかしブラッドさんが無線を落としてしまったようです。あーあー……

さっきネメシスに襲われた時に落としたのでしょう。

そもそもこの時点でジルに無線で呼び掛けなんてできるのでしょうかね?

とりあえず近くの公衆電話まで行きましょう。

しかしここらへんの電話線は切断されているのでジルのいる区画まで行かないといけません。

そこまで遠くないので一緒にいきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

助かった……にしては現状は最悪で、もはや子供がどうとか言っている暇はない状態だった。

 

医務室に逃げ込んだ人の多くは負傷者で、自力での脱出は困難な状態だった。

電話も通じない。助けを呼ぶのは文明の力では不可能だった。ならどうすれば良いのか。それはあまりにも簡単で、それでいてかなりの危険が伴うものだった。

 

「私たちが行きます」

そういった時、誰もが私たちを止めようとした。だけれど現状満足に動けるのは私達だけだった。

意外なことにレナは私に賛成してくれた。リサは流石に怖がっていたけれどそれでも行くと言ってくれた。

そして子供だけでは不安だとさっき助けてくれた数学の先生が一緒に来てくれることになった。

先生はけが人なんだから待っていたら?と聞いたけれど、助けられた恩があると言って一緒についてくることになった。

肩を軽く噛まれただけとはいえ少し不安だった。

 

流石に正門側にもう一回行くのは嫌だったから、もしかしたらと思って裏門の方に行ってみた。案の定そこに化け物はいなくて、路上駐車をしている車が何台か見られる程度だった。

 

「静かだね……」

 

「そうね。いやに静か」

 

道路幅はそこそこ広いけれど、通る車もなければ、歩いている人すらいない。

いや、アップタウンの方から響く爆発などはしっかりと聞こえてきていた。

 

「こっちの方にはいないようだな…全員離れるな」

 

学校をぐるりと周り、表通りに出る。ここら辺は旧道をそのまま利用しているところだから、レンガ造の道が多く残っている。アスファルトやコンクリートといったものとは違うデコボコした感じだ。幾何学的に、それでいて少し不自然に歪んだレンガの隙間を、赤い液体が流れていた。

 

いや液体だけではない、そこはまるで大災害が起こったかのように車が横転し道を塞いでいた。これでは先に進めない。

「ひどい……」

 

「大きな音がしていたと思っていたけれどこんなになっていたなんて……レナは雷じゃないのかなんて言っていたけれどやっぱり事故だったんだ」

 

「私だってまさかこんなことになっているだなんて思わなかったよ」

すぐ近くのお店の中を通って接続する大通りの道の方に出ることにした。

そっと裏口に当たる扉を開けてみれば鍵はかかっていなかったのかあっさりと開いた。

電気はまだついているらしく、店内は明るい。学校を出る時に拾った鉄の棒を構えた先生が先に中に入る。どうやら化け物はいないらしい。

大通りに面している店本来の入り口は、やはりというべきか鍵がかけられていた。シャッターが下りていなかったことが幸いだろう。

 

「鍵がかかっているわ」

最初に気づいたレナが、鍵を探しに店内を彷徨き始めた。

鍵か…こういう場合真っ先に鍵を置く場所といえば鍵の保管箱だけれど、用心深い場合は保管箱には入れないでどこかに隠すはずだ。あるいは鍵を持っていってしまった場合も考えられるけれどそうなったらその時考えよう。

 

「鍵…えっと……」

リサも捜索に参加。すぐに鍵の保管箱は見つかったけれど肝心の鍵はなかった。

「やっぱりないか…レナは見つかった?」

 

「いや、何もなかったさ。こっちにはないらしい」

着替え用のロッカーなどがある部屋から戻ってきたレナはそういった。

「カウンターとかはどうだ?ものの隙間に隠してあるとかは」

 

どうなんだろう?

そっとカウンターを覗いてみる。もしかしてテープとかでデッキの下に貼り付けられていたりするのではないだろうか?

 

手を伸ばしてカウンターの裏側を触ってみると、金属の不自然な出っ張りがテープで止められているのに手が触れた。

 

「あった……」

それはマスターキーだった。

拍子抜けするというかなんというかこの店のオーナーは裏口を閉め忘れたりとある意味抜けている。

 

 

それを使って通りに出てみれば、隅っこで車が炎上をしていた。いや炎上しているものなんてそこら中にあった。逃げ惑う人々。2ブロック先の方から非難を誘導する声が聞こえてきた。

まるで光に集まる虫のように、ショックを抑えきれない私たちはその声に向かって進んでいく。

 

「君達!そこは危険だ!早く避難しなさい!」

 

そういったのはパトカーに取り付けられたスピーカーで避難を促していた警官だった。

「まってくれ!今中学校のほうにけが人が沢山取り残されているんだ‼︎」

先に声をあげたのは先生だった。

「なんだって⁈だがこっちも避難している彼らを放っておくわけには…」

 

「どうした!」

先生と警官の合間に割って入るように、黄色いベストを着た男性が駆けてきた。どうやら彼も警官だったらしい。制服を着ていた警官たちが事情を話し始めた。

「ああブラッドか。実は中学校のほうに怪我人が多数取り残されているみたいでな」

 

「なんだって⁈……わかった。なら俺がいく」

 

「おい流石に1人はまずいだろ」

そんな感じの会話だっただろうか。騒音が酷くて聞き取れなかったけれど、レナが私に要約するように教えてくれた。

 

「大丈夫だ。そのかわりUBCSでもなんでもいいから救助ヘリの手配をしてくれ。それくらいならまだなんとかなるだろ」

 

「ああ、連絡の取れるヘリを探してみる」

そう言ってブラッドと呼ばれた警官は先生を見た。だけれど先生は妙に息が荒くなっていた。さっき走ったからだろうか?それとも傷がまだ痛むのだろうか?その時の私にはわからなかった。

 

「できれば案内をして欲しいんだが」

でも先生の様子はとても案内できそうな状態ではなかった。やっぱり学校で待っていた方がよかったのではないだろうか?

「私が案内します。みんなは先に避難を」

気づけば私はそう言っていた。感覚がおかしくなったままだったのだろう。

「めぐ⁈何いっているのさ。だったら私も……」

リサが私の肩を掴んで止めた。

「先導なら1人で大丈夫だよ」

 

「そうだな。ヘリを学校に呼び寄せるが人数が多いと一度に乗り切れない場合がある。何度も往復するのも厳しい状態だからすまないが動けるものはなるべく地下鉄で避難してくれ。UBCSとか言うやつらが避難誘導をしているはずだ」

 

「なら私が…くっ」

前に出ようとした先生が呻いた。少し顔色が悪くなっている。あまり無茶をしない方が良いのは一目瞭然だった。

「先生は無理しないで」

 

すったもんだがあったけれど、結局私はレナとリサを納得させて先生を地下鉄まで運ぶように伝えた。

残った私とその警官…ブラッドさんは再び来た道を戻り始めた。

 

 

 

 

Now loading

 

 

「いったいどうしてこんなことになったんでしょう……」

俺を案内すると言った中学生くらいの女の子は、前を歩きながらそう呟いた。いやボヤいた。その声に抑揚はなく、魂が抜かれてしまったみたいだった。少なくとも俺にはそう見えた。素人の俺にも分かる。これは相当ショックを受けている。それを使命のようなものを与えて無理やり押さえ込んでいるだけだ。

「分からん。だが気づけばこの有様だ」

 

だけれど少なくとも9月に入ってから化け物どもの目撃例が街で多発していた。あの忌々しい所長がそれらを捻り潰していなければもっと初期の段階で抑えられたかもしれない。

今更言ったところで無駄だろうが。

自宅待機が解除された時にはもうすでに手遅れで、住民の避難もままならない状態だった。

 

少女は、名前をめぐみと言った。日本という国からの留学生らしい。

「なあメグミ、救助対象者は何人いるんだ?」

 

「大体二十人くらい……かな」

銃を手に持つ少女は、少女らしからぬ立ち回りで、素早く校舎に向かっていった。

 

 

 

 

校舎にいた彼らを撃ち殺し、保健室に入ってみれば、そこには確かにけが人がたくさんいた。そのほとんどは火傷と骨折だと言っていた。

胸ポケットに入れておいた無線がなったのは、救助者の人数を数え終わったところだった。

「こちらブラッド。どうぞ」

 

『こちらUBCSの輸送ヘリ、ヴァイパー1だ。今からそちらに救助に向かう。要求者の人数と着陸ポイントを教えてくれ』

声に混じってローターが空気を切り裂く音が聞こえて来る。

「要救助者は子ども十二名大人九名、火傷と骨折で大半が重症。ラクーン中学の屋上にヘリが降りられるだけのスペースがある。合図は発煙筒を焚く」

 

『了解した。あー…十分ほどでそちらに到着する』

 

「頼んだ」

 

救助ヘリとの通信を終えると、俺のズボンを少女の手が引っ張った。

 

「私はどうしたらいいですか?」

ここは俺たちに任せろ。クリスだったらそう言っただろう。だけど俺にはそこまでできるほど強くはない。

「そうだな……全員を屋上に移動させる。援護してくれ」

 

「わかりました!」

 

 

 

意外と校舎の中に彼らの姿はなかった。

全くいないというわけではなく、数が少ないのだ。考えればなんのことはない。校舎入口は塞いである上に彼らは塀で校舎には近寄ることすらできないのだ。

それでもいるというのはきっと……いや考えないようにしよう。戸惑った奴から死んでいくのだ。

三階の廊下にいた彼らを最初に視認したのはメグミだった。

 

彼女は正確に頭を撃ち抜いた。

射撃のセンスは十分ある。ただ少し距離が近い。アレでは危険すぎる。銃身もかなりブレていた。

「銃は初めてか?」

 

「ええ…初めてです」

 

「なら構え方は悪くないからしっかり踏ん張って、照準を合わせてみるんだ。そうすればそんなに近づかなくてもちゃんと当てられるさ」

まあこれはクリスの受け売りなんだがな。

確かクリスもケビンから聞いたって言っていたから一番最初はケビンか。

 

そうこうしているうちに無事全員を屋上へ連れていくことに成功した。

緑色の発煙筒を焚き、平たい屋上へ誘導する。少ししてヘリの音が聞こえてきた。

「来てくれたな……」

到着したヘリコプターは、メインローターが二つあるタイプの大型ヘリだった。だけれど中にはすでに避難中の人達が何人もいた。別のところで救助活動をしていたものだというのはすぐに分かった。

「何人ほど乗せられそうだ!」

コクピットに回ってエンジン音に負けない大声で尋ねた。

「要救助者分は載せられます!ですがそれ以上は無理だ!離陸できなくなっちまう」

まいったな。そうなるとこの少女が乗れないかもしれない。

「この子も連れていけないか?」

 

「これ以上はむりだ!重量オーバーギリギリなんだ!」

俺もヘリパイロットだからわかる。数キロだって機体重量をオーバーすれば離陸できなくなってしまう。子供1人だってオーバーすればおいていくしかないのだ。

「だそうだどうする?」

 

「わかりました。では私は地下鉄で避難します」

やけに素直だった。中学生とは思えない。少しだけ不気味だった。

 

「じゃあ頼んだぞ!」

アンブレラの傭兵。あの研究所でこの惨劇を引き起こしたウィルスを作っていたあの大企業様の傭兵。だけれど彼らは何も知らない。

それに実際に救助活動を行なっている。少なくともその点については信用できる奴らだった。エンジンの音が大きくなり、ヘリは再び浮いた。

ヘリが飛び去っていくのを見守って、俺たちは地下鉄の駅に向かうことにした。

校舎を降りている途中、窓の端に何かコンテナのようなものが投下されているのが見えた。

だけれど俺はそれに気づかなかった。

 

 

 

そいつは突然現れた。

校舎を出たとき、その巨人のような化け物は、学校の正門に集まるゾンビ共を拳で弾き飛ばし、厳重に閉まっていた門を飴細工のように持ち上げ破壊した。

明らかにやばそうな存在だった。顔まで黒い袋のようなもので覆われていて表情は見えない。だけれどそれはこちらを見つめているように思えた。

 

 

「アレはやばい!こっちだ!」

とっさに裏門にむかって駆け出す。その後ろで空気を裂く音が聞こえ、咄嗟に頭を下げた。

頭上を引き剥がされた正門が飛んでいき、校舎に突き刺さった。なんて怪力だ!

 

「なんですかアレ!」

 

「知るか!こっちが聞きたい!」

なんなんだよアレはっ‼︎追われる恐怖、あの時と同じだった。あの時はヘリのコクピットにいて、とっさにエンジン出力を上げて飛び上がって逃げ出してしまったけれど、ここではそんな手は通用しない。

 

走ってくることはなかったけれど、そいつは真っ直ぐこちらに歩いていた。

 

 

メグミと一緒に裏門を飛び越えた。すぐにここから離れないとアレに追いつかれちまう!

ただ校舎を回るようにしていた上に距離はあったからすぐにはこなっ……

 

 

バガァンッ!

 

 

 

 

突然目の前の煉瓦造りの塀が吹き飛んだ。

「なっ!」

そいつは、校舎を突き抜けてショートカットしたのだ。

直撃を受けた少女が吹き飛ばされた。

 

頭を掴まれ、俺も遠くに吹き飛ばされた。

まずいこのままだとっ‼︎くそお‼︎

ゆっくりと歩いてくるそいつは、無機質に、無表情に、まるで命令を遂行しているかのように俺に迫ってきた。死の恐怖が俺のすぐそばを通過し、心の底から手が震え始めた。

目を瞑ってしまいたかったが俺は奴の振りあげられた手を見続けてしまった。

だがその手が、拳が俺に振り下ろされることはなかった。

 

 

 

 

「くたばれええ‼︎」

女の子とは到底思えない声と共に、一台の車が巨人の化け物に突っ込んだ。化物が大きく跳ね飛ばされ、車ごと塀の向こう側に消えた。

ぶつかる直前で彼女は飛び降りたのだろう。俺に向かって駆け出していた。

「早く逃げるよ!」

 

「分かっている‼︎」

 

ほんとうに子供なのか?そんな雰囲気を感じ取った。だがそれを確認する術は結局俺にはなかった。

 

 



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おまけ編 めぐねえがいくRe3 その3

ではフラグできるだけ回収するルートはーじまーるよー

 

では逃げた先で一旦ブラッド兄貴とはお別れしましょう。

ここからは人混みに紛れて地下鉄へ自動移動となりレナ達と再会します。

うんうんみんな一緒にいないと怖いよねえ。ええ怖いですよねえ。

先生顔色悪いですよそろそろ死にますか?

冗談ですけれどね。顔色がだいぶ悪いですが先生はまだ大丈夫です。

おっとここでお着替えタイム。お次は小悪魔衣装と呼ばれる肌面積が薄いものにして見ましょう。

こちらは大人版めぐねえがとあるゲームの時に着ていたものをアレンジしたものです。エロいですよねえ。

 

 

 

で、しばらくここで待機していると外の方が騒がしくなってきました。どうやら感染者が駅舎に入ってきてしまったようです。

RTAでは放っておいて良いものですがイベント回収のための好感度調整も含めてリサとレナを連れて防衛に参加しましょう。

と言っても銃はあまり役に立たない(というより銃を使う場面がほぼない)のでレナに預けて手ぶらになりましょう。サイドパックとかを装備することはできない仕様なので所持アイテムは僅か5つだけです。

 

 

では入ってきた道を戻って地下鉄駅入口に向かいます。丁度階段の途中でてんやわんややっているのでその後ろにバリケードを建設します。

まずは建設材料の木の板、ならびに紐などを駅の事務室から回収します。

大人は何をやっているんだと思いますが実は電車の中で待機してしまっている人達は事態に気付いていません。薄情ダナー

 

バリケード設置場所に材料を持って戻ると丁度レナ達がロッカーや棚のようなものをバリケード土台にしています。持ってきた材料を使ってバリケードの強化をしましょう。

なんでめぐねえがそんなことできるのかって?そりゃめぐねえだからさ。

 

ちなみにジル達が入ってくる入り口はこことは反対側の入り口になりますので遠慮なく封鎖しちゃいましょう。

 

ではボタン操作ゲームスタート!

特に難しいことはありません。指示通りにやりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ではここでムービーです。前に出ていたUBCS隊員(といってもいるのは1人だけ。しかも安心できないニコライ)が戻ってきてバリケードの隙間から駅に滑り込みました。めぐねえが作業している横でバリケードに感染者が近寄られないように支援射撃をしています。なんだかんだ射撃スキルとかは高いんですよねこいつ。バリケードを作り終えためぐねえと入れ違いで感染者がぶつかってきますがびくともしません。流石めぐねえ。ってなんで射撃辞めちゃうんですか。いやまあ知ってましたけれど。

 

 

と思っていたらバリケード構築前に入り込んでいた感染者が今頃になって機械室から飛び出してきました。服装が駅員のものなのでそういうことなのでしょう。

すぐ近くにいたリサとレナに飛びかかろうとします。

 

ですが大丈夫!あの先生がここで2人を庇って大きく首を噛まれます。そのまま感染者を押し返すように機械室に先生は入っていきました。

ああなんということでしょう悲しいかな。

でも先生がいないと大体レナかリサのどっちかが喰われるんですよねえ。

 

 

あ、線路に降りる時はサードレールに気をつけましょう。

今は電気が来ていないから大丈夫ですがジルが地下鉄に電気を通電させると660vの高電圧がサードレールに流れます。触れたら感電即死です。

せっかく先生が助けてくれたというのにこんなところで死んでしまうのはなんとも情けないことです。

だからレナータ君無闇に触らないの。いまは電流きていないですが何かの拍子で電気が流れる可能性だってあるんですからねー

 

高圧電流が流れるところは無闇に触らない。これ鉄則だよ。

 

では地下鉄での避難なのですが隊長曰く電車の整備が必要だそうです。そこで整備に必要な部品を集めて欲しいとのことでした。

 

なんで子供に頼み込んでんねんと思いますがさっきの動きを見て使えると思ったのでしょうね。知らんけど

 

 

ちなみにこの場にいるのは隊長と信用しちゃいけないわるーいおじさんのニコライです。

でもニコライは内心私達に手伝いを頼むのは反対なようです。まあ子供だからという理由ではなく単純に子供の手を借りるようなことはないというプライドでしょう。

そもそも子供に手伝いをさせるなんて非常識なことをさせようとするのも自分たちが生き残るのに精一杯だからでしょうね。

 

 

とりあえず列車の整備に必要な部品を確認します。

 

列車の下に潜り込んで作業をしている隊員に話を聞いてみましょう。

ふむふむどうやらショートした配線に変わるものと、ノッチ戻しをしてしまったからか焼けて破損した抵抗器の交換、あとオイルですね。

 

 

 

では早速ですがこれらの部品を探します。と言ってもオイル以外のものはそう簡単に手に入るものではありません。

まず電車用抵抗器なんてどうやって探して来ればいいのやらです。普通なら……

 

そうですここは地下鉄。列車はあの1両だけなんてことはありません。

というわけで他の電車を探します。共食い整備の時間じゃ!

 

 

地下鉄線路を降りて左側のトンネルをずっと進んでいくと奴らの巣がちらほら見えてきます。そうメガバイト、ギガバイト達です。

なんか容量の単位みたいな名前ですが皆さんお馴染みのノミちゃんです。FPS視点だとこいつら気持ち悪いです。さっさと倒しちゃいましょうねー。

ちなみにこいつらの罠にかかって列車の一部はやられています。

この奥にある電車もそのうちの一つというバックグランドがあります。恐ろしや恐ろしや。

ただし見掛け倒しで結構弱体化されています。ボスであったギガバイトでも確定でもショットガン6発で倒せちゃいます。

ただし配置は2体。数が増えたぞー。

 

ちなみにこの繭ですが一部には食料である人間が入っています。流石に全部の人間をいっぺんに吸血するなんて頭の悪いことはしないようですがそれはそれで恐ろしいです。蜘蛛もそうですが自然界は相手を捕食するのにえげつないことをやりすぎでしょう。

生きたまま体に溶解液を流し込まれて内部を溶かされるとか嫌すぎる。

 

あ、繭が動いた。まだ生きているのでしょうか?あーだめっぽいですね。

気持ち悪いですねえ。この先に列車があります。都合よく保線用トロッコもあります。ディーゼル車もありますがこちらは燃料切れのため動かせません。それにトロッコといっても炭鉱においてあるようなものではなく平べったい板のようなものです。あ、平べったいのはリサとレナだけです。残酷だ。

 

 

 

では部品調達と行きましょうかねえ。

おっとオイルがありません。オイル調達は一度地上に出る必要があります。

ですが地上へ向かう場合レナを連れて行くとはぐれる羽目になります。RTAでは大幅なロスに繋がるのでやりませんがイベント回収があるのでやりましょう。

 

では通風口に備え付けられた梯子を使って地上へ出ます。リサは集めた部品を先に電車に送り届けます。

ちなみにリサの死亡フラグはさっきで途絶えたのでもう放っておいて大丈夫です。

 

 

地上はいつもどおり大惨事になっています。爆発と炎でめちゃめちゃですね。

オイルは近くにあるガソリンスタンドで回収できます。

正確にはガソリンスタンド併設の整備工場にある潤滑油です。電車はどうやら車軸の潤滑油が全部抜けてしまったところがあるらしくその影響で動かせないようです。

潤滑油大事。絶対。

 

ではガソリンスタンドに2人で突入です。途中でハンドガンの弾と警察車両からショットガン(12ゲージ弾多数)を強奪しておきましょう。武器が多いに越したことはないですからね。

 

 

 

はいオイルを回収したところでイベントです。なんと暴走したバスがこちらに突っ込んできます。

はい回避です。ですがレナと方向が反対になってしまいそれぞれ別の所に転がってしまいます。

ガソリンスタンドに飛び込んだタンクローリーが全部吹き飛ばしました。

 

レナもめぐねえも無事なのが恐ろしい。

 

 

分断されたレナとめぐねえですがめぐねえはオイルもあるので地下鉄に戻ります。レナの方は無理そうなので警察署のほうに向かいます。ではきりがいいので今回はここまで。御視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

学校から命辛々逃げてきた私は、UBCSと言う兵隊のような人たちに案内されて地下鉄に逃げ込んだ。ブラッドさんは他の人の避難誘導をしにまた燃える街に戻っていった。

その背中を見送りながら、いつもと変わらず薄暗くて少しだけ不気味な地下鉄の入り口を駆け下りていく。

ホームまで行くと、電車が1編成ホームに停車していた。ニューヨーク地下鉄で使用されているものと同型で、元から走っていた車両が老朽化したため置き換えるために去年から導入された列車だ。だけれどその車内は薄暗く、ホームの明かりだけが車内を照らしていた。

 

レナ達はどこだろうと探していると、空いている列車の扉から2人が飛び出してきた。

「めぐみ!大丈夫だったんだね!」

レナが抱きついてきた。倒れないように体重をかけて堪える。

「当たり前よ。これくらいなら平気」

本当はすごく怖かったし死ぬかもしれないという恐怖で壊れそうだったけれど、それを顔に出したら2人とも絶対不安になっちゃう。だからここは堪えて笑顔を作った。

「でもどうしてこっちに?」

 

「救助に来たヘリが重量オーバーで……」

リサの問いにそう答える。実際ヘリは重量オーバーだったのだから仕方がない。元々ある程度は覚悟していた。最悪の想定だったけれど……

 

 

そんな再開の喜びも束の間だった。

「なんだと⁈」

UBCS隊員の1人が血相を変えて後から入ってきた別の隊員と話していた。所々訛りが強く聞き取れなかったけれどただことでないというのは理解できた。

「まずい化け物共が押し寄せてくるぞ!」

 

