蜜璃ちゃんがチン負けする話 (伊倉米磁)
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蜜璃ちゃんがチン負けする話
「かーっ!」
喉を滑り落ちる熱い液体の感触。それは焼酎のものだ。
甘露寺蜜璃は、深夜……というより早朝前の食事処で、仕事終わりの食事を楽しんでいた。
新しく警備地区になったここは港町であり、同じく朝早い市場関係者や漁師の食事を提供する店はこの時間からにぎわいを見せている。
(里が襲撃されたから警備地区も入れ替えますって言われた時はどうしようかと思ったけど、この地区いいかも!)
働く男の飯だけあって精のつくものに事欠かない。常人の八倍の筋力があり、八倍食べる蜜璃は自身の屋敷で養蜂をして蜂蜜を常食、そして非常食にしているが、夜通しの警備任務の終わりには辛い空腹を抱えている。その点、この手の店は量もそうだが酒も出る。
「あ゛~……沁みるぅ~!」
性欲を持て余した男ども御用達の店で、露出度の高い服を着て大ぐらいの蜜璃はとかく目立っていたが、ほとんどは仕事を急ぐ身であり声をかける者は無かった。去り際に何とか眩しい胸の谷間を目に焼き付けて船上で発散するのが関の山だ。
だが、一人だけ彼女に近づくものが居た。
「どうも、お姉さん。良い飲みっぷりだなあ!」
優男風だが、女性にしては珍しいほどの背丈を持つ蜜璃よりさらに大きい。蜜璃は特に警戒を見せず
「あ、どもー!」
酒が入った上機嫌のままに、満面の笑顔で返事をした。
「隣、良いかな?」
「いいですよー!」
酒の入った徳利を掲げて、男が近づいてくるのを了承して、山と積みあがった食べ終わりの食器をがーっ、と寄せる。店の給仕が慌てて回収に来た。
「あの、すみませんお客さん。これ以上は、いつもご利用してくださるお客さんの分が無くなってしまいますので……」
「あっ、あれ、私そんなに食べちゃってました!? すみません、すみません……」
ついでに引き気味に給仕に訴えられ、仕方ないので酒を追加で頼んだ。
「はは、良く食べるんだ」
「あう……お恥ずかしい所を」
さすがの恋柱も、他人の分まで食い尽くすなと言われた所を見られては居心地が悪かった。それに、一般の人から見れば相当奇異に映るという事も良く分かっている。かつての婚約者のように。
「いやいや、健康的でいいじゃあないか。お姉さん、一体どういうお仕事してるの? お、酒が来た。ささ、どうぞ」
一升位は入りそうな特大徳利に入って出てきた焼酎を男がぐい呑みに注いで来る。
「あ、これはどうも」
蜜璃は両手でぐい呑みを持ち、それを受けながら礼をした。もう少し食べたかったが仕方がないと、後の腹二分くらいは酒で満たそうと一息にあおる。
(腹二分かあ……そんなに飲んだことないけど、まあ平気でしょ!)
酒が入っていても居なくても変わらない能天気さでそう判断し、男に注がれるままにグイグイ飲んだ。
「んー、お仕事は秘密なんですけどぉ、夜に走り回る感じなんですよねぇ」
「おや、珍しい。そんなキツイ仕事を女の子がしているなんて、凄いなあ」
酒のせいか、男の雰囲気か、蜜璃の舌は滑らかで、問われるがままに話し込んでいった。婚約者に手ひどく断られ、自分らしく生きられて役に立てるよう今の仕事にたどり着いた、と情感たっぷりに語り切った時には、
「いよっ、日本一の女!」
「うふふーそうでしょー?」
男に上手くほめそやされ、気分良く何度目かの酒のお代わりをしていた。
「それでぇ、やっぱり役に立つのも良いんだけど、わらひとしてはぁ、添い遂げる殿方を見つけたくてぇ」
「アンタのような最高の美女と添い遂げられたら、三国一の幸せ者って奴だろうねえ。どんな男が良いんだい」
何から何まで奇異な自分をこうも素直に持ち上げてくれる男に、蜜璃はすっかり心を開いていた。
「えへへぇ、ありがとござますぅ、やっぱり、私より強い人! これ!」
「強いって? どう判断するんだ?」
「ほえ? そりゃー、まあ、わらひと勝負ぅー、みたいなー?」
「何の勝負を?」
「わらひはー! どんな勝負もぉー! うけるぅー! あっはっはっは!」
いよいよ酒が回り切ったか、ケラケラ笑い始めた蜜璃を、奥のほうから店の者が白い目で見ている。早朝営業している分、昼までは閉めるのにいつまで飲み続けてんだという視線である。
「おっと、蜜璃さん。そろそろ店が閉まるみたいだ。もう少し俺に付き合わないかい」
男に誘われて、蜜璃はホイホイついて行った。
(鬼殺隊でもないのに、私を受け入れてくれる! 素敵!)
