ワールドトリガー〔Another〕 (麒麟@)
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1話
俺が暮らす三門市は全国にないボーダーと呼ばれる機関がある。それは異界からの怪物トリオン兵を倒すための機関だ。俺はそこに所属している。
といっても俺以外にもたくさんいるしメディアにも取り上げられている。
少し話が逸れたが今の現状はというと
「たいちょーこれどうやるんですか?」
「お前なー作戦室でなんで宿題やってるんだよ。美琴」
「だって隊長がいると捗るんですもん」
「それ俺にほとんど答え聞いてるからだろ」
「だってせっかくの夏休みに宿題出すなんてあり得なくないですか!?夏休みですよ夏休み。夏に休むと書いて夏休み。それにこんなもの出さなくてもいいじゃないですかー!」
「俺にいうな俺に」
今いる
「ただいまー。はいこれおやつ」
「わーい、おやつ」
「美琴は食べる前に宿題な」
「ブー隊長のいけず」
「まぁまぁそんなに言わなくても。それに隊長も少し小腹空いてきたじゃないんですか?」
「まぁ確かに」
「それじゃあ少し休憩にしましょう。ジュース入れてきますね」
そういい、ジュースを入れに行ったのが
今はランク戦やってないから変わってないがそろそろ始まるはずだ。前回は美琴が途中で受験で抜けたため俺とオペレーターである綾香の2人でやっていた。
お菓子を食べようとコタツに入りモゾモゾしているといきなりドアが開いた。
「今から食べるんですか!?俺もいい?」
「緑川、いいよ」
「なんか隊長、駿には甘くないですか?」
「そうかな?」
「うまうま、それとまた勝負してくださいよ。新一さん」
「気が向いたらな」
俺はそのまま食べ進め少し部屋から出た。みんなこんな風にバカやってるけどみんなはA級だからスイッチが入るとすごい。まぁ緑川に関しては天才の部類に入るけどまだ入隊してそこまで経ってないから一度誰かボコボコにしてくれるとわかると思うんだけどな。
俺は歩いて行きランク戦のブースに入った。すると想定外の人からの戦いの申し込みが来た。俺はすぐにOKを押して移動した。
場所は市街地A対戦相手はA級3位風間隊、風間隊長だった。
「珍しいですね、風間さんがこっちにいるなんて」
「そろそろランク戦が近いからな。そしたらいい相手がいたからな」
「ボコボコにされると思うんですけど」
「フッ、よく言う」
【市街地Aランク戦開始】
俺はすぐに孤月を抜いた。風間さんは速さ重視のスコーピオンだ。風間さんが詰めてきて俺も一気に距離を縮めた。そのまま孤月一本とスコーピオン2本での鍔迫り合いになり俺はそのままもう一本の孤月で風間さんの体を真っ二つにした。
【戦闘体活動限界、ベイルアウト】
俺は逃げるようにランクブースから出て行き、その場からも離れようとした。今日はここにいると厄介なことがありそうだから。
「おい、川原貴様何を一本で帰っている。これからだぞ」
「え"?」
俺は首を掴まれてそのまままた対戦が始まった。結局その日は9:1で俺が勝った。
「付き合わせた礼だ。今から飯に行くぞ」
「あざっす」
俺はそこだけ早くすぐに準備して向かった。その日は2人で焼肉に行った。風間さんは俺には1円も出さしてくれずに会計を済ませ店からでた。
「ありがとうございます」
「気にするな。それよりいつから2本使うようになった?」
「最近になってやっと慣れ始めたところですよ。前にうちの隊の美琴が抜けて結局6位で終わった時に美琴はすごい責任を感じてたんですよ。前のシーズンは2位でしたから」
「確かにあいつが抜けたのは痛かったはずだがそこまで気にすることか?あいつの性格上そんなことを気にしなそうだが……」
「表面上だけですよ。誰よりも責任を持って一戦一戦戦ってるんですあいつは。だからあの時のあいつのあんな顔は2度とさせたくない。だから俺自身のスキルアップにひたすら注ぎ込んだのが2本の孤月で闘うことです」
「なるほどな。わかった」
話して歩いていると分かれ道にきて俺たちはそこで別れた。
風間は思った。坂口が責任感が強いと言うが俺から言わせるとお前も十分隊長としての責任を持っている。だからこそあの2人がお前の隊にいるんだ。
そう思いながら家に向かって歩いた。
家について電気をつけても誰もいない。俺の家族は1回目のネイバーによる大侵攻で家族を失った。妹はいるが今はまだ帰ってきていない。こっちから迎えに行くのがほとんどで自ら帰ってくることは朝言っておかないと帰ってこない。俺はすぐにボーダーの服を脱ぎ私服に着替えて学校に向かった。妹はまだ中学3年、俺は高校3年もうボーダーからの推薦で大学は決まっている。別のところを受けることもできるがそこまですることもない。何より今うちの収入は俺の分しかなくかなり厳しい状態だ。
俺は歩いて学校に向かいそのまま許可証を見せて中に入った。この時間まで残っているのはなかなかいず、人も少ない。
俺は目当ての教室に着き扉を開けた。するとわかっていたかのように扉の前に立っていてこっちに見ていた。
「遅くなったかな?」
「ううん、そこまで遅くないよ。お兄ちゃん」
「そっかそれじゃあ荷物まとめて帰るか」
「うん!」
何をしてても嬉しそうにする。だからこそ今を楽しんで欲しい。俺みたいにいつ落とすかわからないような人生を送って欲しくないと思っている。
考え事をしているとあっという間に着く。最近は料理の練習と言って、桜さくらが作っている。
「お兄ちゃんひとつお願いがあるんだけど……」
「ん?」
「わたしもボーダーに入れないかな?」
「ブッ!」
俺は飲んでいたお茶が逆流してきてむせた。いや、そんなことよりなんでそんなことを言い出したのか全くわからない。そんな危険なことをさせたくない。
「またなんでそんなことを?」
「わたしもお兄ちゃんと一緒に戦いたい。守られてるだけじゃなくてわたしも自分のことぐらい守りたい」
「はぁ、言い出すと聞かないからな。いいよ」
「ほんとに!?」
「ただし仮入隊の間にポイントが2800以上になったら認める。それ以下なら諦めろ」
「2800か、かなり難しいね。けどそれをクリアしたら認めてくれるんだよね?」
「いいよ。約束だからな」
その日に入隊手続きを済ませ次の仮入隊までの時間で2800に行くのはかなり厳しい。今までそこまで才能があったのはA級隊員だけだ。
俺は入隊時3500で入隊して1週間ほどでB級に上がった。
これも異例のスピードだ。今はこの記録は誰にも抜かされていない。
それから1週間後桜の正式に入隊が決まった。その入隊式には俺も参列して後ろで見守っていた。ランク戦なんかでポイントを稼がれて3000で入隊したなんて言われたら溜まったもんじゃない。
そしてポイントは3000ポイントだった。
「お兄ちゃんこれで認めてくれるよね?」
「うそだ〜。けど約束だからな」
「それでもうひとつお願いがあるんだけど」
「うん、なんだ?」
「わたしがB級になったらお兄ちゃんの隊に入れて欲しい」
「…………いいよ。それでいいなら。ただし残り2人もお前が説得しろよ」
「うん!」
そういい残りのレクレーションを聞きに行き、その日は終えた。俺は隊に用事があったため作戦室に向かうと2人はすでにいた。
「2人に頼みがあるんだけど」
「「どうしたの?」」
「俺の妹がもうすぐB級になると思う。それでこの隊に入りたいらしい。それを認めてやってくれないかな?」
「なんだたいちょーが難しい顔をしてるから何かと思ったらそんなことか」
「それなら私達が断る理由なんてないですよ」
「……っありがと、美琴、綾香」
「なーんかしおらしいたいちょー久しぶりに見た気がするね」
「確かに」
「ひっでぇ」
それで作戦室に笑いが起こりそこで美琴と綾香は作戦室から出ていった。俺も電気を消して部屋から出て行き家に帰っていった。
その日から1ヶ月足らずで桜はB級に上がった。ポジションはシューターだ。シューターでも桜もトリオンが規格外らしく二宮さんとほとんど変わらないらしい。
俺たちは作戦室にいるとその扉が開いた。
「失礼します」
「来たな桜」
「お願いがあります。わたしをこの部隊に入れてください」
「私はいいよ」
「わたしはテストをさせてもらうけどいいかな?」
「はい、もちろんです」
テストをすると言ったのは美琴だ。美琴自身もシューターでかなりの腕がある。一度は二宮さんに誘われて断っていて今はこの隊にいる。
そして仮想訓練ルームを開き俺と美琴、桜がそっち入って綾香には外から見てもらった。
2人ともトリガーを起動して美琴は隊服を、桜はC級隊服を纏って2人ともトリオンキューブでの打ち合いが始まった。
圧倒的に美琴が有利だ。何せ桜はまだアステロイドしかない。ハウンドやメテオラ、バイパーを使える美琴には歯がたたない。そう思っていたのだが、始まるとハウンドやバイパーが桜にあたる瞬間にアステロイドでそれを相殺していた。
それに気づいたのか美琴はメテオラを使いその爆風で桜が巻き込まれてトリオン体が破壊された。
「勝負有り。勝者美琴」
「負けた……」
「ううん。本来なら負けてたのはあたし。すごい才能だね桜ちゃん」
「ありがとうございます。勝ちたかった。勝ってこのチームに」
「わたしは一言も却下なんて言ってないけど……」
「「え?」」
俺と桜は同じタイミングで変な声で返事をしてしまいさっきまでの会話を思い出していた。そうすると確かに一言も入れないなんて言っておらず、テストをすると言っただけだ。
それに騙されていたのは俺たちで美琴は何も悪くないがなぜかいっぱい食わされた気分だった。
それ以上対戦することはなくその日はそれで終わり作戦室でゆっくりしていて帰ろうとしたら2人に止められた
初投稿です
変なところ多いと思いますがよろしくお願いします
後主人公のサイドエフェクトを考えてくださると嬉しいです
できれば戦闘に関係しているやつで、効果と名前を送って欲しいです
よろしくお願いします
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彼は実力派エリートに頼みごとをされる
結局その日は桜の歓迎会を急遽開くと言うことで飯に向かった。行くところは寿司にして男1、女3という割合がおかしい食事になったが……
「飲み物も揃ったしたいちょーから一言」
「へ?おれ?」
「そりゃそうだよ。うちの隊の隊長だもん」
「とりあえず桜が入ってくれて今回のランク戦は少し期待してる。今までの最高が2位だったから今回は1位を目指したいと思ってるので桜にも期待してるし、みんなもこれからよろしく。かんぱーい」
「「「かんぱい」」」
とても寿司屋で出すような声じゃなかったがそれ以降は普通に食べたので周りからも苦情も来ずに食べてその日は終わった。
それから少しすると妙な噂を聞いた。なんでもC級のメガネがバムスターをバラバラにしたとか。
A級ならともかくC級でそんなことができるなんてなかなかいない。というか聞いたことがない。
他にも三輪隊が4対1で負けたとかいろんな噂が立ち始めた。それはおれや太刀川さん、風間さんでもなかなかに難しい。というか不可能に近いのでおそらくブラックトリガーだ。けれどボーダーのブラックトリガーは天羽のと迅さんのものしかない。
となるとまた別のブラックトリガーになる。
俺は作戦室に向かって歩いているとある人物と出会った。かつてのソロアタッカー2位迅 悠一だった。
「あー川原いいところにいた」
「いいところというか見透かすようにいたじゃないですか」
「まぁまぁ、明日の夜に助けて欲しいんだわ」
「俺が迅さんを?」
「そうそう」
「どうしたんですか?」
「うちの新人が太刀川さん達に狙われるんだわ。嵐山達にも頼んでるが最善を尽くしたくてな」
「あーまた暗躍ですか?」
「またっていうなよ。頼むぜ」
「わかりました。けど嵐山さん達は予備で控えてて欲しいんですけど。うちの新入りの実戦経験にもなりますし」
「了解だ。嵐山達にもそう伝えとく」
また面倒なことになりそうだな。けど迅さんに恩を売るのは悪くないかな。とりあえず隊のメンバーに言わないと。作戦室に向かい全員に話した。
美琴や綾香は了承してくれたが桜は緊張してるみたいだった。
「桜緊張してるか?」
「うん、今までも練習してたけどいざ対人ってなると、しかもC級じゃなくてA級のトップチームなんて」
「大丈夫だよ桜ちゃん、万が一落ちてもわたしとたいちょーがいるから気負わなくていいよ」
「はぁ、その自信は一体どこから来るんだか?まぁけど美琴の言う通りだな。綾香もサポートするし俺たちもする。だから気負わずいこや」
「うん!」
俺たちはそれまでも一緒にしていたがこれからは桜の特訓をメインにして始めた。俺はトリガーホルダーを2つもらっている。一つは孤月をメインとしたホルダー。もう一つはシューターをメインとしたホルダーだ。俺も桜もトリオンがボーダーでトップクラスにあるのでシューターがわりにあってる。ガンナーという手もあったが苦手だ。
そこから練習して2日後に作戦結構らしい。桜は確かに腕は上がったがA級トップチームに比べるとまだまだだ。特に出水なんかと当たると最悪だ。出水と撃ちあえるのは俺か二宮さんぐらいだ。美琴でも厳しい。
作戦室に迅さんがきて
「今日の夜に警戒区域の中でやる。頼むぜ」
「了解です。やれることはやりますよ」
「それじゃあよろしく」
迅さんはそれだけ行って帰って行き、俺たちは時間までゆっくりしていた。もちろん練習をしていても良かったがうちの隊のやり方だ。
「練習しなくてもいいの?」
「桜ちゃん、うちの隊はこうなのよ。もちろんみんなふざけてるわけじゃない。けどね、気負いすぎると本番に全力を出せないの。だからやれることだけをする。そのためのリラックスよ」
「綾香さん、でも……」
「大丈夫。隊長も美琴も強いから」
「はい、そうですよね」
桜も安心したのかゆっくり紅茶を飲み始めた。俺たちは夜になり
「「「トリガーオン」」」
全員が隊服を見に纏った。うちの隊服はパーカーのようにしてある。特にこだわりがなかったので楽な服にしているだけだが。
全員が作戦室から飛び出し、迅さんに指示されたポイントに向かった。
「おっと太刀川さんどこへ?」
「迅、こんなところで待ち構えてるなんてわかってるだろ」
「うちの隊員にちょっかいをかけにきたんだろ。最近
「そりゃ無理だと言ったら?」
「その時は実力派エリートとして可愛い後輩を守んなきゃいけない」
「なんだ迅。いつになくやる気だな」
「おいおい、どーなってんだ?迅さんと戦う流れ?」
「迅その行動は隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな?」
「それを言ったらうちの後輩も立派なボーダー隊員だよ。あんたらがやろうとしてることも隊務規定違反だよ風間さん」
「立派なボーダー隊員だと!?ネイバーのくせに」
「迅遠征に選ばれるのはブラックトリガーに対抗できると判断された隊だけだ他の連中ならともかく俺たち相手にお前一人で勝てるつもりか?」
「そこまで自惚れてないよ。遠征部隊にA級三輪隊。俺がブラックトリガーを使ってもいいとこ五分だろ「俺1人」だったらだけど」
「川原隊現着これより戦闘を開始する」
「川原隊!!」
「川原いいタイミングだ。助かるぜ。太刀川さん川原たちがいれば俺たちが勝つよ。俺のサイドエフェクトがそういってる」
「迅久しぶりにお前の予知を覆したくなった」
そこから太刀川さんが孤月を抜き、戦闘開始した。最初は全員でまとまっていたが途中で別れた。
俺たちは三輪と出水、米屋を相手することになった。
「早く始めようぜ。太刀川さんたちの援護に行かなきゃいけないんだ」
「出水さん、相変わらずだね。それじゃあ始めるよ」
美琴のアステロイドが開戦の合図となった。そこから俺が三輪を美琴と桜のペアが出水と米屋を相手することになった。
川原隊メンバー
隊長
川原新一
トリオン28
メインアタッカー
川原桜 イメージは白猫のヨナです
トリオン25
メインシューター
坂口美琴 イメージは白猫のアイシャです
トリオン10
メインシューター
松崎綾香 イメージは白猫のカスミです
オペレーター
詳しいトリガー設定やキャラ紹介は後日活動報告にあげさせていただきます
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初めての実戦で彼女は緊張している
「なぜネイバーを庇う 川原!ネイバーは全て敵だぞ!」
「声がでけーよ三輪。そんなにでかい声出すなよ」
「ふざけるな。ネイバーの排除がボーダーの責務だぞ」
「迅さんにどんな意図があるかは知らない。けどな三輪お前に何があったかは知ってる。それだけで全部敵にするのはどうかと思うぞ。ましてや言葉が通じる相手なら」
「ふざけるな。ネイバーは全て敵だ」
「はぁ、話が通じないなら相手をしてやる。わかるまでな」
三輪は孤月とハンドガンを取り出し、俺は孤月を一本抜いた。前のランク戦では一本だけしか使ってなかったから俺が今二本使っていることは風間さんしか知らない。
三輪が今知ってるとは思えず挑発にはなっていないはずだ。まずは孤月でぶつかりハンドガンをドカドカ打ってきた。はじめはシールドを使って防いでいたが一発シールドをすり抜けていた。そのまま俺の左腕に当たり重りが俺についた。
相変わらず重いなこれ。動かしにくいし、孤月を左手一本で持たなくいけなくなってしまった。早く決着をつけないとな。
「旋空孤月」
「くっ!シールド」
「くそ!旋空孤月」
俺はこれしか方法がないのでひたすらに撃ち続けてシールドを削っていきなんとか削り切った。そして最後は孤月を投げてトリオン供給器官をなんとか破壊できた。そのまま腕を切り落とし他のところに向かってサポートに向かった。
私の相手は槍使う人みたいだ。シューターに取っては近接系は苦手。それはお兄ちゃんとの模擬戦でわかってる。けど初めての実戦でしかも相手はA級隊員だ。
「俺の相手は女の子か。しかも見たことないな。名前なんていうの」
「川原桜です」
「そうか、、、よ!」
いきなりに槍をついてきてあたしはシールドで捌くのが精一杯だった。捌くだけでなかなか攻撃に転じれずこのままだとシールドが削り切られる。
「へぇ、なかなかやるな。それならこれはどうだ!」
またシールドで防ごうとしたら槍の刃先が曲がった。私は急なことで反応できずに片腕を切られた。トリオンもだだ漏れでなかなかやばい。これがアタッカーなら尚更だ。
シューターならそこまで関係ないので助かった。
私はすぐに避けながらアステロイドを放った。それでも多少はシールドで防がれてこのままじゃ技術の差でトリオン切れになって私が負ける。
せっかく練習してもらったのに。それだけは嫌だ。
「これならどうですか!」
