不沈戦艦キイ (マーダー)
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~再始動~

どうも初めまして
特に動機はないんですけど、なんとなく書きたいなぁ〜なんて思って書かせていただきました。
初投稿なんで生暖かい目で見て頂ければと…
一応アルペジオ、戦艦紀伊どちらとも全部読んでます



初戦は潜水艦

 

次は旧式戦艦群

 

その次は新型航空機

 

激化する戦争

 

地獄のような大戦を生き抜き、最後は地獄の炎《核爆弾》で焼かれた。

 

今も覚えている。

高温で焼かれるこの身。

得体の知れない攻撃を受け、次々に炎上、沈没していく艦艇達。

 

プリンツ・オイゲン、サラトガ、酒匂、アンダーソン···

 

そしてアメリカに連れてかれた姉妹艦たる《尾張》

 

毎朝飛んでくる仇敵アメリカの《B29》に最後を看取られまいと深夜静かに沈んだ温かく汚れたビキニの海。

 

なにもかも覚えている。なにもかも忘れてない。

 

だが···

 

「これはどうしたことだ?···」

 

【彼女】が気が付くとそこには雲一つない快晴な空、水底が見える位透明な海、

……さらに、万人が見れば万人が口を揃えて場に相応しくないと公言するであろう洋上に浮かぶ鋼鉄の城塞戦艦《キイ》

 

「ここは一体…私は…」

 

そして、そのフネの艦橋に倒れ込む美少女。

黒髪のロングヘアーで、顔もどこか人形めいた顔つきで、一言で言えば絶世の美女。Theヤマトナデシコといった感じである。

手には謎の紋様が走っており、淡い黄緑色を発している。

 

彼女が見知っている本来の自分の体は今、【自分自身】が乗っており、艦を見下ろせど、艦内を探索しても人間が誰ひとりとして居ない。

 

つまり、彼女の常識ではこの艦は動かない。操作する人間が居ないのなら釜の調子を誰が見るのか、大砲を誰が撃つのか、誰が指揮するのか。

しかし、洋上に浮かぶこの艦は今も艦首から水しぶきを上げ、調子良さげに航行している。

 

現状を理解した彼女はその場に蹲りこんでしまった。

初めて味わう孤独感、恐怖感と戦いながら彼女は島を探す。

 

そんな彼女に一つの通信が入った。

 

<そこのお前、一体何者だ?>

 

頭に響く女性の声。

辺りを見渡せど、そこには何も無い平坦な海が広がるばかり。

 

<もう一度聞く。お前は誰だ?>

 

再び女性の声が響く。

 

«私?»

 

<そうだお前だ>

 

«私は…キイ。戦艦キイ»

 

<キイだと?そんな艦聞いたことない>

 

«そうなの?ところで貴女は誰?»

 

<私か?私はコンゴウだ>

 

«コン···ゴウ···?··»

 

頭の中で何かが弾けた。

 

 

知っている。

自分は彼女を知っている。

 

見たことはない。だが【聞いた】ことはある。

体が覚えている。

 

<なにをしているかは知らんが、お前を連行する。大人しく着いてこなければ撃沈も辞さん>

 

頭を抱えて転がる彼女の艦の目の前に艦隊が現れた。

 

艦影が徐々に明確になるにつれ、彼女はさらに驚愕する。

なぜなら自分に砲を向けてくる艦はかつて共に祖国を守るべく轡を並べた"戦友たち"だったのだから。

 




特に何文字までとか決めてないので、文字数はバラバラで読みにくいと思いますが、ご容赦の程を。
ちなみにハーメルンは読む専だったので、なんも分かんない状態ですよろぴく。
あと、不定期更新です。


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連行

文の稚拙さに我慢できる人のみお読み下され


 紆余曲折を経て、艦隊に連行されることになったキイ。

 そんな彼女の船体を中心にコンゴウ艦隊は輪形陣を敷いて、航行を再開する。

 良く見れば邪魔者から彼女を守るため、悪く見れば少しでも怪しい動きをすれば全方位から袋叩きに出来るためか。ともかくキイは動けずにいた。

 

だが、キイはその気になればコンゴウ以外小艦艇ばかりの包囲網など突破出来る気でいた。むしろ、最大の脅威がコンゴウのみなら艦隊ごと轟沈させることも可能とすら思っていた。

 

