ダンジョンの外に夢を見るのは間違っているだろうか (星見 まり)
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1話

このような話を書くのは初めてなので暖かい目で見ていただけると嬉しいです。


どれくらいの時間が経ったのだろうか…私は今日もそんなことを考える。縛られ、目隠しと猿轡を着けられ助けも呼べない…そして…今日もあの男達がやってきた…私を慰め者にする為に…

 

 

 

~ダンジョン18階層~

オラリアの2大ファミリアの1つ、ロキ・ファミリアは遠征の帰りに滞在していた。目的は情報集めだが女性団員は集まって水浴びをしている。

「あれ…?」

「どうしたの?」

「少し離れたところから男の声がする気がするの」

周りの団員達の間に緊張がはしった。覗きを追い払うために水浴びせずに番をしていた少女の1人が確認しに行きすぐに戻ってきた。

「エルフの人達は来ない方がいいと思う…でもリヴェリア様は来ていただけますか…?」

「分かった。行こう」

ロキ・ファミリアの幹部の1人であるリヴェリア・リヨス・アールヴはすぐに服を着てついて行く。そこには散々弄ばれたのか拘束された酷い有様の少女が木から吊るされていた。

「フィンに1人の少女を保護したと伝えて、なんか服を持って来てくれ」

「はい!!」

番をしていた少女が天幕の方へと走って行った。

その少女の拘束を解くと幼いが整った可愛らしい顔が見えた。身体中にくい込んでいた縄の跡がついており痛々しい。しかしリヴェリアが目をつけたのは他の部分…種族だ。その少女の種族はリヴェリアと同じハイエルフ…エルフの王族だったのだ。

「辛い思いをしただろうな」

リヴェリアはその少女の身体を綺麗にし、先程の少女から服を受け取ると着させた。そしてロキ・ファミリアの天幕の1つにひいた布団に寝させた。

 

 

 

~少女~

「んっ…?ここは…?あの場所じゃない?助かったの…?」

私は呆然と周りを見回した。そこに居たのは1人の女性だった。

「目覚めたか…フィンを呼んでくる」

その女性が出ていった。そしてしばらくして少年にしか見えない人と強そうな男性を連れてきた。

「嫌…こないで…もうやめて…」

何故かは知らないが男性が怖かった…近ずかれると身体が勝手に震える。慰め者にされてしまうと思った…仮にも助けてくれた人を前にして…

「ガレス…」

「仕方ないのぉ」

ガレスと呼ばれた男性はどこかへと立ち去った。そして少年と女性が私の近くに座った。そして質問をしてきた。

「君の名前は?」

「……」

私は答えられなかった…教えたくないのではない。知らないからだ。

「じゃあ質問を変えよう…君はどこのファミリアに所属しているのかな?」

「ファミリア…?なにそれ」

2人は悟ったような顔をした。そしてこう言った。

「オラリオって知ってるかい?」

 




どうだったでしょうか?
不定休投稿なのでいつ更新するかは…気分次第です。今後も読んでくださる人はあまり期待せず待っていてください。


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2話 オラリオとダンジョン

「知らない」

そう答えた私に2人は説明した…土地の名前であり冒険者が冒険を求めてやってくる世界の中心であると。

「なんでオラリオに冒険を求めるの?」

「ここ、ダンジョンがあるからかな」

フィンは答えた。そして少女は初めて知った…自身が産まれてから過ごしていたこの空間がダンジョンと呼ばれていることを…

「私はこれからどうなるんですか?」

私はこのままの毎日を過ごしたくなかった…自分の知るこの空間の外に出てみたかった。

「君次第かな」

「外の世界を見てみたいです。連れて行って貰えますか?」

私には戦闘能力はない…断られればいつも通りの毎日に逆戻りになる。

「いいよ。多分僕が駄目って言ってもエルフの団員達が連れて行くだろうしね」

「エルフ…?」

私は長い間男達に捕まり、ほとんど勉強出来なかったため言葉しか知らない。そのためエルフと聞いてもなんの事か分からなかった。

「エルフというのは…」

リヴェリアが説明したことを短くまとめると魔法の扱いに長けた種族で私はその中で王族であるハイエルフらしい。同じようにリヴェリアもハイエルフらしいが敬われるのがうっとおしいらしく、敬われた時は軽くあしらっているらしい。また、仲間意識が高くハイエルフの為なら余程無理なことでなければ手伝ってくれるだろう…そう教えてくれた。