私が即席でやったのは弾の合成だ。メテオラとバイパーの組み合わせでなんとかシールドを削り切ったところでアステロイドとアステロイドを混ぜてそのまま放つとトリオン体ごと貫いた。そこはなんとか勝ったけどもうあたしももう限界でトリオンがなくなりそうだった。
「お疲れ桜」
「お兄ちゃん」
「がんばったな。もう
「うん、ごめんね。ベイルアウト」
あたしは次に目が覚めたのは作戦室のベッドの上だった。私は悔しくて初めての実戦でそこまでしかできなくて涙が自然に出てきていた。
「桜ちゃんお疲れ様。そこまで気にしなくていいよ。むしろ初めての実戦で米屋くんを落とせるなんてすごいことだから。それでも悔しいなら先輩たちの戦い方を見て勉強しよ」
「っ!はい!」
私はパソコンの前に戻る綾香さんの後ろで戦いを見始めた。
はぁーあたしの相手出水先輩か。一番嫌なんだけど。
「おいこら坂口。顔に出過ぎだ」
「あれ?そんなに出てましたか?」
「出過ぎだったの!」
「それじゃあ早く始めますか」
あたしたちはすぐにハウンドとアステロイドで削りあったがなかなかに状況が変わらない。出水先輩は頭の中でちゃんと弾道を引いてるからあたしとなかなか決着がつかない。
けどこのままじゃトリオンの差であたしが負ける。このままじゃダメだ。あたしは障害物を突っ切って少しは弾除けになると思ってバイパーに切り替えて上に飛ぶと同時に
【バァン】
あたしはそのまま頭を撃ち抜かれてベイルアウトした。ベッドの上で不思議で仕方なかった。
「え?誰の狙撃?」
「美琴ちゃんお疲れ様。今のは当真先輩だよ」
「うそ」
桜のを見に終わった後に美琴の方に向かってると飛んでいくのが見えた。しかもあそこは確か出水と美琴が戦ってたはずだから。その直後連絡が入った。
〔たいちょー負けちゃった。ごめん〕
「気にすんな。誰にやられたんだ?」
〔隠れてる当真さんに狙撃されて〕
「りょーかい後は俺がやる」
当真さんもこっち来てるのか。それにも注意しないとな。俺はアタッカーメインのやつからシューターメインのトリガーに切り替えた。さっき手を落とされてるし、残ってるのが出水ならこっちの方が割にあってる。すぐに切り替えてそこに向かった。
「なんだ今度は川原か」
「出水、まぁ今度は俺だな」
「なら最初から本気でいかせてもらうぞ」
「勘弁してくれよ」
出水はすぐに打ってきた。俺はシールドで防ぎ、片手でハウンドを放った。それでもフルアタックの出水の火力に敵わず地味にシールドを削られてる。トリオン量に関しては圧倒的に俺が上でもこのまま削られたら終わりだ。それに当真さんの狙撃にも注意しないといけない。
「綾香当真さんが狙撃してきそうなポイント洗い出してくれ」
「了解です。視覚に映します」
そのまま映されたがなかなかに数が多い。そこから美琴が打たれた方向から逆方向にバイパーを打ちまくった。なんとか狙撃ポイントを削っていきそのまま逆方向から光が見えた。その瞬間にフルガードに切り替えて場所を見つけた。そのままバイパーとハウンドでそこを打ちまくってなんとか当真さんを落とした。
「あーやられた。始めからそれ目当てか」
「なんとかな。後はお前との削り合いだな」
俺はテレポーターで避けてそのままシールドからアステロイドを放った。そこから打ち合いでジリジリと俺が削っていった。トリオン差が響いてなんとか勝てた。
出水がベイルアウトしてその10分後に全て終わったと迅さんから連絡が入ったので俺もベイルアウトした。
「おぶ!」
「お疲れ様です」
「助かったわ綾香、さらに桜も美琴もお疲れ様」
「今回は失敗したな。まさか当真さんがこっちにきてるなんて思いもしなかった」
「私は何にもできなかった」
「何言ってんだ?美琴の当真さんは完全に不意打ちだし、桜は陽介落としたんだろ?初めてでそれはすごいわ」
「けど悔しいよ」
「なら修行だな。正式に師匠も探さないとな」
「たいちょーあたし後で相談あるんだけど…」
「ん?いいけど」
とりあえずこんな感じでA級上位チームはなんとか退けた。けど次におんなじことをやれと言われれば手こずるのは間違いない。おんなじ手がなかなか通用しないのがA級上位チームだし、それがA級にいる理由なんだから。
俺はすぐに出ていくと嵐山さんがいた。
「おう川原お疲れ様」
「ありがとうございます。わがまま聞いてもらい待機してもらってて」
「構わないさ、それよりあんな隠し球がいたなんて聞いてないぞ」
「桜のことですか?まぁ確かに今回初登場ですからね」
「彼女入隊試験でもお前に迫る記録だったからな」
「へぇ、そんなこと言ってなかったから知らなかったです」
「ははは相変わらずだな」
「では失礼します」
「ああ、お疲れ」
俺はそのまま太刀川さんたちがいたので話し込んでいるとそこに迅さんもやってきた。今回のことで迅さんは風刃を本部に渡したらしい。
「迅そこまでする理由はなんだ?あれはお前の師匠の形見だろ」
「確かに。そこまでするのはなんでですか?」
「いやいや、最上さんはブラックトリガーを渡したくらいで怒らないよ。むしろ喜んでるさ。それにうちの後輩はかなりハードな人生を送っててな。楽しい時間を作ってやりたいのさ」
「どういうことですか?」
「太刀川さんや川原たちとバチバチにやりあっていた時が1番楽しかったのさ。ボーダーには遊び相手がたくさんいる。そのうちA級に上がってくるからよろしく」
「へぇ、そんなにできるやつなのか。楽しみだな」
「後俺ブラックトリガーじゃなくなったからソロに戻るよ。とりあえずアタッカーランキング1位目指すからよろしく」
それを聞いて太刀川さんはテンションが上がり、風間さんは心底嫌そうに、俺は特にどっちでも良かった。そこで別れてさっき聞いていた話をするために本部内のカフェに向かった。そこにすでに美琴が座っていて俺は後からそこに座るように行った。
「それで話ってなんだ?」
「あたしにアタッカーとして経験を積ませてほしい」
「ん"ッ!」
「ちょっと大丈夫!?」
「ゲホッ!ゲホッ!どういうことだ?なんで今アタッカー」
「今のうちの隊にはあたし以上に才能があってトリオンもある子が入ってくれた。ならあたしはアタッカーに転換してたいちょーと戦う方がいいと思う」
「なるほどね。けどそれはすぐに答えは出せない。もちろん拒否もしない。美琴の好きにしたらいい」
「うん、ありがとう。だから特訓手伝ってね」
「はいはい」
美琴は嬉しそうにそこから離れてどこかに行った。俺も離れて家に帰っているとメールが入りそこには桜から洗剤を買ってきてとだけ書いてあった。
帰りにスーパーに寄り洗剤だけ買って家に帰っていると最悪のやつに出会った。クラスに1人は居ると思うカースト上位のやつだった。
「何してんだお前」
「……………」
「無視すんなよ。なぁ川原」
「じゃあ」
「そっか」
そこから俺は何発かしばかれてそいつは飽きたのかどこかに行った。俺も大した痛みではなかったのでその場から消えて家に帰った。
主人公の学校にはボーダー関係の人間は1人もいません。
ここからどうなっていくかはお楽しみに!
若干予想ついている人もいると思いますが内緒で…
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彼はモデルのような女の人と苦手な人に絡まれる
主人公と妹のトリオン量を変更させてもらいます
主人公
28→16
桜
25→15
ボーダー本部内を歩き個人ブースに向かっていると嫌な予感がした。気にしないで行こうとするがやっぱり気になると後ろからすごい勢いで加古さんがきていた。
「あら、川原くんじゃない。あなたやっぱりうちのチームに入らない?」
「それA級でチームを持ってる隊長にいうことじゃないですよね?」
「もう1人ならいけるわよ。うちはKで固めてるから川原くんならいけるわよ」
「話を聞いてください。だから無理ですって」
「もう、毎回断らなくてもいいじゃない」
毎回誘ってくる方がどうかと思うんだよ。ほんとに断っても会うたびに誘ってきて。けど俺がチームを組んでなかったら入るっていう選択肢もあったかもしれない。A級7位加古隊に。すると背中から寒気が止まらないようになり、後ろを見ると俺がボーダー内でも1、2を争うぐらい苦手な人がそこに立っていた。
「おい、お前らうるさいぞ」
「あら、二宮くん。こっちにくるなんて珍しいわね」
「!!では失礼します」
「待て、個人戦に付き合えよ川原」
「あら、私の方が先にしてもらうわ」
「えぇ〜」
「「何か文句あるのか(かしら)?」」
「いえなんでも」
その後俺は2人に引っ張られて個人ブースに来た。先に加古さんとの勝負になり、アタッカーとしての武器は反則というルールをつけシューターとして戦うことになりひどい目にあった。
加古さんには想定外のアステロイドを使われ、何本か取られた後に取り返したが結局6ー4で負けるし、二宮さんなんかもっとひどい。のんびりやると思っていたらいきなりのフルアタックで削られ、結局何本か取り返したが対応が間に合わず負けた。二宮さんが開幕速攻でフルアタックを使うのは珍しい。ちょっと悔しかった。
「2人ともいきなりやるなんて聞いてませんよ」
「あら、言ってないもの」
「それぐらい対応しろ」
「ひどいですよ。まぁそれじゃあこれで」
「ああ、そうか」
「ええ、わかったわ。それじゃあね」
俺はなんとか2人から逃げ出し本来の目的である個人ブースには向かわず作戦室に向かった。これ以上個人ブースに向かってもいいことがないと思ったから方向転換して作戦室で防衛任務までゆっくり時間を過ごしていた。防衛任務中も特にたいしたことはなく俺は家に帰って学校までの少しの間眠った。
朝起きていつも通り家から出て学校に向かうと迅さんにあった。いやあったという表現もおかしかったかもしれない。また伏せていたという方が正しい。
「迅さん。どうしたんですかこんなところで」
「こんなところとは言いようだな。俺だってどこにでもいるさ」
「なら、言い方を変えます。何か用ですか?」
「ここじゃなんだ。今日の学校終わりラーメンでも買いに行こう。前に助けてもらった礼もあるし」
「そんなこと気にしなくても」
「いや、気にするんだよ」
迅さんにしては強引だが俺は渋々強要した。前に烏丸からきいたことがある。迅さんとレイジさんがラーメンに行く時は大抵怪しい相談ばかりしているらしい。まぁあくまでレイジさんとだから俺にあるとは限らない。学校に行き毎度のことながら俺はいじめの対象みたいだ。学校にもボーダーに入っていることは言っていない。基本防衛任務は夜に組んでもらっているためバレないが昼の時は仮病を使って帰っている。
学校も終わりしばらく道沿いを歩いていると迅さんから連絡がありラーメン店に入った。
「お、きたな」
「どうしたんですか?こんなところに呼んで」
「いやいや、前のお礼だって言ったろ」
「いや、そんなことじゃ無い気がします。何かの忠告ですか?」
「お、その前にラーメン食べようぜ」
ラーメンがきて俺は食べ始めた。ちょっとした塩味が効いており、始めてきたがなかなか美味しい。そのまま箸が止まらず結局食べてる間は迅さんと一言も話さずに食べ終わった。
「それで話ってなんですか?」
「はぁ、今度の大規模侵攻で嫌な未来が見えた。だから川原、いや川原隊には参加して欲しく無いんだ」
「それはどんな未来か教えてもらえるんですか?」
「最悪の未来だと──────────になる」
「わかりました。参加しないようにします。ただこっちにきたらそこから入りますが」
「了解だ。それじゃあ頼む。実際川原たちに抜けられると困るんだけどな」
その会計は迅さんが払ってくれて店から出て俺は家に帰った。まさかあんなことを言われるなんて思っても見なかった。自分で言うのもなんだけどボーダー内ではそれなりに実力もついてきたつもりだし、隊としての連携もできていたつもりだ。だからこんなことを言われるなんて思ってもいなくてみんなになんて説明しようか悩んでいて困り果てていた。
「何か悩み事?」
「桜、いやなんでもないよ」
「うそだね、私が何年妹やってると思ってるの?悩んでることぐらい気づくよ」
「はぁ、バレバレか。実は今日迅さんに────────ってことを言われてな」
「うそ」
「嘘じゃない。サイドエフェクトは実際にあるし俺にもあるから、!それに普段はともかく迅さんはそんなことで嘘はつかない」
「そっか。それでそれはお兄ちゃんが考えた結果なんだね」
「ああ、俺たちは今回の大規模侵攻、身に危険が及ばない限り参加しない」
「わかった。それが隊長としての命令なら従うよ」
桜も納得してくれて次の日に真琴と綾香にも説明した。すると2人とも何も言わずに納得してくれて俺たちは今回学校のシェルターに一緒に避難することになった。
それから数日後とうとうその日がやってきた。空が真っ暗になり、ボーダー本部はゲートで見えなくなった
本部から連絡があったが俺は学校の連中とシェルターに避難を始めた。実際俺がボーダーをやってることなんて知ってる奴はいないからこういう時は助かる。学校の連中は慌てパニックになっていて一体バムスターが学校に目掛けてやってきた。
「うわぁーネイバーが来るぞ」
「退け!俺が先だ」
「早く走って!」
あたりは阿鼻叫喚となり、バムスターが校門を破壊して中に入ってきた。俺がやるしかないと思った時に声が聞こえた
「「「トリガーオン」」」
声の方向を見てみるといつもいじめてきていた男がC級の隊服たちだった。いつも偉そうにしていたのはそういうわけか。そしてとても綺麗とは言えないがなんとかバムスターを倒した。これなら俺の出番はなさそうだと思っているとバムスターの腹が割れた。
「なんだこれ?」
「すぐ倒せるだろ」
「やるか」
3人組はすぐにやられた。それにあのタイプは見たことがない。二足歩行のネイバーはいなかったはずだ。3人とも一撃でやられてそのままトリオン体が破壊されて囚われかけていたので俺は悩んだ。
助かる?あんな奴らを。俺をいじめて楽しんでいたやつだぞ。
「あークソ、トリガーオン」
俺はすぐに換装してブレードで手を切った。切ったはずなのに切れていない。これは骨が折れそうだ。
「おい、すぐにここから離れろ」
「お、お前A級隊員なのか?」
「どうでもいいから早く離れろ。二度は言わないぞ」
「は、はい!」
そいつらは全員逃げた。この新型は時間がかかる。さて、切るか。全員を後ろにして戦うのでかなり時間がかかりそうだ。戦いにおいて守るものがある奴とないやつでは特攻が違う。それにやれることも限られてくるからかなり時間がかかりそうだ。と思っていたら
「誘導爆発弾」
「え?」
みると新型を吹き飛ばしていたのでそのまま腹の部分を切ってそのままそいつは機能を停止した。
「たいちょーいってくれたら良かったのに」
「なんで……お前ら」
「こっちにネイバーの反応がしたからきたら案の定だったね。お兄ちゃん」
「だって俺はお前らを危険に巻き込まないために」
「それなら一緒に行動してよ。たいちょーがあたしたちのことを守って。もちろんあたしたちも守るから」
「わかった、行くぞ」
俺たち3人はそのまま移動して警戒区域に向かった。この時はまだ予想だにしていなかった。この時に桜と一緒に行動していたことが仇になるとは。
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Gーwoodさん piyuさん 雲英〜キラ〜さん
ありがとうございます
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本当の事実を知って彼は絶望する
俺たちはトリオン兵を蹴散らしていきながら警戒区域に向かって行った。なかなかに数が多い。そして俺たちの目の前にイレギュラーゲートが開いた。
「またあの新型か?」
「いやなんか嫌な予感がするよ。たいちょー」
そして出てきたのは人型ネイバーだった。しかも2人。けれど顔は見せずに仮面で隠していて体つきでしかわからないが男と女のペアみたいだ。トリガーはまだ出していないためわからないが何かが最大で警告している。
「先手必勝」
「誘導爆発弾」
2人ともぶっ放した。これで終わりかと思ったが全くの無傷だった。俺はそれに続くように間合いを詰めて斬りかかると目の前にすでに発射直前の弓が構えてあった。
いつ取り出した。いやそれ以前にやばい。
「「フルガード」」
俺の前に2人のシールドが来てわずかに軌道が逸れて頬にかすめるだけで済んだ。
「助かったよ2人とも」
「ううん、それよりいつの間に弓を構えたんだろう」
「全く気がつかなかったわ。本当に危なかった」
本当に危なかった。一撃で終わらされるところだった。俺たちは距離を取りつつ牽制しながら戦った。少しすると本部から連絡が入った。
『付近で援護が可能な隊員は三雲、烏丸を援護せよ』
三雲ってたしか玉狛の新入りじゃなかったかな?そんなことを考えてると目の前を矢が通った。それにしてもさっきから女の方は全く攻撃してこない。舐めてるのかな。
「本部こちら川原隊、人型ネイバーと交戦中。援護できる隊員をお願いします」
「川原か、こちら忍田。まだ少しかかりそうだがある隊を援護に向かわせている。それまで持ちこたえてくれ」
「了解」
そこから少しして俺の隣を銃弾が通り過ぎて女の方の仮面に当たった。その銃弾の先を見てみると犬飼先輩がいた。
その隣には辻と二宮さんがいた。
「お、お兄ちゃん!!あれ」
「ん?ってえ、まさか、そんなバカな」
[あーあ、ばれたか。なら俺も取るか]
もう1人のネイバーも仮面を取った。それはありえないはずのことだった。俺の、いや俺たちの両親が目の前にいた。
「どういう……ことだ」
[単純な話だ。お前らを守ってネイバーに喰われたが俺たちは生まれつきトリオンが高いらしくそのまま兵隊になったのさ]
「もしそれが事実なら今からでもこっちに戻ってこれる。戻ってこないのか?」
[それこそ無駄な問いね。私たちはアフトクラトルで暮らしていくのよ。そのためにはあなたたちのトリオンももらっていくわ]
「そんな、お母さん!私たちのことよりアフトクラトルが大事なの?」
[ええ、そうよ。向こうでの生活はこっちよりも簡単だもの]
「もういい桜、俺がこの2人を殺す。桜は別のところの隊に合流してネイバーを殲滅して行ってくれ」
「ううん、私も戦う。お兄ちゃんばかり重荷を背負わせない」
俺は孤月を、桜は片手だけ弾を構えて向かって行った。行った直後に二宮さんから内部通話が入った。
〔川原、現段階での指示はお前が出せ〕
〔了解です。男の方のトリガーは闇の形状をしてますが恐ろしく連射が早いのと、2人のフルガードでも破ってくる破壊力があるので俺と桜でかかります。二宮さんは残りの真琴と辻と犬飼先輩ともう一人を攻めてください。申し訳ないんですが、トリガーに関しては全く情報がないんです〕
