ヤンデレ成分も五等分になりませんか? (御米粒)
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1話 転生して一花とラブコメがしたい

以前から言っていた一花ヤンデレものです!


 人生2回目になる高校2年生の夏休み初日。

 俺は自宅で監禁されていた。

 

「ねえ、なんで五月ちゃんと一緒に食事してたのかな~?」

 

 俺を監禁した張本人であり、彼女でもある中野一花が冷酷な笑みを浮かべる。

 

「むぐぅ~!」

 

 俺は先ほどまで一花が身に着けていた下着を口に突っ込まれ喋れないでいる。

 さらに両手足に手錠をかけられ、四肢拘束もされていた。

 

「彼女の私が演技の勉強頑張ってる間に、真咲君は浮気してたわけだ」

 

 いつの間にか、俺に跨る一花の目からハイライトが消えている。

 

「酷いよ……。私はこんなに真咲くんのこと大好きなのに……」

「んぐっ!?」

 

 一花は上着を脱ぎ、豊満な乳房を俺の胸板に押し付けてくる。

 下着越しなのに、生々しい感触が俺を襲う。

 

「あはっ♡ 真咲君のあそこ大きくなってるよ。こんな状態にされてるのに興奮しちゃってるの?」

 

 一花のたわわに実ったおっぱいと性器を直に擦り付けられているから息子が反応しているだけだ。

 けっして俺がМなわけじゃない。

 どちらかというと一花の方がМだ。

 だから今までは俺が主導権を握っていたわけなんだけど……。

 

「真咲君って変態なんだね。私も人のこと言えないけどさ」

 

 なのに一花は俺が五月と浮気していると誤解して暴走している。

 

「とりあえず五月ちゃんもここに呼ぼうか。私の真咲くんに手を出したんだから……お仕置きしないといけないよねぇ?」

 

 転生してから約一年半。

 俺とただの友人である中野五月は命の危険にさらされようとしている。

 中野一花という二人にとって大切な存在の手によって。

 

 

☆☆☆

 

 

「ここはどこなんだ?」

 

 幼女を庇ってトラックに轢かれたと思ったら、いつの間にか壁一面真っ白な部屋にいた。

 

「初めまして、青梅(おうめ)真咲(まさき)さん」

「ひゃいっ!?」

 

 いきなり女性が現れた。

 しかもエッチなコスチュームをした絶世の美女だ。

 

「これはエッチなコスチュームではありません!」

「え……? なんでわかって……」

「それは私が神様だからです」

「か、神様……?」

「はい!」

 

 混乱する俺に神様と自称する美女は丁寧に説明してくれた。

 俺がトラックに轢かれて死んでしまったこと。

 俺が庇った幼女はかすり傷だけで済んだこと。

 幼女を救ったことにより、転生するチャンスが得られたこと。

 転生先は生前最後に見た創作物の世界であること。

 ちなみに俺が最後に見た創作物は五等分の花嫁だ。

 

「五等分の花嫁の世界か……。アニメしか見てないんだよな……」

 

 俺がトラックに轢かれたのは、五等分の花嫁のアニメを全話見終えて、原作を購入しようと本屋に向かう途中だった。

 

「どうしますか?」

 

 どうするかってそんなの決まっている。

 

「転生させてください」

 

 このままあの世にいってたまるか。

 中高と6年間バレーボール一筋で、一度も彼女ができたことはなかった。

 つまり享年=彼女いない歴である。

 

「確かに18年間彼女もおらず、童貞で死んでしまったのはやり切れないですよね」

「心を読まないでください!」

「でも安心してください。転生すれば童貞を捨てられるチャンスはあります!」

「それだけのために転生するわけじゃありませんからね!?」

 

 もちろんあわよくば童貞を捨てたい。

 そのためにも彼女を作らなければならない。

 相手はもう決めている。

 五等分の花嫁のヒロインで一番好きな中野一花だ。

 

「なるほど、長女狙いですか」

「そうですけど」

「私は三玖ちゃん推しです」

「そ、そうですか……」

 

 もしかして神様って同性愛者なんだろうか。

 

「違いますよ。私はイケメン好きですよ」

 

 もう心を読まれるのに慣れてしまった。

 

「特に義勇さんと金木くんが好きです」

「そこまで訊いてないです」

 

 鬼滅の刃と東京喰種か。

 もしその世界に転生したら、彼女ができないまま死んじゃいそうだな。

 最後に見たのが五等分の花嫁で本当によかった。

 

「それじゃ転生特典を与えますのでガチャを引いてください」

「なんか近代的ですね」

 

 神様からスマホを受け取ると、アプリが起動されており、すぐにガチャを回した。

 

「何ですかこれは!?」

 

 最初の特典は『下痢になりにくい』だった。

 

「転生特典にしてはしょぼくないですか!?」

「特典もいろいろありますので」

「一つ無駄にしてしまった……」

 

 溜息を吐きながら2回目のガチャを回す。

 特典は『深爪にならない』だった。

 

「青梅さんはクジ運がないですね」

「もうやだ……」

 

 泣きべそをかきながら最後のガチャを回す。

 

「これはっ……」

「すごいじゃないですか! 幻想殺し(イマジンブレイカー)ですよ!」

「やった――――――って五等分の花嫁の世界じゃ何の役にも立たないですよ!」

「私に言われましても」

「うぐっ」

 

 確かに神様に文句を言っても仕方ない。俺のガチャ運が悪かっただけだ。

 

「はぁ……。特典でイケメンになったり、ヒロインを攻略するのに使える力が貰えると思ったのに……」

「元気をだしてください。転生できるだけでもよかったじゃないですか」

「……確かにそうですね」

 

 決まったことに対してくよくよしていても仕方ない。

 俺が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない。

 これは某柱のありがたいお言葉だ。

 

「そうです! どんなに惨めでも恥ずかしくても生きてかなきゃならないんです!」

「別に自分のことを惨めだとは思ってないです!」

「8巻は私も号泣しました」

 

 きっと鬼滅の刃のことを言っているんだろう。

 俺も号泣したからわかる。

 

「それではそろそろ転生しましょう」

「もうですか?」

「はい。あと30分で鬼滅の刃のブルーレイが自宅に届くんです」

「知らんがな」

「それでは青梅真咲さん。いってらっしゃいませ」

「強引だな!」

 

 直後に、俺の身体が下半身から消え始めた。

 

「もういいや……。神様、いってきます」

「彼女の闇に気をつけてくださいね」

 

 神様が何か言っていたが、俺は聞き取ることが出来なかった。

 

 

☆☆☆

 

 

 目が覚めると俺はとある公園にいた。

 背中にはなぜか鞄を背負っている。

 

「神様がくれたのか?」

 

 鞄を開けると一冊のノートが入っていた。ノートにはこの世界での俺の家族構成、住所など生活するために必要なものが事細かに書かれていた。

 

「五等分の花嫁って愛知県が舞台だったのか」

 

 前世では都民だったが、この世界では愛知県民になってしまった。

 アニオタとしてTOKYO MXが映らないのは不安だが仕方ない。

 

「とりあえず自宅に向かうか」

 

 家族構成はオランダに長期出張中の父、父親についていった母、俺の3人家族だ。

 つまり俺は一人暮らしになる。なんとも都合がいい設定にしてくれた。

 

「らいはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ん?」

 

 ノートを見ながら公園を出ると、すぐに男の叫び声が聞こえた。

 顔をあげると目の前に横断歩道を歩いている幼女の姿が映った。

 その幼女に向かってトラックが突っ込もうとしている。 

 

「わああああああああああ!」

 

 俺は横断歩道に飛び出した。

 幼女が助かると思ったわけじゃない。

 身体が勝手に動いたのだ。

 この時の俺は無の境地だったと思う。

 気づいたら幼女を抱いていた。

 そして……

 

「ぎゃおすっ!?」

 

 左足に衝撃と激痛が走った。

 直後に、俺は意識を失った。

 

 転生して5分で俺は事故ってしまった。 

 

 俺が意識を取り戻したのは翌日だった。

 アスファルトに頭から落ちて打ち所が悪かったようで、意識不明だったようだ。

 トラックにぶつかった左足は骨折で、全治二ヶ月とのことだった。

 

「目覚めてよかった……」

 

 最初に見舞いに来たのは両親ではなく、この世界の主人公である上杉風太郎だった。

 なぜ上杉が俺の見舞いに来たかというと、俺が助けた幼女は上杉らいは―――主人公の妹だったのだ。

 上杉はリンゴとバナナを持参していた。

 俺は上杉の家庭が貧乏なのを知っているのでお断りしたが、上杉がかたくなに受け取り拒否を拒否したので、有り難く受け取ることにした。

 

「明日もまた来るからな」

 

 上杉は毎日見舞いに来るようになった。

 どうやら俺が、らいはの命の恩人であるため、異常なまでに恩義を感じているようだ。

 リハビリ以外やることがないため、俺は上杉から情報収集することにした。

 まず一番に驚いたのは時間軸が原作開始前であったことだ。俺と上杉は中学を卒業したばかりだった。

 一花たちが転入してくるのは高校2年の2学期なので、あと1年半近くもある。

 転生って原作開始の時期からスタートだと思ってたんだけど、神様がミスったのだろうか。

 こればかりは本当に神のみぞ知るだ。

 一花と接触できるまで時間があるのは残念だが、主人公である上杉と接点を持てたので、前向きに考えることにした。

 

 全治二ヶ月の俺が高校入学に間に合うわけもなく、登校できるようになったのは5月に入ってからだった。

 クラスのグループは当然出来上がっており、さらに放課後は補習ばかりだったため、俺は上杉とふたりぼっちになってしまった。

 恩義を感じてる上杉は俺をあらゆる面でサポートしてくれた。

 そのおかげで俺と上杉は短期間で親友と呼び合える間柄になった。

 らいは、上杉父とも交流を持つようになり、週に一回は、らいはの手料理をご馳走してもらえた。

 

 友達作り以外は順調に見える高校生活だったが、転生前よりトラブルに巻き込まれることが多くなった。

 外出すれば二回に一回は、美少女が不良に絡まれているのを目撃してしまう。トラブルを見過ごすことができない性格の俺はその都度美少女を助けた。おかげで生傷が絶えない。

 それ以外にも自転車やセグウェイに轢かれたり、学校でスプリンクラーが誤作動してびしょ濡れになったり、不幸な出来事が多い。

 これでシスターが空から降ってきたら完璧に上条さんである。

 おそらく転生特典である幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいだろう。

 これが不幸を招いているのだ。

 これなら転生特典なしの方がよかった。

 

 けれどそんな不幸体質のおかげだろうか。

 俺は思ったより早く中野一花と接触することができた。

 

 転生してから二度目の6月某日。

 俺はとらのあ〇に向かうため、電車に乗っていた。

 電車は休日なのに、先ほどまで運転見合わせしていたため、大変混雑していた。

 俺はうんざりしながら満員電車に耐えていた。ふと隣を見ると―――中野一花がそこにいた。

 

(嘘!? なんで一花が電車に乗ってるんだ!?)

