転生ポケモントレーナーは欲のままにガラルに来たが、ポケモンに愛されて大変です (炎龍天狐)
しおりを挟む

プロローグ
酒飲みながらやるポケモンは最高!


とある世界。

 

魔法とかモンスターとか超能力とか非日常とか……そんなものなんてない現実的な場所。

 

そこにある某県にある一軒家にて、1人の女性が任天堂Switchを起動して、ゲームをしていた。

 

時間は真夜中。

 

外は暗い。

 

が、彼女がいる部屋にだけは明かりが点っていた。

 

「よっしゃあ!! ポケモン図鑑コンプリート!! そしてホプユウ尊い!!」

 

もう一度言おう。

 

現在の時間は真夜中。

 

外は暗い。

 

だと言うのにこの女、自室の中でこの叫びである。

 

「ふぅ……ようやく終わった。全ストーリークリアと、ガラル図鑑コンプリート! ついでに言えばバトルタワー200勝以上制覇!! いやぁ! ポケモンはいつやっても楽しいねぇ! あとライバルと主♀ちゃんのやりとりがどの作品でも儚くて尊い……これだからポケモンはやめらんねぇ……。もう甘酸っぱいのなんのってなぁ……!!」

 

感慨深いと言うように、息をほぉ、と吐き出しながら、女性は傍にあったチューハイを一気に煽る。

 

顔はかなり赤くなっており、明らかに酒が回っているようだ。

 

「あー……甘酸っぱい恋には興味なんてさらっさらないが、この儚くも尊い可憐な花を見守る空気になりた……いや、空気は解釈違いだな。私みたいなわけわからん空気を純粋な花たちに取り込ますわけにゃいかねぇわ。そうだ、地面……いや、地面もなし、踏まれたくねぇ。うーん……あ、辺りにいるポケモン? は可憐な花々たちに捕まるならまだしもわけわかんねぇトレーナーにゃつかまりたくないから却下するとして、となったらやっぱ大人としてか? うん、これだな。人の姿を持ちながら儚く尊い恋の花を見守りたい。決して触れることなく、しかし遠すぎない距離でほのぼのと見守ってあわよくば結婚式に呼ばれたい。ていうか呼んでくれ……!!」

 

オタク特有の早口を口にしながら、女性、四ノ宮 鏡花(しのみや きょうか)は、酒のつまみとし作っていたレモンマリネを口にする。

 

「んあ? あー……もう酒がない……。どうすっかな……明日休みだし、もう1本開けるか。」

 

しかし、自分が飲んでいたチューハイがなくなってることに気づいては、よっこいしょ……となんとも年寄りくさい言葉を口にして一回にあるキッチンへと向かい、冷蔵庫から缶チューハイを取り出そうと……

 

「ゲッ……もうアニキのビールしかねぇじゃん。そんなに飲んだっけか?」

 

したが、これまた空振り。

 

1本もない缶チューハイに舌打ちをする。

 

「はぁ……コンビニで買ってくるか。」

 

絶品マリネを食べつつ酒も飲んでゲームオールナイト。

 

せっかくそう計画していたというのに酒がなくては意味がない。

 

そう思いながら鏡花は、上着を羽織り、財布とスマホをエコバッグをポシェットの中へと雑に突っ込み、戸棚に収めてる家の鍵を持って玄関から外へ出る。

 

「うっへぇ……っ!! さむ!! 寒すぎる!! 酔い覚めるわこんにゃろー……っ」

 

外に出瞬間吹き付けた風に、鏡花は文句垂れながら、近くにあるコンビニの方へと足を運んだ。

 

何本くらい買いだめしとこうかと考えながら歩みを進めた。

 

吐く息は白い。

 

当然だ。

 

今は冬なのだから。

 

「つっても、キルクスタウンとか、テンガンザンとか、シロガネヤマとか、キッサキシティとか……歴代こおりタイプのポケモンたちがいる場所の方が寒いんだろうなぁ……。」

 

だが、明らかにこんな寒さよりももっと寒い場所が二次元の世界にはあって、現実世界にもあることを考えると、少しばかり寒さが和らいだ気がした。

 

「さてさて、チューハイついでになんかつまみになるようなちょっとした付け合わせかナッツ系も買っとくか。確かにマリネもいいが、ずっとあれじゃ飽きるしな。」

 

なんてくだらないことを喋りながらも、鏡花は急ぎ足でコンビニへと向かう。

 

(ソード終わったから次はシールドだな。またホプユウ見てやろっと。あ、ダンソニもなかなかだよなぁ……。ホプユウの尊さにゃ負けるけど。)

 

確かシールドだとキルクスタウンのジムリーダーがメロンママンになって、ラテラルタウンのジムリーダーがオニオンくんちゃんになるんだっけ? つか、オニオンくんちゃんって性別どっちだよ。ショタなの? ロリなの?とぶつぶつ言いながら歩く姿は、少々引きたくなるような姿だろう。

 

しかし、今は真夜中で、町には人がいない。

 

まぁ、街の方に行けば、酔っぱらったおっちゃんたちが朝まで梯子だイェーイ!とかしているかもしれないが、生憎鏡花がいる場所は、コンビニとスーパーと住宅しかない、中心街から離れた場所。

 

そんな存在など歩いているはずもない。

 

そのためどれだけ独り言を小さな声で言ったとしても、誰も気づいたりしないのである。

 

「あ、コンビニ着いた。……チューハイとつまみ以外にポケカありゃ買おうかね……。」

 

うーん……とオニオンの性別がどっちなのかと考えていた鏡花だったが、コンビニに着いたことに気づくなり、考えるのをやめる。

 

買うものをちゃっかし増やしながら、ふらふらとコンビニに足を運ぶのだった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

と思ってたのに、なんだこれ……?

「………あれ?」

 

あれから鏡花は、コンビニにてチューハイとつまみとポケモンカードをゲットした。

 

しかし、瞬きをした瞬間、世界は一辺。

 

真っ青な空に1人たたずんでいた。

 

手にしていたはずの荷物がない。

 

財布やスマホが入ったポシェットも見当たらない。

 

服もなんか真っ白なワンピースになっている。

 

「うわぁ……白ワンピちっとも似合わねぇだろ絶対……。」

 

つか、ワンピ事態似合わねぇよ、と文句垂れながら溜息を吐き、あたりを見渡すようにグルリと回転する。

 

だが、広がっているのは青空のみ。

 

足元にも目を向けてみるが、そこにも空が広がっているだけだった。

 

どうしたもんかと考える。

 

こんなことになるまでの記憶が全部抜け落ちているような気がした。

 

「おーい。誰かいないのかー?」

 

とりあえず鏡花は声を上げる。

 

誰もいないような気がしてならないが、ひょっとしたら……とわずかな期待を乗せながら。

 

『ふむ、ようやく目を覚ましたか。』

 

すると、背後から威厳ある声が聞こえてきた。

 

振り返ってみると、そこには見覚えのありすぎる存在が佇んでおり、鏡花のことを見下ろしていた。

 

「のわぁ!? なんでポケモンのアルセウスがいんの!? え!? 何これ夢!?」

 

まさかの存在に驚いた鏡花は大声を上げてアルセウスを見上げる。

 

対するアルセウスはと言うと、なんともまぁ予想通りの反応を返してきたもんだなこの娘っ子は……と思いながら鏡花に近寄る。

 

『夢ではない。オマエは今、元の世界にて命を落としてしまったのだ。ジ・エンド……というものよ。だからこそ、私は自らの力を使い、オマエを一時的に我が領域へと引き寄せた。ここは、ポケモンの世界とオマエがいた世界の狭間だ。』

 

そして、鏡花の現状を教えたあと、今いる場所がなんなのかを告げる。

 

「え……? 死んだ……? 私が……? マジで……?」

 

突然のアルセウスからのカミングアウトに鏡花は混乱する。

 

だが、アルセウスは事実であることを教えるように静かに頷き返した。

 

「そっかぁ……マジかぁ……。あはは……ついてねぇ……。」

 

アルセウスが洒落にならないような嘘をつくはずがない……アニメのポケモンを観ていたり、ゲームでのアルセウスというポケモンがどういう存在であるかを理解していた鏡花は、表情に影を落として苦笑いを溢す。

 

彼女の瞳には、わずかにだが涙が溜まっていた。

 

「まだ新しいポケモンが発売される可能性が大量にあんのに……大好きなポケモンのゲームの中のライバルズと主人公♀ちゃんの甘酸っぱい青春と成長が見れるかもしれなかったのに、ポケモンの映画だって、アニメだって、イベントだってもっと増えていたかも知れねぇのに……それを見ずに、しかも20そこらで命落とすとかないっしょ……。」

 

ポケモンのことばかり口にしてはいるが、他にも鏡花は思うところがあった。

 

オタ活としていろんなイベントに行きたかった。

 

自分たちの元に生まれたからと、大切に育ててくれた両親に親孝行の一環として海外旅行なんかにも連れて行きたかった。

 

恋人、または旦那さんを作って、子どもを生んで、孫の顔だって見せたかった。

 

やり残したことが大量にありすぎて、鏡花はボロボロと涙を零す。

 

シールドだってやりたかったし、のちに来る可能性があったリメイクとかもしたかった。

 

本当、ついてない……悲しんでいる表情を隠すように、鏡花は俯く。

 

そんな彼女に、アルセウスはそっと近寄り、自身の頭を彼女の頭に擦りつけることで彼女の頭を撫でて慰める。

 

ポケモンに一筋でありながらも、大切な家族とのことも思いはせるその姿は、あまりにも見るに耐えれなかった。

 

「う……っ……く……っ……うう……っ」

 

嗚咽を漏らす鏡花は、思わず頭を撫でるように顔をすりつけてくるアルセウスの首元に腕を回してすがるように泣き始めた。

 

アルセウスは鏡花が泣き止むまで彼女の頭に自身の頭を擦り付けていた。

 

……しばらくして。

 

「恥ずかしいとこ見せた……。」

 

『気にすることではない。そも、当然のことよ。若くして命を落としたのだからな……。その年齢であれば、長い年月の中で、さまざまな経験をすることだってできたはずだというのに、その未来を奪われてしまった……。泣かない方がおかしいというものだ。自ら命を絶ったわけではないのだから。』

 

グスッ……と鼻を鳴らしながらも謝罪の言葉を口にした鏡花。

 

アルセウスはしゅんとなっている彼女の頭に自分の頭を乗せながら、気にすることではないし、その涙は当然であると主張した。

 

その言葉に、再び鏡花は泣きそうになったがぐっと堪える。

 

それを褒めているつもりなのか、アルセウスは頭を軽く擦り寄ったあと、さて……と呟く。

 

『思い切り泣き、まだ整理がついていないかもしれないが、私がオマエの元に姿を現したことに関しての本題に入る。』

 

アルセウスは落ち着いた声音で鏡花に告げた。

 

『オマエのことは実を言うと長年見ていた。どういうわけか、私は異世界にいるはずのオマエを視認することができたのだ。ポケモンたちに対しての愛情が強いこと……時にはタマゴから何体ものポケモンを孵していたが、生まれたポケモンたちのことは大切に育てていたこと。ボックスがいっぱいになってしまったという理由から泣く泣くポケモンを逃していたこと……それらをずっと。』

 

自分がいた世界から隔てられているはずの世界である鏡花が生まれ育った世界……別の地球であるそこで過ごしている鏡花の姿を何度も見かけていたことを。

 

『それを見て私は思ったのだ。この娘は、ポケモンに対しての愛情がある。例え隔てられている画面内だけの次元の世界であっても、そこに住う生き物たちを……ポケモンたちを大切にしていると。』

 

その際、鏡花にどんな感情を抱いたのかを。

 

『ゆえに私は考えた。若くして命を失い、地へと還ってしまうのは勿体無いと。それならば、我が領域、我が世界へとオマエを転生させてしまおうと。知っての通り、私はこう見えて生命を創る創造の力を持ち合わせている。人間1人をポケモンたちが住う我が世界へと新たな肉体を得た魂を送り飛ばすことなど造作もないのだ。もちろん、オマエが望むのであれば、望んだ能力やポケモンを与えることもできる。悪い話ではないと思うのだが……。』

 

そして、鏡花の元に姿を現した目的を、彼女に告げた。

 

と、突然の転生フラグーーーーー!?

 

まさかのなろうや二次創作内でよく起こるできごとの提案に目を丸くする鏡花。

 

こんな経験をすることになるなんて……と何度も瞬きをする。

 

だが、せっかくの提案だし、ポケモンたちと過ごすことができるのであれば……とすぐに考える。

 

“その提案に乗らない手はない!”

 

確かに、元の世界で命を落としてしまったやるせなさや、元の世界でやりたいことがいろいろあったのにという未練は未だにあるし、時にはそれを思い出して泣いてしまうことだってあるかもしれない、

 

でも、いくら悔やんでも、未練を感じて泣いたとしても、状況が変わるはずもない。

 

ならば、前を向くためにも、転生という行為はかなり必要だろう。

 

(それにポケモンの世界に行けるってことはつまりあれじゃん!? リアルホプユウとかだって見れるわけじゃん!?)

 

なんとも言えない魅力的な出来事に、鏡花はその瞳を輝かす。

 

その様子からアルセウスは、彼女の返答をすぐに悟り、小さく笑い声を漏らした。

 

『どうやら、聞くまでもなかったようだ。』

 

アルセウスがそう呟けば、鏡花は無邪気な笑顔を見せて頷き、

 

「それなら私の歴代推しポケ6選手持ちと一緒にガラル地方に転生させてくれ!!」

 

自分の望みを口にした。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

推しポケ6選はこれだ!

「まず、初代ポケモンをやってた時から私の相棒だったリザードンは欠かせない! わがまま言っていいなら、キョダイマックス個体がいいなぁ……ほら、ガラル地方はメガシンカとかZ技がなかったから……。あ、でも、可能ならメガリザードンXになれるリザードンナイトXとキーストーンは欲しいかも。2匹目はギャロップ(通常)色違い! あの青い炎がキラキラしてる姿が大好きでさ! 背中に乗りたいね! 3匹目はロズレイド! あの美しさでありながらどくタイプを持ち合わせてるのがたまらない!」

 

今まで自分が推してきたポケモンの名前を口にしながら目を輝かせる鏡花。

 

要望を言えと言ったアルセウスは、彼女の言葉を逃すことなく、そのポケモンたちを頭に浮かべる。

 

「4匹目はユキメノコ! あのなんとも言えない美しさ……儚さ、ゾッとするような雰囲気がたまらなくって! 5匹目はゾロアークだな。見た目かっこいいし、通信対戦で騙すのが大好きなんだよ。最後はミミッキュ! ピカチュウの真似をして、少しでもみんなと仲良くなりたいって気持ちが可愛くて……でもその可愛さの裏には恐ろしい噂が!? でもやっぱり可愛いから抱っこしてあげたいなぁ……。」

 

まるで早口言葉だな……と鏡花が口にするポケモンたちを過去の彼女がやり続けていたポケモンからサルベージしていく。

 

しかし、ふとサルベージを止めるようにキョトンとする。

 

この娘は……伝説や幻のポケモンを口にしていないと。

 

『推しポケとやらに伝説や幻のポケモンがいないが……。』

 

好きな伝説や幻はいなかったのか?と純粋な質問を口にするアルセウス。

 

その問いかけに、今度は鏡花がキョトンとする。

 

しかし、すぐに彼女はその質問を笑い飛ばした。

 

『何を笑っておるのだ?』

 

少しだけムッとしながら、鏡花に声をかける。

 

すると鏡花は笑いを抑えてからアルセウスを見上げた。

 

「もちろん、伝説や幻のポケモンにだって推しはいるし、推しだらけだよ? でも流石に……ねぇ? あれは原作主人公たちの特権だろ、どう考えてもさ。異世界に転生しただけの一トレーナーな私が手にしたらダメだって。だから言わなかったんだよ。伝説や幻のポケモンの名前は。」

 

小さく笑いながら、伝説や幻のポケモンを仲間にすることができるのは、原作主人公たちの特権だと告げる。

 

あんなすごい力を持ってるポケモンを一トレーナーである自分が制御できるはずがないと考えながら、必要ないと口にする。

 

『……だが、過去にどこの時間軸だったかは忘れたが、ただのトレーナーがなぜか伝説や幻のポケモンを使い、アニメの主人公を差し置いてリーグを優勝したこともあったはず……』

 

「あーダイパのアニメな。あれはちょっとどうかと思った。いや、まぁ、確かにこっちもストーリー内でゲットできる伝説ポケモン入れてリーグ行くことあったけど、大抵はそれまでに育った手持ちの通常ポケモンと御三家の誰かで突破できたから使ったことねぇな、私は。」

 

『一トレーナーが手に入れている事例がアニメとやらにあるのだから問題ないのでは? バトルフロンティアとやらでも、トレーナーの1人がレジロック、レジアイス、レジスチルを手持ちにしていたこともあったであろう?』

 

「そ……それは……。」

 

まぁ、そうなんだけど……と言葉を濁す。

 

この目の前の神様はなぜに自分に伝説や幻のポケモンを持たせようとしているのか……疑問がふつふつと湧き上がる。

 

『どうする? 伝説か幻を手持ちに加えられるのだが?』

 

だからなぜ持たせようとする。(2回目)

 

そんなことを考えながらも、うーん……と鏡花は唸る。

 

「じ、じゃあ、伝説、幻の推しを6選するからその中から1匹選出して手持ちにしといてくれ。入れ替え候補はそうだな……ミミッキュとロズレイドか……?」

 

そして、最終的にそこまで言うなら……と選抜6匹から1匹を手持ちにすると口にする。

 

『うむ。申してみよ。』

 

するとアルセウスはどことなく満足そうにしたあと、鏡花に伝説や幻の推し6選を聞くために待機する。

 

「私が好きな伝説や幻は、ルギア、スイクン、レックウザ、アルセウス、イベルタル、そんでソルガレオの6匹だ。見た目や能力重視のポケモンたちだな。」

 

その様子を見た鏡花は、自分の好みの伝説や幻のポケモンを口にする。

 

『そうか。よくわかった。では、その中からランダムでオマエの手持ちに1匹加えよう。ふむ……私のことも好いてくれていたのか……まぁ、能力が高いのは自負しているゆえ当然と言えば当然か……。

 

鏡花から聞き出せた伝説や幻のポケモンの好みを理解したアルセウスはすぐにどの伝説や幻を手持ちに加えてやろうかと考えて、ささっと作業を終わらせる。

 

『よし、これで選出されたポケモンはオマエの手持ちとなった。では、次の段階に移行するとしよう。』

 

そして、鏡花の手持ちのポケモンを自分たちの世界に確立させては、新たな段階に移行することを告げる。

 

「新たな段階?」

 

新たな段階とは何か……そう思いながら首を傾げる鏡花に、アルセウスは告げた。

 

『オマエの向こうでの肉体を構築する。それに今この場にあるオマエの魂を取り込ませることで、転生を果たすのだ。』

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転生準備も佳境になったな!

「え、見た目好き勝手していいのか!?」

 

アルセウスが告げた言葉により、容姿を好きに弄れることを理解した鏡花は、目を輝かせて問いかける。

 

『ああ。転生するのだ。どうせなら自分好みの容姿を持った存在にだってなりたいだろう? 私ならそれが可能だ。創造と言う力を持っているからな。』

 

アルセウスは目を輝かせる鏡花に胸を張って肯定する言葉を口にした。

 

すっげぇドヤ顔……なんてことを思いながらも、鏡花は考え込む。

 

「じゃあ、髪の色はアプリコットオレンジ! 目の色は星みたいな黄色がいい! 実はさ、私もこんな性格してはいるけど、髪の色とか目の色とかをなんらかの方法で変えることに興味はあったんだよ。でも、やっぱ性格邪魔して、流石にこれは私には似合わねぇよな……って言う悩みとかあって変えれなかったんだよ。まぁ、だからと言って、性格を直そうにも確立しちまってたし無理だなぁって……直す努力もしてなかったからオマエ何言ってんだって感じだけど、自分らしいのはこれだよなって思ってたから別に気にしなかったんだけどな。あ、性別は女で頼むわ。今更男にTSしたところで、一から男の生理現象学ぶとかめんどくさいから。生まれて20数年、ずっと女してるから女の方が行動しやすいからよ。」

 

そして、自分が望む容姿や性別をアルセウスにリクエストする。

 

そのリクエストにふんふんと頷きながら、アルセウスは彼女の新たな肉体をポケモンの世界へと構築し始めた。

 

『他はあるか? 見た目の良し悪しや身長の高低……女であるならば、体つきなどもあるだろう?』

 

その上で他に体型などに関しての望みはあるかと問いかける。

 

「あー……そこら辺は任せるわ。そこら辺の高望みはないからな。」

 

が、問われた鏡花は、そこまで高望みはないと告げる。

 

『ふむ……なら、こちらで勝手に構築するとしよう。』

 

アルセウスはなるほど、と頷いたあと、勝手に容姿の構築を始める。

 

これはダメだな。こっち……は少々子どもすぎるか。

 

こっちは考えるまでもない、ボツだ。

 

これか? いや、もう少しマシなものがあるはず……。

 

ぶつぶつと小さく呟きながらも、あーでもないこーでもないと作ってみては消し、作ってみては消しを繰り返し、ようやく思うような見た目を構築したアルセウスは、その肉体を彼女が過ごすことになる自宅のベッドへと設置する。

 

『よし。ほとんど準備ができたな。では、最後の質問だ。向こうの世界にいる住人の中に1人くらいなんらかの関係を持つ存在がいた方がオマエも過ごしやすいだろう。オマエが世界に生まれ落ちる……それにより、新たな世界がその場に生まれる。もしもオマエがその世界にいたら……という新たな世界が出来上がるのだ。もちろん、オマエがこれまで見守り、冒険してきた世界もある。それが正規ルートと呼ばれるもので、これからオマエが生まれるのは、パラレルワールドと言えるのだろうな。』

 

それを確認したアルセウスは、最後の準備を行うことを告げる。

 

新たな生命がその世界に生まれた時、新たな世界が誕生する……創造の力を持ち合わせているアルセウスらしい発言だ。

 

それを聞いた鏡花は、自分が生まれることで新たな世界に分岐するのは当然の摂理か……?と思いながらも、理解したように頷いた。

 

『では聞こう。向こうの世界に存在している誰かと繋がりを持つことができるがどうする?』

 

鏡花の返事を確認したアルセウスは、先程と同じ質問をする。

 

誰かと繋がりを持てるのならば、誰と繋がりを持ちたいかと。

 

「血縁じゃなく助手として、カロス地方のポケモン博士であるプラターヌ博士との繋がりが欲しい。ポケモンってさ。手持ちに入れておくことができないポケモンを研究所とかボックスに預けるっしょ? 実際、アニポケではサトシがオーキド博士にポケモンを預けていたりしたしな。そのシステムがあるのなら、推しキャラであるプラターヌ博士がいい。あの頭いいし見た目もいい癖してナンパ失敗しやすいとか、ローラースケート下手っぴとかってギャップが好きなんだよね。」

 

それなら、と鏡花は、ポケモン博士の中の推しであるプラターヌの名前をアルセウスに告げる。

 

『プラターヌ……ふむ、此奴か。よし、わかった。此奴との繋がりを作っておこう。』

 

プラターヌという博士は誰かとポケモン世界から生命情報をサルベージしたアルセウスは、鏡花とプラターヌの間に繋がりを作る。

 

彼女が望んだプラターヌ博士の助手という立場を作り上げ、彼女を飛ばす世界にそれを刻み込んだ。

 

『これにて全ての準備が整った。あとはオマエを向こうに飛ばすだけだ。では、キョウカよ。向こうでの新たな生を満喫し、本当の意味で生を全うするといい。』

 

それにより鏡花の転生準備を整えたアルセウスは、仕上げとして彼女の魂をポケモンが住う世界に構築した肉体へと送るために力を使う。

 

「うわ!?」

 

眩い光に包まれたことに、鏡花は驚いたように声を上げる。

 

爪先や手先が消えていく。

 

それを見て、とうとう転生か……と考えた鏡花は口元に笑みを浮かべ、アルセウスのことを見上げ

 

「ありがとう、アルセウス。行ってきます!!」

 

ただ一言、感謝と挨拶を口にしてから、空しかない狭間の世界から消えていった。

 

アルセウスは彼女の転生を見送ったあと、狭間の世界から姿を消す。

 

あるプレゼントを転生した彼女の元へと残して。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まった私の物語
おはよう、ポケットモンスターの世界


ガラル地方のハロンタウン。

 

そこにある一軒の家の一室で、けたたましく目覚まし時計が鳴り響いた。

 

「んう……うっるせぇ!!

 

鳴り響いた目覚まし時計に怒鳴り散らしながら、バンッと時計を叩く。

 

壊さんばかりの勢いで叩かれた目覚まし時計は沈黙した。

 

「ったく……今日は休日……ん……?」

 

目覚まし時計を黙らした存在は、再び布団に潜り込む。

 

が、布団の上にもふもふの何かがいたような気がしたため、驚いて勢いよく起き上がった。

 

『あ、やっと起きた! お母さんが呼んでたよ? 朝ごはんができたって!』

 

布団の上のもふもふと目が合えば、そのもふもふがぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 

(イーブイ は はねる をつかった しかし なにもおこらない……じゃねぇ!!)

 

無邪気に自分の体の上でぴょんぴょこぴょんぴょこ飛び跳ねるウサギのような姿をしたもふ毛玉……改め、ポケットモンスター、縮めてポケモンのもふ毛玉スコットの一角であるイーブイの姿に二度寝と洒落込もうとしていた女性、鏡花は驚いたような表情をする。

 

『どしたのキョウちゃん?』

 

「へあ!? あ、いや、なんでもねぇよ。起こしてくれてありがとうな。」

 

そんな鏡花を不思議そうに眺めるイーブイ。

 

鏡花はなんでもないと口にしてから、イーブイをベッドから下ろしては、自分もベッドから出る。

 

しかし、ふと何か違和感を覚えて固まったあと、イーブイの方へと目を向ける。

 

イーブイは可愛らしい表情で、キョトンとしたまま首を傾げている。

 

「……ポ、ポケモンの言葉がわかってんの私!?」

 

だが、鏡花はその姿に可愛いと悶えるより先に、イーブイが口にしている言葉を理解できていることに関して、驚くことしかできなかった。

 

『? 何言ってるの、キョウちゃん? キョウちゃんは昔からボクらの言葉を理解してたでしょ? お寝ぼけさんなんだね。』

 

驚いたような様子を見せた鏡花に対して、イーブイは不思議そうな表情を見せたあと、クスクスと笑ってはからかうように言葉を告げて、鏡花にすりすりとすり寄った。

 

その姿は可愛らしいし、思わずもふもふとしたその体を撫でてしまう。

 

(まさか……私はポケモンの言葉がわかんのか……?)

 

が、脳内にはまさかの能力が発覚したことによる驚きと混乱によりごちゃごちゃになっていた。

 

Nかよ私は……なんて思いながらも、イーブイを解放してからベッドから立ち上がる。

 

『お母さん待ってるからボクは先に行くね!』

 

すると、イーブイはその場からもふもふの尻尾を揺らしながら、てちてちと立ち去っていく。

 

それを見送った鏡花は、困惑した表情を見せながら自分がいた自室の窓を開ける。

 

そこに広がっていたのは、のどかな景観の小さな村。

 

ふと視線を移動させてみれば、見覚えのある森が広がっている。

 

空を見上げれば、自分が最近プレイしていたポケモンの最初の方に出てきたポケモン、ココガラが鳴きながら飛び回っている。

 

「……剣盾の世界だな。しかもあの森、明らかにまどろみの森だし。ハロンタウンがスタートかよ。」

 

それを見た鏡花は、マジかぁ……と言いたげな表情をしながら、苦笑いを溢す。

 

しかし、すぐに目を輝かしながら、

 

「ハロンタウンってことは、間近でホプユウ見れんじゃね……!?」

 

間近であの青春を見守ることができると言うことに喜びを見せる。

 

頭の中から、ポケモンの言葉がわかることに対する疑問は完全に抜けていた。

 

『キョウちゃん?』

 

あの甘酸っぱい2人のやりとりが見られるかもしれない……そのことに感動していた矢先、なかなか自室から出てこない鏡花を心配したらしいイーブイが、彼女の自室に顔を見せたあと、名前を呼ぶ。

 

「んあ? ああ、すぐ行くって。ありがとな。」

 

イーブイの声を聞いた鏡花は、すぐに行くと返してから、自室の出入口へと足を運んだ。

 

やっとかと言いたげな表情をしたイーブイは、再び尻尾を揺らしながら、てちてちとリビングへと向かっていく。

 

「おはよう、キョウちゃん。」

 

「キョウカ……オマエは女の子なのだから、もう少しおしとやかにできないのか……?」

 

「おはよう、母さん、父さん。……無茶言うなよ。今更直せって言われても直し方なんてわかんねぇって……。おしとやかな私とか想像しただけでドン引きだっつの……。」

 

「……私はどこで教育を間違えたのだろうな、ユリカ。」

 

「うーん……ちょっとわからないかな?」

 

リビングへと辿り着いてみれば、ポピーレッドの瞳と、金髪が印象的な美丈夫中年と、マリンブルーの瞳と、アプリコットオレンジの美しい髪が印象的な美女中年の姿があった。

 

鏡花はすぐに理解する。

 

ああ、この2人は自分の両親なんだなと。

 

そんなことを思いながら、元の世界にいた時と変わらない態度を見せる。

 

どうやら、こちらにいる自分もこんな態度をしていたようで、大して驚かれることなく、呆れたような声音で言葉を返される。

 

こっちの私もこんなんだったのか……そう思いながら、朝食が並べられてらいる席に着く。

 

同時に、イーブイと

 

『あ、キョウちゃん起きたんだね! おはよーキョウちゃん!』

 

もう1匹自宅にいたポケモンらしいピカチュウがすぐ近くに寄ってきた。

 

このイーブイとピカチュウは、両親のポケモンなのだろうかと考えながらも

 

「おはよう、ピカチュウ。今日も元気だね。」

 

挨拶をしてきたピカチュウに挨拶を返す。

 

ピカチュウは笑顔を見せたあと、鏡花の隣にあった子ども用の席にちょこんと座った。

 

ピカチュウの頭を撫でた鏡花は、いただきますと小さく口にして、出されていた朝食を口にするのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

“てんかいのふえ”なんてレアアイテムを渡してくるとかどんだけだよ

朝食を食べ終えたあと、鏡花は寝巻きを着替えるために、自室へと戻っていた。

 

彼女の肩と頭には、何故かイーブイとピカチュウが乗っている。

 

「キミらさ……なんで毎回私の頭の上と肩の上に乗るんだ……?」

 

『キョウちゃんの側が落ち着くから〜。』

 

『キョウちゃんの肩の上って、なんか安心できるんだよね、ぼく。』

 

地味に重たいと思いながら、鏡花が2匹に問いかけてみれば、頭の上のイーブイは、鏡花の側が落ち着くと口にして、肩の上にいるピカチュウは、鏡花の肩の上は安心できると答える。

 

……ピカブイをやっていた時、主人公の肩や頭にポケモンがいるの、なんかいいなと思ってはいたが、2匹いっぺんに乗られるのは流石にきつい……私はスーパーマサラ人じゃないんだぞ……なんて文句が頭に浮かんだりしたが、鏡花はイーブイたちを降ろそうとは考えていない。

 

重たくはあるが、やはりポケモンが自分に乗ってくれるのは嬉しいようだ。

 

やれやれ……と呆れたように、しかしどことなく嬉しげな表情をする鏡花。

 

……だったのだが、2匹が乗っていては服が着替えれないと思い、いったん自分のベッドへと降ろす。

 

自分たちが降ろされた理由を理解しているイーブイとピカチュウは、鏡花のベッドの上でじゃれ始めた。

 

その様子から、この2匹の仲の良さが、きっと両親を結びつけたんだろうなと思いながらもさっさと服を着替えた。

 

そんな中、ふと……鏡花は自室の机の上に何かがあることに気づく。

 

不思議に思いながら近づいてみると、そこには6つのモンスターボールと、キーストーンらしきものがハマっている指輪、リザードンナイトXがハマったブレスレットと、ポケモンをダイマックスさせるために必要なダイマックスバンドが置いてあった。

 

「おっふ………。」

 

アルセウスがまさかここまで準備していたとは思わず、言葉を詰まらせる。

 

確かに、自分はメガシンカに必要なキーストーンと、大好きなメガリザードンXに必要なリザードンナイトXが欲しいとは言った。

 

だからこそキーストーンつきの何かがあるのはおかしくはない……というか、むしろあるのが当然だ。

 

違和感はない。

 

ないのだが………

 

「ダイマックスバンドまでオマケでくれるとはなぁ……。まぁ、どうせなら、ホプユウの旅立ちの際に手に入れたかった気持ちもあるけど、せっかく用意してくれたんだし、文句言う方が失礼だよな……。ありがたくもらおう。」

 

ちょっとだけ寂しく思いながらも、用意されたダイマックスバンドやキーストーン、メガストーンを荷物に入れながら呟く鏡花が、視線をずらす。

 

すると、何やら手紙と笛がその場に用意されていることに気づく。

 

「ん? なんだこれ?」

 

首を傾げて笛を手にしてみれば、それは“てんかいのふえ”だった。

 

「これ……ダイパでアルセウスを手に入れるときに使う“てんかいのふえ”じゃねぇか……!?」

 

なんだってこんなもんが机の上に……困惑しながらも笛の側にあった手紙を見れば、そこに答えが書いてあった。

 

“この手紙を読んでいるということは、無事に転生を果たせたようだな。それならいい。不備がないのなら安心だ。……この手紙に書いてあるのは、キョウカの手持ちに関してと、てんかいのふえ、そして、今オマエがいる時間軸についてだ。まずは、オマエの手持ちに関しての説明をしておこう。”

 

前置として書かれていたのは、この手紙の内容に関しての簡易的な説明だった。

 

そこに目を通した鏡花は、綴られている文字を見る。

 

“オマエの手持ちとなっているのは、リザードンのノウゼン。通常の方の色違いギャロップであるリンドウ。ユキメノコのヤマユリ。ゾロアークのファントム。ミミッキュのホオズキ。そして、伝説のポケモンの一体であるソルガレオだ。それぞれのニックネームに、覚えはあるだろう。オマエが、過去にしていたシリーズの中……その中でオマエがゲットしたポケモンたちだ。ディアルガとパルキアに協力を仰ぎ、オマエが辿った正規ルートのポケモンたちをサルベージし、オマエの手持ちとした。”

 

最初に目に入ったのは、手持ちとなるポケモンたちの名前。

 

手紙に書いてあるように、覚えのあるニックネームを持ったポケモンたちだった。

 

確かに、この名前の子たちはかつてのゲーム内での自分の手持ちだった。

 

さりげない気遣いに頬を緩める。

 

どこからともなく勝手に捕まえてきたポケモンたちではなく、自分の手持ちだった子たちなら、過ごしやすいと安心した。

 

“このものたちは全員、オマエのことを認識している。サルベージの際に情報を与えたからな。そしたら喜んで来てくれたぞ。サルベージ外にいたオマエのポケモンたちには睨まれたがな。随分と愛されていたものだ。……次に説明するのは、てんかいのふえについてだ。”

 

ポケモンに関しての説明により、ホッとした鏡花がさらに文章を読み進めてみれば、“てんかいのふえ”についての説明が目に入る。

 

そうだよ、笛だよ、なんであるんだよ、と頭の中に浮かべた鏡花は、すぐに読み始めた。

 

“これに関しては簡潔に言う。その世界で困ったことがあった時に吹くといい。すぐにオマエの呼び出しに応じる。だが、その笛はかなり希少なものだ。むやみやたらに吹いていてはオマエの身に危険が訪れるだろう。それこそ、よからぬ輩に襲われる可能性だってある。ゆえに、使う時は細心の注意を払ってからだ。良いな? では、最後にオマエがいる時間軸についてを記しておく。”

 

どうやら、自分に託された“てんかいのふえ”は、アルセウスなりのお助けアイテムだったようだ。

 

よほどのことがない限り、神と呼ばれしポケモンを呼ぶことはないだろう……そんなことを思いながらも、頭の片隅に叩き込む。

 

