強者の界 (24代目イエヤス)
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一界〜五界 
プロローグ 『新しい挑戦』


どうも。3年前のシャンバラクリアからやったことない者がモンストの小説を書きます。
さ、最近玉楼のアルカディアクリアしましたし…モーセだって持ってますし…(追いつけるよう努力してます。)

それでは物語に入りましょう!




モンスターストライク というアプリをご存知だろうか?

モンスターをひっぱって放ち、敵を倒していくというなかなか新鮮で斬新な面白いゲームである。

そんなゲームにドハマリしている中学生がいる。

その名は『元松晴哉(げんまつ はるや)』だ。

中学2年の彼は家に帰り、課題を秒で終わらせてモンスターストライクに熱中する。

彼は必ず一時間に一回の休憩を取っているが、毎日欠かさずモンスターストライクをやっている。そしてかなりやり込み度だ。

絶級クエストは今のところ全てクリアし運極も達成。ガチャ限も無課金の割にはかなり持っている。努力の積み重ねとはゲームでも役に立つ。

 

今日は裏 覇者の塔東がある。普通の覇者の塔を俊足でクリアしてやるつもりだった。

 

「さ〜課題も終わったし、モンスト、モンストっと〜」

 

そうしてウキウキ気分でモンストを開いたが…

急に目の前が真っ白になったと思えば、

目の前にモンストのホームがあった。

 

(え…?)

 

突然すぎることに晴哉は動揺を隠せなかった。

 

「は〜い!新しい挑戦のお届けに参りました〜」

 

少女らしき声が聞こえた。

振り返ってみると、後ろにはモンストのモンスターガブリエルの姿があった。姿からして進化だろう。

モンストのモンスターが実際に目の前にいる…夢みたいだ。いや…夢なのか?

 

「HaRuさんですね?」

 

ガブリエルは晴哉のモンストのユーザーネームを言ってきた。

 

「え、そうですが…」

 

「はーい!ぱっぱかぱんぱんぱーん。ストライカーさん!モンスターストライクの世界へようこそ〜!」

 

ガブリエルは鳴りもしない効果音を自分で付け足しながら言った。

 

「モンスターストライクの世界…ということは転生か?」

 

「いえ、晴哉さんはお若いんですからまだ死んじゃいませんよ。いわゆる“召喚”です。」

 

ガブリエルは自慢気に説明した。

 

「なんで俺だけなんだ?」

 

「そりゃあ晴哉さんは学生なのに毎日真面目に勉強してなおさらモンストもやりこまれてますからこんな人には“新しい挑戦”を出してきて欲しいって言われたんですよ〜」

 

新しい挑戦…?裏 覇者の塔か?

 

「新しい挑戦…それは『強者の界(つわもののかい)』です!」

 

強者の界…?名前からして禁忌の獄や覇者の塔と似たような物だろう。

 

「で?それをクリアすればいいんですか?」

 

「はい。しかし、貴方が始めの挑戦者です。ギミックも分かりませんよね〜そして、実際にモンスターを操るんです…あ〜難しい。」

 

「そんなハルさんにこれをどうぞー!」

 

ガブリエルは両手の手のひらを差し出した。

その手のひらにはコンタクトレンズらしきものがある。

 

「これは?」

 

「このコンタクトレンズは『ストライクアイ』です!モンスターストライカーに必要な機能がたっくさん付いております!試しに、付けてみてください。」

 

晴哉は言われるがままに付けてみた。しかし、何も変わらない。少し視力がよくなったかな程度だ。

 

「そのレンズにはそのクエストのギミックをスカウトできる機能や、ドクロマークなどの視覚化、意志のままモンスターを引っ張れる機能が搭載されています!まさに、スマホゲームと同じでしょう?」

 

「へぇ!すごい!実際にモンストの世界を体験できるのか!」

 

晴哉はテンションが上がってきた。

 

「あ、ひとつ言い忘れていました。」

 

「クエストではあなたのモンスターとあなた自身の痛覚が共通されます。」

 

晴哉のテンションは一気にダウンした。

 

「それって…」

 

「はい。モンスターが攻撃を受ければその感覚があなたも感じます。」

 

晴哉はゾッとした。即死攻撃のメテオ連発や白爆発の痛みは想像してもしきれない。

 

「しかし…強者の界をクリアしてもらうまで向こうの世界に返すつもりはありません。大丈夫ですよ。この世界ではあなたが死ぬことはありませんし、向こうの世界の時間はあなたが帰る頃にはこの世界に来る直前に戻ってますから。」

 

ガブリエルはもっと自慢気にベラベラと口を動かす。

 

「では〜〜『強者の界』へ〜行ってらっしゃ〜〜い!」

 

ガブリエルがラッパを吹くと、晴哉の視界はホームから暗闇へと早変わりした。

 

『強者の界』

 

目の前にそういう黄色い文字が浮かび上がってきた。

 

「ふぅん。強制ってか…やってやるよ。」

 

晴哉は思ったことを声に出して言った。

 

そしてさらに目の前に説明らしき物が出された。

 

『強者の界 それは強者(つわもの)が居座る世界。世界は何層にも別れており、それぞれの界で強者達が自分以上の強者を待ち構えていると言う……』

 

……とのこと。

 

すると、説明が終わったのかさっそくクエスト選択画面が表示された。

どうやら封印の玉楼のように面倒くさい仕様ないらしい。

ただ、禁忌の獄以上に難しいことは確かだ。

気を引き締めなければ…

 

こうして晴哉の新しい挑戦が始まる……

 

 

ーーーーーー続く

 

 




モンストも難しいですよね。僕は轟絶に挑めませんし、追いつくには大変ですよ…


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一界 『孤独の頂点』

モンスターストライクの世界に召喚された晴哉はガブリエルから『強者の界』という誰もクリアしたことないステージへの挑戦状を出されたが…




表示されたクエスト選択画面には

『一界 孤独の頂点』とある。

 

「そうだ、さっそく見てみるか…」

 

その文字をじっと見つめると、ギミックアイコンが浮かび上がってきた。

 

「必須ギミックは…魔法陣…のみか…」

 

アンチ魔法陣のキャラ…ボスの属性はどうやら闇らしい。

 

「ソロモン神化、キルキルリラ、カエサル進化…あとは…適当に運枠にアンチテーゼでも入れていくか…」

 

「そういえば…このコンタクトレンズ、モンスター編成機能ももちろん付いてるよな…」

 

晴哉は念を込めてみた、すると目の前にさっき言ったモンスター達が現れた。

 

「こんにちわ〜ハルくん。会えて嬉しいですよ〜」

 

ソロモンが話しかけてきた。

晴哉はソロモンのあまりの綺麗さに気を失いそうになったが、堪えた。

 

アンチテーゼには絶対話しかけないほうがいい。

キルキルリラは…じっとこっちをみて微笑んでいる。

カエサルは…ニヤニヤニヤニヤしながら一人でブツブツ言っている。話しかけたくないタイプ。

 

そして、晴哉はモンスター達の威圧に耐えながらそのクエスト選択を指で優しくタップした。

 

すると、目の前の視界が黒い空間から薄暗い洞窟になった。

 

そして、モンスターが上から降って地面に着地した。

ホーミング吸収が3体、ハンシャインが2体。

位置からして、ツクヨミのような同時蘇生だろう。

アンチテーゼを薄めの横カンで放ちたい。 そう思った瞬間にアンチテーゼが壁に向かって飛んでいった。

そして、晴哉の予想通り薄めの横カンで全ての敵を倒せた。

しかし、敵を貫く時の音はシャキンというゲーム音ではなく、グシャやバキッといった鈍くやけにリアルな音だ。アンチテーゼは自らの磁石で相手を突き刺して倒していた。

実際に体験とはこういうことなのか…

 

「さぁ、進もうよ。」

 

キルキルリラが話しかけてきた。

晴哉は言われて足を前に動かした。

 

第2ステージ ここから魔法陣が敷かれてある。でも気にする必要はない。

そして中ボスだろう。オリジナルというモンスターだったか。ライオンのような顔から人間の足と、紫色の剣などを持った腕が4本生えている。上には体力ゲージがある。

そして周りにはさっきと同じモンスターが2体ずつ丁寧に配置されてある。

クエストの方式は分かった。ツクヨミに魔法陣が敷かれたような感じか。

ソロモンのターン。弱点も見える、横カンで弱点で削りながら雑魚も殺っていく感じでいこう。

 

「待て!」

 

晴哉は思わず声に出た。はっきり見える。クロスドクロマークが。

2体のハンシャインについている。横に並んでいるため倒しやすいだろう。

これなら友情で削りつつ、クロスドクロの敵も倒していこう。

そして、晴哉はソロモンをアンチテーゼに当たるように放った。

アンチテーゼの友情コンボは爆撃とウェーブ。

どちらも強力な友情コンボだ。

 

爆撃がクロスドクロの敵を焼き払った。その焼き払う音は耳に嫌に残り。焦げた匂いは鼻が曲がるほどの匂いだ。

クロスドクロ発動…ボスの足元に防御ダウンのマークが見える。

 

「なるほど、こんなクエストが禁忌より難しいってか?あくびが出る!」

 

晴哉は余裕な言葉を放ちながら、キスキルリラをゼロに向けて放つ。

アンチテーゼの友情コンボにソロモンの友情コンボが重なり、ボスの体力は一気に減った。

 

第3ステージに進む。

ハンシャインとホミ吸が均等に並べられている。

そして、2体のホミ吸とハンシャインにはクロスドクロ、そして中心には中ボスの進化されたスラッシュがいた。

恐らく…さっきと同様にクロスドクロを倒してから防御ダウンをし、スラッシュを倒す形式だろう。

腕が鳴る。

今までよく見ていなかったが、敵の攻撃ターンも表示されてある。周りの敵には『8』、スラッシュには『11』という大きな数字がある。即死攻撃だ。絶対痛い。これまで攻撃を喰らわず来れたが、多分、敵の攻撃の痛みは経験したことのないような痛みだろう。

 

「ハルと言ったか。」

 

遠くにいるアンチテーゼが叫んできた。

 

「貴様に従う!好きに打つがいい!」

 

見た目からしてかなりヤバさそうな人だがそうでもないようだ。

 

「あっれれ〜?次は僕のターンだからなァ。僕が打ってもらうんだよ〜?」

 

カエサルがどこぞの名探偵見たいな口調で煽った。

アンチテーゼは苛ついているがその場からは断じて動かない。

 

「さぁさぁハルきゅ〜ん。僕を奴らに放つがいいさ!」

 

こっちのほうが断然ヤバかった。なんだこのどこぞの名探偵がイカれたみたいな奴は。

しかし、放つしかない。

そして、晴哉は友情に任せ、クロスドクロを倒すような感じでカエサルを放つ。

 

「あはははははは!!いぇぇぇぇい!!」

 

カエサルは猛ダッシュで高笑いを上げながら敵を杖で叩きまくった。

もう精神イカれてるんじゃないのかってくらい。

でも案外上手くいった。クロスドクロは友情とカエサルの高笑いアタックですぐに倒れた。スラッシュの右下に防御ダウンのマークが入る。

 

「フフ…貴様ら面白いな…」

 

ずっと黙っていたスラッシュがそう言った。

すぐやられそうな悪役みたいなセリフだな。

 

「アハッ!こんな奴早くやっちゃえよハルきゅ〜ん。」

 

カエサルが言う。

晴哉はアンチテーゼをスラッシュの弱点を貫くように放つ。

アンチテーゼは手の尖った金属でスラッシュを斬る。血が飛び散った。

スラッシュは人に近いモンスターのため血が出るのか。晴哉は気分が悪くなった。

 

スラッシュの攻撃。

 

「我が一撃を受けてみよ!」

 

スラッシュはアンチテーゼに向かって一本の太い紫色のビームを放った。

その時、晴哉の腹に焼かれたような痛みが走る。

 

(くっ…これが痛みの共通か……けど思ったよりの激痛じゃない。)

 

焼かれたような痛みといってもそんな炎に焼かれて皮膚が焼け落ちる…ような痛みではなく、熱いお湯に浸かった鉄が皮膚にくっついたような痛みだ。

けれど…モンスター達はもろに喰らっている。きっとこれとは比べ物にならないくらいの痛さなんだろうな。

そのためにもちょこっと残ったスラッシュの体力を削らなければ。

ソロモンを放ち、スラッシュの体力を完全に削る。

 

「ぐわぁぁ!」

 

スラッシュは声を上げながら倒れ、煙になって消えてしまった。

モンスターを倒しているはずなのに、人を殺しているような感覚だ。

 

第4ステージ。ボスだ。

警告音が鳴り響いたと思うと、上からオリジナルの進化した姿、『ゼロ』が降ってきた。

体全身紫で、下半身は透明。大きなコウモリのような翼。4本の角に3本の腕が特徴的だ。不気味すぎる。

 

「脆弱!脆弱!」

 

そんなことを叫びながら晴哉たちをじっと見つめている。

凄い迫力。ゲーム画面で見る物とは全く違う、実際の威圧だって物凄く感じる。

しかし、晴哉は深呼吸し、落ち着いて状況を確認する。

魔法陣が4つほど敷かれている。

クロスドクロは壁際ギリギリのハンシャインが2体。

後は奥にゼロ、その手前にはスラッシュ。

ドクロマークを倒し、防御ダウンをさせて倒していくという単純な作業。

しかし、気をつけたいのはゼロのマーク付きの5という数字。

即死だろうか、イヤ、即死攻撃が5ターンで放たれたら一溜りもないだろう。

しかし、どちらにせよこちらを不利な状況に陥らせる攻撃に違いない。

イヤ…ゲージは緑。 すぐに終わるのか…

とにかく、ソロモンでクロスドクロを先に倒すしかない。ソロモンでクロスドクロを倒す。

成功。クロスドクロ発動、スラッシュが防御ダウン。あれ…?スラッシュだけ?

今気付いたが、スラッシュにはドクロマークがある。

そういうことか、スラッシュも倒さなければボスにダメージが与えられない…

『孤独の頂点』とはそういうことか。

 

スラッシュに向かってカエサルを放つ。また高笑いを上げながら杖で敵を貫いている。

しかし、一手では終わらない。

半分は削れた。ゼロの5の数字にも気をつけなければ…

ゼロがホーミング、スラッシュがビームを放つ。

小石をぶつけられたような痛みも同時に走る。

これもさほど痛くない。

初めて、自身のパーティーの体力ゲージに目を向けたが、4分の1くらい減っている。

そこまで手痛い被ダメではないようだ。

 

これが禁忌の獄より難しいステージなのだろうか…

アンチテーゼを放ち、スラッシュにトドメを刺す。

 

スラッシュが煙になり消えたあと、ゼロに防御ダウンのマークがついた。

 

(よし、これであとは削るだけーーー)

 

そう思った次の瞬間。ゼロの姿が激変した。

体色は赤紫に変わり、目は赤くなった。

覚醒だ。

マーク付きの5の数字は1に変わった。

 

まずい…

 

1の数字が0に変わり、ゼロが空に手を掲げると、メテオが降ってくる。

メテオは全員に直撃。ソロモンの悲鳴、アンチテーゼのうめき声も聞こえた。

 

それと同時に晴哉には今まで受けてきた痛みを遥かに超えた激痛が走った。

大きな石で頭を殴られたかのような痛み。

晴哉は思わず膝をついてうずくまった。

ちらっとマーク付きの数字を見てみると、その数字は9に変わっていた。

そして自身の体力ゲージ。4分の1だったものが3分の1くらいまで減っている。

即死というわけではないが、あの痛さ…即死攻撃はどれくらい痛いのだろう。

晴哉は痛みを堪え、キスキルリラを放つ。

ゼロと壁の間に挟まれた。弱点も丁度そこにあったため、かなりのダメージだ。

しかし、まだ削り切れない。

 

(落ち着け…友情で着々と削っていくんだ…)

 

カエサルを友情コンボ狙いで放つ。

さぁ暴れてくれ…

 

「アハッ!アハハハハ!」

 

カエサルはアンチテーゼ、ソロモンの友情コンボを発動させながらそこら中を駆け回る。そして最後の止まりかけの一撃はゼロの体力ゲージを削り切った。

 

「くっ…やりおるわ…」

 

ゼロは洞窟の壁を破壊し、次のステージへと移動した。

 

「アハッ…ボサッとしてないで追いかけるよ。」

 

カエサルが晴哉の手を引いて、次のステージへ足を踏み入れた。

 

次のステージ、ボスの最後のステージだ。

 

壁奥の進化前のスラッシュにクロスドクロが付いており、中心にはゼロが堂々と立っている。

まだ痛みが残っているが、やるしかない。

 

アンチテーゼでスラッシュの体力を削る。

直殴りだけでは終わらなかったが、なんとかソロモンの友情コンボで両方の体力を削り切ることができた。

クロスドクロ発動…何か呼んだ。

 

進化スラッシュだ。

そのスラッシュにもドクロマークがある、恐らくこれがゼロの防御ダウンだろう。

ソロモンをスラッシュに放つ。

ソロモンは笛だったはずの剣でスラッシュに斬りかかる、スラッシュからは血が垂れた。

スラッシュの体力は全然削れなかった。直殴りだけでは削りが悪い…

キルキルリラのターン。

 

「私を放って。お願い。」

 

気づいたら、キルキルリラのSSは溜まっていた。

晴哉はコクリと頷きキルキルリラはSSの体制に入った。

キルキルリラのSSはたしか仲間に触れる度回復。

火力には期待できないが、最終ステージ。

SSは打ったって損はない。

 

キルキルリラが放たれた。眩い光と共に見えないような速さで駆け回っている。そして、あり得ない勢いでスラッシュの体力を削って行った。

 

あれ…こんなストライクショットだったっけ…

たしかにパワーアップはあるが、それでも友情コンボなしでこれ程まで削れるとは…

しかし、これでゼロの防御ダウンが完了した。それと同時に、ゼロが覚醒し、またあの禍々しい紅色に体を染めた。

でも、後は攻めるだけだ。

カエサル、アンチテーゼを放ち、攻撃する。

しかし、どうも体力の削りが悪い。

スズメの涙くらいしか削れない。

最終ステージには何らかの防御補正が入っているのか。

 

「ハルくん。私であの孤独な方に祝福を与えましょうか。」

 

「それは……」

 

「あの方は仲間を失い、怒り狂っている孤独な方です。」

 

仲間を失わせたのは俺らだ。しかし、向こうも殺しにかかってきている。

これが“弱肉強食”という奴か。つまり仕方ないことで済まされてしまう。

そして、微かに画面越しからは伝わらないようなゼロの泣き声も聞こえてくる。

 

でも、ごめんよ。俺だって訳も分からず連れて来られたこの世界から帰りたいんだ。

痛いけど、悲しいけど…ごめんな。

これが弱肉強食なんだ。

 

晴哉はそんなことを思いながらソロモンのストライクショットを放つ。

ソロモンは駆け回って、暴れるゼロの腕を華麗に避けながら攻撃を喰らわせていく。

そして、ゼロの胴体を笛の剣で貫いた。

 

「あなたが孤独と涙の道に進まぬよう願います。」

 

地面にふわっと天使のように着地したソロモンは手を合わせてそう言った。

ゼロは幼き子供のような叫び声を上げながら、煙となって消えた。

 

すると、クエストクリアの文字が浮かび上がった。

なんとか一界をクリアできた。

スマホでやったら楽なんだろうが、実際にモンスターを操り、モンスターを倒すというのはこんなにも疲れるものなのか…

 

ゲームの世界とはこういうものだったんだな。

 

 

 

ーーーーーーーー続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のボスは『ゼロ』でした。
多分世界一作りやすい運極だと思う。あと世界一使わな(((