 

 彼女たちは金持ちだ。移動には自家用車を使っているはず。

 なのに一花は電車移動をしている。

 

(そうか。撮影現場に向かうのか)

 

 一花は姉妹に芸能活動をしていることを黙っていた。

 運転手付きの自家用車で撮影現場や事務所に移動すれば、運転手経由で姉妹にばれてしまう可能性がある。

 だから一花は電車移動をしているのだろう。

 そう俺は結論付けた。

 

(しかしどうやって話しかけようか)

 

 彼女いない歴=享年の俺には、初対面の女子に話しかける勇気もスキルもなかった。

 まして相手は超絶美少女である一花だ。

 童貞力50万の俺が話しかけられるはずがない。

 ここは素直に上杉経由で接触するのを待った方がいいかもしれない。

 そう思った矢先、一花の顔色が悪いことに気づいた。

 

(電車で酔ったのか?)

 

 だが俺の予想はすぐに裏切られることになる。

 一花の顔色が悪くなっていた原因。

 それは――――痴漢だった。

 背後にいる青年が、一花のお尻をショートパンツ越しに撫でていた。

 一花はそれに必死に耐えていたのだ。

 恐怖で声を出せないでいるのだろう。

 

(このクソ野郎)

 

 すぐに痴漢を撃退しようと思った。

 だが一花が芸能人であることをすぐに思い出した。

 もしかしたら一花は大事にしたくないから、声を出さずに堪えているのかもしれない。

 俺はすぐにスマホでメモ帳のアプリを起動して文字を打った。

 

『痴漢に遭ってる?』

 

 彼女に見えるように、スマホを一花にかざす。

 すると一花は驚いたような顔つきで、俺に顔を向けた。 

 一花は涙ぐみながら、ゆっくりと頷いた。

 俺はすぐさま文字を打ち続けた。

 

『大事にしないほうがいい?』

 

 一花は再び頷いた。

 彼女が頷いたのを確認した俺は、強引に一花と場所を入れ替えた。

 満員電車なので乗客に睨まれたり、舌打ちされたが、「すみません」と謝りながら、一花を痴漢野郎から遠ざけることができた。

 痴漢野郎は俺の行動にぎょっと驚いていた。

 本当ならこのまま制裁を加えたいところだが、それは一花が望むことじゃない。

 

『もう大丈夫』

 

 スマホの画面を見た一花だったが、その身体は恐怖で震えたままだった。

 直後に、駅に着いたため、俺は一花の手を掴んで、強引に下車させた。

 ちょうどベンチが空いていたので、俺と一花はベンチに腰を下ろした。

 

「大丈夫?」

「あ……ありが……とう……」

 

 俺の問いかけに、声を震わせながらお礼を言う一花。

 それからは沈黙の時間が続いた。

 なんて慰めればいいのかわからない。

 

「えっと……本当ありがとうね。助かっちゃった」

 

 時間が経って落ち着いたようで、一花が苦笑いしながら言った。

 

「いいや。次からは女性専用車両に乗った方がいいと思う」

「そ、そうだねっ。そうするよっ」

「それじゃ俺はこれで」

 

 本当ならここで連絡先を交換したいところだが、弱みに付け込んでるようで好ましくない。

 ここは2学期の敵的な再開に期待しよう。

 

「あ、待って!」

 

 立ち上がろうとしたところ、一花に腕を掴まれた。

 

「え……?」

「あ、その……」

 

 なんだろう。もしかして怖いからまだ一人にしないで欲しいのだろうか。

 

「な、名前っ!」

「名前?」

「そうっ! 名前、教えてくれるかなっ?」

「……青梅真咲だけど」

「お、青梅くんだね。私の名前は中野一花」

 

 知ってる。名前じゃなくてスリーサイズも知ってる。

 

「あ、あのさっ」

「なに?」

「お、お礼がしたいから……その……連絡先交換しない……?」

「……いいよ」

 

 まさか一花から連絡先交換を求めてくるなんて。

 転生してから一年と二ヶ月。

 ようやく一花と連絡先の交換をすることができた。

 

「うん、登録オッケーだね」

 

 ライ〇の交換だけかと思ったら、電話番号とメールアドレスも交換した。

 

「今からバイトだから、夜になったら連絡するね」

「わかった。でも無理しなくていいから」

 

 時刻は午後2時。撮影かレッスンが何時までかわからないけど、夜遅いなら早く寝てほしい。

 

「ありがとう。青梅くんって優しいね」

「そ、そうか……?」

「うん。あ、電車来たから行くね」

「俺も普通の車両で行くよ。またな」

「うん、またね」

 

 一花が女性専用車両に乗るのを見届けてから、俺も乗車した。

 

 夜になると一花からライ〇が届いた。

 ライ〇には感謝の言葉と、お礼がしたいからと食事のお誘いが書いてあった。

 もちろんすぐに了承のライ〇を送った。

 二人で日程を合わせて、来週の土曜に一緒に出掛けることになった。

 俺は歓喜のあまり、すぐに親友に報告したが、恋愛反対派の上杉に「時間の無駄だ」と切り捨てられた。

 親友の冷たい仕打ちを受けた俺だったが、心はぴょんぴょんしたままだった。




次回はセックスまでもっていきたい!


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2話 一花は心配性

徐々に闇を見せる一花です!


 一週間後に一花とデートをすることになった俺は自分磨きに専念することにした。

 まず美容院で二ヶ月ぶりに髪を切った。いつもの美容師さんに事情を伝え、俺に合うお洒落な髪形にしてもらった。

 その美容師さんの御勧めで、シャンプー、コンディショナー、トリートメントを購入した。転生前からリンスのいらないメリッ〇一筋だったが、これを機にステップアップすることにした。

 美容室の帰りに服屋によって、デートに着ていく服を購入した。

 俺はファッションセンスがないので、上杉父の勧めでマネキン買いをすることにした。

 店員さんに「マネキンはいりません」と言ったら爆笑された。なんで笑われたのかいまだにわからない。

 

 デートの三日前。上杉と一緒に帰ってたら、美少女がおっさんに襲われてたので助けようとしたらナイフで切り付けられた。

 右腕に3針縫う怪我を負ったが、美少女は無傷だった。

 おっさんは美少女のストーカーだったようで、警察に連行されていった。

 

 デートの二日前。学校の階段を踏み外した美少女に巻き込まれて転げ落ちてしまった。

 右肩を脱臼しただけで、幸い大事には至らなかった。

 病院には上杉が付き添ってくれた。いつも申し訳ないと思う。

 

 デートの前日。俺はトラブルに巻き込まれないよう学校を休んで、部屋に引きこもっていた。

 夕方になり、トラブルもなく一日を終えると思ったら、隣の部屋の女子大生が部屋に駆け込んできた。

 彼氏に暴力を受けて怖くなったようだ。

 幸い彼氏は喧嘩が弱かったので、無傷で相手をノックアウトできた。

 女子大生には彼氏と別れるようアドバイスをした。

 

 そしてデート当日。

 

「おっはー」

「おはようさん」

 

 待ち合わせ場所に二時間ほど待っていると一花がやって来た。

 俺が二時間待ったのは、一花が遅刻したわけではなく、俺が早く来すぎただけだ。

 

「今日も暑いね」

「そうだな」

 

 一花は水色を基調としたリーフ柄のチュニックに、黒色のショートパンツを穿いて、美脚を惜しげもなくさらしている。

 

「ありがとうございます」

「なんでお礼言ってるの!?」

 

 やっぱり女の子は生足が一番だ。

 一時期は黒のパンストに浮気をしていたが、生足が至高だ。一花が再認識させてくれた。

 

「青梅くんって面白いよね」

「そうか?」

「うん。それじゃいこっか」

「ああ」

 

 時刻は午前10時。今日は映画鑑賞してから、高校生に人気のお店でランチの予定だ。

 

「映画は見るの決まってるのか?」

「特に決めてないよ。青梅くんは見たいのある?」

 

 あるけどアニメだから引かれそう。

 

「特に。面白ければなんでもいいぞ」

「そっか。それじゃ映画館に着いてから決めようか」

「そうだな」

 

 一花は女優だから実写映画の方がいいだろう。

 映画館に着いたら、それとなく実写映画を勧めてみよう。

 

 映画館までは徒歩で10分かかる。俺たちは雑談しながら向かった。

 

「え? あのストーカーを撃退したのって青梅くんだったの?」

「そうだけど。事件のこと知ってたのか?」

「うん。ネットニュースになってたよ」

「そうだったのか」

「相手はナイフ持ってたんでしょ。怖くなかった?」

「うーん……慣れた」

「どういうこと!?」

 

 転生してから一年以上いろんなトラブルに巻き込まれてるので、感覚が麻痺してるのかもしれない。

 一花と付き合えたらもう少し落ち着いた生活をしよう。

 俺は密かに心に決めた。

 

 一花が選んだ映画は、名探偵コナ〇だった。

 彼女が国民的な作品とは言え、アニメを選んだのは意外だ。

 毎年映画を見ている俺にとっては有り難かった。

 この後にランチを予定しているため、俺たちはポップコーンは購入せず、映画に集中した。

 俺は早起きしたせいで、途中で眠りそうになったが、手の甲を抓って、何とか乗り越えた。

 

 ランチは一花が行きつけのハンバーグレストランだった。

 俺は大好物のチーズハンバーグを注文したが、あまりの美味しさに、おはだけしそうになってしまう。

 

「美味しい?」

「美味しい!」

「よかった。青梅くんハンバーグが好きって言ってたから、このお店なら気に入ってくれると思ったんだよねー」

「気に入った。毎日足を運んでもいいくらい」

「あはは、さすがにそれは行きすぎだってー」

「中野さんはどのくらいのペースで来てるんだ?」

「うーん、ひと月に二回くらいかな?」

「けっこう来てるんだな」

「まぁね。よかったらまた二人で来る?」

「……いいのか?」

「もちろん!」

 

 やった。また一花とデートができるぞ。

 今回は映画もランチも一花の奢りだけど、次回は俺が奢ろう。

 次回も奢ってもらったら、俺がヒモみたいになってしまう。

 

 

☆☆☆

 

 

「今日は付き合ってくれてありがとう」

「こちらこそ。いろいろ奢ってもらってごめん」

 

 ランチを終えた俺たちは駅前に移動していた。

 まだ13時半だが、一花が14時半からバイトがあるとのことで、ここでお別れだ。

 

「謝らなくていいから。今日はお礼を兼ねてるんだからね」

「そっか。なら謝らない」

「うん!」

「それより電車大丈夫か?」

 

 一花は先週、電車で痴漢に遭っている。

 そのおかげで出会えたわけだけど、あの時の一花の悲壮な顔は忘れられない。

 

「大丈夫だよ。あれから女性専用車両にしか乗ってないからねー」

「ならいいけど」

「ふーん、そんなに私のことが心配?」

 

