魔法少女すみか☆マギカ (無名)
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第1話

「んー……ふはぁ……」

 

いつも通り、6時に起きた()は、カーテンを開けて軽く体を伸ばした。

この()の柔らかい体は、どこまでも伸びて天井まで届きそうで……って、え?俺とか女ってどういうことだって?

 

俺はズバリ……転・生・者なんだ!!

しかも、転生先は割とお金持ち!!

 

だが、ここ13年と少しで、この世界の恐ろしい事実を知ってしまった……。

それは、呪いを振りまき人々を絶望に陥れる『魔女』という存在が居て、それを退治する希望の存在『魔法少女』という存在もあること。

 

それに気づいたとき、俺はこう思った……『魔法少女まどか☆マギカ』の世界に転生してしまった、と……。

 

 

今日は4月4日、これから俺が通うことになる『見滝原中学校』の始業式の日である。

見滝原中学校は、前述の『魔法少女まどか☆マギカ』において、主人公たちが通う重要な建物である。

そこに転校すると聞いたときは、相当嫌がった。それはもう赤ん坊のように。

 

 

 

一限目の始業式が終わった後、二限目で教室に入ることが決まっている。

今は職員室で待機している状態だ。

 

一限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。二限目が始まる前に、教室に着くといいのだが……ここから教室まではかなり離れている。急ぎ足で間に合うかどうか……。

 

 

「ゆで卵は、固茹でですか?それとも半熟ですか?はい、中沢くん!」

 

「えっ、えっと……どっちでも……いいんじゃないかと……」

 

「そうです!どっちでもよろしい!たかが卵の茹で時間なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」

「女子のみなさんは、卵の茹で時間なんかにこだわる男とは交際しないように!男子のみなさんは、卵の茹で時間にケチをつけるような大人にならないこと!」

 

はぁ……早乙女先生、卵に何か因縁あるんですか……?

というか、あれ?そういうことって朝礼で言わない?始業式で朝礼する時間もなかった?

 

「はい、あとそれから……今日はみなさんに、転校生を紹介します」

 

早乙女先生の言葉に合わせて、スタスタと教壇の前に移動する。

 

「はい、それじゃ自己紹介いってみよう」

 

「……枝折すみかです。よろしくお願いします」

 

『折』まで書いていた早乙女先生のタッチペンを取って、続きを書いた。

 

「じゃあ、枝折さんの席は……志筑さんの後ろね」

 

言われた場所に、スタスタと進んで着席する。

 

「よろしくお願いしますわ。枝折さん」

 

「宜しくね」

 

先程、志筑さんと呼ばれた生徒──志筑仁美と、軽い挨拶を交わす。

志筑仁美の前には、まどか☆マギカのメインキャラクター、『美樹さやか』の姿もある。そして、志筑仁美の隣には──まどか☆マギカの主人公ヒロイン、『鹿目まどか』が居る。ただ──まどか☆マギカ本編のものと違う、()()()()()()を身につけていたが……。

 

その後の休み時間。

 

「枝折さんって、前はどんな学校だったのー?」

「凄い綺麗な銀髪……地毛?シャンプーは何使ってるの?」

「部活とかやってた?運動部?文化部?」

「彼氏とかいるのー?」

 

予想通り、質問責めに遭ってしまった。

 

「ごめんね。転校生が珍しいから、つい……」

 

「……鹿目まどかさん、だよね?」

 

「え?なんで……名前を……?」

 

「あぁ、早乙女先生に聞いたの。このクラスの素直で可愛い子。よろしくね?」

 

「……///」

 

鹿目まどかは顔を赤らめてポカーン……としている。ちょっと……やり過ぎた?

 

 

「えぇ!?天然タラシだなぁ、あの転校生は!」

 

「……ん?」

 

昼休み。屋上に向かう階段のところで、屋上の中央から聞き捨てならない言葉が聞こえた。

 

「……ちょっと、聞き捨てならないんですが」

 

「ひっ!?」

 

「美樹さやか、だよね?クラスのムードメーカー……お調子者だって、早乙女先生に聞いたよ」

 

「やめろぉ……///」

 

「あっ、そうだ!枝折さん……「すみかでいいよ」すみか……ちゃん、市外から来たんでしょ?放課後、見滝原を案内してあげる。さやかちゃんも」

 

いや、それ死亡フラグじゃね!?3人揃って魔女に頭から喰われる運命しか見えないぞ!?

