キラッとプリ☆チャンクエスト3~そして伝説へ~ (成瀬さち)
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ドラゴンクエスト3の世界だもん!

 読者のみなさんはじめまして☆

 進行役のイマジナリープリ☆チャンアイドル、成瀬さちだよー!

 早速だけど、キラッツによるオープニングソングはっじっまっるっよー☆

 さち! なる☆


 曲名 未来を切り開いて!

 

 詩  成瀬 さち

 

 歌/ダンス 萌黄もえ(一番目) 青葉りんか(二番目) 桃山みらい(三番目)

 

 

 (キラメケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 そこは闇に包まれた世界♪

 

 希望が消えた世界♪

 

 誰もが未来諦めている♪

 

 (カガヤケ!)

 

 (カガヤケ!)

 

 それでも♪

 

 勇気奮い立たせ 立ち上がる勇者たち♪

 

 世界を輝かせ 導いていく♪

 

 (カガヤケ!)

 

 (カガヤケ!)

 

 恐れ慄く闇の気配♪

 

 退いていく邪悪なる息吹♪

 

 スーパー! スーパー! ブレイブモーション♪

 

 スーパー! スーパー! エモーション♪

 

 光が闇を切り裂いていく♪

 

 

 山麓から流れ落ちる滝を背景に、崖の上のステージで三人の少女たちが歌い、舞い踊っていた。

 剣の舞、体術、それ等に少女特有の身体の柔らかさ、軽やかさを組み合わせ、彼女たちは歌い、踊り続ける。

 勇者装束のマントを軽やかに翻して。

 

 

 そして、その歌のパートを一人目が歌い終えると、次の少女勇者が歌い継ぐ。

 黄色の髪の少女から、青色の髪の少女へと。

 

 それは 伝説となる♪

 

 勇者たちの物語♪

 

 様々な困難 乗り越えていく♪

 

 未来に向かって進んでいくの♪

 

 (キラメケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 悩むことも あった♪

 

 負けそうになることも あった♪

 

 それでも♪

 

 勝利を信じて♪

 

 明日に向かって突き進んだ♪

 

 (キラメケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 ライデイン! ギガデイン! ミナデイン!

 

 勇気の光を一つに集め♪

 

 ミラクル! ミラクル! ホーリーネイション♪

 

 ミラクル! ミラクル! リンカーネイション♪

 

 闇のりんねを断ち切っていく♪

 

 

 見事に連携の取れた舞踏に合わせ、少女勇者たちは歌い、舞い踊る。それぞれが担当するパートを歌い上げ、世界にその存在を示していく。

 

 程なく青い髪の勇者少女のパートは終わり、最後のパートを担当する桃色の髪の勇者少女がそれを引き継ぐ。

 

 (カガヤケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 さあ♪

 

 輝いて 雷光♪

 

 さあ♪

 

 きらめいて 電光♪

 

 人々の祈り 勇気に導かれて♪

 

 邪悪を切り裂く 剣へと変わっていく♪

 

 (カガヤケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 天空に♪

 

 大いなる力の渦が現れる♪

 

 導かれた祈りが一つになる♪

 

 勇者の許へと集まっていく♪

 

 (カガヤケ!)

 

 (キラメケ!)

 

 フィーチャー! フィーチャー! ハーモニクス♪

 

 フィーチャー! フィーチャー! ニューワールド♪ 

 

 みんなで放つよ♪  

 

 (ミナデイン♪)

 

 (ストラーーーッシュ♪)

 

 闇 切り裂いて 進んでいくの♪

 

 まだ見ぬ明日へと 進んでいくの♪

 

 みらい へとー♪ 

 

 

 桃色の髪の勇者少女が歌い終わると同時に、黄色、青色の髪の勇者少女は踊りを終えて、三人の勇者は最後のポーズを決める。

 

 勇者少女たちによる歌と踊りのステージは終了した。

 

 そうして世界は暗転する。

 

  

 

 

 チュン…チュン…チュン…

 

 小鳥の囀る朝早く、ギィ…とその部屋の扉を開け、一人の妙齢の女性が進入してくる。彼女は、部屋の窓を少し開き朝の日の光を導き入れると、三人の少女たちが眠るベッドの近くまで進む。

 

 そして。

 

 「起きなさい。みらい、えも、りんか。私のかわいいkirattsの三人娘さん」

 

 優し気な声を三人の勇者少女たちに掛けるのだった。

 

 妙齢の女性、めが姉ぇ母さんの声が2階にある部屋と廊下に響き渡る。キングサイズのベッドに仲良く眠る三人の少女が、布団の内部で少しだけ身動ぎした。

 

 だが、三人ともすやすやと安眠する状態からは中々覚醒しない。めが姉ぇ母さんが覚醒を促す声は、ちょっと身動ぎするだけでスルーされた。

 

 すやすや×3

 

 「…」

 

 そんな三人の覚醒を、余裕を持って静かに待つ、めが姉ぇ母さん。

 

 しかし、自分の置かれた状況の異常さに次第に気付き始め、心を乱すのだった。

 

 (あれ? 私はプリズムストーンの店長よね? ここで何をしているの? 私は………勇者の母親!!!)

 

 めが姉ぇ母さんの頬とおでこの血管が、自分が置かれた状況の理不尽さと怒りでピクピクと波打った。

 クール美人が台無しだった。

 

 「って、なんで私の配役が勇者の母親なのよ! せめてルイーダの酒場のっ! うがー!!!」

 

 言葉尻に不満と地が出る有様。

 しかし、クールさを犠牲にしたその不満の叫びに、応える部外者はいなかった。

 この状況を作り出した元凶たる存在は、めが姉ぇ母さんの怒りをスルーしたのである。

 

 「…うーん………」

 

 「…ふああっ」

 

 「…暖かいですう………」

 

 ちょっと切れ気味のめが姉ぇ母さんの甲高い声に反応するのは、お眠のkiratts三人娘のみ。

 

 そのむずがる仕草、寝起きの様相は中々にエモーショナル…つまりエモいのであったが、まだ彼女たちは、プリチャンの視聴者たちや、めが姉ぇ母さんが期待するような覚醒はしていなかった。

 

 暖かい睡眠魔法おふぅとーんの威力…いや、呪いは強大。

 

 また、互いに感じる他者の体温の心地良さは尋常ではなく、少々の刺激を与える程度では、少女たちの覚醒を促すことは不可能に見えた。

 

 (うー、この絵面をプリチャンで配信すれば、どの位のいいね!を稼げるのかしら? でも仕方がないわよね。今起こさないと駄目。なぜなら今朝は、お城の王様に出立の御報告をしなければならないのだから)

 

 怒り状態から冷静さを取り戻しためが姉ぇ母さんは、そんな予定を思い出し、かなり強引な方法で三人に覚醒を促すことにする。

 

 「ごめんね、みらい、えも、りんか………しゃー! んなろー! 起きろやー!」

 

 ガバァッ!!!

 

 呪われた(いつの間に!?)おふぅとーんを無理矢理三人から取り上げるめが姉ぇ母さん!

 

 パジャマ姿の三人の服の間から、可愛らしいお腹や剥き出しの首筋、華奢な手首足首が見て取れた。

 

 おふぅとーんを奪われた三人は、次第に寒さを感じて震え出す。 

 

 「………うう、寒い…?」

 

 「………んんん?」

 

 「………??? 何が起こって?」

 

 朝の放射冷却現象の寒さに、三人三様、みらいちゃん、えもちゃん、りんかちゃんのブランニューガールは可愛らしく見悶える。そして互いの体温を求め合い、その身を寄せ合うのだった。

 

 勇者としてこの世界で目覚める初日の三人は、まず寒さという強敵と戦うことになったのだった。

 

 その原因を作ったのは、この世界のモンスターたちではなく、三人の母親役になっためが姉ぇ母さんであったが。

 

 次回に続く

 




 さち! なる☆

 みんなー 楽しんでくれた?