しかし、キイにとってはこの世界は異世界だ。もしかしたら想像のつかない超兵器を搭載してるかもしれない。魔女が箒に跨って爆弾を落としてくるかもしれない。弾薬の補給や修理が期待出来ない以上無闇な戦闘は避けるべきだとキイは判断し、大人しく着いていくことにした。

 

勿論ただ大人しくなる訳でなく、連行中コンゴウに積極的に会話をしかけ、情報を収集し、この世界と身の回りの情報を得ることとなった。

 

 

世界は今、霧の艦隊により封鎖されていること。

大洋は霧の艦隊により制圧され、人の乗る船は一隻残らず叩き出したこと。

 

<まぁ、例外はあるがな>

 

«??»

 

霧の艦隊により、世界中の海で封鎖線が引かれつつあり、

さらに自分はその霧の艦隊に所属しているかもしれないこと。

 

«それは違う。私は大日本帝国海軍、連合艦隊麾下、第一艦隊第一戦隊所属の···»

 

<お前はなんの話をしているのだ>

 

キイの説明途中に割って入るコンゴウ。

 

<いいか?我々はアドミラリティコードの……>

 

キイはこの後1時間にも渡る長い説明を聞くハメになった。

 

<···つまりイ401は···とそろそろ到着だ>

 

コンゴウの話を聞き流している間にも艦隊は50ノットもの高速で移動していた。

 

<後はチョウカイにでも話を聞け>

 

それだけ言うとコンゴウは艦隊を連れ来た道(来た海?)を戻っていった。

 

「……何処に行けばいいの?」

 

キイの目の前には巨大な人工島がそびえ立っており、一際高い中央の建物からバベルの塔もかくやとばかりの謎の棒のような物が空に向かって生えていた。

 

<ようこそハツラジマへ>

 

頭の中で声が響いた

 

«貴女がチョウカイとやらか?»

 

<はい。話は聞いております。こちらが指示する埠頭へ接岸して下さい>

 

指示された埠頭に接岸して(ハツラジマ1大きい埠頭らしく、艦体はなんとか収まった)、いつの間にか設置されていたタラップを降りると1人の女性が立っていた。

 

「改めて、ようこそハツラジマへ」

 

「出迎え感謝する」

 

互いに頭を下げ、チョウカイが先導する形で2人は施設内に入っていった。

 

 

 

 




書きたい表現が書けない…
後、恐らく基本的に1話1000文字程度にしようかなと思います。
戦闘シーンや重要局面は例外としますが、あまり書きすぎるとモチベが下がるので(えへっ☆


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会談

ようやく投稿できました
大変お待たせして申し訳ない

初!コメント頂きました ありがとうございます!
これからの励みにさせて頂きます!


施設全体が見渡せる窓辺の席に案内されたキイ。

暫くするとチョウカイがお茶と菓子を持ってきて、机に置いていく。

 

「コンゴウより委細説明を受けました。急に重力子反応がして現場に急行したら貴女が居たらしいですね」

 

「こちらとしてもどうしてあんな海域に居たのか分からない。と言うか、何故私は生きている?」

 

「は?···失礼、と言うと?」

 

キイは自分の前世についてチョウカイに説明した。

 

「…なるほど、理解しました。実は今、貴女と話しながら総旗艦とやりとりをしていました」

 

「総旗艦?誰だ?豊田長官?」

 

「それこそ誰ですか···超戦艦ヤマトですよ」

 

「ヤマトだと!?」

 

思わず立ち上がり、椅子を後ろに蹴飛ばしてしまう。

 

「はい。艦隊の再編成及び補給を兼ねてこちらに来るそうです」

 

「そうか。ヤマトか…」

 

キイはかつて肩を並べて戦った戦友に思いを馳せた。

 

 

 

 

〜1週間後〜

 

 

キイとチョウカイは応接間の様な部屋に居た。

 

フカフカの革張りのソファ。

高級そうなステンドグラス。

足跡を付けるのを躊躇う位毛が立っている絨毯。

 

そんな部屋で彼女らはヤマトと対面していた。

 

「このような辺鄙な所まで御足労頂き感謝致します」

 

チョウカイは立って一礼する。

 

「いいのよ、そんな慇懃無礼に」

 

ニコニコと笑みを絶やさないヤマト。

彼女はどこかの学園の制服を着ていた。

 

「どう?ハツラジマは上手く運営できてる?」

 