そして、最後の文章に目を通した。

 

“オマエを飛ばした時間軸は、オマエがゲームで見た時間軸の前だ。ソード、シールドに出ていた主人公がまだ引っ越してきていない軸といったところか……。来月あたりに、オマエが見守りたいと言った少女がハロンタウンに引っ越してくる。彼女たちがジムチャレンジに参加するのは、来年となるだろう。それまでは、自由に過ごしながら、このポケモンの世界の要領を掴むといい。もちろん、ゲームとやらにあった知識も使えると言えば使えるが、勝手が違ったりもするからな。来年になるまでいろいろと学んでおいて損は無いと思うぞ。”

 

そこに書かれていたのは、自分がいる時間軸についての詳しい説明だった。

 

(ジムチャレンジは来年……ということは、今年のジムチャレンジは既に終了していて、ダンデさんVS……おそらくはキバナさん……のトーナメントバトルは見れずか……ちぇ……これも楽しみにしてたんだけどなぁ……まぁ、いいか。)

 

その説明に目を通した鏡花は、少しばかり残念そうにしながらも、来年にトーナメントバトルは持ち越しだと見切りをつけて、他には何も書かれていないかを確かめた。

 

“説明は以上だ。オマエが楽しめる世界であるよう、私は遠くから見守っている。何かあれば必ず呼べ。私にしかできないこともあるからな。”

 

しかし、大した内容は書いておらず、自分の未来を案じる言葉だけが最後の文章として書かれていた。

 

鏡花は、肩を竦めながら、この手紙は見られたらまずいと思いながら、鍵つきの戸棚へとそれを収め、一緒にダイマックスバンドも収める。

 

今はまだダイマックスバンドも見られる訳にはいかないのだ。

 

「……なぁ、ピカチュウ。イーブイ。」

 

しっかりと鍵をかけ、戸棚の鍵も取れないようにと片した鏡花は、自分のベッドで寛ぐイーブイとピカチュウに声をかけた。

 

『キョウちゃん?』

 

『どうしたの?』

 

声をかけられたイーブイとピカチュウは、キョトンとした顔で鏡花を見る。

 

「今、私が手に入れたもん見ていただろうけど、内緒にしといてくれよ。見せもんじゃないしな。」

 

鏡花は自分のことを見てくるイーブイとピカチュウに、囁くようにそう言ったあと、歯を見せながら笑ってみせる。

 

彼女の笑みを見たイーブイとピカチュウは、首を傾げながらも彼女の言葉に頷いた。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

こんにちは、私の手持ちたち。

「さて……手紙も読み終えたことだし、ちょっくら手持ちたちを見てみるかねっと……。」

 

アルセウスの手紙も読み終わり、服も着替えた鏡花は、ふらふらと自宅の玄関へと向かう。

 

「あら、キョウちゃん? どうしたの?」

 

自室から出てきた鏡花を見た彼女の母親が、首を傾げながら声をかける。

 

鏡花は、すぐに足を止めて

 

「あー……ちょっくら散歩してくる。」

 

散歩だと返して玄関の扉に手をかけた。

 

「それは構わないけど、早めに帰ってくるのよ?」

 

散歩と口にした鏡花に、彼女の母親は大して気にすることなく、早めに帰ってくるようにと告げる。

 

その言葉に手を振るだけで答えた鏡花は、ハロンタウンへと踏み出した。

 

視界に広がる村は、とても穏やかなものだった。

 

少し視線を動かしてみれば、柵により閉ざされた森への道。

 

ちょっとした好奇心から森に近づいた鏡花は、柵の近くにまで足を運んだあと、じっと森を見つめる。

 

薄暗くどこか不気味な雰囲気。

 

ここから、2人のトレーナーの物語が始まるのかと思うと、どことなく感慨深くもある。

 

「いやぁ……楽しみだねぇ……。早くホプユウ見れないかなぁ……。」

 

だが、感慨深さはあれど、鏡花にとっての最優先事項は、近くでありながらも、決して触れることなどしない距離で、青春の煌めきを見守ることのため、鑑賞に浸ることなく、ニヤニヤと口元に笑みを浮かべる。

 

しかし、すぐに表情を引き締めては、森に1番近い家へと目を向けた。

 

人気がないという違いはあれど、ゲーム内で散々見てきた、ポケモンの剣盾の主人公が暮らしていた一軒家がそこにはあった。

 

「ここに……来月になったらユウリが来るのか……。」

 

それはなんとも楽しみだ。

 

そんなことを思いながらも、鏡花は足早にハロンタウンを離れ、ブラッシータウンにたどり着く。

 

そのあとポケモンセンターへと入り、アルセウスが用意してくれていたお金を使ってモンスターボールとキズぐすりを購入しては、即行でブラッシータウンにある駅へと向かっては、ワイルドエリア駅までの切符を購入しては、やってきた電車へと乗り込んだ。

 

少ししてついたワイルドエリア駅。

 

降りた鏡花は、思い出したように、駅の中にあったフレンドリーショップでピッピにんぎょうをいくつか入手し、ワイルドエリアへと躍り出る。

 

「わっはぁ!! リアルワイルドエリアだぁ!! お、ちゃんとゲーム通りの位置にイワークがいる。デッケェ!!」

 

『………随分賑やかなトレーナーだなぁ。』

 

「あ、悪ィ、うるさかった?」

 

『いや、うるさい訳じゃない。ここは常にトレーナーがうろつくからな……賑やかなのは当然だ。少し驚いたんだよ……。』

 

「あー……なるほどな。それは申し訳なかった。謝るよ。」

 

今まで画面越しでしか見ることができなかったワイルドエリアに興奮して、大声で感動を表現する。

 

が、すぐ近くにいたイワークにつっこまれてしまったため、声を抑えて謝罪する。

 

最初は、自分の言葉を理解している見知らぬトレーナーに驚いていたイワークだが、過去にポケモンの言葉を理解できる人間が世の中にはいるという話を思い出したイワークは、賑やかなことは気にしてないと言わんばかりに首を左右に振ってから、その場をゆっくりと立ち去った。

 

「……ナチュラルにポケモンと話しちまったけど、まぁ、別に構わないよな。Nだってナチュラルに話していたし。そんじゃ、お楽しみの手持ちとの対面といこうか!」

 

去っていくイワークを見送った鏡花は、木を取り直すように言葉を紡ぎ、腰に携えていた6つのモンスターボールを片手に3つずつ持ち、高々とそれを宙へと放る。

 

すると、特に時間がかかることなくポンッと軽い音を立てて開き、そこに収まっていたポケモンたちが一斉に姿を現した。

 

同時に、小さな体が2つほど、鏡花の体にぶつかってくる。

 

「のわ!?」

 

突然の衝撃にバランスを崩した鏡花。

 

だが、地面に倒れる前に、その背に大きな体が滑り込み、優しく支えられる。

 

「お?」

 

倒れなかったことを不思議に思って視線を動かせば、ソルガレオがそこにはいて……

 

『ようやく会えたな、キョウカ。待ちくたびれたぞ。』

 

見た目の割には随分と爽やかな挨拶をされる。

 

「あー……そういや攻略とか見て、ユキメノコ以外のポケモンたちを厳選しまくった記憶があるわ……。ってことはあれか。ソルガレオ……あんたはようきソルガレオだな?」

 

『大正解だ。少しでも通信対戦を有利にしたいと考えていたキョウカの手により、厳選された物理特化のソルガレオ。まぁ、いのちのたまとかは持ってないが、特に持ってなくても問題はないからな。』

 

その様子から、自身が一部のポケモンを厳選しまくっていたことを思い出しては渋い顔をする。

 

伝説のポケモンがこうまで爽やかなのは、何というか、ちょっとシュールだ。

 

「って、こ、と、は……ノウゼンはあれか、メガリザXの基本型のようきか、キョダイマックス用のわんぱくか。」

 

『オレ? オレはキョウちゃんが大好きなメガリザX型の方だよ。カロス地方にいた、ね? にしてもキョウちゃんってアバターを操るプレイヤーの方も可愛こちゃんだったんだなぁ。それは何より。可愛い子は大好きだからね、オレは! 自分のトレーナーちゃんならなおさらね?』

 

リザードンのノウゼンへと目を向けながら、問いかけてみれば、かなり軽い調子で言葉を返される。

 

ようきソルガレオにようきリザードンって……と鏡花は軽く引いていた。

 

自分が入手したポケモンとは言え、ようき型が多すぎる。

 

そこまで考えた鏡花は、ギャロップのリンドウとゾロアークのファントム、そして、自分の腕の中に飛び込んできていたミミッキュのホオズキへと目を向けた。

 

「……まさかとは思うけど、オタクらも?」

 

嫌な予感を抱いていた。

 

自分は今まで、どれだけようき型のポケモンを入手した?と思い出そうと頭を働かす。

 

『ぼくも、ようきな性格だよ。』

 

『もちろん、オレもようきな性格だぜ、仔猫ちゃん。』

 

『わたくしもこう見えてようきですね。フフ……ようやく会えて嬉しいです、ご主人様。ようやく貴方様を背に乗せて、地を駆け回ることができる……! ああ、なんと嬉しきことか! ご主人様のためであれば、このリンドウ、雨の中だって走って見せましょう!』

 

「…………マジかぁ。」

 

鏡花の嫌な予感は的中してしまった。

 

この場にいる手持ちたちはほとんどがようきな性格をしている。

 

おそらく、ユキメノコのヤマユリだけが、見た目重視の性格だ。

 

「ヤマユリ。キミは、あれかな? おだやかな性格をしてる子……。」

 

『せやねぇ……あんたはんがウチの見た目からしておだやかな性格がええ言うて、おだやかな性格をしたユキワラシから育てたユキメノコでおうとるよ?』

 

「……キミ、そんな話し方だったんだな。」

 

『ん〜……? おかしいやろか……?』

 

「いや、逆だ逆。案外しっくりくる。」

 

『それなら嬉しいわぁ。あんたはんに好かれるんやったら、変えることもやぶさかではないんやけど、このままでええ言うてくれはるし、このままでいこか。』

 

予想通り、ヤマユリはおだやかな性格だった。

 

それなら個性は……と考えた鏡花は、脳裏に別のゲームの女鬼を思い浮かべる。

 

おだやかな性格だけだったら彼女が思い浮かぶこともなかったのだが、このユキメノコの個性はイタズラが好き……だとしたら……と苦笑いをする。

 

喋り方も相まって、どうしてもチラついてしまった。

 

「そんじゃまぁ、挨拶も済んだことだし、ワイルドエリア探索と行こうかね。ポケモンの巣穴には入らねーけど、エンジンシティ周辺とハシノマ原っぱにある預かり屋と、ナックルシティ周辺あたりには行っといた方がいいかもな……。アーマーガアタクシーや、ノウゼンの背に乗って移動する際、記憶しとけばいつでも行けるようになれるし。」

 

それを振り払うかのように、とりあえず今からすることを口にしながら、手持ちのポケモンを一旦戻す。

 

雲行きからして、今回はリンドウに乗っても問題はなさそうだ。

 

「リンドウ。少しだけしゃがんでくれるか? 背中に乗りたい。」

 

『もちろんですとも!! 落ちないようにお気をつけてください。そこそこわたくしはスピードが出てしまうので……。』

 

「ん、わかった。」

 

そこまで考えて鏡花は、ボールに戻さなかったリンドウにしゃがむように指示を飛ばす。

 

するとリンドウはすぐな鏡花の指示に従い、彼女が背に乗りやすいようにしゃがみ込んだ。

 

低くなった背にまたがる。

 

リンドウはそれを確認するなり、その場でスクッと立ち上がった。

 

「すげぇ……アニポケかゲームでか忘れちまったけど、信頼しあえるトレーナーであれば、ギャロップの炎は熱くないって話は事実なんだな。服に燃え移る気配もない……。本当、ポケモンってのは不思議だらけだ。」

 

高くなった視線に驚きつつも、初めてギャロップの背に乗った気持ちを素直に吐き出す。

 

全て聞いていたリンドウは、小さく笑いながらも、歩き始めた。

 

そこから徐々に加速していき、しまいにはかなりのスピードがで始める。

 

しかし、いくら速くとも気分は悪くならないし、むしろ快適に過ごせると言えるくらい楽だった。

 

これはいい、と考えた鏡花は、リンドウにしっかりとつかまりながら、ワイルドエリアの風となる。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

恋するマホイップ、ゲットだぜ……? いや、私女なんだけど……

マホイップ♀→オリ主♀
マホイップちゃんは♀だけどオリ主♀にガチ恋勢です。


色違い通常ギャロップのリンドウの背中に乗り、ワイルドエリア全体を駆け回った鏡花は、うららか草原にてその身を休めていた。

 

彼女の周りには彼女の手持ちのポケモンたちが集まっており、ミミッキュのホオズキとユキメノコのヤマユリは、彼女の膝の上でお休みしている。

 

どちらもゴーストタイプを持っており、ヤマユリに至ってはこおりタイプも持ち合わせているため、どことなく足が冷たい気がするが、彼女の傍らでしゃがんでいるリンドウと、彼女の背後で休むリザードンのノウゼンのおかげもあり、そこまで寒くはなかった。

 

「いやぁ……光の柱がある巣穴って本当にダイマックスポケモンいるんだなぁ……外から見ただけだったが、頭が見えたわ……。もっと近くで見たかったけど、ダイマックス個体と勝負するのはダイマックスバンド持っとかなきゃ危険だし、今回は諦めないとな……。」

 

自身の側で休むホオズキとヤマユリの頭を撫でながら、鏡花はポツリと小さく呟く。

 

『まぁ、それは仕方ないよキョウチャン。ダイマックス個体ってかなり強いし、キョダイマックスなんて論外だぜ?』

 

鏡花の呟きに答えたのは、ゾロアークのファントムだった。

 

彼は鏡花のちょっと残念……と言った様子に、仕方ないと告げては、鏡花のすぐ隣に腰かけた。

 

「そんくらいわかってるっつの。つかファントム。あんた仔猫ちゃん意外にも私の呼び方あったんならそっちを主に使ってくれ。仔猫ちゃん呼びはさぶいぼが立つ。」

 

『さぶいぼって……せめてそこは鳥肌って言おーぜー、キョウチャン……。』

 

そんなファントムに対して、ドン引きしたような表情をしながら、仔猫ちゃん呼びをやめるように指示をした鏡花。

 

ファントムは鏡花のさぶいぼが立つ発言に対して苦笑いをしながらツッコミを入れる。

 

見た目によらず口が悪いのはギャップがあってなかなかいいが、さぶいぼなんて言葉を吐き捨てるのだけはいただけない。

 

一昔前のヤンキーみたいで、ちょっとだけ嫌だった。

 

「んあ? さぶいぼじゃダメなの? まぁ、それくらいは直すけどよ……。」

 

ファントムの指摘に鏡花は少しだけ不満を見せたが、どことなく嫌そうな顔をされたため、渋々さぶいぼという言葉を使わないことを約束する。

 

それに満足したのか、ファントムは上機嫌になりながら、座り込む鏡花の足に自分の頭を乗せた。

 

膝枕をしてほしいらしい。

 

『ふーん……? どうやらファントムはんは、あんたはんに甘えたいみたいやねぇ……。頭くらい撫でてやったらどない?』

 

その様子を見ていたヤマユリが、鏡花に声をかける。

 

「こうか?」

 

ヤマユリに言われてファントムの頭にそっと手を乗せ撫でてやれば、ファントムは一瞬驚いたような表情を見せるが、すぐにトロンとした笑みを浮かべ、その手にすりすりとすり寄った。

 

可愛い……と思いながら、頭から喉に手をずらし、そこをこしょこしょと擽るように撫でる。

 

『ふはっ……キョウチャンそこは擽ってぇよ〜……でも気持ちいい……。』

 

擽るように喉元を撫でられ、上機嫌に笑いながらも気持ちいいからとそのまま撫でられ続けるファントム。

 

その姿に小さく笑いながらも、彼をジッと見つめていれば、空色の瞳と目があった。

 

鏡花と目があったファントムは、その目を軽く細めて笑う。

 

が、不意に何かに気づいたように耳をぴくりと動かしては、ある方角へと目を向けた。

 

「ファントム?」

 

急に警戒するような様子を見せたファントムに、鏡花は思わず驚いたような声を上げる。

 

よく見ると周りにいるポケモンたちも警戒してファントムと同じ方向を睨みつけていた。

 

なんだなんだと思いながら、鏡花も同じ方角へと目を向ける。

 

そこにはホイップクリームでできたお菓子の妖精のようなポケモンが1匹こちらを覗いていた。

 

(ええ……なんでマホイップがこっち覗いてんだよ……。何? 近くにマホイップの巣穴でもあったのか……?)

 

そのポケモンは見覚えがありすぎた。

 

鏡花が最近までプレイしていたポケモンシリーズの一つ、ソード・シールドに登場していたポケモンのマホイップだったのだから。

 

「あー……おい、マホイップ。どうしたんだ、そんなところからこっち見て……。私かポケモンたちに用でもあるのか?」

 

どうしたものかと考えた鏡花は、とりあえずと言うようにマホイップに声をかける。

 

するとマホイップは一瞬ビクリと体を振るわせたのだが、すぐに鏡花に近づいた。

 

その手には何やら大きな葉っぱで作った皿が乗っており、ホイップクリームによるデコレーションを施された木の実が盛り付けられている。

 

「ん? なんだ? オタク、トレーナー持ちのマホイップか? 確か、マホイップってポケモンは、信頼できるトレーナーに、ホイップクリームでデコレーションした木の実をプレゼントするって聞いたことあるけど……となるとあれか? 迷子か?」

 

マホイップが手にしていたものを確認した鏡花は、キョトンとした表情で問いかける。

 

脳裏にはうろ覚えではあるが、スマホロトムや攻略本などに載っていたマホイップの特徴を浮かべて。

 

しかし、目の前のマホイップはふるふると首を左右に振った。

 

どうやら違うと言いたいようだ。

 

「違うのか?」

 

念のため本当に違うのかと問いかけてみれば、目の前のマホイップは小さく頷き、ますます鏡花に近寄った。

 

この子はいったい何がしたいんだ?

 

不思議に思いながら見つめていたら、かなり近くまでマホイップは近寄ってきた。

 

「…………。」

 

口を全く開かないため、マホイップの意思がよくわからないと思った鏡花は、困惑した表情をしながらも、マホイップから何かアクションを起こすのを無言で待つ。

 

『あ……の……こ、これ、受け取ってください……!』

 

この子、多分おとなしい性格かひかえめな性格のマホイップだな、とマホイップの様子から分析していたら、マホイップが手にしていたホイップクリームデコレーションが施された木の実が乗ってる葉っぱの皿を鏡花に勢いよく差し出す。

 

「ほへ……?」

 

まさかの事態に驚いた鏡花は、何度か目をパチパチと瞬きをした。

 

自分はこの子のトレーナーじゃないのに、こんな美味しそうなものもらっていいの?と言いたげな様子だ。

 

『め……迷惑じゃ……なかったら……。』

 

受け取らない様子の鏡花を見て、マホイップが言葉を追記する。

 

よく見ると顔は真っ赤で、ピピピッと言った感じに汗を飛ばしてる幻覚が見える。

 

「あ〜……迷惑じゃないよ。ちょっと驚いたんだ。マホイップって信頼できるトレーナーにホイップクリームでデコレーションした木の実を渡すって聞いてたから……まさか、キミのトレーナーじゃない私なんかが貰えるとは思わなくってな……。」

 

照れてる様子のマホイップに、鏡花はにぱりと笑い返しながら、自分がマホイップからデコレーション木の実をもらえるとは思わなかったことを教える。

 

…………してください……。

 

「ん?」

 

するとマホイップが再び口を開き、ぷるぷると震えながらも何かを伝えようとする様子が伺えた。

 

慌てず言葉にしていいと言う様に、首を傾げながら見つめていたら、小さな声で呟いた。

 

『……わ、わたし……を、な、仲間に……手持ちに、して……ください………。』

 

「………。」

 

真っ赤な顔して告げられた言葉に、鏡花は思わず無言になる。

 

この子、すごく可愛いんだけど、行動と発言と表情があまりにもその……

 

「ふはっ……好きな異性に告白してる女の子みたいだな。もっと言えば、その異性に嫁にもらってくれって言ってるみたいだ。」

 

小さく吹き出しながらそう口にすれば、マホイップはさらに顔を赤くする。

 

ぷるぷると言った震えもどこか大きくなっており、鏡花からそっと視線を外す。

 

その姿を見た鏡花は固まった。

 

何……その反応……?

 

「……まさかとは思うが図星だったとか言わないよな?」

 

ちょっと待て、と思いながら問いかけてみれば、ボフッとマホイップから湯気が上がる。

 

「………マジで……?」

 

明らかに図星だと言った反応から、少しだけ引きつった笑みを浮かべる。

 

「あのさぁ、マホイップ……キミは確か♀しかいなかったよな? こっちの記憶が正しければ。なのに……え……? 私にマジでその気で……?」

 

おそるおそる問いかけてみれば、マホイップは小さくコクリと頷いた。

 

「いや……いやいやいやいや待て待て待て待て! 本気で言ってんのか!? 確かにこんな言動してっけど、見ての通り私は女だぞ!?」

 

正気かと言うように問いかける。

 

『それは……わかってるの……。でも……その……す、好きになっちゃったから……。だから、手持ちにして欲しくて……。』

 

うりゅ……とわずかに涙目になるマホイップ。

 

やっぱり♀だと想いには応えてくれないの……?と聞きたげな表情で鏡花を見上げる。

 

「うおっ……」

 

マホイップの涙目を見た鏡花は戸惑いの表情を見せる。

 

自分は確かに女だけど、女の涙には弱かった。

 

何度友人が涙を流して悲しんでいた姿を放っておくことができず、どっかに気晴らしに連れてって奢って慰めていたことかと、前の世界のことを考える。

 

“鏡花が男の子だったらよかったのに……そしたらこんな辛い思いをしなかったのにな……。"

 

過去に何度も女友達に言われた言葉を思い出した。

 

そう言えば、私の知り合いに私にガチ恋勢が何人かいたわ……と考えながら、うーん……と鏡花は考え込んだ。

 

だが、せっかく勇気を出してくれた上に、手土産まで持参するなんて健気さを持ち合わせている目の前のマホイップを突っぱねることはできないと判断しては

 

「……木の実、とても美味しそうだな。ありがたく受け取らせてもらうよう。そんでこれ、空のモンスターボール。本当に私と一緒に行きたいか……しっかりと考えた上でどうするかを決めてくれ。」

 

デコレーション木の実を受け取ったあと、ブラッシータウンで購入していた空のモンスターボールをマホイップの前に置いた。

 

多分、悩む必要は彼女にはないのだろうが、念のために聞いておきたかった。

 

自分の手持ちになったことで、後悔だけはして欲しくなかったために。

 

そんな鏡花の思いを汲み取ったのか、マホイップはジッとモンスターボールを見つめて少しだけ考えたあと、小さく頷きボールのボタンに触れた。

 

同時にボールはぱかりと開き、その小さなケースへとマホイップを吸い込む。

 

パタリと開けた口を閉じたあと、数回それはゆらゆらと揺れ、程なくしてカチッと言う音を辺りに響かせて静止した。

 

どうやら、ゲット成功らしい。

 

「マホイップ、ゲットだぜ……ってな。」

 

それを確認した鏡花は、穏やかな笑みを浮かべながら、アニポケ主人公の少年が口にする言葉を紡ぎ、モンスターボールからマホイップを出す。

 

『……不束者ですが……よろしく、お願いします……!』

 

マホイップは鏡花を見つめたあと、笑顔を見せて挨拶をする。

 

その姿が可愛いと思った鏡花は、小さく笑いながらマホイップの頭を撫でたあと、

 

「そうだ。せっかくだし、キミにも名前をつけるとしようか。ニックネームってやつだな。私は、自分の手持ちには、自分ならではの呼び方をつけるのが癖でさ。どう? ニックネーム、つけさせてもらえるかい?」

 

マホイップに自分ならではの呼び名をつけていいかと問いかける。

 

すると、マホイップは目をキラキラと輝かせたあと、こくこくと何度も頷いた。

 

その姿に小さく笑いながらも、頷きすぎたら首を痛めると告げながら、彼女の喉元をこしょこしょと擽った。

 

一瞬マホイップは驚いて固まったが、すぐに鏡花の手を両手で握り、手のひらへと軽くすり寄る。

 

その感触に笑みを浮かべながら、どんな名前にしようかと考えたあと、「あ……」と小さく呟いた。

 

「“アキザクラ”……。」

 

思いついた言葉を口にすれば、マホイップは首を傾げた。

 

「花言葉を探すのが好きでね、だいたいみんなには花の名前をつけてるんだ。で、マホイップにぴったりの花言葉を持つ花を探したんだ。で、その花ってのがアキザクラ。コスモスの花の別名さ。それで、ピンクのコスモスの花言葉ってさ“乙女の純潔”。コスモスそのものの花言葉は、“乙女の真心”って意味があるんだ。キミにぴったりだと思う。どうだ? 気に入ったか?」

 

そんなマホイップに対して、穏やかな笑みを浮かべながら、鏡花はアキザクラ……通称コスモスと言う名前を持つ花の名前と、コスモスの花言葉を教える。

 

するとマホイップはそれが気に入ったようで、その場でぴょんぴょんと跳ね回った。

 

「どうやら気に入ってくれたみたいだな。じゃあ、今日からキミはアキザクラだ、マホイップ。たまに略してアキって呼ぶけど構わないな?」

 

そんなマホイップに安心したように笑ったあと、アキザクラと彼女を命名した。

 

略称に関しても問題はないのか、何度か小さく頷いた。

 

よかったと呟いた鏡花。

 

だが、ふと、今自分の手持ち6体いるよな……と思いながら周りを見る。

 

その視線に気づいた彼女の手持ちたちは、スンッ……と表情を無表情にした。

 

鏡花が言いたいことを悟ったようだった。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マホイップとユキメノコが入れ替えになった件

新たな仲間、マホイップのアキザクラを手持ちに入れようとしていた鏡花。

 

しかし、彼女の手持ちはいっぱいだった。

 

どうやらこの世界では彼女がよく知るアニポケのように、6匹の手持ちがいたら、モンスターボールは開かないと言うことは起こらないらしいので、おそらく連れて行くことはできる……らしいのだが、6匹のみを勝負に参加させることができるというルールも健在らしいので、モンスターボールを携えることができるベルトや腰当てには6個までしか固定できないようだ。

 

どういうわけか、自分の持ち物の中に含まれていたスマホロトムを起動してネットを開き、「モンスターボール ベルト」と入力して調べてみたが、やはり6個までのものしかない。

 

「……あー……悪いけど、キミらの中のうち、どの子か研究所に行ってくれるか……? アキザクラとも旅をしたいんだ。」

 

検索結果に溜息を吐きながらも、申し訳ないと謝罪しながら、アキザクラと入れ替わって欲しいと告げる。

 

すると、それを聞いたソルガレオが、鏡花の荷物から何かを取り出す。

 

『キョウカ。この割り箸を使ってくじを作り、この箱の中へと入れて、くじ引き形式で決めたらどうだ? フェアな選び方だと思う。』

 

そこには3本の割り箸と、なぜか入っていた空き箱があった。

 

割り箸はまだご飯を食べるのに必要なアイテムなため、理解はできる。

 

なぜ空き箱があるのだろうか……。

 

なんて考えながらも、鏡花は3本の割り箸を割る。

 

6本に分かれた割り箸の1本の先に赤いマジックで塗っては、空き箱の中へと収め、何回かシャッフルしたあと、目の前にいる手持ち6匹に差し出したあと、

 

「じゃあ、目を閉じて、それぞれ1本ずつくじを引いてくれ。赤いのを引いたら申し訳ないが、研究所の方へといったん送る。」

 

くじ引きのルールを告げた。

 

鏡花の言葉を聞いたポケモンたちは小さく頷いて目を閉じては、手があるポケモンは1本ずつ手にして引き抜く。

 

続けて四つん這いになってるポケモンであるソルガレオとギャロップのリンドウが割り箸の上を咥えて引き抜いた。

 

「よし。全員割り箸を取り終えたな。じゃあ、合図をしたら目を開けてくれよ。カウントいくぜ。5、4、3、2、1……ゼロ!」

 

それを確認した鏡花は、カウントダウンを口にする。

 

そして、彼女がゼロと言った瞬間くじ引きを引いたポケモンたちが目を開いた。

 

その結果は……

 

『あれま……うちみたいやね。』

 

……ユキメノコのヤマユリが研究所送りと言うものだった。

 

『くじ引きやさかい、文句言われへんけど……やっぱり、さみしいもんやねぇ……。』

 

チーン……という効果音がつきそうなくらいに落ち込むユキメノコ。

 

心なしか、彼女の周りだけ外気がかなり低くなっているような気がする。

 

「あー……うん……ごめんなぁ、ヤマユリ……。」

 

かなり落ち込んでいるヤマユリに対して、鏡花は苦笑いをしながらその頭を優しく撫でる。

 

彼女に頭を撫でられたヤマユリは、寂しげな表情をしながらも、自分の大切なトレーナーである鏡花を見上げ、彼女の手のひらへとすり寄っては、その手をキュッと握った。

 

『困ったことがあったらいつでも言うんよ? すぐにウチも協力するわ……。まぁ、1番は手持ちポケモン無制限ルールなんてものが出来ることやけど……そないなこと、周りが許さへんもんなぁ……。』

 

そして、何かあればすぐにでも協力することを口にする。

 

しかし、やはり寂しさは勝るのか涙目になりながら、本音をポロリと漏らす。

 

その姿に鏡花は申し訳なく思いながらも、ヤマユリをモンスターボールに戻した。

 

「それじゃあ……ポケモンセンターに一旦向かおう。ブラッシータウンに戻って、プラターヌ博士の元にヤマユリを預けなきゃ……。」

 

ヤマユリを戻したモンスターボールを鞄に入れ、マホイップのアキザクラに使ったモンスターボールをベルトにはめる。

 

「日が傾いてきてるな……。いい時間帯の電車あるといいんだけど……。」

 

そのあと、空の様子から、時間帯を推測した鏡花は、足早にワイルドエリア駅へと走り出した。

 

遅くならないでという母親の言葉を守るためにも。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲームでもアニメでも思ったが、やっぱプラターヌ博士って色男だよな

入れ替えポケモンを修正いたしました。


ワイルドエリア駅からすぐにブラッシータウン行きの電車に乗った鏡花は、来た時のように、ガタゴトと電車に揺られながら、ブラッシータウンへとたどり着く。

 

駅の外が、なんだか人で溢れかえっていたよううな気がしたがとりあえず用事を済ませたいために、人混みには目もくれずポケモンセンターまで一直線に向かう。

 

ポケモンセンターに入ってみれば、まばらでありながらもポケモンの回復待ちのトレーナーたちが、そこら中で過ごしていた。

 

(ポケモンセンターって24時間営業だよな……。ジョーイさんも大変だ……)

 

その様子を見ながら、ポケモンセンターって案外ブラック企業なのでは……と少しだけ考えながらも、ロトムインフォメーションことロトミに近づいた。

 

「こんにちロ〜! なにをしますロミ?」

 

すると、人が近づいてくる気配に気づいたロトミが目を覚ました。

 

一瞬鏡花は驚くが、すぐになれたような様子で口を開く。

 

「こんにちは、ロトミ。ポケモンをある研究所に転送したいんだ。カロス地方のプラターヌ博士に繋げてくれるか?」

 

アニポケでは博士のパソコンにポケモンセンターから繋げていたけど……と少しだけ思いながらも、ゲーム世界線でも通用するかどうかを確かめるために。

 

「プラターヌ博士ロミ? 了解ロミ! すぐに繋ぐロミ〜。」

 

どうやら、繋げることができたようだ。

 

まぁ、すぐ近くに転送装置あるし、当然と言えば当然なのか?なんてことを考えながらも、ロトミの画面に目を向ける。

 

「連携完了ロミ〜! プラターヌ博士をお呼び出ししますロミ。」

 

ロトミがそう告げた瞬間、画面にNow connectingという文字が現れる。

 

おお……!と目を輝かせながら鏡花はそれを見つめた。

 

アニポケではどんな風に研究所とポケモンセンターを繋げていたのかわからなかったが、こうなっていたのかと感動する。

 

まぁ、多分それはこの世界線のみなんだろうけど……という冷静な考えも頭に浮かべているのだが……。

 

《やー、キョウカ! やっと連絡くれたんだね! ガラル地方に引っ越すことになったって言われてから1週間経っているのに連絡が来ないもんだから心配したじゃないか〜……。》

 

なんてことを脳裏に浮かべていたら、画面に映し出されたプラターヌ。

 

(うっひゃあ……リアルプラターヌ博士じゃん! 画面越しだけど。いや、でも画面越しでありながらもイケメンだってわかるなぁ……!! なんでもそつなくこなせそうに見えて、実はドジりやすいけど。こんな人の助手なんて立場につけるとかマジでアルセウス様様だな!)

