もし絹旗最愛がヒロアカ世界に転移したら (まとろう)
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1話

どちらも原作が手元になく、適当な展開になると思います。


絹旗最愛は、所謂異世界転移というものをした。

きっかけは何なのか。誰かが意図的に起こしたものなのか。だとすれば目的は。何もわからないまま突然、彼女は見知らぬ世界ヘ投げ入れられた。

 

* * *

 

「なぁそこの嬢ちゃん、ちょっと金貸しーーぐぼぁ!!」

 

「テメェ兄貴に何やってーーぶぐぅ!」

 

ーー今日で転移からちょうど1ヶ月。未だに定住できるところも見つからず、路地裏生活。そんな少女、絹旗最愛は今日『も』寄ってくる不良から金を巻き上げ、ため息をついた。

 

「はぁ…この生活も、もう超厳しそうですね」

 

実はこの一ヶ月間、風呂に入っていない。収入源は不良の財布だけなので、食を安定させるだけで精一杯なのだ。暗部にどっぷり浸かっていた絹旗だが、流石に堪えるものがある。

 

(つーか、暗部生活でも定住地も風呂も超ありましたけどね)

 

彼女が何故こんな生活をしているかというと、話は一ヶ月前に遡る。

 

* * *

 

「…はぁ?」

 

つい、素っ頓狂な声を上げてしまう。急に映画館から街に景色が変わったので仕方ないと思う。

 

(超どういうことですか…。さっきまで超C級映画を見ていた筈…。学園都市がまた変なのを開発したとかですかね?)

 

そんなことを思案しながら街を歩いているが、どうもおかしい。動物と人が合体した、それこそC級映画にでも出てきそうな輩が、さも当たり前かという風に歩いているのだ。それに、電気屋に設置されているTVに流れているニュースでは未来の日にちを伝えている。これではまるでーーーーーーーー

 

(異世界転移…?超C級映画のジャンルの一つとして知ってはいますが…。学園都市はついにそんなことにまで手を出したのでしょうか)

 

とはいえ、これが学園都市の仕業なら、あちらから何かしらの接触があるはずだ。何も言わずに巻き込まれたことには不満しかないので、後で文句を言ってやろう。そう考え、絹旗はそこら辺の公園でくつろぐことにした。ーーーーのだが。

何も来ない。かれこれ数時間は待ったはずだが全く何も来ない。携帯は圏外なのでこちらから接触することもできず公園でただ待つのみ。何か食べようとコンビニに行ったときに、お金が使えることは確認している。が、映画を見て帰るだけの予定だったのでそんなに大金は持っていない。持って数日。身分証明書もこの世界では使えないだろう。つまり、打つ手なしである。

 

(超寒いです…とりあえず路地裏にでも行きましょうか…)

 

* * *

 

ということである。ちなみに、一ヶ月間学園都市からの接触はなかったので、これは学園都市の仕業ではないと判断した。

 

(何もかも超面倒になってきました…このまま死ねば元の世界に戻ったりしませんかね)

 

と、思考をネガティブにしていると、

 

「おい」

 

声がかかってきた。

 

「何ですか…超眠たいんですけど…」

 

他の不良と違って襲ってこないのでとりあえず話を聞くことにする。

 

「お前がここらへんで暴れてるっていう奴か」

 

「そんな噂になってるんですか…警察にでも寄越すつもりですか?私は超そんなつもりはありませんよ」

 

「違う。お前のその強さを見込んで話があるんだ」

 

「雇ってくれでもするんですか?それだと超ありがたいんですが」

 

「雇う訳じゃないが…。俺の『敵連合』に入って欲しい」

 

「はぁ…私は今、見ての通り一文なしで生活に超困っていまして。雇ってくれる訳じゃないならその話には乗れませんかね」

 

「チッ…。黒霧、ハズレだ。他の所へ行くぞ」

 

「待ってください死柄木弔。彼女は立派な戦力となってくれる筈です。ここは雇うという形でよろしいのでは…」

 

何やら話し込んでいるようだ。いい話になれば良いが…。

 

「…分かった。お前の判断を信じるぞ、黒霧」

 

話を終えたらしく、また私に話しかけてくる。

 

「良いだろう。雇ってやる。その代わり、しっかり働け」

 

「えぇ、給料分は超働きますよ」

 

思わぬところに良い話が舞い込んで来た。ヴィランという言葉から汚れ仕事の匂いがするが元の世界で暗部をやっていたし、どうでもいい。

 

