この世界でそれはアカン (榊 樹)
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世界は今日も狂ってる

『新年一発目が酷過ぎるとは思いますがいっその事、これくらいはっちゃけた方が作者らしいかなぁ、と思って・・・』などと供述しております。





「お゛ぉお゛ぉおお゛ぉ♡♡」

 

「ん゛ほぉ゛おぉ゛お♡♡」

 

 

響き渡る嬌声。その正体は歪な化け物・・・オークに犯され、快楽に喘ぐ者達の嬌声。因みに男の嬌声である。

 

どういう状況かって?

 

雌のオークに人間の男二人が犯されてんだよ。言わせんな、虫唾が走る。俺?俺は天井裏で気配消してジッとしてる。助ける気は無い。嫌だよ、下手して捕まりたくないし。

 

 

「げへへっ、やっぱ若い男は元気でいいなぁ。ほら、孕ませてやるからもっと勃たせろ」

 

「お前ら対魔忍なんて、孕ませ棒になる為だけに生まれて来たんだよ!生意気に逆らって・・・自分の立場を分からせてやるよぉ!」

 

「いやぁ゛ぁ♡オークなんて孕みたくなぃぃ♡嫌なのにタマタマが赤ちゃんの素作っちゃうにょぉぉ♡♡」

 

「ほぉ゛お゛ぉ♡♡ご、ごめんなしゃいぃ♡♡恋人居るのにオークマンコに負けちゃう淫乱ちんぽでごめんなしゃいぃぃ♡♡」

 

 

野太い声で酷いセリフを揃って吐く汚物共。・・・味方だけど、もう纏めて殺そうかな。本当に嫌だ。なんなの、この世界。俺に厳し過ぎるでしょ。せめて、性別の立場を逆にしてよ。寧ろ、そっちの方が自然じゃん。・・・いや、この世界だとこれが普通なんだろうけどさ。

 

 

「い、イグゥゥゥ♡♡オークに種付されちゃうぅぅ♡♡」

 

「あぁあぁぁ♡♡搾り取られりゅぅぅ♡♡」

 

 

あ、揃ってイッたな。そんじゃ、脇差しの切っ先をそちらに向けて天井裏から、水遁で刃を形成して・・・・・・グサッグサッと。

 

 

「?・・・・・・ぐはっ?」

 

「?・・・・・・ごほぉ?」

 

 

二体のオークが訳も分からず死んで行った。

 

ふむ・・・・・・特に動き無し。一応、ガスマスクをして飛び降りるか。

 

 

「うっ・・・なんかモワッとしてる・・・」

 

 

きっと、マスクを外せば()せ返る程の性臭が部屋を覆い尽くし、転がるオークの死体からちんぽが抜けて、気持ち良過ぎたのか、それとも現実を受け入れられなかったのか、理由は分からないが失神している殆ど裸同然まで破けているピッチリ全身タイツの男二人。

股間にある粗チンは尿道がぐっぱり開いて、中から白い液体が・・・・・・これ以上はやめよう。

 

生理的に出来れば、このまま放置したいのだがそうすると怒られかねないし、後味悪いので水遁で綺麗にしてから二人を担ぎ、早急にこの場から撤退する。

 

今回の任務は偵察。ターゲットが魔の者と関わりが無いかを調べるだけの簡単なお仕事の筈だった。しかし、目の前で行われた悪行に我慢ならなかったこの二人が飛び出して返り討ち。

 

初体験がオークというなんとも憐れな結末を迎えてしまったのだ。そう言えば、片方は恋人が居るって言ってたな・・・・・・うわ、めっちゃ可哀想。あ、彼女の方がね。

 

オークまんこでヨガってコイツは死ねばいいと思う。

 

 

「おっと、危ね」

 

 

廊下を走りながら、空気中の水で光を屈折させて廊下の角を見たら敵さんが歩いていた。隠れ場所が無いので同じ要領で自身の周囲を屈折させて姿を消す。

 

よくよく見たら見破れるような拙い物だが・・・まぁ、なんとかなるだろ。

 

 

「さて、あの対魔忍とやらの牡豚オナロの調子はどうだ?」

 

「オーク達に夢中で腰を振っておりました。商品としてはもう充分かと」

 

「ぐふふっ、そうかそうか。ならば、私も少し遊んでみるか」

 

 

目の前を荒地の魔女並みに太った不細工でケバいおばさんとゲス顔の女性が歩いて行き、俺には全く気付いていない。

 

この二人が話しているのは俺が抱えているこの二人の事。それから、『オナロ』ってのは『オナニーロッド』の略で個人的に馴染み深い物で言うと『オナホ』の女性バージョン。

 

最初、聞いた時はメルヘンな道具かと思った。真逆の代物だった。夢をぶち壊されたね。本当、そんなおぞましい物を作ろうとする奴らなんて死ねばいいのに。

 

そんな訳で脇に担いでいる片方の男を静かに下ろして、脇差を抜く。そして、彼女らの首元目掛けてその場で横に一閃すると水の刃が飛んで行き、二人の首と胴体は綺麗にバイバイした。

 

 

「変態死すべし。慈悲など吐いて捨てろ」

 

 

さて、ターゲット殺しちゃったけど証拠も持ってるし、どうせ殺す命令が追々出るだろうから、別にいいや。そんな事よりもまずは脱出からだ。

 

 

 

 

この世界は感度3000倍で有名な対魔忍の世界だ。俺はその世界に転生した。忍法とかは普通に使えるから良かったよ。身体能力も対魔忍らしいものだ。

 

だけど、世界の方に問題があった。なんで貞操観念が逆転してんだよ。いいよ、そういうの。誰一人として求めてなんかいないよ。

 

でもさ、それでも最初はなんとか希望を見出して、頑張ろうとしたよ?それなりに対魔忍として頑張ろうとしたんだよ?

 

ただでさえエロゲの世界なのに、加えて貞操観念が逆転してんだ。ドスケベな女の子とズッコンバッコン出来ると思ってさ、この仕事もいい物だって思えるような所を探そうと頑張ったよ。

 

でもね、ある時気が付いたんだ。あれ?玉が無ぇな?って。いや、結構最初の方で気付いてたけどさ、怖くて無視してたんだ。でも男の子の日・・・所謂、女の子の日みたいなものが来てからは受け入れたよ。

 

なーんで男が女みたいな立場なのか?簡単さ、子供を孕むのが男の方だからだ。孕ませるんじゃない、孕むんだ。

 

きんたま、あるじゃん?今は無いけどさ。引っ込んでるんだよ、中に。股間には棒だけぶら下がってる感じ。じゃあ、なんで仮拠点の床で気絶してるこの馬鹿共(さっき救出した奴らね)は『タマタマ』とか言ったのか。

 

赤子の製造過程を説明するとだな。女性で言う所の卵巣とか子宮があるじゃん?あれが男のちんぽの奥の方にあって、そこに女はまんこの中にある細い棒みたいな物・・・卵管を尿道に突っ込んで卵を産み付けるんだ。そして、それに男の体内のキンタマで生成した精子をぶっかける。

 

女性の身体構造も不思議でな。まんこはあるんだよ。いや、この場合はちんぽが無いと言うべきか?まぁ、兎に角きちんと穴があって、セックスは傍から見たら前世のように男が女に突っ込んでるような状態になる。

 

だが中身は真逆。女性の前世で言う子宮口辺りから生えてるらしい細い棒状の物である卵管が尿道に侵入して、そのままちんぽの奥に卵を産み付ける。

 

おぉ、神よ。どうしてそんな頭のおかしい性行為へと進化させてしまったのか。もうそれ、元の世界の男と女でいいじゃん。態々、こんな複雑な作りにする必要無いじゃん。

 

・・・・・・いや、うん。利点はあるんだ。それは分かってる。

 

まず一つ目、突っ込み突っ込まれてるから、女は性行為中に男を逃がす確率が減る。まんこで締め付けて更に卵管を脆い尿道へと突っ込むから、男の方は下手に暴れられない。

 

二つ目は妊娠確率が馬鹿みたいに高い。前世と違って、完全にゼロ距離。きんたまが子種を作ってブチ撒ける部屋に卵を産み付けるから、殆どの子種が卵子の殻を突き破ってほぼ確実に妊娠する。

 

しかし、男の方は最初はマジで痛いらしい。初体験でオークのなんて突っ込まれたら失神するぐらいに。コイツら?コイツらは薬とかで改造された後だったから、割とすんなり受け入れてたよ。淫乱ちんぽだな。

 

 

続いて男の子と女の子の日について。女の子の日はその棒の方のまんこから、機能しなくなった卵子を捨てる日だ。この辺は変わらないが前世と違って、鳥みたいに朝起きたら股間辺りの空間に卵があって終わりだそうだ。

 

割りと潰れてたりするそうだが、前世みたいにダルいとか痛いとか血が出るとかは全く無くて、男で言う夢精みたいなものだと思う。体験した事が無いから知らん。

 

続いて男の子の日についてだ。子種を孕む孕まないに関わらず、毎月少なからず精子を生成している。生成してる時は勃起がサインだ。そして、無駄になったそれらを捨てる日となる。

 

もうね、本当にクソみたいな日になる。腹は滅茶苦茶痛いし、尿だって中々出ないし、ホルモンバランスが悪くなるからなのか、気分も最悪になる。しかも、俺は人一倍子種の量が多いからなのか、期間が一週間も続く。

 

長過ぎだろ。他の連中は長くても三日、かなり性欲が強いヤツでも五日だぞ?なんだよ、一週間って。確かに初中後(しょっちゅう)勃起してるけどさ。仕方無いじゃん。実態はどうあれ、対魔忍の見た目がドスケベなのは変わりないんだから。

 

後、なんで道が一本しか無いんだよ。女性だって、尿道と膣の二つあっただろ。絶対にこの辺は設計ミスだって。

 

さて、説明も今は終わり。現在地は絶対にこうなるだろうな、と予想して近くに用意していた仮拠点のホテル。荷物整理し終わったが未だに眠りコケてる馬鹿共を起こすか。

 

 

「・・・・・・おい、いい加減に起きろ」

 

 

水遁で頭の上から水をバーッと掛けて、無理矢理起こす。すると、慌てて起きた二人が辺りをキョロキョロと見渡した。

 

 

「・・・あ、あれ?・・・ここは・・・」

 

「俺達・・・何をして・・・」

 

「おい、起きたんなら早く行くぞ。ボサッとすんな」

 

 

記憶が混乱してるみたいだが都合が良い。薬も抜けてるみたいだし、今は思い出させない方がいいだろう。下手すれば精神崩壊する。この世界の男は精神がクソ雑魚だから。

 

・・・まぁ、忘れているどうこうに関わらず、ちんぼの穴はエラい事になってるがな。

 

 

「・・・あ、あぁ・・・・・・って、任務はどうなった!?」

 

「俺ら・・・アイツらを倒そうとして・・・それで・・・」

 

「任務は完了。ターゲットも殺した。俺達がやる事はもう何も無い。早く撤退するぞ」

 

 

クッソ、コイツら本当に早くしろよな。ここだって、いつ見つかるかなんて分からないんだから。またオークの孕み棒になっても知らんぞ。

 

 

記憶が混濁したままの二人を連れ、無事に帰還。報告は俺がするから保健室に行けとコイツらには命令を出しておいた。思い出したりなんなりするのはそっちでやっててくれ。連絡は入れとくからさ。

 

ん?コイツらが孕み棒になる前に助けなかった理由だと?そんなモノ、確実性を上げる為だ。絶頂した瞬間が一番無防備になるからな。

 

・・・と言うのもあるのだが、実際は試したい事があったからだ。それは俺の使用する水遁の術を応用した避妊。産み付けられた卵を水で洗い流すというものだ。

 

一応、アイツらが気絶してる間に出来たと言えば、出来たんだが・・・完璧とは言い難い。何せ、初めての試みだ。女性が中につけるコンドームがあるが、裏世界で使う者なんて居たとしてもプレイの一環くらいだ。基本的にまず産み付けられる。

 

そうすると後はアフターピルのような薬くらいしかこの世界には後付け出来る避妊具が無く、もしもの時は孕むか流産させるしかない。そんな事態にならないのが一番だがこの世界だと割と当たり前に起こるからな・・・準備しておくのに越した事は無い。

 

 

「・・・と、言う訳で殺しました。こちらがその証拠です」

 

「・・・まぁ、いいでしょう。ご苦労様です。・・・どう?任務には慣れて来た?」

 

 

今、目の前に居るのは対魔忍を育成する学校である『五車学園』の校長『井河アサギ』であり、どんな人かを簡単に説明すると生きる伝説みたいな人だ。

 

質問の意味はそのままで、俺はまだ学生の身だが実力を買われてこうして学業の傍らに簡単な任務を熟すようになった。

 

簡単だがチームメンバーが正義感の強い脳筋ばかりなのでもう少し大人しい者と組ませて欲しい。それか単独で。

 

 

「駄目よ」

 

 

と、言ってみれば、この様な一言を返された。

 

 

「・・・何故です?」

 

「・・・それより、仮面を取ったらどうなの?」

 

「すみません、この仮面の下は酷い火傷を負っておりまして。到底、他人様に見せられる様な物では無いのです」

 

「・・・不知火にそんな事は一度も聞かされた事は無いのだけど」

 

「行方不明の後の話ですので」

 

「・・・前は普通だったでしょ」

 

「はて、そうでしたっけ?」

 

「・・・そんなに信用無い?」

 

「はい」

 

 

目に見えて落ち込む校長。この反応の理由は俺の格好にある。対魔忍特有のピッチリスーツの上から、原作で『秋山達郎』が着ていたような身体のラインが分かり難い衣装を着ている。そして、顔にはガスマスク。

 

これは恥ずかしいとか、そんな女々しい理由では無く、きちんとした理由がある。まず服装について。前世の男の対魔忍は反応する素振りはあんまり無かったが、こっちの女はヤバい。酷い奴で他人様の股間を悪びれる様子も無くガン見してくる。

 

そう、この世界の女性は前世の男よりも性欲が強く、そして厄介な事に割と正直なのだ。しかも、俺はかなりエロい体型らしく、例えば任務とか訓練中とか女性メンバーの気が散って仕方無い。それで発情して寝込みを襲われたら堪ったモノじゃない。

 

それから俺自身にも問題がある。中身がこんなだから、この世界の男女関係を知っても普通にエロいなーと思って勃起してしまう。

 

するとこのピッチリ対魔忍スーツだとそれが丸分かりで、相手からしたら誘ってるように見える。それで襲われ掛けたというのが後を絶たない。

 

仮面は単に美形だからだ。それだけで襲われる。本当、イケメン羨ましいとか美人に産まれて人生楽だろうなー、とか思ってごめんなさい。俺が間違ってた。やっぱ、人生普通が一番だ。

 

校長の前で失礼じゃないかって?権力あるからって無遠慮にジロジロと視姦したり、舌舐めずりをする方が悪い。おい、お前だよ井河アサギ。他人様の股間を凝視して来た奴筆頭は。

 

 

「それでは自分はこれで」

 

「・・・えぇ、もういいわ。暫くは任務は無いだろうから、ゆっくりと勉学に励みなさい」

 

 

意気消沈した校長を置いて、さっさと退出する。すると少し歩いた所で背後から何かが覆い被さって来た。

 

 

「だ〜れだ?」

 

 

頭を柔らかい何か・・・まぁ、おっぱいなんでしょうけど。中々の巨乳に包まれ、顔全体を抱き締めるようにして視界を塞がれた。

 

割と頻繁にやられるこの行動。本来なら普通にセクハラらしく、犯罪だ。因みに捕まるのは女の方。しかし、俺にとっては役得であるし、何がセクハラなのかもよく分からない。

 

理由としてはこのおっぱいらしい。胸が大きい=卵管も大きいという方程式が成り立ち、前世で言うと相手の後頭部にちんぽ擦り付けてる状態なんだとか。

 

・・・・・・あれ?これだとちんぽ擦り付けられても許しちゃう俺が何故か変態みたいだな。・・・今度、校長にチクるか。

 

 

「・・・校長に密告しますよ、さくら先生」

 

「またまた〜♡そうやって公言してる時点でそんな気が無いのは分かってるよ。んもぅ、ムッツリさんなんだから♡」

 

「・・・・・・」

 

 

人の親切心に漬け込んで更に強く抱き締めて、胸をスリスリと擦り付けて来る。この変態、無駄に実力だけはあるから腹立たしい。

 

おい待て。なんか、息遣いが荒くなってるぞ。なに興奮してるんだこの変態は。

 

 

「んっ♡・・・ふぅ♡ねぇ、今夜空いてない?先生が特別な課外授業を・・・」

 

「・・・さくら」

 

「ッ!!?」

 

 

背後から背筋が凍るような低い声が聞こえた。見なくても頭にイメージが浮かぶ。般若顔の校長だ。さっき、水遁で助けを呼んでおいたのだ。

 

さくら先生はパッと反射的に手を離して降参するように両手を上げる。そして、その隙に俺は退散。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・お、お姉ちゃん・・・あはは・・・・・・ただいま」

 

「・・・おかえりなさい、さくら。貴女がナンパする程に無事みたいで何よりだわ。そんなに元気があるなら、追加で任務を出しましょうか?」

 

「え、え〜と・・・い、いや〜薬の効果が切れたみたいで・・・ちょっと苦しいから慰めて貰おうかな〜・・・なんて」

 

「・・・・・・覚悟は出来てるわね?」

 

「くっ・・・なら!お姉ちゃんはエロい目で彼を見てないって言うの!?どうせ権力に物を言わせて、好き勝手してるんでしょ!!?」

 

「・・・・・・」

 

「さっきだって、彼を呼び出してきっとエロい目で見定めてたに違いないわ!」

 

「・・・・・・さくら」

 

「それに今も私と彼がイチャイチャしてるのを見て、おまんこグショグショにしてるんでしょ?!」

 

「・・・さくら・・・その彼、もう居ないわよ」

 

「え?でもここに・・・・・・あ、これ幻影だ」

 

「・・・・・・覚悟は出来てるわね?」

 

「・・・い、いや〜・・・にゃはは・・・一体なんの事かさっぱり・・・・・・・・・逃げるが勝ち!」

 

「そんなに甘くないわ」

 

「んにゃー!鬼畜ババァ!!」

 

 

 

 

悲鳴が聞こえたので速度を緩めて歩く。あの人、影に入るからこうして逃げてもあんまり意味無いが、校長が捕まえてくれていれば、なんとかなるだろ。実力だけは半端じゃないし。

 

 

「・・・・・・まぁ、まだマシか」

 

 

廊下を歩いているとすれ違う人達に凝視される。大方、マスクを見て驚いているんだろ。結構前から種類は変えてたりしているが着けていたので慣れられると思ったんだが、そうでも無いらしい。

 

身近な友人は確かに慣れたがこうして学園全体を見るとまだまだ浸透していないみたいだ。まぁ、性欲を滾らせられるよりはマシだが。

 

 

「あ・・・」

 

 

向こうから見知った人物と目が合った。名を『秋山達郎』という忍法が使えない対魔忍であり、皆さんご存知の通り、寝盗られキャラだ。この世界ではどうなるか知らん。まだその時期じゃないみたいだし。

 

因みに俺の名前は『水無瀬(みなせ) 秋水(しゅうすい)』だ。下の名前は呼び難いから、皆苗字で呼ぶ。名前を呼び合うような仲の奴は少数だが・・・。

 

 

「しゅうー!」

 

 

突然、達郎の背後から彼を追い越して飛び込んで来た弾丸を腰を落としてキャッチ。そのままグルグルと回ってストンと元の方向に向かって降ろす。

 

身軽そうに着地したのは雷撃の対魔忍として既に名を馳せている『水城ゆきかぜ』という次期エース候補筆頭の凄い子。はい、こちらもご存知の通り、達郎の彼女で将来的にはNTR要員となる不憫な子。

 

今は彼女の家に居候させてもらってる。関係性を言うと友達以上家族未満みたいなもの。恋人では無い。兄妹の方が近いかな?

 

恋人はトコトコと歩いて来てる達郎だ。もうこの二人は恋人になってるぞ。

 

 

「任務終わった?どうだった?」

 

「んー・・・まぁ、任務は達成した。二人程、ちょっと病院送りになったけど」

 

「え、何か怪我でもしたの?」

 

「いや、精神病院の方」

 

「・・・・・・?」

 

 

首を傾げる純情Y豚ちゃん。うん、君はそのままで・・・・・・だから騙されて娼婦堕ちしたのかな。仮にそうだとしても俺はきっと家族で居るよ。

 

こんなお面野郎にもなんの偏見も無く近寄る良い奴なんだから。・・・まぁ、家族で居るだけで関わるかは別問題だけど。だって、そのまま性に開放的になったら俺まで襲われ兼ねないし。

 

 

「・・・相変わらず、仲良いな」

 

「・・・おい、俺に対して嫉妬を抱くな。虫唾が走る」

 

「そうよ、達郎。ただの家族のスキンシップよ」

 

 

ジト目で睨んで来る達郎に揃って説得すると何故か更に睨まれた。コイツ、こんなに嫉妬深かったっけ?

 

 

「ゆきかぜは僕のモノだ」

 

 

そう言って、俺から奪うようにゆきかぜを抱き締める達郎。俺は寝盗る気なんて全く無いし、互いに性的な目で見ていないんだが・・・・・・居候だからか、かなり敵視してくる。

 

どれだけ言っても分かって貰えないので俺もゆきかぜも説得は形だけで既に諦めているが、それでも面倒ではある。これでも昔は懐かれてたんだがなー。

 

・・・男に好かれても嬉しくないな。

 

 

「分かったから、取り敢えず離してやれ。色々と限界みたいだぞ」

 

「え?・・・あ、ごめん、ゆきかぜ。苦しかった?」

 

「ふぇ?・・・ッ!?い、いや!な、なんでもないわ!うん、なんでもない!」

 

「?・・・どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ?」

 

「だ、大丈夫!ちょっと・・・うん・・・そのぉ・・・」

 

「??」

 

 

・・・何を見せられてるんだろうか。これが男女逆だったら、もう少しはマシだっただろうに・・・・・・あぁ、この世界がどういう物かを突き付けられたようで最悪な気分だ。

 

廊下を歩く女生徒が凄い目で見てくるし・・・・・・これ、元の世界だと美人幼馴染みに取り合いされてるハーレム状態って事だよな。・・・片方仮面の変人だけどさ。

 

 

 

 

水無瀬 秋水

 

親は殉職し、幼いながらも天涯孤独の身となった彼を名門水城家がその能力に目を付けて引き取った。そこで彼はメキメキと実力を伸ばし、水城家のご息女であるゆきかぜ同様、次期エースとして注目される事になる。

 

しかし、注目されるのはその能力だけでなく、幼くも美しいと感じさせる程に完成された容姿。当時の水城家当主である水城不知火が我を忘れて襲う程の魔性さ。幸い、水城家の執事がこれを阻止する事に成功し、大事には至っていないし、この話は当人達しか知らない。(因みにこの次の日に不知火が行方不明となり、執事が自責の念に駆られているのはまた別のお話)

 

その実力を買われ、まだ十を超えたばかりでありながらも任務へ赴き、任務成功率は八割程であるものの生還率は百パーセントという実績を残している。しかし、その反面で心に傷を負ったのか、最低でも顔を完全に隠せる程の仮面を装着し始める。

 

本人は女装の一環で肩まで濡れ羽色の髪を伸ばしているが何処からどう見ても身体がエロいので全く誤魔化せていない。同様に服装もラインが分かり難い服を羽織ってるつもりではあるのだろうが、緩いからこそ隙間から見える対魔忍スーツがエロいと評判。隠れフェチが急増した。

 

鎖骨の辺りとかもう最高、とはよく彼にセクハラをしているさくら先生の談である。

 

こうまで対策しているのに何かと無防備な所が目立つのがタチが悪い。例えば、学校の制服だと暑いからと言ってボタンを第二まで開けたり、ちょっとやそっとのスキンシップなら普通に許してくれたりなど、年頃の女子を悶々とさせている。

 

これといった被害が彼に及ばない理由の一つとして、雷撃の対魔忍水城ゆきかぜの存在が上げられる。

 

普段から抱き着いたり、胸に顔を(うず)めたりと好き放題に彼を堪能しているゆきかぜ。おまけに彼が居候していると来た。そしてトドメに彼とは別に美形な彼氏持ちである。

 

ゆきかぜが、かーなーり学園中のヘイトを集めているお陰で水無瀬に矛先があまり向かないのだ。ゆきかぜ本人もどこ吹く風。

 

だが在らぬ噂は流れるもの。二人の男を使って毎日楽しんでんだろ、とか噂されているが彼女も彼氏も本当に初心なのでそんな事は無い。水無瀬に至っては忌避している。中学生にもなって恋人とキスすらまだなのだ。それは高校生になってかららしい。

 

幸いなのが達郎が名門なのに未だに忍法が使えない落ち零れであること。これで優秀で人望も厚い生徒だったら、もう毎日が修羅場になっていた事だろう。

 

因みに秋山達郎の実の姉である秋山凜子は重度のブラコンであり、勿論ゆきかぜの事も妹のように可愛がっているが裏では物凄い我慢してる。もう色々と。

 

数少ない友人が恋人の姉とギクシャクするのは面倒なので水無瀬が偶にストレスの発散に付き合ってる。内容は明かせないがその次の日はかなりスッキリとした表情になるのだとか。

 

また変な噂が立つ事は間違い無いだろう。




人の身体云々に関しては完全に適当です。なんか矛盾点があったり、こっちの方がよさそう、なんて事があれば普通に変更すると思います。


次回は凜子さん回です。


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やっぱり対魔忍は対魔忍

本番は無しですが下ネタとキャラ崩壊多め。


あれから数日。なんか任務を言い渡された。上のお偉いさんからの任務らしく、失敗は許されないんだとか。どうして、そんな任務を新米どころか卵の俺に言い渡すのか。

 

・・・どうせ、失敗したのを理由にそういう要求をしてくるんだろうな。実際、それで何度か迫られたし。

 

 

「今日はお願いします。凛子さん」シュコー

 

「・・・あ、あぁ・・・よろしく頼む」

 

 

今居るのは東京キングダムに入る唯一の橋から車で十分くらいの所のホテル。そこに居たのは今回の任務で唯一の救いとなる信頼の於ける達郎の姉の凛子さん。今回の相棒である。

 

性的な目で見られる事はあるが襲われる事なんて一度も無い。おまけに実力も申し分無い。思った以上に自制心が強い人だったのだ。

 

だからこの人の努力に報いる為にも俺は今日、プレデターの兜を被っている。これなら興奮しないだろし、機能面も原作とかなり近いから一石二鳥である。

 

 

「・・・どうして、それなんだ?」

 

「気にしないで下さい」シュコー

 

「・・・そうか」

 

 

早速、作戦会議を行う。今回の目標はお偉いさんのご子息が誘拐されたらしく、それの捜索及び奪還らしい。・・・・・・絶対に罠だ。この世界のお偉いさんがそんなミスをする訳無いじゃん。

 

誘拐するよりも先に家で調教してるくらいは普通にするぞ。仮に誘拐されたとしても裏ではそれでお金を得て俺らに回収させてまた売るっていうクソみたいな無限ループを目論んでる。

 

その場合はこっちまで皺寄せが来るのでさっさと取引先を潰し回らなければならない。これがまた面倒臭いし、かなり危険なお仕事。依頼主を証拠も無く消す訳にはいかないし・・・。

 

最近、かなり本気で俺を堕とそうとする奴らが多い気がするのは気の所為だろうか?