「最後に…君をあんな目に合わせた奴らの目的を教えて貰えないか」

「多分…子供を売るため…既に2人…」

リヴェリアは気まずそうにしているがフィンはなにやら考えているようだ。

「君は神がいない…神の恩恵(ファルナ)もない…ロキが許せば僕らのファミリアに入るかい?そうすれば身を守る力が手に入る」

フィンの提案は私にとっていいものだった。仮にダンジョンから出ても私には身元を保証してくれる人はいないため生活できないだろう…しかしロキ・ファミリアに身元保証人になってもらえれば生活は出来る。そしてファルナと呼ばれる神の恩恵…これを受けることで自衛能力を手に入れることが出来る。フィンからこのような説明を受け、私はその提案を受け入れた。

出発までは時間があるため、念の為護衛をつけてもらうことになった。その護衛はエルフの少女達がすることになった。私は外の世界を知らないため話をしても長く続かないと思っていたが少女達はたくさん話しかけ、話題を振ってくれるためだんだんと外の世界に行くという不安は無くなった。私は彼女達からすると敬うべき者なのだろう…しかし私にはその実感がない為どう反応すればいいのか分からない。

「勝手に盛り上がってしまってごめんなさい。皆少し落ち着きましょう」

困っている私を見かねたのか1人の少女が周りを宥めてくれた。

「ありがとう…」

その時私は不安を払ってくれた彼女達、助けてくれたリヴェリアとフィンの為に力になりたいと思った。

「私に何か出来ることはありませんか?」

「そうですね…今はまだ出発する様子はありませんが移動はそれなりに長いものになりますからゆっくり身体を休めてください」

聞いた話によるとこの空間にいる私以外の人は皆恩恵によって身体能力が強化されているため、長時間の移動でもそこまで疲れないらしい。移動はモンスターから私を守るために先発隊が安全を確保し、その後を進むことになるとのこと。移動する時に私を護衛するのはリヴェリアとこの少女達。これは私のガレスに対する反応から男性恐怖症の可能性を考えたフィンの提案らしい。幹部であるリヴェリアが私の護衛につくのは私がハイエルフだからだろうか…それとも安心できるようにか…私には分からない。しかし安全は保証されている。私はダンジョンから出る時を楽しみに思いながら出発に向けて身体を休めるために再び寝ることにした。



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3話 私の名前

「うぅん…んっ!?」

「目覚めたようですね。そろそろ行きますよ」

私は目覚めた時驚いてしまった。護衛の少女達が私の顔を覗き込んでいたからだ。私が目覚めた途端に切り替える切り替えの速さはさすがとしか言いようがない。

よく耳を澄ますと「寝顔が可愛かった」や「抱き枕にして寝たい」というような声も聞こえてくる。私は恥ずかしくなってしまい1番近くにいた山吹色の髪の少女の背後に隠れた。

「えっと…」

山吹色の髪の少女は困惑しているが他の少女達からは羨ましそうに見られている。

「あっ…ごめんなさい…恥ずかしくてつい」

「いえいえ…大丈夫ですよ。私はレフィーヤ・ウィリディスと言います。何かあれば頼ってくださいね。」

私が謝るとその山吹色の髪の少女…レフィーヤ・ウィリディスは私に笑いかけてくれた。

「ありがとうございます。レフィーヤさん。」

私はレフィーヤは落ち着きがあり、過度に構ってこないため仲良くなりたいと思った。しかし私には名前が無いためお互いに呼び合うことすらままならない。まだ外を知らず右も左も分からないような自分がこのようなことを考えるのはまだ早いかもしれない。それでも…それでも仲良くなりたいと思った。それならば…