 少しでも楽しんでくれたなら、さちも嬉しいよー☆

 では、また次回にお会いしましょー☆

 キラッと☆


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明日から本気出すんだもん!

 さちにちわー☆

 作者は現在、ドラクエ3の序盤を思い出し中だよー!

 さち! なる☆


 「うううう………寒いー!」

 

 「ふぇぇぇぇですー!」

 

 「風邪ひいちゃうヨー!」

 

 ガバッと三人同時にベッドから上半身を起こすキラッツの三人娘。

 

 急激に体温が下がる状況は、年若い少女の肉体でも厳しいものがある。まして、お互いの体温で互いの身体を温め合っていた状況からの、かくも厳しい急激な温度低下である。

 

 みらいちゃん、りんかちゃん、えもちゃんならずとも、この状況に置かれては悲鳴を上げベッドから起き上がるだろう。

 

 寒い!

 

 「ちょっと! めが姉ぇ母さん、流石にこれは酷いよー!」

 

 この悪逆非道の行為に真っ先に反応したのは、三人の中の元気ガールえもちゃんであった。νガ…いや、元気なポンポンチアガールは伊達じゃない。

 ガルルルと怒りの表情となり、みらいちゃんとりんかちゃんの分まで、めが姉ぇ母さんに怒りをぶつける。

 

 「ふふふ。眠っていたキラッツの布団を剥ぎ取って見た☆ これはいいね!を大量に稼いだ気がするわ!」

 

 しかし、メガ姉ぇ母さんはえもちゃんの言葉に動じる様子も見せず、キラッとメガネを輝かすのであった。

 

 「ひどっ! 経営者思考はやめてよ! めが姉ぇ母さん、今は勇者の母親役でしょう!」

 

 ソフト虐待反対と、再びガルルルと目を吊り上げて文句を言うえもちゃんである。なお、えもちゃんたちにも何となく、それぞれの頭の中にもこの世界の配役情報があり、漠然と自分たちの置かれている状況が分かるのだった。

 

 「ああ…おふぅとーん、おふぅとーん………」

 

 「はううう…寒いって? みらいちゃん!? 大丈夫!?」

 

 その頃、ベッドの上ではとんでもない事態が進行していた!

 

 私のSAN値はもうゼロよってくらい、青い顔をしている主人公みらいちゃん。訳のわからないうなぎさん上げ位、プリ☆チャンアイドルがして良い姿形から、著しく外れた状態となっていた!

 

 「えもちゃん! めが姉ぇ母さん、みらいちゃんの様子が変です!」

 

 「なにー?」

 

 「あら、どれどれ?………(ヒュッ! ドゴッ!)げふぅっ!?」

 

 「ひっ!」

 

 「ひえっ!」

 

 不用意にみらいちゃんの様子を確認しに身体を近付けためが姉ぇ母さんのボディに、勇者の力を得ていたみらいちゃんのボディブローが突き刺さり、炸裂した。

 

 「…(声にならないメガ姉ぇ母さん)」

 

 そんな形で勇者の力を見せ付けたみらいちゃんは、うずくまっためが姉ぇ母さんから、持っていたおふぅとーんを強引に奪い取る。

 そして、再びおふぅとーんをかぶってスヤスヤと二度寝を開始するのだった。

 

 「うう~ん…明日から本気出す………むにゃむにゃ………」

 

 そんな寝言を呟くみらいちゃんは、おふぅとーんを取り返したからか、穏やかな表情に戻るのだった。

 

 みらいちゃんは呪われたおふぅとーんを装備した! デロデロデロデロデロリーン!

 

 「あああ…あんな優しかったみらいちゃんが(汗)」

 

 「ナイスブローって、じゃない! 大丈夫!? めが姉ぇ母さん!!!」

 

 「(チ―ン)」

 

 床に蹲るめが姉ぇ母さんはともかく、キラッツの残り二人も、みらいちゃんの豹変には吃驚仰天である。

 

 「これは…どうすればよいのですか?」

 

 「………! おふぅとーんだ! おふぅとーんの魔力を断ち切らないと! みらいちゃんは救えない!」

 

 「! そうですね。何とかしておふぅとーんという強敵からみらいちゃんを救い出さないと!」

 

 「(チ―ン)」

 

 「でも、どうやって? あのボディブローは躱せる気がしません」

 

 「うーん、ミートを切らせてボーンを断つ戦法以外思いつかないよ」

 

 「…めが姉ぇ母さんを盾に………」

 

 「有効な手段だと思うけれど、結構外道だね、りんかちゃん」

 

 「(やめて!)」

 

 何たる事か! 

 

 勇者みらいちゃんはおふぅとーんの魔力に捕らわれ、身も心も魅入られ、取り込まれていた。

 

 自室から出る前から全滅のピンチに陥るえもちゃん、りんかちゃん。みらいちゃん。そして、めが姉ぇ母さん。

 

 はたして、勇者たちは今日中にお城へと向かい、旅立ちの挨拶を終えることができるのだろうか!

 

 次回に続く




次回予告

 「私に任せてください。コーデの種を、スライム、おおがらす。一角うさぎに使って新コーデを誕生させました」

 次回、だいあちゃん登場だもん!

 さち! なる☆


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コーデの種で異世界コーデなんだもん!

 さちにちわー☆

 虹ノ咲だいあちゃん、リングマリィのまりあちゃん、すずちゃん登場だよー☆。

 さち! なる☆


 「どうしよう…何か暖かい服装を用意しないと………」

 

 「そうなんですけど、ここには私たち三人分の勇者装束しかなかった気がします」

 

 「一旦、めが姉ぇ母さんを連れて部屋を出て、何かみらいちゃんに着せられる暖かい服を持ってくる?」

 

 「そうですね。下手におふぅとーんから出そうとすると、みらいちゃんのボディブローが飛んできそうですし………」

 

 「めが姉ぇ母さん、その犠牲は無駄にしないよ」

 

 「(生きているわよ!)」

 

 事態に困惑し、困り顔になったキラッツの勇者二人は、とりあえずめが姉ぇ母さんを担いでこの部屋から運びだすことにした。

 ちなみに、二人はパジャマ姿のままである。

 

 せーんーで! パジャマ姿のまま、家の中を出歩いてみた!

 

 「せぇので!」

 

 「はあっ!」

 

 「(お世話になります)」

 

 意識はある…いや、魂が身体から飛び出している状態のめが姉ぇ母さんを連れ、二人の勇者、えもちゃん、りんかちゃんは、一旦、部屋の外へと出る決断をした。

 

 タッタッタッ。

 

 「うん?」

 

 「あら?」

 

 「(足音? 誰かしら?)」

 

 一旦、みらいちゃんをそのままにして部屋を出ることにした三人。その耳に、部屋の外側から階段を昇ってくる二人…いや、三人分の足音が聴こえてくる。

 

 しばらく後、足音の主たちは部屋に続く扉の前で立ち止まり、ガチャリとドアノブを廻して、勢いよくバタンと扉を開けた。

 

 「待ちなよ二人共!」

 

 「めが姉ぇ母さんを担ぎ上げるえもさん、りんかさん、かわいいですぅ」

 

 「あ…あの、おはようございます」

 

 そこに居たのは、武道家姿の凛々しさ全開のすずちゃん、僧侶姿でカワイイ全開のまりあちゃん、なぜか大神官姿のだいあちゃんだった。もちろん髪をアップにした彼女も大変可愛かった。

 

 「わあ! リングマリィの二人もこっちに来ていたの? それにだいあちゃんも!」

 

 「あら。もしかしてですが、ディアクラウンのなる店長も来ているんですか?」

 

