GATE 不屈の艦 彼の地にて斯く戦えり (aroma moko)
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遭遇

コダ村難民 車列後方

メリザ一家

 

既に馬車を失った彼女達一家は、もう何時間も乾燥し、太陽の照りつける

大地を歩き続けている。夫も私も喉の渇きが限界に達している上に

優先して飲ませていた子供達の飲み水も既に底を尽きた、脚ももう限界を迎え始めている。

 

 

(あぁ…せめて息子だけでも緑の人達に…)

 

緑の人…突然村に現れ炎龍の襲来を教えてくれた上、私達村の住民を見捨てる事なく何故か共に移動してくれる謎の人達。

 

道中馬車が泥にハマった時など後ろから押して手助けし、感謝の言葉も受け取らずに他の所に助けに行くお人好しの集団だ。

 

もしかしたら息子の事も助けてくれるかもしれない。そんな事を地面を見ながら考えていた。

 

ふと照りつける太陽の暑さが消えたと思い後ろを振り返ると。

巨大な龍が空を舞っていた。

 

まるで今まで仕留めた獲物の血で全身を染めた様な赤い鱗に覆われ、その目は足元に居る私達の事を殺意の篭った目でこちらを見ていた。

 

(あれが炎龍…ッ!)

炎龍の事を認識した途端、私は子供達を抱えて走り出していた。一瞬の後に私達が居た所を火炎が包んだ。反応があと少し遅れていたら巻き込まれていただろう。

 

そして、次々と私達の周りの車列に襲いかかる炎龍に背を向けて、あたし達は夢中になって走った息子を抱き抱え、必死に走った。背後から聞こえてくる悲鳴や怒号は無視して走り続けた。

 

自分達の側を誰かの馬車が猛スピードで走り抜けていくが、ガタがきていたのか、馬の全力疾走に耐えきれずに馬車が分解し人や家財があたり一面にちらばる。介抱してやりたいけど、今はそれどころではない。

 

 

奇跡的にまだ生き続けている。炎龍と遭遇してから30分?15分?それともまだ1分と経っていないのだろうか?時間の間隔が無くなるほど全力で走ったせいだろうか。地面の砂に足を取られて転けてしまった。

 

 

「もうダメ…足が」

 

動こうにも足は震えるばかり。

 

夫も息子も必死に腕を引っ張って連れて行こうとしてくれている。だけど、もう動かない。もたついている私達を見つけた炎龍の恐ろしい唸り声が聞こえその方向を見ると炎龍と目があった。口には炎が渦巻いており、私達を焼き殺すつもりなんだと一目でわかった。

 

 

あぁ、終わりだ…と思った瞬間、炎龍の顔や身体中に火花が散り、炎龍が顔を背けた。

 

(一体何が…!?)

 

そう思い辺りを見渡すと緑の人達が乗っている乗り物と知らない乗り物が凄いスピードでこちらに近寄ってきていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第3偵察隊 伊丹耀司二等陸尉

 

「総員射撃開始!民間人が多数いる、誤射に注意ッ!」

 

俺が全員に射撃を命じたと同時に聞きなれない射撃音とエンジン音が聞こえてきた。64でもMINIMIでも12.7ミリでもない射撃音だった。

 

 

1つは発射速度が速い機関銃。もう一つは3点射の銃声だった。

 

 

(増援?…この辺りに展開してたのは俺たちだけだったと思ったけど…)

 

炎龍から狙いを外さないまま辺りを軽く見ると、俺たち第3偵察隊の車列の左側に見た事も無い車が走っていた

 

 

「ええ!!誰ですかアイツら!?」

 

口には出さなかったが倉田の驚愕は俺の驚愕でもあった。

 

流線型の車体にはデカイ銃座が搭載されていてそこに全身緑のスーツを着た兵士が3人、炎龍に対して射撃していたのだから。

 

『隊長!12.7mmが貫徹しません!』

 

「…あぁ!くそ!!良いから撃ち続けろ!コッチに気をひけたらそれで良いんだ!」

 

一先ず謎の兵士達の事は置いておく事にした。多分だが)敵ではないし、今は避難民を逃す時間稼ぎが必要だからだ。

 

 

「伊丹隊長ォ!全然効いてないっスよ!!」

 

12.7ミリの弾丸は無情にも炎龍の鱗に火花や傷をつけるばかりでやはり貫通まではしていないようだ。俺達も射撃を続けているが、どう見たって効いてない。

 

 

だが、無駄って訳じゃない

「構うな!撃ち続けろッ!奴の狙いを避難民から俺たちに変えさせるんだ!」

 

実際、奴は避難民の車列じゃなく俺たちの車両を狙って攻撃してくる。

 