例によってキュンとしているのだった。
「あっ、あっ♥ あひぃ~~♥」
ものの半刻も経たぬ間に、蜜璃は待合茶屋の中で男の腕に抱かれていた。
経緯は、こうである。
──蜜璃さん。俺も君の結婚相手として立候補したい。
──ええっ!? そそ、そんな、私たち今日あったばかりなのに!
──だから勝負だ。君より強い事を証明してみせる。
──で、でもあなた丸腰で……
──勝負はセックスバトルだ!
──せっく? それ何ですか?
──さあ受けるのか受けないのか!
──えっえっ、分かんない、全然わかんない……
──どんな勝負も受けると言っていただろ!
──んー、じゃ、受けちゃおっかな♪
そして、待合茶屋で身体に触れられたことでセックスバトルが「どちらかの体力が尽きるまで延々まぐわう」という破廉恥極まりない競技だと知って拒否しようとしたが、
「おっと、ここまで来てそれは無いでしょ」
と言う男に下着の上から巧みに
「蜜璃ちゃん、敏感だなあ。気持ちよくてしょうがないって顔してるよ」
「言わないでっ、言わないでぇ♥」
いつの間にか、お互い一糸まとわぬ姿になっている。布団に仰向けに転がされた蜜璃は、男に覆いかぶされ、全身に愛撫を受けていた。最初はさねと乳首だけだったのが、太もも、首筋、耳……どんどんと広がっていった。鬼殺隊の剣士であるからには、自分の血管、筋肉の事は誰より把握しているつもりだったのに、男はまるで自分よりも詳しいかのように的確に性感を引き出していく。
恥骨、脇腹、背中、鎖骨。普段そんな所を触られてもなんとも思わないという所まで、男が撫ぜると甘い電流のような感覚が迸るのだ。
散々嬲られて、肌を上気させて珠のような汗をかき、蜜璃の酔いはとっくに抜けていた。それでも、抜け出そうとするたびに男が与える快楽に脚を取られ、腰砕けにされてしまっていた。
「あっ、駄目ぇ、そんなとこっ♥」
「美しい……どこもかしこも、完璧な女体だ」
常人の八倍の筋力を持つはずの蜜璃が、抵抗も出来ずにヒョイと腕を上げられ、無防備な腋を晒す。男がべろりと毛の一本もない綺麗な腋を舐め上げると、
「は、くうぅ♥」
堪え切れない快感が蜜璃の喉から艶声となって溢れ出た。
(なんでっ、どうして逃げられないの!?)
事ここに至って、蜜璃は混乱の極みにあった。全集中の呼吸は、今も出来ているのに。そうでなくても、自分の筋力ならこの男を振りほどく程度造作もないことなのに。
(もしかして、この人……すごく強い!)
熱に浮かされたような馬鹿な結論を出しながら、じたじたと往生際悪く手足をばたつかせるも、まるで力が入っていない。
「ふふっ。どうだい? 参ったと言ったら今はやめてあげるよ? ただし俺が勝ったらそのまま祝言だ」
「まけにゃいっ♥」
乳首もさねもビンビンに勃起し、すっかり雄を受け入れる体制になっている蜜璃を前に男は仕上げに移る事にした。
「それじゃ、勝負の続きと行くか!」
男が蜜璃の脚を掴むと、かぱーと簡単に開いてしまう。濡れそぼって花開くように充血した蜜璃の陰唇と膣口が男に曝け出された。
「ああっ……恥ずかしすぎる……!」
「いやいや、こんなに美しいのはみたことがないぜ」
こうして自分の身体を逐一褒めてくれると、蜜璃の心にこそばゆいような、でも悪い気はしないような、不思議な気持ちが湧き上がってくる。
(ううー、相手はご、強姦魔なのにぃ……)
しかし現実として、蜜璃は身体を良いように触らせ、男に股を開いており……ついに男の剛直が、蜜璃の処女穴に押し当てられる。
「やっ、らめ、ほんと、らめぇ♥」
蜜璃も精一杯の抵抗をしようとするが、力むのに合わせてさねを押しつぶされると、それだけで身体中からへなへなと力が抜けてしまった。
「それじゃ、頂きまーす」
にやりと勝利宣言をして男が腰を突き出した。
「かっ、は……」
ぷつり、とごく軽い音がして、蜜璃は自分が破瓜したことを知覚した。実の所、蜜璃がこうして股から血を流すのは初めてではない。勿論男を受け入れての事ではなく、鬼殺隊の修行の際に限界まで開脚などして、処女膜が裂けてしまう事が何度かあった。だからいつものように反射的に全集中の呼吸で処女膜を止血する。だが、それは過ちだった。
「うおっ、凄い締め付け」
処女膜の止血、すなわち膣に意識を集中するという事は、存外に力強い腰遣いで遠慮なく蜜璃の奥深くに分け入ってくる男の肉棒の感触を余すことなく受け止めるという事である。