「早く入り口を封鎖するんだ!」

ホームに残っていた隊員さんが入り口に向かって走っていってしまった。

 

「騒がしいけれど何かあったの?」

 

「えっと……確認しにいきましょう」

私たちを連れてきた隊員さんは再び地上に戻っていってしまって、この場にはUBCSの隊員は3人しかいなかった。

そのうちひとりは怪我をしているのか脇腹を抑えている初老の人だった。多分隊長さんとか言われそうな感じだ。

多分あの人に聞いても教えてもらえなさそうな感じがした。

 

そこで私達は、入り口の方に走っていってしまった隊員を追いかけることにした。私が入ってきた入り口の方で別の人と話をしていた。多分生存者を探し出してくるように言っていたんだと思う。私達が話しかける前に1人は外に駆け出していった。

「どうしたんですか!」

 

「奴らがきやがったんだ!こっちの防護シャッターは壊れているってのに……お嬢ちゃんたちも早く逃げろ!」

ニット帽のようなものをかぶった隊員さんはそう叫んで、入り口から外に飛び出し、何かに向かって攻撃をしていた。ただ事ではない情態だった。

レナとリサの顔色も真っ青になっていた。あの化け物が沢山やってきているなんて……

「……バリケードを作るわよ」

どうしたら良いのかを考えていると、レナが徐にそう言った。

「バリケードってレナ本気なの?」

 

「本気よ。死にたくないなら行動あるのみよ」

 

確かにそうだけれど……

いやなにを迷っているの。出来る限りのことはしないと!自分の身は自分で守るそれが鉄則だった筈だ。

「わかったわ。手伝う」

 

「レナとメグがやるなら私も手伝うわ」

 

「2人ともありがとう。それじゃあリサは私と一緒に来て。めぐみは紐とか板とか補強材料になりそうなものを集めてきてくれるかい?」

 

「ええ…分かったわ」

 

 

2人と分かれて私は駅の事務室や倉庫などを片っ端から漁った。

事務室には数日前から暴動が激化していたことを受けてバリケードの資材がある程度備えられていた。

どうやら総括主任さんが副駅長に依頼を出していたものらしい。

届いたもの数日前。どうやらまだ使われていないようだった。

 

太めの荒縄と針金、厚い木の板にガス式の釘打ち機。それらをバリケードを構築する場所に集めていく。

私が三回目の往復を終える頃には、レナ達が運んできたロッカーなどが、通路に置かれていた。

 

「色々と集まったみたいだね……」

 

「重たかった……」

レナ達はすごく疲れているようだった。無理もない。だってロッカーを3つも四つも2人だけでここまで持ってきたのだろう。先生は怪我をしていて列車の中にいるようだったし…流石に疲れてしまっても仕方がない。

 

ここからは私がどうにかしないと……

いくつかのロッカーを押して、位置を整え、紐と板で補強、上の方まで登って来られないようにしっかりと塞いで行く。途中からレナ達も加わって急ピッチでバリケードが組み上げられていった。左右に空いた隙間も板で封鎖していく。でも一箇所だけは最後まで開けておく。さっき外に出て行った隊員さん達が戻ってきたときのためにだ。

 

だけれど、ギリギリまで待つこともなく、隊員さんが駆けて戻ってきた。だけれどそれはニット帽を被った人でも、最初に飛び出していった人でもない。がたいの良いロシア系の人だった。

ただその後ろからあの化け物もやってきていた。

「早く入ってください!」

 

「子供か?まさかバリケードを?」

 

「「早く‼︎」」

 

私達が開けておいた隙間から入り込んだその隊員は、バリケードの隙間からやってくる化け物に向かって銃を放っていた。

もうこれ以上は待てない。すぐに板で最後の隙間を封鎖し、釘でガッチリと固定していく。固定し終わった直後に、化物がバリケードにぶつかったのか大きな音がした。

 

ガッチリとバリケードが化け物を押さえつけた。即席で作ったけれど大丈夫そうだ。

 

これで大丈夫……そう思った矢先だった。

 

レナとリサが背を向けていた扉…排煙室とプレートが付いていた扉が勢いよく開かれた。

 

「「……え⁈」」

誰もがあっけに取られるしかなかった。飛び出してきた化け物が2人を捕まえようと手を伸ばす。

「このやろおおおお‼︎うちの生徒に手出してんじゃねえぞ!」

だけれどその手は2人をつかむことなく、見知った声にかき消された。

「先生‼︎」

怪我をして列車で寝ているはずだった先生がそこにいた。顔色はかなり悪くなっていて、土気色をしていたけれど、それでもその姿は力強かった。

「なにやってるんですか!」

目標を確保し損ねた化け物の後ろから別の化け物が飛び出してきて先生を掴んだ。再び肩に噛みつく。

「先生っ!」

私たちが先生からそれを引き剥がそうとする前に、先生は強引に化け物二体を押さえつけ部屋に押し戻した。

自分ごと……

 

 

「うるさい!こいつら黙らせてくるからお前らは入ってくるんじゃねえぞ!」

そう一方的に叫んで先生は排煙室の扉をしめてしまった。中からは暴れるような音が聞こえる。慌てて扉を開けようとしたけれど内側から鍵をかけられてしまった。

 

「先生!そんなっ!先生!」

もしかしたらこの隊員さんだったらどうにかしてくれるのではないか。そう思い声をかけようとしたけれど…隊員さんは冷たく言い放った。

「あいつはもう無理だ諦めろ」

 

それからどうしたのかはよく覚えていない。気づけば私達は、ホームのベンチに座り込んでいた。

誰1人としてなにもはなさい。話せなかった。

 

「感傷に浸っているところ悪いのだが…手伝ってはくれないだろうか?」

 

そう言ってきたのは初老の隊員だった。

 

 

 

 

 

 

 

「どこに向かうの?」

 

「車両基地があれば車両基地かなって……まあそれ以外にも当てがあるから歩いているんだけれどね」

 

あの初老の隊長…ミハイルさんは、列車の修理に必要な部品を集めるのを手伝って欲しいと私達に依頼してきた。

一般人に頼むようなことでは無いとロシア人のような隊員、ニコライさんは反対した。だけれど人手が足りないなどの理由から結局私たちは手伝いを申し出た。

それが15分ほど前。

それから線路をずっと歩いている。灯りなんてものはほとんど切れてしまっていてトンネル内は真っ暗だった。レナが持ってきた懐中電灯の明かりだけが頼りだった。

「何かあるよ!」

 

「リサよく見えるね…懐中電灯しか明かりないのに」

 

「私は暗闇に強いのよ!」

 

それは先頭車両が繭のような何かに絡めとられて動けなくなっている列車だった。偶然にもそれはホームに止まっていたものと同じで導入されたばかりのものだった。窓から中をみようとしたけれど、所々で血の跡がこびりついていた。車内は見ないほいが良いかもしれない。

「この列車使えるかも」

ふと思いついた。この列車から使える部品を取り出して使うというのはどうだろうか?

「なるほど、共食い整備ってやつね」

レナは共食い整備と言った。なんだか嫌な言い方だ。

「使える部品が残っていると良いんだけど……」

 

「でもどの部品がどこにあるって分かるの?」

「リサ、それは大丈夫だよ写真があるからそれと照らし合わせながら外していけば良いさ。部品はそこのトロッコで運ぼう」

 

「トロッコというか…工具運搬用車両」

 

 

ガサガサ……

 

「どうやら私達は招かれざる者らしい」

 

巨大な黒い虫のような化け物が出てきたけれど、銃と言う文明の力が私達を守ってくれた。

動きが速いわけではなかったから、ゆっくり落ち着いて狙えば簡単に当てることができた。それにしても気色悪い。どうしてこんな化け物が…

 

「気色悪いわ……」

私とレナが近寄ってくる巨大な虫のようなそれを排除。その間にリサが部品を取り外すことになった。

「早めに部品を取ってしまおう」

はじめはどうやって外すか戸惑っていたリサも、コツを覚えたのか元々機械いじりが好きだった性格だからか、気が付くと必要な部品をほとんど外し終えていた。

「後は潤滑油だけか……流石にそれは車両から取り出すのは難しいかな」

 

「そうね…取り出す用に作られているわけじゃないもの」

 

「どうするの?」

 

「ガソリンスタンドとか車なんかの整備場だったら潤滑油くらいあるはずさ。電車用に使っても短時間くらいなら問題はないはずだよ」

レナはそう言ったけれど、ガソリンスタンドも整備場もおそらく地上だ。かなり危険な場所だと思うけれど……いや安全な場所などもうないのだ。今更どこにいても危険は付き纏う。

「換気口から出られそうだ」

そう言ってレナが指さしたところには確かに梯子のついた換気口があった。

「リサは先に部品を列車に持って帰って」

 

「わかった。気をつけてね2人とも」

 

 

地上に出るために網目状の蓋をこじ開けると、熱風と瓦礫の匂いが吹き荒れた。

先に上ったレナが、そっと頭を外に出して様子を見る。大丈夫だったらしい。私も続いて外に出る。

 

どうやら道路の近くだったらしい。ブティックの店が目の前にあった。

その少し先にガソリンスタンドの看板が立っていた。

あそこって……

 

「ついてるね。行ってみよう」

 

幸い近くには化け物はいなさそうだった。

 

ガソリンスタンドはシャッターが完全に開かれていて、備品も何もそのままになっていた。

「これなら期待できそうだね」

 

「うん……えっとこっちだね」

整備工場を兼ねていることが多いガソリンスタンドの例に漏れずここも整備場があった。油と金属の混ざった匂いが充満している。

置かれている車のすぐそばにポリタンクのようなものがあった。中身は少し黒い安平のようなものが入っていた。

「これって…あーこれは廃油だね」

そう言ってレナは廃油の入ったタンクをそっと端っこに下ろした。

「あったよ。こっちが潤滑油だ」

レナがガレージの奥からポリタンクを持ってきた。

 

 

無事に潤滑油も見つかったのでガレージを後にし、道路まで出てきた。一瞬クラクションのようなものが聞こえた気がした。気のせい……ではなかった。

何かがぶつかる音と、引き摺られる音がした。

 

「あれって……」

それはバスだった。路線バス…それが暴走してこちらの突っ込んできていた。

窓ガラスにはあの化け物たちが蠢いているのが少しだけ映し出されていた。

「まずい逃げっ‼︎」

 

とっさに私は駆けた。レナと反対方向に向かって……

私達がいたところをバスが通過し、ガソリンスタンドに突っ込んだ。給油装置をいくつかなぎ倒し、事務所に突っ込んだバス。

やばい……すぐにその場を離れたけれど、爆発の衝撃は私の体を吹き飛ばし、地面に叩きつけた。

目眩と激痛で意識が混濁しかける。それでも潤滑油が入ったタンクだけは手放していなかった。

 

 

ようやく私が起きたときには、ガソリンスタンドは火に包まれ、吹き飛んでいた。

「レナーーーッ‼︎」

炎の奥に向かって叫んだ。無事だよね?無事だよねと自問自答のように言い聞かせて。

「こっちは大丈夫だよっ!」

レナの声だ。それが聞けただけでも安心だった。だけれど燃える車とガソリンスタンドで向こうまではいけそうになかった。

「どうしよう……」

 

「先に地下鉄に行って‼︎私は警察署に行く!」

警察署…そうか!確かにあそこなら救助のすぐにやってくるはず……

 

「分かったっ!気をつけて!」

 

既に周りには化け物が集まり始めていた。すぐに換気口に滑り込む。

ポリタンクが重たい。吹っ飛ばされた時に腕を地面に擦っているらしく左腕から血が流れていた。

後で手当てしないと……

 

 

 



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おまけ編 めぐねえがいくRe3 その4

のんびりイベント回収をしていくめぐねえ篇はーじまーるよー!

 

前回悲しいことにめぐねえとレナータが泣き別れ(違う)してしまいましたが今2人はも元気でーす。

早速地下鉄線路に戻ってきたところです。端っこの方にショットガンの弾が落ちていたりするのでそれを回収してからみんなのところに向かいます。

 

ちなみにまだ電気は通っていないので部品を集めて修理が終わっても走れません。

それとこの先の退避用側溝に入ると衣装チェンジができます。今回はそうですね。シスター服にしましょう。

めぐねえの留学していた学校がクリスチャンの学校なのであそこで立てこもっているとシスター服の生徒も出てくるようです。まあ旨味がない上にイベントがほぼ起こらず終わるので今回は通っていませんが。

 

ではここからは再びムービーです。

潤滑油を入れたタンクを迎えてくれたUBCSの隊員に渡して、すぐ電車に乗ります。

すると先に戻っていたリサが駆け寄ってきます。レナはどうしたと聞いてきたのでめぐねえは素直に事情を説明しました。

というわけでここからは場面スイッチです。

主人公が一時的にレナータに変更になります。

時刻は9/28日午後9時を回ったところです。もうすっかり夜になってしまいましたねえ。

では早速感染者を回避して警察署に行くことにしましょう。

警察署はまだこの時点では機能を維持しています。と言っても選抜警官隊が夕方近くにメインストリート確保の名目で出動してしまっているので現状残っているのは生き残ったわずかな警官のみですけれどね。

 

燃えるバスや事故車を乗り越えていくつかの建物の中を素通りすると、ようやく警察署の表門が見えてきました。この時点ではまだここまで感染者は押し寄せていないのか道路も比較的きれいです。

ではちょっとだけこっちも寄り道しましょう。

目的地はブティック店。レナータ操作ではここでのみ洋服の切り替えが可能となっています。

では色々ありますが…折角ですしラクーン君のもこもこパジャマにしましょう。入手方法は動物園ロッカーに入っているのを見つければ良いだけです。

動きに影響もなくなんだか可愛らしい姿です。フードの部分には機械仕掛けでピコピコ動く耳も付いているのである意味ネタ枠です。

そもそもこんな格好した幼女が街を歩いている時点でやべえのですけれど。

 

着替え終わったのですぐに警察署に入りましょう。

入ると再びムービーとなります。

 

先に避難していた一般市民が集まっている正面ホールに飛び込んでしまったので結構混乱されました。

まあ問題ないとわかるとすぐ冷静になってくれますけれどね。

 

「これ、飲みなさい。気分が落ち着くわよ」

 

お、アリッサさんじゃないすかおすおす!

なるほどアリッサがこっちにいるということは……ケビンもいました。

 

Re3版ではOBキャラの一部は決まったペアで各場所にランダムに出現します。

今回はアリッサ、ケビンペアのようです。

となるとネストの方にはヨーコとシンディペアですね。まあ行きませんけれど。

 

ここでレナの解説

今作のレナータはめぐねえよりも体力と瞬発力に優れ、珍しく組みつかれた時に一定確率で自動振り払いが入ります。この場合噛まれることなくその場を切り抜けられるメリットがある分荷物搭載量はめぐねえからさらに一つ減っています。まためぐねえが各種武器を使用できるのに対しレナは拳銃とショットガンに対応する武器しか使用できません。

なので使える武器や弾が制限を受ける上にそもそも弾が出てこない。グリーンおハーブなどの出現率もめぐねえと比べて2割減です。

まあダメージ受けなきゃどうってことないですからね。

 

 

お、マービンさんじゃないですかオスオス。

え?ここに感染者の軍団が押し寄せているから今すぐ避難だって?避難先は?ヘリポートねえ。あ、これ絶対ダメなパターンだわ。

今救援を呼びに警官が1人行っているから待っていろって?

 

そんなことで燻って待っているこいつらじゃない。

アリッサさんが署内に残された武器を集めると言い出します。これには流石にマービンさんも文句は言えません。

ただし現在警察署内は8割が感染者で占領され、ギリギリ安全を確保出来ているのも、メインホールのみという惨状です。

 

ではレナータはケビン兄貴と一緒に行動しましょう。

 

え?他のモブさん達はみんな思い思いの鈍器を持ってこのセーフスポットを死守しますよ。

 

ではシャッターを開けて突入!

うーん真っ暗です。レナはちっこいので先発して強行偵察してあげましょうね。危険なときはケビンのスペシャルな拳銃が援護してくれますので安心です。

 

 

うんいますねえ…ちなみにまだ生きている警官も何人かいますが彼らはレナ達とは反対側の捜索をやっています。武器集めも命がけとかどうしてくれんだよ。

お、12ゲージ弾とショートバレルのショットガンですね。選抜警官隊が置いて行った室内戦闘想定の武器です。

それにしてもガラクタが多いですねえ。

武器を集めるのに武器を使ってしまうのはちょっとあれなのでなるべく感染者はナイフで締めていきましょう。アリッサさんは二階の探索です。

あ、リッカー先輩!いや違いますね。これはリッカーもどき!

サスペンデッドさんじゃないすか。

ちーっす、調子はどう?あーなにお腹空いているの。なら鉛玉どぞどぞ。

 

ちなみに今の段階では倒せません。それと追いかけてくることもないので放置で大丈夫でしょう。

 

 

武器と一緒に鍵も手に入れました。この鍵は二階探索の時に使用することになりますので持っておきましょう。

さて一階ですがあらかたあさり終わったので戻ることにします。一度集めた武器をメインホールにおき、今度は二階へ突撃をかまします。

 

 

階段で通せんぼする警官の感染者がいますがケビンさんと一緒の場合ムービーで階段下に突き飛ばすというなんとも豪快な排除をします。

うん流石ケビンさん容赦がねえ……

 

 

では鍵を使って入る部屋はちょっとした資料が置いてある場所です。まあ経過報告書のようなものです。これを読むと中ボス戦です。先ほど出てきたサスペンデッドさんが再び天井から登場します。

ケビンと一緒に鉛の弾をたくさんプレゼントしましょう!だいたい2人合わせて拳銃弾10発で中ボス戦終了です。

基本攻撃はこいつの場合舌だけですがその舌が厄介なのでしっかりと攻撃を見極めて緊急回避しましょう。

弾をある程度叩き込むと、ムービーに入ります。

大きく痛みに悶えたサスペンデッドがレナ目掛けて舌を放ちます。回避するにはスペースが足りず、思わず腕をからめ取られます。ケビンさんがそれを外そうとしますがはじめての腕による攻撃で吹き飛ばされてしまいます。

このままでは即死判定が入ってしまう。そこへ扉を蹴破って入ってきたのはなんとアリッサ姐さん。どこで手に入れたのかわかりませんが火炎放射器でサスペンデッドを焼いていきます。これには流石にサスペンデッドさんも耐えられない‼︎試合終了のコングがなったー!(なって無い)

 

 

上手に焼けましたー

それにしても他に延焼させずサスペンデッドだけを的確に焼き尽くすとはさすがアリッサ。

「どこで武器の使い方を覚えた?」

「説明書を読んだのよ」

 

流石アリッサ……

では武器もあらかた集まってきたのでメインホールに戻りましょう。

途中感染者がかなりの数で追いかけてくるので、メインホールに戻ったらすぐ東側西側両方の通路の防火シャッターをおろしましょう。

おろすと待機していた一般人がすぐにテープでテキパキと封鎖していきます。

 

封鎖し終わったタイミングで外を見張っていた警官が感染者の群れが来たと叫びます。すぐに玄関口で防衛戦をしましょう!

門はあっさりと突破されるのでその少し手前をキルゾーンとすると良いです。

 

では早速拳銃を構えてよーい…ファイト‼︎

 

5、6体一気に入ってきますので素早く頭を撃ちましょう!この距離だとレナータならちゃんと狙うを絞れば補正でヘッドショットになります。結構近いので相手との間合いを常に意識しましょう(3敗)特にレナはHPなんてあってなきに等しいのでね。

 

 

集めた弾薬もどんどん使ってしましましょう。

あ、拳銃弾が切れました(38口径)では次は45口径を使ってみましょう。

こっちの方が大きくてパワフルなのでヘッドショットしやすいのですが反動が大きい上に弾数が少ないのが問題です。

まああとショットガンにナイフにバットもあるので特に焦らなくても大丈夫。

 

 

45口径も無くなったのでここからはショットガンでまとめて吹っ飛ばします。

敵の数は後15体程です。

なるべく一発で複数体を同時に処理した方が楽になります。

オラオラ!走ってこないような奴らなんぞただの的だあああ‼︎

 

 

 

 

はい、凌ぎ切りました。

正直レナータの体格ではナイフやバットでは感染者を相手するのは荷が重かったのでショットガンが残っているうちに終わらせることができて大満足です。

早速救助に来た車に乗り込みましょう。すぐにゾンビゾンビの第二陣が来ます。

 

マービンはどうするかって?他にも数名がここに残ることにしたようです。ああなんて漢なんだこの警官たち。

それじゃあ急ぎましょうねー。

救助に来た車両は2両。そのうちレナータはアリッサやケビンとは違う車両に乗り込みます。

 

さらばラクーン市警。もう二度と来たくないところです。ラクーン警察署が見えなくなり、ようやく一息つきました。では今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

ガソリンスタンドが吹き飛び、私の体は路肩に止まっていた車のフロントガラスに叩きつけられた。

体がバラバラになったのではないかと言うような痛みが全身を打ち付け、皮肉にもそのおかげで意識を失わなかったのはなんとまあ……人体の理不尽だね。

 

 

「メグ!大丈夫かい!」

 

「大丈夫!」

よかっためぐみの方も無事だった。だけれど周囲は爆発に引き寄せられたゾンビが集まりはじめていた。このままだともれなく私は彼らの餌となってしまう。

「ここは危険だ!警察署に行く!」

少しでも安全そうな場所…近くだと警察署くらいしか思い浮かばなかった。

 

 

そこからはどうやって駆け巡ったのかはよく覚えていない。何度か転んで膝小僧を擦り剥いたようだけれど私には覚えていなかった。ただ集まりはじめていたゾンビの中を強引に突っ切り、気づけば私は独特な外見をしているラクーンシティ警察署にたどり着いていた。

なんでここにくると懐かしさを覚えるのだろう?