「これでいい!」

 

避難民が少しでも遠く離れられる様に撹乱すれば俺たちの勝利なのだから。

 

思惑が上手くいってニヤリと笑った時、炎龍と目があったような気がした。

 

そして、炎龍の口元に集まる炎を見て何が来るかを理解した

 

「ブレス来るぞ!回避ッ!!」

そう叫び、俺たちの車列がハンドルを切り、曲がった瞬間。

 

 

俺達の車列が居た場所が炎に包まれた。

 

 

(あっぶねぇ…あんなのに巻き込まれたらひとたまりもないぞ…)

 

焼死なんてゴメンだと思いながらブレスの跡を見ていた時、炎の中から先程の謎の兵士達の乗っていた乗り物が火達磨になって飛び出てきた。

 

「巻き込まれたのか!?」

火達磨になっていてもスピードは緩んでおらず、荒地に煽られ横転し土煙が舞う。

 

どこの誰かは知らないが民間人を逃す為に戦った事には違いない兵士達が火達磨になり犠牲となった。

 

「くそッ!」

 

せめてどういった組織の者かは聞いておきたかったと思いながら炎龍の方を見ようとすると。

 

火達磨になって死んでいる筈の兵士達が土煙の中から飛び出して炎龍に向かって走っていったのを確認した。その手に長い筒状の物を携えて。

 

「は?生きて…え?」

 

 

俺はもういっぱいいっぱいだったが、背後から聞こえてくる叫び声には気がついた。炎龍に襲われた村から救助したエルフが自分の目を指差しながら何かを言っている。

 

その瞬間、何処を狙えばいいのか分かった。

 

「総員ッ!目を狙えッ!!」

 

言い切るのが早いか射撃が早いかの差で小隊全員の射撃が炎龍の頭部に集中した。

 

炎龍も生物、流石に目ん玉も鱗並みに硬いなんて事はない筈だ。案の定、顔に対する射撃に嫌がる素振りを見せ動きを止めた。

 

(ここしかない!)

 

「勝本!!パンツァーファウスト!」

LAVの射手である勝元陸曹が車内からLAMを取り出し構える、そして引き金を…引く前に後方の安全確認をした。

 

(((バカ!とっとと撃てッ!!)))

 

この時ばかりは第3偵察隊の気持ちは

一丸となった筈だ。走行しながらの射撃に後方の安全もクソもない…が染み付いた習慣故にしょうがない。

 

そしてようやくLAMの射撃体制が整い、引き金を引いた時と同じ瞬間、全力疾走しながらあの兵士達も手に持つ筒状の武器…ロケットランチャーを発射していた。計4発のロケット弾が炎龍に向かって飛んでいく。

 

しかし勝本の発射したロケット弾は地面の起伏によって車体が揺れた事と、

行進間射撃という無茶な芸当のせいで大きく狙いを外してしまった。

 

(ありゃあ…外れるなこりゃ)

 

しかし、勝本以外の3本のロケット弾は頭部、胴体部、脚部の命中コースだった。ロケットが炎龍の身体に当たる瞬間、炎龍の身体が凄い力で揺らされた。

見ると、地面に巨大なハルバードが突き刺さっていた。

 

その揺れのせいで、炎龍は体勢を崩した上、本来は外れる筈だった勝元のロケット弾が左腕に着弾し、本来は全弾着弾する筈だった兵士達のロケット弾は1発のみが翼に当たった。

 

二発のロケット弾を食らった炎龍は痛みからか、もしくは怒りからか激しい

咆哮と共にどこかに飛び去っていった。

 

 

訪れたのは生き残ったという充実感、助けられなかった者が居た事に対する無力感、そして…

 

自分達の目の前にいる兵士達への疑問だった。

 

 

「富田、栗林両名は俺と来い。後のメンバーは

おやっさん、お願いします」

「…わかりました、お気をつけて」

 

おやっさん達から離れてあの3人の元に歩いていく、無論銃は保持したまま。

 

…共に炎龍と戦った仲ではあるが、所属不明の謎の武装勢力なのだ。疑いたくはないが…

 

近づいていくにつれて、向こうもこちらに気が付いたようで近寄ってくる。そして近づけば近づく程威圧される。

 

(デッカ…!?)

 

自分達の頭3つ分はデカイ。身長は優に2メートルを超えているだろう。自然と見上げる形になる。全身を緑のアーマーで覆い、ヘルメットの金色のバイザーが威圧感を増している原因だろう。

 

「あー、自分は陸上自衛隊第3偵察隊隊長、

伊丹耀司二等陸尉です、そちらの官姓名は?」

 

こちらの言葉に少し驚いた感じに顔を動かし、彼等は『日本語』で名乗った。

 

「UNSC海軍 スピリットオブファイア所属、レッドチームリーダーのジェローム092だ」

 

 

UNSC?