 

 

「では地図は頭に入っているので俺が捜索を行います。凛子さんは周囲の警戒を」

 

「任された」

 

 

心強い返答を貰い、いざ潜入。・・・なのだが、どうにもやる気が出ない。そもそもなんで対魔忍が一切動いていないのに対象の居場所まで分かっているのか。それを名を馳せているとは言え、まだ学生の身である俺らにさせるのか。

 

人手不足なのは分かるよ。だけど、もう少しその辺の任務は吟味して欲しいね。これだと校長まで俺に堕ちて欲しいみたいじゃないか・・・・・・否定出来ねぇんだな、これが。もう対魔忍止めようかな。

 

 

「・・・どうだ?見付かったか?」

 

「いえ、それどころか誰かを誘拐して来た痕跡すら見付かりません。罠の可能性があります。お気を付けて」

 

「あぁ、分かってる」

 

 

見付かる訳無いよ。だって、そもそも居ないんだから。侵入した建物の構造を見て確信してたよ。あ、これ地下に誘い込んで袋叩きにするつもりだなって。

 

その辺は凛子さんも分かってるようで安心だ。これが以前のアイツらだと、「罠な訳あるか!情報を信じろ!」とか抜かして慰み者になるんだ。阿呆だな。

 

 

居るなんて望みをコレっぽっちも抱かず、地上の階層を一通り調べてから地下へと繋がる階段まで到着。地上の方は普通の薬品会社だった。対魔忍世界で薬品会社。絶対に裏がありますね、これは。

 

水遁で二人の姿を隠すと凛子さんが自ら先行してくれて、俺は脇差しを構えて後に続く。警備?そんなものは簡単に無力化出来る。

 

すると、下には奥へと通じる廊下があり、そこを進むとかなり堅牢そうな扉があった。凛子さんがゆっくりと扉を開けるが特に反応は無し。

 

それどころか明かりも点いていないのか、真っ暗だ。もうこの先の展開が読めたので戦闘準備をして中へと入る。て言うか、暗視ゴーグル機能もあるので普通に見える。

 

別にここで引き返して居ませんでした、と報告するのもいいがそれだと怒られるので渋々行くしかない。・・・凛子さんは真面目だからそんな事はないと思うけど。

 

数歩程歩くと一人でに扉が閉まり、部屋の明かりが点いて眩しいので暗視機能も切る。部屋は一戸建てが立つくらい広いが物が何一つとして無い。

 

しかし、俺らとは真反対の場所に一人の小太りしたおばさんと彼女の傍に首輪をして大事な部分だけ丸出しの対魔忍みたいな格好をした三人の男の子が居る。男の子が居る。

 

股間はビンビンに勃ってるし、顔は発情してる。完全に調教済みですね。

 

・・・・・・うわ、凛子さん目が血走ってる。出来れば性的興奮による物では無く、怒りによる物であって欲しい。・・・うーん、鼻息荒いし駄目みたいですね。俺が会話するか。

 

もう意味も無さそうなので術を解いてこちらも姿を現す。

 

 

「・・・クライアント様が一体何故こちらに?」シュコー

 

 

依頼主であるおばさんにそう問い掛けても返って来たのはニヤニヤとした薄汚い笑みばかり。あー、はいはい、分かったよ。そういう事でしょうね。うん、知ってた知ってた。

 

 

「分からないのかい?騙されたんだよ、あんた達はね!」

 

 

どうやって攻めようかと考えているとどう勘違いしたのか、上機嫌に話し始めた。因みに両手で左右の男のちんぽをシゴいて、一人だけ横になってちんぽを足で踏んづけられている。

 

男三人はアンアン喘ぎ、凛子さんはハァハァ♡発情して弄りそうになる右手を左手で抑えている。なんだこのカオス。

 

 

「そこの変なメットを被った対魔忍。アンタ、結構綺麗な顔をしてるって噂だよ?そんなエロい格好でこっちを誘ってからに・・・お前さんもこの卑しい豚ちんぽのようになるかえ?」

 

「おっ♡おひぃ♡もっと♡もっと強くシゴいてぇ♡」

 

「ご主人様ぁ♡ちんぽ穴もグチョグチョ犯して下しゃぃ♡♡」

 

「い゛ひぃ゛♡♡しゅごいにょぉ♡♡もっと踏んじゅげでぇ゛♡♡」

 

 

なりたくないです。

 

絵面が酷過ぎだろ。こればっかりは全然慣れねぇな。俺ならババァに弄られて喘ぐくらいなら、速攻で自殺してやるよ。あ、でもそれだと死体で弄ばれるな。・・・どうしよう、この世界の住人が変態過ぎて辛い。

 

 

「んっ♡・・・ハァハァ♡・・・な、なんと外道な!人の心を、尊厳を踏み躙って・・・ゆ、許せん!」

 

 

そんなおまんこをぐしょぐしょに濡らして言っても説得力皆無ですよ、凛子さん。割と日常茶飯事なんだからもう少し耐性を持ってよ。ムッツリか。最後の『許せん!』に至ってはなんか声が裏返ってましたよー。

 

あ、おまんこを濡らすのは前世で言う所の勃起ね。

 

 

「ぬふふっ、さてその威勢がいつまで持つかな?・・・おい、性奴隷共!嘗ての同胞の女の方は始末し、男の方は私に生きたまま献上しろ。そうすればご褒美に孕ませてやる!」

 

 

うわっ、相変わらず酷いセリフ。それで喜んでこちらに突撃してくる元対魔忍達も色々と酷い。ちんぽがぶるんぶるん(しな)ってる。

 

コイツらは恐らく、別の任務か何かで奴隷まで堕ちた奴らだな。

 

最近だと娼館に潜入したのが何人か連絡が着かなくなったという話を聞いたな。仮にそれがコイツらだとすれば、実力は普通にあるだろうし、今は欲に忠実だから遠慮とかそんな物は全く無い。

 

こちらも殺す気でいかなければ。

 

 

「来ますよ、凛子さん!」

 

「あ・・・あぁ、分かってる!」

 

 

二手に別れて戦闘開始。こちらは踏んづけられてた奴・・・脚野郎としよう。脚野郎一人で凛子さんの方には二人行った。あちらは大丈夫だろうから、俺は俺の方で集中しよう。

 

 

「ふ・・・ふふっ」

 

 

キモっ、何急に笑い出してんだコイツ。しかも身体が笑って揺れる毎にちんぽが揺れるから殺意の波動に目覚めそうなんですけど。

 

うわっ、汚ッ!なんかちんぽの先から汁が飛んで来た!?

 

 

「君も・・・気持ちよくなろうぅ?」

 

「断る。お前、今の自分の姿を鏡で見た事があるのか?」

 

「鏡ぃ・・・?鏡ぃ・・・あるよぉ・・・何度もあるぅ♡自分の惨めな姿を何度も何度も何度も何度も何度も!!・・・脳裏に焼き付くくらいに見せ付けられたよぉ♡♡そして漸く理解したァ♡僕はぁ・・・僕達男は雌を喜ばす為の道具に過ぎないってねぇ!!」

 

 

あちゃー、こりゃ完全に心折られてるな。こうなったら、使えるようになる方が難しい。よし、殺してやるか。

 

半狂乱になって脚野郎が迫って来る。牽制に水の刃を飛ばしてみたが腕を振るうと打ち消され、そのまま突っ込んで来た。

 

脚野郎の射程範囲内になるともう一度大きく腕を振るい、こちらを攻撃して来た。脚野郎の腕は見るからにカチコチに固まり、脇差で受け止めたが傷は入らず、鍔迫り合いとなった。

 

 

「そうかい。残念だな」

 

「残念・・・?残念なんかじゃないよぉ♡寧ろ、本当の自分に気付けてとても幸せなんだぁ♡・・・・・・でもねぇ、今は苦しくて仕方が無いんだァ」

 

「苦しい?そりゃまたどうして?」

 

「だってぇ・・・ここ数週間、一度もイかせて貰えて無いんだァ!君達が邪魔しに来るって言うからぁ、ご主人様は忙しくて最後まで相手をしてくれないんだぁ♡♡お陰でもうこんなにビンビン♡イキたくてイキたくて・・・もう我慢の限界なんだよォ♡♡♡」

 

 

・・・ふむ、そうなるとこの作戦はあのババァが計画的に行ったという訳だな。言質取れたし、さっさとあの世に送ってやろう。

 

拮抗状態でガラ空きだった腹をヤクザキック。腹までは固くしてなかったのか、腕程に固くは無かった。蹌踉(よろ)ける脚野郎に向かって、その場で突きを放つ。

 

すると剣先から水の刺突が飛び出し、心臓部に向かって一直線に飛んで行く。直撃すれば、コンクリートなんかはあっさりと砕く威力を持ってるが脚野郎に直撃しても普通に水がバシャッと掛かったような現象しか起こらなかった。

 

強いて言えば、ただでさえ無かった布面積がもっと減ったくらい。見苦しい事この上無い。

 

よく見てみれば既に全身がカチコチになっており、攻撃が止んだと判断したのか、移動に必要な部分は柔らかくなった。

 

 

「どうだい?僕の金剛の術は。身体中をギンギンに出来るだけだが、何かと厄介だろう?そしてこれにはこんな使い方もある」

 

 

得意げにそう言う彼は徐に腰を突き出し、その勃起したちんぽを突き出してくる。何がしたいのかよく分からんが隙だらけなのは変わり無い。

 

斬り落としてやろうと横に回って、水の刃をちんぽの根元に向かって飛ばすが━━━━━弾かれた。

 

 

「はぁ!?」シュコー

 

「んふっ♡中々いい刺激だけど、それだけじゃイけないぃ♡♡イケないよォ♡♡もっと♡もっと♡強い刺激を頂戴よぉお♡♡」

 

 

えーと・・・だな・・・。何がどうなったかと言うと・・・ちんぽが・・・カチコチになった。勃起的な意味では無く、先程の忍法的な意味で。

 

そして、俺の攻撃が『刺激』程度にしかならなかったのか、まるで堪えた様子は無く、それどころか両手を後頭部で組んで腰をヘコヘコさせてる。

 

うん・・・馬っ鹿じゃねぇの?なんなんだこの未知の変態は。遣り難いったらありゃしない。

 

 

「そんなにお望みなら、もっとくれてやるよ」シュコー

 

「おひぃ゛い゛いぃ゛♡♡」

 

 

と、意気込んでみたものの色々と攻撃を放つが効いてる気配は無い。それどころか、連続で刺突した時はあちらも連続で腰をヘコヘコさせて打ち消された。なんか腹立つ。

 

物凄い変態ではあるが戦闘力は俺より上と見るべきだ。物凄い変態ではあるが。

 

 

「ふ、ふひひぃ♡無理ぃ♡その程度じゃぁイケないぃ♡イケないよぉおおおお♡♡」

 

 

ある程度受けると我慢出来なくなったのか、再び動き出した。こちらの攻撃は全く通用しないので脚野郎に防御する素振りは見られない。

 

だが、理性は殆ど擦り切れているのか、大振りばかりで簡単に避けられる。途中で壁に当たって豆腐のように粉砕してるので、一撃でも貰えば一溜りも無いだろうから油断は禁物だが。

 

度々、こちらも反撃してはいるものの、未だに掠り傷一つとして付けれていない。俺の水遁って搦め手は多いけど火力に問題があるよなぁ、って熟々(つくづく)思う。

 

 

「どうしたんだい!!その程度じゃ!我慢汁くらいしか出ないよォお♡♡これで手古摺るようなら、ご主人様のおまんこを相手にすれば一撃で堕ちちゃうねぇ!!君のちんぽもきっと雑魚ちんぽなんだろ!」

 

「ざ、雑魚ちんぽ!?」

 

 

あーもう!一々訳分からん例えで挑発しやがって。うるせぇな、コイツ。凛子さんも反応して来んな。集中して下さい。

 

・・・これやると色々と疎かになるけど、もうこれ以上は我慢の限界だ。

 

 

「これでぇ・・・終わりだよぉお!!」

 

 

こちらの誘いに簡単に乗り、トドメとばかりに手の指を束ねて鋭い穂先のようにして突き出す脚野郎。その一撃は俺を貫いたかのように思われたが、するりと抜けて後ろの壁に突き刺さった。

 

 

「!?・・・今のは」

 

「・・・・・・」シュコー

 

「!・・・後ろか!」

 

「残念、前だ」シュコー

 

 

背後から近付いた俺の気配を察したのか、即座に引き抜くと同時に後ろへ横薙ぎに振るう。しかし、俺を捉えると同時に俺の姿は掻き消える。

 

そして、俺はそのガラ空きとなった背後から両足の膝裏を脇差しで一撫でする。すると今まで斬れなかったのにあっさりと鮮血が舞い、膝カックンされたように脚野郎がその場に(ひざまず)く。

 

もう一度脇差しを振るったが弾かれてしまい、再び俺を鋼鉄の突きが突き刺し、俺の姿は掻き消える。

 

 

「!?・・・何処だ!何処に居る!!」

 

 

突然の不可思議な現象に恐怖でもしたのか、辺りを狂ったように見回して俺を探そうとするがその程度では見付けられない。

 

そのまま脚野郎の首を背後から斬ろうとして、脚野郎の腕が襲って来た。

 

 

「はい、残念」シュコー

 

 

しかし、その腕は俺を捉える事無く宙を切り、またもやガラ空きとなった脇の同じ場所を一撫でし、腕を斬り飛ばす。

 

 

「がっ・・・ぁ、あぁ゛あ゛ぁ!・・・う、腕がぁ・・・!」

 

 

だが腐っても娼館に潜入するような優秀な対魔忍なのか。即座に傷口を固めて止血を完了させた。

 

どうでもいいが、ドMと思ったのだがそうでは無いのだろうか?腕を斬り落としたから絶頂して隙が生まれると思ったんだがな・・・。

 

 

「助言しておくともう固めるのは止めて於いた方がいいよ。どうせ、お前の力では俺を捉える事は出来ないから。そっちの方が早く楽になれる」シュコー

 

「くぅ・・・!」

 

 

目の前の手の届かない場所へと姿を表せば、脂汗を浮かばせて苦虫を潰したような顔をしていた。性奴隷へと堕ちても元々顔が整ってるので少しおっかない。

 

・・・いや、こんな状態でもちんぽギンギンにしてるから、そんな恐怖も吹き飛んだわ。さっさと殺してやろう。

 

 

「死ねないぃ・・・!このままイケないまま・・・死ぬのは嫌だァぁ!!」

 

「・・・・・・」シュコー

 

 

一瞬・・・脚野郎が御涙頂戴のお話をすると思ったら、残った手でシコシコしだした・・・・・・本当、惨めだなぁ・・・。

 

 

「・・・っ!?」

 

「ふ、ふふっ・・・こうすれば・・・お前は斬れないぃ!」

 

 

全身硬化か。動けないようだが、どの道下手に動けない今の状態じゃ、確かに最善手だな。まぁ、それを回避する為に忍法を解けと促したんだが・・・。

 

 

「・・・・・・なぁ、知ってるか?死ぬのってオナニーするよりも数百倍も気持ちイイらしいぞ?」

 

「えっ・・・♡」

 

 

ほい、ザシュッと。

 

 

「・・・はぁ、性欲に振り回されると本当に碌な事にならないよな」

 

 

頭と胴体が別れて崩れ落ちる脚野郎。気持ち良さそうにちんぽは跳ねまくってるから、きっと願いが叶った事だろう。

 

さて、凛子さんは・・・・・・あれ?まだやってる。しかもなんか劣勢だぞ。どうしたんだ、あの人?

 

 

「あ、気持ちイイ♡刀がおちんぽスレスレに通るのしゅごぃい♡♡」

 

「んふぅ♡そんなにおまんこぐしょぐしょにしてぇ♡こっちもおちんぽ準備万端なんだからぁ♡刀じゃなくて、腰をフリフリしよ〜♡」

 

「くっ・・・うぅ・・・・・・なんてエロいんだ!」

 

「・・・・・・」シュコー

 

 

うん、大丈夫そうだな。

 

さて、あのババァは・・・あれ?居ない。逃がしたか?・・・・・・ッ!?いや、違う!

 

 

「凛子さん!息を止めt━━━━━」

 

「んほぉ゛おぉ゛おお♡にゃにこれぇ゛え♡♡」

 

「イグゥ゛ウ゛ゥウゥ゛♡♡おぉ゛おお゛ぉお゛♡♡」

 

「な、なんだ!?いきなり男達が・・・・・・はっ!?ま、待て、(しゅう)!私は何もしてないぞ!」

 

「・・・・・・そっすね」シュコー

 

 

本当にアンタ何もしてないっすね。敵二人、自滅しましたもんね。おい、二人の痴態をそれ以上見てやるな。ガン見をするな。おいって。

 

・・・あ、そっか。薬の効果。

 

 

「凛子さn━━━━━」

 

「うっ゛♡な、なんだッ・・・これは!?」

 

「あー・・・あー・・・」

 

 

顔を真っ赤にして身体を震わせて蹲る彼女に遠い目をしてしまう。これ、後が面倒だぞ・・・。

 

 

『ぬふふっ、聞こえるかな?対魔忍達よ』

 

 

突如、室内に響く放送音。声質的にさっきのおばさんだろう。何処からかは分からんがモニターか何かで見ているのか?

 

 

「・・・何をした」シュコー

 

『簡単な事よ。無色無臭の気体状の媚薬をその部屋に散布しておいたのだ!』

 

「・・・お前の自慢の奴隷も巻き添えを喰らってるが?」シュコー

 

『これはその奴隷を作る為に使用した媚薬を薄めた物だ。ソイツらなら耐えられる』

 

「・・・・・・いや、めっちゃ効いてるぞ」シュコー

 

「・・・ぉ゛♡おぉ゛♡」

 

「・・・あへぇ゛♡」

 

『・・・・・・』

 

「それから俺にはその程度は通用しないぞ。俺の顔を見ろ。完璧なガスマスクを着けてるだろ?」シュコーシュコー

 

『・・・・・・』

 

 

なんか急に静かになったな。予想外過ぎて慌ててんのかな。頭良いのか馬鹿なのか、よく分かんねぇな。

 

あの対魔忍達は多分、寸止めさせてたからだよ。裏目に出まくってんな。

 

 

『えぇい!性処理としてしか使えん肉便器共め!オーク!!仕事だ!その部屋に居る者全てを好き放題に犯せ!!』

 

 

その声と共に十数秒後に俺らが入って来た扉とは真逆の壁から、ゾロゾロと十体近くのオークが入って来た。どいつもこいつもいい感じに発情しやがって、股から液体がダラダラと涎のように垂れまくりだ。

 

凛子さんは薬の所為で真面に戦えないし、入って来た扉は勿論開かない。この狭い空間で動けない人を庇いながら戦うのか・・・。

 

それに見た感じではあるが、いつものオークより一回りか二回り大きいんじゃないかな。恐らく、薬で改造なりなんなりされたんだろう。

 

前みたいに水の刃でチョンパとはいかなそうだ。

 

 

『ぬふふっ、そいつらは特別性の私自慢のオークだ。たっぷりと楽しんでくれ給え』

 

 

そう言い残し、放送は切れた。しまった、任務失敗だなこりゃ。それより、生き残る事だけを考えるか。どれだけ強化されてるか分からないから、最大限の警戒をするべきだ。

 

 

 

 

「はぁ・・・!はぁ・・・!」シュコー

 

「「「「グルルルゥゥ!!」」」」

 

 

半分殺せた頃にはこちらも満身創痍。プレデターの兜は無傷だが少し息苦しい。だが感知するに薬が今も充満してるから、外す訳にも行かない。

 

本来のオークなら、この程度の数なんか瞬殺出来るのに・・・クソッタレ、固過ぎなんだよ。水の刃を同じ所に十発放って漸く一体倒せるとか巫山戯んな。そんなんオークじゃなくてオーガクラスじゃねぇか。

 

 

「ぉ゛・・・♡おぉ゛・・・♡」

 

 

凛子さんはもう立ち上がる事すら出来ないみたいだし・・・ぐぬぬ、エロいなぁもう。あー!こんな身体じゃなかったらー!

 

この人、胸デカイから絶対に卵管も大きいんだよなー!俺、まだした事ないから、そんなデカいの入んねぇよー!

 

 

「グルルラァッ!!」

 

 

コイツら図体がデカ過ぎて、同時に戦うのが二体ってのが救いだな。理性も無いみたいだし、バカ正直にぶん殴ってくるだけ。

 

だが拳圧だけでもかなり身体が持ってかれるから、少し大きめに避けないといけないから体力を削られる。服も削られる。それ見てオークの本能が刺激されるのか、更に過激になる。

 

もう最悪。しかも理性は無いけど、こちらの攻撃も殴って相殺してくるから、中々ヒットしない。そもそも俺はこんな風に正面切って戦うようなタイプじゃない。忍びっぽく、不意打ちとか騙し討ちするタイプ。

 

てか、それが対魔『忍』として正しい姿と思うんだよな。なんで大半が脳筋で占められているんですかね。・・・・・・俺、脳筋じゃないよな?

 

あ、なんか戦闘に参加してないオークがアへってる男達を犯し始めた。・・・手コキAとBにしよう。どちらも目を覚まして、自分の惨状を目の当たりにすると自ら喜んで腰を降り始めた。

 

 

「・・・・・・チャンスだな」シュコー

 

 

スルリとオーク達の股下を液体も避けながら移動し、盛ってるオーク二体の下へ。まずは目に突き刺してー、そこから水を溢れ出させてー・・・はい、頭ボーンッと。

 

同様にもう一体もボーンッ。

 

 

「・・・・・・よし」シュコー

 

 

頭が吹き飛んだ死体にヘコヘコしてる手こきABをポイッ、ポイッとオークの群れの中へとぶん投げる。オーク達の中心に投げられた本人達はギラギラとしたオーク達の視線と濡れ濡れの股間に目をキラキラと輝かせている。

 

少し観察してるとすぐに()(ぱじ)めた。しかし、輪に入り切らない数体のオークが興奮し切った様子でこちらに来たのでこれをなんとか撃退。

 

後は目に刺して水をバーッとやって、頭ボーンッ。序に元対魔忍達の首をスパーン。

 

 

「・・・乗り切れたぞー」シュコー

 

 

喜びの声を上げたいけど、疲れたのでなんか棒読みになった。あ、それよりもあのババァの方だ。多分、オーク達が入って来た所から逃げたよな?

 

・・・・・・おぉ、隠し扉になってる。先には廊下があってー・・・・・・・・・・・・うん、逃げられたな。まぁ、アイツ程度の悪党は吐いて捨てる程に居るし、一人を始末しようがしまいが大して変わらん。

 

今回は名門の秋山家の凛子さんも証人として居るから、咎められる事は無いだろう。

 

 

「・・・・・・あ、忘れてた」シュコー

 

 

凛子さんと言えば、あれだ。無色無臭の薬を大量に吸ってアカン事になってるんだった。

 

 

「凛子さーん、大丈夫・・・・・・じゃねぇな」シュコー

 

「あっ゛♡・・・おぉ゛♡お゛ほっ♡」

 

 

自ら対魔忍スーツのおまんことおっぱいの所を破って、自慰に耽っていた。薬で辛いのは分かるし、もう限界だろうなー、とは思ってたけど・・・すまない。ここ一応、敵地のど真ん中なんだ。

 

取り敢えず、撤退しましょう。仮拠点に取っておいたホテルが近くにありますから。

 

 

「イクッ♡・・・?秋ぅ?・・・秋♡秋ぅー♡」

 

「はい、残像でーす」シュコー

 

 

性欲で我を忘れて襲い掛かって来て、手が宙を切った凛子さんの背後から脇差しの柄尻で首をトンッとやってダウン。

 

受け止めるのを忘れたが、対魔忍だから大丈夫大丈夫。薬が付着してるかもしれないから、水遁で身体を洗い流しておんぶ。

 

 

「んっ♡・・・あっ♡」

 

 

ふぉおおお!!お、おっぱいがむにゅぅ、ってなった!俺、今上半身殆ど裸で凛子さんもおっぱい丸出しだから・・・うぉおおお!!我慢しろ、俺!!ここで襲っても待ってるのは尿道姦だぞぉ!?

 

・・・・・・よし、萎えた。

 

 

 

 

扉をなんとか攻撃しまくって壊し、脱出に成功。なんであんなに頑丈なんだよ・・・。

 

道中は水遁で姿を消して、特に事件も無くホテルへと到着。強いて言えば、凛子さんが薬の影響で身体全体が敏感になったからか、歩く度に乳首やらおまんこが擦れて大変悩ましい声を上げていたくらいだ。

 

後、無意識なのか、ギュッと抱き締められたり、首元に顔を(うず)められたり・・・・・・全く、俺を誘惑するんじゃありません!

 

 

「ふぅ・・・・・・え゛っ」

 

「んっ♡あっ♡秋にぃ♡秋に包まれてぇ♡♡・・・おっほぉ゛おお゛ぉ♡♡しゅごぃいぃい♡♡脳を犯されりゅぅうぅぅう♡♡」シュコー

 

 

軽くシャワーを浴びて戻ってみるとプレデターがオナってた。あ、いや、アレ凛子さんだ。何やってんだ、あの人。

 

 

「イグゥウ゛ゥウ゛ゥ♡♡おお゛ぉ゛♡止まんにゃぃぃ゛♡イグの止まんにゃにょ゛ぉお゛♡♡癖になりゅ゛うぅ゛う♡♡」シュコー

 

 

凄いな。もう数十秒はイキ続けてるぞ。・・・・・・あ、一段落したのか、大の字になった。きっと、あの兜の下には見事なアヘ顔を披露しているに違い無い。喘ぎ声だけでここまで明確にイメージさせるとは・・・流石、対魔忍。

 

 

「ぉ゛♡・・・ぉお゛♡・・・ほへぇ♡」シュコー

 

「・・・凛子さん」

 

「ふぇ?・・・あ、秋・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

おぉ、起き上がってピクリとも動かなくなった。それにしてもこれからこの人がどう弁解するのか、ちょっと楽しみだな。少し意地悪してやろう。

 

 

「わ、私は『凛子さん』では無い!オナニー仮面だ!!」シュコー

 

「・・・・・・は?」

 

 

・・・何言ってんだ、この人。幾ら何でも混乱し過ぎでしょ。後で絶対に死にたくなるぞ。まぁ、面白そうだから少し乗ってみるか。

 

 

「・・・・・・それなら、凛子さんは何処へ?」

 

「『凛子』なら目の前に居るではないか」シュコー

 

「・・・??」

 

 

どうしよう。会話の意味がまるで分からん。

 

 

「・・・それじゃ、貴女が凛子さんなんですね?」

 

「いや、私はオナニー仮面だ!」シュコー

 

「・・・凛子さんは何処へ?」

 

「目の前に居る!」シュコー

 

「・・・???」

 

 

無限ループって怖くね?

