漆番目の上弦 (魔剣グラム)
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軽い設定まとめ

今回のコレで設定編集は最後にしたいな…


 色々な鬼が主人公の作品があります。

ですが、人間の血と無惨の血。共に強化されるのに、違いとは何かを明確にしていない作品って多いな…と思ったのでオリジナル設定いれます。

 人間の血はエネルギー源兼強化薬(・・・・・・・・・・)。無惨の血は強化のみの劇薬という事にしました。

例えるならば、人間の血は成長期の人間の様にエネルギー源としても確保しつつ余ったエネルギーを成長(強化)に使う様なもの。

 逆に無惨の血はエネルギー源ではなく、心臓をもう一つ作り、むりやりエネルギーの総量を増やす様なもの。そんなものだと理解していただければ良いです。

 だから人間の血の方が健康的に成長できるのです。ですけど、鬼狩りに対抗する為には無惨の血の方が急速に成長できて良いという事ですね。

 どちらにしても身体にエネルギー(人間の血)を溜め込んでないとダメですけどね。

 無惨の血を多く与えすぎられた人間は身体がなぜ自壊してしまうのかというと、作り出されるエネルギーに耐えられないからです。

 普通自動車にジャンボジェット機のエンジンを着けて走らせたら。もしキチンとエンジンが廻ってそのエネルギーが十全にタイヤに伝えられたとしても、マトモに走ると思いますか?

たぶん創り出されるエネルギーに普通自動車(うつわ)がぶっ壊されます。それと同じ事が人体でも起こるというだけなのです。だから異形化という消費(・・・・・・・・)を行おうとして、それでもダメで崩壊するんですね。

 それを消費しきって鬼になれる人を順応できる人って呼ぶのですね。

最後に、なぜ、私が前作を読んだ人ってアンケートをとっているのか説明しておきますね。

 ちなみに、アンケートの結果9割近い方が新規の方です。

…マジメにありがとうございます…。

前作、BLEACHの最後に割りとマジメに脅したんですよねぇ…。

「僕が鬼滅書くと、哲学者の鬼って作品書くよ!」って。

で。書いたのがこの作品です。

 主人公割りと哲学者でしょ?ワケワカメな話を平気でするわ、主人公を言い負かすわ。

哲学ってどんな学問なのか軽く説明しておくと、

哲学って深く考える学問なんですよね。つまり、

私が前作の★〜☆の間に書いた事すらも哲学になります

あのおっぱい哲学にハマった人。哲学って小難しい話ばかりではないぞってわかってくれたら嬉しいです。

なんでも(・・・・)それこそなんでも(・・・・・・・・)深く考えたら哲学になります(・・・・・・・・・・・・・)

皆さんも私の様にくだらない事で哲学してみませんか…?



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ちゃんとした設定

ちゃんと神の視点での設定を頑張ってしてみました。

下の部分は別に読まなくて良いのですが、今作の基本設定と言うか、原作の考察と言うか。そんなものですね!
結構本気で書いたのですが、まだまだ甘い所はたくさんあると思います!

俺はこう思うよ!とかはコメント欄で大募集中ですね!
ぜひコメントください。
上の情報は随時修正されていきます。
新しい技とかを使ったらドンドン修正する予定ですね。
…たぶん、名前を追加するくらいですけど。


出てくる登場人物

 

主人公 本名大衆道楽(ダイダラボッチ)

あだ名 大楽

千年生きているせいで色んな事を深く考えまくったため、哲学者となった鬼。また変化が大好きで変化しないと全てのものに飽きてしまうという考えを持つ。

 

血鬼術: 巨躯体・矮躯体、爆雷、爆剛、鬼治し、金剛皇

の5つのみ。

ただこの鬼としての基本の基本をとことん極めた結果、最強の身体能力に。ただカウンター系には恐ろしく弱く、肉体的には強いが、空間作用系や幻覚系などには恐ろしく弱い。超絶過ぎるパワータイプである。

作中、最強の身体能力を持つ鬼だが、ハメ技には恐ろしく弱い。一応、千年間で対策も色々練ったがまだまだ未熟な点が多い。

喋るのは大好きだが、必死になると無口になる。

 

 

 

メイン脇役 鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)

あだ名(というかよくよばれる名前) 無惨

千年生きてる主人公とほぼ同期(コイツの方が先に鬼となった)の鬼。

パワハラ鬼。無残様。

だが主人公のする事には多少寛容(主人公がめちゃくちゃ強いため多少の諦め)だったりする。

下弦の鬼どころか上弦の鬼が死ぬ様な攻撃をしょっちゅう平気で繰り出す。心が読めるのに当たり前の様に避けられる主人公とはなんぞ?と思っている。

 

脇役 童磨(どうま)

 胡蝶家の仇である事は変わらず。基本、この鬼も不変である事が好き。主人公の事はそんなに好きではない。

万世極楽教とは、考えとしては近い宗教団体はオウムである。

 生老病死の中で、死ぬ事で全てが救われるという考えの宗教。死ぬ事で、生きる事や老いる事や病にかかる事の苦しみを感じる事もないよ!っていう宗教団体にこの話では敢えてしてみた。

 文字通り、狂鬼の宗教である。

 

 

 

 

鬼殺隊側

蛇柱

已黒少芭内

 基本的にはあまり変わらないが、今作で龍の呼吸を覚えた。

蛇の呼吸・陸の型も覚えた。

少し熱い所が今作の1番の変化ポイントであったりする。

蛇腹剣を使う。刀身を波打たせる事で殺傷能力よりも苦痛を与える事を目的とした剣である。

 

恋柱

甘露寺蜜璃

特に変化なし。

 作者が刀の説明したかったために呼ばれた。

鋼鞭剣(ウルミ)を使う。個人的には鞘にいれず腰帯とかタスキとか色んな所に隠せる剣なので(元々暗器として作られた剣)騒ぎになりづらい様に鞘にはいれず、身体に巻きつけてほしかった。そちらの方が需要ありそうだし、この剣の帯刀方法としては正しい。

 

蟲柱

胡蝶しのぶ

 童磨のために毒を飲むものの、特に喰われなかった。

刀の形がかなり特殊で先の方にしか刃がついていないものを使う。たぶんガチで作ったらマジで折れる。刺突系専門なら実際には細剣(レイピア)を使う事をオススメする。先端の方が太い剣(スクラマ・サクスとかもその類)もあったりするが、折れやすいのはどこまでいってもつきまとう。また、鞘に負担をかけやすくなるのもその類の剣を使う時に生じる罠だったりする。

゛蜂牙の舞 ゛→゛蜂針の舞 ゛に。

゛複眼六角 ゛→゛陽炎 ゛に。

名前を変更。

゛蟷螂の舞 ゛を新たに追加。

 

栗花落カナヲ

 花の呼吸の使い手。花の呼吸の新たな技「桜花」を作り出した、稀代の天才。目がめちゃくちゃ良いのは原作通りである。

壱分咲き・狂い桜

弐分咲き・夜桜 

参分咲き・山桜

捌の型 囲薔薇

を使った。

捌の型だけは違うがこれも原作にはないオリジナル技。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから下は興味ない人は読まなくていいです。

 

関係ある武器や用語の説明・考察

 

 

ヒノカミ神楽を舞うために、主に用いられている、七支刀。

(「ひちしとう」又は「ななつさやのたち」ともよばれる)

元々は「六叉の鉾(「ろくさのほこ」又は「ろくしゃのほこ」)」とよばれる。それを七支刀に刻まれている文字によって名前が変更された。原作では「八支刀」となっていたらしい。(読みは「はちしとう」又は「やつさやのたち」でいいのだろうか。又は「しちさのほこ」とか「しちしゃのほこ」になるのだろうか)

 

 

 ここが重要なのだか、どうやって使われていたのかは「謎」である。

 

 おそらく、「なんらかの儀礼に用いられていたのではないか」という予測が立っているのは本当の事だが、(形も強度も実用性が皆無のため)どうやって用いられていたのかは謎に包まれている。神楽を舞うのかすらもわかっていない。(軽く調べた所、地面に柄の部分を刺して、その年の豊作を願うものというものが有力候補らしい)

 

 先祖代々伝わる神楽というがこれが伝わって来たのはおよそ今から千三百〜千四百年前。西暦で数えると7世紀序〜中盤らしい。無惨誕生よりも遥かに二百〜三百年前。

しかも見つかったのは20世紀半ばと割りと最近なので、千年近く(もしかしたらそれ以上)忘れられた刀であった。

日の呼吸ができたと言うか、縁壱が産まれたのは今からおよそ4〜500年前だとすると七支刀はその頃からまだ眠っていた時代のハズ…?

そういう事を考えだすと七支刀の年代的には全然合わないのだが…。そもそも「神楽を舞う様に作られていなかったのではないか」という説が有力、というツッコミは言わぬが華なのだろうか?

(でもそういう所も作者は好きである。謎に包まれている所とかは大好き。カッコいいために作者は七支刀の形も舞も結構好きである。カッコいいなら割りとなんでも許せるものである)

 

 

 

 

 

 

ヒノカミ神楽について

ヒノカミがどういう字なのかわからない。

日之神なのか、陽之神なのか、緋之神なのか。

ただ共通するのはどれも赤いという事。

後、神の字が被るので個人的には読み難いと思う事。

(日之神神楽、陽之神神楽、緋之神神楽等)

赤とは火の象徴。そこも少し関係あるのかもしれない。

神楽を舞う時も、周りにたくさんの火を焚いていた。

神楽とは文字通り神を楽しませる舞である。それを奉納するもの。

…何に?

神社等で見ると思うが、神聖な場所で舞を神に捧げる。神楽とはそういうものである。だがあそこは神社仏閣等あるとは思えない所だ。舞を何に捧げるのか。

最初は太陽に捧げるのかな?と思ったのだが、()にその神楽は舞うらしいのだ。本当に対象がいない。

…いないなら廃れてもおかしくないと思うのだが…。そこは仕様だろうか?

 

 

 

 

藤の毒について

藤とはマメ科である。魔を滅するで魔滅の効果があるのではないか?という考察動画が出ていた。割りと説得力があった。

だが私はそれ以上に「性別」に意味があるのではないか?という考察をした。

「藤」とは「女性」を意味する花である。これは男女差別でもなんでもなく、本当に昔は女性を意味する花だったのだ。ちなみに男は松である。

これに童磨としのぶを組み合わせて考えると、私は恐怖を感じてしまう様な考察をしてしまう。

最終的に童磨はしのぶの「()」の毒で死んだのだ、と。

また、この藤の毒は、「女」しか使っていない事も恐怖を助長する要因の一つだったりする。

しのぶは「女」である。だから「()の毒」を身体に取り込んでも平気だったのではないか?と思ってしまう。だから私は童磨の終わり方を藤の毒で一瞬鈍らせる様にした。

(ちなみに本当に藤には毒がある。腹を下す程度の毒だが、危険なため、生で食べるのはあまりオススメしない)

 

 

鬼には血が必要

これは有名な吸血鬼(バンパイア)ではないかという説が有力である。血肉を喰らう最も有名な鬼だ。

日光にも弱いし、特殊な武器で頸を斬られたら死ぬというのも諸説あるが、おおまか正しい。

「ダレン・シャン」では血を飲むし、吸血鬼になるために、バンパイアであるクレプスリーから血を流し込まれている。一致する所が多い。

ただ、圧倒的に違う所は傷が治るスピード。人間よりは速いらしいが一瞬で治るわけではない。また、人間の延長戦上の様な存在で圧倒的に死ににくいが普通に致命傷を受けたら死ぬ所は決定的に違う。日光にも、バンパイアは弱いが一瞬で死ぬわけではない。日焼けするのはべらぼうに速いが。たぶんこの作品も含めていくつかの吸血鬼を意識的か無意識的にかは知らないが、「混ぜた」のではないかと私は考察した。

 

 

 

呼吸

実際の武術でも呼吸があるのは有名な話である。たいていの流派は、鼻から吸って口から吐くものがほとんど。タイ捨流等、中華の色を色濃く残す様なものは逆のものもあったりする。

水の呼吸!とか雷の呼吸!とかはない(当たり前だけど…)。息を吸って内筋(インナーマッスル)を鍛えるのが主な役目だったりする。又は発声して、力を十全に敵に伝えるためだ。

 

なぜ内筋を鍛えるかと言うと、「使う」からだ。

 

 示現流は腸腰筋と呼ばれる内筋を使い、「雲燿(うんよう)」の時間帯(約2万分の1秒の事)に行く事が奥義らしい。

先の先をとる剣術らしい。先に殴った方が勝つという、どこまでいっても単純で、強い剣術だ。コレで薩摩の剣士は生き残ったというのだから恐ろしい。(ちなみに、薩摩の剣士のバカな例として、敵陣正面突破の逸話があったりする。負け戦の後、敵陣の真ん中で孤立した薩摩軍は、「せめて薩摩で死にたい」みたいな事を言い出す。そのためには、正面の敵陣を打ち破るしかないと知った薩摩軍は、そのまま敵陣に正面から襲いかかり、打ち破って逃走しながら薩摩まで帰還した。薩摩につく頃には、1割ほどしか生存者は残っていなかったらしい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




たぶん、これが1番書いたと思います。
…設定が1番文字数多いって。…それでも四千字いかないって。
結構ヤバいですね!
後、ところどころ、修正してます。なんか、読み直して、面白そうな表現にガンガン変えてるので、ヒマな時に読み直してみてください。


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本編
上弦の枠を壊す…?


この鬼。凄く普通の鬼です!!


 降るような星空である。そんな夜に。

俺は喰っていた。人を。

 一日の目標人数は既に大きく超えていたが、腹ペコだったのである。

「…ヒッ!」

食料みっけ!

「29人目ェ!!」

その時。

 

ベベン

 

どこからともなく琵琶の音が聞こえて来た。

 

 気がつくと口の回りは血だらけで(コレは普通だ)見た事ある畳の部屋にいた(・・・・・・・・・・・・)

 

慌てて頭を下げてひれ伏す。いわゆる土下座の体勢だ。

 

そんな体勢であの食料、喰いたかったな…なんで思っていたら。

 

琵琶の音が響き、

 

鬼舞辻無惨がいつの間にか目の前にいた。

 

「私を目の前にして食い物の心配か?」

不機嫌そうに告げた。

 

「すまんね。あと少しだったモンでな」

 

無惨はビキビキと額に青筋を立てたが、堪えたらしい。

 

さすがは無惨様だ!!!

 

「何がさすがなんだ?」

 

…忍耐力?

 

それも読み取ったらしく、更に青筋を立てたが、

「まぁ、いい」

真剣な表情になって続ける。

 

「お前を上弦の漆の鬼に任命する」

 

その情報は完全に寝耳に水だった。仕事が増える!

イヤだ!!無惨のおつきになるのはもっとイヤだ!!

パワハラされるもん!!!

俺はこの千年で知ってる!!!