スピリットオブファイア?

 





国連宇宙司令部(United Nations Space Command)の略称。
『HALO』の世界における人類側の主要な政府機関であり、様々な下部組織を持ち、人類の軍事・政治の全てを統括している。



ジェローム092

ジェロームは2511年に生まれ、彼の遺伝子構造に海軍情報局とハルゼイ博士は目をつけた2517年にSPARTAN-Ⅱ計画に適した候補者に選ばれた後、拉致され、リーチに送られた。そこで特殊な訓練を受ける。2525年、彼とその他の候補者は肉体的・精神的能力を増強する改造 を受ける。この改造によってジェロームは、死ぬことも身体障害が残ることもなく、生き残った。

訓練の中で、彼は候補者の中でもトップクラスであった。 ハルゼイ博士とメンデス曹長は、彼をSpartan-IIグループの新たなリーダーに選んだ。これはカート-051 、フレデリック-104 、ジョン-117 も同様に選ばれている。

ジェロームのリーダーシップは早くから見出されており、後にスパルタンの中でも最も早くレッドチーム のリーダーになっている。


最後までお読みいただきありがとうございます。
次回はUNSCサイドから始まります。

ではお楽しみに


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遭遇 UNSCサイド

 

炎龍がコダ村避難民を襲撃する少し前…

 

 

 

UNSC海軍 スピリットオブファイア所属

レッドチーム ジェローム.ダグラス.アリス

コールサイン:シエラ092.シエラ042.シエラ130

 

現在位置.....不明

現在時刻...世界標準時.13:34

作戦目標:未確認惑星の捜索

 

全身を緑の装甲に覆われた長身の兵士達はワートホグと呼ばれる車両に乗り、

眼下に広がる避難民の列を眺めていた。

 

この未確認惑星に我々が出現してから3時間で周囲に偵察を出し、我々が

初めて遭遇した生物は…人間だった

 

『レッドチーム、応答を』

 

スーツのCOMリンクから現在全ての指示を出している人物。スピリットオブファイア艦長のジェームズ・G・カッター艦長が問いかけてくる。

 

「こちらレッドチーム、シエラ092」

『ジェロームか、至急報告したい事があると聞いたが』

「はい…HUDの映像を送信します」

 

口で伝えるよりも、現在の状況を映像で伝える方が速い、すぐにHUDに映っている光景をSoFに送信する。

 

『……人間か?』

「はい、どうしましょうか。接触しますか?観察しますか?」

『ふむ』

 

しばらくどうするのかを考えていたようだったが答えを決め、口を開こうとした瞬間。チーム間の無線にアリスから警告が入った。

 

『接触しろ、そして「ジェローム!方位217より未確認生物接近!大きい!」』

 

艦長との通信を一時遮断し、周囲を確認する。ヘルメットに内蔵されているズーム機能を使い確認する。

 

「あれは…」

 

赤い巨大な身体、大きく羽ばたいている翼、長く鋭い尻尾…ドラゴン現実には存在しない架空の生物が目の前で飛翔していた。

 

「いつから俺たちはファンタジー小説の中に入ったんだ?あんな生き物どこのアウターコロニーに居るってんだ」

 

運転席に座るダグラスが茶化す様にドラゴンを指差す。その間もドラゴンは目下に居る避難民達に近づき火炎や尻尾などで破壊と虐殺の限りを尽くしていた。

 

「どうするリーダー?射程内よ、何時でも射撃できる」

 

銃座に立ちガトリングを構えているアリスが銃座を指向し聞いてくる。

 

「射撃は待て、艦長に指示を仰ぐ……艦長」

 

『突如通信が途絶えたが、状況を説明しろ』

 

「問題発生です。先程報告した民間人の車列に現地生物の飛行生物が攻撃を開始、現地の警備部隊を交戦状態に入っています。』

 

『…状況は分かった、すぐに民間人の保護と現地部隊の救援を行え、こちらも艦と援軍を向かわせる』

『援軍のETAは?』

『…6分、艦は25分だ』

「了解、民間人の保護と現地部隊に対する救援を行います…アリス、ダグラス行くぞ」

 

HUDの左上にある2人の状況ライトが2回点滅し、ダグラスはエンジンを、アリスはガトリングの安全装置を外す。準備は万端だ。

 

「行くぞ」

 

この声が合図となり崖をワートホグが駆け降りていく。下手をすれば空中に放り出される様な揺れの中、ダグラスは非常に安定した運転で崖を下り降りてすぐさま降りきった。

 