 

 

「えーと・・・すみません。一から説明してくれませんか?」

 

「ふむ、そうだな。・・・私は君の性欲が具現化した存在。日々持て余している君の性欲が限界を迎え、代わりにこの女に乗っ取り、発散していたのだ」シュコー

 

 

おう、誰が性欲魔人だ。失礼過ぎるだろこの人。

 

 

「・・・じゃあ、俺の所為で凛子さんは・・・ど、どうしたら凛子さんから出て行ってくれるんですか?!」

 

「え!?・・・えーと・・・・・・こ、この女のオナニーを手伝ったら、自然と私は消滅するだろう」シュコー

 

 

おぉ、おぉ、まさか乗ってくるとは思わなかったんだろうな。テンパってるテンパってる。

 

 

「お、オナニー・・・」

 

「あ、いや今のは冗談で・・・」シュコー

 

「分かった!それで凛子さんは助かるんですね?!」

 

「えぇ!?・・・あ、ごほん・・・うむ、そうだ」シュコー

 

 

ヤベぇ、この人めっちゃオモロい。

 

兜の下で凄い動揺してる凛子さんを想像しながらもこういうチームメンバーが発情した時用に用意しておいたオナロをバックから取り出す。

 

見た目は完全にディルド。しかし、尿道部分が開いており、そこに卵管を突き刺す事が出来る。

 

 

「それじゃ、立って下さい」

 

「・・・え?」シュコー

 

「立って下さい」

 

「な、なんでだ?」シュコー

 

「?・・・そちらの方が気持ちイイと授業で習いましたが?」

 

「そ、そんな事を習っているのか!?」シュコー

 

 

普通はまだ習わないけどね。だって、俺の歳でこんな娼婦のような任務は出ないもん。・・・まぁ、教師という立場を使ってそういうのを教えて来る人は居るけど・・・。

 

 

「俺だけ、特別授業を受けさせて貰いました」

 

「と、特別・・・既に毒牙に掛かって・・・・・・おのれ、許せん」シュコー

 

「その人によると立った状態で頭の上で腕を組み、ガニ股でしっかり腰を落とした体勢で・・・このディルドをヌコヌコすると気持ちイイんだとか」

 

「と、とんでもない変態だな・・・」シュコー

 

「さぁ、早くして下さい」

 

「・・・・・・え?」シュコー

 

 

ん?何を呆けた顔をしてるんだ?まさか、もっと普通な感じで楽しむだけ楽しめるとか思ったんじゃないだろうな?

 

そんな事はさせん。今回は唯でさえ役に立っていなかったんだから、少しくらいこっちのストレス発散に付き合って貰うぞ。

 

 

「ま、待て・・・私はもっと普通で」シュコー

 

「先程の乱れ方を見るに普通にしては到底終わりません。敬愛する先輩にそんな訳の分からない存在をいつまでも取り憑かせておく訳にもいきませんし。それに気持ち良くなりたいのでしょう?ならば、選り好みせずにまずは試してみるべきです」

 

「は、はいぃ・・・」シュコー

 

 

戸惑いながらも頭の上で肘を持つように腕を組み、ゆっくりと腰を下ろす凛子さん。計らずとも原作を少し再現してしまったな。

 

・・・プレデターの兜を被ってるから、かなり間抜けに見えるのが難点だな。

 

 

「もっと腰を下ろして下さい」

 

「ま、まだなのか!?」シュコー

 

「・・・気持ち良くなりたいんでしょ?それともアレは俺を騙す為の方便なのですか?」

 

「い、いや!?そんな事は無いぞ!・・・う、うむ・・・これで・・・どうだ?」シュコー

 

「内股になっています。これだと快楽が逃げてしまうらしいです」

 

「う、うぅ・・・・・・これでいいか!?」シュコー

 

 

首まで真っ赤にして・・・相当恥ずかしいんだろうけど、オーク並に愛液が溢れ出てるんですが。・・・さてはこの人、真面目そうに見えて相当な変態だな?

 

 

「はい、それではオナロを挿入していきますね」

 

「ま、待て!まだ心の準備がッ・・・ぃひ゛ぃい゛ぃ゛♡♡一気に奥までぇぇ♡♡」シュコー

 

「腰が逃げてます。しっかり落として」

 

「んほぉ゛おぉ゛おお♡♡しょ、しょれらめぇ♡♡おまんこにダイレクトにくりゅ゛ぅぅぅ♡♡♡」シュコー

 

「腰も足も子鹿みたいにガクガクしてますね。まだ抜き差ししてるだけですよ?凛子さんって、感じ易い変態さんなんですね」

 

「ち、ちがぅぅ♡♡(くしゅり)ぃ♡(くしゅり)所為(しぇい)にゃにょ゛ぉお゛♡らめ゛ぇぇえ゛ぇ゛え♡♡気持ち良過ぎておかしくなっちゃ゛ぅ゛ぅぅ゛♡」シュコー

 

「いいんですよ、おかしくなっても。全部、受け止めてあげますから。盛大に無様に情けなくイキまくってください・・・・・・ほら、こうしてオナロをクルクル回転させると気持ちイイでしょ?」

 

「んにゃ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁ♡♡ぉ゛お゛ぉお゛おぉ゛♡♡イギュゥ゛ウゥ゛ゥ♡・・・んほぉ゛お゛ぉ゛お゛ぉ゛♡♡♡」シュコー

 

 

ガニ股のまま爪先立ちになって、仰け反りながら盛大に潮吹き、そしてオナロの中に独特な白に近い透明でイクラみたいな卵がポンッと勢い良く十個程出て来た。

 

因みに凛子さんはベッドの上に居て、俺は床に居るので潮がめっちゃ掛かった。またシャワーを浴び直すか。

 

 

「・・・ぉ゛♡ぉお゛♡ッ♡ッッ♡・・・イグ♡」シュコー

 

「・・・兜、取ってあげるか」

 

 

盛大にイキ果てた後、そのままベッドに倒れて気絶した。兜を取ると白目となって想像以上のアヘ顔を晒し、色んな穴から涙などに混ざって媚薬だと思われる液体が排出されていた。

 

これなら、もう大丈夫だろう。

 

水遁で綺麗にしてやり、凛子さんの荷物も纏めて俺は浴室へと向かう。

 

 

この件をきっかけに凛子さんの性癖が歪んだ事に気付いたのはもう少し後のお話。




どのタイミングで本番するか、少し悩み中。このまま無しと考えたんですが折角r18なのでどうせなら入れようかな、と。


次回も気長にお待ちください!


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媚薬と惚れ薬は紙一重

ホモ注意

┌(┌^o^)┐カサカサ


五車学園は対魔忍を育成する学校であるが、何も戦闘訓練ばかりをやる訳では無い。普通の学校の様に主な使用用途がクイズ番組程度の一般教養も習ったりする。

 

だが座学は一部を除いて基本的に問題無いが、実技は割と対魔忍的な要素が取り入れられたりする。例えば、体育だと野山で足音を消しながら、先生相手に鬼ごっこしたり、目覚めた忍法を伸ばしたり。

 

で、今回やるのは家庭科、それも調理実習。個人的に嫌いな授業トップスリーを現在進行形で更新中だ。

 

別に料理が苦手な訳では無い。寧ろ、水城家の執事である『じいや』に男の嗜みとか言われてスパルタ気味に叩き込まれたから、そんじょそこらの主夫よりは出来る。

 

何が問題かと言うと、使う材料が問題なのだ。

 

 

「はい、それでは皆さん。班に分かれましたね。手順は各々が事前に調べた通りに。何か不安な事があれば遠慮無く聞いて下さい」

 

 

家庭科の担当である(女目線だとエロいらしい)三十代くらいの男の教師が合図を出し、それぞれが自身の役割を果たす為にわらわらと動き出した。

 

今日、俺達の班が作るのはクッキーだ。先程、先生が言ったように予算を渡されて、この日までにそれぞれが食材を購入して来た。縛りは予算以内である事と手頃なおやつって事くらい。

 

四人一組で組まされ、メンバーは俺と相変わらず壁を感じる『秋山達郎』、達郎と同じく忍法が使えないふうまの現当主『ふうま小太郎』、それから前回のとある授業で仲良くなった『上原鹿之助』の男子四人。

 

今回は内容が内容なだけに男女別で授業を受けている。女子達は外で先輩達と訓練中だ。何故なら、それは数多く並ぶ食材や食器の中で一際異彩を放つ手の平サイズのハートの小瓶に入ったピンク色の液体が原因だから。

 

どう見ても媚薬です。本当にありがとうございました。

 

 

「・・・本当にこれを入れるのか?」

 

「・・・そういう授業だから、やるしかないだろ」

 

「うぅ・・・」

 

 

瓶を手に取って、左右に軽く振りながら愚痴の様に呟くと律儀にふうまが答え、上原は顔を赤くしてこっちを見ながらモジモジしてる。

 

媚薬という物に対しての恥じらいと言うよりも、コレに対する恥ずかしい思い出が蘇っての反応だろう。そう、それは数日前の事だ。

 

 

 

 

媚薬、というものがどんな物かを実際に体験してみよう、というアホみたいな授業があった。聞いただけで出落ち感満載である。

 

内容は初手から見栄を張って原液で飲んだ男性教師がヤバいと純粋に心配した生徒が呼んだ女子達を担当していた女性教師に連れて行かれ、結局その日はどちらも帰って来なかったという期待を裏切らないもの。

 

それでも後日、授業は再開されて俺達は水と媚薬を9:1で薄めた物を服用した。だがそれでも現役の対魔忍でも我を失うような物をそういう類の訓練を本格的に積んでいない者にとっては中々キツいようで。

 

飲んだ奴らのほぼ全員は見事に発情し切った。俺はと言うと、水遁で包んで体内に吸収されないようにしてたから問題無かった。

 

実を言うと皆のこの反応は先生達の思惑通りで、授業の本来の目的はその時の対処法らしい。一人一個配られた新品のオナホ(前世と同じ)を片手に教卓の上で先生による実践演習。それを見ながら皆でオナニー大会。俺の目は死んだ。

 

特に薬の効果も出ていなければ、教卓の上ではいい歳した男がM字開脚でオナホ(細い管付き)片手に尿道ごとシコシコして野太い声で喘ぎ、周囲は顔を赤らめた男共が慣れない手付きでオナホをシゴき、一部を除いて声変わり中のガラガラ声を押し殺したように喘ぐ。

 

どうやって勃たせろと?これで勃ったらソイツはホモだ。・・・この光景、この世界の女子からしたら暫くオカズには困らないような、そんなご褒美的な光景なんだろうなぁ。

 

せめてこの教室から目を逸らそうと外を見れば、隣の席だった上原が目に入った。他と変わらずシコシコしていたが、何やら様子がおかしかった。

 

発情してはいるし、手は忙しなく動いているが・・・どうにも物足りなさそうと言うか、苦しそうだった。暫く観察していると到頭(とうとう)目尻に涙が溜まり、押し殺すように嗚咽を洩らし始めたので見ていられなくなり声を掛けた。(周囲の奴らはシコシコするのに夢中で全く気付いていなかった)

 

すると、どうやらどれだけシゴいても気持ち良くならないんだとか。それどころか、微妙な刺激ばかりで寧ろ苦しくなるばかりと言われた。

 

コイツ、見た目は華奢で女っぽいのに相当な淫乱なのか?と邪推したが・・・あ、いや、この世界だと女っぽいから淫乱なのか。

 

しかし、よくよく見てみれば、凄い粗チンだった。具体的に言うとフル勃起して手の小指くらい。結構小さめの上原の手にすっぽりと収まって見えなくなるくらいには小さかった。

 

この世界では粗チンだからと言って、特に気にされる事もする事も無い。大きいに越した事は無いし、強いて言えば、パートナーの卵管が入らない可能性があったりするだけだが・・・まぁ、そこは当人達でなんとかするだろ。

 

彼の話を聞いて成る程、と思った。これだと殆どオナホに入っていないから気持ち良くならないんだな、と疑問が解けてスッキリしたので「そうか・・・頑張れ」とだけ言って、見なかった事にして机に伏せた。

 

被ってたひょっとこのお面がゴツゴツしてて、ちょっと寝難かったがそれでも伏せ続ける。これ以上、関わると嫌な予感がするから。

 

少しして横から聞こえて来た、再びの嗚咽。無視したかったが考え直してみる。コイツはこのままでは結局、イケないままだろう。

 

そういった経験が無さそうだし、このまま野に放つと(たちま)ち肉食獣に襲われ兼ねない。別に俺に被害は無いだろうが後味が悪過ぎる。それに仮に襲われなかったとしても、このまま我慢し続ければ(いず)れは精神が壊れる。

 

もう放置する方が面倒臭くなりそうな気がして来たので起き上がってオナホを取り上げた。

 

 

「あ・・・」

 

 

残念そうな声が聞こえたが、無視して手に手袋の様に温水を覆わせておちんちんをシゴく。

 

 

「あ゛っ♡やめっ♡・・・い゛ひぃ♡♡」

 

 

オナホの時よりも数段気持ち良さそうな声を上げたと思うと、次の瞬間には背筋をピンッと伸ばして小刻みに痙攣した。

 

子種は出ないが、我慢汁の様な透明な液体がトロトロと出て来て、覆わせていた水ごと廊下の水道に投げ捨てる。

 

 

「・・・もう大丈夫か?」

 

「う、うん・・・・・・ありがと」

 

「気にすんな」

 

 

いそいそとチャックを閉める上原を尻目に、そう言えば姿を消す技術を応用すれば、逆の効果として本来とは異なった姿を周囲に見せて、ついでに俺からは周りの景色も音も消せるんじゃね?と思い至った。

 

早速やってみると割とすんなり出来て、ついでに水遁で耳栓もした。・・・なんかミラー号っぽいな、と思ったのは内緒だ。

 

これでこの時間は平穏に過ごせるだろうと思ったが、ちょいょい、と袖を引かれた。俺からは見えないが外からは俺が見えるので特に驚く事は無いがこちらからは相手の様子が見えない。

 

取り敢えず、耳栓と袖を引かれた方だけの水遁を解くと真っ赤な顔をした上原だった。

 

 

「どうs・・・」

 

 

聞く前に気付いた。ズボンのチャック開けて勃起してたから。

 

 

「・・・・・・」

 

「ご、ごめん・・・・・・また・・・その・・・」

 

「分かったから・・・もう何も言うな」

 

 

この後、五回くらい抜いた。媚薬、恐るべし。

 

 

 

 

そんな事があって・・・なんか懐かれた。周りに見られたくないのと体勢がキツかったのもあって、膝に乗せて抜いたのが悪かったのだろうか?

 

でも仕方無いじゃん。水遁解いたら解いたでコイツの喘ぎ声が五月蝿過ぎて周りの奴らも流石に気付くんだよ。そしたら羨ましそうな目でこっちを見て・・・果てには先生にシゴいてくれないか?と頼まれる始末。

 

我慢しまくりながらも一回だけ頑張った俺を誰か褒めて欲しい。

 

同じく思い出していたのか、こちらをチラチラ見てくる上原から目を逸らすと、鋭い目付きでこちらを睨む達郎が。

 

 

「ズルは駄目だぞ」

 

「分かってるって。きちんと入れるよ」

 

「全く・・・」

 

 

姉に似たのか、それとも精神的には女寄りになったのかは分からんがこの達郎はかなり真面目だ。姉よりもガチガチに固まった人生を送ってる。

 

いや、この場合は姉の方が少し緩いと言うべきだろうか?・・・微々たる物だな。

 

因みに完全に余談だが達郎は普通に発情して自分でシコってた。なーんか、手馴れてる様子だったんだよなー。・・・いや、何も考えて無いっすよ。

 

オカズは前にふうまから買い取ってたゆきかぜの隠し撮り写真だろうなー、とか考えて無いっす。真面目な達郎君がそんな事をする訳無いじゃないですか嫌だー。

 

あ、ふうまは普通に授業を休んだみたい。いつものサボりではなく、なんでも腹違いの姉に物凄い剣幕で休むように言われたらしい。・・・・・・大事にされてんなー。

 

 

 

・・・・・・授業中、達郎も羨ましそうにこっちを見てたのはきっと媚薬の効果で頬が上気していた所為だと思いたい。

 

 

 

 

料理出来ない組が上原とふうまで、達郎は普通に料理が出来たので上原を俺が、ふうまを達郎がカバーする事になった。

 

まぁ、所詮はクッキーなので早々問題は起こらない。包丁使わないし、使ったとしても対魔忍だから刃物の心得は皆持ってる。

 

・・・なのに、どうしてこうなったのだろうか。

 

 

「あー・・・あー・・・」

 

「うわぁ・・・」

 

「うぅ・・・」

 

 

目の前にあるのは見た目は普通だが、なんか怪しいオーラを幻視してしまうクッキー。

 

やっちまったなぁ、という風の俺。ドン引きのふうま。媚薬の恐ろしさを身を持って知ったが故のトラウマで恐怖する上原。

 

勿論、オーラなんてものは出ていないのだが・・・製作工程でまさかの達郎がやらかしてくれたから、そう見えてしまう。

 

 

「ど、どうしたんだよ。上手に出来ただろ?」

 

「「「・・・・・・そっすね」」」

 

 

張本人が全く気にしてない現状に俺達は何も言えなくなる。何をしてくれやがったのかと言えば、小瓶の中の媚薬を全部投入した。この場合の適量は数滴で充分だったのに、だ。

 

多分、前回の普通の調理実習で食材を用意したのではなく、予め必要最低限準備されており、余す事無く使ったから・・・同じく、今回先生が用意した分は全て使うべきだと思ったのだろう。

 

料理は出来てもおかしな部分で真面目で頑固だから・・・あぁ、もう。

 

 

「どうすんだよ、コレ」

 

「どうするって言われても・・・捨てるしかなくね?」

 

「う、うん・・・その方が・・・良いと思う」

 

 

三人でコソコソと会議して、満場一致で捨てる事に。勿体無いし、評価は貰えなくなるが仕方無い。これは流石にヤバい。下手をすれば校長だって簡単に堕ちる激物の可能性が大なのだから。

 

・・・あ、俺は普通に評価貰えるわ。何故って?先生のオナニー手伝ったからですがナニか?

 

だが問題はこの馬鹿真面目な奴にどう伝えるか、だ。下手にこれは分量が間違えたから食べれない、とか言えば信じない達郎が試食するだろう。

 

勉強出来る馬鹿だからな、コイツ。阿呆とも頭対魔忍とも言う。

 

 

「はい、では出来上がった班から包装袋を取りに来て下さい」

 

 

時間が来たのか、先生の声が室内に響いた。何故、ラッピングするのかと言えば、これを食べるのは俺達では無いから。

 

これらを食べるのは今、外で女子と一緒に訓練をしている先輩方であり、授業が終わるのを見越して届けに行く。無論、これも歴とした授業の一環だ。

 

自分達は薄めた媚薬に翻弄されたが彼女達は違う。誇り高い対魔忍にそんな物は通用しない、と俺達に教えて分かり易い目標としてもらう為なんだと。

 

はいはい、対魔忍(笑)対魔忍(笑)。意地張って原液飲んで轟沈したお股対魔忍が何言ってんだか。

 

取りに行くのは達郎に任せて、俺達は再び話し合う。

 

 

「コレ、食べると絶対にアウトだよな」

 

「一応、生地の量が多いから一個分は幾らか薄まってるとは思うが・・・」

 

「それでも前の時よりは・・・濃いと思う・・・」

 

「・・・仮に・・・仮にコレを先輩が食べたとして、我慢出来なかったとする。・・・まず俺達では抵抗出来ないだろう。ナニがとは言わんが」

 

「「っ!?」」

 

 

有り得ない訳では無い色々と端折った仮定に二人が息を飲む。先程よりも明確な危機感を持ってくれたようで何より。

 

 

「そう言えば、水無瀬は誰に渡すか、もう決まっているのか?」

 

「あー、確かに気になる。水無瀬君、凄い人気だから心做しかなんか先輩達がソワソワしてたよ」

 

「んー・・・あ、そっか。先輩達は自分達の代でそのまた上が受け取ってるの見た事があるから、知ってる人が多いのか。・・・だから、今朝から凛子さんにチラチラ見られてたのか」

 

「・・・あぁ、達郎の姉さんの事か?」

 

「うぇ!?あの斬鬼の対魔忍って言われてる凄い人だよね!?・・・ほぇ〜、やっぱり水無瀬君って凄いなぁ」

 

 

何やら上原が尊敬の眼差しで見てくる。色々とツッコミたい所はあるが・・・『やっぱり』ってなんだ?お前、まさかとは思うが先日のオナニー大会で俺がそっち方面に凄い奴とか思ってないだろうな?

 

違うぞ?あの時はお前が限界寸前でかなり敏感になってただけで、俺のテクが超絶凄まじいとかじゃないからな?

 

先生?・・・二度とソイツを示す名詞を使うな。今だって、教卓に立つアイツを視界に入れただけで殺意の波動に目覚めそうなんだから。

 

 

「姉さんがどうしたんだ?」

 

「「「!!?」」」

 

 

バッと振り向けば、達郎がラッピング用の袋を手に怪訝な顔をして立っていた。話が逸れて何一つ解決策が立っていない事実に気付き、焦りまくっていると何故かジロリとこちらを睨んで来た。

 

 

「・・・まさか、姉さんに手を出すつもりじゃないだろうな?」

 

 

いや、寧ろ手を出され掛けたんだが?

 

 

「そんな事はしないし、仮にそのような事態に陥ってもあの人なら自分で何とか出来るだろう。・・・それとも俺なんかに手も足も出ない程にお前の姉さんは弱っちいのか?」

 

「・・・ふんっ」

 

 

まぁ、あの人なら何とか出来ると言っても誰も撃退する、なんて言ってないがな。下手すれば、返り討ち(意味深)にしそうだ。

 

拗ねた様に袋をテーブルの上に置き始めた達郎に安堵しつつ、タイムリミットが刻々と近付いている事を思い出した。

 

先生に事情を話しても、あの教師は無駄にプライドが高いから、達郎と同じように試食して昨日の名誉挽回とかしだすだろう。そのまま、また連れて行かれて、ピュアな達郎は全く気が付かずに「やっぱり大丈夫じゃないか」と何故か、自信を付ける所まで容易に想像出来てしまう。

 

そもそもクッキーという簡単な物を作ったのがいけなかった。達郎が料理初心者ならよかったのだが・・・下手に実力がある分、この程度で失敗する筈が無いと思い込んでいる。事実、クッキーとしては完璧だから。

 

だが問題となっているのは料理の腕では無く、先日に自分達を苦しめた物だと、いい加減気付いて欲しい。

 

 

「・・・達郎、それを誰に渡すつもりなんだ?」

 

「・・・どうしてお前に言わないといけないんだ?」

 

「出来るだけ、渡す相手が被らない為にだ。貰えない人が要るとなんか気まずいだろ」

 

「・・・・・・ゆきかぜ」

 

「「「は?」」」

 

 

真面目な達郎は一理あると思ったのか、ボソッと出した名前に俺らは開いた口が塞がらない。聞き間違いかと思って問い返したら、今度は少し怒り気味に答えた。

 

 

「ゆきかぜ、僕の彼女だよ。渡して悪いの?」

 

「いや、お前・・・先生には上級生達に渡せと言われて・・・」

 

「アサギ校長に確認したら、ゆきかぜなら問題無いって言われた」

 

 

何が?一体全体何を根拠にそんな事を断言したんだ、あの人?幾ら、名門の出で他よりも耐性があるとは言っても・・・あ、薄めたヤツだと思って・・・・・・あ゛ー(察し)

 

 

「だがアイツはまだそこまでの訓練をしていない。襲われる危険だって・・・」

 

「ゆきかぜは他とは違う。この程度で我を忘れたりなんかしない」

 

 

うわぁ・・・ゆきかぜ、ドンマイ。お前が普段から俺に対してスキンシップ多いから、相当耐性持ってると思われてるみたいだぞ。

 

達郎の奴、ゆきかぜがお前に対しては自分からスキンシップした回数が極端に少ないのを気付いていないんだろうか?触れてる割合は男女にしてはかなり多いけど、全部お前から触りに行ってるだけだからな。

 

しかも、長時間の接触がある日の夜はアイツ、部屋で滅茶苦茶オナってるからな?