俺は慌てて自己の保身についての言葉を探しはじめる。

 

「イヤ、俺、もともと十二鬼月じゃねぇじゃん!下弦からじゃねぇの?そもそも陸番目までしかいねぇハズだし」

 

「下弦を解体した結果、戦力不足でな。急遽、上弦の漆番目を作る事にしたのだ」

そこで一拍おき。

「最近、下弦が全員死んでな。どうやら私の見込み違いだったようだ」

イヤ。下弦の2/3殺したのお前じゃん?めっちゃ圧迫して。

「そうだが?何か問題でも?もしかして思い入れがある奴とかいたのか?」

 

「問題って…」

…特にねぇな。上弦も下弦も会った事ねぇし。興味もねぇ。興味があるのは己の保身だけだ。

「それで?受けるのか?受けないのか?」

わかったよ。その件は。

 

「謹んで拝命させて頂きます」

 

コレで満足なんだろ?こう言うしかない。コレ以外は死ぬ。

全く上弦の漆番目とはね。

この俺が。笑えるぜ。

 

 

 

 

 

 脚を崩し、無惨と並んでダベり始める。さっきまでは上司と部下だったが、今は旧友だ。

…さっきまでも若干旧友だった気がしなくもない。

「私とほとんど同期の鬼だからな。期待しているぞ」

…そういやそうだな。ここで会ったが千年目の付き合いだ。

「それは少し違う。だが千年前と今とではだいぶ変わったな…」

 

着る服も、乗る車も、政府のあり方さえ全て変わった。

だが無惨はそれが許せないらしい。

 

「…私が最も好む不変とはほど遠い」

 

「俺は好きだぜ。「変化」ってやつはな」

 

俺が笑いながら言うと、無惨はそれがさも憎らしい様に言葉を紡ぐ。

 

「千年前となんら変わらんなお前は。そういう所は」

 

 そうだな。そういう意味では不変なのかもな。

 

「変化が好きな自分が不変である」

 

 言葉遊びみてぇだな。

 

「変化とはたいてい劣化にすぎないと何度も言ってるだろう」

劣化ではない変化もある。

むしろ改良とよべる変化もある。

そんな事は意地でも認めないんだろうな。

 

「イヤ。認めるとも。…青い彼岸花だ」

 

なるほど。自分が完璧になるための変化は改良なのか。

究極な自個中心主義(エゴイスト)だな。

 

「うるさい!!」

ブンと振り回される触手。

あっぶなあ…!

もし避けなければ頭パァンだったぞ…!

 

お前の頭と違って脳みそ入って…!?

またブォンと振るわれる触手。なんかラクダに近いなきまねをしている印象がある。若干かわいい声してる気がする可能性が微レ存。

「…まったく。こんだけの事を話すのにずいぶん時間がかかってしまった。…任せたぞ。私の同期」

あぁもちろんだとも。

「任せとけ」

鬼殺隊の殲滅と青い彼岸花の取得だな。

 

………………ムリだな。

 

今度は締め出された。琵琶の音と共に。そして急に襲ってくる現実。

 

 

 

 

1人喰いそびれた…!!!あのクソ無惨!!!

俺は無惨に今度人1人貰う事を誓ったのだった。

 

 

 

 




鬼って言ってもな…っと思っております。この話は原作で言うと列車編の後で妓夫太郎が倒される前の話になります。


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上弦の鬼達との邂逅

今回は原作の焼き直しが多少入ってきます。そろそろ焼き直しから抜けたいお年頃。お気に入り登録…ありがとうございます…!なんか前作をお気に入りが超えたとなるとなかなか感慨深いモノがあります。…これが鬼滅パワーか…!なんと恐ろしく、なんと素晴らしいのだ…!


(メシ)でも喰うか。 

そう思い立ち、夜空の天蓋の下を歩く。

 いい獲物いないだろうか?前回は結局喰い逃したし。そんなこんなで歩いていたら。

 

 

 どこからともなく琵琶の音が聞こえた。

 

またかよ…!

 

 気がつくと、畳に招待されていた。

 

「やぁ!大楽(たいらく)君じゃないか!」

コイツは確か…上弦の弐。童磨。無惨から聞いたな。

「…確か…300年振りくらいかの?」

コイツはとっくに死んでると思ってたからな。まだ生きてたか。

「317年振りだよ!懐かしいな」

「おんしが鬼になりたての頃に会って以来だからの」

ホント。きょーみねぇわ。鬼ってそんなモンだと思うが。

コイツは上弦の壱。名前は…

 

「黒死牟か。久しぶりだの」

 

「それはやめろ。俺と無惨様には不快なだけだ」

そっかー。お前たちには素の俺を知られちゃってるからねー。

 こんな爺くさい演技する必要ないな。こんな爺くさい演技は他の奴らがいる時にやるモンだ。

 

 つまり今だ。

 

「いやはや。お元気そうでなにより。九十年振りでございましょうかな?」

壺の中から声が聞こえた。どうやら、あの壺は上弦の参に絡んでいるらしい。そういや上弦の参の名前を知らねぇな…。

「しばらく会わぬ内に玉壺は数も数えられぬ事になったらしい」

アイツは玉壺って名前なのな。今知ったぜ。

「呼ばれたのは百十三年振りじゃ。割り切れぬ不吉な数字…半。奇数!!」

お前らしいな。()天狗。それに奇数とは人にとっては不吉な数字の事。

…なら鬼にとっては逆に吉兆と言えなくはないか?

それに俺は十二鬼月の拾参番目に入った。上弦の漆番目だ。

西洋の方では七は幸運な数字らしい。十三は死神の数字として知られてる。つまり俺は鬼としては運が良くて、人としては死神の様なものらしい。

 

まさに俺にふさわしい数字と番号だと思わねえか?

 

…思わねえか。まあいいさ。だが素晴らしい数字と番号だ。(漆番目)としても、人が俺を表す(拾参番目)としてもな。

 

「無惨様のおみえだ」

黒死牟の声が耳に入る。

慌てて頭を垂れ、膝をついた。

…上にいるとはね。

予想外だったよ。

 

何かを調薬しながら無残は口を開く。

「妓夫太郎が死んだ。上弦の月が欠けた」

恐ろしく冷たい言葉であった。

あ。コイツ機嫌悪いんだな…。

なんとなく俺は察したが特に知らねぇからな…。慰めようもない。

「それは真でございますか!?」

上弦の弐は能天気に答えた。

マジかよ…。こんな機嫌悪い無惨の相手すんの俺はゴメンだぞ。

「妓夫太郎は私が紹介した者。目玉でもほじくりだしましょうか?」

「要らぬ。貴様の目玉など。案の定堕姫が足手まといであった。初めから妓夫太郎が闘えば勝っていた。それに…」

無惨が一度言葉を切る。

「…くだらぬ。人の部分を多く残した者から死んでいく。…だがもう、それもいい。私はお前たちには期待しない」

「その様な悲しい事をおっしゃる。私があなたの期待に応えなかった事があるでしょうか?」

無惨の顔に青筋が浮かび上がる。

マジで!?こんな機嫌悪いの?クソほどめんどくさいんだけど…。

「産屋敷一族を未だに葬っていない。青い彼岸花はどうした?」

 こんな機嫌悪いの一回とか二回しか見た事ねぇよ。こうなると解消されるまで長いんだよな…。

それぞれ返す言葉もない様だがな。まぁそりゃあそうだろうな。俺も何十回か柱には遭遇した事あるし、それを喰ってるが。

 

 産屋敷の連中には1人たりとて会った事(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ねぇからな(・・・・・)

 

壺のヤツは何かを言いかけていたが、それを遮って。いつの間にか壺の首を持っていた。

え。マジでいつの間に?

 

「私が嫌いなのは変化だ。状況の変化や肉体の変化。感情の変化」

お前も産屋敷の一族の全滅(・・・・・・・・・)という状況の変化や青い彼岸花(・・・・・)っていう肉体の変化を求めてるじゃねえか。求め続けてるって事は不変だかな。

「私が好きなのは不変。完璧な状態でなにも変わらない事」

俺は不変としては月を推すがね。満ち欠けを繰り返しながらも。この千年一度も月が満ちたら欠けぬ月はなかったし、その逆もなかったからな。十二鬼()()ってついてる事は欠ける事前提って事じゃって危な!!!

無惨の攻撃を慌てて避ける。喋りながら攻撃してくんじゃねえよ!!

「私が喋っているときに別の事を考えるな!」

ムチャ言うなよ…。

「新しく良い事があった直後に上弦が欠けて(たたきおとされて)私は不快の絶頂だ。状況の変化は私は好まぬが、この変化は良い変化だ。…新しく作った上弦の漆番目だ」

あ。俺は自己紹介しないとダメか。めんどくさいな。

「新たな上弦の漆番目。大楽じゃよ。よろしくお願いするのじゃ」

「この鬼は私とは真逆の価値観を持ってる。だが、強い。私と同じ年月を(けみ)しているのだからね」

それを聞いて鬼達は驚いたようだった。

「変化大好きな鬼の大楽じゃよ。変化とは実に良い。なぜなら変化しないと飽きてしまうからの。自分に、全てに飽きてしまうからの」

肉体だって、状況だって、感情だって。

全ての変化は良い方に転がる事も悪い方に行く事もある。

それを全てまるっと含めて。楽しめてこそ。好転する様に力を注げてこそ。生き方を楽しむ(・・・・・・・)ってヤツだ。完璧など。俺にはつまらん。完璧ではないからこそ(・・・・・・・・・・)生きていて楽しいのだから。

 もし、完璧という存在がいたらさぞ味気ないだろう。

なぜなら完璧という存在は自分がどんな(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)命令を出して、その結果どうなるのかと(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)いう事が完璧になった瞬間にわかってし(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)まうという事なのだから。(・・・・・・・・・・・)

俺の名前の通り、「大きく楽しむ」ためにも変化は必須なのだ。

 

 

「私にはよくわからんし、わかりたくもないが」

わかってもらうつもりもないしな。

「玉壺!情報が確定したら(・・・・・・・・)半天狗と大楽と一緒にいけ」

あ。壺の情報聞いてたんだな。

「おい!そこの琵琶女。俺も壺や天狗と同じ場所に飛ばしてくれ」 

琵琶の音が響き。

俺はある事を思い出した。

 

 

 

 

 

人、また喰いそびれた…!また無惨のせいで…!無残のバカヤロー!!

 




この鬼。無惨によく殺されなかったよな…。大楽という名前。凄く単純なネーミングセンスです。誰か僕にKBTIT並みのネーミングセンスをください。あ。半天狗の言う不吉な数字。原作では丁となっていますが、この作品では半になっております。コレは丁半博打がベースなのではないかと考えた結果です。
        ・・       ・ ・・
 丁半博打で2で丁度割り切れるのが丁。半端が出るの
 ・
が半です。つまりこの場合は奇数になりますので半になります。お間違いのないよう。…原作の誤植か…?まっいっか。


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主人公の介在

 なんかアンケートとっていたら、8割ぐらい新規のお客さんでビックリ!!!すげぇ。鬼滅パワーすげぇ…。
BLEACHも書いてます!
たぶん原作読まないとわかんないけど。いや斑目編はアニメでもわかるか。あと、ライジン×ライジンの主人公が異世界転移したらって話も書いてます!!
最近、割と原作厨なのかもしれないという疑念が僕の中に。ここもアニメではやってねぇし。(一期の中では)
なんかすげぇけどBLEACHも読んでね!!ライジン×ライジンも!!



「ようやくついた…!マジで疲れたぜ…」

俺は息も絶え絶えながら里についた。壺野郎の情報の所に今、来ている。壺野郎の見つけた情報。それは鬼殺隊にとってはとても重要な日輪刀を鍛える鍛冶主(かぬら)の里の事だったらしい。いやはや。実に。

「マジで山奥にあるんだな…」

そうじゃなきゃ見つかる事間違いないしな。そんなに驚きはしないが。

しかしここまで来るのマジでしんどいぞ。俺は鬼だからどうとでもなる。だが、人ならどうすんのかね…。

そんなくだらない事を考えながら、近くを通った人をつまみ喰い。

…うげっ。予想外にマズい。俺は基本、好き嫌いはしない主義である。だがコレは、この不味さは。…その主義を一時期封印すると決めるに値する瞬間だった。その辺に落ちてるモンは勝手に食うモンじゃねぇな。

口の周りを血で染めながら森の中をのんびり歩いていると。

 

 

後ろで突風が吹き飛んだ。

あぁ。可楽がやったんだな。久しぶりに別れたのか(・・・・・・・・・)

俺はマジメにやる気ないんだよな…。

なんせマジメに人いねぇし。その人もマズいし。俺の血鬼術ってやたら人を喰うんだよな…。だからそんなにやる気も血鬼術も保たないんだ。

テキトーに情報とって、とっとと逃げよ。

そんな事を思っていたら。

目の前を竈門炭治郎が通り過ぎた。無惨から名前は聞いておいたヤツだ。

…聞いていたよりも遥かに強くなってやがる…!蟻ンコ程度で聞いてたのに、カマキリくらいにはなってやがる…!

慌てて気配をトボケたが誤魔化せなかったらしい。

…コイツ。マジでどんな嗅覚してんだよ…!

「…お前。上弦の鬼だな?」

口の周りを血で染めてちゃ誤魔化せねぇな。

「そうじゃ。それがどうかしたのかの?」

炭治郎がかおを歪めた。

「…この臭い!いったい何人の人を喰ったんだ!!」

…いやはや。マジメに、そんな事きく?コレは俺も正直に答えようじゃあないか。

…怒らせる答えしかできない自信があるがな?

「お前は今までに食べた米粒の数を覚えているのかの?」

その答えに更に怒りを強くしたらしい。顔が憤怒に彩られている。だけど俺に構うヒマがあるのか?