「よろしく頼む。」

 

「えぇ。…そういえば、まだ名前を行ってませんでしたね。私は絹旗最愛。よろしくお願いします。そっちは?」

 

「…俺は死柄木弔。こっちは黒霧だ」

 

そういうと、黒霧と呼ばれた影?は丁寧にお辞儀をしてきた。

 

「どうも。よろしくお願いしますね、絹旗最愛」

 

異世界転移から一ヶ月、紆余曲折あったものの、こうして絹旗最愛の『敵』としての生活が始まった。




次いつ投稿するか分かりません。


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2話

書いてて思ったんですが、『敵連合』って言葉はいつから使われたんですかね。今本文で書いてる『敵連合』はUSJ襲撃事件の時の奴らのことを想定していますが…。


死柄木に雇われ、早速『敵』生活一日目ーーーの、はずだったのだが。

 

「今はやることは無い。その時が来るまで待ってろ」

 

仕事は無いらしい。

 

「あの、私超お金無いって言いましたよね?何かしらの仕事が欲しいのですが」

 

「…面倒くさいな。黒霧、金渡してやれ」

 

そう命令されると、影の男は金が入っているらしい封筒を渡そうとしてきた。

 

「いや、ただで貰うのは流石に…」

 

「あ?不良から金巻き上げてたんだろ。今更良心が何やらとか吐かすつもりか」

 

「そういうんじゃなくて…雇われたからには仕事するってのが超ポリシーっていうか。それに、ただ金を受け取るだけの駒なんて、いつ切られるか分かったものではありませんし」

 

「チッ…つくづく面倒くせぇな。…ならお前には『仲間集め』でもしてもらおうか」

 

「『仲間集め』…。超言葉通りの意味ですかね?」

 

「あぁ…。駒は幾つあっても良いだろう。そこら辺で猿山の大将やってるチンピラでも拾ってこい。」

 

「えぇ、分かりました。ではこれが敵としての超初仕事ということで」

 

「しつこい。早く行け。……間違っても、勝手に『雇って』来るんじゃないぞ」

 

念を押される。信用されていないのだろうか。いや当たり前か。

 

「えぇ、えぇ、超分かりましたよ」

 

これでやっと、まともな生活を送ることができる。そう考えると、自然に笑みがこぼれた。

 

* * *

 

『敵』生活2日目ーーーーーー

そこら辺の路地裏。

 

ーー何かムキムキの不良っぽい奴を見つけた。あれでいいか。

 

「あの」

 

「あ?何だテメェ」

 

「超早速ですが…私達『敵連合』に参加してほしいんです」

 

「…んなもん聞いたことねぇなぁ?それによぉ、俺はこの辺を牛耳るトップだぜ。もう少し口の聞き方ってのがあるんじゃァねぇか?」

 

…ハズレだったようだ。だが、誰も仲間に引き入れることができなければ、給料はもらえないだろうし、引き下がる訳にはいかない。

 

「じゃあ、超交渉しませんか。私と貴方で超マジの殴り合いをして、勝った方の言うことを聞くってことで」

 

「…へぇ。いいじゃぁねえか。舐められた仕返し、たっぷりしてやる」

 

…かかった。こういうプライドの高そうな奴は、喧嘩でもふっかけるのが一番早い。

 

「…ヨーイ、………スタート」

 

「オラァッ!!!!!!!」

 

開始の合図と同時に、というか、フライング気味に突っ込んで来た。そして容赦無く、筋骨隆々の腕を振りかぶってくる。が。

 

ガンッッ!!!!!!!!!

 

「なっ!?」

 

その腕は、絹旗の身体から『数ミリ』浮いた所で、止まっていた。

 

「こっちには、超調子に乗る理由が、あるんですよっ!!!」

 

ドンッッ!!!!!!!!

 

空中で呆けている腕を掴み、すぐ横のコンクリートの壁に叩きつける。

 

これこそが絹旗最愛の能力。窒素装甲(オフェンスアーマー)。自身の身体から数ミリの空間に、窒素の壁を作り出す。またそれを介することで、擬似的に怪力を振るうことができる。この能力を使用している間、彼女に敵などほとんどいない。

 

「がっ…ぐぅ…」

 

手加減はしたつもりだが、少々やりすぎたか…?

