魔王に召喚されて、新しく生活を始めました。 (龍宮院奏)
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キャラ設定

改めて、しっかりとキャラについて考えてまとめてみました。


黒崎和覇 くろさきかずは

誕生日 6月4日 歳17

好きなもの 仮面ライダー(特にビルド・エグゼイド・電王)

嫌いなもの 怖い人

好きな食べ物 芋けんぴ・ジャーキー

嫌いな食べ物 里芋・ゴーヤ

幼少期から仮面ライダーを見ていて、その時からの情熱は止まらず、

『仮面ライダーは、僕の全てです』と語るほどの青年。

ただし、基本的には人見知り。知らない人と仲良くなるのに、三時間以上(これでも早い方)

あこ(主様)には、基本的に協力的。趣味を行う時は、全くと言っていい程の無干渉。

また、あこの家に居候。

 

宇田川あこ うだがわあこ

誕生日 7月3日 歳16

好きなもの カッコいいもの

嫌いなもの なまこ

好きな食べ物 ポテトチップス・ジェリービーンズ

嫌いな食べ物 ピーマン

Roseliaの中で最年少のドラマー。姉を世界一のドラマーと慕っており、その影響を受けてドラマーの道へ。

また、NFOと呼ばれるネットゲームをこよなくプレーしており、『聖堕天使あこ』としてネクロマンサーとして活躍。

和覇(眷属)を家に住まわせている。

和覇とは、主従の関係で在りながら兄弟の様に仲が良い。が、カッコいいの趣味の路線が違うせいで偶に衝突する。

 

宇田川巴 うだがわともえ

誕生日4月15日 歳17

好きなもの カッコいいもの・お祭り

嫌いなもの 人の頑張りを馬鹿にするやつ

好きな食べ物 豚骨しょうゆラーメン

嫌いな食べ物 特になし

Afterglowのドラム担当で、宇田川あこの姉である。あこからは『世界一のドラマー』と称されている。

性格はサバサバとした姉御肌。身長が高い事もあり、同性からもモテる。またお祭りが好きで、商店街のお祭りでは和太鼓を叩いている。

あこの眷属・和覇に対しては、はっきり言って好意的に思っていない。突然現れて、妹の側に居る男に不信感を抱きまくりで、和覇とは何度か喧嘩が巻き起こる。

 

白金燐子 しろかねりんこ

誕生日 10月17日 歳18

好きなもの ピアノ・あこちゃん?(好きな人?)

嫌いなもの 運動

好きな食べ物 ホットミルク

嫌いな食べ物 セロリ

Roseliaのキーボード担当兼あこの保護者。元々ピアノを習っていたため、流れる様な音色で人々を魅了してきた。

人見知りで内気な性格だが、あこに誘われて・導かれてRoseliaに入った。

あこと同じくNFOのプレイヤーで、RinRinとしてウィザードとして活躍。かなりのインドアな為、設備がヤバイ。

突如として現れて、あこと眷属として仲良くなった和覇をあまり好意的には思えていない。

 

湊友希那 みなとゆきな

誕生日 10月26日 歳18

好きなもの 音楽・猫(本人は認めない)

嫌いなもの 運動

好きな食べ物 はちみつティー・リサが作ったクッキー

嫌いな食べ物 苦いもの(ブラックコーヒなど)・メロン

Roseliaのボーカル担当。音楽に対してとてつもなくストイックで、巷で『孤高の歌姫』と呼ばれている。

リサとは幼馴染で、基本的にリサが居て成り立っている?音楽以外の事は…、正直な話しあまり褒めたものでは……。

また本人は、絶対に認めないが大の猫好き。猫を見つけ、スキがあれば近づきじゃれ合っている。

あこの眷属・和覇に対して、特に不信感を抱くことも無く、普通に接している。

 

今井リサ

誕生日 8月25日 歳18

好きなもの 友希那の笑顔・お菓子づくり

嫌いなもの しつこい人

好きな食べ物 筑前煮・酢の物

嫌いな食べ物 グリーンスムージー

Roseliaのベース担当。明るく、気配りができ、見た目はギャルっぽいがRoseliaの良きお母さん的存在。

友希那とは幼馴染で、友希那の身の回りの管理をしている。音楽は友希那の影響で初めた。

また、アルバイトをしていながらバンドもこなしている。リサが作るお菓子、料理は絶品である。

あこの眷属・和覇に対して、不安に思っていたが、余りにも和覇が人見知りなので、『あ、大丈夫そう』と安心して、甲斐甲斐しく世話を焼いている。

 

氷川紗夜

誕生日 3月20日 歳18

好きなもの ギター・犬(この人も認めようとしない)

嫌いなもの 規則を守らない人

好きな食べ物 ジャンクフード(フライドポテト)・キャンディー

嫌いな食べ物 にんじん

Roseliaのギター担当。友希那と同じ様に、音楽に対してストイックで努力を惜しまない性格。

学校では風紀委員長をしており、『鬼の風紀委員長』と裏で呼ばれいる。が、弱点は妹とフライドポテト。どちらも絶対に認めようとしないが、妹に対してはちょっぴり甘く、フライドポテトは何時も山盛りで注文。

あこの眷属・和覇に対して、信用できない様子で、危険人物として見ていた。しかし、次第に危険性が無いと判断され『案外、犬みたいな性格』と思い、優しい。




更新が遅くなってしまい、ごめんなさい。
これからまた、更新していきます。
投票、お気に入り登録、本当に有難うございます。
これからも宜しくお願いします。


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召喚されました!召喚しちゃった!

半ば現実逃避中に、浮かんできたのでまずは書いてみました。
これからどんどん増えていきますよ。


「遂に…、遂に…買ってしまった…」

目の前に広がるお宝を眺めて、幸せすぎて膝から崩れ落ちる。

「仮面ライダービルドのアイテム全種類…遂に制覇した〜!」

放送開始から数年の月日を得て、ようやく完成した……。この為にアルバイトも頑張ったし、勉強も頑張って親にも協力してもらって。僕やったよ、戦兔。

 さて鑑賞は一度止めて、変身を実際にするかな。まずはこれだな、ビルドドライバーを手に取り装着する。ボトル2本掴んで上下に振る。シャカシャカ小刻みに軽快な音を立て始める、

「さぁ、実験を始めようか」

ボトルの蓋を回転させ、ベルトに一本ずつ差し込む。

『ラビット・タンク ベストマッチ!』

あぁぁぁ、来たー!興奮が抑えきれない、レバーを回すと赤と青の綺麗な光が放たれて幻想的だった。

『Are you ready?』

深呼吸をして高鳴る心を落ち着かせ、腕を構える。心の中ではグリスの『出来てるよ』を言ってるけど、ここはやはり戦兔のボトルだからね。

「Build Up!」

やっぱり戦兎に合わせました。

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク!』

ベルトから流れる音声に大興奮。

「イェーイ!」

思わず音声に合わせて叫んでしまった。

「やっぱり仮面ライダーは良いなぁ。次はどのベストマッチと…?」

ボトルを取ろうと手を伸ばすと、違和感に気づいた。自分の部屋の床とは違っていた、それに何だか開放的に感じるし……。

 

「遂に…、遂に…買ってきちゃった…」

目の前に置いてある古の書物を眺めて、嬉しさのあまりりんりんに抱きつく。

「伝説の黒の魔術書上下巻…ようやく手に入った〜!」

ぱちぱちと手を叩きながら、

「あこちゃん、最初に上巻を見つけて買ってから、2年間探しに探してようやく見つかったんだもんね」

あこと同じように嬉しがっていた。

「じゃあ、せっかく揃った記念に……。これから黒の儀式を始めるぞ……」

魔術書のページを捲ってみると、あこの頭では難しい文字で書かれていた。でも、そんな事で諦めるわけにもいかないし……。

「あ、これだ!りんりん、これやってみようよ」

「え、どれをやるの?」

開いたページを見せる。

「魔法陣を書くの?」

「何だか、この魔法陣を見たら何かこうバーン!って起こる気がしたの」

「あこちゃんがそう言うなら…、やってみようか…」

でも、この魔法陣何に使うの?不安は有ったものの、あこちゃんが楽しそうなので止めることは出来なかった。

 

「出来た〜、ありがとうりんりん」

「大丈夫だよ…、あこちゃんの為だから」

「じゃあ、これで儀式の始まりだね」

りんりんと協力して作った魔法陣が、目の前にババッン!と広がっている。

「じゃあ、始めるよ」

本を片手に持ち、二人で和訳しながら読んでいく。

「えと、ふ、古い?時代の?黒き…」

「古き暗黒の時代だと思うよ…」

「あ、そうなの?」

「ちょっと待ってね…」

紙を取り出したりんりんは、本の文章とスマホを使って次々に和訳していった。

「多分…、これで合ってると思うよ…。最後はあこちゃんが決めてね」

「りんりん…、うん。あこに任せて!」

りんりんがあこの為に読みやすくしてくれたんだ、だから絶対に成功させる。

 あこちゃんから、凄い気合のオーラが出てる。まるで、本当の魔王様みたい。

「古き暗黒の時代に封じ込められた、善と悪を司る戦士よ。命と命無き物を掛け合わせ、絶大な力を発揮した戦士よ。汝に掛けられたその忌まわしき封印を、今ここで主である我が解こう。

そして、我に忠誠を誓い、我と共に道なき道を進むのだ。

 だから、問おう?我に付いて来るか?その覚悟は出来てるか?」

呪文を読み切ると、魔法陣が光を放ち始めた。

「りんりん、出来たよ!成功だよ!」

「あ、あこちゃん…、ま、前…」

凄い震えてるけど?前って。振り返ると、光から今度は龍に変わり魔法陣をなぞる様に飛んでいた。

「カッコいい…」

あまりの衝撃に声が出てこない。

 そして次の瞬間、どこからか声が聞こえてきた。

『出来てるよ』

男の人の声のような気がしたけど?