そう何回もきた訳じゃないっているのにね。

 

幸いにも扉に鍵はかかっていなかった。すぐに警察署に飛び込むように避難した。

「誰だ!」

先客がいた。いや、避難していた人達がここにもいた。突然入ってきた私に銃口を向けるというおまけ付きだったけれど。

「まってまって……」

 

「なんだ子供か。すまないな」

私に銃口を向けていた男はそう言って奥へくるように手招きをした。どうやら優しい人らしい。

 

「こちらこそすまない」

見渡せばメインホールには十数人ほど避難してきた人達がいた。

警官服の人も数人だけど端っこの通路につながっているであろう扉と防火シャッターの近くに立っていた。

 

どうやら一般に開放しているのはこのメインホールだけのようだ。いや、それ以外の場所はもしかしたら危険すぎるのかもしれない。

 

一息ついた途端体から体が抜けた。そのまま階段にへたり込む。

今更になって命の駆け引きをしていた実感が襲ってきた。腕が震えている。興奮状態だったせいか非日常だったせいか自分の行動がどれほどバカげたものだったのか。ようやく頭が理解してきた。

「生きているって素晴らしいね……」

 

 

「大変だったでしょ。これ飲んで良いからね」

そう言って赤色のスーツを着た女性がペットボトルを持ってきた。

「ありがとう……貴女は…」

 

「アリッサよ。記者をしているの」

 

「記者ですか…ってなるとこの惨劇も?」

 

「生き延びたら記事にしようと思っているの」

そう言ってアリッサさんはメモ帳を見せてくれた。なるほどそれに記録していくわけか。

 

 

少しだけ疲れが取れてきた。改めて体の傷を確認すれば膝を擦り剥いた以外に目立った傷はなかったよ打撲くらいあってもいいだろうと思ったけれどそれはそれで痛そうだから考えないことにした。

しかし警察署に避難したのは良いけれどこれからどうするべきか……警官に聞いてみようとしたけれどとてもじゃないけれどそんな雰囲気ではなさそうだった。

おそらくこの状態では指揮系統も機能していないのではないかな。

だとすると警官ばかりをあてにするのは無理か。

 

「これからここを脱出しヘリの発着を行なっている場所まで移動する。今部下が避難のための車両をとってきているところだ。もう少しだけ待っていてくれ」

 

部屋に入ってきた警官がみんなに向かってそう言った。黒人の…確かマービンさんだったっけ?確か私達の学校に警戒の指示を出しに来た警官だ。うんそうだ間違いない。

 

「ここにヘリを呼ぶことはできないの?」

 

「残念だがメインホール以外はほとんど奴らに占拠されてしまっている。強行突破しようにも危険が大きすぎる。車なら玄関前まで乗り付けることができるからな」

脱出…つまりここも安全ではないということか。状況はかなりまずいのかもしれない。警察署でこれでは他の場所も軒並み似たようなものなのだろう。ヘリによる救助がまだ行われていたのが救いだ。

めぐみ達は大丈夫だろうか…まあ向こうは向こうでそれなりの人たちが避難誘導をしているのだから大丈夫だろう。

「わかった。それじゃあ待っていましょう。そっちの方が安全ね」

赤いスーツを着た女性の言葉で、その場は一時収まった。

だけれど悪いニュースは唐突に入ってくる。

 

「大変だ!奴らの群れがこっちにきてやがる!」

玄関から飛び込んできたのは警官だった。息を荒げているところを見ると走ってきたのだろう。

重要な情報を非難してきた人達がいるにもかかわらず大声で叫んだ。おかげで人々の合間に混乱が広がりはじめた。

「なんだって⁈」

これは相当深刻な事態だ。子供である私だってそれくらいのことは理解できる。

救助が来る前に彼らにこの場所が囲まれてしまってはこっちが脱出できなくなってしまう。

ならばやることは一つだ。

混乱してパニックを起こしはじめていた人達の中には私と同じことを考えている人もいたらしい。

「「徹底抗戦だ」」

アリッサさんとはどうやら気が合いそうだ。

「どうやらそこの子供も同じことを考えているらしいぜ。俺も手伝うよ」

少し態度が悪そうな警官が割り込んできた。

 

「あら、だったら用意しなくちゃね」



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おまけ編 めぐねえがいくRe3 その5

はいこんにちわ。今回はめぐねえのターンはーじまーるよー!

 

前回レナと別れたところから再びめぐねえ視点となります。

こちらはすぐにきた道を戻るだけなので特に何があるというわけではありません。帰る途中にバイト達が再配置されていますが最初通った時と同じなので落ち着いて攻撃すれば問題はありません。

それと電車の中を捜索することが可能になっています。ここを捜索するとなんとアサルトライフルがゲットできます。ただし車内の惨劇を見ることになるのでめぐねえの正気度がガクッと下がります。

 

ですがアサルトライフルはここでしか手に入らないので我慢しましょう。

列車の扉を開けて中に突入。地獄ですねここは。

 

バイトとギガバイト達による捕食によって列車の中にいた人間は揃って干からびています。

あいつら普通の感染者と違って血を吸っていくタイプだから怖いんですよねえ。カサカサのミイラになった人間が転がってますよ。

 

取り敢えず長くいると発狂するのですぐお目当てのものを持っていきましょう。

UBCS隊員のものと思われる遺体が列車の奥にあります。調べるとアサルトライフルが手に入ります。

 

モデルはコルトM4コマンドー、レシーバー上部にピカティ二レールが付いているのでM933の系列ですね。

ただグリップなど一部がオリジナルのものになっています。

ちなみにカスタムはできません。

 

とるべきものを取ったのでさっさと退散しましょう。

はい走れ走れ。

 

 

 

 

 

 

駅に戻ってきました。

持ってきた燃料を隊員の1人に渡して車内に戻りましょう。丁度ジルがこちらに避難してきたのと入れ違いになります。今頃は変電所の電源回復でもしている頃でしょう。

こちらはその間車内でおとなしくしておきます。と言ってもやることは一つ。リサの好感度上げです。

ここくらいしか他にリサの好感度を上げる場所がないので忘れないようにやっておきます。RTAをする場合リサとの好感度は低いままでも問題はありませんがイベント回収を目的とする場合一定以上無いとイベントが発生しなくなります。

 

というわけでリサとお話しターイム。取り敢えず選択する会話は適当で大丈夫です。基本好感度は全てで上昇しますのでどれを選んでも同じです。ここら辺はPLの趣味に任せましょう。

5、6ほど会話を選択すると、電車側に電気がやってきます。

ジルが変電所を回復させた証拠です。

ここからは電車が発車するまで点検含めて1時間ほどあります。

その間何もないのかと言うとそういうことはありません。

 

 

地上でジルとネメシスがどんぱち賑やかにしている合間こっちはこっちで忙しいことになります。なんと感染者達が地下鉄に集まり始めます。

 

なんでここに来るのでしょうねえ。ほんと嫌になっちゃう。

最終的な感染者はラクーンシティで10万人近くとなっているので集まってきている感染者だけでも3桁くらいいます。

こいつら全員を戦って倒すなんてのは無理なので、今回は爆薬で吹き飛ばします。

OBで行われていたメインストリート爆破作戦。あれを行います。

と言ってもやるのは地下です。

まずサック来たトンネルに隊員と一緒に向かいます。

メガネをかけたスキンヘッドのお兄さんが指揮をしてくれるのでそれに従っていればOKです。

隊員がトンネルの内部で爆弾の設置作業を行います。

 

感染者が迫ってきているのでそれを倒します。スキンヘッドさんがどうやって状況を把握しているのかは不明ですが結構正確な誘導してくれるので助かります。

 

 

あ、そうそうここにある側溝で衣装チェンジしちゃいましょう。今回はそうですね……巡ヶ丘高校三年生の制服にしましょう。

めぐねえは中学生ですが知ったこっちゃないです。可愛いから許して。

せっかくなのでリサも服を変えちゃいましょう。

えー…着ぐるみです。ラクーン君の着ぐるみです。

特典として動物園のロッカーから手に入るやつです。

前回レナに着せたのはもこもこのパジャマです。頭の部分がフード状になったやつですがこっちは遊園地などで見かけるであろうタイプの着ぐるみ。しかも近接攻撃を行うに連れて汚れと返り血がついていくという嫌すぎるやつです。

ロビ○君かな?

ではこのコスチュームでやっていきます。

みんな武器はもったな?いくぞおおお‼︎

 

早速感染者の群れ第一弾がトンネルの奥からやってきます。

まあ防衛ラインを決めてちゃんと遠距離から当てていけば特に突破されるようなことはありません。正直アンブレラクロ◯クルズみたいなものです。

あ、早速リサが近接攻撃してますね。

NPCはある程度銃でダメージを与えると節約のためトドメを近接攻撃でするように設定されています。

うーんもう着ぐるみが汚れてしまってますね。こっちが怖いわ。

 

アサルトライフルですが、弾は弾薬箱から頂戴しています。

なのでよほどのことがない限りここで弾切れになる人は少ないです。

ただしこの後補充が難しいことを考えるとなるべく節約していきましょう。

 

第一弾が終われば続けて第二弾。今度は犬まで含まれます。

正直犬が一番面倒なので先に倒してしまいます。

 

正直犬相手であればショットガンが一番楽なのですが武器を多く持てないのでアサルトライフルに絞りました。

正直他にも援護してくれる隊員がいるので撃ち漏らしたところで危険は少ないです。

 

 

はいどうにか切り抜けました。

 

第三弾はなんとハンターγなんでここにきているのかというと実はここの真上は下水道があります。

古い地下鉄に古い下水道なので仕方がないのですが、天井からハンターγの登場シーンです。いったいどこから現れたんだと言わんばかりにUBCS隊員を丸呑みしてしまいます。本当どこからきたんですかねこいつら。

 

めぐねえもγに死角から襲われます。ですが、間一髪のところでリサが助けてくれます。ついでにめぐねえの銃を借りる形で、登場したγを排除していきます。

やべえ子ですわ。ついでにめぐねえの胸が揺れる揺れる。うーん目に薬だ。

ロビー君の着ぐるみじゃなければねえ。

 

 

 

 

では早速戦闘です。こいつら水がない場所にいるせいか結構弱ってます。常に口開けちゃっていますのでそんなに倒すのは難しくありません。っていうか簡単です。数が多いのが一番の問題です。こいつら十体もまとめてくるんじゃねえよ本当。なんでこんなに繁殖しているの?

しかもそいつらの後ろに大量の感染者がいますし。

 

キモいキモいキモい。

無駄にリアルになると気持ち悪さ全開ですね。

お、どうやら爆薬仕掛け終わったらしいですねでは撤退を……

 

 

 

あ、おっ前何して…ああああああ!

点火装置持ったやつが不意打ちで襲われるとかありですか⁈ってかこんなイベント知らんぞ!まだ安全圏じゃないのに!

はい⁇リサさん何してるんですか!

それ触っちゃダメ!ここで吹っ飛ばすものじゃ……

 

 

 

 

はいなんとか凌ぎ切りました。えー……死にかけましたけれど。

発狂したのかなんなのか知りませんけれどリサさんが起爆スイッチを押したのにはびびりました。着ぐるみのせいで余計に怖く見えましたよ。

いやはや、着替えに使った側溝にリサを引き摺り込むのが間に合ってよかったよかった。

爆風で吹っ飛ばされたら誰だって即死ですからね。

 

ほら見てくださいよ。外にいた感染者が軒並み吹き飛んでいますよ。その上トンネルの外壁が一部崩壊して埋まってしまいました。送電再開しているのに大丈夫なのだろうかと思ったのですがどうやらここらへんは別の変電所の電力が来ていたらしくジルが復旧させたところの電気は通っていないようです。

 

いやあよかったよかった。では電車に戻って発車を待ちましょう。区切りがいいので今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか地下に戻ってくることができた。脱線したままの電車のそばに来た時、ふと中から動くような気配がした。もしかして生存者でもいたのだろうか?明らかに危険だったけれど、生存者だったら見捨てるわけにもいかなかった。

電車の扉は外側からでも開けられるように、赤色に塗られた非常弁が取り付けられていた。

弁を回すと空気が抜ける音がして、扉を押さえつけていた力が抜けた。

扉を手で開けて中によじ登る。車内の明かりもないからか真っ暗で何も見えない。懐中電灯を照らしてようやく車内の光景を目の当たりにした。

飛び散った血と、内臓物が車内を赤く汚し、幾つもの人間がその中で横たわっていた。その全てがまるで水分を吸い取られたかのように干からびていて、まるでミイラのような状態になっていた。

 

「うっ……」

あまりの惨劇に思わず吐きそうになった。

それでも、車内に漂う異臭とこみ上げる吐き気を抑えて奥に進む。

 

「だ、誰か助け……」

 

やっぱり生存者だった‼︎隣の車両の扉を開けて現れたのはボロボロの男性だった。酷い怪我だ。

 

「今助け……」

私が言い終わらないうちに、男が断末魔と共に隣の車両に吸い込まれていった。いや、後ろから引っ張られていったというべきだろうか。

 

すぐに隣の車両に向かったものの、そこにはもう男性の姿はなかった。あるのは横たわって干からびた人間の体だけだ。

 

 

奥へ進んでいくと、懐中電灯の灯りの中に、UBCSの制服を着た人影があった。近づいて確認してみるとそれは周りのそれと変わらず干からびていたけれど付けている装備は確かにUBCSのものだった。

手には大型のアサルトライフルが握られていた。もしかしてまだ使えるかもしれない。死者の体を漁るのは冒涜的だけれど今は非常事態だ。後で懺悔して償おう。

 

背後で音がした。

とっさに振り返る。懐中電灯が、音のした方を照らし、その正体を明らかにした。

「ヒッ‼︎」

 

それは巨大な黒い化け物だった。電車の外にいたやつより人周り大きい。

そんな化け物が、網棚の上に乗っかりこちらを見ていた。

もうそこからは無我夢中だった。隊員だったものからアサルトライフルを奪い、その化物のむけて乱射していた。

 

狙いがちゃんとできていたのかはわからない。跳ね上がる手を必死に抑えて出たら目に撃ち続けたマシンガンは十発ほど排出して弾切れとなった。

その頃にはその化け物は穴だらけとなり網棚にぶら下がるようにして息絶えていた。

「あ……あぁ……」

弾を補充しようと隊員だった者の服を探り、予備マガジンをいくつか回収することができた。

 

「戻らなきゃ……」

電車を後にする。こうなりたくないと必死に願うことしか今はできそうになかった。

 

 

「潤滑油用意できました!」

駅が放つ灯りが見えてきて、ようやく気持ちが落ち着いた。近くにいた隊員さんに潤滑油の入ったポリタンクを預ける。

「本当か!よくやった!すぐに準備に入る。今警官が電力を回復しに向かっているところだ。君達は車内で休んでいなさい」

 

 

車内に戻ると、先に戻ってきていたリサが抱きついてきた。

「めぐ!レナは?」

 

「上ではぐれちゃって…警察署の方に向かったわ」

 

「そっか……無事だと良いけれど」

 

 

 

 

少し話をしていると、急に電車の外が騒がしくなった。

「電気が復旧したみたいだね」

 

そっとドアから車外に出てみると、ニコライさんたちが何やら話をしていた。

 

「発車までは後1時間ほどかかる」

 

「ようやくか。さっさとここからおさらばしたいぜ」

 

ただ、そう簡単にはいかなかったようだ。

 

 

「大変だ!」

トンネルの奥から隊員が走ってきた。

「どうした?報告は正確にしてくれ」

 

「この先のトンネルに大量の奴らが!畜生あいつらどこから入ってきやがった!」

それは私達が部品を取りに行った方のトンネルだった。後から隊員達も向かっていたようだ。私が電車の中にあった隊員の体からドックタグを持ってくるのを忘れたからだけれど。そんなものがあるなんて知らなかった。

「おちつけ!」

動揺が広がっていくのを隊長さんが制する。すぐに指示を出しはじめた。工兵が持ってきた爆薬を使いトンネル内部で吹き飛ばすようだ。

 

「すまない手伝ってくれないか?」

 

 

 

 

 

 

すぐにテキパキと隊員さんは持ってきた爆薬をトンネル内部に仕掛けていた。

トンネルを爆破しても大丈夫なのだろうかと思ったけれど、大丈夫だから爆破するつもりなんだろうと深く考えるのはやめにした。

 

それよりもまずはあの化け物をどうにかしないと。

爆弾の設置をしているところの少し先には、彼らの群れがゆっくりと歩いてきていた。

呻き声が反響し重なり合って遠吠のように聞こえる。

前に出た護衛の隊員さんが攻撃を始めた。私達はその後ろで援護射撃を行う。

照準越しに、彼らの顔を見つめる。

一瞬先生の顔が脳裏をよぎった。いやもう先生は死んだのだ。でもこうして死者が蠢いている。

もしかしたら先生もあの中に混ざっているのではないだろうか?だとしたら私はそれを撃てるのかな?

 

頭を狙ったアサルトライフルの弾は頭上高く飛び越えて暗闇へ消えていった。やっぱり反動が大きい。拳銃より安定しない。

「それアサルトライフル?」

 

「う、うん」

 

「ならなるべく胸あたりを狙って、それでなるべく彼らが前後左右で重なる位置で撃ってみると良いよ」

 

リサがアドバイスをくれた。

「わ、わかった」

言われた通りに重なって見える彼らの胸のあたりを狙って引き金を引く。同時に、彼らの頭が大きくのけぞった。5.56ミリ弾は弾丸自体は小さいけれどそれなりの威力を持っていた。

 

「ナイス」

 

防衛は順調だった。幾ら数が多くてもトンネルという限られた空間では、一ヶ所に集まらざるおえない。数の暴力はこの場合は発揮できない。

なんとか防衛には成功していた。途中までは……

 

 

 

暗闇から黒い影が現れた。

 

「な、なんだこいーーうわああああ⁈」

 

目の前で反撃をしていた隊員さんの上半身が何かに飲み込まれた。

巨大な……蛇のようにその化け物は隊員を持ち上げると重力に任せて飲み込んだ。丸呑みだった。

 

屈強な男性があんなあっさりと……恐怖が体を凍りつかせる。

こちらを睨んだそいつは蛇というよりカエルのような顔をした、まさしく化け物だった。

近くにいた私とそれの目が合う。いや、目なんてあるのかどうかすらわからない。目のように見えたものは巨大なイボのような膨らみだった。

「危ない!」

 

「リサ⁈」

リサが私に飛びかかり、その場に押し倒した。直後さっきまで私の半身があったところをカエルのような化物の口が通過した。振り向き際にリサが銃弾を口に叩き込んだけれど、すぐに銃が弾切れを起こし、スライドが跳ね上がった。

「ッチ!」

私を襲おうとした化け物はその場に崩れ落ちたけれど、まだまだ数がいた。リサは私の上に乗ったままとっさに近くある武器を手に取った。

ショルダーベルトをつけていたから吹き飛ばされることがなく、なおかつ私の上に乗っかっていたもの。アサルトライフルだった。

 

ライフルが引っ張られ、ベルトが体に食い込んだ。胸の少し下あたりに銃の重さが押し付けられる。

「ちょっとリサ!」

 

「ちょっとめぐ黙ってて!舌噛むかもよ」

 

間髪入れずにライフルが火を吹いた。振動が直で体に伝わる。

単発射撃じゃない。連射だ。

 

気づけば周囲狭っていたあの化け物は倒れていた。少しだけヒクヒクと魚にように痙攣していたけれどもう起き上がってくる様子はなさそうだった。

「起きれる?」

 

「だ、大丈夫」

 

「それ…使えるんだ」

 

「M4なら何回か撃った事あるからね。ベースが同じだし扱いやすくカスタムされてるし」

 

「さ、流石リサ」

 

「まだ安心しちゃダメ。あいつら結構いるから」

 

確かに距離があるとはいえあのカエル頭の化け物はまだ何匹かいた。ただよく見ると動きは緩慢で、どこかぎこちなかった。弱っているみたい……

「やるしかないみたい……」

 

「う、うん」

 

とにかく、今は戦うしかなかった。



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おまけ編 めぐねえがいくRe3 その6

電車が動くイベント回収はーじまーるよー‼︎

前回めぐねえ達がなんとかトンネル防衛線を生き延びたところからのスタートです。

駅に戻ってきためぐねえたちですが早速電車に乗って待っていましょう。もう少しするとジルが戻ってきますし電車も発車します。

 

ちなみに乗車の際には他の避難者がいる後部車両ではなくなるべく前方の車両へ行きましょう。

ネメシスに巻き込まれたらやってられんのですわ。

できれば先頭車両にいたいところです。

 

少ししてジルとカルロスが戻ってきました。すぐに電車が発車します。ですがカルロスは電車には乗らずこれから警察署へ向かいます。時間的には丁度レナ達が防衛線をやっているあたりのことです。向こう到着は車が出て少し経ってからなのでまたニアミスです。

 

では電車が発車しました。運転は誰がやっているのだろうと思ったらUBCSでも珍しい女性隊員がやっていました。電車の運転はどこで習った?

「説明書を読んだのよ」

それだけでできるものなんですね。

 

 

お、どうやら後ろの車両が騒がしいですね。ちょっとみてくると、リサとめぐねえが後ろの車両へ向かいます。

4両編成の2両目と3両目の連結部に差し掛かったところで、ニコライとすれ違います。

はい、扉締め切りにされました。

扉越しに2人がいい争いです。

「開けなさい!」

 

「どうやらあれの狙いは俺じゃないみたいだからな」

振り返ったニコライと目が合います

「……何みてんだ?危ないからあっちへ行ってろ」

地味に優しい。

 

おっと列車が大きく揺れました。どうやら隊長さんがC4爆薬でネメシスを吹き飛ばしたようです。ですが衝撃で先頭車両が脱線。つられてこの車両も脱線します。バランスを崩したリサとめぐねえはそのまま床に叩きつけられて意識が暗転します。

最大の危機ですねえ。時速60キロ以上で走る電車が脱線したのですから果たして生きているのかどうか。というより車外に放り出されても平然と生きているジルが異常なんですけれどね。その少し前に至近弾でロケット弾を浴びて吹き飛んでいるんですが。なんでそれで片腹抑えるだけで済んでいるのかこれがわからない。

 

 

 

 

 

 

というわけで舞台暗点。ここからは視点変更でレナのものになります。

マービンと複数の警官が署内に残ることを決意し一般人と警官数名は脱出のために車で移動中です。ここで×ボタンと◯ボタンを同時に押すことでレナの衣装を切り替えることができます。

今回はそうですね……私服にしましょうか。この私服はターチィ/オールトークス編でレナータが標準で着ている服となります。シマシマニーソとホットパンツ、上は落ち着いたシャツとパーカー。うーん可愛い。

ちなみに服の色は五種類から選べます。2Pカラーってやつですかね?

 

ではではレナが乗っているのは2台目の警察車両。ケビンとアリッサさんは1台目に分散乗車です。

こちらの車内には老夫婦2人の他に男性1人、OL女性1人、5歳くらいの女の子1人それとドライバー。

 

「私たち助かるわよね?」

 

「大丈夫さ。警官が守ってくれているしわしもこれを持っているから」

お、60代くらいと思われる老夫婦の会話です。もちろんこのおじいさんは従軍していた経験もありなんだかんだベトナムなどで実戦を経験している方というバックボーンがあります。

ちなみに車内での会話はランダム8パターンあります。時間があれば他の会話も回収してみたいですね。

 

 

 

まあもちろん簡単に逃がしてはくれないんですけれどねえ。

 

最終的に突っ込んできたゾンビ収容バスと接触。反動でバスと建物の合間に挟まれながら引きずられていきます。

 

レナータは衝撃で吹き飛ばされ、開いてしまった後部の入り口から車外に放り出されます。

 

ちなみにバスとトラックはそのまま奥の消防車に衝突して止まります。もちろん降車した感染者がトラックに入り込んで、リサが起き上がったときにはいるのでもうこちらからはどうしようもできません。

 

この子アスファルトに叩きつけられたのにピンピンしてますよ。なんて異能生命体。

 

ちなみにトラックの市民は全員死んだように見えますが実は老夫婦は最後まで生き延びます。なんやあいつら。

破損したトラックのフロント窓から脱出しどういうわけか消滅するラクーンシティを遠くから見ています。何があったんやこの爺さんたち(唖然)

私も最初にエンディングを見たときにこの爺さん達が画面端に写っていてびっくりしたのを覚えています。

 

まあそんなことは置いておきまして、早速ですが移動します。場所は時計塔が見える位置です(察し

 

まあレナはネメシスに追いかけられることはないので気にせずいきましょう。

最短コースを取るならまっすぐ時計塔へ向かえば良いですが、せっかくなので寄り道してミニイベントを回収します。

 

丁度この近くで選抜警官隊が有名なストリート確保作戦を展開しています。時間的にはそろそろ終盤といったところでしょうか。

そこに向かってみようと思います。

瓦礫や衝突事故、バリケードの残骸に炎。ストリートもアベニューも車両がまともに通ることはできません。警官隊はどうやってあの場所まで車で乗り付けたのでしょうか不思議です。

 

おっとそうでしたここらへんは犬がいるんでした。まあ気をつけていればそんなに問題ではありません。ショットガンで吹っ飛ばして早めにすり抜けてしまえば良いだけです。

いったん建物の中に入ります。アパートの裏口から表口にすり抜けてしまいましょう。

ここの建物は特にイベントもないのでスルーで大丈夫です。

表に出るとさっそく選抜警官隊が感染者を食い止めようと銃を撃っているところに出ます。

まあ終盤なので前方の警官達はもう噛まれているんですけれどね。

あーもう無茶苦茶だよ。

 

「何している‼︎早く逃げなさい!」

 

こちらに気がついた警官が叫びます。取り敢えず警察署がほぼ壊滅しているということを伝えておきます。

すると生き残った警官達は、すぐに避難に移ります。

一部は警察署に残ったマービン達を迎えに行き、残りは各自で脱出を図ることになります。まあ…それが成功したのかは不明ですけれどね。

 

ついでに警官から時計塔周辺に救助ヘリの発着場が元々設定されていると言うことを聞きます。まあ何時間も前にその救助へ離発着場は閉められているので言っても意味はありませんけれどね。

イベントも終わって動かせるようになったのでストリートを感染者から逃げるように進んで途中の建物に入ります。エレベーターが生きているのでそれに乗って屋上へ上がります。

屋上は空調設備の機械などがあるのでかなり入り組んでいます。しれっとここだけ感染者が配置されているのは鬼畜だと思う。

 

ここからは屋根伝いに飛び移りながら時計塔を目指していきます。

幾らビル同士の隙間が小さいからってこれは危険ですよ。もちろん良い子の皆さんは真似しないでくださいね。ボタン操作を一回でもしたらdead endしてしまいますから。

 

 

 

助走をつけてジャンプを何度か繰り返し、ようやくビルから降りることになります。感染者達が屋上へつながる通路から溢れ出しているタイミングでビルに降り立ったので、外階段を使って路地におります。放っておくと上から彼らが降ってきて危ないのですぐその場を離れます。

路地から道路へ出ると道路を挟んで向かい側が時計塔の公園になっています。入ろうとするところでレナチャプターは再び終了です。

ではここからは場面変わってめぐねえになりますが今回はキリがいいのでここまでにします。さあめぐねえの運命やいかに!

