そんな、あったかもしれない物語 (ザクシャ)
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そうして、彼と彼女と彼女は3人で歩き始める。

初めまして、ザクシャといいます!
アニメ二期の二話、修学旅行編からの分岐です。処女作なので、どうか暖かく見守っていただければと思います笑
それではどうぞ!笑


「・・・あなたのやり方、嫌いだわ」

 

 修学旅行の3日目の夜、比企谷八幡は海老名姫菜に告白をした。それは俺1人に向けられた、とある依頼を完遂するためのものだった。俺は俺なりに、切れるカードの中で最善を尽くした...はずだった。

だが、そんな俺に対して雪ノ下雪乃がかけた言葉は、俺の心に突き刺さるものだった。

 

「うまく説明できなくて、もどかしいのだけれど...」

「あなたのその....」

 そう、彼女が言葉を止めて、その美しい瞳に涙を溜めながら語り掛けてきた。

「...あなただけが傷ついてしまうそのやり方、とても嫌い。」

 

 ...彼女は今、なんと言ったのか。俺が、俺だけが傷つくのが嫌と、そう言ったのか?

 そんな言葉に固まってしまった俺に、由比ヶ浜結衣が涙を堪えながら俺に語りかけてくる。

 

「...ヒッキー。ヒッキーはね、多分とっても強いんだと思う。自分が傷ついても、それをなかったことみたいにできちゃうんだと思う。」

 

 .....そんなはずはない。俺は傷ついたりなんかしない。そう、言えたなら良かった。そうやって、誤魔化すことが出来れば良かった。そんな、彼女の語りかけを否定する言葉はいつまで経っても俺の口から出てくることはなくて。

 そんな彼を見て、彼女はまたしても俺に訴えかける。

 

「でもね、ヒッキーが1人で抱え込んで、1人で傷つくのを見るのがあたしは嫌。」

「...そうなの。比企谷くん。私は...いえ、私達はあなたが1人で傷つこうとしているのを見ているのがたまらなく嫌なの。」

「それにもし、あなたが傷つかなければならない時は3人で、等しく傷つきたいの。そうでなければ奉仕部は...比企谷くんに依存、してしまうもの。」

 そう、彼女達は涙を静かに流しながら伝えてくれた。

 

...そうか。そうだったのか。俺は傷ついていたのか。いや、そんなことは気づいていた。ただ俺はそれを見て見ないふりをしていただけだった。

けれど、そんな傷を彼女達はこんなにも想ってくれてくれていた。なら俺はせめて、俺が思っている事、考えている事を精一杯伝えなければ。そうでなければ不誠実だと思ったから。ずっと見てくれていた2人を裏切ってしまうと思ったから。

 

「...俺はずっと独りぼっちだった。独りでなんでもしなければいけないと思っていた。でも...」

そう。俺は独りぼっちなんかじゃなくなっていた。

 

「それは、間違っていたんだな。」

 

 自身の傷を見なかったことにできるのは独りぼっちのやつだけだ。独りならその自分のした事の責任を、自分で全て取ることが出来るから。いや、取らなければならないから。

それは強い事かもしれない。けれど。

 

「...ええ。あなたは独りなんかじゃないわ。」

「ヒッキーは独りじゃないよ!」

 

 そう、俺は独りじゃない。こんなにも俺の事を想ってくれている人達がいるのだから。

 

...嬉しくて言葉が出ない。そんな俺を見て、由比ヶ浜が俺の手をとって語りかけてきた。

 

「だから、ヒッキーはもっと私達を頼って?」

「...そうね、私達は3人で奉仕部...なんだもの。」

 

 そう、俺達は3人で歩く事が出来る。1人と1人と1人ではなく、3人で。

 

「...分かった。今度からはそう出来るよう、善処する。」

「ええ、そうしてね。頼られないというのも、寂しいもの。」

「うん!ヒッキーだけに頑張られても困るし!」

 

 そう言いながら、俺達はホテルに向かって歩く。俺と彼女達を遠ざけるはずだった竹林の道を、3人で。





どう、でしたでしょうか...文章能力がないですね!


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それでも、彼女と彼の欺瞞は終わらない。

お気に入りに登録されてる...心はお祭り騒ぎです!
それと、書きだめしてないので不定期更新です...なるべく早く投稿出来るように頑張ります!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━お待たせしちゃった?」

 

 

 

 俺にそう話しかけてきたのは、赤い眼鏡をしていて腐っている少女、海老名姫菜だ。そして、俺だけに戸部翔の告白を防いで欲しいと依頼をしてきた少女だ。

 

「お礼、言っておこうと思って。」

 

 そう彼女は言った。恐らく、俺が昨日した嘘告白の事だろう。だが、俺にとってそれは既に過去のものだ。もう、俺1人で背負ってしまっていいものではなくなってしまっている。

 

「別に言わなくていい。問題の解決はしてないからな。」

「表向きはね。でも、理解してたでしょ?」

 

 ああ、理解していたとも。だからこそあんな事をしたのだから。

 

「私ね、今の自分とか、自分の周りとかも好きなんだよ。こういうの久しぶりだったから、なくすのは惜しいなって。今いる場所が、一緒にいてくれる人たちが好き。」

 

 そうか。だから彼女はその場所を守ろうとしたのか。ならそれは俺と似ているのかもしれない。でもそれはきっとその場所を脆く、弱くしてしまうものだと彼女は知っているのだろうか。

 

「...だから、私は自分が嫌い。」

 

 そう残して、彼女は去っていった。

 

 大事だから、失いたくないから。隠して、装って。だからこそ。きっと失ってしまう。そして、失ってから嘆くのだ。失うことが分かっているなら、手にしないほうがマシだったと。手放して死ぬほど悔やむくらいなら、諦めた方が良かったと。

 変わる世界の中で、変わらずにいられない関係もある。俺達がそうなように。取り返しのつかないほど壊れてしまうものも、きっとある。

だが、変わらないということ。まるで観覧車のように、同じ所をいつまでも。それは延命薬よりタチの悪い何かだ。やがて腐って醜く消えてしまう。けれど、彼女と彼は変わらないでいれば今の場所が続けられると、そう信じていたいから。本当は、そうはならないと今の俺のように気づいているのに。

 1番の大嘘つきになるはずだった俺はそうならず、嘘つきは2人になった。

それでも、彼女と彼はその欺瞞をやめられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行から帰ってきて数日、今日からまた学校が始まる。

 ...うわぁぁぁ学校行きたくないよぉぉ!!あんな事があって平然と顔を合わせられる気がしないよぉ!!それが俺達の関係を前に進めたものだとしても、恥ずかしいものは恥ずかしいよね!

 

「お兄ちゃーん!ご飯だよ〜!」

 

 そんな我が愛するマイシスター小町の声を聞いてのそのそ布団を出る。考えていてもしょうがないし、いつも通り学校に行くとしよう。

 

「お兄ちゃん、何かあった?」

 

 ...早速バレてしまった。起きて早々看破されるということは余程分かりやすいということだ。

 

「...そんなに分かりやすかったか?」

「うん!だって目がいつもより死んでるもん」

「さいですか...」

 

 流石は我が愛するマイシスター小町。兄の事などお見通しという訳だ。

 

「まあ、色々あってな。お兄ちゃんちょっと学校行きたくないの。」

「どうせまた奉仕部のことなんでしょ!だったら大丈夫!雪乃さんも結衣さんもお兄ちゃんの事分かってくれてるから!」

 

 そう、満面の笑みで小町は言う。そういうならまあ、少しくらいは信じてみてもいいかもしれない。

 

「...そうだな。小町が言うならそうなのかもな」

「...え?お兄ちゃんが認めた...?大事件だよ!!今日は晩ご飯赤飯にしなきゃだね!」

「そんなことしなくていいから...」

 

 

 そんなことを言いながら朝食をかきこむ。果たして今日はどうなることやら...そんな未来を案じながら学校に向かうのだった。

 




FGOのイベントやらなきゃ...


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そうして、彼らは歩き始める。

タイトル考えるのって大変ですね!
あと、最初の1マスがどうやっても空けられないんですが、どうすれば良いのやら...


 自転車を漕いで数十分、俺の通う総武高校に到着した。今日も妹の小町に

 

「お兄ちゃんがまた事故に遭わないように小町が見守ってあげるね!あ!今の小町的にポイント高い!」

 なんて言われてしまっては、中学校まで送らざるを得ない。そのせいで遅刻寸前である。

 そんな感じで走って昇降口に向かっていると、俺と同じように走ってくる明るめの茶髪にお団子頭の女の子と目が合ってしまった。お互いの時間が止まる。

 

「……やややややっはろー!きょ、今日はいい天気だね!」

「お、おおおおう。そうだな」

 

 お互い動揺が隠しきれてない。だ、だってあんなことがあったらそうなっちゃうのはしょうがないよね!しかし今はそんなことも言ってられない。早く教室に向かわなければ。さもなくば某アラサー教師からのファースト...いやセカンドブリッドは避けられないだろう。そう考え、げた箱から上履きを取り出して履いていると、由比ヶ浜が話しかけてきた。

 

「ヒッキー、いっつも遅刻ギリギリだよね。もう少し早く来ればいいのに」

「そんなことしても、話す友達がいないんだぞ?机に突っ伏してるだけなんだし早く行く意味がない」

「理由が悲しい!……でも、あたしはもっとヒッキーとお話したいよ?」

 

 そういうことを言うのはやめてほしい。朝からドキドキしちゃうだろうが。

 

「なんで朝からお前のアホ面見なきゃいけないんだ。アホっぽい会話してたら俺までアホに思われちゃうだろうが」

「酷くない!?」

 

 そんな他愛ない会話をしながら教室に向かう。この感じなら何とか遅刻せずに済みそうだ。おっと、こんな事を考えるのは良くない。フラグ立っちゃうからね!そんなこんなで廊下を曲がると、前から亜麻色の髪の少女が猛スピードで走ってきた。急いでかわそうとするが時すでに遅し、正面衝突してしまった。いくらなんでもフラグ回収するの早くない?

 

「……いった~、なんで朝からこんな目に合うんですか!平塚先生に呼び出されたと思ったらいきなりあんなこといわれるし、人とぶつかるし!今日は朝から散々です!」

 

 ぶつかったのに元気に毒を吐く少女に手を差し伸べる。ここは紳士の嗜みというやつだ。

 

「あ、ありがとうございます..」

 

 手を引くと、お辞儀をしながら去っていく。ああ見えて礼儀はきちんとしているらしい。それよりもお手手超スベスベでした!八幡、感激!

 

「ヒッキー大丈夫!?」

 

 由比ヶ浜が慌てて駆け寄ってくる。すごい勢いで心配してくれるのはありがたいが、ぶつからないようにしてね?

 

「ああ、問題ない。家だと小町がよくタックルしてくるからな」

「それはそれでおかしくない!?」

 だって受験期のストレスだーなんて言われてタックルされたら、避けるのは忍びなくなってしまう。これも妹愛の為せる技だな!

 

 少女と曲がり角でごっつんこ!なんてラノベじみた事件があったが、何とか遅刻せずにすみそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 気がついたら放課後だった。いや、別にキングクリムゾンを習得した訳ではない。ただ昨日はあの事を思い出して延々と悶えていたらいつの間にか外が明るくなっていただけだ。しかし放課後になってしまっては仕方ない。あの部室に向かうとしよう。

 いそいそと荷物をまとめていると、由比ヶ浜が声をかけてきた。

「ヒッキー!部活行こー!」

「おう、ちょっとまってな」

 ..こいつ、気まずいとかないのか?やけに上機嫌だな。まあ、異常に気にされるよりはマシか。

 

 

 部室のドアに手をかけると、当然のように鍵は開いている。あいつこそキングクリムゾンの使い手なんじゃないか?今度聞いてみるとしよう。

 

「やっはろー!ゆきのん!」

「こんにちは、由比ヶ浜さんと...ひき...ヒキタニくん」

「おい、さりげなく俺の名前を間違えるな。それは俺のクラスでの愛称だからな」

「愛称だったんだ!?」

「蔑称の間違いではないかしら」

 

 そんなやりとりをしながら席につくと、雪ノ下が紅茶を持ってきてくれた。しかし。

「...っ!」

 どうやら紙コップが思いの外ふやけてしまっていたらしい。紙コップは床に落ち、紅茶もこぼれてしまった。雪ノ下は俺に謝りつつ紙コップを回収している。今までそんな事はなかったのに...もしかしてこいつも俺と同様、動揺しているのか?...あれ!ダジャレになっちゃったね!