 

「こんちは、プラターヌ博士。相変わらずの美形博士で何よりっス。すみません、連絡遅れちゃって。ガラル地方に来たはいいけど、荷物やらなんやらを片づけるのに時間かかっちゃって……」

 

脳内でプラターヌの容姿の良さや、自分がプラターヌを好きになった理由なんかを巡らせながらも、表情には出すことなく画面越しのプラターヌに挨拶と謝罪をする。

 

するとプラターヌは呆れたように溜息を吐き

 

《相変わらず男勝りだなぁ……可愛らしいのにもったいない……。あ、でも美形ってボクのことだよね? それは嬉しいからこれからも言って?》

 

鏡花の男勝り姿にやれやれと言った反応を見せる。

 

美形という言葉はこれからも言って欲しいとさりげなくお願いしながら。

 

「あはは。プラターヌ博士はいつ見てもイケメンじゃないっスか。連絡するたびに言えばいいんです?」

 

その姿に鏡花がケラケラと笑いながら容姿を褒めて、連絡するたびに言えばいいのかと問うてみれば、あ、毎回はちょっと恥ずかしいとプラターヌから返される。

 

なんだか随分とスムーズに言葉を交わすことができるなぁなんてことを考える鏡花。

 

おそらくカロスにいた頃からこんなやりとりをしていたんだろうと納得する。

 

《と、本題が逸れたね。まずは、引越しと片づけ、お疲れ様。まぁ確かにカロス地方から完全に移動するようだったもんね……。荷物が多いのは仕方ないかも。でも、できれば早めに連絡は欲しかったかなぁ……?》

 

この世界での自分の立場や性格、振る舞い方などがだんだん掴めてきた鏡花だったが、プラターヌからの労いの言葉と本題という言葉により意識を現実へと戻す。

 

「それはすいません。たまにポケモンたちと遊びながら片づけてたんで、ちょっと遅くなっちまいました。でも、1週間経ってはいるけど連絡したからいいじゃないすか。」

 

そして、分析できた性格と対応を使用しながら言葉を返せば、プラターヌから苦笑いされる。

 

レディならもう少し……とかなんとか言われそうな感じがあるが、あくまで鏡花はこの態度を貫くつもりでいる。

 

それを理解しているからか、プラターヌは再び溜息。

 

なんでこの子、こんな性格に育っちゃったんだろ……と彼女の親の教育に関して、わずかに疑問を抱いてしまうが、今は置いとこうと考えながら

 

《まぁ、1ヶ月も連絡ないよりかはマシかな……。じゃあ本題だね。ガラル地方に無事に着いたことを教えてくれてありがとう。でも、キミが連絡してきた理由はそれだけじゃないだろう?》

 

自分の助手の元気そうな姿に安心しつつ、他にも用件があるんじゃないかと問いかける。

 

「ああ……実はそうなんすよね……。ここ、ガラル地方にはワイルドエリアって言う、いろんなポケモンの野生の姿そのままを見ることができるエリアがあることを、博士も知ってるでしょ? 実は、今日そこにちょっと行ってたんですけど……私と一緒にいたいって意志を見せてきたポケモンが1匹いて、その子をゲットしたんすよ。でも、私、手持ち今フルだったからその子と手持ちを1匹入れ替えようって思って。だからプラターヌ博士に連絡をと。」

 

鏡花はすぐにプラターヌの問いかけに答えては、ユキメノコのヤマユリが入っているモンスターボールを手にした。

 

《なるほど。よし、わかったよ。ちなみに、どの子をこっちに送るのかな?》

 

プラターヌは、鏡花の用件に納得したように頷いたあと、どの子を預けるのか問いかける。

 

「ユキメノコ。」

 

その問いに、静かに鏡花が答えれば、プラターヌは小さく頷く。

 

《じゃあ、少しだけ寂しいかもしれないけれど、キミのユキメノコを研究所で預かるよ。転送装置にモンスターボールを置いてくれるかい?》

 

その様子から、鏡花自身も寂しさがあることを薄らとだが察しながらも、新たなポケモンと出会い、心通わすためには仕方ないことと判断し、気遣う言葉をかけながらも、転送装置を起動する。

 

「……ヤマユリ。しばらくの間、プラターヌ博士のところで過ごしてくれ。あ、ついでに彼が二徹以上しそうだったらとりま気絶させてベッドでもソファーにでも転がしといてくれ。研究に夢中になんのもいいけど体調崩したら意味ないからな。」

 

装置の起動を確かめた鏡花は、ヤマユリにいくつか言葉をかけたあと、彼女が入るモンスターボールに口を近づける。

 

が、それより先にモンスターボールが開き、飛び出してきたヤマユリの口元に自分の唇が触れる。

 

「ん!?」

 

よく見るとヤマユリは手を使ってこちらの顔を固定していた。

 

明らかにキスする気満々だったことが伺える。

 

《しばらくはキョウカと離れ離れになるんよ? せやからこれくらいは許してくれんとウチも納得せぇへんよ。》

 

口を離したヤマユリが、どこか悪戯っぽく笑いながら、鏡花の頭を自分の手で撫でる。

 

《ほんまはもう少しこうしときたいんやけど、あんたはんの他のポケモンが怒りそうやし、これくらいにしとこか。》

 

そして、悪戯っぽい笑みを穏やかなものへと変えたあと、モンスターボールの中へと戻っていった。

 

「………なんて子だ。」

 

まさかポケモンとキスをするとは思わなかった鏡花は、少しだけ顔を赤らめながらも、モンスターボールにキスをする。

 

そのあと転送装置にそれを置けば、一瞬にしてモンスターボールは光となり、転送装置から消えていった。

 

《うん……ボクはいったい何を見せられていたのかな……?》

 

ほんの少しの無言が降りる中、それを破るようにプラターヌが声をかける。

 

心なしかその頬にはわずかに朱色が浮かんでいた。

 

「私もよくわかってないんで、ツッコミはなしの方向で。」

 

そんなプラターヌに対して鏡花は引きつった笑みを浮かべながらスルーすることを進める。

 

プラターヌは苦笑いをこぼしながらも、それを了承するように頷いた。

 

内心で少しユキメノコが羨ましいと思いながら。

 

だが、研究所にある転送装置に鏡花のユキメノコのヤマユリが入ったモンスターボールが転送されてきたのを確認するや否や、いつもの表情へと表情を戻し、そのモンスターボールを手にする。

 

と、モンスターボールが勝手に開き、そこからヤマユリが飛び出してきた。

 

《うわ!?》

 

急なことにプラターヌは驚く。

 

ヤマユリはそんな彼を一瞥しては、画面越しの鏡花へと手を振った。

 

無事に転送されたことを伝えるように。

 

「プラターヌ博士に迷惑かけんなよ、ヤマユリ。」

 

手を振ってきたヤマユリに応えるように手を振り返しながらも鏡花は注意する言葉をかける。

 

ヤマユリは小さく頷いたあと、プラターヌからボールをひったくり、鏡花が口付けたところに自身の口を触れさせては、ペロリと小さく舐めた。

 

その際、画面向こうにいる自分の愛しいトレーナーへと流し目を送って。

 

「っ〜〜〜〜!! オ……マエなぁ………!!」

 

なぜか色っぽく見えてしまった鏡花は、頭を抱えながら画面越しのヤマユリを睨みつけた。

 

その顔はとても赤い。

 

それに満足したのか、ヤマユリはクスクスと笑いながら、モンスターボールを持って研究所にある鏡花のポケモンたちが集まるスペースへとふわふわ向かって行く。

 

《ははは……相変わらずキョウカはポケモンに愛されてるねぇ……。……壁が多いなぁ…………。

 

一部始終を見ていたプラターヌは、再び苦笑いをこぼして、鏡花の愛されっぷりに感心する様子を見せる。

 

ほんの少しだけ、自分自身の嫉妬を混ぜて。

 

「プラターヌ博士? なんか言いました?」

 

しかし、その嫉妬は鏡花には届いていなかったようで、よかったような残念なような……と複雑な感情を抱く。

 

だが、すぐに気を取り直すように、鏡花が映る画面に近寄り

 

《なんでもないよ。》

 

気にしないでいいと言うように優しく微笑みながら言葉を返す。

 

プラターヌの表情変化に、意外と面食いな部分がある鏡花は、ちょっとだけ顔を赤くするが、すぐに顔を引き締めた。

 

「私の用件は以上っす。プラターヌ博士からはなんかありますかね?」

 

そして、すぐにプラターヌからは何かあるかと鏡花は問いかけた。

 

《あ、それならガラル地方のみで起こる現象、ダイマックス現象に関して、ちょっと調べて欲しいかな。あとは、ガラル地方にはメガシンカできるポケモンは住んでいるかとか、従来のメガシンカできるポケモンたちはどれだけいるのか……とか。見ての通り、ボクはなかなか地方遠征に足を運べない立場だからね……調べたくても調べられない。だから、ガラル地方でも自由が効くキョウカにこれらを調べて欲しい。ねがいぼし……と呼ばれる特殊な鉱石とかも調べられそうだったらお願いできるかな?》

 

それを聞いたプラターヌは、それなら、と調べて欲しいことを鏡花に告げる。

 

鏡花は荷物の中から、メモ帳とペンを取り出しては、プラターヌが調べて欲しいと言ったことを記入していくのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰宅しようとしたんだが、チャンピオンいるとか聞いてない

ブラッシータウンのポケモンセンターから外へと出た鏡花。

 

彼女は自分の肩にホオズキを乗せ、腕にアキザクラを抱っこして自宅への帰路に着こうとした。

 

しかし、ブラッシータウン駅の前に大量の人混みがあることに気づき、思わずギョッと目を見開いた。

 

人混みの中心に存在している男性が、あまりにも覚えがありすぎた。

 

「チャンピオン! サインして〜!」

 

「握手して〜!!」

 

「うちの子と是非とも写真を!!」

 

「皆さん、応援ありがとうございます。そして落ち着いてください。順番に応えていきますので!」

 

そう、人混みの中心に存在していたのは、あのガラル地方チャンピオン、無敵と呼ばれているダンデだったのだ。

 

(うっそだろ!? なんでここにチャンピオンいんの!? いや、いてもおかしくないけどさ!!)

 

思わぬ遭遇に固まってしまう。

 

まさか、ゲーム開始時となる来年になるまでにチャンピオンと遭遇することになるとは夢にも思わなかった。

 

『うわぁ……あれがチャンピオンかぁ……ってキョウチャン大丈夫かよ? 固まっちゃってるけど……。』

 

時が止まってしまったように。

 

体がこおりついてしまったように、動きを止めた鏡花に対して、モンスターボールの中にいるファントムが心配そうに声をかける。

 

「あ……ああ。大丈夫。大丈夫だファントム。ただ、ちょっとビビっただけさ。」

 

ファントムの声を聞いた鏡花は、すぐに彼が入るモンスターボールに触れながら、大丈夫だと静かに告げる。

 

ならいいけどね……と小さく呟くファントムだが、どことなく不満そうだった。

 

本当に大丈夫だからと苦笑いをしながら、ファントムのボールをもう一度撫でる。

 

さっきの硬直は恐怖だのなんだのといったものではない。

 

ゲーム越しとは言え、ずっと見てきた頼れるチャンピオン。

 

この地方での物語の中で、重要人物と言っても過言ではない、キラキラとしたダンデというトレーナーに唐突に遭遇してしまった、驚きと歓喜の末に起こった現象だ。

 

ポケモンたちが心配する……そんな要素はどこにもない。

 

『チャンピオン……わたしも、何度か見たことある。ワイルドエリアのトレーナーさん……何回か助けていたわ……。』

 

そんなことを考えていたら、腕の中にいるアキザクラが呟いた。

 

無言だったアキザクラが、急に言葉を口にしたことに、鏡花は一瞬驚いたが、そっか……と小さく呟いて、彼女の頭を優しく撫でる。

 

(チャンピオンはかっこいい……。とっても強くて頼もしい。だからこそ、警戒しないといけない……。わたしのキョウちゃん、取られたくない……。)

 

鏡花に頭を撫でられながら、アキザクラは少しだけ落ち込む様子を見せる。

 

あの人間はみんなの憧れ……鏡花も憧れてしまうかもしれない……その感情が変化して、あの人間に夢中になるかもしれない。

 

確かな嫉妬を抱きながら、そんなの嫌だと考える。

 

それを示すかのように、自分を抱っこする鏡花の腕にキュッと少しだけ強く握る。

 

「? どうした、アキ? 心配しなくても落とさないぜ?」

 

不意に感じた感触に、キョトンとした鏡花は、アキザクラに告げる。

 

アキザクラはそうじゃないと思いながら、鏡花の腕から抜け出して、そのまま彼女の肩の上へ。

 

ホオズキを鏡花の肩から退かしてあげたくはないため、彼がいる位置とは反対の方角へと乗っかったあと、鏡花の頬にすり寄った。

 

いや、すり寄ったと言うよりは自分の頬を押しつけるような仕草を見せる。

 

「ははっ くすぐったいぞ〜アキザクラ。どしたよ急に?」

 

グイグイスリスリと甘えてくるアキザクラに、鏡花は小さく笑いながらも、彼女が下に落ちないように、その体を片手で優しく支える。

 

それが嬉しかったのか、アキザクラは頬を少し染めた。

 

だが、その表情はすぐに変わる。

 

鏡花の唇を視界に入れたために。

 

(さっきのユキメノコ……キョウちゃんの口にチューしてた……。)

 

ポケモンセンター内で見た光景。

 

鏡花に想いを寄せていたアキザクラにとっては、すごく嫌なものだった。

 

自分だってチューしたい……そう考えた瞬間、アキザクラは行動に移していた。

 

「んう……?」

 

アキザクラが急に固まって、不思議に思って彼女を見ると、鏡花の唇にはアキザクラの口が押し当てられていた。

 

『おわ!?』

 

『え、ちょ、アキチャン!? オレたちのキョウチャンに何やってんの!?』

 

『アキザクラ〜!! 羨ましいことをキョウちゃんにするなよ!!』

 

『ヤマユリもそうだが、この子も積極的だな……。私もキョウカにキスしたい……』

 

『ヤマユリといい、新入りといい……なぜこうまでキョウカ様にキスをするのか……私もしたいのですがね……。あとは抱きしめられたいと言いますか……。』

 

『『『『わかる……』』』』

 

突然のキスに驚いていれば、♂ポケモンであるノウゼン、ホオズキ、リンドウ、ファントムと、彼女の手持ちの伝説であるソルガレオが一斉に反応する。

 

最初はアキザクラに対する嫉妬による言葉の応酬だったが、何故かすぐに鎮静化する。

 

鏡花にキスしたい、抱きしめられたい……その2つの欲を共通して持つため、最終的には共感という感情に変わったようだ。

 

「ぷはっ……いきなりキスされるとは思わなかった……。ヤマユリといいアキザクラといい……トレーナーにキスするの好きだなオイ……。ていうか♂連中。オタクらの欲だだ漏れだからな。ったく……あとでハグくらいはしてやるから我慢してろ。」

 

一部始終を聞いていた鏡花は、アキザクラが口を離すのを見計ったあと、呆れたように言葉をつむぐ。

 

『『『『『マジで!?』』』』』

 

紡がれた爆弾発言に、♂ポケモン全員が反応を示す。

 

どんだけトレーナー大好きなんだよ……呆れと嬉しさを抱きながらも、鏡花はアキザクラに目を向けた。

 

「なぁ、アキ。急にキスしてきてどうしたんだ?」

 

口にしたのは1つの質問。

 

自分にキスしたその理由を知りたいと純粋に思ったため、何気なく口にした言葉だった。

 

アキザクラは顔を赤くしながら口を開く。

 

自分のキスという行動が、どれだけ大胆で、どれだけ恥ずかしくて、だけど大切なことかを最愛の人に告げるために。

 

『嫉妬……したの……。チャンピオンは、みんなの憧れで……キョウちゃんも憧れて……夢中になっちゃうんじゃないかって……。他にも……嫉妬した……ユキメノコのヤマユリ……あの子もキョウちゃんにチューをした……。なんだが嫌だった……。キョウちゃん……が……大好きだから……。』

 

緊張しながら告げた言葉。

 

鏡花は目を丸くする。

 

しかし、すぐに笑みを浮かべ

 

「確かに私は面食いだし、イケメンがいたら夢中になる。頼れるイケメンだったら尚更いいなって思うし、プラターヌ博士みたいなイケメンでなんでもそうなくこなしそうなのにドジったりするなんてギャップ持ってるやつも好きになっちまうけど、ポケモンたちの方がもっと好きだし夢中になれる存在だと思ってるよ。だから心配しなくても……」

 

いい……それを告げる前に、アキザクラの手が口元に押しつけられ、構内へとホイップクリームを流し込まれた。

 

「んぐぶ!? えほっ ゲホッ……!! い、いきなりなんだぁ……?」

 

急に流れ込んできた甘いがちょっと深みがないホイップクリームに鏡花はむせる。

 

マホイップ本人が幸せを感じていれば深みが出てくると言われているはずだが、深みがない……ということは、今の彼女が幸せを感じていない証拠だろう。

 

『………キョウちゃんによそ見されたくない。』

 

拗ねたように紡がれた言葉に、思わず鏡花は苦笑いする。

 

女の子の嫉妬は結構強いようだ。

 

「それなら、私を夢中にさせてみてくれよ、アキ。他の野郎に目移りしないようにさ。できる?」

 

それなら……と鏡花は不敵に笑いながら、自分をアキザクラに夢中にさせてくれと告げる。

 

アキザクラは鏡花の不敵な笑みを見て、目を丸くしたあと頬を染める。

 

ドアップでの想い人(女性)の不敵な笑みはアキザクラには効果抜群だったらしい。

 

ぴぴぴっと真っ赤に染まる顔を手で覆う。

 

だが、鏡花がその気ならば……と彼女を見ては小さく頷き、再び彼女の唇へと触れるだけのキスをする。

 

その挑戦、受けて立つ。

 

まるでそう告げるように。

 

『アキザクラ。言っとくけど、ぼくらもキョウカちゃん大好きなんだから、独り占めはさせないよ。』

 

それを見つめていたホオズキが、少しだけ拗ねたように声をかける。

 

『そうそう、キョウチャンはみんなのお姫様だし、オレだってキョウチャン狙ってるんだからね。』

 

『ポケモンが人間に恋することは遥か昔に何度もあるし、結ばれた話だってある。だからオレたちは自分の感情をおかしいものとは思ってないから、隙を見てはアプローチをしている。キミの周りにはライバルがいっぱいだってこと、忘れないでね?』

 

『もちろん、私もキョウカ様に対する恋情があります。貴方だけの好きにはさせませんからお覚悟を。』

 

『……私も周りにいる者たちと同じだ。伝説とて、トレーナーがいれば懐く。まぁ、私はそれ以上もあるのだが……。いいか、アキザクラ。私もキョウカを譲りはしない。』

 

それに続いて他のポケモンたちも宣戦布告するように言葉を紡いだ。

 

アキザクラは、その言葉に動きを止めるが、すぐにぷいっとそっぽを向いた。

 

何を言われようとも負けたりしない。

 

全身でそれを表現する。

 

その姿に鏡花のポケモンたちは、一瞬だけイラッとした様子を見せるが、アキザクラをライバルと認める。

 

少しだけ置いてけぼりを食らったような錯覚を覚えた鏡花は、苦笑いをこぼしながら、そろそろ自宅に戻ろうとする。

 

が……すぐに固まってしまった。

 

人集りに囲まれていたはずのダンデが、すぐ目の前に来ており、キョトンとした表情を見せていたために。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダンデのリザードンが抱えてた想いは……

ブラッシータウン。

 

このガラル地方全体を通る電車を使えば1本で来ることができるのどかな町。

 

そこで出会ったのは、この地方のチャンピオンである琥珀色の瞳を持つ青年ダンデと、転生してポケモントレーナーとなり、前の世界で見守りたいと思ってガラル地方までやってきた、星の瞳を持つ女性、鏡花の2人だった。

 

いや、そんなナレーションどうでもいいんだよ!! つかこのダンデの表情からしてポケモンと話してるの見られてんじゃねぇか!!

 

側から見たら、独り言を言いながら笑ってるようにしか見えなかっであろう姿を確実に見られたことを悟り、鏡花は冷や汗をだらだらと流す。

 

ポケモンの言葉が理解できる人間なんてものは、この世にそこまで存在しているわけがない。

 

むしろ、自分とNの2人くらいではないのかとすら思えてくる。

 

だからポケモンの言葉がわかるなんて、下手したら精神を疑われかねない。

 

(ダンデも推しの1人だぞ私は!! そんな推しに変人とか思われたら……うっわ死にてぇ………!!)

 

変人とか認識されて、弟やユウリに近づくなと言われてしまうことを想像した鏡花は、泣きそうになりながら精神的ダメージを負う。

 

程よく近く、なおかつ程よく遠い場所から少年少女の甘酸っぱい青春&成長物語を見るためにアルセウスに頼んで飛ばしてもらったというのに、その計画が初っ端から崩れ去ってしまう可能性に頭を抱えたくなった。

 

なんでよりによってポケモンと話せるなんて特殊能力を私につけたんだアルセウス!!と、わずかな怒りをぶつけたくなる。

 

「キミ……ポケモンと、話せるのか? 今、そのマホイップと話していたように見えたんだが……。」

 

違う……と言いたくなった。

 

だが、気のせいだと誤魔化したくても、目の前にいるのは自分にとって大好きなキャラクター……いや、この世界に自分も住んでいるのだから、キャラクターなんて言葉は使う方が失礼だろう。

 

前の世界では、確かに作られた存在だったが、今はこうして言葉を交わしているのだから。

 

表現するならそう、大好きなキャラクターではなく、憧れているトレーナーの1人……。

 

そんな存在に、鏡花は嘘をつきたくなかった。

 

嘘をつくと良心が痛む。

 

だからこそ素直に真実を口にした。

 

「……はい……実を言うと、ポケモンが言ってる言葉がわかります。わかるから会話しておりました……。」

 

(ジ・エンド……私のホプユウ見守り隊ライフ……。)

 

自分の計画が崩れていく気配を感じる。

 

絶対に変人と思われたに違いない……と1人ショックを受けながら、奈落の底へと身を投じるような気持ちになる。

 

が、それはすぐに回避されることとなる。

 

「す……」

 

「……んえ?」

 

っ〜〜〜〜〜!! すごいなぁ、それ!! 世界中にいるポケモン全部と話すことができるのか!?

 

「ええ……?(ち、近いんですけどぉ!?)」

 

絶望の淵から助け出された鏡花。

 

目の前にいる現チャンピオン様は、彼女を変人と思うどころか尊敬の眼差しのようなものを向けていた。

 

距離は一気に詰められて、乗り出すような体勢をしている。

 

あまりの近さに、鏡花は思わずのけぞってしまった。

 

「だって、ポケモンと話せるのだろう!? どうやったら話せるようになるんだ!? オレのリザードンの言葉とかもわかるか!? というかいろんなポケモンの言葉もわかるのか!?」

 

しかし、彼は自分がかなり近くなっていることに気がついていないのか、一息に質問のラッシュを口にする。

 

その目は眩く輝いており、その表情には笑みもある。

 

まるで無邪気な子どものようだった。

 

『キョウちゃんに近すぎる!』

 

『キョウカちゃんに近づきすぎだよこの♂!!』

 

どうしたらいいのか困惑していたら、鏡花の肩に乗っていた2匹が思い切りダンデに飛びかかり、デシッとタックルをかました。

 

「ぶは!!」

 

勢いよくポケモンにたいあたりされたダンデは、勢いのままにバランスを崩し、そのまま地面に尻餅をついた。

 

「ああ………。」

 

目の前で尻餅をついたガラル地方チャンピオンを見た鏡花は、引きつった笑みを浮かべながら、その姿を見つめていた。

 

『チャンピオンだからって調子に乗らないで!!』

 

『キョウカちゃんに近づきすぎだ!! これだから人間の♂は嫌なんだよ!!』

 

それに反して、アキザクラとホオズキは、ダンデ目掛けていかくをする。

 

近づいたら即行で技打ち当てる!!なんて言葉が聞こえてきそうだ。

 

「いてて……あー……その子たちはなんて……?」

 

マホマホミーミー……怒っているのは理解できるが、口にしている言葉は鳴き声にしか聞こえないダンデは、ポケモンの言葉が理解できている鏡花に困惑したように問いかけた。

 

「………さっき、キミが私に近づきすぎていたから、それに怒ってる。チャンピオンだからって調子に乗らないで。これだから人間の♂は……だって。」

 

とりあえず2匹の言葉をダンデに伝える鏡花。

 

ダンデは彼女の返答を聞き、苦笑いをしながら謝罪した。

 

「すまない。ポケモンと話せる人なんて見たことがなかったからな。思わず興奮してしまったんだ。」

 

(そりゃそうでしょうよ……ポケモンと話せるとかこの世じゃNくらいだっつての……。)

 

いや、これ、私もいるから私とNくらいになるのかね……なんてことを考えながらも、鏡花はアキザクラとホオズキを肩に乗せ

 

「ほら。キミ、この地方のチャンピオンなんだろ? いつまでも情けなく地面に座んなよ。まぁ、元は私のポケモンの嫉妬のせいなんだけどさ……。」

 

未だに尻餅をついた大勢のままであるダンデに手を差し伸べながら言葉を紡いだ。

 

人間の♂に手なんか差し伸べなくていいと言わんばかりにホオズキとアキザクラに睨まれてはいるが、そうもいかないからと目で諭しながら。

 

ホオズキとアキザクラは不満そうな表情を見せるが、見逃してやろうと言うように、そっぽを向いてしまった。

 

その姿に鏡花は苦笑いする。

 

だが、すぐに手に触れた感触に気づき、ダンデの方へと視線を向けた。

 

彼は鏡花の手を取って、ゆっくりとその場で立ち上がる。

 

「キミはポケモンたちに愛されているのだな。もちろん、オレも自分の手持ちに愛されている自覚はあるが、そこまでハッキリと好意を伝えられたことがないから、なんだかちょっと羨ましいぜ。」

 

そして、笑顔でポケモンに愛されている鏡花のことを評価して、羨望の眼差しを彼女に向ける。

 

鏡花はダンデを見つめたあと、彼が下げてるモンスターボールに目を向けて

 

「だってさ。私みたいなヘンテコりんが今はこの場にいる。だから、ちょっとトレーナーさんに自分たちの思いを伝えてみないか?」

 

穏やかな声で話しかけた。

 

すると、彼の腰にあるモンスターボールがカタカタと揺れ、勢いよくポケモンが飛び出してきた。

 

このチャンピオンの1番の相棒……リザードンだ。

 

「うわ!? リザードン!? ど、どうしたんだ急に出てきて……。」

 

突然自分の相棒が、ボールの中から飛び出してきたことに、ダンデが驚きの声を上げる。

 

『私の言葉もわかるんだな……。』

 

だが、彼のリザードンは感心したような視線を鏡花に向けたまま、珍しいものを見る目を向ける。

 

「どういうわけか、ポケモン全般と話せるみたいだからな。キミの言葉ももちろんわかる。今話してるのが証拠だな。」

 

随分と落ち着いた雰囲気だことで……そんなことを思いながらも、リザードンの質問に答えてみせれば、リザードンは納得したように頷いた。

 

そのあと自身のトレーナーを見て、

 

『じゃあ、この放っとけない私のトレーナーに伝えてくれ。“あんたは昔から手のかかるトレーナーだ。目を離せばすぐに道を外れるし、1つのことに夢中になりすぎてどんどん勝手に突っ走る。そしてまた迷って私が探して……その方向音痴はなかなか治らないな。正義感も強すぎて、これまた突っ走るし、何でもかんでも1人で抱え込もうとする。危なっかしくて心配の種がつきないな。”』

 

呆れの言葉を鏡花に告げる。

 

『“私はあんたの相棒なんだ。それに、あんたの周りには私だけではない。他にも多くのポケモンがいるし、トレーナーだって沢山いる。あんたは無茶をしてないと言うが、私からしたらそうは見えない。抱え込みすぎて、潰れそうになって、それでいて前を向き走ろうとする。まぁ、何があっても前を向くことはあんたの美点でもあるからな。直せとまでは言ったりしない。だが、その分周りも少しは頼れ。たまにはチャンピオンではなく1人の人間、トレーナーにも戻れ。危なっかしくて見てられん。”』

 

周りを見ることの大切さや、自分が抱く心配を口にする。

 

『“そうだ。たまにはキャンプをしよう。幼い頃のあの時のように、のんびりと静かに、穏やかなひと時をたまにはすごそう。頑張ることも大切ではあるが、息抜きだって必要なんだ。たまにはチャンピオンの王冠を置いて、あの時のように楽しく遊ぼう。せっかくの機会だが言わせてもらうが、あのひと時は何よりも好きだった。バトルももちろん好みではあるが、1番好きなのはキャンプをしたり、遊んだりしたりすることだった。だから、たまにはただのダンデに戻ってくれ。せめてオフシーズンの時くらい、自由にさせてもらえる時間を得てくれ。たまには、チャンピオンのポケモンではなく、ダンデ個人のポケモンとして。相棒として、楽しい時間を過ごしたい。疲弊し切ってる相棒は、見るに耐えないからな“……と。』

 

そして、自分の要望を口にして、穏やかな瞳をダンデに向ける。

 

「えっと……かなり長く何かを伝えているようだったが……オレのリザードンはなんと言っていた?」

 

リザードンから視線を向けられたダンデは、鳴き声にしか聞こえなかった長い長い伝言の内容を、ポケモンの言葉がわかる鏡花から教えてもらいたいと思い、首を傾げながら問いかける。

 

「……確かに、チャンピオンもポケモンに愛されているな。心配の方が大きいみたいだけど。」

 

リザードンから聞いた言葉に、鏡花は小さく笑みを浮かべる。

 

「ずるいぞ。キミだけリザードンの言葉がわかるなんて。相棒はなんて言っていたんだ? 教えてくれ。」

 

1人納得してる様子の鏡花の姿にダンデが拗ねる。

 

自分だってポケモンの言葉を、ポケモンの意志を、ポケモンの想いを知りたいと言うのに、理解できないことが嫌なようだ。

 

拗ね方がまるで子どもだな……そんなことを思いながらも、鏡花はリザードンから聞いた言葉を一語一句略すことなく、まるまる全てをダンデに話す。

 

彼は最初こそ嬉しげにしていたが、徐々に顔を赤くしていき、最終的にはしゃがみ込んでしまった。

 

「おーい。チャンピオン。どうしたんだ〜?」

 

耳まで赤いダンデの姿に、鏡花はニヤニヤと笑いながら、からかうように問いかける。

 

「そ……そんなに心配させたり、思われたりしてるとは思わなかったぜ……いや、自信はもちろんあった。あったんだが……その……実際に耳にするとかなり恥ずかしいと言うか、その……あー……なんて言ったらいいのかわからないぞ……。」

 

ダンデは恥ずかしそうにしながらも、ニヤケを抑えきれないといった感じに、口元を緩めていた。

 

イケメンだから許される表情だ……とその顔を見ながら鏡花は思う。

 

こう言うのもなんだが、ちょっと人には見せたらいけない……そう言ってしまいそうな笑みを彼は浮かべている。

 

「結構溜め込んでいたみたいだな。大切な相棒に抱いてる感情。よかったじゃん。今聞けて。」

 

どんな表情もかっこいいんだよな……これだから美形はと軽く内心でひがみながらも、相棒の想いが聞けてよかったなと声をかければ、ダンデは小さく頷いた。

 

「ああ。にしても……リザードンにはそんな風に見えていたんだな。流石はオレの相棒だぜ……。見事なまでに的を得ている……。確かに、たまにひどく疲れていたし、今もちょっと疲弊していた……。心配してくれてサンキュー、リザードン。明日、委員長に相談しみるぜ。オフシーズンにも入ったし、少しだけ休暇をもらえないか。」

 

そして、自分のことを心配してくれた大切な相棒に感謝を告げて、その頭を優しく撫でる。

 

『全く……ようやくか……。』

 

ダンデのリザードンは呆れたように言葉を紡ぐ。

 

それを聞いた鏡花はクスクスと笑い、リザードンが呆れてる、と穏やかな声で呟いた。

 

鏡花の言葉に苦笑いを溢したダンデは、リザードンに謝罪した。

 

これからは無茶もほどほどにすると、申し訳なさそうに呟きながら。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

なんだが濃い1日だったな……

「よいしょ……やっと一息つける。」

 

あれからブラッシータウンからダンデと一緒にハロンタウンに帰った鏡花。

 

帰る際、ダンデからオレの家はここなんだと教えられて、キョウカの家はどこなんだと聞かれて、自分はまどろみの森の近くにある空き家の向かい側に住んでると伝えたりしてから彼とはわかれて自宅へと戻った。

 

自宅に戻れば、すでに夕飯の準備はできており、母親にちょっと遅いと注意されたが、自分の肩に乗っていたマホイップのアキザクラを視界に入れたからか、納得したように頷かれた。

 

どうやらこの世界の自分は、かなりのポケモン好きなようだ。

 

またポケモン探しに夢中になっていたのね、なんて微笑まれたため、苦笑いをするしか出来なかった。

 

だが、ポケモン探しに夢中になりすぎるポケモン大好きな娘というのは、トレーナーの母から見たら、どことなく嬉しいことのようだ。

 

そのおかげできついお咎めを食らうことなく、手洗いうがいを済ませてから夕飯を食べる流れを過ごせた。

 

そのあとは風呂に入って体の汚れを落としてから寝巻きに着替えて、歯磨きを済ませてベッドイン。

 

同時に出てきた言葉が、冒頭の言葉である。

 

「ふぅ……なんつーか……随分とまぁ濃い1日だったもんだ。」

 

ベッドにいそいそと潜り込み、手足を伸ばしながら漏らした言葉。

 

それに誘発されるように、今日1日で起こった出来事の記憶が過ぎる。

 

(突然死んだかと思ったら、目の前にアルセウスが現れて……長年ずっと見ていたと言われ、転生することを提案される。それに乗ってわがままを軽く口にしてみたら、アルセウスはそれを全て叶えてくれた。で、転生してガラル地方で目を覚ましたら、今度はイーブイとピカチュウに会って、トリップ補正かなんかのせいで、ポケモンの言葉が理解できるようになっていて……これだけでかなり濃い内容なのに、机の上にゃ手紙と“てんかいのふえ”が置いてあって、いつでもアルセウスを呼べるときた。さらに、手持ちのポケモンは私にめっちゃ好意的で、ただの好意に収まってなくて、♀のポケモンにゃキスされて……その上チャンピオンのダンデと接触……うっへぇ……今日1日で経験したことが多すぎるって……。)

 

改めて整理してみても、なんとも濃い過ぎる1日だ。

 

流石はゲームだった世界……といった感想を漏らしたくなる。

 

「まぁ、毎日出会いと癒しと楽しいことがあるのは確かだし、そんな日常を送ってみたいって欲がないわけでもなかったからな。なかなか刺激的で面白いじゃん。」

 

こんな日常がこれから毎日起こるのかと思うと、どう転んでもワクワクしかない。

 

悲しいこととか、ムカつくこととか、そんなマイナスな出来事ももちろんあるとは思うが、それを上回るカタチできっと、楽しいことや嬉しいこともいっぱい転がっているのだから、マイナスな出来事を過ごしたとしてもお釣りがたんまり残るだろう。

 

「楽しみだな……これからの日々。」

 

それとホプユウな!!と安定した考えを浮かべながら、眠るために目を閉じる。

 

『キョウちゃん……。』

 

が、小さな声が聞こえてきたため、鏡花は片目を開けて、声の方へと視線を向けた。

 

そこにはジッとこちらを見つめる、アキザクラの姿があった。

 

「あれ……アキ……? モンスターボールに戻ったんじゃ……?」

 

自宅に帰るなりモンスターボールに入ってしまったアキザクラに、鏡花は思わずキョトンとする。

 

アキザクラはゆっくりと鏡花がいるベッドに近づいては、下に垂れてるシーツを握って

 

『一緒に……寝たらダメかな……?』

 

一緒に寝たいと口にする。

 

「……それは別に構わねーけど……私結構寝相悪いぜ? 下手したら寝返り打ってアキを下敷きにするかもしれないし、ベッドから蹴落とす可能性もある。それでも一緒に眠りたいのか?」

 

ダメと言われたらダメではないため、一応許可する言葉を言うが、自分はかなり寝相が悪いとアキザクラに忠告した。

 

自分の寝相によりポケモンを傷つけたくはないという気持ちを伝えるように見つめ返す。

 

本当に寝相が悪いから、諦めて欲しいと考える。

 

しかし、その願い虚しく、アキザクラは頷いてしまったため、鏡花は溜息を吐きながらも、ベッドのすぐ近くにまでやってきた彼女を渋々抱き上げてベッドに潜った。

 

「ったく……本当に私は寝相悪いからな。どうなっても知らねぇぞ……。」

 

そして、小さく悪態をつきながらも、アキザクラを優しく抱きしめて、再び静かに目を閉じた。

 

程なくして鏡花から寝息が聞こえてくる。

 

鏡花に抱きしめられながら、彼女のベッドにいるアキザクラは、すぐに寝息を立て始めた鏡花の寝顔をジッと見つめたあとピタリと彼女の体に密着する。

 

好きになったトレーナーの温もりや、トレーナーの心臓の鼓動の音が自身の五感に染み渡る。

 

『キョウちゃん……好きだよ……。』

 

それにどことなく安心しながら、アキザクラは想いをポツリと呟き、眠る鏡花の唇へと自分の口を触れさせた。

 

だが、すぐになんだが恥ずかしくなり、ボフッと顔を赤くしながら、気を紛らわせるために鏡花の胸元に顔を埋めた。

 

そこには確かな膨らみがあり、なんとも言えない柔らかさを感じる。

 

それが目の前にいる鏡花が異種族でありながらも、女性であると言う現実を突きつける。

 

しかし、アキザクラは気にしていなかった。

 

確かにこのヒトは同性だけど、彼女の横顔や、ワイルドエリアを駆け回る際の無邪気な笑顔。

 

野生のポケモンとバトルをする時に表情に浮かべていた不敵な笑みと力強い眼光を宿す星色の瞳など、自分が目にした彼女の姿はどんなオスよりも魅力的で、とても惹かれたアキザクラにとって、性別と種族違いのことなんて、正直言ってどうでもよかった。

 

(こんなにも……わたしはこのヒトに惹かれてるもん……。今更種族とか性別とか……そんなの全然関係ない……。だって、わたしはこんなにもこのヒトに甘い気持ちになれるのだから……。)

 

人間のオスに渡したくない。

 

ポケモンのオスにも渡したくない。

 

わたしのことを見てほしい。

 

わたしのことを、1人の女の子として好きになってほしい。

 

(これを……恋って言わずになんと言うの? 恋以外の言葉はないでしょう……?)

 

だから、キョウちゃん。

 

お願いだから……わたし以外の子に……あまり目移りしないでほしい……。

 

わたしをあなたの隣にいさせてください……。

 

そんなことを思いながらも、アキザクラも静かに目を閉じる。

 

なんだか鏡花の温もりや寝息、鼓動の音がもっと強く感じるようだった。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定
ここらでちょっくら私の紹介……だな!