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『何気なく見てきた仲間達』

第一界をクリアした晴哉。
疲れ果てたその体を癒やすため、モンスターBOXに足を踏み入れるが…


「おっつかれ様で〜す!」

 

ホームへ帰ると、ガブリエルがラッパを吹きながら出迎えてくれた。

疲れ果てた晴哉を見てガブリエルは肩を手でポンポンと叩いた。

 

「どうですか?実際のモンスターストライクの世界は?」

 

「クエスト自体は難しそうではなかったけど、精神が持つかどうかだね。」

 

晴哉は今にも寝てしまいそうだ。

 

「あ、あはは。でもあれは究極級の難易度ですよ?これくらいで精神がイカれてたら持ちませんよ。あ、いっそのことイカれちゃえばいいじゃないですか!」

 

しれっと恐ろしいことを言うガブリエル。

 

「とにかく、疲れたんだ。休む所が欲しい。」

 

「あ、それならモンスターBOXをお使いください。モンスター達とお話できてしかも休める、とってもいい場所ですよ!」

 

モンスターBOXに人が入っていいのだろうか疑問には思ったが、休めるならそれでいい。

 

「モンスターBOXはモンスターが増えれば部屋も自動に増える便利な施設ですが、ハルさんは人間なので恐らく反応しません。なので、仲の良いモンスターのお部屋に入れてもらってください。」

 

仲の良いモンスター…さっきちょこっと話しただけで仲良くできるのだろうか。

 

モンスターBOXと看板がかけられた見上げても見えない大きなホテルに着いた。

BOXってレベルじゃない。

自動ドアを通って、ロビーらしき所に足を踏み入れると、ソロモンが待っていた。

 

「あら、ハルくん。ガブちゃんから話は聞いてるわ。今夜は私の部屋に入れてあげる。」

 

晴哉は驚いた。いくらモンスターであれど、女性の部屋に泊まるのは初である。

母さんと寝ていた時期はあったが、あれとこれとでは話が違う。

 

「女の子の部屋は初めて?」

 

晴哉は顔を赤めながら小刻みに頷いた。

 

「ほーら、着いたわよ。」

 

ロビーにいたはずなのに、いつの間にか『ソロモン』と書かれたドアの前にいた。

 

「どうぞ〜いらっしゃーい。」

 

部屋の中は案外普通のホテルのような部屋。

ベットやらなんやらが日常に必要な物が最低限揃えられている。

 

「この姿だから緊張しちゃうかな?ちょっと待ってよ〜。」

 

ソロモンは笛にはめていたメダルを取り外し、また別のメダルをはめると、進化の姿に早変わりした。

進化の姿は大人びた感じではなく、高校か中学くらいの女の人の姿だった。

 

「あはは、びっくりした?」

 

「うん…でもこれなら話しやすいな。」

 

晴哉は照れながらもそう言った。

 

「ハルくん、頭いい?」

 

「え?まぁ…人並みにはね。」

 

「へぇ、いいな〜私も魔術の勉強中なの。」

 

「勉強中?あれでか?!」

 

晴哉は驚いたように聞き返す。

 

「うん。もっともっと強くなって、皆を幸せにしたいんだ。」

 

ソロモンは微笑んだ。

ソロモンの髪は綺麗なピンク。それて目の色は左右別々。モンストのお気に入りキャラと話せるなんて本当に夢みたいだ。

 

「……よし。今から寝るところ用意するね。」  

 

ソロモンはベットに枕をもうひとつ置いた。

 

「さぁさぁ、寝にくいかもだけど…どうぞ。」

 

女子と同じベットで寝る…いや、知り合いは誰も見ていないんだ。周りの目を気にする必要はない。

そして、照明が絶たれる。

 

いい匂いが鼻の中に入り込んでくる。女子の匂いか…

 

いつもスマホ越しから何気なく見てきた仲間だったが、ほとんど人と…いや、もう人だ。

そして、晴哉は目を閉じる。

明日挑む『ニ界』のために。

 

 

 

ーーーーーー続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この話はおまけみたいなものです。
それぞれ層をクリアするとおまけ話が投稿されるかもしれません。
2回連続層挑戦かもしれないし、おまけが挟まるかもしれません。

どうかこれからも宜しくお願いします。


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ニ界 『幻影の焔狼牙』

ソロモンの部屋でいつの間にか眠りに付いていた晴哉。
ニ界クリアのため、動き始める…




「おはよう。」

 

ソロモンが話しかけてきた。

 

「ぐっすり眠れた?」

 

「うん。ありがとうな、泊めてくれて。」

 

ソロモンは微笑んだ。

 

「じゃあ、次の界の攻略に行くから、またいつかね。」

 

すると、晴哉の腕をソロモンはギュッと掴んだ。

 

「き、今日も…泊まって行ってね…」

 

ソロモンは顔が真っ赤だ。

 

「……お、おう。」

 

晴哉は久々に興奮してしまった。

あんな赤面見さされたら…本能に塗れるところだった。

 

そして、晴哉はまたクエスト選択画面の前に来た。

次の界は『幻影の焔狼牙(げんえいのえんろうが)

ギミックの確認。

ダメージウォール必須。ブロック。

くらいか…

そして、貫通推奨•一部の敵の弱点倍率アップと書かれてある。

ありがたい。このレンズは貫通推奨なども確認できるのか。

 

「モーセ進化…ノンノα…ダルタニャン…あとは友情が強いグングニルαでも連れて行こう。」

 

晴哉がそう呟くとさっき言ったモンスター達がまた目の前に現れた。

 

「君が、ハルくんか。よろしくね。」

 

モーセが手を差し伸べる。

 

(友好的になっておいて損はない…な。)

 

晴哉はその手をぎゅっと握る。

 

そして、その文字を優しくタップした。

クエスト開始 炎の神殿のような場所に来た。

 

第一ステージ

 

ビットンが中心にあり、右、奥、左の壁際に火属性進化前バハムート。そしてビットンの左右にぷよリン…

見た限りドクロマークなどは見えない、ただし、全ての敵に『8』という大きな数字が見える。

即死攻撃…順序よく処理しなければお陀仏だ。

モーセでぷよリンを処理した。

敵の攻撃、バハムートが口から炎の弾を大量に放つ。短距離拡散弾だ。

ダルタニャンに少し当たってしまった。

 

「ニャ〜痛いにゃあ……」

 

背中に針が刺された感覚が走る。

バハムートに近づかないように、なおかつ8ターン以内に倒すのか…なかなか骨が折れそうだ。

ダメージウォールは全面に展開。気にすることはない。

 

「ハル、あのドラゴンは硬そうだよ…」 

 

ノンノが言う。

硬そう、防御力が高いということだろうか…

しかし弱点うっすらと見える。弱点の効果がこいつだけアップしているパターンだ。

 

「ノンノ!弱点をしっかり狙ってくれよ!」

 

「当てるよ〜!ほんとだよ!」

 

ノンノを放つ。2体のバハムートを貫く、弱点を貫かれたバハムートは一瞬にして煙となり消えた。

 

「よし…ビンゴだな…」

 

敵の攻撃。バハムートが透明化した。

 

「っ……!透明化?!」

 

うっすらとしかバハムートの姿が見えない。幻影とはこういうことか。

しかし、厄介だ。透明化はこちらの攻撃が通らない、なのに向こうの攻撃は通じるという厄介極まりない物。どっかの爆絶クエを思い出すが…頭が痛むな。

 

「ハルくん〜どうしよ〜」

 

ダルタニャンがあたふたしている。

 

「落ち着け、ターンは短いハズだ。極力バハムートに近づかないようにするぞ。」

 

晴哉はダルタニャンを綺麗な横カンで放つ。

ダルタニャンは狂ったように走りまわる。

敵のターン。なんとか攻撃に当たらず済んだ。

バハムートの姿がくっきりと見える。

透明化解除だ。

 

グングニルαで弱点を貫き、このステージを突破する。

 

第2ステージ 

 

中ボスにフェンリルXの進化前…狼のような姿、肌は白色、毛は赤色でまさに地獄の狼。

そして左右の壁際にバハムート。

手前には火属性のヨルムンガンド進化。

そして全員に8の数字。

ヨルムンガンドには弱点がついていない…

よく見ればバハムートにクロスドクロマークが付いている。

倒せば恐らくだが、ヨルムンガンドの弱点付与だろう。

 

「行くぞ。モーセ。」

 

「任せなよ。」

 

モーセをバハムートを二体目倒すような感じで放つ。

成功した。クロスドクロ発動。

予想的中、ヨルムンガンドに弱点付与。

しかし弱点倍率が掛かっているかは不明だ。8ターン以内に殺りたいところだ。

ヨルムンガンドの蛇のような舌を口からチラチラと覗かせ、こちらを鋭い目付きで見ている。

背筋がゾクゾク震える。

ただ、死を恐れることはない。ノンノをヨルムンガンドに放つ。弱点を貫いた。大ダメージは与えられたが仕留め切れなかった。

フェンリルXにちょっと擦った、当然少ダメージ。

敵の攻撃。ヨルムンガンドがレーザーを放ち、フェンリルXは透明化した。

レーザーは十字レーザーだったため誰にも当たらなかった。

そした、ダルタニャンでヨルムンガンドは仕留めたが…フェンリルXの透明化ターンが心配だ。

フェンリルXが短距離拡散弾を放つ。グングニルαに直撃した。

 

「ゔッ……」

 

グングニルαのうめき声と共に体に針を大量に刺されたような痛みが響く。

もうこのような痛みには慣れた。

ただ、攻撃を喰らったばかりのグングニルαを放つのは気が引けてしまう。

仕方ない…こうしなければ、向こうの世界には帰れないんだから。

 

グングニルαを横カンに放つ。

 

そして次のターン。フェンリルXの透明化が解けた。

それと同時に、フェンリルXがレーザーを放つ。

モーセに直撃。モーセは涼しい顔をしているが、晴哉には焼けたような痛みが走る。

モーセを放つ。友情コンボを拾いながらフェンリルXにダメージを与えていく。

 

「グワァァァァァ!!」

 

フェンリルXは吠えながら脚で地面を叩きつける。

すると、爆発が起こった。

またもやモーセが巻き込まれる。

少々険しい顔をした。また晴哉に火花が飛び散ったような痛みが走る。

このまま攻撃を喰らってたら精神が持たない。

晴哉はノンノを放ち、フェンリルXを倒す。

 

第3ステージ

 

今度は中ボスに火属性進化バハムートが威圧感を醸し出しながら中央に居座っている。

そして、東西南北の壁際、丁寧に進化前のバハムートがいる。

中ボスのバハムートの周りにブロック。

そして手前にビットン。

 

ダルタニャンをバハムートの周りのブロックに挟まるように放つ。

剣で何回も貫き、血が飛び散る。

弱点を貫けたため、一気に半分まで削れた。

進化前のバハムートはレーザーを放つ。

短距離拡散弾ではなかった、完全に油断した。

グングニルとノンノに直撃。

そして、晴哉にも激痛が走る。

体力がまずい。被ダメを貰いすぎた。

次の次くらいで決めなければお陀仏だろう。

グングニルαを全ての敵の弱点を貫くように放つ。

進化前のバハムートの駆除は完了。馬鹿みたいな被ダメは貰わずに済む。

モーセでバハムートにとどめを刺す。

 

警報音が鳴る。ボスステージだ。

 

炎と共に、進化したフェンリルX姿を現にした。

周りには東と西にバハムート進化前。フェンリルXの手前にはヨルムンガンド。バハムートにはクロスドクロ。

ボスのゲージはどうやら水色。面倒臭そうだ。

そして当然のように全員に大きな数字 8がある。

ノンノを放ち、バハムートを1体倒す。

そしてフェンリルXが透明化。バハムートの短距離拡散弾は当たらずにすんだ。

落ち着いてダルタニャンでもう1体のバハムートを処理し、ヨルムンガンドに弱点を付与する。

フェンリルXの攻撃。飛び跳ねて南の壁際に移動。

そしてダメージウォールが展開。ゆらゆらと燃える炎の熱気が緊張感を増していく。

 

ほつほつと垂れる汗を拭いながら、グングニルαを慎重に放つ。

グングニルαはフェンリルXの弱点を貫きながら駆け回る。

友情コンボも拾えていい削り、敵の攻撃。レーザーを放つ。ダルタニャンに直撃、焼かれたような痛みにも慣れてしまった。

モーセを放ち、ボス一ステージを突破する。

 

「ガルルゥゥゥゥ……」

 

フェンリルXは鋭い鉤爪で壁を破壊し、次のエリアに走る。

 

グングニルαが寄り添ってくる。

 

「大丈夫か?グングニル。」

 

「ご主人のためなら、こんなのへっちゃらですよ。」

 

グングニルはにこやかに笑う。

 

ボス第2ステージ。

 

フェンリルXを中心に南と北にバハムート。

そしてバハムート進化が出現。

バハムート進化の周りにはブロックが配置されてある。

そして雑魚全てに8という数字。

ノンノで南のバハムートを倒す。敵のターン。

進化バハムートとフェンリルXが透明化、かなり厄介だ。

ダルタニャンで北のバハムートを倒した。すると、進化バハムートの透明化が解除された。

 

「くっ……」

 

グングニルが右腕を抑える。

 

「痛いか?む、無理しなくていいんだぞ?」

 

「いえ…大丈夫です。さぁ放ってください。」

 

晴哉は申し訳なさそうに、念をしっかりとこめ、できるだけ攻撃な当たらなさそうな所に止まるよう放つ。

バハムートに大ダメージ。

敵の攻撃、バハムートがホーミングを放つ。

体力が本気でまずい。と思っていたら、ハートが南の壁に出てきた。

モーセで取りにいく、モーセはハートをむしり取ると、そのまま握り潰し、その溢れる粉を浴びた。

HPバーがどんどん増えていく、良かったこれで負けずに済む。

フェンリルXの透明化が解除された。

ノンノでフェンリルXを貫きまくる。

 

友情コンボでなんとか削り切ることができた。

 

「グォォォォォォォ!!」

 

フェンリルXはまたも雄叫びを上げ、頭突きで壁を破壊し次のエリアへ移動した。

 

「ハルくん、遠慮なしに僕らを放つんだ。」

 

モーセが晴哉にそう言う。遠慮なしに…こいつらは苦しくも痛くもないのだろうか。

 

ラストステージ

 

東西南北に進化のバハムート…中心にフェンリルXそして全員に8の数字。

進化バハムートが厄介そうだ…早めに処理しておきたい。

 

モーセを放つ。バハムートの体力をできるだけ削ってくれ…

モーセは杖でバハムート達を貫いていく。追撃貫通弾での攻撃、バハムートは1体倒れたが、まだ3体も残っている。

 

敵のターン、バハムート3体が一気に透明化。

 

「ハルくん!もうボスを急いで倒すしかなよ〜!」

 

ノンノが爆絶級に焦りながら言う。

その通りだ、透明化の解除を待っていたって、即死攻撃に耐えられず失敗するだろう。

 

「行くぞ!ノンノ!」

 

「やっちゃうぞ〜〜!」

 

ノンノαのストライクショットを放つ。敵の弱点に当たれば大ダメージ。

縦カンでどんどん削る。

半分まで削ることができた。

ダルタニャンは生憎SSが溜まっていない。

仕方なし、普通に放つ。弱点を貫きながらバハムートの攻撃範囲をかいくぐる。

 

グングニルαのターン。

 

「頼むぞ。グングニル」

 

「任せてくださいハルさん…」

 

グングニルαのストライクショット。

目の前の敵に状態異常弾で攻撃。

 

グングニルαは状態異常弾を放り投げる。

フェンリルXに直撃。

 

フェンリルXは遠吠えを上げながら煙となり消えて行った…

 

「ハルさん。ずっと聞きたかったのですが…」

 

「この服…似合いますか?……」

 

クエストクリアの文字が浮かび、紙吹雪が舞う。

 

「あぁ、とっても似合ってる。」

 

晴哉は優しい笑顔で答える。

グングニルはニコッと、もっと優しい笑顔で返した。

 

ーーーーー続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ぬわぁぁぁ!遅れて申し訳ありませんでした!!(ダイナミック土下座)

次回は三の界『豪鉄の妖水刃』です。
どんなステージかお楽しみに!!


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三界 『豪鉄の妖水刃』

三界へと挑戦する晴哉。ギミック対応キャラがなかなか思いつかなかったが…


ソロモンの部屋でぐっすりと眠っている晴哉。

呆れたソロモンは晴哉の体を揺する。

 

「ハルくん。お〜き〜て。」

 

体が横に激しく揺れて、晴哉は目を覚ました。

 

「おっ……わ、お、おはよう。」

 

「今日は三界に行くんでしょ?頑張ってね。」

 

ソロモンはにこっと笑う。晴哉も笑って返す。

 

そして、

晴哉はクエスト選択画面の前に立つ。

三界 『豪鉄の妖水刃(ごうてつのようすいじん)』  

ギミックはどうやらウィンドのみ。ただしパワーアップウォール付き。

 

「守護ガブリエルと…あとは……マズい…適正が守護ガブリエルくらいしか思いつかない。」

 

一応、3体持っているが、同じ顔が3体目の前に来たらとするとなんかムズムズしないだろうか…

そんなことを考えもしない内に目の前にガブリエル達が現れた。

一体目のガブリエルは通常だが、他のガブリエル達は全員同じ顔ではあるが、髪の長さ、服の色、翼の色もそれぞれ違う。

 

「フレンドにもガブリエルを持っていくか…」

 

もう1体のガブリエルが現れたが、そのガブリエルも通常ガブリエルとは少し違う。

 

「宜しくお願いします。ご主人。」

 

一体目のガブリエルが真面目に挨拶する。

 

「あぁ、宜しくな。」

 

晴哉も挨拶し返す。

 

クエスト出発。古い日本の神社がある山らしきところに来た。

 

第1ステージ パワーアップウォールが東西南北に置かれてあるがそこまで広くはない。

そして、均等に立っているリヴァイアサンというモンスターが4体。中心にはアイスマンが堂々と立っていた。

アイスマンには9という大きな数字…

早めに突破しろということか。

ともかく、ガブリエルをパワーアップウォールに全て触れるように放つ。

パワーアップウォール一回触れ、リヴァイアサンを撃破。もう一回触れ、さらに撃破。

2体撃破することができた。上出来だ。

敵の攻撃。リヴァイアサンがアイスマンを防御アップさせた。

アイスマンはホーミングを放つ。

 

リヴァイアサンを駆除しなければ、アイスマンの即死を待つしかできないと言うわけだ。

二体目のガブリエルをもう2体のリヴァイアサンを倒せるよう放つ。  成功。

 

これであとはアイスマンを倒すだけだ。

アイスマンを倒して第2ステージを突破する。

 

第2ステージ パワーアップウォールが北に2つ、南に1つ設置されてある。

そしてリヴァイアサンが4体。あとは謎の蒼色の剣が北の木の上に浮いている。

 

「ご主人、あの木の上には届きそうにない。」

 

三体目のガブリエルが話しかける。クールな性格だ。

あの剣は放置…でいいらしいな。

ガブリエルをパワーアップウォールに触れさせ、リヴァイアサンを二体倒す。

剣がウィンドで引き寄せようとした、がガブリエル艦隊には効くわけない。

それと同時に剣はリヴァイアサンを蘇生した。

紫色の奇妙な光と共に、リヴァイアサンが地面から

ウネウネと出てきた。

 

「なるほど、一筆で倒さなきゃならないのか…」

 

晴哉はそう言うと、神経を研ぎ澄ましルートを確認した。

みるみる見えてくる、一筆書きのルートが。

斜めに均等に置かれてあるリヴァイアサン…

 

「ここだ!!」

 

そう叫ぶと、ガブリエルが放たれた。

ガブリエルはパワーアップウォールに触れながら、リヴァイアサンを次々倒していった。第2ステージ突破。いい調子だ。

 

「このままペースが崩れなかったら早く終われるぞ…」

 

第3ステージ 中ボスに水属性ムラサメ。蒼色の剣を構え、色気のある笑みを浮かべるその姿はどこか魅力的だった。

周りにはリヴァイアサンが3体三角形型に並べられてある。

剣が南の木の上に浮いている。

パワーアップウォールは北と東に配置されてある。

 

しっかりとルートを確認し、晴哉はガブリエルを放つ。ガブリエルは自慢の剣でリヴァイアサンをなぎ倒していく。

なんとかリヴァイアサンは処理できた。問題はこのムラサメだ。北のパワーアップウォール前にいるため二回触れて高火力で叩くことはできない。

一回触れ、また触れればなんとか行けるだろうか…

ガブリエルを東、北に行くように放つ。

一回触れて攻撃し、二回目に触れてもう一度攻撃。

いい火力だ。角度や放ち方さえ考えればそれほど難しいクエストではない。

さっきと同じ要領で放ち、第3ステージを突破する。

 

第4ステージ ボス戦…

 

警報音が鳴ると、水の渦から進化した水ムラサメが現れた。

体力ゲージは水色。

パワーアップウォールは東西南北に。

周りには水の進化前ムラマサが2体。そしてリヴァイアサンが1体。

面倒臭そうだ、サクサク進んできたツケが回ってきたか…

ムラマサの処理を急ごう。後々積むことになりそうだ。

ガブリエルを斜めの横カンで放つ。パワーアップウォールに触れ、ムラマサは一体撃破できた。

 

敵の攻撃。ムラマサは斬撃で攻撃してきた。ガブリエルから血が飛び出たその瞬間、晴哉に全身をフォークで突き刺されたような痛みが走る。

どうやらムラマサの斬撃は次元斬。どこにいようと斬ってくる厄介で少々怖い攻撃。

 

自分のターン、ムラマサを早めに殺っておこう。

パワーアップウォールに触れ、ムラマサを撃破。

今気づいた…ムラマサにクロスドクロがついていた。

何かを呼んだと思うと、剣が北の木の上に現れた。

剣は反撃モードになった。

 

(反撃モード…?何を出してくる…?)