 

 

 片付けが終わると、雪ノ下がある提案をしてきた。

「さっきの事が起こらないように、比企谷くんの湯のみを買いに行きましょう」

「あんなことそうそう起こらないし、俺は紙コップで十分なんだが..」

「いいじゃんいいじゃん!ヒッキーだけ紙コップっていうのもなんかあれだし!」

「でも俺今財布に200円しかないから買えないぞ?」

「少なっ!?急にカラオケとか言われたら...いや、なんでもない!」

「おい、そこで止めるな。かえって悲しくなるだろうが」

「湯のみの代金は部費から出すから大丈夫よ」

 この部活に部費なんてあったのか?そこは疑問だが、まあ、買ってくれるというならそれに従うというのが下っ端の礼儀だろう。

 

「では、早速買いに行くとしましょうか。あまり遅くなるのも良くないわ」

「そーだね!レッツゴー!」

 

 そうして急遽湯のみを買いに行くという事になった。帰る時間が遅くなるが、まあ、こいつらと行くのなら苦痛な時間ではないだろう。こんな毎日が続けば良いなと柄にもなく思った。




無事FGOのイベント終わりました...(最低限)
あと1マスの空け方自体は分かったんですが、多機能フォームをスマホだと閉じられないとかいう...パソコンなら出来るんでしょうか...
(追記)1マス開けられるようになりました!少しは見やすくなったと思います!


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そうして、彼は静かに決意する。

UAが3000超えてる…ありがとうございます!これからもぼちぼち頑張りますのでよろしくお願いします!


ところで、俺ガイルの一番くじ近場にないんですけど…


 俺達は今雪ノ下の提案で湯呑みを買いに行くため、駅前のショッピングモールに来ている。平日の夜ということで、学生服を着た人もちらほらと見受けられる。あまりうちの高校の生徒がいないことを祈るばかりだ。ちなみに、小町にこの事を連絡したら、

「じゃあ夜ご飯要らないね!」

 と言われ、それを聞いていた由比ヶ浜が同意したせいで小町特製の夜ご飯が食べられなくなってしまった。くそぅ。

 

 

 由比ヶ浜と雪ノ下の後ろを歩いていると、雪ノ下がよく行くという店に着いた。流石雪ノ下というべきだろうか。普段こういう店に行かないからあれだが、こう、いい雰囲気の店だな!うん!

 

「比企谷くんはどういうものが好みかしら?」

「なんでもいいぞ」

「即答!?もうちょっとこー、なんというかさ、色とか柄とか希望ないの??」

「ない」

「ないんだ!」

 だって別に紙コップでもいいんだしなんでも良くない?たかが紅茶飲むだけじゃん。

 そう思っていると、雪ノ下がこれはどうかしらと聞いてきた。それはカエルの絵が書いてある湯のみだった。

「これならヒキガエルくんにぴったりだと思うの」

「おい、人をカエル扱いするな。あんなに飛べないから」

「つっこむとこそこ!?」

 

 そんな会話をしていたら、由比ヶ浜がこれなんかどう!?と見せてきた。うん、パンさんの柄ですね!ゆきのんに配慮したのかな?

 

「ぜひこれにするべきよ、比企谷くん」

 その目からはこれにしろという気迫がこれでもかと伝わってくる。こえぇよ、あと怖い。

 

「じゃあそれにすっか」

 

 そんな感じで湯のみはあっさり決定し雪ノ下がレジに持っていく。会計した後、雪ノ下がこちらにきて、湯のみを渡してきた。それを素直に受け取ると、雪ノ下が忠告してきた。

「ちゃんと明日から持ってくるのよ?さもないと..」

「こえぇよ。ちゃんと持ってくるから」

 そこまで言うことか?とは思ったが、せっかく買ってくれたものだ。ありがたく使わせてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 由比ヶ浜の提案によって決まっていた夕飯、題して「奉仕部の修学旅行打ち上げ」が開かれた。ちなみに場所はサイゼを提案したが却下され、しゃ○葉に来ている。なに、しゃぶしゃぶって1人でやるものじゃないの?

 

「修学旅行に、かんぱ〜い!」

「お、おう」

「..」

 

 由比ヶ浜の音頭で乾杯をする。いや、修学旅行に乾杯ってなに?修学旅行は一体なんなの...なんて思っていると、由比ヶ浜さんはご立腹のようで。

 

「テンション低すぎ!もっと盛り上がらないと!」

「いやお前、周りみてみろよ。騒がしいのお前だけだぞ?」

「えぇ!?...でも言われてみれば確かに..」

 

 そう、時間的には夕飯時で店内は混雑しているが平日ということで家族連れは少ない。むしろ多いのは年配の人や高校生カップルである。チッ、リア充爆発しろと思ったが、今の俺は傍から見ればリア充そのものだ。そんな事を思ったせいか、ちょっと遠くにいる男子3人組と目が合ってしまった。...超睨まれてるんですけど!さっと目を逸らすと、由比ヶ浜がアイスを食べている。いや君いつ持ってきたの?ていうか、先に肉食えよ!ほら見ろ、雪ノ下も絶句してるじゃないか。

 

「??どしたの2人とも、早く食べれば良いのに」

「いやお前...なんでもない」

「そう??」

 どうやら気づかないらしい。三浦も海老名さんもスルーしたのだろうから、俺達もスルーするべきだろう。

 

 

 

 

 無事に食事を終えて今俺達は帰路についている。俺と雪ノ下は由比ヶ浜が何かやらかすと危惧していたが、流石にしゃぶしゃぶでポイズンクッキングは発動しないようで、その事に俺達は心底安堵した。しかしアイスの方はそうはいかなかったようで、最初持ってきていたアイスは、

「たまたま崩れちゃっただけだし!」

 なんて言っていたが、その後何度やっても失敗。一方雪ノ下はやはりというべきか、見事にトッピングまで完璧という始末。そのせいで由比ヶ浜が何度もアイス作りに挑戦したため、崩れたアイスが俺にまわってきてしまった。なので絶賛お腹が痛いです!あれ!全然無事じゃなかったね!

 

 

 

 

 

 

 今日はどうやら由比ヶ浜は雪ノ下の家に泊まるようで、俺とは逆方向の電車に乗るというから、ショッピングモールの最寄り駅で解散ということになる。そうこうしているうちに俺の乗る電車が来た。...ああ、別れる前に湯のみに対して礼を言わないとな。

 

「じゃあ、俺この電車乗るから。……湯のみ、ありがとな」

「!うん!」

「部活で必要なのだから当然よ」

「じゃあね、ヒッキー!また明日ね!」

「……また明日」

 

 由比ヶ浜はぶんぶんと、雪ノ下は小さく手を振っている。いつかの文化祭での日々を思い出す。あの時のようにまた彼女を助けられるだろうか。あるいは、あの約束を守れるだろうか。今までそういうことをしたことがないから、苦戦するかもしれない。迷惑をかけるかもしれない。だが、この二人なら許してくれると柄にもなく思う。だから、俺も精一杯努力しよう。なぜなら、彼女達は俺を救ってくれたのだから。

 そんなことを考えながら彼女たちと別れる。ほんの少しだけ今日までとは違う明日は、どんな日になるのだろう。そんなまだ見ぬ明日に思いを馳せるのだった。





もうすぐ彼女が登場します!


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彼女は、その1歩を踏み出す。

タイトル作りのセンスがないですね...これまでのタイトルの4分の3がそうしてから始まってるとかいう事故。これをニセコイの作者は毎回4文字で固定してたとか凄すぎですね(★‿★)

そんな事はおいといて、5話目をどうぞ!


 

 湯呑みを買いに行った日から数日、週が空けて今日は月曜日だ。俺の周りは変わらない日常を送っているように見える。そろそろ俺に勘違い野郎とかキモっ...とか言う奴がいるかと思ったがどうやら杞憂に終わったらしい。もしかしたら葉山辺りが周りの奴らに他言無用を課したのかもしれない。まあ、その辺り上手くやりそうな男ではあるし心配は要らなそうだ。俺の悪口を聞くと悲しそうに笑う彼女を俺は知っているから。

 

「おはよう!八幡!」

 

 戸塚が挨拶をしてくれる。皆鬱であろう月曜日ですら眩しい程の笑顔!すごい!流石天使!

 

「おお、おはよう」

「今日は冷えるね〜」

「そうだな、テニスやってるなら手とか大丈夫か?」

「うん、ちゃんとクリーム塗ってるから大丈夫!」

 

 流石戸塚というべきか。女子力高い。普通の高校生男子ならクリームなどでケアしている奴はそういないだろう。多分。友達いないから分かんないけど。

 

「あ、チャイム鳴るから、またね」

「ああ」

 そんな他愛ない会話を終えて朝のホームルームが始まる。朝から天使と会話出来たので、今日はちゃんと授業受けれそう!

 

 

 

 

 

 時は流れて放課後。朝の天使との会話のおかげか、数学以外の授業はきちんと受ける事が出来た。特に現代文。平塚先生の猛攻(指名)にも負けず俺は頑張った!その後の休み時間で戸塚に労ってもらえたので収支プラスですね!

 そんなわけで珍しく機嫌が良い俺はいそいそと部活に行く準備をする。バッグの中に箱が入っているのを確認した俺は、部活に向かおうと立ち上がろうとした。 すると後ろから、

 

「ヒッキー!部活行こー!」

 

 ...ふっ。いつもと同じ、アホっぽい元気な声だ。

 

「おう」

 

 そう返事をして振り返る。さて、部活に向かうとしよう。

 

 

 

 部室についてしばらくすると、雪ノ下が紅茶を淹れてくれた。さて、湯呑みを出すべきだろう。

 

「ちゃんと持ってきたのね」

「ああ、そのくらいはできる」

 

 そうして湯呑みに注いでもらった紅茶を飲む。...まあ、なんだ。いつもより美味しいような気がする。このままゆっくりしてたいなーなんて思っていると、ドアがノックされた。

「どうぞ」

 ...毎度毎度その反応の速さはなんなの?実はドアの前にセンサーとかあって、雪ノ下だけそれが分かるようになってるとかなんじゃないだろうか。

 

「邪魔するぞ」

「失礼します」

「平塚先生と城廻先輩」

「あ!いろはちゃんだ!やっはろー!」

 

 部室に入ってきたのは平塚先生と城廻先輩、そしていろはちゃんとかいう奴だ。はて、どこかで見たことがあるような...

