Fate/whitenight 怪物と兵器と人類史と ((´・ω・))
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0話 交差

開始一話で原作メインヒロインを殺すか殺さないかをとんでもない難題で決める主人公の図

3/18追記
やっぱ平均8000って少ないな。
いやまぁ、内部描写とか全く無いし当然か。
最新話と一話じゃほんと形違うな、いやまぁ中身が違うししゃあないしゃあない。

それとこれRTAタグあるけどRTAじゃないぞ。
RTAはエイプリルフール限定だから


自分の朝は早い

いつも4時に起き朝食を軽くパンで済ませて昼食のための弁当を作っておく。

昔と違ってたった一人になってしまってからは無駄に広いだけの家だった。

 

 

もう、五年程度はたったのだろうか

あの聖杯戦争に勝って聖杯は手に入れたは良いけど結局今も使い道はない。

そもそも、ただ世界を見たいから戦って戦って戦って・・・勝っていざ優勝商品を貰っても願いなんてなかった。

 

もし、願いがあるなら。

 

バーサーカーと

 

回ってみたいな

 

世界という世界を

この世の果ても

 

世界の裏も表も全部。

 

 

 

 

本当に些細だった。

そう、思うと聖杯が光りだした

とても暖かく、包み込むような光

 

意識が少しずつ薄れていき。

 

意識が戻った頃にはそこは知らない場所だった。

 

 

 

「気持ち悪い・・・なにかおもい・・・」

 

呼吸が乱れ意識が朦朧として床に倒れる。

 

 

ただ、遠退いていく意識を覚ましに来るように声が聞こえて気がした

 

 

「フォウフォウ・・・・・フォフォフォーウ!!!」

 

なんだろうかこのもふもふした生き物

なぜか見覚えがあるような

 

いや無いか。

 

・・・・

 

 

「あの、今は朝でも夜でも無いので起きてください先輩・・・起きないと、殺しますよ」

 

誰だろうかこの声。

ちょっと理不尽すぎて気に入った。

 

 

「・・・んぅ?あぁ、うん、ここは」

 

茄子みたいな髪の女の子と白い獣。

この子が声の主だろうか。

 

「あぁ、うん。取り敢えずシミュレート室の前だからきっと耐えれなかったのだろうね」

 

 

これが運命の歯車があり得ない方向に動き出したときだった。

 

 

 

燃える施設

半分つぶれた少女。

 

あぁ、気に入ったのに、もう、壊れるのか。

くだらない

 

 

そっと少女に近寄り

倒れている柱を背に座る。

 

「ねぇ、えーと・・・うん、マシュ・キリエライト、なにか願いはあるかい?」

「手を握っていただけませんか」

「やだ」

 

即答だった。

馬鹿なのだろうか

あって早々のやつに手を握れ?

あぁ、うん。

場が場じゃないしな

 

「えっ」

 

「俺が聞きたいのはその内にある『欲望』なんだよ、マシュ・キリエライト、だからさ、願いはある?」

 

「・・・空を見てみたいです」

 

その瞳は冗談ではなく、純粋な瞳だった。

それは無垢で愚かで

尊かった。

 

 

 

「プログラム■■■■■■■■■■■■■■レイシフト■■■■」

 

「そうかぁ、なんか、あるんだな、なら願いを叶えたいか、もし願うなら俺の手を握れこの一瞬であっても生を捨てるな、捨てるなら俺はお前をここで見殺しにする、さぁ、早く!!俺の手を握り、生を、欲望を手に取れマシュ・キリエライト!!」

 

「はい!!先輩!!」

 

ほんの少し、少女の体が摩り潰れながらも動きだし俺の手を力強く握った。

 

 

「レイシフトスタート」

 

 

 

刹那、世界が切り替わり

 

 

また

世界は燃えていた。

 

 

ここはどこだろうか。

 

 

たった一人か。

 

燃える街をゆっくりと歩く。

生存者は絶対に居ない。

 

幾つかの反応を感じる。

 

 

「・・・そうだよなぁ」

 

無数の骨のような何か。

それは使い魔だろうか。

 

 

「・・・魔術礼装、持ってきてないよ・・・あれ、これピンチってやつ?ろくな道具も無いし取り敢えず逃げますか」

 

 

全力で街中を走り、駆ける。

無我夢中で走っていると近くで何か爆発音が聞こえた。

 

 

そっとその方向に向かって近づくと

 

 

 

 

なんかさっきの娘がすごい服装で馬鹿デカイ盾を持って一人の女性を守っていた。

 

「あ、マスター!!よかった無事で」

 

マスター

 

 

マスター

 

 

マスター

 

 

 

・・・・・。

あぁ、やっぱり

 

「サーヴァント・・・・お前もか」

 

 

「マスター?」

「アンタ・・・・さっきの補欠ね・・・ほらぼさっとしてないで早くマシュと契約しなさいっ?!?!?」

 

 

そっと女を見つめる。

とても弱々しい目だ。

悲しいやつだ。

無理に奮い立たせているのだろうか

 

「よかった、取り敢えず繋がったみたいだね」

 

映像からついさっきあったゆるふわポニテ魔術王が見える。

あぁ、そうか。

また世界は

 

 

許せない

 

くだらない。

 

 

「っ!!聞こえてるのかしら補欠!!はやくマシュと契約しなさい!!もう周辺は敵だらけなの、死にたいのかしら!!」

 

うるせえ

 

 

「・・・うっさいんだよ・・・俺はなぁ・・・・あいつと以外は最初の契約はしねぇ・・・んだよ」

 

 

「最初?」

 

 

手の甲が少しだけ熱くなり始める。

手にはまたあの、二本の鎖と刀の紋章が浮かび上がりだした。

 

「・・・えっ」

 

「当然よね、あなた程度の補欠の腕前なら無理矢理」

「出来ていません」

「「えっ?」」

 

 

おかしい。

目の前にいるサーヴァントは彼女のみ

手には令呪

じゃあ、まさか。

 

 

「やれやれ、今度はこんな体で僕を酷使するのかい『マスター』?」

 

いつもの白い雑な服装

緑の髪

緩んだ紐

 

「バーサーカー・・・・」

 

「ちょっ、ちょっと待ちなさいこれは」

 

「まって、そのサーヴァント、バーサーカーじゃなくてランサーだ!!さらに言うとそのサーヴァント、只者じゃない!!これは神霊にも匹敵する・・・とびきりの神代のサーヴァントだ!!」

 

ぽにての言うのはあながち間違いじゃない。

でも疑問もできてしまった

 

「バーサーカー?バーサーカーはバーサーカーでしょ」

 

立っていた瓦礫の山からこっちに来たバーサーカーの後ろに立って髪を編みながら訪ねる

 

「あぁ、マスターと契約していた頃はアインツベルンの事もあって、僕はバーサーカーだった、でも今回は以前とは違って『聖杯』を元にしたからね、きっと本来あるべきいや、『エルキドゥ』として、ランサーできたんだよ、『神造兵器エルキドゥ』ではなく『人エルキドゥ』としてね」

 

「バーサーカー・・・・真名ばらしすぎ」

 

「え、エルキドゥ・・・うそでしょエルキドゥっていったら」

 

「あのギルガメッシュと対等に並んだ神と人を繋ぎ止めるための兵器」

 

 

どうしてそこまで驚くのだろうか。

敵だって普通にヘラクレスとか義経とかイシュタルとか出てきたのに。

 

 

「さてと、マスター・・・取り敢えず今はその盾の娘の仮契約にただ乗りしている状態なんだけど、マスターが直接契約してくれるかい」

 

「オッケーバーサーカー」

 

言うと同時に回路合わせ、契約を成立させる。

 

「・・・・あ、あの私も仮で良いので・・・あの色々ありますよ」

 

「ねぇバーサーカー、複数契約ってエクストラクラスでもできるの?」

「どうだろう、マスターは『聖杯』を持っているんだし、リソースを小分けしてしまえばエクストラクラスでもなんとか行けるんじゃない、そうやって道具で戦ってきたんだし、あと今はランサーだからね」

 

聖杯

 

 

聖杯

 

 

あれ

聖杯

 

「聖杯ですって!?」

「どこで拾ったのですか聖杯!!それこそが」

 

 

拾う?

聖杯を?

ばかじゃねえのか

 

「そんなわけないでしょ、願望器が落ちてるわけないでしょギャグじゃあるまいし、『もし落ちてたらジャンプして一回転してから土下座してやるよ。』これはバーサ・・・ランサーと昔に聖杯戦争で勝って手に入れたには景品」

 

 

聖杯を内側から取り出し、そっとおく。

 

白いのはなんかたじろいでた

マシュは見たこと無いのだろうかまじまじと聖杯を見ていた。

ぽにては・・・

何か違った

視線というか

観点だ。

 

 

「今それを観測してみたけど、確かにこの『特異点』を形成する聖杯ではないね、本物の聖杯だ」

「会話の途中で申し訳ないけど」

 

ランサーがのほほんとした顔で会話に割り込んできた。

別段難しい話ではないのだろうがなんだろうか。

 

「どうかした?野生のイシュタルでもいた?」

 

「この特異点に存在するマスター以外の聖杯を発見したけど、今からいくかい?」

 

あ、うん気配感知のスキルか。

 

 

「そうなの、ならはやく回収しにいくわよ、マシュとランサーが前に立って私達の盾になりなさい」

 

 

周囲を見渡し何か良いものがないか破壊された道路を確認する。

すると黒い大型のバイクが一台だけだが倒れてあった。

 

「・・・ランサー、この四人で目的地まで飛ばせる?」

 

近くにあった男のような死体の体からキーを抜き取りエンジンをつける。

少し、座り心地は悪いけど街一つ抜けるだけなら十分な燃料はあった。

 

「徒歩ですぐ行ける所だからそんなもの使わなくても移動用の槍道具使えば良いじゃないか」

 

 

「忘れた」

 

「あぁ・・・そうなんだ、マスターが事前準備を怠っているってことはまた巻き込まれたのかい?」

 

「知らないよ、なんか聖杯眺めながらランサーと世界を回りたいと思ったらなんか光って気がついたら変なとこいて成り行きでこんなことになったんだよ、英霊装束も矢も槍もないよあるのは聖杯と数年間使ってない錆びきった魔術回路だけさ」

 

なんか突っ込みいれてるのか喋ってる後ろ二人を無視しながらネジが抜けてないかを確認する。

 

「そうだねぇ、じゃあ、この特異点でまた一から道具でも集めようか、嬉しいことに幾つかの屋敷は魔術師の家だ、死人の品なら奪ってもいいよね」

 

「・・・あんな珍しいものそう落ちてるわけないよ・・・」

 

バイクの燃料だけを回収しほんの少し空を見上げる。

空は黒く染まっていて星も見れない状態でいまどこにいるかもわからない状態だった。

 

 

「ちょっと、聞いているの!!そんな個人の感情で動かれても困るのよ!!今ここで一番上なのは私!!オルガマリー「はいはい所長所長」っ!!」

 

「あっ、あの、私もここはオルガマリー所長に賛成です」

 

 

・・・・

言いたいことはわかる。

未知の世界

謎の場所

次何が起こるかわからない世界。

 

確かにさっさと目的を達成して変える方が良いだろう。

確かに最善だ。

 

だが、最短の最善は時に悪手にひっくり返る。

 

「・・・しょうがない、取り敢えず今回は色々あったことだし、目的を急ぎますか。ランサー、目的地まで一気に行ける?いや、行けるな」

 

「勿論さ、さぁこの鎖を掴んで」

 

そういって手から生えてきた長い一本の鎖を手に取る。

二人も始めこそ抵抗したが確りと握っているのを確認したからランサーの肩を掴んだ。

 

「大体何メートル」

「ちょっと奥に見える山の洞窟の底さ、さぁ全力で飛ぼうか」

 

 

周囲に光が集まり、一本の束のようになっていく。

おいばかやめろ

 

 

「ちょっと待って、三人ともランサーから離れて!!異常な魔力反応だ」

 

「はぁ、ポニテドクターは遅いなぁもう発射体勢だよ」

 

人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)!!」

 

まただ。

 

 

黄金の巨大な槍が空を貫きそのまま真っ直ぐ目的地に着弾する。

周囲の山なんて全部吹き飛ばして最短距離で入る。

本当にやりたい放題な最高のサーヴァントだ。

常に楽しめる

だからこそなんだ。

 

 

「あちっ・・・・ん?」

 

足元に落ちている一本の黒い剣。

周辺に少しだけ魔力を感じるが何か居たのだろうか。

 

とても大切な

誰かが。

 

 

「・・・マスター・・・その剣、セイバーの剣に近いけど何かあるのかい?そこまでまじまじと見つめて、二人はもう聖杯を回収する手はずを整えてるよ」

 

なぜだろう

 

「星の聖剣・・・・・・あぁっもうっ、まどろっこしいな・・・・」

 

剣を振り上げ地面でも切ってみようとした瞬間

直感だが

とてもどす黒いなにか邪悪な

憐れんだような気配は少し感じ取れた。

 

額から垂れた汗が頬を伝わり

 

落ちる。

 

 

それは現れた。

 

 

「・・・あの奇抜なファッション・・・ねぇ、ランサー、あれなんか変な感じがするけど」

「あぁ、あれは少し不味いね、あれ『脱け殻』だよ・・・少なくとも、今のマスターと僕じゃあ無理だね、せめて矢があれば」

 

ランサーの背中をさわり無理矢理魔力を流し込む。

 

「ランサー、二人を回収して退却、おーけー?」

「あぁ、十秒かな?」

 

 

手を放すと同時に

全力で飛んでいったランサーの起動を予想し

拾っておいた瓶に詰めた砂と魔力遮断の粉を混ぜた瓶をもう片方の手を魔力強化で何かに戦力で投げた後、服の裏にあるナイフを全力で投擲する。

 

 

念には念を

 

 

これで二秒経過

 

 

三秒後回収

 

 

四秒後瓶の着弾

 

いや、もう着弾した

 

 

男の手からなんか魔術の類いを感じたがそんなものは一瞬にして霧散し、一本のナイフが確実に首にささった。

 

「(七秒経過)!!ランサー!!」

 

 

九秒目

ランサーが二人を連れて帰り

 

十秒目に

 

三十をこえる槍や剣が男を貫く。

 

 

「・・・ダメだこれ、死んでない」

 

並大抵のサーヴァントなら即死の攻撃なのに

まるで効いてない。

いや、弱ってはいる。

それはただ触手を切られただけの蛸のような。

 

 

「ちょっと!!貴方、レフに」

「いや、あれは正しい判断だよオルガマリー所長」

 

所長がなんか言いたそうにしているのをポニテが止める。

あっちはなんか観測したのだろうか。

取り敢えず毒を塗ったナイフをもう一本だけ投げておく。

 

「ええぃ、こざかしっ!?!?」

 

「ヘッドショォォット!!ざまーみろ」

 

砂煙が晴れる直前に脳天を貫通した毒のナイフ。

これで死んでない辺りやばい。

 

 

「ック・・・まぁいい、聖杯は回収した、ついでの用事をしようとも思ったが止めておこう、また死なれても困る」

 

 

男はなにかをいいながら一瞬で消えた。

明らかに神代の魔術

 

・・・・神代の魔術を使いタコのような感じ。

ソロモンか

 

いや、他にもいるか。

思い違いの可能性もある。

 

 

 

「およ?随分落ち込んでいますね所長」

 

「しょうがないじゃない、私はもう死んでいるもの・・・」

 

何か言っていたけどそういうことか。

 

「・・・あっそ、じゃあここで勝手に絶望しながら朽果てろ、所詮その程度の存在だ。希望を捨てた貴様の顔は随分と醜いものだよ」

 

聖杯を所長の前に置きその場を立ち去る。

 

洞窟を少し歩いていると小さな宝石が落ちていた。

魔力は欠片も感じないが、保存することはできる。

 

 

洞窟を抜け未だに火の消えない街を歩く。

無数の死体

尽きることの無い呪詛

 

くだらない。

 

「弱いことは悪だ、ただ群れをなしているだけで生きていけるものか、貴様らはいつもそうだ『英雄』を待つことしかできない弱者、だから死ぬんだよ、もはや俺が剪定する価値もない、死人は死人らしくとっとと失せろ」

 

小さな火種を投げ捨て辺り一面を焼き払う。

取り敢えず物資の補給と魔術礼装の予備がほしい流石にさっきのでほぼ全て使いきったから次サーヴァント来たら死ねる自信がある。

 

 

地道に小さな宝石や石を回収し一つ一つに軽い魔力を流し込んで刻印を刻む。

使い捨て爆弾なんて本当に昔にやったことだったからたまに加減を間違えて粉々に吹き飛ぶが取り敢えず補填はできた。

 

「・・・ワイヤーじゃねえか、ありがたい」

 

適当に町工場を破壊してまわると数メートルはある細いワイヤーが散らばっていたから一本一本を魔力で強化し鎖帷子みたいに編んで上から着る。

 

取り敢えず遠距離とちょっとした攻撃なら効かないだけでここまで安心ってすごい。

 

「あちゅい、どこも燃えすぎだ」

 

 

通り道で包丁やナイフみたいな刃物や布を拾ってそこら辺を散策する。

 

工房欲しい

 

 

そうやってたまに出てくる骨を石ころ爆撃で吹き飛ばしながら後ろからすごい速度でランサーが走ってきた。

 

「・・・あれ、止まる気配が」

 

ちょっとまずいと思い全身を強化し全力で町を疾走する。

 

 

「ねぇマスター、なんで逃げるのさ」

「そんな速度で走られたらぶつかって死ぬんだよ、今魔術礼装無いんだよ」

「そういえばそうだね、じゃあ後ろのあれどうする」

 

 

何回やな予感がしたが後ろを振り返ると

忘れもしない

 

 

巨大な岩のような肉体

明らかにヤバい巨大な石の剣

 

 

「ヘラクレスじゃねえか・・・・ランサーなにした」

「いやぁ、二人のお守りとかマスターでもないから途中で飽きて遊びにいったらああなったよ・・・英霊装束もないみたいだし、あんな死にかけさっさと倒そうか」

「了解、じゃあ拘束するから一気に心臓狙えよ、まぁギリシャなら心臓吹っ飛ばしても戦いそうだがな」

「アキレウスかな」

 

 

雑談をしながら周辺に罠を撒き一周する。

ちょうど一周してすぐの広場のところで合図を出す。

 

「ワイヤートラップなら高出力無詠唱発動だったんだけどなぁ・・・・起動せよ!!」

 

周辺に微弱な魔力信号を送り一斉に拘束用の鎖と行動阻害の槍や障壁を展開する。

 

一瞬

いや刹那

 

この雑な準備の罠で止まったコンマ数秒で勝負は決まった。

止まったと同時に地面の石ころに変化していたランサーが手刀で心臓を抉った

 

「いぇーい」

「いぇーい」

(`・ω・)人(・ω・´)

 

軽くハイタッチをしすぐに消えるヘラクレスの残りカスを適当に拾った瓶に積める。

 

「リサイクルリサイクル、これで根源いくとか聞いたことあるけどよくわかんねえや」

「・・・マスター、リンゴがあったけどくうかい」

「要らない、と、言うより、食えるの?どう見ても禍々しい感じのリンゴだけど」

 

取り敢えず詰めれるだけ摘めた瓶を抱えて八百屋で転がっているランサーとリンゴを食べる。

味はというか食感は最悪だ。

 

いやまぁ、こんな燃え続けるところのリンゴなんてそうりゃあそうなる。

 

「ねぇマスター、マスターはこれからどうするつもりだい」

「あん?そりゃあランサーと一緒に雑に世界でも回ってみようかな」

「あぁそれね、世界が焼けたから聞いているんだよ」

「ハハハ、世界が焼けるとかそんなおとぎ話あるわけ」

「あるんだよ」

 

 

あ、ガチだこれ。

やっぱ敵やべぇやつだ。

 

「そうかぁ、どうしようか」

「別にマスターがどうでもいいなら、僕はついていくけど・・・あっちの様子だと行き場もないみたいだし」

「つまりこの詰んだ世界どうにかするために頑張ってねってか、やに決まってんだろ、寧ろ自分で言うのもなんだが立場が違えば世界消す側だよ俺」

そう言いながら落ちてた駒をくるくると回していると帰ってきた返事は以外とさっぱりで

 

「だろうね」

 

だった。

 

「はぁ・・・ついてない」

「と、思うじゃないか、そうじゃあないんだよ、どうやら世界は七つの『特異点』的なのが存在してそれぞれの『世界』を回れるんだよ、そしてそのなかには『古代メソポタミア』なんならちょうど僕の時代さ」

「よしいこう、今すぐいこう、絶対古代メソポタミアのウルクとか面白いって・・・・・あ」

 

イシュタルいるのか

 

やだなぁアイツ

なんか気に入らねえ

 

「あぁ、今度こそあのクソアバズレ女神をボコれるなんて僕も嬉しいよ」

「今度あったらあのときの借りは絶対に返す、アイツのせいで事後人生めちゃくちゃだった」

 

とっさに考えた

なぜそこまで知っている。

 

状況は最悪ってことなのだろうか。

魔術なんてくそくだらない物にしがみつく連中なんかに正直手は貸したくないけど世界はみたい、なんなら時間旅行、でもなぁ

 

「冷静に考えると魅力的だがそれはあのクソカス共の手下だろ、やっぱやだなぁ、でもなぁ」

「・・・多分だけど、今回はあの聖杯戦争と違って状況が状況だから大丈夫だよ」

「個人の利益どうこう関係ないと・・・」

 

状況は一切好転しない。

正直、こんな詰んだ世界が残る意味あるかは知らない、でも、彼女は世界を望んだ。

なら、叶えるしかない。

 

 

「よし、連中と組むか・・・どうせそうしないと何もないのだろ」

「ふふっ、随分と楽しそうじゃないか」

「楽しいさ、あぁそれと、置いてきた聖杯」

 

どこから出したのかよくわかんないけど聖杯を受けとる。

何故かこう、光が小さくなったような。

 

「無断使用した?」

「人一人、蘇生に」

「そう・・・」

 

なんか光がないと金コップに見えてきた。

 

「じゃあ、帰ろうか、僕たちの新しいねぐら『人理継続保障機関 カルデア』に!」

「そうだな、戦友」

 

彼の手を握る。

すると急に意識が飛びかけ・・・飛んだ、目が覚めるとなんか地面にキスしてた

 

「・・・どんな体形してんだよ」

「いやぁ、マスターが綺麗に寝ていたからね、ひっくり返して瓦礫で固定したのさ」

 

「・・・・・」

 

瓦礫を退けながら一人どう対応すればいいかわからない女の前に立つ、正直やったの自分だけどなんかいいや。

 

「さて、誇り高い(笑)ロードとかそこらの地位にへばりつく歴史(笑)のある名門の魔術師サマなオルガマリー・アニムスフィア。別に感謝しろとかそんなのはどうでもいい、権力も要らない、寧ろ魔術師嫌いなんですよ、固いし、平気で自分の子供の思想変えますし、無駄なことを繰り返すだけの機械だし、えぇ、本来の魔術師ならあの場面で首を切り落としてましたよ、まぁ、あのときあなたが『逃げれない』ではなく『逃げない』だったのでこうやって生かしただけですよえぇ」

 

「無駄話なんかしないでそのあり得ない魔力で私を殺すなりなんなりしなさいよ、どこで何をしていたのか知らないけど、えぇ、少なくともランサーのサーヴァントとあなたの力なら容易に私とマシュ程度どうにでもできるのでしょ」

 

褒めたつもりなのに(´・ω・)

 

「はぁ、そこは『どうして時計塔に来なかった』とか『私に従え』とか言いなさいな・・・別に煮るも焼くもしませんよ、妙に人間臭いですしまぁ、奇跡で手にいれた命です、大切にどうぞ、あぁそうだ、空いている部屋、できれば倉庫ぐらいでかいの一つください、これから『絶望』に挑むもの同士仲良くいきましょう、マリー」

 

「!?あっ、あなた」

 

なんかいいそうだけど走って逃げる。

取り敢えず廊下をある程度走っていると外は嵐のようななにかと雪が降っていた。

まぁ今確か夏だし標高数千メートルかしべりあとか言うところだろうか

そこから建物を建てれて尚且つ人に見られる可能性を限りなく0にするならあるのは南極だろうか。

窓側の段差に座りのんびりとしていると

なんか近づいてきた白い獣

 

 

もふい

 

もふいぞこれ

 

「・・・なんだぁまるで『知人が記憶喪失になって全く別の人物みたいに見える』とでも言いたそうな目はよぉ」

 

「フォウフォウ!!」

 

わかんねぇ

 

「まぁいいか、お前ともどっか別の『世界線』的なので殺しあったような感じっぽいしまぁいいや、俺は俺だ」

「フォウフォフォウ」

 

わかんねぇ




おまけマテリアル 
このコーナーはまぁ変更点的なやつやメインキャラのあれこれやメモである

第一弾はやっぱり一番このストーリー構成をぶち壊して統合性をとるためあーだこーださせまくった張本人


ランサー 真名 エルキドゥ

簡易説明 イシュタル嫌いでモツ投げする、命乞いしたやつをぶっ殺す、全裸王よりヤヴァイ、半径100キロ以内のイシュタルを絶対殺す兵器、なんか特異点と聖杯と厄ネタマスター的なあれで昔の聖杯戦争のバーサーカーとしての自分と聖杯戦争として本来呼ばれるランサーの自分が混ざってる。 内訳は槍7狂3

ステータス
バーサーカーの面影が中途半端にあるせいで
筋力B
耐久A+
敏捷C+++
魔力A
幸運EX
宝具A++
とバーサーカー時のステータスを七割弱体化した状態で引き継ぎ尚且つランサークラスで持ってる『変容』によってステの加算が可能、またランサークラスなので燃費もお安くなって『この厄ネタマスターじゃなきゃ』普通に強い。(まぁこのインチキは厄ネタマスターありきですが)


スキル関連もいろいろごった煮
クラススキル

対魔力A+
説明?ただのA+対魔力

狂化EX
バーサーカーの名残
本来は無いけど特殊召喚により引き継ぎした、いつもはE程度のちょっと理性飛んで好戦的になるだけどイシュ・・・・ある条件を満たすと勝手にAランク相当まで引き上げられ、尚且つある『マスター唯一の手段』をつかうと・・・・

騎乗D
過去の聖杯戦争でバイクに乗って暴れまわったときに頑張ってつけたやつ
バイクや馬には普通に乗れるけど竜種は不可能(力ずくで乗れないとは言ってない)

神性C
完全な神の兵器であった故に獲得したバーサーカーのスキルを弱体して引き継いできたスキル

自己回復(魔力)B
バーサーカーの引き継ぎ、ランサーによる低燃費化により待機時はこれの自己回復で十分

skill

変容A
ランサーになると持ってた謎のスキル
能力値の振り分けができるぞ
尚この厄マスターの場合は1000の数値から振れる(絶対余るとか言ってはいけない)

気配感知A+
バーサーカーの時の仕様と違い敵感知特化ではなくなったが変わりに水源や魔力のあるものとかを探せるようになった、はっきりいってサバイバル適性も少しいるこの状況なら最高の能力、ただ気配感知で上位気配遮断無効からのニュータイプ避けが出来なくなった(尚この感知を抜けれるのは現状どこぞのギャグ宇宙ヒロインとFakeアサシンのみだったはず)

完全なる形A
なんかランサーだと持ってたスキルその2
大地の魔力で直すらしい、魂は別問題
まぁすごい回復能力

魔力臨界C
バーサーカーの引き継ぎ、魔力放出のある意味上位互換
弱体化してるけどCでも魔力放出A++相当

戦闘続行EX
バーサーカーの引き継ぎ
基本的には自分の倍以上のダメージを受けても何十時間も耐えれるスキル
また自身の死因である病(呪い?)によって死んだ瞬間からほんの少し、具体的に一時間だけ行動できる。

ある女神がいるとマスターの魔力が尽きて死ぬか退却しない限り殺意で動き続けることができる

尚最悪の組み合わせである
何がひどいってガリバーで消し炭にしない限り体の九割が消し飛ぼうが『完全なる形』で秒で復帰し、病で殺した判定にしてもマスターが生きているとそこから魔力次第だが数分後にマスターが楔になって問答無用で復活できるため実質倒し方が

『エルキドゥを消し炭にできる火力を持つ』または『エルキドゥを呪殺し一時的に契約を切断し、数分以内にエルキドゥ(バーサーカー)を使役できるぐらい優秀なマスターを殺害し楔を無くす、尚エルキドゥはステータスダウンをしているが動き続ける』の二つのみである

はっきり言うと神以外じゃまず無理に等しい
前提条件としてエルキドゥと互角かそれ以上に戦えるサーヴァントを用意する無理ゲー
前者はまずエア以上でも持ってこい話はそれからだ
後者はエルキドゥを殺すだけなら簡単だがその糞燃費を供給できるマスターが全力で逃げに徹し、さらにそのアホみたいな魔力量で好き放題時間稼ぎをされる為正直呪いや病を保有して尚且つマスターを数分で殺害できる超高速のサーヴァントかマスターが必須、勿論アキレウスやクーフーリンというだろうがそこら辺のサーヴァントになると呪いは持ってないし神性のため鎖妨害が入る、じゃあ呪いでとなるとキャスターの場合今度はマスターの要求ステータスがバグる玉藻やペイルライダーなら余裕で殺せる(対魔力関係ないから)がマスターを数分で殺すにはやや役者不足、なんなら死にかけ(死んでる)エルキドゥにすらある程度の強さがないとぶち殺されかねない、相性有利でもゾンビアタックは防げない。

はっきりいって作者の私も知らない
簡単に言うドラクエジョーカーの名前忘れたけどそのターン終了まで行動できる能力とリザオラルだったかの死亡時復活呪文のコンボ的なあれだとおもう


まぁ、一番大事なのは幸運ランクなんですがね皆さん


次回謎のマスターか所長にしよう


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1話 邪竜百年戦争オルレアン

前書き手抜きまてりあーる
おまけより分量は少ないけどゆるーいせつめいであーる

今回はこの方

謎のパッパ(個人的に結構なおっさんだと思ってたら意外と若かった)マリスビリーの娘

キボウノハナは咲かない咲かせない、やるなら俺が咲かせたい。

オルガマリー・アニムスフィア

なんか初対面で居眠りするとかいうピンポイント過ぎるのが嫌いな人
なんか身の丈余る責務課された人
幸薄最高

リ ヨ ぐ だ 子 の 被 害 者

魔術師としては良いらしい、具体的なのは事件簿マテリアルにあるらしい(まだ買ってない)

虚数持ちの知人がいるらしいな、列車見てないからしらねえ、てかエルメロイは単品じゃねえのかよ。
死んで無かったレイシフト適性とマスター適性を手に入れたぞ!
木っ端微塵に死んだから聖杯で蘇生できたぞ!
死亡バグとはたまげたなぁ


始めは何となくで生かしたけど凍結野郎をボコるガンメタキャラだぞ
ラスボスが慢心しないぞ!(まぁ、うん、慢心ラスボスだと数話で着いちゃうからね)


少し心もとない設備。

無数に置いてあるものを出来る限りの組み合わせ簡易的な工房にする。

 

といっても、何かを作るほどの素材があるわけでもない・・・。

 

「・・・せめて魔力保存の道具ぐらいは欲しかったな、どれもこれも糞雑魚魔術礼装じゃあないか・・・ただ量産性とパイプとしての性能は上々・・・・要らんわ・・・これアトラス製か?いやだなぁ、あそこ質は格別だけど格別すぎて別ベクトル何だよなぁ・・・・明らかにこれ戦闘機能しかねえものを無理矢理支援機能を加えただけだろ、どうせ『最強の量産性と戦闘能力を持つ魔術礼装』とでも謳って作ったんだろ・・・こんなゴミで何ができる、まだライダーのマスターの魔術礼装の方が八倍は強かったし機能性もあったよ、所詮組織か・・・・」

 

なんだかんだ雑に文句を垂れ流しながら無数の魔術礼装を引き裂いたり元に戻したりして自分に合ったいつものとは言えないけどまぁ、特殊機能を省いたいつもの頑丈な魔術礼装に作り替える。

 

「・・・ブレードとランチャー機能ねえとまじでこれジェットエンジンを無理矢理つけて無理矢理空飛べる魔力流せば硬いだけの魔術礼装だな・・・なんならジェット機能も雑・・・あぁ・・素材がない」

 

「そんなマスターに朗報だよ」

「どったのドゥ」

「特異点さ、今準備・・・を・・・ハハッ」

 

まぁ笑うか。

 

「笑うなよ、結構頑張ったんだよ」

「飛ぶことしかできないものでかい?」

「うっせえ、魔術世界では飛ぶことって結構難しいんだぞ・・・あれ、あのマスター達全員普通に飛んでたな、実は簡単?」

「どうだろうね」

 

適当にナイフを服に隠しすぐに観測室に向かう。

 

「・・・・わーお」

 

人員こそそう多くないし

施設だってまだ壊れている方が多い。

 

だが、誰一人とて『絶望』を押さえ込んで無理をしている連中だ。

ただ一人、別の世界を見ている『男』を除いて。

 

 

「遅いわ・・・三秒の遅刻よ」

「三秒かぁ、これは手厳しい」

「その見透かしたような顔で言うことかしら」

 

 

軽く所長と言い合ってそっとモニターに写された映像を確認する。

 

「これからあなたには『第一特異点』呼称を『オルレアン』、つまりフランスの特異点に行って貰うわ、時代は大体ジャンヌ・ダルクが魔女裁判で死んだときよ」

「百年戦争・・・かぁ」

 

観光は無理そうな雰囲気しかしねぇ。

 

 

「そして、その前段階として・・・いえ、本来の形に沿わすために、貴方にはマシュと契約をしてもらいます、その『カルデアを逆供給でオーバーロード』させれるぐらい膨大な魔力生成能力ならマシュ一人どうにでもなるでしょう」

「うーん、やだなぁ、ランサーって結構重いよ・・・現状七割ふんだくられているんだよ、俺、戦闘時はもっと重いだろうなぁ」

「・・・・」ツンツン

 

『ナニカキガカリナノカイ』

 

黙って空気を呼んでくれたランサーにそっとアイサインを送る。

すると解ってくれたのか急にざるな芝居を始めた。

 

「そうだね、僕も今回は慣れない状況での召喚だ、無駄にコストを裂くのも問題だと思うよ」

「たしかに・・・そうだけど・・・これは聖杯戦争ではないのよ、いくら貴方でも」

 

意外と心配性なのだろうか、善悪は興味ないけどこういうのはやっぱり好感を持てる。

ただまぁ、自分で手一杯の癖に無駄に抱え込むのはうざったらしいから本音でも言う。

 

「寧ろ緩いですね、はっきりいって『この程度』でしょうが、こーんな不意打ちでしか勝算のねえ連中のどこに恐れろと、これならまだイシュタルとの殺し合いしていた昔の方がきつわマヌケェ、マリーはどっと構えて立っていれば良いさ、あぁ、宣言してやろう、この俺が神も居ない戦いに負けるわけがないであろう、とな」

 

「そう、そこまで自信があるのならやってみなさいよ、あとマリーはやめなさい」

 

「よし乗った、じゃあ他全部よろしく」

 

手を握り少しだけ魔力を流す。

契約は始めはコストがかかるからこうでもしないと現場指揮官に倒れられても困る。

 

「・・・ちょ、ちょっと、あつっ」

「あぁ、すまない、じゃあ大冒険を始めますか」

 

そっと握っていた手を離し映像を見る。

 

「ねぇ、貴方、名前は何て言うの、未だに誰も聞いてないのだけど」

 

 

とんでもない質問が来た。

名前?

覚えてないよ

少なくとも

俺と言う男はあの時死んだ

名前のない怪物でしかない

 

あぁ、そうだな。

雑に名前をつけるか。

 

 

「俺の名前か?藤丸」

 

 

 

 

「『藤丸 立香』、元魔術師だ」

 

「そう、藤丸ね・・・無事に帰ってきなさい」

「心配は無用さ、マリー・・・」

 

 

なんか所長が言っていたけど気にせずカプセル?的なものにはいる。

 

 

そして

 

 

また、一瞬だけ世界が歪み、気がついたら長閑な平原にいた。

 

「・・・・ドゥ、あの城探知」

「うーん、黒だねぇ」

「先輩、とり「ランサー!!あの城吹き飛ばせ!!」先輩!?」

 

マシュを抱えて少し距離をとり魔力を流す。

正直、ロボだったらかっこよかったのだろうな。

 

あぁ、あれがライダーだったらなぁ。

 

 

ランサーの口から巨大なビームが発射され、城に着弾する。

射ちきった瞬間巨大な爆発と衝撃が周囲に広がりここにまで巨大な衝撃波が周囲の大地を吹き飛ばしながら突っ込んできた。

 

「てへっ」(^_-)

「てへっじゃねえ!!そこまでしろとはいってねえよ!!礼装起動・・・間に合うな」

 

「宝具展開します・・・・きゃっ」

 

「そりゃそうだ、無理すんな」

 

吹っ飛んで打ち上げられたマシュをキャッチし、浮遊する。

 

「うわーお、流石、神々に造られただけはあるね、いやぁー、オーダー開始数分で特異点修復は恐れ入ったよ、ってことで聖杯を回収して色々準備を整えたら即座に帰ってきたまえ諸君」

 

「いや、あの、これでいいのでしょうか」

「うーん、まぁ、時間は限られてるしぃ、やり過ぎなければいいと私は思うなぁ」

 

ゆっくりと凪ぎ払われた大地に足をつける。

空の光輪は消え失せ、真っ青な空

 

なんか竜っぽいのが飛んでいるのが気がかり

 

 

あ、これ竜か

 

「ランサー・・・あの竜っぽいの全部落とせる?」

「あぁ、まあまあな数が残っているようだね、それよりマスター・・・あれに乗ってみたいと思わないかい?」

「おめー騎乗・・・おいまさか」

 

事態をなーんとなく察したため全力で城の跡地にマシュを運ぶ。

 

なんか後ろから鎖で竜を引っ張ってきたランサーから目を向けずにまっすぐと何もない大地を駆ける。

 

「僕に勝てるとでも本気で思っているのかい?」

「うっせえばか、そんなのお断りだ!馬でいいだろ!!」

「いいじゃないか、竜種なんてそうそうだよ」

 

道中の木を盾にしつつひたすら逃げる。

流石に竜はまずい。

 

 

「・・・おのれぇ、おのれぇ」

「よしよし、それじゃあ行こうか」

 

かてねぇ

 

「あ、あの、先輩・・・」

「ん?あぁ、城まで飛ぶから、そのあとパリの町があると思うからそこで集合しよう」

 

鎖でできた手綱を引っ張って一気に空に駆け上がる。

風が気持ちよくほどほどの高さにすると少し荒れてはいるが綺麗な眺めではあった。

 

「・・・流石に三人乗りはむりぽぉ」

 

明らかな重量オーバーなのか軌道が明らかにふらついていた。

 

「よし、マシュ、今から城まで投げるから頑張って着地しろ」

「先輩!?」

 

 

手綱を離し、マシュを掴んでぶん投げる。

射角、速度は充分でまっすぐ飛んでいって、綺麗に城跡の壁に着弾を確認した。

 

「・・・さてと、ランサー、どこにいくんだ?」

「そうだねぇ、あそことかどうだい」

 

そういいながら西の方に指を指していた。

大西洋だっけか

 

「海か、何年ぶりだろうな」

 

そう呟いてそこに向かう。

 

ある程度近づいてきたら着陸し、竜を適当な大木に繋ぎ止める。

 

「・・・静かだなぁ」

「・・・ペロッ・・・・げぇっ」><

「海水は飲めねえよ」

 

足元にいた小蟹を眺めながらのんびりとくつろぐ。

次の世界はどこだろうか、どこでもいいか

 

やはり冒険とはいえないな、まぁ、竜種にまたがって空の旅は良いが

 

「・・・おや、なんか倒れてる」

 

砂浜をのんびりと歩いているとなんか城の方から飛んできたのだろうか。

ばかでかいクレーターの中心に誰かが倒れていた。

 

なんか黒いし、旗も持ってるしサーヴァントだろうか

 

「・・・うーん、死んでる、というか脱け殻だこれ、中身がねえ」

 

背中に手を当てそこら辺をまさぐって見るけどやっぱり何一つ感じられなかった。

生命には多かれ少なかれエネルギーがある、それが全くないってのも不思議だ

ただ、傷が一つもない辺り、誰かに大切にされていたのだろうか。

あんな破壊力の爆発に耐える魔術か。

 

 

「・・・」

 

なにもでなかった。

言葉にはできない

とても綺麗

 

 

あぁ、そして、とても悲しいな。

 

「貴様の人生は実に悲しいものだったな・・・成し得ることなく終わる、それは苦しいだろう」

 

そっと胸に手を当て魔力を流し込む

別に無意味ではあるが

せめて、消滅だけはさせてやりたい。

 

「Au revoir」

 

少しずつ光がのぼって行く彼女を後目にそっと立ち去る。

 

 

「あ、マスター、どこに行ってたのだい、急に消えるから驚いたじゃないか」

「うっせえ、てゆーかなんだこのアホみたいな数の焼き魚は」

「暇だったから引っ張って来たんだよ、あぁそれと、あのキャスター・・・ダヴィンチからだけど『聖杯は回収した、あと三日程度で第二の特異点観測が終わるから早くパリに集合して帰ってきてねー☆』だってさ」

「なぜそっちなんだよ」

「マスターが周辺に魔力を撒きまくって通信妨害をしているからじゃないか」

「知らないよ、昔からこうなんだから」

 

焼き魚を食べながら出立の準備を済ませる。

 

「おや、そこにキミもひとつどうだい?できたてで美味しいよ」

 

そっと後ろを振り返ると

 

さっき消えたはずの彼女がふらふらとおぼつかない足であるいていた。

 

奇跡だろうか意思だろうか

あるいは両方か。

 

 

サーヴァントの身であったはずなのに今はまるでゾンビだ。

 

「・・・聞こえてないなあれ」

「うーん、えいっ」

 

鎖で足を引っ張ってこっちに飛ばしてきた。

いやおかしい

 

「わふっ」

 

「大丈夫ですかお嬢さん」

「あ、あの、いえ、大丈夫です」

 

「・・・焼き魚いるかい?」

「えと、その」

「お金なんて要らないよ、ただの観光客だからね、だからお食べ」

「ありがとうございます」

 

生気がまるでない彼女にも押し売りのように売り付けるランサー。

それを半分疑いながらも食べる彼女が少しだけ可愛かった

 

「・・・かわいい」

「えっ」

「!?」

 

「いや、なんでも」

「フフッフハハハ・・・確かに小動物みたいで良いけどマスターにそんな感情があるんだ」

「なし、いまのなし」

「わからないなぁ」

「とぼけるなぁ!」

 

とりあえず何十匹もあった焼き魚を全部食べた後もう縛り付けていた竜をランサーが引っ張ってくる。

 

「・・・・」

「そういえばお嬢さんはどちらまで?」

「私・・・いかなきゃ」

「その方角はオルレアンですよ・・・今あそこは吹き飛んで跡形もないのでパリまで送りましょうか?」

「・・・大丈夫です・・私は一人で・・・あっ」

 

失った記憶を取り戻しかけて脳にダメージでもあるのかふらつく彼女の手を握り有無を言わさず竜に乗る。

 

「ランサー・・・こいつ借りるよ、まぁ、走ってこい」

「ちょっ」

 

なにも聞かずさっさと飛んでいく。

 

「さーてと・・・パリまで約一分、『覚悟』できてます?」

「・・・」

 

なぜ知っている、というような顔だった。

まぁ、オルレアンから吹っ飛んできたヤツがなんでもないわけはないよな。

 

「黙っていていいですよ、霊基は直すどころか一時的な強化を掛けておいたのでまぁ三時間程度なら戦闘は可能です」

 

彼女からしたら訳も分からないか。

明らかな『敵』が手助けするんだ。

 

「別に貴女が私を敵と思っていても知っていても私は貴女の味方であり傍観者ですよ、貴女が貴女ならね、『ジャンヌ・ダルク』」

「・・・」

「正解でした?ッハハ、これはますます良いな、じゃあ、レッツゴー」

 

最後に彼女の手を自分の頬に当て熱を感じた後落っことす。

どっちが勝とうがもう遅いな。

だが、ここで決着しねえと終われないよな。

 

なぁ『ジャンヌ・ダルク』であり、彼女でない者よ。

その瞳の炎はとても美しかった。

その魂はとても綺麗だった。

 

「満足かい?満足なら僕を回収してほしいな」

「飛んでこいよ」

「いいじゃないか」

 

肩に引っ付いていた礼装の一部がランサーに変化しちっちゃい人形になった。

 

「あーはいはい、回収すればいいんでしょはいはい」

 

大地を見下ろし周囲を確認しながら何回も旋回を繰り返して手を降っていたランサーを見つけ一気に突っ込む。

 

「たっちあんどごー」

「ごー」

 

地表ギリギリまで高度を落とし、ランサーの腕を掴んだ瞬間一気に急上昇、パリへ向かう。

 

「・・・馴染む・・・実に馴染む、こうやって冒険しているだけでもどんどん体の重りがなくなって魔力が溢れ出すな・・・」

「それでもまだ20%ぐらいじゃないか」

「・・・まぁ、うん、昔と比べるとうん、弱いね、今の俺じゃああのマスターどもには勝てんよ、あのときだってほぼ運とメタ張りまくっただけだしな」

 

どこからとってきたのかわからんフランスパンを食べながら燃えるパリを見下ろす。

 

 

パリは今燃えている

 

「・・・そろそろかな」

 

下の広場に飛び降り燃える街に着地する。

周囲には逃げ惑う住民や焼け焦げた死体がそこらに存在し一種の地獄絵図であった。

別にどうでもいい。

とはいえ、目的の品は無かった。

やっぱり時計塔によらないといけないのだろうか。

 

「はぁ、まーだ勝負がついてないのか・・・まぁ良いけどさ、燃え尽きる一瞬まで戦って探すといい」

 

倒れてあった椅子に座り机に寝そべる。

 

目線の先には白と黒の聖女がギロチン台の下で旗を使い何十回も殴り合いをしていた。

周辺には串刺しにされた騎士や戦士、聖人だろうか・・・・。

 

マシュもまた、足の一部が吹き飛んで倒れていた。

 

「あの馬鹿・・・実践経験無いのに踏ん張っちゃって・・・・ランサー、足と一緒に回収してきて、回復と接合するから」

「・・・ずいぶん気に入っているね、あの程度なのに」

「馬鹿言え、あいつの足元を見てみろ」

 

そういって指を盾に指す。

そこだけ不自然に剥がれた筋があり、そこから無数の杭だろうか、なんか出てた。

 

「大方、宝具の疑似展開でもしてみせたのだろ」

「だからさ、できてあの程度なのに一体何がそこまで気にさせるのかい?」

「なにも知らねえ奴に世界を見せたいと思った、それだけだよ・・・」

「ふふっ、どうぞ」

 

そっと差し出された足とマシュを近くに置き、出来るだけおかしくならないように引っ付け、一気に足を接合する。もちろん麻酔も無しにやるなんて馬鹿げてるさ。

膨大な魔力とはそれだけで便利なものだ。

 

「ほいっと起きろ」

 

傷口に手を当てなんとか治癒魔術を秒間で無詠唱で掛けまくって無理矢理治す。

 

「ッ!?先輩!?」

「どうだい、治癒魔法なんて苦手だからあれかもだけど、まぁ大半の事は魔力溶かしまくればなんとかゆうずうきくっしょ」

「いいえ、これならまだまだ戦えます」

 

あ、だめだこれ。

 

「まぁ、聖杯は回収したんだろ、座っとけ」

「ですがまだ「座れ」・・・できません」

 

まぁそうだよなぁ

今尚苦しんでいる人間はいる

いくら終わると行ってもあの戦いはまだ続く。

 

「あれは今のお前じゃ無理だ、経験ではなく、能力の差を経験で埋めれていないんだよ」

「ですがこのままでは」

 

マシュの口にフランスパンを突っ込みジャムを塗る

 

「まぁ、それ食え、よし食ったな、うん、まずな、無理しすぎだ、はじめは無理せずサーヴァントの戦いを見て学習しろ、戦いは視ることからが始まりだ、技術なんて後から追い付くさ、力なんざいくらでも持ってこれるさ、だがな『経験』は手に入らねぇよ、だから視て経験を積め、でなきゃ死ぬ、いや俺は一回死んだわ」

 

壊れかけのティーカップに入っていた紅茶に近くにあった溶けかけの角砂糖をいれスプーンんを突っ込んでくるくると回す。

 

「まぁなんだ、戦いはな死なないことが一番だよ、死んだらなにもできないからな、冥界下りでもできるのならいいが」

 

溶けきった紅茶を飲もうとすると横から一本の旗が突き刺さり粉々に砕け散った。

どうやら勝負はついたようだ。

 

 

「お疲れさま、自分殺し・・・・いや、本物殺しの感想はどうだい贋作、あぁそうだ、これからフランスを滅ぼすのかい?個人的には走りきってほしいな、うん」

 

壁に刺さった旗を引き抜き、投げ返す。

 

「・・・無視はひどいなぁ、確かに今さら虐殺しても意味無いよ、うん。でもさ、せっかく手に入れちまった命だ、やることぱっーとやってから好きにしたら良いさ、どうせこんな世界だ、多少の無茶も許されよう」

 

今にも立ちはだかりそうなマシュを抑え、もうなぜ動いているのかも知らないし、本人もわかってない彼女を見続ける。

パリの街を抜けただただオルレアンを目指すだけ。

正直気になった。

 

あれに意味があるのか?

