バニルさんごっこをしたい人生だった (西瓜最高)
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プロローグ

人生初投稿です。
書き上げるのに一月も掛かるとは思わなかった

この小説はKEY(ドM)さんの崩壊世界シリーズと是夢さんの崩壊世界で押しCPと家族になったの設定を借りています


それはまるで世界が変わったかのようだった。

 

天は虹色に輝き、竜が飛び、襲い掛かる。

地は割れて、魔物が溢れ、襲い掛かる。

人は怯え逃げ惑い、食い殺される。

 

まさしく今、人間社会が、人類にとっての世界が崩壊したのだ。

 

 

 

 

などと思わず格好付けてみたが、実はそんな余裕はない。

 

 

なんせ今、まさに目の前のドラゴンに食い殺されそうだし。

 

というか現在進行形で母さんが食い殺されてるし

 

どうやら母さんが最後の悪足搔きでボールペンを目に刺したお陰でドラゴンは随分と腹を立てたようで、それはもう暴れ回っている。

具体的に言うと、家の一階の居間の壁を突き破って入ってきたドラゴンが母の左半身に噛み付いて振り回して、叩き付けて踏み潰したせいで頭や内臓などが飛び散っている。誰が見ても即死だと分かる。

もはやミンチのような有り様で、飛び散った血が顔につき、ついへたり込んでしまった。

 

…母はなんだかんだで俺の我儘を聞いてくれたし、妹が言い忘れた急な用事にも文句を言いつつも手伝ってくれた。

そんな母のことが、少なくとも嫌いではなかった。

 

 

 

「は、」

 

だというのに俺は、

 

「は はは」

 

その光景に思わず

 

「あっはははは、はは」

 

それはもう悔しそうに(楽しそうに)笑ってしまった。

 

 

「はは、…嗚呼、くそ」

 

この状況で思わず、恐怖でも怒りでも悲しみでもなく()()()を感じるとは、自分の性根の悪さに思わず笑いが込み上げてきた。

 

あ、思わず笑ってしまった訳だが…

そうなれば当然コイツに気付かれる訳で、母を食っていたドラゴンがこっちを見た。

 

(まあ、気付くよな)

 

…さて、このままへたり込んでたら確実に食われて死ぬ。

自殺する手間が省けるので別にいいのだが母さんが竜の目を潰すという結構凄い事をしたのに、自分はただ食われるというのは悔しいというか、少し申し訳ない。

となると…

 

(もう片方の目でも潰そうか…)

 

逆鱗を殴るのもいいが、位置的にもう少ししゃがんでもらわないと当たらないな。

ううむ、これはやはり噛み付かれた瞬間を狙うしかないか…?

 

 

そう思って足元を見ると、二階の俺の部屋に置いてあったお手製バニル仮面と黒鍵のレプリカが落ちていた。

懐かしいな、部活動の暇な時間に作ったんだよな、これ。黒鍵の方は誕生日プレゼントに妹がなぜか買ってきたやつだよな。

でも妙だな、これちゃんと二階の机の中に仕舞ったのになんで一階の居間に落ちてるんだ?

 

 

「グウゥゥゥゥウ…」

 

 

…気にする余裕はなさそうだ。

 

まあいいか。

ボールペンで刺せたのだから、レプリカとはいえ黒鍵(あれ)で奴の目を潰すことはできるだろう。

やっぱり奴が噛み付く瞬間に黒鍵を刺せばいいという事だ、分かりやすい。

 

それで良い、それで終わりだ。

そうして俺は黒鍵を拾おうとした。

 

 

ただ、、何故だろうか

俺はどうしてか、この仮面から目が離せなかった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

ドラゴンはその男に喰いついた、はずだった。

だがそれにしては噛んだ感触がないのは一体…?

 

 

 

「ほう、これが逆鱗か」

 

ーーーその瞬間、ドラゴンの首の下に強烈な不快感と共に痛みが走った。

 

思わず頭を引っ込めたドラゴンはその痛みが何かを理解した。

()()()()()()()()

否、逆鱗を剥がされた?!

 

「フム、やけに力が漲るな。喉の調子も体の調子も絶好調ときた、…これは俗に言う”灯滅せんとして光を増す”か?竜の鱗も剥がせるとは、我輩もまだまだ捨てたものではないな」

 

ドラゴンは声がした方を見ると、そこには口元が開いた仮面を被った男が、手に"鱗"を持っていた。

 

ーーー貴様か!

