ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか (星見 まり)
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1話

このような話を書くのは初めてなので暖かい目で見ていただけると嬉しいです。


どれくらいの時間が経ったのだろうか…私は今日もそんなことを考える。縛られ、目隠しと猿轡を着けられ助けも呼べない…そして…今日もあの男達がやってきた…私を慰め者にする為に…

 

 

 

~ダンジョン18階層~

オラリアの2大ファミリアの1つ、ロキ・ファミリアは遠征の帰りに滞在していた。目的は情報集めだが女性団員は集まって水浴びをしている。

「あれ…?」

「どうしたの?」

「少し離れたところから男の声がする気がするの」

周りの団員達の間に緊張がはしった。覗きを追い払うために水浴びせずに番をしていた少女の1人が確認しに行きすぐに戻ってきた。

「エルフの人達は来ない方がいいと思う…でもリヴェリア様は来ていただけますか…?」

「分かった。行こう」

ロキ・ファミリアの幹部の1人であるリヴェリア・リヨス・アールヴはすぐに服を着てついて行く。そこには散々弄ばれたのか拘束された酷い有様の少女が木から吊るされていた。

「フィンに1人の少女を保護したと伝えて、なんか服を持って来てくれ」

「はい!!」

番をしていた少女が天幕の方へと走って行った。

その少女の拘束を解くと幼いが整った可愛らしい顔が見えた。身体中にくい込んでいた縄の跡がついており痛々しい。しかしリヴェリアが目をつけたのは他の部分…種族だ。その少女の種族はリヴェリアと同じハイエルフ…エルフの王族だったのだ。

「辛い思いをしただろうな」

リヴェリアはその少女の身体を綺麗にし、先程の少女から服を受け取ると着させた。そしてロキ・ファミリアの天幕の1つにひいた布団に寝させた。

 

 

 

~少女~

「んっ…?ここは…?あの場所じゃない?助かったの…?」

私は呆然と周りを見回した。そこに居たのは1人の女性だった。

「目覚めたか…フィンを呼んでくる」

その女性が出ていった。そしてしばらくして少年にしか見えない人と強そうな男性を連れてきた。

「嫌…こないで…もうやめて…」

何故かは知らないが男性が怖かった…近ずかれると身体が勝手に震える。慰め者にされてしまうと思った…仮にも助けてくれた人を前にして…

「ガレス…」

「仕方ないのぉ」

ガレスと呼ばれた男性はどこかへと立ち去った。そして少年と女性が私の近くに座った。そして質問をしてきた。

「君の名前は?」

「……」

私は答えられなかった…教えたくないのではない。知らないからだ。

「じゃあ質問を変えよう…君はどこのファミリアに所属しているのかな?」

「ファミリア…?なにそれ」

2人は悟ったような顔をした。そしてこう言った。

「オラリオって知ってるかい?」

 




どうだったでしょうか?
不定休投稿なのでいつ更新するかは…気分次第です。今後も読んでくださる人はあまり期待せず待っていてください。


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2話 オラリオとダンジョン

「知らない」

そう答えた私に2人は説明した…土地の名前であり冒険者が冒険を求めてやってくる世界の中心であると。

「なんでオラリオに冒険を求めるの?」

「ここ、ダンジョンがあるからかな」

フィンは答えた。そして少女は初めて知った…自身が産まれてから過ごしていたこの空間がダンジョンと呼ばれていることを…

「私はこれからどうなるんですか?」

私はこのままの毎日を過ごしたくなかった…自分の知るこの空間の外に出てみたかった。

「君次第かな」

「外の世界を見てみたいです。連れて行って貰えますか?」

私には戦闘能力はない…断られればいつも通りの毎日に逆戻りになる。

「いいよ。多分僕が駄目って言ってもエルフの団員達が連れて行くだろうしね」

「エルフ…?」

私は長い間男達に捕まり、ほとんど勉強出来なかったため言葉しか知らない。そのためエルフと聞いてもなんの事か分からなかった。

「エルフというのは…」

リヴェリアが説明したことを短くまとめると魔法の扱いに長けた種族で私はその中で王族であるハイエルフらしい。同じようにリヴェリアもハイエルフらしいが敬われるのがうっとおしいらしく、敬われた時は軽くあしらっているらしい。また、仲間意識が高くハイエルフの為なら余程無理なことでなければ手伝ってくれるだろう…そう教えてくれた。

「最後に…君をあんな目に合わせた奴らの目的を教えて貰えないか」

「多分…子供を売るため…既に2人…」

リヴェリアは気まずそうにしているがフィンはなにやら考えているようだ。

「君は神がいない…神の恩恵(ファルナ)もない…ロキが許せば僕らのファミリアに入るかい?そうすれば身を守る力が手に入る」

フィンの提案は私にとっていいものだった。仮にダンジョンから出ても私には身元を保証してくれる人はいないため生活できないだろう…しかしロキ・ファミリアに身元保証人になってもらえれば生活は出来る。そしてファルナと呼ばれる神の恩恵…これを受けることで自衛能力を手に入れることが出来る。フィンからこのような説明を受け、私はその提案を受け入れた。