〔了解だ。細かいことはこっちでもまた言うがとりあえずがそれでいくぞ〕
〔はい〕
俺が攻めてその隙間を桜を弾で攻めるか俺に対してのシールドをしてくれてはいるが相手のトリガーの性能が段違いだ。おれもシールドがなかったら死んでるし、何よりもう一つの花月を抜けないのが辛い。それが抜けたら出し惜しみなしで行くのに片手を常にシールドにしておかないといけないから片方しか抜けないし、サイドエフェクトもこれだけ近いとさほど意味がない。
それとは別に嫌な予感がしてならない。何かありそうな気がする。それにおふくろいや、女の方が何も仕掛けず二宮さんたちの攻撃を避けるしかしていないのが気になる。
[鬱陶しいな。これならどうだ]
上に向かって弓を引いてそこから何もなかった。気にもしないで5分ほどたってから
[
おれの対してトリオンキューブが飛んできて当たったが別にトリオンが漏出するわけでもなく減るわけでもなく何もなかったので攻撃を続けた。
[未知のものに対して警戒しない。それが新一の悪いところだな]
[そうね、それにそろそろかしら]
「はぁ!?ってかいつまで親のつもりだ」
[
「う、うがぁぁぁぁぁぁぁああああ」
その言葉と同時に上から大量の弓の矢が降りてきた。そして俺はほんのかすり傷しかあっていないのに痛みがして、大声が出た。俺と桜はなんとか防げたが二宮隊は二宮さん以外は落ちてしまい、二宮さんも大ダメージといった感じで美琴も片腕を落とされて俺と桜は軽傷といった感じだ。
「うぁ、どういう……ことだ」
[ふふふ、さっき放った侵入、実は攻撃じゃないのよ。あなたのトリオン体の内部から痛覚を切らせてもらったわ]
「「「なぁ!」」」
俺たちは驚きを隠せず、声を隠さずにいた。それにかすったところの痛みが半端じゃない。これを他の奴らに味合わせるわけにはいかない。
「二宮さん、真琴、桜はここから離れてください」
「わかった。俺たちがいても気を使うからな」
「え、でもたいちょーは?」
「この2人を放っておくわけにはいかない。だから早く!」
「ダメだよ、お兄ちゃんを見捨てるなんて」
「二宮さん、2人を早く連れて行ってください」
「わかった」
二宮さんは2人を担いで連れて行ってくれた。ここからは俺1人だ。もう気にしなくていいかな。それにおそらくだけど男が使ってるのはブラックトリガーだ。ここまでの威力と速さはノーマルトリガーではありえない。
「さて、ここからは俺1人だ。思う存分やろうか」
[ふふふ、あなた1人でなんとかなるとでも]
「「1人じゃない!」」
「!?桜、真琴なんで戻ってきたんだ?」
「だってたいちょーを見捨てておけるわけないじゃない」
「お兄ちゃん、私たちはお兄ちゃんを見捨てておけるわけないじゃん」
「お前ら」
「「私たちがお兄ちゃん(たいちょー)を見捨てない。ここからは傷一つつけさせないから」」
そこからはその言葉通り傷一つつかなかった。ここからは俺たちの番だ。そう心の中で意気込み俺は桜と真琴に指示を出した
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彼は目の前で起きたことがショックみたいだ
全くあいつの隊の奴らはどうしてこう頑固なんだか。川原に言われて2人を連れて走って少ししていると2人を下ろした。
「なにするんですか!二宮さん!」
「お兄ちゃんのこと知ってなお見捨てる気なんですか!?」
「今の現状での戦力を考えた上での行動だ。あいつの判断は間違っていない。それにあの場にお前たちがいるとあいつも気を使うだろ」
「「ふざけんな!」」
「わたし達は川原隊です。たいちょーが苦しんでたりしたらわたし達が助けたいんです」
「私もお兄ちゃんにはもう辛い思いはして欲しくないです。私たちが寄り添ってあげたいんです」
「………………勝手にしろ」
あいつらはすぐに川原のところに向かって行った。全く妹の方はともかく坂口があそこまで言うなんてな。俺にはできなかったことだ。
「それでたいちょーこのままじゃトリオン削られて負けるよ。どうする?」
「そうだな。綾香あれをやるぞ」
「でもあれはまだ成功率が50%も超えてないです。いくらなんでも今の状況で試すのは危険すぎます」
「だったら俺が今ここで限界を越える。あれが失敗してるのは俺の剣速が綾香の処理速度に追いついてないからだ」
「……っわかりました。視覚支援」
「桜、真琴。女の方に手出しさせないように最大弾幕で抑えていてくれ」
「「了解」」
俺はそこからテレポートと旋空孤月の組み合わせだ。テレポートを改造してもらい射程を30mに合わせてもらった。俺の旋空の射程は30mちょいだからギリギリの範囲に抑えてテレポートと旋空孤月の組み合わせだ。ほぼノンストップテレポートを使うので視覚支援で敵の位置を常に変えながら送ってもらわないとできない。
途中からシールドを張られてなかなか割れずにいて俺の我慢が先に切れた。テレポートでゼロ距離まで詰めて切ろうとするとそれを読まれていた。俺は目の前に弓トリガーがあった。
[昔からの癖は変わってないな。切れたら右からの攻撃]
「あぁ、昔と同じと思ってくれてラッキーだわ」
俺は体を捻らせてその勢いのまま相手の体をぶった斬った。そのままトリオン体は砕けてそのまま煙を出して生身になって俺の前にいた。
[本当に強くなったな。これならもう俺たちのようなことになる心配はないだろ]
「どういうことだ?」
[本当は向こうで暮らすのはしんどかった。けれどこっちの世界に遠征できればお前達に一目でも会うことができると思ってひたすらに訓練をしていると今回の遠征に抜擢されたんだ。
後はこれを受け取れ。アフトクラトルの国宝の一つ
そういい首についているネックレスみたいなものを渡してきた。
[何をしているのかしら?]
[ミラ]
ワープみたいな穴から女が出てきた。
[ミラ、これは玄界に渡す]
[それはアフトクラトルの国宝よ。どういうつもりかしら?]
[今の適合者は俺だ。どうしようが勝手だろ]
[あなたは隊長の厚意で助かっただけなのよ。今隊長から指示があったわ。もう不要だと]
その瞬間に小さいトゲが親父に刺さってそのまま息絶えた。そのあとお袋もすぐに刺されてトリオン体が破壊された後にもう一度刺されてそのままお袋も息絶えて俺は思考が回らなかった。
「トリガーオフ。天羽々矢起動!」
その瞬間俺は新しいトリガーに包まれた。纏った姿は今までなんら変わっていなかった。隊服を纏っているのと変わらず、ただ一つ変わっているのは親父の時とは違って目に照準器がついている。
[あら、そんな進化あるのね。ブラックトリガーは私たちにとってもブラックボックス。こんな変化があるなんて面白いわ]
「うるさい。死ね千本矢」
その攻撃はあたらず女はワープの中に消えていった。
「落ち着いてたいちょー」
「お兄ちゃん冷静に」
「悪い。ちょっと頭に血が上ってたわ」
俺は確かに頭に血が上っていた。頭が冷えてなんだか一気に周りが見えた。警戒区域内とはいえ見てみると辺り一帯が更地になっていた。
また後で本部長になんて言われることかどうかわからないや。
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ここから事態は急速に加速していく
オリジナルストーリーもやりたいので
俺はすぐに元のトリガーを纏った。このブラックトリガー出力は少し制御しにくい。普通のトリガーの方が慣れているし、連携がとりやすい。
「さてどこにいくか」
「私は迅さんが今向かっている玉狛の援護に向かうべきです」
「そうするか」
俺たちはトリオン兵を倒しつつ玉狛の方へ向かっていった。幸い新型に出会うことはなくすぐに向かっていくことができた。
そして向かっていくと俺とは逆方向から人が飛んできた。
「迅さん」
「やっぱりやることになっちまったか。それになんだか未来が変わり始めている」
するともう1人が飛んできた。それは俺たちが守るために戦った玉狛のブラックトリガー兼ネイバーだった。
「迅さんこの人たちは?」
「川原隊。A級6位チームだ」
「へぇ、A級6位か。確かに強そうだ」
「さて、どうするんですか?」
「川原はユーマと一緒に相手してくれ。桜ちゃんと真琴ちゃんは京介のサポートに回ってくれ」
「それって連携無茶苦茶にならない?」
「川原はA級でもトップクラスの実力の持ち主だ。それに新しく武器を手に入れたみたいだしな」
「未来予知で見たんですか?」
「最悪の未来はまだ変わってない。気を付けろよ」
「わかりました」
「ブーストダブル」
玉狛のネイバーは思いっきり爺さんを空に投げた。俺はすぐにブラックトリガーに変えて俺も続いた。
「どうする?」
「俺川原さんの戦い方知らないよ。連携だと負けるんじゃない?」
「ならお前は自由にしてていいよ。俺のトリガーは遠距離だから合わせるよ」
「了解」
そいつは飛んで攻撃していき俺はその僅かな隙間を埋めるように射撃し始めた。けどこの爺さん何者だ?ブラックトリガー2人がかりでも勝てる気がしない。
「ほほ、雨羽之矢とは。それはアフトクラトルの国宝の一つ。返していただきましょうか」
「やなこった。それにこれはもうすでに俺のもんだ。返す義理はねぇよ」
「なら力ずくで返していただきましょう。
最初は何かわからなかったが少しすると俺のサイドエフェクトに引っかかって避けることができた。すると避けた付近のものが真っ二つに切れていた。
「何だこのトリガーどういう仕組みだ」
「ほほ、まさか初見で避けられるとは。なかなかいいサイドエフェクトをお持ちのようで」
「このじじい、どこまでお見通しだ」
「川原さん避けて」
すると空閑は俺の方に向かって思いっきり地面を殴って視界を奪うように岩で隠した。俺には空閑のいる位置はあらかじめ教えられていた。俺は岩ごと貫いて爺さんを狙ったがそれでも当たらない。
「なかなかにいい攻撃ですな。こちらも本気でいきましょう」
「このじじい。ブラックトリガーを2人相手にしててまだ力を抜いてやがったか」
「この爺さんの年季には2人足しても勝てない。どうするの川原先輩?」
「別に倒すことだけが勝ちじゃない。ここでこいつを足止めしててもいいんだ。おそらくこの爺さん敵でも一番の使い手だから抑えるだけでも戦況が変わる。倒すんじゃなく抑えることにする」
「了解」
俺たちはそこから倒す攻撃をするんじゃなくてこいつの思い通りにさせないように行動した。
たいちょーと分かれてわたし達は烏丸さんと行動していた。それ自体は特に問題なかったが胸騒ぎが止まらない。
「真琴何か心配事か?」
「いえ、なんでもないです」
「そうか」
「真琴さん、前から新型です」
「桜ちゃん合わせて」
「了解です」
「「誘導爆発弾」」
2人で打ったが手の部分でガードされた。あのガード部分硬いな。
「よぉ、真琴、京介。助けに来たぜ」
「あれ、三雲先輩。ユーマ先輩は?」
「緑川それと米屋先輩あとの人は?」
そっか出水のこと知らないんだ。まぁ肩のエンブレム見たらわかるんだけど。出水達が来てくれたおかげで形勢はこっちに向いてきたように思う。
そこから少しするととんでもないアステロイドがわたしの横を通り過ぎた。こんなの現ボーダー正隊員にいない。となると聞いていた玉狛のトリオンモンスターかな?
飛んできた方向を見てみると玉狛の女の子がメガネくんにトリオンを渡してアステロイドを放っていた。トリオンキューブの大きさが尋常じゃない。
「これはやばいね」
「ああこれなら追い返せそうだ」
「??鳥?」
トリオンモンスターが呟いて別方向を見るとその方向には別の人型ネイバーがいた。
その周りには鳥が飛んでいてそれはこっちに向かってくる。
私たちに当たるより先にC級に当たるとそのC級mトリオンキューブになった。コレって確か新型の能力じゃ
「メガネくんまた状況が変わった。女子連れて逃げろ」
メガネくんはその子を連れてそのまま走って逃げた。そのまま緑川は緊急脱出、私と桜ちゃんは何もないけど状況は依然として不利だ。
すると住宅街の影からメガネくんがアステロイドを放った。そのままガードされてそれがメガネくんの方向に飛んで行った。ガードしたが間に合わずトリオンモンスターの方に向かって飛んでいった。
「危ない!」
「桜ちゃん!?」
桜ちゃんは目の前に飛び出してその魚に当たった。そしてそのトリオンモンスターにも。
私はすぐに桜ちゃんのトリオンキューブをとった。メガネくんはパニックになってなにもわかってないみたいだった。
「おいこらメガネ!ぼけっとすんな。基地まで行きゃ全然助かる」
「いけ修。お前のやるべきことをしろ」
「はい!サポートお願いします」
「私も桜ちゃん守るから戦線離脱するよ」
「了解だ。こいつには一発お返ししないとな」
私とメガネくんはトリオンキューブを持って走り出した。メガネくんは戦闘力が頼りないがこの時はなんとも言ってられない。
「綾香、たいちょーにこのこと伝えられる?」
「なんとかしてみる。ちょっと時間かかるかも」
「分かった。基地までのサポートと並行してお願い」
「了解」
基地に向かってる間もトリオン兵が邪魔してきたけど、私からすると足止めにもならない。それよりも桜ちゃんを助けないと。
「真琴先輩心強いです」
「メガネくん。悪いけどもう一個持ってて。ここからは真剣にやらないとダメみたい」
「え?」
「新型が3体きたよ」
「わかりました」
自分に実力がないのも分かっていてそれをちゃんと理解してる。まだまだ先は長そうだけど強くなりそうだなメガネくん。
私は倒すのは厳しかったので弾数で足止めすることにした。
アステロイドでガードさせてバイパーで足を破壊していく。
「すごい」
「まだ油断したらダメ。まだ1枚残って……る」
私は地面からの攻撃に反動できずに体を貫かれた。
「クソ、まだいるのに」
「真琴先輩!」
「メガネくん。ごめん。桜ちゃんをお願い」
「はい」
私はそのまま基地までとばされた。ベッドの上に落ちていった。クソ、たいちょーに頼まれてたのに桜ちゃんのこと。後はもうメガネくんに全部託すしかない。
────────────────
この爺さんとしばらく戦っている時不意に通信が入った。コレはボーダーにもまだ登録されてないはずだ。
「隊長、桜ちゃんが新型の能力でトリオンキューブにされた」
「なぁ!?けど桜の近くには真琴がいたはず」
「ごめんたいちょー。私落とされた」
「……っ!俺がついてれば。それで桜は?」
「今は玉狛のメガネくんに任してるけど正直実力が不足してると思う」
「川原先輩そっちにいってくれ」
「空閑、けどこの爺さんは」
「迷ってるなら行ったほうがいい」
「悪い空閑頼む!」
俺はすぐに飛び出してメガネくんの方向に向かって行った。途中新型やトリオン兵に邪魔されたが一瞬で終わらせた。
すると目の前にトリオン兵の壁が来て俺の邪魔をしているみたいだった。
「どけ!邪魔だ!!!!」
俺はもう周りも見ないで撃ちまくってあっという間にそれを退けた。もう少しもう少しで追いつく。
たどり着くとメガネくんがかなりピンチだ。俺はかなりの距離があるがそのまま撃つと一撃で沈めることができた。
「メガネくん、桜のトリオンキューブあるか?」
「あの、あなたは?」
「川原隊隊長、川原新一」
「川原隊隊長!?これがそのトリオンキューブです」
「まだ持っててくれ。ここからは俺がメガネくんの護衛につく。しっかり持っててくれよ」
「はい!!」
俺とメガネくんはそこから護衛についた。
「川原その未来に行くのか、かなり厄介なことになりそうだな」
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彼は無茶を言って通す
メガネくんの護衛について少し経つと新型があらわれた。俺はブラックトリガーですぐに蹴散らした。このブラックトリガーなかなか使い勝手がいい。
そして局面はいよいよ正念場に来た。かなりの数の隊員が脱落し、戦況としても厳しい。
「メガネくん、ここからは基地までひたすらに走るぞ」
「わかりました。けど基地の扉が開かない時はどうしますか?」
「やりたくないけど最悪壊して中に入る。そのまま鬼怒田さんに直してもらおうかな?それかグラスホッパーで上まで飛んでいくよ。上から狙撃してる連中もいるみたいだし」
そこで俺に対して連絡が入った。
「隊長、烏丸くんからの情報だよ────」
「了解、さすが」
俺は得た情報を元にすると目の前に向けるとゲートが開いた。中からは人型ネイバーが2人出てきた。
「標的確認、処理を開始する」
「三輪!?」
「川原か。それに三雲」
「三輪先輩、この2つをお願いします。僕たちがネイバーを食い止めます」
すると三輪は頭に来たようで思いっきり三雲を蹴った。どうやら三輪には気に召さなかったみたいだ。まぁ仕方ないと言えば仕方ないが、厳しいと思う。
「三雲ここから逃げろ。こいつらは俺と三輪でやる」
「はい!気をつけてください」
「あぁ」
[運び手が逃げ出した。ミラ]
[かしこまりました]
俺はすぐに打ったが、間に合わずそいつはゲートの中に消えていった。
「川原、今はこいつを処理するのが先だ」
「あぁ、すぐに三雲を追う。三輪やるぞ」
「貴様に言われるまでもない」
俺たちは攻撃を開始した。が想像以上に魚のガードが硬い。いくら攻撃しても攻撃が当たらない。これじゃあこっちのトリオンがなくなっていずれ終わる。
「三輪どうする?」
「それを考えるのはお前の仕事だろう」
「相変わらず勝手だな」
本当に勝手なやつだ。けど今の俺にはあの親父がくれた天羽々矢がある。これ頭の中に使える技がどんどん出てくる。使い方まで教えてくれるし。
「三輪、30秒俺を完全に守れるか?」
「余裕だ」
「なら30秒守ってくれ。一つ試したいことがある」
「わかった」
俺は弓を引きしばらくするとどんどん矢がデカくなっていく。引く量によって大きさは変わったり、これを使うことができるのはなかなかいないみたいだ。
自慢じゃないけどトリオン量にならそこそこ自信がある。
「三輪よけろ!」
「なに!?」
「
その一撃は地面をえぐりトリオン魚たちを貫いてそのまま人型ネイバーごと貫いた。前もって軌道を上に行くように打っていてよかった。その一撃は雲までも吹き飛ばした。
「なんで威力だ」
「俺もビビった。けどトリオン半分ぐらい無くなった感じだわ」
「貴様で半分ならほとんどのやつには使えないな」
見るとその人型ネイバーはトリオン体が砕けてこのまま攻撃すると確実に倒せる。
けど言葉にはできないけど嫌な予感がする。
「これで終わりだネイバー」
「待て!三輪」
「なんだと?」
「そいつを捕えろ。あとでなら始末しても構わない」
「どういうことだ?」
「嫌な予感が止まらない。早くしろ」
「わかった」
三輪は言葉通りそいつの首に孤月を当てて動けなくしていた。それは功をそうした。
[隊長!!]