暁美ほむらが居ないということは、これは原作前だろうし……。原作前に主人公が死ぬアニメなんてあるわけないだろ!?

 

結局、まどかの街案内を拒否することはできなかった。死ぬことはなかったが、まどさやのお二人が寄り道ばかりするので、お金を無駄遣いしてしまったことがちょっと残念だな……とか。

 

続く




今作は全部ギャグギャグしい感じにしたい(願望)


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第2話

見滝原中学校の授業とか知らない


「ごめんねー!待ったでしょー!」

 

「すみかー、遅いぞー!!」

 

俺が見滝原中学校に転校してきて数日が経った頃。

今日からまどかのグループと一緒に登校することになった。

 

俺の家は、まどかの家とマミさんの家だと思われるマンション、暁美ほむらの家になるはずのマンションの丁度中間辺りにある。

だから、その気になれば誰とでも登校することができるのだが……昨日、さやかが誘ってきたから。まぁ、誘ってこなかったらぼっち登校になっていたかもな。

 

「およ?まどかのリボン、いつもより綺麗に結んであるじゃん。どうしたの?」

 

「きょっ、今日はママにやってもらったの」

 

「ほほー、綺麗に結んでもらって、男子に興味持ってもらおうとしてるなー?そんな悪い娘は……こうだー!」

 

「え!?あはっ、ちょ……さやかちゃん!」

 

本編1話と似たような感じで、さやかがまどかに抱きついて……あれ、くすぐってる?

 

 

 

 

この世界は『魔法少女まどか☆マギカ』のアニメ本編の世界と見ていいのか?

今のところ、まだキュゥべえに声をかけられていない。俺に魔法少女の素質がないだけなのかもしれないが……。

 

 

「し……さ……!!」

 

「……枝折さん!枝折さーん!」

 

「へ?あっ、はい!」

 

ボーっとしていた俺に、早乙女先生が声をかけてきた。何か出題されたらしい……。

 

「えーっと……分かりません……」

 

ボーっとしてて答えられないって、凄い恥ずかしいことなんだな……。

前世では授業中に考えるようなことなんて無かったから……。

 

「じゃ……志筑さん!」

 

 

 

 

昼休み。

いつものように屋上へ出て、適当に腰掛けて弁当──ホットドッグとサンドイッチ、デザートにりんご丸々1つを取り出した。

 

「はぐっ……」

 

「すみかさぁ、三限目の英語、何も聞いてなかったでしょ……」

 

「ん?んあんあ、んあんおいいぇあお(いやいや、ちゃんと聞いてたよ)

 

「……」

 

 

 

 

その日の放課後。

何事もなく平穏に帰路についていた俺は、不可解な現象に見舞われた。

 

それは……

 

「ここ、もしや……」

 

そう、『魔女の結界』。

住宅街に布の切れ端を貼り付けまくったような景色は、見る人が見れば『幻想的』なのだろうが……今の俺には、ただ単に『怖い』だけ。

 

「……ひぃっ!!」

 

使い魔!

結界同様に、こちらも布の切れ端でできている。小学生の工作のようだ。

 

咄嗟に地面に身を屈めて頭を守り、避難訓練の時のポーズになる。あの訓練って、こういう場面で使うのか……。

繰り出されるだろう攻撃に耐えるため、ギュッと目を閉じた。

 

……

…………!?

 

バンバンッという音が聞こえてきて、「キャハッヒャッキャへへッ」みたいな感じの鳴き声がなくなった時。

微かに目を開けて、上を見上げた時……。

 

茶色いストライプのニーソと……黒いp(自主規制)が見えた。

 

さらに上を見ると……蜂蜜色の瞳でこちらを見下ろす……いや、見下す『巴マミ』の姿があった。それを認めた時……

 

「……ごめんなさいっ!!」

 

……そのままの姿勢で結界の地面へダイブした。

おでこ痛い。

ちなみにp(自主規制)が見えてからダイブするまでの間は3秒。

 

「どうして、あなたが謝るの?」

「まぁ、ここの魔女は弱いから……一気に決めさせて、貰うわ!!」

 

捨て台詞のように叫んだ後、マミさんらしき人物は結界の奥へと進んで行ってしまった。

……俺を置いて。

 

え!?待ってよマミさぁぁぁぁぁん!!