 

 

「・・・そっか。なら、凛子さんに渡すのが問題無いか?」

 

「やっぱり姉さんを!」

 

「違うって。一人一袋しかないんだから、お前がゆきかぜに渡すなら、弟に貰えなかった凛子さんは悲しむと思うぞ?下手すると誰にも貰えなかったり・・・」

 

「姉さんは僕に貰えなくても沢山貰えるに決まって・・・!」

 

「もしもの話だ。だから、そんなに大声を出すな」

 

「くっ・・・!」

 

 

相当迷ってるみたいだが、この調子だと天秤はゆきかぜに傾くだろう。もうご愁傷様としか言えない。まぁ、将来的に他人に初めてを奪われるよりは今、襲って襲われた方が互いにマシだろう。

 

 

 

 

私は幼い頃から対魔忍として研磨を積み、今では斬鬼の対魔忍と称え、恐れられ、逸刀流の師範まで任せられるようになった。

 

今まで幾つもの修羅場を潜って来た。死を覚悟した事なんて数え切れないがそれでもどんなピンチも切り抜け、こうして生き伸びて来た。

 

秋山の名に恥じぬよう、対魔忍としての誇りを持ち、常に胸を張れるよう心掛けて来た。

 

 

そんな私が・・・・・・人生最大のピンチに陥っていた。

 

 

「がっ・・・ぐぅ・・・・・・うぅ・・・♡」

 

 

対魔忍スーツに大きな染みを作り出す程に溢れる愛液。全身を絶えず駆け巡る電流のような快楽。常にほんの少し動いただけでイッてしまい、真面に動く事すら叶わない。

 

今、私は自室のベッドの上でどうしようもなく・・・・・・発情していた。

 

 

 

 

事の発端は今日行われた下級生との合同演習。つまりは幼い頃から親しくしている達郎の同級生である、ゆきかぜ達との訓練だった。

 

しかし、私達のクラスでは表向きは兎も角、女共全員が別の意味で待ち望んでいた日でもあり、かくいう私もその一人である。

 

それは後輩の男子達による手作りお菓子を渡される日なのだ。例えそれが媚薬入りだとしても、男子による手作りという甘美な響きの前ではそんな事はどうでもよくなる。

 

そもそも私達はそういう訓練を受けさせられていたし、事前に彼らが使う量を処方して耐性を付けていた。

 

そして今日、その日がやって来た。人によっては一つも貰えなくなる可能性があったものの、私は初めからその心配は無かった。

 

なんせ、私には可愛い可愛い弟が居る。ゆきかぜという彼女が居るには居るが、今回は上級生へのプレゼントとなるからその選択肢は除外されている。

 

まだゆきかぜと付き合う少し前までは、私の破れた対魔忍スーツをおかずにしてナニカと勤しむような男だ。そんなシスコンが私以外に渡す筈が無いと、そう思っていた。

 

笑顔で駆け寄る達郎が私の横を通り過ぎるまでは。

 

 

「あ、おーい!」

 

「む?達郎か?・・・どうし」

 

「ゆきかぜ、はいコレ」

 

「へ?・・・え、クッキー?どうしたのこれ?」

 

「今日、家庭科室で作ってたんだ。本当は先輩に渡さないといけないらしいんだけど、校長先生に許可を取ったから。・・・か、隠し味に・・・愛情を入れてみたんだ。口に合えば・・・いいけど・・・」

 

「ッ〜〜!!達郎!!」

 

「ちょ、ゆきかぜ!?こ、こんな所で・・・そんな・・・大胆な・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

何だこれは。クソが。粗マンのヘタレビッチが。人様の弟に公衆の面前でなに抱き着いてんだ。ぶっ殺すぞ。

 

ふん、まぁいい。訓練終わり、つまりは汗だくで抱き着いたんだ。これで少しくらい達郎も嫌な顔を・・・・・・・・・してないな。寧ろ・・・なんか、真っ赤になって・・・発情しているような。

 

 

私はなんかもう色々と虚しくなってきたのでラブコメを繰り広げている二人から目を外す。決して、ゆきかぜが羨ましくて殺意の波動に目覚めそうだとか、そういう訳では無い。

 

ちっ、私達の頃は同級生の男子達が先輩にお菓子を上げる姿を指を咥えて見ている事しか出来なかったというのに・・・・・・ちっ、ラブコメの主人公かよ。ちっ、一人だけいい思いをしやがって。ちっ。

 

 

はぁ、と人知れず溜め息を吐く。それでもキャッキャウフフしている後ろの二人の声が聞こえるから、その場をさっさと去ろうとした時、視界の端に人影が写った。

 

ソレはバッタのようなお面を身に付け、素顔を隠している。しかし、不審者などではなく、歴とした私の後輩でゆきかぜ同様、昔馴染みである『水無瀬 秋水』その人であった。

 

今でこそ、おかしな格好をしているものの昔は仮面などを付けておらず、その素顔を知る者は少なくなったが噂通りの美男子であった事は間違いない。

 

・・・あまり思い出したくないが、というか殆ど覚えていないが先日の任務で物凄い醜態を晒してしまい、正直顔を合わせづらい人物でもある。

 

噂では彼もゆきかぜと何らかの卑猥な関係にあるのでは?とあるがそれは違う。自他共に認める女嫌いであるものの、単純に性に関する事を忌避しているだけであり、普通に接していれば普通に接し返してくれる。

 

・・・でも、ゆきかぜだけ判定が緩い気がする・・・というか絶対そうだ。挨拶代わりに抱き着くとか羨ま・・・なんてハレンチな。

 

あぁ、それと誤解のないように言っておくと達郎も健全な関係を築いているぞ。その辺は忍法も使ってしっかり監視しているので問題無い。

 

 

「・・・凛子さん」

 

「ん?・・・あぁ、(しゅう)か。ゆきかぜならあそこに居るぞ。二人だけの空間を作ってるから、少し空けてから渡すといい。それじゃ、私はこれで失礼する」

 

 

私は・・・媚薬が原因で先日の任務を失敗したから、貰えないだろうな。

 

どうせ彼も信頼しているゆきかぜに渡すのだろう。彼女なら不本意ながらもそれなりに媚薬への耐性があるし、彼と最も親しい女でもある。

 

私も他と比べれば、彼とは格段に親しいと胸を張って言えるがゆきかぜが相手では分が悪過ぎる。なんだ同棲って。なんだ義理の兄って。羨まし過ぎるぞ、クソが。

 

こっちは血が繋がってるから、達郎に全く手が出せないってのにお前は選り取りみどりかよ。

 

 

はぁ・・・虚しい。もう今日は授業も部活も無いから、さっさと帰ろ。

 

 

「・・・凛子さん、待って下さい」

 

「!・・・ど、どうした?」

 

 

と思いながら、秋の横を通り過ぎると手を引かれた。・・・て、手・・・握っちゃった・・・わわ!や、柔らかい・・・凄い・・・いつの間にこんなに成長して・・・。

 

 

「・・・これ」

 

 

そうして差し出されたのは可愛らしくラッピングされたクッキー。その数三袋。・・・ん?三?

 

 

「え・・・わ、私にか」

 

「・・・はい」

 

 

恐る恐る受け取り、まじまじと見る。やや形が崩れているがある程度均等に作られた物、まるでお店にあるような綺麗な物、そして大きさも形もバラバラな物の三人分。

 

恐らく、綺麗なのが秋のだろう。となると残る二つは・・・。

 

 

「他二つは・・・その、頼まれました」

 

「あ、あぁ・・・そうか。良ければ礼を言っておいてくれないか?」

 

「はい・・・それでは俺はこれで」

 

「あぁ・・・気を付けてな」

 

「はい・・・・・・あ、食べるのは帰ってからにして下さい」

 

「?・・・承知した」

 

 

この時は意味が分からなかった。きっと目の前で食べられるのが恥ずかしかったのだろう、と一人勝手に結論付けて私は帰路に着いた。

 

早く秋の手作り(と顔も知らぬ男子)のお菓子が食べたくて、さっきまで笑い転げていた女共の舌打ちの音なんか気にせず、ルンルン気分だった。ソレが劇薬であるとも知らずに。

 

 

 

で、この様である。

 

最初は味わって食べようとしたが幼馴染みとは言え、美男子の手作りというだけで凄まじいまでの補正が掛かり、手が止まらなかった。無論、補正無しでも美味しいが。

 

媚薬の効果が最初に少し出たのもいけなかった。ほんの少し効果が出ただけでこの程度か、と甘く見てしまったから。

 

全て食べ終え、少し発散しようとなんとかベッドの上まで来れたが媚薬の本領が発揮され、完全に動けなくなってしまった。

 

おかしい、話が違う。こんなの現役の対魔忍ですら耐えられるか怪しい猛毒だ。これと同じく物をゆきかぜが?・・・不味い、達郎がッ・・・!

 

 

そう思えどもすぐに強烈な快楽が思考を塗り潰す。もうイッてるのかどうかすら分からない。耳を通り抜けていく自身のモノとは思えない獣のような嬌声、ガクガクと痙攣が止まぬ四肢、息が喉を通るだけで快感を感じ、呼吸すら真面に行えない。

 

そんな時、ふとここに居る筈の無い人が明滅する視界に写り込んだ。それは先程と変わらぬ仮面を付けて、表情が全く分からぬがいつの間にか開いた窓枠にしゃがむ愛しい人だった。

 

 

「ふぇ・・・?しゅうぅ・・・?♡」

 

「うわっ・・・物凄い事に・・・・・・その・・・すみません」

 

 

・・・いや違う違う。ただの幼馴染みだ。今のは媚薬で少し・・・いや、かなり弱っていて・・・・・・そう!吊り橋効果ってヤツだ。

 

 

「やらぁ・・・み、見ないでぇ・・・・・・違うのぉ♡これはッ・・・媚薬の所為でぇ・・・♡」

 

「分かってますよ。だからこうして来たんです。・・・なので・・・あの、何かして欲しい事ってありますか?」

 

「して欲しい事ぉ?・・・ギューッてしてぇ♡」

 

「え・・・・・・あ、はい。・・・こ、こうですか?」

 

「んふふふ♡しゅう、だいしゅきぃ♡♡」

 

 

あっ♡あぁ゛♡イクッ♡イッてるぅ♡

へぇあ!?そ、そんな強く抱き締められたら・・・い゛ひぃ゛いぃ゛ ぃ ゛ぃ♡♡しゅごいこれぇぇ♡♡胸の奥までしゅうで満たされちゃってるのぉぉ♡♡

 

 

「あ、す、すみません、凛子さん・・・つい」

 

名前(にゃまぇ)・・・♡『さん』付けにゃんてやらぁ♡しゅう、呼び捨てにしてぇ♡♡」

 

「・・・凛子」

 

「ッ!!?♡♡」

 

 

へぇあ?なに・・・今の?名前呼ばれただけで・・・凄い快感が・・・・・・それに頭もなんか・・・フワフワして・・・胸がポワポワする・・・。

 

 

「もっと・・・♡もっと呼んでぇ♡♡」

 

「凛子」

 

「んふぅー♡み、耳元で囁くのらめぇ゛♡」

 

「なら、やめますか?」

 

「やー♡嘘なの♡もっと呼んで欲しい♡凛子をもっとダメダメにして欲しいのぉ♡♡」

 

 

どうやら私はこの甘美な時間から・・・暫く、抜け出せそうにないようだ。

 

 

 

 

ゲロ甘な空間を作り出しているゆきかぜと達郎、それを見て死んだ魚のような目になっている凛子さんがその場を去ろうとしたので丁度いい、と駆け寄る。

 

なにやら勘違いをして受け取らずに帰ろうとしたが引き止めてなんとか受け取って貰う事に成功した。

 

これで取り敢えず悩み事は無くなり、小太郎や上原に挨拶をして帰路に着こうとした。そしたら、家に帰ってみるとじいやに呼び止められた。

 

どうしたのだろうか?と思い、話を聞いてみるとなんかゆきかぜがヤバいらしい。

 

 

「・・・え、ゆきかぜ帰ってるの?」

 

「えぇ、今は自室で安静にしております」

 

 

てっきり、達郎と熱い夜を過ごすものだとばかり思っていたから、これには普通に驚いた。話を聞く限りでは達郎とは結局、何も無かったらしい。

 

 

「・・・ふぅん、意地でここまで帰って来たんだ」

 

 

聞いた訳では無いがなんとなく分かる。

 

どうせ、媚薬の効果が出てない事を不審に思った達郎が抱き着くなりして、ゆきかぜの情欲を煽る。それでもゆきかぜは達郎を襲わなかったから、達郎は『やっぱりゆきかぜは他とは違う』とかそんな感じのおかしな自信を抱いて、ゆきかぜはもう色々と限界で早足で帰って来たのだろう。

 

この媚薬自体、割と即効性ではあるものの効き目の波が来るのが遅い。それは処方する量が多ければ多い程に遅く、後から大波がやって来る。

 

ちょっと心配になったので覗いてみれば、案の定だった。いや、予想よりも凄い事になってる。白目剥いて完全に気絶してるよ。

 

達郎を呼ぼうと思った。ゆきかぜの相手をしろって。男を見せろって。でもやめた。それをしたら、これまでのゆきかぜの涙ぐましい努力が水の泡になってしまうから。

 

で、どうしようか考えて、そう言えば机の引き出しの二重底になっている所にある小さな金庫にゆきかぜがいつも使ってるエログッズがあった事を思い出した。

 

暗証番号?不知火さんの誕生日と失踪した日の二つだ。

 

 

そうして取り出したのは子供用の小さく細いオナロ。上原といい勝負をしている。因みに爺やお手製である。必要だから、と無理矢理渡された時のゆきかぜの顔が今でも忘れられない。

 

あんだけ嫌々言ってたのに期待した眼差しで手元のそれを見て、しかもそれにどハマりしてしまった程にゆきかぜにとっては気持ちいいらしい。

 

本当は任務時に媚薬を摂取してしまった時用なのだが・・・過保護さが裏目に出たな、爺や。

 

水遁の術で胃の中にある媚薬を取り除こうと思ったが完全に体内に吸収されているのでそれも叶わない。だから、許せゆきかぜ。別に俺が直接手を出す訳では無いんだ。

 

そんな訳で意識が逝ってるゆきかぜを更にイかせた。

 

 

もう凄まじい程の乱れっぷりだった。気絶してるのに滅茶苦茶喘いで途中でじいやが心配して見に来た。生け捕りにした車海老のように跳ねまくるから、爺やに抑えて貰って、なんとか真面に呼吸ができるレベルまでは収まった。

 

これ以上すると幾ら対魔忍と言えどもイキ過ぎて下手をすれば、脳みそが溶ける。耐性の無いゆきかぜなら尚のこと。

 

一段落着いて後は爺やに任せる事にし、俺は部屋から出る。一息吐いてそこでふと、気が付いた。

 

 

(あ、凛子さん・・・)

 

 

全く同じ物をあの人には三倍分渡してしまった。今回はこちらが完全に悪く、あの人にはなんの落ち度も無いので流石に知らんぷりは出来そうにない。

 

と言うか、ゆきかぜの様になるだろうな、と思ったから、家に帰ってから食べるように言ったのだ。あの人なら色々と律儀だから、媚薬だと知った上で完食してしまうだろう。

 

そんな訳で大急ぎで様子を見に来たら、案の定である。窓から見える部屋のベッドで対魔忍スーツのまま乱れ狂っていた。

 

しかし、流石と言うべきか。色々と一杯一杯ではあるものの、ゆきかぜのように気絶はしておらず、確かに意識があるようだった。

 

それでもかなり危ない状態である事に変わりは無い。鍵が閉めてあった窓を水遁で水を隙間に通して鍵を開ける。

 

すると、漸くこちらに気付いたのか、虚ろな目の凛子さんがこちらに視線を向けた。

 

 

「ふぇ・・・?しゅうぅ・・・?♡」

 

「うわっ・・・物凄い事に・・・・・・その・・・すみません」

 

 

篭っていた雌の匂いが一気に押し寄せ、ちょっとクラッと来てしまった。こうして自分の仕出かした事を目の当たりにするとどうしても罪悪感が湧いてしまう。

 

だから、それを発散する為なら出来る限りの手助けをしようと思った。女性に対してのそういったお世話は前回のように特別授業を受けさせられて割と心得ている。本当、皮肉な事だけど・・・。

 

でも本番は駄目。幾らこの人でも少し心の整理とか・・・色々と・・・・・・と、兎に角、「なんでも」と申し出はしたが流石に少しは制限を付けさせてもらう。

 

そう思い返して口に出そうとしたのだが・・・。

 

 

「して欲しい事ぉ?・・・ギューッてしてぇ♡」

 

「え・・・・・・あ、はい。・・・こ、こうですか?」

 

「んふふふ♡しゅう、だいしゅきぃ♡♡」

 

 

え、可愛い・・・じゃなくて。

 

ギューッとする

抱き締める

抱く

セックス

 

って意味かと思ったけど、本当に抱き締めるだけだった。この密着状態を利用して押し倒されるかと思ったがそんな事は無く、只管に抱き着かれる。

 

こんな事でいいのなら、と思って強く抱き締めると加減を間違えてしまったらしく、一際大きく身体を痙攣させた。

 

どうやらイッたみたいだ・・・・・・あぁ、そうか。媚薬で敏感になり過ぎているから、過度な刺激は逆効果なのだろうか?

 

それにしても新鮮だな。こんな凛子さんを見たのは初めてかもしれない。前はこうなる前に自分でどうにかする余裕があったから自分でオナってたのか・・・。なんだろ・・・人肌が恋しいのかな?

 

 

「んふぅ♡・・・ん♡しゅう?・・・なんかおまんこに固いのが・・・」

 

「あ、す、すみません」

 

 

ヤバいと思い、すぐに離れようとしたが互いに抱き締め合っていたし、デバフ状態とは言え、これでも次期エース候補で純粋な実力的にも逸刀流の師範を任せられる程の力の持ち主。

 

何より、体勢的にもあちらが有利で駄目押しとばかりに脚を絡められていたので逃げる事は叶わない。まだに感じる溢れ出る愛汁が僅かにズボンの上から感じ取れた。

 

襲われる、と反射的に結論を出し、身体が恐怖で硬直する。無理矢理犯され、種を産み付けられ、気絶すら出来ない激痛に襲われながらの出産までの光景が瞬時に頭の中で再生された。

 

 

「ん・・・大、丈夫・・・だから・・・」

 

「!?」

 

 

だけど、それは現実にはならなかった。襲われる事は無く、さっきよりも強く包み込むように抱き締められた。必死に性欲を我慢し、こちらを安心させようと頑張っている事が容易に理解出来る程に苦しそうな声。

 

この人なら大丈夫だと、何故か先程までの恐怖は欠片も残っていなかった。

 

 

「耐える・・・ふぅー♡・・・耐えるからッ・・・・・・ごめんね、怖がらせて・・・はぁーッ♡はぁーッ♡・・・大丈夫ッ・・・だから・・・・・・だから・・・泣かないで・・・?」

 

「え・・・」

 

 

言われて初めて気が付いた。冷や汗とは別に頬を伝い落ちる雫に。ソレは恐怖が限界を超えてしまったが故に出た物で・・・きっと今も出ているのは安心したからだと思う。

 

 

「どうして・・・」

 

「分、かる・・・よ?だって・・・んん♡・・・ずっと一緒にぃ・・・♡居たから・・・・・・ずっと・・・見てた・・・からぁ♡・・・ふーっ♡ふーっ♡・・・ごめんね・・・守れなくて・・・ィ♡・・・・・・もっと・・・私が強かったらッ♡・・・秋にぃ♡・・・こんな辛い思いをさせずに・・・済んだのに・・・」

 

「・・・・・・」

 

「頑張るからぁ・・・♡耐えてみせるからぁ・・・♡秋が・・・殻に閉じ篭らなくて・・・いいようにぃ・・・♡せめて、私の前ではぁ♡・・・はぁ♡はぁ♡・・・・・・安心出来るよう・・・♡」

 

 

媚薬の所為で甘い声になっている。普段なら、キリッとした表情でさぞかしカッコよく見えるのだろう。でも・・・それでも・・・。

 

 

「・・・ごめんなさい、凛子さん」

 

「むぅ・・・凛子ってぇ・・・」

 

「・・・はい・・・そうでしたね、凛子」

 

「えへへ♡・・・ィ゛♡」

 

 

思い返してみれば、前回の任務で襲われそうになったものの、あの時ももしかしたら抱き着きたかっただけなのかもしれない。まぁ、どちらにせよあの時は敵地の真ん中だったから、気絶か拘束くらいはしただろうけど。

 

それでも確かな事は・・・この人なら、もう大丈夫だという事だ。・・・いや、この人は大丈夫だったんだ。それを俺が見て見ぬ振りをしていただけで。

 

 

「ィギィイ゛ィ いィ゛♡♡・・・はぁ♡はぁ♡・・・ぁあ゛ ぁ ゛あぁ゛ あ ァ゛♡♡・・・はぁーッ♡はぁーッ♡・・・ぐぅ♡」

 

「・・・凛子」

 

「ふぇ・・・?どうし・・・・・・」

 

 

凛子さんがイキまくってる最中に身体を起こし、馬乗りの状態になる。準備をして、頃合いを見て名前を呼べば、さっきまであれだけ乱れていたのにこちらを見て呆然としていた。

 

 

「綺麗・・・」

 

「ぅぅ・・・あんまり・・・ジロジロ見ないで・・・」

 

「あ・・・あ、え・・・す、すまない・・・・・・つい」

 

 

仮面を取った顔・・・つまりは俺の素顔を見て、凛子さんは思わず、と言った風に声が漏れていた。

 

こんなにも純粋な目で見られたのは初めて・・・・・・と言うか、人に見せる事自体が数年振りなので・・・中々に気恥しい。

 

 

「でも、どうして・・・」

 

「その・・・仮面よりかは・・・色々と捗るかと思って・・・・・・自分で言うのもなんですけど・・・」

 

 

序に着ていた対魔忍服を肌蹴させ、上半身だけだが下に着ていた対魔忍スーツのみになる。先程まで純粋だった凛子さんの瞳が一瞬で情欲に染まったのが分かる。

 

ゴクリと言う音もハッキリと聞こえたし、何よりも舐めますような視線が耐え切れず、両腕で身体を隠すように包んでしまう。

 

しかし、恥ずかしいだけで不思議と不快感は無かった。

 

 

「ほ、本番は・・・駄目です・・・・・・あの・・・オカズにする・・・とかなら・・・」

 

「い、いいのか?」

 

「は、はい・・・どうぞ・・・・・・遠慮無く・・・」

 

 

返事は来なかったが、代わりとでも言うかのように盛大にイッた。おまんこを触っていないのに・・・恐らく、妄想だけでイッたのだろう。

 

媚薬の所為とは言え、とんでもない変態だなぁ、と思うと同時に顔がニヤけて仕方無い。もっともっとイッて欲しくて、もっともっと感じて欲しくて・・・。

 

 

 

 

 

 

その日、俺は初めて水城家に帰らなかった。




堕ちたな(確信)

はい、そんな訳でチョロっチョロのチョロイン水無瀬君でした。なんかアッサリしてると言うか、唐突な感じがするけど許して。対魔忍世界ではいつも急に誘拐されたり、眠らされたりして調教されて肉便器堕ちなんてのが日常茶飯事なんですから。

今回、水無瀬君が仮面を外しましたが人前では今後も普通に付けます。達郎達が居ても付けます。凛子さんと2人っきりになったら外します。容姿はご想像にお任せします。イメージとしてはホンワカタイプと言うよりもキリッとした感じの美人(男だけど)

ゆきかぜがラノベのハーレム系主人公だとしたら、凛子さんはエロゲの主人公・・・みたいなイメージで書いてみました。(ラノベ主人公気絶してるけど・・・)


熱い夜・・・とまで行くかは未定ですがエッチシーンはカットしました。だって本番無しですし・・・。

需要があれば、次回の前半辺りに載せようかと思います。無かったら?途中でチラッと挟む程度です。

どんな内容かをざっと言うと、只管に玩具などで凛子さんが虐められるだけです。途中、友達と駄弁ってから帰って来た達郎と扉越しに話す羞恥プレイとか、声を抑えての容赦無しのイキ地獄とかそんな感じ。


これまでの積み重ねが幸を成したのか、なんか想い人(無意識)が知らぬ間に自分にデレデレになって大勝利な凛子さん。因みに前回は普通に襲おうとしましたがそれを水無瀬君が知る日は来ません。

今回も普通に襲おうとしました。しかし、この状態では一瞬で逃してしまう、と僅かに残った冷静な部分が判断。そこでまずは抱き締めて拘束しようとしたら、思った以上にそれが気持ち良くて、この状態では真面にエッチ出来ないと判断してのあの結果です。

まぁ、その後に結局狂わされるんですけどね。

水無瀬君が脱いだ時?童貞特有のテンパリ。


途中で出て来た上原という人物について少し紹介。対魔忍rpgのネタバレありですが飽く迄もこの世界線での話ですので原作と異なる部分があります。
(九割wiki引用)

【上原(うえはら) 鹿之助(しかのすけ)】
一人称は『僕』(原作は『俺』)
見た目は気弱そうな男の娘。
対魔忍の一人で五車学園の学生でゆきかぜや水無瀬君と同クラス。“電輝の対魔忍”として勇名を馳せる上原燐(うえはらりん)を従姉に持つ、電遁の術使い。
一応、上忍の家として代々続く名家であるが本人の戦闘能力は術や身体の小ささなどの理由から最底辺。
電遁の術は文字だけ見ると派手な忍法のようだが、雷を操る“雷”遁の術とは全く違い、生命体に存在する僅かな電気を操るのが主体の忍法で、その力は冬場の静電気程度といわれる。しかし、ふうまの機転の良さと組合せる事で相手を一方的に無力化する事も可能(将来的な話)
実技は下から数えた方が早い、座学もまぁまぁいい程度である彼はゆきかぜと並んで称される水無瀬に憧れを抱いていた。そんな中で行われたオナニー大会。最初は恥ずかしかったが性欲に耐え切れず、夢中となる。しかし、極短小な彼は全く気持ちよくなれず、ここでも劣等感に苛まれる。そんな時に手を差し伸べたのが水無瀬君であり、媚薬の効果も相まって彼の膝の上で乱れた。以降はその事を思い出して夜な夜な修行に励んでいる。



最後にアンケート。今後の大勝利した凛子さんの展開についてです。


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友達以上恋人未満

アンケートで純愛票が断トツだった事に驚いた。
普通にntrする予定だったので今回の話はその練習みたいなもの、つまりは短めです。


あれから数日が経った。

 

俺と凛子さんの関係は前の通りだが、確かに何かが変わった。勿論、傍から見たら全く分からないだろうが・・・。

 

 

「秋ー!凛子さんが呼んでるよー!」

 

「ん、今行く」

 

 

その最たる例がやはりこれだろうか。

 

 

「そ、その・・・だな・・・」

 

「分かってますから、早く行きましょう」

 

 

ゆきかぜに知らされ、教室の前で待っていた凛子さんの元へと行く。用件は言われずとも分かっているので男女問わずに周囲の目を引く凛子さんの手を引っ張り、人混みを掻き分けて・・・・・・おい、今シレッと尻を触ったの誰だ。

 

犯人は分からず・・・と言うか、こういう輩は後を絶たないので無視をして、早足に学校を出る。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

二人の間に会話は無く、然れど手はしっかりと握り合い。他にも下校している生徒のヒソヒソと話す声だけが耳に聞こえる。

 

その話題を対魔忍としての聴力が勝手に拾い、互いに顔を合わせるが、恥ずかしくてすぐに逸らしてしまう。

 

 

「しゅ、秋・・・もう・・・」

 

「まだ駄目です。もう少しですから、我慢して下さい」

 

「あぅ・・・」

 

 

最たる例がこうして共に登下校するようになった・・・と言うのは僅かに語弊がある。傍から見たら、まるで恋人みたいな事をしているだろうが、別に付き合ってはいない。

 

確かにあの夜は乱れ・・・たのは凛子さんだけなのだが、淫らな行為に及んだ。然れど、どちらも好意を明確に示した訳でも無ければ、責任を取らなければならない様な事もしていない。

 

言わば、性欲に流されたが故の行為だ。元の世界ならまだしも、この世界でおまけに裏世界側であるならば、その様な事は日常茶飯事。だから、付き合ってはいないのだ。断じて。

 

 

そんな催促する彼女を無視して早足で歩き続け、漸く人気の無い森の中へと入る。念の為に更に木の幹の裏へと隠れてから仮面を外す。

 

 

「秋・・・早くぅ・・・♡」

 

「分かってますから・・・ほら、スカートを上げて下さい」

 

「ん・・・♡」

 

 

木に背を預けた凛子さんの眼前で俺は膝を畳んで、必然的に上目遣いで命令する。下からなのに上から目線とはこれ如何に。

 

息が荒く、汗も多く出ていて明らかに正常な様子では無い凛子さんは俺の命令に一切の迷い無く従い、スカートの前の部分を両手で捲る。

 

果たして、そこにあったのは可愛らしくもセクシーで大人な色っぽい下着・・・などではなく、真っ黒の頑丈そうな貞操帯だった。

 

 