蜜璃の性器もまた、常人の八倍の筋力と柔軟さを備えている。それは、常人の八倍筋肉を押し伸ばされる快楽を味わえるという事も意味していた。
「はぐっ♥ これっ♥ やばっ♥」
ばちん、ばちん、と脳髄に直接電撃を叩き込まれたような、とても耐えられるものではない快楽が叩き込まれる。無心で受け流そうと必死になっても、男が絶妙のタイミングで乳首を吸い、腹を撫で、腋を舐め上げると、たちまち集中は崩れ快楽に飲み込まれる。まるで剣の立ち合いのように、ある種純然たる駆け引きで蜜璃は圧倒されていた。
「そらそら、もっと気をやっていいんだぜ? 気持ちよく負けて俺と祝言上げよう、蜜璃ちゃん!」
ふざけた提案に、頭では冗談じゃないと思うのだが、もう身体がついていかなくなりつつあった。
「わたしはぁっ♥ まけにゃいっ♥ まけにゃいもんっ♥」
じゅぶっ、じゅぶっ、と濡れそぼった蜜璃の秘所から派手な水音が聞こえるが、よだれと鼻水と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらも決して自分から勝負を諦めることはなかった。
「オラッ負けろ! イけっ! 俺のモノになれ!」
「いくっ? いくってどこへ、あっ、あああっ──ー♥」
男の肉棒がいよいよ激しく、蜜璃の一番奥を……筋肉の塊、蜜璃の性感帯の塊の子宮口を揺らす。どすんどすんと重く突かれているのに、不思議と苦痛は感じず快楽だけが大きくなる。
(うそっ、これ、ちょうどいいっ♥ 私の気持ちよく感じる強さ、見切られちゃってる♥)
蜜璃の大きくて張りのある尻が男の下腹部と打ち鳴らされ、パン、パンと肉の弾ける音が部屋中に響き渡った。その度に、股間から脳天まで突き抜けるような快感の電流が蜜璃の脳裏を
「あ────♥ ああ──っ♥」
表通りまで聞こえそうな位によがり声をあげさせられる。まるで男との行為を喧伝するような自分の大声を抑えたいのだが、自分の身体が言う事を聞いてくれないのだ。
(すごいっ、すごいっ、すごいっ♥)
蜜璃の思考は千々に乱れ、もう男の剛直の事しか考えられなくなっていた。されるがまま……どころか、男に合わせて動きやすいように腰を振り、自分から快楽を貪り始めている。
「んむっ♥」
ついに口を吸われ、蜜璃のよがり声は男の口に封じられた。処女も初めてのチュウも男に捧げた蜜璃は、
(ちゅうって気持ちいい──ーっ♥)
トロトロに蕩けた頭で男の舌を受け入れ、自然とその手足は男の背に絡みつく。ついに蜜璃は観念して男のすべてを受け入れたのだった。
そこからはもう、一方的だった。男は一回射精する間に、蜜璃は八回は気をやっている。
「んっぐ、んごお──っ♥」
時に大木を絞め殺すツルのように男に手足を絡ませた蜜璃は、何度目かの男の射精を感じて腰を引いた。最低限の礼儀か、男は膣内では射精しなかった。度重なる射精で蜜璃の腹の上には男の精液が水たまりを作っている。
「くうっ!」
男が全身を震わせて精を吐き出すのをぼーっと見ていた蜜璃は、
(かわいい……♥)
その姿に胸をキュンとさせていた。男に手ひどく振られた傷心からか、自分自身では自分の身体を立派だと認めてはいるが、男からの評価は傷つくのを恐れて意図的に無視してきた。それをこうも直接的に魅力的だと囁かれ、女として何度も抱かれて、すでに蜜璃は男に情がうつりつつあった。
「はあ……はあ……まだ、参らないか……?」
「ぜえ……ぜえ……まだ、まだよ……そっちこそ、もう辛いんじゃない?」
既に、太陽は真上に登っている。夜明けから今まで、ぶっ続けでまぐわい続けた待合茶屋の一室は、蜜璃と男のむせかえるような性臭が立ち込めていた。性技について男は途轍もない技量を持ってはいたが、人間としての造りが違い過ぎた。ここにきて、蜜璃が余裕を見せつつあった。
「ふふふ……これは、私の勝機! さあもう一本!」
でろんと自らの恥丘に載っている男のイチモツを手に取り、ニチャニチャと精液と愛液まみれのソレを優しくしごきたてる。当初の拒絶をすっかり忘れ、勝負にのめり込んだ蜜璃は自分からこのセックスバトルに勝利すべく最善の行動を取っていた。
「くっ……も、もう……」
「もう、なんです? 降参します?」
そろそろ二桁になるのではないかという位射精した上でさらに勃起を促され、男が悶絶するのを見て、また蜜璃が胸をキュンとさせる。
(なんか……なんかこれ……楽し!)