「後ろ。危ないと思うがの?」

その言葉に慌てて後ろに振り向き、トカゲみたいなモンを斬る。そのトカゲは約66尺(西洋風に言うと約20m)伸び縮みするらしい。

…半天狗の仕業だな。

「残念ながらわしはマトモに闘う気はないのじゃよ」

「それをどうやって証明するんだ!!」

竈門が叫ぶ。今、証明したと思うんだが。

「もし、マトモに闘う気なら、後ろって声はかけないと思うがの」

それもそうだと思ったらしい。素直ないい子だな。

「…でも大勢の人を喰ったんですよね?」

「あたりまえじゃな。鬼じゃからの」

あたりまえの事を聞くなよ…。

それを聞いて目の前の男は剣をこちらに向けた。

「だったら斬る!悪鬼(あなた)に喰われる人を、鬼に殺される人を1人でも減らすために!!悪から護るために!!」

全く。

実に。

本当に。

青くさくて目眩がするなぁ。

「悪とはなんじゃ?」

悪であるらしいな。竈門炭治郎の中で俺は。では、悪とはなんだ(・・・・・)

「お前は何百人もの人を喰ってきた!!大悪だ!!」

はて。さて。

「人を喰うのがそんなにいけない事なのかの?」

「奪われた命は!回帰しない!!奪った全ての人があなたに命を奪われるべき事をしたのか!!」

「まるで、鬼の命は回帰する様ないいぐさだのう…。…逆に聞こうか。お前は鬼殺隊として数多くの鬼の命を奪ってきたと思うがの…」

一拍おく。

「奪われた全ての命がお前に命を奪われるべき何かをしたのかの?」

「多くの人の命を奪ってきた!!」

「では、「お前には何もしていない」という認識で正しいかの?」

「俺に攻撃を仕掛けてきた!!」

全く。本当に。真面目に。青臭くて鼻が曲がりそうだよ。

「人喰いのジャマでもしたんではないかの?食事のジャマされれば怒るだろうに」

「多くの尊い人の命を奪っているんだぞ!!」

「わしにとってはなんら変わらん。命が尊い(・・・・)というのなら鬼の命ですら等しく尊くあるべき(・・・・・・・・・・・・・・・)だと思わないかの?」

「人を喰うのに!!人の命を!!」

「…命を喰らうという点で言えば(・・・・・・・・・・・・・)鬼は、人と全く同じじゃな。わしらは(お主ら)を喰い、お主らはそれ()以外の命を喰らう。さっきの米粒の話かてそうじゃな。お主達は米粒の数だけ命を奪っておる。その米粒1つ1つがお主達に命を奪われるべき事をしたのかの?」

一拍おく。噛んで含める様に。

「わしからすれば正義や悪などはもとより意味のない言葉じゃな。正義は大衆を。悪は少数を意味する以外に何もない」

だから。そうだから。

「「大衆()少数()を殺しても良い」。なぜなら人の方が数が多いから。わしからすれば弱い者イジメの理論じゃな」

「人の方が悪だと言いたいのか!?」

「違う。正義とは所詮弱い者イジメ(・・・・・・・・・・・・)だと言いたいのだ」

そう。そうだから。

「わしは自分が正義だと思った事はいっぺんたりとてない。なぜなら正義とは正義以外の全ての意見を悪とし(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)てしまう危うい言葉だからの(・・・・・・・・・・・・・)。わしは相手の意見を全て否定してしまう。そんな危うい言葉をわざわざ使いたくはない」

 

そう。これこそが正義の毒なのだ。

 

正義とは正しい。故に自分が正義だと思っている連中は、聞く耳を持たない(・・・・・・・・)

一方向(人間側)からしか意見を言えない。

コイツらは逆にいえば、(こちら側)の立場に立って考える事など不可能な(・・・・・・・・・・・・・・・・・)のだ(・・)

すっかり固まってしまった炭治郎をみて、笑う。

鬼の立場で考えた事などないだろう。いや。考えないようにしていたが正しいのかもしれない。

「お主の妹も鬼らしいの?」

「何故知っている!!」

「無惨から聞いたわい」

くくっと笑いながら言うと竈門は恥ずかしそうだった。

俺は無惨の名前をよべる鬼だからな。かなり珍しいらしいが。

「妹の立場に立ってよく考えるんじゃ。視界が多少広がるはずじゃよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目の前にいる鬼は人を何百人も喰った悪鬼とは思えないほど人間らしかった。

「最後に貴方の名前を聞いておきたいのですが」

なぜか敬語になってしまっていた。

目の前の人喰い鬼はうっかり忘れていたかのように答えた。実に人間らしく。くくっと笑いながら。

「あぁ。名乗るのを忘れていたかの。」

 

上弦の漆。大楽じゃよ。

 

その鬼はそう言って姿を消した。

…上弦の漆?十二鬼月って陸番目までじゃないの?

だがその後上弦の肆の闘いに身を投じる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか上弦の肆との闘いに勝った後、玄弥にさっきあった鬼について聞いてみた。おれよりは多少知っているだろう。

 

「…嘘だろ?」

まずこう聞かれた。ホントだと答えると、

「よく生きてたな。お前。上弦の漆かどうかは知らねぇが、大楽の名前は俺でも知ってる」

と答えた。むしろお前が知らないのが驚いたという形で。

「大楽。別名大衆道楽(ダイダラボッチ)無惨とほぼ同時期にうまれた鬼だ(・・・・・・・・・・・・・・・)千年間で(・・・・)村を6個(・・・・)山もろとも丸ごと呑み込んだとされる(・・・・・・・・・・・・・・・・・)大怪物だ(・・・・)

…そんな怪物には全然見えなかった。

「たぶん身体の大小が変えられるんだろうよ。」

そうじゃなきゃそんなデカいのすぐ見つかるだろうしな。

 

と、玄弥は言う。

それはその通りだ。

だがあまりにも高すぎる目標に。

「…修行しよ」

そうなった瞬間だった。

 

 




大楽の名前の由来出ましたね。この鬼。千年生きてますからねー。感想で「鬼が主人公の話って珍しいね」ってよく言われます。ただ私よりも人気な話ってたくさんあります。「胡蝶家の鬼」とか、「鬼になった社畜」とか。でもこの話の真に珍しい所はなにか。この鬼。凄く普通に人を喰う事です。人喰い鬼の話ってこの話以外に知らないんですよねぇ…。面白い話あったら教えてください。なんか最近、斑目一角と不死川玄弥はセリフが似ている気がしてならないのです。「てめぇを殺す漢の名だ」とか。カッコいいんでいいんですけど。
ここで作者の正義と悪の論が出ましたね。
正義は勝つ!というアホがいます。が、逆だと私は思います。勝つのが正義なのです。
正義とは、歴史を改竄して、自分がさも正義の味方の様にします。ですが、そこに正義も悪もありません。ただの勝敗があるのみ。相手側にも当然正義があります。私からすると、
・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・
正義とは一番血に塗れた言葉です。全ての戦争は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正義という言葉のもと行われております。正義と
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
は純白の様に見せかけて、その実一番血を啜った
・・・・・
言葉である。

というのが私の意見ですね!

 それはともかく最近はかぐや様のお話が書きたいのです。
戦闘とはまるで違うほのぼのしたお話が。書きたいんです。
ダメって言われても勝手に書くだけですけど。
あとたまにラジオを聴いてネタにするために…!


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無惨、ブチ切れる!!

タイトル通りではないですね。この作品、私の作品の中で一番人気なんですが色々やりたいほうだいやりまくりたいです。
お気に入り登録がガンガン増えてます!!鬼滅パワーすげぇ…。
 人側も書き進めていきたいですね!


「ハァ〜…」

やたら疲れた。まぁ上弦の肆と伍を置いてきたから大丈夫だろ。俺は血鬼術で逃げて来た。だがアイツら殺られてなきゃいいな…。

そもそもアホだろ。相手が有利な地形で敵と闘うなんて。彼を知り、己を知れば百戦をして危うからずなんだよ?

俺からすると敵の柱の名前すら知らずに闘うなんて危険すぎる。

「ハァ…。無惨怒ってるかな…」

その時だった。俺だけにしか聞こえない、琵琶の音が響き渡る。

「ハァ…。マジで怒ってるっぽいな…無惨…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故逃げて来た!!」

目の前でめちゃくちゃ怒ってる鬼がいます。

鬼舞辻無惨ですね。

どうする?俺2号?俺1号にはわかんないよ?

俺2号にもわかんないよ!とにかく別の事を考えよう!

 

★〜☆の間は読まなくていいです。

 

 

じゃあおっぱいについて考えるか。おっぱいとは人間の女性の胸部装甲の事だ。おっぱいとはオトコの夢が詰まっているとされているが、実際には主に脂肪が詰まっている。

 じゃあなぜおっぱいにはオトコの夢が詰まっていると表現されるのか。かんたんだ。

 おっぱいでオトコは夢をみるからである。おっぱいとはオトコの夢を無限大に膨らませてくれる増幅器(ブースター)であり魔宝具(アーティファクト)なのだ。その前におっぱいの大小など微塵も関係ない。派生系でちっぱいとよばれる事もある。だがおっぱいで漢の夢を膨らませてくれるのならば、皆大きくいっぱい夢いっぱいという意味でおっぱいと名乗るべきではないのか。

おっぱいの大小で好みが別れたり、戦争が起こったりするが、おっぱいで夢を見られるのならば。おっぱいが大好きならば、みな兄弟で良いのではないだろうか?おっぱい、いっぱい、ゆめいっぱい。

 

 

ってあぶなぁ!!!

「私が話している時に違う事を考えるな!!!」

「ごめんなさい!!!」

コレは俺が悪かった。変な触手を慌てて躱しながら謝る。なぜかいつもより数が10倍くらい多い気がした。なんでだろ…?無惨の青筋も10倍くらい増えた気がした。

なんでだろ…?

それに俺の武器は言葉と血鬼術なんだけど、血鬼術は5つしかない。…対策立てられたら割りと終わりなんだよな…。

「お前が逃げてる間に上弦の月が二つも欠けたんだぞ!!」

「あ。あいつら死んだのか」

弱いな。

俺の言葉で動きをグズグズに乱すヤツが1人いたのに、言葉で責めねえのか。

…逆に煽られて隙を晒してそうだな。

「お前みたいな勝てそうになかったら、とっとと逃げるヤツは鬼ではいないぞ」

勝てそうにないから逃げるんじゃないぞ。収支が黒字になりそうにないから逃げたんだ。俺の血鬼術はやたら疲れるからな。たくさんの人を喰える状況ならばその限りではないが。…基本勝てそうにないなら逃げるけどな。後で少しづつ補給はしたらいい。

「同期だからかなり庇ってきた。だが、もう庇うのも、私の理性を保つのも限界だ。産屋敷の所に着いて来てもらう。その時、柱を含め、鬼殺隊の主要な人物を皆殺しにするつもりだ」

りょーかい。その時に今日の分も働いたらいいのね。…あまり庇われた記憶はないが。

お前が死ねば俺も死ぬからな。その時は死ぬ気で働くよ。

「それは信じるぞ、私の同期。私のために死ぬ気で闘え」

あぁ。後がねぇからな、俺も。背水の陣だ。死ぬ気で闘うぞ。

無惨は満足そうに頷いた。

 

 

…この姿、鳴女からみたら無惨が独り言を喋ったあとに満足そうに頷いていて、頭どうしたって思われねえかな…?

 

 

無惨から蛇みたいな触手が飛んできた。慌てて避けたが死ぬかと思った。

 




★〜☆の間はおっぱいに関しての私の考えが書いてあります。興味ある方。読んで感想ください。漢ならわかりますよね…?ちなみに作者は巨乳派ですね。好きなキャラは「緋弾のアリア」のリサ。わかる人いるのかな。リサ。超かわいいのに。


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異国の刀剣を使う者達

今回は異国の刀剣を使う人達が出てきます。産屋敷戦ですね。…話が飛びまくるなぁ…!
     ・・
あくまでも刀剣を使う人達ですからね。
モーニングスター(鉄球つき手斧。鎖鎌に近いが鎖鎌ではない)は刀剣として認めませんよ。私はね。あと、話の順番を入れ替えました。そちらの方がわかりやすくなるかなと思ったので。1話前の話を設定説明として1番最初に持っていきました。何も言わずにごめんなさい!


「…じゃあ行くぞ」

「はいっ!!」

目の前でなんかやってる二人組にゆっくりと近づいていく。

俺の相手はコイツらにしろと無惨から言われたのだ。

…正直あまり相手にはしたくないが、グズグズ言ってもしょうがない。

「初めまして、かの?」

 

 

 

 

 

 

「初めまして、かの?」

影が見えた。小さな影。子供の様な影だ。

この鬼には初めて会う。だが、ずいぶんと小さい(・・・)癖に死の匂いが濃い。

俺は甘露寺を背中に庇いながら、

「誰だ!」

出てきたのは小さな子供だった。上半身裸の少年であった。

身長は3尺3寸ほど(1mくらい)。

上半身裸かと思ったらそうではなかった。

 

全裸であった(・・・・・・)

 

「服を着ろ!!」

「嫌じゃ!!」

その少年は答えた。なぜに…?

「この姿は自由の象徴!何も纏わず、何も包み隠さない!!!全てが自由のこの姿こそ!!」

完璧な姿だ!

と続いた。小さな身体で頑張ってマッスルポーズをとりながら。

…全く筋肉が出ていない。

…俺には意味がわからない。

後ろで甘露寺が吹き出した。

その瞬間。

少年が消えた(・・・・・・)

蛇の呼吸・伍ノ型。

蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

俺がカンで呼吸を使うと、甘露寺から小さな影が飛び退った。

甘露寺の頬に小さな傷がついている。

「なるほど!やるの!!」

小さな影は答えた。

さっきの早業はコイツの攻撃なのか。

…全く。

「スキを作って攻撃とはな。老獪(ろうかい)な事だ。鬼らしい卑怯な攻撃とも言える」

「そうよそうよ!!卑怯だわ!!」

甘露寺も援護してくれたが、目の前の少年にはどうも不可解だったらしい。

「敵の前でスキを作る方が悪いんではないかの?」

…それはその通りだ。

「全く。異国の刀剣を使う柱達とはの。ついてない…」

また筋肉が浮き出るポーズをとる。

「変なポーズやめろ!!」

「フロントダブルバイセップスじゃ!!」

知らねぇよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く。異国の刀剣を使う柱達とはの。ついてない…」

俺はそうぼやく。いくら無惨に決められたとはいえな。

「異国の刀剣だと…?」

蛇柱がそう聞いてくる。知らんのか?

「中華の剣と印度(インド)の刀じゃな?」

中華の蛇腹剣。印度の鋼鞭剣(こうべんけん)。それを操る奴らには初めて会ったな。

★〜☆の間は読まなくていいです

 

印度の鋼鞭剣はよくしなる剣だ。ペラペラで恋柱の剣そっくり。ただ、鞘には入れず腰帯(西洋ではベルトというらしい)に収めておいて、スキを見せたらズバッという暗器としての活用が一般的だとか。印度18奇剣の中で最も危険(ダジャレではないですよー)らしい。あんな普通の鞘にいれてるのを見た事がない(作者は「オーバーロード」のペシュリアンで初めて見た。コレは鋼糸剣で恋柱の剣は鋼鞭剣(こうべんけん)。若干違うがよく似た特性の為)。他に有名なのはギリシャ神話でペルセウスが使ったショテル等あると思うが、ここでは関係ないので割愛する。

暗器なので甘露寺程長い物はむしろ珍しいと思う。 マジメにどうやって一瞬で鞘に収めているのか、わからない。

 

蛇腹剣は中華の有名な剣だ。切り裂くというよりも引き裂くという形の剣だな。特徴は波打つ刀身。コレで傷つけられた人間の傷は二度ともとには戻らないと思った方がいいくらい、めちゃくちゃ治りの遅い上化膿しやすい傷をつける。更に昔は刀身に毒まで塗ったらしい。殺傷能力を犠牲にして恨みを持つ相手に苦痛を与える時に使う剣だな(他のssでフランベルジュというものも見たが作者的には蛇腹剣を推す。「蛇」柱は普通に「蛇」腹剣だと思う)。

 

どちらにせよ、殺意の高い相手に使う剣だ。

間違っても初見の相手に使う剣ではないな。

俺は気を引き締め直す。アドミナブルアンドサイを決めながら。

覚悟を決める。今の一撃で決められれば楽だったんだけどな。

 

不退転。血鬼術を使ってでも打倒する覚悟を。

 

「血鬼術。巨躯体(きょくたい)

 

俺の身体が1丈(約3倍)を、優に超えた。縦にも横にも広がり、筋骨隆々の巨体を為す。

「さ。はじめるかの。蛇と恋の柱達。絶望の結末に向かって」

丸太よりも太くなった腕を構え、俺は低くなった声で言葉を紡いだ。サイドチェストを決めながら。

 

…カッコよくタンカきっても、全裸でサイドチェストをしている姿は、客観的にみると変態であった。

 

 

 

 




というわけで最初に闘うのは蛇柱と恋柱でした。
めちゃくちゃなんですけどね。有名な奇剣出したかったんですよ。
あ、蟲柱が最初に出てきた時に使った奇剣。アレ、私には刃がない様に見えたんですが…。いったいどうやって物を斬っているのか教えてください…。いくら毒とはいえ、斬っているんですよ。たぶん経皮毒タイプではなくて、血液に撃ち込むタンパク質タイプの毒だと思うんです。斬っているので。刃のついてない剣でどうやって斬っているのか、わかる人教えてください…!