 

物は試し、パワーアップウォールに触れ、攻撃しつつ、友情コンボで剣に攻撃してみる。

 

剣はムラマサを攻撃力アップと攻撃ターン短縮を付与した。

 

そして、レンズにはっきりと大きく映る、3の文字。

即死攻撃だ。

 

「ふふふ…あなた。私の刃に耐えれる?」

 

ムラマサが笑みを浮かべながら言う。

 

「その前に倒してみせるさ!お前の刃はくらわねぇからな!」

 

言ってしまった。挑発で言っても状況は変わらないが、当たった時の恥が格段に上がる。

いや、言ってしまったのだからやるしかない。

 

パワーアップウォールに触れながら、ムラマサの体力ゲージを削り切る。

 

「ふぅーん。いつまで戦うのかしら?」

 

ムラサメは水しぶきをあげながら山の奥へと逃げていく。 

 

「追いかけるぞ。」

 

「了解、ご主人。」

 

晴哉とガブリエル達はその後を颯爽と追いかける。

 

第2ステージ 

 

パワーアップウォールが南のみに大きく敷かれてある。

ムラサメを中心にリヴァイアサンが4体。手前には進化前のムラサメがいる。

 

進化前ムラサメには大きな数字7がある、早めに倒しておきたい。

 

パワーアップウォールに触れながら、ガブリエルでムラサメを攻撃。

剣で防がれたたが、ガブリエルはなんとかムラサメを撃破した。

 

「やりました!ご主人!」

 

「よくやった!ありがとう。」

 

活発なガブリエルは敵を倒したことをわざわざ報告した。

晴哉は褒めた。主人として当然だ。

 

敵の攻撃。リヴァイアサンが伝染霧を放ってきた。

近くのガブリエルに当たると、その霧は全員に広がった。

晴哉は海に溺れたような感覚に陥った。息が苦しい。

 

(被ダメがヤバい…リヴァイアサンを殺らなければ…)

 

伝染霧なんて予想もしてなかった。早めにリヴァイアサンを倒す。

ガブリエルでパワーアップウォールに触れ、リヴァイアサンを3体倒す。

 

敵の攻撃、ムラサメがレーザーを放つ。

レーザーの痛みにはとっくに慣れた。

パワーアップウォールに触れながら、最後のリヴァイアサンを倒す。

 

そして次のターン、ガブリエルはパワーアップウォールに次々触れながら、ムラサメを攻撃。

いい削り。

 

まだ攻撃ターンには猶予がある。

ガブリエルを放ち、パワーアップウォールに触れ、このステージを突破する。

 

「まぁだ戦うのね〜」

 

ムラサメはさらに奥へと逃げる。

 

 

追いかけた先は神社の中。仏壇がポツンと置かれてある。

ラストステージ。

 

北と南の壁にパワーアップウォール、しかし、南だけ起動していない。

リヴァイアサンが3体、クロスドクロマーク付き。

ムラサメは目だけが笑っていない不気味な表情で剣を握りしめている。

 

とりあえず、リヴァイアサンを素早く華麗に一筆で倒す。

ドクロマーク発動。進化水ムラマサの登場。

目が蒼く光っていて、その大きな刀で今すぐに斬られてしまいそうで足がすくんだ。ムラマサにはドクロマークが付いてある。これでパワーアップウォール起動…か。

 

「お前の実力、試させてもらおうか。」

 

ムラマサが刀を構え言った。

パワーアップウォールに触れながら、ガブリエルをムラマサに放つ。

ガブリエルとムラマサは剣で火花が散るほどの激闘を繰り広げている。

すると、ガブリエルがトドメの一撃をムラマサに喰らわせた。

 

「見事……」

 

消えかけていく声を出しながらムラマサは煙となって消え失せた。

 

「ふふ…強い人ですね。」

 

「私はこの妖刀を超える者をずっとここで待っていますの。超えてみせなさい、この妖刀を。」

 

「上等だ!!」

 

晴哉はそう言いながらガブリエルのストライクショットを放つ。緑色の美しい翼を羽ばたかせながら、パワーアップウォールに触れ、ムラサメを斬る。

 

「ふふふふ…本当に超えるつもりなんですね。」

 

「私は神の左に立つものです。その妖刀を打ち砕いてみせましょう!」

 

ガブリエルは妖刀ごとムラサメを貫いた。

そして、左手を掲げると、神社の屋根を破り、毒メテオがムラサメに直撃した。

 

「あぁ…力が抜ける……貴方のような強者に会えて良かった……」

 

体が消えゆくなか、ムラサメはその言葉を残し煙となってしまった。  

 

クエストクリアの文字が浮かぶ。

 

 

「やった〜!」

 

「良かった〜」

 

などの声がする。ガブリエル達はハイタッチしたり、ハグしたりして盛大に喜んでいる。

晴哉にハイタッチを要求してきたので、晴哉はそれに答え、全員とハイタッチした。

 

「よく頑張ったな。ありがとう。」

 

ガブリエル達は褒められると、皆それぞれの笑顔を見せた。

同じようで、こいつらは皆違う。違うからこそ、こいつらは強いんだ。

 

 

 

ーーーーーーーー続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅れてしまって申し訳ないです。 
楽しんでくれたらとてもとても幸いです。
本当に遅れて申し訳ないです…


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『友達』

三界を見事クリアした晴哉。またもや、ソロモンの部屋に泊まることになったが…


三界をクリアした晴哉は再びモンスターBOXへと足を踏み入れる。

 

「ソロモンの部屋ぁ…」

 

またもや疲れ果ててしまった晴哉はワープ機能でソロモンの部屋に行く。

ドアを3回ノックすると、すぐに扉が開いた。

 

「おかえり〜」

 

笑顔で迎えてくれてソロモン。

 

「疲れた…」

 

「あはは、ゆっくり休みなよ。」

 

晴哉は部屋に入ると、ベッドに腰掛けた。

しばらくぼっーと上のほうを眺めていると、ソロモンが隣に腰掛けてきた。

 

「ゲームでやってるときは目しか疲れないのに…実際にやるとこんなにも疲れるんだな。」

 

ソロモンに愚痴を吐く晴哉。

ゲームとは違い、ボスやモンスターの迫力や威圧。モンスターの叫びや雄叫びなども体感することになるため、当たり前のように非日常を経験することになる。

 

「でも、お前らはずっとこれを経験してんだもんな。すげぇよ。」

 

「ん?いやいや、そんなことないよ。同じモンスターだし。」

 

ソロモンは照れながら言う。

 

「そーだ、お腹空いた?」

 

晴哉はコクコク頷いた。

モンスターストライクの世界の食べ物は人間の世界と殆ど変らない。むしろ一緒と言っていいくらい。

どうやらソロモンは料理ができないらしい。今日はレトルトのカレー。それなりに美味しいし、腹も満たさせる。

 

熱々のカレーを冷ましながら食べ終えた晴哉は水を一息で飲み干す。

 

「ぷはぁ…あ〜生き返る〜」

 

まるで酒を飲む親父のような事を言う晴哉。

そんな晴哉をソロモンは微笑みながら見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

ずっとソロモンは気になっていた。

平然とクエストに連れて行かれていたが、その人はどんな人なのか。

詳しいモンスターは誰もおらず、分かっているのは“別の世界で引っ張っている”ということだけ。

 

次第に彼女はそんな顔も分からない主人に恋を抱いていた。

 

 

カナン運極完成後…

 

「やった〜カナンちゃん運極おめでと〜」

 

ワタツミが可愛げに拍手をしながら言う。

ソロモンはカナンの周回パーティーに入っていた、慣れた手付きでキャノンベースに放ち、何度も往復して敵を薙ぎ倒していく…

 

他のモンスターは『主人様も頑張るな〜』的なことを言っていたが、ソロモンだけは違った。

主人がどんな人か気になって仕方なかった。

そしてよく使ってくれている主人に感謝もしたかった。

 

「ソロモンちゃん、どーしたの?」

 

ワタツミが顔を覗き込みながら言う。

 

「えっ?あ、あぁ…なんでもないよ!」

 

ソロモンは咄嗟にそう答えた。

誰かに話したいけど、どうも話せない。

 

 

そんな彼女の前に“彼”が現れた。歳も近くて、いい方向で予想外でビックリしていた。

 

しかし、神化の彼女とは歳は離れていた。

 

「ハルさん、宜しくお願いします。」

 

ソロモンはおどおどしている彼と優しく握手した。

 

触れることができた

やっと会えた

 

彼女は嬉しくて仕方無い気持ちを心にぐっと抑え込んだ。

 

恋人同士になりたい なんて贅沢なことは言わない。

 

せめて友達からでも、良かった。

 

やっと会えたんだ、彼と“絆”というものを深めたい。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハル君…」

 

ソロモンが恐る恐る言う。

 

「ハル君ってさ、好きな女の子とか…いる?」

 

「……いない…かな。」 

 

「そう…」

 

ソロモンは思い切ってこう言う。

 

 

「私、ハル君のこと…好きだよ。」

 

 

晴哉は口をポカンと開け、水の入ったコップを水面を揺らすことなく持っていた。

 

「………あぁ!友達としてか!おぉありがとう!ここでの初めての友達ができて嬉しいよ!」

 

晴哉のその言葉にソロモンは訳が分からなかった。

 

「えぇ…う、うん。」

 

曖昧にも程がある返事を返すと、ソロモンは食器を放り投げるように流し台に入れた。

 

晴哉も本当は気づいていたのだ、彼女が自分のことを恋愛対象として見ている…と。

 

 

 

ただ、いつか来てしまう“別れ”が確実にある。

強者の界をクリアすれば、彼女とはもう二度と会えなくなる。

普通な対応を取りたかったのに、そんな気持ちが邪魔していて言えなかった。

晴哉は悔しさで吐きそうになった。

 

「ハル君?食器早いとこ片付けてね。」

 

少しだけしょんぼりとしたソロモンに晴哉は申し訳なさそうに皿を返す。

 

 

 

 

 

その夜。

いつものように同じベッドで寝ていたソロモン。

スースーと優しい寝息をしながらぐっすりと眠っている彼女を背に、晴哉は迷っていた。

あの時の返事を。

なんとも言えない感情が晴哉の中で漂っていた。

ソロモンに会った時…いやもっと前、ゲームでソロモンを使っているときから…

 

お気に入りキャラとして、適正クエストには必ず連れて行っていたソロモン。

恋愛対象として見ているような見てないような、曖昧な気持ちだ。

 

 

結局、一睡もできず朝を迎えた。

多少は休めたが、この調子のまま四界に行くとは…

 

いつもは起きている時間なのに、ソロモンがまだ寝ている。

晴哉は辺りをチラチラと見回し、紙とペンをなんとか見つけた。

 

その紙に『昨日はごめん』と書き残し、部屋を出た。

 

 

ーーーーーーーー

 

「あれ…寝すぎちゃった。」

 

ソロモンはボサボサのピンクの髪をさっさと直しながら立ち上がる。

すると、テーブルに紙が置かれていることに気がついた。

 

『昨日はごめん』

 

ソロモンはその言葉を見て顔を赤らめた。

 

「……駄目駄目…まずは友達から…」

 

必死に自分に言い聞かせると、ソロモンは髪をいつものポニーテールに結ぶ。

 

 

 

 

晴哉は廊下をすたすたと歩き、足音を響かせながら入口へと向かっていた。

 

「あ、ご主人…」

 

守護ガブリエルと出会う。髪も服の色も普通、トドメを刺してくれたガブリエルだ。

 

「おぉ、ガブリエル。どうした?」

 

「いや、たまたま会ったなぁ〜って。」

 

ガブリエルは気だるげに言う。あのありもしない効果音を付ける、進化前ガブリエルとは大違いだ。

 

「これからクエストですか?」

 

「ん?まぁな。」

 

ガブリエルは晴哉の手を握ると、

 

「頑張ってくださいね。」

 

微笑みながらそう言った。

 

エントランスに着いた晴哉は、モンスターBOXをすぐに出た。

ワープ機能でホームに到着。

 

そしてすぐに強者の界のクエスト選択画面の前に立った。

 

ーーーーーーーーーーーー次回 四界

 

 

 

 




今回は晴哉とソロモンのムフフな回でした。
次回は四界『惨殺の巨兵』です!どんなクエストかお楽しみに!!


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四界 『惨殺の巨兵』

四界まで辿り着いた晴哉。クエスト名を見て編成を即決めていたが…


クエスト選択画面に書かれてある文字は

惨殺の巨兵(ざんさつのきょへい)

到底、クエスト名だけではどんなものかは予想できない。

ギミックは地雷のみ…そして木属性。

 

「こりゃマナゲーの予感が…マナ、アグナX、ノンノ、張飛 辺りで攻めるか…」

 

言った通り、マナとアグナムートX、ノンノ、張飛が現れた。

アグナムートXは最近獣神化改が実装されたとの知らせを受け、急いで獣神化させた。

 

「宜しくお願いしますね、ハルさん。」

 

マナは凄く…なんというか…『優しい』っていう雰囲気がする。純愛の天使とも呼ばれているのだから当然だ。

 

 

 

クエスト開始、壁に髑髏が付いている謎の部屋に連れて来られた。不気味だ。

 

第1ステージ 早速中ボスに進化前ヨトゥンが出現。

周りには山姥が2体、通常ドクロマークを付いている。

そして如何にも『挟まれ』といっているような配置で置かれているハンシャインとダ・ヴィンチXコンビが二組組。

ヨトゥンにはマーク付きの1の数字がある。

とりあず、マナを放ち、山姥を一体倒す。

ドクロマーク発動。ヨトゥンの1の数字が3へと変わった。

 

晴哉はなんとなく理解した。あのマーク付きの数字は恐らく即死攻撃。山姥を倒し、ターンを遅らせつつ、ボスを倒すというクエスト。

面倒臭いにも程がある、でもこういうクエストも新鮮で面白い。“スマホでやってたら”の話だが。

 

「アグナックス、頼むぞ。」

 

「任せといて、ご主人様。」

 

アグナックスでヨトゥンの体力を削りつつ、ハンシャインとダ・ヴィンチの間に挟まる。さすがは超スピード型、目にも止まらぬ速さで挟まり、ご自慢の剣で薙ぎ倒してくれる。

敵のターン、ヨトゥンが蘇生を行う。するとさっき倒した山姥がぬるりと出てくる。

あの狂気じみた顔が地面から覗いてくるのは背筋が凍る。臆病な人が見れば失神してしまうほどだろう。

やはり晴哉の推測は正しかったようだ、山姥は何度でも蘇生する。

 

晴哉は即死攻撃に気をつけながら、ノンノ、マナでハンシャインとダ・ヴィンチを処理する。

敵の攻撃、ヨトゥンが気弾を放ちながら地雷をばら撒く。この焼けるような痛みにもなれてしまった。

そしてアグナックスで弱点を攻撃し、ヨトゥンの体力を削る。

ヨトゥンがばら撒いてくれた地雷のおかげか、火力が上がり、かなり削れた。

 

張飛を放ち、地雷で火力を上げ、ヨトゥンを撃破。このステージを突破。

 

第2ステージに進むと、中ボスに進化ダ・ヴィンチXが出現。

ダ・ヴィンチにはマーク付きの1の数字があり、周りには四体の山姥。そしてハンシャインとダ・ヴィンチXのコンビが一組。

山姥を倒しつつ、ハンシャインとダ・ヴィンチXの間にマナを挟まらせる。

山姥は体力が低いため、晴哉のパーティーの攻撃力なら一撃で倒せる。

ドクロマーク発動。ダ・ヴィンチXのマーク付きの1が3へと変わる。

敵の攻撃で山姥の蘇生、レーザやホーミングが放たれる。

HPにはまだ余裕はある。

アグナックスで山姥を倒しつつ、中ボスへダメージを与える。数字は3から6へと変化。

続いてノンノのターン。

 

「よぉ〜し、やっちゃうぞ〜」

 

「おう!頼んだぞ!」

 

ノンノは壁と中ボスの間に放ち、一気にダメージを与える。

ダ・ヴィンチXがレーザーを放つ。腹に響く痛みが走る。今までとは少し違う痛みだ。属性によって痛みが違うらしい。

 

「張飛の力!見せてやろうぞ!」

 

張飛でダ・ヴィンチXを倒す。

中ボスを倒すと、山姥達はおどおどしながら壁をよじ登って何処かへ逃げていった。

 

 

第3ステージ 中ボスにヨトゥンが出現。当然、マーク付きの1の数字があり、周りには山姥が3体。

そして、ヨトゥンの手前にはケビン緑川の進化が立っていた。

 

「強者よ!我が主人に挑むなら、我の縋を破ってみせよ!」

 

ケビン緑川はそう言った。

 

「いいだろう。受けて立つ。」

 

晴哉はマナを放つ。山姥を倒しつつ、ケビン緑川にダメージを与える。

ケビン緑川にダメージを与える際、マナは「ごめんなさい」と言っていた。

ケビン緑川はその声に反応することなくハンマーを振り上げるも、マナは軽々避けた。ドクロマーク発動でヨトゥンのマーク付きの数字は3へと変わる。

 

続いてアグナックスのターン。猛スピードでケビン緑川とヨトゥンに攻撃する。

ケビン緑川の撃破に成功。

 

「ぐあっ…」

 

そんな声を漏らし、ケビン緑川は煙となり消える。

晴哉は拳を握り締めた。

 

ノンノ、張飛でヨトゥンの体力を削り切り、このステージを突破する。

 

 