 

 

 

マミさんが結界の内部へ入ってから僅か数分で魔女が片付けられてしまった。いや、いいことなんだけれども。

結界が解けて、出てきたマミさんのすぐ側にキュゥべえ。

 

……俺……魔法少女に勧誘されるな、うん。

 

「あ……ありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

《……!!》

 

「……?」

 

「どうしたの?」

 

あれ、なんか……キュゥべえの驚くような声が聞こえたような……。

 

「枝折すみか、聞こえるかい?」

 

「……うわっ!?」

 

「突然で申し訳ないけど……」

「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

 

き、きやがったぁぁぁぁぁぁ!!

 

「魔法……少女?」

 

とりあえず、何も知らないそぶりを見せておこう……めんどくさいし。

 

「そのことについては、私から説明するわね」

「……とは言ったけど、場所を変えましょう。……この後、用事があるようなら後日でもいいわよ?」

「その制服を見た感じ、あなたも見滝原中の生徒みたいだし」

 

「あ……えっと……用事はないですが……場所を変えるって、どこに……?」

 

「うーん……私の家でいいかしら」

 

「いいんですか?」

 

「えぇ。お茶でも飲みながら、話し合いましょう?」

 

続く

 




ずっとgdgdと説明するわけにもいかないからもう切っちゃった


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第3話

憶測通りのマンションに連れてこられた俺こと、枝折すみか。

例の三角形テーブルのところに座るように言われ、大人しく座って数分待つ。

 

数分後、美味しそうな紅茶と、いちごの乗った白いショートケーキを持ったマミさんが現れた。

 

「紅茶でよかったかしら」

 

「大丈夫……です」

 

今、思い出した。

……俺、ミルクティーしか飲めないんだよな……。

 

でも、男に二言はない!!今の俺、女だけど。

まず、紅茶より先にケーキを一口。

 

「美味しい……」

 

甘いのにあっさりしててしつこくなくて……手作りとは思えない……。

 

「どこのケーキなんですか……」

 

「それ、手作りなの。気に入ってもらえてよかった」

 

お嫁になりやがれください。

紅茶の方は……。

 

ゴクッ

 

コクがあって喉越しいい……。(この際語彙力の喪失は気にしない)

 

 

 

「それで、魔法少女についてだけど……」

 

マミさんは、ソウルジェムをこちらに見せる。

 

「綺麗……」

 

「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子に、契約で生み出す宝石よ」

「魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」

 

「契約?」

 

「僕は君の願い事を何でも()()()だけ叶えてあげる」

「なんだって構わない。どんな奇跡だって、起こしてあげられるよ」

 

「ねがい、ご……と」

 

いざ自分の番となると、案外思いつかないものなんだな……願い事って。

 

「でも、それと引き換えに出来上がるのが、ソウルジェム」

「この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」

 

キュゥべえは前脚でマミさんのソウルジェムを指してみせる。

 

「魔女……」

 

「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから生まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす」

「しかもその姿は普通の人間には見えない」

「不安や嫉妬のような、災いの種を世界中にもたらしているんだ」

 

「そんなのが……存在するの?」

 

「実際、君も体験したじゃないか」

 

QBごもっとも……。

でも、見てないんだ……。

 

「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、高確率で魔女の呪いが原因なのよ」

 

「もしかして、最近ニュースでやってるアレも……」

 

「そうなるでしょうね……」

 

 

講義は夕暮れまで続いた。

魔女の結界についてや、魔女の探し方とか。

 

「さぁ、僕と契約して魔法少女に……」

 

「だが断る」

 

「どうしてなんだい?君にとって不都合があるとでもいうのかい?」

 

「ある、ある、超ある。第一に俺は戦う技術なんて持ってない」

「命がけで戦うなんてまっぴらごめんだし」

 

「……」

 

その後、マミさんと向かい合って互いに自己紹介をした。さっきふと出てしまった男口調について聞かれたが、「なんでもない」と誤魔化した。

 

「今日はありがとうございます」

 

「いいのよ。魔女に襲われて命を落とす人を増やさないために、魔法少女は存在しているんだから」

 

「ケーキ、美味しかったです!また食べたいくらいに」

 

「来てくれたら出すわよ?」

 

「えへへ……マミさん、お邪魔しましたー」

 

マミさんが扉を閉めてから、ケータイで時間を確認する。……17:38……。

 

母親は海外勤務(アメリカ)、父親は出張中でどちらも家にいないから、門限の面では大丈夫だが……。

 

晩飯……タイムセール……過ぎた……。

買い溜めとかしてないから冷蔵庫は牛乳しかない……。

……あっ、食パンあるんだった……ホットミルクとトーストでいいか……。

 

続く

 

 




思考が所帯染みたすみかさん……
一人暮らしになってから10日ぐらいでこれとか、原作始まるくらい(半年後)には学校でもこんなこと考えるんじゃ……?