 

ドラゴンは怒りに身を任せて火を噴く。

咄嗟にテーブルをひっくり返して炎を防ぐ。

その時、仮面の男にはそのドラゴンの聞こえぬはずの思いが()()()()

 

ーーーただでは済まさぬ

ーーーじっくりと引き裂き、焼き、叩き潰して、

ーーー苦痛と恐怖と共に貴様を食い殺してくれる!!

 

まさしくそれは、怒りの咆哮だった。

男は何故こいつの心が読めるのかと疑問に思ったが、気にするのをやめた。少なくともこのドラゴンがかなり苛立っている事は理解できたので、なら良いか、と納得した。

 

「炎を吐くか、いよいよドラゴンらしくなってきたではないか」

 

ドラゴンは爪でテーブルを引き裂いて、後ろのテレビごと貫いた。

男は横に身体を逸らして躱したが、僅かに脇腹を抉ってしまった。

 

「ぬぅ。貴様、今壊したテレビは結構値が張ったのだぞ」

 

軽口を叩く男へと爪を横薙ぎに払う。

男は後ろに仰け反ってそれを躱し、そのままバク転して後ろに下がるが、丁度そこにあった柱に背中をぶつけた。

 

「まったく、我が家の物をそう軽々しく破壊するでないわ。特に、」

 

そして男を今度こそ食い殺さんとばかりに噛み付くが、()()()()()()()()()()()()()()()男は既にしゃがんでおり、柱だけに噛み付いてしまった。

 

「そう、特にその柱とかな。それを壊されると結構困った事になる、何せそれはーーー」

 

ぱきり、

 

知ったことかと返答するかのように、その柱はあっさりと砕かれた。

 

 

「ーーーそれは、大黒柱だからな」

 

 

ーーーぱきり

 

そんな音が壁中から聞こえると共に、一瞬で家は崩れた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

家の残骸の上に、仮面の男が立っていた。

 

「よもや生き残ってしまうとは、我輩も存外にしぶといな」

 

倒壊した家の残骸は、ドラゴンの上半身と仮面の男を容易く飲み込んだ。

そして男は上手いこと瓦礫に押し潰されずに生き埋めになり、なんとか這い出てきたのだ。

 

「さて、あの竜は…

埋まっているのは半分だけか、あの巨体では仕方あるまい」

 

ドラゴンを見ると、崩壊した家の残骸によって下半身以外が見事に埋まっている。それはまさに"頭隠して尻隠さず"と言わんばかりの格好になっている。

よく見ると尻尾が微妙に動いているため、別に死んでる訳ではなさそうだ。

 

実際の所ドラゴンには余りダメージは無く、何があったのか理解が追い付かずフリーズしているだけだ。所謂わけがわからないよ(頭の中が真っ白になった)状態である。

 

(にしても、ここまで上手く行くとは思わなかったな。逆鱗殴るのが精々だと思ったが…)

 

男は、少し前の事を思い出した。

 

(バニル仮面パワー凄え)

 

あの時、彼は唐突に「どうせならバニルさんごっこしながら死にたい」と思って本当に仮面を被ってしまった。

そして噛まれる直前に思い付いた。

 

"これ上手く避ければ逆鱗行けるな"

 

とてもでは無いが彼の身体能力では不可能な事を、この時彼は何故か出来ると確信していた。

本当に出来てしまった、殴るどころか剥ぎやがった、これにはドラゴンもにっこり(ぶっ殺)である。

 

そして当の本人は少しパニックになっていた。何せ急に声がcv西田っぽくなったり身体能力がめっちゃ上がったかと思えば相手がどう動くのか分かる様になったり、相手が思っている事が伝わってきたりとかなり混乱していたが、彼のコスプレ中はキャラを演じ切るという執念で何とか誤魔化した。

その結果、逃げるという発想を最初にかなぐり捨てているこの男は、壊されていく家を見て”どうせなら自分諸共生き埋めにしてくれる”という自爆上等な考えに至ったのだ。

 

 

これでこのドラゴンを殺す事は出来ないだろう。だがそれがどうした、今の俺はバニルさん、ならば最後まであいつの”嫌だな”という感情を引き出すだけだ。

 

 

その結果がこの有様だ。

回想を終えた男は、ドラゴンの下半身を見て「尻穴に角材でも刺すか」と呟いた。馬鹿じゃねぇの

 