 

「あ、この間はすみませんでした。前見てなくて..」

「大丈夫だ、問題ない」

 ...ああ、思い出した。確か先週俺とぶつかったお手手スベスベの子だ!...いや覚えてる所そこかよ。もっとあるだろ、こう、髪の色とか。

 とにかく、ここに来たという事は何かしらの依頼があるという事だろう。

 

「で、なんか用ですか?」

「ああ、少し困った事があってな..」

「では、話を聞きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話を要約するとこうだ。どうやら一色いろはは生徒会長に立候補させられていたらしい。我が校は推薦人を30人集める事で生徒会長及びその他の役職に立候補する事が可能となる。だが、一色いろはは名も知らぬ奴らに勝手に推薦され、立候補者として登録されていたらしい。いや、どこのアイドルだよ。そして当の本人はもちろん生徒会長なんてやりたくないからどうにか出来ないかという事だった。それに付随して、自身のブランドに傷がつくから信任投票で落選はしたくないという条件がついている。はっきり言って手段はかなり限られてくるだろう。

 

「ほんと、どうしたらいいんですかね〜」

「他に候補を擁立して勝ってもらうしかないわね」

「それくらいしかないが問題がある。まず、候補を擁立するにあたって今の時期に立候補していないというのは厳しい。本当にやる気があればとっとと立候補して、選挙活動の準備に入るはずだ。...まあ、それはさして問題じゃない。悩んでいたとかで理由は簡単につく」

「だが、もう1つの問題がある。単純な話だが、一色いろはに選挙で勝つ。ということだ」

 

 そう、一色いろはは人気がある。まず見てくれは美少女の部類だし、男子ウケならかなりのものだろう。加えてサッカー部のマネージャーということで名前もある程度周知されている。俺でも名前くらいは知っている程だ。そんな一色いろはに生徒会長選挙という名前の人気投票で勝てる人間はそう多くない。挙げるとすれば葉山か三浦くらいだろう。だが葉山はサッカー部の部長、三浦もそんな柄じゃない。となるとかなり難しい問題だ、1日2日でどうこう出来るものではない。

 

「他に方法がないでもないが、それは出来ればやりたくない」

 そう、彼女達を傷つける事になるから。

 

「...そうね、私もかなり難しい問題だと思うわ。では、明日までに各自で案を考えておくということで今日は解散で良いかしら」

「...そうだね。あたしも頑張って考えてみる」

「そうか、では失礼するよ。城廻、一色、行こうか」

「はい、じゃあ、失礼しました」

「失礼しました〜」

 

 そうして3人は部室を後にする。...全く、また面倒な依頼が来たもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の放課後になった。あれからあの依頼をどう解決するべきかを考えていたが、これといった事は思い浮かばなかった。いやだって無理ゲーでしょ!一色いろはに勝てる候補を擁立するなんて事は不可能に近い。その時点で詰み同然だ。1つだけ思いついたがそれも本当に最後の手段だ。何よりそこまでしてまで依頼を達成したいとは思わない。...はぁ。部活に行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも、ちょっといいかしら」

 

 部活が始まって数十分。雪ノ下が何かを決意したような目でこう言った。きっと、これは大事な話だろう。由比ヶ浜もその雰囲気を察したのか、姿勢を正す。雪ノ下は踏ん切りがつかない様子だったが、ついにその口を動かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...生徒会長に立候補しようと思うの」

 

 それは、俺達のこれからを大きく変える一言だった。






FGOの幕間尊かった...
「ゲームは1日1時間まで!」


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ここから彼女達は巣立ちする。

遅くなってごめんなさい!最近リアルが忙しくて描く時間がとれませんでした!まだしばらく忙しいのですが、気長に待っていただけるとありがたいです!


 

 

 

 

 衝撃だった。いや、素質で言えばこれ以上ない程の逸材だろう。高校生離れした的確な判断、指示をする能力。単純な事務能力。人前でも臆せず話

 す事ができ、リーダーシップも十分だ。

 だが、俺はやらないと思っていた。

 

「...それは、依頼のためか?」

「...いいえ、前から悩んでいたの。これは、私の決断よ」

「...そうか。なら俺に止める権利はないな」

「...うん、応援するよ」

 

 そう言いつつ、由比ヶ浜は浮かない顔をしていた。多分、俺も考えている事は一緒だろう。

 俺は、俺達はこの場所が好きなんだろう。この紅茶の香りがする、この部屋を。何をしてでも守りたいと思える程に。だからだろう。雪ノ下が生徒会長をやらないと俺が思ったのは。

 俺がつい口を開こうとすると、雪ノ下は立ち上がっていつも依頼者が座る席に座った。その行為に首を傾げていると、雪ノ下がある事を口にした。

 

「1つ、依頼がしたいの」

 

 ...依頼とあらば、聞くしかあるまい。俺も由比ヶ浜も、姿勢を正す。そうして次の言葉を待っていると、ついにその口が動く。

 

 

 

 

 

「私を、助けて欲しいの」

「私は、この場所が好き。でも、生徒会長をやる事は私にとって必ず良い経験になる。だから、生徒会の一員として私を助けて欲しいの」

「私達は奉仕部だからここにいるけれど、その繋がりが無くなっても一緒にいたいと思うの。だから..」

 

「...ヒッキー..」

 

 そう、彼女は訴えかけるように目を俺に向ける。

 もちろんだ。

 

「ああ、奉仕部としてその依頼、受けよう」

 

 迷う事はない。俺と彼女は彼女の力になりたいと、心の底から思っている。なぜなら彼女は羽化し、この暖かい場所から飛び立とうとしている。ならば支えてあげる事が、この場所に後から来た俺達の出来る事だろう。

 

「2人とも...ありがとう」

 

 そう言って雪ノ下は微笑んだ。その、あまりに魅力的な笑顔に俺はしばらく惚けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、あたしたちは何すれば良いかな?」

 

 あれから数十分。雪ノ下は平塚先生に話をしに職員室に向かった。恐らく、一色の件もあるから話はそれなりに長引くだろう。そんな感じで由比ヶ浜と2人でいると、ふとそんな事を聞いてきた。

 確かに言われてみればそうだ。いざ助けるといっても俺達は生徒会の事を何も知らない。事務能力も俺はともかく由比ヶ浜にあるとは思えないし、他の分野では由比ヶ浜はともかく俺に人を動かす力はない。2人でうんうん唸っていると、雪ノ下が部室について戻ってきた。話は終わったということだろう。何か声をかけるか迷っていると、雪ノ下が紙を差し出してきた。

 

「さあ、これに名前を書いてもらえるかしら?」

 

 そうして渡された紙には、「庶務」と書かれた紙だった。

 

「えぇ!?あたしが副会長!?」

「俺だけ役付きじゃないのかよ」

「あら、比企谷くんは当選する事が出来るのかしら?そもそも、推薦人を30人も集める事が可能かしら?」

「.....」

 

 そう雪ノ下は笑顔で言う。...ぐぅの音も出ねぇ。だがまあ、俺には適任かもしれない。それよりさっきから挙動不審になっているアホの子を収めなければ。

 

「おい由比ヶ浜落ち着け」

「だって!あたしが!副会長だよ!やばいよ!あとやばい!」

「語彙力がいつにもまして死んでやがる...おい雪ノ下、どうにかしろよ」

「任せなさい。こうみえて交渉は得意な方よ」

 

 ...君が得意なの、交渉ではなく命令じゃない?

 

 

 

 

 

 そんな交渉は見たくなかったのでマッ缶を買いに外に出ると平塚先生を見つけた。先生もこちらを見つけると、案の定俺に話しかけてきた。

 

「雪ノ下の依頼、受けるそうだな」

「まあ、成り行きですよ」

「それでもだ。以前の君なら何がなんでも拒否していただろう」

「...まあ、そんな気もします」

 

 半年前の俺なら確実にそうしていただろう。だが、そうしなかったという事は俺に変化が起きたという事だ。変わるという事はひどく怖いが、それ以上の何かを、今まで以上の何かを手に入れるためなら変わる必要がある、と今の俺は考える。だから俺はあの依頼を受けたのだろう。

 

「君は案外そういう役職は似合っていると私は思うぞ。だから、頑張りたまえ」

 

 そう言って平塚先生は去っていった。いつも俺を見てくれていた人の言う事だし、信じてみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数週間がたち、今日は生徒会選挙の日だ。流石は雪ノ下というべきか、演説は完璧という他ない。由比ヶ浜の方は緊張しているのか少しぎこちないがまあ、あの平凡そうな奴に負ける事はないだろう。

 そうして次の日の開示で見事、彼女達は当選していた事が分かった。まあ、当然の結果と言えるだろう。なにしろあんなに魅力的な彼女達なのだから当選する事も当然だろう。そして晴れて比企谷八幡こと俺は庶務に任命された。社畜魂が燃えている!!

 そんな感じで今は生徒会室の衣替え中だ。男が俺しかいないせいで重労働真っ最中である。はぁ、生徒会ブラックすぎない?だが、俺がやると決めた事だ。頑張るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつかから大切だった紅茶の香りがする部屋は失われたが、新しい場所でのこれからに俺は僅かばかりの期待を持ちながら作業に勤しむのだった。

 




FGO2部5章楽しみですね!


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彼と彼女は、小さな一歩を進む。

遅くなって本当にすみません!!!!やっと一段落したのでまた頑張って投稿したいと思います!
あと、ここから原作にはないイベント(?)も書こうと思います。



今までの話覚えてる人いるのかな……


 生徒会が新体制になってから一週間が経った。荷物の移動やら引き継ぎやらも終わり、いよいよ本格的な活動に入ることになった。めぐり先輩には理想が叶ったとかで泣かれるし、書記の席にはどこかで見た亜麻色の髪の少女がいるし色々あったが、無事に新体制へと移行した。

 

 

 そんな感じで落ち着いた昼休み。今日も頑張っている戸塚を見ながら焼きそばパンを食べている。……初めての仕事は何かな~….っは!気がつけば仕事のことを考えているだと!やはり俺の社畜魂は伊達じゃなかったか…感傷に浸っていると、メールが届いたらしい。滅多に聞かない音だからびっくりしちゃった!

 気を取り直してメールを見てみると、どうやら由比ヶ浜からのようだ。

 

 

「生徒会室じゃなくて校門に集合ね!」

 

 

 なんとも言葉足らずなメールだが、言いたいことは伝わった。要は今日の放課後に校門でなんかするってことだろう。しかし校門ですることと言えばなんだろう。新しく生徒会長になった雪ノ下です!よろしくお願いします!とかやるんだろうか。そんななことしても無意味だし、雪ノ下を知らないやつなんてこの学校にいないだろう。何はともあれ生徒会として初めての仕事だろう。頑張るぞい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は流れて放課後。俺は何故ラノベの代わりに竹箒を持っているのだろう??

 

 遡ること数分。生徒会として初の仕事だ!と柄にもなく気合を入れて向かった先には、これまたいい笑顔の雪ノ下がいた。その左手には大きめのちりとり、右手にはこれまた大きめの竹箒。……ふっ、そこまで見れば俺の行動は決まっている。今すぐ自転車置き場に走るのみ。

 だが、そんな目論見は一瞬で儚く散ることになる。何故って?そんなの決まってるだろ?俺の後ろに行き遅れアラサー教師がいるからだよぉぉぉぉぉおおおおお!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで捕まりました。比企谷八幡です。悲しいかな、八幡君の楽しい放課後の読書タイムは、楽しい楽しいお掃除タイムに変わりましたとさ。あー楽しいなー。

 

「そんなところで立ち尽くしてどうしてしまったの?ああ、そこのごみと一緒に土に埋まりたいのかしら。ついに還ってしまうのね」

「そんな満面の笑みでナチュラルに死刑宣告しないで?あと俺はゾンビじゃないからね?」

 

 俺の扱いは一切変わらないらしい。まあ、分かってたけど。

 

「ではどうしたの?」

「いや、生徒会としての最初の仕事が掃除なのかよって思ってただけだ」

「あ、あたしは楽しいよ!ほら、外でなんかするってことあんまなかったし!」

「そうね。でも生徒会の仕事なんて大概は雑用よ?今のうちに慣れておくことね」

「大体、一色はどうしたんだよ。あいつ俺より地位高いんだしいなきゃダメだろ」

「彼女はサッカー部にいったわ」

「ちっ、うまくかわしたか」

 

 あの野郎、俺がこっそり教えた逃げる方法を早速使いやがって。あいつがいれば2ペアで早く終われたものを…

 

「そんなこと考えてないで早く終わらせましょう。終わったら平塚先生からご褒美があるそうよ?」

「ご褒美!?なんだろう、パンケーキかな!?」

「終わったら教えるとの事だったけれど。まあ、大方予想はつくわね」

「え!?なになに、なんなのゆきのん!」

「由比ヶ浜さんに探偵はできなさそうね…」

 

 俺にも予想はつく。平塚先生こういうの好きそうだもんね。

 

 

 

 案の定というべきか、平塚先生はさつまいもを持ってきた。だよね、絶対そうだと思った。だって秋だもんね!いつまでたっても少年の心を忘れない先生、素敵!