 「(あー、なる店長がルイーダの酒場の主人役かぁ。納得」

 

 「あーん、そうなんですぅ」

 

 「あ、はい。そうみたいです」

 

 「(!? 二人とも、直接私の思考を読んだ!?)」 

 

 「って、二人とも。今はそんな世間話染みたこと言っている場合じゃない。みらいちゃんの異変を感じたって、だいや先輩が言うからやって来たんだし」

 

 「あーん、そうでしたぁ。すずちゃんが言う通り目的を忘れるところでしたぁ。そんなだいあちゃんもかわいいですぅ!」

 

 「え、と。まりあさんも素敵ですよ」

 

 「あーん、照れますぅ」

 

 「いや、だから」

 

 「ちょっとちょっと、私たちを無視してコントを始めないでよ。プリ☆チャンライブ放送ならいい線いってただろうけど、ここには私たちしかいないんだから」

 

 「あの…御用件をお願いします」

 

 「(そう言えばそうね)」

 

 メガ姉ぇ母さんはともかく、えもちゃんは露骨にぶー垂れて、りんかちゃんも困った表情になり、だいあちゃんたちが来た理由を聞き出そうとした。

 もちろん、えもちゃん、りんかちゃん、めが姉ぇ母さんが期待したことは、みらいちゃんを穏便に二度寝から覚ます方法を、すずちゃん、まりあちゃん、だいあちゃんが用意してきたのかということである。

 

 そんな、えもちゃん、りんかちゃん(そしてめが姉ぇ母さん)の要求を聞き、だいあちゃんがおずおずと進み出てきた。

 

 「あの、私、転職させる大神官役らしいのですが、何故はアリアハンに居て、コーデの種ってアイテムを使って新装備を作り出せるようなんです」

 

 「何と! えもーい! さすがデザイナーズ10のだいあちゃん! これは髙ポイントでのいいね!すぞ!」

 

 「本来のドラクエ3には無い仕様ですね。何処にお家があるんですか?」

 

 「えと、気が付いたらメダル交換ができる井戸の底のお家に居ました」

 

 「そっちですか。結構世界の内容が変わっていますね。私たちも気付いたら一緒にこの部屋のベッドで寝ていましたし」

 

 「横からだけど、僕とまりあ先輩はルイーダの酒場…ではなく…」

 

 「気付いたら、かわいいディアクラウンのパーラーに居ましたぁ。お酒はニ十歳になってからですぅ」

 

 そう自分たちの置かれていた状況説明とお約束を言い終わると、キラッとウィンクするすずちゃんとまりあちゃんであった。

 

 「あの、それではドラクエコーデと、呪いを解く歌とダンスで、みらいちゃんをおふぅとーんの呪いから解放します」

 

 「呪いって! そんな重大事だったの!?」

 

 「確かに現実でも寒い朝には布団の外に出たくはないですが、そこまでとは………これは大神官だいあちゃんに任せるしかありません」

 

 「そーね! 頼むよだいあちゃん!」

 

 「頼みますよ! だいあ先輩!」

 

 「速く、みらいちゃんをかわいくない状況から救ってください!」

 

 「(頼んだわよ、だいあちゃん)」

 

 「はい。任せてください。今の私ならやれる気がします 

 

 みらいちゃんの状態を聞き吃驚仰天した勇者二人+1が道を開け、部屋の隅に移動し、心配そうにベッドのみらいちゃんを見詰める。

 その前を、だいあ大神官とリングマリィの二人は、声援を受けながらしずしずと進み出る。

 そして、みらいちゃんの眠るベッド前で立ち止まるのだった。

 

 早速、懐から一枚のカードを取り出す大神官だいあちゃん。

 

 「異世界で、呪いの解呪やってみた! 初コーデもやってみる!」

 

 そう宣言すると、大神官だいやちゃんは、一角うさぎのカードを天へと翳すのだった。

 

 次回に続く




 次回予告

 ドラクエ3的 歌とダンスやってみる!

 さち! なる☆


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お祓いの歌とダンスなんだもん!

 さちにちわー☆

 イマジナリープリ☆チャンアイドルの成瀬さちだよー☆

 やっぱりプリ☆チャンは歌とダンスがないとね♪

 さち! なる☆


 曲名 シャナクティック・イマジネーション

 

 詩 成瀬 さち

 

 歌 ♢虹ノ咲だいあ♢

 

 ダンス ♢虹ノ咲だいあ♢

 

 フォロー ♡金森まりあ♡ ♤黒川すず♤

 

 そこはアリアハン市街の勇者の家二階、勇者たちの部屋の中。

 

 一角うさぎのコーデカードが空中に静止し、その下で大神官コーデのだいあちゃんが、歌とダンスを交えてのお祓いを開始する。

 神様に歌舞演劇を奉納し、それに呪いを解く魔法シャナクを組み合わせ、みらいちゃんの呪いを解呪しようというのである。

 

 そんなだいあちゃんから数歩引いた左右に、まりあちゃんとすずちゃんというリングマリィの二人が立ち、そのフォロー役の踊り手となる。

 

 その準備が整うと、軽く息を吸い、吐いただいあちゃんが、そっと歌い出す。

 

 スリーピング♪ 

 

 スリーピング♪

 

 今のあなたは眠り姫♪

 

 茨の薗で夢の中♪

 

 王子様のキスを受け 起こされる時 待っている♫

 

 涼やかな声色で歌い出すだいあちゃん。続いて、一旦左右に開いた両腕を胸元へと戻し、サッと十字を切る。

 さらにその場で一回転。

 まりあちゃん、すずちゃんもそれに続き回転行動を取る。

 一糸乱れぬダンスである。

 その後、三人三様、バラバラだがバランスの取れたポーズを決める。

 ビューティフルと、合の手を入れたい完成度だ。

 さすがはジュエルコーデに選ばれたアイドルの中の三人だけある。

 

 スリーピング♪

 

 ドリーミング♪

 

 王子様じゃない私だけど♪

 

 (王子様とのキスはおあずけ♪)

 

 (ロマンスはまたの機会に♪)

 

 あなたの呪いを消し去るの♫

 

 だいあちゃんの歌に合わせてポーズを順序良く変えていく三人。続いて、同時に自身の胸を抱くポーズとなって、さっと開いた両掌をみらいちゃんへと突き出し、そのポーズのままで静止する。

 

 ここで、だいあちゃんの歌はクライマックスに移行する。

 

 シャナクティック イマジネーション♫

 

 私の祈りがあなたを救う♪

 

 私の祈りであなたは目覚める♪

 

 シャナクティック イマジネーション♫

 

 清い心があなたへ届く♪

 

 清い祈りがあなたを導く♪

 

 シャナクティック イマジネーション♫

 

 切った十字があなたを癒す♪

 

 切った十字が穢れを祓う♪

 

 「さあ、起きてください!」

 

 叫ぶだいあちゃん!

 

 「かわいくない呪いから!」

 

 「今こそ目覚めて!」

 

 まりあちゃんとすずちゃんも、その叫びに続いた!

 

 「みらいちゃん! ウェイク アッッッップ♪♪♪」×3

 

 せーので! 三人で解呪、やってみた!

 

 GO! GO! ビショップス!