 

「先輩・・・本当にこれでよかったのでしょうか」

「いいさ、あれを否定してなんになる、ただ倒してなんになる、あれほどの存在なら地獄の底でも生き続けよう、それこそ地獄だ、何もないのに生きるのは辛いだろうよ、物事はな、常に悪と言う存在を倒せばいいわけではない、だが、必ず救う必要もない。あれはそういうのだと思うね・・・先に帰還しろ、俺は欲しいもの取ってから帰るから」

「わかりました、この特異点は残り十分で消滅するので急いでくださいね」

「あぁはいはい、取り敢えず次の特異点ではまともな実践経験積めよ」

 

 

光に包まれ消えるマシュを見送った後そっと席を立って指をならす。

 

「ランサー、地中にはあったか?」

「ぷはっ・・・あぁ、まだ宝石が残ってたよ」

 

街道をぶち抜いて来たランサーが服(?)裏から取り出した大量の宝石をポケットに入れる。

 

「ローマとロンドンはあったか」

「・・・流石にそこまでこの特異点は生成されてなかったよ、所詮魔力リソースさ、あの程度の聖杯と術者じゃあこれが限界さ、むしろあの糞女神の生成範囲がおかしかっただけさ」

 

ちぃ、と舌打ちつつも宝石に投影魔術の刻印と魔力を差しつつ、回路の具合を確認する。

 

「・・・まだ、大丈夫か、アインツベルンの旧式技術が・・・・・めんどくさいことしやがって」

 

魔術回路を収束し整理を済ませ礼装の設定を済ませる。

 

「取り敢えず十分ってことならもうひと潜り行けるけど必要かい?」

「いらね、フランスの聖遺物なんざ大半が塵だろ、それよりあいつ・・・欲しいなぁ」

「まぁ、あれだけ強力な霊基ならきっとどこかで残っているはずさ、僕もこの特異な状況は完全に把握しきれていないからね、絶対ではないけど保証はするよ」

「・・・そうか、しゃあねえな、矢と杖の素材はひと通り揃った、弩砲はランサーが出せばいいし、いい加減効率悪い宝石魔術なんてやめたいよ」

「ハハハ、確かに決め手ではあるけど普段使いは嫌だね、だからマスターも魔術を勉強すればいいじゃないか、大抵の事はいつもの刻印トラップとかでしているんだし、折角の才能が台無しだよ」

「ばっかおまえ、あんなアホ臭いこと誰がするか、たかだか火を吹けるとか笑わせるなよ、隕石落としたり全魔術を弾く結界とか時間停止とか人外相手に即席で効く分けねえじゃん」

 

 

崩れ行く世界を眺めながら帰還を始める。

あのときと同じように一瞬だけ世界が歪みはしたがまた、あのときのように元の世界に戻っていた。

 

 

「ふぅ・・・オーダーコンプリート・・・半日足らずか・・・・まぁいいさ、フランスなんざろくなものがなかったしな、やっぱアルビオンとかローマの地下宝物庫、あとはモスクワ聖堂かじゃねえとろくなもんねえか」

 

周囲の職員は休憩なのか眠っていて唯一働いているのは医者だったはずのロマニだけだった。

 

「ファーストオーダー・・・そちらもずいぶん大変でしたでしょ」

「あぁ、何回かテストはしたけどその想定値を余裕で越える藤丸君の魔力量には驚いたよ」

「まぁバイタルとかの確認だけで十分ですよ、それで所長はいずこに?」

「さっき君が帰ってくる傾向を確認したから自分の部屋に帰ったさ」

「そうですか・・・・それじゃあ」

 

そういって部屋を出ようとするとロマニは一言「待って」と言った。

少し振り替えって「何ですか」と、答えると彼は少しだけ間を置いて答え出した。

それは

『藤丸 立香という人間は先日の事故で死亡している』だった。

 

「・・・・ふふっ・・・ははっ・・・これはとんだ誤算だ・・・あぁ、君に見破られるか『ロマニ・アーキマンという偽名の名前の魔術師』さん・・・お互い、秘密は大切に・・ですよ」

 

顔だけ笑いそっと彼を目を見る。

彼の目は震えてはいたがそれでも勇気を振り絞ってかしっかりとこちらを捉えていた。

 

「・・・とはいえ、お互い腹が読め過ぎないのは困る、アーキマン、貴様は過去にヨーロッパ全土で起きた謎の人間爆死の事件を知っているか」

「あぁ、あれは悲惨な事故だったね、唐突に街一つの人間が吹き飛んで場所によっては血で川を染めたらしいとか、でもあれは怪奇現象じゃあ」

「違うな、あれはいわば特異点と似た者だ・・・実はあそこで聖杯戦争があった、俺の持ってる聖杯はそれそのもさ・・・つまりなんだ、深くはまた他の機会だがあれは聖杯戦争の被害さ、もし俺が誰か調べたいならその怪奇事件の生存者と死亡者と行方不明者を徹底的に探すといい」

「聖杯戦争だって!?そんなもの僕の知っている限り、いや、記録のなかじゃ冬木の一回だけだ、そんなヨーロッパ全土・・・・特異点・・・・」

「そうだよ、普通はおかしいよな、じゃあな『ロマン』」

 

雑にハッタリをかましてその場を去る。

扉がしまり、廊下に出た瞬間息を吸う。

 

 

「・・・流石にバレるかと思ったがまぁいいか」

 

施設内は消灯時間なのかいように暗く、静けさを保ったままだった。

取り敢えず外の薄い明かりが当たる窓辺に座り体を当てる。

 

どれだけこの聖杯戦争があの時と比べ簡単でも常に全力をだし続けてなおかつ余裕を気取るのは難しい。

魔力の一部を回復に当て休憩をしているとランサーが隣に座ってきた

 

「さてと、マスター、第一特異点を・・・って、随分と疲れているね」

「うるせえよ、おめえが全力でゲロビ射つからだろうが・・・流石に七十本程度オーバヒートしてるな・・・冷却するまでには第二特異点も観測されているだろうな」

「そうだね、じゃあ質問を変えよう」

「なんだよ、質問を変えるって」

 

「簡単な質問だよ、イシュタルをボコボコにしたいかい?」

「勿論、あいつのせいで勝った後のことの処理に追われたんだしな」

「あぁ、それはよかった、あの糞女神、その気になれば今からでもこれそうだからね」

 

これる?消えたはずじゃ

 

「実はこのカルデアの召喚システムを調べていたんだけど一瞬だけ彼女に見られてね、僕を仲介してマスターに何かしてないかを心配していただけさ」

「そうか、それは怖いな、まぁなんとかなるさ」

 

 

向かいのソファに座り直し背を壁に当てる。

ソファから見るとちょうど月光がランサーを半分照らし、少しだけ神々しかった。

 

「取り敢えず寝るかい?休憩なら僕が部屋まで運ぶけど」

「要らないさ、ただそこにいてくれ、あの時みたいに、こう眺め合いながらたまに話し合って作戦を練ってたときみたいによ・・・」

「わかったよ、そういうのなら僕はここにいよう、次の戦いまでゆっくりしようマスター」




おまけまてりあーる

Master藤丸 立香(?)
前作のifルートというなの続編主人公(生存者)
前作マスター勢と比べると大体5番目程度のマスター、幸運ランクが高いからなんとか生き残れた枠、決して無敵のバサーエルキドゥじゃない・・・・はず


持ち前の全魔術師をぶっちぎりで超越した魔力保存量と質と反則めいた自己回復速度によって本来はイリヤクラスでも使おうとすれば即死するエルキドゥ(バーサーカー)を使役するぞ。
またアインツベルンの最強厨肉体改造によって無限に魔術回路が増え続け、実質全盛期が随時更新状態。
また、能力のピークは定期的なのは存在せず、『最高にハイってヤツ状態』がピーク、つまり気分。

一応無限増殖の魔術回路はゴミみたいなものだがあったら嬉しい程度。
軽く比較するなら

士郎27 凛メイン40 サブ30とすると

メイン100万+α サブ無限
最高にハイ状態で メイン二倍に増加プラスで全魔術を無詠唱最大火力で使用可能
とかいうキチガイぶり
はっきり言うと根源組と地球以外勝てるのか?カーズするしかなくない?(カーズしても帰ってきてたわコイツ)
因みに+αの部分は無限に増えすぎた増殖サブ魔術回路を数万本単位でまとめて自分の元々あったメインの魔術回路に合わせて適合させた分。
自己回復速度もなにもしなけりゃ三十分でヘラクレスのストックを全快させれる程度に頭おかしい、むしろこいつが強さで下から数える方が早い過去作がおかしすぎる

とはいえバサドゥを使役するのにリソースの大半を投げ捨てているため実質使えるのは
3万の魔術回路と無限のサブ回路のみである
ただし今回はランサーによる低燃費化で余裕ができたためもう少し多い

ここまで多いと当たらないけど起源弾が炸裂したところで数千本は残ってそうだ

魔術回路 
量EX  質EX 編成/異常(自動生成による複雑化と■■■■■■■)

魔術属性 アベレージ・ワン(なお敵がインチキすぎて使っていないため実質無意味)
特性 強化 転換  

使用魔術 

宝石魔術 使用用途は遠坂 凛とほぼ一緒、しかし平均的な出力は比べ物にならほどこちらが上、また、下記の投影魔術やアベレージ・ワンの特性をいかし、ちょっとしたトラップやゲートオブバビロン擬きによる絨毯爆撃の攻撃の主になる

投影魔術 ブラウニーみたいな糞チートじゃないけど得意分野の強化で普通に使える品になる、主に攻撃の弾を作るだけの用途で使用

強化 ただの強化・・・・だけどこれが十八番、その持ち前の化け物クラスの魔力と自作の礼装を組み合わせるとサーヴァントでいう筋力、耐久、敏捷がAランクからA+++相当とかいうはっきりいってインチキめいた倍率の強化を可能とし投影によって作られた武器を強化し、直撃すれば『ヘラクレスを二回殺せる』武器をポンと産み出せ、時間をかけてじっくり作ると余程の防御系の出来れば無敵系の宝具なり耐性がないと対大陸宝具のA+ランク相当のキチガイ武器の投擲が飛んでくるようになる(なお、大半の投影品は耐えきれずに爆破するため最高にハイじゃないとき以外は基本良くても対城クラス程度)
また、独自に編み出したタイマー式や関知式の自動刻印との合わせ技で宝石から百の武器を投影してそれを同時に強化で補強して射出するという攻撃方法を生み出した。


自動刻印  彼が独自で研究し、生み出した唯一の魔術。
内容はいたって簡単、壁や宝石に魔術刻印や発動の式を張り付けて時間差で起動したり、通りがかったり、使用者の合図で発動する魔術を行使する魔術代行的なもの。

壁や地面だとマナが安定せず少しず消耗し最終的には消滅するので基本的には刻印をずっと残せる巨大な宝石やちょっとした聖遺物などである。(ただの魔術刻印貼り付けとか言ってはいけない)


治癒  ただの治癒、ホイミも百万回掛ければベホマだ。


また■■■■■■■■■■■■■であるため
■■■■の適性も保有している


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第二話  永続狂気帝国セプテム

私はラフムにぶっ刺されたグゥに少し興奮しましたはい
これがいつでてるか知らんがまぁ、その日から書いたと思ってくれれば
もっかいバビロニア再生しよ

あ、前書きマテはないよ、ちょっとそういう精神状態じゃないか



流石に落ち着いたわ

material?  聖杯戦争
最近GOばっかで忘れたか?
ってことで振り返りと違いだ、こうでもしないと作中キャラ全員黙る面子だからわかんねぇ

とりあえず七人の魔術師(それ以外)というか端的に言うと『サーヴァントを使役できる』って条件さえあればほぼOK、ただのポケモンだよこれ。

尚、この世界線ではヨーロッパ全土で一回(前作)、冬木で一回(あれ)、アメリカで三回と全国の地方でちっちゃいのが複数回だけである・・・なんで指で数えれる程度で魔術師が三桁死んでるんだ


・・・・・

・・・・

・・・

 

 

『ワタシヲミナサイ』

 

 

女の声が聞こえた。

どことなく冷たく輝いている

だがどこに手を伸ばそうと届きはしなかった。

 

誰が呼んでいるのだろうか。

 

 

『我が名は■■ ■■■■■』

 

誰だ、誰の記憶だ

夢だ

世界だ

 

腕を伸ばし鈍い光を掴む。

すると手の甲に小さな熱を感じた。

 

それは何だろうか

今までに感じたことのない暖かさ。

安心感だろうか

 

とても暖かく、そして儚いものだ。

 

『アナタハ■■■■?』

 

 

 

「・・・夢か・・・・くだらない」

 

謎の声に答える間もなく気が付いたらソファで寝ていた。

バーサーカーはいつの間にか俺の上で寝ていた。

 

取り敢えずバーサーカーを自室に運んでから工房とは言いがたいがまぁ何となくな作業場の椅子に座る。

 

取り敢えず回収してきた宝石を六角形へ加工しそれらに複数の魔術を刻印しパスを繋げる。

『強化』『投影』

この二つは魔術師には無意味というよりは過剰火力だがサーヴァント相手には別だ。

宝石一つ一つに投影から強化そして射出を行う刻印を刻みそれらを全て魔術礼装に張り付ける。

 

 

「・・・射出・・・起動」

 

軽く自分を中心に半径三メートル程度を回るように指示を出し宝石を射出する。

 

そこから自動で一つの宝石から二十の剣を投影し、同時に強化を施して固める。

後は射出命令を停止させそのまま消滅させる。

 

「ひとまず成功か・・・・矢は一本できる程度か・・・せめて十はないと心許ないなぁ」

 

そうぶつくさ言いながら

大きなルビーを鏃の形に加工して穴を開ける、その中に小さな宝石を詰め合わせ鏃を完成させる。

鏃には投影や強化に追尾を刻印し羽根部分に戻ってくるように刻印を施す。

 

 

ただ、なんとなく部屋に置いてあった懐中時計を見る。

時間は11時を刺していたがそれが昼か夜かは知らない。

ただそっとそうと認識して再び、作業を始めようとすると扉が開き一人の少女が入ってきた。

 

「・・・マシュ・・・」

「少し、よろしいでしょうか、先輩」

 

「あぁ、別に構わないが」

 

すると彼女はそっと隣に座り一つの質問をしてきた。

 

「先輩は過去に聖杯戦争に参加した時にエルキドゥさんと契約して勝利したいうのですが他にはどんな人たちがいたのですか?」

「あぁ、そうか冬木では一回しか聖杯戦争が無かったのだな・・・まぁヨーロッパ全土での聖杯戦争もあれっきりだりうがな・・・参加した面子なぁ・・・はっきり言うと全員が異端であり天才、そしてそのサーヴァントもまた様々だったな」

「異端?それはつまり魔術協会に属していない、または敵対しているということでしょうか」

「あぁ、全員、封印指定というまぁ面倒くさいもんにかけられた不幸者たちさ」

「なるほど・・・具体的にはどんなマスターやサーヴァントが居たのでしょうか」

 

「そうだな、セイバー『ヘラクレス』、ランサー『アルトリア』、アサシン『ジャック・ザ・リッパー』、ライダー『源 義経』、キャスター『ダビデ』、バーサーカー『エルキドゥ』、そして女神『イシュタル』・・・恐らく、本来はアーチャーの枠をなにかしでかしてイシュタルを現世に呼び出したのであろうな・・・」

 

「なるほど、ではマスターの方は」

「マスター?まぁそれは別の日にな・・・はっきり言うと思い出したくない」

「・・・その・・・もしかしてですけどとても大切なものを」

「あぁそうさ、そういうことにしておいてくれ」

 

 

部屋を出て廊下をなんとなく歩き続ける。

 

「面倒くさいだけじゃないか」

「うるせえよ、どうやって簡単にあれを語れるか、面倒事の上に面倒事被せたようなものだぞ」

 

通気口から吐き出されるように泥が溢れそこから声が聞こえた。

泥は出しきったと同時にいつもの形に少しずつ変形をしていき、ほんの十秒でもとに戻った。

 

「アインツベルン、魔術協会、女神、大規模すぎる聖杯戦争、封印指定魔術師七人そして本物の聖杯、ただそれだけじゃないか」

「その最後が本来はまずいんだよ、今でこそ俺の手中だからいいが、はっきりい言うと管理したくねえよ、これさえあれば根源にすら到達できるだろうしな、いやそう思い込んだ馬鹿しかいないさ」

 

意味もなく廊下を歩きつつ言葉を交わす。

大体一周しようとしたとき、唐突に館内放送が流れ、施設に明かりがついた

 

「・・・聞こえるかしら・・・聞こえるわよね、今すぐ管制室に集合しなさい、これより第二特異点の修復を開始します」

 

彼女の声は以前とは違ってもう心配の必要もなさそうだった。

 

「さてと、それじゃあ始めましょうか、なぁランサー」

「了解だよ」

 

 

相変わらずなんか慣れないが黙って管制室に入る。

入ったときには一つの地図があった。

 

「来たわね藤丸、それじゃあ早速行ってきてちょうだい」

「事前情報なしかぁ」

「・・・・別に貴方ほど実力なら並大抵はどうにでもなるでしょ、全幅の信頼を掛けているのよ」

 

うわめんど

 

「あーはいはい、地点からしてローマ、大方ローマ帝国関連だろ・・・・ローマか」

 

あれが保管されてあればいいが

 

 

「じゃあ、数日で終わらせてみましょうか」

 

コフィンに入りまた飛ばされる。

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

■■■■

 

「憎い」

 

「なぜ」

 

「アァ」

 

暗いどこか

また謎の声が聞こえる。

 

誰だ

 

だが、引き寄せられている

 

■■■■

 

「マスター!!」

「・・・草原?寝てたか・・・」

 

 

そっと起き上がり周囲を見渡す。

特におかしいところはなく、どことなく、あの時を思い出す。

 

「・・・マシュは?」

「ついさっき下で戦闘があったんだよ、その時に加勢に行って今は皇帝と会っているだろうね・・」

 

皇帝

 

あぁ、やっぱりローマ帝国

 

 

「そうか、じゃあランサー、ささっと探知しちゃって」

「もう終わっているさ、一番反応が多いのはローマとマドリードさ」

「敵はマドリードに居るのか・・・届くか?」

「もう少し近付きたいね」

 

仕方がないから近くにあった馬に跨がり街道を走る。

 

「飛べばいいじゃないか、どうして・・・あぁなるほど」

 

ある程度街道を走っていると正面から無数の兵士と巨大な岩の兵器が行く手を阻んだ。

 

「これよりは連合ロー」

 

取り敢えず投影で適当に剣を造って兵士の首を跳ねる。

そのまま一気に疾走し前線を抜け進み続ける。

 

「これで完全な黒だけどやるかい?」

「雑魚に用はないよ、適当に引き連れて殲滅でいいさ」

 

さすがに二人乗りは無理なのかある程度走るとそこで馬が止まり

周囲には万は居る軍勢に囲まれた。

 

「よし、これならどこに乱射しても当たるな」

「あぁ、僕もここからなら威力は微妙だけど射程圏内さ」

 

そういいながらランサーは空に、俺は宝石を射出し魔力を流す。

 

数分の沈黙の後、ランサーの行動を見破ったのか一斉にこっちに突撃を始めた雑兵は断末魔をあげることもなくほぼ全てが全身に剣や槍、そして魔力の爆発で全身が焼け消滅した。

それでも歩みを止めないためしかたなく空を飛んで半径七十メートル全域に宝石を展開させ投影品の雨を降らせる、もちろん地面に着弾一歩手前で自動で魔力の流れを変える刻印を刻んでおいたため爆発もする。

 

ランサーもランサーで五、六回程度ビームをぶっぱなしてスペインを焦土に変えた。

 

でも気がかりなのは

 

「サーヴァントはどこだ・・・」

「そういえば確かに反応がないね軽く探知しようか」

「いや、いいさ、それよりも地面を通ってやつらの本拠地にでもいくか」

「別に歩けばいいじゃないか、マスターならあの程度の濃さでも汚染出来るじゃないか」

「面倒なんだよ、ほら、さっさと穴」

「っもう」

 

浮遊を切って地面に着地すると同時に地面が沈み込み地中に空洞が生成される。

 

「アリアリアイリアリ」

「なんだそりゃ」

「なんかこう気合いを出す的な」

「ふぅん、わかんね」

 

溶けて変形し続ける地中を走りながら確実に反応のあるところに到着する

ちょうど大きな魔力反応があるところで剣を振ってかだら飛び出るがそこにはなにも無く、ただの廃墟であった

 

「ここだね・・・・あれ」

「うーん?焼け跡じゃあないか・・・聖杯落ちてるし・・・なんか変だな」

 

周辺の魔力を汚染して環境を整え通信をかける。

 

「はーい、しょちょー、聖杯とったけどマシュどこー」

「うわっ・・・急に繋がった・・・え、えぇマシュなら霊脈の確保にエトナ火山に行ったわ、聖杯をマシュに回収させれば今回のミッションもクリアよ」

「りょうかーい」

 

 

直ぐに濃度を引き上げ通信干渉を遮断する。

 

「取り敢えずエトナ火山にれっつごー」

「じゃあ溶岩遊泳でもいこうか」

「拒否権」

「無いよ」

 

無理矢理腕を引っ張られ飛んでもな速度で地中を抜ける。

全身にランサーが覆い被さって泡状に変形し、まるで動く巨大な埴輪みたいな感じになり溶岩のなかに突入する。

 

「あっつ・・・いくら熱伝導を減らしてもあっついな」

「ごぽぽぽ」

「喋るなやけどするぞ」

「こぽぽぷぷぽぽぽ」

 

マグマの中を泳ぎつつマシュの反応を探知し近くの岩盤に入り込んで地面に向かって動き出す。

ついでになんか隠れてるレフ・・・・なんとかの足元から。

 

「殺っちゃえマスター!!やっぱ僕がやる」

「どっちだよ」

 

 

腕の一部がチェーンソーに変形し超高速で回転してまるで七色に光る刃となりダイブと同時にレフの腕を切り落とす。

斬られた腕は空を回転し落ちる前にぐじゅぐじゅにとけて蒸発した。

 

「ヒャッホォォォォゥゥゥ」

「耳元で叫ぶな」

「うぐっ・・馬鹿な・・・うぐあ・・・アァァァ」

 

少しずつ察し始めたのだろうか、このチェーンソーの刃の部分『ヒュドラの毒牙』であることに。

 

 

ある時神は造った。

 

人と神を決別させようとする男を止めるために

人と神を繋げる鎖である兵器を

 

男は兵器を視てある女を出した

 

女は兵器と語りそして交わった

 

兵器は力を犠牲に理性を得た

 

これはあるよくみる過去の話だ

 

 

 

だが冷静に考えると、それはある意味の悪手でもあった!!

効率的に殺戮を行う兵器が理性を獲得した!!

 

ならばやることはひとつであった!

兵器はその全て知識、経験、そして残りの力を結集し

 

兵器は強大な力の代わりに全てに対応する究極の『武』を備えたのだ!

 

それは一種の人類の『力の進化』の一片なのかもしれない

だがこれだけは言える。

 

過去未来現在

生半可な神ごときでは

いや、規格内の地球上の生命体では

この暴走兵器と渡り合うことは不可能という事実だっ!!!

 

「いい声で鳴き出すねぇ、あの程度の戦力と準備で僕とマスターを同時に相手しようなんて実にくだらない、ハハハッ、ねぇ、次はどこを切り落とそうか、それとも、解かそうか、あぁそうだ」

 

包んでいた皮が砕け始めそれらが泥状となりそして人の形を形成する。

 

「変に遊ぶなよランサー・・・」

 

釘だけをさしておいて鎖を投影し下に居るマシュや現地のサーヴァントだろうか?を回収しながら周辺を探知する。

 

 

「・・・ま・・・じゅ・・・」

「ん?なにか言ったかい?」

 

下手な隠し方をしているレフを心の中で嘲笑いながら周辺の場を整える。

 

「たかがサーヴァント風情がぁ!!」

「ふ・・・・ぜい?」

 

何か呪いの塊のようなもので蹴りかかってきたが次の瞬間をするまもなく

 

「一応冠位なんだよぉ!!」

 

足を魔力を込めた拳で殴り飛ばす

レフは同時に全身の魔術回路がズタズタに引き裂かれ暴発し、崩れ出した。

 

「うごあぁぁぁな、なぜだぁ!!なぜ私の肉体がぁぁと、溶けるっ!」

 

「うんうんうんうん、最高だね、そうだよ、ただの魔力供給だよこのマヌケぇ!ただ僕はマスターの魔力をこの体に流し込み、それを拳に集め君に与えた、軽く君の許容量の100倍程度さ、どうだいあまりの量に感じるパワーと崩れ出す恐怖は、ッフフハハッどうしようマスターハハッ・・・」

「いい加減殺れよ、次があるんだ・・・まぁ、もう少しぐらいなら許すけどさ・・・なに指切り落として埋めてるんだよ」

「あぁこれ?ご存知ピラニアさ」

「うごぇっうぐがあぁぁ」

 

なんかもうかわいそうに

 

なんねえわ

むしろ苦しんでいる様を見るとちょっと

 

興奮しねえわ

 

 

「まぁ、ランサーが楽しそうで何よりだよ」

 

マシュや兵士を引っ張りあげ取り敢えずランサーの肩を掴む。

その時にはレフの肉体は七割溶けきって脳や肺はピラニアに食い破られ

もはや原型もなくというか忘れた。

 

なんだっけこいつ

 

「オォォ!!」

 

取り敢えず溶岩に捨てようとした瞬間肉体が変形し強大な肉の塊

不規則に動く無数の眼球

尋常じゃない魔力反応

並みのサーヴァントでは太刀打ちできそうにもない気配

 

あぁなるほど

 

「我ガ名ハ、フラウロス「じゃあ魔術王によろしくな糞雑魚」」

 

名前を聞いた瞬間敷いていた陣を起爆しマグマに叩き落とす

マシュや兵士はランサーが鎖の網で回収していたため一応落下は避けれた

 

「・・・やったか?」

 

取り敢えず槍を二千本程度溶岩対応で強化し射出しておく

とどめに一発だけ火山噴火を起こせるほど強力な魔力を込めたナイフを投げさっさとその場を去る。

 

 

 

「勝ったッ!第二特異点完!・・・仕込みはこれでいいか」

 

焼きうまい棒が完全に溶けきったのを確認しさっさと本題に移る。

ランサーとマシュと一緒にいる赤い・・・赤い・・・。

派手だなぁ

 

 

こっちに気づいたのかマシュが盾を持って近づいてくる。

見た感じ所々に土とか血とかが付いていてどこかで戦闘をしてたのだろう。

 

「先輩、敵性反応もロスとしましたし聖杯を」

「・・・今はダメだ、むしろこれからが本題なんだよ」

 

 

今ここで帰ると勝算無くなるからな、急いでいかないと。

 

「いったいどういうことでしょうか、理由を説明してください」

「今のマシュは正直足手まとい・・・すまん、冷静に考えればランサーが滅茶苦茶強いだけか・・・まぁいいや、ちょっとここだ辺で戦いの経験を積んでおけってんだ、でなきゃ死ぬぞ、俺はお前を何回も救う気はないからな、自分で歩いてくれ」

「ですがもう連合ローマは消滅」

「いや、ローマの地下宝物庫だ」

 

まるで訳のわからないというような顔をする彼女を無視し、話を始める

 

「まず、ローマの地下宝物庫なんて、歴史にはねえよ、いや、正確には地底だなあれ、言うなればローマの地下にある『アルビオン』の断片だ、これに関しては、まり・・・所長が聞いたことがあるのでは?無いと困りますよ」

 

「え、えぇ、そんな話聞いたことはあるけど本当なの?」

「うっせえなぁ、嘘なら言わねえよ、俺は聖杯戦争でイシュタルを倒すためにアルビオンと地下宝物、なんならモスクワの地底聖堂の深層まで潜り込んで帰ってきたんだよ、信じられないなら今からもう一回無駄に時間かけて潜るか?数週間は帰れねえぞ」

 

「ちょっとまって、アルビオンの深層ですって?!」

「あぁそうだよ、何回死にかけたろうな、二度といきたくねえわ、実りが無さすぎるんだよ」

 

マシュの全身に何回も強化を施しながら雑に対応をし、準備を整える。

 

「おーい、さっきからそちらでのみ何やら話しているが余にもなにか利益のあることを申してみよ、別に此度の戦の報償としてある程度は許すが、余も知らぬものが余の足元にあるのは興味があるのでな」

「・・・金銀財宝、神話の真実、後は見果てぬ世界です」

「おぉ、そうか、ならばすぐに出発しよう、歴代のローマ皇帝誰もが知らぬ未知の世界、そこに名を刻む余の姿、是非とも皆に見せたいものだな」

 

それかほどなくして船に乗り、ローマへの帰路についた。

勿論何もないわけではない

 

霊墓アルビオン

そこには無数の現世より消えた幻獣種が住み着き、無数の神秘が埋もれ

その迷宮に挑む魔術師は数多く存在したらしい。

たしか生還したものはなんか変な称号だかを貰えたのだろうか

くだらない

 

揺れる船のある船室で話は始まった

 

「そうだなぁ、俺の冒険なんてただ『イシュタルを殺し聖杯を獲得する』その一点でやったからな、そこまでさ」

 

「それでもよ、きっとこんな状況じゃないとあなたと話せないじゃない」

 

「まぁそうだな、あの聖杯戦争の後、時計塔に入って証拠全部消して封印指定もさせねように死んだ扱いにさせたし、しゃあないか、まぁ軽く言うと俺とランサーが潜ったのは大体地下24300km、貴様らで言うところのなんだっけか・・・『妖精域』だったか、まぁそこすら余裕でぶち抜いたなにかだよ、敢えて第一踏破者の俺が名付けるなら『虚数迷宮』だな、うん、文字通りマントルすらぶち抜き、星を貫通してもなお続く地下マイナスの世界、故に虚数の迷宮、まぁぶっちゃけるとそこよりも先もあるけどイシュタル殺すのが本題だからそこにいた気の良い妖精に霊石貰って帰ってきた、ピンと来ないか?確か地下80kmかそこらがお前らの限界点だろ、おいおいそんな顔するなよ」

 

「これは封印指定ね、もしぶちまけられたら魔術世界の根底に関わるわ」

「だから黙ってるのだろうが、こういうカードは持ってるだけで最強だからな、さてじゃあ、今回挑むローマの地下宝物庫だが、はっきり言うとそこまで潜らん、というか浅い、一応目的のものは地下30km程度だから出てくるのもせいぜいヒュドラとかその程度さ」

「ヒュドラが程度・・・ですか」

「別にファブニールほど危険なのは宝物庫には居ない、ヒュドラの毒と集団戦を取る獣人に気を付けとけ、俺はランサーと先に目的の物を回収して帰ってくる、別に入り口で耐えるだけで良いさ」

 

「カルデアの、ローマであるぞ!」

 

その声と同時に心を切り替えすぐにコロッセオに走って向かう。

恐らく

これはこの特異点最大の戦い

走りきれるかは知らない。

だが、ここであれさえ手に入れておけばこの後に戦いに有利に働く。

 

 

「マスター・・・準備はいいかい?」

「あいつらじゃあ絶対に死ぬ、だから死ぬ前にけりつけるぞ『バーサーカー』!」

 

令呪を切りブーストをかける。

 

「過去に挑む二度目の宝物巡り、始めようかッ!!」

 

腕が巨大な薄緑の流体のようなものになり

振り下ろされた一撃が大地を貫き

神秘を封じ込めていた岩盤を破壊する。

 

魔術礼装に全力で魔力を回し、一気に最下層を目指す。

 

無数の竜を通り抜け壁を破壊する。

 

一層

また一層

進むごとに魔力は神代へと高跳びのように深まり

周囲の魔獣もどんどん神秘を纏い始め

もはや周辺を自分の魔力で汚染しないと三秒で死ぬようなとんでもないレベルの濃度の魔力になり、最下層はもはや神代も生ぬるい

 

エーテルの世界だった。

 

「はぁはぁ・・・ごほっ・・・」

 

体が耐えきれずに崩れ始め吐血する

すぐに書き換えをしたところで流石に厳しい。

バーサーカーがすぐに傷口に入り込んで修復をしてくれはしたがダメージは体に残り続け、少しだけふらつく。

 

 

「三分・・・か・・・道を知っていたから良いものの、明らかにここら辺は人の来る場所じゃねえ、いや、生物じゃねえ、まさに神の世界、いや妖精や精霊の世界だな・・・だが、俺は二度も踏破したぞ・・・ハハハッ」

 

目の前にある白銀の神殿の扉を開ける。

 

目の前には

 

あり得ないものが存在した。

 

巨大な筒

 

機械でできたなにかよくわからない巨大な人みたいな兵器

 

「・・・ん?」

 

筒の外になにか無数の文字が書かれている、埃を払い首をかしげて見る。

文字はなんかよくわからない神話の文字だろうか

 

「???なんだこれ、よめねえ」

「マスター?」

 

バーサーカーが近づいてきた文字をさわる。

 

「あ、る、て、み、す。だってさ」

「こんなのあの時は無かったぞ・・・まぁいいかぁ、台座はあったか」

「あぁ、これでしょ」

 

そういってバーサーカーが一つの黄金のボウガンを取り出す。

 

ギリシャの神

アルテミスが使っていたといわれる

 

放てば必ず当たる権能を組み込まれた金のボウガン

アルテミスの弩砲。

しかしこれでオリオンを誤射して粉微塵に吹き飛ばしてしまったが故に川に投げ捨てられそのまま行方知れずだったらしいがいつ誰がローマのこんな地底にぶちこんだのだろうか。

 

「こいつは現代に至るまで所有者はいないだろうしいいだろ」

「さてと、それじゃあマスター、全力で帰ろうか」

「そうだな、ここは息苦しくて堪らん」

 

通ってきた道を全力で戻りつつボウガンに矢を装填する。

ボウガンはとても軽くそして扱いやすく同時に力も感じる。

 

「試射にはちょうど良いな」

 

ヒュドラを飛び越えながら振り向いて心臓めがけて引き金を引く

 

放たれた矢はヒュドラの首を貫通して大きさにして直径三メートルの穴を開け心臓を貫きそこから削り取るようにあらゆる方向に暴れまわった後に戻ってくる。

ただ一発の矢でヒュドラは肉も残さず消滅し残ったひとつだけの首だけが地面に横たわる

 

「やっぱつえーよ、これ」

 

確認を終えすぐにまた地上へ急ぐ。

大体地下4kmぐらいのところで無数の竜に囲まれているマシュたちを確認した。

見た感じ周辺の魔力に耐えきれずに爆発した兵士やボロボロのサーヴァント

まぁ、そうなる

 

「よくもまあここまで来たな。ランサー!」

「わかったよ、的確に迅速にいこう」

 

周辺から鎖を放ち竜や魔獣の頭を吹き飛ばす。

周囲を軽く探知して反応が無いのを確認しすぐに着地する。

 

「大丈夫ではないな、うん、ここから先は二段飛ばしで魔力濃度が高まるから帰るぞ、死んでも良いなら案内するけど」

「・・・先輩はこうなるのを知っててあえて言ったのですか」

 

マシュも足と肩に負傷があり、目の様子からして無理して戦っているのは簡単に察することができた。

 

「いや、精々入り口で全滅しなければ最良だと思っていた、ずいぶん良い英雄だなマシュ、大体察しはつけそうだ」

「・・・・これ以上は不可能か・・・仕方あるまい、総員引き上げよ、そしてこの事は他言するでない」

 

彼女のどこか落ちた声に兵士たちは迅速に対応し退路につく。

どこかで拾ったのか黄金の宝石箱を抱え、とぼとぼと上に上がっていく。

あれひとつで地方買えるのだがな。

 

 

ある程度すると急に帰還の合図が来て、帰還を始める。

 

「・・・しょうがないこともあるさ、帰るか」

 

 

意識が一瞬混濁し目が覚めるとそこはいつもの光景だった。




マテリアル  アルテミスの弩砲

え?弓じゃないのか?
そもそも前作書いたのたしか2005年とかそこらなんで知らなかった。
アルビオンについても何それ美味しいの状態で頑張って理由付けしたこういうのはしゃあない

ただの『何でも自動追尾弾』発射装置と言いながら生物だって飛ばす、魔力も飛ばせると優れもの、威力もちゃんとあって生半可なサーヴァントは霊核に着弾して即死させられる。

だがその真の用途とは

次回オケアノス


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参 閉鎖終局四海オケアノス

前書きまてぇぇぇええん
獅子王未満じゃ話にならないから困った

弱体化しても基礎ステのごり押しよくない
まぁ、そういう設定にしたから仕方がない

狂陣営は設計段階で『地球や人類、生物の法則じゃ倒せない』系ラスボス設定だからねしゃあない




静かだ

 

沈んでいく感覚

つめたく

温かく

儚く

 

何もない

 

あぁそうか。

ここは虚数の海か。

 

誰が見ているのか

視界がぼやけていて見えない。

 

でも『誰か』がいる。

どこか遠くなく

だけど大きな壁のような何かがある。

 

 

手を伸ばす

腕が焼けるような痛みを感じるが手は伸ばし続ける。

 

何かがいる。

何か大切なものがある。

 

何か大きな角だろうか?

大きく、硬く、黒い何かをつかんだ瞬間

 

暗い海は無くなり

 

ただ星が広がっていた。

『宇宙空間』

 

宇宙空間だ

 

「・・・・・・これが『私』?」

 

鏡があった

等身大の大きな鏡だ

 

自分の姿があった。

 

黒い長髪は薄い水色に染まり

白銀の瞳には光る十字の傷が入っていた

 

何かが違う

何かおかしい

本能が告げた

 

でも

なぜだろうか

 

別にこれでも悪くないような気がした。

まるで『元に戻る』ような

 

理解した。

 

 

「繰り返すだけか、構わないさ」

 

鏡に触れた瞬間腕が赤黒い泥に包まれ始めた瞬間

 

誰かに腕を捕まれた。

細い女性の手に引き上げられる。

 

泥は剥がれ落ち髪の色も元に戻る。

 

「はぁ、まったく。とんだ厄ネタね、取りあえずこれで貸し一つよ」

 

聞いたこともない女の声と同時に意識が無くなる。

 

 

目が覚めるといつもの作業机だった。

そこらかしこに転がっている瓶を箱に詰めて部屋においておく。

 

何か抜けている

 

 

なんだっけか

 

「よし、もう一回寝よう」

 

そう思いおふとぅんをひっぺがすと見覚えのある赤い皇帝陛下が全裸で寝ていた。

理解不能

 

「カモン、バーサーカー、ちょっと俺理解できん」

「どうしたんだいマスター?」

「俺はいつサーヴァントを召喚した」

「あぁ、彼女はカルデアのサーヴァントだよ、別に僕たちだけで良いってのに」

 

取りあえず素数でも数えながらコーヒーを用意する。

部屋の明かりをつけて適当に菓子でも取り出

 

全部食われてる

 

「バーサーカー」

「僕ランサー」

「おい、バーサーカー、頬に砂糖ついてんぞ」

「うえっ」

 

黒ですねありがとうございました

 

「・・・」

「えっと、ほら、あれだよ消費期限ギリギリ」

「別に怒ってないよ、ただ、ちょっと、うん、なんかいいか、起きてください陛下」

 

体をさすろうと手を伸ばした瞬間腕をつかんで引っ張られガッチリとホールドされる。

強化をすぐに掛けて無理矢理抜けようとするがなんかすごく力強い。

 

「やっぱりマスターではないか、その匂い、顔、雰囲気全てがマスターではないか!!どうして余を離そうとするのだ」

 

「オメェを知らねえからだ!!」

 

そういった瞬間急に力が抜けたから一瞬でぬけることができた。

その顔はもう泣くんじゃあないかってぐらい崩れていた。

 

「じょ、冗談であろう・・・余とマスターは月で長く共に闘い語り合った中ではないか、まさかすべて忘れたのか!?嘘よな、嘘といえ、泣くぞ、余、泣くぞ」

「知らん」

 

マジで知らん

故に真面目に答える、取りあえず横でなんか笑ってるバーサーカーの口に腕ごと饅頭を突っ込んで黙らせておく。

 

「・・・嘘よな、だって余とマスターは月で勝利しムーンセルを」

「知らん」

「で、では余と交じりあったことは」←やってない

「知らん」

「つ、月の裏側で憎きBBを懲らしめ余の花嫁衣装をひっぺがしたのも」←大嘘

「知らん」

「よ、余と帝国の拡大を二人三脚で頑張ったことは」←しれっと改竄

「知らん」

 

何をいってる

訳がわからん

 

「ほむほむほふほふほふはー」

「バーサーカー?」

 

腕を放し付いた泥を取り払う。

 

「なんか不思議なことが起きているから整理しよう、セイバー、君はマスターと『いつ』闘ったのだい?」

「あれは確か2030年だったとおもうぞ」

 

あぁ察した未来か

 

そういえば座は過去未来現在の時間の概念が無いのだっけか。

ならば答えは出た。

 

「今2020年にもなってないぞ・・・当然知らん訳だ」

「なんとっ、そうであったのか!!」

 

まぁ、この世界線じゃ、俺は多分残り数日の命だが、もし、道が違えばあったのかな。

あぁ泣きたくなってきた。

 

どおして泣きたいのだろう

なぜ今自分の未来がないと思ったのだろう。

 

「それでは陛下、ごきげんよう」

 

軽く一礼し部屋を出る。

軽く廊下を歩き横を通っていくサーヴァント見たりしながら無人の部屋に入る。

 

いや、無人である部屋だ。

 

「もう先が無いんだ、なぜかはしらない、だが、起きたとき察したんだ、もう俺には時間がないんだ」

 

パソコンを起動し労せずパスワードを解除する。

まるでそれを知っているような感じに一度もミスなくだ

 

 

『マリスビリー』

 

そういう名のユーザーデータを確認する。

 

カルデア

セラフィックス

聖杯戦争

 

メモリーデータとゴミ箱に突っ込まれた削除データをすべて復元させ確認する。

 

あぁあった、これだよ。

 

 

『クリプター』

 

この単語を探していたんだ。

 

どうやらAチームのメンバーの別名だろうか

なぜこれを知りたかったのかは知らない。

だがこれで良いのかもしれない

 

あぁ良かった。

 

『この程度の魔術師』か

 

 

 

データを全て保存しパソコンを破壊する。

 

部屋を出ると同時に足の力が抜ける。

 

いや、力が入らないのだ。

感覚がなくなった。

 

「・・・好き勝手暴れやがって」

 

すぐに動くようにはなったがそれでも少し動きに切れがなくなり動きづらくなった。

 

壁に手を当て深呼吸をしてから歩く。

管制室に入り男の隣に立つ。

 

「やぁドクター、残業かい?」

「・・・」

「・・・おいおい、コイツ目を開けて寝てやがる徹夜でもならないよ」

 

隅にあった箱から毛布を取り出してそっと被せる。

少し手が出ていたから雑に組ませて寝かせようと手をとった瞬間何か冷たかった。

 

金の指輪だ。

 

不思議なものだ、未婚の男が指輪なんてな。

 

「お休みドクターロマン」

 

そっと椅子と体勢を変えさせてからその場を離れようとするとドアの開く音がしてマリーが入ってきた。

 

あぁ、かなしきかな

どうやら夢は終わりのようだ

 

「あら藤丸、今から特異点の修復だからそこの全力で寝てる医者を起こしておいて」

「・・・ふふっ」

 

少し半笑いになりながらドクターの頬に氷を当てる。

すると驚いたのか一瞬だけ跳ねて布団の重さと合わさって椅子ごと倒れてしまった。

一瞬何て彼が言ってるのか分からなかったがすぐにその場を離れてコフィンの前に立つ。

 

「さてと、この特異点は二時間で終わらせようかいや、終わらせないと間に合わないな」

 

コフィンが開き中に入る。

いつの間にか胸ポケットにちっちゃいバーサーカーが入っていてレイシフトが始まる

 

 

 

 

意識がある。

海の上

 

あぁそうかうん。

 

「先輩!包囲されました!」

「さてと、どうしようかマスター、周囲は敵、場所は奴等の船」

「飛べもしない連中には興味ないがマシュを守りながらなんて面倒だなぁ、まぁ人間だろ、俺はちょっとこのボウガンで手当たり次第船を沈めるから後頼んだ」

 

「了解マスター」

 

船を沈めるぐらい強力に蹴って一気に上空まで浮遊し周囲を見渡す。

 

取りあえずこの船を沈めようと鉄球に魔力を込めようとした瞬間

急に横からロマンがストップをかけてきた

 

「うっさいなぁ、別にマシュは回収するよ」

「いやもう戦闘は全員拘束されて終わっているんだ」

 

ん?

 

五、六秒の出来事だぞ。

 

 

少しだけ高度を下ろし声が聞こえる範囲で浮遊する

 

「速いなぁ、じゃあ俺はバーサーカーと海域を調べるからある程度したら光の柱が出るからそれを合図に来い、オーケー?」

 

「オーケーです先輩!」

「うむよろしい、じゃあさっさと終わらせよう」

 

確認と同時に空を蹴り飛ばして全速力で飛行する。

 

「バーサーカー、聖杯探知」

「その前に僕の体を戻しれはくれないか」

「・・・あぁすまん、忘れてた」 

 

適当な島に飛んで行き着地する。

 

そこにバーサーカーを寝かせた瞬間周辺が液状化しいつものバーサーカーに戻る。

 

「完 全 復 活」

「うわーべんり」

 

うごぇ

 

「おいバーサーカーいま変な声聞こえなかったか」

「うーん、多分足元じゃないかな?」

 

取りあえず足を見るとなんかぬいぐるみを踏んでいた。

 

いやなぜぬいぐるみ

 

「オタスケ」

 

「Oh」

 

取りあえず腕をつかんで吊るしてみる。

すると急に青ざめた顔をして震えだした。

 

「おお、お、おお、、おお、おおい、おいおいおい、なんでお前がそのそそそそのボウガンを持っているんだだだ」

「?」

 

「いやその?っじゃなくてその金のボウガンだよっ!!俺それトラウマなんだって!」

「あぁ、オリオンか・・・・」

「そう、俺オリオン、だからね、教えて」

 

 

オリオン

 

オリオン

 

 

 

 

オリオン

 

 

あまりの事実に全力でぶんなげかけてしまった

 

「うそだといってくよオリオン」

「俺が言いたいよあんちゃん、なんでそれ持ってるの」

「あぁこれね、ローマの地下にあったから所有者居なさそうだし持ってきた、これで色々な危機を乗り越えれたから助かったんだよな」

「持ってきたじゃねえよ!!せっかく隠したのにそれじゃあかわいい子をナンパができねえじゃねえか!」

 

は?

 

「は?隠した?アポロンに騙されてアルテミスが発射した鉄球に土手っ腹にぶち抜かれて粉微塵になって死んだのじゃあないのか?」

「ちげーよ、なんだそのグロ画像見たいな死にかたやだよ、それはあいつの「あーーー!」ぎゃあああ隠せ隠せ!それか破壊しろ!!今すぐ!」

 

わ、わけがわからないよ

 

「それ『ダーリンお仕置きBOW』じゃない!落っことした物だと思っていたけど探してくれてありがとう」

 

ん?『ダーリンお仕置きBOW』?

 

なんでだろう、一瞬にしてこのボウガンの価値がつまらないものになったような。

 

「あー、まてアルテミス、それは俺が隠して現代まで残っているやつを持っているやつださすがにもう期間切れだ、それにあれもう要らないとか言ってたしいいだろ、な、な」

「あれぇ、そうだっけ」

「そーだよ、だからいいだろ、な」

 

なんだろうか、何をそんなに怯えているのだろうか。

 

 

「まぁいいや、じゃあ、あなたにあげちゃう、だってダーリンが浮気しなければ要らないもの」

「軽っ」

 

「ほっ」

 

「それに、今浮気して加減無しに撃っちゃったらダーリン前と違ってぬいぐるみだかだ『矢が土手っ腹貫通して粉微塵になって死んじゃう』かもしれないし」

 

あぁわかった、こいつ。

イシュタルと同じで感覚ずれてるわ。

いや、神の感覚ってこんなもんか。

 

 

「ま、まぁ、用件はなさそうなのでサヨナラ」

 

全力で走ってその場を離れる。

 

面倒くさい

絶対まずい

 

そんな事だけを考え全力で走る。

 

 

ある程度森を走っていると正面から複数の魔力の気配を感じとりすぐに周辺に宝石を撒き散らし離れる。

 

「・・ふぅ、追い付いた」

「黙ってろ、なんか普通じゃあねえのが通るぞ」

 

 

後ろから歩いてきたバーサーカーを地面に埋め身構える。

どこかで一度あったような

どことなく強くそして、どこかおかしい。

 

「・・・うそだろおい」

 

その言葉と同時に仕掛けた宝石に引っ掛かったのかそれともあえて掛かったのか

不自然なほどに一斉に起爆し爆発の熱風が肌を触る。

 

燃える森林を背に

 

巨大な

 

岩のような大男

 

知っている

 

「ヘラクレスッ!!」

 

音速を越え、刹那の速さで振り下ろされる剣を全力の投影と強化で打ち返し追撃の蹴りを利用して後ろへ吹き飛ぶ

 

 

「さてと、どうやって殺したものか、ヘラクレスを殺すだけなら問題はないがどうやって複数回しようか」

 

こんな不意の戦闘でないなら全力の投影品の絨毯爆撃で出来なくはないけどまぁそんな時間くれないし許さないよね。

 

だから一撃で消そう。

 

 

「そうだな、貴様ならそうするな、『バーサーカーのマスター』」

 

血の気が引いた

あのヘラクレスだ。

 

 

避けるのも不可能、いつ真横にいたのかもわからない。

だが、そこに確かに

 

奴はいた。

 

 

「セイバー、あのときのてめえか!!ずいぶんよわっちいな、余程ゴミみたいなマスターなのか?えぇ?」

 

一瞬加速した剣を寸でのところで集中的に強化した腕で耐えそのまま木々を蹴り飛ばして人一人分程度の距離で横並びで走る。

 

「このような戦い手を貸すのは不服、しかし、友の戦いと有れば別」

「なんだ、知ってたのか、じゃあなんだ、今回の大玉はイアソンか?そうか、友として戦いはするが世界のために勝ちはできんか、そうか、なら黙ってくたばれとは言えんな、どうする、『あの時』と違って、魔力量、出力全て貴様と並べるぞセイバーこのまま並走して走ってもバーサーカーが殲滅して終わりだ、知ってるだろ?お前は一度だってバーサーカーに傷の一つも与えられなかったんだ」

 

咄嗟に大剣を投影し斬りかかる。

当然のように防がれつばぜりあいになるとセイバーはほんの少しだけ笑っていた。

 

「確かに負けた、だがアイツならできる『英雄』であり続けるアイツなら必ず勝てるさ」

「負け惜しみか?現状の友はは『英雄』ではなく『人形』だぞ、いや、違うな、過度な信頼か、くだらねぇ、たかだか『信頼』とか『団結』とかなぁ」

 

 

魔力その物で剣を変形させて振り上げる

生えた魔力の刃は七色に鈍く輝きそして周辺の環境を汚染し変質させる。

 

「俺のバーサーカーは最強なんだよッ!!てめぇらみたいなたかだか神話の英雄に負けるわけがないだろうがッ!!」

 

振り下ろされた剣はセイバーの大剣ごとその巨大な肉体を両断し、その余波で刃から漏れた魔力の波が木々の構造を書き換えて破裂させそのまま島を両断し切断面が液状化し後に毒となって霧散した。

 

「はぁ・・・はぁ・・何回死んだ」

 

 

地面に立ちそっと割れた大地の底を見る。

投影した剣はパラパラと崩れ落ち

 

蒸発するセイバーを見下す。

 

あぁ、死んでない

 

あと一回だったろうか?

此方を捉える。

 

一瞬にして全身が再生し海底を蹴り飛ばしてはるか上空まで飛翔し地面に着地し再び向き合う

 

「・・・・・・」

「おい、なに笑ってやがる、こいよ」

 

セイバーはただ同類でも見るような

面白がっているのだろうか

確かに笑っていた

 

だが、指一つ動かずただ立ち止まっていた。

 

「・・・ん?」

 

不自然に止まっているため周囲の魔力を汚染し飲み込もうとする

だが、セイバーは動かなかった、いや、もう死んでいる

ただ、中身の霊核が消滅し、ここにあるのはただの脱け殻だった。

 

「やはり、枷の無い本気の貴様とはやはり戦いたくないな、こんな状況でなければ死んでいた、セイバー・・いやギリシャ神話の大英雄ヘラクレス・・・・」

 

その立ち姿を背にただまっすぐ森にはいる。

 

 

 

海岸に戻るとそこではもう千を越える鎖が巨大な肉の柱をバラバラにし切り分けられていた。

 

「お前、なに食ってる」

「ほへまふひほはふはー」

 

食っていた

いや、幻覚か

確かにバーサーカーは食っていたのだ

あのよくわからない肉の柱の眼球を

 

「・・・・そうか、うん」

 

落ちていた聖杯を地面に適当に木に吊るし合図を打ち上げる。

合図をあげ数分のんびりと海を眺めていると一隻の船がゆっくりとこちらへ向かってきた。

 

「・・・さてと、今回も終わっ・・り!?」

 

急に足の力が抜けその場に倒れる。

一瞬

本当になにもしていないのに

なぜか一瞬、足が別のなにかになったような。

 

「マスター!!」

「平気だ、とはいえ、時間がないな、やっぱりいるか」

 

バーサーカーに体を支えられながら立ち上がり、直ぐにいつものように振る舞おうとする。

 

自分でも少し魔力の生成速度が制御し辛くなってきているのを実感し始めた。

船が砂浜に付き、マシュが聖杯を回収しに近づく。

聖杯を確かに回収したのを確認し直ぐに帰還の合図が来た。

 

 

「お疲れ様です先輩、どうやら気分が優れないようですね、帰還後ドクターに診て貰ってはいかがでしょうか」

「そうだな、それもいいかもしれない」

 

少しだけ笑い気を紛らわせようと受け答えを済まし帰還する。

 

 

 

時間はもう無い、元々無いのだからどうでもいいではないか。

さぁ、一月が限界か。

 

 

 

帰還から数時間。

 

さっきのような疲れはなくなったが感覚が一部ずれ始めた。

呼吸を整えもう一度深く眠りにつく。

 

 

 

目が覚めるとそこはどことも言えない洞窟の底だった。

 

誰の視界だろうか。

誰の記憶だろうか。

 

 

少し、人が小さく見えた。

 

木々を見下ろし大地を呑み込み

 

見ろした世界には巨大な壁が建てられていた。

どこだろうか。

 

 

無数の獣が壁に向かって突撃しそれを無数の人間が槍と盾を構え応戦する。

サーヴァントだろうか?