 

「平塚先生、早く作りましょう!」

「おいおいおい待て待て待て!俺と雪ノ下と先生でやるから!」

「流石に大丈夫だよ!……多分」

 

 由比ヶ浜にやらせるわけにはいかない!三人の思いは一つ!三位一体!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか説得に成功したので、美味しそうな焼き芋が出来ました!平塚先生のはしゃぎぶりにはちょっと引いたが。

 

「ん~!!美味しい!」

「ええ、美味しいわね」

「美味しいですね!」

「おいまて、なんでお前がここにいるんだ」

「やだなぁ先輩、私も生徒会メンバーじゃないですか~」

「でもお前掃除してないじゃん。労働の対価なんだぞこれは」

「細かい人は嫌われますよ?」

「こいつ…」

 

 まあ、平塚先生張り切り過ぎてめっちゃさつまいもあったし助かるんだけどね?こんなことなら戸塚呼べば良かったなぁ。はふはふしながらさつまいもを食べる戸塚…いい…

 

「気持ち悪いですよ先輩」

「一色さん、その男はいつも気持ち悪いのよ?事実を突きつけるのはやめてあげましょう?」

「養護に見せかけた援護射撃やめて?」

「それもそうですね~」

 

 い、いつか超絶イケメンになってみせるんだからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すっかり暗くなってしまった帰り道、平塚先生に送ってもらう事になった。一色と由比ヶ浜と別れ、俺は今後部座席で雪ノ下と座っている。相変わらず俺達に会話はないが、居心地の良さを感じていると、雪ノ下が話しかけてきた。

 

「ひ、比企谷くん、携帯電話は持っているかしら?」

「あ、ああ、持ってるぞ」

「それなら、その……メールアドレスを交換しましょう?この先色々連絡事項もある訳だし、いつまでも由比ヶ浜さんを経由するわけにもいかないでしょう?だからその…」

 

 まったく、こういうところだけは俺と似ている。あれこれと理由をつけて、自分の行動を正当化しなくてはしたい事が出来ない。そんなめんどくさい俺達だったとしても、少しずつ確実に進んでいけば、いつか望んだ場所へと辿り着けると信じて。

 

「そうだな、ほい、勝手に打ってくれ」

「相変わらずほいほい渡すのね」

「相変わらず見られて困るものはないからな」

 

 

 変わらないことはある。変わるものもある。大抵の物事は思い出となって風化し、色褪せてしまう。しかし、変わるたびに輝きが増す。そんな物があっても良いのではないのだろうか。少なくとも今日、俺の携帯電話は輝きを増したと言えるだろう。

 




どうでしたでしょうか?久しぶりに投稿したので文とかもしかしたら変かもしれませんが、ご容赦の程を……


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彼らの人生はどのようなものだろうか。

ひっっっっさしぶりに投稿しました...最初から見てくれると幸いです...

俺ガイル[完]最高ですね!!


 

 

 

 

 

 さあ、帰ろう!今日はメールも来てないし!待ってろ小町、今お兄ちゃんが帰るからな!そんな思考を巡らせながら急いで荷物をまとめて教室を出ると、そこには腕を組んで仁王立ちする我らが生徒会長がいらっしゃるではないですか。その目は、

「なに帰ろうとしてんの?」

 と雄弁に語っていた。これはあれか、上司の私が帰ってないのにあなたが帰れると思っているの?みたいなやつですかね。ぼくそういうのよくないとおもうな!とは言っても俺がその目線に逆らえる訳もなく、生徒会室に連行されるのであった。すまない小町、お兄ちゃん当分帰れないってさ。

 

 

 

 

 生徒会室について少し、雪ノ下が紅茶を淹れてくれた。相変わらず動作に美しさがにじみ出ている。それはいいことなんだが、ここに連れてこられた意味が分からない。ということで聞いてみる事にした。

 

「なあ、今日はなんか仕事とかあるのか?見た感じそんな風には思えないんだが」

「今日は仕事なんてないわよ?強いて言えば、ここでこうしていることが仕事かしら」

「どこかで聞いた言い回しだな…ようはなんもないってことか」

「まあ、そうとも言えるわね」

 

 ふむ、そういう事なら何故帰宅を許してくれなかったのだろうか?俺が理由を考えていると雪ノ下が口を開いた。

「前もこのような感じだったじゃない」

 前?ああ、なるほど。今日は奉仕部として活動するってことか。それはまあいいんだが、一般生徒がこの教室に入るってなかなか難易度が高いと思う。俺なら絶対来ない。しかしそういうことなら読書がはかどるな。昨日買ったこの「やはり俺の妹が四人いるのはまちがっている。」を読むとしよう。昨日少しだけ読んだけど長女がクーデレで次女が天真爛漫、三女があざとくからかってくる感じで四女が策士な感じなのに少し抜けてる感じでかわいいんだよな!皆は誰が好きかな?俺はもちろん四女ですね。いや決してロリコンとかじゃなくてね?ホントに違うんだからね!

 

 

 

 

 まあ、こうなるよね。わかってたさ。特に仕事もない俺たち三人は当然のように読書や携帯いじいじに興じている。と思っていたのだが、由比ヶ浜がそわそわしていて落ち着かない様子だ。いやいつも落ち着いてるとは言えないけど。

「由比ヶ浜、どうかしたのか?」

「へ?ああ、なかなか言い出せなかったんだけど、これ!」

 そんな感じで由比ヶ浜が持ってきたものは人生ゲームだった。俺には縁遠い物だと思っていたが、まさかこんな場所で見ることになるとは。それに、俺よりも人生ゲームに縁遠そうな人が一人。

「なにかしら、それは」

「人生ゲームだよ!今から三人でやろうよ!」

「じんせいげーむ?具体的になにをするものなのかしら?」

 あちゃ~そこからだったか~…まあ、やる相手いなさそうだもんね!え?人のこと言えないだろうって?残念!小町とやったことあるもんね!何故か一回も勝てたことがないが。やはり神様からの寵愛度が違うということか…

 俺が優越感と悲しみを同時に味わっている間に由比ヶ浜が雪ノ下にルールを教えている。しかしあれだな、由比ヶ浜が雪ノ下になにかを教えているというのはなかなか面白い。テスト前はスパルタ雪ノ下さんが泣きそうになっている由比ヶ浜を追い詰めているのを散々見ているせいで余計にそう感じるのかもしれない。

 どうやら一通り教え終わったようで、ゲームスタートになるらしい。これは雪ノ下に勝てる数少ないチャンスを今、この手に掴む!!

 

 

 

「じゃああたしからね!………10だ!やった!」

 流石由比ヶ浜と言える。小町同様神に愛されている…

「えと、パティシエになるだって!」

「もう一度やり直すべきじゃないかしら」

「もっかいやったほうがいいぞ」

「ひどいし!最近お菓子作り頑張ってるんだからね!今度こそぎゃふんっていわせてあげるから!」

「持ってくる時は事前に言えよ?色々準備するものあるから」

「だからそんなやばいことになんてならないから!」

 そういうことなら胃薬は毎日持ち歩くべきか…そう考えているうちに雪ノ下が駒を進める。

「検察官になるらしいわ。」

「おお!ゆきのん似合いそう!」

「そうかしら、やりたいと思ったことは無いのだけれど。」

「そうなのか?割と出来そうじゃないか?理路整然と人を追い詰めるの好きそうじゃん」

「でも検察官は人を直接断罪出来ないじゃない」

「自分で断罪する気マンマンかよ…」

 確かにこいつは自分で最後までやらないときが済まなそうだ。きっとそうなった日にはにこにこの笑顔のまま容赦なく人を裁くだろう。怖い、怖いよ。

「さ、俺の番だな……7か、教師になるだとよ」

「あっはは!ヒッキーが教師って!」

「っふふ、比企谷くんには荷が重いのではないかしら。今ですら周りに人がいないのに教師になったら……悲惨な末路なのではなくて?」

「.」

 この子達容赦なく俺の心を抉ってくるな.しかも雪ノ下、わざとその先を言わないのは想像が膨らんでより悲しくなるんだぞ!本沢山読むお前なら分かるだろ!

 

 そんなこんなでゴールしました。え?ゴールが早いだって?そそそそそんな事ないぞ!決して挫折したとか書くの長いなーとか思った訳じゃないんだからね!あ、結果はもちろん最下位でした。双方神に愛されてるもんね。俺なんかが勝てる訳なかったよ.

「やっぱゆきのん強いね!流石って感じ!」

「当然.と言いたい所だけれど、由比ヶ浜さんもほぼ同じようなものだったじゃない。それに比べ.」

「ぷぷっ、ヒッキーお金マイナスだもんね!初めて見たし!」

「それは君達がいじめてくるからでしょ.」

 そう、この2人隣の人に何かするっていう度に俺にペナルティを与えてくるのだ。酷い、あんまりだよ.

 

「では、比企谷くんには何か罰ゲームを課しましょうか。」

「おいちょっと待て聞いてないぞ」

「敗者は勝者に従う.当然ではなくて?」

「いい笑顔で言うな!」

「じゃあヒッキーには.ジュース買ってきてもらおっかな!あたしピーチティー!」

「では私は.レモンティーを1つ」

「なんで勝手に決まってんだよ.」

 

 ま、当然俺が2人に勝てる訳もなく自販機の前にいる訳だが.

 

「おい、ピーチティーねぇじゃねぇか!」

 俺の声は虚空に響きましたとさ。

 

 




今度からはもうちょい短くなるかもです ‍♂️


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会議は踊らず、決別する。

投稿しました!(FGOの夏イベから目を逸らしつつ)

キャストリア強スギィ!!


「さあ、あちらのお高く止まった鼻をくじk...叩き潰しましょう」

「叩き潰しちゃうのかよ..」

 あえて先に言おう。どうしてこうなった......

 

 

 

 事の発端は遡ること数時間、各々の時間を過ごしていた生徒会室に平塚先生がやってきたことから始まる。

「やってるかね諸君!生徒会として初めての大きい仕事が来たぞ!」

「おお!やっとだ!優美子達と遊びに行かなくて良かったぁ!」

 ついに来てしまったか...このまま何も起きず今日という日が終わればよかったのに。じゃないと帰るの遅くなっちゃうじゃない!しかも二人とも若干テンション高いし。おまけに脱走を図ろうとしているやつまで...

「平塚先生、その内容はなんでしょうか?」

「ふふ、題して...合同クリスマスイベントだ!...クソが」

 ちょっと?今心の声混じってませんでした?クリスマスなのにまたおひとり様でラーメン食べちゃう事でも考えちゃったんですか?悲しすぎるよ...

「合同?どこかの高校と合同で開催するんですか?」

「ああ、海浜総合高校がうちの高校と合同でクリスマスイベントを開催したいらしいんだ。おかげで仕事がまた1つ増えたよ..」

「さっきから悲しすぎる..」

「で、でも、 楽しそうじゃん!皆と出来る最初の仕事がクリスマスイベントなんて最高だよ!」

 流石リア充は言う事が違ぇぜ...俺なんてクリスマスとは無縁だし、そもそもトラウマ多すぎて嫌いな日のレベル。そんな感じで聞き流していると、どうやら話がまとまったらしい。

「では、今から会議だからその場所に向かえという事ですね?」

「そういう事だ、何かあったら私に知らせなさい」

「分かりました」

 

 

 てな訳で会議...したはずだったんだが。まあ、皆分かるよね?なのでダイジェストでお送りしましょう!

 まず雪ノ下があっちの生徒会長の玉縄からジャブを貰うが、仏の顔も三度までという事でとりあえず我慢したっぽい。しかし会議が始まるとバトルが始まった。

『 たまなわ の インファイト!』

『 ゆきのん の こらえる!』

『たまなわ の インファイト! 』

『 ゆきのん の カウンター!』

 どうやらカウンターする体力が残っていたみたいだ。という事で最近ルカ○オとかがやってくるカウンター戦法によって海浜側は撃沈。しかし雪ノ下はこれに飽き足らず、最後にこう言い放った。

「では、勝負といきましょう。来てくれた方々に投票してもらうという形で白黒つけましょう?」

 

 てな訳で冒頭に戻る訳だ。あえてもう一度言おう。どうしてこうなった...

