言葉じゃ足りないから (砂原佐漠)
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プロローグ:輪廻を外れて陰は異界へと
それでもよろしい方は、どうかお付き合い下さい。
真っ白い床がただ無限に続く。
何も無い、虚無の空間。
そこに、ある男が立っている。
男には、自分のことを認めて欲しい人がいた。
成し遂げたい理想があった。
理想のため、たくさんのものを代償として捨てた。
そこまでしたのに、あの人は認めてくれなかった。
それどころか、自分が愛し守ってきた者に理想の道を砕かれた。
あの人は、俺の理想を砕いた奴の味方についた。
なぜだ?
理解できなかった。
とても悲しかった。そして奴らが憎くなった。
だから壊そうとした。壊して、理想のかたちに創り変えようとした。奴らの創ったもの、掲げるもの、全て。
その行為も、否定されてきた。
だから自分も、奴らを認めなかった。
そうして闘い続けてきた。何度も何度も。
自分の理想を無慈悲に砕いた宿敵の魂が朽ち果てるその時まで、その闘いは永遠に終わることはないはずだった。
認めぬ…
俺は、決して認めぬ!
お前の魂を焼き尽くすその日まで、俺の憎しみは絶対に消えることは無い!
この世界でそれが叶わぬなら、他の世界へ転生してでも!
いつか必ずお前の魂を殺し、俺を選ばなかったあの人を後悔させる!
この日、幾度となく転生してきた彼の魂は、今までとは違う世界へと転生した。
そして彼の魂が入り込んだことにより、彼の転生先の世界の運命は大きく歪むこととなる。
「んぅ?…うぉ、ふわぁ〜あ。」
チャイムの音に起こされる。
「ご立派なあくびだなぁ、おい。よく寝れたか?」
寝起きでいきなり、隣の友達から嫌味が飛んできた。まだ視界がぼんやりとしている。
「あぁ、変な夢見てた。」
「変な夢?どんな夢だよ。」
「あー、釣り上げた木の幹を魚に変えたり、河原で誰かと石切りしたり、岩でできたデカい顔に落書きした奴と取っ組み合いしたりしてた。」
「なんだそれ?変な夢だな。しかもお前が授業中寝るなんて珍しい。何かあったのか?」
病人を見るような、心配そうな目で見られた。確かに、俺は普段は体調不良でもなければ、授業中に寝るなんてことはしない。
でも今日は、たまたま俺の席の日当たりが絶妙だった。今日は暖かくて素晴らしい昼寝日和だった。
「いや、別に何も。いつも通りだよ。」
「そうか。ま、お前なら寝てても大丈夫だよな。物理得意だし、先生も甘いしな。」
首を左右に曲げると、ゴリゴリと大きな音がした。やっと頭が正しい位置に収まった気がした。
「それは買い被りすぎ。それより、早く飯行こう。」
「おうよ。」
そう言って少年2人が席を立ち上がる。
先程まで寝ていた少年の机に置かれた教科書には
"
まずはここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
今回は、このネタでやっていけるかどうかという、試験的な投稿になります。
今回含め、今後も誤字脱字、話の破綻、改善点などありましたら、感想等にて教えて下さると嬉しいです。
今後のために役立てたいと思います。
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第1話:夜明けの邂逅
アニメ第1期の8話辺りからスタートするイメージです。
俺は、どこにでもいる普通の高校生2年生だ。
唯一特別なことがあるとすれば、ほぼ一人暮らしであること。母は幼い頃に他界し、父は滅多に帰ってこない。
それ以外は、他の生徒と何も変わらなかった。
昼寝で変な夢を見た後は、普通の学校生活だった。放課後に色々呼び出されたりしたが何故か大きな用事などは無く、それ以外特別なことは何一つ無かった。
いつも通りに学校が終わったらバイトして、買い物をしたら家路につく。
家に着いて夕飯や風呂を済ませ、寝る前に明日の天気を確認しようとテレビを見ていた。
「先日発生したノイズの被害は…」
認定特異災害ノイズ。機械的に人間のみを対象に襲いかかり、触れた人間を炭化させ殺害する。時と場所を選ばず突然出現し、被害を撒き散らす。
父に聞いた話だと、母はノイズに殺されたらしい。
チャンネルを変え、天気を確認した。早朝まで雨が降るようなので、外干しは無しだ。
用は済んだので、ベッドに潜る。
そして朝になれば、また同じように1日が始まるはずだった。
「…早すぎたな。」
学校へ行く用意を始めるには早すぎる起床。
二度寝したくなったが、
「あぁ、そういえば…朝飯買うの忘れてた。」