もはやバニルさんというかアクシズ教徒じみた嫌がらせを思い付いた男は、丁度いい大きさの角材を探し始め、ドラゴンから()()()()()

 

 

ーーーその瞬間、瓦礫が思いっきり爆発した。

それは決して意図して起こした事ではなく、偶然だった。

やっと理解が追いついたドラゴンはそれはもうキレていた、そして鬱憤を晴らすかのように思いっきりブレスを吐いたのだ。

そして爆発により瓦礫が吹き飛び粉塵が舞い上がり、周りが見えなくなってしまった。

しかも粉塵が目に入って痛い。

 

「ぬぅ…!」

 

思わず粉塵から目を守るために腕で顔を隠した。

だがそのせいで視界が塞がってしまい、その(攻撃)に反応するのが遅れ、腹が裂けた。

 

「ぎぃ!」

 

咄嗟に飛び引いたため両断こそ免れたが、かなり深く抉れてしまい、腹から腸などの内臓が零れ落ちた。

 

「ぐ、ぐぅ…」

 

それでも何とか倒れぬよう踏ん張って、ドラゴンを見た。

 

 

 

GAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!

 

 

 

その咆哮を聞いて、自身の挑発によって凄まじい程のの殺意を抱いている事を感じとり、男は「自分はちゃんと相手の嫌がる事が出来たのか」と安心した。

 

(ここまでやれただけ十分か、なら最後は…)

 

男は端から生き延びる事など考えてない、そんなこと()()()()()()()()()()諦めている。

そしてこれ以上嫌がらせするにしても、この傷でやるにはなかなか難しい。

なら後は、最後まで演技(バニルさんごっこ)をするだけだ。

 

(最後の一言、バニルさんの決め台詞…!)

 

 

「フハハハハ、下等生物にコケにされた汝のその憎悪の悪感情、誠に美味である!」

 

 

ドラゴンの咆哮に掻き消されぬよう、大きな声で言い切った。

そして男は、いやぁバニルさんごっこ楽しかったなぁ、と言わんばかりに満足そうな顔をしていた。

 

(満足だ。やり残した事はもう何もない)

 

ドラゴンが次のブレスの準備をしているが、彼はもうこれっぽっちも気にしてなかった。

そして、ブレスを放とうとしているドラゴンに向けて、自分の人生(演劇)に終わりを告げるかのように一礼をしてーーー

 

 

 

 

 

 

「たわけが、何を勝手に終わろうとしておる」

 

 

 

 

 

 

ーーーその声に思わず顔を上げて眼にしたのは、

何百もの銃声音が響き、ドラゴンがあっさりと倒された瞬間だった。

 

「ーーーーーーーーー」

 

彼はその光景に、

いや、その光景を創り出した者に目を奪われた。

 

「よもや死の間際まで阿呆を演じるとは、我がマスター乍ら、とんだうつけじゃのう」

 

その余りにも強烈な彼女の後ろ姿にもはや彼は見惚れていた。

竜を圧殺する絶大な力?絶世の美女?ゲームで大切に育てたキャラクター?

否、もはや其れ等は彼女を語る物の一つに過ぎない!

 

「だが此処で死ぬなど許さぬ、言った筈だぞ?そなたと儂は一心同体。これより我ら二人、天下布武の始まりだとな」

 

視えたのだ。

燃える世界、がしゃ髑髏のような巨人、

そして、幾万もの骸の上に立つ、紅蓮の炎を纏った王を。

 

彼の眼には、魔王の幻影が映っていた。

 

「とは言え、この世界で会うのはこれが初めてであったな。であれば、改めて名乗ろうではないか」

 

そして、此方を向いた魔王から感じる世界を焼き尽くすと言わんばかりの"熱"に、もはや先程までの満足の余韻など消し飛びーーー

 

 

 

 

 

 

「我こそは!第六天魔王こと織田「とーう!」ノブゥ?!」

 

 

 

 

 

ーーー急に出て来た純白の花嫁が魔王の頭にとても鮮やかに着地した。勢い余って魔王は頭から地面にめり込んだ。

 

「…え、」

 

余りの展開に色々ぶっ飛んだ。

魔王(ノッブ)が現れたと思ったら花嫁(ネロ)が踏んづけてた。もうわけわかんねぇ。

 

「うむ!先の闘いは見事であった、欲を言えばあのまま華麗に勝って欲しかったが…まあよい、ドラゴンに怯まず挑んだその雄姿、確かに見届けたぞ!