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異国の刀剣、閃く

こんなにも読んでくださる方がいるなんて…!感謝感激ですね!設定は神の視点でやれとご指摘を頂きました。
それはその通りなのです。ですが神の視点とはめちゃくちゃ難しいんですよねぇ…。好きなキャラに肩入れしがちなので。それにこの話を書いたきっかけを忘れない自分の為に書いた物なので。



「血鬼術。巨躯体(きょくたい)

身体が1丈(約3倍)に膨れ上がる。縦にも横にも巨大に広がり、筋骨隆々の身体をかたちづくる。

「さ、はじめるかの。蛇と恋の柱達。絶望の結末に向かって」

丸太よりも太くなった腕を構え、低くなった声で俺はそう言葉を紡いだ。

…そうカッコよくタンカをきっても全裸でサイドチェストしている姿は、客観的に見たら変態であった。

 

 

服を、着ろー!!!

 

 

さっきまでは若干可愛げがあった。約3尺3寸(1m)の子供だ。子供のやる事だと流せた。だが、今はムリだ

1丈(約3m)の大巨人の全裸だぞ?そんなモン普通にダメに決まってる。

だが目の前の鬼にはそうではないようで。

「なにおうっ!!この姿こそ産まれたままの姿!!服などという虚飾(きょしょく)を取り払った、完璧な姿じゃ!!」

…何を言ってるんだ?コイツは?

「そもそも、服というのはワシにとっては文字通り足手まといにしかならん。体型が短い間でコロコロ変わるワシにとってはな。だから」

全裸なのじゃ

…確かにさっきも3倍くらいに体型が膨れ上がったが…。

…それだけで全裸の方が効率がいいってなるのか…?コイツには羞恥心という物がないのか…?

 

「血鬼術。爆雷(ばくらい)

 

…瞬時に詰め寄られた。ぎりぎりで拳を避けて、距離を取る。

「恐怖じゃろう!!瞬いたら全裸の巨漢がすぐ側にいるというのは!!」

…確かに恐い!恐すぎる!!

…だがこの恐さを甘露寺に味あわせてはダメだな。仕方ない。

「俺が相手だ!!甘露寺!下がってろ!!」

俺は柄にもなく吠えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は俺の持つ手札を確認する。さっきまでのおフザケとはまるで違う真剣な表情で。ゼンラーペンデュラムをしながら。

俺の血鬼術(てふだ)は5枚しかない。だがその5枚とも妖めいた技ではない。

…むしろ1番妖めいているのが巨躯体と言っても過言ではない。

ではなぜ俺が千年も生き延びてきたのか。

簡単である。

妖めいてない技を極めた結果(・・・・・・・・・・・・・)妖めいていると誤認させるほどまで昇華(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)させたからだ(・・・・・・)

基本技能の徹底強化。それが俺の血鬼術の正体である。その内、すでに1つ切った。あと1つを切る事を決める。

 

「血鬼術。爆雷。爆剛」

 

爆雷は速さをちょっぴり(・・・・・)(ちょっぴりの割合は当社比)強化する血鬼術だ。爆剛は…

 

目の前の蛇柱が慌てて避けた。カンだな。いいカンしてやがる。…結果、無限城が拳の余波(・・)で―

 

―直線状が跡形もなくなった。

 

…そう。力をほんのちょっぴり強化する血鬼術だ(ほんのちょっぴりの割合は以下略)。…コレでもかなり抑えた方なんだけどな…。最近、力を使ってないから加減が下手になってやがるな。…もしくは無限城が脆いか。

…なぜか、急に背筋に寒気が走った。

「まぁ良いのじゃ」

そう呟く。血鬼術の効果はまだ続いている。

ここから一気にたたみかけるとするか。 

 

俺は拳を構え、不敵に笑った。絶望の時間だ。そう思った。

 

だから気づかなかった。蛇柱がまだ諦めていない目をしている事に。

 

 

俺は勢いよく。情け容赦なく拳を蛇柱に叩きつけた。

 

紅蓮の鮮血が舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この次の話からオリジナルの技が出てきます。オリ技とオリ呼吸のタグをつけるべきなのか悩み中。なんか改良というか、こんな呼吸だったらこんな技あったら面白いよねぇ…って考えるのが好きなんですよね。

…1番最初に書いたのもそんなのだし。「代名詞の章」だけでも読んでみてくださると(アニメであったのはそこだけなので…)作者は泣いて喜びます…。


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蛇の呼吸の覚醒

今回のお話で蛇の呼吸、強化されます。呼吸追加タグつけときます。
お気に入り登録100件になりました!!
ホントありがとうございます!!
頑張って投稿続けますので応援よろしくお願いします!!


蛇柱に向かって勢いよく叩きつけられた拳。

鮮血が舞った。 

 

…俺の拳から。

 

「…は?」

俺は意味がわからなかった。

蛇柱は当然の様にそこにいて。

「蛇の呼吸。陸ノ型。蜷局巻(とぐろまき)

そうボソリと呟いた。

 

 

 

 

 

蛇の呼吸・陸ノ型の蜷局巻は蛇の呼吸の中でも最も難しい技に入る。相手の攻撃の力をとぐろの様に巻き取り(・・・・)自分の力も乗せて返す反撃(カウンター)技だからだ。難しい代わり、この攻撃を喰らえばどんな鬼でも一瞬スキができる。だからこの頸への一撃は躱せない…!

 

その一撃は。あっさり頸へと吸い込まれ。頸の中を通過した…!

俺は視線を切った。コレで一段落ついたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ないの!死ぬかと思ったんじゃよ!!」

 

そう元気な声が聞こえた。え?嘘だろ?

 

「…は?」

俺は思わず振り返るとさっきの鬼が元気いっぱいで生きてるではないか。腰を揺らしているのは謎だ。

「何故、生きてる…?」

その問いの答えはあたりまえの様に答えられた。

「ワシは頸を斬り飛ばさないと死なんよ」

いや。さっき斬ったはずだが…。

「わからんヤツじゃの。ワシは頸を斬り飛ばさないと死なぬ。つまり、頸と胴体がなき別れにならないと死なぬ」

…いや…さっきのは…?

「さっきは完全になき別れになる前に血鬼術で繋ぎ治したのじゃよ」

「そんなんありかよ!!」

キャラが崩壊するレベルだった。ナシだろ!!

「ワシの血鬼術の速度はお前の剣を振るう速度のおよそ10倍くらいかの」

さぁ。

「絶望の産声を聴かせておくれ?」

俺は蛇の呼吸が通じない事を感じとった。

 

 

 

 

 

 

 

あっぶなあ…!余裕綽々のフリをしながらも俺は心臓バクバクだった。俺の血鬼術。鬼治し(ひとごろし)が発動したおかげでなんとか助かったが。

ちなみにさっきの言葉には若干の嘘がある。

振り抜く速度の約30倍、俺の血鬼術が速い。斬った端から再生させる恐ろしい再生力。それも俺の強さの秘密だ。

つまり、俺との死合は恐ろしく泥死合となる。

泥死合に引きずり込んで、体力勝ちするのが俺の勝ち筋となるワケだ。人間にはどう足掻いても勝てない体力差。

頸を斬っても斬り飛ばさない限り死なない為に割りと平気で頚を斬らせる。腕?脚?そんなモン文字通り一瞬で治る。そして、もう。斬らせない(・・・・・)

「血鬼術。金剛皇(ふらくおう)

これが俺の最後の血鬼術。金剛皇。俺の肌に黒さが増す。

この血鬼術は、ただただ硬くなるだけ。だが、その硬さは金剛石すらも上回るほど。

要するに俺の血鬼術は

「デカくて、速くて、力が強くて、硬くて、治りが速くなる」

だけのものだ。鬼としての基本技能をトコトン鍛え上げただけのもの。それ故に、単純に強い。十二鬼月の中でも力、速さ、防御、身体の大きさ、回復速度は誰にも負けない。

…その代わり、他に特殊能力は一切ないが。

「さぁ、絶望が産声をあげる時じゃの?」

俺は言った。

 

全裸で。

 

恐ろしく締まらねえな…。

 

 

 

 

 

「私も手伝う!!」

甘露寺がそう叫んだ。

確かに、1人でどうこうなる相手じゃない。

「頼んだ!!」

彼女が愛刀を抜き放つ。鞭の様に撓らせて彼女の剣が鬼に向かって空を走る。それは鬼の頸に吸い込まれるかの様に命中した。

…だが。

高い金属音がして弾かれた。

「…は?」

「…え?」

思わず声が被る。

目の前の鬼が忘れていたと言わんばかりに。

「あぁ。血鬼術金剛皇(ふらくおう)が発動している間は剣戟は効かんぞ。なんせ、」

金剛石よりも硬いんじゃからな。

その言葉に甘露寺は動じなかった。何度も何度も頸に剣を叩きつける。

刃こぼれをしているが一切怯まない。その姿に俺は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

「カンカンうるさいな」

叩きつけられる剣に向かって俺はそう言った。どんだけ斬りつけられてもムダだというのに。純粋に硬さが上なのだから。でも音がうるさいな…。さっさとこの女、片付けるか。そう思い、俺が力を大きく溜めて拳を引き絞った、ちょうどその時。

 

背筋にゾッと寒気が走る。股間もヒュンッと縮む。

 

寒気がした方をみるとそこには蛇柱が。

「俺の本気を見せてやる」

蛇柱はそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書き始めた段階では蛇の呼吸、強化する気なかったんですよ。最初に思いついたのが花の呼吸。次が蟲ですね。
強化してほしい呼吸ありますか…?
強化してある作品紹介しますよ…?
ちなみに、次の話で、今まで少しおかしかったこの話、かなりおかしくなる予定です。
誰か、僕にKBTITクラスのネーミングセンスをください…。読んだ通り、私には全然ネーミングセンスがないので…。
コレ、3時間程度でパパッと書いた物です(書き始めてからは15時間くらい経ってますけど…)。どんな話書くかはざっくり決めてましたがプロットすらも決めてません。こんないきあたりばったりの話でも、書いてみたらとても面白いんですよ!(私が。)
全く文才のない私が書いても読んでくださる方大勢いらっしゃるので、書こうかなと思っているけど書いてない人。書いてみてください!!
きっと楽しいですよ!!


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蛇の呼吸の進化

今回は蛇の呼吸の進化形態になります。オリ呼吸タグつけときます。なんか最初にBLEACHのss書いたせいで後出しジャンケンの様相を挺してきたな…!


「俺の本気を見せてやる」

目の前の蛇柱はそう言った。

 

「そもそも、蛇の呼吸だけ浮いていると思った事はないか?」

蛇柱はそう言う。確かにそう思った事がある。

「他の呼吸はみな命がない。基本の5つの呼吸に加えて派生の霞や恋まで全て命がない(・・・・・・)。現象や自然物や感情だ。だが蛇の呼吸には、実在する生物という、しかも獣や花や蟲と違ってかなり数の限られた、命ある呼吸(・・・・・)だ。命ある呼吸だと力が十全に発揮できない。なぜなら、」

命ある呼吸(・・・・・)だ。命ある呼吸だと力が十全に発揮できない。なぜなら、」

命あるものは有限で、命なき自然や現象や感情は無限だから。有限()無限(生き物以外)の力を借りるのが呼吸だからだ。

と言葉が続く。

「では有限の物を無限にするにはどうしたら良いと思う?答えはとても簡単だ。

 

「良く似た幻の生き物の呼吸」

 

を使えば良い」

 

 

な…まさか…!

()の呼吸・壱ノ型。龍鱗(りゅうりん)

日輪刀を振るわれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の龍の呼吸は種類はあまりない。だが1つ1つが絶大な威力を誇る。その代わり、身体への負担は半端ではないが。その内の1つ。龍鱗は相手を抉る(・・)斬撃を放つ呼吸だ。目の前の(変なポーズをとっている)敵もごっそりと抉られた。治す一瞬のスキができる。そのスキに。

「龍の呼吸・弐ノ型。八方睨み」

まるで天龍寺の天井に描かれている龍が如く。全ての攻撃をまるで上から睨みつけているかのように、わかる(・・・)呼吸だ。 

…あぁ。全てわかるよ。相手が何をしようとしているのか、その結果どうなるかまで。…大半が変なポーズなのはそういう戦略だろうか?

そっちがその気ならこっちは遠慮なく攻め込むだけ。

さぁ。

さっさと決めて無惨の手助けにいかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍の呼吸になった瞬間、明らかに強さが増した。こちらの攻撃を全て読まれているかのような…。

いや。事実そうなのだろう。

猗窩座(上弦の参)の羅針の様な呼吸なのだろう。俺も他の上弦の闘い方がだいたいわかってきた。

ならば問題ない。

そういう呼吸ならば問題ない。全て受けきって、受けきった上でひねり潰すのみ。

攻撃を読まれる?そんなモン読まれた以上の回復力で押し流せばいい。幸い治癒力と身体の頑丈さはこちらが上。よく似た呼吸を使われた事があるが、力と速度を上げて相手の目で追いきれない程、速く動きぶっ殺した。どこまでいっても単純な力とスピード。その単純過ぎる力は裏切らない。

さぁ、どこまでも泥臭い根比べとまいろうか。

 

「龍の呼吸・参ノ型。逆龍巻(さかたつまき)

 

竜巻がまるで上から下に巻き墜ちる様な錯覚を起こさせるほどの技。頭がバキバキに砕けかける。…だが治る方が速い。ポージング中は最強なのだ!!(気分的に)

お返しに俺も拳をつきだすが、

「蛇の呼吸・陸ノ型。蜷局巻(とぐろまき)

また蛇がとぐろを巻く姿を幻視する。

 

 

直後、巻き上がって帰ってくる私の力(相手の剣)

 

…さすがに自分の力を自分で喰らうと痛い。

っていうか、やっぱ蛇の呼吸も使えるんだな。

俺は頸を斬られながらそう思った。それでもポージングは忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり頸を斬っても死なないか。

俺はかなりヘトヘトだった。

あたりまえだ。

慣れない龍の呼吸を何度も何度も繰り返して使えば、そうなるのは自明の理。こちらはただ甘露寺を護る為だけに剣を振るっているのだから。

だが、そろそろ限界だな。

しっかし、コイツはマジもんのバケモノだ。鬼とはいえ、息一つ乱していない。変なポーズをとってばかりで余裕の表情だ。

…こちらは体力も底をついてきて、肩で息をしているというのに。

…次の一撃が最後になるだろうな。正直、この技だけは使いたくはなかったのだが。

「龍の呼吸。(つい)ノ型孤龍(こりゅう)

この技は前にいる全ての命を奪い、1人となってしまう呼吸だ。故に孤龍。

 

さぁ猛烈に息を吸え。限界の限界。その上まで。

 

その呼吸が筋肉に。1つ1つの筋肉に伝えるんだ。余す事なく。

 

その力を集めて爆発させろッ!!!