 

 すると何たる事か。

 

 だいあちゃん、まりあちゃん、すずちゃんの三人の両掌から清い光が溢れ、みらいちゃんが眠るベッドを包み込んでいく。

 

 その輝きの中、みらいちゃんの装備状態となっていたおふぅとーんから、暗い闇の波動が溢れ出て、次第にその清い力の前に消え去っていく。

 

 そして。

 

 「うう~ん………」

 

 ベッドの上で横になったまま、伸びをするみらいちゃん。

 次の瞬間、自ら被っていた布団をバサリッと掃い上げ、上半身を起こすのだった。

 

 「…ふわあ。良く寝たよ~………」

 

 眠たげな表情で独り言を言い、右腕で両瞼を擦るみらいちゃん。

 だいあちゃん、まりあちゃん、すずがちゃん一見したところ、その身体のどこにも異常はないようだった。

 

 どうやらおふぅとーんの呪いは退き、桃色のパジャマ姿のみらいちゃんは、異常状態から普通状態へと復帰したようだった。

 

 次回に続く 

 




 よく考えたら、キラッツの勇者の三人、まだスタート地点から動いてないよー☆

 作者さん何やってるのー☆

 左舷、弾幕薄いよー☆

 次回予告 やっと王宮。赤城あんなちゃん登場なんだもん!

 さち! なる☆ 


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やっと門前。赤城あんなちゃん登場なんだもん!

 さちにちはー☆

 イマジナリープリ☆チャンアイドルの成瀬さちだよー☆

 今回、やっとみらいちゃんたちは王宮に………行かぬ!

 一角うさぎコーデをまとったみらいちゃんは、ピョンピョンピョンッてお外に行っちゃうよー☆

 だいあちゃん、まりあちゃん、すずちゃんも慌てて追っていくよー☆

 だから仕方なく、めが姉ぇ母さんがえもちゃん、りんねちゃんだけを、一足早く王宮に連れて行くよー☆

 辿り着いた真っ赤なお城の門前には、なんと☆ あの子が待っていたんだよー☆

 さち! なる☆
 


 「今です! だいあ先輩!」

 

 「みらいちゃんにかわいいコーデをさせちゃってくださーい!」

 

 「わかりました! みらいちゃん、一角うさぎコーデ、受け取って欲しいんだもん!」

 

 すずちゃんとまりあちゃんの声援に応えて、大神官だいあちゃんが一角うさぎコーデの威力を解き放つ。 

 

 ベッド手前の空中に静止していたコーデカードが光り輝き、一角ウサ耳カチューシャ、真っ白ふわふわトップス、ふわふわテール付きボトム、薄桃色タイツ、白いふわふわブーツが現れる。

 

 次の瞬間、髪色と同じ桃色のパジャマ(下着も一緒に!)がみらいちゃんから脱げ落ち、その代りに一角うさぎコーデがみらいちゃんの身体を包み込むのだった。

 

 「あれ? あれれれれ~???」

 

 一角うさうさなコーデを纏い、ベッド上のみらいちゃんは困惑の叫び声を上げる。

 

 「あーん、かわいいですぅー!」

 

 「これでみらい先輩も完全に覚醒するし、朝の寒さに負けずに王宮に行けるね!」

 

 「はい。私、頑張りました!」

 

 ベッド上のみらいちゃんの困惑も気にせず、ミッション達成に歓喜するまりあちゃん、すずちゃん、だいあちゃんである。

 みらいちゃん、えもちゃん、りんかちゃんの三人よりも一足早く、市街から出発し、魔物となった動物たちを狩ってきた甲斐があった。そう苦労を歓びに変え、笑い合うだいあちゃんたちだった。

 

 「さすが、だいあちゃん。デザイナーズ10の一人だけあるよ!」

 

 「まりあさんも、すずちゃんもご苦労様です」

 

 「(グッジョブ!)」

 

 これにはえもちゃん、りんねちゃん、めが姉ぇ母さんもにっこりである。

 

 しかしである。

 

 「うう~ん…なんでかな、お外…いえ、街の郊外の草原に行って飛び跳ねたい!」

 

 !?×6

 

 「え? 呪いの解呪は終わったんじゃ?」

 

 「もしかしてだけど、解呪したところに、新しい呪いを追加しちゃったんじゃ…?」

 

 「それはかわいくないですぅ」

 

 「そっ、そりゃないよー!」

 

 「見た目だけなら最高のコーデなのですが、魔物を素材にするとお祓いが必要だったんじゃ…?」

 

 「(一難去ってまた一難なの)」

 

 何たる事か! まだ問題は残っていたのだ!

 

 歓びから一転、みらいちゃんの予想外の言葉に色を失う、だいやちゃんを始めとする面々。その合間にも、みらいちゃんの身に降りかかった新たな問題は…一角うさぎの呪いは進行していく。

 みらいちゃんの精神は、呪われていた一角うさぎコーデを身を包んだ状況に引っ張られ、身体と心が飛び跳ねたい衝動に駆られ始めていた。

 

 「無性に飛び跳ねたい! 大草原をどこまでも進んで行きたい!」

 

 これはいけないと表情を強張らせるだいあちゃんたち。

 

 「もっ、もう一度お祓いをっ」

 

 「先輩! 了解です!」

 

 「あーん、任せて!」

 

 みらいちゃんの声を聞き焦るだいあちゃんが、この状況を改善しようと次の行動に出ようとした。すずちゃん、まりあちゃんも続こうとする。

 

 「お外! お外に出る!」

 

 しかし、だいあちゃんたちよりも、一角うさうさみらいちゃんの行動かなり素早かった。

 なぜなら、一角うさぎコーデには着た者の素早さを通常の1.5倍に引き上げるバフ効果があるのである。

 素早さを2倍にするアイテム、星降る腕輪ほどの効果はないが、通常装備でしかない武道家すずちゃんの素早さを上回るには十分だったのだ。

 

 「待ってくださいみらい先輩って、早い!」

 

 止めに入ったすずちゃんを、ヒラリと躱すうさうさみらいちゃん。

 

 せーので! うさうさコーデで、飛び跳ねてみた!

 

 そんな調子で木製の窓の許までピョンッと飛び跳ねると、うさうさみらいちゃんは、ドシンッと体当たりで木製の窓を開いてお外に飛び出していく。

 

 「ああ! みらいちゃん!」

 

 「!? どうしよう! みらいちゃんを追い掛けないと!」

 

 「追います! まりあ先輩、だいや先輩、行きますよ!」

 

 「あーん、素早いすずちゃんかわいい!」

 

 「はい!」

 

 「わたしたちも!」

 

 「ええ!」

 

 「…待ちなさい二人共!」

 

 すずちゃんたちに一足遅れたえもちゃん、りんかちゃんも、揃ってみらいちゃんを追うことにし、走り出そうとした………したのだが、そこで身体を動かせるように回復しためが姉ぇ母さんが、二人を冷静に止めた。

 

 「二人ともパジャマのままよ。安全な街から貧弱な装備でお外に飛び出すのは自殺行為よ!」

 

 「!? あ、そうだった………」

 

 「言われてみればその通りかも………」

 

 魔物はびこる街の外へと飛び出すのは準備不足と諭され、しゅんとした表情となるえもちゃん、りんかちゃん。

 足を止めて次のめが姉ぇ母さんのが言葉を待つ。

 

 「みらいちゃんのことは、今はだいやちゃんとリングマリィの二人に任せましょう。二人はまず身嗜みを整えて、朝の乙女のたしなみを済ますの。それから王宮への旅立ちの挨拶、次に酒場…いえ、なる店長のいるパーラーで仲間を集めるのよ。安全のために4人パーティーにならないと、野外への移動は駄目よ」

 

 床から立ち上がりながら伝えるべき事柄を伝えると、めが姉ぇ母さんが上着とスカートの埃を祓い、えもちゃんとりんかちゃんに向き直る。

 その話と段取りは、えもちゃん、りんかちゃん共に納得の内容だった。

 

 「そうかも。りんかちゃん、早く身嗜みを整えよう!」

 

 「どうやらそれが最善みたい。みらいちゃんのことも心配だけど、それで私たちがお外でピンチになってしまったら、本末転倒なのかも」

 

