青く澄んだあの空へ (柚規)
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まとめた。

まとめた。


次の日。俺は水沢に呼び出されていた。

 

「えーと……どうした」

 

「いや、ちょっと頼まれごと」

 

水沢が俺について頼まれるようなことがあるのだろうか。そんな疑問が生まれる。そのことを聞くよりも早く、水沢が口を開いた。

 

「それでどっちを選ぶの」

 

嫌な予感がする……

 

「な……何が……」

 

「みみみと菊池さん」

 

「え、ちょ、なんで知ってんの」

 

しかもよりによって水沢に。

 

「なんでって葵から」

 

あいつやりやがった。あとでアタファミでぼこぼこにしないと気がすまない。

 

「いきなりどっちって言われてもな、というかあいつなんて言ってた」

 

「何ってどうせ決まってないんだからそろそろみみみのためにも決めるのを手伝ってあげてほしい、ってさ」

 

「うっ……」

 

「図星か、やっぱ」

 

マジでなんですかあの人。エスパー的なところもあるけども……あるけどだよ!

 

「まあ、その辺は俺も気になってたし、葵にも同意見だったからさ」

 

「は?」

 

「いや結構わかりやすいぞ、お前」

 

おみそれしました。流石リア充。

 

「じゃ、じゃあさ質問なんだけど」

 

「なに」

 

「水沢って男女が付き合うって、なに基準に選んだらいいの」

 

菊池さんにした質問と同じような質問をしてみる。

 

「ぶっ、あははははははははははははは」

 

「ちょ、笑うなって」

 

これでもかっていうぐらい笑われた。しょうがないじゃん、本当にわからないんだからさ。

 

「逆に質問なんだけど、菊地さんが知らない男と喋っていたら、どう思う」

 

よくわからない質問だったが、顔が真剣だったので、素直に答える。

 

「んー少しもやっとするかな。というか、さっきの質問h……」

 

「じゃあさ、みみみだったらどう思う」

 

物凄い食い気味で質問されたので、これまた素直に答えてしまった。

 

 

「たぶん、心折れて1日、2日は部屋に籠って泣いてる」

 

「わかりやすいな」

 

「え、何が」

 

まだわからないのか、とでも言いたそうな顔して驚いている水沢。

 

「中村より鈍感ってどうゆうこと。進むのに半年かかるな」

 

「?」

 

驚かれているが、こちらは全くわからない。

 

「……なんか、俺変なこと言った?」

 

心配になって一応聞いてみる。スルーされた。

 

「で、さっきのお前の質問だけどさ、俺は独占欲だと思うんだわ」

 

ここまでの質問の意味がやっと分かった。ということは……

 

「俺はみみみが好きなのか」

 

「まぁ、俺の考え方だけどな」

 

なんでここまでリア充はすごいのだろう。

 

「ありがとな」

 

「参考になったのならよかった」

 

やっぱこいつはすごいなと改めて思う。それよりもこいつがこれからすることといえば、

 

「日南には言わないでください」

 

「3日間は言わない、その間は手伝うよ」

 

「手伝うってなにを」

 

「告白だよ」

 

 

 

「マ━━━━」

 

「いや、なんだよ」

 

「はっ、すまん」

 

いかんいかん、告白という言葉を聞いて、思考回路がオーバーフローしていた。というか似たようなことがあったような気が……

 

「いや、まあいいけどさ」

 

半分、呆れたような声で言われてしまった。

 

なんとか、いつものの思考回路まで戻ってきたもののまだ顔があつい。

 

「そんなに顔あかくしなくってもいいって」

 

「しょ、しょうがないだろ」

 

色恋沙汰に耐性がない俺は反論することができなかった。

 

「顔があかいのは否定しないんだな」

 

「ぐっ……」

 

何も言い返せない。

 

「にしても、友崎がみみみとねぇ」

 

「なんか悪いか」

 

このままだと水沢ペースで進みそうなので、ここで小さな反論をしておく。……はたから見れば開き直っているようだけど。

 

「いや悪くないけど」

 

「けど?」

 

「みみみの告白に返事すればいいってわけじゃないからね」

 

優しいと思っていたけど撤回。なんでここまでリア充は怖いのだ。鬼だ。悪魔だ。etc

 