主人公

 

キョウカ・シノミヤ(転生前:四ノ宮 鏡花(しのみや きょうか)

 

性別:女

 

年齢:20歳

 

容姿:アプリコットオレンジの髪に、星のような黄色の瞳をした女性。スタイル上の中。顔立ち最上級。

 

備考

突然の死を迎えてしまったポケオタOLだった女性。

その際アルセウスの手によりポケモンの世界に転生させてもらった。

ポケモン主♂×ライバル♀やライバル♂×主♀などのカップリングに萌えてしまう甘酸っぱい青春大好き人間。

ガラル地方に転生させてもらった理由も、ホプユウが見たいがためだった。

なぜかポケモンに好かれまくる。

特に♀から好かれまくる。

もちろん♂や伝説からも好かれまくる。

とにかくポケモンに好かれまくる。

転生した際、アルセウスからの贈り物なのか、それとも転生した副作用なのか、はたまたアルセウスが肉体を作ったからなのか……ポケモンの言葉を理解する能力を身につけていた。

相棒はリザードンのノウゼン……だったはずなのだが、転生1日目に仲間になったマホイップのアキザクラがグイグイくるため彼女を主に使うことに……。

カロス地方にいるプラターヌ博士の助手という立場を持っている。

その影響か、転生前は適当にインスタントの紅茶やコーヒーを淹れていたはずなのに、転生後の今は、完璧な紅茶とコーヒーの淹れ方をマスターしていた。

 

 

 

鏡花の手持ち(現段階)

 

リザードン♂ (NN:ノウゼン)

ようきな性格をしたメガシンカ特化の相棒……枠……?

物音に敏感。

鏡花に親愛以上の思いあり。

鏡花のことをキョウちゃんと呼ぶ。

一人称は『オレ』。

 

マホイップ (NN:アキザクラ)

ひかえめな性格をしているはずだが、負けず嫌いな部分があるせいでグイグイきちゃう女の子。

鏡花に対してガチ恋勢。虎視眈眈と特別な子、お嫁さん枠を狙ってる。

鏡花のことをキョウちゃんと呼ぶ。

一人称は『わたし』。

 

ミミッキュ♂ (NN:ホオズキ)

ようきな性格をしているが、ちょっぴり怒りっぽい男の子。

物理で殴るのがかなり強いため、シャドークローとかげうちと、じゃれつくがかなり強力な子。

鏡花のことはキョウカちゃんと呼ぶ。

 

ゾロアーク♂ (NN:ファントム)

ようきな性格をしており、いたずらが好き。

ちょっとナンパな部分があるが、1番は鏡花のため、他の♀の尻は追わない。

鏡花のことは仔猫ちゃん。またはキョウチャンと呼ぶ。

一人称は『オレ』。

 

ギャロップ♂ (NN:リンドウ)

色違いのカントーギャロップ。

ようきな性格をしており、かけっこするのが好き。

常に敬語で言葉を話す爽やか紳士系ポケモンだが、鏡花に対しての身に宿す想い(恋心)は灼熱の炎よりも熱い。

鏡花のことはキョウカ様、または貴方様と呼ぶ。

一人称は『わたくし』。

 

ソルガレオ

ようきな性格をしており、力が自慢。

伝説のポケモンなだけあって、火力は鏡花の手持ちトップ。

話し方は伝説らしく、どことなく堅苦しいが、声音のせいで、爽やかお兄さんといった印象が強くなる。

鏡花のことはキョウカと呼ぶ。

一人称は『私』。

 

 

 

 

手持ちは入れ替わりやすいが、マホイップとリザードンとソルガレオは常にいる様子。

 

 

 

 

鏡花のその他ポケモン(随時追加)

 

ユキメノコ (NN:ヤマユリ)

おだやかな性格をしておりいたずら好き。

エンジュシティにいる人のような話し方をする。(なぜかはわからない)

鏡花に対して恋愛感情を抱いている。

からかうような言動をする。

鏡花のことはあんたはん、またはキョウカはんと呼ぶ。

一人称は『ウチ』。

 

 

鏡花の両親のポケモン(たまに鏡花について行く2匹)

 

ピカチュウ♂

むじゃきな性格をしており、イタズラが好き。

鏡花の父親、杏一(キョウイチ表記)の相棒であり、物理と特殊両方を得意としている。

一人称は「ぼく」で、鏡花のことは「キョウちゃん」と呼ぶ。

鏡花が生まれる前から一緒らしく、保護者のような存在。

 

 

イーブイ♂

おっとり性格をしており、こうきしんが強い

鏡花の母親、百合花(ユリカ表記)の相棒。

特攻が高いためシャドーボールやハイパーボイスが驚異的である。

一人称は「ボク」で、鏡花のことは「キョウちゃん」と呼ぶ。

鏡花が生まれる前から一緒らしく、こちらも保護者のような存在。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

出会いとようやく訪れた日
ちょっとした朝の出来事


ぴーぴょろろと言う鳴き声が聞こえる。

 

カーテンの隙間から太陽の光が入り込む。

 

どうやら朝が来たようだ。

 

ハロンタウンにある一軒の家で、1人の女性が目を覚ます。

 

昨日転生したばかりのトレーナー、鏡花だ。

 

彼女は一瞬眉間にシワを寄せたあと、ゆっくりとその目蓋を開いた。

 

その瞬間視界に飛び込んできたのは、すやすやと眠る妖精の姿。

 

昨日仲間にしたばかりの鏡花に恋するマホイップこと、アキザクラの姿だった。

 

「……よかった……寝相が悪いことを自覚していたから、ひょっとしたら蹴落としていないか不安だったけど、問題はなかったみたいだな……。」

 

特に怪我をしたり、床に落下したりしてないことを確認しては、安心したように息を吐き、アキザクラの頭を優しく撫でる。

 

すると、アキザクラの目元がふるふると震えたあと、その瞳がゆっくりと開かれる。

 

「よ。おはようさん、アキザクラ。よく眠れたみたいだな。」

 

目を覚ましたアキザクラを見て、穏やかな笑みを浮かべながら挨拶を口にすれば、アキザクラはぱちくりと瞬きをしたあと、ポフッと軽く頬を染める。

 

その姿にクスクスと小さく笑いながら、再びアキザクラの頭を撫でた。

 

だが、寝起きで好きな人の姿を見たアキザクラは、すぐに意識が戻ってこない。

 

「ほら。起きようぜ、アキザクラ。朝食も食べないといけないしな。」

 

可愛らしいなと思いながらも、鏡花はアキザクラを優しく抱き上げ、ベッドの上から静かに降りる。

 

『あ……お、おはよう……ございます……キョウちゃん……。』

 

すると、ようやく意識が戻ってきたらしいアキザクラが挨拶を返してきた。

 

「ああ。おはよう。」

 

その挨拶に応えるように笑顔で挨拶をもう一度口にすれば、アキザクラは顔を真っ赤にしたまま、両手で顔を覆ってしまった。

 

心なしかハートマークの幻覚が飛んでいるような雰囲気だ。

 

本当にこっちが好きなんだな……と小さく笑みをこぼしたあと、机の上にえるモンスターボールからミミッキュのホオズキとゾロアークのファントムをボールの中から出す。

 

大きな体のソルガレオと、炎を体に纏ってるギャロップのリンドウ。

 

そして、尻尾に炎が灯っているリザードンのノウゼンだけは、残念ながら出すことはできなかったが、あとで外に出してやって、この3匹にも朝食を食わせなきゃな、と考えながら、リビングへ降りた。

 

「あら、キョウちゃん。今日は随分と早いのね。おはよう。朝食、もうすぐで出来上がるから、顔を洗ってきなさい。」

 

「屋内で出せるポケモンたちは出してきたんだな。あとでリザードンたちにも食事を作らなくてはならないからね。庭に彼らようの耐熱仕様の小屋もあるし、そこに出してきて来たらどうだろう?」

 

そこにはすでに両親がいて、母親のユリカは朝食を作り、父親のキョウイチはリビングのソファで新聞を読んでいた。

 

「あー……おはよう、母さん。父さん。今日はたまたま目が覚めたんだよ。ま、たまにはこんなのもいいかと思って降りてきた。」

 

自分の両親に挨拶を返した鏡花は、早起きした理由をたまたまだと称して、洗面所へと足を運ぶ。

 

そこで顔をしっかりと洗い、寝てる間に増えたであろうバイ菌をある程度流すために、しっかりとうがいをしたあと髪を整える。

 

少しは綺麗になったことを確認した鏡花は、櫛をあった場所へと戻し、リビングを通って外に向かう。

 

昨日はポケモンの世界に来たことに興奮していたため気づかなかったが、よく見るとダンデ宅に負けないほどの広い庭があり、母屋と思われる家とは別に、もう一軒家が建っていた。

 

「……何この家。」

 

まさか自分の自宅がここまで豪邸だったとは思わなかったため、キョトンとした表情を浮かべる。

 

カタチとしては、ダンデの自宅に類義している。

 

しかし、よく見ると違うことが伺えた。

 

ダンデの自宅には池があり、物置と思われる建物があったが、この自分の自宅には池がなくて、物置らしき建物が、倍以上の大きさがある。

 

近づいてみれば、耐熱や火事防止の工夫が施されている建物であることがわかる。

 

なんとなくリンドウをボールから出して、小さなかえんほうしゃを撃たせる。

 

燃えることはなかった。

 

「すげぇな、この建物……。ほのおタイプのポケモンがこの世に存在しているから必要な加工建造物なのかね……。」

 

ポケモンの世界ってすげー……なんて思いながら、鏡花は建物へと入っていく。

 

そこはかなり広かった。

 

でかいポケモン3匹いても問題がないくらいだ。

 

「うし。じゃあノウゼン。リンドウ。ソルガレオ。一旦はここにいてくれるか? 母さんか父さんが飯作ってくれるみたいだからさ。」

 

それを確認した鏡花は、モンスターボールからノウゼン、リンドウ、ソルガレオの3匹を出す。

 

3匹は周りを見渡したあと、それぞれ寛ぎやすい場所を陣取りリラックスする様子を見せる。

 

ポケモンたちが過ごしやすいようにいろいろと工夫がされてんのかな……と鏡花は思わず首を傾げた。

 

「ポケモンちゃんたち出したのね。待ってて。すぐにとっても美味しいポケモンフーズを作ってあげるから。」

 

同時にやってきた母親に、鏡花は目を丸くした。

 

美味しいポケモンフーズってなんだ……そう思いながら母親を見る。

 

が、それより先にある写真立てと2つの額縁が目に入った。

 

近づいてみれば、それは若い頃の母親の写真と思われるものと、トップブリーダー認定証。

 

そして、最年少トップブリーダー・ユリカ様と書かれた賞状だった。

 

それを見て鏡花は納得する。

 

どうやら自分の母親は、ポケモンブリーダーという存在らしいと。

 

それなら母親にポケモンフーズを作ってもらえば、間違いなく栄養満点のものができるだろうと考える。

 

「ありがとう。私じゃ母さんみたくバランスの取れた美味いポケモンフーズが作れないから……助かるよ。まぁ、正直私が作れないと意味がないんだけどさ……。」

 

……自然と口から出てきた言葉は、感謝の言葉だった。

 

突然の言葉にユリカが驚く。

 

しかし、すぐに小さく笑い

 

「フフ……あなたの大切なポケモンたちだもの。これくらいは当然のことよ。でも、いつまでも作れるわけじゃないから、今度私たち人間が食べる料理の中で、ポケモンたちも食べれる料理とか、栄養バランスバッチリで、味も完璧なポケモンフーズとかのレシピを教えるわ。あなたは要領がとてもいいから、きっとすぐに作れるようになる。だって、私の娘なんだから。ポケモンたちの性格から判断した工夫の仕方なんかも教えるから安心しなさい。」

 

娘の大切なポケモンのためならこれくらいは当然だと告げ、鏡花自身でも作れるように、レシピや味の好みの見分け方なども教えると伝える。

 

鏡花は目を丸くするが、なんとも魅力的な言葉に思わずへにゃりと破顔した。

 

「うん。」

 

自分の目的はアレではあるけど、ポケモンたちと過ごすことを1番優先したい鏡花にとって、その言葉は何よりも喜ばしいもの。

 

小さく頷いてユリカを見れば、彼女も似たような表情をしていた。

 

「さ。ここは私に任せて、キョウちゃんも朝ご飯食べてきなさい。今日も1日有意義に……ね?」

 

ユリカが鏡花に朝ご飯を食べるように伝えれば、鏡花は素直にそれに従い、ポケモン専用小屋を退室する。

 

その背をユリカは見送ったあと、ソルガレオたちの食事を作り始めるのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お隣さん兄弟と接触した件。ダンデって方向音痴では……?

ピンポーン♪

 

朝食を食べ、今日はどうやって過ごそうか……などと思いながら、ホオズキ、アキザクラ、キョウイチのピカチュウ、ユリカのイーブイに囲まれながら、リビングでまったりしていると、自宅の呼び鈴が鳴った。

 

「キョウちゃん、ちょっと出てくれるかしら? お母さん、今手が離せないのー。」

 

呼び鈴の音に反応していたら、ユリカから声をかけられる。

 

そういえば、今、父さんもいなかったな……と鏡花は考えながら、ソファから立ち上がった。

 

同時に彼女の肩にホオズキとキョウイチのピカチュウが飛び乗り、頭の上にユリカのイーブイが乗っかる。

 

『ふぇ……』

 

自分の乗る場所がなくなった……涙目になるアキザクラ。

 

「アキはこっちな。」

 

だが、すぐに鏡花に抱き上げられたため、ホッとしたような表情を見せる。

 

「意外と重てぇ……。おい、イーブイ、ホオズキ。乗る位置交代してくれ。結構キツイわこれ。」

 

そんなアキザクラの頭を優しく撫でながら、イーブイとホオズキに位置変更の申し出をする。

 

『え〜……キョウちゃんの頭の上が落ち着くのにい〜…』

 

『ブイ兄。それくらい許してあげなよ……。今キョウカちゃん何キロ抱えてると思うの? 13キロだよ。13キロ。ブイ兄より軽いぼくを肩に乗せるよりは、ブイ兄を肩に乗せた方が、多分、身体的負担も減るんじゃないかな?』

 

『ちぇ〜……わかったよ〜……。』

 

すると、頭の上にいたイーブイが軽く拗ねつつ床に飛び降りた。

 

それを見計らったようにホオズキが鏡花の頭に乗っかり、イーブイはホオズキがいた場所に飛び乗った。

 

「うん。まだこっちの方が助かるな……。」

 

頭に6.5キロを乗せるより0.6キロを乗せる方が結構楽だと呟いた鏡花は、そのままゆっくりと玄関へと向かい、扉をガチャリと開く。

 

「はーいよっと……? あ? ダンデ?」

 

「おはよう、キョウカ!! なんだか今日はすごいことになってるな!」

 

そこには太陽のような眩しい笑顔を見せる、ガラル地方のチャンピオンがいた。

 

服装がいつものユニフォーム+マントではない。

 

明らかにオフモードのラフなシャツにスラックス姿だった。

 

あの王冠のように見えるマークが描かれている帽子も脱いでいる。

 

「リザードンは?」

 

「自宅だぜ。」

 

「え……よく迷わずこれたな……。」

 

「不思議とキョウカの家には迷わずに辿り着けたぜ。」

 

「マジかぁ……。」

 

格好がお互いにゆるいせいか、会話もどことなくゆるゆるだ。

 

側から見てもほのぼのとしてると言えるだろう。

 

2人の間にある空気は、どことなく穏やかだった。

 

「どうしたのさ、朝っぱらから。」

 

なんかこういった空気感もいいなぁ……なんて思いながら、ダンデにうちを訪ねた理由を問いかける。

 

「ああ。実はオレの弟に会わせたくてな。母さんから聞いたぜ。鏡花はこっちに引っ越してきて、まだ1週間しか経ってないらしいじゃないか。一応、挨拶には来てくれたって言ってたけど、ゆっくり話したことはないと言われてな。オレと同い年っぽいし、この小さなハロンタウンでもう1人年齢が近いとしたら、10は離れてるかもしれないが、オレの弟くらいだろうと思ったんだ。互いに相手と面識があれば、オレがハロンタウンを離れている時とか、弟が頼ることができる年が近い存在がいた方がいいし、挨拶くらいはと思ってさ。」

 

すると、ダンデは丁寧に鏡花の自宅を訪ねてきた理由を口にした。

 

なるほど、と頷いた鏡花は、先程から見え隠れしているダンデより背が低い少年に目を向けた。

 

少年は、ビクッと体を震わせたが、すぐにチラチラと鏡花を見ていた。

 

「なるほどな。確かに、私はキミの弟くんと年は近い方かもな。アニキであるダンデと同い年だろうし。」

 

ゲームでは主人公たちのことを率先して前を走って引っ張っていたのに、随分とまぁ、人見知りをしてると小さく笑った。

 

「そういえば……女性に年齢を尋ねるのは失礼な質問かもしれないんだが、キョウカは幾つなのか聞いてもいいだろうか?」

 

そんな中、ダンデが鏡花に年齢を訪ねる。

 

見た目的に近いことはよくわかるのだが、年上なのか年下なのか……はたまた同じ年なのか、どうやら気になったようだ。

 

「別に気にしなくてもいいよ。見ての通り私は女軽く捨ててっから、本来女性にする必要のある配慮とかかなぐり捨ててくれ。ちなみに年齢は20歳だ。」

 

女性に年を聞くのは失礼かもと前置きをしたダンデに対して、鏡花は気にしなくていいと告げる。

 

ついでとばかりに年齢も教えた。

 

「どんな性格や言動をしていてもキミだって立派な女性だろう? やはり女性として扱わないと失礼だとオレは思うぜ。にしても20歳か……。うん、オレと同じ年なんだな!」

 

気づかいはいらないと吐き捨てた鏡花に対して、ダンデはそうもいかないとムッとした表情を見せながら返す。

 

が、すぐに年齢が同じだと知り、満面の笑みを表情に浮かべた。

 

「同年代が来てくれて嬉しいぜ。この町は見ての通り、小さい町だからな……。なかなか同年代にあたる人を見かけないんだ。ハロンタウンの外に出れば、もっといるんだけどな。」

 

心からの喜びを口にした。

 

その笑みを見た鏡花は、小さく笑い返しながら、彼の背に隠れている少年に目を向ける。

 

「はじめまして……で合ってるよな。挨拶した時も、キミの親と祖父母さんとしか会わなかったし。」

 

そして、穏やかな笑みを浮かべながら、優しい声音で話しかける。

 

「う……うん……。」

 

彼はどこか緊張しているようだった。

 

やはり、ゲームで見たホップ少年に比べたら、どことなくおどおどしているようだった。

 

「はは。緊張しなくていいよ。ほら、深呼吸してみ。気分が楽になるぞ。」

 

なんかちょっぴり寂しく思うが、鏡花は無邪気な笑顔を少年に見せつつ、その頭を撫でる。

 

鏡花の指示を聞いて、少年は数回深呼吸をしては、鏡花のことをジッと見た。

 

すると、彼女の星色の瞳と視線が絡み、彼は目を丸くする。

 

「ん? どうしたよ?」

 

急に目を丸くしてしまった少年に、キョトンとしながら声をかけると、少年は目をキラキラと輝かせた。

 

「キョウカさんの目、星みたいだぞ!」

 

「え……?」

 

突然の言葉に、今度は鏡花が目を丸くする。

 

「アニキ! キョウカさんの目、夜の星みたいにキラキラしてるぞ!」

 

そんな鏡花を気にしていないのか、それともキラキラに夢中になっているのか、少年はダンデにも声をかけた。

 

「ああ、確かにオレもそれは思ったぜ。はじめて会った時、星空で輝く星みたいだと思ったんだ。」

 

少年の言葉にダンデも同意するような言葉を口にしながら、笑顔を見せる。

 

「星……みたいか? 私の目……。」

 

顔面偏差値高すぎ兄弟2人組に星みたいな瞳をしてると言われ、思わず鏡花は少しだけ照れる。

 

そういえばこの2人……というか、ホップは主人公たちの目をダンデに教えていたような描写があったな……と考えながらも、素直な褒め言葉に目を逸らした。

 

その姿にアキザクラは少しだけムッとする。

 

鏡花を褒めて照れさせた2人の男に少しばかり嫉妬したようだ。

 

「ああ、星みたいだぜ。」

 

「夜空でキラキラ眩しく光る星みたいだぞ!」

 

鏡花の星みたいか?という質問に、素直に頷く兄弟組。

 

「一等星かよ。じゃあ夜とかめっちゃ光るかもな。」

 

鏡花は少しだけ呆れながらも、夜になったら光そうだと照れ隠しも含めて口にした。

 

「光っていたらすぐにキョウカを見つけられるかもしれないな。」

 

すると、ダンデが笑いながら、それなら鏡花の位置がすぐにわかるかもしれないなと呟いた。

 

その言葉に鏡花と少年が笑う。

 

それは見てみたいけどなんか怖い!と無邪気な笑顔を表情に浮かべた。

 

「はぁ……笑った。さて、弟くん。どうやら緊張が解けたみたいじゃないか。それなら自己紹介といかないか?」

 

しばらく笑った鏡花は、少年に改めて声をかける。

 

さっきまでのおどおどがなくなった様子から、初対面の年上に対する緊張があったんだな、と分析しながら、自己紹介を促す。

 

「あ、そうだな! オレはホップ! さっきはごめんなさい。緊張して言葉が出てこなかったんだぞ……。」

 

その言葉に少年は頷いたあと、自分の名前を口にした。

 

その上ですぐに謝罪の言葉を口にして、頭を深々と下げる。

 

「気にすんなって。年上相手にゃ緊張しちまうのも無理はないさ。だから謝んなくていいぜ。私はキョウカ。1週間くらい前に、カロス地方からこのガラル地方に引っ越してきたポケモントレーナーだ。両親とポケモンたちとここに暮らしてる。よろしくな、ホップ。」

 

自分が来たせいでホップの性格が改変されたのかと一瞬心配していた鏡花だったが、それが杞憂だったことを理解した途端、へにゃりとした破顔を見せる。

 

その笑みを見たダンデが顔を赤らめてしまったことには気づかずに。

 

「さて、自己紹介もしたし。これからは私らも友達。つまり、友達を家にあげても問題はないってことだ! ほら、立ち話もなんだし、2人とも上がりなよ。すぐに紅茶とか淹れるからさ。」

 

鏡花は慣れた様子でダンデとホップを自宅に招く。

 

「おじゃましまーす!」

 

「あ、ああ。おじゃまします。」

 

するとホップは無邪気に笑いながら。

 

ダンデはどことなく戸惑いながら、鏡花の自宅に足を踏み入れるのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

賑やかな我が家

「おー!! 図鑑でしか見たことがないポケモンがいるぞ!」

 

「ん? ああ、ゾロアークだな。こいつは大体イッシュ地方、カロス地方、アローラ地方にいるんだよ。まぁ、ひょっとしたらこのガラル地方にも探してみたらいるかもしれないがな。」

 

「庭にいるのはリザードンとギャロップと……あれは……確か……えっと……。」

 

「ソルガレオ。アローラ地方の伝説のポケモンとされてるやつだよ。アローラ地方に行った時、なんか仲良くなっちまってさ。ついて行きたいって見てきたから仲間にした。なんで気に入られたのかはわかんないけど、まぁ、その気持ちを無碍にはしたくなかったしな。」

 

「「おお〜〜〜!!」」

 

自宅に招いた御近所さん兄弟コンビに自分の手持ちを紹介しながら、2人の前に紅茶を出す。

 

「お、サンキュー、キョウカ。」

 

「ありがとうだぞ!」

 

2人は出された紅茶に視線を落としては、笑顔を見せつつ鏡花にお礼を言って口をつける。

 

程よく砂糖やミルクで味が整えられている紅茶のほのかな甘さが口内に広がった。

 

「美味いな!」

 

「すっごく美味しいぞ!」

 

こんなに美味しい紅茶は飲んだことがないと言わんばかりの明るい声音で褒められて、鏡花は小さく笑みを浮かべる。

 

「当然だよ。紅茶の淹れ方には自信があるんだ。まぁ、コーヒーも得意ではあるけどね。こう見えて一応、カロス地方のプラターヌ博士の助手をやってるからな。紅茶の淹れ方とかコーヒーの淹れ方は誰にも負けないぜ。」

 

そして、自分の立場を2人に教えながら、自分が飲むためのコーヒーを淹れる。

 

すると、鏡花の肩に乗っかっていたアキザクラは、彼女が持つコーヒーカップに入っているコーヒーの上に手からホイップクリームを出して乗せる。

 

マホイップのホイップクリームによるウィンナ・コーヒーの完成だ。

 

「……飲め……と?」

 

追加されたミルキィバニラのホイップクリームを見つめた鏡花は、アキザクラへと視線を向けて苦笑いをしながら問いかける。

 

アキザクラは上機嫌な笑顔を見せながら、コクコクと小さく頷いた。

 

やれやれ……と思いながら、アキザクラ特製ウィンナ・コーヒーを口にする。

 

昨日より深みが増していた。

 

「なんだ。多少は幸せ感じてんのな、アキ。」

 

口に広がったホイップクリームの深みある甘さに、鏡花は小さく笑いながら、多少は幸せなんだと指摘する。

 

アキザクラはすぐに笑顔を見せて、鏡花にすりすりとすり寄った。

 

彼女の頭に手を触れてみれば、優しく撫で付ける。

 

アキザクラは気持ちよさそうに目を細める。

 

その可愛らしさを微笑ましく思い頭を撫でながらコーヒーを飲んだ。

 

「羨ましいぜ……。」

 

「オレもちょっと飲んでみたいぞ……。」

 

あまりにも美味しそうにアキザクラ特製ホイップクリーム入りコーヒーを鏡花が飲むため、羨望の眼差しを彼女に向けるダンデとホップ。

 

マホイップというポケモンが作り出すホイップクリームの話を知っているから尚更羨ましいようだ。

 

「……あー……アキザクラ。この2人にキミ特製のホイップクリームちょっとやってくんね? ほら、お茶請けのクッキーにでも少し乗せてやってさ……。」

 

あまりにも羨望の眼差しを向けてくる御近所さん兄弟コンビに、鏡花は苦笑いをこぼしながらも、お茶請けのクッキーにホイップクリームを乗せてやってと話しかける。

 

アキザクラは、鏡花のお願いを聞いて、仕方ないなと言うような表情を一瞬見せたあと、ダンデとホップの紅茶の隣に置いてあるクッキーがのせてある皿に近寄ってから、クッキーの上にちょこんとホイップクリームを乗せた。

 

そのあとすぐに鏡花の元に戻り、褒めてと言うようにすり寄る。

 

「お願い聞いてくれてありがとうな、アキ。」

 

すり寄ってきたアキザクラに笑顔でお礼を言いながら、優しく頭を撫でてやると、足りないと言わんばかりにアキザクラは鏡花の顔に近づき、その唇にキスをした。

 

「おっと……そっちのがよかったか……。」

 

その行動から、ご褒美はこっちの方がよかったかと呟いた鏡花は、苦笑いをする。

 

「ごめんな、アキ。人前でそれは恥ずかしいんだ。」

 

が、キスを人前でするのは恥ずかしいこともアキザクラに伝える。

 

いくらポケモンとは言え、恥じらいなくキスすることは、流石に鏡花も苦手だった。

 

それができるのはポケモンだいすきクラブくらいだよ、とすら思ってしまうほど、公の場ですることに抵抗があった。

 

鏡花がそう説明すると、アキザクラはどこか納得したのか、今日はこれでいいやと言うように鏡花にくっついた。

 

「うん、うまい!」

 

「これがマホイップのホイップクリームかぁ……。」

 

鏡花とアキザクラがそんなやりとりをしていることを気づいていないのか、ダンデとホップはアキザクラ特製のホイップクリームが乗ったクッキーを口にして、味の感想を口にしている。

 

「今以上の幸せを感じるようになったら、もっとコクがあり甘いホイップクリームも作ってくれるんだろうけど、出会ったのは昨日だからさ。今は手探りに仲良くしてる途中なんだ。ま、この先にご期待をって感じかね。」

 

そんなダンデとホップに、今はまだ仲良くなってる途中であることを教える。

 

すると、ダンデとホップはそうなのかと頷いたあと、これ以上に美味しくなるのかとちょっとだけ目を輝かせた。

 

「まぁ、甘くてコクのあるホイップクリームを作るようになったとしても、キミらにはわけてやらないけどな。」

 

その表情に目ざとく気づいた鏡花は不敵な笑みを浮かべながら、アキザクラが幸せを感じまくるようになった際に作り出したホイップクリームは2人にわけたりしないと告げる。

 

「「なんでだ!?」」

 

鏡花の言葉を聞いたダンデとホップは食ってかかるようにつっこむ。

 

「そりゃ私はこの子の1番のトレーナーですから。特別なものってのは、特別同士で共有するもんだろ? ま、なんか祝い事があればわけてやらなくもないが、普段はダメだ。今回は特例だって。」

 

幸せを感じるようになったアキザクラが作り出す甘くコクのあるホイップクリームは特別な時以外ではわけないと断言した。

 

「ずるいぜそれ!」

 

「そーだそーだ! ずるいぞ!」

 

鏡花の言葉を聞いたダンデとホップはブーブー文句垂れながら、ずるいずるいと口にする。

 

「誕生日とか結婚式とか、あとクリスマスの時くらいはわけてやるから我慢しろっての。あんま文句言ってると、その時だってわけないぜ?」

 

が、鏡花の特別な日の時まで我慢しろという言葉と、文句言うなら特別な時も渡さないという言葉にうぐぐ……と2人して黙り込んだ。

 

「絶対だぞ! オレやアニキの誕生日とか、オレたちの家族の誕生日の時は絶対!」

 

ばっくれたら許さないぞ!とホップが指差しながら鏡花に言う。

 

その言葉を聞いた鏡花は、クスクスと小さく笑いながら、はいはい、と約束する。

 

アキザクラもその時くらいは構わないのか、異論はないと言うように、目の前の兄弟に目を向けるのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一日中ご近所兄弟コンビと過ごしたな今日は……

ダンデとホップの突撃訪問から数時間後。

 

時刻は夕方。

 

「今日は楽しかったぜ。」

 

「またくるぞ〜。」

 

「はいはい。またな。」

 

朝昼ずっと、鏡花宅にお邪魔していたダンデとホップが家を出る。

 

鏡花に挨拶をしながら。

 

2人の挨拶に苦笑いをしながら返事をした鏡花は、随分と長居してくれたなあいつら……と呆れの感情を抱いていた。

 

別に嫌ではなかった。

 

ホップがチャンピオンであるダンデの素晴らしさを熱弁したり、ダンデと小一時間リザードンの良さを語り合ったり、どこから持ってきたのか、鏡花の髪飾りが大量にある箱をアキザクラが取ってきて、そこにあったお花の髪飾りでダンデの髪をラプンツェルにし始めたり、アキザクラの手によりラプンツェルダンデにされた彼をホップと2人して笑い飛ばしたり、笑い飛ばした自分たちを恥ずかしがりながらもダンデが怒鳴ったりと、かなり賑やかなひと時だった。

 

だが、それはそれで楽しくて、ご近所兄弟コンビと仲良くなれたのは確かなため、満足できるものだった。

 

しかし、やはりと言うか、ポケモンたちを相手にできなかったのはちょっとだけ申し訳なかったな、と鏡花は考える。

 

人付き合いも確かに楽しむつもりではあったが、ポケモンとの時間を最優先にしたいと思っていたために。

 

「ごめんなー。キミら。今日はずっとダンデたちの相手ばっかだったわ。」

 

小さく溜息を吐きながら、ポケモン専用の小屋へと足を運んだ鏡花は、そこに集まっている自分のポケモンたちに申し訳なかったと謝罪する。

 

『何を言ってるのですか。キョウカ様は、あの方々を友人として捉えているのでしょう?』

 

『友人と過ごすことに私たちは嫉妬なんてしないさ。まぁ、少し寂しくはあったが、ポケモンとばかり仲良くしていては、キョウカがいつか孤立してしまう。』

 

『そうそう。だから気にしなくていいぜ、キョウちゃん。オレたちだって、キョウちゃんを独占しまくるのはよくないってわかってんだから。』

 

眉をハの字にしている鏡花に、ソルガレオ、ノウゼン、リンドウの3匹

、励ますように声をかける。

 

『我慢くらいはできるよ、ぼくらも。だってぼくらはキョウちゃんの手持ち。いようと思えば四六時中一緒にいれる。それに比べてヒトは、家族じゃない限り四六時中一緒になんて過ごせない。』

 

『流石にそれじゃあキョウチャンと友達になりたい人間が可哀想だろ? まぁ、もちろん、友人以上になろうとする奴は全力で阻止するけどな。』

 

『わたしはちょっと嫉妬した……。チャンピオンと弟さんにその瞳を褒められて、キョウちゃんは照れていたから……。でも、キョウちゃんはそのあと言ってくれた。特別なものは特別同士で共有するのが1番だって。だから、わたしが作る幸せのホイップクリームは、特別な日じゃない限り、誰にもわけないって。それって、つまり、キョウちゃんは、わたしを特別と思ってくれてるってこと……まぁ、キョウちゃんにとっては、自分の手持ちのポケモンたちは、みんな特別なのかもしれないけど、それでも、わたしを独占したいって思ってくれてる気持ちは確かだと思うから……だから、わたしも構わない……。お友達までなら、例え、相手が人間のオスでも我慢する。……けど、我慢したらその分だけ……ちょっと、ギュッとしてほしい……。』

 

続けてホオズキとファントムとアキザクラが鏡花にそれぞれ声をかける。

 

四六時中一緒に過ごせる自分たちが有利なのは変わらないから、友達と過ごす時間はいっぱい作ってほしいと。

 

まぁ、アキザクラだけ、そのあとのご褒美をおねだりしているが、彼女も友人なら異性がいても構わないし、その人と過ごす時間くらいは作ってほしいと鏡花に伝えた。

 

「はは。アキってひかえめな性格に見えて、意外とヨクバリスだな。まぁ、でも、みんながそう言ってくれるなら、ダンデたちと仲良くさせてもらいますかね。もちろん、友人として。」

 

6匹の言葉を聞いた鏡花は、アキザクラにからかうような声をかけながらも、友人と過ごす時間もいっぱい作ってほしいと言う言葉に甘えることにする。

 

ようやく申し訳なさそうな表情から、普段の明るい笑みを浮かべる鏡花の姿に変わったことに、その場にいたポケモンたち全員が、微笑ましげに小さく笑った。

 

「よっし。じゃあ、残りの時間はみんなとの時間だ! 自由に遊ぼうぜ。どうせ庭は無駄に広いんだ。全員出ても十分に広いんだしさ。ほら、行くぞ。」

 

そんなポケモンたちに目を向けたあと、鏡花は庭へ出ると声をかける。

 

すると、ポケモンたちは小さく頷き返したあと、我先にと庭へと出て行く。

 

それに続いて鏡花も庭に出ては、近くにあったボールを手にした。

 

「ボール遊びしたい奴いるか〜?」

 

片手でそのボールを弄びながら声をかければ、ソルガレオ、ファントム、リンドウの3匹が反応を見せる。

 

「よし。じゃあ、誰が1番に取ってくるか……な!!」

 

反応した3匹を視界に入れた鏡花は、不敵に笑ってボールを投げた。

 

ボールに反応したソルガレオ、ファントム、リンドウの3匹が我先にと取るために動き始める。

 

「ケンカはすんなよ。ボール取った奴優先な。だが、1回取ったやつは2回目は譲るように。」

 

あの様子じゃケンカするかも、と思った鏡花は、念のために釘を刺す。

 

ボール遊び組は、釘を刺してきた鏡花に一度目を向けたあと、ボール遊び組で顔を見合わせて頷いては、ケンカすることなくボールで遊び始める。

 

「さて……ポケじゃらしあるけど、これで遊びたいやつは?」

 

それを確認した鏡花は、りんりんと鈴の音が鳴るポケじゃらしを揺らす。

 

すると、ホオズキとノウゼンが反応した。

 

「おーう……キミらが。よし、じゃあ遊ぶか。あ、アキザクラはどうするよ?」

 

リザードンってでかいけど、ゲームじゃ普通な主人公が揺らしてたポケじゃらし殴ったよな……と思いながら、大丈夫かこれ……なんて心配しつつもポケじゃらしをゆらゆらと揺らす。