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第4話

「……朝か」

 

「おはよう。いつもこの時間に起きるのかい?」

 

「……はぁ!?なんでここにいるんだよお前!!」

 

「君の魔法少女の素質は過去最大レベルなんだ」

「僕でも計り知れないくらい。分かるのは、並みの魔法少女5人程度……ってところかな」

 

「ショボくね?」

 

とりあえず着替えて家出ないと遅刻する……。まずベッドから出よう。

こいつ(インキュベーター)せい(おかげ)ですっかり目も覚めたし……。

 

「あ、見るなよ?」

 

睨んだら普通にどこかに消えてった……。

 

タートルネックにも似た襟を持つ白いシャツ。黒白チェックのボックスプリーツ。クリーム色のプルオーバー。大きな赤いリボン。

仕上げには黒いニーソ。

 

てか、顔洗うの忘れてた……。

 

 

 

「行ってきます」

 

さほど大きな声を出したわけじゃないのに、やけに響く……。誰もいないからか?

 

《キュゥべえ?ついてくるのはいいけど、校内では姿を現さないでね》

 

《どうして?》

 

《特に、鹿目まどかと美樹さやかの前では》

 

キュゥべえに釘を刺しておく。まだこの時間軸のまどかは契約してないし、『魔法少女』の存在も知らないからな。

 

 

今日はまどか達とは別の道から登校することにした。今俺の肩に乗っているコイツ(インキュベーター)が見えてしまう可能性が考えられるから。

 

 

 

「おはよー!すみかちゃん!」

 

「……あ、まどか。おはよう」

 

「今日は別の道から来たの?何かあった?」

 

「いや、ちょっとね……あはっ」

 

作り笑いを浮かべながら、まどかの視線を追う。……はぁ、大丈夫、見えてないようだ……。

 

「……?」

 

まどかと、話を聞いていたらしいさやかと仁美が不思議そうな顔で見つめてくる。

そんな目で見ないで……!

 

 

《君は、同級生と話したりしないのかい?ほら、そっちでもあっちでも楽しそうな雑談が繰り広げられているよ》

 

はぁ……。コイツ感情ないんじゃなかったのか?……精神疾患かも。

 

なぜか俺は、まどか・さやか・仁美以外に友達と呼べる人がいない。疎外されているというか……。でも、100人の知人より1人の親友の方が大事な俺的には平気だが……。

 

その友達であるまどか・さやか・仁美は今どこかに行ってしまっている。早く来たおかげで朝休み長いとはいえ、そんな遠くに行ってる暇なんてあるか……?

 

「枝折さんってさー、なんか変わってるよね……」

 

「あー、わかるわかる。なんか鹿目さん達と一緒にいるイメージしかない」

 

「鹿目さん以外に友達いないんじゃない?あの子優しいしwww」

 

「……」

 

静かに立ち上がって教室を出た。……転校当初は、俺を囲んで質問責めにした奴らなのに……。

 

急いで教室を離れる。保健室か図書室に逃げ込めたらいいのだが、建物が違う……。

 

「……」

 

時計は7:57を指している。見滝原中の始業時間は8:00。

 

「……って、あれ?キュゥべえは?」

 

《マミのところにいるよ》

 

いつの間に!?2年の教室から3年の教室は人間の脚でも結構距離あるのに……。

 

 

「あれ?すみか、どこ行ってたの?」

 

「ちょっ、ちょっとそこまで……」

 

「ふーん……」

 

 

 

 

2限の後の休み時間。

屋上に出てゆっくりすることにした。あわよくば、そのまま授業サボってしまうのも……。

 

キーンコーンカーンコーン……。

 

……めんどくさい……。

 

《授業はちゃんと受けなきゃダメよ?》

 