自分の身体で、男を手玉に取る感覚。間違いなく生涯で初めての経験に、蜜璃の心は浮き立っていた。
「まだ、まだ……!」
歯を食いしばって、男がなおも勃起する。
「うふふ、がんばれ、がんばれ♥」
蜜璃は、刀の柄のように硬さを取り戻した男の肉棒を掴み、カエルのようにはしたなく股を開きながら自分の膣口にそれを当てがった。男が挿入しやすい角度に腰を持ち上げ、突きさされた時の甘美さに思わず舌なめずりをする。暴力的に大きい、蜜璃に何度も気をヤらせてきた亀頭がさねと擦れ合い、愛液に滑ってぬりゅりと抜けていく。期待に膣口がパクパクと開閉するのが自分でも分かる位、もう蜜璃は男女のまぐわいを好きになっていた。そして、
「お客さん! もういい加減に出てってください! 半日はこもりっぱなしでしょうが! ってうわ、くさっ! どんだけ盛ってんだアンタら! 手ぬぐいは渡してやるからとっとと失せな!」
待合茶屋の店員のおばちゃんが乱入してきて、強引に中断されてしまった。
真昼の街中で、二人は並んで歩いていた。
「な、何で付いてくるの?」
目をそらしながら蜜璃が問うと、
「だって勝負は途中だろ?」
男は悪びれもせずそう言った。
その言葉で、一気に先ほどまでの熱狂がぶり返し、蜜璃は耳まで赤面する。
「あ、あ、あんな事、二度としませんからぁ!」
そのままぴゅーと自分の屋敷に走り去ってしまった。
「あの食事処で同じ時間に待ってるから!」
鬼殺隊の優れた聴覚が、男の声を拾っても、決して振り返ることなく真っすぐに走った。
それから、朝どころか昼帰りになった事をあやふやに誤魔化して、蜜璃は元の生活に戻ろうとした。
戻ろうとしたというのは、当然戻れなかったからだ。そもそも、新しい警備地区で丁度いい店という事であそこに行ったのだ。似たような店はあるとはいえ、当然同じ界隈に集まっているので、最初に行った店も視界に入ってくる。その度に男とやった事が思い出されて心拍数が跳ね上がってしまう。なんなら痣が浮かび上がりそうな位に体温も高くなった。
(あ────っ、私のバカバカバカ! あんなふしだらな婚前交渉なんて、もうお嫁に行けないっ!)
鬼を討った帰りの山中一人でいる時に不意に思い出して、羞恥のあまり顔を覆ってしゃがみこんでしまう事もたびたびあった。
(そ、それどころか……あんな……自分から求めて……)
終わりのほうは、もう自分でも何を考えていたのか分からない位積極的に、ノリノリで男の性器を自分で導いていたのだ。そして、それを思い出すたびに
(まぐわいって、めっちゃめちゃ、きもちよ……♥)
自分の膣を我が物顔に何度も往復し、一番奥の子宮を小突き回したあの剛直の感触を思い出し陶然となってしまう。
すり、すり。無意識に、自分の腰に帯びた刀の柄を撫でまわす。それは明らかに刀にする手つきではなく、男の肉棒を勃起させ、射精させるための上下動だ。蜜璃は親指と人差し指で、仏様のように輪っかを作り、刀の柄にすぽすぽ抜き差しした。
(あの時は……指が、付かない位だったっけ……この刀より大分太いのよね……♥)
刀を作った鉄珍が聞いたら前かがみになりつつ失意に挫けそうな感想を抱いて、股下数寸というきわどいスカートに包まれた股間をモジモジとこすりあわせる。一度覚えた快楽はもう一週間は経つというのにまるで頭から消えてくれず、我慢する事でむしろ欲求が激しくなるばかりであった。
そうしてフラフラと、男と初めて会った店に足が向くのだが、いざ男の気配がすると
(きゃああああああ──ーっ! 私! わたしわたし! なんてことを! あんな男とまたシたいだなんて!)
遠くから足音を判別するだけで頭に血が上ってしまい、脱兎のごとく駆けだしてしまうのだった。
そんな事をさらに一週間繰り返したが、ついに蜜璃は性欲に負けて、例の店でモリモリ食事を取っていた。
(別にそんなんじゃないから! そんなんじゃないから! ただ、そう、勝負! 勝負がついていないのが気持ち悪くて!)