「りんりん、今の聞こえた?」

思わず尋ねる。

「何の声?私にはその龍の声しか聞こえないけど」

りんりんには今の声は聞こえてなかったようだ。なら、今のは。

 疑問の答えは案外、あっさりとやって来た。魔法陣の上に、男の人が立っていたのだ。




どうも、始めまして?どっちかな?龍宮院奏です。
最近改めて仮面ライダービルド見ていたら、何だか楽しくなってきちゃって。
他の連載もあるのに…、すみません…。
この作品も宜しくお願いします。
感想など、お待ちしております。


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契約しちゃった!

どんどん出していきます!


 違和感の正体は、案外あっさりと解決した。でもその前に、

「ここ何処?てか、あ、ボトル。え〜と、全部揃ってる…。良かった〜」

よく分からない場所に何か居るけど、まぁボトルもベルトもアイテムもあるから良いかな?

 

「召喚できちゃった……」

ふと後ろを振り返ると、ツインテールの少女と、黒髪ロングの少女が、それぞれ驚いたという表情でこちらを見ていた。

 それに『召喚できちゃった』とは、一体どういう事何だろう……。

「何で僕、魔法陣の上に!え、ビルドが新世界を創ったような感じ?僕死んじゃったの?」

今更感満載だが、ようやく自分がどんな状況に置かれているのかが理解できた。

「まだ…、エグゼイドのアイテムシリーズ集めてないのに…、ジオウだって…」

膝から後悔のドン底へと崩れ落ちる。嘘です、本当は何が何だかさっぱりです。

 

「あ、あこちゃん…。あの人?あの召喚した人…、何だか急に泣き始めたよ」

召喚した時、あまりの衝撃的な現実に腰を抜かして、尻もちを着いてしまった。あこちゃんに手を貸してもらい、何とか起き上がって見ると、召喚された人は泣き始めていた。

「え、どうしよう。りんりん…」

あこちゃんが、私に助けを求めてる…、私が何とかしないと…。でも、知らない人だし。そもそも人かどうかも怪しいのだけれど。

「私も一緒に居るから、まずは話しかけてみようよ。あこちゃんが召喚したんだから、あこちゃんが話したほうが良いと思うよ」

そう言うと、小さく頷いて私の手を引きながら近寄っていった。

 

 俺の人生は一体何だったんだ…。ちょっと奮発して欲しいものを買ったら死ぬなんて、惨めすぎるわ…。自暴自棄になって、思わず頭を床に打ち付ける。

 あぁ、床が冷たくて気持ちいいな…。

「あ、あの…」

「はい…」

声を掛けられてきたが、今更何のようだ…。こんな死人に…。

「ひぃ、あ、あのアナタがあこが召喚した使い魔なの?」

問いかけられた質問を理解するのに、少々思考が追いつかない。使い魔?あのウィザードのガルーダ的な?

「いや、分からないけど…。ねぇ、僕死んだの?」

思わず自分の状況を確認したくて聞いてしまった。

「え、死んでるの?だって、物も触れて、今も自由に喋れてるよ」

少女は怯えながらも、答えてくれた。

「もし、死んでるのなら…、はい」

手を差し伸べてきた。

「もしあこが召喚した使い魔が、死んでいたら主であるあこの手を握れない」

やっぱり僕は死んだ…、

「でも、死んでいないなら、主であるあこの手を握り、あこの最強の闇の眷属となるのだ」

闇の眷属…、この女の子の眷属…。

「僕は…、闇に落ちたヒーローも好きだけど…」

ゆっくりと立ち上がり、

「誰かの笑顔を守れる、そんなヒーロー。光の眷属で在りたいな…」

僕の事を眷属と称する、この少女・主の手を握った。

「握れた…、僕は…生きてる…」

「握ってくれた…。クックッ、それにしても我が闇の魔王を前にして、光の眷属で在りたいとは大した度胸よ…」

少女はそう言って、笑っていた。

「貴様、名は何と言う…」

「僕は、黒崎和覇(くろさき かずは)」

「黒崎和覇…。そうか、黒崎和覇よ、今から貴様は我闇の力を支配する……」

あれ?主様?なんか詰まった。それを後ろから、あの黒髪ロング少女が。

「闇の力を支配し、混沌を征する魔王…」

耳打ちでコソコソっと呟いたのち。

「闇の力を支配し、混沌を征する大魔王!その名は、聖堕天使あこなり!」

言い直した、でも頑張って言ってて可愛いな…。

「ちょっと、我が眷属よ…何をニヤついてる」

あ、主様にバレた。

「あ、あの…その主様が…可愛いなと…」

言ってしまった…、やばいこれは殺される。

「可愛い…、あこはカッコいいもん…」

怒られて殺されるかと思ったら、逆に泣き出しそうに成っちゃった。どうしよう、どうしよう。

「その、ごめんなさい…。主様?僕眷属だから、呼び方合ってるよね?」

やっぱりまだ、眷属だ何だはまだ理解できないけど。

「主様はカッコいいよ、さっきも『主であるあこの手を握り、あこの最強の闇の眷属となるのだ』って言ったところとかカッコよかったし。え〜と、後は、後は」

何か、何か、

「僕を、こうやって召喚できるだなんて主様は偉大な人なんですね!」

「偉大…」

思わず声が大きくなって知っまった。でもさっきよりは元気になってる。

「そ、そうだもん!あこはこうして使い魔を召喚できるくらいに偉大なんだもん」

胸を仰け反らして、頑張って迫力を出そうとしている。やっぱりこういう所は可愛いな…。

「和覇よ、我が眷属よ。今一度問おう、我聖堕天使あこの眷属となることを契約するか?」

主様は真剣な眼差しでこっちを見つめていた。

 今の状況で俺には、他に何か良い選択肢も見つかる事もないだろうと思い。

「もしもこんな僕でよろしければ、貴女の眷属として契約させてください」

膝立ちをし、主様・あこを見上げた。

「それじゃあ、これから宜しくね和覇」

この瞬間にした笑顔は、魔王としての威厳と堕天する前の天使の名残の優しさを兼ね備えたそんな笑顔に思えた。素直にカッコ可愛いと思いました。




第一話で主人公の名前を出し忘れていました。
主人公は黒崎 和覇(くろさき かずは)と言います。
彼はもう、かなりのオタクですね。だって自分のことよりも、アイテムを心配するなんて…、すみません…私も同じ人間です…。
それにしても、やっぱりあこちゃんが可愛い!マジ堕天使!
それでは、今回もご閲覧ありがとうございました。
感想などお待ちしております。


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召介(しょうかい)されちゃった!

今回は少し長めです。あと、大、大、大、大集合!


 契約を交わしたものの、そもそも契約が何かお互いに理解していなかった。

「ねぇ、主様。契約って、結局は何するのもの?あ、後眷属も」

僕の元居た世界での眷属についての知識といえば、仮面ライダーウィザードのガルーダとかのイメージだし。契約は…何か命令に逆らったら、凄い痛みが体を駆け巡るとかそんなイメージだし。

「契約……、契約とは何をするもの……?え、え〜と……」

主様は額に手を当てたり、腕を組んだりして契約の意味を考え始めた。次第に考えが詰まってきたようで、頭の中が完全にパニック状態になり始めていた。

「契約は……こう、ドドーンって感じで……それで何かこう……。りんりん、もう分かんないよ〜」

遂に考える事の限界に達し、黒髪の少女に抱きつく主様。そんな姿を見て、やっぱり僕の主様可愛いと思ってしまった。

 

 一方で抱きつかれた黒髪の少女こと、りんりんはあこを抱きしめながら頭を撫でていた。

「あこちゃん……、え〜と契約は……」

あこちゃんが召喚したあの人、本当に信用できるのかな…。今もこうしてあこちゃんを困らせてるし、あんまりあこちゃんに意地悪するのは許せない……。

 でも、こうしてあこちゃんが私を頼ってくれるのは嬉しいな。本当に可愛い……。

「りんりん…?」

あこちゃんが上目遣いで、心配そうに見つめていた。

「え、あ、何でも無いよ…。契約はね……」

どうしよう、この状態のあこちゃんすっごく可愛い……、この瞬間を写真に収めたい……。

 でも、今はあこちゃんの質問に答えてあげないと。契約だっけ、私も良くは知らないから、これでどうかな…。必死に考えた末に出てきた結論が、

「契約だから…、あこちゃんを悪いものから守ったり、あこちゃんに尽くしたりするのを約束することじゃないかな…?」

自分自身が、あこちゃんにしたい事を言ってしまった…。どうしよう、顔がすごく熱いし、今絶対に顔真っ赤だよ。

「あこを悪いものから守ったり、尽くしたり……。何となくだけど、わかった気がする」

どうやら、今のであこちゃんの中では納得のいくものだったらしい。良かった…、何とか答えられて…。

「じゃあ、眷属はそれを行うものなんだね」

あ、あれ?眷属の……?眷属の方も聞いてたの?

「け、眷属は、ち、違わないね…。そうだと思うよ…」

ここで否定することが心苦しくて、上手に眷属について思いつかなかったせいで言えなかった…。うぅ…、悔しい…。

「ありがとう、りんりん。これで答えられる」

満面の笑みを浮かべながら、召喚した眷属の方に行ってしまった。あこちゃん…、やっぱり可愛い……。

 

「和覇、我が眷属よ」

あ、主様が帰ってきた。何だか、さっきとは周りの空気が違う感じがする。

「は、はい…」

「そう緊張するでないぞ……、汝に契約の意味を教えてやろう……」

主様はそれでさっきあの黒髪の少女元へ、それで意味とは……。期待に胸が弾む。

 あれ、何だかすごい楽しそうなんだけど我が眷属。すっごい期待の眼差しが熱いんだけど、もうこれは盛大にやるしかないね!

「よく聞くが良い、我が眷属……。我との契約とは……」

「主様との契約とは……」

「とは……、我を敵から守り抜き、我に尽くすことなのだ!」

両手を大きく振り上げながら広げて、ダイナミックに見せる。これで、更に迫力も上がる。

「お〜……」

クックク…、我が眷属め…、我の言葉に圧倒されているな。だが、まだ早い!