 にやけ顔で一花がからかってきた。

 

「心配だけど」

「っ……」

 

 心配に決まってるだろ。いずれ俺の彼女になるんだから。ほかの男に触られてたまるか。

 でも原作通りに上杉に惚れちゃったらどうしよう。俺が上杉に勝てるとしたら運動神経と喧嘩くらいしかない……。

 

「も、もう……青梅くんは心配性だなー……」

「そりゃ中野さんは可愛いから。心配にするに決まってる」

「か、からかわないでよっ!」

 

 顔を真っ赤にしながら肩を殴ってくる一花。

 ふだん頑張ってお姉さんをしている一花とは大違いだ。

 

 一花は顔を赤くしたまま去っていった。

 大人な一花も可愛いが、子供っぽい一花も可愛い。

 

「青梅、こんなとこでなにしてんだ?」

 

 余韻に浸ってると上杉が声をかけてきた。

 

「美少女とデートしてた」

「時間の無駄だな」

「うるさい! お前もいずれ美少女とデートすることになるんだ!」

「それはありえねえよ」

「それがありえるんだな。恋だっていずれするかもよ」

「ぜったいない。あんなの学業から最もかけ離れた愚かな行為だ」

 

 まだ人間強度が強い上杉君だった。

 

「上杉」

「なんだ?」

「イノシシが直線的に突進するように、目標物に対してがむしゃらに進むこと。 また向こう見ずに猛烈ないきおいで突き進むこと。この四字熟語は?」

「猪突猛進!」

「正解。それじゃ帰るわ」

「またな」

 

 上杉の猪突猛進を聞けて満足した俺は帰路に就く。

 帰りは右足が排水溝にはまっただけで、大したトラブルもなく帰宅することができた。

 もしかしたら一花は俺をトラブルから回避してくれる女神かもしれない。

 

 夕食後。そんな女神の一花から電話があった。

 バイト(撮影)で失敗したようで、俺の声を聴いて元気を貰いたかったらしい。

 

『ごめんね、こんなくだらないことで電話しちゃって……』

「俺は中野さんと電話ができて嬉しいけど」

『ほんと?』

「本当」

『……それじゃまた電話してもいいかな?』

「もちろん。毎晩してもいいくらい」

 

 家にいてもアニメ、漫画を見るしかやることないからな。

 

『ありがとう。それじゃ毎晩電話するね』

「あいよ」

『青梅くんって不思議だよね。同い年なのに、たまに年上に見えるときあるし』

 

 精神年齢は18歳だからな。一花より二学年上である。

 

「俺って大人っぽいから」

『うーん、でも年下に見えるときもあるんだよねー』

「おい」

『だから不思議な人って思えるんだろうね』

 

 くすくす笑い声が電話越しに聞こえる。

 どうやら元気は取り戻したようだ。

 

『あ、もうこんな時間。そろそろ切るねっ』

 

 気づくと二時間以上電話をしていた。

 

「わかった。おやすみ」

『おやすみ。また明日ね』

「また明日」

 

 それから一花からの電話は宣言通り毎晩来るようになった。

 通話時間も徐々に伸びた。二時間から二時間半、三時間と一花と長電話するのが日課になっている。

 また俺が風呂やトイレで電話に出ないと、ライ〇で連絡が来るようになった。

 

『電話に出なかったけど、どうしたの?』

『大丈夫?』

『トラブルに巻き込まれてるの? 心配だよ』

『他の人と電話したりしてる?』

『なんで出てくれないの?』

『早く青梅くんの声が聴きたいよ』

 

 このように電話に出ないと一花が心配するので、俺はトイレや風呂にもスマホを持ち込むようにした。

 そのおかげで、一花からの電話に出れない回数は格段と減り、比例してライ〇も減った。

 

 この時の俺は一花が心配性な性格をしているだけだと思っていた。

 

 

☆☆☆

 

 

「青梅くん、もう帰るの?」

 

 6月下旬。授業が終わり帰宅しようとしたところ、クラスメイトの女子に話しかけられた。

 

「そうだけど」

「そっか。あ、あのね……」

「なんだ?」

「えっと、この前助けてもらったお礼がしたいんだけど……」

「お礼?」

「うん。駅前でナンパされてるの助けてくれたでしょ」

 

 思い出した。昨日、駅前でたちのわるい男にナンパされてた女の子だ。

 

「だからお礼がしたくて」

「別にお礼なんてしなくていいぞ」

 

 いちいちお礼されていたら、一週間の半分はお礼だけで予定が埋まってしまう。

 

「でも……」

 

 俺の答えに納得しない女子。

 

「それじゃ今度ジュース奢ってくれ」

「それだけでいいの?」

「うん」

 

 何かしらお礼させないとしつこそうだったので、飲み物を奢ってもらうことで納得してもらおう。

 

「……わかった。よかったら校門まで一緒に帰らない?」

「いいけど」

 

 こうして女子と校門まで下校することになった。外に出ると校門が大勢の生徒で賑わっていた。近くにいた生徒たちの会話を聴いたところ、別の高校の美少女が誰かと待ち合わせしているらしい。

 

「あ、やっと来た。青梅くーん!」

「中野さん!?」

 

 騒ぎの原因は一花だった。

 一花は俺を見つけると、満面の笑みで駆け寄ってくる。

 そんな一花の笑みに周りにいる男子たちは見惚れ、女子たちは黄色い声援をあげた。

 

「なんでここに?」

「会いにきちゃった」

「来ちゃったって……」

 

 来るなら前もって言ってほしい。

 一花と会うとは思わなかったので、寝癖のまま学校に来てしまった。

 

「それより、隣の子だれ?」

 

 一花がクラスメイトの女子を一瞥する。

 

「クラスメイトだけど」

「ふーん」

「え、えっと……」

 

 一花に見つめられ困惑するクラスメイト。

 美少女同士が見つめ合い、目の保養になる。

 

「私は中野一花。よろしくね」

「あ、はい……」

「それじゃいこっか」

「え?」

「ほらいくよっ」

 

 一花は俺の手を握り、駆けだした。

 校門の前で他校の女子にこんなことされたら目立ってしまう。

 明日はクラスメイトたちから尋問されるかもしれない。

 

「ここまで来れば大丈夫かな」

 

 1分ほど走り続けて、ようやく立ち止まった。

 ふだん運動をしていないのか、一花の息が乱れて、エロく感じてしまう。

 

「急にどうしたんだ?」

「青梅くんに会いにきたんだよ」

「来るなら連絡してくれればいいのに」

「青梅くんを驚かせたかったから。びっくりした?」

「そりゃびっくりしたけど」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべて、俺の顔を覗き込む一花。

 

「それと私の制服姿どう?」

 

 一花も学校帰りのようで、お嬢様学校である黒薔薇女子の制服を着ている。

 初めて見る一花の制服姿に、俺の瞳は釘付けだった。

 

「いい!」

「やったっ」

「それよりどこか遊びに行くのか?」

「そのつもりなんだけど、用事あったりする?」

「16時に宅急便が届く予定なんだ」

 

 待ちに待ったハイキューのブルーレイボックスが届くのだ。

 両親がクレジットカードを使わせてくれて感謝感激である。

 

「そうなんだ。……ねえ、今から青梅くんのお家にお邪魔してもいいかな?」

「え……?」

「駄目かな?」

 

 瞳を潤わせ、上目遣いで見つめてくる。

 

「駄目じゃないです」

「ほんと? ありがとうっ」

 

 美少女の上目遣いは卑怯だ。

 こんなの断れるわけないじゃん。

 

 

☆☆☆

 

 

「ここが青梅くんのお家かー」

 

 生まれて初めて女子を家に上げてしまった。

 

「けっこう広いね」

「もともと家族3人で住んでたからな」

 

 一軒家で間取りは4LDK。広いのはいいんだけど、掃除するのが大変だ。

 

「ご両親は海外なんだっけ?」

「そう。オランダに長期出張中」

「それじゃずっと一人ってこと?」

「だな」

 

 広い家に一人暮らしも慣れてしまった。

 一人はいい。親の目を気にしなくていいし、何をしても怒られない。

 去年の夏に心霊番組を見た後だけ、怖くて上杉に泊まりに来てもらったけど。

 

「中野さんは兄妹と五人暮らしだっけ?」

「うん」

 

 一花には五つ子であることを告げられている。

 もし付き合えたら紹介してくれるだろうか。

 もし紹介してくれたら、上杉がスムーズに家庭教師になれるようサポートしてやろう。

 

「麦茶でいいか?」

「なんでもいいよー」

 

 一花をソファに座らせ、冷蔵庫から麦茶を取り出す。

 6月下旬だが25度を超える日が続いており、冷たい飲み物は欠かせない。

 

 俺と一花はリビングで他愛もない話を延々と続け、気づけば18時を過ぎていた。

 

「もうこんな時間か」

「うそ? いつのまに?」

「夕食どうする?」

「青梅くんはどうするの?」

「今から作るの面倒だから、出前でもとろうかと思ってる。よかったら食べてくか?」

「えー、さすがにそれは悪いよ」

「たまには俺に奢らせてもいいんじゃないか」

「……いいの?」

「もちろん」

「それじゃお言葉に甘えちゃおうかな」

「中華でいい?」

「いいよー」

 

 一花の了承を得た俺はいつもお世話になっているお店に出前を頼んだ。

 

「20分くらいで届くと思う」

「けっこう早いんだね」

「お店が近いからな」

「そうなんだ。……ねえ、一つ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「一緒にいた女の子って……なんでもないんだよね?」

「っ……」

 

 いつもより低いトーンで問う一花。

 表情は変わらないのに、威圧感を感じる。

 

「どうなの?」

「た、ただのクラスメイトだ……」

「ほんと?」

「ああ。ただ……」

「ただ?」

「昨日駅前でナンパされているのを助けた。けどそれだけだ」

「……そっか、そうなんだ」

 

 何だろう。

 こんなに可愛いのに、一花が怖いと感じてしまう。

 俺は話題を変えるため、勇気を振り絞って切り出した。

 

「そ、それよりっ……」

「なに?」

「今日は珍しくトラブルに巻き込まれないで帰宅できたんだ」

「あー、青梅くんはトラブルに巻き込まれやすい体質だもんね」

「そうなんだよ! もしかしたら中野さんと一緒だったからかもしれない」

「私と?」

「そう。中野さんと遊んだ日はトラブルに巻き込まれないんだ」

 

 唯一トラブルに遭ったのが初めてのデートの帰りに排水溝に足を突っ込んだくらいだ。

 

「だから中野さんと一緒にいたら、俺も平和に暮らせるかもな」

 

 冗談交じりに笑う俺。

 これで一花がもとに戻ってくれたらいいんだが……。

 

「……いいよ」

「え……?」

「ずっと一緒にいてあげる」

「中野さん……?」

「一緒にいよう?」

 

 一花はソファから立ち上がり、座布団に座る俺に跨ってきた。

 