散歩がてらコンビニへ行くことにした。
「〜♪」
コンビニを出て家に帰ろうと歩き始めたとき、視界の隅に不自然な色が映った。
細長い白と、暗めの赤。
視線を向けると、少女が横たわっていた。
助けるか、見なかったことにするか。
俺の中で2つの選択肢が揺らぐ。
普通に考えれば、例えばこの少女を助けたとして、意識が戻ったときに最悪の場合犯罪者認定されるかもしれない。
そんなのたまったもんじゃない。
それに、俺が助けなくても他の誰かが、もしくは公的機関の人間が保護してくれるだろう。
とにかく、わざわざ俺がリスクを犯す必要はないはずだ。
…だが、俺はどこかおかしくなったのだろうか。
頭で考えるより先に、少女を抱えて家に向かっていた。
このまま放っておいたのが原因でこの娘に何かあったら寝覚めが悪いから、であろうか。
とにかく助けてやらないといけない、という得体の知れない使命感のようなものが俺を突き動かしたようにも感じる。
こうして俺は、1人の少女を拾った。
とりあえず、一軒家でよかった。マンションとか絶対誰かと鉢合わせして怪しまれる。
未明という時間帯もあり、人目に着くことは無かった。
全身びしょ濡れだったので、まずはドライヤーである程度乾かしてやる。
服が汚れていたため、ベッドの上にタオルを敷き、そこへ寝かせた。
ある程度落ち着いてよく観察してみると、衰弱しているように見えた。濡れてたからか、熱もある。
再びコンビニへ行ってスポーツ飲料水とゼリー食品を買い、薬局で冷えピタを買ってきた。
そこまでした時点で、もう学校には遅刻確定の時間だった。
仕方ない、今日くらいは休んでもいいかと携帯を握ったとき、少女が僅かに呻き声をあげた。
「うぅ…ハッ!?」
いきなり起きて飛び上がったと思ったら、警戒心剥き出しでこちらを睨んできた。
「お前、誰だ!?」
「落ち着け、俺は
「…何のつもりだ?」
当然の疑問だ、本当にその通りなら俺にとって何のメリットもない。でも残念ながら俺も聞きたいような状態なんだよな。
「実は、俺も知りたい。お前を見かけて、気がついたらこうなってた。面倒臭いことしたなって思いながら学校に欠席連絡しようとしたら、お前が起きたんだよ。ほら。」
少女が飛び起きた拍子に弾き飛ばされた俺の携帯を指さす。そこには、俺の通う高校の名前と発信ボタンが映っていた。
「ハッ、訳わかんねぇな。とりあえず、助けてもらったみたいだから礼は言っておく。だが、生憎アタシは忙しいんだ。さっさとここを出させてもらう。」
少女がこの家を出ようと歩き出すが、その足取りは怪しい。それに、
「まぁそれでもいいけど、お前…どこに帰るんだ?」
あんな時間に路地裏で倒れてるなんて異常だ。酒に酔うような年齢でもない。ワケありなのは丸分かりだ。
何より歩き出してから一瞬、歩みが止まった。どこに行けばいいか分からないんだろう。
「お前…2課の手の奴か?」
一気に少女の声のトーンが低くなった。質問に質問で返してきたな、こいつ。
「ニカ?何だそれ。よく分からないけど、たぶん違うと思う。」
それを聞いて、少し雰囲気が柔らかくなった気がする。少しは信用してもらえた、のだろうか。
「理由は深く聞かないけどな。あんな所で倒れてたんだ、お前当分行く宛がないんだろ。少なくとももう少しマシな状態になるまでウチで休んどけ。そのまま出て行かれてくたばられても、こっちの寝覚めが悪くなる。」
「確かに宛はないけど…でもいいのか?アタシは…」
「ああ、さっきも言ったろ?2度も言わせんな。」
「…ありがとう…」
そう言うと少女は急にしおらしくなった。
全く、年頃の少女ってのはこんな複雑なもんなのか。って、俺もあんまり歳変わらないか。でも少なくともこいつは素直みたいだから、実はいい奴なのかもしれない。
とりあえず、犯罪者にはならずに済みそうだ。
「そういえば名前、聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
「クリス。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
誤字脱字、論理等の破綻、改善点などあれば感想にて教えてください。参考にさせていただきます。
今後も文字数が変化してしまうかもしれませんが、区切りをつけて書き溜めてしまっているのでそのまま投稿します。すみません。
よろしければまた次話も覗いて下さると嬉しいです。
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第2話:過去の雑音
2020年シンフォギアライブ、令和初ですよね!