 

揺れるたびにチリンチリン鈴がなり、ホオズキとノウゼンが臨戦態勢になる。

 

そして、同時にポケじゃらしを攻撃し始めた。

 

リザードンがポケじゃらしで遊んでるとかなり迫力あるな……と苦笑い。

 

だが、トレーナーには当たらないようにちゃんと配慮しているようで、安心してポケじゃらしを揺らすことができた。

 

そんな中、ふと、アキザクラはどちらにも反応しなかったと思った鏡花は、彼女に遊ばないのかと声をかける。

 

『うん。キョウちゃんの肩にいるだけでいい。』

 

鏡花の問いに、アキザクラは素直に答える。

 

そっか……と呟いた鏡花は、ホオズキとノウゼンをじゃらし始めた。

 

が、途中でソルガレオがボールを咥えて持ってきたため、鏡花はそのボールを受け取る。

 

「じゃあ、ソルガレオが今取ったから、リンドウとファントムが優先だぞ。」

 

そして、再びボールを投げた。

 

ソルガレオは先ほどよりゆっくりのスピードでボールに向かい、ファントムとリンドウが全力を出す。

 

次は誰が取ってくるのかね……鏡花は小さく笑ったのだった。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いったい、私の両親はどこまで強キャラなのか……

ダンデとホップと仲良くなってから早くも2週間。

 

「キョウカーーー!! 遊びに来たぞーーー!!」

 

「んあ? ああ、ホップか。毎日元気だなオマエ……。」

 

あれから、ハロンタウンではホップ少年が最近越してきたポケモントレーナー鏡花宅にしょっちゅう遊びに行くと言う景色が見られるようになった。

 

チャンピオンが彼女宅に転がり込むと言うものも見かけられるようになり、ハロンタウン内では、少しだけ恒例行事となっている。

 

とは言え、チャンピオンも仕事をしている多忙な存在、見かけられることはごくわずかだ。

 

だが、ホップ少年は違う。

 

彼はほぼ毎日鏡花宅に遊びに行っては彼女のポケモンと触れ合ったり、彼女とポケモンの話をしたり、世間話なんかをしている。

 

自宅の外で出会ったら、ホップ少年が鏡花に笑顔を見せながら駆け寄って、そのまま親ポケモンを見つけた子ポケモンのようについて回ると言う様子もある。

 

「おう! オレはいっつも元気だぞ! ねぇねぇ、鏡花はガラル地方のポケモンはマホイップ以外にも捕まえたの?」

 

鏡花が自宅内でゆっくりしている中、鏡花宅にお邪魔したホップが、ソファに座る彼女に声をかける。

 

「そういやまだ捕まえてなかったな……。」

 

マホイップのアキザクラを抱っこしたまま、本を読んでいた鏡花は、ホップの質問に反応しては、そういえばとポツリと呟く。

 

「じゃあ、一緒に1番道路に行くぞ! 1番道路にもポケモンは結構いるんだ! ガラル地方のポケモンもいっぱいだぞ!」

 

それを聞いたホップは、笑顔を見せながら鏡花に外へ行こうと声をかける。

 

「それに、ずっと家の中にいると体が鈍るってアニキも言ってたぞ! だから外に行こう!」

 

ついでとばかりに自宅内にずっといるとダメだと言って、鏡花の腕をグイグイ引っ張る。

 

「あー……はいはい。わかったから引っ張んなって。」

 

腕を引っ張ってくるホップに、苦笑いをこぼしながら従うように立ち上がれば、彼はにぱりと無邪気に笑う。

 

「おばさん! ちょっとキョウカを借りますね!」

 

「はーい。2人とも遅くならないようにね〜。」

 

鏡花の母親、ユリカに声をかければ、あっさりと彼女の外出を承諾する言葉が聞こえてくる。

 

声音から連れ出してくれてありがとうとも言いたげだ。

 

そこまで私、自宅にいたか?と一瞬疑問に思う鏡花。

 

だが、そういえば最近は外にいても庭にくらいしか出てないわ……と思い出し、確かにちょっと家に良すぎたかもしれないと考える。

 

『キョウちゃん、お外に行くの?』

 

『ボクらも連れて行って!!』

 

ホップに手を引かれるままに、玄関へと向かっていたら、キョウイチのピカチュウとユリカのイーブイが足元にじゃれついてきた。

 

「あー……母さん。母さんと父さんのイーブイとピカチュウが私の足にまとわりついて、ボクらも連れてけってうっさいんだけど……。ハロンタウン近くの1番道路にまで行くだけだし、散歩ついでに連れて行っていいかな?」

 

2匹から連れて行けと言われた鏡花は、困惑した表情をしながらも、親のポケモンである2匹も連れて行っていいかと問う。

 

「そういえば、最近はあまり外で遊ばせてなかったわね……。お願いできるかしら?」

 

鏡花の問いかけを聞いたユリカは、思い出すように呟いたあと、お願いしていいかと呟いた。

 

「りょーかい。じゃ、まぁ、久々にこの子らもポケモンバトルさせてくるわ。怪我はさせないから安心してくれ。」

 

それを了承するように言葉を紡いで、玄関の方へと向かう。

 

「ええ。お願いね。その子たち、私とキョウイチさんが最初に選んだポケモンで、ずっと一緒に過ごしていたし、ジム戦とかに参加していた時も一緒に戦ってくれた子たちだから、かなり強くてポケモンの捕獲には向いてないかもしれないけど……。」

 

その際、自分たちのポケモンはかなり強いからポケモン捕獲には向いていないと背後から言われる。

 

鏡花はその言葉に反応して背後を振り返る。

 

そこには穏やかな笑みを浮かべているユリカの姿があった。

 

どういう意味だ……と考えた鏡花は、ふと、リビングに目を向ける。

 

これ見よがしに複数のジムバッジとチャンピオン認定証が飾られており、チャンピオンとして座を防衛してきた回数が記録されている賞状がある。

 

他にも、チャンピオンを引退したことを示す文字が書かれたものもあった。

 

引退した際、誰にチャンピオンを明け渡したのかを記すものも……

 

「まぁ、そうだろうね。母さんは元カロス地方チャンピオンだし、父さんは元イッシュ地方のチャンピオンなんだから。ピカチュウとイーブイが強いのは、当然だろうさ。」

 

その情報から、自分の両親がどんな立場にいたのかを口にしてみれば、ユリカは穏やかな笑みを浮かべ

 

「そうねぇ……確かに、私とキョウイチさんはチャンピオンだったわ。私はカルネちゃんに……キョウイチさんはアデクさんに最終的にはチャンピオンと言う立場を譲っちゃったけど、互いにチャンピオンだったことから話も盛り上がって、今はこうまで幸せなんだから、チャンピオンになったことも、やめたことも後悔してないけどね。」

 

懐かしむように呟いた。

 

「そっか。んじゃ、行ってきます。」

 

「はーい。気をつけてね〜。」

 

それを聞いた鏡花は、特に深く追求することなく、短く返したあと、ユリカのイーブイとキョウイチのピカチュウも連れて外に出た。

 

「おばさんとおじさんってすごかったんだな! 元チャンピオン2人なんてすごいぞ!」

 

「確かにな。そんな2人が巡り巡って結ばれて、そんで最終的に子どもを授かってこっちでのんびり過ごしてるとか、すごいとしか言えないよ……。」

 

出た瞬間、目を輝かせながら言葉を紡いだホップに、鏡花は苦笑いをしながら、同意するように言葉を紡ぐ。

 

内心では、私の転生先の家族がチートすぎんだけどアルセウス様……?とドン引きしながら。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

なんで元チャンピオンのポケモンが私の言うことを聞くんだ……?

「ピカチュウ! 10まんボルト!! イーブイ! ハイパーボイス!!」

 

『任せて!!』

 

『のどスプレー万全! いっくよー!!』

 

ピッカァアァアア!!

 

ブゥウゥウゥイィイィイイ!!

 

1番道路。

 

そこでは2匹のポケモンが野生のポケモンと勝負をしていた。

 

あるトレーナーのピカチュウとイーブイだ。

 

その2匹は、本来は自分のトレーナーではない1人の女性の指示を聞きながら、野生のポケモンと勝負をしている。

 

彼女らの前にいるのは1番道路にいる野生のポケモンたち。

 

だが、次々とそのポケモンたちは戦闘不能へと陥っていた。

 

「……実際にレベル差の暴力ってのはかなりやばいものなんだな……。一応、ピカチュウもイーブイも手加減はしてるんだろうけど……うん。1番道路のポケモンがかなりかわいそうだこれじゃ……。」

 

2匹のポケモンに指示を飛ばしていた女性、鏡花は、引きつった笑みを浮かべながら、とんでもない力を発揮する2匹のポケモン……自分の両親の相棒ポケモンであるピカチュウとイーブイの強さに戦慄する。

 

「うわぁ……おばさんとおじさんのポケモンたち強すぎるぞ……。」

 

「だな……。1番道路じゃあまりにも過剰戦力になっちまう……。こいつらは今度、ワイルドエリアの奥地の方にでも連れて行くか……。」

 

鏡花の側で2匹の戦闘を見ていたホップも、かなり引いた様子を見せており、鏡花と同じく引きつった笑みを浮かべていた。

 

『キョウちゃ〜ん……ここのポケモンが可哀想になってくるくらいぼくら強すぎちゃってるよ〜……。』

 

『もっと強いポケモンってガラル地方にいないかな? ほら、キョウちゃんのソルガレオみたいな伝説級とか……』

 

「伝説のポケモンと戦おうとすんなよイーブイ!! ピカチュウの言いたい気持ちはよくわかる。だから、今度母さんたちにワイルドエリアの方にまで行っていいか聞いてみよ。ほら。勝手に連れて行ったら私が怒られるし。」

 

『『は〜い。』』

 

一回の戦闘だけで、自分の両親のポケモンがどれほど強力な戦力なのかを理解した鏡花は、困惑の表情を浮かべながら、2匹に声をかける。

 

2匹はすぐに間延びした返事をしたあと、散歩することだけに専念するつもりなのか、辺りをふらふらと歩きはじめた。

 

まぁ、離れすぎたら足を止めて、鏡花の方へと目を向けているのだが。

 

「そういえば、おばさんのポケモンたち、キョウカの指示をしっかりと聞いていたぞ。ここにいるポケモンたちを一瞬で倒しちゃうし、おじさんとおばさんが元チャンピオンってことを当てはめると、かなりレベルが高いから、バッジを持ってないキョウカのお願いをここまで聞いてくれるのが不思議だぞ。お願いを聞いてくれない可能性の方が高いのに……。」

 

そんなピカチュウたちについて行くように歩みを進めていると、不意にホップが不思議そうな声音でポツリと呟いた。

 

「言われてみれば……。」

 

それを聞いた鏡花は、確かに、明らかに高レベルのポケモンである両親のピカチュウとイーブイが、素直に自分のお願いを聞いている……と思い、思わず首を傾げた。

 

この世界はポケモンの世界。

 

しかも、時間軸や世界軸からして、ゲーム、ポケットモンスターの世界のはず。

 

だとしたら、バッジを持たない自分がピカチュウたちに指示を出しても、親とはいえ他人であるトレーナーの高レベルのポケモンに指示を聞かせることはできないのでは……という疑問が生まれたのだ。

 

「なぁ、ピカチュウたち。キミらはかなり高レベルだろ? なんで、私のお願いを聞いてくれるんだ?」

 

思わず鏡花はピカチュウたちにその疑問をぶつける。

 

すると、ピカチュウとイーブイは互いに顔を見合わせたあと、クスクスと小さく笑った。

 

「なんだよ……?」

 

急にクスクス笑いはじめた2匹に、鏡花はムッとした表情をして、笑われるなんて心外だと言わんばかりの声音で話しかける。

 

『ぼくらがキョウちゃんの言うこと聞くのは当然だよ。』

 

『だってボクらは、キョウちゃんが大好きだし、それに、キョウちゃんは伝説のポケモンとだって仲良くできるくらい強い子だもん。』

 

『『ボクら/ぼくらはキョウちゃんを信じてる。その強さも優しさも何もかも。いつも仲良くしてくれる大切な家族なんだから!』』

 

すると、ピカチュウとイーブイは明るい笑顔を鏡花に向けながら、自分たちが鏡花のお願いを聞く理由を口にした。

 

その言葉に鏡花は目を見開き驚く。

 

だが、すぐに笑顔を見せながら、

 

「ありがとう、ピカチュウ、イーブイ。」

 

自分のことを大切な家族と称してくれた2匹に感謝の言葉を口にした。

 

「ピカチュウたちはなんで言っていたんだ?」

 

一部始終を見つめていたホップは、鏡花にピカチュウたちの会話の内容を問う。

 

鏡花はすぐにホップに目を向けて、2匹にどう言われたのかを告げた。

 

「そうだったんだな!! よかったな、キョウカ!!」

 

それを聞いたホップは笑顔で鏡花によかったなと声をかける。

 

その言葉に頷いて小さく笑う鏡花。

 

だが、その表情はすぐに固まることになる。

 

「にしても……やっぱりキョウカってポケモンと話せるんだな。すごいぞ! オレもウールーたちと話してみたいぞ……。」

 

ホップのその一言によって。

 

「………えっと……ホップ……?」

 

引きつった表情を浮かべた鏡花は恐る恐るホップに声をかける。

 

「どうしたんだ?」

 

ホップはキョトンとした表情をして鏡花に目を向ける。

 

が、すぐに彼女の表情から言いたいことを判断しては、あ、と呟き

 

「大丈夫だぞ! その秘密はちゃんと黙っとくからな!」

 

ちゃんと黙っておくから安心して欲しいと鏡花に告げた。

 

「ねぇねぇキョウカ。ポケモンと話せるってどんな感じなんだ? やっぱり普通の人と話すみたいに、しっかりと聞こえるのか? それともちょっと違う感じ? どうやったらポケモンと話せるようになるのかも知りたいぞ! 話せるようになったらきっと楽しいし、ポケモンともっともっと仲良くなれそうだぞ!」

 

その代わりと言ったように、ポケモンと話すという感覚はどんなものなのかを教えて欲しいと質問の応酬をする。

 

ダンデと言いホップと言い、なんで質問をいくつも叩き込んで来るんだ……と呆れ顔を見せた鏡花。

 

「あー……とりあえず私の家に行こうか……。ここで話すと誰が聞いてるかわかんないからな。母さんたちは、私のこの特異な能力を知ってるし、話しても変に思われないからさ。」

 

だが、その質問には答えられる範囲で答えようと思い、自分の自宅にホップを招くのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

まぁ、詳しくは話せないんだけど

自宅に戻った鏡花と、鏡花宅にやってきたホップ。

 

2人は家に入るなり、手洗いうがいを済ませてから、鏡花の自室の方へと足を運んだ。

 

「適当に座ってくれ。とは言っても、ベッドの上か、この机の前にある椅子か、床にあるカビゴンのぬいぐるみ型クッションの上しかないけど。」

 

「はーい。」

 

鏡花の指示を聞き、ホップは辺りを見渡したあと、床にあるカビゴンぬいぐるみ型クッションに腰をかける。

 

「うわっ!? すごくふわふわしてるぞ!? なんか楽だし……。」

 

「カビゴンぬいぐるみ型クッション。別名人をダメにする悪魔のクッションだからな。買ったのは……確かミナモデパートだったかな……。ホウエン地方にあるでかいデパートにあってさ。触り心地も座り心地も寝心地も最高だから、小遣いはたいて買ったんだ。一気に金吹っ飛んだけど。」

 

「た、確かに高そうだぞ……。」

 

座った瞬間、見事なまでのフィット感に驚いたホップ。

 

彼にカビゴンぬいぐるみ型クッションの概要を話し、かなりの値段だったと明かせば、これだけ質の良いクッションなら当然だと呟き、汚さないようにしなくては……と考える。

 

「さて……じゃあ質問に答えるか。最初に聞きたい質問は? 簡易的なもので良いなら答えるよ。」

 

そんなホップを見ながらも、鏡花はホップが質問に答えると告げ、最初に聞きたいことはあるかと問うた。

 

「じゃあ、ポケモンと話すってどんな感じなんだ? やっぱり人と普通に話すような感覚なのか?」

 

鏡花から質問を許可されたホップは、少しだけ考えたあと、ポケモンと話す感覚について問う。

 

「そうだな。感覚としては普通に人と会話してる感じだね。テレパシーや波動みたいな頭に響くような感じではない。本当に、人と話しているみたいで、はじめて声が聞こえるようになった時は、人に話しかけられたのかと思ったよ。」

 

鏡花は、少しだけ考えたあと、感覚としては普通に人と話してるようだと教える。

 

頭な響くようなものではなく、鼓膜を揺らす確かな声が聞こえてくると。

 

「そうなんだな! じゃあ次! ポケモンによって、声は違うのか?」

 

ホップの次の問いは、声の違いについてだった。

 

「全く違うな。一回、ダンデのリザードンと話したこともあったんだけど、あの時聞いた声は、すごく低くて、どことなく上品さが感じれて、とても落ち着くような声だった。人の年齢に合わせるとしたら、多分30代前半くらいの声だ。対する私のリザードン……ノウゼンはどことなくチャラいっつーか、軽いっつーか……うん……かなり若い青年のような声だった。ポケモンの種族だけでなく、同種族間に存在している個体ごとにも声が違うみたいだよ。」

 

鏡花は、例の一つとして、自分の手持ちにいるリザードンと、ダンデの手持ちにいるリザードンの声の違いをあげながら、ポケモンの種族のみならず、個体によっても声が違うことを教える。

 

「ってことはウールーが集まっていても、ウールーごとに声も違うんだな!! 面白いぞ!」

 

鏡花の返答を聞いたホップは、笑顔を見せながら面白いと言う。

 

「じゃあ、トレーナーを持つポケモンたちってトレーナーのことも話したりするのかな?」

 

が、すぐに質問に戻り、新たな疑問を鏡花に向ける。

 

「そうだな。トレーナーに大切にされてるポケモンたちは、自分のトレーナーに対して一喜一憂してるぞ。これも例としてダンデのリザードンをあげるけど、彼は、ダンデのことを心配していた。何があっても前を向いて歩みを進め、自分の夢を追いかけることは美点だけど、1人で抱え込みすぎて疲労したり、チャンピオンとして人々の憧れで居続ける姿は見ていて心配にもなるって。だから申し出てたよ。せめてジムチャレンジのオフシーズンの時くらい、チャンピオンとしての偶像と王冠をいったん置いて、ただのダンデとして自由に過ごす時間をもらってくれって。……まぁ、こんな風に、トレーナーがいるポケモンはトレーナーのことをよく見てるんだ。だから少しの変化にも気づくし、心配だってする。同時に悪いところも見てるかもしれないから、気をつけないとな。」

 

その問いに対して、ポケモンたちはトレーナーのことをよく見ていることを教える。

 

それを聞いたホップは、忘れないようにするためか、手帳を取り出してメモをした。

 

覚えていれば、いつか役に立つかもしれないと思ったようだ。

 

「ポケモンとはどうやって話せるようになるんだ? オレもポケモンたちと話してみたいぞ!」

 

まぁ、1番の本題はこちらのような気がしなくもないが、この質問ばかりは、鏡花も答えられない。

 

なぜならいつのまにか話せるようになったような状態だったために。

 

「あー……悪い。その質問には答えれないんだ。私も物心ついた頃にポケモンの言葉を理解できるようになったから……。きっかけも理由もわかってないんだよ……。」

 

その質問だけは……と鏡花は申し訳なさそうに返す。

 

ホップはそっかぁ……と言ってその場でうなだれた。

 

しかし、いろんな話を聞けたことは嬉しかったようで、すぐに笑顔になる。

 

「ありがとうな! 答えてくれて! ポケモンと話す方法が知れなかったのはちょっと残念だったけど、聞いててすっごく楽しかったぞ!」

 

その笑顔から紡がれた言葉は、心底楽しげな声音だった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

迷子の迷子のチャンピオン

「………なんかすっげぇ見覚えあるやついるんだけど?」

 

ホップに自分の秘密を明かした翌日。

 

彼に言われて、確かに自分は自宅にいすぎだと思った鏡花は、自身の両親の許可をもらい、2人のポケモンであるピカチュウとイーブイを連れて、ワイルドエリアへとやってきていた。

 

ピカチュウとイーブイは、久々に骨のあるポケモンたちと戦えそうだと言う理由から、やる気満々の状態で、鏡花の頭と肩に乗っている。

 

腕の中には自分のマホイップであるアキザクラが収まっておりご満悦だ。

 

しかし、そんなポケモンたちとは裏腹に、鏡花の表情はかなり微妙なものだった。

 

なぜなら、彼女の視線の先では、見覚えがありすぎるマントがゆらゆらと揺れており、そのマントを羽織っている存在は、辺りをキョロキョロと見渡しては、首を傾げているのだから。

 

(いや、何やってんだあのチャンピオン……。)

 

呆れ顔を見せながらあっちにふらふら、こっちにふらふらしているガラル地方の無敵のチャンピオンの背中を眺める。

 

なぜここにいるんだとツッコミたくなる。

 

『気のせいじゃなければ、あれ、チャンピオンだよね……?』

 

どうしたものか……と考えながら、うろちょろしているチャンピオンを見つめていたら、鏡花の腕の中にいたアキザクラが、あれ……と指差しながら鏡花に声をかける。

 

鏡花は苦笑いを漏らしながら、チャンピオンだな……とポツリと呟いた。

 

「なんでワイルドエリアにいるのやら……仕事か? いや、だとしたら、リザードン出して向かってそうだよな……。休憩中か? 何にせよ、ありゃ確実に迷子になってやがるな……。」

 

方向音痴のチャンピオンの姿を見ながら小さく呟いた鏡花は、ソルガレオをその場に出し、その背中にまたがる。

 

どこに行こうとしているのかはわからないが、あのままではたどり着くまで時間がかかると思い、足がかりになることを考えたのだ。

 

(ダイマックスバンド……つけてきちまってるけどまぁ適当に話を逸らして誤魔化そう。)

 

「ソルガレオ。あそこにいるでかい迷子に近寄ってくれないか? 何がしたいのかわからないが、拾った方が良さそうだからな。」

 

『方向音痴のチャンピオンってどうなんだ……?』

 

溜息混じりの指示に、ソルガレオは微妙な反応をこぼしたあと、のっしのっしと歩みを進める。

 

迷子のチャンピオンはこちらに気づいていないのか、自分のスマホロトムを見ながらここはどこだったかを確認しているようだった。

 

「何してんだよチャンピオン。迷子か?」

 

ある程度チャンピオン、ダンデに近寄った鏡花は、呆れたような声音でダンデに声をかけた。

 

「うわ!? って、キョウカとソルガレオか! ビックリしたぜ……。」

 

急に声をかけられたダンデは肩をびくりと震わせたあと、慌てて背後に視線を向ける。

 

それにより見慣れた姿が視界に入ったため、ホッとしたように言葉を紡いだ。

 

「ビックリしたぜ……じゃねぇよ。何してんのさこんなところで。さっきから同じところを行ったり来たりしてたから気になっちまったよ。」

 

そんなダンデに呆れたように告げれば、あー……と濁したような言葉を紡ぎ、口を開けたり閉じたりを繰り返す。

 

彼の視線には、鏡花に抱かれているアキザクラの姿があった。

 

「……何? マホイップ捕まえようとしてんの、オタク?」

 

その様子から、彼がここにいる理由を察した鏡花は、ひょっとして……と、思い当たる推測を口にした。

 

すると、ダンデは目を丸くしたあと、苦笑いをこぼす。

 

「ああ……実はそうなんだ……。マホイップは捕まえたことがなかったからな。」

 

鏡花の問いかけに肯定の言葉を返す。

 

それを聞いた鏡花は、なるほど……と呟いたあと、考え込むように腕を組む。

 

「あ、ハシノマ原っぱに行ってみないか? 確か、あそこにはマホイップが出てくる巣穴があったはずだけど。」

 

そして、ゲームで得ていた知識を記憶から引っ張り出しては、ダンデにキョダイマックスしたマホイップが出てくる巣穴がハシノマ原っぱにあったことを教える。

 

「それは本当か!? それならすぐに向かおう!!」

 

するとダンデは、鏡花の情報提供を聞いて、すぐに向かおうと走り出そうとする。

 

だが、彼が走り出した方角は原っぱ方面ではなく見張り台跡地方面。

 

全然違う方角だった。

 

「ソルガレオ。そこの猪突猛進の方向音痴チャンピオンを咥えろ。全然違う方角に向かってら。」

 

慈悲なき指示をソルガレオに出す。

 

ソルガレオはやれやれと言わんばかりに首を左右に振ったあと、ダンデの服の襟首を咥えて持ち上げる。

 

「ぐえっ!!」

 

襟が喉に来たのか、ダンデからガマゲロゲが潰れたような声が漏れた。

 

「そのまま背中に投げ飛ばせるか?」

 

それを確認した鏡花は新たな指示をソルガレオに出す。

 

ソルガレオは小さく頷いたあと、ぐわっという効果音がつきそうな勢いでダンデを宙へと放り投げた。

 

うわぁあぁあぁあぁああ!?

 

思い切り投げ飛ばされたダンデは悲鳴を上げながら空高く舞い、少ししてかなりの落下速度で地面の方に落っこちてくる。

 

その姿を確認した鏡花は、少しだけソルガレオに前に出るように指示を出した。

 

ソルガレオは少しだけ前に出たあと、その場で待機する。

 

ドサリと大きな音を立てて、ソルガレオの背中にダンデが乗った。

 

「ごふっ!! は、腹が………っ」

 

……どうやら腹を打ちつけたらしい。

 

随分と痛そうな声が背後から聞こえてきた。

 

「ったく……変な方角に行くんじゃない。」

 

「だからってこれはないんじゃないか……? もう少し優しくできなかったのか……?」

 

ソルガレオの背中に着地したダンデを確認した鏡花が注意する様に言葉を紡げば、ダンデは拗ねたような声音で言い返す。

 

鏡花は小さく鼻を鳴らしたあと、ロトム、と小さく言葉を紡いだ。

 

すると、ダンデのスマホロトムがふわりと姿を現して、マップを表示する。

 

「ん。ありがとさん。じゃあソルガレオ。ハシノマ原っぱまでサクサク向かうぞ。ダンデ。どこでもいいから捕まっといて。ソルガレオははがねタイプ持ちではあるが、伝説のポケモンだから、結構スピードが出るから。」

 

マップに一回視線を向けた鏡花はソルガレオにサクサク向かうと指示をしたあと、ダンデにしっかりどこかに捕まっとけと声をかける。

 

ダンデは捕まるところがほとんどないんだが……と思いながら、鏡花の背中を見る。

 

それにより、鏡花がソルガレオの立髪に手を置いてる様子に気づいては

 

「すまない。」

 

鏡花に謝罪の言葉をかけたあと、彼女の腰回りに手を回した。

 

「ん? ああ……まぁ確かに捕まる場所あまりなかったな。別に構わないけど。」

 

腰回りに感じた違和感に気づいた鏡花は、視線を一旦自分の腰へと落とす。

 

そこに巻きつくダンデの逞ましい褐色の腕を見ては、思い出したように呟いたあと、別に構わないと返す。

 

『普通逆なんじゃ……』

 

『ピカチュウ、そこはつっこんじゃダメ。』

 

一部始終を黙ってみていたピカチュウとイーブイは、普通、女性が男性にするシチュエーションでは……それはつっこんじゃダメ、とコントのような会話をする。

 

鏡花の腕の中にいるアキザクラは、ダンデの近さにぷくっとむくれるのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レッツ 共闘タイム!!

ダンデとワイルドエリアにて合流した鏡花は、彼と一緒にソルガレオの背中に乗って、ワイルドエリアのハシノマ原っぱにまでやってきた。

 

「確か……この巣穴だったと思うんだけど……。」

 

そこにある1つの巣穴に近寄り、鏡花は巣穴を覗き込んだ。

 

光の柱はなかったため、巣穴の中は真っ暗だ。

 

「ダンデ。ねがいのかたまりってやつ持ってる?」

 

巣穴の中にねがいのかたまりを投げ入れたらポケモンが出てくるはずだと考えた鏡花は、ダンデにねがいのかたまりを持っていないか問いかけた。

 

「それならいくつか持ってるぜ。ワイルドエリアに来る際、巣穴を探すのに必要だと思って用意していたんだ。

 

するとダンデは、荷物の中から複数のねがいのかたまりを取り出しては鏡花に見せる。

 

はじめてねがいのかたまりを見た鏡花は、ねがいぼしのでかい版にしか見えない、と思いながらも小さく頷く。

 

「じゃ、そのねがいのかたまりがなくなるまでガチャってみますか。」

 

そして、そのねがいのかたまりを全振りする気で巣穴に使おうと提案する。

 

「ガチャ……?」

 

が、ダンデはそれより鏡花が口にしたガチャという言葉に反応する。

 

「あー……気にすんな。こっちの話だから。」

 

鏡花はクセでガチャって言っちまった……と内心で思いながらも、ダンデには気にしないでと告げる。

 

ダンデはキョトンとしたが、すぐに小さく頷いて、それ以上ガチャという言葉に関して追求することはしなかった。

 

「それじゃあ、ねがいのかたまりを投げ入れるぜ。」

 

気を取り直すようにダンデが鏡花に声をかける。

 

鏡花は了承するように頷いては、モンスターボールにソルガレオを戻した。

 

それを確認したダンデは、1つめのねがいのかたまりを巣穴へと投げ入れる。

 

するといきなり太い光の柱が現れた。

 

「おお!? 強いダイマックス個体が出てくる柱じゃないか!?」

 

「本当だな!! ひょっとしたらキョダイマックスがいるかもしれない!!」

 

それを見た鏡花とダンデは2人して目を輝かせる。

 

強いポケモンが出てくるとなると、トレーナーとして目を輝かせないわけにもいかないというものである。

 

「あ……そういえばキョウカはジムバッジを持っていないだろう? 大丈夫か?」

 

しかし、不意にダンデは思い出したように鏡花に声をかける。

 

彼の金色の瞳には、心配の色が滲んでいた。

 

どうやら、心配してくれているらしい。

 

確かに、自分はジムバッジを持っていないため、チャンピオンからしたら心配したくもなるだろう。

 

だが、鏡花は不敵な笑みを浮かべる。

 

自分の手持ちのポケモンのレベルが高いことをよく理解していたために。

 

「大丈夫だよ。私のポケモンはかなり強いんだ。それに、ソルガレオだっている。場合によってはあの子を使うし、ある理由から、私はダイマックスバンドも持ち合わせてるんだ。まぁ、理由は訳あって話せないんだけどな。」

 

強気の言葉をダンデに返せば、彼は目を丸くする。

 

だが、彼女の反応は頼もしく思ったのか、ダンデも不敵な笑みを浮かべた。

 

「それは頼もしいぜ。でも、無理はしたらダメだぜ。キツイようだったらすぐに言ってくれ。」

 

鏡花の頼もしい言葉に甘えるように小さく頷くダンデ。

 

しかし、やはり心配はしているのか、無理だけはしないでくれと伝える。

 

「わかったよ。ま、無理しない程度に頑張るわ。」

 

鏡花はあっさりとした声音でダンデに無理はしないと返す。

 

それだけで十分だったのか、ダンデは小さく頷いたあと、太い光を発する巣穴へと飛び込んだ。

 

それに続くようにして鏡花も巣穴へと飛び込む。

 

そこにいたのは、キョダイマックスした野生のマホイップだった。

 

「おわ!?」

 

「運がいいな! キョダイマックス個体だ!」

 

ウェディングケーキのような姿をしているキョダイマックスマホイップを見た鏡花は、目を丸くして驚く。

 

対するダンデは、キョダイマックスしたマホイップに目をキラキラと輝かせながら、自身の腰にあるモンスターボールに手をかけ、リザードンを出した。

 

『キョダイマックス個体か。なかなか強そうだ。』

 

ボールから姿を現したリザードンは、冷静な声音でキョダイマックスしたマホイップを見つめる。

 

その瞳はかなりやる気に満ちていた。

 

「ふーん……キミのリザードン、やる気満々だな。さて、こっちは誰を出すか……。」

 

ダンデのリザードンのやる気に満ち溢れた声を聞いた鏡花は、どのポケモンを出そうかと考える。

 

1番いいのは、はがねタイプの固有技、メテオドライブを持ち合わせているソルガレオだと思うのだが……。

 

『キョウちゃん。』

 

うーん……と誰を出そうか考える鏡花に、アキザクラが声をかける。

 

「アキ……?」

 

声をかけられた鏡花は、アキザクラの名前を呼びながら、首を傾げた。

 

『キョウちゃん。私を使ってくれないかな? 私はまだ、キョウちゃんに力を見せたことなかったから。』

 

アキザクラは、真剣な眼差しを向けながら、鏡花に自分を出して欲しいとお願いする。

 

まさかの言葉に鏡花は目を見開く。

 

だが、確かに、アキザクラの実力を見ておいた方がいいと思い、小さく頷いてはしゃがみ込む。

 

「アキ。キミが使える技は?」

 

そして、アキザクラが使える技はなにかを問いかけた。

 

『サイコショックにデコレーション。それと、マジカルシャインとマジカルフレイムだよ。』

 

アキザクラはすぐに自分が使える技を鏡花に教える。

 

まさかのラインナップに、鏡花は思わず目を見開いた。

 

その技の組み合わせは、明らかに巣穴で星が4〜5個ある個体がよく使ってくるものだったために。

 

どうやら、このマホイップは、かなり個体値が高かったようだ。

 

「……オーケイ。十分だ。わかった、キミを使わせてもらうよ、アキザクラ。」

 

技のラインナップを聞いた鏡花は、彼女を使うことを承諾する。

 

アキザクラは嬉しそうに笑顔を見せた。

 

「じゃあ、行こうか、アキ!」

 

その笑顔を頼もしく思いながら、鏡花はアキザクラに声をかける。

 

アキザクラは頷いてから鏡花の前へと飛び出した。

 

「マホイップで行くのか?」

 

鏡花の前に出たマホイップを見て、ダンデがキョトンとした表情で彼女を出すのかと問いかける。

 

「ああ。彼女がやる気に満ちているからね。せっかくやる気満々なのに、ダメとは言えないさ。」

 

ダンデの問いかけに不敵に笑って返せば、彼は確かに、と呟いて笑う。

 

「じゃあ、頼んだぜ、マホイップ。さぁ、共闘タイムの始まりだぜ!!」

 

そして、鏡花とのはじめての共闘に、心躍る高揚感を感じながら望むのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

チャンピオンタイム。キョダイマックスリザードン!