「なんでお前がここに?メガネくんは?」
[ミラ金の雛鳥は]
[回収済みです、それともう一つ]
「待て!それを返せ」
[あら、あなたにそんなこと言われる義務はないわ]
「三輪そのまま押さえとけ。俺はこいつも倒す」
「わかった」
三輪がこの時素直に従ったのはわけがあった。今川原が放っているさっきはただ事じゃない。これは本気で切れた時の川原だと初めて知ることになった。
「消えろ、
[あなたは厄介ね。さようなら]
「待て」
そいつは人型ネイバーをさらって消えようとしたので俺のワープの中に飛び込んだ。
「おい!川原!!!!!」
[ミラ殿その方は?]
[ヴィザ翁一体なにを?]
「おい、お前がもってるトリオンキューブを全て寄越せ。そうしないと俺はこの船を壊す」
[あなたどうやって!?]
「俺は選択権をあげてるんだ。今ここで破壊されて死んでブラックトリガーを全て回収されるか、今回手に入れたものを渡すか。どっちがいい?」
[ミラすべて渡せ。今回の事はすべて放棄する]
[かしこまりました]
俺はトリオンキューブをすべて受け取った。向こうも本当なら反撃しようとしたけど全員トリオン体を破壊されたから反撃のしようがない。だからこっちの要求を聞いてくれたんだろう。
そして俺は基地の前に落とされた。周りはすでにもう暗い。
そのまま基地の中に入ってすぐに会議室に向かった。すでに今回の犠牲のことで会議を始めてるんだろう。俺はそれを止めるために乗り込んだ。
「失礼」
「川原くん、無事だったか」
「忍田さん、こっちは大変でしたよ。それとこれ」
俺は机の上に今回の返してもらったトリオンキューブをすべて転がした。
「貴様これはまさか!?」
「鬼怒田さんこれ今すぐ解ける?あとこれを最優先で」
「それはまさか」
「そうそう今回の犠牲のC級」
「君は本当に」
「根付さん、これでメディアへの対処はかなり楽になるでしょ。それと俺はこれで」
「川原、今回はうちの修と千佳を助けてくれてありがとう」
「林藤さん、ありがとうございます。なら今度また基地に飯誘ってください」
「あぁ、まかしとけ」
「川原くん、まちたまえ。君が今回手に入れたブラックトリガー、それでS級への任命をする」
「城戸さん、今回の件で俺に報酬をくれるなら3つ頼みがあります」
「いいだろう」
「1つ目俺たちをまだA級の川原隊として続行させてください」
「それはこちらとしても助かる」
「2つ目、このブラックトリガーは俺がもっておきます」
「まぁそれも構わない」
「そして最後に俺の父親と母親の葬儀を行なって欲しいです。家族葬で」
「わかったその条件たしかに引き受けよう」
「ありがとうございます」
「なに、こちらこそ礼を言う。よくぞC級を助けてくれた」
俺は頭を下げて会議室から出て行った。もう既にブラックトリガーは解いている。トリオン体なら疲れを感じないと言うがさすがに疲れた。
俺は作戦室に戻って少し寝るつもりだった。
けど作戦室に戻るとそんなことにはならなかった。なぜなら
「かんぱーい」
「はぁ俺は寝るつもりなんだけど」
「まぁそう言うなよ川原。こんなのもたまにはいいだろ」
「あの太刀川さん、このうちの作戦室なんですけど」
「川原、今回は疲れたな。こう言うのもたまにはいいだろう」
「風間さん、お疲れ様です」
「川原、お前昔に比べると随分顔つきが変わったな。随分と柔らかくなった」
「たしかにそうかもしれません。それも桜や真琴、綾香にも助けてもらいましたし、ボーダーに入ってみんなに助けてもらいました。それが影響しているのかもしれません」
「そうか、それは良かった」
俺は結局寝る事なくそのままみんなと楽しんだ。結局綺麗していた俺たちの詰所はぐちゃぐちゃになり大概の人は寝落ちしていた。一人ひとりに布団をかけたあと俺は2人の人物に会いに行くことにした。
「そろそろ来ることだと思ってたよ川原」
「迅さん、今回の俺の死ぬ未来ってどんなんだったんですか?」
「それはな、お前が桜ちゃんを庇って親父さんとお袋さんに殺される未来だったんだ」
「そうですか」
「親父さんとお袋さんのことは聞いた。俺がもっとしっかりしていれば」
「いえ、迅さんは今回最大限に答えてくれました。本当にありがとうございました。おかげで桜を守ることをできました」
「川原、言葉と顔があってないぞ。そういう時は思いっきり泣いていいんだ。だから」
「はい、けど俺が泣くわけにはいかないんです。俺は隊長でみんなを支える立場ですから」
「そうか、いつか川原自身のすべてを受け止めてくれる人が」
迅さんはそう言って何処かに行った。俺はもう1人会わないといけない奴がいる。今回世話になって本当に助かった相手に……
ここからオリジナル入っていきます
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彼はなんだかんだでかなりやる気になっている
俺は歩き出してあるところに向かった。すでにいるはずのところに向かうといないみたいだった。中に入って話を聞くと屋上にいるみたいだ。
聞いてそこに向かうとそいつはいた。
「やぁメガネくん」
「川原先輩。すいませんでした」
「なに謝ってんだ?今回はうちの桜を守ってくれてありがとう」
「か、川原先輩!?頭をあげてください。僕は結局最後まで守りきれませんでした」
「なに言ってんだ?メガネくんが必死になってまで守ってくれたから人型ネイバーを倒して俺が助けられたんだ。だからありがとうだよ」
「いえ、僕の方こそ千佳を救ってもらってありがとうございました」
「このままじゃ終わりそうにないな。とりあえず飯行くぞ」
「え、えぇ!!!!?」
俺はメガネくんの首を掴んでラーメン店に向かった。さっき飯を食べたがラーメンぐらいなら入るだろうと思ってきたら中に迅さんとレイジさんがいた。
「お、川原にメガネくん。食べに来たのか?」
「はい、大規模侵攻も終わって一息つけるんで」
「まだ軌道上に敵国はいる。気を抜くなよ」
「分かってます」
俺たちは結局全員でラーメンを食べた。俺が出すつもりで来たのにレイジさんが全部出してくれた。家に帰ると桜がいた。一番に元に戻してくれと言ったからか早い。
「お兄ちゃんお帰り。ご飯はどうする?」
「いや俺はいいや。桜はどうするんだ?」
「私もいいかな。あんまりお腹空いてない」
「そっか。それじゃあ風呂入って寝ろよ」
「ううん、そろそろランク戦でしょ。特訓しに行こうよ」
「いやいや、今から!?」
日も落ちていてもう外は暗い。今から行こうなんてかなり気合が入っている。
「お兄ちゃん今季もシールドを使わないの?」
「うーん。どうだろ?」
「今期は1位目指してるんだから本気にならないと」
「わかってる。だからこそ肩に力を入れるなよ」
「けど!」
「けどもかしこもない。まぁやってもいいけど明日な」
「絶対だからね!」
「わかったわかったから」
何故か一番燃えている桜をほって俺は眠った。構っているといつまでも眠れる気がしない。それに桜の言っていることもわかる。俺にはサイドエフェクトのせいでシールドを持ったことがない。そのためにも訓練が必要だと言っていることも。
桜が寝たのも確認して俺は基地に向かった。ある奴に連絡して。
「悪いな那須」
「いえ、大丈夫です。それで今日はなにを?」
「特訓に付き合ってくれ。お前ならできるだろ」
「わかったわ。任せて師匠」
「師匠だなんて言われるとはな。教えたのは基本だけだぞ」
「今度私の方も手伝ってください」
「教えることなんてなにもないと思うけど」
「いいえ、教えてもらうことだらけですよ」
「はぁわかったよ。今度な」
俺は那須とブースに入った。那須はボーダー本部内でもきってのバイパーの使い手だ。その腕は出水と比べても遜色ない。むしろ上回っているとも言える。だからこそ練習になる。
「はじめます」
「あぁ、いつでも」
言葉と同時に那須はバイパーを四方八方からくるように打ちはじめた。俺は孤月を抜いて一ヶ所のバイパーを全て落とす。そこから抜け出して那須に攻撃するという特訓を繰り返した。
1時間ぐらいするともう満足して俺たちはブースから出た。
「相変わらずすごいわね」
「まぁ、シールドを持たない分な」
「本当にすごいサイドエフェクト。
「まぁこれがあるとだいぶ楽だわな」
そう今那須が言ったのが俺のサイドエフェクト。ON.OFFにはできないが範囲設定ができる。15mから5mで5m刻みだ。
15mだとボヤボヤとしか見えないが攻撃は見えるためランク戦なんかでは重宝している。
10mは性別がわかるぐらいだ。これは正直あんまり使わない。5mは性別や顔まではっきりとわかる。まぁこのサイドエフェクトの難点は常にどれかでONになっている。寝ている時ですら勝手に発動しているために人が来ると勝手にわかる。
「今度またうちの作戦室に来てください。茜ちゃんも、くまちゃんも待ってますから」
「けどなぁーあいつ俺のこと嫌ってるだろ」
「小夜ちゃんは嫌ってないと思いますけど」
「まぁ考えとくよ」
「お願いします」
「あぁ今日はありがとう。こんな夜遅くに」
「はい」
俺は那須を送って行った。那須は体が弱いために途中で俺はおんぶしていくことにした。家の前に着くと白い那須の体が真っ赤になっていたが全く意味がわからず別れた。結局家に帰って着いたのは4時を回っていて那須には悪いことをしたなと思いながら眠った。
師匠から連絡があって私は夜遅いけど家から出て基地に向かって行った。一体なんなのかと思って行った。もしかしたらなんて期待もしていたが内容は特訓の手伝いだった。
けど師匠と過ごす時間は楽しい。あっという間に時間は過ぎて終わった。そして帰り私は生まれつき体がそんなに強くなく、少ししんどくなった。師匠におんぶしてもらい、嬉しいのと恥ずかしいのが重なって体がどんどん熱くなっていく。家に帰ってからも抜けず結局しばらく寝れずにいた。
師匠はかなりモテてるから大変だけどいつかは隣に立ちたい。
サイドエフェクトについては直すかもしれません。
感想や評価欲しいです。お気に入りも増えてほしい
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彼はランク戦で圧勝する
評価バーが赤になってました。評価してくださった方ありがとうございます
那須に手伝ってもらってから少しするといよいよA級ランク戦が始まった。初日から俺たちの試合だ。A級ランク戦は基本的には三つ巴で戦う。初日の相手は加古隊、三輪隊だ。
「はぁーめんどくさいな」
「加古さん?」
「そうそう。あの人のハウンド嫌いなんだよ」
「そんなにめんどくさいの?」
「桜ちゃん!甘いよ」
「なにがですか?」
「たいちょーには加古さんは怖くないんだよ」
こいつなに言ってんだ?本当に言ってるなら馬鹿だな。まぁ真琴だからありえる。加古さんと二宮さん、出水は文字通り使い方が違う。
出水は敵を動かすのが上手いし、二宮さんのフルアタックは流石に捌き切れない。加古さんのハウンドは使い方がうまい。誘導半径の大きいのと小さいのの使い方が上手すぎる。おそらく全ボーダー隊員の中で一番だと思う。ハウンド単体に限ってだが……
三輪隊の厄介なのはアタッカーの2人だ。米屋の幻踊も三輪の鉛玉も鬱陶しい。
ここから考えるに俺が相手するのは三輪、米屋、後双葉ちゃんかな。
「たいちょーはどうする?」
「んーとりあえず今回は俺が三輪、米屋、双葉ちゃんの相手をする。そのあとは見た奴を相手していく。狙撃には気を付けて。奈良坂と古寺がいるから」
「「了解」」
「綾香も最初はその3人の場所わかったら俺に教えて。そのあとは2人のサポートよろしく」
「了解」
「それじゃあ転送までゆっくりしとこ〜」
「はーい」
真琴は相変わらず能天気だ。けど前のランク戦では本気で責任を感じていたから今回はかなり気合が入っているはず。それを感じさせないためにあえていつも通りに振る舞っているはず。
「真琴ちょっといいか?」
「ん?なになに?」
俺は真琴を連れて部屋の端に向かった。話を聞かれると周りにも変な流れができる。だからこそ端で話す方がいい。
「真琴固すぎ」
「ヘェ!?な、なんのこと」
「ばればれ。多分綾香も気付いてる」
「あはは、ばれてたか。前のランク戦はあたしのせいで6位止まりだったでしょ」
ゴチン!
「〜〜〜!!いたー」
「なに馬鹿なこと言ってんだ?誰もそんなこと思ってない。次言ったら怒るからな」
「…………うん、ありがとたいちょー」
そこから少しするとそろそろ転送時間だ。今回の解説と実況誰だろう?
「時間ギリギリになってしまい申し訳ありません。実況を務めます嵐山隊の綾辻です。解説には東隊隊長、東さん玉狛第一隊長の木崎隊長に来ていただいてます」
「「よろしく」」
「今回の試合の見どころを聞いていきましょう。東さん何かありますか?」
「そうですね。今回のチームの中で川原隊のメンバーが1人増えていることがまず気になります。それと昨シーズンは川原隊は隊長とオペレーターの2人でやっていましたから今シーズンはどうでるのかも見ものです」
「ありがとうございます。木崎隊長は何かありますか?」
「川原隊はA級でもトップクラスの奴らのチームだと思う。特に隊長の川原はあまりランク戦にはでないがソロで5位だ。何よりあいつに限って言えば全ボーダー隊員の中で東さんと並んで落とされた回数が少ないからそこに対して加古隊、三輪隊がどう出るのかも見ものだ」
「ありがとうございます!ステージは河川敷。そろそろ転送時間です。全隊員転送スタート」
「さて俺たちはどう出るかな?」
「うーん三輪隊は月見さんいるしオペに対して嫌がらせしようよ」
「確かにな。それじゃあよろしく」
「「了解」」
2人は今のでわかったみたいだ。バックワームのON、OFFはオペに対してのかなりの嫌がらせだ。急な不意打ちに対しても気をつけないといけないし、特に月見さんの性格上絶対気にするはず。
俺も綾香から指示を受けてバックワームをしてないやつのところに向かった。
「さてさて〜誰がいるのかな〜」
「あら川原くんじゃない」
「ゲェ!」
「ゲェってなによ。失礼ね」
「いや加古さんに会うとは思ってなかったですから」
「そう、ならこちらから行かせてもらうわ」
加古さんももちろん俺のサイドエフェクトのことを知っている。だからハウンドの誘導半径をずらすことは不利になることも知っているはずなのにどうしてまだハウンドに?
俺は15mに合わせて周りを見ながら弾に対して弾で打ち返すといきなり現れた。
「韋駄天」
俺は危うく片腕を落とされるところだった。なんとか反応できたが韋駄天はそもそも自分の意思で動いていない。予め軌道がセットしているタイプだから最初の出だしさえわかれば避けられる。
「あちゃーそうだった。トラッパーがいるのを忘れてた」
「今のを避けるのはどうかと思うわよ。川原くん」
「いやいやかなりギリギリですよ。危うく片腕を落とされるところでした」
「双葉ここからは2人で行くわよ」
「はい!」
俺は片腕に孤月を片方にはアステロイドを構えて応戦した。
「いきなり川原隊長と加古隊長それに黒江隊員が激突」
「川原はかなり転送が悪かったですね。元々合流を優先するタイプじゃありませんが橋を中心に川原だけ西にいて他の2人は東にいます。そして西には加古隊は揃っていますし三輪と奈良坂もいます。かなり状況的には悪いですね」
「あいつの場合喜んでそうだが……」
「木崎隊長、喜んでそうとは?」
「あいつの性格的なものです。ここで一人勝ちすれば5点入るからそれに対して喜んでいると思う。まぁ実際は奈良坂はレーダーには映っていないからわからないだろうが」
「そういうことですか。おっと東側でも動き始める。ここで相対するのは米屋隊員と坂口隊員だ」
綾香からの指示があってたいちょーだけ西側にいるみたい。まぁそれでもたいちょーはこなくていいって言ってたから行かないんだけど。
あたしはすぐに桜ちゃんとの合流を目指して走っていた。
「お、ラッキー真琴じゃん」
「ラッキーってどういうことかな。陽介」
「点数もらうってことだよ」
陽介が突っ込んできた。その瞬間に全員が驚くことに私は孤月で切りかかった。陽介は反応できずに片腕を失った。
「なぁ!」
「驚いた?」
「真琴ってシューターじゃなかったっけ?」
「今期からはちょっと違うよ」
あたしは何度も斬りかかるが最初の一撃だけだ。流石にまだ陽介クラスのアタッカーには及ばない。もう斬りかかるのをやめてアステロイドとバイパーで反撃した。
「鬱陶しいじゃん」
「早く落ちてほしいんだけど」
「そうはいかないっての!」
(真琴5秒後フルガードして)
(え?え?)