 

 

 

 

 

トンネルから押し寄せてくる彼らを爆弾で吹き飛ばす作業が終わり、電車に戻ってくるともうほとんどの準備はできていた。ただ、抵抗器に流れている電圧が上がりきっていないらしくまだ発車には十分ほどかかるらしい。

 

発射までは車内で待つことになった。

「めぐみ、あの……大丈夫だった?」

 

「大丈夫だったって?」

 

「無理やり銃使っちゃって。振動結構あったでしょ」

 

ああ、たしかに体がかなり苦しかったというか1発撃つたびに肺が圧迫されるようでキツかった。

「気にしなくて良いよ。あれがなかったら死んでただろうし」

 

「そっか……」

少しばかりの沈黙。リサが手を握ってきた。

「先頭車両を見てみない?」

 

「唐突……どうかしたの?」

 

「なんとなくだけどさ……」

少しだけ私の手を握っているリサの手が震えていた。

「他のことを考えてたい?」

 

「先生もレナも…いなくなっちゃって……めぐみもいなくなっちゃうんじゃないかって考えちゃって」

 

「大丈夫だよ。絶対にここから一緒に生きて出るんだから。それにレナだって先生だって大丈夫だよ」

 

気を紛らわせるために私達は先頭車両へ向かった。

先頭車両では女性のUBCS隊員が運転台で準備をしていた。

「何か用でもあったかい?」

 

「いえ…その……」

 

「運転台が気になったので見学しにきました」

リサが堂々とそう言った。鬱陶しいから何処か行っていろと言われるだけだと思ったけれど、帰ってきた返事は意外なものだった。

 

「なんだそんなことか。せっかくだし見ていきな」

 

「ありがとうございます」

 

「気にしないで。私も子供は好きだからねえ」

その目が少しだけ鋭く光って怖かった。

「……そ、そうですか」

テキパキと運転台の下にある配線やブレーカーを入れて行き、やがて運転台の計器に灯りが灯った。

「そうそう。この仕事に着く前は小学校の先生をやるのが夢だったのさ」

どうしてこんな仕事に……まあ人間いろいろある。

この人も根は真面目そうだし悪い人ってわけではないのかもしれない。

「実は窃盗と誘拐で捕まっちゃってさ。でも虐待されててかわいそうだったからさ」

訂正倫理的にやばい人かも。

「もう直ぐ発車出来るから隊長に伝えてきてくれないか?」

 

「「わかりました」」

 

電車自体は長くはない。私達が乗ってきた車両が3両目で、避難してきた人たちはその後ろの4両目に集まっている。

私達が3両目に戻ってくると、そこには青色の服を着た女性もいた。

「電車の発車いつでも出来るそうですよ」

隊長さんに伝えることを伝えていると、カルロスと呼ばれた隊員さんが電車から降りた。どうやら他にもやることがあるらしい。

 

 

 

モーターと抵抗器の音が一段と大きくなり、扉が閉められた。どうやら発車するようだ。

再び私たちは先頭車両に戻ることにした。

非常灯が付いていないせいか真っ暗なトンネル内を電車の前照灯が照らしていく。線路を歩いて避難しようとした人もいたのだろうか。灯の中にふらふらと揺れ動く存在の姿が少しだけ見えた。

「あまり外を見ないほうがいいよ」

 

「そ、そうですね……でも外はずっとこんな感じでしたから今更な気がするんですけれど」

 

「今更であるものか。いいか。君達はこんな光景になれちゃいけないんだ」

突然電車が大きく揺れた。何かが電車にぶつかったのだろうか?

 

 

「なんだ今の音は?」

後ろの方からしたのは確かだった。

「わからない。私達で見てきます!」

 

「わかったそうして!」

 

駆け足で後ろの車両に向かうと2両目に来たところで、3両目からニコライさんが入ってきた。

貫通扉の窓越しに何かを言っている。

「何かあったんですか?」

 

「お前ら…危ないから前に行ってろ。死にたくなければだがな」

冷たい目線でそうニコライさんが言った直後、電車が大きく揺れた。同時に爆発音が響き渡り、窓ガラスにヒビが入った。

 

同時に激しい衝撃が襲いかかって、リサと一緒に私は床に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

バンの荷台部分に乗るというのは初めてのことだった。

正確には警察の人員輸送車両なので車内にも簡易的な折り畳み式の椅子が設けられていて体を固定することもできた。

しかし左右に結構揺れる。道がズタズタなのもあるかもしれないけれどやはり彼らが道を塞ごうとしているからだろう。

 

おかげでよく揺れる。

今も大きく車体が跳ねて、隣で座席に座っていた女の子が小さく悲鳴を上げた。

「大丈夫かしら……」

 

「大丈夫だ。ワシがどうにかしてやるさ」

お爺さん流石に一人でどうにかするのは無理だよ。幾らガタイがよくても相手は銃で撃っても怯まない化け物なんだから。

「うわっ!」

運転席から警官の悲鳴のような声が上がった。瞬間、車体が激しく揺さぶられ、私が座っていた座席が固定されている側面が大きく歪んだ。

ベルトをしていなかった体が宙を舞い、気がつけば私はバンから放り出されていた。体が何度もアスファルトを打ち付けた。

頭を打たなかったのは幸いだった。

 

 

咄嗟にバンの方を見ると、バスと一緒に少し離れたところで大きく大破して止まっていた。どうやら隣にいるバスに側面から追突されたらしい。

バスから溢れた彼らがトラックの周りを囲んでしまっていた。もう助けられなかった。

とてもじゃないけれど怖くて仕方がなくて、目の前で人が食い殺されるその光景がショックで私はその場から逃げ出した。どこへ逃げればいいのかそんなのもわからなかった。

 

がむしゃらに逃げて、気がつけば、私は大通りに出ていた。

警察車両のサイレンがけたたましく鳴り、発砲音が絶え間なく響いている。

そこは防衛戦だった。何のため……確か選抜警官隊が脱出路確保のために動いていると言っていた。ああきっとこれがそうなのだろう。

 

「おい君‼︎そこにいたら危険だ!すぐ警察署へ避難するんだ‼︎」

車両越しに彼らに対して攻撃をしていた警官が私に気づいた。着ている防弾チョッキには特殊部隊を表すマークが入っていた。

「その……警察署から逃げてきたんです」

 

「なんだって‼︎」

守るべき場所が既に存在しなくなっていたなんて知ったら流石に混乱するかと思ったけれど言わざる終えない。

「彼らの大群が迫っていたので、ヘリの発着場までみんな避難しました。警察署にはマービン巡査長を含めて数名しかいません」

 

「そうか……わかった教えてくれてありがとう。この先の時計塔でさっきまでヘリによる救助が行われていた筈だ。すまない手が離せなくてね。1人でいけるかい?」

時計塔……ここからでも良くその姿を見ることができる街のシンボルだったところだ。こんなことになっても相変わらず鐘を鳴らし続けている。

なるほど、そう言ったところは広いスペースを確保しやすい。ヘリの発着場にもなるはずだ。

「大丈夫さ」

 

「そうか。おい!撤退だ!」



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めぐねえがいくRe3のその7

電車が脱線して大惨事になってるけどはーじまーるよー

さて前回からの続きになります。視点はめぐねえからスタートです。

いやー見事に脱線していますね。まあ原型は留めているので何とか2人とも生きています。

 

派手に脱線した割に怪我してねえなこいつら。まあ先頭車にいた女性隊員は死んでるんですけれどね。

まあいいです。とりあえずリサを叩き起こしましょう。

 

フヌッ‼︎とりゃ‼︎

 

起きましたね。早速列車から脱出です。

車体が横転しているので脱出は窓ガラスが割れた窓からにします。ここで気をつけておく必要があるポイントは足場です。3回に2回の確率で足場とする椅子あるいは柱が壊れます。ここでボタン操作を間違えると大体落下して余計なダメージを喰らいます。

 

今回は崩れませんでした。よかったねめぐねえ。

列車から降りた後は少しの合間ムービーです。

 

列車から降りたところで丁度意識を取り戻したジルさんと出会します。何度かコンタクトはしているのですがちゃんと会話するのはこれが初めてですね。あんまり主人公勢と関わる機会が少ないのがRe3バージョンですから仕方がないのですけれど。

「あなた達…」

 

ここでようやく二人が正式にジルに自己紹介をしました。やっとかこのやろう。

「生存者がいて良かったわ。ここから脱出しましょう」

他の生存者は居ないようですね(棒)え?ニコライ⁇知らない人ですね。既にいなかったんで何処かに行ったんじゃないんですかね?

 

ではムービーも終わったので退避用の通路に向かいます。

ここはジルさんについていくだけで良いので特に迷うことも困ることもありません。あ、そこのセーフティゾーンに着替えスポットがあるのでここで服を変えておきます。

今回は二人とも赤色のサンタコートでドレスアップです。この衣装は数少ない特殊モーション持ちの衣装でしてね、銃器の交換の際に背中の白い袋からプレゼントの如く武器を引っ張り出してきます。

何だこのサンタ……

DLCではこれに合わせてリボンやクリスマスカラーになった武器なども販売されているようですが今回は使用しません(悲しいかな)

 

 

ではジルさんについて行き地上へ脱出しましょう。途中で新しい武器をジルさんが拾ったりしながら防空壕跡を突破します。

特に苦労することがないのでバッサリカットです。

 

はい地上に出ました。

 

 

ジルさんが復帰した無線機でカルロスと連絡をとっている合間に橋を渡り終えておくのも良いですが今回は一緒にネメシスと追いかけっこ戦をやります。

 

「嘘でしょ……!」

 

橋にいるジル目掛けて飛びついてきました。めぐねえとリサはジルより少し橋中央にいたので最初の不意打ちは食らっていません。

ではここから全力ダッシュです。

あ、あいつが高速移動してきますのでタイミングよく端に避けましょう。出ないと撥ねられます。異世界転生はしないので悪しからず。

まだジル狙いなのでこちらを襲ってくることはしません。

 

すぐに階段を駆け下ります。丁度ジルさんが飛び降りてきましてそれを追いかけてネメシスが跳躍したところです。

 

 

騒音を聞きつけてレナがやってきました。なんでネメシスの近くに出てくるんですかね。

ネメシスが動きました。

「レナっ‼︎」

あーあ吹っ飛ばされちゃいました。ネメシスにしてみればかなり良心的な攻撃だと思いますよあれ。

 

「なんなのあいつ!」

 

「化け物ッ‼︎」

 

すぐにレナのところに向かいます。

レナはお腹の辺りに一撃大きいのを喰らっています。

傷は大したことありませんが感染していますので手を打つ必要があります。というよりあれの腕で吹き飛ばされた挙句車に叩きつけられてこれだけしか怪我しないって……

 

とりあえずここに放っておくと駆けてくるネメシスの獣に踏み潰される可能性があるのですぐに安全な場所まで移動させます。位置としては門を潜った奥側にします。途中二人を確認するとリサとジルがあれを攻撃中です。

うーんジルはわかるのですがリサが何であれに対処しようとしているんですかねえ。

まあいいか。適当なところでレナを下ろしてこちらも戦線に加わりましょう。

アサルトライフルはこっちだって使えるんですよう‼︎

 

お、時計塔に上がろうとしたところで落下しました。

なるべくリサの近くで互いにバックアップできるように戦いましょう。

あ、ライフルの弾がなくなりました。仕方がないのでそこら辺の金属片や煉瓦などをぶん投げます。まあだいたいの攻撃はジルさんがやってくれるので問題ないんですけれどね。

 

おっとここでリサに突進してきました。すぐにリサに飛びかかります。彼女から半径1メートル以内に入れば自動ムービーに入りますがネメシスに先をこされないようにする必要があるので元から近くにいましょう!

 

間一髪で回避したかに見えます。ですが押し飛ばしためぐねえの肩にネメシスの爪が傷を作っています。

はいここでめぐねえも感染させます。

 

2人とも感染してしまいましたね。あー大変だ大変だ棒

もちろん計画通りな訳ですがね。

まあすぐに発症するわけではないのでしばらくはこのまま戦闘続行です。ですが1分立つと視界がぼやけ始め、2分後には足元がフラフラしはじめます。

症状としては風邪に近いものですね。これは入り込んだウィルスに対して体の免疫機能が急激に反応しているからです。

ですがこれによる血流の促進などによってウィルスは早い段階で全身に行き渡ります。

恐ろしや恐ろしや。

 

まあ2分も経たずに勝てるんですけれどね。

だってジルがいますから。

なんでマインスロアーをそんな簡単に足元で起爆させられるんだこの人。

 

はいあっさりと倒れました。正直パターン覚えていれば特に苦戦することはありません。最悪回避だけでもジルが勝手に倒してくれますし。

 

 

はいここからはまたムービーです。

 

戦闘終了後にぶっ倒れためぐねえにリサが駆け寄ります。

ジルはすぐに助けを呼ぶ必要があると言い、ますがそれより先にネメシスが襲い掛かります。

少し門の奥にいたリサもそれに対応しようとしますが倒れているめぐねえを引きずって安全圏へ脱出するのを優先しろとジルに怒られます。

 

まあ結局は鉄の門で腕を切り落とすのですが、急速に再生した職種のようなモノでついにジルも感染させられます。

 

そこへニコライがやってきます。こいつ精神の半分くらい悪に汚染されているんじゃないかって思えるんですけど本当に人間なんですかね?折角なので車の下に固定して引き摺りたいです。

 

散々煽った挙句唯一無事だったリサも気絶させられます。

気絶だけで済んでいるのはある意味優しさなのかもしれませんがこいつがかなりの外道なのは変わらないので後できっちり仕返ししておきましょう。

 

気絶と言ってもリサは三十分程で回復して直ぐにジルの無線機を奪ってカルロスに救援を求めます。

そもそも現状としてレナータ、めぐねえ、ジルが感染している状態って相当やばいですよ。それも全員ネメシスに襲われて高濃度ウィルスを投入されています。

流石に3人とも元から抗体があるとはいえこれは耐え切ることはできません(それでも抗体のない人よりかは長く保つ)

1時間後にようやく到着したカルロスとタイレルによって3人とも病院に担ぎ込まれます。

切りがいいので今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば私は列車の側面に倒れ込んでいた。倒れている……壁に倒れていると言うのもなんだか変な話だけれど、実際私はリサにのし掛かられた状態で倒れていた。

「あたた……大丈夫?」

リサに怪我はなさそうだった。私の体も強く打ち付けて所々痛いものの、深刻な怪我をしている様子はなかった。

「なんとか……なにがあったの?」

 

「脱線…したんじゃないかな」

電気はいつの間にか消えていて車内は薄暗い。

 

「……」

「……」

この街からの脱出の機会は失われた。その喪失感すら今は感じることができない。

「ともかく移動しよう」

どこへ?その問いに対する答えは私は持っていなかった。

 

列車の外に出ると、人影があった。もしかしてあの化け物かと思ったけれどそれは紛れもなく生きている人だった。最後に列車に乗ってきた女性だった。

 

「生存者?大丈夫⁈」

 

「なんとか……貴女は?」

 

「ジル・バレンタイン。警察よ」

警官、だけれどただの警官ではないみたいだった。ブラッドさんみたいな……そんな雰囲気がした。

「私は佐倉恵、こっちはリサ」

 

「よろしく。ともかく地上に出ましょう。ここじゃ無線すら通じないわ」

 

そう言って彼女は近くにあった非常扉を開けた。

私もそれに続く。通路は、灯りがなんとかきていたけれど、どれも古くて所々では途切れているようだった。

「不気味…」

奥に進むにつれてだんだん煉瓦造りの壁や、二段ベッドがいくつか置かれた小部屋などが併設された通路となって行った。

「防空壕ね」

ジルさんはそういった。

「防空壕ってあったんですね」

 

「キューバ危機の時に作られたのよ。万が一のシェルターとしてね」

だけれどそこは怪物たちの溜まり場となっていた。ジルさんは冷静に、彼らの頭を吹き飛ばしていった。まるで何かの仇であるかのように。

 

地上へ脱出しても、様子は外と変わることはあまりなかった。夜中だからというのもあるけれど、河岸は人の姿も化け物の姿もなく静まり返っていた。

 

「あ、時計塔」

 

「……もしかしたらあそこで救助を呼べるかも」

それは希望的観測だった。あそこが広域災害時の避難場所として元から指定されていることもあるけれど、近くには病院もある。もしかしたらという人間の心理によって私達は突き動かされるようにして時計塔へつながっている橋に向かった。

 

 

橋に差し掛かった時何かを吹き飛ばす音がしてそれは現れた。あの時電車を襲った奴……ブラッドさんを追いかけていた化け物。身体中に炎を纏ったそれは熱に苦しみ悶えながら川に落ちた。

 

「あれももう終わりね……」

 

「カルロス?電車が脱線した」

無線に向かってジルさんが何か話していた。

その間川を見ていた私は泡ようなものとどす黒い影が橋に向かってまっすぐ進んできているのを真っ先に発見した。

まさかと思い橋から離れようとしたけれど一歩遅かった。

 

「嘘でしょ」

飛び込むように橋に突っ込んできたのは、醜い化け物だった。

「きゃ‼︎」

 

「あいつ生きてた!」

 

生きていた?じゃあこれはさっき川に落ちたあの巨人の化け物⁈

原型が残っていない。体は大きく膨らみ四足歩行へ変化。それは人というより獣だった。

 

それは真っ直ぐに私達とジルさんに向かって飛びかかってきた。

「逃げなさいっ!」

ジルさんがこちらにそう叫んだ。体の硬直が溶けた瞬間私たちは走り出していた。

 

後ろから巨大な怪物が駆ける音が振動とともに伝わってきた。

このままでは追いつかれる。リサに抱きついて咄嗟に橋のトラス構造部分に体を押し付けた。

途端後ろを特急が通り過ぎるような風と衝撃が走った。

少ししてそれは再びこちらに突っ込んできた。

今度はタイミングを見極めで伏せる。真上を怪物が通り過ぎていった。

すぐに体を起こし橋を渡り切る。後で金属がひしゃげる音がして、橋の一部が水に落下したのだろうか大きな水しぶきが上がった。

 

後ろで何が起こっているのかなど目もくれずに階段を駆け下りると、踊り場からジルさんが飛び降りてきた。ほぼ同時にあの化け物も……

それは大きく飛躍し、時計塔の広場に立ち塞がった。

「いいわ、決着をつけましょう‼︎」

 

「「あれと戦うんですか⁈」」

正直ジルさんの言っていることがよくわからなかった。

 

「倒さないと、いつまでも追ってくるつもりよ」

確かにそれもそうだった。だけれどジルさんを追っていたってことは……何かあるのだろうか?いやあれがなんなのか知っているのだろうか。

 

「貴女達は逃げなさい」

 

「でも…」

 

「あれは私が決着をつけるわ!」

 

だけれど化け物のすぐ近くに、人影が現れた。それは私とほぼ同じくらいの身長で、それでいて銀髪の長い髪をたなびかせていた。

それはまぐれもなく、レナータだった。

 

「レナ⁈どうしてここにっ!」

レナに気がついた化け物が邪魔だと言わんばかりにレナに襲い掛かった。あまりのことに動くのが遅れた。

「危ないっ!」

「レナッ‼︎」

吹き飛ばされたレナの体は風で飛ばされるこの葉のように車のドアに叩きつけられた。

ピクリとも動かない。

すぐにレナのところに駆けつける。

「こっちよ化け物っ‼︎」

ジルさんが攻撃を始めた。注意を引き付けてくれているのだろう。その合間にレナを抱いて少しでもマシなところに逃げる。

後でリサの雄叫びが聞こえた。どうやらリサもあの化け物の注意を引きにいったらしい。

 

「リサ大丈夫⁈」

 

「うっ…」

 

一命は取り留めている。だけれど直撃を受けた背中には痛々しい傷跡が刻まれていた。血の量は多くない。そこまで深くはないみたいだ。だけれど体の様子がおかしい。小刻みに痙攣をしていた。これではまるで……

「ゲホゲホッ‼︎」

「レナ……」

ただの体調不良ではない。大出血を起こしているわけじゃないのに痙攣が治らない。多分……

後ろで大きな咆哮が聞こえた。

 

「すぐに戻ってくるから!待ってて!」

 

 

時計塔前の広場に戻ってくると、それはちょうどジルさんに向かって駆け出そうとしていた。とっさにアサルトライフルを構えて狙いを絞らず撃った。

やたらと体が大きいから狙いをつけなくても至るところに血飛沫が舞った。

だけれど全く怯む様子はなかった。それでも撃ち続ける。

流石に鬱陶しいと思ったのか化け物が私の方へ振り向いた。

ジルさんはその隙に後退しながらグレネードを足下に放った。

 

その弾丸は化け物の前足に吸着するようにして吸い付き、2秒ほどの間をもって大爆発した。

 

直撃だったはずにもかかわらず化け物の足はほぼ原型をとどめていた。それでも痛みというものは存在するのだろうか。化物は大きく暴れていた。

 

何発も銃弾を喰らっているにもかかわらず、それは怯む様子もなく周囲に止められていた車を踏み台にして時計塔に飛び乗った。

「何をする気なの?」

 

一瞬やばいような気がして、かなり距離があったけれど私はそれに向かって銃弾を浴びせた。

足元に当たったのか、それとも何か弱点を攻撃したのか、急にそれは時計塔から落下した。

「やるじゃない。どこで使い方を?」

 

「リサとレナに教えてもらったの」

落下したそれにリサも容赦なく弾丸を撃ち込んだ。だけれどそいつは落下のダメージから立ち直るや否や、一気にこちらに襲いかかってきた。私のところに来るのではなくそれは今まさに攻撃をしていたリサに向かっていた。

 

「危ないっ‼︎」

後先考える余裕なんてなかった。気がつけば私はリサに覆いかぶさるようにして地面に転がっていた。起き上がろうとして肩から激痛がやってきた。

追撃しようと反転しかけた化け物をジルさんが足止めしている。

 

「めぐっ‼︎大丈夫⁈」

「あたた……大丈夫……」

大丈夫ではなかった。何も考えていなかったからやってしまったことだけれどうまくいけば無傷で救えると思っていた。それが思い上がりだったのはいうまでもない。激痛が腕に走った。見れば右肩に血が滲み出ていた。傷は浅い。だけれど同時にめまいも始まっていた。

 

「本当に大丈夫なの⁈フラフラしてるけど」

「大丈夫…今はあれをどうにかしないと」

 

少なくともあの化け物をどうにかしないと何もできそうになかった。

残された武器は残弾の少ないライフルと拳銃だけ。それでも、あれを倒すしか生き残る道はない。

ありったけの弾丸を化物の頭部に叩きつける。

 

視界が急に揺れ始めた。同時に照準が定められなくなる。

だけれどその時にはもう、化け物はジルさんのグレネードによって何発も強力な弾丸を撃ち込まれていた。

容赦がないというかなんというか……

 

「終わりよ化け物!」

ジルさんが放ったグレネード弾が化け物の口に飛び込んだ。頭部が爆炎に包まれ、その巨体が大きく揺らいだ。ようやくそれは倒れたのだ。

勝利…それにしてはなんの喜びも感じず、私はただ気持ち悪さと目眩で立っていることすら出来なかった。

「ゲホゲホッ‼︎」

痙攣が始まり、急に寒くなってきた。

「やっぱり大丈夫じゃないじゃん!」

 

「大変、感染しているわ」

平衡感覚が分からなくなり、視界が少しづつぼやけていくのをただただ感じることしか私にはできなかった。

 

 

 

 

 

 



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おまけ編めぐねえがいくRe3 その8

めぐねえ達が苦しむバイオハザードはーじまーるよー‼︎

 

はい、まずはムービーからスタートです。

重傷を負っためぐねえ達は壊滅したラクーン病院に運び込まれています。

残念ながら今のところカルロス達にどうにか出来る状況ではありませんがウィルスにより苦しむ3人がみれます。

奇跡的に傷が浅いめぐねえは意識を取り戻していますがまともに動くことができません。

ですがカルロス達は諦めません。病院であり同時にワクチンを作っていたであろう博士もどこかにいる可能性がある状況です。頼みの綱はまだ残っています。

そこでリサとカルロスが手分けして探すことになりました。

実はリサでプレイできるのは最近知ったんですよね。いやはや盲点でした。

 

 

ではリサの性能を軽く説明していきましょう。

某不死身のモンスターと同じ名前を持つ少女ですがその性能は高い耐久性とTウィルスに対する抗体能力にあります。

なんと何をされても感染しないバイオ主人公クラスの抗体を持ち、体力があるのか四回噛まれないと死なないです。

なんでこの子がNPCの時は一回の攻撃で即死するのか意味がわからない。

恐ろしく弱体化している。いや恐ろしく強化されている?