「そして眷属とは、契約の名のもとに絶対的な忠誠で、我と共に覇道を進むものなのだ!」

最後にあこのキメポーズを決めて、盛大に幕を閉じた。

「これで分かったか…、我が眷属よ」

「は、はい!契約が如何に尊きもので、眷属が主様を支える重要なものと分かりました」

本当は、一生懸命に身振り手振りで現している主様が素敵だったからなんだけど。本当にカッコ可愛いかった。

「この黒崎和覇、主様に何処までもお供したいと思います」

再び膝立ちをし、主様の手をとった。

「うむ、我聖堕天使あこ・宇田川あこに付いてくるが良い」

再び膝立ちをした、眷属の手を握り返した。

「それじゃあ、まずはあこの大事なバンドメンバーについ…」

主様が、僕に大事なバンド?メンバーについて紹介しようとすると、部屋の扉が開き、

 

「あら、あこ。それに燐子まで、先に来ていたのね」

透き通るような声をした女の人、

 

「ごめんね〜、遅くなちゃった。これお詫びのクッキー」

見た目がギャルぽい何かを背負った女の人、

 

「委員会で遅くなりました」

端正な顔たちで真面目そうな女の人。この人も何かを背負っていた。

 更に黒髪の少女以外の人が増えて着て、思わずフルボトルバスターを手に持ちながら主様の背後に隠れる。

「え、和覇?どうしたの?」

一瞬にして背後に移動した眷属の行動力と、手にしている大きな剣を見ながら、驚きを隠せず尋ねると。

「知らない人……、しかも女の人……。主様、僕一旦逃げて良いですか……」

割と運動には自身が在り、この場から逃げ出すことは可能だった。これも日々仮面ライダーに成るために鍛錬してきたからだ。

「大丈夫だよ、みんな良い人だから。ね、ほらそう怖がらない」

主様、体を向き直して、優しく頭を撫でてくれた。

「あこがちゃんと説明するから、安心して」

やっぱり僕は、この主様に付いていって正解だと、心のそこから思えた気がした。

「うん……、主様を信じる……」

「それでこそ、我が眷属よ」

怖いながらも、主様が側に居るので何とか冷静を保とうとする。

「あ、あのみんな……」

主様が、先程入ってきた人達に向かって声を掛ける。

 

「何かしらあこ……」

透き通る声の人は、まずこちらを確認し固まり。

 

「ちょっとどうしたのって……、え〜と〜……」

こちらと床に敷かれた紙の上に描かれた魔法陣を見て、固まりはしなかったが、口をパクパクさせ。

 

「宇田川さん、急に改まって……」

こちらを確認して、多分誰よりも早く『不審人物』といった目で、睨まれました。

 さすがに睨まれたのは、僕の極細ポッキー以下のメンタルが簡単に折れました。

 そして、三人はとても息が合うようで、

「その男の人は誰なのかしら?」

 

「その人、一体何者?それに、この魔法陣は……」

 

「その不信人物は、一体誰何ですか?」

ほぼ同じ様な事を言われた、不審人物は流石に心外だったけど……。

「主様……、僕不審人物って言われた……」

辛すぎて、その場に体育座りで座り込む。

「あ、紗夜さん。流石にそれは言いすぎですよ」

主様フォローに入って、

「確かにあこの後ろに皆の知らない人が居ますけど、せめて口に出さないであげて下さい」

フォローじゃなかった、ど正論だった。

「あ、あこ。その人だけど、多分今ので更にダメージ受けてると思うよ」

「リサ姉〜、そんなわけないよ。だって和覇は強いから……って、和覇」

振り返ると、体育座りをしながら小さく蹲っていた。

「不審人物……、不審人物って……。主様はほぼ肯定するし……」

小さく何かを呟きながら、燃え尽きた灰の様になっていた。

「あ、ごめん。和覇、悪気が合ったわけじゃないから」

聞こえているか、分からないけど話しかけてみる。

「うぅ……、大丈夫……。正論だから……、大丈夫……」

返事はするも、契約の前くらいに元気が無くなっていた。

 そんな和覇を見ながら、

「それであこ、燐子……。この事にゆっくりと話を聞かせて貰おうじゃない」

友希那さんの全身から『練習場所で何をしてるのかしら』と言ってくるような、オーラが滲み出ていた。

「宇田川さん、白金さん……、あなた達にはゆっくりと説明を聞かせて貰う必要があるみたいね」

紗夜さんの全身からも『あなた達は……、全くこう問題を……』と言ってくるような、オーラが溢れ出ていた。

「りんりん、どうしよう……」

「あ、ああ、あこちゃん……」

りんりんと二人で友希那さんと紗夜さんに、たっぷりと説教されると覚悟して震え上がっていた。

 

 一方でリサ姉は、

「あの〜、和覇君かな?クッキー有るけど食べる?」

蹲る和覇に話しかけていた。

「あ、あ……。はい……」

「そんな緊張しなくていいから、別に何かするわけじゃないから」

優しげな笑顔を見せながら、クッキーを一枚手渡してくれた。

「あ、ありがとうございます……」

クッキーを受け取ったが、今の自分の立場上、主様より先に食べて良いものかと悩んだが

「それであこ、燐子……。この事にゆっくりと話を聞かせて貰おうじゃない」

「宇田川さん、白金さん……、あなた達にはゆっくりと説明を聞かせて貰う必要があるみたいね」

と何だか、危ない空気が漂っていたので、

「頂きます……」

先に食べさせて貰いました。美味しいな、このクッキー。




書いている自分自身が、あまり契約とか眷属とかがわからないままで…
でも、あこ・主様との契約や眷属ならこんな感じかなと思いました。
今回はRoseliaの皆さんが、揃いに揃いまして……
確かに不審人物認定されますよね……。
今回もご閲覧ありがとうございました。
感想などお待ちしております。


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餌付け?されちゃいました…。

リサ姉にクッキーは美味しさ無限大!


 主様は只今絶賛お説教をされて、すごい大変そうです。

 僕がどうにか出来たら良いのですが、主様にお説教をしている人達が怖すぎて無理でした。一度は助け舟を出そうと思ったのですが……、何か鬼の形相と、般若の形相だったので……。

 それに何故か今ギャルぽい人がクッキーをくれて、絶賛試食中。多分だけれど、女の子から貰ったことも要因なのか、今まで食べてクッキーの中で一番おいしい。

「あ、あの、美味しいです……」

素直な感想を伝えると、

「良かった〜、まだあるけど食べる?」

嬉しそうにしながら、さらにクッキーを食べるか聞いてきた。

「そんな良いんですか……?だって僕、明らかなに部外者なのに……」

部外者どころか、そもそもこの世界の住人ですら無いのだから。

「だってあこの知り合いなんでしょ?いや、眷属?何でしょ?なら、部外者じゃないよ」

このギャルぽい人、見た目と違ってすごく優しい。それでも僕は部外者なのでは、そんな風に頭の中で考えていると、

「もし今ので納得出来ないならさ、和覇君に自己紹介をして欲しいな〜。そしたら、和覇君は私に君の事を教えてくれたお礼としてこれあげるから」

クッキーの入った袋を目の間に差し出してきた。このクッキーを……、いやクッキーに釣られるわけには……。

「……、分かりました。教えたらそのクッキー、貰って良いんですよね……」

「うん、良いよ」

「なら……、簡単に話させてもらいます……」

クッキーの誘惑に負けたわけではなくて、後で主様と一緒に食べるために貰ったまでの事。こんな美味しいものを主様を差し置いて食べるのが心苦しかったのだ。

「それじゃあ……」

ギャルぽい良い人は、主様達の方をチラッと確認して、

「向こうは暫く掛かりそうだから」

そう言って、僕の隣に座った。

「それじゃあ、和覇君。自己紹介お願いします」

まるで芸能人の登場場面みたいなふりで、自己紹介をお願いされてしまった。

「えっと……、名前は黒崎和覇(くろさきかずは)と言います。歳は17です……」

「和覇君、苗字黒崎って言うんだ。そうそう、私は今井リサよろしく」

「よろしくお願いします……今井さん……」

「良いよ、名前で呼んで。みんなそうしてるから」

「でも……」

「良いの、私だって和覇君って呼んでいるんだから」

「……リサさん」

出会って早々に名前呼びを強制されるなんて……、緊張して中々言えなかった。

「はい、よく出来ました」

何故か名前で呼んだことが、まるで赤ちゃんが喋った時みたいな褒め方なのが少しだけ違和感だった。

「待って、和覇君って今17歳なんだよね」

「そうですけど……」

「それじゃあ、私の一個下であこの一個上だね」

リサさんが僕の一個上で、主様が一個下……。なら、尚の事、

「やっぱり……先輩呼びの方が良いのでは……」

「あ、確かに。『さん』より『先輩』の方が良いね」

あっさりと僕の提案は採用された。

「分かりました、リサ先輩……」

改めて言い直すと、

「うん、こっちの方が何かいい感じがする」

とご満悦のようすでした。

「それじゃ次の質問ね、和覇君の好きなものって何かあるの?」

「えっと……、仮面ライダー……です」

「仮面ライダー?」

「あれ、この世界には無いんですか?仮面ライダー?あの例えば、『勝利の法則は決まった!』とか、『ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!』とか、『俺、参上!』とかの台詞聞いたことありませんか?」