「それってつまり……?」

「私、青梅くんのことが好きだよ。だから付き合おう」

 

 あまりに不意打ちすぎる。

 俺は一花の突然の告白に、思考も身体もフリーズしてしまった。

 

「青梅くんも私のこと好きだよね?」

 

 首を傾げながら俺の顔を覗き込んでくる。

 

「す、好きです……」

「本当に?」

「本当だ」

 

 転生前からずっと好きだった。

 だから転生後もいろんな女の子にフラグを立てても、立てっぱなしにしてきたのだ。

 

「嬉しいっ」

 

 一花がぎゅっと抱きしめてきた。

 

「な、中野さん……?」

「一花でいいよ。真咲くんも抱きしめてくれる?」

「あ、はい……」

 

 言われるがまま、一花を抱きしめた。

 温かくて、柔らかくて、いい匂いがする。

 マシュマロのような、ぬいぐるみのような、何とも言い難い感触に感動する。

 

「これで私たち恋人同士だね」

「そ、そうだな……」

 

 まさかこんなに早く一花を恋人になれるなんて。

 原作開始前で目標を果たしてしまった。

 

 しばらく一花と抱きあってると、テーブルに置いてあるスマホの着信が鳴った。

 応答するためスマホを取ろうとしたところ、一花に腕をがしっと掴まれた。

 

「だめ。今は私だけ見て」

「……わかった」

 

 そうだな。今のは抱きあってるのに、電話に出ようとした俺が悪かったな。

 もう少し女の子の気持ちを考えなくてはいけない。

 

 それから10分ほどして出前が届いた。

 夕食を食べ終えた俺たちは一緒に食器を洗い、リビングでくつろいだ。

 雑談中も一花はスマホを触らせてくれなかった。

 どうやら恋人と一緒にいるときにスマホを触るのはマナー違反のようだ。

 

「もう21時だけど……そろそろ帰るか?」

 

 父親とは別居しているから門限はなさそうだが、あまりに遅いと姉妹たちが心配するだろう。

 

「ううん、今日は帰らないよ」

「え……?」

「泊まってもいいかな?」

 

 いきなりお泊りイベントが来てしまった。

 この流れだと一花とR-18な展開が待っている。

 けれど初日から彼女に手を出してもいいのだろうか。

 もしかしたら一花は俺を試しているのかもしれない。

 初日から手を出す性欲全開の猿野郎か、彼女を大事にする紳士か。

 

「付き合って初日からお泊りはやめた方がいいんじゃないか?」

 

 俺は理性を働かせ、紳士であることを選んだ。

 これで一花も自分は大切にされていると実感してくれるだろう。

 

「……え? なんで? 私、彼女だよね? なんで泊まっちゃ駄目なの?」

「あ、あれ……? 一花さん……?」

「私が泊まったら困るの? そんなことないよね?」

「あ、ありません……」

 

 おかしい。シュタインズ・ゲートの選択を間違えてしまったようだ。

 

「だよねー。もう冗談きついよ」

 

 一花って思ったより肉食なんだな。

 アニメだとここまで積極的な描写がなかったので、わからなかった。

 

「それとも私を困らせたかったのかな?」

「そ、そうかも……」

「もう、真咲くんって意地悪だね」

 

 一花は白い歯をこぼし、人差し指で俺の頬にグリグリしてくる。

 

「あんま意地悪すると、さすがの私でも怒るからね?」

「き、気をつける……」

「うんっ」

「そ、それよりお風呂どうする?」

「真咲くんから入っていいよ」

「いいのか?」

「もちろん。だってここ真咲くんのお家だし」

「そっか」

 

 この日のお風呂はいつもより入念に身体を洗った。

 ボディタオルで擦り過ぎて炎症を起こしてしまうほどに。

 

 風呂から上がると一花はバラエティを見ていた。

 

「一花、風呂空いたからどうぞ」

「うん。それじゃ頂くね」

「タオルは脱衣所に置いてあるから」

「ありがとう」

 

 一花がいなくなったのを確認し、俺は3時間ぶりにスマホを操作した。

 風呂に入る前に置いてあった位置と違うようだが気のせいあろう。

 

 先ほどの着信は上杉からだった。

 折り返すと、らいはが俺と喋りたかったようで、らいはに変わってもらい、一花がお風呂から上がるまで話し続けた。

 

「ふぅ、すっきりした」

 

髪が若干濡れており、色っぽい。

 

「湯加減大丈夫だったか?」

「うん。……それより―――――――さっき誰と話してたのかな?」




今回もセックスシーンまでいけませんでした!
次回は間違いないです!


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3話 一花にDTを捧げる

やっとエッチシーンまでもっていけました!


「真咲くん、誰と話してたの?」

 

 風呂上がりの一花がいきなり詰め寄ってきた。

 少しだけたじろいでしまうが、やましいことはしていないので、俺は素直に答えることにする。

 

「らいはだよ」

「らいはって上杉くんの妹の?」

「そう」

「……そっか、楽しそうに話してたから誰かと思ったよー」

 

 一花にはよく上杉のことを話しており、らいはや父親とも交流があることを知っている。

 

「唯一の友人の妹だからな。仲良くしないと」

「そうだね。真咲くんは友達少ないもんね」

「彼女なら少しはフォローしてくれよ」

 

 そんな心配性の一花だが、恰好が凄いことになっている。

 

「俺が用意した短パンは?」

「着てないよ」

 

 一花は俺のTシャツ一枚しか着ていない。

 

「なんで?」

「前に言わなかったっけ? 寝るときショーツしか穿かないから」

「そのショーツは穿いてるの?」

「穿いてないよ。替えのショーツ持ってきてないし」

 

 つまり一花は下に何に穿いてないことになる。

 上半身もよく見ると、ブラを着けてないようで、乳首がくっきりと浮き出てしまっている。

 

「コンビニで買ってこようか?」

「大丈夫。今日の洗濯してるから、明日の朝まで乾くでしょ」

 

 乾燥機能がある洗濯機なので確かに乾くけど……。

 

「それに男の子ってこういうのが好きなんだよね?」

 

 妖艶な笑みを浮かべ、一花が抱きついてきた。

 男の夢が詰まった二つの果実が胸板に押し付けられる。

 

「……好きです」

「知ってる。真咲くん、私のおっぱいよく見てたもんね」

「ば、ばれてたのか……」

「女の子ってエッチな視線に敏感なんだよ?」

 

 うろ覚えだけどバストは90近くあったはずだ。そんな巨乳をガン見しない男なんて上杉くらいだろう。

 

「ねえ、真咲くんの部屋に行こっか?」

「俺の部屋に?」

「うん。それともここでする?」

 

 一花が耳元で呟く。

 まるで悪魔のような囁きに心が乱れる。

 

「……部屋に行こう」

「わかった」

 

 腕に抱き着かれながら自室に移動する。

 これから俺は童貞を捨てることになる。

 相手は転生前から好きだった中野一花。

 極度の緊張と興奮で、心臓が破裂しそうになる。

 

「ここが真咲くんの部屋かー」

 

 心臓をバクバクさせながら部屋に着いた俺は一花と並んでベッドに腰を下ろす。

 一花は物珍しそうに、俺の部屋を見渡している。

 

「男の子の部屋に入るの初めてなんだよね」

「そうなのか?」

「うん。やっぱり漫画が多いね」

「まぁな」

 

 趣味がアニメと漫画なので、必然と漫画が多くなる。

 一花に趣味を打ち明けた時は引かれるかと思ったが、好感度がカンストしていたようで、引かれるどころかおすすめの漫画などを訊かれた。

 

「またおすすめの貸してね」

「もちろん」

「ありがとう。……それじゃしよっか?」

「……いいのか?」

「いいよ。私は真咲くんの彼女だから――――好きにしていいんだよ?」

 

 一花はそう囁くと、ゆったりこちらに身体をもたせかけてきた。

 ここまでお膳立てをされて、手を出さないのは男じゃない。

 俺は覚悟を決めると、一花の前髪を撫でながら、無防備に差し出された唇にキスをした。

 ふんわりと柔らかい感触が、一瞬だけ唇に伝わる。

 

「ふふ、キスしちゃったね」

「あ、ああ……」

「もっとしよ?」

 

 再び一花の唇を奪った。

 

「……んっ、あっ……」

 

 今度は唇を離さず、くっつけた口の中に舌を入れる。

 

「ふぁっ、あっ、んっ……」

 

 あたたかい吐息と、ぬめっとした舌の感触が全身に伝わってくる。

 頭が蕩けそうになっていると、一花からも舌を絡めてきた。

 

「ん、ちゅっ、れろっ……」

 

 積極的に迎えにきて、絡められる舌。

 

「んっ、ちゅっ、んはぁっ……ぢゅるっ……」

 

 本能が求めるまま貪るようなキスをして、それからすっと顔を離した。

 

「はぁっ、ふぁっ、あっ……」

 

 一花の頬はすっかり紅潮していた。

 俺はたまらず豊満な乳房に手を置いて、まさぐるように愛撫する。

 

「ぁ、んっ……」

 

 衣服越しでもその柔らかさは手にしっかりと伝わってきた。

 

「一花のおっぱい、すごい柔らかい」

「んっ、あっ……よかったぁ。もっと触っていいからね……」

 

 指が沈み込む柔らかな感触がたまらない。

 ひたすらに揉み心地に魅了され、夢中になって手を動かす。

 

「あっ、あんっ、んぁっ……」

 

 一花の甘い嬌声が理性を徐々に崩壊させていく。

 

「ね、キス……しよ?」

 

 一花の甘いおねだりに、俺は返事をせずそのまま唇を塞いだ。

 

「あむっ……んちゅ……んはぁっ……」

 

 口内に舌を侵入させると、一花も必死に吸い付いてくる。

 息をするのも、もどかしくて苦しくなり、息継ぎのために唇を離した瞬間、一花が囁いた。

 

「ね、もっと……直接触ってほしいな……?」

「わ、わかった……」

 

 一花が唯一身に着けているシャツを脱がす。

 すると白い肌が露わになった。

 生まれて初めて見る女子の裸は、とても美しかった。

 

「なんだか私だけこんな姿で、恥ずかしいよ……」

「俺もそのうち脱ぐから」

 

 脱ぐ時間も勿体ない。

 

「あっ、んっ、はぁんっ!?」

 

 手のひらに吸い付く生のおっぱいに眩暈がしそうになる。

 

「んっ、あっ……ああんっ……」

「やっぱり生は全然違うな……。ずっとこうして揉んでいたいくらいだ……」

「あっ、あんっ……そう言ってもらえるのは嬉しんだけど、ほかの場所も弄ってほしいな……んはぁっ……」

「それじゃ」

「ひゃんっ!?」

 

 首筋にねっとりと吸い付いた。

 

「一花の喘ぎ声、可愛いな」

「やん、だってぇ……そんないきなり吸われたらぁ……」

 

 舌を這わせると、一花がビクンと身体を震わせた。

 