「レフィーヤさん…いきなりで悪いのですが私に名前をつけてくれませんか?」

「私が…ですか?それなら少し考える時間を頂いてもいいでしょうか?」

「もちろんです。」

レフィーヤは少しの間私を見ながら考え、こう言った。

「『マナ』なんて言うのはどうでしょうか」

「呼びやすいし良い名前ですね。その名前にします。ありがとうございます。」

その後レフィーヤは他の少女達に質問責めにされていたがその内の1つ、【何故マナという名前にしたのか】というのは私も気になった。レフィーヤが私に聞こえない位の声でなにかをいうと他の少女達は私を見て納得するかのように頷いた。なおレフィーヤが言った言葉とは

「私みたいな年齢で言うのはおかしいし恐れ多いけどなんだか可愛い娘みたいに見えて…愛娘とか言うでしょう。そこからとってマナにしたの」ということだったらしい。

天幕の入口が開くとそこからリヴェリアとフィン、剣を携えた金髪の少女が入ってきた。その少女は無表情だが人形のような美しさがある。

「僕は先発隊を率いていかないといけないから前衛としてアイズをつけるよ」

「アイズ・ヴァレンシュタインです。よろしくお願いします。」

その少女…アイズは抑揚のない声で自己紹介をしてきた。

「えっと…マナです。よろしくお願いします。」

「マナ?あぁ、名前を貰ったんだね」

「誰がつけたかは分からないが本人は気に入ってるみたいだな」

私がマナと名乗ったことにフィンとリヴェリアは反応したが、その話はほとんどせず移動に関する話が始まった。

「最初に歩くかどうかだけど歩くのが辛い場合はカーゴに入っていてもいい。その場合は全員で移動することになるけど」

「いいえ。歩けます」

カーゴというのはモンスターや物資を運ぶために作られた丈夫な箱のことらしいがその場合は1人で暗い所にいなければならないようだ。私は1人で暗い所はもう嫌なので歩くことを選んだ。

「分かった。では先に行くよ。そっちのタイミングはリヴェリアに任せるよ」

フィンはそう言って天幕から出ていった。数分たつとリヴェリアが立ち上がった。

「そろそろ行くぞ。アイズがいるから問題ないとは思うがレフィーヤ、マナについておけ」

「はい。分かりました」

聞いたことによると私の護衛になった少女達はレフィーヤ以外並列詠唱(別の行動をしながらの詠唱)を習得しており戦闘時には走り回り私から狙いを逸らし、魔法で倒すらしい。そのため並列詠唱の出来ないレフィーヤが私を守ってくれることになった。

その日、私はまだ知らない世界を見るため踏み出した。



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4話 初めての移動・初めての世界

お久しぶりです。本業が忙しくなり時間をとる事が出来ず投稿が遅れてしまいました。申し訳ありません。また読んで頂けると嬉しいです。


見知らぬ世界に踏み出した…のだけど…

「痛っ」

「マナ様、大丈夫ですか?」

慣れない凸凹の道で足首を挫いて転んだ私を助け起こしてくれる少女達。足に緑色の光が集まると痛みが引いた。

「これは…?」

「回復魔法です。治っているといいのですが…」

「治ってるみたい。ありがとう。」

その時微妙に違和感を感じた。場所は今いる場所の真上。

「あれって…きゃっ!!?」

天井がひび割れ牛のような魔物…ミノタウロスが落ちてきた。幸いアイズの反応が間に合い、私がミノタウロスの巨体で潰される前にミノタウロスを斬り殺したが、消滅後に残る灰が私に降り注いだ。戦闘とは縁のない私はその灰に驚いて近くにいた人にしがみついた。