「アリス、射撃開始。民間人に当てるなよ」

「当たり前でしょ、射撃開始!」

 

モーター音を響かせながら12.7mmの弾丸をドラゴンに向けて叩きつけていく。装填されているのはシュレッダー弾と言われる弾薬で、非装甲目標を一瞬で切り裂く程の威力を秘めているにもかかわらず、ドラゴンの装甲は全ての弾丸弾き続けている。

 

自らが手に持つライフルも射撃するが、一切装甲を貫徹する様子はない。

 

隣を疾走している現地部隊の車両も射撃しているが有効打は見受けられない。

しかしそれで良い、向こうの指揮官も同じ考えなのかどうかは知らないが、我々が発砲し続ける限り、あのドラゴンはこっちを狙う筈だ。ならば民間人の保護に繋がる。

 

 

「アリス、そのまま撃ち続けろ、ダグラスは民間人を轢かないように注意しつつドラゴンの周りを走れ、俺は教授に映像を送信する。」

 

『了解』

 

ヘルメットの視界をそのままスピリットオブファイアに送信して20秒程経った時、視界の左上に女性の姿が現れた。

 

 

『映像を確認しているわ…学者としては研究したいけど、それどころじゃ無い

のは分かってる、こちらから分析できた事を情報として送るわね』

 

すぐにHUDに推測されたデータが送られてきた、それを他の2人に添付する。

 

…軽く目を通したが、現有の装備で殺し切るのは少々難しそうだ。

 

『私はまだ分析を続けるからまた何かわかったら知らせるわ』

 

教授から送られたデータをざっと見た限りだと、コヴナント軍のスカラベが

空を飛ぶ様なモノだった。

 

だが倒せるはずだ、相手は生物なのだから。

 

我々に出来ることは時間を稼ぎスピリットオブファイアの火力で敵を倒すことだけだ。あのサイズの生物でもアーチャーミサイルを食らえばタダでは済まない筈だ。

 

それに、まだ最大火力という訳でもない。このワートホグの各所に設けられたアクセスポイントにはM41ロケットランチャーが設置されている。車両が破壊された場合はこれを持って戦う。

 

ハンドルを右に切り、ドラゴンと正対すると同時に目の前に民間人の馬車が入り込んできた

 

「ッ!回避!」

「分かってる!!」

ダグラスは急いでブレーキを踏み急停止し、馬車を通した、そしてまた急発進した。急減速と急発進で身体が前後に激しく揺れるが問題はない。

 

が、止まったのが不味かったらしい。ドラゴンはこちらに向けて火炎を放っていた。一気に視界を覆う炎、一瞬の抵抗のうちに掻き消えるシールド…だがそれだけだ。ヘルメット内のHUDには300℃と出ているが、アーマー内部のジェル層がスーツの温度を保つ上に、アーマーの装甲はこの程度の熱では溶けない。

 

しかし、我々のアーマーが耐えられてもワートホグの方が耐えられなかった。フロントガラスはドロドロに溶け消え、エンジンは火を噴き出しコンソールは映らなくなった。

 

車両の状態を確認してすぐにアクセスポイントからランチャーを取り出し車外に飛び出る。我々が耐えられても車両が保たない、全員が同じ事を思い同時に飛び出した。

 

強く座席を蹴り飛び出した為、大きく転がる事になってしまったが。身体もスーツも武器も異常は無い。火達磨になったワートホグには目もくれず走り出す。

 

「俺は脚を撃つ」

『なら私は胴体』

『俺は頭部を』

 

 

HUD上部のシールド残量計がフルに貯まるのを待ち、攻撃を開始する。攻撃を合図したわけではないが、同時に射出されたロケット弾は狙い通りに飛翔する

 

このまま直進すれば命中する…筈だった。後方より投擲されたハルバードが地面に深く突き刺さり、辺り一面が陥没し。ドラゴンが体制を大きく崩したのだ。結果アリスの放った1発が翼膜、現地勢力のランチャー1発が左腕に被弾し左腕の欠損、翼膜に損傷を受けただけだった。

 

炎龍は大きな咆哮をあげ飛び去り。辺りには今までと違い静寂が訪れた。

 

『…こちらのレーダーで巨大な反応がそちらの地点から離れていくのを確認した、ご苦労だった。現在そちらに艦を向けているが、到着には20分かかる、増援部隊はあと3分で到着する』

「了解、LZを確保しておきます、ダグラス着陸地点の確保を頼む。アリスはワートホグから使える武装を回収して周辺の警戒を頼む。俺は上空を警戒する。」

 

「了解…使えるものなんて残ってるかしら?」

「頼むぜアリス。今の俺たちは武器なしだからな」

「はいはい」

 