「ハァッ!!!!!」

俺は気合の声をあげて目の前の鬼(ポージング中)に斬りかかった。

 

 

 




カッコよかったですかね…?
私も意味わかんなくなってきました。書いてる途中から。アレ?蟲は?花は?獣は?ってツッコミはナシで。蛇は水からの派生らしいですね!水からは花と蟲が派生したとの事。…水の呼吸の派生が好きなのかもしれないですね。私は。
こっからどーしよ…展開考える間に別の作品投稿しておきますね。


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蟲と弐番目の鬼の邂逅

最近、バイト先で好きな人の話になった。
話を振られて真っ先に出てきたのが「緋弾のアリア」のリサ・アヴェ・デュ・アンク。次が「りゅうおうのおしごと」の空銀子。少し遅れて「ソードアートオンライン」のシノン。
…私は少しヤバい人なのかもしれない。


少し時間が巻き戻る。

蛇と恋の柱が闘いを初めた時。

 

俺は極楽教の信者達を救済(・・)していた。まるで日本の城みたいな所で。

ここは無限城。この世にはない場所だ。幽世(かくりよ)の方が近いかもしれない。そんな所で。

俺は。救済(・・)していた。極楽教の信者達を。

永遠(とわ)を夢見る極楽教の信者達。 

永久(とこしえ)を望む極楽教の信者達。

その人達を救って(食べて)あげる事で俺と一緒に永久を生きているんだ。それを人間(救済される側)からはよく非難を浴びたな。

でも鬼にも俺の救済(・・)が理解できないヤツがいたな…。

「え〜と、永遠に変わらないなんてつまらんって言ってたよね?大楽くんは。自分が変化してこそ1番楽しい(飽きない)んだって」

信者達を救済(・・)しながら思う。

 

理解できない、と。

 

無惨様もおっしゃっていたが不変である事や永遠である事は素晴らしい事だ。そんな事も理解できずに同期である事を理由にすぐ側にいるとはね。

無惨様のお気持ちも理解できないな。

…まぁ、もともとあの鬼は変わり種。特に気にする必要もないか。

そう思いながらも救済に戻る。

 

バリボリ。バリボリ。無心で救済し続ける。

 

バリボリ。バリボリ。無我に救済し続ける。

 

ちょうど新しい救済者に救済し始めた(噛みついた)所で、

 

ガチャ…

 

扉がわずかに開いた。

鬼殺隊が来たのかな?

俺の視界に入ったのは身長が5尺ほど(約1m半)しかない女の子。蝶を模した髪飾りを着けている。

 

…救済されに来たのかな…?

若い女の子は好きだよ。美味しいからね。

「鳴女ちゃんには後で感謝しないとなあ」

俺は誰ともなく呟いた。

 

 

 

「やあやぁ初めまして。俺の名前は童磨。

いい夜だねぇ」

その言葉が私の鼓膜を揺らす。

鬼が翼の様に扇を一瞬でバッと開いた。

 

「…助けて…助けて!!」

「こらこら、まだ喋ってるでしょ?」

手を伸ばして助けを求める人間の願いを叶えてあげる。当然だ。鬼から護る。鬼を殺す。そのために私はそのためにここに来たのだから。

「速いねぇ!柱なのかな?」

 

女の子を助けてあげながら、私は姉さんの言っていた事を思い出していた。

その鬼の特徴は、頭から血をかぶった様。

その鬼の使う武器の特徴は、鋭い対となった扇。

その鬼の特徴は、にこにこ屈託なく喋る。

 

間違いない。この鬼だ。

 

この鬼が私の姉さんを殺した悪鬼だ!!

憎しみで。憎悪で。心が塗り潰される。

いつも姉さんが好きだと言ってくれてから、姉さんが死んだ後、弔いのつもりで貼り付けていた。貼り付ける様、努力していた笑顔が一瞬できえて無の表情となる。

「俺は万世極楽教の教祖なんだ。信者の皆と幸せになるのが俺のつとめ。その娘もそこに置いといて。後でちゃんと食べるよ」

そんな事はお構いなしに目の前の大悪が、好き放題喋り始める。

「はぁ?あなた頭大丈夫ですか?」

この娘は助けを求めていた。その声すらも聞かずに、皆と幸せになるですって?

「本当に吐き気がする」

「何か辛い事があったんだね。話してごらん。聞いてあげるよ」

いつの間にか無表情ではない。自分の内面そのまま。憤怒の表情に(かお)が歪められていた。

「辛いも何もあるものか。私の姉さんを殺したのはお前だな!この羽織に見覚えはないか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の小さな女の子の言う事を聞いて、記憶をまさぐる。

「…あぁ!花の呼吸を使う女の子だね!朝日が昇って食べ損ねた女の子だよ!よく覚えてる。ちゃんと食べてあげたかっ…」

 

蟲の呼吸・蜂針(ほうしん)の舞。゛真靡(まなび)き゛

 

 

まるで蜂が針を刺す。そういう幻をみるかの様に鋭い一撃だった。

慌てて、手で受けとめようとした。それなのに止めきれずに眼まで。後頭部まで貫通した。人間なら間違いなく致命傷だ。

 

…だけど鬼には意味ないよねぇ。

 

血鬼術・蓮葉氷。

 

距離をとった柱に向かい、俺は口を開く。

「突き技なら人は殺せるかもだけど、鬼は殺せないよ。やっぱ頚を斬らないと」

けど目の前の柱にとってはどうでもいいようで。

「突きはダメでも毒ならどうです?」

ギリキリィ…バチンと刀を鞘に収めた。

「う!うぐあぁァ!」

その瞬間、まるで本物の蜂に刺されたかの様に、毒が身体を蝕む。しかも毒の効力はたぶん蜂以上だ。全身が痛む。まるで身体全体が内側からヤスリでガリガリ削られているようだ。

全身が痙攣を引き起こし、思わず膝をついた。コレはたぶん下弦の伍の手下を殺した時よりも強力な毒だ。

 

でも。

 

「あれれ。毒、分解できちゃったみたい。せっかく使ってくれたのにゴメンねぇ!」

そう。これが鬼の恐ろしさだ。特に上弦の鬼の。

あっという間に毒の耐性がついてしまう。文字通り鬼の様な速さで。

それに鬼にとっては長期戦は圧倒的に有利だ。体力も瞬発力も怪我の回復速度も。何もかも上だからね。

「…まぁいいです。これぐらいは想定内ですから」

だが目の前の柱はそこまで落胆したわけではないようだった。

じゃあ俺も気づいた事を1つ言ってみよう。

「その刀、鞘にしまう音が特殊だね!そこで毒の調合を変えてるのかな?」

さぁ違う毒を使ってごらん。1つの毒を俺は覚えたよ。その系統の毒は効きにくくなる。

「次の調合なら効くと思う?やってみてよ!毒を喰らうのって楽しいね!」

たぶんさっきよりも効かなくなってるからね。

 

 

 

 

 




この間まで十二きづきを十二きげつと読んでいた作者です。なんかそっちの方が語呂が良くないですか?
呼吸変容のタグつけときますね。この作品では蜂牙の舞を蜂針の舞にしました。なんか技的にも蜂的にも牙というよりも針って感じの技だったので…。

あとなんか武器の説明しないと気が済まないので下に書いておきます。しのぶさんの使う武器については説明不可能です(似た武器を見た事がない)。鬼の使う武器についてですね。こんな事、知っている方が大半だとは思うんですけど、もし知らない方がいたらご参考までに。

この鬼の使う武器はたぶん中国が原産の鉄扇ですね。てっせんと読みます。扇の弧を描いている部分に刃がついた武器になります。個人的にはどうやって扇を畳んでいるのか謎ですね。中国も日本で作られた鉄扇も全て開いた状態で作られております。というのも畳むと、刃の位置がズレて斬りかかった時に折れる可能性が増すからです。蛇腹の様に波打たせる事もできるとは思いますが、そこまでする意味もないし…。結局血鬼術だと納得する事にしました。


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蟲と花の逆転の関係

原作改変になります。嫌いな方はご遠慮ください。
…今更すぎるかも。


「ん。5度目。どんどん効かなくなってるね」

目の前の悪魔じみた鬼が呟いた。その右手をさっき貫いたのに。

(ことごと)く毒が効かないのは予想外ね。全く。なんなのよ。

姉さんが遺言で鬼の血鬼術は吸わないでって言ってたけど。ホントに吸っちゃダメね。

たぶん身体が内側からダメになる攻撃だから。なんとか今まで吸わずにすんでるけど、これからもそうとは限らない。

しょうがない。連撃で大量の毒を撃ち込む。それしか勝ち目がない。

蟲の呼吸・蜻蛉(せいらん)の舞。゛陽炎(かげろう)

 

 

 

 

 

 

対峙している柱が猛烈な勢いで肉薄してくる。速い。めちゃくちゃ速い。でも。

「あまりにも動きが直線的すぎるよ!」

タイミングをあわせて両の扇を翼の様に振るう。扇は確かに柱を両断した。

 

でも。

 

その柱は幻の様に消えて少し後ろに現れた。

 

は?

 

蝶の翼の様な羽織りを着た女の子は、容赦なく俺の全身にの斬撃を八本刻みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蟲の呼吸・蜻蛉(せいらん)の舞。゛陽炎(かげろう)

まるでかげろうの様に消えて、その後複数回の斬撃を浴びせる技。

かなりの特殊な足捌き(ステップ)を踏み、自身の前に残像を作り出す技。

呼吸の能力が強力な分、やはり疲れるわね…。

汗をダラダラ流しながらそう思う。

かなり息も上がっていた。肩が上下している。

その鬼もこれ以上喰らったらヤバいと思ったらしいわね。血鬼術を使ったから慌てたわよ。吸うまいと距離とったのが間に合ったけど。

…大丈夫。まだ吸ってない。

 

上弦の弐の鬼は膝をついていた。

かなりの毒を撃ち込んだハズなのに。とっくに致死量の毒を撃ち込んだハズなのに。

…まだ生きてる。

それどころか。

 

治って来ている(・・・・・・・)

 

…冗談でしょ?え?うそ?あんなに藤の毒を撃ち込んだのに…?

 

「今のは危なかったなあ!!でもギリギリ治せたよ!!」 

大悪鬼は楽しそうに告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ限界だな。目の前の柱を見て俺はそう思った。小さな身体で。約5尺しかない身体でよくやったよ。でもそろそろ終わりの時間だ。そんなに息を荒げて、肩で息をして。少しも疲労を隠せていない。

しょうがないけど一気に決める時間だ。

 

血鬼術。寒列の白姫。

 

この血鬼術は俺の血が混じった氷の吐息を吹き出す。慌てて距離をとる女。でも遅いな。

 

血鬼術。冬ざれ氷柱。

 

柱の真上に氷の杭が無数に現れる。どんどん鬼殺隊が離れていく。

「近づかなきゃ斬れないよ!」

攻撃の手を休めない。

この娘の限界もそろそろわかっちゃったしな。あまりいたぶるのも趣味じゃない。

そろそろ切り札を切る時間だ。

血鬼術―

「師範!!」

どうやら援軍が来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師範!!」

なに?カナヲ?

疲れて限界だった身体を心配そうに支えてくれるカナヲ。

…継子に支えられたら柱失格ね。

支えを要らないと言って離れる。なぜか不思議と四肢に力が戻ってきていた。

「大丈夫?師範?」

カナヲが心配そうに聞いてくる。全く。私の心配なんて百年速いのよ。

「大丈夫よ。それより、この鬼は私達の姉さんを殺した鬼なの」

瞳にも言葉にも憎しみを目一杯載せる。

私がかなりの感情を込めて言うと、カナヲの瞳にも憎しみが映り込んでいた。そう。よくも私達(・・)の姉さんを殺したわね…!

「私達姉妹で姉さんの仇を討つわよ!!」

「はい!師範!!」

この憎しみを刃に込めてこの鬼を討つ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そうなんですよ。この姉妹並んでこの童磨を討つ所を書きたかったんですよ!!見目麗しい女の子2人って絵になりませんか…?なんかこういうシーン他のss読んでても中々ないし…。
こういう姉妹並んで童磨を討つシーンのssあるなら教えてください!!
蟲の呼吸は蜻蛉の舞が複眼六角ではなく陽炎になっております。コレは蜻蛉がウスバカゲロウ等かげろうの名前がつく種類がある事やその命は陽炎の様に脆い所から残像を生みだすという事にしました。
なんかそっちの方が蜻蛉の狩りっぽいし。
ネーミングセンスがないのはご愛嬌。


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蟲と花の共闘

今回で童磨戦決着となりますね。
…めちゃくちゃ短えな…。
しのぶさんみたいな形をした刀がなぜないのか。
簡単ですね。
たぶんめちゃくちゃ折れやすいんですよ。日本刀以上に。
ちなみにですが、お兄様(よりちゃんの)の使う剣は日本で言う七支刀によく似ていますね!
わかりやすく言うとカー○ィのメタナ○トの刀です。
これもコレでカッコいいので私は結構好きですね!


まずはカナヲが仕掛ける。私の疲れを見抜いているのか、そうじゃないのか。カナヲが鞘に収まったままの刀に手を掛ける。

 

「花の呼吸。桜花(おうか)・壱部咲き ゛(くる)(ざくら) ゛」

 

血桜が狂い咲く。そこだけまるで花弁(はなびら)が舞うが如く、血霞が飛散する。

壱部咲きは迅さの極み。刀を抜くが迅いが斬りかかり、頸を切り離す。

 

「凄い!速いね!!」

 

だが目の前の鬼にはそんなに意味がないのか、頸をわずかに掠めただけで終わる。そこで一撃で頸が斬れるとは思ってはいない。掠めただけで十分。

 

「花の呼吸。桜花(おうか)・参分咲き。゛山桜 ゛」

 

この技は山に桜がところどころに咲くが如く。

人の急所をピンポイントで5箇所。狙いながら最後には頸を斬る技だ。

人の急所は鬼の急所でもある。右手首、左肺、心臓、肝臓、そして頸を狙い撃つ。目の前の巨悪は頸が斬り離される幻を確かに感じとったらしい。

 

「血鬼術」

「花の呼吸。桜花・弐分咲き」

 

枯園垂(かれそのしづ)り」

「゛夜桜 ゛」

悪魔の少し本気になった氷の八連撃に対し、五連撃では圧倒的に数が足りない。呼吸の数を重ねる事としたらしい。

夜桜は一太刀が目くらましで、不可視(本命)の二太刀を見舞う。その剣技を重ねて使い、全ての攻撃をなんとか防ぐ。

 

「凄いね!2発はどうやって防いだのかな?わかんなかったよ!」

 

憎い仇は楽しそうだ。こっちは必死でどうにか互角を保っているというのに。

血鬼術で離れたカナヲが近くに来た。そのタイミングで私は口を開く。

 

「あいつをあそこに釘付けにする事ができる?」

私が聞くとカナヲは驚いた様だった。

「師範、…まさか?」

いいえ。死ぬつもりはないわ。そう言えたらどれだけ楽か。

私がニコリと微笑むと、悟ったようだった。

「花の呼吸。捌の型・囲薔薇(いばら)

これは「綺麗な花には棘がある」という言葉を再現する呼吸ね。

相手を中心に円を描く様に素早く高速で動き回りながら、鬼のあちこちを斬り刻む技。その円の半径を徐々に狭めていく。頸は斬らないけど、頸を斬るサポートをする技ね。

私も呼吸を使わないと。その分の体力も十分回復してきたし。私は刀を鞘に収めながらも、力強く鞘の右下の部分に刀を中てる。最後の毒の場所に。

(むし)の呼吸。蟷螂(とうろう)の舞 ゛狂信の末路 ゛」

巨悪の頸から血が吹き出した。血鬼術が来る前に真後ろから放った技。私に気づく前に。

頸を挟み込むかの様に2連撃するこの技は私には珍しい、斬り技(・・・)だ。カマキリの幻をみるほどの鋭く、疾い。刀の先を使って撫でるだけだけど。

でも頸を斬る事に意味がある。頸には太い動脈。人間で言う頸動脈がある。鬼も人の形をしている分、そして血が巡っている分、近い、太い血管がある。

頸を斬る事でちゃんと毒を撃ち込みたいの。最後の調合を変えた毒で。一番凶悪な毒で。

あんまり効かなくても。

だって、だって。ちゃんと斬れば、毒が撃ち込まれて、

刹那の時間は完全にこっちに意識が向くはず。そして、私を処理し(食べ)ようとする。そのスキに…

「血鬼術・結晶の…」

一瞬、ほんの刹那を切り分けた様な僅かな時間。言葉に詰まった様にみえた。身体の動きも鈍くなった気がする。私の毒の効き目のおかげかもしれない。ほんの一瞬、それが決定的な瞬間になった。最後の最後にできたスキ。私は次の瞬間食べられてしまうだろうなと思った。でもこの鬼に次の瞬間が来る事はない。

何故なら。

「花の呼吸。桜花・壱分咲き ゛狂い桜 ゛」

こちらを向いた巨悪に後ろから日輪刀が振りぬかれた。

 

…この瞬間にカナヲが頸を斬ってくれるもの。

 

憎き仇の頸が中空を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

頸を斬られた!俺が!