 

 

 

「では、私達がクリスマスイベントでする事を決めましょう」

「クリスマスっていえばなんですかね?」

「う〜ん...ケーキ!」

「それはお前が食べたいだけだろ..」

「じゃあじゃあ、チキン!」

「なに?食べ物縛りでもしてるの?」

「なら...クリスマスツリー?」

「まあ、そのくらいはあったほうがいいかもな」

「それはあちら側と相談しましょうか」

 流石雪ノ下、勝負すると言ったものの冷静さを大きく欠くことなく相談すべき事はちゃんとしているな。

「まず、どの年齢層をターゲットにするかを決めましょう」

「うーん、高校生がやるならやっぱり高校生がターゲットじゃないんですか?」

「まあ、それが妥当だな」

「じゃあケーキパーティーぽくするのはどーかな?」

「お前死人を出す気か?」

「ちょっと!失礼だし!」

「由比ヶ浜さんが調理に一切参加しないのであればいいのではないかしら」

「ゆきのんまでひどいし!」

 いや、お前の料理下手は半端じゃないぞ...由比ヶ浜の見てくれに騙された男達がバタバタと倒れていくのが目に見える...

「じゃあケーキとチキンを用意して、その上で何かするという事にしましょうか」

「具体的には?」

「そうね..」

「はい!劇とかどうかな?」

「文化祭でもやったし何より役者とスペースの確保が難しいな」

「確かに...せっかくならやった事ないことしてみたいね!」

「では、各自考えて明日意見を出し合う事にしましょうか」

「おっけー!」

「了解です!」

「ういっす」

 三者三様の返事をし今日の会議?は終了したが、1つ待って欲しい。この手のイベントに参加した事がない俺は果たしてまともな意見が出せるだろうか...誰かを頼るか?過去の俺がその意見を否定する。お前は1人だろう?何もかも1人で考えてきた俺がそう俺に問いかけてくる。だが、それは過去の話であって今の俺は誰かに頼る事は悪い事でないと知っている。さて、誰を頼るべきか...どうしましょ!





誰に頼りましょ...


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彼らの仕事は終わらない。

読んでくださりありがとうございます!

ここまで書いてきてあれなんですけど...もしかして生徒会のメンバー、少なすぎ...?


 

 

 さーて、どうしましょうかねー。こういうイベントに詳しそうかつ俺と話す上である程度現実的な話が出来る奴となると...気は進まないがあいつが適任か。という事で声を掛ける事にしたのだが、「は?嫌ですけど?」とか言われたらどうしよ...八幡くん明日から生徒会来れません!

 

「一色、ちょっと付き合ってくれないか?」

「は?嫌ですけど?」

 さて!帰って枕を濡らそうかな!

 

 

 

 

 

「なーんだ、案出しに付き合って欲しいって事ですか、それならそうと言って下さいよー!」

「悪かったよ...あんなに心にグサってくるなんて思わなかったよ...」

 

いつもの振り芸すら見せてくれないとは...いや待て俺は何を言ってるんだ?振り芸ってなんだ?うっ、頭に何かが流れ込んで...来ませんでした。はい。今思考が乗っ取られていたに違いない。

 

「ていうか、なんで私なんですか?他の先輩方で良かったんじゃないですか?」

「いやまあほらなんて言うの、話が1番通じそうなのがお前だったというか...」

「ホントの理由は何ですか?」

「お前鬼だな...」

「で?」

「いやなんて言うの?ほら、各自で考えるって言ってたし...」

「...」

 

 一色はじっと俺を睨んでいる。これはもうダメみたいですね。

 

「あいつらには頼りたくなかったというかなんというか...」

「はいはい、かっこつけたかったんですね。大方最初のイベントだしここは結衣先輩達にかっこいい所見せるぞーみたいな。」

 

 すいません、後輩からの死体蹴りが凄まじいんですけど。しかも何この後輩、俺の考えほとんど見透かしてるし。

 

「先輩に1つ教えてあげます。あの2人はもう先輩がかっこ悪いって知ってますよ?」

「いや分かってるけどさ、こうね、最初くらいはーって思ってた訳よ」

「無駄無駄のむーってやつです!」

「悲しいなぁ...」

「けど!先輩のかっこ悪さ?ちっぽけなプライド?私は好きですよ!なので、付き合ってあげます!」

「嬉しくないなぁ...」

 

 無事俺のメンタルが13回くらい死んだ所で一色に付き合ってもらうことが出来ましたとさ。まる。

 

 

 

 時は流れて次の日の放課後。俺達は生徒会室で会議をする事になった。あれ?海浜総合高校と合同イベントじゃなかったっけ?おかしいな?本当ならコミュニティーセンターにいるはずなのに。別々でいいんですかね。ま、生徒会長の言う通りという事でいいか。いいね!指示に従うって!考えなくていいから楽ちん!

 

「ではまず私達から提案するわ」

「あたし達はねー、こんな感じ!」

 

 そう言われて資料が手元に来る。あのー、君達も2人で考えたんですか。そうですか。ここを無闇につっこむと雪ノ下から氷の目で睨まれる気がしたのでやめておく事にしよう。さてさて、内容の方は...

 

「イルミネーション?室内なのにか?」

「正確にはイルミネーションがあるカフェね」

「やっぱクリスマスといえばイルミネーションとケーキでしょ!」

 

 なるほどなるほど、室内でイルミネーションっぽく飾り付けしてその中でケーキなりを提供するって訳か。

 

「いいんじゃないか?俺の考えた案よりよっぽど楽しそうだ。しかも準備も比較的楽だし」

「ですです!流石雪ノ下先輩に結衣先輩!」

「そ、そうかしら...」

「でしょでしょ!いい感じだよね!」

 

 あら雪ノ下さん照れてるんですか?お可愛いこと!...ひっ!寒気が!ふえぇ、怖いよぉ...

 

「じゃあ先輩、一応私達が考えた案言いますか」

「おっ、そうだな」

「という訳でじゃーん!先輩と一緒に考えた案です!」

「あなた達も一緒に考えていたのね...」

「いいなぁ...じゃなくて!えーっと、クリスマスライブ?」

「ほら、お前ら文化祭とかで歌ってただろ?だからちょうどいいかなと」

「えへへ、思い出すと照れるなぁ」

「あなたが考えたにしては良いんじゃないかしら?」

「いや、それがな...」

「ほとんど私が考えました!先輩がした事といえばお2人が歌上手いって惚けて きたくらいです」

「歌上手いって思ってくれてたんだ...嬉しいなぁ」

「あ、あなた後輩におんぶにだっこで恥ずかしいとは思わないの?」

 

 そういって2人は少し赤面している。いや、あのね、そういえばあいつらは歌上手いって言っただけなんすよ...べ、別に惚けてなんかいないんだからねっ!

 

「で、ではどうしましょうか。折角良い意見が出た事だし難しい所ね...」

「あ!じゃあ2つともやればいいんじゃない!?」

「あのなぁ、それは規模的にむずk」

「いいじゃないですかそれ!どっちもやればお得ですよ!」

「そうね...予算的に厳しい部分があるとは思うけれど、不可能ではないと思うわ」

 

 いやちょっと待って欲しい。クリスマスイベントの開催日まであまり日はない。つまりここから計画を詰めて、実行するための時間が足りなくなる可能性が高い。しかもこちらの動ける人数は俺ら4人+声をかけて手伝ってくれそうな人しかいないんだぞ。その事を雪ノ下に伝えると、一言良い笑顔で返ってきた。

 

「私達がやるのよ?」

「ふっ...」

 思わず苦笑がこぼれる。前までなら私がやるのよ?って言ったはずなのにな。...随分と信頼が厚くなったもんだ。

 

 

 

 

 

 さて!仕事が待ってますよ!帰ってからも仕事仕事ぉ!!




後日、いろはすと八幡の会議interlude書きたいと思ってます!

あと今回改行多めにして(個人的には)見やすくしたつもりなんですけど、どうでしょうか...


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interlude① 彼と彼女の会議?

interludeって俺ガイルのパクっちゃったけど、この使い方で合ってるのか...?


 

 

「で、どこ行きます?」

「サイゼに決まってるだろ」

「は?と言いたい所ですが、先輩と行くならそんな所で十分ですね」

「は?サイゼ馬鹿にすんな?あんなに素晴らしい値段と味の両立を達成してる店は他にないぞ?」

「けど雰囲気は0点ですよね〜」

「本格イタリアンだぞ?」

「あれのどこがイタリアンなんですか?詳しく教えて頂きたいですね〜」

「...ほ、ほらでかい絵があるじゃん」

「あんなの適当にぽーんてかけてあるだけじゃないですか」

「...」

 

 俺のサイゼ愛を持ってしても論破出来ないだと...これはもう一度サイゼを1から学び直す必要があるな。やっぱり相談なんてしてないでサイゼについてお勉強しようかしら!そんな感じでサイゼについて熱弁し、それを批判されを繰り返しているとサイゼに到着した。

 

「お前何頼む?エスカルゴ?」

「なんでいきなりマニアックなのチョイスするんですか...ドリンクバーとドリアでいいですよー」

 

 こいつ、意外と庶民的だな...てっきり今日は先輩の奢りですよね!とか言ってサイゼの中ではお高いメニューを頼むかと思ってたのに...ほら、小町とかそういうタイプだし。お兄ちゃん、お財布ピンチなのになー。

 

 

 

 

「さて、クリスマスイベントにやる事考えますか!先輩はなんかやりたい事ありますか?」

「それでポンと出てくるなら今ここにいないんだよなぁ.」

「ま、ですよね、期待はしてません」

「ちょっと?それはそれで酷くない?」

「先輩なんで、そんなもんかなと」

「全く期待されてないな.」

「だって先輩ですもん」

 

 後輩からの扱いが酷い...期待度0!これはビシッと良い意見出してとっとと帰ることにしよう!

 

「じゃあ...プレゼント交換会なんてどうだ?」

「小学生ですか?あれは仲間内でやるから面白いんですよ。そんなイベントに集まった不特定多数の人でやったら惨劇は免れませんよ」

「え、そんなに?」

「じゃあ先輩考えてみてくださいよ。誰からか分からないよく分かんないデザインの櫛とか貰ったら嬉しいですか?こーいうのって男子は未婚の女に櫛渡すのは求婚って意味があるとかいって告ってくるんですよ?気持ち悪くないですか?」

「.」

 

 そうやって男子高校生の心を潰すのは良くないと思うよ?もうね、潰す所じゃないね、リンチよリンチ。酷い。何より一般的な女子高生はこんな事考えてるって分かっちゃって僕は悲しいです。

 

「ならそうだな......無理だ、俺には思いつかん」

「先輩は小学生レベルって事ですね〜」

「ぐぅの音も出ねぇ...じゃあお前は意見なんかないの?」

「そうですねぇ...折角なら高校生っぽい事やりたいですけど何かありますかね〜」

「高校生っぽいか、わからんな.」

「う〜ん」

 

 そんな感じでうんうん唸っていると、一色が何か思いついたらしい。

 

「カラオケとか高校生っぽくないですか?」

「ああ、確かに高校生とか大学生がよく行くイメージあるな」

 

 俺も1人でよく行くし!楽しいよ、1人カラオケ!

 

「となると歌ですから...ライブとかどうですか!」

「お、いいんじゃねぇの。文化祭でもやってたし歌上手いから披露したい奴もいるだろ」

「そーですね〜、それでまたラブソング歌う奴いるんですよね〜」

「何?君男子に恨みでもあるの?」

「そんな〜ある訳ないじゃないですか〜!荷物持ってくれますし!」

 

 やっぱこいつやばいわ。早く何とかしないと...

 

 

 

「そういえば結衣先輩と雪ノ下先輩って歌上手いんですか?」

「そうだな...上手かったと思うぞ、文化祭で歌ってたの知らないか?」

「そうでしたっけ...あ!文化祭の最後に歌ってた奴ですね!聞いてましたよ!」

 

 そう、あの文化祭。俺にとってとても思い出深く、かつ形のない何かを手に入れた時だ。舞台の遠く2回、2人を眺めた事を思い出す。あの時から俺は、俺達は成長しているだろうか。安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長とは呼ばない。今の俺達は安易でも、妥協でもない、考えに考えて考え抜いて、生徒会という形に落ち着いている。だからきっと俺達は...