「やっ、んんっ……真咲くん、くすぐったいよぉ……」

「悪い。それじゃここは?」

 

 おっぱいを揉んでいる手の位置をずらし、勃起している乳首に触れた。

 

「あっ、ひゃん……そこ……乳首、は……」

「一花の乳首、すごい硬くなってる」

「う、うん……。だって、それだけ……興奮してるから……」

 

 指の腹で転がすように撫でる。

 

「はぁぁっ、あっ……んっ……」

 

 一花は甘い吐息を漏らし、声をあげる。

 

「気持ちいい?」

「き、気持ちいいよ……。ねえ、私も触っていいかな……?」

「どこを?」

「ここ」

 

 一花が俺の股間に手を置き、勃起したあそこを擦ってくる。

 

「はぁっ……凄いね。パンパンになってる……」

「そりゃ一花とこんなことしてたらなるだろ」

「うん……。あ、あのさ……」

「なに?」

「わ、私の……あそこも……そろそろ……ね……?」

「……わかった」

 

 割れ目の中に指を埋めてゆく。

 

「んっ、あっ……はぁぁ……」

 

 触れたのは指の先っぽだけだが、それでも十分に濡れているのがわかった。

 

「一花、すごい濡れてる」

「や、やだぁっ……恥ずかしいよ……」

 

 愛液が付着した指を見せつけると、一花はあまりの恥ずかしさに目を背けてしまう。

 これだけ濡れていれば大丈夫だろう。

 そう判断した俺はおもむろにズボンをトランクスと一緒に脱いだ。

 

「っ……!」

 

 現れた勃起ペニスに一花が息をのむ。

 

「もう挿入()れたいんだけど……」

「うん、いいよ……。こっちいつでも……オッケーだから」

 

 一花の了承を得た俺は、彼女を仰向けに横たえさせる。

 俺は膝を立てた姿勢で近づいて一花の足を広げた。

 ゴムを装着した肉棒を一花の濡れそぼった割れ目にそっと宛がう。

 

「んっ、あっ……あっ……!」

 

 俺は肉棒を手を添えて、腰を前の方にゆっくりと押し出す。

 

「痛くて止めてほしかったら言ってくれよ」

「う、うん……。でもたぶん、それはないかな……だって途中で止めてほしくないから……」

 

 痛みからか眉を顰めたまま一花が笑った。

 

「でもなるべく優しくしてね?」

「わかった」

「ありがとう」

 

 一花は微笑み、少しだけ身体の力を抜く。

 俺は一花の呼吸に合わせて、じりじりと肉棒をねじ込んでいく。

 

「んっ、あぐっ、あっ……、すごい、奥のほう、入ってきてっ……!」

「きつっ……!」

「んあっ、ああっ、あぎぃっ……!」

 

 やがてペニスはすっぽり彼女の膣内にすべて呑み込まれた。

 結合部からは純潔の証である赤い液体が見えている。

 

「んぁっ、あぁっ……はいっ、入っちゃったぁ……」

 

 一花の息遣いはとても苦しそうだった。

 やっぱり処女膜が破れるのって相当痛いんだろうか。

 

「ど、どうかな……? 私の膣内……」

「え、あ……そりゃもちろん……気持ちいいぞ」

「ほんと? 嬉しい……」

「とりあえずこのままでいる?」

「ちょっとずつなら、動いてもいいよ……?」

「いや、それはさすがに……」

「だって、真咲くんにもっと気持ちよくなってもらいたいし……私もそう、なりたい……」

 

 その一言が決め手となり、俺はゆっくりと腰を引き、ゆっくりと抽送を開始した。

 

「あぁっ、んっ……、くぅっ、んぁっ……」

「うお、やばい……。一花の膣内、最高に気持ちいいっ……!」

 

 動くたび、幾層もの柔らかな襞が肉棒をぎゅっと締め付ける。

 つい声を上げて快楽に浸りそうになるが、一花はまだそんな余裕はなさそうだ。

 

「んっ、あっ……あぁんっ、ひぃぁっ……!」

「大丈夫か?」

「ん、大丈夫っ……。だから、続けて……んくっ、んはぁっ……」

「……わかった」

 

 正直、このままだとすぐに射精()してしまいそうだ。

 俺はイきそうになったらスピードを緩めて、波が引いたら元のリズムに戻すことにした。

 

「あんっ、あっ、あっ、んぁっ、あぁぁっ……!」

 

 抽送を繰り返していると、徐々に一花の声に艶めいたものが混じりだした。

 

「一花、気持ちよさそうだな」

「き、気持ちいいよ……。真咲くん、もっと激しくしても、いいよ……?」

「っ……」

「もっと激しくして……もっと気持ちよくなろ……?」

 

 一花の蠱惑的な笑みに(いざな)われ、俺は衝動の赴くままに腰を動かし、一定のリズムで容赦なく、腰を打ち込んでいく。

 

「あっ、ああぁぁんっ、凄いっ! 激しいよぉっ! ひぃぁぁっ!」

 

 腰を動かすたび、ぎゅっと締め付けてくる一花の膣内。

 ぐっと下半身に力を入れて堪えていた射精感を、むしろ追い詰めるみたいに柔肉へと気持ちいいところを擦りつけていく。

 

「あ、あぁぁっ! なかのほうで、凄い擦れてっ! 頭、おかしく……なりそうっ……! ひぁぁぁぁぁ!」

「くっ、やばっ……」

 

 今まで我慢していたものが、放出しろと訴えてくる。

 

「う、うんっ……きてぇっ! 真咲くん、出してぇっ……!」

射精()るっ……!」

「イクっ! イっちゃう! んぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 一花の激しい嬌声を聴きながら、俺は昂ぶる衝動のまま精液を放出した。

 

「あっ、んっ……、出てる……ゴム越しでもわかるよ……。真咲くんの熱いのが、たくさん……」

「熱いのわかるんだ?」

「うん、わかるよ……。だって、私で気持ちよくなってくれた証だもん……」

 

 一花はそう言うと、俺の首に手を回してきた。

 

「ね、キスしよ? もっと真咲くんを感じていたいな」

「ああ」

 

 下半身を繋げたまま、俺たちは唇を貪り合った。

 

 こうして初めてのエッチはぎこちないながらも無事に終えることができた。

 転生してから一年と三ヶ月。

 憧れだった中野一花と恋人になれたどころか、エッチまでしてしまった。

 なんだか夢の中での出来事のようだ。

 

 だがこれは現実だ。

 

 俺は五等分の花嫁の世界に転生して、中野一花の彼氏になったのだ。

 上杉に多少の罪悪感を抱きながらも、俺は幸福感に包まれていた。

 この幸福感を失わぬよう、俺は一花をぎゅっと抱きしめた。




これから一花のヤンデレが加速してきますがスクイズや未来日記のヒロインよりは病まないのでご安心ください!


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4話 一花と性に溺れる

五等分の花嫁も14巻で終わりですね……


「んひぃんっ! あっ、あんっ! んはぁぁぁっ!」

 

 翌日。性の悦びを知ってしまった俺たちは学校をサボって快楽に身を委ねていた。

 

「んあっ! 激しすぎるよ、真咲くんっ! ひぃぁぁんっ!」

 

 起きてすぐにシャワーを浴びようとしたところ、一花に抱き着かれてベッドから出れなくなった。

 そのまま一花の甘美な誘惑に負けてしまい、起床してから二時間経つが、いまだにベッドから出れないでいる。

 

「くっ、一花エロすぎだろ!」

 

 枕元には使用済みのゴムが5個も置いてある。

 俺も一花も、絶頂してもすぐに次の絶頂を求めてしまう。

 6回戦目の今は一花を四つん這いにして、後ろから激しく腰を打ち付けている。

 

「あんっ、あんっ! あふぅぅっ!」

 

 抽送するたびに大きく揺れる二つの果実を鷲掴みする。

 最初は壊れ物を扱うように優しく揉んでいたのに、今では激しく揉みしだいている。

 そんな乱暴の愛撫にも一花はしっかり感じており、刺激を与えるたびに淫乱な声を発している。

 

「また射精()すぞ!」

「うん、出してっ! 真咲くんの精液、出してぇぇっ!」

 

 肉棒が限界に達し、大量の精液が放出される。

 

「ひゃあああぁぁぁぁぁっ!」

 

 一花も同時に絶頂したようで、ひと際大きな嬌声を室内に響かせた。

 転生前では聞けなかった彼女の嬌声が、俺の性欲を掻き立ててしまう。

 

「はぁはぁ……」

 

 とうとう精液のストックが切れたようだ。

 精液を出し尽くした俺は息を切らしながら一花に覆いかぶさった。

 

「あぁっ……凄かったね……」

「ああ。出し尽くした……」

「あはは、私ももう限界かも……」

「重たくないか?」

「大丈夫だよ。むしろ程よい重みで気持ちいいくらい」

 

 今朝からのセックスでわかったことだが、一花は若干マゾ要素があるようだ。

 無我夢中で乱暴におっぱいを揉んだ時も、軽くお尻を叩いた時も、悲鳴ではなく嬌声をあげていた。

 

「……まだお昼前か」

 

 性交を終えた俺たちはシャワーを浴びてリビングでくつろいでいた。

 ちなみに浴室でも一花を抱いてしまった。

 あんな身体をした美少女に誘惑されたら、精液を出し尽くしたはずの息子も反応してしまうのは仕方ないだろう。

 

「一花、昼飯でも食べに行くか?」

「うーん、それは厳しいかも」

「なんで?」

「真咲くんのせいで身体が悲鳴をあげてるから」

「……ごめんなさい」

 

 誠心誠意を込めて謝罪した。

 

「ちょ、ちょっとっ、頭上げてよ! 冗談だから!」

 

 慌てて一花が下げた頭を上げさせようとする。

 

「……なんだ冗談か」

「身体が悲鳴上げてるのは本当だよ?」

「うーん、やり過ぎたか……」

「かもね。でも後悔はしてないよ? 凄い気持ちよかったし」

「俺も気持ちよかった」

 

 セックスよりオナニーの方が気持ちいいと友人は言っていたけど、そんなことはなかった。

 一花とのセックスは、オナニーの何百倍も気持ちよかった。

 

「初めてが一花でよかったよ」

「うん。私も初めてが真咲くんでよかった」

 

 頬を紅潮させる一花。

 年相応な反応を見せる彼女を独占できる優越感に浸ってしまう。

 

「もちろん最後も真咲くんだからね」

「最後?」

「真咲くん以外の男に抱かれるつもりはないってことだよ」

「あー、そういう意味か」

 

 先のことはわからないが、嬉しいことを言ってくれる。

 

「真咲くんも同じだよね?」

「え?」

「真咲くんも私以外の女を抱くつもりは……ないよね?」

 

 まただ。

 また一花から威圧感を感じてしまう。

 

「もちろんだ。一花以外の女に興味はないぞ」

「……嬉しいっ!」

 