「リザードン!! キョダイマックスだ!!」

 

始まったキョダイマックス個体のマホイップとの勝負。

 

ダンデは、相棒のリザードンを一度モンスターボールへと戻し、腕にあるダイマックスバンドを通して、辺りを漂うガラル粒子をそれに流し込んだ。

 

ガラル粒子を流し込まれたモンスターボールは、倍以上に巨大化する。

 

それを確認するなり、ダンデは片手の力だけで背後の方へとそれを投げた。

 

巨大化したモンスターボールが口を開け、そこからリザードンが飛び出す。

 

その姿は画面越しにも見ていたあのリザードン。

 

体内で渦巻く強化された炎……それらを角や口の端から溢れさせ、背に生えるマグマ以上の熱を帯びた炎でできた翼を生やした煉獄の竜の姿だった。

 

(まさか……原作の時間軸になる前に、この灼熱を見ることになるとは思わなかった……。)

 

同じ空間にいるだけでも感じることができる確かな熱と、あまりにも強すぎる強大な気配に、思わず鏡花は冷や汗を掻く。

 

これが、無敵のチャンピオンの相棒なんだ……と戦慄する。

 

(よく……10歳そこらで主人公はこれを打ち破ったもんだな……。)

 

流石はプレイヤー補正、および主人公補正だと苦笑いが漏れた。

 

普通なら、こんな強大な相手に挑もうとしても、ターゲットを目の当たりにした瞬間、戦意喪失しかねないだろと考えながら。

 

だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

 

目の前にいるキョダイマックスしたマホイップを弱らせなくては、ダンデが捕まえることはできないのだから。

 

「はは……なんか一気に楽しくなってきたわ……。」

 

ポツリと呟いた言葉は、ダンデのリザードンの咆哮によりかき消される。

 

そのため、彼の耳に届くことはなかった。

 

「キョダイマックスしたポケモンを見るのははじめてか、キョウカ?」

 

しかし、表情の変化は見られていたようで、どことなくからかうような声音で話しかけられた。

 

視線だけをダンデに向ければ、彼は不敵に笑っている。

 

「まぁ、リアルではあまり見たことないな。テレビとかでは観てっけど。ほら、オタク、ドラゴンストームって言われてるドラゴン使いのキバナとよくバトルしてたろ? エキシビジョンマッチって名目のトーナメントで。あれ、全国で放映されていたっしょ? だから画面越しには観たことあるんだよ。だから、リアルでキョダイマックスを見るのはヴァージンって言えるな。」

 

そんなダンデに対し、鏡花は小さく笑いながら、軽い調子でキョダイマックスをリアルで見るのははじめてであることを告げる。

 

「女の子がそんな下品な言葉使うもんじゃないぜ……。」

 

すると、ダンデは顔を赤らめながらそっと鏡花から視線を逸らした。

 

その姿に小さく笑う。

 

こういったワードには慣れてないのかとからかうように。

 

「………。リザードン! キョダイゴクエンだ!!」

 

鏡花の笑みの意図に気づいたダンデは、彼女に一瞬ジト目を向ける。

 

しかし、すぐに気を取り直すように、リザードンに技の指示をした。

 

指示を聞いたリザードンは、凶悪なまでの威力を持ち合わせている炎をキョダイマックスマホイップに放つ。

 

キョダイマックスマホイップは、それをもろに喰らった上、燃え盛る炎の中に閉じ込められる。

 

「うわ……なんつー威力……。」

 

苦悶の声を上げて表情を歪めながら燃え盛る炎にも包まれているキョダイマックスマホイップを見た鏡花は、軽く引いたような声で呟く。

 

効果抜群だったら絶対やばいやつだと考えながら。

 

「これが、キョダイマックスしたポケモンの技だぜ。かなりの威力だろう?」

 

今度はその呟きが聞こえていたのか、ダンデは得意げに自慢する。

 

それを肯定するように頷けば、彼は満足したように笑った。

 

だが、すぐに表情を引き締める。

 

ダメージを負った相手が臨戦態勢を取った様子が伺えたために。

 

ホイップゥウゥウゥウゥウウ!!

 

ダンデのリザードンの攻撃によりダメージを受けたキョダイマックスマホイップは、燃え盛る炎に包まれながらも、リザードンにヘイトを向けて、技を放つ。

 

キョダイマックスしたマホイップ固有のキョダイマックス技、キョダイダンエンだ。

 

このエフェクト見たことある!!なんてことを考えながらも、鏡花は両腕で自身の前をガードする。

 

すると、キョダイダンエンによる衝撃波に吹き飛ばされそうになった。

 

なんとか踏ん張り視線をリザードンに向ければ、彼はあれをもろに喰らったのか、苦悶の表情を浮かべていた。

 

体の所々にクリームがついている。

 

瞳は若干虚になっており、少しだけふらついているようにも見えた。

 

「キョダイマックスしていても、やっぱマホイップはマホイップ。クリームには鎮静作用があるのか……。それに……確かキョダイマックスしたマホイップが放つ高カロリークリームのミサイルは、錯乱させてしまう効果もあったはず……。大丈夫か!?」

 

リザードンの様子から、鎮静作用と錯乱効果のダブルパンチを喰らっていることを判断した鏡花は、リザードンに声をかける。

 

すると、リザードンは小さく頷き、顔を左右に振ることで、自身に起こっていた状態異常を振り払った。

 

「オレのリザードンはそこまでヤワじゃないぜ。そんな育て方はしていないからな。だが、心配してくれてサンキュー。」

 

状態異常を振り払ったリザードンの姿に、鏡花がホッとしていたら、ダンデから声をかけられる。

 

彼の方を向いてみると、満面の笑みを浮かべていた。

 

相棒を心配してくれたことが嬉しかったようだ。

 

「まぁ、ポケモン勝負以外ならこんなもんだろ。ポケモン勝負の時は、心配するのは失礼にあたるからしねぇけど、共闘の時は1つのチーム……その時くらい、他人のポケモンも心配したいって。」

 

そんなダンデに鏡花は笑いながら勝負以外ならこんなものと吐き捨てて、

 

「アキ!! ダンデのリザードンにデコレーション!! 火力を多少アップしてやれ!!」

 

アキザクラに支援系の技を支持する。

 

アキザクラは小さく頷いたあと、ダンデのリザードンにデコレーションを使った。

 

彼女にデコレーションされたリザードンは、一瞬驚いたような表情をするが、内側からみなぎる力に気づいては、再び真っ直ぐとキョダイマックスしたマホイップへと目を向ける。

 

その瞳には、燃え盛る業火のような闘志がゆらゆらと揺らめいていた。

 

「ナイス援護だぜ、キョウカ!! リザードン!! もう1回キョダイゴクエンだ!!」

 

それを見たダンデも黄金の瞳に闘志を宿し、リザードンにキョダイマックス技を指示する。

 

再び放たれた凶悪なまでの業火。

 

キョダイマックスマホイップは、再び大ダメージを受ける。

 

「ホ……イ……プ……!!」

 

その瞬間、このままでは負けてしまうと判断したのか、辺りに漂うガラル粒子を利用して、自身の前に何かを張った。

 

薄い光の壁のようなものだと気づいた鏡花はすぐに理解する。

 

「シールドを張ったか……!!」

 

それが、あらゆる攻撃から身を守るための不思議なバリアであることを。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

はじめてのダイマックス!通り越してキョダイマックス!?

キョダイマックスマホイップと戦闘に入ってどれくらい経ったのか。

 

ダンデのリザードンが使用するキョダイゴクエンと、相手のキョダイマックスマホイップによるマジカルシャインやサイコショックなどを組み合わせた特殊攻撃の応酬が続き、互いにダメージが蓄積された頃、リザードンのキョダイマックス化のタイムリミットが訪れたことにより、普段のリザードンに戻ってしまった。

 

「くっ……タイムリミットか……!!」

 

ダンデのリザードンが疲労とダメージによる苦悶の表情を浮かべる中、ダンデは悔しげに呟く。

 

相手のキョダイマックスマホイップの様子から見ても、かなり削れているように見えるが、彼1人で攻略するのはやはり無理があったようだ。

 

「ダイマックスを引き受けるから、少しでも体力を削ってくれ。」

 

その姿を見た鏡花は、ダンデの肩に手を添えて、小さく呟くように声をかけたあと、一旦目を閉じる。

 

そして、静かに目を開けてはアキザクラにモンスターボールを向けた。

 

「行くよ、アキ。少しでも相手の体力を削る!!」

 

『まかせて、キョウちゃん!』

 

鏡花の力強い言葉に頷いたアキザクラは、鏡花が手にしているモンスターボールの中へと一旦戻る。

 

それを確認した鏡花は、ダイマックスバンドにガラル粒子を集め、それを手にしているモンスターボールへと流し込むイメージをした。

 

すると、ダンデがしていたように、ダイマックスバンドに辺りに漂うガラル粒子が集まり、集まった粒子が手にしていたモンスターボールに流れ始める。

 

目を瞑っていれば感じる確かな重さの変化。

 

再び目を開けてモンスターボールを見てみれば、片手には何倍も巨大化したモンスターボールが乗っていた。

 

鏡花は、自分の靴にあるスイッチを足だけで押す。

 

カチンッという小さな音が響き、少しだけバランスが取りにくくなる。

 

だが、すぐにバランスを取り戻しては、少しだけ足を引き、勢いよく地面を蹴った。

 

その場で勢いよく回転した鏡花は勢いを利用して、その場で1回転してから手にしていたモンスターボールを背後へと投げ飛ばす。

 

中を舞った大きなモンスターボールが、くるくると少しだけ回転してから口を開いた。

 

そこから飛び出したアキザクラは、巣穴の主である目の前のキョダイマックスマホイップと同じ、ウェディングケーキのような、豪華絢爛な姿をしていた。

 

「な!? アキ、お前、キョダイマックス個体だったのか!?」

 

まさかの事態に目を見開く鏡花。

 

驚く彼女を視界に入れたアキザクラは、穏やかな笑みを浮かべながら、小さく頷いた。

 

その姿はどこか神々しくて、鏡花は思わず見惚れてしまう。

 

だが、すぐに頬をバチンッと強めに叩いて意識を戻し、巣穴の主へと目を向けた。

 

「予想外の事態ではあったが、これもまたありだな!! やるぞアキザクラ!! キョダイダンエンをぶちかませ!!」

 

口元に不敵な笑みを浮かべる鏡花は、アキザクラに向かって指示を出す。

 

『負けたりしない……!! これでも食らって!!』

 

それを聞いたアキザクラは、真っ直ぐと巣穴の主である別個体のキョダイマックスマホイップを見据えて、キョダイダンエンを放つ。

 

すると、相手方も負けじとキョダイダンエンを放ってきた。

 

だが、同じキョダイダンエンだと言うのに、威力は明らかにアキザクラが上で、相手の技を飲み込む形で押し切った。

 

技を押し切られた相手のマホイップが驚いたように目を見開く。

 

同時に、アキザクラのキョダイダンエンをもろにその身に喰らってしまった。

 

相手のマホイップの瞳が先程のリザードンのような状態に陥る。

 

唯一リザードンと違うところを挙げるとしたら、虚加減やふらつきの様子が、リザードン以上にひどいと言ったところだろう。

 

どうやら、蓄積されたダメージも相まって、状態変化を跳ね除けることができなくなっているようだ。

 

「ダンデ!!」

 

体力もかなり削れていると判断した鏡花は、ダンデの名前を大声で呼ぶ。

 

その声に頷いたダンデは、

 

「リザードン!! これでチェックメイトだ!! かえんほうしゃ!!」

 

自身の相棒に技の指示を出す。

 

アキザクラが使用したキョダイダンエン……その副産物として、体力を回復していたリザードンだったが、蓄積したダメージはかなりあったのか、自身の特性のもうかを発動させ、だいもんじ並みの火力になっているのではと思いたくなるような威力のかえんほうしゃを放つ。

 

反応が送れた相手のマホイップが目を見開いてその姿を見たが、すでに避けることはできない。

 

リザードンのもうかによる強化がされたかえんほうしゃをもろに食らう。

 

それによりとうとうダメージの蓄積限界を超えたのか、オーバーヒートしたような爆発を起こし、ぐったりとした様子を見せた。

 

「よし、マホイップが弱ってるな!! 頼んだぜ、ハイパーボール!!」

 

それを確認したダンデは、自身の荷物の中にあった空のハイパーボールにダイマックスバンドを通してガラル粒子を流し込み、巨大化させて相手のマホイップ目掛けて投擲した。

 

相手のマホイップの方を向いて、口を開けたハイパーボールは、ターゲットを飲み込んだ。

 

パタンとしまって地面に落ちる。

 

ぐらぐらと大きく揺れるハイパーボールをダンデと鏡花は固唾を飲んで見守った。

 

徐々に揺れが落ち着いていき、ハイパーボールが動きを止める。

 

そして、ガラル粒子が放出されて、通常の大きさに戻ったハイパーボールは、捕獲が成功したことを知らせる小さな音を立てた。

 

巣穴全体に静寂が訪れる。

 

黄金色の瞳と、星色の瞳が交わる。

 

だが、それはすぐに破られた。

 

「「ぃよっしゃあぁあぁあぁあぁああ!!」」

 

2人のトレーナーの声によって。

 

ダンデがハイパーボールに駆け寄り、動かなくなったそれを手に取った。

 

それに続いて鏡花もダンデに近づけば、彼は彼女に笑顔を向けて

 

「ありがとう、鏡花!! キミの協力があったから、マホイップを……しかもキョダイマックスする個体がゲットできた!!」

 

勢いよく彼女に抱き上げては、喜びを表すようにその場でくるくると回った。

 

『はわ!?』

 

ダンデのまさかの行動に、鏡花のマホイップ、アキザクラはガーンッと言った効果音がつきそうなくらいショックの顔を見せる。

 

しかし、鏡花とダンデは気づいておらず、笑顔を見せながら喜びを分かち合う。

 

ダンデのリザードンもアキザクラの表情変化に気づいていないのか、喜ぶ主人と、鏡花の側で笑顔を見せていた。

 

子どもを見守る親のように。

 

「はは!! やったなダンデ!! キュダイマックス個体って捕まりにくいって話だったのに、見事にゲット成功したじゃん!! 1発で捕まえることができるとか、さっすがはチャンピオンだな!!」

 

ダンデに抱き上げられていた鏡花はダンデと同じくらい喜びに満ちた笑顔を見せる。

 

「いや、鏡花がいてくれたおかげだぜ。」

 

そんな彼女の笑みを見ながら、にっと歯を見せて笑ったダンデは、ようやく回るのをやめた。

 

同時に両腕から力を抜き、それにより軽く落下してきた鏡花を優しく抱きとめる。

 

そして、ゆっくりと地面に下ろした。

 

「キミがいなかったら巣穴から追い出されてしまったかもしれないからな。今回のマホイップはキョダイマックス個体だったこともあり、かなり強かった……!! 鏡花のマホイップがキョダイマックスしてくれなかったら、あのまま戦闘不能だったと言えると思う。やっぱりキョダイマックス個体は強力だな。本当にありがとう! また一緒にポケモンを捕まえに行こう!!」

 

鏡花がいなかったら負けていたと口にするダンデ。

 

それを聞いた鏡花は、チャンピオンがそこまで言うとは……と考えながら今回戦った個体を思い浮かべる。

 

「そうだな。また一緒に楽しみたい!! と……そろそろ巣穴から出ないとな。」

 

V5以上の個体だったのかね……なんて思いながらも、鏡花はダンデの誘いに機会があったらと言うように頷き、巣穴から出ようと提案する。

 

「ああ。そうだ! 外に出たらカレーを一緒に作らないか? なんだか腹が減ってきてしまってな!」

 

ダンデはそれを聞いて頷き返したあと、鏡花にカレーを作ろうと言う。

 

「お、それはいいな! チャンピオン特製のカレー食べてみたい!」

 

ダンデの言葉を聞いた鏡花は、笑顔を見せながらその提案に乗る。

 

「それなら早く外に出ようぜ! とびっきり美味いカレーをご馳走するぜ。」

 

するとダンデは嬉しげに笑って、鏡花に手を差し伸べる。

 

『そ、それ以上のお触りはダメェエェエェエエ!!』

 

「へ!? ブハッ!?」

 

が、それに鏡花が応える前に、アキザクラが鏡花の肩に飛び乗り、ダンデ目掛けてホイップクリームを投げつけた。

 

突然のホイップクリーム攻撃を、ダンデはなすすべもなく顔面に受ける。

 

同時に脱力したようにその場で膝をついた。

 

「あちゃぁ………。」

 

マホイップのイラストを描くために、転生前に彼女について調べた際に記されていた説明を思い出す。

 

“敵に襲われたときは、甘い匂いのクリームを投げて相手の気を逸らしたり、視界を奪ったりして逃げる。このとき出したクリームには、強力な鎮静作用が含まれていて、口に含んだ相手は戦意を喪失してしまう。”

 

それをもろに顔面に食らったダンデは、力が軽く抜けてしまったようだった。

 

「あー………リザードン。」

 

苦笑いをした鏡花は、ダンデのリザードンに声をかける。

 

リザードンはやれやれと言うように首を左右に振ってから、ダンデの襟首を咥えてバサバサと翼をはためかせた。

 

それに続いて鏡花も歩く。

 

ぽこぽこと頬を膨らませて嫉妬しているアキザクラを抱き上げて。

 

 

 

 

 




これは……Nでほぼ確定ですかね……?
ゲーム軸からゲストも関わってくるのでもう少し放置
決まったゲストとの関係は

・アニポケからムコニャ(アニポケロケット団)
サトシ&ピカチュウとロケット団のような関係展開。
・ブラック・ホワイトからN
ポケモンと話せるという共通点から友情ルート展開
・初代からレッド&グリーン
ガラル地方のとこどころで接触、からの友情ルート展開


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アキザクラちゃんのご褒美タイム

スーパーイチャコラタイム


巣穴から退散した鏡花とダンデは、ミロカロ湖・北にまで戻っていた。

 

先程まで鎮静作用のあるクリーム攻撃を喰らって脱力していたダンデは、今はカレーを作るための準備をするためにテキパキと行動を起こしている。

 

そんな中鏡花は、ダンデが休んでおいてくれ、と言ってわざわざ張ってくれたテントの中で、アキザクラの頭を優しく撫でていた。

 

彼女に頭を撫でられているアキザクラはと言うと、先程のダンデによる鏡花抱っこ事件のせいもあり、かなり拗ねている様子だった。

 

鏡花は、アキザクラが嫉妬して拗ねてしまっていることを理解していた。

 

もちろん、それはアキザクラ本人からされた告白からも痛いほどによくわかる。

 

だが、転生前から恋人を作ったことがなかった自分自身からすると、その気持ちを晴らしてやるための方法がなかなか思いつかないのだ。

 

確かに、アキザクラはとても可愛い。

 

健気に好意を言葉と行動で示してくる様子は癒されるし、そこまで誰かに愛されたことがなかったこともあり、すごく嬉しく思っている。

 

性別や種別など関係ないと言ってきたことは正直言ってかなり驚いたりもしたか、それ以上に喜ばしいことこの上なかった。

 

だからこそ、彼女が拗ねマホイップ状態のままでいるのは嫌だと思う鏡花は、どうすれば機嫌を戻せるか……と悩むように首を傾げていた。

 

しかし、ふと、アキザクラが最近ご褒美にキスをねだってきていたことを思い出し、鏡花は目を丸くする。

 

そして、閃いたと言わんばかりの笑みを浮かべては、アキザクラの名前を呼んだ。

 

『………?』

 

鏡花の呼びかけに反応したアキザクラは首を傾げながら彼女を見上げる。

 

そして目を見開いた。

 

自身の口に触れる確かな柔らかさを感じたことにより。

 

「……心配しなくても、私はあれくらいで男に惚れたりはしねぇよ。確かに、ちょっと驚いたし、ガタイよくてたくましくて、そんでもって顔がいいやつにあんな風にされて、ときめかなかったとは言えないが、それはほんの一瞬のこと。なにより、私にとって1番はポケモンたちとの生活だ。人との恋愛沙汰には興味がないさ。他人の恋愛沙汰ならちゃちゃを入れたくなっちまうけどな。……大丈夫。1番優先したい関係は、アキ含めたポケモンたちだ。まぁ、キミだけを見ることはまだできないけど、人間の方に今は流れるつもりもない。まぁ、今は……って単語の通り、未来ではどうなるかわからないけどな。」

 

穏やかな声音で紡がれた言葉に、アキザクラは黙って耳を傾ける。

 

鏡花に優しく撫でられながら。

 

『これからも……ポケモンを優先してよ……。』

 

今はまだ人間に流れるつもりはない。

 

だけど未来はわからない。

 

静かに告げられた鏡花の言葉に、アキザクラは寂しげにポツリと呟く。

 

まだ、自分だけを見てもらうことはできないし、ひょっとしたら、これから先も見てもらえないかもしれないけれど、それならせめてポケモンを優先するという気持ちだけは、これから先も保ってほしいと。

 

そうすれば、必然的に、自分という存在もその枠組みに入ることができるから、自分を見てもらうことができるから。

 

「それはキミらの頑張り次第だな。夢中にさせたいって思うなら、これから先も私を夢中にさせるために、いっぱい楽しませてくれ。人間よりポケモンと過ごす方がずっと楽しいんだって思い知らせてくれ。それができれば、キミのその恋心も叶うかもしれないぜ?」

 

アキザクラの呟きを聞いた鏡花は、不敵な笑みを浮かべながら、いつかの時と同じ言葉を紡ぐ。

 

人間の異性が目に入らないくらい、夢中にさせてみろ……その、宣戦布告の言葉を。

 

それを聞いたアキザクラは小さく鏡花に頷き返したあと、

 

『キョウちゃん、ちょっと顔を近づけて。』

 

鏡花に顔を近づけてほしいとねだるように言葉を紡ぐ。

 

「ん? ああ、構わないよ。」

 

アキザクラのお願いを聞いた鏡花は、彼女が何をしたいのかに気づいては、小さな笑みを浮かべつつ、そっと顔を近づけた。

 

ご丁寧に両目を閉じて、好きなようにするといいと、言わんばかりの姿を見せながら。

 

自分が何をしようとしていたのか、彼女に悟られたことに気づいたアキザクラは、顔をポポポと赤らめる。

 

だが、せっかく悟って無防備になってくれたのだから、と思い切って鏡花の唇へと自身の小さな口を触れさせた。

 

唇に触れた感触に、鏡花はうっすらと目を開けて、キスをしてくるアキザクラを確認する。

 

そして、軽く舌を出しては、彼女の口をペロリと舐めた。

 

『ふぇ!?』

 

急な感触に驚いたアキザクラは、目を丸くして鏡花を見上げる。

 

彼女の視界に映った鏡花は、不敵な笑みを浮かべたまま、いたずらが成功したと言わんばかりに自身の唇を軽く舐めた。

 

「多少は機嫌が直ったか?」

 

ニヤリと笑った鏡花の姿に、アキザクラは目をぐるぐると回す。

 

まさかの鏡花からのふいうちに、オクタンのように顔を赤らめた。

 

「はは。悪いね。受け身に回るのも好きなんだが、こうやって攻めに出るのも嫌いじゃないんだよ。」

 

くっくっと笑い声を漏らしながらそう告げ、アキザクラの頭を優しく撫でる。

 

アキザクラはそんな鏡花に対して、ズルイと言った感情を抱きながら、鼓動の高鳴りを感じ取りつつ、鏡花の胸元に顔を埋めた。

 

この人は前世はオスだったのでは……そんなことを思いながらも、確かなふくらみに顔をすり寄せる。

 

気のせいか、鏡花の鼓動も早いような気がした。

 

 

 

 

 




これは……Nでほぼ確定ですかね……?
ゲーム軸からゲストも関わってくるのでもう少し放置
決まったゲストとの関係は

・アニポケからムコニャ(アニポケロケット団)
サトシ&ピカチュウとロケット団のような関係展開。
・ブラック・ホワイトからN
ポケモンと話せるという共通点から友情ルート展開
・初代からレッド&グリーン
ガラル地方のとこどころで接触、からの友情ルート展開


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファントムの感情

ダンデと一緒に巣穴にてマホイップ捕獲というイベントから早くも1週間。

 

ポケモンたちとの仲も深まり、充実した生活を送っています鏡花は、自宅の自室にてソワソワしていた。

 

『キョウチャン、すっげぇソワソワしてる……』

 

『そりゃそうでしょ。だって今日は待ちに待ったあの日。この世界の中心となる女の子が引っ越してくる日なんだから。』

 

『そういえば、私たちにずっとかまっていたから忘れていたが、元々の目的はアレだったな。』

 

『ああ。そういや今日だっけ? キョウちゃんがお目当てにしていた女の子の引っ越し。』

 

『ええ。まぁ、イレギュラーが起こる可能性はありますが、キョウカ様にとっては、そのイレギュラーも些事なことでしょうがね。』

 

『まぁ、アルセウスも言ってたしね。この世界はキョウちゃんが存在しているIFの世界。だから自由に過ごせばいいって。でもそれって、イレギュラーも起こるわけだし、何が起きてもおかしくないよね。』

 

そわそわしている鏡花の姿をボールの中で見ている彼女の手持ちたちがコソコソと小さな声で会話する。

 

その声は鏡花には聞こえないほどの小さな声のため、主人の耳には届かない。

 

『ところでさ……アキザクラ……しょっちゅうキョウちゃんと一緒に寝てるんだけど……なんなズルくない?』

 

それをいいことに、ホオズキが小さな声で呟く。

 

『それは……まぁ、確かに……。羨ましいですよね……あれ……。』

 

『オレとリンドウは炎が常に揺らいでるから一緒にいられないんだよな……高さはまぁ、成人した男性なりの大きさ……2匹とも1.7mだけど……いくらトレーナーと信頼しあって、信用しあっているから燃え移らないとは言え、やっぱ屋内にいるのはちょっと難しいよな。ここ、ほのおタイプ用の加工はしてあると思うけど、ちょっと心配だ。』

 

『私の場合はデカすぎるし重すぎるからな。ただでさえ3mはある高さだと言うのに、はがねタイプという要素もある。』

 

ホオズキの言葉にノウゼンたちは同意する。

 

ようやく触れ合うことができるようになったというのに、なかなかうまくいかないことにやきもきしているらしい。

 

『アキザクラチャンって、本当キョウチャン大好きだよね。オレだってキョウチャンと一緒に寝たい。』

 

ファントムがアキザクラに対する羨望の気持ちを呟く。

 

『気のせいかなファントム? キミの寝たい発言は如何わしい意味にしか聞こえないんだけど……?』

 

だが、ホオズキは彼の寝たい発言に、何やら良からぬ感情を感じ取り、ジト目を向けながら呟いた。

 

ボール越しのため、その目は見えないが、気配はある。

 

『え? 寝るって言ったらそれしかなくね? オレ、結構キョウチャンのヴァージン狙う気満々だけど。』

 

彼にジト目を向けられたファントムは、あっさりと自分の寝たい発言には如何わしい意味も含まれていることを肯定し、彼女との交尾すら狙っていることを暴露した。

 

『ちょっと!? そんなことしたらぽかぼかフレンドタイムぶっかますよ!?』

 

『燃やすぞファントム。』

 

『にどげりをぶちかまされたいのですか?』

 

『メテオドライブが御所望か、エロ狐?』

 

ファントムの発言を聞いた彼以外のオスポケモンと、ソルガレオはすぐに阻止すると言うように技をかますと口にする。

 

ファントムはボールの中で、ケラケラと笑いながら『うっわ怖ぇ〜』と呟いた。

 

『でもほら、気に入ったメスがいたらものにしたいってのはオスの本能だと思うんだよねぇ。アプローチして、オーケーしてくれたらそのまま交わりたいってならない? ならないんだったら悪いけど、オレはキョウチャンに対しては常にその気があるよ?』

 

しかし、すぐに自分自身の感情のあり方を自分以外の手持ちに告げる。

 

その言葉を聞いたソルガレオたちは、ゔ……と小さく言葉に詰まった。

 

どうやら、彼らもファントムと同じ感情のあり方をしているようだ。

 

『所詮、オレたちは獣さ。人間は欲を制御できるけど、獣はその方法を知らない。もちろん、やろうと思えばできるんだろうけどね、今のオレみたいに。でも、その内側ではキョウチャンに触れたい、キョウチャンと交わりたい、キョウチャンを……オレだけのものにしたいって気持ちがぐるぐると渦巻いていて結構キツいんだぜ? でも、本能のままに行動したら、キョウチャンを傷つけてしまうかもしれない。だから必死に抑えてるのさ。嫌われちまったら元も子もないし、嫌われるくらいならキョウチャンを殺してオレも死ぬつもりだし……。でも、やっぱ、時にはどうしようもないくらいキョウチャンをめちゃくちゃにしたくなるんだよ。隙さえ有れば、キョウチャンに消えない歯形をつけて、オレの匂いを纏わせて、オレのメスだって主張したくなる……。』

 

そんなソルガレオたちを嘲笑いながら、ファントムは自身の醜い欲をその場で次々と暴露する。

 

ソルガレオたちは、表情をしかめた。

 

きっと、ボールの中でファントムは、ギラギラとした欲が宿る獣の瞳をしているのだろうと、安易に想像できたために。

 

だが、誰もそんなファントムを咎めることはできなかった。

 

なぜなら、自分たちも彼の言いたい気持ちがよくわかるからだ。

 

この場に、鏡花に劣情を抱いていないと言い切ることができる存在はいなかった。

 

だからこそ黙るしかなかった。

 

『ほら……オマエらも言い返せない。キョウチャンの手持ちとして目を覚まし、キョウチャンを見たあの時から、みーんなキョウチャンに惚れてんだから。ずっと、画面越しでしか触れ合うことができなかったあの子が、オレたちの世界に転がり込んで、オレたちに本当の温もりを与えてくれるようになったせいでね……。』

 

その様子から、ファントムは不敵に笑いながら、否定できない事実だと告げる。

 

自分の劣情を、鏡花というトレーナーに対するどうしようもできないほどの感情を、否定できるはずがないんだと言うように。

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ようやく訪れた新たな出会い

今回は人のターン。
ようやく出せました、主人公組


ファントムたちがボール越しに会話をする中、ピンポーンと自宅のチャイムが鳴り響く。

 

鏡花がそれに応じるように、玄関から外に出てみれば、眼鏡をかけた綺麗な女性と、ボブカットの髪をした1人の少女と、ショートヘアの少年の姿があった。

 

(あれ!? なんかマサルくんも一緒なんだけど!?)

 

現れた少年少女を見て、まさかのW主人公に、鏡花は思わず目を丸くする。

 

だが、すぐに表情を普段のものに戻し、穏やかな笑みを浮かべた。

 

「あなた方は……向かい側に引っ越してきた方ですね。」

 

優しい声音で話しかければ、目の前の少年少女は、目をキラキラとさせた。

 

優しそうなお姉さんが出てきたと思ったのだろう。

 

「はい。向かいにカントー地方から越してきた者です。本日はご挨拶をと思い、訪問させていただきました。よろしくお願いします。」

 

穏やかな態度で対応してきた鏡花を見て、目の前にいる主人公ズの母親は、丁寧な態度で挨拶を交わす。

 

鏡花はそんな彼女に笑顔を見せたあと、目の前にいる少年少女に目を向ける。

 

「私はキョウカ。キョウカ・シノミヤ。カロス地方から1ヶ月くらい前から引っ越してきたトレーナーだ。こっちは、私のポケモンの1匹でマホイップ。アキザクラって私は呼んでる。他にも私のポケモンはいるんだが、今は自室にいるから今度合わそう。でかいポケモンもいるから、あまり屋内では出せないしな。よろしく。」

 

そして、自分の名前を少年少女に教えてはキミらは、と言うように視線を向ける。

 

「あ、私はユウリって言います!」

 

「ぼくはマサルです! ユウリの双子の弟です! よろしくお願いします、キョウカさん!!」

 

すると、2人の少年少女……ユウリとマサルは、笑顔を見せながら自己紹介をする。

 

ン゛ン゛ッ! か、可愛すぎるだろこの子ら!!)

 

眩いばかりの笑顔を見せてきた2人組に鏡花は心の中で悶える。

 

主人公が2人とも来たことは予想外だったが、そんなのはどうでも良くなった。

 

むしろ逆にラッキーと考えるべきだと判断する。

 

なぜなら、ホプユウどころか、マサマリも見れる可能性が出てきたのだから。

 

甘酸っぱい青春が2つも見れるかもしれないヨクバリス待ったなし展開を甘受しなくて何を甘受すれば良いのか、そんなことを思いながらも、鏡花は笑顔を絶やさない。

 

「まぁ、私も1ヶ月間いるとは言え、キミらと変わらない新顔みたいな者だ。お互い引っ越してきたもの通し、仲良くしようじゃないか。」

 

ユウリとマサルに手を差し伸べる。

 

仲良くしようと握手をするために。

 

「「はい!! よろしくお願いします!!」」

 

手を差し伸べてきた鏡花に対して、ユウリとマサルは笑顔で応じる。

 

同じようにこの町に引っ越してきた先輩である彼女に、頼もしいと言う感情を抱きながら。

 

「そうそう。あっちの方に、キミらと同じくらいの年齢の子がいるぜ。ホップって名前の男の子だ。きっと仲良くなれると思うよ。ついでに言うと、そのホップはこのガラル地方のチャンピオンの弟だ。チャンピオンは忙しいからなかなか戻って来ないけどな。たまに私の家に茶を飲みに来るけどな。」

 

元気なもんだな……と考えながら、鏡花はユウリとマサルの頭を撫でる。

 

ユウリとマサルは急に頭を撫でられたことに一瞬驚いたように目を丸くするが、すぐにその優しい手つきに気持ちよさそうに目を細める。

 

「今度ゆっくり話そうぜ。ポケモンのことや、日常的なこと……他にもいろんな話をさ。」

 

可愛らしいと思いながら、笑顔を見せて声をかければ、ユウリとマサルは小さく頷く。

 

その表情は軽く朱を帯びていた。

 

「キョウカさん。ウチの双子と仲良くしてくださいね。この子たちは確かに双子の姉弟ですけど、双子なだけあって、全く同じ年の年齢の相手と遊んでいると言う感覚しかなくて……。もし、キョウカさんさえよろしければ、この子たちの姉代わりになってはくださらないでしょうか?」

 

照れる我が子の姿を見ながら、ユウリとマサルの母親は、もしよろしければ……と言葉を紡ぐ。

 

「私が2人の姉代わりに……ですか……?」

 

まさかの申し出に、鏡花は思わずキョトンとする。

 

視線を2人に向けてみれば、チラチラと視線を向けては逸らしを繰り返していた。

 

2人のブラウンの瞳が、期待の色が見え隠れしている。

 

「フフ……ええ、構いませんよ。私はひとりっ子だったから少しだけ兄弟とか姉妹って羨ましいと思っていたので。2人がいいなら、是非とも2人の姉代わりをさせていただきます。」

 

それを見た鏡花は、穏やかな笑みと声音を以て、その申し出を受け入れた。

 

すると、ユウリとマサルは目を輝かせながら、眩いばかりの笑顔を見せて

 

「あ、あの!! じゃあ、お姉ちゃんって呼んでもいいですか!?」

 

「ぼくらも年の離れたお姉さんって憧れていたんです!! 確かに、ぼくとユウリは姉弟ですけど、同い年なだけあって、姉弟というよりは同級生と遊んでいるような感覚だったので……!! だから、その、姉代わりになってくださるなら、ぼくもキョウカさんをお姉ちゃんって呼びたいです!!」

 

鏡花をお姉ちゃんと呼んでいいかと明るい声音で聞いてきた。

 

「おー。好きなように呼びな。どんな呼び方も歓迎するよ。」

 

鏡花はウィンクをしながら2人に許可を出す言葉をかける。

 

ユウリとマサルは顔を見合わせて、喜びの笑顔を咲かせた。

 

「血は繋がってなくとも姉妹姉弟になるんだったら敬語を使うのは違和感あるな。2人とも、これから敬語はなしな。かたっ苦しく感じるし、距離があるような感じになる。だからまぁ、素の自分たちをさらけだしなよ。こっちも素で話すからさ。最初っから話してるけど。」

 

そんな2人に鏡花は、姉妹姉弟なら敬語はいらないと告げて、その頭を優しく撫でる。

 

「「わかった、キョウカ姉ちゃん!!」」

 

ユウリとマサルは笑顔を見せながら、敬語で話すのをやめる。

 

それに満足した鏡花は、小さく笑う。

 

「フフ……2人ったら興奮しちゃって……。ありがとうございます、キョウカさん。これから、この2人のこともよろしくお願いしますね。」

 

一部始終を見ていたユウリとマサルの母親は、嬉しそうに笑いながら、鏡花に感謝の言葉を述べる。

 

「気にしないでください。私が勝手にしてることなので。こちらこそ、なにかと騒がしかったりするかもしれませんが、よろしくお願いします。ママさん。」

 

その言葉に鏡花は気にしないでと返し、笑顔を見せながら改めてよろしくと言った言葉を紡ぐ。

 

ユウリとマサルの母親は、穏やかな笑みを浮かべながら、鏡花に頷き返すのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

主人に彼らは何を思うのか……
キョウチャン。オレだって甘えたいんだぜ?