「ほら、しっかりと足を広げて下さい」

 

「早くぅ♡早くしてぇ♡♡」

 

「こら、ジッとしてなさい。鍵が開けられないでしょう?」

 

「うぅ・・・だってぇ・・・♡」

 

 

名が示す通り、あれだけ凛として格好良かった凛子さんが今では瞳に涙を浮かべ、ガニ股で無様に腰をヘコヘコ振って知性の欠片も見当たらない無様な姿を晒している。

 

それでも愛おしいと思ってしまうのは・・・やはり、俺も結構どうかしているようだ。

 

 

懐から鍵を取り出し、凛子さんの動きと連動してズレる横の鍵穴へとなんとか差し込む。ガチャりと子気味の良い音と共に貞操帯が緩み、パカッと肌を傷付けずに取り外してやる。

 

そうすると中で蒸れて溜まった性臭がムワッと顔を覆い尽くした。

 

 

「スンスン・・・・・・スーッ・・・ハーッ♡・・・・・・ホント、酷い臭い。毛の処理も全くしてないし・・・幻滅しました」

 

「だ、だってぇ・・・秋が駄目って言うから・・・」

 

「いえ、俺は『達郎にこんな物を付けているとバレてもいいなら、外して洗っていいですよ』と言っただけです。それに毛に関しては前からでしょ。言い掛かりはやめて下さい」

 

 

全く・・・それだと俺が凛子さんのおまんこのクッサイ臭いを嗅ぎたい変態みたいじゃないか。まぁ、臭いフェチとかじゃないんでそんな事は有り得ないんだけど・・・。

 

 

「そんな事より、サッサとやりますよ。結界は貼ってますがいつ誰が来るかなんて分かりませんし。・・・って、グショグショじゃないですか」

 

「言わないでぇ・・・♡」

 

「・・・なに更に溢れ出してるんですか、この変態」

 

「ひぅ・・・♡」

 

 

俺に飲ませようと遠慮無く愛液を漏らしてる最低なおまんこに口を付ける。舌を這わせ、噎せ返る程に蒸れた陰毛のジャングルから、秘境を見つけ出す。

 

・・・・・・ん、愛液美味し♡

 

 

「・・・スゥー・・・・・・ふーっ♡ふーっ♡・・・んん♡」

 

「あっ♡・・・ひゃッ♡腟内(にゃか)ぁ・・・♡入って来たぁ・・・♡」

 

 

アッサリと侵入・・・と言うか、招かれた舌に細くも芯のある肉の棒がぷにぷにと当たる。これが卵管で普段は穴が隠れているがこうして興奮状態になると卵管の先が僅かに開く。勃起のように種を植え付ける準備みたいな状態だ。

 

そこを優しくチロチロと舐められると凛子さんは面白いくらい腰をガクガクさせる。

 

 

「ぁ♡ぁあ ゛ぁあ゛ あ ゛ぁ♡秋ぅぅ♡らめぇぇ♡イクイクッ♡それらめぇぇ♡♡」

 

 

丸一日我慢したのもあってか、たったこれだけで叫び声のような嬌声を上げ、口の中にドロリとした様なものが流れ込んで来る。よくよく舌先で感じてみれば、本当に僅かだがコロコロとした卵のような感触があり、これが赤ちゃんの素だ。

 

本来の男の射精と同じ感覚らしく、一度出すとかなり体力を持って行かれるらしい。だからなのか、内股で両頬にムッチリと密着する太腿から力が抜け、グッと重さが増した。・・・凄いムチムチ♡

 

しかし、終わるつもりは無い。太腿の裏から回した両手で腰を掴み、頭と両腕で突然の快楽から逃げようとする腰をガッチリと掴んでホールドする。凛子さんが耐えれず、スカートを手放し、離れさせようと両手で頭を掴んで来る。

 

然れど、快楽で力が入らなければ、頭を撫でられてるみたいで心地いいだけだ。気分が良くなって、今日は遂々サービスもしてしまった。

 

 

「ほひゅっ!?・・・や、やめっ♡そこはぁ♡ダメだ♡秋ぅ♡おかしくなるからぁ・・・やめ・・・ほぉお゛ぉ゛お゛ぉ♡♡」

 

 

お尻に人差し指を一本突っ込み、そこから水遁で水を流す。所謂、浣腸だ。無論、これだけで終わりではない。指を引き抜き、流し込んだ水を中で操って出たり入ったりさせる。

 

凛子さんが大好きな擬似的なアナルプレイだ。

 

 

「んっ♡もっと・・・もっと()ひてぇ♡」

 

「や、やらぁ♡ヒギィッ♡♡と、止まんにゃぃ♡♡イッてないにょにぃ゛ぃ♡♡卵出ちゃうぅぅぅ♡♡秋の為に取っておいた赤ちゃんなのにぃぃ♡♡やらよぉぉお♡♡」

 

大丈夫(らいひょうふ)♡全部受け止めるから♡射卵()ひて♡俺の為に取っておいた赤ちゃん、全部台無しにして♡」

 

 

この世界には前立腺に似た器官が男女共にある。そこを突いてやれば、例えイッた直後であろうともピュッピュッと押す度に出て来る。

 

それは本人の意志とは関係無く、イッた感覚は無いが射卵(射精のこと)したが故に体力は消耗する。イッてないのに射卵後の脱力感と満足感を味わえるが同時に物足りなさも感じる。

 

しかし、連続で射卵して体力もドンドン削られ、結果として空っぽになり、イキたいのにイキたくない状況が生まれる。

 

 

「や、やめっ・・・♡無理ッ・・・♡もう・・・出な・・・ッ♡ッ・・・♡・・・ぁ♡・・・・・・ぁぁッ♡」

 

「ん・・・・・・ぷはぁ♡見ひぇ・・・♡沢山、出たねぇ♡んく♡・・・・・・んん、濃過ぎ♡お腹妊娠させられそ♡・・・おっと」

 

 

口一杯の卵子をゴックンすると同時に凛子さんの身体がフラリと倒れて来た。なんとか受け止め、横にすると完全に気を失っていた。

 

気持ち良くさせる為とは言え、流石にちょっとやり過ぎたと反省。

 

 

 

 

「あっ・・・♡んふっ・・・♡」

 

「・・・起きてます?」

 

「いや・・・ん♡今・・・起きた・・・」

 

「そうですか・・・」

 

「ど、どういう・・・♡状況、なんだ?」

 

「動かないで下さい。危ないですよ」

 

「い、いや・・・あの・・・」

 

「いや・・・ですか?」

 

「天国・・・あ、なんでもない。間違えた」

 

「ふふっ、いいですから、ジッとしてて下さい」

 

 

木陰の木の根元に背を預け、水遁で作った体温と同じくらいの耳掻き棒(水製)で耳掻きをしていると漸く目を覚ましてくれた。全く、耳まで開発したつもりは無いんだがなぁ・・・。

 

 

「その・・・どうですか?」

 

「最高だ」

 

「あ、いえ・・・耳掻きではなく・・・その・・・お股の方・・・」

 

「え・・・あ、あぁ・・・そっちか」

 

 

凛子さんがこうして貞操帯を付けるようになったのは一重にあの夜以降、色々と我慢が効かなくなってしまったからだ。

 

激し過ぎる行為の末に物足りなくなったのもあるかもしれない。今まで我慢して来たツケが全て回って来たのもあるかもしれない。しかし、一番の明確な理由は大量の媚薬の摂取が原因だ。

 

慣れぬ者が規定を大幅に超える量を投与し、それら全てを身体が吸収してしまった。幾ら対魔忍と言えども、身体の異物の分解が全く追い付いておらず、こうした異常な性欲を生み出す。

 

本来であるならば、五車学園お抱えの医師に見てもらい、適切な抑制する為の薬を処方される。だが凛子さんはこれを断った。

 

理由としては後輩の男子からのプレゼントでこんな無様を晒したくないとか、任務外でこのような失態は秋山の名に泥を塗るとか。

 

色々と表向きの理由を言っていたが恐らく、大きな理由は俺を守る為だろう。

 

今の凛子さんの状態を腕利きの医者に見せれば、必ず真面に動けなかった程の重症であったと気付かれる。摂取量を誤魔化して報告した所でアッサリと見抜かれるし、なんなら凛子さんは次期エースでもある。

 

そんな人が使い物にならなくなるのは組織としても避けたい。故に片っ端から調べられる。そして疑問に思われるだろう。

 

『どうやって発散したのか?』と。

 

そこで嘘を吐いた所で相手は対魔忍。同じ情報戦のエキスパート。簡単に俺が性処理をしている事がバレてしまう。

 

実際に彼女に聞いた訳では無いがこの人の考えている事くらい分かる。本来なら、只管に我慢する予定だったようだが流石に発散が追い付かないだろうし、日常生活にも支障が出る。

 

だからこうして、実質的な加害者である俺が責任を取っているのだ。

 

 

「その・・・本当に・・・すまない・・・・・・私がもっと」

 

「その先は言わない約束でしょ?それに元はと言えば、俺が凛子さんにきちんと事情を説明しなかったのが原因です。凛子さんは何も悪くありません」

 

「いや、例え知ってても食べただろうな。なんせ、秋の手作りなのだから」

 

「・・・・・・そうですか。・・・ほら、終わりましたよ。早く帰りましょう。達郎が心配しますよ」

 

「・・・そう言えば、達郎とゆきかぜの方はどうなったか分かるか?確か、ゆきかぜも私と同じ物を食べたと聞いたが・・・」

 

「あぁ・・・ゆきかぜなら、達郎と情熱的な夜を・・・」

 

「なんだと!?」

 

「・・・安心して下さい。過ごして貰う予定だっただけです。きちんと俺が相手をしましたし、達郎は何も知りませんよ」

 

「そ、そうか・・・・・・・・・ん?」

 

「それにアイツ、今は薬も服用してます。万が一が起こる事は暫く無いでしょう。・・・それより、いい加減弟離れするべきではありませんか?忍法を使えないと言っても達郎も対魔忍ですし、もういい歳ですよ」

 

「え・・・あ・・・・・・あぁ、分かってる・・・分かってる・・・」

 

「ならいいんですけど・・・って、長話が過ぎましたね。ほら、早く行きますよ」

 

 

話も区切りを付けて、俺が立ち上がる為に凛子さんに起き上がってもらう。しかし、今日の凛子さんは何処かおかしく、何故かうつ伏せになって俺のお腹に抱き着いて来た。

 

 

「・・・・・・」

 

「あの・・・これでは立てないんですが・・・。と言うか、何してるんです?」

 

「・・・秋のお腹に抱き着いてる」

 

「やっている事ではなく、意味を教えて欲しいのですが・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・はぁ」

 

 

どうやら、もう暫くはこのままの様だ。手持ち無沙汰になったので、まるで駄々っ子のようになった彼女の頭を撫でてやる。

 

ビクリと震えたがやられている事を理解したのか、次第に脱力していった。・・・で、暫くするとまた眠りに着いたのか、落ち着いた息遣いが聞こえて来た。

 

 

「・・・少し意地悪が過ぎたかな」

 

 

手を止め、そっと彼女の耳元に顔を近付ける。そして、起こさない様に、耳を擽るかの如く優しく囁く。

 

 

「大丈夫ですよ。俺はもう貴女のモノです。絶対に離れたりしませんし、絶対に・・・・・・離しませんからね?」

 

 

寝ている筈の凛子さんの耳が真っ赤なのは・・・きっと、沈み行く夕陽の所為だろう。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・起きてたのかよ。




ゆきかぜの薬の件は爺やが居るので疑われはするものの、確信は持たれていない、という事で普通に医者に診てもらいました。

二人の関係は・・・セフレみたいなものですかね?
まぁ、どちらも気恥ずかしくて一歩が踏み出せない状態です。

最後の水無瀬君は完全に相手が寝ていると油断してた故の巫山戯・・・の筈が相手が起きてたのでヤンデレ?みたいな感じになった。別に水無瀬君本人はそんな事を思っていないと思い込んでいます。


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エロ本

男受け注意


エロ本を見付けた。凛子さんの部屋で。

 

 

「・・・・・・」

 

 

事の発端はいつもの如く凛子さんの性欲を気絶するまで発散させ、部屋まで送ってベッドに寝かせた時だ。

 

そこでふと、部屋を見渡してどうにも散らかっている事に気が付いた。とは言え、物の数分で片付く程度だったので軽く整理整頓をしていると本棚の奥に二重底ならぬ二重壁のような物を見付けた。

 

・・・で、好奇心に負けて覗いてみると案の定と言うか、エロ本やその他諸々が入っていた。適当に手に取った本の表紙は委員長っぽい女の人が首輪を付け、美少年に分類されるであろうバニー服姿の男の子に土下座をしていると言う、かなりアレな物であった。

 

題名は『我慢出来ずに襲ってしまった近所の男の子に飼われる冷徹委員長』である。

 

 

「・・・・・・」

 

 

無論、これだけでは無い。他にも『年下幼馴染みによる射卵管理日記』だったり、『普段はクールな後輩が乱れる夜』などなど。漫画だったり、仕舞いには動画だったりともう両手では数え切れない程のエロ系統の資料が出て来た。

 

・・・いや、まぁ・・・うん。気持ちは分からなくも無いんだけどね。分からなくもないが・・・・・・なんか無性にイラッと来る。

 

確かに凛子さんがこうなってしまった原因は俺にある。それは承知の上であり、その罪滅ぼしとして本番は無理でもある程度の願いは聞き入れてる。

 

しかし、だ。これだけのコレクションがあるという事は・・・つまり、俺では満足し切れなかったという事か?ここまで身体を張っているのに?

 

 

「・・・・・・不本意だけど・・・勉強するか」

 

 

ササッと幾つか拝借し、俺は秋山邸を後にする。

 

別にそういった行為にプライドを持っている訳でも無ければ、それを傷付けられたとか断じて無い。他人にハンデを負わせてしまい、その責任を取る為に万全を期すだけだ。

 

それにコレは恩返しのような意味も含めているのだ。適当に行うのは、流石に人としてどうかと思う。

 

そう、人として当然の行いである。・・・うむ、だから俺は悪くない。悪いのはこんな見付け易い所に置いていた凛子さんだ。そうだ、凛子さんが悪いのだ。うむうむ、悪いのは凛子さんなのだ。

 

そう自己弁護を行い、早足で部屋に帰った俺は・・・次の日、見事寝不足となった。

 

 

 

成績優秀、容姿端麗、おまけに名家出身で実力も申し分無い。そんな完璧超人である秋山家の長女『秋山凛子』は現在、非常に焦っていた。焦り過ぎて、表情筋が仕事しなくなるくいらいにはマジで余裕が無かった。

 

と言うのも、秋水との淫らな関係がかれこれ数週間続いたある日のこと。秋水が学校を休んだのだ。

 

ゆきかぜ曰く、かなり体調が悪いらしいが数日したら治るとの事だが・・・ゆきかぜ自身内容は爺やから聞いたらしく、詳しい病状とかは知らないらしい。

 

見舞いに行こうと思ったが、他ならぬ秋水自身が「誰にも逢いたくない」と拒否したらしいのでそれも叶わない。

 

そうして心配だけが募り、気付けば一週間の時が流れていた。秋水は今日も学校を休んだ。

 

 

「・・・・・・うっ♡」

 

 

体調不良にしてはあまりにも深刻過ぎる。しかも、その間は面会謝絶。

 

体調不良が本当かどうかは置いといて、その一端を自身が担っていると思うと凛子の胸の内にどうしようも無い焦燥感が湧いて来る。

 

 

「・・・・・・無い、か」

 

 

普段は整頓している自室が、今は見る影も無く散らかっている。目的は無くし物の捜索であるが、結局それは見付からなかった。

 

 

「腹を括るしか・・・」

 

 

彼女の捜索物、それは・・・エロ本であった。

 

秋水が学校を休み、自身の内から滾る性欲をどうにか発散しようと久しぶりにコレクションを覗いて見た。最初は特に違和感を感じなかったが物色していく内にそれに気が付く。

 

弟の達郎ですら知らない本棚の奥の収納スペースに仕舞っていたコレクションの内、幾つかが全く別の物に刷り変わっている事に。

 

物が物なだけに凛子は大いに焦った。そして、部屋中を探し回り、途中でエロ本を全て読破して、漸く現実を受け入れた。

 

あぁ・・・終わった、と。

 

 

仕立て人の特定は容易だった。

 

何せ、家に呼ぶ程に親しい友人なんて数えるくらいしか居ないからだ。皆、何処か一歩引いた感じで接して来て、彼女自身それが楽なのでいいのだが・・・。

 

そうして記憶を遡り、一番可能性の高い人物が秋水だった。

 

 

自惚れでなければ、秋と私はそれなりに・・・その、想い合っていると・・・思う・・・。明確に恋人同士とか、そんなんじゃないが。いや、でも私が秋の膝で微睡んでいた時にあんな事を言いながら、あんな事をされたのでもう実質恋人でいいんじゃないだろうか?・・・怖くて、告白なんて出来ないが。そんな、私の事を大好きな秋が私の自室で、如何にも自身を投影したようなエロ本を見付けたら・・・・・・。

 

完璧超人であろうとも思春期の女子高校生である事に変わりは無い。拗らせに拗らせた脳内では割と現実味を帯びたモノと所詮は妄想でしかないモノがごちゃ混ぜになり、大変愉快なストーリーが繰り広げられていた。

 

現実逃避とも言う。

 

 

「はぁ、やばい・・・」

 

 

最初は嫉妬なんて思い上がっていたが、流石に洒落にならない事に気が付いた彼女は思いの外溜まっていたが故にノーハンドで抜いた後な事も相俟って気分が急降下していく。

 

 

ああ見えて、結構打たれ弱い所のある秋だ。私でさえ、秋が他の女の事を考えているだけでどうしようも無い怒りと悲しみが湧いて来るのだ。それが性的な対象であってみろ。もう泣くぞ。

 

 

ゆきかぜが何故か自分にだけ、念を押して『来るな』と言われた事が余計に現実味を帯びさせて来る。

 

それがゆきかぜの意思ではなく、秋水から伝言を貰った爺やに念を押すように言われたらしいので、今までの夢のような関係との落差に「やらかした」と後悔の念が募っていく。

 

相手が昔馴染みで大切な近所の年下美男子であれば、尚の事。

 

そういう訳で達郎にもゆきかぜにも黙って、秋水が住んでいる水城邸へと赴いた。

 

因みに達郎達は遊びに行く、という名のゆきかぜとのデート中であり、本来なら二人っきりにさせないよう邪魔を・・・・・・じゃなくて、淫らな行為に及ばないように監視しに行くのだが、この日は涙を呑んで断念した。

 

 

「はい、どちら様でしょうか?」

 

「あ・・・秋山凛子です」

 

 

大きな館のインターホンを押して暫く。扉越しに・・・いや、自身を囲むかのように全方位から寒気がするような(おぞ)ましい声が聞こえて来る。

 

生者でない特有の薄気味悪さに常人であれば震え上がるであろうその声は、幼い頃から慣れ親しんだ凛子にとって聞き慣れたもの。

 

しかし、今回は後ろめたさから、どうにも緊張で力んでしまう。

 

 

「凛子様でしたが。失礼ですがお嬢様に・・・」

 

「はい、それを承知の上で勝手ながら、訪問させていただきました。どうか、秋と会わせてくれないでしょうか?」

 

 

扉が一人出に開き、中から骨の執事が現れる。骨なので表情は変わらないがどうにも怪訝そうな様子から、凛子の返答を聞いて申し訳無さそうに骨の中の炎が揺らめく。

 

 

「申し訳ありません。他ならぬ、秋水様のお申し付け故に、それは聞き入れ兼ねます」

 

「そ、そこをなんとか・・・」

 

 

分かり切っていた回答に凛子は食い下がる。だがそれでも首を縦に振らない執事に、自身が想定した以上に秋水は怒っているのではないか、と徐々に恐怖が湧き始める。

 

 

「ど、どうか!一目だけでもいいのでっ・・・!」

 

「再三申し上げます。駄目なものは駄目です」

 

 

意志を曲げる気は無いのか、聞き分けの無い子供を諭す様に執事の語調がやや強くなる。

 

元々、怒らせる気は無かった凛子はそれで勢いが弱まり、今日は諦めようと意識が傾いて来た。そんな時、屋敷の奥から人の気配がした。

 

見なくとも分かる。一週間ぶりの秋水だった。

 

 

「・・・爺や、どうかしたの?」

 

「しゅ、秋水様!?お部屋からお呼び頂ければ、行きましたのに」

 

「水を頼んで待っても来なかったから、こうして居るんだけど・・・。それより、誰か来たの?」

 

「あっ・・・えっと・・・」

 

 

現状が中々にマズイ状況だと認識した執事が玄関の外に居る凛子をチラチラと見て、どう誤魔化そうかと考える。

 

自身の存在がやはり都合の悪いモノだと感じた凛子だったが、それよりも久しぶりの秋水との再会にテンションが上がっていた。

 

結果、あれだけ会うな、と釘を刺されていた凛子はやや身を乗り出して自身の存在を秋水に教えた。

 

 

「秋!わ、私だ!ひ、久しぶりだな。調子は・・・」

 

「は?なんでその人が居るの?」

 

 

その人・・・その人・・・・・・その人・・・・・・。

 

一週間ぶりの邂逅に、凛子自身浮かれていたのか、どうにもテンションが爆上がりしていた。だが、直後の冷た過ぎる声色と自分を呼んだ呼称に凛子の動作は完全に停止する。

 

そんな時が止まった彼女の瞳に映し出されていたモノは、階段から見下ろす、心底不機嫌そうな顔をした想い人だった。

 

 

「え、えっと・・・それが・・・どうしても、と・・・」

 

「・・・早く帰って」

 

「しゅ、秋!ま、待ってくれ!あれは誤解なんだ!!と、取り敢えず、話を・・・!」

 

 

 

 

「・・・ちっ」

 

 

大体の事情を把握したのか、もう用は無い、と踵を返す秋水に我に返った凛子は慌てて呼び止める。・・・だが、その返答は館内にやたらと響く舌打ちだった。

 

それを聞いただけで、凛子の勢いは瞬く間に喪失する。

 

伸ばした手は力無く宙を彷徨い、表情からは感情が何処までも抜け落ち・・・。

 

まるで、何処かの誰かが大切な幼馴染みを寝取られた時の様に、その顔からは絶望が伝わって来た。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・うっ」

 

 

ビクンっ♡と震える身体。

 

カーテンを締め切った自室のベッドで凛子はオナニーに耽っていた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっ」

 

 

再び、身体が震える。

 

しかし、その身体に快楽はあらず、ただ手に持った写真を凝視していた。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

瞬きすらせず、空いた片手は貞操帯が外れたおまんこに、帰り際に貞操帯の鍵と共に爺やから渡された秋水のちんぽを模したディルドをずっと同じテンポで出し挿入れしていた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・うっ」

 

 

薄暗くなっていく部屋の中で、涙混じりの情けない声だけが虚しく響いた。

 

 

 

 

「・・・・・・何だよ」

 

「今すぐ姉さんに謝れ」

 

「・・・・・・なんかあったのか?」

 

 

病み上がりに学校に姿を出した瞬間、達郎に凄い形相でそう言われた。

 

 

「何も知らないとは言わせないぞ!姉さんが・・・忠告を無視してゆきかぜの家に行って以来、一度も部屋から出て来ないんだ!」

 

「・・・は?」

 

 

マジか、来ちゃってたのか・・・。あ、うん。そう言えば、来てた・・・ような・・・。

 

うーん、と・・・ダメだ。記憶が曖昧で殆ど覚えていない。

 

 

「・・・分かった。取り敢えず、今日お前の家に寄るぞ」

 

 

てな訳で、秋山邸にやって来た訳ですが。

 

早速、凛子さんの部屋の前に立った俺を変わらぬ様子で睨み付ける達郎に、少し居心地の悪さを覚えてしまう。

 

 

「変な事をするなよ」

 

「はぁ、相変わらず信用が無いな。昔はあんだけヒヨコみたいだったのに」

 

「だ、誰がヒヨコだ!大体、元はと言えばお前がッ・・・!」

 

 

横でギャーギャー喧しいのはホッといて、鍵が掛かっている部屋の扉に手を当て、深海魚からヒントを得た索敵方法で様子を探る。

 

 

部屋はまた散らかっている。しかも、当たり散らしたかの如く、家具が一部破壊されている。

 

凛子さんは普通に居るみたいでベッドの上で横になっている。瞼は開いているから、起きてはいるけど・・・これは・・・。

 

 

手を離し、ドアノブに手を掛けるとガチャり、と鍵が開く。そして、達郎に釘を刺してさっさと中へと入る。

 

 

「・・・あの人は俺がなんとかするから、お前はゆきかぜとデートでもして来な。ここからはお前にはまだ早い」

 

「へ?な、何を・・・あ、おい!」

 

 

また子供扱いを、なんて断末魔のように聞こえるが無視をして鍵を閉める。

 

部屋は暗く、輪郭がボンヤリと見える程度。おまけに、呼吸をする度に卵が腐ったような酷い悪臭がする。

 

間違いない、卵子の臭いだ。

 

 

「・・・ッ♡♡」

 

 

血が燃え滾るのをなんとか抑えて、この酷い悪臭に漸く少し慣れた頃には視界も慣れて来た。

 

俺の存在に気付いていないのか、ベッドの上で寝そべる凛子さんは無心で何かを眺め、ディルドをヌコヌコしていた。

 

未だに俺に気付かない事や、先程から何度も絶頂しているのだろうがその手を止める気配が無い事から、相当ヤバい事が窺える。本当、何があったんだ?