 「そういうこと。みらいちゃんの事はだいあちゃんとリングマリィに任せましょう。私は朝の食事の準備を済ますわ。二人は身嗜みと勇者の装備を整えて」

 

 「うん…ん、ぶわっくしょいっ!」

 

 「えもちゃん、寒いから早く身嗜みを整えよう」

 

 「うん。行こうりんかちゃん」

 

 「ええ」

 

 自分の役割を果たすべく動き出しためが姉ぇ母さんに続き、えもちゃん、りんかちゃんも、こうして成すべき行動を開始するのだった。

 

 

 そうして、時は流れ。

 

 

 天空のお日様も高くなった頃、お堀の橋を越えて城門前に辿り着いたえもちゃんとりんかちゃん。

 

 その前には。

 

 「おーほほほほ。ずいぶんと遅かったんじゃあーりませんの。黄色い方。お陰ですっかりここで待たせていただきましたわ!」

 

 魔法使いコーデの赤城あんなちゃんが、賢者コーデの紫藤めるちゃんと共に、城門前で待っていたのだっだ。

 

 「ぐむむむむ………」

 

 あんなちゃんのドヤ顔と真っ赤なクルクルツインヘアーを見て、えもちゃんのツインテールが器用に逆立つ。

 えもちゃんは、いつも喧嘩腰のあんなちゃんに対し身構え、威嚇スタイルになってしまうのだった。

 

 続く

 

 

 

 




 読者のみんな、読んでくれてありがとー☆

 次回予告 門前で赤いのと黄色いのがイチャイチャするんだもん!

 キラッとプリ☆チャンのお約束だね☆

 さち! なる☆


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王宮の前で赤いのと黄色いのがイチャイチャするんだもん!

 さちにちはー☆
 この小説の進行役 成瀬さちだよー☆

 やっと王宮の門前に到着したえもちゃんとりんかちゃん。

 その前に、あんなちゃんとめるちゃんの魔法使い、賢者コンビが現れたのでした☆

 詩人のさらちゃんは、なるちゃんさんのパーラーでソロライブ中なんだよ☆


 「でえ!? 赤城あんな! なんであんたがここに!」

 

 「ずいぶんな言い草ですわね黄色い方。この国の魔法使いであり、姫でもある(わたくし)が、この城にいるのはofcourse つまり当然のことなのですわ!」

 

 「あんたが姫! そういえば、お城の外観がやけに真っ赤な気が………」

 

 「…気のせいではなく、全体的に真っ赤ですねえ」

 

 えもちゃんの言葉の後を継ぐようにりんかちゃんが言う。

 キョロキョロと周辺を見回し、渋い表情になるえもちゃん。

 確かに、あんなちゃん、めるちゃんの背後の城壁のそこかしこには、赤い修飾が為されていた。

 

 「うげ………」

 

 「ふふふふ。我が偉大なる赤城グループは、異世界でも一国の支配圏を擁するのは当っ然のことなのですわ!」

 

 かなり引いたえもちゃんのつぶやきに対し、おーほほほほと高笑いして一笑に付すあんなちゃんなのであった。一方、もう一人の紫藤めるちゃんといえば、そんなテンションの高いあんなちゃん、えもちゃんのやり取りを見て、慣れているのかニコニコと微笑んでいた。

 

 「あんあんはねー、三人が来る予定って聞いて、朝からずっと待っていたんだよー。何度も手鏡で身嗜みを整えてねー」

 

 「ちょっ! 余計なことは言わないのですわ!」

 

 「へ~♪」

 

 めるちゃんに朝からの自分の行動をバラされて、慌てるあんな姫である。そんなあんな姫の慌てる姿を見て、溜飲が下がる思いのえもちゃんであった。口元を突き出して口笛でも吹き出しそうな様子だ。

 

 「ぐぬぬぬぬ!」

 

 えもちゃんの態度を見て、真っ赤にした表情から一転、目を吊り上げ怒りの表情となるあんな。

 

 子供の喧嘩の延長。

 争いは同レベルの者でなければ起こらない。

 そんな関係の二人。

 いつもの仲が良いのか悪いのか、初見の者たちにはよくわからない状況となった。

 

 これで、どちらかがピンチ的状況となったなら、お互い必死に支え合う、えもえもな関係な赤いのと黄色いのなのである。

 一歩引いてみると微笑ましい間柄である。

 

 「ふん、何よ!」

 

 「何ですの!」

 

 顔と顔を近付かせ、ガルルルッ、ぐぬぬぬっと睨み合う二人。

 

 「もう、えもちゃんったら(汗)」

 

 いつものやり取りに苦笑いするりんかちゃんである。ここでつっこみをいれないと、ふたりのじゃれ合いが終わらないので、的確につっこみを入れるのであった。

 

 「♪………ところで、今の状況、あんたんとこのバーチャルリアリティーとかじゃ…」

 

 「その点は残念ながら、我々赤城グループの仕業ではないですわ。そんな技術が実在していたのなら、まず、黄色い庶民の方は省いてテストプレイするのですわ!」

 

 「ぐぬぬぬ………ちょっと気に入らないけど理に適っているわね」

 

 「もしかして、メガネのメイドさんとかも居るの?」

 

 「もしかしなくても来ていますわ! アリアハン城の人員は、だいたい赤城グループの者たちで構成されていますの!」

 

 「そうなの?」

 

 「そうだよ、えもえも!」

 

 なんだか知らんが誇らしげなあんな姫の代りに、めるちゃんに答えを求めるえもちゃんとりんかちゃんである。正しい選択であった。

 そんな状況をものともせずに、ビシッとえもちゃんに人差し指を突きつける決めポーズを取るあんな姫なのであった。

 ちなみにメガネのメイドさんとは、近年、ドーリーワルツというブランドのデザイナーであることが発覚した六本木エリカさんのことである。

 

 デザイナーズ10!

 

 (噛んじゃおっかな、この指………いやいや、今はそんな時じゃないわ)

 

 「はあ(溜息)………それで何? こっちの世界で赤城グループは共産主義?とかでも始めるの?」

 

 「やけにお城が赤いのですが?」

 

 「いやー、それは流石にないかなー」

 

 「失礼な! 赤は我がグループのパーソナルカラー! 異世界といえど負け組の共産主義の真似なんて、我が王者たる赤城グループが選択するはずもありません! 突き進むなら王者の道です! もちろん、為政者となったからには、魔物に対抗すべく富国強兵政策は実行致しますが!」

 

 天を目指すのは王者の責任! そう再び天空を指差す決めポーズを取るあんな姫である。

 

 「じつは、それで三人に協力をお願い………あれ? みらみらは?」

 

 「そういえば、姿が見えませんわね? いつも一緒のあの娘がいないなんて何事ですの?」

 

 「あー、みらいちゃんは………」

 

 「今、うさぎさんになって、だいあちゃん&リングマリィの二人と追いかけっこしているはずです………」

 

 「なんと! 中々楽し気なイベントではありませんの! なんで二人は参加していませんの?」

 

 「それは………なんかみらいちゃんだけ、ピンポイントで呪われてるみたいでさ………そっちはだいあちゃんたちに任せてきた」

 

 「それで、王宮の王様たちを悪戯に待たせる訳にはいかないので、とりあえず私とえもちゃんは、めが姉ぇ母さんにが言われて旅立ちのあいさつに来たんです…」

 

 「なんと!」

 

 「そんな理由があったんだー!」

 

 言葉を濁して説明するえもちゃんとりんかちゃんに、吃驚仰天するあんなちゃんとなるちゃんである。勇者も大変なんだと、姫兼魔法使いのあんなちゃんと、賢者のめるちゃんは顔を見合わせた。

 

 「そうですわね。そうと解ったなら、まずこちらのイベントを済ませましょう。できるだけ旅立ちの挨拶は早く済ませて、ディアクラウンのパーラーでみらいちゃんの呪いの件の作戦会議をしませんと!」

 

 「富国強兵の話は?」

 

 「それはひとまず後回しですわ! でないと楽し気なイベントに乗り遅れてしまうのですわ!」

 

 「さすがあんあん、そういう考えかー!」

 

 中々洒落の分かる人格の魔法使い赤城あんな姫である。賢者紫藤めるちゃんも、楽し気に、嬉しそうに返事をする。

 

 「赤いの、あんたねぇ………」

 

 「あはは………」

 

 あんなたちの様子を見てジト目になるえもちゃんであった。りんかちゃんといえば困り顔で苦笑いする。

 

 「とりあえず、王宮でお父様、お母様と会見して、出立の挨拶を済ませてしまいましょう! 守衛! 門を開けよ!」

 

 「はっ!」

 

 あんな姫の指示によって、周囲に大質量の物を動かす駆動音が響き渡る。

 

 そうして開門すると、えもちゃん、りんかちゃんの二人の勇者は、あんな姫とめるちゃんに導かれ、王宮の中へと向かうのだった。




 あけおめー☆

 今年もよろしくねー!