そんな私の反応に周りの少女達は微笑ましいものを見るような目で私を見てきた。しかし1部に殺意がこもっているような気もする。私が抱きついた少女 レフィーヤは冷や汗を流しているがどうかしたのだろうか…

「レフィーヤさん、何かあったんですか?」

「なんでもありませんよ。マナ様はお気になさらず」

「それならいいんだけど…」

そんな出来事はあったもののフィン達が先発隊としてモンスターを蹴散らしたからか戦闘もほとんど無く光の射す出口に辿り着いた。私は何度も転んで足を痛めたり擦り傷だらけになったりしたためリヴェリアに背負われているが…

「マナ、ここが外の世界だ」

「…眩しい」

リヴェリアの背から降ろされたが明るさに目が慣れず何も見えない。少しづつ目が慣れて周りが見えてきた。

「人が沢山いて賑やかで…楽しい事が多そう…」

「私はガネーシャファミリアに事情を話してくる。何かあれば皆を頼ってくれ」

リヴェリアはそれだけ言うとどこかへと歩いていった。

「ガネーシャファミリア…?」

「ガネーシャファミリアというのはオラリオの治安維持…平和を守る役割を担っているファミリアです」

「なんでリヴェリアさんはそんな人達に事情を話に行ったんですか?」

「それはガネーシャファミリアがダンジョンの出入りとかも確認しているからですね。モンスターを連れ出そうとする人や誘拐等が起きる可能性もありますから」

「なるほど…って誰ですか?」

私の疑問に答えてくれた人からは何やら薬草等の草のような匂いがする。

「私はディアンケヒトファミリア所属のアミッドと申します」

「アミッドさんが何故ここに?」

「薬品の材料が足りなくなりまして依頼を出しに…」

レフィーヤとアミッドの会話からアミッドが薬品という物を扱う人とはわかったが

「薬品…?」

「薬品というのはこのポーションのような物のことです。」

「アミッドさんは『戦場の聖女』という2つ名を持ちダンジョンに潜る数少ないヒーラー…回復役なんですよ。」

アミッドは薬品がなんのことか分からない私に緑色の液体の入った瓶を見せながら説明してくれ、アミッドに関することをレフィーヤが補足して教えてくれた。

「アミッド。ちょうどいい。これから訪ねようと思っていたんだ。」

象の仮面を着けた変態…?と共に帰ってきたリヴェリアはアミッドを見るなりそう声をかけた。



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5話 民を思う変態と容赦の無い聖女

「俺がガネーシャだ!!!」

といきなり叫んだ変態の頭をどこかから走ってきた女性が殴り飛ばした。そしてそのまま…

「相手は男性恐怖症の可能性があると聞いたばかりでしょう。なぜ貴方が挨拶に来ているんですか?確かに治安維持をしているファミリアの主神としての挨拶をするのは分かります。しかし男性恐怖症の子供の前で、それもエルフの王族相手にいきなり叫ぶとはなにを考えているのですか?」

説教が始まった。

私は変態の叫びに驚いて体を動かすことが出来なかったがエルフの少女達に周りが見えないように囲んでくれたことで少しだが安心することが出来た。

そして変態に説教をしていた女性が近寄ってきた。

「我らの主神が申し訳ない。私はガネーシャファミリア団長のシャクティだ。ダンジョンの中で辛い思いをしていたと聞いた。治安維持を担うファミリアとして謝らせてもらいたい。申し訳なかった。」

シャクティは私に対し一切躊躇うことなく頭を下げた。

「頭をあげてください。確かに辛い思いはしてきましたがそれは貴方達のせいではありませんし…私にとってはもはや普通のこととして諦めていたところを助けて貰え、外の世界に連れてきてもらえたんです。今この瞬間も幸せですよ」

私は本心を伝え、頭をあげさせた。するとシャクティは私の目線の高さに合わせるようにしゃがみ、私の頭を撫でながら

「ありがとうございます。何かあれば我々を頼ってください。必ずや力になりましょう。あんな神ですがガネーシャ様は民のことを一番に考えている。それに目立つから目印にするといい。」