サーヴァント、ブライド!其方の花嫁である!さあ!思う存分余に構うが良い!」

 

血を流し過ぎたせいか段々と意識が朦朧としてきた彼は、ベッドに飛び込むように地面に倒れた。

 

「ぐだぐだァ…」

 

そして彼は力尽きて気を失った。

 




主人公
本名、佐藤元介。21歳。
良識はあるが性根が結構悪いイケモン野郎。
本人も自覚があり、その性格を正そうとしたが最終的に諦めてしまい、"良識"をなぞって生活している。簡単に言うと覚醒し損ねた綺礼。
数少ない趣味は妹をからかう事とバニルのコスプレをする事、これに飽きたら自殺しようと思っていた。
このすばのバニルの、人をからかいつつ上手いこと美味しい所を持って行く器用な生き方に感激して、こんな風に生きられたら良いなと思ったが上手く行かなかった。
なお、自閉症なので冗談の類いが理解できず、相手の言っている事が本当なのか何時も不安に思っている。
とあるオタクに倒された邪神のパワーでバニルさんの能力が使える様になった。ちなみに黒鍵と仮面で黒鍵を取っていたらコトミネーターの超パワーや八極拳が使えた。
なお、傷はバニルパワーとネロの愛()で治した。

ノッブ
FGOから這い出てきた。
言わずと知れた第六天魔王。ヤンデレではない。
今は一様アーチャーだけどアベンジャーやバーサーカーになったりと結構あやふやな状態。
内臓が出てる怪我人に自力で治せと言っちゃう覇王系女子。
「いや儂治療系スキル持っとらんし、そのバニルパワーとかでなんとかするしかなくない?出来なかったらまあ…うん、是非もないネ」

ネロ
エクストラ・CCCから来た。FGOの自分も吸収してきた。
赤王ではなく花の嫁王、ヤンヤンサーヴァントではあるのだが、それ以上に不安定。
主人公が死にかけている事に気づいて慌てて治療した。
「恋する花嫁に不可能は無い!」


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サーヴァント「あの仮面を壊さなきゃ(使命感)」

月一投稿!


…皆どうやってあんな早く書けるだろう?

あと評価がついた、やったぜ!


仮面の男ーー名を元介と言うーーが目が覚めると、布団の中で花嫁衣裳の女の子に抱きしめられていた。

 

(えっ、なにこれ?)

 

一瞬思考停止した彼は、状況整理の為に狸寝入りをする事にした。

 

「ふふ…目が覚めた様だな、奏者よ。余の抱き心地は如何だ?遠慮なく褒め称えても良いのだぞ」

 

(ばれてーら)

 

狸寝入りは無意味のようだ。

仕方ない、と彼は起き上がる事にした。内心パニックになっているが、バニル仮面を着けている事を思い出して演技を続行した。意地でもバニルさんの演技を止めるつもりはない様だ。

 

場所を確認すると、そこが物置だと彼は気づいた。端っこにあったためそこだけ壊れていなかったのだ。

 

「…?はて、これは一体…?」

 

そして彼は腹に手を当てて()()()()()()()()()()()()事に気づいた。

 

「余の花嫁パワーで治した、あの程度の致命傷であれば皇帝特権でどうにでもなる。余は万能の天才!そして花嫁となった今、例えプルートが相手でも其方を死に誘う事は出来ぬ!」

 

「いやお主はこぼれた内臓を押し込んだだけじゃろ、後は此奴が自力で治してたし」

 

「な、なにおう!」

 

(自力で治したってどういう事?!)

 

何やらとても気になる事を聞いて更にパニックになる元介だが、二人の会話がヒートアップしそうになったので割り込む事にした。

 

「話が進まぬから後にして貰えるか?色被りが嫌だと急いで花嫁衣裳に着替えてきた結果そこの魔王に出番を取られた皇帝よ」

 

()()()事をそのまま伝えると信長とネロは止まった、ネロは図星なのか黙ってしまった。

 

「え、お主儂より早く来てたのに出遅れた理由ってそれ?えー」

 

「仕方なかろう!色が被ってしまっては双方のインパクトが減ってしまう。配布の其方は確か一張羅なのだろう?故に余が譲ったのだ。余の寛大さに感謝するがよい!」

 

「ーーー一体いつから、バスターTシャツしか持っていないと錯覚していた?」

 

「なん…だと……?まさか…」

 

「錯覚じゃ(エクストラTシャツを出す)」

 

「貴様ァ!」

 

あっはっはー愛い奴よのぉ。おのれおのれおのれー!