「いやぁ……ようやくユウリが来たなあ……。マサルもいたのは予想外だったが、それはそれでマサマリが見れる可能性を考慮すればありだ。双子の姉弟か……。フフ……あの子らの姉代わりになれるなんて大ラッキーだ。」

 

ユウリとマサルが引っ越してきた日の夜。

 

鏡花は上機嫌に笑いながら、髪の毛をドライヤーで乾かしていた。

 

待ち望んでいた邂逅が、予想の斜め上の結果にまで跳ね上がったことにご満悦と言った様子だ。

 

嬉しげに笑っている鏡花を見たアキザクラ。

 

彼女もどこか嬉しげだ。

 

人間が増えたことは少しだけ不満ではあるが、鏡花が楽しそうにしていると自分も嬉しいと言った感じだろう。

 

『よっと。』

 

鼻歌を歌いそうな雰囲気の鏡花。

 

しかし、不意に聞こえてきた声により、意識を声の方へと向ける。

 

そこにはモンスターボールから、勝手に出てきた様子のファントムの姿があった。

 

「珍しいなファントム。キミがボールから出てくるなんてさ。」

 

キョトンとした表情を見せながら、鏡花がファントムに声をかけるかと、ファントムはにぱっと笑顔を見せて、

 

『オレだって甘えたいんだぜ? いっつもアキチャンばっかだからさ。それが羨ましいのなんのってな。なぁ、キョウチャン。今日はオレも甘やかしてよ。アキチャンにしてるみたいにトロトロにさ。』

 

鏡花に出てきた理由を告げる。

 

急な言葉に瞬きをした鏡花。

 

だが、ファントムのお願いを断る理由はないと考え

 

「構わないよ。ほら、おいで。」

 

ファントムを自分の側へと招く言葉を口にする。

 

『サンキュー、キョウチャン。』

 

それを聞いたファントムは、にぱりとした笑みを絶やすことなくベッドに座る鏡花に近寄り、そのまま彼女をベッドへと押し倒した。

 

「うわ!?」

 

急な衝撃に驚いた鏡花は、なすすべなくベッドに倒される。

 

柔らかいクッション性の高いそれに体を受け止められたのを確認しては、ファントムに目を向けた。

 

ファントムは鏡花を見下ろしながら、不敵な笑みを浮かべている。

 

『フ、ファントム!? キョウちゃんに何するの!!』

 

自分が鏡花に構われすぎている自覚があったアキザクラは、今回は大人しく引き下がろうとしていたが、ファントムの行動に目を丸くしては、慌ててポカポカと彼を殴る。

 

『ダイジョーブだって、アキチャン。別にキョウチャンを取って食おうてたから思ってないって。ただ、甘えたいだけだぜ?』

 

が、ファントムはそんなアキザクラを物ともせず、いつのまにか手にしていた、彼女専用のモンスターボールを向ける。

 

『あ………っ』

 

ボールを向けられたアキザクラは、そのままボールの中へと吸い込まれてしまった。

 

赤い光に包まれて、ボールに収まってしまったアキザクラ。

 

それを確認したファントムは、鏡花の自室にある机の上に、彼女のボールを置いたあと、再び鏡花の元へと戻る。

 

自体が飲み込めない鏡花は、何度も瞬きを繰り返しては、困惑した表情を浮かべていた。

 

『はは。悪いな、キョウチャン。驚かせた。』

 

未だにベッドに寝転ぶ鏡花を見ながらファントムがケラケラ笑う。

 

「いや、マジで急に押し倒されてヴァージン散らされるかと思ったんだけど? なんかキミの目によからぬ欲が見え隠れしてたし。」

 

そんなファントムに対して、鏡花は拗ねたような表情をして、どうしたんだよと声をかける。

 

『ん〜……? まぁ、あながちキョウチャンのその認識は間違いじゃないぜ? 事実、オレは人間であるキョウチャンに対して劣情って言うの? 交尾したいって感情を持ち合わせてる。でも、まだそれを奪うつもりはないぜ。だって、キョウチャンは、まだオレのことも、大切なポケモンって枠組みにしか収めてないって知ってるから。だから、手を出すつもりはない。本当に、ただ甘えたかっただけなんだ。』

 

ファントムは笑みを浮かべたまま、鏡花の認識も指摘も間違いではないと告げながらも、出てきた理由は本当にただ甘えたいだけなんだと教える。

 

それなら押し倒す必要はなかったんじゃないかと口にしたくなったが、起き上がって座っていた自分の足に、ファントムが頭を乗せたことにより、その言葉は飲み込む。

 

『なぁ、キョウチャン。頭、なでてくんない?』

 

黙り込んだ鏡花を見たファントムは、上目遣いで彼女を見上げながら、頭を撫でてと告げる。

 

それに従うように、鏡花はファントムの頭に手を乗せ、優しくゆるやかに撫で始めた。

 

気持ち良さげに目を細めるファントム。

 

その姿は先程のギラギラとしたオスの姿ではなく、主人に懐く獣のものだった。

 

やれやれと言うように首を左右に振る。

 

しかし、鏡花の表情には慈愛の色が満ちていた。

 

『ねぇ、キョウチャン。いつもアキチャンとばっか寝てるじゃん。あれさ、すっげぇ羨ましいって思った。アキチャンばっかズルイって思った。だからさ……。手を出したりはしないから、今日はオレと一緒に寝てよ。たまにはオレも、キョウチャンと一緒に休みたい。』

 

そんな鏡花の表情を見つめながら、ファントムは自分の望みを口にする。

 

「………ああ、構わないよ。」

 

鏡花はファントムを見つめたあと、穏やかな声音で呟いて、ファントムの望みを了承する言葉を口にする。

 

ファントムは鏡花の了承の言葉に笑顔を見せて、彼女の体を軽々と抱き上げ、ベッドに優しく横たわらせる。

 

そして、この部屋の電気を消したあと、素早く彼女の隣に体を滑り込ませて自分も横たわった。

 

『なぁ、キョウチャン。これからはオレとも一緒に休んでくれよ。アキチャンばっかじゃなくてさ。オレだって、キョウチャンとこうやって過ごしたいんだ。』

 

鏡花の体を抱きしめながら、ファントムはすりより囁くように告げる。

 

それを聞いた鏡花は、了承するように、ファントムの頭を優しく撫でるのだった。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アローラ地方からの届け物(ポケモン)

「転生ポケモントレーナーはホプユウ見たさにガラル地方に行きました」
から題名を変更しました。


ユウリたちが引っ越してきて早くも1週間。

 

遠目で見ても、かなりの仲良しトリオとなってる3人の少年少女の姿に、鏡花はここからホプユウが始まるんだな……ホプマサライバル友情ルートも捨てがたいよな……なんてしみじみとしていた。

 

「キョウカ!! おっはよー!!」

 

「キョウカ姉さん、おはよう!!」

 

「キョウカお姉ちゃん、おっはよー!!」

 

「おー。3人とも今日も元気だな。はしゃぎすぎて転ぶなよー。」

 

「「「転ばない!!」」」

 

「ははは。拗ねるな拗ねるな。」

 

まぁ、それ以上になんだかこのトリオに懐かれまくっているような気がしてならない鏡花ではあるが、子どもをからかう大人として振る舞いながら、懐かれてるのでは、という感情を振り捨てる。

 

自分に懐かなくていいから3人組でわちゃわちゃしていてくれ。

 

そんなことを思いながら、自分の手持ちを庭に出して、遊ばせている。

 

「いつ見てもキョウカ姉さんのポケモン強そう……。」

 

「ソルガレオは伝説級だからわかるけど……他のポケモンもしっかり育てられてそう……。」

 

「やっぱ、ユウリとマサルもそう思うよな。オレもそう思うぞ! ひょっとしたら、アニキと同じくらい強いかも……。」

 

庭で戯れているポケモンたちを見ながら、ユウリたちがポツリと呟く。

 

あのホップでさえも、アニキと同じくらい強いかもしれないと褒めるときた。

 

「無敵のチャンピオンさまと同じくらい強いかもとは、なかなか嬉しい評価をしてくれるじゃん、ホップ。まぁ、勝負したことないから結果はわかんないけど、いつか勝負してみたいもんだな。ダンデと。」

 

意外な反応に小さく笑いながら、無敵のチャンピオンといつかは勝負してみたいなと、鏡花は不敵に笑いながら呟いた。

 

「ま、勝負したらアニキが勝つけど。」

 

その瞬間、掌を返したように、勝つのはダンデだとホップが主張する。

 

無言で彼を見つめると、にかっと笑った。

 

「僕はキョウカ姉さんが勝つと思う。」

 

「私もキョウカお姉ちゃんが勝つと思う。」

 

すると、ユウリとマサルの双子組が、勝つのは鏡花だと主張し始めた。

 

「んな!?」

 

あれだけアニキの試合のビデオ見せたのに!?と言いたげな表情をして驚くホップ。

 

鏡花はクスクスと小さく笑い、

 

「2対1みたいだぜ?」

 

からかい口調で指摘した。

 

「いいや、絶対アニキが勝つに決まってる!! オレの家族もそう言うに決まってるぞ!! だから、家族含めて4対2だ!!」

 

「キョウカお姉ちゃんのお母さんだってキョウカお姉ちゃんが勝つって言うに決まってる! キョウカお姉ちゃんのお父さんだってキョウカお姉ちゃんが勝つって言うに決まってる!!」

 

「僕たちの母さんだってキョウカ姉さんが勝つって言うよ!! だから5対4!!」

 

すると、家族や身内の名前を出してはやんややんやと3人が言い争いを始めてしまった。

 

(あちゃー………。)

 

これ、口にする言葉間違えたか?なんて鏡花は苦笑いをこぼしながら、どうやって3人を宥めようかと考えるように頭をひねる。

 

何を言っても無駄なような気がしてならないが、ケンカが大きくなる前に止めた方がいいかもしれないと。

 

しかし、なんと言えば火に油を注がなくて済むのかと悩みに悩んで悩み続ける。

 

『お届け物、お届け物!』

 

不意に、頭上の方から声が聞こえてきた。

 

視線を上に向けてみれば、そこには1匹のデリバード。

 

「あれ? デリバード……。」

 

「「「………え?」」」

 

デリバードの姿をとらえた鏡花がポツリと小さく呟けば、ユウリたちも言い争いをやめ、鏡花と同じように空を見上げた。

 

『お届け物! お届け物!』

 

自分を見上げる鏡花たちに気づいたらしいデリバードが、パタパタと翼をはためかせながら、鏡花の前に着地する。

 

「なんだ? 私宛になんかあんのか?」

 

目の前に着地したデリバードに鏡花が話しかけてみると、デリバードは何度も頷いて

 

『アローラ地方からのお届け物!』

 

手にしていた袋状の尻尾から1通の手紙と、1つのモンスターボール、そして、見覚えありすぎる腕輪を取り出して、鏡花の前にさっと出す。

 

「アローラから飛んできたのかオタク……。」

 

呆れ顔で問い掛けるが、デリバードはキョトンとしている。

 

そもそもが1日中飛んでるようなものだから、気にしなくていいと言いたいのだろう。

 

「いや、うん。そうだな。デリバードは餌を探すために1日ずっと飛んでることもあるもんな……。遭難してる人見つけたら餌を分け与えるとも言われてるし、そのあとまた餌を探しに行くことを考えると、飛べるよな……。」

 

デリバードの表情から読み取った感情や、デリバードが持ってる習性からして可能であることを思い出しては、引きつった笑みを浮かべながら呟く。

 

何を今更と言うように、デリバードは首を左右に振っては、鏡花が手紙とモンスターボールを受け取ったことを確認しては、再び空へと飛んでいった。

 

「……何だったんだ、あのデリバード。」

 

「「………さぁ?」」

 

事態が飲み込めないユウリたちが、ケンカも忘れてぽかんとする。

 

ある意味助かったかもしれないと鏡花は思いながら、手紙の封をその場で切った。

 

封筒から出した手紙を開き、書いてある内容を見る。

 

「えっと……“アローラ、キョウカ。キミの忘れ物をデリバード便に届けさせておいたぜ。アローラ地方を旅した仲間と、Zパワーリングだ。キミの旅に明るい未来があることを祈ってる。 ククイより”……。まさかのククイ博士からの届け物か……。」

 

手紙を読み切った鏡花は、意外な人物からの届け物に、小さく笑う。

 

「ククイ博士?」

 

鏡花の呟きに反応したのはホップだった。

 

別の地方の博士について、あまり詳しくないようだ。

 

「ククイ博士は、アローラ地方のポケモン博士で、ポケモンの技を研究してる人だよ。アローラにいた頃に世話になったんだ。」

 

ククイ博士に反応したホップに、ククイ博士がどのようなことを研究しているのかを教えた鏡花は、Zパワーリングを片腕につけたあと、一緒に手渡されたモンスターボールに目を向ける。

 

アローラ地方を旅した仲間とはいったい……そんなことを思いながら、モンスターボールを放り投げた。

 

宙を舞うモンスターボールはくるくると回り、口を開く。

 

と、同時に鏡花は視界を遮られた。

 

「うわ!? ちょ、なんだ!?」

 

混乱したように言葉を紡いだ鏡花。

 

『マスターーーーー!! 会いたかったロトーーーーー!!』

 

「………ほへ?」

 

だが、聞こえてきた声に気づいては、顔に張り付くポケモンをベリッと引き剥がす。

 

『ロト!』

 

彼女がつまみ上げたのは、ロトムだった。

 

「ロトム………?」

 

首を傾げながらポツリと呟くと、ロトムはニコッと笑顔を見せる。

 

『ずっとずっと会いたかったロト!! なのにマスターはロトムを置いてどこかに行っちゃうし、寂しかったロト……。アローラを一緒に旅したのに置いていくなんてひどいロト〜………。』

 

鏡花に名前を呼ばれたロトムは、嬉しげな表情や寂しげな表情、悲しげな表情ところころ表情を変えながら、会いたかったことを鏡花に伝える。

 

その様子から、鏡花はある仮説を思い浮かべる。

 

「あ……ひょっとしなくても、ロトム図鑑に入っていたロトム……?」

 

それは、自分のサンムーン、またはウルトラサンムーンのデータからサルベージされたあの時のロトムであると言うものだ。

 

『そうロト! マスターの1番の相棒だったロトム図鑑のロトムロト!! アルセウスから聞いたロト。マスターが転生……?してこの世界にいるって教えられたロト。それならロトムに会いに来てくれるって思っていたのに、全然こないロト……。どうしてって聞いたらマスターは別の地方って聞いたロト。それを聞いたロトムは悲しかったロト。だからククイにお願いして、図鑑から飛び出してモンスターボールに入って、マスターのとこに送ってもらったロト!! 他のロトムと浮気してないロト? してたら許さないロト。そのロトムどっかに消してやるロト!!』

 

どうやら仮説は当たっていたらしく、目の前のロトムは鏡花がやっていたゲームのデータからサルベージされたロトムであることを肯定した。

 

そして、自分以外のロトムと過ごしていないかと問いかけつつ、もし別のロトムが鏡花と一緒だったのならそのロトムを消し去ると言い始めた。

 

「言ってることが物騒だぞオマエ!? いないって!! 私のロトムはオマエだけだって!!」

 

あまりにも物騒なことを口にしたロトムに鏡花は言いようのない寒気に襲われ、慌てて他のロトムとは接触してないことを伝える。

 

『ホントロト? ウソだったら許さないロトよ? もしウソだったら……ロトムはマスターをロトムだけのモノにスルためにナニをスルかわからナいロトよ……?

 

それを聞いたロトムは、ジトッとした目を鏡花に向けながら、ウソだったら承知しないと口にする。

 

自身の体感温度がさらに下がったような気がした。

 

まるで黄泉からの使者か目の前に現れたような感覚だ。

 

「ひぇ……っ」

 

思わず涙目になる鏡花。

 

スマホロトムを持ってなくてよかったと安堵する。

 

もし、スマホロトムを持っていたら、明らかに自分は目の前のロトムに命を奪われていたかもしれない。

 

『マスターマスター。アルセウスから聞いたロト。このガラル地方ではスマホにロトムが入ってることがあるって。マスターはスマホ、持ってるロト?』

 

ゴーストタイプの本性を垣間見たことに震えていた鏡花にロトムが不意に問いかける。

 

「あ……ああ……確かにスマホにロトムが入ってるのを見たことがあるぜ……。私もスマホは持って……(『見せるロト。』……はい。」

 

素直にスマホを取り出してみれば、ロトムはそれをジッと見たあと、小さく頷く。

 

そして、彼女のスマホに取り憑いた。

 

「これでマスターと堂々と話せるロト!」

 

ふわりとスマホを浮かばせながら、にんまりと笑うロトム。

 

目の前でスマホロトムが完成するとは夢にも思わなかった鏡花だったが、ロトムが満足している様子に、どうでも良くなってしまった。

 

「はいはい。ったく……ゴーストタイプって結構恐ろしいこと言うんだな、やっぱ……流石はゴーストってことですかい……。」

 

苦笑いをしながら鏡花は呟く。

 

しかし、喜びに溢れてるロトムはその呟きが届いてないのか、くるくると鏡花の周りを回っていた。

 

「なんか、すごいの見ちゃったかも。」

 

「うん……私もそう思う。」

 

「気のせいか? さっき、キョウカのロトムからなんとも言えない寒さを感じたぞ……。」

 

「「確かに……。」」

 

蚊帳の外にされていたユウリたちは、鏡花の周りをくるくる回る、ロトムの姿を見つめながら、少しだけ腕をさすっていた。

 

 

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホオズキくんのクリスタル

前の話の一部の文字にちょっとした細工を施してみたので、お時間があれば閲覧してみてください。(なお、一部端末では見れない可能性があります、ご注意ください)


ロトム図鑑のロトムが合流し、仲良し3人組を見送った鏡花は、ポケモンたちをボールに戻して自室へと戻っていた。

 

片手にはZパワーリングが握られている。

 

「まさか、メガリングだけじゃなく、Zパワーリングまでゲットすることになるとはな……。一応、ゼンリョクポーズは記憶してるけど、この年齢でやるのは些かシュールじゃないか……?」

 

「そうロト? フツーにハラのおじちゃんやカキなんかもやってたし、問題はないと思うロト。マスターのゼンリョクポーズ見たいロね〜……きっと可愛いロト〜……」

 

「おい、ロトム。なんか恍惚とした声音で言うな。寒気するわ……っ」

 

Zパワーリングを見つめながら、ロトムと会話をする鏡花。

 

彼女はロトムからの妙な気配に寒気をわずかに感じながらも、リングを机の上に置いた。

 

「つか、そもそもがZクリスタルないし、使おうとしても無理じゃね、これ?」

 

そして、ZパワーリングがあってもZクリスタルがなければ意味はなくないかと呟いた。

 

『クリスタルならあるよ。』

 

それに答える声が、鏡花の足元から聞こえて来る。

 

驚いて視線を落としてみると、そこにはミミッキュのホオズキがいた。

 

「ホオズキ……? クリスタルならあるってどういう意味だ?」

 

嫌な予感を抱きながらも、鏡花は恐る恐る尋ねる。

 

すると、ホオズキは自分がかぶってる布の下から、シュルシュルと影の手を伸ばして、鏡花にあるものを提示する。

 

それは、ミミッキュZだった。

 

「え……これ……ミミッキュの……。」

 

それを受け取った鏡花は、引きつった笑みを浮かべながらホオズキの方へと目を向けた。

 

『うん。ぼくのクリスタル。キョウカちゃんがアローラ地方で別個体のミミッキュと遊んだ時にお礼としてもらったやつだよ。正直、ぼく以外の個体であるミミッキュと遊んでる姿は見ていてかなりムカついた。キミのミミッキュはぼくだけなのに、ぼく以外のミミッキュと遊ぶ姿なんて許せなかったよ。』

 

「……お、おう…………。」

 

どことなくロトムと似たような匂いがするんだけどこいつ……なんて言葉を飲み込みながらも、ホオズキの言葉に耳を傾ける。

 

『まぁ、その話は今は置いとくとして……キョウカちゃんはね。そのミミッキュと遊んで、お礼にこれを受け取ったあとね、ボールからぼくを出したあと、“これでキミが強くなれる。これからも私と一緒に旅をしよう。天辺目指して走り抜けよう”って言ってくれたんだ。ぼくはそれが嬉しくて。ずっと、ずっとこのクリスタルを持っていたんだ。キョウカちゃんのリングにはめるためのクリスタルもぼくが持っていたから、これからも一緒に連れて行ってね。いろんな世界を見て歩こう?』

 

ホオズキは黙って話を聞いてくれる鏡花に明るい声音で話す。

 

Zクリスタルを持っていた理由や、これからも一緒に過ごさせてという自分の望みを口にして。

 

『あ、もちろん、キョウカちゃんの采配はちゃんと聞くよ。ぼくじゃ力不足になる時は、戦力を補うために、別のポケモンと入れ替えてもいい。けど、そのポケモンが必要になった勝負が終わったあとは、すぐにぼくを手持ちに戻して欲しいな……。アローラではずっと一緒にいたから、外されるのって違和感がある。だから、ね? キョウカちゃん。ぼくのことを手放さないで。ずっと、ずっとぼくのトレーナーでいてほしいよ……。』

 

ホオズキに感じていた寒気が落ち着いてきた鏡花は、小さく笑いながら、ホオズキの影の手を優しく握る。

 

そして軽く引き寄せては、彼の手を握る手とは反対の手をホオズキの方へと差し伸べる。

 

それを確認したホオズキは、差し伸べられた手を使って、鏡花の肩に登っていく。

 

「わかってるよ、ホオズキ。アローラ地方でキミがいっぱい頑張ってくれたことは、私がよく知ってる。あの時は画面越しだったけど、今はこうやって触れ合えるんだ。確かに、必要な時は、キミが手持ちから抜けることもあるだろうが、必要な時を通り越したら、すぐにでもキミを手持ちに戻すと約束しよう。」

 

その言葉を聞いた鏡花は、穏やかな笑みを浮かべながら、ホオズキを優しく撫でる。

 

それが嬉しかったのか、ホオズキは鏡花の手を握り、その手を自身の布の中へと招く。

 

ひんやりとした空気と、おそらくこの子の本体と思われる質量が手に触れた。

 

まさか、自分の手でミミッキュの本体に触れることになるとは思わなかったな……なんてことを考えながらも、鏡花はホオズキの好きなようにさせる。

 

『約束だよ、キョウカちゃん。絶対に、ぼくを手放さないで。』

 

するとホオズキは一言告げて、自身の布の中にある鏡花の指にがぶりと噛みついた。

 

「っ………!!」

 

急な痛みに鏡花は表情を歪める。

 

だが、ホオズキのことを振り払うことはせず、彼が自身の指から口を離すまで待った。

 

少しして、ホオズキの布から手を引き抜けば、薬指に噛み跡ができていた。

 

血が出ないようにしていたようだが、赤くなっている。

 

『約束……破ったら許さないよ……。』

 

それは彼なりの約束の証。

 

戦力不足の時に手持ちから外さなくてはならない時があっても、必ず戻すと約束した彼女に対する、ある意味で戒めとなる傷跡。

 

ホオズキはもちろん、それが消えゆくものであることを知っている。

 

しかし、自分に噛みつかれたという事実は記憶として残るから、約束は絶対に忘れたりしない。

 

そう思いながら、ホオズキは、布の中でほくそ笑む。

 

ゴーストタイプとの約束は、時には呪いになるのだと。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キョウちゃんの一番はオレだからだよ。

おそらく一番想いがデカすぎて重たいのは、今回のお相手です。
ちょっと今回はキスも激しい。


「あんまり遠くに行くなよ〜。」

 

Zリングを入手して、スマホロトムも手に入れた。

 

ある意味で濃い1日だったその日はすでに1週間も前のこと。

 

ガラル地方にやってきたロトム図鑑にいたロトムはすっかりと馴染み、鏡花のスマホを出たり入ったりしながら過ごすようになった今日この頃。

 

鏡花は手持ちのポケモンたちと、両親のピカチュウとイーブイを連れて、ワイルドエリアへとやってきていた。

 

新たなポケモンを捕まえるため……ではなく、ちょっとしたキャンプを過ごすために。

 

彼女がキャンプ地に選んだのは、逆鱗の湖。

 

ゲームではロトム自転車を手に入れない限り、足を踏み入れることすらできないそこに、リザードンのノウゼンの背中に乗って移動して、キャンプ用のテントを張っていた。

 

気性が荒い野生のポケモンが何体も草むらをうろついているが、どうやらこれらの野生のポケモンは、鏡花を気にしていないのか……それとも本能的に、彼女の傍にいるポケモンたちの強さを察しているのか襲うと言う行動には出てこない。

 

これ幸いと思った鏡花は、遠慮なく逆鱗の湖でのんびり過ごす。

 

空は快晴の青空だ。

 

「ああ、ノウゼン。運んでくれてありがとな。キャンプ用の道具も持ってたから重かったろ?」

 

いい天気で良かったぜ……なんてことを考える鏡花。

 

だが、すぐに自身の傍にて伏せたリザードンのノウゼンを見て、感謝の言葉を述べる。

 

『はは。全然重たくなかんかなかったよ。そんなやわな体じゃないし、貧弱な力でもなからね。』

 

鏡花に話しかけられたノウゼンは、笑顔を見せながら鏡花に答える。

 

重さに関しては気にすることじゃない。

 

あれくらいなら軽いものだと、かなり余裕があるようだ。

 

「そうか?」

 

そんなノウゼンに首を傾げて、本当かと問いかけると、ノウゼンは小さく頷いた。

 

『まぁ、でも……確かに重たくはなかったけど、運んだことに対するご褒美は欲しいかな。最近はほら、アキにずっとつきっきりだったでしょ? オレもあれが羨ましくて、気に食わなかったんだよ。なんていうか、まるで自分が相棒だ、みたいな顔してキョウちゃんにつきまとっていたでしょ? キョウちゃんの相棒はオレなのに……新顔が粋がるなって、久々にイラついた。だからさ、キョウちゃん。ご褒美頂戴?』

 

しかし、すぐに考えるような素振りを見せては、小さく笑い、鏡花にご褒美を要求する。

 

最近はずっとアキザクラばかりで、自分のことは相手にしてくれなかったのが正直嫌だったと打ち明けながら。

 

「ご褒美? それはまぁ構わないけど、何をして欲しいんだ? キミの高さは成人男性並みではあるけど、尻尾に炎があるから一緒に寝るとかできないぜ? 私には燃え移らないかもしれないけど、テントとかが危ないし。」

 

それを聞いた鏡花は、構わないけどと呟きながらも、ご褒美は何がいいんだと問う。

 

尻尾の炎という要素のせいで、一緒に寝るとかはできないと指摘しながら。

 

『それもいいね。でも、まぁ、ご褒美は何も添い寝だけじゃないよ。もっと別の方法だってある。オレはそっちが望みかな。』

 

その指摘に対して、リザードンは添い寝だけがご褒美じゃないと鏡花に告げて、伏せた体勢をやめたあと、鏡花にゆっくりと近づいた。

 

「添い寝以外……? ハグとか膝枕とかか?」

 

近づいてきたノウゼンを見上げながら、鏡花が添い寝以外のご褒美とはと考えるように首を傾げる。

 

いくつか思い浮かんだものはあるため、それを口にしながら。

 

『どれも捨てがたいね。でも……うーん……やっぱり、キョウちゃんからのキスがいいかな……。アキばかりにしててずるいよ。』

 

ノウゼンは少しだけ考えるようなそぶりを見せたあと、自分が望んでいるのはキスであると打ち明ける。

 

アキザクラばかりキスされているのはずるいと嫉妬を見せながら。

 

「ええ……? まぁ、別に構わないけどさ……。」

 

ノウゼンからのキスの要求に、一瞬鏡花は苦笑いを溢す。

 

どうやってこのでかいやつとキスするんだと思いながらも、一応は了承の言葉を紡いだ。

 

すると、ノウゼンは嬉しげに笑っては、鏡花に顔を近づける。

 

彼女がしやすいようにするための配慮だろう。

 

(マズル長いやつにキスねぇ……転生前にテレビで見た飼い犬にキスする人みたいにすりゃいいのかぁ?)

 

その姿を見た鏡花は、ノウゼンの顔に手を伸ばし、すりすりと優しく撫でつける。

 

そのあとジッと彼を見つめ、ノウゼンのマズル先に唇を触れさせた。

 

(リザードンってやっぱり爬虫類っぽい感触なんだな。まぁ、タマゴグループはかいじゅう/ドラゴンだしな……。爬虫類っぽいのも当然か。)

 

その際感じた感触の感想を内心で呟きながらも、再びその顔を撫でる。

 

『………足りない。』

 

と、不意にノウゼンがポツリと呟いた。

 

「は? んう!?」

 

意味わからん、と言った感じの反応を返していたら、ノウゼンは自ら鏡花の唇へと自身のマズル先を触れさせる。

 

突然のノウゼンからのキスに、鏡花が驚いた表情を浮かべるが、ノウゼンは気にせず彼女に口を押し当てる。

 

なかなか口が離れてくれないから、多少呼吸が苦しくなり、小さく口を開くと、されを待っていたとばかりの反応を彼は見せ、がぱりと大きな口を開ける。

 

そのまま鏡花の口内へと自身の舌をねじ込んで、彼女の小さな舌を捉えれば、鏡花はくぐもった声を漏らした。

 

(ちょ、なんでいきなりディープキス!?)

 

小説や漫画、恋愛ゲームなどで知っていた深めのキスの知識を引っ張り出して、混乱する鏡花。

 

自分の口に入りきらないほどの分厚く長く、大きい舌が口内で蠢く気配を感じながら、ギュッと強く目を閉じる。

 

その姿を見たノウゼンは、少しばかりの欲情を抱くが、あまり長くしていては自身の我慢が効かないと思い、少ししてその舌を引き抜いた。

 

「んむ……っ……ぷはっ……ハッ……ハッ……ノウゼ……オマ……なん……っ」

 

糸を引きながら引き抜かれた舌を視界に入れた鏡花は、息を切らしながらも、なぜと言う疑問をノウゼンに向ける。

 

涙目と紅潮した頬が、ノウゼンの目にはどことなく扇情的に見えた。

 

しかし、邪な感情を彼は押し殺し、鏡花の頬に自身の頬をすり寄せる。

 

『これくらいしてもらわないと、ご褒美にすらならないよ。まぁ、人間は舌が小さいから、こっちからモーションを起こすしかないけどね。』

 

ノウゼンは鏡花のなぜと言う言葉に対して、これくらいしてもらはなくてはご褒美じゃないと口にする。

 

そして彼女の耳元に口を寄せ

 

『理由はそれだけじゃない。むしろ今教えた理由はついでだ。本当の理由は、今から言う言葉。』

 

近くなった鏡花の耳を撫であげるように舐めたあと、本当の理由を口にする。

 

『キョウちゃんの一番はオレだからだよ。新参者なんかじゃない。一番最初に選んでくれた、オレがキミの一番の相棒なんだから、相手されないのは寂しいよ。』

 

囁くように紡がれた言葉に、鏡花は思わず顔を赤くする。

 

リザードンのくせに、色気あるイケボを使ってくるなと訴えるような視線も向けて。

 

だが、ノウゼンはそれを気にしていないのか、鏡花の頬に自身の頬を擦り付ける。

 

背後で彼女を見つめていた、アキザクラに睨みを効かせながら。

 

 

 

 

 




よろしければアンケートにご協力ください
アンケートでゲストが決まった場合
・アニポケからムコニャ
アニポケのサトシとロケット団的ルートになります。
・N
ポケモンと話せるという共通点からの友情ルートになります。
・初代組
ガラル地方の行く先々で出会う友情ルートになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オマエと朝日を見たかった

ソルガレオのターン


逆鱗の湖でのキャンプをした日の翌日。

 

『キョウカ。』

 

「………ん……ソルガレオ?」

 

テントの外から聞こえてきた声に、眠っていた鏡花は目を覚ます。

 

ゆっくりと起き上がり、外へと出ると、ソルガレオは口に上着を咥えていた。

 

なんだ……?と思いながら近づいてみれば、その上着をバサリと被せられる。

 

「わぷっ!?」

 

顔面に直撃した自身の上着に驚いて声を上げる。

 

『早く羽織れ。』

 

そんな彼女に、ソルガレオは上着を羽織るように指示を出した。

 

状況が飲み込めない中、困惑した表情をしながらも、鏡花が上着を羽織ると、ソルガレオが彼女の目の前で伏せをする。

 

どうやら乗れと言いたいようだ。

 

「どこに行くんだよ……。」

 

テントの中で眠っているポケモンたちをモンスターボールの中へと収めた鏡花は、ソルガレオの背中へとまたがる。

 

すると、ソルガレオはすくっと立ち上がり、一声大きく咆哮をした。

 

その瞬間、目の前に空間の裂け目が出現する。

 

「おい待てソルガレオ……。私はあのスーツを持ってないんだが!?」

 

それがなんなのか理解した鏡花は、慌ててソルガレオに声をかける。

 

生身でワープライドとか無謀すぎるにも程があると、訴えるような表情で。

 

『大丈夫だキョウカ。アルセウスの手により作られたその肉体を調べてみたところ、生身でも空間の裂け目に入ることができるみたいだ。私をキョウカが手持ちにと選択したからか、いろいろとその器には細工が施されているようだぞ。』

 

鏡花のその反応は、ソルガレオの予想通りだったのか、ソルガレオは鏡花の肉体についていろいろと調べ上げていたようだ。

 

自身が調べたことにより、入手することができた情報を鏡花に伝える。

 

「え……アルセウスすご……。」

 

まさかの情報に思わず呟く。

 

創造神は伊達ではないらしい。

 

『いつのまにか、私の肉体のことや、あのスーツの特性をやつは解析していたようだな。全く……なんとも恐ろしいポケモンだ。』

 

ソルガレオもそれは思っていたのか、同意するような言葉を口にしては、空間の裂け目へと飛び込んだ。

 

画面越しに散々見てきたワープライド用の道。

 

鏡花は目を輝かせながら、小さく笑みを浮かべる。

 

「久々に見るなぁ……体験するのは初めてだけど。」

 

不思議な世界に目を巡らせながらぽつりと呟けば、ソルガレオが小さな声で笑う。

 

『しっかりと捕まっていてくれ。すぐに着く。』

 

そして、穏やかな声で呟いたあと、空間を移動するための道を走り出す。

 

だが、すぐに空いている空間の裂け目から外へと飛び出ては、地面に着地した。

 

「………ここは……!!」

 

鏡花は目を丸くする。

 

彼女が降り立ったのは、ナックルシティだった。

 

位置としては見たことがない場所だ。

 

まるで高い高い建物の屋根のような場所。

 

おそらく、本来、ゲームでは登ることができない場所なのだろう。

 

『本来ならば、足を踏み入れることができない場所だ。ここから見える真っ正面の景色……それを見ていれば、私がオマエを連れてきた理由がわかる。』

 

驚いている鏡花に対して、ソルガレオが穏やかな声音で景色を眺めているように告げる。

 

それに従って景色を見つめていたら、景色の先から、ゆっくりと朝日が登る様子が視界に映る。

 

「わぁ………!!」

 

ゆっくりと顔を覗かせてくる朝日を見て、鏡花の星色の瞳がキラキラと眩く輝く。

 

その瞳を美しいと思いながら、ソルガレオも太陽へと目を向けた。

 

『オマエと朝日が見たかったんだ。アローラ地方でオマエの分身と過ごしていた時のように、高い高い高さの場所で、眩い太陽を見ていたかった。だから、ここまで連れてきた。』

 

こんな高所に連れてきた理由を口にした。

 

自分の記憶の中にある、アローラ地方で鏡花の分身と過ごしていた時のことを思い出しながら。

 

『アローラにいた時は、確かライドした先の果ての世界だったか……。あの時の景色は忘れようもない。オマエの分身も、今のように目を輝かせていた記憶がある。あの時の瞳も美しく見えたものだ。』

 

穏やかな声音でアローラ地方での出来事をソルガレオは語る。

 

鏡花は、自分自身の出来事ではないため、それを自分のものとして認識していいのかわからなかった。

 

『キョウカの言いたいことはわかる。あれは画面越しの世界での出来事……だからオマエはそれはキョウカという存在と見たという認識でいいのかわからないのだろう? 確かに、あれは閉じられた世界での出来事であり、データであり、私はそれを継いでいるデータの塊に過ぎなかった。最初はそうだった。しかし、キョウカと触れ合い、過ごすようになって、これはデータなんかじゃないとわかった。私たちと触れ合うキョウカは、私たちがデータとして継承したものと全て同じだったのだから。だから、あれはやはりキョウカだったのだと、私たちは認識している。こうして、本当のオマエと触れ合うようになってから、その認識は強くなった。ああ、やはりこの子は私たちのトレーナーだった存在なのだと。』