「わかりました」

どうやらあの仮面を被った変態はガネーシャという神だったようだ。神は皆あの様な変人なのだろうか…そう考えた私は一気に不安になった。

「マナ。ついてきてくれ。念の為アミッドに診察してもらおう。この上の診察室をひとつとった。そこに行くぞ。」

私は少女達に囲まれたまま移動し、1つの部屋に辿り着いた。その部屋にリヴェリアとアミッドと3人で入る。

「病気などが無いか調べるので横になって力を抜いてください。」

私が横になったところで診察が始まった。アミッドは私に身体に違和感が無いか、痛いところや息苦しさなどは無いか、そして男性恐怖症の軽さを確かめるような質問をしながら関節やツボと言われる点を押してきた。質問が終わり立ち上がる時に

「肩の関節、肘の関節、脚の関節がおかしくなっているようですね…もう一度寝てください。関節をある程度戻しますから」

と言われ、寝ると

「少し痛いですからこれを噛んでいてください」

と布を噛まされた。そしてそのまま私の肩に手をかけるとゴギッという音と共に激痛。私は叫びそうになるのを耐え、涙を流しながら噛んだ布をより強く噛み締めた。それから5回同じ事が続いた。終わる頃には喋る気力すら残らなかった。最後に

「1週間は安静にしてください」

と言うアミッドの声だけ聞き私の意識は暗転した。



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6話 【戦場の聖女】の疑問とリヴェリアの憂鬱

今回はアミッドとリヴェリアがメインの話となります。


マナと名乗るハイエルフの少女には気絶して貰った。

それは私の疑問を解決するためだ。

「リヴェリアさん…オラリオにいるハイエルフはリヴェリアさんだけだったのでは?」

「そうだったな」

私の予想が正しければマナは何らかの事件の被害者だろう。しかしエルフの王族であるハイエルフが事件に巻き込まれたという話は聞かず、なんの噂もなかった。それに関節のずれ方から本来あまりするべきでない体勢を長時間取らせたものと思える。そんな不自然な患者だったのだ。監禁や虐待、拷問などのことをしない限りあんなずれ方はしない。

「マナさんは何者なんですか?」

「ただの可哀相なハイエルフの子だ。すまないが今はこれ以上聞かないでおいてくれ」

やはり何かを隠している。しかし聞かない様に頼まれたのだ。今聞くことは出来ない。ガネーシャ本人(本神?)が直接謝罪(?)に来たのだ。やはり気になってしまう。とりあえず私情は抜きにして医者としての仕事を済ませるべきだろう。

「とりあえずマナさんの事ですが最低でも1週間は安静に、またおかしくなったら私の所へ連れてきてください。」

「分かった。助かった」

リヴェリアはそう短く返すと診察室を出ていった。

恐らくあの娘には色々な問題があるのだろう。私は祈ることと怪我などを見ることしか出来ないができる限りあの娘の助けになるようにしよう。そう心に決めるのだった。

 

 

 

***リヴェリア***

私が気絶したマナを抱き上げ診察室を出ると共に来たエルフ全員が待っていたようだ。

「リヴェリア様。マナ様の容態はどうでしたか?」

「1週間は絶対安静だそうだ。みんなで生活を助けてやってくれ」

全員でファミリアの拠点『黄昏の館』へと移動することになり歩き始めたが、私は正直気が重い。主神であるロキはよくいえば可愛い子に目がない。悪くいえばオヤジくさい。あの女神なら男でもないのにマナを怖がらせてしまうのではないか…何となくそんな気がするのだ。

これは予感だがマナの男性恐怖症は相手に何も抵抗できず、何かをされることから来ているのだと思う。仮に当たっていればいずれは直接的なトラウマになっているマナを強姦した奴ら以外の男は大丈夫になるだろう。その前にロキがさらなる恐怖心を刷り込んでしまわないようステータス更新などの時はしっかり立ち会おう。男は恐らくファミリア内でも特に尖った見た目と性格をしているベートに会わせなければ問題ないだろう。とりあえず目の前の問題としてマナの部屋と生活をどうするか決めないと駄目だろう。館に戻り次第フィンと相談しないといけない。そんなことを考えていると腕の中の幼い少女…マナが目を覚ましたようだ。