「はい。なんら滞りなく管理出来ております」

 

この後にも幾つか言葉を交わした後、話は終わりだとばかりにヤマトが用意された緑茶を飲む。

 

「じゃあ次の確認ね···こちらの方は?」

 

「例の迷子の艦です」

 

「まぁ!では挨拶しなきゃね」

 

わざとらしく驚きながら体勢を直し、キイと向き合うヤマト。

 

「初めまして、霧の艦隊、総旗艦ヤマトです」

と、頭を下げ、

「帝国海軍連合艦隊所属第一艦隊旗艦キイだ」

と、敬礼をする。

 

お互いに名乗りあげ、それぞれ礼をする。

 

「チョウカイから聞いてるけど、もう一度自己紹介をお願いするわ」

 

「承知した。前世からだが、まず····」

 

紹介自体は10分程度で済んだが、ヤマトとの質疑応答が長引き次の話に進んだのは実に40分が過ぎようとしていた。

 

「なるほどなるほど、苦労されたんですね」

 

「あぁ、酷い戦争だった。···本当に酷い戦争だった」

 

キイが暗い表情を浮かべ俯く。

 

「さて、話は変わりますがこの後どうします?」

 

「どうとは?」

 

意図が分からず聞き直す。

 

「身の振り方です。ここは貴女の知っている世界ではありません。我々は各地に拠点があり自給出来ますが、貴女は何処の国家にも所属せず、拠点もなくひとりぼっちです。そこでこちらのお願いを聞いてくれれば、元の世界に戻るまで我々が面倒をみて上げます」

 

「ふむ…」

 

ヤマトの言う通りキイはこの世界ではぼっちであり、寄港できる国も施設も持っていない状況である。つまりキイにとっても渡りに船の話で断る理由など何も無かった。

 

「其方の提案に甘えたいところであるが、先にお願いとやらを聞いておきたい」

 

だがキイはお願いとやらが気になっていた。

 

「分かりました。では、まずこちらを見てください」

 

どこから取り出したのか、ヤマトの背後から1mはあろうか、巨大な世界地図が取り出され、机に広げられる。

 

「現在の世界地図です。貴女の世界と違う所は?」

 

地図を凝視して、記憶にある元の世界の地図と照らし合わせるキイ。

 

「···いや、国名はともかくとして特段違いは無いように見える。地形が少し違う位か?」

 

「それは僥倖です。ではこの国はわかりますよね?」

 

ヤマトが指さした先にある国。忘れる筈も無く、忘れられる訳もない国

 

「うむ、そこは帝国本土。我らが日本の国だな」

 

 

 




次かその次辺りから軽く戦闘シーンを入れたいと思います


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交渉?

大分間が空いたので、前回と設定が違う場所あったら教えて下さい。本人も分かっていません


「はい。その日本の海を閉鎖して欲しいのです」

 

「…は?」

 

「正確には現在世界の海を我々霧が封鎖しています。貴女にはその片翼を担って欲しいのです」

 

「ふむ、自己紹介で言ってなかったな。私は程度が過ぎた嘘が大嫌いだ」

 

部屋の空気が一気に冷え込む。

 

「はい、そうですか」

 

「その上でお前のお願いをもう一度聞かせて貰おう」

 

「貴女の艦の力を私たち霧の海域封鎖に貸して欲·····」

 

ヤマトが言い切るのが先か、キイが机を蹴り飛ばすのが先か、2人の間にある机が粉々に砕かれ、弾け飛ぶ。

 

チョウカイは素早くヤマトの前に立ちキイをじっと見つめ、ヤマトは笑うことこそ止めたが、特に恐れているといった顔でもなかった。

 

「貴···様は···」

 

キイが体と声を震わせながらヤマトを睨みつける。

 

「貴様は!祖国に砲を向けろと言うのか!?かつて!この身を挺して守ろうとした祖国に!臣民に!そして陛下に!この私にお国を滅ぼす片棒を担げと言うのかぁ!!」

 

キイが激昴し、チョウカイの陰に隠れているヤマトを射殺さんとばかりの顔貌で睨む。

 

「言葉を間違えました。正確には全世界の海を閉鎖するのを手伝って欲しいのです」

 

「巫山戯るなぁ!」

 