他の追随を許さない圧倒的な力を持った者がちらほらと確認できた。

 

 

一瞬視界が無くなり目が覚めるとそこにはいつもの天井だった。

 

なんだったのだろうか

何か重要な何かを見ていた気がする。

 

だが、なにも感じなかった。

なにも思い出せなかった。

 

 

だからそれらを捨てて今度も始める。

時間はもう残ってはいない、だが、まだ進める。

この身が朽ちようとも構わない。

 

ゴールはすぐそこだ

いや、違うなもうたどり着いただろ。

 

 

 

 

 

 

砂漠

 

ここにはもはや何もない。

砂漠と言う名の焦土を歩く。

 

「王よ、これでよかったのでしょうか」

 

銀腕の騎士が問う。

 

「構いません、確かにかのエジプトの王は強かったしかし、こうやって聖杯を手中に収めたことにより、奴等はこれで私達を無視できない存在になりました、取りあえず今日は山岳部へ行き野宿にしましょう」

「いえ、その、流石に空から槍を落としてピラミッドを完全消滅させるのは」

「過程や方法は無駄ですよ、ベディヴィエール」

 

私はその下らない疑問を一蹴し、待機させていたドゥン・スタリオンにベディヴィエールを乗せてから跨がり砂漠を全速力で駆け抜ける。

 

「そういえばベディヴィエール」

「何でしょうか、王よ」

「貴方の声ってそんなのでしたっけ?もう少し女性っぽいといいますか、何か違う気がするのですが」

「・・・きっと1500年も生きていたからでしょう」

 

通りすがりに騎士の首をはね飛ばしながらいつものように彼の長い旅路を聞く。

すっかり夜になり星が夜空に輝き始めた頃、そっと銀のネックレスを掲げる。

 

「いつになったら彼らは来るのでしょうか?」




おまけまてぇ

セイバー『ネロ・クラウディウス』
丹下ぇ!!
前作(月編)メインヒロイン(BBにとられた)なネロちゃまですね
はい、やりたいイベントの強制バッド回避要員ですねありがとう。
月ではバーサーカーがいないからセファールとムーンセルの悪魔合体バサマスを理不尽なヴィーナスで殴り倒したり、オルタってぶちのめしたりと色々すごいネロちゃま。
尚、逆FGOしてるためかわいそうだ


次回ゲの字死す


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四章  死界魔霧都市 ロンドン

前書きマテリアル・・・いくつだっけ多分4

セイバー 『ヘラクレス』

前作最弱鯖候補その1

何でこいつが最弱疑惑あるんだろ
ただ狂化抜いて色々解禁して神話で力業で川を変えた話を採用してめちゃくちゃ筋力ステガンあげしたのにな。
所詮『サーヴァント』の枠内でしか無いのがひどい、誰だよエルキドゥとかガチ神イシュタル持ってきたの。

ステータス
筋力以外バーサーカー『ヘラクレス』と同値、筋力のみEX

スキル
狂化抜いて、魔力放出A+++と対魔力A++、心眼(真)A+、直感Bつけただけ

宝具
十二の試練の無効範囲がAに上昇して即死攻撃耐性着いた以外バーサーカー時と変更なし


うん、サーヴァント平気で倒せるマスターしか居なかったからしゃあないなれ、月なら問答無用の金ぴか枠なんだけどなぁ
相手が悪かった。




四章とか十行で終わっちゃうからはっきりいって一から五章まで丸々カットでよかったよと思うこのごろ、冗談抜きで獅子王ロンゴミ爆撃でしかろくなダメージ入らないのひどい、その爆撃だって瞬時回復するし、ラスボスかよ


善と悪は表裏一体だ

『どうしようもないぐらいの善人』は立場や運命が違えば『吐き気を催すほどの邪悪』になる。

 

人類とはそういうものだ。

ごくごく普通の人間はただただ下らないちっぽけな『善意』を持ち

そしてそれが反転しようともカスみたいな『悪意』しか持てない。

 

もし、世界に『善意しかない人間』がいるのなら俺は見てみたい。

そんなあり得ない異物は実に興味深い。

もし、全ての善意が悪意に染まるのであれば

それは美しく、恐ろしいなにかなのだろう。

 

だからこそ、『無垢』は最高の逃避だ。

知らなければなにも必要ない。

 

善とか悪とか下らないことを考える地を這う生命どもが醜くてしかたがない。

 

本当にな

 

「■■■■■、お前は我が一族の最高傑作だ!」

「■■■■■、素晴らしいぞ!■■■■■、その膨大な魔力と回路はもはや『アインツベルン』のホムンクルスごときでは到底追い付けまい!!」

 

何一つ嬉しくなかった

産まれてからずっと『根源』などというくだらない物に付き合わされた。

 

「■■■■■、あぁ■■■■■、本当にお前は最高傑作だ、もはや時計塔のロードの老いぼれどもすらはるかに凌駕している、■■■■■、我が一族の悲願を叶えてくれ」

 

腹が立った

殺してやろうとも思った

こんなくだらないやつほんの少し魔力を流せば一秒足らずで肉が変質し、裂けて破裂すると思った。

実際、これをやった空を飛ぶ小鳥は直接触れずに撒き散らした魔力に混ざり色が変色し弾けとびそして飛び散った肉片は別の生物へと変化し、そして世界に適合できずに死んだ。

 

 

たまに使用人と家を離れ人のいる街へ行ったことがある。

そこでは自分と同じぐらいの奴等が走ったり、林檎を食べていたり、話していたり、とても心地がよかった。

ただ、同時に自分は親に世間一般で言う『愛情』という物がなかったらしい。

 

あるのは願望だけだ。

 

一族は『アインツベルン』という大きな一族に従うなにかだった。

犬のように尻尾を降り

いや、犬に失礼だな。

犬は主に真の意味で忠誠を誓ってその褒美をなにも考えず馬鹿正直に受け入れ降っているだけだ、だからこそ、飼い主も犬も幸せなのだろう。

だが、奴等はどうだ

影では俺を使って奴等を見下し

表ではありもしない虚像を作って金や物資を貰ってはくだらない事に使う。

父は己の欲求に

母は自分の研究に

 

どちらも正に勝った気でいる。

俺が達成できるとたかをくくっている。

 

ある意味それが家にとっては幸せなのかもしれない。

実際、そうなるまでは使用人達は小さなことで簡単に殺されていた。

別になにも感情はわかないが、彼らが俺によって間接的には救われたのだろう。

 

両親がそんなおかげで基本的に付き人無しで外出しない限り相手にもされなくなったのは良かったのだろう。

 

そして街には『彼女』がいる。

同じような状況になった悲しいやつ。

 

少し薄い蒼色の短髪で金と銀のオッドアイの少女。

もう名前も思い出せない

最悪の記憶だから切り捨ててしまった。

 

「■■■■■!!」

「■■■・・・・」

 

彼女が駆け寄ってきて隣に座る。

後ろからきた彼女の使用人だろうか、よく会ういつもの二人の人が軽くこっちの使用人と挨拶をし少し離れて世間話を始めていた。

 

「ねぇ、■■■■■、また髪伸びた?」

「そう・・・か・・・あれ、伸びてるな」

 

あまり気にしてはいなかったが気がついたら腰にまで髪が延びていて色も白く変色していた。

彼女はその髪を優しく手に取り編み始めた。

 

「あまり触るなよ、下手に魔力が流れたらお前じゃ死ぬ」

「平気だよ、これでも貴方と同じ『ふういんしてい』だもの♪」

「・・・そうだね」

 

封印指定

簡単に言えばその一代にのみ現れる先の無い奇跡みたいな産物。

 

俺は『神代を圧倒する魔力と魔術回路そしてアベレージ・ワンと呼ばれる希少属性の併せ持ち』

彼女は『二つの虹の魔眼と虚数属性の魔術の併せ持ち』

 

であった。

 

普段は押さえるために銀のネックレスを首にかけて白銀と黄金の瞳になっているがたまに見せるその瞳もまた綺麗『だった』。

 

「はい、できたよ■■■■■」

「な、なんだこれ」

 

なんか後頭部にすごい独特な丸いのができた。

なんだこれ

 

「まぁいいか」

 

少しだけ髪を触った後、彼女の手を握り少し街へ飛び込む。

人通りの多い道を走り抜け小さい角を曲がって人気の少ない所へ入る。

 

「おうおうおう」

「■■■■、まーた魔術の勉強?やめとけって、無駄なんだから」

「■■■■■は天才だからね、所詮『無』でしかない僕なんてわからないんだよ」

「大丈夫だよ■■■■だって私達がおかしいだけで普通に魔術師としてすごいから、ね、元気だして」

「元気だよ!!いじけてないもん、あと地味に自慢しないで」

 

■■■■。

俺や■■■と同じ魔術師の子供。

 

だが、親に捨てられてこんな街の端で一人魔術の勉強をしていた。

属性は『無』、五大元素や架空の虚ではなく、もう一つの架空『無』であった。

 

確かに回路も才能も普段見る魔術師よりは秀でてはいたし努力家でもあった。

そして、一番の博識でもあった。

 

「そういえば二人は聖杯戦争って知ってる?」

「なんだそりゃ」

「戦争ってことは求めあって戦うこと?」

 

そういえばここからだった。

地獄は

 

「あぁ、聖杯っていう凄い物を求めて戦うんだ!そしてその聖杯にはあらゆることを叶える力があるんだよ」

「へぇ、それは凄い、一度は手にしてみたいなァ」

 

あぁそうだ。

ここでこんなことを言わなければ。

 

 

赤い雨が降る地獄の底

黒い泥が全身を覆い、染まる

 

「・・・・■■■■、■■■・・・・俺は俺は俺は・・・・・勝ったよ、二人とも」

 

思い出してしまった

知ってしまった

あぁ、俺はこいつを殺した。

 

 

 

アインツベルンが憎い

殺してやる

滅ぼしてやる

無に帰してやる

 

そんな悪意は気がつけば魔術師にまで対象にしていた。

あぁ『運命』が違えば

もう捨てようこんな記憶

背負っても意味がない。

 

進もう

 

 

『バーサーカー』

 

 

 

 

 

目が覚める。

何かを見ていた。

まだ『彼』は眠っているだけだった。

 

そっと首筋を触る。

ほんの少し暖かく、微量な魔力も感じ取れる。

 

さっきの記憶を保存し僕はその部屋を離れる。

 

 

 

 

一瞬首筋が冷えて目が覚めた。

だが誰が触ったのかはわからない。

 

 

何かを見ていた気がするが思いだせない

 

取りあえずベッドから起きて部屋を離れる。

 

廊下は暗くやっぱり人気はない。

 

暗い廊下を歩きいつものように管制室に入る。

 

「バーサーカー・・・」

「マスター・・・どうしたんだい」

 

中に入ると無数のデータを確認しているバーサーカーがいた。

何を見ているかは興味ないがなぜ見ているかには興味がある。

 

「何を見ているんだ、面白いことか?」

「いや、ウルクへのレイシフト準備だよ、もう『一秒も無い』のだろ、マスター」

 

隠しとおせるものでもなかった。

気付かれているとは思ったがもう『タイムオーバー』なのも気づかれていた。

 

「・・・そうだな、もう感覚が少し麻痺してるな、あのときの戦い、明らかにおかしかった・・・あんなにはね飛ばされてまったく痛くなかった」

「そうか、ならもう僕も『遊び』を捨てよう、あの時のように全力でいこう、ギルなら対処法の一つは知っているよ、だからすぐに行こう」

 

そっと隣に立ちデータを確認する。

 

どれもこれも正しく、確かにそうであった。

データが揃った瞬間コフィンが動き起動し始める。

 

「よし、揃った、行くよマスター・・・・え」

 

手を握り引っ張ろうとした瞬間コフィンが止まりもとに戻る。

そこには誰もいない

だが急にひとりでにコフィンが停止した。

 

「ばかな、僕の計算は完璧に・・・き、貴様ァ」

 

急にスクリーンが現れそこから一人の女性が現れた。

正直知らない、だがバーサーカーが此処まで悪意を向けてかつ、これができる。

 

「はぁい穢れた泥人形とそのマスターさん♪ウルクへの出立は後にしてもらうわよ」

「急いでるんだ!!君みたいな塵屑に止められている暇は無いんだよっ!!」

 

ここまで激情に駆られたバーサーカーを始めてみた。

だがこいつは誰だ。

 

「まったく・・・もう、本気でそいつを助けたいなら取りあえず残り二つの聖杯を回収しなさい、この特異点は最後に来ること、今こっちも動き出す一歩前なのよ、わかった?じゃあ来週までには会いましょ、泥人形さん♪」

 

そういうとスクリーンが消え、コフィンが動きだした。

そこにはロンドンの座標を示し、起動していた。

 

「・・・仕方がない、一分で終わらせようマスター」

「はぁ、しょうがないなぁ、いくか」

 

世界が歪み今度は霧の都だ

 

霧はなんか毒だがもう意味もない。

もはや肉体がその程度のもを受け付けてすらいなくなっていた。

取りあえず周辺を汚染して領域にし言うとした瞬間空から巨大な光の槍が大地を吹き飛ばした。

 

 

「ふんっ終わりだ、帰るよマスター、次だ」

 

その手には聖杯が握られており一瞬にして終わった。

 

霧もすべて消失し、サーヴァントもすべて平等に消滅していた。

 

「わーはやい」

 

 

帰ろうとした瞬間巨大な魔力反応が背後から現れた。

 

「・・・どっから沸いたあれ」

 

白い髪

赤黒い筋

どこかで見たことあるような服。

 

 

「我が名はソ『人よ、神を繋ぎ止めよう』」

 

それは話す間もなく消滅し、くだけ散った。

なんだったのだろうか。

 

「僕の邪魔をするな!!」

「もういねーよ、なんだったんだあれ」

「さぁ?あぁイライラする、あの女神をどうやってばらそうか」

 

取りあえず帰還する。

 

戻ると同時に無数の職員が部屋に入ってきた作業をはじめだした。

 

「所長!!イギリス、アメリカの特異点が消滅しています!!」

「ついているわ、ならば第四オーダー発令よ、目標エルサレム特異点!!」

 

 

「了解!」

 

 

 

再びコフィンが動きだし世界が歪む

現れた時にはそこは砂漠のど真ん中であった。

 

 

 

 

 

 

とある山奥

 

『許してください』とかほざく目を閉じた一人の情けない騎士を七十回ぐらいぶん殴って気合いを入れたあと川に捨て空を見上げる。

そこには大きな星がいくつも輝きそして落ちてきた。

「あぁ、予定より少し早い登場ですね、ですが良いでしょう」

「あ、あの、王よ、トリス・・・・いえ、彼は大丈夫でしょうか」

「きっと大丈夫ですよベディヴィエール、私は彼を評価していているのです、えぇ、あそこまでしっかりという彼だからこそあの情けない姿は似合わないので修正しただけです」

「どうみても死にかけ・・・」

「安心してくださいベディヴィエール」

「は、はい・・・」

「あぁ、あと『ガレス』、なぜ私が卿をつけないかわかりますか?それは王の仕事めんどくなったからです、今は一介の放浪人アルトリア・ペンドラゴンなので」

「ふぇっ!?」

「ガウェイン達に言っといてください、『近々顔を出す、情けない姿を見せたら殺す』と」

 

ガレスの腹を全力でぶん殴って『聖都』に吹き飛ばす

 

「王よ、川でゲイザーを焼いてきました!」

そういいながら彼は焼けてグツグツになったシチューを持ってきた。

「・・・・ベディヴィエール・・私もそれはどうかと」

「どんなものでも焼けば食えますし栄養ですよ!」

「・・・マーリン、どうにかできなかったのですか・・・・」

 

 

 

 

聖都

 

 

ここでは選ばれた少数の民が我らが王

 

ドゴーン

 

また誰かが飛んできた。

 

 

今日捜索に行ったのはトリスタン卿とガレスだったはず

 

すぐに着弾地点に向かうとそこにはズタボロのガレスがいた。

 

「ラ、ランスロ・・・ット卿・・・一大事・・・です」

 

すぐに彼女にかけより救護班を要請する。

 

「安静に」

「王が・・・近々顔を出すそうです・・・もし、情けない姿を見せたら殺すと・・・こふっ」

 

嬉しいけど嬉しくなかった。

 

確かに私は王に、ギネヴィア様に不貞を働いた、むしろ王の方がよかった

でも

今のあの王はまずい。

王燃えとか王萌えとかほざいてる場合じゃない

 

すぐに他の円卓の騎士を集め会議を始める。

 

だが誰一人

喋ることはなかった。

いや、喋れない

全員こんな状況を理解できなかった。

 

昔あれだけ誠実だった王が急に『未来で冒険してなんか王やるのめんどくさくなったんで』とか言い出して急に『獅子王とかいうかっこいい名前の王に使えていながらその不始末、えぇ、元王として許しません』と言いながら情け容赦なくボコボコにされて尚且つ着いてこようとしたら『それが騎士ですかそうですか、死んでください』とその黒い聖剣からビームをぶっぱなして本気で殺しにかかる王になにも言えなかった。

 

 

無論モードレット卿を除き全員が王に刃など向けれるわけもなかった、たまたま視察で出向いたら山間で王に奇襲されたアグラヴェインは吐血しながら歯向かってサーヴァントながら一時期全治二週間の怪我を負わされたりした。

そして歯向かえなかった我々は問答無用でボコられる

歯向かったモードレットも笑顔で王がボコボコにして何回も挑むごとに腕や足や脇腹にロンゴミニアドを突き立て笑いながら回転させ肉を抉ったらしい。

ケイ卿は冗談抜きで本気で王に消された。

 

「ガウェイン卿、いつもは門番ですが今回は逃げられませんよ、つい先程の報告でトリスタン卿がミンチより酷い状態で川から発見されました」

「・・・代わりましょうかモードレット」

「・・・父上と戦うのは良いけど、それは襲う側であって『モードレットですか、じゃあカムランしましょう』なんて見たこともない円満の笑みで言いながら槍で刺してくる父上じゃねぇ、なぁ、ランスロットいけよ、裁かれたいんだろ、言ってたじゃねえか」

「・・・あれは裁かれると言うよりサンドバッグです、取りあえず私はこの黒い鎧と兜出会わないようにするので」

「まず、なぜ王があのようになったのかが本当に気掛かりです」

「やめとけやめとけ、どうせオレ達が知っても無駄なんだ、父上から見て今のオレ達は『獅子王』に使える円卓の騎士、決して『騎士王』ではないんだ、一心でも持てば首が飛ぶだけさ」

「あぁ、ベディヴィエール卿が王を止めてくれれば」

「ダメだ、ベディヴィエール卿は王にも笑顔があると信じて戦っていたんだ、現状彼以外全員リンチ対象だ」

ギフトをもってしてもまるで意味の無いように暴れまわる王に誰一人勝てない

それがより沈黙をより強固なものにした

 

 

そうやって暗いムードのまま獅子王が来るまでの間ずっと同じ内容が続いた。




おまけマテリアル

特にないなうん

カット理由でもいうか
五章カットの理由は簡単。

「因縁のある鯖が緑茶、カルナさんしかいねぇし、その二人月編だしでドゥだとメイタニワンパンするからいみねえし、カルジュナ秒殺しかねないしが響いたから消した」

別段やりたいのも無いし、五章組現状終盤しか使わないし消した。
むしろ本編が七章からのつもりだからまじだるい、不憫なキングゥかきてぇてぇ
一応六章でマシュマロ強化は踏まないといけないけど
というのは建前で
本音はただ吹っ切れ王様のめちゃくちゃなパワハラでボコられる円卓が書きたかった
「信頼と評価はしています、ですからみあった仕事をしてください」
これに収束してる
そしてこの吹っ切れ王様、獅子王より強いから酷い

そういやまだグランドオーダー発令から一週間たってるか立ってないかだからマシュの余命に余裕あるなwまぁ今回はバサマスの余命0秒だから急ぐけど


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五  輝けるアガートラムと放浪の騎士

まえまてぇい
特に居ないね

まずメインメンバー候補がほぼ全員二部と特殊フラグ必須のイベント組(スペースなやつとかOL)だからこうなる、最速加入メインメンバーも七章終盤てゆーかクリア報酬枠で実質ラスダンだし
ぬ加入イベントだけやっときゃよかった、タイムオーバーしてるせいでドゥが殺しちゃう
てゆーかまだ作中時間一週間程度なんですが、まるで五部並みの速度で進む進む。

そういやモーさんのCV沢城さん、ラーマくんちゃんやカタリナさんなんだってね
じょりーんの印象しかなかったわ


どこだろうか。

いや砂漠なのは分かる。

だが、なぜこんな星でも落ちたようなクレーターがあるのだ?

いや、一人いる

 

「マスター・・・今回の敵だけは一筋縄じゃ行かないかもしれない」

「やだなぁ、アイツとは相性そこまで言い訳でもないのに」

 

吹き荒れる風に砂が乗り服に入り込む。

取りあえず探知をして聖杯の場所を探る。

 

「ここから北に行けば・・・?!マスター!!やっぱり『ランサー』だ!」

 

音速で飛んできた槍を避けつつ背後を警戒していたマシュを抱いて倒れ込む。

 

「先輩!?」

「気を付けてマシュ、着弾地点のサーヴァント、『普通じゃあり得ない』霊基を持っている」

 

ダヴィンチちゃんがマシュに警告すると同時に風が止み

 

現れる

 

青い鎧

身の丈に合わない巨大な槍

金色に光る剣

浮遊する盾や槍に剣

そこを中心に荒れ狂う風

 

 

一度咆哮するとその声は魔力を帯び周囲の生物の身体機能を麻痺させる。

一度その瞳に睨まれればまるで石のように自身の肉体が硬直する

一度槍を投げればその破壊力はまさに星が落ちてくるのと同等

 

「『ランサー』騎士王アルトリア・ペンドラゴン・・・」

 

咄嗟に全力をだし警戒をする

それは腕に一人の男を抱えながらゆっくりと頭を上げてこちらを見る。

 

「・・・うりぃぃぃ」

 

「お、王?」

 

少しこちらを確認したあと男を砂漠におき敵意の無い瞳で見つめる。

 

「随分と早い到着でバーサーカーのマスター、用件はこのせいっ──」

 

言い切る前にバーサーカーの腕がランサーの首を跳ねようと音速で斬りかかるがそれをギリギリで避けすぐに聖杯を投げつけてくる。

それを回収しすぐにランサーは立ち直り一度距離をとってから話し出す。

 

「別にそんなゴミはどうでもいいですよ、それよりももうこの特異点は『獅子王』によって聖杯関係無しに残り続けるので『カルデア』としては獅子王を倒す方が大事ですよ」

 

「なぜ、君が知っているんだい?ランサー」

「白々しいですね、バーサーカー、もう調べはついているでしょうに」

 

完全に敵対する気配はないと察しすぐにバーサーカーも魔力を抑える。

そこから割り込むように所長が話に入ってきた。

 

「そう、なら貴方は現状を理解しているのねなら話は早いわ、人類に味方するならそこのマシュと仮契約を結びなさい、そんなはぐれ状態で何日も持つわけ無いでしょ」

「おうっ?!どこから聞こえたのでしょうか・・まぁ、契約は残念ですが出来ません」

「どうしてよ、なにか後ろめたいことでもあるのかしら」

と、ランサーの拒否に質問する。

 

「えぇ、私にとって『マスター』とは『彼女』一人なので、それ以外と契約するのは個人的に不服なので、それとその盾の少女、随分と良い人を選びましたね・・・・彼なら、力になるでしょう」

「その、立ち話もなんですから、『聖都』に向かいながら話し合いでも」

「えぇ、そうですね、時間は無いようですしそうしましょうベディヴィエール」

 

そうベディヴィエールという男の提案に乗り全員で歩きながら聖都という場所へ歩き始めた。

 

 

ゆっくりと砂漠を進んでいるとき初めに質問をしたのはマシュだった。

 

「その、アルトリアさんは私の英霊を知っているようですがどのような真名なのでしょうか」

「おや、彼のそばにいながらまだ真名の一つも知らないとは、まぁ良いでしょう、その真名『ギャラハッド』、円卓の騎士の一人にして、私が信頼できる騎士の一人です」

 

そこから二番目に質問したのはバーサーカーであった

 

「ねぇ、ランサー、君なら獅子王『ごとき』いつでも始末できたのになぜしなかったのだい?そもそも、君はなぜこんなところで油を売っている」

その質問の直後少しベディヴィエールという男が目をそらし、ランサーも少しだけ間をおいて話始めた

「・・・えぇ、私はあの聖杯戦争でイシュタルの宝具を相殺したあとマスターを安全なところへ避難させましたがその頃にはもう意識もなく死んでいました、よほどバーサーカーのマスターに受けた傷が深手だったのでしょう」

「・・・・」

 

「あの後、私も消えようかと思っていましたが折角イシュタルが未来を教えてくれてブリテンの救済が不可能だと知ったのでこうやって生きてのらりくらりと生きていたらあら不思議、急に世界が消滅したじゃありませんか、そこからすぐにマーリンとあって道端でほぼ死んでいたたベディヴィエールを拾い、ここに来ました」

 

「なるほど、ではなぜ倒さないのだい」

「えぇ、彼はそもそも、英霊にもなれない存在でした、彼も普通の騎士よりは凄いのですがね、巨人の槍を投げ返したりと、えぇ、ただ彼は返すべき聖剣を返しそびれてしまいました、だから私は彼が聖剣を獅子王に返す勇気を持つまでこうやって獅子王の配下になった円卓の騎士をボコボコにして遊んでました、流石にカルデア、いえ、貴方たちが来るとグガランナより早く獅子王が殺される可能性があるのでこうやって合流と邪魔をしただけです、実際私の推察だと獅子王の最大打点はあの『聖都』からのロンゴミニアドによる爆撃だけなので」

 

「ふーん、じゃあ他に勢力はいたのかい?僕の探知じゃそこかしこに魔力の跡があったけど」

「えぇ、この砂漠を拠点にしたエジプトの太陽王、山岳部にいた無数の難民と砂漠の民、いわゆる『ハサン』ですね、両方とも私が消しました、太陽王は聖杯を所有して面倒だったので、砂漠の民はまぁ私のことを獅子王と勝手に批難したのでつい全土焼きました」

 

「す、すると難民の皆さんも」

「えぇ、苦しまずに全滅です、ですので後は『聖都』に赴き帰還するだけです」

「そ、そんな」

 

わからなくもなかった

だがこの王様、完全に枷がない

 

「私だって敵対されなければ生かしましたが仕方がありません、それとどうやら敵ですね・・・別にもう私もバーサーカーも射程圏内ですし、戦わず消すこともできますよベディヴィエール、むしろ止めてくれませんか?貴方が目の前で死なれたら泣きます、それはもうすごい喚いて泣きますよ」

 

そう、優しさや情に混じった命令。

 

「いえ、これは私の不始末、王の手を煩わせるわけにはいけません」

 

男はただ優しく感謝しつつ自分を通す。

その瞳に覚悟しか感じず、彼女もまた察したのだろう。

 

「そうですか、では、行ってきなさいベディヴィエール・・・バーサーカーのマスター、貴方ならベディヴィエール一人を抱えて獅子王まで辿りつけますよね、行ってください」

 

「うちはタクシーじゃあねってぇのったく・・・」

 

ベディヴィエールをお姫様だっこで抱えて全速力で走り出す。

 

音を捨て去り

光にも追い付けるような速度で周辺の騎士を蹴り飛ばして跳んでいく。

 

数十秒もすれば何万もの大軍を抜け巨大な門に立っているなんかゴツいのを踏み台にしてそこから礼装を使って中庭にジェット噴射で突入し城の中の壁を蹴りながら頂上に到着する。

 

そこには玉座に座り果てを視る王がいた。

 

「はぁい毎度ハイン運送をご利用いただきって・・・雰囲気じゃあないか」

 

「貴様・・・何者だ」

 

見てわかった。

あかんこれ、バーサーカー呼ばないと反撃チャンス無いやつだ。

 

「・・・?!今かよ・・・」

 

突如また力が抜けるような感覚になり、その場に倒れ込む。

見た感じ獅子王ってやつはベディヴィエールを認識していないから返還は可能だが今こうなると、俺はへたすりゃ死ねる。

流石に何回も防げる自信はなかった。

 

「■■■■■さん!?」

「お前なぜその」

 

一瞬、彼のその名前の呼びに持った一瞬の隙。

もう、空では巨大な光が俺めがけて降ってきた。

 

だが、別に恐怖はない。

たかが槍の一本。

 

「さてと、これを防いだらちゃんと返せよ、ベディヴィエール卿・・・礼装起動、魔力装填、制約解除、『魔力回帰』」

 

礼装のマントが裏返り張り付いた宝石を基点に結ぶように無数の回路が浮かび上がる。

魔術礼装に赤い筋が入り、周辺の空間が歪み始める。

右手には大きな真エーテルですらない謎の結晶で出来たこの世では存在しないような幻想的で禍々しい七色に輝く剣が握られていた。

 

「たかだか最果ての塔だ、バーサーカー無しでもやってみるさ、魔力解放、炉心起動、『精霊世界』、疑似展開」

 

歪んだ空間は一瞬にして感覚の消えた無に戻り、腕に赤い筋が入り始める。

槍が射程に入った瞬間全力で

 

「疑似契約、我が精霊に求む、我に勝利を、我に栄光を、そして」

 

光が落ちる瞬間

巨大な剣が切り裂いた

裂けた空間は無に回帰し

その光や世界を巻き込んで

 

全てを振り払って砕いた。

 

「この騎士に最後の覚悟と道を与えたまえ!!」

 

振り切った瞬間全身に魔力が逆流し破裂し始め体の一部から出血し始める。

だが同時に肉体がナニかになったため一瞬で傷は塞がり魔術回路が好き放題に増殖した。

 

「ふぅ、流石にイシュタルだって王権カードぶち抜いて信仰補正込みでも死んだ精霊種の契約兵器だ・・・そんじょそこらの神霊とはレベルが違うんだよ・・・」

 

反動が遅れて体を襲い吐血をする。

どれだけ全身がボロボロになろうと一瞬で再生し破壊を繰り返すためほんの少しだけふらつくが眼だけは確実に獅子王を捉える。

 

もはや鎧も槍も砕け

なぜ生きているのかわからない状態になってはいるがそのボロボロの足で立ち、折れた槍を突き立て体勢を取る。

 

 

「精霊兵器・・・・・・貴様、随分と狂った精神だな、警告しておく、『連続』では使うな、人で在りたいのならな」

「それはどうも、だが、貴様が生きているなら連続使用も構わない、礼装再起動」

 

魔力を装填使用とした瞬間一人の男の腕が肩を掴んだ。

 

「いえ、もう大丈夫です、後は私が」

 

全身の鎧が薄い銀色に輝く結晶に護られながら男は王に迫る。

その一際輝く銀の腕は

 

「べ、ベディヴィエール・・・まさか、貴方」

「えぇ、長かった、ですがこれで」

 

 

否定するように放たれる攻撃は一つもその銀の鎧に触れることができず消滅する。

騎士が王の前で一度ひざまずいた瞬間。

 

巨大な赤い雷の光が獅子王を消し去った。

 

「・・・・はい?」

「・・・うん?還したのかベディヴィエール卿」

「い、いえ、今から」

 

どこかに消えた獅子王に唖然としていると空間を蹴り砕いてランサーが入ってきた。

 

「しまった・・・その、えと、ベディヴィエール・・・えと、うちのバカ息子が・・・・その」

「い、いえ・・・」

 

あ、なんか察したかも。

もしそうならやっぱランサーだわ。

 

「やぁ、マスター、何勝手に精霊兵器使っているんだい殺すよ♪特異点消滅しちゃったじゃないか」

「うっせえ、どうせお前がアホみたいに魔力を持っていったんだろうが、あぁでもしねえと俺が死ぬんだよ」

「・・・あーきこえなーい」

 

バーサーカーと軽く話し合いながらそっと落ちかけていたマシュを拾って水を少しだけあげる。

 

 

 

「なぁ、あれお前らだろ」

「まぁね、うるさかったのと悪のりさ」

 

 

 

数分前

 

 

マスターがギリシャ最速の英霊に勝るとも劣らない速度で陣中を抜けるのを確認しすぐに戦闘体勢を取る。

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"へ"テ"ィ"ウ"ィ"エ"ェ"ル"」

 

ギャン泣きするくそうるさいランサーをぶん殴って黙らせる。

 

「うっさいなぁ!!嫌なら止めればいいじゃないか!!」

「あんな覚悟されると・・・・うん?あれはモードレット・・・」

 

自分の息子を見た瞬間彼女の顔はそれはそれはもう普通じゃありえないような笑顔でした。

「フフフ、フハハ、フハハッハッハハ、これはいいところにいますね、まだ天はこの私に味方している!!バーサーカー共同戦線です!!あのバカ息子の宝具を獅子王にぶつけて始末します!!マシュは雑にキャメロットでも落としといてください」

「しょうがないなー、今回だけだよ、ランサー」

「はっ、はい?」

 

取りあえず正面にいる敵の鎧の内側から鎖を射出してさっさと掃除をする。

ランサーには風を操れるのか強力な風を巻き起こして飛んでくる槍や矢をへし折り続けモードレットに飛びかかる。

 

「ヒャッハー!!いつ生まれたか知らない息子はカリバって消毒だー!!」

 

雑に聖剣から放たれたビームで奥に見える巨大な壁ごと大地を焼き払いモードレットと合間見える。

仕方ないから僕も反対側にたちこっそりマスターから魔力を奪い取る。

 

僕は善悪の概念がないただの兵器だからわからないけどこれだけはわかる。

ランサーは自分を悪と思っていないもっとも邪悪な悪だ。

 

「?!モードレットそのギフト前よりも」

 

ランサーとあわれな息子は数十回切り結んだ後、ランサーとモードレットの角度がちょうど後ろの塔になるようになった瞬間地面を蹴った。

 

「アァそうだぜ、父上をブッ殺す為だけに王より授かった・・・・父上?な、なんでそこまで邪悪な笑顔で」

「おらしねぇ!!カリバー!!」

 

一瞬のアイサインを確認しすぐに背後に回った瞬間世界が暗転し空が砕けた。

それが何を意味しているかは察したがそんなのお構いなしに二人はまた切り合いをはじめ

 

そして一瞬つまずいたランサーを見逃すはずもなく。

 

「クラレント──」

 

「あぁその角度です、その位置が一番『父親を殺しやすい角度』なのですよモードレット」

 

赤い雷光が放たれる瞬間

僕が背中を突き刺し魔力を霊基を壊さない程度に流し込み威力をあげ。

 

「テメッ?!」

 

「一手、遅れたようですね、モードレット」

 

放たれた雷光は綺麗に塔を消し飛ばし

同時にその心臓に光輝く槍が刺さり

そしてその肉体は両手両足を鎖で繋がれ同時に別々の方向に引っ張られたように破裂した。

 

 

「ハハハ、ハハハハ、ハハハハハ!!あーあ、本当に良いところに居ました、モードレット、貴方は私の行動に一瞬考えた、その『一瞬』が命取りなんですよ」

 

不気味にそして歓喜で微笑む騎士王は槍を戻しそっと倒れる彼女に背を向け語る。

 

「あくまで、私が求めるものは『自由』ではなく、私だけが望む『世界』だということを心に残しておいてください」

 

「───ランサー」

 

そっと肩を掴んで声をかける。

別にこの行いにどうこう言うことはない。

 

僕とコイツとライダーは同じ『世界より個人』を取った者同士だ理解できる。

だが

 

「どうかしましたか?あぁ残りは面倒なので始末しながら話してください」

 

そういい敵の首をはね飛ばしながらゆっくりと王の凱旋と言わんばかりに堂々と血濡れた鎧の道を歩く。

 

「あ、あの、エルキドゥさん」

 

「どうしたんだい、マシュ」

 

背後の騎士を盾で吹き飛ばしつつ後ろに立つ彼女に反応する。

 

「私は今までの特異点でなにもできませんでした、もう残りの特異点は一つなのに私には答えがありません」

 

ずっと狭い世界でしか生きていなかった彼女に掛けれる言葉がなかった。

知っていた。

 

昔同じようなことがあった。

とても小さい、それこそ手の届くだけの範囲しか見えていなかった『彼』の世界。

何も見えなかった

見せられなかったゆえに失った

 

「すまない、僕にはそれに対する完璧な答えはない、だがこれだけは言える、最後に信じれるのは自分ということさ」

「エルキドゥさん・・・」

「そうだね、次の特異点は僕の居た時代・・・メソポタミア・・・少なくも僕もマスターもあの時代だけは今までのようにはいかない、きっと数ヵ月は滞在する必要があるかも知れないからそこでウルクの皆と触れ合うといい、それでもでなかったらマスターに聞くといい」

 

「なにさっきから立ち話をしているんですか二人とも!もう円卓の騎士も全滅しましたよ!!」

 

 

そして今に至る

 

 

「・・・修復を確認、オーダーコンプリート・・・さてと、帰るか」

 

崩れ去る世界が眺めながらそっと帰還を始める。

初めにマシュが帰ったのを確認し帰ろうとすると急にランサーが聖剣を構え出した。

 

「バーサーカーのマスター・・・・いえ、■■■■■、あの時と比べてずいぶん強くなりましたね、まさか『精霊兵器』なんて物を使い出すとは・・・私は止めましたよ」

「だろうな、使えば使うほど解るよ、でも、『それも悪くない』だ、だから・・・とはいえやっぱり痛いな、できる限り弩砲のほうを使うようにしないとな・・・で、なぜ剣を構える、ランサー」

「マスターの願いを叶えるのもサーヴァントですから」

「嘘つけ、一戦交えたいだけだろうが、やだよ、お前の切り札、俺やバーサーカーを確実に殺せる数少ない手段なんだから」

 

弩砲に鉄球を六発装填し少しずつ離れながら頭に照準を定めて構える。

それに答えるように暴風が周囲に吹き荒れ出す。

 

「おいこらバーサーカー聖杯パクったのなら帰るぞ、こんなのとやってられるか」

「あっ、こらっ!待ちなさい!!」

「さてと退散退散、今回はマスターの寿命が無いからね、流石に僕も理性的に退却するよ」

 

聖杯を回収したバーサーカーがそれを自分の心臓にぶちこんでそのまま特異点を去る。

それを確認してすぐに逃げようとすると今度は剣を納めて真面目な顔で話し出した。

 

「・・・あまりに突然ですがここでしか言う暇がなかったので言いますが私はこの特異点に来る時、イシュタルに会いました、ちょうど三日前です」

「あん?なぜアイツが」

「彼女は焦っているのかそれとも待っているのかただこう言っていました『母が目覚めた』と」

「ますます訳がわからん・・・いや、違うな、全部繋がるか」

 

そっとボウガンを仕舞い思考を回す。

 

「なるほどなるほど、つまりなんだ、考えたくもなかったよ、最後の敵はティアマト神か・・・」

「えぇ、貴方にはそれなりの因縁があるでしょう」

「まったく、仕方がないな、ならまた会おうランサー、地獄の底でな」

「ふふっ、私はこれでも『単独顕現』を持っているのでその気になればそちらに行くこともできますよ」

「うっせえ、お前が来るとエンゲル係数壊れる」

 

そういってすぐに退去した。

戻るとそこでは最後の決戦と言わんばかりに全ての職員が体制を整え、最終チェックを行い始めた。

 

「藤丸、ちょっといいかしら」

「はい、いいですよ」

 

マリーにつれられ

廊下に出る。

彼女の瞳には確かな希望と不安を感じ取れた。

 

「貴方、もしこの騒動がすんだら私の家に来ないかしら?」

「何を藪から棒に、魔術師なんて状況でなきゃ殺したいぐらい嫌いですよ」

「なら、なぜ嫌いな私に聖杯を置いたのかしら」

「忘れた、どうせ絶望に立ち向かう勇気があってそれを面白いとか嘲笑っていたんでしょ、たかが三流がとか、ね」

「ロードの家が三流なら大半はできたてとかそれ以下よ」

 

そう軽く言い合いながらそっと瞳を見つめ続ける。

口は笑っても目は笑っていない。

本気だこれ

 

 

「正直ね、私一人ではなにもできないの・・・マシュのことも、この騒動の事も、そして、怖いのよ、もし変な難癖を付けられて家を潰されるのが」

「・・・一年」

 

そう答えてしまった。

答えたかったからだろうか。

 

「一年だけなら、手を貸してやるよ、家の再建なんざ面白いこと乗らないわけもないし、ロードの土竜なら下手に手は出せまい」

「そう・・・本当にありがとう・・・藤丸」

 

正直時計塔消せる大義名分欲しかったからうれぴー。

全力でアニムスフィアと仲違いさせて戦争起こせるなら十分だよ。

あいつら昔居たときはずっと権力闘争に明け暮れる無能だしな。

何が根源だ

何が神秘だ

 

ただ魔術による利潤を得たいだけの亡者ではないか。

ほんと、セイバーのマスターが時計塔見捨てる理由が分かるよほんと

 

「あぁそうだ、気が乗ったので言いますが、他言無用で良いです?聞かれると皆殺しにしないといけなくなので」

「え、えぇ、いいわよ、何かしら」

「『ラムシュトース』家って知ってます」

 

声を少しだけ戻し、ソファに座る。

 

「えぇ、『ラムシュトース』と言えば確か理由は不明だけどアインツベルンに従属している長い歴史のある名門でしょ、歴代に数百年に一人天才が生まれるっている、でもあの家は五年前・・・一人息子を残して・・・」

 

ゆっくりと現状を把握し声がゆっくりとなる彼女を見て少しだけ微笑む。

 

「そうだよ、あの糞一族を滅ぼした張本人だよ、なぁ時計塔のウジ虫ども、どうせ俺の情報だけは入ってるだろ、いやもう俺が焼いて無いか」

「・・・・・・なるほどね、封印指定を食らったから時計塔に喧嘩を売るなんてあなたぐらいよほんと、そしてこうやって平然と生きているのもね・・・ラムシュトース最後の鬼才、えぇ知っているわ、その魔力は世界の法則すらねじ曲げ、その魔術は現世の魔術師を超越する、あなたを見ていればますますそうね」

「なにそれ、どんな話に尾ひれがついた」

 

ゆっくりとソファから立ち上がりマリーの横を通る。

 

「もし、消したい敵がいるのなら消してやるよ、まぁそれと、これからも『藤丸』という仮の名前でよろしく」

「あなたそもそも家の名前だけでしょうが」

「それもそうか、じゃあはいこれ」

 

そう言いながら別にほしくもなかった一族に伝わる黄金の戦車が彫られた懐中時計を渡す。

 

「これって」

「それで黙らねえバカなロードはいるまい、もし、その噂話を信じて尚且つ恐れるやつが居ればな」

 

 

そのまま通りすぎそっといつもの部屋にはいる。

これが最後の調節だ。

 

 

 

 

砕けて崩壊する世界

私は騎士の手を取り引っ張りあげる。

 

「サー・ベディヴィエール、貴方は確かにここかでこれました、ですので最後の選択です、私と来なさい、ベディヴィエール、出なければここで私にその聖剣を還しなさい、えぇ、こんな王ですらない私にそれでも仕えようとするなら構いませんえぇ、ほんと」

返事は以外と速かった

「我が王よ、私は確かに目的を果たせませんでした、しかし、王が再びこの私に機会をくださるのであれば、このベディヴィエール、今度は初めから王の命令に私情を挟んで背きましょう、同じように」

「よくぞ言いましたベディヴィエール・・・え?」

「王よ、流石にあの大根芝居はどうかと」

「・・・そ、そそそうですか、へぇぇ、そうですか、滅茶苦茶恥ずかしいですね、えぇ、まぁ良いでしょう、流します、では付いてきなさい!ベディヴィエール!これより終わり無き王であった私の冒険です!!」

 

久しぶりにマントを付け、冠をアホ毛に通す

 

「どこまでもこのベディヴィエールお供します、我らが王よ」

 

完全に崩壊する寸前に一人の騎士をつれ私はあの時のようにまた世界に歩み出した。

 

 

 

 

 

暗い都

無数に積み重なる粘土版

一切止むことの無い報告。

 

「まったく、あの駄女神め・・・『シドゥリ』、壁はいつ完成する」

「後、一週間かと」

 

その言葉に五日で終わらせろと言って再び報告の確認を始める。

 

「・・・やはりまだ頬が痛むな、どういう鍛え方をすれば少し前までただの酒場の女主人が全身黄金の鎧を着て馬鹿デカイ黄金の大剣や斧をもって親友ゥと殴りあった我にこんなダメージが入るのだろうか?」

 

そう王はこぼし、再び何事もなかったように始める。

 

 

 

 

 

ここはどこだっただろうか

僕は

 

『キングゥ』だ。

 

 

「あ、『エルキドゥ』が生き返った!!」

「わーい!『エルキドゥ』が生き返ったよみんなー」

 

理解

 

 

できない

 

わからない

 

僕は本当は何者かわからない

自信がない

今目覚めたばかりなんだ。

 

子供たちがその名を呼び寝静まった人々が集まる。

やめてくれ

やめてほしい

 

その名(エルキドゥ)で呼ばないでくれ。

 

 

僕は

 

 

 

 

僕は

 

 

僕は()()()()なんだ!!

 

僕は『エルキドゥ』じゃない!!