 

 

「・・・凛子さん」

 

「・・・・・・うっ」

 

 

ふむ、反応無し。

 

仕方無く、スルスルと服を脱ぎながら、凛子さんの元へと歩み寄る。

 

 

「・・・っ!?しゅ、秋ぅむぅ・・・!?」

 

「んっ♡・・・はむっ♡・・・ちゅ♡」

 

 

取り敢えず、俺の存在を知らせる為に馬乗りになり、口の中へと舌を捩じ込む。

 

俺の股の下で更にディルドの出し挿入れが激しくなった、節操の無い凛子さんの手を重ねる様に持ち、優しく引き抜く。長時間挿入していたのか、相当粘り気が凄くかなり卑猥な音を立ててソレが抜ける。

 

そして、ディルドの形にぐっぱり開いた割れ目に手を被せ、疲労が激しいであろうおまんこを水遁で治療と保護を同時に行う。

 

 

(ひぅ)ぅ・・・♡」

 

「目を見ろ」

 

 

接吻は凛子さんが窒息しそうになるまで行い、両手で顔を固定して数センチの距離で目を合わせる。

 

その間、凛子さんは俺の頭から生える角、ピッチリ対魔忍スーツの背から生える翼と尻尾に気付く事無く、妖しく光る瞳に吸い寄せられる様に動かなくなる。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・ふぅ」

 

 

暫くすると、度重なる自慰でただでさえ、力が入っていなかった身体から、完全に力が抜ける。

 

その目に生気は・・・元から無かったか。

 

 

「幾つか質問するから、正確に答えて」

 

「・・・・・・はい」

 

 

抑揚無く答えが返される。

 

良かった。目の輪郭が俺の瞳と同じく妖しく光っているので、しっかりと催眠に掛かったみたいだ。

 

 

「こうなって、何日が経った?」

 

「・・・三日」

 

「食事、水分補給は?」

 

「・・・行ってない」

 

 

その答えを聞き、水遁で水分補給も行わせる。対魔忍と言えど、流石にこれは身体に相当の負荷が掛かっているだろうから。

 

 

「・・・ゆきかぜの家に行って、何があった?」

 

「・・・・・・」

 

 

その問いに対する解答が返って来ない。催眠が切れたか、と慌てたがどうやら違うらしい。

 

俺の催眠程度では抑え切れない程の感情が凛子さんの中で渦巻いていた。

 

 

「・・・秋に・・・嫌われた・・・」

 

「・・・は?俺に?」

 

 

そうして語られた、(うち)での一件。

 

それを聞き、どうしてこうも間が悪いのか、と頭を抱えてしまった。

 

 

「・・・嫌だ・・・・・・嫌・・・だ・・・。嫌われたく・・・ない・・・。嫌だ・・・よぉ・・・」

 

 

本来、そんな事は有り得ないが・・・催眠を解いてしまう程に泣きじゃくるその姿にどれだけ強い想いがあるのか、嫌でも伝わって来る。

 

同時に凛子さんの部屋での自身の軽率な行動でこんなにも追い詰めてしまっていた事に罪悪感が湧き上がった。

 

それにあの期間は24時間毎日襲って来る腹痛や吐き気、頭痛、それに睡眠不足も重なり、相当なストレスが溜まっていた。本来なら、もう少し軽めである程度慣れてはいたのだが・・・。

 

凛子さんとの関係が始まって、自慰の回数が毎日三回から五回まで増えた。

 

それに何の関わりがあるのか、と言うとそれだけ男の中にあるキンタマ*1に精子が吐き出される訳で。

 

それを排出する日が重くなるのは当然の事だった。

 

そんな訳でその日が来るとストレスで凄く性格が悪くなると言うか、隙あらば周囲に当たり散らしてしまうので基本的に誰とも、特に凛子さんとは逢いたくなかったのだ。

 

少なからず、こうなってしまう(傷付ける)事は予想出来たから。

 

よく見ると、部屋の壊れた部分の大半はあのエロ本が収容されていた二重壁の所だった。先程、外で何かを燃やした跡があったので・・・つまりはそういう事だろう。

 

別にエロ本とか、AVで怒ったりはしないのだがな。イラ付きはするけど。

 

 

「嫌いになりませんよ。だから、もう泣き止んで下さい」

 

 

俺の催眠はかなりの制約があるから、こうなったら大して効果は期待出来ない。

 

なので、俺からしたら何がいいのか全く分からないが、胸板に凛子さんの頭を抱き込むように抱え、ギュッと(うず)めさせた。

 

そして優しく頭を撫でてやれば、弱々しくだがギュッと抱き着いてきた。

 

取り敢えず、効果はありそうだったので満足するまで好きなだけ甘えさせてあげようか。

 

 

 

 

この世界でも変わらず、女性の胸が膨らんでいる理由。それは前世と同じく、赤子に乳を与える為だ。

 

前世通りなら、赤子を産んだ男の役目である筈のその仕事は残念ながら、生殖率を取った代償に出産後の男の死亡率が極端に増加した為、女の仕事となった。

 

無論、中には生き残る男も居るのでそれなりに乳を出す事は可能なのだが、殆どが機能低下しており、女性と比べるとその量は雀の涙程で女性程、膨らむ事も無い。

 

 

「はむぅ・・・♡ちうちう♡」

 

「んっ♡・・・ふぅ♡」

 

 

そう、本来なら赤子に対してのみ機能する筈のその行為。どうして、それを年上のスタイル抜群の美女にしなければならないのか。俺は甚だ疑問だった。

 

 

「・・・んっ♡んんぅ♡パパぁ♡♡」

 

「か、完全に寝惚けてる。どんな夢を見てんだか・・・」

 

 

そろそろ眠ったか、と。ずっと覆い被さる体勢がキツかったので人間の姿に戻って凛子さんの横に寝転がり、体を休めていたのだが・・・。

 

なんか、今度は急に覆い被さられて、ピッチリスーツ越しの乳首をまるで赤子の様に一生懸命吸い出した。

 

確かに俺はもう出るのだが、だからと言ってそんなガッツク程だろうか。

 

これでしっかり眠ってるのだから、なんと言うか。大したモノだ・・・。

 

 

「んむぅ♡ちゅるるる♡♡レロレロ♡」

 

「くっ♡・・・うぅ♡・・・ひぅっ♡♡」

 

 

しかも、凛子さんの今の格好は全裸。つまり、この薄い布切れしか、俺達を隔てる物は無く。

 

そんな中で甘える様にその我儘ボディを押し付けられると・・・うう、本当に眠ってるんだよな?

 

 

「ジュルルルルゥ!!♡♡ちぅぅぅ♡♡んぅ〜ぱぁ♡♡れろぉ♡♡」

 

「っ゛〜〜♡♡ッッ゛♡♡くっ♡・・・ふぅ♡♡」

 

 

・・・白状するとこうなって、もう三十分以上経つので・・・その、何度もイッているのだ。

 

しかも、この身体は数回胸でイッただけで収まる程、甘くはない。

 

凛子さんが眠っているであろう事を願うのは、先程から勃起してビクンビクン♡と情けなく痙攣している敏感ちんぽが凛子さんの身体にしっかりと密着して、その存在を主張しているからだ。

 

程良く鍛えられ、それでいて包み込む様な柔らかさのお腹に押し付けられるこの現状は。ハッキリ言って、隠しようが無い程にバレバレな状態なのだ。

 

 

「ふぅーっ・・・♡ふーっ・・・♡あ、ちょ、馬鹿っ♡」

 

「・・・〜〜っ♡♡んぅ〜♡♡」

 

 

グショグショに濡らしたおまんこをヘコヘコと擦り付けて来るものだから、脚を閉じていたのだが・・・。

 

一瞬の隙を突かれて、股の間に入り込まれてしまった♡

 

しかも、イッた反動でこちらが背を仰け反らせていたのをいい事に、そこに手を滑り込ませてガッチリと抱き締められた。

 

もう逃げ場が・・・♡♡

 

 

「ジュルルッ♡ジュゾゾゾゾ♡♡んちゅ♡れろれろぉ♡♡はむぅ・・・♡」

 

「はぁ゛あっ♡ぁ゛・・・や、やめっ・・・ふぅっっ゛〜〜〜・・・ん゛ん゛っ♡♡」

 

 

あぁ・・・ダメだな。

 

イキ過ぎたのと慣れない魔の力で、もう押し退ける事すら出来ない。

 

寧ろ、魔の力の副作用で声を抑える気力も、尿道姦への恐怖も消えて行く。残るのはただ、目の前の発情したメスの子を孕みたいという卑しい淫売精神のみ。

 

対魔忍スーツにクッキリ浮かんだ俺のちんぽに、孕ませたいと直接おまんこを擦り付けられる。

 

俺の身体も、もう言う事を聞かずに開脚させられた脚が凛子さんの身体をロックした。絶対に逃がさないとばかりに、それはもうガッシリと。

 

もう逃げるのは止めよう。凛子さんだって、絶対に起きてる。・・・と言うか、これで寝てるとか無理があり過ぎるだろ。

 

いつかは、と思っていたが。案外、早かったな。

 

この人も相当我慢していたろうし・・・もう、楽になっていいだろう。

 

 

 

その夜、調教されておまんこを自ら求めるような、唾棄すべき存在だと見下していた奴らと同じように。

 

俺は、数えるのも億劫な程に喘ぎ、イカされまくった。

 

 

 

 

「・・・んぅ?・・・秋ぅ?・・・・・・へ?なんで・・・え?どういう・・・」

 

「〜〜〜〜っ!!?・・・馬鹿!阿呆!俺の決意を返せ!!この性欲猿が!!」

 

「え、え?秋?なんで怒って・・・・・・。え、秋どうしてそんなエッチな格好を・・・」

 

「アンタがこんなんにしたんだろうがっっ!!」

 

「わ、私が?・・・・・・はっ!?秋の乱れたエッチな姿に・・・私は全裸・・・気が付けば、朝で・・・。これって・・・も、もしかして・・・何も起きない筈が・・・」

 

「『もしか』しねぇよ!!何も起き無かったわ!!何も無かったんだよ!ホント、信っじらんないっっ!!マジで寝てやがったよ!!・・・〜〜〜っ!あぁ、もう!帰る!!」

 

「え、ちょ、秋!ま、待って!嫌だ!嫌いにならないで!!」

 

「知るか!一生、一人寂しくオナッてろ!!」

 

 

その後、仮面越しにでも分かる程に怒気を放つ美男子と、それをオロオロと珍しく狼狽しながらも謝り倒して追い掛ける斬鬼の対魔忍の目撃情報が多発した。

 

 

「むぅ、姉さんがあんなに謝ってるのにぃ・・・秋の奴!」

 

「いや、あれもう放っといていいんじゃない?今回は見るからに凛子さんの方が悪いみたいだし・・・・・・そ、それより達郎?その・・・今日の放課後にまた二人っきりで街に出掛けたりとか・・・」

 

「え、どうして?姉さんも元気になったし、秋と引き剥がす為に誘って行こうよ?」

 

「へ?・・・え、ぁ・・・えーっ・・・とぉ・・・そ、そうねぇ・・・・・・あ、あはは」

 

 

死んだ目でまだ許さないでくれ、と仮面の美男子に懇願する雷撃の対魔忍も目撃されたとか・・・されないとか。

*1
こっちの世界だとこれが子宮と呼ばれている




ちょっとした裏設定

水無瀬秋水
・父は対魔忍、母は淫魔のハーフ。幼い頃に魔の力に目覚めたが、以降はその力を嫌って殆ど使わない。大体7:3の割合で受け継ぎ、淫魔としての姿はそれなりだが、その力はかなり弱い。性欲が強いのもここに起因する。
・催眠
今回、凛子に使用した技。母親はチラ見しただけで完全に虜に出来るが、秋水は『相手が精神的に弱り』『至近距離で目を合わせ続け』『尚且つ、相手が自分に夢中である』必要がある。また、拘束力もあまり強くなく、催眠中に精神を回復されるなどしたら、簡単に解ける。
・変態
おっパイセンの様に常に角が生えていたりはせず、人間の姿と淫魔の姿を自在に切り替えられる。この姿を知っているのは爺やに水城不知火、そして母親のみ。凛子さんはそれ所では無かったので気付いていない。
普通に空を飛んだり出来るが、その性能はあまり高く無く、移動速度は普通に走ったり、ビルを飛び移った方が早い。


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試験勉強

純愛なのにエロばかりも如何なものか。

そんな訳で、rpgで凜子さんと並んで最推しのスタンド使い(ver.ヴァレンタイン)が60連で来たので日常を書いてみました。独自・うろ覚え設定注意です。

後書きで盛り上がってたら、ヴァレンタインデー過ぎちゃったので本編にヴァレンタイン要素は無いです。


凜子さんと仲直りしてから、それなりの月日が経った。その間、任務があったり、修行したり、凜子さんの性欲を発散させたりと割と忙しい日々を過ごした。

 

そんな忍としての日々を過ごす中で俺は未だに童貞である。凜子さんの胸を揉みしだき、蒸れ蒸れのおまんこをイかせまくり、発情し切った凜子さんと床を共にしたにも関わらず、童貞であり続けている。我ながらビックリである。

 

これは思い出したくも無いがあの夜、凜子さんから一晩中あの悩ましい程の無自覚エロボディで擦り寄られ、俺の子宮が子を産みたいと一夜とは言え、完堕ちしたにも関わらず、寝ながらずうぅぅっと素股しかしなかったド変態への意趣返しでもある。

 

度々セックスしたい、と目で強く訴えられるが知った事では無い。あの夜の事を土下座して、俺を孕ませたいと嘆願するまではお預けだ。それまで俺の性技の練習相手に甘んじてもらおう。

 

閑話休題。

 

対魔忍と言えども普通に学校に通って義務教育を受けているので、普通に筆記の定期試験が存在する。忍らしい試験もあるにはあるが、日々訓練を欠かしていないので中学程度であれば、問題視する必要は無い。

 

どうせ術の上達具合とか、ちょっとした戦闘試験とかだろうしね。・・・そういう意味では達郎とふうまはヤバいな。アイツら、未だに忍法に目覚めてないらしいし。

 

ふうまは兎も角、達郎は勉強出来る分、無条件に赤点付けられるのはなぁ・・・ちょっと可哀想だ。と、重度のブラコンである凜子さんにそんな事を零せば・・・。

 

 

「いや・・・総合評価だから、戦闘試験で好成績を出せば問題無いぞ」

 

 

などと返された。

 

確かに姉が大好きでいつも姉の訓練に混じって汗を流している達郎なら、余裕そうではある。・・・・・・まぁ、つまりは完全後方担当、またの名を頭脳派と自称するふうまの赤点が決まった瞬間でもある。ドンマイ。

 

かく言う俺は実技は問題無いとは言え、筆記の方はやはり準備が必要だ。勿論、赤点ギリギリという程頭が悪い訳では無いが・・・今まできちんと勉強して10位以内をキープしていたので中学最後の夏休み前の試験もスッキリ終わらせたい。

 

同時に高校も定期試験の時期でもあるので、丁度良いという事で今はこうして凜子さんの部屋で向かい合って勉強中である。因みに達郎は隣の部屋でアホのゆきかぜに勉強を教えている真っ最中だ。

 

今頃、勉強のし過ぎと達郎の無防備な部屋着姿を前にして、色んな意味で湯気を出している頃だろう。これは今回も断トツで赤点だろうな、あの脳筋は。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・な、なぁ、分からない所とか・・・あるか?」

 

「いえ、今の所は・・・」

 

「そ、そうか。・・・あ、喉とか・・・乾いて・・・」

 

「大丈夫ですよ。これでも水遁使いなので体内の水分調整くらいは呼吸と同じように行えます」

 

「そ、そうか・・・・・・うん・・・」

 

 

まぁ、それはそれとして。凜子さんのソワソワ具合がヤバい。明らかに何かを期待しているようで、どうにも勉強に手が着いていない。

 

一体、なんの需要があるのか。先程から(しき)りに消しゴムを落とすフリして、短パンから覗く俺の毛一つ無い生脚を見て来る。手を伸ばせばいいのに、態々身体ごと机の下に潜るんだから・・・思わず、吹き出しそうになってしまった。

 

別に凜子さんに教えてもらわなくとも分かるし、凜子さんも普通に上位の成績なので勉強自体は問題無い。こうして集まったのもこの勉強をする空気を作る為であって、なんなら図書室とかでも良かった。

 

だが図書室だと他の生徒も居るので良くも悪くも俺達は目立ってしまう。それに慣れたとは言え、勉強中に仮面はかなり邪魔だ。

 

そこで、丁度ゆきかぜ達が秋山宅で勉強するというのでそれに乗っかる形で俺も来たのだ。案の定、達郎にめっちゃ詰め寄られたが・・・凜子さんの説得でそこはなんとか許可が降りた。

 

・・・今考えてみれば、あれだけ渋る達郎をあんなに一生懸命説き伏せていたのは下心100パーセントか。道理で物凄い熱意に溢れていた訳だ。

 

 

しかし、目の前でゴソゴソされては流石に鬱陶しいので少し黙らせてみるか、と軽い気持ちで普通に分かる問題を尋ねてみた。軽く前屈みになり、態と少し服の中を見せる体勢となって。

 

効果は絶大で、一つとして会話が無かったからか嬉々として教え始めたが・・・服の中に気付くと途端に教えるのが雑になった。ブラ越しでも分かるくらいに乳首を勃起させ、鼻息が荒くなり、身の危険を感じた俺は聞くのを切り上げて再び勉強に戻った。

 

幸い、襲われる事も、凜子さんが理性を失う事も無かったが・・・代わりに数分毎に分からない所があるかを聞いて来るようになった。

 

どう考えても下心丸出しである。試しにもう一度質問して、今度は前屈みにならず、ノートだけを差し出せば案の定ショボンとした。可愛い。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・ん・・・・・・んぅ・・・」

 

「・・・・・・あの」

 

「!? な、なんだ?分からない所が・・・」

 

「いえ、そうではなくてですね・・・」

 

 

欲求不満なのだろうか。今にも自慰を始めそうな凜子さんを見て、そう思う。

 

顔は火照り、息を荒らげ、乳首もビンビン。見えはしないがきっとお股なんて大洪水だろう。そんな状態で初心な達郎ならまだしも、俺を誤魔化せると思っているのだろうか。

 

だが分かったからと言って、面と向かって「発情しないで下さい」なんて言える筈も無いし、言った所で治まるとも思えない。

 

とは言え、凜子さんのノートを見るにマジで全然進んでおらず、このままでは集まって勉強している意味が無い。その原因が曲がりなりにも俺にあって、それで成績を落とされては後味が悪いし、何よりまた達郎に何を言われるか分かったものでなない。

 

・・・・・・。

 

まぁ、少しくらいなら・・・。

 

 

「・・・・・・・・・・・・いぃ・・・です、よ・・・」

 

「・・・・・・ん?・・・ぇ、何か言ったか?」

 

「だ、だから・・・その・・・。我慢、出来ないなら・・・少しくらい、発散しても・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

な、何か言ってくれないだろうか。黙られると流石に恥ずかし過ぎるんだが・・・。

 

どんな反応をしているのか見ようにも、想像以上に恥ずかしくて顔が上げられない。あまりの羞恥で今すぐにでも発言を撤回したいが・・・・・・まるで照れ隠しのように俺の口は止まりそうにない。

 

 

「その・・・勉強、したいので・・・手伝えませんけど・・・・・・み、見抜き・・・とか、なら・・・・・・別に・・・」

 

「・・・・・・い、いい・・・のか・・・?」

 

「俺の所為で・・・成績落ちた、とか・・・言われたく、ないので・・・」

 

「そ、そんな事は無い!」

 

 

うわっ、ビックリした。

 

突然、声を張り上げた凜子さんに驚いて顔を上げると、身を乗り出した彼女と至近距離で目が合い、息が止まる。咄嗟に飛び退く事も、押し退ける事も、顔を逸らす事すらも出来ず、互いに無言となる。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

いつまでそうして居ただろうか。整った顔立ちに染み一つ無い綺麗な肌、凜子さんが扱う空遁に関係無く、なんでも見通してしまえるような澄み切った瞳。

 

それが美しいからか、はたまた単なる性欲故か。一瞬足りとも目が離せなくて、長い時を掛けてゆっくりと互いに近付いていく。

 

 

「ん・・・♡」

 

「んぅ・・・♡」

 

 

触れ合うような浅いキス。まるで恋人のような、性欲ではなく愛情から来るその行為は不思議と気持ち良くて、愛されているんだと実感出来て、どうしようもない幸福感に満たされる。

 

いつまでも見ていたい凜子さんの顔を惜しみながらも、もっと感じたいからと瞼が自然と閉じる。

 

口に触れる柔らかな感触と僅かなリップ音。それらが、自分が今何をしているのかハッキリと突き付けられてるみたいで、もう後戻りは出来ないと心が理解する。

 

本当に今更なんだけど、あの夜の時は性欲に流されたから、で心の言い訳は着く。でも・・・これは性欲だけじゃない。自らの意思で、理性で持って受け入れた。

 

俺はこの人を思った以上に愛していたのだろう。こうして、軽くキスされただけで孕みたいと子宮が訴え、ちんぽがガチガチに勃起し、我慢汁が尿道をトロトロに解すくらい俺は凜子さんを・・・。

 

 

「・・・んっ♡・・・ちゅ♡・・・・・・ぁ」

 

 

突如、一生懸命味わっていた唇の感触が消えた。目を開き、思わず物足りなさそうな声が出るが、それを無視して凜子さんは立ち上がると俺の背後に回る。

 

 

「・・・ぁ♡・・・・・・んん♡」

 

「んっ・・・すぅー・・・♡はぁ〜・・・♡」

 

 

後ろから挟む様に足を回され、引っ付く程に密着されて抱き締められる。あまりの包容感に身体からふにゃふにゃと力が抜け、凜子さんの心地好い胸に背中を預ける。

 

何かを確かめるように上半身を(まさぐ)られ、凜子さん同様ビンビンになった乳首を探り当てられる。靱やかな指先が嬉しそうに乳首の周りをクルクルと焦らすように擦り、こちらの感度を煽る。

 

 

「んっ・・・♡・・・っ♡・・・・・・っっ♡やぁ・・・♡」

 

「・・・♡」

 

 

思わず出た声に口を押さえたが、それはダメとばかりに穏やかに下ろされる。たったそれだけの事なのに、俺の体は抵抗らしい抵抗をしない。ただただされるがままに弄ばれる。

 

恥ずかしい筈なのに、貴女で感じているのだと。そう伝わって欲しくて、声を出すのを抑えられない。

 

「ぁ・・・・・・♡あっ♡・・・ひぅ♡」

 

「・・・・・・♡♡♡」

 

 

指先をほんの少し動かすだけで嬌声が漏れ出る。そんな状態まで調理されてしまった俺に満足したのか、凜子さんは攻めるのを一旦やめて、俺の首元に手を向ける。

 

 

「ぁ・・・♡」

 

「すんすん・・・♡はァ〜・・・♡スー・・・っ・・・♡」

 

「あぅ・・・♡」

 

 

上からボタンをゆっくりと掛け外され、徐々に胸元が晒される。興奮で身体が熱を持ち、匂いが濃くなった右の首元に鼻を擦り付けられ、まるで犯すように匂いを堪能される。

 

羞恥で顔が赤くなるものの、夢中になってくれてると思うとやはり抵抗する気力が失せる。それどころか、もっと嗅ぎ易いように首を左へ傾けてしまう。

 

 

「あっ・・・♡い・・・やぁ・・・♡それ、ダメっ・・・♡」

 

「すぅ〜・・・♡ふぁぁ・・・♡んふふっ♡」

 

 

いつの間にか、ボタンが残り一つまで脱がされ、肩から服を下ろされる。あの夜以来、凜子さんのお気に入りとなった、上半身を剥いで服を腰まで肌蹴させる格好で、丸裸にされた乳首を両手で直接虐められる。

 

別に弄った事なんて無いけど、この世界では男女共に乳首も性感帯なので今にでもイッてしまいそうになる。しかし、乳首だけでイクのは普通に恥ずかしいので我慢していたが・・・・・・首元から感じる熱烈な視線につい顔を向けてしまった。

 

 

「ぁ♡・・・・・・・・・んっ♡」

 

「んっ・・・♡んちゅ・・・♡」

 

 

あっさりと唇を奪われ、舌を捩じ込まれる。勿論、抵抗なんて今の俺に出来る筈も無く、寧ろ受け入れ、口内を蹂躙する舌に自ら舌を絡ませる。

 

 

「ん・・・♡ちゅ・・・♡れろぉ・・・♡」

 

「はむ・・・♡んちゆ・・・♡」

 

 

漏れ出る音が少ないのは隙間無く密着しているから。その中では激しいまでに絡み合い、溶け合い・・・そして、思わずイッてしまった。

 

 

「あ゛っ・・・♡・・・〜〜〜っ゛♡」

 

 

ちんぽの奥がきゅぅ♡と締め付けるような圧迫感。痙攣してしまう程の快楽が全身に行き渡る。ビクビクと震える身体、それが凜子さんと完全密着していれば、気付かれ無い筈も無く・・・・・・眼前でキスをしたまま、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている。

 

 

「んぅ?ふぅ・・・もしかして、イッたのか・・・?」

 

 

デ、デリカシーの無い質問を・・・。

 

少しイラついて、答える事無く顔を背ける。それが気に食わなかったのか、凜子さんの愛撫していただけの指に、イッた直後の乳首を摘まれた。

 

 

「ひぐぅうぅっ゛♡」

 

「なぁ、イッたのか?どうなんだ?」

 

 

まるで物分りの悪い子を諭すように優しい声で、それに反して指は強く摘み、引っ張られる。普段から剣術の修練をしている凜子さんのピンチ力は痛い筈なのに、俺の身体はイくのが止まらない。

 

俺って、別に被虐願望とか無かった筈なんだけどなぁ。

 

 

「黙ってないでお前の口から聞かせてくれ♡乳首を弄られて・・・どうなってしまったんだ?ん?」

 

「ィ゛・・・♡イっ゛・・・たぁ・・・♡イき゛、ましたぁ゛・・・♡ひぅっ゛♡乳首、だけでっ♡イッてる・・・かりゃぁ゛・・・♡」

 

「ふっ、ふふふ♡そうかそうか♡乳首だけでイッたのか♡(しゅう)はエッチな子だなぁ・・・・・・かぷ♡」

 

「はぅ゛っう!?♡」

 

 

ぁ、ダメ・・・♡首筋、噛まれて・・・力が・・・・・・♡

 

ただでさえ骨抜きにされてたのにこれ以上ふにゃふにゃにトロけさせられてしまっては、責めて隣に聞こえないようにと落としていた声量を抑え切れなくなってしまう。

 

それでも俺は・・・・・・これ以上の快楽は、本当に隣に聞こえてしまう程の甘ったるい声が出てしまうと確信出来るのに両手が乳首を弄るのを止めて、腰に伸びるのを期待せずには居られない。

 

 

「こっちもこんなに大きくして・・・熱くて、エッチな汁がダクダク垂れて・・・♡ふふっ、そんなに期待しているのか?♡」

 

「ほぉ゛・・・♡」

 

 

付けられた歯型から僅かに滲み出た血をチロりと舐め取られながら、ちんぽが両手に包まれる。ズボンはいつの間にか膝まで脱がされ・・・・・・いや、よく見れば、自分から腰を浮かせていた。

 

温かくて、柔らかくて、スベスベなそれは・・・下手なオナホよりも気持ち良くて、凜子さんの耳元で下品な嬌声が思わず出てしまう。

 

 

「えっろ♡・・・こんなに物欲しそうに尿道をくぱくぱして・・・本当は秋も期待していたんじゃないのか?擦る度におツユが一杯溢れ出て来るぞ♡」

 

 

亀頭をクリクリ弄られ、我慢汁でコーティングされたちんぽをシゴキ倒され、何度も何度も甘イキをさせられて・・・完全にいつもと攻守が逆転していた。

 

それでも湧いて来るのは悔しいとか、屈辱的だとか、そう言う感情ではなく、もっとシて欲しいという被虐願望のみ。罵倒されるのを期待して、自ら足を開く。

 

 

「・・・シて♡もっと・・・好きに、して・・・♡」

 