いきなりの綾香からの指示で驚いたが4秒ぐらいであたしはフルガードした。その直後誘導炸裂弾だろう。がやってきて陽介を落とした。
「なるほどね。桜ちゃん助かったよ」
「無事でよかったです」
「それにしても蓮さんにしては珍しいミスだな〜」
あたしは少し不思議だった。蓮さんがバッグワームを着ていない隊員の位置を伝え損なうなんて驚きだ。そんなことを考えてあたしと桜ちゃんは次の作戦に移った。
「ここで米屋隊員ベイルアウト。今シーズンから加入の桜隊員に落とされました。東さんなぜ米屋隊員はガードを張らなかったんでしょう?」
「これは憶測ですがもう片方の戦場に月見の意識が逸らされていたんじゃないでしょうか。川原が暴れていますから」
「あ、確かに。川原隊長とんでもないことをしています」
米屋が落とされる少し前、俺はいまだに2人との攻撃の応酬が続いていた。いい加減落ちてほしいんだが……
「川原くん、いい加減落ちてくれないかしら?」
「うーん加古さんたちが落ちてくれると助かるんですけど」
「川原先輩今日は勝たせてもらいます」
「双葉ちゃんも落ちてほしいんだけどなぁ」
そこからもなかなか終わらず俺のストレスが溜まってきたところで1人ベイルアウトした。それに一瞬だけ加古さんたちの意識が逸れたのですぐさま距離をとり、俺は両手にメテオラを構えて四方八方に打ちまくった。
「ちょ!ええ!」
「うそ」
加古さんは防いだが双葉ちゃんはベイルアウトした。俺は自分でもめちゃくちゃしてると思う。何せ建物ごとどんどん瓦礫に変わっていくんだから。
「川原隊長フルアタックでのメテオラ。これには一体どういう意図が?」
「いや」
「これは」
「「キレたな」」
「キレたとはいったいどういうことですか?」
「あいつは日常生活でキレることはまずないがランク戦ではものすごい短期なんだ」
「そうですね。基本的にさっきの加古たちみたいに粘られるとすぐにキレます。まぁそれが悪い方向に行くこともありますが」
「それは初耳ですね。さてさてランク戦も2人が落ちてここから展開が進みます。加古隊はどう出るのか!!川原隊の2人はどう動く!」
メテオラをある程度打ち終わるとあたり一帯が平らになっていた。するとそこには三輪もいて俺と目があった。そしてすぐに加古さんとも目があって何か2人でうなずいたので嫌な予感がした。
「川原くんごめんなさいね」
「ここで落ちろ」
「た、隊長2人が手を組むなんて卑怯だぞ!」
「勝負に卑怯なにもないわ」
いくら何でも不利すぎる。加古さんと誰かシューターならまだマシだった。けど加古さんにオールラウンダーの三輪がつくのは卑怯だ。何よりあの2人は元東隊の2人で息があっている。
三輪の鉛玉対策は今回切るしか思ってなかったので加古さんが邪魔だ。俺は孤月もなにも装備せずに突っ込んでいった。これが一番早いから。
「あら川原くん落ちてくれるのかしら」
「早く落ちろ!」
2人が攻撃してくるがさっきこの辺り一帯を平らにしたからサイドエフェクトと目でも弾を視認できる。ならほとんどゼロ距離まで近づくことができるので俺はどんどん近づいていった。もちろん奈良坂の狙撃もあったがこの弾幕の中に弾が一発増えてもあんまり変わりない。
俺は最後はグラスホッパーで近づき加古さんと三輪を体を回してぶった斬った。
「何とかなったか」
「お疲れ様です」
向こうの対岸でも古寺が落ちたみたいだ。元々2人にお願いしてて探して落としてもらった。疲れて周りを見渡した瞬間に俺は頭を撃ち抜かれて落ちた。
ドサッ!
「あちゃー油断した。まだ奈良坂いるの忘れてた」
「お疲れ様。けどその奈良坂くんも喜多川もベイルアウトして私たちの勝ちだよ」
「そっか」
結果的には俺たちは勝ったがかなり気を抜いていた。あの一瞬を見逃さない奈良坂もすごいが油断があったことも否定できない。結果的に俺たちは生存点を入れた5点、三輪隊は1点、加古隊は0点となった。
「決着!最終スコア5対1対0で川原対の勝利!」
「「おぉー」」
「ではここで振り返っていきましょう。東隊長お願いします」
「そうですね。川原のメテオラ、あれ多分キレたのとは別に意味がありましたね。キレたのは間違い無いんですけどそれだけならフルアタックでのアステロイドで十分です。メテオラにしたのは三輪を探すのとあとは自分が戦うために更地にしておくということがあったと思います」
「三輪と加古が組んだのは意外だったがそのあとの川原の対応にも驚いた。まさかノーガードで突っ込んでいくとは思わなかったな。まぁ普通の人はあいつのような戦い方をすると間違いなく死ぬので真似しないほうがいいです」
「ということは川原隊長には何かあるということでしょうか?」
「そうですね。あいつのサイドエフェクトですね。今回は最後気を抜いたみたいで落ちたようですが本来なら狙撃もあいつには当たりません」
「だから途中では奈良坂の狙撃も避けていた。けれど途中から参加しなかった奈良坂の軍配が上がったのとあいつが気を抜いたのが原因だな。それと東側の坂口のアタッカーには驚かされた。あいつは前回までシューターだったから」
「それでは今回は川原隊長のフルアタックがハマったということでしょうか?」
「決め手はそこです。あれがなければ多分秀治と望が勝っていましたから」
「はい!次の川原隊の相手は1位太刀川隊、風間隊となりました。以上でA級ランク戦昼の部終わります。東隊長、木崎隊長ありがとうございました」
「「ありがとうございました」」
いやーレイジさんのいうとおり完全に気を抜いていた。それをあれだけ言わなくても……俺と自覚してますし。
それに今回は2人が頑張ってくれた。次はこう上手くはいかないはず。それに次は太刀川さんと風間さん達か。最悪だな。あの2人は俺はフルアタッカー装備で行かないと殺される。
「たいちょー次どうする?あたしアタッカーで行こうか?シューターで行こうか?」
「シューターで行こう。俺相手に2人がかりで特訓しよう。なるべく弾幕を多くして抑えるような感じ。できれば太刀川さんを落とせるように」
「太刀川さんを!?あの人も大概だから変人だからなぁ〜」
「その間に俺が風間隊を相手にする。もちろん死ぬ可能性もあるけど」
「わかった。作戦室に帰ったらやろうよ」
「待て待て。とりあえず休む。やる気なのはいいことだけどやりすぎてもいいことない」
「〜〜〜わかった」
「すごい……もう次のこと」
「意外?桜ちゃん」
「はい……いつもあんな感じだからてっきり」
「サボってると思った?」
「…………はい」
「あの2人誰よりもこのチームのことが好きだよ。だから1位になりたいと思ってる。もちろん私も同じ。だから桜ちゃんもこのチームのこと好きになってほしいな」
「わたしも…………」
「それは新一さんがいるからじゃ無いのかな?桜ちゃん自身はどう?」
「………………」
「別に今すぐとは言わない。けどいつかは好きになってね」
「はい」
私はなにも言い返せなかった。確かに隊員が嫌な人だとは思えない。けど確かに綾香さんの言う通りだった。私はお兄ちゃんがチームを作ってなければ多分別の隊に入っていたと思う。
それにお兄ちゃん以外は今はとても好きとは言えない。人間関係は複雑だが嫌いとも言える人たちじゃ無い。
そのことをよく考えて私は家に帰った。
感想や評価待ってます
戦闘描写もっと上手く描きたい
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彼は自分自身のことをわかっていない
ランク戦が終わり話も終わって出てみんなと別れて飲み物を買いに行った。お金を入れてボタンを押そうとすると横からボタンを押された。見ると双葉がいた。
「なにかようか?双葉ちゃんに加古さん」
「あなたあれを狙ってたのかしら?」
「あれ?」
「メテオラです」
「あぁ、本当にキレてはないですけど、長いなと思ったとこは確かです。三輪が近くにいることはわかってましたし」
「そう、それと今度はドライブでもいきましょう」
「へ?」
加古さん近い近い。なんかいい匂いするし、女の人ってなんでこんないい匂いがするんだろう。全く意味がわからない。
「また今度勉強を教えてください」
だから近いんだってば双葉ちゃんも。それにこの2人の間で何か火花が飛んでいるように見えるのは俺だけだろうか?全く意味がわからないんだが……
「それじゃあね川原くん。次会うときは負けないわよ」
「負けるつもりはないです」
「負けません」
2人とも離れて俺はどうしようかと悩んでいると村上がやってきた。ちょうどいい相手が来たと思い
「村上俺と10本勝負しないか?」
「構わないが……」
「それと一つ多言無用で頼みたいことがある」
「なんだ?」
「俺がやる事は黙っていてくれ。少なくともランク戦が終わるまでは」
「わかった」
俺はブースに入り対戦を行う。村上は相変わらずの剣の冴えで助かる。俺は早速二刀を試しでやってみる。思った以上に使える。このままいけるかもしれない。村上とは結局7対3で勝った。けど今回は学習されてないからだ。結果は変わってると思う。
「すごいな」
「試しだけどな。ありがとう助かったよ」
「ランク戦楽しみにしてるぞ」
「あはは、ボコボコにされると思うけどな」
「よく言う」
俺は村上と別れて帰るために本部から歩いていく。うちの家はここからそう遠くはないが近いわけでもない。
「おかえりお兄ちゃん」
「ただいま桜」
「このまま一度寝る?それとももうご飯食べる?」
「一度寝るよ」
「うん、おやすみ」
部屋に戻りベッドに入るが寝れない。誰にもバレてはいないと思うが俺はよく緊張する。特に大事なところでは。
結局眠れずリビングに行き飯を食べた。それにしても最初は酷かったのとは思えないぐらい最近は料理が上達してきているな。
「次の試合勝てるかな?」
「さぁな、やってみないとわからん」
「次は太刀川さんや風間さんでしょ。それをお兄ちゃんが引き受けるの?」
「さっきも言ったけど太刀川さんは抑えておいてほしい。その間に風間隊とやるから」
「だったら私もそっちに」
「悪いな。太刀川さんは1人で抑えられるほど弱くないんだわ。だから桜の力も貸してくれよ」
すっごいふてくされているが渋々納得してくれた。明日はランク戦ないし何をしようかと考えていると三上から連絡が来た。
なんでも買い物に出かけたいから付き合ってほしいと言う物だ。大型荷物持ちが必要なんだろうと思い了解と送って俺は部屋に戻って眠った。
朝はいつもより早く目が覚めて服に着替えて集合場所に向かう。駅前で集合だ。
「ねぇねぇお姉ちゃん俺たちと遊ばない?」
「待ち合わせがあるので」
「いいじゃんこっちにきてよ」
「離して」
俺は近くに行き間に割り込んだ。
「なんだテメェ」
「失礼俺の連れなもので」
「邪魔すんじゃねぇ」
俺は三上を抱えて避けるとそいつは盛大に転んだ。すると周りからはクスクスと笑い声が聞こえる。それを聞くと恥ずかしくなったのか逃げ出していった。
「あのおろしてください」
「あ、悪い。ごめん」
「そんなに謝らないでください」
「まぁうん悪かったよ」
「それじゃあ行きましょう」
それにしても今日の三上の服装はやたらと気合が入っている気がする。俺たちは電車に乗り少し離れたところのショッピングモールに向かっていった。ここは最近できたみたいでかなり大きいし綺麗だ。
「それでどこに行くの?」
「今日は水着を買いに行きたいの」
「なんで俺に?綾辻とか国近さんとかいただろ」
「本当に鈍いんだから。それに今日他の人たちは忙しいらしいから!」
「ん?確か暇だったような?」
「いいから行くよ」
俺は手を引かれてショッピングモールに入っていった。中も綺麗でさすができたばかりだと思う。はじめは水着屋が目的だったのでいくとやっぱり俺は浮いている。
「どんな色がいいかな?」
「なんでもいいと思うけど」
「ちゃんと考えて」
「それなら」
俺は周りを見渡すとなかなかわからない。けど一つだけ目に止まったがそれは勧められない。
「あれがいいの?」
「いやけどビキニタイプだぞ」
「とりあえず着てみるわ」
手に取ったのは紺色で枠が白で囲まれたビキニタイプの水着だ。流石にこれは勧められないけど確かに三上になら合いそうな感じがした。
「どうかな?」
「なななんで出てきてるんだよ!」
「見て欲しくて。それで似合ってるかな?」
「あ、あぁ似合ってるよ」
「ありがとう。それじゃあこれにする」
「俺が決めたのでいいのか?」
「これでいいの」
「そうか」
三上は着替えてレジに持っていって買っていた。その後はいろんなところを周りいい時間になったので飯屋に向かう。
「なに食べたいんだ?」
「ラーメンとかは?」
「ならとんこつラーメンにするか」
「うん!」
三上は確かとんこつラーメンが好きだったはず。俺たちは下に降りて探すとすぐに見つかった。中に入り店員が聞きにきたので頼んで俺たちは来るのを待っていた。
「それで他に行くとこはあるのか?」
「ないけど……」
「それなら適当にぶらぶらするか」
「うん」
このまま帰ると三上は死んだ顔になりそうだった。その証拠に今はニコニコしているがさっきの一瞬は顔が死んでいた。それにしてもなんで俺なんかと出かけるのがいいんだろうか?女同士で出かけた方がいいのに。
その後持ってきたラーメンを食べてぶらぶらするだけで終わった。
「今日はありがとう」
「いや何にもしてないよ」
「おつかれさま」
「家までは送るよ」
「うんお願い」
俺たちは電車に乗って三上の家に向かったがその間一言も話すことはなかった。途中で疲れたのか三上は電車で眠ってしまいそのまま俺の方にもたれてきた。
「おつかれ」
この車両には誰もいなく静かな寝息とたまに流れる放送が俺の耳に入る。駅について起こしたが起きなくて荷物と三上を持ち上げて電車から降りた。
「う……ん」
「起きたか」
「え?あ、うそ!」
「お、おいいきなり暴れるな。降ろすから」
三上を降ろすと顔を真っ赤にしてこっちを見てくれない。そのまま送るが一度もこちらをみることなく家に入っていった。俺も家に帰り飯を食べて眠ることにした。
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彼はボーとしてるととんでもない人に捕まる
彼のことを好きになったのは本当に偶然だった。私は風間隊のオペレーターになってからは少し辛かった。元々宇佐美先輩がやっていた穴埋めと思っていた。実際のところはどうかは知らない。そんな毎日で過ごしていた時に話しかけてくれた。
「なぁ、あんたちょっと付き合ってよ」
「へ?」
私にしたら驚いて変な返事になったと思う。それ以上の言葉が出てこず私は連れて行かれるままいろんなところに連れて行かれた。ショッピングはもちろん遊園地、温泉なんかにも連れて行かれた。そして気がつくと私の中に溜まっていた不安はなくなり、いつの間にか自然笑っていた。
「あははは」
「やっと笑ったな」
「え、どういう」
「なーんか見た当初から呆れたというか絶望した目をしてたからなんとなくかな」
「そんなに酷かった?」
「まぁな」
その時の顔は忘れられない。酷く悲しい笑顔で私の方を見ていた。それに対しては聞くことも攻めるとこともできなかった。けれど新一くんには本当に助けられた。あの時声をかけられていなかったら私は今風間隊でオペレーターをしていない。
明日のランク戦では手を抜かないけどちょっと過去に思い耽った。私はベッドに入った。
ランク戦当日
朝起きていつも通りにした。けれどまだ体が硬い。やっぱり緊張している。
「お兄ちゃん、今日はがんばろうね」
「ああ、夜からだからゆっくりしとけよ」
「うん」
俺は服を着て家から出ていく。少し頭を冷やすためだ。頭を冷やしておかないと後が怖い。流石にA級トップの人たちに頭が血が昇った状態で勝てるわけもない。
俺は歩いていると前から見慣れた顔がやってきた。
「あれ?新一くんどうしたの?」
「綾辻さん。まぁ頭を冷やしてるんです」
「そっか。新一くんも緊張するんだね」
「俺を何だと思ってるんですか、それぐらいしますよ。それに美琴を綾香を桜を勝たしてやりたいんです」
「その敬語も外して欲しいんだけどなぁ」
「年上ですから」
「けど外して欲しいんだよ」
「んん〜考えておきます」
「うん、それじゃあね」
俺はそこで別れて歩き出す。何も考えてなんかいない。そして着いたのは本部だった。何を思って着いたのかはわからない。気がつくと目の前に本部があったとしかいえないけど着いたから中に入るとそろそろランク戦昼の部が始まるところだった。
ついでだから見にいくことにした。昼の部は冬島隊と嵐山隊、そして加古隊だった。朝にあった綾辻さんは本部に行っていたんだろう。俺もちょっと遠回りして多分ここに着いたんだと思う。
飲み物を持ち席に座る。少しすると隣に東さんがきた。
「よ、川原。見学か?」
「まぁ今期は勝ちたいんで見にきました」
「そうか。予想を聞いてもいいか?」
「当真さんをどう見つけるかによりますね。冬島さん達は点取り屋は当真さんだけです。そして当真さんは狙ったら必ず当ててきます。一方で佐鳥はチームでの行動を優先します。だからチームのピンチになるとそっちにいくはずです」
「なるほどな。俺も概ねその意見には賛成だが今回俺が見たいのは加古達だな」
「加古さんですか?」
「あぁ、加古は昨日俺のところに来てな。勝つためにはどうしたらいいかだとさ。よほどお前達に負けたのが悔しかったんだろうな」
「本当ですか?」
「あぁまちがいないよ」
俺は言葉を失った。加古さんはどちらかというとそういうことはしないタイプだと思っていた。感覚主義なところが多いから。その加古さんが東さんに聞きにいくなんて思っても見なかった。まぁ元々同じ隊にいたから聞きにいくのはわからないでもないが、それを差し引いても意外だ。
試合を見ていくと想像だにしていない展開になった。加古さんがメテオラを使っている。見る感じ試作のタイマーとテレポーターを外したんだろう。メテオラで逃げ道をなくしたところをハウンドで追い詰めていく。
木虎はそれでやられて時枝先輩は嵐山さんに会いにいく前に捕まった。シールドで防いでいると双葉ちゃんの韋駄天にやられた。
あれはかなりエグい戦法だな。シールドを広げるとハウンドやメテオラの爆風は防げるが双葉ちゃんの韋駄天は防げない。今はシールドの性能が上がっているとはいえ孤月を防げるほどじゃない。
「これはなかなかエグいですね」
「けど新一には通用しないだろ」
「通用しないわけじゃないですけどなかなか厳しいですね。僕のサイドエフェクトも結局は体が動かないと意味ないので」
「確かにそうだが川原はそれを補うための特訓は欠かさないだろう」
「まぁそうですね。それでも処理できないことは多いですから」
「はは相変わらず自分に厳しいな。他人には優しいくせに」
「むぅ、放っておいてください」
そこからは2人で試合を見るが一言も話すことはなかった。結果だけでいえば加古隊の勝ちだった。けれど内容的にはそこまで嬉しいものじゃない。当真さんが落ちると同時に冬島隊は全員ベイルアウトした。嵐山さんは最後まで粘っていたけど2対1の上加古さんの気合が違って落とされていた。
加古隊は今回から気が抜けない相手になりそうだ。あ、もちろん今までも気を抜いていたわけじゃないけど。
「東さんそれじゃあ失礼します」
「あぁおつかれ。夜の部楽しみにしてるぞ」
「期待に添えるように頑張ります」
東さんとも別れて俺はまた歩き出した。恐ろしいことになってきた。B級のランク戦ならともかくA級のランク戦は同じチームと何回かは必ず当たる。加古隊は気の抜ける相手じゃなくなった。
「あいたっ!」
「およ?ってしんしん〜」
「国近さん!?」
会いたくない人に会ってしまった。この人は基本作戦室に篭っているのに何でこんなところで会うのかな〜?ほんとうにタイミング最悪。
「しんしんまた今度ゲームしようね〜」
「いつになるかわからないですけど」
「今日のランク戦が終わってからだよ〜」
「いやいやいや」
「やってくれないならみんなに言いふらすよ〜」
「何をです」
「胸にぶつかられてその上押し倒されたって」
「ちょっ!ぶつかったのは確かですけど押し倒してないでしょ!」
「みんなはどっちを信じるかなー」
「わかりました。ランク戦終わってまた連絡します」
「それでよろしい〜」
別れた後ため息を隠すことはできなかった。あの人とゲームをすると地獄だ。しかも始めると俺も手加減ができず勝つことがある。実力だけでいえば五分五分だと思う。
それにしてもあの人試合前に余裕だな。まぁ今一位の太刀川隊からするとそんなに緊張することでもないのかな。
俺も作戦室に戻りソファーに寝転び時間まで寝ることにした。
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彼はチームの現状を考える
車を買うことになりそっちにかかりきりでした。
だいぶ落ち着いたのでまた投稿できると思います
そして起きるととうとう時間になる。全員の顔は重くもなく少し緊張してる感じだ。少しぐらいなら緊張している方がいい。
「それじゃあ行こうか」
「「「トリガーオン!」」」
俺たちは隊服を纏い転送時間になるまで少しある。最後の確認を済ませていく。今回俺は風間隊を相手にする。そして太刀川さんたちを桜と美琴で抑える。俺の方が終わり次第合流するという流れだ。ランクは俺たちが最下位だからステージを選ぶ権利は俺たちにある。河川敷にした。もう最初に桜と美琴のメテオラで橋を落とすという作戦だ。
「時間だよ」
俺たちは転送されていく。そしてレーダーを見ると最高の結果だった。俺と風間隊は西側、太刀川さんたちは東側という結果だ。え?唯我?まぁ誰かが落とすでしょ。会ったら落とすようにいってあるしなんとかなるでしょ。
今回の嬉しいところはスナイパーがいないところだ。さて一気に行きますか。
俺はグラスホッパーで風間さんに向かって飛んで行った。
「今回の実況を務めます海老名隊の武富桜子と解説はNo4アタッカー村上先輩と嵐山隊時枝先輩に来ていただきました。舞台は河川敷です」
「どうぞよろしく」
「今回の試合どう見ますか?」
「そうですね。川原はアタッカーランクこそ俺より低いものの実力ではあいつの方が上です。贔屓目なしにボーダー内でもトップだと思っています。そこを同作戦に組み込んでいくのが見ものですね」
「なるほど。嵐山さんは何かありますか?」
「確かに川原は強いです。それに対抗できるのが今回の太刀川隊、風間隊です。今回の一戦はなかなかアタッカーにとってはいいものになるので見ておきたいですね」
「ありがとうございます。村上さんは何かありますか?」
「確かに川原はアタッカーとして一流です。ですがこの試合もっと面白いものが見れるかもしれませよ」
「なんですか!それは?」
「それはお楽しみです」
「なるほど、それがこの試合で出るのか。そこも見どころになりそうです。さて全隊員転送スタート」
グラスホッパーで飛んでいくと俺の後ろででかい爆発があった。見るまでもなく何かわかったので早いと思いつつ移動していく。今のは美琴と桜がメテオラで橋を落とした音だろう。
始まってすぐなんておそらく綾香との連携だろう。
「どうも風間さん」
「川原」
考えながら移動していると目の前に風間さんと隣には歌川がいる。菊地原はまだ合流できていないんだろうか?