 

 

鎖を飛ばす。

人の首は簡単に千切れ

惑い

逃げ出す

 

あぁこんなにも簡単なことじゃないか。

体が何をすればいいか覚えている

 

あぁ僕はキングゥなんだ。




あとまてぇ
ランサーアルトリア編だったけどほんへを書きたいから無し。

次回『絶対魔獣戦線バビロニア』

さぁ不幸なグゥで興奮するんだ


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『エルキドゥとキングゥ』

前マテェ

ランサー アルトリア(前)
なんで(前)かだって?
滅茶苦茶宝具増やしまくって尚且つくそなげーからだよ

ステータス (比較の凛トリア)
筋力A  (A)
耐久A+ (B)
敏捷A+ (B)
魔力A+++(A)
幸運EX (A+)
宝具EX (A++)

なんだこのバケモン基礎ステがバサクレスより高いぞ
保有スキル

クラススキル
対魔力A++
騎乗A+
単独行動A+

『単独顕現』B+
マーリン通信教育で覚えた
という冗談はさておき本来これは資格はあったけど結局『運命』しちゃって出来なかった結果のB+ってだけ。
本来なら自分の騎士、そして民だけを『人間』とし、そして愛情を注ぐだけという『救済』が『別の何か』に変わり果て、聖杯を手にし、願望を果たした功績でその真のクラスを決定付けるはずだったなにか。
つまり雑に言うと少し範囲が違うだけの3じゃねえかやだー

獲得した理由は簡単。
『自分だけ』でいい。
それが未来を見た選択だからかは当事者しかしらない。


カリスマB
魔力放出EX
直感A++
心眼(偽)B+
心眼(真)A+
精霊の加護EX
ランスロのやつやん
うん、もちろんこれ書いたのZero前なので全くの別物
幸運判定で成功すれば一定ダメージ&全魔術&魔法無効化(運EXとランクEXなら九割の確率で発生)と低確率で全攻撃(人理砲とか最低最悪の宝具)を無効化
更に本来食らえば物によればビーストでも即死確定の『精霊兵器』、『精霊兵装』のような精霊種の厄ネタ武器の攻撃をある程度緩和する具体的に『約束された勝利の剣』が直撃する程度の威力に軽減し尚且つ『精霊兵器』、『精霊兵装』の反動緩和と威力増加を得られる。
これ一個で大半の奴に勝てちゃう

最果ての加護A+ なんかあった。

本命は泣けよライダーってぐらい多い宝具(10個ぐらい)だからスキルは控えめ


暖かい

そんな感情

俺には理解できなかった。

 

だが、感じることはできる。

いや、感じ取った。

 

「──────ぁ。」

声にならない

 

 

「アァァ───a」

 

恐怖はない

別の何かに成り果てようと

きっと。

 

この海の底

 

虚数でできた海の底

 

「誰も貴女を受け入れない、貴女の愛は誰にも受け入れられない、それが人間なのでしょう・・・・・・」

 

決断と覚悟

そしてなんだろうか。

 

 

「・・・バーサーカー・・・───ねぇ、バーサーカー」

 

白黒の世界を手探りで探す。

周囲を触り続けるが熱を感じず感触も無くなった。

 

「───ー、──」

 

魔術礼装にどれだけ魔力を流し動かそうにも足が少しずつ溶け始める。

『何か』と混ざって別の物になりだす。

内ポケットにあったナイフを腕に刺して無理矢理神経に刺激を与え魔術回路に反応させる。

一切痛みは感じなくなったが色彩が戻り体の不調も戻る。

 

「・・・冗談じゃない・・・冗談じゃない・・・」

 

通りにあった鏡を見る。

肌は少し白くなり、靴は赤黒い何かで固められ、髪の先端は蒼白く染まっていた。

 

 

「マスター!!」

「・・・うるさいなぁ、そこまで距離ねえよ」

 

廊下の向こうから来たバーサーカーが咄嗟に体を支え、そっとソファに座らせる。

バーサーカーが肩を持つと少しの間動かなくなった。

 

「バーサーカー?」

「・・・今、僕はマスターの体内に鎖を突き刺している・・・」

 

察した。

もう、時間切れだ

 

「そうかぁ・・・もうすぐ、特異点へのレイシフトが始まるだろうし・・・持つかな?」

「・・・あぁ、引き延ばすだけならもう手筈は済んでいる、取りあえず今回は僕がずっとマスターの中に入り込んで感覚を共有するから出来るだけ悟られないようにいこう」

「りょーかい、バーサーカー」

 

そっとソファを立ち廊下を歩く。

さっきと違い平衡感覚があり、特に問題なく管制室に入ることができた。

 

中ではもう皆用意を済ませ、観測を始めていた。

 

「ジャスト、そりゃじゃあ最後の修復よ、覚悟はいいかしら、今回は神代の特異点、送ることはとても難しいですがきっと大丈夫」

 

「・・・?」

「?」

 

コフィンに入る直前、何か変な気配を感じ取った。

 

「フォウフォフォッ」

 

「?ぺちぺちしてもなにも無いぞ・・・ったく」

 

足をぺちぺち叩くフォウ君を追い出し準備を終える。

意識は一切落ちず

はっきりとわかる。

 

特異点に入った瞬間

 

なんかじょうくうだこれ。

場所はたぶん街外れの街道

 

「あーあ、出落ちかぁ」

 

魔力を放出しそっと浮遊する。

 

「せんぱーーーーーい!!」

 

あ。

マシュは飛べないんだった。

 

「・・・バーサーカー」

 

指を鳴らすと地面から鎖が生え、それらが網のように重なり落っこちるマシュが地面と激突するのを防いだ。

 

「やっぱ、マシュも飛ぼうよ、危なっかしくてたまらない」

 

ゆっくり落ちながら着地すると急に光ったと思ったら横から飛んで来た何かにマシュが吹き飛ばされた。

 

「なんだいまの、出力が違いすぎる、バーサーカー戦闘体勢」

「いや、いい、約束通りだ」

 

何かよくわからないがこれが引き延ばしの手段だと思いすぐに魔力を抑える。

すると森林の奥から何かが高速で飛んできた。

 

なんだあれは

糞薄着

なんかピカピカ

変な浮きものある

「そうか、痴女か」

「正解だマスター、そう、飛びっきりの人類最古の痴女だ!!」

「違うわよ!!これは訳ありでそうなっただけよ!!」

 

なんかよくわからん痴女が聖杯を持ちだし、そっと近づく。

 

「ちゃんと持ってきたでしょうね泥人形」

「あぁ、カルデア保管の五つは持ってきたさ」

「そう、じゃあこれで貸しね」

 

そういうと急に聖杯を一つに束ね心臓にぶちこまれた。

 

それは全身で拒絶反応を引き起こし口から赤黒い泥を吐き出す。

 

それを知っている。

知っていた。

 

「全く、取りあえず安心できるのは二週間、持っても一ヶ月ね、決して精霊兵器は使わないこと、反動で聖杯が壊れかねないから絶対に使わないでよ、それと魔力の全力放出も何回も使わないこと良い?」

 

「・・・そういえば誰ですか?」

「イシュタルだよ、マスター」

「いやいや、あれがこれな訳」

 

笑いながらそっと彼女を見ると

なにも言わず、ただの真顔だった。

 

「・・・マジか」

「今回はまた別の召喚方式でね、アンタの連れみたいに連鎖を使った物じゃないのよ」

 

連鎖召喚。

そういうのもあるのか。

 

でも、そうなると気掛かりだ。

 

「よく、抑えれるなバーサーカー」

「正直僕ももう理性吹っ飛んで殺したいよ、でもまずはマスターが優先だ、この問題を解決すればイシュタルは殺す、イシュタルと組まないと勝つことはできてもきっと僕もマスターも生還できない・・・」

 

少しずつ声のトーン顔落ちるバーサーカーから伺える本当に綱渡りだという状況。

 

「そうか、なら決戦は一ヶ月後、それでいいか」

「構わないわ、それだけあれば後はあの金ぴかが整えてくれるわ、あの人間擬きはついででウルクへ送ってあげるから貴方達はさっさと準備しなさい」

 

「えらく協力的だな・・・じゃあ、頼んだ」

 

地面を蹴って空へ飛び、大地を見下ろす。

今からこのメソポタミアの大地全土に魔術回路を敷く、そのために要所を決める必要はある。

 

 

「バーサーカー、ティアマトはどこだ」

「そんなのマスターが一番感じているんじゃないかい?」

 

「二方向だ、海と森・・・二つあるんだよ、いや、本物は海の底だ、だがなぜ森にも居るんだ、地面そのものがティアマトの可能性はないか?」

「無いね、それは感知できないならば、あの海に向けて馬鹿デカイ物をおみまいしようか」

 

周囲を見渡していると一際目を引くものもあった。

 

「うわ、壁・・・未完成か」

「相変わらずギルは早いなぁ~、でもあれじゃあティアマトはどうしようもない、きっと奥の手の一個はあるだろうけど、あんな魔獣程度に・・・・・」

 

取りあえず森林に飛び込み周辺に魔術回路を流し込む。

こんな頭おかしい芸当あの時に死ぬ思いでやったから苦労せずにできはしたが流石に着地がうるさかったのか周囲から変な者が現れた。

 

赤い革に金色のたてがみだろうか、ライオンのようなそうでないような何か

少し濃い青に竜のような鱗や頭を持つもの

 

数はざっと百。

いやもうゼロか

 

「なんだったのだろうか」

「たぶんあの森の奥で産まれた魔獣じゃないかな?多分」

鎖で引きちぎられた魔獣の断面を覗く。

血の色は普通だし

肉もある。

見た感じ毒もないし、魔力もクソカス

 

「食うか」

「心臓と胃は切り取ってイシュタルに投げつけよう」

 

内ポケットから取り出したナイフで肉を切って炎を出してさっと炙る。

こういうときにちょっとできる魔術は便利だったりするが、こんな子供のお遊びみたいなちゃちなもので根元に至れるとか考え出す魔術師には本当に呆れる。

 

「・・・味が濃いなぁ、別に良いけど」

 

二十匹ほど食ったあともう一度大地に魔術回路を流し、補強する。

 

「あかん、これすると消耗はげし・・・食うか」

 

食っては回路を強化し補強してあえて音を出して出てくる魔獣を食っては補強をする。

 

日が落ちる頃には森の周辺の大地にしっかりと刻み込まれ準備はできた。

ただ、胃はもう死んでいる。

全身で魔獣の血で滅茶苦茶になって臭いもひどかった。

 

「うえぇ、何匹食った・・・気持ち悪い、無尽蔵かよ」

「いくら無限に回路が増えるとはいえ大丈夫かい?取りあえず食料はここで回収すればいいのは把握できたし後は何日も往復して刷り込んでの繰り返しだね・・・早くて一週間かな」

 

回路を停止しそっと隠しておく。

同時に木に別の魔術回路と魔術を仕込んで囮を作っておく。

 

「流石に血なまぐさいのもあれだし少し南にいこう、確か川があるはず」

「だな、そこで別れておけよ」

 

ゆっくりと森を抜け川瀬に出る。

服を脱ぎ川に着けると固まっていない血が流れ、川を下っていく。

 

「・・・うえーさむい・・・・なにか来る」

 

森の奥から来るなにかに備える。

 

そっと見つめているとそこから出てきたのは

緑の長い髪

真っ白な全身を包む大きな服

紫の瞳。

 

「うっはっなんだあれ、僕じゃないかははははは」

「・・・・黙ってろ、気に入らねえ真似しやがって、バラバラにしてやる」

 

耳元で笑うバーサーカーを黙らせそっと服を着る。

 

「おや、君達がカルデアの人かい?」

「そうですが、なにか?」

 

「はははははっうひーっ腹痛いよマスター」

 

うるさいバーサーカーを無視し、そっと偽物と対峙する。

 

「僕の名前はエルキドゥ」

 

殺そう

 

「ウルクへ行くのならこの川の上流に僕の船があるんだ」

 

どう殺そう

バラバラにしよう

内蔵に泥でも突っ込んでもやろう

 

「そこまで案内するからついてきてくれるかい?」

 

「・・・それで終わりか、偽物」

 

心臓に腕を突っ込み魔力を流す。

すぐにその泥でできた体は爆発し、飛び散る。

 

「あー、マスター・・・もうちょっとこらえない?」

「うるせぇ、さっさとやるぞバーサーカー」

 

全身が泥になり剥がれ落ちると元に戻る。

 

「なるほど、そっちが本当の僕だから、か」

 

飛び散った破片が集まりそれがまた人の形をする。

 

「・・・逃げた方がいいよ、君、僕は別に気にしないけどマスターをあまり怒らせないでくれ」

「ふんっ、そういえるのも今のうちだ僕は旧型である君とは」

「いやね、その僕の体、『ただの兵器』じゃないか」

 

バーサーカーの右ストレートでおもいっきり吹き飛ばされる贋作。

 

「・・・あぁ、そうか、バーサーカーはシャムハトと交わって理性獲得して性能落ちたから・・・よし、こいつ殺そうバーサーカー」

 

「本当にいいのかい?別にマスターがキレてるのって僕を騙るからだけでしょ」

「それはそうだけど、気に入らねえ」

「まぁまぁ」

 

止めようとするバーサーカーを無視し、複数の投影した剣を射出し起爆させる。

無駄に復元力はあるのかすぐにこっちに来て心臓を抉ろうと手を伸ばす

 

「・・・・?!」

 

一瞬何かに気付いたのか止まった瞬間バーサーカーの回し蹴りが綺麗に直撃し奥の巨木に吹っ飛んでいった。

 

 

「・・・弱い、聖杯で補強しているのだろうが弱すぎる」

「いやマスター、本来僕はバーサーカーで呼べないからね、普通ならあれギルや完全にランサーな僕なら苦戦するかもしれないよ」

「そういうものか?」

 

なんか白けたからずぶ濡れの服を乾かしながら起きるのを待つ

のんびり待とうとしているとバーサーカーがどこからともなく水瓶に川の水をくみ

 

「マスター、これ冷やして」

「おまっ・・・」

「冷やして」

「はい」

 

なんかもうやりたいことを察したが緩く凍らない程度に水瓶を冷やしおまけで氷をいれる。

それを持ち上げぶっ倒れている贋作に頭からぶっかける

 

「うーん、威力不足かな」

 

どうみても止め刺してるような気もするが無視。

今度は二個目を作り出し同じことをして同時にぶっかける。

 

「げほっげほっ」

 

「うん、起きたね、名前はなんだい、どおして僕の体を?」

「ふんっ、貴様みたいな急っ!?」

「僕は『質問』しているんだ、早く答えておくれ」

 

そういいながら心臓部の聖杯を抜き取り傷口に冷えた塩水をぶちまける。

流石に効いたのか悶え始めのたうち回る。

 

「キングゥ・・・キングゥだ!!」

「キングゥ・・・あぁマルドゥクを恐れて敵前逃亡して最後にはぶったぎられたあの」

「あれと一緒にするな!!」

「まぁいいよ、はいこれ」

「うぐっ!!」

 

うわ、雑に引っこ抜いた聖杯を雑にぶちこみやがった。

 

「ねぇマスター、キングゥをどうする?市中引き回しの後ウルクで処刑する?」

「どこでそんな言葉覚えたなんかもうその所業見るとどうでもよくなった・・・捨てておけ」

「いいのかい?」

「構わん」

「そうか、なら僕も見なかったことにしよう」

 

キングゥを背にまた空を飛び砲撃陣地の作成に移る。

少し経っても追いかけるつもりがないのか気配は少しずつ遠のいた。

 

 

「暗い・・・壁と街の灯りしかねえじゃねえか」

「うーん、マスター、ちょっとバビロンに寄っていかないかい?」

「あの街?」

 

指を街に向けて確認すると違うと言ってまったく灯りのない暗闇に指した。

「なにもねえじゃ・・・」

 

視力を少し強化し見直すとそこには家はあるのにまったく人が灯りをつけていなかった。

 

「あーうん、あれ下手しなくても滅んでますね」

「一人でも生存者が居れば良いけど」

 

バーサーカーの乗っかり時速1000キロ程度で街へ飛ぶ。

街へ着地すると同時に周辺にヒビが入り轟音が響くがやっぱりそれに驚きもなく、生存者は絶望的だった。

 

「・・・遅かった」

 

街には無数の穴が開いてそこら辺に引きずった跡や飛び散った跡があった。

だが、奇跡的だろうか、目をむけた先に微かに息のある人間がいた。

すぐにかけより上に積み上がっていた瓦礫を持ち上げて人間を引っ張り出す。

「何かありました?いえ、何かあったんですよね、安心してください、私達はここを調査に来たウルクの人です」

「よかった、本当によかった・・・はい、先日、エルキドゥが生き返ったと思ったら急に」

 

キングゥかぁ。

 

「酷く錯乱していて自分が何なのかまだ分かりきっていないような感じで、その」

「大丈夫です、後は王が解決してくれます、今はどうかお休みください」

「ありがとうございます・・・」

糸の切れた人形のようにぐったりと倒れた人間の呼吸は整っており死んではいないことを確認しそっと抱きかかえ立ち上がる。

 

「くだらねぇ、なぜ騙る必要があったのだ・・・」

「マスター・・・さぁ、願っておくれ、君の望みを」

そっと差し出された手を取り、握る

「とりあえずキングゥに粘着して嫌がらせしよう、それでエルキドゥにこだわったら殺そう」

「最高だね、全く同じことを考えていた」

 

手を叩いてお互いに人差し指を向ける。

 

「取りあえずこの人壁に持っていこう」

「そうだね」

 

空を飛び壁まで飛んで着地する。

もちのろんで周辺に兵士がいるがバーサーカーを見た瞬間全員がうろたえ始める

 

 

「・・・バビロンの生き残りです、では「待ってください!」」

 

帰ろうとした瞬間女性の声が引き留めた。

その女性は到底ウルクの住人とは思えず

巴形の薙刀を持った東洋の家紋というのだろうかそんなのがあった白い髪の女性だった。

いや、サーヴァントか、霊基が弱くてわからなかった。

 

「サーヴァントですか?」

「はい、つい先日、ギルガメッシュ王に召喚されたアーチャー『巴御前』です、どなたかは存じませんが感謝します」

「これはご紹介どうも、私達はカルデアの者です、きっと王にそう伝えてくれれば理解してくださるでしょう」

 

そういってさっさとその場を離れる。

ふわふわと空を飛んでいるとバーサーカーが急に肩を掴んだ。

 

「マスター、次はあの山とかどうだい?」

 

そういって左側にあった無数の山々に指を指す。

 

「いいね、あそこなら海に届きそうだ」

 

そう思い山に着地すると。

 

「すぅ・・・すぅ」

 

「キングゥ・・・」

「キングゥだね、よし」

 

正直、キングゥが味方だったらこんなアホくさい陣地組む必要ないぐらい勝ち筋あるけど無理か。

そう思いながらキングゥを鎖でふん縛ってそっと耳元に口を近づける。

 

「君はキングゥでイシュタルを殺すんだ、君はキングゥでイシュタルを粉微塵にしないといけない、君はキングゥでイシュタルにモツ投げをしないといけない、君はキングゥでイシュタルを雑巾絞りしないといけない、君は「やめたれ」うぐーうぐー」

「うーん・・・僕はキングゥ・・・」

 

流石に酷い。

近くにあった白い花を握らせ、バーサーカーの口を塞いで退かす。

 

「マスター!別に今考えるとキングゥが味方でエレシュキガルとギルが組めばイシュタルなんてクソカス居なくてもいいじゃないか!!」

「それは考えたけどそれはどうかと思うよ」

「むぅ」

 

言う理由はわからなくもないがそうはならない。

ただ、やりたいこともあった。

 

だからキングゥの耳元により

 

「僕と契約して魔法少女になってよ「マスター!!」ぐふっ」

「全く変わらないじゃないか!」

「違うのだ!!」

「どこがだい?僕は洗脳、マスターは契約、同じじゃないか」

「違うのだ!!」

 

「「いぇーい」」

 

ハイタッチしすぐに作成に取りかかる。

徹夜で作業し山の七割に必要なものを詰め込んで隠しておく頃にはもう日が登り始めていた。

 

「うげぇ、もう日の出か、はっきりいってまだがわはっつけてるだけだから間に合うかな」

 

複数の箇所に宝石を埋め込み地点を結び、キングゥの見張り番をしているバーサーカーの元に戻る。

戻る際にちらっと平野を見るともう、昨日の虐殺が嘘のように無数の魔獣が平野を駆け回っていた。

いくらなんでもおかしいと思う。

 

「バーサーカー───えぇ・・・・・・」

 

キングゥなんも悪くないのになんか全身モツで囲まれてる。

 

「ほら、ギルとイシュタルを殺して聖杯奪うんでしょ、なら早くこの心臓を食べよう、ほら、君が『新人類』で僕より『新型』なら出来るよね?」

 

俺は思った。

やっぱこいつ理性無い方がましだわ。

流石にこれは引く、いやまぁまだ原典と比べるとぬるいだろうけど

 

「あ、あぁ!やってやるよ僕はキングゥなんだ。僕は新人類、母さんより産まれた新しい『ヒト』なんだっ!!!!」

「やめとけ!やめとけ!そいつはブレーキが無いんだ」

 

あぁ、悲しみかな、地球上の生命では例え神代の怪物も勝てないんだ。

そう、パワハラには。

 

「そうだ!そうだキングゥ!!それであの糞女神イシュタルを殺すんだ、それが君の身体が覚えているやるべきことだ!」

「しれっと嘘混ぜるなよ」

 

無数の魔獣の心臓を生で食わされ続けるその様は正直見るに耐えなかった。

あぁ、誰かこの憐れな兵器を

 

 

そういえばなぜティアマトの反応が二つあった?

まぁ、いいか。

 

「・・・バーサーカー!!何かでかいのが来る!」

 

今までの全ての敵を軽く凌駕する巨大な何か。

いや、巨大ってものじゃない。

巨人か?

何かがこの大地から。

 

「あぁなるほど、ティアマトの神性を持ったなにか、か、しゃあない、折角敷いた砲撃陣地だがくれてやるよ」

 

空を飛び一斉に回路を起動させる。

その一瞬後に地面から無数の大蛇が飛び出し巨大な何かが出てくる。

 

「帰りが遅く・・・・・・・????」

「母さん?」

「母さん?」

 

あ、ワシ察した、いやまぁわかるわけ無いか『瞳の色』以外全部同一人物だしあんなにでかいとそう簡単に瞳だけを見れるわけもないだろうしな。

 

「・・・・・・・」

「「信じてくれ母さん!!この隣の旧型がっ!!」」

「わーシンクロ」

 

周囲を大蛇で囲みまじまじと見つめるでっかいの。

ある程度観察をしているがやっぱりわからないのかそっとこっちを見てどっちがキングゥかと質問してきた。

 

「・・・」

 

ちらっとバーサーカーとキングゥを見ると当然のように頷くキングゥとバーサーカー。

 

「・・・両方殺す気で攻撃すれば良いじゃないですか?」

「ちょ」「えっ」

 

「それもそうだな、ならばまずマスターである貴様から石になるといい!!」

 

あ、馬鹿。

 

知っている。

 

石化の魔眼。

 

有名どころはかのギリシャ神話のメドゥーサだろうか。

光った瞳と目が合い少しだけヒリヒリする。

 

「??」

 

全力でガードを張ってないから死ぬと思った。

あれ

 

「おい、どおした怪物、たかが星一つに匹敵する魔力ではないか」

「ふ、ふん。戦うのが久しぶりなだけだ」

 

そういってまーた光らせるけど変化なし。

いや、少し、全身が重くなったような感覚がする。

 

石化の魔眼は本来、対魔力での判定ではなく、『魔力』の判定らしい。

あいつの魔眼と同じように見える範囲全部を石化できるのだろうが

 

弱い。

 

本当に弱い。

 

「・・・やっぱ大半のサーヴァントってマスターの足枷じゃないだろうか?まぁアインツベルンの連中は根源行くための道具って割りきってたしそれもそうか」

 

周辺の回路を起動させ百を越える巨人が振るうような長さ三十メートルはある剣を一斉に射出する。

 

一本、また一歩その巨大な身体に突き刺さり吼える。

致命傷は避けたのか心臓や脳の部位には刺さらず───。

 

「馬鹿な・・・そんな・・わけ」

 

遅れるように

剣が全身の突き刺さるような痛みが身体を走った。

 

急な刺激に対応できず浮遊することもできず地面落下して強打し

見下ろす形から見上げる形となった。

 

「やっぱり、そういうことか」

「なるほど・・・彼と母さん───」

 

キングゥのところから走って駆け寄ってくるバーサーカーに手を伸ばしながら撤退の準備を始める。

あのデカブツももはや継続して戦える力もないだろうし痛み分けなのだろう。

 

即座に手に取り空中に逃げる。

呼吸を整え浮遊する。

 

「さてと、バーサーカー、これ倒せないのだけどどうする?」

「そうだね、実は僕も打つ手が無くて困っているんだ、アイツに攻撃すればマスターに反動が行く、じゃあ放置するかと言うと無理だ、それにあれを下手に殺せばティアマト本人が目覚める・・・そうだ、ねぇマスター『マルドゥク』ってどこまで知っているかい?」

 

「マルドゥクか、あぁそういうこと、どこかにあるマルドゥクの武具でティアマトとデカブツを一撃で殺すと」

 

「そう、複数回も僕やマスターの攻撃でアイツを攻撃するとそのダメージでマスターの身体が持たない、なら、逆に考えるんだ、一撃であのデカブツを殺しティアマトを呼び起こし無理矢理マスターを生存させると確かに一度死ぬけどエレシュキガルさえ無理矢理協力させれば魂なんていくらでも呼び戻せる、だってもうマスターは『レイシフト』でこのメソポタミアの大地に来たんじゃないからできる荒業さ」

 

一度死ぬ。

 

もう、泥で一回死んだ身でもどこか恐ろしかった。

だが、そんな死という下らないちっぽけな恐怖で止まるわけにはいかない。

 

「とはいえだ、バーサーカー。仮にマルドゥクのマルンが手に入ってもエレシュキガルはどうする、正直ネルガルみたく力業でぶん殴ってもどうか」

「その点は大丈夫だよ、マスターも見たでしょ、あのイシュタルの無様な姿、どうせ祭祀辺りに適当な少女を器にして呼び出したのだろう、なら「姉妹のエレシュキガルも同じような形になっている可能性がある、か?」イェス」

 

「だが原典通りの性格である可能性・・・ねぇな、イシュタルがあるそこまで殺意を落としてくる性格してるんだしな」

「まぁ、元の通りでもマスターがエレシュキガルボコボコにしたりわざと変な踊りしてるエレシュキガルを一週間抱けば終わりだから」

「逃げるわそんなん、いや逃げたか」

「因みに僕が全力で冥界のルールぶち破って出れなくなったことあるから同じようにしてマスターを生け贄にしてエレシュキガルを味方にするまで出られない冥界にもできたりするから」

「まぁ、うん、イシュタル抜きで勝てるならやるよな、お前・・・取りあえずウルクいこっか」

「そうだね、流石に荷車の一つも無しに準備はできないしね」

 

そう方針を定めウルクへの飛行を始める。




おまけまてぇ
アルトリア・ペンドラゴン(後)

好きなもの 円卓の騎士、民(自分の国のみ)、マスター
嫌いなもの 蛸、蛮族

宝具
『約束されry』
い つ も の

『風王結界』
ランクEX
種別:対人、国、界
レンジ1~10000
最大捕捉範囲内全て

それは武器を隠すことではなく
超強力なそれこそ天災に匹敵する強大な暴風を巻き起こしその風は海水全てを上空に巻き上げ、あらゆる、必中する全ての投擲、射撃を吹き飛ばし、触れるだけでも生半可なサーヴァントはそれだけで吹き飛び、誰一人彼女に近づくことはできない。
その吹き荒れる嵐は龍の咆哮のように荒れ狂い彼女の庇護を受けぬものは大地も含め全てが滅ぶ。

でもピクト人はなぜか耐える

『天堕とす星の聖槍』(ロンゴミニアド)
ランクEX
種別:対大陸
レンジ無制限
最大人数99999

いつもはただの馬上槍にしか見えないが一言、その真名を解放すると巨大な白い塔に似た槍に変形し衛星まで打ち上げた後に彼女が滅ぼしたい敵の中央に必ず着弾する。
その砲撃はたとえ別次元の壁を張ろうが心が折れぬ限り無敵の城であろうが、造り出された小宇宙だろうが全てを粉砕し必ず目標を消す必中宝具
それが直撃すれば着弾点半径数キロに因果律さえ崩壊する事象崩壊現象を引き起こしたとえ概念的な精霊や神も殺し、その後に生じる爆風は大地をどれだけ進歩させようが問答無用で石器時代にまで戻す圧倒的な破壊力を秘めた一撃である。

でもなぜかピクトry


『我が栄光と勇敢なる円卓の騎士』(マイキャメロット・ナイツ)
ランク不明
種別不明

一言で言うとイマジナリ円卓
結局誰一人分かれず、解らなかった彼女の世界
その騎士たちを呼び出す

はずだったんだけど
運命に出会い、あらゆることを理解し、決意した彼女は
擬似的に全ての本物の円卓の騎士を召喚することができる。
そして呼び出された騎士たちは全能力が2ランク上昇し、アルトリア本人は全ての円卓の騎士が倒されるまで一切の攻撃を無効化し、尚且つ全能力を4ランク上昇する。

『騎士王の財宝』(アルトリア・トレジャー)
ランクB
種別:対人
レンジ80
最大捕捉200人
アルトリア版バビロン
だがその真の効果は全ての円卓の武器を使いこなし、真名の防止にある。
さらに対応した円卓の騎士の武器の真名の解放が可能で偽名使い放題。

『我が愛しの虚構の永久王国』(イマジナリ・ザ・キャメロット)
ランクなし
種別対界
レンジ無制限
最大捕捉無制限

異聞帯できちゃう切り札宝具
アルトリアペンドラゴンの持つ深層世界。
簡単に言うと『ORT』と同じ浸食固有結界

全てをキャメロットにするという塵ほど残った善性によってたちが悪くなった宝具。
その中では円卓の騎士やキャメロットの民で無いのであれば即座に不穏分子として常にアルトリア本人と円卓の騎士に位置情報を確認され続け、さらにそこに居るなら全能力を10ランク下げ、全ての効果を無効化し例え不死であろうがなんだろうが殺せるようになる、また同時に彼女はこの中では死の概念が消失し、また魔力が無限になり、倒すことが不可能になる、おまけ感覚で自身の全能力を10ランク、円卓の騎士を5ランク、自身の認めた民と味方である者を3ランク引き上げる反則。
また、1日経てば死んだ全ての民や騎士も記憶を持ち越して何事もなかったように生き返り行動する。
また、浸食速度も一年で世界をキャメロットにできる。

あといくつかあるけどなんかモップとかライフルとかビート板みたいに変なことになったし他の日に。


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人類最古の英雄王と冥界の女主人

豆知識
バサドゥの台詞はラフム語と同じキーボード
槍混じりドゥは普通に人語。

まえちしき2
アルトリアの宝具設定実は剣と槍と結界しか考えてなくて他は実はただの宝具的な扱いだったから雑。

おまけ
キングゥはかわいいし良識がある


おまけ
皆は今日のHF第二章は見たかい?

いいよね

セイバー

それはそうとなぜ桜ベースに色々手を加えただけのつもりのハイン君がここまで桜っぽくねえのだろうか、始めと中盤はどことなく合わせれたのに気がつけばよくあるのになってたよ。


神代の世界とは本来、現代の人間には対応できる環境ではなく。

まさに神々の世界であった。

 

もし、ただの人間がなんの対策も無しにこの世界に訪れるのであれば一週間原型を止めればいい程度だろうか。

 

ヨーロッパ全土に神代のテクスチャを張ったイシュタルも所詮張るだけであった。

本当の意味でこの世界は気分がいい。

空気が軽い

魔力が馴染みやすい

そして、ここなら全力を出しても現代ほど生態系や概念が変質しないのがいい。

 

「なんだあの兵器・・・イシュタルのマアンナにあったような感じの砲だな」

「なんだろうねあれ、幾つか荷台につまれて運ばれてはいるけど、多分後ろに箱詰めされてあるラピスラズリが火薬の変わりなのだろうね」

 

結構趣味いい造り嫉妬しそうだけと気にしないようにして街道を眺めながらウルクへ向かう。

ある程度飛行していると目下に大きな街が見える。

 

今までの遠くで見る街よりも圧倒的に大きく、祭壇だろうか?色々な人が集まり活気に満ち溢れていた。

 

「さぁ、マスターここがこのメソポタミア文明最大の都市ウルクさ、取りあえずギルに会うために天井から行こうか」

「・・・え?」

 

急に首根っこをつかんで有無を言わさず急降下を始める。

予測可能回避不可能

 

すぐに全身を強化し衝撃に備えその中央に突入する。

 

結構控えめに入ったのか天井をぶち破るだけで済み、砂煙が舞う。

 

「会いたかったよギル!!!」

 

そう、笑いながら本人的には友情を確かめるつもりだったのだろうか。

拳を握り拳圧で奥の空や山が吹き飛ぶくらいのグーパンを寸前で止める。

 

しかし王も何一つ顔色を変えずただこちらを見据えていた。

 

「・・・なんだこの粘土板の数・・・読めねぇ!!!」

幾つかの山積みになった粘土板を手に取りほんの少しの知識と共通する文字で頑張って解読をしてみる。

全くわからん、治水や交通整備だろうか、流石に最古の文明と言われるだけあってあらゆるシステムの側面を持った内容が存在している。

 

「・・・ギル?おーい僕だよー、おーい」

「・・・・・・」

 

「なぁ、バーサーカー、流石におかしくねえか、死んでない?」

「流石に死んでるはず無いよ・・・・」

 

ペタペタと頬をさわるが一切動かずただずっと前を見据えている。

御臨終ですね。

 

「・・・死んだなこれ、死因がショック死か・・・いや、過労か?どちらにせよ、どうしたことだか」

「どどど、どうしようマスター、昔のギルならいつものように」

「まぁなんだ、適当に死体隠して冥界から魂だけ持ち帰れば良いだろ」

「そうだった、よしすぐに行こう」

 

いくってどこよ。

それどころか確かコイツ冥界下りでルール破りしてたよな、したといったよな、いや、違う

これ、俺が墓穴掘ったのか?

いち早く冥界に行きたいからこの王様殺したのか。

 

そんな思考を一旦払ってバーサーカーに掴まって全速力で空へ上がり移動する。

だいたい数キロ程度飛ぶと何もない大地で急に止まった。

 

「されマスター、生け贄の覚悟はできたかい?」

「おいこら今、聞いたぞ」

「そうやって分かっているのにすっとぼけるのはどうかと思うよ、じゃあ、エルキドゥの冥界下りと行こうか!!」

 

バーサーカーの腕から生えた鎖が地面を貫通し程よく大きな穴が開き、その穴は光を通さない文字どうりの暗黒と行っても変わらなかった。

ゆっくりと穴の中に入ると急に青白い雷が四方八方から降り注いだ。

 

「なんだこれ?!マスター!!」

「うっせえっ!!」

 

すぐに辺り一面に魔力を放出し飛んでくる雷を反らし辺り一面の壁にぶちまける。

 

「まったく、僕たちはなにもしていないじゃないか、これからそのふんぞり返っている玉座から引きずり下ろして返してもらうだけなのに」

「おまえなぁ・・・これどう見てもルートミスだろうが!!あれ絶対迎撃兵器だよな!!冥界て死者の国だし生きてたらダメ系だろこれ」

「じゃあ冥界全土マスターの魔力で汚染すればいいじゃないか!!」

「できるかぁ!!!」

「「ハハッハッハハ!!!!!」」

 

笑いながら飛んでくる雷の元に雑に投影した剣を弩砲に装填し撃ち込む。

ひとつ、またひとつと吹き飛ばしていると急に雷撃が止まり周辺に無数のなんか幽霊っぽいのがでてきら。

 

「今を生きる者よ、我が名エr「ねぇマスターやっていい?」「やるしかGO!!」だわっ?!?!」

 

なんか色の違う巨大なゴーストが喋り出すけど聞く耳持たず。

すぐにバーサーカーがゲロビで辺り一面を無差別に破壊し巨大なゴーストも一撃で木っ端微塵に吹き飛ばす。

 

「さてと、よくわからないのも全部凪ぎ払ったし後は降りるだけだね」

 

そういいどんどん辺りを見渡しながら冥界を下る。

少しずつ空気が冷たくなり底が見え始める。

 

途中に建っている謎の壁を粉砕しながらその岩を椅子にして休憩を挟み最下層一歩手前に到着する。

下ではついさっき見た王様とキングゥがお互いにいろんなものを射出しあい、見たこと無い金髪の女が巻き込まれたのか焼け焦げてぶったおれている。

 

「・・・なにやっているんだ、ほっとこ」

 

呆れつつ邪魔になら無いように裏手に回りそっとよくわからない少女の傷を治し観戦できる位置にあった岩場に座り内ポケットにあるクッキーを食べる。

冷たい

 

冥界とはこうも寂しいところだろうか。

花の一つも存在せず、光は一切届かず、冷えきった世界

 

「・・・終わるな」

 

キングゥが無数の鎖を地面から打ち上げ始める。

その無数の鎖は一本の巨大な槍になり落ちる。

 

だが、幸だろうか不幸だろうか。

一瞬キングゥの瞳に迷いがあった。

 

ふざけているのか?

戦いにおいてその一瞬の気の迷いは場合によれば死と同義。

その一撃は男の頬に触れるだけで少し奥の岩盤に直撃した。

 

「宝具を使っておいてそれか・・・まぁ、例え別物であろうと貴様は『エルキドゥ』というモノだったか」

「なにやってんだキングゥ!!当てろよ!」

「バーサーカー・・・いやまぁ、どう見ても真剣勝負だがなぁ」

 

どっからか湧いてきた本人の何気にえげつない一言があまりにもあれ過ぎる。

 

「貴様がカルデアの「そもそもだよそもそも、マスターはキングゥが人類の敵でギルを殺せば勝ちなのにそれをしないキングゥをどうして庇うんだい?」マス「いやいや、あいつ中身が別物になろうとバーサーカーなんだから流石に・・・」ター「あるわけ無いだろ、僕はマスターと組むとき以外はただ合理的に判断して目標達成する兵器なんだ、じゃあ何でもないキングゥは当然」か「いやいや、だからこそ外すのだろうがあいつは兵器じゃなくて新人類なんだ、ならば人間より優れた知能はあるさ、感情もあるさ、兵器とすればゴミも良いところだけど人とすれば普通じゃないか?」「魔術師のマスターが人を語るのかい?」「うっせえ、俺はただ人類の答えを知りたくて根源を目的に行くだけだ、どっちかというと魔術使いだよ」「あぁそうだね、あのときも聞いたよそして話がずれたね、まずキングゥは僕なんだだからギルは殺さなくちゃならない当然じゃないか」「あぁそうだったもうメチャクチャだよ、キングゥはキングゥなんだから別にバーサーカーに」いい加減にせんか!!!「「うっさい!!」」ハ、ハイ「まずねマスター、キングゥはあれだけ僕に対して旧型なんて言い出したんだそれはつまり僕よりも優れた兵器という事なんだだから兵器は兵器らしくギルを始末しなくちゃならない当然だろ、この僕の答えに文句あるかい?」「ない!!だがそれとは別だよバーサーカー、キングゥはさっきも言ったけど人なんだ、バーサーカーみたいに常に合理的判断や目的のみで物事を達成できるものじゃないんだよ、人間には感情がある、理性がある、だからきっとキングゥはガワは多分バーサーカーの死体に聖杯かなにかを突っ込んで中身を全く別のキングゥという一個体になったんだ、だからきっと記憶を見て躊躇ったんだよ」「あぁそうだね、さっき冥界全土を確認したけど僕の肉体はなかったつまりキングゥは僕だ、だから余計に腹が立つんだ、僕がギルに手加減なんて許せない、だから全力で許さない」「えぇぇ(困惑)」「そういえば本題を忘れていた、マスター、エレシュキガルを探さないと」「しょうがない、このよくわからない少女を釜茹でにでもして脅してみるか」其奴がエレシュキガルだカルデアのマスターと親友ゥ」

 

どこからともなく聞こえた男の声に一瞬だけたじろぐ。

 

「あぁこれエレシュキガル・・・まじかバーサーカー」

「ギルが言うしマジだろうね、うん」

「我は少しヘソを曲げる好きにせい、もうじきカルデアの面々も来るであろう」

 

そういい、近くの平たい岩にうつむせにねっころがり眠り出す。

 

「ほらキングゥ今ならギルの寝首をかけるよやらないのかい」

「あーそのなんだキングゥ、今日は帰れ、色々あったんだろ、冥界の女神を味方に引き入れようと訪れた急に王様が空から降ってきて成り行きで戦闘になってこんな本人から口撃されて」

 

何を見たのか知らないが弱っているキングゥの襟を掴んで揺らすバーサーカーを静止させそっとポケットに入っていたコーヒー味のガムをそっとキングゥの服の裏側に隠す。

 

「僕は───僕はエルキドゥじゃないんだ。そうだ、殺さなくちゃ、うん、殺さなくちゃ」

「そうだわかるかい?『イシュタル』を殺すんだ、いいね」

 

だめだこれ

 

ふらふら歩きながら男に近づきそっとその輝く手刀を振り下ろそうとするが流石にあんな精神状態だはもはや寝ているだけの男にすら当たらずその場に倒れる。

 

「なんかもぅ可哀想になってきたよバーサーカー」

「ひと思いにキングゥを仕留めるかい?べつにキングゥを始末してもティアマトは目覚めないそれどころか聖杯をこちらの物に出来るんだ、本気のティアマトへの対抗できる時間が好き放題とはいかないけど少なくともこっちが有利な状況に持ち込めるさ」

「いや雑に拘束しておけ、それからどっかでまた返せばいい、正直キングゥ程度、脅威でも何でもないんだ」

 

別にここまで来ると人類とか運命とかどうでもいい。

ただ、答え合わせだけがしたいだけだ。

 

「うぅん・・・ここは・・・」

 

目が覚めたのか袖を掴みながら辺りを見渡す。

 

「おや、お目覚めですか女神様」

「だわっ?!」

 

顔を赤くしとっさに離れたあと玉座のようなただの岩に座り周囲の赤い粒子を集めて一本の槍にする。

 

「我が名はエレシュキガル、どう「ねぇマスター面倒だしボコろう」・・・・用件はなにかしら、場合によっては無条件で受け入れてあげてもいいのだわ」

「そこでふて寝してる王様の魂返して」

「その程度の事・・・えぇ、いいわ、返してあげる、私を屈服させれるならね!!ゴホァッ」

 

巨大なゴーストが現れバーサーカーにブン殴られて粉々になるまでの間約0.5秒

 

「あ、ありえないのだわ、エルキドゥの攻撃は」

「拳圧で殴ったから当然じゃないか」

 

まぁ、うん。

理不尽よな。

 

「バーサーカーは強いね・・・これで抑えられている方だもん」

 

まず元々エルキドゥ自体が普通の聖杯戦争なら反則といっても良いぐらい強いのに狂化加えたらね。

 

「さてとエレシュキガル、約束通りギルの魂を返してもらおうか」

「わ、わかったのだわ」

 

なんだろうかこの構図

カツアゲか?

 

「よし、じゃあ帰るかバーサーカー」

「まだ本題は終わってないよマスター」

「あぁそうか、そうだった」

 

取りあえず簀巻きになったキングゥを背負い鎖で固定してから座る。

 

「さて、エレシュキガル、キングゥとどんな会話をしていたのかい?正直に話せば苦しめはしない」

「な、なにもないのだわっ」

「そうかそうか、なら」

 

そういうとバーサーカーは懐から一本の液体が入った注射器を取り出しエレシュキガルに突き刺した。

 

「はわっ・・・?」

「さて、エレシュキガル、キングゥと何を話した」

「き、キングゥと『三女神同盟』について・・・え?」

 

あーなるほど自白剤

 

「気付いたかなフフッ、そうだよ、君が口を割らないのは始めから想定済みなんだエレシュキガル、文字通り泥水すすって生きていくような神だ、だが」

 

 

 

「我がドイツの医学、薬学は世界一ィィィ!できんことはないイイィ────ッ!!」

「おめぇイラクだろ」

「・・・良いじゃないか」

 

一度咳払いをし再び話を始め出す。

 

「ふんふん、まぁいいや、ならばエレシュキガル、僕の死体はどこだい?聞いた話によると僕が死んだあとギルは冥界に持ってきたそうじゃないか」

「無いわ、ある日突然消えたしまったのだわ」

「やっぱりか」

 

これでキングゥが何者か決まったな。

 

「じゃあこれで質問は最後にしようエレシュキガル、君は三女神同盟に入ったのか否か」

「・・・入ろうとしたところにあの王様が来て成り行きでキングゥが戦闘を始めて流れたわ」

「そうか、もう少し遅ければ色々こじれそうで助かったよ、じゃあ僕からひとつのおねがいだ、ティアマトは必ず殺す、いや正確には今からでも殺せるけど確実に仕留めたいからね、もし、マスターや僕の魂が来たら返してほしい、到底無理な願いとは知っているだが、一度だけそこを曲げてほしい」

「バーサーカー・・・」

 

「なんならマスターの貞操あげるから」

「少し気をかけた俺が馬鹿だった」

 

「そう、この私をエレシュキガルと知ってここまで乱暴に扱って・・・ふーん」

 

少しずつエレシュキガルの纏う空気がイシュタルと同じような・・・なにかどす黒い

いや、黒いでは表現できないなにかになり始める。

 

「だ、だわぁ~~」

 

ある程度の力が出ようとした瞬間急にそれらが霧散しその場にへたりこむ。

 

「?」

「あれ、なにもない」

 

「この少女の身体では出力が出しきれないのだわぁ」

 

あー、なるほど。

そういや、あれでもガワはサーヴァント、制限もされるか。

 

「ねぇ、バーサーカー、冥界ってさルールあったよね」

「あぁ、そのルールに従うからこそ彼女は冥界にて最強、まぁ僕とマスターのコンビよりは下だけどね」

 

流石にこんなことでルール破って最悪消滅なんてさせるのは気が引けるしどうし

 

「エレシュキガル、一度消滅して生き返ることはできるか?」

「そんなのできるわけ無いのだわ、それこそ・・・あ」

「あ?」

 

一瞬聖杯に手をかけたがすぐに手放して目を見る。

大方賭けみたいなモノだろうか。

 

「全てを終えた後、『この』私をリセットして巻き戻せばいいのだわ」

「どこまで?」

「・・・それは・・・多分、この人類史が生まれる少し前まで」

「それでいいのか?さっきも言ったが別にティアマトは倒せる、無理にそこまでする必要はないだろ」

「別に構わないのだわ、貴方がずっと私の隣に居てくれるのだから」

 

はい?

「はい?」

「ハハハハハッ!!!あーなるほどね、マスター」

 

なんか笑いながら背中を叩くバーサーカーにつれられ少し離れたところで向かい合う

「ほら、マスター、あれだよ、あれ、ネルガルの冥界下り」

「あ」

 

 

『なんだこの岩ぶっ壊そ』

 

『わーきれいな食事、別にいいや、ここまで豪勢ってことは誰かのだろう』

 

『お座りください?痛そうだし別にいいか、浮いて移動しよ』

 

 

やべっこれネルガルの冥界下りまんまだった。

 

「エレシュキガルも結局神さ、きっと彼女にははっきりとマスターを認識できれ無いよ、それこそ、『ネルガルに近しいナニカ』程度さ、七日相手して逃げればいいよ」

「うーん、話反らして今日は逃げるか」

 

一回深呼吸をしエレシュキガルと向かい合う。

 

「あぁ、わかったよエレシュキガル、じゃあもしもの時は手を貸してくれ、そしたら俺は必ず冥界に訪れ、君のその美しい手を握り、共にあろう」

「まかされたのだわ、このエレシュキガルが手を貸すのだわ!!」

「ありがとうエレシュキガル」

 

エレシュキガルの手を握ったあと逃げるようにその場を離れようとする。

すきあらば変なものを突っ込むのがイシュタルだ

何をされるか分かったものじゃない。

 

「その、貴方の名前は」

「藤丸でいいさ、エレシュキガル」

偽名で完璧に逃げれるよね

 

「わかったわ藤丸ね、もし貴方に何かあったら『この星の半分を交互に探して』でも見つけてあげるわ」

 

あかんこれ

 

 

「あ、あぁそうか、ソレハアンシンダナー、サスガダナー」

 

どうしよ、イシュタルのマアンナ借りて冥界沈めるか、いや、沈むのか?

バーサーカーで消そうか。

 

神なんてろくなもんじゃない。

 

「いいのかいマスター、僕的にはエレシュキガルはましな方だよ」

「俺は旅がしたいんだ、それを止めるやつなら全員アウトだ」

「まぁ、そうだね、その点は僕も認めるよ、きっと彼女はマスターを認めるし分かり合えるさ、でも同時にその本来の立場に縛られ続けるのが彼女だ」

 

見えない空を見上げながら歩いていると急に鎖が延びていたから体に手を当てると腹から鎖が貫通していた。

 

「・・・キングゥか」

 

少し赤くなった服をさわる。

血で汚れているから洗うのが本当に面倒だ。

 

「どおして、痛がらないんだ」

「痛くないからだ、知っているんだろ、お前、俺の体の一部がティアマトその物だってことをよぉ、あ、バーサーカーこれ抜いて」

「・・・ひとつだけ聞かせてくれ、なぜそこまで死に恐怖がない、君は人間だ、どうしようもなくただの人間のはずだ」

 

人間か

 

まさに試練だったのだろうか。

人間と怪物の境界線。

 

「そうだま、今だってお前は俺の心臓を狙っているが別に恐怖はない、簡単じゃないか『俺は死なん』ただそうやって自分の意思に全力で従っているだけさ、死なないから死なない、それだけさ、キングゥ、もし俺を殺したければティアマトの細胞を混ぜられていない頭と左腕と左肩を狙えまぁ、最近少しずつ蝕まれていってる感じはするからどこが人間だった部分かは俺も知らん」

 

「そうか、ならもういい、僕も壊れるまで人類の敵でいよう」

「いいんじゃないか・・・それが貴様の意思であれば尊重しよう・・いてぇ、風穴空きやがった」

 

地上に出ると取りあえずキングゥの鎖を砕き自由にさせる。

 

「俺が死ぬかあの怪物が死ねばティアマトは目覚めよう、まぁ目的を達成するまでせいぜいあの怪物を護っておくがいいキングゥ、俺は直接手は下さん」

「そうかい、それでもいいさ、魔獣の総数はもう君達旧人類を遥かに越えている、そうやって勝てる気でいるのもそう長くはない」

 

そう言い残し空を飛んでまた森の方へ行ってしまった。

 

「やったねマスター、夜食が増えるよ」

「やだなぁ、毎晩肉ってどうかと思うよ、やっぱりパンだよパン、あとじゃがいも」

「でもドイツではメインの料理は肉ばっかりじゃないか」

「まぁ、うん、ドイツって結局そこまで海に目を向けたかというとだけどうん、じゃがいもあるよ」

 

少しふざけ合いながらウルクへの街道を進んでいると馬車で来ていたマシュと合流し、そのままウルクへと戻っていった。

 

とはいえ。

ウルクにつく頃には夜も遅く流石に王への謁見も叶わず、そのままマシュに連れられ在るところへついた。

 

「見てください先輩!ここが私達カルデアの拠点、言うなれば『カルデア大使館』です!!」

「ほぉ、ずいぶんと花が多いではないか、とはいえ、ちと多すぎるだろマシュ」

 

流石に窓辺すべてに花を置くとは参った。

とはいえ、やはりマシュは一人でできる。

 

その事実が安心感を与えた。

俺には時間がないから見てられないが彼女は自分で進んでいる。

もうすぐ答え合わせの時間だ、きっとその美しい瞳には答えがあるのであろう。

 

そう思っているとバーサーカーが見慣れない服装で肩を掴んできた。

 

「なんで僕よりセンスがいいのだろう・・・」

「むしろお前は何を飾っている」

「・・・木彫りの熊とか粘土版とかだよ」

「他には」

「・・・むぅ、ギルの馬鹿が会おうとしないからせっかく僕の部屋でマスターと三人であの聖杯戦争の事を語ろうとしたのに・・・」

「お前があんなことしなければ少なくとも余裕はあったさ」

 

とりあえず騒がしい屋内から逃げるように屋上に上がり空を見上げる。

 

あの光輪はいまだ消えず残り続けている。

 

「・・・あぁ、あと少しであの星々の海へ飛び込めるのだろうか」

 

かき消せないノイズが走り続け視界を奪う。

世界は一瞬で赤色に染まり見えていなかったナニカにも手が届く。

 

しかしそのナニカに触れた瞬間世界はまたいつものものに戻りそして指先が少しだけ黒を主体とした赤い線の入ったナニカに包まれていた。

 

「あぁ、痛みは感じる、四角もある、でも、体は変わっていない、受け入れてしまえば一瞬だ」

 

風に当たりながらゆっくりと寝転がると一人の男が隣に座りだした。

その男は一言で言うと胡散臭い。

白と黒を主体とした服装、雑に切った感じの髪

そして変な塔のような杖。




オマケマテェ

ねぇな。
イシュタルにでもしようと思ったけどもうちょい後でいいか

よし雑談といこう
今日はHFあったし
桜を見る会と称してダチ公どもとみてお茶の間冷えたし
雑にハイン君と桜でいこう。

正直三ルート(ほぼ強制ルート固定)の中でも個人的にHFは好きだったりする。
決して麻婆ルートとかイリヤルート何て言ってはいけない。
たぶんそうだけど

まぁなんだ、要素を合わせようしたらなんかへンになった
『無自覚な加害者である被害者』
っぽくした
実際黒くなる前の桜が無意識にかつメルヘンに人を食うところみたいに
ただそこに在るだけ、ただいるだけで全ての生命の法則をねじ曲げる
本人的には制御して扱えると思っている
だが規模が違いすぎて目の届かないところでは手遅れな惨状が起きる、いいよね
別に本人の意思とかまったくなくやっているって部分はあったりした
だがイシュタル万能過ぎた
なんかへんになった

おっかしーなー
本来なら主人公に落とされるヒロイン枠の筈なのに気がつけばラスボスわーやだ

あの桜の士郎との過程で死んだ魚のような目に光が灯るように
ある意味神にも等しい全てが同じ概念に見える視点と絵の具で無理矢理書き換え変えたような灰色の世界を映す瞳に本当の意味で『色彩』と『居場所』を与えられかわっていったように

少しずつ壊れて
歪んで
ずれて
その少しずつの綻びが決壊したとき
そこから這い出る『化け物』であり『汚物』がたまらなかった。

本当に
どおしてそんな彼が

中盤から終盤にかけて覚悟決めたナニカになったのだろうか
私にもわからん、イシュタルがラスボス過ぎたのだろうか


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花の魔術師、ジャガー

前マテェ
なーんにもねぇ
あーめんど

なにやってもワンパンだからなぁ
なんだろうないちいち長台詞言うスライムほんとめんど

いやまぁ、FGOに出てくる聖杯でパワーアップしただけの章ボスやうまい棒ごときにタイマンで勝てない奴は前作鯖どころかマスターにすら負けかねないから当然だけどさ

バビメのせいで余計にそう思ってしまった。
大技がたかが金星ぶっぱで大穴開けるだけだったり広範囲焼却の範囲がくそチンケなんが悪い。
チンケってなんだっけ

何でノリと勢いでやったんだろ俺


「アルトリアが世話になったね」

「開口一番それか、まあ、ずいぶん振り回されたよ、どおしてあんな強さで負けた、なぁマーリン」

「ハハハ、実は僕にもわからないんだ、あのちょっと荒れていた頃のキャスパリーグをあそこまでぼこぼこにしてた彼女がなぜあぁも悲惨な最後になった事にね、まぁ、その後にあった君たちの戦争で救われた彼女を見るともうどうでもよくなったよ」

 

蛮賊何者だ。

 

「・・・で、なぜここに来た、時間稼ぎは嬉しいが貴様ほどの物なら別にここへ来る必要ないだろ」

「・・・・しょうがないだろ、アルトリアに『選べ、今すぐウルクに行って私の舞台を整えろ、さもなくばカリバーです』なーんて脅されたら、昔はもっと優しかったのにねぇ」

 

なんだ、勝ったな、もうティアマトリンチできるじゃん。

 

「そうか、ならイシュタルの『マアンナ』と『グガランナ』、ランサーの『固有結界』、そしてバーサーカーでティアマト倒せるな、簡単だ」

「あぁその件だが実は彼女、グガランナ復活させてないんだ」

「はい?」

「なんならマアンナ自体ももう見たと思うけどあの小さい弓みたいな船になってスケールダウンしているから」

「いや、その、それ勝ち筋......」

 

笑い事のように話すが結構不味いのでは。

確実な勝利が不安定になるのはそれだけで不味い。

 

「うーん、ティアマト自体の能力も実際のところ僕もわからないからまぁ、勝ちはできるけど、君の命は保証できない」

「死にたくないなぁ.........」

 

覚悟はできている

勇気もある

俺は負けない

 

だが、それでも死にたくなかった。

 

あれと一緒に死ぬなんて嫌なこった。

弱気と言われればそれまでだ。

 