激怒したキイがチョウカイに襲いかかる。チョウカイはクラインフィールドを展開してキイの攻撃を防ごうとしたが、キイの人外じみた膂力で、フィールドごと跳ね飛ばされ、隣の部屋まで吹き飛ばされる。

 

「交渉は決裂だヤマト。そして貴様は帝国に仇なす外敵と判断した。死ね国賊!」

 

残像すら見えるキイの拳の目標はヤマトの頭。だがヤマトは避けようとしなかった。それどころかクラインフィールドすら展開せず、手や道具で防ごうともしなかった。

キイは確信した。この攻撃速度でこの距離、確実に殺れる。ヤマトがなんら抵抗を示さないことが気がかりだが殺せば問題ない。

 

しかし、先に地面に伏したのは──

 

「残念です」

 

キイであった。

キイの体は地面に勢いよく倒れ、起き上がることは無かった。

 

「貴女の力は非常に脅威です。私達霧と同等以上の力を持っています。そんな力を持つ貴女を人類に渡す訳にはいきません」

 

「総旗艦」

 

吹き飛ばされたチョウカイが戻って来た。着物が破けるどころか、着崩れてすらない。先程吹き飛ばされた筈だが、まるで嘘のようだった。

 

「その者を破壊しないのですか?我々に従わないのであれば、機能停止している今のうちに破壊しませんと…」

 

チョウカイの言っていることも尤もである。

自分達と同じ力を持つ人物が敵対してきたのである。相手が友好的でも十分に脅威だが、今は完全に敵対している。脅威はどんなに小さな芽でも摘める時に摘む方が安全で手っ取り早い。

 

「早まっちゃダメよチョウカイ」

 

ヤマトは転がるキイから目を離さないが、それはキイを警戒している目ではなく、まるで玩具を手に入れた子供のような目だった。

 

「彼女の記憶領域を覗いてご覧なさい」

 

「は?しかし私の演算力では彼女の固有防壁は突破できないかと思われますが?」

 

「騙されたと思ってやってご覧なさい」

 

渋々チョウカイはキイの記憶領域にアクセスする…と同時に驚愕の声を洩らす。

 

「···えっ?これは····」

 

チョウカイはキイの記憶を見て驚いた訳では無かった。彼女が驚いたのは、

 

「ね、驚いたでしょ?記憶領域のみならず、ほぼ全てのデータにロックをかけてないの」

 

 「不用心ですね」

 

 「不用心というかやり方が分からないという方が正しいかな」

 

ヤマトの言う通りキイはデータにロックを掛けておらず、フリーパス状態だったのだ。

 

「それに記憶を見る限りでは彼女の言うこともあながち嘘ではなさそうですね」

 

キイの記憶は新しいモノだとコンゴウに会っているが、その前にも海戦を繰り広げていたり、大きな爆発を間近で喰らい、彼女自身が沈む場面もあったりする前いた世界とやらの記憶も残っていた。

 

「結局総旗艦は彼女をどうするのですか?」

 

チョウカイは疑問をぶつける。

キイはこちらの条件を呑まなかった。つまり霧の庇護下に入らず無所属でこの世界を彷徨うということになる。

万が一彼女が人類に味方するとなると非常に脅威になる。駆逐艦、巡洋艦では相手にならず、大戦艦や海域強襲制圧艦を動員する必要があるだろう。しかし、それでは海上封鎖に支障が出てしまう。

そうなればアドミラリティ・コードの使命を全う出来なくなる可能性が出てくる。

それを回避するためここで説得する必要があった訳だが、説得に応じなかった以上ここで無力化ないし破壊する必要が出てきた。

つまりチョウカイは

「どうやって破壊するの?それとも手足でもふんじばって艦体でもぶち壊す?」と既にキイを破壊する気でいたのだ。

 

「私に任せない」

とヤマトはニッコリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではこれより駆逐艦の演習に行ってくる」

 

「はい、気を付けて」

 

足音が遠のくの確認してチョウカイはヤマトに話しかける。

 

「本当にこんなこと出来るんですね…」

 

「本当にこんなこと出来るんです」

 

2人は離岸する巨大な艦を間近で見送っていた。

 

沖にはちらほらと小さな影が見えており、あれが駆逐艦だと容易に判断できた。

 

「まさか記憶を全部改ざんするとは驚きました」

 

「あら人聞きの悪い。弄ったのは1部だけよ」

 