ボスステージ。警報音と共に、進化したヨトゥンが降ってくる。

着地した瞬間、地震のような振動がする。晴哉は尻もちを付きそうになってしまったが、ぐっと踏ん張る。

ボスのゲージは水色。山姥が三体。ダ・ヴィンチとハンシャインコンビがニ組の言ったところ。

マナを放ち、山姥を倒しつつハンシャインとダ・ヴィンチコンビを一組倒す。

ドクロマーク発動。ヨトゥンのマーク付きの1の数字が5へと変わる。

敵の攻撃。ヨトゥンがレーザを3本放つ。マナ、アグナックス、ノンノに当たる。一気に3本分の痛みがじんじんと響く。

晴哉は痛みを堪え、進路を考察し、アグナックスを放つ。ダ・ヴィンチとハンシャインのコンビを撃破。

敵の攻撃、ホーミングやレーザを散々喰らい終了。

そして晴哉のターン。ノンノでヨトゥンの体力を削りつつ、山姥を撃破する。5の数字はそれ以上増えない。どう足掻いても、猶予は5ターンだ。

続いて張飛を放ち、ヨトゥンと北の壁の間に挟まりダメージを稼ぐ。

友情で何と削り切り、ボス1ステージ突破。

キュュュュンと耳にキーンと響く音を発しながら壁を破壊し、次のステージへ移動する。

 

ボス第2ステージ ヨトゥンを中心に、山姥が二体。

ケビン緑川が一体手前に立っている。

 

「また会ったな!強者よ。次はあのようにはいかんぞ!」

 

ケビン緑川はハンマーを構える。

晴哉はマナを放つ。山姥を一体倒し、ドクロマーク発動。

そして、ケビン緑川に半分のダメージを与える。

またもやマナはケビン緑川を攻撃する度に、「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も何度も謝っていた。

 

晴哉は罪悪感に押し潰されそうになったが、ぐっと堪え、進路を確認する。

ケビン緑川も倒せて、ヨトゥンにもダメージを与えられるルート…

 

「ここだ。」

 

晴哉がそう言った瞬間、アグナックスが放たれる。

アグナックスはケビン緑川を目にも止まらぬ速さで倒し、ヨトゥンにも友情と掛け合わせ、かなりのダメージを与えた。

 

「よ、よし。私もやるぞ〜!」

 

ノンノを放つ。マナの友情は相変わらずの火力だ。

ボスの体力はいつの間にか半分を切っていた。

あまりの火力に山姥を二体とも倒してしまった。

 

(まぁ、いい。このターンで突破すればいい話だ。)

 

そう思った晴哉の顔は一瞬で青ざめる。ヨトゥンの数字はもう“1”だった

1が0へと切り替わる。

 

その瞬間、目の前が急に真っ白に包まれると、体全身に焼かれたような痛みが走る。

 

晴哉はその場に膝を付いた。幸いなことに、HPはなんとか持ちこたえた。

呼吸を整え、状況を確認する。 

大きな赤のハートが右側の壁に立派に成っている。

あれをとりつつもこのターンで終わらせなければマズイ。

 

晴哉は張飛を放つ。ハートを取ってようやく焼けるような痛みが引いた。

そして、友情と共にヨトゥンのゲージを削り切る。

 

ヨトゥンはまた耳に響く音を発しながら壁を無茶苦茶に破壊して次のステージに行く。

 

「ハルさん。しっかり。」

 

マナが手を差し伸べてくれた。

晴哉はその手を使ってなんとか立ち上がる。

 

「ごめん…」

 

晴哉は小声でそう言った。

マナはちらっと後ろを見たが、気にしなかった。ーー気づかないフリをしたのだ。

 

ボス最終ステージ ヨトゥンを中心にケビン緑川が

手前に立っており、ダ・ヴィンチとハンシャインコンビが一組、山姥が二体。

 

あんな痛みはもう経験したくない晴哉は一瞬でルートを確認し、マナを放つ。

山姥を一体倒しつつ、ダ・ヴィンチ ハンシャインコンビに挟まる。

 

そして、ヨトゥンが今までとは比じゃないくらい地雷を撒いた。

それと同時にアビリティロックも行ってきた。

幸い、マナとノンノは掛らなかったが、アグナックスと張飛には鎖がへばりついていた。

 

「くぅ…はっ…」

 

苦しそうにもがくアグナックスを申し訳なさそうに横に放つ。

意地でも地雷を踏まぬように、尚かつマナの友情で削れるように放った。

マナの友情で多少は削れた。

続いてノンノでヨトゥンの体力を削る。

張飛は横に放つ。

 

こうなれば賭けだ。

晴哉はマナのストライクショットを放つ。

 

「ストライクショット!!」

 

晴哉がそう叫ぶと、マナが放たれた。

マナは全員の撃種を変更し、味方を率いて敵に撃ち込むストライクショット。

 

マナ達はヨトゥンを次々斬る。

 

トドメの一撃。

 

その一瞬、マナが剣を刺そうとしたその一瞬…

マナはヨトゥンを優しく撫でる。

 

「ごめんなさい。」

 

マナはそう言うとトドメの剣を刺す。

ヨトゥンは爆発しながら煙となり消えてしまった。

 

上の方にクエストクリアの文字が浮かぶ。

今日も終わった。

 

マナが近づいてくる。

 

「謝らなくてもいいんですよ。」

 

マナは晴哉の手をぎゅっと握る。

その手はまるで太陽かのように暖かかった。

 

「私はいつも一緒にいます。悲しい時も嬉しい時も…」

 

マナは晴哉に向かって微笑んだ。その微笑みはどこか懐かしさを感じるような気がした。

 

「やりましたねご主人。」

 

アグナックスが肩に手を置く。

 

「いぇ〜い!クリアクリア〜!」

 

ノンノも飛び跳ねて喜んでいる。

 

「張飛の力を甘く見たな。ハッハッハ!」

 

張飛は一人で高笑いしていた。

 

(まぁ、無事に終わって良かったよ。)

 

晴哉はその事を口に出さず。一緒に笑った。

 

 

ーーーー続く

 

 

 




遅くなってすいません。

次回は五界『創造の劔』です。
次回はなんと作者のオリジナルモンスターが…?


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五界 『創造の劔』

四界をクリアした晴哉は、再びクエスト選択画面の前にいた。

 

「2界続けてか…まぁやるって決めたんだからやるしかないよな…」

 

晴哉はそんな独り言を呟きながらクエストを選択する。

次は五界『創造の劔』。

ギミックは重力バリアのみ。ただしHP個別ステージ、ハートなしステージである。そして光属性。

 

「ん〜?難しいな。ハートなしだからソロモンの進化は確定として…ジャンヌ・ダルク…芙蓉…ジキハイでいいか。」

 

そう呟いて現れたのは、進化ソロモン、ジャンヌ•ダルク、芙蓉、ジキル&ハイド。

 

「は、ハル君…」

 

ソロモンとは“あんなこと”があったばかりだ。

顔を合わせるのは気まずかった。

 

「宜しくお願いします。」

 

ジャンヌダルクは手を差し伸べてくれた。

晴哉はソロモンの目を気にしながら、ゆっくりとその手を握った。

 

「宜しくお願いしますね、ハルさん。」

 

美容は手で口を覆い、微笑んだ。

 

「美しく行きましょうかね…フフフフ…」

 

ジキルは不気味な笑みを浮かべた。ハイドの方はと言うと、とても言葉では表せないような奇声を上げている。

控えめに言って、怖い。もっと言ってしまえばーーいや、これは言わないでおこう。

 

晴哉は早速、クエストを選択。クエスト開始だ。

 

 

 

ーー連れて来られたのは、異様な場所だ。

空の上だったからだ。白い雲が足元にあり、壁は黄土色のレンガで作られている。

空域、では無いらしい。飛行は芙蓉しか付いていないため、危なかった。

 

第一ステージ 左右の角に光属性進化前バハムートがおり、中心には光の騎士。その手前に小さな光の騎士が三体。

バハムートにはドクロマークがしっかりと見える。

そして、光の騎士の左右にはハートパネルがご丁寧に置かれている。

小さな光の騎士は、オレンジ色の弱点が付いている。

ここは様子見といった所で、ソロモンで小さな光の

騎士を三体一気に倒す。

ソロモンは問題無く放たれたが、どことなく表情に元気が無いように感じた。

敵の攻撃、光の騎士が毒レーザーを放つ。

ジャンヌダルクとジキハイに直撃。晴哉の腹部に熱く、鈍い痛みが走る。

だが、芙蓉はド適正だ。HP個別ステージで毒は天敵、状態異常回復は物凄くありがたい。

 

ジャンヌダルクで、バハムートを一体倒す。

予想通り、バハムートを倒すとハートパネルがパッと光った。

ハートパネルは、ハート無しステージでは必須だ。

 

敵の攻撃、左側のバハムートが短距離拡散弾を放つ。

誰にも当たらなかったが、毒のダメージが多い。

晴哉は猛烈な吐き気に襲われた。

 

(早く芙蓉で回復しないと…)

 

芙蓉で、ジャンヌダルクの毒を回復しつつ、光の騎士にダメージを与える。

 

そして何とか、ジキハイで光の騎士を倒し、第一ステージ突破。

 

第二ステージ 光の小さな騎士が一筆書きで倒せるよう、壁際に縦にジグザグと並べられ、中心には中ボスの光の騎士。右角にはバハムートがいる。そしてハートパネルが2個…

光の小さな騎士はクロスドクロ付き、光の騎士の弱点を出してくれるのだろう。

ソロモンの位置なら、一筆書きで倒すのは余裕だ。

 

「ソロモン、頼んだぞ。」

 

「ま、任せておいて…」

 

晴哉がそう言うと、ソロモンは焦りつつもそう返した。

ソロモンは光の小さな騎士達を、見事に一筆書きでなぎ倒した。

クロスドクロ発動。中ボスに弱点が付与された。

敵の攻撃、また毒のレーザーが放たれる。

ジキハイに直撃。毒のダメージはかなり手痛いため、早めに回復したい。  

ジャンヌダルクで光の騎士にダメージを与えつつ、バハムートを倒す。

 

ハートパネルが起動した。芙蓉でジキハイの状態異常を回復し、光の騎士を倒す。

 

「いいですねぇ…」

 

「ヒャッハーー!!」

 

ジキルとハイドは勝手に盛り上がっている。

 

 

第三ステージ 中ボスに…謎のモンスターを中心とし、その周りに三角を描くように小さなクロスドクロ付きの光の騎士。

そしてバハムートが左の角に配置。

 

「先に聞く。人間、お前は強者か?」

 

そのモンスターは見たことがない姿だった。

金色の髪をし、瞳の色は赤。年齢は20代前半くらい、二本の大きな剣を構えている。

 

「あ、あぁ!そうだ!強者だ!お前を倒しにきた!」

 

「…良かろう。強者よ、己達の力を篤と見せてみよ!」

 

晴哉はジキルとハイドで光の小さな騎士を倒し、クロスドクロを発動させる。

ボスに弱点が付いた。

 

「強者だと言うならば、名を名乗ろう。我が名は『ガルド』!この創造の劔の一撃に耐えてみせよ!」

 

ガルドは右手の剣を振るい、次元斬を放つ。

ジキルとハイドに直撃すると、ジキルとハイドは倒れた。

 

「ぐぅ?!」

 

晴哉の腹にとてつもない激痛が走る。ジキルとハイドが即死した…ということは強力な攻撃と言う事だ。

 

(ジャンヌでバハムートを倒さないと…どんどん殺られるぞ…)

 

晴哉はジャンヌダルクを放ち、バハムートを倒しながらガルドにダメージを与える。

ハートパネル起動。

 

「どうした?!貴様らはそんな物か!」

 

再び、ガルドが剣を振るうと今度は毒レーザを放った。

ジャンヌダルクに直撃、また毒状態。

芙蓉で回復しつつ、ガルドを体力をなんとか半分まで削った。

ジキルとハイドも回復し、ソロモンでガルドの体力を削り切る。

 

「いいだろう、お前を強者と認めよう。」

 

「ただ、上には上がいるというのを覚えておけ。」

 

ガルドが口笛を吹くと、途端に地揺れが起こる。

 

すると、壁を突き破り、巨大な蛇の怪物が現れた。

蛇の怪物の上にガルドは乗ると、剣を再び構えた。

 

「強者よ、これが“上”だ。」

 

そう言うと、ガルドは蛇の怪物と共に奥の部屋へと逃げていった。

 

「自分の方が上だと言って逃げるなんて…結構臆病者なのかもですね。」

 

芙蓉が言う。

 

「追いかけましょう。」

 

ジャンヌダルクも言った。

 

晴哉は壊れた壁からボスステージに行く。

 

 

ボスステージ ガルドを中心に、三角に並んだ光の小さな騎士、クロスドクロ付きだ。

そしてバハムートが左と右の角に佇んでいる。

 

「貴様らの本気を我に見せてみよ。」

 

「いいだろう。上等だ!」

 

晴哉はジャンヌダルクを放つ。

光の小さな騎士を同時に倒し、クロスドクロ発動。

ガルドに弱点が付与された。

 

「どうした?!強者よ!!」

 

叫びながらガルドが剣でジャンヌダルクをぶった斬る。

 

「きゃぁぁ!!」

 

ジャンヌダルクはその場に倒れ込み、そのまま動かなくなった。

いちいち火力が高すぎる。回復が追いつかない。

芙蓉でバハムートを倒し、ハートパネルを起動させる。

 

「ジキル!ハイド!ぶちかませ!」

 

「任せなさい。」

 

「ヒィィィヤッフーーー!!」

 

ジキルとハイドを放つ。物凄い勢いでガルドの体力を削る。

回復もぼちぼちできていた。

 

「これだ、これだ!!我が求めていたものは!!」

 

またガルドが剣で辺りを薙ぎ払う。

 

「ぐおっ?!」

 

ジキルとハイドは剣で思い切り斬られた。

そして、そのままその場に倒れてしまった。

 

(嘘だろ嘘だろ…めっちゃ痛え…)

 

晴哉はさっきから腹部の激痛が引かない。何度も斬られたせいだ。

 

「ソロモン…頼んだぞ…」

 

「う、うん…」

 

また元気の無い返事をしたソロモン、ソロモンはガルドの体力を削り切ってくれた。

 

「ソロモン…と言ったか。」

 

「面白い奴だ…」

 

ガルドは蛇の怪物に乗り、壁を破壊し次のステージへ移動した。

 

「行こう。」

 

ソロモンはだんだんと元気を取り戻してきた。

晴哉は微笑ましかった。

 

ボス第ニステージ 壁の上にガルドがおり、中心には光の騎士 そして壁際には縦にジグザグと並べられた光の小さな騎士がクロスドクロを付け立っている。後ろの壁の隅にはバハムートがいる。

ジャンヌは全く動けず、芙蓉のターン。

芙蓉で小さな騎士を倒す。クロスドクロ発動。

光の騎士に弱点が付いた。

ジキルとハイドも全く動くことができずに、ソロモンのターン。

ソロモンでバハムートを倒しながら、露出した光の騎士の弱点を叩く。

 

光の騎士撃破。目の前が真っ暗になったかと思えば、ガルドが中心に立っていた。

 

そして、ジャンヌダルクを回復し、敵のターン。

 

「貴様ら!邪魔をするな!!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

回復したジャンヌダルクは、ガルドの剣で一瞬で倒されてしまった。

さらに、蛇の怪物が放った毒レーザーで、芙蓉も倒された。

 

「ここまで…ですかね…」

 

芙蓉はゆっくりとその場に倒れた。

 

(嘘だろ…?ここに来てハートパネルが切れやがった…)

 

ハートパネルはもうピンク色の輝きを失っていた。

残るはソロモン一人という、絶望的な状況。

勝てる気がしなかった。

 

「ハルくん。」

 

ソロモンは晴哉に近づいて、手のひらにある何かを見せてきた。

それは、一枚のメダルだった。

 

「これで、私の最大の力が出せる。」

 

最大の力、それは恐らくストライクショットのことだ。

ソロモンのストライクショットは、触れた最初の敵で爆発し、周囲を巻き込み大ダメージという物。

当たりどころがよければゲージを一気に飛ばして有利な状況に持ち込めるが…それも全て、当たりどころによる。

 

「使ってくれ。俺も名一杯狙う。」

 

それでも、この場を抜けるには使うしかなかった。

 

ソロモンは剣にメダルをはめた。

 

「行こう!ストライクショット!!」

 

ソロモンが全速力で駆け抜ける。

 

「面白い!!」

 

ガルドは歯を見せて笑っていた。剣を振るったが、ソロモンは軽々避けた。

もう片方の剣もソロモンはそれを踏み台にし、高く舞い上がった。

 

そして、弱点の場所に剣を突き刺した。

その瞬間、爆発が起こった。

煙が辺り一帯を包み込み、何が何だか分からない状態だった。

 

煙が消える頃には、ガルドの姿はもう無かった。

そしてそこに立っていたのは、ソロモンだ。

 

ーー勝ったのだ。

 

「い……やっっ、たぁぁぁぁぁ!!」

 

何故だが晴哉は無性に嬉しくなり、ガッツポーズをしながら喜んだ。

 

「やったよ!ハル君!」

 

「あぁ!ありがとうソロモン!お前のおかげだ!」

 

「あらあら、皆さん楽しそうですね。」

 

ジャンヌダルクがいつの間にか起き上がって話しかけてきた。

 

「勝ちましたの?嬉しいですねぇ。」

 

「芸術的であった。」

 

「ヤッフーーー!」

 

芙蓉に、ジキルとハイドも起き上がり、喜んでいた。

 

ーーこんな強敵を前にして、絶望的な状況から仲間と協力し勝つのがこんなにも嬉しいことなんだ。

 

晴哉は初めてそんな事を思った。

 

「さ、帰ろう。ハルくん。」

 

クエスト開始直後とは正反対の満面の笑みを、ソロモンは晴哉に向かって浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅くなって大変申し訳ありません。今後は、オリジナルの小説も書きながらこちらも投稿していくのでお願いします。

ささ、もう最後の界までようやく半分です。
晴哉君は戻れるのでしょうか…楽しみですねぇ…


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『天聖』

激闘の末、五界をクリアした晴哉はモンスターBOXに久々に帰ってきた。

 

「ぱんぱかぱんぱんぱ〜〜ん!ハルさん!五界クリアおめでとうございます〜〜!」

 

進化前のガブリエルが盛大に迎えてくれた。一人で。

 

「五界クリアでこんな祝ってもらえるのか?」

 

「当たり前じゃないですか。だってもうあと半分ですよ!」

 

晴哉はガブリエルのその言葉を聞いて複雑な気持ちになった。

クリアすれば、ようやく家に帰れるが、せっかく仲良くなれたソロモン達とは別れることになる。

 

「どうしました?」

 

そんな感情が顔に出ていたのだろうか、ガブリエルが心配してくれた。

 

「いいや…なんでもない。」

 

「と、いう訳で。今日はささやかな祝いの日です。名一杯休んでくださいね!」

 

特にパーティーとかも用意してくれる訳でもなく、名一杯休め…という日。

パーティーなどはしない方が、晴哉にとっては良かった。

別れが辛くなる。

 

そんなこんなで、晴哉はソロモンの部屋に泊めてもらう…のではない。

別の奴に誘われた。嫌な方だ。

 

「どうです?美しいでしょう?」

 

「ヒャハハハハハハハハ!」

 

ジキルとハイドだ。

ジキルはフラスコの中に入った変な液体を晴哉に見せつけてきて、ハイドはベッドの上で跳ねまくっている。

 

「は、ははは…」

 

晴哉はもう笑うしかなかった。

 

「どうしたのです?浮かない顔をして。もっと楽しく行きませんか?」

 

「ヒャハハハハハハハハ!!」

 

「ちょ、ちょっとトイレに行ってくるよ。」 

 