今まで『確実な勝利』のみを作った自分に

『十分の一の賭け』が出来ないような弱腰になっていた。

 

「そうだろうね、君はイシュタルの時もアルトリアの時も必ず必殺の手段を揃え、あらゆる対策を練りそして勝つべくして勝つ状況を作った、だからこそ、初めてする『戦い』に恐怖を抱いている」

 

なにも言えなかった。

いつもの調子なら返すことはできた。

 

だからこそ返せなかった事に弱さを感じる。

 

「だけどね、人類はそれよりももっと確率の低い賭け事に身を預けそして破れ去る者もいれば勝利するものもいた」

「そうですね、前者は不老不死を信じ水銀を飲んだ秦の始皇帝、後者は天候という誰にも手がつけられない物を味方にした織田信長、確かにあんなのと比べるとまだ───しょうがねぇナァ、こうやってうだうだ考えるのも馬鹿みたいだ」

 

そっと起き上がり一本の七色に光輝く剣を無から引っ張りだす。

 

「おっと、僕も流石に精霊兵装はごめんだ、下手に触れれば本体が消滅しかねないからね」

「ちぇ......」

「フォウフォーウ!!フォ!」

「こらキャスパリーグここぞとばかりに来るんじゃない君は十分もあればリポップするだろうけど」

「どうすればそこまで嫌われるのだろうな、ほらっ」

 

剣を何処かへ収めピョンピョン跳ねるフォウ君を拾い上げる。

本当にこの珍獣がなぜあんな怪物と土俵にたてるのか少し気がかりだったりする。

 

「ありがとうマーリン、少しは気が楽になったよ」

「それはなにより、まぁそこまで深刻にならなくても神を殺す為だけに根源一歩手前まで物理的に歩んだ君達ならどうにかなるさ」

 

その一言を聞いた後、部屋に入り礼装裏に纏めた地図を取り出す。

 

「結局、死ぬか生きるかの二択、そこまで難しく考える必要はない」

 

海にティアマト、森に無数の魔獣やキングゥ

何一つ恐怖がない

何一つ負ける要素がない

 

そうだ、なら後は進むだけだ

 

「その一歩が重いのだろう、マスター」

「重いな、当然だろう、本当の意味で人間でなくなるんだ」

「別に僕はマスターが神になろうが怪物になろうがマスターである限り味方だからどーんっと構えれば良いと思うけどなぁ──」

 

軽く言葉を交わしバーサーカーにつれられるように街に出る。

もう、皆が寝静まった、いや、サーヴァントはほんの一部が目覚め、警備をしているのだろう。

 

「ねぇマスター、僕が召喚された直後、その光景覚えているかい?」

 

くるくると回りながら街道を進むバーサーカーはそうなにも前触れなく聞き始めた。

 

「もちろんさ、あのときは何て言ってたのかは全くわからないけどな」

「そうだね、さてと、じゃああの言葉も覚えている?」

「あれか?今思えば笑えるな、本当に有頂天って感じ」

 

その場で一回転した後、拳を出してきらからこっちも拳を合わせ上下左右逆に振って再び拳をぶつけてからハイタッチする。

 

「「俺たちゃ二人でひとつの常勝無敗の究極生命体ってなぁ!!ッハハハハハハハ!!」」

 

数秒笑い続けた後再び何事も無かったように歩き始める。

 

「あー、あのときはなんか妙にあってたよね」

「そうだな、まさに無敵だったよ、相手が時間を止める魔術だろうが、自然災害を起こす魔術だろうが、黒魔術の殺人鬼だろうがなんとかなったしな」

 

街を抜けジグラットの階段を上り

そのまま月に向かって手を伸ばす。

 

いずれはあの遠い果てまでたどり着けるだろうか。

変色した髪が風でふわふわと靡いたりしながら世界を見下ろす。

 

「いい風だよ、これは」

「あぁ、そうだね、マスター......そうだ、明日準備をするけどその前にある所に寄らないかい?」

「なにか用が?」

「いや、ただ一目会いたい人がいるだけさ」

「ふーん、じゃあ行こうか」

 

階段を降りゆっくりと街を探るバーサーカーに着いていくとある大きすぎず小さくもない家の前についた。

 

「......居ないなぁ」

「居ない?まぁ確かに気配はないけど寝てるだけだろ」

「いや、確かに痕跡はあるけど......しょうがないジグラットに並ぶか」

 

しょうがなくジグラットに戻ってだいたい三時間。

 

続々と人が集まりだし遠くにはマシュ達も確認できた。

「あぁ、ここにいたんだ、シドゥリ......ギルは起きているかい?」

「え......あ、ハイ、王は今起きたばかりで」

「そう、少し手荒く手短にするからウルクの皆をジグラットから離しておいてくれ」

 

殺ることしか脳にないのだろうか。

仕方なしに立ち上がり戦闘の準備を済ませる。

 

その階段を上りきる瞬間

バーサーカーが拳を握り

 

「おはようギル!!!荷車貸して!!」

「出きるかァ!!!」

 

その放たれた一撃でそこら辺にある壺や粘土板が吹き飛び散らかる。

これが挨拶なのだろうか。

 

「そうか困ったじゃあ特権で貸して」

「だから出来ぬと言っているであろう親友ゥ、あ、そうそうそこの雑種、今は急用ゆえ選定は出来ぬが後で話がある」

大丈夫だろうか、首根っこ捕まれてシェイクされているが。

 

「じゃあどうやったら貸してくれるのさぁ」

「今はウルクのほぼ全ての機能を壁の補強に回しているのだ、もう少し魔獣共が減れば話は別だがな」

「そうか、よしじゃあマスター!!あの森焼こう!」

「滅茶苦茶だよバーサーカー、焼いても奥に巣窟あるから無駄だって」

「.....じゃあ巣窟...あ」

 

潰せばスタート

厄介すぎてる

「むぅ......しょうがない、じゃあ先に武器を掘り出しておくか」

「そうだな、最悪エレシュキガルに何もかも冥界にでも沈めれば勝ちだ」

 

バーサーカーの皮膚が液状になったあと変形しいつもの白い布?と真っ白なズボン戻り瞳の色も緑から金色に変わる。

 

「まったく厄介な雑種よなぁ......エリドゥに向かえ、エルキドゥ、雑種、そこに望むものはある」

 

千里眼だろうか

それとも別の何かだろうか。

この男と瞳があった一瞬

 

何もかもを見透かされたような気分になった。

だがそんなことは後回しにし飛んでいくバーサーカーを追おうと飛び立とうとした瞬間

 

「もし我があの触媒で喚ばれていれば死をくれてやったわ......精々『人』を演じているといい『雑種』」

「......そうだな、俺はきっとあいつが居なきゃもっと早くに怪物になっていた......」

 

そう言い残し少し強めに床を蹴り飛ばしバーサーカーの後ろを追いかける。

大体三分程度飛んでいると上空でふよふよ浮いているバーサーカーに追い付き周辺を確認する。

 

周辺には覆い尽くすほどでは無いが明らかにウルクの環境とは思えない木々が生え、その周囲には魔獣さえも居なかった。

 

「やっぱりマスター遅くなったでしょ」

「うるせぇ、確かに遅くはなったが飛べるだけましだろ、なぁここら辺ってあんな木が生えるか?」

「いいや、ついさっき軽く見たけどここら辺一体が『南米』辺りの植物や環境に変質していた、多分マスターと同じ原理だろうね、ただそれが膨大な魔力による汚染ではなく、神性による擬似的な回帰、いや、この場合はテクスチャの張り替えかな?」

「つまりイシュタルと同格の女神でもいるってか?おーやだやだ」

 

取り敢えず森林全体に魔力をばらまいて生命探知をしようと抑えていた魔力を放出し周辺の木々や生命と混ざろうとしたしゅんかん一瞬にして森林と同じような波長のある何かに上書きされ魔力がただただ上空を汚染するだけに留まった。

 

「冗談じゃねえぞ!!!ふざけんな!!」

「マスターがそれを言うのかい?まぁこの通り上書きしてもさらに上書きされるからね、僕も何回かあの森林に僕の破片を飛ばして爆破してるけどまったく変わる気配がないんだ」

「じゃあバーサーカー、火炎放射」

「よしきたマスター」

 

そういうと右腕にバーサーカーが泥になって取りついた後幾度か変形し、大きな龍の首に変形しちっこいバーサーカーが出てきてスコープに変形する。

 

「なぁ、バーサーカー、火炎放射言ったよな、もっとこう、ガスボンベとかあっちのかと」

「かっこいいでしょ」

「あーはいはい、じゃあ魔力流すぞ」

 

右腕に魔力を流し込んだ瞬間それらが一気に炎になり森林に降り注ぐ。

大体三十分間森林を燃やし続け、魔力の供給を止める。

 

「そういえば街あったな」

「あ」

 

まぁ事後だからしゃあないと少し笑いあった後地面を見ると

表面や一部こそ焼けているが被害としてはまったくといっていいほど無傷であった。

 

しょうがないから聴力を強化し、音を探っていると下の方で何かが高速で迫っている気配があった

 

「もーキレた、マスター、爆撃しよう、フルスロットルで」

「いやいや、俺らの目的は森を焼くんじゃァ無くて武器を取りに来たんだよ」

「......ねぇ、下から変な生物が狙っているよ」

「知ってる取り敢えず右に避けろ」

 

すっ、と音速で飛んでくるよくわからん棒を掴みそこにバーサーカーの一部を貼り付けて地面に音速で投げ返す。

 

その衝撃で地面から土煙が巻き上がり収まった後にゆっくりと地表に降りる。

 

「うわっ」

「うえっ」

 

 

「あーダメダメ!こんな姿見せてたら」

 

 

認識したくない。

なんだこの珍生物

 

いやなぜ鎖で亀甲縛りなんだ。

 

「一体どういう絡まりかたをしたんだ彼女は」

「当事者が理解できないなら多分誰もわからないよ」

 

「おうっ!!そこの若いの二人!私人呼んでジャガーマン、ヘルプミー?」

「......」

「.....」

「へ、ヘルプミー」

 

どうしよう、コイツ主犯?

「ねぇ、マスター、どうする」

「うーんしょうがない、バーサーカー」

 

指をならした瞬間一瞬で机とカツ丼が現れ、珍生物と机を挟んで向かい合うように椅子に座る

 

「さて、Mrs.ジャガーマン......何故貴女はこのような場所でこのようなことを」

「えぇーとぉ、初めはククルンのお使いでぇ色々なものを取り入ったりして帰ってくる途中でぇ、変な宣教師君とぉ忍者の少年がぁいたのでぇちょっと警告してボコボコにして止め刺そうとしたら急にそこらじゅうに鎖が落ちてきてククルンと街の人と一緒にその対処をしていると今度は触れれば即死しちゃうような神代通り越したとんでもない濃度の魔力が塊で降って来てその対処に駆け回っていると上空から炎が延々降り注いでぇ死に物狂いでぇ防いだらぁ、現況見つけて槍を投げるとあら不思議、まっすぐ綺麗に帰ってきたのでさわろうとするとこんなことに......」

 

「バーサーカー、こいつなギルティだ、知ってしまったな」

「いやーそのーえーと、こんな無力なお姉さんをいたぶるのは」

「どこにガチガチの神霊の名前をした神性あって槍を音速で投げる無力なお姉さんがいるのだ!!」

「いやーそのえーとお助け♪」

「しゃあないなぁ、杖になるのと熊のぬいぐるみに精神だけぶちこまれるのと、聖杯の泥に食われるのと、身体中から剣が生えて死ぬのどれがいい」

「ヒエーッ、マジだ、これピンチ!!ジャガー生涯最大のピンチ!」

 

正直この珍生物の相手してると時間を損しているような気もする。

とはいえ、こんな見た目でも神霊、油断すれば一撃叩き込まれるかもしれないのが抜け目無い。

 

実際に言動こそふざけているがその瞳は常にこちらを捉え気を窺っている。

 

「もういい、バーサーカー、このナマモノは何も知らなさそうだし奥いくぞ」

「しょうがないなぁ」

 

バーサーカーの狂化を一段階だけ上げ、その場を後にする。

 

 

おそらく全速力で奴はぶん殴ってくる。

いや、もう殴ってきているか

 

 

「隙有リィ!!」

 

そんな完璧な下らない不意打ち

首筋に当たり勝ったと思っているのは悲しいかな。

 

もし、神霊が音速での戦闘をするなら

バーサーカーはランサーの霊基を書き換えれば、光速で動ける。

ただそれだけの単純な回答だ。

 

 

「ジャガーマンだっけか?流石に神霊だけはあるよ、貴様は強いタイマンじゃ勝っても満身創痍だろうな、故に限定で『バーサーカー』を使ってあげるよ」

 

「いいのかいマスター」

「構わん、ある程度慣れておかないともしもがあるしな」

「了解」

 

刹那、いや、それすら早く

バーサーカーがほんの少し大きくなり、一秒足らずであの珍生物はその姿を消した。

 

「相変わらずすごい速度だねバーサーカー、全く見えなかったよ」

「ハハハッ、まぁ、サーヴァント程度の強化じゃあしょうがないよ、むしろこの圧倒的基礎能力こそ、エルキドゥという兵器の根幹なんだよ」

「まぁいいか、さて、ここら辺ってどこかわかる?」

「多分エリドゥかな」

 

道ですらされていない道を歩き

ただひたすら未開の地を歩き続ける。

 

大体三十分間程度歩くと神殿のようなものが見え、そこに綺麗にぶっ刺さっている大きな斧があった。

 

どうやって持って帰るんだこれ、俺には収納系の魔術もほんの少しはあるがあんなの無理だ。

 

 

「......よっと、よし、帰ろうマスター、今すぐ」

「えぇ(困惑)」

 

問題解決

やはり腕力

腕力は全てを解決すると言わんばかりに片手でよくわからない大斧を持ち上げウルクに向かって歩き出す。

 

「しゃあないなぁ、ほら、上持ってやるよ」

 

空を飛びふらふらと揺れる大斧の刃に指から垂れる血を塗りそれを一瞬にして魔力の水晶に変質させ掴む。

 

「......それっ」

 

はめられた

 

冷静に考えればアイツエルキドゥだ。

そのフルスイングはまさに神業。

 

綺麗に宇宙空間ギリギリまで投げ捨てられ弧を描きウルクを通り越した、エビフ山に直撃する。

そう、ごっそり背中から擦られつつ、地面にめり込むようにクリーンヒット。

 

「ざっけなてめえぇ......」

 

封印関係なしに最大出力をだし全力の脚力強化で大地が裂けるレベルの蹴りで斧の回転を止める。

蹴りで半径二キロ程度のクレーターこそ出来たがそのまま音速で多分握りだと思う部分を持ち、山をスライスする回転の後ウルクの近くにある何もない土地へぶん投げる。

 

「フーー、スッとしたぜ、いくら俺がこの程度なら無傷でも狙いが雑すぎるやるならウルクへ投げろってんだまったく」

 

取り敢えず綺麗に突き刺さった斧を確認し、流石に帰るのも面倒になったから地面にねっころがる。

すると急に頭や体に何かが突き刺さり痛みで跳ね返る。

 

背中の石を払いながらさっき寝ていた場所に目をやるとそこには無数の宝石や東洋の招き猫だったろうか

そんなもののバラバラになったのが落ちていた。

 

「神殿?いや、そんなわけ無いか......ここはエビフ山だ、我が物顔で荒らし回ったイシュタル以外に建てるかこんなもの......ほんとアイツ隙あれば殺そうとするな、正直ティアマト倒すまではやめてほしいが......」

 

神殿の中の入るとそこには無数の金銀財宝なんて物はなく

本当になんだろうか。

 

綺麗な絨毯に無数の空箱

なんというか

 

やはり、俺にはあの女神が同じには思えない。

その雰囲気、いや、あり方が違いすぎる。

 

あの下手物がこんなものか?

さも当然のように全てを収め

その出で立ちは

荒々しく

そして禍々しく

されとて

そこには無意識であり不浄の理の如く

それは人の価値を変える美であり

あァ吐き気がする。

 

「何が豊穣だ、何が戦だ、なにが金星だ、これではただの.....あぁっ!!クソッ!!俺はこんな奴を気に入った覚えはねェ......」

 

周辺にあった瓦礫を圧縮、変質させこの星に存在しない、正に遠い宇宙にでもあるようあるような異質な光の屈折や色で現せない発光をする魔力の水晶を作り上げ空箱に詰め込む。

今、自分が何をやっているかなんてどうでもよかった、ただ、気に入らなかっただけだ。

それでいい。

たったそれだけで何もかもを滅ぼせる、何もかもを救える

だから、この行為は何もない。

 

「あーあ、なにやってんだろ、ハハハッ。くだらね。まぁ、これでいいか、換金不能だがそれでいい、あの女神にはこういう『尽きない財』が似合う、いやこの場合は『使えない財』か、流石に人体精錬はアインツベルンのクソだかだやんねーがな......なにやってんだろくだらね、なんかだるいわ、寝よ」

 

そう思い、そのまま床に倒れ混みゆっくりと意識の半分をシャットアウトする。

 

 

 

次に意識が回復したときには全身に宝石が大量に詰まった袋が周辺に置いてあり、なにか重い。

 

 

「うぐぅ、おのれー邪神がぁー」

「じゃあ邪神らしく貴方に神核をねじ込んであげるわ♪」

「勘弁してくれよ、今体内結構泥まみれで消化しても溢れるんだぞ」

 

雑にばたばた動くが流石に魔力ブーストしないと抵抗もできない、理不尽だ。

 

「そうね、例え妖精にその魂を穢されようと母さんの泥はそれすら上回るわ」

「全く、お前らがちゃんと処理しないからアインツベルンのアホがこんなものぶちこむんだろうが、この件終えたらそれそうおうの覚悟しろよ」

「......随分とわたしとはなしてくれるじゃない、あの時とは大違い」

「まぁな、お前が本来のイシュタルであれば口も開かず蹴り飛ばしていたさ、だが、今回は実に愉快な道化ではないかハハハ、貴様が本物でないから心は開けないが、変わりに話は聞いてやろうと言うのだ」

「めんどくさいわねアンタ」

「イカれてるよクソ女神」

「心にもないこと言うのね」

「そうだな、確かにそうだ、だからケツに神核ぶちこもうとするなよ」

 

少しブーストしてばたつきつつ抵抗し、ころころで動こうとする。

もちろん無理

数秒、待ったあと急に何の予兆もなく

服を脱がし始めゆっくりと体を重ねてくる。

 

「ねぇ、私、これでも愛の女神でもあるのよ、もうわかるよね」

「なんだ、そこら辺で男を食い散らかしてないのか、あほらしい、そこらの馬とでもしてろ、下劣な女神にはお似合いだよ」

「ほっんとアンタってあの泥人形で歪んでいるわね」

「むしろお前に数少ない友人皆殺しにされてなんなら俺本人もお前に常識改変とかされたのにここまで口聞いてもらえる方がおかしいぞ」

「実行犯は貴方でしょ」

「......そうだな」

 

脚を絡め向かい合い、その小さな吐息が感じられるくらい密接し、布を一枚被せる。

 

「こういうのがお望みだろ、女神様?」

「そうね、でも...もう、このままでいいわ、貴方とはあんなのと同じような関係でいたくないの」

「そうか、なら明日の朝までは抱き締めているといい、おれも動きはせん」

「ありがとう、ドゥムジじゃ、絶対にしなかったわねこんなこと......」

 

だからって締め付けるか普通、まぁ全身に魔力ながし続けて寝るなんていつものことだからいいけど。

 

 

日が昇り

光が差し込む頃に目が覚めた。

 

体が重い、関節決められながら寝たらそうもなるのだろうが痛い。

 

「マシュと......荷台?こっちに来るのか」

 

山から大地を見下ろす。

壁は完成一歩前、壁の内側にある街はいつものように活気づき。

 

これが数日後には滅ぶ。

実に

実に儚い

 

あちらとは違いすぎる

人、ひとりひとりが生にもがき、未来を見ている。

いや、余裕がないのか?

下らないな、余裕がないから選択の余地もない。

 

こうやってすべての人が必死に抗う世界と今の無駄に増えるだけ増えた世界、どちらがいいのだろうか。

 

「......必死に頑張って、戦って、それで獲得したのが70億の人がいきる世界、ただそれだけ」

 

何の力もない

力を求めない

吐き気を催す

 

何故だ

なぜ誰も目指さなかった。

 

時計塔には失望した

魔術師にも失望した

 

受け継がれる意思?

馬鹿馬鹿しい

 

人間はそれで変わったのか!!

世界は進化したのか!!

逆だ!!

 

生命は神の庇護を捨て去り新たなステージを踏むという所で最後だ!!

そこからはどうなった?

ただただ増え続け

人は進化しなかった。

 

しなかったのだ。

 

 

科学

それはいずれ魔術では到底叶わないであろうこの星の海拓く。

いや、もう、人類は月に到達したか。

 

だが、そうではない。

 

人の作るものだけは永遠と成長しよう......

だが駄目なのだ

 

人そのものが進まないのならばいずれ限界が来るのだ。

 

 

「feylv...a9zs...cktn」

 

イシュタル?

何をいっているのかサパッリわからない?

 

 

 

 

 

 

「.....?こんなに腕黒かったか?」

「良かった......取りあえず意識だけは戻ったわね」

「?」




さてと、後五、六話で終わるかな?

おまけマテェ
マスター
■■■■■

好きなもの
人類、世界、未来、宇宙

嫌いなもの
停滞、神

趣味 魔力汚染による新生物の作成、環境の製作、箱庭系ゲーム

レイシフト適正0%(100%)
少量の神性あり


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安い女神と高い女神と復讐の女神

マエマテェ

サーヴァント(大嘘)
クラス アーチャー(仮)

真名

女神イシュタル(アスタロト)

偽情報しかない女神
神核ねじ込みィパー
原典より好戦的
120じゃない1200だろ
エレシュキガルが三下に見える身勝手色狂い
メ イ ン ヒ ロ イ ン
野  獣  先  輩
十二単もビックリな超厚着
作者の性癖100%デザイン
宇宙戦艦マアンナ出したいために出た付属品
作中最強チンピラ(女神)
お上品なゲロ以下の屑
作者がFF7やったのはわかった


色々ひどい言われされた前作最強サーヴァント(本人)
ステータス(goイシュ)
筋力A(B)
耐久A(B)
敏捷A(B)
魔力EX(EX)
幸運EX(A)
宝具EX(A++)

スキル
騎乗EX
神性A+
単独行動A++

豊穣の権能EX
豊穣の神とかが必ずもつスキル
イシュタル場合『周囲の全て』の因果律を自身に収束させ、自身とその信奉者にのみ贈られる豊穣とは名ばかりの略奪、これで金欠にさせるなら遠坂のうっかりでも持ってこいww。(上記2005年完結マテリアル丸々引用だったはず、何回か改訂してるからね)
これのせいで予言者タグつけられたの笑うのじゃが

ダンスパウダーかよ、そうだよ(自己完結)
一応周囲の作物の成長が速くなったり、疫病がなくなったりもあるけど効果は薄い。

愛と美の権能EX
これを持っているのはイシュタルとアフロディーテのみである。
人間であればそのSANチェック1d100レベルの美貌を見た瞬間全ての価値がイシュタルを中心に考えるある意味幸せな権能、だって全てが無価値だもん。
男性サーヴァントは狂化でもしてこい、A+、EXランクなら十秒だけ対峙できる、それ以下は即座に簡易的な狂化を付与されただその美を求める奴隷となる。
女性サーヴァントも問答無用、相当の自信がないと即アウト。
尚、参加鯖十割が耐性持ち&パッシブ狂化のせいで意味無い模様
更に全ての生物に適用されるため肉盾にはなる。

戦の権能EX
イシュタルはなんか色々盛りだくさんな神様。
その瞳には常に起こり得る未来を写しそしてあらゆる戦い方の原典を修得している。
その技術はそれ一つを極めた歴戦の戦士すら軽く凌駕する化け物じみたなにか。
故にスキルとしては全てのステータスを二段階引き上げそしてその武器の種類に応じて適性に応じて追加で三ランク引き上げる

王権の権能EX
チート
あらゆる『王権』というなにかを司るチート
簡単に言えばアストロンしながらマダンテしてきたり、アルテマウェポン全部使えたり、あらゆる能力を疑似獲得する。


冷たい風が髪を揺らしその空気をはりつめる。

俺には何一つ理解などできなかった、ただ、そうであったのだ。

 

「......どうやら、その顔を見る限り、現実はそう上手く行かないものだな、イシュタル」

 

笑う。

大いに嗤う。

 

この全てを失った怪物は嗤う。

 

「そうね、結局、母さんの神性だけのがわと、本人の破片では違うのよ、後三日ね、私の見立てじゃ後三日でその体が目覚めるわ」

 

 

三日。

 

実に短い

まさに絶望的だ

全くなにも用意などできていない。

 

あまりにも早すぎる。

しかし、これが恐らく人生最後の試練だ。

俺はそう思う。

故に嗤おう

ようやく、全ての旅路が終わるのだ。

ようやく、本当の始まりなのだ。

 

「取りあえずその腕に固まった泥と髪を洗っておきなさい、私はもうすぐ来る奴等の対処に忙しいのよ」

「あぁ、そうするよ」

 

そのまま透明になりその場を離れた後、壁に石を投げ込む。

その石は落ちることなく消え、代わりに一人の人影が現れた

 

「おや、気付いていましたか、結構お気に入りの姿隠し指輪なんですけどねこれ」

 

ランサーはそう軽く口を叩くがその瞳には何一つ迷いはなく、見据えていた。

 

「残念ですがアーチャーいえ、イシュタル、彼に関しては」

「マスターの令呪で手出しできないのでしょ、いいわよ、私は欲しいのであって殺せなんて言わない、ただ、私の本体を引っ張り出してほしいのよ」

「......二日、必ず持ちこたえるのであれば」

「二日ね、いいわ......ねぇ、ランサー、もし彼が『母さんの席に座れば』どうするつもり?」

「......知っていますか?本来のサーヴァントの意味を......残念ですがもうここには元冠位の二騎しかいません、そして、私はマスターの最後の言葉を守ります、では」

 

そう言い残すと光に包まれた後に消滅し、下ではゆっくりとカルデアがなにも知らずに訪れてきた。

 

 

 

川の水が綺麗だ。

いや、冷たい

そっと水を髪に流し、その水は髪を伝って地面に染み込む。

 

「......バーサーカー、もう時間切れだ」

「そうか、一週間......持った方だよ、さぁ命じてくれ、僕はこの全てを使い原始の母を殺そう」

 

ゆっくりと色が元に戻り、歪んでいたものも戻る。

この世界を認識し、意識を取り戻す。

 

「いや、違うな、最後の仕事だ、バーサーカー......俺は逃げない、この体で、訣別をしよう」

 

溢れる魔力を壊れるレベルで礼装と回路に回し消費し始める。

腕から赤い筋が肩を伝わり首に伸びる。

 

死の中に勝利はある。

いつ言ったのだったか、今まさにそうじゃないか。

 

「行くぞ、バーサーカー」

「あぁ、どこまでもついていくよ、マスター」

 

地面を軽く蹴り空に飛び、そのまま流れるように空を蹴って

森林の奥にあった神殿に着地する。

 

 

そこにはここに来ることを知っていたかのように一人の女と一匹のナマモノがいた。

双方、獲物を持ち、構えを取る。

 

「なるほどなるほど、ククルン、南米の植物、神、そしてあの奇抜な格好、まったく、まったく、金星に縁があるなぁ」

 

「アッレレーこれもしかして私が一番弱い?ネーククルーン聞いて......ohガチだぜ」

 

小さい、その小さな神核でこちらを見る。

あぁ、話す言葉も無し。

 

「だが、そうだな、これは試練だ、そして儀式だ」

 

右手から溢れた泥から一本の赤黒い剣が形を成し、握る。

それは冬木に落ちていた一本の聖剣。

 

 

「色は違うがアイツの剣だ......いけるよな」

 

ゆっくりと聖剣に魔力を流し、何重にも強化を重ねる。

急に後ろから現れたナマモノを回し蹴りで吹き飛ばし一気に魔力を解放する。

 

「さすが聖剣!!このレベルの強化に耐えたか!」

 

 

ただの投影品ではくだけ散るレベルの魔力を流すが一切異常もなく、その形を保ち続け、刀身から魔力が溢れそれが一本の光となり。

 

 

光はその剣が振られるとその先を吹き飛ばし、切断する。

 

「......あれ、バーサーカーあの女神どこ行った?」

「上だね、止めようか?」

「いやいい、受け止める」

「そうか」

 

 

そういうとほんの少し距離を取り、同時に一気にその場で回転し、空から落ちるその一振りを打ち合い受け止める。

ただの反動で足を中心に地面にヒビが入り、その重みはヘラクレスの一撃に匹敵するほど重かった。

 

「いっ......?」

「......一つ、いいかしら?」

「善神が何事で??」

「今でも、『人間』は好きですか?」

 

イシュタルの差し金か

それともただその性質なのか。

 

愚問でしかなかった。

故にその剣を吹き飛ばし着地した彼女を見下すようにし、答える。

 

「好きだとも、いずれ人間はあの星の海すら渡り歩こう......」

「ワカリマシタ!!では、私の最大限の答えを見せましょう!!」

 

あ?

 

「剣を捨て?!」

 

一瞬だった、急に戦闘スタイルを変えたこの女神に対応できなかった。

まず彼女がケツァルコアトルで間違いないのはあの剣で察した、だが!!

俺はやつが原典では使っていないはずの『ルチャ・リブレ』を使うなんて想定していなかった。

 

結局地母神の力を引き継ごうが重量はまだ人間、その化け物じみた脚力で怯まされそのまま上空に打ち上げられ。

 

「冗談じゃない!!成層圏......いや、ここ大気圏」

 

このまま空中戦に移行するのも別に難しくはなかった。

だが、これが相手の全力であるのなら別だ。

 

これはもう殺しあいの勝負ではない。

なら全身全霊をもって受けよう。

 

「バーサーカー!!俺とこいつを全力で地面に叩きつけろ!!!」

 

なにかしゃべっているがもうしらねえ!

この燃える神の腕をつかみ全身の強化の段階を更に引き上げる。

 

「グッドラックマスター」

 

そういった瞬間蹴り飛ばし、まっ逆さまに第ニ宇宙速度で落下する。

地表に落ちた瞬間周囲の大地が裂け、揺れ、そしてそのままゆっくり割れた大地の狭間に落ちていく。

 

「俺の......かt」

 

伸びる鎖に手を伸ばし掴むと同時に意識が朦朧とし、そのまま無くなる。

 

 

次に目覚めたときはなにもない世界だった。

 

どこかで見たような、見てないような

そんな女性がいた。

 

誰かはわからない

はじめてあったはずの人だ

だが知っている

本能が理解した。

 

『私』だ。

 

 

「おはよう、遠い遠い、私の子供」

「......こんにちは、遠い遠い、我らが母よ」

 

理解した

把握した

歓喜した

 

絶望した

 

 

「私は...」

「それは当然のことです、そして、貴女もそれは理解している、しかし、『獣』を身に宿す時点でどうしようもない」

 

うつむく彼女を抱きしめ、言いたいことを言う

もう何年も言えなかった

そんな感じがする。

 

「ありがとう、こんな出会いをくれて、もし貴女が私を助けてくれなければきっとあの薄暗い洞窟の底で死んでいました、もし、貴女が許せるのであれば、私が貴女の席に座り、継ぎましょう、こんな抑止、いや世界からつま弾きにされた怪物でも、許してくれるなら」

 

「許しましょう、もう、私は世界から不要とされた、それは解ります、ですから私のことを必要と言ったあなたを許しましょう、きっと貴女はどうしようもないぐらい人類が好きなのね......ですから、堕ちないで、絶望しないで、人類はきっと貴方が望むものになるわ...」

 

「ははっ......隠し事はできないか......悲しいなぁ、こんな暖かさ、親から受けたことがなかったよ......さようなら、創造の神、原始の母、そして」

 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

 

 

 

次に目が覚めたのはどこだろうか。

暗い空

すごく軽い布団

横たわるバーサーカー

 

「起きたか、雑種...いや■■■■■・ラムシュトース、まだ認識できんか」

 

「あぁジグラットか......」

「我はまだするべきことがある、先に席をはずすぞ......」

 

少しふらつきながら記憶を整理する。

俺はあのとき、とんでもない速度で地面に激突して

そのまま気を失った。

 

それだけだったろうか。

 

「......表面には変化なしっと、うん今日は休もう」

 

 

 

 

 

別に俺は無敵ではない

最強ではない

 

虹の魔眼もない

 

希少属性も持ってない

 

魔術で星を落とすこともできない

 

時間を止めることもできない

 

吸血鬼でもない

 

あらゆる攻撃という概念を防ぐ結界もない

 

英雄でもない

 

ただこの星を塗り替えられる程度の魔力しかなかった。

魔術なんてわからない

ただ超高出力で無理矢理威力をあげていただけだ。

ただ全てを圧倒するだけの魔術回路があっただけだ。

 

俺にはそれを何一ついかす方法を知らなかった。

 

だがあいつらは『魔法』を知らなかった。

だから魔法がほしかった。

 

ただあいつらに並びたい

ただ、魔術師としてもありたい。

 

でもできなかった。

俺にできたのはただ、宝石の巨大な剣をつくるだけ。

そんなものになんの価値があった。

 

だから投げ捨てた

逃げ出した

 

逃げるように世界を見た

魔術なんてできない

出来るわけがない

 

何がアベレージ・ワンだ、ただのちんけな魔術ではないか

 

それでも

 

それでもだ。

 

 

『あいつの世界には居たかった』

 

あぁそうだ。

思い出すだけで吐き気がする

憎悪が増す

腸が煮えくり返るような殺意が増す

 

何が知らなかっただ

何がわからなかっただ

 

怒りで狂いそうだ

悲しみで狂いそうだ

あの時初めて作り物ではない『感情』を見た

 

あいつは『世界』を見た

俺は『自分』を見た

 

お互いの見えなかった色を見た。

 

だからこそだ!!!

 

なぜそうなった。

理解したくない

見たくもない

 

あぁそうだ。

 

 

あの血が降り注ぐ夜

 

鬼才『ハインリヒ・ラムシュトース』は神の血で文字どうりの怪物になった。

 

自分でなければ他人事

他人事であれば無感情になれる

見る必要がない

あぁ記憶がよみがえる。

 

 

誰をどう殺したか

家をどう潰したか

人をどう恨んだのか

 

 

「なぁ、シャルロット.....もう遅いけどよ、好きだった......あのほっとけない性格をしているお前が好きだったんだ......初めは似た境遇という同情だ、だが気がつけば......ハハッ......なぜ、ランサーを離して俺と戦ったんだよ!!!お前の魔眼なんざ!!!!俺の魔力には無意味なんだよ!!!!お前がそれを一番知ってるじゃないか!!!なぁ!!!答えろよ...エトワル......シャルロット・エトワール......」

 

殺したくなった。

あの血の夜ほど壊れた日はなかった。

 

 

くっだらねぇ。

そんなもので逃げた。

 

 

「ハァ......弱い、そんななまっちょろい魔術で俺の魔力の壁を抜けるか、魔術師」

 

親であったものの頭を潰す。

あらゆる資料、材料を焼き付くし消し去る。

 

そこからは地獄すら覚悟した。

いっそ死にたかった。

 

だが何もなかった。

たまに殺しに来る代行者だったろうか。

変な剣を持ち出すやつらを殺したり別の生物の苗床にして遊んだり

魔術協会の追ってだろうか、それとも別の組織だろうか、そいつらも魔力をまがしてはボロボロと崩れる肉にして

とりあえずその死ぬ一瞬までバーサーカーの見せた未来を信じた。

 

たった一筋の光は気がつけば道になっていた。

 

おかしな話だ。

 

あれだけ希望を見ておきながら

嘆いて狂って家を潰し

逃げ

気がつけばまた希望に生きている。

 

感情とは言い表せない

 

だが、もうどうでもいい。

過去は過去でしかない

 

やり直す気は全くない。

だが、それ以外はある。

 

そしてわからない。

 

「全く、厄介なものに好かれたものだ、なぁ、キングゥ......どうだい?タイムオーバーを実感した感じは」

 

窓から体をだし、ゆっくりと丁寧にその壊れそうな手を握る。

まぁもちろん、はね除けられる。

 

かなしい

 

「ゴルゴーンに変化があったがそうか......母さんを殺したのか」

「殺していない、ただ『ティアマト』本人をひっぺがしただけだ......あの海の底ではただの獣が眠っているだけの海さ、あんなゴミもう知らない」

「そうか、もう母さんは居ないのか......」

 

少し驚いた。

コイツそこまでの分別ができるほどの形があったのかと。

 

「そうか......記憶は見たか?そして貴様はこれからどうするキングゥ...無理矢理望みもしない母を復活させるか?それともその持ち主に従うか?所詮貴様は魔術王のいや......獣の駒よ」

 

「......僕は新人類だ、例え「つまらん、もう負けの見えた試合だ、敵前逃亡でもしておけ、泥人形」ッ!!」

 

「後はティアマトの名を語る怪物を倒して終わり、身の振り方ぐらい考えておけ......そうだ、良いものやろう」

 

そういい、懐にあった金属ゴミを渡す。

 

「なっ?!聖杯じゃないか!!」

「下らぬ蘇生と願望につこたがそれは正真正銘、神の血を受け止め、膨大な魔力を帯びた願望器、それで今すぐおこすもよし、貴様自信の存在証明に使い新たな生を得るのよし......勝手にしろ、あと明日か明後日、いやもう月が登りきっているから今日か明日か?ゴルゴーン討伐をする、時間をかけて壁を作った王さまには悪いがな......案外、旅も悪くないぞ」

 

そういってふたたび眠りにつく。

 

 

 

 

月が沈み太陽が上ると朝になる。

 

朝早くからとても聞き間違えることもない声が聞こえる。

 

「ええぃ起きぬか我が友!!」

「すやぁ」

 

うーんこの自由人。

 

「仕方ない、我が友、貴様の雑種があの女神に強引に行為に「野郎ぶっころっしてやるぅ!!」起きたかエルキドゥ」

 

「あれ、マスターじゃないか、あれ?」

「バーサーカー......盗み聞きして寝れなかったは通せないぞ」

「そんなー( ・ω・)」

 

「取り敢えず支度せい、これよりゴルゴーン討伐の会議である」

 

 

さすがに決戦なだけありそうそうたる面子だ。

だが、厳しいな。

あの騎士王はどこで道草くってるのだか

 

「諸君、魔獣戦線結束から1ヶ月、よく耐えた、ここまでで一人も脱落者が居ないのは俺も計算外だ、とはいえ、だ、此度の戦い「ねぇーぎるー面倒臭い、僕かマスターならあんなの一撃で始末できるからやろー」まぁそういうな親友ゥ、さて、今回のゴルゴーン討伐はっきりいって余裕過ぎる、我が友ならば確実にゴルゴーン『は』始末できる、しかし『魔獣』はそうはいかない、その総数もとんでもない、そしてゴルゴーンめの巣窟も面倒だ、よって少し前ウルクにぶん投げられたマルドゥクの斧を使いゴルゴーンの巣窟を叩く!!そしてその怯んだ一瞬で決着をつける」

 

対ティアマトなのだがまぁいいか

その後はサーヴァントを分け、配置につかせた。

 

はっきり言ってあの王は知っているはずだ。

狙いがわからない。

 

 

「ねぇ、マスター」

「どうした」

「多分キングゥが壁に来るだろうから来たら雑にぶっ飛ばしてから来てくれないかい?流石に対策してもマスターが万が一気絶したりしたら貧弱な彼らには任せられないから」

「くるかなぁ?」

 

 

そしてその昼のうちに行動は始まった。

 

「さてと、すごい数だ、万は居るな......明らかにゴルゴーンに変化が見える......」

 

のんびりと壁上から見ているととある声が聞こえた

 

「藤丸殿!」

 

なんだこの狸というか

色々酷い服装

 

「おや、私の名前をご存知とは、申し訳ありませんがどちら様で」

「おっと、そうでした、私は『牛若丸』──おや」

 

は?

 

「え?牛若丸?義経じゃなくてか」

「?えぇはい」

「ふ、ふーん、俺の知ってる牛若丸はもっとこう、でかいロボットで......まぁいいか」

 

えー女かよあいつ

 

「魔獣接近!!」

 

その報告と同時に作戦が始まった。

 

さてと、後は雑に時間を稼ぎ、ケツァルコアトルが斧をぶん投げそれをバーサーカーがキャッチ、ぶつけて総攻撃...。

 

無駄だ

 

そんなことにサーヴァントを消耗させるか。

 

 

一斉に魔術回路を起動し宝石を射出する。

 

 

「あまり前線へ出るなよ?この地域は今この時を持ち『晴れ時々爆撃』だ!!」

 

 

複数の宝石が線を結びそれがひとつの魔術回路に変化し無数の剣や槍を戦場全域に降り注がせる。

更に兵士の側には無数の杭を打ち立て即席の壁を作り上げる。

 

「さて、これから三時間ほどなにもなければぶっ通しでこれを展開する、牛若丸、サーヴァント部隊はその後の残敵掃除と来るかもしれないキングゥに備えておいてくれ」

「?!ですがそれでは」

「ハッ...俺の魔力はほぼ無尽蔵だ、もし枯れさせたければあれの三百倍は持ってこい!!」

「......無理はしないでくださいね」

 

そういって壁から飛び降り他のサーヴァントの元へ向かう彼女を見送りその場に足を組んで座り込む。

 

 

「つまらんな、数で勝とうと考えるのがおかしいのだよ、そら、数を増やしてやろう、獣畜生の相手は面倒だ」

 

懐から予備を射出し二重、三重の回路を展開し爆撃を継続する。

投影と強化と射出一体だれの戦法かは知らんがよく考え付いたこのよ、誰に記憶だったかなほんと

 

 

大体二時間が経過したとき、空から急になにかが降ってきた。

即座に爆撃を止め、そこへ向かう。

 

 

「な、なんなんだこれは!!いや、ちがう、貴様か」

「ンンー実に正解、で、そっちの答えはどうだい?」

「僕は壊れるまで人類の敵さ」

「オッケー、さよなら」

 

最大出力で強化し、そのまま回し蹴りでキングゥを切断する。

 

ただ舐められて無かったのか胴体を大きく裂くだけで致命傷にはならなかった。

 

「なっ?!予想以上に速い」

「それはそうだろ、この礼装はかのギリシャの大英雄、ヘラクレスとすらそれなりに戦える特注の専用礼装だ、生半可な実力で挑めば死ぬぞ、キングゥ!!」

 

足を大きく踏み込み大地を割りその足から魔力を流し込んで割れた隙間から超高々硬度な魔力結晶を生やす。

それはキングゥの一部に刺さりはしたがすぐに空へ逃げられ回避される。

 

「冗談じゃないぞ!!!降りてこいキングゥ!!卑怯だぞ!!」

「はぁ?!どう考えたって正々堂々戦える相手じゃないか!!」

 

しょうがないから礼装を脱ぎ久しぶりに半裸になる。

 

「......狂った......いや、その鎖は!!」

 

「あぁそうだよ、バーサーカーが退去するときに残してくれた『天の鎖』さ、この肉体がティアマトであればもうわかるよな?キングゥ」

 

鎖をほどき、それを右腕に巻き付ける。

 

もう侵食がどこまでかは知らないが。

 

本来ティアマトの肉片を混ぜられたのは左足と左腕。

それがなんかいか転移したりしたがもうしらん、胴体の拘束さえなければ。

 

「俺が死ぬかもしれんが全力は出せるなぁキングゥ」

「?!」

 

 

ちょっと光速で地面に叩きつけそのまま心臓に腕を差し込み魔力を流して吹き飛ばす。

咄嗟にキングゥが自分の腕を切り落とさなければこれで勝負はついた。

まぁ流石に無理だった。

 

「ケッ......折角の奇襲が失敗だ、そして強制交代だまったく、楽しかったのに」

 

 

少し下がると空から無数の宝石による砲撃が着弾し首根っこを後ろから鷲掴みにされる。

 

「はいはいはい!!強制交代よ馬鹿!!死にたいの?!」

「いや?楽しいからつい」

「ったくもー....はやく服着て行きなさい、斧も来たから」

「まぁ、あれで数分は無力化したし」

 

体に鎖を巻き付けてそこから袖に腕を通してゆっくりと照準をつける。

 

「よし、斧の飛翔確認、ちょっとマアンナ蹴るぞ」

「え?ちょっと...きゃっ」

 

マアンナを蹴って回転するのに乗っかる。

 

ある程度飛んでいくと下から飛んできたバーサーカーが斧を受け止めそのまま大きく振りかぶった。

 

「ねぇマスター、やっぱりこういうの二人でやるべきじゃないかな」

「いらねえだろ」

「やろーよー」

「......いいよ」

 

そっとバーサーカーと反対側に浮き、斧を抱え、振りかぶる。

 

「せーのっ!!」

 

その掛け声と同時に強化を施しつつ同じ速度で振り下ろす。

その一撃で巣窟は崩壊し奥にある、道がなくなった。

 

「あ、マスター」

「やりすぎだ、どいてろ、とっておきだ」

 

そういい、懐から超小型の一年分の魔力を積めた宝石爆弾で巣窟の瓦礫を一撃で焼き払う。

その衝撃で周辺の木々が凪ぎ払われ爆心地は無惨な焼け跡にこそなったがまぁ道があるからいい

 

 

「あーあー、まじで残弾でなくなりそう」

「まぁ巻き込まれただけだしね、それでも十分だよ」

 

「さてと、じゃあゴルゴーンを一撃で始末しようかマスター」

「そうだな、もし反射されたら大変だしな、一回で死んでくれないと痛い」

「はいはーい!!そーんなお悩みの二人に朗報だよー」

 

「マーリン......」

 

爆心地で雑談をしていると急に変な鎌を持ったマーリンが花びらと一緒に登場し渡してきた。

 

「不死殺しハルペー、アルトリアがどこからか持ってきてくれた奴さ、これで一撃でぐさーって行ってくれたまえ」

 

なにやってるあの王様

 

「ふーん、じゃあいこうかマスター」

「そだね、助かったマーリン」

「いやいや、君達の物語はきっと希望はや絶望ではなく、冒険であるというところに惹かれただけさ、できれば別の世界であった君とアルトリアの冒険なら満点だったのだけどまぁ運命なんてそう......っておーい」

 

 

 

 

「うーん、効率が悪いねマスター、人間の使い方がなってないよ」

「......あ、あぁ、俺ならもう少しましな苗床にするよ、これはどう見ても苦しめたいのが表に出すぎている」

 

少しバーサーカーの言葉に同様はしたがその返しに嘘はひとつもなく、不意に出た本心ではある。

正直このまま巣窟を潰すと思っていたがなぜこうやって残すのだろうか。

 

「ここだね......さてこのハルペーでぶち殺す前にマスター、泥浴びしようか」

 

殺す気だろうか?

もう一回あの苦しみを?

 

 

「......泥被ってぶっ」

 

「はい終了」

 

どこからか作り出した水瓶に泥を入れて吹っ掛けやがった。

コイツ正気じゃ

 

あれ?

 

「???? そりゃ」

 

泥の池に身を投じ沈む。

視界は最悪だがもう何一つ悪意も、なにも感じない。

 

「ハハッ......泳げるぞこれ」

「マスター、そこ危ないから逃げた方が」

 

少し頭が重いがその程度の汚染しかできないのだろう。

 

何が聖杯の泥だ。

三倍濃いの持ってこいってんだ

 

ある程度動かしていると流石に全身が疲れ始めてきたから泳いでバーサーカーのところに戻り袖に入り込んだ泥を流し落とす。

 

ただやっぱり泥だった。

ただ『ティアマトの肉体』を受け入れていたからだけでそれ以外の部分の塩基配列が明らかに違っていた。

 

「うえ、なんだこれ常人じゃ痛みで即死だよ」

「まぁ、マスターの現状って『ティアマトの依衣』だしね、今はそう耐えれると言うよりも当然なことだから無傷であって多分、ティアマトを殺せばそれも終わりさ、だからこそゴルゴーンで死ぬことがなくなる、流石に即死させきれず反射で死なれたらあれだしね」

 

取り敢えずなんかいた巨大な生物をバーサーカーが雑に谷底に蹴り落としハルペーを持って高々と叫ぶ。

 

「でてこいゴルゴーン!!さもなくばこの巣窟を一撃で破壊する!!繰り返すでてこいゴルゴーン!!」

 

暗くて見辛いから雑に天井を吹き飛ばして穴を開けて光を取り込む。

多少の霧はあるがそこにはゴルゴーンほどの巨体は存在せず。

 

変わりにキングゥがのこのこ降ってきた。

そしてその後ろを応用にイシュタルやマシュの奇襲部隊も突入

 

 

「役者は揃ったか、バーサーカー......ゴルゴーン居ないの?」

「いや居ない、もう消滅している、ついさっきまで居たんだが、転移か?」

 

流れが止まる。

 

しょうがないと言えばそうだ。

ゴルゴーンが消えた。

 

「え?いや、母さんはここに......」

 

キングゥが口を開いた瞬間だった。

 

 

世界が割れるような錯覚を起こし、その場に倒れ込む。

あぁ、倒した。

いつかは知らないがゴルゴーンは倒され死んだ、ならばどうなる?

大方、本体はマーリンにでも邪魔をされて起きるに起きれなかった。

 

「先輩?!マーリンさんも!!」

 

「...予定より前倒し過ぎるがまぁいい、ようやく母さんのお目覚めか」

 

勝てないくせに

解っているくせに

 

もはやティアマトでもない装置に

 

「くだらねぇな......キングゥ、あれだけ警告したのにな」

 

ゆっくりと立ち上がって準備を整える。

 

「いったろ、僕は壊れるまで敵だって」

「そうだったな、マシュ!!俺はここで少し死んだように寝るからイシュタルのマアンナに乗ってジグラットへ一直線に帰還!!原初の女神ティアマトが顕現したと報告しろ!!」

「先輩!それではマーリンさんが「放っておけ、もう無理だその男は...それともなんだ遅れて全滅するか!!」わかりました、イシュタルさん!!」

 

 

すぐさまここを抜けるイシュタル達を見た後マーリンの前に座る。

 

「さてと、いつまでそうやっているきだ?はやく帰れ」

「やだなー、それってつまりアルトリアをひっぱてこいってことじゃないか、僕の意見じゃ聞いてくれないよ」

「出来なきゃ俺がティアマトに成り代わるだけだ、泥掃除ぐらいやれ、勿論走ってこい」

「買いかぶりすぎだなー、僕にそこまでできるわけないじゃないか」

 

そういいながら適当に消えたマーリンを見送ると同時に押さえていたモノを吐き出す。

 

それらは一瞬にして全身を多いそしてその内側から吐き出し続ける。

 

「うーんこの赤い線と黒い帯の服装、好きじゃないなぁ、どう思う?バーサーカー」

「そうだね、獣臭いね」

「そっかー、じゃあちょっとここから超本気の大勝負と行こうか」

 

 

洞窟を抜け空に上がる。

光景としてはまさに地獄絵図。

 

海の向こうから無限に迫り来る黒い謎の生物。

 

「まぁ、すべて救うのは無理だ数千匹は逃すけど許せよ、何せ相手は十万はいるからな、泥はしらん、生きろ」

「はいはいマスター、周辺の街は僕が警備するから、定期的に連絡してね」

「オーケー」

 

 

一斉に各地に雑に展開していた回路を連鎖起動させて無数の魔術による砲台を展開する。

 

「狙わなくても当たるな、これ」

 

距離こそとんでもなく遠いがそれでも余裕で海の向こうまで届く無数の砲台からの継続的な砲撃で大半の生物はたどり着くこともなくそのまま黒い海に沈む。

とはいえ流石に多勢に無勢。

 

学習能力が高いのか死んだ同胞を肉盾に突撃し、確実にその数を増やし始める。

 

 

「さて、住民の一部が壁を通ってこっちに来ている辺りウルクにはあれの備えは無いか...まぁそうか、まだ一月かそこらだしな、即席の鉄壁であれを防げるのだろうか?」

 

雑ではあるがウルクの手前に宝石を射出し厚さ三十メートル、高さ一キロの鉄板を連続で射出し壁を作る、出来る限り隙間は無いように敷き詰めはしたがそれでも防ぎきることはできず一撃でその雑な骨格は砕け、そして補填。

 

それを済ませ一波こそ防げはしたが多分次は無理と言う感じではあった。

 

「流石に使いすぎたかな?まぁイシュタル以外にここまでフルバーストしたことねえもんな、やっぱやめだ、ビーストにタイマン張ろうとした俺が馬鹿だ、それどころかあれまだ本体じゃないだろ、まぁいいや、俺にも意地がある、やってやるよ、『人類の叡知の炎』」

 

複数の砲台を分解し、巨大な一つの回路に変形する。

それらから十個の巨大な塊を作り出しそこに魔力を流し込み。

 

「取り敢えず聖杯の泥にはご退場願おうか」

 

 

装填を済ませ投下地点を頑張って探る。

本来こんな超々距離爆撃はできないが肉体が死なないお陰で死ぬダメージを毎秒食らおうと一切問題ない。

 

そもそも現代の人間が神を殺せるか、答えはできる、そいつが怪物になればいい。

 

「しかし神を殺すのは人の役割だ、こんな化物の力で勝てる訳がない、そう『勝てないのだ』ゆえに足止めにはできよう、見るがいい原初の女神を騙る怪物が!!これが人が至った究極の兵器!!そして叡知の結晶である火である!」

 

一斉に投下されたそれは空中で爆発し

同時に十個の巨大な爆煙をだしその海を焼き払う。

 

その強烈な光と爆風が収まるとそこには泥と海の半分は消え失せたが残りの半分から再び泥が溢れだしゆっくりと海を満たし始める。

 

反則じゃないか?