「さてやりますか」
「あぁ」
俺は孤月を風間さんと歌川はスコーピオンを出す。その瞬間から3人で切りあった。流石に2対1はきつい。けど3人を相手にするってあいつらに言ったんだからここだけは何がなんでも果たさなきゃいけない。
「旋空孤月」
俺は放つが風間さんたちは当たり前のように避ける。流石にこれだけじゃあ倒せるわけがない。それに今の俺は菊地原を警戒しないといえないから余計に集中できない。
「どうした?キレがないぞ」
「わかってて言ってるでしょ」
「風間さん、このまま落としましょう」
「あぁ」
くそあんまりやりたくなかったけどあれをやるしかなさそうだ。俺は腰にもう一本の孤月を出して両手で構える。風間さんは既に知っているがこの試合でするつもりはなかった。
けれどした、してないで後で負けたら後悔すると思う。
「いきますよ」
「こい!」
そこからは片手ずつで風間さんと歌川を相手にしている。見えてなくてもサイドエフェクトで攻撃の振りや角度なんかわかるから防げる。
そこからは一進一退の攻撃が続きなかなか終わらない。それにしても菊地原一帯いつまで隠れてるつもりだ?
風間隊は全チームの中でもトップの連携を誇る。それを使わないでいつまで隠れてられるつもりだ。
「勝負の最中に考え事とは随分余裕だな」
「そんなことないです!」
孤月を振るがやっぱり当たらない。当たったとしてもスコーピオンが壊れるだけだ。俺たちはそのまましばらく動けない状態になった。
あたしは転送位置が良かった。すぐに桜ちゃんと合流できて橋を壊す。そのあと唯我がいたのでついでに落としておきそのまま指定された場所に向かう。
「太刀川さん」
「お、真琴に桜ちゃんだったっけ?」
「ええ、あってます」
「それでここにきたのは?」
「「あなたを倒すために!」」
あたしと桜ちゃんは最大分割のアステロイドを放つ。倒すっていうのは方便だ。いまはたいちょーが来るまでの時間が稼げたらいい。
「なんだこの弾の分割は?これなら俺のシールドでも防げるけど」
「くっ!」
「真琴さんもう足止めなんてやめませんか?」
「どういう意味?」
「確かに厳しいかもしれないですけどいまここで倒しましょう」
「けどあたしたちじゃあ」
「このままいつまでもお兄ちゃんに頼ってたらダメな気がするんです」
「わかった。あたしが斬り込むから援護よろしくね」
「了解」
あたしは地面を蹴り孤月で斬り込む。その間を埋めるように桜ちゃんの弾が飛んできて太刀川さんも攻めあぐねている。出水が来るまでに倒せたらなんとでもなりそうだ。
出水に関してはあたしが落ちても桜ちゃんのゴリ押しで倒せると思う。
「すんません!遅くなりました」
「いやいいタイミングだ」
「ゲェ!出水」
「タイミング悪」
そこに来たのは出水だった。本当に最悪のタイミングできた。
「桜ちゃんは出水の相手お願い。できたらもう落として」
「それじゃあ真琴さんは?」
「あたしはここで負けると思う。けどただで負けるつもりはないから」
その言葉と同時にあたしは斬りかかる。最近アタッカーになったやつが1位に勝てるわけがない。けれどたいちょーに任された以上それ以上のことをして期待に応えないと。
あたしと太刀川さんは激しい斬り合いになっていく。けれどあたしは太刀川さんに傷を負わせられるけどそれ以上のスピードであたしは傷を負っていく。このままじゃ負ける。そう思っていた。
あぁ、もう風間さんたち邪魔!さっき綾香からの連絡でもう2人は太刀川さんを抑えることにしたときた。
「風間さん早く落ちてくれませんか?」
「そんなのが交渉になるわけがないだろう」
俺は試したことないけど孤月を解除して両手にハウンドを構えた。そしてそのハウンドを自分の周りに放つ。一つ一つの発射位置を少しずつずらして自分の周りに常にハウンドが飛んでいる状態だ。
まぁこれも当真さんや奈良坂がいたら避けて狙撃されるんだけど今回はいないから当たる心配もない。
そして何発かの弾を風間さんや歌川に放つ。
「な!」
「これは?」
「俺の新技です」
そして一瞬気にしたのでその間に俺は追尾強化弾を作り風間さんの後ろに飛ばす。その直後に孤月に切り替えて襲いかかる。
風間さんは後ろにシールドを張り防ごうとしたがそれは悪手だ。俺が設定した軌道はそもそも風間さんを狙っていない。
戻ってくる弾は歌川に当たりそのままベイルアウトした。
「なるほど、はじめにあの技を使ったのは俺たちの気をそらすため。そしてそれは追尾強化弾を作るためだったか」
「ええ、このままジリジリ時間潰すのもアレなんで」
「確かに一手食わされた。だがこのまま終わらんぞ」
すると俺のサイドエフェクトに引っ掛かった。菊地原だ。俺はそのまま体を反転させてぶった斬る。だが菊地原の狙いはそれにあったみたいで斬った瞬間俺の体ごと捕まえた。そして後ろから風間さんが切りかかってくる。
俺は手の孤月を足のほうに投げて思いっきり蹴る。それは運良く風間さんの心臓に刺さり、倒せたがそれとほぼ同時に俺の片腕も落とされた。
「く、まだあるのに」
「今回はここまでか」
2人はベイルアウトして消えていく。それにしても片手で太刀川さんの相手をするのはきつい。両手でも勝てる相手じゃないけど……
俺はグラスホッパーを使い東側に飛んでいく。今回は誰にも邪魔される心配がないから安心だ。
すぐに行くと真琴が斬られかけていたから間に入り剣を受け止めた。
「川原、随分早いな」
「太刀川さん今回は勝たせてもらいます」
「片腕でか?」
「確かに俺1人なら厳しいですね。そもそも勝つことが。けど俺は1人じゃないんで」
真琴と桜は俺の隣に来て出水は太刀川さんの後ろに行く。
「すんませんしくりました。川原来るまでに倒しとくつもりだったんですけど」
「まぁしょうがない。それにしても相変わらず唯我はすぐ死んだか」
「まぁ唯我ですから」
「話はすみました?」
「あぁ待たせたな」
俺は予め内部通信で真琴と桜に協力して出水を倒す倒すように言った。いくら出水とはいえこの2人を相手にそうは時間を稼げない。勝てるとも思っていないが。
問題は俺の方だ。太刀川さんには勝ち星すら少ないのにこんな状況なら負ける。
俺は切りあっていくがだんだんと切り傷が増えていきトリオンが減っていく。
俺もそれなりにダメージを与えているが風間さんにやられた片腕でかなりトリオンが減っているのと現在進行系で減っていくのでいくらトリオンが太刀川さんより多くても先に死ぬ。
「すんません、遅くなりました」
「なぁ!?なんで出水が?」
「お前のとこのチームのやつは落としたぜ」
「クソ」
今はなんで落ちたか考えてる場合じゃない。俺は太刀川さんに斬りかかる直前にテレポーターを使い出水の前に移動する。そして斬りかかる瞬間俺は太刀川さんに真っ二つに斬られた。
「まだだぁぁぁぁぁああああ」
俺は孤月をぶん殴りそれが出水の心臓に刺さり2人ともベイルアウトした。
俺たちはこの日負けをチームを結成して以来の負けを味わった。
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彼は過去のことを言われてショックを受ける
「試合終了!最終スコア5対5対0で川原隊、太刀川隊の勝利です」
「「おぉー」」
「さて解説のお二人この試合を振り返ってみてどうでしたか?嵐山さん?」
「そうですね。まさかここまでの結果が出るとは思いませんでした。けれどほとんどの点を川原が取っていました。あそこで出水を落としていたら結果は変わっていたかもしれません」
「確かにそうかもしれません。それと村上先輩が言ってた川原隊長の面白いものとは二刀流のことだったんですか?」
「それもありますけど今回は使ってません。あいつも使える状況じゃなかったんでしょう」
「なるほど今回の結果で川原隊は3位風間隊は5位太刀川隊は変化なしとなりました。解説のお二人ありがとうございました」
「「ありがとうございました」」
俺は作戦室でログを見ていた。すると明らかに動きがおかしい。この2人で出水を任せた時だ。唯我の時はそもそも真琴1人で倒しているから息を合わせて戦うことはない。
決定的なのはここだった。出水が逃げながら戦いその瞬間に2人とも一気に攻めると出水が上に飛んだ。
その時に真琴の孤月が桜を、桜のアステロイドが真琴の体を貫いた。
「おい、これはどういうことだ?」
「それはその」
「私から話していい?」
「綾香何かあるのか?」
「真琴と私それと桜ちゃんには壁があるの」
「は?」
「正確には桜ちゃんは私たちを認めてないの」
「どういうことだ?」
「ここからは私の推測だけど「やめて!」」
「お願いもうやめて。次からはちゃんとするから」
桜はそう叫んで作戦室から出て行った。話を聞こうとしたが2人ともこれ以上話すつもりはなさそうだ。
「悪いまた連絡する!」
俺は部屋から出て桜を追いかける。だけどどこに行ったかわからない。すると風間隊に会う。
「川原」
「うわ、変態野郎だ」
「おいこら菊池原」
「悪いな川原。相変わらず口が悪くて」
「それよりさっき桜ちゃん走って行ったけどどうかしたの?」
「三上どこに行った?」
「はぇ!?」
三上の顔は真っ赤だ。口をパクパクさせてなにも話せていない。風間さんはため息をつきながら
「はぁ川原とりあえず落ち着け。それとお前の妹は上に走って行ったぞ」
「すいませんまた後で」
俺はそのまま上に走っていく。そして屋上に着くと桜は外を見ていた。
「風邪ひくぞ」
「ほっといて」
「一個だけ聞かせてくれ。なにをそんなに怒ってるんだ?」
「なにをってお兄ちゃんがそれをいうの!?あたしのことなんて考えたこともないくせに」
「どういう?」
「お兄ちゃんのことあたしがどう思ってるかなんて知らないくせに!」
「いやそれは、だって俺たちは」
「本当の兄弟じゃないじゃん!あたしは知ってるんだよ。あたしは養子の子だってことも知ってるんだから」
「な……んでそれを」
確かに今桜が言ったように俺と桜は本当の兄弟じゃない。桜は捨て子だ。たまたま夜遅くに近くで泣いていた子を両親が拾ってきて我が子のように可愛がった。
「お兄ちゃんはなにもわかってないよ。あたしがどれだけお兄ちゃんを想ってるかなんて」
「知らないよ!だって俺は人に裏切られてばっかりだからな」
「っ!」
【パァン!】
その時俺は桜に叩かれていた。そのまま桜は走って行き俺はそれを止めることができず桜はそのまま去って行った。俺はしばらく動くことができず俺は時間だけが過ぎて行き結局綾香に見つけてもらうまでその場にいた。
そのまま家まで送ってもらい帰るとやっぱりいなかった。桜自身金も持っているしなんとでもなるだろう。そう思いベッドに入る。その後綾香から次の試合の相手が来ていたが見た記憶はあるけど内容は覚えていない。
それから1ヶ月ほど経ち俺たちはA級最下位まで落ちてしまった。そのままランク戦は終わりその間のランク戦に一度も桜は顔を出していない。家に帰っても誰もいないのは久しぶりな気がする。いやこれだけいないのは初めてだ。最近はまともに飯も食べてない気もする。いや喉に通らないと言ったほうが正しいと思うけど。
勢い余って飛び出してきたけどどうしよう。もちろんあの時は感情が追いつかなくて言いたい放題言ったけどお兄ちゃんが悪いことなんてことはわかってる。あたしはそこからしばらくネットカフェに泊まることにした。もちろん学校にも家にも帰っていない。風呂にはシャワーがついていたから入っているけど服ばかりはどうにもいかない。
あたしは何着か買ってそこで少しの間過ごした。そんな日が毎日のように続き1ヶ月ほど経った。そろそろお金もなくなり辛くなってきてどうしようと思い街を散策していた。
「君キミ1人?」
「だれ?」
「今からいいことしない?」
「いらない」
「つれないなぁーいいからいいから」
あたしは引っ張られていく。流石に男に力で勝てるとも思ってない。トリガーを使えばあっという間に勝てるけどそれじゃあ迷惑をかけちゃう。
すぐ近くに車があったみたいで鍵を開けてあたしは中に入れられそうになった。
「おい、なにしてんだ?」
声と同時にあたしは引っ張られるのが止まった。声の方向にはかなり怒ってるお兄ちゃんがいた。
「おにい……ちゃん」
「ったく心配かけるな」
「はいはいとりあえず邪魔だからどいてね」
「邪魔はお前だ!」
お兄ちゃんは思いっきり右を振り抜く。するとその男は思いっきり飛んで車にぶつかり気絶した。
「全く心配かけるなよ」
「なんできたの?」
「なんで……か。そうだな桜のいう通り俺と桜は血は繋がってないよ。けどそんなこと関係ないと思ってるしこれからは桜のこと1人の女としてみるよ。もちろん俺は愛情なんて知らないからなんとも言えないけどな」
「〜〜〜〜/////ばかお兄ちゃん」
あたしは胸に顔を埋めてボコボコしばいていた。何も言わないままお兄ちゃんはその状態にしてくれてそのまましばらく時間がたった。周りからの目もあったと思うけど何も言わないでそのままにしてくれた。
はぁ、なんとか間に合った。そこからはいうことを言うとポカポカ殴ってきてそのまま疲れたのか眠り始めた。そのままおんぶをして俺は家に向かって歩き出す。
こいつ昔に比べてずいぶんデカくなったなと思いながら歩き出す。
いろんな部分がでかくなっていると思う。おんぶにしたのは失敗だな。
それに周りの視線もある。周りから見てみるとただ拐ったのか、普通に兄弟なのかで悩んでいるみたいだ。
周りの視線を気にしつつ家に帰り桜を部屋で寝かせる。全く前にもこんなことがあったような。ようなじゃなくてあったな。
まぁ今はどうでもいい。俺はその日久々にゆっくり眠ることができた。
オレンジになってました
かなりショック………
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彼はチーム思いのようだ
忘れられてなければいいんですけど
その日ボーダー内には職業体験にある学校が来ていた。その学校にはある人物もいてボーダー内では噂になっている。
「ごめんね川原くん。つまらないかしら?」
「まぁ、我慢はするよ。今回はほとんどの奴らがいきたいって言ったんだし」
「ありがとう」
そう言ってきたのは俺の担任だ。今回のボーダーの見学は学校側からの打診がありボーダーは納得した上で了承した。ほとんどの奴らがボーダーに見学に行きたいと言って仕舞えば俺1人の言葉で覆せるわけもない。
そしてボーダーに行くと前に新型に殺されかけていた3人が調子に乗って説明を始める。
特に興味はなく話は聞き流す。説明は嵐山さんがしているんだから調子に乗らないでいいと思うのに。
「それじゃあ訓練を試してもらおうかな」
訓練室に入っていく。3分以内に倒せる奴はなかなかいなかった。痛くないと分かっていても怖がってなかなか倒せない。
そんな中3人組は倒していた。1分30秒ほどだけど。
「ハハハこれが実力差だよ」
「たわいない」
「弱いな」
その言葉にクラスの奴らはイライラしていた。けれど実際そいつらだけだった。3分以内に倒せたのは。
「川原倒して見せてくれ」
クラスの奴らが俺に頼んできた。少し見返してやりたいしあの口を塞いで欲しいんだろう。
「川原やるのか?」
「少しだけですけど」
「わかったブースに入ってくれ」
ブースに入りトリガーを纏う。そして刀を抜き目の前にバムスターが出てくる。
そして孤月を投げて終わった。タイムは0.23だ。
「卑怯だぞ!投げるなんて」
「「そーだそーだ」」
「あ、そうなの。それじゃあ。嵐山さんもう一回いいですか?」
「あぁ」
さっきの3人は抜かされたのがよっぽど嫌だったんだろう。そして孤月を鞘に納め開始の合図なる。
その瞬間に飛びバムスターを叩き切った。真ん中から真っ二つだ。
「そんなことできてもA級最下位部隊が偉そうに」
「そーだそーだ。雑魚の寄せ集めのくせに偉そうにすんな」
「ちょっと君たち」
時枝さんが止めに入る。けれどそんなことはもう俺には関係無い。
「時枝さん訓練室一つ貸してください。お前ら入れ。俺にかすり傷でも与えたら俺たちと変わってA級にあげられるように言ってやる。ただ負けたら俺のチームメイト全員に謝れよ」
「よし、乗った」
「甘くみるなよ」
「調子に乗りすぎだ」
なんだか色々言ってくるが正直かすりもしない。ハウンドも全て切ればいいだだし相手にならないと思う。
「戦闘訓練開始」
まずは孤月の奴が突っ込んできて後ろからハウンドが飛んでくる。まぁ定石通りなんだけど話にならない。
俺も突進して孤月のやつを切る。体は半分になりハウンドは避けながら切っていき2人の目の前にくる。
「ヒィ!」
「化け物」
「おいおいまだまだやるんだぞ。なに一回で参ってんだ」
「なにって一回で終わりだろう」
「そんなもんで終わるかよ。まだまだチャンスはあるんだから立て」
そこからは一方的だった。手を切り再生までの間に全身を切る。途中でやめてくれと言ってもやめる気はない。
「ストップだ川原」
「あ?嵐山さん止めるなら許しませんよ」
「ここ以上すると君がA級にいられないぞ」
「っ!わかりました」
この言葉はやばいと思ったんだろう。川原は攻撃を止める。しかし3人の生意気な生徒は震えながら立てない。よほど怖かったんだろう。この3人はもう無理かもしれないなと思う嵐山。
しかもかなり怖かったようでトリオン体を解除してからも全く動けていない。
無線で職員を呼び3人を運んでもらう。この3人のことはなんとかすると先生に伝えて次のコースに回ってそこからは見学だ。
学校の中にはボーダーを受けたが合格しなかった子もいたらしく川原にいろいろと言っているのが見える。
なんとか見学を終えそのまま学校に帰って行くが川原はそのまま防衛任務があったので防衛任務に向かって歩き出したのだった。
「たいちょー見たよ。ありがと」
「なにが?」
「あれのことですよ。職業見学」
「あ、あれね。まさか見られてたとは。恥ずかしい」