「まあ、そのほうが女の子って喜ぶし、こっちとしても自分の気持ちに対する覚悟ができるからね」

 

「そうゆうものなのか」

 

「そうゆうものなんだよ」

 

そうゆうものだと一応は理解しておく。水沢が言うんだから、たぶん間違ってないのだろう。

 

「まあ、いつするかはお前に任せるわ。こっちが指定しても緊張で言えないだろうし。自分が言いたいときに自分の素直な気持ちを言えばいい」

 

「おお、それはありがたい」

 

悪魔だけども、最低限の考慮はしてくれた。やさしい。

 

 

「もちろん、3日以内に言わなければ、こっちからみみみを呼んで、お前に告白させるけどな」

 

それでも自分のタイミングで言えるだけありがたかった。日南だったら、呼び出していいムード作ってとかで半強制的だからな。プレッシャーで倒れそうに今までもなっているからな。感謝感謝。

 

「あとは、健闘を祈る」

 

「おう」

 

ちょうどいいタイミングで、チャイムが鳴った。

 

 

 

 

……放課後どうしようか。

 

 

どうしようかと頭を抱えていたが、時間が過ぎるのは早く、何もできずに来てしまった放課後。

 

俺はとてつもない緊張感のなかにいた。

 

「……さ、さあ、どうしようか」

 

「そ、そうだね、ブレーン」

 

俺が腰かけているのは、二年二組の教室脇の階段。正門側の玄関とは逆方向へ続くこの階段は人通りが少なく、どこか寂れた雰囲気を漂わせている。

 

そしてそのすぐ隣に座っているのは━━━ほかでもない、みみみだ。

 

みみみとは、好きだと自覚してから初めて話すことになる。

 

「え、えっと考えてる案とかあるか?」

 

「えーと、なんかいっつもそんなこと言ってたし、夫婦漫才風、みたいなこと考えていたけど……」

 

みみみは、首のあたりをさすりながら、気まずそうに口を開いた。

 

「め、夫婦……」

 

ちょっとまて。確かにみみみはいっつも軽口でそんなこと言ってたりしたけど、この状況になるとなんか意味変わってくるでしょ。

 

みみみは顔を赤くしながら、ごまかすように笑う

 

おもわず、そのかわいらしさに目を奪われていた。自分の気持ちをつたえるなら、ここしかないと本能が言っている。

 

「みみみ」

 

「ん?」

 

その本能に逆らうことをせず、みみみの目を見たまま、たいせつな想いを伝える。

 

「俺はみみみが好きだ。付き合ってくれ」

 

 

ここでは作られた台本もなく、監督もいない。素直な気持ちでぶつかった。

 

 

彼女はあっけにとられたようだったが、すぐに意識がかえって来た。

 

 

「はい。喜んで」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、俺の頬からは一筋の川ができていた。

 

「ブレーン!これからよろしくね!」

 

彼女も泣いているようだった。照れ隠しからか物凄い勢いで飛びつかれた。

 

 

「お、おう」

 

 

こちらからも手をみみみの背中にまわして、気持ちにこたえる。

 

 

 

体に人のぬくもりとやさしさを感じる。

 

 

 

××××××××××××××××××××××××××

 

 

……あれからどれくらいたっただろうか。

 

みみみは抱きしめる手を一向に緩めなかった。俺もこのままがいい。

 

 

「ねえ」

 

ふと、みみみが口を開く。

 

「このことってみんなに言う?」

 

「うーん、水沢には言うことになっているし、日南には言っておかないと前みたいになるし」(第七巻P90参照)

 

逆にその二人に言っておかないと、後々面倒なことになりそうだもん。……竹井

 

「ううっ、その時はごめんって」

 

一応反省はしているようで、少ししょんぼりしている。

 

「というか、ブレーンはなんで私がすきなの?」

 

急に変な方向から質問が飛んでくる。さすがみみみ。

 

「いやなんでっていわれても……」

 

物凄い期待の眼差しでこちらを見てくるみみみ。ううっ、照れる。

 

「ずっと一緒にいたいって初めて思えた人だからかな」

 

その期待に応えるべく本心をぶつけると、本日何度目かの照れを見せてくれる。

 

「そ、そっか。ありがと」

 