勢い余って好きな仮面ライダーの決め台詞を連続して言ってしまった。

「う〜んと…、ごめんね。今言ってくれた台詞は聞いたこと無いな……」

「そうですか……」

どうやらこの世界では、仮面ライダーは無いのかもしれない。そうだったら、悲しすぎる。希望が消えた……。

「そ、そんな落ち込まないで。私が知らないだけで、きっと誰か他の人が知ってるかもだからさ」

「そうですよね……、この世界で……誰か一人くらいは……」

「そうだよ、だから元気出して」

ぽんぽんと背中を軽く叩かれた。

「その仮面ライダー以外に何か好きなものって無いの?例えば音楽とか?」

リサさんは変わらず話をふってくれた、

「音楽だったらアニソンとかで…割とカッコいいのを聞いたりとか…、ボカロとかだと…ギターがカッコいいのとかを重視して聞いてます…」

「へぇ〜、そうなんだ。じゃあ、ギター好きなの?」

「好きは好きです…ライブとかでのギターソロとかは見てて凄いと思いますし…」

「そっかそっか、カッコいいもんね。あの色んな音色を一本のギターから奏でてるって考えたら凄いもんね」

「そうなんですよ、まるで魔法ですよ。あの一つ一つ音に、魂って言うのか、何かが宿っているっていうか…」

また勢い余って熱く語りだそうとすると、リサ先輩が口元をニヤニヤさせて笑っていた。

「何ですか…?何か変な事言いましたか…?」

あまりにも楽しそうに笑っているので、思わず尋ねてしまった。

「いや、さっき何か私達が部屋に入ってきた瞬間に、あこの後ろに隠れるからとんだ人見知りかなって思っていたけど」

「まぁ…、だいぶと人見知りです…」

「でも、こうして好きなものについては一所懸命に語るから、ギャップが面白くて」

あははは、とリサ先輩は嬉しそうと云うか楽しそうに笑った。

「はぁ〜、和覇君は絶対女の子に弱そう。もう見ててもそうだけど、話してると余計に弱そうに思えてきた」

そう言って、指で脇腹を突きながらなおも笑っていた。

「ひゃっ…、ちょっ…リサ先輩やめて下さいよ…」

不意を突かれて突っついて来るので、思わず変な声を上げてしまう。

「何でよ〜、良いじゃん。後でクッキーあげるから、お姉さんに遊ばれなさいよ〜」

「ちょっ…、だからやめてくだ…、うぎゃ…」

人の反応が面白かったのか、リサ先輩は中々やめてくれなかった。

 そして、突然後ろから背中に何かが覆いかぶさるような感覚がして、前に倒れそうになった。

「リサ姉、駄目だよ。和覇はあこの眷属なんだから、あんまりいじめないでよね」

後ろから覆いかぶさったものの正体は、主様だった。

「あれ〜?あこ、もしかして私が和覇君と遊んでだたのが羨ましかったの?」

「そ、そんな事無いもん…、ただ単に和覇が……」

「和覇が〜?」

リサさん、主様の事すごいおちょっくてる。ていうか、主様…そろそろ体勢がキツイ……。

「あ、主様……。あの……、これ以上背骨曲がらないから……」

体を前のめりに倒しすぎて、おでこが床にくっつきそうなのですが。

「え?あ、ごめん。和覇、大丈夫だった?」

ようやく気づいてくれたようで、主様は背中から動いてくれた。

「大丈夫……、ちょっとお腹にドライバーがめり込んだだから……」

召喚されてからも、装着したままにしていたのがここでくるだなんて……。少しだけ、お腹が凹んだ気がするのと、食べたクッキー舞い戻りそうになったのは気のせいにしておこう。

「いや、めり込んだら大変じゃん」

リサ先輩が良い感じに突っ込みを入れてきてくれた。リサ先輩ナイスです、って痛い、痛い。

「主様、痛いって、急に耳抓らないで」

「だって今和覇から、良からぬ気が出てたんだもん。だからこれは粛清」

何で粛清?それに良からぬ気って何?と考える暇も無く、未だに抓ってくる。

「何で僕が良からぬ気を発するんですか……、僕は主様の眷属ですよ。ほら、主様と一緒に食べるようにクッキー残して置きましたし」

貰ったクッキーを見せると、一瞬照れたようにも見えたが……。

「何で、あこが怒られてるときにクッキー貰ってるの〜」

と逆に怒られて、今度はヘッドロックをされて首を締められた。

「ちょ……、ギブ、ギブです……。主様……、マジでキツぃ……」

締め方が良かったのか、主様への安心感なのか、いつの間にかぽっくりと魂が抜けていった。

「あ、あこ、ヤバイって!」

リサ姉が慌てたふためきながら、あこを止めてきた。でも、これは眷属である和覇がうつつを抜かしていたのが悪いのだ。だからこれは正当な罰なのだ。

「あ、これ完全に気絶してる……」

リサ姉からの衝撃の一言。

「え!嘘でしょ!あこ、そんなに強く締めてないのに」

まさかこんな簡単に気絶するだなんて、和覇弱すぎ……。

 和覇が暫く目が覚めるまで、時間がありそうなので近くにあったペンで落書きをすることにした。

 ちなみに書いた文字は額に、『あこの眷属』と大きく見やすく。




実際にリサ姉のクッキー食べてみたい……。
それにしても、仮面ライダーに成るために鍛錬してるって言っていたのに…、
主様のヘッドロックで、一発KO。まさかの気絶という……。
やっぱり主様は最強。
今回もご閲覧ありがとうございました。
感想などお待ちしております。


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驚かれちゃった!

今回はだいぶとノリで書いていました…


「痛てて…。は、エボルトは!」

和覇は目を覚ますと、開口一番によく分からない事を言った。

「やっと起きた〜、もう起きないかと思ったよ」

笑いながら、頬突く。

「え?あれ、エボルトは?主様、エボルトは?」

まだ少し夢うつつなのか、変わらず不思議なことを言う。何だか長引きそうなだったから、

「えい!」

おでこにデコピンをする。パチンと音がなり、意外と効いたのかようやく、

「主様、痛い……」

ちゃんと目が覚めたのだった。

「何で僕、寝てたんですか?」

「え、え〜と…。まぁ、そんな事よりあこのバンドのメンバーの紹介をするね」

「……?何かしました?」

ジト目で見てくる和覇の視線が苦しいが、必死に誤魔化す。

「してない、してない。本当にしてないよ。て、主を疑うってどうなの」

思わず、またヘッドロックで首を締める。

「苦しい……、ちょ、ごめんなさい……」

まったく、主様であるあこを疑うなんて。でも、ちゃんと謝ったから許してあげよう。力を緩めて、離してあげた。

「はぁ……、げほっ……。それで…、何でしたっけ?」

少しばかりむせ返るも、まだ話せるので主様に尋ねる。

「あ、そうだった。あこが所属しているバンドのメンバーの紹介だよ!」

拗ねた顔で言う主様…、そんな顔見て元気が出てきた。

 

「ごほん、それじゃあRoseliaボーカル担当の湊友希那さん」

 

「よろしく……」

先程主様を怒っていた人の一人だ、銀色に輝く長い髪をしていて、ちょっと無愛想だけどカッコいいと思える人だった。

「友希那さんは、とっても歌が上手ですっごくカッコいいんだよ!」

あ、照れてる。主様の褒め言葉を聞いて、顔真っ赤にして照れてる。

 

「そしてこちら、友希那さんの幼馴染でありRoseliaベース担当の」

 

「今井リサだよ〜、まぁさっき少し話したもんね」

 

 リサさん、ベース弾いてるんだ。ならさっきの話で、ベースの話をしておけば良かった……。

「ちょ、どうしたの」

「いえ、さっきはすみませんでした…。ベースとは知らず、ギターの話をしてしまって」

「大丈夫だよ、てかそんな事で謝らなくて良いから」

本当に優しいな、リサさん。

「リサ姉のクッキーは、Roseliaの定番のお菓子なんだよ」

でしょうね、あんな美味しいクッキーは他に無いもん。

 

「続いては、Roseliaのギター担当の氷川紗夜さん」

 

「よろしくお願いします」

湊さんと一緒に怒っていた人だ……、それはそうと……。

「主様、僕何かしました?氷川さんがめっちゃ怖い顔で見てくるんですけど?」

主様に耳打ちで話しかけると、キッ!と睨んでくるような気がした。

「そんな事無いよ、ただいきなり現れたから緊張してるだけだよ」

「そうかな……?」

「そうだよ」

主様の満面の笑顔、天使すら超える魔王の微笑みが心に染みる……。

「分かりました……」

信じるしか在りませんでした。

 

「そして、あこの大親友であるRoseliaのキーボード担当の『りんりん』こと白金燐子」

 

「そんな、あこちゃん……。大親友だなんて……」

 

「え〜だって、りんりんはあこのとっても大切な友達なんだよ」

 

「あこちゃん……」

主様と白金さんの中には特別深い関係があるらしい、見ていて一目瞭然だった。それにしても、白金さん主様に抱きつかれて今に倒れそうなんだけど。

 

「あ、よろしく…お願いします……」

慌てて思い出したように、挨拶をしてきた。

 

「最後に、Roselia最強の闇のドラマー、宇田川あこだよ」

バーン!、自分で効果音を付けてドラムスティック手に持ち掲げていた。

「おー、主様。ドラム叩くんですね」

関心して手を叩く。

「そうだよ、あこのドラムは世界で二番目にカッコいいんだよ」

「二番目?じゃあ一番目は?」

 

「私のお姉ちゃんだよ!」

主様、お姉ちゃんが居るんだ……。何かこう、主様に似てるかトコトン違うかの二択っぽそう。

 

「はい、それじゃあ。和覇も自己紹介いってみよう!」

 

「え、いきなりですか……。黒崎和覇です、趣味は特撮ヒーローを見たりすることです。あ、あと好きな特撮ヒーローの変身は全部できます。それと、イラストと料理が多少出来ます」

突然の主様の無茶振りに対応し、乗り切った。

 

「へ〜、料理できるんだ。じゃあ今度何か作ってよ、折角だからさ」

リサさんが楽しそうに言ってくる。

「機会があれば、作らせて貰います」

「じゃあその時は、あこも食べる」

主様も、リサさんに負けんじと食いついてきた。

 

 すると、以外にもこの人が質問してきた。

 

「貴方、イラストって何を描いているのかしら?」

湊さんだっけ?が、僕の描くイラストに興味を持ってきた。

 

「え、え〜と。主にヒーローとか、アイテムとか、怪人とか」

「それはどんな物なのかしら?」

「あれ、友希那?ヒーロー物とか好きだっけ?」

「違うけれど、気になっただけよ」

リサさんが不思議そうに友希那さんを見ている間に、自分の携帯を探す。偶然にも、ズボンのポケットに入っていたらしく。

「あ、こんなの描いてます」

携帯から写真のファイルを見せると、

「これかしら?」

「え、どれどれ?」

「湊さんが、興味を示すだなんて。珍しい……」

氷川さんが、そう呟きながら見てくる。

「あこも見る」

「あ、私もみたいです」

結局、Roselia全員が僕の携帯に向かってくるので、主様に携帯を預けみんなで見てもらうことにした。

 

「これは……、すごいは……」

預けてすぐに、イラストを見て驚いた声が聞こえてきた。

 

「え、凄いんだけど!」

 

「これが、本当にあの人が」

 

「これ、あこの好みなんだけど」

 

「カッコいい……」

次々と簡単の声が聞こえて来て、少しだけ優越感に浸る。

 

「ねぇ、貴方?本当にこれを描いたの?」

湊さんが、一枚のイラストの写真を出しながら携帯を見せてきた。

「あ、それですか。それは『仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム』と言って、キバの最終形態でして」

「そうじゃなくて、これを貴方が描いたか聞いているの」

少し調子にのって、説明しようと思ったら怒られた。

「僕が描きましたけど…」

 

「そうなの……」

答え得ると今度は、静かに主様達の方へ戻ってしまった。

 

「和覇、これも和覇の作品?」

「それは、『仮面ライダーNEW電王・ストライクフォームですね』『仮面ライダー電王』に変身する野上良太郎の孫である、野上幸太郎が」

「そうなんだ……」

リサさんも、イラストの写真を見せるだけ見せて帰ってしまった。

 

「黒崎さん、この絵もそうなんですか?」

今度は氷川さんまで見せに来た、

「え〜と、って!『仮面ライダー3号』じゃないですか!劇場版に一度だけ出てきて、歴史に葬られた伝説の戦士と言われたあの……。氷川さん、あなた」

「そうなんですか……」

説明を終える前にまたも、戻ってしまった。

 

「和覇〜、和覇!これは、これも和覇が描いたの?」

三度有るってことは、まだ続くかな?