「もー何が恥ずかしいの?いいじゃんお兄ちゃんは悪いことをしたと思ってないんでしょ」
「まぁ、な」
「ならいいじゃん」
桜に真琴、綾香にまで言われた新一はそれ以上何も言わない。恥ずかしかったことだしななるべく触れてほしくないと言うのが現状なのだ。
そしていつも通りの毎日が始まるのだ。
3人は防衛任務に向かう。綾香はサポートなのだ。
まぁオペレーターなのだからしょうがないと割り切っていても4人から急に1人になるこの感じは慣れないものだと思う綾香。
そしてパソコンに向き合い始めてオペレーターとしての仕事に全うするのだった。
防衛任務といっても忙しい日と忙しくない日がある。そして今日は極め付けに忙しい日のようだ。次から次へと門が開いていく。
「あーもーなんなの今日は。やたら多くない!」
「文句言ってる暇はなさそうだぞ。また開いた」
「またぁ!?」
これだけですでに10回以上門が開いている。その度に5体以上の近界民が来ているのだ。それはかなり多い数でありイライラしている真琴もわかる気がすると倒しながら思った新一。桜は何も言わずにアステロイドを放ち粉々にしていく。
そして18時をまわった瞬間に急に門が開くことはなくなりそこからは3人とも座りながら話していた。
「代わるぞ川原」
「風間さんですか。なら安心だ」
「どういう意味だ?」
「今日は門が開く数が明らかに多いです。気をつけてください」
「了解した」
そういい川原隊のメンバーは帰っていく。3人とも疲れた様子をして帰っていったからかなりの数の近界民を相手にしたんだろうと思う歌川。
しかし自分たちが防衛任務に着くとそれはいつも通りの数だったのだ。
特に何も考えることなく防衛任務をこなした風間隊だったのだった。
隊室に着くなりソファに倒れ込む真琴と桜。かなりの数を倒したので疲れているんだろう。もっともトリオン体ではなかなか疲れを感じることはないので精神的に疲れたんだろう。
綾香と2人で台所に立つ。そしてお湯を沸かしてあるものを入れていく。それを悟ったのかお湯を入れた後に蒸らす綾香。
「ふふ、やっぱりこれを入れるんだね」
「まぁな。けど持ってきてくれてるのは綾香だろ」
「まぁ家の人間で飲むのいないし。だんだん溜まっていく一方だからね。だから美味しそうに飲んでくれるこっちに持ってくるの」
この隊室のほとんどがあやがが持ってきてくれたものだ。本人曰く要らないものばかりらしいが高いものが多い。
綾香の家はボーダーに出資している会社の中でもトップクラスなのだ。それは唯我の家と同等ということ。
しかし違う点は唯我みたいに自惚れていないところだ。いや自惚れているのは言葉が悪いと思う調子に乗っていないと言った方が正しい。
「できたよ」
「それじゃあ持っていくか」
ほんの少しの距離だから2つずつ持っていく。2人ともよほど疲れ切っていたのか全く動く気配がない。机の上に置き別のソファーに座ってから入れたものを飲む。
「なんかいい匂いする」
「なにこれ?」
「ハーブティーだよ。落ち着くかなって思って。2人とも疲れてるみたいだったし疲労回復にも効くから」
「ありがと綾香。たいちょー」
「ありがとうございます綾香さん」
絢香は嬉しそうに微笑んでハーブティーに口をつける。そして落ち着いたところで次の話だ。
「実は三雲がうちに来るらしい」
「え!?」
「あいつ?」
「あの人か」
そういうと三者三様の反応を示す。綾香は特に嫌な感じはしない。桜に関しても前に助けてもらっているからそこまで嫌な反応は見せていない。しかし真琴に限って言えばすごい嫌そうな顔をする。
「どうした?真琴なんでそんな顔なんだ?」
「逆になんでみんなは普通にしてるの!?」
「どういう意味なの真琴」
「あいつは好かないんだよ!だってあいつ助けてもらえるのが普通と思ってるじゃん。一体何様なの。私はそんなこと!」
「真琴!」
綾香が叫んだ瞬間に真琴は体を震わせる。それは桜には聞かせたくないことだったんだろう。
桜は頭を悩ませる。しかし真琴の言うこともわかっている。
「真琴今回限りにするから。ただ第一声がお願いで、それがわかる形のものだったら考えてくれ」
「……っむ!わかった」
真琴は渋々と言った感じに納得した。ただ言葉にしたことは曲げないので納得してくれるだろう。
俺は棚からお菓子を出して広げる。そして場を変えるのに大変だったのだった。
評価や感想欲しいです
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彼はきつい現実を教え込む
そして三雲がくる日。隊室の雰囲気はあまりよろしくない。というか真琴が1人で嫌なオーラを出しまくっている。
「真琴」
「はーい。私寝転んでるから」
そういいソファーで寝転ぶ真琴。少しすると隊室のドアがなる。それを除くと三雲が来ていたのだ。
「や、きたな三雲」
「川原さん。今日はありがとうございます」
「いやいや烏丸に頼まれたからな。それに俺自身も借りがあるし」
そういいお茶を入れて三雲が渡してくれたどら焼きを食べる。そして話を聞き始める。シューターとしての戦いを教えてほしいとのことだ。
「それでなんでお前はそんなことを?」
「僕自身が強くなろうとして以前に失敗しました。けど木虎に教えてもらったんです。僕は自分のことに意識しすぎていた。だからこそ周りのことを強くすればうちのチームはもっと強くなれるって。僕が今すぐ強くなる必要はないんだって」
「はーあの木虎がね。まともなことを言ってる」
それは想定外だった。木虎はなかなかにプライドが高い。だからこそ三雲に教えるなんてことをするとは思ってもいなかった。
「それで何を教えて欲しい」
「シューターとしての闘い方を教えてください」
三雲は席を立ち上がり頭を下げてくる。その姿を見て教える気になったのか寝転んでいた真琴も座っている。
「それじゃあ模擬戦をしよう。そこから感じ取ってくれ」
「はい!!」
「真琴、桜相手をしてくれ。三雲は俺とペアだ。それじゃあよろしく」
「はーい」
「……」
「真琴たちが勝ったらなんでもいうことを聞いてやろう」
「よし!本気でやるよ。桜ちゃん」
「了解です」
「はぁ──────────」
とんでもなく長い綾香のため息が聞こえる。そして特殊なルールの説明だ。
「それじゃあ特殊なルールの説明だ。使っていいのはシューターの弾とシールドのみ。三雲はレイガストもOKな。元々レイガストを盾として使うシューターのようだし」
「了解。それなら合成弾は?」
「今回はなしだ。あくまでも三雲の訓練だから。そして判定は綾香に任せる。ベイルアウトクラスならすぐに説明してくれ。それじゃあ10分後に始めるからなー」
「はーい」
「「了解」」
三雲と部屋を出る。あくまでも今回は三雲の練習なのだ。合成弾なんて使うとレイガストがすぐに割れてしまう。まぁもっとも2人のフルアタックを喰らえばそれどころではないんだけど。
「川原さん。それでどうするんですか?」
「そうだなぁ。とりあえずテキトーだな。俺が合わせるから三雲は好き勝手に動いてくれ」
「なぁ!」
「そんじゃ行こうか」
三雲はふと思った。なんでこんなにも適当な人がA級部隊の隊長なんだろう。これならまだ自分の方がマシな作戦を立てられると思いながら部屋に入って戦闘の準備をする。
「それじゃあ始めるか」
「3・2・1始め!」
綾香のカウントで撃ち合いが始まる。そしてまともに打ち合えたのは最初だけ。
トリオン合計でも負けてる俺たちが勝てる通りはなくすぐに隠れることになった。
「三雲次俺がフルアタックしたら一瞬カバーに入ってくれ。レイガストで俺の前に来てくれ。そしたら勝ちだ」
「??わかりました」
そしてフルアタックを仕掛ける。その瞬間にメガネくんの後ろに逃げるようにして遠くからアステロイドを放った。
2人はハウンドでレイガストを縫うように攻撃しようとしたので俺は放ったアステロイドに追従するように三雲を抱えて走った。
ハウンドとアステロイドでは誘導半径がある分アステロイドの方が早い。そしてそれはシールドで防がれる。
しかしもう一度同じように放つ。
「これが今回のヒントだ三雲」
「え?」
俺が放ったアステロイド?は2人の真横まで進んで曲がってトリオン体を破壊する。そう最後に放ったのはハウンドなのだ。
アステロイドを放ちフルアタックで2人と撃ち合っていたのは最後の一撃もシールドを前に出させるためにギリギリまで曲げなかったのだ。
「だぁーやられた」
「あれハウンドか。騙された」
「あれってどういうことなんですか?」
「ん?そもそもハウンドは知ってるよな?」
「はい」
「ハウンドの性能はそもそも追尾の強弱で曲がるように使っている人が多いんだ。ならその追尾性能を切ったら?」
「!真っ直ぐに進む」
「そういうこと」
「そしてこれに関しては俺がやるより三雲の方がいいんだ」
「どういうことですか?」
「悪い言い方だけど三雲はトリオンが少ない。だからこそアステロイドとハウンドの差がわかりにくいんだ。トリオンが多いやつに限ってハウンドとアステロイドの差がもろに出るから」
「なるほど」
隊室に戻ると真琴が不貞腐れてソファーで寝転んでいる。
「これは?」
「あー隊長に負けたのが相当効いたらしくて。言うことを聞いてもらうつもりだったのにって」
「はぁ、まぁとりあえず三雲そういうことだから」
「はい、今日はありがとうございました」
そして三雲が部屋を出る直前隊室に客がやってきて綾香は何も言わずに開ける。そして見た瞬間に俺は逃げてしまったのだ。
「川原!アタシと勝負しなさい。修には修行をつけたんでしょ。ついでに勝負よ」
「ついでってなんだよ。っていうかなんでこっちにいるんだ!」
2人はドタバタしながら隊室で追いかけ合いをする。そう来たのは玉狛第一エースアタッカー小南だったのだ。
小南は元アタッカーランキング1位しかし川原にはほとんど勝てなかったのだ。ランク戦に参加していない今でもそのことを根に持っているので何かあるたびに川原に勝負を挑んでは勝ち数がそこまで先行しない。
「だぁーもうわかったわかったから。ただ5本だけな」
「そうこなくっちゃ」
「あ、そうだ三雲。さっき言ったことはまだやらない方がいいぞ。今のお前じゃはっきり言って力不足だ。だからこそギリギリまで隠しとけ」
「はい……」
三雲にそういう川原。それは三雲にとってもわかっていたことを現実として突きつけられた気分なのだ。そんなことを言われては流石にショックだったのだ。
「ちょっと修に何言ってんのよ」
「事実だ。ただヒントもあげたけどな。それを気づけないならこれから先は無理だな」
小南はさっき川原が言っていた言葉を思い出す。それでもさっぱりわからないため勝負をすることにしたのだった。
評価くださいっていうとだんだん落ちていくので感想欲しいです
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彼は頼み事をされると断れない
三雲に特訓をした後5本だけと言ったが結局小南との試合はそれだけでは終わらなかった。初めに勝ってしまったために結局20本ほどやってしまった。
途中から綾香や真琴はお茶までし始める始末。まるで助ける気なんてまるでないという感じだ。
「なんでお前ら助けてくれなかったんだよ」
「新一なら勝つでしょ」
「そうそうたいちょーなら勝つってわかってたし」
「本音は?」
「絡まれるとめんどくさいと思いました」
「同じく」
こいつらなんて奴らだ。隊長が苦しんでるのに見てるいるだけとは。
まぁ実際久々にアタッカーとして練習もできたからいいんだけども。ここ最近はシューターとしての方が多くなかなかアタッカーとしての練習が取れていなかったのだ。
「それじゃあちょっと出てくるわ」
「はーい」
そこから新一は隊室を出る。しばらく歩いていく。本部は無駄に広いからソロランク戦までいくのも一苦労だ。
そこまでいくとひとまず安心なのだがそれまでに捕まってしまうとややこしくなる。それに年上だとなお断りにくい。
「あら、川原くん」
「羽矢、久々に見た気がする」
「久しぶりね。あなた大丈夫なの?」
「なにが?」
「少し前のランク戦の話よ」
その言葉で意味がわかった。前のシーズン、つまり最近の試合ではほとんど動いていない。むしろ殺されるまでほとんどなにもしなかったのだ。
「まぁ大丈夫だよ。心配かけたな」
「心配なんてしてないわ!」
羽矢は体を逆の方に向けて顔を背ける。今こんな顔を見られたくないのだ。
今は自分の顔は多分赤くなっている。すぐにトリガーを起動して元の方向に向き直す羽矢。
「それでどこにいくの?」
「ソロランク戦。羽矢は?」
「隊室に戻るのよ」
「なら送ってからいくよ」
「いいわよ」
「いいから。それじゃあいくぞ」
そこから羽矢と2人で歩いていく。俺と羽矢は幼馴染なのだ。昔から一つ上の羽矢にはなにしても敵わなかったがボーダーに入ってからは勝てる部分も出てきた。
しかしここ最近は2人とも忙しかったのかなかなか会えなかったのだ。それに幼馴染と言っても今は全く違う場所に住んでいるからというのもある。
そして王子隊の隊室前について羽矢と別れてからランク戦に向かう。めぼしい相手がいたらいいんだけども。
ランク戦会場は色々と騒がしくなっていた。何かと思って見ていると迅さんと太刀川さんが戦っている。その戦いを見るC級隊員。C級にとっては上手い人の闘い方は見るだけでも価値がある代物なのだ。そんな中新一の目当てのものは見つからず結局捕まってしまうのだった。
「川原くん少し付き合ってくれるかしら?」
「いやです」
「あら、そう。なら力ずくでも連れていくしかないわね」
「捕まるとでも?」
そう思い後ろに少し下がるとアイコンタクトをしていたのか黒江に捕まる。俺のサイドエフェクトの厄介なところで片方に集中しすぎると見えていても反応できなくなる。目の前の加古さんに集中しすぎたのだ。それに振り解こうにも解けない。
2人ともそれは想定内だったようで私服のままトリオン体みたいだ。生身の俺では力が勝てるわけがない。
そして2人がかりでずるずると新一を引きずっていく。目的は自分たちの隊室にいくことなのだ。
「それでなんのようなんです?」
「双葉の勉強を見てあげて欲しいのよ」
「へ?」
「だから双葉の勉強を見てあげて欲しいのよ」
「あ、なんだそれだけなんですね。了解です」
加古さんはそれだけ伝えて出て行く。黒江と2人きりになって勉強を進めて行く。黒江ははっきりいうとそこまで頭が良くない。しかし本人にやる気があるならなんとかなると思う。
勉強を教えて行くうちに疲れてきたのかだんだんと問題が解けなくなってきていた。
時計を見てみるとここにきたのが2時過ぎなのにもうすでに5時前になっている。
「今日は終わりだ」
「でも」
「頭が回ってないから終わり。だから飯前だけど白玉あんみつでも食べに行くか」
「!!」
その瞬間に黒江の顔色が変わる。黒江自身新一に白玉あんみつが好きなことは一度しか行ったことしかない。それも話の流れでだ。それを覚えていてくれたこと。
そして何より疲れているのは確かで甘いものが欲しかったのだ。すぐに荷物を片付けて部屋を出る。そして2人であんみつを食べに行ったのだ。
黒江とのあんみつを食べ終わった新一。その後家に帰る途中自身のサイドエフェクトには引っ掛からなかったが嫌な感じがした。何かと周りを見てみるが何もない。
そしてこの時感じた新一の違和感というか嫌な感じは後々にわかることになるのだった。
評価欲しいって言ったらめっちゃ下がってた
モチベーションが下がる〜
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彼らボーダー隊員は備える
ふぅ、危ない危ない。あれがアフトからの連絡にあった子か。ずいぶんかっこいい子だと思うけどそんなに危険には感じなかったかな。とりあえず戻って隊長の指示を仰ごうかな。
そう考えたその人物は一度帰る。そして今回の遠征のメンバーがそこでゆっくりしている。
「お疲れ様ー」
「それでどう?玄界は?」
「アフトから言われてた子見つけたよ。かなりかっこよかった。隊長も好みだと思う」
「そっちじゃなくて!」
「あーそれならかなり強いと思う。あの子見た感じ何かしらのサイドエフェクトを持ってると思う。ワタシにも気づいたし」
「ならやっぱりやるしかないね。ここにいる人数は六人。そのうち半分が相手しないといけないけど」
「うん、アフトからのこのトリガーが本当に役にたつかはわからないけど」
そういいその人物は隊長の顔を見る。隊長と言われた女はトリガーを見る。このトリガーは聞いた話によると玄界のあるトリガーを封殺できるらしいけどそんなものでここ数年で規模が大きくなった玄界に勝てるとは思えないんだけど。今回の遠征にはうちの国ガーデンブルグの精鋭が集まっている。
黒トリガー3人までなら勝てる戦力だ。それでも今の玄界には勝てる気はしないけど。
「隊長、どうする?」
「とりあえずそろそろ攻め込もうか。ただ今回は街を狙うのはなし。アフトからの命令は天羽々矢を取り返すことだからね」
「それうちがもらえないの?」
「アフトから攻められたらうちでも勝てない。それに玄界の恨みは買いたくないからね」
「了解」
そういい彼女たちは出撃の準備をする。
黒江とのあんみつを食べた次の日背中の悪寒が止まらない。そして少しすると本部からの連絡が入る。なんでも緊急の会議らしい。呼ばれているのはA級の隊長、迅さん、それに二宮さん、東さんらしい。
とりあえず服を着替えてボーダー本部に向かう。歩いて行くとかなり距離があるために少し時間がかかってしまう。
トリガーを起動していこうかと思ったがその必要はなくなった。
すぐにレイジさんと出会って拾っていってくれたのだ。そして呼ばれた部屋に行くとすでにちらほら隊長たちがいる。
そこから適当に座る。そしてレイジさんたちも適当に座り全員が集まって会議が始まって行く。会議の内容は本日中にでもあると予想される近界民の侵攻である。