ふすー、ふすー、と鼻息荒く、性欲で目が爛々と輝いている蜜璃は、別の意味で周りから遠巻きにされたが、本人は全く気づいていない。
「おっ……蜜璃ちゃん! ついに来てくれたのか!」
「で……出たわね! さあ! 勝負、勝負です!」
男が来るなり、バンと机に手をついて立ち上がる。
「嬉しいねえ。じゃあ今度は、邪魔が入らない場所に行こうか」
蜜璃のほうが生唾を呑んで、お会計を手早く済ませて店を出ていく。
男が案内したのは他でもない、男が住んでいる長屋だ。中も全く普通の部屋で、引き戸を閉めた瞬間に二人は口づけをした。
「んっ、んっ♥」
まるでそこらのか弱い町娘のように、蜜璃はされるがままに抱き寄せられ、口を吸われる。唇を割って入ってくる舌に応じ、蜜璃も熱々の舌を自分から相手の口内に伸ばした。ちゅく、ちゅく、と淫靡な音が頭の中に直接こだまするような激しい口吸いに、早くも蜜璃の胸元が上気してほんのり桜色になった。
「さ、布団はもう敷いてある、行こう」
「はい……♥」
肩を抱かれ、寄りかかりながら歩いていると、雲の上を歩いているかのようにふわふわした。履物はきっちりそろえて、
「おじゃましまーす♥」
深夜ゆえに小声で入る辺りは、こんな時でも自然体な蜜璃らしいと言えた。だが、男に後ろから抱かれ、スルスルと隊服を脱がされるままになる蜜璃を鬼殺隊の人間、特に蛇柱が見たら悶死するほどに嫉妬されるだろう。あっという間に全裸になった蜜璃は、掛け布団をぺいっと剥ぐと枕を頭に寝転がり、ぱかっといとも簡単に股を開いた。
朝焼けに微かに照らされて見える股間は、もうヌルヌルと濡れている。男も手早く脱いで蜜璃に覆いかぶさり、言葉もなく二人はまぐわった。
「ああっ♥ やっぱり、これ、すごいっ♥」
ねっとりと媚を含んだ声は、半月前までのおぼこい蜜璃には決して出せないものだった。
「相変わらず、蜜璃ちゃんのおまんこは最高だなっ……!」
普通なら恥か侮辱でしかない性器の具合を褒められるという行為も、まさに性行為の最中なら誇らしくさえ思える。
「あ、貴方のお、おちんちんも、とっても素敵よ♥」
素直に褒めることは良い事だ、という己の中の価値観に従い、蜜璃も心を開いて男の肉棒を褒めた。そのとたん、グンと男のものが硬さを増す。
「あっ、またおっきく……」
「蜜璃ちゃんが嬉しいことを言ってくれるからだよ」
至近距離から目を合わせた男に微笑まれて、蜜璃は胸がドキドキした。思わず蜜璃も無言で見つめ返してしまう。
(あっ、これ……あれじゃない? 男女の、こう、いい感じになってるというやつじゃない?)
お互いの肌のぬくもりを感じながら、ぬらぬらとまぐわっている相手に切なく恋心が震える。
(この人、床の中では強いし……そもそも求婚されてるし……良いかも……♥)
名前も知らない、抜群に床上手というだけの男に、蜜璃はすっかり参ってしまっていた。そんな心を知ってか知らずか、男が動き始める。今日は自分の家だからか、最初から口を吸われた。同時に、指を絡めるように手を握られる。
(あー……これ、ホッとする……それにこのおちんちん、やっぱ最高にきもちよ~~~~♥)
始まって一分も経たない内から、蜜璃の
(こう……輪っかになった筋肉を……ふっ♥)
全集中の呼吸で、膣を蹂躙される快楽をめいっぱい堪能している蜜璃は、より気持ちよくなる方法を探り始めていた。今まで意識したこともなかった、膣を動かす筋肉。それを男とまぐわうために初めて意識し、最適な力加減で肉棒を締め付けてやる。
「うおおおっ!?」
案の定、男が身体を痙攣させた。にへーっ、と笑った蜜璃は、男の腰の振りに合わせて抵抗が強くなるように筋肉を閉めて、緩めてと息を合わせて運動する。
「あっ、ぐ……」
効果はてきめんで、男があっという間に射精をこらえ始めた。前回何度もまぐわって、射精の気配もつかめるようになったのだ。腰の引け始めた男に、下にいる蜜璃が腰を持ち上げてイチモツの根っこを追いかけるように膣穴を前進させ、ぬちょ、と愛液が入り口から押し出される淫らな音をさせて丸呑みにしてしまう。
「ほら、ほら、ほらっ♥ ふふっ、今度こそ私の勝ちじゃないのぉ?」
挑発するように、前後左右に腰をうねらせる。
「くうっ!」
ついに男が、溜まらず射精した。パタパタ、と蜜璃の腹や胸に熱い精液が降りかかる。自分の身体の気持ちよさに耐えられず男を射精させたという事実に、蜜璃は女の自尊心とでもいうべき心のスキマが熱いもので満たされていくのを感じる。
(これ……楽し!)
