Fate/staynight ~彼方へとルーンを刻む者~ (レイノート)
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プロローグ「男の独り言」

どーも作者のレイノートです。
今回fate作品初投稿と言うことで、とても緊張しています。
酷いアンチが来ても頑張って書いていけるように努めていきます。
それではプロローグの方を是非ともお読みください。


相手に想いを伝える為に貴方は何をするか。

口頭?それもいいだろう。手紙?これもいいだろう。

伝える手段は様々だ。

では想いが込められたモノには何が宿るか考えた事はあるか。私が思うには…それは感情だ。

喜び、悲しみ、怒り、憎しみ。込められた感情に込められたモノは幾らでも形を変える。

皮肉なことに身をもって知った事だから余計に分かってしまう。

そんな途方も無いくだらぬ考えを思考しているうちに、バスが目的地へと着いたらしい。胸ポケットからポップキャンディを口へと加え、バスの降り口から停車地へと降りる。目的地を地図で確認し、僕「アルフ・イグナイテッド」は歩き始める。

 

冬木市。

山と海に囲まれた自然豊かな地方都市。この日本でもそれなりに名が知られてる場所だ。

魔術に関わる者にとってもこの冬木の名は有名だ。龍脈地の少ない日本でも特に龍脈地の質が高い。そのため魔術的価値も高く、工房を作るにあたって多大な恩恵を受けることができる。

だがこの土地は私のような外来の魔術師がそう簡単に根を張る事は出来ない。

この冬木には始まりの御三家の一角『遠坂』と呼ばれる魔術師が代々管理している土地。この冬木に根を張る事は、即ち遠坂の傘下に下るに等しい。魔術師という生き物は総じてプライドが高い。特に時計塔でふんぞり返っている貴族達もそのひとつだろう。

代を重ねてきた家系程、魔術師としての価値がより高くなる。それにより歴史の浅い家系は見下されることが多い。

 

別段、私は積み重ねた歴史が深かろうが浅かろうがそんなものは関係ないと思っている。

積み重ねた歴史がそのまま魔術の発達に繋がるとは限らないからだ。

数多くの魔術師が根源を目指し、代を重ねて魔術の研鑽を続けた。しかしこれらの多くは大成はしない。

例えば、その家系は代を追うごとに魔術回路の数が少なくなるとしよう。魔術回路は生まれつき備わるモノであり、人間で言うところの神経に近いモノだ。当然ながら他所からの外付けは困難であり、無理矢理に回路数を増やすのはリスクを伴う。それ故魔術師の家系は、次代の跡継ぎにより多く魔術回路に残し、魔術刻印を継承させていく。

だが工夫を凝らしても、必ずしも増えるとは限らないし、逆に完全に魔術回路が無くなる場合もある。それ故に没落した魔術師は数多くいた。

 

僕の家もそれなりには古い名家だ。今現在は北欧に拠点を置き、ルーンを主体とした魔術を主に研究している。

しかし魔術協会などには所属しておらず、家系の者を除けば親交があったのは神代のルーンを継承してきたマクレミッツ家ぐらいだろう。

以前には魔術協会の一角である彷徨海から度々使者を送られることがあった。研究しているルーンに興味を持ったらしくそれを取り入れようと色々と条件を提示してきたのはよく覚えている。まあすべてキッパリと断っているが。別段研究内容を秘匿したい等の大した理由はなく、単純に面倒臭いと思ったからだ。

協会に所属すればそれなりの恩恵を受けることができるだろう。だがそれ以上に協会内の魔術師同士の派閥に巻き込まれるのが何より嫌だった。

 

例にするならばロンドンの時計塔がいい例になるだろう。あそこは若い魔術師を育てるための魔術を教える学園が創られている。それぞれの魔術の系統ごとに君主(ロード)と呼ばれる時計塔において大きな権威を持つ魔術師によって指導されている。十二科目に分かれており、それぞれの魔術事に君主が一人付き、その魔術系統について学ぶことが出来る。