 ソファに座る俺に一花が抱き着いてきた。

 甘い香りと、柔らかい二つの感触が俺を襲ってくる。

 

「ずっと、ずっと一緒にいようね?」

「ああ」

 

 一花の笑みが若干怖い気がするが気のせいだろう。

 こんな美少女の笑みが怖いわけない。

 

 この日は夜まで一花と一緒に過ごした。

 一花といると、不思議とトラブルに巻き込まれなかった。

 自宅でも、一緒に出掛けた店先でも、まったくトラブルと遭遇しなかった。

 やはり一花は俺にとって平穏の女神かもしれない。

 

 さらに翌日。登校すると予想通りクラスメイトから質問攻めにあった。

 一花を彼女だと説明したところ、大量の殺意が向けられた。

 ナンパから助けた美少女は少しだけ悲しい表情をしていた。

 

「まさか本当に彼女を作るとはな」

 

 昼休み。焼肉定食の焼肉抜きを食べる上杉がそんなことを言ってきた。

 

「可愛いだろう」

 

 撮影したばかりの俺と一花の写メを見せつける。

 

「確かにお前とは釣り合っていないな」

「それは否定できない」

 

 俺の容姿はよくて中の上だ。超絶美少女の一花と釣り合うわけがない。

 

「だが恋愛は顔だけじゃないんだよ、上杉くん」

「うぜえ」

 

 まったく原作開始前の上杉は本当にノリが悪い。

 これでよく家庭教師のアルバイトを引き受けたもんだ。

 

「上杉、お前も頑張れよ」

「だからうざい」

 

 

☆☆☆

 

 

 彼と出会ったのは人生で二番目に最悪な出来事の最中だった。

 生まれて初めて痴漢に遭った。

 クラスメイトから痴漢の被害に遭った話は聞いていたけれど、まさか自分も被害に遭うとは思っていなかった。

 私は怖くて声も出せず震えることしかできなかった。

 そんなときに助けてくれたのが彼だった。

 助け方も素敵だった。

 一方的に助けるんじゃなくて、私がどうしたいかを確認してくれた。

 まだ名前もないモブばかりだけど、私は女優をしている。だから痴漢の件はあまり大事にしたくなかった。

 

 あの時の彼は私にとってヒーローだった。

 

 ホームに降りた後も震える私のそばにいてくれた。

 時間が経って彼が帰ろうとした際、私は彼を引き留めた。

 このまま彼を帰したら後悔する。

 そう感じた私は彼の名前を訊いて、連絡先を交換した。

 

 今思えばすでに彼に好意を抱いていたのかもしれない。

 

 一週間後。お礼という名目で彼を映画鑑賞とランチに誘った。

 彼と一緒にいる時間は楽しかった。

 その日は午後からレッスンがあったので、早めに彼と別れることになった。

 別れ際に彼が、私が痴漢のトラウマになっていないか気遣ってくれた。

 そんな彼をからかおうとしたら、まっすぐに瞳で可愛いと言われてしまった。

 嬉しかった。

 今までも男子に可愛いと言われたことがあったけど、比較にならないくらい彼に言われたのは嬉しかった。

 

 その後。レッスンに集中できなかった私は先生に何度も怒られた。

 私は慰めてもらいたくて、彼に電話をした。

 彼は私の話を真剣に聞いてくれた。

 そんな彼との電話が居心地よくて、気づけば二時間も話していた。

 

 その日から夜に彼と電話をするのが日課になった。

 

 彼も一人暮らしで疲れているだろうに、毎晩私の電話に付き合ってくれた。

 そんな彼の優しさが嬉しくて、私も悪いと思いながらも、長電話をしてしまっていた。

 彼と話すと昔の我儘だったころの自分に戻れたような気がした。

 初対面で情けないところを見せてしまったからかもしれない。

 

 いつしか私は彼に依存するようになった。

 

 彼が電話に出ないと不安で仕方なくなる。

 なんで電話に出てくれないんだろう。

 何をしているんだろう。

 ほかの女の子と遊んでいるのだろうか。

 不安で不安でしょうがない私は彼が折り返してくれるまで何度もライ〇を送るようになった。

 

 我ながら面倒で重たい女だと思う。

 

 でも彼はそんな私を拒絶しなかった。

 むしろ「不安にさせてごめん」とまで言ってくれた。

 彼は私を不安にさせないよう、お風呂やトイレにスマホを持ち込むようにしてくれた。

 そのおかげで彼が電話に出ない回数は減少した。

 私のためにそこまでしてくれて嬉しかった。

 

 この頃だ。私が自分の気持ちに明確に気づいたのは。

 

 自分の気持ちを抑えきれなくなった私は衝動的に彼の学校に向かった。

 違う学校の生徒が校門にいれば嫌でも目立ってしまう。

 案の定、私は彼と同じ学校の生徒たちに囲まれてしまった。

 居心地は悪かったけれど、彼に会うためならと我慢した。

 10分ほど待って、彼と会うことができた。

 

 けれど――――彼の隣には女子がいた。

 

 その女子は明らかに彼に好意を寄せていた。

 

 この女を潰さないといけない。

 

 私の中のどす黒い欲望が溢れだした。

 私は一方的に名乗り、彼の腕を掴んでその場から逃げるように駆けだした。

 これであっちは勘違いしてくれるはずだ。

 私が彼の女であることを。

 もちろん勘違いのままにするつもりはない。

 

 私は押し掛けるように彼の家にお邪魔した。

 そして彼に隣にいた女子について問い詰めた。

 その女子は私と同じだった。

 

 彼に助けられた存在。

 

 彼がトラブルに巻き込まれやすい体質であることは知っていた。

 その結果で、多くの人を助けたことも知っている。

 私も彼女のそのうちの一人だ。

 彼女は悪くない。

 悪くないのに――――私は彼に助けられた女子が許せなかった。

 

 嫉妬で狂いそうになった私は会話の流れで彼に告白をしてしまった。

 今思えばあのタイミングはなかったと思う。

 でも自分の想いを隠さずにはいられなかった。

 

 結果として彼は私を受け入れてくれた。

 

 無事に彼の彼女になれた私の欲望は加速していく。

 まず彼の温もりが感じたくて、彼と抱きしめあった。

 好きな人と抱きしめあう。

 それだけで何とも言えないくらいの幸福感に包まれた。

 途中で彼のスマホに着信があったけど、出させなかった。

 彼女の私がいるのに、電話に出るなんてありえないよね。

 彼は私だけ見てればいい。

 

 夕食を食べ終えると彼に帰るよう促された。

 ありえない。

 なんで彼女の私が帰らないといけないの?

 なんでお泊りしちゃいけないの?

 そんな疑問をぶつけたら、彼はすぐに折れてくれた。

 どうやら私に意地悪をしたかったらしい。

 意外に彼はSだ。

 

 その日の晩。私は彼に処女を捧げた。

 初めては思ったより痛かったけど、それ以上に気持ちよかった。

 私は彼に気持ちよくなってもらいたかったので、処女喪失後もすぐに抽送するようお願いをした。

 痛くて仕方なかったけどすぐに気持ちよくなった。

 まさか痛いのが気持ちいいになるなんて思いもしなかった。

 これも私の彼への愛の力かもしれない。

 

 翌日。私たちは学校をサボってセックスに明け暮れていた。

 初めてとは違って荒々しい性交になった。

 おっぱいも、あそこも乱暴に愛撫されたけど気持ちよかった。

 お尻も軽くだけど叩かれた。

 最初は文句を言おうとしたけど、気持ちよくて、気づけば喘いでしまっていた。

 

 浴室でも彼と身体を重ねてしまった。

 でもこれは彼がいけないと思う。

 身体を洗ってくれると言ったのに、おっぱいとあそこを泡だらけにして弄るんだから。

 あんなことをされたら、欲しくなるに決まってる。

 

「あー、早くまた真咲くんとエッチがしたいなー」

 

 時刻は17時。私は自室で彼とのエッチを思い出していた。

 

「一花、いる?」

「いるよー」

「入るわよ」

 

 律儀にドアをノックして入ってきたのは二乃だった。

 五つ子の次女。料理好きでオシャレに気を遣うなど姉妹で一番女子力が高い。

 

「あんた、昨日どうしたのよ?」

「昨日?」

「ほら、お泊りするって……」

「あー」

 

 一番女子力が高い二乃だけど男性経験はない。ていうか私以外全員ないんだけど。

 

「だから言ったでしょ。彼の家にお泊りするって」

「っ……」

「四葉から聞かなかった?」

「き、聞いたけど……本当なの?」

「本当だけど」

 

 なんで二乃はこんなに狼狽えているんだろう。

 私に先を越されて驚いてるのかな。

 

「ど、どこのどいつよっ!?」

「どこのどいつって、青梅真咲くんだけど」

 

 真咲くんのことは誰にも言っていなかった。

 彼と恋人になったら、みんなに報告するつもりだった。

 

「誰よそいつは!」

「だから私の彼氏だって。今度紹介するから落ち着きなよ」

「……し、しなくていいからっ!」

 

 二乃は怒ってそのまま部屋を出て行ってしまった。

 やっぱり先を越されたのを怒っているのかもしれない。

 でも仕方ないよね。

 二乃は理想が高すぎるし。

 

「ま、二乃に彼氏ができても真咲くんのほうがいいに決まってるけど」

 

 だって彼は私のヒーローだし。

 

「そうだ、今度二乃に料理を教えてもらわないと」

 

 真咲くんは一人暮らしだ。

 私と違って料理をしてくれる家族がいない。

 彼の食生活は基本出前かコンビニ弁当だ。それだと栄養バランスが悪そうだから、誰かが作ってあげないといけない。

 もちろん作るとすれば彼女である私だ。

 

「彼女の私が彼の面倒を見ないといけないからねー」

 

 料理の腕が上達したらお弁当も作ってあげよう。

 私がお弁当を作ったら、喜んでくれるに決まってる。

 

 

☆☆☆

 

 

「今日は最高の一日だな」

 

 学校帰り。俺はハイキュ〇の新刊が発売しているのを思い出し、本屋に寄っていた。

 今日は一花と会っていないが、トラブルにも遭っていない。

 一花に童貞を捧げたおかげで、俺の不幸体質が改善したのかもしれない。

 

 買い物を終えた俺はショートカットをするために裏道に入った。

 

「あー、どこに落としたんでしょう」

 

 すると、一人の美少女が落とし物を探しているのが目に入った。

 

「っ……」

 

 向こうは俺のことは知らないだろうが、俺はその美少女のことを知っている。

 

「お気に入りのヘアピンでしたのに」

 

 センスのかけらもないヘアピンが特徴の中野家の五女。

 中野五月。

 一花と同様に五等分の花嫁のヒロインだ。

 

「あの、探し物ですか?」

「え……?」

 

 俺は五月を手伝うために紳士風に声をかけた。

 だがこれが間違いだった。

 まさか五月との出会いが、あんな事件を起こしてしまうなんて、この時の俺は思いもしなかった。




五月の登場です!