 

「あーあー、マスター定期報告」

「あ?うん、ごめん無理、流石に海すべては消せねえわ、魔力七割は消し飛ばした」

「まああれだけ豪勢に砲撃してたら無くなるよ、取り敢えずこっちも収まったから回復しつつ来てくれないかい?シドゥリさんや街の人達が重症でね」

「わかった、すぐ行く」

 

 

キングゥはどこだろうか。

そんな軽い雑念を持ちながらパスを頼りにバーサーカーの元へ飛び出した。




オマケマテェ
糞雑魔術師比較講座
いぇーい


オリュンポス感想
キリ様まじキリ様。
なんだろうね、あれ
良いよね


てなわけで糞雑比較と雑な理由紹介
比較メンバーは前作マスター組(名前未出はクラスマスターで)、クリプター(後半二人はまだわけめだから抜き、たかがグランド持ってこられても話にならないし)と成長ハイン君(GO仕様)

比較基準、魔力量、回路、属性、できること
簡単に言えば合計種族値の方が近いね

EX(比較不能) アレ...もとい芥ヒナコ

A++(メガミュウツー)剣マス、シャルロット・エトワール、ハインリヒ・ラムシュトース(成長)

A+(だいたいメガ600属)ハインリヒ・ラムシュトース(前作)、弓マス

A(600属)騎マス、殺マス

B(500ちょい)キリ様、おへーちゃん、術マス

その他?知らねえ、話にならんざこですはい

こう見ると無駄にMPだけ多いハイン君強いね、無いけど魔術師ルート踏めば無敵そう
MP二十桁マダンテとかできるからね


じゃあ考察しよう
おへーちゃんとキリ様ならギリギリご都合主義で強化して勝てるのでは?
結果は無理だった。

別に『魔術師』としては普通に絶望的差があったけど喰らいつくのは問題なかった、まじチートの二人がアレなだけで他はまだ届く。

問題はサーヴァントだ
前作は『マスター中心』の話をしたいから全マスターが戦場で殴り合えるほどの化け物になってそれ似合わせて『その化物を軽く殺せる』サーヴァントまみれなのだ。

更にストーリー的には
『全員に必ず喧嘩を一回は売るマジキチハイン君』、『一回は偵察に来る問答無用女神イシュタル』、『グガランナ』は回避不能なのがひどい
これのせいで一定のステータスないと
ハイン君orバーサーカーを防げずエンド
イシュタルに魅了されてエンド
グガランナに潰されてエンド

無理すぎる
ヘラクレスレベルのあばれっぷりをするマジキチハイン君を止めれるステータスで尚且つ高すぎるとバーサーカー召喚で神性あると即拘束デッド

すぐ来るイシュタルに魅了対策しないと即エンド

雷一発で生半可なサーヴァントは即死するから最低限のステータスも必須

はめ殺ししようにも唯一効きそうなハイン君はクソコテマジキチ理論で全特殊攻撃無効だしというか触れたら即過剰魔力流されて爆散即死

隙有ればクズトリア奇襲でデッド

更に魔力A無いと即石化するシャルロット魔眼

攻撃範囲が街一つから大陸規模で威力が比喩抜き自然災害の剣マス

更に強制夜間暗闇での夜間時絶対先制攻撃(即死攻撃)できるジャック×100への対応力

時間停止からの全防御貫通攻撃の義経

実質ソロモンなダビデ

純粋にヤバイ理性ありヘラクレス

はっきりいってカルナさんを呼んで全力で生き残ることだけ考える方が可能性ある

一見するとあの糞チートスルト君いけんじゃーんと思う。
ダメだった。

普通にアヴァロン並みにやべーのもってる奴とか、神性特攻とかいたわ、とゆーかスルト君出ると普通に強制バッドエンド要員のガチイシュタルに宇宙放流刑にされるわ。

カイニス?
リスキル大会でもするかい?それとも永遠と潰されているか?

ディオスクロイ?
だから神性持つなカス

アトラス?
神性持ってる時点で負け確

まじでやり過ぎレベルだから酷い
結構下位設定のハイン君が糞暴れる時点で知ってたけど


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『回帰の獣』

マエマテェ
特になし!!

よしそうだな、どうしよう。
糞雑豆知識
ハイン君のキャラは桜ベースだけど
意外とドーナツホールが合っていた。あれ2013の曲だった

それと気分が変わったのでやりたい予定のために



マシュは死にます、マシュが弱すぎるのが悪かった。
ハイン君が弾になる理由がなさすぎる

それはそうと
ラフム語しっかりできているか心配だ


ウル

 

そこかしこに食い散らかされた謎の生物が転がり正直気のいいものでもない。

まるで居もしない自分の子供を友人に食い殺されたような感覚と言うべきか。

 

「被害が大きいな全滅は無いだろうが少なくとも文明そのものの大打撃というべきか、あれだけやってもこれか」

 

ゆっくり歩いて残った生存者を探していると街の中央広場に出た。

そこでは大量の怪我人が横たわりはっきり言って手遅れもいた

 

「......バーサーカー」

「マスター...流石にこれは僕の失態だった」

「キングゥにでも邪魔されたか?」

 

こいつの殲滅速度を現状止めれるやつは一人しかいなかった、故にどのようになったのかも大方見当がつく。

 

「あぁ、それと少し様子がおかしかったんだ」

「様子?」

「『あの謎の生物がキングゥを攻撃した』」

 

なぜだ?

なぜキングゥを聖杯か?

いやまて、そういえば俺はまだこの特異点の聖杯を

 

下手打った。

あの泥の波の内側にいた

虚数にいるティアマト本体をキングゥの聖杯でもってくる気だ。

 

 

「やっぱりあれは一部か、取り敢えず次は無いからさっさと馬車にでもなんにでもいいから壁に逃げろ、タイミングによっては全滅もあるぞ」

「もう手筈は済んでいるよ、今は逐次負傷者と物資を乗せて移動中、後はこの広場にいる兵士三十人と重傷者を残しているだけだ」

 

さて、どうしたものか

本来の計画なら虚数で出られないティアマトに斧と精霊兵装ぶつけて安全に消すつもりだったがどうしよ。

せっかく賭け事に勝ってティアマトの神核疑似獲得して虚数潜航出来るようにしたのに出られたらどうしよ。

 

「めんどくさいことになったな、愛が無いおかげで容赦なくやりたい放題するぞあの獣」

「正直マスターは気づいているのではないかい?『虚数海で殺さないと詰む』って」

「あぁそうだよ、この体だからわかる『ティアマトは生命が存在する限り不死身』だ、大方全ての母だから生物がいれば逆説的自身の存在証明になり、だから『生命の無い』虚数空間で決着つけるつもりだった、そのためにとんでもなき確率の低いティアマトとの接続して、ティアマト消してその霊基使って倒す、これで済ませたかった」

 

生命の無い?

ん?

 

生命の無い

 

「......なぁ、バーサーカー、『冥界』って命無いよな」

「なるほど、それはいいね、彼女なら冥界まで物理的に開けてしまえば後は何とかしてくれるはずさ」

 

問題は出てくる事だ、どう止めようか。

思考を交わそうとするがもう疲弊した回路を休ませる意味でも考えられなかった。

そのため、代わりに一つの答えが出た

 

「バーサーカー、キングゥ探そうか」

「疲れたんだね、でもそれもいいかもしれない、向こうの森の中に消えていったよ」

 

軽くバーサーカーが木に触れると直ぐにまるでわかっているかのように飛び出し、森の中へと消えていった。

 

「はえーよ」

 

直ぐに後を追うように木を蹴ってバーサーカーを追いながら森の奥へ入った。

 

 

大体三十秒だろうか。

直ぐにバラバラに引き裂かれて木にぶちまけられていたキングゥを見つけた。

 

「うーん、マスターこれ死んでる?」

「......いや、まだしがみついてやがる、死ぬ一歩手前でこいつバーサーカーの肉体に馴染んだな、ここら辺の地面一体と無意識に同化して意識だけ上の空だ」

 

 

服の中に手を突っ込むとそこには渡したはずの聖杯がまだそのままで吹っ飛ばされた腕で握られていた。

 

「......なぁ、バーサーカー、今からやること、許すか?」

「僕は許すよ、僕はキングゥという新たな生命の誕生を祝おう、でも彼が許すかは別さ」

 

「ありがとう、決心がついた」

 

そういって自分の腕を切り落としそこから溢れる『泥であり生命の海』をキングゥにぶちまける。

その泥は大地に染み込み少しずつ元の形に復元し始める。

 

「炉心に持っていけ」

 

掴んでいた聖杯を復元した心臓部に捩じ込み取り込ませる。

まだ意識は回復していないが再起動はしたと確認し、腕を再生する。

 

「お前の命の為に人間の腕一本、安いものだな......」

「治るのなら安いさ」

「うるせぇ、帰るぞバーサーカー」

 

再び空を飛び、ウルクへと帰還する。

 

街並みは正に最悪。

もう滅んでるとしか言いようがないくらい悲惨であった。

 

とはいえ、街がだめなだけでウルほど人の被害は少なく、まだ打つ手は残っていた。

 

「ただいまーギル......ってふざけるのも無理か」

「いや、今空気が重くなっていたところだ、そうやって和ましてくれるのも必要であろう。雑種、今すぐ損失分の魔力を回復しておけ、会議は聞くだけでいい」

 

軽くうなずき適当な壁を背もたれに寄り、耳だけを傾ける。

 

「さて、俺の眼ではもっと未来でこの光景が浮かんだ、現実は残酷なものだ、『一騎の脱落』もなく、ゴルゴーンを除く全ての女神の協力を得てもこのような未来になるとはな」

「王様、今戦力として数えられるのは」

「たわけ、そこの雑種以外どうやってティアマトを倒せようものか、エレシュキガルめにいずれ現れる本体を落とすことを提案しても三年はかかると来た、と、なれば雑種の切り札を使うしかあるまい」

「待ってギル!!流石にまだ規模もわからない、いや、少なくとも」

「現状本体の居ないティアマトにマルドゥークの斧は無駄だ、そしてあの攻撃を防ぐことに雑種は魔力を使いもう一撃叩き込むのがやっと、イシュタルめはあんな小娘、そして我の呼んだサーヴァントになにができる?護衛が精々よ」

 

正論でしかない。

アレをしなければウルクは確実に滅んだ。

ティアマト本体出現ももう秒読み

 

そしてグランドクラスは出そうにないと来た。

 

「......さて、カルデア、あの泥は何日でこのウルクを飲み込む」

「ざっと計算して一週間、もう一回だけ藤丸くんがあの爆撃で消し炭にしればそこに4日ってところだ」

「雑種」

「誰があの無数の生物を止めると?」

「もし、マスターが同じことをすれば今度こそ本当のガス欠になるかも知れないとなると手札が切れる、か」

「そういうことだ、もう少し時間があれば対ティアマトの秘密兵器もあったが、壁で手一杯だ」

 

さて、バーサーカーがそろそろうずうずしだす頃か。

もうすこしマシュが絶望に浸っているのを眺めたいがこれ以上は杖からビームが飛んできそうだ。

 

「そうだね、本当にそうだハハハハ」

「エルキドゥさん?」

 

ちらっとこちらを見るバーサーカーに片目だけ閉じて反応する。

 

「そうだねぇ、イシュタル...勿論グガランナはあるよね?」

 

あ、やべ

こいつ

 

「そうでした!!イシュタルさんにはかの有名なグガランナが」

「ハハハハ。そういえばあったなそんなものが、よし今すぐ持ってくるがいい、所詮貴様はグガランナのおまけよ、さぁ」

 

うーんこの

まぁ辛いよな

 

ここまでグガランナに期待されているのに持ってないとか。

あとあの生物うるさいな

 

「ありません」

 

「よし糞女神、今すぐこっちこい、泥に潰えて爆弾にしてやる」

「え」

「はっ......」

「......」

「グッガランぐえっ」

 

 

「ありません、グガランナ」

「????......ねぇ、糞女神、確かにグガランナはあの聖杯戦争で僕とマスターが木っ端微塵にしたさ、でも新しいの用意したよね?」

「ハインr......藤丸に夜這いしたり、遊んだりで夢中で忘れてました」

「そうかそうか、ねぇギル人一人はいる壺持ってきて」

「あぁ、衛兵!!俺の蔵から適当な壺をもってこい!!」

 

 

 

「あ、あの先輩......イシュタルさんの話は本当なのでしょうか」

「まじだよマシュ...あいつすごい強引だから注意しろよ」

「はい...」

 

血抜きもされていない牛のモツ一杯の壺に石板もって漬け込まれた駄女神を置きながらキャンプファイヤーみたいに木材を積み上げるバーサーカーをよそに王様が仕切り直す。

 

「さて、そうなると手がないな......仕方無い、情報が少なすぎる、明日、威力偵察に出掛ける、今宵はこの駄女神でも焼いて灸を据えるとするか」

 

いくら話しても決定的なものがなければ進みはしない。

ぞろぞろと大使館に戻っていくのを横目に組み上げられるイシュタル焼きの壺を覗く

 

「ちょっと待ちなさいよ!!本気!?ねえ本気?!」

「流石に焼きはせぬが月は沈むまでこうしておけ」

「あぁそうだね油を忘れたよ」

 

殺意高いなぁ

 

「ほら、イシュタル、手伸ばせ」

 

流石に見てられなかった。

手を伸ばしゆっくりと引き上げる。

 

上から油をぶっかけられながら。

 

 

「マスター!!着火しよう」

「まぁまぁ、落ち着いて......」

「マスター?」

「ハインリヒ......」

「雑種...流石に我も引くぞそれ」

 

「俺が一番キレたいんだよ!!」

 

腕を裂いてイシュタルの顔面から盛大に泥を浴びせかける。

 

「お前さぁ!お前、お前だよお前、お前!!」

 

壺を逆さにして封印し適当に腕を突っ込んで周辺を補強して泥を流し込む。

なんか騒いでいるがもうしるか

 

「アァァ?!聞こえねえ!!沈め!」

 

「......我が友」

「まぁ、色々あったんだよ、ギル」

「......」

 

そういえば泥って燃えるんだよなたしか。

 

「はい着火」

 

中でさんざん暴れまわったあと無傷のぐったりしたイシュタルを担ぎ、バーサーカーの部屋に入って雑に捨てておく。

 

「マスター、大型のゴミは専用のところに捨ててくれよ」

「サンドバッグにつめるか?」

「いいねぇ、そうだ」

 

急にバーサーカーが布にイシュタルを包んでそこに綿を詰め込む。

 

「糞女神抱き枕」

「これは酷い」

「よしこれを敷いて寝よう」

「絶対寝起き悪い奴だよバーサーカー......」

 

 

 

そのまま眠りにつく。

 

目が覚めたとき、そこは草原だった。

一人の男がいた

一人の兵器がいた

 

二人はその死力を尽くし、殺し合い、そして笑いあった。

あのときの朧気な記憶とは違った。

 

男は新戦術といい無数の門を開けそこからあらゆる宝剣、槍、戟を飛ばした。

兵器はそれ『非効率』と言い、体や地面から生えた鎖が的確に反射、迎撃する。

 

その戦いに気が付けば見とれていた。

楽しそうだった。

全く、『背負っていない』ただ純粋に殴り合いをしているだけだ。

考えてはいない。

 

俺は知っている。

この夢を

あのときはなにも聞こえず

なにも理解できず

ただあの、男の戦いを模倣したにすぎなかった

 

確かに、今見ると非効率だ、狙いも正確だが故に防ぎやすい。

戦いは決した。

 

『無効』勝者なし

でも、これはそれでいいのだろう。

 

 

 

 

 

 

「...寝ながら抱き枕に関節技決めてる......折れてね?」

 

相変わらずの殺意の高さにどこか笑いすら感じ始めるが。

取り敢えず抱き枕を引っ張って中身の女神...いねぇ

 

「気分は最悪だな、なぁ女神様♪」

「......全く、せっかく本体のテクスチャ張ったのに」

「テクスチャ......ねぇ、全く、厄介な奴よ、ただそこにあるだけで何もかもを変える、あぁそれと、右に避けろ」

「?...ってあぶなっ」

「むぅ、マスター」

「今日明日までの関係だ、耐えろ」

 

 

毒牙の生えた腕から振り下ろされる手刀は空を斬り、そのまま壁を切り裂く。

 

「先に行っている、マシュは連れてくるな、あいつはまだ死ぬわけにはいかないからな」

 

窓から飛び降り、魔力を噴射して泥の海へ向かって飛行する。

 

 

海岸線にたどり着くとその先の海底を少しずつ今も泥が侵食し迫ってくる。

 

「6t3xy?」

「......目がないのか?いや違うな、目も耳も鼻も無い、だが、魂は感じ取れるのだな......あぁ、そうだよ」

「6t3xy!! bbg:y f7hms@zw」

 

囲むように謎の生物が回り込みどんどん海の方へ誘導していく。

 

「6t3xy......3;w@m3zaim」

 

「ダレダダレダ カアサンニチカイケドチガウ」

 

なんだあの羽の生えた進化形喋り出した。

それどころか認識できるのか?

 

「t3xy?ipmk?」

「3l5ue t3xyq@ ipmkk0:t@ue」

「チガウ?チガワナイ?ワカラナイ!!」

 

あぁやっぱり誤認しているな、とはいえ、隠しとおす前にか。

 

空から雨のように降り注ぐ鎖や宝石の爆撃で塵も残さず目の前で吹き飛び消滅する。

 

「やっぱり、彼ら、誤認しているようだね」

「あぁ、気を付けろ、あいつら、俺とティアマトを混ぜ込んでみているからお前らを全力で殺しに来るぞほら来た団体様だ」

 

あぁ、空を呑むような。

圧倒的な数が迫ってくる。

 

だが、問題はない。

その塊は二つに裂けそして後ろを追ってくる二人に飛び込み、はたき落とそうと躍起になっている。

だが所詮生物だからだろうか。

 

悲しいな、所詮生き物なのだ。

 

「げぇっ...僕一人狙いか」

「あらあら、残念ね」

「綺麗に貫通させまくって言うことかい?バーサーカー」

「しょうがないなぁ、あまりダメージは負いたくないから本気でいこうか」

 

真後ろだからわからないが急に怪物同士が同士討ちを始めだしたり、破裂し、明らかにおかしな状況に困惑しているのは確認できた。

 

「たとえ、直径マイクロほどの糸でも僕なんだ」

「相変わらずえげつないな......どうやら出てきたか」

 

 

ほんの数百メートル奥

海面にそれはいた。

 

いように巨大な角

星を写したような瞳

水色に近い長い髪。

 

確かに

獣がいた。

 

「さてと、本体引きずり出さねえと倒せないからあの頭吹き飛ばすか」

「まぁ待ちなさい、それに関してはあの無駄にうるさい王様から良いもの貰ったから」

 

そういい、イシュタルが腕をつかんだ瞬間察した。

 

「あぁ、なるほど、何でもありだな...バーサーカー!!」

「さて、補填の仕方は一通り聞いたけど、因みに三画渡すから全部使いなさい、倒すことはできなくてもいいわ」

 

 

「令呪を以てして与える!!今一度その偽りの霊基を砕き、その真の姿を顕現せよ!!重ねて命ずる!!見事この原初の神を殺し人の世界をはじめよう」

 

「了解だ......マスター」

 

残っていた令呪全てを消費し同時にイシュタルから三画の令呪を譲渡してもらい、虚数空間に入り込む

 

 

星を映す無の海

 

そこにあって存在しないもの。

 

そんな無であり有の中にいた。

 

それは巨大であり

壮大であり

禍々しい。

 

 

 

「......Aaaaa!!」

 

視た、視た、視た

 

捉え、量り

 

「起動、令呪......装填、把握」

 

 

手から少しずつ構成されるする一本の巨大な剣がこの世のあらゆる現象を崩壊させ、ねじ曲げる。

剣は七色に光だし、ゆっくりと回路を焼ききってくる。

 

「捕捉完了」

 

 

世界を塗り替え固定化し、そしてティアマトを両断するように切り裂く。

斬ることこそ簡単ではあった

 

 

だが、消すことは難しかった。

 

「A,AAAAAAA!!!!!!!」

 

耐えた

いや、大きすぎた。

 

重すぎた

 

「......時間切れだ」

 

砕け落ちる角や外殻が沈んでいきゆっくりとその巨体が引き上げられる。

これが最大だった。

 

最後のチャンス。

 

『無防備』なティアマトを叩く。

このまま指を加えて見るのか?

 

 

もうなにもできないか?

 

 

「まだ、諦めねぇよ」

 

服を脱ぎ去り鎖をほどく。

魔術回路を無理矢理起動し。

 

出来ない投影を実現させる。

 

 

「まだ殴り足りないんだよ...もうすこし付き合え」

 

作り出す

造り出す

つくりだす

 

 

まだ一撃

もう一撃

 

まだ砕けることは出来ない

だが見逃せない。

 

故に投影する。

 

神の鎖を

人と神を繋げる鎖を

 

無い記憶を掘り起こす

まだ精度をあげられる

記憶はない

だが縁はある。

 

もう頭部は抜けたがまだそのでかい胴体は残っている。

 

「投影開始......」

 

 

一本

また一本

 

鎖がその巨体を留める毎に魔力を奪い続け全身の回路を破壊する。

明らかに無駄かもしれない。

人一人になにができる?

 

何でもできるさ。

 

だが、それ以前に。

 

 

『ただなにも考えず全力でぶつかりたい』

 

これで負ければその程度さ。

 

「......宝具......投影...対象......」

 

探す

探る

記憶を潜って探す

 

最強の

究極の

原典

 

あらゆる武器兵器を超越する

 

究極の一

 

世界から色がなくなる。

音がなくなる

感覚が消滅する。

 

死んだ

 

どうみてもやりすぎた

 

それでいい。

死んでしまえば感覚がなくなる、つまり無敵

 

もっともぐる

 

もっとさぐる

 

 

持ちうる全てを越えるナニか

 

 

「なんだったかな......ワカラナイや、でもキットコレだ」

 

一本の鎖に巻き付けられていた剣のようなナニか。

 

それは剣と言うには刃は丸く

ドリルというには尖っておらず。

 

されど

その三つの層はあらゆる概念

あらゆる世界を

 

切り裂く

 

「投影開始......対象『乖離剣 エア』死ぬなこれ」

 

察した。

死ぬ

 

造れない

 

だがそれで諦めるのか?

死んでもごめんだ

 

数万本の魔術回路を潰し形を造る

数万本の回路潰し機能を造る

数万本の回路を壊し暴走させ形にする。

 

「ハァ...ハァ......不味いな、眼球が壊れた......でも、『自分の位置』ぐらい把握できる............最大出力」

 

魔力を流し、魔力を取り込む

その三層の円筒は別々に回転し無いはずの風を巻き起こす。

 

「フッ......今さら察したか...もう首は出ているため攻撃はできんな......さぁ、現世への回帰の土産に貰うが良い」

 

その荒れ狂う剣を下に突き立て空間をねじ曲げ

巨大な力場を造り出す。

 

打てば死ぬ

それは不味い

だから意思で生きる。

これでいい

 

 

「『是・天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」

 

振り下ろす

その一撃は世界を裂く究極の一撃

今できる最大の一撃。

 

いずれ越さねばならない頂点。

 

 

ゆっくりと沈むように重く、浮上する。

本当にもう打つ手は無くなった。

 

ズタズタに引き裂かれた魔術回路を復元する余裕もなく

後はもう、天運まかせだ。

 

ゆっくりと瞳を閉じて泥の海に浮上する。

心臓もゆっくり機能を失い

脳に血が流れなくなる。

 

 

 

 

 

 

死ねない

死んでたまるか

 

まだだ。

 

まだ殺ってないだろ

 

魔力しか無い俺に

魔術なんてちっぽけな俺に

 

こんなところで退場する資格があるか。

 

無い!!

無い!!

 

動きだそう

暴れよう

世界を見よう

 

俺は止まらない

 

暴走した重機関車のように

狂った思考回路を回せ

神代の世界を乗り越える夢を見ろ

肉なった足を固めろ

潰れたをえぐり、作り直せ

 

無限の魔力で生き返る

やってみる

成功するまでやってみる

 

 

「......バーサーカー......ここは?」

 

目が覚めたときそこは暗い天井だった。

全身に傷はなくしかし魔術回路の本数は大幅に減っていた。

 

「僕の部屋さ、今は死にかけのティアマトをどう倒すか模索中さ」

「そうか、それは良かった.....」

「そうか、マスターは『僕の言葉』がわかるんだ......」

「?」

 

ゆっくりと起き上がり背中を壁に着けて、近くにあったリンゴを食べる。

もう、どんな味だったかもわからない。

 

「なぁ、バーサーカー...魔力供給はできているか?」

「一応は...きっとあっちで何かしたのだろうけどここまでするかい?」

「うるせぇ、ただ『全力でぶつかりたい』だけだ」

「なるほど......イシュタルの時と良い、本当にマスターは」

 

のんびりと話し合っているとドアを叩く音が聞こえ

有無を言わさずそれは入ってきた。

 

「......ランサー...ずいぶん遅い登場だな」

 

ある意味当然であった。

こいつ以外だれがイシュタルの本体を持ってこようか。

 

「えぇ、実を言うともう少し遅く来る予定でしたが色々予定が増えたのでマーリンを引きずりながら少し早く来ただけです、因みに皆さんにはマーリンだけが来て、私が来ていることは伏せているので」

「相変わらずで、それで?」

「マスターの令呪に従い、護衛にですよ」

「......透明背後奇襲、聖槍絨毯爆撃、超遠距離聖剣を平気でするランサーも結局騎士って訳か」

「いや、その、それはただ聖杯がほしくて」

「ハハハッ...聖杯欲しさのそこまでできるのは君だけさ、お茶いれてくるよ」

「バーサーカー?また狂化が」

「お茶いれてくるってよ」

「あぁ、なるほど」

 

 

取り敢えず立ち話もなんだから雑に椅子を置き座らせる。

 

「......勝てるか」

「不死のまま殺す、現状それができるのは私だけですからね、恐らくハインリヒがもとに戻るまでの時間稼ぎが彼等には関の山でしょう」

「そうだな、ランサー......」

「全く、止めることはしませんがあまり無理は勧められませんよ」

「そうだな」

 

「は~いシドゥリが作ってくれた軽い夜食だよ~」

 

軽い?

ケーキだろうか

パイというか

 

どいでもいい

軽い?

 

「おい、ランサー、軽いとはなんだ、俺には明らかに宴会でも始めるような量に見えるぞ」

「......いや、その、バーサーカー......私も流石に」

「あぁこれの九割は糞女神の分だから、まぁ食べるけど」

 

駄目だこれ。

麦酒まで出てきた。

 

「......わぁおいしい、冷静に考えればほぼ雑に焼いた魔獣か生の魔獣の肉しか食ってなかった......」

「やはり立地でしょうか...」

「あーうん、イギリスって産業革命辺りも含めて雑というか栄養供給しかみていないというか」

 

 

 

 

「...邪魔するわよ、ねぇ、私の分は」

「あぁ、もう食べたよ」

 

これは酷い

けど、気にすることでもないか。

 

「どういう構造しているのよ...まぁいいわ、明日貰えば良いもの」

 

まぁ良いかですむのかあの量はという疑問は捨て置き、取り敢えず本題を確認する。

 

「で、あの王様どう止めると」

「私が物理的にウルクの穴を開けて母さんを叩き落とす、それだけよ」

「いくらあの死にかけでもそう持つか......」

「でしょうね、まぁ、もう見えているんじゃないかしら、あの金ぴか」

「そうですか、では、私はこれで」

 

そういってランサーが霊体化し、そのままどこかへ消えたあとすぐにイシュタルも離れ、結局二人だけになってしまった。

 

「なぁ、バーサーカー、全てが終わったらさ、どこに行きたい」

 

それはとても軽く、そして自然として出てしまった。

 

「月」

 

同じだった。

本当に

 

「そうか、もう疲れた、明日終わりにしよう」

「勿論、この全てに終止符を打とう......まぁそこまで苦しくもないか」




オマケマテ
無い☆


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絶対魔獣戦線バビロニア

前マテぇ

クソコテ狂犬、ヤンデレサイコ、毒電波、人外、超越者、変態、先祖リンボ
ろくなやつが居ない聖杯戦争な前作。

マスターを強くしすぎた弊害でサーヴァント強化とか笑えない
なんだろうね、ほんと。
FGOだと基本無理ゲー敵は居ないからキッツいキッツい

居たわクッソ後な上に相手する必要ないやつ


黒い風が吹き荒れるウルク上空。

今まさに、滅びが来た。

 

ここからでも見える巨大な姿を

大層お怒りなのだろう

その竜の翼

泥でおおわれた損傷部

俺の何倍もある魔力。

 

 

それは海岸を飲み込み、遂に来た。

 

「さて、いくら最強の姿でもそんな瀕死でなにができる?」

「瀕死にさせたマスターこそ、そんな指一本程度の魔力でどうするつもりだい?」

「うるせぇ、俺の指一本は並みの魔術師一万人分だ」

「ははは...無理はしないでね」

 

こちらを見据える獣の咆哮が始まりの合図であった。

 

「......なんだ?俺を脅威と認識したか?馬鹿馬鹿しい、あれで俺は全部だ!!」

 

高速で突撃してくるラフムという黒い生物を撃ち抜いて叩き落とす。

数にして十万か?ずいぶん減ったものだ。

 

「マスター、迎撃するのは良いけど、その前に少し下がった方がいいね」

「どういう......あぁなるほど」

 

 

空が変わる

空が宇宙に書き変わり。

 

無数の星が降り注ぐ。

 

「イシュタルか...相変わらずド派手な砲撃だ」

 

星は摩擦で赤く発光しこの大地に雨のように降り注ぐ。

その数三万ぐらいだろうか。

 

大地を消し、生物を平等に沈め、文明を破壊する。

隕石が降りきった後、すぐに泥の津波が迫る。

 

あんな派手な攻撃が『連射』できるとも知らずに。

『再生産』でない時点で一手貰った。

 

「バーサーカー...少し大地から魔力を吸ってくれないか?」

「いくら必要だい?」

「『一発』」

「よしきた」

 

 

泥はウルクを飲み干す寸前で花になり、消滅する。

悔しかろう

一手あれば滅ぶ癖にと思うだろ

 

さぁ天上を見上げろ、貴様の肉体は耐えきれるか?

 

「なにもさせねえよ、獣風情が」

 

即座に理解したのかすぐに攻撃体制に移るが残念、十手遅い

残りのカスみたいな魔力を湯水のように溶かして天の鎖を投影し無駄に残った頭部を抑え込む。

 

抑え込んだ瞬間

銀河を焼いた熱量が束となり天よりその神を焼く。

別に効いているとは思わない、だが、途中からは別だ。

 

「もはや泥も即座に蒸発する、そして地下は冥界...命の無い世界だ」

 

叫ぶ

あるはずの無い痛みに叫ぶ

実に気分が良い

 

だが。

それでも倒すのには足りないか。

 

「さてと、追撃といこうか」

「そうだね、きっと彼女も待ち遠しいさ」

 

 

冥界に入り先に待っていたマシュと合流する。

ここにいるやつ全員攻撃することしか能がないから助かった。

 

ランサーは論外だし

 

「マシュ!!宝具!!その盾の持ち主の力全部だせ!!」

「先輩?!い、いくらなんでも」

「やらないと滅ぶぞ」

 

比喩抜きであれは不味い。

 

「は、はい!!なんだかよくわかりませんが、マシュキリエライト本気でいきます!」

 

城が出来上がる。

キャメロット

そう、これだ

 

あれに唯一入り込み

押し止めるのはこれだった。

 

「さーてと、そろそろ彼女のでばんかな?」

「彼女?マーリンさん他にもいるのですか?」

 

いつ沸いた?

歩いてきたのか。

 

「あぁ、最高の援軍さ......原初の母よ、今一度その空を見ると良い!!貴様の死がそこに立っているさ!!」

 

同時に空より墜ちた聖槍が冥界ごと何もかもを消し去り、その半身を無に帰す。

 

「騎士王 アルトリア・ペンドラゴン。主の命により、助太刀にきました。では始めましょう、私の円卓、私の世界、私の王国、それは空想であり現実にあらず、されどそれは絶対的な無でもなき非でもない、故にお見せしよう、一度だけでも見たかった我が最果ての理想郷を!!」

 

崖から飛び降り、その聖剣を大地に突き刺した瞬間。

世界が塗り変わり

白亜の世界を展開する。

 

 

「じょ、冗談じゃない!!マシュ今すぐそこから離れるんだ!!これは」

「固有結界...それもとんでもないものさ...まさに『特異点すら生み出す』もの」

「先輩それでは!!」

「あぁ、あいつを倒さない限りこの世界は残る、いや、倒しても汚染して残る、だからこうやってその盾の城で抑え込んだ、冥界で始末しても良いが、無理にエレシュキガルを犠牲にする必要もないしな、とはいえ、呑まれるなよ」

 

さぁ獣狩りの最終章か。

 

 

「ランサー!!」

「げぇ......あの泥イシュタルの時といい、厄介ですね、穴を開けて抜けにきましたか...まぁ出られないんですがね」

「?どういうことだ」

「すぐわかりますよ」

 

 

無数の泥が溢れ、十一匹のラフムがこっちに突撃してくる。

即座に十一匹鎖で串刺しにされ、その場にの倒れこむ

 

「さっすがバーサーカー」

「?いや、僕じゃない」

 

じゃあキングゥか。

 

「遅いなぁ、まぁいいさ、役者は全員か?」

 

空いた空かだ飛んでくるキングゥに問う。

 

「...全く、旧人類と侮って居たけどこうなるとは、ね...」

 

キングゥの背後にいた倒れていたはずのラフムが一匹起き上がってキングゥを貫こうと刺す

しかしその腕は飲み込まれ溶けて蒸発する。

 

「キングゥ......キングゥ?!ナゼウラギッタ、ナゼ、ニンゲンノミカタ、スル!!」

「はぁ?人間の味方?僕はずっと『母さんの味方』じゃないか、ただそうだね僕は『壊れるまでは人類の敵』だったさ、まぁその僕をバラバラに分解したのはどこのどいつだったかな!!」

「ハァ?!」

 

それを最後に首を切り落とし、ラフムは塵になって消滅する。

 

「??先輩これはどういうことでしょうか」

「キングゥがグレた」

「わかりません先輩!」

「いや、僕はグレてない」

「まぁいいや、これ以上は「いるわたわけぇ!!」リンチかよ」

 

空から無数の砲撃が降り注ぎティアマトの肉体に負荷をかけ、生えるラフムを撃ち抜く。

時計の針の上に王はいた。

 

「えぇい、キングゥといい、雑種といい、イシュタルといい、なぜ我より目立つのだ!!全く出番がなかったではないか!!!!故に、ここは我の舞台だ、見せてやろう、真の英雄というものを」

 

そういうと急に光だし、なにか魔力が集中し始めた。

 

 

「『英雄王(A・U・O)・プットオン』!」

 

その黄金の輝きが収まると同時に黄金の王は現れた。

 

何故だろうか。

もし形が違えばとんでもない変態となっていたのかもしれない。

ま、いいか。

 

 

さて、もう来ないよな。

 

 

「でも皆ほぼサーヴァントだからティアマトには有効じゃないよね」

「...何で急に狂化下げて言うのよアンタ!!」

「おや、イシュタル、あの体はどうしたのだい?」

「うっさいわね、見てわかるでしょ!!本気の一撃撃ったから壊れたのよ」

「そうか、マスターなら耐えれたよ」

「いや無理だろバーサーカー」

 

「あの...三人とも、話はいいのでティアマトを」

 

まぁランサーの言うのももっともだ。

急がねえとマシュが飲まれる

 

だが、『一撃しかない』

 

「そうだな、今でこそランサーの結界でティアマトをすごい強いサーヴァント程度に落としこんでそれをバーサーカーとキングゥで拘束、問題はここからだな、ランサーは拡大制御にリソースを最低槍は無理、ラフムはたき落とす王様も通用しない、イシュタルはあれ、マーリンは泥掃除、つまり「ジャガーの出番ってこと」やってみるかい?「勘弁してください」」

 

一撃。

 

「......駄目だ、でかすぎて捉えても魔力不足だ、あんななりして中身えげつないぞ、1立法センチメートルの塊の癖に重さが三トンぐらいあるみたいだ」

「ランサー!!速く魔力搭をマスターに!!」

「無茶です、質が違いすぎて話になりません」

 

......さて、じゃあもう一回一か八かをしようか。

 

「バーサーカー、キングゥ、ついでに俺をきつめに縛れ」

「あぁ...なるほど、マスターらしくないけど仕方ない、確実にやるならそっちだ」

「.....契約直後にか...全く、とんだマスターだ」

 

剣を引き出し世界を展開する。

本来、精霊兵器は人間には扱えないというより、人間では基本的に使えないものだ。

 

その理に神代も現代も関係ない皆平等に消滅する。

あいつの言うことがそうであればこれは『消滅』させることを目的とした武器。

 

消滅の原理も簡単だ。

まず精神や肉体、魔力の異常変質と崩壊現象。

これによって発想の転換で擬似的な第三魔法すら可能にするがそんなのは副産物。

 

ここまでは通過済み。

むしろこれを乱用したことがあるせいで元々異質な魔力がもっと理解不能なものになった。

 

「消滅対象固定、権限行使許可......魔力融解、制限解除」

 

だが、これだけが全てなわけがない。

当然だ。

 

この世のどこに『全てを一度分解して組み換える』なんてことをする奴が居るってんだ。

文字通り全てを『消滅』させる。

だが、それでは消滅した空間にさわれてしまう矛盾が生まれる。

じゃあ次はどうだ。

もう構成しかあるまい。

 

「......ハインリヒ君」

「マーリン、雑談はいいので......と言うわけでもないようですね」

「固定、解除、魔力装填」

 

魔力を必要箇所に流し込み、起動する準備を整える。

 

「ビーストⅡの持つ『ネガ・ジェネシス』、それさえ奪い取ればそれでいい、だから、無理はしないでくれ、せっかくの楽しみが無くなるのは残念だからね」

 

「なるほど、それが必要か...行ってくるよ......『消去』」

 

崩れる

崩壊する。

 

だがそれは精神の消滅。

 

魂が死ぬだけで肉体は生きている。

 

そしてそれはティアマトも同じ。

魂というか根本だけを消滅させるなら可能だった。

 

残った肉体が暴走するがそれでいい。

 

 

 

潜る。

沈む

堕ちる

 

「......誰だっけか」

 

俺は誰だったろうか。

気がついたら席にふんぞり返っていた。

 

......馬鹿なものだ。

数分前の記憶を掘り起こす。

あぁ、リッセトしたんだ。

そして再起動した。

 

「全く、全部計算の内だよバカヤロウ......」

 

目の前に垂れる二本の鎖を掴む。

足を掴む泥を蹴り落とし力一杯登る。

 

「ふふふははははは......残念だったな獣の亡霊風情が!!俺は貴様の娘に人一倍自我が強く、人一倍強欲な男の魂をねじ込まれたものでなァ...はっきり言って切り捨てなくて正解であったわ、これは訣別の代わりよ、ではな、貴様に獣の席は務まらんのだ」

 

登る登る登る。

冒険に心を踊らせる。

 

肉体が崩れる。

崩れた肉体を再構築する。

 

生命を生み出す海からあらゆる生体を作り出し、付け加え自身の肉体を改造する。

 

「......バーサーカー、キングゥ、もういいぞ」

「マスターその服装はダサいよ」

「...はぁ、ならとっとと、終わらせよう」

 

さらさらと黄金の砂に戻る鎖を握り、そこから適当な生物を作り出す。

 

「流石に自分の体細かくは無理かぁ...まぁいい、予定通り『ネガ・ジェネシス』は俺のものになったぞマーリン!!」

 

「よーしきた、アルトリアGo」

「結局私ですか......」

 

 

溢れるような魔力を燃やし、空を飛ぶ。

最高に気分がいい。

 

あぁまさに正に。

 

「Aaaa!!!!!AAAAA!!!」

「さぁ新たな生命の誕生を祝福するがいい!!」

 

 

吠える残骸を見下した後、そのまま一気に成層圏を突破し、適当な小惑星をひとつだけ掴み再突入する。

恐竜の絶滅の原因は直径20キロメートルの隕石と聞く。

 

星一つ変える程度の威力。

よいではないか

 

「今一度滅ぶがいい!!直径16キロメートル程度の小惑星だっ!」

 

最後の抵抗と言わんばかりに飛んでくるラフムごとはね飛ばしその脳天めがけて星を落とす。

その頃にはもう全員が結界から叩き出され巻き添えの心配もなくなり本気の一撃を叩き込むことだけに集中できた。

 

「...着弾まで残り三十秒、ハインリヒ...ちゃんと当ててくださいよ、これ私にフィードバック来るんですから」

「うるせぇ、もう止まらねえよ、直撃コースだ」

 

完全に防ぎようの無い範囲に来た瞬間に強化を止めてその場から離れる。

 

「AAaaa!!!──!!」

 

その一撃は綺麗に入り込み、獣であったものを打ち倒す。

 

「......」

 

勿論結界からは弾き出され気がつけば花の上に浮かんでいた。

 

「先輩!!」

「...なぁ、マシュ、もうすぐ空が見れるな...準備はいいか?」

 

そっと頭を撫でてあげながら起き上がる。

人間だって頑張れば怪物にもなれるし怪物も討ち果たせる。

間違いではなかった。

 

今はその感情で染まっていて何も考えたくなかった。

 

 

 

 

「......不思議なものだな、バーサーカー」

 

一週間後の夜、ジグラットのてっぺんでのんびりと地上で歓喜に浸り、歌い、踊る人間を見ていた。

本来はもうカルデアの強制帰還がはいるのだがまぁバーサーカーのイシュタル殺しを約束していたから適当にそこかしこに作った偽物の『ビーストⅡ』の生体パーツを配置し一週間ほどマシュにはありもしないティアマトの残りカスを潰すと言うタダ働きをしてもらうことにした。

 

流石に今回はレイシフトでなく、『ティアマト』を触媒にした単独顕現で来たから色々辻褄合わせも必要だ。

 

「不思議?獣の席に座った実感かい?」

「それもあるけど、もっと別なものさ」

 

「『人間の可能性』かい?」

「そうさ...人間さ」

「そこばかりは僕も答えにくいなぁ...僕は人である以前に兵器だ」

「そうだろうな、だから不思議でしかたがねぇよ......だってよ、案外『人と化物』の視点って変わらないんだ」

「ほぉ、変わらない、か」

 

ゆっくりと後ろに倒れて空を見る。

無数に輝く星を掴もうと手を伸ばす。

 

「あぁ、本当に、これっぽっちも変わらねえや」

「それはある意味良いことかもしれない...まぁ、マスター的には何もその不思議と言うところ以外全く面白く無いだろうけどね」

「全くだ、それはそうと、今頃カルデアは右往左往しているだろうな、まともに通信ができなかったんだ」

「どこまでも、その名前は捨てたいかい?」

「あぁ当然さ、だが、今は違う、今の俺は全くの別人だ、もう気にしないさ、でも、面白いからもう少し『藤丸』を演じるさ、適当な他人の名前だがな.....それとなたまにキングゥと入れ替わるのやめないか?反応に困るんだ」

 

「...うーん、見事な二人羽織と思ったのだけどパスでバレちゃったか」

「全く...なぜ僕がこんな目に」

「...お前ノリノリだったろ」

「ちがっ...そんなわけ無いだろ!!」

 

ほんと、面白い。

「あぁ、そうだな......さてと、明日の朝帰還だ...これで終わりでは無いのだろうがな」

 

別にもうでもいい。

負けることはない

 

だが、まだ聞いてはいないからな。

 

祭りも終わり、使うのを完全に忘れていたマルドゥクの斧でイシュタルを殺そうと暴れまわるバーサーカーを眺めながら海を眺める。

 

「先輩......」

「挨拶は済んだか?」

「はい、後はギルガメッシュ王だけです」

「......そうか、もう寝ろ」

「いえ、また先輩の話が聞きたくて」

「......お前なぁ...お前にとって先輩って『普通に生きた人間』だろ、俺なんて......」

「いえ、先輩は『普通』です、いえ、人生に『普通』も『異常』もありません、ただそうなるだけのもの、とおっしゃっていたではありませんか」

「知らん、はっきり言ってマシュのこと空見せる以外どうでもよかったから聞いてなかった...まぁ、ここまで来れた褒美だ、これからは話ぐらいなら聞いてやる......」

「ありがとうございます先輩!!」

 

ダメだこの無垢マシュマロ無敵だ。

 

「......そうか、まぁいい、少なくとも完全な『普通』の人間は存在しないんだ、人は人を恨む、呪う、傷つける、それが普通であり真理だったんだ、そこも理解しろ、不思議なものだよ人間とは。たった七十年八十年前まで気軽に命を捨てた人間がそこかしこにた、だが今はどうだ?そこら辺で命に尊さを見せはじめ、誇り、そして限りなく度しがたい連中だ、いっそ『この世全ての悪』でも顕現させて間引きたいぐらいさ、だがそれはなかった、なぜだと思う」

「......それが、世界の歩みならそれでいいと、思ったのでは...です」

「ディモールトベネ...あぁそうさ、それが人類の選んだ選択なら止める意味はないのさ、それで滅ぼうが栄えようが、それが選択だ、人間は極力『世間一般の悪』を切り捨てる、これが選択だ、こんなこと、魔術師だった奴が言っても意味無いか......」

 

自分の体もまだ把握できないとは実に悲しいものよな。

 

「私は先輩が誇らしいです」

「何が言いたい?」

「もし、私の言う『先輩』が先輩だったら、私はきっと『善い所』ばっかりを見ていたような気もするので」

「まぁそうだな、本当の意味での『平均』であればそうもなる、当然だろ?『悪を心の底から受け入れようとしない』のが今の人間だ、物事のためになら時に非情になり切り捨てるのも大切だ、まぁ俺は『何でも助けようとする偽善者や絶対に進む人間』は、どの時代でも好きだけどな、だから言っておくぞ、マシュ、人は場所により下らないことで死ぬところもある、今回はなかったが遥か昔には『生け贄』によって救われると言う俺のもっとも嫌いなものもあったんだ、だがそれを否定するな、奴等は文字通りの馬鹿で愚かで愚鈍な生き物だ、だがそれに知恵や本当の価値を与える必要はない、それで救われるなら放っておくのも救済だ」

「先輩?」

「全く、これはこの旅路の報酬だ、受けとれ」

 

マシュの腹を貫き、ボロボロになっている肉体を全く別のだが、同じ物に作り替える。

 

「先ぱっ......い?」

「寿命は最低二年伸ばしても十年は無理だった...全く、ゴミみたいな物作りやがって、俺の五歳の頃の工作を見ている気分だった。俺の作った」

「......先輩」

「空を見て、答えを出す前に死ぬのは許さん、少なくとも『余程の無茶』をしなければ後百年は生きられるようにしておいた......良かったな『人間』」

 

そう言い残し軽く海岸まで飛翔する。

今さらどうにもなら無い。

もう過ぎたことだが理由にはなる。

 

 

「......」

 

王と魔術師は居た。

ただ王は剣を構え、此方を捉える。

 

「バーサーカーのマスター......今一度、マスターの敵討ちをさせて貰うぞ」

「...そうか、一撃で終わらせよう、お互いに」

 

無より剣を呼び出し、固定する。

敵は聖剣

此方は精霊の剣

 

お互い、『星』にちなんだただ一つの剣。

 

「束ねるは星の息吹、輝ける命の──」

「我が剣は星の鉄槌、我が精霊の──」

 

全てのロックを外し、その王を捉え、測る。

だが、一手いや、ほんの一瞬だ。

 

「俺の方が早かったなランサー!!」

 

その懐に一発。

だがこのままいけば相討ちだ。

 

「......」

 

そうはならなかった。

ただ一度、打ち合いそしてそのままノーダメージ。

 

「...今ここに私の願いは果たされた、で、いいですよねハインさん」

「......まったく、調子狂う...いいぜ、終わりだ終わり、じゃあな」

 

 

帰りにボロ雑巾みたいなイシュタルと結構巨大化したバーサーカーを回収してジグラットへと戻り、日が昇るのを待つ。

 

そしてその時は来た。

 

 

「さて、色々あったけど...?まぁいいか」

 

 

「まぁいいか、で、すませれるか、雑種...いや、第二の獣」

 

丁寧に百は軽く越える門を開けていやがる。

 

「我は甘くない故な、ここで死んでおけとは言わん」

 

ゆっくり立ち上がり、向かい合う。

 

 

そして、その門から放たれた。

 

「......聖杯?」

「神父の真似事......とはいかぬな、ウルク1の麦酒よ、貴様の国では16から祭事ではいけよう」

「...魔術師泣かせな品だ」

 

一気に中身を飲み干し、懐に入れる。

 

「新たに産まれる生命に罪はない...か...形は違うがその夢かなったな、『マスター』」

「...英雄王?」

「今さらか...いや、そうもあろうな、貴様は『一回目』の戦いで答え得たのだ、我は『二回目』の問いに答えるだけであったものな......まさか我が土壇場で『過労死』して変わりに我が呼ばれるとは思わなかったわ」

「そうか、『アーチャー』...それはその」

「たわけ」

「いたっ」

 

アーチャーの足元が少しずつ透けはじめ光だ溢れ出す。

 

「もう少し滞在することも許さぬか...まぁいい、我が友がいる限り貴様は道を踏み外すまい、堂々と行け、その貴重な旅路、心に焼き付けておけ!!......あぁそうだ、ウルクはどうだった?」

「あぁ、さようならだ別の世界のアーチャー」

 

 

そして

「数こそ少ないがよい旅路であったさ、このウルクは」

「そうか、それは良かった、旅人に不満を言われるのは許されないからな......おっとイシュタルめにくれてやる二わr」

 

言い切る前に消滅した王の足元にあった鍵を拾う。

あそこまで大袈裟に言われたら誰でも気付く。

 

「全く、空じゃないか......」

 

鍵を納め、合流する。

 

「帰還が始まります!先輩急いで!!」

「はいはい......おい、イシュタル離せ」

「ただで返すわけ無いでしょ!!あんの金ぴか鍵を無くしたですって!!なら貴方を変わりに奪うに決まっているでしょうが!!」

「ハハハハハ!!それは災難よなぁ、ではな、たぶん後一度しか会いたくねぇ!!」

 

全力で蹴り飛ばしどうでもいい帰還サークルに入る。

 

「さて、この帰還をもって魔獣戦線の終結としようか」

 

帰還と同時に顕現し、コフィンから出る。

 

まぁここで終わるほど優しいわけでもない。

警告が響く

カルデアは虚数の神殿に引き付けられ、幕は閉じる。




おまけまてぇ

バーサーカー 
真名 エルキドゥ

マスター
ハインリヒ・ラムシュトース

ステータス
all☆(最初期はEXだったけどこっちの方が近そうだった)

スキル
狂化EX
魔力臨界EX
神性A
怪力EX
自己回復(魔力)EX
対魔力EX
気配感知EX
戦闘続行EX

宝具
なしそもそも、本人が宝具じゃねえか
強いて言うなら通常攻撃感覚で乱射する『天の鎖』


尚、作中最強サーヴァントである。
燃費???
ハイン君は世界で一番魔力が多いからへーきへーき(最初期のガス欠目そらし)

まず純粋に
戦車アキレウス含め誰も追い付けない速度
耐性、攻撃無効系無しでは弱攻撃(ただのパンチキック)でもHP100割ダメージの攻撃力
即死級攻撃以外全てを軽減、微弱攻撃は無効にする究極の肉体
これらをどうにかしないと回避不能の速度から放たれる一撃即死オラオララッシュでミンチ確定
クソゲーか?ケツアゴガンダムでもねえよ
更に特殊攻撃枠に
『約束された勝利の剣』の十倍以上の出力のゲロビ
神性に強い拘束を与える『天の鎖』
地面であればエルキドゥというくそ理論による地面からのグーパン攻撃
ヒュドラの毒牙チェーンソー&射出
無音無臭ステルス機能
変形による飛行爆撃(勿論全部即死級火力&戦略核レベルの攻撃範囲搭載)と潜水逃走能力
大地あるかぎり無制限な巨大化etc

文字通り『レベルをあげて物理で殴る』の極地過ぎる何かにこれでもかと加えたクソゲー。
ラスボスかな?
ラスボスサーヴァント(没)だから間違いじゃなかった
尚、マスターを炉心にしてこれよりも百倍強い(当社比)究極生命体にもなりだす模様


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冠位時間神殿 ソロモン

そういえば、ハイン君の数少ないガチデレシーンか......
マテ?
キングゥ編はもう少し後

一話で退場されるラスボスかわいそ、因縁的な問題で7章がガチなのが悪かった。
※ハイン君は右側です


至る

到達する

 

無数に生える魔神の使い

虚数の世界にポツンとあった神殿。

 

この旅路の果て。

 

「......さてと、正真正銘これが最後だ、マシュ」

「はい、先輩!!」

 

「はてさて、君たちはかt」

 

馬鹿な奴だ。

なぜ『勝つつもりでいる』?