 

それを理解していたソルガレオは、自分たちがデータの塊だったことを肯定し、鏡花にとっても自分自身が経験したものではない記憶であるとわかっていることを告げる。

 

だが、鏡花と触れ合う中で、自分たちとともに過ごしていたのはまさしく鏡花という存在であると、強く認識するようになったとも。

 

『私たちの元に来てくれてありがとう、キョウカ。データとしての私たちではなく、ポケモンとして、1つの生命として息を吹き込んでくれたことも感謝する。その感謝は、これからの活躍で返していくとしよう。オマエの行く末を照らしていく、太陽の化身として……私を隣に置いてくれ。』

 

朝日に照らされるソルガレオの横顔に見惚れていた鏡花は、太陽の化身の望みに応えるように、その頬へと手を伸ばし、優しい手つきで撫で付ける。

 

ソルガレオは鏡花の手の感触に、確かに感じる温もりに、気持ちよさそうに目を細める。

 

その表情には、鏡花に対する確かな愛しさを浮かべながら、鏡花の鼻に自身の鼻を擦り付けた。

 

『……そろそろ逆鱗の湖に戻らなくてはならないな。テントを張ったままだ。』

 

しばらく目を閉じて鏡花という存在を感じていたソルガレオが名残惜しげな表情を見せながらもゆっくりと離れる。

 

そして、鏡花が乗りやすいように姿勢を低くして、彼女を促すように視線を向けた。

 

視線の意図に気づいた鏡花は、すぐにソルガレオの背中へとまたがる。

 

それを確認したソルガレオは、虚空目掛けて咆哮した。

 

ここにきた時のように空間の裂け目が現れる。

 

軽い身のこなしでそこに向かって跳躍すれば、空間の裂け目からウルトラホールへと変化する。

 

そこに飛び込んだソルガレオは、鏡花を落とさないように、一定のスピードで走り出す。

 

 

 

 

「………なん……だったんだ……あれは………?」

 

その姿を1人の人間に見られていたことに、薄々と気づきながら。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

灰青の火馬は特殊性癖

リンドウくんがかなりの変態ですのでご注意ください。


ワイルドエリア。

 

本日の天気、曇り、のち、晴れ、のち、日本晴れ。

 

スマホロトムで天気を調べた鏡花は、珍しくワイルドエリアに悪天候が存在していないことに気づき、あることを思い出す。

 

そして、慌ててブラッシータウンからワイルドエリアへと電車で向かい、モンスターボールからあるポケモンを出した。

 

『おや、キョウカ様。どうかなさいましたか?』

 

彼女が出したポケモンは、ガラル地方に生息しているとされている、いっかくポケモンとしてのリージョンフォームではなく、彼女がよく知る方のギャロップ……ひのうまポケモンと呼ばれているギャロップの色違いであるリンドウだ。

 

急にボールから出されたリンドウは、少しばかり驚きながらも、彼女が自ら己を出してくれたことに喜びを抱き、上機嫌な雰囲気を纏う。

 

「今日のワイルドエリアは雨や豪雨、砂嵐とか雪とか吹雪とかの悪天候がないみたいなんだ!! しかも霧もかかってない!! だから、リンドウの背中に乗って、ワイルドエリアを走り抜けたかったんだ!!」

 

そんなリンドウに、鏡花は笑顔で彼を読んだ理由を教える。

 

雨が降らないという予報を聞いたからには、一度はギャロップの背中に乗って、広いフィールドを走り抜けたいと。

 

リンドウは、彼女が水が嫌いな自分自身を気遣ったがために、雨が降らない日を選んでくれたこと、それにジーンと感動しながら、サッとその場にしゃがみ込む。

 

それが意味するもの一つ。

 

背中に乗れということのみ。

 

それを確認した鏡花は、笑顔でリンドウの背中にまたがった。

 

『ああ……っ!! このリンドウ、満悦至極にございます!! キョウカ様、わたくしめのことを考えて、わたくしめが過ごしやすい時期を見極めて遠乗りに誘っていただけるとは!! わたくしは雨に濡れようが、どこまででも貴方様を乗せて走り抜ける所存ではございますが、やはり、トレーナーに、貴方様のような素晴らしき心をお持ちの方にお気を遣っていただき、そして背に乗せることができ、幸せです。』

 

その瞬間、リンドウが声高らかに感動を表現し始めたことに、鏡花は思わず目を丸くする。

 

なんともまぁかなりの褒め言葉というか……随分なテンションだと苦笑いをした。

 

トレーナーであれば、自身の手持ちのポケモンのケアはなによりも大切にするものだし、弱点を把握し、ともに過ごす上でいろいろと気を使うのは当然だというのに、このリンドウは、かなり大袈裟な言葉を言う。

 

『いいえ、いいえ! 確かにトレーナーと呼ばれる存在は手持ちのポケモンを気遣っていますが、場合によっては出てきたポケモンの弱点をつけるからという理由のみで、悪天候の中でもほのおタイプを繰り出したりしますからね……仕方無きこととは思いますが、正直、わたくしあれはどうかと思っていまして……。確かに戦うことは可能ではございますが、ほら、雨とかですと、ほのおタイプの技って威力がかなり落ちてしまうでしょう? それはトレーナーにもポケモンにも負担をかけてしまうものだと認識しておりますゆえ、このように気遣っていただけることはとても……ええ、とても喜ばしいことなのです!!』

 

だが、リンドウはこちらが思ったことを丸々と伝えたとしても、この反応を変えないのである。

 

何というか、思わず鏡花は苦笑いを溢すしかなかった。

 

こいつ、場合によってはトレーナーを神格化しちまうタイプのやつだと、軽く引いてしまった。

 

「オ……オタクが嬉しいならもういいや……。」

 

なんと言ったらいいのかわからず、引き気味の言葉を口にする。

 

しかし、リンドウはそれに気付いていないのか、未だに感激の嵐にトリップしており、どことなく恍惚とした様子を見せている。

 

『ああ……わたくしのポケモン生は、いつもいつも幸せに満ち溢れている……っ!! 素晴らしい主人を、トレーナーを、使えるにふさわしいお方と……っ……ともに過ごせるとは……っ』

 

……もはやリンドウは話を聞いていない。

 

感激と恍惚に身を任せて、ボーッとした様子を見せている。

 

「……いろいろとトリップ絶頂すんのは構わないけどさ……そろそろ走らねぇか?」

 

このままではせっかくのギャロップライドがギャロップ本人の調子により台無しになりそうだ……そう思った鏡花は、リンドウの首元に手を添えて、こしょこしょとくすぐるように撫でて意識を戻そうとする。

 

んひぁあ……っ

 

…………は?

 

その瞬間聞こえてきた声に、鏡花はピシリと固まった。

 

まるでこおりづけになってしまったかのように、ピタリとその動きを止める。

 

が、すぐにそれはぞわりとした寒気に変わり、彼女の体を駆け上がった。

 

「え……? おま……は……? なん……? え………?」

 

わかりやすいほどに顔を青くした鏡花が、口にする言葉に戸惑う中、リンドウはその場にへにゃりと力なくしゃがみ込む。

 

今日に鏡花を落とさないように、ちゃんとバランスを取りながら。

 

しかし、それに感心するほどの思考は今の鏡花には備わっていなかった。

 

「な……ん……っ……!! なんつー声出してんだオマエはぁあぁああぁあぁああ!?

 

できたことはただ一つ、変な声を出したリンドウに対して青ざめた顔で怒鳴ることのみだった。

 

『ああああ!! も、申し訳ございませんキョウカ様ぁあぁああ!! その、わ、わたくしはその……ギャロップの中でも首がかなり弱い個体でして!! キョウカ様の素晴らしさにいろいろと慕っていた時に触られてしまうと、あの、あのようなはしたない声を出してしまうのでございますぅうぅうぅうう!!』

 

鏡花に怒鳴られたリンドウは、涙目で自身の主人に謝罪の言葉を大声で返す。

 

まさかの返答にはぁ!?と大声を出す鏡花に、リンドウは縮こまりながら動きを止めた。

 

『わ、わた、わたくしはかなりはしたないギャロップのなのです!! 貴方様の素晴らしさや美しさ尊さを想像し、思い、恍惚と入り浸ってしまっていると、つ、つい、性的な興奮を起こしてしまうクセがあるのでございます!! わたくし自身もどうかと思うほどの悪癖だというのに、な、治すことができなくて……何度貴方様のことを考えただけで絶頂を経験してしまったことか!! 申し訳ありません!! 申し訳ありません!! わたくしは変態なギャロップなのです……っ』

 

「…………。」

 

もはや唖然とするしかなかった。

 

まさか自分のポケモンの1匹が理解し難い特殊性癖を持ち合わせており、感じやすい体質のポケモンだとは思わなかった。

 

紳士かと思ったら変態紳士とか聞いてない……。

 

『うう……本当に、申し訳ありませ……タマゴから出直してきます!!』

 

「いやいやいやいや待て待て待て待て!! 入水自殺しようとすんじゃねぇ!!」

 

唖然とした表情をしながらリンドウを見つめることしかできなかった鏡花だが、彼が自身の性癖を悔み、恥ずかしい形で主人にそれを知られてしまったことに後悔して近くにあったキバ湖に飛び込もうとする様子に気づいたため、慌ててそれを引き止める。

 

リンドウはわかりやすいくらいに落ち込んでおり、すでに精神のライフが0になってしまっている。

 

「……あー……リンドウ?」

 

重苦しい沈黙の中、鏡花がそれを破るように、リンドウに優しく声をかける。

 

リンドウはビクッと体を震わせ、恐る恐ると言った様子で、鏡花の方へと視線を向けた。

 

そして、すぐに目を丸くする。

 

なぜなら鏡花は、穏やかな笑みを浮かべたまま、自分の姿を見つめていたために。

 

『キョウカ……様……?』

 

予想外の表情をしている自身の主人を見たリンドウは、驚きを隠すことなく彼女の名前を呼ぶ。

 

鏡花は、特に言葉を発することなく、滑らかな手をリンドウの頭に優しく乗せて、そのまま優しく撫で始めた。

 

『あ………っ』

 

その姿にくらりとするような感覚を感じながら、リンドウは鏡花を見つめ続ける。

 

彼の瞳は、目の前にいる1人の女に完全に魅了されていた。

 

「正直、かなりやばい性癖だなって思う。けどな、世の中にゃ特殊性癖を持ち合わせてる奴らはかなりいるんだぜ? オマエのも多分それの一つさ。ドン引きしないと言えばウソにはなるが、オマエを嫌ったりはしない。オマエはオマエなりに自由に生きりゃいいんだよ。変な性癖持っていようが、紳士じゃなくて変態紳士だったりしていようが関係ない。オマエが楽しいならそれでいいし、オマエ自身が嫌なら治せばいい。ただそれだけのことだろ? 治すのが難しいなら治すために手伝うし、無理に治そうとしなくてもいい。好きにしろ。オマエの生きたいようにしろ。だが、これだけは覚えとけ。確かに受け入れ難いこともあるだろうし、何回も引いたりすることもあるかもしれないけど、私はオマエを大切にするよ。まぁ、暴走だけは抑えて欲しいけどね。」

 

そんなリンドウの目を真っ直ぐと見つめながら、鏡花は自分の思いを告げる。

 

それが、彼の崇拝と恋情をさらに燃え上がらせてしまうとは気づかずに。

 

『……は……い………わかり、ました………。』

 

自身の中に宿る想いが強く濃くなっていくのを感じながらも、リンドウは鏡花の言葉に頷いて見せる。

 

もっと自分の全てが彼女に囚われ、溺れていく様子に見て見ぬふりしながらも。

 

そんなことは知らないであろう鏡花は笑顔をリンドウに見せて、よっこらせと言いながら立ち上がる。

 

「さて、この話は終わりだ。リンドウ。背中に乗せろ。日が暮れちまう前に、このでっかいワイルドエリアを走り回ろうぜ。」

 

そして、リンドウに優しく声をかけながら、本来の目的を達成しようと告げる。

 

『っ………はい!! 喜んでご一緒いたします!!』

 

それを聞いたリンドウは、元気よく鏡花に返事を返しながら、再びその背に彼女を乗せた。

 

「トップスピードを経験して見たい気持ちはあるけど、なんかちょい怖いから、とりま加減してくれや。」

 

リンドウの背中に跨った鏡花は、すぐにリンドウに走るスピードのオーダーをする。

 

リンドウはすぐに小さく頷き、地面を強く蹴り上げた。

 

人が少ないワイルドエリアに、蹄の音と嘶きを力強く轟かせながら。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本当の意味での仲間入り

今、脳裏にマホイップだらけのハーレム生活を送っている女主(ただの可愛い物好きでその気はない)と女主を百合の道に引き摺り込もうとしている女主ガチ恋勢マホイップ’sによるガラル地方旅ネタ(擬人化有)という物語と、なつき進化勢(ミミロップ、ルカリオ、エーフィ、ブラッキー、ニンフィア、ロズレイド《スボミー→ロゼリア→ロズレイド進化済み》のロズレイドのみ♀)な擬人化ありのガラル地方orオリジナル地方生活の逆ハー、百合混ざりまくりの物語があるんだけど、どっちが需要あるのか……それともどちらも需要なしかを考えながら書くか書かないかも考えている作者(キツネ)です。
久々の更新!


(最近……キョウちゃんにちっとも近づけない……。)

 

とある日のハロンタウン。

 

そこにある鏡花の自宅にて、マホイップのアキザクラは少しむくれていた。

 

彼女の視線の先には、ゾロアークのファントムと、ミミッキュのホオズキと、この自宅に最初から暮らしていたピカチュウとイーブイの4匹と戯れている鏡花の姿があった。

 

「ファントム。オマエなぁ……いきなり膝に頭を乗せるな!! せめて一言言ってくれ。」

 

『だってキョウチャンに一声かけたらホオズキが絡んでくるんだから仕方ないっしょ。あれ、確実にオレにフェアリータイプ技ぶっこむ気だぜ?』

 

『キミがキョウカちゃんに下心ありありで近くからだ!! 隙さえあれば狙うじゃないか!! キョウカちゃんの貞操をさぁ!!』

 

『そりゃそうでしょ。オレはキョウチャン大好きだし、キョウチャンをメスとして対象にしているし、むしろキョウチャン以外のメスと交わりたくないし。』

 

『だからだよ! だからぼくはキミの邪魔をするんだ! だってキョウカちゃんもらうのボクだから!』

 

『はぁ!? 渡すわけないだろ!! ていうかゴーストタイプが人間と結ばれるとか無理じゃん!!』

 

『そうロト? ロトムは無理だと思わないロト。だって、マスターを同じにしちゃえば一緒に過ごせるロトよ?』

 

『そうだよ。キョウカちゃんも同じにしちゃえばずっとずっとずーーーーーーっと一緒にいられるよ。』

 

『オマエらのが危なくね!?』

 

「おい……そういう会話は本人がいないとこでやれ。ていうか約2匹、さらっと殺害予告してくんじゃねぇ……。」

 

『キョウちゃんは相変わらず大変だねぇ……。』

 

『愛されまくってるからね……。』

 

鏡花の手持ちのポケモンたちは鏡花のことを取り合っている。

 

対する鏡花は呆れの表情を浮かべながら、小さくため息を吐いている。

 

そんな姿も素敵だと一瞬考えるアキザクラだったが、モヤモヤは一向に治らない。

 

その原因をアキザクラは知っていた。

 

それは全て、鏡花の手持ちたちのせいだ。

 

あの日、ファントムが鏡花とともに眠った時から、彼女の手持ちの行動が大きくなり始めた。

 

アキザクラは自分が彼女に構われすぎていたとは思っていたし、自覚もあった。

 

しかし、この現状はどう考えてもおかしいと思っていた。

 

わざわざ自分が構ってもらおうとするタイミングを狙って、鏡花の手持ちたちは邪魔をしてくるのだから。

 

『………。』

 

だけど、アキザクラは邪魔をすることはしなかった。

 

自分は、鏡花の手持ちの1匹で、鏡花はみんなのトレーナーで……。

 

構われすぎたこともあり、自分より先に鏡花と出会っていた彼女のポケモンたちが、自分をよく思っていないと知っていた。

 

(でも……。)

 

“私だってキョウちゃんとお話ししたいのに……。”

 

最近は鏡花に構われるのをひかえていた。

 

周りの彼女のポケモンたちが、あまりにも冷たく睨んできたから。

 

彼女の相棒であるノウゼンなど、殺意を含んだ敵意の目を向けてきた。

 

だから、我慢してはいた。

 

しかし、そろそろ限界だった。

 

好きな人と話せないことに、寂しさと辛さを抱いたのだ。

 

自分が撒いた種かも知れないけれど、ここまで周りから睨まれたり、邪魔をされたりすると、いくらなんでも……。

 

そこまで考えた瞬間、アキザクラの瞳からはボロボロと雫が溢れていた。

 

(あ………っ)

 

慌ててそれを止めようとして、アキザクラは両手で目を覆う。

 

泣いてる姿なんか見られたくない……そう思って自分のボールの中へと戻ろうとする。

 

だが、それより先に、暖かい温もりに包まれた。

 

驚いて顔を上げて見れば、そこには鏡花がおり、眉をハの字に下げていた。

 

「どうしたんだよ、アキ? ひょっとして、具合い悪いのか?」

 

心配そうに言葉をかけてくる鏡花に対して、アキザクラは顔を左右に振る。

 

具合いが悪いわけじゃない。泣いているのはそのせいじゃない。

 

それを必死に伝えるように。

 

その際、突き刺さるような視線を感じる。

 

鏡花の手持ちであるファントム、ホオズキ、ボールの中にいるソルガレオ、ノウゼン、リンドウの視線だ。

 

アキザクラは一瞬また敵意を向けられてしまったのかと錯覚する。

 

だが、冷静になってみれば、その視線は、どこか試すようなものであることに気がついた。

 

彼らが自分に敵意を向けた理由を。

 

自分が鏡花に構われてる際、彼らがどんな気持ちだったのかを。

 

『ごめ……なさい……っ』

 

気がつけばアキザクラは謝罪の言葉を口にしていた。

 

鏡花が驚いたような表情をする。

 

だけど、アキザクラは謝罪の言葉を紡ぎ続けた。

 

自分がどれだけ周りを傷つけてしまっていたのか、辛い思いをさせていたのか、それを全て理解したために。

 

だからこそ、今度はみんなで仲良くするために。

 

自分ばかりに構ってもらっていたら、周りはただひたすらに嫌な思いをするだけであると学んだために。

 

『ずっと……ずっと私だけが独占していたら、みんなは傷ついてしまうよね……今、それがわかったよ……。ごめんなさい……ごめんなさい……っ……辛い思いをさせて、寂しい思いをさせて……っ……この数日で嫌なくらい、きっとあなたたちが抱いていた感情を……っ……私も、知ったから……っ……だから……っ』

 

謝罪の言葉と、自分がこの数日で気づいた気持ちを吐露しながら、アキザクラは泣き続ける。

 

状況が飲み込めていない鏡花は、何があったんだと混乱するばかり。

 

でも、女の子が泣いているからという理由から、その頭を優しく撫でていた。

 

『『『『『………もう、しないでよ。(するなよ……。)』』』』』

 

彼女が泣いている理由を理解していた鏡花の手持ちたちは、呆れを含んだような声音でポツリと呟く。

 

アキザクラはそれに頷きながら、涙を流し続けていた。

 

「ええ……? キミら、なんの話をしてんだ……?」

 

自分が知らないうちに、水面下の問題が解決していることなど知る由もせず、鏡花は困惑の声を漏らす。

 

だが、その質問に答えるものは誰一人ならぬ誰1匹として教えることなく、小さく微笑むだけだった。

 

一部始終を見ていたピカチュウとイーブイは、呆れたような表情をしながらもやれやれと左右に首を振る。

 

 

 

 

……後日。

 

アキザクラたちが仲良く過ごしている姿を首を傾げながら見ていた鏡花がいたことは言うまでもない。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始めよう、キミの物語を

こちらもそろそろ原作に突入しそうです。




ある日の夜。

 

鏡花は自室で、アキザクラ、ファントム、ホオズキの3匹と一つのベッドで眠っていた。

 

『キョウカ。キョウカ。聞こえるているか、キョウカ? 聞こえているならば、少しだけ目を開けてくれないだろうか?』

 

しかし、不意に聞こえてきた声に気付いた鏡花は、ゆっくりと目を覚ます。

 

すると、一面の青空が広がっていた。

 

「うわ!? って、この空見たことあるな、これ。」

 

一瞬、目を丸くした鏡花だったが、すぐに表情を戻して辺りを見渡す。

 

「……アルセウスだろ、ここにいるの。」

 

そして、呟くように、穏やかな声音で、ポケモンの世界に来る前に出会った幻のポケモンの名前を口にする。

 

すると、ふわりと蜃気楼のようなものが揺らめき、そこからアルセウスが姿を現した。

 

「久しぶりだな、アルセウス。どしたよ、急に呼び出して。」

 

アルセウスの姿を見た鏡花は、穏やかな声音でその名を呼ぶ。

 

『ああ。様子見と、これからのことを話そうと思ってな。眠っているところ申し訳ないが、一時的に意識をこちらの領域へと引き寄せたんだ。』

 

アルセウスは、鏡花のこと詫び寄せた理由を口にする。

 

それを聞いた鏡花は、なるほど、と小さく呟いたあと、話を聞く姿勢を見せた。

 

『では、まず……そろそろオマエが向こうに行ってから一年が経とうとしている。ポケモンが暮らす世界での生活に不自由はないか? いや、何、“てんかいのふえ”を一度も吹かなかったからな。オマエの様子を見ることもできなかったゆえ、気になっていたんだ。』

 

それを見たアルセウスは、鏡花にまずは生活に関しての質問を口にした。

 

ポケモンの世界での生活に対して、不自由はないか問いかける。

 

「それは問題なかったよ。ただ、気になることはあった。なんで私はポケモンの言葉が理解できるようになったんだ?」

 

アルセウスの問いかけに、鏡花は不自由はないと返したあと、生活を始めた時から言葉が理解できるようになっている理由はなにか訊ねる。

 

アルセウスは、それを聞いて、小さくああ……と呟いた。

 

『私がその肉体を作ったからだ。かつて、ディアルガとパルキア、そして、ギラティナを作った時のようにな。その影響もあり、オマエはポケモンと話せるようになったのだ。……嫌だっただろうか……?』

 

鏡花が口にした質問に、アルセウスは丁寧に答える。だが、すぐに不安そうな表情をしながら、ポケモンと話せるのは嫌かと問いかける。

 

もし、不満であれば、すぐにでもその力を封じるとでも言いたげだ。

 

「あ、いや、この力に関しては別に不満じゃないよ。最初はびっくりしたけど、ポケモンたちと話せるのはすっげぇ楽しいし、私自身も嬉しいから消さないでいい。」

 

それを聞いた鏡花は、笑顔を見せながら、最初にびっくりしただけで、別に不満はないことや、嬉しいこと、このままでいいことを伝える。

 

アルセウスは小さく安堵の息を吐く。

 

思いもよらぬ副作用により、鏡花がストレスを感じていないかと心配していたらしい。

 

「そういや、この生活に関しての様子見だったな。じゃあ、ちょっとだけ報告。生活は問題ないよ。最近は、画面越しでしか見れなかったホップやユウリ、マサルやダンデとは仲良くしてもらってるし、楽しませてもらってるよ。ありがとうな。この世界に転生させてくれて。まぁ、未だに念願のホプユウは見れてないけど、関係なしに不満はない。」

 

それは杞憂であることを教えるために、鏡花は笑顔を見せながら、ポケモンの世界での生活に対する不満は一つもないことを告げた。

 

それに安心したのか、アルセウスは小さく笑みを浮かべる。

 

そして、一つ咳払いをこぼした。

 

『では、これからのことに関しての説明をする。まず、前、私はオマエをこの世界に転生させた際、オマエを入れたことにより、この世界はパラレルワールドになったと教えただろう? だから、完全なる分岐された世界となっている。だから、オマエが望むように世界を楽しむことも可能だ。例えば、オマエがチャンピオンになる……ということもできる。』

 

咳払いをしたアルセウスは、この世界での生活の仕方を鏡花に告げる。

 

望むのであれば、やってみたいのであれば、鏡花がこの世界でチャンピオンになることもできると。

 

「へぇ……それは目指したいね。ゲームじゃ、ユウリかマサルがチャンピオンになるけど、自分がチャンピオンになれるなら、なりたいと思うのが当然ってもんだ。目一杯楽しんで、打倒ダンデでも目指すかね。」

 

それを聞いた鏡花は、それなら……と自分もチャンピオン目指すと呟く。

 

アルセウスは、いうと思った、とでも言うかのように、小さな笑い声を漏らす。

 

『だが、これだけは覚えておいて欲しい。オマエがチャンピオンになることはできるが、伝説のポケモンたちは、英雄になる素質を持ち合わせている者たちの手にしか収まらないということを。』

 

が、すぐに真剣な眼差しを向け、伝説のポケモンに関してのことを鏡花に告げた。

 

鏡花はそれを聞いてすぐに小さく笑う。

 

「そりゃそうでしょ。チャンピオンという壁を乗り越えることは、実力を身につけていれば十分に行けるけど、伝説のポケモンを手に入れるとなると話は別物だ。伝説のポケモンたちは、だいたい、認めたトレーナーの前にしか現れない。それは、素質を持つもののみに与えられる特権だからな。まぁ、私にはソルガレオがいるし、ザシアン、ザマゼンタ、ムゲンダイナに関しては、ホップたちに任せるよ。いずれ来る災厄の時は、私はトレーナーやポケモンたち、そして、大怪我をするであろうダンデと、元凶となるローズの対応に回すつもりだ。」

 

これから先で自分がやることにしている行動を、アルセウスに伝えた。

 

それを聞いたアルセウスは、そうか……と小さく呟いた。

 

不意に、空にパキンッと言う音が響く。

 

周りを見てみれば、辺りの空にヒビが入っている。

 

「これは……。」

 

『どうやら、目を覚ますようだな。さて、キョウカ。もうじき、本当のオマエの物語が始まる。精一杯楽しんで欲しい。』

 

鏡花がポツリと呟けば、アルセウスは穏やかな声音で目を覚ますだけだと口にした。

 

同時に、青空が崩れていく。鏡花の意識も遠のいていく。

 

「はは……。ああ。楽しませてもらうよ。」

 

それを聞いた鏡花は、小さく笑いながら、意識を手放す。

 

穏やかな目をしたアルセウスに見送られながら。

 

 

 

 

鏡花が、次に目を覚ました時は、自分の手持ちたちとともに眠りに落ちていた自室の天井が視界に入ったのだった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本当の冒険の始まり
始まりはハロンタウンで


原作突入します!


アルセウスと二度目の逢瀬を行った日から一週間。

 

とうとう鏡花は、ポケモンの世界に来て一年を迎えた。

 

相変わらず自分の手持ちたちは、こちらに素直な想いを告げたり、甘えたい時に甘えてきたりと自由な生活を送っている。

 

時には、喧嘩をしたりもするけど、大抵は鏡花という存在に甘えるための順番を決めており、一日ごとに、彼女に甘えるポケモンが変わっている。

 

1匹が鏡花に甘えている時、その邪魔をするべからず。

 

ルールを破りし者には、一週間のお触りと甘え禁止令の制裁を。

 

独自に作り出したルールに基づき、鏡花と過ごすポケモンと、ポケモン同士で過ごすポケモンに別れて毎日を満喫しているのだ。

 

今日、鏡花に甘えているのは、ミミッキュのホオズキ。

 

マホイップのアキザクラも一応出ているが、鏡花に話しかけたりはせず、彼女の肩の上で居眠りをしている。

 

「オマエさぁ……なんで私に布の中にある本体を触らせてるんだ……?」

 

『だって、キョウカちゃんの手は柔らかくて暖かくて、すごくいい匂いがするんだ。だから、少しでもその温もりに触れ合いたくて……ダメだった……?』

 

「いや、ダメじゃないけどよ……。たまに本体チラ見せしようとすんのはやめてくれないか……? それ見たら、下手したら私が死ぬぞ。」

 

死んじゃえばずっとずっとずーーーーっと過ごせて、永遠に一緒になれるのに……。

 

「おいこらホオズキ……オマエ今恐ろしいこと言っただろ。勘弁してくれないか?」

 

いつものようにゴーストタイプの恐怖を味わいながらもホオズキと言葉を交わす鏡花。

 

彼女の指摘を聞いたホオズキは、小さく舌打ちを漏らした。

 

「ロト! 視聴予約していた番組が始まるロト!!」

 

舌打ちするなや……と呆れ顔を見せていた鏡花に、彼女スマホの中に入っていたロトムが声をかける。

 

「お、ようやくか。」

 

それを聞いた鏡花は、ホオズキを優しく抱きしめながら、スマホロトムに目を向ける。

 

画面に映し出されたのはローズで、かつて自分がポケットモンスターソードを始めた時に見ていた言葉を紡いでいた。

 

「昔はこの世界にいる不思議な生き物、ポケモンに関しての説明をしていたのは、そのシリーズごとに登場するポケモン博士だったのになぁ……。剣盾では博士ではなく、リーグを開催する協会のトップがポケモンに関しての説明をするなんて思いもよらなかったぜ……。」

 

ソードを起動した際にしか見ることがなかった説明を右から左へと聞き流しながらもポツリと呟く。

 

《それでは、ガラル地方で最強のポケモントレーナー、チャンピオン・ダンデの戦いを皆さまにお見せしましょう!!》

 

が、すぐに口をつぐんだ。

 

スマホロトムから聞こえてきたローズの一言を耳にしたために。

 

「お、始まる始まる!」

 

地面から花火が打ち上がり、フィールド上に煙が広がる。

 

それにより一瞬視界が悪くなるが、すぐにそれは晴れた。

 

煙が晴れたその場に佇むのは、この一年間でかなり仲良くなった友人であり、この世界の物語に深く関わる一人の男性。

 

相棒のリザードンを筆頭に、強いポケモンを手持ちにしているチャンピオン・ダンデの姿。

 

「おお!! このシーンを生で観ることになるとは!! 画面越しの時もかなり興奮したし、ワクワクしたけど、画面越しの時以上に高揚するな!!」

 

それを観て目を輝かせる鏡花。

 

彼女に甘えていたホオズキと、彼女の肩で居眠りしていたアキザクラは、その姿に軽く嫉妬の視線を向けるが、特に言葉は口にせず、彼女と一緒に画面の中を覗き込んでいた。

 

《ダンデ! エキシビションといえど、オマエの無敗記録、終わらせる!》

 

《どんな試合でも負けないぜ! リザードン、ダイマックスだ!》

 

画面の中で交わされているチャンピオン・ダンデと、そのライバルたるドラゴン使い、キバナの会話。

 

結局、この一年間で、自分がキバナと出会うことはなかったが、いつか必ず出会う竜を鏡花は目を細めて見据える。

 

「確か、キバナが使うラストポケモンは、ジュラルドン……キョダイマックスする個体だったよな……。タイプはドラゴン、はがね……となると、じめんタイプかかくとうタイプなんだよな……。ノウゼンにじしん覚えさせてるし、それで対応すっか……。」

 

どうやら、今から先の未来で行われるであろう、ジムチャレンジ最後の砦、キバナ戦の対策を考えているようだ。

 

「場合によっては、ソルガレオのニトチャで殴るつもりだけど……うーん……あ、キバナのフライゴンにはヤマユリぶつけてやるか。4倍だし。あとは……コータスとかギガイアスがめんどくさいな……ギガイアスにはソルガレオぶつけてやるか……。」

 

あーだこーだと対策を練る鏡花に、ホオズキとアキザクラは顔を見合わせる。

 

なぜ、ドラゴンタイプに対して自分たちをぶつけないのか……と言いたいようだ。

 

『キョウちゃん、キョウちゃん。』

 

『ドラゴンタイプならぼくらをぶつければ済む話じゃないか。なんで他のタイプを出すのさ?』

 

思い切って2匹は鏡花に問いかける。

 

ドラゴンタイプなら対策として自分たちが使えるのに、なぜ使わないのだと。

 

「キバナはドラゴンタイプばかりでまとめてるわけじゃないんだよ。ほのおタイプやいわタイプ、じめんタイプと言ったポケモンも使ってくる。ドラゴンストームと彼は呼ばれてるが、正確には天候を味方につけた勝負運びをしてくるのさ。だから、キミら以外の手持ちもブッ込まなくちゃならない。それに、キバナの相棒であるジュラルドンははがねタイプ持ち……つまり、フェアリータイプがあるキミらには少々不利な戦いになる。まぁ、でも出さないっとまでは言わないさ。アキは特攻が強いからね……マジカルフレイムが要になる可能性がある。ホオズキも、ヌメルゴン相手に活躍してもらうと思うよ。」

 

鏡花はすぐに自分自身が考えている内容を2匹に話す。

 

ホオズキとアキザクラは、ふむふむ……と小さく頷きながら、納得した様子を見せていた。

 

「ま、そう言うわけだから、みんなにはジムチャレンジ中、どんどん活躍してもらうよ。楽しみだな、いずれダンデに挑めると思うと。まぁ、そこに行くまでかなり障害はありそうだけどな。」

 

そんな2匹を見ながら、鏡花が笑顔を見せれば、2匹ともその場でぴょんぴょんはねる。

 

机の上にある他の手持ちのボールもカタカタと揺れた。

 

気合いはどうやら十分のようだ。

 

それを微笑ましく見つめながら、鏡花はホオズキとアキザクラの頭を優しく撫でた。

 

そんな中、ピンポーンというチャイムの音が鳴り響く。

 

スマホロトムを収めながら、玄関の方へと出てみれば、大きなバッグを背中に背負う双子組と、チャンピオンの弟であるホップがそこにはいた。

 

「おー。ユウリにホップにマサルじゃん。どったよ3人そろってさ。」

 

来訪者を確認するなり声をかける。

 

すると、3人はにぱっと笑顔を見せて

 

「今日さ、オレたちアニキからポケモンをもらうんだ!! だから、よかったらキョウカも来ないかなって思って呼びにきたんだぞ!」

 

「私はキョウカお姉ちゃんとお出かけしたいから呼びにきたの!」

 

「僕もユウリと同じで、キョウカ姉さんと出かけたいから呼びにきたんだ!」

 

それぞれ何のためにやってきたのかを口にした。

 

「はは。お出かけのお誘いとは嬉しいねぇ。オーケイ、ちょっと待ってな。すぐに準備して来るからさ。」

 

それを聞いた鏡花はニカッと歯を見せながら笑い、3人の頭を優しく撫でてから自室に戻る。

 

そこでささっと服を着替え、手持ちポケモンたちが入っているモンスターボールだけを腰に下げて、3人の元に戻った。

 

「ま、私は手持ち埋まってるからな。ポケモンたちだけ連れて行くよ。んじゃ、どこに行くんだ?」

 

準備を済ませて戻った鏡花は、小さく笑いながら、どこに行くのかを問う。

 

本当は知っているのだが、物語の筋書きをばらすわけにはいかないため、あえて知らないフリをして行き先を問いかける。

 

「オレの家だぞ! アニキが帰って来るんだ!」

 

それを聞いたホップが笑顔で質問に答える。

 

「そっか。じゃあホップの家に出発だな。」

 

まぁ、知ってたし、まだ帰ってないのも知ってるけど……という言葉を飲み込みながらも、出発しようと告げる。

 

「「「おー!!」」」

 

3人組は笑顔で拳を高々と空に突き上げては、元気よく返事を返す。

 

気持ちがほっこりするのを感じながら、鏡花はモンスターボールに戻らなかったホオズキとアキザクラを抱き直して、自宅の玄関から離れた。

 

「よし! それじゃあオレの家まで競争だぞ! でかいバッグで着いてこれるか!?」

 

「「当然だよ!!」」

 

「私はのんびり行くよ。転ぶなよ、オタクら。」

 

「「「転ばない!!」」」

 

いつの日かやった会話をする。

 

同時に、ユウリ、ホップ、マサルの3人は一気に走り出した。

 

その背を見ながら、鏡花はゆっくりとした足取りでホップの自宅の方角へと歩いて行く。

 

ようやく物語が動いた……そう思いながら。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。