 

「おーい、せんぱーい、聞こえてますかー」

「あ、ああ、すまん」

「急に黙るからびっくりしましたよ!さてはあれですか、結衣先輩達の事思い出して惚けてたんですか?」

「ば、ばっかちげぇよ、ほらあれだ、俺も歌上手くなりたいなーみたいな」

「先輩には無理ですよ。大人しくお経でも呼んどいて下さい」

「なに、もしかして俺に成仏しろって言ってる?」

「とりあえず、目は成仏してますねー」

「ひでぇ.」

 

 もう、いいかな、八幡大菩薩になっても。

 

 

 

 

「てことで、私達の案はクリスマスライブでいいですかね?」

「おう」

「じゃあ解散って事で!先輩、送って下さいよ!」

「え、やだ」

「こんな可愛いJKを暗い中1人で帰すんですか〜?」

「自分で言ってりゃ世話ねぇな...ま、駅まで位なら送ってやる」

「お、じゃあ後ろ乗せて下さいね〜」

「捕まりたくないからやだ」

「確かに先輩の目だと職質されたらやばそうですもんね、遠慮しときます」

「こういう時だけ引き早いな.」

 

 無事(?)に2ケツの拒否に成功した俺は、一色にずっと聞きたかった事を聞くことにした。

 

「なあ、なんで生徒会入ろうと思ったんだ?元々生徒会長どころか生徒会すら絶対嫌って感じだったと思ったんだが」

「そうですね〜、最初は絶対嫌って思ってたんですけど、私思ったんですよ。私を陥れた奴らに笑われないように、超充実してやりたいなって。あと、先輩達見てるの面白いからですかね!」

「なんだそれ.」

「だって先輩達超もどかしいじゃないですか、そういうの見てるの楽しいなって!」

「お前...ホントいい性格してるな」

「お褒めに預かり光栄です!」

「...」

「ま、いざとなれば私を頼って下さい!いつも面白い物見てる分くらいは、お願い聞いてあげます!」

「...そうか」

「はい!」

 

 全く、俺達に構うなんて世話好きな奴だ。普段は仕事押し付けられるからあれだが、実はいい奴なのかもしれない。それこそ、俺の願いを叶えてしまう程に。

 

 

 

 

 もし、俺の願うものを与えられるのなら、欲しいものがもらえるのなら、やはり俺は何も願わないし、欲しない。与えられるものも、もらえるものも、それはきっと偽物で、いつか失ってしまうから。だから、与えられるのではなく助言を。魚を与えるのではなく取り方を。それがこの生徒会、ひいては奉仕部だった俺達の理念だから。

 

 だから、きっと求め続ける。

 






評価つけてくれる方が増えたおかげで、評価ゲージが伸びるの嬉しいですね!MAXになれるように頑張ります!


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彼は選択を提案する。

評価くれる方も、通算UAも沢山ありがとうございます!ところで、FGOの夏イベ怖いってマジですか?


 

 

 あれから1週間が経ちました。現在の俺はというと...過労で死にそうです。なんでって?そりゃもう、仕事(モンスター)が次から次へと俺の元にやってくるからです。なんだそれ、バーサーカーソウルかよ。もうやめて!八幡のライフは0よ!あの無茶な企画をやり通すと決めた我らが生徒会長様は、俺より更に死にそうになってます。その頑固さは見習いたいが、こいつはほっとくと体調崩すまで仕事やめないからな...ここは1つ休ませる何かが必要だな。てことで。

 

「由比ヶ浜、何かいい案はないか?」

「丸投げ!?えー、そうだなー...いろはちゃんなんかない?」

「先輩なんかないんですか?」

「1周しちゃったよ...まあ寝るのが1番なんだが、それだと私はちゃんと睡眠をとっているわ。とかで納得しなさそうだしな...」

「うーん、パソコンばっか使ってるし体も冷えちゃうよね...」

「それだ!!」

「うわっ!ヒッキーどうしたの!?」

「サウナへ行こう!サウナはな、乱れた自律神経を整え、リラックスすることにより、以後の仕事の効率をあげる!」

「急に元気だし!?」

「なんたって俺は一流のサウナーだからな」

「さ、さうなー...へー」

「先輩の目が腐敗進みそうですね」

「残念だがもう腐りきってるからこれ以上腐りようがないな」

「開き直ってるし!?」

 

 俺達のボケと由比ヶ浜のツッコミが留まる所を知らない。いつもなら逆のはずなんだが...

 

「じゃあ、雪ノ下の説得頼むな」

「任せて!」

 

 そうやってパタパタと駆けていく由比ヶ浜。まあ、彼女なら問題なく雪ノ下を動かせるだろう。

 俺のサウナー魂は是非俺ガイル14巻を見てね!...ん?俺は何を言ってるんだ?

 

 

 という事でやって来ましたサウナ。残念ながら今日男は俺しかいないので、1人ぼっちで入る事になってしまった。なんで!なんで戸塚がいないんですか!戸塚がいれば俺は何時間でもサウナに居れるのに!そんな感じで1人寂しく温まるつもりだったのだが...

 

「やあ、奇遇だね」

「げ、葉山...1人なんて珍しいな」

「いや、サッカー部の奴らと来たんだが、もう皆あがってしまったよ」

 

 そう言われてみれば確かになんか見覚えのあるやつがいたようないなかったような...ウェーイ!とか聞こえた気がするし。

 

「君は1人かい?」

「いや、雪ノ下達と来たぞ」

「ハーレムじゃないか、良かったな」

「それは本気で言っているのか?」

「事実だけを見ればまさしくハーレムじゃないか」

「...まあ、確かにそうか」

 

 あれ、葉山くんこんなキャラでしたっけ?なんか俺に対して当たり強くない?

 

「なんかお前、そんなキャラだったっけ?」

「こんな事を言うのは君にだけだよ」

「おい、そのセリフやめろ。海老名さんが聞いたら鼻血所じゃ済まなくなる」

「それはまずいな...」

 

 そこはちゃんと共通認識としてあるらしい。良かった、これ以上三浦おかんの手を煩わせる訳にはいかない。

 

「ところで、君達は...クリスマスイベントの準備中か?」

「ああ、よく知ってんな」

「ホームページが作られていたし、結衣が絶対来てね!だとさ」

「なるほどね、当然といえば当然か」

「頑張ってくれよ、生徒会」

「残念ながら俺は役付きじゃないんでね」

「補佐は得意じゃないか。良いイベントになる事を期待してるよ」

「ちっ、うぜぇ...まあ、顔くらい出せよ。喜ぶ奴は沢山いるぜ?皆の葉山隼人くん」

「言ってくれるね...君は3人の中から誰を選ぶのか、選ばないのか...楽しみにしているよ。あと、何か俺に手伝える事があれば言ってくれ。修学旅行の依頼の借りを返したい」

 

 そう言い残して葉山は出ていった。あいつは1回〆なければ気が済まない!だが、労働力として名乗り出てくれたのは非常にありがたい...使い潰してやるか!

 

 

 

 

 

 

「という訳で今日から手伝ってくれる事になった葉山隼人君です。みなさん、仲良くしましょうね」

「俺は転校生かなにかか?」

「葉山先輩手伝ってくれるんですかぁ〜!嬉しいですぅ〜!」

「やあいろは、生徒会頑張っているみたいだね」

「そうなんですよぅ〜もう最初のイベントから仕事だらけでぇ〜」

 

 あざとさ全開で葉山に絡みに行く一色。いつもと違いすぎてもはや別人に見えてくるな...

 

「比企谷くんが連れてきたの?」

「ああ、自ら労働力として名乗り出てくれた」

「あら、どこかの誰かより余程労働意欲があるじゃない。いっそ代わってみたらどう?」

「サッカー部の部長なんて死んでもやりたくないからごめんだ」

「そうね、あなたなら1日と言わず1分で根をあげそうね」

「いや、それ以前に行かないという選択を取るに違いないな。ところで由比ヶ浜はどうした?」

「由比ヶ浜さんは別件で席を外しているわ。何でも、ケーキの構想を考えるとか」

「なんであいつに任せたんだよ...絶対やばいのくるって分かるだろ」

「仕方ないじゃない...由比ヶ浜さんの天然人落としは凄まじいわ...」

「それはまあ、言えてるな」

 

 事実、あいつの上目遣い+涙目+抱きつき(雪ノ下限定)に勝てる奴はいないと思う。なんなら上目遣いだけでも無理。

 

「やっはろー!あれ、隼人くんじゃん!どうしたの?」

「やあ結衣。俺もクリスマスイベント手伝う事になったから、何かあれば言ってくれ」

「ほえ〜、ヒッキーが呼んだの?」

「そんな感じだ」

「ヒッキーやるじゃん!交渉得意だね!」

「まあ、あれだ、頑張ればなんとかなる的な...」

「?」

 

 修学旅行の事を言う必要はないだろう。まあ、彼女なら知ってるかもしれないが。ともかく、労働力が増えたのは良しとしよう。

 

「とりあえず今日はもう帰っていいぞ」

「え、いいのかい?」

「今日はそんなにやる事ないしな。顔見せだ、顔見せ」

「流石に葉山くんの顔は知っていたのだけれど...」

「あれだ、俺なりの仕返しだ」

「それなら安心ね」

「俺は骨折り損じゃないか...」

「そういう事もあるさ、葉山隼人くん」

「比企谷...言うようになったじゃないか...まあ、手伝わなくていいなら今日は部活に行くよ」

「おう、とっとと行け行け」

「呼んでおいて酷くないか?」

「葉山先輩毎日来てくれていいんですよ?そしたら、私が喜びます!」

「いろはこそ、毎日サッカー部に来てくれてもいいんだよ?」

「が、がんばります!」

 

 何を頑張るんだよ...分身でもするんか?しかもこいつ葉山の扱いちょっと雑になってないか?いや、仲良くなった的な感じか?ま、どうでもいいか...

 

 

 

 

 

 今日の作業が終わりました。速やかに下校し小町に会いに行きます。のはずなんだが、由比ヶ浜がケーキの本を持ってなんか喋ってる...嫌な予感ががが。

 

「でねでね!ここのケーキ美味しそうじゃない!?」

「確かに美味しそうね。種類も沢山あるそうだし、参考になりそうね」

「だよねだよね!だからさ、今日金曜だし明日か明後日行かない?」

「その、申し訳ないのだけれど、この土日は用事があるから難しいと思うわ」

「私もサッカー部の練習試合があるので流石にそっちに顔出そうかな〜と」

「俺は録画しておいたアニメとか見なきゃ行けないから難しいかな〜」

「そっか〜残念だな...ってヒッキーだけ理由おかしいでしょ!そういうのはいつでも出来るでしょ!」

「いやほら、最近忙しいし...」

「ならクリスマスイベント終わるまで我慢!」

「ぐへぇ...」

「じゃあヒッキー明日行くよ!」

「...わーったよ」

「じゃあ明日の10時ね!」

「へーい」

 

 俺の休息の日が片方潰れた...しくしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜interlude〜

「結衣〜、ご飯出来たわよ〜!」

「は〜い」

 

 明日はヒッキーとデー...お出かけが決まった。どんな格好で行こうかな...小町ちゃんに好み聞いとこうかな...う〜ん...

 

「結衣〜、ニヤニヤしてどうしたの〜?まさか、ヒッキー君と何かあったの?」

「へ!?そそそそんな事ないし!」

「何かあったのね〜ほらほら、ママに言ってみなさい?」

「...あ、明日クリスマスイベントのケーキの下見に行くだけだし!」

「なるほどなるほど、それでヒッキー君と2人だからニヤニヤしてたのね!大方デートだ、どうしよう〜みたいな感じかしら」

「...」

 

 図星過ぎてぐぅの音も出ない...流石はママって感じ...

 

 

 あの後もじんもん?されて全部聞かれちゃった...まあ、コソコソしなくて済んだのは良かったけど。

 

「えへへ」

 

 ダメだダメだ!つい顔が緩んじゃう!今日は早めに寝て、送れないようにしないと!ヒッキーに楽しんでもらえるように頑張んなきゃ!

 

 

 

 

 

 まって。あたし明日10時にどこに行けば良いんだろ?

 

 

 






次回!デート回!ガハマさんの可愛い感じ描けるだろうか...


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そして、彼と彼女のお出かけが始まる。




見てくださってありがとうございます!
俺ガイル[完]のアニメだけだと絶対話分からないと思うんですよね...とくに8話の葉山くんらへんががが...