 

まあいいです。進めていきましょう。

 

使用できる武器は現状ハンドガンだけです。

そもそも中学生が持つものじゃないのですけれど気にしてはいけません。ちなみに病院内部は基本ゾンビしかでてきません。ハンター達は軒並みカルロスにジャレアイに行ってしまいました。

とりあえずおこぼれのゾンビを始末していきましょう。

 

 

では奥の方に進んでいきます。しかしどうしてカルロスは別れて行動なんてしたんですかね?いや別にいいんですけれど。

この辺りの解釈が言及されていないのでいまいちわからないのです。

病院内ですが基本はRe3と変わりはありません。唯一例外と言えるのはリサのみ館内のエアダクトを使って移動することができるという点です。

入る場所によって出られる場所が決まっていますので覚えてしまえば探索の時の時間短縮ができます。ただし大体の場合がゾンビの群れのど真ん中に下ろされるという鬼畜プレイになっていますけれどね。

腕に自信がある人専用です。

あ、今回はミニイベント回収のため使用します。

 

使用するのは中庭が見える廊下にあるダクトです。ここを使用して先にナースセンターに向かいます。

 

ここでハンターによって切り刻まれた無残な死体を確認します。死体のそばで調べるを選択すると、カルロスもその部屋に入ってきます。ムービーです。

 

死体の状況と部屋にあった生存者の日記から、もしかしたら化け物がいるのかもしれないという結論になります。要注意していこうとなりますがやっぱりカルロスさんとは単独行動です。

ここからはあまり見せ場はありません。

 

基本ゾンビの頭を一撃で破壊していくだけです。

しっかりとおでこを(狙えれば)狙って撃てばリサはヘッドショットを決めてくれるので楽です。使用するハンドガンもパワー系の45口径型になっています。38口径は予備の武器として持っていますがあまり使うことはないでしょう。

 

 

途中でワクチンサンプルの精製についての手順がのった資料を発見します。

サンプルワクチンはすでに某博士によって開発されていてこの病院でも複製を行う機械があるのでそれを使って複製しようとしていたところだったようです。しかしその前に病院の機能が崩壊し、挙句生成に必要な培養器もほとんどが破壊されてしまっているという状況ですね作れて三本。ぴったり全員分です。

この辺りオリジナル要素が入ってきていますね。

とりあえず培養器が入ったケースを取りに行きます。場所は集中治療室。色々とやばいところですがまあ気にしてはいけません。

 

わーやっぱりゾンビさんが沢山いますね。残念ながら戯れている時間はないので強行突破します。

そもそもハンドガンだけで6体も相手にできるような力は持っていません。

そもそもこの子は中学生なんですよ。基本は回避なんです。戦闘は付属品と同等です。

 

というわけでさっさと回収していっちゃいましょう。

必要となるものは手術室にある銀色トレイの下にあります。回収したらすぐに反転。脱出に向かいます。

と言っても出口をゾンビ達が固めているので慌てず焦らず丁寧に。

攻撃のタイミングを見て回避します。

ですが手術室を出て直ぐの曲がり角にハンターがスポーンされますのでご注意ください。ちなみにハンターはここしか出てきません。

数少ない出会いポイントですよお見合いの準備はいかが?

あ、気に入られたようです。襲ってきました。

さくっとやっちゃいましょう。

と言ってもハンドガンしかないのでしっかり弱点を抑えないと怯みすらしてくれません。

少なくとも一般人にとってはボス戦と変わらないです。

 

まあマガジンの半分くらいで倒せちゃうあたり距離を保っていればそこまで危険度は低いんですけれどね。それにリサなら2回まで攻撃耐えられます(めぐねえとレナは原則即死)

 

はいしっかり供養できました。ではカルロスさんと合流しましょう。彼は病院の奥の方にいるのでそこまで向かいます。

道中のゾンビやハンターは軒並みカルロスさんが倒してくれているので一気に敵の出現率が下がります。

 

はい合流できました。

では研究服を着たおじさんの射殺体を見ながら薬の量産と行きます。

なかなかすごい機械ですよねえ一瞬で薬を量産してしまうんですから。

 

ではワクチンが完成したところで一旦ムービーになります。

場面が変わりジル達にお注射をしているところからです。これで助かる。ええ全く持ってその通りです。

で、お注射をしたところでめぐねえとレナからお礼を言われて照れるリサが見れます。多くのルートで序盤に悲惨な死に方をしてしまう彼女の可愛いシーンです。こんな少女を容赦なく抹殺しようとするアンブレラめ許さない。

 

 

ここでタイレルから悪いお知らせです。

ゾンビたちが病院に集まってきているとのことです。あーなんてこったいなんてこったい。

ここままではあっさり突破されてしまいます。

めぐねえ達はまだ戦えないのでカルロスと共闘になります。とりあえずホールを防衛すれば良いだけなので難易度は他のボスよりも低いです。ですが事故が起こりやすくなめてかかるとすぐにやられてしまいます。特に複数のゾンビではめ殺しにされるパターンが多く広範囲をカバーしないといけないホールでは敵との距離感をしっかり取るのが大事です。

 

 

早速彼らが入ってきました。病院の営業時間はもうとっくにすぎているんですけれどね。お帰りください。救急はここではなく反対側の扉ですよ。

おかえりくださーい!

まあハンドガンだけじゃ抑えきれないので敵を押さえるのはカルロスに任せて手榴弾などで攻撃をしていきましょう。

病院内では弾薬はほとんどゲットすることができません。できたとしてもハンドガンの弾18発分しかなくこのボス戦の時に出てくる弾薬庫にて基本は補給を行います。ですがハンドガンの弾より手榴弾を持っていった方が効率的です。

 

タイレルから柱を破壊して入り口を塞ぐよう指示が出ます。

早速ゾンビの相手をカルロスに任せて柱を爆破する作業に移りましょう。

まずはC4爆薬と雷管を探してきます。

はい、すぐに見つかりました。

ではこれをドッキングさせて爆弾に仕立てます。タイマーは時限式。設置後10秒で爆発します。

そろそろカルロスが限界ですしハンターが数体入ってきてしまっているのでさっさと倒しましょう。普通に突破してもいいのですが数が多いので必ず噛まれてしまいます。一回噛まれるとすぐはめ殺しされてしまうのでここは裏技をしていきましょう。

この裏技はまず視点を一人称視点にします。次に進みたい方向とは反対側に向きます。

ゾンビが襲いかかってくる音がしたら斜め後ろに向かってバックステップです。

こうすると全く噛まれることなく進むことができます。背後から襲ってくる敵は視界に入っている時よりも約2割ほど動きが遅くなる仕様になっているのと声をあげていない合間はそもそもPCとの接触判定が生まれません。

 

はい無事にゾンビの群れを突破できたので物を柱にセットします。

すぐにムービーとなり、カルロスとリサがカウンターの裏にしゃがみ込みます。

その直後派手な爆発とともに柱の一本が破壊され、入口付近にいたゾンビを巻き込みながら入り口を塞いでしまいました。

はい今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

「はあ…はあ…」

間一髪だった。

セットした爆弾は十分時間をとって爆発するようにセットをしていたはずだった。だけれど、安全なところまで避難する途中、床に倒れても未だ生きているそれに足を掴まれ、思わず転んでしまった。

幸いにもすぐに足は引き抜けたため噛まれたり引っ掻かれたりと言うことはなかった。

「リサ!」

 

「カリロスさん!」

 

「カルロスだ!」

立ち上がって駆け出してはもう間に合わない。タイマーをセットした自分だからこそそれはわかっていた。だけれど私の体はいつのまにか猫のように首を掴み上げられ。気がつけばカウンター裏側にいた。

直後に爆発。衝撃波が体を揺さぶり、鼓膜が破れたかのように静寂が訪れた。

ようやく音が聞こえるようになった時、あの化け物たちの姿はどこにもなかった。

「いったあい」

 

「間一髪だったな。気を付けろ」

 

「でも助けてくれたでしょ」

 

「当たり前だ。民間人の救助が俺たちの仕事だからな」

カルロスさんはそう言って頭を撫でた。同時によくやったと小さくつぶやいたそれを私は聞き逃さなかった。

 

それから少ししして、レナとめぐみは体を動かせる程度まで回復した。

私は逆に散々病院内を駆け回ったせいもあり疲れてしまっていた。

「脱出経路とかって見つかったの?」

 

「いや……本部との通信ができない上に隊長とも連絡がつかない状態だ。残念だが少し待ってくれないか?」

 

「わかった」

ソファに横になっていた私の横で、タイレルさんとレナはそんな会話を繰り広げていた。

「脱出はやっぱりヘリ?」

 

「そうだな。道路を使って脱出するにしても大量の化け物どもを蹴散らして強行突破することになる。それに道も多くが寸断されているからルートを探っていては時間がかかりすぎるし危険だ」

それはカルロスさんの指摘だった。

「ってなるとどこかヘリポートにできそうなところに救助ヘリを回してもらう?」

「救助ヘリがまだ飛んでいればだがな」

いつのまにかめぐみとカルロスさんも加わっての話し合いになっていた。

 

「ここからヘリを呼ぶことはできるの?」

 

「通信ができるからやれなくは無いがおそらくランデブーポイントは少し移動する必要があるな」

 

「そっか……」

 

「俺たちはこの病院についてもう少し調べてみる。どうやら研究所としても機能していたみたいだからな」

なんだそれは、下手な陰謀論のようなものではないか。しかし実際のことなのだろう。まあなんとも現実は小説よりも奇なりである。

 

「それじゃあここで別れることになる?」

 

「そうなるな……まあどちらにしても救助ヘリを呼べるかどうかにかかっているけれどな」

それから丸一日。もうすぐ日付が十月になろうかと言うところで、ようやく救助ヘリが来てくれると言う情報が入った。だけれどそれと同時に映像が映らなくなったテレビから音声による緊急放送が流れた。

「政府は事態の収束を図るため……」

それはこの街を消しとばす選択だった。



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おまけ編 めぐねえがいくRe3その9

爆破までに脱出するバイオハザードはーじまーるよー

さっそくですが悲報です。ラクーンシティ爆破計画が発令されました。

「ラクーンシティ爆破計画⁈破棄されたはずじゃ」

なんて台詞が聞こえてきそうですが気にしてはいけません。

ジルはまだ眠っていますのでそっとしておいて、カルロスさんは街を爆破から救うための手立てを考えます。

こちらはそれとは別に脱出のための準備をすることになります。

タイレルさんによると彼らがヘリで街に降り立った時の場所がそのままヘリによる撤収ポイントとして元々設定されていたらしく、多少なりとも前線司令部があったところなのでヘリによる脱出がまだ可能ではないかと言うことです。

 

そのポイントというのが少しばかり距離はあるものの通常なら1時間、大きく迂回しても爆破までにはたどり着くことが可能な距離だそうです。

このまま一緒にいても脱出できる可能性は少なくジルを狙うあの化け物に襲われる可能性を考えてここからは別行動となります。

 

1時間ぶりのめぐねえ操作ですヒャッハー‼︎

ちなみにワクチンを打った直後なので体力と瞬発力は前回の時よりもさらに低下しています。ですので無理な動きは出来ませんし緊急回避はほぼ不可能と思って構いません。

ここからは間合いをよく見て早めの行動が重要になってきます。

 

まずはこれからの行動方針を決めていきます。

世界の選択の如くカルロス達と共に行くか脱出の可能性が残る方に向かうかと選択肢が発生します。ここでどちらを選ぶかによって難易度が変わります。ですがカルロスさんについていく方では基本Re3のムービーと変わりませんしいろんな方が動画としてあげていますので今回は難易度が跳ね上がる自力脱出を選びます。

主にこちらは一本道となっていて、イベントムービーなど見所があるようですが難易度がベリベリハードな上に時間がかかるようで今まで動画であまり見ないんですよね。

というわけで今回はこちらをお見せすることにします。

 

 

 

子供だけでは危険かもしれないとさすがにカルロスさんに止められますが、やれるだけやってみるということで話をつけます。

まあ全員フル武装なところもありますし成功するかどうかわからない爆破防止作戦に付き合わせるよりかはまだ生存の確率が高い方に生存者は行ったほうが良いと考えたのでしょう。すぐに折れてくれました。

では早速外に出ます。ですが正面玄関は倒した柱で塞がれていますので使う通路は裏口です。

ここから病院を突っ切る形で反対側にあります。

鍵はオートロック式で建物の内側からは自由に開けることが可能です。逆に外側は暗証番号を入力するタイプになっています。

 

ゾンビ達はカルロスさんとリサが始末していますので湧いてきません。外に出るまでは安全です。

裏口に着きました。ここから外に出ればもう後戻りはできません。まあするつもりもないのですけれどね。

 

扉を開けて外に出ます。

外も相変わらずの荒廃っぷりで生存者は見当たりません。そのかわり事故で横転した車や炎上している消防車と救急車など大惨事になっています。

では道なりに進んでいきます。

裏路地を通っていると、壁を破壊して今までどこに行っていたのかわからないネメシスわんこが登場します。

さて一回ムービーです。なぜかネメシスに目をつけられためぐねえ達は必死に走って逃げます。オラオラー後ろからネメシス迫ってきてるぞ。

 

しかし途中でリサが転びました。病み上がりの2人で引きずるように横道に逸れます。ギリギリのところでネメシスが通過していきました。戻ってくる前に少しでも距離を稼ぎたいめぐねえ達。はい、近くの建物に逃げ込みます。

ここは再びブティック店。ちなみにアウトブレイク初期の方では住民の一部が避難していたようですがすぐにゾンビに入り込まれて破棄された場所です。ボサっとしているとネメシスがショーウィンドウを突き破って店内に頭を突っ込んできました。たまらず二階に避難します。流石にあそこまで変化しちゃうともう室内に入ることはできないみたいです。良くて広い構内を持つエリアなどでしか室内は出てきません。そもそも狭すぎるところでは戦えませんしあんな獣。

 

ムービー終了です。では進みましょう。一階部分はネメシスが出てきて危険だということでなるべく二階部分を移動することになりました。難易度が高いのはここからです。逃げ場のない外付けのベランダなどでゾンビを倒していくことになります。もちろんめぐねえだけでなくリサとレナがいるので援護は問題ありませんがゾンビは前からだけじゃなく後ろからも容赦なくやってくるのですぐに支援は受けられなくなります。

 

とりあえずアサルトライフルで始末していきましょう。

なるべく頭を狙って遠いうちから倒していきます。

しかしアサルトの弾だって実際には拳二発分くらいの威力あるはずなんですけれどね。それを頭に3、4発撃ち込まないと死なないゾンビって頑丈すぎませんかね?こんな奴ら相手にしたくないです。

おっと、窓を突き破ってゾンビが襲ってきました。すぐに銃弾を浴びせて処理します。

しばらく進むと足場にしていた外側のベランダがなくなります。すぐ隣に別のベランダが隣接しているのでそちらに飛び移ります。

隣接しているといっても軽く1メートル前後は離れているのに恐ろしい子。

では飛び移った先の建物に入ります。中も相変わらずゾンビだらけですが、ここは一階がガレージになっています。

ちなみに二階と三階はラクーンプレス社となっています。ラクーンタイムズのライバル会社となっていてここを探索すると色々と今回の事件に関するスクラップブックや取材メモなどを回収することができます。中には迫り来るゾンビの写真なども。

いやこれどうやってとったんだか。記者魂ここにありですね。

取り敢えず片っ端から回収してきます。

ちなみに現像していないフィルムがありますがこれはアンブレラ印のネメシス輸送コンテナとそこから出てくるネメシスの写真が収められています。大事に回収しておきましょう。

 

探索し終えたので一階へ向かいます。

ここで再びムービーです。

ガレージにはなんと一台のジープが止められています。気前がいいことです。しかも燃料満タン、バッテリー十分といつでも走り出せるようになっているではありませんか。

これに目をつけためぐねえ。すぐにリサとレナにこれを使って前線司令部がある場所まで突破することを提案します。

時間短縮にもなるということでリサ達も賛成。すると目の前のシャッターをなにかが強く叩いてきます。やがてシャッターが大きく歪み、、隙間からネメシスわんこが姿をチラチラ見せてきます。

 

とりあえず車に飛び乗ります。運転はリサ。援護はめぐねえとレナでいきます。

早速エンジンをかけたリサがシャッターに突進。薄っぺらい金属の板ごとネメシスを跳ね飛ばします。フロントがめちゃめちゃに壊れますがジープにとってはただの擦り傷です。一旦バックして颯爽と走り出します。もちろんネメシスだって放ってはおきません。すぐに追いかけてきます。

しつこいストーカーは嫌われるんですよ。

ここからはアサルトライフルで攻撃です。揺れる車内からネメシスめがけて撃ち続けます。

ここが意外と難関だったりします。早速放置車両を前足で蹴り飛ばしてきました。これは燃料タンクを撃って破壊しないと飛び込んできてしまうので闇雲に撃ってはいけません。ですが数秒で決めないとすぐゲームオーバーです。難易度高いね。

 

まあもちろんしっかり狙ってちゃんと撃ちぬけば良いだけです。もちろん攻撃はこれだけでなく、ネメシス自身の突進。さらに飛びかかって切り裂いてくる攻撃もあります。弾は無限湧きなので気にせず撃ちまくりましょう。

あ、突進してきました。頭を狙い続けます。怯んでくれるまで撃ち続けましょう。そうしないとジープは吹き飛ばされてしまいます。ネメシスの攻撃全部が即死攻撃なの本気で殺しにかかっていてますよね。

ちなみに敵はネメシスだけでなく前方のゾンビもいましてね。レナが時々前に向かって目標を変更してしまうので援護は期待できません。

オートエイムでは間に合わないので基本セルフエイムでちゃんと狙いましょう。

 

3回くらい頭に撃って大きく怯ませるを繰り返すとネメシスたんが勝手にぶっ倒れます。

ヒヤリハットなところがありましたがなんとかなりました。ここからまたムービーです。

このまままっすぐ進みたいですが目の前の道を横転した車が塞いでしまっています。とっさに裏路地に車体を入れますが結構な数のゾンビがいます。それらを思いっきり跳ね飛ばして突き進みますが目の前は煉瓦造りのです。

慌ててレナがブレーキを踏みますが時すでに遅し。ゾンビを巻き込みながらその壁に突撃をかましてようやく停車です。

ジープよ。短い間ありがとう。

ではきりがいいので今日はここまでとします。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

「ここってもしかして……」

カルロスさん達と分かれて、前線司令基地に向かっている途中あの四足の化け物に襲われて私たちは建物の中に避難した。

それでも襲ってくる化け物だったからなんとか建物伝いに逃げ続けた。そのうちに迷い込んだ場所はどうやらラクーンプレスと言う会社だった。

「新聞社?」

 

「そうだよ。私が普段読んでいるやつ」

 

「いやレナが何読んでるかなんてリサがわかるわけないじゃん」

 

「まあそうだったね」

 

私たちが入った二階部分は、散らかったデスクといろんなものが散乱して足の踏み場もない床と言う完全に暴動の後のような惨状だった。

「散らかってる……」

「仕方がないよ。でもこの惨事の記録はちゃんと机の上に残しているみたいだね」

私の呟きに机の上を調べていたレナが写真やメモ帳を見せた。

いくつかは迫りくる化け物を写しているものだった。

他にもヘリから降下するUBCSの隊員などもある。

 

「もしかしてこの町で起こっている惨状を伝えられる?」

少なくとも外との情報交換はできていないように思える。だったらこれらを持っていけば貴重な証拠になるかもしれない。

「これらを持って脱出できたらね」

少しだけ部屋の中を探せばいろいろな写真や新聞のスクラップブックが見つかった。そんな中ある書類を見つけた。

「ねえこれって……」

それはアンブレラが人体実験をしているという内部告発のものだった。

記事にするつもりだったのだろう見出しまで決まっていた。

そしてその原稿の下には内部告発の書類があった。そこには人体実験だけではなく軍事目的のウィルスを作っているとも書かれていた。

だけれどこれが書かれたのは3ヶ月も前。つまり握り潰されたということだろう。

それがこんなところに置かれているということはもしかしてだれかが引っ張り出してきたのではないだろうか?