ヤマトはキイがデータにロックを掛けれてないことを利用し、キイの記憶を都合の良いように勝手に改ざんしていたのだ。

当然キイは気付くはずもなく、"自分の記憶"に従い行動していた。

 

「あの時のヤマトの提案を受け入れた。あれは日本を害するものでなく、逆に救うモノである。霧の封鎖はあくまでも一時的なもので、いつかは封鎖を解除する。その間私(キイ)は霧に全面協力し、指揮下に加わる。それとヤマトをお姉ちゃんと呼ぶ」

といった感じで最後を除き全てキイは真実だと思い込んでいた。

 

「問題が解決したので、私も此処を離れます。彼女にはこれを渡しておいて下さい」

 

ヤマトはチョウカイに『指令書』書かれた封筒を渡す。

 

「概念伝達で宜しいのでは?」

 

「それでは人間味がないでしょう?メンタルモデルなのだから少しは人間の真似をしてみましょう」

 

ヤマトは大きく跳躍すると別の埠頭にある。自らの艦体に乗る。

 

「後を任せました」

 

「お気を付けて」

 

ヤマトは多数の護衛艦を連れてキイが出航した逆の方角へ進路を向けた。

 

 

 




投稿遅れて申し訳ない!
だって、ほら、ね?色々あるやん?(言い訳)
ていう訳で今日が空いた分急いで書いてます
次こそ戦闘シーンぶち込みますお楽しみに〜
あ、それと次の投稿は1週間以内です!


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初戦

大変お待たせいたしました


 「全艦警戒を厳にせよ。間もなく封鎖艦隊との合流地点だ」

 ヤマトの【要請(命令)】により、キイはオーストラリアに向かっていた。要請によると、艦隊の再編成に伴い、各方面の艦艇の異動を行っていたが、一部の艦隊の再編成が未だ完了せず、オーストラリア方面に出来た封鎖の穴を暫く塞いでほしいとのことだった。

 キイにとっては自分のミスは自分でなんとかしろと言いたいが、居候の身では文句のつけようがないので、渋々要請を承諾し、オーストラリアへ向かっていた。

 しかし、今回の再編成で、哨戒艦隊の一部を麾下に加えて貰っており、久しぶりの艦隊指揮にどこか興奮していた。

 以下がキイ麾下の艦艇である。

 

 戦艦 キイ

 軽巡洋艦 キタカミ

 駆逐艦 カミカゼ アサカゼ ハルカゼ マツカゼ ハタカゼ

 潜水艦 イ201

 

 キタカミを除きどれも高速艦で編成されており、これは敵を発見したら早急に現場に向かい攻撃する哨戒艦隊の志向を受け継いだものであり、またキイは知る由もなかったが、イ201に至っては改造されたイ401と張り合える水中速力を誇っていた。

 戦力は十分、装備も充実、補給も万全、おまけにまともな連携を取れない駆逐艦らにはハッキングにより盗み取った各国海軍の運用思想や戦術、保有兵器の性能解析など現代型の艦隊行動を叩き込み、指示が無くても自分で判断し、行動出来るよう訓練させ万全に万全を期した。

 そしてその成果が発揮される場が遂に訪れたのだ。

 

 あれから約30分、合流地点へ封鎖艦隊の旗艦がやって来た。

 

 「オーストラリア封鎖の増援にやって来たキイである。これより貴艦の指揮下に入る」

 

 封鎖艦隊の旗艦は重巡洋艦キャンベラ。キイと比べると大人と小人どころか巨人と小人レベルに大きさが違うが、これでもオーストラリア封鎖艦隊の中では最も大きく、そもそも戦艦と比べる事が酷と言うものか。

 

 ジッ···ジッ···ジジ···

 

 キャンベラとの概念伝達中、カミカゼから横槍が入る。

 

 「どうした?今キャンベラと···あぁ、了解した」

 

 会話(?)を妨害され、憤るキイだったが即座にカミカゼの言わんとすることを理解する。

 

 「全艦対空戦闘用意!輪形陣を組めっ!潜水艦は海中警戒を厳に!」

 

 矢継ぎ早に指示を出し、次いでキャンベラにも声を掛ける。

 

 

 「すまないが我が艦隊の初陣に手を出さないでくれるか?無論封鎖などについては貴艦に従おう」

 

 キャンベラは了承すると艦隊から離れて行く。

 