晴哉はそそくさと部屋を抜け出した。

 

(アイツらといたら、こっちまであぁなっちまいそうだ…)

 

トイレになど行かず、そのままモンスターBOXの広場へと直行した。

広場はたくさんのモンスターが休憩を取る場所。緑が生い茂り、真ん中には見上げれないと見えないほどの大木がある。

顔見知りがいればいいが。

 

「おや?ハル君じゃないか。」

 

ベンチに座っていた進化のモーセがこちらに気づいて話しかけてきた。

 

「おぉ、モーセ。元気か?」

 

「相変わらずだよ。」

 

晴哉も隣にさり気なく座る。

 

「見てごらん、あの木。」

 

「あれは“ビナーさん”が毎日育てている木だ。

どうだい?とっても綺麗だろう?」

 

「ビナー…さん?」

 

ビナー。メタイ話をすれば、新春ガチャで新登場したキャラだ。公式的な話でいうと、彼女は『天聖』の一人、希望へと導く者として知られているらしい。

 

「ハル君はあったことあるかい?」

 

モーセの言葉に、晴哉は首を振った。

 

「丁度今、周りの花の水やりでもしてるんじゃないかな。会いに行ってごらんよ、ハル君なら話してくれるさ。」

 

「へぇ、分かった。ちょっと会いに行ってみるよ。じゃ、またな!」

 

晴哉は立ち上がってそう言うと、木へ向かって走った。

モーセは笑顔で手を振って見送った。

 

 

──広場 大木周辺

 

一人のピンクの髪の女性が、ジョウロで鼻歌交じりに花に水をやっていた。

 

「あら、誰か来たようですね。」

 

近づいてきた晴哉に気が付き、くるっと頭を向ける。

 

「こんにちは、ハルさん。はじめまして、ですね。」

 

彼女がビナー。木属性のモンスターだ。

 

「こ、こんにちは。」

 

「この木が気になりまして?」

 

「え、えぇ…」

 

ビナーは再び、木の方向へ振り向くと、こう言った。

 

「この木は、“祈りの木”と言うんです。ほら、あれを見てください。」

 

ビナーが指差した方向を見ると、そこにはヒトポタスやパワタス、スピタスが気持ち良さそうに眠っていた。

 

「この木に祈れば、あのタス達が力を授けてくれるんです。」

 

「祈れば…?」

 

「そう。祈れば叶うんです。単なる祈りがいずれ力となります。」

 

ビナーが目を瞑って言う。

 

「もう強者の界を半分突破したらしいですね。」

 

「えぇ、疲れましたよ。」

 

「なら、この木に祈って見てください。」

 

ビナーが晴哉の背中を押す。

 

「祈るって…どうやれば?」

 

「両手を握って、目を瞑ってください。そうすれば、自然と、タス達は力を貸してくれます。」

 

晴哉は言われた通り、両手を握り目を瞑って祈りを捧げた。

 

「目を開けてはいけませんよ。」

 

晴哉は感じていた。背中にじんわりと感じる、ほのかな暖かさを。

ヒトポタス、パワタス、スピタスが晴哉の背中にそっと手を差し伸べていた。

力を授けたタス達は再び木へと戻って行った。

 

「もう開けていいですよ。」

 

「どうなったんですか?!」

 

晴哉は焦りながら聞く。

 

「彼らは、あなたに希望と勇気を授けてくれました。これからあなたが進み続けるための…ね。」

 

ビナーはニッコリと微笑んだ。

 

「ありがとう。ビナー。」

 

「お礼なら、彼らにどうぞ。」

 

晴哉は木の方を向き、軽く頭を下げた。

 

「またどこかで会おう!」

 

「さようなら〜」

 

ビナーは手を振って見送ってくれた。

 

 

 

──

「力を授けてもらったんだね。」

 

モーセがベンチにまだ座っていた。

 

「あれは僕らモンスターが必ずもらわなければならない物だ。」

 

「必ず…?」

 

「パワタスは勇気を、ヒトポタスは希望を、スピタスは正義を授けてくれる。」

 

モンストのゲーム内では、パワタスはパワー、ヒトポタスはヒットポイント、スピタスはスピードを授けてくれる。

実際にはこのように表現されてるらしい。

 

「勇気は力に、希望は命へと、正義は己を動かす動力源として…ってね。」

 

「僕らはあの力を授けてもらってから、必ずクエストに行く。あの力が無ければ、僕らは無力も同然なのさ。」

 

モンスター達は必ずあの木で三つの力を授かってからクエストへと行く、必ず。その力が無ければ無力だ──

 

「いましたよハルさん!さぁ!私の研究の続きと行きましょう!!」

 

「ヒャハハハハハハハハ!!」

 

ジキルが晴哉の学ランをガシッと掴んだ。

 

「あ、あははは…ば、バイバイ…モーセ。」

 

モーセは微笑みながら、ジキルに引っ張られる晴哉を眺めていた。

 

「彼も、分かってくれたかな。」

 

モーセは杖を持ち、ベンチをようやく離れた。

 

 

 

 

 

 

────

 

「ハル…面白い男だ。…奴に勝つためには、もっと、もっと“強さ”が必要だ。」

 

「強さこそが正義、強さこそが我の生き様。」

 

「強く無ければ、──すぐに死ぬ!!」

 

ガルドは神殿で剣を思い切り振るいながら叫ぶ。

 

「強さ、強さ、強さァァ!!」

 

 

 

──欲する物にはいずれ天罰が下る。

 

そんなことを彼はまだ知らなかったのだろう。

 

 

 

──六界に続く

 

 

 

 




おまけ回です。おまけっつてもバチコリストーリーに関係ありますけども…


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六界〜十界
六界 『勇猛の戦火』


晴哉は再び、クエスト選択画面に立っていた。

実は寝不足。結局、ジキルとハイドの部屋に泊まらされ、真夜中まで研究とやらに付き合わされた。

 

「次が…『勇猛の戦火(ゆうもうのせんか)』?」

 

次の界は六界『勇猛の戦火(ゆうもうのせんか)』。

ギミックはダメージウォールのみ。そして、受けたダメージに応じて攻撃力アップ。

 

(これはアンチダメージウォール持ちを連れて行ったら積む奴か…)

 

この“受けたダメージに応じて攻撃力アップ”というのは轟絶 ヴィーラと同じ仕様だ。

轟絶と同じ仕様ということは、中々の高難度なのだろう。

その選択画面の右上に書いてる文字がそう示している。

 

『難易度 轟絶級』

 

……と。

こんなにも丁寧に書いてくれているのだから、難しいのは当たり前だ。

 

「んんん〜。難しいな。ダメージウォールのみってのがありがたいか…天草四郎、ジェラルド、適当に運枠のニライカナイ、後はミロクかな。」

 

そう呟くと、言った通りのモンスター達が現れた。

天草四郎もジェラルドもミロクも全員見事獣神化を果たした優れた者達、火属性キラーの火力には期待できる。

 

「お願いします。主人様。」

 

「お前を俺が守ってやる!」

 

「希望も悪くない。私は皆を希望で救済しよう。」

 

皆晴哉に挨拶をしたがニライカナイだけは、絶対に挨拶をしようとしない。それもそうだ、あの見た目、言っちゃ悪いが相手にしてはいけないタイプだ。

 

「さぁ、行こうか。」

 

晴哉はため息混じりにそう言うと、クエストを選択した。

 

 

 

クエスト開始、連れて来られたのは異様な場所だった。

崩壊した街、しかも辺り一帯全て燃えている。

 

周りをじっくり見ている間もなく、第一ステージ。

火属性の魔道士が左右に2体、中心にはビットン。そして奥にはフェンリルXが唸り声を上げて威嚇していた。そして、ハートパネルが二つ敷かれてある。

フェンリルX、魔道士には8という大きな数字がある。

恐らく…いや必ず即死攻撃だ、注意して挑みたい。

 

ニライカナイは1ターン目、ダメージウォールがないから何もできない。

とにかく有利な位置から動きたいため、フェンリルXの右斜め前に放ち、フェンリルXの真横に停止した。

 

敵の攻撃、ビットンが左右の建物にダメージウォールを展開、そして魔道士は波動弾で攻撃。焼けるような痛みが晴哉に走る。

 

(この痛みも、……ぐぅッ…もうなんともねぇな。)

 

晴哉は痛みをぐっと飲み込み、天草を放つ。

ジェラルドはダメージウォールに触れながら、回復もしつつ魔道士を2体同士に倒す。

魔道士は2体とも案外簡単に倒れた、残るはフェンリルXのみ。

 

ジェラルドを放つ。ジェラルドはダメージウォールに触れながらフェンリルXを剣で斬りまくる。

無事にフェンリルXを倒し、ステージを突破。

 

第二ステージ、中心にビットン、魔道士が4体平行四辺形型に並べられ、後ろと前の方には火属性のヨルムンガンドと進化の火属性トールがいる。

 

(なんでトールが…?わざわざ出す必要あるかぁ?)

 

晴哉はそんな事を思いながらも、ミロクを放つ。

当然、敵には傷一つ付けられないが、ヨルムンガンドに最接近することができた。

敵の攻撃、ビットンが後ろと前にダメージウォールを展開した。そして魔道士の波動弾攻撃が4連続で来る。ヨルムンガンドはレーザーをトールの方へ放つ。

 

(トールとヨルムンガンドの間には、入らない方がいいな。)

 

そして晴哉はニライカナイを放つ。ダメージウォールに触れながら、回復しつつヨルムンガンドの体力を半分削り、魔道士を4体一気に倒す。

また敵の攻撃、次はトールがヨルムンガンドに向かって短距離拡散弾を放つ。奇跡的に当たらなかったが、当たればかなりの被ダメとなる、注意したい。

 

「天草!頼むぜ。」

 

「おまかせを。」

 

天草を放つと、ダメージウォールに触れつつ、ヨルムンガンドを倒し、そして偶然にもトールと壁の間には挟まり、トールも倒した。

 

「よくやった!天草!」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

天草四郎は少し照れた様子だった。

 

第三ステージ ビットンが右側の朽ちたビルの上に、中心には進化前のラグナロク。そしてその周りに4体の魔道士。ヨルムンガンドとフェンリルXが左右に配置。

 

「おやぁ?まだ生きてる奴がいるぞ。あたしのこの世界で、破滅以外は許されねぇんだよ!!」

 

ラグナロクは女とは思えない言葉使いで叫ぶ。

 

「破滅…?この世界はお前が滅ぼしたのか?」

 

「あたしの世界だ、どうやろうがあたしの勝手だろ!!」

 

これ以上話しても無駄だと判断した晴哉はすぐにジェラルドを放つ。ダメウォがない今、何もできないが、右側の魔道士のすぐ側に配置できた。

 

「滅びなぁ!!」

 

ラグナロクは地面に拳を突きつけ、そこからクロスレーザーが放たれる。

不幸にもジェラルドに当たってしまう。

そしてビットンが全面にダメウォを展開。

これで攻撃が通る。

 

ハートパネルで回復も狙いながら、ミロクでダメウォに触れてフェンリルX、ヨルムンガンドの間に入り、綺麗に削り切る。

 

「ホォ、やるじゃねぇか。」

 

ラグナロクが呟く。

 

「だがなぁ、私の世界では破滅こそが全てなんだ。生きることは許されねぇ!!」

 

敵の攻撃、ラグナロクのメテオ攻撃。

頭に石で殴られたような痛みと衝撃が響く。

 

「ぐあっ…!」

 

思わず声を出した晴哉は足を踏ん張り、呂布を放つ。

ニライカナイでダメウォに触れながら、ラグナロクと壁の間に挟まり、ラグナロクの体力を削り切る。

 

削り切ると、周りの敵たちは飛んで逃げていった。

 

「ヘェ……面白い奴らだな。なら、本気で相手してやるよ!!」

 

ラグナロクは炎を撒き散らし、奥の交差点らしき所に逃げた。

そこに足を踏み入れると、警報音が鳴り響いた。

 

ボスステージだ。

 

ラグナロクが大きな鹿を連れ、右手の拳を地面に突きつけながら待っていた。

辺りの建物の炎はより一層燃え上がっている。

 

「世界よ!!炎に包まれて滅んじまいなァ!!」

 

ラグナロクがそう叫ぶと、敵が降ってくる。

火属性のオーディンが奥の壁際、フェンリルXが後ろの壁際に。そしてラグナロクを囲むように魔道士が三体。奥の建物の上にはビットンが、そしてハートパネルが敷いてある。

 

天草四郎は何もできないため、すぐに放ってターン終了。

 

ビットンが全面にダメウォ展開、魔道士の波動弾に耐えながら、次のターン。

ジェラルドでダメウォに触れつつ、回復もしながら、魔道士を三体倒し、ラグナロクとオーディンにもダメージを与える。

 

敵の攻撃。ラグナロクのメテオ攻撃と、オーディンのレーザが一気に来る。

込み上げる痛みをぐっとこらえ、晴哉はミロクを放つ。

ミロクはダメージウォールに触れつつ、オーディンを倒し、フェンリルX、ラグナロクにもダメージを与える。

 

(ちまちま削ってたら即死が来る…一気にケリを付けちまおう。)

 

ニライカナイをダメウォに沢山触れさせながら、ラグナロクと壁の間に挟まらせる。

ニライカナイがダメージウォールに焼かれる姿を、晴哉は極力見ないようにした。

何はともあれ、ボス一ステージは突破だ。

 

「見てみな、神々も黄昏時だァ?受け入れな…」

 

ラグナロクはそう言って、街の奥へ逃げていく。

晴哉がふと横を見ると、そこにはフェンリルXがオーディンを喰らう所がはっきりと見えてしまった。

晴哉は見ていないフリをした。

 

ボス第二ステージ。ラグナロクが後ろの壁際に、魔道士が奥の壁に二体。そして左右の壁にはヨルムンガンドとトールが。ビットンは建物の上、ハートパネルもきちんと敷かれてある。

 

天草を放ち、このターンは何もできず終了。

敵の攻撃、魔道士の波動弾はちょっとだけ喰らいダメージウォールが左右に展開され終了。

 

「頼むぜジェラルド!!」

 

「聞き入れた!お前の声に答えよう!」

 

ジェラルドが放たれる。ダメウォに触れながら、魔道士と魔道士の間に挟まり倒す。

そしてターン終了。

 

敵の攻撃、トールとヨルムンガンドの間に二本のレーザが放たれる。

そしてラグナロクのメテオ攻撃で、このターンは終了。

 

「滅べ滅べェ!この世界と共に!!」

 

ラグナロクの叫びが響く。すると、周りの炎はまたより一層燃え上がる。

 

「俺らを導いてくれ!ミロク!」

 

「この世界を救済してみせよう。私のこの導きの光で。」

 

ミロクが放たれる。ミロクはダメージウォールに触れながら、ラグナロクとトール、ヨルムンガンドにそれなりのダメージを与える。

 

敵の攻撃、またトールとヨルムンガンドの間にレーザが放たれ、敵のターンは終了。

ニライカナイのターン。

 

「海だろうが、街だろうが。住処を汚す者は許さない。」

 

ニライカナイはそう言うと、放たれ、ダメージウォールに触れながら、回復もしつつ、ラグナロクの体力をなんとか削り切る。

 

「ほらほらァ!!神も黄昏時だっつてんだろ?いい加減受け入れろ。」

 

ラグナロクは再び街の奥へと逃げていった。

晴哉はまた偶然にも、トールとヨルムンガンドが殺し合う所を見てしまった。

血が吹き出したり、鈍い音も耳に入ってきたが、晴哉はまた聞こえないフリ、見えないフリをした。

 

ボス最終ステージ。ラグナロクを中心に、奥とラグナロクの手前にはスルトが、後ろの壁際には魔道士が三体が三角形で並んでいる。ビットンは建物の上に、ハートパネルもご丁寧に三つも敷かれてある。

 

天草は何もできず、そのままターン終了。

 

敵のターン、スルトが貫通ホーミングを放つ。地味に痛い。魔道士の波動弾も受けながらダメウォも展開され、敵のターンは終了。

 

ジェラルドのターン。ダメウォに触れながら、ラグナロクの体力をゴッソリ削る。運良くクリティカルが発動した。

 

「アハハハハッ!やるなァ!クズ野郎共ォ!!」

 

ラグナロクが地面に拳を突きつける、クロスレーザとメテオが放たれ、晴哉のモンスター達の体力もかなり持っていかれる。

 

(不味いぞ…このままいれば次で確実に……)

 

「心配をするな。」

 

ミロクが晴哉の肩に手を乗せた。

 

「行けるか?ミロク…」

 

ミロクは頷いた。

 

SSはオールアンチのため使っても意味はない、通常のショットで決めるしかない。

 

「信じるぜ!ミロク!!」

 

晴哉はミロクを放った。

ミロクは物凄いスピードで駆け回り、ダメウォにも触れまくった。

晴哉のパーティーの体力は0だが、ミロクは止まる気配が無い。

 

「アハハハハッ!」

 

ラグナロクが殴りかかるが、それも軽々避けながら、ミロクはラグナロクを斬りまくる。

 

「この世界は救済された。後は貴様が死ぬのみだ。」

 

ミロクはラグナロクにトドメの一撃を入れた。

 

 

「あっ………あたしを……倒すか!!…新世界はお前の物だ!!」

 

ラグナロクはミロクを最期まで殺そうとしたが、無残にも消えていった……

 

 

クエストクリアの文字が浮かぶ。今回もなんとか成功だ。

 

「ありがとう!みんな!」

 

「いえ…」

 

「お前の声に答えたまでだ!!」

 

「この世界の救済のために動いた。それだけだ。」

 

皆テンションはそれぞれだが、顔に笑みを浮かべていた。

 

こうして、晴哉はまた、モンスター達と絆が深まったのであった……

 

 

 

 

 

 

 




ラグナロクちゃん好き…(*´Д`)ハァハァ

( ゚д゚)ハッ! 次回は七界『滅霧なる夢弦』です。お楽しみに!!