「〜〜〜っ♡♡・・・そ、そんな風に誘って・・・・・。・・・・・・も、もう我慢出来ん!秋!い、今から・・・!」

 

「姉さん、お菓子を持って来たから休憩でも」

 

「こ、子作りするぞ!!」

 

「ど・・・ぅ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・え?」

 

 

まだ恋人ですらない・・・それも中学生相手に、現代社会的には余りにも最低なその告白に胸と子宮がキュンキュンして止まない。

 

謝るまで本番は許さないとか心に決めていたが、そんな事がどうでも良くなるくらい俺にとっては情熱的で、カッコよく写った。

 

 

「うんっ♡するぅ・・・♡孕ましぇてぇ・・・♡俺の童貞ちんぽ、一杯犯してぇ♡♡」

 

「え・・・あ、いや秋、少し待ってくれ!今、それどころじゃなくなっ・・・!秋・・・?な、なんか翼が生えて・・・」

 

「・・・・・・きゅうぅぅぅ」

 

「達郎!?」

 

「達郎〜?なんか物音したけど、どうし・・・・・・た、達郎!?なんで気絶して・・・うわっひゃぁ!!?秋!アンタなんて格好してんのよ!!?」

 

「凜子しゃぁ〜ん♡・・・んちゅ♡」

 

「へ?・・・んぐ!?・・・んっ♡・・・ま、待て・・・・・・んん♡」

 

「え?・・・・・・え?なに、どういう状況?」

 

 

えへへ〜♡凜子しゃぁん♡もっとぉ〜♡

 

 

「・・・ちょ、秋やめなさい!凜子さんも!呆けてないで秋を抑えるの手伝って!!うわっ!?達郎、泡吹いてる!?」

 

「え・・・・・・あ、あぁ・・・」

 

「凜子さん!凜子さん!?・・・あ、ダメだ。なんかトリップしてる」

 

「んへへ〜♡服脱がしゅねぇ〜♡・・・んしょ♡んしょ♡」

 

「うわわわっ!?秋、やめなさいったら!・・・・・・ん?尻尾?」

 

「ふにゃああぁ っ あぁ!?♡尻尾らめぇぇえぇ♡♡」

 

「え・・・・・・あ、気絶した・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

 

 

 




この後、気絶した美男子二人を前に、処女達は結構苦戦したとかしてないとか。

一人称の視点主が気絶した時の締め方が分からん。それから、単に切りが悪いので一旦ここで区切ります。次回は正気に戻った雄落ち寸前の水無瀬君視点からのスタート。


以下、対魔忍rpgネタバレ注意
蛇足なのでスルーしてもらって構いません。只の作者の心の叫びです。




オフショルダーの下に乳丸出しリボン下着は流石としか言い様が無い程にエッチなセンス。ちょっと大人しめでモコモコなのも可愛いし、非常にグッド。

その状態からどうヴィジュアル変化するのかと思ったら、リボンがチョコ製とか天才ですか。これは紛う事無き淫魔ですわ。

ネグリジェ?卑怯過ぎるでしょ。そんなもん速攻ガチャるに決まってるやん。そしたら乳首ピアスに淫紋って・・・・・・・・・はぁ、最高。しかもこれ、人の身体使って実体化してるでしょ?その状態で宿主を差し置いてイチャラブセックスとか・・・なんだこのNTRの希少種みたいなプレイは。
まぁ、個人的には五車祭の方の乳首開発が作者にはぶっ刺さりましたけどね。相変わらず、色遣いが上手過ぎるんだよなぁ。

この作品に出したいけど、設定的に無理なんだよね。水無瀬君に霊視の才能がある訳でも、ふうま一族と関わりがある訳でも無いから。・・・・・・水無瀬君に拘らず、お館様視点で書いてみるのもいいかもしれない。それなら、下手に設定を生やす事も考える必要も無いし。よし、頑張ろ。

何言ってるか分からないって人は対魔忍rpgを始めて見て下さい。今ならヴァレンタインチョコと、超絶美人のパツキンへそ出し巨乳お姉さんが貰えますよ。


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勘違い

息抜きに書いてたら出来ました。




目が覚めたら自室のベッドで、何があったのか思い出せない・・・・・・なんて都合良くいかないんだなぁ、これが。

 

 

「うぐぉおぉ ぉぉ・・・・・・お、俺は何を・・・!」

 

 

夢ならば、どれだけ良かっただろうか。

 

ちんぽに残る柔らかな手の感触、何度もイかされ、感度を上げられた乳首、性欲に呑まれて淫魔化した代償に襲う倦怠感がその可能性を否定する。

 

達郎や凜子さんは分からないが・・・目が覚めてゆきかぜと顔を合わせた時のあの反応。頬を染めて目を逸らすとか、バッチリ覚えられてるじゃないか。

 

恥ずかしいと言うのもあるが、それ以上に少し厄介な事になった。なんせ、ゆきかぜは・・・・・・俺が淫魔とのハーフだと知らないからだ。

 

 

「・・・・・・・・・説明、しないとなぁ・・・」

 

 

実を言うとこうして水城家に居候し、対魔忍をしているとは言え、俺が魔の者である淫魔と人間のハーフだと知る者は意外と少ない。

 

知っているのは爺やと現在、行方不明中のゆきかぜの母、それから俺の出自を知ってるアサギ校長・・・・・・くらいか?

 

凜子さんは・・・どうなんだろ。前に見せた事があったけど、意識が朧気だったし、覚えてないかもしれない。その後も触れられる事は無かったし・・・。となると凜子さん・・・それから、達郎にも説明しないとだな。

 

 

正直な所、俺も親とは会った事が無いので俺自身の事は人伝に聞いた程度の知識しか無い。なぜなら、父は俺を産んですぐに死んだからだ。

 

出産に耐え切れなかった、と周囲は言うが・・・恐らくそれは嘘だろう。

 

なんせ、相手は淫魔だ。精気を吸い取る為には苦痛よりも快楽を与えた方が効率が良いし、簡単に死なれては面倒にも程がある。

 

魔の者、特に淫魔はそういった技術に長けているのだから、子供一人産むくらい尿道をガバガバに調教する事なんて朝飯前だろう。

 

つまり、俺の産みの親は・・・・・・任務に失敗し、淫魔に孕まされ、魔の血を引く俺を産んだという事実に耐え切れず、自ら命を絶ったのだと思う。俺の両親は表向き、任務で死んだと捏造しているのがいい証拠だ。

 

ハーフってのは基本的に迫害され易いからな。

 

 

「・・・・・・まぁ、別にどうでもいいけど」

 

 

そう、どうでもいい。

 

頼んですらいないのに産むだけ産んで、自分勝手に死んだ顔も知らぬ他人だ。そんな女々しい野郎の事なんかどうでもいいんだ。

 

問題は、今の俺の身体にある。

 

ハッキリ言って、さっきからムラムラが止まらない。凜子さんの黄金比のような身体の感触が今でも全身に鮮明に残ってるから、というのもあるが・・・・・・何よりも淫魔の特性がヤバいのだ。

 

 

「うぅ・・・♡」

 

 

俺が頑なに淫魔の姿を嫌う理由、それは性欲にある。

 

淫魔にとって、精気を吸い取るのは人間で言う所の食事のようなものであり、つまりは人間で言う所の空腹が淫魔にとっての性欲に当たる。

 

きちんと吸い取っていれば、適度な性欲しか湧かないが・・・逆に吸い取っていなければ、性欲が時間の経過と共に増していく。

 

勿論、その原因は精気の不足なのだから、自慰で治まるようなものでは無い。幸い、ハーフの俺は人間の姿であれば、淫魔の衝動に駆られる事は無いが今まで全く使っていなかったが故に淫魔化の制御が殆ど出来ないのだ。

 

平時であれば、人間の姿を保とうと意識すれば基本的に問題無いが・・・性欲を過度に我慢したりすると途端に淫魔の本能が疼き出し、本能が理性を凌駕してしまう。

 

今までは幼い頃に力に目覚めた時以来、淫魔化そのものを一度もしていなかったので割と抑えが効いていたのだが・・・・・・仕方無かったとは言え、凜子さんが病んだ時に淫魔化してからは、今までの分が一気に溢れ出すように抑えが効かなくなった。

 

セックスをせず、ただイかせるだけの関係に不満を持っていたのは何も凜子さんだけでは無いのだ。下手をすれば、このまま我慢し続けていると性欲に支配され、手当り次第に食い散らかす性欲魔人になり兼ねない。

 

正直、その・・・性欲抜きにして、凜子さんの事はそれなりに・・・・・・好きだから・・・・・・うん。裏切りたく、無いんだよなぁ・・・。

 

だから、精気を吸い取るなら凜子さんとがいいし、凜子さん以外は嫌だ。本人も性欲に流されたとは言え、子作りしよって言ってくれたし、もうこれ頼んだら普通に行けるのでは・・・?

 

 

「いや、でも・・・流石に・・・・・・・・・ぬぉおぉお っ・・・」

 

 

でも、今はもう冷静になってるかもだし。そんな状態の凜子さんに発情した俺が子作りしましょうって態々頼みに行くのも・・・なんか、違うじゃん?

 

それに俺、まだ中学生だし。どれだけ配慮しても絶対暴走する自信があるのに、セックスなんてしたら確実に妊娠してしまう。

 

産める身体とは言え、まだ子供。出来れば、成熟してから産みたい・・・・・・。

 

 

「・・・じゃなくて!」

 

 

違う。子供じゃなくて精気だ。なに、子供を産む前提で考えているんだ俺は。大体、避妊なら水遁で子宮をコーティングするなり、洗うなりすれば問題無い。

 

そもそも淫魔は卵子からも精気を吸い取るから、自身が望まない限り、妊娠する心配は無いんだ。

 

だから、今考えるべき事は妊娠どうこうではなく、どうやって凜子さんと性行為をするか、またはそこまで至るかだ。

 

恐らく、凜子さん自身に頼む事は差程難しい事では無い。いや、俺の精神衛生上かなりの大問題だがそこは取り敢えず置いておく。

 

問題・・・というか、最大の壁は達郎だ。今まで達郎は俺の淫魔の姿を知らなくても、凜子さんと二人きりになる事をあまり良く思っていなかったのだ。

 

そういう知識はあっても、自身の姉は他とは違って淑女であり、純潔で気高い存在だと崇拝すらしている。本当はただの処女を拗らせたドスケベ対魔忍なのだが。

 

そんな風に慕っていると凜子さん自身も知っているからこそ、あの人は何かと弟の前だと格好を付けたがる。

 

だから・・・うん。場合によっては、俺が凜子さんに冷たくあしらわれる可能性があるという訳だ。当人の本音は別として。

 

そして、そのような裏事情を知っていたとしても、俺はショックを受けて二度と誘う事は無くなり、仮に凜子さんから誘って来ても何か裏があるのではと勘繰るようになるだろう。

 

前まではゆきかぜを盾にして、割となんとかなっていたが・・・・・・俺が本人の意志を無視して性行為に及ぶ事が出来る淫魔だと達郎が知れば、何がなんでも阻止して来るだろう。

 

それに十中八九、事情を知っているゆきかぜは俺が凜子さんと何をしようとしているのか勘付く。

 

だからと言って、邪魔をして来るとは思えないが・・・・・・ほぼ家族同然の異性に、今からセックスするので二人きりにして下さいと言える程、開き直れてもいない。

 

 

どうしたものか、と布団に(くる)まって悩んでいると部屋の扉がノックされる。誰かと気配を探れば、爺やだった。

 

 

「どうかしたの?」

 

『秋山のご令嬢様が居らしています』

 

「・・・・・・凜子さんが?」

 

『どうやらお見舞いの様ですが・・・お通ししますか?』

 

「・・・・・・・・・達郎は?」

 

『いえ、お一人の様です』

 

 

・・・・・・・・・・・・ほーん?

 

 

「準備するから、合図したら通して」

 

『かしこまりました』

 

 

扉の外から気配が遠ざかって行くのを感じてベッドから出る。

 

部屋に飾ってある花瓶の水を窓から巻いて、水遁で作った水を入れる。序に花の方にも細工をして、元あった場所に飾り直す。

 

いつ使うのか、要らないと言っているのに爺やが頑なに置きたがった食器類一式が入った棚から、ティーカップを取り出す。

 

何事も準備しておくものだな、と爺やの頑固さに感謝しつつ紅茶を入れる。

 

テーブルに並べた湯気を立てる紅茶、その内の一つに掌に浮かべた飴玉程のサイズの水を混入させる。無色透明なので、俺が何かしたとは少なくとも視覚的には分からない。

 

 

「・・・・・・あ」

 

 

いつの間にか、出てしまっていた翼と尻尾を仕舞いつつ、クローゼットを開ける。そこは普段使うクローゼットとは別の場所であり、所謂勝負下着やら服が入っている場所で・・・透け透けのパンツやハイレグ、バニーボーイ等を見付けてソッと閉める。

 

これも爺やが用意した物だが、流石にハードルが高かった・・・・・・ので、履いていた下着を隅の方に脱ぎ捨て、適当にダボッとした服を着て、尾骶骨辺りに穴が空いたユルユルのショートパンツを履く。

 

一度、部屋を見渡し、窓から入り込む風に目を閉ざす。花瓶から感じる無味無臭の芳香に口端を歪め、ベルを鳴らして爺やに合図を送る。

 

 

落ち着いてテーブルの椅子に座り、細工をしていない方の紅茶を少しずつ傾け、凜子さんが来るのを待つ。

 

喉を通う暖かな液体に少し冷静になって、自分は何をしようとしているのかと我に返り、羞恥心が湧き上がるが・・・もう一口飲むと頭に熱が上る。

 

自覚している分、まだマシだと思うが・・・・・・本当にヤバい。これから起こるであろう必然に、ズボン越しの勃起が治まらない。テーブルの下とは言え、バレたりしないだろうか。

 

そんな期待を込めて脚を広げようとして・・・・・・ノックの音に我に返る。

 

 

『私だ。・・・入っても・・・・・・いいだろうか』

 

「どうぞ」

 

 

考えてみれば、凜子さんを部屋に入れるのは初めてかもしれない。小学校低学年頃からの付き合いだったが遊ぶ時は基本的に外か、秋山邸、水城邸のリビングだったからな。

 

声に硬さを感じるから、緊張しているのだろう。斯く言う俺も、途端に緊張しだしたのだが・・・そんなのお構い無しにドアは開いた。

 

 

「っ!?・・・そ、その・・・・・・見舞いに来た、のだが・・・大丈夫、か?」

 

「っ・・・え、えぇ・・・お陰様で。・・・・・・あの、お茶を用意したので座っては?」

 

「そ、そうする」

 

 

凜子さんは俺の部屋着を見てか、俺は凜子さんの私服姿を見て、互いに息を呑む。

 

半袖のシャツに前を開いたパーカーが巨乳の所為で脇に寄せられ、七分丈のズボンから綺麗な足首が覗く。ポニーテールの下に覗く首元は、暑かったのだろうか、少し汗ばむ様子が非常に艶かしい。

 

今の俺にとって猛毒にも程があるが、気合いで抑え込む。出会って即襲い掛かるとか、もうそれレイプじゃんか。

 

大丈夫、細工はきちんと施した。落ち着いて、焦らず誘導すればいい。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

・・・・・・な、何から話したものか。誘導せずとも手持ち無沙汰からか、勝手に紅茶を飲んでくれるのは有難いが・・・効果が出るまで少し時間が掛かるしな。

 

ただ黙ってたら、何をせずとも発情してしまうだろうから、俺が盛った事は簡単にバレてしまう。なんとか、自然な流れでそういう空気を作らねば。

 

 

「・・・・・・?・・・・・・・・・っ!?・・・!!?・・・??・・・・・・!!?」

 

 

なんか急に百面相しだしたんだけど・・・。え、なに?何かを見付けたみたいだけど・・・・・・あ、下着放ったらかしだ。

 

・・・・・・いや、確かに狙っていなかったと言えば嘘になるがこうも効果覿面とは。思った以上にチョロいぞ、これ。

 

 

「・・・えっと・・・気になり、ますよね?」

 

「えぁ!?・・・・・・ぁ、あぁ・・・まぁ・・・一応」

 

 

ちらちらと視線が部屋の隅に行くが、今そっちの話では無い事くらい理解してるよね?きっと理解していると信じよう。

 

煮え切らないのは多分、触れていい問題なのか迷っているからだろう。本当、変な所でお人好しなんだから。

 

 

「取り敢えず、何から・・・・・・そうですね。まず、改めて見せましょうか」

 

「み、見せる!!?な、ななな何をだ!?」

 

 

顔真っ赤にして滅茶苦茶慌てふためいているけど、変な意味じゃないからね?一体、何を想像してんだか・・・。

 

椅子から離れて、上の服を脱ぎ始める。服で視界が塞がるが、声だけで凜子さんの様子が分かる程に彼女は挙動不審となった。

 

 

「へはぁ!?ほ、ほほ本当に・・・え、えぇいや、今日は・・・・・・そんな・・・・・・つもりは・・・・・・で、でもそうだな。秋がそこまで言うなら、私も・・・」

 

「何を勘違いしてるんですか。いいから、顔を隠してないでこっちを見て下さい」

 

 

今更とは思うが、耳まで真っ赤にしてこんなにも初心だったろうかと疑問に思う。まぁ、でも目の前でいきなり脱がれたらそりゃビックリするか。寧ろ、慣れていた方が・・・なんか腹立つし。

 

 

「へ・・・?み、見ても・・・いいのか?本当に見るぞ?」

 

「・・・・・・いいから、早くして下さい。結構恥ずかしいんですよ」

 

 

幾ら翼で上半身を隠しているとは言え、恥ずかしいものは恥ずかしい。一応、対魔忍スーツは淫魔化用に背中が開いてるが、着る余裕なんて無かったからこうするしかない。

 

何度も確認し、漸く決心が着いたのか、俺の声で恐る恐るこちらを見遣る凜子さん。何処か期待したような、それでいて緊張した面持ちだったが、俺の姿を視認すると目を見開いた。

 

 

「夢では・・・なかったのだな」

 

「・・・まぁ、はい」

 

 

・・・夢だと思われてたのか。あの状況で夢って・・・いや、気持ちは分からなくもないけどさ。そこまで神妙な顔付きになるのだろうか?

 

あと、シリアスに見せ掛けて、翼に隠れた俺の胸をガン見するのやめて。真面目な顔なのに、目が一切ブレないんですけど。

 

 

「・・・その・・・すまなかった」

 

「・・・・・・・・・??・・・え、どうして謝るんです?」

 

「あの夜、お前には・・・その・・・かなり酷い事をした」

 

 

あの夜・・・?

 

・・・・・・・・・え、待って。もしかして、勉強中の事じゃなくて、俺が寸止めされまくった夜の話してる?えっ、え・・・ちょ、タンマ。

 

 

「ぉ・・・ぉ、覚えて・・・いたん・・・ですか?」

 

「・・・覚えていたと言うより、思い出した。先日、その姿のお前を見て・・・その日の夜に夢で・・・・・・・・・って、秋!?」

 

 

待って。本当に待って。あれはダメだ。あれを覚えられてるとか・・・・・・ヤバい、めっちゃ恥ずかしい。

 

あまりの羞恥にベッドに逃げ込み、布団に包まる。淫魔化したまんまだが、そんな事を配慮する余裕すらない。文字通り、穴があったので入ってる状態で、傍から見れば素で恥じている・・・・・・・・・と見えるだろうが実は結構、余裕がある。

 

いや、確かにあの日の事を覚えられてるとか、誤算もいい所だけどさ。そんな事、どうでもよくなる程に淫魔化した所為で性欲が急激に上昇してるんだよ。

 

心配して近付いて来た凜子さんを布団の中に引き摺り込む程、今の俺は制御が効きそうに無い。

 

 

「しゅ、秋・・・?大丈夫・・・・・・かぁ!?」

 

 

暗いけど、流石に二人分だと布団の隙間から光が差し込み、僅かに見える。俺に覆い被さるように引き摺り込んだから、何も着けていない胸を両手で鷲掴みにされる。

 

 

「す、すまない!?今、退くか・・・」

 

「んぁっ♡」

 

「・・・ら」

 

突然の事態に、早くも状況を把握した凜子さんは慌てて退こうとするが・・・手に力を入れて俺の薄い胸が揉まれる。

 

今や、性欲の所為で全身性感帯状態の俺はそれだけで気持ち良くなってしまい、思わず声が出てしまう。

 

その声に一瞬硬直する凜子さんだったが、自分が何をしているのか瞬時に理解して、今度は布団を捲る程の勢いで起き上がった。

 

 

「あっ、あっ・・・えっと・・・すまないっ・・・!?」

 

「ん・・・だめ・・・」

 

 

馬乗りとなった凜子さんを逃がさないように尻尾で巻き付ける。本気を出せば、この程度の拘束など一息で解けるだろうが・・・どうやら媚薬の効果が効いてきたのか、その瞳に逃げる意思は欠片も感じられない。

 

なんせ、細工をした花瓶が真横に飾ってあるのだ。無味無臭とは言え、その効力は濃くなっている筈だ。

 

きっと、今から俺は性欲の赴くままに犯され尽くすだろう。やめてと泣き叫んでも許してもらえず、力尽くで何度も何度もイカされ、孕まされる。

 

尊厳という尊厳を踏み躙られ、明日の朝には清い所など一つとして無くなるまであらゆる場所を堪能されるに決まってる。

 

・・・・・・それでも俺は・・・それを想像してちんぽが一層固くなる。ショートパンツと太腿の隙間から顔を出し、直接凜子さんのズボンに擦り付けてしまう。普段ならその痴態を恥じ入るのだろうが、今の俺は寧ろ誘うように腰を擦り寄せ、その存在を主張する。

 

男の勃起は前世で言う所の女性がおまんこを濡らしているのと同義。事実、尿道の中はもうおツユでトロトロに解れている。

 

例え、処女だとしても俺が興奮しているくらい、ここまですれば凜子さんだって理解する。後は・・・・・・凜子さんにおまかせ、かな。

 

 

「・・・・・・っ」

 

「・・・・・・♡」

 

 

固唾を飲む音が聞こえ、『あぁ、遂に我慢の限界か』と胸が高鳴る。ちんぽに仄かに感じる湿り気がそれをより実感させて来て、思わず翼を開いてパタパタと(せわ)しなく動かし、尻尾の拘束を強めてしまう。

 

 

 

凜子さんの右手が上げられる。

 

今から俺を蹂躙する尖兵となるであろうその手に目が離せなくて、熱の篭った視線で追い掛ける。

 

ゆっくり、ゆっくりと伸ばされたその右手が近付いて来るのに比例して、俺の胸も高鳴っていく。

 

 

あと少し。あと少しでその手と俺の体が触れ合う。あと十数センチ・・・あと数センチ・・・・・・・・・そこで凜子さんの手は止まり、横に飾ってある花瓶を掴んだ。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・」

 

「ふむ、これだな。それから・・・紅茶にも何か淹れたな?」

 

 

 

心臓が止まった気がした。あれだけ火照っていた身体が冷水をぶっ掛けられた様に熱を失い、冷や汗が背中を伝う。

 

あまりの出来事に、尻尾は力無く拘束を緩め・・・・・・いや、そもそもの淫魔化が解除されていく。皮肉にも快楽に溺れていた身体は、焦りや恐怖により、文字通り快楽を失う事でその制御を取り戻したのだ。

 

だが・・・それがなんだと言うのか。

 

呼吸すら危うい状態の俺など露程も気にせず、凜子さんは続ける。

 

 

「お前に散々迷惑を掛けてしまったあの任務以来、媚薬に対する訓練は相当積んだからな。それでなくとも、つい最近まで快楽に悩まされていた身体だ。制御が効く今、この程度なら理性を保つ事など造作も無い」

 

「・・・ぇ・・・・・・・・・ぁ・・・・・・ちがっ・・・」

 

 

何を言いたいのか、何を考えているのか。俺自身も分からないけれど、それでも嫌われたくないからと、こちらを鋭く睨むその視線に弁解しようとする。

 

・・・・・・だけど、俺のやった事は弁解の余地など無い程にどうしようもなく事実で、バレた今となっては嘘を重ねる程に嫌われてしまう。

 

結果、俺が出来たのは無意味に口をパクパクし、意味の無い言葉を零す事くらいだった。

 

 

「・・・秋、お前がどういうつもりでこんな事をしたのか、私には分からない。だけど・・・・・・私は、お前と()()()()事をする関係になりたい訳じゃないんだ」

 

「ぁ・・・ぃや・・・・・・待っ・・・て・・・・・・!」

 

 

重さが消える。俺を抑え付けていた、安心させてくれていた身体が俺の上から消える。

 

部屋を出て行こうとするその背中に手を伸ばす。行かないでと抱き着いてでも止めようとするが・・・感情がごちゃ混ぜのあまり、力が入らなくて、ベッドの上に倒れ込む。

 

いつもなら、こんな状態の俺を放っておく事は無くて、即座に心配して駆け寄って来るのに・・・・・・無情にもその背はこちらを突き放すように遠ざかる。

 

 

「・・・・・・すまない」

 

 

その一言を残し、凜子さんは扉の奥へと消えて行った。

 

 

 

 

凜子さんに薬を盛った。

 

例えそれが、相手の判断力を僅かに弱らせ、性欲を発散させなければ身体に篭もり続けるような。雰囲気作り程度の効力しかなく、殆ど自分の身体任せのアロマやお香程度の薬であったとしても、『薬を盛った』という事実は変わらない。

 

薬の力を使って、本人の意思とは無関係にその肢体を貪る。

 

それは俺が見下す存在、糞にも劣る外道共蔑んだ者達と全く同じやり口だった。罵倒されても仕方無かった。暴力に訴えられても何もやり返せない。

 

なのに・・・凜子さんはただ立ち去るだけだった。けれど、その瞳は怒りのような、なんらかの激情を押さえ込んでいて・・・それが一体何から来る感情なのか、嫌でも分かってしまった。

 

裏切ったのだ。凜子さんの信頼を。

 

その事実が・・・どうしようもなく、重く伸し掛る。

 

やるべきではなかった。やってはいけない事だった。考えれば、考える程に後悔の念が溢れ出す。

 

 

「―――ぁぁ・・・・・・〜〜〜っ・・・!・・・・・・っっ!」

 

 

胸が張り裂けそうで、溢れる涙が止まらなくて・・・声にならない叫びが喉を痛める。

 

性欲なんて欠片も湧かないのに、俺の身体は発情を続ける。

何一つ快楽を感じないのに、ちんぽは変わらず勃ち続ける。

 

それが俺の罪を象徴しているようで、なんて浅ましいのかと自分を蔑ます。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

もう泣く力も、声を出す力も無くて、死んだようにベッドで横になる。泣き疲れて瞳を閉じようとしても、去って行く凜子さんが脳裏に浮かび、その恐怖に目を閉じれない。

 

何をするでもなく、ただ延々と先の出来事が頭を巡る。思い出したくないのに、傷付くだけなのに、そう思えば思う程に強く鮮明に思い出す。

 

 

『お前と()()()()事をする関係になりたい訳じゃない』

 

 

去り際に放った一言。

 

それが本当だと言うのなら、今までの情事は一体何だったと言うのか。確かに最初は罪滅ぼしだった。性欲を発散させるだけの、身体を重ねてすらいない清い関係だった。

 

それでも・・・それでもさぁ。・・・好きって・・・言ってくれたじゃん。子作りしよって、言ってくれたじゃん。

 

嬉しかったんだよ。あんなに真っ直ぐ想いを伝えられたのが。

 

俺の容姿じゃない。俺自身を見てくれて、その上で俺を好きだと言ってくれて・・・・・・本当に、嬉しかったんだ。

 

なのに・・・あれは全部、嘘だったの?