「主様は、どれを持ってきたのかな?」

写真をみると、

「『仮面ライダーオーズ/OOO・プトティラコンボ』ですね、これは『仮面ライダーオーズ/OOO』自信が体内に宿したメダルで、他のどのコアメダルよりも強力で魔王的な力を発揮するんですよ!」

 

「そうなの!じゃあ、あこが選んだのは強いんだ…」

嬉しそうに笑いながら、戻ってしまった。でも、初めてちゃんと説明聞いてくれた……。

 

「あ、あの……。この絵もそうなんですか……」

来るとは思っていたけれど、白金さんも携帯を持ってやって来た。

「どれですか?」

 

「コレなんですけど……?」

白金さんから携帯に写し出された、イラストを見てみた……。

 

「あの…黒崎さん…?」

 

「白金さん…、何でこのイラストを…?」

 

「あ、いえ、その…。その絵だけ、唯一色がついて無くて…。それに他のどの絵とも違うなって……」

恥ずかしそうに、俯きながら言葉を紡ぐ白金さん。

 でもまさか、仮面ライダーを知らない人なのに…何で……。

 

「このイラストの仮面ライダーは、僕のオリジナルです……」

小さな声で、白金さんだけに聞こえる様に言う。

 

「そうなんですか…」

驚いたようで、顔を上げて見つめてきた。

 

「これは…、その…、沢山の仮面ライダーを見ている内に…自分でも作りたくて…」

恥ずかしくて、白金さんの方を見れない…。

 

「そうなんですか…、それで名前って…あるんですか…」

 

「名前ですか……。『仮面ライダーヴェルト』とって言って、ドイツ語で世界を表すんです」

 

「世界……」

 

「まぁ、本当に自己満足の産物ですよ……」

恥ずかしい……、自分専用で作っていたから……。本当は今にも顔から、火が吹き出しそうなのだ……。

 

「でも、私はこれが…。カッコいいと思います……」

僕の耳に聞こえるか、聞こえないかの声でそう言って、同じ様に戻っていってしまった。

 

 それからまた順番に絵について聞かれ、最終的には、

「和覇、今ここで、私達の前で変身をやって見せて頂戴」

と言われるまでになった。




Roseliaの皆さんとちゃんと、主人公が交わるという。
これから皆さんと仲良く出来たら良いですね…。
それから、黒崎君にイラストの才能と言う新たな一面と、
りんりんがまさかのオリジナルライダーを見破るという。
やっぱり魔王様と居る時間が長いと判るのかな?
今回も閲覧いただきありがとうございます。
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出来ちゃった!

 湊さんの要望に答え、仮面ライダーの歴史を作った『仮面ライダー旧1号』から『仮面ライダージオウ』まで連続で変身をしてみせた。

「何だか良く分からないけど、キレが凄いわ……」

やってくれと当の本人は『良く分からない』と言いながら、褒めてくれていたらしい。リサさん訳で。

 あと、湊さんと同じ様に氷川さんも、『気合が…、怖いくらいに伝わって凄いわ……』と言って若干引かれた。リサさんと主様と白金さんは、割と楽しいで居たようで最初は『不思議』と言いたそうな顔だったが、次第『お〜!』と言いたげな顔してくれていた。主様が見ながら練習していたのが見えて、少々泣きそうになりました。

 それと一つ分かったのが、『和覇さ、折角ベルトがあるなら使ってやって見せてよ』とリサさんの希望でビルドシリーズだけは全てのライダーとアイテムの揃っていた怪人もやってみたのだが……、これがまさか……。

 部屋でやっていたように、ビルドドライバーを腰に装着してボトルを選ぶ。

 ビルドはベストマッチが多いので、『ラビットタンク』、『ジーニアス』、『クローズビルド』の3つに絞り込み、クローズは、『クローズ』、『クローズチャージ』、『クローズマグマ』のテレビ版の順番で変身してみせた。 

 クローズはドラゴンだったので、主様が『あこも、やってみたい!』と言っていたので、後ほどやることになった。

 そして、グリスとローグが残っていたので、グリスから変身することにしたのだが……。

「主様、いきますよ!」

スクラッシュドライバーを腰に当てる。すると、いきなりベルトが勝手に体に巻き付いた。

「こんな機能は無かったのに……」

不思議に思いながらも、今自分が置かれている状況も十分に不思議だと思ったので考えずに、スクラッシュゼリーを差し込んだ。

 

『ロボットゼリー!』

 

「変身!」

ベルトのレバーを押し下げ、スクラッシュゼリーの中身を出し尽くす。

 

『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』

ベルトから変身完成までの音声が流れる、すると急に視界が暗くなってきた。

 

「主様〜、電気消しましたか〜?」

今度は声まで籠もってきた……、あれ?これって……。

 

『ロボットイングリス! ブラァ!』

変身が完成した事を告げる音声が流れると、

 

「あ、明かりが着いた。もう、主様〜。いきなり電気消したら危ないじゃ」

視界がようやく明るくなり、元通りに見えるようになったのだが。

 

「か、和覇…、え、和覇…何だよね…」

僕の方を見て口を金魚のようにパクパクさせて、何かを言おうと試みているようだった。

 

「そうですよ、主様が召喚した眷属ですよ。全く、酷いじゃないですか。ねぇ、リサさん」

リサさんの方に視線を向ける、倒れている白金さんを介抱していた。

 

「燐子!ちょ、しっかり!燐子!」

 

「ど、どうしたんですか」

 

「何かいきなり、倒れちゃって…」

 

あれ?リサさんまで急に黙ってしまっ…。

 

「キャァァァァ!何、え、何なの!待って、え、どいうこと!?」

まるでホラー映画で、ありえない怪物に出会ったみたいな叫び声を上げられた。

 

「急に叫ばないで下さいよ、流石に傷つきますよ……」

これは心が痛みます……。

 

「その声…、和覇…」

震える声で、怯えながら名前を呼ばれる。

 

「いや、この場に他に和覇が居ますか?」

思わず皮肉混じりに答えると、

 

「貴方…、自分が今どんな姿なのか判っていないの?」

氷川さんが、震えながら近づいてきた。

 

「自分の姿って、別に普通にパーカにジーパンで黒の新品のブーツですけど?」

 

「紗夜、彼には口で言うよりこうした方が早いわ」

湊さんが、リサさんの手を握りしめながらやって来てスマホを目の前に突き出してきた。

 

 そこには、

「グリスの写真じゃないですか?あれでも、何でこの写真……僕と同じ動きをしてるの……?」

右手を挙げれば、右手が挙がり。左手を挙げれば、左手が挙がる、全く動きと連動している写真が映し出されていた。

 

「湊さん……、これ何かの冗談ですよね…」

あまりの出来事に頭が事実を認めようとしていなかった、というより理解したくなかった。

 

「違うわ、これは」

湊さんが今一番聞きたくない答えを答えてしまった。

 

「あなた自身よ、貴方がそのドライバーで変身した姿よ」

 

「……。アハハハ……、そんな……。嘘だ〜〜〜!」

リサさんの叫びと並ぶくらいの、悲鳴が部屋中に響いた。

 

「お、落ち着いて下さい。まずは、そのベルトを外して……」

氷川さんが、慌てふためきながらベルトを外そうとしてきたが、

 

「何で、ビルドやクローズには変身できないんだ!」

 

「「「「「え!そっちに驚く!」」」」」

満場一致の全否定が聞こえてきた。白金さん、目が覚めたんだ。

 

「グリスも好きだよ、かずみんのことは尊敬してるよ……。でも、何故に主人公は出来ないのに……、言い方悪いけど…ドルオタさんのライダーには何で成れたのよ!」

膝から崩れ落ち、思わず本音が溢れ出る!グリスだけに……、『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』だけに……。

 

「もしグリスに成れたってことは……、まさか……」

嘘だと、どうせ無理だろうと思いながら、一本のボトルを手に持つ。

 スクラッシュゼリーを取り出すと、変身が解けたので、

 

「和覇…、和覇〜!」

 

「黒崎さんが……、さっき変身していた……」

 

「う、嘘でしょ……。これって夢だよね……、友希那、ちょっと私の頬抓って」

 

「ちょっと、リサ……。なら、私の頬も抓って頂戴……」

 

「こんな非現実的な事が…、そんなありえない……」

元の姿に戻ったは戻ったで、また唖然とした空気は変わっていなかった。

 

「グリスに変身できたってことは……、これも使えるはず……」

手に持った紫色のボトルのフタを回した。

 

『ピキィッ……デンジャー!』

 

「主様、お願い離れて!」

近づいてくる主様を、強く言ってこちらに来ないようにする。

 