一見魔術を広く教える学園のように思えるが、水面下で生徒を自身の派閥へと引き入れ勢力を拡げていっている。過去1度だけ時計塔を訪れた際に見聞きしたからよく覚えている。ああはなりたくないと何度思ったことか。

 

さて、そんな昔話を思い出しているうちに目的地へと着いたらしい。自分でも十分程度しか歩いていないように感じた。左腕に着けている腕時計を確認したところ、時刻は歩き始めてからすでに三十分以上過ぎている。時間が経つのが早いなと思いつつ、目的地へと目を向ける。

小高い丘の上に建つ西洋建築の館。とても古めかしい雰囲気を醸し出しており、見るものが見れば積み重ねられた歴史に重みを感じるだろう。

ここは先程言ったこの冬木を治める遠坂の地所。

僕が訪れた理由はこの冬木において行われる御三家が創り出した魔術儀式「聖杯戦争」への参加の表明をする挨拶に来たのだ。

本来ならば挨拶など不必要のない事ではある。聖杯戦争において敵同士となる者が態々挨拶に来るともなれば、尚更警戒をするだろう。だが僕は、他者の管理する土地に踏み入るのだから一応挨拶をと変なところで律儀に訪れたわけだ。

 

「(まあ、無駄な事を好む僕らしいけどね)」

 

と心の中で呟く。

 

 

 

 

 




若干自分でも不安になってきました。亀更新になりますが、どんどん書けるように努めていきます。
ご意見、ご感想があれば感想欄にてお願いします。


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設定

5章は本当に泣ける。
ネタバレになるのでいいませんが、是非とも自分の目で確かめて見てください。
ただひとつ言えるのは、なんて火力とパワーだよ、こいつは!(キリシュタリア)


【アルフ・イグナイテッド】

 

 

性別:男性 誕生日:7月15日

 

 

血液型:AB型

 

 

身長:181cm 体重:65kg

 

 

特技:相手の心中を暴く、タロット占い

 

 

好きなもの:読書、キャスター

 

 

嫌いなもの:女難な自分、無意味な犠牲

 

 

天敵:バゼット・フラガ・マクレミッツ

 

 

魔術属性:火、風

 

 

イメージCV:細谷佳正

 

 

【略歴】

放浪の旅の途中、旧友であるバゼット・フラガ・マクレミッツに協力を求められたことにより、聖杯戦争に参加する。

柳洞寺にてキャスターを召喚し、以後良好な関係を築いていく。

 

【人物】

 

神代よりルーンを受け継いできた一族イグナイテッド家の末裔。彼で十代目となるが、数えていないだけで実際にはかなり代が続いているため正確な代数は分からない。

ルーン魔術の天才であり、魔術師として強さは時計塔の魔術師よりも実力が高い。自身の魔術を他人に見せびらす行為はせず、己の魔術は誰かの為に存在するという矜持を持っており、研鑽を欠かさない。

普段は魔術研究の一環として世界中を旅をしながら見識を深めているため、詳しい所在を知る者は一人を除いていない。

 

 

【能力】

基本戦術としてはルーン魔術による搦手。状況に応じて即座にルーンを刻める判断力に優れており、咄嗟の不意打ちにも対応できる天性の勘を備えている。

近接戦闘においても炎剣による二刀流。

 

その剣は、厄災をもたらす枝なり。(レーヴァテインレプリカ)

かつてスルトが振るったとされる破滅の枝を再現した魔術。アンサズ、カノ、太陽のルーンの3つが刻まれたタロットカードを起点とし、二振りの炎剣を召喚する。

また2000度以上の火力を有している。

タロットカードで手軽に持ち運べるため簡単に使える術式として重宝している。

 

 

偽・炎の巨人王(スルトレプリカドール)

北欧神話においてラグナロクの要たる神殺し。巨人王を再現した魔術。

アンサズ、カノ、ソウェル、エワズ、太陽のルーンを五芒星のような形になるように刻むことで結界を作り、五節以上の魔術詠唱を読むことで使える術式。

刻まれたルーンが消失しない限り、サーヴァントの宝具を喰らおうとも何度でも再生する。(破戒すべき全ての符などの魔術を初期化するものは除く)