 

 

 

 

 時刻は朝7時。俺はというとベッドの中で天使と睡魔と格闘していた。

 

「ダメだよ八幡、由比ヶ浜さんとお出かけするんでしょ?」

「せんぱーい、今日は愛しのベッドちゃんとおねんねしましょうね〜」

 

 ...俺の中の天使と睡魔のイメージが酷い。天使はこの上なく天使なんだが、睡魔のイメージがもうね。いや、適任ではあるが。そんな感じでうんうん唸っていると、ふとある事に気がついた。

 

「俺は10時にどこに行けばいいんだ?」

 

 これは致命的ですね。行かなくていいに決まってる。おやすみなさい。まさかあの天使が負けるなんて...堕天使になって帰ってきたら一緒に堕ちちゃいそう。

 

 

 

 

 

 

 ...ドタバタうるさいな。誰だ?わが眠りをさまたげる者は?我が名は...いやいつから俺は地獄の帝王になったのか。グゴゴゴゴ。

 

「お兄ちゃん起きて!結衣さん来たよ!」

「うわびっくりしたぁ、なんだ小町..」

「だから結衣さん来たんだってば!早く準備して!」

「へ?まだ朝の7時だぞ?早すぎるだろ..」

「何言ってんの!もう8時だから!ほらさっさと起きて!準備!」

 

 どうやら天使と睡魔の戦いは1時間もかかっていたらしい。グゴゴゴゴ...。なんということだ...。この僕がたった60ターンでやられてしまうとは...。いや60ターンもかかってるのかよ。だが俺なら永遠に1ターン目で止まってるに違いない。たたかうがおでかけに変わってそう。って、いかんいかん。人を待たせるのは良くないしとっとと準備しないと。また生徒会長にでも報告されたら氷の目で睨まれてしまう...

 

 

 

 

「えへへ〜、来ちゃった!」

「..」

 

 お前マジそういう事言うのやめろ。いやマジで。しかもこれ狙ってやってないってのがもうね。こいつには1度お説教をですね...

 

「ほらほら、時間もったいないし行こ行こ!」

「分かったからちょっと待って..」

「じゃあ小町ちゃん、ヒッキー借りてくね!」

「どうぞどうぞ!なんなら一生返さなくていいですよ〜!」

「ちょっと小町ちゃん?お兄ちゃん泣いちゃうよ?」

「はいはい、とっとと行っといで」

「はい..」

 

 小町のお兄ちゃん離れが進んでるのかしら...

 

 

 

 

 

 

「ど、どうしよっか..」

「..」

 

 俺達は今目的のケーキ屋の前にいる。さあ入店といきたい所だが、まさかの臨時休業とは...いや仕方ないとはいえタイミング悪すぎない?てか今となってはどうでも良い事だが、まだ朝9時過ぎなのにケーキ食おうとしてたのか...いや、こいつなら何の問題もないのだろう。うん。頭の中ケーキで出来てそうだし。頭はケーキで出来ている。無限のケーキ製。

 さて、マジでこの後どうするか...うんうん唸っていると由比ヶ浜が提案してきた。

 

「次の駅舞浜だし、その..」

 

 ...彼女が言おうとしている事は分かるがその理由がない。しかし、いつかの願いを叶える事はずっと前から決定している。あの時から溜まりに溜まったツケはきっと莫大な利子になっていて、既に俺がすぐに返せるような物ではなくなっている。だから、彼女が望むなら。少しでもそのツケを返す事にしよう。

 

「...分かった。ディスティニー行くか」

「!うん!行く!」

 

 その笑顔を見て、俺はまちがえなかったと知った。

 

 

 

 

 

 

 来ちゃったよ、ディスティニーランド。しかも女子と2人で。長年ぼっちの俺にはキツすぎる...けれど。隣にいる彼女の満足そうな笑顔を見ていると、不思議と落ち着いた気持ちになる。それはきっと、彼女だからこそだろう。思えば俺はずっと彼女に助けられて来た気がする。救われてきた気もする。だからだろう、こんな、俺には相応しくない場所で、こんなにも楽しいと思えるのは。

 

「ねーねーヒッキー!次何乗る?」

「そうだな...そろそろさっき取ったファストパスの時間じゃないか?」

「あ!そだね!じゃあスプライドマウンテン行こ!」

「前の方じゃないといいな..」

「た、確かに...濡れちゃったら寒いよね..」

 

 

 

 まあ、案の定と言うべきか。俺達は1番前の席に乗ることになってしまった。あの水しぶきは乱数のように濡れる時と濡れない時があるが、悲しいかな。僕達、ずぶ濡れです。タオルで拭いても焼石に水で、どうしても寒さが襲ってくる。

 

「由比ヶ浜、なんか上着でも買うか?流石にこのままだと風邪ひいちまう」

「そ、そうしよっか。拭いても無理だもんね」

 

 という訳でその辺の店に入ったのだが、さっきから由比ヶ浜が黙りこくっている。てっきり店に入った瞬間に「これみてヒッキー!」とか言ってくると思ったのだが...そうやって不思議がっていると由比ヶ浜がしずしずと話しかけてきた。

 

「ね、ねぇヒッキー...ペアルックにしない?」

「...はい?」

「だ、だからその...ペアルックにしよ?」

「..」

 

 さっきから黙りこくってた原因はこれか。とんでもない事言ってくれたな...流石に恥ずかしいからどうやって断ろうかと考えていると...

 

「や、やっぱダメかな...?」

「ぐっ..」

 

 必殺技の上目遣いを使ってきた。しかも彼女の表情は他の何よりも彼女の心を示している。由比ヶ浜は普段から割とすんなりお願い事をするタイプだ。だが彼女にとって、あるいは俺やここにいない彼女にとって重要な事は途端に言い出さなくなる。俺の知る誰よりも優しい彼女は、大切に思っているものを守ろうとして、その結果手放してしまう。それはとても心苦しいことだ。だからこそこうやって彼女自身のお願いは、聞く事にしよう。今まで甘えてきたせめてもの償いとして。

 

「まあ、なんだ、それにするか」

「いいの!?」

「おう、気が変わらないうちにな」

「わ、分かった!レジ行こ行こ!」

 

 まさか女子とペアルックする日が来るとは...いや待って、恥ずかしすぎない?自意識過剰なだけ?

 

 

 

 

 







長くなりそうなので何話かに分けます!すみません!


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お出かけ①

果たして覚えていてくれておられる方がいらっしゃるのか。遅くなったというより失踪していたの方が正しいですね。
大変申し訳ございません。リアルの方が多忙すぎて小説を書いている余裕がありませんでした。
本当に久しぶりに書いたので、短めかつ間違い等々あると思いますが、再出発頑張っていきたいと思います。
以前読んでくださっていた方、いらっしゃいましたらコメント頂けると幸いです。私の活力兼支えて頂いているという義務感が出ると思うので...


 

 

 さあ、着てみました。ええ、着ましたよ。男八幡、まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。なお実際は360曲がっていてまっすぐな模様。ところで由比ヶ浜さん遅くないですか?いや女の子の着替えは遅いということに理解はあるが、それにしても遅い。もしかして恥ずかしがってるとか?彼女のことだ、一見ペアルックなどとうに経験済みと見せかけて初ってパターンという事だろう。やだ、お互い初めてのペアルックですって!初々しいわね~!是非この妹に見せてくださいまし!......うっ、幻聴か?

 そんな感じでトイレの前で妹からの母ビームに苦しめられていると、背中をトントン叩かれた。

 

「えいっ」

「うぇっ」

 

 皆さんご存知頬を指で突くあれをされました。あれの正式名称なんて言うんだろ?指銃か?

 

「ど、どうかな...?」

「そりゃお前、俺と同じ服着てるんだからネガティブになるに決まってんだろ」

「その発言が1番ネガティブだ!...んで、どう?」

「...よくお似合いで」

「うん!ヒッキーも似合ってる!おそろいだね!」

 

 ねぇあなたに恥ずかしさってないんですか?と思ったがよく見なくても分かる顔の紅潮...その顔に免じて許してやろう。我は寛大だからな!他の人に構ってる余裕はありません!......なんか暑くない?

 

 

 

 さてペアルック騒動から2時間程経ち、お昼時になってきた。さて、ここで問題です!由比ヶ浜さんがこういう時何が食べたいでしょう!答えは誰にも分かりません!なので素直に聞いてみましょう!

 

「なあ、昼飯なんか食べたいものとかあるか?」

「えっ、もうそんな時間!?....ホントだ、じゃあ何がいいか考えよう!」

 

 ディスティニーに来た経験がほぼない俺にとっては正に無限大の選択肢があるも同然だった。なので先程インストールさせられたディスティニーのアプリを使って調べていると、1つ目に留まるものがあった。それは由比ヶ浜も同じだったようで。

 

「「パンさんのクリスマスレストラン?」」

「みてみて、抽選で限定のパンさんがもらえるんだって!ここ行こうよ!」

 

 パンさんといえば我らが奉仕部部長雪ノ下さんが愛してやまないキャラクターだ。しかも限定グッズとなれば雪ノ下なら単身で当たるまで突撃していても不思議ではないが...流石にクリスマスだしないか?いやでもありえなくもないな...もしくは転売ヤーから買っていそうでもある。転売ヤー絡みではトラブルも多いと聞くから、なるべく頼るのは避けてほしい所だが...何しろその物が欲しいのではなく、その物の金銭的価値にしか目がいかない連中だ。転売とは、人が持つその物が本当に欲しいという弱みに漬け込み、金銭を巻き上げる行為に等しい。

 ある時、世の中には仲介業を営んでいる人がいる。自分はそれと同じだとのたまう奴がいた。確かに結果は変わらないかもしれない。誰かから誰かへの橋渡しという点では確かに同じだ。だが両者が納得し、望まれたものじゃない。過度に値段を吊り上げ、自分の利益にしか眼中にない。それはまるで風の噂のような。尾ひれがつき、事実や価値とは異なる何かを突き付けられるのだ。

 

「愉快だから。」

 

 そんな理由で。減るものは金か人の心か。その違いはあれど傷つく人間がいる事。それは変わらない。

 

「勿論構わないが、クリスマス限定となると...」

「?」

 

 ほら、クリスマス限定だとカップル限定イベントとかが付き物でしょ!八幡君キャパオーバー近いんだから少しは配慮しなさいよね!

 

「よくわかんないけど、ここにしよう!」

 

 こんな時だけ察しの悪い由比ヶ浜さん。しかし限定グッズはディナーのみだそうで、違う場所へ行きましたとさ、ちゃんちゃん!..........ねえそれもしかしてよりロマンティックな雰囲気ってことじゃない?

 






読んで頂きありがとうございました!またこれから頑張っていきます!


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お出かけ②

タイトルが思いつかなくて逃げた者です。許してください...




 

 昼飯も食べ終わり、次は由比ヶ浜が子供の頃から好きなアトラクションがあるということなのでそこに向かっている。

 

「さっき言ってたお気に入りのアトラクションってどんなのなんだ?」

「銃打つゲームだよ!超楽しいよ!」

「ああ、あれか。確か名前は...パスファインダーのカストロブラスターだっけ?」

「全然違うし!てかパスファインダーって誰だし!」

 

 あ、この子パスファインダー知らないのね...まあゲームとかやらなそうだしそりゃそうか。ちなみに俺はいつもヴァルキリー使います。え?イメージと違うだって?1人で浮けるってイメージ通りじゃない?てかパスファインダーの方突っ込んでくれて助かったな...

 

「そうだ!点数で勝負しようよ!勝った方は負けた方に命令出来るってことで!」

「どっかで聞いた事あるな...てか俺初心者なんだけど」

「うーん...じゃあカートの操作はあたしがやるよ!ハンデってことで!」

「まあ、いいか。勝ったら俺の命令を聞ける覚悟があるってことだな?」

「えっ!?そういうお願いはちょっと...その...時間欲しいっていうか...変態!」

「ひでぇ...」

 

 ちょっとこの子何想像したのかしら...そういう反応されるとこっちまで伝わって来るからやめて欲しい...