 次はみらいちゃん、だいあちゃん&リングマリィによる草原での追いかけっこだよー☆

 さち! なる☆


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草原で追いかけっこだもん!

 さちにちはー☆

 今回はお外だよー☆


 「まりあ先輩、かわいいセンサーに反応は?」

 

 「あーん、まりあのセンサーだと右方向ですぅー」

 

 「解りました。だいあ先輩、右に行ってみましょう。煙弾、ここに置いておこう」

 

 「ハアハア………はい!」

 

 まりあちゃんとだいあちゃんが、程度に違いはあれど息を切らせている中、まったく息の切れないすずちゃん(かっこいい!)が、そう指示を出す。

 大神官だいあたんは、その指示に素直に従って、右方向へと向かうことにする。

 

 「見たところ、右方向に怪物の一団はいません。今の内に距離を稼ぎましょう」

 

 「かわいくない子は無視無視ですぅー」

 

 「だいあ先輩、辛くなったら言ってください」

 

 「まだ大丈夫。早くみらいちゃんを救わないと」

 

 「あーん、その意気、かわいいですぅー」

 

 「その意気です先輩。頑張りましょう!」

 

 「はい!」

 

 互いを励まし合うと、だいやちゃんとリングマリィの二人は、再び走る速度をぴちぴちピッチと上げた。

 

 現在、三人はこの様に、一角うさうさコーデの影響で草原に逃走してしまった勇者みらいちゃんを追っていた。

 現状、彼女等にはまりあちゃんのかわいいセンサー以外にみらいちゃん探索の手段がなく、それ頼りなのである。

 そのため、まりあちゃんの歩調に出来るだけ合わせつつ、こうしてアリアハンの草原地帯を頑張って移動しているのであった。

 

 (待っていてみらいちゃん、かならず助けて見せるんだもん!)

 

 まりあちゃんの髪のお団子センサーがみょんみょんみょんみょんと発動している中、それを頼りにだいあちゃんたちは、みらいちゃんの許へと進んで行くのであった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 「これはメラゾーマではありません! メラですの!」

 

 杖を構えた魔法使いコーデの赤城あんなちゃんが、馬車の上からメラを放つ。あんなちゃんのキャラクターを反映した炎の魔法は、一直線に飛んで着弾し、スライムの一匹を見事に仕留める。

 

 せーので! 魔法攻撃、やってみた!

 

 「御見事! あんあん!」

 

 「それほどでもありますわ!」

 

 「負けないよ! ホップ! ステップ! ジャンプ斬り!」

 

 「同じく!」

 

 続いて、馬車から元気よく跳んだ勇者えもちゃんと勇者りんかちゃんが、ダンスで鍛えた体幹を生かして疾風の攻撃を放つ。素早い攻撃を受け、さらに二匹のスライムが戦闘不能となる。

 

 せーので! ジャンプ攻撃、やってみた!

 

 「えもえも、りんりん、敵の攻撃が来る前に乗って!」

 

 「うん!」

 

 「はい!」

 

 言われた通りに、速度を落とした馬車へと素早く駆け戻るえもちゃん、りんかちゃん。

 

 「手を貸してあげますわ! 二人共摑まりなさいませ!」

 

 「ふん! 今回は借りておくよ!」

 

 「よろしい! 貸しておきませわ!」

 

 「助かります!」

 

 「スピードアップするよー!」

 

 二人があんなちゃんの助けを借りて馬車に乗り込むと、そう宣言する賢者のめるめる。すかさず手綱を打って、二頭立ての馬車馬をスピードアップさせた。

 

 雄々しく戦場を突っ切っていく馬車。

 

 その突進に巻き込まれ、さらに二匹が戦闘不能に陥る。

 

 スペシャルキャラバンエスケープ! やってみた!

 

 さらに!

 

 「それではもう一度、追い討ちのメラですわ!」

 

 あんなちゃんの容赦のない一撃。杖の先から放たれたメラが、最後の一匹を討ち取る!

 

 初戦闘での勝利、やってみた!

 

 「よし、敵全滅! 今回はさあ、素直に褒めるよ! じゃ、まっ、この調子でだいやちゃんに追い付こうよ!」

 

 「めるさん、お願いします!」

 

 「OK! リングマリィのマリィ(まりあ)とスージー(すず)の二人が、目印になる狼煙を上げてくれて助かったよ!」

 

 「彼女たちが進むべき道を示してくれましたわ! もはや迷いはありません! イケイケどんどんなのですわ!」

 

 ヒヒィーンと嘶き、草原を突き進んでいく馬車。大地に蹄鉄と轍の跡を残し、その戦場跡から離れていく。

 

 その馬車上で、ズビシィッと前方を指差すポーズとなるあんなちゃん。そんなあんなちゃんを、少々困り顔で見詰める、めるちゃん、えもちゃん、りんかちゃんであった。

 

 この様にして、だいやちゃんたちがみらいちゃんを追跡するのに四苦八苦していた頃、赤城あんなちゃんをリーダーにするスペシャルキャラバンも、草原へとやって来ていた。

 

 馬車立てのキャラバンは、えもちゃんとりんかちゃんが防御、強襲役。めるちゃんが御者役。そしてあんなちゃんが魔法での攻撃役を分担することで、巧みにスライムをはじめとする怪物の攻撃を無効化し、一方的に怪物たちに攻撃を加えることを可能にしていた。

 

 まさかの、殺し合いでの工夫を卑怯とは言うまいな。という、考え抜かれたプランである。

 

 もちろん、この成功は、頭脳には定評のある紫藤めるちゃんの発案に従ったからである。

 

 なお、馬車は、あんなちゃんがアリアハンの姫君になっていたため、簡単に手配できた。

 

 そんなプランに従って一行は移動することで、アリアハンの怪物たちを効率良く倒しながら移動していた。

 同時に、だいやちゃん&リングマリィによるのみらいちゃん探索で、遅れていた時間を急速に取り返しているのだった。

 

 「さあ、今行くからね、みらいちゃん!」

 

 「ええ、かならず助けます!」

 

 えもちゃんとりんかちゃんがそう決意を示すと、その意思を汲むようにめるちゃんは二頭立ての馬の手綱を引き、馬車をさらにスピードアップさせるのだった。

 

 次回に続く




 まさかのさらちゃん置いてけぼり。

アニメの本放送によって、さらちゃんの過度のもふもふ好きが判明。

 あれじゃ、うさうさみらいちゃんの相手はあんなやえも、だいあたちの足手纏いにしかならない。

 だからパーラーに待機必須だね☆

 と、言う訳で、さらちゃんはなる店長とディアクラウンのパーラー(ルイーダの酒場が未成年でも楽しめるように変化した)でソロライブだねー☆

 次は、やっとうさうさみらいちゃんが実力を披露するよー☆

 ナジミの塔の見える草原でぴょんぴょんするよー☆

 はたしてえもちゃんやりんねちゃんは、ミラクルキラッツの一人であるみらいちゃんを救い出せるのか☆

 乞うご期待だもん!