行きたい…!
あとシンフォギアのギャグセン自分は大好きですね。
BORUTOでも面白展開ありましたね!
サスケが自来也先生の追っかけするほどに
イチャイチャパラダイスのファンだったとは…(笑)
サクラもさすがにドン引きです。
「クリス、か。じゃあそういう事だからほれ、黙ってこれ食っとけ。」
先程買ってきたゼリー飲料を渡す。クリスはそれを飲むと、少し落ち着いたようだった。
「それ食ったら服の洗濯だ。さすがに自分で洗濯機回す位はできるな?」
変態じゃあるまいし、クリスの下着とか俺が扱うのは色々と問題がある。そもそもワケありとはいえ…
まさか、ちゃんと履いてんだろうな?
「当たり前だ!」
「じゃあ服入れて回してくれ。換えはこのジャージな。下着は金やるから後で自分で買いに行ってくれ。」
「おいちょっと待て、アタシはそんなに長居するつもりはねーぞ?」
敢えて聞こえなかったフリをして下の階へ準備しに先回りした。
「なぁ。何か手伝えること、ないか?」
急にクリスが言い出した。
現在、クリスは風呂に入れてジャージを着させ、ベッドに寝かせている。
俺はレポート執筆中だ。あの後学校に欠席連絡し、折角暇になったので、バイトの時間まで見張りも兼ねて課題をこなすことにした。
「病人にさせるようなことはない。黙って寝てろ。」
「っ…そうかよ。」
クリスは拗ねたように背を向け、黙ってしまった。
「…お前も1人、なのか?」
背を向けたまま、クリスが聞いてきた。
「正確には、父さんと2人で暮らしてる。でもほとんど帰って来ないから、ほぼ一人暮らしだな。」
「父さんか。母さんは…」
「いない。小さい頃に死んだらしい、ノイズで。」
「そうか…悪い。」
クリスの背中がしぼんだように見えた。
「あんまり覚えてないんだ。その頃までの記憶が、結構あやふやというか、断片的というか。だから母さんとの思い出も、はっきり覚えてない。」
そういえば、家族についてこんなに語ったのはクリスが初めてだな。周りの人は皆気を使ってか、俺のそういう事情には詮索して来なかった。
まぁ、ノイズがチラホラ現れるこんなご時世、そんな珍しいことでもないかもしれないけど。
「だから特に気を使ったりしなくていい。」
「そっか。」
空になったコップに飲み物を注いでこようとしたとき、クリスが小さい声で言った。
「アタシには、何も聞かないんだな。」
「興味無い訳じゃない。でもさっきも言ったけど、ワケありなのは分かってる。俺が聞いて何か変わるのか?」
「そう…だよな。」
「愚痴なら聞いてやるよ。」
何となく、少しクリスに元気が戻った気がした。
「まぁ、何だ。お前が大丈夫になるまで、俺たちは、その…アレだ。」
「アレ?」
「友達みたいなもん…ってことにしとけ!」
初めてだった。
地球の裏側でパパとママを喪ってから、友達なんかができたのは。
周りの奴らは、クソばかりだった。
痛いと言っても聞いてくれなかった。
やめてと言ってもやめてくれなかった。
でも、目の前の今日初めて会った男は、何も言わずとも助けてくれた。
そして何も詮索してこなかった。
言わずとも伝わる。家族、とまで行かなくても、友達ってこういうモンなのかなと思ってた矢先、それを言われた。
ここまで来ると、コイツなら信用してもいいのかもしれない、なんて思えてしまう。
でも同時に、アタシの心にはあの言葉が刺さったままだ。
お前の母さんを、母さんとの思い出を殺したのは…
「アタシなんだ…」
それを知ってもアンタは…
「今何か言ったか?」
「いや、何でもない。」
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
誤字脱字、論理等の破綻、改善点などあれば感想にて教えてください。参考にさせていただきます。
よろしければまた次話も覗いて下さると嬉しいです。
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