顔を赤くしながらそんなことを言ってくるみみみにこちらまで顔を赤くしてしまう。

 

「と、とりあえず日南と水沢には伝えておくから」

 

「う、うん」

 

照れを隠すために、2人に伝えることにした。バーベキューのときのLINEのグループにみみみと付き合うことと他の人に言わないでくれという文書を書いて送った。みみみのスマホにも通知が来ていたから、送れているだろう。

 

すぐさま、二人から返信が来た。

 

 

「おめでとう!みみみ!」と日南

 

 

「友崎早すぎ笑」と水沢

 

 

とりあえず報告できたので安心する。ホーム画面に戻ると、いい時間帯になっていた。

 

 

「も、もうすぐ時間だし帰ろっか」

 

「う、うん」

 

 

二人で帰りの支度を始める

 

 

「あ!」

 

「ん?」

 

いきなりみみみが大きな声を出すものだから、反射的にみみみの指が指している方へと顔が動く。

 

 

カシャッ

 

 

良いにおいとともにシャッター音が聞こえる。頬にもやわらかい感触がくる。みみみの手には、いきなりキスをされてびっくりしている俺と、満面の笑みのみみみが写っていた。

 

 

「告白の仕返しでーす」

 

 

荷物を持って階段を下りていくみみみ。俺はあまりにも驚きすぎて、「え?」としか言えなくなっていた。っぱみみみ可愛すぎ。

 

(なお、みみみが撮った写真は先ほどのグループLINEに送られ、友崎が悶絶しました)

 

 

文化祭当日の朝。

 

「うーん(前髪を少し変える)」

 

「おにいちゃん……いつにも増してキモイよ」

 

という妹からのお言葉を頂くなど既にMPもHPもろくに残ってなく何とか特性:頑丈で耐えている。即刻ポ○センという名の自分の部屋に帰りたいが、前日に水沢に集合を掛けられていたので、いつもよりも1時間以上早く家を出てきた。待合場所は中村たちが付き合い始めた(地獄のようなバスケの練習をした)あの公園だ。

 

 

「よっ」

 

公園には先に水沢が待っていた。いつにも増してイケメンだ。片手には見覚えのあるロゴが入った紙袋がある。というか…

 

「お前…まさか……」

 

その袋のに描かれているロゴは、俺が前に日南に連れていかれた美容院と同じロゴだった。中を見てみると、予想通りワックスが入っていた。

 

「おう、みみみとデートだろ」

 

そういうと、水沢は俺をベンチに座らせた。

 

「だ、だとしてもなんで」

 

「え、だって付き合ったのはいいんだけど多少スキンシップが増えただけだろ」

 

「うっ」

 

図星の図星だった。

 

そう、付き合ったはいいものの日南と水沢にしか言ってないからというのもあるけど、二人して恥ずかしがってるからか、スキンシップのスの字もない。

 

「そんなお前たちの関係の改善にはとてもいい日だろ?」

 

 

 

「な、なんだこれは」

 

それから十数分後

 

俺の頭は、美容院で見せられるヘアカタログに入ってるようなバッチバチに決まった髪の毛になっていた。え、なにこれすごい。

 

「なんだって言われたら…内外ミックスの王道バブルマシュだな」

 

「うちそとみっくすのおうどうばぶるましゅ…」

 

「よく一発で覚えたな」

 

俺は日南に鍛えられすぎて外国語を覚えるのが得意になってるからね。意味は分からないけど。

 

一通りの仕上げを終えて、そのまま二人で学校へ向かう。

 

「んで、今日はみみみとデートなんだろ」

 

「おう……ってかなんでそれをお前が」

 

「んーなんとなくかな」

 

…流石エスパータイプですわ。

 

 

その後も水沢にかわかられたり少しだけからかったりしながら学校に着いた

 

 

いつもだったら第二被覆室へ向かうところだが、既に日南から行けないということを聞いているので、そのまま教室へ向かう。2-2の教室の近くには『漫画喫茶Banchooo』の看板がデカデカと置いてある。マンボーをもじったってことは分かるけど何で番長なのだろうか。あ、これ、考えたら負けなやつだな。

 

 

俺が教室へ入ると、その後方から元気のよすぎる声が聞こえてきた。

 

「ブレーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」

 

文化祭補正を考慮してもあり得ないくらいの満面すぎる笑みで走ってきたのは彼女のみみみ。おお、彼女って言葉、リア充じゃん!