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七界 『滅霧なる夢弦』

晴哉は熱気溢れる街に長時間いて、クタクタではあったが、再びクエスト選択画面に立っていた。

 

次のクエストは七界『滅霧なる夢弦(めつむなるむげん)

 

ギミックは重力バリアとブロック。重力バリアは対策必須だ。

そして難易度は『轟絶』。

 

「ビナーの神化、蒲公英、マモン、オスカー辺りがいいかな。」

 

晴哉が疲れ気味にそう呟くと、その四体のモンスターがパッと、現れた。

 

「宜しくお願いします。」

 

「宜しくね〜!」

 

「フフ…宜しく。」

 

「宜しくな!主人!」

 

皆、今回はまともに挨拶してくれた。

 

「皆、宜しくな。期待してるぞ。」

 

「まぁ、期待してくださるなんて嬉しいです。」

 

ビナーが微笑む。

晴哉はさっそくクエストを選択した。

 

 

クエスト開始 青い建物が建ち並ぶ場所に来た。

どこか見覚えのある場所、嫌な記憶が頭を過る。

 

第一ステージ ブロックが横に三つ並び、そのブロックの下側に戦車の雑魚が三体が横に並んで、中心には中ボスの進化前の蓬莱。そしてその周りを囲むようにオケアノスが二体。壁際には挟まれと言わんばかりのクラーケンとリヴァイアサンのコンビが。

そして全員に重力バリアが張られてある。

 

「あらあら、お強い方でしょうか?」

 

蓬莱がスマホ片手にこちらに視線を向けている。

その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「お相手して差し上げましょう。うふふ…」

 

蓬莱は手で口を覆いながら言った。

 

晴哉はビナーを放ち、戦車の雑魚を二体倒す。

 

敵のターン、戦車の雑魚が蘇生を行い、二体が復活した。

そしてホーミングの雨、晴哉に痺れるような痛みが走る。

 

(ちっ、一撃で全員倒さないと駄目か…)

 

晴哉は実際でも、軽く舌打ちをし、蒲公英を放ち、戦車の雑魚を一層する。

 

「さぁ、お仕置きのお時間ですわ。」

 

蓬莱がスマホからレーザーを放つと同時に、オケアノスが二体ともレーザーを放つ。

一気にくる焼けるような痛みが体に響く。

そして、オケアノスは反撃モードに移行した。

 

「あらあら、少し痛かったでしょうか?」

 

蓬莱が笑いながら言った。晴哉はそれに答えることは無かった。

 

(オケアノスの反撃モード…恐らく、蓬莱の防御ダウンか…)

 

晴哉はマモンをオケアノス二体に触れさせながら放った。オケアノスに触れると、状態異常回復の爆発と、蓬莱の防御ダウンが行われた。

友情コンボと重なり、蓬莱にはかなりのダメージだ。

 

「まぁ、おいたが過ぎますわね。」

 

蓬莱はスマホから紺色の液体を蒲公英に放った。

 

「きゃあ…何これぇ…」

 

感染毒。感染した味方に触れると、その味方もその毒に感染するという物。

 

(なるほどな、この毒はダメージが大きいから、あの爆発で回復しろと言うことか…)

 

オスカーで、オケアノスに触れ、毒を回復。

同時に蓬莱の体力も削り切る。

 

「うふふ…お強いのですねぇ…」

 

蓬莱はくるっと回転し、煙と共に何処かへ消えた。

残ったリヴァイアサンとクラーケンも煙となり、何処かへ消えた。

次のステージに進む。

 

第二ステージ 今度は中ボスに、オケアノスが出現。

周りには小さなオケアノスが二体。そしてリヴァイアサンとクラーケンのコンビが三組。戦車の雑魚が四体。重力バリアは変わらない。ブロックは中心に、四つ並んでいる。

 

「頼むぜ、ビナー。」

 

「お任せを。」

 

ビナーを放ち、戦車の雑魚を一掃する。

 

敵のターン。中ボスのオケアノスが口を大きく開けると、その中から感染毒が放たれ、マモンに直撃。

そして小さなオケアノスは反撃モードに移行した。

 

毒のダメージはおよそ14000。痛すぎる。

 

(恐らくだが、あのリヴァイアサンとクラーケンの8の数字は即死だろう。早めに倒しておこう。)

 

蒲公英で、オケアノスに触れながらリヴァイアサンとクラーケンの体力を丁度よく減らす。

 

敵の攻撃。オケアノスがまた毒を放った。今度はビナーに直撃。

さっきまでは気にして無かったが、毒を喰らうと吐き気が込み上げてくる、吐きそうなのに吐けないというのがまた苦しい。 

 

マモンでクラーケンとリヴァイアサンのコンビを一組倒す。

 

敵の攻撃の毒に耐え、ビナーで体力の少ないリヴァイアサンとクラーケンのコンビを二組、友情を駆使しながら倒した。

 

オケアノスが毒を吐き、さらにはレーザーも放つ。

体力がマズイ。ハートを取りながら、友情を駆使し蒲公英でこのステージを突破する。小さなオケアノスは煙となって消えた。

蒲公英はよく使うため、実の厳選もしたし、戦型の書も使っている。そんじょそこらの火力とは比べれないだろう。

 

第三ステージ 中ボスに神化クラーケンが出現。

クラーケンを囲むようにオケアノスが二体。そして、進化のクラーケンと進化のギャラクシーサーペントが一体ずつ。そして全員に重力バリアがある。

 

「行ってくれ、マモン!!」

 

晴哉はマモンを放った。

防御ダウンしていないからか、あまり体力を減らすことはできなかった。

 

敵のターン。神化クラーケンが手から感染毒を放つ。そして、オケアノスは反撃モードへ。

またもやビナーに直撃。

毒のダメージが蓄積される、吐き気がさらに増す。

早く回復したい。

 

オケアノスに触れながら、オスカーで神化クラーケンの体力を減らす。

そして毒のダメージに耐えながら、神化クラーケンをビナーで無理矢理倒す。

 

「なぁ、主人。もっと周りの奴も倒した方がいいんじゃないか?」

 

オスカーが晴哉に言う。

 

「大丈夫だ…うっ……」

 

晴哉は吐き気がようやく引いた。

あの吐き気が続くくらいなら、中ボスを早めに倒し

たほうがまだいい。

 

次の場所へ足を踏み入れると、警報音が鳴る。

 

ボスステージだ

 

「この神仙の力、ご覧遊ばせ?」

 

蓬莱の声と共に、マップの中心に水の渦が発生する。

その渦から、進化した蓬莱が現れた。

 

ボスステージ開始。蓬莱を中心に、オケアノスが壁際に二体。

そして進化クラーケンと進化ギャラクシーサーペントのコンビが一組。全員に巨大な重力バリアがある。

 

(あのオケアノスに触れてから、あのコンビに挟まるっていう感じか…)

 

晴哉はそんな事を思いながら、蒲公英を放つ。

貫通タイプの蒲公英はあまり攻撃はできないだろう。しかし友情で削るため、蓬莱のすぐ側に配置する。

敵のターン、当然蓬莱が感染毒を放ち、蒲公英に直撃する。そしてクラーケンとギャラクシーサーペントによるレーザー攻撃。

 

「うわぁ…ベトベトぉ……」

 

蒲公英はなんら苦しそうではないが、晴哉はとてつもなく気持ち悪い。

 

マモンでオケアノスに触れながら、被ダメの原因であるクラーケンとギャラクシーサーペントの間に挟まって倒す。

 

「まぁ…やはりお強いですね。でも、私の求めている物とは程遠いですわ。」

 

「あなたは何を求めているのです?」

 

ビナーが蓬莱に聞く。

 

「…不老不死です。」

 

蓬莱は人差し指を天に掲げそう言った。

 

「くだらない…」

 

オスカーがため息を付いた。

 

「くだらない?…圧倒的な強さを持っても、天才的な才能を持っても死んでしまい、そして何もかも失うほうがくだらないと思いません?」

 

蓬莱が反射するレーザーを放ち、さらに感染毒を放つ。

また晴哉に痛みと吐き気が込み上げる。

 

晴哉は耐えながら、オケアノスに触れつつ、蓬莱にオスカーで攻撃する。

そして次も毒に耐え、オケアノスに触れながらビナーでこのステージを突破する。

 

「不老不死の霊薬。あなた達には渡しませんわ。」

 

蓬莱は水の渦と共に何処かへ消えた。

 

「追いましょう。」

 

ビナーに声をかけられ、晴哉は歯を食いしばり次のステージに進む。

 

ボス第二ステージ 奥の方に蓬莱。そして左右壁際と、後ろの壁際にオケアノス。中心にはクロスドクロマーク付きのクラーケンとリヴァイアサンのコンビ。重力バリアは当然付いている。

 

蒲公英はまた何もできない。横カンでその場に待機。

敵のターン、蓬莱が不気味な笑みを浮かべながら感染毒を放ち透明化。そして、オケアノスが反撃モードへ。

その毒はマモンに直撃、晴哉をまた吐き気が襲う。

 

晴哉は吐き気に耐えながら、マモンをオケアノスに触れさせ、クラーケンとリヴァイアサンの間に挟まる。

クロスドクロ発動、クロスドクロマーク付きの進化クラーケンと進化ギャラクシーサーペントが出現。

そして蓬莱が透明化が解けたが、防御アップ。オケアノスは爆弾で倒され、進化した巨大なオケアノスが出現。

 

(クソッ…あの二体を倒さないとダメージを与えられないか…)

 

晴哉は舌打ちをしながら、オケアノスに触れながらビナーでクラーケンとギャラクシーサーペントの体力を削る。

見えない蓬莱はさらに感染毒を放ってきた。

 

(この吐き気はもう嫌だ……早く終わらしたい…)

 

晴哉は顔を青ざめたが、蒲公英を放ち、クラーケンとギャラクシーサーペントを倒す。

クロスドクロ発動、大きなオケアノスが爆弾で倒され、さっきの場所に小さなオケアノス二体が出現。

蓬莱の透明化も解け、防御アップも解けた。

 

「頼む…早く終わってくれ…」

 

晴哉は泣き言を言いながらマモンを放つ。

 

その後、沢山のダメージを貰いながらも、ビナーでなんとか第二ステージ突破。

 

「あらあら、死んでしまいそうですねぇ。どうです?不老不死。素敵では無いですか?」

 

蓬莱は笑いながら、渦と共に消えた。

 

「大丈夫?ご主人?」

 

蒲公英が心配して声をかける。

 

「……大丈夫だ…次に行こう。」

 

 

ボス最終ステージ 蓬莱を中心に蓬莱の奥にブロックが三つ。そこには戦車の雑魚が三体。

そして小さなオケアノスが二体。後ろには神化クラーケンが一体。重力バリアは勿論の事。

 

蒲公英を放ち、戦車の雑魚を一掃する。

敵のターン。蓬莱がニヤニヤとしながら感染毒を放ち、オケアノスは反撃モードへ、クラーケンは反射レーザーを放つ。

晴哉は痛みが走るなか、マモンを放ち、蓬莱もクラーケンも平等にダメージを与える。

 

また蓬莱が毒を放ち、クラーケンがホーミングを放つ。

 

「苦しいでしょう?死を感じますね〜。うふふふ…」

 

蓬莱が笑う。

晴哉はそれに苛立ちながらオスカーでクラーケンを倒し、蓬莱にもかなりのダメージを与える。

 

「……私のストライクショットを使ってください。」

 

ビナーがそう語りかけた。

ビナーのSSは、3本の毒レーザーで攻撃。

このステージでは不利だ。

 

「……そうか、この角度なら、一本のレーザーがオケアノスに当たって蓬莱にもダメージを与えれる…」

 

「放ってください。」

 

「分かった!!頼んだぞ、ビナー!!」

 

ストライクショットを放つ。

ビナーが杖を前に掲げると、三本の毒レーザーが放たれた。

狙い通り、一本はオケアノスに当たり、蓬莱にダメージが与えられた。

 

そのダメージはどんどん増していき、蓬莱の体力を削り切った。

 

「…ッ?!…………そう…ですか…不老不死…確かにくだらない……敗者は去るのみです……ではご機嫌よう…」

 

蓬莱は煙となって消えていった。

 

クエストクリアの文字が浮かぶ。

 

「やった〜!凄いよ〜ビナーさん!」

 

「あはは…これくらいできますよ…」

 

喜ぶ蒲公英にビナーは微笑みを浮かべる。

 

「ウフフ…勝利ですよ。」

 

「あなたも蒲公英みたいに喜べばどう?」

 

不気味なマモンを、オスカーが軽く殴る。

 

「ありがとうな!皆!」

 

晴哉も笑顔で喜んだ。

 

ビナーのSSは、本当はあそこまでダメージは出ないはず。

 

それでもあれ程のダメージが出たのは、弱点による偶然か、はたまたこれが“絆の力”なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅れて申し訳ありません。タイトルを予告とは少し変えさせていただきました。
実際、蓬莱には勝ててないですが見た目が好きなので出させていただきました。
ビナーちゃんが弱いんじゃ無くてエクスカリバーが強すぎる。これに限る() 

次回はおまけ回なのでお楽しみに〜!


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『覚悟』

晴哉は泊まる部屋もなく、広場のベンチでぐぅぐぅといびきをかきながら爆睡していた。

 

「何をしてるんですか?」

 

進化前ミロクが不思議そうに晴哉の寝顔を見下ろした。

だんだんと、自分が座ろうとしていたベンチで爆睡している晴哉にイライラし始め、剣の柄で晴哉の顔を軽くつついた。

 

「んあ?…うっ…うわぁ!!み、ミロク…」

 

晴哉は頬を軽く膨らませたミロクに驚いて飛び起きた。

 

「主人様、ここは皆の公共の場所です。」

 

「ごめん…」

 

晴哉は謝った。ミロクはため息をついた。

公共の場所で爆睡するのは確かに駄目だ、でも晴哉はとてつもなく疲れている…なんて理由で許されてたら今こうやって注意されてない。

 

「…はぁ…泊まる場所が無いなら言ってくだされば良いのに…」

 

「え?いいのか?」

 

「当然ではないですか。」

 

晴哉は心から感謝した。もう頭のおかしな奴の所に泊まる必要が無いのが嬉しかったのだ。

 

「付いてきてください。」

 

晴哉はミロクに言われるがまま付いていった。

 

 

ミロクの部屋らしき前に付いたが、異様な空気を漂わせている。

赤いオーラというか、気というか、そんな赤い帯状の物がドアから漏れていたのだから。

 

「な、なぁミロク…これ中でなにやってんだ?」

 

「?別に何も。」

 

ミロクはそう言いながらドアを開けた。

 

ドアの先には想像を超える異様な空間が広がっていた。

壁も天井も床も全て黒混じりの赤で塗りつぶされている部屋だ。

はたまたベッドやキッチンでさえも、黒混じりの赤色だ。

 

「どっか適当に座ってください。椅子という物が無い物で。」

 

晴哉は仕方なく、おどおどと床に座った。

やばいのは見た目だけで、床は痛くも熱くも無かった。

しかし、じっ〜と床や天井を見ていると吸い込まれそうな気がした。まるで宇宙空間のような感じだった。

 

「どうかしました?」

 

「いや…なんでもないよ。」

 

目眩がしかけたが、晴哉はぐっと堪えた。

 

「さて…お茶でもどうぞ。大して美味しくはないでしょうが。」

 

「ありがとう…」

 

晴哉は差し出された麦茶を受け取ると、ぐびっと一息で飲み干した。

 

「……主人様…あなた、これからの“覚悟”はありますか?」

 

「へ…覚悟…?」

 

「覚悟。あなたはこれから強者の界の最終三クエストに向かいます。」

 

最終三クエスト。残り三つしかクエストが無いということだ。

 

「は…もう三クエストしか無いのかよ?!」

 

「はい。だからあなたに聞いてるのです。」

 

「以前、ラグナロクを倒した際、あなたは仲間達と精一杯喜んでいましたよね?」

 

「あれ程絆を深めた仲間達と、別れる“覚悟”があるかを、私は聞いています。」

 

晴哉はそのミロクの問いに、黙り込んでしまった。

 

残り三クエストしかない強者の界。

早く現実に帰りたいが、ここで作った新たな仲間との別れを考えていると…だんだんと悲しくなっていた。

 

「…では質問を変えましょう。あなたは何を欲しますか?」

 

「……え?」

 

そのミロクの質問に、さらに晴哉は声が出せなくなっていた。

 

「元の世界に帰ることを欲するか、この仲間達と共にいることを欲するのか。簡単な二択です。」

 

ミロクは二本の指を晴哉の顔の前に押し出し、そう言った。

晴哉は考えに考えた。

 

これから自分がどうするのか、何をするべきなのか。

 

──そんなことは簡単だった。

 

「俺が欲するのは、元の世界に帰ることだ。ずっとそれを目標としてやってきた。もう後戻りなんてしない。」

 

晴哉のその言葉を聞き、ミロクはにっこりと微笑んだ。

 

「その方が、私達も安心です。」

 

 

 

────

 

ミロクの部屋のベッドで寝ていた晴哉は、まだ心残りがあった。

 

自分が帰った後、時間が戻されると言ったが、それは現実世界だけ。

このモンスターストライクの世界の時間は戻されない。

晴哉と戦った記憶も、晴哉と話した記憶も、モンスター達はしっかりと刻み込まれている。

 

自然と、涙が溢れそうになった。

 

たったと数日程しか過ごしてない筈なのに、なんでこんなにも悲しいのか、晴哉は分からなかった。

 

共に戦っただけで、モンスター達との絆はありえない程に深まったのだ。

 

しかし、もう決めた事だ。この世界に来たときから、元の世界に戻るため、強者の界をクリアし続けてきた。

 

後戻りなんてできない──

晴哉は暗闇の中、ベッドの上で静かに目を閉じた。

 

 

 

 

──朝になった。光すら入ってこないミロクの部屋で、自然と目を覚ました晴哉。

 

(ミロクはまだ寝てるのか。)

 

ベッドの上で横になり、ススーと綺麗な寝息を立てながらミロクは寝ていた。

晴哉はミロクを起こさないよう、そっとドアを開け、そそくさと部屋を出た。

 

 

 

(覚悟…もうこの戦いも終わるんだよな。)

 

晴哉は廊下を歩きながら、ミロクの言ったことをよく思い出していた。

 

(さ、行こう。“最後の戦い”に。)

 

 

 

 

 

──最終界まで残り 3 界

 

 

 

 

 

 

 

 

 







最終界まで残り 3 界


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八界 『狂乱の謀殺』

晴哉は覚悟を決め、最終三クエストの初めのクエストに挑む。

 

次のクエストは、八界『狂乱の謀殺(きょうらんのぼうさつ)

木属性。ギミックは地雷とブロック。

地雷は対策必須級。そして、“混乱”状態は攻撃力アップ。攻撃倍率5倍。

 

「適正がまた難しいな…マルス、加藤清正二体、あとは…」

 

晴哉がそう言い終わらないうちに、モンスター達が現れた。

 

「やぁ、ハルくん」

 

そこには呼んでいない、神化カエサルの姿もあった。

 

「カエサル?!どうして…?」

 

「いやさぁ、僕にも行かせてほしいんだよねぇ。」

 

「はぁ?何を勝手────」

 

晴哉は言葉が詰まった。カエサルの剣が首元に迫ってきたからだ。

 

「行かせろよォ、クソガキが。」

 

晴哉は思わず頷いた。

 

「やめろ。主人様だぞ。」

 

「そ、そうだぞ!お前もそう思うよな?」

 

「お、おう!」

 

マルスがカエサルを止め、後ろからは二人の加藤がブーイングをかました。

加藤清正は一人は髪も服も正しいが、もう一人は髪の色が真っ赤だ。

 

「わ、分かった…そんなに言うなら行こう…」

 

カエサルは飛行のブロック持ち、決して適正ではないという訳ではないのだが、難易度は『轟絶』。属性倍率は通常より高い。

けども、あまりのカエサルの威圧に、断る選択肢は無かった。

 

 

クエスト開始、緑色の神殿のような場所に転移した。

 

第一ステージ 中ボスに進化木属性ムラマサが壁の上に。中心にはブロックが。

その周りには挟まれと言わんばかりに配置されたクロスドクロマーク付きヴリトラのコンビが三組。中心には侍の雑魚が配置されている。

 

 

まずはマルスを放つ。ヴリトラとの間に挟まったが、大したダメージは出なかった。

 

(やはり、記述通り…混乱状態にならないとダメージは出ないか…)

 

混乱状態とは、友情コンボが不発になるうえ、味方を攻撃してしまう厄介な状態異常だ。

そして敵の攻撃、侍の雑魚が反撃モードになる。

放たれた加藤は侍の雑魚に触れると、侍の雑魚から紫の霧が放たれ、加藤に直撃。

 

「うっ?!……」

 

加藤は一瞬だけうめき声をあげると、頭をクラクラと揺らし始めた。そして晴哉にも、頭痛が急激に走る。

 

「な、なんで…頭がクラクラする…」

 

加藤は片手で刀を構えながらも、もう片方の手で頭を抑えた。

 

「耐えてくれ!加藤!」

 

混乱した加藤は、ヴリトラの間に挟まり、見事に倒した。

 

クロスドクロ発動、状態異常回復フレアが放たれる。

 

(なるほど…混乱は一体ずつってことか。)

 

敵の攻撃、ヴリトラのホーミングの雨を喰らい、晴哉は痛みが走る。そして侍雑魚は反撃モードに移行した。

地雷も大量に撒かれる。いい火力の足しになる、ありがたい。

 