 

「でもあたしが言い出したし乗った!だって勝てばいいんだし!」

 

 

 

 

 

 さて、皆さんはどのような結果を望んだでしょう。恐らくはわたくし、比企谷八幡が勝利しあんなことやこんなこと...という結果だと思います。しかし現実とは残酷なもので。結果は俺の惨敗。なんでかって?敗因は由比ヶ浜さんにカートの運転を任せたせいですね。いちいち体動かすもんだから、腕とか当たって銃の照準がまるで合いませんでした。くそぅ...

 

「んで、何命令するんだ?言っとくが金銭的余裕はないぞ」

「そんなん求めてないし!...そしたらまだとっとく。」

 

 なんかそう言われると怖くなってくるな.....だってこいつ下手するととんでもない事に使ってきそうだし。

 

「次もういっこ行っときたいとこあるんだけどいい?」

「ああ、いいぞ。二度寝したおかげで体力にはまだ余裕がある」

「お!ヒッキーにしては随分前向き!じゃあ早速レッツゴー!!」

「お、おー」

 

 彼女は基本いつも元気だが、今日は特に元気溌溂だ。元気の広告塔になっても良いと思う。そう思えるほど楽しんでくれているという事実が単純に嬉しい。ここまでひねくれてしまった俺だが、それでも彼女はいつでも眩しく見える。他の人にもそう見えるように。願わくばこの輝きが色褪せる事のないように。維持ではなく、更なる輝きを。人とは年を取り、文字通り年季が入る。ある人はパンのように外見も中身も腐る。ある人は卵のように外見は一見普通だが、中身が腐る。ある人は金塊のように変わらない事もあったかもしれない。でも。彼女にはワインのようになってほしいと思う。日々熟成され、いつか最高の領域に至るために。熟成とは、放置ではない。だから、俺が。雪ノ下が。彼女に魅せられたすべての人間が。彼女の輝きの為に彼女と関わってほしいと、切に願っている。

 

 そのそばに、俺がいてもよいのだろうか。その問いに俺はまだ答えられない。

 

 

 

 

 

 

 段々と日が陰ってきたからだろうか、クリスマス仕様になっている街灯が点灯し始めた。

 

「もう暗くなってきたね~。早いな~...」

「冬真っただ中ってのもあるが、もういい時間だからな。レストラン行くならそろそろアトラクションは考えて乗らないとな。」

「そしたらあれ乗りたい!」

 

 由比ヶ浜が指さしたのは、目の前にそびえ立つ氷山が模されたジェットコースターのアトラクションだった。ちなみに俺はあのアトラクションの正式名称が分からないんだが、何と言うのだろうか。アイスバーグマウンテンか?微妙に語呂悪いな...それならアイスプラッシュマウンテンか?いやそれとも...そんな脳内会議をしていると、もう由比ヶ浜が並んでいた。

 

「ヒッキー遅いよ!早く並ぼ!」

「あー、ちょっとだけ待ってくれるか?」

 

 この長い列に並ぶとなると、2時間は見た方が良いだろう。ならさっき見つけた...

 

「春巻!」

「一応スプリングロールって名前らしいけどな、まあまあ並びそうだし小腹空くだろ」

「ヒッキーが紳士だ...どうしちゃったの?熱ある?」

「バカ言え、俺はとても気が利くんだぞ?こういう所に来た時は他のメンバーの邪魔にならないように事前にはぐれておく程だ。」

「せめてついていきなよ!?心配されるでしょ!」

「本当にそう思うか?」

「.........」

 

 そこで黙るのが何よりの証拠だね!ちなみにこれは校外学習で行かされたのだが、俺自慢のステルスヒッキーにより、先生にすら見つかることなく最後まで人間観察に勤しんだ。え?途中で帰れば良かったのにって?小町へのお土産をずっと悩んでました。リア充爆発しろと思いながら何度同じ店に行った事か。おかげでコンビニの常連さん並みにキャストの人から声かけられました。何かお探しですか?と。いやホントにほっといてほしい。それが仕事の一環なのだろうが。それでも僕はやめてほしい。

 

「でもあたしは心配するよ!ヒッキーほっとくといっつもすぐどっか行っちゃうし!」

「否定はできないが、流石に今日はしないぞ?」

「今日は、でしょ?だからやっぱりヒッキーはほっとけないね!」

「いやほっといてくれていいんだが...」

「やだね!あたし達でゆきのん支えなきゃだし、何よりヒッキーいないと寂しいよ!」

「っ...」

 

 こいつはまた恥ずかしげもなく言いやがって...いっそ録音して聞かせるべきか?その後そんなに俺にいてほしいですか~って聞いてやる。...いや俺の方がダメージ大きくなりそうだからやめておくか。

 

「っと、春巻冷めちまうな、いただきます」

「あっ、いただきます!......ん~、美味しい!」

「初めて食べたが、これうまいな」

「あたしもこの味は初めて食べた!そっちの味も気になるから一口頂戴!」

「ああ、いいぞ、ってもう食ってるし...てか」

「ん?どうかした?」

「い、いや、何でもない」

「???........あっ!」

 

 もうこの子のことは知りません!

 

 

 

 

 

 

 

 並ぶこと2時間弱。ようやく俺たちの番が来たようだ。実は比企谷八幡、このアトラクションに(恐らく)載ったことがないので割と楽しみだったりする。少なくとも俺の記憶にはない。

 

「綺麗...」

「だな...」

 

 どうやらこのアトラクションが期間限定のクリスマス仕様だったようで、愉快というよりは、氷から放たれる幻想的な雰囲気や曲によって見事にロマンティックさを出している。流石は千葉の誇りの施設だ。

 

「あ、サンタさん...小さい頃は本気で信じてたな...ヒッキーは信じてなさそう」

「そうでもないぞ?毎年願ってたからな、友達欲しいって」

「悲しすぎる!でもほら、今はあたし達がいるじゃん!お願い、叶ったね!」

「まあ、そうだな...」

 

 そんな顔で言われてしまったら皮肉の一つも出てこない。だが、ただ願い事を享受するのではダメだ。それではいつか失ってしまう。変わらないものはなく、変わることを恐れるのはいい。だが拒んではいけない。現状維持という選択は遅効性の毒と変わらない。

 

「由比ヶ浜は何を願ってたんだ?」

「そうだな~、普通におもちゃとか新しい服とかかな~」

「普通だな」

「ヒッキー見てると普通も良いものだって思えてくるよ...」

「ごめんね?もっと普通に見えるように努力します」

「今更だからいいよ...それにヒッキーが普通になったら逆に気持ち悪そう」

「ひでぇ...」

「ヒッキーは今欲しいものあるの?」

「5000兆円欲しい」

「現実的じゃなさすぎる!他にないの?」

「そう言われると難しいな...欲しいものは自分で手に入れるもんだと思うから、ソラに願う事はないな...お前は?」

「...........あたしはあるよ、欲しいもの」

「へぇ~、何が欲しいんだ?」

「全部」

「は?」

 

 由比ヶ浜の言った事の意味が分からず困惑していると、もうそろそろ最後の落下地点のようだ。夜の独特の空気と、クリスマス仕様のディスティニー全体の雰囲気が混ざり合い、まるで聖なる夜にソラを駆けている感覚に陥る。落ちることなく更に飛んで、願いを叶える星へと至るかの如く。

 

 今日は満月。その光に当てられた彼女の顔は、夢に見る姫のようだった。

 

 

 

「ねぇ、ヒッキー...」

 

 

 

 

 





続き頑張って書きます!後、前回コメントして頂いた方ありがとうございました!おかげさまでこんなに早く投稿できました!感想等頂けると本当に励みになります!



youtuberさんの気持ちが分かりました。


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私は全部欲しい。


遅くなってごめんなさい!!





 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 今日はとにかく沢山遊んだ。ヒッキーも珍しく前向きで、色んなアトラクションに乗って、ペアルックもしてくれた。この服は一生の宝物。しかもあたしのお願いを1つ聞いてもらえる事も決まった。それにこの後はレストランでディナーだ。

 もうこれ以上ないってくらい幸せな日だ。だって、あたしがいつかしたお願いを、彼が叶えてくれたから。

 

 今日は七夕とは程遠いけれど、まるで織姫になった気分だ。だから、あたしは欲張りな自分を彼に伝えられたらいいなって思う。今まで我慢してきた(させてきた)分、沢山のお願いを叶えたいなって!

 

 星に願いを。七夕の夜のように、積もった願いを叶える為の1歩を踏み出します。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしね、好きなの」

 

 俺は確かにその言葉を聞いた後、ソラに浮かぶような感覚に陥っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程の発言からしばらく、俺たちはパンさんのクリスマスレストランに来ていた。内装は流石ディスティニーというべきか、クリスマスという事で、パンさんというポップなキャラクターがいるのにも関わらず、ロマンティックな雰囲気になっている。これはゆきのんが来たら大興奮間違いなしですね、単身で突撃しても問題ない気もしなくもないような...いや平塚先生じゃあるまいし、考えるだけで悲しいから、お姉さん辺り連れて行ってね!多分絵的には映えるから!

 そんな素晴らしい内装に心惹かれているかといえば、そうではない。先程の由比ヶ浜の発言がどんな景色よりも気になるからだ。

 

「なあ、さっき言ってた事なんだが...」

「ごめんね、分かりずらくて。あたしはね、全部欲しいの。」

 

 そういうと由比ヶ浜は、同い年とは思えない程大人びた笑顔で、子供じみた事を語り始めた。

 

「あたしはヒッキーも、ゆきのんも、皆大好き。皆といると今日も楽しかったな〜って思えるし、こんな日がずっと続けば良いのになって思うの」

「いつか終わりがくるって分かってても、そう思うんだ...」

 

 学生生活は必ず終わりが来る。いや、何も学生生活にかぎらず、物事には終わりが来る。人の気持ちでさえ、きっと永遠ではないだろう。それでも、彼女は想い続けたいと。終わりが来ようとも、その度にそれを乗り越えて、守りたい何かがあるのだと、その目は訴えていた。

 

「まあ、何やかんやで付き合いは続いていくんじゃないか?」

「そうかな...」

 

 自分で言いつつ、その言葉の真実性を疑っている。恐らくそうはならないのだろうと、警鐘が鳴っている。なんとなくではダメだと。俺も彼女も、そしてここにはいない彼女もきっと同じ事を思うだろう。

 

「あたしは、ヒッキーとの時間も、ゆきのんとの時間も全部欲しいから、欲張りになる事にしたの!」

 

 実に彼女らしい結論だと思う。何か1つでは無く、全部を求め、その為に全力で行動する。二兎を追う者は一兎をも得ずというが、全てを求めて何が悪いのだろう。今の俺は、彼女を見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を話している内に、料理が運ばれてきた。メニューが予め決められていたのは幸運といえる。俺が注文しようものなら、噛み噛みになるのは間違いなかっただろう。え?店員との会話は得意だろうって?メニュー名が長すぎるんじゃ!!!

 由比ヶ浜も写真を撮りながら、ゆきのんに送ってあげよ〜とか言ってるし。大丈夫?それゆきのん1人で来る理由になっちゃうけど?本格的にお姉さんに連絡した方が良いかもしれない。

 そんな料理に舌鼓を打っていると、装飾が施されたドリンクが運ばれてきた。現代に適応出来ない俺の語彙力では表現が難しいが、簡単に言えばアイスに火がついている...ように見える。いや不思議。どうやってやってるんだろう。これは写真撮って小町に自慢してやろうっと!

 

「凄いねこれ、アイスに火がついてるよ!」

「ああ、これは素直に凄いって思うな...でも、すぐ溶けちゃわない?これ大丈夫?」

「溶けちゃう前に飲んでって事じゃない?」

「でもこの量だと甘党じゃなきゃ厳しいぞ...」

「ならヒッキーでも大丈夫じゃん!きっと大丈夫!多分ね!」

「物凄く不安になるからその言い方やめて?」

「でも結局飲んでそう、ヒッキーだし!」

「どういうことなの...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 じんわりと蝕んでいって、やがて溶けて、なくなってしまう。この美しく儚い何かはやがてなくなってしまう。それは今か。1秒後か。それとも1年後か。

 彼女は続けたいと言った。彼女は勇気を持って前に進んだ。では、俺は?俺の望みとは、何なのだろうか。その答え...いや、理由を、まだ俺は見つけられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






続きも頑張ります!!


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