 

「わ、分かった…。俺の負けだ…。言うことを聞く…。」

 

…会話はできるようだ。良かった良かった。

 

「超潔い様で良かったです。それでは、これから貴方は私達『敵連合』に参加するということで、よろしくお願いしますね」

 

初仕事は上手くいった。一人につき幾ら貰えるかは分からないが、これを続けるだけなら楽そうだ。

 

 

* * *

 

『敵』生活1?日目ーーーーーー

死柄木に提供された絹旗の隠れ家にて。

 

「そういえば、こうやって『仲間集め』を超繰り返してますけど、一体何をするつもりなんですか?」

 

「あぁ…言ってなかったか。黒霧」

 

「…それでは私から。私達は『雄英』を襲撃する予定です」

 

「…何処ですか?それ」

 

絹旗としては素朴な疑問を口にしただけなのだが、黒霧はたいそう驚かされたらしい。目をぱちくりとさせている。(本当にそこが目なのかは判断できないが)

 

「貴女…薄々感じていましたが、やはり相当の世間知らずの様ですね」

 

「前々から言ってるでしょう。私は超記憶喪失。常識を期待しないで下さい」

 

もちろん記憶喪失などしてはいないのだが、信じてもらえるか分からない話を長々とするつもりは無いので、この設定でしばらくは通すつもりだ。

 

「…死柄木弔の目的は、一度このヒーロー社会を壊すこと。これは聞きましたね」

 

「えぇ。まぁ私は給料が貰えれば何でもいいんですが」

 

「雄英はヒーロー育成の高等学校でして。実はそこに、No.1のヒーロー、オールマイトが教師として所属しているとの情報が入ったのです」

 

話が何となく見えてきた。

 

「つまり、そこのNo.1を潰して、社会を混乱に陥れる…と」

 

「簡単に言うと、そういうことです」

 

「ですが…そんな超簡単に行くんですか?No.1ヒーローというくらいですし、チンピラが幾ら塊になっても…」

 

「あぁ。だから、先生に用意してもらった『脳無』を使う。孤立させた所にあの化け物を投入すれば、流石にアイツも死ぬ」

 

先生。死柄木から何度か聞いたことがある。詳細は教えてくれないのだが、何やら色々とバックアップしてもらっているらしい。

 

「孤立って、どうやって」

 

「もうすぐ、雄英の一年A組が災害訓練をするらしくてな。校外学習ってやつだ。そこを襲撃する。他にもプロヒーローがいるらしいが、幸い戦闘能力が高いタイプじゃないようだ」

 

「雄英の生徒はどうするんです?超人質にでも?」

 

「黒霧の個性を使って分断する。数が集まれば厄介だろうが、数人程度ならただのガキだ」

 

…おかしい。作戦は緻密に練っているのに、その割には慢心が激ある。『敵』としてはまだ未熟…な気がする。とはいえ、自分は雇われの身。口出しすることはできない。

 

「その作戦に、私は組み込まれているということですよね」

 

「えぇ、その為に雇ったのですから。ですよね、死柄木弔」

 

と、沈黙を守っていた黒霧が話に入ってくる。

 

「…あぁ。だが…」

 

「ん…?超歯切れが悪いですが、どうかしましたか?」

 

「お前は…貴重な戦力だ。余り…無理をするなよ」

 

「え…?」

 

よく分からないことを言うと、死柄木と黒霧は出ていってしまった。

 

* * *

 

「…どういうことですか死柄木弔。絹旗最愛はこの作戦の為に雇ったはずですが…」

 

「…あいつの個性は強力だ。これから拡大する『敵連合』の幹部にでもしようかとな」

 

「確かに絹旗最愛の戦闘能力は抜きん出ていますが…余りご贔屓なされないように」

 

「…そういうんじゃない」

 

…死柄木弔の様子がおかしい。情が移ったのか…。今の所、問題は無いが…観察が必要だろう。

 

* * *

 

『敵』生活2?日目ーーーーーー作戦当日。

死柄木弔の隠れ家にて。

 

「…よく集まってくれた。今日のお前らの行動次第で、この社会が根本から変わる。お前らを日陰者にした社会に報復するチャンスが今だ。しっかり働けよ」

 

「「「「「オオオオォォォォォォォ!!!!!」」」」」

 

『敵』としては未熟だと思っていたが…カリスマはそこそこあるらしい。絹旗は死柄木への評価を少し上げた。

 

「さて…私はどうすれば良いんですか?死柄木」

 

「お前は…適当に暴れておけ。だが…無茶をするなよ」

 

「…よく分かりませんが…まぁ、超ほどほどに暴れますよ」

 