対サーヴァントにおいても、柳洞寺のような龍脈が豊富な場所ではサーヴァント相手でも苦戦必須のものとなる。

形状はゲッテルデメルグのスルトを10mサイズに小さくしたもの。

詠唱等の下準備が必要であるため、隙が多いのが弱点。



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第一話「遠坂の才女」

なんか筆がのったので、久しぶりにFateの方を書いてみました。
異端者の方はおいおい進めて行きますのでご了承ください。


日曜日。自身が通う学校が休みということもあり、少し油断していたのかもしれない。

少女・遠坂凛は焦っていた。体をあずけていたベットからバッと効果音が着きそうな勢いで体を起こす。眠気が頭から完全に抜け、目が冴え過ぎる程に。

凛は今日予定があることを思い出したのだ。三日くらい前に電話で訪問の旨を伝えられていることを今の今まで忘れていた。その日は魔術の鍛錬で疲れていたので雑に空返事を返していたのを薄らと思い出していた。焦りの色が見える顔は、遠坂の家訓「常に余裕を持って優雅たれ」を実践できるとは思えないほど不安を抱えているといった印象を受ける。

 

凛は恐る恐る時計の方へと目を向ける。

時刻は午後一時。日の出はとうに迎え、太陽は既に完全に登りきっている。

約束を取り付けた時間は一時半。

無情にも時計の秒針は止まることなく、カチッカチッと音を立てながら時間を刻んでいく。

 

 

「や、やっちゃったァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

自身の愚かさに凛は頭を抱えて思わず発狂する。

その姿は彼女を知る者が見れば、余りのギャップで驚くこと間違いないだろう。

それほどまでに今の彼女には余裕などはなく、ただひたすらに焦り慌てふためく。

髪も派手な寝癖が付いており、解かすには幾分か時間が無い。それに加えて客人をもてなす準備さえも出来ていない。

 

 

「(と、とりあえず落ち着きましょう!遠坂たる者、常に余裕を持って優雅たれ!)」

 

 

深呼吸して一旦落ち着く凛。

今はとにかくやるべきことを一つ一つやっていかなくてはならない。

両手で頬を叩き喝を入れ、準備に取り掛かる。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

20分後。

 

急いで自身の身なりを整え、魔術を使って客間を隅々まで綺麗にする。窓ガラスもフローリング、更には本棚の上までも新築の部屋のような真新しいさが輝きを放つ。全体的に古い歴史を持つ遠坂の屋敷の中でも、この部屋だけ不気味さ感じるぐらいに。

たかだか掃除程度の些細な事に魔術用の宝石を一つ使ってしまったが問題ない。魔術の名家として、この冬木を治める管理者(セカンドオーナー)としての体裁を保つためなら、宝石の一つや二つ等安いもの。

内心そう思ってはいるが、宝石の出費が増えることに凛は涙するのは別の話。

 

 

『ピンポーン』

 

 

家中に響きわたるインターホンの音。

時計は予定している時間から一分前の時刻となっている。どうやら客人が来たようだ。

鏡で髪に寝癖が着いていないかを確認し、玄関口へと向かう。

ガチャと扉を開ける。目の前には客人と思わしき、男性が静かに佇んでいた。

灰色を基調としたコートを着込み、整った顔立ちに全てを見透すかのような水色の瞳が特徴だった。

 

 

「貴方が先日連絡をなされた()()()()()()()()()()()氏でしょうか?」

 

 

「いかにも。私がアルフ・イグナイテッドだ。よろしくお願いします、ミス遠坂。」

 

 

アルフは会釈をする。

どうやら礼儀に欠ける人物ではないと凛はほっとする。外来の魔術師が訪れると知った際には、少し心配になったがそれは杞憂だったようだ。

 

 

「それでは中へ。」

 

 

「これは失礼。ではお邪魔します。」

 

 