 

 

「・・・・・・・・・ぁ・・・」

 

 

違う。違う違う違う違う!!

 

嘘を吐いたのは俺の方だ。優しいあの人に嘘を吐かせたのは俺の方なんだ。俺が薬なんて盛るから、俺が先に裏切ったから、凜子さんは・・・・・・。

 

 

「・・・・・・は・・・・・・はは・・・」

 

 

どうしたら、許してくれるのだろうか。

どうしたら、償えると言うのだろうか。

 

元の関係には・・・・・・きっと、もう戻れない。

 

浅ましい淫魔らしく、性奴隷としてあの人に使ってもらうなんてどうだろうか。使って、使い倒して、飽きるまで道具のように使い潰されて、飽きたらその辺に捨てられる。

 

何処までも惨めな存在に堕ちたら、それで許してもらえるのだろうか。

 

・・・・・・・・・いや、無いな。

 

ああ見えて、弟が思う通りに淑女な人だ。きっと、同情されて余計に苦しませるのがオチだ。

 

そもそも最初に出た案がコレとか、もうホント・・・・・・終わってるよ。

 

この調子だと、何をしても逆効果。無意識に淫魔としての本能に突き動かされ、また取り返しの付かない事をしてしまう。良かれと思った事が全て裏目に出て、余計に凜子さんを傷付かせる。

 

 

なら、もういっそ・・・・・・あの人の前から、消えてしまおうか。

 

 




途中で媚薬に気付いた秋山凜子(脳内)

淫魔とは言え、あの秋が媚薬・・・・・・もしや、試されてる?

今すぐにでも貪りたいけど、ここで『媚薬に流されない女』を演じれば、信頼度やら好感度やらが鰻登りなのでは?

「薬を使わずに健全でエッチな関係になりたい」(キリッ

でも、やっぱり我慢出来そうにないので早々に退散

家に帰って秋型オナロで発散しよ



なんか、水無瀬君が急にメンヘラっぽくなったけど、『割と自信があったのに凜子さんに全く相手にされていなかった』という事実(勘違い)に羞恥やらショックやらで情緒不安定、自暴自棄になってる状態です。

セックスすれば治る。


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達郎の献身

アンケートの結果より、純愛方面に舵を切ります。他のルートはIFルートでやりたいと思います。

水無瀬君の情緒は相変わらず不安定で、その反動でチョロチョロになります。苦手な方はご注意を。


どうせ消えるなら早い方が良い。

 

そう思っても、泣くというのはかなりの体力を消耗するらしく、気付けば日付が二日も変わっていた。泣き疲れて眠るなんて経験初めてだから、結構な衝撃だ。まるでタイムスリップしたみたい。

 

窓を開けっ放しにしていたから、窓枠に停まる雀の(さえず)りで目が覚めた。空を見たら、ドンヨリと曇っていて朝から気が沈む。

 

体力は回復したものの、精神面はそうもいかない。ふとした拍子に一昨日の事を思い出して、堪らず涙が溢れ出しそうになる。でも、いつまでも泣いてなんかいられないから、乱暴に拭って切り替える。

 

ふらり、と倒れそうになりながらも立ち上がって、対魔忍スーツを手に取る。足を通して、腰まで上げた所で無意識に出していた尻尾に引っ掛かってしまった。こんな心境でも性欲が衰えない自身の浅ましさに更に気分が落ち込む。

 

いつもなら少し意識するだけで解ける淫魔化もどうしてか、こんな日に限って中々解けない。あの人に捨てられても尚、未練がましくあの人の身体を求める己に反吐が出る。

 

 

「・・・・・・」

 

 

漸く着替え終わり、部屋を一瞥する。今日で見るのは最後になるだろうから、少し名残惜しい。ゆきかぜ達に何か一言を・・・とも思ったが今は誰にも会いたくないから、書き置きだけ残そう。

 

内容は・・・・・・探さないで下さい、とか?

 

もっと何か書くべきなのだろうけど、そこまで気力が無いので適当に達郎との仲とか書いてテーブルに置く。他にやる事は・・・特に無いかな。

 

水城家は洋館なので部屋の前までは普通に土足で入るから、靴の心配は無い。靴を履いたまま部屋に戻り、いつもの脇差を懐に。それから、後は・・・・・・何が要るんだろ。あぁ、お金忘れてた。

 

それで・・・・・・まぁ、そんな多く持っても仕方無いか。

 

 

準備が出来たので窓に近寄る。停まっていた鳥が飛び立ち、開きっ放しだった窓枠に今度は俺が飛び乗る。ここは三階だから一般人が飛び降りれば普通に死ぬか大怪我だ。

 

だがビルを跳び回るのがデフォルトの移動方法である対魔忍からすれば、特段問題は無い。

 

空中に飛び飛びに水の足場を形成し、それ目掛けて窓枠を蹴ろうとして・・・・・・何かに手を引っ張られ、部屋に引き戻された。

 

 

「ちょ、何やってんの!」

 

「え・・・・・・うわっ!?」

 

 

俺を引っ張った張本人、凛子さんの実の弟である達郎が何故ここに居るのかを聞く暇すら無く、部屋の中に倒れ込む。達郎を下敷きにする形になってしまい、苦しそうにしてたので慌てて退き、安否を確認する。

 

どうやら、怪我はして無さそうで安心した。だけど、どうして達郎がここに居るのだろうか?

 

 

「昨日ゆきかぜに頼まれて、なんか嫌な予感がするから朝早くに来てみれば・・・一体、何しようとしてたのさ!」

 

 

俺の困惑した顔を見て何か察したのか、怒鳴りながら説明をしてくる。

 

何をしていたも何も、家出をしようとしていただけだ。もしかして、俺が投身自殺をするとでも思ったのだろうか?自分が捨てた後に俺がそんな事をすれば、凛子さんが変に気負うだろうから、そんな事する筈がないのに。

 

 

「馬鹿!巫山戯んな!秋が居なくなったら、姉さんが悲しむだろうが!!」

 

「え・・・・・・」

 

 

その言葉に違和感を覚えた。

 

コイツは姉も含めて、自他共に認めるブラコンであり、大切な姉に近付く俺を目の敵にしていたのでは無かったのか。姉が悲しむというのなら、普段の態度の説明が付かないし、ならば俺が居なくなるのは寧ろ大歓迎ではないのか?

 

それに悲しむも何も、もうあの人は・・・俺の事なんて・・・。

 

 

 

「で、なんで家出なんてしようとしたの?」

 

「・・・・・・お前には関係無いだろ」

 

「あるに決まってんでしょ。姉さん、ここ最近変なんだよ。妙に浮き足立ってると言うか、突然気味悪い声で笑い出すし・・・。絶対、秋関連で何かあったでしょ」

 

「・・・・・・」

 

 

え、鋭過ぎない?達郎ってこんなに勘が良い子だったっけ?

 

それに凛子さんに関しては、あの人が喜びそうな事なんて俺には・・・・・・もしかして、俺から解放されて気が楽になったとか、そういう・・・・・・。はぁ、実の弟から言われると現実味が帯びてて思ったよりショックだな。俺って無意識にあの人を束縛でもしてたのだろうか。

 

あぁ、ヤバいな。また泣きそうになって来た。あんなに泣いたのに、もう枯れ果てたと思ってたのに・・・・・・なんで・・・なんでッ・・・止まんないんだよォ・・・!

 

 

「・・・はぁ。ほら、何があったのかは大体察したから、泣き止みなよ。大丈夫、姉さんは秋の事を嫌ってなんかいないよ」

 

「ぅ・・・うぅ゛・・・ぐすっ・・・・・・ほんと?」

 

「本当だよ。大方、淫魔の力が暴走でもして姉さんを誘惑したけど断られたとか、そんな感じでしょ?」

 

 

・・・・・・・・・え、怖っ。全部当たってるんですけど。涙が一瞬で引っ込んだわ。もしかして見てた?遂に達郎にも凛子さんみたいな覗き見出来る忍法が目覚めたのか?

 

・・・ん?ちょっと待って。なんか今、普通に俺が淫魔だって事を受け入れてなかったか?それどころか、なんか前々から知ってたような口振りだったんだけど・・・。

 

 

「・・・・・・・・・い、いつから・・・知ってたんだ?」

 

「まだ不知火さんが居た頃」

 

「・・・・・・」

 

 

あの人が居たって事は・・・・・・俺が淫魔の力に目覚めた時、つまりはゆきかぜの母親に襲われた時な訳で・・・そっか、見られてたのか。マジかよ。

 

 

「・・・なんで、黙ってたんだ?」

 

「この話題にはあまり触れて欲しくないんでしょ?だから、自分なりに調べて色々とフォローしてたんだよ」

 

「フォロー・・・」

 

 

もしかしてだけど、ゆきかぜと俺のスキンシップを阻止したり、俺と凛子さんの距離が縮まったのに気付いて、監視の如く付き纏い出したのって・・・・・・全部、俺の為?嫉妬心とかでは無く?

 

 

「一昨日なんて驚いたよ。騒がしいと思ったら、秋は淫魔化してるし、姉さんはなんか発情してたし。もう全てが手遅れかと思って頭がパニックになった。お陰でフォローの1つも出来ず、気付けば意味不明な方向に悪化してるし」

 

「・・・ご、ごめんなさい」

 

「淫魔は性欲が凄いって聞いたから、生理が重くならないように色々と配慮してるのにさ。秋は懲りずに姉さんとイチャイチャして、それで生理当日になったら姉さんに辛く当たって傷付けて。それを淫魔化して慰めようとするとかマジでなんなの?ねぇ?」

 

「・・・えっと、いや、その」

 

 

あ、あれ?なんか流れが変わったぞ?

 

 

「別に姉さんとお付き合いするのは良いよ。僕もゆきかぜと付き合ってるし。でもさ、まだ学生だよ?他の人に兎や角言うつもりは無いけど、責めて成人するまでは姉さんと清いお付き合いをしないと許さないからね。しかも淫魔の本能に飲まれて、その場の雰囲気でヤるとか万死に値するから。姉さんの格をあまり下げないで」

 

「はい、すみません・・・」

 

 

なんで俺、正座してんだろ。

 

 

「それにね、秋は気付いて無いかもだけど。ゆきかぜ、秋の事を完全にそういう目で見てるから。その辺、もっと自覚してよね。恋人居るのに他の男に発情して自慰するとか、ゆきかぜ割と節操無いんだから」

 

「え?いや、だからそれはただの・・・」

 

「ただの・・・何?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

 

・・・ふふっ、怖い。

 

 

「・・・ふと思ったんだが」

 

「ん、何か質問でも?」

 

「達郎って、意外とそういうエロに関する知識って豊富なんだな。今までずっと初心だと思ってた。もしかしてムッツリなのか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

な、なんか達郎の目が一段と冷めた。なにか俺、マズイ事言っただろうか。

 

 

「はぁぁ・・・・・・あのね。秋はよく実習をサボってるから知らないだろうけど、普通に授業で習うんだよ。それに姉さんの本を拝借して勉強もしてたの。僕も対魔忍だから、そういう任務もいずれは任されるだろうしね。僕には力が無いんだから、何も知らずに潜入して騙されて娼婦堕ちしました、だと、ゆきかぜに顔向け出来ないよ。間違ってもムッツリでは決してないから」

 

「・・・そっか」

 

 

言われてみれば、オナニーのやり方とか教わってたから、そういうガチなのも何回か授業でしてたのか。内容が酷過ぎて頻繁に机か保健室で寝込んでたからなぁ。前世で保健の授業の時に男女が分かれてた理由ってこういう事なんだろうか・・・・・・いや、流石にここまで酷くは無いか。

 

・・・・・・もしかして、俺だけ特別授業あったのってサボってたのが原因か?でも、ふうまは受けてなかったし・・・うーん。

 

まぁ、それは置いといて。達郎って意外と色々考えてたんだな。てか、今では灰となった凛子さんのコレクションを見たのか。余計なお世話かもしれないが、知識が偏り過ぎたりはしないだろうか。仮に潜入したら、無自覚なドM製造機になりそうな予感。

 

 

「話が逸れたけど、姉さんはまだ現状を上手く把握出来ずに居る。きっと今頃、『淫魔の催淫に耐えた私を見て、秋が惚れ直した』とか。そういう的外れな事を考えてるよ」

 

「え・・・」

 

 

あの人、そんな理由で耐え切ったのか。処女拗らせ過ぎではなかろうか。あそこは寧ろガッツいてくれた方が・・・。

 

でもそっかぁ。俺の誘惑、そんな理由で耐え切られたのか。自分で言うのも何だけど、今更好感度が上下した所で大差無いんだけどなぁ。

 

 

「でもこの誤解を解くとなると、今度は姉さんが羞恥心やらなんやらでまた面倒な事になるから、今後は誤解を解かずに受け入れて姉さんと接して」

 

「・・・つまり?」

 

「秋が姉さんを惚れ直して今まで以上にデレデレになるの。演技とは言え、それくらいは簡単でしょ?」

 

「・・・べ、別にデレては無いんですけど。まるで今までバカップルだったみたいな言い方はやめてくれないか」

 

「そういうのいいから、分かったら返事」

 

「・・・・・・一応聞くけど、デレるって具体的に何をすればいいんだ?身体的な接触を増やしたら本末転倒だろうし」

 

「ん、それもそっか。・・・・・・その前に、一つ確認しておきたいことがある」

 

「な、なんだ?」

 

「最近、姉さんと二人っきりになる事が多かったけど、何してたの?」

 

「・・・・・・」

 

 

あー、なるほど。それはまだ知らないのか。

 

・・・え、これ俺が説明しないといけない感じ?ここまで清い付き合いを力説して来て、絶賛ブチギレてる達郎に『もう既に色々と手遅れです』って言うのか?

 

・・・・・・終わったな。

 

 

「・・・お、怒らない?」

 

「・・・何が?」

 

「・・・その・・・か、仮に変な事をしてたって、俺が今ここで白状しても・・・怒らない?」

 

「・・・・・・大体察したけど、しっかりと詳細を話して。じゃないと怒る」

 

「・・・はい」

 

 

圧が増し、目が全く笑ってない笑顔を前に簡単に屈した俺は達郎が望む通り、俺と凛子さんがどのような経緯で今の関係に至ったかをビクビク怯えながら説明した。

 

その間、達郎は目を閉じたまま終始無言で話を聞き、まるで嵐の前の静けさのようで酷く不気味だった。

 

粗方の説明をし終え、ゆっくりと目を開く達郎。口を開くのを死刑囚のような心境で待つ俺に、達郎はゆっくりと口を開き・・・。

 

 

「はぁぁぁぁ・・・・・・」

 

 

深い深い溜め息を吐いた。

 

 

「た、達郎・・・?」

 

 

想定外の反応にどう反応していいか分からず、声を掛けたが達郎は顔を片手で抑えて何やら疲れた様子。

 

少なくとも怒ってはいなさそうでホッと一安心。けれど、また何か逆鱗に触れて怒鳴られると思うと身体が緊張で強ばってしまう。

 

 

「・・・取り敢えず、薬の方は僕がなんとかする。だから、もうそんな身体を売るような真似はやめて」

 

「え・・・・・・う、うん」

 

 

いや、身体を売ってたとか、そんな人聞きの悪い事をしてたつもりは無いんだが・・・・・・それよりも。

 

 

「・・・何、どうかしたの?」

 

「い、いや・・・怒らない・・・のかなぁ、って」

 

「は?怒って欲しいの?」

 

「いや、怒らないで・・・」

 

 

なんなら、凛子さんとかなりエロエロな事をしたという一番怒られそうな事実も伝えた筈なんだけど、意外と怒ってなさそう。達郎、シスコンじゃなかったのか?

 

 

「今回は全面的に姉さんに非があるし、僕も少なからず関わってたみたいだしね。それに僕は姉さんが大切なだけで、そういう性的興奮は覚えないから。"love"じゃなくて、"very like"なだけ」

 

「あ、はい」

 

 

日本語を達郎なりに直訳しただけなんだろうけど、"very like"って好きって意味じゃ無いんだよな・・・・・・下手に刺激したくないから黙っとこ。

 

 

「・・・で、そろそろ返事欲しいんだけど」

 

「・・・・・・?」

 

「なに首傾げてんのさ。演技の話だよ」

 

「あ、あぁ!・・・うん、出来るか分かんないけど、やってみる」

 

「出来るかどうかじゃない。やれ」

 

「やります」

 

 

意外と面白そうだから、なんて軽い気持ちで返事したらまた怒らせてしまった。仕方無いとは言え、凛子さんに嘘を吐く形になるのが許せないのかな。

 

だから、達郎なりに妥協出来たのが、巫山戯半分じゃなくて真面目にやる事。つまり・・・・・・これ、凜子さんにデレてるのが演技だってバレたら、達郎に殺されやしないだろうか。

 

 

 

 

 

一通り話し終え、二日も部屋に籠りっ切りだったので心配を掛けたであろう爺やにまずは無事を知らせに行く。飲まず食わずだったから、流石にお腹が空いたな。

 

達郎も朝を抜いて直行して来たらしいから、一緒にどうかと誘ってみたが凛子さんの朝食がまだなので帰って食べると断られた。

 

あの人、普通に料理出来る筈だけど、そこは譲れないらしい。そう言えば、コイツは重度のシスコンだったわ。とは言え、世話になったので玄関まで見送りするくらいは許してくれた。

 

達郎より少し前を歩き、先導するような形で廊下を歩いている矢先、脇の扉が開き、そこから寝起きのゆきかぜが出て来た。

 

 

「・・・・・・!?秋!!」

 

 

寝惚け眼をカッと開き、こちらに飛び込んで来る。

 

それを胸で受け止め、ゆきかぜは達郎にも気付かず、嬉しそうにぐりぐりと頭を擦り付けて来るので、随分心配させたみたいだと謝罪の意を込めて撫でようとして・・・・・・背後の殺気に気が付いた。

 

 

「大丈夫?二日も部屋から出て来ないから、凄い心配したのよ?何処も悪い所は無い?」

 

「だ、大丈夫・・・。大丈夫だから、一旦落ち着いて・・・」

 

「・・・ゆきかぜ、近過ぎ」

 

 

潤んだ瞳でこちらを見上げ、目と鼻の先程の距離で安否を確認して来る。それだけではまだ安心出来ないのか、ぺたぺたと触診しだしたゆきかぜに達郎が止めに掛かる。

 

そこで漸く達郎の存在に気付いたらしいゆきかぜは、達郎が居る事に驚きつつも素直に従って俺から離れた。

 

 

(さっき言った事、もう忘れたの?)

 

(い、いや、覚えてる!だから、そんな睨まないで・・・)

 

 

アイコンタクトで叱責して来る達郎に身を縮こませ、ゆきかぜにバレないように必死に謝る。これからはゆきかぜとの接し方を少し考え直した方が良さそうだな。主に俺の身の安全の為に。

 

 

「それじゃ、僕はそろそろ帰るから。・・・・・・ゆきかぜ、またね」

 

「あ、うん。じゃあね、達郎。・・・・・・・・・ねぇ、秋。達郎、結局なんで来てたの?」

 

「え?・・・・・・あー・・・まぁ、色々とあったんだよ」

 

「何よそれ?・・・まぁ、いいわ。早く爺やにも秋の安否を知らせましょ。昨日なんて、何回も秋の部屋の前で行ったり来たりしてたんだから」

 

 

それは・・・なんというか、相当心配を掛けたな。不老不死の癖にボケ始めるくらいには老いてるから、早く安心させて上げなければ。

 

 

 

 

その後は爺やがわんわん泣きながら、全身の骨が折れそうな程強く抱き締められたりしたものの、朝食食べて少しすればいつもの日常が戻って来た。

 

悩みの種であった凜子さんの事も勘違いだと分かった今、変に気に病む必要は無く、寧ろ気にするべき事はその対応だ。

 

どのように接すれば良いのか、出会った時はなんて挨拶をすればいいだろうか。色々な案を出してはその後の展開を妄想してベッドの上でゴロゴロしたり、達郎の忠告を思い出して自制したり、すぐエロ方面に持って行く自分にショックを受けたり。

 

結構忙しい一日を過ごした翌日、遂に邂逅の時が来た。

 

 

「り、凜子さん!」

 

「・・・あぁ、秋か。どうした?」

 

 

俺の声に振り返った凜子さんは、なんか普段の三割増しでキリッとしてた。凡人がやったら滑稽なのだろうが、貴女がそんな顔したら普通に顔が良いのでやめてください。

 

ほら、周囲の登校中の男子生徒が熱い視線を向けて来る。

 

お願いだから、そんなイケない顔をするのは俺と二人っきりの時だけにしてほしい。・・・・・・いや違う。そんな事したら、俺がもう色々とノックアウトしてしまう。それはダメだ。

 

あ、でもこんなに良い顔が見れないのは嫌だな。達郎と同伴とかなら、見せてもらっても・・・・・・だから違う!

 

 

「その・・・賭けをしませんか?」

 

「・・・突然だな。学生の身でそのような事に手を出したくは無いのだが・・・別にそういう訳では無いのだろう?」

 

「はい。・・・えっと、ちょっとした勝負みたいなものです」

 

「ほう・・・このタイミングということはテストの点数で勝負か。しかし、私と秋の学年では教科も科目数も違うぞ?」

 

「その通りです。なので俺と凜子さんの直接対決ではなく、凜子さんの順位を予想するんです。その内容ですが・・・・・・」

 

 

勝負の内容は簡単。成績上位勢である凜子さんが学年一位を取れたら凜子さんの勝ち。取れなかったら俺の勝ち。ただそれだけ。勿論、忍法を使っての不正もOKとする。しかし、それは飽く迄もバレなかったらの話。

 

仮にバレて全成績をゼロにされたら、それは俺の勝ち。まぁ、性欲を抜きにしたら堅物な凜子さんがズルをするとも思えんが。

 

・・・本当は互いの順位で勝負したかったんだけど、俺ここ数日勉強してないからな。赤点を取る事は無いだろうが、流石に凜子さんに勝つには分が悪過ぎる。

 

 

「・・・・・・というモノです」

 

「ふむ。・・・まぁ、いいだろう。特におかしな点も無ければ、どちらかが損する内容でも無いからな」

 

「景品は、勝った方が負けた方になんでも1つだけ言うことを聞いてもらえる権利です。勿論、生死に関わるのはダメですが、それ以外ならなんでも大丈夫です」

 

「なんでも?」

 

「なんでも、です」

 

「ふむ、ふむふむ・・・むふふっ」

 

 

少しの思案顔のあと、なんか変な顔して俺の身体を舐めるように観察される。全く、そんな誘うような態度は本当にやめて欲しい。子宮(睾丸)が疼いてしまうじゃないですか。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・えっと」

 

「・・・・・・それだけか?」

 

 

そ、それだけ?それだけって・・・何が?なんか、凄い期待の眼差しで見られても困るんですけど。なんて答えればいいんですかね。

 

 

「え・・・あ、はい。それだけ、です。・・・・・・では・・・俺は、これで・・・」

 

「あぁ・・・」

 

 

どうして、そこでションボリするんですか。さっきまでのキリッとした凜子さんは何処へ行ったんですか。ギャップがヤバいので本当にやめて下さい。もう理性がゴリゴリ削られていくんですよ。

 

 

「・・・・・・はぁぁ」

 

 

駆け足でその場を去って、凜子さんが見えなくなった所で大きく溜め息を吐く。柄にもなく緊張してしまった。

 

おかしな態度は取っていなかっただろうか、ボロが出ていなかっただろうか。今まで気にした事がないようなことまで心配してしまい、余計に不安が募る。

 

 

「でも、これで・・・後は」

 

 

テストは今日から始まる。つまり1位ではなく、飽くまで高得点を狙う勉強をしていた凜子さんでは例え、日頃から順位が1桁台でも勝つ可能性は低い。

 

よって、この賭けは出来レースのようなもの。俺の成績は関係無いので赤点回避さえすれば、別にどうでもよい。

 

後は、成績が張り出された時に景品の権利を使用して、その日は午前中で終わるからお昼を一緒に食べて欲しい、と誘えばいい。なんやかんや言いつつ、あの人は凄い誠実だから、賭けを叛意にすることも無いだろう。

 

 

 

 

 

それから1週間後、張り出された順位の前にて。

 

 

 

秋山凛子 1位

 

 

「あっれぇぇ〜〜・・・?」

 

 

背後から感じる、全身を這いずる蛇のような視線を、必死に無視しながら俺は目の前の現実に首を傾げるのだった。

 




因みに達郎が言ってた、ゆきかぜが恋人居るのに他の男に発情云々に関しては、3話のクッキーで制裁してます。大好きな恋人に手作りクッキーを渡したかったわけではなく、ド変態なエロ猿を懲らしめたかった故の行動です。そんな怒りに我を忘れた達郎の流れ弾に合ったのが凛子さん、という裏話。


以下、水無瀬君NTRビデオ回避の功労者である達郎について
(ネタバレ注意)

【秋山(あきやま) 達郎(たつろう)】
名門秋山家の長男であり、斬鬼の対魔忍として名を馳せている秋山凜子(あきやま りんこ)の実の弟兼ゆきかぜの恋人。
そして、『対魔忍ユキカゼ』の主人公(笑)。
マジカルちんぽ持ちなのに恋人に「情けないチンポ」と罵られたり、対魔忍で「寝取られた人」と言えば、真っ先にこの男が浮かぶくらい、かなり不憫な主人公。続編である『対魔忍ユキカゼ2』にて、風遁使いだと判明するが、それまではふうまと同じく忍法に目覚めていなかった落ちこぼれ対魔忍。

今作でも変わらず落ちこぼれではあるものの、原作よりかなり聡明で頭の回転が早く、場の空気や人の感情に敏感になっている。しかし、それ故に臆病となっている節もある。
幼少期に信頼していた不知火おばさんが水無瀬君をレイプし掛けた現場を目撃しており、未遂に終わったものの、恐怖で動けなかった事をずっと悔いている。
以来、謝ろうにも嫌な記憶を思い出させて傷付けてしまうのではないか、と二の足を踏み続け、最終的に影からサポートする事を決意した。勿論、初体験どころかキスもまだだが知識だけは豊富であり、一人遊びも結構してる。実は、秋が凜子さんを慰めてた時、扉の前で耳を済ませながら自慰に耽ってた。


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