ネタに走ってからかっている信長と、地団駄を踏むネロ。

 

(あーあ、話が進まねぇ…)

 

そして少しいじける主人公。

何かもうぐだぐだ過ぎる。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

あの後、俺は二人を宥めてこの状況について説明してもらった。

何者かがこの世界に穴を開けて、そこから神秘や魔力などが溢れ出ている事。魔力の影響で魔獣などが溢れ帰っている事。その穴を通じてサーヴァントがこちら側に来ている事。そして自身の異常な能力については全く解らないという事が説明された。

ノッブが言うには「その力はおそらく型月時空(わしら)以外から来とるなんか別のものじゃろ。たぶん」との事らしい。

 

まあ能力がバニルさんっぽいし別にいいか。

 

「…それで、お主はいつまでその面を付ける気じゃ」

 

遂にノッブが仮面について指摘してきた。

まあ確かに真面目な話の時まで演劇でもないのにいつまでも仮面を着けてるのは失礼かもしれないが…

 

「ふむ、これか…おそらくだが、この仮面は能力の発動条件の一つなのだろう。というか心当たりがこれしかない。

しっくりと来ると言うか、気持ちが落ち着くような感じがあってな、あまり気にならぬのだ。

いや、むしろ外したくないとすら思っているくらいだ」

 

更に言えば、なんだか頭の回転が速くなっている様な感じがするし、後めっちゃ元気出るし、

…そういえば俺アドリブが上手く出来てるな、かなり苦手だったはずだけど。これもこの能力のおかげかなぁ?

 

「確かに気に入った役を演じるのは楽しいものだ。だが其方が素顔を見せぬのは悲しい、余は寂しいぞ!

という訳だ、素顔を見せよ!!」

 

ネロが強引に仮面を掴んで剥がそうとするので、咄嗟に仮面を押さえて剥がされないようにする。

あ、やばい、サーヴァント力強すぎ?!

 

※ネロ・ブライドの筋力はAです。

 

「ちょ!お、おま、仮面を無理矢理剥がそうとするでない!」

 

くそぅ…!バニルさんパワーを舐めんな!

 

「ぬぎぎ…余は諦めぬ!」

 

…?!こいつ皇帝特権使いやがったな!

 

「神性を選ぶあたり地味に小癪な…!」

 

ええい!物は試しだ、食らいやがれ…!!

 

「バニル式殺人光線!!」

 

「あばばばばばbbbbb??!?!」

 

よっしゃ!直撃した!この隙に…!

 

「天に星を!地に花を!人に愛をぉぉぉぉおお!!!」

 

「いい加減にせんか!」

 

耐えやがったよこの野郎…!

こん畜生め、これ以上強化されたら仮面が壊れてしまう。

こうなったら最後の手段…!!

 

「ノッブゥ!ヘルプ!」

 

「え、ここで儂?」

 

「頼む、今はお前しかおらぬ!ネロを止めてくれ‼︎」

 

(マジで頼む!この仮面お気に入りなんだ‼︎)

 

そんな俺の現状に、信長はめんどくさそうに俺の横に移動した。

 

「…しょーがないのう」

 

そして火縄銃を()()()()()一つ構えた。

 

「え、ちょ待」

 

 

ばぁん

 

 

 

そして俺は膝から崩れ落ちた。

 

 

・・

・・・

・・・・

 

 

 

 

 

「俺の仮面が…」

 

信長が撃ったのは俺の仮面だった。

真横にわざわざ移動したのは、俺をそのまま撃ち殺さない様に仮面を撃つためだったのだろう。俺とネロちゃまの手はフツーに大怪我したけどな!

そしてノッブは吹き飛ばした仮面をあろうことか踏んずけて粉々にしてしまった。バニル仮面に何の怨みがあるんだ。

 

「あんまりだぁ…」

 

後何かめっちゃ力抜ける。やっぱりバニル仮面がバニルさんパワー発動のトリガーなのだろうか。

 

「フフ、やっと顔を見せてくれたな、奏者よ」

 

ネロの両手が俺の頬に触れて、鼻と鼻がくっつきそうな位に顔を近づけてじっと俺を見つめている。

可愛い顔だ、魅力的だな、だが無意味だ。

コスプレ道具が壊されてロールプレイが中断された今の俺は超無気力状態なので反応することも億劫なのだ。

 

「むむ…」

 

俺のそんな態度が気に入らないのか、ネロは俺を布団の上に押し倒した。

更にネロが服を脱ぎ始めたってちょっと待て何やってんのお前?