皆を救済しなければならないこの俺が!

…いや。さっき猗窩座殿だって頸が急所じゃなくなりかけてたんだ。だったら俺も!

 

いや。ムリだな。もう身体が崩れた。顔ももう崩れる。

俺、そういや諦めがいいからな。元々全てを諦めていた様なヤツだ。無理な事はムリ。不可能は不可能だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「己と己の作った毒だけで貴方を殺せれば良かったんですけど」

姉さんは大悪魔(かたき)微笑み(憎しみ)の表情で告げている。いつものにこやかな笑顔で。

ぞくっとするほど穏やかな表情で。

「私と継子(いもうと)で姉の仇がとれただけで十分です」

語尾にハートマークがつきそうなほどご機嫌な声だった。

「師範…」

「違うでしょ?お姉ちゃん、でしょ?」

「お、お、おね、お姉ちゃん」

尻すぼみになる声。

やはり私はこの姉も大好きだ。

この鬼退治のために、大好きな姉が藤の毒を飲んでいると聞かされてから、私は花の呼吸の鍛錬を更に厳しく、更に過酷に取り組んだ。そのおかげで幾つも新しい技を編み出した。

その中の1つで無事仇がうてて良かった。

なぜか、涙が止まらなかった。

カナエ姉さんの事をなぜか思いだしてしまっていた。その時は汗しか出なかったのに、今日は、今日は目から熱いものが止まらなかった。

悲しみと安堵ってこういうものを言うのかな。

そう思いながら、私は静かに目を伏せた。

 

 

 




はい!というわけでほとんど不意打ちでしたね!
…これが女の闘い方ですね。しのぶさんこういう事好きそうと思って…!
というかコレ以外ぶっちゃけ勝ち筋ないと思うんですけど…。ナメプされている間にぶっ殺しちゃいましたね。
作者の書く能力が低いせいでは…低いせいでは…!

大正コソコソ噂話的な話をしましょう。
始めて切腹をした人って知ってますか?
確か私の記憶が正しければ犯罪者ですね。確か盗みの。
見つかって逃げてる途中で逃げきれないって判断して、腹を斬って、腸を引きずり出して。
それでも死なずに捕まって検非違使(けびいし)に引き渡されて翌日獄中で死んだとされています。
エグいですね。名前忘れたけどやった事のエグさは覚えてます。名前、なんちゃら座右衛門的な人だったんですよねぇ…。腹を斬るどころか腸を引きずり出すって。
昔は凄かったんだなぁ…って感じますね。その人が無知なだけだったのかもしれませんが。


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蛇、恋、獣。独特すぎる呼吸集まる

前話で「蟷螂の舞」を新たに作りました。゛狂信の末路 ゛というものなんですが、カマキリがヨーロッパの方では祈っている様に見えるので「祈る虫」とつけたられた所や、普通に共食いする所。後、交尾の際に交尾した雄を雌が喰らう、など色んな意味で名前をつけてみました。もちろん、童磨さん(狂った教祖)の末路という意味もあります。
童磨さんには相応しい最期だったのではないかとそう思っております。
なんか1番盛り上がって来た所であっけなく決着つけるとかそういう抜かりないのが作者は好きだったり。


さぁ猛烈に息を吸え。

その息を筋繊維1本1本に伝えろ!余す事なく。

その力を集めて爆発させろ!!!

「龍の呼吸。終ノ型・孤龍」

俺は容赦なく目の前の巨大な鬼に向かって斬りかかった。

 

 

 

「ん。遅いの」

 

 

 

その次の瞬間俺は巨鬼に投げ飛ばされていた。

…地面と平行に。

は?

鬼にぶっ飛ばされた人達なら、自分を含めて何度も見た事がある。だが、その人達は必ず弧を描いていた。

だからそう遠からず地面に着地していた。

…無事かどうかは別として。

だが。今、俺は。地面と平行に飛んでいる(・・・・・・・・・・・)。目玉が飛び出しそうなほどのスピードで、真後ろにすっ飛んでいく。

ヤバ過ぎるぞ、この状況は。地面につかない(・・・・・・・)

地面につかないと当たり前だが、体勢も立て直せない。

ヤバい!風圧で身体が動かない!受け身すらもとれない!!

そのまま真後ろの壁にブチ当たり、それすら突き破って、なお進んでいく。

…何重にも壁を突き破り、目の前が紅くグラグラしてきた所でようやく止まった。…壁で。頑丈なハズの壁がまるで薄紙で作られた様に、たやすく破壊されている。何層にも、何層にも渡って。

…バケモノめ。

「…あ。やりすぎたかの?ほんの軽〜く投げたつもりだったんじゃが…」

どこかいいわけじみた言葉が聞こえて、俺は仰天する。

ほんの軽く?今のが?

「と言うか、今のは、先に攻撃してくださいって言ってるかと思ったのじゃが…。違ったのかの…?」

 

あんなに遅く剣を振ってたんだからの(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

その言葉を聞き、耳を疑った。

俺の呼吸の最強の技だぞ?

確かに1番(最速)ではないが、それでも俺の呼吸の中では速い部類に入る。

でもまだまだ手が消えたワケじゃない。

行くぞ。俺。甘露寺を助けるために。そのためには。

なんとかボロボロの身体を呼吸で誤魔化し、負担を軽減するぞ。

…これやると後でまとめて負担が来るから、そんなに好きじゃないんだけどな。

でも四の五の言ってる場合じゃない。やるぞ。

アイツを倒したあと、無惨を倒すために。

俺は静かに呼吸を整え、身体の回復に力を注ぐ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

蛇柱を投げ飛ばした後。俺は恋柱にゆらりと向き直る。さてと、今のうちにコイツを倒すとしよう。蛇の方はしばらくは戦線離脱だろ。その程度の負傷は与えた。

恋柱は刀を構えたな。生きるために必要な事は諦めていない。だけどな。

…刃こぼれしてるな。俺のせいだが。

多少は刀があるぶんマシだが、それでもそれが俺を倒すのにどこまで役に立つか。さてさて、今のうちに一気に決着をつけるとしようかな。加勢が入らないうちに。

 

血鬼術。嵐爆雷(らんばくらい)

 

嵐の中で雷が無数に降り落ちる。

まるで稲妻の様に迅く。嵐の疾風(かぜ)が吹き荒れるが如く稲光が無数に走りだす。

そんな情景を脳裡に映し出す程、凄まじい速さで拳が無数に乱れ舞う。

この技は速度と数を頼みとする技。疾さと物量で押し流してやる!!!

だが(・・)

獣の呼吸 伍の牙・狂い裂き

「グハハハハ!ドンピシャじゃねぇか!烏の道案内は!」

突如、イノシシの頭をした何者かが降ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え〜と、ついたのは伊之助くん?

私は少し混乱していた。伊之助くんはもともとここにはいなかったハズよね?

「ん〜?てめぇは…う〜ん、上弦の漆!てめぇが上弦の漆番目ってバレてるぜ!烏の野郎!!1番強え鬼の所に案内しろっていったのに真逆で1番弱えじゃねぇか!」

「…あぁ。数字だけみて判断したらそうじゃな!わしが上弦最弱じゃ!!」

…ウソ。私、上弦の肆と闘った事あるけど、この鬼、明らかに上弦の肆番目(闘った事ある上弦)よりもめちゃくちゃ強いわ。

「気をつけて!この鬼、数字はあてにならないわ!!」

距離が迫り、刀と拳の領域に入る。お互いの間合いの中に。

獣の呼吸。

血鬼術

巨躯の鬼がニヤリと笑う。そんな風に私にはみえた。

肆の牙・切細裂き

矮躯体(わいくたい)

 

一瞬で急激に小さくなった鬼はたやすく攻撃の隙間をかいくぐり、あっさり懐の内に入り込んだ。危ない!!!

 

小さな身体に見合わぬ凶悪な力の籠もった拳を、殺意とともに引き絞る。私の助けは…間にあわない!!!

血鬼術。撃爆剛(げきばくごう)

イノシシ頭の少年が大きく吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

…軽いな。手応えが軽かった。たぶん後ろに飛ばれたんだろうな。

俺の撃爆剛は爆発的に力を高めて、凶悪なまでの剛力でぶん殴るだけの極々シンプルな技だ。血鬼術・矮躯体で力を流用(・・・・)したけれども、あそこまで派手に吹き飛ぶ技じゃあない。

 

「強えじゃねぇか!」

 

瓦礫の中からひょっこり顔を出して、嬉しそうに言う。

…ほらな。やっぱり生きてた。生き汚い野郎だ。

俺は心中で嘆息する。今ので決まってくれたら、とても楽だったんだけどな。

 

「え〜と、嘴平伊之助だったかの?お主の名前は?」

「なんで俺の名前知ってんだよ!キッショ!!」

 

ひどいな。俺はバレない様に心の中で笑う。素直な子だな。情報通りの(・・・・・)

 

「わしはな。将来有望な子達の情報を集めているんじゃよ。柱や準柱の実力を持つ子供達の情報は皆(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)持っとる(・・・・)

 

俺の集めている情報通りならば。

「お主の母親は鬼に殺されたらしいの?」

「…なんだと?」

おや。知らんのか。

「あぁ。わしではないが、上弦の弐の童磨に殺されたらしい」

まったく。度し難い。実に愚か極まりないな。

「お前の母親は童磨が人を喰っているのを見て実に怒ったんじゃな。怒ってそこから逃げ出したのはいいんじゃが、土地勘がなく迷ってしまい、お前を崖から落とした直後、童磨に喰われたのじゃよ」

 

そこで記憶が一気に甦って来たらしい。柄を持つ手には力が籠もり、ギザギザの刃には殺意が映っている。

 

「…その童磨って鬼はどこだ」

 

おお。巨大過ぎる程に凶悪な殺意だな。実にいい。

 

「さっき烏が言うておったぞ。死んだとな。胡蝶しのぶと栗花落カナヲが討ったと。アイツらは確か童磨に姉を殺されておったからの。仇討ちは成功したようじゃ」

「…そうなのか。良かった」

「まったく。わしはお前の母親に会った時に、あの宗教はやめとけと言ったのにな。万世極楽教は禄な宗教じゃないとな。女は皆、最終的には(教祖)のエサじゃとな。わしの助言あって気づけたのはいいが、最終的に死んでれば意味なんてないの?」

「…助言したのか?」

「あぁ。あの女、最初は甲高い声で「教祖様はそんな事は絶対にしない!」と喚いておったがの。1つ疑念を持てば疑念は膨らみ続け、最終的には真実に気づく。1つ学べたの、あの女。…あぁ意味なんてないと言ってすまなかった。意味はあったの」

お主と言う鬼狩りを作った。十分過ぎる意味があったの。

 

それを聴き、目の前のイノシシ頭は泣いていた。号泣だ。

 

…スキだらけだ。話の後不意打ち。俺の十八番(おはこ)だったりする。この一撃は絶対に躱せない!!!

 

血鬼術・撃爆剛

 

だがその一撃をあっさり躱すイノシシ頭。

「…俺の母親は最期まで幸せそうだったか?」

「知らんよ。…でもお主は、間違いなく母親に最期まで、「愛されていた」とは思うがの」

立派な母親だとわしは思うぞ。…童磨は違う事を言うかもしれんがの。

「…そうか。ありがとうと言わせてもらうぜ!思い出させてくれた事!」

てめぇを斬った後、無惨の頸を斬る!!!悲しみの鎖を断ち切るためにな!!!

 

そういうイノシシ頭。

「…ほう?わしの頸、斬れるもんなら斬ってみるが良い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血鬼術・巨躯体

そういう小さな身体をした鬼。なんだ?何すんだ?

その姿はもともと小さく、俺の腰ぐれぇだったのに気づいたら、俺の背丈の倍以上に。更にデカくなり、最終的には見上げる首が痛えくらいにデカくなりやがった!!デカくなりすぎだろ!!この変な城もその分大きくなり、その鬼の迫力を存分に伝えて来やがる。

「我が名は大衆道楽(ダイダラボッチ)。その名の通り大衆の道楽じみた偉業をなす異形の鬼。村をおよそ30、山ごと呑み込んだ我が威光を存分に浴びるがいい」

口調すらも変わった。威厳ある、人間には出せないほどの低い声に。

…怖え。これは恐怖だ。

ここまで力の差がある鬼とは、今までかつて闘った事がねえ…!

だがコイツを倒すほか無惨と闘う方法がない以上闘うしかねえ。勝つしかねえ!!!

「ウソ!!」

そんな声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

私は思わず叫んでいた。だってだって。

「村を呑み込んだのは6箇所のハズでしょ!?30なんてウソよ!!!」

「いや。嘘ではない。」

唸るほどの低い声が聞こえた。

「わしは確かに30を越えるほどの村を呑み込んだ。あまり有名でないのは単純に目撃者が出なかったからだ(・・・・・・・・・・・・)。より正確に言うと、目撃者ごと呑み込んだと言う方が正しい(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。」

目撃者を逃してしまったのが6箇所と言う方が正しいかの。

その言葉を聞き、私の目は怒りで紅く染まった。

「貴方を斬る!!何がなんでも!!」

その鬼は愉快そうにクツクツ笑った。

「やれるもんならやってみるがよい」

私と伊之助君は鬼に向かって走り出した。

巨大過ぎる鬼に向かって。絶望的な闘いの始まりだった。

 

 

 

 

 




伊之助君にはこっちに来てもらいました。頑張って!伊之助君!!
どういう感じでこの闘いは終わらせようかな…?
まだ未定なので色々変な事やらせるつもりですが…。
続きはまた頑張りますね!