 

付き合っているってことは、まだクラスのみんなには言っていない。日南と水沢を除いて…

 

「おはよう。うるさい」

 

「塩対応!?」

 

漫才の練習がきいたのか、付き合い始めたころよりも、普通に会話ができている。

 

二週間弱しか練習ができていなかったものの、みみみのフィードバックによって、漫才っぽいテンポを掴めてきた。このまま本番も頑張っていきたい。

 

ってそんなことより

 

「おー」

 

俺は言葉にしないまでも、声が漏れてしまう。

 

みみみはそれをあざとく見つける。

 

「あー!私のこの姿に見とれたな!」

 

「い、いや別に…」

 

 

そうゆうと、みみみは俺に近づき、

 

「そこは否定しないで、ブレーン」

 

と、耳元で囁いてきた。な、なんだこれ。すごく顔が暑い。だが、ここで妙案を思いついた。

 

「みみみはいつでもかわいいと思ってるから大丈夫だよ」

 

…言ってしまった。ラブコメの主人公が言いそうなセリフを…。自分で言っておきながらさっきの何倍も暑い。急激な温暖化か何かかな。

 

顔をあげてみるとそこには、顔を真っ赤にしているみみみの姿が。なんか俺よりも赤い。

 

 

 

「あ、ありがと…」

 

 

か細い声。だけどもその一言だけで幸せに包まれていく。やばい。うれしすぎて色々ヤバい。

 

 

 

 

その後、みみみとは会話できないまま、自由時間になっている。一応中村のグループに交じって文化祭を楽しむ。ちなみに中村は赤髪になっていたんだけど、正直いつもの数倍は恐い。竹井は何故か緑髪だった。悪いけどイメージと違うんだよな、竹井。

 

 

 

その後みみみとは会話できないまま、自由時間になっている。一応中村のグループに入って文化祭を過ごしている。中村は、赤紙になってきたんだけど、正直いつもの数倍は恐ろしい。竹井も作ってもらってはいるんだけども、竹井は竹井。

 

文化祭については、水沢のついでにLINEを聞かれたり、グミちゃんたちが来たりしたが、俺からは特になにもしてなさ過ぎるんだけど。

 

そのまま多目的ホールへ向かい、みみみと合流する。

 

 

そして、みみみに対するナンパの言い訳と最後のネタ合わせを終えて十分後。

 

「つ、ついにこの時が…」

 

【書くことが原作と同じにンあってしまうのでry】

 

*****************

 

 

 

そのまま一度も噛むこともつっかえることもなく漫才は終盤を迎える。

 

 

「それじゃあ水族館にしよう」

 

 

「いや、水族館は人食いザメがいるだろ」

 

 

初めてにしたらまずまずの結果ではあったが、普通に見ていてつらくないくらいに笑いがきたという時点で成功だろう。最後はみみみのツッコミで終わりだ。

 

 

「まあ、そんなことは置いといて…」

 

 

俺は練習とは違う言葉を発したみみみに驚きに隠せずに勢いよく、そっちを向く。

 

 

そこには、勢いよく俺に飛び込んでくる、みみみの姿があった。

 

 

 

 

 

 

彼女も俺がそっちを向くとは思っていなかったらしくて、物凄く驚いた顔をしていた。

 

だけども、飛び込んでしまったが最後、その勢いは止まることを知らず

 

 

─────そのまま俺のファーストキスを奪い去ってしまった。

 

**************

 

 

 

それからの話。多目的ホールには埴輪ができたらしい(水沢談)

 

 

みみみは、一瞬なったらしいがすぐに復帰しなんとか多目的ホールの脇まで引っ張って運んだらしい。そこで俺が復帰し今に至る。

 

 

「いやー本当にごめん!」

 

開口一番で謝ってきたみみみは今にも泣きそうでウルウルしている。やばい。すごく可愛い。

 

 

「いや、怒ってない。まあ相談してほしかったけど」

 

 

そうはいっても、そろそろ言わないといけないと思ってたところがあるのでいいことではあるんだけどね。

 

 




まとめた。


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