二体目の加藤を放ち、侍の雑魚に触れさせ混乱状態にさせてから、ヴリトラの間に挟まり倒す。

フレアで混乱状態は解除された。

 

(しかし…頭痛がするっていうのがなぁ…)

 

晴哉は頭を抑えながら加藤を放ち、侍に触れ、ヴリトラの間に挟まらせた。

目の前が真っ暗になり、ムラマサが壁の上から降りて中心に立った。侍雑魚はムラマサの後ろに移動。

 

カエサルで侍雑魚に触れさせながら、縦カンでガンガン削り、このステージを突破する。

 

第二ステージ クロスドクロ付きヴリトラのコンビニ組は奥と後ろに、中心には侍雑魚が。ヴリトラの下にはブロックがある。

中ボスのゲージがあるが、ボスの姿は見えない。

 

ともかく、マルスは何もできないため、侍雑魚のすぐ近くに配置する。

 

敵の攻撃、地雷が大量に撒かれ、侍雑魚が反撃モードに移行した。

 

晴哉は加藤を侍雑魚に触れさせ、混乱状態にし、奥のヴリトラの間に挟まる。

 

クロスドクロ発動、状態異常回復フレアで混乱状態は解除された。

 

「いちいち頭痛が……クソッ…」

 

晴哉は何回も襲ってくる痛みにイライラしていた。

ヴリトラのホーミング攻撃、もうこの痛みにも慣れてしまっていた。

晴哉のターン、加藤を放ち侍雑魚に触れさせヴリトラの間に挟まり倒す。

クロスドクロ発動、状態異常回復。

そして急に真っ暗になり、中心に中ボスのブルータスが出現。

 

ブルータスが現れた瞬間、カエサルの目付きが変わった。

 

「やぁ…ブルータス。」

 

「カエサル……?」

 

緑の結晶に閉ざされたブルータスはカエサルを見ても何も動じなかった。

 

「さぁハルくん、僕を放ちな。あいつをぶっ殺してやるんだ……」

 

カエサルは狂気的な笑みを浮かべた。晴哉はその笑みに恐怖を覚えたが、侍雑魚に触れさせながらカエサルを放つ。

 

ブルータスの弱点を何度も叩き、体力を一気に半分まで削った。

 

「カエサル…お前が悪いのだ!独裁政治は許してはならないのだ!」

 

ブルータスが手に持った刃物を上にかざすと、進化前のムラマサが三体現れた。

晴哉はマルスで、侍雑魚に触れさせながらブルータスの体力を削り切る。

 

「なんとしてでも…共和制は…」

 

ブルータスは煙と共に消えていった。

ムラマサ達も煙と共に消えた。

 

そして次の場所に足を運ぶと、警報音が鳴る。

早いがボスステージだ。

 

ボスにブルータスが中心に出現。その周りには四体のドクロマーク付きムラマサがバラバラに分かれ配置され、侍の雑魚は二体に増えている。ブルータスの下にはブロックがある。

 

「独裁政治を許してなるものか!!」

 

『ウオ────!!』

 

ブルータスがそう叫ぶと、ムラマサ達も声を張り上げた。

 

「…イヤな事思い出させてくれるねぇ…」

 

カエサルが頭を抱えながらそう言った。

晴哉は不思議に思いながらも、加藤をブルータスの近くに配置する。

敵の攻撃、地雷が撒かれ、ムラマサニ体の次元斬攻撃、侍雑魚は反撃モードへ。

次元斬のヒリヒリとした痛みが残るなか、晴哉は加藤で侍雑魚に触れさせながらムラマサを一体倒す。

回復フレアで混乱は解除。だが、頭痛が全然引かない。何度も混乱を受けた影響だ。

 

敵の攻撃 ブルータスの薙ぎ払い攻撃は加藤に直撃。ムラマサは再び次元斬攻撃。晴哉にはで猫に引っ掻かれたような痛みが全身に走った。

そして晴哉は、カエサルで侍雑魚に触れさせながらブルータスの体力を削りつつ、ムラマサを一体倒す。状態異常回復フレアで混乱を解除する。

 

「私は正義を成したのだぁぁ!!」

 

ブルータスは反射レーザーを放つ、ムラマサの次元斬と重なってかなりのダメージとなってしまった。

マルスでブルータスの体力をなんとか削り切る。

 

「なんとしてでも…共和制は絶対に守るわ……!」

 

ブルータスは神殿の奥へと、ムラマサ達と共に逃げていった。

 

ボス第二ステージ ブルータスの姿が消え、クロスドクロ付きヴリトラのコンビ一組が中心に。その周りには四体のムラマサ。そして侍雑魚。中心にはブロックが設置されている。

晴哉は加藤を適当な位置に放つ。

敵のターン 侍雑魚が反撃モードへ、ムラマサの次元斬。晴哉にまた引っ掻かれたような痛みが走る

加藤のターン、侍雑魚に触れながらヴリトラの間に挟まる。

クロスドクロが発動し、混乱状態が解除される。

目の前が漆黒に包まれ、ブルータスが中心に現れる。

敵の攻撃、地雷が撒かれ、ムラマサの斬撃。晴哉にまた激痛が走る。

 

(クソッ…ムラマサを処理しないとマズイ…)

 

晴哉はカエサルを放ち、侍雑魚に触れ、ムラマサを一体倒しつつ、ブルータスの体力を減らす。

また敵の攻撃を貰いながらも、なんとか耐えた。

 

「おい主人殿!何か策はあるのか?!」

 

マルスが呆れたのか叫んだ。

 

「とにかく…周りの奴を徹底的に排除していくしかない!」

 

晴哉はマルスでブルータスの体力を削りながら、ムラマサを二体倒した。

敵のターン、次元斬とブルータスの反射レーザー。

被ダメがとんでもない、早く突破しなければ。

 

晴哉は加藤でムラマサを倒しながら、ブルータスの体力を削り切る。

 

「私は…私はぁぁぁぁ!!」

 

ブルータスは絶叫しながら神殿の奥へと逃げていく。

晴哉達はそれを必死に追いかけた。

 

ボス最終ステージ ブルータスを中心に、ムラマサが二体。ヴリトラコンビが二組、侍雑魚。そしてブルータスの下にはブロックが。

大して変わらないが、一つだけ違う点がある。

ビットンが壁の上にいる。何をしてくるか分からないため、注意して挑みたい。

 

加藤を侍雑魚のすぐ近くに配置する。

 

敵のターン。地雷が大量に撒かれ、侍雑魚が反撃モードになり、ムラマサの次元斬、ヴリトラのホーミングでかなりのダメージを貰った。

 

(早くケリを付けないと…)

 

晴哉はカエサルを放つ。侍雑魚に触れながら、ムラマサを倒す…予定だったが──

 

「ブルータス!!!」

 

カエサルは笑みを浮かべながら、ブルータスの方へ向かった。

 

「カエサル!!!」

 

カエサルはブルータスを斬りまくり、ブルータスもカエサルを必死に振払おうとナイフを振り回した。

 

ブルータスの体力があり得ない早さで減っていく。

 

「アハハハハハ!!!死になぁ!ブルータス!!」

 

カエサルはブルータスの胸部にトドメの一撃を入れた。

カエサルの剣がブルータスの胸部にブスリと刺さり、緑色の血が吹き出した。

 

「ハハッ……悪い奴はこうなるんだよ。ブルータス。」

 

「………カエサル……!お前も……だ……!」

 

ブルータスは腕からどんどんと灰となり、消えた。

カエサルはニヤッと不気味な笑みを浮かべ、剣を振り、血を弾き飛ばした。

 

「勝てたの…?」

 

加藤が恐る恐る口を開いた。

 

「あぁ、でも…」

 

晴哉はカエサルの不気味な笑みを見ながら顔を青ざめた。

カエサルとブルータスの間で何があったのか、晴哉達は知る由も無かった。

 

 

 

 




ブルータス…お前もか… オレモオレモ! 俺も俺もボーイ…お前もか(((  

今回は闇が深い話となってしまいました。


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九界 『巧妙なる夜叉の魂』

残るクエストは後二界となった晴哉。

疲れた体を少し癒やし、クエスト選択画面に立った。

次のクエストは九界『巧妙なる夜叉の魂(こうみょうなるやしゃのたましい)

ギミックはワープとウィンド。どちらも対策必須級。

特殊ギミックは弱点倍率アップ。

 

「守護ガブリエル、神化カマエル、ゲイボルグ、神化雑賀孫市で、よし決まり。」

 

そう呟くと、モンスター達が現れる。

 

「宜しくお願いします。」

 

「宜しくな、主人殿。」

 

「宜しく…」

 

「宜しくな!」

 

皆それぞれ挨拶をした。

 

「よし、皆宜しく!」

 

晴哉はそう言うと、クエストを選択した。

 

クエスト開始 古びた金色の畳の部屋に移動した。

所々に空いている穴から、“目”が覗いていた、とてつもなく不気味だ。

 

 

第一ステージ 三体のナーガが中心に、三角形を描くように配置されている。

 

「……?」

 

訳の分からない配置に、晴哉は困惑したが、その配置の意味はすぐに理解できた。

 

(分身か…)

 

そう、二体のナーガは偽物で、本物は三体のうちの一体のみだ。

それを当てるところから始めなければならない、覇者の塔28階のような物だ。

 

晴哉はとりあえず、ガブリエルを放ち友情でダメージの通りを確認する。

しかし、全員ダメージが全く通らない。

 

(どういうことだ…?)

 

晴哉はさらに困惑した。普通なら、一体がダメージが通り、その一体が本物…なのだが。

 

敵の攻撃 壁の穴から、一つの目玉を持った果実3個飛び出してきた。

その果実は反撃モードになった。

 

「ふぅ〜ん、なるほどな。」

 

一個の果実は明らかに色が違う、その果実を狙ってカマエルを放った。

果実に触れると、中心のナーガが防御ダウンした。

そして、ナーガの体力を半分削る。

敵の攻撃の痛みを堪え、ゲイボルグを放ちナーガを倒し、このステージを突破する。

 

第二ステージ 二体の進化クリオドンを中心に、周りにナーガがニ体配置されている。

クリオドンの姿をまじまじと見てみると、気持ち悪い。頭部が裂け、進化前のクリオネのような姿からは想像がつかない進化だ。

 

とりあえず、孫市は適当に放つ。

そして敵のターン、果実が二つ飛び出してきた。

果実はすぐに反撃モードに移行。

クリオドンとナーガの間にレーザーが放たれる、

これは超絶 マルクトでもあったレーザーだ。

当たれば被ダメが悲惨なことになる。

ワープも出されたが、これは気にすることではない。

 

(色々とホントに“巧妙”な仕掛けだな。)

 

晴哉はそんな事を思いながら、ガブリエルを放ち、本物のナーガの体力を削る。

敵の攻撃に耐え、カマエルでこのステージを突破する。

 

(気味悪いくらい順調だな…)

 

 

第三ステージ 中ボスにクシミタマが出現、しかしクシミタマは三体いる。

そしてクリオドンが中心に一体。

ゲイボルグをクリオドンとクシミタマの間に入らぬよう放つ。

 

「悪霊の魂め…今ここで打ち滅ぼしてやろう。」

 

三体のクシミタマは一斉に、そして冷静にそう言うと、クリオドンに対してレーザーを放ち、さらにホーミングを一斉に放った。壁の穴から果実が2個、飛び出し、反撃モードに移行。

 

(レーザーに当たらなかったのは良かったが…こう、ホーミングが一気に当たるとかなり痛いな。)

 

晴哉は体がヒリヒリするのに耐えながら、孫市を果実に触れさせ本体のクシミタマにダメージを与える。

敵の攻撃、クリオドンがウィンドで引き寄せようとしてきた。

ただし、このパーティーの前では無力だ。

クシミタマはレーザーを放ちつつ移動した。

本体は目に見える限りでは奥の方へ移動した。

ガブリエルを果実に触れさせながら、クシミタマを攻撃し、体力を削り切る。

 

「くっ…一旦撤退だ…」

 

クシミタマは肩を抑えながら、壁の穴へと入っていった。

クリオドンはぬるりと、床をすり抜けて消えた。

 

第四ステージ 中ボスに進化ゴッサムが出現。

周りにはドクロ付きのナーガが三体。

ゴッサムとナーガの間にはレーザーが放たれるであろう、カマエルを安全な位置に放った。

敵の攻撃、果実が飛び出し、ナーガが位置を移動した。

ゴッサムとナーガの間にレーザーが放たれた、運悪く、ガブリエルに直撃してしまった。

 

「ううっ?!」

 

ガブリエルがうめき、晴哉にも激痛が走る。

体力バーを見てみると、かなりのダメージだ。

やはり喰らってはならない攻撃、次は気をつけるよう、晴哉は気を引き締めた。

カマエルで果実に触れながら、ナーガ本体を倒す。

 

ドクロマーク発動、爆弾でもう一体のナーガが倒され、黒い果実が空から振ってきた。

ナーガがいなくなった代わりに、壁の穴からクリオドンがニ体飛び出してきた。

そして黒い果実は反撃モードに移行。

ゲイボルグを果実に触れさせながら、ゴッサムにダメージを与える。

敵のレーザーをなんとか避け、孫市でこのステージを突破した。

 

「ねぇ、ご主人…あの人ご主人のこと『悪霊の魂』って言ってたけど…何したの?」

 

「イヤ…なんも心当たりない。」

 

「勘違いだって、気にしないほうがいいよ主人殿。」

 

「そうだぜ主人。あんな奴の言うことはだいたい勘違いだ。」

 

ガブリエルが晴哉に問いかけた、カマエルと孫市はその晴哉にニカッと微笑みかける。

 

次の部屋に足を踏み入れると、警報音が鳴り響いた。

ボスステージだ。

 

「ここで終わりにしてやろう。悪霊…私に会うとは、運が無かったな…」

 

進化したクシミタマが天井を突き破り、中心に立った。

クシミタマが指をパチンと鳴らすと、三体のナーガが床からぬるりと出てきてクシミタマの周りを囲んだ。

ステージ開始、晴哉はガブリエルをナーガとクシミタマの間に止まらぬよう放った。

敵の攻撃、果実が穴からニ個飛び出してきた。

反撃モードになった果実に触れさせながら、カマエルでナーガを倒す。ドクロマークが発動し、もう一体のナーガが倒され、黒い果実が降ってきた。

 

「くたばれ、悪霊め!」

 

クシミタマは持っている刺股をぐるぐると回し、床に突き刺した。

するとそこから貫通ホーミングが放たれた。

かなり痛いダメージ。晴哉にも激痛が走る。

痛みをぐっと飲み込み、ゲイボルグで反撃モードになった黒い果実に触れながらボスの体力を弱点を往復し、なんとか削り切る。

 

「お前は秩序を乱した。私は乱す者が大嫌いだ。」

 

クシミタマは壁をすり抜けて次のステージへと向かった。

それと同時にナーガ達も壁を突き破って次のステージへ向かう。

 

突き破られた穴を通って、ボス第二ステージ。

クシミタマが奥に。中心にはクリオドンが一体。

そしてクリオドンを囲むようにナーガが二体。

孫市を放ち、安全な位置に移動される。

ただ、運悪くナーガとクリオドンの間に止まってしまった。

敵の攻撃、ナーガとクリオドンの間のレーザーが、孫市を貫く。

 

「ぐわぁぁっ!?」

 

孫市が叫び、晴哉にも激痛が走る。

果実も飛び出してきた。

しかしなんとしてでも孫市を移動させなければならない。

ガブリエルでかろうじて孫市の位置をずらすことはできた。

そして果実に触れながらナーガを一体倒す。

 

ドクロマークが発動し、もう一体のナーガが倒され、黒い果実が降ってくる。

黒い果実が反撃モードに移行し、クシミタマが貫通ホーミングを放つ。

痛みをぐっと飲み込みながら、晴哉はカマエルを放ち、クシミタマの体力を削る。

 

「しぶとい奴だな…貴様がこの世界に来たせいで、私の秩序が乱されている!それは許されないことだ…ここは私の世界だ!」

 

クシミタマは刺股を思い切り振るいながら中心に移動する。同時にクリオドンも奥へと移動した。

晴哉はこれ以上の被ダメを抑えるため、ゲイボルグでこのステージを突破する。

 

「…………」

 

クシミタマは険悪な表情を浮かべながら、壁をすり抜け、次のステージへと移動した。

 

ボス最終ステージ クシミタマの姿が見えず、中心にはゴッサム。周りにはナーガが三体配置。

ゴッサムとナーガの間に止まらぬように孫市を放つ

さすがに同じ失敗はしない。

敵の攻撃 壁をすり抜けて貫通ホーミングが飛んできて、壁の穴から果実が反撃モードになりながら飛び出してきた。

 

「行こうご主人、ボクを放って。」

 

「あぁ!頼むぜガブリエル!!」

 

晴哉はガブリエルのストライクショットを放った。

 

「私は神の左に立つ者。この世界に天譴を授けます!!」

 

ガブリエルは剣で敵を切り裂きながら駆け回った。

そして、天井を突き破って毒メテオが放たれた。

 

ナーガ本体が倒され、爆弾でもう一体のナーガも倒れ、黒い果実が降ってきた。そして真っ暗になりクシミタマが中心に現れ、クシミタマの足元に果実。ゴッサムは奥に移動。

クシミタマの真横にクリオドンが二体。

 

「主人殿、あたしも撃ちな!片っ端から切除してあげるわ!!」

 

「頼んだぜ、カマエル!!」

 

晴哉はカマエルのストライクショットを放ち、カマエルは剣から赤い気弾を放つ。

壁に触れれば触れるほどダメージがあがる弾だ。弾は壁にどんどん触れ、弾の威力はどんどん増していく。

そして弾は果実とクシミタマの弱点の間に直撃した。

 

「まだ倒れないか……」

 

晴哉は軽く舌打ちをした。

 

「私は…ここで倒れる訳にはならないのだ!!」

 

クシミタマが刺股を振るい、クロスレーザーを放ち、クリオドン、ゴッサムの間にもレーザーを放つ。

さらに、貫通ホーミングも放ち、晴哉のモンスター達に大ダメージを与えた。

 

「この世界は私の物だ…秩序…せめてこの世界だけでも保ってみせる!!」

 

「あなたにとって、秩序とはなんなのですか!」

 

「悪を倒す、それだけが秩序と言えるのですか?!」 

 

「黙れ!!悪は…悪は殺さなければならないのだ!!」

 

クシミタマが刺股を思い切り薙払った。

 

「そいつは“この世界”の者ではない!侵入者だ!秩序が乱れるだろう!!」

 

「っ……!俺はそんな事しない!!」

 

晴哉は強気に言い返す。

そしてゲイボルグを放った。

クシミタマの体力は半分まで削ることができたが、どうもさっきより体力の減りが悪い。

 

「主人!俺の技を見せてやろうぜ!」

 

孫市の声に答え、晴哉は孫市のストライクショットを放つ。

 

「天下を震わした鉄砲を味わいなぁ!!」

 

孫市は自強化&最初に触れた敵の位置に移動するストライクショット。

最初に触れた敵は、クシミタマ。

かなりのダメージを与えられた。

 

「トドメだ!ガブリエル!!」

 

晴哉はガブリエルを放ち、クシミタマの体力を削り切った。

 

「ぐあっ……?!」

 

「行き過ぎた秩序は、人を滅ぼしますよ。」

 

ガブリエルは体が崩れるクシミタマに悲しそうな目付きでそう言った。

 

「そこの者…これ以上、私の手を煩わせるような事をするな…」

 

クシミタマは晴哉を指差し、煙となって消えていった。

 

「よっしゃあ!!クエストクリアだぜぇ!」

 

孫市がガッツポーズを取った。

 