 

「奏者よ、余はこうしてそなたと触れ合える事が出来て嬉しい。…だと言うのにそなたは余ではなくその仮面の力の事ばかりに熱中しおって、もっと余に構わぬか!

まあ逆境で覚醒した新たな力と言うのは、なるほど確かに夢中になってしまうものかもしれぬ。故に、そこだけは大目に見てやろう。

だがよりにもよって、あのアーチャーに見惚れると言うのはどういう事だ!余は悲しいぞ!泣いちゃうぞ!」

 

これは…嫉妬の悪感情…?仮面が無くても感じるのか。結構いい味だな。

 

「よってあ奴に目移りせぬ様に今からそなたを余の魅力でメロメロにして余しか見れぬ様にしてくれる!」

 

なんだこの童貞の妄想みたいな展開。いやまあ童貞だけど。

…正直今は勘弁して欲しい、色んな事があって頭を整理したいんだ。

とは言え今の俺にはサーヴァントを押し返すだけの力はない。となれば今の俺に出来ることは…念話でも試してみるか。

 

(ファミチキください)

(こいつ直接脳内に…!)

 

お、乗ってくれた。やっぱりノッブってノリ良いな。

 

(火縄銃でもいいからネロをどけて)

 

(え~、お主これ据え膳だよ?食えよ)

 

(やだよ色々ありすぎて精神的に疲れた、気分じゃない)

 

(戯けが!儂のマスターならそれくらいの甲斐性と漢気は持てい!

と言う訳で馬に蹴られる前に儂は退散するから思う存分そやつとラブラブするがよい)

 

そして信長は霊体化して居なくなった。

逃げやがったなあいつ。

 

「そう慌てるでない、今ここには我ら二人しかいない。

共に溶けるように熱く、愛し、求め合おうではないか」

 

 

(・・・・・・・もうどうにでもな~れ(死んだ目))

 

そして俺の服を脱がせ始めた。

あーあ、どうせ崩壊世界シリーズお決まりの逆レイプからは逃げられないんだろ(メタァ)もうどうでも…

 

 

 

 

 

 

「キャー!痴女!痴女よ!痴女が兄さんを襲ってるわ!」

 

 

 

 

声がした方を見ると、ピンク色の髪の毛と青い着物姿の()()()()()()()()()()()を抱っこしている、俺の妹がいた。女の子は妹の腕の中で眠っている。

え、その幼女誰?

 

 

「私の家でなにしてるの!?て言うか家壊れてるんですけど?!」

 

「む、奏者の妹か。…そこの者よ、余は今から其方の兄上と愛を育むので、少し席を外して貰えぬか」

 

「はあ!?訳わかんない事言ってないで兄さんから離れなさいよレイプ魔!!」

 

「レ、レイプではない!!これは夫婦の営みである!」

 

「嘘言わないで!明らかに兄さんの目が死んでるじゃない!これのどこが合意だって言うの!?」

 

「奏者の目が死んでるのはいつものことであろう!」

 

「そういわれるとたしかに…!」

 

余計ややこしくなってきた。

そして二人があーだこーだと言い争ってたら遂に妹が切れた。まああいつ堪え性ないからな、そろそろだとは思ってた。

 

 

「もうあんたが強盗なのかレイプ魔なのかなんてどうでもいいわ!多分どっちかでしょうし。

やっちゃいなさい!()()()!!」

 

 

「ーーー承知した」

 

ネロを指差して宣言すると共に現れたのは、まさしく太陽と見間違う様な男だった。()()()()()()()()()、白い肌と白い髪の美男子であり、黄金の槍を持ち、そして()()()()()()()()()()()()()()

 

かの半神半人、施しの英雄がそこにいた。

 




信長&ネロ「あの仮面を見るとなんか腹立つ」
バニル「勘が鋭いな、さすがは英霊と言ったところか」


佐藤照子
主人公の妹、アクア様にのび太を足したぐらいの賢さがある。所謂おバカ。
結構能力が高いが、その知性が何もかも台無しにしている。

カルナ
FGOから来た、すでに 日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)を撃っている。

タマモ
EXTRAから来た、ロリ化してる。



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