 「敵機を解析····解析完了。敵機は無人攻撃機QB55の編隊。数は90。爆弾搭載量は最大6t。対艦ミサイルを4発まで搭載可能。最高速度は860km。固定武装は無し。ウォガ空軍基地所属第32戦闘爆撃隊と第34戦闘爆撃隊の混成編成」

 

 水平線から姿を表した機体をキタカミが即座に解析して解析結果を送ってくる。

 

 「さて諸君、本来なら奴らの攻撃を回避するどころか迎撃する必要すら無い訳だが今回からしっかり迎撃して避けてもらうぞ。自らに驕れることのない行動心せよ」

 

 訓示を終えると同時に先頭艦のキタカミが敵の攻撃を感知する。

 

 「対空戦闘開始!撃ち方始め!」

 

 

 

 

 

 

 

 ∼∼オーストラリア政府∼∼

 

 

 「国防大臣!どうなっているのかね!」

 

 モリソン首相は憤っていた。

 陸軍が主導して立案された【大戦艦撃沈計画】

 数日前に観測された霧の大戦艦の撃沈計画。

 軍機のため、詳細には書かれてないが、空軍による航空攻撃、海軍による残存艦艇による飽和攻撃、陸軍による長距離砲による砲撃支援の連携によるクライン•フィールドを中和、本体を攻撃するという計画で、軍部の乾坤一擲の大勝負であった。

 

 しかし、現在無人観測機から送られてくる映像はひたすら攻撃機が落とされるばかりで、目標の戦艦に着弾したミサイルは数えるばかりだった。ついでに陸海空軍の連携など無かった。

 

 「君に絶対の自信があると聞いたから攻撃を許可したのだ!結果を出して貰いたい!」

 

 「お言葉ですが通常兵器での攻撃では限界があります。そこでこの攻撃計画にご裁可を頂きたい」

 

 大臣が渡した書類は怒り狂っていた首相の態度を一気に冷めさせた。

 

 「·····これで倒せると信じているのか?」

 

 「ここで我らが手を引いても霧が手を引くとも限りません。ここまで来たらとことんやるしか無いのです」

 

 

 ∼∼現在∼∼

 

 「方位2-1-0から敵機接近!数5!ハルカゼ応戦せよ!」

 

 キイ艦隊は無人攻撃隊第一波を退け、現在第三波の攻撃を受けていた。

 早朝から攻撃を受け続け、既に太陽は上がりきっていた。

 さらに航空機に連動して潜水艦からも攻撃を受けており、これをイ201が反撃撃沈、キイ艦隊初の艦船撃沈戦果となった。

 

 そうこうしているとハルカゼの迎撃をかいくぐった無人機からミサイルが発射される。

 そしてそのミサイルをキイの濃密な対空砲火が絡め取り、次いで離脱しようとする無人機を撃墜する。

 

 しかし、艦隊全体では撃墜数は伸びておらず、一次攻撃隊90機に対し、撃墜数は60機、二次攻撃隊100機に対し、撃墜数は50機三次攻撃隊に至っては80機の内僅か20機しか撃墜出来なかった。

 

 紀伊の設計思想では航空機の攻撃を耐える、もしくは搭載した火器で撃退しつつ、敵戦艦と撃ち合うとなっているし、神風型は元々旧式で充分な数の対空砲を搭載出来なかったから、これでも目を見張る様な撃墜数ではあるが、キイは不満に思えてしょうがなかった。

 

 しかしまずは眼前の敵である。

 このまま攻撃を受け続ければ貧弱な人類の兵器でもいずれクライン•フィールドは飽和されるし、何より煩くて邪魔だ。ならばこのまま受け身を取り続けるよりこちらから仕掛ける方がいいだろう。

 キイはそう判断すると敵攻撃隊が引き上げると同時に艦隊を一気に陸地に近づける。

 

 「敵無人機の拠点であるヴォガ基地を攻撃する。各艦、侵食魚雷を用意」

 

 やがて水平線の向こうから徐々にオーストラリア大陸が見え始める。と、同時に次々に砲弾が飛来し、艦隊周辺の海面を賑わせる。

 

 「各艦へ通達。目標敵砲台。的は小さいぞ外すなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「敵艦隊の射程圏内への侵入を確認。これより作戦を開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スマホが壊れたせいで、ハーメルンのパス忘れて投稿できませんでした☆