 

 

しばらく周囲の上空を警戒していると、HUD左下のモーショントラッカーに

近付いてくる光点が3つ表示された。そちらに顔を向けると、現地部隊の兵士達が接近してきていた。

 

こちらも接触する為に近付いていく。そしてこちらが相手の顔を視認できる距離まで接近した時、相手が口を開いた。

 

「あー、自分は陸上自衛隊第3偵察隊隊長、伊丹耀司二等陸尉です、そちらの官姓名は?」

 

…驚いたな…自分の記憶が正しければ…日本語?だったか。ディジャに教わった事がある。

 

「UNSC海軍 スピリットオブファイア所属のレッドチームリーダーのジェローム092だ」

 

しかし…陸上自衛隊とは聞いたことのない部隊だな…アウターコロニーの

自警団か?なんにせよ、助かった。急ぎ地球か、リーチに帰還し、あの脅威を伝えなければならん。

 

「申し訳ありませんが我々はUNSCという組織を聞いた事がありませんが…」

 

「…すまないが何を言っているのか分からない、我々は急ぎリーチか地球に帰還し司令部に伝えなければならない情報があるんだ」

 

こちらの事情を説明しても目の前の男達はハッキリしない態度を取っている。先ほど名乗ったイタミと言う男が背後にいる部下達に何事かを聞いているが首を捻っている。

 

「UNSCってなんだ?」

「分かりません…UNとついているって事は国連関係なんでしょうが…門の向こうに国連関係者が入ったなんて聞いてませんよ」

「第1、門の向こう側って日本政府が独占中でしょ?外国の組織が入ってるって相当ヤバいんじゃ…」

 

耳を寄せ合って話し合っていたようだが、集音マイクで全て聞こえていた。

 

しかしどう言う事だ?どんなアウターコロニーでも統治組織の名前ぐらいは知っている筈だ。

 

「ダグラス、状況をカッター艦長へ伝えろ、妙な事になってきた」

『了解』

「アリス、アンダース教授に頼んでUNSCのデータベースに陸上自衛隊の記述がないか調べてもらってくれ」

『わかったわ』

 

「分かった、イタミ…二等陸尉とはどの程度の階級なのだ?」

 

突然話しかけると余程驚いたのか飛び上がりながらこちらに振り返る。

 

「へっ?……あ、あぁ。中尉です」

 

二等陸尉は中尉か

 

「では伊丹中尉、もうすぐ我々の仲間も到着する、到着次第情報を交換したい」

「…あー…訳分からん……くそ、わかりました、上に報告してみます」

 

伊丹中尉は胸元の無線機を握り

「おやっさん?ちょっと訳がわからないんだけど、国連の組織と遭遇しちゃったみたいでさぁ…そう…お願いします…」

 

イタミ中尉は無線機から手を離し次第大きなため息を吐いた。

 

『こちらキロ7-4、シエラ092着陸地点を指示してくれ』

「シエラ042のマーカーの位置だ」

『了解した』

 

空から重厚で静かなエンジン音が聞こえ、そちらに顔を向けると見慣れた降下艇が地表に向かって降下してきていた。

 

地面に機体が触れるか触れないかの所で機体が停止し、後部ランプから海兵隊…ではなくODSTが飛び出して来た。全身を黒い装備で固められた彼等は周囲に散らばり、周辺を警戒していた。さらに、後部ランプから降りて来た人物に対して俺は反射的に敬礼していた。

 

「大丈夫か?キャプテン・ジェローム」

「何も問題ありません、カッター艦長」

 

我々の母艦であるスピリットオブファイアの艦長が降り立っていた。

 

 

 

 

 

 

 




『ODST』

「Orbital Drop Shock Troopers」の頭文字を取った略称。
 編成はSPARTANーⅡ達よりも昔で歴史も長く元々人類に統一された政府が誕生した事で各国特殊部隊をまとめて再編成した経緯がある。


ジェームズ・グレゴリー・カッター

スピリット・オブ・ファイアの艦長。
ジェームズ・グレゴリー・カッター艦長は軍の伝統と規律を重んじる指揮官だが、その一方で部下への配慮も欠かさない。
UNSCが誇る英雄の1人であるカッター艦長は、長く、輝かしい軍歴を誇るが、昇進よりも艦や乗員とともにあることを優先している。彼にとって乗員は部下というよりも家族に近く、その思いは乗員にも伝わっており、艦長の人間性とその決断には全員が絶大な信頼を寄せている。