「もう出ちゃったんですかぁ?」
ニヤニヤと余裕を見せてやると、男はすぐに勃起を取り戻した。
「まさか。俺の本気、たっぷり見せてやる」
猛獣のようなその視線を受けて、前回の記憶が蘇る。身も世もなく、男の望むままに善がり狂ったあの経験がもう一度味わえると思い、蜜璃はよだれを飲み込んだ。
「来て……♥」
細められた目が男に犯される期待に満ちる。もはや純真だった蜜璃の片鱗を見つけることも難しいくらい、男好きのする笑みを浮かべていた。
ずにゅう、と一息に突き入れられる。膣奥が男に引き延ばされ、子宮が持ち上げられるのがありありと分かった。今度は、あまり派手に腰を動かさず奥の方の一点をぐりぐりとほぐすように小刻みに腰を動かし始める。
「んっふっふ、そんなチマチマした感じでいいのぉ? 負けちゃうわよ~?」
まぐわいにすっかり慣れて調子に乗った蜜璃を無視して、男は一定の早さで腰を使い続けた。
「あ゛──っ♥ ひぃ──ーっ♥」
十分後。胸元まで真っ赤になった蜜璃が、上半身だけをくねくねと揺らして男の腰遣いに悶え狂っていた。
「またっ♥ またイくっ♥ もう無理っ♥ おかしくなるっ♥ っ、あ、あい゛ぃ──────っ♥」
背骨が折れそうなほどにのけぞり、絶頂を叫ぶ。
男は、これまで抱いた感触から蜜璃が常人の身体でないことをよく理解していた。異様な重さ、膣や子宮口の感触から、その違いが筋肉であることを突き止め、常人よりも筋肉をほぐすことが快楽につながっていると見抜いたのだった。蜜璃の敏感さ、打ち解けた様子から子宮口の周りを丹念にほぐすことで子宮イキを導けると踏んで忍耐強く腰を使ってきた結果が、これである。
「どうだ? 気持ちいいか? 参ったか? やめて欲しいか?」
「きぼぢいい──っ♥ れもまけてにゃいぃ♥ やめないでぇ♥ これしゅごいの♥ しあわせなのっ♥」
蜜璃の髪の色のように桃色に彩られたような情念たっぷりの甘い声で返事が返ってくる。お望みなら、と男は腰を使い続け、蜜璃は絶頂を貪り続ける。
二人が布団に入ってから既に一時(二時間)、 とっくに夜は明け、長屋中の人間が赤面しながら勤め先に向かっている事に気づきもせず、蜜璃は薄い布団を自分の汗でびしょびしょにして、昼までせっせと腰を振り続けた。
「なあ……腹が減らねえか?」
「確かに!」
真昼の太陽が蜜璃の見事な裸体を照らす頃になって、唐突に男が言った。蜜璃も顔だけはシャキーンと返事をしたが、汗だくの額に前髪が貼りつき、首筋、胸元、腹、その他色々な所に虫刺されのように赤い跡が付いている。勿論男に吸われた跡だ。布団の足のほうに座る男に向かってだらしなくぱっかりと股を開いた姿勢のまま、真っ赤に花開いた陰唇を惜しげもなく晒している。
膣口からはなんと、精液が逆流していた。子宮口責めで蕩かされた頭は、ついに男に種付けを許してしまったのだ。そうはいっても蜜璃本人はあまり心配していない。それは、とりもなおさずこの男と必死でまぐわった経験により、蜜璃は自分の膣と子宮をある程度自由に動かせるようになったからだ。
「ふっ!」
腹……いや子宮に集中し、ぎゅむと縮ませる。そのとたん、ぶじゅ、と濁った音と共に膣から大量の精液が吐き出された。その後何回か、ぺこっ、ぺこっ、と空撃ちをさせて、限界まで精液を追い出すと、すっくと立ちあがって男の前に仁王立ちになった。
「さあ、ご飯に行きましょう!」
「お、おう」
全裸の美女なのに全く色気を感じさせない溌溂さの蜜璃に気おされつつ、男も支度を始めた。
結局その日も、床で腰を振る程度なら体力に底なしの蜜璃と、圧倒的な身体能力の差をものともしない床上手の男で決着はつかなかった。
タガが外れた蜜璃は、暇さえあれば……いや頑張って暇を作ってでも男と熱心に勝負に励んだ。三日に一度は夜明けから昼まで腰を振り、自分の口を、胸を使うやり方を知った。四つん這いになった蜜璃を後ろから畜生のように犯したり、逆に蜜璃が上になって淫らに腰をくねらせたりする方法を知って、ますますのめり込んだ。
実の所、こんな淫蕩に耽っていられるのも鬼がぱたりと出没しなくなったせいなのだが、不思議と男と必死にまぐわって居ると蜜璃の剣の冴えは増していた。内臓系、神経系、リンパ系にまで意識を研ぎ澄ますことができるようになり、試しては居ないが多少の毒ならあっという間に排除できるほどだった。修行のための手合わせと称して男に陰唇を開いて見せる様子は、淫乱女としか言いようのない色気を発散していた。
「ねえ、貴方鬼殺隊に来ない?」
ある日、男の腕の中で真昼の陽ざしに目を細めながら蜜璃がそう言った。
「鬼殺隊?」
あれ、言ってなかったっけ、と首をひねるが、当然言っていないので蜜璃は身の上話をした。この世には鬼がおり、それを退治する仕事をしている事を。
「なるほど、あれはそうだったのか」
「え? 鬼を知ってたの?」
一瞬蜜璃の眼の色が変わりかけるが、聞いてみれば以前遊郭で起こった上弦との戦闘の際に近くに居たのだという。アレは派手だったらしいから特に疑問でも何でもない。今まで一度も聴いていなかった男の身の上話に耳を傾けた。
男は、幼いころから女体が好きで、最初は幼馴染が好意を寄せてきたのを幸い、朝な夕な身体を弄んだのだという。しかし度が過ぎたのか、女のほうが味を覚えてしまい遊郭に自分から飛び込んでしまった。衝撃を受けたものの納得もして、それから男は遊郭で男と寝るのを嫌がる女を調教する事を生業としていたのだという。蜜璃は自分の身に起こったことを思い、まんまと男の思う通りに調教されてしまった事を理解したが、
(ま、いっか!)