 

「レフ・ライノール......いや、フラウロス、貴様は節穴だな、いや違うな...貴様は知らなかっただけだ『本当の戦争』と『冠位クラス』のサーヴァントを」

 

まぁ全員不正召喚だけど!

 

「全く、ウルクでは散々な目に遭わされた......それにしても小さいものよ......これがかの魔術王の工房ね...穢らわしい」

 

この神殿を覆うほどの超巨大な舟。

黄金と宝石で作られたその戦艦の名は『マアンナ』

 

「あーあ、なーるほど、ランサーをこんな目的で」

「先輩?彼女はいったい」

「あんまり見るな、依代のない本物のイシュタルさ」

「なるほ...ど?」

 

その千をこえる砲台から放たれる砲撃は一撃で全ての魔神を消滅させ道を作る。

 

「あらかた片付いたわよ、ランサー、ライダー...残りの残党は勝手にしなさい?気が乗ったら助けてあげる」

 

最後の砲撃と同時に空から二騎のサーヴァントが着地し、ゆっくりと顔を上げる。

 

「サーヴァントランサーアルトリア・ペンド...まぁ見知った仲ですし良いですよね」

「サーヴァントライダー......『源 義経』昔の縁と人理の危機より助太刀に来た」

「えっ...牛若丸さんですか?!」

 

まぁそうだな

あんなぽんぽこ小娘がロボだ。

 

「ん...あぁ、うん...どうやらTENGUに改造される前の私を知っているようだな、止めてくれ、結構あれなんだ」

「......ライダー...俺が貴様のマスターと居たときはもっと片言だっただろ」

「あんな特異な召喚では理性もなくなる...速く行け、この奥の獣は我々では分が悪い、そうだろ、バーサーカー」

「そうだね、じゃあさっさと片付けるか、マスター!!」

「オーケー」

マシュを抱えて一気に神殿の奥まで走る。

正直あんなのの本気の攻撃に巻き込まれたら死ぬ余裕ある。

 

 

走る

 

そしてその一歩手間で新たに無数の魔神が生える。

死にに来たのだろうか?

 

「先輩、戦闘「突っ走るぞ、ランサーの野郎、誰彼構わず呼びやがった」」

 

ギリギリの隙間を抜け、またその肉を蹴り飛ばして進む。

一斉にその眼球が光だすが次の瞬間それはすべて塵のように霧散した。

 

 

「アーアやってらんねぇ、ランサーに引っ張りあげられたらこれだ......ッタク...まぁいいか、久しぶりに殺しをしようか、綺麗な女性でも素材になる男でもないのが悲しいな、まぁ血は出るか、なぁキャスター?」

「そうだねぇ、こんなのだっけ...まぁいいや、息子のクソダサイセンスなんて気にしないでおくよ、それはそうとしれっと僕を斬らなかったかい?アサシン」

「知らね、触れれば気楽に即死だったのにな、辛い生き方をする」

 

二人を通り抜けて更に奥へと走る。

 

 

「先輩?あの人たちは」

「アサシン『ジャック・ザ・リッパー』、キャスター『ダビデ』、一度は聞いたことぐらいあるだろ」

「...なんと言いますか、皆さん別次元の強さを感じますね」

「当然だ、俺の聖杯戦争ではまともに召喚されたサーヴァントなんてセイバーだけだった、他は全員違法な方法だったさ」

 

たどり着く。

白い神殿の席に奴はいた。

黄金のような皮膚

腕の筋の中にある無数の瞳

枝のように別れた黄金の角

 

 

「...まったく、とんだ長旅だった、なぁ『憐憫』...いや、ソロモンを使う奴だ、それ相応の存在で対応する者...全く」

「敵性反応......無し?」

 

もう勝っているつもりか。

 

「第七特異点の始終、見させてもらった、『回帰』を騙る『欲』の獣......貴様には感じ取れるはずだ『この星の未来』が、なぜ止める、何故傍観に徹しない!!」

 

「......初めははっきり言ってどうでもよかった、あぁ、初めはな?はっきり言うと人の歴史を知れば知るほど絶望する、だからこうやって俺も性に合わん決断をくだそうとしているのだよ」

 

そっとマシュを下ろし、背中を押す。

 

「先輩?!これはいったい」

 

「...今、カルデアは居ないな...下らない盗聴をする女神を除いて三人、いや、二匹と一人か......」

 

周辺に泥を生み出し、帰りの道を塞ぐ。

 

「マシュ、はっきり言うとな、人類は結局滅ぶ、そいつが居ようが、居まいが、だからチャンスだ『二度と滅ぶことの無いその獣の世界』か『滅びの見える今の世界』どっちか好きな方を選べ、少なくとも、後者はお前には辛い方だ」

 

ここまで念を圧しても、変わることはないのだろう。

この少女の色彩はきっと

 

この世界でしかないのだから。

 

 

悲しいとは思わない。

俺はこういうのが好きだった。

どこにでもいるただの人間が絶望に抗い勝利する。

 

「初めから答えは決まっています。もし、先輩が私ならこう言うのかもしれませんね。『滅び?下らないな、その絶望すら乗り越え人類は新たなステージへ登ることができる!!もしそうでないなら、俺が滅ぼす!人類はお前の玩具じゃない!!俺の玩具だ!!!』と」

 

「......それが愚かだと気付けなかったか、マシュ・キリエライト」

 

あぁ本当に愚かだ、俺はあの獣に少し同情しそうだ。

実に愚か

だが、面白い。

 

あーあ、負けちまったよ俺。

折角色々曲げて一人救ってやろうとしたら跳ねやがった。

 

 

「もういい、ならばこれで終わりだ」

 

光帯が集う

この星の炎が集う。

 

「今一度力を──」

 

恐らくなにもしなければ、マシュは蒸発する。

全く、馬鹿な奴だ。

 

本当に最後まで手を貸さないと死にやがる。

 

なにせず、ただそこ居れば良かったものを......だから

 

一度ぐらい、興が乗ってもいいか。

 

令呪とパスを一度放棄し、全ての魔力を収束する。

 

「マシュ、俺の契約に乗るか?」

「はいっ先輩!!」

 

即座に繋げ、供給をする。

 

宇宙より落ちる光を凪ぎ払い、獣は顕現する。

 

 

「何のつもりだ」

 

「何のつもりだ?それはこちらの台詞になったぞ、『ビースト』、俺はこの一戦限り、『ビーストⅡ』ではなく、『魔術師』として、サーヴァント『マシュ・キリエライト』のマスターとして『敵』である貴様に、本気で敵対するだけだ、わかるよな?俺は貴様を『同じもの』ではなく、『倒すべき敵』と認識した、存分に足掻け、十の指輪も揃っていない貴様に、本気の俺の魔術がどこまで通用するか見物だぞ......さぁソラを見上げるがいい!これよりラムシュトース稀代の魔術を見せようではないか!」

 

 

天を描く

星を繋ぐ

揺れる銀河と支える重力

その糸が切れた球体はどうなる?

『衝突』よ

 

「フフフ...フハハ......フハハハハハハハハ!!星は墜ち、天は砕け、宇宙は燃え尽き、そしてその余波は周囲の星々を動かし、その振り子はいずれ銀河を衝突させる!!死にも狂いで防ぐがいい!!魔術王の影よ!!」

 

落とす。

何十個もの銀河系その物を落とす。

 

その衝突から産み出される破壊的火力に耐えられるだろうか。

 

「マスター!!宝具全力展開します!!」

「あぁ、ではなビースト、貴様もこの魔術には耐えられまい」

 

兆の隕石が降り注ぐ

奥の惑星が爆発する

超新星爆発を引き起こし

因果率を歪め

 

大量の魔力と数万の魔術回路を一時的にショートさせる究極の魔術式、俺の一から編み出した唯一無二の最後の独学魔術

まさか、イシュタルのマアンナ沈める時以外に使うつもりがなかったから完璧かは知らない。

 

「...現代の魔術......侮っていた...いや、違う、私は貴様が『異常』ということを理解しきれていなかった」

 

「何故生きている!!化物か!!いや化物か!!ならもう一回くれてやるよ!!!」

 

即座に回路を起動し腕を上げ、展開する。

しかし、奴は動こうとした瞬間に全身にヒビが入り、少しずつ砕け零れ始める。

 

「......」

 

ゆっくりと腕を降ろし、マシュの前に立つ。

その獣にはもう、俺のことはいないのだろう。

 

歩く。

その獣は一歩ずつ、砕けながら

零れながら

尚もこちらに向かって歩く。

 

「はじめから、勝てぬ戦いと視ていたであろうに......いや、貴様はその先の先を視たのか?」

 

マシュとの契約を捨て、そのままマシュを来たゲートへ投げ飛ばし、魔力を全力放出する。

その腕が届くぐらい近くまで迫った時、怪物は止まり、こちらを見据える。

 

「...貴様は強すぎたのだ......我が命、たとえ消滅しようと...貴様だけは」

「そうか、がっかりだ───」

 

本当にがっかりだった。

だが、その行為に意味はある。

 

「やっぱり、歪んでるよ、お前の感情」

 

全力で俺を殴ってその反動で全身の骨格が崩壊し、バラバラに崩れ去る獣を見送った後、来るっと回って、来たところへ戻ろうと歩き出す。

 

 

 

人類なんかどうでもいい。

さぁ、戦いは終わった。

次はどんな旅をしようか。

 

 

「ますたぁ♪」

「あ、やべっ」

 

全力飛行してバーサーカーから離れる。

流石に光速で飛行すれば。

 

「はい捕まえた」

「バーサーカー...速いよ」

 

なんとなく察していたさ

すぐにキングゥ共々パスを結び、再び歩き出す。

 

もはや天に舟は無く、サーヴァントも退去、神殿も崩れ始めた。

 

「あーあ、下らね、帰るかバーサーカー、キングゥ」

「そうだね、帰ろうかマスター」

「何をちんたら歩いているんだ!早くしないと崩壊するぞ!!」

「キングゥはせっかちだなぁ」

「そういってやるなバーサーカー...」

 

カルデアに帰還するとそこでは数こそ少ないがまさに勝利祝いの宴会が始まっていた。

皆が皆、勝利に喜ぶ。

今はそれも良いのかもしれない。

 

いや、いいのであろう、良いからこそのこの時間なのだ。

 

「......そういえばマシュが居ないな...あぁ空か」

「見に行くかい?」

 

バーサーカーの言う意味がどっちかは知らないはどっちも野暮でしかないため、軽く断って、医務室に向かう。

 

そこでは一人の『人』が手袋をとり、金色の指輪を着けてベッドに倒れ込んでいた。

 

「やぁグランドキャスター...魔術王ソロモン、気分はどうだい」

「......あぁ、最高だけどなにか取り返しがつかない気分だよ、ラムシュトース最後の魔術師...ハインリヒ君」

 

軽く言葉を交わし、男の隣に座り、九つの指輪を手渡す。

 

「口止め料、と新たなる旅路の祝いだ『ロマニ・アーキマン』」

「...なら、僕は次の滅びに頑張ろうかな?」

 

 

すっと、机の上におかれたイチゴケーキを渡され、それを受け取り、食べる。

クリームが少し甘すぎる気もするが気にはせず食べきって扉の前に立つ。

 

「精々、俺を失望させるなよ」

「ははは。ずいぶんと難しいオーダーだ」

 

 

部屋を出てマイルームに入る。

 

「......一月か...まぁいいか...やだなぁ、一年も時計塔に戻ってあの権力に溺れた魔術師ですらない何かを見るのは、本当にうっとうしいが」

 

バッグに色々な道具を詰めて、倉庫からいくつかコート等を取り出す。

流石に二十四時間バーサーカーとキングゥをピアスとかに形状変化で止めておくのはどうかと思うし、普通にイギリス観光もさせたい。

 

それに少なくとも、時計塔から離しておけば俺が狙われても脊髄反射でゲロビって時計塔が消える何て事もないはず。

別に滅んでもいいけどさ。

寧ろ滅べ、なくなっちまえばいいんだ

 

扉が開き、閉じることなく開き続ける。

 

「気に入りました?その時計」

「いいえ、流石にこれは重すぎではないかしら?」

「首にかけるタイプではないので」

 

そんなこと知らない言いたい顔だ。

そんな少し膨れた頬を突っつきながらカルデアを出る。

 

空は快晴。

 

雲ひとつ無い世界の果て。

 

「...全く」

 

今ここに、一人の少女の小さな願いが叶い

幕が降りた。

 

 

 

 

「ねぇ、マスター...実を言うとウルクの帰還から気になっていたんだけど、令呪の形、変わってないかい?」

 

夜、透き通った星空の下、カルデアの上でねっころがりながらバーサーカーと語り合う。

 

「...そういばそうだな、なんだこれ、まぁいいだろ、スケジュールとしては一ヶ月だけ時計塔に行ってくるから、それはまでは適当にロンドンで生活していてくれ」

 

すっ、と腕を掲げ、手の甲を見るとそこには鎖と巨大な二本の角のようなものがある変わった令呪になっていた。




※三段笑い、超質量攻撃、銀河、ビーストですが右側です。
どう見てもラスボスがしそうな攻撃ですが右側です。

そう『右側』......お前のような右側がいてたまるかって感じの右側です。

バビロニアシンボル令呪シーン書き忘れた。まぁいいか


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4/1特異点 絶対女神戦線いしゅたりん ー増えるワカメー

やりたかったエイプリルフール企画
できなかった理由?察せよ時間足りなかった。


キュィィィィン

といつものレイシフト音がし、肉体が跳ぶ。

 

流石に今回は上空落下はなく、取り敢えず安心する。

 

「先輩!!お怪我は?」

「大丈夫、何もなかったよ」

 

少し、身の回りを確認しても特に問題はなく、万全状態だ。

 

「藤丸君、今回の特異点■■■■■■■■■■■■▽▽▽▽▽▽⑤■■■■■■●●●●●●■●■●」

「ドクター?ドクター!!!」

 

突然通信が不安定になり始めそしてぱったり途絶えてしまった。

こんな状況だろうとまずは...突然足元がぐらつきその場に倒れ込む

 

「先p...うぐぁっ...あぁっ」

「マシュ!!」

 

その場からすぐに離れようとマシュの手を握り、匍匐前進をするようにゆっくりとそして速く這いずって逃げる。

 

「......」

 

男がいた、この異常な空間を我が物顔で動く男がいた。

助かった、この中を動けるのはきっと凄いサーヴァントだ。

そう思い、残りわずかな声を使い、助けを願った。

 

「......全く、イシュタル様は...まぁ、職務怠慢の一つぐらい良いか......いいぜ、数十秒生きた『その意志』に免じて解除してやる」

 

そう言うと男は周辺のある呪文のような言葉を唱えるとすぐに魔力の濃度...というものが下がり、呼吸ができるようになる。

 

「はぁ...はぁ......貴方は?」

「『ハインリヒ・ラムシュトース』、少し遠くにある...いや、すまんここ地球だから金星は遠いな、まぁ、そこにあるイシュタル神殿のちょっとした使いさ......あんた、ここら辺の出じゃないだろ、話ぐらい良いぞ」

 

金星

 

この特異点は金星まで形成したのか?

取り敢えずマシュを気の影で寝かせ

話を聞く。

 

「......名前を聞く限りサーヴァントではないようですがあの魔力は」

「あぁ、あれ、産まれてからずっと持っていただけだ...」

 

はじめから

 

恐怖を感じざる得なかった。

あの魔力は『ティアマト』とためを張るぐらい強い、生存本能が告げる。

この男は危険だと。

 

「......坊主、その意志ずっと強く持てよ......この『特異点』はそうでなければ生きていけない、いや、サーヴァントが無意味なんだ、一部を除き...な」

 

急にハインリヒさんは察したかのように喋りだし、手を握る

 

「立てるか?この世界には敵となる生き物はいない、『一部を除く全ての生命体が皆奴隷だ』獣を含めてな」

「なら、マシュも」

「......しょうがないなぁ...もしもの時な自分だけでも逃げろよ、命あっての物種だ」

 

二人でマシュをささえながらゆっくりと歩き出す。

街道に出た頃には様々な服装の人達が行き交い、皆が口々に『イシュタル』という、名前を言った。

 

「今宵、イシュタル様に捧げられる120人の男は幸せだな、あぁ、わしももう少し若ければ」

老人は少し羨ましそうに言ってはどこかに消え

またある子供は

 

「今日、俺の兄ちゃんはイシュタル様に抱かれるんだぁ、いいよなぁ」

「スゲー幸運じゃねーか毎日百万単位で居るのに」

 

そして、都市部に入ると別の名前も聞こえ出した。

 

「『ドゥムジ様』最近、イシュタル様と一緒にいるのを見かけないがどうしたのだろうか」

「きっとあれよあれ『反神連合』の掃討戦よ」

「あぁ、あのイシュタル様を理解し、受け入れられないい連中か...」

「ほーんと、早く鉄槌が下ってほしいわ」

 

恐らく、話に聞く『反神連合』こそが特異点を修復するきっかけなのだろう。

 

「よし、ここの宿『シドゥリ』は数少ない反神連合の集結拠点だ、地下には霊脈もある、それと変に警戒するな」

「できませんよ、なぜあなたが」

「......当然だな...はっきり言うとイシュタル様の気紛れさ、相当お熱なのさ」

 

「......つまり、時間が過ぎれば」

「そうだ、一発でゲームオーバー...よく身を振れよ、おーい!!今神殿かーい?」

「え、いえ、只今...きゃうっ」

 

盛大にこけた。

それはもう派手に、書類があれば綺麗に散らかっていたことだろう。

 

「あぁっもう、部屋貰うぞ」

「あ、はい、わかりました」

 

つれられるがままに部屋の一室に入る。

 

「さて、ここからは知らん、まぁ気が向いたらくるわ」

 

そういってそのまままた街中に消える彼を見送った後、取り敢えずマシュが起きるまで部屋の中でゆっくりしておくことにした。

 

 

 

 

ジグラット

 

 

 

「......おや、ずいぶん遅いお帰りで『ドゥムジ』様」

「はぁ、楽しみやがって『ドゥムジ』」

「おっと、これは失礼、ではおふざけに私をtouchしますか?」

「お前なんで触ると色々なもの吐き出すんだ?......まぁいい」

 

ドゥムジを連れ近くのバーに入る。

 

「全く、貴様と言う奴は我がこうでなくてはエレシュキガルにボロ雑巾にされていたぞ」

「でしょうね、それで、いい加減馴染みましたか?Myheartとかの黄金の王の霊基は」

「イシュタルめ...最悪の気分だ、ラムだせラム」

「Ohではだすとしましょう」

「おいばかやめろ、ナニ出してやがる」

「ご注文は『ラム』ですので、えぇ、私、『sheep』ですので、ooh、流石に財宝の絨毯爆撃は受けたまっておりません」

「全く、普通に出さぬか雑種」

 

グラスに出されたラムを一気に飲み、ゆっくりとグラスを置き、蔵から一本のナイフを手に取る。

 

「...なぁ、ドゥムジ......我は誰だった?」

「それはあの少年といた、貴方が最も分かっていることでは?『ハインリヒ・ラムシュトース』」

「見ていたか」

「えぇ、丁度風俗帰りで」

「ちと、腹立ってきたぞ雑種、おい」

「きっとお酒のせいでしょう」

「流石に無理がある、後、いつその金色羊から戻る?」

「えぇ、もうすぐ頼んでいた嬢が来るので」

「......呆れた、じゃあイシュタルが来たときに起こしてくれ、少し寝る」

「goodnight、私を数えながらお眠りください」

「たわけ」

 

 

 

???

日が登り

ついに決戦を迎える。

 

「今ここに神を討「そうか、ではな雑種。その意志、冥界で使うがいい、義姉は喜ぶだろうよ」きさっ」

 

 

 

 

ウルク

 

「うっ......先輩?」

「おはよう、マシュ」

「おはようございます、先輩」

 

まだ響くのか少し覇気がないマシュ。

取り敢えずそのまま寝かせておき、部屋にあったナイフで貰っておいたリンゴの皮を剥き、食べさせる。

 

「取り敢えず一面の危機は脱したと言うことでしょうか」

「いや、多分だけどそこまで呑気にはしてられないよ」

「っ!ではすぐにっ!!」

「その感じじゃまだ無理そうだね...」

「ごめんなさい、先輩」

 

別に泣くとの事でもない。

涙を払い、席を立つ。

 

「少し見てくるよ、マシュ」

「いえ、私もついていきます!!」

「...そう、無理はしないでね」

 

街中に出るとそこはもう人だらけであった。

そして少し気になる話題も飛び出した。

 

「今朝反神連合の拠点が潰れたそうよ、今日公開処刑らしいの、見に行かないかしら?」

「いいわね、どこでやるのかしら」

「いつものコロッセオよ、見物ね、下劣な有機生物の死に様は」

「えぇ、えぇ本当に」

 

コロッセオ。

 

時間はない。

 

だが、もし上手く行けばチャンスなのでは。

そう思い、すぐ街の案内所に走り、コロッセオを探す。

 

「よぉ、坊主、ここに来ると思ったぜ」

「ハインリヒさん...」

「先輩?この方は」

「敵だ」

「おっとまて、確かに俺は敵だが今日は味方だ、流石に犬死には見てられないからな」

「......」

 

恐らくこれは本心だ、だがどこかすれ違っている気がする。

だが、行かないといけない、知らないと勝つ以前の問題だ

「えぇ、今は信じます」

「good、ついてこい、特等席だ」

 

そう言われ、馬車にのって数十分、コロッセオの観客席についた。

場所は丁度センター。

そして、場所によっては騒ぎを起こしても逃げられるように扉の近くだった。

 

「では、俺はこれからは敵だ、精々挑め...いや、観察しろ、むやみな突撃は犠牲を増やすだけだ」

 

そういってまたフラりと消える。

そこから十分後。

あっと言うまに人は集い、騒ぎ始める。

 

「さぁさぁさぁ!!!!集いましたかなイシュタル様を信奉するウルクの諸君、このコロッセオのひいてはこの神都ウルクの支配人、ハインリヒ・ラムシュトースが進行させてもらおうか」

 

彼が舞台に上がり、その背後にある黄金の席に座る。

それに呼応するように会場は盛り上がり少しずつその熱が人の理性を溶かしているのが分かる。

 

「さて、それでは始めましょうか」

 

そう言い出すと下の方からぞろぞろと死にかけの男達が歩き始める。

全員武器を持ち、鎧を持つ。

そしてなぜか石造りの階段が現れそれが彼の前に繋がる。

 

まるで殺せと言わないばかりに。

 

「さて、では、始めようか晩餐もすんだことだしな」

 

そういって最後の階段が繋がった瞬間、男達は一直線に走り出す。

しかし。

 

誰も彼もが走っているはずのに行き着くことがない。

 

いや『ある程度走った瞬間後ろで立っている』

ボウガンから放たれる矢も途中で消え

 

ただ憎しみ一つで動いているせいで気付いていない。

 

いや、あれにはもう半分理性を感じない。

人を見てきたからわかる。

そして、察した。

 

「マシュ、少し呼吸できる?」

「い、いえ、できません......それどころか少し」

「だろうね、多分これは宝具かそれに近いものだ、恐らく、擬似的な『狂化』の付与だよこれは...心をしっかりしてないと危険だ......」

 

この世界では力はいらない。

寧ろ重要なのは心。

 

よくわかる。

そして、見えた。

あの人達は死ぬ、どれだけ強くても、この世界、いやあの男の世界では無価値。

 

「誰一人とて、乗り越えられぬか...いい加減覚めたわ雑種が......失せるがいい」

 

門が開き、一つの剣が現れる。

忘れるわけもない。

 

そう、メソポタミアの特異点で見た、唯一無二の王の剣。

 

「先輩流石にあれは」

「......見捨てよう、マシュ」

「そんな!!先輩どおして!!まだ」

「無理だ、今回ばかりは全て、寧ろ感謝する必要がある......この特異点は生半可な覚悟では潰される、時に非情に、時に大胆にその見極めができないと、すぐに死ぬ」

 

紅い風が吹き荒れる。

そんなものをお構いなしとただ突き進み続ける人達。

 

「......全く、どうしようもないな」

 

その振り下ろされた一撃は闘技場に直撃する瞬間打ち消され、空が曇る。

皆が空を見上げる。

 

そこには

とても巨大な黄金の舟があった。

無数の宝石の装飾

黄金の船体

目を疑うような数の艦砲。

 

「全く、ハインリヒは......趣味悪い殺しは止めなさい、折角の奴隷なのに勿体無いじゃない」

 

天から降臨する女神

いや、そんな生易しい者じゃない。

見るだけで

ただその甘い声を聴くだけで

溶かされる

理性も

感情も

倫理観も

毒のように蝕み

世界を書き換えるような。

 

「ッ!!」

そのまま持ってきたナイフを手に突き刺す。

痛みで少しでも理性を保つ。

 

「......ハァ...ハァ......痛みは...ある」

 

すぐに辺りを見渡す、異常だ。

ただ、女神が降りただけだ。

ただ、その姿を見せるだけで人々の世界にはあの女神しか映っていなかった。

それは闘技場にいる人も含めて。

 

いや、それどころじゃない。

隠しきれないほどの嫉妬、殺意...悪意という悪意がこの世界を飲み込む。

 

「......そうか、なら勝手にしろ、我はもう覚めきった」

「どれもこれも粒揃い...これは私の責任ね...でも知らない......さぁ、私を讃え、すがり、敬愛する信奉者達、このまだ私を理解できない存在を『排除』しなさい♪」

 

それと同時に観客全てがまるで飢えた獣のように男たちに食らいつく。

それどころか一部の人達は仲間割れすら始めさっきよりも過激にその獲物を振るう。

 

もうどこにも理性はなく、ただ狂気と闘争に飲まれ虚ろな目をした者達がただその衝動を撒き散らかす地獄になり果てた。

 

「......マシュ」

「......」

 

完全にミスだ。

もう、マシュ駄目だ。

 

「帰るよ、マシュ」

 

最後に希望を掛ける。

 

「はい......帰りましょう、先輩」

 

すぐにその場を離れる。

無人の街道。

 

ある程度進むと急に天候が変わり雨が降り始める。

 

「...」

 

絶望とはこういうことか?

目の前に女神はいた。

 

「なるほどね、大体察したわ......だから逃がさないわ、『カルデア』」

 

周囲に魔方陣のようなものが現れ、発射体制を整える。

 

「私のウルクを壊さない、それさえ守れば生かしてあげるわ」

「......断る!!」

「でしょうね、私だって彼が手に入らないからこんなことをしたもの、無理なものを無理矢理叶えて、それのせいで自分達が死ぬなら嫌でしょうね、でもね、彼みたいに心の強い貴方に言うわ、『お隣はどうかしら』?」

「!!」

 

咄嗟にマシュとの距離を取る。

そして入れ違いに自分の居たところに盾が突き刺さる。

 

「......マシュ」

「何故です?何故避けるのですか先輩!!ただ先輩は受け入れれば幸せなのですよ!!もう世界を救って、もうすぐカルデアの審査ですが、きっと録な結果になりません!!ですから!!」

「...あら、こちらは......意志より愛が勝りましたか......ふふっ、こんなショー、興味深いじゃない」

 

逃げて意味があるのだろうか。

いや、逃げるしかない。

 

「言ったろ、ここでは力は意味無いって」

 

終わった。

気がつけば後ろに男の影があった。

 

もうすでに門を展開し、その数恐らく千

 

「先輩、もう終わりです、受け入れましょう、止めましょう、もう、溺れてしまいましょう」

 

溺れる?

咄嗟に周囲を見る。

橋だ。

 

もしこの激流に流されれば......。

やるしかない。

 

「あぁ、そうだね、マシュ......だから武器を置いて」

「ありがとうございます、先輩、これからごはっ」

 

鳩尾。

殺すつもりで殴る。

 

死んではほしくないが冷徹にいかないともうどうしようもないところまで来てしまった。

 

「あら」

「逃がすか雑種!!!」

 

橋から飛び降りると同時にその千の剣の砲撃で周囲の瓦礫が降り注ぐ。

 

だが、流れに乗ることはできた、だから後はこのまま下流まで。

意識が途絶え掛ける。

だが、決して希望を捨てずに流される。

 

「フハハッハそうかそうか、そういうことか、だが残念だな雑種」

 

終わった。

いや、終わらせない。

 

たとえ激流に捕らわれ、空から武器が降り注ごうが、負けない。

負けられない。

 

 

「ではな、貴様の豪運に免じて最上級の財宝をくれてやる」

 

 

無数の刃の雨に撃たれながらゆっくりと流されつつ沈む。

一撃一撃が致命傷でもうどうしようもない。

 

爆風全身が焼け、飛んでくる刃に臓器を貫かれる。

 

だが、ここで死ぬことは許されない。

そうやって途絶える一瞬まで諦めずそのまま沈んだ。

 

 

 

 

「うわ、なにこの血、流石に死んだわよね」

「いや、生きているな...これで死ぬなら苦労しない......全く、まぁいいだろう、帰るぞイシュタル」

「そうね、ドゥムジ......いえ、ハインリヒ」

「ハインリヒ?誰の名前だ?」

「何でもないわ、帰りましょ......」

 

 

その日の夜。

何もかもが終わり、そして、朝を迎えた。

 

 

私は何か大切なものを見失った気分だった。

この甘く蕩ける世界で何かを失った。

 

でももう、そんな事も失いそうだ。

 

「......ミスマシュ、どうかしましたか?」

 

気が覚めると私は金色のよくわからない羊さんといた、ただ、自分が本当は何者かも分からないので行き宛もなく今はこの人の家であるバーで働いている。

 

「...いえ」

「ずいぶんとseriousな問題のようですね、ですがゆっくりと考えましょう、早急な解決ほど危険なものもありません」

 

今あるのはただ、この盾をイシュタル様にのみ使う。

それしか残っていませんでした。

 

 

 

マアンナのある一室

 

そこではもう悲惨なほど杯や石板が砕け、その中央で一人の少女がただ、泣いていた。

 

「はぁ、またかイシュタル」

「......ごめんなさい、騒がせたかしら」

「いや、構わないさ、きっと俺の事でだろ......過去は気にしない、もうやめてくれ」

「......ドゥムジ」

「まぁいいじゃないか、明るい話をしよう...そうだイシュタル、例の『女神召喚』あれはどうした?」

「...あぁ、あれ?えぇ、実は最終段階まで来たわ、後は───」

 

 

 

波の音が聞こえる。

呼吸が浅く短い。

 

全身の筋肉が動かない。

 

でも、死んではいない。

 

「うぅ......あぁっ...」

 

力一杯叫ぼうとする。

声にならない声をあげ

ありもしない力を引き出そうと。

 

「まだ、負けていない、まだ、終わりじゃない......」

 

理由はわからないが声が出た

生を望む

まだ、進める、まだ戦える。

 

狂った運転手の乗った車のように力任せに歩き、木を噛み砕く。

やはりおかしい。

 

なぜ大木を噛み砕けた?

なぜここまで力が出る。

 

全身が穴まみれでもはや流れる血もないのに動き、酸素も運ばれないのに思考が回る。

 

「ああああああああああああ!!!!」

 

叫び怒り、その感情の赴くままに大地を殴る。

その拳は地面にヒビを入れ、割る。

 

「......ひとまず、完全復活おめでとう、カルデアのマスター、そして、その顔は理解したな?」

 

笑いがこぼれる。

あぁこれだ、これこそだ、といえる。

 

「あぁそうだ、この特異点の聖杯の効果でな、『それ相応の意志』さえあれば『神』や『サーヴァント』程度なら誰でも倒せるのだ、そして貴様は今、再起した理解した、ならば後は時間と己の許す限り強さと決意を固め、ウルクへ来るといい......」

 

「なぜ、助けたのですか?ハインリヒさん」

「助けた?あぁ、それは俺がもう自分が何者かも分からなくなったからだ、誰でもいいから終止符をうってほしい、それださ......あぁそうだ、貴様の全力でマシュは半分死んだ状態だったぞ...ただまぁ、アイツも固いものだ...普通にサーヴァントが即死するぐらいの攻撃を耐えやがった......見所あるぜ、お前ら.........もし俺が何者かわかったら手ぇ貸してやるよ、じゃあな」

 

それを最後に空を飛んで姿が消えてしまった。




どうしよ、色々変な流れになって一話で終わらねぇよこれ


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4/1特異点 魔術師として、人として、女として

4/1特異点企画元ネタ
バッドエンド666通称性癖エンド
はい作者の推しを曇らせたいがために作られたバッドエンド案の一つ

獣畜生→セッ→ドゥ→我が友→呪い(病)で死亡
を元ネタに雑に
糞女神→雑談→人(女神)→おもしれー女→マモレナカッタEND

せっかく理解できたのに自分の力も間隔も計れずに己の恋心に従ってやって全部失うという最高に気持ちのいいエンドが書きたかっただけ。
尚、ハイン君が精神崩壊で廃人とか解釈違いなんでボツった

で、なんだ?
聖杯で逃げるこの無様な神の姿よ、笑えるだろ?笑えよ?


この世界は意志こそが全て。

そう、理解はした。だからこそ折れそうだ。

ある程度の強者になると、自ずとその力の差を実感できるという。

もしそうなら、俺にはきっと、勝てない、だが、諦めるわけにもいかない。

 

だからこうやって毎日毎日、万は居る竜を倒し、肉を喰らい、各地を歩き回る。

この特異点は自然は普通に豊かでそこかしこに果実もある、飢えの心配はない。

だが、それがいけないのだと分かる。

この世界ははっきりいって楽園だ、意志さえあれば誰も死ぬことなく、誰も負けず、そして恐怖が無くなった世界。

そう、あの都市のみ。

 

今ここも楽園ではある、だがそれは違う。

その強さに傲りこの大地を支配し強者だと錯覚する、そしてその余裕は意志を殺し、堕落を与える。

そうなればもうおしまいだ、後はサーヴァントを余裕で倒すことのできる無数の竜に食い散らかされ、無惨に滅ぶ。

 

森林を抜けるとそこには巨大な街があった。

ウルクに負けないぐらい巨大な都市だ。

恐らく、この最果ての都市こそが唯一の対抗手段。

 

「おや、珍しいですね、この『反神連合』の秘密基地に客人なんて」

「...その」

「『カルデア』ですよね、マーリンから話は聞いています、ようこそ」

 

少し驚きを隠せなかった。

まさか、ウルクの特異点で助けてくれたマーリンがここにいるなんて。

だが同時に不思議でしかない。

なぜ、マーリン程のすごい人がここでいるのかということ。

 

それは会ってみなくては何もならないためとりあえずこの女性についていく。

 

街では本でしか見たことの無いような数の武器が揃い、あらゆる人種が集っていた。

 

「マスター、マーリン、今帰りました」

「お帰りランサー...あら、客人?」

 

宮殿に入り、その一室に女性はいた。

 

髪はとても長く薄い蒼色でその瞳はもはや光を写していない金と銀のオッドアイの女性。

 

「おかえりアルトリア...おぉ、藤丸君ではないか!!と、このまま勢いで話すのも難しいよね、とりあえず手札は揃った、まぁとりあえずお茶にしよう、ちょっと待っててね☆」

 

急に地下から出てきたと思えばまた地下に降りるマーリンを見てからとりあえずセイバーに連れられ茶会でもするような庭園の一角に集まる。

 

「あなたは......ハインリヒ...いえ、違うわね...色が違うわ」

「えっと...その」

 

急に頬を触り見定めるように見つめる女性に少しだけ戸惑い、反応が遅れる。

 

「あっ...ごめんなさい、私はランサー、アルトリア・ペンドラゴンのマスター『シャルロット・エトワール』フルネームだとフルネームのレオナルド・ダ・ヴィンチ程に長いからこれで良いわよね、えーと...藤丸さんでしたっけ」

「えと、はい、藤丸、藤丸立香です」

「そう、良かった......ふふっ、意外と一般人の出の割には回路の質も量もいいのね、落ちぶれた魔術家系なんて下手すれば回路の一本もないのに、ふんふん...属性は......あら、まだ開花されてないのね...こじ開けても良いけど、いいかしら?」

「えっ?!」

 

そう言うと急に腕を心臓に突き刺し、鼻唄混じりに手を動かす。

そこに激痛はなく、まるで手慣れているようでもあった。

 

「...ふぅ、流石に全てを一斉に開けるのは自殺行為に等しいからやらないけどどうかしら?」

 

三分もすると腕を抜き、その血を払う、咄嗟に自身の胸を見るとそこには傷ひとつなく、損傷は感じなかった。

 

「あの、これはいったい」

「......ただの見よう見真似よ...ただ貴方、『大切な人』を救えなかったのでしょ、だから少し手助けしたのと、『カルデア』が気に入らなかっただけよ」

 

カルデアが気に入らない。

カルデアの皆が彼女に何をしたのか、それはわからないがとりあえず感謝はする。

 

「いらないわ、感謝なんて......ただ、マーリンさんを通じて見た、カルデアの『お気楽な考え』が気に入らなかっただけ、私はただ貴方に仮ではあるけど『魔術の道』も開けてあげただけ、選択の余地を奪ってそれだけを選ばせるなんてあの女神と同じだもの」

「......」

 

そういえばそうだ。

カルデア

いや、皆が俺を元の世界に帰そうとしていた。

俺の意思も意見も何も聞かず、ただ一般人なのだから元の一般社会に戻り平凡に暮らせと言った。

正直、嫌だった。

俺にだって会いたい人はいる、それはあちらではない。

 

「......マスター」

「ランサー?どうしたの、そんなに嬉しそうにして」

「いえ、もう、立ち上がれそうで、とても安心しました」

「何を言っているの?もう私には意志なんて......あーあ、馬鹿ね私も」

 

何がどうかはわからない、だが、その瞳に光が入っていることだけは分かった。

 

「...さてと、それじゃあ、この特異点も終わりなのね......」

 

一度瞼を閉じゆっくりと行きを吸い、いきよいよく吹く。

その瞼が上がると、『色が左右別々の配色の虹のような瞳』はとても美しく、そして、禍々しかった。

 

「おっと、あまり見ない方がいいよ、『簡単に死ぬから』」

 

少し、いや、とてつもなく体が重くなったように動かなくなる。

周囲を見渡すと『何もかもが石化していた』。

 

「石化の魔眼、彼女の階級は虹、この時点で生半可な存在は即石になるトンでも能力さ、その出力、射程距離、効果範囲、全てが『ゴルゴーン』を遥かに凌駕する程さ」

「ゴルゴーン...以上」

「さらにさらにそれだけてはあきたらず、擬似的な魅了持ちさ、これが虹足り得る異質さなのさ本来魔眼はいくら拡大解釈しても一つの魔眼に備わる能力は基本一つかそれに準ずるものだけだからね、一度見ればある程度気を強くしないと直視して石とかアーヤダヤダ、僕は美女は口説きたいけど死にたくはないね」

「では、長い戦を始めましょう、マスター」

 

 

 

 

ジグラットの王座に俺はいた。

我は己がわからなかった。

私はなにもであったか。

だが確かにどこかでは我が俺であると確信できた。

 

この手に残る令呪はなんだったのか。

我にはもっと隣にいるべき存在が居たのではないか。

 

狂う、叫ぶ、酒に沈もうと飲み干す。

馬鹿だよ、俺は

 

あいつにかける言葉が思い付かなかった。

あの苦しんでいるあいつをどうしようもなかった。

狂いそうだ、壊れそうだ。ひび割れた心に何が欠けたのか理解できない。

我はこの天に座する英雄の王

俺はただ女神と結ばれただけの平民

いいや違う。

もっと別のなにかだ。

 

魂が軋む

瞳に写るもの全てが灰色になる

 

なぁ、シャルロット......お前の見た世界はこれか?

シャルロット?

誰だその女は

女?

なぜ女と言える、男かもしれないのだぞ。

 

「......くだらないな、既に女神戦線は構築された、後はあいつの言う儀式だけか...フフッ遅いではないかカルデア」

 

 

気まぐれで千里眼で覗くとそこには無数の戦車を走らせ突っ込んでくるやつらの姿が見えた。

別に些細なことだ。

今ここから迎撃しよう。

 

「......あぁ、気に入らないよ、俺が誰かなんてなぁ...」

 

蔵の最奥から剣を抜く

それは三層の紅い筋のある円柱

それは天地を切り裂く宝剣

 

紅い風が巻き起こる。

あぁわからない、だから全てを終わらせよう、ここが潮時だ。

この世界はあいつを苦しめるだけだ、だからあいつらに終わらせやさせねぇ、俺が全部背負ってやる。

 

「原初は語る」

 

神はもう必要ないのだ。

これよりは人の世界。故にこの神の世界はいらない。

 

さぁ、我が精霊の剣よ。

その加護にて私の道を消してくれ。

 

黒い剣は透明になり、紅い風は虹色に輝き、この星全ての息吹を束ねる。

 

「天地は乖離し人は世界を創造する、見せてみるが良い、負け犬どもが」

 

世界が割れるような一撃を落とす、それは世界の終末だ。

狂いそうな世界を残したい。

あぁなぜだろうな。

 

 

「あぁ、そうだ、それでいい」

 

地より放たれた一本の槍に光は切り裂かれ、肩を貫通しそのまま落下してウルクを吹き飛ばす、あぁ本当にな。

 

「......全く、捨てるものが無くなったではないか、いやまだあったか」

 

蔵を全力で展開する

その砲門数にして百万

 

この無限の財宝を撃ち尽くす。

ただの宝石から至高の宝剣まで。

たった一つの最上級の宝物以外全てを撃ちだし捨て去る。

 

「...味方の女神ごと吹き飛ばすのは欠片も心が痛まないが、流石に援護はしてやるか」

 

対神性のゴミを全て歩兵に向け、対人や、不死殺しの鉄屑だけを執念にサーヴァントどもに乱射する。

だが砲撃は効率にもだ。

 

常に未来を観測し、ただ最善手で砲撃を続ける。

それが英雄王ギルガメッシュの最大にして最高の戦術。

 

「......そういえば、抑止力だったか、そんな下らない客も居るようだな」

 

この戦いのどさくさに紛れ地底を這い進むネズミのような抑止より派遣されたサーヴァントを即座にエアの凪ぎ払いでついでに消滅させ、この特異点を擬似的に崩壊させる。

次、抑止力に邪魔されるのは計画の破綻を意味する。

 

「さてと、一撃だ。何もかもが一撃だ、たった一つの拳で全てが終わるときもある」

 

腕を天高くかざす。

星と星の接続を切り離し、重力の檻から銀河を解放する

支えを失った星々は揺れ動き、崩れる。

 

たった一つ、石ころが水面に落ちた程度ではなにも変わらない。

 

だが、もし、何回も何回も継続的に落ちつつ、巨大化すれば?

 

「全人類にさよならだ、天に立つのは私一人で良い」

 

 

 

 

墜ちる

地球に氷河期を訪れさせたなんてレベルのものじゃない星が墜ちる。

 

「うそ、だろ......これが魔術師」

「流石にありません、ただ彼がそれほどの怪物なだけです、普通は精霊の装備も星の繋がりの解除も『魔術』では不可能ですから、それはそうとマーリン!!」

「いやぁ、ギリギリ間に合ったけど本当に女神様は手厳しいなァ」

 

とりあえず安全は確保できたのか全力で走りながら確認をする。

 

「その...いったい何が」

「マーリンにこの特異点全体に魔術を仕掛けさせ、外部にはなにもさせないと同時に一瞬だけ『パスを切断する』結界を張らせただけです」

「......?」

「まぁ当然よね、あんまり知らない藤丸にはわからないか、簡単に言うとね、あれも結局『魔術でできない魔術』なのよ、一言で言えば『不可能を不可能なまま実現可能にさせている』って状態だから結局、サーヴァント運用にパスを繋いで供給するのと同じであの振り上げた腕を電波塔みたいにして、無数の回路とパスを伸ばしている状態だからね、まぁ、『星全てを操作する魔術』なーんて怪物じみたものハインリヒ以外には無理な芸当よ、せいぜい特化した魔術師でも月を落とす程度よ」

「なんというかその、レベルが違いすぎると言うか」

 

もう言葉の理解すら難しくなってきた。

 

「まぁそういうでしょうね、銀河っていってもそれこそ何千光年遠くのだって持ってこれる可能性があるもの、まさに宇宙の支配者って感じよね、いいなぁ、あの自然災害発生装置ヤローなんかよりもね」

「魔術により補強が無いなら小さな星は燃え尽き、速度も遅くなるので破壊力もせいぜいこの星をぼこぼこにする程度でしょう、これが人生二回目の威力でしょうか?」

「さぁつべこべ言ってないで突撃だ!!もし、次、ぶっぱなされたらおしまいだ」

 

集団を抜け、その頂にいる男を目視で捉えたとき、突如周囲に噴出する紅い柱が立ち。

 

一瞬だけ何もかもが死んだような錯覚に陥った。

 

「......え?」

 

たった一瞬閃光だった、この世界に何億の人間が『この世ならざる異形』に成り果て、倒れていたのだ。

 

「『七十億の人類』、『神代レベルで地球規模の魔力』、『大規模でかつ精密な大地の回路』、そして『この星の中央』、おめでとう、ランサーのマスター、今ここに貴女の倒すべき目標の『ハインリヒ・ラムシュトース』は死んだわ」

 

なんの気配もなく、ただ、女神がいた。

なんの前触れもなく終わった。

 

「...身勝手な女神が...今さら過去に悔いてこんなことをして何の意味があったのよ!!」

「......そうね、でも一度の失敗程度で諦めるわけにはいかないのよ、ここからが本番なのよ、貴女達には消えてもらうわ、マアンナ!!全主砲最大出力!」

 

天が輝く

それが裁きなのか

憎悪と自己嫌悪の暴走なのか

 

 

「まだ、負けてないんだね、彼女も」

「おや、気付いたかい藤丸君?そうさ、そして、今ようやくその儚い恋心と決意で再び勝負の舞台に立ち上がっただけなのさ、でも、その過程で人類史を根底から作り替えるのだけは勘弁だからね」

 

 

マーリンがそういいながら杖を振った瞬間壁のようなものが出来上がり、空から降り注ぐ鎖の雨を防ぎ、弾いた。

 

「......全く、ひどい目に遭ったよバーサーカー、なんか結構肉体成長してるし、ほーんと、嫌な夢だった」

「jrqー、7.et?」

 

 

 

舞台は揃った。

いや、『この一瞬』のためだけの世界だったのだろう。

はじめからこの瞬間だけを待っていた女神。

 

「ひどい目に遭いました...あ、観戦にポップコーンはどうです?」

「?えーと、しゃべる金色の羊?」

「どーもドゥムジです、ただの羊です...あ、これはお返しします」

 

そういうとぽこっと、体から全身がボロボロのマシュをだし、比較的荒れていない所に置く。

すぐに脈を計るが特に問題はなく、ただ気絶をしているであった。

 

「マスター、砲撃許可」

「......ランサー...もう勝負はついているわ......」

「いやいや、そんな一撃で」

 

一発KO

綺麗に拳が貫通し、核を削る。

本当に呆気なかった。

 

 

本人達からすればきっと悪夢の日々だったのだろうか。

それは部外者な時点でわからない、だが、本当にこれで終わりなのだろう、ただ『終わらせただけ』。

 

「......死人しか居ない世界か...ふふっ......『藤丸立香』」

 

「...??」

「......この聖杯を本当に回収しに来るのならば『全てを賭けて』来ると良い、ほんの礼だ、貴様に『本当の聖杯戦争』を見せてやる!!フフフ、フハハハハ!!!さぁ、この『自分に嘘をついたの女神の世界』は終わりだ、時は終点であり原点で揃い、再び、刻み始める、人理焼却?人類悪?異星の侵略者?未来の無い世界の台頭?下らんそんな『子供の戦争ごっこ』なぞ生温い、さぁ、次の嘘を越える時が揃うとき、その全てを賭け、挑むがよい、『欧州最大最悪の聖杯戦争』......とある世界の聖杯戦争にな」

 

その瞬間強制的に退去が始まり、聖杯は回収できなかった。

そしてまるで『無かったように』皆の中から記憶が消滅し、4/2を始める。




予定と全然違うんじゃが
もっとこう、エイプリルフール裏路地的なあれのつもりで......
もっとこう十二柱の有名女神とわかめ的な敵とこう、くそドマイナー女神とのあれを......