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暴走

お待たせしました
こんな小説でも読んでくれる読者様に感謝ヲ、



 【敵無人機、及び有人攻撃ヘリの接近を感知。数100以上】

 【敵沿岸陣地の観測報告。半地下式の砲台が10、露出砲塔式を13確認。野戦砲も多数配備されている模様】

 【港より駆逐艦2隻、フリゲート艦2隻の出港を確認。此方へ接近中。速力10ノットより上昇中】

 

 次々と情報が届く中、キイは次々と指示を出していた。

 

 「敵機は無人攻撃機を優先して堕とせ、あちらの方が脅威だ」

 「砲台は露出砲塔を優先して狙え。敵の火力を落とすことを優先する」

 「キタカミはカミカゼとアサカゼを連れて敵艦隊の肉薄を阻止せよ。本隊への肉薄を防げ」

 

 陸地に近づくに連れて、戦闘の激しさが増していく。

 空は無数の鉄鳥が舞い、幾筋もの火線が空へ放たれる。

 海には砲台と艦隊の砲撃戦に海面が賑わう。また、戦いに破れ、火を纏いつつ沈む駆逐艦と未だ霧の駆逐艦と撃ち合うフリゲート艦の勇姿があり、鎮まることが無いと思われたこの戦闘にも遂に沈黙が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

「なんだと!?」

 

 激しく撃ち合っていたキイ艦隊の周辺に急激に増大する熱エネルギーが観測される。

 

 「全艦クラインフィールド最大出力!防御体勢!」

 

 瞬間───

 

 艦隊は灼熱の炎と凄まじい爆風、そして放射能によって包まれた。

 

 

 

 

 

 

∼∼オーストラリア政府∼∼

 

 「やりましたな」

 

 新型水爆の集中運用。潜水艦に大量に搭載し、戦闘音に紛れて近距離まで近づき一斉に起爆。圧倒的な威力を持って霧の大戦艦どころか艦隊ごと撃沈を狙う作戦。

 1度目は霧の潜水艦に沈められたが、2度目で無事成功。これで世界初の霧の大戦艦撃沈の名誉はオーストラリアが得た····筈だった。

 歓喜に声を上げる兵士に思わずガッツポーズをとる首相。そんな彼らに報告する衛星解析班の将官の顔は驚愕と恐怖に満ちていた。

 

 「衛星からの映像の解析結果•••駄目です。霧の大戦艦は健在、他の艦艇も航行中。戦闘続行可能と判断されます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「痛覚は無い筈だが不思議と胸が痛むな」

 

 キイは水爆を受けてなお無傷であった。 

クラインフィールドこそ作動率は30%を超えていたが艦体には傷一つなく、麾下の艦艇も損傷はなかった。

 

 「かつての私なら沈んでいただろう」

 

 キイの艦体のいたる所から侵食魚雷が顔を覗かせる。

 

 「だが2度目はない!」

 

 キイから一斉に侵食魚雷が発射され、海岸線に降り注ぎ、艦砲も容赦無く撃ちまくる。

 

 砲台は悉く破壊され、なんらかの構造物も原形をとどめていなかった。

 攻撃が終わった後にはもはや動くモノなど存在しなかった。

 

 しかしキイは止まらない。

 

 「やってやる!先に手を出したのはそっちだからな!」

 

 キイは暴走していた。

 

 「攻撃目標敵首都キャンベラ!」

 

 キイの艦体から再び大量の侵食魚雷が飛び出していく。その数は300を超え、まだまだ増える。

 

 

 

 

 

 

 

 キイの行動を監視していた衛星からの情報を得た政府は恐慌に陥っていた。

 

 「敵戦艦ミサイルを発射!数は不明!」

 「緊急避難命令を発令!市民の避難を開始せよ!」

 「ゴールバーンのレーダーがミサイルを探知!数は300を超える模様!」

 「迎撃失敗。半数は街に着弾します!」

 「もう駄目だぁ!」

 

 地平線から白い尾を引いたミサイルが姿を現し、街の混乱もピークに達した時、ミサイルが次々と爆発する

 

 

 

 

 

 




頑張って書いて、おかしいと思うところを修正してこの出來
うーん難しい!
次は前話とかを修正します〜


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結果

あけましておめでとうございます
投稿日予約が反乱を起こしたせいで大晦日に投稿する予定がパーになりました。もう信用しません。


 《The Australian放送です。先日我が国の首都キャンベラに霧の艦隊による攻撃が行われた事件についてモリソン首相が以下の声明を発表しました。

 