「めぐ後ろっ!」

 

「……え?」

私がレナの声に反応して振り向くよりも先にリサの銃が後ろにいた腐った化け物の頭を吹き飛ばした。

「どこから来たの⁈」

 

「倒れていた奴が起き上がったんだ!」

 

最悪だった。ともかく今の音は確実に響いたはずだ。遠くからあの化け物の咆哮が聞こえた。

「ここは危険よ。すぐに移動しましょう」

リサが先頭に立って階段を降り始めた。事務所の下はどうやら車を止めておくガレージになっていた。表のシャッターは閉じられていて、手前に一台だけジープが止められていた。コンバーチブルなのか屋根は幌になっていた。

「おお、ラングラーの新型だ!」

リサがクリマに駆け寄るなり中を覗き込んだ。

「鍵ついてる!」

 

「動かせそうかな?」

 

ドアを開けて車内に入ったレナがキーを回しながらアクセルを軽く踏んだ。

一瞬セルが空回りするような音がして、ジープの心臓が唸りを上げた。

「動いた!」

 

その直後だった。入り口のシャッターに何かがぶつかり、大きく跡をつけて歪んだのは。

少しだけ開いてしまった舌の隙間からあの化け物の巨大な脚が見えた。

「乗って!いくよ!」

レナに急かされるように私とリサは後ろの席に座った。

 

タイヤが軋む音を立てて、車が急発進した。悲鳴を上げる前に車はシャッターを蹴破り、その外にいたあの化け物を弾きながら、外に飛び出した。すぐに逃げるように走り出す。

だけれど逃してはくれそうになかった。

少し遅れて化け物が全力疾走でこちらに走ってきたのだ。

「しつこすぎる!」

「同感!」

屋根の幌を破いて私とリサは屋根に身を乗り出す。化物が走りながら放置されていた車を吹き飛ばした。宙を舞う車はまっすぐ私たちの車に飛び込もうとしてきていた。

「やっばっ!」

 

「このっ!」

アサルトライフルを構えてとりあえず撃った。狙いなんてつけている暇はなかった。回避するスペースもない。

何発か着弾したのか車体に穴を開け、ガソリンタンクを貫通したのだろうか、一気に炎が空中に生まれた。そのおかげか、車は軌道を変えてすぐ隣の事故車に飛び込んだ。

「間一髪!」

 

「お二人さん、ちょっと前の方のもどうにかしてほしいなあ!ちょっと数が多すぎる!」

 

「後ろも前も⁈」

 

「私が後ろをやるからリサは前!」

 

「わかった!」

絶望的な逃避行はまだ始まったばかりだった。



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おまけ編 めぐねがいくRe3 その10

事故から始まる楽しいラブコメは始まらないけどゾンビから逃げないといけないラクーンシティ24時始まるよー

 

前回盛大に事故を起こしたところからの再開です。それと再開してすぐなのですが……な ん で 無 傷 な ん で す か ね?

いやどう考えたって無傷じゃないだろ。思いっきり煉瓦造りの壁に突っ込んでるんだよ⁈

どこぞのロンドンの刑事の兄弟だって車で壁突っ込んだら虫の息になるんですよ!(アラ◯)

なんでダメージすら受けていないのか不思議で仕方がない。まあここで突っ込みを入れても仕方がないのでちゃっちゃと逃げちゃいましょう。周りにはすでにゾンビーズは集まって肉をよこせ肉をよこせと喚いています。

うるせえお前らにやる贅肉(主に胸)なんてないんだよ!このロリコンめ‼︎

 

近くの建物に入り入り口をロッカーで塞いでしまいます。

もうすぐ例の場所に到着しそうですがここらへんの道はゾンビだらけで使うことはできません。というわけでこの建物の地下下水路から向かうこととなります。

また地下だぜい。ちなみに地下はゾンビは少ないのですが何故かG生命体と仰天サイズのコックローチがいます。先に言っておきます虫注意SAN値に気をつけてください。

 

 

地下室に行くためにまずは鍵を食堂の鍵箱から引っ張り出します。

で、難なく鍵を開けて地下に向かいますがここにもゾンビがかなりいます。避難した先で発症者がいたのでしょうね。残念無念。

階段の中腹あたりからささっと始末してしまいましょう。一撃でも食らうと死んでしまいますので基本はノーダメージ。事故の元は排除しておく必要があります。

 

では全部を始末し終えたので点検用のハッチを開けます。防犯上の理由から内側からは開けられない構造となっています。妥当といえばそうなんでしょうけれど不便な構造ですね。

でははしごを使って降りていきます。

下水道は煉瓦造りの古い構造のもので灯りなんて当然ありません。レナが懐中電灯を持っているのでその明かりを頼りに進んでいきます。

AIは優秀ちゃんなので基本はめぐねえの視界方向にライトを向けてくれます。

おっと早速G成体がいますね。

下水は現在水位が下がっているので腰まで浸かるとかそういうことはありません。なので動きも鈍くならないので不意打ちにさえ注意しておけば大丈夫です。

ここからならめぐねえのアサルトで倒しちゃいましょう。しっかり目を狙って……はい処理完了。

下水は半分迷路のようになっているのでしっかり覚えていないと迷います。

 

 

 

不安でしたらあらかじめ地図を用意しておくと良いのです。同志たちによって地下道全体の地図は製作済みですので。いくつかの角を曲がるとG成体の住処と思われる場所に出ます。似たような光景をRe2でも見ましたがあそことはまた違うもののようです。地下下水がG汚染されてしまっている大変だー。

 

はいここでパイプ通路を通ります。この通路はG生命体が出てこない代わりに巨大なゴキブリがわんさか出てきます。しかも凶暴で油断すると考古学者の冒険映画の如く群がってきてやばいです。

なので基本はダッシュで通り抜けちゃいましょう。うへえ気持ち悪い。

 

再び下水道です。今度は水が完全に引いている状態の通路ですが、こっちにはなんと変異体も湧いてきます。

出現確率としては成体4に対して1といったところです。チマチマ倒した方が安全なのは確かですが弾薬の問題もあるのでスルーも一つの手です。

 

ではここからは地上に移ります。梯子を登っていくとちょうど工事現場近く。開いたままになっているマンホールから道路に出ることになります。

後は地上をテクテク歩いていくだけです。

はい到着しました。前線司令基地です。

基地と言ってもいくつかのテントが貼ってあるだけの簡素なものですけれどね。

その上通信機も破壊されており基地は荒廃しきっています。

周囲にはUBCSのゾンビもかなりの数がいます。

これらゾンビは一般のゾンビとは違い体力が高く防弾チョッキを着ているせいで胴体への攻撃はほぼ通じません。足を撃って動きを止め頭を確実に狙っていくのが定石です。もちろんショットガンなどで頭を吹っ飛ばすのもありです。

 

壊れた車はたくさんありますが現状ヘリは見当たりません。ですが残されていた地図に脱出のためのヘリを止めておくポイントが記されております。どうやらここから脱出するつもりだったようですが襲撃を受けて逃げるまもなくといった感じです。

どうやら虎の子の装甲車があるようでこれを使ってゾンビ達を突破するつもりだったようです。

しかしここで中ボス戦です。

 

あのバカきやがった。と言ってやりたくなりますネメシスたんです。

ちなみに変形はしていません。ですが前回戦った時よりも凶暴性が増しています。おかしいな何が原因なんでしょうねー。

ですが安心してください。ここには必殺の装甲車があります。これの車体上部には12.7ミリ機銃が設置されています。早速これに乗り込みましょう。

では上部ハッチに移動して機銃をセットします。弾薬はたんまりあるので問題はありません。ですがエンジンのキーを回してもなかなかスタートしません。

原因はバッテリー上がりのようです。

リサが別の車両から使えそうなバッテリーを探しにいくと言うのでこちらはネメシスを引きつけたり近くのゾンビを撃って処理していきます。

12.7ミリ機銃はどんなゾンビだろうと当たればそれだけで木っ端微塵に粉砕できます。

ネメシスにもかなりダメージを与えられます。惜しむことなく全力で投射しましょう。

もちろんネメシスもジャンプで飛びかかってこようとします。その時は素早く弱点を狙い撃つことで攻撃をキャンセルできますのキャンセルできなかったら?その時はゲームオーバーです。

 

三回ダウンを取れましたのでこれでネメシス戦終了です。結構あっさりしましたね。まあこれも重機関銃様様です。素直に手持ち武器だけで倒すこともできますが結構時間がかかるのでこちらの方を私はお勧めしますよ。ではムービーです。倒せたことを喜んでいるとバッテリーを抱えたリサが寄ってきます。レナが装甲車から降りてバッテリーを接続する手伝いをします。めぐねえは大人しく運転席で待機です。

リサがエンジンをかけてと合図を送ってきたためめぐねえはキーを回します。するとどうでしょうあんなにキュルキュル言って掛からなかったエンジンが素直に息を吹き返したじゃないですか。

ではこれで最終目的地に向かいます。

 

目的地へはまっすぐ突き進んでいく形になります。

文字通りまっすぐです。道中の故障車や事故車、ゾンビどもはまとめて弾き飛ばしていきます。装甲車万歳!

これがまた爽快なんですよ!もちろん12.7ミリ機銃でゾンビを消し飛ばすこともできます。ですが弾が殆どないので今回はお預けです。ヒャッハー!どけどけ!

 

道中生存者と会うこともなく、時々建物の中を突っ切って、目的地の公園に到着しました。

ちなみにこっちの広場もヘリを残して解決してしまっています。

原因はそこにいるリッカー達です。うーんこのパイロットとか隊員とか可愛そすぎる。

まあ同情してもどうにもならないのでリッカー達を装甲車で跳ね飛ばしてすぐヘリに向かいます。

先にリサとレナがヘリに向かいます。その間に残った12.7ミリでリッカーを近づけさせないように弾幕を張ります。ですが12.7ミリ機銃自体も重いものですので動きも遅く当てるのは困難です。すぐに弾切れになりました。ですが先にヘリに飛び乗った2人が牽制射撃を行ってくれていますので素早くヘリに向かうましょう。

ここまでに弾が切れていると1/2の確率でどちらかが犠牲になります。何気に初見殺しなところあるんだよなあ。

ヘリコプターに飛び込むと、コンマの差でリッカーが突進してきます。

すぐにスライドドアを閉める必要がありますがボタンアクション。しかもランダムなので焦って入力ミスをすると即死する数少ないスポットです。

 

ですが焦らず慌てず素早く入力が出来れば特に問題はありません。

ここからはムービーになります。

リッカーの体当たりがスライドドアによって防がれます。しかし衝撃でドアが歪み窓ガラスが砕け散ってしまいます。

レナがヘリのエンジンをかけて離陸準備をしていきます。離陸できるまでの合間再びリッカーに襲われますが割れた窓から反撃をしていきます。

 

ようやく離陸体制が整いました。すぐに機体が浮き上がります。しかし機体真下にリッカーがぶら下がってきます。

めぐねえがハッチを強引に開けてリッカーの脳にナイフを突き立てます。わお大胆。脳をやられたリッカーは力無く落下していきます。

後はエンティングとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

何分ほど気絶していたのだろうか?

周囲は呻き声のようなもので溢れていた。

少しだけ痛む頭を抑えて現状を確認。どうやら車は壁に激突したらしい。生きているのが不思議だ。

「リサ、レナ大丈夫?」

 

「イタタ……なんとか」

運転席はエアバックが展開されていたようで、レナ自身もあまりダメージは負っていないようだった。

「あった……ちゃんと前見てよレナ」

 

「ごめん。後で何か奢るよ」

 

「生き残れたらね。動ける?奴らに囲まれる前に逃げるわ」

リサが歪んであかなくなっていたドアを蹴り開けて車外に出る。私もそれに続いて車から降りた。

周囲にはすでに彼らが集まり始めていて何もしなければ数分もしないうちに彼らに食い殺されてしまうのは容易に判断がついた。

 

幸い鍵の空いているアパートを発見することができた。

すぐに室内に入り入口を塞ぐ。化け物が扉をこじ開けようと多当たりする音が響き渡った。

「それで?この後はどうする?」

外に出ようにも出入口は彼らに囲まれてしまっている。

「地上は無理そうだし……」

 

「ねえこっちに地下室あるよ!」

先に奥に行っていたリサが地下室の階段を見つけた。地下室入口には鍵はかかっていたものの、マスターキーはすぐに見つかった。

明かりが切れているのか中は真っ暗だったものの、レナが懐中電灯を持っていたおかげで照らすことができた。どうやら車のダッシュボードにあったものらしい。

室内はジメジメとしていた。脱出につながる何かがないかと思っていると、リサが再び何かを見つけた。

「これってもしかして」

それは下水路につながる点検用ハッチだった。

「大丈夫?危険じゃないの?」

 

「ここにいたってジリ貧だ。とにかくいくしかないよ」

確かにそうだった。だけれど下水道を行くのはなんだか怖いものがあった。今までもそうだったけれど先が見えない暗闇と言うのは本能的な恐怖を呼び起こす。

それでもレナに手を引かれて私はそこに入ることにした。

 

 

下水路はかなり昔からこの街にあった。一部は地下鉄を通すために新しいパイプのものに変えられているけれど大部分はこうやって煉瓦造りだったりコンクリートによって作られた水路のようになっている。だが下水路であるがゆえに臭気がひどく長くいると気が狂いそうな場所だった。

 

だけれど普段人が入らない場所であるが故に彼らもここにはいないようだった。

水の中を何かが歩く音がしたのは、地下水路を歩き出して十分ほどたったところだっただろうか。

「何かいる?」

 

「気をつけて。化物かもしれない」

それはこの先の通路からしているようで、私達は武器を構えながら進むことにした。

だがそいつは自らこちらに現れたのだった。

それはなんとも形容し難い醜い肉塊のような形状で、もはや何の生き物なのかすらわからないまさしく怪物だった。この世のものとは思えない。地獄からやってきた怪物と言われた方がまだ説得力があるそんな存在だった。巨大な目は顔ではなく極端に肥大化した左腕の付け根にありこちらをじっと見つめていた。咆哮のようなものとともに口のある異様に小さな頭部のようなものが4枚に裂けた。

 

「な、なんなのあれ!」

 

「わからない!わからないけどやばいのは確かだ!」

それも一匹だけではなかった。何匹も出てきたものだからたまらない。気づけば私達3人は夢中でそれらを撃退していた。

 

水に薬莢が落下する音だけが残った。

 

「急ごう。まだいるかもしれない」

レナが私とリサの手を掴んだ。

「ゾンビみたいな化け物だけにしてほしいわ!なんであんな惑星からの物体Xとかに出てきそうな化け物がいるのよ!」

そう叫んだのはリサだった。惑星からの物体Xはよくわからないけれど多分スプラッタな映画なのだろう。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

やっとの思いで到着したそこは、すでに化け物の巣窟になっていた。

UBCSの隊員だったであろうそれらは、今はフラフラと歩く屍の群れでしかなかった。大破した車や武器を入れていたであろうケースは数あれど、ヘリコプターのようなものはなかった。

「ヘリないね」

 

「何か情報が残ってるかもしれない。テントの中を確認してみよう」

落胆している暇はなかった。後数時間もしないうちに街は吹き飛ばされてしまうのだ。司令部だったであろうテントの中に入り、そこに残されている資料を探ることにした。テントの布はボロボロに引き裂かれていて、どうやら怪物のような奴らに襲われてしまったのだろうということは想像がついた。

「リサは外を見張っていて。めぐはそっちを探して」

 

「わかったわ」

血飛沫が僅かに残る書類をいくつか探したものの、避難計画に関する書類や報告書のようなものはあったけれどなかなか脱出に関する情報は見当たらない。

命がかかっているのだから探すのも必死だった。直ぐ近くに惨殺された死体が転がっていようと関係なかった。

数分ほど探し回ってようやく見つけることができた。血の手形がべっとりついた書類に必要な情報が載っていた。

「あったわ。脱出経路……どうやら脱出用のポイントが変更になっていてそこまでは装甲車を使って移動する計画だったみたい」

 

「それって……」

レナも横から書類を覗き込む。

「司令部、後少数にだけ知らせる?まるで部下を置いて夜逃げするみたいだ……とりあえずそこはいいや。場所はここだね」

重ね合わせてあった地図をレナがあれやこれやと他の地図と照合して場所を特定してくれた。

「リサ、外に装甲車はないかな?」

 

「装甲車?えっと……あったわ!VAB装甲車」

それは目立たないところにポツンと停車していた。カーキ色に塗られた車体にUBCSの部隊マークとアンブレラ社のマークがそれぞれ刻まれたカクカクした車体。

「……装甲車。こんなものまで」

 

それに近づこうとした瞬間だった。嫌な気配がした。とっさに面の前にいるリサの手を引っ張って抱きしめるように引き戻した直後、リサがいたところを黒い影が通り過ぎた。

それはあの巨大な四足歩行の化け物だった。あれだけ銃弾を叩き込んだのにまだ死んでいないなんて……まさしく不死身の化け物だ。

私とリサがショットガンで応戦。

リサが隙を突いて装甲車の扉を開けた。

目標を私とリサに絞った化け物が突っ込んできた。タイミングを測ってそれを回避する。背後にあったトラックにその化け物は頭から突っ込んだ。

 

「早く乗って!」

すぐに私達も装甲車に飛び乗った。ハッチを締めると少しして触手のようなものがドアにぶつかった。何度も打ち付けてくる音がする。いくら装甲車と言えど無敵ではない。

レナがエンジンをかけようとしているけれどなかなかかからない。

「エンジンがかからない!」

 

「もしかしてセルモーターが動いてない…バッテリーじゃ」

リサがそう言って装甲車の外を確認する。向こうはどうやら様子見をしているようだ。時計塔の時みたいに高い建物はない。体当たりをしようにも装甲車を破壊するために必要な速さはここでは出せないのだろう。

「見てくる!」

 

「まってリサ、危険すぎる!」

 

「動けなかったらどっちにしろ同じでしょ!2人とも援護よろしく!」

リサの警告を無視してレナが化け物とは反対側の扉から外に出た。

「ああもう援護するしかないか」

私は屋根のハッチを開けて屋根に取り付けられた機銃の持ち手を握った。

12.7ミリ弾。機銃の横に取り付けられた弾薬箱にはそう書かれていた。このタイプの銃の使い方は知っている。よくリサと一緒に見た映画でもやっていたしリサ自身も時々教えてくれた。

「この化け物ッ!いい加減しつこいのよ!」

文句の山ほどもあっただろうけれど私が言えたのはそれくらいだった。

夢中で重機関銃を撃った。重たい本体をレールに滑らせるようにして動かし、巨大な化物の頭にたたき込んでいく。頭が弱点なのは今までの戦闘からこちらも学んでいる。

 

流石にあの化け物もこの弾幕には怯んだ。

 

私に飛びかかろうとしてきたけれどやはり何発も当てられては痛いのだろう。悶え苦しむように頭を抱えて、そいつは倒れ込んだ。

真っ赤になった銃口から煙が立ち上がる。夢中で撃っていた。1分だろうか?2分だろうか?

「めぐも随分と容赦ないね……」

 

「そう?」

 

少しして、リサがバッテリーを持ってきた。ボンネットを開けてレナと一緒の作業をしている合間私は機銃を振り回してずっと化け物を吹き飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

装甲車が彼らを跳ね飛ばし、踏み潰し、事故車を吹き飛ばしながら突き進んでいく。快調とは言い難く大きく揺れる車に私は必死にしがみついていた。街が吹き飛ぶまでそう時間は残っていない。一刻も早く街から逃げ出すべきだった。

「装甲車も運転できたんだ」

運転席にいるレナが鼻歌を歌いながら化け物を轢き潰していく。

「いや、マニュアルの運転を知っているだけさ!運転したのは初めて」

自動車が吹き飛ばされた。ガタガタと車体が揺れる。

「心配になってきた…」

何度も車運転してたから大丈夫かと思ってたけどちょっと心配になってきた。しかもさっきとハンドルの構造全然違うし。

「大丈夫だって気をつけていれば横転しないからさ」

そう言ってレナはあろうことかよそ見をしていた。装甲車の進路は道路から逸れていた。

「前見て前!」

私が叫んだ時にはすでに遅く、歩道に乗り上げた車体はそのまま思いっきりお店のショーウィンドウを破壊しながら建物を斜めに突き抜けた。

「あ…まあ誤差だよ誤差」

咄嗟に車内に身を戻してなかったら死んでた。体にかかった破片を落としながら流石の私も怒った。リサも怒っていた。

「気をつけてよね!」

 

「ごめんよ。でも装甲車の窓って結構視野が狭くてさ」

そう言われて助手席と運転席を見れば確かに普通の車よりも視界が限られていた。

「私が上から案内したほうがよかった?」

 

「そうして欲しいかな」

そうしていると、高架道路が見えてきた。この街を南北に縦断する高架化されたバイパスに接続するインターにはバリケードのようなものが設置されていた。そんなものお構いなしに容赦無く装甲車は突っ込んでいく。

 

その奥にはヘリが止まっているはずだった。

 

 

 

「うげえっ!化け物だらけ!」

結果から言えばそこには確かにヘリはあった。だけれど同時に化け物達の巣窟でもあった。

「初めてみる化け物……」

 

「リッカー…警察はそう呼んでいた」

リッカー…なんとも嫌な名前だった。

「レナ、あれと対峙した?」

 

「んー……一体くらいかな。あんな大量にいるのは見たことないよ」

しかしあれをどうにかしないとヘリは飛ばせそうにない。グズグズしている暇もなかった。

 

 

「こうなったら…強行突破だ!」

レナがアクセルを強く踏み込んだ。目はないけれどその分聴覚が発達しているのかエンジン音につられて奴らは飛びかかってきた。加速した車体が飛びかかってきた化け物を跳ね飛ばし、長い舌を車輪に巻き込みながら細切れにしていく。車体に血が飛び散り赤く汚していく。ハッチから最小限体を出して機銃をばら撒く。狙いなんて定めていない。とにかく近づけさせないためだ。

「あのヘリの横に止めて!」

 

「了解!」

唯一止められていたヘリコプターの側に装甲車は停車した。すぐに化け物たちが襲いかかってくる。

「援護するから先にヘリに乗って!」

 

「「分かった!」」

レナとリサが装甲車から飛び出した。2人に飛びつこうと化け物が駆け出す。それらに向けて重機関銃を振り回す。

もう重たいものを振り回すほどの体力は残っていなかったけれど火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか?