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上弦最弱の鬼が嗤う。

なんか書いてると、コイツ全裸である事忘れてしまうのが悪い癖。
そうか。全裸なんだよ。全裸なんだよなー…!
全裸状態で普通にマジメな事やってる。
この鬼、実用性10割でやってるんだよ。悪気はないんだよ…!
のんびり書いてたら、だいぶヤバいですね。



俺の背丈は現在、10丈(およそ30m)。文字通り、見上げるほどの巨人だ。

これぐらいの大きさが威圧するのにはちょうどいい。

最大10里(約40キロ)まで伸ばせるが、そのデカさはあまりにも大き過ぎる。融通が利かないのだ。だからこの大きさにしていると言える。俺にとっては小回りが利くギリギリの大きさがこの巨大さなのだ。

過去に、何度か最大の大きさになった経験はある。

だがその時に全て日の出を最も速く体験した(・・・・・・・・・・・・)ため慌てて小さくなった経緯(いきさつ)がある。

どういう事かわからないが、大きければ大きいだけ速く日の出(不利)になってしまう。それならば、特に巨大になる必要もない。取りこぼしも多くなってしまうし、自分の力も多大に喰う。力を流用(・・・・)しても良いが、無駄使いには変わらない。

さてと、闘いの始まりだな。

あまり愉しみはしないが、しょうがない事だ。

俺が鬼である以上。人を喰う以上。

くくくっと喉の奥で自虐的に嗤う。

さぁ人間の鬼殺の願いを断ち、心を折る時間だ。

「さぁ、「希望とは全て絶望に帰結する」という結末(現実)に向かって歩いて行こう」

走ってくる2人に俺はそう声を投げかけた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

恋の呼吸。伍の型 揺らめく恋情・乱れ爪

獣の呼吸。伍の牙 狂い裂き

俺たちは2人とも広範囲を攻撃する技を選んだ。少しでも負傷させる事を狙って。どっちも伍の型なのはなんかの気まぐれか。

だがこの怪物はなんの反応も見せない。

何にも遮られず全ての攻撃が直撃し、そして…!

 

無傷だった(・・・・・)

 

「なんでてめぇは無傷なんだよ!!!」

「力をいれたからじゃな」

…は?

…よくよく見れば薄皮一枚斬れている。だが、その程度、鬼なら一瞬で治る。ほら、もう治ってやがる。

 

 確かに一瞬で力をいれて筋肉を大きく膨らませれば、多少は刃が通りにくくはなるだろう。俺たちの技が広範囲攻撃で、多少威力が落ちていたというのもある。だが、それだけであの攻撃を、あんなほぼ無傷に抑える事ができるかといえば、それは。

 

…俺にはムリだな。

 

たぶんこれが、このバケモノの生き残った秘訣なんだ。

 この鬼は「純然たる暴力の権化」なのだ。

この鬼の前には、どんな目を見張る神業も、どんな悪魔じみた先見の明で策を練り、相手を絡め取る事も意味なんかねぇ。

 純粋で混じりっけのないただの「力」。この鬼はそれだけで全てを蹂躙しつくす。神業も策も罠も全て「力」のみで踏み潰す、暴虐的なまでの怪力の化身。それが、それだけがコイツの力の全てだ。

 

圧倒的なまでの強者の姿(うつしみ)だ。

 

どういう事だ?物理的(目で見る)以上に敵が大きく膨れ上がって見えやがる…!

…ダメだ。勝てねえ。勝てる想像ができねえ…!

「伊之助君!」

「なんだ?」

「私がなんとしてでもスキを作る!だからそこで頸を斬って!」

どうやってだ?だがこう言われたからにはやるしかねぇ!

「任せとけ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 まったく。絶望に打ちひしがれる時間をそんなに伸ばしたいか。

俺は心の中でため息をつく。

だがあの女は俺の頸を斬る気みたいだぞ?

 

 千年間で斬れた者は、さっき斬られたのも含めても極わずか(5人)だと言うのに。

 

 この千年間、何度もその言葉を聞いてきた。だが、ただの一度も頸がなき別れになる事はなかったな。

俺は嗤う。醜悪な笑みで。だから良いんじゃないか(・・・・・・・・・・・)

「斬れるものなら斬ってみるがよい」

 

恋の呼吸。陸の型 猫足恋風

 

恋の呼吸の特徴としては広範囲攻撃が多い。

攻撃を「広げる」事により、間合いを伸ばして鬼の頸を斬りやすくしているのだ。独特な刀で刃渡りが長いのも理由の1つであろう。

 だが、その分威力が落ちる。確かに傷は負いやすくはなる。が、その程度、(おれ)なら負傷していないのと変わらない。

 大きく跳躍して恋柱に肉薄する。一瞬で20丈(約60m)以上離れていた距離が一瞬で詰まった。

恋柱は驚いた様だ。だが慌てて刀を振るう。とっさの判断としては悪くない。

しかし俺は刀を無視して恋柱に、右手を伸ばした。腕に無数の傷ができるが、この程度の傷はないのも同じ。

恋柱を確かに捕らえたと思った瞬間、桃色の髪の女は頭上に一瞬で移動した。

まるで稲光の様な速度で(・・・・・・・・・・・)

しょうがないのでそのまま右手で追うと、今度は灼熱の痛みを感じた。右手が切り落とされてやがる…!

それに、傷口の回復速度が落ちている(・・・・・・・・・・・・・)

なるほど。この二人か。

「…出て来ないのかの?」

まだ隠れたままだ。まぁ良い。炙り出してやる。

「…そこじゃな」

軽く蹴ると空間が歪む。まったく。隠れんぼは得意ではないのだが。

そろそろ本気の一部を見せないとな。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 さっきとは明らかに気配が変わりやがった。俺はそう思った。まるでもともと大きかった姿が何倍にも、何十倍にも(おお)きくなっていく様な…!

実際の大きさは全く変わんねぇ。でも、内に秘めるものがどんどん巨大に膨れ上がり、とんでもねぇもんに変貌していってる気がする。根拠はないがそう感じた。 

「久しぶりじゃ。実に久しぶりじゃな」

 

悪魔は嗤う。巨大な顔に、凶暴すぎる表情を浮かべて。

悪魔は嗤う。巨大な拳に凶悪な意思を込めて。

 

「そう簡単に死んでくれるのでは困るぞ!本当に久方ぶりじゃ。本気になるのは。四百年振りじゃな!だから愉しませてくれ!!!」

凶悪な鬼は容赦なく拳を俺という人間に叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 




あと、色々書きましたが、昔の長さの単位はやっぱり現在のメートル法に直すのを続けた方がいいですかね…?
むしろ続けない方がわかりやすいですかね?コメントください!一応、下に昔の単位の長さがわかりやすい様に書いておきますね。 

一寸→約3センチ(正確に言うと3.0303センチ)
一尺→10寸(約30センチ)
一丈→10尺(約3m)
一間→6尺(約180センチ)
一町→60間(約109m)
一里→36町(約4キロ)
となっております。
正確な値がほしい人、コメントをくだされば次は正確に書いておきます。




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バケモノは嗤う。強者との邂逅に。

どうしよう!だいぶ前に決めた所まで行き着かないよ!!
でもまぁいいや。次に行けば。


あぁ久しぶりだ。実に昔過ぎて懐かしいという感覚にすら至るな。本気になる瞬間は!

「そう簡単に死んでくれるでないぞ!本当に久方ぶりじゃ!実に四百年振りの本気じゃからな!!」 

俺は嗤う。本気を出せる(よろこ)びに。

 

拳に凶悪なまでの殺意(情熱)を込めて。

顔に純度100%の嗤い(殺意)を秘めて。

 

このゾクゾクする、肌が粟立つ感覚。血が湧き、肉が踊る身体。実に久しぶりの強者との邂逅。手の震えが止まらねえ。楽しみで、愉しみで。

 

 こんな感覚は縁壱と一人で会って以来じゃないか?アイツは強かった。

 

…肌が粟立つを通り越して寒気が来たからな、アイツは。闘いながらも死をすぐ身近に感じたあの感覚。もしかしたら生と死なんてそんなに違わないのかもしれないな。

縁壱は(おれ)よりも(バケモノ)じみて強かった。俺は逃げたからな。勝機は無いと感覚で悟って。あれはマジで人間辞め人間だっつうの。そのおかげで今日まで生き残って来られたんだから、マジで自分の感覚に感謝しかねえ。マジでありがとう!俺の感覚!!

 

呼吸を極めた?常に透明な世界?闘いが始まったら常時赫刀?そんな生易しいモンじゃねぇよ、アレは。呪いとか妄執の類だっつうの。鬼を殺す(てんさい)って呪いだ。

死ぬ間際ギリギリまで強いとかバケモンここに極まれりだろ。

 

そんな人類初まって以来の天才を、相手にする方が間違ってる。

 

…そこは無惨も一緒だったらしいが。無惨にも無数の肉片(ポップコーン)になってでも逃げたからな!

ハハハ!!(乾いた笑い)

そこまでしてもかなりの数を斬られてギリギリで生き残ったとか。

 

…アイツ本当に人間か?

 

…恐ろしいアイツの話は、まぁいいや。俺の手札(血鬼術)の確認だ。

俺の血鬼術は全部で五つ。五枚しかない。前にも言ったが。

 

だが単純に強い。俺の血鬼術は単体で使っても恐ろしく強いが、本当に真価を発揮するのはやはり複数を組み合わせて(・・・・・・)使った時である。めちゃくちゃシンプルだがめちゃくちゃ強い。

…やはりハメ技には恐ろしく弱いが。

 

さぁ。ここからが俺の本当の闘いだ。本気の、全力の、全開の闘いである。 

 

「上弦最弱の鬼の血鬼術、たっぷりと堪能するが良い!!」

 

乱撃嵐(あらしうちみだれ)

俺の血鬼術の本気の組み合わせ、いくつまで耐えられるかな?

 

「さぁ、()()りの命の輝きを魅せておくれ?」

 

俺は歓喜の表情と鬼の象徴である犬歯を剥き出しにした。

「さてと、死会(しあ)おうか」

文字通り片方が、下手したら両方が「死に会う」まで闘う闘い。お互いがギリギリになるまで闘う闘い。命尽きるまで、精一杯輝く闘い。

なんて素晴らしい(・・・・・・・・)

「勝つ事に全力を注ぐ事こそ素晴らしい。わしは卑怯だとか卑劣だとかそういう事は一切言わん。美しく勝つ事は、なんも意味無い事だと思う。卑怯な手を使う(・・・・・・・)それもまた闘いの一部(・・・・・・・・・・)。だからこそ、わしもお主らを打ち倒す事に全力を注ごうぞ!!そのためにはどんな手段でも使う事を厭わない!!」

俺は吠えた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

乱撃嵐(あらしうちみだれ)

俺がその言葉を聞き取った瞬間、目の前から鬼が消えた(・・・・・・・・・・)

次の瞬間、俺は殴り飛ばされていた。

は!?

紋一の…雷の呼吸だっけか?それを使う時と似た様な疾さがありやがる。

…いや。ヘタしたらもっと疾いかもしんねぇ。

更にこの怪物は、紋一にはないモノを持ってやがる。

 

…ばかみてぇに力がめちゃくちゃ強え。

 

鬼だからってのを抜いてもまだ、バケモノじみて強え。

人間離れした力と圧倒的なまでの速度。それがこの怪物を怪物たらしめている所以(ゆえん)だ。

なんとか受け身をとったが、今ので骨が何本か逝ったぞ。

 

 ちくしょう!追撃に備えねぇと!!!

 

だが目の前の鬼は辺りをキョロキョロしていた。それで。

「あぁ、ようやくか。見つけたぞ」

は?

コイツ何を行ってやがる?

突然、目の前の悪鬼が脚を大きく上げ、勢いよく振りおろしやがった。

 

それは伊之助は知らなかったが、相撲の四股であった。

 

まるで雷が数十本纏めて降り落ちた様な爆音と共に、地面が海の様な波打ちを引き起こす。思わず巨躯の鬼以外のこの場所にいる全員が、その場で膝をついた。俺を含めて。

 

…まさか、今の地震をこの鬼はバカ(ちから)だけで引き落こしたのか!?

 

驚愕から冷めぬままの状態の俺だが、この鬼は俺の事を無視して明後日(あさって)の方に向けて腕を「ブンッ」と振るった。

ただそれだけ。それだけなのに莫大な風が巻き起こり、暴虐な嵐を産み出す。爆発的な風が辺り一体を蹂躙した。

 

余波(・・)だけでボロボロになる周り。そしてその中心には。

 

 紋一と権八郎が今、まさに吹き飛ばされた様な姿で突然現れていやがった。二人の子分の額には変な目の紋様が描かれた紙が貼られていて、それが真ん中からちぎれていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「善逸と炭治郎か。獪丘(かいがく)との、猗窩座(あかざ)との闘いには勝ったらしいの?どちらも恨みと言うか、一悶着あった相手であったらしいが?」

俺の言葉に二人は仰天していた。自分の名前を知っている事や自分の境遇を知っている事に驚きを隠せないのだろう。

俺は内心笑う。

「鬼だから、なんも情報を集めないと思っていたのかね?それは、まるでまるで、」

チョコラテの様だ(甘すぎる)。実に甘いよ。小童(こわっぱ)ども。

多少ハイカラな物に例えてみる。若造はこんなのが好きだろう。

俺は真剣な表情を作り、パンッと手を叩いた。

…つもりだったが爆音じみた音になってしまい、思わず顔をしかめてしまう。

自分事ながらもつい、その事に思わず笑ってしまいながら、鐵拳を構えた。すると、向こうも音どころじゃあないと悟ったのか、刀を持ち上げ、ギザギザの刃をこちらに向ける。キチンと研げているとは言えないであろう刀も、ペラペラな刀も、この場所にある刀は全てこちらに向いたのをしかと確かめた。

 

全ての刀には殺意と覚悟が映っているのを確認した後、俺の口元はなぜか緩いカーブを描いた。

 

俺は別に戦闘狂ではないのだが、闘いに命を賭ける事は嫌いではない。

命という実に得難いモノを賭けて、全てを賭して戦う。

その事は決して無駄ではない。限限(ぎりぎり)の闘いは人鬼関係なく成長させるのだから。

「さてと、死会おうかの。ギリギリの闘い。限界を越えたお主達の可能性の素晴らしさを魅せておくれ」

勝てる保証などどこにもない。だからこそいい(・・・・・・・)

 

絶望(オレ)の影を振り払う方法。さぁぶっつけ本番でやって魅せてごらん。




次回かな…ちょっと前に決めたヤツやります。
読んでくださり、ありがとうございます。


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姦となり参戦

遅くなり、申し訳ありません!!!
…別に私が書かなくて良いのでは?と思い、投稿が遅れました!
…あと戦闘ばっかで書いてて疲れるし…。
 最近、日常系ラノベばっか読んでました。日常って素晴らしいですね。

 最近読んだのは遠山キンジ君の強くならないヒステリアモード的なやつを使うヤツですかね。
ただタラシになるだけです。
 遠山キンジ君の方がよっぽどカッコいいなーなんて思いながら読んでました。


「君らの目には希望が見られる」

俺は笑う。

「鬼は身体(からだ)が強い。人は精神(こころ)が強い」

気持ちという物は無限だ。心という物はどこまでも強く、長く持てる。…特に負の感情は(・・・・・・・)

「怒りは怒りを産み、憎しみは憎しみを産む。それは無限の連鎖なのじゃよ。どちらか片方が絶滅しないと終わらないのじゃ」

それはつまり、鬼が絶滅するか、それとも人が絶滅するか。2つに1つだ。

「そうですね。…私は、鬼と今初めて意見があいました」

チクッとした痛みが走った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「大丈夫ですか?」

私の声にみんなは安心したようだった。

刀を引き抜きながらも油断なく鬼を睨む。

毒は撃ち込んだがこの鬼に効くかどうか。

…倒れすらしない。全然効いてない。

 

「…ちょいとピリピリするの。お得意の毒かぇ(・・・・・・・)?」

 

胡蝶しのぶ?