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月の君と星の自分

開始が配信と同期で7/30
一ヶ月程度ウルトラせんとくん圧殺
つまり8/30あたり



つまり、ネロ祭りだね。


それは一枚の手紙から始まった。

 

「......よくまぁ、南極から」

 

郵便受けに入っていた一枚のバラの花弁が入っていた綺麗な手紙。

そっと中身を開け確認する。

 

文こそ無駄に長いが簡単にまとめるとお祭りをするようだ。

 

「...優勝者には聖杯か......微妙だなぁ」

 

正直ここから南極程度の距離なら三十分程度本気で飛ばすなり虚数空間通ってもいい。

マリーのほうも別段問題はなく対等な話し合いをしているらしい。

 

「マスター!!このキャラ、僕の操作に追い付かないよ!!!」

「バーサーカー...アクションゲームはプレイヤーがサーヴァントであることを想定はしていないからそれ最速だから」

 

滞在初めの三日程度はあちこちつれ回してランサーの墓で写真とってしてたのに気がつけばこれだ。

山のようにつまれたプラモデル、壁のように並ぶ雑誌、明らかに不要な数の改造バイク。

まだレストランとかショッピングモール回ってるキングゥの方が許せるレベルで酷いレベルだ。

 

こいつの面倒くさいところはあらゆる無機物、有機物に変化擬態一体化して取り込めるところだ。

常にその床と同化した足でこのイギリス中の品々を探して取り込んでは部屋に積み上げやがる。

 

「......もう何時間勝ってる?」

「十三時間程度さ」

「そうか...それはそうと、今カルデアから招待状が届いたが行くか?軽い闘技大会らしいぞ」

「別にギルもイシュタルも居ないのだろ?僕はパスするよどうせ全部つまらないだけだよ」

「そうかぁ、手紙の内容にはなんか『特殊勝負』の席に来て欲しいって書いているけどな、まぁそれとは別に普通に屋台とかも有るようだし、参加者一覧にも色んな大英雄の名前があるな...ギルガ」

「いこう、マスター、すぐいこう」

「......あぁ、うん、キングゥ帰って」

「何言っているんだいマスター、ここにいるじゃないか」

 

そういうと急に床を掴み、引きずりあげると明らかにコーデ途中のキングゥが引きずり出された。

 

「...え?」

 

 

そこから手紙を残して一時間。

カルデアに入り込み、予定の場所に向かう。

 

まぁやりたい放題だ。

中央に見える黄金の闘技場。

あらゆる英霊がしのぎを削り、その刃を交える。

 

「おぉ、よく来たなでっかいのとマスター!!」

 

主催者が出た。

服はいつもの赤と違い白を主体としたどこか花嫁

いや、どうみても花嫁ですね

 

「あぁ......陛下...バーサーカー、鍵出せる?」

「いいよ」

「む?」

 

何故だろうか、この錠を外さずにはいられない

強いられているんだ!!

 

「...?この錠!!回しても開かない!!!」

「マスター...流石にそんなわけないだろ......開かない...不良品だ壊そう」

「まっ、待つのだ!!こ、これはそういうものじゃ......なくて...余とマスターの過去の...」

 

途中から声が弱々しくなって聞こえないが無茶は駄目なのだろうか?

仕方がないから人目につかないに引っ張って鍵穴を覗く。

 

「...あぁなるほど、これ絶対開かないやつだ、だってこれ、鍵穴あって入る鍵もあるけど『それ止まりだ』、開くための仕掛けがないわ」

 

そこにあるのはただの穴。

それより先の仕掛けはどこにもなく、ただ、そこにあるだけであった。

 

しょうがない

 

諦める俺ではない。

 

そういえばこいつは言った。

俺は未来に月でサーヴァントにこのセイバーを召喚してマスターの一人として参加して優勝した。

 

多分なんとなる。

 

「......バーサーカー、鍵、今度は魔力を通せるような奴」

「いいよ、こんな感じで良いかい?」

 

そう言って渡された鍵を突っ込んでから魔力を回路に通すように流し、回す。

するとガチャンという音と一緒にロックが外れる。

 

 

 

「......なぁ、バーサーカー、なにやってるんだろうな、俺たち」

「...さぁ、そんなこと僕に聞かれても」

 

 

冷静になると無駄を通り越した何かだ。

何がしたかったのかわからない。

でも、別に問題はない、それでよかった。

 

「まぁいいや、バーサーカー、さっさとエントリー行くぞ」

「そうだね、今回は僕とキングゥだけで参加するからマスターは適当な所から観戦してて」

「ハハッ...本気で暴れるなよ、俺以外だとついていくのもやっとだからな」

 

やることはやったからすぐに少し前に見た受付に向かって歩こうとすると彼女に腕を捕まれる。

別に振りほどけない程強いわけではないから抜けようと思えば抜けれる。

 

「...余にはこれ以上の勇気がなかった」

「?」

「きっと、あの時のように...振りほどいてしまえるのであろう」

 

その声は暴君とは思えぬ可憐で弱々しく、悲しい声。

きっと彼女は俺の先を知っている。

それぐらい深く居たのだ。

 

「バーサーカー、先に行け...って、もういない」

 

しょうがないから『セイバー』の腕を振り払い。

逆に手を握って引っ張る。

 

引っ張ったそこは舞台が見える頂上ではあるが、全く人気のない静かな場所。

 

「少し、未来の話はどうです?陛下」

「未来...とな?」

「そう、未来、結局世界線が違っても俺は俺、きっとその話から何が足りなかったとか、わかるかもしれないからさ......後は全部興味さ」

 

いつぞやの蔵に突っ込んでいた酒と杯を取りだし、注ぎ、片方のみを渡す。

 

「で、では、余との出会いからだな」

「どこからでも、陛下」

 

「...はっきり言うと、やりたい方であった、余が召喚時、目の前で排除プログラムを皆殺しにしていて開口一番『俺が貴様のマスターだ!!悪いけどガードしていてくれ、今からこの会場を爆破する!!!』など、滅茶苦茶なことを言い出して本当に懐にあったビンで校舎を爆破してしまったのだ」

 

...やりかねない。

 

「お、おう、初手それはキツイな、バーサーカーとの契約直後の俺でもそこまでは行かない」

「その後はなぜか成り行きでトーナメントに参加できたのだが、実のところを言うと第五回戦までルール全無視でマスターが方をつけてしまってな......とある者達の『魂の改竄』で無駄に筋力だけ成長した余はただ見守るだけであった」

「サーヴァントとは一体」

「さすがの余もそれには少し文句があったから問うたのだ『何故、余を使わぬ』と、するとどうだ、マスターは『バーサーカー程強くないお前を戦わせるわけないだろ』と、言われてな...流石に腹が立ってとある者に依頼してマスターの記憶を覗くと、知ってしまったのだ『バーサーカーの強さ』をな」

「...なんだ、そっちでもか」

 

「ただただ、それを知って余はマイルームで語り合う程度の存在、マスターの隣にはあのバーサーカー以外、誰も立てないと思ったのだ......でも、当時の余はものすごく諦め悪くてな、もう全部捨てて、ノーガードで殴り合えば良いのではと思って真名を明かし、その生い立ちを語り、その全てを賭けたのだ...」

 

何故だろう、どこで負けた?

そこまでされると流石に俺は気に入るはずだ。

 

 

「そして、第五回戦でようやくサーヴァントとしてと思えばまたマスターの常識を逸脱したレベルの支援で宝具を使わず勝利、第六回戦も一切、苦戦することなく無傷の勝利、最後の第七回戦はマスターとしての格はマスターを除いて一番すごいと言われた男でな、サーヴァントも太陽の騎士『ガウェイン』苦戦こそしなかったが、マスターが能力の半分を使うぐらいのは危険な相手だった」

「終始舐め腐っているのでは?」

「......恐らくはな、しかしだ、しかし、その後の最後の戦いは余もマスターも全力で戦ったのだ!!『セイヴァー』のサーヴァントであってな...途中から何も出来なくなった余を守るようにマスターがセイヴァーを殴り倒したのは少し見ていて震えたな」

「...なぁ、セイバーなにした」

「......月の表ではほぼ、置物だった。正直なところ、マスターが強すぎて生半可なサーヴァントでは太刀打ちできぬのでな、しかし、しかしなのだ!それで終わる余ではなかった!!月の裏側でBBという性悪AIめに記憶と能力を九割封印されて月の裏側に閉じ込めれたマスターを救うべく余もムーンセルを使って入り込んだのだ!!」

「ほぉ、月の裏側、ね」

 

正直、自分が羨ましくて妬ましい。

これほどまでに愉快な冒険をするなんてはっきり言って許せなかった。

だが同時に。

俺は『この旅路』を知らないと知って少し、優越感に浸った。

二度目の旅、俺はそれができて、俺はできなかった。

 

「......そして月の裏でマスターは変わってしまった」

「そこで、か」

「ほんの一瞬の隙であった......」

「...話は終わりだ......ほら、勝ち上がってきたぞ」

 

軽く床の材質を変質させて彼女を中央に落とす。

下ではバーサーカーとキングゥがガチガチで警戒しているけどまぁ多分大丈夫と思い、その場を離れる。

 

 

実に好都合だ。

職員やサーヴァントは大会のだけ目を向けマリーは不在。

 

「さてと、他にも見たいのあったから無断で所長室にレッツゴー」

 

ドアを蹴り破ったあと何事もないように戻し、置いてあるパソコンから色々なファイルを開く。

魔術師とはいつもいつもこう疎かにするから困るし困らない。

 

「...海洋油田?この規模が?......」

 

画面をスクロールし、データを探せば探すほど、面白いものが見つかった。

128人のマスター

秘密裏の部屋

ごちゃ混ぜ人員。

 

丁寧に存在を隠し、何がしたいのかは分からないが、黒ではある。

 

「......まぁ、数ヵ月もすれば訪れるのもありか...今は魔術師を滅ぼすか滅ぼさないかの選定中だしな」

 

時計塔も実に愚かだ。

ご丁寧にアルビオンの真上にあるお陰で地盤を崩壊させれば一発で奈落の底。

アルビオンは元ねぐらだったからきっちりと地形把握もしてやり易い。

 

「......いや、連中は表向き研究者だから正解か...」

 

部屋を出て、無人の廊下を歩く。

かつかつと靴が床を踏む音がテンポ良く続き、会場に戻る。

 

「うわぁボロボロ...本気出したなバーサーカー」

 

当たるところに融解し液状化した鉄や黄金、煉瓦を避けながら穴だらけの中央に向かう。

中央に近づけば近づくほど何も対策をしていない魔術師では耐えられないレベルの高濃度の魔力が漂い、変質する。

 

「おい、バーサーカー、魔力は好き放題持っていっていいがこれは本気を出しすぎだろ」

 

 

もう会場とはなんだったかのかレベルでぶっ壊れた土台の上でリンゴを食べながら座っているバーサーカーの隣に立つ。

一面にサーヴァントが倒れ、もう祭りもくそもない。

 

「しょうがないだろ、キングゥなんか抽選に嵌まって連戦するんだもん」

「......あぁうん、楽しいよね、抽選」

 

 

酷いもんだ、これが過去か。

やはり嫌いだな、時代が古ければ古いほど強い......か。

ま、しょうがないよね、バーサーカーは最強だから。

 

人間の可能性を否定していないか?

 

「絶対的な個には絶対的な個以外では対応できないか。まぁいいや、キングゥ回収して帰るよバーサーカー、行きたいところができた」

「了解、マスター」

 

 

.........。

 

ロンドンの街の一角。

綺麗な夜空が見えるレストラン。

 

正直、イギリス料理は雑と聞いたがそうでもない。

まぁ、確かにあの魚の頭が生えたパイとかはあれだが......

 

まぁ、東洋の味噌汁ほど意味不明ではないか。

いや、東洋人は昔から海産物、海草類の消化器官があるのだったかな?

どっちでもいいか、パンとワイン、それとソーセージ、ポテトで十分だ。

 

「......テーブルマナーの一つぐらい無いのかしら」

「しょうがないだろマリー、産まれこそくだらねぇ名門だが生きてる時間の大半は平民と同じさ、いや寧ろ体感時間的にはバーサーカーとアルビオンとかいう不毛すぎる地下で過ごしてた方が長いしな...一週間程度のはずだけど」

 

 

切り方が悪いのか知らないが上手くステーキが斬れねぇ。

 

「......なんでそんな簡単に切れるんだよ...」

「刃先だけ強化して切ってるあなたの方が器用よ...」

「一点集中のコツか?簡単さ。ただそれを自分の肉体と同一にし、拳を強く握るのと同じように力を込めるだけさ」

「...なぜそれで、普通に切れないのかしら」

 

食事中に姿を消して入るマナーの悪い人も居たもんだ。

この部屋以外には高濃度の魔力を放出したはずなのにここに居るとなるとまーた新手の『代行者』かなにかだろうか。

置いてあった三本のナイフを扉に向かって投擲するとナイフは消滅し、変わりにバーサーカーが透明化を解除して現れる。

 

「酷いなぁ、僕の食事は鉄と肉かい?」

「だっておめぇ、必要以上に魔力持っていって道ばたで雑に吐き出すだろ、凡人は死ぬからなあれ、魔術師でも数分で別の細胞に変質するのに」

 

黙ってスープを飲み干そうとする触手を切り落としパンを投げつける。

 

「むぅ」

「後でパスタがえげつないぐらいあるレストラン行こうな」

 

手や胸、膝に着弾したパンを原理不明な方法で食うバーサーカーに代わりを出しつつ、コートを着て部屋を出る準備をする。

 

「人生とはずいぶんと愉快なものだな、俺なんかがなんの因果か人類の味方か......なぁ、『ロード・アニムスフィア』オルガマリー」

 

窓の外には歩道にほんの少しの血痕が残っている程度で特に気配はなく、何もない。

いや、一人か二人、ヒットマンはいる。

 

拳銃で死ぬ普通の人間なんて居ねぇよ、まぁ魔術で死ぬ生物はもっといないけどな。

 

「そうね、魔術師なんてあなたからすれば抹殺対象、人類だって不干渉、そんなあなたが...小さな願いのために味方をした、それだけじゃない?」

「あぁ正解だ、廊下の魔力は俺が離れて三十分もすれば落ち着く、次会うときは携帯電話程度使えるようにしておけ、紙は古い」

 

扉を開け廊下から階段を通ってレストランを出る。

足音はしないし、気配もない。

だがそこに存在はする。

 

完璧だ、人間の技で気配と音を殺すとは。

 

「......よく狙えよ、人間、獣を仕留めるのは人であり、悪を裁くのは覚悟だ」

 

二方向から放たれた鉄の弾丸。

正直遅すぎる。

 

後ろから飛んでくる一発は脳を貫通こそするが内側の泥に飲み込まれ、横からの弾はなんとなく歯で咥える。

 

ちょっと回転して痛い。

 

「弾丸と言うものはな?こうやって射つんだよ」

 

 

弾丸を噛み砕いた後適当に泥を吐き出しつつマントに腕を突っ込む。

 

泥から飲み込んだ弾丸を取り出し軽く強化を施してから拳銃になったバーサーカーに装填し引き金を引く。

後ろの奴に当たった弾丸はそこから無数の毒虫に変化し生を蝕み食らいつく、多分悲鳴も上がらないほど痛いのだろう、牙はピラニアにしたからな、血や涎はフグの毒レベル...普通に生き地獄だこれ、まぁ活動時間三十秒程度だし気にしないでおこう。

 

「...ごちそうさま、不味かったよ」

 

ゆっくりと切り落とされたもう一人の奴の両足を見下し、近くにあったゴミ箱に突っ込んでから再び人の多い街中に入る。

 

 

「腹壊したかな...ちょっとトイレ」

「慣れないものを食べるからだよ」

 

 

すぐに用を済ませ、再び街中を歩く。

 

無人の街道

 

点灯する照明

 

音の無い道を

 

 

一人、踊るように

されど進むように

 

月の光が無かった夜の道を




おまけまてぇ
今日は無し、次キングゥ編


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男の話をしよう

久しぶりの前マテェ

Master ハインリヒ・ラムシュトース(七章後)

契約サーヴァント Berserker エンキドゥ
         BeastⅡ キングゥ

塩基配列 無し(細胞と呼べる細胞が存在せず、同時にそこには何かが存在する)
種族 人間

魔力回路 構成 異常
魔力 質 測定不能
   量 測定不能

魔術属性 アベレージ・ワン、虚数
特性 強化、転換
起源 『回帰』

特技 料理やもの作り
嫌いなもの いしゅ......周りを食い潰して成長する女神、可能性を否定する人
好きなもの 悔いのない選択をする人、い......自分を一切悪と思わず正義と思い込み行動する女神
誕生日3月2日
血液型O型
身長185cm
体重78kg

髪色 黒くなったり銀になったり赤くなったり忙しいやつ
コンセプト 『最善、最高ではないただ最強のマスター』『男版桜』『人が討つべき人』
キーワード 『究極への鍵』『人間の極地』『砕けた宝石』『怪物』

使用魔術(?)

強化
純粋な身体強化、研ぎ澄まされ過ぎた結果、ヘラクレスと同等のステータスを獲得可能、更に一瞬だけの戦闘に割りきってフル出力で行けばアキレウスより直進限定で速く、その一撃は山を砕き、防御無視以外の攻撃を無効にする鉄壁の肉体になる。
尚、バーサーカーのコストが重すぎて最大出力は三分程度しかだせない。
それでもインチキだ

飛行
おかしいよこいつ
魔術師は基本飛べない、まず『魔女』が箒に跨がって飛ぶというように概念ブーストと才能のあーだこーだなのにこいつは気軽に飛ぶ、マッハで飛ぶ、ホバリングも出来る、化け物か?

治癒 こいつにダメージ入るのか?

宝石魔術
控えめにシナジー強すぎるその一
無限の魔力を自己精製する宝石に流してガトリング砲感覚でぶっぱなすヤバさ
どう見てもエメラルドスプラッシュですありがとうございました。

投影魔術
シナジー強すぎ能力その二
何で『手軽に武器を生成』する能力を与えた。
強化と混ぜるだけで『並大抵』のサーヴァント倒せる武器を無制限にポンポン産み出せる糞能力、ゴミ燃費を無限の魔力でねじ伏せ、投影の制限時間も無限に作り直せばいい、何ならはじめから爆弾として運用も可能。

自動刻印〈別名オートマチックウェポンシステム 通称OWS〉
全ての元凶
バーサーカーの知らないバーサーカーの戦法
ク ソ ゲ ー
全魔術師をゴミにした魔術
笑えよ君主
『魔 法 再 現 可 能』
こいつが全てを狂わせた
点と点を線で結ぶやつ
作者の思考回路おかしい
バンラスブレイカー
FGO限定でナーフしろ
酷い言われようだ

簡単に言えばどこでも魔術回路設置&全自動魔術発動魔術
宝石と投影、強化との組み合わせでいたる方向へ飛んでいっては無数の投影武器を射出するガチのファンネル(即死級火力)になる。
それ以外でも地面に投影使って剣山生成が化け物
どんな瞬間契約レベルの魔術でも本人のシングルアクションで連続発動
更に重ねがけや一定間隔発動、熱源反応式、連鎖作動型とやりたい放題。

宝石射出→雑に百本程度投影→強化→射出→敵は死ぬ
これが二十個、三十個四方八方から飛んでくる

簡単に言うと手順が少し増えただけの『王の財宝』の面制圧火力限定の上位互換

家系魔術刻印『支配』
ちゃんとした名称無し、良いの思い付かなかった
代々引き継がれた魔術刻印。
本来は本人の才能依存で共通点は人の支配。
簡単に言えば絶対命令権、刻印を起動し、使用すれば範囲、人数、効力を調整、それに応じた魔力を消費して発動する。
はずだったのだが、彼は昔から家が嫌いでそこまで人間の支配という属性に適合せず、更に聖杯戦争での出来事(運命)を通し、憧れで恋、そして希望だった『星』に引っ張られ歪んだ拡大解釈をして『星であった人の支配』という深層願望が『星の支配』→『宇宙の支配』→『銀河操作』と変質。
範囲、操作惑星数、操作精度に応じて膨大な魔力を消費して一行程で発動可能。

その一撃は隕石を軽く落とし、最大だと銀河系その物をぶつける


身体能力
ちょっとスポーツして鍛えた一般人程度の肉体
目を瞑っても直感で九割当たるエイム
あらゆる物理攻撃を瞬時に確認、摸倣、迎撃する技術と動体視力
顔面吹っ飛ばされても死なず、再生する意志の力
糞雑魚だね(前作基準)

尚、取り込んだ獣の補正により
『生命が存在』する限り不死身
正しい人類史から生まれたサーヴァントの攻撃無効
超怪力による筋力バフ
母体から産まれた生物には特効効果
タイムパラドックス殺害、即死攻撃無効
ちょっとだけ人類の味方をしたくなる気分になる
人類を攻撃しようとすると少しだけダメージが入る


特殊能力

生命の海

控えめにクソゲー
そこでは彼の望む生物を無制限に作り出し、吐き出せる、さらにこの中の命も『生命』判定な為実質彼は常時無敵状態。
それどころか吐き出される無数の泥に飲み込まれた問答無用の『塩基契約』による反転、くそか?

欠点は本来の持ち主と性別が違うため機能は低下している上に吐き出される泥も体の切断面や体を包んだマントは母胎!!という意味不明概念を載せたマントの裏側限定であるため一斉に数百万の化け物は出せず、マントから泥を吐き出し、いちいち大地を汚染してから出す必要がある。


アーカードごっこできそう(感想)


使用魔術礼装
普段着
ただの普段着、バーサーカーかビーストが衣になっているとき限定や魔術が一切関係無いとき専用の服、特に改造点は無く、どことなくドイツ人っぽい服装、サングラスは魔眼対策の特殊加工。(ダサい)


万能型魔術法衣 『ゲッティン』和訳だと女神
いつも着ている礼装
コンセプトは『純粋ゆえに扱いやすく応用の効く究極の局地礼装、整備は知らない』
コートと複数の宝石を張り付けてある所がオススメポイント、帽子も気分でどうぞ
性能としては完璧で魔力を消費してサーヴァントクラスの能力を獲得し、更に対魔力B相当の結界を展開でき、あらゆる必中攻撃を張り付けた宝石と本人の魔力を消費して軌道をそらすことが可能(ふざけんな)。
更に彼だからジェット機レベルで速いだけで、誰でも戦闘ヘリ程度の三次元飛行も可能、魔力消費も低燃費。

戦闘機能もしっかりと搭載され、魔力によるブレードやビーム砲もあって魔力さえあれば誰でも装備して戦闘可能。

おまけ感覚で半径三百メートルの魔力探知と一時間程度のステルス機能、自然治癒魔術機能、保存用のポケット。

服自体も普通の弓矢や鉄砲程度は弾き、魔力を追加で流せば戦艦の砲すら弾き返す無敵の服、量産性もバッチリで特に神代のアイテムやアルビオン限定品も不要、現代でも純度の高い専用の宝石さえあれば一万着程度は作れてお手軽(製作方法はハインリヒ本人しか知らない上に本人しか作れない)


専用礼装『オイサースト』 和訳だと確か究極
彼の真の姿というかラスボス元ネタアイテム。
そのための真の魔術礼装。
普段は着ないで裏側にある。
それは純白をメインにした神々しい金と銀の細工がされた礼装。
しかしその裏側黒く染まっていて愛しかった一人の少女の為の喪服であり
されどそれは無垢なる新たな生物の誕生を祝福する
その胸元にある赤い宝石は常に光を宿し、黄昏と終焉と誕生を観測する
魔力を通せば全ての魔術干渉を無効にし
空を飛べ、あらゆる物理攻撃に耐える。
そして、その真の性能は新たな生命の誕生である。

バーサーカーエンキドゥとの『疑似受肉融合』それによる『究極生命体』への進化の為の礼装でしかない。
別名(赤石付き白ドレス)

究極魔術礼装(あるてぃみっしんぐれーそー)『サクリファイス』
(ただ作者が好きなカードの名前です、深い理由は無し)
究極の魔術礼装、まさに彼の全てを使わせる為だけの礼装。
服装としては特に普通のナチスドイツの親衛隊衣装をモチーフにした服装と表が赤で裏側が銀色のマント。
効果は簡単 『魔力が持つ限り全物理攻撃無効、全デバフ無効、全魔術無効、必中即死無効』そして真の能力 強奪憑依魔術式『サクリファイス』。
はいそうですね、元ネタどうり『そこら辺のサーヴァントを取り込んで肉盾にしつつ戦う、勿論宝具使用可能、他人の体だから無茶可能、肉体はまた敵から奪えばいい』無限の魔力で全ての攻撃を透かして自分は敵や無関係な奴を使って戦闘!!
おまけ感覚で無数にある触手を周辺の生物に刺して操作可能!!勿論自爆コマンドも搭載!!『お前もパイセン!』
控えめに無茶苦茶な能力だがあまりの糞燃費過ぎて本人も扱いきれない。
ついでに作った本人が吐き気を催す邪悪と言い切る模様。


マジックボマー
ただの瓶だが本人的には一番の成功作品。
魔力の質や量を調整して威力、範囲の設定、魔力の流し形によるガスタイプか爆弾タイプかに変更可能。
そしてお安い!!なんと一本ボトル台の三百円!!
火力は最大で街一つ消し飛ばす戦術核レベル。

更に特殊な材料を加えることに『毒ガス』『スタングレネード』『魔術解除』『ペイントボール』『インスタント壁』『火炎瓶』と様々。
そこら辺の石ころにどうこうするよりかは出力も高く汎用性もありいいね。


アルテミスの弩砲
元メインウェポン。
因果逆転必中攻撃は強いは強いが火力不足の悲しみ。
途中からはみんな一定以下の攻撃無効を搭載するせいで話にならない。
一度ぶっぱなせば壊されるかで相手を襲う弾丸でも火力は上がらない。
防御無視覚えてからこい


精霊兵装『名称不明』
詳細不明
ただ太古の精霊が(なんとなく)作り上げた『世界リセット剣』
を何か持ってた妖精が『これ以上行くと根源に落ちて折角マークしたのに回収不能になるからこれもって今すぐ回れ右してお願い(意訳)』とくれたやべーの。
範囲効果指定分の魔力を一気に消費して一撃KO、不死も人類史も何もかもが捕捉可能、消滅可能。
神もORTも菩薩も全部これで殺れる殺った。
なんで無から出てくるのか、なぜ七色に光るのか、なぜあらゆる特殊効果を付与できるのか本人いわく不明。


なげぇ!!ラスボスかこいつ!!!
ラスボス候補だったわ!!
もっと言うとこいつが弱い部類の前作こえーな!!

どういう精神状態で書いたこれ


神代と現代

どちらが良いかと聞かれれば現代だ。

 

人は進まなければ何も得るものはない。

過去の上に立ち

無数の屍を踏み越える。

 

だが、別にどうでもいい。

誰でもいいのだ、先へ進むのは。

魔術師は常に過去を求める。

ロストテクノロジーを掘り起こし

ありもしない幻想に捕らわれ

下らない執念に従う。

 

始めに聞かされたり知ることは根源へは行けない。

あぁ下らない、たかが抑止力に止められるのだ。

馬鹿みたいだな? 始めから無駄であり、何もない。

 

金と権力は人を狂わせる。

それは魔術師も同じだった

 

なら滅ぼすか。

今なら簡単だろう

 

 

だが、それは意味がない、ただの自己満足だ。

魔術が滅べばそれはそれで困る。

 

魔術師だって何百年も待てばあいつらの様な奴が現れるかもしれない。

それを否定はできない、もし『魔法』に届きうれば

もし、『根源』を誰もが確認できれば。

 

そんな夢物語も無いわけではない......。

 

...昔、いや、数年前。

奇妙な出会いがあった。

本当にただの出会いだった。

ただ、見てしまっただけだ。

 

 

「......」

 

何となく証拠を消すために入った時計塔のとある廊下。

 

一言で言えば『万華鏡』を持った男。

いや、実物を手にはしていない。

だが、そんなような......気配と言うより感覚がした。

 

どうみてもただのヒゲジジイ...だが、なにか違う。

『そこに居て同時に存在せず、存在せずして存在する』

 

 

何者か知ることはできなかった。

ただ『問えば答え教えてくれる』という、確信はあった。

あのぐちゃぐちゃに溶けた思考回路に答えを出してくれる......そう思えるような、魔術師を遥かに上間る存在ではあった。

あぁ、あれ以来か。

 

 

...くだらない回想だ

思い出す必要もない。

 

結局、一握り以外はすべて無意味だった。

あらゆる時計塔の生徒、君主もできうる限り見たさ、それで誰一人とて、『俺たちには遠くおよばかった』。

誰一人だ。

 

 

本数、量、質、属性、起源、種族、決意

 

 

弱々しかった......なぜあいつが時計塔を捨てたのかは本当に解りやすかった。

『問題外』だ。

 

まず、誰一人とて問題を解く必要のない程度の力。

そこでもうどうでもよかったのだろう。

 

衰退しか先がない、それが魔術師だ。

馬鹿みたいと言えばそれで終わりだ、だが、それで終わっては何もかもが無意味だ。

 

......そういえば。『現代魔術科』は見ていなかったな。

ロードエルメロイ...会ってこそ居ないが......愉快な男であろうな。

わざわざ魔術師に現代を取り込む。

悪くない。

一度会って話がしてみたいが本当に謎の男だ。

意味不明かつ無数の異名

謎に包まれた姿

 

本当にわからん。

 

エルメロイ教室近くを歩いていた何回か見かけるなんか不機嫌な顔のおっさんやランサーに似た顔の少女に尋ねても知らないときた......。

本当に謎過ぎるロードエルメロイもとい『ウェイバー・ベルベッド』

 

名前を間違ったのだろうか...

 

少なくとも、マリーを除けばただの一般魔術師程度にしか見えないはず...はず。

 

 

「......実家...焼いたのまずかったなぁ」

 

今さら帰って何になる?

捨てた家だ、もう知らん...。

 

 

 

血の雨が降り注いだ夜。

運命が終わりを告げた夜。

 

栄華を極めた名門の屋敷は燃えていた。

無数の研究成果

地下にあったホムンクルス

 

全てが炎に包まれ崩れ去る。

串刺しにした毒親を狂った笑顔で微笑みかける。

 

罵声が飛ぶ

怒りを表す

ありもしない愛情を語る。

 

あの女神ほどもない感情で言葉だけを浴びせる屑。

一度でも、『自分』を見て欲しかった。

 

でも、最後のチャンスですら『聖杯』しか見ていなかった。

 

泣きはしない

怒りもしない

ただ、見下す。

そして、切り捨てる。

 

長い歴史?知らない、燃えろ

根源への到達?勝手にしろ亡霊

 

抵抗する気力もない肉をなぶり、ゴミにする。

従うしか脳の無い従者を八つ裂きにし、埋葬する。

 

無駄に生き残った全てのホムンクルスの機能を停止させ、棺桶に詰める。

 

涙はでなかった。

あまりにも下らない。

 

どうでもいい、と切り捨て、閉じていた瞳を開ける。

何千何万何億......増えていったところで意味はない。

 

それ相応の成果がないのであれば無意味だ。

 

「......カルデアは結局悪だ。いよいよ面白くなってきたな...」

 

海洋油田セラフィックスのとある場所。

128人のマスター候補が保管された施設だったかな

 

...別に非人道的行為を否定はしない。

俺は『正義の味方』、『悪の敵』ではないからな。

悪ではあっても裁きはしない

 

たとえ無辜の民でも私は虐殺を平気で出来る。

 

「...黒だったよマスター......」

 

背後の鉄柱から生えたバーサーカーの言葉と同時にため息をつき、帰る準備を始める。

 

「そうか、じゃあ帰るぞ」

「いいのかい?この空間はっきりいって異質だよ」

「だから帰る、今、行動しても無駄だ、もう少し状況が変わったらまた来よう、今はそれより海外旅行だ。次は......アメリカにでもいこうか」

 

一度虚数に入り込み、適当に突き進んでから虚数空間から出る、便利

 

「?」

 

出る場所を間違えたのだろうか、何もないただの海面に出てきてしまった。

 

「......あるぇ?どこにもない...」

 

消えたものは仕方がない。

そう割りきってしょうがなくアメリカに向かって飛行する。

 

 

 

アメリカ。

どうでもいいか魔術師もいるらしいがなんか別物らしいし。

 

それよりもこのジャンクフードの数

控えめにいってこれは大丈夫なのか?

明らかにカロリーの数値がおかしい。

 

「......」

 

明らかにヤバいでかさの具体的に言うとホールのケーキぐらいの大きさでかつ、パティがどう見ても厚さ10cmの厚切りステーキと通常では焼けそうにないパン、そこにどろどろのソースと申し訳程度のキャベツ。

 

バーサーカーだから少し小さく見えるけど...嘘だろってレベルのハンバーガー?を食べるバーサーカーと普通のサイズを食べるだけのキングゥ......ボディは一緒のはずなんだけどなぁ。

 

 

「......喉詰まらせるなよ...」

 

何かもうすごい絵面

店員に氷水のジョッキ三杯と適当にハンバーガーを頼み、少し帽子を深く被って目線を隠す。

椅子にもたれかかり、ゆっくりとまぶたを落とす。

 

人類はいずれこの星を抜けて遠くの銀河の果てに行くのだろう。

だが、遅すぎるのだ、人類は

 

直感で分かる。

 

『出ること』はできても『生存』は不可能だ。

今の『種』では『段階』では星の怪物も遥か数億光年先の侵略者も

 

何の意味もない

 

「......」

 

悲しいかな?

人の可能性は信じたい。

だが、その歩く速度ではどうしようもないのだ。

 

ただ群れるだけの群衆の弱さはよく知っている。

ただ居るだけではいけないのだ。

 

ある程度の危機に瀕してこそ人間は加速度的成長をする

勝手な決めつけやルールが嫌いだ。

法の敷いた『大衆の正義』は『孤高の強者』には不要で無意味だ。寧ろ足枷でしかない。

 

ただ数に傲り怠惰を極める。そこに何の意味がある?

何もない。

あるはずがない。

 

「マスター...おーいマスター、寝てるかい?」

 

妙に脂の乗った手で頭をさわるサーヴァントの声を聞き現実に戻る。

なんか皿がというか増えている気もするがあえて無視だ無視。

 

さっさと店を出てなんとなく自由の女神像のてっぺんに座る。

 

「...なぁ、バーサーカー、キングゥ。現代の人間は、さ...弱い生き物だよね」

「弱い?神代と同等の魔力保持者が弱い?」

「そうだね、あのときもそうだけど、神秘が薄れて少しずつ能力は低下しているね、その上こんな世界の作りじゃ変にスイッチを押せば何度だって滅ぶよ、ギルが現代に生きていたら多分無駄と判断して間引きはするよ。僕だってマスターの変わりに間引きしたい」

 

困惑するキングゥに対してこの鎖さぁ。もうちょっと手心ねぇのか?

 

「...流石にそこまではしないよ......ちょっと全人類殺しあいをしてもらうだけさ。その本質は戦いでしか成長できない連中なんだよ、人間ってのは」

 

身を投げ出し、飛行の魔術ですぐに体勢をとって飛行を始める。

正直、俺らしくねぇな。こんなことして

 

 

 

「......」

 

僕には理解が出来ない。

いや、それはきっと違う。

『測れない』のだ。

 

この記録と記憶と経験を重ね合わせる。

 

「キングゥ...彼にそういう事はよしてくれないか?」

「......それが、為に?」

 

止めようとする奴が外野ではなく、サーヴァントなのが余計に苛立たせる。

何も知らないから否定も出来ない。

だが話もしない。

 

「ただ見ているだけ...それで満足なのか?そんなのでいいのか?!」

「良くないさ、だがもう、マスターは居ないのだよ...どこにも......」

 

いつもこれだ。

本当に腹が立つ。

 

「...しょうがないなぁ。まぁ、その気持ちは僕も理解できる、ここまでなんだかんだの仲だ......キングゥ。少し話をしようか」

 

「......」

 

その重い空気。

いや、恐らくただの勝手に感じているプレッシャーだ。

 

「セイバー大英雄『ヘラクレス』。ランサー騎士王『アルトリア・ペンドラゴン』。アーチャー最古の英雄『ギルガメッシュ』ライダー兵器『源 義経』。アサシン霧の殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』。キャスター巨人殺しの英雄『ダビデ』。そしてバーサーカー天の鎖『エンキドゥ』計七騎にマスターが着いた普通の形さ、まぁ、僕の召喚数分前後でギルが生け贄にされてイシュタルが出てくるはめになったけどね、マスターも吸血鬼、天災、虹の魔眼二つ持ち、時間操作、対概念結界陰陽師、神代魔力保持者、本当に普通の聖杯戦争でやりたい放題さ」

「普通...?」

「...正直、これがラストチャンスだったんだ、マスターがギルみたいにならない為の...ね」

 

 

察した。

いや、引っ掛かっていたものが取れた

 

 

純粋に強すぎたのだ。

自分も周りも。

そして、誰も隣に居なかった。

全てを理解して、苦しんで、それでも、逃げられない。

それぐらいに人の可能性を信じすぎていた。

 

「もうわかったかい?今でこそマスターはこの世界なら最優かもしれない、でも、あの時は横並びだったんだよ...あの時、僕に狂化がなければもう少し綺麗な終わり方だったかもね」

 

 

嘘だ。

そうでなければここまで楽しそうに言うだろうか。

 

「......それが、エルキドゥか...」

 

「...僕はエンキドゥさ、少なくとも今の僕は彼の為の破壊兵器、星の守護者ではないし、神の兵器でもない。ただ、怪物に......災害にならざるえなかった人間の味方さ、それをどう捉えるかは君たちの判断さ。じゃあ、少しだけ語ろうか。僕から見た彼の物語を」




サーヴァント 真名 キングゥ
クラス ビーストⅡ
マスター ハインリヒ・ラムシュトース

ステータス(エルキドゥと同じく割り振り式の為無し)
スキル
自己改造A
獣の権能C

グゥちゃん。
普通ならこいつ一人でだいたい終わらせられる。
それぐらい本来『エルキドゥ』という存在はヤバい。

はずだったんだけどなぁ。

今作だとマスターが後付けで人類悪になりサーヴァントもノリと勢いでただのチート(出禁)枠から冠位へ昇格 控えめにいって前作込みだと中堅以下。
おかしなぁ。
ベースはエルキドゥなのに中堅以下って...


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運命

狂気と正気の狭間
それはなんだ?


その虚構の世界より覗く狂気を帯びた瞳に写るのもは未来。
無間の海に沈んだ鎖は形を変え、怪物に至る


以上
謎の投稿前サーヴァント紹介文(バーサーカー)


暗い世界の底

恐らく、『座』という概念の世界だろう。

 

僕の使命は把握している。

 

 

 

それは唐突だった。

世界に

 

いや、人に呼ばれたのだろうか。

 

その輝きに手を伸ばす。

 

 

「......」

 

無数に倒れている死体。

血の臭いがどこか懐かしいあの日々を感じさせる

 

その山の中にただ一人。

動く死体がいた。

 

周囲の死肉を飢えた獣がまるで動けないウサギの山を襲うように喰らい

その裂けた口は腐った血を啜り

 

その瞳は狂気に囚われていた。

 

「......だ...れ」

 

こちらに気付いたのかその肉を挽きながら這いずって僕の足を掴む。

その証が刻まれた手。

 

彼がきっと僕のマスターなのだろう。

 

「Uit@kc@nq@e?jrqー」

 

しっかりとその狂気の内に届くようにそっと問いかける。

 

「...た...す...けて......バーサーカー......」

 

その最初で最後だった弱音。

狂気を狂気で塗り替える

正気を殺意でねじ曲げる

僕はこの行為を間違ったとは思っていない。

 

その傷を直し、己の肉体を変質させ与える。

僕は知っていた。

彼の肉体がはじめから『原初の女神』のものだと

彼こそが『討つべき悪』と

だが、そんなものはどうでもいい。

 

人類ではなく人に作られた『悪』

そんなものを裁けばもう何でもありだ。

 

「......ありがとう.........これからよろしくね。バーサーカー!!」

 

屈託のない純粋な彼の笑顔と差し伸べられる手。

その手をとって戦いに「ちょっと待って」

 

どうしたんだいキングゥ?

 

「彼、開幕死んでたの?」

 

死んでたよぉ胴体に大穴開いて瞳もどう見たって死んでいるし、脈もなかったよ

呼吸もないし大量出血通り越して全身から血がなくなってたし

 

「彼って人間?」

 

 

人間だったよ。

多分

 

 

まぁ、ここから先は僕とマスターだけの記憶にしたいから省くけど、まぁ、あの時ほどの高揚感...死と生の狭間を生きているのは最高だったよ。

 

「なんたって今でこそ誰にも負けそうにない僕とマスターの組み合わせを互角で相手できるんだ、まさか僕も一騎一騎が何て思わないさ、特にあのランサーはヤバかった、マスターがマスターじゃなければ普通に僕も負けるさ」

 

「ランサー?あぁ...あの騎士王......そういえばあの男はどこに行ったのだろうか全く...連絡の一つぐらい」

「多分墓参りだね......誰にも知られたくないことだってマスターにも一つぐらいあるさ」

 

 

 

 

 

雨が降っている。

 

別に私に雨はどうでも良いものだ。

もう、ただの雨では私は傘をさす気分もない

 

この雨が降る時だけ、私は私でいられる。

 

深い森の中

たった一つ、ポツンとたてられた汚い作りの墓の前に剣と槍で逆十字を組みたたずむ騎士が一騎。

 

「墓参りすら静かにさせてくれないのかい?」

 

マントの裏側から大量の泥を吐き出し億の生命を生み出し、何千万という猟犬を潜める。

呼応するように風が彼女を中心として吹き荒れ始め、その威力はもはや自然の台風ですらあり得ないものにまで強まり、周辺の魔力が全てその構える星の聖剣に集う。

 

「......今は、空腹で気分が悪いので本気でいきますよ」

「雑にニシンパイでも食ってろ」

 

 

取っておいたハンバーガーを投げつけさっさと持ってきた花束を墓の前に置く。

 

「......今年も間に合ってよかった...じゃあな、シャルロット」

 

少し、墓石を見つめ再び森を通り、街に出る。

ついさっきまで人がいたのに今は、まるで巨大台風明けの爪痕が残ったような街並みだ。

 

相変わらず恐ろしいサーヴァントだ。

かのアーサー王伝説には複数の宝剣と財宝があった。

 

それこそ話次第では聖剣をも凌ぐ剣も存在した。

だがどうだ。

 

何と戦っていた?

 

訳がわからない。

嵐を呼びおこす風の鎧

大地を裂き、空を割り、魔力を吸収する聖剣

概念、事象を崩壊させる槍

無限の騎士を呼び起こし、蹂躙させる

 

「......」

 

 

少し、昔を思い出せば地獄が広がる。

少し、瞼をおろせば見えるものはあの戦争。

 

 

バーサーカーが居たからこそ今こうやって俺は立っている。

あぁ、二度と見たくない。

今この肉体ですら恐らく死ぬ。

 

「なんだよ...あの地獄は......一生消えない傷になって残り続ける...」

 

 

血塗れの街道を歩き、俯瞰する。

いつもそうだ。

 

いつもいつも

 

 

弱い。

どいつもこいつも弱い

 

百年後、二百年後はどうする?

...まだ人類は『南米の蜘蛛』ごときすら倒せない。

 

いつ時間切れかも分からない爆弾一つ。

別に奥の手を使えばあんな蜘蛛や犬。

それどころかこの銀河の全ての生物、物質、概念には負けないさ。

 

だが違う

 

俺が倒して英雄になるのではなく。

『人類』が全て倒して成長するのだ。

故に俺は『倒される必要』がある。

もう英雄の時代は終わりだ、たった一人の強者では滅びの連鎖は止められない、全員が進まなければ確実に磨り潰されて最後は滅ぶだけだ。

 

「......」

 

だからこそだ。

だからこそ私は死ななければならない。

この獣の本性が訴えかける。

 

あの母のどうしようもない愛を理解したから眠らせた。

なら、それを引き継ぐ義務がある。

 

 

あぁ早く殺せ、殺してくれ。

この九千七百二十四億七千八百三十四万七千六百二十四の命を全て狩り尽くし、虚数の海に叩き込んで生と死の概念を排除してこの心臓に剣を突き立てろ。

もちろん私も全力で抵抗しよう

何もかもを飲み干す泥を吐き出し

無量大数の武器の洪水を流し

無限の神代の怪物を使役し

核、生物兵器、毒ガス、大砲、人類の叡知全てを持ち出し

ジュラ紀どころか宇宙が生まれ始めた真エーテルに満ちた世界に作り替え

この物理、魔術、概念的に破壊不能の肉体と己の技量全てを使いきり

世界のためであれば私は怪物にもなろう。

 

私はもはや死人。

生きてはいないし死んでもいないが。

 

俺の意志が覚悟が勇気が希望が闘争が本能が狂気が染め上げてくれる。

進ませてくれる。

 

だから。だからだ。

 

「...だが、今はお休みだな」

 

小さなカフェの一席。

アイスコーヒーとカツサンド。

この一時もまた...良いよね

 

「それは別に構わないけど......ねぇマスターウルクへ行かないかい?」

「墓荒らしか?建造物破壊か?少なくとも神代は終わってしまったせいで冥界は繋がっている可能性は低いぞ」

 

アイスコーヒーを飲みながら地図を見ていると急にカツサンドをぶちこまれる。

 

「まぁ、どっちもだね」

 

何がしたいのかは知らない。

まぁいいか。

 

そう思って少ししたら移動する。

確実にろくでもないことする気だよこのマイサーヴァント。

 

 

ついたのは蔵。

あぁうん強盗だね

いや?もう死んでいるから別に強盗ではない?

 

 

「さてと、マスター。久しぶりに二人だけの冒険といこうか」

「目標は?」

「1.糞女神より先にギルのへそくり全部その鍵に回収すること。2.なんかやる」

「......あぁうん、つまりあの女神に金貨一枚やらないんだな」

「そうとも言う、因みにキングゥに時間稼ぎ頼んでいるから多分半日は稼げるよ」

「キングゥだと多分......あぁまたずんばらりんと」

「じゃあ、行こうか!!たのもーギル!!」

 

錠のついたドアを蹴り破る。

まぁ当然のように変なブロックや扉が現れて一斉砲撃が始まる。

 

「...あー弱い弱い。いちいち相手するのも面倒だ」

 

マント裏の泥からボウガンを出して六発鉄球を発射する。

その鉄球は勝手に軌道を変え、防衛設備を全て粉砕する。

 

 

「ねぇマスター!!どこも空だよ!!」

「...まぁ、手当たり次第破壊しろどれか当たるだろ」

 

一枚一枚鋼鉄の扉を蹴破ってはスカ

さすがにイラついてくる

 

「っつても...いちいち砕くのもいい加減面倒くさいなぁ......」

 

軽く足元の石に魔力を流して大雑把に構造を探知する。

一応、最奥には大量の宝石の魔力を感知して無駄骨は回避できるが...割りに合わない気がする。

 

「バーサーカー。そこの真下に全力で腕突っ込める?数キロ程度かるーく」

「?......!!」

 

地面と腕が融合し数秒待つとバーサーカーの腕から大量の宝石や王冠、壺とまぁ骨董品が溢れ出す。

 

「...ねぇマスター。これだけしかなかったけど...」

「大部屋一つ黄金で沈められる程度かぁ...」

「絶対ただのへそくりだよねこれ......」

 

気落ちはしたがまぁ、あの女神に取られるよりはましと思い、持っていた空の蔵に詰め込んで出ていく。

 

「...全部溶かそっか」

「そうだね......」

「気ぃ落とすなよ、次があるさ」

 

 

とりあえず無いものは無いのだからと倒れていたキングゥを回収して適当なホテルにチェックインする。

部屋はもちろん最上階のワンフロア、プールつきの最上級。

 

悪趣味ではあるが、わりと悪趣味なのが好きでもあった。

まぁ、一番はここが一番電波が良さそうと思っただけだったりする。

 

「さてと。この無数のカルデアのデータの解析でもしますか...見なくても黒確定だけどさ」

 

正直百重の壁も意味無い。

出るわでるわ『デザイナーベビー』。

 

どれもこれも常人が見れば怒るさ...いや、サーヴァントなら大半が苦言を呈するレベルだな。

まぁ別にこれも一個の形なのだから俺は良いけどさ。

 

「『クリプター』か」

 

クリプターとはコンピューターウイルスの用語というかまぁそんな感じのものだ。

有害なデータを無害なものに擬装する暗号。

 

正直どうでもいい。

データにある魔術関連すべてあいつらの毛ほども無い雑魚。

何が天体を回路に見立てての隕石の複数落下だ、アホらしい、そんなもの俺やあいつなら片手でできるわ。いやむしろ隕石で何が倒せる銀河持ってこい銀河。

 

ただま、普通に時計塔基準なら優秀そうではある面子ではある。

そこは評価して、警戒もしよう。

 

そしてこの『芥 ヒナコ』。

なにもんだこいつ。

 

カルデアのデータにはなーんにもないが、マリスビリーの記録にはこいつのことを色々隠しながらだが嬉しそうに書いているが......。

 

「...アトラス院......あぁなんだアトラス.........まじか」

 

あの引きこもりどもが手を貸してた。

ペーパームーンを連中は送りつけたか......。

 

流石にロゴスリアクトはねぇか...あれ聞いた話しかねぇがイシュタルのやったことと同じことできるらしいしな......同じ平行世界の創造、観測による予知は流石に考えないか。

 

そういえばブラックバレルはどおした特異点修復という名目ならあれほど持っておいて損は無いものは無いはずなのに。

 

「......どこにもねぇ。あれがあれば下手すりゃティアマトやゲーティアを始末できたものを...七大兵器は無いか」

 

まぁそれでもずぶずぶだな。

いやまぁ。

滅びを観測し防ぐという点では連中は同じか。

 

ただ無力な組織か思考回路がとち狂って人類滅ぼす危険兵器製造工場かで違うだけで。

 

 

「......」

 

あの聖杯戦争でどこまで自分が無茶をしたのかがよくわかる。

例え肉体も精神も獣のような化け物になってもだ。

 

上半身の服をすべてソファーに投げ捨て巻いている鎖を緩める。

 

前ならこんな自殺行為ずっとしていたが...もう今となっては自分の体だから思い切り夜風を感じることができる。

冷たく、優しく、寂しい風が

 

「なんだ、まだこんな意味無い世界にへばりついていたか『め が み さ ま』」

「随分.........喧嘩ごしね...今ので三人は死んだわよ」

 

まぁ無下にするのもあれだからその肉体を雑に数千本のナイフで貫いたあと紅茶とパンを出す。

 

「...パンって」

「良いじゃないかパン」

 

首を切り落とし、それが燃えたと思えばまた胴体側の切断面から再生する首を心底蔑む目で笑顔で対応する。

 

「......全く、今日はただ借りを返させに来ただけなのに」

 

そう言って一枚の紙を手渡してくる。

 

『デッドヒートサマーレース イシュタルカップ』

 

頭おかしい

頭おかしい

頭おかしい

 

 

「あぁうんそうか」

 

レース会場の進路からしてグガランナ関連なのは一瞬でわかった。

問題は会場だ。

 

「いくら暑いといっても『金星』でやるか?適当にアメリカを荒野に変えるなりテクスチャ張り付けろよ」

「...金星じゃないと普通にあの泥人形に会場をめちゃくちゃにされるじゃない、それだけは嫌なのよ」

 

「なるほど。構わないさ、問題はこれだけの参加者...どうせお前なら権能でどうにでもなるか」

「いえ、もうある程度のサーヴァントは確保しているわ。後はレース会場とかの敷設、資材も揃っているから後は魔力をパパッとね」

 

こいつ魔術をなんだと思ってる便利道具か?




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