少ししてヘリのエンジン音とローター音が聞こえ始めた。ほぼ同時に機関銃も弾切れになった。

「飛ばすよ!」

そういえばレナもリサもヘリを飛ばすことなんてできるのだろうか?正直ヘリに救助してもらうのを前提としていたからこれは想定外なんだけど……

「めぐ!速く乗って!」

もうそろそろ頃合いだろう。

装甲車から飛び出し、ヘリに向かって駆け出した。

駆け出せば2秒程度でたどり着くはずのヘリがその時だけは遠く感じた。

ヘリに飛び乗った直後、長い舌を鞭のように振り回して化け物が飛びかかってきた。足で蹴るようにヘリのドアを閉める。大きな衝撃が走り扉が大きく歪んだ。窓ガラスが吹き飛び破片が手を掠めていく。鮮血が飛び散った。

「ヘリの操縦は?」

意外にもパイロット席にいたのはレナだった。さっきも運転席にいたような……

「ハワイでお父さんに!」

 

「レナのお父さん何もの⁈」

リッカー達がこちらに襲いかかってくるのを割れた窓から銃を突き出して防ぐ。だけれどそれも長く続かずライフルは弾が切れてしまった。

飛びかかってきた化け物に投げつける。だけれどこちらの勝ちだった。

機体が大きく揺れ、視界が浮かび上がった。

「やった!」

浮き上がった機体に安堵した直後、何かが機体の下にぶつかる音がした。同時に大きく床がずれ動いた。リサが座席から投げ出されてラックに体を打ち付けた。私も席から投げ出されて床に叩きつけられた。

「くそっ飛びついてきた‼︎」

高度は上がっているものの機体は回転するように揺れ、大暴れをしていた。ヘリの扉に深い爪のようなものが突き刺さり、ドアが外側に弾け飛んだ。

「ああもう!」

再び振りかぶろうとしていた腕を腰から抜いた銃で思いっきり弾く。だけれど運悪くこちらも弾が切れてしまった。弾はもうない。何か使えるものは…

そう考えて腰のベルトにナイフをくくりつけていたのを思い出した。カルロスさんにもらったやつだ。

もう一度相手の腕の振り下ろしがくる前に、思い切ってそれに近づいた。

「終わりよ化け物ッ‼︎」

 

脳天に深く突き刺さったナイフごと、化物は力尽きたかのようにヘリから腕を離し落下していった。

 

ようやく機体が暴れるのをやめ、静寂が訪れた。

「アタタ…めぐ大丈夫⁈」

 

「リサ、私は平気。そっちは?」

 

「大丈夫だよ」

 

既に東の空が薄明るくなってきていた。日の出まではもう時間が残っていない。

眼科で誰かがいないかどうか…風が吹き込む機内からでは確認はできなかった。

「他に生存者がいるかどうか探してみよう。少しだけ時間がある」

 

「数分だけか……」

だけれどギリギリまで粘っても他の生存者を見つけることはついに叶わなかった。

夜が明ける。

一瞬遠くに青白い流れ星のようなものが見えた。

 

閃光

衝撃波が機体を跳ね飛ばした。

遅れてきた爆風が破損した扉から入り込んでくる。

 

「……生き残ったの?」

 

「少なくとも今はね」

 

「……」

みんな終始無言で、街を覆い隠す期にキノコ雲を見ていた。

これからどうなるのか。それはわからない。だけれどここで起きた事は、失われた命は、確かに現実なのだ。

 

 

 

 

 

 

はい、Re3ルートこれにて完結です。続きは本編へGOなのです。

 



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くるみがいくRTA

はい今回は番外編としてトールオークス/ターチィ編のRTAをやっていきます。

ここの区間のRTAをやることになったきっかけですが、ある方の感想に過去編区間におけるRTAタイムの比較が欲しいとののことでしたので今回の動画を出させていただくことにしました。

ちなみにめぐねえRTAの時ののラクーンシティ単体のタイムは1時間33分4秒です。

使用キャラはくるみとします。他のキャラでも良いのですがめぐねえと対をなす必要が感じられたのでくるみにします。

では早速始めていきましょう。

今回はあらかじめ過去編が始まるまでのデータは作ってあります。

さて今回は……どうやらターチィになったようです。

正直難易度がラクーンシティの比じゃないので正直くるみ達では生存確率が極端に低くなるのですがまあ大丈夫です(白目)

当たらなければどうということはないのだ(棒)

ちなみに生徒をPCとするか先生をPCとするかで時代設定が若干変わってきます。

 

 

 

 

 

 

目の前で人が人を襲っていた。

フラフラとした生気のない表情……首元を食いちぎられて虫の息になる後輩。

呆気に取られていたのはほんの数秒…それくらいだったと思う。咄嗟に側にいた先輩の手を取って走り出した。ドラマチックな展開だと普段の時なら思えたかもしれないが今となっては別だった。

「お、おい!」

 

「いいから来て!」

陸上部の練習場に来ていた先輩に、めぐねえからもらったアドバイスを元に突撃。自分の思いを伝えたところで、それは現れた。呪われているのではないかとかなんでこのタイミングなんだとか言いたいことは山ほどある。

だがまずは生き残ることが重要だった。そう、あの時のような地獄では……

 

既に構内でも惨劇が繰り広げられていた。あちらこちらで生徒が生徒に襲いかかり、血が飛び散っていた。

先輩が屋上へ行こうと叫んだ。確かにあそこなら篭城戦をするのであればちょうど良い。水もあるし最低限の食料も……あーこの時期って野菜何があったっけ?まあいいや。

 

「おい恵飛須沢!危ないっ‼︎」

教室の扉が破壊され、私に覆いかぶさってきた。咄嗟のことで私も避けられなかった。

 

 

 

 

2013年6月30日。

私はその日人生初の地獄へ迷い込んでしまっていた。

1人旅行をするのにここ数年ハマっていた私は、高校入試が終わったことを気にターチィに1人飛んでいた。丁度土日前に振替休日が含まれていたため、三日間の旅行になるはずだった。

だがそれは初日の夕方、つまり昨日の時点で頓挫してしまった。

最初はお面を被った男が変な動きをしているなというだけだった。どこかフラフラと、落ち着きのない動きで通行人を見ていた。偉葉の地域は全体的にごちゃごちゃした印象だったしそういう人もいるのだなと露店で珍しいものを物色していると、背後で悲鳴が上がった。

とっさに振り向けば、そこには近くにいた女性を壁に向かって叩き投げているお面の男がいた。

周囲の人々が一斉に逃げ出した。その人の波に揉まれるようにして私もその場から逃げ出そうとした。だけどパニックになった人混みの中をそう簡単に逃げ出せるほど私はまだそれに慣れていなかった。

着ていたパーカーの端が露店の骨組みに引っかかり、その状態で突き飛ばされた。露店のテントを倒しながら私は地面に叩きつけられた。

 

気がつけばお面を被った男は数人に増えていた。

そいつらは私を見つけるなりおそりかかってきた。

「うわっ!」

転がるようにしてその場から横に逃げた途端、さっきまで私が倒れていたところに拳が叩きつけられていた。

頭を低くしたまま道の端を必死こいて駆けていく。すぐ背後をバッドが飛んで行った気がした。

陸上部だから足には地震があった。だけれど相手はそれ以上の速さで追いかけてきたのだ。

 

「頭下げてッ!」

 

怒鳴りつけるような英語。本能的に頭を下げた瞬間、頭上を何かが飛んでいった。

それはスコップ、あるいはシャベルと呼ばれる道具だった。それが巨大な弓のように宙を舞い、背後にいた仮面の男を吹き飛ばした。

思わず前に意識を戻せば、そこには銀髪の髪をたなびかせながらまるでピッチャーが投球した時のフォームで固まっている少女がいた。

年齢はおそらく私と同じくらいだろう。

 

「こっち!」

 

「えっとっありがとう!」

 

「礼は受け取っておくよ」

実際には手なんて握っていないけれど、まるで手を引かれるかのように付かず離れずの距離で私とその少女は裏道を逃げていた。

 

トタンで作られた壁や無造作に突き出た鉄骨と足場、錆びてボロボロのベランダと、一歩裏に入るだけでもまるで迷路のようなところだった。

そんな中でやや劣化した扉が無造作に開け放たれていた。銀髪の少女はそこに飛び込み、私もそれに続いた。

すぐに扉が閉められる。蝶番が音を立てて軋みをあげたけれど、扉を閉めて少ししてもさっきの男たちが襲ってくる気配はなかった。

 

「助かった?」

よくはわからなかったけれど、一息つけたのは確かだった。

「この場は助かったんじゃないかな?」

そういう少女は、外の音を少しの曖昧聞こうとしていたが、外から気配がしなくなったのかすぐにこちらに向き直った。

「えっと、助けてくれてありがとう」

 

「いやいいってことさ。私はレナータ。適当にレナって呼んでくれ」

日本だったら廃墟同然のボロボロな建物を歩きながら彼女はレナと名乗った。不思議な名前だった。顔立ちはどこか東洋人のようにも感じられたが、雰囲気も喋る英語も東洋の雰囲気は全くしない。

「私は恵飛須沢 胡桃」

 

「んー日本人か。観光できたのかな?」

 

「そうだけど…レナは?」

 

「私も観光さ。まあ生まれがここで幼い頃はここに住んでたから里帰りってやつかな」

 

「そっか。にしてもあいつらなんなんだ?」

お面を被った犯罪者集団でもあるのか?まあここは中国だしそんな組織の一つや二つ珍しくもなんともないけど、ありゃカンフーの達人かってレベルで超人的な動きしてたぞ。酔拳だってあそこまで凄くはならないし。

「さあ?私もわからないけど……」

レナが話している最中、部屋が大きく揺れた。何かが爆発する轟音も少し遅れてやってきた。

上の階に続く階段を見つけて、視界が確保できる高さの窓を覗き込むとして遠くでいくつかの爆発が起こっていた。まるで内戦のようだった。目の前で起こっていることもまだ実感が持てなくて、遠くの世界のような気になってしまう。人間やっぱり唐突な出来事に対してはどこか対応できないんだろうな。

「これは…テロかな」

 

「ただのテロだといいんだけど……ともかくここは危険だ。すぐに逃げよう」

 

「逃げるってどこに?」

 

「なるべく安全なところさ」

 

屋上に出ると、外の音がより一層聞こえるようになった。爆発だけではなく銃の発砲する音に悲鳴も、より鮮明に耳に入ってきた。

 

「おっと、ストーカーのお出ましみたいだね」

振り返れば、そこにはお面を被った男達がよじ登ってきていた。まさか建物の外壁を登ってきたのか。

「それってジョーク?」

 

「まあね」

男達の手には青龍刀のような太い刀が握られていた。

「走れる?」

 

「走るのは得意」

レナと私が駆け出したのはほぼ同時だった。それを追いかけるように背後でいくつもの足音が続く。

 

建物の端が一気に近づいてくる。後数歩で終わってしまうだろう。

だけれどすぐ隣にもビルがある。思いっきり踏み込んで、隣のビルに飛び移った。とは言っても歩幅一歩分しか離れていないから落ちる心配はほぼないんだけどな。

隣のビルは工事中だったのか簡易的な足場が組まれ、幾つもの工具が置かれていた。

レナが咄嗟に立てかけてあったシャベルを掴み、後ろから迫ってきていた男をぶん殴った。反動で男が転んだ。追い討ちをかけるように振り上げたシャベルで頭を叩き割った。流石にそこまでする必要はあったのかと思いたかったけれど、次の瞬間その男の体が不意に、予想だにせずに、燃え上がった。

「なんで……わからない。でも今はそれを考える時じゃないと思うよ」

そうだった。まだ男たちはいるんだった。

レナがシャベルをこちらに放り投げた。

「使ってくれ私にはこっちの方が合いそうだ」

レナの手には銀色に光る何かが握られていた。それは燃え上がった男が持っていた青龍刀だった。

 

「なるほど、まあなんかわからないけど人じゃないっぽいし」

数は2人。これくらいならまだ相手できる!

 



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くるみがいくRTA その2

R18版も更新中なので初投稿です


あれからどれほどの時間が経ったのだろうか?

お面を被った男達から見つからないように比較的安全そうな建物の中に隠れて身を潜めていた。

遠くから聞こえてくる悲鳴はなくなり、静寂とそれ以外の喧騒を聞いているうちに私は眠っていた。

ふと目を覚ますと、レナータの頭が肩あたりに乗っかっていた。

「なんだ寝てるのか」

 

「ん……あ、寝てた?」

 

「そうみたいだな」

こんな非常事態、それも周囲には人をかたっぱしから殺そうとするようなヤバい奴らがうろついている時に警戒心もなく寝ていたとなれば大問題だったけれど、それでも無意識なのか生存本能なのか何かがつかづくとすぐ体が起きるようになっていたからことなきを得た。

ただしそれはたった今だった。

 

 

「敵?」

 

「敵と言われれば敵なのかな」

足音からして複数人数。今私たちが隠れているロッカーからは遠い。

「今のうちに逃げようか」

 

レナータがそっと扉を開けた。差し込んできた光はどこか赤く、照らし出された時計はまだ2時間と経っていなかった。

レナータを先頭にそっと建物の中を進んでいく。日本じゃ廃墟とか呼ばれそうなほど荒れているが、それでも人の営みがあったせいか廃墟の持つ荒廃感はなかった。

 

「……ッ」

私たちがいるところとは対象角にあたる位置にあった階段から奴らが上がってきた。

咄嗟に身をかがめて物陰に隠れる。

焦った…心臓の鼓動が早くなる。

 

「気づかれずに逃げれるかな…」

 

レナータがそう呟いたのと同時に、どこからかヘリコプターの羽音が聞こえてきた。それと同時に奴らが騒がしくなった。

何かを叫んでいるようだったが何を言っているのかはさっぱりわからなかった。

「あちらさんのヘリってわけじゃないみたいだね」

 

「そうだと良いけど……でもこう言う時のヘリって役に立つか?」

ゲームやドラマではあまり役に立たない印象が多い。それに実際にヘリが来る場合、それは事態が解決する時か強襲をかけるときかだ。

 

「さあね?でも気を取られている今がチャンスだ」

 

身をかがめて四つん這いになりながら、レナータは動き出した。私もそれに続いて物陰を移動する。

目的地は奴らのそばで開け放たれている非常階段への入り口だった。

 

ようやく扉のところに来た時、1人が私たちの方に振り向いた。仮面の向こう側の目と私の視線が交差した。

向こうがよくわからない言語で叫んだ。

「まずいっ‼︎」

 

頭を下げた瞬間、真上を何かが通り過ぎた。それは青龍刀だった。

「やっぱり気づかれないようにするのは無理か‼︎」

 

「喋ってないで逃げるの!」

階段を飛ばしながら駆け下りていく。レナータが階段の手すりを蹴り飛ばし、宙を舞った。背後から追いかけてくる彼らの足音を聞きながら私も手すりを蹴った。

階にして二階分、着地の衝撃はそこまで強くなかった。なんだろう、これくらいなら陸部のメンバーでもできそうだな。ってか先輩は時々窓から逃亡してたな。

 

 

その時初めて空を飛ぶヘリの姿が見えた。

それはコクピット下にバルカン砲、左右にドアガンを搭載し、さらに太い胴体から飛び出た小さな翼に多連装ロケット砲を搭載したUH-60だった。

その側面にはよくわからないエンブレムが描かれていた。

 

「BSAA‼︎早いな」

 

「BSAA?」

 

「対バイオハザード部隊さ」

 

「なるほどな」

全くわからん。

 

背後で気配がして、振り返るとそこには斧を振り上げたお面の男がいた。もう追いついてきたみたいだ。

咄嗟にそいつの懐に潜り込み、頭をお腹の少し下あたりに飛び込ませる。腰のベルトを両手で掴み、後ろに放り投げる要領で体全体をバネのように伸ばした。

走ってきた勢いもあってかその男は吹っ飛ばされるように地面を転がった。

すかさずそいつの頭を踏みつけながら駆け出す。放り投げるときにシャベルの先端が腹を突き上げていたみたいだが自業自得だ。

 

 

「やるねえ」

 

「どうも」

空を飛んでいたヘリが私たちのすぐ近くにやってきた。その両翼から白い煙が上がった。

援護射撃のつもりだったのだろうか、両翼から放たれた数発のロケットが背後から迫ってきていた奴らのすぐ目の前に着弾。

襲いかかってくる衝撃派から咄嗟にレナータを守ろうとして彼女を抱きしめた。爆風が襲い掛かったのはその直後だった。

地面や建物の壁に何度も体をぶつけた。クッソ痛い。

「ゲホゲホッ……生きてる?」

酸素がうまく吸えず息を整えきれない。

「なんとか……」

レナータはすぐそばに倒れていた。どうやら私の方が派手に吹き飛ばされたらしい。

持ってきたシャベルもどこかに転がってしまっていた。

 

上空を飛ぶヘリが一瞬こっちをみた気がした。

手を挙げて大丈夫だと言うことを何とか伝える。合図を理解したのかしていないのかはわからないけれど、ヘリはまたどこかに飛んで行こうとしていた。

動き出した直後ヘリの背後を白い煙が通過した。

 

「不味い!RPGだ‼︎」

名前だけは聞いたことがある。と言うよりも有名すぎる武器の名前だった。

突然の攻撃にヘリは上空へ退避を始めた。さらに数発、ロケット弾がヘリのそばを掠めるように飛んでいった。

流石に対戦車ロケットでヘリを落とすには数が足りないようだ。

「急ごう。少なくともアップタウン方面に行けばどこに逃げれば良いかわかるはず」

 

「わかった!…あっ‼︎」

 

今度は白い帯を空に描きながらヘリに向かって最短距離を飛んでいく物体が現れた。

今までの無誘導ロケットではない。誘導兵器…ミサイルと呼ばれるものだった。

「対空ミサイル⁈」

 

「戦争かよ⁉︎」

ヘリからフレアが放たれ、空が朱色に染まった。

そのヘリがどうなったのか、最後まで見ている余裕はなくて、走り始めた私たちの後ろで爆発音が立て続けに起こった事だけは覚えていた。

 

それはあのバイオテロのほんの一角で起こった出来事に過ぎない。だけれど、私達を助けようとしてくれた彼らがどうなったのか……結局最後までそれは分からないままだった。

 

少し離れた道の途中で、ヘッドライトをつけた車が一台止められていた。

 

「この車……」

 

「エンジンはかかってる。乗って」

どうやらさっきの彼らが乗ってきたものみたいだ。周囲に彼らはいない。レナータが先に車に乗った。私もそれに続く。

「免許は?」

 

「ニュージャージー州で取った。まあ国内ライセンスだけどね」

そういえばアメリカは私くらいの年齢でも免許が取れるんだったっけ?こんな時になってそんなことを思い出した。

「ダメじゃん」

 

「ゲームやっていれば運転くらいはなんとかなるよ」

そう言うものなのか。

勢いよく飛び出す車。シートベルトを締めながら、後ろを確認する。まあ高々一般人くらい見過ごすよな……

 

「……さっきのは先遣隊だろう」

 

「先遣隊?」

 

「多分BSAAの中国支部がスクランブルをしたんだと思う。事態の収束にアメリカにいる本隊が到着するまで被害を最小限に抑えるんだ」

 

「よく知ってるな」

 

「私の父がそこで仕事をしていてね」

 

「ほーん…」

道に転がる瓦礫などを跳ね飛ばしたのか車が大きく揺れた。その度に部品が落ちる音や何かが擦れる音が増えていく。大丈夫かこの車…ボロボロじゃないか。

「ところで君も運動神経がいいようだけど、何かやってたのかな?」

「運動部で走ってたくらいかな。体術は母が教えてくれた」

 

「へえ、母親が?」

 

「元海上保安庁で巡視船に乗ってたからね」

 

「カイジョウホアンチョウ?」

 

「あ…… Coast Guardに近いかな」

英訳一応JCGだし間違ってはないな。なにかと危険の多い職業だから少しでも自衛できるように覚えたものを私も教わったに過ぎない。

「ああ、納得した」

 

 

車は狭い路地のような道を突き進んでいく。道がわかっているのだろうか?

「道わかるのか?」

 

「ん?まあね、半分は勘だけど」

一応完全に分かっていない状態ではなかったみたいだけど怪しいな。まあ言ったところで私は道完全に知らないからどうしようもないけどな。

 

車が大通りに出た。車両の通行は無いみたいだ。まあこんな状況じゃそうなる……

「あっ‼︎」

レナータが叫んだ。途端に車が大きく横を向いた。

「え……」

 

その直後、横から殴りつけられたような衝撃が襲い、上下が反転した。屋根が大きく潰れ、車がひしゃげるように何度も転がる。

直前に見えた光景は、突っ込んでくる中型トラックのライト。

咄嗟にレナータがハンドルを切ったが間に合わなかった。車体の後ろ半分と接触、吹き飛ばされたのだ。

当然私たちは意識を失った。

 



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くるみがいくRTA その3

「ここは……」

 

見渡すと私の隣にレナータが同じく縛られた状態で座らされていた。

他にも薄暗い部屋の中には男女が数名縛られていた。

取り囲むようにお面をつけた男たちが自動小銃を持って立っている。時々何かを話しているもののその意味までは聞き取れなかった。

 

「うっ……」

 

「レナータ?」

隣でぐったりしていたレナータが目を覚ました。擦り傷や打撲痕が体に残っていたけれど大きな怪我はみたところではなさそうだった。まあ内出血で臓器がやられている可能性もあるけどそんなこと考え出したらキリがない。

「大丈夫か?」

 

「多分大丈夫……状況は?」

 

「ご覧の通り縛られてる」

私達が目を覚ましても見張りの彼らは全く反応を示さない。いや多少は睨んだりしているのか時々仮面に隠れた素顔をこちらに向けてくるけれどすぐにそっぽを向いてしまう。

「……あれは在中アメリカ大使と国連の職員……」」

レナータが縛られている他の人たちを見てそう呟いた。アメリカ大使⁈確かに大使館がこの地区にあるのは知ってたけれど。

「知り合い?」

 

「まあ……アメリカ大使とは顔見知りだね。国連の方は胸のネームカードを見ればわかるよ」

大使と顔見知りって……いや、SPとかが親だったりしたら顔くらいは知っているか。ともかく今は逃げることを考えないと……いつ殺されてもおかしくないんだ。そう思うとなんだか怖くなってきた、腕が震えてしまう。

「逃げられそうかい?」

 

「縛られてるし無理だろ」

ご丁寧に銃まで持っている。

どう考えても外で破壊活動をしている奴らとは違う雰囲気が漂っていた。

 

「まあそうだろうね……でも殺されてないってことはまだ利用価値があるってこと。まあそれは向こうだけじゃなくてこっちにも同じことが言えるから」

 

「待っていれば救助が来るってことか?」

確かにアメリカ大使であればそれなりの要求を突きつけることができる。テロにしても自爆テロじゃないなら何かしらの要求をするだろうからな。

「そう言うことさ」

なら大人しくしておいたほうが良さそうだ。

 

 

 

どれくらい経っただろうか?なるべく体力を温存するために目を閉じて寝ていた私だったけれどにわかに周囲が騒がしくなって浅い眠りから引き起こされた。

「……?」

 

「おはよう。可愛い寝顔だったよ」

目を開けたら目の前にレナータの顔があった。ご丁寧にイケボで言われたら女だってわかっていてもドキッとしてしまう。なんか悔しい。

「ホストの口説き文句より酷いな」

「……悪かったね」

一瞬震えるものが手に当たった。目線を少しだけ下に下げると、レナータの手が微かに震えて私の手に乗っていた。

なんだ……あんたも私と一緒か。だから無理してまで気を保っていようとあんなこと言ったのか。

 

 

建物の中で銃撃の音が響いたのはその時だった。

見張りをしていた何人かが慌てたように外に飛び出していった。

「どうやら、きてくれたみたいだ」

建物が騒がしくなる。大使館の人達も何があったのだとソワソワし始めた。

 

 

天井から何かが落ちてきた。

「…っ!目を閉じて」

レナータがそっと叫んだ。同時に私も目を閉じた。

よくアクション映画で見る存在が転がり落ちてきたのだ。

 

閃光手榴弾。フラッシュバンとも呼ばれるそれが、テロリスト達と私達の合間で盛大に光と突発音を放った。

180デシベルもの音で耳が瞬時に聞こえなくなり、目を閉じていても視界が真っ白に染まり、目が眩む。

誰かが近くに飛び降り、何かをしているのが振動で伝わってくる。

 

 

「大丈夫か⁈」

ようやく視界と耳が聞こえるようになった時、真っ先に飛び込んできたのはゴリラみたいな男が近づいてきて拘束をほどき始めた。

その側ではさっきまで立っていたテロリストが倒れていた。

その体が急に燃え出して、急速に灰になっていく。

人間…じゃありえない光景だった。

 

「人質を確保!これよりビルから脱出します!」

ゴリラみたいな人の横で、スラッとした男がどこかと連絡を取り合っていた。さらにマスクをつけた軍隊のような格好の人達も扉から続々と入ってきていた。

「彼らがBSAAさ」

 

「軍隊みたいだな……」

 

「あながち間違ってはいないかもね」

どうやらあのゴリラみたいな人が隊長らしい。キャプテンと呼ばれていたから間違いはないだろう。ならその隣にいるのは副隊長か?まあいいや。

 