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5話 一花に中出し

五月がメインヒロインだと思っていた時期もありました!


 本屋の帰りに俺は探し物をしている中野五月と遭遇した。

 

「あの、探し物ですか?」

「え……?」

 

 いきなり声をかけられた五月は肩をビクンと震わせた。

 そんな五月の目には警戒の色が伺える。

 なので俺はすぐにその警戒心を解いてもらうことにした。

 

「驚かせてごめん。俺は青梅真咲。……多分一花の妹さんだよな?」

「一花のことを知っているのですか?」

「彼氏です」

「……あなたがっ!?」

 

 一花が妹たちに彼氏ができたことを報告しているか聞いていなかったが、この反応からすると報告はしていたようだ。

 

「そう。顔がそっくりだから一花の姉妹だと思ったんだけど……合ってる?」

「はい。私は中野五月です」

「五月さんね。よろしく」

「こちらこそ姉がいつもお世話になっています」

 

 律儀に頭を下げる五月。やはり姉妹で一番礼儀正しい。

 

「俺の方がお世話になってるけど。それより何か落としたのか?」

「ヘアピンを落としてしまいまして……」

「ヘアピンか。ここで落としたのは間違いないのか?」

「はい」

「そっか。なら手伝うよ」

「い、いいですよっ!」

「でも二人で探したほうが早いだろ?」

「ですが……」

 

 初対面の人間に手伝わせるのは悪いと思っているのだろう。

 あまり人を頼らないのは原作と同じだ。

 

「遠慮しなくていいって。俺は五月さんのお姉ちゃんの彼氏なんだから」

「……わかりました。よろしくお願いします」

 

 やっと五月が折れてくれた。

 

「お願いされました」

 

 裏道はそれなりに続いているので見つけるのは大変そうだ。

 ただ探す前に一つだけ気になることがある。

 それは鞄にヘアピンが付いてることだ。さすがにあれが探し物じゃないよな。

 

「あのさ、一つだけ確認したいことがあるんだけど」

「なんでしょう?」

「鞄についてるヘアピンが探し物ってオチはないよな?」

「え……?」

 

 指摘されゆっくりと鞄に視線を向ける五月。

 

「……ありました」

「馬鹿なの?」

「うっ」

 

 五月の顔が見る見る真っ赤になっていく。

 この子こんなにポンコツだったっけ?

 

「えっと、見つかってよかったな」

「……はい」

 

 こうして五月の探し物の手伝いは一瞬で終わったのだった。

 

 

☆☆☆

 

 

「まさかあんな場所で一花の彼氏さんと会うとは思いませんでした」

「俺もだよ」

 

 探し物が見つかった俺たちは裏道を抜けてファミレスに来ていた。

 一花への口止め料として夕食を奢ってくれるらしい。

 

「しかも昨日報告されたばかりなので」

「そうなんだ」

「はい。しかも又聞きですし」

「直接は報告受けてないのか?」

「ええ。四葉――四女から聞きました」

 

 雑談しながら次々に料理を口に運んでいく五月。

 この世界でも大食いは健在である。

 

「五つ子だもんな。俺は一人っ子だから羨ましいよ」

「青梅くんは私たちのこと聞いていたのですね」

「名前だけはね。顔はそっくりだから見ればわかるよって言われた」

「なるほど。確かに髪形を変えると家族以外は見分けがつかないようです」

「だろうね」

 

 五つ子は顔はもちろん身長、胸の大きさも同じと聞いている。

 体重は五月がやや重たいのかな。一花よりぽっちょりしてるように見える。

 

「今失礼なこと考えませんでしたか?」

「考えてないぞ!?」

「そうですか」

 

 顔に出ていたのだろうか。危なかった……。

 

「五月さんも学校帰りだったのか?」

「はい」

「黒薔薇女子ってここから離れてるよな。なんでここに?」

「このお店限定のメニューが食べたくて来たのです」

「ここ?」

 

 俺たちがいるファミレスはチェーン店だ。

 何度も足を運んだことがあるお店だが、お店限定のメニューなんて聞いたことがない。

 

「はい。今日から始まったので知っている人は少ないかもしれないですが」

「へえ」

 

 発売日に来店するなんてよほど食べたかったんだな。

 

「しかも17時以降で30食限定なんです!」

「それで注文できたわけ?」

「はい。とても美味しかったです」

「もう完食したのか」

 

 テーブルにはすでに5皿が空っぽになっている。

 五月と結婚したら食費だけで給料の半分が消えそうだ。

 

「俺も今度頼んでみようかな」

「ぜひ頼んでください!」

 

 俺が食べ終える頃には五月は15品ほど食しており、会計はファミレスなのに1万を超えていた。

 

「ご馳走様」

「いえ。約束通りあのことは一花には話さないでくださいね」

「もちろん」

「それではまた会いましょう」

「ああ、またな」

「はい。失礼します」

 

 すんなりと五月と接触できてしまった。

 一花の彼氏になれた俺だが五月とも面識があれば上杉も家庭教師がしやすくなるだろう。

 問題は二乃だ。

 家庭教師の上杉をあれだけ邪険したのだ。一花の彼氏になった俺には上杉以上の嫌悪感を持つ可能性がある。

 

「ま、頑張るしかないな」

 

 

☆☆☆

 

 

 五月と出会った翌日。俺は一花に芸能活動をしていることを打ち明けられていた。

 

「ごめんね、バイトだって嘘ついて」

「気にしてないからいいぞ」

「ほんと?」

「ああ。それより女優って凄いな」

 

 一花のグラマラスな身体ならグラビアの方が売れるような気がする。

 アニメの範囲では名無しの役しか仕事がなかった一花だが女優として成功するのだろうか。

 ビジュアルだけなら芸能人でもトップクラスだと思うが、演技のことは俺にはわからないからな。

 

「全然だよ。まだモブしか演じたことないし」

「でもドラマや映画に出てるんだろ?」

「ドラマも深夜だし、映画も小規模のだけだよ」

「駆け出しだしそれが普通じゃないのか?」

「そうかもね。……真咲くんは嫌じゃない?」

 

 一花が隣に座る俺の顔を覗き込んでくる。

 

「なにが?」

「私が芸能活動をしていること」

「嫌じゃないぞ。一花は女優になりたいんだろ」

「そうだけど……」

「まあ、キスシーンとかあったら嫉妬するかもしれないけど……一花の夢のためなら我慢するよ」

「……っ」

 

 そういえば俺ってどれくらい嫉妬深いんだろう。

 彼女がいたことないから見当がつかないな。

 

「ありがとうっ! 真咲くん、大好きっ!」

「おわっ」

 

 一花がぎゅっと抱き着いてきた。

 当然豊満な二つの果実が俺の胸板に押し付けられる。

 相変わらずけしからんおっぱいをしてやがる。

 

「私、頑張るねっ!」

「あ、ああ……。無理しない程度に頑張れよ」

「うんっ!」

 

 この日は一花の提案で二人で夕食を作った。

 二人とも料理はあまり得意じゃないので、不格好な出来上がりになってしまったが、味は悪くなかったと思う。

 洗い物を終えると俺たちは一緒に風呂に入った。

 一花はどこで覚えたのかわからないが、泡だらけのおっぱいで俺の身体を洗うなど、ソーププレイっぽいことをしてくれた。

 当然我慢ができなくなった俺はその場で一花を襲ってしまった。

 

「あっ、あんっ! んはぁぁぁっ!」

 

 風呂上がりの今も俺は一花の身体を貪っている。

 寝室まで我慢ができなかった俺たちはリビングで身体を重ねていた。

 

「だ、だめぇ! ソファ汚れちゃ……ひぃぁぁんっ! だめぇっ!」

 

 ソファに寝かせた一花の両足を大きく広げ、愛液塗れのまんこを激しく責め立てている。

 

「そんなの気にしなくていいって!」

「ほ、ほんとに……? あ、ああっ! あひぃっ!」

「ああっ!」

「なら気にしない……っ! はぅぅぅ! 気持ちいいよぉっ! んっ、あぁっ!」

 

 ソファのことを忘れ快感に集中する一花。

 抽送するたびに大量の愛液が結合部から溢れ出てくる。

 

「な、中に出していいからねっ……! あぁっ、きゃうぅっ! んひぃぃっ!」

 

 今日は安全日のことで俺は一花から中出しを所望されていた。

 妊娠に対する多少の不安はあるが、初めて味わう生の感触にたまらないほどの気持ちよさを感じてしまう。

 さらに一花の膣は精液を搾り出そうときつく締め付けてくる。

 

「ひあぁっ、ああぁぁっ! あんっ、ひぃぃんっ……!」

 

 一花の膣内の感触と淫らな声が、まるで麻薬のように俺の抑制を壊していく。

 

「もう射精()すぞ……!」

「出してぇっ! オマンコの中ぁっ! たくさんっ!」

 

 抽送にスパートをかけ、一気に射精感を高めていく。

 

「ダメぇ、もうイッちゃうぅっ! イクっ! イクイクっ!」

「このっ……!」

「真咲くん、もうイクよぉっ! ひあぁっ、あぁぁっ!」

「うおっ!」

「ひっ、ひいっ! ひゃああああんっ!」

 

 大量の精液が一花の膣内に発射された。

  

「あぁぁんっ! すごい出てるよぉっ! 私、種付けされちゃってるっ!」

 

 中出しの気持ちよさと一花の隠語に興奮して、俺は何度も一花の膣内に射精を続けてしまう。

 

「あぁ……もう、出しすぎだよ……」

「ごめん」

「ううん、嬉しい」

 

 一花は蕩けた表情を浮かべ、身体を小刻みに痙攣させる。

 

「ね、しばらくこうしていよ?」

「いいぞ」

 

 射精を終えても俺たちはしばらく抱き合っていた。

 何度か抜こうとしたが、精液が零れちゃうと一花に言われ、結局一時間近く繋がったままだった。




一花なら好きな男を養ってくれそうな気がしますね……


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6話 一花の想い

ここからヤンデレ一花が暴走します!


