音を奏で歌う転生者 (クレナイハルハ)
しおりを挟む

プロローグ

Fate要素は序盤だけです


目を覚ますと真っ暗だった

 

夜なのだろうか?

 

そう疑問を持ちつつ、周囲を見回す

 

「奏!起きたのか!」

 

「え!?」

 

突如として聞き覚えのある声

 

父さんの声が聞こえた

 

「奏兄さん!」

 

「奏ちゃん!」

 

続いて聞こえたのは妹と母さんの声だった

 

だが、回りは真っ暗、だれもいない

 

聞こえるのは声だけだ

 

「父さん?母さん?皆何処にいるの?」

 

すると、突如として聞こえてきた声がぴたりとやんだ

 

中には、泣くのを我慢しているかのような声が聞こえた

 

「どうして、泣いてるの?」

 

「奏、実はな────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   お前は失明してしまったんだ」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

……………失…………明

 

「……嘘だ」

 

「奏………」

 

「………嘘だよね?」

 

「……………奏兄さん」

 

嘘だ、そう思ったが、それだと全てに納得がいってしまう

 

そうか、()()()()()()()()()()()()()()んだ

 

理解した、その瞬間、とてつもない感情が押し寄せる

 

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

 

悲しみ、苦しみ……絶望した

 

目から涙が流れた

 

 

「………嘘だって、言ってよぉ」

 

この日からだ、生きることを諦めたのは

 

心が空っぽになったのは

 

心から絶望したのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるところに、一人の少年がいた

 

 

その少年は、目が見えなくなった

 

 

突如として発現した病気で失明した

 

 

少年は絶望した

 

それから少し時間がたった

 

だが少年はかわらなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように、ベットに寝てボーっとする

 

「あぁ………死にたい」

 

そんなことを呟く

まるで口癖のように僕はそう言葉をこぼしている

点字の勉強にも手を着けず

ただ、ボーッとして1日過ごす

死のうにも、病院だから出来ない

そんなとき、病室のドアをノックする音が聞こえた

 

「どうぞ」

 

「失礼しますよ兄さん」

 

そうしてドアが開くと共に聞こえたのは妹の声だった

 

「さゆ、どうしたの急に?僕なんかに時間を使うのはもったいないよ」

 

「………聴いて欲しいものがあるの」

 

「聴いて欲しいもの?」

 

「うん、少しじっとしててイヤホンつけるから」

 

すると右耳にイヤホンがつけられる

 

「流すね」

 

「うん」

 

次の瞬間、聞こえてきたのは静かな歌だった

 

まるで、失明を悟った時の自分のよう

 

そしてだんだんと曲は強くなっていく

 

まるで、僕を応援しているかのような

 

歌の途中『諦めるな』と言う言葉が聞こえた

 

いつの間にか、自分の中にあった暗い何かがなくなっていた

 

音楽は凄いと思った

 

この人みたいに、僕も歌で誰かを助けたい

 

そう思うようになった

 

「さゆ」

 

「ん?」

 

「ありがとう」

 

「!?……うん、どういたしまして」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるところに一人の少年がいた

 

彼は、突如として発現した病気で失明した

 

彼は絶望した

 

だが、そんな彼を救ったもの

 

それは『音楽』だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、僕は沢山の曲を聞き、歌詞を覚えた

 

頑張って点字を覚え、音楽を勉強した

 

だけど僕の体はついてきてはくれなかった

 

聞こえるのは、医療機器がたてる機械的な音

 

そして、家族の泣いているような声が聞こえた

 

手が握られているのがわかる

 

あぁ、もう死ぬのか

 

結局迷惑をかけてばかり

 

僕は誰も救うことは出来なかったのか

 

「みん、な……ごめん…ね」

 

「!?」

 

「兄さん!死なないで!私は……まだ!」

 

さゆの泣きそうな声が聞こえた

 

声を、頼りにさゆの頭を撫でる

 

「さゆ……ありがとね」

 

次の瞬間

 

体から力が抜けるような感覚

 

そしてだんだんと眠くなっていく

 

──────あぁ、せめて誰かを

 

──────────救いたかった

 

 

 

 

 

 

こうして僕、音也 奏(おとや かなで)は死んだ

 

 

 

 

 

 

 




出して欲しい曲は感想へどうぞ
感想、お気に入り登録お待ちしています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転生

目の前には()()()な空間が広がっていた

 

「あれ!?目が!」

 

おかしい、あの日から僕は失明し何も見えなかったはずそれに僕はしんだんじゃ

 

「目が覚めましたか」

 