で流した。なぜなら、先の戦闘で遊郭に仕事がなくなった男がぶらついていた時に出会った最高の女が蜜璃なのだと、歯の浮くような賛辞の言葉をこれでもかと浴びせられたからだ。さすがの蜜璃も言葉だけなら本気にしなかっただろうが、もはや蜜璃の身体で男が触れていない部分は無いと言うくらいに愛撫されぬいて、言葉に実感が伴っていた。
「それで、俺が鬼殺隊に? 戦いとか無理だぞ」
「戦いだけじゃなくて、裏方の『隠』っていう人たちとかもいるし」
「ふうん……? それならできるかもしれないけど、どうして?」
「ど、どうしてって……その……
もごもごと、語尾を小さくしながら蜜璃が言った。
「えっ」
「えっ」
たらりと、蜜璃の額に汗が流れる。
(えっえっ、嘘、この流れ、滑った? えっ私おかしなこと言ってないよね? もしかして盛り上がってるの私だけだった? でも祝言とか言ってきたのそっちのほうじゃない!?)
だらだらと汗が止まらなくなる中、男が答える。
「蜜璃ちゃん、お、俺と結婚してくれるの!?」
「う……うん……」
頷いてから、やっぱり間違えたかしら、人となりどころか名前も聞いてないし、おちんちんが気持ちいいから結婚したいなんてふしだらにもほどがあるのでは? と悶々とするが、
「やった!」
男に強く抱きしめられて、そんな気分は吹き飛んでしまうのだった。
こうして、隠がまた一人増えたのだった。蜜璃は後から、さすがに町で酒の勢いでまぐわってそれが気持ちよかったから結婚したなんて触れ回れないと気づき、隠の一人と自然に惹かれました、というお話をでっちあげるために籍を入れるのを待って欲しいと男に頼み、苦笑いされながらもう少しの間恋人として過ごすことを約束した。
蜜璃は事前に特段何も言わなかったが、男は恋柱じきじきに連れてこられたので隠は勿論、蛇柱からも睨まれた。それでいて蜜璃のほうからは会いに来るので、かなり苦心して周囲にばれないように工作を行うのだった。
「あのね……もうすぐ、大きな戦いがあるの」
二日にいっぺんの頻度でまぐわうようになって、しばらく。人目を忍んだ夜の森の中、蜜璃は今までに無く真剣な面持ちで黒子姿の男に向き合っていた。曰く、鬼の親玉が攻めてくるのだと。
「だから、さすがに剣士としての鍛錬を優先しなきゃね。……はあ、まぐわって強くなれたらいいのに」
他の柱が聞いたら殺し合いに発展しそうな暴言を溜息と共に吐いた蜜璃に、男が何の気なしに言った。
「あるっちゃあるらしいけど」
「えっ」
「子供を身ごもると、身体が強くなるって話だぜ」
「ええー? ほんとぉー? でも動けなくなっちゃうんじゃない?」
「ああ、だから腹が膨らむ前のほんの一時だけの話」
「…………」
「…………。いや、すまん。馬鹿な事を」
「しましょうか!」
すぽーん、と下布をはぎ取り、スカートを脱ぎ去る。
「ええ……言っといてなんだが、話に聞いただけだぞ? それにもし効果が無かったら柱が戦えなくなっちまう」
「いいわよ、別に。この戦いが終わったら殆ど終わりみたいなものだし、孕んですぐって自覚もないって言うし。本当にもうすぐだから、身重になるまでには間に合うわ」
木に手をついて、ぷりんと大きなお尻を突き出して、フリフリと男を誘った。
「だからぁ……子供、作りましょ?」
夜の森の、爽やかな木々の香りに濃い雌臭が混じる。腰を使いやすいように、長い脚をがに股に開いて高さを落としてくれる蜜璃に感謝して、男も下履きを脱いで挿入した。
「あっ♥」
まぐわい始めの可愛らしい嬌声を聴きながら、慣れた腰つきで穴をほぐし始める。それを、ぎゅっと膣圧をかけて蜜璃が押しとどめた。
「んっ、ちょっと、待ってね……今、開ける、からぁ……♥」
呼吸と並び、鬼殺隊の剣士として上に行くならば必須の『反復動作』という技がある。すべての感覚を一気に開く、と称されるそれを、蜜璃は今、子宮口の筋肉を自在に操るために使おうとしていた。本来であれば、出産のときに何時間もかけて赤ん坊が出られる位に拡がるというそこを、男とまぐわうために拡げようというのだ。
