朝が嫌いだったゆかりさん (Britannia)
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朝が嫌いだったゆかりさん

わたしは朝が嫌いだった。

お布団の中から出たくなかった。

わたしを守ってくれる壁を壊してしまうような気がしたから。

でも生きるためにはそうしなければならなかった。

それがたまらなく辛かった。

 

壁を壊して起きたら、彼のために料理をした。

わたしは朝食はいらなかったけれど、彼には食べてもらいたい。

わたしは料理をするのは好きではない。

けれど、彼はわたしの作ったものを食べるととても嬉しそうな顔をする。

それを見るために、わたしは朝起きて料理をした。

 

パジャマを脱いでしまえば、わたしを支配していた負の感情もともに去って、いつものわたしになる。

彼と一緒に学校に行って、勉強をする。

友達とくだらないことで笑い合う。

放課後は彼や友達といろいろなところへ行って、いろいろなことをして遊ぶ。

どれもとても楽しいことだ。

 

家に帰るとわたしは夕食を作る。

わたしの作ったご飯を彼と一緒に食べて、今日どんなことがあったかを話す。

食後は彼と勉強。

わたしの方が成績がよいので、わからないことがあるときはわたしが彼に教える。

でもたまにわたしにもわからないところがあると、話し合いながら考えていく。

 

お風呂に入ってパジャマを着ると、朝消え去ったはずのマイナスがわたしに再び宿った。

楽しい生活にすぐにむかえるように明日の支度を完璧にしておく。

学校の準備をして、彼に朝何が食べたいかを聞く。

そうしても、明日抜けられなくなってしまうと思うからお布団に入るのは怖かった。

わたしはそのおもいを振り切ってお布団に入り、寝る。

 

 

いつだっただろうか。

わたしは寝られなかったことがある。

寝るのが怖くて、どうしても寝られなかった。

リビングでコーヒーを飲みながらどうにか朝まで起きていようとしていた。

すると、廊下から足音がした。

 

扉を開けて入ってきた彼は少し焦った様子で、寝られないのかとわたしに尋ねた。

それにわたしはうんと答えた。

返事を聞いた彼は明日の朝食は自分が作ると言い、今日は俺の部屋で寝ろと言った。

わたしは彼に手を引かれて部屋に連れていかれた。

彼のお布団はなぜだかとても暖かく安心できて、寝られなかったのが嘘のようにわたしは眠れた。

 

その日からわたしは今までのこと考えられないほど朝、起きられるようになった。

彼と同じ部屋で寝て、朝は彼がご飯を作ってくれ、起こしに来てくれる。

わたしにはもうお布団の壁はいらない。

ああ、今日も彼がわたしを呼ぶ声がする。

――姉さん、朝ごはんできたぞ。起きろ。



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