エレン・アンダース教授

聡明にして恐れを知らない科学者。
エレン・アンダース教授は、スピリット・オブ・ファイアにとってなくてはならない人材である。専門は、地球外生命体の生態心理学から高エネルギー物理学までと、実に幅広い。フォアランナーのテクノロジーにも精通し、その制御システムを巧みに操作する様子はイザベルでさえ目を丸くするほどだ。
艦内での公式な立場はあくまでも「民間人コンサルタント」だが、実際はカッター艦長の右腕兼アドバイザーであり、戦場で彼女と苦楽を共にする兵士たちからも深い信頼を寄せられている。


アリス-130

アリスは、2511年頃に生まれた。彼女の遺伝子構造に、海軍情報局 とハルゼイ博士 は目をつけた。2517年にスパルタン-II計画 にふさわしい候補者として選ばれた後、彼女は誘拐され、リーチに送られた。そして彼女は特別訓練により、兵士となったのである。2525年、彼女と他の候補者達は 一連の強化措置を受けた。この処置で彼女は死亡することも身体障害もなく生き延びたのであった。

ダグラス-042

2517年,ダグラス-042は6歳の時に,キャサリン・ハルゼイ博士のスパルタンⅡ計画のために,誘拐・徴兵された。その後,人類の植民地であるリーチに連れて行かれ,他のスパルタン・チルドレンと共に,AIデジャとメンデス上級兵曹によって訓練を受ける。2525年,彼と他の候補者たちは能力を増強させる一連の措置を施される。その処置で,ダグラスは死ぬことも活動不能にもならず,生き残った。


スピリットオブファイア

ゲーム『HALO』シリーズに登場する架空の宇宙艦艇。UNSC所属のフェニックス級コロニー船の改造艦艇。 艦艇の登録コードは【CFV-88】 2473年に建造された旧式艦艇を海軍が徴用し武装を施し運用されている。 改修後は強襲揚陸艦として2531年頃ジェームズ・カーター大佐の指揮下でアルカディア攻防戦に参加後突如スリップスペースへ突入し人員を含めて2534年頃M.I.Aに登録された。継続戦闘能力が極めて高い。 格納庫の数でも事前に大量の兵器を搭載していたのが原因ではなくこの艦艇には設計図さえあれば独自に兵器を生産しさらにアップグレードやある程度なら新規開発も可能な兵器工場が存在する。 つまり艦艇が生き残り工場が無事なら資材と運用できる人員さえいれば延々と兵器を生産し続け戦う事を可能としている。
搭載されている既存の兵器も随時アップデートが繰り返され2531年までに生産された物でも常に最新型と見劣りしない物へと変貌させている。 ただしこの工場で生産した物はUNSCやメーカー純正とは言えないので異なる点が存在しいくつかの機能を省いたり手直しする事もある。


最後までお読み頂き、ありがとうございます。
評価、及び感想を下さった皆様、ありがとうございます!
大変励みになりますのでいっぱいください!

次回はUNSC側と陸上自衛隊幹部側との交流に
なります、次回をお楽しみに!




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接近



前回幹部同士の交流と
書いてしまったが…

申し訳ありません、そこまで辿り着けません
でした。その一歩前をお楽しみください


 

 

 

デュマ山脈 麓

JGSDF・UNSC

シエラ092ジェローム

 

「大丈夫か?キャプテン・ジェローム」

「何も問題ありません、カッター艦長」

 

軽く頷いた後に耳に手を当て

通信を開始した。

 

「ソフィア少尉、現場に到着した…

わかった……そうか、通信終了」

「艦長」

「ジェローム、アンダース教授からだ」

 

艦長は手元にあるPADを操作し

こちらに手渡してくる。

 

指で軽く触れると空中にアンダース教授

の上半身が投影された。

 

『おはようジェローム』

「おはようございます、教授」

『早速だけど貴方の通信にあった

未確認勢力、陸上自衛隊について

わかった事があったわ』

「自警団ですか?それとも…反乱軍でしたか?」

もし反乱軍だった場合は皆殺しにしなければ

ならない

『そのどちらでも無いの』

…自警団でも反乱軍でも無い?

「どういう事でしょうか」

『彼らの名乗った陸上自衛隊と言う組織は

たしかに存在するわ…500年以上前の極東にね』

……

………

「どう言う事でしょう?」

『そのままの意味よ…私だって頭痛いんだから』

ホログラムの教授は頭に右手を当て振っている

「艦長」

「あぁ…どうやら彼等と話をしなければ

ならないようだな」

 

カッター艦長が顔を向けた方向を見ると

未確認…いや陸上自衛隊員がこちらを

見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「伊丹隊長…あれって」

「言うなよ倉田…それ以上は言うなよ!頼むから」

 

…頭いてぇ…なんだよアイツら…エイリアンか?