「あぁ…。黒霧、そろそろやるぞ」

 

「はい。皆さん、しっかり気を保っておいて下さいね。ワープで目を回さないように」

 

久々の暴れる仕事。感覚が鈍っていないか不安ではあるが…。

 

(まぁ、ほどほどに。命令は超しっかりこなしましょう)

 

視界が広がった黒霧の体に覆い尽くされたと思ったら、一瞬の内に視界が開けた。ワープは成功。

 

(さぁ、仕事を始めましょう)

 

 

 

ーーーーーーUSJ襲撃事件が、始まる。




2日連続投稿。書ける内に書いてますが、次はいつになることやら。何か盛り上がらないし。5000文字とか書けませんよ。


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3話

描写がすごく簡素になってしまったような…。
とにかく、USJ襲撃編です。


〜火災ゾーンにて〜

 

(ここは…火災ゾーンでしたっけ。周りに誰もいないのは何故でしょうか…。うっ、超気持ち悪いです…)

 

ワープが成功したのか失敗したのか。なんか気分は悪いし、一人だけ変な所に飛ばされたようだ…。

 

(黒霧…後で超ぶっ飛ばしてやりましょう)

 

それは置いておいて、セントラル広場の方は上手くやっているだろうか。すぐに生徒を飛ばしてくる手筈だが。

 

(…戦闘音が聞こえてきましたね。とりあえず、第一段階は超成功と)

 

音を頼りに歩いて行くと、そこには集めた『敵連合』の一部と、尻尾?を持つ子供がいた。戦闘中の様だが…あれは少しまずいかもしれない。

 

(子供一人に超ボコボコじゃないですか…。もう少し頑張って下さいよ)

 

そうこうしている内に終わったらしい。まだ気分は良くないが…。

 

(始めますか…仕事)

 

* * *

 

火災ゾーン。火の海の中で、尾白猿夫は一人戦っていた。

 

「はぁ…はぁ…。皆は無事かな…。葉隠さん、上手く隠れてるといいけど…」

 

どうやら『敵』は自分たちを各個撃破していくつもりらしい。轟が言っていたように、彼らはバカだがアホじゃないようだ。

 

(僕が一人になってることを考えると…皆も一人である可能性が高い。対人経験が少ない人もいるだろうし、早くここから…)

 

その時。横に、何か。

 

(敵ッ!?まだいたか!)

 

即座に戦闘態勢に入る。が。

 

「…どうも。超道に迷ったんですけど…ここ、何処ですかね?」

 

…は?

 

(女の子?それに、俺より年下か…?もしかして、人質でも取っていたっていうのか!?)

 

逃げ出してきたのか。だとしたら保護しなければ。

 

ーーそう考えて近づいたのは間違いだった。

 

「キミ、ちょっとこっちにっ…!?」

 

一瞬で、懐に。

 

(しまった…!敵…!)

 

もう遅い。これは確実に…。

 

ガァァァァァン!

 

ーー轟音が響き渡った。

 

* * *

 

不意打ちは成功。殴った勢いそのまま、瓦礫に突っ込ませた。…のだが。

 

「超上手く流されましたね…。やっぱり貴方、何か格闘技でもやってます?」

 

「…流したつもりだけど…流石に勢いがね。おかげでこの有様だよ…」

 

意識を奪うまで行かなかったらしい。姿が見えないが、かなり余裕があるようだ。

 

(床に叩きつけて意識を奪うべきでしたか…。これではどこにいるか分かったものでは…)

 

「っ!!」

 

「一瞬で、決める!!」

 

上からの声。瓦礫を登ってきたらしい。だが。

 

ガンッッッッ!

 

「なっ!?」

 

「声出してりゃ、超分かるに決まってんでしょうがっ!」

 

回避は不要。窒素の壁で正面から衝撃を受け止める。そのまま尻尾を掴もうとしたが、

 

「っ!…オォォォォォッ!!」

 

(読まれたっ!)