「…んんっ…ふわぁ…」

「おはよう」

可愛い欠伸とともに目覚めた少女に声をかけてやる。

「……ママ…?」

「寝ぼけているのか?」

眠そうに目を擦りながら私のことをママと呼んできた。……とても可愛い。しかし私の何処が母親らしく見えるのだろう。ロキにはいつも『リヴェリアママ』とか言われるがまさか寝ぼけたマナにすら言われるとは…

「もう少し寝ているといい」

「うん…おやすみなさい…」

マナは再び眠り始めた。周りでは少女達がマナを起こさないよう小さく笑っている。

「そんなにおかしかったか?」

「本当にお母さんみたいだなぁと思いました」

「……」

黙った私を見てまたみんなが笑いだした。

解せない。



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7話 アイズの違和感と帰還

アイズがメインの話です


……何度考えてもおかしい

マナと名乗ったあのハイエルフはダンジョンにひびが入る前に何かに気づいていたようだった。事実そこからはミノタウロスが現れた。しかしひびが入る前にはダンジョンになんの前兆もない。

……勘?

予言の様に勘を当てる人を知っているからなんとも言えないが…あそこまで…場所まで完璧に場所まで勘で当てられるものなのだろうか…?予言のように勘が当たる人…フィンでも場所やどのような形になるのか等までは分からない。

それにダンジョンから出た事がないと言っていた。

ダンジョンの何処に居たのか?あり得るとしたらマナと出会った18階層だが18階層に作られた【リヴィアの街】は何度も壊滅している。その壊滅は規模によっては森を含めた階層全域に被害が出る。恩恵を得ていてもレベルが低いと助からない。更に18階層にはファミリアの幹部である双子のアマゾネス姉妹…ティオネとティオナがよく水浴びをしに行く。あの二人はとても鋭い感覚を持っている。気づかないとは考えずらい。何か大きな物が関わっているのだろうか…そんな考え事をしているとファミリアの拠点【黄昏の館】に着いたようだ。

「アイズた~んおかえり~」

「きゃっ!?」

私に飛びついてきた主神のロキを躱すと後ろにいたレフィーヤが押し倒された。相変わらずだが少しは落ち着いて欲しい。

「リヴェリアママまたママらしくなった?」

少しして起き上がったロキが熟睡しているマナを抱えたリヴェリアに話しかけている。おそらくフィンから既に話を聞いてあるのだろう。

「誰がママだ」

「熟睡しているその子を見る目が完全にママの物だったからな?」

ロキは笑いながら茶化す。しかしあながち間違いではないと思う。私自身ロキファミリアで育ったがリヴェリアはママの立ち位置にいたような気がする。

それはいいとして疑問の方は一応幹部内で共有しておくべきだろう。リヴェリアも多分同じようなことを考えているだろうから自分が出さなくても問題ないはずだ。

問題はマナの周りだろう。仮にずっと18階層にいたとするなら死んでいる可能性の方が高い。リヴィアの街の人はマナを知らないようだった。食料は森に豊富にあると言ってもおかしい。関わってるとすれば闇派閥(イビィルス)だろう。マナは価値があるハイエルフだから取り返しに来る可能性もある。門番を担当してくれるアナやラウルに注意をしておくべきだろう。

共有しないといけない訳では無いが一応意見として言っておこう。

 

闇派閥が再び活性化する可能性があると

 