 さち! なる☆


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うさうさみらいちゃんを追って、合流なんだもん!

 さちにちはー☆

 みんなは、最初はナジミの塔の見える海外方向に向かって、次に右に方向転換したんだよー☆

 ドラゴンクエスト3のマップ的には、左側に行って、次に上方向に向かったんだよー☆


 「はあっ、はあっ」

 

 草原を進んで行く女の子三人のパーティー。

 肩で息でする大神官だいあちゃん。

 そんなだいあに肩を貸す、武道家のすずちゃん。

 そんな二人の前に、かわいいセンサーを起動させてみらいちゃんの姿を追う、僧侶まりあちゃんの姿があった。

 タカの目などの特技がない一行にとって、まりあちゃんのかわいいセンサーだけが頼りとなる草原探索だった。

 

 「あっ! かわいいうさうさみらいちゃんの姿が見えましたぁー」

 

 よっぽど発見が嬉しかったのか、まりあちゃんは笑顔を見せてぴょんぴょんと飛び跳ね、前方を指差した。

 

 「やった! だいあ先輩、後はみらい先輩を捕まえて呪いを解くだけです! もう少し頑張って!」

 

 「はあはあ、はいっ! 頑張るんだもん!」

 

 肩で息をして苦しそうだっただいやちゃんも、うさうさみらいちゃんに追い付いたことに気付いて、真っ青だった表情に笑顔を取り戻した。

 みらいちゃんの呪いを解けるのは今は自分一人。

 私がしっかりしないといけないんだもん!と、気合を入れ直すのだった。

 

 「!? あれれれ! みらいちゃんを囲むように、かわいくないうさうさちゃんが5、6、7匹もいますぅ。すずちゃん、だいやちゃん、気をつけてください!」

 

 うさうさみらいちゃんを目で追っていたまりあちゃんが、その周囲に一角うさぎが集まっていることに気付き、すずちゃん、だいやちゃんに警告を発する。

 

 「ええ!?」

 

 「あれは!?」

 

 (あの状況に似ている? まさか………)

 

 眼前の光景に既視感を感じるだいやちゃんとすずちゃん。

 期せずして二人が思い出した事柄は、ゲームドラクエ3に出現する八匹のスライムの合体………すなわち、キングスライムの合体出現の状況だった。

 今現在、三人が遭遇している状況が、そのキングスライムが出現する状況に、もっとも酷似していたのだった。

 

 もちろん、二人が過去にプレイしたゲームでは、一角うさぎの合体など有り得なかった。

 

 しかし、今、だいあちゃんやすずちゃんが存在する世界は、ドラクエ3に酷似しているが微妙に………いや、かなり改変された世界だ。

 

 だいあちゃんとすずちゃんは、あり得ないはずの事が起こっても可笑しくはない。

 

 そう、そんな予感を感じて焦っていた。

 

 そして、その二人の予感は正しかった。

 

 「!? あーん、かわいくないうさうささんたちが、うさうさみらいちゃんの許にさらに集まってきますぅー」

 

 その異変を感じ、まりあちゃんが再び警告を発する。

 

 「まりあ先輩、だいや先輩、下がって。僕が前に出ます!」

 

 凛とした態度となったすずちゃんは、そう宣言して二人の先輩たちの前に出た。三人の内、もっとも素早い対応ができる自分が前衛になって、新たな姿へと変化していくうさうさみらいちゃんに対処する位置取りだった。

 魔法の使えるまりあちゃん、だいあちゃんには、そのサポートに廻ってもらうのである。

 

 「まりあ先輩、バギで牽制よろしく。だいや先輩はピオリム最優先で!」

 

 「かわいさとかっこよさをコラボさせて見せますよー」

 

 「はっ、はい。補助魔法は任せてください」

 

 風の攻撃魔法で敵の素早い動きを殺し、補助魔法でこちら素早さをアップするという、武道家すずちゃんの戦術である。

 すでに、魔物や怪物との戦闘を済ませていた三人は、どの様にすれば自分たちの特性を生かし、戦いを優位に運ぶかを掴んでいた。

 武道家の自分が前衛の素早さを生かしたアタッカーとなり、僧侶のまりあ先輩と、その上位互換である大神官のだいあ先輩に、魔法での牽制、サポート役になってもらう。

 

 えも先輩たち勇者勢との合流を計る前に、こうして戦闘状況になってしまった以上、現状で選べる方法で、事態の打開を図るしか術はない。

 

 現状では、この方法を信じて、難局を乗り切る以外に取り得る手段はない。

 

 ならば、やるしかない。

 

 すずちゃんは、その一見ゴリ押しのようだが、理に適った方法で、みらいちゃんが取り込まれた呪いに対抗する気であった。

 

 一方、七匹の一角うさぎと、それを率いるうさうさみらいちゃん(呪われ中)は、悪の中ボスの登場よろしく、お約束の第二形態へと変身しようとしていた。

 

 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、

 

 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、ひしっ!

 

 ゴワッ! ゴワゴワゴワゴワッ!!!!

 

 うさうさコーデに合わせたように真っ赤な瞳となっていたみらいちゃんの身体に、ピタッとすがりつく一角うさうさたち。

 その身体がゴワゴワゴワゴワッと変化していく。

 

 そして、みらいちゃんのうさうさコーデは、うさうさ巨大着ぐるみコーデへと変化していった。

 素早さ1.5倍だけではなく、力、防御、体力が大幅に向上する呪われたコーデである。

 手加減する気は一切なしの塩コーデである。

 

 「うーさ、うさうさ!」

 

 真っ赤な瞳のうさうさ巨大着ぐるみコーデとなったみらいちゃんは、普段ならば絶対に言わないような、邪悪さが籠った雄叫びを上げて、「こいよ! 全力でかかってこいよ!」とファイティングポーズを取る。

 

 すずちゃん、まりあちゃん、だいあちゃんは、そのうさうさ巨大着ぐるみみらいちゃんの迫力に気圧されまいと、それぞれ得物を構えるのだった。

 

 そして。

 

 「バギをやりますー」

 

 「ピオリムだもん!」

 

 「まずは一当て」

 

 先制攻撃に出る三人。

 バギの牽制、ピオリムの速度強化(これは、守備力、回避力アップにもなる)、すずの速度を活かしたコンボである。

 

 こうして、三人の少女とうさぎ将軍みらいちゃんとの攻防は開始されたのだった。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

バカラッ! バカラッ! ガッ! ガガッ!