「あ、危なかった…」

 

ゲイボルグは深く息を吐いた。

 

「やったね!主人殿!」

 

カマエルは満面の笑みを浮かべる。

 

「ご主人」

 

「最後の界ですね。」

 

「あぁ。」

 

「私、付いていけないかもしれないけど…応援してます。」

 

「ありがとな。」

 

────ー

 

「この力さえ…この力があれば、我は最強だ…」

 

「かかってこい強者共よ、我の力にひれ伏すがよい…」

 

 

 

──ー次回 最終界 十界『???』

 

 

 

 

 

 

 

 




遅れて申し訳ありません
次回はついに最後の界です。


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十界 『強さを欲するは創造の劔』

さぁ、終わりの時だ。


晴哉は休息も取らず、気がつけばクエスト選択画面に立っていた。

 

──いよいよ終わる。

 

そう思うと、途端にクエストのギミックすら見る気が無くなってきた。

 

しかし、終わらさなければいけない。

晴哉は恐る恐る、クエストのギミックを見る。

 

クエストのギミックは地雷とブロックとダメージウォールとワープ。 

特殊ギミックとしてパワーアップウォール、一部の敵に触れると攻撃力アップと、『使用モンスター制限』

ギミックだけでも無茶苦茶なのに、さらに使用モンスター制限という訳の分からない特殊ギミックでもっと困惑した晴哉だった。

 

「使用可能モンスター…四体…ソロモン神化、モーセ進化、ミロク獣神化、ビナー神化 」

 

晴哉はタップしながら声を漏らしていた。

 

「この四体でなきゃ出撃しちゃ駄目なのか…?」

 

晴哉は奇遇にも、四体全員持っていたが持っていない人の気持ちにもなってみよう。

やっとの思いでここまで来たのにキャラを持っておらずに挑戦すらできない。

考えてみれば可哀想に思える。

 

『ハルさん?聞こえますか?』

 

いないはずのガブリエルの声が聞こえてきた。

 

「ガブリエル?どうした?」

 

『今、その強者の界のクエストの一部のデータが、何者かによって強制的に書き換えられているんです!』

 

「はぁ?!だからこんな無茶苦茶なギミックなのかよ!」

 

『原因は恐らく…その十界のボスモンスターだと思います。』

 

十界  『強さを欲するは創造の劔(つよさをほっするはそうぞうのつるぎ)

 

 

──ーガルドだ

 

しかしおかしい、五界のガルドは光のはずなのに十界の属性は闇属性だ。

 

『お願いします、ハルさん。ボスモンスターがこれから何をするかは分かりません。お願いします。モンストが無茶苦茶にされる前に…どうか。』

 

ガブリエルの声はそう言ったきり途絶えた。

 

ゲームその物のデータを書き換える能力を手に入れたゲームのコンピューター。

そんな奴が好き勝手してしまえば、モンストだけでなく、全てのゲーム…いや世界すら危ないかもしれない。

たかが“ゲーム”という訳では無くなってきた。

一刻を争う 晴哉はモンスター達を呼び出した。

 

「ハルさん、どうやら世界が危ないらしいです。」

 

「行こうハルくん。」

 

「世界を救済する手は、お前しかいない。」

 

「行きましょう。愛する世界は私達が守るんです。」

 

「宜しく頼むぞ、みんな。」

 

モンスター達はみんな頷いた。

 

クエスト開始 いよいよ最後の戦いだ、晴哉は唾を飲む。

 

異様な場所に連れてこられた。今までの界のステージが混じり合ったような場所だ。

床も壁も炎の神殿やら闇の洞窟やら森林やら…一界から四界までの場所が混ざり合っている。

 

第一ステージ 中ボスにオリジナルが登場 その周りには闇属性のハンシャインが四体。

クロスドクロ付きのハンシャインをソロモンで二体倒す。

まだ発動しない、恐らくもう二体倒せば発動するだろう。

敵の攻撃、オリジナルの斬撃。

 

(あれ…?痛みを感じない…?)

 

「ぐあっ…!」

 

ソロモンは明らかに攻撃を喰らっているはずなのに、晴哉は痛みを感じなかった。

かと言って、ストライクアイを外してるわけでもない…

でもソロモン達には悪いが、痛みを感じないのはいいことだ。

 

「ハルくん!危ない!」

 

モーセが叫んだ、その時、晴哉の頬を何かが掠った。

ホーミングだった。

じわじわと血がにじんでくる。

 

(まさか…痛みが共有されない代わりに…“俺自身も攻撃を受けるよう”になったのか…?)

 

晴哉はゾッとした、どうやらガルドはストライクアイの機能すらいじったらしい。

今まで以上の痛みが自分を襲ってくるのを考えるとこれまでよりもっと集中しなければならない。

 

モーセのターン、落ち着いて、残りのハンシャインとホーミング吸収のコンビを倒す。

ドクロマークが発動し、オリジナルの防御力が下がる。

敵の攻撃をかろじて避けながらミロクでこのステージを突破する。

 

第二ステージ 中ボスにフェンリルXが登場。

周りには闇属性の進化前バハムートが四体四隅に。

中心にはブロックの上にドクロマーク付きビットンが配置されている。

ビナーでバハムートらの体力を削ろうとしたが、全くダメージを与えられない。

そしてソロモンのターン、ビットンを破壊。

ドクロマークが発動し、剣を持った雑魚が二体降ってきた。恐らく剣の雑魚に触れてから攻撃すればダメージが入るだろう。

敵の攻撃、晴哉の元にショットガンが飛んできた、晴哉は必死になって避けた。そして、ダメージウォールも奥の壁と後ろの壁に展開された。

 

(クソッ…これじゃ前より大変じゃねぇか…)

 

晴哉は腹を立てながら、モーセを剣の雑魚に触れさせながらバハムートを二体倒し、フェンリルXの体力を減らす。

フェンリルXの攻撃、レーザーが放たれる。

ソロモン達には直撃した。その流れ弾が晴哉に向かってきた、肩に掠った。

晴哉の学ランの肩の辺りが真っ赤に染まる。

晴哉は肩を抑えながらも、ビナーを放つ。

属性的には不利だが、なんとかフェンリルXを倒すことができた。

 

「ハルさん…大丈夫ですか?」

 

「大丈夫…だ…」

 

晴哉は何度か骨折などをしたことがあるが、あれとは桁違いの痛さだ。

 

第三ステージ 中ボスに水ムラサメ 周りには闇属性のリヴァイアサンが挟まれそうな配置で四体。

両端にブロック、その上にドクロマーク付きビットン。

奥と後ろの壁にはパワーアップウォールが。

ソロモンでパワーアップウォール触れ、リヴァイアサンの体力を削りながらビットンを両方破壊。

剣を持った雑魚が降ってきた。

敵の攻撃、ムラサメの斬撃、リヴァイアサンのホーミング。

晴哉はまたホーミングが頬に掠った。

痛さよりも恐怖のほうが上回ってきた。

モーセでリヴァイアサンを二体倒す。

そして、ミロクでもう一組のリヴァイアサン二体を挟まって倒す。

ムラサメの攻撃、またもや斬撃。

ワープも展開される。

晴哉は斬撃が当たりそうになって息を飲んだ。

そして剣の雑魚、パワーアップウォールに触れ、火力を莫大に上げてからビナーでムラサメを倒す。

 

第四ステージ 中ボスにヨトゥンが出現。

ヨトゥンにはマーク付きの5の数字がある。

見事に一界から四界までのギミックが出てきてる。

周りにはドクロ付き闇属性山姥が二体、そして中心にはブロック、その上にドクロ付きビットンが。

ソロモンで山姥を一体倒し、ビットンも破壊する。

ドクロマーク発動、ヨトゥンの5の数字が7へ変化する。

敵の攻撃 ヨトゥンがレーザーを放った。地雷も大量に撒かれる。

晴哉はまたもや掠りそうになったが、なんとか避けれた。

モーセのターン、ドクロマーク発動により現れた剣の雑魚に触れながらヨトゥンの体力を削る。

タイプ不利のため削りはあまり良くない。

そしてまた敵の攻撃、山姥が蘇生され、ヨトゥンがレーザーを放つ。

晴哉狙いではなかったが、それでもレーザーの熱風は凄い。

ビナーでヨトゥンの体力をなんとか削り切る。

 

 

次のステージに進もうとした。

 

「ハルさん。」

 

それをビナーが呼び止めた。

 

「これを。」

 

ビナーは手から光の粉をパラパラとまき、晴哉の肩を粉で包んだ。

するとみるみる傷は癒え、痛みもなくなった。

 

「おお…!…ありがとう。」

 

「最後ですから。当然ですよ。」

 

ビナーは微笑んで言った。

 

次のステージらしき場所に足を踏み入れると、警報音が鳴り響いた。

 

「久しいなぁ、強者よ。」

 

黒色の蛇の怪物に偉そうに座り、ガルドが上から現れた。

 

「ガルド……」

 

 

「どうだぁ?我のこの力。素晴らしいと思わないか?」

 

そのガルドの姿は前とは全く違う。

紫色の髪、雄々しい顔立ちとは真逆なニヤけた顔。

二本の剣は歪な形に変形していた。

 

「この強ささえあれば…我は完璧な存在となるのだぁ!!」

 

ボスステージ開始 

 

ガルドを中心にし、その両端にブロックの上にドクロマーク付きビットン。

周りには闇属性のムラマサが二体。

闇属性の斎藤一が二体となっている。

雑魚には9という数字がある。

雑魚処理をしなければお陀仏、“実際に”。

 

ソロモンでビットンを二体破壊する。

ドクロマークが発動。

ブロックのすぐ隣に剣を持った雑魚が降ってくる。

敵の攻撃は次のターンはない、しかしワープと地雷がばら撒かれた。

 

モーセでムラマサ二体を処理する。

敵の攻撃、晴哉の頬にレーザーが掠る。

 

「あっつ…?!」

 

頬がジュッと焼け、時期に血がにじみ始める。

晴哉は頬から出る血を拭い、ミロクを放つ。

ワープを経由し、ガルドに多少のダメージを与えることはできた。

ビナーで地雷を踏みながらも、ガルドの体力を辛うじて削り切る。

 

「脆い脆い脆い脆い!!貴様の強さはそんな物か!我を超えてみせよ!」

 

ガルドは蛇の怪物を操り、壁を壊し、次のステージへ移動した。

 

「ハルくん。大丈夫かい?」

 

モーセが心配して背中をさすってくれた。

 

「あぁ、大丈夫。お前らもこんな痛みを経験してきたんだからな、俺もこうなって当然のはずだ。」

 

 

ボス第2ステージ ガルドは奥の方に、中心には進化した闇属性のバハムート。進化バハムートの隣にはブロック、その上にドクロ付きビットンが二つ。

四隅には進化前のバハムートと闇属性リヴァイアサンが二体ずつ。

奥と後ろの壁にはパワーアップウォールが配置されてある。

ソロモンでビットンを両方とも破壊する。

敵の攻撃、進化前バハムートがショットガンを放つ。バハムートは透明化した。

ドクロマークが発動し、降ってきた剣を持った雑魚に触れながら、パワーアップウォールにも触れリヴァイアサンを倒し、バハムートとガルドにもダメージを与える。

 

「我が強さを見よ!これこそが最強の力だぁ!!」

 

ガルドが剣を地面に叩きつけ、振動で攻撃、モーセが吹き飛ばされた。

ミロクでリヴァイアサンを処理する。

 

バハムートが気弾を放つ、その気弾の一つが晴哉の方に放たれた。

 

“カキン!!”

 

「あ、ありがとう…ミロク」

 

ミロクが剣で防いでくれた。

 

「主人様。あなたは死ぬべきではないのだ。」

 

そのミロクの姿はとても雄々しかった。

──強い。それが姿だけで伝わってきた。

強さとはなんなのか、その圧倒的な力だけなのだろうかと、晴哉は頭の四隅にそんなことが宿ったが、透明化したように消えていった。

 

「我が力の糧となれ!!」

 

ガルドがバハムートに一本の剣を突き刺し、殺した。

血が雨の如く飛び散り、晴哉は吐きかけた。

そのバハムートの死体は粉になり、ガルドの剣に吸収された。

 

「フハハハハ…これで我は、また一段と強くなったぞ…」

 

剣を地面から引き抜くと、ガルドは大声で笑った。

 

腹が立った晴哉はビナーを放ち、ガルドの体力を削り切る。

 

「どうした?!圧倒的強さを前にして嫉妬したか?!フハハハハ!!!」

 

ガルドは蛇の怪物を操り、壁を破壊し最終ステージへ向かった。

 

最後のステージは異様な場所だった。宇宙空間のような場所で、所々今までの界の建物などが混ざっていた。

 

「さぁ!!強者よ。最後の勝負といこう!!貴様を取り込めば、我は最強を超える!!」

 

ガルドが地面に剣を突き刺すと、地面から敵が湧き出てきた。

 

ボス最終ステージ ガルドを中心に、そのガルドをブロックが囲み、四隅にはゼロ、進化フェンリルX

、進化水ムラサメ、進化ヨトゥン。

ブロックの上には二つのドクロ付きビットンが配置されていた。

ソロモンでビットンを破壊する。

敵の攻撃、ガルドの斬撃。

晴哉の腹に掠った。

今までとは比べ物にならないほどの激痛が走る。

晴哉は歯を食いしばり、剣を持った雑魚に触れさせながらモーセを放つ。フェンリルX、ムラサメを倒すことに成功。

敵の攻撃をなんとか凌ぎ、ミロクを放ち、ヨトゥン、ゼロを倒す。

 

「ここまでとはな、いいぞ。強者よ。貴様を取り込むのがより楽しみになってきたぞ。」

 

ガルドは剣を掲げ、メテオを降らす。

晴哉に当たりそうになったが、ソロモンがカシエルの力を使いメテオを防いでくれた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ありがとう。ソロモン。」

 

ソロモンはこんな状況にも関わらず、優しい笑みを浮かべた。

 

晴哉はビナーを放ち、ガルドの体力を削る。

 

ソロモンのストライクショットが溜まった。

 

──これで仕留めきれるだろうが、終わってしまう。

皆とはお別れだ。

 

でも、モンストのみならず、世界の危機になるかもしれない。

晴哉は名残惜しそうに、ソロモンのSSを使った。

 

「行け!ソロモン!!終わらせるんだ!!」

 

晴哉はソロモンを放った。

ソロモンは通常ではあり得ない速さで駆け回り、ガルドの体力を削った。

 

「……バッ…馬鹿な!!我が…我が負けるはずが無いのだぁぁぁぁぁ!!」

 

ガルドは剣を振り回した。

ソロモンの腹に命中した。

 

「ソロモン!!」

 

ソロモンは激しく吐血し、速度を緩めた。

しかし、止まることは無かった。

 

「孤独と涙の道に進まぬよう、どうかどうか、安らかにここでお眠りください。」

 

ソロモンはそう呟くと、ガルドにトドメを刺した。

 

「ぐあっ……」

 

「ガルド。強さっていうのは力だけじゃないんだ。

勇猛さ、人を思う気持ち、優しさ。そんなものが集まってこそ、本当の強さってものが生まれるんだ。」

 

消えかけるガルドに、晴哉は優しく語りかけた。

ほぼ消えて顔が見えなかったが、最期のガルドは泣いているように見えた。

 

 

 

────

 

 

 

 

 



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『それは永遠に』

クエストを終え、ボロボロになって帰ってきた晴哉。

 

「ハルさん?!大丈夫ですか…!?」

 

ガブリエルが心配になって寄り添った。

 

「だっ…駄目かもしれない。」

 

晴哉は自然と息が荒くなる。

 

「は、ハルさぁ〜ん…」

 

ガブリエルが泣きそうになっていると、どこからか光の粉が降り注ぎ、晴哉の傷はみるみるうちに癒えた。

 

「ご心配なさらないで。」

 

進化ビナーが晴哉の傷を癒やしてくれた。

 

「あ、ありがとう…ビナー。」

 

「そんな傷だらけで“別れ”なんて、寂しいでしょう?」

 

ビナーがそう言った。

 

もう終わってしまったのだ、長い長いと思っていた強者の界がついに終わった。

晴哉は涙を堪えた。

 

「さ、来てください。」

 

ビナーに手を引かれ、晴哉はモンスターBOXへと入った。

 

 

──ーモンスターBOX 広場

 

特になんら変わりない広場。

しかし今日はモンスターが全然いない。

 

「なぁ…ビナー。なんで広場に来るんだ?」

 

「いいですから。付いてきてください♪」

 

ビナーは楽しげにそう言った。

 

「ばっ!」

 

進化前のソロモンが急に後ろから驚かせてきた。

晴哉は思わず声を上げた。

 

「あは、びっくりした?」

 

「な、なんだよ急に…」

 

「はは、ハルくん。もうお別れだね。」

 

モーセも歩いてきた。

 

「主人様、お疲れ様でございます。」

 

ミロクも来た。

なんなんだ──と言いたいが、もう晴哉はなんとなく予想はついていた。

 

 

 

 

『ご主人!!!!強者の界クリア!!おめでとう!!!!!』

 

 

 

 

突然、無数の声がモンスターBOX中に響いた。

 

晴哉がふと周りを見ると、窓からたくさんのモンスターが顔を覗かせていた。

そこにはジキルとハイド、マナやカエサル、などの顔見知りの姿もあった。

 

「ハルさーん!あなたとの実験は素晴らしかったですよ!!」

 

「ハ〜ルさ〜ん!どうかお元気で〜!!」

 

ジキルとマナが手を振っていた。

モンスター達の声援と、拍手に包まれ、晴哉の目からは自然と涙が溢れた。

 

「あらあら。」

 

ビナーが困ったように微笑んだ。

 

「だってよ……こんなの…嬉しいだろ……」

 

晴哉は拭っても溢れる涙を拭いつつ言った。

 

「ハルくん。」

 

「ありがとう。私、ハルくんと会えてなんだか元気が出たよ。」

 

「……あぁ…俺だってありがとう…お前らと会えて良かったよ…」

 

晴哉は涙を流しながら答えた。

モーセもソロモンも涙目になっていた。

 

「皆さん!!ハルさんとはもうお別れです。もう一度!ハルさんを見送るために!皆で叫びましょう!さようなら!!」

 

 

 

『さようなら!!!』

 

 

 

またBOX中に声が響いた。

晴哉はもっともっと涙が溢れてきた。

 

「もう…良いですか?ハルさん。」

 

ガブリエルが立っていた。

その隣には青色の渦があった。

あれが恐らく現実へ繋がるゲートだろう。

涙で霞んでよく見えなかったが。

 

「あぁ、でも最後に……」

 

晴哉は泣くのをピタリと止め、後ろへ振り向いた。

 

 

「皆!!!ありがとう!!!」

 

 

晴哉が思い切り叫ぶと、モンスターも「ありがとう」と叫んだ。

 

「じゃあな。ソロモン、モーセ、ビナー、ミロク。」

 

「またいつか、お呼びするかもしれませんよ。」

 

ガブリエルがそう言った。

 

晴哉はもう何も言うことなく、ゲートに入り、モンスター達の声援に包まれながらモンストの世界を去った。

 

 

 

 

──ー気づけば晴哉はいつもの自分の部屋の椅子に座っていた。

課題もやった後、モンストを開いたスマホがポツンと机の上に置かれていた。

 

(あぁ…終わったんだな…)

 

晴哉はまた泣きそうになったが、堪えた。

でもこのことは一生忘れないだろう。

 

──だって心の中に、それは永遠に残り続ける。

あの世界で学んだこと、あの世界で作った仲間達。

 

決して無駄ではない。

 

あの世界で得たことを糧とし、晴哉はこれから強く、強く生きていく。

 

そう決めた。

 

 

────ーおわり

 

 



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