 7月下旬。一学期の終業式を終えた俺は上杉と軽く雑談をしてから帰路についた。

 人生2度目となる高校2年の一学期は充実した日々になった。

 一花と出会って、恋人になって、童貞を捧げた。彼女は予想外に束縛が激しかったが許容範囲だ。むしろ放置されると好かれていないのかと不安になってしまう。

 

「今日も一花は撮影か」

 

 一花は愛知の小さな事務所に所属している女優だ。まだ大きな仕事はないが、ちょくちょくモブ役でドラマや映画に出ている。原作通り家族には内緒にしており、知っているのは俺くらいだ。

 

「そういえばいつ姉妹に紹介してくれるんだろ」

 

 近いうちに姉妹に彼氏の俺を紹介したいと言っていたが、いまだに紹介されていない。

 ただ末っ子の五月とは偶然出会い、顔見知り程度にはなっている。

 

「あれ? 青梅くんじゃないですか」

「……五月さん?」

 

 一週間ぶりに五月と再会した。

 

「お久しぶりです」

「うん。また限定メニュー食べに来たの?」

「はい!」

「好きだね」

「大好きです!」

 

 ここから離れた場所にある黒薔薇女子に通う五月がこの場所にいる理由。

 それはファミレスの限定メニュー目当てで遠出しているからだ。

 

「昼食は済ませましたか?」

「まだだけど」

「なら一緒にお昼しませんか?」

「いいよ」

 

 こうして五月とランチすることになった。

 入店して店員さんに席を案内される。俺も五月も注文するメニューが決まっているので、すぐにオーダーした。

 

「私の学校は今日で終業式だったのですが、青梅くんもですか?」

「そうだよ」

「一緒ですね」

 

 明るく話す五月だが、原作では退学になっているはずだ。

 理由はカンニングだが、これは四葉だけを退学にさせないための嘘だ。

 そして2学期の初日に俺と上杉が通う学校に転入することになる。

 

「今日は一花と遊んだりしないのですか?」

「バイトだって。聞いてない?」

「そうですね。一花はこちらから聞かないと予定を言わないので」

「なるほど」

 

 10分ほどして料理が運ばれてきた。会話を中断して五月は黙々と料理を口に運んでいく。見ていて気持ちいいほどの喰いっぷりだ。

 

「美味しそうに食べるな」

「おいひいので!」

「あ、うん」

 

 インなんとかさんとの大食い勝負を見てみたいものだ。

 20分ほどして五月は大量のメニューを完食する。ちなみに今日も会計は1万越えをしていた。

 

「お腹一杯だ」

「ですね。青梅くんはこの後予定あったりします?」

「ないけど……買い物でも行くの?」

「いえ。隣の駅に美味しいパフェがあるみたいなのですが」

「まだ食べるのか!?」

「デザートは別腹です!」

「いや、さっき食べてたじゃん」

「あれは前座です」

「うわぁ……」

「引かないでください!」

 

 これじゃ他の姉妹より太るわけだ。

 おそらく五月だけ60キロ近くあると見た。

 

「それでパフェに付き合ってほしいの?」

「は、はい」

「一人じゃ入りづらいお店なの?」

「いえ。ただカップル限定のメニューがあるみたいで……」

「なるほど。それが食べたいから付き合えと?」

 

 俺の問いに首を縦に振る五月。

 

「私は女子高に通っているので、男子の友達がいないんです」

「……わかった。付き合うよ」

「本当ですか!?」

「ほんと。でもあんま食べれないからな?」

「安心してください。責任をもって完食しますので!」

「それじゃ行こうか」

「はい!」

 

 鼻息を荒くした五月と駅に向かう。

 途中で同級生とすれ違ったりしたが、明日から夏休みなので五月との関係を問われるのは早くても二ヶ月後だ。それだけ期間が空いていれば同級生も今日見たことを忘れるだろう。

 

 5分ほど電車に揺られ隣の駅で降車する。

 

「へえ。けっこう栄えてるんだな」

「学校帰りに寄ったりしないのですか?」

「優等生だからまっすぐ帰宅するんだよ」

「本屋などに寄っているじゃないですか!」

「勉強に必要な本を買うためなんだ」

「この前は漫画を買ってましたよね!?」

 

 五月の突っ込みはキレがいい。ご姉妹で一番センスがあるかもしれない。

 

「それよりお店はどこ?」

「えっと……あそこですね」

 

 五月が指差した先を見ると、そこにはお洒落なテナントがあった。

 大繁盛のようで、店外で並んでいるお客が数人いる。

 

「少し待つ必要があるみたいですね。大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。暑いから早く並んでお店に入ろう」

「はい」

 

 10分ほど待たされて俺たちは店内に案内された。

 五月がオーダーしたカップル限定のパフェはそれなりのボリュームで五月一人で食べられるか心配したが杞憂だった。一口だけ俺が食べて、残りは五月がすべてたいらげた。

 

「ふぅ、期待以上の美味しさでした!」

「満足そうで何より」

 

 五月の口元にクリームが付いているが、面白そうなので黙っていよう。

 

「わざわざ付き合って頂きありがとうございました」

「どういたしまして」

「よかったらまた付き合ってくださいね」

「一花と予定が被らなければね」

「もちろんです。よろしければライ〇交換しませんか?」

「いいよ」

 

 五月の連絡先をゲットした。

 帰宅後、五月から早速ラインがきた。メッセージの内容はクリームが口元についてのを指摘しなかったことへのクレームだった。

 

 

☆☆☆

 

 

 時刻は20時。シャワーを浴び終えると一花から着信があった。

 

「一花、どうしたんだ?」

『今さっき撮影が終わったんだけど、これから真咲くんのお家に行ってもいい?』

「いいけど、家には連絡してあるのか?」

『この後するよ』

「わかった。よかったら迎えに行こうか?」

『マネージャーさんが最寄り駅まで送ってくれるから大丈夫だよ』

「そっか。気をつけてきてくれよ」

『うん』

 

 一時間後。片手に紙袋を持った一花がやって来た。

 

「お邪魔しまーす」

「お疲れさん。持つよ」

「あ、大丈夫だよ。軽いから」

「そっか。麦茶でいいか?」

「うん」

 

 一花をリビングのソファに座らせ、冷蔵庫から麦茶を取り出す。

 

「明日は仕事ないのか?」

「ないよー。だからお泊りしようかなって」

「そっか。今日は一花と会えないと思ってたからよかったよ」

「私と会えなくて寂しかったんだ?」

「……まあ」

「真咲くん可愛い♡」

 

 ぎゅっと抱き着かれる。

 夏場の撮影で汗をかいているはずだが、一花からは相変わらずいい匂いがする。

 

「真咲くんは今日何してたの?」

「……ファミレスで食事を済ませて帰宅した」

「ふぅーん」

 

 五月を顔見知りなのはまだ言わないでおこう。一花から紹介されたときに、実は知り合いでした、とサプライズしよう。

 

「一花、風呂どうする?」

「うん、入らせてもらおうかな。真咲くんも一緒に入る?」

「魅力的な提案だけど、俺はもう風呂入ったんだ」

「それは残念」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべ、一花は浴室に向かった。

 30分ほどして一花が戻ってきた―――全裸バスタオルの格好で。

 

「一花!?」

「なーに?」

「寝間着は?」

「着てないよ」

「なんで!?」

「ふふふ、何でだと思う?」

 

 バスタオルしか体に纏っていない一花に抱きしめられる。

 髪の先と長い睫に雫が光り、身体からは甘い香りとともにうっすらと湯気があがっている。

 

「真咲くんならわかるよね?」

「……撮影で疲れてるんじゃないのか?」

「真咲くんに抱かれたら元気になるよ」

 

 気を遣って今日はエッチしない予定だったが、ここまで挑発されて手を出さなかったら男がすたる。

 

「きゃんっ♡」

 

 一花をソファに押し倒し、覆いかぶさる。

 

「ここでしちゃうの?」

「……ああ。我慢できない」

「真咲くんったら獣だね」

「一花のせいだから。責任とれよ」

「もちろん♡」

 

 一花を押し倒してから無我夢中で彼女の魅力的な肉体を貪った。

 蠱惑的な唇、大きく実った二つの果実、健康的な太もも、張りのあるお尻、俺専用になりつつある膣内。そのすべてを俺は堪能した。

 責めれば責めるほど一花の嬌声も淫らなものになり、それに興奮して俺の責めはより激しいものになっていった。

 

 深夜になって寝室に移動しても俺と一花の性的興奮はおさまらない。

 

「っ、あぁっ……♡」

 

 一花をベッドの上に四つん這いにさせ、バックで膣穴の入口から最奥までを肉棒で何度もピストンする。

 

「ああっ♡ あんっ♡ んあぁぁっ♡」

 

 一花は肉棒で突くたびに、色気をたっぷりと含んだ声を上げて背を仰け反らせた。

 本能的に一花の綺麗なお尻を叩くと、締まりがよくなり、気づけば彼女のお尻は手の平の赤い跡だらけになっていた。

 相手のことを考えない乱暴なセックスだが、一花はいつもより興奮しているように見えた。

 乱暴に胸を揉んだり、腰を振ったり、お尻を叩けば、「もっと欲しい」と目でも声でも訴えてくる。

 一花の膣内に数えきれないほど射精を繰り返した。

 体力の限界を迎えるまで俺たちは獣のように互いを求めた。

 

「ん……」

 

 気づけば朝になっていた。隣で寝ていたはずの一花がいない。恐らく精液塗れになっていたのでシャワーを浴びにいったのだろう。浴室に乱入して一花を犯そうと思い起き上がろうとしたところ、ガシャンと異音がした。

 

「……あれ?」

 

 両手足が動かないので起き上がれない。

 両手足が動かない理由。

 それは――――手錠で四肢が拘束されいたからだった。

 

「な、なんで……」

「あ、起きた?」

 

 混乱していると、愛しの彼女が部屋に入ってきた。

 

「い、一花」

「なーに?」

「これはいったい……」

「あー、私がしたんだよ」

 

 それはわかっている。

 一瞬強盗の仕業かと思ったが、一花は無事だ。乱暴された様子もない。

 ならば犯人は一花しかいないだろう。

 

「え、えっと……一花さんはこういうプレイがお望みで……?」

「プレイなわけないじゃん。私はМなんだから、するなら私が監禁される方だよ」

「か、監禁……」

「うん。今日から真咲くんを監禁することにしました」

 

 残虐的な笑みを浮かべ、一花が俺に跨ってくる。

 

「なんで俺を監禁することになってるんだよ!」

「……そんなの真咲くんが浮気したからに決まってるでしょ」

「…………………………え?」

「私、知ってるんだよ。昨日、五月ちゃんとデートしてたよね?」

 

 俺の顔を覗き込みながら生気を失ったような病んだ表情の一花が問う。

 

「い、いや、それは……」

「信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに!」

「ひぃっ!」

 

 いきなり一花が狂ったように叫び出した。

 

「真咲くんは私を裏切った。でも私は真咲くんが大好きだから許してあげる」

「え…………?」

「五月ちゃんがいけないんだよね? 五月ちゃんが真咲くんをたぶらかしたんでしょ?」

 

 恐怖で身体が震えだした。

 このままではいけない。

 まず五月との関係を説明しなければ。

 そう思った矢先、一花が俺の口に何かを突っ込んできた。

 

「むぐっ!?」

「えへへ、私の愛液が沁み込んだショーツだよ」

「っ……」

「昨日は私にたくさん精液を注ぎ込んでくれたからそのお礼♡」

 

 意味が分からない。

 

「真咲くんを想って出した愛液だよ。これを感じて私を好きな気持ちを再確認してほしいなぁ♡」

 

 転生して1年数ヶ月。

 俺は、想い人がヤンデレだったことにようやく気づくことになった。




同人も一花ヤンデレの多かったですね……


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