「今回の戦闘は霧の大戦艦による一方的な奇襲攻撃によるもので、これを防ぐため軍の出動を要請しました。既に新シドニー港は壊滅的な被害を受けており、殉職者もでております。国民の皆様には人類は霧の艦隊という大敵を相手にしているという自覚を再び持ってもらいたいと同時に、虚言盲言には注意してもらいたいです。また····」

 

 政府の発表によると新シドニー港の被害は····》

 

 オーストラリア政府は直ちに情報統制を開始したが、シドニー近郊の住民は水爆による爆音、爆煙を目撃しており、徐々に真相が広まっていき、反政府デモが各地で発生。

 今回の戦闘によってモリソン内閣は失脚。新しく発足したブラッドレー内閣は軍の活動を制限し、オーストラリア周辺での戦闘は急速に沈静化していった。

 

 キイは総旗艦ヤマトの密命を受けていた駆逐艦によるキーコードの領収を受け、機能を停止、侵食魚雷には自爆コードが送られ、寸でのところでキャンベラ攻撃は防がれた。

 

 戦闘後オーストラリア側、霧側共に撤退し、オーストラリア側は人類大反攻の日まで戦力を温存することになり、霧側は人類を海に出さなければ良しとし、オセアニア方面では平穏な時間が流れることになった。

 

 キイは今回の暴走についてヤマトから取調を受け、再度の暴走の危険があると判断、監視のため暫くの間ヤマトに連れ回されることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 「見れば見るほど私にそっくりですね」

 

 「まぁ、大和型の発展型として設計、建造されたからね」

 

 そんな監視生活だがキイはキャンベラ戦の記憶を弄られ、名目上は湾岸攻撃の経験を共有するとなっており、名も無き小島を見つける度に実弾を用いての訓練を繰り返していた。

 

 「ねぇヤマト、いつまでこんなことしてればいいの?」

 

 監視生活(仮)が始まって一月が経とうとしており、偶にの訓練以外ひたすら海を眺めるだけかヤマトと軽口をたたくだけの生活となっていた。

 

 「ハツラジマに戻らない?駆逐艦の侵食魚雷の残弾がそろそろ尽きそうだけど···補給艦も随伴してないからいざという時危険じゃないか?」

 

 これはキイにとって都合のいい言い訳であり、実はキイはメンタルモデルを得てから暇を感じるようになるとハツラジマの人間用の娯楽施設をよく利用していたのだ。

 

 「うーん、まだまだ先は·····おや?」

 

 「どうし····なに?」

 

 「至急ハツラジマに帰還、整備、補給を済ませ待機します」

 

 次々と艦首を翻し来た道を戻り始める艦隊。キイも艦首スラスターを起動し、戦艦とは思えない旋回を見せつけるキイ。

 

 ヤマトが急に帰還を決断した理由は霧の艦隊が人類の〘戦術〙を模倣、対抗するために作成された〘共同戦術ネットワーク〙にアップロードされた一つの情報。

 

 「こんなのは初めて?」

 

 「覚悟はしてましたが驚きは隠せませんね」

 

 

 

 大戦艦ヒュウガの撃沈───

 

 

 

 

 この出来事が世界を動かすとはまだヤマトもキイも知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「首相、これを」

 

 「·····詳細を」

 

 「ニ時間前、監視衛星オオトリが撮影したものです。撮影後反転、進路、行き先は不明です」

 

 「念の為確認するが、こっちがヤマトだったな?」

 

 「はい、全長、武装などからヤマトと確認されました。また二番艦ムサシも北大西洋にて確認済みです」

 

 「····となると、このヤマトより大きいこの戦艦は一体なんだね?」

 

 「申し訳ありません。まだ正体は····」

 

 「そうだろうな、下がってくれて構わない」

 

 報告書を読み終えると、彼は別室にいる秘書を呼び出す。

 

 「北先生を呼び出してくれ」 

 

 秘書に伝えると彼はひとりごちた。

 

 「正体不明の戦艦か···北先生はなんとおっしゃるやら」

 

 

 

 




取り敢えずはキイが実戦を経験したというこが大事になります
ちなみに今年の抱負は文盲をなんとかしたいです
皆さん、良いお年を!


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