 

鬼は嗤ってそう告げた。

上弦の鬼(ワシたち)には、特に効かんの。特にわしは大きすぎる(・・・・・)からの」

…そうか。この鬼は大きすぎる(・・・・・)

大きすぎるせいで、致死量に値する所までは毒が撃ち込めなかったのか。

「あなたは何人、喰べましたか?」

ぶっ殺す(地獄に落とす)と決めてからの、いつもの決まりきった質問をする。

「…さぁ、覚えとらんの。数えとらんわい。しかしの?」

キミの関係者は2人喰ったぞ?

鬼の言葉に疑問符が浮かぶ。

その疑問を感じとったのか、悪鬼が更に言葉を紡いだ。

 

最悪の言葉を。

 

「ワシの腹の中にいる、柳カエデと柳ゆりはキミの継子じゃあないかね?」

 

顔から笑顔が消えた。(あふ)れ出す憎悪が顔を歪ませる。

「絶対に地獄に落としてやる!!」

この鬼は今ここで殺す。何が何でも。

私は心に決めて刀を持ち上げた。刀に憎しみを乗せて。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 憎しみの視線が心地よい。色んな所から来る純粋なまでの負の視線が。心地よ過ぎて、背筋に寒気が走る!

あぁ。実に久しぶりだな。マジメに闘うのは。

 

血鬼術 爆雷光

    爆剛岩

 

足を踏みしめ床を蹴飛ばすと、空間が歪む。

 

 縁壱はこの速度でも俺を斬った。あいつは人間じゃなかった。

 

その時(・・・)

 

ピシッという音がした。

その後、バキバキという音がする。

その瞬間、俺は貌を歪めた。

 

俺は嗤う。自分の枷が外れた事に。

俺は憎む。自分の(いまし)めが解けた事を。

俺は悔やむ。鬼殺隊に絶望しかない事を。

 

「さてと。実に久しぶりだな!俺がマトモにしゃべるのは!」

 

老人くさい喋り方はある種の呪いみたいなモンだ。

俺は血鬼術でその呪いを抑え込む変わり、能力の大半を喪った。残ったのが5つという方が正しいかもしれない。

 

縁壱。鬼殺隊の中でも随壱のバケモノ。

そいつのせいで能力をむりやり引きずり出された俺。 

 

だがその「本来は使えない能力まで使った」代償が取り立てられてしまった。

一時的に能力の大半を(うしな)ってしまったのだ。

 

…俺には主人公補正とかラスボス補正はなかった。

 

 徐々に、徐々に縁壱の呪いとでも言うべきものが和らいで、普通に喋る事ができる様になったのだ。

それまでは鬼同士にしか普通に喋る事ができなかった。

 

まぁ、鬼にもそんな喋り方してたけどな!

 

さぁ、全力を魅せようか。俺の血鬼術の限界を!

 

俺が嗤うと後ろから焔が吹き上がる。

 

 

まるで龍の様に。鬼の様に。火山の様に。

 

 

 俺が縁壱の相手をしていた時に最初に覚醒めたのは焔だったな。

そんな事を想いながらも手を金剛拳に。

 

 拳を握りしめると手から爆炎が。長細く、まるで刀の様な型を形成する。

 

灼熱が実体化し、一本の(つるぎ)へ。

 熱が形になったとは思えないほどの冷たい耀(かがやき)を放つ刃に変貌する。

折れそうなほど細く、鋭い輝きの形骸(けいがい)が顕れる。

 

黑き刃。

漆黒の鋼。

魔性の黒。

 

俺は真黒を握りしめ、振るった。

その刃は直接触れていない地面の畳までを深々と切り裂く。

 

鬼殺隊の面々はとても驚いた様だった。

「この程度では終わらんぞ?ゆっくり愉しんでいけ。たらふく技を喰わせてやるよ!!!」

絶望が(たの)しみだ!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

俺達は一体何を見せられているんだ?

俺はあまりの事に魅入(みい)ってしまった。

 大きくなったかと思えば簡単に吹っ飛ばされ、逆転できたと思えばまた容易く逆転される。

 まるで物語の登場人物の気分だ。しかもバッドエンド(絶望)系統の。

 

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 神速」

 

「あゝ。雷の呼吸か。強いな。速いな。」

でも俺の方が速いよ。

 

そんな理不尽過ぎる声が聞こえた。俺の最強最速の呼吸が。

 アッサリと避けられた。俺は思わず目を見開く。

 

「もうちょい体の捻りを利かせた方が、より速くなると思うぞー」

更に改善点まで告げられて、絶望する。この技はコイツには効かない。

 

絶望で呆けていると横合いから吹っ飛ばされた。

さっきまで俺がいたとこに鬼の拳が突き刺さっている所を見ると、どうやら吹っ飛ばした人は命の恩人らしい。

 

「さっさと復活してください!あなたが死ねばそのぶんこっちの負担が増えます!」

どうやら胡蝶しのぶさんが俺の命の恩人らしかった。

 

…救った理由は身も蓋もなかったけど…。

 

「絶対に仇をうってやる…!!!」

しのぶさんの怒りの音。殺意の音。初めて聞いたな。

 

こっちまで怒られているみたいだ。

激励されてるみたいだ。

 

お前は動けるのに動かないのか?と

 

絶対にこの鬼の頚は斬らないと…!

 

俺達の幸せな明日は来ない!!!

俺達の幸せな未来は来ない!!!

絶望を希望に変えてみせろ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 出せなかった設定
 柳カエデと柳ゆりは姉妹なのですが鬼に襲われてしまい、両親をなくします。
 両方とも助けられた時の恩で、花の呼吸を教わっていたのですが、妹の方が花の呼吸は体にあっていたようで、姉の方はイマイチでした。
 ためしに姉が近い水の呼吸をやってみた所、バッチリ身体に噛み合い、姉妹で最終選抜を突破しています。
 その後数年経ち、甲になった時、下弦の鬼を2人で討伐します。
 その鬼は川の上流に住む、水を操る力をもった鬼でした。普段は洞窟の中に身を隠し、夜でもめったに外にでない臆病な鬼でした。様々な血鬼術を使い、幻を創ったり、水を高圧高速で飛ばしたりする鬼でした。
その鬼の頚を斬り、意気揚々と帰る途中、鬼の気配を姉がたまたま感じとって山の中に入っていくと、そこには無惨の命令を受け取って通り過ぎる主人公がいました。日の呼吸使いの討伐を命じられて、空振りだった帰りでした。
 下弦でもないから、簡単に勝てると油断した姉妹は攻撃を仕掛けますが、あっさり返り討ちにあいます。
正面から飛びかかった姉は巨大化の後、一呑みで。後ろから斬りつけた妹は日輪刀が折れて、思わず慌てた隙に振り返り、掴まれてこちらも一呑みにされています。
 主人公はとても心優しい性格だと自負しているので、2本の日輪刀は蝶屋敷に夜のうちに届けました。無惨のお使いが終わったらすぐにです。
 胡蝶姉妹は朝になって刀を見つけ、慟哭しています。
カナヲはまだ継子ではない頃でした。


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月 ツキ 付 築

 前回のお話は散々お気に入りが解除されたハズなのに、いつの間にか戻ってました。
ポイントもむしろ増えました…!

ありがとうございます…!
 前回でお気に入り、150名様突破となりました。これからもまた元気にやっていこうと思います…!
 あと、評価が1人増えて12名様となりました。ありがとうございます。
 でもオチ決まってないんだよなぁ…と思いながら。
あ、アンケの結果で文字数増やしますね!
今回の目標は4千字ほどです!
…書けるかなぁ…?
ストーリーはとっ散らかってるけど。


 地面を踏みしめたあと、ゆっくりと構える目の前の鬼。

よくも私達の継子(いもうと)達の将来を奪ったわね…!。

絶対に地獄に落としてやる…!!! 

 

蜻蛉の舞 陽炎

 

まるで避ける事が前もって決まっていたかの様に、刀が鬼から外れていく。 

まだまだ!

 

蝶の舞 戯れ

 

何もない空間を幾度となく突き刺す。

本当に1つの動きが速すぎる…!

その鬼はどこかきょとんとした表情のまま、口を開く。

…鬼は悪魔だ。まさしく悪魔の囁きをそこに挟んで来た。

 

「この場は見逃してやろう」

 

は?なんですって?

 

「一晩掛けて俺を倒すワケにはいかんだろう?俺も完璧に能力(チカラ)を取り戻したし、能力の暴発でお前らを倒すのは忍びない」

だからここは見逃してやるよ。無惨を倒しに行って来い。

 

 それはかなり魅力的な提案だった。ホントにその約束が守られるなら。だが私には憎き仇を討つという想いがある。

 

 だが他のみんなは、かなり動きに精細さを欠いていた。

 確かにこの鬼の言うとおり、一晩掛けてこの鬼を倒した所でどうにもならないからだ。

 

 まずは無惨を斃さないと。だからこそ心が揺さぶられる。

 

コレはマズい流れだ。なんとしてでも断ち切らないと…!

 

そう考えた私に何かの影がかかる。

…伊黒さん?ボロボロの伊黒さんだった

「聞き入れるな!」

伊黒さんが吠える。

「鬼は嘘つきだ。聞こえのいい言葉で俺達を惑わしているだけだ!」

その言葉で稲妻に撃たれたかの様に元に戻る。

「…え?マジで?ダメ?なの?」

鬼が独り言を呟き始める。

「いやいや…あの時はそういう状態じゃなかったじゃん?チカラを取り戻すなんて予想もしてなかったし…。ホントにダメ?」

ハァ…と大きく嘆息すると、マジメな顔でゆっくり頚を横に振った。

「とりあえず、呪いをはずすよ?え?ダメ?いやいや…何もかもダメなんてキツいってホント」

じゃあ本気になるわー。お望み通り。

 

「済まんな。どうやら俺も本気で闘わないといけなくなったらしい」

 

 その瞬間。今までの絶望がまだ希望だったのだと強制的に体感させられた。

全く大きさは変わっていないのに、何倍も何十倍も。ヘタしたら何百倍も相手が大きくなっている気さえする。

 胃袋が押し潰されるほどの重圧。

 酸素が肺に入って来ない。

 私は憎しみの事さえ思わず一瞬忘れてしまうほどに瞠目した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あーあ。さっさと退場しようと思ったのに無惨からの声が届いて不可能になったよ。

俺は強いが完璧ではない。

だが、完璧ではないという事に美徳を感じる(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。そんな鬼だ。無惨は完璧を目指している。なぜなら、

 

完璧とは不変である

 

という事だからである。

 不変を体現しようとしている無惨には悪いが、俺は完璧は嫌いだ。

 なぜなら完璧とはそこに改良の余地はなく、ありとあらゆる変化の余地が挟めないという事だ。

 

 

つまりは停滞という事である。

 

停滞は退屈を産む。

 

 退屈が大嫌いな俺としては完璧とは退屈であるなら完璧を目指したくない。今までよりも良いモノを。しかし決して完璧ではないものを。ソレを目指しているからこそ、より良い変化が無限にできるのだ。

 

 そこが徹底的に無惨とはあわない所であり、無惨よりも人間に近い所でもある。

 

変化し続けないとすぐに飽きてしまう。

 それが俺の特徴であり、俺の学者としてのポリシーである。

もう生きる事にも飽きた。千年生きててここ参百年はずっと停滞の日々だった。

 この停滞の日々がそろそろ終わってもいいんじゃないかと、そう思っただけである。

 

 俺は確かに愉しかった。戦闘に快楽を。愉悦を感じる主義だ。それはギリギリの闘いである。全ての感覚が研ぎ澄まされていき、本来起こされなかった感覚(モノ)がむりやり引きずり出されるという経験が大好きなのである。

 

 その時に脳汁がダバダバ出て生の実感が湧いてくるのが好きなのである。死と生の狭間の感覚。自分の実力で死をはねのけ、生を掴み取る感覚。生き残るために全力を尽くす感覚。全てが好きだ。

 

 だからこそ刺激的な闘いを求めた。縁壱との闘いは愉しかった。

 

だが縁壱は強過ぎた。俺は鬼に生まれ変わって初めて死の恐怖を感じた。

 

俺はとても愉しかったが縁壱は楽しくなさそうだった。なぜなら、縁壱は義務で闘っていたからだ。

 

兄を探すという義務に。剣でしか繋がりを持てなかった兄と、少しでも家族との絆を保とうとする意思に。

 

あくまで私との闘いは、兄との闘いの前座に過ぎないとわかった瞬間、私は逃げた。

 

闘っていても微塵も愉しくなかったからだ。

 

お互いに死の恐怖を感じ、それをはねのけ続けながら戦うのが俺は好きだ。

 

それが一方的な戦いになったのはいつの事か。

 

それが対等な戦いに。闘いに。ならなくなったのはどれだけ昔の事か。

 

しかし、それが縁一相手では逆転した。

凄く久しぶりにめちゃくちゃ楽しかった。

 

でも縁一はちっとも楽しくなさそうであった。

それはそうだろう。

アイツは剣をつまらぬものとして振るっていたからな。

誰よりも才能を持ち、それでいてそれが自分のとことん興味のないものの辛さは計り知れない。

 

義務で剣を振るっているのに追い詰められていく俺。

アイツの剣からは、楽しさも覚悟も感じられない。

 

ただただ義務。

ただただ絆の維持。

 

そんなモンばかり刀に写して斬りかかってくる。

それでいて性質(タチ)が悪いのは、そんだけでめちゃくちゃ強いのだ。炎のように華麗に舞い。光の様に美しく貫く。

 

まるで太陽のように。まるで鬼の天敵であるかのように。

 

日の呼吸が後に神楽となったのも頷ける。

あんなに美しい呼吸、美しい舞は見たことがないのだから。

 

あんな(もの)、そうそう産まれてなるものか。

 

天賦の才能を超えた、天と地。全ての者から、剣の才能のみを抽出して凝縮した才能(もの)を与えられた。

 

そんな才能であった。

そんな天才であった。

そんな太陽であった。

 

 あの時に比べれば、この程度の殺意は心地のよさすら感じるもの。

あの時は総身に怖気が走った。

 背骨の変わりに氷柱を代用したとしても、あれほどの寒気は感じる事がないであろう。

 

 縁壱(鬼よりもバケモノ)には絶対に及ばない。そんなか弱い連中に、俺は牙を剥く。

 

 

「鬼殺隊の(やっこさん)達。極限に至らぬ者のワザで恐縮だが、極限というモノをご教授してしんぜよう」

 

地面が爆発した。

 

 

 

 

 

 




……完結おめでとうございますって感想で言われちゃいました。
……なので、もっと文字数増やす予定だったけど、半分で投稿します。


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