アルフは玄関でスリッパへと履き替え、凛に追従する形で屋敷の奥へと進んでいく。

 

 


 

凛から見たアルフ・イグナイテッドという魔術師は間違いなく自身の上を行くものだと直感していた。

凛自身、五大元素使い(アベレージワン)という魔術師として最高と言っても過言ではない才能をもちわせていることは自覚している。

魔術師としてはまだまだ未熟ということも分かっていた。魔術というモノに触れた時から今日にかけて研鑽を怠った事は決してない。

 

だが、あの男の得体の知れないナニカを感じる。

魔力の質だとか雰囲気等のそんなチャチなモノではなく、凛の中にある魔術師としての本能が警告を発しているのだ。

 

 

 

「(こいつ…間違いなくやばい…)」

 

 

 

平静を装っている凛も心の中では、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて悔しさを感じている。

自身の尊敬していた父「遠坂時臣」すらも超える魔術師を目の当たりしてしまった。

彼は間違いなく今回の聖杯戦争で恐らく勝ち残る実力者。

 

 

 

「今回このような機会を頂き、誠にありがとうございます

 

先日送った文書の通り、私「アルフ・イグナイテッド」は聖杯戦争への参加を表明します」

 

 

 

「分かりました

 

この地を治める管理者として、貴方の聖杯戦争への参加を承認します

 

後は教会の方にもお立ち寄りください」

 

 

 

正直に言えば、これからこの男と戦うことを想像すれば、参加など認めたくは無い凛。

しかし、この冬木の管理者であり、こうして正面から礼節を持って来てる相手に対して無骨に扱う等、遠坂に生まれたものとしてだけではなく、己のプライドが許すことができない。

故に相手が自身を上回る実力者だとしても、関係はない。勝てばいいだけなのだから。

 

 

 

「分かりました

 

それでは、失礼します」

 

 

 

そう一言挨拶をし、アルフは屋敷から出ていく。

軽いお辞儀をし、彼の姿が見えなくなったのを確認してから屋敷へと戻る。

 

 

 

「はぁ…なんなのよあいつ……」

 

 

 

糸が切れた人形にフラフラと壁の方へともたれ掛かる凛。

普段から猫をかぶっている彼女も、あの得体の知れない者(アルフ)を相手してとても疲れていた。

これからの事を考えると本当に頭が痛くなる。

目標のセイバーを召喚して、あの男に勝てるように準備を整えなれければいけない。

疲れた体に鞭を打って、凛は自分の魔術工房へと籠る。

 

 

 

 


 

 

 

「あんな若い子がこの冬木の管理者か……あれほどの才能の塊を目の当たりにすると納得しちゃうなぁ……いやぁ……相手にしたくないよぉ……本当に……」

 

 

 

先程の会談から少し経ったあと、アルフもまた凛の才能について驚嘆していた。時計塔や彷徨海の魔術師とは何度か戦ったことがある彼も、彼女のような才能の塊は初めて見る。

今まであった魔術師が弱いという訳では無い。才能こそないが技術や経験でそれらを補う者も致し、才能に溺れず研鑽する者もいた。

このままいけば、遠坂凛という魔術師は間違いなく大物になるだろうとアルフは直感している。

 

故に彼女と聖杯戦争で戦うことに消極的になっているのだ。

それはアルフはネガティブ思考という訳では無いが、あれ程の才能を詰んでしまうのを勿体ないと思っているため。

無駄に殺し合う事は望まないし、出来ることなら争いたくはないが……また彼も聖杯に願いを託したい者の一人。

 

 

 

「まあ、彼女なら何とか生き残ると思うけどね」

 

 

 

そういうと懐から新たなポップキャンディーを口に含み、彼は教会の方へと足を進める。

 

アルフ・イグナイテッドと遠坂凛の初会合は、両者とも警戒するものとなった。

 




更新するかどうかは分かりませんが、見てくださった方には大変感謝しております。
私が現在メインで書いてる戦姫絶唱シンフォギア 祝福を告げる異端者の方も見ていただけると幸いです。


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