久々に書いた上スマホの画面が割れてしまい誤字確認等がしっかり出来ていません。暖かい目で見てもらえると嬉しいです。


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8話 ロキ・ファミリア

課題が多くあまり時間が取れませんでした。投稿ペースが遅くて申し訳ないです。
今回はマナ目線の話になります。


私はふわふわとしたなにかに包まれているかのような感覚を味わっていた。こんな感覚は初めてでずっと味わっていたい…そう思ってしまう。しかしそこで気づいた。

私を包んでいるものはなんなのだろうか…。

私を包む物はないはず…そう思い目を開けると目に入ったのはお洒落な内装の部屋と本を読んでいる獣人の少女。私を包んでいるものはふかふかとしたベッドと布団のようだ。

「ここは…?」

「目を覚ましたようですね。団長達を呼んできますので少々お待ちください」

少女は本を閉じ、私に声をかけると部屋を出ていった。

私が布団の気持ち良さを堪能していると部屋の扉がノックされた。

「入ってもいいかな?」

聞こえてきたのはフィンさんの声。

「はい」

返事をすると扉が開いてフィンさんとリヴェリアさんが入ってきた。

「調子はどうだい?」

「今までに無いくらいに良いです…あの…ここはどこなんですか?」

私を気遣うかのような質問に答え、気になっていた事を聞いてみるとフィンさんは苦笑した。

「ここに来た時は寝ていたから知らないんだね…ここは僕らの本拠地、黄昏の館だ」

「マナが大丈夫ならこれからロキのところに連れていこうと思うがどうする?」

リヴェリアさんの問…これはこの黄昏の館という場所の1番偉い人に会いに行くか、ということだろう。

「連れていってください」

そう言って私は立とうとしたがよろけてしまった。

「無理するな」

リヴェリアさんに支えられたと思うと同時に浮くような感覚…リヴェリアさんに抱き上げられているようだ。

私はそのまま連れ出され、ひとつの部屋に着いた。その部屋からアイズさんが出てきてリヴェリアさんに声をかけた。

「ロキの酔いは覚ましたから今なら悪戯されないと思う」

「助かる」

そう言って扉をノック、返事を聞いて中に入った。

部屋の中では椅子に座っている悪戯好きの笑みを浮かべた女性が…おそらくこの人がロキ様なのだろう。立ち上がってこちらに歩いてきた。

「リヴェリア、話の子っちゅうのはその昔のアイズたんにごっつ似てる子かいな?」

「そうだ。ダンジョンで保護した」

これは私の話だろう…ひとまず名乗らないといけないと思うが口を挟むのも避けたい…

「ひとつ聞いてええか?」

「はい」

「アイズたんからダンジョンから産まれる前にミノタウロスを察知したっちゅうこと聞いたんやけどそれ、ほんまなんか?」

ミノタウロス…私の上に落ちてきた大きな生き物の事だろうか?それしか心当たりがない。

「私の上に落ちてきた大きな怪物のことでしたら気づきました。違和感を感じたんです」

「それが聞ければ十分やな…そういえばファルナを刻みたいっちゅう話しやったか?」

いきなり話が変わったがこれが本来の目的…断られないか心配ではあるが返事をしなければ…

「はい」

「フィンが認めるなら大丈夫やろ、ほな今からやるさかい服脱いでな」

服を脱ぎ始めるとロキ様が焦ったような声を出した。

「フィン、少し出てくれん?」

「わかった」

フィンさんが滑らかな、かつ素早い動きて部屋を出ていった。

「どうかしましたか?」

「男の目の前で脱ぐのは流石に無防備やないか?」

そう言われても私は服を着てる時間よりも何も着ていない時間の方が長かったしいつも男達の欲望のはけ口にされていた身、見られることには何も感じない。しかし心配してくれたのだから謝った方がいいのだろう。

「ごめんなさい」

「ほな始めよか」

私はその日ロキ様の眷属となった。




ロキの口調がよく分からなくなる…やっぱり難しいです…
今回マナが目覚めました。そして初めて外見についての話が出ました。昔のアイズが蒼眼になっているイメージです。
ステイタスは次回書きます。