「主様が、もしも怪我なんてしたら……嫌だから……」

そう告げると、ベルトにボトルを差し込む。

 

『クロコダイル!』

 

「変身!」

レバーを押し下げると、再び視界が暗闇に包まれる。

 

『割れる!食われる!砕け散る!クロコダイルインローグ!オーラァ!』

 

「『キャァァァァァ!!』」この悲鳴は……、変身音と実際の悲鳴です……。本日2回目の、リサさんの盛大な悲鳴が響き渡りました。白金さんは、何とか倒れずには済みました。てか、主様の手を握りすぎ。

 

「湊さん、あのまたスマホで確認させてもらっていいですか…。多分……」

 

「えぇ…、やっぱり見ておいたほうが良いわよ……」

 

映し出された画面には、やはり僕が変身した『仮面ライダーローグ』が映っていた。

 

「やっぱりぃぃぃ!NO、主役!YES、サブライダー!なのかよ」

頭を抱えて、項垂れる。

 

「和覇、これが言っていた仮面ライダーなんだね……」

今度はちゃんと僕が自身だと確信があるからか、主様がやって来た。

 

「主様……。さっきは怒鳴ってしまって、ごめんなさい……」

「大丈夫だよ、和覇があこを心配しての行動だったんだから。気にしなくて良いんだよ」

そう言って、頭を撫でてくれた。

「うぅ、主様……」

これは反則だ、と心の中では思っているものの、行動は素直に撫でられていた。今この瞬間に、変身を解除したい。

「それで、これが和覇が言っていた『仮面ライダー』なの?」

撫でてもらう時間は、これにて終わりを迎えてしまった。

「そうですね…。これが『仮面ライダー』です…」

正直な話、何故ビルドとクローズは変身できなくて、グリスやローグは出来たのかは理解できない……。

「すっごく、すっご〜く、カッコいいよ!」

でも、案外これはこれで良いのかもしれない。

「これが、僕が大好きな仮面ライダーです!」

こうやって、主様の最高に素敵な笑顔が見れたのなら。

 でも、もしマッドローグやエボルトも変身できたら……。黒い考えが頭の隅にモヤモヤと生まれる。

「世界が滅びたら嫌だな……」

思わず言葉に出てしまった。

「和覇?どうかしたの?」

心配そうに、主様は見つめくる。

「いえ、何でも無いですよ。それより、クローズの変身やってみます?」

「うん!あこも和覇と同じ『仮面ライダー』に成ってみたい!」

僕と同じ……。

「分かりました。じゃあこれから主様には、僕が全力で教えてあげます」

「全力でかかってくるが良い!」

胸をはって、やる気に満ち溢れた主様。

 黒い考えが、頭の中で最悪の未来をチラつかせてくる。けど……、

「僕が必ず…、この命に変えてでも守りきります……」

そう胸に誓った……。




大好きな者には成れずに、何故か大好きな者を支えてきた者に成るという……。
何でビルドとクローズには成れなかったのだろう……。
でも、あこちゃんがカッコいいって言ってくれたから良いのかな?
本当にあこちゃんが可愛くてたまりません…。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
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感動しちゃった!

Roseliaが大好きです!


 あの後、主様に変身を教えることにはなったのだが、氷川さんが

『って、私達はこうして遊ぶために、ここに来てる訳ではないんですよ』と怒られた。

『……、そうよ。今日はもう残り時間も少ないけど、集中して練習するわよ』

湊さんも、本来の目的を果たさんと気迫に満ち溢れていた。

「主様と皆さんが練習をするなら、僕は外の空気でも吸って……」

部外者が居たら、練習の邪魔でしか無いと思って外に出ようとしたら、

「待ちなさい」

引き止められてしまった。

「貴方、何外に出ようとしているのかしら?」

「え?だって……、練習の邪魔になったり……」

「私達の演奏は、誰かが居たら出来ないということは無いは。それに、初めて私達の演奏を聞いた人の感想を聞いてみたいの」

湊さんが僕を見つめる瞳には、強い意志が燃えているように見えた。主様の方に視線を移すと、ぱぁっと笑顔になっていたので……。

「皆さんが良いのなら……、お言葉に甘えて聞かせて頂きます……」

今に消えてしまいそうな蚊の鳴くような声で頼みました。

「やったー!あこの実力を最大限に発揮して、和覇を深淵の……」

「深淵の魔窟……」

白金さん、主様のフォローが素早い。あれは、僕も見習わないと。

「そう、深淵の魔窟の如き、その凄さを感じるが良い……」

主様、凄い気合入ってるな。

「じゃあ、和覇は私達の曲を聞いた後は、思ったことを言っていいから。逆に、何か気を遣って言わないと友希那が怒るよ〜」

リサさんがからかって来たが、案外本当にありそうなのでちゃんと言おう。

「黒崎さん、そう緊張しなくてもいいですよ」

氷川さんが僕を見て話しかけてきた、

「湊さんは、より良いものを作り上げるために聞きたいのです。だから、貴方のそのままの気持ちを言ってあげて下さい」

「は、はい……」

怖い人かと思っていたけど……、そんな事はなくて優しい人なんだな……。

「それじゃあ、みんないくわよ。『LOUDER』」

曲が始まってから、曲が終わるまで、その全てに圧倒されてた。

 そして湊さんが早速感想を求めきた。

「それで、貴方には私達の音楽はどう聞こえたのかしら」

「……」

答えを言おうと口を動かそうとするが、その前に自然と涙が溢れかえっていた。

「今まで聞いてきた、どの曲よりも一番凄かったです……。何か言葉で表せない自分に悔しさを覚えるくらいに……」

何かが違っていたのだ。今目の前での演奏だったからなのか、そんな物じゃない。

 歌声に乗せられて響き渡る歌詞の一つ一つが、世界を生み出していくような感じがしてくるのだ。鮮明に、アニメを見ているかのように、映像が自然と頭の中で見えてくる。

「歌声に乗せられて響き渡る歌詞の一つ一つが、世界を生み出していくような感じがしてくるのだ。鮮明に、アニメを見ているかのように、映像が自然と頭の中で見えてくる」

「あ、貴方……」

 それから歌を彩る楽器の音色が……。ギターから流れ出る重厚なサウンド、ギターと共鳴して輝くようなベースの音色。

「それから歌を彩る楽器の音色が……。ギターから流れ出る重厚なサウンド、ギターと共鳴して輝くようなベースの音色」

「く、黒崎さん……」

「か、和覇……」

 歌と共に曲を先導していくドラムの力強さ、その全てを優しく包み込むキーボードの音色……。

「歌と共に曲を先導していくドラムの力強さ、その全てを優しく包み込むキーボードの音色……」

「あこの……ドラムが……」

「私のキーボードの……音が……」

 その全てが合わさって、至高の音楽しか言えないでしょ……。こんなに幸せな経験が出来るだなんて……。

「その全てが合わさって、至高の音楽しか言えないでしょ……。こんなに幸せな経験が出来るだなんて……」

「「「「「……」」」」」

「おさげに聞こえるかもしれないですけど……、本当に凄かったです……」

何とか言葉を探し出して、正直な気持ちを述べると、何故かこっちを見てもらえなかった。湊さんも、リサさんも、氷川さんも、白金さんも。そして主様にも。

「あ、あの〜……皆さ」

不安になってきたので、耐えきれずに声をかけると、

 

「「「「「黒崎(和覇)《さん》!」」」」」

 

「はい!何でしょうか!」

凄い勢いで名前を呼ばれたので、同じ様に返事を返した。

「貴方、言葉に出来ないって言っておきながら……」

 

「ちょっと〜、嘘ついたでしょ。あんなに……言われたら……」

 

「黒崎さん、自分言った言葉にもっと責任をですね……。でも……、今回は許しましょう……」

 

「あ、あの……、私のキーボードをそんな風に言ってくれて……、ありがとう……」

 

「あこ達が、みんなで奏でた音楽で、あそこまで言ってくれて……。さ、流石、我が眷属……褒めて遣わそう」

と、それぞれに感謝されたのだが、

 

「僕、もしかしてあの後……心の声漏れてました……?」

思い当たる所が無かったので、一番可能性のありそうなの言うと、

「えぇ……、とてつもなく評価した本音が滲み出ていたわ……」

湊さんは、少し笑いながら答えくれた。

「あははは……、恥ずかしい……」

あまりの恥ずかしさに、そのにしゃがみ込んだ。だって、思っていたことが全部聞かれただなんて……。

「だから、顔を合わせてくれなかったんだ……」

あぁ〜、恥ずかしすぎる……。

 

「へぇ〜、自覚無かったんだ……。あれだけ、人のことを褒め倒してくれてたのに〜」

やばい、何だか良く分からないけど、リサさんから不穏なオーラが。

 

「そうだったんですか……、黒崎さん。貴方は本当に……」

え、待って、氷川さんまで不穏なオーラが出てきてるし。

 

「あの全てが無自覚で……、そんな事無いですよね……」

あ、白金さんが一番ヤバイ……。僕の何かが、一番怖いって叫んでる。後退りながら、主様に助けを求めに近づくと、

 

「か〜ず〜は〜、さっき褒めてくれてのが無自覚で言えるとか。あこ、さっきの言葉にすっごく感動したんだからね」

両方のほっぺたを掴んで、目一杯広げられた。

「いひゃい、あひゅひしゃま、いひゃいひょ」

『痛い、主様、痛いです』

「だ〜め、これは罰だから大人しく受けるが良い」

更に頬を引っ張る力が強くなる。

「ひょ、ほんひょうにいひゃいでしゅ。ごめんなひゃでひゅ、ありゅじひゃま」

『ちょ、本当に痛いです。ごめんなさいです、主様』

結局、主様の許しが出る頃には頬が引っ張ったせいで真っ赤になっていた。それを見て、リサさん達から滲み出ていたオーラも自然と消えていった。

 

「それじゃあ、今日の練習はここまでにしましょうか」

湊さんの号令で、練習が終わり皆さんが片付けをして撤収の準備を初めた。僕も、出していた全てのアイテムをケースに収納していたりすると、一つ大事な事を思い出した。

「あ、主様」

「何?和覇?」

「これから主様たちは、もう帰るんですよね?」

「そうだよ〜。今日もいっぱい頑張ったから、帰って昨日買っておいたお菓子でも食べようかな〜」

「僕って、その……、帰る場所が無いんですけど……」

一瞬、片付けをしていた皆さんの動きも止まったような気がした。

「召喚されたは良いんですけど……、この先って……」

「そう言えば……、って、そうだよ!どうしよう、和覇を召喚したは良いけど、その後の事を考えてなかった!」

慌てて、僕を召喚するに使ったであろう分厚い本を慌てて取り出して、方法を探していたが、

「りんりん、これかな……?」

「え〜と…、それは……無限増殖だ思う……」

白金さんが協力してくれている、けど無限増殖って何?