《……!?って、マミさんか……》

《今授業中じゃないんです?そんな余裕あるんですか?》

 

《このクラス、まだ担任が来てないの……クラスの生徒も半分くらいしかいなくて……》

 

《……まさか》

 

《まさかね……》

 

魔女……!?学校にも出現するのか……!?学校で自殺や殺人事件が起こるような場所……って、屋上じゃね!?でも、フラフラとした歩き方の人はまだ来ていないから……。

 

理科室……実験で使うものが自殺に使われたり……!?学校にそんな危険なものないと信じたいが……。

家庭科室……火がある、食中毒も起こせる……。包丁もある……。

体育館は魔女の結界を張るのに最適なスポット……ロープとかもあるし……。

 

《今、委員長に『保健室に行く』って言って教室を出たわ。家庭科室から魔力の反応がある》

 

《頑張ってくださいね……私は室内に戻ったら怒られると思うので……》

 

《えぇ、頑張ってくるわ!》

 

テレパシーが切れた。家庭科室の予想が当たってしまった……。

はぁ……俺、マミさんみたいな正義の魔法少女向いてるのかな……。

 

続く




※この物語はフィクションです。


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第5話

展開に迷ったのでとりあえず体育祭でも。多分見滝原中は文化祭秋頃だと思うし

制度とかは作者の居る学校基準


5月下旬。初夏の陽気を感じられる今日この頃、市立見滝原中学校では第XX回体育祭が行われようとしていた。

 

体育祭を始めとした行事は、ほぼ絶対『係』とか『委員』とかいう組織が結成される。それは大抵、クラスから1人か2人づつ選出される。

俺は、得点係に任命された。本部席でシートに得点を書くアレ。

 

松葉杖を突きながら、一歩一歩慎重に本部席まで移動した。俺は左脚を骨折してしまったのだ。巴マミさんのせいで。

 

「痛たた……」

 

「枝折さん?大丈夫?」

 

「……平気」

 

この間、マミさん主催の(1人だけだが)『魔法少女体験コース』に参加させられた。その際、マミさんの視界から離れた場所で魔女に襲われてもがいた結果、捕まえられていた脚がボッキりと折れてしまったのだ。

親や学校、病院には『公園の遊具から落ちた』とごまかした。魔女の結界が張られていた公園の遊具は、しばらくの間使用禁止になって、近所の子供が落胆していたが……。

 

「……どうしたの?ぼーっとして……。あっ、もうそろそろ入場だから行くね」

 

この体育祭はクラス対抗。全学年の4つのクラスを4つの色に分けてチームとしている。

俺ら、つまりまどか達のチームは『紅』。紅組である。

 

運動会や体育祭にありがちなBGMとともに、1年生が入場してきた。続いて2年、3年と……マミさんの金髪はかなり目立つなぁ……。

 

「ラジオ体操第一!」

 

準備運動代わりのラジオ体操。脚の都合でできないからせめて呼吸だけ……。

はぁ……魔法少女だったら、さっさと脚を治して参加できたのに……。

 

《その思いは本当かい?》

 

《キュゥべえ……》

《今契約する気は無いよ?ちゃんと治療すれば治るものだもん》

 

 

「……はぁ……」

 

「やっぱり、みんなと一緒に運動できないのは不満?」

 

「そうですね……」

 

本部席にいる支援員……ちょっとお節介でお人好しな人。こういう人が魔女の呪いで命を落とすんだよね……。

 

あっ、次は2年生の競技……。まどかたちが出るやつ。

 

「さやかー!!頑張ってー!!」

 

種目はリレー。第1走者はさやか。おお、最初から速いです!!とっても速い!!

 

そして第2走者へバトンが渡るぅ!!

 

 

 

第6走者のまどか!!スポーツテストの短距離走では全国平均とほぼ同じくらいの速さだったが、大丈夫か?

 

次は仁美!!安定の走りです!!

 

 

アンカーはやっぱりさやか!!最初と同じく物凄く早い!!

 

ゴールッ!!……って、あれ?なんかみんなの様子がおかしい……。

ふらふらとどこかへ向かっているような……えっ!?ピストルをこめかみに……!!