なんで怪異共がいる異世界に空飛ぶ飛行機もった

超文明が存在するんだ…

 

「参っちゃうなぁ…」

「伊丹隊長」

「おやっさん…どうだった?」

「…その…待機しろと…」

「…でしょうねぇ…」

 

自衛隊はもちろん政府だって確認して

いない国外の組織らしきものを特地で

発見…また頭痛くなってきた

 

「倉田〜」

「なんですか〜」

「頭痛いんだけど痛み止めない?」

「あるわけないでしょ…黒川さんに

もらってきたらどうです?」

「……そうするわ」

 

 

現場に立つ隊員が頭を抱えている時

上層部も同じように頭を抱えていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここ、アルヌス駐屯地では戦闘時よりも

慌ただしくなっていた。

 

その原因は1つ

 

伊丹達第3偵察隊の報告してきた

『国連らしき勢力を特地にて確認』の

一報だった。

 

この報告が入ってから五分と経たずに

狭間陸将に報告された。

 

「…これは本当か?」

「えぇ…三度、聞き返しましたが

間違いないと…」

 

狭間の目の前にいる柳田二尉も

気難しそうな顔になっていた。

 

…私もだろうが

 

「…防衛大臣にお繋ぎしてくれ」

 

 

 

 

長い長い説明の後、得られたのは

彼等を駐屯地まで連れて来いという

命令だった。

 

「…柳田二尉、すぐに応接間の用意を、

外務省から菅原と言う外交官がこちらに

来るそうだ…こいつは長くなるぞ」

「はっ!」

 

厄介な事になりそうだ…

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

『と言う訳で…彼等を連れて来い』

「わかりました…避難民はどうしましょう」

『…少し待て』

 

高機動車内の無線子機を握りながら

窓の外に目を向ける。

 

履き潰された遺体や焼死体を

埋める隊員達の姿と、至る所にいる

黒尽くめの兵士達と緑の巨人…

 

…正直言えば伊丹の感が言っている。

『あれは俺たちの知る国連の組織じゃ

ない』と、しかしそんなことを言う訳

にもいかず、上にすべて投げた。

 

(狭間陸将!すんまっせん!)

と、心の中で上官に謝っていると、

手元の無線子機からピープ音が鳴った

 

『人道的観点から駐屯地に連れてくる許可

が降りた。とりあえず連れて来い』

「了解、通信終わり」

 

…UNSCとやらに話かけるのって…

俺しかいないよなぁ…

 

…おやっさんだけ付いてきてもらうか

 

コダ村からの避難民や道中拾った

ゴスロリ少女に身振り手振りと

カタコトの特地語でここで待てと

伝えた後に桑原陸曹を呼び、彼等の

方へと歩いて行く。道中何度か黒尽

くめの兵士達とすれ違ったが彼等は

こちらをバイザー越しに見るばかりで

挨拶もしてこなかった…怖い

 

バイザー越しに見られるのって結構怖いのね、

俺初めて知ったよ

 

そうして辺りを見ながら先ほど話した

肩に赤いラインの入った緑色の兵士の

もとまで歩いて行くと、

 

先程空から降りてきた飛行機の中から

出てきた男性を見つけた。

 

グレーを基調とした軍服を着用して

帽子を被り、白い髭を蓄えた威厳のある

男性だ。

 

とりあえずぺこりと頭を下げる

すると向こうも軽く頭を振り、

口を開いた

 

「話はジェロームから聞いている。

私はUNSC海軍スピリットオブファイア

艦長のジェームズ・G・カッター大佐だ、

よろしく、伊丹中尉」

 

…まさかの艦長さんだったよ…って

 

「失礼しました!陸上自衛隊伊丹耀司

二等陸尉であります!」

「同じく桑原悠一郎陸曹長であります!」

 

2人してビシッと足を合わせ最敬礼を行った。

カッター大佐はそれに答礼した後

耳元に手を当て何かを話している…

と言うか聞き間違えじゃなければあれって

英語だよな?

 

「伊丹中尉、我々は今からそちらの基地に

向かいたいと思うのだが…どうかね?」

「はい、我々も同行をお願いする為に

こちらに伺いましたので」

 

向こうから希望してくるなら万々歳だな。

早速付いて来て…あ

「そちらの移動手段についてですが」

 

先程手助けしてくれたジェローム達の

車両は火達磨になり、至る所から黒煙と

火花が散っている状態だし。

あの乗ってきた飛行機に乗るのかな?