「じゃあ、これは……」

「それは……、悪魔の軍勢を呼ぶものって書いてあるよ……」

「お〜、今度やってみようかな……」

主様、それ多分やったら街が『良き終末を』状態だよ。僕の力で対応できるか理解らないし。

「あこちゃん……」

白金さんが、しっかりと止めてくれました。

「そうだった、え〜と、え〜と」

それから白金さんと探し始めること、数十分……。

「ど、どうしよう……。見つからない……」

なんとなく、予想はしていたけど……。

「和覇を帰す方法が、分からない……」

絶望ラ〜イズ!マジカ!マジカ!マジカ〜ショ〜タイム!脳内が考えを放棄した瞬間であった。




今回は盛大にRoselia祭り!
やっぱりRoseliaが大好きなのです!本当に感度で泣けます。
それはそうと、和覇は帰ることが出来ずにどうなるのか、
次回から『ソイヤ姉さん』が登場します。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
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喧嘩しちゃった…、仲直りしちゃった!

絶望から希望に向かいます……
ちゃんと魔王シリーズですから、安心して下さい。


「和覇を返す方法が、分からない……」

主様から衝撃の一言を受けて、もはや絶望を通り越してなぜか笑いが溢れてきた。

 

「あ、あははは、アハハハ!あ〜……、笑えないよ……」

しかし笑うのも数秒しか続かず、その場に膝から愕然と力が抜けて崩れ落ちる。

 

「確かに帰った所で、また辛い日々の始まりだし……。あ、でもジオウの次の仮面ライダーは気になる……」

どんな状況でも仮面ライダーへの愛は忘れません。仮面ライダー……、仮面ライダー……。

「そうだ!……、もしあれが使えるなら……」

収納したケースから黒いパンドラパネルと白いパンドラパネル、十本のロストフルボトルを取り出しパネルに装着し始めた。

 

「あ、あの……、和覇……、聞いて……」

主様が声を掛けてきているが、今はそれに答えている暇はない。

 

「出来た……、開け……開け……」

どうやったら開いたんだっけ……、あれは確か……。

「やるしか無いなら、これで……」

グリスのノースブリザードフルボトルを握りしめ、ビルドドライバーを腰に当てる。すると、グリスだからなのか腰に自動的に巻き付きついてきた。

「心火を燃やして……、乗り越える……」

ボトルの蓋を開け、グリスブリザードナックルに装填する。

 

『ボトルキーン』

そしてそのまま、グリップを持ち上げベルトに差し込む。

 

「和覇、お願いだから聞いてよ……」

必死に叫んで呼ぶ声が聞こえてくる、けどこの変身は賭けのようなもの。だから、ここで止めるわけには……。

 

 レバーを掴み、前に倒して回していく。辺りが徐々に冷えていくのが、肌にしみる冷たさが教えてくれた。

「主様……、ごめんなさい……」

 

「和覇、何をするの……」

 

『激闘心火! グリスブリザード!ガキガキガキガキ!ガキーン!』

仮面ライダーグリスブリザード……、これが最後の変身になるのかな……。

 ボトルを装着した二色のパンドラパネルが光り輝いたのを確認して宙に投げる。ベルトのレバーを掴んで、最大限に回す。

 

『Ready GO! グレイシャルフィニッシュ バキバキバキバキバキーン!』

左手の巨大なロボットアームで強力なパンチを喰らわす。そこにもう一度レバーを回し、

 

『Ready GO! グレイシャルフィニッシュ バキバキバキバキバキーン!』

今度はブリザードナックルを右手に持って、全身全霊を込めてパンチを喰らわす。

 

「開けっ!開けっ!開けっ!」

 

 二回分の必殺技、しかもグリスの最強フォームの必殺技を打てばワープホールを開ける力には……。

 

「開かないだと……」

足りなかった……、あれだけの連続を必殺を喰らわしてもワープホールは一ミリも開く気配は無かった。一瞬光り輝いて、帰れると思ったのに……。

 

「ぐはぁ!あ、あぁぁぁ……、うわぁぁぁ……」

体中を激痛が走り、立つことすらままならなくなってしまい、変身は解除されその場に倒れた。転げた落ちたブリザードナックルを手に取ろうとして意識が事切れた。

 

 再び目覚めた時には、全身にうまく力が入らなかったが何とか起き上がる事は出来た。

「あ、あこ!起きたよ!」

リサさん、氷川さんや白金さんまで……、何でそんな悲しそうな顔を。

「和覇……」

名前を呼ぶ声がして体を向けると、ポロポロと大粒の涙を溢している主様が見つめていた。

 

「あ、主様……、その」

 

「馬鹿!和覇の馬鹿!何で、あんな危ないこと……」

言葉を紡ぐ前に、盛大に怒られた。真正面から、その小さな体を震わせながら、力の限り怒っていたのだ。

 

「何であの時待ってくれなかったの……、何であの時、あこの言葉を聞いてくれなかったの……」

 

「それは……」

 

「あこのこと、信用してないの!あこが、あの時帰り方が分からないって言ったからなの?」

涙を溢しながら、先程の事を言ってくる。

 

「……、そうですよ。そうですよ!あの時、主様は僕の返し方が分からないって言ったから……」

 

「言ったから?言ったから、信用できないと思ったの?」

この言葉が心の中の何かを、砕け散らすような気がした。

 

「そうでしょ!普通に考えて、いきなり召喚されて最初は考えを放棄してたけど、

『きっと変える方法も知っているはず』ってどこかで期待してたから、こうして楽しんでいたけど……。いざとなったらこれでしょ!」

頭に血が上り、反論して怒鳴ってしまう。

 

「それは和覇が勝手に帰れると期待してただけでしょ。それに楽しんでいたんじゃん!」

それに対して、主様が呆れたのか同じ様に怒鳴ってきた。

 

「あぁ、認めますよ。楽しんでました、でも帰れなきゃ意味ないでしょ!だから自分の力で、どうせ成功するか分からないから、最後の手段をつかったんですよ」

 

「それが、さっきのだって言うの……。あれじゃ、和覇が死んじゃうじゃん!」

一番大きな声で、肩で息をするほど大きな声でそう叫んできた。

 

「僕はもうとっくに死んでるようなもんですよ!だから、今更死のうと関係ないです!」

この言葉を言い放った瞬間、パンッt!と音がして頬に鋭い痛みが走った。

 

「貴方、いい加減にしなさい!」

頬を叩いたのは、湊さんだった。

 

「貴方の不安の気持ちも分かるけど……あこの気持ちも少しは考えてあげなさい」

こちらを睨みなが言う湊さん。

 

「あこは貴方が目を覚ますまで、ずっとあの本で調べていたのよ。貴方を召喚した主としての責任を果すために」

 

「……」

事実を何も言い出すことが出来なかった。

 

「それを知らずに、あこに対しての怒りを向けるのは筋違いも甚だしいは」

 

「だとしても……、僕は……帰らなくちゃいけないんだ……」

怒りで押し込んでいた感情が、溢れ出すように流れ出してきた。

 

「僕の……母さんや……、友達が居る……あの場所へ……」

残された人の悲しみを知っているからこそ……、二度とあんな悲しい顔させないために……。

 

「だから……、例え心火が燃え尽きようとも……帰らなくちゃ……」

ベルトが置いてるテーブルに手を伸ばそうとするが、寝ていた所から落ちてしまう。

 

「もう一度……。それで駄目なら、さらにもう一度……」

這いつくばって、ベルトの元へと近づいていく。が、体を再び激痛が走り抜ける。

 

「この状態で、もしさっきの様になれば……本当に貴方は死んでしまうかもしれないのよ」

 

「それは覚悟の上……、じゃなきゃ……使用者が死んでしまったアイテムなんて使わな……」

全身を走る激痛に耐えきれず、動けなくなってしまった。

 

「貴方が死んだら、貴方を待つ人はどうなるの?」

湊さんの一言で、興奮していた頭が一気に冷たくなった。

 

「たとえ元の世界に戻れたとしても、貴方は既に死んでいるのよ。それを見て、貴方が大事に思う人がどう思うか考えなさい!それと、私達だって……。貴方とこうして繋がりを持って、知り合えたというのに。目の前で自ら死を選ぶような姿を見せつけられて、黙ってみていられるわけ無いでしょ!」

 

「だとしても……、僕は……」

頬を伝う温かな雫が、今自分自身も泣いていることを教えてくれた。

 

「ねぇ……、和覇……」

主様がゆっくりとこちらに近づいてきた。

 

「あこが身勝手な理由で召喚してごめんなさい、それにさっきも酷いこと沢山言っちゃって……」

主様は悔いていたのだ、自らが成した行為について。それで僕に謝ってきたのだ……。

「僕も酷いこと沢山言ったり、心配掛けてごめんなさい……」

冷静になって考えて見れば、僕も散々酷いことをしてしまった。

「和覇が帰りたいのは分かった……、だから主としてちゃんと安全な方法で和覇を元の世界に返すことを約束する」

「でも、方法が分からないんじゃ……」

「一生懸命に探すから、あこが一生懸命に探すから……。もうあんな事しないで……」

この時の悲しそうな顔が、僕の古い記憶を呼び覚ましてきた。そうだ、この顔をさせないために……。なのに、僕はさせてしまった……。悔しくて、自分が情けなくて、唇から血が出るほど噛みしめる。

「主様にそんな悲しい顔させてしまった眷属に、そんな一生懸命になられたら……。僕はもう……、使えないじゃないですか……」

そっと主様の手を取り、ふらつく体を立ち上がらせる。

「ねぇ、主様。僕がこの世界に居る間は、知り合いも居ない寂しい僕を側に置いてくれますか?」

「待ってくれるの……、あこが方法を見つけるまで……」

僕の言葉に驚いたようで、唖然とする主様。

「だって……、主様が泣いているのに…放って置けないですし……」

照れくさくて、面と向かって言えなかった。

「ブッ!」

後ろで誰かが笑ったようで、振り向くとリサさんが口元を押さえて笑っていた。氷川さんも、若干肩が震えていた。

白金さんは、顔を真っ赤にしていた。

「だから、方法が分かるまで、僕を主様の眷属にしていて下さい」

今自分が思えるように笑えているのか、正直なところ分かっていなかったけれど。

「うん……、分かった……。和覇よ、汝を…我が眷属として…側に居ることを…許そう…」

主様の目元は真っ赤に腫れていた、けどそれでも見せた笑顔は何よりも輝いていた。

「Yes,Your Majesty」

主様の手を取り、改めて契約を結んだのだ。




今回は盛大にあこちゃんとの大喧嘩をする和覇君でした。
でも、最後に仲直りをして、契約がより強固になっていくという。
ソイヤ姉さんを出すと言っておいて、出ししてないですね?
何か出すタイミングが、ありませんでした。次は出てきますよ。(多分)
今回も閲覧いただきありがとうございました。
感想などお待ちしております。


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始まっちゃった!