ガロプラと乱星国家ガーデンブルグらしい。この乱星国家はアフトの支配下にありながらアフトと同じぐらいの力を持ってるという。それはつまりあれだけのしんこうをしてきてもおかしくないということだ。
しかし司令が迅さんを見ても何も言わない。つまり迅さんの見ている未来では民間人には被害が出ないということだ。
「それじゃあ今回の狙いはなんなんです?」
「それがわからん」
「まぁなんでもいいじゃないですか。敵は倒すだけでしょ」
川原はそういう。しかしその言葉に反応したのは迅だった。未来予知のサイドエフェクトを持っている迅。そのサイドエフェクトで見えたものを防ぐのはかなり難しい。なにせ川原自身黒トリガーを持っていてそれを起動した時には今の本部で勝てる奴はいないだろうと思っていたのだ。
そのことを伝えようか悩んでいると嵐山が寄って行く。もうすでに会議は終わっていて話しかけてくる。
「迅、どうした?川原くんを見て」
「嵐山。川原が負けると思うか?」
「どうだろうな。ただ黒トリガーを使った時の彼には勝てる奴はいないと思うぞ」
「だよな〜」
嵐山の意見に納得する迅。しかしその顔色はあまりよろしくなかった。それに気づいた嵐山は迅を連れて別の部屋で話を聞くことになっていたのだ。それを知ってるいるのは最後まで部屋にいた忍田さんだけだったのだった。
会議が終わり隊室に戻る。なんでもA級隊員、そしてB級中位以上でランク戦がない隊員全員はボーダー本部にいるらしい。なにせ今回の戦闘はできるだけ秘密裏に行いたいとのことなのでかなりの人数で攻めるようだ。
「お疲れ〜」
「はぁ、やっぱり隊長って嫌だわ。綾香変わらない?」
「嫌。私たちは新一がいいと思って言ってるんだから」
「わかったよ。だからそのオーラしまって」
ちょっと疲れたはずみでつい言ってしまった。綾香は自身が隊長になるのを嫌っている。正確には嫌っているわけではなく自分よりも新一にやって欲しいと言ったのだ。それがこの時2人で始まったチームの約束だったのだ。
「悪かったよ」
「わかったならいいよ。私も言いすぎた」
「俺が悪かったよ」
「あはは、2人とも始めた時みたいだよ」
真琴は笑いながらそういう。実際に2人の始めた時を知るものはこのチームにはいない。しかし真琴が知っているのは自身が部隊に入ってからなのだ。入った時にはすでにB級2位までいて後はA級に挑戦するだけだっだのだ。
その時に真琴が入ることによってA級への挑戦で勝つことができたのだ。
「それでなんの話だったの?私たちまで本部に呼び出されるなんて」
「また侵攻があるんだって。けど今回は誰にもバレないぐらいにしたいらしいんだとさ」
「それ難しくない?」
「たしかに。昼なら門が開いたらわかるから来たのもバレないなら夜にしないと」
「それもそうだ。とりあえずはゆっくりしておこう。何かあってからじゃないと動けない」
「「了解」」
「はーい」
うちの隊はこれでいい。何かあったら責任を取るのは俺の役目なのだ。だからこそ誰になんと言われようともこのトリガーを使うつもりだ。
そう思って首にかかっているネックレス型のトリガーに雨羽々矢に触れたのだった。
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彼女たちは彼のことを信頼している
その日の夜いよいよやってきた乱星国家ガーデンブルグ。その数は凄まじく前の大規模侵攻に引けを取らない。
しかし何を思ったのか全く市街地を狙わない。ボーダー本部に近づいてやってきている。
本部内では各隊ごとに分かれて指揮を取るがそれは無意味だとすぐにわかった。四方向から攻めてきているのだ。しかもそのほとんどがラービットだった。
「各隊北に太刀川、南に玉狛第一、東に川原、西に風間隊に分かれて迎撃せよ。各B級部隊はそれぞれに分かれて撃破。残りのA級部隊はそれぞれ間から時計回りに回って側面からの攻撃だ」
忍田さんからの指示が来たので出撃する。たしかにこの数のラービットはやばい。ただでさえ一体一体が強いラービット。それに加えてこの数だ。
「これはやばいね」
「まぁ基地にぶつけなきゃいいだろ。ちなみに音を立てないためにメテオラ、ダメらしいから」
「マジ?」
「マジ」
真琴の問いに応える新一。実際本当にダメと言われいるのだ。
「なら
「了解です」
2人は納得する。そしてB級の部隊がやってくる。来たのは香取隊、那須隊だった。
「香取は俺と突撃。くまくまはそのサポートをよろしく。那須、桜、真琴は後ろからの攻撃。若宮と三浦はサポート組の援護。サポート組は空に飛んでるのを叩き落とすこと」
「「「「「「了解!」」」」」」
香取と突っ込む。この天才肌は放っておいてもいいんだけど今回ばかりは放って置けない。
「綾香、この区画どれぐらいいる。視覚にうつしてくれる?」
「了解」
映し出されたのはかなりの数のトリオン兵。これは骨が折れそうだ。
「ちょっとどうするの?」
「わかったわかったから。香取は突っ込んでいいよ。サポートする」
「了解」
香取は何も言わない。それは自身より川原のほうがはるかに上だとわかっているから。そうして自身が突っ込むが相変わらず川原は的確なタイミングでサポートしてくれる。
「全員集まれ!」
川原のその一言に全員が集まる。それぞれ不思議な態度をとるがそれ以上は何も言わない。しかし全員が空を見てみるとその時何かの光の膜みたいなのが張られた。
「これはまさか?」
「たいちょー何かわかるの?」
「あくまでも予感だけど最悪の事態かもしれない」
「だからなんなのよ」
「これもしかしたらベイルアウトを不可能にするものかもしれない」
川原の一言に全員に戦慄が走る。しかし災難というものは畳み掛けてやってくるものだ。
「そのとーり。玄界のそれはめんどいから封じさせてもらったよ」
「ちょっとちょっと。私もいるよー」
「なんでそんなにでしゃばってるのさ」
川原たちの前に来たのは人型ネイバーが3人なのだ。その3人の女はそれぞれしゃべるが川原たちは細胞の全てを尖らせる。それほどまでに目の前に来た3人の人型は強いオーラを纏っている。
「全員引け。そして北に向かえ」
「あんたはどうすんのよ」
「トリガーオフ、雨之羽矢起動」
その言葉と同時に目の前にマントに目の前にはスコープが現れる。
「な、何よその姿」
「香取また後で話す。今は引け。花さん敵を攻撃しながら北の部隊と合流させてくれ!綾香はサポート。ベイルアウトができない今倒れないことが最優先だ」
「ならたいちょーと」
「わかってるだろ。本気でやる」
その一言で同じ隊の真琴と桜は納得いっていない奴らを抱えてその場を離れる。それを見逃すはずがない人型ネイバー。
しかし追いかけさせまいと弓を放った。
「あいつらを追いかけたきゃ俺を倒してから行くんだな」
「何こいつ」
「生意気」
「2人とも忘れてない。今回の目的」
「「あー!!」」
その途端に2人の目の色が変わる。なぜか嫌な予感がする。
「この子だったね。それにしてもイケメンだなぁ」
「ほんとほんと。連れて帰る?」
「んーとりあえず抵抗できないように痛めつけよう」
何気にしている会話でも恐ろしくなるような内容なのだ。こうして俺と人型ネイバーの対決が始まったのだった。
川原が単独で戦いはじめた頃加古隊は北側から確実に敵を倒しながら東側に向かう。そして東側に着く直前空の上に膜のようなものが貼られてそれに気づいた加古。
早く合流しようと急ぐ加古と黒江。
「黒江急ぐわよ」
「はい」
2人は所々倒しながらいく。隊長としての本能か、はたまたただの勘か。
しかしその判断間違っていなかったのだ。周りに他のA級部隊がいればの話だが。
「黒江止まって!」
その言葉に反応するように止まる黒江。止まったところの前に何かがぶつかる。
今走っていたら間違いなくそれにぶつかっていたのだ。
「あいたー。これやばいよ」
「っ!」
「それにしても判断が遅い」
黒江が飛び退き離れようとしたけどすでに遅かった。首を掴まれてそのままトリオン体を破壊される。
しかしここであることが起こる。ベイルアウトせずに黒江の体はまだそこにあるのだ。
「さてあなたには2つの選択肢があります。このまま引くか。それとも私のいうことを聞いてくれるか」
その言葉を放つ人型ネイバー。実質加古にとっては選択肢は一つしかない。
素直に従うように素振りを見せるとすぐにトリオン体が破壊された。
「さてあなたにはそのままいてもらいましょう。そして捕まっているあなたには人質になってもらいます」
「人質?」
「あなたは今回の目的である人間と仲が良さそうでしたので」
その言葉は黒江の中にある血を引かせた。それは川原先輩のことを言っているのだとわかったからだ。
「さて呼んでもらいましょうか」
「嫌」
「なら死んでもらいます」
「黒江!」
加古が叫んだが状況は変わらない。黒江の首に向けて刃が振り下ろされたのだった。黒江は心の中である人の助けを待つ。そして首に当たる直前に黒江の願いは叶ったのだった。
「狙うのはテメェの首だぁぁぁぁぁあ」
黒江だけを守り人型ネイバーを蹴り飛ばす。この状況で2人が誰よりも助けを求めた人物がそこにいたのだ。
「加古さん、黒江すぐに捕まって。逃げる」
「了解」
「はい!」
黒江を背負い加古さんを担ぐ。右手だけは開けたまま飛びながら本部を目指す。
「ごめんなさい手を煩わせて」
「詫びは後。舌噛みますよ」
「それにしても川原先輩このトリガーは?」
「また後で話す」
その瞬間川原が逃げながら相手にしてきた3人の人型が追いかける。川原は2人がいるために無理な動きはできない。トリオンを弓に流し飛んでくる攻撃全てを弾き飛ばす。
弾き飛ばせないものはアフト特製のシールドで防ぐ。アフトのシールドはかなり性能いいから大概の攻撃なら防げる。
「ちょっとスピード上げます。ここからは喋らないでください」
そのまま屋根の上を走っていく。その間に綾香との通信を行う。
《本部は入れそうか?》
《うん。問題無いよ》
《なら悪いけど屋上まで来てくれ。トリオン体で》
《?なんかあったの》
《加古さんたち抱えてるから攻撃できないんだよ》
《了解》
綾香との通信を切りなんとか基地の前まで着く。しかしどうやって上まで行こうか。
作戦1 飛んで基地の上を目指す。途中で落ちるのが目に見えてるからなし
作戦2 放った矢に飛び乗り上を目指す。飛び乗った瞬間にトリオン体が破壊されるからなし。
作戦3 ノーマルトリガーに変えてグラスホッパーで上まで飛んでいく。上まで行ってる間に攻撃されたらとても防ぎ切れる気がしないのでなし。
作戦4 ここでトラッパーが来るまで全員迎え撃つ。まだ勝てる要素があるかもしれないからこれにしよう。
「加古さん黒江、これを被ってて」
そういいアフトのマントを外して2人に被せる。これ地味に固いから防いでくれるだろう。そう願いながら2人に被せる。さてなんとか防ぐか。そう思い先手必勝と思い誰もいない空に向けて矢を放ったのだった。
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あと加古隊を扱い雑にしてすいません
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彼は自身の限界を越えていく
内容はちょっとグダグダかな〜と思ってますがこれからやるオリ回に繋げるためなのでよろしくお願いします
加古たちが新一に守られる状況で迎え撃つ人型ネイバー今は1人だが先に俺が相手にしていた3人がいつくるかもわからない状況。
加古さんたちはすでにトリオン体を破壊されているために少しの傷もつけられない。
「えっぐ、川原せんぱぁい」
「ちょっと!?黒江?」
「黒江どうした?いやこんな質問するだけヤボか」
「ひっく、うぇえええん」
新一はそのまま黒江を抱きしめる。黒江は今本当の意味で死と隣り合わせになったのだ。その恐怖が出てきているのだろう。
それにその本人が目の前にいるのだから。
「加古さん、黒江は抱き抱えときます。だからそこを絶対に動かないでください」
「え、ええ。わかったわ」
黒江を片手で抱いている状態で弓で攻撃を受け流して行く。サイドエフェクトもフルで使っていていつオーバーヒートを起こしてもしょうがない状況なのだ。
本当なら頭の処理が間に合う様に5m間隔なのだが強引に間隔を上げているのだ。
15mに引き上げ攻撃を全て見ている。
しかしそんなことは長くは続かない。他の増援もあり捌くので限界だ。相手は4人に増えたが1人全く攻撃をせず見ているだけだ。
そしてその時はやってきた。トリオン体が崩れたのだ。破壊されたではなく崩れた。この事実に新一は驚きを隠せていないがトリオン体はもう出せないことが本能的にわかっている。
そこからは素手で受け流すが間に合わなかったり、受け流せても手の皮膚が抉れて行く。
「川原先輩」
「黒江心配すんな。必ず守るから」
新一が何気無く放った一言はある人物を動かしたのだ。
「あの人なら」
そういい自身のトリガーを出す。その状況に他の仲間たちは驚きを隠せない。ある事件以降その女はトリガーを隠していたのだ。それでも確かな観察眼で遠征部隊に選ばれ続けているのだ。
「とうとうやる気になったのね」
「あんたがいてくれたらすぐに終わるわ」
「残念、あなたたちの味方をするつもりはないわ」
「え?」
すると1人は真っ二つに切られてもう1人はなんとか防いでいた。残りの1人は俺に攻撃していたために攻撃範囲にいなかったために当たらなかった。
「ねぇ、そこの君私の質問に答えてね」
「あ、あぁ」
「もし君の部下に近民界の奴がいたらどうする?処分しろって言われたら」
「……どう答えていいのかはわからないがもし俺の部下にいるならたとえこの世界の全てを敵にしても守るよ。なにせ俺を選んでくれたんだからな」
「うん、合格。君たちは私が守るよ。そのままいてね。後服を破ってでも血を抑えといて。そのままだと死ぬから」
「わかったけどなんで?」
「君ならいいと思ったから……かな」
「わかった!とりあえずなんのことかわからないけど頼んだ」
「了解」
そこからは一方的だった。黒江と加古さんをを庇っていたとはいえ手こずった相手なのにたったの二振りで終わってしまったのだ。
「あーしんど。久々のトリガーは疲れるよ」
「とりあえず助かったよ。お前のな……まえ……」
そのまま新一は前のめりに倒れて行くのだった。
そして目が覚めた新一。すぐにカレンダーを確認すると1週間は経っていた。そして体を上げると体が痛む。足と手の痛みが特にひどい。
「ここは?」
「あー病院だ。悪いな起きて早々なんだが聞きたいことがあるんだがな」
「林道さん」
「それはこいつについてだ」
タブレットにて映し出されたのはあの時俺たちを助けてくれた近界民だ。そこには手錠をされ監視されている様子だ。
「そいつについてはわかりません、けど!」
「わかってる。だから今からこっちにきてもらう」
林道さんはどこかに電話をして少しすると飲み物を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「きにすんな。お前の今回の戦功褒賞聞くか?」
「まぁ一応」
「特級だよ。それとこれは俺自身が聞きたいんだけどあの女の子のトリガーはなんなんだ?」
「それは俺が聞きたいですよ」
すると病室の扉が開く。そこには忍田本部長とあの時の近界民がいた。そいつは普通の顔で入ってきたのだが俺を見た途端に顔色が変わる。
「君怪我は無事なの?」
「あぁ、お前のおかげでな」
「それで君に頼みがあるんだけどこれなんとかしてくれない?」
そう言いながら手の手錠を俺に見せてくる。それを見た林道さんと忍田本部長は悩みながら俺を見てくる。しかし決まっていたのだ。
「忍田さん手錠外してください。トリガーも返していいです」
「しかし川原君それは」
「こいつの責任は俺が取ります」
「わかった」
そうして手錠を外しトリガーを渡す。
「トリガーオン」
その一言に病室内に一気に緊張が走る。さっきまでは敵対心はなかったのに一気に増えたのだ。
「お前」
「やれやれあたしのトリガーはこれ」
「へ?」
そういう刀を一本見せる。それはなんの変哲もない刀。それだけであの連中に勝てるわけがないと思う新一。
「これにはなにが?」
「流石に鋭いね。これは刀であって刀じゃないんだよ」
「は?」
「んー実物見せたいんだけどどっか振り回せるとこない?流石にここで振り回しちゃダメでしょ」
新一は顔を忍田本部長に向ける。3人はすぐに出ていけても俺の場合は病院からの許可をもらわないといけないのだ。
忍田本部長は出ていき少しすると戻ってきた。
「車椅子でなら構わないそうだ」
「わかりました。それなら本部へ行きますか」
俺は車椅子に乗ると近界民が押してくれる。忍田さんと林道さんは先に行っているそうだ。
「そうだ。名前教えてくれよ」
「そうね。あたしの名前はサティだよ」
「そうか。サティはなんで俺に力を貸してくれたんだ?自分の国を裏切ってまで」
「あたしはあの国に対してなにも思ってない。それにあなたのあの時の言葉に痺れたからかな」
「はぁ?それってどういう意味だよ」
「あなたならあたしを守ってくれそうだったから……かな」
車椅子で押されながら意味不明なことを言われて頭の中がこんがらがる。
戦闘において新一は頭の回転が早いが決して頭がいいというわけではない。しかもあの時は血を流しすぎていてよく覚えていないのだ。
「ついたよ」
「そうだな。それじゃあ入ろうか」
こうして2人は本部の中に入って行くのだった。またその裏では病室では大きな声で叫んでいた人物が居たことも知る由はなかったのだった。
黒江の扱いが雑ですいません
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