「ふーっ、ふーっ……!」
木の幹に手をついて、丸出しの尻を突き出しながら、蜜璃はかつてないほどに集中していた。赤ん坊ではなく亀頭の大きさで良いとはいえ、硬い子宮口の筋肉をこじ開けるのは相当に苦難を伴う。体温、心拍は上昇し、肌寒い夜に蜜璃から湯気が立ち上り始める。男はなすすべもなく、じりじりと開いていく子宮口を鈴口で感じながら待つしかない。
それからものの十分で、なんとか男の肉槍が蜜璃の子宮口を通れる位に拡がった。そっと男が腰を押し込むと、ぬるりと蜜璃の子宮がわなないた。
「はっ、く、ふぅ……♥」
「だ、大丈夫か?」
さすがの男も、ここまで破天荒なまぐわいは経験がない。慌てて声をかけるが、
「これ、やば……♥ きもっちよぉ……♥」
かすれたように感じ入った声で、蜜璃は子宮口を犯される快楽に蕩けているだけだった。ぽかんと一瞬呆れて、それならばと気合を入れなおした。
ぬぽ、ぬぽ、と筋肉の輪を何度も亀頭でそっと出し入れする。子宮と言うのは敏感なものだ。膣と違って、乱暴に扱っていいものではないという事を、男は知っていた。だから細心の注意を払いつつ、恐らく蜜璃が一番気持ちいい子宮口の筋肉ほぐしという犯し方を選んだのである。
みし、みしと何かがきしむ音が聞こえる。何かと思えば、蜜璃が気持ち良さのあまり木の幹を握りしめ、指がめり込む音だった。あまりの快感に、身体の制御が出来ていないのだ。下を見れば、自分が挿入されている穴のすぐ上には可愛らしい肛門のすぼまりが、ぱくぱくと穴を開閉させて歓喜を叫んでいる。
「ふぐっ、ほうっ♥ お゛うっ♥」
えづくような、発情期の獣のいななきのような、腹の底から絞り出される声が蜜璃の可愛らしい口からひりだされてくる。恋人の本気の交尾の時の声を聴いて、男は奮起した。蜜璃が子宮口で絶頂するのと同時に射精しようと、配分を考えて慎重に動きを速くする。
「お゛おっ、おんっ♥ おっ、おっ♥」
サワサワと夜風が木々を揺らす中、服を着た発情期の獣が二匹、本気の子作りを楽しんでいた。がに股になった蜜璃の膣口から愛液が垂れ、ビンビンに勃起した
「はっ、ぐ、お゛、んぐっ♥」
ぶる、ぶる、と蜜璃が全身を震わせはじめ、男は本気の絶頂が近いと悟る。ここで一気に腰の振りを大きくし、膣壁も使って自分の射精感を高めていく。いつもであればどすんと受け止めてくれる膣奥の壁が、今は青天井のように亀頭をしごく輪っかと化している。好きな女がこんなにも自分の種付けを望んでくれている興奮を思い、溜めていた射精感を解き放った。
「いくぞっ」
「きてっ♥ 種付けしてっ♥」
どく、どく、どく。子宮口の向こう側、子宮の中で、精液をぶちまける。蜜璃の若くて健康な女の大事に、思い切り種を付ける快感に酔いしれた。
「お゛っ♥ ほ、おおおっ♥ あつっ♥ あついっ♥」
ばり、と木の皮が禿げた。蜜璃の握力に耐えかねたのだ。ぷしゃ、と蜜璃の尿道から透明なしぶきが地面に放たれる。潮を吹き、全身を痙攣させ、子宮の中を焼くような精液の感覚を全集中で貪っていた。一分以上も続いた気がする、とてつもなく長い射精を終えると、蜜璃がずるりと膝から崩れかけた。
「おっと」
ただ射精すればよかった男と違って、蜜璃はかなり無理をして子宮口を開いたのだ。へたり込んでしまった蜜璃を膝に抱いて、男はその場に座った。
「は──っ、すごかった……♥」
当然のように腕に抱かれながら、男に身体を預けてうっとりと蜜璃が言った。
「ねえ、一回シただけじゃ出来てるか分からないから、これから毎日しましょうね?」
さっきまでの必死さはどこへやら、からっ、と笑って言う蜜璃に、男は敵わないなと苦笑して、口づけで応えた。
そして、無惨との最終決戦。産屋敷亭に駆け付ける蜜璃の子宮には、しっかりと男の種が根付いているのだった。
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