 

「はぁっ……!!」

 

「……マミさん!!」

 

「こんな時に魔女が出るなんて……」

 

マミさんの銃でピストルが破壊された。……弁償もんじゃね?あれ。

 

だが、まだ予備のピストルは沢山ある……満足に動けない俺、危険度高すぎないか?いざという時はマミさんに治療してもらおう……。

 

「結界は……あそこね!!」

 

グラウンドの柵の出口に奇妙な紋様の描かれたゲートのようなものができあがっている。

 

《キュゥべえ……》

 

《……キュゥ》

 

胸の前にがっちりと抱いているキュゥべえが、苦しそうに鳴き声をあげた。

だって怖いんだもん!!魔法少女よりゾンビだよあいつら!!キュゥべえ抱いてないとやってられないよ!!

 

幸い、側からみたら腕組みしているようにしか見えない……呪われてるあいつらは気にも留めないだろうけど……。

 

「はぁっ……はあっ……」

 

「マミさん!!大丈夫!?」

 

「えぇ、魔女も倒せたわ……すばしっこくて……ちょっと、疲れちゃったけど……」

「あら、ほとんどの人が倒れちゃってる……」

 

「え?あっ、ほんとだ……」

 

「こんなんじゃ、体育祭を続けるのは難しいわね……」

 

遠くの方に、まどかやさやかが見える……。原作では魔女の口づけにかかっていなかったけど……この時間軸は素質ないのかな……?

 

続く




感想とか評価とかつけてっていいんだよ……?(アルまどボイス)


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第6話

今回から魔法少女編


7月下旬。定期テストを乗り越え、俺の一人暮らしの生活も安定してきた頃。

 

月曜日に気温が真夏日を超えるようになってから、キュゥべえが毎日毎日俺にアイスをせがむようになった。

こいつ、暑いとか寒いとかいう感情も感覚もなかったはずだが……。……あっ。

 

原作では、キュゥべえにとって感情というものは精神疾患に過ぎなかったって言われていた。

なに?精神疾患に罹ったの?マジ?

 

「どうしたのー?すみか、そんな辛気臭い顔しちゃって」

 

「あー……さやか」

 

ついさっきまで4限目の授業だったかと思ったら、いつのまにか昼休みになっていたらしい。

 

「お弁当、食べに行こ?」

 

「……うん」

 

 

 

「……もしも、魔法でなんでも願いを1つだけ叶えてあげるって言われたら、どうする?」

 

「なに、藪から棒に……。……そうだなぁ……。あたしはやっぱり億万長者とか?」

 

「あはは……。わたしは…………今すぐには思いつかないや」

 

「そっか……。私、別の人にそう『叶えてあげる』って言われて、困ってるの」

 

「え?なにそれ?……すみかって、もしかしてめっちゃ電波さんだったのか!?ゆんゆんな電波をじゅs「そんなことあるわけないよ……。私だって最初は変な人だと思ったよ……。けど、実際にそいつに願いを叶えてもらった人がいて……絶賛お困り中なの」

 

「ふーん……」

 

放課後。いつものようにそれぞれの家へと帰り、また集まって遊ぶような時間。

 

バタン、ガラガラ

 

「はぁ……どうしよう……」

 

顔を上げて目についたのは、ソファーとテレビとテーブルしかない殺風景なリビング。

クッションやカーペットとかいった類いのものは一切ない。カーテンも無地の白と、その上に緑の暗幕。壁・天井は真っ白で、床は冷たいフローリング。

 

はっきり言って、寂しい。

 

「……はぁ……」

 

2度目のため息。

 

「どうしたんだい?」

 

「あっ……キュゥべえ……。いや、ちょっとね……空虚な部屋だよね、ここ……」

 

「……」

「僕は君を魔法少女にできたらいいんだけど……」

 

おい、空気読め。

魔法少女ね……魔法少女か……。魔法少女……。魔法女……魔女……。

 

魔法少女はいずれ魔女になる……それはこの世の(コトワリ)で……。

てか、新学期にはほむらが入ってくるんだよね……?魔法少女じゃないと歯が立たないよきっと……。

 

心の中は男なのに魔法少女なんて……原作や外伝にも『男の娘』は存在してないのに。

 

「…………決めた」

 

目を閉じてゆっくりと伝える。

 

「私、魔法少女になる」

「自分のための願いでもいいんでしょ?」

 

「そうだよ。さぁ、教えてごらん。君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?」

 

臭いセリフだと心の中で嘲笑う。

 

「私の願いは……──

 

 

 

続く




次話にすぐ続く


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