 

 海岸へと向かうアリアハンの草原地帯に二頭立ての馬車が疾走していく。その駆動音が周囲に響き渡った。

 その馬車上で、赤い色をファッションの基調とした少女、赤城あんな(姫&魔法使い)ちゃんが呟く。

 

 「………嫌な予感がしますの。急いでくださいまし、める」

 

 「OK!」

 

 「えもさん、りんかさん、覚悟を決めてくださいまし。晴れてキラッツ☆のトリオを取り戻すために、今、持てる力をすべて出し切る必要がある…そんな気がしますわ。もちろん! 私もめるも全力でサポートしましてよ! しかし!」

 

 「解ってるって! みらいちゃんを助け出すには、私たち二人の頑張りが必要だって言うんでしょう! やってやるわよ! えもえもにね!」

 

 「はい! 私も頑張ります! みらいちゃんをキラッと救い出すんです! だいあちゃんやリングマリィのお二人に負ける気はありません!」

 

 勇気凛々のえもちゃんとりんかちゃんである。その発言に、あんなちゃんとめるちゃんは勇気を貰った気がした。

 

 「ふっ………その意気です! める、行きましてよ!」

 

 「あんあんも、えもえもも、りんりんもやる気だねー。私も張り切ってきた! みんなの、新しい心境で発揮する力が見てみたいな! だから、飛ばして行っくよー!」

 

 「ええ! スペシャルキャラバン・スタンビートですわよ!」

 

 馬上で気合を入れ直したえもちゃん、りんねちゃん、あんなちゃん、めるちゃんの四人。彼女たちは、自分たちの出遅れ分を取り戻すべく、超特急でうさぎ将軍となったみらいちゃん、だいあちゃん、リングマリィの二人の許へと向かっていくのだった。

 

 その想いを受けてなのか、馬車を引く精悍な顔立ちの軍馬二頭も、ヒヒィィーンと嘶く。

 

 決戦の地は、すぐそこに迫っていた。

 

 




 次回予告 恐怖! うさぎ将軍なんだもん!

 読者のみなさんも、初の中ボス戦楽しんでねー☆

 さち! なる☆

 それと、今回の元ネタにしている某超人プロレスの本編で、サタン実体化には驚いたんだもん!


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恐怖! うさぎ将軍なんだもん!

 キラッと! さちにちはー☆

 闇落ちみらいちゃん第二形態なんだもん!

 すずちゃん、まりあちゃん、だいあちゃんのピンチだよー!

 駆けつける勇者たち一行!

 えもえも!エモーショナル・ストラッシュ! リピート、リンカーネイション・ストラッシュなんだもん!

 勇者えもちゃんと勇者りんかちゃんは、はたして呪われて闇落ちした勇者みらいちゃんを救えるのかー!

 あんなちゃんとめるちゃんの雛鳥カイザーフェニックスは炸裂するのか!

 そして、詩人のさらちゃんには出番はあるのか!

 まずは第1ラウンドなんだもん!


 せーので!

 

 爆裂蹴やってみる☆

 

 まりあちゃんのバギによる援護を受け、ピオリムの加護を受けた小さな身体が、素早く攻撃態勢へと移行する。

だいあちゃんのピオリムで、素早さを一気に上昇させたすずちゃんが、必殺の特技を発動。

 現世へと現れたうさぎ将軍みらいちゃんに先制攻撃を試みたのだ。

 

 それは、下段、中段、上段、そして頭部を狙っての四連続攻撃。爆発的に身体能力を開放する必殺の足技だ。

 

 小さい身体ながらもその全体重を乗せた、そして、腕部よりも遥かに筋力の上回る脚部での連続攻撃。

 今の自分が出せる一番の技を惜しみなく披露する、すずちゃん渾身の一撃だった。

 

 「当たって!」

 

 ガッ! ガガッ!! ガンッ!!!

 

 その連続攻撃は見事に、すべてうさぎ将軍の着ぐるみ部分にヒットする!

 

 しかし!

 

 (まずい?! この感触は!)

 

 動揺し、速攻で距離を取るすずちゃん。

 

 確かに、すずちゃんの連続攻撃は全弾がうさぎ将軍みらいちゃんをグラつかせた。

 

 だが、それだけだった。

 

 みらいちゃんが纏う…いや、みらいちゃんを拘束するうさぎ型巨大着ぐるみは、それだけの攻撃を耐える、耐久性能と弾性を有していたのだ。

 

 (これは…厳しい戦いになる。着ぐるみのなんて反発力なんだ。衝撃への耐久力が半端じゃない。打撃系での僕の攻撃はおそらく相性が最悪だ。もしかしたら、まりあ先輩のバギの方が有効打かもしれない!)

 

 厳しい目の前の現実に直面し、額に汗を滲ませる武道家すずちゃんである。しかし、その精神に灯った闘争心は揺るぎはしない。

 どうしたら効率的にうさぎ将軍に立ち向かえるか。

 冷静な頭脳で、その方法を懸命に考えるのだった。

 

 (だったら、攻撃目標が僕からまりあ先輩やだいあ先輩に向かわないように立ち回らなくっちゃ!)

 

 「はあっ!」

 

 後方に複数回バク転し、さらに距離を取るすずちゃん。一方、うさぎ将軍みらいちゃんは、その場に仁王立ちになって防御姿勢へと移行していた。

 まりあちゃんのバギや、すずちゃんの軽い攻撃など、通常防御だけでほぼ相殺できると言いたげな態度だった。 

 

 「!? だったら!」

 

 ならばと、一撃離脱戦法に切り替えるすずちゃん。うさぎ将軍の注意を自分に引き付けるべく立ち回り始める。

 

 そこに。

 

 「ピオリム、二度目だもん!」

 

 「バギです! かわいくない子は倒れてください!」

 

 「よし(僕も打ち込む)!」

 

 だいやちゃんの二度目のピオリム、まりあちゃんの二度目のバギが放たれる。続いて、さらなる速度強化を受けたすずちゃんの攻撃が続く。

 すずちゃんは、うさぎ将軍の脚部を狙い疾風となって蹴りつけたのだ。

 

 (ここは、理詰めで攻撃を組み立てないと!)

 

 まずは足にダメージを蓄積させて、将軍の動きを少しでも弱体化させようとの、すずちゃんの戦術だった。

 

 自分たちはピオリムのすばやさ強化で、攻撃、回避、防御力を高める一方、相手の脚部に攻撃を集中して、行動を制限しようというのである。

 実に理に適った戦法なのであった。

 

 ゴオッ!

 

 「はあっ!」

 

 ドコッ!

 

 バギ、ピオリムで強化された疾風蹴りと、連続で攻撃をヒットさせるまりあちゃんとすずちゃん。威力は巨大着ぐるみによって抑えられたが、確実に呪われたうさぎ将軍コーデにダメージは蓄積させたはず。

 攻撃を成功させて、厳しい表情から、再び笑顔を見せる三人。

 

 「この調子で、みらい先輩から呪いのコーデを引き離すよ!」

 

 「頑張るんだもん!」

 

 「かわいくないコーデは、私たちに倒されて、かわいく生まれ変わってください!」

 

 そこで、継戦の指揮を保つべく、互いに気合を入れ、エールを送り合う三人だった。

 

 しかし!

 

 それを許すほど、うさぎ将軍は甘くはなかった!

 

 にやりと歪に口角を上げる、みらいちゃんの悪落ちフェイス!

 さらに、吊り上がった双眸で三人を睨み付ける!

 その瞬間、うさぎ将軍が前方にかざした指先から凍てつく波動が迸った!

 

 ブォッ! バァアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 「!? これは!」

 

 「あーん、そんなですぅー!」

 

 「ピオリムの加護が…消えたんだもん!」

 

 自分たちの努力と工夫を嘲笑うように、うさぎ将軍がだいあちゃんの補助呪文の効果を消し去る反撃を敢行した。

 

 それが、凍てつく波動という特技の効果だった。

 

 うさぎ将軍は、作品によってはラスボスだけの特技を持っている!?

 

 (くっ! どうすれば!)

 

 (あーん、怖気づいては駄目ですぅー!)

 

 (想定していた以上に、恐ろしい実力なんだもん!)

 

 その事態に、戦慄するすずちゃん、まりあちゃん、だいあちゃんだった。

 

 うさぎ将軍、その底を見せない実力が、じわりと三人の精神に忍び寄っていく!

 

 次回に続く

 

 




 三人の心を折りにくる、うさぎ将軍なんだもん!

 第一ラウンドはこんな感じだったよー☆

 次のラウンドもまた読んでねー☆

 ではでは、さらばだよー☆

 悟空ー! 早く来てくれー!なんだもん!

 さち! なる☆


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