 

「あぁ、心配無い…既に真上にある」

 

そう言いカッター艦長が上を指差す。

俺とおやっさんも釣られて上を見ると

 

何もない綺麗な空だと思っていたのは一瞬。

遠くの方に黒い点が見えた、それはぐんぐんと

大きくなり、気付くと俺達を覆っていた。

 

「な…え?」

 

先程まで照つける太陽が俺たちを焼いていたのに

今は日陰だ。

 

「ご苦労だった、今から戻る。迎えの機を

寄越してくれ…伊丹中尉達も来ると良い、

治療と食事の準備をしてある」

 

突然巨大な物体が真上に現れた

衝撃によりパニックになっていた

俺は「はい」と言うしかなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後、カッター艦長が周囲にいた

黒尽くめの兵士達に遺体の埋葬を手伝え

との命令により早く遺体の埋葬が終わった

俺たちはその時を待っていた。

 

倉田は頬から冷汗を流し、栗林は周囲に…

辺りの兵士達に忙しなく目線を向けている。

おやっさんや勝元なんかの隊員達は唖然と

目の前に浮かぶ物体に目を向けている。

 

俺は落ち着き始め、浮かぶ物体を観察

する事が出来るようになっていた。

 

と言っても、日陰のせいで黒いとしか

分からないが。

 

「隊長…俺達は一体何と遭遇したん

ですかね…」

 

「わかんないけど…まぁ…話が通じる

だけでもいいじゃないか」

 

彼等が何者かは分からないが…

まぁ…分からなくても良いか。

 

 

 

 






スパルタンⅡに施された肉体改造

1.炭化セラミックの骨化:
先進的な素材:骨折を防ぐ為、先進素材である炭化セラミックを骨格構造に移植する。

リスク:移植される量が骨格の総量の3%を越える場合、著しい白血球壊死を引き起こす。また対象が思春期前後の年齢である場合、骨の液状化などの極めて深刻な症状が発生する可能性がある。

筋肉増強の注射:
タンパク質複合体を筋肉に注入し、細胞の密度を高め乳酸の回復時間が短縮する。
リスク:5%の確率で致命的な心臓容積の増加が発生する。

甲状腺インプラント:
ヒト成長ホルモンの分泌を促す触媒を入れたプラチナペレットを甲状腺に移植し、骨格と筋肉組織の成長率を高める。
リスク:稀に象皮病が発生。性欲の抑制。

頭毛細血管の反転:
感光性細胞である網膜の桿状体と、円錐体の下にある毛細血管の流れを押し上げて視力を強化する。
リスク:手術に伴う拒絶反応による、網膜の除去と剥離による永久的失明。

神経樹状突起の加工超伝導:
生体電気の伝達に用いる神経を、人為的に加工された素材に置換する。反射神経は300%の向上が見込まれ、知能・記憶力・創造性の著しい向上も期待できる。
リスク:深刻なパーキンソン病とフレッチャー症候群となる恐れがある。


以上の改造を施された75名のスパルタンⅡ達は
33名しか生き残ることが出来ませんでした。

しかし、33名のスパルタン達に
『ミョルニル』という戦闘用アーマーを
着用させる事により、無敵の兵士を
作り上げる事に成功しました。

ミョルニル・アーマー
機能

装甲は特殊合金の多層構造で、表面はエネルギー兵器を拡散するコーティングが施されている。装甲内部にはジェル層があり、衝撃を吸収するため、2000m以上の高さから落ちても無傷で済むこともある。
全身を包むエネルギーシールドは、銃弾・プラズマ兵器・ビーム兵器・打撃のいずれに対しても完全な防御を行う。キャパシティには限界があるが、しばらく安定した状態が続けば、再び完全な状態まで回復できる(オート・リチャージ)。

ある種のパワーアシストがあり、60tの重量があるスコーピオン戦車を一人でひっくり返せる力がある。またその重量にもかかわらず、走力やジャンプ力でも一般兵士に劣らない。アーマーの動作は神経回路インタフェースにより、思考と同じ速さでコントロールされる。
HUDには銃の種類にかかわらず常に照準が表示されており、正確な射撃をサポートする。
銃火器の残弾やバッテリー残量を解析し、表示する。

モーショントラッカーにより、周囲360度の動く物体を探知できる。更に、その敵味方も判別できる。

暗所で使用するフラッシュライトを内蔵している。

背中には武器を装備するためのマグネットがありくっつけるように装備できる。


お値段は当時の小型宇宙艦艇1隻分


これらのアーマーを装着したスパルタン達は
地上戦では負け知らずでした。

彼等と戦っていた敵対勢力(コヴナント』は
スパルタンと人類は別の種族だと思い込んで
いたくらいです。

コヴナントの1勢力であるサンヘイリ族、
通称エリート族はスパルタンと戦い討ち
取れば最高の名誉、死ねば2番目に名誉な
事だと思っていたようです。


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