 

思考を読まれ、距離を取られてしまった。

 

「はぁ…はぁ…。…君の個性、だいたい分かったよ。バリアでも、貼ってるんじゃないか?」

 

「まさか。たった2回の撃ち合いで、気づいた訳ですか?別に、超隠すつもりではありませんでしたけど…。」

 

たった2回。されど2回。『尻尾』というアドバンテージの少ない個性で最高峰の雄英に合格した実力は伊達ではなく、その努力は図りしれない。純粋な近接格闘戦において、1ーAで右に出る者はいない程。そんな彼に、2回も考えるヒントを与えてしまったのは、絹旗の大きなミス。

 

「俺の個性はとっくにバレてる。けど今、これで俺たちは同じ立場になったはずだ」

 

では、彼女はこのままいけば負けてしまうのか。ーーーー否。

 

「…『そんなこと』がバレた所で、超どうにかなると思ってるんですか?」

 

ーーそう。能力が悟られたと言って、彼女が負けることなど、あり得ない。

 

だって、彼女と尾白の間には、確実な能力差がある。

 

だって、彼女は尾白より多くの修羅場をくぐって来た。

 

だから。

 

(こんなガキ一人、超ひねり潰してやります!!)

 

物理的な距離など関係無い。足に力を込め、めいいっぱい踏み抜いていけば、すぐそこに。

 

(速いっ!!間に合わなーーー)

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ゴンッッッッッッッッ!

 

鈍い音が響き、決着が着いた。

 

* * *

 

「はぁ…はぁ…。何、超手間取ってんですか、私…。」

 

傷一つ付けられることなど無く、絹旗は勝利した。が。

 

(感覚が超鈍って…。いや、そもそも、自分だけの現実《パーソナルリアリティ》が弱まってます。確実、に…。)

 

このままでは不味い。能力訓練でもするべきなのだろうかと絹旗は憂鬱になった。

 

* * *

 

〜土砂ゾーンにて〜

 

(何とか火災ゾーンから抜けて…超適当に歩いて来ましたが…)

 

絹旗の視線の先には、敵連中と一人の少年。そして、氷。氷。氷。

 

(あの生徒が一人で…超えげつないですね…)

 

だが、これは仕事。やるべきことはきっちりこなさなければならない。

 

(はぁ…)

 

心の中でため息をつき、二度目の憂鬱な気分を味わう。

 

* * *

 

「子ども一人になさけねぇな。しっかりしろよ。大人だろ?」

 

個性『半冷半燃』を持つ少年轟焦凍は、土砂ゾーンにて、自身の個性で敵を圧倒し蔑んでいた。

 

(オールマイトを殺す…初見じゃ精鋭を揃え、数で圧倒するのかと思ったが…。フタを開けてみりゃ生徒用のコマ…チンピラの寄せ集めじゃねぇか)

 

それでは自分は何をすべきか。そう考えていて。

ーーー気づかなかった。誰かが近づいていることに。

 

「えぇ、本当に。もう少し超マシなのを誘えば良かったです。誰も仕事してくれません」

 

「っ!!」

 

「情けない限り。幾ら強い子ども相手とはいえ、複数人で勝てないなんて、超大人失格ですよねぇ。おかげで、最終的に私一人で尻尾の人と戦う羽目になって。まぁ、時間は余り掛かりませんでしたが…」

 

ガキガキガキガキガキン!!

 

瞬間、絹旗の声を遮り、巨大な氷が彼女を襲った。

 

「悪いな。先手必勝だ」

 

轟はニヤリと笑って言った。

 

* * *

 

(尻尾…尾白のことを言っているらしいな。あいつが個性使ってるところまともに見てないが、雄英生相手に一人で勝つ時点でそこらの敵とは違う。誘うっつー発言からして、幹部級かそれに近しい奴だろ。なら、正面からぶつかるより先に勝負を決める)

 

そう判断した結果の行動。状況を鑑みて、最適解であったのは間違いない。

ーーーだが。

ーーーーこの程度の障害で、絹旗最愛は止まらない。

 

ガキンッ!

 

(…おい)

 

ガキンガキンッ!

 

まさか。

 

ガキンガキンガキンッ!

 

(まさか!!)

 

ガキンッッッッッッ!

 

「…人の話は最後まで聞けって習わなかったかァ、クソガキィ!」

 

(嘘だろ…。結構出力高めだったぞ…!)

 

「オレはさっきまでイライラしてたンだがよォ、今のテメェのナメた行動のせいで、それが爆発しちまったンだよなァ!!!」

 

轟の前に、大きな壁が立ち塞がる。

 




何とか土曜日中に書けた…。明日も投稿できるならしたいですね。
今回の話を書くにあたって、ヒロアカの原作を買うことにしました。最初は3巻だけだったのですが、読み始めにUSJ襲撃編が2巻からということに気づいて、雨の中2巻、ついでに1巻を買うことに。思わぬ出費…。


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