出発までは時間があるため、念の為護衛をつけてもらうことになった。その護衛はエルフの少女達がすることになった。私は外の世界を知らないため話をしても長く続かないと思っていたが少女達はたくさん話しかけ、話題を振ってくれるためだんだんと外の世界に行くという不安は無くなった。私は彼女達からすると敬うべき者なのだろう…しかし私にはその実感がない為どう反応すればいいのか分からない。

「勝手に盛り上がってしまってごめんなさい。皆少し落ち着きましょう」

困っている私を見かねたのか1人の少女が周りを宥めてくれた。

「ありがとう…」

その時私は不安を払ってくれた彼女達、助けてくれたリヴェリアとフィンの為に力になりたいと思った。

「私に何か出来ることはありませんか?」

「そうですね…今はまだ出発する様子はありませんが移動はそれなりに長いものになりますからゆっくり身体を休めてください」

聞いた話によるとこの空間にいる私以外の人は皆恩恵によって身体能力が強化されているため、長時間の移動でもそこまで疲れないらしい。移動はモンスターから私を守るために先発隊が安全を確保し、その後を進むことになるとのこと。移動する時に私を護衛するのはリヴェリアとこの少女達。これは私のガレスに対する反応から男性恐怖症の可能性を考えたフィンの提案らしい。幹部であるリヴェリアが私の護衛につくのは私がハイエルフだからだろうか…それとも安心できるようにか…私には分からない。しかし安全は保証されている。私はダンジョンから出る時を楽しみに思いながら出発に向けて身体を休めるために再び寝ることにした。



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3話 私の名前

「うぅん…んっ!?」

「目覚めたようですね。そろそろ行きますよ」

私は目覚めた時驚いてしまった。護衛の少女達が私の顔を覗き込んでいたからだ。私が目覚めた途端に切り替える切り替えの速さはさすがとしか言いようがない。

よく耳を澄ますと「寝顔が可愛かった」や「抱き枕にして寝たい」というような声も聞こえてくる。私は恥ずかしくなってしまい1番近くにいた山吹色の髪の少女の背後に隠れた。

「えっと…」

山吹色の髪の少女は困惑しているが他の少女達からは羨ましそうに見られている。

「あっ…ごめんなさい…恥ずかしくてつい」

「いえいえ…大丈夫ですよ。私はレフィーヤ・ウィリディスと言います。何かあれば頼ってくださいね。」

私が謝るとその山吹色の髪の少女…レフィーヤ・ウィリディスは私に笑いかけてくれた。

「ありがとうございます。レフィーヤさん。」

私はレフィーヤは落ち着きがあり、過度に構ってこないため仲良くなりたいと思った。しかし私には名前が無いためお互いに呼び合うことすらままならない。まだ外を知らず右も左も分からないような自分がこのようなことを考えるのはまだ早いかもしれない。それでも…それでも仲良くなりたいと思った。それならば…

「レフィーヤさん…いきなりで悪いのですが私に名前をつけてくれませんか?」

「私が…ですか?それなら少し考える時間を頂いてもいいでしょうか?」

「もちろんです。」

レフィーヤは少しの間私を見ながら考え、こう言った。

「『マナ』なんて言うのはどうでしょうか」

「呼びやすいし良い名前ですね。その名前にします。ありがとうございます。」

その後レフィーヤは他の少女達に質問責めにされていたがその内の1つ、【何故マナという名前にしたのか】というのは私も気になった。レフィーヤが私に聞こえない位の声でなにかをいうと他の少女達は私を見て納得するかのように頷いた。なおレフィーヤが言った言葉とは

「私みたいな年齢で言うのはおかしいし恐れ多いけどなんだか可愛い娘みたいに見えて…愛娘とか言うでしょう。そこからとってマナにしたの」ということだったらしい。

天幕の入口が開くとそこからリヴェリアとフィン、剣を携えた金髪の少女が入ってきた。その少女は無表情だが人形のような美しさがある。

「僕は先発隊を率いていかないといけないから前衛としてアイズをつけるよ」

「アイズ・ヴァレンシュタインです。よろしくお願いします。」

その少女…アイズは抑揚のない声で自己紹介をしてきた。

「えっと…マナです。よろしくお願いします。」

「マナ?あぁ、名前を貰ったんだね」

「誰がつけたかは分からないが本人は気に入ってるみたいだな」

私がマナと名乗ったことにフィンとリヴェリアは反応したが、その話はほとんどせず移動に関する話が始まった。

「最初に歩くかどうかだけど歩くのが辛い場合はカーゴに入っていてもいい。その場合は全員で移動することになるけど」

「いいえ。歩けます」

カーゴというのはモンスターや物資を運ぶために作られた丈夫な箱のことらしいがその場合は1人で暗い所にいなければならないようだ。私は1人で暗い所はもう嫌なので歩くことを選んだ。

「分かった。では先に行くよ。そっちのタイミングはリヴェリアに任せるよ」

フィンはそう言って天幕から出ていった。数分たつとリヴェリアが立ち上がった。

「そろそろ行くぞ。アイズがいるから問題ないとは思うがレフィーヤ、マナについておけ」

「はい。分かりました」

聞いたことによると私の護衛になった少女達はレフィーヤ以外並列詠唱(別の行動をしながらの詠唱)を習得しており戦闘時には走り回り私から狙いを逸らし、魔法で倒すらしい。そのため並列詠唱の出来ないレフィーヤが私を守ってくれることになった。

その日、私はまだ知らない世界を見るため踏み出した。



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