声のした方を見ると、まるで女神のような神々しさを纏った女性がいた

 

「それでは説明」

 

「──────綺麗」

 

「へ?」

 

「い、いえ何でもないです!」

 

「そ、そうですか」

 

すると女性は少し不満そうな顔をし、話し始めた

 

「それでは説明しますね、あなたは死にました」

 

 

やっぱり僕は死んだのか

 

「貴方には転生のチャンスが与えられました」

 

「え?」

 

「貴方には生前、こう考えていましたね『救いたかった』と」

 

「は、はい」

 

突如として、女神は語り始めた

 

「ほとんどの人間が死の間際に抱くのは()()()()と言う欲望です。ですが貴方は、貴方だけは違いました、生命の延長ではなく、他者の救済を求めた」

 

「…………」

 

「そんな貴方だからこそ、貴方は選ばれました。我欲や妄執に捕らわれない貴方の歌によってのみ世界を救うことが出来きる。どうか、世界を救って下さいませんか?」

 

そんなこと、決まってるじゃないか

 

僕は────

 

「やります、僕が……救って見せます!」

 

「ありがとう」

 

そう言って笑う女神のような女性はとても美しかった

 

「貴方の決意に私が出来る最大限の贈り物を」

 

すると僕の回りに五つの光が現れ、光が収まると六つの楽器が現れた

 

「これは全て神器と呼ばれる楽器です」

 

「そんなものを頂いてもいいんですか」

 

「はい、これは貴方の旅路への贈り物なのですから」

 

すると、最初に渡されたのはハーモニカだった

 

「これは『響律(きょうりつ)ハーモニカ』。相手を落ち着かせたり冷静にさせることが出来ます」

 

「響律ハーモニカ……」

 

触れていると、光になり体の内側に消えていった

 

「続いて『吹鳴(すいめい)テルフィウス』、こちらは浄化、癒しそして幻惑効果を生じることが出来ます」

 

「テルフィウス……」

 

これはフルートか

さわると、先程と同じように光に体に入っていった

 

「これは『震弦(しんげん)ガラージ』、切断、雷属性付与、精神高揚効果があります」

 

これはギターか、それもエレキギター

ガラージも体の内側に消えていった

 

「続いて『彩鍵(さいけん)オクトーヴァ』これは曲によって変化するので、私にも分かりません」

 

こんどはキーボード、オクトーヴァも光になり体に入っていった

 

「最後に『弓弾(きゅうだん)アメシウス』音符を光弾にして撃ち出すことが出来ます」

 

今度はバイオリン、アメシウスも体に入っていった

 

「そして、貴方には音色を操る能力、楽器を扱う才能

神器である楽器を召喚する力を、これで貴方は男性、女性、中性の声が出すことが出来ます」

 

「本当にありがとうございます」

 

「これで、私の贈り物は全てです、そして貴方の楽器はそれぞれに縁を繋ぐことも出来ます」

 

「縁を?」

 

「はい、神器で歌って見てください、きっと答えてくれるはずです」

 

「はい、来てテルフィウス!」

 

そう言って手を翳すとそこには吹鳴テルフィウスが握られていた

 

テルフィウスを口に当て、吹く

そして、心の中で唄う

 

[今、奏でよう

我、無限の岐路に佇む者

  汝に繋ぐ()は無く

   我は宙へと手を伸ばす

  この声、この歌を聴くならば答えよ]

 

すると目の前に光のサークルが現れる

 

サークルは回転を始めた

 

サークルから光が溢れる

 

思わず目を覆う

 

光が収まったのを感じて目から手を離すと

 

そこには白い髪に緑の瞳を持った少女、そして魔法使いのような格好をした女の子が立っていた

 

「アサシン。ジャック・ザ・リッパー。よろしく、おかあさん」

 

「お、お母さん?」

 

「うん!」

 

「そ、そっか?僕は男なんだけどな」

 

そう言って、もう一人の女の子の方を向く

 

「君は?」

 

「普通の魔法使い、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)ちゃんだぜ!」

 

「う、うん、よろしくね魔理沙。僕は奏、音也 奏」

 

「よろしくなのぜ!」

 

「いきなり二人ですか、これは幸先のいいスタートがきれそうですね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それは貴方の運命が導いた事です、それでは転移させますね」

 

女神のような女性がそう言った瞬間、体が透けるように透明になっていった

 

「ありがとうございました!」

 

「そう言えばまだ名乗っていませんでしたね、私は偶然と宿命の女神、レイミェナです」

 

「え!?」

 

 

こうして僕は転生した

 

 




感想、お気に入り登録お待ちしています


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。