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9話 ステイタス

これはロキ視点の話になります。


なんやこのステイタスは…

そう声に出しかけたが何とか抑えた。こんなものをマナに知られてはいけない。この少女はどんな辛い目にあってきたのか…分からないがある程度想像出来る。少なくとも自由がなく、救いがない状態が長い間続いたのだろう。

「とりあえずこんなもんやな」

スキルと2つある魔法の内の1つは書かなかった。いや…書かなかった。

「これ…なんて読むんですか?」

「リヴェリア、教えておいてくれへん?それと後でフィンのステイタスも更新するさかい声かけといてな」

これならリヴェリアは理解しただろう。

少し経ちフィンとリヴェリアが部屋に入ってきた。

「僕らに言いたいことがあるんだろう?」

「せや、立ち話もなんやしとりま座ってな」

まずはマナのステータスの紙を渡した。

 

マナ Lv1

力I 0

耐久I 0

器用I 0

敏捷I 0

魔力I 0

 

魔法

【自由の翼】

1の唄『私が求めるのは空駆ける自由の翼』

・召喚魔法

・分岐詠唱

・成長

 

スキル

【強化再生】

・自己治癒力強化

 

「リヴェリアはここまでは知ってるやろ?問題はこっちや」

もう1枚の紙を渡した。

 

魔法

【身捧ぐ救いの手】

『貴方が苦しむのなら私はその苦しみを引き受けましょう 私が貴方を助けましょう 私の手は貴方を苦しみから解き放つ たとえ私の身が滅びようとも』

・回復魔法

・身代わり魔法

 

スキル

【精神破損(ブロウクンハート)】

・一部感情の喪失

・一部感覚の喪失

【返恩欲求】

・早熟

・恩に報いる思いの丈により成長加速

 

「これは…なるほどな…書けないわけだ…」

「【精神破損】と【返恩欲求】…壊れた精神と感謝を返したいという思い…かな?」

スキル【精神破損】、1部の感情や感覚の喪失、精神異常を起こすバットスキルとしか思えないものである。【返恩欲求】は…恩を返そうという想いが強いほど成長しやすくなる。レアスキルだ。こんなものを他の神に知られたら勧誘合戦で面倒なことになる。知られないためには本人も知らない方が都合がいい。

「それに魔法の片方や、【身捧ぐ救いの手】ってやつを見てみい」

「回復魔法…身代わり魔法…?」

「成長や早熟もそうだが身代わり魔法というのは私も聞いたことがない。」

あのスキルを見るにこの魔法知ったら自分の身は気にせず使う事だろう。身代わりと聞いていい予感はしない。使わせないよう知られない方がいいということだ。

「この事は他言無用な。それとリヴェリア、マナのことちょっと調べておいてくれへん?」

「わかった。調べてみよう。」

リヴェリアは部屋を出ていった。

多分あまり分かることは無いが何か分かるかもしれない。

「それとフィン、あの子に合いそうな武器ってなんやと思う?」

「ナイフとかじゃないかな?それにしてもロキ、マナの事に結構興味があるのかな?」

あまり過保護にすることも無いからちょっと疑われているのだろうが大したことは無い。

「今まで酷い目にあってたあの子へのご褒美みたいなもんや。あまり気にすることないやろ。それと男性恐怖症やったか?フィンの事は大丈夫みたいやけど…」

「ガレスに対して過度に怯えていたしそうだろうね…念の為ベートには会わせないようにしようか」

「それがええやろ。教育やけどリヴェリアに任せればいいはずや」

あと気になるのは…

「精神破損で喪失しているものは調べておくべきだと思う」

「せなや…それに関してはこっちでいろいろやってみることにするわ。正直スキルで喪失した物があったら辛いけどな…じゃあフィンのステイタス更新して終わりにするな」

ステイタスの更新を終えたフィンが出て、しばらく休んだ後に悪戯道具の製作にかかることにした。

マナはどんな反応を見せるのだろうか…




課題が…終わらない気がする…
多分また投稿までかなりの期間が開きます…


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