ソイヤ!姉さん来たー!


 主様とさらなる契約を結んだ所で、今後の話について。

「それで、和覇が変える方法が見つかるまでなんだけど。あこの家で一緒に暮らそうよ」

「……、ふぇ?」

待って、頭がまた機能しなくなってきた……。え、僕が主様と暮らす?同棲?

「え、だって……え!そ、そんな、不味くないですか……?」

「何が不味いの?」

主様が汚れのない目で見つめてきた。

「いや、え、その……」

僕これでも男の子なんですけど、それが女の子の所に住むって……。あれやこれやと、思考がハイスピードで駆け巡り、『ヤベーイ! ヤベーイ!』とアラートが鳴り響いていた。

「でも、結局その方が良いんじゃないの?だって、和覇はあこの眷属なんだし」

リサさんがここで発言をしてきたけど、同棲賛成派だった。

「そうですね、宇田川さんが召喚した眷属なら宇田川さんがしっかりと管理すべきです」

氷川さんまで、ていうか僕の立ち位置が眷属兼主様のペットに聞こえてくるんですけど!

「私達よりも、あこちゃんの側に居たほうが安心すると思いますし……」

白金さんもなの、あれだけ主様と仲良くしてるのに!

「みんなそう言ってることだし、何よりあこがそう望んでいるのよ」

湊さんがトドメと言わんばかりの発言をかましてきた。

 どうすべきか悩んで主様の方を見ると、

「駄目なの……?」

あ、うん……、僕は降参です。白旗を振りましょう、だってこんな可愛い上目遣い見たこと無い……。何、僕の主様世界で一番可愛いんじゃないの?仮面ライダーのヒロインではコヨミが好きでした。コヨミを超えるだと……。

「あっと……、主様が望むのであれば何処にでもお供します……」

膝を付き、主様の提案を承諾する意思を示した。

 

「やった〜!やっぱり、リサ姉が言ったとおりだってね」

うん?それは一体どういう……。

 

「和覇が渋った時は上目遣いって、本当に効いたよ」

おっと、主様……。僕にそんな思惑があってそんな事を……。

 

「リサさん……」

思わずジト目で見つめてしまう。

「あははは……、ごめんね。あこがどうしてもって言うから……」

苦笑いで謝ってきたけど、主様が可愛かったので許します。でも、あまり変な事を吹き込まないで欲しいです。

「それじゃあ、今日の練習は終わりよ」

湊さんの号令と共に、解散となった。

 

 主様に手を引かれて、主様の家路を共にしていた。手を繋いでいる理由は、

『和覇が倒れたら心配だから』とのことで。それにしても主様の手、小さくて温かい。それに、何か柔らかい……。初めてちゃんと女の子と手を握ったから、緊張してきた。

「ねぇねぇ、和覇?」

突然主様が尋ねてきた。

「何ですか?主様?」

「和覇って、今歳いくつなの?」

最初の質問が年齢とは……、中々意表を突いてきますね。

「僕ですか?17ですよ、高校二年生ですね」

「え、じゃああこの一個上じゃん!」

そんなに驚くことかな?確かに背が大きい割に、顔が童顔だから偶に背の高い中学生に間違われるけど。でも、リサさんが主様の一個上って言ってたけ。

「じゃあ、あこのことを『主様』って呼ばなくて良いよ。普通に『あこ』で良いよ」

「そ、そんな!だって、僕は主様の眷属なんですよ!それが、名前で呼ぶなんて」

「駄目、あこって呼ばないと駄目」

「でも……」

あまりにも僕が、主様を名前で呼ばないのでしびれを切らしたようで。

「もう、じゃあ名前で呼んでくれないと返事しないよ」

ふんっと、そっぽを向かれてしまった。どうしよう、これから色々とあるから主様との会話は必要なのに。全く関係ないのだが、主様の拗ねた顔も可愛い……。

「あ、ある、あこ様?」

頑張って、出かけた言葉を押し込んで呼んでみるが、

「……」

返事をしてくれない。様付のせいなのか?でもこればっかりは……。

「ふんっだ!」

今一瞬だけこっちを見てから、またそっぽを向いてしまった。今度こそ……、心火を燃やして解き放つ。

「あ、あ、ある……。あこ……」

ようやく言えた……。

「よく出来ました」

目一杯に背伸びをして、僕の頭を撫でてくれた。髪の毛がわしゃわしゃと揺れて、なんだかこれはこれでクセになる。

「これからは、ちゃんとあこのことを名前で呼ぶこと」

「は、ひゃい……」

「うむ、よろしい」

さらに頭をワシャワシャ撫で回してくれた。やばいこれ幸せすぎる……。

 その後はあ、あこと二人でたわいのない話で盛り上がった。Roseliaの皆の事や、あこが通っている学校とか。

「それでね、前友希那さんがね」

本当に楽しそうに話をしていたら、あこの家に着いたようだ。

「あ、着いちゃった……。ここが、あこのお家だよ!」

一回ぼそっと『着いちゃった』って聞こえたけど、気にせず。

「お〜、これがあこのお家」

あこの余興に乗っておくことにしよう。

「ただいま」

あこが何時もどおりに家に入る。あれ?僕はこのまま入ればいいのか?

「和覇も上がって」

「じゃあ、お邪魔し……」

靴を脱いで家に上がろうとしようとしたその時、

 

「おかえり、あこ。今日も練習おつかれ」

家の人と最初から出くわしてしまった……。どうしよう…、え、僕どおしたら良いの?

 

「ただいま、お姉ちゃん!」

あこのお姉さん!最初からお姉さん!ハードル高くない。待って無理なんだけど、緊張してきたんだけど。

「うん?あこ、その人は誰だ?」

やばい、ずっと立ちっぱだったから怪しまれた。

 

「あ、え〜っと……、その怒らないで聞いてね……」

 

「何だよ、急にそんなどうしたんだよ?」

 

「あ、あの……」

深呼吸をして落ち着こうとするあこ。

 

「この人、あこが召喚した眷属なの!」

 

「は?」

まぁ、普通の反応だよね。自分の妹が帰ってきて見知らぬ男を連れてきて、その男を『眷属』なんて言えば当然唖然とするだろう。

 

「な、冗談はよせよ。友達かなんかだろ?友達の事を眷属って……」

 

「違うもん、本当にあこが召喚したんだもん」

あこが必死にお姉さんに訴えるが、信じてはいないようだった。

 

「もう、じゃあ証拠を見せてあげる。和覇、変身だよ!」

いや、イキナリですね!せめて、自己紹介くらいをさせて欲しいのですけど……。

 

「あこはどっちの変身だ良い?グリス?ローグ?」

玄関先でケースを広げて、あこと二人でまったりアイテムを選ぶ。

 

「あこ、あの紫のワニ?の方が良い。金ピカのロボットは、さっきみたいに危ないから今は駄目」

 

「わかりました、じゃあいきますか」

指名されたローグに変身する。

 

「おい、あこ。一体何が始まるっていうんだよ?」

 

「良いから、見てみれば信じるって」

お姉さんの背中を押して、物陰に強引に隠しそっと二人で顔を覗かせていた。

 

『ピキィッ……デンジャー!』

ベルトを装着し、

 

『クロコダイル!』

ボトルを差し込み、レバーを押し下げて、

 

「変身!」

『割れる!食われる!砕け散る!クロコダイルインローグ!』

 

『キャァァァァァ!』

今回は誰かの悲鳴が聞こえること無く、無事に変身が出来ました。リサさんの悲鳴が無いので、あっさりした叫びでした。

 

「主様、出来ましたよ!」

あ、うっかりこっちで呼んじゃったけど……、眷属の証明だから良いのか。

 

「お、おい……。あこ……、これは一体……」

やっぱり、驚きのあまり口をパクパクさせて固まっていた。

 

「あこが召喚した眷属の能力だよ。『仮面ライダー』っていう、正義の味方になれるんだって」

 

「『仮面ライダー』?」

 

「それでね、あこが召喚した眷属の名前はね!」

ここに来て、イキナリ主様から『自己紹介をして』と言わんばかりの視線が飛んできた。これは……、主の命に従おう!

 

「えっと、初めまして。あこさんが召喚した眷属の、黒崎和覇と申します」

変身を解除し元の姿に戻って、ちゃんと自己紹介をした。

 

 そして主様が本題を切り出した。

「和覇と一緒に暮らしたいんだけど、だめかな……?」




あこちゃんと同棲したいです……。
だって毎日あんな可愛い笑顔が間近で見られて……、羨ましいですね。
ソイヤ姉さんこと巴さんも出てきました。OKは出るのかな?
それはまた次回のお楽しみに。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
誤字報告ありがとうございます、自分では気づかない所ご指摘頂けて感謝します。
感想などお待ちしております。


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