「ところで君達は?どうやら国連職員でも無いようだが…」

話しかけてきたのはゴリラみたいな人だった。いやゴリラって言っちゃ失礼か。だけどガタイが良すぎるだろ。某ボディビルダーな俳優並みじゃねえか。

「ただの巻き込まれた一般市民さ。私はレナータ。こっちは恵飛須沢 胡桃」

 

「そうか。俺はクリス。BSAAの隊長だ。すぐにここから避難する。逸れないでついてきてくれ」

 

 

 

 

「車を向かわせています!合流ポイントまでついてきてください!」

大使館職員に混ざって私たちもその場を後にする。

建物の中にはまだ敵がいたのか、前に出た隊員達が銃撃を行なっていた。

 

 

そんな中で、クリス隊長が何かを発見した。それはゆっくりと通路の奥から現れて、フラフラとした足取りで近づいてきた。

「何あれ……」

手足は確かにあるのだが、身体中が膨らんだ醜い化け物のような存在だった。

「腫瘍の塊みたいな……」

腐りきった体が腐敗ガスで膨らんでいるような…みているだけで気持ち悪くなるようなやつだった。明らかに仮面の奴らとは違う。

突然そいつの腫瘍が破裂し、青いガスが吹き出された。

 

近くで銃を構えていた隊員がガスに巻き込まれた。

もがき苦しみだす隊員を横目に隊長が射撃を開始。集中射撃で体を削り取っていく。

 

もがき苦しんでいた隊員が、急にこちらに向かって駆け来た。

その顔は、土気色に変色した目は白目を向いていた。

別の隊員が悪態をつきながらそれを撃った。2、3度弾が命中するたびにそれはのけぞり、頭部を貫通した弾丸が致命傷になりその場に崩れ落ちた。

 

「さっきのガスはゾンビにしちまう危険なガスだ‼︎絶対に吸い込むな!」

そんなガスを放つ敵までいるのか‼︎すぐにクリス隊長が私達を後ろに下げ、奴を攻撃し始めた。

 

 

 

しばらくして銃声が止み、クリアという声が聞こえてきた。

私達もそれにわせて進んでいく。

ようやく一階までたどり着き、シャッターを潜り抜けた。

その直後、背後で大きな音がした。振り返ると、入口が崩落で塞がってしまっていた。そこにクリス隊長の姿はなかった。

 

「「隊長さん⁈」」

 

「落ち着け!今隊長から連絡があった。このまま避難する!」

私達の動揺を抑えようとしてくれたのか隊員の1人が、すぐにこの場を離れるように指揮を取った。どうやらこの建物自体をミサイルで吹き飛ばす予定らしい。クリス隊長達は別ルートから脱出するつもりなのだとか。

 

 

駆け足でその場を離れる。

「もう大丈夫だ」

屋根に機銃を乗せた軍用車両が、目の前で急停車した。

すぐに国連職員と隊員たちが車に乗り込んでいく。その後ろで、一際大きな爆発音がしてさっきまで私たちがいた建物が倒壊した。隊長達が大丈夫なのか気になったけれど、少ししてハンドルを握っている隊員が、クリス達も脱出したという連絡を受けたと知らせてきた。

よかった。

私達2人は後から来た2台目に乗った。この車両には他に隊員が数人乗り込んできた。

 

 

「ところで君達は?どうやら大使館とは関係ないようだが……」

隣に座った隊員がふと思い出したように聞いてきた。

「ただの一般人」

レナータがそう答える。

多分そうじゃないだろうけれど今追求するのはやめておく。

「そうか。一応安全地帯まで送りたいんだがこっちの車両は他の場所での援護に回さないといけない。向こうの車両は定員オーバーだから危険地帯を抜けたら避難誘導に従って逃げてくれないか?」

ゴーグルとマスクに隠れた顔が申し訳なさそうにしているのが一瞬だけ見えた。

「了解した」

 

 

 

到着したのはターチィと呼ばれる地域の外れだった。私達を乗せてくれた車は少ししてまたあの地区に戻っていった。

ここでも避難民が荷物を持って移動していた。やはりどこもこんな感じなんだな……

車を降りて川縁の手すりに寄りかかる。

「ここはまだ安全みたいだね」

レナータが、遠くの橋で脱線した列車を見つめながらそう言った。

「世紀末感がどうしても拭きれないんだけどな」

「世紀末?」

 

「あーわからないんだったら気にしないで」

 

「……」

「なんだか実感が湧かないな……」

死の恐怖に直面していたのに冷静だったし……

「人間、非現実的なことに直面するとリアリティを失うんだよ…それにしても嫌な予感がする……」

 

ふと何かが飛翔する音が聞こえた。戦闘機とは違う、もっと小さなものが矢のように突き進む音。つられて空を見上げると、一筋の線が近づいてきていたよ

「あれはっ!」

海の向こうから赤い光を放つ光点が現れ、あっという間に高層ビル群の影に隠れていった。ほんの一瞬のことだった。

「巡航ミサイル……?」

レナータが顔を蒼くしていたけれど、予想されるような熱風も衝撃波も襲ってこなかった。

そのかわり、悲鳴と共に青いガス雲がビル群の合間に現れた。

空気よりも重たいガスなのかそれは瞬く間に地面に降下し、拡散されようとしていた。あまり遠く無い。いや、近すぎるっ‼︎

「まずいっ!あれと同じ毒ガスだ!」

 

「くそッ!なんでなんだよ!」

瞬く間に周りにパニックが広がっていく。

 

瞬く間に広がっていく青いガス。悲鳴と怒号が格段に大きくなった。

目の前の道を歩いていた人たちが反対方向へ向かって駆け出していた。

「どうすれば……」

 

「BSAAの人達から離れないように!」

 

「レナータ?」

 

「彼らはバイオテロのプロだから。今は信じるんだ」

近くにいたBSAA隊員のそばに駆け寄る。他の人たちは我先にと反対側に向かっているがそっちからもガスが迫ってきていた。

「すいません‼︎避難はどうしたらっ!」

ここで指揮をとっているであろう小隊長らしき人のそばにレナータが駆け寄った。

「子供⁈くそ……こうなったら…君達!俺たちから離れるな!おい!小隊集合!この場所から退避する!」

 

「俺たちも協力させてくれ」

長身の男と女性もそれに加わった。

何か手帳のようなものを見せて、小隊長さんと思われる人と何やら話していた。普通の人ではないみたいだ。服装は普通の人だけど。

「わかった!」

 

「こっちだ‼︎」

隊員達が毒ガスからの避難のためビルの扉をこじ開けた。ガスから逃れようとなるべく建物の高いところに移動しようとしているらしい。

先導をする隊員の側に隊員じゃない人が2人いた。

銃を構えているところからして普通の人ではない。その身のこなしも、普通の人というより警察とかセキュリティサービスのような動きだった。

「こっちだ!上へ逃げろ!」

階段を駆け上がる最中、後ろで窓ガラスが割れた音がした。

 

 



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くるみがいくRTA その4

ガスから逃れるために入ったビルの中も、ガスによって化け物にされてしまった奴らが押し寄せてきていた。

ガラスが砕かれ、ガスと共に化け物たちが入ってくる。

先頭をいく隊員と一緒に上に逃れるように上がっていくが、その先の通路も扉が閉ざされていて開けられそうになかった。

「下がっていろ!」

途中から合流した男性と女性が、扉を蹴り飛ばして吹き飛ばした。

「ここは押さえておく!行け‼︎」

私達をここまで連れてきてくれた隊員が階段を登ってくる化け物達に向かって銃撃を開始した。

 

 

先行した隊員が通路の奥の方にいた。

そこまでなら安全なのだろうと判断したけれど、それは間違いであった。

不意に隊員の近くのシャッターが揺れた。

その直後、シャッターが破壊されずに大量の化け物が通路に溢れ出した。

「危ない!」

 

咄嗟に男が隊員に襲い掛かろうとしていた化け物を蹴り飛ばした。だが次から次へとシャッターの壊れた通路から押し寄せてくる。

女性が持っていた短機関銃で応戦していく。

 

荒れ狂う化け物の頭に的確に弾丸がめり込んでいく。

BSAA隊員が使う5.56ミリ弾だけじゃなく、9ミリパラベラム弾も混ざっている。レナータがBSAAの腰から勝手に引き抜いて使っている拳銃から放たれたものだった。

だが数が多すぎる。比較的狭い通路だと言っても対処しきれない。

「うああああ‼︎」

近くにあった消火器を持ち、力任せに近づいてきた化け物をぶん殴った。

あたりどころが悪かったのか、消火器が当たった化け物は首があらぬ方向へ曲がり、その場に倒れた。間髪入れずに近くに化け物の頭も殴りつけた。生々しい音が消火器を伝わり手に響いた。

「数が多すぎる‼︎」

気づけば階段のところから撤退してきたのかさっきの隊員がすぐ側まで後退していた。

シャッターを破壊して入ってきた化け物とで挟み撃ちにされてしまっている。

「こっちだ!」

 

隊員が外に繋がる裏口の無理やり扉をこじ開けた。

先に行けと私たちを先に通す。その直後、後ろを押さえていた隊員が、押し出されるように飛び出してきた。その直後後ろから呻き声の連鎖が響いた。

「振り返るんじゃないぞ!」

振り返ると、隊員の1人が、扉を閉めようとしていた。自身がまだ内側にいるにも関わらず。その隊員の肩や腰から、化物達が手を伸ばしていた。

「そんなっまって!」

私の声など聞こえないかのように彼は扉を閉じた。

いや、化け物たちに引っ張られるかのように、扉の向こう側へ消えていったというべきだろうか?そんな感じがした。

彼の目は最後まで任務を全うしようとする漢のそれだった。

 

 

階段を降りた先に止められていた車に乗り込むと、少しして青いガスが押し寄せてきた。

 

「あんたらはどうするんだ?」

 

「俺たちはあのタワーに向かうつもりだ」

あそこは避難指定ポイントになっているらしい。だけれど、彼らは逃げるためにそこに行くのではないらしい。別の理由があるようだ。詳しくは教えてくれなかったけれど……ただ、レナータは彼らが時々口にしていた名前を聞いて少し考えていた。

「レナータ知ってるの?」

「大統領補佐官だよ」

 

「それがどうして……国際問題になりかねないよね」

 

「詳しくはいえないが……」

動き出した車の中で、レオンと名乗った男はこのウィルステロがアメリカでも行われているとことそれの裏にその大統領補佐官が関与していることを簡単にだが教えてくれた。

 

やがてガスが晴れてきた。同時に道は横転したトラックによって塞がれている光景があらわになった。

 

「ここからじゃすすめないな…お前たちは先に行け。俺は仲間を回収してから行く」

運転していた隊員がレオンさん達にそういった。

「嬢ちゃんたちは?」

運転していた隊員さんが私たちにも聞いてきたけれど、タワーまで彼らについていける気はしなかった。

こちらも避難場所に向かいたいけれど……

「仲間の回収に同行することにするよ」

 

「今となってはそのほうが安全だ」

レオンさんもレナータの意見に同意した。

「言うと思ったぜ。少しの合間耐えてくれよ」

レオンさん達を下ろした車は再び走り出した。

時々無線機に呼びかけて、仲間の位置を確認していた。

「一般市民に厳しいものだね」

 

青いガスの中に再び戻った車。金属とガラスの扉を一枚隔てて生と死が分かれているその様はまさに地獄を覗き込んでいる気分だった。

ヘッドライトの灯りに、人を喰っている化け物の姿が映し出される。さっきまで生きていた人間が同じ人間を喰らう。地獄が再開されたのだ。

「外は見ないほうがいい」

運転していた隊員が頭に手を乗せてきた。

「この車大丈夫なんですよね?」

 

「対NBC対策はしてあるから大丈夫だ。気になるなら後ろにガスマスクが置いてあるからそれをつけておいてくれ」

 

レナータが後ろで何かを探し始める音がしばらくして、あったよとガスマスクを渡してきた。

よく映画などでみる顔全体を覆うフルフェイスマスクではなく、口元だけを隠すタイプだ。だけれど呼吸用フィルターなどはごついものが口の近くに取り付けられている。

 

「ガスって皮膚浸透とかしないのかな……」

 

「半年前に使われたものと同じタイプだとすれば皮膚からは浸透しないが傷口とかからウィルスに感染する可能性はある」

 

「そっか……」

いずれにしても危険であることには変わりないか……

「厳しい世界だね……」

後ろの席で外を覗きこんだレナータが呟いた。

ガスが晴れている場所に到着し、車が停車した。

隊員が無線機で誰かと話をした後、車体上部に設けられたハッチから身を乗り出した。

「ちょっと騒がしくなるかもしれないが我慢してくれよ」

少しして近くの建物の扉が開いて、BSAAの装備をした人が3人飛び出してきた。その後ろからは多数の化け物も一緒についてきていた。

ハッチから身を乗り出した隊員が後ろの化け物達に攻撃を始めた。車に隊員達が乗り込んでくる。

「全員乗ったぞ!出せ‼︎」

閉められた扉を叩くように幾つもの手と顔が張り付いてきた。

ハッチから身を引こうとした隊員がなにかと格闘し始めた。ハッチの隙間から化け物の手が見えていた。どうやら屋根の上にまで乗っかっていたらしい。

 

このままでは囲まれてしまう。

咄嗟に助手席から運転席に飛び移り、ギアをドライブに入れアクセルペダルを踏み込んだ。目線が低いせいで前が見づらいけれど、走らせる分には問題なかった。

車が急発進し、目の前にいた化け物がはじき飛ばされた。

屋根の上にいた化け物も同時に吹き飛んだのか、すぐに隊員が身を下げた。

 

「助かった。車の運転できたのか?」

 

「レナータの見様見真似です」

実際にハンドル握って運転するなんてのは初めて。だからアクセルを軽く踏み込んだだけであんなに加速するなんて思わなかった。

「なら道を指示するからその通りに走ってくれるか?」

今から運転を変わるのも手間がかかると判断したのだろう。

「わかった。やってみる」

少し進んだ先で右折を指示してきた。ハンドルをどれくらいきれば良いのか分からずレナータが後部座席から指示してきた。他の隊員は何か話していたみたいだけれどネイティブな発音は聞き取りづらいしこっちは運転に必死でそれどころじゃなかったから覚えていない。後でレナータから聞いたところによると結構私たちを茶化しながらも助かったことに安堵していたようだった。

「救助ヘリだ」

ガス雲が晴れて化け物を跳ね飛ばしながら突き進んでいると、頭上をCH-47の編隊が飛んで行った。

「民間人の救助を行うために飛んできたんだ」

助手席にいた隊員さんがそう教えてくれた。

そのヘリについていくように道の角を曲がると、化物達が大量に現れた。その奥にはハンヴィーとストライカー装甲車で即席で作られたバリケードがありBSAAの隊員達が防衛線を張っていた。

車体を咄嗟に横向きにしながら車体側面でバリケードに群がろうとしている化け物を跳ね飛ばして絶命させていく。

ハッチから身を乗り出した隊員も化け物を素早く掃討していく。熱くなった薬莢が転がり落ちてくる。

ふとサイドミラーで後ろをみるとレナータもドアを開けて身を乗り出しながら化物を銃撃していた。

バリケード端っこで車は停車した。

その頃には化け物達は一掃されていた。

「今のうちだ!この先で民間人の空輸避難を行っている筈だ、君たちはそこへ行け」

 

「わかった。ありがとう」

 

「そうだ。無事だったら食事でもどうだ?アメリカだが美味しいお店に案内しよう」

車から降りる直前、運転席に戻った隊員が誘いをかけてきた。悪い人ではない。いつかアメリカに行くことがあったら食べに行こう。

「ならそっちも生き延びてくださいね‼︎」

 

「わかってるさ」




この人は生き延びます


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くるみがいくRTA その5

チャプター終了したので初投稿です


化物達を食い止めている防衛線からヘリコプターの発着場まではそんなに距離がなかった。

私達が車を降りて駆け出してから僅か五分程度しか離れていない。

そんな広場には生き延びた人達が集まっていて、必死にヘリに乗ろうとしていた。

暴動や混乱が起こっていないのはひとえにBSAAの誘導が的確で人を落ち着かせているからだろう。

 

「慌てないで!次の便もすぐ上に待機しています!」

 

「ほら横入りするな‼︎ちゃんと全員分載せられるだけの余裕はある!」

 

「この便はいっぱいだ!すぐ次を降ろすからそっちにしてくれ!」

機内に人を乗せるだけ乗せたヘリが少し重たそうに機体を浮かばせた。

離陸して数分後に、上空で待機していた別のヘリが降りてきた。

ch-47、自衛隊でも使用されている中型のダンデムローター機が後部の貨物ランプを開け、人々を収納していく。

本当に後数便でここにいる避難民を全員収容できそうな勢いだった。

 

「それじゃあ私達も……」

ヘリに乗ろうとしている列に加わろうと歩き出した瞬間だった。

 

それは不意に聞こえた。背後の……バリケードがあった道路の方からだった。少しして悲鳴となにかが吹き飛ばされ、破壊される音が響いた。

「なんだ?」

 

唐突にそれらは現れた。

今までの化け物とは全く違う……異形の存在だった。

体は粘液が張り付いているのか不気味に光沢がかっていて、筋肉が剥き出しの変色し、腐ったかのような肉体。

片腕がもはや人のそれを残しておらず、まるでチェーンソーのように細い触手が幾重にも絡まり、剥き出しになった鋭いトゲのような骨が刃のように飛び出していた。

それらが数体。

そして、硬そうな外皮を持ちいかにも力自慢ですと言った風貌を持つ異形が、遅れて広場に入ってきた。

そいつの体は至るところから蒸気が出ていた。物凄い熱量を持っているのだろう。

 

 

一瞬でパニックとなる人達、その波に向かってチェーンソーのような腕を持つ異形が動き出した。

 

BSAAが反撃に移る。

私達のところにも向かってこようとしていた。

生憎まだBSAA隊員達とは距離があった。

レナータが牽制のため奴らの頭らしきところを銃撃するけれど、怯んだ様子はない。

 

「やっぱり.454くらいないと…」

後ろから隊員達が援護射撃をしてくれたけれど全く怯む様子もなくそいつは私達に襲い掛かろうとしてきた。レナータと一緒に横に避けることでどうにか突進は回避できた。

「うぐうっ⁉︎」

 

「レナ⁈」

だけれど、レナータがやや遅れてきた蹴り飛ばしに巻き込まれて吹き飛ばされた。幸い怪我をしている様子はなさそうだった。だけれどそう簡単に互いを援護できるような状況ではなくなってしまった。

BSAAはヘリコプターに向かっていく異形の化け物相手に防戦一方だった。

 

異形の化物は蹴り飛ばしたレナータではなく私に照準を定めた。死の恐怖が体を震わせる。

頭が真っ白になり、なにも考えられない。

 

 

手が何かに触れた。

顔を上げると、それはスコップだった。それもかなりの大きさだ。

手に力を入れてそれを振り回した。

「うわあああああっ‼︎」

先端が肉に突き刺さる鈍い音がして、力任せに振り回したスコップの動きが止まった。

 

「っ!」

一度突き刺さったスコップを戻し、もう一度振りかぶる。

頭らしき部分が遠くに吹き飛んだ。

 

 

「ふーっ…ふーっ」

 

レナータを襲っていた異形が私に目標を変えた。

 

先手必勝。やられる前にやるしかない。

槍のようにスコップを構え、駆け出した。

気分が昂揚していたのかもしれない。だけれどあの時は必死だった。

スコップの金属部分が、そいつの人ならざる腕を切り飛ばした。

感触はよく覚えていない。だけれど、血飛沫が上がるのだけは覚えていた。

 

タイミングよくレナータがやつの後頭部に銃弾を浴びせ、そいつは糸が切れた操り人形みたいに倒れた。

 

 

BSAAに襲い掛かろうとしている身体中から蒸気を吹いている化け物の背中をレナータが攻撃した。

背中の皮膚が剥がれ、白色の何かが剥き出しになった。

咄嗟にそれをスコップで突き刺した。

その途端銃弾すら聞いている様子がなく平然としていた化け物が、大きく悶え始めた。スコップを縦に引っ掻くように引き下ろすと、化け物はさっきまでの威勢はなんだったのかと言わんばかりにあっさりとその場に倒れ、体が燃え始めた。

火傷をしないようにその場から離れて、周りを見渡すと化け物は全てBSAAが片付けたのか、いやるところで遺体が燃え上がっていた。

 

「くるみ!大丈夫かい?」

レナータか駆け寄ってきた。

「私は平気……そっちは?」

 

「私も……」

大丈夫と言う言葉は聞くことができなかった。

「うわッ!」

何かが私の体を強く押し飛ばした。視界がぶれて、体の至る所を地面に強打した。

それでも握りしめていたスコップを顔の前にして何かからの攻撃を防いだ。

ようやく視界が回らなくなった時、私に飛びかかってきていた化け物の姿を拝むことができた。

「くそっ!犬まで化け物かよ!」

 

飛びかかってきたのは皮膚がズルムケな白目を向いた犬だった。

だがそれが敵意を持って襲いかかってきたのは間違いなく、咄嗟に前に出したスコップに噛みつきながらも私の首元に喰らい付こうとしているのは確かだった。

木製の柄の部分が牙によってひび割れ、大きくしなり始めた。

「くるみっ‼︎」

 

レナータの援護が入り、動体に数発打ち込まれた化け物が一瞬怯んだ。

「うりゃっ‼︎」

力を込めてスコップを押し返し、そいつの腹を蹴り飛ばす。陸上部で足を鍛えていた甲斐があった。化物はスコップを咥えたまま大きく吹き飛び、近くの建物の窓を突き破って視界から消えた。

 

周囲は一瞬だけ静寂に包まれた。

だけれど、大通りの方から犬の化け物が数匹現れた。

今度はBSAAが化け物の突入を防ごうと攻撃を始めた。

「2人とも早く乗れ‼︎」

 

後ろから声がした。振り返ると、すでに避難民の姿はなく、ヘリコプターもCH-47ではなく中型のUH-60になっていた。

既に隊員の半数がそれに乗っている。

 

私達がヘリに飛び乗った直後、犬の化け物に続いて通りから人形の化け物が溢れ出した。

援護射撃が行われていたけれどそんなもの気にしないと言わんばかりの数の暴力だった。

最後の隊員がヘリに乗り、機体が浮かび上がった。ジャンプして飛びつこうとしていた化け物が、ヘリに飛び乗ることができず落ちていく。

 

 

高度を上げ、離れていくヘリの後方で、支援の爆撃だろうか、何かが落下し広場を吹き飛ばした。

 

 

「終わった?」

 

「終わったさ……これから避難所に行って……怪我のや感染の有無のための検査を受けるんだ……そのあとはさ…」

 

「言わなくていい…終わったんだな」

 

実感はまだ湧かなかった。

ヘリは安定して空を飛んでいた。遠くで、地上支援を行うシーハリアーの姿が見えた。戦いはまだ続いているのだった。だけれど私たちにはどうすることもできなかった。

 

そもそも一般人が同行できるようなほど人生は甘くないし主人公なんてものになれるはずもない。生き残れただけでも満足だよ。

「レナータはこれからどうするの?」

 

「んー休暇の延長」

 

「じゃあ私も延長するわ」

 

 

 

 

 

 

全部終わったはずだった。だけど悪夢はまだ終わっていなかった。

「先輩、ちょっと人助けに行ってくる。だから……」

 

ちゃんと見守っていてください。




おまけ

「めぐねえの家ってここで合ってる?」

「ええ、そこよ」

「お、第一次大戦の軍用エンピ!」

「なんでめぐねえが武器を……」

「会社から支給されたの」

√ランダムCP


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